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月刊少女ξ ^ω^)ξちょwwwのようです
1
:
29日・30日「納涼夏祭り」
:2011/08/27(土) 17:14:16 ID:BmBpFPxg0
┏━━┳┓┏┳━━┓
┃┏━┫┗┛┃┏┓┃
┃┗━┫┏┓┃┗┛┃wwwww
┗━━┻┛┗┻━━┛
__,ィ ヽ. `ヽ.
, '⌒Y / 、ヽ ヽ ヽ.
/ / i /l/|_ハ li l i li ハ
. // 〃 /l i|j_,.//‐'/ lTト l、l j N i |
{イ l / l li // リ_lノ lル' lハ. ソ
i| /レ/l l l v' /\ /\イ !| ll,ハ
ハ| ll∧ハヽ ト、 '''' '''' /l jハ| ll ll
〃 ‖ レ'¨´ヽiへ. _ (_人_),.イ/|/ ノ ll l|
ll ll { ⌒ヽ_/ } ー‐<.__ ′ l| ‖
‖ ‖ ヽ, /、 〈 |:::::::| `ヽ ‖
‖ {. ハ ヽ Y`‐┴、::::v l ‖
‖ |iヽ{ ヽ_ゾノ‐一’::::ヽ. | ‖
‖ |i:::::`¨´-- :::......:...:.:.::.}| ‖
‖ |i::::::ヽ._:::_:::::::::::::::::::_ノ | ‖
‖ |i::::::::::::i___:::::::::::/ |
jj::::::::r┴-- `ー‐ '⌒ |
〃:::::::マ二 _,ノ
//::::::::::::i ー 一 '´ ̄::.
,','::::::::::::::i::::::::::::::::::::::i::::::ヽ
☆参加者の方へ
投下の開始と終了時に、それぞれ宣言をお願いいたします
また、投下終了後、企画スレの方へ、作品名と巻末コメントの掲載をお願いします
kwskはこちらの方でご確認下さい
http://hinagatawwww.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC
まとめ様:
http://sogomatome.blog104.fc2.com/
前スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/37256/1302944414/l50
154
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:31:02 ID:riG2waDcO
表札には、確かにでぃの苗字
深呼吸をして、インターホンを鳴らした
***
そう
今ならまだ間に合う
間に合うんだ
( ・∀・)「…………間に合ってくれ…」
155
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:32:02 ID:riG2waDcO
***
数十年前
モララーがまだ、人であった頃
***
喫茶店を飛び出して最初に向かったのは、一番駅に近い学友の家だ
( ・∀・)「ビロード!!」
( ><)「あれ?モララーじゃないですか どうしたんです かっ!?」
玄関でのんびりと話し出すビロードを押し込んで、妹者と一緒に入り込んだ
(;><)「いたたたた……ちょっと強引なんです」
156
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:33:51 ID:riG2waDcO
( ・∀・)「すまん 察してくれ」
(;><)「わかんないんですけど……了解なんで……」
l从・∀・ノ!リ人し
(;><)「流石財閥の御令嬢!?モララー!?」
(# ・∀・)「だから察しろって馬鹿!!彼女を一晩匿うんだ!」
(;><)「ほえ!?」
( ・∀・)「僕は、彼女を あの家から連れ出すんだよ」
(;><)「駆け落ち!?しかも流石財閥からなんですか!?」
( ・∀・)「もう、こうするしかないんだ」
(;><)「…………」
( ><)「了解なんです とりあえず、僕の部屋へ」
157
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:37:11 ID:riG2waDcO
渋々了承したビロードは、倒れた時の埃をぱたぱたと落とし、立ち上がって二階へ続く階段へ向かった
l从・∀・ノ!リ人し「すまないのじゃ」
( ><)「お嬢様には似つかわしくない、粗雑な部屋なんです」
l从・∀・ノ!リ人し「違う 助けてくれることをじゃ」
( ><)「…………はい、なんです」
階段を上り、六畳ほどの和室に三人で入った
部屋の中は箪笥や文机など、生活臭のあるもので埋まっていた
( ><)「散らかってて恥ずかしいんです」
l从・∀・ノ!リ人し「気にしないでほしいのじゃ」
二人は真ん中に座り、これからについて話そうとしている
しかし自分は、そんなことをしている暇はない
158
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:39:46 ID:riG2waDcO
自分は立ったまま、ビロードの教科書を物色した
( ・∀・)「ビロード 俺ちょっと、ロマネスク教授のとこ行ってくる」
(;><)「ほえぇっ!?えっ、ちょっ!お嬢様はっ……!!」
( ・∀・)「アリバイ作りに行くんだよ お嬢様を頼む」
l从・∀・ノ!リ人「妹者なのじゃ」
そう言って部屋から飛び出した
ちょっとまってほしいんですうぅぅぅぅぅ なんて悲鳴が聞こえたが、気にしない
( ・∀・)(ロマネスク教授と人目につくとこで会話して、アリバイを作るんだ!!)
ガス灯の灯りに照らされる道を、一人でひた走った
下駄の音が、闇に木霊していた
159
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:45:25 ID:riG2waDcO
***
ぴんぽーん
インターホンを鳴らす
誰が出て来るかわからないので、身構えていた
はーい
と気の抜けた声と共に開けられたドアの向こうから、でぃの母らしき人が現れた
('、`*川「あら?」
(・∀ ・)「こんにちは!僕、でぃさんの友達の斉藤と言います
今日でぃさんが登校していないと聞いたので」
('、`*川「ごめんなさい でぃは今日、誰にも会いたくないらしいの。申し訳ないんだけど、また今度にしていただけるかしら?」
(・∀ ・)「…………」
160
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:46:31 ID:riG2waDcO
今、話を途中で切られた
内容もテンプレじみていて、早口に捲し立てていた
(・∀ ・)「…………」
おかしい
そう思った
(・∀ ・)「でぃさんに会わせてください」
('、`*川「だから、あの子は今……――― 」
♪〜
音楽
携帯の、着信音
ポケットの中で操作して、でぃの携帯に電話をかけた
そしてその着信音は、この母親から聞こえる
(・∀ ・)「………でぃの着信音」
('、`*川「…………」
161
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:51:55 ID:riG2waDcO
(・∀ ・)「なんで、おかぁさんからするんですか?」
('、`*川「…………」
じり、と 細い切れ長の目で睨まれる
今のまたんきには、怖くもなんともなかった
(・∀ ・)「……でぃさんに、会わせてください」
渋る母親を押し退けて、家へと押し入った
二階に駆け上がる
でぃの部屋はすぐに見つかった
ドアが、傷だらけだった
そっと、ノックする
中から、衣擦れの音がする
(・∀ ・)「でぃー 俺だー 開けてもいいかー?」
「駄目!開けないで!!絶対開けないで!!!!」
はいはいツンデレツンデレ
162
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:53:19 ID:riG2waDcO
でぃの言葉を無視してドアノブを回した
鍵は無いようで、するりと開いていく
(#;;;-;)
いた
そこに、でぃはいた
ズタズタのタオルケットだけを体に巻き付け、背を向けている
ベットの上には、血だらけのティッシュやガーゼ
乾いた血が付着したタオルケットの塊から、震えるような小さな声がした
(#;;;-;)「……なんで、来たの…………?」
163
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:56:00 ID:riG2waDcO
(・∀ ・)「……………………………」
言葉が、出てこなかった
あれは、なんだ?
あれは、でぃだ
なんで傷だらけなんだ?
虐待と 自傷 …………
(・∀ ・)「……でぃ、お前、なんでそんな傷だらけなんだ?」
(#;;;-;)「煩い 私は、自分が嫌いなんだ 『悪い子』の、自分が嫌いなんだ」
(・∀ ・)「お前が『悪い子』? なら俺は屑か」
(#;;;-;)「……おかぁさんが、言うの……
出来の悪い子だ って……悪い子だって……」
164
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 21:57:24 ID:riG2waDcO
そっと近づき、男から渡された香水を一度だけ吹き付けた
甘い香りがした
その後に自分のカーディガンをかけてやった
そしてそのまま、でぃを抱き締めた
(#;;;-;)「だから自分が嫌いで……お仕置きして……でも足りなくて……」
(・∀ ・)「足りなくなんかねーよ。でぃは頑張り屋さんだ
俺より頭いいし、出来ることもずっと多い
……お仕置きなんかいらねーよ。でぃはいい子だ 俺が褒めてやる」
(#;;;-;)「…………まだんぎぃ…………」
(・∀ ・)「初めて俺の名前呼んだな ありがとう、でぃ」
(#;;;-;)「うううぅぅぅぅぅ…………」
でぃは、泣いた
抱き締めても、拒否しなかった
でぃを、強く抱き締めた
165
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:00:36 ID:riG2waDcO
俺がでぃを守らなきゃ
俺がでぃを、褒めてやらなきゃ
(・∀ ・)「でぃ お前は何も悪くない 悪くないでぃを苛める、お前の親が悪い
俺はおかぁさん好きだけど、でぃはそうじゃないだろ」
(#゚;;-゚)「…………」
(#゚;;-゚)「………………ぅん……」
(・∀ ・)「なら、でぃ
しばらくうちにこい!」
( ・∀・)「……やーっぱそうなっちゃうのかなぁ」
( ∀ )「僕の時みたいなことが、起きなければいいなぁ…………」
***
166
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:03:40 ID:riG2waDcO
その夜
でぃは家を抜け出した
着替えと、制服と、教材
必要最低限のものだけ持って、自分の家に連れてきた
親には事情を説明した
虐待を受けていること
逃げ出してきたこと
少しの間匿うこと
学校には普通に通わせること
でぃは、隣の部屋に入ることになった
何年も使っていない部屋の掃除を二人でし、荷物を置いた
制服は皺にならないようにハンガーにかけ
寝床は来客用のものを使った
167
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:04:21 ID:riG2waDcO
家族とでぃ 四人で食卓を囲み、親にでぃの素性を説明した
母は服から覗く傷を見て絶句し、父はでぃ家の惨状に戦慄していた
夜
部屋に入る前にでぃに呼び止められた
(#゜;;-゜)「……またんき」
(・∀ ・)「お?」
(#゜;;-゜)「…………ありがとう」
口の端が、微かに上がった気がした
でぃが初めて、笑顔を見せた
(・∀ ・)「……おう!何があっても俺が何とかしてやるからなっ!」
(#゜;;-゜)「……ふふ ありがとう」
168
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:05:09 ID:riG2waDcO
(・∀ ・)「……でぃ、笑うとすごく可愛い」
(#゜;;-゜)「なにいってんの」
(・∀ ・)「俺、でぃが好き」
(#゜;;-゜)「…………ばか」
でぃはそう言って、部屋に入ってしまった
自分も部屋に入り、ベッドに身を投げた
眠りに落ちるまで、そう時間はかからなかった
喧騒で、目が覚めた
169
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:10:59 ID:riG2waDcO
***
数十年前
モララーがまだ人であった頃
***
( ・∀・)「こんな夜分遅くにご指導いただき、ありがとうございました!」
( ФωФ)「よい 勉学に励む学生に手を差し出さん教授などいないのである」
( ・∀・)「僕も、これからも日々精進し、いつか教授のような立派な学者になりたいと思います!」
( ФωФ)「…………モララーよ それは、本心か?」
( ・∀・)「えっ」
( ФωФ)「我輩には……そうは見えん
君は立派な学生だ ……くれぐれも、道を踏み外すでないぞ」
( ・∀・)「…………」
170
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:12:19 ID:riG2waDcO
教授と別れて、一度宿舎へ帰った
金と服だけを持ち、またすぐに抜け出した
妹者に贈るつもりの包みも、しっかり懐にある
キャスケット帽を目深に被り、ビロードの家まで走った
家はさほど離れていない
走ればすぐだ
ビロードの家が見えた
そこには一台の馬車が、停められていた
***
171
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:13:12 ID:riG2waDcO
喧噪で目が覚めた
(・∀ ・;)「なっ!なんだ!?」
部屋を飛び出すと、でぃの悲鳴
昼間見たでぃの母と、父らしき人物
更に、警察が四人
警察が総出ででぃを部屋から引っ張り出そうとしている
「いやだ」 「さわるな」 「たすけて」 「いやだ」 「またんき!!」
(・∀ ・#)「でぃに触るなあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
咄嗟に、警察の塊の中に突撃した
捕まれる腕を回して外し、でぃに絡みつく腕に噛付いた
その警察は怯んででぃを離したが、自分が二人がかりで拘束されてしまった
でぃの側にも、二人の警察がいる
172
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:14:05 ID:riG2waDcO
/ ゜、。 /「公務執行妨害、及び未成年者の拉致 斉藤またんき君、君は自分が何をしているかわかっているかい?」
背の高い警察だった
20代後半の男性だ
(・∀ ・#)「構うもんか!!でぃを離せ!!!!」
/ ゜、。 /「でぃちゃんの親から捜索願が出ていてね 君の母親から連絡があったんだ」
(・∀ ・#)「おかぁさん!!!!」
/ ゜、。 /「まぁ、冷静に考えれば犯罪だしね」
(・∀ ・#)「ふざけんな!!でぃの腕を見て見ろ!!でぃの体を見て見ろ!!
こんなにも傷だらけじゃないか!!」
/ ゜、。 /「児童虐待を疑うんだったら、勝手に連れ出すよりセンターに連絡した方が賢明だったね」
('、`*川「うちは虐待なんてしてません!!」
173
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:15:21 ID:riG2waDcO
/ ゜、。 /「…………背中に煙草の痕があります。
今夜でぃちゃんは、警察の方で身柄を引き取ります。事情聴取の後、センターに連絡を取りましょう」
背の高い警察が、部下らしき警察に次々に指示を下していく
状況は、最悪だった
(#゜;;-゜)「またんき…………」
(・∀ ・;)「でぃ……」
『何があっても俺が何とかしてやるからなっ!』
たった数時間前の約束が、果たせない
無力な自分に、腹が立った
許せなかった
(・∀ ・;)(くっそー…………どうしたらいい?)
174
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:19:54 ID:riG2waDcO
(・∀ ・)「でぃ!!」
他の作業に移っていて警戒心が全くなかった警察の間をすり抜け、でぃの腕を掴んで引き寄せた
(#゜;;-゜)そ
でぃを肩に担ぎ、自室に逃げ込む
ドアに鍵をし、ドアの前に机などでバリケードを築いた
(・∀ ・)「よし っと」
(#゜;;-゜)「…………またんき、罪、重くなるよ?」
(・∀ ・)「ひとつついたら二つも三つも変わるもんか
俺はなんとかしてやるって約束したんだ。出来なかったら、カッコ悪いだろ?」
(#゜;;-゜)「…………」
(#゜;;-゜)「ぷふっ…………そんなまたんきが、あたしは好きだ」
でぃが、笑った
満面の笑みで 初めて見る顔で 笑った
ちょっとだけ、ひまわりを連想した
175
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:21:05 ID:riG2waDcO
(・∀ ・)「おーっと、これは相思相愛?」
(#゜;;-゜)「そういうのは、この状況を打破してからにしようね」
二人で笑い合って、これからを考えた
***
数十年前
モララーがまだ人であった頃
***
176
:
途中まであった妹者の し は なんだろう
:2011/09/17(土) 22:22:29 ID:riG2waDcO
(;・∀・)「なっ……!!」
馬車
流石財閥だろう
ビロードの家まで嗅ぎ付けてくるとは
妹者は捕まってしまっただろうか
ビロードは無事だろうか
頭が、混乱していた
l从・∀・ノ!リ人「モララー!」
茂みの向こうから呼ぶ声が聞こえる
人目につかないように茂みに入り、妹者と合流した
177
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:23:57 ID:riG2waDcO
l从・∀・ノ!リ人「ビロードが裏口から逃がしてくれたのじゃ!」
(;・∀・)「ビロードは?」
l从・∀・ノ!リ人「父上と話している。今頃、家の中を総ざらいされているじゃろう
めいっぱい時間を稼ぐから早く逃げろと、ビロードは言った
だから逃げるぞ モララー」
( ・∀・)「……………………すまねぇ、ビロード」
妹者の手を取って走り出した
( ・∀・)「……そういえば、お召し物が変わりましたか?」
l从・∀・ノ!リ人「ビロードが自分の衣を、仮縫いだけで採寸あわせてくれたのじゃ」
( ・∀・)(あいつ……器用だよなぁ…………)
178
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:25:25 ID:riG2waDcO
妹者は、灰縞の衣に墨染めの袴をはいていた
頭にはキャスケット帽
一見 男の子だ
しかも、女の子の和装に比べて動きやすい
利点ばかりだ
( ・∀・)「次会ったら、ビロードに礼を言いましょう」
会えるかどうかは、定かではないが
l从・∀・ノ!リ人「会えるのじゃ 絶対」
心でも読まれたのかと思った
会えたらいいなと思いながら、僕らは短い逃避行をする
***
179
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:26:08 ID:riG2waDcO
ベッドのスプリングマットを、窓から突き落とした
ドアの向こうでは、音に気付いた警官が階段を駆け下りる音がした
間に合わせるものか
でぃを抱え、ベランダから飛び降りる
(#;゜;;-゜)「ちょっ!!!?」
(・∀ ・)「喋んな舌噛むぞ!!」
でぃが背中から落ちるようにして手を離し、自分も背中から落ちて受け身をとった
すぐにでぃに駆け寄ると、でぃも呼吸はしっかりしている
受け身には成功したようだ
そして靴下もない、靴もないまま走り出した
手だけは、絶対に離さなかった
180
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:32:16 ID:riG2waDcO
足が痛い
アスファルトは思ったよりも凸凹していて、時には尖っているところもあった
履き物が、必要だった
一番近い友達の家を、頭の中で探し出す
該当した家は此処から走って10分程度の所にある
でぃに行き先を告げ、そちらに向かって走り出した
左に握ったでぃの手
右手には、携帯電話
そいつに連絡を取る必要があった
数コールに後、ぶつりと音がして、次いで眠たげな声がした
『……はい』
181
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:33:14 ID:riG2waDcO
【(・∀ ・)「おうフサ!!こんな時間にごめんな!!」
『……ふあぁ……ねむいからぁ――……』
【(・∀ ・)「残念だが、起きてくれ んで、ちょっと今から邪魔するから」
『は?今からくんの?』
【(・∀ ・)「フサギコに会いたくて☆ …じゃなくて頼みがあるんだ あと数分で着くと思うからよろしくっ」
『えっ、ちょっ……』
そのまま通話を切り、走ることに専念した
でぃの息があがっている 走ることになれていないのだろう
足も、もつれそうだった
(・∀ ・)「休む?」
(#; ;;- )「ぃ……いい……!」
でぃは、気丈に振舞っていた
フサギコの家についたらスポーツドリンクを用意しようと思った
182
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:34:17 ID:riG2waDcO
10月
夜はもう、肌寒いほどの気温
パジャマ一枚で駆けた
フサギコの家についた時には、でぃの唇は紫色になっていて、肌も冷たかった
足も、出血している
ミ;,,゚Д゚彡「意味わかんないからー!!」
フサギコの部屋に入り、ようやく落ち着いた
作らせておいた、ペットボトルに熱湯を入れるだけの簡易ゆたんぽをでぃに抱えさえ、ベットに寝かせて毛布を掛けた
兄のギコが、常温のスポーツドリンクをくれた
自分も床に転がり、痛む肺を押さえた
( ∀ ;)「げはっ……ぐはっ…………」
ミ,,゚Д゚彡「しっかりー」
183
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:35:27 ID:riG2waDcO
(,,゚Д゚)「お嬢ちゃんの足の手当ては終わったぜ」
( ∀ ;)「な…な゛にがら゛な゛に゛まで……ずいま゛ぜ………」
(,,゚Д゚)「状況を聞きてぇところだが……もう少し待った方がいいな」
( ∀ ;)「ぁ…………俺らがここに来たこと……秘密に……」
(,,゚Д゚)「大丈夫だ。何か知らねぇけど逃げてきたことは分かったし、親にもジョルジュが来たって伝えてある
ジョルジュにも口裏合わせ済みだ」
ミ;,,゚Д゚彡「兄貴……手際良すぎるから」
(,,゚Д゚)「ツーが心配してたぞ」
ミ,,゚Д゚彡「ツーちゃん!!」
184
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:36:45 ID:riG2waDcO
またんきには知る由もないことだが、
九月に、フサギコとツーの交際は始まっていた
兄のギコもジョルジュも、少し複雑な心境だった
(,,゚Д゚)「お前をじゃなくて、でぃをだがな」
ミ;,,゚Д゚彡「わっわわわわわわかってるからっ!!」
兄弟が漫才もどきをしているうちに、話せるくらいには体が落ち着いてきた
でぃはまだベッドで潰れている
ちょっと色っぽい
(・∀ ・;)「ぁ――……ぇえと、すまん いきなりだったけどありがとう」
ミ,,゚Д゚彡「困ってる人は助けなきゃだから」
(,,゚Д゚)「話によるがな」
(・∀ ・;)「実は…… ――――― 」
185
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:37:41 ID:riG2waDcO
割愛するが、事の成り行きを二人に話した
弟は「青春だからー……」 と言い
兄は殴りかかってきた
(#メ)∀ ・)「おにいさん、強力ですね」
(#,,゚Д゚)「ふざけんなよゴルァ!!それじゃその場の勢いじゃねーか!!
警察の言う通りだ!本来なら児童相談所に連絡 緊急を要する場合は警察が保護してくれるんだ!
日本にはそういう制度がある 施設がある
自分達だけでどうにかしようとするんじゃねぇ!!」
(・∀ ・)「…………すい……ません……」
(# ;;- )「…………しが………ぃの……」
でぃが何かを喋った
とてもか細い声だった
でぃの言葉に耳を傾けた
186
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:38:58 ID:riG2waDcO
(#;;;-;)「…たしが……悪いの…………またんきを、巻き込っ……あたしが……悪い子だから……
馬鹿な子だから………っんなに、迷惑…………」
(# ;;- )「……ごめんなさい……ごめんなさい…巻き込んで…ごめんなさい……
迷惑かけて……ごめんなさい…………わがまま言って……ごめんなさい…………
連れ出されたとき……嬉しかったの……」
(# ;;- )「…自由を、知れた気がして…許された気がして……またんきに、私を肯定してもらえて…………」
(# ;;- )「でも駄目……そんなの……私には許されなかったんだ…………
あのお家に、帰らなきゃ……私、馬鹿だから……悪い子だから……家でいっぱいいい子にしなきゃ……」
(・∀ ・)「でぃ」
髪を掻き毟り始めたでぃの手を掴んだ
でぃは顔を伏せて、こちらを見ようとはしなかった
187
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:39:48 ID:riG2waDcO
(・∀ ・)「でぃ」
もう一度、はっきりとした声で呼んだ
(・∀ ・)「言っただろ でぃは、悪い子なんかじゃないって 俺様の言ってること、信じらんない?」
(,,゚Д゚)「様 っておま…」
ミ,,゚Д゚彡「兄貴、し――っ」
(# ;;- )「…………」
(・∀ ・)「でぃはいい子だ ずっといい子にしてきた
だから今日みたいに、たまには俺と悪いこともしよう わくわくしただろ?」
(#゚;;- )「…………」
188
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:42:18 ID:riG2waDcO
(・∀ ・)「非現実的な楽しさは、現実のすぐ隣にある
でぃがいい子して疲れたら、また俺がこっちの世界に引っ張り込んでやる
一緒にわくわくしよう 一緒にどきどきしよう 一緒にひやひやしよう
たまにはケーサツのお世話になるくらい馬鹿やろう
何も怖くない 俺が付いてる 俺がでぃを、楽しませてみせるから」
(#゚;;-゚)「…………またんき……」
(・∀ ・)「今日は帰ろう。警察も、でぃを保護してくれるって言ってた
もう大丈夫 フサの兄貴が言うように、自分達で無理矢理逃げなくても、大人がなんとかしてくれる」
(・∀ ・)「でぃはもう、自由だよ」
(#゚;;-゚)
(#゚;;-゚)「…………自由……」
189
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:43:00 ID:riG2waDcO
でぃが、小さく呟いた
消え入りそうな声で、何度も、何度も
(#゚;;-゚)「……自由…………」
(#;;;-;)「私に…………自由が…………」
ほろほろと溢れ出す涙
その涙は、解放からか 嬉しさか
抱き締めて頬ずりをした
涙は、温かかった
(-∀ -)「でぃはもう、自由だよ」
190
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:44:01 ID:riG2waDcO
***
( ・∀・)「……………………」
( ・∀・)「羨ましいな、現代は」
( ・∀・)「僕達の頃には、そんなものはなかった」
( ・∀・)「僕達もこの時代に生まれていれば……あるいは…………」
( ∀ )「あんなことには、ならなかったのに…………」
***
「実れ 実れ 『恋』 実れ 君に会える その日まで
僕は叶える 人の恋 君に捧げる 恋の実を」
***
191
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:44:58 ID:riG2waDcO
( ・∀・)恋実れ!のようです Case 6:斉藤またんき 了
192
:
◆zynqho4iRI
:2011/09/17(土) 22:46:52 ID:riG2waDcO
恋実れは以上です
80番ポートがテコでもとじてくれないので携帯でやったらこうなりました
ごめんなさい
二度としない
つぎの方どうぞ
193
:
名も無きAAのようです
:2011/09/17(土) 22:48:51 ID:S4rpEAcM0
乙!
194
:
名も無きAAのようです
:2011/09/18(日) 02:54:44 ID:wOXDUudYO
乙だぜ
195
:
名も無きAAのようです
:2011/09/20(火) 00:04:04 ID:9xj.Z6/s0
壁|・ω・)
196
:
名も無きAAのようです
:2011/09/20(火) 08:40:05 ID:A8KiWhJs0
ハイン先生こないなー…
197
:
名も無きAAのようです
:2012/10/24(水) 13:47:24 ID:ruQm2duEO
乙です!
ちょwwwの七月号が探しても見付からないんですが、どこで読めるか知ってる方いませんか?
198
:
名も無きAAのようです
:2012/10/24(水) 14:51:14 ID:xGxj6IfEO
>>197
小説板?
199
:
名も無きAAのようです
:2012/10/24(水) 15:19:43 ID:qs7IgHpA0
>>198
見つかりました!ありがとうございます!
200
:
名も無きAAのようです
:2012/10/25(木) 22:17:09 ID:80BpoJAQC
乙
201
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 00:32:41 ID:L7cB76eo0
( ;∀;)イイハナシダナーとは、感情表現語句の一つである。
上記AAの他に、「( ;∀;)イイハナシダナー」 と表記される事が多い。
202
:
名も無きAAのようです
:2012/10/28(日) 00:33:50 ID:L7cB76eo0
やべ ミスった
203
:
名も無きAAのようです
:2016/01/10(日) 18:08:19 ID:UKT5MqwU0
http://mzkzboon.blog.fc2.com/blog-entry-1319.html
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