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(-_-)見知らぬ人へ送る、ようです
-
( ・∀・)「委員長ー。昨日言われたプリント持ってきたよー」
川 ゚ -゚)「締め切りは昨日だったんだぞ。
要反省しろ。猛省しろ」
从 ゚∀从「昨日のテレビ見たか?」
(*゚ー゚)「勿論見たよー!」
( ^ω^)「もうずいぶんと寒くなってきたおー」
('A`)「贅肉でカバーされんじゃねーの?」
ざわつく教室。
いつもどおりの日常。
(-_-)「……」
その片隅に、ヒッキーは座っていた。
彼に昨日の番組について聞いてくる者はいないし、
面白い話を振ってくる者もいない。
朝のHRが始まるまで、彼はいつも無言で手元の本を読んでいた。
-
劇的な人生など、そうそうあるものではない。
物語の中くらいにしか存在していない。
異世界へ行くこともなければ、大きな犯罪に巻き込まれることもない。
命の危険も、己より大事な何かもありはしない。
それを退屈だ、と思えない程、それは当然の現実としてここにある。
紙や画面の外側、現実の世界に生きる多くの人間は、それなりに過ごし、それなりに生きる。
調子に上がり下がりがあり、一喜一憂することはあれども、所詮は一時のこと。
数年も経てば、記憶の片隅にひっそりと浮かぶだけだ。
だが、その一時ですらない者もいる。
人生の上下など、ちょっと先生に褒められただとか、オマケが当たった、
腹痛に見舞われた、テストの日に風邪をひいた。
そんなつまらないものしかない人生。
大人になり、酒の席に座ったとしても、
話せるようなやんちゃも、失敗話もない。
世の中の平均を寄せ集めてしまったような、そんな生き方。
ヒッキーという人間は、まさに、そういった人生を過ごしている最中だった。
-
彼という人間が如何につまらないか、ということを簡潔に表すのであれば、
それは「平坦」という言葉に集約される。
絵に描いたような平凡、平均的日常。
世の中に溢れる小説の一行目にすらなれないような日々。
加えて、ヒッキーはたった一つを除けば、趣味趣向も持ち合わせていない。
食べ物は当然とし、アイドルや俳優、テレビにラジオ、インターネット。
世の中にありとあらゆるものに対して、彼は好きだ、という感情も、嫌いだ、という感情も抱かなかった。
無論、差異は持っている。
ラジオに比べるとネットサーフィンを好み、
クラスメイトのハインより、クーの方が好みのタイプだと思う。
だが、それだけだ。
強いていえば、どちらかといえば。
そんな消極的で、ある意味では失礼な「好き」
そんな己の性質をヒッキーは十分に理解していた。
この先も、このままつまらない人生が淡々と続いていくのだろう、という予感もしていた。
-
時間がくれば、同じ国に住む同じ年代の、何処かの誰かと同じように授業を受ける。
('、`*川「これを還元といいます。逆が酸化です。
合わせて覚えてくださいね」
特別面白いわけでもなければ、特別糞野郎というわけでもない先生。
生徒からの人気もそれなり。学年でアンケートをとれば、
二、三人は大好き! と、答えてくれるだろう。
('、`*川「では、黒板に書いた問題を写して解いてください。
後で口頭で回答してもらいますからねー」
彼女の言葉に、クラスメイト達のシャーペンがカリカリと音を立てていく。
時折、どこからか「わっかんねー」という言葉が聞こえてくる程度だ。
この授業に限らず、この学校ではほとんど全ての授業が、
生徒を一人、皆の前に出させて答えを黒板に書かせる、ということをしない。
教科書を開き、黒板に書かれているものをノートに書き留めていく。
毎日それを繰り返している。
時が流れているのか曖昧になってしまうほどの「同じ」だが、
ヒッキーはこの行為が嫌いではなかった。
(-_-)(伊藤先生の字は真っ直ぐで、でも、ちょっとハネが強い)
何せ、彼の持つ、唯一の「好き」がそこにあるのだから。
-
ヒッキーは文字が好きだった。
活字が好き、とはまた少し違っている。
(-_-)(先生の中では一番綺麗な字を書いてる。
でも、綺麗なだけじゃない)
黒板の文字を書き写しながら、つらつらと考える。
いつからそうだったのかはわからないが、
気づいたときには既に文字というものが好きになっていた。
本に書かれている文字も好きだが、
それよりも生身の人間が書く文字が好きだった。
この世にたった一つ、その人だけの文字。
大小やバランス、形、上がり具合。
それらが合わさることで、誰かの文字になる。
たったそれだけの事実がヒッキーを楽しませるのだ。
(-_-)(伊藤先生は真っ直ぐだ。嘘をつかない。
でも、ちょっと頑固で、だからはね返ってしまうんだ)
何とか診断、みたいなものに興味はないヒッキーだが、
筆跡から人物を把握する、というのは実に的確で、素晴らしい診断だと思っている。
-
脳裏に浮かぶのは、クラスメイト達の字だ。
残念ながら、女子の字を見ることはほとんどないまま来てしまったが、
男子の字ならば行事の関係で何度かあった。
(-_-)(流石君の字は兄弟でそっくりだ。
ほんのちょっとだけ、兄者君の方が癖があって、弟者君が基本に沿ってる。
でも、どちらも本質は同じ)
ヒッキーのクラスにいるのは弟の方だけだが、
二年のときには兄の方と同じクラスになった。
姿形がそっくりな双子とはいえ、一見したところの性格は真逆と言っても過言ではない二人だったのに、
字を見てみれば、その実、本質は何も変わらないことがわかった。
それはきっと、本来ならば彼ら二人と友好を深めることで、
初めてわかることだったのだろう。
(-_-)(ブーン君の字は跳ねる。上に上がって、下に下がる。
文にしてみればまるで波のよう)
喜怒哀楽の激しいムードメーカーらしい字だ。
あちらこちらに動きまわりはするものの、読めなくなるほど崩れているわけではない。
さりげない優しさやまめさを見せる彼らしい文字。
(-_-)(……でも、ボクの字は)
字が好きなヒッキー。
だが、自分の字はあまり好きではなかった。
-
ヒッキーは、今まさに自分が字を記しているノートを見る。
毎日見ている文字となんら変わりない。
罫線の間に収まっている、というよりは、むしろやや小ぶりで、
色が薄く、外へ向かう力のない字。
つまらない己を反映しているその字だけは、どうにも好きになれない。
(-_-)(もっと、大胆に書けるようになれば、ボクも変わるのかな)
考えるだけならば誰の迷惑にもならないし、お金もかからない。
しかし、実行できるのか、という問いに関しては、
残念ながら「ノー」の一言だ。
意識すれば、ある程度は変えられるかもしれない。
けれども、結局、根本の筆跡は変わらないし、
急いでいるときや無意識のときには元の文字が出てきてしまう。
(-_-)(あぁ、どうせなら、もっとみんなの字が見たい)
たまには、生徒が黒板に答えを書いてもいいじゃないか。
たまには、発表したものに対し、全員が感想を書いてもいいじゃないか。
たまには、たまには……。
そんなことを考えている間に、授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。
今日も平凡な時間が一つ終わった。
-
('、`*川「では、来週までに宿題をやっておくように」
最後の一言を残し、伊藤は教室を出る。
残された生徒達は、彼女に返事をしたり、
我先にと席を立って友人のもとへ向かったりと、
各々の意思を持って動きだす。
(-_-)
休み時間といえども、ヒッキーは己の席から動かない。
朝のHRを待つときと同じだ。
彼には話しをしたいと思う友人も
今やらなければならないこともない。
鞄の中にしまっておいた本を取り出し、紙に印刷された文字を追っていく。
よく見る書体は、彼の心を楽しませはしないが、
空いてしまった時間を埋めてくれるくらいの役割は十分に果たしてくれる。
波乱万丈な物語、もしくは平凡ながらも日々の幸せと喜びを見つける物語を読んでいるとき、
ヒッキーは己の人生というものを考えずにはいられない。
平坦すぎて退屈な日々。
大きな喜びも悲しみもない日々。
これを退屈だ、と吐き捨ててしまうのは贅沢だろうか。
-
その後も時間は正確に刻まれ、過ぎていった。
ヒッキーの心の陰にほんのわずかこびりついた退屈もモノともせず、
授業は二時間目、三時間目、と終わっていき、
ようやく四時間目が終わりを告げた。
(-_-)(もうお昼か)
ヒッキーは鞄からお弁当を取り出す。
毎朝、母親が作ってくれるものだ。
彼女の体調不良か、用事でもないかぎり、
この昼食が味気ないコンビニ弁当やパンに変わることはない。
( ^ω^)「お昼〜お昼〜」
('A`)「お前、そんなによく食えるよな……」
ζ(゚ー゚*ζ「ツンちゃんまだかなー」
ミセ*゚ー゚)リ「デレちゃんって、双子のお姉さん大好きだよねー」
(´<_` )「今日こそは焼きそばパンゲットしてくる!!」
(;・∀・)「まだ間に合う! だが! 一刻を争う!!」
昼時の喧騒は、通常の休み時間を優に凌駕する。
違うクラスから人がやってくるし、
貴重な食料確保のために奮闘する者もいる。
よくある、楽しげな日常だ。
-
そんな中でも、ヒッキーは変わらずに一人。
……と、いうわけにはいかない。
(*゚ー゚)「ヒッキーくーん」
クラスメイトの一人、しぃが声をかけてくる。
実はこれ、青天の霹靂でもなんでもない。
ヒッキーにとって、日常の一つに組み込まれてしまっている流れだ。
(-_-)「……」
返事をせず、黙ってしぃのほうを見る。
彼女の後ろには、他に二人ほど女子生徒がいた。
いわゆる、不良仲間というやつだ。
从 ゚∀从「なぁ、今日もいつものヤツ、お願いしてもいいよなぁ?」
(゚、゚トソン「私達は忙しいので」
拒否権なんてないくせに、一応は質問の形式で問いかけてくる。
彼女達もこのクラスの人間だ。
ハインもトソンも見た目は可愛いのだけれど、
明らかに改造された丈のスカートを履き、
化粧やピアスなんかをつけている不良だ。
从 ゚∀从「あたし達の昼飯、よっろしくー」
そういって、ヒッキーの机の上に手を置く。
握られていた彼女の手が開かれると、
硬いものがぶつかり合う、ジャラジャラとした音が鳴る。
-
机に、半ばばら撒かれるようにして置かれたのは小銭だ。
百円玉から十円、一円まで。
色とりどりの硬貨がそこに並んでいる。
(゚、゚トソン「すみませんが、私は今日、少し手持ちがなかったので、
立て替えておいてくださいね」
硬貨の音が収まると一人が言った。
ヒッキーは机の上に散らばったお金を見る。
足りない、とはいっても、数十円のことだろう。
彼女達は一度に大きな負担をヒッキーに負わせることはない。
時折、数十円から百数円程度の負担をヒッキーがさせられるだけだ。
ただし、それらが返ってきたためしはないのだけれど。
从 ゚∀从「いいよな? ちょーっと行って、戻ってくるだけだし」
ハインは笑いながら言う。
ここで、嫌だと言えば殴られることはわかっていた。
以前に一度だけ、そうしてトソンに蹴られたことがある。
痣にもならない程度のものだったが、痛いものは痛い。
流石にそのときは、クーがトソンとヒッキーの間に入りこみ、待ったをかけてくれた。
彼女がいなければ他の誰かが助けてくれていただろう。
-
果たして、これはいじめなのだろうか。
ヒッキーは度々考える。
(-_-)「……いい、ですよ」
(*゚ー゚)「とーっぜん!」
しぃは自身の両手を絡ませ、頬に当てる。
可愛い彼女だからこそ許されるぶりっ子のポーズだ。
从 ゚∀从「じゃあ、あたしは、あんぱんとモナ印の牛乳、あとカスタードプリンな」
(゚、゚トソン「私は自動販売機で売っているあったかい緑茶と、
しゃけおにぎり、こんぶおにぎり、オムライスおにぎりを」
(*゚ー゚)「私はカスタードクリームパンと、生クリーム入りジャムパン!
あと、カフェオレねー!」
わずか数十秒。
彼女達三人が思い思いに単語を並べ立てるものだから、
ヒッキーには誰が何を言ったのかいまひとつ把握できない。
だが、これも日常の一つだ。
買いに行かされるヒッキーに、なんら配慮のない注文の仕方。
毎回、メモを取っているのだが、たいてい、一つ二つは間違えていたり、忘れていたりする。
-
支援
-
忘れたり間違えたりすれば、文句を言われる。
心無いことを言われることもある。
しかし、三人に囲まれ、袋叩きにされる、ということはなく、
因縁をつけられて財布の中身を巻き上げられることもない。
(;-_-)「えっと……」
(*゚ー゚)「もー! 早く早く!」
(゚、゚トソン「昼休みが終わってしまいますよ」
从 ゚∀从「とっととしろよなー」
(;-_-)「は、はい」
ニュースなんかで聞いているいじめとは、
比べ物にならない程にぬるい。
裸にされたことなんてない。
直接金銭を巻き上げられたこともない。
リンチを受けることもなければ、
周囲が暴力の現場を見ても、
見て見ぬフリをするわけでもない。
死ね、という一言でさえ、ヒッキーは言われたことがないのだ。
改めて考える。
果たして、これをいじめと呼んでいいのだろうか。
-
そもそも、いじめの定義としては、
受けている側の人間が苦痛を感じている、というものだ。
ヒッキーは被虐の趣味があるわけではないので、
現状を喜ばしくは思っていない。
だが、苦痛、と呼べるほどかといわれれば疑問だ。
毎日、昼休みになればパンやら何やらを買いに行かせられるが、
代金はそれなりにもらっている。
今まで立て替えてきたのを計算したところで、千円になるかならないか、程度だ。
自殺など考えようがないくらいの状況で、
本当にちょっとしたいじりの延長線上でしかない行為だ。
わずかな怯えや不安こそあれど、
そんなものはヒッキーの平坦すぎる日常にわずかな起伏さえ与えない。
この世界には、もっと恐ろしいもので溢れていると彼は知っている。
知っているからこそ、現状に憂いを抱くこともない。
その考えでいくと、やはりこれはいじめではないのだろう、と思う。
しかし、それだけで納得できる問題でもない、というのが、
人間としての自尊心だとか、矜持だとかが絡んでくる問題だ。
-
(;-_-)「今日もすごいなぁ……」
ヒッキーのクラスがある三階から、購買を兼ねた食堂がある一階までたどりつく。
そこにはすでに何十人もの生徒が押し寄せ、今日の昼食を確保すべくうごめいていた。
この時間だけは、可愛らしい女子生徒も、ひ弱そうな男子も関係ない。
誰もが己のために闘争心を持って進んでいる。
特に、エネルギー消費の激しいであろう運動部所属の男子は強い。
(;-_-)「まだ残ってるといいんだけど」
生唾を飲み込み、集団の中へ足を踏み入れる。
己のためにきたわけではないヒッキーは、どうしても競り負けてしまうが、
それでも賢明に前へ進み、ようやくおばちゃんの前へ出ることができた。
(;-_-)「えっと! 生クリーム入りジャムパンと、あんぱんと、カスタードプリンと、
しゃけおにぎりと、えっと……」
手にしていたメモを見るが、それだけしか書いていない。
他にも飲み物があったはずだし、おにぎりは他にも何種類か聞こえていた気がする。
(;-_-)「えっと……」
いっそ、適当に飲み物とおにぎりを頼んでしまおうか。
しかし、おにぎりだけでも十数種類。
飲み物にいたっては二十種類近くある購買だ。
当たりを引く可能性に期待するのは無駄だろう。
-
川 ゚ -゚)「あと、こんぶおにぎりとオムライスおにぎり。
モナ印牛乳、カフェオレ、カスタードクリームパン」
ヒッキーの隣から、聞き覚えのある単語が聞こえてきた。
(-_-)「え」
川 ゚ -゚)「頼まれていたものだ。
間違いはないと思う」
濃紺の髪をさらりと垂らしているクーは、こんな場所でも凜としている。
周囲の雑音も、うごめきも、彼女を損なわせはしない。
(-_-)「何で……」
川 ゚ -゚)「聞こえていた。
彼女達が話しているとき、私はまだ教室にいたからな」
(;-_-)「でも、何で、ボクに教えてくれたんですか?」
川 ゚ -゚)「……?」
クーは首を傾げる。
きょとん、という言葉がよく似合う仕草だった。
-
川 ゚ -゚)「それは、そんなにおかしなことか?」
(-_-)「え?」
川 ゚ -゚)「私は知っている。
キミは忘れている。
ならば、教えてあげればいいだけだ」
(;-_-)「いや、まあ、そうですけど、ね……」
言われてみればその通りだ。
ヒッキーはクラスでハブられてるわけではない。
グループを組まなければならないときでも、
誰かしらがヒッキーを招きいれてくれる。
筆箱を忘れた、といえば、シャーペンや消しゴムくらい貸してもくれる。
しかし、今回はヒッキーが誰かを頼ったわけでも、
最低限必要なものが揃っていないだとか、
そんな状態ではなかった。
誰かが困っていたとしれも、積極的に求められなければ、
手というのは差し出しにくいものだ。
それも、異性が相手となればなおさらに。
-
川 ゚ -゚)「ところで、キミは抵抗しないのか?」
(-_-)「抵抗……」
クーは一足先に手渡された己のぶんの昼食を受け取る。
受け取るものを受け取れば、すぐに集団から外れるのがマナーだ。
だが、彼女はヒッキーに問いかけ、その場に留まっている。
(-_-)「どうせ、蹴られるだけですから」
川 ゚ -゚)「そうなれば、誰かしらが助けてくれるだろう」
(-_-)「あなたがしてくれたみたいに、ですか」
川 ゚ -゚)「そうだ。あのクラスはそこまで薄情な人間の集まりではない」
(-_-)「……わかってるんですけどね」
ここで、ヒッキーが注文していた物が手渡される。
飲み物が二つ入っている分、袋が重い。
(-_-)「そこまでするほどじゃないって言いますか……」
川 ゚ -゚)「何故だ。昼休みだけではない。
今日の放課後だって、キミは当番を代わってくれ、と言われるぞ。
そうして、時間を浪費させられるんだ」
-
(-_-)「どうせ、ボクの時間なんて、そんな大したものじゃないですから」
ヒッキーは表情一つ変えずに、集団から外れる。
最後の言葉を聞き、クーがどのような顔をしていたのかは確認していない。
どんな感情を向けられていたにせよ、
彼自身が変わろうと積極的に思えないのだから、仕方のないことなのだ。
起伏のない日常を変えようとしないのは昔からだ。
幼いときから、ヒッキーはそれを諦めていた。
いや、そもそも、考えつきもしなかった。
退屈ではあるが、大きな不満もない。
空気がそこにあるのと同じように、
ヒッキーにとっての日常は変わらない。
(-_-)「どうぞ」
从 ゚∀从「おー。おっつかれさーん」
(*゚ー゚)「うんうん。今日はちゃんとお使いできたね!」
(゚、゚トソン「私のあったかいお茶も完璧です」
購買で買った物と、帰りの途中で購入したお茶を渡す。
彼女らは各々、自分が注文したものに手を伸ばしていく。
その様子を最後まで見ることもなく、ヒッキーは自分の席へと戻っていった。
-
(゚、゚トソン「ヒッキー君」
(-_-)「はい?」
(゚、゚トソン「実は私、今週、掃除当番なんです」
(-_-)「……そう、ですね」
(゚、゚トソン「だから、代わって欲しいんです」
放課後になって、クーの言っていた通りのことがおきた。
とはいっても、これも異常事態ではない。
不良三人組の掃除班はバラバラなので、
月に三週は、誰かしらが当番にあたっている。
ちなみに、ヒッキーは彼女達の誰とも被っていない。
(-_-)「……いい、ですよ」
頷くと、トソンは満足した様子でその場を去っていく。
心なしか視線を感じたヒッキーが振り返ってみると、
そこには、ほら見ろ、とでも言いたげなクーの顔。
(;-_-)「……」
弁解すべきか否か。
そもそも、話しかけるほど親しいわけでもない。
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結局、ヒッキーは放課後の掃除をこなしていく。
月に一週の掃除当番だが、彼にとっては毎日のことだ。
ζ(゚ー゚*ζ「ヒッキー君はさ」
(-_-)「え?」
本来ならば、トソンと同じ班であるデレが話しかけてきた。
今、この教室には彼女とヒッキーしかいない。
他の面々は各々、廊下だとか特別教室だとかを掃除しに行っている。
ζ(゚ー゚*ζ「やさしーと思うけど、それでいいの?」
(;-_-)「えっと……?」
今日は少しだけ、いつもと違う。
ヒッキーはそんな風に感じた。
もっとも、その「違う」は、目立った起伏にも、異常にもならぬささいなもの。
わずかな戸惑いが生まれるだけだ。
ζ(゚ー゚*ζ「だって、もう秋だよ! 秋!
文化祭も終わってさー」
ヒッキー達は現在、高校三年生だ。
大学受験に勤しむ者と、指定校推薦などを決めた者。
あるいは、就職という道を目指している者もいる。
ちなみに、ヒッキーは大学への進学を考え、
日々、勉強をしている組だ。
-
ζ(゚ー゚*ζ「高校生活、あと少しなんだよ?
こんな風に過ごしてて、いいのかなーって」
こんな風、というのは、不良三人組に使われる日々、ということだろう。
思い返してみれば、文化祭も当日はともかくとして、
準備期間は散々パシらされたような気がする。
最後は大成功で、クラスメイト達は高校最後の思い出だ、と騒いでいた。
ヒッキーもそれなりには楽しくあったし、満足いく結果だったので、
特に不満らしい不満はない。
(-_-)「別に……。
彼女達がいなくても、あまり、変わりなんじゃないかと、思ってます」
ζ(゚ー゚*ζ「えー。でもでも、自分の時間が減ってるって、
悲しくない? 寂しくない?」
そう言うと、デレは自分がしたいことを次々にあげていく。
その顔はとても幸せそうだった。
ζ(´ー`*ζ「ファッション誌見て、ドラマ見て、お菓子作って、お裁縫なんかもしちゃってー」
(-_-)「デレさんは、したいことがたくさんあるんですね」
ζ(゚ー゚*ζ「あるよ!!」
-
デレは両手を上に上げ、そのまま大きな丸を作るようにして腕を下ろしていく。
ζ(゚ー゚*ζ「こーんな、たくさん!」
(-_-)「いいなぁ」
ζ(゚ー゚*ζ「え?」
(-_-)「ボク、そんなにしたいこと、ないんです」
ζ(゚д゚*ζ「えー。何かないのー?」
(-_-)「……思いつきません」
ζ(゚д゚*ζ「もったいなーい」
不満げな顔をしてみせ、デレは細い己の指を顎に当てる。
瞳はきょろきょろと左右に動き、何かを考えているようだった。
ζ(゚ー゚*ζ「でも、男の人って、何するんだろ。
ファッション誌とか読むかな? ネイルとかはしないよね。
お料理……? うーん。本を読む、とか?」
(-_-)「本は読むけど、やりたいこと、って感じじゃないです」
-
ζ(゚ー゚*ζ「うーんっとねぇ」
(;-_-)「それより、そろそろ終わらせないと。
他の場所掃除しに行った人たちが戻ってきちゃいますよ」
ζ(゚д゚*ζ「それもそうだね!」
ヒッキーの言葉に、デレは箒を動かす手を早める。
その間にヒッキーはちりとりを用意した。
(-_-)「ボクは今の生活に不満はありませんよ」
ζ(゚、゚*ζ「そうなの?」
(-_-)「はい」
ζ(゚ー゚*ζ「でもさ!」
ちりとりにゴミを入れ終える。
床に膝をついていたヒッキーが上を見ると、
デレの満面の笑みがあった。
ζ(^ワ^*ζ「青春! ってやつを体験すれば、変わるよ!」
-
掃除も終え、ヒッキーは家路につく。
デレは友人と一緒にクレープを食べに行くらしい。
(-_-)「……変わる、か」
変えよう、と強く願ったことはない。
だが、退屈だ、と感じたことはある。
クーの言うように抵抗すればいいのか。
デレの言うように青春を体験すればいいのか。
あるいは、その二つというのは、どこかで繋がっているのか。
ぼんやりとそんなことを考える。
家への道は慣れたもので、その気になれば寝ながらでも帰れる気がする。
考えごとをするには丁度いい。
(-_-)「……ん?」
ふと、足を止める。
(-_-)「……林、か」
ヒッキーの目の前には、そこそこの広さがある雑木林が見える。
見慣れた風景だが、その中がどうなっているのかはわからない。
-
フェンスで区切られてるわけでもないその場所は、
公共の土地なのか私有地なのか曖昧だ。
私有地だとして、土地の持ち主はこの場所に関心を払っていないのだろう。
(-_-)「そういえば、聞いたことあるかも」
あまりにも自分と関係のないことだったので忘れていたが、
ここは浮浪者や不良なんかのたまり場になっている、と聞いた気がする。
幼い子供が入りこんではいけないと、大人達から散々注意を聞かされていた。
(-_-)「確かにここなら丁度いいだろうなぁ」
奥へ入ってしまえば、外側の人間に見つからない。
詳しいことはわからないが、春には山菜だって生えていそうだ。
(-_-)「……」
湧き上がってくるのは好奇心ではない。
渇望する心でもない。
それは声だった。
クーの、デレの、変わることを押す声だった。
彼女らの声は、ヒッキーの背中を押す。
行ってみろ、と。
-
足を進める。
一歩、二歩。
木の葉が砕ける音が聞こえる。
(-_-)「すごいな……」
手入れのされていない雑木林だが、
やはり何人か出入りしている人間がいるのか、
道のようなものができていた。
他よりも歩きやすいそこを通るが、
それでも虫やら枝やらが邪魔をする。
途中、唯一の道もどきさえも途切れてしまった。
おそらく、そこから様々な縄張りがあるのだろう。
察することはできるが、知ることはできない。
ヒッキーはわずかに躊躇したが、脳の奥で反響するように響く二人の声に押されるまま、
適当な方角を選択し、歩いていく。
数分程度歩いたところで、少しばかり開けたところに出た。
開けた空間は、人が居座るのに適した場所といえたが、
テントがあるわけでも、ゴミが散乱しているわけでもなく、
この場が浮浪者や不良の拠点とされている様子は見受けられない。
一見すると、今までと大きくは変わらない風景にも見える。
木があり、木の葉が落ち、苔がある。
だが、ヒッキーはその中で一つ、違う色を見つけた。
-
(-_-)「……ポスト?」
疑問符を浮かべ、その物体へと近づく。
それは、彼が口に出したように、ポストだった。
(-_-)「何だってこんなところに」
そっと触れてみる。
木製の、家のような形をしたポストだ。
本来ならば苗字が書かれていたのだろう場所は、
すでに擦り切れて文字が読めなくなっている。
ボロボロではあるが、気丈に立つ姿はどこか心打たれる。
こんな、誰もこない場所で、このポストは人と、思いを託した紙を待っている。
(-_-)「まだ使える……」
触れても砕けることはなく、
受け入れ口も、取り出し口もしっかりしていた。
見栄えは悪いが、しっかりと現役だ。
しばらくポストを観察し、ヒッキーは空を見上げる。
木々に阻まれ、空の様子は見えない。
しかし、辺りはもうずいぶんと暗くなっていた。
帰り道のことを考えれば、早々に退散する必要がある時間だ。
-
ヒッキーは後ろ髪引かれることもなく、その場を去って行った。
雑木林に入ったことも、そこで見つけたものも、
いつも、という言葉から外れた行動だった。
だが、それは非日常というには小さすぎる出来事。
何も変わらない日常に、ほんのわずか、違うことがあった。
それだけのこと。
(-_-)「ただいまー」
J( 'ー`)し「おかえり」
(-_-)「今日の晩御飯、何?」
J( 'ー`)し「今日は肉じゃがよ」
(-_-)「はーい」
新たな発見は、ただそれだけで、
彼の心に強い影響を及ぼさない。
ただ、それでも、ヒッキーの平凡に、
一石を投じたことだけは、間違いなかった。
-
食事を終え、風呂に入り、宿題を済ませる。
そうして、ようやくヒッキーは唯一の趣味に入る。
(-_-)「あ、このフォントいいなぁ」
パソコンの画面の向こう側には、様々な文字が並んでいる。
可愛らしいものから、お堅いものまで様々だ。
字が好きな彼は、こうしてインターネット上に溢れているフォントをあさるのが好きだった。
書道家の字も好きではあるのだが、
あれは芸術品であって、ヒッキーに芸術の良し悪しを判別する眼力はない。
それよりも、どこかの誰かが作った文字を見ているほうが好きだった。
装飾にこった文字も悪くないし、子供が書いたのをそのまま形にしたような文字も良い。
時折、文豪や芸能人、コンテストに出された子供の作文、といった画像も探すこともあった。
(-_-)「これを作った人は真面目なんだろうなぁ」
文字を眺めることが幸せだった。
倒錯した性癖ではないので、文字に性欲を覚えることがないあたり、
ヒッキーが平凡な人間であることを示している。
彼にとって、この文字を眺める、という行為は、
読書やテレビゲームとなんら変わらないものなのだ。
-
明るい部屋の中、カチリ、カチリとマウスの音が響く。
そのたび、画面を彩る文字は姿を変え、時折、ヒッキーはフォントをダウンロードしていた。
(-_-)「どんな言葉が合うかな……」
文字を見るのが好きな彼は、その文字に似合う言葉を探すことも好きだった。
漫画の台詞や偉人の名言、インターネットでのやりとり。
そんなものを探しては、気に入りのフォントでソレを書いて保存する。
ある意味では芸術作品を作っているのかもしれないが、
構図の一つも練られておらず、かろうじて色にだけはこだわりのようなものが見え隠れするソレは、
到底、芸術作品に見えやしない。
カチリ、カチ。
不意に、ヒッキーの指が止まる。
(-_-)「手紙……」
サンプルフォントを掲載しているページに、
『友人とのお手紙にもどうぞ!』という文字列を発見する。
思い出したのは、家路につく途中、入り込んだ雑木林で見つけたポストだ。
本来ならば、手紙を受け取るはずの物体。
(-_-)「手紙、か……」
もう一度、小さく呟く。
-
ゆっくりとヒッキーと手がマウスから離れ、
机の引き出しをそっと開く。
整理整頓されている机の中には、文具が一通りセットされていた。
その中に、一際目立つ存在がある。
真っ白で、それなりの大きさの紙が十数枚。
それと、封筒がいくつか。
引き出しから取り出され、パソコンの横に置かれたそれは、
何の変哲もない、罫線だけが引かれたレターセットだった。
(-_-)「書いて、みようかな」
ヒッキーの手が、マウスではなくボールペンを握る。
高揚感か、緊張か、その手はわずかに震えていた。
真っ白な紙に最初の一滴を垂らすのは、
いつだって躊躇われるものだ。
手紙を書く、という、ある種、己の心を染み込ませるような行為であるならば尚更に。
-
昔、授業で手紙を書くことがあった。
そのときに買ったレターセット。
文具屋には、他にもたくさんの種類があった。
女の子が好みそうなキャラクターもの、
ワンポイントが上品なもの、
洋風に洒落をきかせられたもの。
その中で、ヒッキーはこのレターセットを選んだ。
理由など覚えていない。
値段か、見た目か。
自分に似合いだとでも思ったか。
もはや記憶にない程、そっけなく買ったものが、
今、このときになって、己の心を揺らすとは思ってもみなかった。
(;-_-)「さ、最初、なんて書けばいいんだろう」
ペンが便箋の上空をふらふらと行き来する。
最初の一文字を書こうとしては浮かび、
また下がっては浮かぶ。
その繰り返し。
かしこまって書くべきか、
年相応なテンションで書くべきか。
そんなことにまで悩み始めてしまう。
-
ようやく、白い紙にインクが染み込み始めた頃には、
既にいつもの就寝時間を過ぎていた。
普段ならば、出来上がっているサイクルにあわせて瞼が落ち始めるのだが、
このときばかりは体も日頃のことを忘れ、目の前の紙に集中していた。
(;-_-)「……できた」
一枚に収まった手紙は丁寧に折りたたまれ、
真っ白な封筒に収められた。
メールのアイコンとよく似たそれに宛名はない。
(;-_-)「明日、投函してみようかな」
心臓が高まる。
誰か見つけてくれるだろうか。
どんな人だろうか。
返事はくるだろうか。
何を書いてくれるだろうか。
字はどんな形だろうか。
頭がぐるぐると回る。
ふっと時計を見ると、針は十二時近くをさしていた。
(-_-)「……寝よう」
まだ平常に戻っていない心臓を抱いたまま、
ヒッキーはベッドにもぐりこむ。
-
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
初めまして。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私はこのポストがある林の近所に住んでいます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
性別は男です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こんな所、と言っては、あなたに失礼でしょうか。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
何せ、私は、あなたがどこの誰かも知らないので、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
気に触ったならごめんなさい。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こんな、林の中にあるポストに気づいているあなたは、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
どんな人なのだろう、と思ったのです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私は、偶然この場所を見つけました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたもそうなのでしょうか。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
よければ、返事をください。このポストへ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ私より
-
(-_-)「行ってきます」
J( 'ー`)し「今日は早いのねぇ」
(;-_-)「ほんの十分じゃない」
そんなやりとりからもわかるように、
ヒッキーはいつもよりも少しだけ早く家を出た。
理由は簡単。
昨夜、書いたばかりの手紙を投函するためだ。
ヒッキーは林の前で少しだけ周囲を観察する。
傍に人の姿は見えない。
安堵の息を漏らしつつ、彼は昨日と同じく林へ足を踏み入れる。
鬱蒼とした林の中で、迷うことなく昨日の場所につけるのか、という心配はあった。
道らしい道が消え、記憶を頼りにさまよう。
(-_-)「あった……」
心配は杞憂だったようで、ヒッキーはあっさりとポストを発見することができた。
開けた空間に古びたポスト。
葉を踏む音を聞きながら、鞄に手を伸ばす。
取り出したのは真っ白な封筒。
-
ストン、と軽い音をたて、ポストの中に封筒が落ちる。
風で飛ばされることも、鳥に持ち去られることもなく、
誰かが目にし、手に取るまでこの手紙はここに残るのだ。
(*-_-)「……」
わずかな期待。
大きな楽しみ。
ヒッキーはわずかに頬を緩めると、
早足にその場を去って行く。
学校の帰りにでも、見にこよう。
もしかすると、その頃にはもう誰かが持ち去っているかもしれない。
そんな思いが溢れ、顔にまで滲み出る。
ラブレターを出す女子はこんな気持ちなのだろうか。
おそらくは違う。
自問にすぐさま自答する。
恋を綴る手紙は、相手が決まっている。
見知らぬ誰か、という未知はない。
返事のパターンだって多くはない。
了承か、お断りか、無視か。
この三つくらいのもの。
ひっそりと隠れているポストに向けた手紙は、
甘酸っぱい恋とは違う思いで満ち満ちている。
-
今朝の非日常感とはうって変わって、
学校生活はいつもの日常が返ってきていた。
(゚、゚トソン「学校出て、少ししたところにはる自動販売機で、
新発売のジュース買ってきてください
(-_-)「……え、放課後まで、学校に出るのは駄目、ですよ?」
(*゚ー゚)「わかってるわよ!
だーかーら、あんたに頼んでんの!」
川 ゚ -゚)「おい。校則違反は見逃さんぞ」
从 ゚∀从「イインチョーのお出ましだ。
トソン、今日は諦めとけ、諦めとけ」
(゚、゚トソン「……無念」
トソンは恨めしそうな目でクーを睨めつけたが、
それに怯える彼女ではない。
華麗にスルーを決め込み、自分の席へさっさと帰ってしまう。
(-_-)「あの……。
ありがとう、ございます」
川 ゚ -゚)「いや。問題はない」
-
(*゚ー゚)「ねー。今日はカラオケ行こっ!」
从 ゚∀从「あたしの十八番をきけー!」
(゚、゚トソン「しぃはカラオケが好きですねぇ。
たまにはスイパラに行きたいです」
(-_-)「……」
ζ(゚ー゚*ζ「……また、引き受けちゃったの?」
(-_-)「……なんというか。流れで。
もう、了承もなにもありませんでした」
ζ(゚ー゚;ζ「あちゃー」
放課後、ヒッキーは当たり前のように箒を押し付けられた。
今日も頼む、の一言すらない。
三人組の中で、ヒッキーの放課後の予定は常に決定しているらしい。
(-_-)「いいんです。別に、すぐに帰ってもなにも――」
はた、と止まる。。
脳裏を、今朝の光景がよぎった。
ζ(゚ー゚*ζ「どうしたの?」
-
(;-_-)「い、いや、何でも……」
ζ(゚д゚;ζ「やっぱり何か用事あったんじゃないの?」
(;-_-)「いえいえ! 本当に! 本当に、何もないので!
大丈夫です。大丈夫です。掃除しましょう」
慌てるデレをなだめつつ、ヒッキーは箒を動かし始める。
手紙のことが気にはなったが、
そもそも、あの手紙が誰かの手に渡っているかどうかも怪しい。
がっかりするだけかもしれない。
期待に胸を膨らませ、下校するのだけは避けよう。
そんな臆病な気持ちがヒッキーの胸を埋めていく。
ζ(゚ー゚*ζ「本当? 無理しなくていいんだよ?」
(-_-)「大丈夫ですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「そっかー。探さないとねー」
(-_-)「何をですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「青春だよ。青春」
(-_-)「あぁ、昨日の」
-
ヒッキーはほんのりと笑う。
もしかすると、今朝の一通は、青春への一通になったりするのだろうか。
それとも、己に青春など、分不相応だと告げる最終通告になるのか。
ζ(゚ー゚*ζ「そうそう。何か探した?」
(;-_-)「昨日の今日ですし……」
気まぐれに足を踏み入れはしたが、
探したというほどのことはしていない。
加えていうならば、彼の踏み出した一歩というのは、
青春に繋がる可能性がかなり低いものだ。
ζ(゚д゚*ζ「時間は有限! 一分一秒! だよ!」
川 ゚ -゚)「その言葉は素晴らしい。
だが、有限実行が大切だぞ。出麗さん」
ζ(゚ー゚*ζ「クーさん」
川 ゚ -゚)「手、止まってる」
ζ(゚ー゚;ζ「ありゃりゃ」
デレは苦笑いを浮かべ、自身の顎を軽く掻いた。
ごめんね、と一言謝罪を入れると、ヒッキーと同じく箒を動かす。
-
ζ(゚ー゚*ζ「クーさん、帰ったんじゃなかったの?」
川 ゚ -゚)「忘れ物」
ζ(゚д゚;ζ「えっ! クーさんでも忘れ物するの?!」
川 ゚ -゚)「するだろ……」
ζ(゚ー゚*ζ「イメージないから……」
(-_-)「確かに。クーさんに忘れ物のイメージはありませんね」
川 ゚ -゚)「私は完璧超人か何かか?」
ζ(゚ワ゚*ζ「みたいなー」
和気藹々としている女子の横でヒッキーは黙々と掃除を続けた。
お喋りをしながらも、デレはテキパキと箒を動かしている。
ころあいを見て、ヒッキーがちりとり係をやってやれば、
掃除はあっという間に終わりを告げる。
ζ(゚ー゚*ζ「おつかれー」
川 ゚ -゚)「結局、最後までいてしまった……」
(-_-)「忘れ物はありましたか?」
川 ゚ -゚)「あぁ。あったよ」
-
二人と別れ、家路につく。
少しずつ家に近づくにつれ、ヒッキーの胸に期待が押し寄せてきた。
その波は、林の前につくと最高潮に達する。
(-_-)「……」
周囲には誰もいない。
深呼吸を一つ。
足を踏み出す。
木の葉の音。
虫の声。
心臓の音。
ぽつんと立っているポストに変化は見られない。
いや、一日も経っていないのだ。
当然だろう。
(-_-)「……手紙」
そっと中を覗く。
薄暗いが、目をこらせばかろうじて中が見える。
-
ポストの中には、真っ白な封筒が入っていた。
(-_-)「……はは、そんなもん、だよね」
乾いた笑いを漏らす。
これが現実だ。
フィクションでない世界は、上手くできていない。
まして、一人ひとり、全ての人間に優しいわけでもない。
今朝と変わらぬ封筒に、ヒッキー肩を落とした。
期待してはいけない、と自分を戒めていたつもりだったが、
高校生の自制などこの程度のものだ。
(-_-)「うん。そうだよね。
そんな、都合のいいこと、ないよね」
でも、まだ、もう少しだけ、期待していよう。
ヒッキーは口元を歪める。
(-_-)「そうだ。まだ、一日も経ってない。
まだ、まだ結論を出すには早すぎる」
言い聞かせるように、口に出す。
こんなことを卒業までずっと言い続けるのかもしれない。
そんな、嫌な予感を身に覚えながら。
-
結論から言うならば、返事は、きた。
(-_-)「……え?」
ヒッキーは思わず、ポストの中身を二度見した。
意気消沈した次の日、いつも通りの学校生活を終え、
今度は苦笑いをしながら林にやってきた。
この不毛な行動はいつまで続けられるのだろうか。
そんなことを考えていたのだ。
だというのに。
何故か、いや、喜ばしいことに、
ポストの中身は変わっていたのだ。
真っ白な封筒から、
四葉のクローバーのワンポイントがついた封筒に。
(-_-)「……え? え?」
意味もなく周囲を見渡し、もう一度だけ中身を確認する。
投入口から見えるのは、やはり己の物とは違う封筒。
すなわち『お返事』だ。
-
見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はじめまして。私は、このポストのある林から、ちょっ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と遠くに住んでいます。女の子です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ここは、私しか知らないと思っていたので、今日、手
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
紙を見て、びっくりしました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そうですね。私は、ここが気にいっているので、こんな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ところ、とは言わないでほしいです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こうして、あなたの手紙を、受け取れるきっかけにもな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
った場所ですし。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はじめは、私もぐうぜんこの場所を見つけました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
夏のお昼くらいにくると、日ざしが入ってきて、とてもキ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
レイですよ。あなたは知っていましたか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
よかったら、お返事ください。このポストへ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ人より
-
(*-_-)「……素敵な字だ」
返事が現実だと認識したヒッキーは、
すぐさまポストから手紙を取り出し、早足で帰宅した。
その後、常と同じように食事と風呂を済ませ、
ようやく心を落ち着けて封筒を開くことができた。
中に入っていた便箋は封筒と揃いの四葉のワンポイント。
そこに書かれた字は、わずかに丸みを帯びているが、
丸字とまではいかない素朴な可愛らしさがあった。
大きさはほとんど均一で、生真面目な人物を連想させる。
少し字が詰めて書かれているのは、
書いた人が引っ込み思案だからかもしれない。
(-_-)「そうだ。返事を書かないと!」
さっそくヒッキーは机から真っ白な便箋を取り出す。
ペンを持った手がわずかに迷い、
しかし、最初よりもずっと早く、白い紙にインクが滲み始める。
これが、二人の、最初のやりとりだった。
互いに顔も名前も知らぬ相手へ送る手紙は、
たった一通から始まっていく。
繋がっていく。
-
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お返事ありがとうございます。本当に返事がもらえる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
とは思っていなかったので、とても嬉しいです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
やはり、気分を害してしまいましたか。すみません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
他に上手く言葉が見つからず……。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私はこの場所をつい最近知りました。あなたのおかげ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
で夏がとても楽しみになりました。ありがとうございま
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。せっかくですので、私も何か教えることができれば
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と、思ったので、林の近くにある駄菓子屋さんでも。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あの駄菓子屋さんのお婆さんは面白い人で、合言葉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
を言うと、特別なお菓子をくれるんですよ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
合言葉は「美味しいものが欲しいようですよ」です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
是非、一度食べてみてください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ私より
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見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そこまであやまられると困ってしまいます……。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
別に、そこまで怒ったわけじゃないですよ。ただ、あな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たにも、この場所の良さを知ってもらいたかったんで
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。ちなみに、冬はとても寒くなるので、この場所は
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あまりオススメできません。とか言ってみたりします。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だがし屋さんのことは私も知っていますよ! ちょっと
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
離れてますけど、私も地元の子なので。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でも、あなたのおかげで、久々に行ってみようかなー
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と思えました。久々に食べたあのおかしはやっぱりと
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ても美味しかったです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あの合言葉を知っているということは、あなたは意外
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と、私と年が近いのかもしれませんね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ人より
-
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
良ければ、この場所のことをもっと知りたいです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ずっと近くにあったのですが、特になにも思わなかっ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
た場所です。しかし、たった三度のお手紙を見ただけ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でずいぶんと好きになれました。是非、もっと教えて
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ください。私も色々探してみます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
冬は寒いんですね……。木の葉とか集めたら暖かそ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
うなのに残念です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あの合言葉を知っていたとは予想外です。地元の子
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
とはいえ、あれを知っている人は少ないと思いますよ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
年が近いのかもしれませんね。私は学生です、とだけ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でも、私は同級生とは少し浮いている気がするので、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
年が近くても共通の話題がないかもしれません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すみません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ私より
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見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
この場所は春になると花粉がすごいです。花粉症な
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ら注意が必要です。でも、お花はとてもキレイなので
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こっそりお花見するならベストポイントです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私の知らない良いところを見つけてくださいね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
学生、はちょっとズルいと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
この辺りは小学校から高校までそろっているので、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
学生と言っても、かなり幅が広いですよ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でも、顔も名前も知らない私たちですから、年なんて
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たいしたことじゃないですよね。知らなくても問題ない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ですよね。でも、あなたの学生生活にはちょっと興味
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
があります。友だちと昨日見たテレビについて話した
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
りしないんですか? 私の周りの男の子はそうしてま
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。ちなみに、私もテレビとかカラオケとか好きです。
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見知らぬ人より
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見知らぬ人へ
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お花見もできるんですね。そんないい場所を今まで知
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
らなかったのは、ちょっと損した気分です。
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この場所をちょっとウロウロしてみたのですが、中々
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見つかりません。やはり年期が違いますね。頑張りま
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す。
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ちなみに、少し遠いですが大学もいくつかありますよ。
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実家通いを考えるならお勧めです。でも、確かに、年
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齢なんてどうでもいいですね。あなたが既に大学生で
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も、まだ中学生だったとしても、何も変わりません。
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お恥ずかしいのですが、私は友人と呼べる人はいま
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
せん。人が嫌い、というわけではないのですが……。
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テレビは少しだけ見ます。でも本の方が好きです。
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あなたはどんな番組や歌をうたうのですか?
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見知らぬ私より
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見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
まだまだ取りもどせますよ! 私も春を待ち遠しく思っ
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ているので、一緒に春を待ちましょう。
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春がきたら、オススメのおかしを教えてください。私も
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今から探しておきます。春にはポストにおかしの箱を
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入れておきます。一緒にお花見してるみたいでステキ
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じゃないですか?これから一緒に林の中について色
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々知っていきましょう。
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私は広く浅く、という感じです。こんなに色々話せたの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はあなたが始めてです。
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あなたとなら、ぬいぐるみについて話しても楽しそうで
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。あ、これはナイショにしててくださいね。可愛いも
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
のが好きなんです。歌は「あいうぉんちゆー」とかが好
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きです。番組は色々?
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見知らぬ人より
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見知らぬ人へ
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私も、もうすでに春が待ち遠しいです。寒いよりも暖か
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いほうが良いですしね。お菓子の考えは素晴らしいで
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すね。私もさっそく探してみます。大福のようなものと
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みたらし団子のようなものなら、どちらが好きですか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はい。せっかく、あなたと知り合えた場所なので、もっ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と色々知っていきたいです。
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交友関係が広いのは良いことだと思います。私も、こ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れだけ色々書けるのはあなただからだと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
可愛いものが好き、というのは、秘密にしないといけな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いことなんですか? 女の子らしくて良いと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
どんなキャラが好きか、また教えてくださいね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
タイトルだけ知っている曲です。今度、CDを借りてみ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ます。
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見知らぬ私より
-
二人は毎日のように手紙を送りあった。
ヒッキーは学校へ行く前に手紙を投函し、
次の日の放課後に手紙を受け取りに行く。
おそらく「見知らぬ人」も似たようなことをしているのだろう。
そのためか、二人は互いの筆跡と、
紙に書かれた情報以外のことを何一つとして知ることはなかった。
(-_-)「どんな子なんだろう」
少し前までは無愛想だった机の中身も
今では可愛らしい彩りを見せるようになった。
「見知らぬ人」から送られてくる手紙は
柄こそあれこれと変わるものの、いつもワンポイントがついている便箋と封筒だった。
(*-_-)「きっと、小さくて、大人しい、可愛らしい子なんだろうな」
ヒッキーの指が便箋に書かれた文字をなぞる。
勝手な想像ばかりが膨らんでいく。
だが、本当は何でもよかった。
字に似合わぬ美麗な子であったとしても、
便箋のような淡い可愛らしさを持った子でなくとも、
「見知らぬ人」であればそれで良かった。
-
ζ(゚ー゚*ζ「ヒッキー君さぁ」
学校の休み時間、先日の席替えで隣の席になったデレが話しかけてくる。
机に肘を置き、頬に手を当てている様子は
可愛らしさの中にわずかな色気が滲み出ている。
ζ(^ー^*ζ「青春、してる?」
(-_-)「え?」
彼女の言葉は疑問系を成してはいたが、
声には確信が宿っていた。
ζ(゚ー゚*ζ「最近、ちょっと変わってきてるもん。
見てたらわかるよ」
(-_-)「そう、かな?」
ζ(゚ー゚*ζ「そうだよ!
だって、雰囲気が柔らかくなったもん」
第三者から見て、変わったといわれるのならば、
その原因は明白だ。
(-_-)「……うん。
青春、してるかも、しれないです」
-
配達員の手を介さない文通も、
すでに両の手にある指だけでは足りぬほどの回数に及ぶ。
便箋一枚に収まる短い言葉のやりとり。
だが、それは確かにヒッキーの生活を変えつつあった。
「見知らぬ人」が好きだという番組を見るようになった。
そうすれば、その感想を手紙に綴ることができるから。
たとえ、好印象でなかったとしても、そのことを書くことができたし、
相手もそのことで腹を立てるような人物ではなかった。
「見知らぬ人」に何かを教えたい、と思うようになった。
そのためには、様々なことを知らなければならない。
通学途中や帰宅途中、果ては休日にまで、
ヒッキーは周囲のことをよく見て回るようになった。
そのおかげで、ヒッキーはクラスの男子ともずいぶん話が合うようになった。
やれあそこの食堂は量が多くて安いだとか、
あの映画館のポップコーンは糞不味いだとかいう世間話も
今までならば聞くに徹するか、そもそも話の輪に入ろうとさえしなかっただろう。
ζ(^ー^*ζ「うんうん。良いことだよ。
青春は短いんだから!
恋せよ乙女! 駆けよ少年!」
(-_-)「今なら、デレさんが勿体無い、って言ったのが
わかるような気がします」
-
日々の生活が楽しい。
ヒッキーは明確にそう思えるようになった。
あまりにも大きな変化があったわけではないが、
それでも、ヒッキーという小さな個人を変えるには
十分すぎるほどの出来事だ。
平凡なだけだった人生が、
起伏のない人生が、
流されるだけの人生が、
色を変え、動きを変えた。
将来、大人になって、酒を飲みながら話せるようなことなんて
これから先にも起こりはしないと思っていたが、
今ならば話せることがある。
「見知らぬ人」と紙と字で言葉を交し合った。
恋かもしれないし、寄り添うだけの暖かさかもしれない。
相手の顔も名前も、何も知らないけれど、
それでも生まれたものがあったと言える。
いつかの時、この思い出は、青春は、
何よりも輝かしい宝となるのだろう。
今は幸福な感情だけを宿すこのやり取りが、
最後には悲劇に変わってしまうとしても、
それでもやはり、大切で輝かしい時間であったと言えるはずだ。
-
(-_-)「なんだか、毎日が楽しいです。
これを知らないのは、勿体無い、ですよね」
ζ(゚ー゚*ζ「うん! うんうん!
そうだよー! やっとわかってくれたんだね!」
デレは何度も首を縦に振る。
彼女の顔は、毎日が楽しい、と語ったヒッキーよりも数倍嬉しそうだ。
ζ(゚ー゚*ζ「で? で?
ヒッキー君どんな青春してるの?」
(-_-)「え、そ、それは……」
身を乗り出し、目を輝かせているデレに、
ヒッキーはやや身を引く。
女の子は恋の話が大好きだ。
きっと、デレもそれを期待しているのだろう。
そうでなくとも、あの無口無趣味無抵抗のヒッキーの日常が変化するような青春だ。
興味がわかないはずがない。
頭ではわかっているが、ヒッキーは口ごもる。
デレは良い女の子だ。
彼女が陰口を叩く姿など見たことがないし、
誰にでも平等に優しい。
-
おそらく、ヒッキーの趣味を知ってもひかないだろうし、
「見知らぬ人」とのやり取りを言いふらすようなこともしないだろう。
むしろ、ロマンチックだと微笑むかもしれない。
しかし、それはあくまでもヒッキーの想像であって現実ではない。
言いふらされ、自分が嗤われるだけならばいい。
だが、回りまわって「見知らぬ人」にこのことが届くのは阻止したい。
何せ、ヒッキーは変わったとはいっても、
まだまだ平凡すぎる少年に変わりなく、
お世辞にも心惹かれるような人間ではない。
顔を合わせたこともない「見知らぬ人」に幻滅されるのはごめんだ。
何より、秘密、というのは甘美なものだ。
甘く、切なく、深い。
誰かに漏らせばその味わいはすぐさま褪せてしまうことだろう。
(-_-)「……ナイショ」
ζ(^ワ^*ζ「ケチー」
迷った末の言葉をデレは笑う。
快活な笑みは、ヒッキーのことを責めなかった。
-
ζ(゚ー゚*ζ「いいね。いいね。
誰にも内緒の青春。
すっごくロマンチックだし、青春の香りがするよ!」
指を組んだ手を口元にあて、目を細めて笑う。
かすかに頬を染めているのは、ヒッキーの持つ秘密に
憧れと夢を持って胸を高鳴らせているからだろう。
もはや何でも良いのか、と脳の片隅で考えたヒッキーだが、
言葉を強制せず、不満を見せず、他者を包めるところが
デレの良いところだとわずかに苦笑した。
(゚、゚トソン「デレちゃん」
唐突に、声が割り込んでくる。
ζ(゚ー゚*ζ「トソンちゃん?」
(゚、゚トソン「あなた、どうしてその人とそんなに楽しそうなんですか?」
ζ(゚ー゚*ζ「え?」
藪から棒な言葉にデレは首を傾げる。
(゚、゚トソン「そんな冴えないし、つまらない男と話していると、
あなたの価値まで下がってしまいますよ」
-
あからさまに敵意を含んだ声に、
デレだけではなくヒッキーまでもが困惑する。
確かに、今までだって、トソンと良好な関係を築いていたとは言い難いが、
それでも、これはイジメか否か、
と考える程度には生ぬるい関係であったと思っていた。
(*゚ー゚)「そーよ。
第一、ヒッキーもちょっと生意気よね。
デレちゃんに話しかけてもらうなんてさー」
(-_-)「どうしろって言うのさ……」
話しかけてきたのはデレの方だ。
まさか無視するわけにもいくまい。
(゚、゚トソン「そこは空気を読んで、
「ボクみたいなゴミ虫と話すと、デレさんの評価を下げてしまいますので、
どうぞお声をおかけにならないでください」
とでも言っておきましょう」
ζ(゚ー゚;ζ「ちょっと! 何で、そんなこと言うの?!」
トソンの言葉に、デレは勢いよく椅子から立ち上がる。
主を失った椅子が力なく床に倒れ、クラスメイトの注目が集まるが、
彼女達は気にも留めない。
-
(*゚ー゚)「言ったでしょ、生意気だって。
ヒッキーの癖に、最近はなんだか楽しそうでムカつく」
しぃの可愛らしい顔が歪む。
嘲笑うような笑みは、クラスに冷え冷えとした空気をもたらした。
(-_-)「……な、んで」
声が震えた。
胸が痛い。
今まではイジメじみた行為も、言葉も、
ヒッキーの胸を抉ることはなかった。
だというのに、今、しぃの口から吐き出された言葉は、
間違いなくヒッキーの一部を抉り取ってしまった。
(|i-_-)「なんで、そんなこと……」
楽しく生きることの何が悪いというのだ。
迷惑をかけているわけでもなし。
デレも喜んでくれていて、そのことを、ヒッキーも嬉しく思っていたのに。
「見知らぬ人」のおかげで色鮮やかに見えはじめていた景色が急速にくすんでいく。
しぃとトソンの声が遠くになり、
心臓の音がやけに近くなる。
-
从 ゚∀从「なーんかイイコトでもあったのか?」
ヒッキーの肩に誰かの手が置かれる。
意外と細い指をしていたその手をたどれば、
そこにはハインがいた。
彼女は口角を上げ、実に楽しそうな表情を浮かべている。
だが、それはデレのような純粋なものではない。
薄暗い、どろりとした笑みだ。
(-_-)「キミ達には関係ないだろ」
クラス中がことの成り行きを見守っている。
ヒッキーが変わったのは誰の目にも明らかで、
そのことが不良三人組の癇に障ったのだろうということもわかる。
だが、放たれる言葉は流石に咎めるべきもので、
しかしながら、割って入るには勇気がいる。
その結果が見守る、という行為だった。
(゚、゚トソン「そういうところが、生意気なんですよ」
トソンの目が暗く光る。
かと思ったとき、既に彼女の片足はわずかに床から離れていた。
-
誰かが口を開くよりも先に、
トソンの足はヒッキーのわき腹を的確に蹴り抜いた。
無防備なところにやってきた衝撃に、
ヒッキーは椅子ごと床に転がりこむ。
(;-_-)「うぐっ……」
相手が女子とはいえ、蹴りの威力は強い。
何の心構えもないとなれば余計に。
(;^ω^)「ちょっ……!
流石にやりすぎだお!」
(;・∀・)「落ち着けって!」
慌てて男子が何人かヒッキーに駆け寄る。
女子はトソンの行動に怯え、教室の隅に固まっていた。
(;'A`)「大丈夫か?」
(;-_-)「う、うん……」
ドクオに支えられ、上半身を起こす。
ゆっくりと顔を上げて見れば、そこには両足を床につけたトソンがいた。
-
(゚、゚トソン「うざいんですよ。
今までみたいに、ロボットのようにいればよかったものを」
トソンの目はひたすらに冷たい。
見下ろされる視線を感じながら、ヒッキーは唇を噛む。
確かに、今までの自分はロボットのようだったことだろう。
命令をこなすだけの存在。生きている意味も見出せない。
そんな人間だった。
ロボットが人になった。
それが気に喰わない。
腹立たしい。
不相応だ。
トソンはそう言っている。
言い返すべきなのだろうけれど、
いったい、何を言えばいいのだろうか。
これまでの自分がロボットのようだった、ということは否定できない。
ようやく人になれたことを主張すれば、
暴力も視線も、ますます強くなることだろう。
何も言えない。できない。
胸が痛い。
-
ヒッキーの脳は、目の前で起きている多くの出来事に考えをめぐらせるが、
上手く火が通らないようでどうにも煮え切らない。
そうこうしていると、固まっていた女子生徒の中から一人が出てきた。
艶やかな黒髪を靡かせて、こちらに歩いてくるのは、
どう見てもクラス委員長のクー、その人だった。
川 ゚ -゚)「都村さん。暴力はいけない。
言葉の暴力も、だ。
篭森が何をしたというんだ」
凜と立つ姿は勇ましい。
強い暴力を目の当たりにしてなお、彼女は臆さない。
(゚、゚トソン「変わったじゃないですか。
とーっても、人間らしく」
川 ゚ -゚)「それの何がいけない。
人間は成長する生き物だ」
(*゚ー゚)「だからさぁ、なーんで、ヒッキーを人間扱いしてあげなきゃいけないわけ?」
ζ(゚ー゚;ζ「ヒッキー君は人間だよ!」
从 ゚∀从「あー、もう。お前は黙ってろって」
-
川 ゚ -゚)「やりすぎだし、言いすぎだ。
見過ごすわけにはいかない」
(゚、゚トソン「面倒な人ですね。あなたも」
女同士の睨みあいは続き、
既にヒッキーのことなど誰も気にしていない。
(´<_`;)「女怖すぎ」
('A`)「やっぱ三次ってクソだわ」
男達もヒッキーを連れて引き下がっている。
傷の具合を聞かれたが、特に問題はない、と答えた。
痛みはするが出血はないし、頭も打っていない。
保健室に行くほどのことでもないだろう。
(*゚ー゚)「つーかさ、何であいつのこと、そんなに庇うわけ?」
川 ゚ -゚)「クラスメイトだからな。
何より、あんな一方的な攻撃を見逃せるはずもない」
ζ(゚ぺ*ζ「そうだよ! クラスメイトなんだから、
喧嘩を止めたり、お喋りしたりするのは当然だよ!」
-
女子四人の言い争いを聞きながら、
ヒッキーは自分が周囲に恵まれていることを実感していた。
世の中の酷いイジメとは、周囲が動けばどうにかなっていたことも多い。
誰かが止めれば、誰かが庇えば、死という選択肢は自ずと遠ざかる。
恵まれた環境に感謝すると同時に、
傍らから聞こえてくるかすかな声に背筋を寒くした。
ミセ*゚-゚)リ「デレちゃん達すごいねー」
从'-'从「でも、ちょっと引くかも……」
ミセ*゚-゚)リ「ね、私達もイジメられたら怖いし」
从'-'从「関わらないほうがいいかもね」
彼女達はデレやクーを直接的に攻撃しているわけではない。
ただただ、自分を守りたい、という一心だ。
(;-_-)「……」
自己防衛のために動く彼女達を責める資格をヒッキーは持たない。
目の前で繰り広げられる冷たい戦いと、
それが生み出す不和を見つつ、その渦中にいることしかできないのだ。
-
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
この場所の良さをまた見つけました。正確には、もう
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
少し林の奥なんですけど。ここを抜けて真っ直ぐ行く
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と、小さな池があるんです。手入れされていないよう
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でしたが、良い感じの場所でした。寒いのにカモもい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ましたし。春になれば小鳥なんかも水を飲んだり、浴
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
びたりしにくるかもしれません。これも憩いの一つです
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ね。あなたがまだ知らないといいんですけど。
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教えてくれた番組も見ました。文豪・詩人の手紙特集
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
なんてあったんですね。普段、番組表を見ないので
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
教えてもらえていなかったら気づけなかったと思いま
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。なんだか、色々重ねて見てしまいました。
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あと、やっぱりメールよりも手紙の方が好きだな、と
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
思えました。あなたとの手紙が何よりも楽しいです。
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見知らぬ私より
-
(-_-)「……」
ヒッキーは静かにペンを置く。
学校であったことを書こうと思ったのだが、
どうしても勇気が出ない。
イジメられているなど、
自分のせいでクラスに不和がおきそうなど、
幻滅されてしまってもしかたがない。
(-_-)「言えないよ。
書けないよ……」
青春の根幹を成している相手だ。
格好をつけたいと思って何が悪い。
第一、相手には何の関係もないことだ。
余計なことを書いて「見知らぬ人」を困らせたくない。
この手紙まで失ってしまえば、現状から立ち直れなくなりそうだった。
実は、学校でいじめられているんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私のせいで、クラスの雰囲気が悪くなってしまって
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
真新しい便箋にそれだけ書いて、
くしゃくしゃに丸めて放り投げてしまった。
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見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
池のことは知りませんでした。私はこのポストの場所
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
よりも奥に行ったことがないので……。あまりウロウ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ロすると、危ない人に会ってしまうかもしれませんし。
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でも、教えてくださってありがとうございます。あなた
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
が紹介してくれるということは、奥も安全ということです
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ね。私も少し探検してみたいと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
昔の人の手紙は情熱的だったり、難しい言い方だった
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
りですけど、楽しく見ることができました。きっと、私も
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
この手紙のことを思い出しながら見てたからだと思い
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ます。そうでないと、きっと、あそこまで感動したり、ド
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
キドキできなかったと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お手紙をくれて本当にありがとうございます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ人より
-
封筒を開けると、ふわり、と良い香りがした。
シャンプーの匂いだ、とヒッキーは直感する。
(*-_-)「お風呂上りに書いたのかな」
今日の便箋に描かれているワンポイントは淡い色をした桜の花だ。
柔らかな香りの詳細はわからないが、
ヒッキーの中ではさくらの香り、ということになった。
(-_-)「……ん?」
さっそく返事を書こう、そう思った矢先、
便箋を持っていた指に違和感を覚える。
指を動かす。
かさり、と音がたち、ヒッキーが見ていた便箋の裏にもう一枚。
同じワンポイントを添えた便箋が現れる。
(-_-)「二枚目?」
今まではいつも一枚だけだった。
普段とは違う二枚目に首を傾げる。
嫌なわけではない。
ヒッキーもいつかは二枚目を書こうと思っていた。
だが、一枚目にはいつもどおりの「見知らぬ人より」の言葉があった。
ならば、二枚目は誤って同封してしまったとでもいうのか。
とにもかくにも、ヒッキーは二枚目に目を通すことにした。
-
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こんなことを書くのは、迷わくかもしれません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でも、あなたにしか言えなくて。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私、もう、どうしたらいいのかわからなくて。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
一人になりたくない。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ひとりぼっちはいやだよ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
便箋が床に落ちる。
ひらり、ひらり、と落ちた二枚目の便箋には、
泣いた跡なのか、風呂上りの髪についていた水滴なのか、
湿ったあとが残っていた。
(;-_-)「……どうしたんだろう」
疑問はつきない。
だが、一つだけ確かなことがある。
(-_-)「「見知らぬ人」はボクを頼ってくれたんだ。
ボクに、弱い部分を見せてくれたんだ」
ならば、その期待に応えたい。
手紙だけが接点の自分達ではあるが、
できることがあるのならば、精一杯力を貸してやりたい。
ヒッキーは落ちた便箋を拾い、
自分がいつも使っている真っ白な便箋を取り出した。
(-_-)「まずは返事を書かないと」
どれだけ急いたとしても、手紙を入れるのは明日の朝で、
「見知らぬ人」がヒッキーからの手紙を見るのは夜になる。
わかってはいるのだが、どうしても気持ちが落ち着かない。
いつもより乱雑な字で、ヒッキーは手紙を書き綴った。
-
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
二枚目の手紙、読みました。でも、不用意に林の奥
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
へ行くのはお勧めしません。私は男ですので、最悪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
の事態にもそれなりに対処できるつもりですが、あな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たは女性なので。探索するなら、誰か、異性の友人
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もしくは恋人と一緒に行ってください。私もあなたと手
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
紙のやりとりができて、本当に嬉しいです。つまらない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
自分を変えることができました。もっと色々なことを話
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
してみたいです。パソコンに入っている曲もずいぶん
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と増えました。今度、数えてみます。全部、あなたに教
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
えてもらった曲だと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ああ、そうじゃなくて、ですね。二枚目の手紙、読みま
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
した。何があったのかはわかりませんが、私にできる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ことがあれば教えてください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
きっと力になります。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
あと、あなたが教えてくれたので、私も一つ、伝えな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ければならないことがあります。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実は、私も弱い人間です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
学校でイジメにあっています。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたの身に降りかかった体験に比べれば、大した
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ことのないことかもしれませんが、それでも伝えてお
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
きたかった。そうでなければ、不公平だと思いました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こんな私ですが、あなたの味方です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
できることがあれば、何でもしますし、話も聞きます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だから、一人にならないでください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私がいます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ私より
-
見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
わかりました。一人では行きません。私もちょっと怖
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いな、と思っていたので。友達と行きますね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
……と、言いたいんですけど、それが、ちょっと、むり
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
かもしれないんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お手紙、ありがとうございます。二枚目も、見てくれた
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
んですね。本当は、あんなの送らないほうがイイんじゃ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ないかって思ったんです。でも、抱えきれなくて、あな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たなら、受け止めてくれるような気がして。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
本当にありがとうございます。とても嬉しかったです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こんな言葉じゃたりないくらい、とても、とても嬉しかっ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
居場所がなくなっても、私は一人じゃないんだ、って
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
思えました。この手紙があれば、私はいつだって、一
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
人じゃないんですね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
男の人がどんな風に友達といるのか、私は知りませ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ん。でも、女の子は、友達と合わせるのがとても大切
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
なんです。少なくとも、私の周りでは皆そうです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私は、合わせられなくなりそうなんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そのせいで、一人になってしまうかもしれない。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
それが、とても怖いんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でも、絶対、このままじゃダメだと思ってます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私が止めないと、ダメなんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今、私のクラスでは、一人、イジメられている人がい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ます。でも、やりすぎだと思うんです。だから、止めな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いと。でも、そのせいでひとりぼっちになるのは怖い
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
んです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ人より
-
おうふ、ドキドキしてきた……Wktk…
-
(;-_-)「これは……」
ヒッキーは唾を飲み込む。
書かれている出来事には親近感がある。
つい最近、否、今日も学校で味わってきた感覚。
(;-_-)「先に伝えていて、正解だったかな」
自分もイジメられている側の人間だ、など、
この手紙を読んだ後では書けるはずがない。
しかし、「見知らぬ人」の悩みを解消するには、
イジメられている側の人間である、という事実は非常に役立つ。
(-_-)「嬉しくはないけど、役にたつなら、
まあ、イジメられてるかいもある、かな?」
わき腹を蹴られてから、事態は沈黙している。
暴力はあれ以来受けていないが、その他は今までよりも多少過激だ。
パシられるときも、代金は大抵半分程度しか支払われなくなったし、
掃除の他にも、細々とした雑用を押し付けられるようになった。
クラスの女子達はその様子を見て、明らかにヒッキーを避けている。
かろうじて、デレやクーは今まで通りだが、
その代償は彼女達に重くのしかかっていることだろう。
-
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私は、そのイジメられている子のことを知りません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だから、どうしても、あなたのことだけを考えてしまいま
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。だから、私はあなたが孤立する必要はないんじゃ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ないかと思います。あなたの通っている学校がどこな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
のかは知りませんが、大抵の学校はもうすぐで学年
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
が上がるなり、就職や進学でクラスが変わります。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そうすれば、イジメからも解放されるはずです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私なら、あなたのような優しい人に、辛い目にあって欲
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
しくありません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私もイジメられているわけなのですが、幸いにも庇って
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
くれる人がいます。でも、その人達はクラスから孤立
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
しつつあります。私はそれがとても悲しいのです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
できるならば、ご家族や信頼できる友人に相談してみ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
るのもいいと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
読みいってしまって支援忘れてたから支援
-
私も力になりますが、もっとあなたの傍にいる人も、き
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
っとあなたから手を伸ばされるのを待っているはずで
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
自信を持ってください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたは正しい。そして優しい。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だから、私はあなたに傷ついてほしくない。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたにとって、一番良い結末になることを願ってい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたのような人が、この町にいてくれるのなら、私
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
も頑張れます。負けません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私にとって、あなたはそれだけ大きな存在であるという
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ことも忘れないでください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そして、どうか、それがあなたの力になることを祈って
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ私より
-
見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ありがとうございます。ちょっと勇気が出ました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私の存在が、あなたの役にたてたなら、とても嬉しい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今まで、そんな風に言ってくれる人はいなかったので。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私に一番近いのは、きっとあなただと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
体の距離は遠いかもしれませんけど、心は誰よりも
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
傍にいます。私には、信頼できる友人がいません。そ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れなりに過ごしてばかりだったので、こんな風に、全て
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
を話せる人がいないんです。だから、あなたがいてく
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れて、本当に良かったと思えるんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
こんなこと、書くと重いかもしれないんですけど、でき
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ることなら、あなたに知ってほしいと思いました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
二枚目に、私の家族のことを書きます。捨ててくれても
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
かまいません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
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リロードする手が止まらん支援
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私には母が一人います。父とは別れました。父は私
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
が幼いころから、お酒ばかりのんで、母にひどいこと
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をするような人でした。私はいつもいないモノとして扱
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
われていました。母も自分のことでせいいっぱいだっ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たみたいです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私は辛いことや悲しいことがあると、このポストに手紙
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を入れていました。そうすれば、誰かが助けに来てく
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れると思っていました。でも、誰もきてくれませんでし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
た。私は、ポストがいっぱいになると、手紙を全部出し
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て、燃やしていました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だから、あなたの手紙が入っていたときは、本当にお
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
どろいたんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
それで、母は数年前にようやく父と離こんしました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
生活は色々苦しかったけど、最近、ようやくマシにな
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りました。
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-
だから、母にあまり心配をかけたくありません。
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私にできることといえば、それくらいですから。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あの人は、私に助けられたい、なんて思ってないかも
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しれないですね。でも、私がいやなんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
少しずつ、私も変わりたい。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いつか、あなたに胸をはって会えるような人間になり
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たいと思っています。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そしたら、ここでお花見をしたり、池を見たりしましょう。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
すぐに勇気はでないかもしれないけれど、少しずつ、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私も動いています。
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私は一人になりません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もう、一人になることはないんですよね。
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見知らぬ人より
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互いを励ます言葉と、わずかな雑談を交えた手紙を繰り返す。
そんな日々の中でも、ヒッキーは変わらずに学校へ向かう。
今日は返事が帰ってくる日だ。心も軽い。
そんな通学途中、彼はある考えが頭から離れずにいた。
(-_-)「……もしかして「見知らぬ人」は
ボクのクラスメイトなんじゃないだろうか」
この辺りにある学校。
その中で、どれだけの人数がイジメにあっているのだろうか。
自分だけではないだろうけれど、
ここ最近になって、目に余るようなイジメられ方をし始めた人間というのは、
そう何人もいるようなものではない気がする。
(-_-)「だとしたら、どっちだ?」
ヒッキーを庇ってくれている女の子は二人だ。
デレとクー。
考えてみれば、彼女達の立場は非常に危ういところにある。
今はまだ、少しばかりよそよそしい程度ですんでいるが、
これ以上、自分を庇えば、彼女達も排除の対象となるだろう。
その状況は「見知らぬ人」の手紙に書かれていたものと一致する。
また、彼女達はそれなりに交友関係を持っているようだが、
深い友人がいるようには見えず、その部分でも「見知らぬ人」の文字がちらついた。
真面目すぎてとっつきにくいクーと、
天真爛漫なところが逆に深い友人作りを阻害しているデレ。
-
手紙に書かれている文字の印象は、
どちらにも当てはまる。
二人とも真面目で、それでいて優しい。
(*-_-)「……でも、ちょっと嬉しいかも」
喜んでいる場合でないことはわかっている。
己のせいで優しいクラスメイトのどちらかと、
青春を作り上げてくれた大切な「見知らぬ人」の両方を傷つけかねない状況だ。
本来ならば、ヒッキーが自力でイジメを止めなければならないのだろう。
しかし悲しいかな。彼にそのような力はない。
腕力で勝負したところで、不良三人組に勝てる未来図は思い浮かべることができない。
その代わり、タイムリミットはそう遠くない。
幸いにもヒッキー達は高校三年生だ。
あと数ヶ月もすれば不良達とも離れ離れになる。
その程度の時間ならば耐えられる。
いや、胸こそ痛めども、心を支えてくれるものがあるのだから、
一年でも二年でも耐えられることだろう。
女子生徒達は遠巻きになってしまったが、
ヒッキーと同性である男子達はそれなりに助けてくれる。
最悪の事態など、想像する必要もない。
-
もしも、本当に彼女達のどちらかが「見知らぬ人」だとわかったならば、
その時は無理をしないでくれ、と直接言おう。
ヒッキーは心に決めていた。
まるでドラマみたいな展開だ。
いつになく胸がざわつく。
イジメられている最中だというのに、
どうにもヒッキーの頭は青春を手に入れてから春うららの様相が抜けきらない。
まだ、恋なのかもよくわからない感情も、
「見知らぬ人」の正体を見れば思いに名前をつけられるだろう。
(-_-)「「見知らぬ人」が隠したいっていうなら、それでもいい。
お互いに知らないからこそ、知れたことだってたくさんある。
でも、できることなら、本当に傍にいてあげたい」
「見知らぬ人」がデレであれ、クーであれ、
顔を付き合わせた状態で、家庭のことなど聞けはしなかっただろう。
彼女達も女性社会の恐ろしさを語ることなどなかっただろう。
紙と文字を通したからこそ、伝わるものがあった。
顔は見えずとも、水滴のあとや、歪んだ文字、かすかに香る匂い。
それらが書き手の心を届けてくれる。
しかし、それでは足りない。
一人を恐れる「見知らぬ人」のために、
心だけではなく、体も近くに寄り添ってあげたかった。
-
(*゚ー゚)「私、駅前のパン屋に売ってるスペシャルジャムハニーパンが食べたい」
(-_-)「……え、ナニそれ」
二時間目の休み時間、しぃは当然のように告げた。
しかし、ヒッキーはそのパンに心当たりがなかった。
駅前にパン屋があるのは知っているが、
ヒッキーの家とは逆方向に位置しているため、
限定商品のことまで知っているはずがない。
(゚、゚トソン「知らないのですか?
この辺りの女の子なら、みーんな知ってますよ」
(-_-)「そうなんですか」
「見知らぬ人」も知っているのだろうか。
聞くことができそうであれば、次の手紙にスペシャルなんちゃらパンについて書いてみよう。
ヒッキーは心の中にメモを残す。
(-_-)「でも、流石にそれは無理ですよ」
(*゚ー゚)「はぁ?」
(;-_-)「ボク、自転車通学じゃないですし……」
-
この高校は、ヒッキーの家からは近い場所に位置しているが、
駅からは少々遠い。
そのため、電車を利用している者は、
学校までの道のりをバスか自転車の二通りから選ばなければならない。
徒歩で通う者も少数ながら存在しているが、
彼らはその分、早くに家を出るという対価を払っている。
当然、最も長い昼休みとはいえ、
学校から駅前までを徒歩で往復することは不可能だ。
从 ゚∀从「お友達に借りるとかあるだろー?」
(゚、゚トソン「そうでなければ走るという選択肢を取ればいいのです」
(;-_-)「そんな無茶苦茶な」
以前と比べれば、クラスメイトとも交流を持つようになったが、
自転車の貸し借りを頼めるような友人は未だいない。
必死に走ってみたところで、体育の成績を同学年連中と比べたときに、
下から数えた方が早いヒッキーに期待できるものはなにもない。
(*゚ー゚)「手段とかどーでもいいよ。
買ってきてったら買ってきて」
-
(゚、゚トソン「四時間目の授業をサボって買いに行ってもいいんですよ?」
(;-_-)「できるわけないじゃないですか」
(゚、゚#トソン「は?」
トソンの眉間にしわが寄る。
彼女の重心が左により、
右足がわずかに床から離れる。
このパターンをヒッキーは知っていた。
だが、知っているだけではどうにもならないことが世の中多い。
(*>ワ<)「やっちゃえー!」
从;゚∀从「やりすぎんなよー」
(; _ )「っ!」
とっさに歯を食いしばり、衝撃に備える。
-
しかし、いつまで経っても想像していた痛みはこない。
ヒッキーは恐る恐る目を開けた。
(;-_-)「……あ」
(゚、゚#トソン「どーいうつもりですかねぇ」
体を縮めていたヒッキーの前に、誰かが立っている。
その誰かは、トソンの蹴りを腕で受け止めていた。
川 ゚ -゚)「暴力はいかん、と前も言っただろ?」
クーだった。
いつから見ていたのか、
彼女はヒッキーを庇うために、二人の間に割り込んできてくれたのだ。
(;-_-)「クーさん」
川 ゚ -゚)「大丈夫か?」
(;-_-)「おかげさまで。
でも、なんというか、恥ずかしいです」
川 ゚ -゚)「何故」
(;-_-)「ボクも一応、男なので」
-
非力とはいえ、ヒッキーも男だ。
女に守られて胸を張ることはできない。
川 ゚ー゚)「気にするな。
好きでしていることだ」
(*゚ー゚)「なーにそれ。
マジムカつくんですけどー」
トソンよりも後ろで事の成り行きを見守っていたしぃが、
ずかずかと近づいてくる。
既に、トソンの足はクーから離れ、もとあるべき場所に収まっていた。
(*゚ー゚)「何で邪魔すんのよ」
川 ゚ -゚)「私は正しいことをしているだけだ」
(*゚ー゚)「本当にそれだけぇ?」
川 ゚ -゚)「……どういう意味だ」
クーが眉を顰める。
しぃは実に楽しそうだったが、瞳には悪意しか見えない。
-
(*゚ー゚)「ねえ、トソンちゃんも怪しいと思うよねぇ」
(゚、゚トソン「……あぁ、そういう」
ぐるん、としぃがトソンへ目を向ける。
一瞬、訝しげな顔をしていたトソンだが、すぐに合点がいったのか、
何度か頷いてみせ、しぃの言葉を肯定する様子を見せた。
(゚ー゚トソン「そうですね。
とても、怪しいです」
从 ゚∀从「そーだな。怪しい、怪しい」
三人はニヤけた顔をクーとヒッキーへと向ける。
見られている二人だけではなく、周囲も彼女達の言動に首を傾げた。
察しの良い数人は、何かに気づいたようだったが、
それを口にすることはなく、ただ黙って事態を静観する。
(*゚ー゚)「ねー、クーさん」
川 ゚ -゚)「何だ」
(*゚ー゚)「もしかして、ヒッキー君のこと、好きなの?」
-
一瞬の沈黙があった。
風の音が遠くに聞こえ、
その向こう側にある町の静かなざわめきさえ聞こえてくるような静けさだ。
川 ゚ -゚)「そうだが?」
よりにもよって、空白のような沈黙を消した最初の一言がこれだ。
せめて、クラスメイトのざわめきであるべきだっただろう。
(-_-)「……え?」
衝撃が消えぬうちにやってきた第二の迎撃。
当事者であるヒッキーの思考回路は焼ききれ、
周囲は一気に騒々しさを増した。
(;^ω^)「えっ、い、今のって」
(´<_`;)「ちょっと兄者にメール入れるわ」
ミセ;゚ー゚)リ「じょじょじょじょ冗談よね?」
从'ー'从「でも、それなら納得ー」
(;'A`)「あのクーさんが、ヒッキーを?!」
(;・∀・)「予想外すぎて、いやはやなんとも」
-
(;゚ー゚)「うげー。マジー?」
川 ゚ -゚)「マジもマジだ」
(゚、゚;トソン「ち、ちなみに何処が?」
ヒッキーは思った。
自分が聞くのならばともかく、
第三者に聞かれ、この場で発言されるのは恥ずかしい、と。
好かれているのは、それは勿論嬉しい。
今朝だって、そういった類の妄想を繰り広げていた。
だが、この展開は想定外を通り越している。
助けを求めて周囲を見渡すも、
何とか目が合ったのはロマンチックの匂いに目を輝かせているデレだけ。
ζ(゚ワ゚*ζ「が・ん・ば!」
かすかに聞こえた声は、ヒッキーを助けるものではない。
この状況下であの笑みを浮かべられる辺り、
将来的に彼女は大物になる予感がした。
(;-_-)「あの、クーさん」
-
川 ゚ -゚)「好きという感情を言葉や理屈で説明するのは難しい。
人は伝えるために言葉を作り出した。
すなわち、言葉というのは必要だから作られたものだ。
後天的に、人工的に作り出され、今もまだ進化と変化を続けている。
すなわち、言葉は未だに完全ではないということだ。
故に、気持ちの全てを伝えられるほど、言葉は万能ではない」
つらつらと述べられた言葉は、
簡潔に言い直すならば、言葉に言い表せない程好き、に他ならず、
ヒッキーだけでなく、周囲を赤面させる結果になった。
川 ゚ -゚)「本当は、こんな形で伝える予定はなかった」
クーはトソンから目を離し、ヒッキーへ向き直る。
相も変わらず凜としたその立ち姿は、
つい先ほど、あれほど恥ずかしい言葉を言った人間とは思えない。
川 ゚ー゚)「しかし、私は嘘を一つも言っていないぞ」
彼女の足がヒッキーを横切り、先へ進む。
誰もがクーの次の行動を注意深く観察している。
次になにが起こるのか、誰一人として想像できない。
喧嘩を吹っかけていたはずの不良三人組もそれは同じで、
ただ黙ってクーを見ているばかりだ。
-
川 ゚ -゚)「これを」
どうやら、クーは自分の席へ向かっていたらしい。
机の横にかけられた鞄を手に取り、
その中から一枚の封筒を出してヒッキーへと向ける。
(-_-)「手紙?」
反射的に受け取ると、それはどうみても手紙だった。
それも、パンジーのワンポイントがあるだけの封筒。
ヒッキーは期待と照れに指を震えさせた。
この封筒は「見知らぬ人」が使っているものと同じシリーズのものだ。
導き出される結論に、固唾を呑む。
川 ゚ -゚)「ラブレター、というものだ。
何事にも手順は大切だろ?」
クーは一度だけ、顔をうつむかせる。
ほんの少しの時間、何かを考え、心を決めたらしく、
すぐに彼女の顔は前を向いた。
川*゚ -゚)「……どうせなら、形に残るもので伝えたかったんだ」
その顔は、赤く染まっていた。
-
一気に湧き上がる教室。
黄色い悲鳴と、男子の口笛に、まるでお祭りのような状態だった。
('、`*川「はーい。青春もいいけど、授業も大事よー」
誰もが気づかなかった三時間目の開始を告げる声がなければ、
クラスは今もお祭り状態で騒ぎ倒していただろう。
今すぐにラブレターを読め、とも言われていたはずだ。
しばらくは興奮冷めやらぬ雰囲気ではあったが、
授業が始まりしばらくすれば、全員そわそわしつつも真面目にノートを取り始める。
だが、騒ぎの渦中にいたヒッキーの心境はそれどころではない。
未だに心臓は激しく動いているし、
机の中にしまった手紙が気になってしかたがない。
ζ(゚ー゚*ζ「ヒッキー君」
(-_-)「デレさん、授業中ですよ」
隣の席から、デレが小さな声で話しかけてくる。
一応、形だけでも諌めてみるが、デレがそれを聞き入れる様子はない。
-
ζ(゚ー゚*ζ「お返事、早めにしてあげてね」
(-_-)「それは、そうするつもりですけど」
手紙を読む暇がない。
次の休み時間もどうせ不良達に絡まれるか、
クラスメイト達からもみくちゃにされるのだ。
ζ(゚ワ゚*ζ「今読んで、お昼にお返事!
これっきゃない! よ!」
('、`*川「デレさん。お静かに」
ζ(゚、゚*ζ「はーい」
興奮のあまり、声が大きくなってしまい、伊藤先生に怒られてしまった。
デレは唇を尖らせ、体を少し小さくする。
(;-_-)「今、読めるわけがないですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「どうして?
今なら、誰もお手紙の中身、見たりできないよ」
-
お手本のような素直クールだ
-
そう言われてしまえばそうなのだが、
授業中に手紙を読むのはよろしくないだろう。
先生に対しても、クーに対しても失礼な気がした。
だが、しかし。
(;-_-)「……」
ヒッキーの斜め前。
クーの席を見る。
川川゚ー) ニコッ
目があった。
微笑む彼女は、おそらく肯定を示しているのだろう。
デレの言葉の通り、今読んでくれて構わない、と。
そうして、昼にでも返事をくれ、と。
勝手な想像かもしれない。
けれども、ヒッキーはその声を受け取ってしまった。
一度、前を見る。
伊藤先生は黒板に化学式を書いている途中だ。
ヒッキーは勇気を出すことにした。
静かに、そして丁寧に、手紙を取り出す。
-
篭森 ヒッキー へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
突然、こんな手紙を渡されて、驚いたことだろう。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
だが、私のことだ、用件は既に口頭で告げていると思
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
う。だが、手紙に意義を持たせるためにも、改めて書
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
かせてもらいたい。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私は、キミが好きだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いつからかはわからない。気がつけば好きだった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
物静かなところ、面倒を引き受けてしまうところ、成
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
長できるところ、あげることのできるところは数多くあ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れども、その全てが正しく、また違う。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
言葉にできない愛しさなんだ。好きなんだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
返事を、待っています。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
素直 クール より
-
たった一枚の紙に収められた告白。
それは、薄っぺらなものではない。
何よりも厚く、暖かい。
返事を、待っています。と、いう文字だけが、
他の字と比べて歪だった。
緊張したのだろう。
よく見てみれば、下書きを何度も消した跡が見えた。
しかし、好き、という言葉だけは綺麗なもので、
消された跡がない。
(-_-)「……」
ヒッキーは手紙をそっと撫でる。
便箋は封筒と揃いのワンポイント。
鮮やかなパンジーが可愛らしい。
あの凜としたクールが、
この可愛らしい紙に思いを綴ったのだ。
赤い顔が目に浮かぶ。
だから、だからこそ、
ヒッキーは密かに唇を噛んだ。
(-_-)「……どうして」
-
クーから手渡された手紙に書かれていた文字は、
「見知らぬ人」とは似ても似つかぬものだった。
-
クーの字は、とても生真面目な字だ。
教科書通りよりもしっかりした文字。
これまでにヒッキーが見てきたどの字よりも、几帳面さが出ている。
直線は定規でも使ったかのように美しく、
ハネはつつましさを見せつつも存在をしっかりと主張していた。
文字は等間隔で並んでおり、
最後の一文を除けば、規則正しく整列している。
平仮名と漢字のバランスも取れており、
安定した安心感と同時に、堅苦しい緊張感を与えてくれた。
柔らかさはないが、
人と思いを受け止めてくれる。
そんな強固さが見て取れた。
字は人を現す。
ヒッキーの見てきたクラス委員長のクーに、
手紙に書かれている文字はピッタリだ。
もはや、この字しか考えられない、とすら思う。
「見知らぬ人」の字が、クーのものであるはずがない、と。
-
ヒッキーは顔を青ざめさせる。
手紙を読むまでは、希望に溢れた想像をめぐらせていたが、
もはや、能天気なことを考えている余裕はない。
クーは「見知らぬ人」ではなかった。
だとすれば、告白の返事は何とするべきなのか。
彼女のことを好きか嫌いか、どうでもいいか、のどれかに当てはめるのならば、
間違いなく好き、と言える。
けれども、それは恋愛感情なのだろうか。
己を好きだと告げてくれたクーは「見知らぬ人」ではない。
あの文字を書き、秘密を打ち明けてくれた子ではないのだ。
(|i-_-)(どうしよう。どうなんだろう)
そもそも「見知らぬ人」に対して抱いている思いも、
恋愛感情なのかどうか曖昧なのだ。
彼女がクーかもしれない、と思い、告白を受けたとき、
ヒッキーは己の思いを恋愛感情だと思った。
しかし、今はまたわからなくなってしまった。
クーが好きだと言ったから、自分はそれに応じただけなのではないか。
引きずられた感情なのではないか。
( _ )(わからない、よ)
-
結論はでなかった。
クーにするべき返事も、
「見知らぬ人」への思いも。
どれもこれも曖昧だった。
だが、時間はやってくる。
川 ゚ -゚)「篭森。
時間、いいかな?」
昼休み。
誰よりも早くヒッキーのもとに訪れたクーはそう言った。
クラスメイトの視線を痛く感じつつもヒッキーは頷く。
ここで断ればクラスの女子からは非難轟々間違いなしだ。
そんな恐ろしいことができるはずもない。
クーはヒッキーの前を歩き、
どんどんと進んでいく。
足を進めるごとに人気はなくなっていき、
最終的には体育館の裏についた。
なんともテンプレート通りの場所だ。
どうせならば、桜が咲いている季節のほうが適切だったかもしれないけれど。
-
面白い
-
川 ゚ -゚)「……さて、篭森」
(-_-)「はい」
クーはヒッキーを見据える。
答えを待っているのだ。
昼休みは長い。
かといって、いつまでもこうしているわけにはいかない。
ヒッキーは唾を飲み込み、口を開く。
まだ、返事は考えきれていない。
クーは好きだ。付き合えばもっと好きになるだろう。
相手が告白してくれたのだから、yesと答えてしまってもいいじゃないか。
そういった思いもある。
平凡な己に比べ、相手は高嶺の花。
断るという選択肢がある方がおかしいのではないか。
しかし、中途半端な思いは不誠実だ。
それは許されない。
脳はぐるぐると回っている。
溶けてしまいそうなほどに。
川 ゚ -゚)「……いいよ。
答えはわかった」
-
ヒッキーが何かを言う前に、クーが呟いた。
小さいながらも、ハッキリとした言葉。
それは、霧散することなくヒッキーに届く。
(;-_-)「どういう、こと、ですか?」
川 ゚ー゚)「私も女の子、だ。
好きな人のことはよく見てるし、
勘も悪くはない」
クーは笑っていた。
ほのかに笑い、それ以上に、悲しげに眉を寄せて。
川 ゚ー゚)「手紙を渡したときは、脈ありかと思ったんだが……。
何か、違ったんだろ?
キミには、もう好きな人がいて、
私は、その人にはなれなかった」
(;-_-)「あの、でも」
震える声に、ヒッキーが手を伸ばす。
川 ゚ー゚)「同情や、妥協で選んで欲しくない。
……私にも、女のプライドがある」
右手で優しくヒッキーを制す。
細められた目にはわずかだか、涙が浮かんでいるように見えた。
-
川 ゚ー゚)「キミの恋が報われないことを願ってもいいだろうか」
(;-_-)「……これが恋なのか、よくわかっていませんけど、
それでもいいのなら」
川 ゚ー゚)「なんだ。私は、恋未満に負けたのか」
幸せを願ってくれ、なんて勝手なことは言えない。
中途半端な思いを告げようとした罰だろうし、
己を愛してくれた彼女よりも、
どこの誰かもわからない人を優先した対価だ。
川。゚ -゚)「そうか……」
一筋、涙が零れた。
ヒッキーはそれを呆然と眺め、
彼女が後ろを向くまでそのままでいることしかできなかった。
川川 ゚ )「せっかく、出麗さんに便箋を譲ってもらったんだけどなぁ」
パンジーの花言葉は「私を思って」
クーが唯一思いを吐露することができた相手、デレが、
告白にピッタリだと言って便箋を譲ってくれたのだという。
川川 )「……すまない。
女々しいことを言った。
忘れてくれ」
-
クーが走り去る。
ヒッキーはそれを見送り、その場に腰を下ろした。
( _ )「あー……」
泣かせるつもりはなかった。
彼女もきっと、泣くつもりはなかったのだろう。
断られることも想定していて、
それでも気丈に振舞うつもりだったに違いない。
想像と現実は違う。
与えられる痛みだって、ずっとずっと鋭い。
思わぬ苦しみだったからこそ、
クーは涙を流したのだ。
それに心を痛めることが普通で、
決して、次のきっかけに心を躍らせてはいけないのだ。
(-_-)「あの便箋、デレさんのだったんだ……」
そう、決して、あの便箋の持ち主こそが、
「見知らぬ人」なのではないか、と期待してはいけない。
-
見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今日、友人の彼氏が読んでる、というマンガを教えても
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
らいました。『αベット』というタイトルの熱いバトルマン
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ガです。ぜひ、一度、読んでみてください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
最近、とても寒くなってきましたが、あなたは元気です
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
か? 雪が降るとこのポストまでの道を見失ってしま
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いそうで不安です。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でも、雪にあなたの足跡が残っているかもしれない、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と思うと、ちょっとワクワクします。私の足は女の子に
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
しては大きいので、もしも見つけても、笑わないでほし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
テレビも雑誌もカラオケも好きな私ですが、ここのとこ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ろはあなたの手紙を待って、読むのが一番楽しみで
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。ありがとうございます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ人より
-
+++
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『αベット』は噂で聞いたことがあります。読んだこと
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はないので、今度、本屋で探してみようと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたはバトル漫画が好きなんですか? 私はほの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ぼのとした漫画も好きです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
空気が乾燥しているので、ポストにたどり着くまでに
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
木の枝等で手を切らないように気をつけてくださいね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
足が大きいのは悪いことではないですよ。むしろ、私
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
の足が小さくて笑われてしまうかもしれません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私はあなたとの手紙で、大きく変わることができまし
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
た。人生が変わったと言ってもいいかもれません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今まで、自分がいかに周囲に目を向けていないかが
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
わかりました。好きなことがたくさん増えました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
その分、嫌なことも増えたかもしれません。でも、それ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はとても幸福なことです。ありがとうございます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
ヒッキーはペンを置いた。
一枚の便箋を眺める。
(-_-)「変わった、よね」
「見知らぬ人」を知る前と、その後を思い出してみれば、
その差は歴然だ。
比べようと思うことがおこがましく感じてしまう。
(-_-)「ボクは今、生きている」
辛いことがある。
だが、幸福なこともある。
どこにでもあるような、
どこかの誰かにとって代わられても仕方ないような、
平均点ばかりを凝縮した人生ではない。
ただ一つ、ヒッキーだけに与えられた人生が、
この無機質な紙と可愛らしい紙から溢れでている。
(-_-)「あなたのおかげなんだ」
熱っぽい息を吐き出し、「見知らぬ人」の文字をなぞる。
今日のワンポイントは白い花だった。
凜とした雰囲気に今日のクーを思い起こさせる。
-
(-_-)「ヒメウツギ」
主な使用用途がフォント検索、という有様であったパソコンも、
今では便箋に描かれているワンポイントについて調べる道具に移行しつつあった。
今日の花はヒメウツギ、という花らしい。
花言葉は「秘密」だというのだから、
「見知らぬ人」に相応しい。
(-_-)「あなたは誰ですか。
やっぱり、デレさん?」
ころころと変わる表情と、
どこか捕らえきれぬ性格。
そのどれもが愛らしく、男子の間では人気がある。
クーと同じく、ヒッキーにとっては高嶺の花だ。
けれども、やはりクーと同じく、ヒッキーの人生を変えてくれた人でもある。
彼女達の言葉があったから、それに背中を押されたからこそ、
ヒッキーの手元には手紙があるのだ。
(-_-)「そうだったら、ロマンチックだなぁ」
-
人生を変える後押しをしてくれた人が、
人生を変える手紙の主だった。
ありきたりだけれども、
それ故の良さがある恋愛映画のような展開だ。
デレが好むロマンチックもそこにはある。
(-_-)「恋人にならなくてもいいんだ。
愛し合う関係になりたいわけじゃないんだ」
ただ、知りたかった。
好きなものならば知っている。
好きな場所も、過去もある程度は聞いた。
姿形を知らない。
表情を知らない。
寄り添う暖かさを知らない。
(-_-)「「見知らぬあなた」じゃなくて、
ボクを知って欲しい。
傍にいて、心の支えになりたい。
それが、ボクの支えになる、から」
気づけば、ヒッキーは再びペンをとっていた。
-
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたの名前を教えてください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
篭森 ヒッキー より
-
真っ白な便箋に、
たった一文と本名を記す。
これはルール違反だ。
軽蔑されてしまうかもしれない。
そんな風に思っているのに、
ヒッキーは書かずにはいられなかった。
数度、瞬きをする間、自分が書いた便箋を見つめ、
「見知らぬ人」の手紙は引き出しにしまいこむ。
自分が書いた手紙はそっと三つに折りたたみ、封筒に入れ、
ノリで封をしてしまえば終わりだ。
後は明日、登校時にポストに入れるだけ。
明後日までは不安と期待に心が揺れるだろう。
もうすでに心臓が痛む。
それでも、どこか清々しい気分だった。
(-_-)「これでいいんだ。
これ、で――――」
ベッドに向かう途中、
視界が歪む。
疑問符を浮かべると同時に、
部屋中だというのに、やけに肌寒いな、ということを思い出していた。
-
目が覚めたとき、
外には既に太陽が昇りきっていた。
(-_-)「……あれ?」
J( 'ー`)し「あら、おはよう。
お昼持ってきたわよ」
(-_-)「……お昼?」
J( 'ー`)し「そうよ。あなたったら、
朝にお薬を飲んでからずーっと寝てたのよ」
母の言葉に、ヒッキーはぼんやりとする頭で事の次第を思い出していた。
(-_-)「……あぁ、熱、出たんだっけ」
J( 'ー`)し「あら、忘れてたの?」
(-_-)「ちょっと、ボーっとしてた」
上半身を起こし、母が持ってきてくれたおかゆに手を伸ばす。
湯気が立ち上がっているソレは、
美味しそうではあるのだが、ヒッキーの食欲を刺激しない。
J( 'ー`)し「残してもいいから、少しでも食べるのよ。
お薬はここにおいておくから」
(-_-)「うん。ありがとう」
-
しえん
-
部屋から母が出て行くのを見送り、
ヒッキーはのろのろとおかゆを腹に入れていく。
まだ熱が出ているのか、
体の外側が妙に寒く感じる。
(-_-)「……手紙、入れれなかった、な」
机の上には放置されたままの封筒がある。
本当ならば、今頃あの林の中のポストにあるはずのものだ。
流石にこれは誰かに頼んで投函してもらうわけにはいかない。
特に、今回の手紙だけは、第三者の手を借りてはいけない。
重みが違う。
今までのものが軽かったわけではない。
しかし、この、一歩どころか何十歩も踏み込むような手紙だけは、
その他と一緒くたにできぬ重さがある。
(-_-)「心配してくれた通りになっちゃったな」
浮かぶのは苦笑いだ。
ただ、近頃の寒さからくる体調不良ではなく、
昨日の出来事による知恵熱、というほうが適切な気がしている。
-
薬を飲み、もう一眠りすると、
外はオレンジ色に染まっていた。
ζ(゚ー゚*ζ「あ、起こしちゃった?」
(-_-)「…………なんで?」
薄く目を開けた先、
そこにはデレがいた。
思わず幻覚でも見ているのか、と
己の正気を疑ったヒッキーは間違っていない。
ζ(゚ー゚*ζ「え、今まで寝てたのに、
私がきてから起きたから」
(-_-)「そっちじゃなくて、
どうしてここにいるんですか? ってことです」
ζ(゚ー゚*ζ「そっちかー」
デレはしてやられた、とでも言いたげに、
手の平で額を押さえる。
ζ(゚ー゚*ζ「お見舞い!
と、今日配られたプリント」
そう言って、デレは自身の鞄を探る。
-
支援!
-
ζ(゚、゚*ζ「本当はねー。クラス委員長のクーちゃんが来るはずだったんだけど、
ほら、うん、流石に、昨日の今日だし、ね?」
(-_-)「あぁ、うん。
なんだか、ごめんなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「いーよ。恋愛は無理にするものじゃないし」
クーは気丈な女性だ。
体育館裏での一件があった後も、
普段より落ち込んではいたものの、
多少、という範囲で収まるように自分を律していた。
それがまた、ヒッキーの罪悪感を煽り、
熱を出させるに至ったのだが、彼女は何も悪くない。
ζ(゚ー゚*ζ「でも、どーして? とは思ったよ。
だって、クーちゃんはあんなに人気あるのに。
告白されて悪い気はしなかったでしょ?」
(-_-)「断った、わけじゃない、んですけどね」
ζ(゚、゚*ζ「……。他に、好きな人、いるの?」
(-_-)「どうして、そう思うんですか?」
-
ζ(゚ー゚*ζ「女の勘、だよ」
(-_-)「クーさんも、似たようなことを言っていました」
ヒッキーはため息をつく。
誰かを責めるような色はない。
強いていうのならば、ヒッキー自身を責めている。
(-_-)「でも、恋愛感情かはわからないような、
そんなものなんですよ」
ζ(゚ー゚*ζ「うーん。
ヒッキー君のそれは恋じゃないかもしれないけど、
一番であることに違いはないんでしょ?」
あっけらかんとそう言われ、ヒッキーは言葉に詰まる。
確かに、クーと付き合っていたとして、
「見知らぬ人」に向ける思いが恋心でないとして、
それでも、ヒッキーにとっての一番は「見知らぬ人」に向いているのだろう。
ζ(゚ー゚*ζ「女の子はね、好きな人の一番になりたいんだよ」
だから、それが叶わぬと知り、クーは身を退いた。
ヒッキーは顔を俯ける。
考えれば考えるほど、クーの胸の痛みは深い。
-
ζ(゚ー゚*ζ「そういえばさ、ヒッキー君、机の上の封筒って何?」
ようやく見つかったらしいプリントが手渡されると共に、
一つの疑問が彼女の口から飛び出した。
(;-_-)「あれは……」
一日中眠っていたため、封筒は机の上に置かれたままだった。
秘密がばれる、という焦燥感と、
デレが「見知らぬ人」であるのならば、今、ここで全てが明らかになる、という期待。
ヒッキーは熱のせいではない眩暈に襲われる。
喉が急速に渇くのを感じていた。
ζ(゚ー゚*ζ「お手紙?
宛名も何も書いてないみたいだけど」
誓って、彼女は封筒には触れていない。
机の上に鎮座している様子だけを目にし、
そこから得られる情報で言葉を紡いでいる。
見覚えがあるんじゃないの?
そんな言葉をヒッキーは飲み込む。
(;-_-)「……手紙、だけど、
ちょっと、特別なんです」
-
ζ(゚ー゚*ζ「特別……」
デレは呟き、しばしの間、手紙を見つめていた。
太陽はじりじりと沈んでゆき、もう世界は暗くなっている。
電気を、とヒッキーが口にするわずか手前、
黙していた彼女がヒッキーに向き直る。
ζ(゚ワ゚*ζ「わかった!
あれがヒッキー君の一番で、
秘密で、青春なんだ!」
満面の笑みを浮かべ、どことなく頬を紅潮させている様は、
到底、ヒッキーと「見知らぬあなた」を重ねているようには見えない。
シラを切っている、という可能性もあるだろうけれど、
ヒッキーの知るデレはそんなことをする人ではない。
(-_-)「……うん。
そう。秘密、で、一番」
落胆の色が出ぬようにしつつも、
それが成功していないのは明らかだった。
ζ(゚ー゚*ζ「色々聞きたいけど、我慢するね!
特別で、秘密で、一番! だもんね!」
-
無邪気な笑みが痛い。
彼女も「見知らぬ人」でないのならば、誰が「見知らぬ人」なのだろうか。
他のクラスメイトか。
はたまた、ヒッキーの考えが根本から間違っており、
本当に見知らぬ人が正体なのか。
ζ(゚ー゚*ζ「そうそう。これ、今日の分のノート。
コピーだから元気になってから使ってね」
改めてデレが取り出し、ヒッキーに渡したのは、
可愛らしい丸字がならぶノートのコピーだ。
冷たさを感じさせない丸みと、
やや右上に突き進むその様子は、
いつでも明るく優しいデレを彷彿とさせる。
(-_-)「ありがとう」
その字を見て、ようやくヒッキーは現実を受け止めた。
やはり、デレも「見知らぬ人」ではない。
彼女の書く字とはこんなにも違う。
ζ(^ー^*ζ「どういたしまして!」
こんなに可愛らしい人が、
「見知らぬ人」なはずがなかった。
-
翌日になれば、ヒッキーの体調はすっかり元通りだった。
やはり、あれは精神的なものからきていたのだろう。
(-_-)「何か一言、添えたほうがいいかな」
真っ先に考えたのは手紙のことだ。
クーのことも気にしているのだが、
腫れ物に触るようにされては彼女も心苦しいだろう。
(-_-)「もしかすると、心配してくれたかもしれないし」
昨日、手紙が入っていないポストを見て「見知らぬ人」は何を思ったのだろうか。
悲しみか、心配か、落胆、嘆き、困惑。
あるいは、何も思っていない。
最後の感情以外であればいい。
だが、そうであるならば、謝罪の一つでも添えておくのが礼儀か。
悩んでいる間も足は進み、気づけば林の傍だ。
(-_-)「うん。とりあえず、このまま入れておこう」
悩みに一先ずの結論を出したヒッキーは周囲を見る。
誰もいないことを確認してから林に入るのがいつもの行動だ。
(-_-)「あ……」
いつもならば誰もいない時間。
しかし、今日に限って人影が見えた。
-
それも、見たくもない人影。
从 ゚∀从「……あ?」
不良三人組が一人、ハイン。
彼女は長い髪をざっくばらんに靡かせながら、
睨めつけるようにヒッキーのほうを見る。
从 ゚∀从「んだよ。お前、この辺りに住んでんの?」
(-_-)「……そう、ですけど」
周囲を見てみるが、彼女以外に人影はない。
珍しいことだが、単独行動中らしい。
从 ゚∀从「ふーん。
……なに、ソレ」
彼女の指が一点を指す。
つられるようにヒッキーが目を動かせば、
自身の手元へといきついた。
そこにあるのは真っ白な封筒。
-
(;-_-)「――っ!」
見られたくない。
その一心でヒッキーは手を後ろに回す。
从 ゚∀从「なんだよ。隠すようなモンなのか?」
(;-_-)「何だって、いいでしょう?」
彼女に暴かれるくらいならば、
自分から進んでクーかデレに全てを打ち明ける。
そのほうが何百倍もマシであると思えるし、
幸福なエンディングへの道筋も見えるような気がする。
ハインは駄目だ。
しぃも、トソンも駄目だ。
彼女達に触れられるには、
この手紙とその秘密は清らか過ぎる。
从 ゚∀从「……ふーん」
興味なさ気な声が上がり、
意外なほどあっさりと彼女はヒッキーに背を向け、
学校のほうへと向かって歩いて行く。
(;-_-)「…………」
ヒッキーはハインの背が見えなくなるまで、
手紙を後ろに回したままの体勢でいた。
-
学校についてからも、
ヒッキーは何度もハインの様子を伺っていた。
今朝のことを他の二人に話すのではないか、と
内心、ビクビクしていたのだ。
知られたが最後、脆く繊細な秘密は粉々に砕け散ってしまうことだろう。
しかし、ヒッキーの心配は杞憂に終わる。
(*゚ー゚)「暇だし、教卓の上で踊ってよ」
(゚、゚トソン「余興ですよ。余興」
(;-_-)「そんな、突然言われても……」
川 ゚ -゚)「教卓は舞台ではないぞ。
安定も悪いし、危険でもある」
从 ゚∀从「へーへー。イインチョー様の仰せのままに」
学校生活はいつも通りに進んでいく。
ここ最近、不良三人組によるヒッキーイジメは、
身体、金銭に負荷をかけるものではなく、
精神にダメージを負わせる方向に進んでいた。
-
屈辱的なことを強制されることもままあったが、
良心的なクラスメイトは庇ってもくれるし、
振られた立場であるはずのクーも力を添えてくれる。
毎度毎度、絡まれることに疲労は感じているし、
相変わらず掃除当番は押し付けられる生活だが、
目立った変化は現れなかった。
どうやら、ハインはヒッキーと林の前で出会ったことを
誰にも話していないらしい。
話題にする程のことでもない、と判断されたのか、
瑣末なことと忘れてしまっているのか。
どちらにしても、ヒッキーにとっては幸いだった。
ζ(゚ー゚*ζ「すぐ元気になって良かったねー」
(-_-)「プリント、ありがとうございました。
あと、ノートのコピーも」
ζ(゚ー゚*ζ「いいよ、いいよ」
隣の席のデレとも相変わらずの距離感だ。
彼女が「見知らぬ人」でなかったからといって、
今まで築き上げてきたものは何ら変わらない。
-
そう、いつも通り、平凡に、変化のない一日だった。
けれど、どこかで歯車が軋んでいたのだ。
気づくのは、全てが狂った後。
全ての歯車がいびつに歪み、まともに動かなくなって、
人はようやく異常に気づくことができるのだ。
(-_-)「……あ、れ?」
ヒッキーは林の中、呆然と立ち尽くしていた。
ポストの取り出し口に触れた手はそのままで、
氷像にでもなってしまったかのように硬直している。
今日は手紙を投函した次の日の放課後。
ポストの中身は空。
何故、という言葉さえ脳内に居つくことなく霧散する。
ヒッキーが書いたものがないのはいい。
おかしなことではない。
「見知らぬ人」が受け取った証だ。
だが、「見知らぬ人」からの手紙がないのは、
初めてのことだった。
-
支援
-
己と同じく、体調不良なのかもしれない。
ヒッキーは自身に言い聞かせる。
そうして、一日、また一日、時間だけが過ぎていく。
毎日毎日、放課後に林へ向かい、ポストを覗くが、
結果はいつも同じ。
空っぽの空間がそこにあるだけだ。
(-_-)「……」
何もないソレを見るたびに、
ヒッキーは自分の中から何かが零れていくのを感じていた。
手紙がない。
「見知らぬ人」の言葉が、文字が、心がない。
変わったはずの人生すら見えてこない。
(-_-)「……やっぱり、あれがまずかったのかな」
思い出すのは、最後の一枚。
己の本名を記した便箋。
(-_-)「近づいちゃ、ダメだったのかな」
凍えるような空の下、
ヒッキーは静かに膝を折った。
-
支援!
-
手紙一つないだけで、
ヒッキーの胸は不安定にぐるぐると回る。
彼の人生は、無味無臭の味気ないものから、
色鮮やかで味わいのあるものへと変化していた。
今更、手紙の一つが消えたところで、
習慣となっているテレビやラジオの視聴は続けているし、
不意に気になった雑誌を購入することもある。
人と共にあることも、イジメられているにしては増えたといえる。
元々のつまらない人生には戻れない。
一度、甘い味を知ってしまえば、捨て去ることなどできないのだ。
しかし、けれども、やはり褪せている。
景色も、情報も、味も、何もかもが薄ぼけてしまっていた。
原因など一つしかない。
(-_-)「もう、あなたがどんな人かなんて気にしないから。
だから、だから……」
ヒッキーは願う。
その思いを便箋に綴る。
見てもらえるかはわからないが、
細い繋がりがまだそこにあると信じて、一枚の便箋に託すことしかできなかった。
-
登校する途中、ヒッキーは林に向かう。
気が急く。
いくら早くポストに手紙を入れたとしても、
「見知らぬ人」がその分、早く手紙を読んでくれるわけでもないのに。
(-_-)「あ――」
林の手前、ヒッキーは歩く速度を徐々に落とし、
最終的にはその足を止めた。
目線の先の向こう側には林が見える。
未だ、全貌を知らぬ林だ。
この林が春や夏をどう変化していくのかを見るのが、
楽しみの一つでもある。
その林の手前、
いつもヒッキーが足を踏み入れる入り口にしている場所辺り。
ボサボサの髪が冷たい風に揺られていた。
从 ゚∀从「よぉ。
おはよう、ございます、ってか」
ハインが、そこに立っていた。
-
(-_-)「……奇遇、ですね」
思わず声が低くなる。
また、こんな日に、どうして彼女はこの場所にいるのだろうか。
邪魔でしかたがない。
ヒッキーの言葉に、ハインは軽く肩をすくめる。
威嚇の気配を感じているからこその行動だ。
从 ゚∀从「まあ、ちょっと落ち着けよ」
(-_-)「ボクは落ち着いていますよ」
激情に流された覚えなどない。
ただ、さっさとこの場から消えて欲しい、と心底願うだけだ。
(-_-)「この間も思いましたが、珍しいじゃないですか。
あなたが一人なんて」
それも、こんな規則正しい登校時間に、
寝坊もせず通学路に立っている。
从 ゚∀从「おう。今日も、あの日も、一人じゃなきゃダメだったからな」
(-_-)「一人じゃないと……?」
ヒッキーは訝しげに呟き、わずかに首を傾げた。
-
从 ゚∀从「そうだ。
今日は……お前に渡すものがあるんだ」
(-_-)「はい?」
ハインから受け取らなければならないものに心当たりはない。
果たし状、と脳裏をよぎるが、いくらなんでも滑稽すぎる。
イジメられている側に果たし状を出す奴がどこにいるというのだ。
立て替えていたお金、という選択肢も存在しているのかもしれないけれど、
不良三人組の中にその言葉と、返済義務、という言葉は存在していないに違いない。
ならば、とヒッキーは視線をあちらこちらにさまよわせる。
いくら考えてみても、答えは出そうにない。
从 ゚∀从「ん」
悩むヒッキーを無視して、
短い音と共に、彼女は意外と細い腕をヒッキーへ突き出す。
その先端には紙があった。
それは封筒だ。
鮮やかな色をしたエゾギクのワンポイントが入った、可愛らしい封筒。
-
(-_-)「……こ、れ」
从 ゚∀从「あたしだけが知ってるのは、フェアじゃないから」
固まったままのヒッキーにハインは無理やり封筒を押し付けてきた。
触れれば、慣れた紙の質感が指先から伝わってくる。
从 ゚∀从「中、見て」
促され、ヒッキーはノロノロと自分の手の中のものを見る。
ワンポイントこそ初にお目にかかるものだが、
それ以外を見れば見覚えのある封筒だった。
いや、この封筒自体は珍しいものではない。
デレが所持していたことからもわかるとおり、
駅前の雑貨屋でも購入できる大量生産品だ。
封筒と他の事象を結びつけるのは、
いくらなんでも尚早過ぎる。
わずかに震えているヒッキーの指が、
慎重に封を開けていく。
-
あぁ
-
封筒を開けた途端、
ふわりと香るのはお風呂上りの匂いだ。
散々悩み、髪を乾かす間も惜しんで手紙と向き合ったのだろう、と
想像させるには十分すぎる香りだった。
そして、その香りには覚えがあった。
以前も同じように、手紙から香ってきた匂い。
(;-_-)「…………」
慎重に、中身を破ってしまわないように、
ヒッキーは封筒の中から便箋を取り出していく。
薄っぺらい感触から、
中身が一枚しか入っていない、という情報が脳にまでゆるりと伝わってくる。
折りたたまれたそれを手に、ヒッキーは一度だけハインを見た。
何を確認したかったのかは本人にもわからない。
だが、背中を押して欲しかったのだろう、ということだけはわかった。
从 ゚∀从 ))
彼女は一度だけ頷いた。
口を開かず、ただ、無言でヒッキーのすることを肯定した。
-
篭森 ヒッキー へ
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 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
高岡 ハインリッヒ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ人、こと、高岡 ハインリッヒ より
-
便箋の真ん中に、たった一つ、書かれている名前。
いつも見てきた便箋に現れた異物。
その名前が載るのは初めてのことだったというのに、
文字だけはいつも見てきたものと同じだった。
わずかに丸みを帯びており、
けれども、デレが書いた字のような丸字ではない。
素朴さを感じさせる字は、穏やかな可愛らしさがあった。
クーほどではないが、全体のバランスも整っており、
書き手の生真面目な性格を思わせる。
文字と文字の間が狭いのは、引っ込み思案なところを想像させていた。
ひと目見たときから、素敵な字だと見惚れていた。
眺めるだけで穏やかな心になった。
何度も見た。
何度も待った。
何度もなぞった。
それは、これは、この字は、
「見知らぬ人」のものに違いなかった。
.
-
(;-_-)「う……そ……」
从 -∀从「……あたしだって、そう思ったさ」
声を震わせるヒッキーに、ハインは深く息を吐き出しながら答える。
彼女も体を強張らせていたらしく、
息と共に肩から力が抜けていくのが見て取れた。
从 ゚∀从「世間、狭すぎ」
苦笑いをする彼女は、
不良三人組の一人とは思えぬほど、
極普通の女の子だった。
小鳥のさえずりが林の中から聞こえてくる。
そこにあるポストを介してばかりだった二人が、
今、林を抜けた場所で顔を突き合わせているのだと思うと、
何ともいえぬ感慨が胸から染み出してくる。
言葉を失くしたままのヒッキーに代わり、
ハインが再び口を開く。
从 ゚∀从「この間、手紙がなかったから、どうしたのかって、思ったんだ。
だから、いつもと違う時間に林に行った。
もしかしたら、あたしがポストを覗くのが早すぎたのか、って」
-
ヒッキーが熱を出した次の日の朝のことを言っている。
あの時、ハインが林の前にいたのは、ポストを覗いた帰りだったからなのだ。
从 ゚∀从「……そしたら、お前がいた。
まさか、とは思ったんだけど、そのまさかとはなぁ」
そう言い、ハインは薄っぺらな鞄から、
無機質な真っ白の封筒を取り出す。
おそらく、それはヒッキーが最後に投函した手紙だ。
从 ゚∀从「篭森ヒッキー。
名前を見て、迷ったよ」
ハインの名前が書かれている手紙を見てヒッキーが動揺したように、
彼女もまた、ヒッキーの名前を見て心に混乱を呼んでいたのだ。
从 -∀从「ずっと、ずっと迷ってた。
便箋に何度も何度もあたしの名前を書いて、
そのたびにぐしゃぐしゃにした」
彼女の家のゴミ箱には、何枚もの便箋が紙くずとなり、入っているのだろう。
一枚一枚、違うワンポイントのついた便箋だ。
けれども、書かれている内容だけはいつも同じだった。
高岡 ハインリッヒ。
彼女の名前。
-
从 ゚∀从「手紙を楽しみにしてたんだ。
誰にも言えなかったことをたくさん書いた」
(-_-)「……キミがあんな、アイドル曲を歌うなんて知りませんでした」
从 ゚∀从「しぃ達にも言ってない。
アレはヒトカラ用だ」
(-_-)「駄菓子屋の合言葉も知ってるんですね」
从 ゚∀从「ガキっぽいから黙ってたけどな」
(-_-)「林でお花見とかしてたの?」
从 ゚∀从「こっそり。
あいつらに教えると、せっかくの風景が台無しだ」
(-_-)「ぬいぐるみとか好きなんですね」
从 ゚∀从「悪いか」
(-_-)「花も好きなんですか?」
从 ゚∀从「便箋に選ぶくらいにはな」
-
(-_-)「一人が嫌いなんですね」
从 ゚∀从「誰だって、一人は嫌だろ」
(-_-)「お家、大変だったんだね」
从 -∀从「まあ、それなりに」
(-_-)「助けようとしてくれたんだ」
从 -∀从「しぃとトソンを止められるのなんて、
あたしくらいだろ?」
(-_-)「辛いことは手紙にして、全部燃やしてた?」
从 ∀从「そうだ」
(-_-)「誰にも言わずに」
从 д从「……」
(-_-)「自分だけで全部背負い込んで」
从 д从「……関係、ないだろ」
(-_-)「あるよ」
-
困惑も、不信感も、恐怖も、何もなかった。
何故なら、ヒッキーの目の前にいるのは、
「不良三人組」のハインではない。
「見知らぬ人」である、高岡ハインリッヒなのだ。
(-_-)「キミの字、とても素敵だ」
从 д从「……字を見るの、好きって、言ってたもん、な」
(-_-)「うん。たくさんの字を見た。
その中でも、キミの書く字は一際輝いて見えた」
从 д从「どこにでもある、字だ」
(-_-)「違うよ。あんな風に、暖かくて、素朴で、生真面目で、
どこか引っ込み思案な字をボクは見たことがない」
从 д从「……どんだけ、字、好き、なんだよ」
(-_-)「知ってるでしょ」
从 д从「…………うん」
-
彼女が「見知らぬ人」だから、
「見知らぬあなた」であるヒッキーを知っている。
二人は互いを知らなかったが、
心はいつだって紙と文字を介して隣り合っていた。
(-_-)「だから、関係なくなんてないよ」
从 д从「馬鹿」
(-_-)「ほら、やっぱり、キミは一人じゃないし」
从 д从「馬鹿」
(-_-)「ボクはすぐ傍にいたわけで」
从 д从「馬鹿だ」
(-_-)「今もキミを拒絶なんてしてない」
从 д从「馬鹿だよ。お前。
いじめられてるくせに。
あたしに、いじめられてるくせに」
(-_-)「キミに支えられてた」
-
(-_-)「手紙があったから、平気だった。
ううん。それよりも、手紙があったから、
前よりもずっと楽しくなった」
从 д从「そのせいで、いじめが酷くなったんじゃん」
(-_-)「否定はしないけどね。
でも、それまでの無意味な人生よりも、
ずっと有意義なものに変わったよ」
从 д从「お前、つまんねー奴だったもんな」
(-_-)「うん。だから、感謝してるんだ」
从 д从「「見知らぬ人」に、だろ」
(-_-)「それはキミでしょ」
从 д从「でも、あたしは」
(-_-)「ありがとう。ハインさん」
ヒッキーはハインの手を取った。
-
(-_-)「嫌いになんてならないよ。
手紙、ずっとありがとう。
たくさんのことを教えてくれてありがとう。
せっかくだし、春には一緒にお花見でもしよう。
あと、面白い漫画、貸して欲しいな。
ずっと、こうして話したいって、お礼を言いたいって。
……泣いてるキミの傍にいたい、って思ってた」
从 ;д从「泣いてねーよ!
バーカ! 馬鹿!」
(-_-)「泣いてるじゃん」
从 ;д从「本っ当に馬鹿!
こういうときは、合わせときゃーいいんだよ!」
(-_-)「そうなの?」
从 ;д从「そうなの!」
(-_-)「じゃあ、泣いてない」
从 ;д从「……そーだよ。
泣いてない。泣いてないから、手、離せ」
(-_-)「嫌」
-
ヒッキーはその日、生まれて初めて学校をサボった。
ようやく泣いている「見知らぬ人」の隣にあれたのだ。
彼女を放って行けるはずがない。
二人は人が通りがかることを考え、
ゆっくりと林へと姿を消した。
そうして、全ての始まりともいえるポストを挟んで、
ずっと隣あっていた。
風は冷たく、木の葉は霜が降りて湿気ていたが、
気にすることなく、ただただ隣にある温もりを感じるばかりだった。
言葉はなかった。
先ほどまでは、あれだけ口を開いていたはずなのに、
少し落ち着けば何を話せばいいのかわからなくなってしまったのだ。
何せ、彼らのやりとりはいつだって紙と文字によって成されていた。
目と口を使うコミュニケーションにはどうにも違和感がついてまわる。
同時に、必要ないとも思えていた。
本当に必要なことは、もう知っている。
そんな風に二人は思えた。
林の中で、また小鳥がさえずる。
今、二人の世界はとても狭い。
-
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
やはり、私達にはこういうやりとりが一番合っているの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
かもしれないですね。実際に会うと、何を話していいの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
やらわからなくなってしまいます。何より、私はこの手
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
紙のやりとりを忘れたくないのです。一枚一枚が大切
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
な思い出であり、私を構築していく一つになっていった
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
のですから。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そういうわけで、これからもよろしくお願いいたします。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あと、あまり無茶はしないでくださいね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
以前にも書いた通り、私はあなた傷ついてほしくあり
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ません。味方がいる、というのもご存知の通りかと思
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
います。あなたが矢面に立つ必要はありません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
学校では今までどおり接してください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
それが私の望みです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ私より
-
見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そうですね。私も勇気を出して、あの場所に行ったの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ですが、やはり心の準備が足りていなかったな、と思
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いました。いえ、どれだけ準備をしても、足りることは
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
なかったのでしょうけれど。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私もこのやりとりが好きです。やめたくありません。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたがいいと言ってくれるなら、続けていきたいです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今、この手紙を読んでるころなら、あなたは、私が何
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
をしたか知っているでしょう。どうなりましたか? 私の
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
勇気は実を結びましたか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
私は一人ではないので、恐れず行動できたことでしょ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
う。やっぱり、イジメは良くないと思うんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
家のことがあって、荒れて、不良になった私ですが、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
これからもっと変わっていきたいと思っています。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ人より
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見知らぬ人へ
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ああ、キミはなんてことを。信じられない。ボクの言葉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
は欠片だってキミに届いていなかったのだろうか。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
キミの行動が間違っているとはいわない。世間的に
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見れば正しいことだった。けれど、そのせいで、彼女
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
達と仲違いしてしまった光景を目の当たりにして、ボ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
クが受けた衝撃といったら。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でも、良かった、他のクラスメイト達が、キミを受け入
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れてくれて。あの時のキミの顔といったら。キョトン、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
と言う言葉が本当によく似合っていましたよ。私がおら
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ずとも、一人になることはなかったようですね。よく考え
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
てみれば、私がイジメられているときも庇ってくれてい
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たのですから、正しいことをしたあなたを受け入れてく
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れないはずがありませんでしたね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ私より
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見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
これを書いている今、外は雪が降っています。この手
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
紙があなたの手に届いているころまで降っているで
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
しょうか。私の足あとは見ましたか? たぶん、あなた
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
よりも大きいと思います。マラソンをしていて思ったの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ですが、私のほうが足が速いですよね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ところで、もうすぐクリスマスですね。この調子だと、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
当日はホワイトクリスマスになるでしょうか。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたは何か予定がありますか? 私は、委員長や
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ほわほわちゃんとクリスマスパーティーをする予定で
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
す。きっと、あなたの話もでるでしょうね。お手紙のこ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
とは秘密にしておきます。もちろん、パーティでの話は
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あなたに秘密にしておきます。そわそわしててください。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ人より
-
ああぁ
-
見知らぬ人へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
雪はやんでいますが、まだ積もっていました。でも、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
降り続いていたせいで、足跡は消えていました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たぶん、私のほうが足は小さいでしょう。身長も然程
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
差がありませんし。運動神経については何も言わない
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でください。私は平均です。あなたが速いんです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
クリスマスに予定はありません。強いていうなら、勉強
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でしょうか。一応、受験生ですので。クリスマスパー
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ティを楽しんできてください。あなた方が何を話すのか
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ちょっと怖いです。できることならば、私のフォローを
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
してくれると嬉しいです。しかし、パーティーのことを知
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
らなければ、そわそわすることもなかったのに、と思わ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ず恨めしい気持ちが顔を出してしまいそうです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見知らぬ私より
-
見知らぬあなたへ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
もうすぐ今年が終わってしまいますね。あたしは親せ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
き付きあいとは縁のない家庭なので、お正月もこの辺
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
りにいる予定です。あなたはどこかに行ったりするの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
でしょうか。どこに行くとしても、風邪には気をつけて
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
くださいね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
学校も冬休みに入りましたが、宿題は順調に進んで
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
いますか? あたしはそれなりです。あなたは勉強ば
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
かりしているイメージがついてきました。受験生なので
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
しかたがないとは思いますが、たまには息抜きも必要
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ですよ。何事も、オンオフが大事だと聞きました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お年玉をたくさんもらって、何か気分転換になるような
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ことに使ってみるのもいいと思います。あたしは欲しか
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ったポーチと、新しい便箋を買う予定です。
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見知らぬ人より
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見知らぬ人へ
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ボクも年末年始はこの辺りにいますよ。親戚もみんな
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そう遠くないところに住んでいるので。風邪には気をつ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
けています。あなたも暖かい格好をしていてくださいね。
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宿題は昨日、無事に終わりました。クラスの男子と宿
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
題会をひらいた結果です。こんな風に、学校の外でク
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ラスの人と会う予定をたてたのは初めてのことでした。
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それだけ、ボクが変われた、ということだと思います。
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キミのおかげです。ありがとう。
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この手紙が何よりもの息抜きのつもりです。お年玉は
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毎年貯金しているのですが、今年は何か使ってみよう
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
かな。良い便箋を買ってみるとか。
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正月は毎年、初詣に行くくらいしか予定がないので、
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キミのお勧めの番組があれば教えて欲しいです。
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見知らぬ私より
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見知らぬあなたへ
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お互い、どこにも行かないお正月になりそうですね。
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最近、不良仲間とまた遊ぶようになりました。前みた
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いに悪さはしていません。普通の女子と遊ぶ感じです。
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元旦は彼女達もさそって初詣に行く予定です。
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あなたが変われたというのなら、それはやっぱり、あ
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なた自身の力だと思います。でも、少しでも、あたしが
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きっかけになれた、というのなら嬉しいです。あたしも
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あなたがいたから変われました。ありがとう。
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お互い、新しい便箋を見せ合うことになりそうですね。
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真っ白な便箋も悪くないと思いますが、新しいものも
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楽しみです。漫画を買ったり、ゲームを買ったりもして
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みてください。
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オススメの番組は紅白です。たくさん歌が聞けるので。
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見知らぬ人より
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すごくいい作品
久々の大当たりだわ
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高岡さん へ
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テストが返ってきましたが、どうでしたか? 顔色がす
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ぐれないようでしたが。何点だったかは知りませんが、
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あまり落ち込まないでくださいね。ボクでよかったら勉
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
強も教えますので。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
調理実習でのお菓子、ありがとうございました。美味
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しかったです。見た目も綺麗で、みんな驚いていまし
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たね。普段もお菓子を作ったりするんですか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
この間、お勧めしてもらった『ブンハン』を買いました。
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難しいですね。こういうゲームは苦手みたいです。ク
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ラスの人に手伝ってもらいました。今度、クイズゲー
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ムを借りることになりました。どんな問題が出るのか
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楽しみです。そういえば、高岡さんはどんなゲームを
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するんですか?
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篭森 ヒッキー より
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篭森 へ
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テストの点数に関しては聞かないでください。ヒッキー
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
の予想通りです。今回はクーと勉強したので、自信が
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あったんですけど、いつもよりちょっと良いだけでした。
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おかしはたまに作ります。でも、普通のご飯を作るほ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
うが得意ですし好きです。うちはあたしが家事担当な
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ので。あたしからのおかしよりも、クーからもらったお
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
かしはどうでしたか? クラス中の男子から白い目で
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
見られてましたね。笑いました。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヒッキーには戦うゲームは似合いませんね。わたわた
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
しているところが目に浮かびます。いっそ、育成ゲー
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ムをしてみたらどうでしょうか。キュートというキャラと
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お話しする『キュトモ』とかはどうでしょうか。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
高岡 ハイン より
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高岡さん へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
前よりも点数が上がってたなら、良いと思います。こ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れからも少しずつ良い点を取っていけばそれでいいん
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ですよ。クーさんもそう言うと思います。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
高岡さんは偉いですね。ボクも見習わないと、と思い
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ました。時々、お皿洗いくらいはするのですが、他に
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
家のことを手伝う、ということは本当にないので。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
クーさんのも美味しかったですよ。ただ、何故か男子
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
全員に一発ずつ蹴られました。彼女がいるブーンにま
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
で。彼女がいない人になら、まだわかるんですけどね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
『キュトモ』を調べてみました。これならボクにもできそ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
うですね。無料アプリ版もあるみたいなので、試しに
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そちらをダウンロードしてみました。つい先ほど始めた
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ばかりなのですが、楽しいです。
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篭森 ヒッキー より
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ヒッキー へ
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もうすぐバレンタインなわけだけど、ヒッキーは誰から
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もらう予定なんだ? 去年はどうせ母親からしかもらっ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
てないんだろうけど、今年はクーやデレからももらえる
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
んじゃないか? クーはまだお前のことが好きみたい
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だな。本当に物好きな奴だ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お返しにあげるおかしには意味があるらしいから、ちゃ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
んと調べてから返してやるんだぞ。クーを泣かせたら
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
マジで許さないから。
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あと、就職のことは、別に黙ってたわけじゃないから。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
言ったつもりになってただけ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
教室で先生に面接の話されたときのお前の顔、ちょっ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
とビックリするくらいだったから。そんなショック受けん
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
な、ってくらいだったから。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ハインより
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ハイン へ
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別に、誰から貰う、なんて予定はないよ。そりゃ、貰え
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
たら嬉しいけど。クラスの女子が集まって、男子全員
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
に義理チョコ配ろう、って話してたの知ってるからね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
クーさんのことは何とも……。でも、泣かせるつもり
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
はないよ。本当にね。彼女は良い人だから、ボクの
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
気持ちがふらふらしてるのを知ってて放っておいてく
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れてるんだよね。うん。幸せになってほしいと思って
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
るよ。キミの大切な友達だしね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
就職のことは本当にビックリしたんだからね。まさか、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ボクにも内緒にするようなことだったなんて、って。キ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ミは抱え込む前科があるし。でも、当たり前みたいに
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
進学する、って思ってたのも悪かったよね。ごめん。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ボクは大学にいくつもりです。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヒッキー より
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ヒッキー へ
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何だ。知ってたのか。机に仕込まれるのと、投げつけ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
られるの、どっちがいい? 参考にするから教えてく
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
れ。ドクオ辺りは投げつけられたほうが喜ぶかな。
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あたしもクーの幸せを願ってるよ。あと、デレやしぃや
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
トソンも。あんたは、しぃ達のこと嫌いかもしれないけ
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どね。根っからの悪じゃないんだ。信じてやってくれ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
別に、謝ることじゃないだろ。たしかに、あたしは家庭
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
の事情ってやつで就職するけど、そうでなくたって、
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学校よりも働くほうがしょうに合ってると思ったんだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
お前が進学する、ってのはわかりきってたよ。手紙で
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
も何度も何度も受験生、って言ってたし。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
遠くに引っ越したりするのか?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ハインより
-
ハイン へ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
そういうのはサプライズだから良いんじゃないの?
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少なくともボクなら机に入れられてるほうがいいです。
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しぃさんやトソンさんも悪い人じゃないと思ってるよ。
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ちゃんと謝ってもらったし。まあ、今でも苦手意識はあ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
るけど。キミの友達を悪く言ったりしないから。安心し
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
て話題に出してくれていいんだよ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
キミは授業中、退屈そうだもんね。体を動かしてるほう
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が好き、っていうのは、そうだろうなーって思ったよ。
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高校を卒業してすぐ働くことに負い目を感じる必要な
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んてないよ。不用意に謝ったりしてごめん。そういう
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つもりじゃなかったんだ。
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大学は電車で通えるところにするつもり。バスで駅ま
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で行くから、今まで通り、林の前を通って行く予定。
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宛名でだんだん距離が近づいてくさまがなんかもう
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だから、キミも、ここにいてね。
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ヒッキー より
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季節は流れ、冬が終わり、春がくる。
暖かさに誘われて花々が咲き誇り、
卵だ何だといわれている学生達もゆっくりと孵化していく。
(-_-)「行ってきます」
大学生になったヒッキーは、
林の前を通りすぎたところにあるバス停からバスに乗り込み、
学校を通過して人々が賑わう駅にまで行くのが常だ。
今日もそのルートを変わらず踏んでいくつもりだが、
二日に一度、一つ過程が増える。
(-_-)「……本当に、綺麗だなぁ」
ヒッキーは林を通り過ぎることなく、
ぽつりぽつりと桜の木も生えている林へと
足を踏み入れていく。
去年の今頃は、この景色も知らなかった。
何も変わることなく過ごしていれば、
今年だって気づかなかっただろう。
(-_-)「そろそろ、お花見のお誘いをしないとね」
小さく笑い、取り出し口を開けると、
封筒と小さな箱を一つポストに入れる。
投函された封筒は、淡い桜色をしていた。
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从 ゚∀从「んー。
今日も働いたなぁ!」
無事、地元のパン屋に就職することができたハインは、
落ち始める日の中、テクテクと歩いている。
彼女の自宅に真っ直ぐ向かうならば、
この道はかなり遠回りになってしまう。
勿論、意味なくこのような道を選んでいるわけではない。
この道を使って家に帰れば、途中、林の前を通るのだ。
彼女はチラリ、と周囲を確認してから林へ入っていく。
昔から、何度も何度も通った道なので、
今更迷いはない。真っ直ぐ、目的の場所へ突き進む。
从 ゚∀从「……ん? 何だ、これ」
ポストを開けると、いつもの封筒ともう一つ。
見知らぬ小箱がある。
手のひらサイズのそれを手に取ると、
ハインは躊躇なく小箱の蓋を開けた。
从 ゚∀从「ふは。
なるほど。そうだな、そろそろ花見の季節だよなー」
小箱の中には、小さな桜餅が一つ入っていた。
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彼と彼女の関係が、
その後、どう変化していったのか。
それを明言化するのは野暮というものだろう。
愛情、友情。
家族愛、供依存。
恋人、家族、友人、親友、相方、仲間。
他者に与えるものは数多くあれど、
関係性につける名は星の数ほどあれど、
言葉や文字にしてしまえばそれだけのことになってしまう。
どのような形を与えようとも、
彼と彼女が繋がっていることは変わりなく。
どのような意味を持とうとも、
そこに心があることに嘘偽りはない。
ならば、彼と彼女の関係をあらわすものは、
一枚の手紙。ただそれだけでいい。
(-_-)見知らぬ人へ送る、ようです 完
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乙
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乙!これはいいな。面白かった。ヒッキーの変化がいい
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全俺が泣いた
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以上。投下終了。
猿がいないのでサクサク投下できたから、
日付をまたぐとは思ってなかった。
2、3日くらい経ったら過去ログ申請だします。
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おつ!
地の文と手紙の宛名でヒッキーの成長とハインとの関係性が伝わってきてんあああってなった
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乙
感動した( ;∀;)
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ファンタジーだねぇ、まっすぐで好き
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うわあ胸焼けするぐらいの甘酸っぱさだあ
ハインのちょっと勉強ができなくて漢字があんまりかけないところとか、ヒッキーとの関係の変化とかかなり細かくて読んでて純粋に楽しかったよ
盛大に乙を送ろう
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乙
最高だった
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すごくよかった
気の利いたことはいえないけど乙
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乙
同じような頃に似たようなことしてたのを思い出した
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ありきたりだなーと思って読んでたけど途中から時間も忘れて読み耽ってた
気持ちのいい話だったな
面白かった
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すごくよかった、乙!
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やっぱみんな読ん込んでたんだな
支援の少なさが不思議でならなかった
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うおーめっちゃよかった!乙!
今更だけど、ブーン系の話ってほんと名作ばかりだ…
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乙
見知らぬ人がわかったうえでもう一回読むと二度美味しい作品だな
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ハインが手紙を手渡ししたところでうるっときて、その後の手紙の流れでさらに涙が止まらなくなった
読むのに夢中で支援もできなかったぜ
乙!
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好き
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乙
いい空気感
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よかった!
しかしこのヒッキーはやたら女の子に囲まれてたな
羨ましいわ。乙
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久しぶりに爽やかで甘酸っぱいのを読んだ
おつかれー
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おつ
スレタイ見た時はなんか不穏な話になるのかと思ったが優しい話でよかった
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当ててやるつもりで読んだけど全然予想と違う展開だった、上手いなあ
ちょっと泣いたし綺麗で読みやすくてよかった乙
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トソンかと思ってた。乙
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いいね
最初は平凡でつまらない作品かと思ったけど気づいたた仕事もしないで読んでたwww
乙!!
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おつ
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急にこう言う作品が出てくるからブーン系はやめられんなぁ
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ああああああ!!!!すきだああああああ!!!!
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すげえ良かった
すごくすっきりした終わり方だから気持ちのいい余韻が感じられるわ
色々言いたい事あるけど兎に角乙
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おつ
道は目の前でなく自分の後ろに出来る、を体現する作品だと思う
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やはり最初の好みをつけるとしたらハインよりクーはフラグだったか
繊細で綺麗な作品だったと思う
乙
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凄く面白かった。
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評価いいなーと思って読んでみたらこれあかんわこういうのすげえ好き
手紙で距離の縮まっていく様最高かよ・・・まじでおつ
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たまにこういう当たりがあるから…
創作板を読むのを辞められねぇ…
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乙
非常に読み心地が良く、良く出来た作品だと思う
こういうの書けるってのは凄い事だなぁ
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未だに乙が付き続けてるのがすごい
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それほど面白い作品ってこった
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ひぇぇ映画化決定( ;∀;)
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乙
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SSとしてもすげー完成度だった。
面白かった。
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乙
勢いあるから読んでみたら良作だった
正体については予想と外れたなあ、ちょっとくやしい
宛名とか文体で近付いてるのが見えて良かった! 甘酸っぱい!
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木さんが勧めてて見たら想像以上だった、、どきどきした
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とてもおもしろかったです
ぼくはすごいなぁと思いました
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単におもしろい作品はいくらでもある
けど「人生観に影響を与えるほど良い作品」というのは稀で、自分にとってこの作品はその類いだと思った
心のからの感謝の乙
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文字にしてしまうとそれだけのものになってしまうかもしれないが、
それでも私は、主に最大の賛辞を送りたい
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