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( ^ω^)きっとよくある冒険譚のようです

1名も無きAAのようです:2014/10/13(月) 23:59:31 ID:t2pLqBbw0
彼らの世界には剣がある。
彼らの世界には魔法がある。
そして、彼らの世界には敵がいる。

だが、彼らの旅は自発的なものではない。


それでも彼らは駆け抜けるだろう。

266名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 19:40:19 ID:N.nBhwUM0

ツンの村から瘴気の中を東へ進む。
途中川があったが一部をクーの魔法で凍らせて橋を作った。
時々追いついてくる魔物は窓から身を乗り出して退けた進んだ。

そうやって旅を続けていた。
そして、ある日その日の食事担当だったブーンが事実を述べた。


( ^ω^)「まずいお
食糧庫の中がだいぶ空だお」


ブーンの言葉にパーティメンバーが固まる。
沈黙に耐え切れずブーンは冷や汗を流しつつ続けた。


(;^ω^)「戻って補給を忘れていたお」

川 ゚ -゚)「瘴気の中で餓死か、洒落にならん」


クーが顎に手を当てて悩ましげに言う。
ツンは何か外に助けになるものはないかと操縦部屋の外を見る。
その時彼女の射手として鍛えられた目がある物をとらえた。


ξ゚⊿゚)ξ「あっちへ行って! 城壁があるの!!」


ツンの言葉でそちらの方へ馬車を進める。
瘴気が少しずつ薄くなる。
やがて瘴気がない場所にそびえたつ巨大な石の壁が目に入った。


( ^ω^)「僕らの地方以外にも残っていたのかお」

ξ゚⊿゚)ξ「瘴気を越えられなかったから分からなかったんだわ」

川 ゚ -゚)「面白いな、この壁はすべて石だ」

('A`)「うーん……この壁の周り走って停めるか」


ドクオはそう言うと手綱を持ち直した。

267名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 19:42:30 ID:N.nBhwUM0

第9話 石でできた場所

268名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 19:44:21 ID:N.nBhwUM0

馬車を壁の近くの草原にひとまず停める。
全員降りて見慣れない石を組み上げることによってできた石壁を見つめる。


( ^ω^)「そう言えばおじいちゃんが
『昔はもっと世界は広かった』って言っていたお」

川 ゚ -゚)「魔物に侵攻されないように必死で
他にもこういう場所があるとは考える余裕が余りなかったな」

ξ゚⊿゚)ξ「木の骨組みをしてから石を組み合わせた壁というわけじゃないのね」


そう会話しつつ周りの様子を確認する。
足元を見ると短い草しかない。

周りを見渡すと木など一切見当たらなかった。
あるのは岩肌がところどころむき出しになった草原。
そして岩山と石壁だけだった。


('A`)「木が育ちにくい環境なのかもな」

(*゚ー゚)「ようこそストーンヘッジの国へ
……皆さんはどちらからいらしたのですか?」


いつの間にか短い髪の少女が立っており、声をかけられ一瞬肩が跳ねる。
ところどころ時計をあしらったようなシャツと7分丈のズボンをはいていた。
年はブーンたちと一緒と言ったところであろうか、4人の反応を見ると驚かせたことを謝罪した。


( ^ω^)「えっとホライゾン国と言うところから」

川 ゚ -゚)「……失礼ですが人に尋ねるのならばあなたから名乗るのがマナーでは?」


クーに問われて少女は驚いたような顔をする。
そして小さく「名乗り忘れていた」と言いながら杖を取り出す。

杖の先にはレンズがついていた。
しかしただのレンズではなく時計の二つの針が中にあるという意匠だった。

269名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 19:46:15 ID:N.nBhwUM0

(*゚ー゚)「失礼いたしました
私は6人長の一人
時魔法のシィと申します」

川 ゚ -゚)「6人長……私たちはアラマキ殿が治める地域から来ました」

(;゚ー゚)「あ、あの瘴気の海を越えてきたのですか!?」


シィが驚きの声を漏らす。
ブーンはクーに後で「6人長」の意味を聞こうと考えながら「はいですお」と返事をした。

細かい事情を隠してこの馬車でここまで来たこと。
しばらく泊めさせてほしいこと。
そしてこの地域を回ることの許可を求めた。


(*゚ー゚)「はい、分かりました
通貨を見せてください」

( ^ω^)「これですお」


シィはお金を受け取るとこの地域のお金と両替した。
そして笑顔で言った。


(*^ー^)「これで買い物ができます
買い出しなどはこれでお願いします
また、できる限り外から来たということはご内密にお願いします」

ξ゚⊿゚)ξ「どうしてかしら?」

(*゚ー゚)「いきなり外から来たと聞くと民が混乱が予想されるからです
魔法に関しては方法等は変わりませんのでご安心を
あ、馬車はばれないように隠しておいてください」

('A`)「……まぁブーンのおじいさんの時代まで
繋がっていたから魔法は当たり前か?」


ドクオは小さく納得の声を漏らした。
5人はひとまず岩山の中に巨大な馬車を隠す。
そして全員手持ちのお金を両替してもらうと買い出しへと向かったのだった。

270名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 19:50:03 ID:N.nBhwUM0

( ^ω^)「ここら辺はお蕎麦の料理が多いお」


ブーンは保存食となる物を買っていた。
そして「蕎麦」や「ジャガイモ」と言った荒れ地で育つものを買っていた。
選んだわけではない、ほとんどそれなのだ。

鳥肉の干したものなども売っていたのでそれを買う。
何の鳥かはわからなかった。
少なくとも魔物ではないらしい。

そしてツンが楽しそうに買い物をしているのが目に入る。
何を買っているのかと思い近づく。


ξ゚⊿゚)ξ「あ、ブーン見て見て」


そう言うと石造りのペンダントを見せる。
ペンダントの模様は精霊の光をあしらっていた。


ξ゚⊿゚)ξ「これいいと思わない? 買っちゃおうかなー」

( ^ω^)「これくらい僕が買うお」

ξ;゚⊿゚)ξ「え、似合うか聞きたかっただけだし悪いわよ」

( ^ω^)「良いんだお、とても似合っていたお」


ブーンはそう言いながら店主にお金を払う。
店主は小さく「毎度」と言うと受け取った。


ξ*゚⊿゚)ξ「……ありがとう」

( ^ω^)「気にしなくっていいお」


ブーンはそう言うと市場へ戻る。
鍛冶屋に剣の手入れを頼もうと思い立ったためであった。

271名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 19:51:33 ID:N.nBhwUM0

ξ゚⊿゚)ξ(買ってもらってしまった……)


ツンはそう考えつつペンダントをいじくる。
そしてペンダントをしまおうと胸ポケットへ入れる。
その時胸ポケットししまっていた毒矢用の毒がほとんどないことに気づいた。


ξ゚⊿゚)ξ(材料の植物は荒れ地で育つ
岩山の方に探しに行こうかしら)


そう考えつつ足を止める。
そこでは石の矢が売っていた。

木があまりないため職人が必死に全て石で作ったものであった。
重くて鈍いがその分威力はお墨付きと説明されていた。

ツンはためらうことなくそれを買った。
矢のストックを考えてのことだった。
今までは普通に使ってきたが木が少ないなら運用を考えなくてはと考えていた。


ξ゚⊿゚)ξ「うーん、枝とか拾っておくべきだったわ」

ξ-⊿-)ξ「こういう木が無い場所を予想していなかったわ
私の世界って本当狭かったのね」


ツンは軽くため息をつく。
それでも変わらないものはあるのだなと城壁を見上げた。

272名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 19:53:42 ID:N.nBhwUM0

故郷の方の市場の多くは木の骨組みに布を張ったものだった。
家は木の骨組みに煉瓦や石材を積み上げたものが多い。

この町の市場は石でできている。
石畳ぐらいならホライゾン国ぐらい大きければあった。
しかし店も全て石でできているのだ。

店はいつも同じ場所にあることが予想された。
何せ石でできた店は動かせないからだ。
家も石でしっかりと作られていた。

同じものは城壁の存在だ。
国ごとに大抵は壁を持つ。

国によってその材料は変わる。
ホライゾン国は煉瓦が中心。
格闘家の里では木材が中心だった。

だがその目的は変わらない。
瘴気と魔物の侵攻にとっさに耐えるためのものだった。

城壁があるが故内側に入られると逃げ場が無くなるというパターンもあったが。


ξ゚⊿゚)ξ「ここの人も瘴気に怯えているのは変わりないのね」


ぶらぶらと町を見歩く。
家を見ていると石以外にもよく使われているものがあった。

それは鉄だった。
細かいパーツなどによく鉄が使われていた。
居た地域では鉄はだいぶ貴重だったがここでは少し事情が違うのかもしれない。

今木で作る矢の本体は無理だと思われた。
それでも、矢じりだけでも作ってもらおうかとツンは鍛冶屋に足を向けた。

273名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 19:58:29 ID:N.nBhwUM0

ドクオは二冊の本を見ていて悩んでいた。
そして手持ちのお金を見る。


(;'A`)(……上位回復魔法、麻痺、睡眠解除
後速度系や命中系と覚えるのに最低5冊は要る
だが、この本も面白そうだから欲しい)

('A`)「……白魔法の本5冊とこの本2冊欲しいのですが」


店主の言った値段と手持ちの金を見比べる。
そして嬉しそうな顔をして白魔法の本を3冊追加で買ったのだった。

本を抱え足取り軽く、歩みは遅く石造りの街並みを歩く。


('A`)(ここ、白魔法の本があっちより安い
そのくせ品質は変わらない……木がないのになんでだ?)

('A`)「……石の杖もいろいろ売ってるな
今の木の杖より使いやすそうだが」

( ´_ゝ`)「おい、そこの奴白魔法使いか?
白魔法使い向けに軽くしてあるから重さは心配するな」


店先に並んだ杖をまじまじと見ていたドクオは店番に声をかけられる。
お礼を言いつつ顔をあげるとお互いに固まった。


(;'A`)「えっと……アニジャさん?」

(;´_ゝ`)「……なんでお前がここにいんの?」

('A`)「えっと、いろいろ……アニジャさんこそどうして」

( ´_ゝ`)「うーんと……いろいろ
親方! 故郷の奴が来たんで少し休みます!」


アニジャはそう奥の店主に声をかける。
そして店の中から出てくると尋ねた。


( ´_ゝ`)「真っ先に聞きたいことは一つ、母者は?」

('A`)「連絡取れないことめっちゃ怒ってます、ご愁傷様」

274名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:27:23 ID:N.nBhwUM0

ドクオの言葉を聞いて兄者は青い顔になりつつ「あああ」と呻く。
そしてため息をついた後言い訳のように語る。


( ´_ゝ`)「俺もいろいろあったんだよ
まず傭兵として俺は前線地区にいた」

('A`)「そのあたりはオトジャさんから聞いている
あ、オトジャさんはこっちの方で傭兵長やっている」

( ´_ゝ`)「偉くなったもんだな……
で、俺は捕虜となって捕まってどこかで働いていた」

('A`)「瘴気は? ってかよく無事だったな」

( ´_ゝ`)「その場所は瘴気は薄かったんだ
で、俺は女神の手引きで逃げ出した
耐性があったらしく瘴気の中を一か八か闇雲に駆け出した」


その言葉にドクオは思わず「女神って……度胸あるな」と呟く。
普通の人なら聖水もない状況でリスクの高い瘴気の中へは飛び出さない。
アニジャはにやりと笑う。


( ´_ゝ`)「で、倒れた仲間をひずったりしてしばらく走ってぶっ倒れた
その時探検隊の人が近くを通ってな」

('A`)「探検隊?」

( ´_ゝ`)「この町には瘴気を探索する探検隊がいるんだ
とにかく俺はそこで救われ、今ここにいる
一応故郷の話を町の人にしない条件でな」

('A`)「そこは俺らと一緒か。 俺は……」


ドクオは魔王を倒すとかカギ集めなどの目的は言わない。
ただ仲間と旅をしていることなどを伝えたのだった。


( ´_ゝ`)「……イモジャも倒れたのか?」


瘴気の話を聞いたアニジャは心配そうに尋ねる。
ドクオは頷くとアニジャはため息をつく。

アニジャはここから出られない自分がもどかしく感じられたのだった。

275名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:28:54 ID:N.nBhwUM0

川 ゚ -゚)「巨大な青い石がはめられた指輪を知らないか?」


クーはアクセサリーショップの店員に尋ねる。
知らないと言われて大きなため息を一つついた。


川 ゚ -゚)「ここもはずれか……この町の外に売られたか?」

<ヽ`∀´>「ホルホル、そこの御嬢さん
なぜそんなものを追い求めているニダか?」


店員への質問を聞いていたらしい占い師が話しかけてくる。
クーは少し考えた後言った。


川 ゚ -゚)「家族の形見なんだ
孤児院にはいる時のゴタゴタで売られてしまってな」

川 - -)「大きくなったから探そうと思って
売られた方向の情報だけでここまで」

<ヽ`∀´>「ホルホル……すまないことを聞いたニダ」


クーはしおらしく「いや、いい」と答える。
その様子に不躾なことを聞いたかと占い師は申し訳なくなる。


<ヽ`∀´>「それなら隣国に行くといいニダ」

川 ゚ -゚)「隣国?」

<ヽ`∀´>「あそこは何でも売られているニダ
情報も、盗品も、人もニダ
ウリはあそこ出身ニダ」

川 ゚ -゚)「ふむ、行ってみるか」

<ヽ`∀´>「気を付けるニダよ?
この地域では魔法使いは常に不足ニダ
採石場もあらゆる産業も魔法で成り立っているニダ」

<ヽ ∀ >「師匠も使い捨てにされたニダ」


占い師は何かを思い出したように言う。
クーはその様子を見て少し考えた。

276名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:32:22 ID:N.nBhwUM0

占い師の表情は変わりない。
クーはいまいち真意が分からず尋ねる。


川 ゚ -゚)「……つまり?」

<ヽ`∀´>「御嬢さんみたいなのは高値で売り買いされるってことニダ」


占い師はクーの持つロッドを見つつそう言った。
そう言われて改めて街並みを見る。

剣などより魔法の杖やロッドがよく売られている。
それだけ魔法が重要視されているという事だろう。


川 ゚ -゚)「使い捨てにされたとは?
危険があるなら聞いておきたい」

<ヽ`∀´>「気分のいい話じゃないニダ
師匠のシナーは魔法使いだったニダ
あの人は採石場で働いていたニダ」

川 ゚ -゚)「これだけ家とかに石を使っていたら大盛況だろうな」

<ヽ`∀´>「だから石の切り出しに魔法が有効ニダ
あと運ぶ時に怪我が多いからそれにも魔法ニダ」

<ヽ ∀ >「師匠は使いすぎて魔力が足りなくなって倒れたニダ
全員カツカツだから魔力を分ける人もいないニダ
そこで石材が倒れてきたニダ」

川 ゚ -゚)「……すまないことを聞いた」


クーの言葉にニダーは頭を振る。
そして辺りを見渡した後言った。


<ヽ`∀´>「ウリはこの仕組みが許せないニダ
……シィちゃんは魔法使いの地位向上のため頑張っているニダ
でもギコはひたすら産業を推し進めているニダ」

川 ゚ -゚)「ギコ……だと?」


クーは占い師から出た名前に驚くほど反応する。
占い師はその反応に不思議そうな顔をしたのだった。

277名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:34:35 ID:N.nBhwUM0

ブーンは鍛冶屋で合流したツンと馬車の前で他のメンバーを待っていた。
なお、馬車の留守は一応ぃょぅが守っていた。


( ^ω^)「いやぁ、良かったお」

ξ゚⊿゚)ξ「ブーンにとっては本当によかったわね
剣の手入れだけでなく鎧の強化までしてもらえて」


ブーンの鎧は金属が変わっていた。
銀色の輝きは少し鈍くなった。
しかし耐久性と軽さを手に入れていた。

腰にさしてある剣は刃こぼれなどなくなっていた。
魔物の血で汚れていた剣刀身に顔が映るほどはきれいになった。


(;^ω^)「でもガッツリ怒られたお
『良い代物なんだから丁寧に扱え』って」

ξ;゚⊿゚)ξ「あの剣幕はビビったわね
でも砥石がもらえたじゃない」

( ^ω^)「……買わされたんだお」

ξ゚⊿゚)ξ「……あの店主なかなかね」


ツンは感心したように呟いたのだった。

278名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:37:35 ID:N.nBhwUM0

('A`)「おーい戻ったぞ」


ドクオがふらつきながらももどってくる。
そして荷物を部屋に置く。
慌ててブーンたちの元へ行くと一息つきながら言った。


('A`)「知り合いがいた」

( ^ω^)「どうやってここに来たのかお?」

('A`)「捕虜になっていたらしい」

ξ゚⊿゚)ξ「もしかして他にも捕まっている人たちがいるのかしら」


ドクオは頷くと地図を取り出す。
その地図はブーンたちの居た地方。
そして教会の本部があると言われる山しか書かれていなかった。

教会はその地図のほぼ上部にあった。
ブーンたちの地方は地図の中の南の方に位置していた。

そして東の方に大雑把に丸を描く。


('A`)「ここが俺たちが今居る場所
アニジャさんはここで保護されたらしい
俺たちが走ってきた中で瘴気が薄い場所はなかった」


と言って東の丸の北西の方に×を印す。
そして自分たちが通ってきたルートを大体線でひく。


('A`)「もしかしたらもっと北の方に何かあるのかもな」


そう言うとペンを投げ出す。
ブーンとツンは地図の北のほうを見つめ、うなったのだった。

279名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:42:33 ID:N.nBhwUM0

しばらく考えた後ツンが悔しそうに声を出す。


ξ゚⊿゚)ξ「……助けたいけど脱出の手助けはできないわよね」

( ^ω^)「確かに馬車に多分捕虜全員は乗れないお」

('A`)「だから分かったところでなんだという話になるんだよな」


そう悔しそうに言うとドクオは放り投げたペンと地図を片づける。
3人でどうにも手を出せない悔しさからため息をついたのだった。




川 ゚ -゚)「おい、何を暗くなっている
カギの情報を手に入れたぞ、旅のセットを持ってこい!」

( ^ω^)「お、クーおかえりだお」

川 ゚ -゚)「挨拶は今はいい、急げ!! 隣国へ行くぞ!」


その時戻ってきたクーが焦った様子で広げていた荷物をまとめつつ声を張る。
他の3人はその突然の行動に顔を軽く見合わせる。
驚きつつもそのただならぬ様子に従い荷造りを始めるのだった。

280名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:46:10 ID:N.nBhwUM0

慌てて纏めた荷物を持ってきたメンバーは岩山の中歩みを進めていく。
占い師からカギの話を聞いたクーが先頭であった。
彼女自身が聞いたその国では何でも売られているという話をした。


川 ゚ -゚)「裏ルートを通ってそこに石はあるのかもしれない」

( ^ω^)「なんで急ぐんだお?」

川 ゚ -゚)「……ここを治めている人物は二人いる
一人はシィ、私たちも会ったな」

ξ゚⊿゚)ξ「6人長の一人だっけ」

川 ゚ -゚)「もう一人も6人長の一人なんだ
そいつの名前はギコ、シィの兄だ
彼はここの技術の発展を推し進めようとしている」

('A`)「急ぐ理由があるのか?」

川 ゚ -゚)「あぁ、間もなくギコに対して反旗を翻すため
民衆が蜂起するという話がある
魔法使いの地位向上のためとのことだ」


そう言うとクーは占い師から聞いた話をする。
その話を聞いてブーンは真っ先に悲しそうな顔をした。


( ´ω`)「……ひどい話だお」

('A`)「魔力切れまで酷使するか普通?」

ξ゚⊿゚)ξ「それがここでの普通なんじゃない?
あんたの里で魔法が邪道だという普通と同じように」

('A`)「……納得した」

( ^ω^)「でも確かに反乱が起きたら
石を探す余裕なくなるおね」


ブーンは納得したように淡々と呟く。
その言葉にどこか寂しそうに全員が納得したのだった。

281名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:49:23 ID:N.nBhwUM0

クーは一人考える。
全員納得したようだったのでクーはある情報を言わないことを選ぶ。

声にしたら他のみんなは怒るだろう。
そして立ち向かおうとするのかもしれない。


だからこそクーは言わない選択をした。
今はまだ言ってはいけない。
もっと強くなるまでは……。

そのためにはさっさと石を回収してここから離れたかった。
背中の傷がわずかにうずいたような気がした。



( ^ω^)「あ、魔物だお!」

ξ゚⊿゚)ξ「ゴブリンじゃないのね」


彼らの前には4つ足の獣のような魔物が2匹いた。
唸り声をあげて飛びかからんとしている。

ブーンとツンが真っ先に飛び込む。
その後ろから強化呪文がかけられる。

ブーンの剣がのど元を切りつける。
体の横を切り裂く。
そして切り上げ立ち上がらせた後腹に剣を突き刺す。

ツンの矢が眉間を貫く。
ツンはそのまま横に回り矢を3発放つ。
心の臓などのあたりに矢は深々と刺さる。

それでも魔物は生きていた。
ふらつきながらもブーンたちに敵意を向ける。

そこでロッドをずっと魔物に向けていたクーが呪文を詠唱する。


川 ゚ -゚)「氷よ、彼の者たちに永久の牢獄を与えよ
命を絶ち、永遠に時を止めよ」


その瞬間魔物が凍りつき全く動かなくなったのだった。
しばらく様子を見ていると、絶命したと思しき魔物はやがて霧散した。

中身のなくなった氷像はあっという間に溶けていったのだった。

282名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:51:52 ID:N.nBhwUM0

( ^ω^)「里の近くの奴に似ていたお」

ξ゚⊿゚)ξ「小さかったけどね……ゴブリンより手間取ったわ」

('A`)「うわぁ、強くなっているっていう事かよ」

川 ゚ -゚)「瘴気の影響が強まったのか、地域の差か」


全員は少し考え込む。
しかし考えている暇などない。
ブーンと言う羽音が聞こえた。

恐る恐る振り返る。


川;゚ -゚)「……」

ξ;゚⊿゚)ξ「……」

( ^ω^)「二人の顔が真っ青に!」

(;'A`)「……ハチの魔物と言う二人の苦手な虫であり毒の代名詞だからな」


そこには巨大なハチの群れがいた。
透明な翅を素早く動かすため、特徴的な羽音が辺りに響く。

身体にはビッシリと細かい毛が生えている。
尖った顎を持っておりこちらの方をじっと見ている気がする。
お尻の針からは毒が滴っていた。


ξ゚⊿゚)ξ「……毒の回復を優先でお願い」

( ^ω^)「頼むお」

('A`)「あ、了解」

川 ゚ -゚)「背後を狙う取りこぼしは燃やすから安心しろ」


そう会話をするとブーンとツンが動き出す。
魔物のハチたちも彼らに襲いかかったのだった。

なお、たまたま近くを歩いていた人は後に「巨大な火柱を見た」と話したらしい。

283名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:55:26 ID:N.nBhwUM0

時は少しさかのぼり、四人がそれぞれバラバラになるのを視界の隅でとらえる。
フォックスがジョルジュのほうを向くと小さな声で話しかける。


爪'ー`)「……ジョルジュさん? まずくないっすか」
  _
( ゚∀゚)「……」

(,,゚Д゚)「誰か探し人でもいるのかゴルァ」


固まるジョルジュに先頭に立っていた男から声がかけられる。

男はいかつい顔つきだった。
腰にさすのは古代文字が書かれた細身の剣。
服装は白いシャツに赤いジャケット、そして茶色いカーゴパンツだった。

  _
( ゚∀゚)「ん? あ、ギコさん大丈夫です」

(,,゚Д゚)「ならいいんだが……」


ギコとはブーンたちを追って壁際に来た時に出会っていた。
話から偉くてこの町を案内してくれた親切な人物と認識していた。

壁際についたときに話しかけられた時からずっとともにいた。
まさか「ばれない様に追跡しています」などとは言えないこともあり素直に案内を受けていた。

なお、ギコはその後2、3言話した後用があると言ってその場を去った。
ギコが完全に見えなくなったことを確認するとジョルジュが話し始める。

  _
( ゚∀゚)「大丈夫だ、フォックス
この場にいないメンバー考えてみろ」

爪'ー`)「……確かに彼なら見失わないだろうけど」


ギコが居なくなった後そんな会話をする。
足元に何かがふれてくる感触がして見下ろす。
そこには一匹の手紙を背負った鼠がいた。

284名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 20:58:33 ID:N.nBhwUM0
  _
( ゚∀゚)「ビコーズからだ……あいつら隣国へ向かったらしい」

爪'ー`)「お、じゃぁ行くか」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「もっちろん」


ジョルジュはそう元気よく返事をする。
そして槍を掲げ元気よく町の外へと向かって進み始めた。
フォックスは短剣を確認した後にその後ろ姿を追う。

ブーンたちには結局追いつけず、ちらちらと魔物が襲い掛かってくる。
ジョルジュは魔物の弱点を的確に槍で貫き、薙ぎ払って倒して進む。
フォックスも滑らかな短剣さばきで敵を退ける。

フォックスは密かに的確に敵の急所に攻撃を当てる彼のことを評価していた。
それこそ「ブーンたちより強いかもしれない」と。

少なくとも火柱を上げるなどという労力の無駄遣いをせず的確な労力で倒しているように感じた。


爪'ー`)「おまえはさ、『なんでこんな立場に甘んじているんだ』とか考えないのか?」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ突然……思わないね」


ジョルジュは迷いなく言い切る。
そして小さく「少なくとも俺は王子より強くないから」と呟いたのだった。

285名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 21:09:47 ID:N.nBhwUM0
以上で第9話終了です。

いろいろ伏線蒔いています。
たぶん、一応蒔いています。

収穫できたらいいな…。

……いつか登場人物とか基本用語まとめるつもりはあります。
もう一つカギ手に入れたあたりでざっとはまとめるつもりですよ?

ではお目汚し失礼しました。

286名も無きAAのようです:2016/05/04(水) 22:04:33 ID:oqkD725k0
乙乙

287名も無きAAのようです:2016/05/08(日) 20:45:24 ID:NmtNiKQ20
読んでみようかな

288名も無きAAのようです:2016/11/26(土) 09:54:33 ID:O.ySQUa60
読んでるよー
必ず戻って来てくれよな

289名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 00:12:41 ID:vqpVxaPI0

(=゚ω゚)ノ「……」

ぃょぅはブーンたちが居なくなったことを確認する。
操縦部屋から外を見て、しっかりと。

しばらくあたりを飛んで誰もいないことを確認する。
そして頷くとエネルギー炉からカギを取り出す。
3つの石は相変わらず力強く輝いていた。


(=-ω-)ノ「……妖精ぃょぅが命ず
世界のカギよ――が死した時魔王の元へ――――」


しばらく何かつぶやいていた。
カギはわずかに更に輝いたのち輝きは収まる。
どうやら魔法をかけ終わったらしい。


(=゚ω゚)ノ「……あいつらは弱いからその保険だょぅ」


そう呟くと馬車から出る。
そして馬車を置いてブーンたちが向かった方角へと飛んでいったのだった。

290名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 00:14:26 ID:vqpVxaPI0

第10話 ヨイの町

291名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 00:19:57 ID:vqpVxaPI0

その国の城壁をくぐった瞬間、辺りが暗闇に包まれる。
思わず驚きの声を漏らすと暗い路地裏から声が響いてきた。
しかし、発言者の顔は見えなかった。


「ヒヒヒ、この町は後ろ暗い連中が多いからね
 魔法を使ってこの明るさに調整しているんだ」

( ^ω^)「光系の魔法かお……珍しいお」

ξ゚⊿゚)ξ「そうなの?」

川 ゚ -゚)「光の魔法は生活に要るが攻撃力が無い
黒魔法使いはは大抵攻撃担当だからな、使わない」

('A`)「でも白魔法の範疇でもないから使用者が少ない」

「お前たちのパーティ魔法使いいるか?
 この町で魔法は使わない方が安全だぜ
 ヒヒヒヒヒヒヒヒ」


路地裏からの声はそう気味の悪い笑い声を残して去る。
ドクオは何となく不安を覚えた。
新しく買った石の杖をコートの裏側に隠したのだった。

すさまじく人があふれていた。
クーは少し考え思い出したように言う。


川 ゚ -゚)「話を聞いたやつも人身売買もあると言っていた
一応はぐれないようにしよう」

ξ゚⊿゚)ξ「そうね、ブーン聞いてた?」


ツンがそう声をかけるも他の二人がいない。
クーとツンは顔を見合わせた。


川 ゚ -゚)「……どっちがはぐれたことになる?」

ξ゚⊿゚)ξ「……一番お金持っているのはブーンよ」


ツンの言葉を聞いてクーは小さく「こっちか」と呟く。
その後クーはわずかに困ったように笑う。

292名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 00:24:27 ID:vqpVxaPI0

川 ゚ー゚)「こっちが迷子なら見つけて合流すればいいだけだな
私の家にあったカギは覚えている。青い石の指輪だ」

ξ゚ー゚)ξ「指輪ね、一緒に探しましょう
少なくとも私たちははぐれないように」


そう言うと二人は歩き出す。
そしてアクセサリーショップを見て回っていくのだが……。

足が痛むほど回っても見つからない。
ジュエリーショップは諦め自称情報屋に話を聞いてみる。
しかしどの情報屋も無言で彼女たちが持っていたお金を返すのであった。


ξ#゚⊿゚)ξ「いったいどうなってんのよ!
何でも売っているんじゃないの!?」

川;゚ -゚)「ここまで見つからないか
少し休みたいな」


小さく呟いたクーは辺りを見渡す。
人の流れていく先を見ると酒場があった。
煌煌と輝き、ざわめきが聞こえ栄えている気配がする。


川 ゚ -゚)「あそこに行ってみるか」

ξ゚⊿゚)ξ「私たちここでは飲んでいいのかしら?」

川 ゚ -゚)「飲まないさ、話を聞くだけだ」


そう言うと酒場へ歩き出す。
近づくだけでアルコール独特のにおいが鼻を突く。

中に入りクーは焼き鳥を注文する。
ツンは少し迷ったがナッツを頼むのだった。

293名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 00:47:58 ID:vqpVxaPI0

\(^o^)/「お嬢ちゃんがたが来るような場所じゃねぇぞ?」

川 ゚ -゚)「良いじゃないか、探し物が見つからないんだ。情報知らないか?」

\(^o^)/「そこらへんうろついている奴らにでも聞け」

ξ゚⊿゚)ξ「それするとみんなお金返すんだよねぇ」


ツンがナッツをほおばりつつ言った言葉に店主が固まる。
周りで酒を飲んでいた男も固まった。


川 ゚ -゚)「自称の情報屋だったがな」

\(^o^)/「あいつらが金を返すなんていったい何を聞いたんだ?」

川 ゚ -゚)「青い石の指輪を知らないかと言う問いだ」


クーがその問いを発した途端大柄な男が彼女たちの席の隣に大きな物音を立てて座る。
ツンはナッツを相変わらず食べていた。
そして無くなったことに気付いて小さくショックを受ける。

大柄な男はツンをはさんでクーに声をかける。


|::━◎┥「おまえさんあんな代物求めているのか?」

川 ゚ -゚)「売られた家族の形見なんだ、知っているか?」


クーの言葉を聞いて男は考える。
そしてため息をつきつつ言った。


|::━◎┥「お前さんの家が手放さなけりゃな……
今更言っても仕方ないか」

川 ゚ -゚)「その口ぶり……何か知っているのか?」


クーは思わず身を乗り出す。
男はその大きな反応に軽く笑い声をあげた。

294名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 00:51:48 ID:vqpVxaPI0

ツンは追加のナッツを頼む。
すぐに出てきたそれを美味しそうに頬張る。


|::━◎┥「良い反応だ
知っているさ、どこにあるのかも」

川 ゚ -゚)「教えてくれ」

|::━◎┥「良いだろう、ただし」


そう言うと男はカウンターにカードをたたきつける。
ツンのナッツが乗っていた皿がひっくり返る。


ξ゚⊿゚)ξ「……」

|::━◎┥「ただじゃ教えられん
これに勝ったら教えてやろう
ただし負けたら私の飲み代を払え」

ξ ⊿ )ξ

川 ゚ -゚)「私の方が勝ったら?」

|::━◎┥「情報を教えよう」


クーが了承の返事をしようとしたのをツンが止める。
心なしか顔に青筋が浮いていた。


ξ#゚⊿゚)ξ「待って、私が行くわ」

川 ゚ -゚)「だが、このカードのルールを知っているのか」

ξ#゚⊿゚)ξ「いいの、そこで見ておいて」

|::━◎┥「威勢のいい御嬢さんだねぇ
いいだろう、かかってきな」


マスターが二人に5枚のカードを無言で配る。
二人はお互いの顔を見つつ手札のうち1枚をお互いに交換した。
クーは呆れつつ周りを見渡す。

295名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 00:55:54 ID:vqpVxaPI0
どの人も酔っぱらっていた。
そして楽しそうな声を上げていた。

外に比べてこの店内は明るいように感じた。
クーはさらに店内を観察しようとする。
階段に目を止めたところでマスターが話しかけてきた。


\(^o^)/「2階は宿屋だ、大抵の奴が外で雑魚寝するから商売あがったりだがな」

川 ゚ -゚)「それで大丈夫なのか?」

\(^o^)/「大抵の奴が財布すっからかんなんだ
こういう風に賭け事したり飲み比べしたりしてな
勝った方も大抵は床で雑魚寝か町へ出ていく」

川 ゚ -゚)「では久しぶりの客になるかもな」

\(^o^)/「金髪の子が勝ったらかい?」


マスターの問いに首を縦に振る。
それを見てマスターは「期待しないでおくよ」と言った。
しばらく会話が途切れるもクーは思い出したように尋ねる。


川 ゚ -゚)「そう言えばここに入った時魔法は使うなと言われた、なぜだ?」

\(^o^)/「優しい人にあったねぇ
理由は単純明快さ」


マスターの言葉にクーは続きを待つ。
その時軽い地響きを感じた。
飲み比べとそれに熱中している人たちは気づかない。

扉の外を見るとそこには3mぐらいの土でできたゴーレムがいた。
ゴーレムの手の中には気絶した人がいた。

クーは冷や汗をかきながらその者が仲間ではないことを祈っていた。
その様子を見ながらマスターは続けた。


\(^o^)/「魔法を使った連中をあいつが何処かへ運ぶからだ」

川;゚ -゚)「……それは恐ろしいな」

296名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 01:00:19 ID:vqpVxaPI0
時はわずかに遡る。


( ^ω^)「完全にはぐれたお」

('A`)「マジですかい」


人混みの中ブーンの言葉にドクオはそう返す。
ブーンは困ったように見渡した後少し考えつつ尋ねる。


( ^ω^)「えーと、あれに訊いたりしてわからない?」

('A`)「たぶん分からん、と言うか目の前で話されて平気なのか」

( ^ω^)「怖いもの見たさってやつだお
最近はこの恐怖が楽しくなってきたお」

('A`)「変な方向で慣れたな……」


ドクオの言葉にブーンは照れたように頭をかく。
「褒めてないぞ」と言いつつ幽霊を求めて辺りを見渡す。
ぼんやりと立っている霊を見つけ、声をかけようとした。

その時少し先で爆発音が響いた。


(;'A`)「何の音だ!?」

(;^ω^)「攻撃魔法だお! 行ってみるお」


ブーンたちが野次馬に混ざる。
野次馬をかき分けて前に出ると二人の男が杖を構えていた。
どうやら喧嘩しているらしい。

魔法が飛び交う喧嘩に周りのざわめきが広がる。
魔法というよりこれから起こることに怯えている風であった。

297名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 01:17:39 ID:vqpVxaPI0

('A`)「良かったな、あいつらじゃなくて」

( ^ω^)「まったくだお……ん?」


ブーンはかすかに地響きを感じる。
辺りを見渡すとモーセのように人が道を開けていく一角が見えた。
人が動き道が完成される。

そう感じていると暗がりから巨大なゴーレムが現れる。
形状は土でできた腕が異様に大きい、関節とかはない巨大な人形のようだった。
顔を見ると二つの丸いくぼみと泥団子の鼻のみと簡単な構造であった。


(;'A`)「何だよあれ……」

( ^ω^)「ゴーレムだお、材質は土みたいだお」


ブーンが答えた途端戦っていた二人の間にゴーレムの拳が落とされる。
二人が放っていた魔法が霧散する。
そして腕を二人の頭の高さに持ち上げる。

その場で一回転をすると二人の魔法使いが吹き飛ぶ。
離れ損ねた何人かの野次馬も弾き飛ばされる。
巻き込まれた野次馬を気にすることなく魔法使いを拾い上げる。

そして持ったまま何処かへ歩いて行った。


( ^ω^)「何だったんだお? 魔法使うのがここでは御法度なのかお……?」

(;'A`)「碌なもんじゃない」


青い顔をしたドクオはそうぼそりという。
ブーンが不思議そうに彼を見る。


('A`)「聞きたくないと思ってても言ってやるぞ
あれの原動力は……魔力だ」

( ^ω^)「それなら普通じゃ」

('A`)「ゴーレムに大量の魔術師の霊が憑いていた
魔術師の体に残った魔力が原動力であの中にあいつらは居るんだとよ」

298名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 01:33:59 ID:vqpVxaPI0
ドクオの言葉の意味を理解した瞬間顔をブーンも蒼ざめさせる。
そして即座にゴーレムを追いかけ始め、それをドクオも追いかけた。


('A`)「どうしたんだよ!」

(#^ω^)「とんでもないことをやっているってわかったお!
突き止めてあげないと浮かばれないお!」

(;'A`)「確かにそうだ、だがやみくもに挑んだところで負けるし
そもそもゴーレムの動かし方を」

( ^ω^)「魔力源を引きはがせば止まるお、掘り出せばいいんだお」

('A`)「だがあいつらは死体に残った魔力だけでなく
それに憑いた霊の魔力で動いてい」

( ^ω^)「霊の方は任せるお」

(#'A`)「そういう事じゃない! 身体を引きはがそうとしたりすると
絶対抵抗受けるから作戦考えろっつう話だ!」


ドクオが怒ったように言う。彼もまた先ほどのゴーレムに怒りを覚えていた。


('A`)「あれは多分魔法を使った魔法使いを狙う
そうすると入った時の忠告とつながる」

( ^ω^)「じゃぁあえて捕まって本部に行って、そこで大暴れもありかお?」

(;'A`)「……多分魔法で抵抗できないようになっているんだろうな
魔法攻撃は少なくとも封じられている」


とりあえず本拠地を知るために後を追いかけ続ける。
ジュエリーショップの横を駆け抜け、路地裏を走る。
賑わいを見せる酒場の前を過ぎ去り、ようやくゴーレムが見える。
あと少しで追いつく、そう思った途端ゴーレムが消えた。
二人は驚きつつも消えた場へ近づく。


(;^ω^)「……消えた?」

(;'A`)「うーん……ワープか?」

( ^ω^)「時魔法使いが使えるやつだおね
魔法使いが関わっているのかお?」

(;'A`)「……分からん」

299名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 01:39:24 ID:vqpVxaPI0

ドクオが杖を取出し消えたあたりの地面をつつく。
ブーンもそれに倣い地面の上を歩いてみる。

まったくをもって違いが分からない。


( ^ω^)「ゴーレムと僕らの違いは重さだお
重さで反応するのかお?」

('A`)「人集めてこの上に立つってか?
協力してくれるのか?」

( ^ω^)「うーん、ひとまず人が多かった酒場行ってみるお」

('A`)「了解」


その返事を確認してからブーンは歩き出す。
全力疾走した後の荒い息を整えつつ何気なく周りを見る。

落ち着いて見ると武装した人が多くいた。
何かしら全員武器や食料を求めたりしている。
しかもほとんどの者が裏ルートを通るような高級武具を求めていた。


( ^ω^)「きな臭いのは本当みたいだお」

('A`)「まぁ冒険者や傭兵にとっちゃ荒稼ぎのチャンスだからな
と言うか冒険資金あるのか?」

( ^ω^)「食糧費はおじいちゃんからもらったお
ついでに魔物がかき集めたお金は倒した後貰っているお
だからまだまだあるからあとで分配するお」

(;'A`)「……時々魔物の死体を見ていると思ったのはそれか」


ドクオは小さく「しっかりしてんな」と呟く。
褒められたと感じたブーンは自慢げににこにこ笑っていたのだった。

300名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 01:43:34 ID:vqpVxaPI0

(;^ω^)「……ツンさん?」

(;'A`)「見つかってよかったというべきか?」


二人が酒場に入ると人だかりができていた。
そして仲間の顔を見つけたものの引いている二人の視線の先。
そこにはカード勝負をする仲間と見知らぬ大男がいた。


|::━◎┥「……」

ξ*゚⊿゚)ξ「おらぁ! もう一戦だぁ!!」

|::━◎┥「……まいり……ました」

ξ*゚⊿゚)ξ「聞こえないなぁ、ナッツの礼だ!」


高笑いをするツンとうなだれた身ぐるみがほとんどない大男だった。
ツンはニヤニヤ笑いながら「まだやるか?」と声をかけている。
ブーンとドクオがその光景に固まっているとクーが声をかけた。


川 ゚ -゚)「お前たちちょうど良いところに来た」

( ^ω^)「……宿屋はどこだお?」

\(^o^)/「ここの2階だよ」

( ^ω^)「分かったお……ツン! 今日はもう休むお!」

ξ#゚⊿゚)ξ「ブーン? だまらっしゃいこいつにはナッツの恨みが」

(;^ω^)「ナッツなら食糧庫にあるお! 僕が買ったお!」


なぜか荒れるツンをブーンが引きずり2階へ連れて行く。
しばらく経ってからブーンが疲れた様子で戻ってきた。


( ´ω`)「ツンに何があったんだお?」

川 ゚ -゚)「カードで勝負していていた
途中お腹がすいたらしくお酒の入った菓子を頼んだ
そのアルコールで酔ったらしい」

(;'A`)「……弱すぎだろ」

301名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 01:53:47 ID:vqpVxaPI0

|::━◎┥「……」

\(^o^)/「珍しいじゃないか、こんなに大負けするなんて」

|::━◎┥「……」

\(^o^)/「たぶんお前オワタぞ、ほらつけの領収書」


男は顔を伏したまま領収書を受け取る。
そこに記された0の数を見た後ため息を大きくついた。


|::━◎┥「……飲み代払ってもらうつもりだったのに」

\(^o^)/「弱そうだと思って吹っかけたバツだと思いな」


大男はオイオイとわざとらしく泣きながら酒を頼んだ。
顔は伏したままなので泣き顔はわからない。
そもそも兜をしているのでわかるはずもなかった。

その様子を横に見つつ何かができるわけではない3人はひとまず宿をとることにしたのだった。
泣いている大男にクーが思い出したように言った。


川 ゚ -゚)「酔いがさめたらで良い、指輪について教えろ」

( ^ω^)「指輪?」

川 ゚ -゚)「あれのことだ」

('A`)「なるほど」


のんびりと会話をしながら2階へあがっていく。
クーに声をかけられた大男はピタッと泣き止む。
そして財布の中身を見た。


\(^o^)/「ツケ払えるか?」

|::━◎┥「……」

\(^o^)/「払い終わるまで働け」


マスターにそう言われた大男は大げさにため息をついたのだった。

302名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 02:20:20 ID:vqpVxaPI0
次の日店内を掃除する大男の前に情報共有を済ませたクーが立っていた。
大男は手を止めている。


川 ゚ -゚)「約束通り指輪について教えてもらおうか」

|::━◎┥「……あれは、ゴーレムの動力源になっている」

( ^ω^)「どのゴーレムだお?」

|::━◎┥「あの魔術師を捕まえる土でできた」

('A`)「はいダウトー」

|::━◎┥「なぜわかった!?」

('A`)「……あの土くれゴーレムの動力源は知っている」

川 ゚ -゚)「……本当はどこなんだ?」


大男は押し黙る。
どう話そうか迷っているようにも、嘘を見破られ、次の手を考えているようにも見えた。


|::━◎┥「指輪は地下だ」

川 ゚ -゚)「どこの地下だ」

|::━◎┥「詳しく教える代わりに……」


男はそう言うと親指と人差し指で輪を作る。
そして領収書を見せた。

3人が沈黙しているときっぱりと言った。


|::━◎┥「ツケがたまっているんだ」

( ^ω^)「……おぉう」

|::━◎┥「半分だけでも払ってくれたら喋るかもなー」


ダメ男はちらちらとブーンたちを見つつ言う。
ブーンは生真面目に考え込んでいた。

303名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 02:32:28 ID:vqpVxaPI0
(;^ω^)(どうするお? 一応払えない額ではないお
だけどこれ払ったら食費が圧倒的に心許ないお)

川 ゚ -゚)「ツケはお前の責任だろう?
そもそもこの話は昨日の賭けの結果のはずだ」


クーの言葉に大男は返事を詰まらせる。
どうやらこねる駄々に困ったようだった。
しばらく考えた末に搾りだすように声を出した。


|::━◎┥「指輪の所在を教えたらお前たちはそこに行くか?」

( ^ω^)「行くお」


躊躇いなく答えたブーンに覚悟を決めたように男は頷く。
そしてゆっくりと言った。


|::━◎┥「まず指輪の所在について
これは地下でゴーレムを作る際の魔力として使われている」

川 ゚ -゚)「だから地下にあると言ったのだな」


クーの確認に大男は首を縦に振る。
そして半ば土下座をするように言った。


|::━◎┥「頼む、ゴーレムの生産を止めてくれ!
地下にある研究所でゴーレムが作られているんだ!」


そう言うとゆっくりと立ち上がり3人の方をしっかりと見据える。
嘘泣きをしたりしていた時とは違い、落ち着いた印象を与える声だった。


|::━◎┥「私の名は『歯車王』私はそこでかつて所長をやっていた」

304名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 02:50:11 ID:vqpVxaPI0
(;'A`)「……偽名っぽい」

|::━◎┥「もちろん偽名だ、昔は『発明王』という称号があったがね」

( ^ω^)「今の発明王の称号は誰のだお?」

|::━◎┥「……今は関係ないだろ?
私が居た頃、研究所では魔力と契約する種族の関係を調べていた」

川 ゚ -゚)「今のところ悪魔との契約が突出している
これ以外は不明だったか」

|::━◎┥「そうだ……だが、あの研究所の研究内容は変わっていった
どうすれば魔力を効率よく使えるか
どうすれば魔力を取り出せるか」

( ^ω^)「取り出す……受け渡しはできるけど
それとは違うのかお?」

|::━◎┥「魔力を抜き出してその蓄えを作るというイメージだ
それがあれば魔力不足の人に入れることもできる」

川 ゚ -゚)「それだけなら聞こえはいいな」


クーの言葉に歯車王は頷く。
確かにそれだけならば魔力不足で倒れる人が多いこの地域にあっている。


|::━◎┥「6人長の一人魔道長ギコの指示だ
産業の推し進めに要るんだとよ
だけど方法が問題だ」

('A`)「……この町で魔法を使った人を実験に使っているのか」

|::━◎┥「このヨイの国は後ろ暗い連中が多いからな
そして余った素材は回収用のゴーレムにしている」

( ^ω^)「酷い話だお……」


ブーンはうつむきながら言った。

彼らにとって必要な情報は大分集まったように思えた。
目的の指輪が地下でゴーレムづくりに使われている。
材料はこの町で魔法を使った魔法使い。

ゴーレムの目的は魔法使い集め。
魔法使いを集める理由は研究とゴーレムの燃料のため。
背景の理解としては上出来に思えた。

305名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 02:58:31 ID:vqpVxaPI0

|::━◎┥「頼む、私には止められなかった、研究施設を破壊してくれ
全てのゴーレムに眠りを……」

('A`)「で、どうやって行けばいいんですか?」

|::━◎┥「……この町で魔法を誰かが使ったらゴーレムが出てくる
そのゴーレムに掴まれ
そうすれば一緒にワープできるはずだ」

( ^ω^)「やっぱりワープかお
なんだかここら辺には時魔法使いが多いお」


ワープは時魔法使いの範疇である。
移動時間のカットと言う捉え方をすれば確かに時魔法使いの範疇だ。
そしてこの魔法はブーンたちの地方ではあまり盛んではなかった

だがここに来てシィ、そして研究施設の何者か。
こんなに会ったのでは多いと感じても不思議ではない。


|::━◎┥「多いわけではない
時魔法使いになるための条件を知っているな?」


歯車王の問いに首を横に振る。
それを見た歯車王は軽く息を吐き出す。


|::━◎┥「この地域ではシィが時魔道長なのもあって有名だが
お前たち、この地域の人間じゃないな?」

(;^ω^)「……」

|::━◎┥「安心しろ、他の地域のことは知っている
他言はしない」

川 ゚ -゚)「それよりも条件とは?」

|::━◎┥「時魔法使いになる条件は複数契約だ」


その言葉にブーンはあからさまに驚いた顔をした。
他の二人はその動揺ぶりに驚く。

306名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 03:26:30 ID:vqpVxaPI0

( ^ω^)「……シィさんすごいお」

('A`)「えっと事情が分からんのだが」

( ^ω^)「複数契約っていうのは2つの種族にまたがって契約をすることだお」

('A`)「悪魔と幽霊とかか?」

( ^ω^)「他にも精霊と幽霊、精霊と神のパターンがあるお」

|::━◎┥「条件知らなかった割には詳しいな」

( ^ω^)「魔法はいろんな本読んだお
神と悪魔は反発するとか
残りの組み合わせは幽霊と精霊が負けるとか」


ブーンの知識にその場にいた二人は感心したような声を漏らす。
歯車王も小さく「ふむ」と声を漏らした。


|::━◎┥「そのとおりだ
そして向こうがワープが使えるという話である仮説が生まれた」

川 ゚ -゚)「その仮説とはなんだ?」

|::━◎┥「人工的に時魔法使いを作るという実験が成功したのかもしれない
方法は簡単、人と人を融合させるんだ
契約は魂で行う、魂が混ざれば2つの契約を結んだことになる」


3人は回りくどいその言葉を各々で翻訳する。
そして同じ結論にたどり着く。


( ^ω^)「魂ごと二人の人間を一人の人間に?」

|::━◎┥「ゴーレムはその一環だ
一つの入れ物に2つ以上の魂を入れたら混ざるのではという仮説のもとでな」

('A`)「実際は全く混ざらなかったわけか」

|::━◎┥「そうだ、だがその代わり霊体を用いて魔法をはじく効果ができた」


歯車王はそう返事をした後でドクオを見る。
そして「あれ見えるの?」と尋ねる。
ドクオは頷いた。

307名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 03:34:24 ID:vqpVxaPI0
その返答を聞いた途端歯車王はわずかに下がる。
ちょっとだけビビったのだろうと感じた。


|::━◎┥「すまん、見えるやつというのがまだ二人目でな
助手で一人見えるとは言っていたが」


歯車王は頭を下げる。
そして落ち着いたように続ける。


|::━◎┥「時魔法が使えたということは
おそらく融合を成功させたということだ」

川 ゚ -゚)「キメラの完成という訳か」

( ^ω^)「そもそもなんで融合させたいんだお?」

|::━◎┥「魔力は一説によれば魂に貯蓄される
融合して魂が大きくなれば貯蓄量も増えるのではというものらしい
時魔法は融合の成功のチェックだ」

(;'A`)「ここでらしい……」

|::━◎┥「この時期は『発明王』を教会に返上する手続きでゴタゴタしていてな」

川 ゚ -゚)「……そうだ、頼むのならゴーレムの弱点を教えてもらえないだろうか?」

|::━◎┥「……役立たずで申し訳ない、分からない」


歯車王は「これ以降は知らん」という風に手を広げた。
それを見た3人は顔を見合わせた。


( ^ω^)「さて、どうするお?」

川 ゚ -゚)「行くしかあるまい」


結論にはすぐいたる。
しかし待つというのは性に合わなかった。
どちらかというとさっさと襲撃したかった。

だが、昨日ゴーレムを見た以上魔法を使う人は少ないだろう。

308名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 03:40:22 ID:vqpVxaPI0
そこまで会話したところでツンが2階から降りてくる。
左手で頭を押さえて辛そうだった。


ξ-⊿-)ξ「……頭痛い」

( ^ω^)「ツン……もうお酒入った物食べるなお」

\(^o^)/「御嬢さんずいぶんたくさん食べたからね」

ξ゚⊿゚)ξ「食べすぎには気を付けるわ」


クーはツンの様子を見て昨日を思い出す。
そう言えばこの料理を勧めたのはこの歯車王だったなと考えた。

そのつながりで会話を思い出す。
どこかおかしいところはなかったのか気になったのだった。

その横でブーンが先ほどまでの会話を説明する。


( ^ω^)「という訳で突撃作戦を考えているお」

ξ-⊿-)ξ「確かにひどい話ね……頭が……」

('A`)「大丈夫か? マスター、水」

\(^o^)/「昨日止めれば良かったね、ここまで弱いとは」


クーは会話に参加せずひたすら考える。
歯車王はゴーレムに反対するいいヒト。
ならば何故材料を知った時ストップをかけなかった?
人間同士を融合する実験を企画段階で止めなかった?


('A`)「回復魔法を使えば一発で治るがゴーレムがなぁ」

( ^ω^)「いっそ使っておびき寄せるかお?」

(;'A`)「……援護頼むぞ? いや、本当に」

ξ゚⊿゚)ξ「抵抗しなければ安全よ、きっと」


考えるクーの横で話は進む。
歯車王の表情はわからない。

309名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 03:44:24 ID:vqpVxaPI0
覚悟を決めたようにドクオが杖を構える。
クーはある一つの結論にたどり着く。
もしかしたら歯車王は……。


('A`)「じゃぁ行くぞ、『ルオナ』」

川;゚ -゚)「待て! 使うな!!」


クーの制止はわずかに間に合わない。
回復したツンも含めた3人がクーを不思議そうに見る。


川 ゚ -゚)「ドクオ、急いで二人に強化系をつけろ」

(;'A`)「え? あぁ『パワーアップデート』」


先ほどの剣幕に少しビビりつつもブーンとツンに強化呪文をかける。
歯車王は何も言わず彼らを見ている。
マスターは慌てたように言う。


\(^o^)/「おい、兄ちゃん魔法なんて使ったらあれくるぜ」

川 ゚ -゚)「……来るよな、使ってしまったものはしょうがない」

(;^ω^)「いったいそんなに慌ててどうしたんだお?」

ξ゚⊿゚)ξ「……あれ? 歯車王さんは?」


ツンの言葉に5人は辺りを見渡す。
確かにいなくなっていた。
マスターが「トンズラこきやがったか?」と呟いた。

クーもまた周りを確認する。
確かに誰もいなかった。
そして仲間を見据えると言った。


川 ゚ -゚)「多分あいつは敵だ」

310名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 03:53:38 ID:vqpVxaPI0
( ^ω^)「え、でもあの人ゴーレム止めたいって」

川 ゚ -゚)「研究所というのは研究する場合は計画書が所長まで一応行くはずだ
ましてや人の命を使うなんてものは特に」

(;'A`)「……落ち着いて考えたらゴタゴタしてても止めるよな
人間同士の融合なんて」


クーの言葉を聞いてドクオもため息をつきつつ言う。
ブーンとツンも嫌な予感を感じていた。


川 ゚ -゚)「おそらくあいつがGOサインを出した」

(;^ω^)「じゃぁなんで歯車王は研究所の破壊なんて?」

川 ゚ -゚)「……研究所へ我々を誘っているんだろう」


クーの言葉で沈黙が走る。
少しずつ地響きが聞こえてきた。
もう残された時間は少ないだろう。

ツンがそこで真っ先に発言した。


ξ゚⊿゚)ξ「ぶっ潰してやりましょう、向こうの計画ごと」

( ^ω^)「そうだお! どっちにしろカギは要るお!
ゴーレムも破壊しなくちゃダメだお!!」

('A`)「……せめて防御力は上げておくか」


三人とも言い方は違うが腹をくくったようだった。
クーはそれを見て少し笑う。


川 ゚ー゚)「お前らは強いな、私も覚悟を決めよう」


クーがそう言った途端ゴーレムが店の扉を突き破る。
そして真っ先に魔法使用者であるドクオの方へ向かっていく。

311名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 04:04:00 ID:vqpVxaPI0
\(^o^)/「店が……オワタ」

( ^ω^)「無駄な抵抗はするなお!」

(;'A`)「勝手なこと言いやがって……どっちにしろ足がすくんで動けん」


ゴーレムは彼が特に抵抗しないことを確認すると掴みあげる。
変なぐぐもった声が出たあたり力はなかなかなものらしい。
そしてゴーレムが残りのメンバーに背を向けた瞬間背中に飛びつく。


ξ;゚⊿゚)ξ「つかみにくくて今にも落ちそうね……」

川 ゚ -゚)「肩に手をひっかけるんだ」

(;^ω^)「ひびの中に目が見えた気がするお……」


各々そう言いながら必死にしがみつく。
マスターは戦う覚悟を決めたその様子を呆然と見ていた。

やがて彼らが店を出た後慌てて外に出る。
カウンターの裏手に置いていたものをその手に持って。
そしてそれを掲げつつ遠ざかる彼らに叫んだ。


\(^o^)/「この町の魔法使いに平和を!」


それは使い古したロッドだった。
マスターには彼らに声が届いたか分からなかった。
ただ、彼らは確かに頷いたように見えた。




ゴーレムはワープポイントに足を踏み入れる。
その瞬間飛び込んできた影のことをブーンたちは知らない。

312名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 04:08:26 ID:vqpVxaPI0
爪'ー`)「どうやって追いかける?」


フォックスとジョルジュはブーンたちが消えた場所を呆然と見る。
ジョルジュは何かを迷っているようだった。

  _
( ゚∀゚)「……俺な、一つだけ魔法使えるんだ」

爪'ー`)「じゃぁそれ使って同じ手段で」
  _
( ゚∀゚)「……できないんだ」


そう言うジョルジュの槍を握る手は震えていた。
フォックスが不思議そうに彼を見る。

  _
( ゚∀゚)「俺相手が自分より強いって感じると動けなくなるんだ」
  _
( -∀-)「そんな心根治せっていう事で俺を護衛にしたんだろう
でもやっぱり怖いんだ」


フォックスは煙草を出して指で挟む。
闇に覆われた国なので目立たぬよう火はつけない。


爪'ー`)y‐「大丈夫だ、一人じゃない
一人だとL1だったとしても二人以上ならそれ以上だ」
  _
( ゚∀゚)「……」

爪'ー`)y‐「ビコーズもいるし、俺も少しなら手を貸せる」
  _
( ゚∀゚)「……ありがとよ、『火の精霊よ』」


そこまで言った途端ゴーレムが出現し、ジョルジュを捕まえる。
フォックスは彼を捕まえたゴーレムにしがみつく。

ワープの瞬間小さな妖精もそのゴーレムに飛びついたのだった。

313名も無きAAのようです:2018/08/06(月) 04:13:35 ID:vqpVxaPI0
以上10話でした。
社畜になった後2年越しに戻ってみたら……。
誰も居なかったとしてもだからこそのんびり更新していきます。

2年前の自分の下書きのひどさに頭を抱え、展開を思い出しつつやっていきます。
では、お目汚し失礼いたしました。

314名も無きAAのようです:2018/08/27(月) 23:35:14 ID:Q1xDcHdM0
久々にきてみたら更新が!
待ってたよ
これからもマイペースにがんばって
楽しみにしてる

315名も無きAAのようです:2018/11/03(土) 12:34:50 ID:/efRcZxc0
ちょっと気になったから読んでみたら更新しているじゃないか!
面白いので続きを待ってます!


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