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( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです
1
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:00:46 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「…………」
空の下に、何があるのか。
海。
大地。
それを踏みしめる人。
オッサン。
どれも、それら見下ろす空にとっては等しく価値のない物だ。
( ^ω^)「……ブーンはもう……」
しかし、自分にとってはどうなのだろうか。
等しく価値がない? 冗談じゃない。
人を人として括ること自体、馬鹿馬鹿しい。
2
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:01:42 ID://hkCpgk0
ならオッサンは?
彼らは、オッサンとして括るべきなのか。
それこそ、難題だ。
( ^ω^)「…………」
……無駄な事だ。
こんなこと考えても、無意味じゃないか。
自分になんの利益をもたらさない。
決して自分の心が救われるようなことは無い。
( ^ω^)「…………」チャキ
――もう、終わりにしよう。
グチャッ
.
3
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:03:09 ID://hkCpgk0
――――
( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです
――――
4
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:03:56 ID://hkCpgk0
第1話「街の終わりはすぐそこに」
.
5
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:07:00 ID://hkCpgk0
( ^ω^)カタカタ
( ^ω^)「面白いスレないお……」
インターネットの掲示板を眺めるのが好きだった。
自分には、これと言って趣味がない。
あえて言うなら、パソコンだ。
( ^ω^)カタカタ
( ^ω^)「おっ……」
( ^ω^)「……“駅でオッサンに噛み付かれた件”?」
(*^ω^)「なんだおそれ、馬鹿みたいなスレだお」
( ^ω^)「どれどれ……」カタカタ
ピコーン
( ^ω^)「おっ、ツンからLINEかお」
( ^ω^)「“明日はちゃんと学校来なさいよ”……だってお」
( ^ω^)「……まあ、明日は行くかお……」
6
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:07:43 ID://hkCpgk0
ここ数日、高校へ行っていない。今日もサボってしまった。
いや、元々休みがちだったのだ。
面倒だから。
( ^ω^)「もうお昼かお……カーチャンご飯まだかお……」
コンコン
( ^ω^)「お?」
J( 'ー`)し「ブーン、ご飯できたわよ」
( ^ω^)「……置いといてくれお」
J( 'ー`)し「……わかったわ。お母さんパートがあるから、出かけてくるわ」
( ^ω^)「わかったおー」
( ^ω^)カタカタ
玄関の扉が閉まる音が聞こえた。
母が出ていったのだろう。
( ^ω^)「ご飯にするかお」ガタッ
( ^ω^)「今日のお昼は〜……トンカツかお」
( ´ω`)「最近揚げ物ばっかだお……」
7
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:08:37 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「ま、トンカツは好きだからいいお」
( ^ω^)モグモグ
( ^ω^)「でもピザも食べたいお」
( ^ω^)モグモグ
ピコーン
( ^ω^)「おっ? 今度はドクオからLINEかお?」
( ^ω^)「“オッサンスレ見たか? やばいぞ”だってお」
( ^ω^)「ドクオもサボってるのかおww」
( ^ω^)「えーっと、“今ご飯食べてるお、後で見るお”と」ポチポチ
( ^ω^)「送信」
( ^ω^)「うわもう既読ついたおww」
( ^ω^)「返信早いお」
( ^ω^)「……“今すぐ見ろ”……?」
( ^ω^)「ご飯ぐらい食べさせろお!」モグモグ
( ^ω^)モグモグ
8
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:09:49 ID://hkCpgk0
ガシャーン
ウワー
(;^ω^)「なっ、なんの音だお!?」
突然耳に飛び込んできた、ガラスの割れる音。誰かの悲鳴。
ただ事ではないと感じさせるには十分だった。
(;^ω^)「外かお……?」
カーテンを少しだけ捲り、恐る恐る外を見る。
しかし、これと言っておかしな様子はなかった。
(;^ω^)「な、なんなんだお……」
不安だ。しかし好奇心もあった。
(;^ω^)「バット……バットはどこだお……」カラン
(;^ω^)「おっ、あったお……! 一応、持ってくかお……」
(;^ω^)「ちょっと、様子を見るだけ……だお……」
何も起こっていなければいい。でも、何か起きていてほしい。
そんな感情とバットを握りしめて、玄関の扉を開けた。
9
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:10:32 ID://hkCpgk0
(;^ω^)「……おっ……!?」
玄関先で自分が目の当たりにした光景。
それはあまりにも日常とかけ離れすぎていて、理解するのに時間を要した。
Ω「ウガァァ……」グチャグチャ
Ω「グルルルル……」グチャグチャ
二人のオッサンが、破けたスーツを身に纏った男性に噛み付いて、肉を引き千切っていたのだ。
(;^ω^)「えっ……おっ……」
カラン、と音を立ててバットが地面を跳ねる。
Ω「オ?」
その音に反応して、二人のオッサンが血で真っ赤に染まった顔をこちらに向けた。
自分を見るその目は、まるで獲物を見るようにギラついていて、思わず脚が震えた。
Ω「ワカイオトコダ……」
Ω「……クイモノダァ……」
(;^ω^)「ひっ……」
いや、この二人はまさしく自分を獲物と捉えている。
震える、なんてもんじゃない。
恐怖で腰が抜けそうだ。
10
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:11:47 ID://hkCpgk0
しかし、まだ死にたくない。
そう思うと鉛のようだった身体は不思議と軽くなった。
(;^ω^)「ばばばバット……!!」
足元に転がっているバットを拾い、再び強く握る。
小学生の頃、ドクオとよく野球をしたものだ。もっとも、ドクオは嫌がっていたのだが。
そんな思い出のあるバットを、こんな形で再び握りしめる事になるとは思ってもいなかった。
(;^ω^)「きき、来たら殺すお……!!」
Ω「……コロス……?」
Ω「……コロシテミロォォォォ!!」
自分に向かってきたのは、叫び声をあげた一人。
その一人の頭に向かって、バットを思い切り振り回した。
(;^ω^)「おおおおっ!!」ドカッ
Ω「ウグッ……」
適当に振り回したものの、バットは見事オッサンの頭に命中した。
Ω「ナ、ナグッタ……」
11
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:12:30 ID://hkCpgk0
後ろにいるオッサンは、殴られて倒れたオッサンを見て、そう言った。
Ω「イテェ……イテェ……」
Ω「ヒトマズニゲヨウ!」ダッ
Ω「オレヲオイテクナ!!」ダッ
(;^ω^)「…………」
オッサン達は、一目散に逃げていった。
どうやら効果はあったらしい。
(;^ω^)「なんなんだお……」
目の前には、血塗れの男性が倒れている。
恐らくもう息はしていないだろう。
(;^ω^)「警察に……連絡しないと――――!?」
Ω「グルルル……」
Ω「キシャァアア!!」
見間違い、ではない。
通りの遠くから、複数のオッサンがこちらに向かって歩いてきている。
六人、いや七人はいるだろうか。
12
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:13:20 ID://hkCpgk0
Ω「ウウウウゥ……」
先程のオッサン達と同じだ。
すでに顔中が血塗れで、鋭い目つきで自分を睨んでいる。
冗談じゃない。
一人や二人ならばともかく、あんな数のオッサンを相手に勝てるはずがない。
(;^ω^)「さよならだお!!」ガチャン
危険を感じてからの行動は早かった。
自分はすぐに玄関の扉を開けて、家の中へと逃げ込んだ。
( ^ω^)「……ふーっ……なんなんだお……」
( ^ω^)「やばい事が起こってるのは、わかったお……」
ドアの鍵をしめて、深く深呼吸をする。
普段と変わらないこの家を、ありがたく思った。
( ^ω^)「意外と冷静でいられるもんだお……」
( ^ω^)「それに……なんだか……ちょっと……」
( ^ω^)「わくわくしてるお……」
13
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:14:03 ID://hkCpgk0
ドンドン
(;^ω^)「おっ!?」
グオオオ
ドンドン
(;^ω^)「やっぱ追い詰められると焦るお……。この様子じゃいつ窓から入ってくるかわからんお……」
(;^ω^)「荷物まとめて逃げるかお……」
家の中に篭って戦った方が安全だろうか。そうも思ったのだが、一人でいるのは不安だ。
小さなショルダーバッグに財布やらを詰め込んで、部屋の窓から外を眺める。
( ^ω^)「こっちは安全そうだお!」ガララ
( ^ω^)「よいしょ」シュタッ
( ^ω^)「自転車は……」
(;^ω^)「おっ!?」
Ω「ミツケタゾォォオオオ!!!!」
Ω「ウガァァァァァア!!!」ダダダッ
(;゚ω゚)「おおおおおお!?!?」
14
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:15:30 ID://hkCpgk0
オッサン達は自分を見つけると、すぐに走ってきた。
まさか、こっちにもいるとは。
窓からは見えなかったのに。
(;゚ω゚)「おおおおおおお!!!」ダダダッ
Ω「マテコラァァァァ!!」
Ω「ヒルメシィィィィィィ!!!」
(;^ω^)「昼飯にはなりたくないおおおおおお!!」ダダダッ
全力で、逃げる。
乱暴な走り方をしているせいかすぐに息が上がり、全身の筋肉は悲鳴を上げている。
しかしそれどころではない。
後ろには、研ぎ澄まされた牙を煌めかせて、食い殺そうと自分を追いかけてくるオッサン達が。
Ω「ウオオォォォォォオオオ!!!」
(;^ω^)「ヒィィィィィ!!」
Ω「ウオォォ…………オ?」
(;^ω^)「!?」
すぐ後ろまで迫っていた複数の足音は、不意に消えた。
それがわかると自分は走る速度を落とし、ゆっくりと後ろを振り返った。
15
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:16:52 ID://hkCpgk0
Ω「……ワカイ……オンナ……」
Ω「オオオッ……オンナァァァ……!!」
(;^ω^)「おっ……」
あろう事か今まで自分を追い掛け回していたオッサン達は、恐怖で立ち竦んでいる女性を見て、その場に止まっていたのだ。
Ω「オンナダァァァア!!!」
Ω「ウオオオンナァァァアアアア!!!」
「きゃあああぁぁ!!!」
(;^ω^)「…………」
助けるべきか?
いや、助けられる保証はない。
(;^ω^)(でもここで見捨てたら、あの人はブーンの代わりにオッサン達に食われてしまうお……)
思考する事に時間を費やしているうちに、オッサン達は女性の服を強引に引き剥がしていく。
助けに入るなら、今しかない。
――しかし自分が目の当たりにした光景は、想像していた物とは大きく違った。
16
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:17:34 ID://hkCpgk0
「いやっ……助けて……!!」
Ω「オンナァァァ!!!」
オッサン達は、露わになった彼女の肢体を舐め回し、弄び、そして犯し始めた。
(;^ω^)「…………」
助けなければ。
しかし自分は――
自分は――――
.
17
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:18:28 ID://hkCpgk0
――――
( ^ω^)「…………」
数十分間も走り続けて街中を巡ってみても、自分の心が救われる事は無かった。
街は、オッサンで埋め尽くされていたのだ。
( ^ω^)「一体どうなってんだお……おっ!?」
Ω「キシャァァァ……」
( ^ω^)「危ないお」ササッ
Ω「……ウウウゥゥ………」
( ^ω^)「……よかったお、気づかれてないみたいだお……」
なぜこんな事になっているのかはわからない。
わかった事といえば、街中がオッサンで溢れ返っている事。オッサンは男を食らい、女を犯すという事。
その程度だ。
( ^ω^)「…………」
18
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:19:26 ID://hkCpgk0
数十分前、女性が襲われていた時。
自分は、彼女を助ける事をしなかった。
( ^ω^)「ごめんなさい……だお……」
自分が生き残るためには、危ない橋を渡るわけにはいかなかったのだ。
改めて考えてみても、バット一本では勝ち目はないと思える。
( ^ω^)「……まだ……死にたくないんだお……」
生に執着しているつもりはない。だが、死ぬのは怖かった。
今までに経験した事がないからだ。
( ^ω^)「ひとまずここで隠れてるかお……」
( ^ω^)「体力回復できたら、どこか落ち着ける場所を探さないとだお……」
裏路地のゴミ箱の影に身体を隠して、疲れを取る。
両側からオッサンがやって来たとしても、塀を乗り越えれば退路はある。
とりあえずは、なんとかなりそうだ。
( ^ω^)「とりあえずツンとドクオにLINEを……!」
( ^ω^)「って、ツンから来てるお」ポチポチ
19
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:20:32 ID://hkCpgk0
(;^ω^)「……おっ……」
(;^ω^)「……“学校には来ないで、大変なことに”……?」
(;^ω^)「……まさか……校内にも……」
校内にオッサンが入ってきていてもおかしくはない。
いや、高校なんて人が多い上に入りやすい。オッサン達にとっては都合の良い場所だろう。
入らないわけがない。
( ω )「ツン……」
こんな事は考えたくもないが――、さっき襲われていたのは知らない女性だ。命を投げ出してまで助け出そうという気にはなれない。
だが、ツンは違う。
大切な大切な、友達だ。
彼女の命に比べたら、自分の命なんて安いものだ。
( ω )「助けに行くお……」
高校までは、ここから3km程だろう。
大した距離じゃない。
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「待ってろお……ツン……」
必ず、助け出してみせる。
強くそう思った。
20
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:21:14 ID://hkCpgk0
( ^ω^)「……ドクオにもLINE送っとくかお……」
( ^ω^)「“生きてるかお”……と」ポチポチ
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「……すぐには既読はつかないかお……」
仕方ない、そう思ってスマホの画面を消す。
いつでもいい。返信が返ってくれば安心できる。
( ^ω^)「生きててくれお……ドクオ……」
( ^ω^)「……カーチャンは……」
( ^ω^)「…………、メールだけ、しておくかお…………ッ!?」
Ω「オオ……オオオオォォオオオ!!!」
(;^ω^)「おおおおおお!? もう見つかったかお!!」
叫び声を聞いて振り返ると、そこには一人のオッサンがいた。
Ω「オオオオオオッ!!! オオオオオオオオオッ!!!!」ダダダッ
(;^ω^)「来るなおおおォォ!!」ダッ
21
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:22:20 ID://hkCpgk0
オッサンは全速力で駆けてくる。
自分も急いで塀によじ登る。しかし、疲れからか脚が思うように動かない。
その時。
Ω「オオオオッ!!!」ガシッ
オッサンの汚い手で、左足を掴まれてしまった。
(;゚ω゚)「掴むなおおお!!!」ドゴッ
右足で勢い良くオッサンの顔を蹴る。
Ω「オッ!?」
(;゚ω゚)「あと口調真似んなおおおおおお!!」ドカドカッ
Ω「オオオッ!?」
続けざまに何度も蹴りを入れる。
すると自分の足からオッサンの手は離れ、身体が軽くなった自分は必死で塀によじ登った。
(#^ω^)「このクソジジィ!!」ドカドカッ
なんとか塀に登れた自分は、バットを使ってオッサンの手や頭を殴る。
22
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:23:07 ID://hkCpgk0
Ω「オオッ!! モウヤメテッ!!」
(#^ω^)「次やったらまた痛い目にあうお!!」
Ω「ヒェェェ!!」ダダダッ
(;^ω^)「……行ったかお……」
(;^ω^)「……足掴まれた時はちょっと怖かったお……」
塀の上から小さな倉庫の上に乗り、座り込んで深呼吸をする。
掴まれた部分を見てみるが、傷にはなっていないようだった。
( ^ω^)「……とりあえず、行くかお……」
(;^ω^)「おっ!?」
Ω「アイツガ……!! アイツガヤリヤガッタ……!!」
塀の向こう側を見てみると、先程のオッサンが自分を指差しながらそう言っていた。
23
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:23:50 ID://hkCpgk0
Ω「アイツカ……オレガコロシテヤル!!! ミンナノヒルメシダァァァ!!!」
ΩΩΩ「オオオオオオオオォォォッ!!!!」
大勢のオッサンを連れて。
(;゚ω゚)「さすがにやばいおおおおッ!!!」
Ω「マテコラァァァアア!!!」ダダダッ
⊂二二二(;^ω^)二⊃「さよならだお!!!」ブーン
倉庫から飛び降りて地面に着地した時、足の裏に亀裂が入ったような痛みを覚えた。
焦りすぎてうまく着地できなかったせいだ。
怪我というほどではない。走れない事もない。
痛みに耐えながら、自分は必死で走った。
街の終わりは、すぐそこに迫っていた。
24
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/07(土) 02:25:56 ID://hkCpgk0
第1話、以上になります。
闇の次はオッサンです。
よろしくお願いします!
25
:
名も無きAAのようです
:2015/11/07(土) 02:58:03 ID:/CDtTAKk0
「オオッ!! モウヤメテッ!!」でなんかワロタ
乙
26
:
名も無きAAのようです
:2015/11/07(土) 13:07:39 ID:RnILavkk0
タイトルで登場人物全員オッサンのオーシャンズイレブン的なエンタメかと思った
27
:
名も無きAAのようです
:2015/11/10(火) 08:54:56 ID:jmtpyZq60
6部パロかと
おつ
28
:
名も無きAAのようです
:2015/11/14(土) 15:25:21 ID:6f4T5FVg0
おつ。
29
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:04:09 ID:7OV8E8h20
レスありがとうございます!
オーシャンズ11でもストーンオーシャンでもなくて申し訳ない。
第2話、投下します!
30
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:04:55 ID:7OV8E8h20
第2話「咽返るほどの血の匂い」
.
31
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:05:42 ID:7OV8E8h20
(;^ω^)「はぁ……はぁ……」
(;^ω^)「やっとまいたかお……」
1kmは走っただろうか。
高校にも少しは近づいただろう。
(;^ω^)「さすがに……しんどいお……」
(;^ω^)「なんか休めそうなところ……」
(;^ω^)「おっ?」
( ^ω^)「……“おもちゃのマキマキ”……まだあったのかお……」
自分が生まれるよりもずっと前からある、おもちゃ屋さん。
小学生の頃は、よくここでエアーガンなどを買ったものだ。
( ^ω^)「……ちょっと……覗いて見るかお……」スタスタ
(;^ω^)「……ドアのガラスが……割れてるお……」
(;^ω^)「まさか襲われたんじゃ……」ガチャ
32
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:06:38 ID:7OV8E8h20
ドアを開けてゆっくりと中に入る。
電気は付いているが、薄暗い。
店内の雰囲気は昔と何も変わっていなかった。
( ^ω^)「誰かいませんかお……?」
(;^ω^)「ッ!?」
/ ,' 3「動くなよ……。動いたら、撃つ……」チャキ
(;^ω^)「おおおおっ!?」
カウンターの影から出てきた、見覚えのあるお爺さん。
ここの店主の、荒巻さんだったはずだ。
彼が、自分に拳銃を向けている。
(;^ω^)「撃たないでくださいお!! ブーンは正常ですお!!」
この国に、本物の拳銃を見かけることなどそうそうあるはずない。
ここはおもちゃ屋だし、恐らくエアーガンだろう。
だがそれでも、撃たれたら痛い。
33
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:07:43 ID:7OV8E8h20
/ ,' 3「1+1=?」
(;^ω^)「田んぼの“田”!」
/ ,' 3「……ふむ、そうか、アイツらとは違うようじゃな……。すまないのう」
(;^ω^)「おっ……正解だったのかお……」
荒巻さんは銃をおろして、椅子に腰を下ろした。
自分は安堵からか全身の力が抜けて、床にへたり込んでしまった。
/ ,' 3「言っておくが、答えが2じゃろうが田んぼの田じゃろうが、関係ないわい」
(;^ω^)「おっ!? じゃあ一体……」
/ ,' 3「アイツらなら、答えることはしないと思ったんじゃ」
(;^ω^)「おっおっ」
/ ,' 3「仮にアイツらが答えて、儂が銃を降ろしたら、すぐに襲いかかってくるじゃろう」
/ ,' 3「予めそのつもりで銃を降ろしておけばいい。アイツらだとわかれば、すぐ撃つだけの話じゃ」
( ^ω^)「おっおっ……すごいお……」
34
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:08:26 ID:7OV8E8h20
まだ、この付近にオッサン達が表れてから数時間しか経っていないだろう。
それでも荒巻さんは、この状況に順応できている。
自分なんて、ただ走り回っているだけだというのに。
/ ,' 3「……ところでお前さん、こんな時になんの用じゃ」
( ^ω^)「おっ……。ちょっと、気になったんですお」
/ ,' 3「気になった?」
( ^ω^)「このお店が、ですお。昔、よく来たんですお」
/ ,' 3「……そうじゃったか。すまんのう、子供はいっぱいくるからなかなか覚えられんのじゃ……」
/ ,' 3「もっとも、今日は中年の親父ばっかりだっだがのうwww」
(;^ω^)「おっおっwwww」
35
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:09:16 ID:7OV8E8h20
荒巻さんが、表情を柔らかくして笑っている。つられて自分も笑っていた。
一瞬だけだったが、日常を感じられた。
/ ,' 3「近くにいたのか?」
( ^ω^)「いや、そんなに近くではないですお……。一時間くらい街中を走り回って、たどり着いた感じですお……」
/ ,' 3「……ほう。じゃあ疲れてるじゃろ。休んでいけばいい」
荒巻さんは椅子から立ち上がると、カウンターの下から飲み物を取り出して自分に渡してくれた。
カウンターの下に小さな冷蔵庫があったのだろうか。コーラの入ったアルミ缶は、キンキンに冷えていた。
(*^ω^)「おっおっ、ありがとうございますお……!」ゴクゴク
(*^ω^)「美味いですお!! コーラ最高ですお!!」
/ ,' 3「よかったよかった」
36
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:10:00 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「…………でも……」
( ^ω^)「……休んでる暇はないんですお……」
/ ,' 3「……というと……誰かを探してるんじゃな?」
(;^ω^)「お、お見通しですかお」
( ^ω^)「……学校に、友人がいるんですお。襲われてるようで……助けに行かないと……」
( ^ω^)「ブーンが、助けないとなんですお……」
/ ,' 3「…………」
/ ,' 3「……君は、ブーンというんじゃな」
( ^ω^)「おっ、そうですお」
/ ,' 3「……君に、これをやろう」スッ
(;^ω^)「おっ……これって……」
37
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:11:14 ID:7OV8E8h20
荒巻さんが差し出したのは、先程自分に向けられていた拳銃だった。
/ ,' 3「……これは、本物じゃあない。ガスガンじゃ。じゃが、ちょいと改造しててな……まあそれは儂の趣味なんじゃが……」
/ ,' 3「マガジンのガス容量と、ガスの排出量を多くしてある。弾は当然プラスチック製ではなく鉛製じゃ」
/ ,' 3「こいつなら、近くにいる人の頭くらいは貫けるじゃろうな」
(;^ω^)「――ッ……」
/ ,' 3「ほっほっほww」
そんな物を向けられていたとは。
危うく普通の人間に殺されるところだったようだ。
(;^ω^)「でも……そんなもの貰っちゃっていいんですかお……」
/ ,' 3「構わんわい。儂はあと3丁ほど持ってるからのぉ」
38
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:12:13 ID:7OV8E8h20
(;^ω^)「おっおっ……じゃあせめて、お金だけでも……」
/ ,' 3「……じゃあ、ガスと弾は買ってってくれるかのぉ。銃は、タダでくれてやるわい」
/ ,' 3「友人を、助けるんじゃろ」
( ;ω;)「……たら巻さん……ありがとうございますお……」
/ ,' 3「荒巻じゃ」
( ;ω;)「……荒巻さん……ありがとうございますお……」
舌を噛んだせいで、口の中に血の味が広がる。
それを鬱陶しく感じ、コーラで口直しをした。
/ ,' 3「ほっほっほ。ガスと弾はどのくらい買ってくんじゃ?」
( ^ω^)「弾は……一袋くらいでいいですお。ガスは……」
/ ,' 3「弾は一袋200発入りじゃ。しかし、200発分のガスとなると……いくつ必要になるかのう……」
39
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:12:56 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「……とりあえず二本、貰っていきますお。バッグが小さくて、それ以上入らなそうですお」
/ ,' 3「そうか。じゃあ、3千円でいいじゃろう」
( ^ω^)「3千円ですかお……」ゴソゴソ
( ^ω^)
(;^ω^)「3千円もないですお!!!」
/ ,' 3「金のない客はお断りじゃ。帰ってくれ」
(;^ω^)「そ、そんな」
/ ,' 3「冗談じゃよ。ほれ、もってけ」スッ
( ^ω^)「おっ……いいんですかお……」
/ ,' 3「何度も言わせるんじゃない。どうせこの様子じゃ、いずれ金の価値もなくなるんじゃろうしな……」
40
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:13:39 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「おっ……」
/ ,' 3「さあもう行くんじゃ!」
( ^ω^)「……ありがとうございますお……!!」
( ^ω^)「また、来ますお!!」
ダダダッ
ガチャ
/ ,' 3「……ブーン……か……」
/ ,' 3「……覚えておこう……」
/ ,' 3「……長生きしろよ……若いの……」
41
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:14:29 ID:7OV8E8h20
――――
(;^ω^)「店の中で入れればよかったお……」
少し歩いた先にあるファーストフード店の影に隠れて、ガスをマガジンに注入していく。
ガスが漏れないように慎重に押し込むが、意外と難しい。
(;^ω^)「弾も詰めないとだお……」
ガスの注入が終わり、今度は弾詰めだ。
一発一発詰め込むのは非常に手間だ。だが他に方法もない。
(#^ω^)「めっちゃイライラするお」
こんな事なら、BBローダーを買っておけばよかった。
あれほど便利だと思えるツールはそうそうない。
( ^ω^)「でも戻って買うのも……かっこ悪いお……」
( ^ω^)「……我慢だお……」プチプチ
やがて弾詰めも終わり、マガジンをセットして構える。
標的は近くの木だ。
42
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:15:32 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「狙って……撃つ」バスッ
(;^ω^)「おっ……」
(;^ω^)「めっちゃめり込んでるお……」
これなら威嚇や攻撃にも十分使える。
そう思うと、心の奥に潜んでいた恐怖心のようなものが少しだけ拭われた気がした。
( ^ω^)「さて、どうするかお……」
( ^ω^)「何か乗り物を手に入れたいお」
(;^ω^)「でもこんな非常時に盗んでいいのかお……」
(;^ω^)「……いや、非常時だからこそだお! 生きるためには必要なんだお……!」
Ω「アァ……アァ……」チャリチャリーン
(;^ω^)「おっとぉ……自転車に乗ってるタイプのオッサンだお!(新種)」
43
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:16:15 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「銃で撃つかお」バスッ
バスッ バスッ
( ^ω^)「あれー? 何にも当たらんお」
何度撃っても、発射された弾丸はオッサンの横を通り過ぎていく。
当たり前だ。初心者が素早く動いているものに当てるなんて、不可能なのだ。
Ω「……アァー!! アアアアアア!!」チャリチャリーン
(;^ω^)「うわこっち向かってきた」
Ω「アアアアアア!! アアアアアア!!」チャリーン
(;^ω^)「くそっ……当たらんお……!」バスッ バスッ
(;^ω^)「こうなったらバットで……!」
44
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:16:59 ID:7OV8E8h20
Ω「アアァー!! アアァーァ!!」
(;^ω^)「おおおおっ!!」ブンッ
Ω「アガッ……!」バキッ
ガシャーン
(;^ω^)「おおおっしゃ!」
Ω「……ウゥ……」
(;^ω^)「ゴメンだお、オッサン。チャリ借りるお……!!」ガシャン
Ω「……ウ……ウオオオオオオ!!」スクッ
(;^ω^)「おおおおおっ!? にっ、逃げろぉぉぉおお!!!」ギコギコ
45
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:17:42 ID:7OV8E8h20
――――
(;^ω^)「……はぁ……はぁ……」
(;^ω^)「逃げてる途中で他のオッサンにも見つかるから、どんどん増えて大変だったお」
グゥゥゥ
(;^ω^)「お、お腹空いたお……」
(;^ω^)「……でも……ツンのところへ急がなきゃ……だお……」
( ^ω^)
(*^ω^)「コンビニがあるお……!!」
(*^ω^)「ちょっと寄るくらいならいいかお」
この通りにはオッサンがいないようだ。
だが、建物の中に潜んでいる可能性もある。
警戒しつつ、腹の虫をなだめつつ、ゆっくりと自転車を引いてコンビニへと向かった。
( ^ω^)「……店内には誰もいないのかお……?」
46
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:18:27 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「……失礼しまーす」ウィーン
( ^ω^)「自動ドアも使えるのかおww」
( ^ω^)「……おっ?」
中に入ると、ようやっとその異変に気づくことができた。
店内は、まるで強盗に入られたかのように荒れ放題だ。
(;^ω^)「オッサンの仕業……? いや、これは……」
明らかに、食品だけ少なく見える。
恐らく、この非常事態に誰かが食料を確保しに来たのだろう。
(;^ω^)「考える事は皆同じかお……」
( ^ω^)「でもまあ、食べ物が何もないわけじゃないしいいかお」
( ^ω^)「おー……、なんかピザとかないんかお」
47
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:19:08 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「ピザなんてあるわけないかお……おっ!?」
(*^ω^)「こ……これは……冷凍のピザ……!!」
( ^ω^)「コンビニって……こんなものまであったのかお……」ゴソゴソ
(*^ω^)「おっ、在庫が4つもあるお」
(*^ω^)「全部食べるかお」
ピザを抱えてレジカウンターの中へと入る。
特殊な電子レンジの使い方に手間取ったが、なんとか動かす事ができた。
ピー
(*^ω^)「おっおっ、待ってましたお」
四台の電子レンジが時間差で電子音を鳴らす。
扉を開けるとピザのいい匂いが店内に広がり、腹の虫は暴れだす。
48
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:19:58 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「あっつつ……。どっか、食べるところ……」
( ^ω^)「この中なら椅子とかありそうだお」
レジカウンター内にあるドアを開けると、中は事務室になっていた。
予想通り机と椅子が並んでいて、自分はそれに腰を降ろしてピザを取り出した。
( ^ω^)「ほんとならオーブントースターとかで焼きたかったけど……仕方ないお……」
(*^ω^)「とりあえず、いっただきますお〜」モグモグ
(*^ω^)「うっ、うま〜! ピザ、やっぱりピザが一番うま――」
――省略――
49
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:21:01 ID:7OV8E8h20
( ^ω^)「ふぅ……よく食べたお」ギコギコ
(;^ω^)「食べた後に運動はしんどいお」
( ^ω^)「それに、意外と時間経っちゃったお……」
( ^ω^)「……ツン……」
( ^ω^)「急がなきゃ、だお!」ギコギコ
見慣れた道だ。通学のために通る道なので、迷う事なく全力で走れる。
途中でオッサンやそうでない人にすれ違う事もあったが、今の自分には興味がなかった。
(;^ω^)「はぁ……はぁ……」
(;^ω^)「……ようやっと……着いたお……」
大きな鉄の門の向こうに昇降口が見える。どうやらドアは開いているようだ。
あそこから入ればいいのだが――、そこまでの道程には何人ものオッサンが彷徨いていた。
やはり、すでに中は危険な状態のようだ。
50
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:21:47 ID:7OV8E8h20
(;^ω^)「どうするかお……」
(;^ω^)「自転車はここにとめて……」
コロン
( ^ω^)「お?」
( ^ω^)「……ビール瓶、かお……」ヒョイ
( ^ω^)「……! これで、オッサンの注意を逸らせるんじゃ……!」
( ^ω^)「……昇降口の反対側に向かって……」
( ^ω^)「おっ!」ブンッ
ガシャーン
Ω「ナンダァァァアア!!」
Ω「アッチダァァァァ!!!」ダダダッ
(;^ω^)「今だおっ!!」
オッサン達が一斉に音の方へと駆けていく。
その隙に自分は門を乗り越え、大急ぎで昇降口へと向かった。
51
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:22:32 ID:7OV8E8h20
(;^ω^)「……ふぅ……」
( ^ω^)「なんとかなったお」
( ^ω^)「おっ!?」
Ω「……アァア……」
( ^ω^)「やっぱ中もいるかお……。どうしたもんかお」
( ^ω^)「そうだ、こいつで……」チャキ
ベルトに挟んでおいたガスガンを握り、階段の前を歩き回っているオッサンに銃口を向ける。
幸い音は殆ど鳴らない。何回か打ったうち、一回でも当たれば十分だ。
( ^ω^)「ゆっくり歩いてるうちに……!」バスッバスッ
四回、引き金を引いた。
銃口から発射された四発のうち三発は、オッサンの横を通り過ぎていくだけだった。
しかし残りの一発。それだけが、オッサンの身体へと命中したのだった。
Ω「アウッ……」
52
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:23:51 ID:7OV8E8h20
脇腹を抱えて倒れ込むオッサン。当然まだ息はある。
自分は再びガスガンをしっかりと握りしめて、痛みに悶えているそのオッサンに向けて何度も引き金を引いた。
( ^ω^)
――やがて、オッサンは動かなくなる。
( ^ω^)「……死んだかお……」
人を殺したという実感はない。
だが事実、人を殺したのだ。
しかし生き延びるためには仕方のない事だ、と自分に深く言い聞かせ、死体を一瞥し階段をのぼった。
自分やツンの教室は、二階の階段からすぐ近くだ。
そこに辿り着くまでにオッサンに出くわすことは無かった。
( ^ω^)「…………」
しかしすでに校内にもオッサンはいたのだ。
この教室のドアを開けたところで、ツンに会えるとは限らない。
――期待はするな。
心にそう釘を刺し、自分はゆっくりと教室のドアを開けた。
53
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:24:44 ID:7OV8E8h20
そこに広がっていたのは
地獄だった。
.
54
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:25:26 ID:7OV8E8h20
赤い部屋だった。
日の光に照らされた床は赤く、赤く濡れていて、臓物の山があちらこちらに飛散している。
思わず咽返るほどの血の匂いに、目眩がした。
そして、文字通り血の海となっている教室の中心に立っている、一人の男。
彼はゆっくりと振り返り、自分へと顔を向ける。
あの顔はよく知っている。
超ブサイクだ。
(;^ω^)「ど……ドクオ……?」
('A`)「…………、ブーンか……」
55
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/17(火) 05:26:59 ID:7OV8E8h20
第2話、以上になります。
とあるパロディを入れさせてもらいました。
すみませんでした!
次回もよろしくお願いします!
56
:
名も無きAAのようです
:2015/11/17(火) 06:28:02 ID:hhGHqPRI0
おつ
57
:
名も無きAAのようです
:2015/11/17(火) 15:13:30 ID:Lt6wgWzk0
安定のピザ
乙
58
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:51:16 ID:xSrbxp9o0
レスありがとうございます!
酒飲みながら第3話いきます。
59
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:54:52 ID:xSrbxp9o0
第3話「僅かな希望がそこにある」
.
60
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:55:39 ID:xSrbxp9o0
自分を見つめる彼に対し、何と言ったらいいのだろう。
言葉は見つからない。だが、自然と口が動いていた。
(;^ω^)「ドクオがやったのかお……」
('A`)「……いや……」
(;^ω^)「いくら学校が嫌いでみんなにいじめられてたからって……」
('A`)「いや、だから」
(;^ω^)「教室内で全裸にされてヒロシのモノマネやらされたからって……」
('A`)「ちょっと何の話」
(;^ω^)「みんなを……殺すなんて……」
('A`)「お前は耳ついてねーのかよ」
(;^ω^)「そんな事より、この状況はあまりに酷いお……。一体何があったんだお……」
('A`)「なめてるな、お前なめてるよな」
(;^ω^)「ペロッ……これは……血……!」
('A`)「見たまんまじゃねーか」
61
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:56:26 ID:xSrbxp9o0
こんな現場を目の当たりにしてよく吐かずにいられるものだ、と自分に感心した。
日常とはまるで縁のない非日常。恐らく自分は、この状況を受け止めきれていないだけなのだろう。
(;^ω^)「ツンはどこだお……!?」
('A`)「切り替えはえーな」
(;^ω^)「まさか……この死体の山に……」
('A`)「いや、それはない。一通り顔を確認したからな……。もっとも、顔が無い奴もいるが……」
(;^ω^)「そうかお……。でも、一体何が……」
('A`)「わかんねぇ。でも、こんな事になってるのは俺らのクラスだけなんだよ……」
(;^ω^)「じゃあ……クラスの誰かが……?」
('A`)「……人間に出来る芸当じゃねーよな。となると、誰がやったんだか……」
('A`)「オッサンか、また別の何かか……」
スタスタ
(;^ω^)「おっ……誰か来るお……」
('A`)「くそっ……身構えとけ……」
62
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:57:34 ID:xSrbxp9o0
(;^ω^)「…………」
腰のガスガンを抜き、強く握りしめる。
いつでも撃てるよう、セーフティは外して。
そして開かれたままの扉の影から、足音の犯人は姿を現した。
(´・ω・`)「おやおや、サボり二人組が今更何のようだい?」
( ^ω^)「……おっ、なんだショボンかお……」
現れたのは、同じクラスメイトのショボンだった。
ガスガンを握る力が緩む。やがて自分は、セーフティをかけてガスガンを腰へと戻した。
( ^ω^)「びっくりしたお……」
('A`)「…………」
(´・ω・`)「全く酷いもんだよね……こんなになるまで……」
( ^ω^)「ほんとだお……。一体何があったんだお?」
63
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:58:17 ID:xSrbxp9o0
(´・ω・`)「それが……わかんないんだ。僕がトイレに行っている間に、あの変なオッサン達に襲われたみたいで」
( ^ω^)「……なるほどだお……」
(´・ω・`)「君たちはどうしてここへ?」
( ^ω^)「おっ、ツンを探しに来たんだお」
(´・ω・`)「ツンさんか……確か、すぐに何人かと一緒に逃げ出していったよ」
( ^ω^)「やっぱそうかお……! よかったお……この中にいなくて……」
(´・ω・`)「そうだね……無事だといいんだけど」
('A`)「おい」
(´・ω・`)「ん?」
('A`)「その血はなんだ」
(´・ω・`)「血? ……ああ、これの事か。トイレから戻った時にオッサンに襲われて、抵抗してる時に付いたんじゃないかな……」
64
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:59:04 ID:xSrbxp9o0
ショボンは自分のシャツを確認し、そう説明した。
確かに返り血のようなものが付着している。
この血だらけの室内にいたせいか、自分は気付かなかった。
('A`)「……そうか。それよりお前、トイレに行ってたんだよな?」
(´・ω・`)「うん、そうだけど」
('A`)「どれくらいで戻ったんだ?」
(´・ω・`)「さあ……お腹痛かったから、五分か十分はトイレに篭ってたんじゃないかな」
('A`)「当然、叫び声が聞こえたわけだ」
(´・ω・`)「……うん、そうだよ……。何事かと思ったけど、うんこしてる途中だったから、すぐには戻れなかったな」
('A`)「じゃあなんでお前、ツンが逃げた事知ってんだ?」
(´・ω・`)「っ……それは……」
(´・ω・`)「窓から見えたんだ、ツンさんが走っていくのが」
65
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 04:59:50 ID:xSrbxp9o0
('A`)「窓からぁ? ツンだって確証はあるのかよ」
(;^ω^)「ちょっ、ドクオ一体何言ってんだお」
('A`)「お前は黙ってその銃握ってろ」
(;^ω^)「おっ……」
銃を握ってろ、とはどういう意味だ。
わけがわからない。だが、自分はゆっくりと腰のガスガンに手を伸ばした。
(´・ω・`)「……やだなあ、僕がみんなを殺したとか言いたいわけ? 無理でしょそんなの」
('A`)「……俺はツンが逃げたっていう確証が欲しいだけだよ。そんな事言ってねーだろうが」
(´・ω・`)「っ……」
(´・ω・`)「ああもう面倒くさいなあ」
(;^ω^)「……?」
(´・ω・`)「殺してあげるよ」
(;^ω^)「――ッ!?」
66
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:00:38 ID:xSrbxp9o0
一瞬。
まさに一瞬の出来事だった。
ショボンの姿が視界から消え、同時に自分は壁に叩きつけられていた。
自分の首根っこを握りしめるショボン。
その力は、もはや人間のものではないと思える。
(;^ω^)「ガハッ…………」
(;'A`)「……!?」
手からはガスガンが離れ、床を滑って遠ざかっていく。
(´・ω・`)「なんなんだよ、せっかく生きて帰らせてあげようと思ったのにさぁ」
67
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:01:25 ID:xSrbxp9o0
動脈はきつく締まり、呼吸はできない。
自分は後何秒意識を保っていられるのだろうか。
混乱、不安、様々な感情が、自分の心に押し寄せてくる。
(;'A`)「どうなってんだ一体!」ダッ
ドクオがガスガンの元へ駆け寄り、それを握りしめてショボンへと向ける。
ショボンはそれに気づくと、自分の首を握り締める力を緩めた。
(;^ω^)「カハァッ……ハァ……」
(´・ω・`)「……ブーン、君はこの世界にとって貴重な存在になり得るかもしれないんだ。……男としても、ねぇ……」ジュルリ
ショボンは舌なめずりを見せつけ、鋭い眼光で自分を睨みつける。
寒気がした。なんだこいつホモだったのか。
68
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:02:08 ID:xSrbxp9o0
(´・ω・`)「ここで殺すには惜しい。だから、やっぱり生かしといてあげるよ」スッ
ドサッ
ショボンの手が首から離れ、自分の身体は糸の切れた操り人形のように床に崩れ落ちた。
脳に血が足りていないのか、身体は思うように動かない。視界も、普段より暗く感じる。
(;'A`)「……お前……何者なんだよ……」
(´・ω・`)「さあ? ただのホモってとこじゃないかなぁ」
やっぱりホモなのか。
(´・ω・`)「ドクオ……君は生かしておく必要がないんだけど、まあこの機会に見逃してあげるよ」
(;'A`)「……そうかい、そいつはありがたいね……」
ドクオはガスガンをショボンに向けたまま、しっかりと握っている。
しかし、足が小刻みに震えているのがわかった。
(´・ω・`)「また、近いうちに会うことになるさ。それまでは生きていてくれよ、ブーン」スタスタ
69
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:03:15 ID:xSrbxp9o0
(;^ω^)「…………」
やがて、ショボンの姿は見えなくなる。
それと同時に、ドクオはゆっくりと床にへたり込んだ。
(;'A`)「……なんだよ……あれは……」
(;^ω^)「……わ……わかんないお……」
(;'A`)「人間の動きじゃなかったぞ……」
(;^ω^)「…………」
自分に飛びかかった時のショボン。
あれは明らかに常人の動きではない。
超人的、とでも言うべきだろうか。
(;'A`)「わけわかんねぇよ……どうなってんだよこの世界……」
(;'A`)「街中オッサンだらけで……母さんも父さんも殺されて……」
(;'A`)「……どうすりゃいいんだよぉ……」
(;^ω^)「……ドクオ……」
70
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:04:14 ID:xSrbxp9o0
ドクオの両親は、すでに亡くなってしまったようだ。
自分の母親は、どうしているだろうか。生きているだろうか。
……望みはないだろう。
( ^ω^)「……ブーンは、ツンを探すお……」
('A`)「……そうか……」
( ^ω^)「ドクオは、どうするんだお……?」
('A`)「……ついていくに決まってんだろうが」
( ^ω^)「……よかったお」
('A`)「……でもよ……」
( ^ω^)「お?」
('A`)「俺はここに、クーを探しに来たんだ……。でもどうやらここにはいないみたいだし、死体もなさそうだ」
('A`)「だから、ずっと一緒にはいられねぇかもしれねぇ……」
71
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:05:18 ID:xSrbxp9o0
クーとは、同じクラスメイトの一人で、ドクオが密かに行為を寄せている人物だ。
自分自身の命を賭けてでも探しに来ようとするほど好きだったとは、思っていなかった。
( ^ω^)「……わかってるお!」
( ^ω^)「ブーンはドクオが生きていてくれただけで嬉しいお!」
('A`)「……ブーン……」
( ^ω^)「おっおっ」
('A`)「……チャック開いてる…………」
( ^ω^)「おっwwwwwwwwこいつは失敬wwwwww」ジー
('A`)「ぷははっ…………あー、お前はやっぱ面白ぇな」
( ^ω^)「おっおっ、元気が一番だお!」
('A`)「ああ、全くだな……。さて、どうすっかな……」スクッ
72
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:06:32 ID:xSrbxp9o0
足の震えが治まったのか、ドクオはゆっくりと立ち上がって窓から外を眺めた。
('A`)「ツンは一体どこに逃げたんだか……」
( ^ω^)「……わかんないお……」
('A`)「ショボンは多分嘘をついてねー。だから、どっかにいるはずだ」
( ^ω^)「……そうだといいお」
('A`)「ま、ここにいても仕方ねー。とりあえず、まずはここから出ないとな……」
ガシャーン
('A`)「ほら、さっきの音で来やがったぜ……」
Ω「アァア……アア……」
廊下から、微かにオッサンの声が聞こえる。
一人、いや二人ほどだろうか。
(;^ω^)「おっ……でも、それがあれば……」
('A`)「あ? ああこの銃か……。ただのガスガンだろ?」
73
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:07:14 ID:xSrbxp9o0
( ^ω^)「驚くなお……それはすごく強いガスガンなんだお!」
(;'A`)「すごく強いガスガン」
( ^ω^)「そうだお! すごく強いんだお!」
(;'A`)「そ、そうか。まあこれはお前が持っとけ、俺はモップで戦うわ……」スッ
( ^ω^)「了解だお! さあ切り抜けるお!」
Ω「アァー!! ワカイオトコ!! ワカイオトコ!!!」
74
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:07:57 ID:xSrbxp9o0
――――
('A`)「いやマジですごく強かったな」
( ^ω^)「だから言ったお! すごく強いガスガンだって!」
自分とドクオはなんとか高校を出て、狭い路地で一息をつく。
オッサンの数は、数時間前よりも増えたように感じた。
('A`)「あんな銃どこで手に入れたんだ?」
( ^ω^)「あそこだお、おもちゃのマキマキ」
('A`)「……? あー、あの古いおもちゃ屋か! どういうこっちゃ」
( ^ω^)「なんか知らないけどくれたんだお。改造してたらしくて」
('A`)「は、はぁ……謎だな……」
( ^ω^)「お陰で助かったお、武器があると安心できるお」
('A`)「それもそうだな。オッサン相手にも効果あるみてーだし……」
ダッダッ
75
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:08:43 ID:xSrbxp9o0
('A`)「おっと……言ったそばから来たぞ、構えろ」
(;^ω^)「おっ……」スッ
路地の向こう側から足音が聞こえる。それは段々と近づいてきて、やがて自分達の前に姿を表した…。
ダッダッ
(;-_-)「はぁ……はぁ……危なかった……」
(;^ω^)「おっ……オッサンじゃない……?」
(;-_-)「うわっ……く、来るな!!」
(;'A`)「まてまて落ち着いて、俺らはオッサンじゃないですから」
(-_-)「……ほんとだ、よく見たら……」
(-_-)「よかった……普通の人か……」
自分達の前に姿を現したのは、スーツを着た二十代くらいの男性だった。
('A`)「逃げてきたんですか?」
76
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:09:53 ID:xSrbxp9o0
(-_-)「ああそうだよ……。会社に変なオッサンが現れて、次々に人を食い殺していったんだ……」
(-_-)「……そしたら……殺された同僚まで……」
(;^ω^)「……おっ……? 何があったんですかお……?」
(-_-)「……食い殺された後、すぐに生き返ったんだ。傷も何もかも回復してね。……ただ――――」
――四十代くらいまで、老けたんだ。
彼はそう呟くと、瞳に浮かべた涙を裾で拭い、深呼吸を数回繰り返した。
(-_-)「……そしたらもう、次々にオッサンが増えていったよ……」
(;^ω^)「そ、そんな事が……」
('A`)「……やっぱり……感染症なのか……」
(;^ω^)「感染症……かお……」
('A`)「じゃあ、女性はどうなるんですか? 俺、道端で犯されている女性を見かけたんですが……」
(-_-)「女性は犯された後、すぐに死んだよ……。でも、生き返らなかったんだ。誰一人としてね」
77
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:11:14 ID:xSrbxp9o0
(;^ω^)「そうなんですかお……」
('A`)「……ってことはつまり……このオッサン病は、男女ともに感染するが、オッサン化するのは男性のみって事だな……」
('A`)「恐らくどちらも感染したら、死に至るんだろう……。死んだ後にオッサン化して生き返るのは、男性だけって事だ」
(-_-)「……多分……そういう事だね……」
(;^ω^)「そんな……」
じゃあ自分が見捨てたあの女性は、もう亡くなっているのだろう。
(;^ω^)「ブーンが見たオッサンは、男性を食べようとして、女性を犯そうとしてたお……」
('A`)「俺が見たのもそうだ。だから多分、この考えで間違いはないはずだ……」
(-_-)「……すごいな君たちは……。どうしてそんなに冷静でいられるんだ……?」
78
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:12:03 ID:xSrbxp9o0
(;^ω^)「いや、冷静なんかじゃないですお!」
( ^ω^)「……ただ……」
('A`)「……オッサンよりもヤバイ奴を見たからな……」
(-_-)「……オッサンよりもヤバイ……?」
Ω「……ウオォ……ウオォ……」
('A`)「おっと、オッサンが来ちゃいましたね……。詳しい事は後で話しましょう」
( ^ω^)「とりあえず逃げるお……!」
79
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:12:46 ID:xSrbxp9o0
――――
(-_-)「やっぱ君たちすごいね……、オッサン達に対してうまく立ち回れているというか……」
('A`)「そ、そうすかね。なんか照れるな」
( ^ω^)「おっおっ」
(-_-)「さっき聞いたオッサンよりヤバイ奴の話も……。よく生き残れたね……」
( ^ω^)「よくわかんないんですお。なんか見逃してくれて……」
(-_-)「何が目的なのか……。あ、そうだ、君達は聞いたかい?」
('A`)「何をですか?」
(-_-)「避難所の場所さ」
( ^ω^)「避難所!? そんなとこがあったんですかお!?」
(-_-)「うん。ラジオで放送してたんだ。ここからそう遠くない、“APO”って建物があるだろう? 警察が取り締まって、避難所として開放しているらしいんだ」
80
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:13:32 ID:xSrbxp9o0
('A`)「そ、それなら……」
( ^ω^)「……ツンもいるかもしれないお……!」
(-_-)「君たちの、同級生だったか……。もしかしたら、いるかもしれないね」
( ^ω^)「そこに行きたいですお!!」
(-_-)「じゃあ、一緒についてきてくれるかい? 複数人でいたほうが、僕としても安心で……」
('A`)「もちろんです。ここから、案内してもらえますか? 地元とはいえ、この辺りはあんまり詳しくなくて……」
(-_-)「もちろん。じゃあ、早速向かうとしよう」
ツンが無事にそこに辿り着いているかはわからない。
いや、そもそも避難所の存在を知らない可能性すらある。
だが、僅かな希望がそこにあるのだ。
縋らずにはいられなかった。
81
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:14:15 ID:xSrbxp9o0
――――
(´・ω・`)「ただいま。遅くなってごめんね」
「――――。―――――、――――――?」
(´・ω・`)「そうみたいだよ。彼からは、僕と同じ匂いがするんだ……」
「―――――――。――――、――――――」
(´・ω・`)「うん、まかせて」
「――――、―――――――――」
(´・ω・`)「叶えてあげるから。僕が絶対、叶えてあげるからね」
(´・ω・`)「……ああ、楽しみだなァ……」
82
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/11/23(月) 05:15:46 ID:xSrbxp9o0
第3話、以上になります。
しばらくピザを食べていないと発作が出そうになります。
次回も一週間後くらいに投下します。
よろしくお願いします!
83
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 09:32:56 ID:1uBdp5sQ0
初めて読んだけど全然想像と違ったわ
おもしろい乙
84
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 12:15:11 ID:vaUC2X7w0
乙。ホモは強いな…
85
:
名も無きAAのようです
:2015/11/23(月) 17:22:53 ID:eIkPW/Xw0
乙
86
:
◆yzpE5hYGyk
:2015/12/12(土) 10:38:58 ID:VfomURQA0
長い一週間でした。
第5話投下します。
87
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:39:58 ID:VfomURQA0
酉間違えた…
88
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:40:46 ID:VfomURQA0
第4話「涙のように血が溢れ」
.
89
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:41:28 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「やっとついたお……」
入り組んだ交差点の前にある建物。
そこには大きくバリケードが張られ、ヘルメットをした警官が何人も立っていた。
(-_-)「やっと……やっと来れた……」
(-_-)「ここまでくれば安心だ……!」
('A`)「とりあえずオッサンからは逃れられそうですね……」
(*-_-)「うん、うん。君たちのおかげだよ」
(*^ω^)「おっおっ、むしろヒッキーさんのおかげですお」
ここに来る道中、彼の名前や生い立ちなど、様々な話を聞いた。
特に面白みもない平凡な話だったが、自分は何故かとても鮮やかなものに感じた。
彼の、生き残るための意思のようなものが含まれていたからだろうか。
バリケードに近づくと、拳銃を携えた警官が自分達に気づき、その場から動かずに問いかけてきた。
90
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:42:11 ID:VfomURQA0
(´・_ゝ・`)「生存者ですか?」
( ^ω^)「おっおっ、そうですお」
(´・_ゝ・`)「間違いなさそうですね。ではこちらに」スタスタ
('A`)「えっ、そんな適当なんですか? これって、感染症か何かじゃ……」
(´・_ゝ・`)「え? ああ、大丈夫ですよ。今問題になっている病気は、感染するとすぐに死に至りますから」スタスタ
(´・_ゝ・`)「一分前に噛みつかれた、などでなければ、特に問題はありません」スタスタ
(-_-)「ああ、そうなんですね……。僕の同僚は、みんな食い殺されてましたから……」スタスタ
(´・_ゝ・`)「まあ殆どが食い殺されてしまいますけどね。稀にいるみたいですよ、噛みつかれたけどオッサンを倒した、とか」スタスタ
(´・_ゝ・`)「こんな事話してもしょうがないんですが、オッサンに噛みつかれた男性は、死後3秒で生き返ります。“オッ3秒ルール”なんて、僕らは言ってますけど」
( ^ω^)「オッ3秒ルールwwwwwwwwwww」
(;^ω^)「おっ」
(-_-)「…………」
91
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:42:55 ID:VfomURQA0
そうだった。
彼は、同僚がオッサンになるところを目の当たりにしているのだ。
こんなことで笑ってしまうなんて、自分はどうしようもないやつだ。
(-_-)「……気にすることないよ。仕方ない事なんだ」
(-_-)「しかしオッ3秒ルールはちょっとww」
( ^ω^)「おっ……」
無理をしているのだろうか。
自分には彼の心の中を読むことは出来ないが、何故だがひどく悲しくなった。
(´・_ゝ・`)「……さて、こちらです――――おっと!」ドンッ
( ・∀・)「いてっ……」
(´・_ゝ・`)「ああ、すみません。大丈夫ですか?」
( ・∀・)「ああ、平気ですよ。こちらこそすみません……。あ、そっちは新入り?」
警官とぶつかった青年は、自分の方を向いてそう言った。
整った顔立ちだ。年齢は、二十歳前後だろうか。
92
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:43:44 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「おっ、新入りですお」
( ・∀・)「おー、よろしくな。俺はモララーってんだ。……あ、よければ僕が彼らを案内しておきますよ」
(´・_ゝ・`)「ああ、本当ですか。すみませんねなんだか……」
( ・∀・)「いいんすよ俺らは暇ですし。あなた方のおかげでこうしていられるんですしね」
(´・_ゝ・`)「ふふ。じゃあ、私は持ち場に戻らせていただきます。……あ、これを」スッ
警官はそう言うと、胸のポケットから三枚の紙を取り出して自分たちに手渡した。
(´・_ゝ・`)「ここでの身分証だと思ってください」
(-_-)「……数字が書いてあるだけですね」
(´・_ゝ・`)「はは、数字を印刷したただの紙ですけどね……。では、あとはよろしくお願いします」スタスタ
( ・∀・)「……というわけだ。あ、君達にも紹介しなくちゃな」
彼はそう言って、後ろを振り返った。
よく見ると、彼の後ろにはもう一人小柄の男性がいたのだ。
93
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:44:28 ID:VfomURQA0
_、_
( ,_ノ` )「…………」
( ・∀・)「……あー、無口だけど、俺の親父」
_、_
( ,_ノ` )「…………」
(;^ω^)「おっおっ……。よろしくお願いしますお」
そう言うと、彼の父に鋭い目つきで睨まれる。
だが何も言わず、視線をドクオやヒッキーさんへと移して、そのまま俯いた。
( ・∀・)「ってなわけで、行くか」
('A`)「どこへですか?」
( ・∀・)「腹減ってるだろ? 配給をもらいに行くんだよ」
('A`)「……ああ、それでさっきの紙か……」
( ・∀・)「そういうこった。一日一回しか貰えねーらしいけどなぁ。俺はもう食っちまったから、明日まで食えねーんだよ」
(-_-)「まあ、これだけの人数がいればね……」
この広いフロアには、大勢の人がいる。
床が絨毯なので、皆座り込んだり寝転んだり、割と自由気ままに過ごしているようだ。
94
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:45:18 ID:VfomURQA0
フロアを抜けた先にある小さな机の前に、数人の警官が立っていた。
彼らに先ほど貰った紙を提示すると、手に持っているバインダーに何やら記入してから、缶詰を渡された。
( ^ω^)「おっおっ……これは……」
('A`)「……乾パンって……」
(-_-)「…………」
( ・∀・)「まあまあそんな落ち込むなよ。今は準備が間に合わなかっただけで、何日かすりゃ乾燥してないパンも食えるようになるだろうよ」
(-_-)「……今はこれで我慢しよう……」
( ・∀・)「そんじゃま、後は戻って適当なとこに座ってろよ。寝転んでもいい。俺も親父のとこに戻るわ」
('A`)「あ、ありがとうございました」
( ・∀・)「ちなみにトイレはあそこな。じゃ、もし何かわからん事あったら聞いてくれ」スタスタ
乾パンを受け取ってから、自分達はまた元のフロアへと戻った。
自分は待ちきれずに缶詰を開けて、乾パンを一つ口の中に放り込んでいた。
95
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:46:00 ID:VfomURQA0
('A`)「……さて、このへんでいいかな」ドサッ
(-_-)「ふぅ、やっと座れるね……」スッ
( ^ω^)「おっおっ、ホントだお……」ズシーン
('A`)「乾パン食うか……」
(-_-)「そうしよう……」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあブーンはちょっと一回りしてくるお」
('A`)「え? お前食わないの?」
( ^ω^)「もう食べちゃったお。ほら空っぽ」カンカン
(;'A`)「うわっ、マジだよ……だから太るんだよ……」
(;-_-)「すごいね……。まあでも、お友達を探すんだろう? 行ってきな」
('A`)「あー、じゃあ俺も」
( ^ω^)「いいお、ドクオはゆっくり食べてろお。ガリガリだし」スタスタ
('A`)「うっせデブ!」
(*^ω^)「おっおっ」スタスタ
96
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:46:42 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「…………」スタスタ
(^ω^三^ω^)「…………」キョロキョロ
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「ツン……」
( ^ω^)「どこにいるんだお……」
ξ゚⊿゚)ξ「呼んだ?」
( ^ω^)「おいすー」
ξ゚⊿゚)ξ「乾パン食べた? 何よあれ、不味すぎでしょ」
( ^ω^)「ブーンもそう思うお……」
(;^ω^)「おっ!?」ズシーン
ξ゚⊿゚)ξ「驚きすぎでしょ……。ま、当たり前か……」
なんという、ご都合展開だろうか。
必死で探していた相手が、いとも簡単に見つかってしまった。
これが小説なら、作者が書いていてあんまり面白くなくて、展開を早めてしまったような感じだ。
97
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:47:24 ID:VfomURQA0
ξ゚⊿゚)ξ「よかった、生きてて」
( ^ω^)「……おっおっ……」
( ^ω^)「……ほんとに……よかったお……」
ξ゚⊿゚)ξ「何泣きそうになってんのよ……。さっき見えたけど、ドクオもいるんでしょ?」
( ^ω^)「おっ、そうだお! こっちだお」スタスタ
ξ゚⊿゚)ξ「よくここまで来れたわね」スタスタ
( ^ω^)「それはツンもだお。そういえば、なんでライン返してくれなかったんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ……携帯は落としちゃったのよ」
( ^ω^)「おっ……そうだったのかお……」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ時期に使えなくなるだろうし、別にいいかなって感じよね……」
('A`)「……おいおい、もう見つけたのか?」
ξ゚⊿゚)ξ「ドクオー、随分と久しぶりじゃない。見ない間に痩せたわね」
('A`)「一日ぶりだし体型は元々だわ」
( ^ω^)「二人ともブーンくらい肉つけろお!」
ξ;゚⊿゚)ξ(;'A`)「いや……それは遠慮しておくわ……」
98
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:48:06 ID:VfomURQA0
つい数日前にも同じような会話をしたというのに、何故だかとても懐かしく感じた。
ξ゚⊿゚)ξ「……そちらの方は……?」
(-_-)「ああ、僕はヒッキー。ここに来る途中で、二人に会ったんだ。おかげで辿りつけたよ」
( ^ω^)「ヒッキーさんのおかげで、こんな場所があるって知ったんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「なるほど、そうだったのね。私は二人の同級生のツンです」
(-_-)「うん、話は聞いてるよ。でも良かったね、見つかって」
( ^ω^)「ホントですお……ありがとうございますお!」
(-_-)「いやいや。じゃあ僕はお邪魔に――――!?」
ウワー
バタン
(;'A`)「なんだ!?」
突然、フロアに響いた叫び声。
驚きながら声のする方へ視線を向けると、そこには――
99
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:48:49 ID:VfomURQA0
Ω「ウウウウガアァァァアア!!」
――1人のオッサンが、男性を襲っていた。
ξ;゚⊿゚)ξ「なっ、なんでオッサンがいるのよ!?」
(;-_-)「わ、わからない……とにかく逃げよう……!!」
自分達は急いで、出口に向かおうとする。
しかし、ここにいる人達は皆同じことを考えている。
すぐに人の波に飲まれ、思うように動けなくなった。
(;^ω^)「おっ……!?」ドンッ
ドサッ
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!?」
(;^ω^)「あ……脚が……」
(;'A`)「大丈夫か!? ほら、肩貸せ……って重!!!!」
100
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:49:36 ID:VfomURQA0
(;^ω^)「ブーンは大丈夫だから、逃げるんだお!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「でも……って、きゃぁあああ!!」
Ω「ウウゥゥアアアアア!!!!」
(;-_-)「危ないッ!!」ドンッ
Ω「アアアアァ!!」ガブッ
(;-_-)「ぐぅっ……!!」
(;^ω^)「ヒッキーさん!!!」
(;'A`)「ヒッキーさんから離れろクソジジイ!!」ドカッ
Ω「グッ……」バタッ
(;-_-)「……す、すまない……」
(;^ω^)「ヒッキーさん……」
(;-_-)「……噛まれてしまったよ……」
ヒッキーさんの腕には、大きな歯型がついていた。
そこからポタポタと、涙のように血が溢れ出ている。
101
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:53:59 ID:VfomURQA0
(;'A`)「なんとかなりますよ!! 逃げましょうヒッキーさん!!」
(;-_-)「……無理だよ……僕は置いていくんだ……」
(;^ω^)「…………そんな……」
Ω「イテェゾコラァァアア!!!」スクッ
(;-_-)「ほら、行くんだ!! こいつは僕が足止めする!!」
(;'A`)「…………」
( ω )「…………ごめんなさいですお……ヒッキーさん……」
(;-_-)「……年上は、年下を守らないとね……!」
('A`)「さようなら……ヒッキーさん……」ダッ
( ω )「……ありがとうございますお……」ダッ
ダダダッ
102
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:54:42 ID:VfomURQA0
(-_-)「…………」
(-_-)(僕は……死ぬのか……)
(;-_-)(――ッ!!)
(((;-_-)))(死にたくない……まだ死にたくない……!!)
(;-_-)(……でも……僕みたいな奴でも……)
(-_-)(……誰かの役に立てたんだ……)
Ω「オオオアアァァァァァァッ!!!!」
(-_-)「…………」
(-_-)「さぁ来いよオッサン……ッ!!」
103
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:55:24 ID:VfomURQA0
――――
( ^ω^)「…………」
ヒッキーさんと別れてから、一時間後。
自分達は、ひたすら駅の方角へと歩いていた。
('A`)「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ……」
('A`)「なんだよ……」
ξ゚⊿゚)ξ「……何も言いたくない気持ちはわかるわ……。でも、これからどうするのか、考えないと……」
( ^ω^)「……わかってるお……」
('A`)「……ああ……」
ξ゚⊿゚)ξ「……とりあえず、どこかに逃げ込まないと……」
( ^ω^)「……あれとか、どうだお?」
('A`)「……ショッピングモールか……。一階に食料品売場があったな」
( ^ω^)「衣料品なんかもあるお。布団もあるし、しばらく泊まれるかもしれんお」
104
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:56:07 ID:VfomURQA0
ξ*゚⊿゚)ξ「あー、着替えたいわ……!」
ξ゚⊿゚)ξ「……でも、シャワーも浴びたい……」
('A`)「贅沢だな」
( ^ω^)「ブーンと一緒に入るかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「気持ち悪いこと言わないでよデブ」
( ^ω^)「おっおっ…………」
('A`)「まあ、従業員用のシャワールームくらいあんだろ」
ξ゚⊿゚)ξ「あるといいなー……」
スタスタ
目の前にそびえ立つ、小型のショッピングモール。
自分達は、三つしかない入口のうち、北側の入口の前に立っていた。
(;^ω^)「…………」
('A`)「自動ドアは流石に動いてないか……」
( ^ω^)「どうするんだお?」
105
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:56:49 ID:VfomURQA0
('A`)「いや、電気が来てないだけなら」グッ
ウィーン
('A`)「手でも開くんだよ」
( ^ω^)「なるほど……さすがドクオだお」
ξ゚⊿゚)ξ「鍵とかかかってないのね……意外だわ……」
('A`)「しかしまぁ、鍵がかかってないってことは……」
( ^ω^)「だれもいない……?」
('A`)「……どうだろうな。オッサンが入ってくることを考えりゃ、鍵くらいしめそうなもんだが……」
('A`)「中にオッサンがいた場合、逃げ道がなくなるってことにもなる」
( ^ω^)「なるほどだお……」
('A`)「ま、俺の予想じゃ誰もいないだろうな。大方死んだか、逃げたか」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、避難所があるならそっちに行ったほうがいいわよね」
106
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:57:43 ID:VfomURQA0
( ^ω^)「……でも……」
('A`)「……ああ」
Ω「ギャァアアアアア!!!!」
('A`)「こいつらは、いてもおかしくないな」
ξ;゚⊿゚)ξ「勘弁してよ、まったく……」
( ^ω^)「……おっおっ……」
複数のオッサンが、店内から自分達を睨みつけている。
勝てない数じゃない。不思議と自信が湧いてきた。
(;'A`)「俺らに逃げ場はねぇ、わかってるな?」カチャ
全員が店内に入ると、ドクオはそう言いながらドアの鍵をしめた。
右手に、畑で拾った鎌を持ちながら。
ξ;゚⊿゚)ξ「わかってるわよ……。ああ、怖い……」
路地裏で拾った鉄パイプを両手で構えて、ツンはそう言う。
( ^ω^)「覚悟は出来てるお……」
107
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:58:28 ID:VfomURQA0
自分は、ガスガンを握りしめてそう言った。
疲れからか、脚が竦みそうになる。
だがここを乗り越えれば、好きなだけご飯が食べられるだろう。
そう思うと自然と力が湧いてくる。
('A`)「……“お客様”が“お還り”だ。失礼のねーようにな」ダッ
( ^ω^)「おっおっ!」スッ
Ω「オンナダァァアアア!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「寄らないでよ気持ち悪い!!」ドガッ
Ω「ウグッ……!!」
( ^ω^)「ナイスだおツン!」バスッ
Ω「ガッ……」ドサッ
('A`)「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!!!」ブンブン
( ^ω^)「ドクオ、そういうのいらないお」
(;'A`)「そ、そうか」
Ω「メシダァアアアア!!!!」ダダダッ
('A`)「誰が飯だ!!」グサッ
108
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:59:11 ID:VfomURQA0
Ω「イギャァァァ!!!」バタバタ
('A`)「死ねよくそったれ……!!」グサグサ
Ω「ギャ……ァァ……」
(;'A`)「うっ…………グロテスクだな……」
( ^ω^)「次が来てるお!」バスッ
(;'A`)「お、おう!」ブンッ
殺しても殺しても、オッサンは現れる。
( ^ω^)「おおおおおおっ!!」バスッバスッ
殺し尽くすしかないのだ。
自分達が生き残るためには。
殺し尽くすしかないのだ。
もう、誰も死なせないためには。
殺せ。
109
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 10:59:54 ID:VfomURQA0
殺せ。
殺セ。
殺セ――
殺セ――――
.
110
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 11:00:36 ID:VfomURQA0
「――――い! おいブーン!!」
( ^ω^)「おっ?」
(;'A`)「何してんだよ……死んでんのかと思ったぞ……」
( ^ω^)「おっ……」
自分は、何をしていたのだろうか。
両手にはガスガンを握っており、それをしっかりと構えている。
どうやら痺れてしまっているようだ。
しばらくの間、両腕を動かす事が出来なかった。
( ^ω^)「…………」
この数分間の出来事が、記憶に殆ど残っていない。
まるで、何か夢を見ていたはずなのに思い出せないような、そんな気分だ。
('A`)「大体殺したみてーだ。行くぞ」
( ^ω^)「おっおっ……わかったお……」
ゆっくりと立ち上がる。
もう両腕の痺れもなくなり、自由に動かすことができる。
忘れよう。
いや、どうせ思い出せもしないのだ。
自分はガスガンを腰にしまいながら、ドクオとツンの後を追いかけた。
111
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/12(土) 11:01:31 ID:VfomURQA0
第4話、以上になります。
次回もよろしくお願いします!
112
:
名も無きAAのようです
:2015/12/12(土) 11:18:31 ID:mvoAwxMo0
乙!
113
:
名も無きAAのようです
:2015/12/13(日) 00:07:27 ID:2uZfJZqg0
Ω「乙だああああああああああ」
114
:
名も無きAAのようです
:2015/12/13(日) 19:35:50 ID:TXyoV85Y0
ひょっとしてスキップされたイベントにはツンの貞操の危機イベントが入っていたのでは!?
115
:
名も無きAAのようです
:2015/12/15(火) 00:10:51 ID:.qXw.lzw0
真顔でウヒャヒャヒャ(ブンブン)で不覚にも
116
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:35:33 ID:GepO/Xh20
レスありがとうございます!
第5話投下します!
117
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:36:18 ID:GepO/Xh20
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病が発症する事なく死を迎える。
118
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:37:00 ID:GepO/Xh20
第5話「さよならを告げたその後に」
.
119
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:37:53 ID:GepO/Xh20
('A`)「…………これでよし……と」カチャ
北側、東側、そしてここ南側。すべてのドアの鍵を締め、自分達は少しだけ安堵に包まれた。
ξ;゚⊿゚)ξ「なんとかなるものね……疲れたわ……」
( ^ω^)「ブーンは全然だお」
(;'A`)「お前は撃ってるだけだからな。それよこせよ」
( ^ω^)「いやだお!! 荒巻さんからもらった大事なものだお!!」
('A`)「そうかよ。まあいいけどな」
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず、どうする? 一階にはもうオッサンはいなさそうだし、この様子だと上の階にもいないわよ?」
このショッピングモールの中央部分には小さなイベントスペースがあり、三階まで吹き抜けになっている。
つまり一階で騒ぎが起これば、上の階にいるオッサン達もそれを聞いて一階に集まっていたはずなのだ。
( ^ω^)「ご飯にするお!!」
('A`)「……まあ、それだよな。でもその前に、着替えとシャワールーム探さねぇ?」
120
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:38:49 ID:GepO/Xh20
( ^ω^)「おっ……」
ξ゚⊿゚)ξ「あんた乾パン食べたでしょうが」
( ´ω`)「……おっ……」
('A`)「さーて二階の衣料品店行くか」スタスタ
ξ゚⊿゚)ξ「行きましょ」スタスタ
(;^ω^)「わ、わかったお……!」ダッ
('A`)「動かないエスカレーターってのも妙なもんだな」
ξ゚⊿゚)ξ「ほんとよね……変な感覚だわ」
(;^ω^)「自分で登ってて酔いそうだお」
('A`)「わからんでもないな。……っと、さーてショッピングといくか」
ξ゚⊿゚)ξ「なんか物を盗むようで抵抗があるけど……」
(;'A`)「オッサン殺しといてよく言うよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「し、しょうがないじゃない! あんなのに犯されるなんてごめんだし!!」
121
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:39:56 ID:GepO/Xh20
(;^ω^)「まあ、仕方ない事だお……。オッサンを殺すのも、服を盗むのも、ご飯を盗むのも」
( ^ω^)「……こんな事にならなければ……そんな事をする必要なんて……ないんだお……」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうね…………」
('A`)「……なーにしんみりさせてんだよ! ほら、好きな服選ぶぞ! 出来るだけ動きやすいものにしておけよ!」
( ^ω^)「おっおっ! このポロシャツなんてどうだお!」
(;'A`)「お前は休日にゴルフをする中年サラリーマンかよ……」
( ^ω^)「だってこのワニのマーク、なんかよく見るし大手ブランドだおきっと!!」
(;'A`)「まあよく見かけるけどな……好きにしろ……」
( ^ω^)「この帽子もいいお!」
(;'A`)「ハンチング帽て……うわっ似合うなお前」
( ^ω^)「おっおっ! 下は丈夫そうなジーンズにするお!」
122
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:40:47 ID:GepO/Xh20
('A`)「緩めにしとけよ、デブでキツくて動きにくいじゃ困るぜ」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあジャージの方がいいかお……」
('A`)「……ただのピザデブになりたくなきゃ、それはやめとけ……」
( ^ω^)「寒そうだからこっちの長袖ポロシャツの方がいいかお……?」
('A`)「ああ、そのほうがいいな」
('A`)「あーでもこうやって見ると、ポロシャツも悪くないんだよなぁ……」
( ^ω^)「後はこのパーカー着るお!」
('A`)「うわ、ちょっといい感じになりそうだな。ってかそろそろ一人で選べよ」
ξ゚⊿゚)ξ「私はもう選んだわよ」
('A`)「はやっ! 女子って買い物長いイメージだったわ」
ξ゚⊿゚)ξ「財布と相談しなくていいなら、こんなものよ。お洒落するわけじゃないし」
123
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:41:30 ID:GepO/Xh20
( ^ω^)「ブーンはお洒落しようとしてたお……」
ξ*゚⊿゚)ξ「ハンチング帽似合い過ぎでしょあんたwwwww」
(*^ω^)「おっおっwwww」
('A`)「俺も選んでくるか……」
( ^ω^)「ドクオはこの下着似合いそうだお」
(;'A`)「よりにもよってなんで下着なんだよ! 見える部分にしろよ!」
(*^ω^)「おっおっ」
124
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:42:12 ID:GepO/Xh20
――――
('A`)「……うーん……シャワールーム……」
ξ゚⊿゚)ξ「……どこかしら…………あっ!」
('A`)「従業員用の更衣室か……おっ、シャワールームもあるみたいだぞ!」
( ^ω^)「おっおっ、よかったお!」
('A`)「ちょっと中見てくるわ」ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「お湯出るといいなぁ……」
( ^ω^)「電気来てないから不安になるお……」
ξ゚⊿゚)ξ「まあ水くらいは出るんじゃない? この季節になると流石に寒いだろうけど……」
(;^ω^)「それは浴びないほうがマシだお」
ガチャ
('A`)「おっけー、お湯も出るぜ」
ξ*゚⊿゚)ξ「ほんと!? じゃ、私からね!」
125
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:42:55 ID:GepO/Xh20
('A`)「おう、俺らはそこの事務所で待ってるわ」
ξ゚⊿゚)ξ「……覗かないでよ?」
('A`)「こんな時にそんな事するかっての……」
( ^ω^)「当たり前だお」
ξ゚⊿゚)ξ「覗いたら殺すから。じゃ、また後で」ガチャ
(;'A`)「おー、こえー」
(;^ω^)「おっおっ、じゃあブーン達も行くかお」
('A`)「そうだな」スタスタ
ガチャ
('A`)「さてと」
事務所の中に入ると、ドクオはすぐに椅子に腰掛けて、いそいそとスマホを取り出した。
自分も隣の椅子に腰を降ろして、ドクオのスマホ画面を覗き込んだ。
126
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:43:38 ID:GepO/Xh20
('A`)「誰が覗きなんかするってんだよなぁ」ポチポチ
( ^ω^)「なにしてんだお?」
('A`)「んー、なんつーかなぁ」
( ^ω^)「おっおっ、ウェブサイトじゃ無さそうだお」
('A`)「まあ、見りゃわかるぜ」スッ
( ^ω^)「……?」
(;^ω^)「ッ……なんだおこれ?」
ドクオのスマホに映し出されたもの。
それは写真でもなく、動画でもない。
しかし確かに何かが映されていた。
('A`)「もう一個のスマホを、シャワールームに隠してきた」
( ^ω^)「おっ……?」
(;^ω^)「おっ!?!???」
('A`)「いまテレビ通話が繋がってっから、ツンの裸が見れるな」
127
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:44:21 ID:GepO/Xh20
(;^ω^)「な、何なやってんだお!! ダメだお!!!」
('A`)「お? なんでダメなんだ? ひょっとして、ドクオには見られたくないおー……とか???」
(;^ω^)「おっ……それは……」
('A`)「なんだよ言ってみろよ。お前がそう思ってんなら、俺は見るのをやめる」
(;^ω^)「……おっ……」
よく、わからない。
だが何故か、ツンの裸を自分ではない誰かに見られるのは嫌だと感じた。
(;^ω^)「……ブーンだけが……見るお……」
('∀`)「ははっ、まあ勝手にしろよ」
そう言うとドクオは椅子から立ち上がって、画面の見えない位置まで移動して、床に座り込んだ。
今、ツンの裸を見られるのは自分だけだ。
(;^ω^)「……」
⊃□⊂
どうしたものか。
このまま自分も見るのをやめてもいいのだが、それも勿体無い気がする。
128
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:45:24 ID:GepO/Xh20
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)⊃□ スッ
彡
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「――――やっぱ見るおッ!!」
⊃□⊂彡
('∀`)「…………」
(*^ω^)「おっおっおっ……!!」
(*^ω^)「まだかお……!!」
(;^ω^)「――ッ!!!!!」
突然、映像が目まぐるしく動いた。
そして画面には――――
――――ツンの顔が映し出された。
.
129
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:46:06 ID:GepO/Xh20
ξ#゚⊿゚)ξ『どういう事かしら????』
(;^ω^)「おおおおおおおっ!!!!!」
ξ#゚⊿゚)ξ『ブーン……あんた……』
ξ#゚⊿゚)ξ『殺しに行くから』
(;^ω^)「ど、ドクオ! なんでバレたんだお!!」
('A`)「しし、しらねーよ! お前があそこに置けって言ったんだろ!」
(;^ω^)「は??????」
ξ#゚⊿゚)ξ『白を切っても無駄よドクオ』
('A`)「え?」
ξ#゚⊿゚)ξ『さっきの会話も全部聞こえてたわよ』
(;'A`)「……聞こえてたか……」
ξ#゚⊿゚)ξ『……あんた達……』
ガチャ
ξ#゚⊿゚)ξ「何回死にたい?」
(;^ω^)(;'A`)「ひっ、ヒィィィィ!!!!」
130
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:46:50 ID:GepO/Xh20
――――
(;^ω^)「あいたたた……」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
(;^ω^)「ま、まだ怒ってるかお……?」
ξ゚⊿゚)ξ「いや、あれだけ殴れば気は済んだわ」
(;^ω^)「そ、そうかお」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
自分と入れ替えにドクオがシャワーを浴びているため、ツンと自分は食料品売場に来ていた。
( ^ω^)「おっ、これ美味しそうだお」スッ
ξ゚⊿゚)ξ「缶詰は後にしなさいよ。先に賞味期限の近いものから食べるのよ」
( ^ω^)「おっおっ、それもそうかお」コトン
ξ゚⊿゚)ξ「まあ、とりあえずはお惣菜とお弁当ってところかしらね」
自分達よりも前に食料を漁りに来た人達がいたのか、売場の缶詰やパック類は数が少なかった。
しかし弁当など日持ちしない物は多く残っている。
131
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:47:33 ID:GepO/Xh20
(*^ω^)「す、寿司があるお!!」
ξ゚⊿゚)ξ「あらほんとね。まだ食べられるかしら……」
(*^ω^)「きっと大丈夫だお! ブーンは食べるお!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「私は遠慮しておくわ……あんた全部食べなさいよ」
(*^ω^)「おっおっ、やったお! 全部食うお!!」ゴソゴソ
ξ;゚⊿゚)ξ「ほんとに全部食べる気なのね……何人前よ……」
ぱっと見、十人分はあるだろうか。
自分の腹を満たすには十分な数だと思えた。
('A`)「おー、どうだ何か食えそうか」
132
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:48:14 ID:GepO/Xh20
( ^ω^)「おっ、ドクオおかえりだお」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーンが寿司全部食べるって言うから、私達はお弁当でも食べましょ」
(;'A`)「寿司って……これ全部か??」
( ^ω^)「当たり前だお!」
(;'A`)「お前の身体どうなってんだよ……。ってか、鮮度的に食えるのかこれ」
( ^ω^)「余裕だお!」
(;'A`)「腹壊しても知らんぞ……」
( ^ω^)「大丈夫だお!!」
133
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:48:58 ID:GepO/Xh20
――――
(;^ω^)「お腹いたいおぉぉ……」
('A`)「だから言っただろうが……」
事務所で食事を取ってから数時間後、二階から持ってきた布団で眠りにつこうという時に、自分の腹は悲鳴を上げた。
(;^ω^)「トイレは……どこだお……」
('A`)「ここ出てまっすぐ行けばあるぞ。さっき俺がうんこしたから臭いかもしれん」
(;^ω^)「平気だおんなもん!!」ダダダッ
ガチャ
ダダダッ
ダッダッ
(;^ω^)「懐中電灯あっても暗くてわからんお……」
(;^ω^)「ここかお……?」ガチャ
プーン
(;゚ω゚)「くっさwwwwwwwww」バタン
134
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:49:44 ID:GepO/Xh20
(;^ω^)「……弱ったお……」
(;^ω^)「こうなったら女子トイレに……」
ガチャ
(;^ω^)「……?」
(;^ω^)「…………」
(;゚ω゚)「――――ッ!!」
――自分は、忘れていたのだ。
ここが、母のパート先だということを。
母がパートに行ったきりだったということを――。
J( ー )し
(;゚ω゚)「か……カーチャン……」
そこにあったのは、天井からぶら下がった一つの物体。
それは紛れもなく、母親の肉体そのものであった。
135
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:50:30 ID:GepO/Xh20
(;゚ω゚)「…………どうして……」
(; ω )「……どうしてなんだお……」
(; ω )「……自殺なんて…………」
ブリブリ
( ゚ω゚)ブリブリブリィ
( ゚ω゚)
( ω )
( ω )「……カーチャン……」
( ω )「…………」
ブリィ……
136
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:52:13 ID:GepO/Xh20
――――
ガチャ
( ω )「…………」
('A`)「おう、早かったな――って臭ッ!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「臭っ!! どうしたの!?」
( ω )「…………」
( ^ω^)「……漏れちゃったお」
(;'A`)「……おいおい。早く風呂入ってこい」
( ^ω^)「……そうするお。先に寝ててくれお」
('A`)「ああ。おやすみ」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
ガチャ
バタン
スタスタ
( ^ω^)「…………」
137
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:53:04 ID:GepO/Xh20
ガチャ
バタン
( ^ω^)「…………」
スッスッ
スタスタ
ジャー
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「……シャワー……温かいお……」
( ^ω^)「…………」
( ω )「……ひっ……ぐ……」
( ;ω;)「……おっ…………おっ……」
「…………さよなら……だお……カーチャン…………」
涙なのか、シャワーなのかはわからない。
しかし温かなそれは確かに、頬を伝って床へと落ちていく。
さよならを告げたその後に訪れた感情は、心を押し潰すのには十分過ぎる代物だった。
138
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:54:22 ID:GepO/Xh20
――――
ガチャ
( ^ω^)「…………」ソローリ
(-A-)スースー
バタン
ソローリ
スッ
( ^ω^)「……ふぅ……」
( ^ω^)「お布団も暖かいお……」
ξ゚⊿゚)ξ「……おかえり」
( ^ω^)「おっ、起こしちゃったかお……?」
ξ゚⊿゚)ξ「ううん、起きてたわ。ドクオは寝ちゃったみたいだけど……」
( ^ω^)「それならよかったお……。眠れないのかお?」
139
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:55:05 ID:GepO/Xh20
ξ゚⊿゚)ξ「……そうじゃないけど……」
ξ゚⊿゚)ξ「……ただ……その……」
( ^ω^)「?」
ξ*゚⊿゚)ξ「……あんたの様子がおかしかったから、心配だったのよ!」
(*^ω^)「おっおっ、心配してくれたのかお」
ξ*゚⊿゚)ξ「うっさいわね!」
ξ゚⊿゚)ξ「…………で、やっぱ何かあったわけ?」
( ^ω^)「……ちょっと……あったお……」
ξ゚⊿゚)ξ「……泣くほど?」
(;^ω^)「な、なんでわかったんだお!?」
ξ゚⊿゚)ξ「声聞きゃわかるわよ。何年一緒にいると思ってんのよ」
(;^ω^)「おっおっ……」
ツンとドクオとは、長い付き合いだ。
小学生の頃から、ずっと同じ学校だった。
クラスが違っても、自分達はいつも一緒に遊んでいた。
今も、それは変わらない。
140
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:55:49 ID:GepO/Xh20
ξ゚⊿゚)ξ「まさか漏らしたから泣いてたわけ?」
(;^ω^)「違うお」
( ^ω^)「……その……」
( ω )「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「……ゆっくりでいいわよ」
( ω )「……おっ……」
ツンツンとした態度を取る割に、彼女の根は優しいのだ。
自分は彼女のそんなところが好きだった。
( ^ω^)「…………、カーチャンが……死んでたんだお」
ξ;゚⊿゚)ξ「……えっ……?」
( ^ω^)「……女子トイレで……首を吊って」
ξ゚⊿゚)ξ「…………そう……おばさんが……」
( ^ω^)「怖かったんだお、きっと。だから、自ら……死を選んで……」
( ω )「…………」
141
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:56:32 ID:GepO/Xh20
ξ゚⊿゚)ξ「……もういいわ、もういいから……」
( ω )「…………ツン……」
自分の布団に入り込んだ何かに気づき、手を伸ばす。
それは温かな、手のひらだった。
自分はその手に指を絡めるようにして、ぎゅっと握りしめた。
ξ゚⊿゚)ξ「…………今日はゆっくり休んで、明日は冷凍のピザでも食べましょ。もうとっくに溶けてるだろうけど」
( ω )「…………そうするお……」
(-A-)「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「……じゃあおやすみね、ブーン」
( ω )「……おやすみだお……ツン……」
彼女の温かな手。温かな言葉。
それが自分にとって、どれだけ救いとなったか。
彼女に伝えるときは来ないだろう。
けれど、それでもいいと思った。
この手を再び握りしめられるなら、それだけで十分だ。
そう思った。
142
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 04:59:13 ID:GepO/Xh20
第5話、以上になります。
書き溜めが進んで絶好調です。
最後までよろしくお願いします!
143
:
名も無きAAのようです
:2015/12/23(水) 05:11:44 ID:p6Vibvoc0
60歳のおっさんが感染したら40代に若返るの?
144
:
名も無きAAのようです
:2015/12/23(水) 05:28:16 ID:5nElOxZk0
おっつ!
145
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/23(水) 05:48:08 ID:GepO/Xh20
>>143
まだまだ先になりますが、本編中で説明する機会がやってきます
しばしお待ちを……
146
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:32:37 ID:bOqe.tGc0
レスありがとうございました。
第6話、投下します。
147
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:33:42 ID:bOqe.tGc0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病に感染するが、発症する事なく死を迎える。
148
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:34:37 ID:bOqe.tGc0
第6話「彼女に告げないその理由」
.
149
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:35:23 ID:bOqe.tGc0
このショッピングモールに来てから、四日が経過した。
スマートフォンの回線は繋がらなくなり、自分達に出来ることはラジオを聞きながら残った食料を食いつぶすくらいだった。
民間の電力は止まっても、ラジオ局や電波塔の電力はなんとか動かしているようだ。
( ^ω^)「ここはこんなに平和なのに……外は酷そうだお……」
ラジオからは、現状を伝える声が聞こえてくる。
死んだ政治家も多いようだ。これからこの国はどうなっていくのだろうか。
('A`)「……まぁ、この国をリセットするって言う意味では、いいのかも知んねーな」
( ^ω^)「リセットって……」
ξ゚⊿゚)ξ「言いたい事はわかるけど、それ他の人の前で言わないでよ?」
('A`)「はっ、他の人がどこにいるかもわかりゃしねーのに」
( ^ω^)「おっおっ…………」
150
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:36:07 ID:bOqe.tGc0
『本日より、ソウサク展示場が避難所として開放され――』
( ^ω^)「おっ! 噂をすれば、だお!」
('A`)「ソウサク展示場か……。歩いて行ける距離か?」
ξ゚⊿゚)ξ「ちょっと、遠いわよね……。でも、この辺りに避難所は無さそうだし……」
('A`)「まあ、ここの食料もいずれ尽きるからな。国の保護下にいないと生きてけねーよ」
ξ゚⊿゚)ξ「じゃあ、行く?」
('A`)「ああ。もうしばらくここに留まって、そこが安全なようならな……。線路沿いを歩いていけば、迷うこともない」
( ^ω^)「じゃあその時に、ツンの家に寄って行くかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうね。できれば、寄っていきたいけど……」
('A`)「……こう言っちゃ悪いが、期待はしないほうがいい」
151
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:36:53 ID:bOqe.tGc0
ξ゚⊿゚)ξ「……うん、わかってるわ。でももしかしたら、お母さんが書き置きしてくれてたりするかもしれないし」
( ^ω^)「……じゃあ、いつ行くかお?」
('A`)「……まあ、三日くらいか。あと三日様子見て、問題なければ出発し――」
ガシャーン
(;^ω^)「おっ!!??」
(;'A`)「……おいおい、冗談だろ?」
ξ;゚⊿゚)ξ「まさか……オッサンたちが……?」
(;'A`)「武器とまとめておいた食料を持て! とりあえずこの部屋を出るぞ……」
ガチャ
ソロソロ
(;^ω^)「これまで平和だったのに……なんでだお……」
(;'A`)「わかんねぇ。ただ、あいつらは多少の知性があるみたいだからな。誰かいると踏んだんだろう……」
152
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:37:36 ID:bOqe.tGc0
ガチャ
(;'A`)「いるとしたら……」
アガァァアアアアアア
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、あそこ……」
(;^ω^)「やっぱりかお……」
自分達のいた事務所から一番近い、南側の入口。
そこのドアが破られ、何人ものオッサンが中へと入り込んできていた。
久々の恐怖。
手のひらが汗で濡れていくのを感じた。
(;^ω^)「なんとか倒せないかお?」
(;'A`)「まあ、やれない数じゃないか……。よしブーン、狙える――」
ガシャーン
イキャアアアアアアア
(;'A`)「北側か!?」
153
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:38:19 ID:bOqe.tGc0
ξ;゚⊿゚)ξ「そうみたい……。ねぇ、どうするのよ!」
(;'A`)「チッ……流石に倒せねえか……」
(;^ω^)「じゃ、じゃああそこから逃げるお……!」
(;'A`)「この中突っ切って東側から出るってのか? 無理だろ」
ξ;゚⊿゚)ξ「なら、どうするのよ」
('A`)「……非常口しかねぇな。あそこなら安全だ。戻るぞ」
( ^ω^)「非常口なんてあったかお?」
('A`)「ああ、この前見つけたんだ。ついてこい」
バタン
スタスタ
('A`)「ここだ。ブーン、俺が開けるからお前はガスガンを構えててくれ」
154
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:39:01 ID:bOqe.tGc0
( ^ω^)「わかったお」
('A`)「いくぞ」
ガチャ
('A`)「……あれ? 開かねぇ」
ガチャガチャ
(;'A`)「……どうなってんだ?」
(;^ω^)「ど、どうするんだお!」
(;'A`)「くっそ……事前に調べておくんだった。仕方ねぇ……あそこだな……」
ξ;゚⊿゚)ξ「あそこって……?」
(;^ω^)「……おっ、二階の非常口かお?」
(;'A`)「……ああ。あそこが開くことは事前に調べてある。ただ……」
(;'A`)「エレベーターが動かない以上、エスカレーターを登るしかない」
(;^ω^)「か、階段は……東側かお……」
155
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:39:47 ID:bOqe.tGc0
(;'A`)「ああ。東側に向かうよりは、エスカレーターを登ったほうが安全だ。それに階段は、この前扉を閉めて開かないようにしただろうが」
(;^ω^)「おっ……そうだったお……」
何を思ったのか、先日ドクオは階段を使えないようにした。
逃げ道を減らしているようなものだ。
だが、自分は彼を信頼している。彼の言葉を、疑う気はなかった。
(;'A`)「こっち側のドアからなら、エスカレーターも近い。腹をくくって、行くぞ」
(;^ω^)「わかったお……」
(;'A`)「素早く、でも慎重にな」
ガチャ
(;'A`)「行くぞ!」
タッタッタッ
エスカレーターまでは、数十メートルだ。その道のりに、オッサンはいない。
北側の入口付近にいるオッサン達にさえ見つからなければ、自分達は無事に脱出できるのだ。
156
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:40:29 ID:bOqe.tGc0
(;^ω^)(頼むお……! 見つけないでくれお……!!)
タッタッタッ
Ω「……ウ……?……イタゾオォオオオオオ!!!!」
――だが、そうはいかなかった。
(;'A`)「クソッ!! 走れ!!!」
ΩΩΩ「ウガアアアアアアアァァァァァ!!!!!」
(;^ω^)「おおおおおおおっ!!!」
ダダダッ
全力。これほど全力に走ったのは、オッサン達が現れたあの日以来だ。
痛めた足も、もう問題なく動く。
エスカレーターに先に到着したのは、自分達だった。
(;'A`)「急げ!!!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「わかってるわ――キャッ!!」ドタッ
(;^ω^)「ツン!?」
157
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:41:13 ID:bOqe.tGc0
しかしエスカレーターを駆け上っていると、先頭でツンがつまずいてしまった。
それもそのはずだ。普段自動で動いているはずのエスカレーターを、階段と同じ要領で駆け上るのは難しい。
脳が、エスカレーターだと認識しているからだ。
(;'A`)「おい、何やってんだ!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ごめん!!」スクッ
Ω「マテヤコラアアアアア!!!!」ダダダッ
(;'A`)「くそ、もう来やがった!!!」スッ
一番後ろにいたドクオが取り出したのは、先日畑で拾った鎌と、ここで手に入れた短い鉄の棒だ。
それらを両手に構えて、ドクオは振り返った。
(;'A`)「俺が食い止める!! お前らは行け!!」ブンッ
ドゴッ
Ω「ギャァァァ!!!」
(;^ω^)「何言ってんだお!! ドクオが戦うならブーン達も戦うお!!!」スッ
158
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:41:55 ID:bOqe.tGc0
(;'A`)「わかってねぇな……! 一人分の幅しかないエスカレーターで食い止めさえすりゃ、お前らは逃げ切れるだろうが!!」ブンッ
(;^ω^)「ッ……そのために……階段を……」
(;'A`)「行け!! 全員ぶっ殺して、生き延びるからよ!! 俺はクーもまだ見つけてねぇんだ!!」ブンッ
グサッ
Ω「アガッ……!」ドサッ
ξ;゚⊿゚)ξ「ドクオ……」
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「……行くお、ツン」
ξ;゚⊿゚)ξ「……でも……」
( ^ω^)「……ドクオ、必ずまた会うお……!!」
(;'A`)「ああ!! 死ぬなよ!!」
( ^ω^)「おっ!」
159
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:42:38 ID:bOqe.tGc0
ξ;゚⊿゚)ξ「ドクオ、ありがとう……!」
(;'A`)「お礼に今度裸見せろよ!!」
ξ゚⊿゚)ξ「死ね!!!!」ダッダッダッ
(;^ω^)「…………」
( ^ω^)「……また……」ダッダッダッ
('A`)「…………」
Ω「ウグルルルルルル……」
('A`)「…………ハッ、怖くねえぞお前らなんて……」
Ω「ウウウウウウウウゥゥゥ!!!!」
('A`)「……くんじゃねぇよクソジジィ!!!」ブンッ
('A`)「全員ぶっ殺す!!!!!」
160
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:43:23 ID:bOqe.tGc0
――――
ガチャ
( ^ω^)「……階段は大丈夫そうだお……」
ξ゚⊿゚)ξ「一応、静かに降りるわよ……」
非常口を開けると、大きな階段があった。
外からなら何度も見たことがある。だが、実際に使うことになるとは思いもしなかった。
カンカン
ξ゚⊿゚)ξ「……ドクオ……大丈夫かしら……」
( ^ω^)「……きっと大丈夫だお……。あのエスカレーターなら、掴まれさえしなければ生き残れるお」
ξ゚⊿゚)ξ「それなら、三人で戦った方が確実なんじゃないの……?」
( ^ω^)「……ドクオは言ってたんだお。クーを探さなきゃならないから、俺は途中で別れる、って」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうなんだ……。って、クー?」
161
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:49:38 ID:bOqe.tGc0
( ^ω^)「まだドクオはクーのこと好きなんだおwwww」
ξ゚⊿゚)ξ「嘘でしょwwwwあいつなんかじゃ無理に決まってるじゃないwwwwwwww」
( ^ω^)「ほんとだおwww」
カンカン
カン
ξ゚⊿゚)ξ「やっとおわったー」
( ^ω^)「おっ、とりあえずどこかに隠れるお」
階段を降りてすぐ、目の前にはリサイクルショップがあった。
そこの陰に隠れ、自分達は荷物を取り出した。
ξ゚⊿゚)ξ「あっ、ラジオ持ってくればよかったー」
(;^ω^)「おっ、急いでたから仕方ないお」
ξ゚⊿゚)ξ「食料は……まあ数日はもつか……」
( ^ω^)「一日で食べ切れるお」
162
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:54:16 ID:bOqe.tGc0
ξ;゚⊿゚)ξ「それだけは勘弁してよね」
荷物を片付けながら、これからの進路を決めた。
線路まではそう遠くない。ここからなら歩いて数十分で着くだろう。
( ^ω^)「じゃあ行くかお」スクッ
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず私の家ね……。まあ遠くないから、すぐ着くわよ」
( ^ω^)「わかったお!」
スタスタ
以前に比べて、外を徘徊するオッサン達が少ないように思える。
外にいても食べ物にありつけないと判断したのだろうか。それなら、ショッピングモールに入ってきたのも頷ける。
それでも、オッサンが全くいないわけではない。
警戒を怠ることは許されなかった。
163
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:54:58 ID:bOqe.tGc0
( ^ω^)「いまは十四時かお……」
ξ゚⊿゚)ξ「ソウサク展示場に着くのは、明日か明後日ってとこかしら……」
( ^ω^)「途中で泊まる所を探さないとだお」
ξ゚⊿゚)ξ「そうね…………あっ、見えてきたわよ」
( ^ω^)「おっ、懐かしい家だお」
ξ゚⊿゚)ξ「一応鍵持ってるけど……かかってるかしら……」
スタスタ
ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「……鍵、開いてる……」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」スタ
( ^ω^)「……ブーンも入るお」スタ
バタン
カチャ
164
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:55:40 ID:bOqe.tGc0
ξ゚⊿゚)ξ「……お母さーん?」
シーン
ξ゚⊿゚)ξ「……そうよね……いないわよね……」スタスタ
( ^ω^)「…………」
ξ゚⊿゚)ξ「……書き置きもない……か……」
( ^ω^)「……ツン……」
ξ゚⊿゚)ξ「……いいの。期待はしてなかったわ。でも……」
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
( ^ω^)「……避難所に、行くお。もしかしたらいるかもしれないし、来るかもしれないお」
ξ゚⊿゚)ξ「……そうね……」
ξ゚⊿゚)ξ「ごめんね。ちょっと、自分の部屋に行ってくるわ。……その辺に缶詰が入ってたはずだから、食べてもいいわよ」
( ^ω^)「……わかったお」
ξ゚⊿゚)ξ「……うん……」タタタッ
( ^ω^)「…………」
165
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:56:28 ID:bOqe.tGc0
期待はしてなかった。
それは、彼女の本当の言葉ではない。
もしそうだとしたら、彼女が自分の部屋で隠れて泣く必要などないのだから。
( ^ω^)「…………」
自分にできることはあるのだろうか。
( ^ω^)スッ
スタスタ
(^ω^ )キョロ
( ^ω^)「……?」
(;^ω^)「――ッ!!」
ツンの元へと向かおうと、家の中を歩き回ったその時。
自分は、見てしまったのだ。
ツンの、母親の死体を。
.
166
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:57:12 ID:bOqe.tGc0
(;^ω^)「なっ……」
それは、死体とは思えないほど綺麗で。
そこから察するに、彼女が亡くなったのは昨日今日の事なんだろう。
(;^ω^)「…………」
ツンは、気づいているのだろうか。
いや、真っ先にリビングに向かい、そのまま二階へ駆け上っていったのだ。
恐らくまだ、見てはいない。
自分はツンの部屋がどこにあるのかわからない。
ひとまず二階へ上り、彼女を探した。
( ^ω^)スタスタ
( ^ω^)「……?」
『……ひぐっ……お母さん……どこにいるの……』
ドア越しに部屋の外へと漏れ出す、悲痛な声。
自分にはそれが、とても苦しかった。
167
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:57:59 ID:bOqe.tGc0
( ´ω`)「…………」ガチャ
( ´ω`)「……ツン……」
ξ;⊿;)ξ「……えっ……?」
( ´ω`)「…………」
彼女に悲しい顔を見せてはダメだ。
余計に悲しませるような事は、してはいけない。
( ^ω^)「……外にオッサンがいたお。長居はできないお」
ξ⊃⊿;)ξ「……うん……」
( ^ω^)「……さあ行くお」スッ
ξ゚⊿゚)ξ「…………」
何も、言わなかった。
彼女に告げないその理由は、自分にもよくわからない。
ただ度し難い感情が、自分の心を埋め尽くしていくだけだった。
168
:
◆3hXbKaGZvg
:2015/12/31(木) 03:59:53 ID:bOqe.tGc0
第6話、以上になります。
良いお年を!
169
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 04:54:05 ID:Ql0TZlj60
乙
ドクオ…
170
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 05:46:08 ID:N5ZiyQLo0
テイルズの何か思い出したわ
171
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 08:59:17 ID:veYbVp1o0
ドクオ生きてくれぇ
乙
172
:
名も無きAAのようです
:2015/12/31(木) 15:44:53 ID:PH6HUmRM0
乙
173
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:27:22 ID:e536vKjQ0
レスありがとうございます!
第7話、投下します!
174
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:28:03 ID:e536vKjQ0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病に感染するが、発症する事なく死を迎える。
175
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:28:49 ID:e536vKjQ0
第7話「これが運命というのなら」
.
176
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:29:32 ID:e536vKjQ0
ツンの家を出てから、数時間が経過した。
自分達は、ひたすら線路沿いを歩いている。
辺りは暗くなり始め、いよいよ本格的に泊まる場所を探さなくてはいけない。
( ^ω^)「狭い所の方がいいかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「どうかしら……。裏口があるなら、コンビニとかでも大丈夫だと思うけど……。久々にベッドで寝たいなぁ……」
( ^ω^)「おっおっ、じゃああそこはどうかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「どこ……? って、ラブホじゃない!!」ドゴッ
(#)^ω^)「いったいお……いきなりパンチはひどいお」
ξ#゚⊿゚)ξ「あんたがふざけてるからでしょうが」
( ^ω^)「おっ……」
ξ゚⊿゚)ξ「もういいわ。そこのコンビニにしましょ」
( ^ω^)「おっおっ、了解だお」
スタスタ
177
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:30:21 ID:e536vKjQ0
( ^ω^)「よいしょっ」グググッ
ウィーン
ξ゚⊿゚)ξ「良かった、鍵は開いてるのね」
( ^ω^)「みたいだお」スタスタ
( ^ω^)「おー……」
ξ゚⊿゚)ξ「うーん……まあ、缶詰は流石にもう無いわね……」
( ^ω^)「残念だお……」
ξ゚⊿゚)ξ「ま、食べるものがない訳じゃないし。あんたも少しは我慢しなさい」
(>^ω^)「ガリガリになっちゃうお」
ξ゚⊿゚)ξ「それで十分なくらいよ」スタスタ
ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「……事務室に裏口もあるわね」
( ^ω^)「おっ! じゃあここで決定だお!」
178
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:31:03 ID:e536vKjQ0
決して広くない事務室だが、二人眠れる程度のスペースはある。
もしもオッサンが表から入ってきても、すぐに逃げ出す事も可能だ。
店内の食料品はほとんどなくなっているが、雑貨類はまだまだ残っている。
自分達はバスタオルや肌着などを事務室に持って来た。
ξ゚⊿゚)ξ「ソファくらい置いてあればいいのに」
(;^ω^)「どんなコンビニだお」
バスタオルを床に敷いて、その上に寝転ぶ。
硬い床に寝転ぶよりはましだが、先日まで寝ていた布団に比べると、随分と寝心地が悪かった。
ξ゚⊿゚)ξ「とりあえず夕飯にしましょっか」ゴソゴソ
( ^ω^)「おっおっ、何があるんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ツナ缶」
(;^ω^)「ツナ缶」
ξ゚⊿゚)ξ「鯖缶」
(;^ω^)「鯖缶」
179
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:31:45 ID:e536vKjQ0
ξ゚⊿゚)ξ「なによなんか文句ありそうな顔して」
(;^ω^)「そ、そんな事ないお!」
ξ゚⊿゚)ξ「仕方ないじゃない……。むしろ美味しい物が食べられていいじゃないの。どうせ今だけよ」
( ^ω^)「……それもそうかお……」
他にも焼き鳥やら蟹やらがゴロゴロと出てきたが、今日は鯖を食べることにした。
この量だと、一日一食もしくは二食食べても、数日しか保たないだろう。
( ^ω^)「…………」グゥゥ
ξ゚⊿゚)ξ「…………」グゥゥ
一人分食べても満たされない腹を、店内に残っていたお菓子で誤魔化しながら、自分達はその日を終えた。
180
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:32:27 ID:e536vKjQ0
――――
『――て! ねぇ、起きて!』
( -ω-)「お……?」
( ^ω^)「どうしたんだお?」
ξ゚⊿゚)ξ「外、見てみなさいよ」
ツンにそう言われて、事務室の扉を開けた。
すでに夜は明け、日の光が店内へと射し込んでいる。
( ^ω^)「おっ……? 生存者かお……?」
ξ゚⊿゚)ξ「うん、多分。女性もいるし……」
( ^ω^)「ちょっと声かけて見るかお」
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫? もし過激な人達だったら……」
( ^ω^)「ガスガンは持っててくれお。ブーンが一人で行ってくるお」
ξ゚⊿゚)ξ「わ、わかった」
181
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:33:18 ID:e536vKjQ0
スタスタ
ウィーン
( ^ω^)「す、すみませんお」
(,,゚Д゚)「あ? ……っておい、あんた生存者か?」
(*゚ー゚)「生存者ね! だって若いもん!」
( ^ω^)「生存者ですお!」
(*゚ー゚)「この辺りにもいたなんてびっくり。ここで寝泊まりしてたの?」
( ^ω^)「そうですお。昨日だけですお」
(,,゚Д゚)「……つまり、この辺転々としてるわけか? だったら運がいいぜあんた」
( ^ω^)「おっ? どういう意味ですかお?」
(,,゚Д゚)「この辺りで避難所を開いてる人がいるんだよ。俺らもその人に声をかけられてな」
(,,゚Д゚)「聞いた話じゃ、なかなか安全そうだ。食料もある程度あるって言うから、そこに行くつもりなんだよ」
( ^ω^)「な、なるほどだお……!」
182
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:34:04 ID:e536vKjQ0
避難所、とは言っても国の運営するものではない。
だが、ソウサク展示場へはまだまだ距離があるのだ。
そこで他の生存者と合流し、もし誰か他にもソウサク展示場へ向かう人がいるのなら、一緒に行くのも悪くない。
集団での行動なら、生存率も上がる。
( ^ω^)(……いや……、集団になると行動しにくいかお……?)
( ^ω^)(そういう意味では、二人のほうが生存率が高いかもしれんお……)
( ^ω^)(……うーん……)
(,,゚Д゚)「おい、どうした?」
( ^ω^)「おっ、なんでもないですお!」
( ^ω^)(悩んでも仕方ないお、とりあえず行ってみるかお)
( ^ω^)「中に連れが一人いるんですお、ちょっと相談してきますお」
(,,゚Д゚)「おーわかった。もうそろそろ、その人が来ると思うからここで待ってるぜ」
183
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:34:45 ID:e536vKjQ0
スタスタ
ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「大丈夫みたいね。何話してたの?」
( ^ω^)「なんか、この辺りで避難所を開いてる人がいるらしいんだお」
ξ゚⊿゚)ξ「避難所? こんなとこで?」
( ^ω^)「そうだお。ちょっと行ってみるかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「……うーん、そうね。もしかしたら、お母さんもいるかもしれないし」
( ^ω^)「おっおっ、じゃあ行くかお!」
スタスタ
( ^ω^)「おっ?」
事務室を出てガラス越しに見えたのは、さっき話した二人と、見覚えのある一人の顔だった。
( ・∀・)「……あれ? どっかで見た顔だな」
( ^ω^)「おっ!! 避難所で会ったモララーさんじゃないですかお!!」
184
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:35:42 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「ああ、あの時の奴か! ……って、連れの二人はどうしたんだ? その子は?」
( ^ω^)「……おっ……ヒッキーさんは……」
自分は、モララーさんにヒッキーさんとドクオ、そしてツンの話をした。
モララーさんは親身になって話を聞いてくれた。少しでも顔を知っている人に話せて、心が救われた気がした。
その後避難所に向かいながら、そこの詳しい話を聞いた。
どうやらモララーさんが父親と避難所を開いているらしい。
食料を大量に見つけたため、生存者がいるなら少しでも分け合えるように始めた、と彼は言っていた。
( ・∀・)「着きましたよ」
(,,゚Д゚)「思ってたよりも広そうだな」
( ・∀・)「自分もここに入った時、まさかあんなに食料があるとは思わなくて。他の生存者の方にも手伝ってもらって、余計な入り口はバリケードで塞いでありますから、安全なはずですよ」
(*゚ー゚)「よかったー、これで一安心だね、ギコくん」
185
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:36:24 ID:e536vKjQ0
(,,゚Д゚)「ああ。ほんとありがとうな、モララーさん」
( ・∀・)「いえいえ、よかったです。じゃ、入りましょうか」
スタスタ
ガチャ
ξ゚⊿゚)ξ「……暗くてよく見えないわね……」
( ・∀・)「低い位置にある窓も塞いじゃってるから、こればっかりはね。もうちょっと奥に進めば、明るくなるさ」
( ^ω^)「おっ……なんか怖いですお……」
( ・∀・)「……よいしょっと」ドサッ
( ^ω^)「何やってるんですかお?」
( ・∀・)「ああ、この入り口は塞いどかないと危険なんだよ。緊急時の避難口は別にあるから、後で教えるよ」
186
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:37:18 ID:e536vKjQ0
スタスタ
ガチャ
( ・∀・)「さ、ここだ。入ってくれ」
( ^ω^)「おっおっ」
広々としたホール。
天井から日の光が射し込み、中の様子はすぐに分かった。
――――そこに、誰もいない事も――――。
.
187
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:38:03 ID:e536vKjQ0
( ^ω^)「おっ? 他の人たちはどこですかお?」
( ・∀・)「よいしょっと」ドサッ
(,,゚Д゚)「お、おいおい。何やってんだよ」
( ・∀・)「え? そりゃ出口を塞いでるんですよ」
(*゚ー゚)「えー? ほかに出口あるの?」
( ・∀・)「無いですね」
ξ;゚⊿゚)ξ「……ちょっと、どういう意味ですか?」
( ・∀・)「まあ待ってくれよ、他の人たちはちゃんといるからさ――」
「――――ほら、大勢の人たちが」
ゾロゾロ
ΩΩΩ「ヴゥゥゥゥゥゥ………」
(;^ω^)「おっ!?!?」
陰からぞろぞろ足を揃えて現れたのは。
これまで一度も相手にしたこともないような数の、オッサン達だった。
188
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:38:48 ID:e536vKjQ0
(*;゚ー゚)「きゃぁ!!! なっ、なんで!?」
ξ;゚⊿゚)ξ「オッサンが……いっぱい……?」
(,,゚Д゚)「……どういう事だゴラァ!!」
( ・∀・)「やだなぁ慌てないでくださいよ」
( ・∀・)「彼らの食事の時間なんですから」
Ω「メシダァァァアアアアアア!!!!」
(*;゚ー゚)「き、きた!!!」
(,,゚Д゚)「下がってろ、しぃ!! 俺が、守る……!!」
( ・∀・)「おやおや、戦うんですか? この数と??」
(,,゚Д゚)「てめぇ……後でぶっ殺す……」
( ・∀・)「はは、怖いなぁ」
( ・∀・)「オッサン達は一人も殺させないよ?」
( ・∀・)「もちろん、僕もね――」シュン
(;^ω^)「――ッ!?」
消えた。
自分達を騙したモララーという男は、文字通り自分の目の前から消えたのだ。
そして次の瞬間、その男は別の場所にいた。
189
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:39:29 ID:e536vKjQ0
(;゚Д゚)「――ガハッ!!!」ドンッ
(*;゚ー゚)「ギコくんっ!?」
モララーは、その手でギコさんの首を握り、壁に押し付けていたのだ。
この動きは、見たことがある。
(;^ω^)「あんた……何者だお……!!」
( ・∀・)「なんだ、あんま驚かねーのな」
(;^ω^)「……同じような奴を、見たことがあるんだお……」
( ・∀・)「そりゃまた。似たような奴がいるとは驚きだ」グググッ
(;゚Д゚)「ウッ……グッ……」バタバタ
ξ;゚⊿゚)ξ「や、やめなさいよ!! 死んじゃうわ!!」
( ・∀・)「おーっといけない、死んじゃ困るんだよなぁ」バッ
ドサッ
(;゚Д゚)「がっ……ハァ……ハァ……」
190
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:40:10 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「“死体じゃオッサンにならない”から……」
(;^ω^)「……どういう……意味だお……」
( ・∀・)「見りゃわかるだろ? 僕は、オッサンの軍隊を作ってんだよ」
ξ;゚⊿゚)ξ「……オッサンの……軍隊……?」
( ・∀・)「ああ。奴らは結構知能があるからな。ほら見てみろよ、ちゃんと俺が話し終えるのを待ってるぜ?」
Ω「……チャントマツ……チャントマツ……」
( ・∀・)「おい、あっちの二人は食っちまっていいぞ」
Ω「ウガァァアアア!!」ダダダッ
(*;゚ー゚)「きゃぁぁぁぁ!!!」
(;^ω^)「や、やめろお!!!」スチャッ
( ・∀・)「……ガスガン? そんなもんでどうにかできると思ってんのか?」シュン
(;^ω^)「ぐっ!!」ドンッ
カラン
191
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:40:56 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「残念だったな」
(;^ω^)「……ううっ……離せお……!!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーンを離しなさい!!」ブンッ
( ・∀・)「おっと」パシッ
( ・∀・)「……鉄パイプじゃ、殺せねぇぞ?」ブンッ
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃぁ!!」ドサッ
(;^ω^)「ツン!!」
(*;゚ー゚)「いやぁぁぁあ!! やめて!! 離して!!!」
少し離れたところでは、しぃさんがオッサン達に犯されている。
そして、ギコさんは食われている。
その光景はあまりにも無残で、とても目を当てていられなかった。
192
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:41:37 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「……いいこと思いついたぜ」
( ・∀・)「こいつを押さえつけろ」
Ω「ハイ!!!!!」ダダダッ
(;^ω^)「なっ、何する気だお!! 離せお!!!」
( ・∀・)「お前は見物人だ。ただ食われて死んでオッサンになるのもつまんないだろ?」
( ・∀・)「だから、俺が舞台を公演してやるよ――」
「――――愛しのあの子が犯される、そういう舞台をな」
.
193
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:42:20 ID:e536vKjQ0
(;^ω^)「なっ……!!!」
(;^ω^)「それだけはやめろお!!!」
ΩΩΩ「ワカイオンナァァァァァア!!! イェーイ!!!!」ガシッ
ξ;゚⊿゚)ξ「きゃぁぁあああ!! 離してよ!!!」
(;゚ω゚)「やめろっ……やめろおおお!!!!!」
( ・∀・)「どうだ、どんな気分だ? ほらよく見ろよ!!」
(; ω )「やめてくれお……!!」
( ・∀・)「目ぇ閉じんなよ」
Ω「アケロォ!!!」グイッ
(;゚ω゚)「おっ……」
ξ;゚⊿゚)ξ「いやっ……いやぁぁあああああ!!!」
Ω「オラッ!!! イレルゾォ!!!!!」
194
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:43:25 ID:e536vKjQ0
(;゚ω゚)「……ツン……!!」
ξ ⊿ )ξ「……いやぁ……だめ……」
Ω「オラァッ!!!」パンパン
(;゚ω゚)「…………ツン…………」
vξ(゜)Q(゜)ξv「あああああッ!!!」
(*゚ω゚)「…………」
( ・∀・)「さて、もういいだろ。この男も食っちまえ」
Ω「メシダァァァアアア!!!」ガブッ
( ω )「ッ…………」
痛い。
195
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:44:31 ID:e536vKjQ0
Ω「ウメェ!!! ワカイオトコウメェェェェェ!!!!」ガブガブ
( ω )
痛い。
Ω「シンセンダァァァァァァァ!!!!」ガブガブ
( ,,ω )
心も、身体も、酷く痛い。
Ω「ゼイニク!!!! アブラ!!!!」ガブガブ
( ,,ω,”)
でも、もうこれでいい。
死んでしまいたい。
これが運命というのなら、受け入れよう――――。
.
196
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:45:12 ID:e536vKjQ0
( ・∀・)「……死んだな」
( ,,ω,")
( ,ω")
( ω )
( ω )「……ァ…………」
( ・∀・)「きっかり三秒、オッサン化おめでとう」
( ω )「……ラァ…………」
( ・∀・)「あ?」
(#゚ω゚)「……モララァァァァァァァアアアア!!!!!!」
自我。
自分は自我を保っている。
死ねないというのなら、殺してやる――――。
.
197
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/08(金) 03:47:42 ID:e536vKjQ0
第7話、以上になります。
次回もよろしくお願いします!
198
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 03:50:20 ID:EZFsXc6U0
乙!
アへ顔Wピースで不意討ち食らったわwwwww
199
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 09:35:38 ID:NAqVCW9I0
乙
いけブーンやっちまえ!
200
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 17:18:58 ID:Cj2AvNeo0
逆にオッサンを犯したらどうなるの?
201
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 18:41:12 ID:pO3afz1I0
乙 アヘ顔から熱い展開に
202
:
名も無きAAのようです
:2016/01/08(金) 18:52:07 ID:b0iDbiCQ0
アヘ顔からのブーン赤面でシリアスが台無しである
203
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:34:06 ID:zIn6aV3I0
レスありがとうございます!
>>200
その発想はなかった
どうなるんでしょう……多分犯した側が感染して死ぬor発症するんじゃないでしょうか……
第8話投下します!
204
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:34:52 ID:zIn6aV3I0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
オッサンは基本的に身体能力と自然治癒能力が高く、知能は低いが会話はできる程度である。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病に感染するが、発症する事なく死を迎える。
205
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:35:49 ID:zIn6aV3I0
第8話「彼女の冷たい掌に」
.
206
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:36:35 ID:zIn6aV3I0
(;・∀・)「……お前……まさか……」
(#゚ω゚)「ぶっ殺してやるお……!!!」シュン
ドンッ
(;・∀・)「ガハッ……!!」
神経が、脳の信号を伝達する。
その速度は、以前と比べて体感できるほどの差があった。
まるで、自分の身体ではないみたいに。
(#゚ω゚)「おおおおおおおおおっ!!!!」
(;・∀・)「ぐっ……驚いたぜ……まさかお前もとはな……ッ!!」グググッ
バッ
(#・∀・)「ハハハッ……殺し合おうじゃねーか!!!」
『ちょっと待ったァァァァァ!!!』バリーン
(;・∀・)「誰だ!?」
( ゚ω゚)「誰だお!?」
『……フッフッフッ……』スタッ
207
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:37:18 ID:zIn6aV3I0
('A`)「スーパーヒーローどっくん、ここに参上!!!」バァーン
( ^ω^)
( ・∀・)
(* ー )
Ω
vξ(゜)Q(゜)ξv
('A`)「……あれ?」
208
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:38:19 ID:zIn6aV3I0
( ゚ω゚)「来るのが遅すぎだお!!」
('A`)「え?」
(#・∀・)「お前……あの時の奴か……」
('A`)「状況が飲み込めない」
( ゚ω゚)「モララーに騙されてツンが死んでブーンの力が目覚めたんだお」
('A`)「わかりにくいあらすじだな」
(#・∀・)「わっけわかんねぇ……殺してやるよ!!」
( ゚ω゚)「させないお!!」
『ちょっと待ったァァァ!!』
(;・∀・)「今度は誰だよ」
『フフ……フフフフフ……』
209
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:39:11 ID:zIn6aV3I0
(´・ω・`)「このショボン様さ!!」バァーン
(;^ω^)「なっ……」
(:'A`)「まじかよ」
(;・∀・)「誰だよ」
(´・ω・`)「アァ……すごい運命だとは思わないかい……?」
(´・ω・`)「α型、β型、γ型の全てがここに集うなんてさ……!」
(;・∀・)「α……?」
(;^ω^)「どういう意味だお……」
(´・ω・`)「ふふ……説明しないとね……」
(´・ω・`)「……おじいちゃん、説明してやってよ」
(;'A`)「おじいちゃん……?」
ザッザッ
『そうじゃな……』
ザッザッ
210
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:40:25 ID:zIn6aV3I0
/ ,' 3「ひとまず、教えておこうかの」
(;^ω^)「なっ……あんたは……!!」
(;'A`)「おもちゃのマキマキの店主、荒巻さん!!!」
(;^ω^)「ブーンに言わせろお!!」
(;・∀・)「誰だよ」
/ ,' 3「……ブーンと言ったか……若いの」
(;^ω^)「…………」
/ ,' 3「相変わらずいい目をしておるな」
(;^ω^)「いいから説明しろお……」
/ ,' 3「そうじゃったな……」
/ ,' 3「この国に広まる“オッサン病”は、儂が作ったものじゃ」
(;^ω^)「なっ……」
/ ,' 3「……そしてオッサン病には、4種類存在するんじゃ」
/ ,' 3「通常型とα型とβ型とγ型。それぞれ、人によってどのタイプが発症するかはわからんのじゃ」
211
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:41:08 ID:zIn6aV3I0
/ ,' 3「外にうようよしているのが通常型。そして、ショボンがα型。そこのモララーとやらとブーンが、β型とγ型じゃろう」
( ・∀・)「……話が見えねぇな」
/ ,' 3「まあ待て。……α型からγ型までの特異型が発症するのは非常に稀でな。研究段階で存在は確認できても、それらの細かい情報までは得られんかった」
/ ,' 3「……だから、この国にばらまいたんじゃよ」
/ ,' 3「α型からγ型までの遺伝子情報を手に入れるために……!!」
(;'A`)「なっ……。なんでそんな事を……!?」
/ ,' 3「ほっほっほっ」
/ ,' 3「……α型からγ型までの、三種類の持つ遺伝子情報を組み合わせると、すごい事が出来るんじゃよ」
(;^ω^)「すごい事……?」
/ ,' 3「……“不老不死”。不老不死の人間を、作り出せるんじゃ」
(;・∀・)「不老不死……だと……?」
/ ,' 3「そうじゃ、そうじゃ」
/ ,' 3「儂らはこう呼んでおる……」
「“オッサンズオーシャン計画”と……!」
.
212
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:42:02 ID:zIn6aV3I0
( ・∀・)「……はっ、よくわかったぜ」
( ・∀・)「なあ荒巻さんよ、オッサン病になった奴は治せんのか?」
/ ,' 3「……無理じゃな。一度オッサン化した者は、治せん」
( ・∀・)「……チッ、そうかよ」
( ・∀・)「……残念だったな……親父……」
( ^ω^)「……?」
不意に、思い出した。
以前モララーと会ったあの日、彼は父親と行動していた事を。
そして彼の父親の行動が、不自然だった事を。
(;^ω^)「…………」
辻褄が合う。
あの日避難所で起きた騒動は、モララーの仕業だったという仮定を立てると、辻褄が合ってしまう。
モララーの父親は、あの時すでにオッサン化していたのだ。
213
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:42:45 ID:zIn6aV3I0
( ^ω^)「……ヒッキーさん……」
こいつが、ヒッキーさんとツンを殺したのだ。
( ・∀・)「…………」
この、男が。
( ω )「……モララー……あんた……」
/ ,' 3「……女なら、生き返らせられるかもしれんの」
( ^ω^)「!?」
/ ,' 3「ほっほっほっ、あくまで可能性の話じゃがなぁ」
( ω )「…………」
もし、本当に出来るとしたら。
( ω )「……ツン…………」
214
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:43:41 ID:zIn6aV3I0
ξ゚⊿゚)ξ『死ね、このデブ!! 酒池肉林!!!』
( ω )「…………」
ξ*゚⊿゚)ξ『べ、別にあんたの事なんてなんとも思ってないんだから!!』
( ω )「…………」
vξ(゜)Q(゜)ξv『 あっ……ブーンのが……奥まで……来てる……のぉ……!!』※ブーンの妄想です
(* ω )「…………」
可能性でもなんでもいい。
彼女が、また自分の前に現れるかもしれないんだ。
そのためなら、なんだってしてやる――。
( ω )「……荒巻……」
/ ,' 3「なんじゃ?」
( ω )「……遺伝子情報は、死体からでもとれるかお」
/ ,' 3「ほっほっ、もちろん可能じゃよ」
215
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:44:32 ID:zIn6aV3I0
( ω )「……じゃあ、決まりだお」シュン
ドンッ
(;・∀・)「ぐッ……!!」
(;'A`)「なっ……おい、こいつらの言う事を信じるのかよ!」
( ω )「…………」グググッ
(;・∀・)「あがっ……ぐあぁぁぁぁアアアッ!!!」バキバキ
(;・∀・)(くそ……なんて力だよ……ッ!!)
( ω )「……お前が……ヒッキーさんも……ツンも……」グッ
(;・∀・)「や、やめろ!! 俺とお前で協力すれば、黒幕をぶっ潰せるぞ!? 俺はその為に軍隊だって作ったんだ……!!!」
( ω )「……おっおっ、それは立派な事だお……。でも――――」
「――――お前はお遊びが過ぎたお」
.
216
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:45:15 ID:zIn6aV3I0
グッ
バキバキ
( ∀ )「……ガッ……アァァアアアアア!!!!」
(;'A`)「……力の差が……歴然じゃないか……」
(´・ω・`)「本当だね。なんでだろ?」
(;'A`)「……お前、なんか知ってんだろ?」
(´・ω・`)「さあねぇ……」
(; ∀ )「……やめ……ロ……」
( ^ω^)「……さよならだお」グッ
グシャァ
( ∀ )
ポタ……ポタ……
シュイーン
/ ,' 3「……?」
217
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:45:57 ID:zIn6aV3I0
( ^ω^)
(;'A`)「……ブーン……お前……」
(;'A`)「どうしちまったんだよ……」
( ^ω^)「お? ブーンは普通だお?」
(;'A`)「――ッ」
/ ,' 3「ほっほっほっ。さてブーン、儂らについてくるんじゃな?」
( ^ω^)「……ついていくお」
/ ,' 3「よかったよかった。さ、こっちじゃ」
('A`)「待てよ」
/ ,' 3「……なんじゃ。お前さんもついてきたいのか?」
('A`)「……ああ」
/ ,' 3「勝手にするといいわい」スタスタ
('A`)「…………」
(´・ω・`)「……ふふ、力も魅力もないくせに、僕らについてくるのかい?」
218
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:46:47 ID:zIn6aV3I0
('A`)「……勝手だろ」
(´・ω・`)「ああ、べつに構わないよ? ただ僕には、君が金魚の糞にしか見えないというだけでね」
(#'A`)「……んだと……?」ズイッ
( ^ω^)「待つお」
(#'A`)「…………」
( ^ω^)「……ドクオは、ブーンの大切な友達だお」
('A`)「…………」
(´^ω^`)「……ハハハハッ!! ただの冗談じゃあないか」
(´^ω^`)「ぜひ僕とも、“おホモだち”になってほしいねぇ……。クハハハハハハッ!!!!」スタスタ
( ^ω^)「……嫌なやつだお」
('A`)「…………ブーン……」
( ^ω^)「……ほら行くお、置いてかれちゃうお!」
('A`)「……ああ」
スタスタ
219
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:47:46 ID:zIn6aV3I0
――――
車で移動して一時間。
自分達は、また生まれ育った街まで戻ってきていた。
(´・ω・`)「君たちは、よく知ってるんだろうね」
( ^ω^)「……おもちゃのマキマキ……。ここで、研究してたのかお?」
/ ,' 3「そうじゃよ。まあ、入ってみればわかるわい」
ガチャ
店内は、自分達が知っているものと何も変わっていない。
だが、客が本来足を踏み入れることのない扉の奥には、地下へ繋がる小さな階段があった。
('A`)「暗いな……」スタスタ
そして階段を降りた先に、幾つかの部屋があった。
荒巻はそのうちの一つの扉を開けて、自分達を招き入れた。
/ ,' 3「なんてことのない、普通の研究施設じゃろ?」
220
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:48:32 ID:zIn6aV3I0
( ^ω^)「……この店の地下にこんなものがあっただけでも、驚きだお」
/ ,' 3「ほっほっほっ。まあ時間はたっぷりあるんじゃ。茶でも飲むか」
/ ,' 3「すまんが、茶を持ってきてくれんかの」
荒巻がそう言うと、部屋の奥から小さく“はい”と返事が聞こえた。
自分達以外にもこの部屋に人がいた事に気づいたのは、その時だった。
('A`)「誰かいるのか?」
/ ,' 3「ああ。うちの立派な研究員じゃよ」
/ ,' 3「“彼女”のお父さんは、それはもう優秀でな。彼はもう亡くなってしまったが、今は彼女が代わりを努めてくれている」
/ ,' 3「紹介が、必要かの?」
「…………」スタスタ
川 ゚ -゚)「――お待たせしました」コトッ
(;'A`)「――ッ!?」
(;^ω^)「おっ……!?」
(;'A`)「……なっ……なんで……クーが……」
221
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:49:14 ID:zIn6aV3I0
川 ゚ -゚)「……君は、ドクオか」
(;'A`)「…………」
川 ゚ -゚)「……ふっ、荒巻さんの言った通りさ。私の父はここの研究員で、私はその跡を引き継いだ。それだけの事だ」
('A`)「……だから……あの時……」
――あの時――
('A`)「クー、君のことが好きだ。付き合ってください」
川 ゚ -゚)「無理だ」
('A`)「なんで!?」
川 ゚ -゚)「無理なものは無理なんだ」
('A`)「俺と君じゃ合わないって思ってるの!?」
川 ゚ -゚)「そうだな、合わないだろう」
('A`)「そんなことないよ! 君が毎晩家でポテトチップスコンソメ味の大袋を食べてる事も知ってる!! だから俺の家にはポテトチップスコンソメ味の大袋をいっぱい用意してあるよ!!」
川 ゚ -゚)「そうか」
('A`)「夕方に再放送されているドラマを毎日見てたことも知ってる!! だから俺の家にはあのドラマのDVD-BOXを用意してあるよ!!」
川 ゚ -゚)「……そうか」
222
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:49:57 ID:zIn6aV3I0
('A`)「コスプレが趣味で毎日自分の写真を撮っていたことも知ってる!! だから俺の家には猫耳メイドの衣装を用意してあるよ!!」
川 ゚ -゚)「…………」
('A`)「毎日放課後にはゲームセンターに行って音ゲーをやっていた事も知ってる!! だから俺の家には筐体が用意してあるよ!!」
川*゚ -゚)「なに、筐体……!?」
('A`)(お、揺れたぞ……)
('A`)「ネットワークに繋ぐために、法人契約も結ぶつもりなんだ!!」
川*゚ -゚)「なんだと……!? ドクオ、す――」
川 ゚ -゚)(――はっ、いかんいかん。好きでもないのに好きだと言いそうになった)
川 ゚ -゚)「……コホン。君の熱意は認めよう。よっぽど私のことが好きなんだな」
('A`)「うん!!」
川 ゚ -゚)「ならば問おう。私のどこが好きなんだ?」
('∀`)「おっぱい!!!!」
川 ゚ -゚)「死ね」
223
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:50:42 ID:zIn6aV3I0
――――
('A`)「……だから……あの時……俺の告白を断ったのか……」
(;^ω^)「盗撮しすぎだお」
川 ゚ -゚)「……いや、あれは別に関係ないな」
('A`)「じゃあ何!?」
川 ゚ -゚)「君は不細工すぎる。クラス一……いや、学校一の美少女と言われている私とは釣り合わないだろう」
('A`)「ああなるほど」
('A`)「…………」
(*^ω^)「ぶひひwwwwwwwwww」
('A`)「なあ俺そんなに不細工かよ……」
( ^ω^)「おっおっ、ブーンよりひどいお」
('A`)「そっかぁ……」シュン
( ^ω^)「そんな落ち込むなおwwww」
/ ,' 3「話を戻していいかな」
( ^ω^)「おっおっ」
224
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:51:55 ID:zIn6aV3I0
/ ,' 3「後でお前さんとモララーから血液を取って、ショボンの遺伝子情報と組み合わせてみる。さほど時間はかからんじゃろうが……」
( ^ω^)「呑気にしてられるほど時間はないお」
/ ,' 3「ほっほっ、わかっておるわい」
ツンの死体が、あとどれくらいもつのか。素人にはわかるはずもない。
だが、できるだけ早いほうがいい。
/ ,' 3「どうじゃ、できそうか?」
川 ゚ -゚)「……やってみないと、なんとも言えません」
/ ,' 3「……だそうじゃよ」
( ^ω^)「……わかってるお」
クーに渡されたお茶を啜る。
温かいものを口にしたのは久しぶりだ。
( ^ω^)(……ツン…………)
ツンはもう、自分の名前を呼んでくれない。
自分の瞳を見つめてくれない。
自分の手を握ってくれない。
彼女の冷たい掌に、再び熱が戻る事はあるのだろうか。
期待してはならない、と何度自分に言い聞かせても、期待せずにはいられなかった――。
225
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/15(金) 03:55:28 ID:zIn6aV3I0
第8話、以上になります。
次回も一週間後あたりに投下したいです…!
226
:
名も無きAAのようです
:2016/01/15(金) 17:08:32 ID:Q8zfz5/.0
意地でもシリアスにしないのな
乙
227
:
名も無きAAのようです
:2016/01/15(金) 17:35:00 ID:UtFbtsWc0
その意地は嫌いじゃない
228
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:28:28 ID:rjUT5Q8.0
レスありがとうございます!
第9話、投下します。
229
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:29:10 ID:rjUT5Q8.0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
オッサンは基本的に身体能力と自然治癒能力が高く、知能は低いが会話はできる程度である。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病が発症する事なく死を迎える。
・オッサン病には、通常型に加え、α型からγ型までの計四種類が存在する。
α型からγ型までの感染者は老化しないが、身体能力の向上、自然治癒能力の向上などは通常のオッサン病と変わらない。
230
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:29:51 ID:rjUT5Q8.0
第9話「口から零れた呻き声」
.
231
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:30:38 ID:rjUT5Q8.0
('A`)「……で、どうなんだ?」
川 ゚ -゚)「……どうと言われてもな。α型からγ型までの遺伝子情報が揃った今、不老不死の薬を作るのはさほど難しくないが……」
川 ゚ -゚)「君達の望むように、ツンを生き返らせるというのは……どうだろうか」
( ^ω^)「…………」
('A`)「おいおい、あの爺さんが不老不死になろうが俺達には関係ないんだよ。何のために俺の血液を取らせたってんだ」
(#^ω^)「血を抜かれたのはブーンだお」
川 ゚ -゚)「……随分と考えが甘いようだな。まあいい」
川 ゚ -゚)「結果が出るまで、お茶でも飲んでいてくれ」
('A`)「…………この茶は美味いんだよな……」
ドクオが、クーから受け取った湯呑みを持ち上げてそう言った。
確かに、クーが淹れるお茶は美味しかった。
232
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:31:20 ID:rjUT5Q8.0
( ^ω^)「……ひとつ気になるんだお」
川 ゚ -゚)「なんだ?」
( ^ω^)「オッサン病になると、四十代まで老けることはわかったお。でも、四十代を過ぎている男性がオッサンに噛まれると、どうなるんだお?」
川 ゚ -゚)「……いいとこに目をつけたな。……だが、それを説明するには、いろいろと追って話さなければならないんだ」
( ^ω^)「……平気だお」
川 ゚ -゚)「私が面倒なんだ。……まあいい、話してやろう」
」
川 ゚ -゚)「結論から言うと、オッサン病は発症せずに死ぬ」
川 ゚ -゚)「――いや……発症するが、身体が耐えきれず死に至る、と言ったほうが正しいか」
( ^ω^)「……α型はどうなんだお」
川 ゚ -゚)「……ヘイフリック限界、という言葉を知っているか?」
233
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:32:22 ID:rjUT5Q8.0
(;^ω^)「ヘイフ……? さっぱりだお……」
('A`)「あれか、細胞分裂の回数の限界ってやつ」
川 ゚ -゚)「そう、それだ。君は盗撮しか能がないと思っていたが……考えを改める必要があるな」
(*'∀`)「へへへ」
(;^ω^)「多分褒められてないお」
川 ゚ -゚)「人間の細胞には、分裂回数の限界があるんだ。それがなくなれば、死ぬ。寿命というのはそういうものだ」
川 ゚ -゚)「オッサン病は、先に老化させることによって、細胞の分裂可能回数を多く余らせるんだ。だから身体能力も高くできるし、自然治癒能力も高くできる」
川 ゚ -゚)「ただし、その分寿命は短くなるわけだが……。まあ、記憶や知能に影響が出ている以上、そんな事は関係ないな」
('A`)「じゃあつまりオッサン病って……」
川 ゚ -゚)「そう、不老不死の薬の失敗作だ」
川 ゚ -゚)「だが研究段階で、ブーンやモララーのような“特異型”が現れる可能性が見えてきた。そこで登場するのがショボンさ」
234
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:33:15 ID:rjUT5Q8.0
川 ゚ -゚)「彼は自ら望んでオッサン病に感染し、見事α型を発症させた。となると、β型やγ型の存在も確信できたわけだ」
川 ゚ -゚)「そして、“オッサンズオーシャン計画”が始動した」
クーは回していたペンを机において、そう言った。
“オッサンズオーシャン計画”。そんなものがなければツンも母も、今頃は。
( ^ω^)「……そんな経緯があったのかお……」
川 ゚ -゚)「ああ……。α型からγ型までの特異型は、細胞の分裂可能回数に限りが無いんだ。だから、ブーン達は発症しても老けなかった。老けさせる必要がなかったんだ」
(;'A`)「ちょ、ちょっと待てよ。それじゃ、ブーンは不老不死ってことか!?」
(;^ω^)「!?」
川 ゚ -゚)「……厳密には、違うな。不死というわけではない。不死だったら、モララーは死なないだろう」
('A`)「それもそうか……」
235
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:34:27 ID:rjUT5Q8.0
川 ゚ -゚)「まあ、不老なんだがな」
(;^ω^)「まじかお」
川 ゚ -゚)「一生ガキのままさ」
(;^ω^)「それはそれでありがたいお、ピーターパン症候群に悩まされずに済むお」
('A`)「それで、肝心のところが……」
川 ゚ -゚)「通常型を発症するか、特異型を発症するかは、その人の持つ遺伝子によって異なるんだ。詳しいことは省くが……まあ、そうそう見つかるもんじゃない」
川 ゚ -゚)「……そうだな、仮に四十歳の人が特異型を発症する遺伝子を持っていたとしよう。そして、オッサン病に感染する。すると――」
――若返り続けるんだ、と彼女は言った。
彼女のこれまでの説明は、自分には容易く理解出来るようなものではなかったが、若返るというのがこれまでの研究を覆すようなイレギュラーである事はわかった。
そして、彼女の表情が少しだけ暗くなっている事も。
236
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:35:10 ID:rjUT5Q8.0
(;'A`)「若返る……?」
川 ゚ -゚)「それも、結構なスピードでな。一週間もすれば、胎児になってしまう」
川 ゚ -゚)「こればっかりは、理由がわかっていないんだ。私も調べてはいるんだがな……まあ、その理由がわかる前に、不老不死の薬が完成してしまうだろう」
川 - )「…………」
川 ゚ -゚)「それだけだ」
( ^ω^)「…………?」
川 ゚ -゚)「……とまあ、長い説明パートを挟んだ甲斐はあったか?」
(;^ω^)「……なんとなく理解できたお」
川 ゚ -゚)「それならよかった。……ちょうど結果が出たようだ、私は研究に戻らないとな」
('A`)「じゃあ、俺達は部屋に戻ってるぜ」スッ
川 ゚ -゚)「ああ、そうしてくれ」
237
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:35:52 ID:rjUT5Q8.0
( ^ω^)「ありがとだお、よろしくだお」スッ
川 ゚ -゚)「……気にするな」
ガチャ
('A`)「……ふーっ、やっぱかわいいんだよなぁ、クー。惚れ直したぜ」
(;^ω^)「ブーンはここ数日でドクオの人間性を疑い始めたお」
('A`)「そいつぁ光栄だ。……さて、とりあえず寝られるうちに寝とくかな……」
( ^ω^)「ブーンもそうするかお……」
238
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:36:35 ID:rjUT5Q8.0
――――
「――い、起きろ二人共」
( -ω-)「……んん……まだ5つめのおっぱいだお……」
川 ゚ -゚)「なんの夢を見ていたんだ……。大事な話がある」
( ^ω^)「……おっ?」
川 ゚ -゚)「ついさっき、不老不死の薬が完成した。荒巻さんに渡してきたところだ」
('A`)「完成? それほんとに大丈夫なのか?」
川 ゚ -゚)「さあな、こればっかりは試してみないとわからん」
( ^ω^)「それで、大事な話ってなんだお」
川 ゚ -゚)「…………」
川 ゚ -゚)「……私は君たちに、嘘をついていた」
('A`)「……嘘?」
川 ゚ -゚)「……ああ」
239
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:37:18 ID:rjUT5Q8.0
( ^ω^)「……まさか、ツンを生き返らせることは……」
川 ゚ -゚)「…………すまない……。できないんだ」
( ^ω^)「……そう……かお……」
川 ゚ -゚)「…………君たちに、協力してもらうしかなかったんだ……」
('A`)「……おい、随分と自分勝手だな。まさかクーも不老不死をお望みだってのか?」
川 ゚ -゚)「……そうじゃない。そうじゃないんだ」
川 ゚ -゚)「私は不老不死になろうなんて思わない。普通に生きて、普通に死にたいと思っている」
('A`)「だったら何でこんなことしてんだよ!」バンッ
(;^ω^)「お、落ち着けおドクオ」
('A`)「お前はなんで黙ってんだよ!! 荒巻のじーさんはともかく、俺の大好きなクーまで俺らに嘘ついてたんだぞ!!」
( ^ω^)「……仕方ないことだお」
240
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:38:05 ID:rjUT5Q8.0
( ^ω^)「……きっと、クーにもちゃんとした理由があるんだお。だから、仕方ないお……」
川 ゚ -゚)「…………」
('A`)「……だったら、理由を説明しろよ」
川 ゚ -゚)「……そうだな。この際だ、話しておこう」
川 ゚ -゚)「……私の父は、とある研究所のメンバーだったんだ。そこで様々な研究をしている時に、不意に出来上がったのがオッサン病」
川 ゚ -゚)「父は正義感の強い人だったからな、危険だと思ったんだろう。それをすぐに隠したんだ、誰の手にも渡らないように」
川 ゚ -゚)「……しかし、見つかってしまった。研究所のリーダーだった荒巻さんに」
川 ゚ -゚)「そこからはもう、ひどい目にあった。家族まるごと研究所の奴らに誘拐されて、監禁されて……」
241
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:38:47 ID:rjUT5Q8.0
川 ゚ -゚)「家族を普通の生活に戻す条件として、こんな研究室に押しこまれ、不老不死の研究をさせられたわけだ」
( ^ω^)「…………」
川 - )「…………」
川 - )「……父は、特異型を発症する遺伝子を持っていたんだ」
(;'A`)「……おい、まさか……」
川 - )「……そのまさかさ。自分で実験し……、一週間と保たずに父は死んだよ」
「……赤ん坊の姿で」
( ^ω^)「…………」
('A`)「……っざけんじゃねぇよ……なんだよそれ……」
川 ゚ -゚)「……すまないな、こんな話をして」
川 ゚ -゚)「私が言いたいのはこんな事じゃないんだ」
( ^ω^)「……なんだお……?」
242
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:39:28 ID:rjUT5Q8.0
川 ゚ -゚)「……荒巻さんが不老不死になったら、もう君達は必要なくなってしまう。――いや、それどころか、危険視されるだろう」
川 ゚ -゚)「逃げてくれ、今のうちに。ショボンと荒巻さんがいては、勝ち目がない」
('A`)「……そんな話を……」
(#'A`)「……そんな話を聞いて逃げられるわけねぇだろうが!!」
(;^ω^)「ドクオはただの人間なんだから落ち着けお、戦うのはブーンなんだお」
('A`)「なんだよ、じゃあお前は逃げるってのか?」
( ^ω^)「…………」
川 ゚ -゚)「いいんだ、私の事は気にするな。それよりもはやく――――ッ!!」
バァーン
(;'A`)「!?」
(´・ω・`)「……余計な事を喋っちゃって……本当にもう……」
(´・ω・`)「殺したくなっちゃうじゃないか」
(;^ω^)「ショボン……!!」
243
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:40:12 ID:rjUT5Q8.0
(´・ω・`)「……っと、いけない……」
「――――もう、殺しちゃってたか」
川 - )
('A`)「……クー?」
('A`)「おい、クー……」
(´・ω・`)「無駄だよ。だって……“首が取れてる”じゃないか」
('A`)「嘘だろおい……クー……そんな……ッ!!」
(#^ω^)「……ショボン……!!」
(´・ω・`)「おいおい、怒るなよ。君たちも用済みなんだ、今なら見逃してあげるからさ」
(#゚ω゚)「ふざけんなお……!!」
(´・ω・`)「何、もしかしてクーを殺されて怒ってるの? 君なんかクーの事なんてなんにも知らないくせに」
244
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:40:54 ID:rjUT5Q8.0
(#^ω^)「……ブーンは、クーの事をよく知らないお。だから、クーのためにどうこうしようなんて、簡単には思えないお」
(#^ω^)「……でも…………」
(#゚ω゚)「…………親友を悲しませる奴は、許せないんだお……!!!」
(´・ω・`)「……ククク…………」
(´゚ω゚`)「……クハハハハハッ!!!」
(´・ω・`)「面白い……受けて立とうじゃないか……ッ!!」
ドクオが、首のない死体を抱きかかえて叫んでいる。
その光景はあまりにも痛々しく、そして切なかった。
245
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:41:37 ID:rjUT5Q8.0
( ゚ω゚)
許せない。
これだけの事をしておいて、真顔でいられるこの男が許せなかった。
殺してやる。
殺してやル。
コイツハ絶対ニ殺シテヤル――。
.
246
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:42:19 ID:rjUT5Q8.0
( ゚ω゚)シュン
ドッ
(´・ω・`)「おっと……そう簡単には……いかないよ……ッ!!」グググッ
バッ
( ゚ω゚)「殺してやるお!!!」
(´・ω・`)「威勢だけはいいみたいだねェ……ッ!!!」ヒュッ
( ゚ω゚)パシッ
ググッ
( ゚ω゚)「……こんなもんかお……大したことないお……」
(´・ω・`)「はっ、まだまださ」グッ
(;゚ω゚)「ッ!?」
――なんて力だ。
ショボンの手を抑える自分の両手も、さっきまでの自信も、まるごと覆されてしまう。
247
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:43:13 ID:rjUT5Q8.0
(´・ω・`)「君はまだ知らないもんねぇ、オッサン病の秘密をッ!!」ドンッ
(;゚ω゚)「おっ!!!」ドガッ
ガラガラ
勢い良く押された自分の身体は、机や椅子ごと壁まで吹き飛ばされた。
(;゚ω゚)「ガハッ……」
背中から腹に突き抜けた何か。
よく見るとそれは、自分の血で染まった机の足だった。
痛い。
痛みは感じる。
(;゚ω゚)「ぐっ………おおおっ……」グイッ
ズブッ
痛い痛い痛い――。
あまりの痛さに、意識が飛んでしまいそうになる。
この身体の事はあまり知らない。この状態でよく息ができるものだと感心してしまう。
248
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:44:05 ID:rjUT5Q8.0
(;゚ω゚)「がっ……ハァ…………ハァ……」ヨロッ
グチャグチャ
傷口ははあっという間に治癒していく。
痛みも気づいた時にはなくなっていた。
( ゚ω゚)「……秘密って、なんの事だお……!」
(´・ω・`)「……ははっ、教えて欲しいかい? でもこれを知っちゃうと、自信をなくしちゃうと思うんだよなぁ」
( ゚ω゚)「いいから言えお」
(´・ω・`)「わかったよ、しょうがない。……いいかい、オッサン病は……」
(´・ω・`)「発症した時の年齢が若ければ若いほど、強力な身体能力と自然治癒能力が得られるんだ」
(´・ω・`)「そして僕が発症したのは一年前さ」
(;゚ω゚)「……ッ!?」
(´・ω・`)「……つまりね……」
「君じゃ、僕に勝てないってことだよ」
.
249
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:44:49 ID:rjUT5Q8.0
(;゚ω゚)「…………」
冗談じゃない。
どういう理屈かは知らないがそれが本当なら、赤しかないルーレットで、黒にしかベットできないようなものだ。
勝ち目が、ない。
(´・ω・`)「怯えてるのかい? はは、いいよそれでも。無駄に疲れなくて済む」
(´・ω・`)「終わりだ」シュン
(;゚ω゚)「ッ!!」バシッ
(´・ω・`)「無駄だって言ってるだろうぬるぽ!!!」グッ
ドスッ
(;゚ω゚)「……ガッ…………」
先程とは逆に、胸から背中へと何かが突き抜ける。
――それは、ショボンの左手だった。
250
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:45:50 ID:rjUT5Q8.0
(´・ω・`)「力の差は、歴然だろう?」
(;゚ω゚)「…………ゴフッ……」ポタポタ
声が出ない。
ショボンのあまりの強さに圧倒されているからか?
――いや、違う。
肺を潰されて、呼吸すらできないのだ。
(;゚ω゚)「……お…………」
やはり、勝てないのだ。
この圧倒的すぎる力を前にしては、勝利などを望むことすら、馬鹿らしい事だったのだ。
自分の口から零れた呻き声も、やがて自分の耳に届かなくなる。
それまではっきりとしていたはずの意識が、薄れていく。
.
251
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:46:32 ID:rjUT5Q8.0
(´・ω・`)「……このまま頭も潰せば、君でも死ねるはずだ」
息ができない。
(´・ω・`)「不老不死の薬が完成したのは、君のおかげだよ。感謝してる」
苦しい。
(´・ω・`)「じゃあね」グッ
終わる。
グシャァ
何もできずに、終わってしまった――――。
.
252
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/22(金) 03:47:35 ID:rjUT5Q8.0
第9話、以上になります。
次回、最終話です!
最後までよろしくお願いします…!
253
:
名も無きAAのようです
:2016/01/22(金) 03:55:14 ID:ZAvcUxuA0
乙
たとえシリアスに盛り上がってきても無理やりギャグをねじ込む根性が好き
254
:
名も無きAAのようです
:2016/01/22(金) 17:35:22 ID:exbKPydo0
ショボン様つっよ
乙です
255
:
名も無きAAのようです
:2016/01/22(金) 21:13:50 ID:OLNuNM360
乙
次で最終話か
どうなるかワクワクだ
256
:
名も無きAAのようです
:2016/01/22(金) 21:28:06 ID:MYfMTK/Y0
乙
ぬるぽじゃないガッ
257
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:46:39 ID:muWxWyDs0
レスありがとうございます!!
最終話、投下します!
258
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:47:21 ID:muWxWyDs0
□オッサン病
・オッサン病は、男性のみが発症する伝染病である。
・オッサン病に感染した男性を“オッサン”と呼ぶ。
オッサンは基本的に身体能力と自然治癒能力が高く、知能は低いが会話はできる程度である。
・ オッサンに食べられる(噛まれる)事で感染し、その後数分で死を迎える。
オッサン病に感染し死ぬと、死後三秒で生き返り、オッサンになる。(オッ三秒ルール)
オッサンになると同時に、食べられた肉体は回復し、身体は四十代程度まで老化する。
・オッサンは、男性を餌、女性を性処理の相手として捉える。
オッサンに犯された女性はオッサン病が発症する事なく死を迎える。
・オッサン病には、通常型に加え、α型からγ型までの特異型を含め、計四種類が存在する。
特異型の感染者は老化しないが、身体能力の向上、自然治癒能力の向上などは通常のオッサン病と変わらない。
・発症した年齢が若ければ若いほど、身体能力や自然治癒能力は高くなる。
259
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:49:23 ID:muWxWyDs0
最終話「全てが終わるその時に」
.
260
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:50:08 ID:muWxWyDs0
(´・ω・`)「あーあ、暇つぶしにもならなかったな」
ポタポタ
(´・ω・`)「服も手も汚れちゃったよ……。シャワーでも浴びようかな……」
ズリ
(´・ω・`)「ん?」
(´・ω・`)「…………」
(´・ω・`)「気のせいか……」
('A`)「気のせいじゃねぇよ」バスッ
グチャッ
(;´・ω・`)「ぐっ……ッ!! ガスガンか……!!」
(;´・ω・`)「びっくりしたよ……君って影が薄いから忘れてた」
('A`)「俺の特権だ」
(´・ω・`)「だけど、そんなもんじゃ僕には勝てないよ? ほら、もう傷も治り始めてる」グチャグチャ
261
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:50:50 ID:muWxWyDs0
(;'A`)「チッ……くそっ!!」バスッバスッ
グチャッ
(;´・ω・`)「いっ、痛いなァ……」
(´・ω・`)「あんまり僕を怒らせないでくれよ」
('A`)「うるせぇ!! もうどうだっていいんだ!!」バスッ
(´・ω・`)ヒョイッ
(´・ω・`)「避ける事くらい、簡単なんだから」
(;'A`)「ッ…………」
(´・ω・`)「じゃあそろそろ……」スッ
262
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:51:49 ID:muWxWyDs0
/フフ ム`ヽ
/ ノ) ∧∧ ) ヽ
゙/ | (´・ω・`)ノ⌒(ゝ._,ノ
/ ノ⌒7⌒ヽーく \ /
丶_ ノ 。 ノ、 。|/
`ヽ `ー-'_人`ーノ
丶  ̄ _人'彡ノ
ノ r'十ヽ/
/`ヽ _/ 十∨
「お仕置きといこうか」
263
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:52:32 ID:muWxWyDs0
(;'A`)「ヒィッ……!」
(´・ω・`)「生かしておいても面倒そうだしね」ザッザッ
(;'A`)「クソッタレ!!」バスッ
(´・ω・`)ヒョイッ
三ω・`)シュン
ドガッ
(;'A`)「ウグッ……!!」
(´・ω・`)「さよなら」
グシャァ
.
264
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:53:17 ID:muWxWyDs0
('∀`)
(´・ω・`)
(´・ω・`)「…………えっ……?」
('A`)「ケッ、ざまぁみろホモ野郎が」
(;´・ω・`)「……あ、足が……」
(;´・ω・`)「足がァァァァあああああ!!!」
(;´・ω・`)「なんでだ……なんで、なんでなんでなんでぇぇ!!!!」
「なんで“君”が生きてるんだよぉぉぉ!!!」
( ^ω^)「おっおっおっ」
.
265
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:53:59 ID:muWxWyDs0
両足の膝から下をなくしたショボンが、床に転げて叫んでいる。
傷口から溢れ出す血によって、床が真っ赤に染まっていく。
(;´・ω・`)「返せ、返せ返せ返せ!!! 僕の足を返せェェェェ!!!!」
( ^ω^)⊃ii「これかお?」
(;´・ω・`)「それだよ!!! 早く、早くしないと繋がらなく――」
( ^ω^)「おっおっおっ」
( ^ω^)⊃ミii
[ゴミ箱]
「――こんなもんポイだお」
.
266
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:54:41 ID:muWxWyDs0
(;´・ω・`)「ぶち殺すぞ!!!」
( ^ω^)⊃o カチッカチッ
[ゴミ箱]
(;´・ω・`)「お、おい何してる!!」
( ^ω^)⊃d シュボッ
[ゴミ箱]
炎
炎炎炎 ゴォォォ
[ゴミ箱]
(;´・ω・`)「う、うわァァァァァァぁぁあああ!!! 僕の足が!!!! 燃えてる!!!!」
267
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:55:57 ID:muWxWyDs0
( ^ω^)「いい気味だお」
(;´・ω・`)「くそっ、傷口も塞がってる……!! くっそぉぉぉぉぉ!!!」
( ^ω^)「じゃあ、死ねお」ドガッ
(;´・ω・`)「アガッ……!!」
( ^ω^)ドガッドガッ
(;´・ω・`)「グッ……ぶぅ…………」
( ^ω^)ググッ
(;´・ω・`)「や……やめ……ッ」
グシャァ
ポタポタ
(´,ω.;,
( ^ω^)「…………」
握りつぶした頭部。
もはや元がどんな形だったのかもわからないほど、変形してしまっている。
自分は頭を潰されても死ななかったが、ショボンがモララーと同じなら、これで死んだだろう。
268
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:56:40 ID:muWxWyDs0
('A`)「……ブーン……」
( ^ω^)「おっおっ」
シュイーン
( ^ω^)「おっ?」
(;'A`)「お、おい、背中がなんか光ってるぞ」
ザッザッ
「……やはりかのぉ……」
/ ,' 3「……まだ、オッサン病には謎が多いというわけか……」
(;'A`)「じ、ジジィ!!」
( ^ω^)「……どういう事だお」
/ ,' 3「ほっほっほ。今の光は、ショボンを殺した事によって得られたものじゃ」
('A`)「……ショボンを……?」
269
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:57:32 ID:muWxWyDs0
/ ,' 3「儂以外はどうも気づいていないようじゃったが、モララーを殺した時にも光っておったんじゃよ」
( ^ω^)「…………」
/ ,' 3「……恐らく、α型とβ型の力を吸収したんじゃろう」
( ^ω^)「……おっ……?」
('A`)「待てよ、それじゃあブーンが死ななかったのって……」
/ ,' 3「ほっほっ、以前より死ににくくなっておったと言う訳じゃろうな」
('A`)「じゃあまさか……今のブーンは……」
('A`)「不老不死ってことか……?」
/ ,' 3「……恐らくはのぉ」
( ^ω^)「まじかお……」
/ ,' 3「というわけでラスボス戦開始するか?」
(*^ω^)「おっおっ」
(#゚ω゚)「あんたのせいで……!! カーチャンもツンもクーもヒッキーさんも……!!! 許さないお!!!!」
('A`)「切り替え早いな、可変抵抗器くらいの緩やかさをもとうよ」
270
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:58:19 ID:muWxWyDs0
(#゚ω゚)「死ねお……!!!」シュン
/ ,' 3「うっ」ドンッ
ガシャーン
(#゚ω゚)「おおおおおおおっ!!!」ドガドガッ
/ ,' 3「へぐっ……ウブッ……!!」グシャァ
/ ,' 3「つ、強い」
('A`)「あんた弱すぎだろ」
/ ,' 3「不老不死なだけで力とかないからのぉ」
/ ,' 3「勝ち目はない」
('A`)「意味ないじゃん」
/ ,' 3「じゃが……」
/ ,' 3「負ける事もないという事じゃ」
271
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:59:01 ID:muWxWyDs0
(#゚ω゚)「おっ!!! おっ!!!」ドガッドガッ
/ ,;;3「ほっほっ…………効くわ……」
('A`)「めっちゃ効いてる」
/ ,' 3「じゃが、すぐに回復できる」グチャグチャ
/ ,' 3「どうした? 小僧」
( ゚ω゚)「…………」
/ ,' 3「こうなった儂は殺せんよ。何度殴っても、回復するだけじゃ」
(#゚ω゚)「……じゃあ……回復が追いつかなくなるまで殴り続けるだけだお!!!!」ドゴッ
/ ,;;3「痛い」
(#゚ω゚)ドゴッドガドガッ
/ ,;;
(#゚ω゚)ググッ
/ ,;; ブヂィ
('A`)「あ、手が取れた」
272
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 03:59:52 ID:muWxWyDs0
ブヂィ
('A`)「足も取れた」
/ ,;;3「……無駄じゃよ。数十秒で生えてきおるわい」
(#゚ω゚)「……じゃあ――――」
「――――この身体ごと机の引き出しにでも押し込むかお」
/ ,' 3「えっ」
ガララ
(#゚ω゚)グイッ
ギュッギュッ
/ ,' 3「ちょっ、やめて」
グシャ
/ ,' 3「狭っ」
バタン
『あ、開けてくれぃ!! 出せ!!』
273
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:00:37 ID:muWxWyDs0
( ゚ω゚)「おっおっ」
『出すんじゃ!!! 早く!!』
('A`)「賢いなブーン」
『これじゃ生えてこんじゃろ!!』
('∀`)「手も足も出ねーってか、はは」
( ゚ω゚)「地面にでも埋めてやるかお」
('∀`)「いやいや、この建物ごと埋めちまおうぜ」
( ゚ω゚)「それいいお、採用するお」
『馬鹿、やめるんじゃ!!』
( ゚ω゚)「ドクオ、外へ行っててくれお」
('A`)「おう、わかった。……クーの死体だけ……連れてくわ……」
( ゚ω゚)「そうしてくれお」
('A`)「気をつけろよ」ザッザッ
バタン
274
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:01:25 ID:muWxWyDs0
――――
('A`)「……ふう……この辺でいいか……」
首と胴体の離れたクーの死体をゆっくりと地面に置き、おもちゃのマキマキを眺める。
これで、終わるんだ。
('A`)「……ごめんな……」
('A`)「ごめんな、クー……」
何度謝っても、返事が返ってくることは無い。
たとえ叶うことのない一方的な好意だったとしても、俺は彼女の事が好きだった。
('A`)「もう終わるからな……。ブーンが、終わらせてくれるからな……」
やがて地鳴りのような轟音が響き、小さな建物がゆっくりと崩れていく。
それが収まった頃に、俺はその建物へと戻った。
ブーンのいる場所へ。
275
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:02:06 ID:muWxWyDs0
('A`)「ブーン!!! どこだー!!」
もう、姿を現してもいい頃だ。
('A`)「おーい!! ブーン!!!」
だが、彼は一向に現れない。
――まさか、ブーンも建物の下敷きに?
そんな事を考えた頃に、彼は現れた。
いつもと変わらない表情で。
276
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:02:53 ID:muWxWyDs0
――――
( ^ω^)ザッザッ
('A`)「よかった……死んだのかと思ったぜ……」
死んだ?
――いやいや、自分としてはそのほうが良かった。
( ^ω^)「…………」
( ^ω^)「ガスガン、返してくれお」
('A`)「あ、ああ……」スッ
( ^ω^)「…………」カチャ
空を見上げる。
しかし眩しい太陽が自分の顔を照らすだけで、何も得られるものはない。
空の下に、何があるのか。
海。
大地。
それを踏みしめる人。
オッサン。
どれも、それら見下ろす空にとっては等しく価値のない物だ。
277
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:03:39 ID:muWxWyDs0
( ^ω^)「……ブーンはもう……」
しかし、自分にとってはどうなのだろうか。
等しく価値がない? 冗談じゃない。
人を人として括ること自体、馬鹿馬鹿しい。
ならオッサンは?
彼らは、オッサンとして括るべきなのか。
それこそ、難題だ。
( ^ω^)「…………」
……無駄な事だ。
こんなこと考えても、無意味じゃないか。
自分に何も利益をもたらさない。
決して自分の心が救われるようなことは無い。
( ^ω^)「…………」チャキ
――もう、終わりにしよう。
グチャッ
.
278
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:04:31 ID:muWxWyDs0
(;'A`)「ッ!?」
( ,.;: ω, .)
( ,. ω, )グチャグチャ
( ω, )グチャグチャグチャ
( ω )「…………」
肉体は、再生する。
脳を潰しても、心臓を潰しても、すぐに再生する。
( ω )「……どうしてだお……」
( ω )「……どうして死なせてくれないんだお……!!」
('A`)「…………ブーン……」
ツン。
君に会いたい。
死ねば、君に会えるというのに。
この身体は、自分を死なせてはくれない。
279
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:05:16 ID:muWxWyDs0
( ω )「…………う……ぁ…………」
( ゚ω゚)「うあああぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ――」ダッ
('A`)「――待てよっ!!」ガシッ
( ω )「離せお……すぐ振りほどけるんだお……」
('A`)「ああ、そうするといいさ」
('A`)「だがよ……何か忘れてねぇか……」
( ω )「…………」
('A`)「…………別れの言葉くらい、言ってけよ」
( ω )「…………」
( ω )「……さよな――」
('A`)「――違うだろ!」
( ω )「ッ……」
.
280
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:05:58 ID:muWxWyDs0
('A`)「……また会おうな」
( ω )「……おっ……」
( ;ω;)「また会うお……」
('A`)「ああ、その面忘れねーからな」
( ω )ダッ
ダッダッダッ
――自分はどこへ、行けばいいのだろう。
――ただひたすらに、
――ただひたすらに、走り続けた――――。
.
281
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:06:57 ID:muWxWyDs0
――――
('A`)「身分証を」
('A`)「……はい、ありがとうございます」
('A`)「では腕を出してください」
('A`)「…………」ピピッ
('A`)「……、入っていいですよ」
('A`)「……ふぅ…………」
ブーンがいなくなってから、三年の月日が流れた。
俺は隔離区域のゲートで、門番を担当している。
隔離区域に暮らしていても、ろくな仕事がないのだ。
飯にありつくには、政府のボランティアに参加した方がいいとわかっていた。
_
( ゚∀゚)「交代だ、ドクオ。お疲れさん」
('A`)「あ、どもっす……」
_
( ゚∀゚)「今日の飯はピザだぞ」
('A`)「ピザ!? なんでまた」
_
( ゚∀゚)「避難民の中にピザ作ってた奴がいたらしくてな。まあ食材もある程度確保できてきたからだろう」
282
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:07:39 ID:muWxWyDs0
('A`)「まじっすかぁ……! 食ってきます!」
_
( ゚∀゚)「ああ、そんじゃーな」
('A`)「……ピザかぁ……」スタスタ
ピザなんて食べるのは何年ぶりだろうか。
おそらく肉は入っていない。だが、それでもピザはピザだ。
楽しみになってくる。
('A`)「…………」
ブーンも、ピザが好きだった。
あいつは今、どこでどうしているのだろうか。
('A`)「……生きてんのかも、わかんねぇな……」
いや、あいつのあの身体じゃ死ぬことはないだろう。
生きているのなら、何故会いに来てくれないのだ。
そろそろ顔を出してもいい頃だ。
('A`)「……そういう感じじゃなかったのかねー……」
('A`)「……まあいいけどよ」
どうやったって、こっちからあいつを探すことはできないのだ。
もしも俺の身体があいつと同じように、再生能力や身体能力が桁違いだったら別の話だが。
283
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:08:28 ID:muWxWyDs0
('A`)「……いつまで続くんかな……こんな生活……」
隔離区域が出来てから、もう二年になる。
それまでの一年間、俺は様々なところを転々とした。
しかし、どこもかしこもオッサンだらけで、落ち着いて過ごせる場所など皆無だった。
隔離区域が出来、国民が安心して過ごせるようになった頃、政府はようやっと重い腰を上げて軍隊を動かした。
それからオッサンの数は、次第に減っているらしい。
軍隊のおかげだろうか。
――いや、俺はどこかでこう思っている。
きっとブーンが、オッサン達を殺しているのだと。
('A`)「……ブーン……。いつかまた、一緒にピザ食おうぜ」
いつか。
いつかきっと。
全てが終わるその時に――――。
284
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:09:10 ID:muWxWyDs0
『おおおおおおおおおッ!!! 全員ぶっ殺してやるお!!!!』
.
285
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:10:05 ID:muWxWyDs0
―――――――――――――――――――――
( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです
―終―
―――――――――――――――――――――
286
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/29(金) 04:12:30 ID:muWxWyDs0
( ^ω^)オッサンズオーシャンのようです、以上になります。
思っていたよりも短くなっちゃいました。
本当はもっとサバイバルさせたり、普通の人間同士の戦いなんかも書きたかった……。
ドクオとジョルジュが荒れ果てた街に出ていろいろする続編が書けそうですが、多分書きません。
次に連載ものを書くときは、登場するヒロイン全員を殺さないようにしたいです。
読んでいただきありがとうございました!
287
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 09:56:04 ID:N8vNBfX60
乙!
288
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 11:04:09 ID:M3O/1LpQ0
乙でした!
長過ぎず面白かった
もうちょい最後の方濃くても良かったかもだけど
そういや女みんな死んでたな...
ブーンがいつかドクオと会えればいいなぁ
289
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 11:58:36 ID:BsuxC/Zk0
乙!!
切り替え早いなで笑った
面白かったぜ!
290
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 13:47:18 ID:2bbKEa5c0
http://ssks.jp/url/?id=348
291
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 19:33:54 ID:NIU7XXAA0
シリアスでも堂々とギャグを入れる姿勢に貫禄すら覚えた
乙でした
292
:
名も無きAAのようです
:2016/01/29(金) 19:58:29 ID:2bbKEa5c0
http://ssks.jp/url/?id=348
293
:
名も無きAAのようです
:2016/01/31(日) 13:17:27 ID:g9RgbweU0
完結乙
>>1
>>276
それら見下ろす空、
>>71
行為を寄せている、
>>127
何なやってんだお、は誤字ってる?
294
:
◆3hXbKaGZvg
:2016/01/31(日) 17:02:59 ID:w6tYcugc0
>>293
全部誤字です!
ご指摘ありがとうございます。
295
:
名も無きAAのようです
:2016/02/03(水) 04:49:49 ID:kl3akqrM0
おつ!
おもしろかったよ
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