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ダンゲロスSS裏Race 幕間スレッド

1スカーレット:2015/05/24(日) 23:04:14
後日譚、前日譚、参加者不参加者問わずSS裏Raceに関するSSなどを投稿可能なスレッドです。
このスレッドの作品を前提としたSSを投稿しても問題ありませんが、
読者の方々に読む義務はありません。

2アナルパッケージホールド:2015/05/28(木) 10:44:23
『夜魔口悪童(ロキ)55歳の一日』

6時
起床。セーラームーンとタキシード仮面を足して二で割った格好に着替えて踊る。
「ミルキーミルキー、大事なものいただくわーハイハイハイハイ!
ミルキーミルキー。弱点一発狙い撃ちハイハイハイ!」
怪盗ミルキーウェイのファンが作った非公式応援歌を朝晩一回ずつ踊る事が健康の秘訣だ。

7時
朝食。製造過程で形が崩れ売り物にならない惣菜パンをオーブンで焼いて食べる。

9時
夜魔口組本部への定期報告。表の仕事での稼ぎ頭である悪童の収支報告は
組長も大注目している。伝説の焼きそばパンをなんとしても取ってこいと念を押された。

11時
現場を確認する為に希望崎購買にパンを届けに行く。レジ店員に全く隙が無い。
もし当日に自分が夜魔口パンの配達員としてここまで潜入しても単独で奪取は難しいだろう。
購買内部の店員は調達部と対になる盾、店内での防衛に限れば一流戦闘魔人クラスだ。
しかも店員相手に時間を掛ければ、生徒会・一般生徒・ぽぽフーズを敵に回し、
最後には一般社会も敵に回す。夜魔口の人間が素顔のままで挑むのは無謀だと改めて認識する。

12時
昼食。賞味期限切れのパンを牛乳で流し込む。

13時
時間が空いたのでサッカーのビデオを見る。昨年の夏、片が味方選手全員を
相手ゴールに叩き込み最後に自らも飛んでオールネットイン達成で5点差を逆転したのは
何度見ても名シーンだった。しかし、この時の無理で膝を壊した事も思い出し
ちょっと不機嫌になる悪童。

14時
地下室でアナルパッケージホーッルドになりきる特訓をしていた片をしばく。
俺のアナルにチンポ入れてみろと言ったら「勘弁して下さい」と泣きついて来たので
ミルキーウェイの格好で誘惑したらギンギンのチンポを突っこんできた。
ここから徐々に女装を減らしてオッサンのアナルすら掘る様に調教していく。

18時
二人で夕食。片にはカレーパン二つ。
自分は一個三千円の重箱見立てデラックストーストを食べる。
社長なので、人が見ている前では高いもの食べる悪童だった。

20時
ワクワク動画に投稿されているミルキーウェイEDアニメ風動画を見て
片と一緒に踊る。そして早めの就寝。焼きそばパン争奪戦が終わるまでは
二人とも十分な睡眠で体力を温存すべきという判断であった。
「いや、社長は早寝する必要ないっすよね?」
「うるせー!アナルパッケージホールド以外喋るな!俺の添い寝は嫌か?」
「そんな事ありませんっス!じゃなくてアナルパッケージホールド!」
「よし、寝るぞ・・・逃げたら殺すぞ」
「・・・アナル」

これが争奪戦当日までの悪童と片の過ごし方である。

3メリー・ジョエル:2015/05/30(土) 23:43:07
【メリー・ジョエル】キャラクター説明補完用語


【馴染おさな】……かつてメリー・ジョエルが、迷宮時計を巡るバトルロイヤルにおいて敗北した対戦相手。名前を呼んだ相手に幼馴染としての記憶を植え付ける魔人能力『俺君、久しぶり!へへへ、なんだか懐かしいね。元気にしてた?』を持つ。大切な人。

【山口祥勝】……迷宮時計を巡るバトルロイヤルに敗北し、新世界に取り残されてしまった元・欺瞞ヒーロー"ブラストシュート"。周囲の映像や音声をあらゆる障害を越えて生配信する魔人能力『ハイライトサテライト』を持つ。現在は、時空を股に掛ける外部委託仲介業を営んでいる。メリー・ジョエルの保護者。大事な人。

【超時空ネットワーク・ハイライトサテライト】……魔人能力『ハイライトサテライト』を中心としたC/S式異世界間通信システム。スパコンの借用を始めとして、多数の協力者に支えられている。常時開設IRCによる会話、身体情報すら読み取るクレイドルシステムを用いた大規模転送など、用途は様々。時空を超越した登校を可能にする夢のチカラ。

【掃き溜め】……山口祥勝をサポートする鍵付きコミュニティを起源とする集団。ネット活動を通じて得た友人や、彼に救われて縁を持ったものたちの集い。長きに亘る活動の成果で、そのコネクションは大いに広がっている。生きる世界が遠く離れた今も、時空の壁を超えて連絡を取り合っている。山口祥勝が辿ってきた人生そのもの。メリー・ジョエルもその中のひとり。

【新世界】……迷宮時計を巡るバトルロイヤルの戦場、打ち棄てられた数多の世界が行き着く最終処分場であった場所。新世界創造という大事業ののち、長い年月を掛け少しずつ復興していった。他の世界よりもほんの少しだけ異世界との結びつきが強く、それゆえに時空に関する研究が盛んに行われている。山口祥勝とメリー・ジョエルが暮らす家、山口新世界萬請負事務所の所在地。

【迷宮時計】……時空を操る魔人能力を持つ転校生『時逆順』の力の残滓。あらゆる時間、空間に干渉し持ち主の願いを叶える力を秘めており、その力を巡って争いが繰り広げられた。メリー・ジョエルの故郷である未来世界は、その影響によって荒廃していた。バトルロイヤル終結に伴い迷宮時計の影響は失せ、未来世界にも何らかの変化が訪れたはずである。しかし、その行く末を知ることは誰にもできない。

4伊藤風露:2015/05/31(日) 16:21:42
【伊藤風露】人工探偵に関する用語解説
ぶっちゃけ、頭に入れとくと困るけど、入れとかないと困るかも? なんでご容赦をっ。

;人工探偵(じんこうたんてい)
いわゆる【ナノマシン】によって構成された【性別:探偵】の人造人間。ロボット三原則に範を得た【探偵五原則】に従い行動するが、情動や知性においては普通の人間と何ら変わらず【魂】すら宿っている。全員が【探偵魔人】であり、植物や花、推理、情報収集に関連する能力を有している。
生まれた時点で身体・精神の両面で完成しており不老であるが、人間の探偵に代わって危地に赴くと言う性質もあって、平均余命は二桁を切る。
結構面倒くさい命名規則や一人称・二人称が独特など知らない人にはかなり面倒くさいが、その辺はかなり個体差があるので大体は下の名前で呼んでおけば問題ないだろう。

:;性別:探偵
【人工探偵】は男女の別で外見上の性差こそ現れるが、生殖機能は持たない。人間から見るとどちらもイケるバイセクシュアルのように見えるが、実際はヘテロセクシュアル。
よって、同じ人工探偵同士の場合は見た目男女の区分を持たず、一律に同性愛となる。

:;探偵魔人
一般的には探偵を職業とする魔人だが、狭義では種族そのものが『探偵』である【人工探偵】も指す。
在野の探偵も数多いが、政府と反目し革命を志向する反体制探偵組織も多数存在する。
人工探偵は後者が入手した技術と言うこともあって行動の制約こそあれど彼らに協力しており、人間の探偵との間に婚姻関係を結んでいるものも数多い。

:;ナノマシン
【ササニシキ】を元に作られた万能微小機械。元が元なので、生殖能力を除けば完全な人体構造を再現している。
人工探偵はすべて光合成機能を有しているが、別に肌が緑色と言うことはなく普通の肌色である。
一方で、体のどこかに【花冠】に似た感覚器を発生させていると言うわかりやすい特徴も有する。
性質上、四肢の欠損など重篤な怪我も専任の【工房】に赴けば極めて短時間で治療可能となっている。


::;ササニシキ
表向きはコシヒカリと並ぶイネの園芸品種。
その実態は滅亡したと思われる地球外先史文明が自分達の魂と遺伝情報を載せた播種船である。彼らは【人工探偵】となって見事復活した。当時の記憶はないらしい。
ちなみに『ひとめぼれ』や『コシヒカリ』、『恋の予感』に『あきろまん』と言った在来種と掛け合わせて作ったハイブリッド米でも問題なく機能している。

::;花冠(かかん)
【人工探偵】共通の弱点でもある独自の感覚器。花の形をしており、人工探偵はそこから命名されるのが一般的。
五感の拡張や能力の始点として普段から活用している探偵がいる一方、散らされると即死亡と言う厳しいルールによって、隠匿するするのがごく一般的であろう。
特に理由もなく見せびらかしているのはたぶん露出狂の変態。

::;工房
【人工探偵】が製造される場所。一部の探偵家や探偵組織以外にその具体的な位置は秘匿されている。
どのようにして作られるかは謎に包まれているが、最低限米一俵さえあれば形にはなるらしい。
日本酒の醸造過程に似ていると冗談めかされているが、真に有用な探偵を作ろうとするなら『米百俵の精神』が必要らしいので、芯は外していないのかもしれない。
長野『門松』、静岡『古笹(ふるささ)』、京都『中梅(なかうめ)』が代表的。松竹梅。

:;探偵五原則】
以下の通り
1.人工探偵は、被害者たる可能性のある全ての人間に危害を加えてはならない。
2.人工探偵は、可能な限り加害者の身命を擁護しなくてはならない。
3.人工探偵は、可能な限り自分の存在を保持しなくてはならない。
4.制作者の任意
5.第四原則を制作者以外の他者に知られてはならない。

人工探偵は自己の裁量に基づき五原則を運用するが、あまりに恣意的な解釈は己の身に跳ね返ることになる。最終的には自壊に至るため、最低限の安全装置としては機能している。
なお、第四項を第五項で隠蔽するのは逆手に取られた場合、致命的な事態に陥れられる可能性があるため。第四項には『そうなりたい』という理想像や逆に禁忌となる倫理規定が入れられる。

5伊藤風露:2015/05/31(日) 16:27:36

:;魂
いわゆる計量可能な存在の本質。精神と生命の根源と考えられるもの。
【人工探偵】はある程度『魂』の実在を認識しており、必要不可欠であると感じている。
自分達で決めたルールを守らなかった人工探偵の末路は、つまり――自分の魂にそっぽを向かれることなのかもしれない。
裏ワザとして地球人類の魂を用いて人工探偵を製作することも可能らしいが、情報として厳しく規制されており、またそこにもある条件があるらしい。表沙汰になった時点で処分されることが主である。

:;探偵等級
人工探偵に生まれつき与えられる等級格付け。最高級の一級から最低級の四級までの四段階に分類される。
基本的には上位に行くほど推理力が上がり、第一等級の【四季枝】に至っては転校生級の戦闘者すら存在すると言う。
認定外の『等級外』は製造段階で処分されているはずだが、管理外の個体が邪な目的に流用されていることもあり、そうした物は専任の探偵によって刈られる。

::;四季枝
四季士とも。四名で構成された第一級人工探偵の総称。探偵等級の認定官でもある。
由来は【春夏秋冬】の四つの気質の祖になり、現存する人工探偵の基本構造の元となったことから。
上から【花鶏】、【雷花】、【風露】、【桜火】と言う見た目の離れた四姉妹から成る。
ほぼ偶発的に生まれたこの四者から次世代の人工探偵が生まれるまで二十年、少々間が空いてしまった。『母様』と呼ぶには少し遠い関係性からだろうか、彼女達は下位の人工探偵達からは『姉様(あねさま)』と言う敬称をして慕われているのだ。
無論、四名は自分たちの上を行くものの出現を望んでいる。

:::;春夏秋冬
本邦では極めてはっきりとした四季の流れ。
すべての人工探偵は【春】【夏】【秋】【冬】の四種類の気質のいずれかを先天的に有する。
血液型性格診断程度には明確な性格の違いが現れるが、信頼性は段違いである。
【春】……春っぽい
【夏】……夏っぽい
【秋】……飽きっぽい
【冬】……冬っぽい

:::;花鶏(あとり)
本名『遠藤花鶏』。見た目はどう見ても小学生だが、結婚して遠藤姓をもらっている。
本格派探偵。すべての【人工探偵】の長子。人工探偵のまとめ役として、人間の探偵にもある程度顔は利く。
【冬】を象徴とする人工探偵でありながら、その髪は色とりどりの花畑で彩られている。

:::;雷花(らいか)
未婚。見た目は最年長の社会人だが、社会と交わらずマイペースを貫いている。
新本格派探偵作家。極めて強力なメタ探偵であり、電気椅子探偵でもある。
【秋】を象徴する『ヒガンバナ』の持ち主であるためか、定まった名前を持たず変名を使いこなす。

:::;風露(ふうろ)
本名『伊藤風露』。名前からわかるように、花鶏と同じく既婚者である。
幻想派探偵助手。見た目も性格も上二人の中間を取ったようなバランスの良さである。
【夏】を象徴する『フウロソウ』の持ち主であり、尖ったところはないが完成度は高い。

:::;桜火(おうか)
?????????????????????????????

6久留米杜莉子:2015/06/04(木) 18:30:28
 5月6日。希望崎学園。

 新校舎から「希望の泉」へと伸びた、深い森を縦断する舗装路。その道が一旦途切れ、森の開けた場所には一軒のプレハブ小屋があった。
 購買である。

「うーん、キッツいなあ。どうしよっか……」

 プレハブ小屋を少し離れたところで見つめ、天ノ川浅葱は独りごちる。
 明日、伝説の焼きそばパンが発売される購買、それを下見に来ていた。周囲には同じ目的と思しき生徒がちらほら見える。
 制服の懐には、目元を覆うマスクとシルクハット、怪盗ミルキーウェイの証を忍ばせて。

 ドア横の立て看板には件の告知チラシと共に、5月1日に届いたというミルキーウェイの予告状のコピーが貼り付けてある。
 出した覚えのない予告状。そのためにこうして何度も下見を重ねているわけだが、当初から頭に浮かんでいたいくつかの問題は、未だ解決の兆しを見せていなかった。
 
 一つは、購買部の警備体制。
 ドアや窓から覗ける店内は商品の陳列棚が撤去され、レジの前にガラスケースが一つだけ。あそこに当日、伝説の焼きそばパンが収まるのだろう。
 店長は今いないが、店内とドアの前に購買部員が三名待機し、警備に当たっているようだ。浅葱は購買部員の魔人能力を調べるために情報をかき集めたが、その全容が推測できた
のは部員全体のうち、二名ほどに過ぎない。
創設以来一度の万引きも許していないと言われる希望崎の購買部。デカデカと「万引きは極刑」の張り紙もしてあった。
 自分が今まで相手にしてきた数々の獲物と比べても、その難度は際立って高いと言えた。

 ならば買うのか、と言われればそれも難しい。
 この学園での自分は天ノ川浅葱だ。ミルキーウェイではない。焼きそばパンを購入できるのは学園生徒に限られるため、ミルキーウェイでは買えないのだ。
 そもそも予告状を出してしまった(出していないが)。

 自分は別に焼きそばパンが欲しいわけではない。予告状によって脅かされそうな、「ミルキーウェイ」を守りたいだけだ。
 予告状を出したのであろう偽のミルキーウェイが現れ、そいつをとっちめれば……というのは最も都合のいい想定に過ぎない。
 そのような人物が現れず、ただミルキーウェイを誘き出すためだけの奸計であったなら、果たして本物はいかに振る舞うべきだろうか。
 出て行ってあれは自分のものではない、と弁明するわけにもいかないだろう。「怪盗」というキャラ付けは甚だ面倒だ。

 結局、考えてみても答えは出そうになく、浅葱は溜息を一つ吐くと周辺に仕掛けられたトラップを確認しつつ、その場を後にする。
 そんな彼女の姿を、高木に仕掛けられたカメラの一つがじっと見つめていた。

・・・

7久留米杜莉子:2015/06/04(木) 18:31:08
 同刻、夜魔口パンFCの所有する屋内競技施設。

 夜魔口組の若い衆が100人、アナルを抑えてうずくまっていた。
 アナルパッケージホールドがわずか15分、アナル以外で決めるのを禁止した上で倒したのだ。

「完璧な仕上がりだな」

 &ruby(アナル){*}マークの覆面を脱ぎ、プロテイン入りミルクセーキを飲む片に声をかける。
 初日はフィジカル頼りのアナル攻撃が多かったが、特訓を重ねるごとにスタイルが板につき、相手がバルサだろうとマンUだろうと11人全員の処女を奪えるだろうという域に達していた。
 さきほどは両手両足での浣腸とトゥーキックにより4人のアナルを同時に破壊する妙技も見せている。

「ありがとうございます」

 片は先ほど渡した資料に目を通していた。
 当日の戦場となる新校舎から購買のプレハブ小屋までの道のりを載せた地図と写真。そして夜魔口組が調べあげた、当日参戦する確率が高い魔人学生とそのわかる限りでの能力のリストだ。

「社長、本当にこの子も来るんすか?」

 そう言って片が指したのは、リストの最後に記載された少女。

『怪盗ミルキーウェイ 魔人能力:なんか警備の死角とかがわかってるっぽい。』

「ミルキーウェイは16、7歳と言われてる。お約束的に希望崎の生徒だろう」
「またメタっすか」

 片は呆れた顔をするが、彼もそれ自体には文句をつけなかった。実際、その予想は当たっている。

「仮にそうじゃなかったとしても、必ず来るさ。そのために予告状まで出したんだ」

 伝説の焼きそばパンを頂戴する、という偽の予告状。
 それは魔童の指示を受けた夜魔口パンの社員が購買への搬入に際して置いてきたものだった。

「そもそも何でそんなことしたんすか? 敵を増やしてるじゃないっすか」
「ああ、それはな……」

 魔童はノートパソコンを起動し、開いたサイトを片に見せる。

『ワクワク動画 裏チャンネル』
『*VIDEOS』

 共に一般には秘匿とされる月額1万ドルの動画配信サイトであり、運営には夜魔口組が携わっている。
 アンダーグラウンドでの魔人同士の闇試合にデスゲーム、魔人能力による異形のセックス、その他諸々……。法に触れる動画も数多く配信し、国会議員や警察幹部なども含む、国内外の汚い金持ちを主な顧客として莫大な収益を挙げていた。
 魔人の少年少女が殺し合うハルマゲドンの模様などは配信される度にランキング1位を獲得する超人気シリーズだ。

「今回は殺人こそ禁止だっていうが、参戦する魔人の数はハルマゲドンの比じゃねえ。しかも見ろこれ」

『世間を騒がせる美少女怪盗ミルキーウェイも参戦!!』

 配信予告の特設ページにはそのように謳われている。この宣伝文句を加えただけで高額の動画購入予約数が跳ね上がったという。

「当日、ミルキーウェイが近くにいたら……」
「わかってるっす」
「掘るなよ。打撃だけだぞ」
「うす」

 片はなぜミルキーウェイに扮した魔童と連日アナルセックスさせられたのか、ここに来て理解していた。
 そして。

「社長」
「なんだ」
「ミルキーウェイ見たら勃っちゃって。一発、いいっすか?」

 白ブリーフの股間は雄々しくそそり立ち、カウパーが先端部を濡らしている。

「本番は明日。手淫は三回まで、交尾は厳禁だ。腰に悪いからな」
「うす……」

 そう言って拒絶すると、しゅんとしたようにうつむく。
 魔童はそんな片をちょっと可愛いと思ってしまうことへの危機感と、任務を完遂した後、果たして片が妻と普通の性生活に戻れるのか、という今更な懸念を抱くのだった。

・・・

8久留米杜莉子:2015/06/04(木) 18:32:06
 5月7日、11時30分。2年生のとある教室。

「じゃあ、今日購買に行く人。手をあげて」

 四時間目の授業開始時、教師が求めるとクラスの半分弱が手を挙げた。
 教師はそれを見て用意してきた名刺ほどのサイズの紙を配る。
 同じ頃、希望崎の全クラスでもこれと同じ光景が繰り広げられていた。

 紙には各人の名前を書く欄、その下に

『上記の者、「伝説の焼きそばパン」購入の権利を認める。 希望崎学園購買部』

 とあった。この日、伝説の焼きそばパンを購入するにはまずこの許可証を学生証と共にレジへ提示しなければならない。

「あさぎんも焼きそばパン欲しいんだ」
「ま、まあね」

 クラス委員の天ノ川浅葱は友人の言葉に引きつった笑みを浮かべる。果たしてどうすればいいのだろうか。やはり答えは出ない。

 その隣のクラスでは、皆に混じって一人の生徒がゆるゆると手を挙げていた。
 ふわふわした癖っ毛に、眠そうな目をした少女、須楼望紫苑である。
 何ごとにも緩慢な彼女だが、挙手するのさえ遅い。遅すぎて教師に気付かれず、紙が回ってこなかった。

「先生、私も……許可書をいただいていいでしょうか」
「ん? あれ、悪いな須楼望」

 そんな様子を、友人の瀬佳千恵が心配そうに見つめていた。


 同刻。3年のとある教室。

 受験やら就職やら控えるためか、3年生の希望者は多かった。

「欲しいでヤンス」

 挙がった手の中で、最も目を引くのが下ノ葉安里亜だった。
制服に包まれた肩から腕のたおやかなライン、手首から爪の先までの白さに誰もがひれ伏したくなると同時、思っていた。やはり今回もあのヤンキーぶってる後輩にパシられているのか……と。
 しかし、事実はそうではなかった。
 オヤブンはいつもクリームパンとかチョコパンとかばかり頼んで、今回は「伝説の」までついているのに「いや別に欲しくはねーけど」なんて言っていた。
 それでも、自分が献上すればその伝説の味にきっとわかってくれるはず。
 焼きそばパンこそ勝者の昼食だと。

 ――ヤスは頑張るでヤンス! 見ててでヤンス、オヤビン。

 さらに別な教室。

「どうぞ、ライバルね私たち」

 眼鏡の女生徒、久留米杜莉子は不敵な笑みを浮かべ、すぐ後ろの席のカレーパン頭の男子、その名もカレーパンに許可書を手渡す。

「残念だけど、あなたとめろんちゃんには普通のパンで我慢してもらうわ」
「それはこちらの台詞だ。だが、俺の作ったカレーパンならいつでも食わせてやろう」

 開戦間近、二人は激しく火花を散らす。
 周囲には心なしかスパイスの香りが漂っていた。


 1年生。

「お、雲水っちやるの〜、何お願いすんの〜」「マジかよ雲水スゲー」

 ギャルとチャラ男がピンと手を挙げた少年に言う。茶化すような口ぶりだが、彼らに悪意がないことを少年――雲水は感じていた。

「何を願う、というか、何も起こらないことをですね」

 穏やかな口調での返答に、二人はポカンとする。
 同じ教室で、他にも意外に思われる参加希望者があった。

「わ、私にも」

 その生徒、真知は大人しく、人付き合いにも消極的な少女である。しかし、周囲は知らなかった。彼女が持つMACHIの顔を。

 ――みんな、見てて。ファッキン焼きそばパン、ファキそばパンにあらゆる苦しみを味わわせて蛆の餌にしてやるから。

 その瞳には強固な意志が宿り、そして……微かな「影」が差していた。

 その隣のクラス。

「可憐塚さんも出るんだ……」「何お願いすんだろう? 恋人?」「恋人なら俺がなってあげるのに」「死ね」

 人形のごとき美貌の少女。可憐塚みらい。
 
 二つ隣。

「アナル!! パッケージ!! ホールド!!」
「ひっ」

 学ランに*模様の体験入学者、アナルパッケージホールドが勢いよく手を挙げると、隣の女子生徒が怯えた声を漏らす。その迫力に、このクラスでは参加希望者の半数ほどが辞退していた。

 ここに名の挙がった9人、その中の誰かが、或いはNPC、名もなきモブが伝説の焼きそばパンを手にするのか、それは神のみぞ知るところであった。

9メリー・ジョエル:2015/06/04(木) 20:29:21
*Chat Log(新世界⇔どこか)


&color(){:brustshoot:伝説の焼きそばパン、ね。そりゃまた懐かしい名前を|}
&color(){:brustshoot:どこの世界にもあるんだな、アレ|}

&color(blue){:thoroughbred:知ってるの?今度購買部に入荷するんだって|}

&color(){:brustshoot:前にちょっとな|}
&color(){:brustshoot:なんでも願いが叶うって噂を聞いて|}
&color(){:brustshoot:本当ならそっちの世界に帰れるかもしれねえと思って調べた|}

&color(blue){:thoroughbred:ふーん|}

&color(){:brustshoot:欲しいのか?サラブレ|}

&color(blue){:thoroughbred:いや別に|}
&color(blue){:thoroughbred:っていうか祥勝おじさんが帰れてないってことは、結局ガセだったってわけ?|}

&color(){:brustshoot:少なくとも俺の望むような代物ではなかった|}
&color(){:brustshoot:願いが叶うっつったって、焼きそばパンに不老不死とか全知全能とか|}
&color(){:brustshoot:時空超越とか願うやつはそうそういねーだろ?|}

&color(blue){:thoroughbred:ならちょっとした願いなら叶うの?お金持ちになりたいとか、恋人が欲しいとかさ|}

&color(){:brustshoot:さあな?|}

&color(blue){:thoroughbred:さあなって何だよ。調べたんでしょ?|}

&color(){:brustshoot:そもそもの興りは、かつて経営不振に陥っていた購買部のマーケティングなんだ|}
&color(){:brustshoot:国体で優勝した運動部生徒がいつも買ってた焼きそばパンを|}
&color(){:brustshoot:『これを食べれば君も優勝間違いなし!』とかなんとか言って売り出した|}

&color(blue){:thoroughbred:はぁ?|}

&color(){:brustshoot:んで、その後経営を持ち直した購買部は売り方を変えた|}
&color(){:brustshoot:採算を度外視した絶品の高級パンを不定期に一つだけ売ってイベント化|}
&color(){:brustshoot:まあ、要は客寄せの撒き餌ってとこだな|}
&color(){:brustshoot:俺が知る限りでは、世界が違ってもこのルーツは大体同じだ|}

&color(blue){:thoroughbred:要するに詐欺じゃないか、それ|}

&color(){:brustshoot:ちょっとぐらい誇張した宣伝なんて世の中にいくらでもあるだろ|}
&color(){:brustshoot:簡単においしく痩せられるビスケットとか、うちの会社は残業ほぼありませんとか|}
&color(){:brustshoot:健康に効くパワーストーンとか、胸がでかくなるキャンディとか|}
&color(){:brustshoot:悪を打ち砕く雷炎のスーパーヒーロー様とかな|}

&color(blue){:thoroughbred:母さんが首をひねってたよ|}
&color(blue){:thoroughbred:食べても食べても一向に痩せないのよ、ってね|}

10メリー・ジョエル:2015/06/04(木) 20:29:51
&color(){:brustshoot:救いようのない馬鹿だなあいつ|}
&color(){:brustshoot:あと付け加えとくと、歴代の焼きそばパン購入者たちの多くが|}
&color(){:brustshoot:『本当に願いが叶った』っていう証言をしてる|}
&color(){:brustshoot:まあ、成績が上がったとかクジに当たったとかって程度なんだが|}

&color(blue){:thoroughbred:どうせプラシーボ効果とか、心理的な関連付けじゃないの?|}
&color(blue){:thoroughbred:たまたま時計を見たら4時44分だった!みたいなアレ|}

&color(){:brustshoot:そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない|}
&color(){:brustshoot:ただ、焼きそばパンのジンクスが嘘だと証明することは誰にもできない|}
&color(){:brustshoot:たとえ、売る側である購買部自身にそのつもりがなかったとしても、な|}
&color(){:brustshoot:大体、ホントなら108円以上の価値があるもんをわざわざ安く売ってるわけだし|}
&color(){:brustshoot:そのせいで誰かが傷ついてるわけでもない。目くじら立てるほどのことじゃねえだろ|}

&color(blue){:thoroughbred:ふーん。祥勝おじさん、結構ロマンチストだね|}

&color(){:brustshoot:駄目かよ?|}

&color(blue){:thoroughbred:意外なだけ。母さんが言ってたよ|}
&color(blue){:thoroughbred:祥勝は昔から、ヒーローのロマンのなんたるかを理解してない。とかなんとか|}
&color(blue){:thoroughbred:あと、チキン野郎で幼女趣味とかも言ってた|}

&color(){:brustshoot:A子に伝えといてくれ|}
&color(){:brustshoot:『自分の息子に変なことを吹き込むなクソアマ』ってな|}

&color(blue){:thoroughbred:機嫌が悪くない時にね。スネるとメンドクサイんだ|}

&color(){:brustshoot:ああ、知ってる|}

&color(blue){:thoroughbred:こないだなんて、部屋のフィギュアに触っただけでメシ抜きだったし|}
&color(blue){:thoroughbred:息子の分のアイス勝手に食うとか、ありえなくない?|}

&color(){:brustshoot:お前もだんだん似てきたけどな|}

&color(blue){:thoroughbred:やめてくれよ|}

&color(green){:satellite&color(magenta){:ai-syoujo}さんが入室しました}

&color(magenta){:ai-syoujo:あんたたち|}
&color(magenta){:ai-syoujo:みえてるのよ|}

&color(green){:satellite}:brustshoot&color(green){さんが退室しました}
&color(green){:satellite&color(blue){:thoroughbred}さんが退室しました}
&br()&br()

11翻訳者:2015/06/15(月) 02:51:49
幕間SS
タイトル:花烈の人

 西暦1927年(大正&bold(){&ruby(・・){17}}年)夏。
 某世界、大日本帝国帝都病院坂にて。

 「次は、花を削ぐ」
 女は、そう言った。
 手には木剣――&bold(){黒々}とした、それで千切ることは出来まいと嘲った童の耳介を消し飛ばしたのがつい半瞬前。
 
 童はぱしぱしと、何に驚いたか片目を開閉している。
 へたりと座り込む童。主人の言いつけを守りながら余計な口を差し挟んだ結果がこれである。
 本来、おさなごはこのようなものであると弁護されるところだが、女と童は同族である。見た目と中身の齢のかけ離れ具合を自覚しているはず、甘えは許されない。

 晴れ着を着て、ちょこちょこと雨上がりの屋敷を散策する。お前は出来の良い子よ、とさんざ褒めそやされてきた報いがこれであるのか、いいえこれは生まれ持った性分である。
 &ruby(あねさま){姉様}への恨み言は許されない、と、おさなごはきゅっと唇を噛み締めた。

 「&ruby(あねうえ){姉上}はどこにいらっしゃるか」
 問う声に答えず救いを求めおろおろと、それでも視線は動かない。
 詰襟姿の女、彼奴等の手の者か!? だから障子戸ほどの盾であっても構いはしないと、それでも怖くなってぎゅっと身を抱きしめた。

 そして両目を力一杯瞑るのを見たために、女は柳眉を逆立てる。
 険のあるその顔、ようやく緩む。

 「下がりなさい」
 格子戸を自ずから手で引き開けて、鈴を振るような声がしたからだろうか?
 目の前の童を置き捨てて、&ruby(ツユクサ){露草}の茂る庭に出て、目線を合わせて膝を付く。
 ぱあ、と両目を開いて咲いたその子がちらりと目に入る。それより今は花畑が目を惹いた。

 「久しぶり――。銘仙よ、悪くはないでしょう?」
 一番上側には焼きそばパンをあしらった派手な模様の着物。一見すると悪趣味に見える絵柄も自然と折り合わせる。この探偵のセンスの良さを窺わせた。
 「なるほど、&ruby(シャンハイ){上海}に赴いた時に――」

 手を振って、続きを急かす。磨き上げられた小石のような爪だ。
 土足で我が家に押し入ったのだからよほど火急の用でもあるのかと、酷く当たり前の追及である。
 ちら、と先の子を見やると、目に入った&ruby(アザミ){薊}が萎れていた。
 「棘がある花を瞼の裏に隠すのはありふれたやり方であるかもしれないわね。薊、挨拶なさい」

 呼ばれてはっとしたか、薊の名を持つその子供はたたたと馳せんじる。
 問題は袖にしがみ付くにはあまりにも幼すぎたことであった。双方ともに十の背丈に足りなく、すがり付いたところで、寄り添ったところで親子ほどに背の離れていては頼りに見えない。

 しかし、本来なら尋常小学校を出たかも定かでないこの子供こそがこの場の最上位者である。
 "彼女"はすべての人工探偵の祖に当たる者、名を&ruby(えんどうあとり){遠藤花鶏}と言った。

 なるほど、当年取って三〇にしてはあまりに&ruby(しゅじゅ){侏儒}な風貌である。
 けれど、その威儀、佇まい、加えた齢に相応しいと思わせる程には老成円熟。
 外見が好ましいと思わせるほどに違和感を感じさせない。

 これが許されるのは、童女をかたどった生きた人形のそれであろうか。
 けれど、その印象を打ち消すのはひとつによく動く可憐な口の端であり――。
 「全く。あなたに期待するのはそれでないから危地に陥ったら逃げなさいと、いつも言っているでしょう?」

 もうひとつに。
 「タンポポは『別離』を意味する花。薊、離れていなさい」

12伊藤風露:2015/06/15(月) 02:52:40
 草色の長い長い髪を彩る無数の花束であった。
 花畑から枯れ果てて屍をさらすものが現れないのは、そのすべてが花鶏の体の一部であることを意味した。
 本来、一輪しか咲くことを許されない花――、それを何のことなしにむしり取り、ぺたり薊に貼り付ける。
 薊は不安そうな顔のままに、元いた日本家屋の中へと戻っていく。
 本来、いの一番に人前に晒してはいけないよと躾けられる恥部たる薊の花を片目からぴょろりと出したままに。よほど、不安なのだろうか、構ってほしいのだろうか。
 未だ、近い。二人の声が届くほどに、障子戸の分割された色と形が盛んに揺れていた。

 「姉上、少々甘やかし過ぎでは?」
 この妹は思わず苦言を呈する。
 先は手をあげたが、これは花鶏の妹――同じく第一級人工探偵である『&ruby(おうか){桜火}』の元来の性分ではなかった。

 「あの者の能力は聞いております。確かに自身にも有用な素晴らしい魔人能力でありましょう。
 けれど、あのような振る舞いで事件解決に導くこと&ruby(あた){能}うでしょうか?
 彼の者に相応しき&ruby(じょしゅ){伴侶}の下に嫁ぐことが叶うでしょうか? 心配でなりません」

 声音に偽りはなしと見た花鶏は、髪にやった手の平をふと顔の真中に寄せ、つうと愛する妹の頬を撫ぜた。
 「心配してくれているのね……ありがとう」
 黒檀の如き第二種探偵装、よく似合っている。目を合わせるとそれだけで伝わるようだった。
 この世界において探偵とは陸と海に続く、第三軍としての性質が強い。軍に寄せつつも、装われた鎖飾りやタイが厳めしさだけでなく、可憐さも湧き立たせるようだった。

 「好み(この身)を見なさい。&ruby(たで){蓼}のような我が身でさえ今は立派に虫が付いているのだから。
 ……あら。そろそろ二分と半と言ったところかしら」
 「それほどに時間が? ああ、『&ruby(アンソロジー){花撰集}』の効果時間でしょうか」

 伊達に二十七年間妹をやっていたわけではなかった。
 『&ruby(ペタル){花弁}』、『&ruby(ブックマーク){枝折}』、『&ruby(リーフレット){若葉}』……、ここに挙げたのはごく一部であるけれど。
 『花撰集』、己の身を裂いて発せられる花鶏の魔人能力は七つの側面から成る。
 花鶏を筆頭とした最高の人工探偵『四季枝』の力の発露であった。
 
 『花撰集;花弁』。アンソロジーの一頁。
 部下に押し花と言う形で度々貸し与えられるこの能力は予め発声しておいた花言葉を感情として押し付ける。

 「そして、ここまで三分と言ったところありましょうか」

 効果時間は十分=三千字ほど、どうしてそのような計算式が成り立つのか?
 その由来についてはメフィスト派探偵『&bold(){山禅寺}』に由来すると言われている。
 ともあれ、感覚で時の流れを感じ取った桜火は理解した。

 「効果時間が切れ、薊が戻るまでに話を終わらせろと言うのですね」
 その通りですよ、と言いたげに花鶏は桜火の瞳を覗きこむ。まんまるとした湖面の中に浮かび上がる&ruby(しろおもて){白面}が。
 もし、その瞳が満月のようであったなら、もう少し姉と自身の顔を見つめていられたのだろう。
 けれど、輝きは下弦の月のようで些か足りないようだった。それは半目、もしくはジト目である。
 ああ見えて桜火が気にしている目の形であった。

 「好奇心なくして探偵が探偵、人が人足り得るのか試してみない?」

 膝を突かれ、真正面に相対する姿勢から一転した。
 花鶏は百八十度回転すると、庭の飛び石から外れないように歩み出した。桜火もゆるりとその後を追う。
 「あなたの話を聞くつもりはないけれど、大体察しはつくわ。最近将軍(※)に昇進したのね。おめでとう」
 「ありがとうございます」
 歩幅の差はあるのだけれど、それを感じさせない身軽さで進んでいく。

 ※:本来は探偵には独自の階級呼称があるのですが、読者の皆様に混乱を招かないために軍の物と対照しての便宜上の表記とさせていただきます。どうかご了承ください。 

 「武家の本流は最早徳川の物にあらず。ならば大樹の名は――ふふ」
 「ご冗談を……」
 池の周りをくるりと追いかけっこ、花鶏の袖から零れる米粒に、麺類の幼体が群がっていた。
 そう言えば花鶏の着物の絵模様は焼きそばパンだった。

 「地の文なんて素敵な物を思い出したわ。大方、あの子の話なんでしょう?」 
 「ええ、話が早い」

13伊藤風露:2015/06/15(月) 02:53:05
 桜火にとってひとつ上の姉、花鶏にとってはふたつ下の妹『風露』はなかなかの問題児である。
 好奇心のままに突っ走る、それこそ手を引っ張って何処までも――。
 だから手がかかる。心配させられる。どこかで迂闊に命を落としているのではないかと。
 地の文――、今会話文の外で書き述べられている文章、これを読み取る能力なんて一見すると無敵に見える。
 
 けれど……、付け入る隙なんていくらでもあるものだ。

 さんざ振り回されてきた二人は今、地の文そのものを読み取れずとも、流れに似たものを今感じ取っている。単に馴れ親しんだツーカーの仲とも言えるが。

 「雷花には了解を取りつけました。一個探偵団を編成し、最悪の場合刈り取りに入るやもしれません」
 故にこの発言にも驚かない。
 「機密保持、発狂もしくは暴走の兆候、政府の介入、それ以外、想定順位はどれ?」
 「ここ大正時代より発狂の兆候を観測しました。第二位に機密保持、以外は無視してよい範疇かと」

 ここで補足しておこう。
 桜火の探偵流派は『歴史』、つまりは『if(もしも……)』の領域を推理する探偵である。
 ここ大正の元号が十五を越えて存続した平行世界を本拠と定め、他の平行世界を観測して歴史を比較研究しながら探偵にとってより良い未来の実現を目指して活動している。

 「一応、それは最悪の事態なのでしょうけど、覚悟はしておくわ。
 かなり揺らぎは出ているのでしょう? 規模と時間、場所は?」
 
 この二人も平行世界を渡る力を有している。

 「時間は二〇〇九年五月七日。場所は姉上も御存じの通り、【焼きそばパン】世界であります」
 「そう、ならばあなたの他にわたくしも出るわ。雷花にも支援させる、もしその時が来れば――」

 四人しかいない、四季枝。欠けるのも一興かもしれない。

 「……分岐する可能性は十五、いえ十三。内二つで凶の目が出ています」
 「十三、吉数ね。まさか、この段階で一人欠けるなんて」

 「……申し訳ありません。最悪の場合は【&bold(){刈り取り}】ではなく【&bold(){摘み取り}】でお願いしても良いでしょうか?」
 枝を分けた&ruby(きょうだい){姉妹}を殺めるかもしれない。
 そのような深刻な話題の中、花鶏は極めて冷然と受け止めていた。
 【冬】と【春】、二人の生まれ持った気質の差と言ってしまえばそれまでだが、桜火は尊敬する姉との間に埋めようのない断崖を感じた。隣に居ても、どこか遠い。

 「……そうね。どんな悪い目が出たところで芽だけは残しておかないと」

 これからも我ら人工探偵は刈り取られ続く。
 けして止まぬ犯罪者との戦いの果てに、または政府や妖怪の走狗どもの手にかかって、あるいは心無い一般市民の慰みに手折られることもあるかもしれない。
 
 《生まれて数年、ただの数年。人としての身をもらいながら、どうして人と同じように死ねぬのですか?》
 花鶏や桜火が一、二に満たない妹たちに縋り泣かれたのも一度や二度ではない。

 けれど。
 「あねさまー」
 薊が戻ってきたようだ。そろそろ十分は近いなと思いつつ、風露抜きでは正確な字数を数えることもままならないんだなと、二人は今更に感じた。
 そして、桜火は当たり前のように笑い返すのだ。

 たとえ黄泉の女王が日に&bold(){千の草}を引き抜こうとも、&bold(){千五百}植え直せばいい、と。
 桜火は、猛々しくも美しい、焔のような表情で笑っていた。

14アナルパッケージホールド:2015/06/18(木) 09:43:15
文華「テスラさん、行きますよ」
テスラ「はい、お姉様!!」

メアリ「う゛ぁーーー痒い〜、むっちゃ痒いよ〜」
悪九斎「ぐははははは、その痒みからは逃れられぬわ!足を切り離しでもせん限りな」
メアリ「じゃあそうするー」

アナルパッケージホールド「アナルパッケージ・・・」
SEX衛門「おおっと、それは俺の領域だぜぇ〜」
アナルパッケージホールド「アナル!?」

MACHI「ファックイエー!未来を切り拓くのはー! ボクらの暴力ー!」
サブイネン「むっちゃくちゃやなあ、音楽も戦い方も」

狼瀬「悪いな、焼きそばパンは私が貰うぞ」
みらい「あらあら、この私に逆らうのですか?クスス、でもそれも面白いかも」


オバチャン「購買利用資格が無くてもアタシを倒せばいい、実に甘い考えだねえ」
龍玄「焼きそばパンの悪意に取り込まれたか。せめて私の手で葬ろう」
???「ファーーーー!!」
???「俺か?ここに通っている娘を迎えに来た保護者、ブラストシュートさ!」



『ダンゲロスSS裏Race・ブーストパック』!!!!!




あの伝説の焼きそばパン争奪レースがパワーアップして帰って来た!
モロチン、裏Raceのセーブデータ引き継ぎも完備だ!
それでは新要素を紹介していこう!

15アナルパッケージホールド:2015/06/18(木) 09:44:33
新要素1・舎弟システム
条件をクリアーする事で、プレイヤーキャラを助けてくれる
舎弟を引き連れる事が出来るぞ!舎弟は周りの敵を排除してくれるタイプ、
移動を補助してくれるタイプ、プレイヤーの能力を変化させるタイプなど様々だ!
だが、ブーストパックでは敵も舎弟を引き連れて強化されているぞ!
プレイヤーキャラと舎弟の組み合わせは無限大!君だけの最強コンビを見つけよう!

新要素2・使用可能キャラ大量追加!
自キャラとして使いたいという要望の多かったNPCが専用シナリオ付きで使用可能に!

「グハハハハ!! 儂に逆らって無事でいられる者はおらぬ!」
『決して戦ってはならぬ男』群田悪九斎 参戦!

「……気持ちがいい爽やかな風ですね」
『自由なる風紀委員』車口文華 参戦!

「なんや知らんけど、売られた喧嘩は買うでぇ」
『滅亡都市の少年戦士』サブイネン 参戦!

「・・・ハァハァ、これであの子に褒めてもらえるのなら」
『魅了されし白狼』狼瀬白子 参戦!

「私は今迄何を・・・何をしていたというのだ」
『己を取り戻した白狼』狼瀬白子 参戦!

「あの子は、赤くないからすぐに分かる」
『嘘を嫌う嘘つき』赤根リリア 参戦!

「性病以外もらえるもんは何でも貰う、俺のポリシーさぁ」
『全自動腰振り男』性帝SEX衛門 参戦!

「伝説の焼きそばパンか」「せっかくだしこの祭りに参加しなきゃね!」
『未知数なる分身』エディットキャラ(男女選択可能)参戦!

新要素3・合体奥義!
プレイヤーキャラ同様、舎弟にも奥義ゲージが存在する。
そして、プレイヤーキャラと舎弟の奥義ゲージが共にマックスの時、
合体奥義が使用可能なのだ!合体奥義はそれぞれの奥義の威力の
合計値以上のダメージを叩きだす!さらに、特定の組み合わせで使えば
特殊奥義が発動するぞ!その一部を紹介しよう!

文華「合わせますよテスラさん」
テスラ「ハイ!お姉様!」
『デモリッシュサンダー』車口文華&天雷テスラで発動可能
電撃による防御貫通属性を付与した音速の拳

雲水「スゥーーー」
サブイネン「喝!」
『破邪の鐘突き』霊能者雲水&サブイネンで発動可能
対象の悪意の大きさに比例して大ダメージを与える

杜莉子「グオオオオオオー!」
ヤス「どひゃー!何でヤンスかー!」
『グルメ細胞覚醒』久留米杜莉子&下ノ葉安里亜で発動可能
杜莉子の体力が大回復し全ステータスが一定時間上昇する

新要素4・新ボス追加!
購買に到着するまでのプレイ内容によっては伝説の焼きそばパン以外の
キャラがラスボスになるぞ!購買利用資格を失った状態で突入するとオバチャンが、
伝説の焼きそばパンと同化する事を選ぶと龍玄がボスとして登場するぞ!
その他にも様々なボスがいるがそれは君の目で確かめてくれ!


『ダンゲロスSS裏Race・ブーストパック』20015年8月発売予定!

16少年A:2015/06/22(月) 00:47:25
(コソッ……)

0006.x0.to/oo/gif/SSUraRacers.png

17minion:2015/06/23(火) 23:35:23
天雷テスラ&車口文華。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=51041243
二人は風紀委員。

18minion:2015/06/29(月) 07:14:20
SSRace&SS裏Raceの美少女詰め合わせ。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=51102010
左上から、伊藤風露、舟行呉葉、天雷テスラ&車口文華。


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