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( ^ω^)百物語のようです2014( ω )
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しばらく歩くと、再びぼくの歩みを止める物が見つかった。
三叉路の合流地点にある横断歩道の前で、ふと感じた違和感に頭を上げる。
ぼくのいる場所の対岸にある歩行者用信機の、赤のマークがやたらに毒々しい気がしたのだ。
目を凝らしてよくよく見てみると、微かではあるが赤い色が動いているのが分かる。
しばし観察を続け、その動きが命ある物に付き物の、脈動だということに気づいた。
人の脈拍の元となる臓器。それはもちろん心臓に決まっている。
世界広しと言えども、信号機の赤い部分に人の心臓が嵌め込まれている奇妙な図など、ぼく意外に見たことはないだろう。
他の通行人の邪魔になるのも構わず、ぼくは文字通り脈絡なく現れたその心臓を、食い入るように見つめた。
大中小の血管、そして蠢き躍動する無数の筋肉。それらの密集した塊が、確かにそこにはあった。
心臓はぼくに見られていることなぞお構い無しに、実に堂々と動いていた。さすがに臓器の王様と言われるだけのことはある。
しかし一体あの心臓は、あの場所で拍動しながら、どこへ血液を送り続けているのだろう。
まさか信号機そのものに血液なぞはあるまい。ではあの心臓は、全く無駄な動きにその能力を費やしているのだろうか?
それを思うとぼくはなんだか虚しい気持ちに苛まれ、目線を心臓から外してやることにした。
やがて信号は青へと変わり、ぼくはそれまでのことがなかったかのように、通行人に紛れて歩き出す。
ξ ⊿ )ξ「先生」
横断歩道の反対側から、ぼくへ向かって手を振り走りよってくる少女のことを、ぼくは華麗に無視していた。
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