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ホーリーランド4 イラスト&SSスレ

507 超時空軽空母『綾鷹』 :2015/12/19(土) 19:04:17


そして彼女は病室に到達する。
青一色の回廊を抜けると今度は青と白のコントラスト、先ほどどこか神秘的な装いとは180度変わった。
明るい晴れやかなイメージが少女の前に現れていた。

そこは想像していた集中治療室のような重々しいものではなかった。
ベットのほかには机がある程度、清潔ではあるが極めて質素な部屋だった。唯一、海洋を見渡せる窓
だけが、唯一部屋に彩りを与えており。海面が光を反射しキラキラと輝き、その上には小さく空を行く
カモメの影が見え隠れする。

部屋には二人。
ベットには老人が一人。脇にはピンクのナース服を着た少女が控えていたが、老人はこの来訪者の
登場に驚いた様子も見せず、少女を制すると自力でゆっくりと上半身を病床より持ち上げた。
齢は80を超えているだろう。若いころはさぞ精悍であっただろうと思われるが今はなんのこともない
無力な老人。戦意や覇気、抗う気力といった抗いの意志はそこにはなかった。
その好々爺した姿からは半世紀に渡り、この国と共にあった国士としての威厳は感じとれなかった。

全ての手筈を用意周到に整え、彼の全てを引き継ぐに足る器がここに到りつくのを待っていた
だろうその人物は、現れた刺客に対して、あろうことか手を広げ、優しく笑いかける。

運命を受け入れたか。少女は僅かばかり眉を挙げ、ターゲットを凝視する。
あとは一息に距離を詰め、胸元に飛び込み、全てを終わらせるだけ。殺人機械である自分には容易いことだった。




この最終局面を迎え、一つ、ひっそりと新たな動きが発生した。
彼女の中に内蔵された人工魔人頭脳システムBouleOSがその本来の役割をなさんと起動しはじめたのだ。
OSは『未来の本体』に対し、この世界で収集した情報を未来に向かって発信をする為のカウントを刻み始めた。

BouleOSの最大の目的はRMX-114のサポートではない。第一目的はあくまでRMX-114が収集した情報を未来に
存在する十束学園へ送り届けることにある。
自分はこの忠実な分身と共に得た情報を未来の自分に対し、学園の指示通りに送り続けていればよい。
今回のあるいは今まで繰り返したRMX-114の試みが成功であれ失敗であれ、正否は問われない。送ることこそが
重要なのだ。彼女の中の機械はそう考えている。

自分達は末端であり、最終判断するのは未来の『正史』に鎮座する本体であるからだ。
もし今回が失敗と判断されても彼のメインホストはその情報を参考に改修を施したRMX-TYPEを作りだし、
再び過去の一六九の胎体の元に送り込む。
そして発生した過去は常に上書きされ、更新され続ける。
そう何れ『学園』が万全であると満足する結末に到達するまで。ループは繰り返し続くのだ。

『正史』からの執拗な歴史改ざん。それがRMX-114のもつ宿業、無限ループの正体。
ALL FOR 十束学園。
全ては学園の都合のいい結末の為に。

とまれ今回、今まで所在不明だったフィクサーの位置情報を得たのは飛躍的な全身だった。
あとはEnter(実行)キーを押し、この老人を排除するだけ、まだこの身体の組織崩壊には十分間がある。
忠実な分身が作業に移してくれるだろう。
―――――
実行。
実行。
実行。
―――――。
だが、忠実な分身であるはずの身体はフリーズしたままピクリとも動かなかった。
―――RMX-114?実行?

BouleOSに少なからぬ衝撃が走る。それは今まで幾多幾層も繰り返して来たタイムループでも一度も
発生し得なかった現象だったからだ。
――――――――――RMX-114、対応。

彼女は全身に脂汗を掻きながら見えない何かと格闘していた。
いまだかつて感じたことのない何かが、彼女を、その足をその場に縫いとめていた。


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