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( ・−・ )シーンの見た情景は他人より少し多いようです

1名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:00:38 ID:bMzvSyGw0

灰色の空が覆う駅前のビル街の一角。


( ・−・ )


僕は信号が青に変わるのを待っていた。
その日は別に用事もなかったので、この待ち時間にも不満はなかった。

ただ、隣のご婦人のケータイを通じての大袈裟な会話だけは少しだけ耳に障ったので、
出来るだけ其方には目を向けないようにして、道路を行き交う車の色を数えていた。


それにしても今日は街に人が多い。
休日だからだろうか。そういえば近く開店する大きなデパートがあるとテレビで聞いた。
コンビニで殆どの用事が済む自分にとっては特に覚えておいて意味のある話でもなかったのだが。


「ニャー」


ふと猫の鳴き声が耳に入る。
足元に目をやると、灰色の猫が信号待ちをしていた。

いや、信号待ちではなかった。猫は今にも飛び出さんとする構えで向こう側を睨みつけていた。


( ・−・ )「やめとけよ」

「構うな。猫には由緒正しき猫の交通るぅるってのがあるんだ」

小声で忠告するも、猫はその毛並みの良い顔をツンとあちらに向けて聞かなかった。

2名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:01:32 ID:bMzvSyGw0

「じゃあな」

そう言って猫が道路に飛び込む。

隣のご婦人はそのことに気が付いたようで、先程よりも耳に障る金切り声を披露してくれた。
信号を待つ多くの人々の視線が猫に注がれる。


「ニャー」

猫の方は上機嫌で、鳴きながら横断歩道の上を行ったり来たりしている。
これでは“交通るぅる”もあったもんじゃない。


「なぁおい、やべーって。あの猫、トラック来んのに気付いてねえよ!」

突然一人の若者が叫ぶ。
確かに、大きなトラックがこちらに向かって走ってきているが、その前にやばいのはあの馬鹿猫じゃないだろうか。



「ちょっとどいて!!」



不意に後ろから少女に声を掛けられ横に退けられる。
あまりに急なことだったので、よろけて隣のご婦人の足を踏んでしまい、耳元で怒鳴られた。

そしてその元凶は履いているローラーシューズを道路に滑らせ、猫の元へ向かい、流れるような動作で猫を抱きかかえた。
向かってくるトラックは依然スピードを緩めない。

3名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:02:46 ID:bMzvSyGw0





「だからトラックが―――――」


さっきの若者の言葉が言い終わらないうちに、トラックと少女と猫は運命の出会いを果たした。



( ・−・ )



ようは衝突である。
彼女は猫を抱きかかえたまま、背中からトラックにぶつかると、道路に血をまき散らし、僕らの前から姿を消した。



( ・−・ )









―――――その0,1秒前。

4名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:03:47 ID:bMzvSyGw0








( ・−・ )「お人好し」

「ニャー」

ミセ*゚д゚)リ「うっせ!」

とりあえずその少女には嫌味を言っておいた。











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5名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:04:31 ID:bMzvSyGw0








( ・−・ )シーンの見た情景は他人より少し多いようです

     Scene,1 僕の見た少女は他人より少し打たれ強い







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6名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:05:50 ID:bMzvSyGw0

食べ物を美味しそうに食べる女性は魅力的だという。
現に、今頭に軽く包帯を巻きながらも苺パフェを頬張る彼女、ミセリは可愛らしいと言える。


( ・−・ )「わざわざその猫の放浪自殺癖に付き合ってやる義務はないだろうに」

「そうだぞ。そうやって首を突っ込むから怪我ばかりするんだ」

( ・−・ )「その猫が喋るな。一般常識的にも」

「一般常識?猫には無いね、そんなもの」

ミセ*゚ー゚)リ「まぁ私は大丈夫だよ、この通り」

駅前の喫茶店。今日は日も当たらないためそれほど有難くもないテラス席。
先程トラックに撥ねられ吹っ飛んだ彼女は、今は僕の前で生クリームを鼻の頭に付けている。

( ・−・ )「それは知ってる。でも全く痛くないわけじゃないだろう」

ミセ*゚ー゚)リ「うん、今も頭がガンガンするよ」

彼女はこちらには目もくれず、尚もスプーンで容器に残ったクリームを集めている。

「……なあシーン、この娘は馬鹿なのか?」

下から猫が小声で聞いてくる。
僕からするとこの猫も十二分に馬鹿なのだが、ここでは黙っておく。

( ・−・ )「いや、どこかで頭でも打ったんだろう」

( ・−・ )「……馬鹿な妖怪踊り化け猫をトラックから守るときだとかに」

ミセ*゚ー゚)リ「馬鹿猫でも死ぬと悲しむお爺ちゃんがいるからねー」

「うーむ、なるほど、それは大変だな」

やはりこの猫は馬鹿だ。
軽く蹴ってやろうかと思ったが、彼女が言う、悲しむお爺さんの為に止めておいた。

7名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:06:33 ID:bMzvSyGw0

(´・_ゝ・`)「あれ、何やってんの。こんなとこで」

( ・−・ )「見ての通り」

ミセ*゚ー゚)リ「パフェ食べてる」

湧いたように現れたのは、友人の盛岡だった。

(´・_ゝ・`)「いやそうじゃなくて……おっ、苺残ってる、もーらい」

盛岡はミセリが容器の底に残していた苺を触れることなく取り出し自分の掌の上に移動させると、
そのまま口の中に放り込み苺の酸味と甘味に顔を顰めた。

ミセ;゚д゚)リ「あーっ!楽しみにしてたのにーっ!」

(´・_ゝ・`)「おきのどくですがイチゴは消えてしまいました」

ミセ#゚д゚)リ「返せ!私の苺返せ!」

(´・_ゝ・`)「えっ、僕の口に含まれて入念に咀嚼された苺でよければどうぞ」


ミセ*゚−゚)リ

ミセ*;−;)リ ポロ

( ・−・ )「あ、店員さん、イチゴパフェもう一つ」

パー゚*フェ「かしこまりましたーっ!」

(´・_ゝ・`)「ねぇ泣かないでよ、ごめん。謝るから」

結局、ミセリを宥めて盛岡が話を始めるまでに、僕はコーヒーをもう一度追加注文することになった。

8名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:07:16 ID:bMzvSyGw0

【流石兄者のパソコンのフォルダ・「重要」】



三瀬崎 ミセリ

怪我しても死なないらしい。
多分体を作ってる細胞の一個一個が多分能力の範疇だと思われる。
常連患者。だけど包帯の無駄。でも金は払ってくれるからとりあえず診てる。


静岡 シーン

時間止めれるんだと思う。
でもぶっちゃけコイツくだらないことでしか時間止めないらしいから色々不明。
常連患者。てか↑の保護者。金払うのはコイツ。


盛岡 デミタス

空間を操ってるっぽい。
「合法秘術・遠距離セクハラ」とか平気でやる探偵。
常連患者(ブラックリスト)。看護婦にセクハラする。金は↑が払う。


イジョウは全部弟者の話。俺は全然覚えてない。


愛洲 パフェ

駅前の喫茶店「カコローグ」のウエイトレス。可愛い。
俺が常連。
これは覚えてる。でも重要。


【「重要2」は二次元の幼女の如何わしい画像ばかりで特に情報なし】

9名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:08:22 ID:bMzvSyGw0

( ´_ゝ`)「……弟者」

(´<_` )「何だ?」

( ´_ゝ`)「あの娘、今までこの診療所に何回診せに来た?」

白衣の襟を正しながら不意に兄者が聞いてきた。
あの娘、とは先程の患者「三瀬崎 ミセリ」のことである。

それにしても急に診療所のドアが開き、少女が頭から血を流しながら、

「すいません、足を擦り剥いたのでバンソーコー下さい」

と言い放ったとき、新人の看護婦は卒倒しそうになったという。
今みたいな患者の少ない昼間に来ていなければ、軽いパニック映画モドキになっていただろう。

とはいえ、彼女がここに来るのは初めてじゃない為、俺は特に驚きもしなかったが。

(´<_` )「37だな。正確な内訳としては普通の診察が32回、誰かの付き添いが4回」

( ´_ゝ`)「……あとの1回は?」

(´<_` )「緊急搬送」

(;´_ゝ`)「ん?……すまん。記憶にない」

兄者は額に手を当てて少し考え込んだが、眉を顰めたまま溜息の後に口を開いた。

(´<_` )「いや無理もないことだ」

(´<_` )「……アレは“異常”だからな」


( ´_ゝ`)「……弟者。取り消せ」

“異常”という言葉に反応した兄者が冷ややかな声を静かに上げる。
こういうときの兄者の声には妙な力が籠ってるようで、昔から少し苦手だ。

(´<_`;)「ああ、すまん。こちらの言葉の綾だ。取り消すことに異論は無い」

(;´_ゝ`)「……いや、すまん、俺も悪かった」

少しバツが悪くなったので、俺は白衣の皺を伸ばす仕草をしながら兄者に背を向けた。

10名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:10:01 ID:bMzvSyGw0

( ´_ゝ`)「……」

( ´_ゝ`)「……時に弟者、昨日の晩飯は何だった?」

(´<_` )「デミグラスソースのハンバーグ、コーンスープ、トマトとキャベツのサラダだが」

二度目の不意な質問。
癖でつい咄嗟に口から出たが、質問の意図が俺には汲み取れなかった。


( ´_ゝ`)「なら一昨日の昼飯は何だっけか」

(´<_` )「二人で牛丼屋に行っただろう。俺は牛丼の並で、兄者は爆裂カルビ丼だ。兄者は半分も食えてないがな」

( ´_ゝ`)「……そうか、そうだったな」

兄者は今度は顎に手を当てて宙に視線をやっている。
その様子は何か考えているようにも、何も考えてないようにも見えた。


俺の兄、流石兄者は昔から忘れ物が多い。
一昨日の牛丼屋のときも、自分が奢ると言っておきながら財布を忘れていた。

仕事、診察や治療に関しては全くの無問題なので放っておいている。
俺は逆に記憶力が良い方なので、基本的に一緒にいる以上フォローに回ることが出来るからだ。


「なあ、昨日のエツ子の部屋のゲスト誰だっけ」


などという下らない質問を患者の診察中にすること以外は、意外に優秀な兄だ。
頭の回転も多分俺よりずっと速い。

11名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:10:58 ID:bMzvSyGw0

( ´_ゝ`)「……」

(´<_` )「どうした」

( ´_ゝ`)「なぁ、一か月と28日前の晩飯は何だった?」

(´<_` )「……」

ここに来て、俺は兄者が本当に聞きたいことが何かようやく分かった。
いつもなら2回。意図があるときは3回。兄者はよくどうでもいいことで俺の記憶力を試してくる。

俺はゆっくりと答え始める。

(´<_` )「……二つ答えるぞ。まず、その日の晩飯だが、明太子スパゲッティに前日の残り物のキャベツサラダだ」

( ´_ゝ`)

(´<_` )「そしてもう一つ」

( ´_ゝ`)

再び兄者に背を向ける。

俺の、話を始める前のこの仕草はこの診療所を建ててから303回目だ。
兄者は静かに俺の言葉を待っている。この話をした回数が20回を超えてからはずっとだ。

前にこの話をしたときも、彼女がこの診療所に来た時だ。
その時は待合室のカーテンは白じゃなくて緑だったし、看護婦は一人だった。
その日の診察したのは彼女を含めて三人。苗字は来た順番にサクラガワ、コオリ、ミセサキだ。
朝飯は時間がなかったから簡単に済ませた――――――俺は全部覚えている。


(´<_` )「お前の弟、流石弟者は……“さっきの娘”と同じ種類の人間だよ」

それこそ、“異常”な程に。



( ´_ゝ`)「……やっぱりかぁ」

振り返らず言った俺の言葉に、兄者はこのやり取りが20回を超えてから一度も変わらないセリフを呟いた。

12名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:11:59 ID:bMzvSyGw0










( ´_ゝ`)「あ、そうだ弟者。俺の虎の子二次ロリコレクションはどのフォルダだ?」



(´<_` )「…………重要2、それと資料22だ」

俺は振り返って、もう何度目になるだろう偽装フォルダの名前を口にした。

( ´_ゝ`)b「おっ、流石だな弟者!」

兄者は満足そうに親指を立て、俺達が物心ついてから一度も変わらないセリフを呟いてパソコンに向かった。







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13名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:13:48 ID:bMzvSyGw0

【広藤の手帳】


氷ちゃんの掛かりつけ…「さすが診療所」

・内科と外傷の応急処置をしてくれる
・お医者さんはイケメンらしい
・氷ちゃんの妹が働いてるらしい


「例のアレ」

目撃者多数のハズが記憶にないという人が多い。
→忘れている?
本当に覚えている人がいないかどうか自主的に捜査を続ける。
先輩は何か最近やる気がないのか協力してくれない。



駅前のラーメン屋がリニューアルしたので行く。
絶対行く。今度は年齢を聞かれないように大人っぽい服装で絶対行く!
ホントに絶対行く!!

そういやアレも駅の近くなのでついでに話も聞くべき?


【ここから後はこの辺りのラーメン屋のメモが大半を占めている】

14名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:14:28 ID:bMzvSyGw0

( ^Д^)「変だとは思わねえか?」

( ><)「何がです?」

書類の整理をしていると、吹屋先輩が話しかけてきた。
先輩が肩に置いてくる手を避けて、書類を封筒に片付ける。

( ^Д^)「アイツ、ここ来てすぐ秘密裏に迷宮入り寸前の連続殺人事件を解決したそうだ」


( <●><●>)

先輩が顎で指す方向には、最近この課に配属されてきた新人の刑事がいた。
自己紹介のとき以来、ロクに話もしていないのだが、苗字が珍しいのと、大きく黒い瞳が印象的だった。

( ><)「良いじゃないですか、大手柄です」

( ><)「というか、秘密裏なら、何で先輩が知ってるんですか」

(;^Д^)「それは……アレだよアレ、俺情報通だから」

( ><)「はぁ」

彼、撫森(なでもり)には特に悪い印象を持っていなかった。
落とした書類を拾ってもらったこともあるし、彼の机にお茶を零したときも何も咎めず許してくれた。
思い返してみれば彼が移動してきてから、彼には迷惑でしか関わり合いになっていないような気がする。

彼は非常に勤勉な性格だと課長からも評価が高かったので、先輩の話の意図が掴めなかった。

( ^Д^)「10」

先輩が両手を開いて目の前に持ってくる。

( ><)「は?」

( ^Д^)「この三日でアイツが秘密裏に解決した事件の数だ」

(;><)「え?」

(;^Д^)「ああ、これは俺が同じ期間内に落とした女より多いぞ」

( ><)「先輩のは毎回ゼロじゃないですか……」

うるせえ、と軽く小突いてくる先輩の肘を軽く払った。

15名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:15:18 ID:bMzvSyGw0


( ^Д^)「それで、アイツには一つ噂が立ってるんだが……」

先輩は一段と声を低くして言った。

( ><)「というと?」

先輩はこういう与太話が好きで、話を聞かないと後で拗ねて面倒なので、とりあえず調子と声のトーンを合わせた。

( ^Д^)「……アイツが一連の事件の黒幕なんじゃないかって」

( ><)

( ><)「何ですかそれ、随分な冗談ですね」

本当に、思っていた以上に下らなかったので、溜息すら出なかった。
先輩のこういう冗談の質というか内容は日に日に下らなくなってきているような気がする。

( ^Д^)「そういうなよ、そう思う根拠がちゃんとあるんだぜ?」

そういって先輩はポケットからメモを取り出した。
メモには汚い字で、数名の名前が書いてある。


( ><)「何です?これ」

( ^Д^)「馬鹿、アイツが捕まえた犯人の名前の頭文字だよ」

頭文字。
確かによく見ると、ルビがふってある苗字の頭文字に小さく丸が付いている。

( ><)「それは知ってますけど……名前がどうかしたんですか?」

( ^Д^)「お前鈍いなぁ、そんなんだからいつまで経っても童顔なんだよ」

( ><)「……今は童顔関係ないでしょう、セクハラで訴えますよ」

睨みつける私をよそに、先輩は猶も興奮した様子で話を始めた。

16名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:15:59 ID:bMzvSyGw0






( ^Д^)「ほら……前四人の苗字を名畑、出川、本八幡、林田……と捕まった順番に並べると“ナデモリ”になる!」

( ><)

( ><)「……残りの六人はどうするんですか」

(;^Д^)「それは………あれだろ、数合わせ?」

( ><)「あと、四人目はリンダじゃなくてハヤシダですよ」

(;^Д^)「……えっ、マジ?うわっ、マジだ!」

何やら一人でがっかりしている先輩を横目に、私は今まで我慢していた分の溜息を吐いた。







,

17名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:17:06 ID:bMzvSyGw0

【はなまる弁当・注文メモ】


対策2課 ナデモリ 様


幕の内弁当 4つ

シャケ弁当 3つ

大御殿・松 1つ

+ 海苔弁当 1つ


担当・宇津田


【「これ、一つ多くないですか」「私が二つ食べるんです」「はぁ」】

18名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:17:46 ID:bMzvSyGw0

J( 'ー`)し「伊藤さん、伊藤さん」

('、`*川「……何ですか」

私のバイト先の宇津田さんは休憩中、よく私に声を掛ける。
彼女の息子さんが私と同じ年だかららしいが、正直に言って面倒くさい。

一応さん付けではあるが、私に向けられる目は親が子を見る目そのものだからだ。

J( 'ー`)し「伊藤さんには将来の夢、ある?」

('、`*川「将来の夢、ですか」

こういった風に、抽象的かつ親のような質問を投げかけてくる。
私はとりあえず同じ言葉を反復して、当たり障りのない答えを考えるまでの時間を稼いだ。


J( 'ー`)し「実はうちの息子がねぇ、バンドをやりたいって言い出したのよ」

('、`*川「はぁ……」

バンド。
私にはよくわからないが、それは男子高校生の憧れの象徴なのだろう。


J( 'ー`)し「音楽で世界を変えてやるって、意気込んじゃって」

('、`*川「そうですか……」

おそらく変えられるのは精々自分と巻き込んだ人間の貯金の額くらいだろうが、そういうのもきっと悪くないんだと思う。
私は絶対にやろうとは思わないが。

J( 'ー`)し「それで、エレキギターが欲しいって言うんだけど、家にはそんなもの無くてねぇ」

('、`*川「まぁ、普通はそうですよね」

J( 'ー`)し「それで、とりあえず家にあった三味線を渡したんだけど」

それは違うだろ。
喉まで出かかった言葉を飲み込んで、私は苦笑いを返した。

19名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:18:31 ID:bMzvSyGw0

J( 'ー`)し「それで怒られちゃったのよ……こんなのエレキじゃないって」

('、`*川「ギターでも……ないと思いますけど……」

J( 'ー`)し「息子の話では何でも、ああ、息子には幼馴染の女の子がいるんだけどね、そいつと組む約束したんだーっ、て」

('、`*川「……メンバーは用意してたんですね」

突っ込みどころは色々あったが途中で遮るわけにもいかず、適当に相槌を打った。
というか女と二人でバンド結成かよ。カラオケにでも行ってろ。


J( 'ー`)し「伊藤さんはどう思う?」

('、`;川「はい?」

突然宇津田さんがこちらに向き直って聞いてくるので、私は思わず聞き返してしまった。

「どう思う」とは、どういったことについてだろうか。
彼のバンドについてだろうか。エレキ三味線の実在についてだろうか。
それとも可愛らしい幼馴染の存在はライトノベルの中だけだという私の持論についてだろうか。

あとそういえば将来の夢の話はどこに消えたのだろうか。


('、`;川「……いいんじゃないですか?」

そう答えはしたものの、何が良いのかわからない。どうでもいいし、何でもいい。

J( 'ー`)し「……そうよね。母親は応援するべきよね」

宇津田さんは、私の心中を知ることなく、何か一人で納得していた。


「イトーッ、弁当運んでー、これすぐ近くだからー」

('、`*川「あ、はーい」

私は軽く会釈をして休憩室を出た。
同じく会釈を返した宇津田さんの顔は何故か最初よりも少しスッキリしていた。

20名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:21:47 ID:bMzvSyGw0











('、`*川「夢………バンド、ねぇ……」

('、`*川「あーあ、そういや最近CD買わなくなったなー」

夢。

ヘルメットを被った直後、私は昨日の夢を思い出した。

今日中にはあの人に伝えないと。





,

21名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:22:41 ID:bMzvSyGw0

【着信】



『ねぇ、盛岡センセ。いきなりだけど私が昨日見た夢の話するよ』



『―――――』




『何とかなる?ならない?』



『あー。私は別にどっちでもいいんだけど、ね』



『ん、じゃあね』


【通話終了】

22名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:24:00 ID:bMzvSyGw0


(´・_ゝ・`)「まぁ、そんな大層な話でもないけど。シーン、ちょっと時間止めろ」


二度目に頼んだパフェのほとんどがミセリの口に運び込まれた頃、盛岡は妙に真剣な顔つきで言った。

僕は頷いて時を止める。
ミセリはきょとんとして瞬きを繰り返している。



(´・_ゝ・`)「今日、伊藤から電話があった」



(´・_ゝ・`)「―――――。」



( ・−・ )

ミセ*゚д゚)リ「え」



ミセリがスプーンから苺を落とす。
盛岡はそれが地面に触れる前に拾い上げてミセリの口に放り込んだ。
僕は黙って二杯目のコーヒーをゆっくり飲み干してから、時を動かした。

さっきまで止まっていた猫が何だ何だ、と足元で騒いでいる。

23名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:24:10 ID:h6lVVerM0
頭を殴られるような衝撃を受けたほど期待できる好みな導入
期待

24名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:25:19 ID:bMzvSyGw0







('、`*川『来週の金曜日、隕石落ちて地球は終わるんだってさ』








 Scene,1 僕の見た少女は他人より少し打たれ強い

25名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:26:43 ID:bMzvSyGw0


【今回の投下はここまで】




( ・−・ )←主人公です

ミセ*゚ー゚)リ←好きなものは最後に食べるタイプです

(´・_ゝ・`)←コーヒー以外は苦いの嫌いです





【それでは次回の投下で】

26名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:32:23 ID:q4EVRNb60

シーンが主役なのは珍しいな
期待してるわ

27名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:32:51 ID:h6lVVerM0

wktkして待ってる

28名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 00:37:05 ID:zMlOK7jU0

続きが楽しみだ

29名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 02:21:30 ID:G8tSJMqM0
いいなあこれ
いいなあコレ!

30名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 06:17:09 ID:dsHTjA9c0
乙 期待

31名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 06:19:02 ID:v.q46/gQ0
面白くなりそう

32名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 11:08:21 ID:c5Z6YiBQ0


33名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 11:43:52 ID:oi8ytTKw0
乙乙

34名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 19:58:53 ID:o92opJpIO
シーンがスレタイwwwwwと思ったらすごく面白かったですごめんなさい
期待の乙乙

35名も無きAAのようです:2014/03/12(水) 22:31:37 ID:4sLQLneE0
期待

36名も無きAAのようです:2014/03/13(木) 08:01:17 ID:fqEmEvMc0
いいねぇ!

37名も無きAAのようです:2014/03/13(木) 18:02:19 ID:HweI61wY0
あ〜実力派の作品だこれ

38名も無きAAのようです:2014/03/14(金) 16:24:29 ID:XeqBiUTQ0
面白い乙

39名も無きAAのようです:2014/03/15(土) 16:26:24 ID:5NUwwsx60
まとめブログのたくろうのお部屋@ブーン系です。
http://takurounooheya.blog.jp/
http://takurounooheya.blog.jp/archives/1000617184.html


こちらの作品を当ブログでまとめさせていただきました。

40名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:34:47 ID:hBG775gg0

Добрый вечер

投下します


>>39
えっと、ご丁寧にどうもです。
無理せず頑張ってください。

41名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:35:46 ID:jmIEjxK20
支援

42名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:35:46 ID:hBG775gg0


( ´∀`)「……おや、荒巻さん」

/ ,' 3 「おぉ、茂名さん。こんにちは」


昼間の公園。
特に目ぼしい遊具も無く、狭いこの公園で遊ぶ子供もいない。


/ ,' 3 「散歩ですかな?」

( ´∀`)「ええ、家に居ても邪魔っけにされるだけですからな」

/ ,' 3 「はっはっは。お互い肩身の狭い隠居暮らしですな」

( ´∀`)「もう最近の話し相手は、この公園と空の上にしか居りませんて」

茂名が空を見ながら言う。
寂寥の風が二人の間を通った後、それを払うように老人はお互いに笑顔を見せた。

( ´∀`)「まぁ、最近孫が会いに来てくれましてな。一応、長生きを希望されましたわ」

/ ,' 3 「そりゃあ、お仲のよろしいことで。羨ましいですな」

( ´∀`)「まぁ、ようは小遣いの話をしに来たようでしたがね」

/ ,' 3 「いやぁ、孫に頼られるジジイでいられることは、誇るべきことですぞ」

荒巻はそう言って笑顔のまま、茂名に親指を立てて見せた。

( ´∀`)「ははは、そう励ましてもらえただけでも、散歩に出た甲斐が有りましたなぁ」

そう返して茂名も同じように親指を立てた。

43名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:36:51 ID:hBG775gg0

/ ,' 3 「そういえば。前に逃げ出したと聞きましたな、猫……確か、ぎゃしゅちゃんでしたかな?」

茂名が荒巻の隣に座ると、荒巻は思い出したように茂名に聞いた。

( ´∀`)「ああ、ウチのぎゃしゃですか」

/ ,' 3 「そうそう、ぎゃしゃちゃん」

( ´∀`)「……実は、最近腕利きの探偵さんに頼んで探してもらいましてな」

/ ,' 3 「おお、それでその探偵仕事の程は」

(;´∀`)「それがまだ連絡が来てないのですよ、見つけ次第連絡をくれると言っていたのですが」

/ ,' 3 「それは心配ですな、早く見つかるよう願ってますぞ」

( ´∀`)「ええ、ありがとうございます」


/ ,' 3 「……む?」

その話が終わるのを見計らったかのように、荒巻のポケットが音を鳴らした。

( ´∀`)「お電話ですかな?」

/ ,' 3 「……こちらも孫からみたいですな。少し失礼しますぞ」

( ´∀`)「ええ、お構いなく」

荒巻はポケットから簡単な造りの携帯を取り出すと、ボタンを押して話を始めた。

44名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:39:34 ID:hBG775gg0
/ ,' 3 「もしもし、ワシじゃワシ」

/ ,' 3 「………おお、紅か。久しぶりじゃな、ん?そうでもない?そうかそうか」

/ ,' 3 「それで一体どうしたんじゃ」


/ ,' 3 「……ふむ」


/ ,' 3 「…………そりゃあ大変じゃな。分かった、そいつにはワシからも話をしておこう」

/ ,' 3 「兎に角、金のことはジジイに任せておきなさい。はいはい、じゃあの」


/ ,' 3 「……ふぅ」

( ´∀`)「どうされましたかな」

/ ,' 3 「いや、よくある孫からジジイへの頼み事ですわ」

( ´∀`)「ほう、小遣いですかな」

茂名が興味有り気に質問を続ける。
荒巻はふんと鼻から息を吐き、何でもないように答えた。


/ ,' 3 「孫曰く、来週地球が終わるようでして。少しそれを止める手伝いをしろと言われましてな」

( ´∀`)「はぁ……それは大変ですなぁ」

茂名は先程の猫の話をした時の荒巻とほとんど同じ反応を返した。


( ´∀`)「しかし……荒巻さんも久々にお孫さんと話ができたかと思ったらそんな……」

/ ,' 3 「ええ……全く……」

そう言って茂名と荒巻を目を合わせた。

45名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:40:17 ID:hBG775gg0







( ´∀`)「私達もまだまだ孫に頼られるジジイ、ということですな」

/ ,' 3 「そういうことですな、はっはっは!」

二人の老人は、皺を湛えた顔にさらに皺を重ねて笑いあった。







,

46名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:41:00 ID:hBG775gg0

【早朔町・町内会掲示板】


[将棋大会]

先週開催された、早朔町将棋大会の結果をお知らせします!

[ リ班;゚ー゚)リ  cl从・∀・ノ!リ人] 

 ↑ 準決勝の斑木ちゃんvs流石ちゃん戦の様子

○青少年の部・決勝


流石 妹者 ┓
        ┠ 流石 妹者ちゃんの優勝!
一坪 王平 ┛


○大人の部・準決勝・決勝


茂名 茂夏 ┓
        ┠ 茂名 茂夏     ┓
撫森 カイ  ,┛             ┃
                      ┠ 荒巻 千乃夫さんの優勝!
荒巻 千乃夫 ┓            ┃
         ┠ 荒巻 千乃夫  ┛
流石 父者  ┛


(地元密着型ライター・杵本 ショボン)

【この下には次回の将棋大会の日程が書かれている】

47名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:42:16 ID:hBG775gg0

( ・−・ )「…………それで?」

状況が飲めないまま、苺の入った口をもごもごさせるミセリをよそに、僕は聞いた。


(´・_ゝ・`)「えー、流石にこのまま地球が終わるのもどうかな、って」

( ・−・ )「いや、仕事受けた動機じゃなくて」

(´・_ゝ・`)「ん?」

( ・−・ )「それ、止められるのかどうかとか。止めたら何か貰えるのか、とか」

(´・_ゝ・`)「伊藤の爺さんからお金が貰える。止められるかどうかは、来週の金曜日までわからん」

ミセ*゚ー゚)リ「まぁ、そりゃそうだよね」

無事にイチゴパフェを食べ終わったミセリが口を挟んだ。


(´・_ゝ・`)「でも知ってしまって頼まれた以上、頑張って止めないわけにはいかないじゃん?」

じゃん、の部分だけ妙に声を上げて盛岡が僕を指差して言った。

( ・−・ )「……まぁ、まだ死にたいと思ったことはないけど」

ミセ*゚ー゚)リ「それで、どうやって止めるの?」

(´・_ゝ・`)「それは今から考える」

( ・−・ )「おい」

口では突っ込んだが、僕は別にそれほど苛立ってもいなかった。
それより足元の馬鹿猫がいつの間にか居なくなっていて、
少女が頭から血を流してまで遂行した依頼が失敗したことの方で、僕は少し強く頭を掻いた。

48名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:44:33 ID:hBG775gg0

(´・_ゝ・`)「とりあえず……人為的なものであることは確かなんだが」

( ・−・ )「……そうだな」

ミセ*゚−゚)リ「何で?」

喫茶店を後にして、どこかに向かうでもなく三人で街を歩いていた。
盛岡は店を出てからずっと顎に手を当てながら、浅い唸り声を上げて僕らの前を進んでいた。

( ・−・ )「……地球が終わるサイズの隕石が接近してることくらい、天体観測者なら数ヵ月、いや数年前から知れる」

ミセ*゚д゚)リ「あ、そっか」

( ・−・ )「だから、きっと来週の金曜日にピンポイントで“隕石を降らせる”人間がいるってことなんだろう」

ミセ*゚−゚)リ「……物騒な人だね」

トラックに体当たりをかます彼女が言うのだから、きっとそいつはとても物騒なのだろう。


ミセ*゚д゚)リ「あ、危ない」

( ・−・ )

突然、ミセリが声を上げた。
反射的に時を止める。


ミセ*゚д゚)リσ「ほら、植木鉢」

ミセリの指差す方向に目をやると、確かに植木鉢が盛岡の脳天目掛けて落下しているところだった。
恐らく側のマンションのベランダから落ちたのだろう。
若い女性が、「やってしまった」という悲痛な表情を浮かべている。

(´・_ゝ・`)「お、危ないところだった」

盛岡がその場を飛び退く。

49名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:45:14 ID:hBG775gg0

時間を動かす。
植木鉢は砕け散り、黒い土がミセリの靴を軽く汚した。

ベランダの女性の「すいません」に、ミセリが軽く手を振り返してその場を離れる。
僕は何となく、砕け散った植木鉢が来週の隕石よりも物騒な気がした。

少しして、盛岡が薄手のコートから携帯を取り出してこちらを振り返る。


(´・_ゝ・`)「……今からちょっと伊藤のところで直接話聞いてくる」

携帯を軽く耳に当てる仕草をして、盛岡が言った。

ミセ*゚ー゚)リ「あ、今のでちょっと心配になった?」

(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)「まぁね、探偵の大事な情報提供者だから」

ミセリの問いに盛岡は無表情のままそう答えると、また前に向き直った。


ミセ*゚ー゚)リ「……あれ、絶対照れ隠しだよね」

( ・−・ )「……彼らは二人して照れ隠しが癖だからね」

ミセリと小声で話したが、盛岡は聞こえていたのか途中から歩幅を大きくして僕らと距離を離した。

(´・_ゝ・`)「それじゃ、また連絡するから」



( ・−・ )「……僕らは何をすれば良い?」

歩く速度を上げて去っていく盛岡に声を掛ける。

50名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:46:42 ID:hBG775gg0







(´・_ゝ・`)

(´・_ゝ・`)「……死ぬ前に食べたい料理でも考えて待つとか?」

( ・−・ )

とりあえず鳩尾に一発入れたところ、二人して盛岡の事務所での留守番を任された。


ミセ*゚−゚)リ

ミセ*゚д゚)リ「……私はシーンの作るオムレツが良いなぁ」

そして今日の晩飯のメニューが決まった。







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51名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:47:30 ID:hBG775gg0









( ・−・ )シーンの見た情景は他人より少し多いようです

     Scene,2 僕の見た友人は他人より少し届くところが多い








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52名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:48:51 ID:hBG775gg0


|  ^o^ |「おはようございます ばれました」

簡素な、もとい適当な顔の書かれた巾着袋を被った少女は部屋に入るなり言った。

| ^o^ |「非常に愉快な 挨拶ですね 阿呆が」

同じ調子で答えた男は、彼女と同じような巾着袋を被っていた。
少女が自分の顔より大きなものを被っているのに対し、男の方は頭の形が分かる程のものを被っている。
男は開いていたノートパソコンを閉じ、部屋に来た彼女の方に巾着袋の中から目をやった。

|  ^o^ |「ばれたのは わたしのせいじゃありません」

| ^o^ |「まぁ そうでしょうね」

|  ^o^ |「ではなぜ ゆうたろーは わたしをしかるのですか」

少女は心底納得のいかない様子で、男に不満を漏らした。
寝起きの苛立ちもあるのだろう、寝巻の裾をギュッと掴んでいる。


| ^o^ |「その夢にいた主 殺してきましたか?」

|  ^o^ |「いいえ」

| ^o^ |「だから叱ったんですよ」

男はそう言うと、まだ納得のいっていない少女の頭に、優しく掌を乗せた。


| ^o^ |「夢の中で人が死んでも 現実でその人は生きているのです 何も心配はいらない」

| ^o^ |「だから 私は貴女に 出来るだけ仕事をしてほしかった」

| ^o^ |「夢の中は 貴女の庭でしょう 無有夢?」

|  ^o^ |「そのわたしのおにわで ひとをころせというのですか ゆうたろー」

| ^o^ |「……」

少女の言葉に、男は返す言葉がなくなったのか、黙ってもう片方の手をズボンのポケットに突っ込んだ。
そのまま携帯を取り出して袋越しに耳に当てる。

53名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:49:47 ID:hBG775gg0


「お電話は必要ありませんわ」

| ^o^ |「…… 花さん 其方からの連絡が無いのは 私が不便なのですが」

扉越しに聞こえた声に、男は溜息を吐いて携帯をポケットに戻した。


i!iiリ*゚ ー゚ノル「ふふ、申し訳ありません。お花が色々と教えてくれるもので」

部屋に入ってきた女は、パソコンと同じ机に乗っている小さな植木鉢を指差して笑った。
男は呆れたように腕組みをして、そこの古ぼけたソファーに座るように顎で促した。

| ^o^ |「それならば ついでにお聞きしましょう ジョルジュはどこですか?」

i!iiリ*゚ ヮ゚ノル「ええ、彼ならもう少しでここに着くはずですよ」

| ^o^ |「そうですか」

男もさっきまで座っていた椅子に座る。
少女は、やってきた女・花の方に寄り添うように隣に座った。


|  ^o^ |「ねえ はな」

i!iiリ*゚ ー゚ノル「あら、何かしら?」

|  ^o^ |「また おはなのはなし してください」

i!iiリ*゚ ヮ゚ノル「ええ、良いですよ。長岡君が来るまで、ちょっと暇ですものね」

|  ^o^ |「やった」

微笑む花の言葉に、少女はさっきまでの不満な声を取り払って喜んだ。
その様子を見て男は、自身の微妙な心情を詰めた溜息を、二人に聞こえないように巾着袋の中で吐いた。

54名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:52:03 ID:hBG775gg0

i!iiリ;゚ 、゚ノル「そうねぇ、前はバラの話だったから……」

花が唇に人差し指を当てて考える仕草を始めた直後だった。
ガコン、という音と蝶番の悲鳴が部屋に響き、三人は同じように扉の方を見た。

  _
( ゚∀゚)

金髪の男・長岡が、扉を蹴飛ばして入ってきた。
  _
( ゚∀゚)「うぉーっす。あ、俺待ちだった感じ?」

| ^o^ |「…… まあ 私は待っていましたが」
  _
( ゚∀゚)「んあ?」

いまいち巾着袋の男の言葉の真意が理解できなかった長岡は、


|  ^o^ |「わたしは まってなかったです かえってください」

i!iiリ*゚ ヮ゚ノル「……私はどっちでもよろしかったですわ」

ソファーに座る女性陣の不歓迎ムードを見てもう一度首を傾げた。

  _
(;゚∀゚)「……憂太郎よぉ。俺、何かした?」

心底分からないという表情の長岡に問われた巾着袋の男・憂太郎は、花と顔を見合わせ、小さく笑った。

55名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:53:34 ID:hBG775gg0


| ^o^ |「何かした と言えば ジョルジュ」

少しの間笑っていた憂太郎だったが、すぐ思い出したように長岡の方に向き直って話を始めた。


| ^o^ |「貴方は “裏切り者の始末” と言われて 何故あんな目立つところで 派手に人を殺すのですか?」

i!iiリ;゚ ヮ゚ノル「そうですわねぇ、アレには近所の花も随分驚いていましたわ」

先程、少女に向けたものよりも幾分か強い口調で憂太郎は言った。
  _
( ゚∀゚)「だってよぉ、始末の方法までは決められてなかっただろ?」
  _
( ゚∀゚)「それにどうせすぐ忘れられちまうんだ、最期くらい派手に散らせてやるのが本望だろうがよ?」

長岡は悪びれもせずに、ニヤリと笑った。
そして壁にもたれかかると、その表情のまま憂太郎の方を向いて言った。

  _
( ゚∀゚)「なぁ、次は誰を始末すればいい?」

| ^o^ |「…… 無有夢が夢に見た その人物です」

| ^o^ |「無有夢 描けますか?」

|  ^o^ |「…… かけます」

憂太郎はその言葉に頷くと、机の引き出しから白い紙と鉛筆を少女に渡した。

少女は机に向かうと紙に鉛筆を滑らせ、瞬く間に一人の顔を描き出した。
その紙を手に取り、二三度近付けたり遠ざけたりした後、長岡はその紙を丸めてゴミ箱に投げた。

  _
( ゚∀゚)「……もう覚えた。コイツを始末してくれば良いんだな?」

| ^o^ |「ただし 今度は “暗殺” で頼みますよ?」
  _
( ゚∀゚)「……へっ、分かったよ」

ゴミ箱から紙を拾い上げて小言を言う憂太郎に、長岡は軽く返事をした。

56名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:56:13 ID:hBG775gg0










  _
( ゚∀゚)「お望み通り、弾丸一発で仕留めてくるぜ。それじゃあ“後始末”よろしくぅ」

そう言うと手に取ったライフル弾を一つ、自分の歯に噛ませて長岡は部屋を出た。


| ^o^ |「だから その“後始末”を させるなと 言ってるんですがね」

|  ^o^ |「……はな はなしのつづきを おねがいします」

i!iiリ*゚ ヮ゚ノル「ええ、そうしましょうか」

ポケットに戻された憂太郎の携帯が鳴るまで、その部屋から聞こえるのは憂太郎の溜息と花の話し声だけだった。









,

57名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:57:58 ID:hBG775gg0



【刀利 カエサルの始末について】



カエサルを含む三人が内部の情報を持って外に逃げた。
アイツらが持っている程度の情報が漏れたところで問題はないが、
このまま野放しにするのも組織の面子が立たないので早急に始末を命じる。

この区域担当の糸小路、古浦、長岡、瓶子の四名のうちで裏切り者の排除を行うこと。

カエサルを含む三人は現在ほぼ無能力者に近い。
始末に面倒はかからないだろうが、見つけ次第確実に始末するように。


計画が水泡に帰すようなことだけはくれぐれもしないように。




【送り主は書いていない】

58名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 00:59:21 ID:hBG775gg0

( <●><●>)「広藤さん」

( ><)「……はい?」

人混みを斬るように歩く撫森が、突然振り返って私の名前を呼んだ。
お昼休み明けで、半分夢の中のまま彼に着いて歩いていた私は自分でもよくわからない返事をした。


( <●><●>)「……この先の交差点で良いんですよね」

彼の言葉の前に少しの間と溜息が有ったのは、私の気のせいだと思いたい。


( <●><●>)「……広藤さん?」

( ><)「え、うん。合ってますよ」

いい加減目を覚ました私は、辺りを軽く見回して答える。
撫森は無表情のまま、「そうですか」と呟くと、また前に向き直って歩き始めた。


私は今、ある一つの未解決事件を追っている。
この街で起きた、男性の変死事件だ。

初めは交差点の真ん中で堂々と死体が転がったのであれば、変死とはいえ調査も楽かと思っていたのだが、
いざ蓋を開けてみれば、目撃者はほとんど居らず、明確な凶器も容疑者の特定も無いという。
余りの意味の分からなさに、無性に腹が立った私は何としてもこの奇妙な事件を解決してやろうと、自分なりに調査を重ねてきていたのだ。



そして今日、何故か撫森は私の聞き込みに同行したいと言ってきた。
協力してくれる人が増えるに越したことはないので二つ返事で了承したが、彼の魂胆は私には分からなかった。

ちなみに吹屋先輩と同期の小織ちゃんにはそれぞれ、「めんどくさい」「ですくわーく中」と協力を断られた。

59名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:00:34 ID:hBG775gg0

現場の交差点に着いた私たちは、この辺りをよく利用しそうな人間に絞って聞き込みを始めた。


(―[]‐[])「……ここで男性が変死?それは初めて聞きましたね」

( ><)「そうですか……」

外回り中の営業マン。


(;`・ω・´)「んぁん?そんな辛気臭ぇ話は知らねえなぁ!まぁしょっちゅうここでは事故るみてえだしよ!」

(*`・ω・´)「それより嬢ちゃん、今度うちにラーメン食いに来な!!ほら、割引券やるからよっ!」

(;><)「は、はぁ……」

ビラを配っていた近々開店するラーメン屋の店主。


(゜д゜@「ここであったこと……ねぇ……ああっ!」

( ><)「……っ!何かご存知ですか!?」

(゜д゜@「さっきここで若いお兄ちゃんに足踏まれたのよしかもその人謝りもしないの信じられる?信じられないでしょねぇ?
     もし私が若かったらうんそうね貴女くらい若かったら同じくらいの強さで踏み返してやったのにねだいたい最近の

(;><)「……そ、それは大変でしたねぇ」

買い物帰りの主婦。


(;^ω^)「うーん……僕はあんまりここ使わないから……ツンはどうだお?」

ξ゚⊿゚)ξカコカコ
  つ[]”

ξ゚⊿゚)ξっ[] スッ

(;^ω^)「…………おー。彼女も知らないみたいですお、ごめんなさいお」

( ><)「いえいえ、お時間取らせてしまってすいませんでした」

帰宅中の学生カップルなど。
考えらる中で手広く話を聞いては見たものの、返ってくる答えはどれも同じようなものばかりだった。
撫森は特に手分けをして聞き込みの数を稼ぐでもなく、私の聞き込みを黙って後ろで聞いていた。

60名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:01:56 ID:hBG775gg0


日が少し傾きかけた頃。


(;><)「はぁー。日に日に情報が減っていってるような気がする……」

右手にラーメン屋のチラシを握ったまま、私は解りやすく肩を落とした。
撫森はというと、聞き込みを始める前と同じ無表情で、自分の手帳に何か書いているようだった。


( ><)「撫森君、何かメモするような情報ありましたか?」

( <●><●>)「ええ、十二分に」

( ><)「……何ですって?」

自分で言ってて悲しくなるような嫌味を言った私に、撫森は手帳から視線を離さずに答えた。
結局のところ自分にしか害を及ぼさなかった嫌味に腹を立てた私は、彼の手帳を半ばひったくるように手に取った。


( <●><●>)「あ」

(;><)「何ですか、これ」

私は絶句した。

一言で言えば彼の手帳のページは意味不明だった。
傍から見れば文字化けしたようにしか見えない文字の羅列が、彼の手帳のページをを黒く染めていた。


( <●><●>)「……自分が理解できるようにしか書いていませんよ」

(;><)「……理解できるんですか、これ」

( <●><●>)「ええ。いつも書いていますし、読んでいますから」

さらりと何でもないように言う撫森が、私には恐ろしく感じた。
撫森は私の手から軽く手帳を取り返すと、自分のポケットに仕舞い込んだ。

61名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:05:41 ID:hBG775gg0

( <●><●>)「でも……今度ばかりは私が理解できるだけじゃ駄目なんですよ」

撫森は手帳を仕舞ったポケットを軽く叩いて呟いた。

(;><)「……え、あ、そうなんですか」

まずそんな文字を他の人間が読む必要があるのかどうか聞きたかったが、
妙に力の籠った彼の声に圧倒されて、私は自分でもよくわかっていないまま返事をした。


( <●><●>)「……広藤さん」

撫森は私の名前を呼んだかと思うと、頭一つ分ほどある身長差を埋めるように私に顔を近づけた。

(;><)「……な、何ですか?」

突然彼の黒い双眸に捕まった私は、思わず怯えた声を出した。
自分のメイク下手がばれるだとか、まず異性にこんな近くで見つめられたことが無かっただとか、
それはそんな甘酸っぱいような話とは無縁の単なる怯えだった。


( <●><●>)「もし私が、“地球が滅びるのを防ぐために、今から風呂の掃除をしろ”と言ったら理解できますか?」

(;><)「…………え。な、何でですか?」

彼の質問の意図が全く理解できない。
地球の滅びと、風呂の雑菌の滅びがどう関係があるというのだろう。
そして、この事件の話をしていたはずの私たちはどこに向かおうとしているのだろう。

もしかすると私の混乱につけ込んで、彼は私に何か吹き込もうとしているのだろうか。


( <●><●>)「…………やはり私は、例え話が苦手なようです」

撫森が溜息を吐く。
よくわからないが、さっきのが例え話だというなら確かにそうだと思う。

( <●><●>)「広藤さん、明日はお休みですか?」

(;><)「……え、まぁ、休みですけど」

彼は私の答えを聞くと、混乱し通しの私から今度は先ほどのラーメン屋のチラシを取って、私の眼前に持ってきた。

62名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:06:44 ID:hBG775gg0






( <●><●>)「では、この事件を解決するため……そして」

( <●><●>)「来週の金曜日に地球が終わらないよう、明日このラーメン屋に行きましょう」

( ><)

( <●><●>)「……理解して貰えますか?」

( ><)

( ><)「…………は?」

もうわけが分からない。
彼の言葉にただ唖然とする私の頭の中で、


「変だとは思わねえか?」


と、吹屋先輩がしたり顔をするのが見えた。





,

63名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:08:26 ID:hBG775gg0

【情報雑誌『タイムライン』の記事原稿】


[変死した男性の正体とは?](素直)

設楽葉駅近くの交差点で、男性の変死死体が発見された。
この男性の身元や名前は分かっておらず、警察も決定的な証拠は無いままに自殺と推定。

しかし、発見時刻には多くの人がこの交差点で信号待ちをしていた。
つまりそのほとんどが、彼の死を目撃しているはずなのだ。
本誌で独自に調査を行ったところ、男性の死体を目撃したという人は居たものの、
「飛び降りだった」「トラックに轢かれた」「いきなり血を吐いた」など死因はどれもハッキリとしていない。
さらに気になるのは、目撃者が少なすぎるということだ。その時刻は、設楽葉駅近くの道はどこも人で溢れていたというのに、だ。


そしてもう一つ、奇妙な体験を私はした。
一度は目撃者として話をしてくれた主婦に、数日後同じように話を伺ったところ、
「何の話か全く分からない」といった風に―――――





【この記事は途中で没になったようだ】

64名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:09:47 ID:hBG775gg0


(´・_ゝ・`)「おいっす」

('、`*川「……いらっしゃいませ」

私はその顔が店の自動ドアを開けて入ってきたとき、
“夕方なのに今日は店番暇だなぁ”などと思っていた自分の呑気な気持ちを既に懐かしく感じていた。


(´・_ゝ・`)「ねぇ、伊藤君。今から外出れる?」

('、`*川「あの、目悪くなりました?どう見てもバイト中ですよね私。ご注文をどうぞ」

何やら真面目な顔でよくわからないことを言った彼に私は表情一つ変えずに言葉を返した。
彼は特に怒る様子もなく、その場でしゃがんでガラス越しにメニューを眺めた後、

(´・_ゝ・`)「……海苔弁当とシャケ弁当を一つずつ」

と、真面目な顔のまま言った。
今じゃなければそのセリフと顔のギャップに笑っていたかもしれない。

(´・_ゝ・`)「で、伊藤君。バイトは何時に終わるの?」

('、`*川「……かなり掛かりますよ」

(´・_ゝ・`)「待つよ」

面倒だったので適当にはぐらかすつもりだったが、彼の即答によってそれは失敗に終わった。


('、`*川「……えーっと、シャケ弁と海苔弁でしたっけ」

(´・_ゝ・`)「うん」

注文を通す建前で、私は逃げるように店の奥に消える。
逃げ込んだ店の奥で、「今日は客少ないし、人数余るから先上がっていいよ」という店長の非常にありがたいお言葉をいただいた。

感動のあまり笑顔が零れる。

(´^_ゝ^`)

零したのは私じゃないけど。

65名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:13:35 ID:hBG775gg0

('、`*川「……もしかして、私が何でケータイで話を済ませたか分かってない?」

(´・_ゝ・`)「ん、僕と会って話すと疲れるからだろう?もう十回くらい聞いたから覚えた」

店長の粋な計らいでバイトを抜けた私は、不本意ながら探偵と一緒に帰路に着いていた。
彼は買ったばかりの弁当をぶら下げて私の横を歩いている。


('、`*川「分かってるなら、何でバイト先に来たの」

(´・_ゝ・`)「君は会いたくなくても、僕は君に会いたいからだよ」

('、`*川「……センセそれ、ストーカーっぽい」

(´・_ゝ・`)「そういう仕事だから仕方ない」

隣を歩く探偵は本気か冗談か分からないことを笑いもせずに言ってのけた。
いつものことなので、私もいつも通り真面目に取り合わずに返した。


('、`*川「……どうせ、夢の中のことを詳しく聞かせろ、でしょ?」

彼は仕事に私の夢をよく利用する。
私が何か大きな事件の夢を見るたびに彼に報告し、その曖昧な私の記憶を紡いで彼が事件を解決する。

夢の中身を話すだけなので、私には負担はほとんど無い。
むしろ私が話す断片的な夢の欠片で、よく事件が解決できるなぁと、普段は感心している。


(´・_ゝ・`)「うん、君にしては察しが良くて助かるよ」

ただ、このセンセイは私に対して妙に口が悪くて強情で面倒臭い。
加えてたまに見せる笑顔は非常に胡散臭い。

66名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:15:21 ID:hBG775gg0

('、`*川「念のために言っておくけど、本当に大したことは覚えてないわよ」

(´・_ゝ・`)「大したことかどうかは僕が判断するよ」

(´・_ゝ・`)「というより、地球が終わるって話自体がタイシタコトなんだけどね」

それはまぁご尤もである。
私は歩みを止め、昨日の夢の記憶を絞り出した。

見慣れた街、やけに晴れた空。
夢の中特有の、あの気持ち悪い緊張感。

('、`*川「…………街に人はあんまりいなかった」

('、`*川「ふと空を見上げたら、大きな星が落ちてくるのが見えた」

(´・_ゝ・`)

('、`*川「……でも。多分、私以外そのことに誰も気が付いて無かった」

(´・_ゝ・`)「……誰も気が付いて無かった?」

黙って話を聞いていた探偵はそこだけ引っ掛かったのか小さく聞き返した。

('、`*川「うん。よく見回したわけじゃないから分かんないけどね」

(´・_ゝ・`)「……ふーん」

彼は一人で納得したのかそうでないのか、少しの間考え込んで、

(´・_ゝ・`)「わっかんねぇや」

と誰に言うでもなく宙に呟いていた。

67名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:17:21 ID:hBG775gg0

('、`*川「……何とかなるの?」

(´・_ゝ・`)「何とかする仕事してるからね、何とかするよ」

('、`*川「……ふーん」

何も分からなかったという割には、別に悲観的な表情をするでもなくセンセイは言った。
私は理由の分からない溜息を一つ吐いて、彼の後ろを歩いた。


('、`*川「……そういや盛岡センセ、二つも弁当食べるの?」

(´・_ゝ・`)「あぁ、これは伊藤君の分だよ」

('、`*川「は?」

何気なく聞いた質問に、何気なく返ってきた答えは私の思考を停止させた。
私は弁当を買ってくれと頼んだ覚えはない。いや、店員的な意味では言ったけど。

もしや餌付けだろうか。
女子高生はシャケ弁当もしくは海苔弁当で釣れると誰かから聞いたのだろうか。
それなら数か月に一回ペースのこの妙な付きまといを止めてくれる方が私の好感度は確実に上がるだろう。

本当に一体何を考えているのだろうかこの探偵は。

(´・_ゝ・`)「まあ、だから」

唖然とする私をよそに、“その探偵”はまた話し始めた。


(´・_ゝ・`)「夢の話を聞きに来たっていうのも、確かにそうなんだけど―――――ッ!」

('、`;川「え、どしたのセンセ――――

話の途中で急に彼が振り返る。
そして振り返りざまに弁当を持っていない右手を大きく振りかぶって、風を切って飛んできた何かを私の目の前で掴んだ。

68名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:18:28 ID:hBG775gg0






(´・_ゝ・`)「…………」

('、`;川「何、どうしたの……?」

握った右手を睨んだままの彼に恐る恐る聞く。
彼は握った手をゆっくり開いて掴んだものを私に見せた。

('、`;川

(´・_ゝ・`)「…………悪い虫だ。大事な情報提供者をコイツから守るのが、もう一つの目的だよ」

そのあと私が彼の腕に小さくしがみついたのは、その“悪い虫”が“銃弾”で驚いたから。
そう、きっとそれだけだ。








   Scene,2 僕の見た友人は他人より少し届くところが多い

69名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:19:37 ID:hBG775gg0



【今回の投下はここまで】





(´・_ゝ・`)←シャケ弁当派

('、`*川←海苔弁当派

( <●><●>)←「わかってます」って言う刑事

( ><)←「わかんないんです」って言う刑事





【それでは次回の投下で】

70名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:37:42 ID:dZ2DSndQ0
あ、どなたかわかりました

71名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 01:39:14 ID:ZuqgLodM0
乙乙

72名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 02:04:54 ID:/q.RZTqI0


73名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 08:43:06 ID:bg5AWyhU0


74名も無きAAのようです:2014/03/19(水) 16:18:57 ID:6wcxsaVo0
おつ ビロード女だったのか

76名も無きAAのようです:2014/03/22(土) 18:39:30 ID:QkaRkMVs0
めちゃ好みだわ
期待

77名も無きAAのようです:2014/05/02(金) 16:12:08 ID:pS.TMynM0
今読んだが期待

78<^ω^;削除>:<^ω^;削除>
<^ω^;削除>

79名も無きAAのようです:2014/05/15(木) 12:36:27 ID:k1cOhEuE0
今読んだ待機

80名も無きAAのようです:2014/05/23(金) 12:59:26 ID:j/FSfG5w0
続きを読ませておくれ

81名も無きAAのようです:2014/06/25(水) 12:58:47 ID:sSY.Uh160
続き待ってる

82名も無きAAのようです:2014/08/02(土) 09:46:20 ID:UfNeo6XY0
早く動き出して

83名も無きAAのようです:2014/12/22(月) 22:03:40 ID:DH4jp.zw0
俺はまだ待ってるぞ
気が向いたら続きお願い

84名も無きAAのようです:2015/03/05(木) 11:56:34 ID:pOGi4M4kO
なんだまだ一年しかたってないのか、余裕だな

85名も無きAAのようです:2015/05/24(日) 02:12:46 ID:u1dFS.RQ0
期待


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