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Two Guns Horror Showのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:26:13 ID:jQku1xmM0
百物語参加作品
2
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:32:15 ID:jQku1xmM0
酷く甘い朝だった
<ヽ;`∀´>「ゴホッ!!ゴホ!!」
誤解の無いように言っておくが、別に官能的な意味では無い
ぼんやりと朝刊を眺めながら、いつものカフェで眠気覚ましのコーヒーを買い、署へと向かう道すがら一口
苦味より先に強烈な甘さが口の中に広がり、思わず咽た
砂糖を大量に入れた覚えは無い。入れたとするならば、いつも無愛想な顔で接客するあの若い店員か
確かに、確かに朝刊を読みながら歩くのは褒められたことではないが、それにしてもこんな嫌がらせをすることは無いだろう?
<ヽ;`∀´>「ふ…」
つい、口癖を言いそうになり、言い留まる
あまり口に出したくない言葉だ。言えばますます深みに嵌る
よし、ここは一つ、十歩手前のカフェで文句を言い、新しいコーヒーに換えて貰おう
こんな小さな嫌がらせだ。もし不躾な態度を取ろうもんなら、職権を乱用してもいい
クルリとUターンを決め、再びカフェの扉を開けた
<ヽ`∀´>「すいませー……」
店内の時間は、可笑しな形で止まっていた
脅えた表情で固まる客と店員
それらに拳銃を突きつける、チンピラ風の男たち
なるほど、合点がいった。このコーヒーは『通報』だったのか
まさか文句を言いに来て、『正当な形』で職権を行使する事になるとは
<ヽ;`∀´>「『不幸だ』」
言いまいとしていた口癖と同時に、脇に忍ばせているベレッタ92Fを引き抜いた―――
3
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:32:56 ID:jQku1xmM0
.,、
(i,)
|_|
.
4
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:34:45 ID:jQku1xmM0
('A`)「よーう相棒、朝から大活躍じゃねえか」
彼が署のデスクに着けたのは、昼前のことだった
今朝の強盗事件を速やかに、そしてやや強引に解決したのは良いが、後処理として数時間拘束された
そして今から、警告無く発砲した事に対する始末書を書かなければならないのだ
これらの出来事があって、彼は同僚の軽口にこう返した
<ヽ;`∀´>「冗談じゃあないニダ」
韓国系アメリカ人の『ニダー・リッグス』は、こう言ったトラブルに巻き込まれやすい体質だ
『犬も歩けば〜』と言う諺の通り、彼が行くところには必ずと言っていいほど事件が転がっている
街を行けば薬物の取引に遭遇し、銀行に金を下ろしに行けば強盗が現れる
転がった小銭を追っかけた先が、スナッフ・フィルムの撮影現場だった時には流石に自分の体質を笑ったほどだ
そして事件に遭遇するたびに彼は、『不幸だ』という口癖を呟くのだ
('A`)「流石は『ミスター・アンラッキー』だ。嗚呼、世にも悲しき不幸に愛された男……だが事件の検挙率は署内、いや大陸一の敏腕デカ!!」
<ヽ;`∀´>「その渾名はやめろっていつも言ってるニダ」
そんな彼を、署内の人間たちは面白半分で『運の無い男』、『ミスター・アンラッキー』と呼んだ
当然、良い気分はしないが、あれよあれよと瞬く間に広まってしまったものだから、半ば諦めつつも制止を求め続けている
('A`)「しかし、俺はいつも思うんだがなァ。お前さん本当に…おっと、やべえ」
同僚はちらりと廊下に目を向けたかと思うと、そそくさとニダーのデスクから離れる
しばらくすると
N| "゚'` {"゚`lリ「ご苦労だったな」
ニダーの背後から警部の手が伸び、何故か肩ではなく逞しい胸板に触れた
5
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:36:12 ID:jQku1xmM0
<ヽ;`∀´>「い、いえ、いつもの事ですから」
彼はこの日系アメリカ人の上司が苦手だった
同じアジア系人種と言うこともあり、色々と気に掛けてくれる警部ではあるが、何かにつけて『過度なスキンシップ』があるためだ
N| "゚'` {"゚`lリ「いつも感謝しているんだぜ?偶然とは言え、凶悪事件を次々と見つけ解決するお前だ。変な渾名で呼ぶ連中もいるが、それはお前への信頼の裏返しだと思って大目に見てやれ」
<ヽ;`∀´>「ええ、ええ…わかっていますニダ」
警部の太い指が、扇情的に胸板を撫でる
ぞくりと鳥肌が粟立った。当然ながら興奮したわけではない
『これって完璧なセクハラだろ』といつも思ってはいるが、普段世話になっている分、文句も出ない
N|*"゚'` {"゚`lリ「全く…いつもながら、お前さんには…」
手が胸板から『下』へと移動しようとした所で、我慢の限界が訪れた
勢い良く立ち上がり、振り返って敬礼をする
<ヽ;`∀´>「と、所で!!私に何か御用でしょうか!?」
警部は、名残惜しそうに手を引っ込め、着いて来いと指を曲げる
N| "゚'` {"゚`lリ「お前さんに客だ」
<ヽ`∀´>「客…?」
N| "゚'` {"゚`lリ「喜べ、別嬪さんだぞ」
彼の言う『別嬪』が、別の意味では無い事を祈りつつ
応接間へと足を運んだ
6
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:38:07 ID:jQku1xmM0
N| "゚'` {"゚`lリ「お待たせした」
<ヽ`∀´>「失礼致します」
応接間のソファーで待っていたのは
革靴を履き、スラックスとベストを着こなし、ドクロのような『モンスター』の頭部が刺繍されたネクタイを締め
ショルダーホルスターには2.5インチS&W M19を差し込み、不機嫌そうに短くなったタバコの火を灰皿に押し付け
川 ゚ -゚)「遅い」
ふてぶてしい言葉を煙と共に吐いた『黒髪の美女』だった
N| "゚'` {"゚`lリ「そいつは失礼。ニダー、此方はFBIの『クール・マータフ』捜査官だ」
<ヽ;`∀´>「FBI?」
『FBI』、言わずと知れたアメリカの連邦捜査局だ
主にテロや重大犯罪、政府の汚職など、大規模犯罪を捜査する警察機関
そんな場所からの来客に、ニダーは頭を捻る。『自分はそれほど大きな事件に関わっていたか?』と
<ヽ;`∀´>「お、お会いできて光栄です。ニダー・リッグス巡査部長です」
川 ゚ -゚)「…」
クールはニダーの自己紹介に言葉も返さず、二本目のタバコを取り出し、火をつけた
<ヽ;`∀´>「…」
無礼千万な態度ではあるが、自分よりも若いであろうこの女には
『貫禄とカリスマ』があり、そしてどこか、騎士を思わせるような『気品』があるように見えた
7
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:39:06 ID:jQku1xmM0
N| "゚'` {"゚`lリ「それでは、マータフさん。私はこれで。御用が済みましたらお呼びください」
<ヽ`∀´>(えっ)
川 ゚ -゚)「ええ、手短に済ませますので」
<ヽ`∀´>(えっ?)
署長はニダーの肩を軽く叩き、『頑張れよ』と耳元で囁き
制止する間も無く応接室を出て行った
<ヽ;`∀´>(え、ええ〜…)
川 ゚ -゚)「何を突っ立っている?座れ。話も出来ないだろうが」
状況の把握が出来ないニダーを余所に、クールは室内に紫煙を撒き散らす
初対面とは思えないほどの物言いに、ニダーは脅え半分呆れ半分で下座のソファーに座った
<ヽ;`∀´>「そ、それで、私にどういったご用件でしょうか?」
川 ゚ -゚)「……」
質問にはすぐに答えず、クールは肺いっぱいに煙を吸い込む
タバコの焼け縮む音が、ニダーを焦らせた
川 ゚ -゚)「フゥー…何、ちょっとした面接だ。気を楽にして答えろ」
<ヽ;`∀´>「はぁ…」
8
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:42:06 ID:jQku1xmM0
とは言われたものの、彼の緊張の糸は張り詰めっぱなしだった
悪い事をした覚えは無いが、もしかするとここ数日立て続けに拳銃をぶっ放した件で何か処罰が下されるかもしれない
もちろん、公務の為の発砲だ。『ダーティー・ハリー』だって、理由も無しに人を撃ったりはしない
川 ゚ -゚)「『ニダー・リッグス』刑事で間違いないな?」
<ヽ;`∀´>「はい」
川 ゚ -゚)「ロス市警殺人課所属…にも関わらず、強盗、誘拐、麻薬取引、違法賭博と、数多くの事件と関わっていると聞いたが、どうだ?」
<ヽ;`∀´>「確かです」
川 ゚ -゚)「……」
クールはメモを取り出し、細かく記入をしていく
時折、こちらをチラリと見ては、また書き込む
川 ゚ -゚)「…銃の腕前は?」
<ヽ;`∀´>「えっ、あっ、はい、それなりに…」
川 ゚ -゚)「賞を取ったことは?」
<ヽ;`∀´>「署内の射撃大会では二位でした」
川 ゚ -゚)「ふむ……殺意を向け襲ってくる相手を、容赦なく殺せるか?」
<ヽ;`∀´>「質問の意図がわかりかねますが?」
川 ゚ -゚)「意図もクソも、そのままの意味だ」
ペンとメモをテーブルに置き、何を考えたのか彼女は
ホルスターから拳銃を抜き、銃口をニダーに向けた
<ヽ;`∀´>「ッ!?」
川 ゚ -゚)「さぁ、どうだ?『撃てるか』?」
9
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:43:30 ID:jQku1xmM0
『試されている』、それは解っているが
『ここまでやるか?』と思った
銃口を人に向けるなど、本来ご法度だ。『トリガーに指を掛ける』など持っての他
弾が入っていようが無かろうが、警察が、『治安維持の為に銃を持つ者』が、行ってはいけない行為
<ヽ;`∀´>「…」
膝に乗せた右手が、『脇』に潜ろうか迷ったように動く
『試されている』、解ってはいるが、『これが正解』とは限らない
<ヽ;`∀´>「今朝…病院に強盗犯が三人運ばれました…彼らに確認してみてください」
川 ゚ -゚)「…」
行動には移さず、事実を伝えた
『撃ち殺してはいない』が、確かに無力化するために『撃った』
今までもそうだった。発砲はすれども、『殺し』はしない。だからこそ、銃の技術も磨いた
川 ゚ -゚)「……わかった」
クールは銃をホルスターに仕舞う
ニダーは隠そうともせず、大きくため息を吐いた
川 ゚ -゚)「面接はこれにて終了。おめでとう、合格だ」
<ヽ;`∀´>「はい?」
川 ゚ -゚)「これより私と捜査に同行してもらう。拒否権は無い。行くぞ」
<ヽ;`∀´>「…えっ?」
<ヽ;`∀´>「い…『今から』?」
川 ゚ -゚)「そうだ。仕度しろ」
<ヽ;`∀´>「し、仕度って、まだ捜査内容も聞いていないのですが!!」
川 ゚ -゚)「道すがら教えてやる。場所だけは今教えてやろう」
10
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:44:39 ID:jQku1xmM0
川 ゚ -゚)「テキサスだ」
<ヽ;`∀´>「テッ…」
<ヽ;`∀´>そ「テキサス!?」
.
11
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:45:52 ID:jQku1xmM0
―――――
―――
―
ロサンゼルスから飛行機でテキサス州ダラスまで飛び、その日はホテルで一泊
翌日、FBIの『備品』だと言うBMW735iに乗り、目的地も告げられずひたすら走る事になった
<ヽ;`∀´>「…」
川 ゚ -゚)「…」
<ヽ;`∀´>「あの…」
ハンドルを握るニダーは、肝心の捜査内容をまだ聞かされていない
川 ゚ -゚)「何?」
隣で眠そうな顔をしたクールは、紙袋から買ったばかりのベーグルを取り出し、齧り付いた
<ヽ;`∀´>「そろそろ事件の詳細を教えてもらってもよろしいですか?」
川 ゚ -゚)「あ、ああ…」
そういやそうだったと言いたげに、コーヒーを啜った
川 ゚ -゚)「今回は『失踪事件』だ。この道先で十代から二十代の若者を中心に行方不明者が続出している」
川 ゚ -゚)「最初の事件は去年の八月。ドライブ中だった五名の男女が失踪した。以来、断続的に失踪者が続出している」
<ヽ;`∀´>「一年も連続で起こっているのですか?捜査は?」
川 ゚ -゚)「…」
小さくなったベーグルを口に放り込み、コーヒーで流し込む
12
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:47:41 ID:jQku1xmM0
川 ゚ -゚)「進展無し、だ……まるでUFOに連れ去られたかのように、何一つ痕跡を残さず消えている」
<ヽ;`∀´>「そ…そんな事が、ありえるのですか?」
川 ゚ -゚)「それを今から捜査しに行くんだよ…食うか?」
ベーグルの袋をニダーに差し出す
<ヽ;`∀´>「いえ、朝食は取りましたので」
川 ゚ -゚)「そうか」
袋の口を丸め、後部座席へと放り投げると、車載されているシガーライターを押し込む
<ヽ;`∀´>「しかし、何故我々だけで捜査を?これだけ難解な事件なら、もっと捜査範囲と人員を増やしたほうが良いのでは?」
川 ゚ -゚)「それで済む事件なら、私が出向く必要は無いんだよ…やるか?」
今度はタバコの箱をニダーへと向ける
<ヽ;`∀´>「いえ…」
川 ゚ -゚)「遠慮するな」
<ヽ;`∀´>「遠慮とかでは無くてですね…止めたんですよ。数年前に」
川 ゚ -゚)「ほー…」
箱の底をトントンと叩き、飛び出した一本のタバコを口に咥える
ちょうど、熱されたシガーライターがカチリと飛び出した
川 ゚ -゚)「ここ数年の禁煙風潮に飲まれたワケか?」
<ヽ;`∀´>「昔の恋人に『やめろ』と言われて、それきりです」
13
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:48:35 ID:jQku1xmM0
川 ゚ -゚)「今は?」
真っ赤に熱された電熱線にタバコを押し当て、火をつける
車内に煙が渦巻き始め、ニダーは換気の為に窓を僅かに開けた
<ヽ;`∀´>「よくある話です。『仕事と私云々』」
川 ゚ -゚)「笑えるな…フーッ」
言葉と裏腹に、顔に笑顔は見えない
笑い声の代わりに煙を吐き出した
川 ゚ -゚)「もう終わった関係なら、再開しても問題あるまい?」
<ヽ;`∀´>「なかなか踏ん切りがつかないものですよ…」
川 ゚ -゚)「フン、見た目によらず女々しい奴だ」
<ヽ;`∀´>「……それより、先ほどマータフさんが仰っていた『私を呼ぶ必要はない』とは?」
川 ゚ -゚)「……直にわかる。それにしても、お前はさっきから話し方が固いな」
<ヽ;`∀´>「はっ…?」
川 ゚ -゚)「敬語をやめろ、『クール』で良い。そもそも、私はお前より年下だ。気持ち悪くて適わん」
<ヽ;`∀´>「…」
『年下なら、そっちが敬語を使うべきでは?』とは突っ込まず
<ヽ`∀´>「アイ・サー」
と、茶目っ気交じりの敬礼と共に返した
14
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:50:27 ID:jQku1xmM0
川 ゚ -゚)「それにしても」
吸い尽くしたタバコを揉み消し、パワーウインドを閉める
川 ゚ -゚)「この辺りは臭うな」
<ヽ`∀´>「…あー」
窓の外では、多くの家畜小屋が立ち並んでいる
<ヽ`∀´>「この辺りは畜産業が盛んだから、恐らくその臭いニダね」
川 ゚ -゚)「酷いもんだ。支部の清潔なオフィスがもう恋しいよ」
<ヽ;`∀´>「立派なご職業ニダ。アメリカの食卓を支えているニダよ」
川 ゚ -゚)「知ってるか?今でこそ屠殺の方法は簡略化されたが、昔はハンマーで頭を打ち砕いていたらしい」
<ヽ;`∀´>「別に知りたくなかったニダ…」
川 ゚ -゚)「良かったな。食前の祈りにより一層感謝が込められるぞ」
<ヽ;`∀´>「そう言う君は?それを知って感謝が増した?」
川 ゚ -゚)「腹は鳴ったな」
<ヽ;`∀´>「……」
川 ゚ -゚)「…しかし、家畜以外何もない場所だな」
クールは退屈そうに欠伸をすると、座席のリクライニングを倒した
川 ゚ -゚)「寝る。何かあったら教えろ」
<ヽ;`∀´>「えっ、あの、目的地とか…」
川 - -)「……」
<ヽ;`∀´>「……ハァ」
15
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:53:08 ID:jQku1xmM0
―――――
―――
―
太陽が斜めに傾き始めて、暫く経った後
ニダーは道中にあった古びたガススタンドで車を止めた
川 - -)「ん…?なんだ、何かあったか?」
<ヽ`∀´>「休憩ニダ。ついでに、帰りのガソリン補給」
川 ゚ -゚)「ああ…誰かいるか?」
<ヽ`∀´>「男が一人…ああいや、奥からもう一人出てきたニダ」
川 ゚ -゚)「…話を聞いてみるか」
<ヽ`∀´>「そうニダね」
冷房の効いた車内を降りると、砂埃と蒸し暑さと
( ´∀`)「いらっしゃい」
初老の男性が出迎えた
<ヽ`∀´>「満タンでお願いします」
男性はバツの悪そうな顔をする
(;´∀`)「すいません。夕方にならないと燃料が届かないんですよ」
川 ゚ -゚)「そんなに繁盛しているのか?結構な事だな」
(;´∀`)「ハハハ…申し訳ない。変わりと言っては何ですが、ウチはバーベキューが自慢なんです。どうですか?」
川 ゚ -゚)「満たしたいのは私では無く『コイツ』の腹だ」
車のボンネットを拳で叩き、不機嫌そうにタバコを咥えた
16
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:55:11 ID:jQku1xmM0
<ヽ;`∀´>「文句を言ってもしょうがないニダ。それより店主さん、この辺りで行方不明者が多数出ているそうですが、ここ最近で何か変わったことなどありませんでしたか?」
( ´∀`)「ああ〜、警察の方ですか。すいませんねえ、生憎物覚えが悪いモンで」
<ヽ;`∀´>「些細な事でも良いのですが…」
川 ゚ -゚)「フーッ…」
クールは興味なさげに煙を吐き出し、古びたコーラの自販機にコインを入れた
川 ゚ -゚)「やめとけニダー。意味の無い事を続けても無駄だ」
<ヽ;`∀´>「は…うわっ!?」
投げつけられたコーラの瓶を咄嗟に掴む
川 ゚ -゚)「まだ日は出ている。ギリギリまで探索して、夕方にはここに戻ろう」
そう言うと、返事を待たず車内へと戻った
(;´∀`)「いやー…強気な相方さんで…」
<ヽ;`∀´>「ええ…」
ニダーは歯で冠をこじ開け、掌に落とした
<ヽ;`∀´>「昨日から振り回されっぱなしですニダ。それでは、また夕方に」
( ´∀`)「ええ、お待ちしております。ああ!!言い忘れていました」
( ´∀`)「『古い館』には近づかない方が良いですよ。田舎ですから、変わり者が多いので」
<ヽ`∀´>「…ご忠告どうも」
コーラを一口飲み込み、運転席へと戻った
17
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:56:08 ID:jQku1xmM0
<ヽ`∀´>「…捜査内容を、詳しく聞いて無いが」
川 ゚ -゚)「うん?」
シートベルトを締め、ミラーを調整しなおす
鏡越しに、店主の人の良さそうな顔が映る
<ヽ`∀´>「『古い館』についての報告はあるニダ?」
川 ゚ -゚)「…」
半分ほど残ったタバコを揉み消し
川 ゚ -゚)「初耳だ」
と、応える
<ヽ`∀´>「…オーケー、決まりニダ」
エンジンをかけ、ギアをローに入れてアクセルを踏み込む
砂埃を巻き上げながら、車は走り始めた
川 ゚ -゚)「…そろそろか」
<ヽ`∀´>「何?」
川 ゚ -゚)「いや…」
川 ゚ -゚)「なんでもない。なんでも…」
カーステレオを弄る
とんでもなく縁起の悪い一曲を通り越し
https://www.youtube.com/watch?v=Et-8lGipRu8
景気の良いロックンロールが流れ出した
https://www.youtube.com/watch?v=o1tj2zJ2Wvg
18
:
名も無きAAのようです
:2015/08/08(土) 23:58:06 ID:jQku1xmM0
―――――
―――
―
<ヽ;`∀´>「不幸だ」
昨日の朝以来の口癖を呟く
往来のど真ん中で、車が故障したのである
川 ゚ -゚)「直りそうか?」
<ヽ;`∀´>「ウリが自動車修理工に転職して、パーツと工具が揃えばなんとかなりそうニダ」
川 ゚ -゚)「じゃあそうしろ」
沈み始めた夕日を眺めながら、タバコに火をつける
<ヽ;`∀´>「随分簡単に言ってくれる…ああクソ!!」
故障の原因が分からない苛立ちを、ボンネットを強く閉めることで晴らそうとするが、気分がよくなることは無かった
<ヽ;`∀´>「ハァ…テキサスのど真ん中で立ち往生とか…携帯も通じない…」
川 ゚ -゚)「フーッ…」
状況を知ってか知らずか、クールは呑気に煙を吐く
<ヽ;`∀´>「歩いてさっきのガススタンドまで戻るしか無いようニダね」
川 ゚ -゚)「そうかな?」
<ヽ;`∀´>「他に何か良い手が?」
19
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:00:50 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「そこ」
道路脇の雑木林に、舗装されていない道路が見えていた
<ヽ;`∀´>「道…ニダ?」
川 ゚ -゚)「みたいだな…集落か民家があるかも知れん。行くぞ」
<ヽ;`∀´>「よく見つけられたニダね…」
川 ゚ -゚)「勘は良いのでね」
三角表示板を後方に置き、ハザードランプを付けっぱなしにする
空はますます暗くなっていく。街灯が無い為、帰り道に備え懐中電灯を持ち出す
川 ゚ -゚)「銃は持ってるか?」
ニダーは左脇をポンポンと叩き、持っている事を伝える
<ヽ`∀´>「トラブル体質でね」
川 ゚ -゚)「奇遇だな」
タバコを足下に落とし、踏みつけて火を消す
川 ゚ -゚)「『私も』だ」
<ヽ`∀´>「…?」
妙に引っかかる物言いに、ニダーは僅かに首を傾げた
川 ゚ -゚)「行こうか」
20
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 00:02:38 ID:IbSkRXDo0
木の陰が夕日を遮り、更に視界が悪くなる
道は悪い。懐中電灯の細い明かりを頼りに先を進む
川 ゚ -゚)「酷い場所だな…」
<ヽ`∀´>「足下、気をつけて」
泥が足下に絡みつき、二人の革靴を汚す
<ヽ`∀´>「…さっきの」
川 ゚ -゚)「うん?」
<ヽ`∀´>「『私も』、とは?」
川 ゚ -゚)「…」
胸ポケットからタバコの箱を取り出し、軽く振る
『カラカラ』と鳴る音が、残り少ない本数を物語っていた
川 ゚ -゚)「……『三人』」
<ヽ`∀´>「え?」
そのまま、胸ポケットに仕舞う
川 ゚ -゚)「この仕事を始めてから、殉職した相棒の数だ」
<ヽ;`∀´>「…え?」
川 ゚ -゚)「お前はよく事件に巻き込まれてしまうことから、『ミスター・アンラッキー』と呼ばれているらしいな」
<ヽ;`∀´>「ま…待つニダ、じ…殉職…?」
ニダーは立ち止まり、うろたえるが
クールは無視して歩きながら話を続ける
川 ゚ -゚)「私もその類さ。ただ、事件の『濃度』が違う」
21
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:37:55 ID:IbSkRXDo0
<ヽ;`∀´>「…」
ニダーは、感づき始めた
自分は既に、この女と会った瞬間から、何かとんでもないトラブルに巻き込まれていたのだと
川 ゚ -゚)「『ワケがわからない』、そんな顔をしているな」
数メートル先に進んだクールが振り返る
互いの顔が見えるか見えないかの暗さの中で、彼女の瞳だけが爛々と輝いていた
<ヽ;`∀´>「…貴方、何を追っているニダ?」
川 ゚ -゚)「知りたいか?」
<ヽ;`∀´>「…」
不穏な空気を感じ取ったニダーの右手が、『左脇』へと伸びる
川 ゚ -゚)「教えてやる」
だが、それより早く彼女は、リボルバーを抜き取り
有無を言わさず、ニダーのいる方向へ発砲した
22
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:39:39 ID:IbSkRXDo0
弾丸はニダーの顔面を、逸れ
<ヽ;`∀´>そ「ッ!!」
後方、音も無く、すぐ傍まで近づいていた
「オバボオアアアオアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
『ハンマー』を振りかざした男に命中した
<ヽ;`∀´>「うおお!!!!」
今にもニダーの頭をかち割らんとしていた鉄塊は、着地点を逸れ泥を撒き散らしながら地面に大きな凹みを作る
ニダーも拳銃を抜き、無力化を図る為、脚に向けて発砲した
「アアアアアアアアアアア!!!!!」
大柄な、それこそニダーを越すほどの、巨漢の男は、一時的に膝を着くがすぐに立ち上がり、ハンマーを振り回す
クールの撃った弾丸がどこに当たったのかは定かでは無いが、ニダーの経験上、『二発撃たれた人間』がここまで動くことは無かった
23
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:41:09 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「ボサっとするな!!走れ!!」
<ヽ;`∀´>「!!」
クールの声で我に返ったニダーは、男から背を向けて走る
ハンマーがまた地面へと落とされ、鈍い音と衝撃が靴を通じて伝わった
<ヽ;`∀´>「アレは!?一体!?」
川 ゚ -゚)「答えさ!!お前が求めていたな!!」
後ろを振り返らず走るが、水っぽい足音と、言葉を成していない声が追ってきている事を知らせる
脚を撃ったにも関わらず、全力疾走でも振り切ることが出来ない
<ヽ;`∀´>「わからないニダ!!」
川 ゚ -゚)「今はそれでもいいさ!!死ななければな!!見ろ!!」
道の先に見えてきたのは、立ち並ぶ家畜小屋と、木造の『古い館』
半開きの扉が、まるで獲物を飲み込む肉食獣の口の中のように見えた
<ヽ;`∀´>「古い館!?」
川 ゚ -゚)「アレが今回の舞台か!!飛び込むぞ!!」
<ヽ;`∀´>「正気ニダ!?」
川 ゚ -゚)「なら外でアレと鬼ごっこを続けるか!?」
<ヽ;`∀´>「〜〜〜〜〜ッ!!不幸ニダ!!」
24
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:42:36 ID:IbSkRXDo0
半ば飛び込むように館へと逃げ込み
<ヽ;`∀´>「鍵!!」
川 ゚ -゚)「ほらよ」
傍に立てかけてあった木の閂をはめ込み
<ヽ;`∀´>「…」
川 ゚ -゚)「…」
扉を蹴破ると思われる男に備え、拳銃を構え待つ
川 ゚ -゚)「……来ないな」
<ヽ;`∀´>「……ノックの音すらしないニダ」
追ってきたことが、嘘か夢かのように
その後の動きが無かった
<ヽ;`∀´>「…説明するニダ。『アレ』は何ニダ?」
川 ゚ -゚)「……」
クールは拳銃をホルスターに仕舞い、タバコを取り出そうとし
残り本数が少なかった事を思い出し、舌打ちをして手を止めた
川 ゚ -゚)「『Urban Legend』」
<ヽ;`∀´>「…都市伝説?」
川 ゚ -゚)「我々は、ああいった『バケモノ』を指す言葉として使っている。猟奇的殺人犯のな」
25
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:43:38 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「そいつらの主な特徴は三つ。一つ、『人間ではない』こと。二つ…」
<ヽ;`∀´>「ちょっ、ちょっと待つニダ!!人間じゃない?」
川 ゚ -゚)「話は最後まで聞け…二つ、『ホラー映画をモチーフにしている』。そして三つ、『基本的に不死身である』」
<ヽ;`∀´>「…」
軽い眩暈を覚えた
まるでコミックの設定だ。それをこの女は真剣に話をしている
いつものニダーなら、苦笑いの一つでも返しただろうが、彼自身も『奴』の姿を見た
川 ゚ -゚)「私はそいつらを追い、ぶっ殺している。合衆国直々の命を受けてな」
<ヽ;`∀´>「…そんな、馬鹿な」
拳銃を扉に向けたまま、しばらく呆然とした
そして、彼女の話の中で、最も恐ろしい部分を
<ヽ;`∀´>「そいつ『ら』?」
改めて、聞き返した
<ヽ;`∀´>「あ、あんなのが、まだいると?」
川 ゚ -゚)「少なくとも、魔女や吸血鬼なんかが本気で信じられていた時代から、『奴ら』がいることは確かだ」
<ヽ;`∀´>「じょ、冗談じゃない!!」
26
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:45:02 ID:IbSkRXDo0
<ヽ;`∀´>「ウリは警察官ニダ!!バンパイア・ハンターでも無ければ、エクソシストでも無い!!普通の、人間ニダ!!」
川 ゚ -゚)「知ってるさ」
<ヽ#`∀´>「ふざけるな!!」
怒りのままに胸倉を掴みあげる
川 ゚ -゚)「不満か?」
<ヽ#`∀´>「当たり前ニダ!!バケモノ退治が仕事だなんて、聞いていないニダ!!」
川 ゚ -゚)「…なぁ、教えてくれ。『何が不満』なんだ?」
<ヽ#`∀´>「人をおちょくるのもッ…」
川 ゚ -゚)「カフェに押し入った強盗を撃つのと、人を襲うバケモノを撃つのと、どう違うんだ?」
<ヽ#`∀´>「ッ…!!」
表情を変えない鉄仮面の女は、こう言っている
『害を成すモノであるならば、どちらもそう大差は無い』と
川 ゚ -゚)「お前の言う通り、バンパイア・ハンターもエクソシストも、コミックヒーローもこの世にはいないさ」
川 ゚ -゚)「だから、誰かがその役目を務める必要があるのさ。次の犠牲者を増やさない為にもな」
27
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:46:43 ID:IbSkRXDo0
<ヽ#`∀´>「…ウリは公務員で、正義の味方じゃあないニダ」
川 ゚ -゚)「へえ、熱い男かと思えば、思っていたより保守的だな。所で」
クールは自分の襟首をチョイと指差す
乱暴に突き放したい衝動を抑え、ゆっくりと手放した
川 ゚ -゚)「さて、どうする?望まない怪異に既に両足を突っ込んでいる。尻尾を巻いて逃げるか?」
<ヽ#`∀´>「……」
川 ゚ -゚)「まぁ…」
廊下の奥にある扉の向こうから、ミシリと床が軋む音が聞こえた
川 ゚ -゚)「既に『手遅れ』だがな」
<ヽ#`∀´>「…チッ」
ニダーは舌打ちをし、拳銃を構えなおす
クールもホルスターからリボルバーを再び抜き取った
<ヽ#`∀´>「これっきりニダ」
川 ゚ -゚)「上等だ」
次に聞こえてきたのは、『エンジン音』
そして間も無く勢いよく扉が開いた
28
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:48:36 ID:IbSkRXDo0
(#゚;Д●)「ぎいいいいいいいいいいいいいいあああごおおおおおお!!!!!!」
奇声を上げ、チェーンソーを振り上げる大男
顔面の皮がダルダルに伸びきった、奇妙な風貌をしている
先ほどのハンマー男とは、また別のバケモノだ
<ヽ#`∀´>「バケモノがッ!!」
ニダーは引き金に力を込める
川 ゚ -゚)「ッ!!避けろ!!」
弾丸を放つ直前、クールが突き飛ばす
<ヽ;`∀´>「何、をッ!?」
背後の扉が弾け飛び、ハンマーの鉄塊が二人の間にあった床を粉砕した
( <●>||<●>)「ああああああげええええええええええええええ!!!!!!!」
先ほどは暗くてわからなかったが、鼻が削げ落ち鼻腔が縦長に晒されている
チェーンソー男と負けず劣らずの巨躯で、砕き割った扉に体をねじ込み、室内へと侵入し始める
(#゚;Д●)「ごああああああああああああああ!!!!!!」
川 ゚ -゚)「二体同時は分が悪い!!」
両断しようと迫るチェーンソー
クールは腕を撃ち、軌道を逸らす
チェーンソーは床を削り、木片を舞い上がらせた
29
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:49:40 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「分かれるぞ!!そいつの相手は任せた!!」
チェーンソー男を掻い潜り、扉の奥へと走る
<ヽ;`∀´>「不幸、ニダッ!!」
ニダーは二階へ続く階段を昇った
ハンマー男もそれに続く
<ヽ`∀´>「…」
ニダーは既にパニック状態から抜け出し、冷静になっていた
『ミスター・アンラッキー』と呼ばれるほど、修羅場を経験した彼だからこそ出来る芸当だ
バケモノとの戦闘に限らず、階段は常に『上』にいる者に優位性がある
二階への踊り場へ到達した彼は、背後に迫るハンマー男の顔面に
<ヽ#`∀´>「落ちろッ!!」
後ろ回し蹴りを放つ
( <●>||<○>)「びっ!!!!」
文字通り『面食らった』ハンマー男は、後頭部から落下
段差に頭をぶつけながら、再び一階へと戻った
30
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:51:30 ID:IbSkRXDo0
普通の人間なら、死亡又は意識不明の重態になるほどのダメージがある筈だ
しかしハンマー男はくぐもった唸り声を上げながら、のそりと立ち上がった
<ヽ;`∀´>「…『基本的に不死身である』って」
( <●>||<●>)「あああああああおおおおおばあああああああああああああああ……」
<ヽ;`∀´>「あのアマ肝心の倒し方を説明してないニダ!!」
ニダーは踵を返し、二階の廊下を走る
背後からハンマー男の乱暴な足音を耳にしながら、次の一手を考えながら
―――――
―――
―
川 ゚ -゚)「……」
一階の奥の部屋へ歩を進めたクールは、大テーブルの下へ潜り込み、身を隠した
その場所は、台所へ繋がるリビングらしき部屋だった
『らしき』と付け加えたのにはワケがある
川 ゚ -゚)(ここはさしずめ『解体場』と言ったところか…)
本来ならばリビングとして機能したであろうその場所は
おおよそリビングに似つかないモノで覆われていたからである
床一面には、人間の白骨
テーブルは血と脂でべたつき、臭う
部屋の隅には、髪か何かの塊が寄せられていた
そして壁には、鋭利な鉄製の肉吊りフックが複数吊り下げられている
31
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:54:06 ID:IbSkRXDo0
ぱき、ぱきりと
「あああああああああ……」
チェーンソー男が白骨を踏み潰しながら入ってきた
川 ゚ -゚)(……)
クールは右手で足首に巻いたバタフライナイフを引き抜き
左手で大腿骨と思われる、折れて鋭利になった人骨を拾い、逆手に持った
川 ゚ -゚)(来い……)
骨をバキバキと折りながら、男が近づいてくる
机の目の前で、足が止まった
川 ゚ -゚)(馬鹿が)
骨を振り上げ、男の足へと杭のように突き刺す
「があああああああああああああ!!!!!!!!」
川 ゚ -゚)「フッ!!」
前転で背後に回り、膝裏の腱を斬りつける
(#゚;Д●)「ぎいい!!」
32
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:55:05 ID:IbSkRXDo0
足の自由が効かなくなった男は
膝と両手を着いて四つん這いになる
川 ゚ -゚)「オラッ!!!」
頚椎の隙間を狙い、首筋にナイフを差し込み
パキリと捻りを加える
(# ;Д●)「ッ…!!!!」
川 ゚ -゚)「オマケだ」
最後に、S&W M19の全弾を後頭部へ撃ち込む
赤黒い血と灰色の脳を撒き散らしながら倒れこんだ
川 ゚ -゚)「……」
薬莢を吐き出し、ポケットから新しい弾薬を取り出しリロードする
一見すれば、戦闘は既に終了したように見えるが、クールは気を抜かない
(# ;Д●)
男の手から、チェーンソーは離れていないからだ
川 ゚ -゚)「バケモノが、死んだふりか?結構な大根役者だな」
銃を振ってシリンダーを装填し、再び頭に銃口を向ける
33
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:56:32 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)(さて、こいつの寄り代はどこにある?)
垂れ出した血と脳が、ビデオの逆再生のように銃痕へ戻っていく
撃ち砕いた頭蓋骨が音を立てながら再生していった
『Urban Legend』唯一の倒し方は、『魂の入れ物』を壊すと
これを破壊しないことには、目の前のバケモノを殺せない
身に着けている物が多いが、時には像や時計など、据え置かれる物もある
川 ゚ -゚)「ああ、面倒だな…」
体の回復が終わる前に、更にダメージを追加して時間を稼ぐ必要がある
クールはリボルバーを再び発砲した
(#゚;Д●)「ぐごごがあああああ!!!!」
傷の治癒を待たず、男はチェーンソーを片手で振り回す
川 ゚ -゚)「チッ…!!」
滅茶苦茶な鋸の軌道に、クールは一度距離を取らざるを得なかった
男の両足の腱は既に繋がっており、もう片方の手で首筋に突き刺さったナイフを右に左にずらしながら抜いていく
(#゚;Д●)「ぐっ、ぐっ、ぐぐぐぐぐ…」
笑い声のような声を上げながら、よたついた足取りで近づいてくる
34
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:57:23 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「…返せ」
(#゚;Д●)「ごあッ!!」
首筋から抜けたナイフを乱暴に投げつける
縦回転をしながら顔面向って飛んできたそれを、クールは顔を右に傾けて避ける
だん、と音を立てて壁に突き刺さったナイフを
川 ゚ -゚)「どーも…」
手を掛けずに銃を構えたまま、右方向へ足を運ぶ
正面きって戦うのは不利だ。別の部屋に逃げ込み、体勢を立て直す必要がある
川 ゚ -゚)「……」
(#゚;Д●)「ああああああああああああああ……」
じりじりと、扉へと近づく
男のダメージはまだ抜けきっていないのか、足を引き摺りつつ、ゆっくりと迫る
川 ゚ -゚)「……」
一発、牽制の為に発砲
チェーンソーの刃に当たり、火花が散る
35
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 01:59:03 ID:IbSkRXDo0
もう一発、今度は膝に打ち込む
体勢が崩れた隙を見計らい、開け放した扉へと駆け込む
川 ゚ -゚)(回復が早――――)
薄暗い部屋へ逃げ込もうとした瞬間、視界を覆ったのは『錆びた鉄』
川;゚ -゚)(しまっ…!!)
突如現れた『シャベル』が勢いよく顔面を叩き、クールはもんどり打つ
形の良い鼻が曲がり、色濃い血が吹き出る
川; - )(こんな古典的な手にッ…!!)
思考と視界が上手く定まらない
脳震盪を起こし、すぐに立ち上がることが出来なかった
「おい!!」
聞き覚えのある男性の声だった
それもごく最近の話だ
「女性はまず『もてなせ』と言っただろう!!しきたりを何だと思っている!?」
36
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:00:11 ID:IbSkRXDo0
その声を聞いて、チェーンソーのエンジン音が消える
「この馬鹿が…早く荒縄を持って来い!!」
川; - )「ッ…!!」
「おおっと!!」
僅かに持ち上げた銃は、蹴りを入れられ床を滑る
顔の横で、シャベルの切っ先が『ぞん』と地を着いた
「言ったでしょうお客様…古い館には近づくなと」
川; - )「……」
「ですが、いらっしゃったのなら仕方が無い。覚えてますかな?うちの自慢は『バーベキュー』と」
シャベルが再び高く持ち上げられ、照明を遮る
( ´∀`)「ご夕食は、お連れ様の肉を振舞いましょう。その次は貴女です」
川; - )「ク…ソッタレ…が…」
クールの顔面に、二度目の衝撃が与えられた
37
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:01:26 ID:IbSkRXDo0
―――――
―――
―
<ヽ;`∀´>「やめて!!!!!!!」
ニダーの懇願虚しく
( <●>||<●>)「ぶるもぉ!!!!」
ハンマーは容赦なく振るわれる
<ヽ;`∀´>そ「やめてって言っうおおお!!!???」
横薙ぎに振られたそれは、壁を抉りながらニダーの頭へと迫る
ニダーは低頭して避け、ハンマーは埃を被った花瓶を粉砕した
<ヽ#`∀´>「やめろって言ったらやめるニダ!!!!!!!」
ニダーの怒り虚しく
( <●>||<●>)「ごああ!!!!!」
ハンマーは元の軌道を辿り、空を切り裂いた
<ヽ;`∀´>「ええいクソ!!」
館と言うだけあって、二階もそれなりの広さがあるものの
廊下の端は直ぐ傍まで近づいていた
38
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:02:31 ID:IbSkRXDo0
<ヽ;`∀´>(どうする?)
袋小路、と言うわけでは無い
そこに到達するまでに幾つか部屋があるのに加え、端の壁には窓がある
つまり大まかに分けて二つの選択肢があると言うことだ
一つ目は、部屋に逃げ込み内側から鍵を掛け立てこもる
二つ目は、窓から外へ飛び出し、逃げる
前者を選んだ場合、いくらかの時間は稼げるだろう
しかし、その部屋に窓がなかったり、鉄格子が嵌められていた場合、完全なる袋小路に陥る
『逃げる』という手段が、失われてしまう
後者を選んだ場合、ダイレクトに外へと逃げ出せる
だが、高さによって体に何らかのダメージを追う可能性がある
それに―――――
<ヽ;`∀´>(幾らなんでも、見捨てて逃げるのは後味が悪すぎる!!!!)
二日にも満たない時間ではあるが
こんな地獄へ連れて来た張本人ではあるが
人を、それも女性を見捨てて逃げるのは
警察官として、そして一人の人間として、出来ない行動であった
<ヽ;`∀´>「ったく!!」
ニダーが選んだのは
<ヽ;`∀´>「腹立つーーーーーーーーーーー!!!!!」
一つ目の選択肢だった
39
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:04:12 ID:IbSkRXDo0
近くの部屋に飛び込み、すぐさま鍵を掛ける
<ヽ;`∀´>「!!」
窓に鉄格子などが嵌められていないことを確認すると
埃を被った椅子を片手で引っ掴み、外へと放り投げた
ガラスの割れる音と、錠前が壊される音はほぼ同時
ニダーは素早く扉の右側の壁に身を寄せる
( <●>||<●>)「ああああああああああ!!!!!」
ニダーの身は内開きの扉に隠される
ガラスの音を聞き、割れた窓を見たハンマー男は
<ヽ;`∀´>(よしッ!!)
狙い通り『外へ逃げた』と思い込み、部屋の中をロクに見回さず窓へと向った
( <●>||<●>)「ごおおおおおおおおお……」
割れたガラスの隙間から、階下を覗き込む
そこには当然人の姿はなく、落下の衝撃で粉々になった椅子だった木片があるだけだ
( <●>||<●>)「!!」
<ヽ#`∀´>「おおおおおおおおおらあああああああああああああああ!!!!!!!!」
隙だらけの背中に放つ、渾身のドロップキック
ハンマー男は頭から勢いよく外へと投げ出され、落下
耳を覆いたくなるような音を上げ、『潰れた』
40
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:05:56 ID:IbSkRXDo0
<ヽ;`∀´>「これで暫くは…っと?」
男のその様を確認したニダーは、クールの援護に向おうとしたその足で何かに躓く
足下を見ると、先ほどまで彼の頭を潰そうとしていた『ハンマー』が落ちていた
<ヽ`∀´>「さっきの蹴りで手放したか……」
柄を蹴り上げ、手に取る
重い。重いが、扱えない程ではない
<ヽ`∀´>「……不死身相手なら、こっちの方が都合が良いニダ」
拳銃をホルスターに仕舞い、ハンマーを肩に担ぐ
<ヽ`∀´>「……」
部屋を出る前に、もう一度窓のほうを振り返った
<ヽ`∀´>「強盗とバケモノ、どう違うかって?冗談じゃないニダ」
<ヽ`∀´>「こっちの方が余程、『やりやすい』」
首をゴキリと鳴らし、廊下へと向き直る
その顔に、僅かな笑みを浮かべながら
<ヽ`∀´>「良心も、痛まないニダ」
41
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:07:40 ID:IbSkRXDo0
―――――
―――
―
川 - )「……」
だらだらと流れ出る鼻血を感じながら、クールはチェーンソーの男に
されるがままに、食堂の『椅子』に拘束されていた
川 - )(悪趣味なインテリアだ…)
大小様々な骨で組みあがった椅子に、人皮が張られている
手すりは、剥製にしたのであろう『腕』で出来ていた
川 - )(どうしたものかな……)
顔面をシャベルで殴られ、確かに脳震盪を起こしてはいたが
彼女は仕事柄、タフさには人一倍の自信を持っていた
気絶した振りをして、回復と情報収集と、そして反撃の機会を窺っていたのだ
(#´∀`)「全く…毎度毎度家の中を荒らしまわりよって!!出来の悪い馬鹿息子どもめが!!」
(#´∀`)「■■■はまだ男の方を捕まえることが出来んのか!!晩餐に間に合わんではないか!!!!」
中年の男は苛立ちながら、散らかった部屋を乱暴に片付ける
川 - )(……)
背中の後ろで縛られた両手で、上着の裾に縫い付けたカッターの刃を取り出し
手の平の中に潜ませた
42
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:08:40 ID:IbSkRXDo0
(#´∀`)「おい!!何をボサっとしておる!!さっさとじい様を連れてこんか!!」
箒の柄でチェーンソー男の体を叩きながら、食堂の外へと追いやる
その後、何度か口汚い言葉を吐いた後、打って変わって鼻歌を歌いながらテーブルに薄汚れた食器を並べ始めた
( ´∀`)「♪〜〜♪〜〜」
川 - )「……」
薄目を開けて、現状を確認
蹴り飛ばされた拳銃は、男のズボンのウエストに差し込まれている
目の前の机には、皿と、ナイフとフォーク
壁には、リビングから貫通したナイフの切っ先が見えていた
川 - )「……」
クールは、音を立てないように、かつ素早く手首の縄に刃を走らせる
気がかりは幾つかあった
『寄り代』の正体を掴めていない事
『じい様』と呼ばれる新たな人物
目の前の男が『不死身』かどうか
『ハンマー男』はどうなったか
ついでに、連れて来たあのキムチ男は生きているか
だが、それ以上に、そんなことがどうでもよくなるほど
川 ∀ )「『間抜けが』」
最高に『腹が立っていた』
43
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:09:51 ID:IbSkRXDo0
切れ込みが入った縄を、力任せに引きちぎる
(;´∀`)「!?」
男が振り返った時には、既に悪趣味な『死体の椅子』から立ち上がっていた
ナイフ、フォークを手に取り、男の目の前まで一気に距離を詰めた
(;´∀`)「このアマッ…」
腹に差し込んだ拳銃を引き抜こうとするが
それより先に、クールの膝が男の股間を潰す
(;´∀゜)「ッッッ〜〜〜!!??」
川 ゚ -゚)「おっと失礼」
ナイフを頬に刺し込み、フォークで肝臓を突き刺す
肘で体を突き飛ばし、壁際にまで追いやる
(;´∀゜)「つっ……!?」
背中に突き出したナイフの先が僅かに刺さる
44
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:10:47 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「ほっ、と」
ゆっくりとした前蹴りで体重を掛け、男の体を押し込む
(;´∀゜)そ「ぎぃいああああああ!!!!!」
ずぷずぷと、ナイフの切っ先は背中へと食い込んだ
川 ゚ -゚)「汚い所に差し込みやがって……」
拳銃を抜き取り、トリガーガードに指を差し込み一回転
グリップを握り男の顔面へと向けた
川 ゚ -゚)「女の顔を」
空いた手で、曲がった鼻を真っ直ぐに戻す
再び吹き出た鼻血を乱暴に拭い、太い血の線が頬を横切った
川 ゚ -゚)「シャベルで殴るな……」
(;´∀゜)「こ……」
川 ゚ -゚)「おっと!!」
腹部右上に突き刺さったままのフォークを抜こうとした手をクールは見逃さない
顔面に銃のグリップを叩き込み、怯んだ隙に頬のナイフを抜いた
45
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:11:38 ID:IbSkRXDo0
ナイフの柄を中指と薬指で挟み、底を掌に着ける
そして刃を、男の口へと向け
川 ゚ -゚)「『ご馳走だ』」
勢いよく押し込んだ
(;´∀゜)そ「んごおおおおおお!!!!!」
舌を荒く裂き、喉を貫き、後頭部を抜け壁へと刺さる
クールは更に柄を銃のグリップで二度叩き、深く突き刺した
(;´∀゜)「んごっ!!んご!!んごおおおお!!!!」
川 ゚ -゚)「んー?死なないなぁ……?お前も不死身か」
手についた返り血を振り払い、テーブルの上にあったナプキンでふき取り
音を立てながら鼻をかみ、鬱陶しい鼻血を出し切る
川 ゚ -゚)「まぁいい、貴様にしてやられた鬱憤は『これっぽっち』も晴れてないからな」
(;´∀゜)「んがっ……!?」
『まだやるのか?』と言わんばかりの視線を意に介さず、クールはテーブルの周りを品定めするかのようにゆっくりと歩く
人骨の椅子や、天井から吊り下げられた顔面の皮、床へとめり込んだ奥歯などを眺めながら
46
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:13:06 ID:IbSkRXDo0
並べられているナイフとフォークを回収しつつ
テーブルを間に挟んで、打ち付けられている男に向かい合った
川 ゚ -゚)「不死身とは、厄介なものだと思わないか……なぁ!!」
クルリと指で回したナイフを投擲する
おおよそ手加減とは無縁の速度で放たれたそれは、中年太りした腹に深々と突き刺さる
(;´∀゜)「んんんーーーーーーー!!!!!」
川 ゚ -゚)「死なないというだけで、まるで自分が神にでもなったかのように振る舞い、痛い目に遭う」
二投目、フォークがプチトマトを突くように、目玉へと突き刺さる
川 ゚ -゚)「どれだけ痛くても、苦しくても、『死』という最後の救いに逃げ出せない……フッ!!」
三投目、口に突っ込まれたナイフを引き抜こうとした手を貫く
川 ゚ -゚)「お前らのように、自らの快楽の為にバケモノになった奴の事を、何と言うか知ってるか?」
四投目は男の方向では無く、開け放した扉の向こう側
薄暗闇の中へと吸い込まれ、『キン』と高い音を立て、落ちた
続いて、『チェーンソー』のエンジン音が鳴り響く
「ごごごごごご……」
騒ぎを聞きつけ、戻ってきたバケモノに向け、言い放った
川 ゚ -゚)「『クソマヌケ』、だ」
47
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:14:20 ID:IbSkRXDo0
(#゚;Д●)「あああああああああああああああああ!!!!!」
銃弾を警戒しているのか、チェーンソーで正中線をガードしながら突進
クールは小さく舌打ちをした後、両手でテーブルを掴み、持ち上げた
(#゚;Д●)「あああああ!!!」
『しゃらくさい』と言わんばかりにそれを両断
木屑が舞い、床に落ちて割れた食器が、乱暴に踏み潰され更に細かく砕ける
クールは一歩下がり、窓のある壁に背を預け拳銃を向けた
川;゚ -゚)「ッ!!」
瞬間、『腕』が壁を突き破り、クールの体を締め付ける
自らの迂闊を呪うより早く、目の前のチェーンソーは『本命』を食らおうと高く振り上げられていた―――――
48
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:15:49 ID:IbSkRXDo0
<ヽ#`∀´>「だっらっしゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
.
49
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:17:11 ID:IbSkRXDo0
(#゚;Д●)「!?」
背後からの咆哮に驚き、振り返ったチェーンソー男の顔面に、飛来した鉄塊がめり込む
(# ;Д●)∴「ッッッ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!???」
『ハンマー』をまともに受けた男は、豚のような叫び声を上げながらバランスを崩しながら倒れこむ
チェーンソーの軌道は多少ずれたものの、クールを死に到らせるには充分な場所へと墜ちようとしていた
川;゚ -゚)「冗ッ談じゃ!!無いぞッ!!!」
クールは咄嗟にチェーンソー男の腕を蹴り上げ、軌道を更に逸らす
刃はクールの体を締め付ける『腕』へと落ち、肉と血を舞い上げた
「があああああおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
見えない場所でのダメージに驚いたのか、腕はクールを手放し引っ込む
川#゚ -゚)「殺す気か!!」
余りにも雑な助太刀に、クールは怒りを露わにするが
ニダーは涼しげな顔でこう言い返した
<ヽ`∀´>「礼はいいニダ」
50
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:18:15 ID:IbSkRXDo0
(#゚;Д●)「あ」
川#゚ -゚)「寝てろクソ豚!!」
起き上がろうとしたチェーンソー男の頭を撃ち抜き
<ヽ#`∀´>「ドォラッ!!」
ストンピングで背骨を踏み折る
蛙が潰れたような声を上げ、男はビクビクと痙攣した
<ヽ`∀´>「状況は?」
投擲したハンマーを拾い上げる
川#゚ -゚)「見てわかるだろうが」
クールは銃をホルスターに仕舞い、男の手から離れエンストしたチェーンソーを手に取る
川#゚ -゚)「新入りがオツムの愉快なボクちゃんから目を離して」
スターターロープを引き抜き、再びエンジンを掛ける
刃を回し、自身もぐるりと回れ右をする
( <●>||<●>)「ごああああああああああああ!!!!!!」
今度は壁を全身で突き破り現れたハンマー男
それの腹を、遠心力を効かせたチェーンソーで真一文字に切り裂いた
( <●>||<○>)「びいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
川#゚ -゚)「先輩が危うく死に掛けた。以上」
51
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:19:54 ID:IbSkRXDo0
<ヽ#`∀´>「先輩?よく言うニダ。こんな場所に連れて来ておいて、レクチャーの一つも寄越さず放置!!」
腸がこぼれ出たハンマー男の顔面を、『彼の得物』で打ち抜く
入ってきた時よりも大きな壁の穴を作り、外へと吹っ飛んだ
<ヽ#`∀´>「アンタを放置してトンズラしなかっただけでも勲章物の働きニダ!!」
川#゚ -゚)「懸命な判断だなクソッタレ。二人目は『それ』が原因で死んだド阿呆だった」
頭に血が昇り、再び垂れ出した鼻血を、親指で拭い取る
それを見て、ニダーはニマリと愉快そうに笑った
<ヽ`∀´>「別嬪になったニダね」
川#゚ -゚)「ほざけキムチ野郎。女の顔面にシャベルが叩き込まれたんだぞ?ちょっとは紳士らしさを見せたらどうだ?」
<ヽ`∀´>「もう二、三回殴られろクソアマ」
犬も食わない口喧嘩の最中で、大男達の回復が徐々に進み、立ち上がろうとする
壁際では、打ち付けられていた初老の男性が、口のナイフを引き抜こうと足掻いていた
<ヽ`∀´>「……それで、どうするニダ?」
手に唾を吐き、ハンマーの柄を握りなおす
川 ゚ -゚)「ああ……こいつらは回復が早いから……とりあえず」
刃を回し、チェーンソーの具合を確かめる
52
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:20:36 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「『合い挽き』になるまで、だ」
<ヽ`∀´>「了解」
その夜、近づいてはいけない古い館では
いつもとは違う、誰にも聞かれることのない『叫び声』が、遠く遠く響いた
それがやがて小さくなって、消えてなくなった後も
チェーンソーの音、水っぽい打撃音はしばらく続いた
53
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:21:47 ID:IbSkRXDo0
―――――
―――
―
<ヽ;`∀´>「しばらくハンバーガーは食えないニダね」
床と壁一面に広がる、血と肉の破片
凄惨な現場を前にして、ニダーはため息を吐き、ハンマーを床に投げ捨てた
川 ゚ -゚)「何、すぐ慣れる」
ケロリとした顔の女に、『慣れて堪るか』と文句の一つでも吐き捨てようとしたが
今しがたの行為と、スプラッター映画めいた風景を前にして、嘔吐すらしない自分の体に
渋々ながら認めざるを得なくなり、代わりに口から出たのは
<ヽ;`∀´>「不幸ニダ」
いつもの口癖だった
川 ゚ -゚)「問題は解決していないぞ。こいつらの『寄り代』を壊さない限り、何度でも復活する」
チェーンソーを肉の山に突き立て、手首をほぐす
『ミンチ』と形容出来るほどグチャグチャになった『三人』は、それぞれの形に戻ろうと蠢いていた
<ヽ`∀´>「寄り代?」
川 ゚ -゚)「こいつらの心臓みたいな物だ。それを壊すと死ぬ」
<ヽ`∀´>「そういうことはもっと早く言えニダ」
川 ゚ -゚)「笑える」
<ヽ`∀´>「しばきまわすぞ」
54
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:22:45 ID:IbSkRXDo0
<ヽ`∀´>「それって、どういうものニダ?」
川 ゚ -゚)「形は様々だ。マスクだったり人形だったり……干し首、なんて例もあるな」
<ヽ`∀´>「面倒ニダね……もう館ごと燃やせばいいんじゃないニカ?」
川 ゚ -゚)「ダメだ。万が一焼け残れば元の木阿弥だ。確実に、『それだ』と断定し、破壊しなければならない」
それを聞いたニダーは、天を仰ぐ
館は広い。当然、物も多い。見つけるだけでもかなり骨が折れるだろう
<ヽ;`∀´>「勘弁してくれ……」
川 ゚ -゚)「そう悲観するものでもないぞ。毎回何かしらの『ヒント』はあるからな」
<ヽ`∀´>「ヒント?」
川 ゚ -゚)「そこの、脂が多くて『柔らかかった』ジジイが、チェーンソー野郎に」
<ヽ;`∀´>「やめろ思い出させるな」
川 ゚ -゚)「『じい様を連れて来い』と指示を出していた。それらしき人物を見かけなかったか?」
<ヽ`∀´>「んん……こっちも必死だったから、周りなんてろくすっぽ見てなかったニダ。でも」
ハンマー男を窓から突き落とした後の事を思い返す
一階へ戻ろうとした最中、階段から重たい足音が聞こえ、咄嗟に身を隠した
しかし、足音は二階に上がることなく、元来た道を慌てて戻っていった
55
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:23:56 ID:IbSkRXDo0
<ヽ`∀´>「…二階に部屋が幾つかあるニダ」
川 ゚ -゚)「なるほど」
目星をつけた二人は、血だまりを踏みつけながら食堂を後にした
川 ゚ -゚)「ああ、ちょっと待て」
<ヽ`∀´>「何ニダ?」
川 ゚ -゚)「忘れ物」
壁に刺さったままだったバタフライナイフも回収し、階段を昇る
川 ゚ -゚)「お前は右、私は左だ」
<ヽ`∀´>「はいはい」
それぞれの担当を決め、規則正しく並んだ部屋を一つ一つ確認していく
ほとんどがただ埃っぽいだけの部屋だったが、中には
<ヽ;`∀´>「うおっぷ……」
腐りきり、大量の蝿が集る首吊り死体がぶら下がっている部屋もあった
56
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:25:36 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「おい、あったぞ」
目当ての物は左側の、一番奥の部屋にあった
<ヽ;`∀´>「……」
ロッキンチェアーに座る『二つ』の白骨死体
一つは、女性用の衣類を身に纏う何の変哲も無い死体
もう一つは、男性用の衣類を身に纏った、少し変わった死体だった
骨と骨をワイヤーで括り合わせ、形を保っている
右腕には、先ほどニダーが振るっていたものよりも小さい
日曜大工に使うようなハンマーがしっかりと固定されていた
その先端には、乾いた血とブロンドの髪がへばり付いている
川 ゚ -゚)「ふむ、じい様と、言うより……」
一通り見て回ったクールは、自らの推測を語る
川 ゚ -゚)「処刑道具だな」
<ヽ;`∀´>「処刑…?」
川 ゚ -゚)「『The Texas Chain Saw Massacre』と言う映画を観たことはあるか?」
<ヽ;`∀´>「い、いや…?」
川 ゚ -゚)「文字通りテキサスでチェーンソーを持った大男が罪の無い男女を虐殺するホラー映画さ」
川 ゚ -゚)「詳しいストーリー内容は割愛するが、それのワンシーンに『動けないほど年老いたジジイにハンマーを持たせ、ヒロインの頭を割らせようとする』というものがあってな」
57
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:27:10 ID:IbSkRXDo0
ニダーは、『Urban Legend』の三つの特徴の一つを思い出す
<ヽ`∀´>「『ホラー映画をモチーフにしている』って……」
川 ゚ -゚)「そうだ。恐らく、今回の元ネタは『The Texas Chain Saw Massacre』だろう」
川 ゚ -゚)「ストーリー通りに事が進めば、今頃お前は『ソーセージ』として食卓に並び、一家団欒の後、私はこれで頭を砕かれてただろうな」
ニダーはぶるりと身震いをする
<ヽ;`∀´>「ゾッとしないニダ」
川 ゚ -゚)「だろうな。私も、お前の粗末なイチモツを食うのは御免だ」
<ヽ`∀´>「こっちが御免ニダ」
川 ゚ -゚)「ともあれ」
二人は拳銃を引き抜き、骸骨の眉間に向ける
川 ゚ -゚)「これでこの冗談みたいな『ホラーショー』は終わりだ…」
<ヽ`∀´>「ドッと疲れたニダ……」
川 ゚ -゚)「…と、思う」
<ヽ;`∀´>「いやもういい。もうこれで終わっていいニダ」
川 ゚ -゚)「冗談さ。そろそろ……」
僅かにタイミングがズレた、二つの弾丸が頭蓋骨を粉々に砕く
背もたれから後ろに倒れこんだ『じい様』は、黒い煙を上げながら燃え上がり始めた
川 ゚ -゚)「タバコが恋しいしな」
58
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:28:10 ID:IbSkRXDo0
―――――
―――
―
<ヽ`∀´>「意外とあっけない幕引きニダ」
燃え上がる館を、外から眺めながら呟く
クールは、残り少ないかった為に我慢していたタバコを愛おしそうに一本咥える
<ヽ`∀´>「ホラー映画なら、ここでもう一押し何かが起こる筈」
川 ゚ -゚)「案外、オチはあっさりしたものさ。寄り代を破壊したと同時に、奴らも灰になって死に絶える」
川 ゚ -゚)「巻き戻らないビデオテープみたいなものさ。再生が終われば、それ以上先に進まないし、戻りもしない」
<ヽ`∀´>「……」
ニダーはとてつもない疲労の中に、一本の映画を観終えたような感覚を捉えていた
それは夢を見た後のような、ある種の『切なさ』に似た感覚だった
<ヽ`∀´>「『終わり』、ニダね」
川 ゚ -゚)「その通りさ……やるかい?」
クールは箱に残った最後の一本を差し出す
ニダーはそれを見て、暫し考えた後
<ヽ`∀´>「貰うニダ」
ありがたく頂戴することにした
59
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:28:55 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「『恋人』はいいのか?」
からかい混じりに、自分のタバコに火をつけ、ライターを差し出す
ニダーは片手で火を被い、咥えたそれの先端を近づけた
<ヽ`∀´>「どうでもよくなったニダ」
川 ゚ -゚)「そうかい」
やめる時は、散々ごねた体も、再開する時には素直なようで
おおよそ体によくないであろう成分を含んだ煙をたっぷりと吸い込み、吐き出した時には
<ヽ`∀´>「全く、不幸ニダ」
旨みと共に、仕事終わりの達成感を満喫した
川 ゚ -゚)「ああ、全く…」
川 ゚ -゚)「不幸だな」
60
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:30:26 ID:IbSkRXDo0
タバコを吸い終えるまで、勢いを増し燃える館を眺めた後、二人は車へと戻った
正規の道路に出た瞬間、館までの道は嘘のように消えてなくなった
それを見たクールは、一度頷き、携帯を取り出しどこかへと連絡した
原因不明の故障だった車は、嘘のように再びガスを吐き出す
そんな普通の出来事が、ニダーを安心へと導いた
川 ゚ -゚)「ガススタンドまで戻るぞ。そこでヘリに乗換えだ」
<ヽ`∀´>「景気が良いニダね」
川 ゚ -゚)「国からの依頼だからな」
<ヽ`∀´>「帰りもウリが運転?」
川 ゚ -゚)「怪我人は労われ」
<ヽ`∀´>「はいはい……」
スリップ気味にUターンをきめ、街への道をひた走る
クールはリクライニングを倒し、大きく息を吐き目を閉じた
川 - -)「シャワーが恋しいよ。後タバコ」
<ヽ`∀´>「吸いすぎニダ……」
ニダーはアクセルを深く踏み込む
法廷速度を破ってでも、とにかく早く、返り血で汚れた服を脱ぎ捨てたかったのだ
61
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:31:36 ID:IbSkRXDo0
―――――
―――
―
あれから、数週間が経った
<ヽ`∀´>「フー…」
彼は相変わらず、事件に見舞われる日々に追われている
変わった事と言えば、署内でFBIの美人捜査官との噂話を同僚に流された事と(割と強めに殴った)
預金通帳に、数年分の給与とボーナスを合わせた額が振り込まれていた事(金額は伏す)
それと、またタバコを頻繁に吸うようになった事くらいだ
『彼女』からの連絡は、別れたきり無い
<ヽ`∀´>「……」
『これきり』と言ったのは自分だ。あんな事件、二度と遭遇したくない
しかし、あのバケモノと、孤独に戦っているのか
それとも、新しい相棒と挑んでいるのか
僅かながら、怪異の世界に足を踏み入れた者として、せめて無事かどうかくらいは―――
62
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:32:19 ID:IbSkRXDo0
N| "゚'` {"゚`lリ「ニダー、おいニダー」
<ヽ`∀´>「ハッ!?」
タバコを吸いながら物思いに耽っていたニダーを、上司の声が引き戻す
<ヽ;`∀´>「し、失礼しました」
タバコを揉み消し、立ち上がろうとしたニダーを、そのままで良いと手を掲げ制する
その顔には、実にバツの悪そうな表情を浮かべていた
<ヽ;`∀´>「ど、どうかされましたか?」
N| "゚'` {"゚`lリ「いや……その、とても残念な話なんだがな」
『遂に始末書を越えた処罰か』と、ニダーは身構えた
今朝も警告無く発砲した上、ショーウインドを割るヘマをやらかしてしまっているのだ
N| "゚'` {"゚`lリ「……残念だよ。俺好みの良い男だったのに」
だが、上司が差し出した書類には、彼の想像を越える内容が記載されていた
それを読み取るや否や、上着を引っ掴み一目散に署を飛び出した
(;'A`)そ「うおっと!!おい、どうしたんだよニダー!!」
すれ違い様に、同僚に返事を返すことすら出来ないくらいの内容だったのだ
63
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:33:04 ID:IbSkRXDo0
(;'A`)「あっぶねえ、コーヒー零すところだった…」
N| "゚'` {"゚`lリ「グッバイ、マイ・エンジェル……」
('A`)「えっ、気持ち悪……どうかしたんすかアイツ」
N| "゚'` {"゚`lリ「『引き抜き』だとよ」
(;'A`)「ええ!?ど、どこに?」
N| "゚'` {"゚`lリ「聞いて驚け。なんとな……」
<ヽ;`∀´>「ハァ、ハァ……」
ニダーが行き着いた先は、自分の住まいだった
そこに、見慣れた筈の家具は無く、閑散とした部屋の窓際には
川 ゚ -゚)「遅い」
初めて出合った時のようにふてぶてしく、タバコを吸うクールの姿
64
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:34:00 ID:IbSkRXDo0
<ヽ;`∀´>「おま…ハァ、これは、ゲホッ!!」
息を整える余裕も無く、ニダーはグシャグシャになった書類を突きつける
<ヽ;`∀´>「どういう事ニダ!!」
汗だくのニダーの姿を見ても、眉一つ動かさず、クールは煙を吐いた
川 ゚ -゚)「そのままの意味さ。ニダー・リッグスを『Urban Legend』特別捜査官に任命するってな」
川 ゚ -゚)「つまり、ヘッドハンティングさ。喜べ、大出世だぞ?」
<ヽ#`∀´>「喜べるかーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
怒りのままに書類を床に叩きつける
<ヽ#`∀´>「『これきり』って言ったニダ!!」
川 ゚ -゚)「確約はしてない。『上等だ』と応えただけだ」
<ヽ#`∀´>「詐欺師か!!とにかく、ウリは絶対に、二度と、あんな事件には関わらないニダ!!」
川 ゚ -゚)「無理だな」
<ヽ#`∀´>「ああ!?」
65
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:34:57 ID:IbSkRXDo0
川 ゚ -゚)「『Urban Legend』に関わった者は、死ぬまでそいつに取り憑かれるのさ」
川 ゚ -゚)「一年後か、それとも一ヵ月後か、一週間後か、はたまた明日か、『Urban Legend』は関わった者を殺しにやってくる」
<ヽ;`∀´>「」
川 ゚ -゚)「言っただろう?『私もだ』、とな」
彼女のトラブル体質とは、つまり『こういう事』だったのだ
怒りを通り越して、開いた口が塞がらない
どうやら、自分は本当に、この女とあった瞬間にとんでもないトラブルに
それも、人生丸ごとひっくり返るような災難に、見舞われてしまったのだと
川 ゚ -゚)「まぁそう悪いことだけでもないぞ?オフィスは快適清潔で、経費は使い放題。給与は高く休みも多い」
川 ゚ -゚)「ただ、『Urban Legend』を引き起こす元凶を殺さない限り、身の保障は他の人間より無いってだけだ。ま、普通に生きていても明日死ぬかも知れないんだし、安い安い」
<ヽ; ∀ >「ふ……ふっ……」
川 ゚ -゚)「と、言うワケで、今この時点からお前は栄えあるFBI捜査官だ。よろしく頼むぞ、相棒」
66
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:35:41 ID:IbSkRXDo0
<ヽ;`∀´>「不幸ニダーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」
.
67
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:37:52 ID:IbSkRXDo0
―――――
―――
―
数ヵ月後、日本
とある廃寺にて
「99本目、おしまい」
若者達が寄り集まり
『百物語』という、一種の交霊術が行われていた
( ∀ )「さあ、次でいよいよ百本目だ」
「じゃあ、最後は俺が締めくくろうかな」
(,, Д )「おっ、トリに相応しい話を頼むぜ」
ξ ⊿ )ξ「……ねえ、ちょっと待って、あなた」
ξ ⊿ )ξ「誰?」
68
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:38:33 ID:IbSkRXDo0
勺儲靄靄醴醴醴蠶體酌羽紜益㎎益山∴ ベヨ迢鋸醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
∃儲霾誧露繍蠶髏騾臥猶鬱㍗ ご笵此∴ ∃㌶謳廱躔騾蔑薺薺體髏蠶蠶蠶蠶蠶蠶
ヨ儲諸隴躇醴蠶歎勺尓俎赴 レ ∴㌶醴蠶鬪にに 躇躇醴蠶蠶蠶蠶蠶
ヨ鐘諸薩讒蠢欟厂 ベ状抃 【●】 厂 ヨ繍蠶蠶臥に 躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶
㌶罐諸醴蠶蠶歎 マシ‥…ヲ冖ヘ .∴瀦醴蠶襲㌦ 躇蠶蠶蠶蠶蠶蠶
加罐讒蠶蠶欟厂 ㌶ ヘ㌶㌶ヘ ∴㌶醴醴蠶甑 【●】に 蠶蠶蠶蠶蠶蠶
溷霾醴蠶蠶勸 ㌶ ヘヘ ㌶ ∴ヨ繍醴蠶蠶鬮に に 庇蠶蠶∴蠶蠶蠶蠶蠶蠶
醴蠶蠶蠶蠶髟 ㌶ ㌶ ベ湖醴醴蠶蠶蠶庇 にに庇蠶蠶蠶.∴蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶蠶欟 ㌶ ㌶ ㌶繍蠶蠶蠶蠶蠶曲㌶㌶㌶㌶㌶㌶に㌶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶蠶歉 ㌶ ヲ 澁畄_迢艪蠶蠶蠶蠶蠶蠶甜川㌶㌶∴ ∴∴㌶㌶髏蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶蠶髟 ㌶ ヲ コ醴蠶奴繍蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶齡辷㌶ ∴㌶㌶醴蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶鬮か .ベ苛ザベ繍蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶醯己に⊇三介㌶㌶醴蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶髏鬮シ ㌶ 尽慵蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶自辷㌶躇㌶鐘㌶躇蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶醴勸 ㌶ 氾隅髏蠶蠶蠶蠶蠶靦㌶㌶雄躍躇㌶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶醴訃 ㌶ ∴∴∴沿滋溷醴髏蠶髏髏韲譴㌶醴蠶蠶㌶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶髟 ㌶ _山辷ム㌶蠡舐鑓躍醯罎體體體驩讎櫑㌶蠶蠶蠶㌶蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶㌢ ㌶ ㌶躍蠶蠶鸙蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶醯註珀雄醴醴㌶蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶廴 ヲ ㌶醴蠶欟閇憊體醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶靦錐讒醴蠶曲蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶欟シ ヲ 禰蠶蠶蠢螽螽㌶醴蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶躍蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶監シ ∵ヴ門夢曠髏蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶曲蠶蠶蠶蠶蠶蠶
蠶蠶蠶㌢ ヲ ∴シ∃愬嚶髏蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶蠶㌶蠶
69
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:39:31 ID:IbSkRXDo0
「どこの国のガキも変わらないな。酒とセックスの口実にホラーを使う」
『都市伝説』ある場所に、その二人の姿あり
「面倒見るこっちの身にもなって欲しいニダ」
それは、バケモノと戦う者
「いいさ、エサは有効に使わないとな」
それは、バケモノを殺す者
「今回は民間人が多い。速攻で決めるニダ」
それは、バケモノに恐怖を与える者
「ほざけ新入り、行くぞ」
「いつでも」
二つの銃声、二つの弾丸が
最後に残った一本の蝋燭の火を吹き消し、『Urban Legend』の頭を穿つ
血と硝煙の『ホラー・ショー』が幕を開けた
70
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:40:34 ID:IbSkRXDo0
(
)
i
|_| Two Guns Horror Showのようです
.
71
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:43:48 ID:IbSkRXDo0
あとがき
元々はマイナーカップリング祭り用の作品なので、ホラー色よりバトルが強めになりました
クールとニダーにコンビ組ませてるのはブーン系界隈でも僕一人だけだという自負があります。いや、書いてもいいのよ?
なんだか最近、心なしかニダーが悪役、嫌な奴じゃないお話もちらほら見かけるようになったので、ニダー萌えの僕としては嬉しい限りですね
今回のお話の元ネタ映画は、タイトルにもなっているデイぜル・ワシントン、マーク・ウォールバーグ主演の『2 Guns』
作中でクールが解説しているホラー映画の邦題『悪魔のいけにえ』
フレーバーとして『ゴースト・エージェント/R.I.P.D.』
そして、二人のファミリーネームと拳銃を『リーサル・ウエポン』から拝借しました
スプラッター映画を観るたびに
『もしこの世界にあの映画のコンビがいたら、こいつら(殺人鬼)とか一蹴だよな』
という、僕の妄想をそのまま出力したお話
いや、勿論殺人鬼も殺人鬼で文字通り恐ろしく強いんでしょうけど、頼れる相棒がいるバディには絶対敵わないんじゃないかと
結果、ホラー映画の醍醐味としての後味の悪さや、理不尽さからはかけ離れた作品になってしまいましたが、僕は書いてて凄い楽しかったのでまぁ良しとします
察した方もいるでしょうが、2013年に書いた百物語作品と世界観は同じです
もしかしたらあのホッケーマスクの彼女と、この二人が対決する日があるかも知れませんね
知れませんねってまぁ書くのは僕なんですが、書くかどうかは来年の僕次第なんでなんとも言えません
書く書く言って結局放置してる去年の作品もなんとかしなくちゃいけないんですし、実現は難しいと思われます
この後は今夜見てきたセイウチ人間こと『Mr.タスク』の感想や
悪魔のいけにえなどの紹介を長々と続けたいんですが、それはまた別のスレで
僕はナース鈴谷でシコって寝ます。お疲れ様でした
Mr.タスクは僕好みのクソ映画でした。最高です
72
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 02:56:17 ID:VwlK1tNc0
乙ムカデ、このカップリングと映画好きはお前だけだと確信出切る
73
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 03:12:26 ID:mrEfIoJA0
乙
めっちゃ些細なことだけどニダーの語尾が一箇所除いて疑問文の時もニダなのが気になった
74
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 04:40:10 ID:aerNZabo0
面白かったー、乙
75
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 09:11:05 ID:UnmhTcXc0
乙。ニダーとクールならムカデ人間好きの変人が書いてたような
76
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 12:02:24 ID:r1vq/VEA0
あぁケツの人か。
77
:
名も無きAAのようです
:2015/08/09(日) 13:21:43 ID:vXgkP/Tg0
ネタなのかマジなのか
78
:
名も無きAAのようです
:2015/08/15(土) 10:31:26 ID:ix86xn/A0
面白かった
連載してほしいぐらいだわw
アメリカのホラードラマ見たいでよかったよ
79
:
名も無きAAのようです
:2015/09/02(水) 00:54:39 ID:lbzxskjk0
乙乙
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