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( ^ω^)達は今割と楽しいからなんでもいいようです

1 名も無きAAのようです :2016/05/07(土) 07:19:09 ID:KpFv11960
( ^ω^)「これが君の望んでいたものなのかお?」

 眼下に広がる景色は、最早見慣れた日常風景であるように思えた。
本来土色であるはずのグラウンドは白く、文字通りお月見らしいと言える。
ぼくと、彼は、それをフェンス越しに、屋上から見下ろしている。

 うず高く積み上げられた月見団子の山を間近で見れば、きっとそれらの個性が手に取るように解るのだろう。

 泣き喚きながら丸められた月見団子。
気が触れ、笑い声を上げながらあんこを詰め込まれた月見団子。
苦痛に耐えながら潰された月見団子。
その一つ一つの表情からそれらの味について考察することは、或いは有益なことなのかもしれない。
しかし、今はそうする気分にはなれなかった。

 暫く伸ばしっぱなしにしていた鬱陶しい前髪が、生温い風に靡く。
それを煩わしく思い、ぼくは前髪を掻き上げ、隣でぼた餅を貪るドクオの方を見た。

('A`)「まさか。俺には土の上の月見団子を食う趣味なんて無いし、あんな餅の塊をジロジロ眺めて興奮するニッチな性癖もねぇよ。ただ、俺が欲しいものを手に入れようとしたら、その副産物としてあれが出来上がった。ただ、それだけさ」

 グラウンドに転がる数多の月見団子。
彼はそれを望んでいたわけでもなく、逆に嫌悪するでもなく、本当にどうにも思っていないようだった。
彼が今食っているぼた餅が、彼の身体にどのような幸福感をもたらすか。
それと同じように、どうでもいいことなのだろう。
少なくともぼくには、そのように見えた。

38 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/05/12(木) 19:41:39 ID:mC85maxY0

( ´_ゝ`)「簡単に言うと、団子作りバトルしようってことだ」

(´<_` )「ただし俺と兄者は協力する」

从 ゚∀从「そりゃずりーじゃねぇか」

( ^ω^)「……いや、ずるくないお」

从 ゚∀从「は?」

( ^ω^)「……ぼくとハインリッヒで協力すれば、2対2のバトルができるお」

从 ゚∀从「……馬鹿言うんじゃねーよ。俺は人団子なら作ったことあるが、団子は作ったことねぇんだよ」

( ^ω^)「なんとかなるお。ぼくの言うとおりにしてくれれば」

从 ゚∀从「……チッ。しょうがねぇな」

 もはやぼくとハインリッヒの間に生まれた上下関係はどこかへ消え去り、新たに“信頼関係”が生まれようとしていた。

川 ゚ -゚)「ならば私が審判を務めよう」

 突然現れた、長い黒髪を棚引かせる少女。
もう六月になるというのに、学校指定のブレザーの上にコートを羽織っていて、見ているだけでも伝わるその暑苦しさに、ぼくは心底うんざりした。

 彼女の右手には、黒塗りの鞘に包まれた長い刀が握られており、この状況においてはシュールとしか思えなかった。

39 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/05/12(木) 19:42:26 ID:mC85maxY0

川 ゚ -゚)「私は素直クール。この学園の性徒会長だ。審判を務めるには相応しい人間だと思うぞ」

 そういった事を自分で言ってしまうあたりも、ふざけているようにしか見えなかった。
しかし彼女の表情は真剣そのものであり、ぼくにはそれが恐ろしくも見え、口を挟む勇気は出なかった。

川 ゚ -゚)「行こう、家庭科室へ。もう準備はできている」

(;´_ゝ`)「……どうしてクー会長が……」

(;^ω^)「…………」




 斯くして、僕らの団子作りバトルは幕を開けた。


 久々の団子作りに、ぼくの両足は震えている。
緊張から高鳴る鼓動は、あまり気持ちの良いものには思えなかった。


.

40 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/05/12(木) 19:46:20 ID:mC85maxY0
俺乙
また書けたら投下する

41 名も無きAAのようです :2016/05/13(金) 00:15:31 ID:bKHb8Z9o0
本編……

42 名も無きAAのようです :2016/05/14(土) 20:16:26 ID:6Hj4v3ik0
34倍の速度でべちべち壁に吹き飛ぶ団子の群れ

43 名も無きAAのようです :2016/06/29(水) 23:40:44 ID:CjQwFSw.0
ジャンプ+の天下一ぶっ殺し学園
読んでみて

44 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:36:26 ID:SYWmA8cI0

第三話「或いはそれが彼なりの生き方だったとして、結果として得られた幸福と絶望。」

45 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:37:13 ID:SYWmA8cI0

川 ゚ -゚)「両チーム、準備はいいか」

 血痕や肉片の転がる廊下を、吐き気を催しながら無理矢理に進んだ先に、この家庭科室があった。
廊下や教室とは比べ物にならない程広く、それでいて清掃が行き届いている。

 この学園で一体誰が掃除なんてやるんだ、なんて自分らしいとも言えるつまらない意見を口にしそうになって、それがこの場に置いて意味をなさないことに気がつくと、代わりに溜息を吐き出した。

川 ゚ -゚)「対戦形式は『どっちが美味しい!? お団子もぐもぐバトル!!』だ。作った団子の味を審査員に評価してもらう」

(´<_` )「もぐもぐバトルか」

(;^ω^)「もぐもぐバトル……?」

川 ゚ -゚)「制限時間は30分。完成したチームから提出し、その場で実食とする」

( ´_ゝ`)「普通だな」

川 ゚ -゚)「ただし」

( ´_ゝ`)「……?」

46 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:40:16 ID:SYWmA8cI0

 ロングコートのポケットに手を突っ込み、彼女は仮面のような無機質な顔で、言葉を続けた。

川 ゚ -゚)「どちらかのチームが提出したら、もう一方のチームはの分以内に提出しなければならない」

从 ゚∀从「……ほう」

川 ゚ -゚)「もちろん30分という制限時間が先に来るのであれば、その時点で終了だ。だがまあ、このバトルで30分もかかるケースはそうない」

(;^ω^)「なるほどだお……」

 つまり、相手よりも早く提出することが勝利に繋がる可能性もあるという事だろう。
しかし、それも状況による。仮にぼく達が先に提出したとして、流石兄弟が5分後に提出しないとは限らない。
それであれば、時間をかけて良い物を作る事を考えるべきなのかもしれない。

从 ゚∀从「……思ったより、難しいバトルだな」

 ハインリッヒはこのバトルに興味など無いのだと、ぼくは思っていた。
しかし、彼女の表情はまるで無邪気を絵に描いたようなもので、どうやらこのバトルへの意気込みはそれなりの様であった。

47 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:43:55 ID:SYWmA8cI0


从 ゚∀从「駆け引きだ。こいつは、敵の動きを見て、自分達の行動を合わせなきゃならねぇ。当然、敵も同じ事を考えるだろう」

(;^ω^)「やっかいだお……」

从 ゚∀从「オマケに俺は団子作り未経験と来た。この学園に来て、団子作り指導を一度もまともに受けなかった事を後悔したのは、これが初めてだ。このバトル、俺には向いてねぇかもな」

( ^ω^)「そんな事ないお。未経験でも出来る事はたくさんあるお」

从 ゚∀从「あ?」

( ^ω^)「さっきも言ったけど、ぼくの指示通りに動いてくれればいいんだお。あまり難しい事はさせない、出来る事をやってくれればいいお」

从 ゚∀从「……俺は人の言う事を聞くのが苦手でね」

( ^ω^)「そう言いつつも、ここまで来てるじゃないかお」

从 ゚∀从「……チッ、うっせーな」

 実際のところ、彼女の様な人間――いや、正確には人間ではないのだろう――がぼくのような乞食上がりの転校生に協力する理由など、どこを探しても見つかることは無いだろう。
ただ一つ、それらしい理由を取ってつけるとすれば、彼女は美味しい団子が食べたいのかもしれない。

48 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:46:11 ID:SYWmA8cI0

( ^ω^)「……やれる限りを尽くすお」

 意識の外で、ぼくはそんな事を口に出していた。
その言葉が本心であるかどうかを考察することは或いは有益な行為なのかもしれない。
だが、それがぼくらの勝利の決定打になるとは到底思えなくて、やがてぼくは考えることをやめた。

川 ゚ -゚)「両チームとも、材料は同じ物を用意した。好きな物を好きなだけ使ってくれていい。質問がなければ始めるぞ」

( ´_ゝ`)「ないな」

( ^ω^)「こっちも無しですお」

川 ゚ -゚)「そうか。それでは、『どっちが美味しい!? お団子もぐもぐバトル!!』スタートだ」

 彼女の開始の合図と共に、どこかからゴングの音が鳴り響く。
その音を聞くや否や、流石兄弟の二人が材料置き場へ勢い良く駆け出した。





( ´_ゝ`)「bring the beat!!」(´<_` )




.

49 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:49:22 ID:SYWmA8cI0

( ´_ゝ`)「yo 団子作りならこの俺兄者、悪くないだろこのスピード感は。既に団子は捏ね終えてるが、お前らはまだ材料集めか? それじゃ得られねぇ勝利、そう遠くねぇかもなバトルの終わり」

(;^ω^)「くっ……!!」

 流石兄弟の目にも止まらぬスピードで、集められた材料から団子が捏ね上がっていく。
一方ぼくらは、まだ材料置き場から白玉粉を運んでいるだけだ。


 このままでは、勝負にすらならないのでは――


 額から頬にかけて、冷たい汗が流れる。
この場に客席が存在するのであれば、ぼくは勝負など投げ出して客席へ降り、彼らのサイファーを眺めているだろう。

(´<_` )「冷や汗流すのがお前の趣味か? 俺が、チームメイトならばとっくにクビだ。吹き出した汗拭う暇も与えねぇ、俺たちのラップがその首を噛ますぜ」

( ´_ゝ`)「ビートにノれねぇ奴はいらねぇ、いい子になりてぇんなら、その舌で、未完成な押韻よこせ! yo!!」

(;^ω^)「おっ……! こ、この押韻が未完成ってなら……えと……強引に引きずり降ろすそのステージから……!」

(´<_` )「yo yo 踏めてねぇそのライム、聞いてる間に決めるダンク、小細工、は無用だぜ。タップ、ダンス、でこの足鳴らす、ストンプされたいならその場でストップ!!」

50 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:50:50 ID:SYWmA8cI0

从;゚∀从「やってる場合か! ブーン、早いとこ指示を頼むぜ!!」

(;^ω^)「わ、わかってるお!!」

 ぼく達が白玉粉をボウルに出している間にも、流石兄弟の団子は茹で上がっていく。


 やはりぼくの目に狂いはなかった――


 団子の宅配人どころか、お団子工場その物に匹敵する程の効率、正確さ、スピード。
あの兄弟を相手にして、ぼくのようなお団子工場を逃げ出した人間に勝ち目などあるはずは無いのだ。

从;゚∀从「次はどうすんだ!?」

(;^ω^)「…………」

 ぼくの心は、今や逆さまにひっくり返っていて、この場をどう凌ぐか、どうやって時間を潰すか、そんな事を考えることに精一杯になっていた。



 ああ、もういっそ逃げ出してしまいたい――



从 ゚∀从「ッ……!」

51 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:52:10 ID:SYWmA8cI0

 心の中で呟いたはずの言葉は、どうやら口からこぼれ出てしまっていたようで、ハインリッヒがその真紅の瞳をきつく細めて、ぼくを睨みつけていた。

从 ∀从「……ふっざけんなよ……」

(;^ω^)「…………」

从#゚∀从「ここまで俺を付き合わせといて、逃げ出したいだと!? 甘ったれてんじゃねぇ!!」

(; ω )「……ごめんだお……」

从 ゚∀从「テメーがやらねぇってんなら、俺一人でやる。そこに座り込んで、タマに生えてる毛の数でも数えてろ」

(  ω )「…………」

 ハインリッヒ一人で何ができるというのだ。床に座り込んだ故に視線こそは見上げているが、彼女を見下すようにそう独りごちた。

从 ゚∀从「えっと……白玉粉を100gに……」バサバサッ

从;>∀从「うわっぷ!」

 袋から勢い良く零れ落ちた白玉粉が、調理台に置かれたボウルをまるごとひっくり返した。
ハインリッヒの身体をまるごと包み込むかのように、真っ白な粉が宙に舞う。

52 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:53:28 ID:SYWmA8cI0

从;゚∀从「くそっ……測り直さねぇと……おわっ!!」ガタン

 床に広がった粉に脚を掬われたのか、彼女は調理台の上の器具をいくつも薙ぎ倒しながら、床に尻餅をつく。
あの尻で餅をついたとしたら、きっと弾力のあるものが出来上がるのだろう――とか、尻餅という表現は尻で餅をついているのか杵で尻をついているのか――とか、ぼくは彼女の姿を見ながら、そんなどうでもいい事を思考していた。

 この場において、誰一人、彼女に同情する人間なんていなかった。



 それでも。



从;゚∀从「えっと……粉と同量の水……いや3分の2だっけ……」



 彼女は、動きを止めようとはしない。

 あの透き通った瞳は、目の前のボウルをしっかりと見つめていた。


.

53 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:56:07 ID:SYWmA8cI0


( ´_ゝ`)「俺らの時間外勤務これで終了!!」(´<_` )

 兄弟二人が大声を張り上げ、手に持った一枚の皿をクーの座る席へと運んだ。
どうやらもう、彼らの団子は完成してしまったらしい。

川 ゚ -゚)「完成か。開始から7分……、なかなかの手際だ」

( ´_ゝ`)「この勝負は、自分達のスピード次第で相手の残り時間を調整することが出来る」

(´<_` )「つまり、相手が5分ではとても終わらせられない、という状態で俺らが作り終えてしまえば、勝ちは決まっている」

( ´_ゝ`)「流石だよな俺ら!!」(´<_` )


川 ゚ -゚)「この勝負の本質をわかっているじゃないか」

 ぼくだって、それがこの勝負において重要な事であるのはわかってはいた。
しかし、まさか彼らがこれ程の速さで調理を終えてしまうなどと、ぼくには予想もつかなかった。

川 ゚ -゚)「ブーン・ハインリッヒチーム、残り時間はあと5分だ。5分以内に提出できなければ、君達は敗退となる」

从;゚∀从「あーうっせ!! わーってるよ!!」

54 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:57:01 ID:SYWmA8cI0

川 ゚ -゚)「そして今日は特別審査員としてフォックス学長をお呼びした」

爪'ー`)y-「どうも」


\ワーワーパチパチ/


从;゚∀从「くっそ……レシピとかねぇのかよ!!」

 ハインリッヒは相変わらず、調理台の周りを行ったり来たりだ。
団子作りに慣れていない彼女には、何から手を付けて良いのか検討もつかないのだろう。

川 ゚ -゚)「提出し終えた二人は、そこに座って彼らの勇姿を見届けるといい」

( ´_ゝ`)「彼らったって……、ブーンなんかあそこに座り込んでますよ」

(´<_` )「まあゆっくり見届けさせてもらおうか」

 木製の小さな椅子に、どっしりと座り込む二人。そんな彼らの言葉が僕の耳に刺さる。



 でも、それが引き金になったなんて、思わないでほしい。





.

55 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:58:07 ID:SYWmA8cI0


从;゚∀从「あーくそ!! 何から手を付けりゃいいんだよ!!」




 尻についた埃を手で払いながら、ぼくは言った。




( ^ω^)「ぼくに手伝わせてくれお」




 自ら勝負を投げ出しておいて、身勝手な発言だと、ぼくは思う。
それでも、それでもだ。ぼくには、取り残されたハインリッヒを、一人置いていくことはできなかった。

从#゚∀从「今更何ほざいてやがる……。逃げたのはてめぇだろうが!!」

( ^ω^)「同量だお」

从 ゚∀从「…………は?」

( ^ω^)「粉と同量の水を、少しずつ混ぜ合わせるように入れるんだお」

从 ゚∀从「……チッ、言われなくてもわかってらァ!!」ジョボジョボ グッグッ

56 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 04:59:05 ID:SYWmA8cI0

( ^ω^)「それじゃダメだお。団子は生地を捏ねた時の力加減が、ダイレクトに食感に繋がるんだお。だから、もちもちさせたいのであれば、もちもちと。歯ごたえを付けたいのであれば、強弱をつけるんだお」

从*゚∀从「う、うっせーな!! お、俺は……」



 細かいことをするのが苦手なんだよ――



 彼女は、まるで風邪でも引いているのではないかと思うほど頬を赤らめ、か細い声で、そう言った。


( ^ω^)「なら、やっぱりぼくに手伝わせてくれお。まだ……、まだ間に合うお」


从 ∀从「……チッ。馬鹿野郎……」


从 ゚∀从「てめぇが遅れを作ったんだ。てめぇが取り返すのが筋だよな」

( ^ω^)「おっ、その通りだお」

从 ゚∀从「ただし」

( ^ω^)「おっ?」

从 ゚∀从「手伝うのは俺だ。お前は団子を作れ。それが一番効率のいいチームワークだろ?」

57 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:00:13 ID:SYWmA8cI0

 チームワークなんて気にする柄なのだろうか、なんて事を思ったが、それを口に出してしまっては、彼女の鋭い犬歯がぼくの首筋にこれでもかというほど食い込んでくるのだろう。

( ^ω^)「わかったお。任せてくれお」

川 ゚ -゚)「残り時間は4分を切ったぞ」

从 ゚∀从「だそうだ。さて、何をすりゃあいいんだ?」

 4分。の間にぼく達にできることは、もう数少ない。
その中で、流石兄弟が作り上げた団子と勝負になるものといえば、もはや選択肢は一つしかなかった。


( ^ω^)「――――を、袋ごと持ってきてほしいお」


从 ゚∀从「…………は? そんなもん使うのか? 今更手の凝ったもんなんて作れねーだろ」

( ^ω^)「いいんだお。時間のないぼく達に残された道は、これくらいしかないんだお」

从 ゚∀从「……わかったよ。持ってきてやる」


 ハインリッヒに渡された小袋から、その真っ白な粉を数グラム、捏ね終えた生地に落とす。
その粉が全体に行き渡るようまんべんなく混ぜ合わせて、一つ一つ団子を作る。

 やがてそれを沸騰した鍋の中に優しく落として、僕は手を止めた。

58 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:01:19 ID:SYWmA8cI0

川 ゚ -゚)「あと2分だ」

 デジタル時計が電子音を鳴らして、秒刻みに残り時間が減っていく。
茹で終えるまでにぼくに出来る事は、団子をのせる皿を用意する事くらいだった。


川 ゚ -゚)「残り30秒」

(;^ω^)「茹で終えたお!」

从;゚∀从「はいよ、氷水だ!!」

 ザルで掬い上げたいくつもの団子を、ハインリッヒの用意した氷水の入ったボウルに入れる。
それを優しく手でかき混ぜて、一つ、手で握る。

(;^ω^)「オッケーだお!!」

 再びザルで掬い上げた団子を、優しく水切りする。
それを手で一つ一つ皿に移して、ぼくのやるべき事は終わった。

从;゚∀从「……お、おい? まだ終わってねーだろ?」

( ^ω^)「……ハインリッヒ」

从;゚∀从「なんだよ! 早くしろよ!」

( ^ω^)「仕上げは君がやるんだお。決して失敗は許されないお」

从;゚∀从「はぁ!? 失敗が許されねーならなんで俺にやらせるんだよ!! さっきの見てただろうが!!」

59 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:02:19 ID:SYWmA8cI0

 確かに、彼女は白玉粉をぶちまけ、調理器具を散乱させた。

 それでも――――いや、だからこそ彼女がやるべきなのだ。

( ^ω^)「やるんだお。君なら、できるお」

从;゚∀从「……ふっざけんなよ……できるわけねーだろ……」

川 ゚ -゚)「残り5秒、4、3」

从;>∀从「だぁぁぁぁああもうわかった!!!やってやる!!」ギュッ

 ハインリッヒは袋に入ったきな粉を、真っ白な拳で握りしめて、団子ののった皿にぱらぱらと撒いた。
一見雑なやり方に見えたのだが、それが意外にも、美しい模様を描いて団子にきな粉が振りかけられていた。

川 ゚ -゚)「2、1」

( ^ω^)「完成だお!!」バッ

川 ゚ -゚)「…………間に合ったな」

从;゚∀从「……間に合った……のか」

( ^ω^)「……やったんだお、ハインリッヒ」

从;゚∀从「……ぷはぁ〜〜」

60 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:03:04 ID:SYWmA8cI0

从#゚∀从「おいブーン!! てめぇ後でぶっ殺してやるから覚悟しとけよ!! その目ん玉穿り出して鍋にぶち込んで特上のきな粉ぶっかけてやらァ!!」

(;^ω^)「ご、ごめんだお」

 なんとも、頭が上がらない。勝負を投げ出したことや、最後に無理強いをした事は、彼女にとって不都合極まりなかったであろう。

 申し訳ないなと思いつつも、どこかで、楽しく思っている自分がいた。

川 ゚ -゚)「それでは、実食とする。流石兄弟が作った団子は、みたらし団子。短時間で作り上げたとは思えない完成度で、得点は100点満点中、89点だ。そして君たちの団子を食べて、決着がつく」

爪'ー`)「美味しそうですねぇ」

川 ゚ -゚)「まだ団子が余っているのであれば、ぜひ私にも分けてもらいたいのだが」

( ^ω^)「持ってきますお」

 小皿を4枚用意して、それぞれに2つずつ、団子を載せていく。
採点には影響しないからか、ここで時間をかけて用意をしようと、性徒会長は止めに入ることもなかった。

61 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:04:03 ID:SYWmA8cI0

( ´_ゝ`)「なんだ俺らの分もあるのか」

(´<_` )「悪いな、いただくよ」

从 ゚∀从「俺ぇ? いやまあ味の想像もつかんけどよ……」

川 ゚ -゚)「すまないな、手間をかけた」

( ^ω^)「いいんですお、どうせ余っちゃいますから」

川 ゚ -゚)「それでは、実食としよう。フォックス学長、どうぞ」

爪'ー`)「ええ、いただきますよ」

 彼らの前に並ぶのは、きな粉のかかった白玉団子。
その白と黄色のコントラストが美しく、食欲をそそる物になっているだろう。

爪'ー`)「……では」スッ
 っo

 学長の口に、白い団子が入っていく。
それを、たった一口咀嚼した時、彼は言った。

爪;'ー`)「……こ、これは……!!」

 学長の驚き慄く姿を見て、流石兄弟やハインリッヒはもちろん、性徒会長ですら驚愕していた。
彼らもいてもたってもいられなくなったのか、すぐに目の前の団子を口に運んだ。

62 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:05:17 ID:SYWmA8cI0

从;゚〜从「んっ、ん〜!?」

(;´_ゝ`)「しゃりっとしたぞ……!?」

(´<_`;)「それにしょっぱくて……これは一体……!?」

川 ゚ -゚)「……これは……“雪塩”か……」

( ^ω^)「その通りですお」

(´<_`;)「雪塩だと……!?」

从 ゚∀从「すげぇ、まさかこんな食感になるなんてよ!!」

(;´_ゝ`)「ただの白玉団子かと思いきや、これはたまげたな」

爪'ー`)「食感も気持ちよく、塩気ときな粉が非常にマッチしてますねぇ」

( ^ω^)「雪塩はニイタ産の塩。皆さんも知っていると思いますが、非常に細かい粒で出来ていて、それがこの食感の秘訣ですお。ただの塩では出来ませんお。そして雪塩は、普通の塩と比べてマイルドなしょっぱさで、食感と塩気を上手く扱うには丁度よかったんですお」

(´<_` )「しかし、茹でた時に溶けて生地と混ざらないか?」

( ^ω^)「そのための氷水ですお。本来ならば冷やすのにはただの水でも十分ですお。しかし氷水を使って極限まで冷やすことで、再び塩を結晶化させたんですお」

63 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:06:12 ID:SYWmA8cI0

( ´_ゝ`)「なるほど……よく考えてあるな」

爪'ー`)「ただの白玉団子ではなく、しょっぱい白玉団子。ただ短時間で作り上げるだけでなく、この独創性……。素晴らしいですね」

(´<_`;)「くっ……」

爪'ー`)「しかし兄弟お二人のみたらし団子は、短時間で作り上げた物とは思えないほど完成されておりました。ここがファスト団子店であると仮定するならば、瞬く間に人気店となるでしょう」

 二人のみたらし団子を食べていないが、彼らの調理工程を見ていたぼくには、その団子の味を想像するのは容易い。
まさに完成されたみたらし団子であっただろう。



爪'ー`)「では、採点といきましょう」



 学長のその一言で、室内の雰囲気がこれまでとは打って変わって、重たいものとなった。

 張り詰めた空気の中、ぼくは静かに祈る。ぼくとハインリッヒに、勝利を掴ませてくれ、と。




.

64 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:07:13 ID:SYWmA8cI0


爪'ー`)「流石兄弟チーム、89点。そして、ブーン・ハインリッヒチーム――――」







爪'ー`)「93点!」







(*^ω^)「おっ、おおぉぉぉおおおお!!」

从 ゚∀从「……えっ」

(*^ω^)「やったおハインリッヒ!! ぼく達勝ったんだお!!」

从*゚∀从「……嘘だろ……!!」

(´<_`;)「……嘘だ……」

(;´_ゝ`)「まさか5分で作った団子に負けちまうなんて……」

 手にした勝利。それはぼくのようなちっぽけな人間が受け取るにはあまりにも大きすぎて、受け止めきれていない自分もいた。
しかし喜びという感情は間違いなくあって、それを隠すことはしなかった。

65 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:08:24 ID:SYWmA8cI0

爪'ー`)「お二人の敗因は、それが完成されたみたらし団子であった事です」

(;´_ゝ`)「えっ……?」

爪'ー`)「あの速さで、あの完成されたみたらし団子を作れた事は非常に素晴らしい事です。ですが、私のような団色家が求めているのは、スーパーで売られている団子ではありません」

(´<_`;)「俺達の団子はスーパーレベルだって言うんですか……?」

爪'ー`)「まさか。しかし、大量生産のような、どこにでもある味に近いというのは否めません」

(;´_ゝ`)「……なるほど……」

爪'ー`)「それでも、あの素早さや正確さは本当に素晴らしいと思いますよ。学長として誇らしいです。皆さんの健闘を讃えます」


\ワーワーパチパチ/




 かくして、ぼくたちの初めての団子作りバトルは幕を閉じた。
興奮冷めやらぬまま、ぼくは一人、ひっそりと家庭科室を後にして、賞品として受け取った5枚の団子無料券を財布に仕舞い込んだ。







.

66 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:09:27 ID:SYWmA8cI0

 VIP学園某所――


(,,゚Д゚)「【第二王位】の審判のもと、【真祖】と流石兄弟がやりあってる?」

 寂れた空き教室に佇む少年。
短く刈り上げた黒髪を雑に掻きながら、彼は眉を顰めた。

「殺り合ってる、と言うべきか。僕には戯れ合っているだけのように見えたけどね」

 もう一つの声の主の姿は見えない。
その声色はまるで、歌でも歌っているような、仰々しく全てを包み込む朗らかさがあった。

「ギコ、ここ最近はどんな諍いに対してもだんまりを決め込んでいたみたいだが、君が出張るのに不足は無いんじゃないかい? そろそろ顔出してやらないと、【第八王位】の座をひっくり返されるかもしれないよ?」

(,,゚Д゚)「俺は王位になんか興味ねぇよ。ただ気に入らない団子をぶん殴ってたら、この椅子に座れと言われた。それだけだ。欲しけりゃくれてやるさ」

「ドクオ辺りに聞かせてやりたいね。一年生の中で、一番王位に執着を抱いているのは恐らく彼だろう」

(,,゚Д゚)「期待のホープ、か……」

 ギコと呼ばれた少年は深く椅子の背もたれに背を預け、腕を組んだ。
そして目を閉じ、手に持ったみたらし団子に齧り付く。

「真祖も彼には期待しているようだしね。早ければ今年の夏には、【第十王位】がひっくり返されてるかもしれない」

(,,゚Д゚)「その口ぶりだと、あんたも結構な期待を寄せてるみたいだな」

 声の主を卑しく嗜めるように、ギコは口角を上げて笑った。

 教室の空気が一変し、窓も戸も締め切っているにもかかわらず、机や椅子が小刻みに揺れ始める。

67 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:10:12 ID:SYWmA8cI0

「ドクオには期待してるよ。でも、もっと面白そうな玩具を見つけたんだ」

(,,゚Д゚)「ドクオ以上の逸材? ミルナ辺りか。奇遇だな、俺もドクオよりかは骨がある奴だと思ってるぜ」

「いや……」

 声の主は言葉を止め、含み笑いを漏らした。
ギコはそれが気に入らないようで、舌打ちをする。

(,,゚Д゚)「勿体ぶってないで言えよ。そんなに面白い逸材がいるなら、俺が一枚噛んでやってもいい」

「いや、やめておくよ。ただこれだけは断言出来る。今は取るに足らない塵芥かもしれないが、彼は確実にドクオを上回る逸材だ。或いは、彼の目覚めが早ければ、ぼくが卒業するまでにこの椅子に王手をかけてくるかもしれないね」

 歌うような語り。

 ギコは、その目をまるで白玉団子のように丸くしていた。
普段の表情は精悍な顔付きだが、今ばかりは鳩があん団子を食らったような間抜け面だった。

(,,゚Д゚)「届くっていうのか? あんたに……【第一王位】に」

 届くかもしれないし、明日には死んでいるかもしれない。

 見えない声の主は、それだけ言い残して、それ以降ギコの呼び掛けに答えることは無かった。

 ギコはもう一度腕を組み直し、深く目を閉じた。
それは、彼が何か考え込む時の癖だった。
そうすることで彼は有象無象が騒ぎ立てる世界から抜け出し、清流のような穏やかな思考を以って、回答に辿り着くことが出来たのだ。

(,,゚Д゚)(見えない、か……)

 仄暗い空き教室に、団子を咀嚼する音が一つ、響いた。

68 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2016/07/10(日) 05:12:31 ID:SYWmA8cI0
俺乙、どうしてこうなった
ブーンの言ってる事は適当だ

また近いうち

69 名も無きAAのようです :2016/07/10(日) 09:22:24 ID:sXs/ugt.0
ほんとにどうしてこうなったんだ

70 名も無きAAのようです :2016/07/10(日) 10:30:55 ID:afUwrCU20
こんなのなのにちゃんと話が進んでてワロタwwwwww

71 名も無きAAのようです :2016/07/10(日) 10:44:06 ID:E7PztyK20
むしろ冒頭からあんなんで、どうするつもりだったのか教えて欲しい

72 名も無きAAのようです :2016/07/10(日) 17:28:03 ID:3jTxSUso0
くっそワロタ

73 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 22:59:33 ID:Yyn6X.1o0

('A`)「ふぅ……」

( ^ω^)「…………」

 雲がかかった灰色の空の下。生暖かい風がぼくの前髪を揺らす。
ぼくはポケットに収まった月見団子を取り出して、それを貪りながら、呟いた。

( ^ω^)「これが君の望んでいたものなのかお?」

 眼下に広がる景色は、最早見慣れた日常風景であるように思えた。
本来土色であるはずのグラウンドは白く、文字通りお月見らしいと言える。
ぼくと、彼は、それをフェンス越しに、屋上から見下ろしている。

 うず高く積み上げられた月見団子の山を間近で見れば、きっとそれらの個性が手に取るように解るのだろう。

 泣き喚きながら丸められた月見団子。
気が触れ、笑い声を上げながらあんこを詰め込まれた月見団子。
苦痛に耐えながら潰された月見団子。
その一つ一つの表情からそれらの味について考察することは、或いは有益なことなのかもしれない。
しかし、今はそうする気分にはなれなかった。

 暫く伸ばしっぱなしにしていた鬱陶しい前髪が、生温い風に靡く。
それを煩わしく思い、ぼくは前髪を掻き上げ、隣でぼた餅を貪るドクオの方を見た。

('A`)「まさか。俺には土の上の月見団子を食う趣味なんて無いし、あんな餅の塊をジロジロ眺めて興奮するニッチな性癖もねぇよ。ただ、俺が欲しいものを手に入れようとしたら、その副産物としてあれが出来上がった。ただ、それだけさ」

 グラウンドに転がる数多の月見団子。
彼はそれを望んでいたわけでもなく、逆に嫌悪するでもなく、本当にどうにも思っていないようだった。
彼が今食っているぼた餅が、彼の身体にどのような幸福感をもたらすか。
それと同じように、どうでもいいことなのだろう。
少なくともぼくには、そのように見えた。

74 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:00:18 ID:Yyn6X.1o0

( ^ω^)「そうかお」

 ぼくはドクオとの対話を諦めた。
いや、或いは、最初からぼくは彼と解り合おうなどと思っていなかったのかもしれない。

 ブレザーを脱ぎ捨て、シャツの袖を捲り上げると、生温い風は上半身を舐り回してきた。
まるであんこを間接的に塗りたくられているようで、いい気分にはなれなかった。
もっとも、ここが空気の澄んだ見晴らしの良い大草原だったとしても、ドクオが今まで成してきた過程が変わらない限り、いい気分になどなれないのだろうけれど。

('A`)「殺る気満々、て顔だな。もっと肩の力を抜けよ。この学園の唯一の校則を忘れたのか?」

 ドクオは薄ら笑いを浮かべ、ぼた餅を咥えたまま餅米を抜き、こちらに向けた。
ぼくはアレが何度も月見団子を作り出すのを見たし、アレの脅威については恐らく、この世界でドクオの次によく知っている。
けれど、不思議と恐怖心は湧かなかった。

 心臓の鼓動が頭に響く。まるで脳と心臓が繋がっていて、ぼくという存在がその二つによってのみ形成されているみたいだった。
一定のリズムを刻むその重低音とドクオの声のみが、今のぼくの世界の全てだ。

 汗ばむ掌を固く握り、彼の米粒を深く見据える。

( ^ω^)「【今を、全力で楽しむこと】だお」

 きっと疑うまでもなく、ぼくはその校則を守れている。
唐突に引き起こされたジェノサイド。
その犯人は、今ぼくの目の前で薄ら笑いを浮かべながら米粒をこちらに向けている。

 どうやらぼくは人間が出来ていないようで、こんな状況が楽しくて楽しくて仕方がないらしい。
それはたった今気付いたことだけれど、まるで産まれた時から持ち合わせていた価値観であるかのように、ぼくの脳に馴染んだ。

 ドクオのぼた餅が、火を噴いた。

75 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:01:01 ID:Yyn6X.1o0


( ^ω^)達は今割と楽しいからなんでもいいようです

76 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:01:44 ID:Yyn6X.1o0


最終話「未だ見つからない僕たちの言い訳と、全ての終わり。」

77 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:02:30 ID:Yyn6X.1o0


※これまでのあらすじは本編――未完――を読もう!

78 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:03:16 ID:Yyn6X.1o0

( ^ω^)「おおっ!!」

 ドクオのぼた餅から次々に放たれる餅米を、身をよじるようにして躱す。最小限の動きにとどめながら、少しずつ距離を詰めていく。

('A`)「俺との勝負で、間合いなんてもんに意味がない事くらい知ってんだろ?」

 ドクオの言う通りだ。ぼくがどんなに距離を詰めても、彼は持ち前のワイヤートリックで空中を銃弾のように移動し、瞬時にその場を去っていく。
どれだけこの身を鍛え上げ、どれだけこの腕で強敵をなぎ倒してきたとしても、ペニサスのように空が飛べるわけでもないぼくが、素手で彼との戦いを挑もうだなんて、無謀なのだろうか。

('A`)「避けることしか出来ねぇのさ。お前は。その屋上が俺の手のひらだとしたら、お前はそこで踊るしかないってわけだ」

 言いながら、ドクオは餅米を乱射し続ける。時折顔にへばりつく餅米をティッシュで拭いながら、ぼくは思考を続けた。





 彼に勝つには、あの力を使うしかない――。




.

79 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:04:12 ID:Yyn6X.1o0

('A`)「……ま、せいせいするぜ。所詮団子なんてのはその程度だったって事だ。この学園で見てきたもんは、最後まで結局変わりやしなかった」

 ワイヤーでの動きを止め、ドクオはフェンスの上に降り立つ。
左手に持ったぼた餅を口に放り込み、くちゃくちゃと嫌らしい音をたてながら、彼は言った。

('A`)「――餅と団子は、相容れねぇのさ」

( ^ω^)「…………」

 きっとこれが、ぼくらが描き出した運命なんだろう。
頭ではそう理解していても、何故だか、僕の心の型にすっぽりと嵌まることはなく、行き場をなくした運命とやらが、形を崩してぽろぽろと落ちていく。

( ^ω^)「餅と団子が相容れないだなんて、本当に思っているのかお?」

('A`)「ああ、思っているさ。ここでどれだけの団子を食ってきたと思ってやがる」

 ドクオはそう言いながら、指を折り数え始めた。くちゃくちゃ、くちゃくちゃと、ぼた餅を咀嚼する音を立てながら。

('A`)「5129個だ」

( ^ω^)「二年間ずっとカウントしてたのかと思うと気持ち悪いお。万歩計かお」

('A`)「…………」

80 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:05:41 ID:Yyn6X.1o0

( ^ω^)「それだけ食ったって事は、美味しかったって事じゃないのかお?」

('A`)「……まぁ、悪くないのもあったかもな。特にお前が作った白玉団子は最高だったぜ。あれなら、流石兄弟に勝つのも頷ける」

(*^ω^)「……ど、ドクオ……」

(*'A`)「……ブーン……」

 ドクオの普段の無表情とは打って変わり、頬を赤らめているのがはっきりとわかった。同じく、ぼくも顔に火照りを感じる。

 照れくさい。

( A )「……でもよ」

(;^ω^)「ッ……?」

 顔を落とし、ドクオのその表情に影が差す。頬の赤みも消えてしまっているように思えた。


('A`)「やっぱり、俺はぼた餅が好きなんだ」

(;^ω^)「――ッ…………」

('A`)「……お前の期待には、応えられねぇよ……」

(  ω )「……そうかお……」

81 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:06:45 ID:Yyn6X.1o0

 ああ。ようやくわかった。
きっとぼくにとって、餅や団子なんて関係なかったのだろう。
これまで団子に人生を捧げてきたぼくだけれど、最後は友情を取ってしまったんだ。

 彼の事を、友達だと思っていたんだ。

 ようやっと型に嵌まった運命を、ぼくは受け入れよう。
彼と決着をつける事が、ぼくと彼との友情の体現になり得るのなら。

( ^ω^)「――力を、解放するお」

('∀`)「……はっ、そうこなくっちゃな」



 両拳を強く握りしめると、滾るような熱を持った血液が、指先の毛細血管まで行き渡る。


 やがて全身が熱を帯び。


 ぼくは意識を暗闇の底へと顛落させた――




.

82 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:07:50 ID:Yyn6X.1o0



『おおおっ……おおおぉぉぉぉおおおおお!!!』




('∀`)「……お初にお目にかかるな――」




ィ'ト��-イ、
以`゚益゚以「フシュゥゥゥゥ……」


('∀`)「龍さんよォ……」


ィ'ト��-イ、
以`゚益゚以「……臥龍亥討衣、ここに参るお」

('∀`)「はっ、団子密売人<Dango Trafficker>らしいな」

ィ'ト��-イ、
以`゚益゚以「行くおっ!!!」

(;'∀`)「あっ待て危ねえブーン!!!」

ィ'ト��-イ、
以;`゚益゚以「えっ」



 ――= ╋━(;'∀`)━ グサァッ!!



.

83 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:10:23 ID:Yyn6X.1o0

ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「おっ!?」

╋━(;'A`)━「うぅ……」

ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「そ、そんな……ドクオォ!!」

╋━(;'A`)━「ははっ……ざまあねぇな……ッ」

ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「どうして……どうしてかばったんだお……!」

╋━(;'A`)━「……それは……」



╋━(;'A`)━「お前が……生き別れの弟だからさ……」


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「……ん?」


╋━(; A )━「はは……やっと……兄らしい事ができたな……」


╋━( A )━ ガクッ


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「…………」


『ふふっ……ふはははははっ!!!』

.

84 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:11:34 ID:Yyn6X.1o0

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「だ、誰だお!?」


川 ゚ -゚)「……ようやっとこの時が来たな……ブーンよ」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「なっ……生徒会長!?」

川 ゚ -゚)「その姿……。再び龍の力を目覚めさせたか」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「……どうしてあんたが……ドクオを……ッ!!」

川 ゚ -゚)「……訳を話すと長いぞ」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「いいよじゃあ」

川 ゚ -゚)「私が第一王位の座を奪ったとき……お前達二人と刃を交える事になると思っていたが……。一人はもう去ってしまったな……ふふ……」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以

川 ゚ -゚)「……私の本当の姿を見せよう……」

川∩ -∩)゙「よいしょ」


( ´∀`)バサッ


ィ'ト―-イ、
以;`゚益゚以「なっ……父さん……!?」

( ´∀`)「モナモナモナ。久しぶりだなブーン……」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「どれだけ設定を詰め込めばいいんだお。次は空から女の子が降ってきて交差点でぶつかった女の子と知り合って幼馴染みとぼくの取り合いになるんじゃないだろうね」

85 よよ ◆AdHxxtKfS2 :2017/01/10(火) 23:12:16 ID:Yyn6X.1o0

( ´∀`)「お団子会社が潰れて以来……なんとか地位を取り戻すために必死だった……。そこで思いついたのが、このVIP学園を第一王位で卒業する事だ」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「その方がよっぽど難易度高かったと思うんだけど」

( ´∀`)「だが不測の事態が起きた……。ドクオと、お前の存在だ。俺は驚いたよ」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「ぼくは帰りたい」

( ´∀`)「まあそう言うな……。さぁ、最後の勝負を始めようじゃないか……」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「…………」


╋━( A )━


ィ'ト―-イ、
以`-益-以(……ドクオ……)


ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「……いいお。やってやるお……」


( ´∀`)「ふははははは!! さぁ来い!!! ブーン!!!!」

ィ'ト―-イ、
以`゚益゚以「うおぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」



 ――ご愛読ありがとうございました!!! 次回作にご期待ください!!!――

.

86 名も無きAAのようです :2017/01/11(水) 10:51:44 ID:UnfZjVHE0
クソワロタ乙

87 名も無きAAのようです :2017/01/11(水) 15:14:19 ID:xNJdAAqQ0
新年早々本編ほったらかしてなんてクソワロタ乙


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