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ここだけファンタジー世界第二汎用スレ Part11

1名無しさん:2014/03/17(月) 23:40:22 ID:bKPZnUeU
進行中の他スレとは違う演出をしたいときや人数が多いときはこちらで

次スレは>980が立ててください

2名無しさん:2014/05/04(日) 23:04:53 ID:vW8I5WwE
レパブリアのとある地方。
最近、この地方ではグリーンスキン残党による活動が活発化している。

中央部から遠く、国にとって政治的にも産業的にも
さほどうまみのないこの地域には配備されている兵士が少なく、
対応が後手に回りがちで、猫の目などにも時たま、この地方を通る商人の護衛や
民間からの討伐依頼が舞い込んでくる。

……今回、貴方たちが受けた依頼は、この地方に駐屯されている兵団の長の名で
広く募られた、討伐依頼だった。内容は簡単で、敵を討伐し、この地方のグリーンスキン残党が
好んで身に着ける、狼の牙の首飾りを証拠として持ち帰る事。

「見えたぞ。あの森だ。いつもあのあたりからヤツらは街道に飛び出してくるようだ。」

いま、貴方たちがいるのは兵団の駐屯する簡素な砦からほど近い街道上。

……この地方に詳しい、先導役の兵士が指さす先は、
うっそうと茂る大きな森。この先の山岳地帯までずっと続くこの森のどこかに
奴らのアジトがあるのだ。

3ロイ@元兵士 ◆eZKgukyN3c:2014/05/04(日) 23:11:58 ID:Kau8jPus
>>2
「奴らにも困ったもんだなオイ もういい加減人間様の勝利でいいじゃねぇか」
ポリポリと頭を掻きながら道を歩くのは 依頼を受けた道場主

「だがまぁ 壊し屋のクソヤロウをナントカしネェと オーク連中も何時息を吹き返すか倭からネェからな」
ハルバートを取り 臨戦態勢 何処から攻撃を受けようと万事オッケーと言わんばかりに

4名無しさん:2014/05/04(日) 23:28:41 ID:vW8I5WwE
>>3

今回はこの先導役の兵士の他に、2丁の手斧を携えた蛮族風の大男に、
短弓を携えたエルフの女性冒険者、樫の杖を携えた魔導士の若者という
面々が同行している。

この中ではロイが最も年上らしく、リーダーシップを発揮する必要がある。
特に魔導士風の若者は経験が浅いらしく、フォローが必須だろう。

「それではこれより、森林内の索敵任務を開始する。
 このあたりの森はグリーンスキンの襲撃が始まる以前も、殆ど人が立ち入っていない。
 絶対に、私からはぐれないように。」

丸盾と片手剣を構えた斥候兵が戦闘となり、
ゆっくりと森の中へと侵入するロイたち一行。

兵士の言葉通り、森は人の手が全く入っておらずどうにか進みやすいところを
突っ切るという体で深く、深く分け入っていく。この過程で、野外探索に優位な技能を持っていれば
何かを発見できるかもしれない。

5ロイ@元兵士 ◆eZKgukyN3c:2014/05/04(日) 23:44:22 ID:Kau8jPus
>>4
とりあえずはフォーメーションを組むことから始めましょう

「そこの大男 お前さんはスカウトマンに続いてフォワードにつけ 前だけを見ていればいい
 魔法使いのニイチャンはその次だ お前さんも基本的に前を警戒 エルフさんがミッドフィルダーで 第一に魔法使いの援護 第二に前後を満遍なく警戒
 俺は最後列でバックアタックを警戒する」

そして森の中を進む さて 野戦技能は持ち合せているがソレをうっそうとした森の中で発揮できるだろうか?
発揮できるのなら 何か痕跡を発見できるかもしれない

6名無しさん:2014/05/05(月) 00:00:30 ID:TvXX22g2
>>5

蛮族風の男がこの近辺の言語を理解せず、
少し難儀したものの、結局先頭を進みたがる男のお蔭である意味では、
想定通りの隊列を組むことができた。

……そのまま、森を進むこと数十分。
だいぶ深いところまで到達した者の、動物のフンや足跡、山野草等が
時折見つかる程度で肝心のグリーンスキンどもの痕跡を発見できなかった。
やはり、ここまでうっそうと茂る草木の中、特別な物を見つけるには専門的な探索技術が
必要なようだ。

「……ここまでだな。これ以上進むと、日没までに引き返せなくなる。
 何も、無理をすることは――。」

――ウォォォォ!!!

斥候役の兵士が手をあげ、一隊の前進を静止した時だった。
にわかに時の声が上がり、周囲の茂みからカサカサと激しく動き回る音が響く!

ロイたちは、どうやら敵に包囲されてしまったようだ。
見通しが悪く、木々も多いこの場では長物や、延焼しかねない炎は使いづらいし、
弓矢、投石等の遠隔攻撃もやりづらい……。

どう対処すべきだろうか。

7ロイ@元兵士 ◆eZKgukyN3c:2014/05/05(月) 00:09:48 ID:d1xxfZlQ
>>6
森の民であるエルフが見つけてくれるんじゃないかという淡い期待はしていましたが 無理だったものは仕方がありません
何しろこの場を生き残ることを最優先に考えましょう

「スカウトマン 蛮族 俺で円陣を組め!! エルフと魔法使いは円陣の中で360度警戒!! 魔法使いは炎以外の魔法詠唱開始!!」
あたりの人員に聞こえるよう大声を出す

「戦闘になったら 包囲の状態を確認して 層の薄い場所へ一点突破を図る その後は先ほどのフォーメーションを維持しながら全速力で離脱するぞ」
こうも見通しが悪いと長柄は不利だ サーベルを装備しなおしながらプランを練る

8名無しさん:2014/05/05(月) 00:18:37 ID:86dKPNws
>>7

「クソッ!!ついてない!」

「ウオオオー!!」

蛮族の男がやや突出した形となっているものお、
この場面ではそれしかないとばかりに円形陣ができあがる。

と、その中心で、心細げに術を詠唱する魔術師と共に周囲に目を配って居たエルフが、
一点を指さし叫んだ。あそこだ、と――。

ロイから見てやや右手の茂みから、2匹のゴブリンが飛び出す。
防御陣形を組んだこちらに先手を打とうと突貫してきたのだろう。
大振りのサーベル、そして尖った石を埋め込んだ棍棒を振り上げた2匹がロイに迫る。

9ロイ@元兵士 ◆eZKgukyN3c:2014/05/05(月) 00:35:02 ID:d1xxfZlQ
>>8
正直言葉を解さない蛮族が一番の懸念材料だ 撤退するときも気にせず突進して言ったらどうしよう?
置いていくのが一番だガ 後々を考えると下策となる

早速攻撃を仕掛けてきたゴブリン

「ンダラァ!!」
棍棒を振り上げたゴブリンの腹を狙って サーベルの切先を突き出す
そしてもう片方の手でスクラマサクスを抜く サーベルが深く刺さりすぎた場合 サーベルを手放しても攻撃が続行できるようにする保険だ
もしもサーベルが抜ければサーベルで 抜けなければサーベルを手放し スクラマサクスでもう1匹のゴブリンを攻撃するだろう

「現時点で首飾りの収集を放棄!! 閣員生き残ることを最優先とする!! エルフ 魔法使いは蛮族の援護!!
 この際だ 蛮族を先頭に包囲を突破する!!」

10名無しさん:2014/05/05(月) 00:47:02 ID:86dKPNws
>>9

大振りの棍棒での一撃が届く事はなく、
腹部を一撃で抜かれたゴブリンがその場に崩れ落ちる。
が、深く刺さったサーベルはやはり抜けず、片手のスクラマサクスの出番、かと思いきや。

「ウオオオーッ!!!」

――ズガンッ!!!

異様なうなりをあげながらゴブリンの頭上にから振り下ろされた片手の斧が、
敵を真っ二つに切り裂く。蛮族の男は自身の持ち場を放棄し、ゴブリンが真っ先に
現れたロイの持ち場に向かっていたらしい。

「クソッ、今そっちに行く!」

殆ど恐慌状態で蛮族の後を追う魔術師の後ろ、
エルフと正規兵が2〜3体の敵をあしらいながら、どうにかこうにかロイ方向へと追走する。
この蛮族は困り者だが、戦闘能力は頼もしい物がある。

そのまま、この蛮族の進む方向へと進めば突破も可能かもしれない。

11ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2014/05/05(月) 00:55:07 ID:d1xxfZlQ
>>10
「あぁもう誰だこんなの雇ったバカは!!」

なんとも頭を抱えたくなる状況だ とりあえずサーベルは放棄する
個の動きが多い冒険者家業であるが 最低限のチームワークが出来ないのは致命的過ぎる

「作戦は続行!! 蛮族の突進に合わせて包囲を突破するぞ!!」
そういって自身は正規兵の方へ向かう

「エルフは俺と交代して魔法使いの援護に回れ!! この場は俺と正規兵で勤める」
そういってゴブリンの1人に切りかかった

12名無しさん:2014/05/05(月) 01:01:26 ID:TvXX22g2
>>11

――ドカッ!

肩口にロイの一撃を受けたゴブリンが崩れる。
包囲を受けた事には驚いたが、今回現れたゴブリンはどれも小型で、
さほど手強くない。

現に、奇襲を破られすでに何匹かをあべこべに討ち取られたゴブリンは
明らかに攻撃の手が緩んでいた。

――ブオーッ!!

ふいに、つんざくような角笛の音。
それを合図にかさかさと茂みをかき分ける音が遠ざかっていく……。
敵も、あまり大きな被害を出す意味がないと退却を始めたのだ。

13ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2014/05/05(月) 01:12:48 ID:d1xxfZlQ
>>12
「引いてくれたか・・・」
退却を一番に考えていたが 規模が大きくなかったのが幸いした

「各員に通達 首飾りを回収後 大至急この場を撤退する」
そういって今しがた倒したゴブリンから首飾りを毟り取る

「急げよ!! 奴らが戦力をそろえて再襲撃してくるとも限らん」

14名無しさん:2014/05/05(月) 01:24:07 ID:86dKPNws
>>13

その後、血の匂いに引かれてやってきた狼などが現れた物の、
戦闘などは起こる事もなく、どうにか安全な駐屯地付近まで帰還に成功する。

大きな手柄こそなかったが、手に入れた首飾りと
斥候兵の帰還による口添えなどもあり、一般的なゴブリン討伐依頼と
同程度の報酬を得ることができた。

……しかしながら、根本的な解決は見えない。
この大きな森のどこかにある敵の拠点をたたかない限りは、
グリーンスキンたちはその無尽蔵の繁殖力で、街道を脅かし続ける事だろう。

// 〆

15ロイ@元兵士 ◆eZKgukyN3c:2014/05/11(日) 22:15:26 ID:W9ucDFvg
【街道】
冒険者の仕事というのはなにも血で血を洗う鉄火場にしかないわけじゃない
物流が滞らないようにキャラバンに同行することもまた立派な仕事である

とはいえ

「くぁ・・・ふ」

グリーンスキンはおろか 野盗の被害も全然ない地域をいくのは 少々緊張感にかける
小規模なキャラバンの荷馬車の後ろに座った道場主は 幾度目か分からないあくびをかみ殺した

空は晴天 風は穏やか 木陰で昼寝でもしたい気分である 最も そんなことをすれば報酬を減らされてしまうが

16名無しさん:2014/05/11(日) 22:25:05 ID:xPXequEk
>>15

「オニーさん、ちょっとちょっと、なんかないのん?
 襲撃とか。襲撃とか。襲撃とかさ。」

今回の仕事で一緒になった女性の術師、ラヴァは、
荷馬車の幌の中から外のロイに5分に一度はこうして同じ問いを投げかけてくる。

もうすでに数時間が経ち、そしてこれよりのちもかなりの時間を
こうして無為に時間をつぶさなくてはならないともなれば、集中力が切れるのも無理はないが
それにしてもこの女は気を抜きすぎている。

17ロイ@元兵士 ◆eZKgukyN3c:2014/05/11(日) 22:29:28 ID:oAVuUuW2
>>16
「襲撃もないし 襲撃すらない あまつさえ襲撃さえもないかもしれないかもしれない」
始めはまともな返答をしていたが 最近はもうめんどいので適当な返ししかしていない

「昼寝すんなよ? ここの雇い主は神経質だから ちょっとの手抜きで直ぐに依頼金減らしてくるから」
なのでちょっと人気のナイ依頼人だったりします

「あぁもうこれでも齧って暇つぶしてろ」
そういってスルメを取り出し ラヴァの口に突っ込もうとしています

18ラヴァ@炎の悪魔:2014/05/11(日) 22:44:49 ID:xPXequEk
>>17

「んー、がんばる。」

などといいつつ、ラヴァは先ほどからなんども船をこぎ、
雇い主やほかの冒険者などから小突かれているのであるが。

「前の仕事だとさ、なーんにもないなあとか言ってたら、
 いきなりグリフォンが空からどかーん、ってきたりしたんだけどなあ。」

むぐむぐとするめをほおばりながら、幌の中より顔をだして空を見上げるラヴァ。
生憎、空にはグリフォンとは正反対の、小さな小鳥がぴーちくと鳴き声をあげながら
飛び回っているだけでした。

19ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2014/05/11(日) 22:55:51 ID:W9ucDFvg
>>18
「残念だがあきらメロン この辺は特に平和な地域だ さっきの森が危険箇所っちゃ危険箇所だったんだがなぁ・・・」

そういって今は大分小さくなった森を見る その場所はモンスターであるロック鳥の住処で 特に子育て期になれば エサを求めてキャラバンを襲うのだガ
生憎と今は子育て期ではないのだ

「たまにはいいじゃねぇか なんもせず馬車に揺られてお金がもらえるんだ」
すこし遠くに野うさぎがこちらを伺っているが 決して危険な兎ではない

「それよりそろそろ交代だ 馬車の外に出る準備をしな」

20ラヴァ@炎の悪魔:2014/05/11(日) 23:02:27 ID:xPXequEk
>>19

「ふーん……。」

あいにく、ラヴァはヴェリアプルの地理には明るくない。
ロック鳥の住処、という情報を知っていれば出はしないかと幌からずっと
外の様子をうかがっていただろう。

「お金は必要だけどさあ、私はもうちょっとこう、さあ。
 刺激のあるヤマがいいんだよねえ。こう、トロールの襲撃〜とかさあ、
 山賊の討伐〜とか、なんかこう、トラップまみれのダンジョン〜とか。」

あ〜゛、とダレた呻きをあげながらラヴァはロイの居た場所に這ってくる。

21ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2014/05/11(日) 23:11:41 ID:oAVuUuW2
>>20
「それこそ これを受けたお前さんに非があるなw」

この辺の地理に詳しくなければ この地域が安全であることを知ることは出来なかっただろう
依頼書にも何処其処までキャラバンの護衛としか書かれていなかったのだ 

「まぁ いい教訓だと思って これからは拠点周辺の地理を勉強しておくんだなwww」
馬車の中に入って ビスケットを齧りだす

「後は午後にクエストボードを漁るとかだな 朝は手ごろな依頼の取り合いになっているが 午後は人気のない閑職か 厳しすぎて手が出ない依頼しか残ってないから」
冒険者の先輩(ラヴァの冒険者年数は不明だが)からありがたいアドバイスである

22ラヴァ@炎の悪魔:2014/05/11(日) 23:24:57 ID:xPXequEk
>>21

「一応勉強はしてんだけどねえ。
 たとえば、ほらさ。」

腰の革袋からラヴァが取り出したのは、一枚の紙。
貴族などが使うようなかなり上質なものだ。そこには、黒炭で描かれた
風景画のようなスケッチが描かれており、××××年4月、ヴェリアプル近郊にて、と
記名がなされている。

「旅をしてる間にさ、滞在先の名所とかをこうしてスケッチすんのが習慣になったんだけども
 このあたりは見どころっていうの?そういうのがよくわかんなくてねえ。一応、地図なんかは
 買ってみたりはしてる。」

23ロイかぶり ◆eZKgukyN3c:2014/05/11(日) 23:33:59 ID:W9ucDFvg
>>22
「へぇ・・・良く描けてるじゃない なんていうか・・・その・・・」
似合わない その言葉が出ない優しさ

「この辺は特に見所はないねぇ 本当に何もない場所だよ それに 地図にゃどこに何が出るとかは書いてないことが多いから
 よく知りたけりゃ 仲間内のコミニティを活用するのが一番だよ」

「後もう少しで昼飯だ それまで外の警護ヨロシクね」
そういって馬車のうち壁に寄りかかる

案の定というか 依頼の間 特に危険が迫ることは無かったという・・・・・

//そろそろ〆で

24ジョシー@吟遊商人:2014/05/14(水) 22:04:52 ID:tVjTBl3M
「…見つかりませんね。」

薄暗いどこにでもありそうな洞窟。
この洞窟は実はアメジスト石の鉱脈と言われている。

まああくまで噂なので信憑性はないが…

そんな鉱脈洞窟にて彼はお目当てを探している。そう原石だ。
質のいい原石は高値で取引ができるということでここへいる。

「まあ、そう簡単に見つかるものでもありませんか。」
右腕に炎をまとわせ、それを光源に進んでいく。。
明るさは闇を好む虫が逃げる程度には明るく、そして暖かさを放っている。

25名無しさん:2014/05/14(水) 22:18:45 ID:P1sut0zQ
>>24

その洞窟では、つい最近ジョシ―と同じくアメジスト目当てに
訪れた冒険者によって古い祠への入り口が見つかったそうで、近々
魔術師ギルドだか教会だかの調査隊が入るそうだ。

もし、重要な史跡かなにかであれば洞窟ごと封鎖されてしまうこともあり得る。
タイミング的に、ジョシーが訪れたタイミングはラストチャンスになるかもしれない時期……。
それゆえ、ところどころに真新しい足跡や採掘を試みたのか砕けた岩など『先客』の痕跡
が見受けられた……。

……しばらく洞窟内を進んだ頃。

ひんやりと冷えた洞窟内部の空気に、いやな『におい』が混ざり始める。
鉱山にありがちな蝙蝠のフンや、よどんだ空気が溜まっているとかではなく……生臭い匂いが。

それでもなお、ジョシーが先へ進むのならば見つけてしまうだろう。

ひしゃげたプレートアーマーごと、壁にめり込んだ赤黒い肉の痕跡。
近くには砕けた鉄や踏み壊されたランタン、採掘用なピッケルなどが散乱し……。
いくつか、比較的原形をとどめた『先客』たちの亡骸の転がる空間を……。

26ジョシー@吟遊商人:2014/05/14(水) 22:28:18 ID:tVjTBl3M
>>25
「…そういう事でしたか」
見つけた。

大量の肉片やひしゃげた骨、そして争いのあった後。
薄れてはいるがかすかに香ってくる鉄くさい匂い。赤黒い色に着色された石たちが物語っているようだった。

吟遊詩人だからだろうか。赤黒い岩たちが語りかけているようだった。それを感じ取ったジョシーはつぶやく。
「…ニゲテ。ですか。」


「しかし危なっかしいですね。おばけでも出たら怖いですよ」
時折慎重に周りを見渡しながらも先約者のむくろを調べている

27名無しさん:2014/05/14(水) 22:39:06 ID:P1sut0zQ
>>26

「おおお。」

――ガゴゴゴゴゴ

と、その広い空間に野太く、鈍重な声が不意に響いた。
喉から絞りだすような息遣いと重い鉄か何かを引きずる摩擦音は、次第次第に近づき……。
ふいに、広間の先の曲がり角……その闇の中から姿を現したのは牛頭の巨人だった。

……ミノタウロスだ。

身長、おおよそ3mほど。その丸太ほどある片手には黒鉄制の巨大な棘付棍棒。
こんな化け物が出る、などとは噂にはなかった。例の『古い祠』の守護者か何かだろう。

「おおおお!!!」

獣人はしばらく、まるで興味がないかのように感情のない、
虚ろな目で虚空を見つめていたがふいに、涎を飛ばしながら大きく叫ぶと
棍棒を引きづりながら猛然と歩み寄ってきた!

28ジョシー@吟遊商人:2014/05/14(水) 22:44:36 ID:tVjTBl3M
>>27
「…なるほど」
低く叫び声をうなるそいつを見て後ずさりをする。

「こちらは危害を加えたりはしませんよ。和解と逝きましょう和解と」
両手を上げて無抵抗をアピールする。
ジョシーとしても戦闘は出来る限り控えたい場面。

「ここがあなたのすみかだったのならば謝りますよ。手前は気になったから入っただけで…」
説得を続けてみるが間合いを取るうちに壁際に追いやられているジョシーだった。

29名無しさん:2014/05/14(水) 22:54:10 ID:P1sut0zQ
>>28

「ウオーッ!!!」

しかし、獣人の突進は止まらない。
人骨を踏み折り、瓦礫を撥ね飛ばしながらジョシーへとあっという間に距離を詰め
両腕で、柄を含めて2mはあろうかという巨大さの棍棒を横に薙ぐ。

先ほどの壁にめり込んだ遺骸はこれをまともにもらったのだ。
しかも、周囲に堕ちた装備の残骸から見るにあれを喰らったのは重装備の戦士タイプの
冒険者。それがああもなってしまうのだから防御など、到底できる代物ではない。

――ドガッシャアアアァアァ!!!!

岩盤を文字通り破砕しながら、棍棒が振り抜かれる。
ジョシーの運命やいかに……。

30ジョシー@吟遊商人:2014/05/14(水) 22:56:18 ID:tVjTBl3M
>>29
「うわわわわっ!」
横跳び一閃。で何とかよけるジョシー。


「ストップストップ!これ以上やるならば正当防衛に出ますよ…!」
戦闘態勢を取ってミノタウロスをにらみつける
構えた両腕はそれぞれ熱気と冷気を放っている。

31名無しさん:2014/05/14(水) 23:05:47 ID:P1sut0zQ
>>30

致命的な一撃をどうにか回避し、戦闘態勢を整えるジョシ―。
ミノタウロスも渾身の一撃から、息を吐きながらゆっくりと態勢を戻し感情の読み取れない、
無表情な瞳で彼を見つめ……。

「……おれ、おまえ、くう。」

一節一節をを区切る様に、ひどく緩慢に発せられた人語は、
酷く聞き取りにくく無感情だったが……。この目の前の獣人が人間と相いれない存在であることを
ジョシ―に十二分に理解させるに足る内容だった。

「お、おお、お。」

ぼた、ぼた、と粘液じみた唾液が口の端を伝い砕けた石の床を濡らす。

「オオオオオ!!!」

再びの突貫、こんどはあの凶器を大上段に構え
天井をも無理やり粉砕しながら突っ込んでくる!

32ジョシー@吟遊商人:2014/05/14(水) 23:13:07 ID:tVjTBl3M
>>31
「…わかりました。正当防衛といきます…!」

腕にまとった冷気は吹雪のように、熱気は炎の渦と化して両腕を包み込む。
一般人がこれで殴られたら当たり所によっては即死だろう

天井だったがれきをまき散らしながら突っ込んでくるミノタウロス。
ジョシーは引かずにミノタウロス目がけて突っ込む。

「大ぶりの攻撃なんて命中が知れてますよ!」

ジョシーの作戦は大振りの一撃に対しておそらく留守になるであろう懐へ飛び込んで両手の二つの魔力をぶち込むという戦法だ
見方によってはかなりリスキーであるがどう出るか…

33名無しさん:2014/05/14(水) 23:24:20 ID:P1sut0zQ
>>32

小回りの利かない長物を使う相手には懐に飛び込む。
たしかにセオリー通りの動きではあるが……それは、硬い岩盤を
文字通り力づくで粉砕しながら閉所で無理やりに長物を扱う、底抜けの筋力を持つ
化け物に対して接近戦を挑むという事。

「ぐおゴゴゴゴゴ!!!!」

小山のように鍛えこまれた3mの肉体に、
たしかに魔力を帯びた両手はヒットした。敵が苦悶の叫びをあげた事からも、
ダメージは通ったとみていい。相手が常人であれば、ここで終わっていた。『相手の手番』が
回ってくることもなかっただろう。

ジョシ―の拳による一撃の後、彼を襲ったのは体当たりだった。
突進の勢いそのまま、3mの筋骨隆々の巨体がぶちあたってきたのだ。
転移術だとかの特殊な回避報がない限り、これをさけるのは難しいだろう。

34ジョシー@吟遊商人:2014/05/14(水) 23:31:59 ID:tVjTBl3M
>>33
「何てこと!」
体当たり直撃!

ふきとばされて岩盤にぶち当たるジョシーの身体
一般の人間だったらここで壁にぶち当たり潰れて終わっていただろう。

一般の人間なら。

「…あー…痛いですね…」
叩きつけられても立っている。
その正体は…氷だった。それも信じられない量の氷

どうやら薄い氷を何重にも何重にも重ねて衝突の勢いを殺してなんとかなったようだ。
でもさすがに答えたみたいで。

「ハァ…ハッ…肺に刺さらないだけセーフですね…」
胸に強烈な痛み。間違いなく骨かなにかがやられたようだ。


「でも、天井を削ってくれてありがとうございます!ね!」
そう叫ぶと地面の砂利を蹴りあげて空間の上へ巻き上げる。
巻き上がった砂粒は大粒の氷弾もしくは火炎弾となってミノタウロスへ襲い掛かる!
その名もシーザメテオ。ジョシーのお得意技を炸裂なるか。

35名無しさん:2014/05/14(水) 23:45:08 ID:cqyHy7zI
>>34

獣人の攻撃は畳みかけるように続く。

ジョシ―が、シーザメテオを発動させたときには既にあの凶悪な黒鉄の棍棒を
再び大上段に構え、既にそれを振り下ろさんとするところであったのだ。鋼鉄のように張りつめた
腕から胸の筋肉が一気に力を解き放ち、1トンを軽く越す棍棒が重力によってさらなる力を得る。

その、凶悪な一撃はジョシーの頭上めがけて異様な空気の唸りを響かせながら真一文字に落下した。

当然、防御の態勢などをとっていない獣人はシーザーメテオをまともに喰らう。

一撃一撃が、肉を削り取り、焦がす必殺の一撃だ。断じて、軽い一撃ではないはずであるのに……。
それをノーガードでくらってなお、獣人は棍棒を手放さないどころかひるみもしなかった。

……蛮勇。

勇気ではなく、蛮勇と呼ぶべきほどの戦闘への没入が、
全身の激痛を須らく、麻痺させているのだ。

36ジョシー@吟遊商人:2014/05/14(水) 23:52:50 ID:tVjTBl3M
>>35
「…その心意気。まるで狂戦士(バーサーカー)ですね…!」
構えのまま突撃するミノタウロス。
決して半端な攻撃ではなかったお得意のメテオを耐えられる。

「…無理かっ!」
またしても横跳び一閃でよけようと試みる。

防御魔法としては一応氷のドームを張って守る手もあるが…
まず無理だろう。メテオを耐えられた的なら氷の壁なんてただの紙切れに過ぎない。
それだけではない。メテオは無数のチリ粒を魔法の弾丸にする技、魔力の消費もバカにならない。


何はともあれ目の前の一撃をよけるために決死のダイブ。はたしてかわすことはできるのか…

37名無しさん:2014/05/15(木) 00:05:05 ID:XjifAOcg
>>36

――ピシャアアァアァッッ!!!

まるで、地面が破裂したかのような今までに聞いたことのない破壊音。
振動でぱら、ぱらと天上の小石が落ちてきた。

……さきほどまでジョシーが立っていた場所は完全に破壊され、
あの巨大な棍棒が地面にめり込んでいる。あのまま、回避できなければ
例の壁にめり込んだ被害者よりも悲惨な最期を遂げていただろう。

「しゅーっ……ぶう゛ぐううう゛……。」

全身から血を流し、血混じりの唾液をこぼしながらもなおミノタウロスは棍棒を構える。
再び、解放の時を待つかのように全身の筋肉が強張り、湯気のように汗が気化していく……。

38ジョシー@吟遊商人:2014/05/15(木) 00:14:17 ID:.c0PEolM
>>37
「はぁ・・・はぁ・・・うっはぁ・・・」
息を荒げながらもミノタウロスへ体を向け戦闘態勢の構え。

「…消耗しているはず…しかし!何故…」
ジョシーとしては驚きが一番であった。
メテオすら直撃しても耐えているからだ

「…ならば!」
少し考えてから意を決するジョシー

「これで…ケリを付けましょう!」
まず勢いよく砂粒をまた蹴り上げる。
蹴り上げられた砂粒はメテオのようにミノタウロスへ向かうだろう
しかしメテオの弾丸と一緒にミノタウロスへ突っ込むジョシー。
狙いは最初に一撃を与えた懐だろう。
姿勢をやや低くしてジョシーが多数のメテオ弾と一緒に突っ込んでくる!

39名無しさん:2014/05/15(木) 00:23:43 ID:XjifAOcg
>>38

「おおお……!!」

再び、例の凶器を大上段へと構え、
愚直なまでに必殺の一撃を狙う獣人。しかし、目に見えて動きが鈍い。

如何なるタフネスを誇ろうと、やはり生き物。
度重なる攻撃は堅牢な筋肉の鎧に既に無数のヒビを入れていたのだ。

――メシャッ!!!

無数のメテオ弾が着弾、ついで腹の傷に再びジョシーの魔力が叩き込まれ……。

「うぼおお゛お゛おおおおォ!!!!」

野太い悲鳴と共に、巨体が崩れる。
恐るべき獣人はその場に大の字に倒れ、動かなくなった……。

40ジョシー@吟遊商人:2014/05/15(木) 00:32:12 ID:.c0PEolM
>>39
「ハァ…ハァ…」
倒れて動かなくなったミノタウロス。
その傍らで息を荒くしながら立っていた。
当然魔力オーバーによって隠していた紅い目からは出血。
それはまるで涙のようにやまずに垂れていた。

「…強かったですよ。狂戦士(バーサーカー)。」
鞄から瓶に詰められた酒を取り出し動かないミノタウロスへふりかける。

「せめて、安らかに。」
十字架を手で切り軽く祈りをささげて洞窟を後にした。

間違いなく骨をはじめ無数に傷を負っている上魔力も尽きている。無理もないかもしれない
ジョシーとしてもこれ以上の探索は不可能な状態だったためやむを得ず探索を終了したよだ。

「…では。これで手前は。」
一言残して洞窟を後にした。

41名無しさん:2014/05/15(木) 00:39:53 ID:XjifAOcg
>>40

後日、ジョシーらが訪れた洞窟は
『重要な史跡が発見された』事を理由に魔術師ギルドの管理下に置かれ、
立ち入りが禁じられてしまった。

結局、例のミノタウロスに邪魔され原石等は発見できなかったため、
ジョシ―はチャンスを逃してしまったのだった。

// 〆!

42食人魔女は家の中 1/2:2014/07/14(月) 07:07:49 ID:1pHz8OUk

完成した。もしくは、完成してしまった。プエルの身体。
人間と同じように生きることのできる、ホムンクルスの身体。やっと、完成させることができた。
だからこそ、不安がわき起こる。今後、プエルの失敗作を食べて抑え込んでいた食人衝動を、
プエルに使われることはないただの身体で、抑え込むことはできるのだろうか。

……きっと、無理だろう。
プエルの身体を食べていたから、満足することができていたってのに。
プエルが乗り移らない身体なんか食べたって、満足することはできやしない。確信もある。
だとすると、やはりプエルの身体を食べるしかないのだろうか。
でもこの完成された身体と、同じようなものを作れるとは思えない。

ううん、本当は、それは違う。

ホントはもう、プエルの身体なんか食べたくない。
でもプエルの操っている身体じゃないと、この食人衝動は抑えきれない。どうしようも、ない。

『ママ、どうしたんだ?』

いつものような、生意気そうなプエルの声がした。椅子にもたれ、うな垂れていた顔を上げて、振り返る。
わずかな日の光さえ入らない暗室からは、朝日を背負うプエルの身体は眩しく見えた。

『寝てないだろ? そんな様子では』

いつの間にか、プエルは私を気づかえるほどに優しくなった。
もちろん、嬉しくはある。優しい子に育って欲しいって、あの時も願っていたのだから。

「……そうですね、眠れませんでした」

ずっと考え事をしていたのだから、朝になったことさえも気づかなかった。
椅子を引き、身体もプエルの方へと向ける。その拍子に背もたれが机の上に散乱している本の一冊に当たり、
まったく掃除されていない、床へと落ちた。

『……』

プエルは床に落ちた紫色の表紙の本を見て、悲しそうな顔を浮かべる。
一呼吸ぐらいの沈黙が続き、やっとプエルが口を開き……思い直したのか、すぐに閉じた。

「食人衝動、ですか?」

プエルが、我が子がなにを言いたいのかぐらい、私にもわかる。
 
『これで三日目だ……僕の身体を食べないと、また襲ってしまうだろ? あの時のように』

私の言葉を聞いて、恐る恐るプエルが口を開く。
完成するまでは、酷いときには一時間に一度の頻度で、プエルの身体を食べていた。
それが、完成してからは三日も食べていないのだ。そりゃあ、心配もするだろう。

「……」

沈黙して、少しの時間だけ考えてしまう。なにを言おうか。なるべく、プエルが心配しないような言葉を。

「治りました」

そんな気持ちとは裏腹に、出てきた言葉はわかりやすいウソの言葉。私の食人癖は、治るものではないのだから。
それはプエルも承知している。だからほら、プエルは困ったような表情を浮かべていた。

43食人魔女は家の中 2/2:2014/07/14(月) 07:08:01 ID:1pHz8OUk
『……それなら良いんだ、ママ』

プエルも、承知しているのだろう。私がもう、プエルの身体を食べることができないことは。
そして、もう色々と限界だってことは。
プエルの身体を作ることに取り憑かれ、そのことだけに集中してきたから、今まで耐えることができたってことは。
すでに私の心身は、生きることを諦めはじめているってことは。

『食べることは、できないか?』

食事も、プエルを食べなくなったことで、この三日間は摂っていない。
おかげで、やせ細っている。でも空腹感はない。あるのかも知れない。感じないだけかも知れない。
人だけじゃなくて、どんなものでさえ食べたくないと思ってしまっているのかも知れない。

……このまま、完全に衰弱してしまうのが先か。
それとも、食人衝動を抑えきれず、外に飛び出して片っ端から誰かに襲いかかるのが先か。

「できません」

首を、ゆっくりと、左右に振り。

「……そのかわり、プエルは共和国のあの街へ、お使いに行って貰えますか?
 やることは、わかっていますね?」

私を救ってくれる人を探すこと。その生死は問わないこと。
魔女の術は全てプエルに授けたから、もう心残りはない。十八才だから、少し若すぎる気がするけれど。
少し、波乱がありすぎた。

『……』

プエルも無言でうつむき、なにかを考えているのか。返事はせず、突っ立ったまま、沈黙だけが流れていく。
その後ろで、夏虫の騒々しい声がする。
もうそんな季節なのか。半年も、もしくはそれ以上の期間をこの暗室に籠っていたから、気づかなかった。
気づけば歳もとっていた。二十歳になったら、いろんなことをしたいなって思っていた。
楽しいことも、または悲しいことも。もっと、女の子らしいこととか、素敵な恋とか? してみたかった。

プエルが顔を上げる。その表情は無表情で、なにを考えているのかわからない。
でも、なにかを決心したのだと、読み取ることはできた。

「……行ってらっしゃい? 私は、一眠りしますね」

起きたらきっと、今までに感じたことがないぐらい、強烈な食人衝動が襲いかかってくるだろう。
だから、深く深く眠ろう。その為の薬も作ったのだから。

『行ってきます、ママ』

プエルが、ドアの横の壁に掛かっていた私の帽子を手にとって、頭に被った。
似合っている、とはとても言えない。まだ少し、プエルにとっては大きいかな。目が隠れちゃってる。
笑いそうになったのをガマンせず、クスッとだけ、口元を手で覆って、笑ってしまった。

『笑うな!』

プエルが怒ったように、大きな声を出す。

「ゴメンなさい、つい」

私はその逆に、笑い声を隠せていない声を漏らしてしてしまう。
笑ったのは、何ヶ月ぶりか。

「行ってらっしゃい」

ヒラヒラと手を振る。

『今度こそ、行ってきます、ママ』

大きな魔女の帽子を被ったプエルも、私に背を向けて扉を閉めた。
さあ、私は眠ろう。なるべく深く、なるべく長く、プエルが起こしてくれるまで、決して起きないように。

44魔女の目覚めと白い皿 1/2:2014/08/01(金) 05:40:53 ID:2lBQ0cPg
目が覚めた。目が覚めてしまった。いつもより強い薬草を使ったはずだってのに、一ヶ月も眠れなかった。
すぐに恐怖した。次に起きたときは、異常な食欲があるだろうと予想していたのだから。
でも不思議と、食欲はない。ううん、食欲がないと言うには語弊がある。人を食べたいとは、思わない。

きちんと整えられた寝台の上。光はカーテンで遮っているから、今が朝なのか、夜なのか、わからない。
起き上がり、壁に背を当てて、膝を抱えて寝台の上に座る。大丈夫だろうかと、まずは自分の身体を心配する。
食べたくないの? 食べなくったって大丈夫? そんな自問をしても、人を食べたいだなんて思わない。
治ったのだろうか。でも、まだ油断はできない。
純粋な食欲はある。久し振りに感じた、人以外を喰いたいって衝動。
何か食べよう。もしかすると、そうやって食欲を紛らわせれば、食人衝動もなくなるかも知れないのだから。

「……プエル……」

私の息子は、どうしているだろうか。あの町で、私を殺してくれる人を探しているのだろうか。
それとも、私を裏切ってしまったのだろうか。それならば、それでも構わない。
あの子は魔導書。肉体を得たホムンクルス。自己決定が可能な、作られた生命体。
もうこれからは、自分で決定していけば良い。もしも悪いことをするならば、それは自己責任なのだから。

街に行ったプエルのことを思うたびに、不安になる。
それは、自分の身体のこと、食人衝動のことではない。プエルは、良い子にしているのだろうか。
人に迷惑はかけていないだろうか。ちょっとでも目を離すと悪いことをしちゃうけど、大丈夫だろうか。
ああ、できればロイさんが、あの子の世話をしていれば……。

「……人任せにしたら、ダメ……ですよね……ヤッパリ」

ううん、ダメだ。人任せにしてはいられない。何か食べたら、なんでも良いからお腹に入れたら、
私もあの町に出かけよう。もしかすると人を見ると食人衝動が襲いかかってくるかも知れないけれど、
それは、私が自らの口を縫い付け、両手両足を拘束することで対処しよう。
それ以上に今は、あの子のことが心配だ。プエル。愛しい愛しい、私の息子。
本当の息子ではないけれど、あの子は私の息子になろうと頑張ってくれている。だったら、私も母になれる。
まだ、あの子は肉体的にも精神的にも幼いのだから、独り立ちは危ない。私が傍にいないと。

なんだか久し振りに、胸が高鳴る。良い意味でも、悪い意味でも。
心配と不安。でもそれは、あの子を想ってのこと。食人衝動なんか、気にしている場合ではない。

「食べ物、何かあったっけ」

身体を起こす。少し怠い感じがするのは、一ヶ月も寝っぱなしだったから。
立ち上がったついでに、光を遮っていたカーテンをめくる。朝日、だろうか。鳥の声、虫の歌。たぶん朝日だ。
じゃあ、今から用意して、少し何か食べてすぐに出れば、昼にはあの町に着ける。
いつものポータルは、使えない。すべてプエルしか使えないように、内容を書き換えたから。
でもこんなことになるならば、書き換えなければ良かった。なんて今更言っても、しょうがないか。

ドアを開ける。何もかもがキチンと整えられた部屋。生活感がないのは、私は死ぬつもりだったから。
これじゃあ、食べ物は家の中にはなさそうだ。暑くなる前に外で食べ物を探さないと―――――…………。

45魔女の目覚めと白い皿 2/2:2014/08/01(金) 05:41:03 ID:2lBQ0cPg

「あっ……」

ふと見た机の上には、白いお皿が一つ。中にはプエルが大好きだったサンドイッチと、白い手紙が添えられていた。
大好きと言っても、作るのが大好きって意味。楽で、色んな味を楽しむことができるから、とのこと。
手紙は、表には大きな文字で「ママへ」と、プエルの字で書かれていた。
サンドイッチは、ついさっき作られたかのように新鮮そのもの。作り置きされていた形跡はない。
私が起きる前にプエルがこれを作ったのか。でも、なんでプエルが、私のために?

「……ママ……ね……」

手紙を手に取る。プエルが私のことをママと呼んでくれるのは、ホントに嬉しく思う。
その反面、どうにも小っ恥ずかしくもある。少し前まで、他人行儀に「母」と呼んでいたはずなのに。
あの子も私の子どもになろうって、頑張ってくれている。頑張ってくれているのだから。

「……プエル……」

手紙の内容は、サンドイッチに使われている素材についてだけ、簡単に。
今日のはリンゴジャムと、トマトとレタスらしい。リンゴジャムは、私お手製のを使ったとのこと。
飾り気のない文字で、面白みもない文体で、まだたどたどしい文字だけれど。

「……ありがと……」

これを食べて、もう少しだけ私の身体の様子を見たら、文字通りにあの町へと飛んでいこう。
プエルを抱きしめたくなった。思いっきり、痛いぐらい抱きしめて、ありがとうって、言いたくなった。

私はきっと、あの子に救われた。

46手間取る毒草の入手:2014/09/25(木) 02:55:17 ID:VkWiVYHk

いつも通り、ターゲットは毒殺をする。毒は、もっとも好んでいる。簡単にお仕事を完遂できるのだから。
そのための毒物も、いつも通りのバイヤーから手に入れる。
ただ今回に限っては、その入手が滞っているらしい。こんなことは、初めてだった。

バイヤーとは顔を合わさないようにしているため、手紙を書く。
その方がリスクが少ないと、先輩に習った。
ただその先輩は、そうしてまでも逮捕されてしまったわけだけれども。それは単にドジだっただけだ。
あたしは、そんなマヌケはしない。

「……出し渋っている?」

手紙には、いつもの売り手が出し渋っていることと、期日を少し延ばしてくれとのことが、
ひどく簡単に書かれていた。
期日を延ばすのは、あたしは別に構わない。どうせ、まだターゲットの顔も確認できていないのだ。
こちらとしても、まだまだ時間がかかる。

ただ、出し渋っているとの文字に少しの違和感を感じた。
どんな者かは知らないが、毒を売る者なのだからおおよそまっとうな人物ではないのだろう。
しかし、出し渋るとは何だろうか。品物がないわけではなさそうだが。

「考えてもせんなきこと、ね」

左右に首を振りすぐに、妄想に耽ることをやめる。
外は雨。ランプ一つだけに照らされた室内は薄暗く、秋雨のおかげでジメジメとしている。
椅子に座り、手紙を少し長く丸め、ランプの中で煌々と燃える火に近づける。
するともちろん、手紙は燃える。燃えた手紙は、鉄製の皿の上にのせる。
これで、間違ってもこの手紙の内容を誰かに見られることはない。灰は残るが、だからどうしたというのだろう。
適当な場所に蒔けば、草花の肥料にはなるだろうか。

椅子の背もたれに深く身体を預け、天井を見る。
薄暗い天井に影絵が揺れる。腕を天井に向けて伸ばし、指や掌を動かしてその影絵に模様を作る。
しばらくはそうして、揺れる影にあたしの思い通りになる絵を映して楽しんでいたけれど、徐々に不安になってきた。

「出し、渋る……?」

その文字が気になる。
毒殺は取りやめるべきだろうか。もしくは、そのバイヤーから即座に手を切るべきだろうか。
ううん、手を切るだけではない。そのバイヤーを暗殺する必要があるのではないか。
考えすぎか。考えすぎることは、決して良くはない。良くはないが、違和感は大事にすべきだ。鉄則でもある。

「……様子を見るか」

悪手かも知れないけれど、もうしばらくだけは様子を見ることにした。
ただ向こうとしても何か事情があるのだろう。優秀なバイヤーだから、あたしも手を切りたくはない。

魔女の毒薬、ベラドンナ。入手は難しいか。


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