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異伝スレッド

18チチウイッカプイ:2017/06/23(金) 02:31:46
「入りますよ、大佐」
「マティアス博士、ノックくらいしたまえ。音読の練習を聞かれるのは流石に恥ずかしいよ」
「こんな遅くまで古蒙語の修練とは、ご苦労なことで」
コール・ゲストリール・ブラウン大佐。チーシャ大同帝国極東北植民軍団のナンバー2であった彼は、ストラン記念チクラシュタル大学の博士号を持つ言語学者でもあった。
2か月前、本国との通信が途絶え、トップの少将がショックのあまり死亡したことで集団のトップに就いた彼は、しかしそれを喜ばなかった。
「勝手な道楽に浸れる時間がどんどん奪われているんだ。寝る時間を削って遊ぶしかないじゃないか」
「しかし言語習得の何が楽しいのか、私には理解しかねますな。シャールの山奥から出てきた頃、共通フォロノワ語の学習ほど苦痛なものはありませんでしたからね」
「何事も楽しむものだよ。例えば、この古蒙語の変質ぶりはフォロノワとシャールの比ではないのだ。まずもって語順が違う。『私の娘は猫を追いかける』と言いたければ、『Die Katze Tochter meine jagt』としなければいけないのさ」
「わけが分かりません、我」
「そういうこったな、ははは・・・いや、いや。この古蒙語は、東ヤーディシア諸国の言葉に類似するものが多いと聞いてね。大量の文献が手元にあるこの言葉を基礎に研究を広げれば、南の大陸や東の諸島への接触が容易になる。あくまでも実用的な趣味なのさ」

「そんなことより、私の用事のことも聞いてもらいますよ」
サアカ・マティアス博士。シャール地溝帯の片田舎出身ながらメクフォステリフォン大学で頭角を現し、その異端的なスタイルゆえにチーシャ理工学の最前衛とまで言われた彼は、ひょんなことから縁ができたブラウン大佐の東方遠征に志願し、植民軍団の科学技術部を率いてやってきた。どちらかといえば、大佐よりも彼の方が余程変人であった。
「そんなこと・・・真夜中の贅沢を邪魔するに値する話でなれば、身一つで雪原の向こうへ言語収集に行ってもらうぞ」
「ポプタコルパ首長が亡くなりました」


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