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( ^ω^)ジャッジメントデイのようです
1
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 18:59:54 ID:/sV/vnr.0
VIP町での通り魔のニュースが学校でも賑わっていた。
切断された死体、爆破されバラバラになった死体、突然血を吹き出し倒れてゆく人々。
組織犯罪か、頭のおかしい者の犯行か、警察の陰謀か、奇病か?
( ^ω^) ただいまだおー
いずれにしろ、自分には関係なと、ブーンは思っていた。
( ^ω^) お母さん、ご飯はまだかお?
( ^ω^) お母さん?
2
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:01:17 ID:/sV/vnr.0
最初はその臭いが何かわからなかった。
錆びた鉄のような、湿気を含む臭いだ。
( ;^ω^)
( ;^ω^) お母さん?
( ゚ω゚)
頭が転がっていた。
体は全て、ばらばらになっていた。
3
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:03:39 ID:/sV/vnr.0
( ゚ω゚)
( ゚ω゚)
手に持っていたカバンを落とし、ただ呆然としていた。
現実味が薄れた空間で、ただ死の臭いだけを感じた。
一ヶ月間、母親の葬式や、これからのことで、忙しい日々が続いた。
悲しみに明け暮れる暇も無かったが、ばらばらになった母親の死体が、
夜になれば脳裏に浮かんできて、眠れない日が続いた。
4
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:05:17 ID:/sV/vnr.0
警察の話によると、最近の通り魔の犯行に酷似しているため、
同一犯の可能性が高いということだ。
ブーンにはどうでも良かった。
( ^ω^)
父親は幼い頃、交通事故で亡くなっていた。
母一人、子一人で、つつましく暮らしてきた。
( ^ω^)
ささやかだが、今思えば、あまりにも恵まれた日々だったように感じる。
5
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:08:06 ID:/sV/vnr.0
同じ町に住んでいる親戚の養子になることになった。
母親の姉に当たる人物で、昔から交友があり、真っ先にブーンの世話を見ることを申し出た。
彼女の名前はペニサスといい、結婚はしていなかった。
( ^ω^)
今はもう、全てがどうでもよかった。
( ・∀・) ブーン、帰ろうぜ
( ^ω^) おう
住んでる場所は大きくは変わらないので、高校を変える必要はなかった。
6
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:10:17 ID:/sV/vnr.0
( ・∀・) 腹減ったー
( ^ω^) 弁当を持ってこないからだお
( ・∀・) どっか寄ろうぜ。マックは?
( ^ω^) ペニサスさんが心配するからすぐ帰るお
以前からの友達は、実質モララー一人だけとなった。
何となく、みんなと距離を置くようになった。
それでも今まで通り接してくれたのは、モララーだけだった。
( ・∀・) おう。じゃあまた明日な
( ^ω^) おう
7
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:12:03 ID:/sV/vnr.0
まだ日は高く、夕暮れの時間でもない。
あの日から、寄り道をせずに帰るようになった。
陸上部を辞めたので、帰る時間にはいつも余裕がある。
( ^ω^) おっ?
('A`)
( ;^ω^) ドクオ!?
人混みの中、懐かしい顔が見えたことに驚く。
8
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:14:24 ID:/sV/vnr.0
( ;^ω^) ドクオ!
ブーンは横断歩道を渡ろうとしている者に向かって駆けた。
人違いでなければ、中学二年生のときまで、親友として接していたドクオだった。
彼はある日を境に、急に不登校となり、連絡が途絶えた。
始めは心配していたブーンだったが、日常から消えた彼を忘れるのは、簡単なことであった。
( ;^ω^) ドク
真後ろまで近寄ったとき、不思議な感覚に襲われた。
9
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:17:12 ID:/sV/vnr.0
音が消えたのだ。
さらに視界の景色全てが、酷くスロウに見え、自分が纏っている制服の衣擦れの感触が、
奇妙なほどクリアに感じた。
目の前を光が覆い、右肩辺りに熱を感じた。
ブーンは反射的に熱源から遠ざかるように跳躍した。
「ぎゃああああああああああああああああ!」
「キャアアアアアア!!」
悲鳴の中心に、ばらばらになった死体が転がっていた。
近くに巻き添えを食らったのか、流血して転がっている者もいる。
( ;^ω^) な、何……これ
10
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:19:09 ID:/sV/vnr.0
「人が、爆発した! 俺は確かに見たぞ!」
サラリーマン風の神経質そうな男が叫んだ。
ブーンはもう一つ、驚いていることがあった。
自分が立っていたはずの場所から、たった一瞬で十数メートル以上移動していたのだ。
陸上部ではエースの存在で、短距離走で全国ランクに入っている実力はある。
だからこそ、自分が行ったことの異常性が、より際だって理解できた。
( ;^ω^) ………何なんだお、一体
11
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:21:12 ID:/sV/vnr.0
('A`) ブーン
( ;^ω^) ど、ドクオ!
いつの間にか、ドクオが傍に立っていた。
驚いた様子が無いところを見ると、もっと前から自分に気がついていたようだ。
( ;^ω^) ひ、久しぶり。元気だったかお?
ていうか、今そこで事件があったみたいだお。早く離れた方がいいお
('A`) お前もなのか?
( ^ω^) え?
('A`) お前も、ジャッジメントを持っているのか?
( ;^ω^) は?
12
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:23:04 ID:/sV/vnr.0
( ;^ω^) ('A`)
('A`) また、会おうな
( ;^ω^) ドクオ……
記憶より、ずっと長い髪を風にたなびかせて、
不健康そうな白い肌を揺らしながら、ドクオが遠ざかっていく。
ドクオが何を言っているのかわからなかった。
悲しいのは、言葉の意味がわからないことじゃなく、
自分とドクオとの間に、どうしようもなく厚い壁が出来ているのを感じたことだ。
13
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:25:02 ID:/sV/vnr.0
ニュースは以前、通り魔、殺人鬼のことばかりだった。
都会といえば、都会かもしれない、VIP町で、今何が起こっているのか。
いずれにせよ、ブーンは興味を持っていなかった。
( ^ω^) ただいまだお
('、`*川 おかえり。おやつあるけど
( ^ω^) もらうお!
大事なものは、もういくつも残っていないのだ。
14
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:27:45 ID:/sV/vnr.0
それから数日後のことだった。
ブーンの通うVIP高校で、通り魔の被害者が出た。
アパレル関係の店が集まるセンタービルをたまり場にしている四人で、
その日も服を買ってから帰っている途中だった。
( ^ω^) とうとう、うちにも被害者が出たお。怖いお
( ・∀・)
( ^ω^) モララー?
( ・∀・) え?あ、ああ。何?
15
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:32:13 ID:/sV/vnr.0
中庭のベンチでブーンは弁当を、モララーはパンをかじっていた。
( ^ω^) 三年生が殺されたらしいお
( ・∀・) ああ、そうらしいな
( ^ω^) 死体は丸焦げだったらしいお
例の通り魔の犯行かお?
( ・∀・) 爆破するのが通り魔だろ。だから、別の奴だ
( ^ω^) 一体何人いるんだお…切断したり、血を噴いたり
今度は燃やす奴だお。どうしてこう、頭がおかしい奴ばかりなんだお
( ・∀・) 頭のおかしい奴は、どうして自分の頭がおかしいかなんて、わからないよ
( ^ω^) ……そういうもんかお
16
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:34:16 ID:/sV/vnr.0
( ・∀・) 運が悪かったんだ
( ^ω^) 運……
( ・∀・) 死ななきゃいけない奴はいないよ
( ^ω^) そうだお
( ・∀・) 殺したくて、殺してる訳じゃない……
( ^ω^) モララー?
モララーはかじっていたパンを、近くのゴミ箱に投げ捨てた。
( ・∀・) なあ、今日の夜、抜け出せるか?
以前までは、時々モララーと夜の町に出かけた。
といっても、危ない遊びなんてできる度胸はなく、ただ悪いことをしている気分に浸りたいだけだ。
17
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:36:05 ID:/sV/vnr.0
( ^ω^) 今日は、どうだろ……
( ・∀・) 無理か?
( ^ω^) どっかに行きたいのかお?
( ・∀・) 話したいことがあるんだ
ただならぬ気配を感じた。
この気配、以前にどこかで感じたことがある気がする。
あの日、交差点の横断歩道で、ドクオに……
( ^ω^) わかったお
( ・∀・) ありがとう
( ^ω^) 場所は?
( ・∀・) ここで
18
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:39:40 ID:/sV/vnr.0
その夜、ブーンはTシャツ姿で学校へと出かけた。
モララーとの付き合いは、そこまで長くない。
高校に入ってからなので、およそ一年ちょっと程度だ。
この程度の付き合いだが、気の置けない貴重な友人ではある。
流行の曲や芸人の話をお互い嫌い、
また極度に相手に踏み込まないようにする部分で共通点がある。
群れるのが苦手な二人だった。
( ^ω^) モララー
( ・∀・) おう
19
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:42:23 ID:/sV/vnr.0
高校を集合場所にするときは、いつもグラウンドの隅、
野球部のベンチがある場所だった。
モララーは、厚手のパーカーを羽織り、フードを目深に被っていた。
( ^ω^) 暑くないのかお?
( ・∀・) ああ。これくらいがいいんだ
虫の音がうるさいから、中に入らないか?
( ^ω^) 学校の中? 警備員に見つかるお
( ・∀・) 見つからないよ。警備員はいないから
モララーは普段から捉えづらい性格をしているが、
今夜は格別に、不気味さを感じるほどであった。
どうして警備員がいないのか訊けないまま、
二人は学校の中へと入っていった。
20
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:44:11 ID:/sV/vnr.0
( ・∀・) この窓から
中庭から校内の廊下へ続く窓にモララーが手をかけると、
何の抵抗もなく窓が開いた。
( ・∀・) 行こうぜ
窓を乗り越えて中に入るとき、窓の鍵が無くなっているのに気がついた。
切り取ったり、壊したというのではなく、溶けて無くなっていた。
( ^ω^) 何処に行くんだお?
( ・∀・) わからない。俺も。何処に向かってるんだろう?
21
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:47:08 ID:/sV/vnr.0
二人は並んで廊下を歩いていた。
( ^ω^) どういうことだお?
( ・∀・) 漠然と考えていたんだ。このまま大人になって普通に就職して普通に結婚して
普通に子供を産んで普通に子供を育てて普通に老後を送って普通に死ぬんだと
( ・∀・) 夜になると、それが怖くなるんだ
宇宙はとても広くて自分がどれだけ矮小な存在か考えてると
まるで海の中に浮かんだミジンコみたいなものだと思えてきて
自分が生まれた理由なんてこれっぽっちも無くて
だから生きてる理由も無いんだって考えるとある瞬間に
自分が消えて無くなっちゃうんじゃないかって凄く不安になるんだ
( ・∀・) 俺は、不安なんだ。ブーン
一切呼吸を挟まずに、早口でまくし立てるモララーを、
ブーンはぼうっと見つめていた。
22
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:50:21 ID:/sV/vnr.0
( ^ω^) 誰でも不安だお
( ・∀・) 俺はそうは思わないある人には目標がありそれが生きる道で価値で
生まれたことの存在でもあるんだろうが俺にはそれが全く無く
例え目標の無い人間でも日々の生活の中でささやかでも幸せを見つけ
それがどれだけ小さくとも生きがいとして考えることが出来れば
存在の意味として成り立っていくんだろうがその部分で俺とそいつらは
決定的に異なっている
( ・∀・) 宇宙が生まれた理由がわからないのなら、俺は俺が生きる理由もわからない
( ^ω^) 難しい話だお
( ・∀・) 何も難しくなんてないさ
23
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 19:55:20 ID:/sV/vnr.0
廊下を渡りきり、階段を上がって二階へと昇った。
今度はさっきとは逆方向に廊下を歩く。
( ・∀・) どれだけ努力して人に優しくした所で交通事故にあえば簡単に死ぬし
もっといえば自分の頭に隕石が落ちてこない保証なんてないし
運が俺たちの道を決定するなら運命には誰も逆らえないし
かといって努力しなければ道は拓けないしかといって努力が実るとは限らないし
そもそも何に向かって努力すればいいかわからないし
無数にある道の選択に答えも不正解もないし道を歩いた先にあるのは
全ての生物に対して平等に待ち受ける死という終わりだけ
( ・∀・) 空しいよ。空しい。何をしてても。何を考えても。何を成しても
結局は俺たち死んでいくんだ
( ^ω^) 当たり前だお
( ・∀・) 寒い……この世界は寒い
Tシャツ姿のブーンでさえ汗をかいているのに、
パーカーを着込んだモララーは両腕を抱えて震えていた。
24
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 20:00:10 ID:/sV/vnr.0
( ・∀・) 人間は寒い奴ばかりだ。少しでも隙を見せれば勝者を名乗ろうとする
いつもいつも自分が優先し自分以外の世界はただの物質の集合としか見ていない
( ^ω^) 考えすぎだお
( ・∀・) そうなんだ俺はいつも考えすぎなんだ無口じゃないんだ心が叫んでるんだ
モララーは立ち止まった。
月の明かりと非常灯の光が交わる廊下で、モララーは涙を流していた。
( ^ω^) 三年生を殺したのは、お前だな
( ・∀;) 審判の時が来たんだ。全ての人間が試される
この冷たい世界で何が正しくて何が間違いなのか強制的に審判が下るんだ
( ・∀・) 俺は夜寝る前にこれを知った。誰かに聞かされた訳じゃない
でも知ってしまったんだ。こんな冷たい世界で、熱を発さなきゃいけなくなった
お前ももう、わかるだろ? 悲しいなあ。俺たちはここまで生きてきたのに
こんなに悲しい思いをしなきゃいけない。どちらかが死ぬまで
どちらかが殺すまで
25
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 20:06:10 ID:/sV/vnr.0
モララーが手をかざすと、小さな火が手のひらから上がった。
間もなくその火は勢いを増し、燃えさかる炎となり、モララーの体を中心にして渦を巻いた。
( ・∀・) この世界はあまりにも寒すぎるんだ
意識がふわふわとし、現実味が全く無かった。
ただ頭と体に液体が染みこむようにして、今何をすべきか、ブーンは理解した。
モララーの手から放たれた火炎は、巨大な火炎の手となり、
丸ごとブーンを呑み込もうと宙をうねった。
五感全てが鋭利に尖り、鈍足を増した世界で自分だけが加速していくのを感じた。
( ・∀・) 俺のジャッジメント。ファイヤー。誰が名付けたのか、俺にもわからない
だがこれは、無数にあった道の一つなんだと、俺は理解したよ
( ^ω^) 俺のジャッジメントは、アクセラレータ。今……わかったお
二人に、審判の時が下る。
26
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 20:07:52 ID:/sV/vnr.0
第一話これで終わりです
次回投下はまだわかりませんが、そこまで遅くならないようにします
読んでた人がいたら感謝(´人`)
27
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 21:20:41 ID:KTCwAgt20
モララーの独白、セリフ自体はいいと思うけど、ちょっと読みづらいな
バトルに期待
28
:
名も無きAAのようです
:2012/07/02(月) 21:29:06 ID:I6ENHqHk0
大学生が暇になってきた期間じゃ?
29
:
名も無きAAのようです
:2012/07/04(水) 18:31:14 ID:spq7ghHAO
独白部分は読みにくいけど、モララーが一気に語ってる感じが伝わってきて良かった(小並感)
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