したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が900を超えています。1000を超えると投稿できなくなるよ。

Ammo→Re!!のようです

422名も無きAAのようです:2016/08/30(火) 20:37:06 ID:t6mV4x2M0
口の周りに付いたコーヒー牛乳をデレシアが指で拭ってやる。

ζ(゚ー゚*ζ「温泉とこれはセットの様なものね。
      どう? 気に入った?」

(∪*´ω`)「おっ!」

尻尾を振りながら、ブーンは嬉しそうに頷いた。
頭を撫で、デレシアは微笑む。
二人から空き瓶を受け取ってパニアに戻し、ディに跨った。
小さく嘶くようにしてディのエンジンがかかる。

ζ(゚ー゚*ζ「さ、次は街に行きましょう。
      お昼ご飯を食べてからお買い物ね」

そのついでに、街の様子を観察する、という言葉は言う必要がなかった。
再度三人を乗せたディは、少しも力を衰えさせることなく山道を登り始めた。
来た時とは違う道を使って舗装路に戻り、島の北側から時計回りに進んで南にある街に向かうことにした。
道中、左手の視界が開け、大海原と青空が現れた。

白い雲が夏の真っ青な空に気持ちよさそうに浮かび、空よりもずっと深い青色をした海が宝石のように煌めく。
自然豊かな街の景色は、絵葉書としても人気のある風景だ。
長い緩やかな坂道を走り、再び、自然の作り出した緑のトンネルを通過する。
風呂上がりの体を撫でる風は三人の体を優しく冷やした。

やがて島の北へと戻った三人だが、エラルテ記念病院の前を通りかかった時、デレシアは病棟を見上げた。
そこには今頃、緊急手術を終えたトラギコ・マウンテンライトが入院しているはずだった。
彼の体力がその渾名通り“虎”並ならば、今日にでも退院したいと暴れるに違いない。
優秀な警察官である彼ならば、デレシアの期待を裏切らずにこの島に逃げ込んだ逃亡犯を追いつつ、デレシア達を探すことだろう。

いや、彼がどこまでの警察官なのかは予想でしかない。
ひょっとしたら、最初から逃亡犯に興味はなく、デレシア達を追い続けるかもしれない。
それだとしても、この島に潜む愚か者共の思惑を邪魔する嵐として動いてくれるのは間違いなさそうだ。
時々いるのだ。

生きているだけで周囲に多大な影響を及ぼす人間が。
多くの場合、そういった人間――今回の逃亡犯の様な人間――は犯罪者として世の中に災厄と混乱を撒き散らした末に死に絶えるのだが、警察官として働く場合も稀にある。
トラギコは間違いなくそういう人間だ。
犯罪者にとっては災厄の象徴であり、嵐を伴って現れる獣。

彼は出来るだけ近くにいた方がよさそうだった。
追いつかれず、見失わない絶妙な距離。
その距離を保てば、トラギコはデレシア達に近づく虫を払いのけてくれるはずだ。
彼が望むと望まざるとに関わらず、トラギコは自分の獲物として認識しているデレシア達を横取りされるのを黙って見ていられる人間ではない。

グレート・ベルが見えてくると、ブーンは興奮した様子だった。
周囲の建物と比べてあの鐘楼は背が高く、どこからでも見上げることが出来る。
どこからでも見上げられるという事は、どこからでも見下ろされるという事でもある。
鐘の音街と呼ばれる所以として、相応しい姿だ。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板