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Ammo→Re!!のようです

856名も無きAAのようです:2017/12/04(月) 19:46:49 ID:v4yXdykE0
――そして、日付が切り替わった。

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人は布を見る。 過去と現在が布の上で繋がり、そして作品を形にするからだ。
                              ――今を重視する人間の答え

           編集・録音・テキストエフェクトデザイン【ID:KrI9Lnn70】

August 13th
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日付が切り替わってから数十分後。
静まり返った山の中を、一台のセダンがヘッドライトもつけずに走っていた。
セダンを運転する男は月光のみを頼りに運転し、カーラジオすらかけず、開け放った窓から流れ込んでくる風の音と虫の声をBGMにしていた。
男は物憂げであり、不満げだった。

人気のない道を静かに走るセダンの後部座席にはもう一人、同乗者がいた。
同乗者は拘束具によって自由を奪われた状態で気を失っていた。
その拘束具はただの拘束具ではなく、ジュスティア警察が凶悪犯逮捕に使用するために“職人の都”に特注した一品だった。
極めて頑丈かつ軽量で、伸縮性と柔軟性に富んだ素材で作られているため破壊は容易ではない。

腕力に自信のある者でも自力で脱出することは不可能で、強度実験の段階でAクラスの棺桶を使っても突破出来なかった実例が報告されている。
両腕を胸の前で組んだ状態で大きな布で腕全体を覆い、背中の後ろで固定するという単純な構造だが、効果は極めて高い。
拘束具を嵌められて抵抗を試みた人間ならば、誰もが一時間以内にそれを理解する。
そして、警官だった人間であれば誰よりもよく理解しているため、抵抗すらしない。

ジョルジュ・マグナーニは抵抗する素振りすら見せず、申し訳なさ程度のクッション性を持った座席の上に静かに横たわっている。
彼は拘束具に加えて口に猿轡をかまされ、言葉を発することの一切を禁止され、目隠しとヘッドフォンによって視覚と聴覚も奪われていた。
猿轡は余計な言葉――罵詈雑言は勿論、強化外骨格の起動コードなど――を口にさせないため。
目隠しは己の周囲にある物を見せず、時間の流れも悟らせないため。

絶えず不協和音を奏でるヘッドフォンは周囲の状況の一切を知覚させず、思考を妨害するため。
五感の内触覚と嗅覚以外を奪われた場合、人間は周囲の状況を推測することが極めて難しくなる。
尤も、気絶している人間にそのような事を気にしても仕方がないが、相手が相手であるため油断は出来ない。
ジョルジュと言えばジュスティアの暗部を知り尽くした人間であり、あまりにも多くを知りすぎている。

ひょっとしたら、誰も知らないだけでこの拘束具の欠点を知っているかもしれないのだ。
倫理観を無視した行動を平気でする人間である以上、悪質な手段を取られかねない。
運転手は例えこの男が目を覚まして排泄を所望したとしても、それに応じるつもりは断じてなかった。
車内で垂れ流しにして、屈辱を味わってもらうだけだ。

ジョルジュの折れた肋骨では自力で脱獄など到底不可能だが、一切の油断も慈悲もない対応がされ、それが弱められる予定は何があろうとも一切ない。
このまま彼を警察に引き渡せば、待っているのは暗い未来だけである。
汚れ仕事を多く処理してきた彼の存在が公とならないように内々に処分し、闇に葬り去らなければならない。
ただでさえ元警官が大きな犯罪に関わったというのに、また新たな警官が――それも公に出来ない仕事ばかりをしてきた――事件を起こしたとなると、大きな問題になってしまう。


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