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ξ゚⊿゚)ξツンちゃん夜を往くようです

1 名も無きAAのようです :2015/10/10(土) 05:03:05 ID:cQB6.m2k0
      ,、,,..._
     ノ ・ ヽ
    / :::::   i
   / :::::   ゙、
   ,i ::::::     `ー-、
   | ::::          i
   ! :::::..        ノ
   `ー――――― '"

765 名も無きAAのようです :2016/09/07(水) 19:40:07 ID:eSTSl8h.0
このオープンワールドや反則そのものの設定オリジナルならマジで凄いと思う

766 名も無きAAのようです :2016/09/07(水) 20:31:37 ID:GEm7ILi20
後悔の公開
ルック・バック・ディメンション

767 名も無きAAのようです :2016/09/14(水) 01:29:16 ID:VCv9L9GI0
盛岡良いキャラしてんなあホンットに

768 ◆gFPbblEHlQ :2016/09/29(木) 09:47:03 ID:vYPVAwrg0


 〜昼休み 図書館〜


 閑散とした一室。
 エロ漫画の舞台になりかねないほど過疎ってるこの図書館、現在の利用者は十人前後。
 私達は本棚の前に立ち、目当ての本を探しながら小声で会話していた。


ξ゚⊿゚)ξ「……そっちあった?」

('A`)「……ないっすね」

 昨日の連中、始末屋と名乗った彼らの言葉が、私は今でもちょっと気になっていた。
 特に最後の“究極の疑問”。あれを言われた時、なんだか自分の無知を笑われたようでムカついた。
 なのでこうして昼休みを利用し、疑問とその答えを知るべく図書館に来たのであった。

('A`)「……この時間、多分無駄ですよ」

ξ゚⊿゚)ξ「……まあ、それでも別にいいんじゃない」

 都合よく渡辺ちゃんが図書委員だった事もあり、ここに来て数分でパズルのピースは見つけられた。
 時計仕掛けのオレンジ、機械仕掛けの神、バタフライ効果。
 そして今探している銀河ヒッチハイク・ガイドという小説。
 これらを面倒臭く絡めた結果が昨日の会話らしいのだが、正直今でも意味はよく分かっていない。

 ただ、リーダー格の彼が言った 『疑問を自覚しろ』 という言葉だけは妙に納得できてしまった。
 謎、疑問、分からないもの。
 そういう漠然とした捉え方のまま、己に問いも答えもせず誤魔化してきた事柄が、私の人生には幾つもある。

.

769 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:47:51 ID:vYPVAwrg0


 ……彼が言った究極の疑問は、風が吹くことだった。
 分かりやすく形を変えれば、『なぜ風は吹くのか?』 となる。

 彼は私にこの疑問を自覚しろと言った。
 ならばまず、私にはこの疑問を理解する必要がある。
 その為に集めた情報は先程の通りだが、まだ一つ一つの繋がりは分かっていない。

 四の五のと面倒臭いが、これらを理解する時間は十分にある。
 彼らが私に要求した現状維持にも通じる、いい暇潰しになってくれるだろう……。


从'ー'从「ツンちゃんあった〜?」

ξ゚⊿゚)ξ「……探したけどなかった」

从;'ー'从「……あれれ? 貸し出してないからある筈なんだけどな……」

 図書委員の仕事を抜けてきた渡辺ちゃんが本棚をキョロキョロと見回した。

ξ;゚⊿゚)ξ「ああいいわよ、別にそんな気になってる訳じゃないし」

从;'ー'从「ダメだよ〜。ツンちゃんはアホなんだから、貴重な読書欲を無駄にさせたくないよ〜」

ξ゚⊿゚)ξ「……私だって本くらい読むわよ……」

('A`)「例えば」

ξ;゚⊿゚)ξ「……え、エルマーとりゅう」

从'ー'从「うふふ、児童文学だね〜」


.

770 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:48:34 ID:vYPVAwrg0



「――先輩方、ちょっとよろしいですか?」

 ふと、後ろから声をかけられた。
 それはつい最近聞いたばかりの、薄ら笑いがよく似合う声色だった。


('A`)「……なんの用だ」

「読み終えた本を戻そうかと。で、もしやこれをお探しではと声をかけた次第です」


ξ゚⊿゚)ξ「……タイトルは?」

 私は本棚に向かったまま、振り返らずに聞いた。

「銀河ヒッチハイク・ガイド。どうです?」

('A`)「……おお」

从'ー'从「それだ〜!」

.

771 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:49:47 ID:vYPVAwrg0


ξ゚⊿゚)ξ「……ありがとう。それだわ」

 振り返り、差し出されていた一冊を受け取る。
 声の主は薄っすらと微笑んだまま、私の目を見つめてきた。

「これを選ぶとは中々渋い女子高生ですね。
 知識として蓄えてはいても、実際手に取る人は少ないでしょうに」

 セーターの校章を見るに、彼女は一年生の女子生徒だった。
 膝丈スカートに黒タイツという格好は、我が校の流行的にはかなり硬派な服装である。
 すっと佇む肢体にはまだ大きな起伏は見当たらないが、彼女の少女らしからぬ雰囲気があればそこらの男を誑かすのも容易だろう。
 髪は明るい茶色のサイドテール。メガネ有り。顔付きは意外と幼い。萌え袖完備。
 服装自体が合法とはいえ、彼女の見た目は他人の下心を煽る要素でしっかり武装されていた。


「ははは、そんな長ったらしく見ないで下さい。貴重な語彙力を割くほどの見た目はしていませんよ」

ξ゚⊿゚)ξ「……ああ、ごめんなさい。なんというか、目立つから」

「それもよく言われます。すみません、寒いのが苦手でして」

 彼女は自分の見た目を見直しながら謙遜する。


ξ゚⊿゚)ξ「渡辺ちゃん、これ借りてくね」

从'ー'从「うん! 手続きしとくね〜」 スタコラ

('A`)

ξ゚⊿゚)ξ「……ドクオも行って」

('A`)「……分かりました」

 ドクオは未練たらしく私を睨んだが、言う事を聞いて渋々渡辺ちゃんについていった。
 既に魔族特有の脳内会話で彼女が始末屋の人間だとは伝えてあるので、とりあえず問題はないだろう。

.

772 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:51:29 ID:vYPVAwrg0



ξ゚⊿゚)ξ「……場所は変える?」


「……定番の屋上に移動してもいいですが、別にここでオッケーでしょう。
 もう少し奥に行けば読書スペースに声は届きませんし」

 彼女は先んじて図書館の奥へと歩いて行く。
 一緒に行って十秒足らず、彼女は片隅のケータイ小説コーナーで足を止めた。


「ツンちゃん先輩、恋空は読んだことあります?」

ξ゚⊿゚)ξ「……ないわね」

「私もです。ケータイ小説についてもブームを過ぎたものという認識しかありません」

 彼女は棚の本をいじりながら語った。
 棚はホコリまみれで、随分長いあいだ誰にも触られてない事が容易に分かった。

「まぁいわゆるオワコンですね。しかし今でも細々と続いているとかなんとか。
 どうです、ちょっと興味湧いたりしませんか?」

ξ゚⊿゚)ξ「……」

 興味は、微塵も湧かなかった。

.

773 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:52:31 ID:vYPVAwrg0


ξ゚⊿゚)ξ「……ねぇ、こんな話がしたくて姿を見せたの?」

 彼女の動きが、ピタリと止まった。

「へえ。こんな話、ですか」

 彼女は口に手を当てて笑みを隠す。
 今のところ笑顔以外の表情を見ていないので、別に今更隠すまでもないだろうに。

「これは見事に一蹴されましたね。私は貴方の事を意識して喋っていたのに」


ξ゚⊿゚)ξ


ξ;゚⊿゚)ξ「……私が、オワコン……!?」

「……微妙に逸れてますが、まあオッケーとしましょう」

 彼女の笑みが苦笑いに変わる。
 彼女は眉をすぼめ、この答えで妥協してくれた。

「先日お願いした現状維持、あれはつまり“ツンちゃんオワコンになってくれ”という話でした。
 そして貴方は今まさにありふれた高校生活を謳歌している訳で、この状況は実に望ましい」

「わざわざ小難しい話をすることにより、見事ツンちゃん先輩を図書館にも誘導出来ました。
 正直あんな、小学生がwikipedia見ながら考えたような言葉をここまで真に受けてくれて安心してますよ」


ξ;゚⊿゚)ξ(か、下級生に煽られている……)

.

774 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:53:47 ID:vYPVAwrg0


「あれの答えは要りますか? 答えというか、私の意図した所というか」

ξ;゚⊿゚)ξ「え、そんなのあるの……?」

「一応は。あーでも面倒なので次行きますね」

 彼女がさら〜っと流そうとしたので、私は反射的に「いやいや」と言って会話を停滞させた。

ξ゚ー゚)ξ「ないんでしょ、考えなしで言ったんでしょ……」

 やれやれようやく彼女のポーカーフェイスを暴けそうだ。
 私はもうテンションが上がってきた。ぐだぐだと小難しい話をしおって、さっさと恥辱に頬を染めるがいい。


「……ツンちゃん先輩、私これでもかなり分かりやすく話をしているんです。
 いいんですよ? 地の文たっぷり手加減ナシで説明し尽くしたって」

ξ゚⊿゚)ξ「次の話題にいきましょうか」

 彼女は「それもそうですね」と淡白に切り返し、本題に入った。

.

775 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:54:57 ID:vYPVAwrg0



「まぁいきなりやられましたね。新勢力の登場です。それをお伝えしに参りました」

「ツンちゃん先輩の隣のクラスに転校生が来ました。彼らはずばり、やべー奴です」

ξ゚⊿゚)ξ「……転校生ならうちのクラスにも来たわよ。しかも四人」

「素直姉妹はこちら寄りの存在なのでノーカンです。
 彼女達については監督役のモナーさんに聞くといいでしょう」

ξ゚⊿゚)ξ「……てことは、モナー先生は貴方を知っているの?」

「ええ。かつて彼とハインリッヒが勇者軍を抜ける際、少しばかり手を貸しました。
 とはいっても当時は別名義でしたし、私が出向いた訳でもありませんが」

「言っておくと素直姉妹はヴァンパイアハンターの末裔です。分類はまぁ超能力者って事で」

ξ;゚⊿゚)ξ「……それが本当なら魔族の天敵なんだけど」

 そう言うと、彼女はきょとんとした顔で私を見た。

「そういえば吸血鬼も元は魔界暮らしでしたっけ。
 その昔、魔界から人間界に移住したはいいが、血を好む習性ゆえに程なくして種族間戦争が開始。
 結果多くが人間界で死滅してしまい、今じゃ吸血鬼は絶滅寸前だとか」

「聞けば吸血鬼にとって人間の血は麻薬みたいな依存性があったらしいですね。
 まぁあの頃はアヘンがどうこうとか色々ありましたし、タイミングが悪かったかと」

ξ゚⊿゚)ξ「……話が逸れてない?」

「逸れましたね。戻しましょう」

 彼女はくすっと笑い、肩を竦めた。

776 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:55:50 ID:vYPVAwrg0


「やってきたのは我道アグリ、網目間宮ユミの二人」

「まったくやれやれ完全に不意をつかれました。
 我々が巨大生物の襲来を阻止している間に、小さい虫を通してしまいました」

 巨大生物に関してとても興味があったが、それを聞く間もなく彼女は続けた。


「とにかく関わらないように。まずそれだけ徹底してください」

ξ゚⊿゚)ξ「ふーん」

「彼らは捕食者です。食べちゃうんです。色々と。物でも人間でも」

 彼女は手をパクパクさせ、ものを食べるジェスチャーをして見せた。

ξ゚⊿゚)ξ「敵なの?」

「そうですね、敵にはなりやすいです。
 なんせ彼らは攻撃的だ。魔族の存在を知ったら好奇心で襲ってくるかも」

「ただまぁ彼らとて別に快楽殺人者ではないですからね。
 食欲とか好奇心とか、そういうのを満たす何かをあげれば友好関係は築けると思います」

ξ;゚⊿゚)ξ「……なんにせよ、関わらない方が無難なのね」

「ですからこちらで一手打っておきました。
 彼らには近日中にあっさり退場して頂きます、そこらのモブキャラのように」

 嫌味な笑顔。彼らの登場も、彼女にとっては計略の一部のようだった。

.

777 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:57:30 ID:vYPVAwrg0


 彼女が私に一歩詰め寄る。
 私は顎を引いて彼女を見下ろし、思わず一歩引き下がった。

「――さておきツンちゃん先輩。私と仲良しになってくれませんか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「……な、なかよし?」

「ほのぼの平和な学園生活。それを私と過ごしましょうと言ってるんです。
 他の方々が一緒だと否応なしに事件が起こってしまいますからね」

「これでも色々遊びは知ってるんですよ。良い遊びも、悪い遊びも」

ξ;゚⊿゚)ξ(どちらにせよ意味深だ!)

「どうです? もうすぐクリスマス、関係を進展させるには良い頃合いかと」

 黙って後退。しかし、たったの数歩で私の退路は本棚によって断絶された。
 彼女は私の首筋にぐっと顔を寄せ、ふう、と吐息を漏らした。

ξ;゚⊿゚)ξ(ホ、ホゲーーーー!!)

「……くす、メガネが曇ってしまいました」

 彼女が私を見上げ、イタズラに微笑む。
 曇ったメガネの向こうには、私の動揺を楽しむ悪魔の瞳があった。

.

778 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 09:59:23 ID:vYPVAwrg0


ξ;゚⊿゚)ξ

「……ま、この情事は後に取っとくとして」

 途端、彼女はパッと離れて私に背を向けた。
 後ろから僅かに窺えた彼女の表情は、ここにきてようやく真剣なものに変わっていた。

ξ゚⊿゚)ξ

 それは同時に、私が完全に弄ばれていた事の証明でもあった。
 女なのに童貞扱いされたような、そんな気分になった。


「聞かせて下さいツンちゃん先輩。貴方の過去を、成り立ちを」

ξ゚⊿゚)ξ「……過去? って、貴方なら知ってそうだけど……」

 彼女達は、魔王と勇者がどうこうしていた頃からこちらの存在を知っていた。
 だったら私の過去くらい、筒抜けだろうとおかしくないのだ。


「ええ勿論存じていますよ。これはただの取っ掛かりです」

ξ;゚⊿゚)ξ「……回りくどいなあ……」

「性分です。大した文量でもないんですから脳ミソ使って下さいよ」

Σξ;゚⊿゚)ξ(また煽られた!) ガビーン!

.

779 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:00:32 ID:vYPVAwrg0


「ツンちゃん先輩の過去は大体こんな感じですよね?
 魔界にスーパーベイビー爆誕、すごく成長、制御できなくて大変、そして今に至る」

 他人の人生をここまで乱暴に要約できる人間はそうそう居ないと思う。

「いやあ大変でしたよね。なんでしたっけ、なんとか封印? されたんですよね」

ξ;-⊿-)ξ「……そうよ、大界封印」


     ('A`)☆大界封印ってなあに?☆('A`)
('A`)伝説級の魔物を空間ごと隔離して放逐するよ('A`)
('A`)みんなでがんばってつくるすごいふういんだよ('A`)


 という感じで私は分かりやすく大界封印について喋ったが、彼女はさらっと聞き流してまた話し始めた。


「で、それを超短期間で破ってツンちゃん大脱出と。いやーまったくもって凄い本当に。
 大界封印って確かオイスターみたいな名前の名状し難いものでも閉じ込めるって噂ですよね?」

ξ;゚⊿゚)ξ「らしいけど……なんで魔界の噂まで知ってるのよ」

「風の噂です」

ξ;゚⊿゚)ξ「魔界の風が人間界まで届く訳ないでしょ」

「……ツンちゃん先輩が自身の能力を形容できたのは大界封印脱出の折でしたね。
 ゼノグラシア、真性異言。意味分かんねーけど心で理解出来たぜ系の言葉、ピッタリだと思います」

ξ;-⊿-)ξ「知らないわよ、名付けは私じゃないし……」


「……へえ。それは、初耳……」

 彼女は会話を区切るように、ゆっくり、はっきりとそう言った。

.

780 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:01:57 ID:vYPVAwrg0



「というか、聞いてもいいですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「もうかなりグイグイ聞き込みしてるけど」


「ツンちゃん先輩、その大界結界を破る時にはちゃんと意識があったんですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「……覚えてない。小さかったし、結界に入る前に眠らされたから」


「なら、出てきた時はどなたがツンちゃん先輩を出迎えたんですか?」

ξ;゚⊿゚)ξ「……聞いてないわよ。目が覚めたら魔王城の寝室だったわ」


「……少し整理します。大界封印を例えるなら、一個人めがけて核ミサイルを発射するようなものでしょう。
 つまり魔界の理は貴方を超危険物として処理した訳です。それを安々と元の状態に戻せますかね」

ξ゚⊿゚)ξ「……知らないわよ」

 その疑問は、いつも心の隅にあった。
 ゼノグラシアという制御装置が出来たとはいえ、私は一度完全に捨てられた身なのだ。
 なのになんで、こんな、当然のように――――

.

781 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:03:25 ID:vYPVAwrg0



「普通……というかまず、二度と出て来れないよう閉じ込めたものが即日出てきたら大概みんな焦ると思います。
 しかも大界封印を自力で脱出するほどの“何か”が無意識状態で出現したとなれば――」


「意識が無い内に再度封印するか、それに近しい処置があって当然でしょう」



〜〜〜〜〜〜〜

ξ゚⊿゚)ξ「うひーなんか出れた」

( ФωФ)「じゃあ帰ろっか」

              イェーイ
ξ゚⊿゚)ξ人(ФωФ )

〜〜〜〜〜〜〜


「という展開は、さすがに平和ボケし過ぎてると思いますし……」

 彼女は冗談半分に言って苦笑う。
 私は今まで抱えていた矛盾を浮き彫りにされ、言い返す言葉を失っていた。

「そんでまた質問なんですけど、暴走状態のツンちゃん先輩ってどのぐらい強いんですか?」

ξ゚⊿゚)ξ「……その時は意識が無いから分からない。けど、周りの人はいつも無事だったわよ」

「……へえ。なるほどなるほど……」

 彼女は独りごちて頷く。

「ありがとうございます、お聞きしたい事はもうありません。
 私自身、かねてより疑問に思っていた事を軒並み解決できました」

.

782 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:06:29 ID:vYPVAwrg0

 十秒の沈黙。
 彼女はその後、口火を切った。

「……ええと、これは仮定に仮定を積み上げたに過ぎない仮定なんですけど」

ξ-⊿-)ξ「……なぁに。聞くわよ、もう」


「――ツンちゃん先輩はもしかして、今まさに大界封印を脱出中なのではありませんか?」

ξ゚⊿゚)ξ

 は?


ξ;゚⊿゚)ξ「……えっと、どういう意味?」

 会話の点と点が繋がらず、私は言葉の意味を上手く理解できなかった。


「いやほら、例え話ですよ」

「実はこの世界はまだ大界封印の中で、私達“始末屋”はそのメンテ係みたいなもの。
 そしてツンちゃん先輩は莫大な魔力をもってこの封印を侵食。
 私達メンテ係が総動員される状況になるまで、順調にこの世界を攻略中とか……」


ξ;´⊿`)ξ「……いや、それは流石に……」


「……ま、これはただの妄想ですよ! しかし私は私の理念に確信を持ちました。
 やはりツンちゃん先輩には普通の学生生活を送ってもらいます、否が応にでも」

.

783 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:08:32 ID:vYPVAwrg0



「――それでは今日のおさらいを」


「ツンちゃん先輩は転校生に関わらないこと。そして今話した他愛無い仮定の話も忘れること」

ξ;゚⊿゚)ξ「……分かった。分かったって」

「……本当ですか? 見張りも一応つけてるんですからね。
 ま、こちらに実力行使が出来ない以上、ツンちゃん先輩にはひたすらお願いするしかありませんが」


ξ゚⊿゚)ξ「……そういえば、聞いてなかったけど」

ξ゚⊿゚)ξ「貴方、名前は?」

 問いかけると、彼女の表情から一瞬生気が消え失せた。
 彼女は平静を取り繕い、答える。

 「……くす。さあなんでしょう。私、どうにも名状しにくいようで」

 彼女はそう答え、今日一番の不穏な笑顔を見せた。
 途端、予鈴が鳴り響く。
 私達は天井のスピーカーを一瞥し、ここが区切りであると察した。

.

784 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:10:59 ID:vYPVAwrg0



「――最後に未来予測。ツンちゃん先輩、昨日話したとおり王座の九人が来ます。
 内藤ホライゾンに話を聞いて下さい。危ない橋ではありますが、頑張って敵を籠絡してください」

ξ;-⊿-)ξ「……了解。もう、なんか凄い疲れたんだけど……」

「……では癒やしてさしあげます。合法的に――」

 彼女がすとんと私に寄り掛かり、背伸びして私の耳元に口を添える。
 そして次の瞬間、


ξ;'゚⊿゚')ξ「――ッッ!??!?!??」

「〜〜〜表現規制の波〜〜〜」

 彼女は今まで聞いた事がないようなエッチな声で、私の耳にしこたま淫語を浴びせてきた。
 しこたま淫語という言葉の並びすら最早卑猥。行為は実に30秒も継続された。

ξ゚⊿゚)ξ

「……それじゃあツンちゃん先輩、また次回という事で」

 彼女の指先が私の頬を伝って胸へと落ちていく。落ちていく程度の胸はある。
 彼女は私の胸に手を当てて、ぐっと力を込めて言った。

「忘れて欲しいですけど忘れちゃダメですよ、私とのありふれた会話劇。
 貴方が現状を維持しなければ全て崩壊します。知らなくていい事が、この世界は多すぎる」

ξ゚⊿゚)ξ「ウィッス」

 インターネットスケベコンテンツめいた事案に対し、私はすっかり思考停止。
 結局私はこの昼休み中、彼女の思うがままにされてしまったのだ……。

.

785 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:11:40 ID:vYPVAwrg0




     ☆三輪車☆



      ( ^ω^)
      ( O┬O  ('A`) しぬ
   ≡◎-ヽJ┴◎ ノ( ヘヘ



.

786 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:12:23 ID:vYPVAwrg0




 昼休みも終わっていざ午後の授業だ――と意気込んで教室に向かう。
 ところがどっこい、それを足止める不届き者が居た。


( ^ω^)「魔王城、少しいいかお」

 私を苗字で呼んだ彼は内藤ホライゾン。
 私達魔物が人間界で生活するにあたり、色々と手を貸してくれている協力者の一人だ。


ξ゚⊿゚)ξ「……あ、」

 そういえば昨日の事をすっかり忘れていた。
 昨日私に殺意を放った不届き者の顛末を、私はまだ聞いていなかったのだ。


ξ゚⊿゚)ξ「聞きそびれてたわね。どうなった?」

( ^ω^)「……ああ、昨日のなら取り逃がしたお。今はハインリッヒが追いかけてるお」

ξ゚⊿゚)ξ「……逃がしたって、その割に堂々としてるのね」

( ^ω^)「王座の九人だったお」


ξ゚⊿゚)ξ

ξ-⊿-)ξ「……そう。まあ、引き続きこの件は預けるわ」

( ^ω^)「……お前も不思議と驚かないお。
      王座の九人が来たって事は、いよいよ向こうも最後の賭けに出るって事だお」

 それは分かっている、分かっていたのだ。
 そんな事より気掛かりのは、盛岡が言った予知がこれで一つ的中してしまった事だ。
 ちくしょう嫌な感じだ。他に色々思う事はあるものの、私はまず第一にそう思った。

.

787 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:13:04 ID:vYPVAwrg0


( ^ω^)「……声をかけたのは別件だお。
      お前、転校生に屋上に呼び出されるお」

ξ゚⊿゚)ξ「……そんな愉快な役回りが出来る人柄だったっけ、貴方」

( ^ω^)「転校生に頼まれたから伝えただけだお」

ξ゚⊿゚)ξ「機械的ね。ま、素直姉妹とは話したかったから好都合か……」

( ^ω^)


( ^ω^)「……素直姉妹は知らんけど、こっちのクラスの転校生だお」

ξ;゚⊿゚)ξ「……え゙っ?」


ξ;゚⊿゚)ξ(マジかよ……)

 始末屋から忠告を受けた矢先、このイベントは相当ヤバい予感がする。
 絶対に行くべきではないのだが、この先何をしでかすか分からない連中に釘を刺すのも有意義だろう。
 何より私は最強だ。私自身の安全は、私自身の力が保証してくれる。
 心の準備はしていなかったが、ここで決断を下すとしよう――。

.

788 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:13:44 ID:vYPVAwrg0


ξ;゚⊿゚)ξ(……どうしようかな)


  1.屋上に行く。


  2.行かない。


.

789 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:14:24 ID:vYPVAwrg0




.

790 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:15:04 ID:vYPVAwrg0




ξ゚⊿゚)ξ(……流石に備えも無しに行くのは愚行か。
       いかに私が最強とはいえ、無敵じゃあないんだし……)

 私はそう結論付け、頭を振ってブーンに言った。


ξ゚⊿゚)ξ「ごめんそれパス。学生なんだし授業優先でしょ」

( ^ω^)「……分かった」

 これにて一件落着! 私の平和なスクールライフに波乱など不要なのである。
 向こうが人間に手を出さない内は見逃しててもいいだろう。
 そして何より 『関わるな』 と言われた相手だ。まず様子見でも悪い事は起こらないだろう。


( ^ω^)「なら伝えてくるお」 スタスタ

ξ゚⊿゚)ξ「あーよろしく。それじゃ」 クルッ

 私は残り一分と経たず始まる授業に向けて歩き出す。
 正直もう遅刻確定なので走る気にもならなかった。
 こういう時こそ優雅に入室し、格の違いをもって教師を黙らせるのが吉なのだ。


ξ゚⊿゚)ξ(ていうか教科書持ってきてないな) ピタッ

ξ゚⊿゚)ξ(ブーンに借りるか)

.

791 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:15:59 ID:vYPVAwrg0


ξ゚⊿゚)ξ「ちょっとブーン、教科書貸してほしいんだけど……」

 私は立ち止まって振り返る。
 しかし、そこにブーンの姿は見えなかった。


ξ゚⊿゚)ξ(は? 教室あっちなのにどこ行ったのよ……)

 そういえばさっき、伝えてくるとか言っていた気がする。
 ならば、ブーンは屋上に向かったのだろうか。
 敵か味方かも分からない二人が待つ、屋上に。

ξ゚⊿゚)ξ

ξ;゚⊿゚)ξ「……いや、まさかね」

 ブーンの身に何かが起こる、なんて想像は無意味だ。
 彼はあれでも一人の戦士だ。たかが二人の不意打ちを食らった所で、死んだりはしないだろう……。

ξ;゚⊿゚)ξ

 だが、私は内心の不安に負けて階段を登り始めていた。


ξ;゚⊿゚)ξ(一応、一応ね?)

 チラ見して帰るだけ。
 私はそう自分に言い聞かせ、そろ〜りと階段を登った。


.

792 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:17:10 ID:vYPVAwrg0


【interlude:qAwsetxdrvfygbunli】




 Error





.

793 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:17:50 ID:vYPVAwrg0


 屋上で魔王城ツンを待つ二人組。男の名は我道アグリ、女の名は網目間宮ユミ。
 彼らは世界のどこかで 『捕食者』 と称される存在であった。


「ねえアグリちゃん、魔王様は本当に来るのかな?」

 ユミは制服のスカートを翻し、じっと佇むアグリを振り返った。

「……こんな怪しい呼び出し、立場のある奴なら絶対に来ないぞ」

 呆れ顔で言い返してアグリはそっぽを向いた。そもそも彼は魔王城ツンとの接触には反対だった。
 捕食者と呼ばれ危険物扱いされてはいるが、その実彼らは平和を好む穏やかな種族。
 人間を食らっていたのは遠い先祖であって、彼ら自身が人肉を食した事は一度もない。


「んーそうだね。でも来てくれると嬉しいなあ……」

「交渉など不可能だ。俺は森に帰りたい……」

「分かってるってば! でもさ、昨日のアイツらを使えば何とかなるよ!
 えっと……勇者軍? のギコとその妹! 半生半死で目の前に転がってきた時はビックリしたけどさー」

「……あれは匿わず見殺しておくべきだったよ。無駄知恵を働かせずに」

「そお? 私が思うに、魔王城さんとは仲良く出来るはずなんけどなー」

「……根拠を示せ、根拠を」

 溜め息混じりにアグリは呟いた。

794 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:19:01 ID:vYPVAwrg0



 ――ふと、屋上の扉が開く。
 肩の力を抜いて会話していた二人も、その瞬間に目を光らせた。



「……あれ」

 ユミは険しい表情でその人を見る。
 屋上にやってきたその人は、魔王城ツンとは別人であった。



「誰かな、あなた。授業始まっちゃうよ?」

「――いや、構えろユミ。こいつは敵だ!」

 アグリが戦闘態勢でユミの前に勇み出る。
 それを見た彼の人は、茶髪のサイドテールを揺らして静かに笑んだ。
 午後のチャイムが鳴り響く。その最中、真昼の青空に鮮血が散った。


【interlude:out】
.

795 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:19:53 ID:vYPVAwrg0



       ☆ネコ☆

               _
             /´  `フ
       , '' ` ` /      ,!  もぐ
      ., '      レ   _,  rミ
      ;          `ミ __,xノ゙、
      i     ミ   ; ,、、、、 ヽ、
    ,.-‐!       ミ  i    `ヽ.._,,))
   //´``、     ミ ヽ     ('A`) しぬ
  .| l    ` ーー -‐''ゝ、,,))   ノ( ヘヘ
   ヽ.ー─'´)          
    `"""´          (^ω^) どうせしぬ
                  ノ( ヘヘ

796 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:21:01 ID:vYPVAwrg0




(; ^ω^)「――――な、」



 絶命した体を掴み上げ、血みどろの中心に立つ少女。
 屋上に出たブーンを迎えたのは、その少女と鮮明な血の臭いであった。


「……ああ来ましたか。まったくやれやれ、こんにちは」

 律儀に二人分の死体を並べて寝かせ、少女は一息。
 眼鏡についた血飛沫をセーターの裾で乱雑に拭ってから、彼女はブーンを見た。


( ^ω^)「……お前、何者だお」


「……いや本当に急でした。私自身、超ビックリって感じで……」

 ブーンの問いに答えず、少女はわざとらしく肩を撫で下ろした。
 死体の傍でなければ可愛らしく見えたであろうに、その仕草はブーンの目に奇怪な演技として映っていた。

「ヤバい事ですよこれ、何しちゃってくれてるんですか……」

.

797 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:22:18 ID:vYPVAwrg0



ξ;゚⊿゚)ξ「――……まさか……ッ!」

 言葉の最中、遅れて姿を現した魔王城ツン。
 この惨事と少女を見て合点したのか、彼女は敵意を剥き出しにして少女を睨んだ。


ξ#゚⊿゚)ξ「……貴方……!」

( ^ω^)「……魔王城、あれは敵か?」

 肩を並べたブーンとツン。
 しかし当の少女は彼らの敵意を意に介さず、一人この状況の意味を考察していた。


「……おかしい。彼ら捕食者がこんなに早く行動に出る動機は無かった。
 寸前とはいえ自演は成功、さっきの介入でこの筋道は閉ざせたはず……」

「おかしい、私達よりメタい存在がこの世に居る訳が――――」


.

798 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:23:24 ID:vYPVAwrg0



「…………ああ、そうか」

 思考の末に少女は答えを得た。
 彼女の双眸はただ冷たく、内藤ホライゾンをじっと見据える。


( ^ω^)


「二番煎じの欠陥品、改悪劣化の権化がゆえに――遂にお前は道を外れたか」

 勝手に一人で何かを得心し、彼女は歪んだ顔で空を仰いだ。


「……内藤ホライゾン、魔王城ツン。私はしばし姿を消します。役目は終えました」

「それに際して一つだけ助言を……いえ、私個人の確信をお伝えします」


( ^ω^)「魔王城」

ξ#゚⊿゚)ξ「……捕まえるわよ。殺す価値より情報源としての価値のが高い」

( ^ω^)「分かったお」

 ブーンの片手に青い蜃気楼が揺らぐ。
 蜃気楼は僅かに雷鳴を走らせた後、実体を得て彼の手中に握られた。
 無から現れたるは、鍔の無い深紅のサーベルであった。

.

799 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:24:50 ID:vYPVAwrg0




「――――何者かが、この世界の筋道を壊そうとしている」



(# ^ω^)「おおッ!!」 ダッ!

 駆け出したブーンのサーベルは無意味に空を裂き、少女には間一髪届かない。
 少女は、一切の痕跡を残さず屋上から姿を消した。



ξ#゚⊿゚)ξ「……逃げられたわね」

( ^ω^)「……気配を感じない。追う手段が無いお」

ξ#-⊿-)ξ「私も駄目、感知もできない」

ξ#゚⊿゚)ξ「……クソッ、なにも殺す事なかったでしょうが……!」


( ^ω^)「……先当たって、貞子さんにこの事を伝えるお」

 ブーンは足元の死体を一瞥してからサーベルを手放した。
 彼の手を離れたサーベルは、再び青の蜃気楼となって空に散った。

.

800 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:25:30 ID:vYPVAwrg0



( ^ω^)「事情は後で聞くお。今聞いても手遅れだから」

ξ゚⊿゚)ξ「……そうね。……私の怠慢だ」

( ^ω^)「自覚があって何より。間が悪ければ僕が殺されてたお」

ξ゚⊿゚)ξ

( ^ω^)

( ^ω^)「なんだお」

ξ゚⊿゚)ξ

 ツンは口籠り、ややあってから答えた。

ξ゚⊿゚)ξ「……いえ。人間って、人間が死んだら動揺するものだと思ってたわ」

( ^ω^)「……さっきの奴も言ってたお。こんな欠陥品、参考にならないお」

 気まずい空気が流れ込む。
 ツンは踵を返し、ブーンに背を向けた。

ξ゚⊿゚)ξ「見張ってて。私が貞子さんを呼んでくる」

( ^ω^)「分かったお」

 事務的な言葉が間を繋ぐ。
 ツンが貞子を連れて戻ったのは、それから数分後のことだった。

.

801 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:26:12 ID:vYPVAwrg0



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




从;゚∀从「……やあっと見つけた……」 ハァー


 敵の追跡を開始して半日。
 消えかけていた痕跡を懸命に辿り、ハインリッヒ高岡はやっと確信を得られるだけの気配を察知した。

 彼は目前のアパートを見上げた。二階右端の部屋に一人分、激化薬の臭いがする。
 勇者軍が使用する激化薬の正体は、勇者と英雄が保有する異能回路の模造品。
 ゆえに一度でも激化薬を使った者は人体の仕組みそのものが変質し、気配も人ならざるものに近付いてしまう。


从 ゚∀从(……しかし妙だな)

从 ゚∀从(この距離なら向こうも気付いてるだろうに、動きがない)


从 ゚∀从(探りに行くか)

 ハインは腰の鞘から細身の刀を抜き取った。
 白昼堂々、人に見られれば一発アウトの光景である。
 しかしハインはそのまま歩き出し、階段を上って右端の部屋で立ち止まった。

.

802 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:27:00 ID:vYPVAwrg0


从 ゚∀从(……我道、アグリ)

 表札を一瞥。さっぱり知らない名前なので即時忘却。
 ハインは刀を肩に担ぎ、空いた手でドアを開け放った。


从 ゚∀从「……生きてるかい」

(,, Д )

 リビングの片隅に、両手足を縄で縛られた男が転がっていた。
 男は既に瀕死だった。ブーンとの戦闘で負った傷もそのままに、何者かに捕縛されたようだ。
 フローリングにも乾いた血の跡が広がっている。顔は青ざめ、意気も薄弱だった。

(,, Д )「……よお、悪いな。わざわざ……」

从 ゚∀从「王座の九人、ギコだったな。
      生け捕りがご希望だから死ぬんじゃねえぞ」

(,, Д )「……奥に……」

.

803 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:28:03 ID:vYPVAwrg0


(,, Д )「……奥の部屋に、俺の妹が居る」

从 ゚∀从「……あ?」


(#,, Д゚)「……次に俺が目を覚ました時、妹が死んでたら――……」

从 ゚∀从

(#,, Д )「………………」

从;゚∀从「……ンだよ」

 一瞬の激昂。
 しかしそれも束の間で、ふつ、と細い糸が切れるようにギコは意識を失っていた。


从;゚∀从「死ぬなって言ったばっかりなんだがな……!」

 ハインは土足でリビングに上がり、ギコの容態を確かめた。
 死んではいないが応急処置すらされなかったせいで出血が酷い。
 戦闘で激化薬を使用した分、今は副作用で生命力自体も低下しているだろう。
 最早、ギコは適当な病院に突っ込んで解決するような状態ではなかった。

从;゚∀从「チッ」

 こいつを匿った野郎は手当ての一つもしなかったのか、とハインは内心に吐き捨てた。
 事は一刻を争う。ハインはギコと、そして彼の妹を両肩に担ぎ、大急ぎでその場を後にした――。

.

804 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:29:05 ID:vYPVAwrg0

おわり('A`)

805 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 10:37:29 ID:fuVf0y2E0
>>772
おいおいおいおいブーン系ぃぃぃ
相変わらず面白い乙

806 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 11:33:37 ID:VJXcf4Vc0
>私達よりメタい存在
鳩型の菓子かな?

807 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 19:45:56 ID:HDZCnXAU0
来てたのか!
今から読むぜ乙

808 名も無きAAのようです :2016/09/29(木) 21:04:35 ID:ZP7inhII0
乙ー

俺の勘違いだったらいいんだけども、1箇所「彼女」の名前ボカし忘れた?
それとも意図的?

809 ◆gFPbblEHlQ :2016/09/30(金) 02:48:42 ID:y/LL3CPk0
>>808
名前を決めていないので勘違いだと思います!(^ω^)
AA無しで女性多いだけに二人称が紛らわしかったねNE(^ω^)ごめんNE(^ω^)

810 名も無きAAのようです :2016/10/01(土) 11:17:06 ID:cFe4flbo0
乙乙! 続きが気になります。

811 名も無きAAのようです :2017/02/12(日) 10:32:47 ID:UN2CpWPw0
バローだからもう来ないよ

812 名も無きAAのようです :2017/02/16(木) 22:59:17 ID:il.O2mBo0
撃鉄終わるまで待てよ

813 名も無きAAのようです :2017/07/20(木) 16:52:32 ID:AT2G.iuc0
撃鉄終わってから音沙汰ないな

814 名も無きAAのようです :2017/12/10(日) 02:13:25 ID:x6tLqRJo0
これどうなったん?


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