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モバP「言葉が重くなる病気?」

1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:02:49 oWF1/XjA
医者「ええ、大変に残念ですが」

P「えっと、つまりどういう事でしょうか?」

医者「その名の通り、重くなります」

P「はあ」

医者「まだ症状は出ていませんが、恐らく明日には発症してしまうかと」

P「えっと、治す方法は?」

医者「一日経てば自然と治癒します、ですが本当にその間は言葉が重くなってしまいますので
   おまけに自覚症状がありませんので、治るまで自分がおかしい事にも気づけません」

P「わ、分かりました……」

医者「段々と自我も薄れていきますので、思わぬ行動を取ることになるかもしれませんので。
   お気を付けて」


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2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:03:29 oWF1/XjA
P「と、言われてもなあ。結局、朝になっても何ともないから事務所に来ちゃったけど」

ちひろ「あ、おはようございます。健康診断に引っ掛かったって聞きましたけど大丈夫でした?」

P「……ああ、いいんだ。何も心配するな、少し奇病を患っただけの話」
  (いや、何か変な病名を言われたんすけど)

ちひろ「え、あのプロデューサーさん」

P「いい、悔いはない。気にするな、最後まで笑顔でいようとは思うから」
  (はは、何か笑える話なんですけど。後で話すんで)

ちひろ「プロデューサーさんもしかして……」

P「いやいい、本当にいいんだ」
  (まあ、何でもなかったって話なんだけど)


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:04:09 oWF1/XjA
凛「おはよ」

P「今日は会えたか」
  (おはよ)

凛「今日は? 昨日はお休みって聞いてたけど、もしかして明日も休み?」

P「いや、少しでも長く凛の顔を見たいからな」
  (凛をトップアイドルにするって約束したろ? まだまだ休んでる場合じゃないって)

凛「何? その言い方、変だよ?」

P「そうか、分かるか?」
  (え、そうかな?)

凛「何かあったの?」

ちひろ「実は昨日、プロデューサーさん健康診断に引っ掛かったみたいなの」

凛「本当!? 大丈夫?」

P「原因不明の奇病を患っただけのこと、業務に支障はない」
  (何か変な病気になったって言われたんだけど、全く自覚ないんだよなあ)


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:05:01 oWF1/XjA
凛「原因不明!?」

ちひろ「……やっぱり」

P「お前達は何も気にするな、これは俺の問題だ」
  (いや、何か別に害があるとかって訳じゃないから)

凛「そんなに重いの?」

P「……いや」
  (大した事ないって)

凛「そっか、言ってくれないんだ」

ちひろ「凛ちゃん……」

凛「レッスン行ってくる、今日は終わるまでいてくれる?」

P「お前が望む願いは、必ず叶えてみせる」
  (そのつもりだよ)

凛「……行ってくる、待っててね」


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:05:58 oWF1/XjA
ちひろ「プロデューサーさん、休まなくて大丈夫ですか? 代われる仕事ならやりますから

P「いえ、この体の動く内にしておかないと……きっと最期に後悔すると思うんだ」
  (やれる内にやっておかないと、後で痛い目に合いますから)

ちひろ「そう、ですか。私も頑張りますから、何かあったらすぐに言って下さいね」

P「ありがとう、ちひろ」
  (ちひろさんあざーっす)

ありす「おはようございます」

P「ありすか、顔を見れて嬉しいよ」
  (ありす、おはよ)

ありす「え、そうですか?」

P「ああ、俺の大切なアイドルだからな」
  (もちろん)

ありす「俺の……へへ」

P「共に歩く準備はできてるな?」
  (今日は現場まで一緒だな)

ありす「はい、行きましょう」


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6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:07:11 oWF1/XjA
P「おや、秋の贈り物かな?」
  (髪に葉っぱが付いてるぞ)

ありす「あ、ありがとうございます」

P「あまりに綺麗だから女神様かと思ったよ」
  (小さな妖精みたいだな)

ありす「そんな、言い過ぎです」

P「俺にはもうお前しか見えない」
  (いや、何か引き込まれるような感じがしてさ)

ありす「え、えへへ。それなら仕方ないですね」

P「さあ、行こう。俺とありすの約束の地へ」
  (約束の時間までもうすぐだ、ほら行くぞ)

ありす「はい、どこまでも一緒です。Pさん!」


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:08:04 oWF1/XjA
P「何故だろう、妙にありすがご機嫌だった。別に何もおかしくないよな?」

千枝「あ、Pさん。お疲れ様です」

P「これも運命かな」
  (おお、偶然だな)

千枝「運命ですか?」

P「俺と千枝はここで会う運命だったんだよ」
  (そ、偶然)

千枝「そうだったら……嬉しいです」

P「その衣装は俺との結婚式の為かな?」
  (その手に持ってる衣装はどうしたんだ?)

千枝「けっ、結婚!?」

P「千枝は俺の理想のお嫁さんだからな」
  (結婚? 千枝ならいいお嫁さんになりそうだけど)


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:09:48 oWF1/XjA
千枝「本当ですか?」

P「俺は嘘は言わない、な?」
  (本当だって)

千枝「千枝、頑張りますから」

P「千枝の事なら何でも応援するからな」
  (何かよく分からないけど、まあ頑張れ)

千枝「それで相談なんですけど、どっちの衣装のほうが似合ってますか?
   次のライブで着る衣装の候補なんです」

P「これを着ろ」
  (うーん、俺はこっちかな)

千枝「こっちですか?」

P「俺の色に染まってくれるのなら」
  (俺の好みはな)

千枝「Pさんの色……分かりましたこっちにします!」

P「俺を満足させてくれたら、いいものをあげるよ。千枝の望むものなら何でも」
  (成功したら何かご褒美あげないとな)

千枝「絶対、Pさんの期待に応えますから」


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:13:11 oWF1/XjA
P「お、おお。何か凄い気合だったけど。それにしても寒いな、何で冷房なんて付けてるんだ寒くて震えるって」

美波「あ、Pさんお疲れ様です」

P「美波か……」
  (お疲れ、それにしても寒くないか?)

美波「Pさん、どうしたんですか? 震えてますよ」

P「俺を、温めてくれないか?」
  (そこに上着あるから取ってくれないか?)

美波「はい?」

P「やっぱりお前は使えないな」
  (あ、駄目か。アイドルをそんな風に使ったら駄目だよな)

美波「」

P「何も言う事がないか」
  (あれ、何で黙っちゃったんだ?)


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:13:53 oWF1/XjA
美波「これで……いいで……すか?」

P「止めろ、何をしているか分かっているのか?」
  (おい! アイドルがそんな風に抱き付くなって!)

美波「分かってます、Pさんが最初に言ったんじゃないですか」

P「俺は温めてくれとは言ったが」
  (俺は上着を取ってくれって言っただけで)

美波「まだ、足りないんですか?」

P「もういい、それがお前の限界だ」
  (いやもう充分だって!)

美波「そんな事を言うんですか、でしたら」


11 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:15:16 oWF1/XjA
P「お前に覚悟などある訳ない」
  (どうした? そんな意を決したような顔して)

美波「こ、これで……満足ですか? 体温、感じてくれてますか?」

P「」

美波「何か言って下さい、私だけこんな事させて……狡いです」

凛「プロデューサーまだいる!? 今日は私がついて……」

美波「あ」

凛「へえ……ふうん……そう」

千枝「Pさん着てきました! どうで……しょう……かあ?」

ありす「Pさん仕事終わりました、今日はよくできましたので……」

P「これは美波の俺に対する意志だ」
  (違う! これは美波が勝手に!!)


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:16:23 oWF1/XjA
凛「意志って、そういう関係だったの?」

美波「いえ、そのPさんが震えてて」

千枝「少し寒いですもんね」

ありす「だからと言ってそれはやり過ぎです」

P「急に……誰かの温もりが欲しくなってな。求めてしまったんだ、この子に」
  (俺は上着を取ってもらおうとしただけで! 美波に頼んだだけなんだよ!)

凛「それならそうと言ってよ、やっぱり無理してたんだね」

美波「無理?」

凛「病気みたいなんだ、プロデューサー」

美波「そんな! 本当なんですか!?」

P「原因不明の、奇病だそうだ」
  (変な病気なんだけどな)


13 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:18:12 oWF1/XjA
美波「原因不明……」

千枝「治す方法はないんですか?」

P「今日、一夜を明かせば」
  (一日経てば治るそうなんだが)

凛「一夜を明かすって」

ありす「つまり」

千枝「そういう事ですね」

美波「じゃあ今日はずっとこんなに震えたままなんですか?」


14 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:18:58 oWF1/XjA
P「お前たちの温もりさえあれば、問題ないさ」
  (いや、これは暖を取れば済む話だから)

凛「覚悟を決めるしかないね」

千枝「Pさんを治す為です」

ありす「待って下さいって言ったのにせっかちなんですから」

美波「仕方ありません、今日はもう離しませんから」
――

P「あれ? 事務所に来てからの記憶があんまりないな……ってか何で裸!? 一体どうなって」

凛「すう……」

千枝「P……さん」

ありす「ふわ……もっと……」

美波「あ……起きたんですか?」


15 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:19:52 oWF1/XjA
P「えっと、ここどこだ?」

美波「仮眠室ですよ」

P「……何で裸?」

美波「私の温もりが欲しいって、言われてしまいましたから」

P「いや、待て何のことだかさっぱり!」

早苗「なーに? 誰かいるのー?」

P「まずい」

早苗「……うん、返答次第では考える。何をしてるの?」


16 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:21:27 oWF1/XjA
P「食べちゃった」
  (待って下さい! 俺は何もしてませんって!!)

早苗「うん、分かった」

P「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

医者「うん? あの患者、まだ病気を持っているな」

看護婦「何の病気ですか?」

医者「うん、まあ強いて名づけるなら」

「言葉が軽くなる病気、かな」

終焉の扉は今開かれん!!
(終わり)


17 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/18(金) 21:33:19 xyMvHDpI
精神的にも肉体的にもグサッと逝きそうな病気だな


18 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/10/25(金) 01:43:46 JLprLezE
面白かった



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