したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

SSスレ

22グリントガール対グレートレジーナ ◆IgMoxdiK1Y:2015/10/30(金) 18:54:48
まずスネークを驚かせたのは、果糖とは異なるその甘さだった。
その甘さは、それをもう一度、いや何度でも、
味わいたいとスネークに思わせるには十分すぎる衝撃があった。
(補足をすると、この時代の人間は今よりもはるかに糖質に恵まれていなかったせいもある。
 味覚がそもそも大きく異るのだ)

そして、血液へと流れこんだグルコースは、気分の高揚をスネークへ与える。
本来、グルコースは体内のアミノ酸を分解することでも得られるのだが、
人間の体内にある血液中のグルコースの割合(血糖値)は、
なぜかある一定値までしか上がらないようになっていた。
しかし、この瞬間人類は、自ら経口摂取して血糖値をあげることができるようになったのだ。

血液から送られてきた、今まで経験したことの無い奔流のグルコースが、
スネークの脳内に革命をもたらす。
それがどのようなものであったのか、
日常的にグルコースを摂取するようになった我々にはもはや理解しかねるだろう。
しかし、事実だけを並べれば、
人類は今までの狩猟採集生活を捨て、
グルコースを摂取するための植物の人工的栽培に着手することになり、
人々は効率を高めるために、彼らが支配する農場の周囲に密集して住むようになった。
人口密集率の上昇により、人々はともに生活する上でのルールを作り、リーダーが生まれた。
とりあえず、まずは服を着るというルールができたに違いない。

農業革命の始まりである。

男達が朝から晩までひたすら働き、農地を広げた結果、
今までよりずっとたくさんの子供達を養い得る食料が得られるようになった。
女達は子供をたくさん産み、そして子供達は新たな農地の開墾の旅を始める。
人類が世界へ急速に拡がるその隣には、いつもグルコースがついてまわった。
芋が、麦が、お米が、トウモロコシが、人類の手によってその農地をどこまでも拡げていく。

農業革命は、人類に財という概念をもたらした。
財の概念は、後に交易、そして経済という概念へマクロ化していく。

文 化 ! 発 展 さ せ ず に は い ら れ な い !

・・・だがグルコースがもたらしたのは福音だけではなかった。
農業革命は、同時に人々がいままで持っていた自由を奪い去り、
グルコースを摂取するために、グルコースを収穫するためだけの労働生活へ追いやったのだ。
スネークは言うだろう。俺は好きな事をしている、だから自由である、と。
だが仮に現在の感覚で例えるならば、
お酒が好きな男がお酒を飲み過ぎて体を壊し、それでもなお酒瓶を手放さないことに自由を見るであろうか?
多くの人は彼を見てこういう筈だ。彼はお酒の奴隷である、と。

グルコースにそんな意図があったわけではないだろう。
しかし、グルコースの存在は、人類全体を、グルコースがひたすら必要とされる社会へとシステム化させた。
白糖中毒と化した人類は、もうこの流れを加速させることしかできなかった。
虫歯と肥満に悩まされ、行く先々の生態系を破壊し尽くそうとも、
グルコースの抗いがたい魅力の前に、人々はひたすら財を蓄えるために奔走する。

これでは人間がグルコースを支配しているのか、
それともグルコースが人類を支配しているのかわからないじゃないか!!

その結果、私達は自分自身だけでなく、愛すべき隣人でさえその手にかけることになるのだ。

・・・少し喋りすぎてしまったようだ。
その話は次回へ持ち越すことにしよう。

【グリントガール対グレートレジーナ 第二話 禁断の果実 完】


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板