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企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.4

1しらにゅい:2014/01/27(月) 22:11:13
ここはキャラ企画つれっどにて投稿されたキャラクターを小説化しよう!というスレです
本編とはかかわりがなく、あくまでもアナザーストーリーという扱いです
時系列は本編(2002年のGW4月28日〜)よりも前の話が主になります
本編キャラの名前が名字無しカタカナの為、小説ではそれに合わせた呼び方が多いです
人様のキャラクターを借りる時は、設定を良く見て矛盾が無いように敬意を持って扱いましょう
詳しい説明などは下のURLをご覧ください
ナイアナ企画@wiki―「はじめに:企画キャラとは」
http://www22.atwiki.jp/naianakikaku/pages/1057.html


過去スレ
企画されたキャラを小説化してみませんか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1208562457/
企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1301901588/
企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.3
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1317809300/
企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.3.5
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14155/1330491756/

23スゴロク:2014/04/03(木) 23:38:41
「集束する、可能性」の続きです。



「むう!?」

背後……否、頭上から突如として気配を感じたヴァイスは、危機感の導くままにその場から飛び退った。同時、「運命の歪み」に入った際に授けられた「ヤミまがい」を発動、襲撃者を迎撃する。
一瞬前までいた場所に黒いナニカが凝り、棘のように先鋭化して敵を貫かんとする。だがそれは、

「無駄だぁッ!」

降って来た襲撃者がその身にまとう、赤い光に弾かれて霧消した。
立ち上がってヴァイスと相対するのは、一人の少女。
伸びたのか、肩の後ろまである赤い髪。炎を宿したような真紅の瞳。身にまとう赤い光は、肩甲骨の辺りで肥大化して一対の翼を象る。
この事象を呼び込んだ当人・マナが、その名を呼ぶ。

「スザク」
「マナ……何だか胸騒ぎがしたと思ったら……」
「どうやって来たかは言わなくていいわ。観測されなければごまかしようはあるもの」
「ん……了解。とりあえず」

ひゅん、と右腕を一振りして。

「こいつを潰せば、いいんだな?」
「そうよ。お願い」
「任せろ!」

飛び出すその手には、幻龍剣から変化した……。

「……何、あの剣」

奇妙な剣が握られていた。幻龍剣や朱羽剣と違い、拳から突き出るのではなく、手に持つタイプの武器だ。ナックルガードつきのグリップから、無数の小さな刃が鎖状に連なった赤い刀身が伸びている。
蛇腹剣と呼ばれる、創作上の武器だ。

「『幻鳳刃』か。なかなか奇想天外な武器を使う……」

「インサイトシーイング」でその本質を見切ったブラウが呟く。その手に握った拳銃は、その時には既にヴァイスの足元目がけて撃ち込まれていた。

「ぬおっ!」
「伸びろーッ!」

回避運動を中断させられて不自然な態勢で固まるヴァイス目がけて、スザクが『幻鳳刃』を叩き付ける。意志を持っているかのように伸びた刀身は、黒ずくめの男の身体を縛り上げて拘束、

「“破斬”ッ!」

振り上げられたスザクの右腕に従い、そのまま引き戻される。
途中の空中で、刀身が一気に迸り、

「ぐ、はッ!?」

ヴァイスの身体を文字通り、上下に真っ二つにしていた。と思った次の瞬間、その体が崩れて消える。

「! 身代わり……」
「綾ちゃん、上ッ!」
「!」

ランカの警告に従い、直上を振り仰いだスザクの眼には、ナイフを構えて突っ込んでくるヴァイスの姿。
左手を振り上げ、叫ぶ。

「“刃転光”、弾き返せッ!」

広げた掌の上に、何か複雑な文様の刻まれた円形の力場が出現する。それは、落下の勢いが乗った刺突を、金属同士が衝突するような鈍い音を立てて完全に弾き返し、ヴァイス自身をも空中に跳ね上げていた。

「くっ!」

だが、追撃をかけようとしたところに「ヤミまがい」の闇が横合いから襲い掛かり、やむなくスザクはその場を後退した。

24スゴロク:2014/04/03(木) 23:39:13

「ちっ、仕留め損ねた!」
「厄介ですね……それが噂のデッド・エボリュートですか、っと!」

軽くスウェーバックしたその眼前を、ブラウの放った銃弾が貫いていく。

「……やはり、ただの拳銃では通じんか」

本当は「シャットアウト」で隔離した後、その空間ごと何らかの手段で滅殺するつもりだったのだが、こうも位置が入り乱れる接近戦が展開されてはその方法は使えない。今のブラウに出来るのは、スザクの援護がせいぜいだった。

「全く鬱陶しい……さっきから『ヤミまがい』の制御が上手くいきませんね」
「当たり前。ここは私の“シーリングウェーブ”の中。全ての波動は私のもの……だから」

すっ、と指を指す。

「敵の能力だけを妨害するなんて、簡単よ」
「……なるほど」

しかし、とヴァイスはまだ笑う。

「火波 スザクを倒せれば、まだ逃亡の余地はありますね。今の彼女は超接近戦には対応できませんから」

蛇腹剣の弱点はこれだ。鞭と同じで、間合いが開かないと攻撃がまともに出来ない。
スザクといえど例外ではないが、ここで戦っているのは彼女一人ではない。

「なら、接近戦は僕が相手だ!」
「!」

いつの間にか間合いに飛び込んでいた詠人が、「ハングイーター」を発動させた右腕で思いきり殴りつける。
ヴァイスはこれを大きく飛びのくことでかわしたが、そこにスザクの幻鳳刃が襲い掛かる。

(ちいっ!)

舌打ちしつつ「ヤミまがい」で防御するが、マナの言うとおり妨害されているのか、ヤミの生成と制御が上手くいかない。
星の魔術師の一件の時のように、義体を生成して逃げるという方法が使えない。

(面倒な! まさか、夜波 マナにこれほどの力があったとは……!!)

ここに来てようやく、ヴァイスはマナを最大級の脅威と認識した。文字通り、場をたった一人で制圧し、状況すらも己の意のままに変えてしまう能力。
それを操る、否そのものである彼女は、まさに驚異、脅威の存在だった。

(どうにかここを脱し、ピエロにこの事を伝えねば)

「運命の歪み」にとって、状況を文字通り、思い通りに「調律」するマナの存在は最悪の敵だった。
排除せねばならない、何としても。ただ、そのための逃走手段が、今使えない。

(……いや!)

1つだけあった。そう、それは「運命の歪み」に入った時の説明。
―――メンバーは、ピエロの「ヤミまがい」を除き、それぞれの能力を必要なときに借り受けて発動することができる。
そしてもう一つ。アジトには、メンバーならば任意のタイミングで入ることができる。

単独行動が長すぎて忘れていた。だが、上手くすればこの状況を脱することができる。
確信したところに、スザクの大技が襲ってきた。

「貫けッ! “朱雀衝天”ッ!!」
「援護しまっせー!!」

アズールの放った炎をも一部として纏い、翼を広げたスザクが幻鳳刃を渦のように展開して突っ込んでくる。まるで、ドリルか何かのように。

(まずい……!!)

だが、間に合った。手をかざし、呟く。

「―――『廻れ』」

ゲブラーの「輪廻の法」だ。これの応用で、アジトへの転移を実行した。
視界が歪み、そして、



「―――小生の世界へようこそ、でありマス」



赤い空の下、神社に通じる道で、そんな声が、ヴァイスを――――否、彼らを出迎えた。

25スゴロク:2014/04/03(木) 23:39:35
「え……!?」
「んな、アホな……ッ!?」

叫んだのは、この中でもっとも「彼」に関わりのあった、ランカとアズール。
その「彼」は、知人の声に顔を上げ、微かに笑んだ。

顔を隠すほど伸びた漆黒の髪。切れ長の赤い瞳、頬まで裂けた口。
ボロボロの軍服を纏い、包帯を巻き付けた上から上着を羽織る。
手に握るは、妖怪と化してからの最大の得物であり、母の形見の化身たる大鋏。

「な――――」

本当の意味で予想外の事態を前に、余裕を完全になくして硬直するヴァイスは、

「不本意でありマスが……お前だけは、生かしておくと色々マズいのでありマスゆえ」

無造作に振るわれた鋏の一閃により、顔を刈り取られてその場に倒れ伏した。




全てが終わった後、結界が解ける。戻って来た白波家前で、「彼」はマントの下をちらりと確認する。

「……彼奴の『顔』はないでありマスな。やはり、今の小生と同様、遍在しているということでありマスか」

まだヴァイスが滅んだわけではないと判明し、珍しく嘆息する。
そして顔を上げ、ランカとアズール、スザク、千鶴の順で視線を巡らせ、最後にマナで止める。
そのマナは、「彼」に向けて一礼して言う。



「来てくれてありがとう。……お久しぶりです、キリさん」



その言葉に、「彼」――――百物語組第九十八話「切り裂き魔のとおりゃんせ」は、頬まで裂けた口元だけで笑った。





リターン・オブ・リッパー


(そこにどんな事象があったにせよ)
(確かに、今)
(彼は、ここにいる)



名前のみ込みで、(六x・)さんより「アズール」しらにゅいさんより「八十神千鶴」YAMAさんより「ピエロ」「ゲブラー」クラベスさんより「キリ」をお借りしました。


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