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ダンゲロスSSReunioN マッチング相談スレ

76カイノ:2024/02/15(木) 10:19:29
プロローグ、下記の描写を追加します。

ふと、夢を見た。
夢というのは正確な表現ではないが、スリープ状態でのデータ整理中に再生された記録であるから夢に近いものではあっただろう。

どこかの戦場だ。確か、くだらない理由で戦っていた時のような気がする。
砂塵、廃墟、怒号、銃声、硝煙、血臭―
そして、難敵。
確か、そう、重武装の癖に凄まじく素早い相手だった。
生身の人間では持ち上げることも困難な重機関銃を小型拳銃のように軽々と振り回していたのを覚えている。
確か、左脚を獲られたっけ。別に恨みはない。戦ったなら傷をつけられるのは当然のことだ。
あいつは、戦士だった。私と同じ、この世に存在が定まった時から戦う力を持った存在だったのかもしれない。

殺しては、いないはずだ。あの時は、確か決着がつかなかったはずだ。
あいつは、今何をしているだろうか。

死んだだろうか。そんな考えが真っ先に浮かんだ。
本当に私の同類だったのならば、死んでいる可能性の方が高いはずだ。
もし、生きていたのなら。まだ、戦っているだろうか。それとも―

そこまで考えたところで、ふと、違うデータが浮かんできた。
古いすり減った記録ではない。つい最近のことだ。

■■■
京東新聞 〇月×日
両陛下、マリハオ元大統領と会見 宮中昼食会に初出席

天皇、皇后両陛下は×日、来日したマリハオのホセ元大統領と会見し、昼食を共にされた。
陛下はマリハオの公用語で今回の退任に至るまでの貢献に敬意を示した。

ホセ元大統領は謝意を示し、

「この国には楽しみにしているものが沢山あります。本当に。」

と語った。
■■■

「あいつじゃん」
ぱちりと目が覚めた。
そうか。あいつ、大統領になったんだ。
マリハオのデータを検索する。かつては戦場だった国だ。今は、もう戦場では無かった。
“戦う大統領“は、役目を終えて退任したらしい。

―戦い、やめたんだ。
―やめられたんだ。

少しだけ、不明瞭な感情データが走った。
私は戦闘用の機械だ。
もう戦うつもりはないが。
それでも、私は戦闘用の機械だ。

「……」
「………」
「よかったね」

そう言うべきだと判断した。
戦うのは好きではない。殺すのも、傷つけるのも、やりたくないし、やるべきではない。戦っていたものが戦う必要がなくなって、戦うのを止めることができたなら、「よかったね」と、そう言うべきだ。
…そのはずだ。

『ジェネレータ出力:規定値の0.008%』
『武装:1番から208番まで使用不可能』
『次元跳躍装置:致命的なエラー』
『フレーム損耗度:96%』
『自己修復開始…失敗』
『早急なベースへの帰還及び修理が必要です』

それは、それとして。

『戦闘続行:可能』
私は、まだ戦えるぞ。
お前はどうだ。

だから『果たし状』が届いたとき、私は堪らなく―
どうだっただろうか。
その時のデータを再生するのがなんとなくおっくうで、何を思ったのかはわからずじまいである。


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