[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
( ^ω^)マインドB!のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:37:34 ID:.NwHTlaQ0
まとめサイト様
⊂ブンツンドー⊃
buntsundo.web.fc2.com/long/mind_b/top.html
前スレ
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/13029/1337074961/l50
2
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:39:07 ID:.NwHTlaQ0
よっっっしゃスレタイミスらなかったぞ!!←滅茶苦茶気にしてた
ということでよろしくお願いします。19話投下します
3
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:39:56 ID:.NwHTlaQ0
ボクは。
.
4
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:40:55 ID:.NwHTlaQ0
ボクは 誰かに必要だったのだろうか。
ボクなんかを必要としてくれる誰かが、これまでもこれからも
傍にいてくれたことなんてあっただろうか。これまでも、この先もずっと。
自分が好きなことや、やりたいことなんて言われてもよく分からない。
だって大抵の場合、ボクには何が起こっているのか分からなくて
みんなはいつもよく分からないことをしていて、ボクはいつだって置いてけぼりだった。
人の目を見ればいつも否定されているような気がして、どこにも居場所なんてなくて。
どうしてボクはこんなにも、生きるのが下手なんだろう。
他の人はそんな風に見えないのにな。それともそう見えないだけなのだろうか。
普通の人のフリをしているだけ?普通の人に見せるのが、ボクよりうんと上手いだけ??
わからない。もうなにもわからない。
人に親切に、みんなに優しく、誰を傷つけるようなことも自分ではしないように
しないように気を使って、誰かを悲しませるようなことも、自分ではしないように
しないように身を潜めて、息を殺して、言いたいことをなにもかもをも飲み込んで
優しい言葉を吐いてみんなの味方でいるよう振る舞って、大人しく真面目に、生きてきたのに。
どうしてこんなに、生きるのが下手なんだろう。心なんてなんの役にも立たなかった。
こんなの死んでるのと同じかそれ以下じゃないか。
5
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:41:50 ID:.NwHTlaQ0
ねぇ誰か。
いっそ ボクを。
.
6
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:42:57 ID:.NwHTlaQ0
見る者に清潔なイメージを抱かせる、白を基調とした明るく長い廊下。
全て同じカラーリングで、デザインも統一されているいくつかの扉の前を通り過ぎ
ある部屋の前に来た時、その扉横に記された番号を確認して彼は足を止めた。
305号室。ブーンから教えて貰った部屋番号をもう一度見る。
( ´_ゝ`)
5日前、羽生しぃが搬送された病院に兄者は今訪れていた。
―――”あの日”の放課後、意識を失い倒れたまま
今もなお眠り続けているというクラスメイトに会う為だ。
7
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:43:52 ID:.NwHTlaQ0
原因不明の昏睡状態。
ブーンから聞かされた説明によれば
今のところ命に別状は無いようだが、言わば植物状態に近く
あれからもう5日経つにも関わらず、未だに彼女の意識は回復していない。
この扉の先では、あの日最後に見た姿のまま
自分の目の前から、教室からいなくなってしまったつーがいる。
兄者はその扉を見つめ、一瞬迷うような表情を顔に浮かべたが
控えめなノックを2回した後、そっと手すり状のノブに手をかけた。
スライド式の扉は特に力を込めることもなく開き、彼を部屋へと迎え入れる。
8
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:46:02 ID:.NwHTlaQ0
小さめの簡素な病室に1つしか無いベッドを認識するよりも先に
兄者はその部屋に既に先客がいることに気がついた。
|゚ノ ^∀^)「あら!」
一瞬、しぃの身内の誰かかと思ったが違った。
来客用のパイプ椅子に腰かけていた短髪の男性は、こちらを振り返ると
兄者の姿を認識すると同時、その見た目から想像するよりもやや高めの声をあげた。
( ´_ゝ`)「あっ」
(*´_ゝ`)「レモナさん!」
去年まで同じクラスで共に過ごした、親しい先輩の顔を見て
兄者も思わず驚きと喜びの混じった声をあげる。
が、すぐに、病室で大きな声を出してしまったことに慌てて口を閉じた。
|゚ノ ^∀^)「久しぶりね兄者君。元気してた?」
( ´_ゝ`)「うん。まぁ……」
柔らかく笑いかけるレモナに歯切れの悪い返事を返しながら、兄者は改めて
白くたっぷりとした布団をかけられ、そこに眠っているよく知った少女の姿を見た。
9
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:47:28 ID:.NwHTlaQ0
(*- -)
羽生しぃはその細い腕に点滴を繋がれて眠っていた。
安らかな寝顔をしているが、その顔色はあまり良くないように見える。
……しぃの両親や、学校の級友達、渡辺が見たならば
淡いピンクのパジャマを着て静かに目を瞑るその姿は、疑いなく羽生しぃに見えるのだろう。
だが兄者にはその少女が確かにつーに見えたし、どうしてもつーにしか見えなかった。
外の世界の人達からは、誰からもそうは見えなくとも、ただ同じに見えるのだとしても
鏡に映る弟者の顔と自分の顔を、ごく自然に見分けることが出来るのと同じように
そこに確かに彼女を見つけることができたことに、思いがけず安堵のような気持ちを覚える。
しぃちゃんには悪いけど、俺はお前に会いに来たんだぞ。
そう声をかけてやりたい衝動に駆られたが、言葉は出てこなかった。
10
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:49:07 ID:.NwHTlaQ0
( ´_ゝ`)「……」
|゚ノ ^∀^)「……まぁ、座ったら。兄者君」
レモナに促され、もう1つの椅子へと腰かける。
ぼんやりとつーの顔を覗きこんで、部屋をちらりと見渡し
再び視線をレモナの方へ向けた兄者が尋ねるよりも先に、彼女は口を開いた。
|゚ノ ^∀^)「ガナーちゃんからつーちゃんのこと聞いてね。
アタシ、びっくりしちゃって。ブーン先生に連絡とって病院の場所教えてもらったの」
( ´_ゝ`)「……あっ、そっか。ガナーちゃん、うちの高校の1年生だっけ」
ガナーとはレモナの主人格であるモナーの妹のことだ。今年VIP高に入学した。
しぃのことは1年生の間で密かに噂されていたから、それで知ったのだろう。
|゚ノ ^∀^)「そ。それで、モナー君が良いって言ってくれたから、こうして会いに来たのよ」
そう言って、レモナは顔をほころばせた。
11
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:52:00 ID:.NwHTlaQ0
|゚ノ ^∀^)「弟者君や、クラスのみんなは元気?」
自分の目元にかかった髪を、女性らしい仕草で横に撫でつけながら尋ねる。
( ´_ゝ`)「うん。シャキ兄とデレちゃんは、今日はちょっと来れなかったんだけど。
でもみんな、つーのこと心配してるよ」
|゚ノ ^∀^)「そう」
( ´_ゝ`)「ブーン先生は……色々大変みたいだ。
こんなことがあったから、校長からも怒られて」
ブーンが校長から厳しい叱責を受けることとなった相次ぐ問題の中には
しぃのことに加え、先日ツンが何者かに閉じ込められた事件のことも含まれていたのだが
レモナが心配するのでその件については黙っておくことにした。
12
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:53:17 ID:.NwHTlaQ0
( ´_ゝ`)「……」
( ´_ゝ`)「なんでこんなことになったのかなぁ」
傍らで眠るつーの寝顔を眺めながら、兄者はぽつりと呟いた。
( ´_ゝ`)「つー、元気だったのに。
あの日だって……一緒に笑って、馬鹿やって、いつもと同じだったのに」
( ´_ゝ`)「……元気に、見せてただけだったのかなぁ……。ずっと」
|゚ノ ^∀^)「……」
(*- -)
( ´_ゝ`)「……」
( ´_ゝ`)「いや」
( ´_ゝ`)「……本当は俺、ずっと前から分かってた。
つーが無理してること、傷ついてることも全部」
( ´_ゝ`)「いつか……大変な事になるかもしれないってことも
心のどこかで、気づいてた気がする」
13
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:54:24 ID:.NwHTlaQ0
弱音を吐く気など無かった。
だが実際に、こうして眠り続けるつーを前にしたのと
レモナとの久しぶりの再会、懐かしい顔につい気が緩んでしまって
誰に聞かせるつもりも無かった己の胸の内が、兄者の口から零れ出る。
( ´_ゝ)「……なのに、俺……気づかないフリしてたんだ。ずっと」
一度言葉にしてしまうと、ここ数日抱えていたそのわだかまりは
自身が思っていた以上に手に負えないもので、兄者はその重みに耐えかね項垂れた。
その姿はまるで、自分の口をついて出るその言葉にますます打ちのめされていくようだった。
|゚ノ ^∀^)「……」
|゚ノ ^∀^)「……なんだか兄者君、こうなったのは自分のせいだと思ってるみたい」
しょげかえったような目で自分を見る後輩の顔をまっすぐに見つめ、レモナは言った。
14
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:55:15 ID:.NwHTlaQ0
|゚ノ ^∀^)「ブーン先生から5日前のこと聞いたわ。少しだけだけどね」
|゚ノ ^∀^)「兄者君、ずっとつーちゃんの傍にいてあげたんだってね。
ちゃんと、つーちゃんのこと守ろうと頑張ったんじゃない」
( ´_ゝ`)、「……でも結局、なにも……」
|゚ノ ^∀^)「それでもきっと、つーちゃんは嬉しかったと思うわよ」
|゚ノ ^∀^)「悲しくて、何もかも投げ出したくなったとしても、それを止めてくれる人がちゃんといて。
あなたは1人じゃないって気づかせてあげたじゃない」
自信を持って彼女はそう言い、兄者に向けて優しく微笑んでみせた。
|゚ノ ^∀^)「……ブーン先生も言ってたわ。
こんなことになる前に、もっと自分にできることがあったんじゃないか
教師として、カウンセラーとして重大な誤ちを犯してしまったんじゃないかって」
|゚ノ ^∀^)「でもね。こうなってしまった原因は
今はお医者様にも、誰にもわからないんだから」
|゚ノ ^∀^)「……つーちゃんとしぃちゃんは、元々難しい問題を抱えていた。
もし今のこの状態が、その問題に起因しているものだとしても、そうじゃなくても
兄者君が自分を責める必要は無いわ。誰のせいでもないわよ」
( ´_ゝ`)「……」
15
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:56:18 ID:.NwHTlaQ0
一度言葉を区切ると、レモナは短く息を吐くように笑った。
|゚ノ ^∀^)「それにね。
大体兄者君、見て見ぬフリなんてできる程器用じゃないでしょ」
( ´_ゝ`)「え」
|゚ノ ^∀^)「いつだってそうだったじゃないの。
アタシがよく、オカマだとか気持ち悪いって言われて
同じクラスの男の子達にいじめられてた時だって」
|゚ノ ^∀^)「見かけたらすぐ駆けつけて、アタシのこと助けてくれた。
自分より体の大きい、年上の3年生にだって殴りかかっていったじゃない」
かっこよかったわよ、と付け加え、大人っぽいウィンクをしてみせる。
|゚ノ ^∀^)「今だってそうよ。ちゃんと現実をまっすぐに見て、どうしたらいいか悩んで
逃げ道よりも先に自分にできることを探してる。つーちゃんのことを想ってる」
( ´_ゝ`)「……」
16
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:57:16 ID:.NwHTlaQ0
|゚ノ ^∀^)「貴方は、到底敵わないと思える相手にだって立ち向かう勇気を持っている。
本当に逃げ出してしまわない限り、きっとなにか自分にできることが見つかる筈よ」
|゚ノ ^ー^)「君なら大丈夫」
その声には、嘘や疑いの色など何処にも無く
彼女の心の真に温かい部分が溶け出して、自然と勇気を与えてくれるような響きがあった。
( ´_ゝ`)「……レモナさん」
|゚ノ ^∀^)「ね!だからほら、そんな泣きそうな顔しないの。
お見舞いに来たのに、そんなんじゃ逆につーちゃんに心配されちゃうわよ」
そう言って、レモナはそっと兄者の肩を叩いた。
|゚ノ ^∀^)ノ「わかった?」ポン
( ´_ゝ`)、「……」
( ´∀`)ノシ「モヌァ!!」バシィ‼
Σ(;´_ゝ`)「どわぁ!?」
次いで彼の肩を襲った、先程の肩ポンとは比べものにならない衝撃に
突き飛ばされる形となった兄者は椅子から転げ落ちた。
17
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 21:58:56 ID:.NwHTlaQ0
( ´∀`)「モナモナ。先輩からの愛ある一喝モナ〜」
涙目で痛む肩を抑え振り向くと、そこにはレモナと人格交代し
明朗にモナモナ笑うモナーがいた。
(;´_ゝ`)「モナーせんぱ……」
|゚ノ;^∀^)「やだちょっとモナー君たら!
今の流れじゃアタシが怪力ゴリラ女みたいに思われちゃうじゃなぁい!」
|゚ノ ^∀^)
|゚ノ*^∀^)「もぉ!ちょっとそれどういう意味〜!盗み聴きはよくないゾッ☆」
(;´_ゝ`)「……」
頬を染め1人体をくねらせて、心の中での会話に忙しいらしい彼女を前に
椅子から転がり落ちた体勢のまま、兄者はその光景をなんとも言えない表情で眺めていた。
18
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:00:47 ID:.NwHTlaQ0
(;゚Д゚)「おい、どういうことだよ!」
本校一階、職員室からは見えない曲がり角の先に位置しているとある教室。
教育実習生であるモララーにあてがわれ、実質大規模な1人部屋となっているこの場所で
ギコは切羽詰まった声で目の前の相手に詰め寄っていた。
( ・∀・)「……」
対して、何か考えこむように此処ではないどこかを見つめ
机に寄りかかりながらじっと押し黙っているのはモララーだ。
生徒が一人入院する事態になったことが問題となり
一時は彼の教育実習を中止する案も出た。
だが、こんな時だからこそクラスの力になりたいというモララー自身の申し出により
引き続き教育実習生としてVIP校に留まることになったのだった。
19
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:02:46 ID:.NwHTlaQ0
(;゚Д゚)「話が違うぞゴルァ!
こんなことになるなんて、あんた、言わなかったじゃないか!」
( ・∀・)「……静かにしなよ。先生方に聞こえたらどうする?」
(;゚Д゚)「……っ!」
( ・∀・)「もう少し慎重になるんだね。ギコ君」
唇に当てた人差し指を離し、モララーは視線だけでギコを見た。
( ・∀・)「僕がここを追い出されたりしたら、君の望みを叶えてやることもできなくなる。
わかってるだろ?」
(;゚Д゚)「……で、でもっ……」
ギコは言葉を詰まらせた。
20
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:03:54 ID:.NwHTlaQ0
(;゚Д゚)「でもこんなの、話が違う!
……あんた俺に……」
(;゚Д゚)「―――羽生しぃは消えて、マインドBの、“つー”だけが
“ほんものの人間”になるって言ったじゃねぇか!」
(;゚Д゚)「だから俺はあんたに協力したんだぞ!
主人格を消して、マインドBだけを残すことができるって言うから!」
(;゚Д゚)「なのに……あいつはもう5日も眠ったままだって言うじゃねーか。
一体どうなってんだよ!?」
( -∀-)「……うーん」
落ち着きない様子で、声を裏返すギコとは対照的に
モララーはまるで緊迫感を感じさせない様子で
目を瞑り、顎に軽く手を添えて何事か思案しているようだった。
21
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:04:13 ID:kFZI7l2E0
もうほんとモララー殺人未遂で逮捕しようよ
22
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:04:39 ID:.NwHTlaQ0
( ・∀・)「ちょっとした手違いだよ」
(;゚Д゚)「はぁ?」
ギコは思わず間の抜けた声をあげてしまった。
(;゚Д゚)「な、手違いって……」
( ・∀・)「あの子……”つー”は
主人格を制して1人の人間になれる心の強さと、力を持っていると思っていた。
マインドBが主人格より優れていることを示すに相応しい、それだけの力をね」
( ・∀・)「だから僕は彼女に強い意志を与え、さらに
主人格との関係に決定的な亀裂を生じさせた」
( ・∀・)「2人の相反する人間の感情は激しくぶつかりあい
衝突の後には”つー”だけが残る筈だったんだ」
だけど、とモララーは続ける。
( -∀-)「どうやら、彼女は僕の見込んだ器を持ち合わせてはいなかったらしい。
残念だよ、とても」
(;゚Д゚)「……?」
23
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:06:42 ID:.NwHTlaQ0
ギコにはモララーの言っていることがどういうことなのか、半分も理解できなかった。
思いついたように急に喋り出したかと思えば、それ以上の説明をする気は無いようで
ぱたりと言葉を切り軽く目を閉じたままのモララーに不安げに尋ねる。
(;゚Д゚)「……羽生しぃは、目を覚ますのか?つーは?どうなるんだ?」
( ・∀・)「どうだろうね。それは僕にも分からないな」
( ・∀・)「もう少し時間が経てば、元の状態のまま起きるかもしれないし。
しぃかつーか、どちらか1人になって起きる可能性もある」
( ・∀・)「それから……このまま目覚めない可能性もね」
(;゚Д゚)「そんな!」
ギコは信じられない思いでモララーを見た。
自分がこの男に手を貸したせいで、人が一人、一生目を覚まさないかもしれない?
こんな事態になってしまっているというのに、本人は呆れるほど冷静な物言いで
まるで自分がしたことにも、その結果生じた間違いに対しても何も感じていないようだった。
24
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:09:02 ID:.NwHTlaQ0
(,,゚Д゚)「……おい……まさか」
不信感を露わにし、目の前の男を睨みつける。
(,,゚Д゚)「あの、津田ツンが体育館に閉じ込められたとかいう騒ぎ。
あれも、あんたが仕組んだんじゃねーだろうな!?」
( ・∀・)「まさか」
ギコの怒りを躱すように、モララーはひらひらと手を振った。
( ・∀・)「あれは僕にも予期せぬ出来事だったよ。
何処の誰の悪戯かは知らないけどね、僕は関係無い」
(,,゚Д゚)「本当か……?」
( ・∀・)「だって、あの子は幼すぎるもの。
最初から計画には入れていなかったんだ」
(,,゚Д゚)「なに?」
( ・∀・)「津田デレ。あの子は頭の良い子だけれど、あどけない少女にすぎない。
あの子には主人格を制する力も、それを上回る強い意志も持てはしないだろう」
25
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:13:41 ID:.NwHTlaQ0
( ・∀・)「弱い者は新人類にはなれない。
残念だけど、”つー”もまた、その資格を得るに至る人材では無かった」
( ・∀・)「それだけのことだよ」
(;゚Д゚)「……!」
―――期待に叶わなければ切り捨てるだけ。
この男は、人を手駒か何かのようにしか見ていない。
まるで盤上のゲームを進めているかのような人間味を感じさせない言葉に
自分が手を貸した男の得体知れなさを垣間見た気がして、ギコは思わず一歩下がった。
彼の中で眠っていた危機感が、この男は危険だと再び警報を鳴らす。
まるで、半分微睡んでいた浅い夢からたった今醒めたかのような感覚だった。
26
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:14:51 ID:.NwHTlaQ0
(#゚Д゚)「と……とにかく!俺はこんな、酷いことをする為に
あんたに力を貸したわけじゃねーからな!」
( ・∀・)「……酷いこと?」
自分を批難するギコをさもつまらなそうに見やり、声を落としてモララーは言った。
( ・∀・)「なぁんだ。君まで今更、そんなキレイゴトを言うのかい?」
その瞳の奥から覗く、ゾッとするような冷やかさと視線がかち合って
瞬時にギコの背筋を嫌な感覚が走った。
嫌悪感や侮蔑の感情とはまた違う、それらを越えた黒い恐怖が喉元にせりあがってくる。
( ・∀・)「羽生しぃを僕の元へと導いたのは君なんだよ」
(;゚Д゚)「……」
ギコは目を逸らすことができなかった。
27
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:17:52 ID:.NwHTlaQ0
( ・∀・)「しぃ君を僕に差し出すことは
実質、彼女の存在を消すことだと君は知っていた……。
そして、そう願ってもいた筈だ。君がタカラ君を厭わしく思っていたように」
( ・∀・)「主人格を消滅させ、マインドBだけが生き残ればいいと、利己欲に走ったように」
( ・∀・)「それでも君は、さも自分が被害者であるかのような顔をして
僕にそんな台詞を吐くことができるのかい?」
(;゚Д゚)「……ッ」
苦痛に堪えかねてギコは顔を歪めた。
(;゚Д゚)「……俺は」
言い返すことも出来ず、力無くかぶりを振る。
(; Д)「俺は、ただ……!
……認めて、もらいたかっただけ、なんだ……」
(; Д)「お……俺も、人間、だって……!!」
( ・∀・)
28
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:20:48 ID:.NwHTlaQ0
食い縛った歯から零れ落ちる、少年の叫び。
誰にも気づかれない一瞬、ほんの一瞬
モララーは打ちひしがれたその姿を見ながら
意外なことに、感傷ともとれる不可解な表情を浮かべたように見えた。
( ・∀・)「―――まぁいいや」
が、次の瞬間には再びあの笑顔を貼りつけその表情を掻き消した。
尚も俯き、小さな声で呟くギコから興味を失った様子で視線を逸らす。
( ・∀・)「君は優しいから、元々こういうことには向いていなかったんだろう」
(; Д)「……」
29
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:21:51 ID:.NwHTlaQ0
( ・∀・)「本当は、残りの生徒も潰してもらおうと思っていたんだけどね」
その言葉とは裏腹に、落胆や失望の色を滲ませず
何気ない声でそう言ってモララーは目を細めた。
(;゚Д゚)「……!俺はもうあんたに協力しねーぞ!」
僅かに震えながらも、自らに拒絶を示すギコ。
そんな彼に向け、モララーはにっこりと不敵な笑みを浮かべた。
( ・∀・)「ああ、良いんだよギコ君」
( ・∀・)「君が嫌だと言うのなら、それはそれで良いんだ」
(;゚Д゚)「……?」
( ・∀・)「だって」
30
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:22:43 ID:.NwHTlaQ0
(`・ω・´)「話ってなんだ?兄者」
( ´_ゝ`)「うん。ちょっと聞いてほしいことがあって」
つーの入院している病院へ見舞いに行った翌日。
兄者は3年生の教室へと赴きシャキンを廊下に呼び出していた。
( ´_ゝ`)「ちょっとしたことなんだけど。いいか?」
(`・ω・´)「ああ」
シャキンはここ数日、つーが倒れ原因不明の昏睡状態に陥ってからというもの
教室でも口数少なく、落ち込んでいる様子の兄者のことを心配していた。
その兄者が心に何か決めた様子で、こうして自分に相談を持ちかけてきたことに
少なからずその内容を察し、眉宇を引き締め頷く。
( ´_ゝ`)「つーが倒れた時のことで気になることがあるんだ」
(`・ω・´)「……」
31
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:23:47 ID:.NwHTlaQ0
( ´_ゝ`)「あの日、しぃちゃんは俺らから離れた後
何故かモララー先生の教室で倒れてた。
そのことについてなんだけど……」
兄者がシャキンに聞きたかったこと。
それは一度は関係無いと突っぱねた、小さな疑問だった。
しぃがモララーの教室で倒れていたことは、果たして本当に偶然なのだろうか。
偶然だと言ってしまえば単にそれだけのことで
実際はその確立の方がずっと高いようにも思える。
だが、一度心に引っ掛かかったそれは
日が経つにつれ自らの心に何度も訴えかけてきて
兄者の中で既に無視できないまでに膨らんでいた。
それだけでは無論、モララーが、しぃが倒れた原因に繋がっているとまでは言えない。
だが、そうでは無くても何か知っていることがあるのではないか
もしあの日のことで知っていることがあるとすれば、何故黙っているのか
それを本人に確かめる前に、まずは信頼できる誰かの意見を聞きたかった。
32
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:25:31 ID:.NwHTlaQ0
モララーのことは良い人だと思っている。
まだ知り合って日は浅いが、教師の卵として優秀なだけで無く
優しく、親切心と思いやりあるその姿勢に、人として好感を持っていた。
なので兄者自身、些細なことに無闇に突っかかるような形で
今回の件とは全く関係が無いかもしれない彼の名前を出したくは無かったのだ。
だが、何か重大な、隠されたヒントのようなものを見過ごしている気がしてならない。
慎重な弟者がわざわざそれを口に出したことが、兄者にとって一番気に掛かっていた。
弟者はそれ以上そのことについて話してはこない。
きっと彼も自分と同じく自信など無くて、何かを掴まない限りこのまま口を噤むつもりなのだろう。
ならば兄である自分が行動し、確かめようと思ったのだ。
とはいえ今の時点で、自分が感じている何かを人に上手く説明できる自信は無いし
つーのことで気が動転して、疑心暗鬼に陥っていると思われるのは嫌だった。
それに、モララーのことを信頼し しぃのことで奔走しているブーンやロマネスクに
悪戯に懸念材料を増やすだけの不用意な話を持ち出すことは憚られる。
33
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:26:26 ID:.NwHTlaQ0
そこで”あの日”その場にいた人間であり、同じクラスの仲間であり
こうして相談できる相手はシャキンだけだったのだ。
例え自分が間違っていたとしても、何が正しいのか分からない今の状況で
心強い味方になってくれると信じることが出来るのは彼だけだった。
シャキンなら真剣に話を聞いてくれる。
兄者は自分の気になること、思っていることを短くまとめて話した。
先日のレモナの言葉が背中を押してはくれたものの
何と戦えば良いのかも分からないまま迷わず行動できるほどの自信は無くて
今はただ、頼りになる誰かに意見を聞いてほしかった。
34
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:26:33 ID:WeU9FAk60
ヒャッハー!!新鮮なマインドBだぁ!
しえん!
35
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:27:34 ID:.NwHTlaQ0
( ´_ゝ`)「……ってことなんだけど」
言葉を切り、シャキンの反応を伺う。
( ´_ゝ`)「シャキ兄はどう思う?偶然だと思うか?」
(`・ω・´)「……」
シャキンはしばらく口を開かなかった。
探るように、兄者の顔をじっと見返す。
(`・ω・´)「……なに?
しぃ君は、モララー先生の教室で倒れていたのか?」
―――だが、その次の言葉は
何であれ彼なりの答えを返してくれると期待していた兄者には予想外のものだった。
36
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:29:50 ID:.NwHTlaQ0
( ´_ゝ`)「え?」
(`・ω・´)「それは知らなかったな。本館で倒れたとは聞いていたが……」
(;´_ゝ`)「いや、ちょ……え?」
兄者は戸惑った。
シャキンは普段通り真面目な顔をしていて、とぼけているようには見えない。
(`・ω・´)「?」
(;´_ゝ`)「いや、シャキ兄も見ただろ?あの教室で、しぃちゃんが倒れてるとこ……。
ブーン先生の後から教室に入って来たじゃん」
(`・ω・´)「なんだって?」
今度はシャキンが訝るような表情を浮かべた。
(`・ω・´)「僕はしぃ君が倒れた現場は見ていないぞ。話で聞いただけだ」
(;´_ゝ`)「っな」
(;´_ゝ`)「何言ってんだよ!?ブーン先生と一緒にいただろ?あの日の放課後だよ」
(;`・ω・´)「放課後?先生と一緒に?……なんの話だ?」
(;´_ゝ`)「……!?」
37
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:32:01 ID:.NwHTlaQ0
シャキンは本当に何のことか分からないようだった。困惑した顔で兄者を見る。
冗談や演技をしている風には見えないし、第一今この場において
そんなふざけた真似をするような不謹慎な男で無いことは確かだった。
(;´_ゝ`)「覚えてないの?」
答えはなかった。
気が急いてつい大声を出してしまったが、兄者にもわけがわからなかった。
どうすればいいか分からず、黙ったままお互い顔を見合わせる。
知らないって、どういうことだ?
兄者は、まるで自分の方がおかしな話をしているような
麻痺したような不思議な感覚に襲われて、脳内で辿られていく記憶を呆然と眺めていた。
確かにあの日、自分達と共に彼はその場に居合わせた筈なのに。
つーが倒れ、皆が慌て、彼女が騒々しく救急車で運ばれていくのを、傍らで……
………。
あれ?
38
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:33:26 ID:.NwHTlaQ0
(;´_ゝ`)
自分はあの時つーを見ていた。駆けつけてきた先生も、渡辺も皆。
つーが倒れたことで気が動転して、正直上手く頭が回らなかった。
だから。気のせいか、見間違いだと思ったのだ。
混乱した頭が、咄嗟に記憶から何かを取り違えた錯覚だと。.
有り得ないことだったから、今まで思い返すことすら無かった。
39
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:34:18 ID:.NwHTlaQ0
(`・ω・´)「僕は知らないよ。兄者」
(;´_ゝ`)「……」
―――だが。
意識を失い倒れた彼女を囲み
皆が狼狽え騒然となっていたあの場で。
その後ろに立っていたシャキンは
(`・ω・´)「だって、あそこにいたのは」
40
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:35:23 ID:.NwHTlaQ0
(´^ω^`)「―――――”ボク”なんだから」
(;´_ゝ`)「………は?」
ほんの一瞬、笑みを浮かべていた、ように見えたのだ。
41
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:36:21 ID:.NwHTlaQ0
( ・∀・)「僕に協力してくれるお友達は、まだいるんだよね」
.
42
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:37:23 ID:.NwHTlaQ0
.
43
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:38:51 ID:.NwHTlaQ0
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;;:;:;;:;:;:;;:;:;;:;::;::::;:;::;::;::;:;:;::::::::::::::::::::::::::::::::::.::.:.::......:.. .....:.:.
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:;:;;:;:;;:;;:;:;:;:;;:;::;:::;::;:;:;::;:;::;:::::::::::::::::::.::.::.:.:.::.:.:.:..... .. ...:.:......::.:.:.:.:.:
:::.:::.:.:.::.:.::.::.:.::.:.:.:.::.:::.:.:.::.::.::.:.:.::.:.::.:.:.:.::.::.::.::.::.::.:.::.::.::.:.::.::.::.:.::.:.::.:.:.::.:.::.:.:
..:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:
..:.:.. .. . ...:.:.:..:... ..:.:.:... . . .. .:.:.:.:.... ....:.:.:.. ..:.::..:... ....:..
... ... ...:.:. . ... ....:.:.:.:.::..
( ^ω^)「協力してくれてありがとうシャキン。
気をつけて帰るんだお。また明日ね」
(`・ω・´)「はい、また明日!」
面談の為向かい合わせに置かれた席を立ち、ブーンに別れの挨拶をする。
教室の扉を開け、そこに待っていたフィレンクトにも一礼を済ませ
既に下校時刻を過ぎて人のいない廊下を彼は歩き出した。
44
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:39:46 ID:.NwHTlaQ0
「……あ、お待たせしましたおフィレンクト先生。
ご用件はなんでしたかお?」
「はい、ブーン先生に是非相談したいという方から先ほど電話がありまして。
間もなく学校に……」
後ろで、2人の声が遠ざかっていく。誰もいない廊下はひっそりと彼を見張っていた。
階段が見えてきた辺りで、それまで力強く歩んでいた手と足の動きが失速し
やがて彼は立ち止まった。首も動かさず、目の前の薄い空気に向かって口を開く。
45
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:41:07 ID:.NwHTlaQ0
(´・ω・`)「……ボクは」
(´・ω・`)「知ってるんですよ。先生」
誰かに聞かせる用では無い、ぼそぼそとした小さな声だったが
その言葉には、自分だけが特別の秘密を知っている時のような
疑いようの無い自信がはっきりと含まれていた。
(´・ω・`)「先生ならボクたちを」
.
46
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:42:07 ID:.NwHTlaQ0
”無かったこと“にできるんでしょ?
.
47
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 22:47:13 ID:.NwHTlaQ0
19話投下以上です。ありがとうございました!
4話でショボンの一人称を「僕」にしたのはミスです。脳内変換しといてください
おまけ
( ´∀`)|゚ノ ^∀^)
http://boonpict.run.buttobi.net/up/log/boonpic2_1831.png
回想以外で出す予定無かったけど、ちょっとだけ反応が良かったので再登場のレモナさん。
現在短大生で、幼稚園の先生目指して勉強中
48
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 23:14:55 ID:p9IB1/ys0
乙!
ついにショボンが出てきたな
49
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 23:21:44 ID:taw2GtoE0
乙つー
50
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 23:34:31 ID:ISr/GPN60
いつからショボンはシャキンのフリをしてたんだ・・・!?
おつ!モナー思ったよりムッキムキでわろたなんでレモナが生まれたんだろうな
51
:
名も無きAAのようです
:2015/10/18(日) 23:45:50 ID:7h76M3mc0
ショボンはほんとゲス役似合うなぁ……
52
:
名も無きAAのようです
:2015/10/19(月) 05:56:20 ID:d8hCoOHg0
あれ?モナーかわいい?
53
:
名も無きAAのようです
:2015/10/19(月) 22:07:50 ID:DnC7LqZk0
次のターゲットは兄者か?
うおお続き気になる乙!
54
:
名も無きAAのようです
:2015/10/19(月) 22:09:31 ID:1eJIq6ZY0
一話見てみたら面白かった、応援してます
55
:
名も無きAAのようです
:2015/10/21(水) 20:57:48 ID:92nPEgrI0
きてたのか乙!
ショボン登場に凄いゾクッした
56
:
名も無きAAのようです
:2015/10/24(土) 16:11:57 ID:1eIlNSJg0
このショボン様さ!とか言わなくてよかったわw
57
:
名も無きAAのようです
:2015/10/28(水) 00:40:00 ID:5wlscVxk0
乙です
58
:
名も無きAAのようです
:2015/10/30(金) 19:44:06 ID:dJSlDGcwO
ショボンについてはそんな気がしてたけど
シャキンはこれどっちなんだろう
59
:
名も無きAAのようです
:2015/11/13(金) 12:29:39 ID:8KNJICGs0
>>56
言ってたら台無しだわwwww
60
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:04:32 ID:4uKayUrE0
Σ(´゚'ω'゚`)「ぅひィッ!!」ビクゥ‼
Σ(;´_ゝ`)「ひぃ!?」
突如、目の前のシャキンが物凄い顔になって
今まで聞いたことが無いような奇声をあげた。
( l v l)ノ「おっ、シャキン!また明日なー」
今しがた3-Cの教室から出てきた、シャキンのクラスメイト。
彼が何気なくこちらに手を振り、声をかけてきた瞬間だった。
大袈裟な動作で勢いよく両肩が跳ねあがり、その顔は電でも直撃したかのように引き攣って
普段の彼の固く引き締まった表情と、美男子ぶりは一瞬にして地に堕とされたのだった。
ぎょっとして後退りする兄者と、その物凄い形相のまま小刻みに痙攣し始めるシャキン。
61
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:05:25 ID:4uKayUrE0
:(´゚'ω'゚`):
(´゚ω゚`)
(`・ω・´)
―――が。それは実際には一瞬
声をかけられてからほんの2、3秒くらいの短い時間だった。
原型を無くしていた顔が、まるで、丸めた紙を元の状態に戻すかのように引き伸ばされる。
至近距離でそれを見る兄者には、その不気味な光景がスローモーションのように映った。
(`・ω・´)
(`^ω^´) ニコォ
Σ(;゚_ゝ゚)「!?」ゾワワッ
全身の肌が粟立つのを感じ、反射的にさらに距離を取る兄者。
不意に体ごと視線を逸らすと、級友に向けてシャキンは陽気に手を振った。
62
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:06:11 ID:4uKayUrE0
(`^ω^´)ノ「ああ、またな!明日は遅刻するんじゃないぞ、宗男!」
( l v l)ノ「わかってるってーwwww」
(;゚_ゝ゚)(……な)
(;゚_ゝ゚)(なにこれ怖い!!!)
僅か数秒の間に目の前で起きた怪現象を、彼は忘れはしないだろう。
63
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:07:01 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「………あの」
(`^ω^´)「うん?」
腰に手をあて、下校するクラスメイト達の後姿をにこやかに見送るシャキンに
寒気だった感覚から幾分解放された兄者は恐る恐る声を掛けた。
(;´_ゝ`)「シャキ兄、今日……どっか具合悪いの?」
(`^ω^´)「え?いいや?絶好調だよ」
(;´_ゝ`)「む、無理しなくていいって。ごめん気づかなくて。
風邪かなんかなら、俺、今日は出直すからさ。
シャキ兄も……か、帰って休んだら」
(`^ω^´)「やだなぁ、風邪なんてひいてないよ」
(;´_ゝ`)「じゃあどっかに頭ぶつけ―――」
(`^ω^´)「だって、すごく気分が良いんだもん!
シャキンの間はね、ほんと、最高の気分だよ」
(;´_ゝ`)「へ?」
64
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:08:03 ID:4uKayUrE0
(`^ω^´)「ねぇ、今の見た?シャキンには友達が沢山いるんだよ。
クラスのみんなから慕われているんだ。みんな頼りにしてくれる」
(;´_ゝ`)「え……、は?」
(`^ω^´)「……あれ。まだ理解できない?
悲しいな、同じ特別クラスに通う仲だっていうのに……」
そう言うと、それまでのわざとらしい笑顔と態度を不意に消して
急に、自信を失ったように彼の眉尻が下がった。寂しげな溜め息が漏れる。
(´・ω・`)「まぁ、仕方ないけど。ボクのことなんて、誰も気づく訳ないよね」
(;´_ゝ`)「……?」
その表情や聞き取りづらい喋り方、そして、どこか存在が薄くなったような雰囲気。
それはまるで、いつも堂々とした態度でエネルギーに満ち溢れたシャキンとは正反対で
普段親しく接している彼とは、まるで別人のように見えた。
そう、まるで別の人間のよう―――
兄者はハッとして目の前の人物を見た。
65
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:09:06 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「あ!えっ、も……もしかして」
(´・ω・`)
(;´_ゝ`)σ「もしかして……ショ」
同級生A「あ、シャキン!また明日なー!」
同級生B「シャキン君、バイバーイ」
Σ(´゚'ω'゚`)「ぅぎぃッ!!」ビグゥ‼
Σ(;゚_ゝ゚)「うあああ!!」
(´゚'ω'゚`)
(`・ω・´)
(`^ω^´)ノ「ああ、また明日!学校で会おう!」
(;゚_ゝ゚)
(;゚_ゝ゚)(この人なんなのお!!?)
(`^ω^´)ノシ「さよならー」
66
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:11:07 ID:vWscmJsw0
ギャグや
67
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:11:36 ID:4uKayUrE0
(`^ω^´)「……兄者君」
(;゚_ゝ゚)「はいっ?」
シャキン―――否、ショボンがゆっくりと振り返る。
笑顔が怖い。名指しされた兄者はびくりと肩を跳ねさせた。
(`^ω^´)「あのさ……場所を移して話さない?」
(;゚_ゝ゚)「へ?」
(`^ω^´)「だって、ここ……ちょっと、ね?」
ね?と言われても、何が言いたいのか分からない。
(;´_ゝ`)「?」
(|li`^ω^´)「……だから、ほら……こ、ここはちょっと、人……
人の出入りが……ほらっ、おお多いからさぁ……!」
68
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:13:02 ID:4uKayUrE0
急な相談を持ちかけられ、改めて相手の表情を伺ってみれば
笑顔とは裏腹に、その顔色は薄ら青褪めかけていることに兄者は気がついた。
目は落ち着きなくギョロギョロと左右を行き来し、顔面の筋肉がピクピクと引き攣っている。
視線を下に向ければ、足も僅かに震えているではないか。
その様子を見て―――シャキンの基本人格、ショボンは
極度の対人恐怖症だという話を思い出す。
兄者にはよく分からなかったが、「対人恐怖症」というからには
やはり人と話したり、人が沢山いる場所は苦手なのだろう。
だが、その割にはつい今しがた
あっけにとられる自分に対して機嫌良くペラペラと喋っていたように見えたが。
今だって、目の前で友達に明るく挨拶していたじゃないか。一瞬物凄い顔になるけど。
69
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:13:52 ID:4uKayUrE0
:(|li´゚'ω^`): ピクッピクッ
(;´_ゝ`)「……」
また顔が引き攣ってきた。―――そうだ、無理をしすぎたのかもしれない。
目の前のショボンは明らかに様子がおかしいし、本当に気分が悪そうだ。
兄者には現時点で分からないことが多すぎた。どうすればいいのかも分からない。
誰か、いや、ブーン先生を呼んだ方が良いんじゃないだろうか。
(;´_ゝ`)「や……やっぱり具合、悪いんすか?だったら、ブーン先生のとこ行ったほうが」
(|li´・ω・`)「先生には会いたくないよ。君と、話がしたいんだ」
青い顔をしたショボンは、決して兄者と目を合わせようとはせず
不安気に視線を彷徨わせながらボソボソと早口でそう言った。
(;´_ゝ`)「……」
70
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:15:20 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「……大丈夫すか?」
ショボンに言われるがまま、人通りの少ない目立たぬ場所をと考えて
とりあえず別館にある薄暗い地下へと移動してきた。
文芸部等、あまり表立たないクラブの部室がおざなりに詰め込まれている場所だ。
それでも時々人は通るだろうが、1から3年生までの教室がある校舎内よりはマシだろう。
此処まで連れだって歩いている間も、始終オドオドと忙しなく視線を巡らせ
他の生徒とすれ違う度隣で小さな悲鳴をあげて肩をビクつかせるショボンの姿は
シャキンである彼しか知らない兄者にとっては違和感が凄まじく、なんとも複雑な心境だった。
その怯えようは傍から見ていて気の毒になる程で
やはり、対人恐怖症という話は本当なのだと認めざるを得ない。
(|li´^ω^`)「……うん、ここなら良いね」
病人のように青い顔をして落ち着きない様子のショボンだったが
人のいない静かな場所に来て、ようやく彼にも心の平穏が訪れたようだ。
黴臭さの混じった埃っぽい空気を吸って、気分が落ち込むと同時に頭が冷静になってくる。
兄者は改めて、目の前で安堵の表情を浮かべる男を注意深く眺めた。
71
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:16:29 ID:4uKayUrE0
八又ショボン。
病的なまでに外界との接触を拒絶し、実生活のほとんどをシャキンに任せ
普段はその意識奥にて頑なに沈黙を貫いている存在。
シャキンとは、この学校に入学してからずっと特別教室での2時間を共に過ごしてきたが
彼の主人格であるショボンとは、これまでの2年間一度だって顔を合わしたことすら無かった。
文字通り掴みどころの無い霞か空気のような存在で
シャキンに別人格がいることさえ時々忘れそうになるくらいだ。
シャキンの口から時々、他愛ない会話のついでに彼の話を聞くことはあった。
だがそれはいつも、人見知りで内気な弟を庇うような、どこか保護者じみた情を感じる
エピソードでしかなく、まさかその弟が、あんな奇妙な振る舞いをする人物だなどという
事実は一言も教えてはくれなかった。
加えて、対人恐怖症という言葉から抱いた消極的なイメージから
兄者が今までぼんやりと思い浮かべていた人物像と、目の前のショボンは違った。
72
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:17:19 ID:4uKayUrE0
なんというか、おかしい。いや、さっきから色んな意味でおかしいけど。
向こうから歩いてくる誰かにもいちいち肩をビクつかせるような人物が
急にシャキンのようになって、明るく他人と会話できるとは思えない。
少なくとも兄者には、先程教室前での一連の流れの中で
ショボンが素早くシャキンと人格交代しているようには見えなかった。
さらに気になるのは、何気ない様子でその口から発せられた意味深なワードの数々だ。
正直言って、今のところショボンに抱く感情はシャキンに対するそれとは正反対で
さっきから危機感にも似た嫌な感覚と共に若干の恐怖心さえ抱いていたが
その薄気味悪さはさて置いて、聞きたいことは山程あった。
73
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:19:15 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「……えっと……ショボン先輩?」
顔色は大分良くなったものの今尚不自然に視線を彷徨わせ
挙動不審気味のショボンに、意を決し尋ねてみる。
(´・ω・`)「え?」
(;´_ゝ`)「さっき言ってたの……どういう意味ですか。
『シャキンの間は』って」
(´・ω・`)「ああ!そうそう、その話を君にしたかったんだ」
よくぞ聞いてくれました。
そう言わんばかりに頷いて、ショボンは再び満面の笑みを浮かべた。
(´^ω^`)「その言葉はね、そのままの意味」
(´^ω^`)「シャキン兄さんに”なってる”間は、最高って意味だよ」
(;´_ゝ`)「?」
74
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:20:08 ID:4uKayUrE0
(´^ω^`)「ボクはねぇ、時々シャキン兄さんになるんだ。みんな気づかない。すごく楽しいよ」
(´^ω^`)「シャキンでいる間は、何も怖くない。ほら、こうして人とお喋りだって出来る」
言葉の意味が分からずに疑問符を浮かべる兄者の前で
ショボンは得意気にそう言い放ち、愉快で堪らないという顔をした。
(´^ω^`)「言ったでしょ?『あの時あそこにいたのは、ボクなんだから』って。
みんな、あの日、あそこにいたのはシャキン兄さんだと思ってた。君もそう。
でも、ほんとはボクだったんだよ」
(;´_ゝ`)「……!?」
(;´_ゝ`)「シャキ兄のフリ、してたってこと?」
(´^ω^`)「そうだよ。驚いた?」
75
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:20:46 ID:VvW.hpA60
待ってたあああ!支援
76
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:20:49 ID:4uKayUrE0
悪びれる風でも無く、ふざけた態度を全面に押し出しながらケロリとそう言ってのけるショボン。
―――――有り得ない。
兄者は咄嗟にそう思った。
(´^ω^`)「兄者君も得意なんだよね?弟者君のフリするの!
完璧に真似てて、すっかり騙されちゃうって兄さんが言ってたよ」
(;´_ゝ`)
確かに、確かに自分もほんの悪戯心で時々、弟者のフリをすることはある。
家族は妹者以外なら大抵の場合気づかないし、友達にだって見破られない自信があった。
だが、そんなちょっとした悪戯と、これとは話が違う。全然違う。
77
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:21:43 ID:4uKayUrE0
だって―――シャキン、いやショボンか。はあの時、ブーンと一緒にいた。
つーが倒れた現場に2人で駆けつけ、それ以前の時間はずっと相談室で話をしていたと聞く。
丁度、自分がつーと話をしていた時間。渡辺と合流し、つーが倒れるまでの時間。
だが、シャキンは”あの日”のことは知らないと言った。
放課後ブーンと会っていたことも、つーのことも全部。
とても嘘を吐いているようには見えなかった。
つまり、先程3年生の教室から呼び出したシャキンが、兄者のよく知るシャキン本人で
そして、「知らない」「覚えていない」と言った彼の言葉が真実だとすれば
”シャキンに成りすましたショボン”は、少なくとも1時間以上
ブーン、そしてロマネスクと一緒に居たことになる。
78
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:23:02 ID:4uKayUrE0
ブーンとロマネスクは教師であり、マインドB専属カウンセラーの資格を持ち
同時に、自身が発症者でもある。真の意味でマインドBに関してプロの人間なのだ。
普段からクラスの生徒一人一人のことを心から大事に思い、誰より理解してくれている。
そんな2人を相手にして、最後までその正体に気づかれず演技で騙し通すなんてことが
ボロを出さずに他人になりきるなんてことが、果たして出来るのだろうか?
(;´_ゝ`)(出来るわけない)
物真似が上手いとか、相手の特徴をよく知っているだとか、そんな単純な話では無いのだ。
現に、さっきのような様子なら誰だっておかしいと気がつく。
ブーンとロマネスクの最強コンビが、それを見破れない筈が無かった。
ただの”フリ”なんかじゃ有り得ない。
第一、そんなことをする目的は何なんだ?
79
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:25:35 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「……なんで」
(´・ω・`)「ん?」
(;´_ゝ`)「なんでそんなこと」
(´・ω・`)「言ったじゃない。最高の気分になれるからだよ」
(;´_ゝ`)「……」
(´・ω・`)「ボクは自分が大嫌い」
唐突にショボンは言った。
(´・ω・`)「シャキン兄さんは皆に好かれていて、友達も沢山いて
勉強も、スポーツも、なんでも出来る。誰からも頼りにされる」
(´^ω^`)「自分じゃない、そんな人間でいるのって、最高の気分だよ。
だから、『自分は馬鹿なショボンなんかじゃなくて、シャキンなんだ』って
自分に言い聞かせるのさ」
80
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:26:34 ID:4uKayUrE0
当たり前だとでも言わんばかりに、平然とそう言ってのける。
そうして、尚も疑わしげな目つきを自分に向けている兄者の顔を見た。
(´・ω・`)「君もそうなんじゃないの?兄者君」
(;´_ゝ`)「俺は違う」
咄嗟にそう否定すると、ショボンはわざとらしく首を傾げた。
さっきから、その厭に馴れ馴れしい態度や演技じみた振る舞いがチクチクと癪に障る。
まだ出会って数十分の付き合いだったが、少なくとも今の時点では好きになれそうにも無いと
兄者は思った。
(´・ω・`)「そうかなぁ?じゃあ、どうして名乗らなかったの?
自分は、弟者じゃなくて兄者だって」
(;´_ゝ`)「は?」
81
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:27:59 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「自分の存在を口に出して言ってしまうことで、否定されるのが怖かったんでしょ?」
(;´_ゝ`)「?なに言って」
(´・ω・`)「妹者ちゃんだけが自分の存在を認めてくれた」
“妹者”。
出し抜けに、思いもしない名前を出されたことで兄者の表情が固まった。
82
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:29:10 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「でもそれは、何も知らない小さな子供だから。
大人や他の人達は、きっと信じてくれない。
嘘吐きだって言われるのが、認められないのが怖かった」
(;´_ゝ`)「っな」
(;´_ゝ`)「何言ってんだ?なんの話だよ!」
(´・ω・`)「君は、自分を納得させたんだ。傷つくくらいなら、黙ってる方がマシだ」
(´・ω・`)「世界にたった1人だけ、ただ1人だけでも
それが例え、ほんの4歳の、幼くあどけない女の子だったとしても
誰かが自分のことを認めてくれるならそれで良い」
(´・ω・`)「そうして子供の君は、満たされない思いに見て見ぬふりをした。
傷つくよりも、”いい子の弟者”として振る舞う楽な道を選んだ」
(#´_ゝ`)「誰がそんな話した!?俺はシャキ兄にそんなこと話してない!」
(´・ω・`)「ブーン先生だよ」
(#´_ゝ`)「嘘だ!!」
83
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:30:05 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「嘘じゃないよ。ほら、僕は人に喋ったりしないだろ?誰とも話なんかしないもんね。
だから、面談の時にこっそり教えてくれた。
とあるマインドB患者の、エピソードの一つとして」
(´・ω・`)「心理学のテクニックだよ。
他人の具体的な体験談を聞かせることで、患者に自分の話を喋りやすくさせる」
信じられない思いで兄者は目の前の男を見た。
(;´_ゝ`)「……ッ!先生はそんなことしない。
人には言わないって……約束したんだ、から」
(´・ω・`)「困ったことに、僕は先生にとっても厄介な生徒だったんだよ。
ああそんなに傷つかないで。何も世間話のネタに使ったわけじゃない。
カウンセラーとして、1人の患者を救う為なら使える材料は有効に使わないと」
『材料』。その言葉が、思いがけず兄者の胸に刺さった。
84
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:30:53 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「まさか、このボクが、こうして君と普通にお喋りしている光景なんて
先生はきっと想像もしなかったんだろうな」
言葉を失う兄者を置いて、ショボンは飄々とした態度を崩さず周囲をブラブラと歩き回る。
(´・ω・`)「でも、ボクはその話を聞いて君に興味が湧いたんだ。
いつかお喋りしてみたいなと思っていたんだよ」
(´^ω^`)「それがついに今日、叶えられて良かった!」
(;´_ゝ`)(良くねぇよ落ち着け)
頭の中を一気に埋め尽くそうとする、とりとめのない情報の氾濫に流されないように
兄者は下唇を噛み、その痛みで早まる鼓動とパニックを抑えこもうとした。
この男の作る波に流されてはいけない。
85
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:32:57 ID:4uKayUrE0
ショボンの言っていることはさっきから突拍子が無くて、何が本当のことなのかよく分からない。
ブーンやロマネスクに気づかれず、シャキンになりきるなんてこと出来るわけ無い。
いつだったか、ショボンは家族とさえあまり話したがらないとシャキンが言っていた。
それ程までに人と接することが苦手で、本当に対人恐怖症だったのなら
そもそも今、こんなに余裕を持って初対面の自分と流暢に話せる筈が無いじゃないか。
最初からみんな、嘘だらけなのかもしれない。
ただ適当なことを言って面白がっているだけなのかもしれない。
86
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:33:52 ID:4uKayUrE0
……だが、彼が知る筈の無い話を、知っていたのはどういう事だろう。
妹者。4歳。誰も気づいてくれなかった。あの頃の話を、そんなことまで細かく。
本当に、ブーンが喋ったのだろうか?そんなこと信じたくない。
自分の個人的な話を臆面なくショボンに喋る、ブーンの姿が脳裏をよぎる。
じくりとした痛みが胸に走った。
―――いや違う。そんなわけ無い。でも。
(;´_ゝ`)
そもそも、今日シャキンを訪ねたのはもっと大事なことを確認する為だった筈だ。
それが今、一体どうしてこんな状況に陥っているのだろうか。自分は今何をしているんだ?
87
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:34:57 ID:4uKayUrE0
突然妹者の名前を出されたことで
兄者は自分が思っている以上に動揺してしまっていた。
この男の口から、大事な妹の名を出されたことすら腹立たしく思う。
(´^ω^`)「ボク達似てるね。本当の自分じゃ認めてもらえない。
だから、自分によく似た他人の皮を被って、普通の人のフリをする者同士」
_, 、_
( ´_ゝ`)
同じにするな。
いい加減殴りたくなってきたその満面の笑みに向け
そう言ってやりたくなったが、何故か言葉は出てこなかった。
88
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:36:00 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「このことは2人だけの秘密にしよう」
(´・ω・`)「ボクは誰にも話さない。兄者君だって、誰かに話したりしないでしょ?
そう、特に―――弟者君には」
(;´_ゝ`)「何?」
今度はなんだ。面食らって、兄者はショボンをまじまじと見た。
(´・ω・`)「弟者君に、ボクのことを話したりしないよねぇ?
いや、出来ないのか。現に、君は今彼との共在意識を断っている筈だ。
ボクと対峙しているこの状況が、決して彼に伝わらないように」
(;´_ゝ`)「なっ……」
―――――なんでわかった?驚き。混乱。
虚を突かれた兄者は、容易くそれを表情に出してしまった。
(´^ω^`)「やっぱり。当たりでしょ」
89
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:36:50 ID:4uKayUrE0
(´^ω^`)「君って優しいね。ボクの兄さんみたいだ。
大事な弟を、怖いものには近づけない。絶対に、危ない目に遭わせたりしない」
(;´_ゝ`)「……!!」
そう、事実ショボンの言う通りだった。弟者には話せない。
今や目の前の男は、兄者の中で完全に
得体の知れない不審な人物として認識されてしまっていた。
弟者にその存在を知らせることで、少しでも彼がその危険人物に近づく可能性がある以上
自分の意識奥で眠っている弟に、ショボンという男の影を話すことはおろか
今この状況を知られることさえ絶対に避けなければいけなかった。
その思いから、兄者は既に人格間の共在意識を断ち
外界から入る情報を自分だけのものにして弟者には一切渡さないようにしていた。
それを何故かショボンに見抜かれている。
そんなこと、自分にしか分からない筈なのに。
90
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:37:40 ID:4uKayUrE0
兄者はぞっとした。
心の内を見透かされ言い当てられたことだけでは無い。
目の前で見せた脈絡の無い態度の急変や
嫌に挑発的とも取れる神経を逆なでする言動。
それら全てが、最初から自分を危うい存在だと印象づける為の計算された行動だったとしたら。
目の前で笑う、ショボンという人物に対する危機感が増していく。
これが彼の狙いだとすれば、兄者は最早完全に嵌められていたのだ。
91
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:39:07 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「……そうやってずっと、弟者君のこと守ってきたんでしょ」
(´・ω・`)「 “昔から”ずぅっと」
(;´_ゝ`)「……!?」
兄者の鼓動が一気に早まる。
何を言ってる。何のことを言ってるんだ。
(´・ω・`)「不公平だと思わない?君ばかりが嫌な思いをして」
―――――こいつは何を知っているんだ。
.
92
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:39:48 ID:4uKayUrE0
(;´_ゝ`)「……っ」
(´・ω・`)「ああ、そうそう!不公平と言えばね」
ショボンのペースは止まらない。
兄者は、この男に頼まれるがまま人のいないこの場所に連れてきてしまったことを後悔した。
(´・ω・`)「先生は、君と妹者ちゃんの”ルール”についても教えてくれたんだよ」
(´・ω・`)「君、妹者ちゃんとは月に3回しか会っちゃいけないんだろ?
変なルールだよねー。君は”家族”の筈なのに」
(;´_ゝ`)「……っ妹者はまだ小さいから
マインドBの病気のこと、理解できないからだ!
だから……会えないけど、仕方ない」
(;´_ゝ`)「でも、もうすぐ」
(´・ω・`)「ふーん。先生はそういう風に君に説明してるんだ。なるほどなぁ」
(;´_ゝ`)「あ?」
93
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:40:42 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「ボク、先生に聞いてみたんだよ。どうしてそんなルールが必要なのかって」
(´・ω・`)「ボクが興味を見せる素振りを見せたら
先生も乗り気になって、詳しく教えてくれたんだ」
(;´_ゝ`)「だ、だからっ!それは」
(´・ω・`)「妹者ちゃんが幼すぎるから?―――ああ、そっか」
(´・ω・`)「きっと、本当のこと言ったら君がショックを受けるから、そんな風に言ったんだろうな」
(;´_ゝ`)「……本当の、こと?」
(´・ω・`)「あ、言っていいの?いや、言わないほうが良いだろうな。
先生が隠してるんだったら、僕が言うべきことじゃ……」
(;´_ゝ`)「隠してる?何……何のことだ!?」
(´・ω・`)「……」
(´・ω・`)「嫌な話になるよ。それでも聞きたいの?」
(;´_ゝ`)
94
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:44:14 ID:4uKayUrE0
今まで、調子良く話しかけている間も
避けるように、目だけは決して合わそうとしなかったショボンが
不意に向き直り、自信を持って兄者の目をまっすぐに覗きこむ。
その、何を考えているかわからない暗い瞳の奥を見ていると
言い様のない不安に心を掻き乱され、世界がぐにゃりと歪むような不快な感覚に襲われた。
(´・ω・`)「先生はね……ファイルした昔の新聞記事を見せてくれた」
(;´_ゝ`)「新聞?」
(´・ω・`)「昔起きた、ある事件について書かれた記事だよ」
(;´_ゝ`)「……?」
(´・ω・`)「―――19XX年、X月X日」
95
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:45:25 ID:4uKayUrE0
―――ショボンが暗唱した、その”事件”についての全容はこうだ。
19XX年X月。当時、マインドB発症者だった30代の男性Aが逮捕された。
罪状は暴行罪。同じ家に住む、自分の娘に手を出した。
男性Aは裁判所で、犯行は『自分ではなく別人格の”B”がやった』と主張した。
彼は当時マインドBの診断を下されていて、治療を受けている最中だった。
後に、犯行があった時間帯は意識喪失を起こしていたことも立証される。
長期間に渡る、精神科医、心理学者、様々な分野の専門家による厳密な検証の結果
犯行は、Aの証言通り別人格”B”によるものであることが確定し、結果的にAは無罪となった。
―――だが、事件を起こしたBには当然有罪の判決が下された為
結局その男性Aは、事件を起こした彼のマインドBと共に
その後数年間刑務所にて懲役を科される事となる。
96
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:47:05 ID:4uKayUrE0
それだけの内容をスラスラと話し終え、一息吐くと
ショボンはその他にも、ファイルに残されていたという
数件の事件について事細かに語り聞かせてみせた。
起きた年代や登場人物は異なるものの、それらの事件に共通しているのは
いずれも『マインドB発症者が主人格の家族に乱暴を働いた』という事柄。
出てくる単語は『性的暴行』『強姦』等
聞いていて嫌な気持ちになるものばかりだった。
(´・ω・`)「……」
言葉が途切れて不気味な沈黙が訪れた。
3件ほど同じような事件の内容を立て続けに語り終えた後
急に静かになったショボンは、それ以上何も言わず
まるでその先の答えを促すかのように、兄者に意味ありげな視線を送った。
(;´_ゝ`)「……な……」
(;´_ゝ`)「……何が……っ言いたいんだよ……」
絞り出した声は震えていた。
97
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:48:01 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「わかるだろ?」
わかりたくない。それ以上聞いてはいけないと、頭の中で警報が鳴り響く。
兄者は咄嗟に、耳を塞ぎたくなる衝動に駆られた。
今だけ言葉が分からなくなれば良いのに。
(´・ω・`)「つまりね兄者君。君が妹者ちゃんと引き離されているのは
妹者ちゃんが病気を理解できないからじゃない」
いっそのこと、全力でこの場から逃げ出せば良かったのかもしれない。
(´・ω・`)「マインドBの君が、妹者ちゃんに何かするんじゃないかと皆が思っているからだよ」
(;゚_ゝ゚)
.
98
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:49:27 ID:4uKayUrE0
(´・ω・`)「妹者ちゃんだけじゃない」
(´・ω・`)「マインドBの君が、もし何か犯罪を犯したら
結果的に、罪の無い弟者君までもがその人生を奪われることになる」
(´・ω・`)「家族は妹者ちゃんはもちろん、弟者君のことだって守らなければならない。
残念ながら今の法制度では、マインドBと主人格とが
別個の人間として認められた例は無いからね」
(´・ω・`)「ねぇ?兄者君。ショックかもしれないけどさ」
(´・ω・`)「でも……こういう事件が過去に何度も起きたのは事実だ。
先生も家族も、それを無視することは出来ないからね。
何よりも守るべきは家族であって、”体も持たない誰か”じゃない」
(´・ω・`)「残念だけど」
事前に練習したのかと疑いたくなるくらい、饒舌にベラベラとよく喋る。
演技の経験でもあるのかと思うくらい、心から同情しているような
哀れみを込めた表情とその言い回しが巧みだ。
だが、兄者にはそれどころでは無かった。
99
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:50:57 ID:4uKayUrE0
(;゚_ゝ゚)
(´・ω・`)「……そうそう。僕が君と話をしたかったのはね。
一つ、忠告をしてあげたかったからなんだよ」
(´・ω・`)「君の家の人、とても優しくしてくれるんだってね?
まるで、本当の家族と同じように」
彼の声は静かで、平和と言ってもいいような響きを含んでいた。
(´・ω・`)「でも、それってさぁ。実は……
君に大人しくルールを守らせる為なんじゃないのかい」
そうして、感情の読み取れない声で、そう告げた。
100
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:51:50 ID:4uKayUrE0
(;゚_ゝ゚)
……眩暈を起こした時のように視界が明滅し、ショボンの姿が、声が遠のく。
尚も何か話しているようだが、その内容はほとんど聞き取れない。
何も頭に入ってこない。
思考が、世界が―――カチリ と音をたてて停止した。
101
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:52:38 ID:4uKayUrE0
心をバラバラに破壊されたような喪失感と
( ω )
( ω )
砕け散る幾つもの破片の中に
∬ _ゝ )
@@@
@# @
( ノ )
沢山の人の顔が次々と浮かんでは
彡⌒ミ
( _ゝ )
淡い光をちかちかと反射させながら闇の中へ消えていって
l从 ∀ ノ!リ人
( <_ )
.
102
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:53:34 ID:4uKayUrE0
やがて―――――
―――――何も見えなくなった。
.
103
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:54:24 ID:4uKayUrE0
(`・ω・´)「兄者」
(;゚_ゝ゚)
(`・ω・´)「兄者?……どうした?」
シャキンは不思議そうな顔をして
その場に凍りついたように立ち尽くしている、目の前の後輩の顔を覗きこんだ。
そしてすぐに、ハッと辺りを見回す。
(`・ω・´)「ん?」
(;`・ω・´)「……え」
104
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:58:49 ID:4uKayUrE0
混乱している様子が見てとれた。
周囲の景色が、自分が今まで立っていた筈の教室前の廊下では無く
馴染み無い灰色の地下に変わっていることに気がついて驚いているようだった。
(;`・ω・´)「なっ……、これは、一体」
困惑するシャキンが尋ね終えるよりも先に、兄者は彼から距離を取っていた。
恐怖に引き攣った顔をして、愕然と、シャキンを視界に捉えたまま後退る。
そして―――
(;`・ω・´)「兄者!?」
何が起こったかシャキンが理解するよりも早く、彼は踵を返しその場から走り去っていた。
105
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 18:59:36 ID:4uKayUrE0
残されたシャキンは、咄嗟にその後姿を追おうとする。
が、すぐに躊躇いの表情を見せ、数秒迷った末
―――伸ばした手を諦めた。
(;`・ω・´)「ショ、ショボン」
(;`・ω・´)「ショボン!?」
見えない誰かに向けて叫ぶ。心の内側にも、どこにも、居るべき筈の相手がいない。
最早その場には何者も居らず、残されたのはシャキン1人だけだった。
そうして彼は行ってしまった。
106
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 19:01:10 ID:4uKayUrE0
(´<_` )「えっ」
弟者は思わず声をあげた。
さっきまで見ていた教室の景色から、気づけば辺りの様子はガラリと変わっていて
夕暮れ色に染まりはじめた住宅街の裏道に1人、ぽつんと立っている自分に気がついたからだ。
最後の記憶によれば、放課後用事があるという兄者と教室でバトンタッチした筈で
なのであれから時間が経って学校から外へと風景が変わっていることについては
何ら不思議なことでは無いのだが、問題はその場所だ。
内容は明かさなかったものの、その”用事”とやらが済み
学校から家への帰路に着いている途中だったとするならば
どう考えても今自分が立っている此処は家から逆の方向だったし
こんな中途半端な道の真ん中で、何の前触れも無く彼が意識を手放し
自分に責任を放り投げるようなことはあまり考えられなかった。危ないじゃないか。
107
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 19:02:03 ID:4uKayUrE0
いつものように、次に目を覚ませば見慣れた石垣に『流石』の文字があると思っていたのに
気づけば普段あまり気にしないような通りに立っていて、その理由も分からない。
おまけに何故か、此処まで走って来たのだろうか
少し苦しいくらいに息があがり汗も掻いている。
(´<_`;)(何かあったのか?)
そう思い、呼吸を整えながら心の中で兄者の姿を探した。
だが、彼は見つからない。返事が欲しい時に沈黙だけが返ってくるのは珍しいことでは無い。
いつものことだ。兄者は本当に気まぐれな性格で、いなくなる時はひょいといなくなる。
いつものこと、の筈だった。
(´<_` )「……?」
僅かに胸に生じたその違和感が何なのか、よく分からないまま
しばらくそこに立っていたが、いつまでもそうしていても仕方が無いので
携帯で時間を確認してから、弟者は家に向かって歩き出した。
どうしてあんな場所にいたのか、それに、用事とはなんだったのか気になるが
とにかく家に帰ってから、部屋でゆっくり聞いてみれば良いか。
108
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 19:05:21 ID:4uKayUrE0
20話投下以上です
ショボンがこんなに動かしやすいとは思わなんだ
目標は年明けまでにもう1話
109
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 19:13:01 ID:VvW.hpA60
乙!ショボンこえぇ
110
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 19:18:24 ID:DHqm29Ac0
乙
111
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 19:25:01 ID:UuQcLFKs0
乙!!
ショボン巧みすぎる…
112
:
名も無きAAのようです
:2015/11/27(金) 21:29:57 ID:kmnk59fgO
乙乙
ショボンの得体が知れなさすぎる
113
:
名も無きAAのようです
:2015/11/28(土) 11:00:35 ID:iQshuaEg0
乙!
やべぇ兄者どうなるんだこれ
114
:
名も無きAAのようです
:2015/11/28(土) 15:43:54 ID:AKi8Fomk0
本当にこういうのあってワロタ
幼少期にドイツに住んでいたというB.T.さんは、幼いころにあった事故で脳の視覚中枢を損傷したことによる「皮質盲」と診断されました。それ以降は盲導犬を連れて生活するようになりましたが、さらに13年後、B.T.さんは自分以外の複数の人格が出現する「解離性同一性障害(多重人格)」を患うことになりました。
目が見えない上に時おり人格が切り替わって体のコントロールが奪われるという壮絶な生活を送っていたB.T.さんですが、ある日、別人格に切り替わると共に、失われたはずの視覚がスイッチのように回復するという現象が発生し、その現象について研究した論文が公開されています。
Sight and blindness in the same person: Gating in the visual system. - PubMed - NCBI
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26468893
The blind woman who switched personalities and could suddenly see - The Washington Post
https://www.washingtonpost.com/news/morning-mix/wp/2015/11/24/the-blind-woman-who-switched-personalities-and-could-suddenly-see/
B.T.さんの現象について論文を公開したのは、B.T.さんの主治医で心理学者のHans Strasburger博士とBruno Waldvogel博士。B.T.さんに起きた不思議な現象を追求するべく、改めてカルテをイチから調査したところ、過去に行われたレーザーや特殊なメガネを使った一連の検査は、紛れもなくB.T.さんの視覚が失われていることを示していたとのこと。眼球自体には損傷がなかったため、視覚が機能していないのは事故で脳に損傷を受けたため、と診断されていたわけです。
事故から13年後、B.T.さんが解離性同一性障害の治療を求めてWaldvogel博士の元を訪れたところ、年齢・性別・習慣・性格の異なる10人以上の人格を持つ解離性同一性障害であると診断されました。人格によって英語、ドイツ語、または両方を話すなど使用言語まで異なっており、この原因は幼少期におけるドイツでの生活にあったようです。解離性同一性障害の治療を続けて4年がたったころ、B.T.さんは奇妙な体験に襲われました。
当時、思春期の男性の人格になっていたB.T.さんは、視覚を失ってからの17年間で初めて「手にしていた雑誌の表紙に書かれていた文字が見えた」と訴えました。狭い穴のような視界で、1つの文字がかろうじて認識できただけでしたが、視界は徐々に拡大していき、B.T.さんのほぼ全ての人格が「文字の認識」「模様の認識」などの視覚を取り戻し始めました。
盲目のままの人格も残っていましたが、人格が交代する時に視覚の有無が切り替わること、視覚中枢に損傷があればこの現象は起こり得ないことから、Waldvogel博士は皮質盲の診断に疑問を持ち始めたとのこと。
博士らはB.T.さんが盲目の症状を抱える2人の人格の時に脳波テストを実施しましたが、B.T.さんが目を開けていても、視覚刺激への電気反応を示さなかったことから、盲目が無意識な「仮病」である可能性は排除されました。視覚の喪失は心理的な要因で引き起こされることもあり、Strasburger博士は「極度に感情的な状況では脳が視覚を遮断することがある」と話しています。B.T.さんが実際に得た視覚情報は、脳に到達する前に遮断されていると考えられました。
人格が切り替わることで、なぜ視覚が復活したり失われたりするのか解明されていませんが、博士らは解離性同一性障害こそがB.T.さんの失明の原因ではないかと考えています。
なお、解離性同一性障害は精神疾患と見なされるまで、単なる「ヒステリー状態」と捉えられていました。解離性同一性障害の研究は充分に進んでいるとは言えない状況とのことですが、博士らは「解離性同一性障害を基礎的な生物学レベルの分野まで広げられる証拠である」とコメントしています。
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/10879569/
115
:
名も無きAAのようです
:2015/11/28(土) 16:11:39 ID:8GvkE43M0
面白いな
116
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 21:04:30 ID:m.hVLvtU0
今一気に読んだ面白い
だんだん不穏だけどどうなっていくのやら…
117
:
名も無きAAのようです
:2015/12/10(木) 23:38:40 ID:llWYKyMo0
同じく追いついた ショボンだいぶキテるな
118
:
名も無きAAのようです
:2016/03/11(金) 15:22:29 ID:I1yB.iWI0
投下まだかな
119
:
名も無きAAのようです
:2016/03/15(火) 07:10:58 ID:C5gm.V2g0
年明けって年度のことだろ?
120
:
名も無きAAのようです
:2016/11/20(日) 00:57:54 ID:jcSoV4lc0
そろそろ1年か…
121
:
名も無きAAのようです
:2016/11/20(日) 02:05:21 ID:ct8/VWzY0
もうそんなに経つのか
122
:
名も無きAAのようです
:2017/07/25(火) 22:05:34 ID:RtO57mSw0
待つよ
123
:
名も無きAAのようです
:2019/01/20(日) 13:13:38 ID:iM49s4MI0
まだかな?かな?
124
:
名も無きAAのようです
:2019/01/27(日) 15:55:39 ID:/GjDimMI0
気づいたらもう3年以上経ってたとか
125
:
名も無きAAのようです
:2019/02/27(水) 22:41:06 ID:nC48x1wE0
待ってるよー
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板