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Ammo→Re!!のようです

569名も無きAAのようです:2017/02/18(土) 22:27:31 ID:gHb2Rkgo0
即ち、自分を除く家族全員を爆殺するという計画を立てた張本人は母親であり、その目的は耳付き――獣の耳と尾を持つ人種――を根絶やしにする為。
狂気だ。
正に、狂気としか言いようがない。
その血を引く人間が自分だと思うと、ヒートは憤りと共に吐き気を覚えた。

確かに、耳付きは世間から疎まれている。
それは紛れもない事実だ。
奴隷として売られ、詳しい研究もされていない、正に家畜とほぼ同じ扱いを受けているのは誰もが知っている。
というよりも、誰もがそう教育され、そう感化され、そう信じるようになっているのだ。

弟が生まれるまでは、それはいささか疑念のある考え方だと思っていたが、ヒートは口には出さずにいた。
耳付きと関わることはほとんどない人生だったし、街中で売られている子供を見たことがあるが、それを助けようとは思わなかった。
それがヒートの世界だった。
弟が生まれるまでは。

弟を目にしたとき、ヒートは己の認識の全てが変わった。
耳付きに興味を持ったのは、間違いなく弟の影響だった。
彼が病気にかかった時にはどうすればいいのかなど、図書館で調べることが増えた。
そこで分かったのは、耳付きに関して興味を持っている人間はほとんどおらず、誰も研究をしていないという事実だ。

何故耳付きが生まれるのか。
耳付きは何故人間離れした身体能力を有しているのか。
ヒートはそういったことに興味が湧いたが、答えは終ぞ得られることはなかった。
しかしながら、得られたものがあった。

耳付きと呼ばれる人種は、人よりも優れている部分の方が圧倒的に多いという事だ。
一度風邪をひけばもう二度と引くことはなかったし、体温の高さ故に寒さにも強かった。
だが、それは耳付きという人種を知るだけであり、共に生活をしていれば誰でも気付く事だ。
ヒートが得た最大の成果は、それではなかった。

弟がいるというだけで、ヒートの世界は全てが輝きに満ち、新たな発見に溢れたものとなった事が、何よりも素晴らしい成果だった。
弟はこの世界の宝物だった。
世界を引き換えにしてでも守りたいと思う存在だった。
仔犬のように可愛らしい弟は母よりもヒートに懐き、歳が離れていることもあってヒートが食事などの世話をした。

おむつを替え、寝かしつけ、風呂にも入れた。
愛情を注ぎ続け、弟は育っていった。
言葉もままならない中、弟が初めて喋った言葉は「ねーね」だった。
ヒートはその言葉を聞いた時、涙を流して喜んだ。

だが思い返せば、母親は弟が生まれてからずっと彼に対して目を背け続けていた。
世話全般をヒートに任せ、自分は仕事に専念していた事を思い出す。
家計を支えるためとヒートは納得していたが、それは結局、弟の存在を疎ましく考えていたからだろう。
首も座り、一人歩きを始めたのは生後七か月の頃だったが、それを目撃したのはやはりヒートだった。

思い出が次々に浮かび上がり、ヒートは改めて母親に対して殺意が湧き上がって手に力が入った。
思い出の何もかもを吹き飛ばし、弟の命と父の命を奪った女。
血の繋がりがあろうとも、必ず復讐は果たす。
これまでに積み上げてきた屍の中の頂上に、あの女を加えることは義務に近い物がある。


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