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Ammo→Re!!のようです

99名も無きAAのようです:2013/07/23(火) 22:16:54 ID:ndF7vt0k0
早く、彼に再会したいものだ。
一体いつ、次は会えるのだろうか。
そしてその時、彼はどう変わっているのか。
それが気になって、体の芯が疼く。

ワタナベに宛がわれた部屋は、剥き出しの金属の上に薄い布が乗せられただけの簡易ベッドがあるだけで、それ以外には本が一冊あるだけ。
厚みのあるその本は綺麗な装丁がされていたが、手垢で汚れ、端は破れていた。
ベッドに腰を下ろし、ワタナベはその本を手に取る。
栞のはさまれたページを開き、そこに並んだ文字に目を走らせ、意識の世界をそこに投じさせる。

十五年間の中で、もう何万回と読み返した本だ。
内容は一字一句違えずに覚えている。
それでも、この本を読むと気持ちが落ち着く。
本の内容が気に入って読んでいる訳ではない。

この本の存在が気に入っているだけなのだ。
中身に関しても、決して傑作と呼べるものではないし、好きでもない。
精々凡作止まりの、無名な作家の本だ。
大切なのは、この本の存在だった。

擦り切れた表紙には、“世界の童話集”と書かれていた。
紛う事なき、子供向けの本だ。
本には百近くの童話が載せられており、栞を挟んでいたページは特に念入りに読み返していた。
この話だけは、ワタナベのお気に入りだった。

一日に最低でも十回は読み直さないと気が済まないほどのお気に入りだ。
随分と昔から伝わる物語らしく、その発端は親が子に読み聞かせようと考えた話らしい。
何度読んでも愉快な話で、睡魔を誘う仕上がりだ。
この話をいつか彼にも伝えたいと、ワタナベは切に思う。

从'ー'从「……お休み」

彼との再会に胸を躍らせながら、ワタナベはゆっくりと瞼を降ろした。

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