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ホーリーランド4 イラスト&SSスレ

510 超時空軽空母『綾鷹』 :2015/12/19(土) 19:13:26

日当たりのいい病室。
余命いくばくもない老人がベットにいる。目的地はその胸元だった。

「〜〜〜〜  」

少女は必死に力を振るい全力全速でそこに向かう。けれども足取りは酷くよたよたで息はとぎれとぎれであった。

ばふっ
それでもようやく目的に辿り着く。そこはお日さまの光を吸ったシーツの匂いがした。

そして蹲ったところを優しく頭をなでられた。そこで彼女は初めて

泣き方を思い出した
わめき散らしても いい場所があったことを思い出した。
太平洋のどまん中の中、縋るべき藁を見つけた。

―――だって この人は―――


「「「おじいちゃん、おじいちゃん、しんじゃやだーーー。」」」」」

――私達の家族なんだから
そして少女はうわんうわんと外聞もなく声をあげて火のついた様に泣き出す。
宿業と非業の戦士と謡われた者はわき目もなく嗚咽をあげる。そしてそんな自身のことを恥かしいとも無様とも思わなかった。

それはどこか迷子となり途方に暮れていた子供が、ようやっと自分の帰る家の灯を見つけた
そんな泣き方だった。


その泣きじゃく姿をどこか他人事のように見下ろしながら、彼女の精神は今初めて自分の周りを見渡した。

いつも彼女の周りにはOSという壁があり、それが全てを遮ってきた。
始終囲まれ前だけを見るよう視界を遮られ、その指示に従い、想うことなく唯生きてきた。

ずっと自分に心などないと言い聞かせていた少女はそこで初めて、本当に初めて自分の後ろを振り返ってみた。

振り返って見て彼女は初めて知った。
自分と同じ顔の少女がひとり、そこに佇んでいたことを。

それは自分が殺した少女、歩むべき人生をかすめ取り、存在自体を踏み台にしてしまい抹殺したはずの少女。

(ああ、ずっと、ずっと貴方は私のそばにいたんだ)
彼女はゆっくり頷く。

(気づいてあげられなくて、すまなかった)
今度はゆっくりと彼女は首を横に振る。

そして目線をベットで泣きじゃくる少女へと向ける。その眼差しは例えようもなく優しげなものであった。
少女もまた同じようにそれをみやる。そうだ。

家族が家族を心配したり、死に目に取り乱したりするのは当たり前。

家族なんだから当たり前。

なら今はこのひとの家族として精一杯すべきことをしよう。縋って縋っていなくなることを
唯ひたすら哀しもう。
大丈夫、あたしのとき、あたしのことを泣いてくれる人は今もうここにちゃんといるから…


BouleOSが見落とした『認識の共通項』。それは「とある一族の家族の絆」。

タイムループを繰り返し、閉ざされた世界で当てもない旅を続けた少女。

大好きなおじいちゃんの膝元。
そこがRMX-114こと一六九の人生の安息にして終息地点で合った。



回廊を抜け、少年と少女が部屋に辿り着いた時、彼らの見たのは
病室のベットで身を起こしている好々爺の老人と、その膝元で泣きつかれ
今は穏やかな寝息を立てるロック少女の姿だった。

「――――」

少年は驚いた様に呟いた。
耳の聞こえない少女はその声を聞きとることが出来なかったが、何を意味する言葉を
いったのか明瞭に理解できた。

彼はきっとこのような類の言葉を発したのだ。

「あの人、僕の源流(オリジナル)だ」と。


少年は初めてしった。99%が魔人と謳われ、自らもそう名乗る一一族、何故自分達がそのような
名乗りをあげているのか、その理由を。残りの1%の存在を。
そう、何事も例外はある。そのことを決して忘れてはいけない。そしてそれを知ることはまた
次の新しい第一歩を踏み出すことへと繋がるのだ。


〜同時刻、同空間の通路にて〜

『はあ?なにいってやがる。少年のほうはあくまで賞品だ。じーさんの遺産引き継ぐのは、
この大会の優勝者、手前らの誰かだぞ。』
「「なっなんだってーーー」」

暫定1位と3位の声が綺麗にハモり、通路内に響き渡った。
                
                     ( つづく


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