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Ammo→Re!!のようです

744名も無きAAのようです:2017/06/12(月) 21:29:27 ID:cylVOJUg0
時間稼ぎだと思っていた。
場を混乱させ、自らは逃げるのだと思っていた。
デミタスは違った。
彼は、最初から死ぬつもりだったのだ。

死ぬことが狙いの人間を殺そうとしていたのであれば、ヅーはとんだ愚か者だ。
至近距離でさく裂した高性能プラスチック爆弾の閃光が、彼女の視界を白く染め上げた――

瓜; - )

――思えば、自分はいつもそうだった。
大切な物に自分だけでは気付く事が出来ず、誰かの力や存在を経てようやく理解できる。
器用な人間ではないのだ。
器用を振る舞い、不器用に生きていただけ。

誰かの期待に応えるために奮闘し、自分自身に期待することは一度もなかった。
決められたレールの上で物事は動き、その物事を管理する内、見落とすことが増えて行った。
それにさえ気付けなかった。
例えば、自爆の道を選んだこの男もそうだ。

デミタスは孤児たちのために美術品を売り払っていた。
それは事実であり、彼が救った子供たちは多くいる。
その資金供給を断ったのはヅーだった。
それが規則だからだ。

規則に従い、孤児院に流れる金の一切を遮断した。
万が一、その孤児院が違法ビジネスに使われていたら取り返しがつかなくなると考えた警察の判断だった。
彼女はそれに従った。
結果、大勢の子供が路頭に迷い、体を売り、そして肉片と化した者もいた。

心は痛まなかった。
彼女には直接関係ない事だったし、それは、彼女の判断ではなかったからだ。

瓜; - )「ぐ……ぁ」

気が付けば、ヅーは地面に倒れていた。
爆音のせいで鼓膜は両方とも破れ、全身には無数の破片が突き刺さり、両目は硝子によって潰れていた。
痛みは感じなかった。
四肢の感覚は無くなっていた。

赤黒い色以外、何も見えない。
耳鳴り以外、何も聞こえない。
寒さ以外、何も感じない。
今、自分は生きているのだろうか。

分からない。
誰かに教えてもらわなければ、何も分からない。
酸素が足りない。
いくら息をしても、まるで、どこかに穴が開いているかのように抜けていく感じがした。


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