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( ^ω^)百物語のようです2014( ω  )

955名も無きAAのようです:2014/08/17(日) 03:08:36 ID:b08FoNhc0
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しばらく歩くと、再びぼくの歩みを止める物が見つかった。

三叉路の合流地点にある横断歩道の前で、ふと感じた違和感に頭を上げる。

ぼくのいる場所の対岸にある歩行者用信機の、赤のマークがやたらに毒々しい気がしたのだ。

目を凝らしてよくよく見てみると、微かではあるが赤い色が動いているのが分かる。

しばし観察を続け、その動きが命ある物に付き物の、脈動だということに気づいた。

人の脈拍の元となる臓器。それはもちろん心臓に決まっている。

世界広しと言えども、信号機の赤い部分に人の心臓が嵌め込まれている奇妙な図など、ぼく意外に見たことはないだろう。

他の通行人の邪魔になるのも構わず、ぼくは文字通り脈絡なく現れたその心臓を、食い入るように見つめた。

大中小の血管、そして蠢き躍動する無数の筋肉。それらの密集した塊が、確かにそこにはあった。

心臓はぼくに見られていることなぞお構い無しに、実に堂々と動いていた。さすがに臓器の王様と言われるだけのことはある。

しかし一体あの心臓は、あの場所で拍動しながら、どこへ血液を送り続けているのだろう。

まさか信号機そのものに血液なぞはあるまい。ではあの心臓は、全く無駄な動きにその能力を費やしているのだろうか?

それを思うとぼくはなんだか虚しい気持ちに苛まれ、目線を心臓から外してやることにした。

やがて信号は青へと変わり、ぼくはそれまでのことがなかったかのように、通行人に紛れて歩き出す。



ξ ⊿ )ξ「先生」



横断歩道の反対側から、ぼくへ向かって手を振り走りよってくる少女のことを、ぼくは華麗に無視していた。

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