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【やりたいように】スマクエから10年後【やればいいんじゃないの】

1名無しのカウンセリングだべ:2017/02/27(月) 01:34:36 ID:gH0qIgoo0
スマクエの世界での戦い――
かつて現実世界から迷い込んだ人々を巻き込んだその戦いは、あの時確かに終わったはずだった。

10年後の現実世界。
少年少女は大人になり、あの時の戦いの事など忘れ自分達の人生を歩んでいくはずだった。

あの日、異世界と現実世界が繋がることがなければ――


※スマクエ世界・学園世界・RPG世界入り乱れてお話作ってもいいんじゃない?
※新規キャラも作っていいんじゃない?
※本の少し動いたと思ったらストーリー立てていきます
※絵楠君は出ます

2名無しのカウンセリングだべ:2017/03/07(火) 01:46:26 ID:eMHibEhY0
「……もしもし。って、編集長ですか」
契約先との取引。友人達との娯楽。
それぞれ異なる理由を持つ人々が忙しなく行き交う街中で、変身音の様な着信音が鳴った事に青年は気づく。
――かつての『スマクエの世界』を始めとした異世界での騒動から帰還して早十年。
仮面ライダーオーズとして戦っていた『山亘理絵楠』は、新聞会社の若手ジャーナリストとして今日もネタ探しの日々であった。
「いきなり電話してどうしたんですか?……あぁ、はいはい。ネタなら大丈夫ですって」
何時もの様に他愛のない会話をスマートフォン越しにする。
異世界での激動の日々など、もう忘れてしまったかのような状態。いや、忘れざるを得なかったのか。
どちらにせよ、あの戦いの日々は少年には大きすぎたのだから。
「じゃあ、ネタ探しの続きがあるんでこれで」
――だが。
一度定められた運命というものは、そう変わるものではないのかもしれない。
例えそれが異世界での――現実世界からすれば、夢のような話であったとしても。
それが、現実世界と異世界の"融合"などであったとしたら尚更――

「……何だよ、あれ」

街を行き交う人々の誰もが気づいていない事に、絵楠は気づく。
いや、人々の中にも気づくものはいるかもしれない。だがその根拠はない。
それ以外に気づく人物がいるとすれば、それは――かつて共に戦った人達しか該当しないだろう。


「――ゥルスァッ!」
『ッ……ギャオォッ!!』

愕然とした表情で絵楠が見据えた先の青空――
赤・銀・黒の配色による身体に、胸にリングのような模様を輝かせる巨人と、頭部に禍々しいクリスタルを携えた巨鳥が、目まぐるしい速度で戦っていた。
そう――そこに居たのは、本来ならここにいない筈の物。
本来なら、それはテレビの中の物でなければいけない――
地球を守るため、光に選ばれた戦士。

「――オリジウム光線ッ!!」

――"ウルトラマンオーブ・オリジン"。



これで一応動かせるかな!?
10年後のキャラ設定とかは好きにしてくれていいし、好きに敵キャラも出してくれていいです!
わしがなんとか頑張ります!一応でっかい敵組織も考えてはあるから!
オールスターめいてるから割と何してもいいって思うよ、!!

3名無しのカウンセリングだべ:2017/03/14(火) 22:12:10 ID:r0hjl3Sw0
――かつて異世界と繋がった町、神守町―――― 
の、隣 夕闇町 県立夕闇高校

その日はごくごく普通の日。 気温も湿度も空気中のフランスパン濃度も異常なく、
ニュースも相変わらず殺人や強盗、外国の事件に溢れかえっていたが、
それでも常識の範疇を超えていない、ただの365日のうちの1日のはずだった。

昼食後の眠気を誘い、集中力が途切れる古文の授業中に何気なく窓の外を見ると、
授業の内容も眠気も頭から吹き飛ぶような、日常から遠く離れた光景が広がっている事に、
疎い知識を集め辛うじて特撮の登場人物達が戦っていることに気がついた。

「…………」

先生に気が付かれないように、周りをグルっと見渡す
外であんな実写まがいのことが発生しているのに、誰も気がついていない
自分だけが見えているために気でも狂ったのか、夢を見ているのかと疑うが
あんなものを想像する想像力も知識も自分にはないことに気がついた。

何より、何よりも ああいう超常現象の類があることを、自分は『知っている』のだから

「……先生、あの」

状況を受け入れられない頭を動かし、手を挙げる
解決できなくとも何が起こっているのだけ知る必要がある、それならそうと早退だ
なるべく自然な感じで、病気になっているように演技を

『お、おう保健室か、早く行きなさい 顔真っ青だし震えてるし今にもぶっ倒れそうだぞ』




まさか研修中に立つとは思わなんだ、参加します・・・!

4名無しのカウンセリングだべ:2017/03/14(火) 23:37:45 ID:r0hjl3Sw0

「(方向的に、神守町の方だけかと思っていたのだけど ……あの巨大な物だけだと考えていたけれども)」

「(他にも妙な連中が……多い)」


何の疑いの余地もなく、ほぼほぼ演技なく高校を出て気がついたのは、
少なくとも今出てきているのがあの巨大な鳥と巨人(ウルトラマン?)だけではないという事だった

20年ほど前、隕石が落ちたことにより異世界と繋がってしまった神守町
その影響か今もなお人の目には見えない異世界の生物が極僅かだが存在し、その隣の夕闇町にも生息していた

その数が明らかに、増えている。
たまに見知った生物がどこかへと消えるのを見る程度だが、見慣れない生物が神守町に向かう道中に何匹もいるのだ。


「(……目を合わせない、知覚できると認識させない…………)」

先程のクラスメイトの反応を見る限り、見知らぬ生物への対処は同じ 『自分が見ることが出来る人間だと気付かせない』
見ることが出来ない人間には干渉できない、傷つけることが出来ない 今のところその原則は守られている
その証拠に、隣に巨大な化物が現れても、一瞥すらせず通り過ぎてくれる

「(………知覚できると、認識させない……私は何も気がついていない……)」

そうは分かっても、すり減る神経
近くに気配を感じる度に、気が付かれているのではないか、襲ってくるのではないか
心臓の鼓動が早くなり、身体にじんわりと嫌な汗が吹き出る


『―――あ、あぁっ!?』

短い悲鳴が、聞こえた
見ると同じ年ぐらいの、見慣れない制服を纏った男子が、先程すれ違った化物――改めて見ると、どうやらヘビ―――に気付かれ、
襲われる寸前だった。
尻もちをついた男子に、ヘビが大口を開け、丸呑みにしようとし、突如飛んできた鞄を顔面に喰らった

「…………フ、フフ やってしまった…… わね。」

心臓が早鐘を打つ、投擲フォームを取った身体の指先から冷えていく
目の前にいる蛇は自らの敵を認識したようだ。 肉食獣の視線が、『私』を捉える

「……生憎だけれどもランチはもう済んだの。 それじゃあ、さようならっ!」

長く伸ばし、後ろに伸ばした黒髪を振るい、一人女子高生が後ろを見ず走り始めた
後ろから聞こえてくる蛇の息を吐くような声、知覚していることを周りの生物に知らせるような真似をしながらも
恐らく原因となる何かがある神守町へ向かう



10年後どうなったかはぼんやり考えているけど
絡められるか怪しいため新キャラ投入!

5名無しのカウンセリングだべ:2017/03/15(水) 02:00:52 ID:eMHibEhY0
>>3-4
神守町へと向かう女子高生の走りに呼応するかのように、上空へと新たな『怪獣』がその姿を現す。
二対の首をクリスタルで無理くり一つにさせられたかのような、禍々しい――火ノ魔王獣『マガパンドン』。

「っ、マガバッサーの次はマガパンドンが……」

絵楠の特撮の知識は仮面ライダーに縛られはしない。ウルトラマンも嗜んでいる。
それが幸いしたのか、怪獣の正体を即座に突き止めることに成功した。
「……って、女子高生?何かに追われてるみたいだが……ヘビ、かよ」
同時にヘビに追われる女子高生の姿も目撃した。
自分の苦手とする生き物、ヘビ――本来なら見るだけでも悍ましいが、かと言って大人が未成年を助けないわけにも行かない。

「何かあるはずだ、とにかくあの子を!」

明確な救出の意思を示すべく、女子高生の元へと駆け出す絵楠。
それを嘲笑うかのように――

『クェェッ!!』
「――っ!?」

ヘビも、女子高生も、そして絵楠も。
何もかも巻き込みそうなほど強大な火炎放射が、マガパンドンの口から放射された。
――熱い。肌に触れてすらいないのに、人知が知り得るような熱さでは全くないことを嫌という程知らされる。
「こ、このままじゃ……俺も、あの子も」
想像を絶する熱さに強靭な意志で耐えながら、絵楠は重くなっていく脚を無理矢理にでも進める。
その感覚に、何処か――懐かしさすら覚えるような。

「――ダメだ、意識が……」

それでも。
魔王獣と謳われる怪獣の力の前には、今の自分はあまりにも無力で――

「……っ……?」

気づけば熱さは消えていた。
その代わりに眼前に映し出されたのは。

「クゥゥゥゥ……!デヤァァッ!」
『クェェッ……!?』
「――オーブスプリーム、カリバァーッ!!」

火・水・風・土、そして光の力を秘めた聖剣『オーブカリバー』を携え、燃え盛る熱気を全て退け――
赤く点滅するカラータイマーをものともせず、虹色に輝く光線を聖剣より放つ必殺の『オーブスプリームカリバー』でマガパンドンを撃破する、オーブの姿だった。


ちと早めだけど絡ませていただくぞ!
わしがなんとかしていく予定や!でも割と自由だからやりたいことあったらどんどんやってな!

6名無しのカウンセリングだべ:2017/03/15(水) 17:52:00 ID:O4o.PUvQ0
>>5

鞭のように迫り来る頭部を避け、
歩みを止めようとする尾を飛び越え、
壁にぶつかるように方向転換しようやく辿り着いた先は
やはり化け物に気づく気配のない人達と、決して遠くない距離で戦う銀色の巨人と巨大な鳥

「(ここまでくれば、人混みに隠れられればこっちの……!)」

その時、急に辺りが熱くなり、 何かの衝撃を感じた


「………………」

「…………っ………… !」

気がついた時には地面に伏し、半身だけを起こす
どうやら何かーーー 空を飛んでいる妙な生物が、火か何かを吹いたらしい
そのタイミングで飛びかかったのか、大蛇が離れたところでのたうちまわり、泡食って逃げ出した

幸いなことに蛇が壁になったおかげで自分は軽傷で済んだようだ

「(……不幸中の幸い、ね 辿り着けたのは、いいけれど……)」

状況が相変わらずわからない、高校を出てここまでで確認できた事とほぼほぼ同じだ
銀色の巨人は人間達を、ひょっとしたら知覚できる他の誰かを守るようにこちらに背を向け、
巨大な何かと対峙しているようだった

7名無しのカウンセリングだべ:2017/03/16(木) 02:13:17 ID:eMHibEhY0
>>6
「……オーブ…… っと、君!大丈夫か!」
息を荒げ、鳴り止まぬタイマーの音と共に聖剣を持ち佇む巨人に絵楠は目を奪われる。
が、今はそれどころではない。蛇に追われていた女子高生の様子を確認せねばと、即座に彼女の元へ駆け出す。
――不快な気配は無い。どうやら蛇は逃げたようだな、と安堵し、一度呼吸を整えてから絵楠は再度口を開いた。
「君、蛇に追われていたようだけど……あの巨人の事も見えているのか?」

絵楠がそこまで口に出した、その時だった。

「……ウゥオッ……」

銀色の巨人の動きがふらつき、背後へと力無く倒れ伏せていく。
同時にその身からは光が漏れ出し、やがて巨人は――その姿を忽然と消した。

「……ぐ、……うぅ…っ!」

――絵楠達の間近に、革ジャンを着た一人の男性を残して。
どうにも息が荒く、相当疲弊している様子。
その手には光輝くリングを携えた変身アイテムのような何かが握られていた。

8名無しのカウンセリングだべ:2017/03/16(木) 11:22:58 ID:snl6iVV.0
>>7

「………」

絵楠が近づくと、わずかに顔が強張り、警戒するように一歩後ろに下がった
身体の様子を見ると、制服が汚れ、土が付着しているが大きな怪我はなさそうだ

「…………人の怪我の心配よりも自分の事心配しなさい。 私は大した事ないから」

同じく絵楠の怪我を確認していたらしく、ぶっきらぼうな言い方でそう告げると
返事を待たずして現れた革ジャンの男に近づき、姿勢を低くし視線を合わせる

「さっきの巨人の人…… ……いえ、答えなくていい それよりも動ける?」
「ここにいたら次が来るから隠れる場所に移動するわよ ……いい?」

元巨人が肩に捕まり、体重をかけられるように身を屈め
背を向けたまま両人に尋ねた。

9名無しのカウンセリングだべ:2017/03/16(木) 12:56:24 ID:eMHibEhY0
>>8
「……その様子じゃ、問題なさそうだな」
警戒されることに関しては無理もない、といった様子で納得する絵楠。
本人が大丈夫だと言うのだ。押しつけがましく本当に怪我が無いか確認する方が迷惑だろう。

「ぐ……君達、は……?」

意識が朦朧としているのか、微かにしか返事を返さない男性。
それにしては目立った傷はない辺り、やはり疲労が溜まっているのだろう。

「いや、その人は俺が支えていくよ。……案内してくれ」
「う……ぐっ……」

男性を自分の肩に捕まらせ、女子高生に対して絵楠は返事を返す。
未だに男性は息を荒げてはいるが、その瞳からは熱い意思は消えていない様子だった。

「……! ……」

一方で、一瞬だけ――絵楠の瞳が紫色に輝いた。

10名無しのカウンセリングだべ:2017/03/16(木) 17:28:44 ID:snl6iVV.0
>>9
「…………」

「……えぇ、それなら任せる」

絵楠が肩を貸すのを見届けると、早歩きで十字路に向かい周辺を伺う
辺りに異世界の生物がいないことを確認しているようで、少しすると手招きした

「着いてきて。 ……少し歩くことになるけれど、安全な場所がある」


その後しばらく、少し先を行っては異世界生物がいないことを確認し、
索敵をしては手招きをし、辿り着いたのは場末感漂うバーだった
少し躊躇する様子を見せ女子高生が扉を叩くと、鍵が開く音とともに扉が開いた

中から顔を出したのは、黒猫の顔をした人間…… のように見えたのも一瞬、まばたきをすると普通の人間の男になっていた
女子高生、革ジャンの男、そして肩を貸しているエクスを見る

「準備中にごめんなさい、恐らくいつもの迷い込んだ人…… だと思う」
『怪我をしているのかい?』
「怪我自体は軽い、けれども……エネルギー切れ?」
『ふむぅ、ここのところ来ていなかったから部屋自体は空いてる…… が、手入れはしてない ひとまずソファで休ませてやっておくれ』
「いつもありがとう、 ……ほら、入って」


―――――――――

11名無しのカウンセリングだべ:2017/03/16(木) 17:40:45 ID:snl6iVV.0
バーの中に入ると、まだ開店準備中のようで机に椅子が逆さまにかけられ、
先程の男がバーの奥へと消えていくのが目に入った
バーカウンターの向こう側には酒がズラッと並び、壁には額縁に入れられた写真がかけられている

額縁には『童守学園 ×○期生 卒業式』、『バー踊る猫 神守支部開店記念』と書かれている。



「動けるようになるまでそこのソファで休んで、 少なくともここは襲い掛かってくるようなのは入る事が出来ないはずよ」

ここまで案内してくれた女子高生は、再び警戒するように、そして無表情の顔にどこか緊張している様子を漂わて二人から距離を取る
出入り口の近くに立ち、二人が襲い掛かってきたらすぐにでも逃げ出すだろう

「それで、貴方達 一体全体どこからやってきたの? あの怪物たちについて知っているようだし、なんだか……ウルトラマン? みたいなものに変身できるし」

12名無しのカウンセリングだべ:2017/03/16(木) 23:27:38 ID:eMHibEhY0
>>10-11
「(……警戒しないでくれ、って方が無理強いだよな)」
女子高生の様子を見て、表情には出さずともそう判断する絵楠。
少なくとも、十年前の自分ならここで無理にでも誤解を解こうとしていたかもしれない。
それに、今の自分の状態を示すのには好機だろう。
一呼吸置いて、絵楠は自分の事を話し始めた。

「俺は山亘理絵楠。神守町出身のしがないジャーナリストで――」
「――昔、異世界に行ったことがある」

瞳を紫色に光らせ、右手の中に小さな氷を造り出す。
こういうものは本来なら長年のブランクから感覚が取り戻しにくいものだが――どういう訳か、絵楠は比較的慣れた様子で力を扱っていた。

「元の世界に戻った時、この力も無くなったはずだったけど……力が戻った理由は、俺にも分からない」

そう口にしながら、絵楠は壁に掛けられた写真を眺めていた。
『童守学園』――絵楠にとって、忘れられぬ思い出のある場所。
何故その名を、現実世界で見ることになったのか。

「俺はガイ。クレナイ・ガイ。アンタの言う通りウルトラマン――ウルトラマンオーブだ」

革ジャンの男性――改め、ガイも名を名乗る。
本物のウルトラマン。今の時期は丁度、映画がやっている頃合である。

「先輩のウルトラマンゼロさんと、ある怪獣を追っていた時に……俺が倒したはずの『魔王獣』と呼ばれる怪獣が復活し、この地球に飛んできているのを見つけて追いかけてきたんだ」

自らの事を説明しながら、腰のホルダーから取り出したカードを確認するガイ。
そこに映っていたのは、『ウルトラマン』や『ウルトラマンティガ』――どれも歴代のウルトラマンのカードばかり。

「俺は、ガイさん……オーブを見かけた時に、蛇に追われているこの娘を見つけて、助けようとしたんだ」

続けて絵楠があの時の行動を話す。
咄嗟の判断力は、彼が行ったという『異世界』のお陰だろうか。

13名無しのカウンセリングだべ:2017/03/17(金) 01:45:35 ID:eMHibEhY0
「――ふふ、順調ってところかなぁ」
神守町の町外れの廃工場。
以前は何も無かった筈のその場所は、ある日を堺に迷い込んだが最後――生きては帰られぬ場所として噂が立っていた。
その中に、一人の人間と――多くの怪人・星人、そして異世界より招かれた存在が集まっていた。
「この世界が異なる世界と入り混じってから結構経ったけど、既に何人か状況に気づいた人間達もいるみたいだしねぇ」
組織のリーダー格と思われるその男性の顔は、非常に――絵楠と瓜二つ。
絵楠が髪の毛の左側を跳ねさせているのとは違い、こちらは前髪の一部をヘアピンで止め、白衣に身を包んでいた。

「もう少ししたら、本格的に侵攻を開始するよ」
「とは言っても、今回はほんの挨拶代わり」

「――さぁ、どう動くかな?招かれる者、この世界の者」

男の名はエイラ。
――エイラ=アレイスター。

14名無しのカウンセリングだべ:2017/03/17(金) 08:28:02 ID:snl6iVV.0
>>12
「……かつての経験がある、だからその類の知識も持っていたと」

絵楠の説明を聞き、一人頷く女子高生
だが、絵楠が何かを見つめていることに、懐かしそうにしていることに気づき、
視線の先を見る

「………………」

体全身から出していた警戒ムードが、少し和らいだ気がした
相変わらず距離を置いたままだが、それでもいくらか肩の力は抜けたようだ

「………クレナイさんの事情も、山亘理さんが何故あの時声を掛けてきたのもわかった。 とりあえず……ごめんなさい」
「何となく異世界の関係者なのはわかっていた。 けれども私から見ると急に知覚できる事がバレてしまっているように思えて 居心地悪い思いをさせてしまったかしら」

話を聞き終えると、詫びを入れる
どうも本人から見ると不審な人物、それも自分がその関係であると知られているが故に警戒していたらしい
頭を軽く下げると、再び顔を上げる

「私の名前は烏屋 和<カラスヤ アイ>、夕闇高等学校1年」
「そして童守学園の…… 異世界人保護プログラムの、メンバーです」

15名無しのカウンセリングだべ:2017/03/17(金) 19:43:42 ID:eMHibEhY0
>>14
「いや、気にしなくていいよ。あの状況ならそう思ってもおかしくはないから」

女子高生からの警戒ムードが和らいだのを確認すると、笑顔で告げる絵楠。
状況が状況だ、疑い深くなるのも無理はないだろう。

「ただ……そう、だな。少し気になることがある」
「異世界人保護プログラム……俺が童守学園にいた時には聞き覚えのない単語なんだ。いや、忘れているだけの可能性もあるけれど……」

少なくとも、自分が異世界にいた時にはその様なプログラムは立案されていなかった筈。
自分の知らぬ十年の間に、童守学園にどんな変化があったのだろうか。

「正体を隠す必要が無いってのは、最近だと違和感があるが……まぁ、悪くないもんだな」
「それに……俺の方こそ、アイツを倒すのに手間取って迷惑をかけちまったみたいだな」

一方のガイは――何処から取り出したのかは知らないが、ラムネを飲みながら和に告げる。
先程の疲労はどこへやら、流石に回復力は桁違いらしい。

16名無しのカウンセリングだべ:2017/03/17(金) 21:10:17 ID:snl6iVV.0
>>15
「あぁ、それは……」
『君たちがこの世界への扉を開いたからこそ、始められたプロジェクトだからね 知らなくても無理はないだろう』

バーの奥からマスターがゆったりと現れ、烏屋の目の前に牛乳が入ったマグカップ、絵楠の目の前にウーロン茶が入ったコップを置き、
ガイがラムネを飲んでいるのを見ると困ったように苦笑し、自らコップを取りカウンターにもたれかかった

「…………マスター、私もウーロン茶がいいのだけれど」
『君はもう少し栄養を取りなさい、成長期なんだから ――絵楠君、だね?』

『恐らく僕の事は知らないだろうけど、君の、君たちの事はあの時あの世界にいた人たちの間では有名だよ』

何しろ、創設者達が望んでいたこの世界への扉を開いてくれたのだからね。
柔らかい笑みを浮かべ、どこか尊敬が籠もった眼差しを絵楠に向ける

『この世界に行けるようになって、学園は学生や職員に頼んでこの『現実世界』と呼ばれる世界の調査を行った。 その結果、ある事実がわかったんだ。』
『学園世界と同じく、この世界にも…… 異世界から迷い込んできてしまう人がいる、ということがね』

「童守学園はあの世界に迷い込んだ人の受け皿として機能していた、そしてその受け皿を…… この世界に迷い込んだ人にも、向けることにした」

『『現実世界』に迷い込んだ人を保護して、学園世界へ。 そして可能ならそこから元の世界に帰る手助けをする。 それが異世界人保護プログラムだよ』

話を終えると、手元のウーロン茶を口に含む
かつて学園世界に迷い込んだ、絵楠や他の人物のような人たちを探しに、わざわざこの世界に人を派遣しているらしい
お人好しというか、創設者の遺志をしっかりと受け継ぎすぎているというか

『僕は迷い込んだ人の世話係をやっているんだ。 学園世界と行き来できるようになったと言えども、いつでも行けるわけではないからね。』
『そして和ちゃんは異世界人の捜索担当、この子のおかげでかなりの人数を保護することが出来たよ。』

「……私に出来ることなんてそれぐらいだから。 それとマスター、できればその呼び方以外で読んでほしいのだけれど」
『僕から見れば君はまだまだ子供だからね。 もう少し成長しなさい』


「元々貴方の善意でやってもらっている事よ ……被害らしい被害も出ていない、むしろ助けてくれて感謝している ありがとう」

17名無しのカウンセリングだべ:2017/03/17(金) 21:31:05 ID:snl6iVV.0

『……それで、今回のことはどう考えているんだい?』
「…………」

一通り話を終えると、今度は現状について問いかける
顎に指を当て、少し考える様子を見せると、烏屋が口を開く

「クレガイさんと、対峙した怪獣に関しては保留。 他の星から来たと言っていたから本当に異星人なのか、いつもと同じように異世界人なのかの判別がつかない」
「十中八九、現実世界とよく似た…… 日アサ世界とでも言う世界から来たんじゃないかとは思ってる」

異世界移動時特有の、周辺の様子がぼやけたり、気がついたら別の場所にいたり
そう言った感覚の話が無く、ただただ宇宙から来たという話だけでは判別できないらしい
ウルトラマンは日アサではない? 知識ない人間の考えなんてこんなもんだ

「ただ異世界の生物の数が明らかに増えている。 神守町に近づくに連れて多くなっている辺りどこかで異世界への扉が開いてしまってるんじゃないかしら」
「山亘理さんが急に力を取り戻したのを見るにm空気中の魔力が流れ込んで来ているんじゃないかしら?」

私は感じることができないけれど…… と付け加え、マスターに出された牛乳を口に運ぶ
烏屋の話をじっと聞いていたマスターが、口を開いた

『空気中の魔力の量が多くなったのは間違いない、今のこの町の空気中の魔力の密度は学園世界と大体同じくらいになっている』
『君の考えが正しければ扉が開いたというよりも諸に直結してるとかそんなレベルだね』

「………………………」


「…………マスター、今私が牛乳飲んだのを見てそれ言ったの?」
『冤罪だ、君がそれだけでびっくりしてむせたのはこっちとしても予想外だよ。 少なくとも君が鼻から牛乳出したのは誰も見てないから安心していい』
「出してないわよ」

18名無しのカウンセリングだべ:2017/03/18(土) 00:55:51 ID:eMHibEhY0
>>16-17
「俺達が開いた、か……。謂わばここは、現実と学園、そして多くの世界を結ぶ点の一つとでも考えておけばいいか?」

マスターの話を聞き、思案する絵楠。
本来なら途方もない話だが、学園や他の異世界を巡ってきた自分からしてみれば不思議な事でもない。

「有名、か。……あの頃の俺は、今よりも自分勝手な……正直嫌なヤツだったんだけどな」

自分や他の人の異世界での出来事を思い出しながら、苦笑いを浮かべてマスターにそう告げる。
自分の意見を押し付け、あまつさえ忠告を無視して破滅しようとした――思い出すだけで、苦い思いを味わう。

「日……アサ……?」

どうにも聞き慣れない単語だったからか、微かに反応したガイが呟く。
その傍らにはラムネの空き瓶が、既に四本。
一体、何本ラムネを持ち歩いているのだろうか――絵楠が疑問を抱いたその時。

「――ッ!?」

一際大きな揺れが、バーの中にいた皆を襲った。
バーに直接被害が及ぶ程では無いが、何やら不穏な気も入り混じっている。

「一体何が……!」

絵楠は即座にスマホを取り出すと、熟れた手つきでワンセグを起動。
流石に通信が遮断されている、とまではいっていないだろう。

『――ここで、臨時ニュースをお伝え致します。神守町に突如巨大な未確認生命体が出現し、街はパニック状態になっております』
『――未確認生命体の見た目は、ウルトラマンシリーズに登場する怪獣「ゼットン」に酷似しているものと思われます』
『――また同時刻、街中に怪人の群れのようなものが現れ、こちらは仮面ライダーシリーズに登場する怪人達と非常に良く似た姿をしているとのことです』

「酷似してる……いや、違う!こいつは……」

ニュースの内容に驚きを隠せないものの、絵楠はその怪獣がただの「ゼットン」ではないことをすぐさま見抜いた。
しかし、ニュースに集中しすぎた為か。

「光ノ魔王獣……マガゼットン……くそッ!」
「! ガイさん、勝手に出ちゃダメだ!……ガイさんッ!!」

慌ただしくバーを出ていくガイのことを止めることが出来なかった。

19名無しのカウンセリングだべ:2017/03/18(土) 11:02:30 ID:snl6iVV.0
>>18
『残念ながら学園世界への出入り口のみだね。 あまりに多くの世界へと繋げるとトラブルが多い』
『それでも異世界人たちにとってこの世界よりも学園世界のほうが生きやすい場合がほとんどだ』

「……魔力や妖怪、怪獣もフィクションだけの存在として認識されている、そして代替が聞くものが…… !」

突然の揺れに、身動ぎする一同、長く続くと思われたこの揺れは始まった時と同じく唐突に終わった

『………嫌な揺れ方だ。 おまけに今のニュース、 あながちもろに直結しているのも間違いじゃないかもしれないね』

「ただのコスプレ集団じゃないの?」

『まずは机の下から出てきなさい、もう揺れは収まったんだから そしてちゃんと向き合いなさい、聞いていたんだろう?』

「………………。 えぇ、クレガイさんが単純に追いかけてきたとしか言わなかったのも、魔力濃度……?が濃くなったのも、そして一般の人に認識できるようになったのも」
「ただ単に穴が開いたとかでは説明がつかない現象。 もろに直結していることを認めるわけじゃないけど大規模が何かが起こっている。それは間違いない」

『そうだね、それは飽くまでも僕の考えにすぎない …………絵楠君』

少し日和っていた烏屋を宥めると、今しがたスマホを手にした絵楠に視線を向けた
その視線には、やはり先程と同じような尊敬の念――
自分たちが成し遂げなかったことを成し遂げた者を見る目、しかし少年がヒーローに抱くような物ではなく
プロ野球選手の年収を聞いた大人が向けるような、どこか諦めが入った視線だった

『君は、君たちは確かにあの世界で成し遂げた。君が君自身をどう思おうとも、それは間違いない。』
『そして僕が知らない事以外もひょっとしたら何かをやってきたのかもしれない。』

『けれども忘れてはいけない、その前に君は一人の人間だ』
『…………これから起こる事件を解決する義務も、使命もない』

スマクエの世界から戻って10年、学園世界から帰還して数年
それまで異世界とは関わりなく、昨日まで本当に平凡に生活してきた人間

この寂れたバーのマスターは、戦う義務なんて無いことを告げた。
戦わなければならなかったスマクエの世界とも、自分たちで動けなければ帰れなかった世界とも違う
誰かに任せるという選択肢もあるという事を告げた

『数日のうちに学園世界への入り口が開く。 君は自らの安全を確保してもいい、これから起こる事件に身を投じてもいい』
『……君たちのいちファンとしての意見だ』


「…………私は関わる。 義務の有無以前に私が暮らす町だから」
『勇ましいことを言う前にその青ざめた顔と産まれたての子鹿のような足をなんとかしなさい、そもそも君戦闘能力ないから外出禁止だ』
『』

20名無しのカウンセリングだべ:2017/03/18(土) 11:45:52 ID:vTgSh/e60
>>19
「義務も使命……そう、だな。俺にはそんなものは無いよ」

確かに、いくら自分の元に力が戻ったとはいえ、現状で自分に因縁のある相手が敵側にいる訳でもない。
無理に戦いに身を投じる訳など、それこそ無いだろう。
――それでも。

「俺が行くのは、ただ単純に戦う為じゃない」
「この現象の真実を暴くために。そして、今は宇宙にいる兄の帰る場所を守るために。俺は――行きます」

スマホに記されたウィジェットメモを一度眺め、絵楠は静かに呟く。
『あと1週間で兄貴が地球に戻ってくる』――そう記されたメモがあるからこそ、絵楠は戦うことを選んだ。
人類の為だとか、未来の為だとか、大きな目的の為ではない。
家族の為――それが、今の絵楠の気持ちだった。

「それじゃ……また」

スマホをポケットにしまい、会釈をして絵楠もバーを出ていく。
静かな闘志を宿したその眼差しは、鋭く――けれど、何処か優しさを覚えるような。そんな眼差しだった。


「マガゼットン……お前の好きにはさせねぇ!」

神守町のビル等を手当たり次第に火炎弾で破壊していくマガゼットンに向かい、ガイは叫ぶ。
同時に左手に握ったオーブリングを起動させ、その身体は光に包まれる――

「ウルトラマンさん!」
〈ウルトラマン!〉『――シェアッ!』
「ティガさん!」
〈ウルトラマンティガ!〉『――チャッ!』
「光の力――お借りします!」
〈フュージョンアップ!〉

光の内部で、オーブリングに読み込まれたカードから生み出されたウルトラマンとティガが、真っ白なオーブオリジンに重なる。
オリジンをベースに手・脚に二人のウルトラマンのカラーリングを織り交ぜ、ティガと酷似したプロテクターを装備した姿――

〈ウルトラマンオーブ! "スペシウムゼペリオン"!〉

「俺の名はオーブ!闇を照らして――悪を討つ!!」

マガゼットンの腹部に強烈なハイキックを打ち込み現れたその姿は。
『ウルトラマンオーブ スペシウムゼペリオン』――初代ウルトラマンとウルトラマンティガの力を借り受けた、オーブの基本形態。

21名無しのカウンセリングだべ:2017/03/18(土) 13:36:34 ID:snl6iVV.0
>>20
『…………そうか』

絵楠の答えに目を閉じ、穏やかな笑みをこぼす
どこか安心したような、ホッとしたような感じがする笑みだ

『君のファンでいられてよかった。 それならば僕は僕で出来ることをしよう、君たちの手助けをしよう』
『戦いに疲れたのならここに戻ってきて、いつでも歓迎するよ ……それと情報も集めておくよ』

チラリ、と烏屋の方を眺め、微妙に気が進まないと言った様子で付け足した
そして外に向かう絵楠を二人で見送るのだった


「……私は外出禁止じゃなかった?」
『君の事だからどうせ抜け出すんだろ?』
「今すぐというわけにはいかないけど……」

バーのカーテンを上げ、外の様子を見る
まだ日が高く、隠密行動をするのには目立つのだ



『ところで君、同居人君には連絡しなくてもいいのかい?』
「…………… 連絡しようにも鞄ごと携帯落としてしまって」
『また盛大な落とし物をしたもんだね……』

22名無しのカウンセリングだべ:2017/03/18(土) 18:03:57 ID:eMHibEhY0
「異世界から迷い込んでいる人が居るなら……」

現場へと向かう脚を速めながらも、絵楠はバーのマスターから聞いた『異世界人保護プログラム』に付いて考えていた。
あの話の通りならば、現段階で既に現実世界にガイ以外にも迷い込んでいる者がいる筈。
かつての仲間か、はたまた敵か。そこ迄は検討も付かない。いや、付けない方が無難だろう。

「――た、助け……て!」
「……!」

微かに聞こえた、助けを求める声。
声の方を見れば、子供連れの母親を蜘蛛の様な怪人が襲う寸前にまで迫っている。
――真実を暴く為、家族の為
絵楠はあの時、そう言った。その気持ちに偽りはなく、本心であることは明白。
それでも、目の前で誰かが苦しんでいるのを黙って見過ごせる程――絵楠は割り切れる男ではない。

「変身ッ!」
『タカ!トラ!バッタ!――タッ!トッ!バッ!タトバタットッバ!』
「――はッ!」
『グモォッ!?』

力が戻ったと同時に只の玩具から異世界で手にした物へと姿を変えたオーズドライバーを即座に巻き、オーズ・タトバコンボへと変身。
腕のトラクローを展開させ、母親から引き剥がすかのように遠くへと叩き付ける。

「早く逃げて!」
「あ……ありがとう、ございます!」
「ありがとぉ、かめんらいだー!」

「……さて」

子供の母親と子供からの感謝の言葉を受け止め、オーズは改めて現場の方角へと身体を向ける。
藁藁と湧いて出てくる怪人達。
多勢に無勢とも言える現状でも、オーズは然程恐怖を感じていないことを実感しながら――怪人達の元へ走り出す。

「お前達の好きにはさせない……俺が、相手だッ!!」


「ディッ……ヤァ!!」
『ゼッ……トン……』
「クッ……!」

腕・脚に刻まれた赤のラインを発光させ、力を高めたオーブはマガゼットンへと飛び掛る。
脇腹、胸、頭部――何度もパンチやキックを浴びせるものの、マガゼットンへのダメージは少ない様子。

「テイィ……ドゥラッ!」
『ゼッ……トォン……!』
「ッ……スペリオン、光線ッ!」

それでも、オーブは再びマガゼットンの腹部にハイキックを決め、一寸怯ませた隙にバックステップ。
右腕を上に振り上げ、胸のリングに一度左手を翳したのち、左腕を水平に振りエネルギーを溜め、そのエネルギーを腕を十字に組み放つ『スペリオン光線』を放射。
本来ならゼットンに類する怪獣は光線吸収能力を持つ個体が殆どだが、隙を付けば光線で撃破する事も可能。

『……ゼットォン』
「オッ……クゥッ……!」
『ゼッ……トォン』
「! グオァァッ!」

しかし、マガゼットンは直前で体全体を六角形のバリアで包み込む『マガゼットンシャッター』でスペリオン光線を無効化。
更にオーブが動揺している一瞬の隙を付き、胸部に強いエネルギーを溜め『マガ火炎弾』を放ちオーブを後方へ強く吹き飛ばしてしまう。


他にも動かせそうだったらどんどんやっちゃってええぞ(回収できるとは言っていない)

23名無しのカウンセリングだべ:2017/03/18(土) 20:15:17 ID:snl6iVV.0
>>22

「残念ながらそうはいかねぇッスよ、そこのあんた! ……よっと!」

走り出した絵楠に、10代の男の声が降り掛かってきた
どこか記憶を刺激する、懐かしい声―― 次の瞬間、絵楠の前に落ちてくる青色の影
藍色のボサボサとした髪に、古傷が付けられ、人間離れした青色の狼の顔
赤色のマフラーを首に巻いた、その狼と人間を併せたような少年は

「相手になるのは『俺』だけじゃなくて ――俺たちッス!」

「天が呼ぶ!地が呼ぶ我を呼ぶ! 悪鬼を倒せと呼んでいる! ッス!」
「誰が呼んだか蒼天の勇者ワサビ! ここに見参ーッス!!」

かつてのRPG世界で絵楠と共に戦った、狼獣人のワサビ―― そのままの、姿だった

「右も左もわかんない異世界ッスけど!いい人そうなあんたに助太刀するッス!」
「さぁ行くッスよ!無敵のコンビパワー見せてやるッス!」

24名無しのカウンセリングだべ:2017/03/18(土) 21:09:33 ID:eMHibEhY0
>>23
「!……何だか懐かしいな……いや、今は気にしている暇なんてない!助かる!君の力、借りるよ!」

いつの間にやら取り出していた剣・メダジャリバーで怪人達を斬り付けつつも、ワサビに向かって叫ぶオーズ。
いくら分身能力を有するガタキリバコンボの力を持っているとしても、物量で圧されると不利なことに変わりはないのだ。

『クワガタ!トラ!バッタ!』
「ッおおおお!!」

素早く頭部のメダルをタカからクワガタへとチェンジし、広範囲に電撃を放つ『ガタホーンサンダー』で怪人達を牽制していく。
自身に接近してきた怪人はトラクローとメダジャリバーで対処し、隙あらばガタホーンサンダーによる広範囲攻撃。
コンボに頼らずとも、メタルの組み合わせによる攻撃の幅の広さがオーズの持ち味――そのポテンシャルは無限大である。

『ギギギィ!!』

しかし、圧倒的な怪人の量はオーズだけでは無理なのは変わらない。
イカやタコをモチーフとしているであろう水系統の怪人達が、ワサビに向かい一斉にその身を絡め取ろうと触手を放つ。
その上、その脇からは大砲を埋め込まれた亀やバッファローが敵味方関係無しに砲撃を撃ち込んでくる。

「ぐあっ……!流石に……厳しいな……!」

先程まで押していた様子のオーズも、砲撃を受け後ろに後退せざるを得なくなっていた。
このままでは、確実に――負ける。


「ウル……スァッ!」
『ゼッ……トォン』
「グオァッ……ッ!」

マガゼットンの猛攻に苦しみつつも、再び攻撃を加えるオーブ。
しかし、マガ火炎弾のダメージがまだ残っているのか動きが鈍く、ゼロ距離で放たれたマガ火炎弾で地面に叩き伏せられてしまう。

「……だったら!」

しかし、オーブはそのタイミングを好機と捉え――再び、その身を光が包み込んだ。

「ギンガさん!」
〈ウルトラマンギンガ!〉『――エイヤァッ!』
「エックスさん!」
〈ウルトラマンエックス!〉『――イィーッ、サァーッ!』

「未来の可能性――お借りします!」
〈フュージョンアップ!〉
〈ウルトラマンオーブ!"ライトニングアタッカー"!〉

オーブを包んだ光の内部から、青と黄色の光が溢れ出す。
今まで存在していた『スペシウムゼペリオン』とは異なる姿――プロテクターの様に赤・銀の装飾が施され、胸にはリングに加え『X』を織り交ぜたカラータイマーに、肩・頭部・タイマー周辺・そして腕と脚に青く輝くクリスタルを身につけた『ウルトラマンオーブ ライトニングアタッカー』となったオーブが現れた。

「――電光雷轟、闇を討つ!」

25名無しのカウンセリングだべ:2017/03/18(土) 23:05:30 ID:snl6iVV.0
>>24
「ギガ……」

周りに触手が溢れ、今にも自分を捕らえようとしている
左手が光を放ち、その拳を地面に叩きつけるように振り下ろす

「デイィィィィン!!!!!」

周りの触手に熱い電撃が伝わり、イカやタコモチーフの怪人達に触手ごしに電気が伝わった
さらに今しがたの魔法の余波で砲撃の攻撃の方向を反らし、自分や隣にいる絵楠とは見当違いの方向に飛んでいった

「いいッスか、こーいうザコ集団共には手っ取り早い手段が一つあるッス!」
「それは……」


「一時撤退ー!」


オーズの腕を掴み、反らした砲撃が飛んでいった方へ
怪人たちが身を反らし、避けたが故に空いた人垣の方へ、
ビルとビルの間へオーズを無理やり引きずりように逃げ込んだ

26名無しのカウンセリングだべ:2017/03/19(日) 00:05:14 ID:eMHibEhY0
>>25
「うおッビックリした!? まぁ、この判断は正しいな……助かったよ、ありがとう」

ワサビに突然引き摺られオーズは驚くが、判断は正しいので感謝の気持ちを述べる。
あのまま戦っても余りに戦力の差が激し過ぎるのだ。
と、なればする事は決まっている。

「今のまま奴等を処理するのは無謀過ぎる、奴等が湧いているであろう場所を探してそこを崩そう。――変身」
『タカ!クジャク!コンドル! タージャードルー!』

ガタトラバから紅蓮の形態・タジャドルコンボへと変身。
背中のクジャクウィングを展開して暫し浮遊すると、一度着地してワサビに提案する。

「今からタジャドルコンボで飛んで、空から奴等の発生源を探そうと思う。……着いてきてくれるか?」


『ゼッ……トォン……』
「もうあのバリアにはビビらねぇぜ……デイヤァッ!」

オーブ・ライトニングアタッカーの登場に少々驚くものの、即座に臨戦態勢へと戻るマガゼットン。
対するオーブは既に勝利への術を見つけたのか、マガゼットンに向かって宣言。
全身のクリスタルを紫色に発光させ、宙へと浮遊し――

「――トルネードギンガエックスッ!!」
『!!ゼットォン!!』

全身へと青と黄色の混じったエネルギーを張り巡らせドリルの様に回転し、マガゼットンに特攻。
マガゼットンは当然マガゼットンシャッターを展開し迎撃する――が。

「ディィィ……ヤァァッ!!!」
『ゼッ………!!!!?』

オーブの回転力はそのシャッターを容易く打ち破り、マガゼットンのバランスを大きく崩すことに成功。
そのまま上空で静止、両腕を胸の前でクロスさせエネルギーをスパークさせ――

「ギンガザナディウムシュートォ!!!」
『ゼッ――』

凄まじい程の青い光に包まれた『ギンガザナディウムシュート』でマガゼットンを撃破した。

27名無しのカウンセリングだべ:2017/03/19(日) 00:38:52 ID:snl6iVV.0
>>26
「発生源を探るっていうのは賛成ッス」


「けれどもあいつらを放っておくっていうのは少し違うッスね」
「こんなお誂え向きな場所に来てくれたんッスから」

ビルとビルの間へ、細い路地へと入り込んだ二人
二人とも逃げ込む前に、怪人達を痛めつけたのだ
自分たちに苦痛を与え、あまつさえ決定打一つ与えられず逃げる二人
ただでさえ血の気の多い怪人達が逃がすはずがなかった

「さっきの戦いは面対点、ところがどっこい今は囲む事もできない狭い路地ッス」

つまり、
囲まれた時に放った光と同じものを、再び左手に宿す
路地に誘い込まれ、突っ込む怪人達

「つまり、相手の人数が多くても俺達と戦えるのは一番前のごく一部 おまけに攻撃が避けにくいから適当に撃っても当たるッスよ!」
「二度目のギガデインッス!」

左手から紫電が走り、前方を走る怪人に向け放たれた
辺りにイオン臭を撒き散らし走るそれは、単純に破壊力、そして後ろの敵にも届く貫通性を有していた

28名無しのカウンセリングだべ:2017/03/19(日) 01:05:22 ID:eMHibEhY0
>>27
ギガデインを諸に受け、多くの怪人達が爆散していく。
狭い路地に誘い込まれた事もあり、前方の怪人はほぼ全滅したと判断して良いだろう。

「! ……すまない、ちょっと焦ってたみたいだ」

敵の発生源を探る一点に思考が集中していたせいで、他の事を見落としていた。
集中し過ぎてしまう癖は中々抜けないらしい。

「……さて、気を取り直して……行くぞ。ワサビ、俺に掴まってくれ」

ワサビの方へと手を伸ばす。
不思議と、快適な空の旅を提供してくれるような気もする雰囲気が出ている。

29名無しのカウンセリングだべ:2017/03/19(日) 16:34:23 ID:snl6iVV.0
>>28
「んじゃあ人数減らしたしすたこらサッサッスー!」

オーズの手を握りしめ、身を任せてオーズの行くままに空を行く
住宅地を抜け、屋根を飛び越え、足元にはコンクリートの海が広がっていた


「……今まで幾度となく世界を渡って来たッスけど変わった世界ッスねぇ」
「町の中に化物はうろついてるわ、でっかい塔(ビル)がたくさんあるわ……」

わけも分からず気がつけば見知らぬ場所にいて、
親子を助けた絵楠にとりあえず助太刀して 空を飛び戦いから離れ、ようやく自分の今を認識した
RPG世界では基本的に中世ファンタジー、現実世界の現代的な建物には馴染みが薄いのだろう

30名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 00:19:46 ID:eMHibEhY0
>>29
「本来ならこの世界にあの怪人達は居ないはずなんだ。勿論今の俺の姿も。全て、空想上の物だからね」
「でも、今はこうして……現実のものになっている。その理由を探らないとこの状況はどうにもならないな」

ワサビの話を聞き、返答しながら思案する。
マスターから聞いた話からすれば、自分達の行動がきっかけで異世界と繋がっているのは理解出来る。
それにしてもこれだけ大規模な融合が起きているのは、和とマスターが話していた『扉』が原因なのか、それとも――

「……ん?」

目の前の空間に壁の様なものが出来ているのをオーズは確認する。
正確には――ドーム?

「これは……外部からの接触を拒絶しているみたいだな」

壁に手を触れ、感覚でその本質を読み取る。
この壁、内部からの干渉は出来ても外部からは遮断されている様子。
――しかし、オーズにはそれを打開する力がある。

「ワサビ、少しの間俺の背中辺りにしがみついてくれないか?このドームを引き剥がす」

31名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 00:41:29 ID:snl6iVV.0
>>30
「んー 空想上の物っていうのがよくわかんねえッスけどともかく異常事態発生中って事ッスね」
「その発生源があの化物連中の生産元なら叩き潰すのがてっとり早い…… ?」

「ん、なんすかこれ?」

ガン、ガンとオーズの手をターザンロープのように揺らし蹴りを喰らわすワサビ
オーズがうっかり手を放したら真っ逆さまだがどうするのだろうか、高度的に即死余裕であるが

「怪しい臭いプンプンするッス!こいつは初っ端から大当たりかもしれないッスね!」
「あいあいさー!全力でぶち壊すッスー!」

オーズの体にしがみつき、背中側によじ登りしがみつく
10代前半の少年程度の身長と今の絵楠の身長から容易にくっつくことができ、
服を着た犬を触るような感触が背中に…… 鎧を付けているから感じない、残念

32名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 01:36:17 ID:eMHibEhY0
>>31
「よし。……そろそろ出てこいよ。"ギル"」
『やっと呼んだか、遅いぞ絵楠!』

オーズの呼びかけに答え、オーズの身体から背後霊の様に何かが現れる。
プテラノドンを模した頭部、トリケラトプスの様な重厚な剛腕、ティラノサウルスの様な力強い脚――ギルと呼ばれたその怪人は、かつて絵楠が違う世界線で成り果てたというメダルの怪人。
しかし正史を歩んだ絵楠にとっては、とても心強い相棒になっている。

「このドームを破壊する。久々に、アレをやるぞ」
『了解。加減はするか?』
「ワサビが振り落とされない程度には、といきたいが……ワサビ、ある程度の覚悟はしてくれ。――変身」

ドライバーにセットしていた赤いメダルをホルダーに収納し、代わりに体内から排出された紫のメダルをセット。
右側に装着しているオースキャナーでセットしたメダルを読み込みコンボを変化させる。

『プテラ!トリケラ!ティラノ!――プットティラーノザウルースッ!!』
「――うおおおおおッッ!!!」

変化した先は、ギルの姿形をそのままヒロイックに変質させたような――オーズの最強形態・プトティラコンボ。
野に解き放たれた獣宛らの咆哮を轟かせると、それに呼応して外部からの干渉を受けない筈のドームが凍り付いていく。

「紫のメダルが持つ特性、それは『無』。こいつに常識や相性なんて通用しない――だから、このドームは無意味だ」
『スキャニングチャージ!』
「――セイヤァァッ!!」

ドームが完全に凍り付いたのを確認した後、再びオースキャナーを起動――
強烈なドリルキックを浴びせ、ドームを一気に破壊し内部へと突入する。


「……へぇ」

ドームの内部にいた人間が、オーズとワサビを見て感心するように声を漏らす。
その顔は――絵楠と瓜二つ?


「……シェアッ」

マガゼットンを撃破後、光の粒子となり消えていくオーブ。
オーブのいた場所には息を切らしつつも以前ほどの疲労は溜まっていないガイが佇んでおり、巨大化した者同士の戦いは終わったと言える。

「……嫌な空気はなくならない、か」
「あのバーのマスターが言ってたことと、何か関係でもあんのか……?」



新規さんも募集中やで_(:3」∠)_

33名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 10:41:39 ID:BA9BzwL20
参加しまーす!(自分の文章力に目を背けつつ)


 ――自然と。
 ――右の瞼を押さえていた。

 立ち止まって、空を見て。

 ――俺は、それを知っている。
 違う、知らない!
 知らないはずだ。なのに、何故――。

 背中に、衝撃。
 誰かにぶつかった。
 倒れそうになったが、持ちこたえる。

「おっと、ごめんなさい!」

 後ろから声。
 すぐに振り返ると女の子が頭を下げていた。
 腰まで届くくらい、長い髪の女の子。
 綺麗な黒い髪。赤い瞳。

 ………女の子に、ぶつかった?
 ああ、俺は、セクハラとかで訴えられる?
 慰謝料とか?
 怖い……!

 ――――違和感。
 けれど、それが何であるか気づくことができずに。

「だ、大丈夫! 大丈夫! 急に立ち止まった俺が悪いんだし、謝るのはこっちの方だ! すまない!」

 しかし、彼女は、俺が先ほどそうしたように、空を見上げていた。

 ――――違和感。
 けれど、それが何であるか気づけずに。

「あれって、何かの撮影?」
「さ、さあ? 周りの人は、アレに気がついていないみたいだけど」

 ――解析は、終わっていた。
 違う、違う。知らない、知らないはずだ。

 彼女の方を見ると、目があった。
 違う。見られていた。

 ――――違和感。
 けれど、それが何であるか気づけずに。

「な、なに?」
「その目。オッドアイっていうんだっけ? それ本物?」
「え……。オッドアイ? 俺が?」
「左……じゃなくて、右か。黄金色の瞳、綺麗だね?」
「黄金色? 右目が?」

 右の、瞳。
 そういえば、空を見る前に、手で押さえていた。

「もしかして、気がついてない?」

 彼女はカバンを探って、手鏡を取り出した。
 さすが、女子。鏡を持ち歩いているなんて。

 ――――違和感。
 けれど、それが何であるか―――

 鏡に映る、自分の瞳。
 黄金色の瞳。
 ――黄金瞳。

「本当だ……」

 ――いいや、分かっていた。嘘をついていないという事は分かっていた。嘘をつけないという事は―――

 その黄金色の瞳を見て、違和感は、確信に。

「ああ、鏡、ありがとう。俺は有城拓人(ありしろたくと)。きみは?」
「私は上条咲野(かみじょうさきの)。………今度ともよろしくでいいのかな?」

 そして、彼女はまた、空を見上げる。

「あれって放っておいて大丈夫?」
「…………駄目だと思う」

34名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 10:44:46 ID:BA9BzwL20
 突然の大きな揺れ。
 それは、2人にも衝撃を与えた。

「ひゅう! よく分からないけれど、面白くなってきたねぇ!」
「ヒィィィ! 面白くねーよ!?」

 咲野は意気揚々と笑み、拓人は戦々恐々と震える。

「危ないから逃げよう! 今すぐ逃げようハリーハリー!」
「煩い。私に逃げるという選択肢はない! 逃げるならおまえだけ逃げればいい」
「そ、そんな、……お、女の子、を置いていけるわけないだろ?」
「私は男だ。問題ない」
「えっ、そ、そうか」

 拓人は知っていた。しかし、はっきり男だと言われるとは思わず、少し驚く。

「あんまり驚かないんだね?」
「黄金瞳は性別も見抜くことができるらしい」
「オウゴンドウ? ……それは、その右目のこと?」
「ああ、黄金瞳はすべてを見抜くとか、すべての想いを受け止めるとか、俺もよく分からないがとにかく危ないから逃げよう!」

 最後の方は早口で。
 強引に咲野の腕を掴む―――。

 バチッ!
 刹那に輝く青色の光。

「痛ぁっ!?」

 あまりの痛さに地面に倒れ伏す。

「ってぇ、痛っ……。これ、静電気!?」
「おっと、ごめんなさい。わざとじゃないんだ。――それで、私は逃げないけど、おまえはどうする?」

 拓人は情けない姿で地面に伏しながら答える。

「……きみは女の子じゃないけど、見た目は女の子だ。もし逃げたら、側から見れば俺は酷い奴だと思う。それと、性別とか関係なく心配だ。俺の黄金瞳が役に立つことがあるかもしれない。だから俺は逃げな……諦めない」
「最後何で言い直した?」
「その方がかっこいいかなって」
「今のおまえの姿を見てみろ。かっこいいもないと思うよ」



解析マンと男女平等パンチ系女装男子です。
ガバガバ設定とクソみたいな文章ですが大目に見てほしい。

35名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 14:58:17 ID:eMHibEhY0
>>34
「……!おいアンタら、誰だか知らないが、何でこんな危険な所にいるんだ!」

オーブリングを隠し、二人の元へと向かうガイ。
野次馬か何かなのかと思いつつも、次何が起こるか分からない現場にただの人間(ガイ視点)を巻き込むわけには行かない。

「今の状況は分かってんだろ、すぐにでも逃げた方がいい」

辺りを見回すガイ。
マガゼットンと自身の戦いのせいもあるが、周りは瓦礫の山。
それに現れているのは怪獣だけではない。怪人、とやらも暴れている現状。
兎にも角にも、二人を何とかしてこの場から遠ざけたいようだ。

36名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 15:03:38 ID:snl6iVV.0
>>32
「万が一落ちてもなんとかするから大丈夫ッス!     多分!」

背中にしがみついたまま、なんなら振り落とす勢いでも余裕綽々な態度を見せる
風の魔法でもあるのか不明だが、心置きなく攻撃できるであろう

絵楠とギルの雄叫びにより、凍りつくドーム

「うおおお!! 世界も凍るこの威力……」
「ってそのまま回転したら酔うッス!」

オーズが蹴りを放つ直前に、手を放ち空中へと飛ぶワサビ
自由落下で元ドームがあった場所へと落ちていき、地面に激突する直前に風を放出し、ふんわりと着地した

「…………あんれ?見知った顔がいるッス? おいおいエクス!こんなところで何やってるんスか?」

37名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 15:43:32 ID:eMHibEhY0
>>36
「……ッ!待て、ワサ――」
「――サンダガ」
「!チィッ……!はぁッ!!」

突如、男の方からワサビに向けて極太の雷が撃たれる。
間一髪ワサビの目の前に飛び込んだオーズが放った冷気によって相殺することは出来たが、その威力は桁違いだ。

「お前は、誰だ……!?」
「はぁ、知らない筈がないのに酷い事を言いますね。……エイラって言えば、分かりますか?」
「エイ……何故お前が、俺達と敵対している!?」

エイラ。かつて絵楠が共に戦った、異世界の自分。
心を許しあった友である筈なのに――何故、牙を剥いてきたのか?

「まぁ、君の疑問は近い内に解消されるから……僕の用事を済ませますよ」
「何を――」
「やれ」

オーズの目の前に出現した魔法陣から飛び出した漆黒のトラクローが、オーズの胸を貫いた。
一瞬の内に体内に眠っていたメダルを三枚奪われ、ギルの姿が掻き消えてしまう。
同時にギルの消滅から絵楠はオーズとしての姿を維持できなくなり、ドライバーから飛び出たメダル、そしてその場に落下したホルダーの内部――赤・黄・緑・白・青・橙・特殊なもの、全てのメダルを奪われた。

「う……ぐ……ッ!」
「そうそう、これが欲しかったんですよ。このメダルの力、君みたいな奴が振るうには惜しすぎるんだ」
「何、を……!」
「邪魔だよ」
「ぐあっ……!」

胸を抑え苦しむ絵楠を冷ややかに睨みつけ、蹴り飛ばす。
ダメージが残ったままの絵楠は力無く転がり、ワサビの方へと倒れ伏す。

38名無しのカウンセリングだべ:2017/03/20(月) 17:39:45 ID:snl6iVV.0
>>37
「! 相棒! お前……!」

地面に伏す絵楠の様子を確認し、今しがた何かを奪い去ったエイラに睨みを効かせる
体を跨いでエイラと対峙すると、拳を掌に打ち付ける

「理由も事情もわかんねーッスけどあんたが悪いやつってのははっきりわかるッス」
「昔の仲間に似ている分余計にムカムカする、その顔ぶん殴って見分けつける目印にしてやるッス」

ワサビの後方の地面から、水色の半透明な障壁がワサビとエイラ、絵楠を分けるように出現する
ほんのわずかな時間しか一緒にいなかった相手だがもはやそんなことなど頭から消え失せ、ただただ強い憤りを感じた
少なくとも人の物盗んでスカした顔をした奴なのだ、絶対絶対悪いやつに違いない

「っ―――― ハァ!!」

懐の二振りの剣を抜き、間合いを一気に詰めると
左上から右下へ、右上から左下へとクロスさせるように斬撃を放つ

39名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 00:01:35 ID:eMHibEhY0
>>38
「随分と血の気が多いなぁ、嫌われるよ?」

光の壁を作り出して斬撃を易々と受け止め嘲笑うエイラ。
絵楠と同じ顔だというのだから、尚更腹立たしい。

「まぁ、でも」
「そろそろチュートリアルが終わるには丁度いい頃、かな?」

「――君、そこから離れて!フレアッ!!!」

先程聞いた筈の声と、殆ど同じ声が聞こえる。
同時に一瞬後退したワサビとタイミングを合わせるかのように、エイラに向けて核爆発が放たれた。

「間一髪……でも、ないですか。……僕はエイラ。エイラ――アーウェンです。」

先程のエイラが少々怯んでいる間に絵楠達の元に現れたのは、もう一人のエイラだった。
いや、絵楠達に取ってすればこちらが本物か。

40名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 00:10:48 ID:snl6iVV.0
>>39
「あんたみたいな冷酷非道よかオイラみたいな熱血漢のほうがモテるんスよ! 今にその顔に……」

口を開け、鋭い牙を見せながらジリジリと光の壁に刃を食い込ませて行く
硬く防ぐ壁だが、馬鹿力に任せて攻撃しているのか刃の部分にヒビが入り今にも破壊せんと

「! えぇ!?」

刃を引っ込め、目の前が一気に明るくなるワサビ
剣を引っ込めるのにわずかばかり時間が取られ、十分に時間が取れなかったため
マフラーを伸ばすと自分自身の体を多い、核熱を防いだ

「い…… 今の声………… またあんたッスか!?」
「えぇい一体全体何人エクスがいるんッスか!もういい一人ずつ横に並ぶッス!目ン玉に青痣作って見分け付けやすくしてやる!」

41名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 00:24:36 ID:eMHibEhY0
>>40
「っはは、迷うよねぇ?いいよ、僕のこと分かりやすくしてあげる」
「僕の名前は、エイラ=アレイスター」

先程戦っていた方のエイラは可笑しそうに笑うと、ポケットから取り出したヘアピンを髪の毛に付ける。
ヘアピンを付けて白衣を着た絵楠がアレイスター。
これだけで一気に分かりやすくなったとは、思われる。
もう一人のエイラは、髪の毛が跳ねていない今の絵楠――言うなれば、昔の絵楠そのままのような見た目で少し近来的な服装。
そして絵楠は髪の毛の左側を跳ねさせており、この世界の一般人さながらの格好である。

「さて、少し人数が少ないけど……まぁいいか。
ワサビ君だったかなぁ?君も聞いていくといいよ、僕の話をね。あ、拒否権はないから」
「ッ!これは……」
「動け、ない……ぐっ!」

不敵な笑みと共にアレイスターが指を鳴らすと、絵楠・エイラ・ワサビの三人を雷の鎖が縛り上げる。
どうやらこのまま話を聞くしかなさそうだ。

42名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 00:59:46 ID:QduksON20
『いいかい、君のことだからすでに分かっていることだろうけど 彼らとは戦ってはいけないよ』
『君が今までどんな経験を積んで来たか、僕はわかっているつもりだ』

『けれども、君は…… やはり、感覚的には一般人に近い』
『異能を持っていないからとかそんな意味でじゃないよ、事実そんなもの持ってないにも関わらずいろんな人を保護したり事件を解決してくれたしね』


『……ただ君は、飢えていない。それに対して彼らは飢えているんだ』
『どっちがいいとか悪いとかそんな話ではない、ただその差は大きいんだ』


『…………限りなくね』




ーーーーーー
「………開いた」

扉から軽快な音が響き、短いようで永遠に感じられた作業の終わりを告げる
ロックピックの道具を下ろすと部屋の中に入り、1日ぶりの我が家ーーーー ボロアパートの、それでも気の休まる自分の城に入り、ホッと一息ついた

私に足りないもの、飢えていない者と飢えている者

恐らく ……勝利への執念、相手を打ち倒したいという感情だろう

「………… 怒鳴り込んで来ないと思ったら泊まり込み、こうなっているから召集かかっているのかしら」

同居人の姿が見えない、そう考えるとテーブルの上に
《緊急の召集により二、三日家を開けます、食事はカロリーメイトに頼らずきちんと食べるよう》
と書かれたメモ用紙と鴉の羽が置かれていた
……危険な時に一緒にいないため不安になったのか、安全な場所にいると知ってホッとしたのか自分でもわからない

「……………… 私は今まで、闘いを避けることを念頭に置いて来た」
「勝てなくても、無様に負け死んだふりをしようとも前に進もうとしてきた …………今回の事件は、それでは駄目、そういう事なんでしょうね」

敗北主義者、負けると決めつけなるべく闘いを避ける道を探す人間を指す言葉
学園にいた頃から魔力や異能に恵まれず、モンスター達との戦いも勝つことよりも次に繋げることを念頭に置いてきた
その溜まりに溜まったツケが、このザマだ

「今更どうすればいいかなんて全くわからない、少なくとも心を入れ替えて殴りかかっても勝てない それだけは言える」
「それなら今までのスタンスを貫くだけよ、闘わなくていい、数百の黒星がつこうがかまわない」

「最後の最後の白星一つ、それだけよ」

43名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 01:04:24 ID:QduksON20
>>41
「グギッ!? おいコラアレイスター!区別つきやすくしてくれたことだけは褒めてやらんことも無いけど野郎に束縛プレイされる趣味はねーッス!!」
「このふざけた鎖と、アガガガガガガ!!!」

鎖でがんじがらめにされ、バランスを崩して前のめりに倒れるワサビ
大声で抗議をし、牙で食いちぎろうと噛み付くも雷の鎖ということで感電した

「くぅ……説明するならさっさとするッス!」

44名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 01:54:56 ID:eMHibEhY0
>>43
「いいよ、説明してあげる。なぁに、簡単な話さ。これはそう……ゲームだよ。僕と――エイラ・アーウェンのね」
「勝手に僕を巻き込まないでくれますか……!?」
「嫌でも巻き込むよ?そのために僕は異世界からの侵略者となったのだから」

怒りの篭った瞳で睨みつけるエイラを尻目に嘲笑うアレイスター。
絵楠と同じ顔、エイラと同じ名前とは思えない。――邪悪の塊だ、この男は。

「僕達は既にこの神守町や周りの町の中に幾つも拠点を置いてある」
「君達は戦力を整えて、僕達の拠点を攻めるがいい。全ての拠点を落とすことが出来れば合格、晴れて僕達の本拠への挑戦を許そうじゃないか」
「あぁ、ちなみにこれも拒否権は無いよ。拒否すればエイラ・アーウェンの命はない」

一方的な押し付けだ。だがそれでも断る事は出来ない――
エイラの命を死に至らしめる方法を持っているのか否かも気になるが、少なくとも拠点を落とさねばそれぞれの町の平和も危ういのだ。
――ゲームを受けるしか、方法はないだろう。

「あぁ、それともう一つ」
「君達が戦力を整えている間にも、拠点を探す間にもまた今日のような事件を起こすかもしれないってこと、忘れないでおいてくれよ?」
「それじゃ――せいぜい足掻いて見せてよ、招かれるもの、この世界のもの」

アレイスターが消えると同時に鎖も消えるが、この現状――
完全な、敗北である。

45名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 10:14:14 ID:kCcJL1zQ0
>>44
「…………………………」

「い、一体全体……… なんなんッスかアイツ!」

エイラが消え、拘束が解かれる
しばらくの間静寂が支配し、互い互いに視線を交じ合わせると、
ワサビが怒号をあげ足元の石を思いっきり蹴る

「いきなり現れてはいけすかないスカした顔でよくわかんないゲーム吹っかけて!」
「相棒からよくわからない理由でメダル取り上げて!」
「おまけに全く同じ顔のやつが3人もいて!わけわかんねぇーッス!!」


巻き込まれたワサビ、そして直接的な当事者ではない絵楠にとって、理不尽でしかないゲーム
その人質が見知らぬ(ただし知り合いそっくりな)人の命、
関わる理由は、ない はずだった

「……やっぱりぶっ飛ばしてやらねぇと気が済まねえッス!!勇者としても!単なる『ワサビ』としても!」
「いいっスよ、その喧嘩買うッス!!!」

だが、単純なエイラへの怒り……義憤、性格的な相性、そのほか諸々……
これらの要因で、ゲームに乗ることを決めたようだった

46名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 12:21:11 ID:YNHe0Jv.0
>>45
「すみません……僕の責任です。それなりに長い間こちらの世界に滞在していたというのに、奴の存在を見抜けず……」
「エイラ、終わった事を悔いても仕方ない。今はとにかく、奴等の情報を集めなきゃならない……悪いなワサビ、面倒な事に巻き込んだみたいだ」

行き場のない拳に力を込めるエイラを窘める絵楠。
自身もメダルを奪われたことに対する悔しさを感じているが、今はそれを優先すべき時ではない。
奴等の対策と情報を集めないことには動きようもないからだ。

「それなら絵楠さん、これを渡しておきます。ワサビ……さんの分は、またいずれ」
「小型の通信機?一体何に使うんだ?」

その説明は後程しますから、と言うエイラの言葉と共に。
少しずつ辺りが騒がしくなってきた。ドームの事に集中していて気づかなかったが、どうやらここは廃工場の一つの模様。
今まで一部の人にしか視認できないとされたオーブや怪獣と違い、マガゼットン・怪人達の一見から察するにもはや異世界の者が一般人には見えないという概念は消えたも同然。
何より、フレアの爆発音を聞きつけない人々がいるとも思えないのだ。

「詳細は後でその通信機を通してお伝えします。どうやら絵楠さんの方でも、頼りになりそうな人がいるみたいですからね」
「知ってたのか」
「いいえ、ただの推測です。……さ、早くここを離れましょう」

絵楠達に通信機を渡したことを確認すると、その場を離れるエイラ。
それを見送り通信機をポケットにしまうと、絵楠もその場で立ち上がる。少しばかり、ふらついてはいるが。

「ワサビ、俺達も行こう。俺に行く宛があるんだ」

絵楠が向かう先は一つ。――マスターのいる、バーだ。

47名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 15:11:58 ID:V4oZv0w20
>>46
「ここにいつまでも居るわけにはいかないッスからね、お供するッス!」

万全とはとても言えぬ体調の絵楠を心配そうに見つつ、いざという時のために抜刀したままである
こうして二人がバーに向かい始めた頃、隣夕闇町でも一人女子高生が行動を開始していた

ーーーー烏屋side 夕闇町

「……………」キョロ……

「……………………」キョロ……

「(折角戻って来たのだから軽く調査するつもりだったのだけれど……)」

「(なんだか……多くない?)」

家で支度をし、神守町への帰路を少し遠回りし自分の住む町の様子を見回った
気のせいか、いや明らかに、ニュースで流れたような怪人達が、たまに歩いているのを見かけるのだ

異世界からの迷子の可能性も探って見た。
結果はおそらくノー、あの目は異世界に来た不安というものがなく
餌食を探す狩人の目だったら

「(神守町にいた集団が散らばった? 対抗する人がいないのならそれも理解できるけど……)」

「(クレナイさんという目立つ存在がいる以上、まとまってるはずと考えた方がいい)」

そんな彼らを、とっさに隠れた茂みの中から観察しながら一人思案する
散らばる必要はない、それなら他に何が考えられるか?

「(別の集団がいる、もしくは…… 集まる場所が、ある)」
「(あの規模の人数がどこか拠点を構えるために施設か何かを強襲するとしたら大きなニュースになるはず、しかし未だそんな情報流れてこない……)」

手元にある一世代前の端末を弄り、異世界関係のニュースを探る
アメリカがICBMの発射準備に入ったとかそんなニュースをそっと見なかったふりをし、
探るも施設を襲撃したという情報はない

「(それなら廃墟とか、あるいは下水道…… は、道の複雑さからなさそう)」
「(とりあえず何か拠点になりそうな場所は……)」

地図アプリを起動し、周辺、神守町の廃墟の情報を探り始めた
果たして、拠点になりそうな場所の情報は見つかるか?

48名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 15:47:39 ID:eMHibEhY0
>>47
和の現在地から周辺に掛けての情報がマップに表示される。
幾つか廃墟はあるものの、それはどれも小規模な物ばかり。
――が、その中に一つだけ違和感を覚える物があった。
ちょうど現在地から近場に、他の廃墟に比べて規模が大きい廃工場がある事が目に付く。
しかし、その工場は少なくとも三日前までは、普通の工場として動いていた筈の物。
僅か三日間で工場の物全てが廃棄されるとは考えづらい。
恐らく――怪人達の拠点の一つだろう。


「すいません、留守を任せてしまって」
「あぁ、気にしなくていいって。それで、彼は……ウチの絵楠は、力を取り戻したのかい?」
「えぇ、これで僕らの事を隠さずに済みます。けど……
敵に、その力を奪われました」
「そっか……なら、ウチらで全力でバックアップしてあげなきゃね」

司令室の様な部屋に戻り、女性と会話をするエイラ。
ウチの絵楠――そう話していたのは、絵楠が務めている会社の編集長、「如月由紀(きさらぎゆき)」。
何故彼女がエイラの事と異世界の事を知っているのか。
それはエイラの苦肉の策、そして――ここを『レジスタンススペース』として運営するための、仕方の無いことだった。

49名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 16:05:35 ID:4tNfED8A0
>>48
「……唐突に立ち退きされた工場?」

三日前。
まだこんな事件が起きるなんて夢にも思っていなかった、遠い昔のように思えるあの頃
なんとなく耳に残っているニュースだが、不況の煽りを受け倒産したものだと深くは気に留めていなかった

「(状況的に考えて、明らかに怪しい 99.9%の確率で何か……)」
「(さすがに多く見積もりすぎね、せいぜい80%……70……)」

「(……私が見つけたものだから30%くらいの確率で何かある、いずれにせよ情報としては不正確)」

「(100%にする必要がある……)」

茂みからわずかばかり姿勢をあげ、辺りに怪人がいないか確認する
人影一つないことを確認すると、動き出した


「(この廃工場の近くに確かアパートがあったはず、あそこから様子を探る……!)」

50名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 16:37:08 ID:eMHibEhY0
>>49
アパートまでは無事に移動できた。どうやら怪人達の多くは目的の廃工場の方に消えていった様子。
工場の入口付近には見張り役の戦闘員こそいるものの、ちょうど和がいる場所からは内部が微かに見える状態ではあった。

「――あのアレイスターとかいう男は底が知れんが、この世界の侵攻という目的は面白いものだな」
「――しかし、これからどうするのですか」
「――ふん、知れたことよ。バグスター共から奪ったこの『バグスターウイルス』を利用させてもらう。いいデータが取れそうじゃないか」

工場内の男達の会話が聞こえる。わざと聞かせているのか、ただのマヌケなのかは定かではないが――
どうやら、仮面ライダーで有名な『ショッカー』のような組織も今回の事件に関わろうとしているようだ。

51名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 17:32:00 ID:snl6iVV.0
>>50
「(……100%)」

風に乗り、聞こえてきた工場内の声
ずるずると壁の後ろに隠れ、バーのマスターに何か拠点のような物を構えているということ、
そして地図情報のデータを送り、気付かれる恐れがあるためそちらからは連絡しないよう伝えた

「(情報としては伝えることが出来た、このまま引き上げたほうがいい……)」
「(……本当に引き上げたほうがいいの?」

このまま戻ってくるであろう絵楠達に、丸投げする
戦闘能力がない自分が関わっても足を引っ張るだけだと冷静な部分が告げている
しかしそれでいいのかと、違う自分が問いかけているのも事実だった



―――――ワサビside バー【踊る猫 神守町支店】

「つまりオイラみたいな奴が泊まれる施設って事ッスね?」
『そう思って差し支えはないよ 何十人と長期に滞在されるのは困るけどね』
「あーよかったッス!あんな化物連中ウロウロするところで野宿するの覚悟してたッスよ〜」

絵楠の案内で、無事にバーにたどり着けた二人
黒猫のマスターは新たな来訪者を暖かく迎え入れてくれた

『……それで何か情報がないか、という話だったね』
『少し前に和ちゃんが出ていったから、時間的にそろそろ何かを掴むころだと…… ……噂をすれば、か』

懐から携帯端末を取り出すと、目を細めて何かを確認するマスター
少し何かを操作し、カウンターに座る二人に画面を見せる

『どうやら君たちが話していた拠点を見つけたらしい、場所は夕闇町の廃工場のようだね』
『エクス君、君の携帯に情報を送るから連絡先を教えてくれ ……よし、送信した』

絵楠に地図の情報が送信され、携帯端末で場所を確認できるようになったらしい
ここから少し歩いたところにある、大規模な工場だ

52名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 18:09:13 ID:QzssE9Ic0
>>51
「ん、確かに。教えておきます。……っと、ここか…々早速」
『ちょっとちょっと、絵楠さん』

ポケットの中の通信機から聞こえるエイラの声。
気づいて通信機を取り出してみれば、通信機から映し出されたスクリーンに――エイラと由紀が映し出される。

「編集長?何でエイラと一緒に……」
『あー、それも今から話すから!エイラちゃん、お願い!』
『ちゃん付けはやめてくださいってば!……まず第一に、絵楠さんに新しいドライバーを届ける話もしなければいけません。……ここのバーのマスター、でしたか?盗み聞きをするつもりはありませんでしたが、前もって謝っておきます』
『……それで、話したいことがあります。いいでしょうか?』

通信機の中で漫才の様なことをしながらも、エイラはマスターに聞く。
まずは互いの状況整理からだ。

53名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 18:21:00 ID:snl6iVV.0
>>52
『僕は構わないよ、 どうやら敵ではないみたいだしね』
「……異世界すっげーッス……」
『それに彼も気にしていないようだ そうだね、積もる話もありそうだ』

『聞かせてもらおう』

磨いていたグラスを棚に置き、ゆったりとくつろいだポーズでカウンターに身を預け、
エイラの話の続きを促す

54名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 19:04:18 ID:QzssE9Ic0
>>53
「エイラ、俺に新しいドライバーっていうのは……」
『CR……絵楠さんならご存知でしょう。仮面ライダーエグゼイドの中に登場する、バグスターウイルス専門の医療機関』
「……まさか、俺専用のゲームドライバーでも作ったのか?」
『何とか許可を貰いましてね。後は、貴方や広樹さんに関わるガシャットを……今、そちらに配達しているところです』
「分かった、ありがとう」

絵楠とエイラの話は一旦区切りがついた模様。
続けて、マスターに話をする。

『さてと。先程の様子だと、拠点……つまり、アレイスターが仕掛けてきたゲームの話は既にご存知、でいいですね?』
『……改めて、マスターさんも含めて自己紹介をさせて貰います。僕はエイラ・アーウェン。童守学園では先生をやらせてもらっていた身です』

ぺこり、とお辞儀をする。とてもじゃないが、やはりアレイスターと同じ名前とは思えない。
向こうがあまりにも邪悪過ぎる、のだが。

『僕は、半年程前からこちらの世界に来ていました。明らかに不穏な気配がこの世界全体から出ていたので……』
『そこからはウチが話すね。そんでもってエイラちゃんは、前に自分達の世界で一緒に戦った絵楠くんが働いてるウチの「如月ジャーナル」に話をしに来たの』

エイラに続いて由紀が詳細を語る。由紀が何故エイラの事や絵楠の力に付いて知っていたのか。
どうやら他ならぬエイラ自身が、由紀の前で魔法を披露したらしい。
それだけでなく、由紀も日頃から異世界から迷い込んだものが「見えていた」というのだ。

「それで、エイラの事を知ってたんですね」
『そそ。で、半年近くかけてやっと一週間前にウチの地下にこの「レジスタンススペース」が完成したのよ!……まぁ、そのせいで全ッ然人手も戦力も足りてないワケ』
『そうなりますね。……それで、話というのは……僕達と協力して、アレイスター達と戦ってほしいんです。情報収集や、戦力のこと……色々と、貴方の事を頼りにしたい』

55名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 20:11:20 ID:snl6iVV.0
>>54
『…………』

『君たちの話は理解できた。 情報収集に関しては任せておくれ』
『ここは客達の話が集まる場所だからね』

そう朗らかに笑い請け負うバーのマスター
ただし、人差し指を立てて言葉を紡ぐ

『戦力としてはあまり期待しないでほしいんだ、僕自身あまり魔法は使えなかった方だからね』
『それに彼女の事も ……学校の先生をやっているのなら、ご存知でしょう』

彼女…… ここにはいない、烏屋のことだろう
普通の一般教養の科目と護身術の授業ぐらいしか取らず、魔法も扱えない生徒だったはずである
一応籍は学園に置いたままだが

56名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 21:45:38 ID:eMHibEhY0
>>55
『分かりました。情報の共有をさせて頂けるだけでも有難いです。無理を押し付けてしまって申し訳ありません』
『……っと、そろそろ到着する頃合ですね』

マスターに謝罪した後、画面の向こうで時計を確認するエイラ。
彼が喋り終わるのと同時に、白衣を着た男性がバーの中へと入ってきた。

「すいません、山亘理絵楠さんに渡す荷物を持ってきたんですけど……」
「あぁ、絵楠は俺です。……君は……」
「僕は……CRのドクター、宝生永夢(ほうじょうえむ)です。まだ研修医ですけど……これ、渡しに来ました」

永夢の手から渡されたアタッシュケースを開く。
中に入っていたのは、緑や黄色を貴重に配色が非常に目立つ『ゲーマドライバー』。
そして――絵楠や彼の兄が異世界で変身したライダーの力を搭載した変身アイテム『レジェンドライダーガシャット』が7つ。
メダルを取り戻すまでの繋としては、十分すぎる量だ。

「それと、もう一つ自販機みたいな物が……」
「自販機……あ、分かった」

絵楠の勘が告げている。
オーズに変身できずとも、どうやらバイクはオーズの物を使えということだろう。



>>51
「――で、すぐにでもウイルスを散布するのか」
「――まぁ待て。どうやら近くにネズミが紛れ込んでいるようだ。そいつを捕まえて実験台にすればいいだろう」
「――それもそうだな。お前達、周りを調べろ」

一頻り話終えたかと思えば、和の隠れている場所を見透かしているかのような目線を送り付けた後、戦闘員や怪人達を散開させる。
――恐らく、見つかっただろう。

57名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 22:06:36 ID:snl6iVV.0
>>56
「…………勘付かれた」

心の中を冷たい何かが支配する
敵意を向けた集団が、よりにもよって自分ひとりのために総出で歓迎してくれるらしい
嬉しくない、これっぽっちも

「距離がある場所で見ていたのは正解だった。 ……誰もいないわね?」

自分が見張りに使っていた場所のすぐ近くの部屋を確かめる
何故わかったのか――― 理由は簡単、このアパート恐らく誰も居ないのだろう
他の県ではこの現象が起きていないがゆえ、どうも大規模な避難が行われているらしい
鍵はかかっているが中から人の気配は感じない

「……………開いたようね 決しては戦ってはいけない、ね」
「少なくともアレらとは戦おうとは思えないけど」

土足のまま、部屋に入り込むと鍵を閉めベランダへと直行する
恐らくこの部屋の住民はかなり慌てて避難したようだ、食卓の上に食べかけの料理が乗っている

「よっ――――」

タン

ベランダの手摺に足をかけると、迷わず隣の家の屋根に飛び移る
あの廃工場とこのベランダは、正反対の方向だ
多少派手な行動を起こしても隠してくれる

「(少し距離を稼ぐ、そして適当な家に潜り込む)」
「(私は別に彼らの仲間を殺したわけでも、重要な何かを持ち去ったわけでもない ……見失ったとなれば簡単に諦めてくれるはずだ)」

屋根伝いに違う家へと移動し、なるべく道から隠れるように動く
あまり遠くの家には飛べない、少しずつ慎重に、諦めるまで

58名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 22:49:16 ID:eMHibEhY0
>>57
「ほう、どうやらあの小娘はアグレッシブなタイプの様だな」
「感心している場合か?……鳥型の怪人に追跡をさせるぞ」
「好きにすればいい。どの道泳がせておけば奴等が現れるだろう」

先程まで気配を感じとっていた筈の和がその場から即座に退散した事に気づき、思わず関心の声を上げる男。
もう片方は呆れつつもすぐに対応する辺り、この程度の予測くらいは出来ていたのだろう。
工場の中から、鳥型の怪人達が和を見つけんと空から偵察を始めていた。


「マスター、和の方はどうなってますか?俺は今から現場に向かおうと思ってるんですが」

ゲーマドライバーを持ち、すぐにでもバーを出ようとしながらも落ち着いた様子で絵楠は話す。
その佇まいから感じるオーラ――伊達に異世界を巡ってきた訳では無いようだ。

「ワサビ、それと永夢先生も来てくれるか?エイラと話が付いてるってことは……」
「勿論。僕も付いていきますよ。いいですよね、エイラさん」
『はい。絵楠さんのこと、よろしくお願いします』

永夢もまた、確かな意思を秘めた眼差しでそこに立っていた。
彼の持つオーラ――研修医で済むようなものではない。
彼も、立派な『ドクター』の一人だろう。

59名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 23:01:11 ID:snl6iVV.0
>>58
「そらもちろんッス! あんにゃろぶっ倒したいのはエクスやエイラだけじゃないッスよ!」

ブンブンとシャドウボクシング、恐らく目には見えないアレイスターに向け放っているのだろう
鼻息荒く、戦意満々 二人がいなかったら今すぐにでも出ていくのだろう

「……あれから連絡無しだ、向こうはこちらから連絡されたくない辺りどうも近場にいるらしい」
「僕自信が行けないのはもどかしいが、 ……頼んだよ、彼女の事は」

マスターは厳しい顔で端末を下ろすも、拠点の情報をもたらしてから梨の礫だった
少しスクロールすれば ………ずらっと並ぶ既読無視、もう少し連絡するように教えるべきだった

60名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 23:16:01 ID:snl6iVV.0






「……はぁ、はぁ、 はぁ……」

とある家の中、今しがた閉めたガラスドアを荒い息で見つめ、ドアからは見えない位置で荒くなった息を落ち着かせようとした
後数秒、気づくのが遅かったら。 もしもあの時、『空を飛ぶ怪人はいないのか』と疑問に思わなかったら
そしてもしも…… 不用心にもドアを開けたまま避難した家がなければ、確実に見つかっていた

「よりによって……地上からだけじゃなくて、空から……? まるで、屋上伝いに逃げた事……わかっているみたいに……」

外で鳥が通り過ぎる――本当に鳥か?――本当はもう、動きたくない
けれども動かなければ見つかる…… 行動を起こすのも、起こさないのも怖かった

「…………あの妙な感知速度……行動を見抜かれたような違和感…… …………主観的な考えは、証拠にならない」
「けれども、これは……恐らく伝えなければ」


                     「戦いを恐れてはいけぬぞ」
                      「戦いは己を成長させる」
                     「―――勝て、生き残るのじゃ」

「!?」

端末を操作していた手が震えた、何か妙な文字が入力され送信されたような気がする
携帯を取り落とすと隠し持っていた麻酔銃をとっさに構えた

「(………誰も、いない……? でも今、確かに声が………)」
「(………首の後が……熱い…… 虫にでも刺された……?痒い……)」

首の後に手をやる
何か、凸凹とした 腫れのような感触が手を伝わる

本人から見えぬそのかゆみの原因は、傷は 人に噛みつかれたような後をしていた

61名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 23:19:41 ID:snl6iVV.0
>>58
「―――! 来た!」

連絡が来ないと、話題に上がっている手元にメッセージが届いた
少し内容を確認すると、周りに見えるように提示して見せる

『勘付かれた、今は逃げて無事』
『距離を置いたにも関わらず感知 恐らく何かの能力』
『気をつけカロリーブロック』

「……思ったよりも、芳しく…… いやふざける余裕があるのか?」

62名無しのカウンセリングだべ:2017/03/21(火) 23:42:59 ID:eMHibEhY0
>>59-61
「やる気十分だな!頼りにしてるぞ、ワサビ」

そこまで言った所で、絵楠は和から送られてきたというメッセージを見る。
状況が若干飲めないが、すぐに助けに行くべきだろう。

「ワサビ、永夢。行こう!」

バーの扉を開け、外へと設置されていた『ライドベンダー』起動する。
自販機から即座にバイクに変形したそれは、尚更ワサビの頭を悩ませるだろう。
永夢も自身が乗ってきたバイクへと跨り、二人はヘルメットを装着。

「ワサビ、結構飛ばすつもりだからちゃんと掴まってろよ」
「急ぎましょう、彼女がどんな子かは分からないけど……助けに行かなきゃ!」

63名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 11:27:19 ID:snl6iVV.0
>>62
「… … … …」 ボ ン

理解の範疇を超えたメカニズムに、頭から湯気が立ち上る
思考回路が焼けてしまったらしい、携帯にすら驚いていた異世界人には理解しがたいものだろう

「アイアイサーッスーオイラシッカリ掴マッテルッスー」

口調がなんとも棒読み、ぎこちない動作で見よう見まねでエクスの後ろに座ると
しっかりと抱きついた

「イザー 救出ノタメニー」

64名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 12:42:43 ID:eMHibEhY0
>>63
「まぁ、普通そうなるよな!」
「大丈夫かな、ワサビ君……」
「安心しろ、ワサビは強い」

二人でバイクを走らせながら廃工場へと向かう。
敵がどの手段で和を捜索しているのかは分からないが、上空に微かに人成らざるものが見える辺り、やはり上空からも探しているだろう。
そして恐らく――勘づかれるのも時間の問題だ。

「っと!」
「バグスターじゃない怪人が、こんなに多いなんて……!」

バイクを走らせる二人へと降り注ぐ爆撃。
幾度となく車体を傾け着弾を避けてはいるが、このままでは直撃も時間の問題。
今の優先事項は――拠点を叩くよりもまず、和を探すべきか。

「和の奴、今何処にいるんだ……!?」
「怪人の方は僕が叩きます、絵楠さんはその子の事を!」
「ッ、任せた!行くぞワサビ!」

腰にドライバーを巻いた永夢に促され、絵楠はライドベンダーを別の方向へ走らせる。
すぐにでも和を見つけなければいけない。いるとすれば――アパートや家の中だろうか。

「さて――お前等の運命は、俺が変える!大変身!」
『ダブルガシャット!レベ――ガッチャーン!ダブルアーップ!!』
『俺がお前で!』
『お前が俺で!』
『マイティ!マイティ!ブラザーズ――ダブルエーックス!!』
「「超協力プレーで、クリアしてやるぜ!!」」

怪人達の群がる中でバイクを止め、橙と青で配色された『マイティブラザーズガシャット』を起動する永夢。
その瞬間永夢の一人称が変わり、ドライバーにセットしてレバーを可動。
一瞬、ビーダマンの様な体型の『仮面ライダーエグゼイド ダブルアクションゲーマーレベルX』に変身したかと思えば、更にレバーを戻して再び可動。
なんと、レベルX形態からエグゼイドが二人に増え、『ダブルアクションゲーマーレベルXX』に変身。
二人で口上を述べ、怪人達の方へと立ち向かっていく。

65名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 15:00:15 ID:snl6iVV.0

「…………」

「……しまった…………」

このタイミングで連絡する、その意味を今になって理解した
あの怪人の集団は何も自分を捕まえるためだけではなかった、『拠点に来た彼らを出迎えるため』だった

「あの時引くべきだった、気付かれた時点で失敗だった……」
「早く彼らに連絡を……!」


「誰に連絡するだって?」

「!」

窓ガラスが割れる音、何かが飛んでくる音――
そして壁に深々と突き刺さる、鉄製の槍 そして貫かれた携帯端末

「――鳥の怪人から、連絡があった」

「……はぁ、はぁ……!」

「俺たちが到着した時には開いていたはずの扉が……」

「あ、あぁぁ…… あっ……!!」

「――――何故かしまっていた、とな」

割れたガラスを踏みしめ、窓辺から入る夕日に体が反射する
金属製の全身鎧を身にまとった、恐らく怪人が―― 部屋の中に現れた

66名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 15:00:45 ID:snl6iVV.0

「っ……!」

冷たくなる心臓、震える足をなんとか抑え、ぶち壊す勢いで扉を開け部屋から飛び出る
全く知らない他人の家だが、視界の端に階段が見えた

降りる暇などない、手すりから跳んで一気に玄関に駆け寄った

「――――――!?」

開かない
ドアノブが、全く動かない
鍵を、開け――


「――無駄なあがきを」

階段の上から怪人が見下ろす
右手を掲げると、銀色の半固体の何かが蠢き、
新たな槍を作り出す

その槍は、鍵を覆う、謎の金属と全く同じ色をしていた

「乗り込んでもすぐに逃げられる恐れがあったからな ――動くな」
「お前を殺すつもりはない、どうもお仲間さんが―― 来てくれたようだからな」

「ちょうどいい人質だ、盾だ―― 生かしておくほかあるまい?」


「…………」

絶望感が、身を支配する
恐怖心が、思考を停止させる

単騎で調査に乗り出して、情報をもたらせて―― その結果がこのザマだ
今までの保護プログラムとも、学園世界での事件とも…… 違う世界

足手まといの、役立たずでしかなか――


             「戦わずして諦めてはならぬ」

「…………」

恐怖心で気が狂ってしまったらしい
また、いないはずの…… 誰かの声が聞こえた


      「足を止めるな、うつむくな まだ始まってすらおらぬのじゃぞ?」
          「覚悟を決めるんじゃ、戦う覚悟じゃない」

                「『勝つ覚悟を』」

狂気の末の見えぬ幻想だとしても、その声は
震える足に力を与えてくれた

「…………少し、後ろ向きになりすぎた ぬるま湯に浸かりすぎていたみたいね」

「あ?」

気がついたら、地面に銃…… おそらく、いつの間にか落としていたのだろう 麻酔銃が落ちていた
軽い動作で拾い上げ、銃を真っ直ぐ向ける

「なんだそりゃ? 『おもちゃ』向けて……気でも狂ったか?」
「―――――」

なぜだか分からないが、おもちゃの銃だと勘違いされているようだ
頭のなかで考える

「(鎧の隙間を当てられれば万々歳、当てられなくても一瞬怯む)」
「(その瞬間台所に逃げ込めば……!)」

鈍器となるもの、武器となるもの―― そして隠れられる一瞬
それさえあれば、不意打ちが成功すればなんとかなるかもしれない 薄い目だが足掻くだけ足掻いてみせるだけ

引き金を、引いた

「―――――!?」
「えっ……?」

明らかに、麻酔銃の針とは違う…… 弾のようなものが発射されたように見えた
目の前の怪人が身を反らし、壁に当たると 散り散りとなって消えたが

67名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 15:01:31 ID:snl6iVV.0



「……やっぱりおもちゃだったな 怯えて引っ込むと思ったか?」
「…………」
「俺は優しいからな、これくらいは許してやる」
「………………」
「大人しく、人質になるんだな…… ……?」

銃を、近づいてきた鎧の胴体部に向ける
表情は分からないが、笑われたような気がした

「(……槍を、かすめていた)」
「おいおいおいおいおい もうおもちゃだとわかってるんだって?」
「(かすめていた、部分……)」
「そう何度もリアクション取るのも疲れるわ」
「(…………)」
「おい聞いているのか?」

「(欠けていた、削られたように)」

再び引き金を、引いた
鎧がまるでバターのように撃ち抜かれ、向こう側にまで弾が貫通する
悲鳴を挙げる暇も無く、後ろに倒れる怪人

倒れると、もともと何も入っていなかったかのように鎧のみが床に散らばった

「…………麻酔銃は、ちゃんと入ってる……『落としてなんかいない』」
「この銃、一体どこから……?」

68名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 15:10:45 ID:eMHibEhY0
>>65-67
「……!?」

神経を研ぎ澄ませてバイクを走らせていた中でもその音を聞き逃すことは無かった。
――確かに聞こえた。銃声だ。
音が聞こえた場所は?――ここから近い。
目印となるものは?――窓ガラスが粉々だ。

「和ッ!無事かッ!?」
「……開かない!?クソッ、ワサビはちょっと乗っててくれ!この――野郎ッ!!!」

バイクを止め、扉を開こうもすると、ドアノブが開く様子はない。
こうなったら力技しかないか?
一度距離を取って、右脚に力を込めると――絵楠は、ドアを全体重を掛けて蹴り付けた。

69名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 15:17:16 ID:snl6iVV.0
>>68
「……ともかく、それどころじゃない」
「早く出て、合流しないと……」

こうなった以上、ここに怪人が集まるのは時間の問題
家を出ようと、玄関のノブに手をかける

次の瞬間、体を何かが覆い 壁に頭を叩きつけられた

「っ……!!!」
「油断……したなぁ……!!」

ちらばった鎧が溶け、半固体の金属でできたスライムのようになっていた
半固体の金属を自在に操る怪人ではない

そのもの、だったのだ

肺から息が抜けていく、首が圧迫されていく

「殺すつもりはないが気が変わった!なるべく痛めつけてやる!」
「ボロボロの雑巾になったお前をあいつらの前に叩き出してやるよ!!」

「……バイクの…… 音……」

「ああ!?」

「……バイクの音が聞こえたから…… 鍵、開けるために…… 銃を使った」

「だから、どうし―――」

最後まで言い終わる前に、玄関が蹴破られた
夕日の逆光に照らされた その二人は、コレ以上にないほど頼もしかった

「…………意味なかったわね」

「サンダァァァアアアアボルトォォォォ!!!」

入るや否や、烏屋を押さえつけていた手に電撃が飛ぶ
スライムもどきが離れた瞬間、ワサビが烏屋に飛びかかる

「エクス!多分この子ッスね!? 確保したッスよ!」
「止めさせてねーから頼んだッス!」

70名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 15:26:56 ID:eMHibEhY0
>>69
「あぁ、任された。ぶっつけ本番だけど……何とかなるだろ」
『ジャングルオーズ!』
「――変身」

ワサビの方へ笑って頷くと、スライムの様な怪人の方を向かいゲーマドライバーを装着。
右手に持ったガシャットを起動させ、ドライバーにセット――即座にレバーを可動させた。、

71名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 15:30:09 ID:eMHibEhY0
>>70
途中送信しちゃったゾ………

『タカトラァ!タカトラァ!バッタァ!ジャングル!ジャングル!――オォーズッ!!』
「――せいやッ!」

体のアーマー・肩パッド・頭部の一部以外はエグゼイドと同様の姿でありながらも、該当する部分は全てオーズのタトバコンボを模したような――
そして言うなれば、絵楠だけの本当のライダー。
『仮面ライダーイクス オーズゲーマーレベル2』が、ここに誕生。
イクスは出現させたメダジャリバーを手に取ると、即座にスライムへと斬り掛かる。
攻撃か効くか否かはまだ判別し難いが、とにかく――外へ、追い出すかのように。

72名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 15:57:00 ID:snl6iVV.0
>>70-71

「銃弾―― 斬撃―――― そんな攻撃が俺に効くと思っているのか!?」

「エクス! さっきの、氷は…… ……!」

スライムから、嘲るような声が聞こえ刃が体を突き刺し、外へと飛んでいく
衝撃は与えられた、だがダメージを与えたような感触は一切無く
ただ斬れないものを斬ろうとした感触だけが残った

73名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 16:10:34 ID:eMHibEhY0
>>72
「チッ……やっぱり、このままじゃ埒が明かないか……」
「(……氷……)」

今までの自分ならば、ワサビの言う通り冷気で終わらせようとしているところだろう。
だが、今の絵楠には――体内にメダルが一枚しか残っていない。
以前よりも冷気の力が圧倒的に弱体化してしまっていた。
それでも、アレを使おうとするタイミングがあるならば――

「……ワサビ、時間稼ぎを頼んでもいいか」

メダジャリバーを構えたままその場に佇むイクス。
一欠片の力だけでも、集中して高めれば、もしかしたら――。

74名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 16:24:04 ID:snl6iVV.0
>>73
「あいよっと!」

呼ばれて即座にエクスの前へ、剣を抜いてスライムと対峙する
エクス相手には余裕綽々ではあった態度も、一歩引き下がる

「さっきの雷のガキか、お前にはしてやられたよ……!」
「何か企んでるのはわかりきっていること、大人しく喰らってられるか」

「障壁展開ーッス!」

スライムが逃げようとしたところで、青色の半透明の壁が逃げ道を塞ぐ
下からもぐれないかと体を平ぺったくしたが抜け穴無し

75名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 22:29:22 ID:eMHibEhY0
>>74
「……スゥ……ハァ」

身体中の神経の全てを右腕に集中させる。
一欠片から絞り出せば、どんなに小さな力でも大きな力に変えられる。
何から何まで気合いという訳では無いが――こういう時は気合が一番いい。

「……! ワサビ!その障壁解除して――その場を、跳べッ!!」

右腕に冷気が溜まりきったのを実感し、ワサビに指示を出すイクス。
同時にメダジャリバーを地面へと突き刺すと、その地点からスライムの方へ目掛け、地面が急激な速度で凍り付いていく。
並大抵の速さではない。恐らく――ほんの少しだけでも捕まれば、一瞬で凍り付くだろう。
一欠片は一欠片でも、元が強大な分、欠片が持つ力もそれなりにはあるらしい。

76名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 23:26:56 ID:snl6iVV.0
>>75
ワサビがその場から跳ぶと、障壁が消えた―― そして、凍った
逃げようとあがいていた半固体と金属も、そのままのポーズで動かなくなる

物理攻撃に対してはほぼほぼ無敵だっただろう
だが、こうして固められたからには一人だけでは身動きを取ることさえできない
事実上、再起不能


「…………結局また迷惑かけてしまったわね」

家の玄関に、体を預けるように女子高生がひょっこり顔を出す
頭から出血し、息が荒い それにも関わらず会った時と同じ無表情……
なのだがどこかヤバイ表情に見えるのは気のせいか

「できるのなら合流前に片付けておきたかったのだけれど、時間稼ぎにしかならなかった」

77名無しのカウンセリングだべ:2017/03/22(水) 23:35:56 ID:eMHibEhY0
>>76
「下手に砕いたら再生される危険性もある、か。悪いな、そのままそこで凍っててくれよ」
「さて……和、大丈夫……じゃなさそうだな」

動かぬ存在となった半個体に哀れみの目線を向け、一度変身を解除する。
すぐに和の元へ向かい、様子を見てみるが――危険な状態に陥ってそうであるのは明白。
自身に、治癒できそうな技術も魔法もないのが憎らしい。

「……まぁ、何だ。謝る必要なんてないよ。よく頑張ったな、和」

和の頑張りは彼女の様子を見れば痛いほど伝わってくる。
少なくとも、同じ年代だった頃の自分に比べれば何倍にも彼女の方が強いだろう。力など関係無く。
そう考えていたのか、絵楠の口からは自然と言葉が零れていた。

「辺りの怪人も数が減ってきたみたいだ……永夢のおかげか。さてと、どうする?ワサビ」
「このまま拠点に突入するか、永夢に連絡を取って一旦退いて体制を立て直すか……」

先程まで辺り一面に轟いていた怪人達の声が次第に止んでいくのを感じる。
永夢が戦っているのが響いているのだろうか、退くチャンスは恐らく今しかないが――

78名無しのカウンセリングだべ:2017/03/23(木) 00:23:11 ID:snl6iVV.0
>>77
「……見た目ほどは悪くないのよ、こう見えてね。 頭の怪我は目立ちやすいから」
「本音はどうなんッスか?」
「怪我よりも気分の高まりとかぶり返してきた恐怖心でちょっと気分がね」

顔に垂れる血、それが重症に思えるが本人曰く軽症らしい
ハンカチで顔を拭い、傷の箇所を抑えるとだいぶ見れる様になっている
青ざめた顔もバーで怪人の集団が現れたと聞いた時のショック死寸前の表情と比べると遥かにマシだ

「……そんな気分で涙腺緩くなってるから下手な事言うのやめなさい、後呼び捨ても」

少し恥ずかしそうに絵楠から視線を反らす
基本、無表情で顔の変化自体はあまりないの、だが なんというかわかりやすい


「そらもちろん乗り込みかける! ……ところッスけど、和ちゃんの様子じゃ」
「ちゃん付け禁止。 ……私がどうこう言える立場ではないけれど引くのには反対よ」

安定を取り、尻込みする 一番警戒心が強そうで、石橋を叩いて壊しそうな人物
そんな彼女からよりによって反対意見が出てきた

「……どういう状況かわからないけれども、神守町、夕闇町両方に怪人が出ている、ここで引いたら今以上の数を相手にする事になるかもしれない」
「それ以上に、拠点をよそに移すかもしれない ……そうなった以上ここでの戦いは無意味」

「私の身を案じてくれているのなら、大丈夫だから」

「本人がこう言ってるッスけど…… オイラが気にしてるのはカラスちゃんのだけッスからこのまま突撃」
「次その呼び方したら少し怒るわよ」

79名無しのカウンセリングだべ:2017/03/23(木) 00:58:01 ID:eMHibEhY0
>>78
「そうか、でも無理はするなよ。しかし、呼び捨て以外となると……うぅん、思いつかないんだよな……」
「で、それは置いておいてだ。和がそう言うなら俺は止めないよ。……奴等の拠点を、叩きに行く」
『マジック・ザ・ウィザード!』
「変身」
『レベルアップ!』
『シャバドゥビタッチでヘンシーン♪ プリーズ!マジック・ザ・ウィザードォ~!』

和が引くことに反対するのならば、止める意味などない。
むしろ好都合だ、ここまで来て引くことは――提案したものの、絵楠自身納得が行くことではない。
オーズゲーマーではなくウィザードゲーマーに変身すると、ライドベンダーが魔法陣に包まれウィザードのバイク『マシンウィンガー』へと変身を遂げる。
――気分の問題だろう。恐らく。

「さ、行こうか」

80名無しのカウンセリングだべ:2017/03/23(木) 11:18:15 ID:snl6iVV.0
>>79
「ちゃん付け禁止呼び捨て禁止ってなんなんスか!一体全体どうよばれたいんスか和た」
「もう呼び捨てでいいから」

たん付けで呼ばれかけると即座に否定
結局呼び捨てに落ち着くことになりそうだった

「ん、いよいよ突撃ッスね〜!」
「まぁあんにゃろーはいないと思うッスけど最初の一歩ッス」

エクスが変身したのを見ると、すぐにバイクに乗るワサビ
和はそっと家の方を振り返る

「…… ところで、私の近くに銃が……」
「……?」
「………… 何でもない」


「(……気がついたら、銃が消えていた…… 回収されたわけでもないなら 一体どこへ……)」

麻酔銃は、今もホルスターの中に入っている
あのいきなり現れて、時間稼ぎに一役かった銃はどこに行ったのか

「よくわかんねーッスけど早く行くッス! 他の怪人が来る前に」
「え、えぇ ……行きましょう」

81名無しのカウンセリングだべ:2017/03/23(木) 12:06:29 ID:eMHibEhY0
>>80
「たんは危険すぎるぞ……まぁ、それはいいんだ。さ、行くぞ」
「和はどうする?こいつに乗ってくか?」

マシンウィンガーに跨り、スロットルを握りつつもまだ発進はしない。
伊達に仮面ライダーのバイクではないのだ、そこらのバイクとは馬力が違う。目的地にならすぐ付けるだろう。


「ここが、絵楠君達の言っていた拠点ですよね」
「薄気味悪ぃ所だな……お?」

先に拠点に辿り着いていたエグゼイド二人が辺りを見回す。
その中で『天才ゲーマーM』と呼ばれる、一人称が俺のMが人格を形成しているエグゼイドXXRがふと、工場の奥にいる人影を見つける。

「来たか」
「愚かなヤツらだ、我等に敗北するとも知らずに」

男達はエグゼイドを見てフッと笑うと、その身体を人ならざるものへと変化させていく――
右の男は無数の蛇に包まれた幹部怪人『サタンスネーク』に。
左の男は右肩に鴉を止めた不死身の幹部怪人『カイザーグロウ』に。
そして――二人の変化が終わると同時に、戦闘員も怪人も入り乱れた無数の軍勢が二人の背後から次々と。

「な、何て数だ……!」
「へっ、ビビってんじゃねぇぞ俺!何のためのコレだよ、コレ!」
「……ッ!そう、ですね!……行きましょう!」
「「超協力プレーで、クリアしてやるぜ!!」」

あまりの数の多さにいつもの永夢が人格を形成しているエグゼイドXXLが狼狽えるが、XXRの鼓舞に恐怖を振り払う。
二人は同時にファイティングポーズを取ると怪人の軍勢と向かっていき、次々と薙ぎ倒していった。

「その内絵楠達が来んだろ!せめてそれまでは堪えようぜ!」
「はい!」

82名無しのカウンセリングだべ:2017/03/23(木) 12:46:46 ID:snl6iVV.0
>>81
「………………」
「……いえ、 別行動を取りましょう。 ちょっと試したいことがある」

バイクを乗ろうとする素振りを少しだけ、見せたが
ふと考えが頭をよぎった

「拠点の近くまで行った時、完全に身を隠せていたにも関わらず見破られたのが解せなかった」
「その後もやけに私の逃走経路を知っているような様子だったから、何か目星をつけられているかもしれない」

あの時自分は、廃工場からは見えない位置にいた
頭だけ隠して尻を隠していなかったとかそんなドジは踏んでいない、にも関わらず即座に反応されたのだ
何か仕掛けを踏んだかもしれないし、単に気配を感じられたのかもしれない

「それに恐らく、乱闘状態になったら私は間違いなくお荷物だから。 一緒に行くよりも時間差で合流した方がいいと思うの」

83名無しのカウンセリングだべ:2017/03/23(木) 14:51:18 ID:eMHibEhY0
>>82
「いま俺達が戦っている相手は怪人……人知を超えた存在だ。隠れているのが簡単にバレてもおかしくはない」
「とりあえず和は別行動を取るんだな?気を付けろよ」

ワサビを後ろに乗せ、マシンウィンガーを廃工場の方へ走らせる。

――さて、ふと空を注意深く見渡してみれば、誰かを襲う様子無くとも常に鳥型の怪人が一定の間隔を空けて飛んでいるのが見えるだろう。
それも、しきりに辺りを見回しているような――


「おりゃあ!……そっち行ったぞ!」
「はい!てやっ!」

XXRの呼び声にあわせて、XXLが怪人を薙ぎ倒していく。
元々一つの体に収まっていた人格が二人に分かれるだけあって、連携プレーは得意分野の一つ。
絵楠達が到着する頃には、一部の強力な怪人は除き、戦闘員程度なら二人だけでも一掃できていることだろう。

84名無しのカウンセリングだべ:2017/03/23(木) 17:33:03 ID:snl6iVV.0
>>83
「………」

無言で頷き、バイクで去る二人を見送る
突如現れ突如消えた銃、怪人の感知能力
そして―― 空を舞う、鳥型の怪人

「……私や山亘理さんの位置はバレている、話を聞く限り拠点が襲撃されている……」
「それなのに一体、何を探しているのかしら。 ……他に誰かいるの?」


―――――



エクスが運転するバイクが止まると、跳ぶようにしてバイクから降りる
周りの怪人を片づけていたのは目に入っていたが、よもや拠点に乗り込み
ここまで殲滅するとは予想外であった

「すまねぇ待たせたッス! もうあらかた片付けちゃった感じッスか!?」

二人(一人)に声をかけ、双剣を抜いた

85名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 01:05:08 ID:eMHibEhY0
>>84
――和が思考を張り巡らせる一瞬の間に、鳥型の怪人が次々と爆散していく。
自爆や他者からの爆破という訳では無い。
最後の怪人が爆発する直前に微かに見えたそれは――巨大な、刃?
刃が消えていく方角を見れば何かのヒントになるだろうか?


「おう、何とかなってるぜ!……と言いたいけど、ちょっと厳しいかもな」
「残っている二体……恐らく幹部級なんでしょうけれど、アイツらが手強くて」

エグゼイドXXRが余裕そうな素振りを見せるものの、雑魚の殲滅までしか出来なかった模様。
残り二体――カイザーグロウと、サタンスネークの事だろう。
伊達に幹部級ではない、と言った所か。

「いや、ここまで追い詰めていれば何とかなるかもしれない。ワサビ、俺達は蛇の方をやるぞ。……個人的に好かない」

ウィザードの武器『ウィザーソードガン』を構え、ワサビへと提案を出す。
個人的にはエグゼイド二人(一人)はあのまま組ませた方がやりやすいだろう、という考えである。

「仲間がいたのか」
「構わん、ここで殺してしまえ!」

カイザーグロウ・サタンスネークの二人から同時に発射される火炎弾。
火力も数も桁違いだ、まずはこれを防がねば。

86名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 09:15:51 ID:snl6iVV.0
>>85
「――――!?」

空中から聞こえる爆発音
さっきまでいたはずの鳥型怪人の数が減っていて、
何かから逃げ惑うように飛ぶ怪人達もその後を追って

「一体、何が…… ………」
「刃が飛んできた方向…… 廃工場とは微妙にずれるけど、行けない事はない」

「………… 合流する前に確認するべき」

少し遅れる事になる…… が、もとより期待はされていないだろう
それよりもあの出本を確かめるほうが重要と判断した

怪人達に攻撃している当たり同じ怪人とは思えない、さらにあんな行動をする異世界生物にも心当たりがない
敵対するか味方になるかは別として、異世界人と判断、刃の跳んできた方向に目星をつけて向かい始めた



―――――――――

87名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 09:29:18 ID:4tNfED8A0
>>85
「アイアイサッー! っていきなりぶっぱッス!?」
「戦い前に挨拶しないなんてなんつー礼儀知らず!よっ…と!」

ワサビを持ち上げるように足元から障壁が展開された
青く半透明な直方体が生えるように伸び、火球への防護壁と化す

そしてその障壁にビリヤードのキューのように打ち出され、廃工場の天井へと跳躍するワサビ
照明を手で掴み、宙ぶらりん

「このまま守り続けたらジリ貧っすからね!おらおらお前らも攻撃喰らえやサンダーボルト!」

ワサビの目の前に魔法陣が展開され、斜め前方向、怪人たちがいる方へ雷を落とす

88名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 11:10:01 ID:eMHibEhY0
>>86
町外れの方角へ飛んでいく刃。
最終的に向かった先は――空の上?

「――よっと!」

同時に和の前に一人の巨人が姿を現す。
よく見れば、その頭には先程見た刃が付いていた。しかも、二本も。

「おいおい嬢ちゃん、あの状況でも逃げ出さないなんて相当肝が据わってるらしいな」

宮野真守の様なイケメンボイスで喋り出したそれは、光の巨人――
ウルトラマンオーブの仲間であることを想像するのには容易かった。

>>87
「おのれ、小癪な真似を!」

雷を喰らいながらもワサビに向けて無数の蛇が放たれる。
その最中にも今度はワサビの方へ火炎弾を打ち付けるが――

「俺もいることを忘れるなよッ!」
「チィッ……甘いわッ!」
「ッ!……ぐっ!」

イクスがその隙を見て懐に潜り込み、キックと剣技を織り交ぜた攻撃でサタンスネークを後退させていく。
しかし、地面からも現れた蛇の突進によってイクスは大きく吹き飛ばされてしまう。

「……だったらッ!」
『ジャングルオーズ!』
『ガシャット!レベルアーップ!』
『シャバドゥビタッチでヘンシーン♪プリーズ!マジック・ザ・ウィザードォ~!』『アガッチャ!!』
『タトバ!ガタキリバ!シャウタ!サゴーゾ!ラトラタ!プトティラ!タジャドル!――オォーズッ!!』
「はぁあっ!」
「グフッ!!?」

体制を立て直すと、再びジャングルオーズガシャットを起動、今装着しているガシャットの隣にセット。
ウィザードゲーマーの素体に、オーズの各コンボの意匠を記したフルコンボオーズアーマーを装着、前代未聞の『オーズウィザードゲーマー』に変身。
メダジャリバーとウィザーソードガンの二刀流でサタンスネークを斬り伏せる。


「どうしたどうした!?その程度かァ!?」
「く、くそっ……どうして倒せないんだ……!?」
「この野郎、不死身のステータスでも持ってやがるのかよ!?」

一方のエグゼイド二人は――
カイザーグロウの不死身のトリックに翻弄され、思うように戦えていない。
攻撃が通っていない訳では無いのだ。
しかし、不死身であるカイザーグロウを撃破するのには至っていない――

89名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 20:10:31 ID:snl6iVV.0
>>88
「…………」

突如現れた巨人に、驚きもせず悲鳴を上げず、ただ無言で見上げた
ひょっとしたら驚きすぎて声も表情も出せなかっただけなのかもしれない

空から下を探しているから、てっきり自分と同じくらいじゃないかと
それなのに何故天を突くほどの巨人がいるのかと

「…………クレナイさんが話していた…… ウルトラマンゼロ……… さん、かしら」

あの戦いの後、バーの方で確か先輩と追っていたと話していたはず
この短いスパンで同じようなのが別に存在するとは考え難いがゆえ、そう推測した

―――――

「後退はしない!防御もしないッス!」
「ただ攻撃を続けるのみ!攻撃は最大の防御!パワーは力なりッスー!!」

既に抜刀をしていた
落ちる間際に双剣にて落ちながら蛇を切りつけ、空中でみじん切りにしてやる
ばらばらになった蛇と共に地面に落ち、サタンスネークに元に駆ける

「―――――ハァ!!」

イクスが斬りかかるタイミングで、前から後ろからサタンスネークを斬りつけた

90名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 20:44:23 ID:eMHibEhY0
>>89
「相変わらず名が知れ渡ってんなぁ俺……って」
「ガイ?お前まさかアイツのこと知ってるのか!?ってことはまさかお前アイツの正体も知ってんのかー!?」

自身がそのウルトラマンゼロだということをサラリと流す。
その一方でやけに人間臭い喋り口調と仕草で話し始めるゼロ。
和がガイ=オーブだということを知っていそうだと感じたのかやけに驚いている。無理もないか。


「ぐっっ……貴様らァ!!」
「ナイスだワサビ!もう一撃、御見舞してやろうぜ!」
『ガッシューン……ガシャットッ!』
『キメワザ!』
『ジャングル・クリティカルフィニーッシュ!!』

ワサビがサタンスネークを斬り付けるのを確認したあと、ベルトのオーズガシャットを左側のキメワザスロットホルダーにセット。
ボタンを二度押し、渾身の飛び蹴りをサタンスネークに向けて放つ。

「……分かった!アイツの攻略法!」
「ホントか!?」
「はい!僕が先に仕掛けます、合図と同時に奴を!」
「おう、任せろ!」
「戯けた事を……死ねッ!!」

エグゼイド二人の方は先程まで苦しめられていたカイザーグロウの唯一の弱点を見破ったのか、XXLが先にカイザーグロウの右肩へと攻撃を仕掛ける。
カイザーグロウはそれを難なく避けるが――

「今です!」
「任せろ!おりゃぁぁっ!!」
「何――グウっ!?」

避けた瞬間を狙い、XXRが専用武器の『ガシャコンキースラッシャー』で更に右肩を――右肩の鴉を狙い攻撃する。
カイザーグロウは今までの反応とは明らかに違い、諸にダメージを喰らっている様子。
よく見てみれば、右肩だけが体色が違う――どうやら弱点は最初から見え透いていたようだ。

91名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 21:50:12 ID:snl6iVV.0
>>90
「変身が解けた時に場にいたから成り行きで ――それよりも」
「今知り合いが悪い人達のところで戦っているの ……もう終わっているかもしれないけれども」

バイクで向かった時間、自分の移動時間…… 戦闘が始まったら十分すぎるほどの時間が立つ
結局間に合わなさそうだ、それでも一応向かう

「……協力願えないかしら?」


――――

「これでこっちの方は終わりッス!」

刃を引き抜くと、後ろに下がる
剣に紫電が纏い、空気を裂く音、辺りにイオン臭が立ち込める――

「ジャスティス―― ブレイカァァァ!!」

前方にとび蹴り、後方から紫電を纏いし斬撃
痛みのサンドイッチを最大に相手に与えた

92名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 22:39:09 ID:eMHibEhY0
>>91
「なるほどねェ。まぁ、そういうバレ方はよくあるって聞いたしな……仕方ねぇか」
「協力?……あー、構わないぜ。ちょっと待ってな」

腕を顔の前で交差させ、巨大化した状態から等身大の大きさへと縮んでいく。
そのまま和をお姫様抱っこすると、ゼロはその場から飛び立った。

「大体の位置を教えてくれ、飛ばすぜ!」


『会心の一発ゥ!!』
「ば……馬鹿なァァァーッ!!?」
「……悪い、蛇は苦手なんだ」
『ゲームクリア!』

ワサビの放ったジャスティスブレイカーとイクスのキックに挟まれ、サタンスネークは爆散――
ガシャットから流れるBGMと共に、欠片も残さず消滅した。

「こっちも一気に決めるぜ!」
『キメワザ!』
「はい!」
『マイティ!ダブル!クリティカル――ストライク!!』

左右からカイザーグロウに向かい続けざまに飛び蹴りを食らわせ、一度LvXに戻りキックを放った後、再びLvXXへ分離――
トドメに同時にライダーキックを懐に浴びせる。

『会心の一発ゥ!!』
「ぐ――おおおおおっ!!?」
「決まったぜ!」
「よし!」
『ゲームクリア!』

カイザーグロウも爆散。
ここの拠点に集まっていたと思われる怪人の軍勢は、一先ず蹴散らしたと言えるだろう。

93名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 23:00:24 ID:snl6iVV.0
>>92
「あそこの廃工場…… ……えっ」

抵抗する暇もなく、抱きかかえられる…… ……無表情だったが顔が珍しく目を白黒させている
自分が今どういう状態なのか認識すると顔が紅く染まった

「そこまで距離ないから、歩きでだいじょう……」

恐らく聞く暇など渡さないだろう、ヒーローとは得てして話を聞かないものである
飛ぶというか大ジャンプで廃工場へと移動し、中は戦闘の音など無く静まり返っていた



「ふぅ、これで全部ッスね! これで一つ制圧ー…… !?」

「…………………………………………… もういい、下ろして」

完全に出遅れ、おまけに恥ずかしい格好、顔を上げられないほどの羞恥心
ウルトラマンゼロの反応を待たず、自ら降りると顔を下に向けたまま耳まで真っ赤になり、絵楠達に背を向けた

94名無しのカウンセリングだべ:2017/03/24(金) 23:07:16 ID:eMHibEhY0
>>93
「あ……顔がうるさ…… ウルトラマンゼロ」
「そうそう、顔がうるさ……ってそこの鉄仮面ン!今失礼な事言わなかったかァ!?」

ゼロの顔を見た途端呟くイクスに半ギレ気味のゼロ。
どうにも和が赤面しているのは気に留めてないらしい。
失礼というか――うん、失礼だ。

「先に、終わらせておきましたよ。これで無事に――」

永夢がそう呟いた時に、突然工場の奥に紫色の歪みが発生する。
イクス達を吸い込む、といった様子はないが――不気味だ。

95名無しのカウンセリングだべ:2017/03/25(土) 00:16:00 ID:snl6iVV.0
>>94
「……今日は厄日ね、ここまで恥ずかしい思い――――ー ッ!」
「な、なんスか!? まだ何か来る!?」

顔を紅くしていた和も、気が抜けていたワサビもすぐに警戒モードに入る異常事態
見てわかる決して良いことが起こりそうにない雰囲気
烏屋が廃工場の外へ出る

「中に引きずり込まれる恐れはないけれど、離れた方が無難じゃないかしら――?」

96名無しのカウンセリングだべ:2017/03/25(土) 00:30:21 ID:eMHibEhY0
>>95
「ッ!下がれお前等!――るぁぁあッ!!」

皆の前に飛び出たゼロが左腕に装着した『ウルティメイトブレスレット』を起動させると、彼の左腕に白銀の弓が出現。
一気にエネルギーを集中させ、歪みに向かって弓ごとエネルギーを打ち付ける『ファイナルウルティメイトゼロ』を放つ。
凄まじいまでの威力で廃工場の地面を抉りながら突き進むそれは、一瞬の内に歪みを破壊――

することは無く、歪みから放たれた紫色のビームによって相殺されてしまう。

「……っ!?この、感覚……!?」

以前の様に、しかし弱々しく紫に光るイクスの眼。
マスク越しでも光っていることが和達にも分かるが、光り方が以前とは違う。
いうなれば今回の光り方は――何かの存在を、告げている?

97名無しのカウンセリングだべ:2017/03/25(土) 11:33:13 ID:snl6iVV.0
>>96
「中に引きずり込まれることはない、けれど――」
「……中に明らかに何かいるッス!」

中から放たれた紫色のビーム、イクスの眼が紫に光る
それは明らかに歪みによって与えられた影響、何かの存在を示す物

「ど、どうするッスか!? 今の攻撃でさえ相殺されて」
「出てきた瞬間を叩く。 ……それしかないんじゃないかしら」

烏屋の言葉に、右手に紫電を光らせる
雷の魔法を溜め、出てきた敵(暫定)に食らわさんと

98名無しのカウンセリングだべ:2017/03/25(土) 18:09:17 ID:PSUd/iZ60
>>97
「チィッ、あれを真正面から消しやがった……!?」

流石のゼロも動揺を隠せず、その場に立ち尽くすのみ。
イクスの複眼も未だ点滅し続けている。
そして、歪みの中に見えたのは――二人の人影。

「――やぁやぁ君達。頑張ってるみたいだね」

一方はアレイスター。そしてもう一方は――

『グゥゥゥ……』
「プトティラ、コンボ……!?」

ほんの少し前まで、絵楠が変身していたオーズ・プトティラコンボだった。
誰が変身しているのかすら、いやそもそも――変身者がいるのかすら定かでないそれは、明確な殺意をこちらに向けてくる。

99名無しのカウンセリングだべ:2017/03/25(土) 19:04:48 ID:snl6iVV.0
>>98
「アレイスターてんめぇぇ!! 相変わらずスカした余裕そうな態度でムカつく野郎ッス!」

「……ッス?」

もはや条件反射と呼べるレベルでアレイスターに対し怒りを見せる
しかしその次に現れた全身鎧をまとった敵―― かつてのオーズを見て、勢いがそがれる
まるで向こうに行ったのかと確認するように、イクスとオーズを交互に見るワサビ

「…………山亘理…… いえ、エイラ先生?」

100名無しのカウンセリングだべ:2017/03/25(土) 20:06:21 ID:PSUd/iZ60
>>99
「いや、俺でもエイラでもない……!アレイスター!お前……誰を変身させたッ!?」

自分の力を利用されたことでは無い。
誰かの意思を奪い、自らの手駒の用に扱っていることにイクス――絵楠は怒りを覚えていた。

「ははは……そりゃ、生きる価値もない屑を媒体にしたよ?折角平和ボケした世界なんだ、こうでもして使ってあげた方がいいだろう?」
「!お前……ッ」
「――ウルトラゼロキックッ!!」

人の命を物の様に扱い、憎らしげに笑みを浮かべるアレイスター。
自分、ひいてはエイラと同じ顔で笑うアレイスターに怒りを抑えきれなくなったイクスが二刀の剣を構え飛び掛るよりも先に――ゼロが炎を纏ったキックをオーズに放つ。
オーズは手に構えた斧『メダガブリュー』でそれを受け止め、強い衝撃が廃工場を襲った。

「テメェのその態度もやってる事も許せねェ!この世界のことはオーブに任せるつもりだったが……俺もお前等に協力するぜ、嬢ちゃん達ッ!」
「――俺のビックバンはもう、誰にも止められないぜッ!!」

メダガブリューごとオーズを蹴り飛ばし、力強く着地するゼロ。
その身から溢れ出す怒りのオーラは、絵楠にも負けていない。


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