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( ^ω^)一レス作品で失われたブーン系力を取り戻しましょう

39 >>23 :2017/04/14(金) 18:51:41 ID:j11MI2rs0
  《おお、砂漠の砂粒よ。おお、宇宙の塵屑よ。何故、我らを引き裂き給うたのか。しかし決して膝折るものか》。
就職活動に失敗した私の目に飛び込んできた拡張現実詩――Augmented Reality Poem――は、
かつて中学生の頃に見た文面とは遥かに違ってはいたが、意味するところはさして変わっていなかった。
《同クラにはなれなかったけど、ぅちらはズッ友。がんばろぉね》。仲の良い友人と離れて落ち込んでいた私にはそう読めた詩だ。

  常時、個人の身体情報や位置情報をモニタリングするナノマシンの普及によって、詩は大きく形を変えた。
詩を見ている者を、作者が意図する幾多もの条件――年齢、時間帯、健康状態、精神状態、
果ては特定の個人のみに向けて――で振り分け、それぞれに設定された文面を映し出す拡張現実詩が主流となり、早十数年。

/ ,' 3「詩というものは、数少ない言葉。明言しない曖昧さを楽しむものなんじゃ。ワシはこんなもの認めんよ。
    各々の感性によって、それぞれの解釈によって、更には長い人生経験を経て始めて、見えてくるものがあるのが本来の詩。
    それなのに最近は……その時に適切な詩に置き換えられるだなんて、情緒も何もあったものか。そもそも書く方も書く方じゃ……」

  私の隣りにいた老人が怒りと悲しみを含んだ呟きを漏らしていた。大きく曲がった腰のせいか、詩が載った紙を睨みつけているように見える。

/ ,' 3「未成年のときに素晴らしいと思った詩が、数年すればしょうもないものに見える。
    反対に、何の価値も見出せなかったふざけた詩が、考えもしなかった深い意味を孕んでいたこともあった。
    遥か幼い頃に目にしたその瞬間から、老衰でワシの命を失われる瞬間までずっとこころの中に輝き続ける詩もあるんじゃ」

(*゚ー゚)「詩の外側、受け取る人間の補完によって詩に込められた意味を理解するべきだと?」

/ ,' 3「答えや意味なんて千差万別でいいんじゃ。正解はない。例え作者の意図から外れていても自らの糧になればいい。
    同じ文面から十人十色の結論が得られる……その楽しみを、拡張現実詩は奪っているんじゃ。それがワシは悲しいよ」

  言い終えると、老人は私に背を向けて歩き始めた。次の詩を見に行ったのかと思ったが、扉を開けて外へと出ていってしまった。
その胸中は想像こそつけど本当のところはわからない。私は首を動かして部屋中を見回した。ここにはまだまだ拡張現実詩が展示されている。
過去に何度も開催され、足繁く通ったこの展示イベントだが未だに初見の文面に遭遇するし、まだ見ぬ文面を隠す詩も存在するに決まっていた。

  作者の傲慢と読者の怠慢が手を組んでしまった結果、想像力が奪われてしまったと老人は嘆いていた。
  私は、私のためだけの詩に文面を変えてくれる拡張現実詩が愛しくて仕方がないのだけれど……それは少し、自己愛が強すぎるだろうか?


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