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キラキラダンゲロス2 応援スレ
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電車が好きな普通の女の子
:2024/07/23(火) 22:00:52
池袋駅5番線。環状線である山手線に、いくつか存在する始発ホームである。通常の環状線は向かいの4番線に入り、5番線に電車が止まるのは一日数本。池袋を終着駅とする電車と、始発駅とする電車のみ。全ての物語の終わりと、新たな物語の始まりに相応しい場所と言えるかもしれない。
4番線に到着した電車から、一人の少女が4・5番島ホームに降り立った。深い青色のストリート風ファッションに身を包み、野球帽を後ろ前に被った彼女の名は鮪雲鉄輪《まぐろぐもかなわ》。電車が好きで、虫ぐらいしか殺したことのない、普通の女の子。
一週間前。池袋にとてつもない戦闘破壊が吹き荒れた。数万人の殺人鬼による殺し合いだった、という荒唐無稽な噂すら囁かれるほどの惨状であった。だが、鉄輪はそのニュースを見て、なぜだか池袋に行かなければならないと思った。
このホームにも、破壊の爪痕が痛々しく残り、カラーコーンと虎縞バーやブルーシートで応急手当をした、継ぎ接ぎだらけのみすぼらしい姿と化している。この場所で誰と誰が戦ったのか、知る者はいない。秘密サイトNOVAの会員も、生き延びた当人すらも、それを知らない。
しかし、電車はそんなホームにも訪れ、池袋は日常を少しずつ取り戻そうとしていた。鉄輪は、駅を行き交う電車と人の流れを見て、その逞しさに感心し、安堵した。そして、鉄輪は、二人の人物に目を止めた。
一人は、大きな身体の男性。右腕を怪我しているのか、包帯を巻いてアームホルダーで吊るしている。もう一人は、鉄輪と同じぐらいの年頃の、銀髪の可憐な少女。恋人同士、というわけでもなさそうな、むしろ宿敵同士、といったほうがふさわしいような、奇妙な距離感の二人だった。
二人の様子を見て、鉄輪は胸と首筋にチクリとした痛みを覚えた。それは、初恋に破れたような、不思議な感覚だった。これはなんなのか。戸惑ってるうちに、鉄輪は二人の姿を見失った。
まあいいや、と鉄輪はきびすを返し、復旧に向けて慌ただしくうごめく池袋の町へと歩きだした。その顔には、穏やかな笑みが浮かんでいた。
「ばいばい」
誰へともなく、鉄輪はそう告げた。軽い足取りで階段を登りホームを背にする。前後ろに被った彼女の帽子には、浮かれたようなポップな書体で『HAPPY』と書かれていた。
【鮪雲鉄輪エピローグ『5番線、幸福行き』おわり】
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