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クラティ小説を書こう!

1バッキー=便図:2004/03/15(月) 21:52
クラティ小説を書いてみませんか?
シリアス、ギャグ、パラレルなんでもありです♪
悲恋、鬼畜の場合は前もって注意書きをしておきましょう。

558名無し@ガツーンといくわよ!:2010/02/16(火) 21:34:59
遅らばせながらも短いバレンタイン話です。



深夜のセブンスヘブン。
カウンターに腰掛けクラウドは己の手中にある小さなハート型のチョコレートをまじまじと見た。
少々形がいびつだが、マリンが自分の為に一生懸命作ったのだと思うと顔が綻ぶ。
「クラウドったら、さっきからずっとチョコレート眺めてる」
クスクスと笑いながらティファが隣に座った。
そんなに嬉しかったの?と問われ、まあなとだけ答える。
大切な家族からの、チョコレート。嬉しいに決まってるさ。
でも、一番欲しい人からはまだ、もらっていない。
「明日はバレットへのチョコレートの配達お願いね」
「わかってる」
コーヒーと共にティファは皿に乗ったトリュフを口に運び「ん、美味しい」とそれを味わう。
店の客に配るために作ったものの余りだ。
「お客さん達、すごく喜んでくれたんだ。作ってよかった」
本当に嬉しそうに、にっこりと微笑むティファ。
……これは焦らされてるのか?
去年はちゃんとくれたよな。
ティファ、俺へのチョコは?
じっと見つめながらぐるぐるとそんな事を考えるクラウドの様子に気付いたのか、ティファは首を傾げる。
「クラウド?」
トリュフを持ったティファの手を掴み無言で自分の口に運び入れる。
指先についたチョコをぺろりと舐めるとティファが素早く手をひっこめた。
「な、何して…」
見るとティファは顔を赤らめ驚いている。
…くそっ、可愛い。
もう、ヤケだ。かっこ悪くてもいい。
「ティファがくれないから、食べただけだ」
まるで子供のように、ぷいっと顔を背けた後やはり少し後悔する。
何なんだ俺は。本気で拗ねてるだけじゃないか。
「…くれないって、クラウドに?」
こくんとクラウドは頷く。
その動作が素直でかわいくてティファは思わず笑ってしまう。
「ごめんね、あとで部屋で渡そうかなと思ってたの。だってクラウド、今はマリンのチョコ食べるかなって思ったから」
「あ…いや。ティファのなら…早く欲しい」
少し照れたようにティファは、うんと頷いた。
ティファはちゃんと用意してくれてた事に安堵したクラウドは、「でもそうだな…」と呟く。
お楽しみはあとで部屋で約束されてるとして。
「ティファ、聞きたい」
「何を?」
さっきの拗ね顔はどこへやら、今は余裕たっぷりのクラウドからティファは嫌な予感がした。
「今日は愛を告白する日なんだろ?」
「……だから、あげるじゃない。チョコ」
頬を染め困りながらゴニョゴニョとティファは言う。
「うん、でもちゃんと聞きたいんだ」
「もう!ずるいわクラウド。こんな時ばっかり図々しくなって」
唇を尖らせ「意地悪」と呟きながらも、耳元で愛を小さく囁いた彼女をクラウドは破顔し抱き締めた。

*おわり*

559名無し@ガツーンといくわよ!:2010/02/17(水) 01:45:56
うあああ、なんて可愛いんだ
クラウドの気持ちの切り替えにワロタ&萌えた
ティファも膨れながらも嬉しそう
SS投下ありがとう!

560名無し@ガツーンといくわよ!:2010/02/17(水) 14:57:32
バレンタインクラティ可愛すぎるwGJです!
拗ねながらもこくんと頷くクラウドに萌えた
ティファの前で子供みたいになったり強気になったり、あるあるwって思った
それにしても皆さんSSほんと上手だなぁ

561名無し@ガツーンといくわよ!:2010/05/02(日) 00:32:48
ティファ誕SS期待w

562まとめ1:2010/05/11(火) 23:08:31
勝手ながら今までのSSまとめてみる。

>>41-44 クラティ決戦前
>>78-82 クラティFF7ED後
>>96-99 現代パロ新婚クラティ(作トーマスさん)
>>113-119 学パロ(作ねこりんさん)
>>123-144 ジョニー視点のAC後クラティ(作ジョニーさん)
>>147-157 AC後クラティ(作ジョニーさん)
>>165-210 AC後アバランチ絡みティファ(作ジョニーさん)
>>218-230 AC後クラティ(作ジョニーさん)
>>234-242 ACプロローグ小説のクラウド視点(作ジョニーさん)
>>250-261 AC後ジョニーの友人の話(作ジョニーさん)

563まとめ2:2010/05/11(火) 23:18:19
>>265-269 指輪にまつわるエトセトラ(作265さん)
>>277-280 AC後クラティ(作ちゅんこさん)
>>295-299 クラティプロポーズSS(作265さん)
>>306-307 KHED直後クラティ(作265さん)
>>316-318 KH2クラティ
>>325-329 316の続きKH2クラティ
>>334-338 DC前のクラウドとシド(作265さん)
>>349-354 エアリス誕生日SSエアティ(作ジョニーさん)
>>361-365 AC前のエアティ
>>370-375 AC前ティファ
>>383-386 神羅時代クラ→ティ
>>399   ティファとティファママ
>>403-410 AC後クラティ
>>417   AC後クラ→ティ独白
>>421-424 AC後クラティ 
>>431-435 AC後クラティとユフィ
>>441-442 431の続きクラティ
>>447-450 CC時期クラウドとザックスの会話

564まとめ3:2010/05/11(火) 23:25:27
>>455-456 CCのクラティ
>>461   プロローグのクラティ
>>466-469 AC後クラティ(微エロ?)
>>473   年越しクラティ
>>477-479 クラティ(無印の衣装を着たティファ)
>>485-488 AC後クラティ
>>494-496 ACフェンリル2人乗りクラティ
>>500-505 AC後ルード→ティファ
>>506-509 500のルー→ティのクラウド編クラティ
>>514-518 クラティ
>>525-528 バレンタインクラティ
>>533-537 ACC後クラティ
>>547-549 533の続きクラティ(微エロ?)
>>554   ほのぼのクラティ
>>558   バレンタインクラティ 

時々読み返してます、投下してくれる方々ありがと〜

565名無し@ガツーンといくわよ!:2010/05/12(水) 21:47:23
おお、まとめ乙かれ!
自分携帯なんで読み返す時ありがたいよー

566名無し@ガツーンといくわよ!:2010/05/16(日) 18:49:08
>>564
まとめありが㌧!
ここはFF7の旅の間のSSとかでもいいんかな?

567名無し@ガツーンといくわよ!:2010/05/25(火) 06:32:00
もちろんだよ!AC後の甘々もスキだけど、FF7の切ない感じも大好物ですw

568名無し@ガツーンといくわよ!:2010/06/05(土) 14:52:21
>>567
566です。ありがとう
まだ書けてないけど何か練っていこうと思いまっす

569名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/18(日) 22:59:45
568です。
FF7旅の途中でクラ×ティでヴィン+ティな話。
ありがちネタな感じで色々ツッコミ満載ですが、OKな方よかったら読んで下さい。



ティファとヴィンセントは焚き火を囲むようにして座り夕食をとっていた。
少し離れたテントから先日仲間になったシドの豪快なイビキと
パチパチと木々が小さく燃える音だけが響き、辺りは静まっている。
自身で作ったかぼちゃのスープを口に運びながらも、ティファの気は沈んでいた。
明日はクラウド達のパーティーと合流だというのに……いや、だからなのだ。
焚き火を見つめ、ティファは数日前のことを思い出す。
クラウドとティファとヴィンセントで組んでいた時のことだ。
故郷だったニブルヘイムを訪れてから、クラウドはますます先を急ぐようになり
「セフィロスを追わなければならない」という焦燥感は戦闘においても顕著に表れていた。
どれだけ傷つこうが、血を流そうが、とにかく先へ―…
己の体の疲労も省みず、仲間の忠告に耳を傾けることもせずにモンスターを切り倒し、ひたすら前を行くクラウド。
そんな彼に我慢ならず、ティファは休むように言ったのだ。
「クラウド!そんな無茶ばかりしてたら、いつか倒れちゃうわ!」
「これぐらい平気だ。手がかりが無くなった今、とにかくあらゆる場所を探さないと奴には届かない」
「…でも!」
「傷が心配ならマテリアで回復すれば問題ない」
「体の疲れはとれないわ、…それに焦りは危険を生むだけよ!」
クラウドの眉がぴくりと動く。
「早く手がかりを見つけなくちゃって気持ちはわかるけど、でも…」
「ティファは俺が焦ってるっていうのか?」
「……クラウド」
ティファは唇を噛みしめ俯く。
燃えて無くなったはずのニブルヘイム。村人達の怪しい言動。
地下室で再び姿を現した銀髪の悪魔。
ティファはギュっとスカートの裾を掴む。
ニブルヘイムを出てから特に…そう告げたかったが、彼の前でニブルヘイムや過去の事件について今は口にしたくなかった。
ティファが黙りこんでいると
「…俺の戦い方が気に入らないなら、前線メンバーから外れたらいい」
クラウドの低く冷たい声に思考は考えることを一瞬止めてしまった。
「…クラウド」
木にもたれ二人の会話の一部始終を黙って見ていたヴィンセントが咎めるように名前を呼んだが
クラウドはすでに背を向け歩きだしていた。
その日、小さな村の宿で仲間たち皆を召集し
クラウドはパーティーを3つに組み直したのだった。
…案の定、ティファは前線から外れた。
あれから数日、クラウドとは会話を交わしていない。
連絡をとる時は必ずシドに任せていたし、パーティーが離れればその機会がなくなるのは当然だった。
もう過ぎたこと。
いってみれば少し意見が食い違っただけみたいなものだ。
暗い気持ちをこんなに引きずることもない些細な口論。
だけどティファはクラウドに会うのが怖かった。
冷たい声。お前には関係ないと言われてるかのように向けられた背中。
もし、またあんな風に拒絶されたら?

「食べないのか?」
重苦しい思考に捕われていたティファがその声に顔をあげると
斜めの切り株に腰を据え見つめてくるヴィンセントと目が合う。
「う…ん。なんだかもうお腹いっぱいになったみたい」
いつもはもっと食べるのに変ね、と可愛らしく舌をちろりと出しながらティファは苦笑する。
ヴィンセントはティファの皿に手を伸ばす。
「いらないなら、残りをもらおう」
無口なガンマンの意外な行動を不思議に思いながらも「うん、どうぞ」と手渡した。

570名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/18(日) 23:01:49
翌日、仲間たちとの合流地であるゴンガガエリアの付近を流れる川の付近に向かう道中、
ティファ達は夜になり凶暴化したモンスターと遭遇した。
その戦いの最中、ティファは足首に敵の牙が食い込み深手を負ってしまった。
「おい!大丈夫かよ?ねえちゃん!」
「相当深いな…ポーションじゃ足りんだろう」
シドとヴィンセントが心配してくれたがティファは首をふる。
「ん…平気よ。止血だけしてれば、歩けるから」
靴を脱ぎ包帯を足に巻くが血ですぐに滲む。
「ちっ…俺様たちにはもうMP残ってねえし、アイテム類は各パーティーで分担してっからなあ」
煙草をふかしながら、シドも自分の擦り傷の具合を診る。
「合流したら、エーテルをもらう。そして回復すればいい」
「あのっ…お願いがあるの。…クラウドには…言わないで」
思い詰めた表情で発したティファの言葉に男二人は黙って続きを待つ。
「大したことないし回復マテリアで治せば、普段通り戦えるから!ねっ」
若干冷や汗を流しながら笑顔を見せるティファに釈然としないものを感じながらも二人は頷いた。

数日ぶりの再会も、仲間たちは疲労が溜り肉体的にも精神的にも疲れていた。
「う〜ん、ちょっと今日は疲れちゃった、かな」
「あーっ!もう!アタシ疲れたよ。足ぱんぱんだっつーの!さっさと食べて早く寝る!」
いつもは元気なエアリスとユフィもテントを張るなり寝転んだりして
歩き続けていてさすがに限界がきてたようだ。
仲間たちのその様子を感じ取ったクラウドは夜の作戦会議も手短にすませ
それぞれがテントで寝静まる頃、ティファは一人木陰に小さなランプを置き足の包帯を取り替えようとしていた。
「痛…っ!」
熱を持ち大きく腫れた傷口を見てティファは脱力する。
合流時、エーテルをもらおうとしたところ他メンバーも使いきってしまっていて
一晩寝て魔力が回復するまでは回復マテリアはまだ使えないのだ。
こんな失態…迷惑をかけるだけにしかならない。ティファは改めて己の腑甲斐なさに肩を落とす。
そして、クラウドのことを思った。
合流してから一度も会話を交わしていないどころか、
何度か目が合ってもすぐに逸らされた。
そのことにティファはひどく傷ついていた。
口うるさい奴だって思われてしまっただろうか。

その時、ひらりと隣に人の気配を感じ、そちらを仰ぎ見る。
「ヴィンセント…」
「ずいぶん腫れてるな。これでは辛かっただろう」
「ううん、見た目ほどじゃないわよ」
暗がりでも妖しく存在を主張する切れ長の赤い瞳にジロリと見つめられティファの鼓動が僅かに跳ねる。
ヴィンセントはフッと小さく笑うとティファの足に手をかざす。
「…強がりはよくないと思うがな」
責めるでもないその静かな口調に優しさを感じティファは肩の力を抜いて微笑んだ。
「この傷の深さでは気休め程度だが…」
詠唱を始めたヴィンセントの掌から淡い緑の光が放ち、足首は温かさで包まれた。
「あ…!ケアル?どうして?」
エーテルはなかったはずじゃ?
「クラウドが一つ持ってたんでな」
“クラウド”その名前にティファの胸はどくんと動揺し、困惑の表情をヴィンセントに向ける。
「…悪いが、お前が怪我を負ったことは話した」
「そう…」
クラウドにだけは言わないでほしかったが、自分の回復のためと思ってくれたヴィンセントの行動を責めること等できなかった。
「……あまり気にするな。クラウドも悪気があったわけじゃないだろう」
怪我のことではなく、数日前のことを指してるのだと瞬時に理解したティファはヴィンセントの方を見た。
「…うん。ありがとう…ケアルも…」
沈みがちな自分を慰めてくれている優しさが少しくすぐったい。
けれど、嬉しかった。
ニブルヘイムの地下室で眠っていた、ヴィンセント。
必要以上のことはあまり話さない、無口でミステリアスな仲間。
“単に行動を共にしてるだけ”
そんなスタンスをとっていた彼が見せた一面は自分達はちゃんと仲間なのだと認識させてくれた。

571名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/18(日) 23:02:26
「傷は塞がったが、時間が必要だな。無茶はするな」
「うん、だいぶ楽になったわ。ありがとう、ヴィンセント」
「私はここで見張りをする。テントに戻り眠れ」
「ここは川の近くだし安全よ?見張りは必要ないって皆も言ってたわ」
「…眠くもないし、念のためだ…」
「あっ!ねえ、ヴィンセント、何か食べたいものある?」
「…?」
怪訝な様子のヴィンセントをティファは覗き込む。
「次の町に着いたら食料買い溜めするから、野宿の時の料理リクエスト聞こうかと思って」
「いや…特には…」
「それじゃリクエストにならないわよ。好きな食べ物、あるでしょ?」
少しでもお礼がしたい、とティファが折れる気配はない。
ヴィンセントは考えてから静かに答えた。
「…そうだな。昨日のスープ美味かった」
「昨日って、かぼちゃの?本当?」
ヴィンセントが無言で頷くのを見てティファは喜ぶ。
「良かった!あれ初めて作ったの。感想もらえて嬉しいわ」
両手を重ねて笑顔になるティファにヴィンセントが呟いた。
「……その顔を奴にも見せてやればいい」
「え?…今なんて?」
意味がわからないと首を傾げるティファに「何でもない」と告げると、ティファは柔らかな笑みを浮かべ
ほっ…と一息つくと独り言のように呟いた。
「ヴィンセントって…なんだか安心する…」
何でかな。よくわからないけど、と付け加えティファは空を仰いだ。
「そうか…」
そう返事をした後、ヴィンセントはもう何も言わなかった。
そしてティファにテントに戻るように再び促そうとした時だった。

背後の林の暗がりの中でカサリと音が鳴り
見慣れた金髪のツンツン頭の持ち主が姿を現す。
「クラウド…」
ティファが振り向くと同時に無言でクラウドは二人が座る横を足早に通りすがり、テントの奥へと向かう。
「あ…っ」
どこへ行くのだろうとティファは思わずその場に立ち上がる。
「…行ってやれ。何をしてたかはおおかた予想がつく」
「うん…」
負傷した足に気を配りながらもリーダーの後を追うティファの姿を見送りながら、ヴィンセントは目を閉じた。

572名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/18(日) 23:03:12
川辺の畔の岩場に腰を下ろし伸ばした足の先で小石を蹴りクラウドは苛立っていた。
「…くそっ」
不愉快な感情がまとわりつき頭をくしゃりと掴んでから額に手をあてる。
クラウドはこの数日間、ティファと口論になり思わず冷たい態度をとってしまったことを後悔していた。
早くセフィロスを追わなければ、という気負いと自分の記憶の不安定さから
クラウドの焦燥感は膨れ上がっていた。
それを心配してくれたティファに吐いた自分の発言はリーダーとしても最低だった。
しばらく彼女とパーティーを離れ冷静になってからだからこそ、己を見つめ直せたのだが。
合流してからチャンスがあれば謝罪しようと思っていたのだ。
二人の時に、きちんと。
しかしそれとは別の違和感がクラウドを煽る。
それは今に始まったことではない、自分に対するティファの態度だ。
彼女がクラウドに向ける視線、それはいつもどこか不安げで、怯えを含むようなものだった。
ギリ…と口を噛み締める音が小さく響く。
それを見たくなくて、自分もティファから目を逸らすのだ。
誰よりも笑っていてほしいと思うのに、そうする事ができない自分がもどかしかった。

作戦会議の後、珍しくヴィンセントから話し掛けられ、ティファが深手を負ったことを聞いた。
すぐさま様子を見ようとしたが、ティファはすでにテントで休んでいた。
エーテルでMPを回復して本人が起きたら治療をするとの事だったが
クラウドは落ち着かず、治癒力があるという薬草を採りに林の中へ向かったのだった。
あとは水で冷やしたタオルでもあれば、少しは痛みはマシになるだろう…
そう考え、一度テントに戻ろうとした時。
クラウドの耳に聞き慣れた声とよく知っている幼なじみの姿が目に入った。
その隣には、ヴィンセント。
意外な組み合わせにクラウドは目を見開き、思わず林の裏に身を潜める。
…何で隠れてるんだ、俺は。
盗み聞きなんてするつもりもなかったし、そんな事はしたくはなかったが
何故だか足が動こうとしない。
小声だが楽しそうに笑うティファと隣でそれを聞き受けるヴィンセント。
…旅を始めてから俺の前では、あんな顔をもうずいぶん見ていない。
胸の奥が傷んだ気がしたが、クラウドはそれに気付かないフリをし手にしていた薬草を握りしめた。
「ヴィンセントって…何だか安心する」
ティファの小さな呟きをクラウドの耳はダイレクトに捕えた。
クラウドは急速に心が冷えていくのを感じた。
先程までの緊張感は無くなり、もうこの場に居たくはなかった。
二人の前に姿を現し一気に通り去る。
過ぎ行く刹那、確かにティファから驚きと戸惑いを感じたが、構っていられなかった。

573名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/18(日) 23:04:20
「何だっていうんだ…」
苛立つ理由を探ろうともせず、クラウドは川辺にしゃがみこむ。
ハッと顔をあげるのと背後から声がかかったのは同時だった。
「クラウド」
ティファはクラウドから少し距離をとった位置で立ち止まる。
声をかけても、クラウドは振り向かず無反応だ。
「あの…私」
追い掛けてきたものの、何を話せばいいのかわからなかった。
言葉に詰まっているとクラウドが重く口を開く。
「…怪我したって聞いた」
「…あ、そうなの。でももう大丈夫だから、ヴィンセントが」
「さっきの様子じゃ問題なさそうだな」
ティファの言葉を遮るような強い口調。刺々しさを感じ、ティファは二の句が告げられなくなってしまう。
「ずいぶん楽しそうに話してただろ。…しかも真夜中に」
「だから、ヴィンセントが回復してくれて…」
ティファは困惑していた。
クラウドは何故こんなに冷たい態度なのだろうか。
数日前のことについても、明るく和解したかったがこれでは無理だ。
クラウドの考える事がわからない…ふとティファの視界に一つの物が目に止まった。
暗がりでわかりにくいが、クラウドが手にしている物。
ティファはそれを確認しようと彼に駆け寄る。
「クラウド…それ!」
自分の腕にティファが触れようともクラウドはティファを見ようとはしない。

「もしかして私のために…?」
「…もう必要ないだろ。ヴィンセントに治してもらったんだからな」
踵を返し、再びティファに背を向けようとするクラウドの姿にティファの胸は張り裂けそうになる。
「…どうして…なんで、そんな怒ってるの?…数日前のことが原因なの?」
悲痛なティファの声にクラウドは立ち止まり「別に怒ってない」と吐き出す。
「…嘘、クラウド怒ってる。…クラウドの気持ち、わからないよ…」
痛々しい沈黙が二人の間を流れ、ティファは泣きだしそうな感情を必死で抑える。
「口うるさい女だって思った?そのくせ自分は怪我して、迷惑かけて、どうしようもない女だって」
「違う」
「…じゃあ何?…私どうしたらいいのか」
俯いていたクラウドはティファの方へ振り向いた。
「ティファ、どうして俺に何も言わないんだ」
「え…?」
「ヴィンセントとシドから聞いた。怪我のことも含め、俺には言うなと言ってたことも」
「それは、迷惑かけたくなかったし…数日前にクラウドにあんな偉そうなことを言った私が自己管理ができないなんて…そんなこと…」
「…ティファにとって俺はそんなに信用ないか?」
「違っ…そうじゃないわ」

574名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/18(日) 23:10:50
首を振り今にも泣きだしそうに必死なティファを見てるとクラウドに自虐的な感情が沸き上がってくる。
…どうして俺は…こんな風に悲しそうな顔ばかりさせてしまうのか。
「…ティファはいつもそうだ。…どこかで俺を怯えてる」
ティファの表情が悲しみと驚きでより一層悲痛なものになる。
その反応が、肯定に思えてクラウドは自嘲的に笑うと尚も続ける。
「ヴィンセントなら安心できるんだよな、ティファは」
情けないぐらい弱い声を出した自分にクラウドは内心で苦笑する。
苛立ったり怒ったり、弱くなったり…自分の感情が制御できない。
馬鹿みたいだ、こんな自分。
物言わぬティファの顔を見ると彼女の瞳から涙が流れていた。

「だって…またあんな態度とられたらどうしようって……」
ティファは必死で涙を拭い表情を隠す。
泣くなんて、卑怯だわ。
クラウドの前で泣きたくなかった、弱い自分なんて見せたくなかった。
彼を支えられるように、いつだって強くいたかったから。
それなのに、自分の口から漏れる言葉は相反するものばかりだった。
一度溢れた感情は止めることができなかった。
「クラウドに…っ…また拒絶されたらって…怖くて…。ごめんね、私っ…」
耐え切れなくなり謝罪しながらティファは両手で顔を覆う。
肩にクラウドの手が触れる。
「…ごめん。ティファ…」
最初の刺々しさとは真逆の、穏やかで少しの戸惑いを含んだその声。
そっと手を外され、クラウドと初めて目が合った。
どこか悲しげで、でも優しい表情。
「怪我した事を俺に隠そうとしてたこと…少し…ショックだったんだ。いや、少しじゃないな…かなり…」
ぎこちなく、目線を反らしながらクラウドは話し続ける。
「数日前のこともティファの言う通りだ。俺は焦ってたし図星だった。…その焦りから俺は冷静になれなくて…最低だった。ごめんな…」
「ううん、私、私の方こそ…ごめんなさい」
ようやく涙を止めたティファにクラウドは緩く微笑む。
「ティファは何も悪くない」
「クラウド…」
「…ティファ」
しばし、二人は言葉なく見つめ合った。
緩やかな川のせせらぎ、優しい風に揺れる木々の音。
まるでそこに二人だけの空間が切り取られたかのように、他には何も聞こえない。
「………」
肩に触れるクラウドの手に力がこもった瞬間、二人の上空を羽根を羽ばたかせた鳥が一羽飛んでいった。
その音に二人共大きく体をビクつかせると、咄嗟に体を離す。
クラウドは後頭部をかきながら、わざとらしく咳払い。
その様子に恥ずかしさが増したティファは胸に手を当て、その高鳴りを抑えようと息を吐き出す。
クラウドの顔が自分に近づいてたような気がするのは、錯覚だろうか?
ティファは頭をぶんぶんと振り、冷静になろうと努める。
そして「あ」と声をあげ、クラウドに手を伸ばす。
「ねえ、クラウド。薬草、ちょうだい」
「…あまり効き目ないと思うぞ」
「きっと効くわ。それに嬉しかった。ありがとう」
はにかむように笑顔を見せたティファにクラウドも口の端を上げると
手にもっていた薬草をティファに手渡した。
一瞬触れ合う指先。ティファの胸は再び高鳴る。
…やっぱり、クラウドは落ち着かない。
彼の行動や言動、一つ一つに気持ちがかき乱される。
…今だってこんなにドキドキしてしまってるのに、安心なんてできるわけないわ。
クラウドはそういう自分の気持ちには気付いてないんだろう。
「足、大丈夫か?」
水に濡らしたタオルを、照れ臭そうに渡しながらも心配するクラウドにお礼を言ってティファは頷いた。
「…なあ、ティファ。あの、さ…」
「ん?何?」
ほんの少しだけ、顔を赤くしたクラウドの発言はティファを喜ばせた。

―…「俺にも…かぼちゃのスープ、作ってくれ」…―

いつの日にか、この気持ちを伝えられたらいい。
あなただけが与える、私のこの感情を。

終わり。

長文とすみませんでした。
ヴィンセントとティファの会話と、すれ違い更にヤキモチやくクラウドが書きたかったw

575名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/19(月) 21:17:13
なんかキター!乙です!
クラウドが前半クラウドだw
後半クラウド好きとしては新鮮だけどやっぱり萌えるw
無印クラティは初心に返らせてくれるからいいなあ
ティファの怯える態度に気づいてるとこなんか理想に近かったです
前半クラウドって素っ気ないけど実はちゃんとティファのこと大切にしてるよね
ヴィンセントにちょい嫉妬とかも美味しいw
とっても面白かったです。GJでした!

576名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/21(水) 22:03:25
クラティかわいいよクラティ
この微妙に近づきそうで近づけない距離感と不安感がイイ!
カボチャのスープ作ってくれにニヤニヤしながら萌えたよ
クラウド、ポリゴンの頭かく動作で言ったんだろうな〜とか
ティファの前ではかっこつけマン(死語)なクラウド大好きw
ヴィン+ティもいいね。ティファとヴィンセントは
パーティーの中では静かな方だからゆっくり時間が過ごせそうで
お気に入りだから、この二人の絡みが読めて嬉しい
とにかくいいもの読ましてもらいました。乙!

577名無し@ガツーンといくわよ!:2010/07/26(月) 22:22:17
ふああ久々に来てみたら。。!!!!

無印前半のすれ違いっぷりに萌えました!
無自覚クラティにはあはあですっ

ありがとうございましたv

578名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/03(火) 12:12:34
久々の投下乙です^^
以前他のスレで話題になってた没になった初期設定
ミディールでの人工呼吸のイベントが海外サイトで上手くまとめられていて改めて感動したので
小説ではないけど見たことない方いたらどうぞ。

579名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/03(火) 12:21:50
クラウド復帰イベント

東の孤島ミディール陥没後拡大マップ。
ほとんどおばれかけているクラウドとティファ。
パーティーが救ってくれる。
バレットがティファの容体を調べる。
ティファは目を覚まさすが、クラウドの心臓は止まっている。
一同が意気消沈しかけたところで、ティファが起きる。

ティファ「クラウド!!クラウド、バカッ!
せっかく自分のことわかったのにどうしてそうなの!
みんな心配してくれてるのよ!
ひとりで行っちゃおうなんてそんな勝手、許さないから!」

Tifa: Cloud!! Cloud, you idiot!
Why are you doing this after it took so long for you to understand me!
You're breaking everyone's hearts!
Leaving us alone like this is the selfish way out, and I won't let you do it!

580名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/03(火) 12:33:23
心臓マッサージと人工呼吸をはじめるティファ。
アンダージュノンのイベント参考。かなりシリアス。
見守る仲間たち。この光景にかぶせてクラウドのモノローグ。
幽体離脱してる感じ。

581名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/03(火) 12:36:39
「……気がついたらそこは……白い部屋。まぶしくて…」

(ここで画面はホワイトアウト。以下、声のみ)

声「ナンバー:〇〇四八 タイプ/YM 認識番号三九七八〇八」

クラウド「誰の声だっったろう。そう……宝条」
Cloud: Who's voice is that? Right......Hojo.

宝条「お前はどうかな?
ふむ……きれいな魔晄の目になったな。
声は出せるか?」
Hojo: How are you?
Hmm......Such pretty Mako eyes you have.
Are you the one calling out?

『う……あ……あ』
"U......a......a"

宝条「何かを感じるか?誰かが呼んでる声か聞こえるか?
どくかへ行きたくなったか?」
Hojo: Do you sense something? Who are you calling out to be heard by?
Where don't you want to go?

『……帰りたい……家……。母さん……ティファ……』  
"......Return......home...... Mom......Tifa......"

宝条「クッ……こいつは失敗だ。山へでも捨てておくか」
Hojo: Che......Such a failure. Should've left the mountian as it was.

・神羅屋敷を逃げ出したザックス&クラウド
・ミッドガルドへ向かうトラックのなかで話すザックス
・もうすぐミッドガルドというところで追っ手に襲われ、
 力尽きるザックス。剣を受け取るクラウド

クラウド「ティファ、ありがとう。いま帰るよ」
Cloud: Tifa, thank you. Now let's go home.

息を吹き返すクラウド(失敗はなし)。喜びの一同。

582名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/03(火) 12:47:29
英語版も味があっていいですね。
帰りたいと呟くクラウドに涙。゚(゚´д`゚)゚。
ACラストの「お帰り」が奥深いものになる気がします。
帰る場所ができて本当によかった。

583名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/03(火) 16:50:00
おおお。お疲れさまです
英語もまた一味違っていいね
没演出だけど、それにはジーンとしたよ
いつだってクラウドにとってティファは帰る場所なんだろうな

584クラ誕SS:2010/08/11(水) 00:05:06
上の旅の途中SS読んで下さった方々&感想ありがとう
すごく嬉しかったです

短いですがクラウド誕生日SSです。が、誕生日があまり目立ってないうえに
切ない系かと思いきや結局甘いのかよ!みたいな仕上がり
オッケーな方は次からお願いします

585クラウド誕生日おめでとう:2010/08/11(水) 00:10:01
一定のリズムを奏でる潮騒が心地よい。

潮の香りを纏った風に長い髪が頬を擽る。

昼間は青く煌めいていた広大な海も、今は真っ暗な闇に溶け込んでいた。

さく…さく…と柔らかな砂浜の感触を辿るようにしてティファは自分の前を行くクラウドの後を歩く。

繋がれた手は優しく、それでいて確かな強さがあった。

8月11日。

今日はクラウドの誕生日も兼ねて家族でコスタ・デル・ソルに泊まり掛けに来ていた。

初めての海を楽しみにしていたデンゼルとマリンの昼間のはしゃぎっぷりは思い出しても微笑ましい。

子供たちの心からの笑顔、それはこの星の未来の姿でもある。

「来て良かったな」

寝静まったデンゼルとマリンの寝顔を見つめながらそう言ったクラウドにティファは頷いた。

そして少し海辺を歩かないか、と誘われティファは今ここに居る。

何をするでもなく、ただゆっくりとクラウドはティファの手を引いている。

ホテルを出てから二人の間に言葉はなかったが、その沈黙も何故だか愛しい。

そう思えるようになったのは、自分の気持ちに余裕ができたからだろうか。

夜の闇の中、月の光に照らされた金髪は儚ささえ感じ、とても美しい。

綺麗……そう思った時にクラウドは立ち止まり振り返った。

「静かだな…」

「うん、そうだね…」

なんてことはない普通の感想に、お互いに微笑み合う。

「クラウド、お誕生日おめでとう」

「今朝聞いたよ」

「うん、改めて言いたくなったのよ」

繋がれた手にきゅっと力をこめてティファは想いを紡ぐ。

『私たち、ずっと遠く離れ離れだったんだね』

『例えどんなに近くにいても』

かつての旅の決戦前の夜、彼に告げた言葉を思い出す。

それからも色んなことがあったね。

嬉しいことも、辛いことも、苦しいことも。

不安に押し潰されそうになったこともあった。

傷ついて痛くて…それでもいつだって必死でもがいてた。

そして今私はあなたとここに居る。

『ライフストリームで悲しい叫びに囲まれた時、胸の奥であなたの声が私の名前を呼んでる。そんな気がしたの』

気のせいなんかじゃない、私もそうだから。

いつも、どんな時も私はクラウドを求めてる。

あなたも同じ。だからこうして一緒に居る。

そう信じていい?

触れ合う指から想いが伝わるようにとティファは祈りを捧げるように彼を見上げた。

クラウド、好きよ。大好きだよ。

「生まれてきてくれて、ありがとう。クラウド」

一緒にいてくれて、ありがとう。

瞳を潤ませながら笑顔で言葉を贈ってくれたティファにクラウドも切なそうに微笑む。

586クラウド誕生日おめでとう:2010/08/11(水) 00:13:11
そして波の音に引き寄せられるように海を眺めたクラウドは胸の内を話し始めた。

「去年の誕生日は、こうはいかなかった」

去年の今ごろ…ティファは振り返る。

互いの仕事も忙しく、次第に二人で過ごす時間は激減していきすれ違っていた。

会話をしようにも、二人の関係はぎくしゃくしていたのだ。

その時の事を思い出すだけで、ティファの心は悲鳴をあげ苦しくなる。

「俺のせいなんだけどな」

違う、私だって――。

そういう気持ちを含めクラウドの話を遮るようにティファは言った。

「もう、いいじゃない。だって今は――」

「ティファ」
「大事なことだから聞いてほしい」

有無を言わさない強い意志を含んだ声。

見つめてくるその瞳の色はひどく揺らめいて真剣だった。

「あの頃は…自分が造り出した恐怖に怯えて、前を見るのが怖かった」
「自分に自信が持てなくて、大切なものを見失って…」
「子供の頃から何一つ変わってない。俺は弱いんだ」

己自身を傷つけるようなそれを止めたかったが、珍しく饒舌な彼の言葉を、ティファは静かに聞いていた。

クラウドが何を想い、感じているのか、知りたい。


「でも、ティファが居てくれる」

ティファは驚いたようにクラウドを見つめた。

587クラウド誕生日おめでとう:2010/08/11(水) 00:13:59

「こんな俺を、ティファはずっと信じてくれた。傍にいてくれた」

穏やかな笑みを交えながら、クラウドもティファを見つめる。

「俺にとってそれは支えなんだ」
「ティファが思うより、ずっとな」

照れながらもクラウドは力強く言った。

「もう絶対に、後ろを向いたりしない」
「だから」

ティファの額に自分のそれをコツンと合わせる。

「ずっと傍にいてくれ、ティファ」

ティファの瞳に涙が溢れ、今にも零れ落ちそうになる。

突然のクラウドからの思いもよらぬ嬉しい言葉。

感情が溢れて体がふわふわして、これは夢なのでは?という不安が一瞬よぎる。

しかし、触れ合う箇所の温もりが夢ではないと教えてくれていた。

必死に嗚咽をこらえ、小さな声で「…はいっ」と答えたティファの笑顔は何よりも美しかった。


*********


「なあ、ティファ。また休みとれたらどこか行かないか」

「本当?子供たち、すっごく喜ぶわ」

しばらく海辺で二人きりの時間に過ごしたあと、ホテルへの道中、二人は来た時と同じようにゆっくりと歩く。

「うん。次は…そうだな。コスモキャニオンでのんびりするのもいいし、ゴールドソーサーもいいかもな」

「なんだか、クラウドの誕生日なのに、私たちが嬉しいことばっかりで…」

風に吹かれる髪を耳にかけながらティファが呟く。

困った時にする彼女の癖だ。

その様子を見てクラウドは首を横に振った。

「そんなことない。俺だって同じ気持ちだ」

だから気にするな、と笑いかけてくるクラウドにティファは胸を撫でおろす。

「家に帰ったらごちそう作ってあげるね。クラウドの好きなシチューの具も奮発しちゃう」

「それは楽しみだな」

楽しそうに自分を振り返りつつ歩くティファのワンピースの裾が揺れ、
クラウドの目に水色の鮮やかな残像を残す。

588クラウド誕生日おめでとう:2010/08/11(水) 00:15:35
あの時、繋いだティファの手から確かに感じた彼女の自分への想い。

伝わってほしいと願う、切ないほどに健気な想い。

なあ、ティファ。

俺もティファと同じだ。

ずっとずっと、昔からそうだった。

どれだけ傷ついても苦しくてもそれだけは変わらないんだ。

ティファ。

一緒に居てくれて、ありがとう。

幸せを、ありがとう。

「―――…してる。」

「えっ?何?」

“ごちそう”のレシピを思案していたティファはクラウドの小さな囁きに首を傾げる。

「…何でもない」

くすりと柔らかな笑みを浮かべクラウドは遥か遠く頭上に輝く星空を見上げた。

終わり


クラウド誕生日おめでとう。ずっと大好きです

589名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/11(水) 01:01:55
GJGJ!胸キュンだったw
夜の海辺を手を繋いで歩くクラウドとティファ、すごく良かった
おでこコツンに禿萌え
やっぱり好きだなあクラティ
幸せなSSありがとう。そしてクラウドおめでとう!

590名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/11(水) 01:27:11
>>585
乙&GJ!なんか幸せで、胸にせまるものがあるお話だったよー
すれ違っていない時のクラウドとティファって本当にこんな風に
お互い通じ合ってるんじゃないかと思う
傍にいてくれと言い切ったクラウドかっこよすw
ラストのティファには聞こえなかったクラウドの台詞は妄想してニヤけたw
改めてここでもクラウド誕生日おめ!

591名無し@ガツーンといくわよ!:2010/08/11(水) 14:42:23
家族サービスきたー!
ストライフファミリー最高すぎる
クラウドの最後のセリフに萌えつきましたw
もっといっぱい言ってやってくれと思いつつ
ティファに聞こえてないところがクラウドっぽいというか
ティファもティファでらしいというか、そんな二人が大好きw
作者さんの文章はとても読みやすくて
キャラも変に崩してなくてすんなり入り込めて好きです

592SS初投下させて頂きます:2011/05/03(火) 21:33:19
「クラウド」
聞き慣れたすずやかな声に、クラウドの肩が僅かに跳ね上がった。
早くなる心音が相手に伝わっていないかと、心配しながら振り向くと待ちわびた人物が手を後ろに組んで立っていた。
「ティファ…来てくれたのか」
ほっとした気持ちと、それ以上の緊張がクラウドを包む。
そんなクラウドを知ってか知らずか、ティファは穏やかに目を細め微笑んだ。
そして艶やかな黒髪をさらりと揺らしながらクラウドの方に歩を進めていく。


「当たり前じゃない。それで用事って、何?」
「…それは……」
「?どうかしたの?何か難しい顔をしているわよ」
ティファが目の前に立つとクラウドは口を噤み、眉根を寄せて固まってしまった。
問いかけても何も答えないクラウドの顔を、ティファは暫くまじまじと眺めていたが、その口は一向に開かれない。
「用があったから私を呼んだのよね…?」
再度問いかけるとクラウドは俯き、唇がさらに固く結ばれてしまった。
いつも以上に寡黙な幼馴染が醸しだす、いつもとは違う雰囲気にティファも戸惑いを隠せなかった。
「クラウド…?」
突然ティファに覗き込まれ、クラウドはぎょっと目を見開いた。
そして、手をぎゅっと握りしめ、ますます全身を強ばらせた。
その様子に気づいたティファはクラウドからさっと身を離した。
自分に見られていたら言いづらい事なのかもしれないとどこかで悟り、不安に心が揺れる。
(突然呼び出されたから、もしかしたら…なんて淡い期待もしていたけれど…)
ティファの綺麗な眉が、クラウドに気付かれないように小さく歪んだ。
人気のない場所にクラウドがティファを呼び出した理由。
それに対しティファは元々プラスとマイナスの2つの可能性を想定していた。
一緒にいるのにぎこちない歪なこの空気に、プラスの可能性はまずないと思うしかなかった。
「クラウド、用事って、ひょっとして…あまり良くない事…?」


ティファの言葉にクラウドは顔を上げた。
よほど厳しい顔をしていたのだろうか、目が合った瞬間に、ティファは身体を背けた。
そして深呼吸の後に背筋をぴんと伸ばした。それは覚悟を決めようとしているようだった。
普段は気づかない、ティファの小さな肩に、クラウドの心が震えた。
それは、戦闘の時に頼もしく感じている彼女のものとは思えない程華奢で、か弱く思えた。
「ティファ…っ、」
「きゃっ」
それは一瞬の出来ご事だった。
気がついたら伸びていた手。
鍛えているとはいえ自分よりずっと細いその腕を、クラウドは掴み、自らの方に引き寄せた。
驚いて見開かれた大きな紅い瞳が、潤んでいる事にクラウドは気づく。
二人の瞳と瞳が重なった瞬間、クラウドは躊躇なくその場所へ唇を寄せた。


瞼の上に触れた熱に、今度はティファの方が固まってしまった。
一体何が起こったのかが分からず、唖然と立ちすくむ耳にクラウドの息がかかる。
「…誕生日、おめでとう…」
ぼそりと呟かれた言葉に、ようやくティファは反応を示した。
恐る恐る顔を上げると、難しそうだった顔が、今度はイタズラを叱られた子供のような顔になっていた。
「………ひょっとして、今のキス…プレゼント?」
何気なしに出たティファの疑問の言葉。
それを受けて赤く染まる顔に、ティファも釣られて赤面する。
「………こんなのがプレゼントで…悪い…」
彼のものとは思えないキザな贈り物と、あまりにも不釣合なぶっきら棒な口調に、ティファは自然と笑が盛れた。
どんなに悪い話でも受け止めようと決めた矢先に舞い込んだ歓び。
たったこれだけで満たされてしまう自分に、ティファは内心苦笑する。
(……やっぱり…クラウドの事が好き………誰よりも…)
「ありがとう、クラウド…」

とろけるような甘いティファの笑顔は、クラウドの顔だけではなく胸まで熱くした。
(俺のほうがプレゼントを貰ってどうする…)
最初に緊張で感じた鼓動の速さとは明らかに別の種類の高鳴りがクラウドの全身を支配する。
無言で見つめ合うと温かいものが体中に広がっていくのをクラウドは感じていた。
このまま時が止まってしまえばと、クラウドが願うのと同時に、ティファの唇が動いた。
「クラウド………お願いがあるの…」
「…お願い?」
「プレゼント…、もっとほしい」
予想だにしないおねだりに、クラウドは耳を疑った。
聞き間違いかと、凝視した先には、未だかつてない程に恥ずかしそうな、赤らんだ黒髪があった。
(ああ…)
余計な事をごちゃごちゃ考えるまでもなく、己のするべき事は1つだと、本能がクラウドを突き動かした。

吸い寄せられるようにどちらともなく近づいていく顔。
そして再びプレゼントがティファに捧げられた。
今度は唇に───。

593↑の発端となった出来事小ネタ:2011/05/03(火) 21:36:36
↑SSは以上で終わりですが、なんでクラウドがティファにこんなをプレゼントを?というと、
こんな裏話がありました。SSにしている余裕がなかったので会話ネタで失礼します。
クラウドがティファの瞼にキスした時のイメージ絵的な物も、一応ろだに上げてあるので良ければ見てください。

ク「レノ…相談がある」
レ「なんだクラウド。お前が俺に相談とは、珍しい事もあるもんだな」
ク「…」
レ「で、相談って?」
ク「いや…、その…今日、何の日か知ってるか…?」
レ「今日?いや、知らないぞ、と」
ク「…そうか、お前も知らなかったんだな」
レ「今あからさまにほっとした顔をしたな。今日ってティファの誕生日以外で何かあんのか?」
ク「!!!!!!!!!!!!!」
レ「何そんなに驚いてんだよ、と」
ク「…知ってたのか…ティファの誕生日…」
レ「何、お前知らなかったのか?」
ク「…………」
レ「まあ今まで色々あって、じっくり誰かの誕生日を祝ったりしている暇なかったしな」
ク「……………」
レ「それで、プレゼントも用意してなくて慌てているって事か」
ク「他の奴らは皆知っていたのに、俺だけ知らなかったんだ…」
レ「あ〜それはまずいな」
ク「…」
レ「そー難しい顔をするな。クラウド、俺にいい案があるぞ、と」
ク「いい案?」
レ「ああ。今から店を回ってプレゼントを探す必要もなく、確実に喜んでもらえる手段がある」
ク「?!」
レ「しかもこれはお前以外はやれないプレゼントだ」
ク「…なんなんだ?それは」
レ「耳かせ」
ク「?」
レ「ゴニョゴヨ」
ク「〜〜〜?!」
レ「分かったか?後は実行に移すのみ」
ク「む、無理だ、そんなの。他にないのか?!」
レ「ないぞ、と」
ク「…………ッ」




〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜


ユ「ティファ〜、誕生日おめでとー!」
テ「ありがとうっ、ユフィ」
シ「ティファ、おめでとう」
テ「シドもありがとう」
マ「これ、ティファに」
テ「綺麗なお花…!マリン、ありがとうね」
バ「おめでとう、ティファ。ところで、クラウドがお前のことを呼んでいたぞ」
テ「バレットありがとう。…クラウドが?何かしら…」
ユ「皆にこっそり、秘密のプレゼントとか用意してたりしてね〜」
テ「うーん、どうかしらね。でも、ちょっと行ってくるわね」


〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

594名無し@ガツーンといくわよ!:2011/05/03(火) 23:49:40
>>592
おおおお、GJGJ!
ティファ誕SSありがとうー!
文章も表現や描写が丁寧かつ読みやすくて想像しやすかったよ
クラウドの不器用さがもどかしいながらもニヤニヤしてしまった
不安がよぎるティファもらしくて可愛いなあ!胸がキュンとなりますたw
ティファのお願いが可愛すぎてたまらん
まさかのレノの入れ知恵だったなんてw
イラストも可愛くて癒されたよ、ありがとう!
また機会あったら書いて下さい

595名無し@ガツーンといくわよ!:2011/05/04(水) 00:27:04
>>592
久しぶりの投下ありがとう!
かわいい二人に癒されました

596名無し@ガツーンといくわよ!:2011/05/04(水) 02:50:10
わぁいわぁい!
ちゅークラティうれしす!!
書いてくれてありがとうーーー大好きだっ

597名無し@ガツーンといくわよ!:2011/06/28(火) 21:58:55
>>592
フィバー!!

598名無し@ガツーンといくわよ!:2011/07/14(木) 22:59:16
もっといろいろみたい

599名無し@ガツーンといくわよ!:2011/07/14(木) 23:09:06
もっといろいろみたい

600バーバリー バッグ 通販:2012/11/03(土) 06:49:04
今日は よろしくお願いしますね^^すごいですね^^
バーバリー バッグ 通販 http://burberry.suppa.jp/

601名無し@ガツーンといくわよ!:2018/04/28(土) 09:48:29
投下します。
エア→クラ→←ティSSです。
苦手な人はスルーして下さい。

基本的にエアリス視点。
出番自体はエアリスが一番多いです(汗)
だらだら長い駄SSです。OKな人はどうぞ。

602601:2018/04/28(土) 09:52:43
初めて会った時、凄くハッとしたの。
目覚めた時見開いた、その瞳の青い輝きは、いつか恋した人にそっくりだったから。






とある町の一角。
宿屋の廊下で、エアリスは探して居た人を見つけた。

「クラウド。」
「……」
「ね、クラウド!聞いてるのっ?」
「ん?ああ…すまない、どうしたんだ?」

此方を振り向く、その眼。
ああほら、こんなにも似ている。

「もう!やっぱり聞いてなかった!後どのくらいこの町に居るのか、って聞きたかったのに。」
「その事か。そうだな、武器も買ったし、直ぐ旅立つには心許ない。
周辺で少しギルを貯めるとして…1週間くらいだな。」
「1週間、ね?分かった♪」
「待て。」

サッと肩を捕まえられる。
他意は無いと分かっていても、少しドキッとした。

「な〜に?」
「…何か考えていないか。」
「考える?何を?」
「1週間と言った途端、いやに嬉しそうだったろう。」

バレちゃった。
内心でペロッと舌を出す。

「実はね、明後日、市場が出るらしいの。
アクセサリーなんかも出ると思うし見たかったから、今晩出発!とか、明日出発!な〜んて言われたら、どうしよっかと思って。」
「はあ…」

二重の意味で、なんだそんな事、と溜息を吐くクラウド。

「あのな、俺達は観光に来てるわけじゃ、」
「言うと思った!もう、そのくらい分かってますよ、だ。
良いじゃない?どうせ此処に居なくちゃなんだし、偶には息抜きしたって。」
「それはそうかもしれないが…」

もう一押し。
此処で切り札。

「駄目なの?あ〜あ、ティファと覗こ!って約束、したんだけどな〜?」
「!」

目の色が変わった。

「ティファも女の子だし、こんな時でも。
ううん、こんな時だからこそ、偶には女の子らしい物見たりしたいと思うんだけどな〜?」
「……」
「武器と違って、そんなに高い物でも無いし。
可愛いくて邪魔にならない物があったら買っちゃお、って言ってたの。
でも駄目なのか〜、残念!厳しいリーダーさんのお許しが「…分かった、行っても良い。」

やった!とはしゃぐ声は、心の中で。
今口に出したら、全てがおじゃん。

「じゃあ、行っても良し、ね?」
「ああ。ただし気を付けろよ。イベントとトラブルは紙一重なんだからな。」
「はいはい。」

子供じゃないんだから、と思いつつ、まあ何はともあれお許しも出た。
これで市場に行ける。


切り札の効力は抜群ねと思うと、少し苦しくなる気もする、けど。

603601:2018/04/28(土) 09:56:15
かつて惹かれた青い瞳。
それにそっくりな色の空。

晴れた日に宿屋の外へ行くと、赤い瞳が自分の足音に反応して振り返る。

「エアリス!」
「ティファ、お待たせ!」

輝く太陽に負けない、眩しい笑顔。
きっと今、自分も同じような笑顔なんだろう、なんて。

「ごめんね?ちょっと仕度、手間取っちゃった!」
「ううん、良いの。謝られるほど待ってないもの。」
「そう?なら良かった!今日は楽しも?ね!」
「ふふ。エアリス、ご機嫌さんね。」

そうよ、勿論。
ねえティファ、私が今どんなに嬉しいかティファに分かる?
私、ずっと作れなかった女の子の友達と、遊びに行くんだよ?
どんなに嬉しくて、ウキウキしてるか!

「あ!ほら、ティファ、あっち!テントが並んでる!」
「本当!」

市場は、2人が期待していた通りの物だった。
武器や防具も並んでいるし、それに混じって、アクセサリーや小物。
果ては何処か遠い所の名産の食べ物まで。




「ねえ、あれ!美味しそう!」
「ええ!隣のあれは…食べられるのかしら?」
「う〜ん…止めた方が良いかも、ね?」


「……」
「ティファ〜?」
「あ!ごめんなさい、つい癖で!防具を見るとどうしても、使える物は無いかな、なんて…」
「もう!今日はそういうの、無し、ね!戦いの事は、また今度!」
「うん、そうよね!」



「服まで売ってるのね。」
「ね、あれきっと、民族衣装っていうのよね?」
「うん、そうだと思う。どんな国で、何処にあるんだろう。」
「何時か行ってみたいな。ね、いつか、一緒に行こ!」
「ええ!あ、その時はきっと、」
「戦い抜き、ね?」
「「うふふっ!」」




「エアリス!こっちにアクセサリーが。」
「わ〜、可愛い!これ、素敵!あ、これも可愛い!」
「ふふっ!こっちも綺麗ね。」
「うん!あ。ねえティファ、これすっごくティファに似合う…ティファ?」
「……」

何だか既視感。

「…ティファ!」
「!あ、ご、ごめんなさい!何、エアリス?」
「何っていうか、どうしたの急に?もしかして、具合、悪い?それなら無理しないで、」
「ううん、違うの!そういう事じゃなくて…その、」
「じゃなくて?」
「…有難う、エアリス。」

エアリスは思わず目を見開いた。

「何?私何かした、かな?」
「うん。私今日、とっても楽しくて。こうして、エアリスと遊べるのが。」
「そんなの、」

自分だって一緒だ。
そう言いかけると、ティファはそうじゃないの、というように手で軽くエアリスを制した。

「凄いな、と思ったの。」
「凄い?」
「クラウドに、上手く言ってくれたんでしょう?今朝会った時、気をつけて楽しんで来い、って言われたわ。」

(あ…)

「私じゃきっと、そんな風に出来なかった。
エアリスが言ってくれたから、クラウドも良いよ、って言ってくれたんだわ。」

違う。
違うよ、ティファ。
凄いのは、ティファの方なんだよ。

だってーーー

604601:2018/04/28(土) 10:01:40

「ティファ。」

…ほら。

「エアリスも…こんな所に居たのか。」
「クラウド。」
「クラウドこそ、どうしてここに居るの?
観光に来たんじゃない、って昨日言ってたのは、誰だったかな?」

そう言うと、クラウドは少し気まずげに眼を逸らす。

「俺は…武器や防具も並ぶと聞いたから来たんだ。」
「あ…そっか。そうよね。」

全然違うよ、ティファ。

だって昨日、クラウド、言ってたもん。
武器、買ったから。だからお金が無い、って。
今私達、武器とか防具を見ても、買えるくらいのお金、無いんだよ。

クラウドがここに居るのはね。

ここに居るのは。

「…ね、クラウド!これ、ティファに似合うって思わない?」
「ち、ちょっとエアリス!?」
「良いじゃない♪折角会ったんだし、ちょっとくらい、ね?ねえ、駄目?」
「いや、俺は…」
「ほ、ほら!クラウドも困ってるわ、そうよね?」
「あ、いや、その…」

困ってるのは本当だろう。
でも、ティファの思ってる、「困ってる」とはちょっと違う。

ティファはきっと、クラウドは興味の無い話を振られて困ってる、とか。
似合うとか、そういうのは分からなくて困ってる、とか、そういう事を考えてるに違いない。

でも違うよ。
そうじゃないよ。

ほら、元ソルジャーのリーダーさん?
違うって言ってあげなきゃ。

「俺は…」
「クラウド、無理して「似合ってる」なんて言ってくれなくて良いから、」
「違う。俺はただ…これも悪くはないが、あっちの方が良いんじゃないかって…」
「え?」

ほうら、やっぱり。
そんな事だろうと思った。

「あっち?ってこれ、かな?」
「それじゃなくて、その右の。そう、その青い石の品だ。」

それは、ピアスだった。
黒いバックに、蛍石が埋められていて。

まるで、満点の星空を閉じ込めたような。

「これ、ね?うん!とっても綺麗。ほら、ティファ?」
「うん、本当に綺麗…ねえ、クラウド?」
「なんだ、ティファ?」
「その…これ、本当に私に似合う?」

605601:2018/04/28(土) 10:02:07
喜びと不安の混じる顔。

分かる、分かるよ。
嬉しいけど、だからこそ、ちょっと信じられないよね。
好きな人が、綺麗な物を選んで、似合うって言ってくれるなんて。
特にクラウドみたいなタイプは、そういう事普通、しそうにないもの。

でも。

「…ああ。凄く似合ってる。俺も綺麗だと思う。」

ティファがまばゆい位の笑顔になる。

綺麗。
本当に綺麗、ティファ。

ピアスが、じゃないよ?
綺麗なのは、ティファの方。

「…じゃ、これを買ったらデートの続き、ね?クラウド、ついて来ちゃ駄目よ?」
「え、ええ?」
「おい…それは、どういう意味だ。」
「今、ティファとデートしてるの、私!って事。2人で遊ぶんだから♪」
「はあ…」

呆れた溜息。

でも、この位許してくれて良いじゃない。

貴方がボウッとしてる時は、ティファの事を考えていて。

貴方が普段来ない場所に来るのは、ティファを案じているからで。

貴方がらしくない事をする時は、ティファの為で。

貴方の青い瞳。
何時も気を張って、厳しかったり物憂げだったりするその眼差し。

それが暖かく輝き出す時、何時もその視線の先には、この子が。

この大好きな、黒い髪の友達が居るの。

ティファだけが、居るの。

だから許して?
最近、ちょっと苦しい。

こっちを見ない、貴方のその眼が、いつもより辛い時だって、あるの。
私をティファより先に呼ばない声が、チクチクする日が、今日なの。

だから。

「さ、ティファ。今度はあっち、行こ!」
「え、ええ。あ、クラウド!選んでくれて有難う、又後でね?」
「ああ。何度も言うが、」
「気を付けろ、でしょ?分かってます!」

分かってる。
全部、分かってるよ。

分かってる事が少し寂しいけど、でも、2人共大事だから。
掛け替えのない人達だから、こうやって頑張れるの。

だから、ね?

もう少しだけ、このままで居させて。


(何時か訪れる、2人が寄り添う日まで)


end


(クラウド、心配しないで。神羅が襲ってきても、エアリスは今度こそ私が守るから!)
(あ、駄目、ティファ。そんな事言うと、クラウド、ついてきちゃう!)
(ええっ!?)

606601:2018/04/28(土) 10:03:07
書いた!満足!

ff7は初めて書くので、おかしな所あったらスルーして下さい!
お目汚し失礼しました。

607名無し@ガツーンといくわよ!:2018/05/07(月) 05:43:31
>>606
素敵なSSありがとう!
久々にきてみたら、投下されていて嬉しかったです。
エアリスの切ない思いと、友達としてティファを大好きな気持ちだったり、口調もすごくらしくて魅力つまってました。
両片想いなクラティもかわいいしもどかしくて。
文章も読みやすかったです!


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