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(,,゚Д゚)怪談・高架下猫語のようです
1
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:18:19 ID:xuMsv05k0
2 0 1 5 年 百 物 語
.,、 .,、 .,、 .,、
(i,) (i,) (i,) (i,)
|_| |_| |_| |_|
参 加 作 品
.
27
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:14:55 ID:xuMsv05k0
ぼんやりとしている。
(´-ω-`)
暖かな日の光。
縁側から望むのは、うららかな日本庭園。
(´・ω・`)
気付けば、ショボンはその縁側に腰掛けていた。
蝶がひらひらと目の前を飛んでいく。
(´・ω・`)(ん……?)
ふわふわとした頭の中、なぜ自分はこんな所にいるのだろうと言う考えがよぎり始め、そして、それが聞こえてきた。
28
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:16:34 ID:xuMsv05k0
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡ 3本目『さんぼんせん』 三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三≡三
29
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:17:14 ID:xuMsv05k0
ぽん ぽん ぽん
地面に何かが弾む音。
あわせて、幼い女声。
(´・ω・`)(手鞠歌……?)
「……き、いし……れた……せん」
なれない曲調。
うまく聞き取れない。
うららかな庭の風景の中、一体この歌の主はどこにいるのかと視線を泳がせる。
すると、庭の片隅、そこに『それ』は居た。
「おっきいしっ……ぼんせ……」
おかっぱあたまの少女。
七五三に行くときのような、赤い花柄の服を着た女の子が、鞠をつきながら歌っている。
30
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:18:19 ID:xuMsv05k0
気付けば、ふらふらと歩き出していた。
(´・ω・`) ……
一歩一歩、女の子の元へ。
「おっきいっしとーれた……」
近づくごとに歌っている声がはっきりしてくる。
「おっきいっしとーれた さんぼんせんっ」
(´・ω・`)(なんだ、この歌……)
繰り返される同じフレーズ、それにあわせてぽんぽんと弾む鞠の音。
しかし、歌詞の意味が分からない。
(´・ω・`)(置き石?)
気付けば、鞠をついている女の子が目の前にいる。
下を向いているため、顔はよく見えない。
(´・ω・`) ……
「おっきいっしとーれた さんぼんせんっ」
ぽん ぽん ぽん
女の子はこっちの事を気にするそぶりも無く、歌い続けている。
31
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:19:15 ID:xuMsv05k0
(´・ω・`)(ん?)
ふと、違和感。
(´・ω・`)(なんだ?)
少しだけ考えて、そして彼はそれに気付いた。
「おっきいっしとーれた」
女の子が鞠をついているから、必然的に彼は鞠をつく手を中心に女の子を見ていた。
(;´・ω・`)
鞠をついていない、逆側の手。
それが違和感の正体だった。
「さんぼんせんっ」
ぽーん、と鞠が高く飛ぶ。
女の子はそれを両手で受け止めた。
32
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:21:53 ID:xuMsv05k0
(;´ ω `)
鞠を持つ、彼女の手。
その大きさは均一ではない。
片方は子どもらしい、小さな手。
しかしもう片方の手が、異様に"大きい"。
紫色で、腫れ上がったような手。
太い血管の浮き出たそれは、例えて言うなら、そう―――『鬼』のよう。
禍々しい様相のそれは、中指と薬指と人差し指が異様に長く、その先には鋭い爪が生えている。
「おきいしとれた」
静かな声で女の子が言う。
今度は歌ってはいない、普通の声で少女は言う。
「もう かるい おもくない」
少女はゆっくりと顔を上げていく。
(;´ ω `)
「やるぞ やろか」
日の光に露わになっていく、少女の顔。
(;´ ω `)<ぁ……
幼い声とは裏腹に、深い皺が無数に刻まれた顔。
真っ黒な相貌に眼球は無く、どこまでも深い、暗黒が広がっている。
「さんぼんせん やるぞ」
ぽっかりと空いた口が、ぱかりと空く。
びっしりと並んだ鋭い歯が見える。
笑っていた。
今まで見たことの無いような、邪悪な笑顔。
(;´ ω `)<ぁ……ぁぁ……
何も答えられないショボンに、そいつは大きな左手を伸ばし、
そして―――
33
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:23:19 ID:xuMsv05k0
―――目が覚めた。
(;´ ω `) !!
がやがやという喧騒。
時々鳴る電話のコール音。
(;´ ω `)(ここは、会社?)
気付けば、見慣れた会社のデスクに座っていた。
Σz ゚ー )リ<……先輩?
見れば、隣のデスクの後輩が、きょとんとした顔でこちらを見ている。
(;´・ω・`)<あ、ああ……ごめん。ちょっと眠ってたみたい
夢だったのか、そう思うと彼は心の底からほっとした。
Σz ゚ー )リ<めずらしいっすね、先輩が居眠りだなんて
(;´-ω-`)<ああ、疲れてるのかな……おかげで変な夢も見ちゃって
Σz ゚ー )リ<へえ、どんな……
言い掛けて、彼女はぷっ、と吹き出した。
Σz ゚ー )リ<なんすか先輩、その顔
34
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:24:13 ID:xuMsv05k0
ぷくく、と堪え笑いをしている彼女にショボンは首を傾げる。
(´・ω・`)<……顔?
怪訝な顔をしている彼に、後輩は笑いを堪えながら手鏡を突きつけた。
(´・ω・`)
鏡に映る、惚けた表情の自分。
何かを敷いて寝ていたのか、頬に赤い痕がついている。
(;´ ω `) !
鏡に映る、自分の顔が驚愕に歪む。
頬に残る赤い痕。
それは、いやに不自然な直線。
横に一本、二本、三本。
三本線が、自分の頬にあった。
脳裏に浮かぶのは、あの笑顔。
「さんぼんせん やるぞ」
あの声が、どこかから聞こえた気がした。
35
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:28:08 ID:xuMsv05k0
――――――
―――
―
(,,-Д-)<わたしが彼から聞いたのはここまでです
ふっ、と猫は火を吹き消した。
(
) .,、
i (i,)
|_| |_|
('A`)<……わかんないな、結局どういうことだったんだ、『少し意味のある話』って
冷蔵庫の上で、少年は首を傾げる。
猫は目線をちょいと上にやって―――つまり、ちょっと考えるような仕草をして―――言った。
(,,゚Д゚)<言葉の通りですよ
('A`) ?
訝しげな表情をしている少年を背に、猫はロウソクの乗った皿を川に流した。
(,,゚Д゚)<今までの話は『たまたま』でした
(,,゚Д゚)<"それ"にとって出会う人間など誰でもよかった。
詰まるところ出会ってしまった彼らに"それ"と出会った意味はなかった。
('A`)<……この"さんぼんせんの化け物"は違うの?
36
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:30:17 ID:xuMsv05k0
(,,゚Д゚)<そうですね。他の"何か"とは違って、少なくとも"彼女"には理由がある。
('A`)<理由?
(,,゚Д゚)<ええ、それに関しては本人が歌っていたでしょう?
冷蔵庫の上で、少しだけ少年は考えて、そしてそれに思い至った。
('A`)<「おきいし」が取れたから?
(,,-Д-)<ええ、その通りです
ぴょこり、と猫はしっぽを動かした。
(,,゚Д゚)<その「おきいし」が何なのかというのはわかりません。
そのまま『置き石』でどこかに置かれていた石がなくなったのか、
はたまた訛って『大きい意志』で実体の無いものか。
(,,゚Д゚)<ただ、"彼女"は明言している。
『「おきいし」がとれたから、さんぼんせんをやるぞ』、と。
少なくとも、だから"彼女"は彼の前にあらわれた。
('A`)<意味なく襲ってくるような奴とは違う、と?
(,,-Д-)<別に、それが善いというわけでも悪いというわけでもありません。
ただ、少なくとも"彼女"には"彼女"なりの『意味』があったのでしょう
言って、猫は目の前の少年を見た。
例の透き通るような、ガラス玉のような瞳で。
(,,゚Д゚)<あなたはどうです?
37
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:32:07 ID:xuMsv05k0
('A`) ……
少年は目をそらす。
構わず猫は続ける。
(,,゚Д゚)<自分はどっちだと思いますか?
目をそらした視線のさきには、てらてらと光る、赤。
.,、
(i,)
|_|
ロウソクの、炎。
(,,゚Д゚)<それは、あなたに譲りましょう
ぽたぽた、と音がする。
雨が降る、音。
('A`)<……「言葉じゃなくて、行動で示せ」ってこと?
声をかけた先では、すでに猫はしっぽを向けている。
顔だけこちらに向けて、彼は言った。
(,,゚Д゚)<言葉で自分を正しく表現できるヒトというのは、案外いないもののようですよ
どこか皮肉っぽいことを、皮肉でもなんでもないという口調で言って、唐突に猫は消えた。
(-A-)<「ヒントは示したぞ」ってか、偉そうに
ざーっ、という雨音。
滝のような雨の中を、誰かが走ってくる音がする。
( A )<いいよ、見せてやる
言って少しだけ、少年は笑った。
38
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:33:38 ID:xuMsv05k0
本日はここまで。
最後の一本は明日に。
ノシ
39
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 03:02:40 ID:ja0mOJXU0
乙
台詞が「」じゃなくて、 < で表現されてるのがいい雰囲気出てるなあ。何故かは分からないけど、舞台上で演じられているような感覚になる
40
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:25:28 ID:xuMsv05k0
>>39
おー、それははじめて言われた。
なるほど、そういう印象をもってくれる人もいるのね。
それでは、再開するます
41
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:27:26 ID:xuMsv05k0
.,、
(i,)
|_|
.
42
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:28:33 ID:xuMsv05k0
ひどい雨だった。
(;^ω^)
頭を通学鞄で守りながら、内藤ホライゾンは走っていた。
(;^ω^)(おー、どこかに雨宿り出来る場所……は)
(;^ω^)<お!
いつも通学路にしている橋の下。
絶好の雨宿り場所を、彼は見つけた。
(;-ω-)<地獄に仏だおー
鞄についた水滴を払いながら、彼はため息を吐いた。
('A`)<災難だったね
(;^ω^)<おっお、まったくですお
( ^ω^)
('A`)
(;^ω^)<あ、こんにちはですお
('A`)<こんにちは
43
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:29:44 ID:xuMsv05k0
4本目『冷蔵庫』
.
44
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:30:42 ID:xuMsv05k0
目の前には、流れる水。
セメントの柱が、壁みたいに視界を埋めている。
( ^ω^)<ドクオくん、かお。僕は近くの高校生で内藤ホライゾンと言いますお
('A`)<内藤さん、ね。よろしく
高架下。
誰かが不法投棄していった冷蔵庫。
ドアがある方を下にして横たわっている。
それの背中に少年は腰かけていた。
倒れるときに開いたものか、冷蔵庫のドアは開きっぱなしになっている。
傍らには何故かロウソクが一本。
雨の薄暗い影の中、やけに明るくてらてらと輝いている。
( ^ω^)<おっお、よろしくだお
答えながら、彼の頭に少しだけ疑問がよぎる。
( ^ω^)(ロウソクの火なんて、雨の中でも見えそうなもんだけど)
なのに、自分が直前まで彼の存在に気付かなかったのはどういう訳なのか。
彼は首を傾げる、が、すぐに納得した。
( ^ω^)(突然の雨で混乱してたし、見逃しただけだお、きっと)
45
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:32:38 ID:xuMsv05k0
('A`)<雨、やみそうにないね
少年の言葉に目をやれば、滝のような雨に遮られる視界。
しばらく外には出られそうにもない。
( ^ω^)(天気予報は曇りだったんだけど)
( ^ω^)<おっお……参りましたおー
('A`)<暇だね
( ^ω^)<だお
('A`)<暇なら話でもしようか
( ^ω^)<話?
視界の端。
増水した川の激しい流れの中を、笹舟が流れていく。
雨が降る前に誰かが作ったものだろうか?
('A`)<そうだな、怖い話とか
( ^ω^)<おっお、いいお。いまなら雰囲気もあるし
「それに、自分にはとっておきの実体験もあるし」と、彼は心の中でしめしめと笑う。
('A`)<じゃ、おれからね
46
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:34:45 ID:xuMsv05k0
('A`)<えっと、そうだな……おれが話すのはこの冷蔵庫の話だ
ぺちぺち、と少年は自分が座っている冷蔵庫をたたいて見せた。
( ^ω^)<お?
('A`)<実は今日、おれがここに居たのは、この冷蔵庫を見るためだったんだ
改めて、内藤は冷蔵庫に目をやった。
棄てられたのはいつの事か、もともと白かったであろうボディーは日に焼け、表面は傷だらけ。
なるほど、言われてみれば何かありそうな雰囲気を醸し出している。
(;^ω^)<なにか、いわくでも……?
('A`)<……うん
少年がふと、川の方へ目をやる。
つられて内藤が目をやると、先ほどと似たような笹舟が、先ほどと同じように流れていく所だった。
('A`)<ちょうど、こんな天気の日だったんだって
47
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:36:48 ID:xuMsv05k0
―
―――
――――――
曇り空。
ただ、天気予報によれば雨は降らないらしい。
( A )
高架下。
笹の葉をたくさん持った少年は、そこで笹舟を作って遊んでいた。
小さな彼のマイブーム、近くの藪でとった葉っぱで作った船を、ひたすら川に流す。
ただそれだけの遊び。
幼い彼にはそんな単純な事が楽しくて、時間を忘れてそれに没頭していた。
ぽつり、ぽつり、
ふと、雨が降り始める。
彼は気付かない。
( A )
程なくして、それは視界を遮るような土砂降りに変わっていった。
――――――
―――
―
48
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:39:04 ID:xuMsv05k0
(;^ω^)(……笹舟?)
ぞくっ
背筋に寒気。
視界の端で、また笹舟が一つ、激流を下っていく。
('A`)<どうしたの?
視界の中央に少年。
不思議そうな表情で、小首を傾げている。
(;^ω^)<な、なんでもないお。……つづけて
―――考えすぎだ、きっと。
('A`)<うん。最初はその子も、笹舟が早く流れるのをみて面白がってたみたいなんだけど……
49
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:42:21 ID:xuMsv05k0
―
―――
――――――
やがて、少年は怖くなった。
増大する水量はもはや近寄るのも恐ろしい程で、雷の轟音と光が少年にさらなる恐怖を与える。
(; A )
そして―――
( A )て
―――少年の目に『それ』が映った。
白いボディーの四角い箱。
それにはドアがあり、小さな彼であれば簡単に入る事ができそうだ。
( A )
『それ』は、誰かが不法投棄していった冷蔵庫。
小さな少年は、その中に隠れてこの状況をやり過ごそうと思った。
( A )
冷蔵庫を開ける。
ひどくカビ臭い。
棚に手をかけ、よじ登るために体重をかける。
もともと、地盤が不安定だったのかもしれない。
少年の体重に寄って、冷蔵庫は大きく傾き、
(; A )
そして、それは彼に向かって倒れ込んできた。
――――――
―――
―
50
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:43:50 ID:xuMsv05k0
(;^ω^)<……それで、その子はどうなったんだお?
('A`)<死んだ
( ´ω`)<おー……
('A`)<倒れ込んできた冷蔵庫に押しつぶされて死んだとかなら、まだよかったんだけどね。
その子は、冷蔵庫の中にすっぽり収まっちゃった。だから、死因は窒息死だったんだって
( ´ω`)<おー……
想像してみる。
狭く暗い冷蔵庫の中。
下は地面。
何度も何度も冷蔵庫を持ち上げようとするが、小さな彼の力ではびくともしない。
だんだん、周りの空気が薄くなっていくのが分かる。
( ´ω`)<むごいお
('A`)<でしょ? その子の死体は次の日に冷蔵庫の中からみつかったんだけど、
冷蔵庫の中は傷だらけだったみたいだよ
( ´ω`)<おー……最後まで、抵抗したんだお。無念だお
('A`)<そうだね、無念だ。だからかね、それ以来この冷蔵庫にはいろいろ奇妙なことが起るようになった
( ^ω^)<お、それが本題かお。一体どんなことが起るのかお?
('A`)<物音がするんだって。冷蔵庫の中から。
丁度、男の子が死んだのと同じ、こんな天気の日になると―――そう
( A )<こんな風に
.
51
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:45:16 ID:xuMsv05k0
(;^ω^)<お?
少年の言葉に、内藤は首を傾げる。
聞こえるのは、雨の音、それだけ。
ざーざーざー …リッ ざーざーざー カ…
(;^ω^)(お?)
いや、違う。
よく聞けば、雨音に混じって小さな音が混じっている。
ざーざーざー カリッ ざーざーざー カリカリカリ
(;^ω^)(なんか、硬いものをかきむしるみたいな)
耳を済ませる、音の発生源はどこか、探す。
(;^ω^)
(;^ω^)
(;^ω^)(あ)
音の発生源は、少年の足元。
例の冷蔵庫の中。
( A )<ね、聞こえるでしょ?
52
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:48:23 ID:xuMsv05k0
耳に届く、音。
(;^ω^)
カリカリ カリカリ かりかりかりかり
それは次第に大きくなっていく。
(; ω )
がりがりがりがり
引っ掻く音が、激しいものへと変わっていき、
(; ω )
がりがりがりがり ……がんっがんっがんっ
やがて、それはより激しい叩く様な音へと変貌していった。
がんがんっがんっがんがんがんがんがんっがんがんがんがんっがんがん
っがんがんがんがんがんがんがんっがんがんがんがんがんがんがんっが
んがんがんがんがんがんがんっがんがんがんがんがんがんがんがんがん
がんがんがんがんがんがん(; ω )がんがんがんがんがんがんがんがん
がんがんっがんっがんがんがんがんがんっがんがんがんがんっがんがん
っがんがんがんがんがんがんがんっがんがんがんがんがんがんがんっが
んがんがんがんがんがんがんっがんがんがんがんがんがんがんがんがん
(; ω )<<うわあああああああああああああああああああ!!!!
53
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:49:29 ID:xuMsv05k0
走る。
(; ω )(なんで僕、こんな目にばっかりあうんだお!?)
雨の中、濡れるのも構わず、わき目もふらずに走る。
(; ω )<おっ
しばらく走ったところで、彼は気付いた。
(;^ω^)ゼェ…ゼェ…
急ブレーキ。
乱れた鼓動と、息を整える。
雨に撃たれながら、彼は後ろを振り向く。
(;^ω^)<ドクオくん!
返事が無い。
どうやら自分は、少年を置いてきてしまったようだと気付き、内藤は少し迷って、
(;^ω^)
(^ω^;)
(;^ω^)
(; ω )
(((; ω )))
そして高架下へ向かって走り出した。
===⊂(; ω )つ(もうなるようになれだおおおおおお!!!)
―
―――
――――――
54
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:51:13 ID:xuMsv05k0
翌日。
昨日の天気が嘘のように空は晴れ渡り、さんさんと輝く夏の日差しの下、
高架下に三人の少年少女の姿があった。
( ・∀・)<で、結局戻ってみるとそのドクオくんの姿は影も形もなかった、と
(;^ω^)ヽ<おっお、その通りだお
少年二人は、件の冷蔵庫を挟むように立ち、その姿を、なぜだか数珠を持った少女が見守っている。
ξ゚⊿゚)ξ<あんたと逆方向に逃げたってだけじゃないの?
(;^ω^)<おー、そうかもしれないけど。でも、あのロウソクまでなくなってたんだお
ξ゚⊿゚)ξ<それも持って逃げたんじゃん?
(;^ω^)<おー……そうか、お?
そう言われるとそんな気もしてきた、と内藤が自信をなくし始める。
( ・∀・)<ブーンはどう思ってるの、そのドクオくんについて
(;^ω^)<おー、僕はドクオくんは幽霊だったんじゃないかって
ξ゚⊿゚)ξ<幽霊が自分の身の上話したっての?
(;^ω^)ヽ<おー……たぶん
55
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:53:04 ID:xuMsv05k0
ξ-⊿-)ξ=3<たぶんって、あんたねえ
炎天下の中、説明もなく駆り出された少女がため息をつき、内藤はおろおろする。
(;^ω^)<ごめんだお、ただなんか、後から考えると、
あのときのドクオくんの話し方が、なんかそれっぽかったような気がして
( ・∀・)<それっぽいってのは?
(;^ω^)<おー、なんていうのか、自分のことで話しにくいことを話すときって、あるじゃないかお。
こう、自分のことなんだけど「友達にこういう人がいて〜」みたいな
ξ-⊿゚)ξ<あー、確かにいるわそういうやつ。恋愛相談とかでわざとらしく「友達の話なんだけどー」とか。
ああいうの見ててイライラするからやめてほしいわね
( ・∀・)<なるほど、同族嫌悪ってやつだね
ξ#゚⊿゚)ξ<なんかいった……?
(・∀・ )<べっつにー。で、ボクはどうすればいいのかな、ブーン?
(;^ω^)<おっお、これ持ち上げるの手伝ってほしいんだお
言いながら、内藤は目の前の冷蔵庫の背中をぺちぺちと叩く。
( ・∀・)<冷蔵庫を? 持ち上げてどうすんのさ
( ^ω^)<中に、お教を上げてあげたいなって。だからツンにも来てもらったんだお
56
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:54:38 ID:xuMsv05k0
ξ゚⊿゚)ξ<数珠を持たせたのはそういうことね
( ^ω^)<ツンの家お寺だお? だからお教くらい読めるかなって
ξ-⊿-)ξ<そりゃ真似ごとくらいできるけどさ、
でも、あたしはあんたがそのドクオって子にからかわれただけなんじゃないかと思うけどなー
( ・∀・)<ボクはブーンを信じるよ、ほら、そっち持って。なんならお教もボクが上げてあげるよ
(*^ω^)<おっお、ありがとうだお、モララー
ξ;゚⊿゚)ξ<ちょっ、まちなさいよ! やらないなんていってないんだからね!!
(*^ω^)<おー、ありがとうだお、ツン
ξ*-⊿-)ξ<……っ、この後カラオケあんたのおごりだから
(*^ω^)<おっお!
57
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:56:18 ID:xuMsv05k0
( ・∀・)<せー、のっ
(;^ω^)<おおおおおおお!!!
男子二人で抱えて、女子一人も少し手伝って、冷蔵庫はなんとか立ちあがった。
ドアをあけ、ツンがお教をあげる。
ξ-⊿゚)ξ<ほんとに、ただの真似ごとだからね
(*^ω^)<おっお、ありがとうだお
最後に全員で手を合わせ、彼らは冷蔵庫に背を向け、歩きだした。
ξ-⊿-)ξ<つーか、結局あの冷蔵庫、中に傷なんかなかったじゃん
(;^ω^)ヽ<おー、その辺りはドクオくんが話を盛っただけかも……
( ・∀・)<まあたしかに、中で子どもが死んだ冷蔵庫をあそこに放置しっぱなしってのも変な話だよねー
(;-ω-)<おー……
やっぱり、自分がからかわれただけだったのだろうか、と彼は思って、そして
「ありがとう」
.
58
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:57:23 ID:xuMsv05k0
ふと、後ろから声。
( ^ω^)<お?
(^ω^ )
振り向けば、冷蔵庫の姿。
(^ω^ )
(^ω^ )
(^ω^*)
(^ω^*)<どういたしまして、だお
小さく答えて、彼はまた冷蔵庫に背を向けた。
友人二人が、青い顔をして「聞こえた」だの「聞こえなかった」だの言っていたが、
そのあたりは深く突っ込まないことにした。
視界の端を、笹の葉の船がどこか遠くに流れて行くのが見えた。
59
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:58:28 ID:xuMsv05k0
―
―――
――――――
(,,゚Д゚)<わかりませんね。結局、どこまでがほんとうのことだったのです?
高架下。
少年少女が行ってしまった冷蔵庫の影で、猫がこっそりと傍らの人に訊ねる。
傍らには、少年がひとり。
猫の隣で体育座りしている。
('A`)<さあね、それこそ大した問題じゃないんじゃない?
傍らには、未だ火のともったロウソクが一本。
少年は、ふっとそのロウソクを吹き消した。
(
)
i
|_|
(,,゚Д゚)<ふむ、なるほど。あなたがそういうなら、そうなのかもしれませんね
('A`)<しっかし、まさかブーンさんが戻ってくるとは思わなかったなあ
ぼんやりと、彼は言った。
少年は川の方を見ている。
(,,゚Д゚)<うれしそうですね?
('ー`)<……べつに
(,,゚Д゚)<ふむ、そうですか?
不思議そうに首を傾げる猫に、少年は笑う。
60
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 23:59:25 ID:xuMsv05k0
('A`)<さて、そろそろかな……
見れば、上流のほうから大きな緑色の何かが流れてくるところだった。
(,,゚Д゚)<いかがでしたか、ネコの話でも退屈しのぎにはなったでしょうか?
('A`)<うん、いろいろ面白かったよ、ありがとう
上流から流れてくるものが近づくにつれ、形が明らかになっていく。
緑色のそれは、『船』。
材質はおそらく葉っぱ。
子ども一人が乗れそうなそれは、ドクオ少年の前まで来るとゆっくりと動きをとめる。
少年は立ちあがると、それに向かって歩き出した。
('A`)<あ、そうそう、これだけは確認しておきたかったんだけど
ふと、思い出したように、少年は振り返る。
(,,゚Д゚)<はい?
('A`)<結局、おれはあんたの基準でいうと”どっち”だったのかな
聞かれて、猫はちょいと目を上にやって―――つまりはそう、ちょっと考えるようなしぐさを見せて―――言った。
(,,゚Д゚)<ヒトは、人生の内に何度も恐怖と直面します
('A`)<ん?
61
:
名も無きAAのようです
:2015/08/10(月) 00:00:29 ID:50NjtqQw0
(,,゚Д゚)<恐怖にもいろいろ種類があります、出会った後もそのヒトの人生に影響をあたえるもの、
記憶に残りはするけれど、その後の人生には影響の無いもの、さまざまです
('A`)<うん
(,,゚Д゚)<大抵の恐怖は、のちのち振り返ってみて、そんなこともあったな、あれはなんだったのかなと思う、その程度のものです。
('A`)<ラクガキの話のあとに聞いたね
(,,゚Д゚)<それに対して、その人のその後の人生、あるいはそれ以前の人生にとって『意味のある恐怖』というのも、存在しています
('A`)<さんぼんせんの化け物みたいなやつか
(,,゚Д゚)<あれは、おそらく出会った彼自身に、直接的であれ、間接的であれ、なんらかの『理由』があった。
('A`)<うん
(,,゚Д゚)<ただ、今回あなたは出会う相手そのものは誰でもよかったでしょう?
('A`)<そうだね、たまたま通りかかった人を選んだだけだったし
(,,゚Д゚)<と、いうことは、あなたが『意味のある恐怖』かどうかはこれから決まるということになります
いわれて、少年は察した。
('A`)<なるほど、つまりあれか、この『恐怖』が意味があるかどうかに関しちゃ、今後の内藤さん次第だと?
(,,゚Д゚)<そうなりますね。彼がこの『恐怖』をその後の人生にどう反映させるか、それによります
62
:
名も無きAAのようです
:2015/08/10(月) 00:01:22 ID:50NjtqQw0
少年は苦笑する。
('A`)<そりゃ頑張ってもらわないとね、内藤さんには
彼は船に乗り込む。
(,,゚Д゚)<最後にネコのわたしに言えることがあるとするなら
('A`)<ん?
(,,゚Д゚)<やりすごして一晩で消えた程度の赤い服の女と、わざわざ友達まで連れて供養に来るほどのあなた。
彼の人生にどちらが影響を与えるかということを比べるなら、きっと勝負にならないでしょうね
船が、動き始める。
('A`)<……もしかして、あんた、けっこういいやつだったりする?
(,,゚Д゚)<さて、それこそあなた次第ですね
('A`)<いろいろありがと
(,,゚Д゚)<お礼をいわれるというのも、なかなかない経験ですね。―――それでは、よい旅を
('A`)<ああ、さよなら
大きな葉っぱの船は、少年をのせて川を行く。
流れ流れて、その船体は徐々に浮き始め、やがて雲ひとつない、空へ。
少年がふと、いままで自分の居た高架下を見下ろすと、猫がこちらを見上げていた。
(,,゚Д゚)
その様子が、どこかさびしそうに見えて、
ちょっとだけおかしく感じた少年はひとつ、くすりと笑った。
63
:
名も無きAAのようです
:2015/08/10(月) 00:02:04 ID:50NjtqQw0
(,,゚Д゚)怪談・高架下猫語のようです
おわり
.
64
:
#1nx
◆.B7F/avix.
:2015/08/10(月) 00:07:03 ID:50NjtqQw0
そんなわけで、高架下猫語(こうかしたねこがたり)でした。
自分の中で、ホラーっつーのはどこか説教臭い感じがあって、昔小説板で書いてたのがそんな感じだったので、
じゃあ説教臭くないのにしよう、向こうが女の子ばっかだしてたから、こっちは男臭い風にしようってことで、
こんな感じになりました。
あいかわらず、どこか読んでくれてるやつらおいてけぼりな感じかもですが、
そのあたりはフィーリングで、考えずに感じてくれれば幸いです。
関連作品は( ^ω^)ギコを見たようです他複数ってことで、どうかひとつ。
そんなわけで、百物語、盛り上がっていきましょう。
久々の投下を狩猟します。
読んでくれてありがとうでしたノシ
65
:
名も無きAAのようです
:2015/08/10(月) 00:29:48 ID:BLpUSF2.0
乙!
物静かな雰囲気に浸れて好きだ
66
:
名も無きAAのようです
:2015/08/10(月) 01:24:33 ID:g1RjYNpI0
お教じゃなくてお経じゃね?
乙
67
:
名も無きAAのようです
:2015/08/10(月) 10:55:59 ID:JhHq8OZo0
>>66
素で間違えちゃた……すんません
脳内補完おなしゃす
68
:
名も無きAAのようです
:2015/08/12(水) 21:44:39 ID:zvxfwUq.0
面白かったー
おつおつ
69
:
名も無きAAのようです
:2015/08/13(木) 01:46:40 ID:73AafMiE0
よい話だった
良くも悪くもすらすら読めた
70
:
名も無きAAのようです
:2015/08/13(木) 13:09:04 ID:PJlrQ8KE0
スゲー面白かった乙
ひきこまれたなぁ
71
:
名も無きAAのようです
:2015/08/14(金) 16:55:05 ID:PLeKRSVo0
ギコかわええ
72
:
名も無きAAのようです
:2015/08/15(土) 12:15:51 ID:IwBH8y6k0
乙です!何かよかった!この雰囲気好きだ。特に最後の話。
それにしても、猫のギコかわいいな
73
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 21:59:56 ID:FR8UAzPU0
>>64
もしかして学校の怪談のようです?
74
:
名も無きAAのようです
:2015/08/21(金) 22:21:13 ID:nq5qw0pY0
>>73
それです
75
:
名も無きAAのようです
:2015/08/22(土) 00:18:24 ID:5DTBc89.0
>>74
ずっと待ってて良かったぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁ!!!
76
:
名も無きAAのようです
:2015/08/23(日) 15:37:18 ID:a1/sHXz20
>>75
ずいぶんお待たせしてます、ほんとすんません。
楽しんでもらえたら幸いです
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