■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■

ーーー リョナ2板 SS総合スレ 第3巻 ーーー

1 : 名無しさん :2014/03/23(日) 00:05:52 BTGdgY9k
リョナSS総合スレです
仲良く進行していきましょう

保管庫はありませんので、保存は各自でお願いします


ーーー リョナ2板 SS総合スレ 第1巻 ーーー
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/37271/1176397637/
ーーー リョナ2板 SS総合スレ 第2巻 ーーー
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/37271/1312390724/

旧板スレ
ttp://bbs.2ch2.net/test/read.cgi/ryonani/1145776314/l50


2 : 名無しさん :2014/03/23(日) 00:38:56 ???
3/23 1:30

K.M


3 : 名無しさん :2014/03/23(日) 01:23:01 ???
>>2

訂正

3/23 2:00

※ もう少々お待ちください


4 : 名無しさん :2014/03/23(日) 01:33:22 ???
スレ立て乙です


5 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:00:02 ???
ふと、彼女は目を覚ました。

「……」

見知らぬ部屋だ。
コンクリート造りの密室。何も置かれていない部屋。特徴のない部屋。その特徴のなさがどこか凶器じみている部屋。
少女は、その部屋に微かに漂っている血の匂いを敏感に嗅ぎ取った。
窓がないために空気の逃げ場がないのだ。

次に気づいたことは、自分が壁に磔にされていること。
X字に四肢を拘束されており、容易には解けない。
しかし、少女はその程度のことで動じることはなかった。

――何のつもりかしら。

少女が辺りを見回していると
目の前にある壁に、縦にすっと切り込みが走る。
その切込みから、エレベーターのドアのように横に壁が開く。
奥から現れたのは……知らない少女の姿。
傍観者である彼女に、知らないことはない筈なのに――。

「お目覚めかしら?」

繭羅は、磔にされているその少女の名を口にする。

「……レイチェル・アルカードさん」


この少女は何者なのか。
ここは一体どこで、何を考えているのか。
聞きたいことは山ほどある。
しかし、その疑問を口にすることができない。

口に何かを嵌められている。
すでに口の中は自らの唾液のなかでぐちょぐちょになってしまっていた。
ゴムの味がする唾を飲み込む。
口に嵌められているもの――それは、赤ちゃんが咥える、おしゃぶりに似ている。

「ぅ……ぶ、ぶぅ」

豚の鳴き声に似た声が出て、目の前の少女は愉しげに鼻で笑う。
恥ずかしさと屈辱感がこみ上げてくる。
レイチェルはせめてもの抵抗として、鋭い紅の眼光で少女をにらみつけた。

「下界を傍観する立場から、引きずり下ろされた気分はいかが?」

繭羅が、レイチェルの金髪のツインテールの片側を持ち上げて、くるくると指に巻きつけてくる。
自分の髪が弄ばれていることにも、激しい嫌悪を感じるレイチェル。
彼女は首を乱暴に動かして指を振り払った。

「おお怖い……何か言いたげな目をしていることだし、そのおしゃぶり、外してあげるわ」
「ン……ぷはっ」

おしゃぶりの先に付いていた、乳首の先端のような突起が引き抜かれる。
口の中で分泌されたレイチェルの唾液が、生々しくてらてらと光り、糸を引く。

「――ずいぶん酷い扱いをしてくれるわね」

この程度のことで度を失ったりはしない。
理由は分からないが主導権を握られているこの状況で、弱みを見せてしまうことだけは断じて避けなければならない。

「何を企んでいるのか知らないけれど、遊んでいる暇はないのよ。すぐに解放しなさい」
「……ふふ、相変わらず強気な口調ですこと。そう仰っていても、動揺は隠しきれて居ませんわ。貴女の知らない少女によって、今あなたがこうして捕縛されているという事実……傍観者である貴女が、全く想定外の事態に陥っている。そうでしょう?」

確かに繭羅の言うとおり、全くの想定外である。
レイチェルは記憶をたどる――確か自分はハーブティーを飲んでいて、その香りに誘われるように眠りについて――

「いかがでしたか? ワタクシ特製の紅茶の味は?」
「――なるほど、そういうわけね。何を飲ませたの」
「さて、何を飲んだのでしょうね? そのときの写真、見せてあげましょうか?」
「死んでもお断りね」
「遠慮なさらず」

繭羅が胸ポケットから一枚の写真を取り出し、レイチェルの目の前に突きつける。


6 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:03:32 ???
「――な」

一瞬、言葉が詰まった。
それはレイチェル自身が映し出された写真だった。
しかし、そこに映し出されているのは……これが自分だと認めたくないほどの、無様な醜態と言わざるを得ない。
いつもの高貴なイスに深く座っているのだが、顔が涎と鼻水でぐちゃぐちゃになっている。
おまけに半分白目になって涙まで垂れ流していて、思わず目を逸らしたくなるほど締りのなくなった表情だ。
そして、先ほどまで自分が飲んでいたハーブティーはドレスの上にこぼれて染みをつくり、足元にティーカップが転がっている。

「こんな風になっていたのですよ。覚えていらっしゃらないかしら?」
「貴女……!」

怒りに思わず声が震えるレイチェル。

「この表情で、死にかけた魚みたいにぴくぴく痙攣していたのです。可愛らしいあえぎ声を漏らしながら……ですから、貴女がそうやって強がる態度を取っていると、むしろ笑えてくるんですわ。
あんなに無様な顔をワタクシにさらけ出しておきながら、よくもまあ己の立場を理解できていない言動をぬけぬけと……」
「……最低」
「あら、急にしおらしくなりましたわね。さすがに恥ずかしくなってきたのかしら?」

屈辱――その二文字がレイチェルの中で渦を巻く。
奥歯をかみ締めて、目の前の少女に対して静かに怒りを火をともす。

「先に言っておきますが、次元干渉とやらをこの空間で使うことはできませんわ。あなたの忠実な執事も、使い魔もこの空間には入れない。もはやあなたを守るものなど何もない。まさに、赤ん坊同然の――」
「吹きなさい」

レイチェルが一言唱えると、密室である筈のその空間に風が吹き、突如、突風となって繭羅に襲い掛かる!

「っ――」

繭羅は両手で顔を覆う。
頬が風で切り裂かれたのか、白い肌にできた傷口が血で色づく。繭羅はその傷を指で押さえた。
レイチェルが口を開く。

「饒舌家は嫌いなの。煩くて、軽々しくて、愚かなものほど口が立つ……所詮あなたは、こうやって人を拘束しなければ悪口ひとつ言えない臆病者ではなくて?」

レイチェルが逆に微笑み返して見せる。
その笑い方に、繭羅のような人を馬鹿にしたような感じはない。
器量のよさがうかがい知れるような笑い方。
蔑みを通り越して、むしろ眼中にないかのような笑い方。

「貴女のような小物の悪党は、今までさんざん目にしてきたわ……嫌というほどね。これ以上図に乗るようなら、今度は顔だけでは済まさないわ」

繭羅は指で血をぬぐうと、何もいわずパチンと指を鳴らす。
すると天井に穴が開き、プラグのついたさまざまな拷問用具がぶらりと垂れ下がった。

「その小物に、貴女は今から遊ばれるの」

繭羅は、声を低めて、無表情のまま――
宴の始まりを告げる台詞を口にした。

「――二度とそんな口を叩けなくなるように、じわじわと壊してあげる」


7 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:08:29 ???




繭羅はレイチェルの口に酸素吸入用のマスクを口につけると、まるで器物を扱っているかのような手つきで、黒いガムテープでマスクの上から貼り付けて固定する。
さらに、四肢をエックス上に縛られているため開かれた両足の間に手を入れ、ドロワーズをゆっくりと滑り下ろす。

「……何をしているの」

レイチェルの質問に、繭羅は満面の笑みで答える。

「ワタクシなりの、レディに対する配慮ですわ」

そういって繭羅が手にしたのは、一枚の紙おむつだった。

「こんなに清潔な下着を汚したくはないでしょう? クスクス……」
「っ――」

永き輪廻を繰り返すも未だに発達しきれていない局部。
それを曝け出された羞恥心。
しかし、それよりも遥かに上回る怒りがレイチェルの中で膨れ上がる。
もはや罵る言葉すら出てこない。
おむつを固定するテープを貼り付けたところで。

「では早速はじめましょうか」

繭羅はハンディーカメラを手に持ち、レイチェルの顔を撮り始めた。

「これより、当会が開発いたしました化学兵器の人体実験を行います。被験者はレイチェル・アルカード。年齢は不詳ですが、吸血鬼であると判明しています。
故に不死身の肉体であるため、実験途中で死亡する可能性はないと考えられます。
また、彼女は見ての通り、己に対するプライドが高く、現在も紙おむつを穿かされたために大変な剣幕でこちらを睨み付けていますが、当会のガスを用いれば、このような性格の献体であっても屈服させることが可能です。
今からそれを、実証してみせましょう」

パチン。
「……!」

吸入器が作動する。
レイチェルの口元に、桃色の気体が充満する。

「一日目は魅了ガスです。効果は精神弛緩および催眠。甘い香りのするガスですので、ほとんど抵抗なく吸入させることができます。吸い込むと強制的に多幸感を与えます。依存性が高いため、楽に屈服させることが可能です。
快楽神経が発達していない場合、まれにオーガズムを引き起こすこともあります」
「ぅ……っ……?」

レイチェルのつんとした両目に力が抜けていく。
まるで眠りにつく間際のように瞼がゆっくりと閉じられる。
首元が、じわりと汗ばんでいく。

「っ、っん」

目からますます力が抜けて、蕩けた表情になっていく。
遠くを見つめるような表情のまま、吐く息が熱くなっていく。
片方の瞼がぴくぴくと震え始め、膝もカクカクと震えだしている。
呼吸の仕方も変化している。最初、ガスを極力吸い込まないように抵抗していたレイチェルだったが
今は腹を膨らませるほど、深呼吸すらしている。

「すー、はー、すうぅ…はぁあ、ぁ」

ぴくんっ、ぴくっ

「この反応を見るに、献体は即時的、即物的、刹那的な快楽に慣れていないようです。
彼女は吸血鬼にもかかわらず、極力血を吸わないことでも有名でしたから……このようにウブな反応を見せるようです。おそらく性経験も皆無でしょう……とても可愛らしいですわ」
「ぅ、ぁ……ぁ……」
「あらあら、感極まって涙を流すとは……綺麗に舐めとって差し上げますわ……」

カメラをレイチェルの顔に近づける。
涙をにじませた顔が画面いっぱいに映し出される。
吸入器の内側が、吐息で白く曇っている。
つ、と流れる涙を、繭羅は爪を伸ばした人差し指で拭い取り……舌で舐めとる。

「ん……いい味ですわ。程度の低い女の涙は化粧と混ざって酷い味になりますが……ほのかに塩味がするこの涙は極上もの」

繭羅はレイチェルの顎を指一本で持ち上げる。

「とても羨ましいですわ。粉を塗りたくらなくても、ここまで白く柔い肌でいらっしゃるのだから……さすがは吸血鬼ですわ。
まあ――じきにその肌もズタズタに引き裂かれるのですけど」

繭羅が口角を吊り上げる。

「本当にもったいない……こんなに綺麗な少女を汚すなんて」
「すぅう……はぁああぁ……ぁ、あっ……ぅうぅっ」


8 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:14:04 ???




一日目終了後、繭羅はレイチェルの腕に栄養剤の点滴を内、天井から伸びてきたホースを口に咥えさせていた。
そのホースから、定期的に生温い流動食が流れ出すのだ。

「ぅぐぷっ……」

口に流し込まれるスピードを、わざと早めに設定しているため、レイチェルは必死にその流動食を飲み込む。
味を感じる余裕などない。そもそもほとんど味もなければ匂いもない。それでいてどろどろとしているので、とても飲み込みにくい。
飲み込んでいる間は呼吸もろくにできず、小さな鼻で懸命に息を吸い込まなければ窒息してしまう。
一回の食事で与えられる量もかなり多い。すでに空腹が満たされていたとしても容赦なく流動物は流し込まれる。
次第に胃も受け付けなくなってしまい――。

「ぅげ……ぉえぇえっ……げぶっ!」

嘔吐してしまい、くわえたホースの隙間から黄疸色のペーストがだらだらと流れ落ちる。
粘りのある音を立てながらようやくホースが引き抜かれる。
ぼたぼたっ、とホースの先から残りかすが零れ落ちて、レイチェルの顔にかかった。

(想像以上に……辛いわ……)

どこまでも墜ちて行きそうな自分自身に戦くレイチェル。
本当に何もできないのだろうか。
空間転移は繭羅の言うとおり封じられている。
風を吹き起こして繭羅を倒すしか方法はないだろうか。しかし、実のところ、自分ひとりの力であの少女を倒すのは力が足りない。

(……本当に、あの少女の言うとおりだわ。私一人ではまさに赤ん坊同然……こんな形で、己の無力を噛みしめることになるとは思いもしなかった――)

助けを待つしか術はないのか。
レイチェルは衰弱した意識の中で逡巡する。
かつては生意気な少年にすぎなかった、或る死神の男の影を想う。
しかし。

(これほど無様な姿を……あの男に見せたくない)

すると、何者かが近づいてくる気配を感じ取る。
それは一直線にレイチェルのもとへ近づいてくる。
無機質な床の一点を見つめるレイチェルの視界に影が差し込む。
ゆっくりと、顔を上げると……

「さあ、二日目ですわ」

その少女は天使のような微笑を浮かべていた。
それでいて、どこかの死神よりもずっと死神じみている。
似非天使の片手には、蛇のように太い、馬用の鞭が握られていた。


9 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:14:04 ???




一日目終了後、繭羅はレイチェルの腕に栄養剤の点滴を内、天井から伸びてきたホースを口に咥えさせていた。
そのホースから、定期的に生温い流動食が流れ出すのだ。

「ぅぐぷっ……」

口に流し込まれるスピードを、わざと早めに設定しているため、レイチェルは必死にその流動食を飲み込む。
味を感じる余裕などない。そもそもほとんど味もなければ匂いもない。それでいてどろどろとしているので、とても飲み込みにくい。
飲み込んでいる間は呼吸もろくにできず、小さな鼻で懸命に息を吸い込まなければ窒息してしまう。
一回の食事で与えられる量もかなり多い。すでに空腹が満たされていたとしても容赦なく流動物は流し込まれる。
次第に胃も受け付けなくなってしまい――。

「ぅげ……ぉえぇえっ……げぶっ!」

嘔吐してしまい、くわえたホースの隙間から黄疸色のペーストがだらだらと流れ落ちる。
粘りのある音を立てながらようやくホースが引き抜かれる。
ぼたぼたっ、とホースの先から残りかすが零れ落ちて、レイチェルの顔にかかった。

(想像以上に……辛いわ……)

どこまでも墜ちて行きそうな自分自身に戦くレイチェル。
本当に何もできないのだろうか。
空間転移は繭羅の言うとおり封じられている。
風を吹き起こして繭羅を倒すしか方法はないだろうか。しかし、実のところ、自分ひとりの力であの少女を倒すのは力が足りない。

(……本当に、あの少女の言うとおりだわ。私一人ではまさに赤ん坊同然……こんな形で、己の無力を噛みしめることになるとは思いもしなかった――)

助けを待つしか術はないのか。
レイチェルは衰弱した意識の中で逡巡する。
かつては生意気な少年にすぎなかった、或る死神の男の影を想う。
しかし。

(これほど無様な姿を……あの男に見せたくない)

すると、何者かが近づいてくる気配を感じ取る。
それは一直線にレイチェルのもとへ近づいてくる。
無機質な床の一点を見つめるレイチェルの視界に影が差し込む。
ゆっくりと、顔を上げると……

「さあ、二日目ですわ」

その少女は天使のような微笑を浮かべていた。
それでいて、どこかの死神よりもずっと死神じみている。
似非天使の片手には、蛇のように太い、馬用の鞭が握られていた。


10 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:15:12 ???




「二日目になりました。今回のガスは人体の神経系に作用するものです」

また口に吸入器をつけられるレイチェル。
たった一日で、赤く鋭い眼光は輝きを失い始め、明らかに衰弱が見て取れる。
繭羅はレイチェルの顔の輪郭を指先でなでて確かめながら、気高き少女を屈服させる手ごたえを感じている。
しかしレイチェルのほうもまだ抵抗は見せる。首をふいと動かして、指の動きから逃れようとする。

「昨日の魅了ガスは、被験者を手軽に屈服させることができるものとして開発いたしました。
本日は、拷問用のガスになります。
……ところで、人間に苦痛を与える最も効果的な方法はなんでしょうか?」

繭羅はそう言うと、手に持っている鞭を勢いよく振り上げる。
次の瞬間に来るであろう激痛に耐えるため、無意識に身体を縮めるレイチェル。
しかし鞭は、彼女の足元すぐ傍の床を思い切り叩いた。
バシィン! という鋭い音。

「拷問の歴史は古来にまで遡りますが、私たちは現在までにあらゆる暴力を用いてきました
しかし、暴力を振るうことで被験者の命を奪ってしまう可能性も常に隣り合わせでした。
また、一部のマゾヒストは痛みの中にむしろ快楽を見出します。
痛いくせに会館で蕩けきった顔を晒す……それでは本末転倒です。
そこでワタクシは、一切の暴力を用いることなく相手を苦しませる方法を考えました」

レイチェルの吸入器に緑色の気体が充満する。
それを吸い込んだレイチェルは、すぐに肉体の異変に気づいた。

ぞわぞわぞわっ

「――っ!」

全身の肌が、強烈に痒い。
見えない蛆虫が全身を這い回るように、むずむずと皮膚の上を刺激する。
全身を指でかきむしりたい衝動に駆られるも、四肢は完璧に固定されている。

「ぅ、うーーっ! うぅうーーっ!」

ムズムズムズ……。

手足の拘束を外そうとめちゃくちゃに暴れまわるが無駄である。
せめて背中だけでもと、腰をくねらせて壁に背中を擦り付けるが、それでも痒みは一向に退かない。

「かっ、かゆいっ、かゆいのよっ! 早く掻いてよっ!!」

なりふり構わず、目の前の繭羅に懇願するレイチェル。
それがどれだけ無意味なことなのか十分理解しているにもかかわらず。
額に汗が伝い落ち、明らかに余裕はなくなってきている。

「そうですわね。ワタクシのこの鋭い爪で肌をかきむしってほしいでしょう?」
「はっ、はやくっ……はやくしなさいっ!」
「……早くしなさい?」

レイチェルは、いつも使い間に命令するような口調で叫ぶ。
しかし繭羅にしてみれば、自分の手の内であるレイチェルに命令される筋合いはないのだ。

「口の聞き方がなっていませんわね。人に物を頼むときには、お願いしますと言うのが道理ではなくて?」
「誰がっ……貴女のような、外道に……っっ!」
「あらあら、反抗的なお子様だこと」

繭羅はサディスティックな笑みを浮かべると、レイチェルの服の中に手を差し込み――

「んくぅっ!?」

鋭い爪で、ピンと固くなった乳首の先端をカリカリと引っかく。

「うぅ……んぅぅううぅうっ!!」

そのときに見せたレイチェルの表情を、カメラはしっかりと捉えていた。
両目をぎゅっと閉じて、腹の底から出てきた苦悶の声。

「まだこんなに小さなおっぱいの、お子様だというのにねぇ……」
「あ、ぁ"うっ……ンンンンっ!!」

ぴくっ、ぴくっ……
ぞくぞく……ぞくぞくっ……
意に反して腰が浮いてしまうレイチェル。

「ほんとに可愛い女の子……おっぱいをちんぽみたいに勃起させちゃって……」
「ぃやっ……やめてっ……! おねがぃ、よ……!」
「ん? なぁに?」
「おねがぃ、だからぁあ"ぁ……早く掻いてっ……はやくして! お願いだからぁ!!」

涙をだらだらと流しながら、吸入器ごしのくぐもった声で叫ぶレイチェル。
もうすでに、我慢の限界を超えていた。

「仕方ないわね。そんなに言うなら、掻いてあげるわ……クスクスクス……」


11 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:16:17 ???
繭羅は加虐心を抑えることができず笑いが止まらない。
彼女は、自分の手にある鞭を再び振り上げ――。

バシィン!!

「いぎっ!!」

レイチェルは首を思い切り仰け反らせて、喉が潰れるような悲鳴を上げる。
その首に、赤く細長い痕が付いた。

「引っかくのも鞭で叩くのも、肌に刺激を与えるという意味では一緒よね?」
「も、ゃめっ……」

ベシィ!!

「ぃや"あぁあっ! や、め”っ……」
「やめるの? 痒いほうがまだマシかしら?」

ガスによる痒みと鞭による痛み。
その痛みに喘ぐたびレイチェルはガスを吸い込んでしまう。
選択肢は多く残されてはいない。
いっそすべての皮膚を引き剥がしてもらいたいとすら願うほど、レイチェルは追い詰められている。

痒い痒い痒いかゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆい

思考は真っ黒に塗りつぶされ……レイチェルは、消え入るような声で許しを請う。

「っ……つづけな、さぃ……っ」

その台詞を言ってはならなかった。
この瞬間、レイチェルは自分の矜持が音を立てて崩れていくのが分かった。
そこからはもう、繭羅の思い通り……永久に覚めることのない、悪魔的な夢の始まり。
デモニックダーク・デッドドリーム。

「そう♪ じゃあ遠慮なく……」

繭羅は再び、急に無表情になったかと想うと
手にある鞭から茨のように棘が生えて
思わず背筋が凍るほどの恐ろしい声で、レイチェルの耳元につぶやく。



「ぼろぼろになるまで可愛がって差し上げますわ」



ひゅんっ

バシン!
バシッ! ベシッ! ベシン! バチッ、パァン!!

「ぁ、ぁぎっ、ぃや"ぁああああああああああ!!!」
「そう! その声ですわ! いつもお上品ですました顔の貴女の絶叫、ワタクシにもっと聞かせなさい! 喉が嗄れるまで叩きのめしてあげる!!」

ベシィ!! バシン!! 

「ぅグぅ"っ! ぅあぁ"あっ! イヤァァアアア!!」

永き輪廻の中で、彼女が一度も発することのなかった、声が裏返るほどの絶叫が密室の中に満ちる。
レイチェルの肌に針が突き刺さり、服の内側で血が滴り落ちる。
鞭による打撃は容赦なく続く。


「カハッ……うぁ……」

ひとしきり叩きのめすと、繭羅はレイチェルの首を片手で掴み、天井にぶら下がっているハサミで服を切り刻んでいく。
露出の少ない服を着ているレイチェルだが、肌が露になると、鞭の打撃であちこちに痣が浮かび上がっていた。
全身を赤い蛇に縛り付けられているかのように、レイチェルの幼き身体を蝕んでいる。
おむつだけを残して、すべての服を脱がされたレイチェル。

「ぁ、あ……ラグ……ぁ……」

ガクンッ
ぴくっ、ぴくっ、ぴくくっ……


「あらあら、気絶しちゃいましたわ……紅茶のときと同じ顔ですわね……やはりその表情が、一番お似合いでしてよ……クスクス」


レイチェルの足元に、ぽたぽたと血が滴り落ちた。


12 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:17:26 ???





「……っ……ぅ」

憔悴しきったレイチェルはもはや顔をあげることすら適わず、目を開いたまま全身を脱力させていた。
そんなレイチェルの口元に、流動食のホースが伸びる。わずかに開ききった口の中へホースの先端が侵入する。
ズブッ。

「うぅっ」

ホースは容赦なく口の中で流動食を放出する。
しかし意識が朦朧としているレイチェルはそれを飲み込む体力すらなく、すべて口からダラダラと零れ落ちる。
ボトボトッ、ベチャッ

「……すけ、て……」

どんなに無様な姿を見せてやってもかまわない。
馬鹿にされたっていい。
今、助けに着てくれたら、少しはあの男のことを見直してやってもいい。
ただ、とにかく。
助けが欲しい。
もう、これ以上は耐えられない。

「それにしても、いい実験台を手に入れたものですわ」
「ひっ……!」

悪魔がささやく声を聞いた。
レイチェルは引きつった声を出す。
恐怖にゆがむ顔を隠すことすらしない。

「処刑用のガスは一回実験するごとに一人ダメにしてしまいますけれど、貴女なら何度でも何度でも使いまわせますわ。本当に、不死身な身体というのは役に立ちますわね」

レイチェルは三度、吸入器を口に装着される。
その間もレイチェルは、ずっと一人の死神を想い続けている。
朦朧とする意識のなか……来る筈のない助けを求めて。

「ぅ……ンンンっ!!」

ガスの吸入が始まる。

「ぁ、あ、ひはっ、ひはっ」

レイチェルの脳裏に浮かぶ男の顔が
ぶつりと途絶える。
息ができない。
あたまがまわらない
目の前がぐにゃりとゆがむ

「っ、っぎ、っっっ、っ、っきひっ」
「どう? 吸えば吸うほど肺が焼け付くように熱くなってくるでしょう?」
「ひぎっ――――!!!」
「いい表情ですわ。これはどこからどうみても、本気で苦しんでいる顔ですわ。全く偽りのない苦しみ。外の世界は嘘と建前ばかりですけれど……」

レイチェルは白目を剥き、苦悶の悲鳴すら許されぬほどの苦しみに、全身を激しく痙攣させる。

「彼女が味わっている壮絶な苦悶は、どこまでも真実ですわ……尊いですわ」

繭羅は右手でカメラを取りながら、左手を己の局部にあてがい、擦り始める。

「ぁあ、美しいですわぁ……あの気高き少女が、全身で……苦しい、苦しいと泣き叫んで……震えてっ……ぁ、あぁあっんっ」

繭羅は小さく喘ぎながらオーガズムに達し、カメラを手から落とす。
レイチェルは両手両脚をむちゃくちゃに動かして、ついに泡を吹き始める。吸入器のなかでぶくぶくと白い泡が膨らむ。
繭羅は深い息をつくと、ガス吸入を止める。そして指を鳴らすと、レイチェルの拘束がほどけた。

X字に貼り付けられていたレイチェルは、ズルズルとそのまま尻を落とし、背中を壁に凭れさせたまま、M字開脚で座り込んだ。


13 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:18:33 ???
「さて……」

繭羅はレイチェルの両脚を掴んで手前に引っ張り、仰向けにさせる。
M字開脚はまんぐりがえしとなり、ちょうど赤ちゃんのおむつを代える体勢になる。

「あれほど嫌がっていたおむつですけれど……この三日間でどうなってしまったかしら」
「……ぅ」

レイチェルはかろうじて動かせる両手で、股を覆い隠そうとする。
「あら、恥ずかしいのかしら? そうねぇ……この中がどうなっているのか、貴女が一番よく分かっているはずだものね。クスクス……」

繭羅はレイチェルの手を払いのけ、止めテープを剥がす。落としたカメラを拾い、おむつの中を撮影する……。

ムワッ、と尿の匂いが広がる。レイチェルの局部があてがわれていた部分は、尿をしっかりと吸い込んで黄色くなり、皺が寄っている。
そして肛門がひくひくと収縮を繰り返している。

「あら、もしかして大きな便を我慢しているのかしら?」
「っ、っっ」
「我慢は身体によくありませんわよ……」
「っ!」
「出してしまいなさいな……お腹の中で流動食が溜まりに溜まっているのではなくて?」

繭羅は人差し指を肛門に差し入れて、くりくりとほじくりだす。
レイチェルは顔を真っ赤に染めながら腸の蠕動に耐える。

「なかなか出てきませんわね……じゃあ」

繭羅は尿で汚れたおむつを引っ剥がして、レイチェルの顔にかぶせた。

「うぶっ?!」

それだけではない。

「出番ですわよ。ゲオルグ十三世さん」
「……ゲオ、ルグ……?」

繭羅の傍に、ゆっくり近づく電気ガエル。ゲオルグ十三世。
それはレイチェルの僕だったはずである。
しかし今は、繭羅の手に落ちているのだ……。

繭羅はレイチェルのもとから少し離れる。
ゲオルグは倒れたまま動かないレイチェルにゆっくり近づくと
ぴょん、とレイチェルの腹の上に乗った。

(まさ、か――!)

「げお……ッッッッッ!!」

バチバチバチバチバチバチ!!
バリバリバリ!!

「ぃおお”おをぉぉおお”お”お”お”お”お”!!」

ビリビリビリビリビリビリビリっ!!




(も、だめ……っ)

ぶりゅっ、ブリュリュウゥっ……
ビチビチビチッ……。

レイチェルは腰を限界まで海老反りにしながら
腸に溜まった黄疸色の流動物を噴出した。
まともに消化されることのないまま、口から流し込まれたぶんがそのまま出てきてしまったのだ。

繭羅はうっとりした表情でレイチェルの様子を撮影する。
電撃が止み、ゲオルグがレイチェルの腹から降りる。
レイチェルは足をがに股に開いたまま、仰向けで気絶していた。
繭羅はレイチェルの傍に立ち、上から眺めおろす角度から撮影する。
レイチェルのリボンを手で掴むと、顔をカメラに近づける。

「レイチェル・アルカード。これが、美しき吸血鬼の最高の表情ですわ」


14 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:19:40 ???
「――さて」

繭羅はDVD−Rの穴に人差し指を差し込んで、くるくると回す。

「……いくらで売ろうかしら?」



おわり


15 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:21:29 ???
ノエルの人です
待たせたあげくダブリ投稿というオチ(>>8>>9
しかも今回はいろいろと不潔
苦手な人ごめん

ノシ


16 : 名無しさん :2014/03/23(日) 02:35:20 ???
ノエルの人乙です

不潔なやつはかなり好み分かれますよねー

レイチェルは不死身だし今後出番ないか期待しときます
物理的にやられるのも見たいです


17 : 名無しさん :2014/03/23(日) 05:21:31 ???
レイチェルの痴態DVDなあ
後でBD版とか4K2K版とか出されそうで怖いw

色んな文体をお持ちで羨ましい
乙でした


18 : 名無しさん :2014/03/23(日) 09:02:37 ???
読んでくれた方ありがとう
物理的な攻め方のネタあったら投下ください
変化球ばっかで直球ネタが出ない


19 : 名無しさん :2014/03/23(日) 09:44:33 ???
今回のが消えちゃった2本のうちどちらなのか、もしくはどちらでもないのか
レイチェルで連作だったのかな
元犠牲者でD会の手駒も増えて来ましたね
格闘系vs異能系みたいな噛み合わない対決も見たいよね


20 : 名無しさん :2014/03/23(日) 10:52:57 ???
無理矢理なにか食べさせた時に腹パン→嘔吐コースを想像したのは私だけじゃないはず


21 : 名無しさん :2014/03/23(日) 12:00:11 ???

レイチェルはゲーム中であんま悲鳴上げたり苦しんだりしないからそのギャップがいいね〜
お嬢様キャラだからか嘔吐とか排泄とかの汚物ネタが落差があって栄えるな

>>20
俺も想像した


22 : 名無しさん :2014/03/23(日) 18:09:50 ???
気づいたら新スレが立ち作品が投下されている!


23 : 名無しさん :2014/03/23(日) 19:11:17 ???
ノエルの人です
文体がすごいと言われるとは思いもしなかった
腹パンどうしよう


24 : 名無しさん :2014/03/23(日) 20:36:47 ???
乙っした。
原作でやられそうにないキャラのリョナはやっぱりイイですわー。
聖域を侵してる感じがたまらん。


25 : 名無しさん :2014/03/24(月) 00:06:45 ???
腹パンをえがいていただけたらとても嬉しいですがノエルの人の気分次第でお願いしたいです
今後注文ばかり言う人が出てきてもあれですので


26 : 名無しさん :2014/03/24(月) 02:49:23 ???
ノエルの人おつかれさまです。
ところで、書いてたら「り……リョナ?」な感じのやつになっちゃんたんだけど投下オーケー?
よければ近日中にでも


27 : 名無しさん :2014/03/24(月) 03:14:33 ???
誰でもウェルカム


28 : 名無しさん :2014/03/24(月) 19:08:50 ???
凄く良かった
個人的には痒み責めが好きなのでもう少したっぷりねっとりやってくれると更に嬉しかったです


29 : 名無しさん :2014/03/24(月) 22:23:14 ???
リョナとは外れるけど魅了ガスで感極まって涙流すレイチェル超かわいい
週一くらいでご褒美に吸わせたい


30 : 名無しさん :2014/03/24(月) 23:13:55 ???
ノエルの人です
好評の感想いっぱい頂けて嬉しいです。モチベ上がります。
次回は、リクをいただいてるあのキャラと、電撃文庫の格ゲー稼働記念のあのキャラがターゲットです

平行して書いとるんで先に完成した方が投下されると思います
誰なのかはお楽しみに


31 : 名無しさん :2014/03/28(金) 13:36:11 ???
楽しみだ


32 : 名無しさん :2014/04/05(土) 13:44:19 ???
D会はもう少し時間がかかりそうですかな?


33 : 名無しさん :2014/04/05(土) 23:30:38 ???
これこれ
そんなに急かすでない


34 : 名無しさん :2014/04/09(水) 22:35:24 ???
でもそろそろ血が足りなく


35 : 名無しさん :2014/04/09(水) 22:47:33 ???
確かに血が欲しいですね・・・


36 : 名無しさん :2014/04/10(木) 21:40:20 ???
ノエルの人です
待たせてごめんなさい
執筆頑張る

26のSSが気になるなあ


37 : 名無しさん :2014/04/11(金) 06:49:25 ???
イイ仕事には時間がかかるもんだ


38 : 名無しさん :2014/04/13(日) 18:33:14 ???
血が…血が欲しい…


39 : 名無しさん :2014/04/15(火) 20:33:25 AYalS8p.
4/16 0:00


40 : 名無しさん :2014/04/15(火) 22:50:03 ???
キタカ・・・


41 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:00:05 ???
「……」

彼の地を訪れた少女は、その惨状を前に立ち尽くすしかなかった。
村は既に吸血鬼の手に落ちていた。
彼女の足下には、枯れ木と見紛うほどやつれ果てた土気色の肌の男。
夥しい犠牲者の中には、女子供もいる。
母親が自分の子供を食い尽くしているところ。身籠った女たちが血を求めて呻き、出産時に吹き出す血すら舐めようと群がっているところ。
女の子のような顔をしたシスター服の少年の死体から片足をもぎ取り、フライドチキンのように噛みついているところも見た。
おそらくはこの少年も自分と同じバンパイアハンター……。
誰にも顧みられることのない、悼まれることのない少年の死に、少女は声も出せない。

墓地に入り込んだ。
十字架があちこちでなぎ倒されている。
長く雨が降り続いていたからか、足元がぬかるんでいる。

グオオオオオ……!!

地響きにも似たうなり声が少女の背中に覆い被さる。
振り向くと無数の吸血鬼たちがゆっくりと近づいてくる。
かなりの数だ。さっと確認しただけでも十人。

(間違いない……この吸血鬼の群れも、道中に倒してきた吸血鬼も……)

どうして女性の吸血鬼しか見かけないのか。
それも、若い女性ばかりである。
いくら娼婦が多く住む村だと言えども不自然だ。
吸血鬼達は、少女を「仲間」に迎え入れようと近づいてくる。

「生憎だけど……」

左手にある魔導書のページを開く。

「ここでやられる訳にはいかないの!」

少女は指先に魔力を集中させて練り上げ、天空に放つ。

「サンダーボルト!」

瞬間、吸血鬼の集団に蒼い雷が落ち、轟音を立てる。

ギャアアアアア……!

吸血鬼は燃え上がって、折り重なるように倒れた。

(あなた達の無念……必ず晴らしてみせるから)


42 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:01:11 ???




悪魔城の一件から一年が立った。
十七歳となった少女……シャーロット・オーリンは、魔導書のページにに銀の栞を挟んだ。彼女の幼なじみである青年、ジョナサンからもらった誕生日プレゼントだ。
共に悪魔城に乗り込んで戦った同士。
時に恐怖で押しつぶされそうになったときも、少し無謀なところもあったが、それ以上に彼の勇敢さに何度助けられたか分からない。
悪魔城での実績を教会から買われたジョナサンとシャーロットは、今回の不可解な吸血鬼事件の収束を命じられた。
どんな事件であったとしても、ジョナサンと二人でなら乗り越えられる……
そう思っていた。

しかし。


「……どうしてよ!」

シャーロットはジョナサンに突っかかった。

「どうしてあなた一人だけで行こうとするの?!」

ジョナサンは、シャーロットが村に乗り込むことを許さなかった。
彼一人で戦うと言うのだ。

「今回の件は俺に任せてほしい。おまえも分かっているだろう? この事件は何かおかしい」
「分かってるわよ……どうして女性ばかりが、吸血鬼になっているのか。でも、だからって!」
「あぁ。それに……悪い予感がするんだ。これは罠じゃないのかってな。お前を狙った何者かの仕業だって。ここは慎重に考えるべきだ」
「なによ……そんなの、全然ジョナサンらしくないわよ。私は大丈夫だから、一緒にーー」
「シャーロット、オレは……おまえが吸血鬼になってしまうところを見たくない」
「――――」

分かっている。
ジョナサンは自分の身を心配してくれているのだ。原因は何であれ、女だけが吸血鬼となってしまう彼の地に、女である自分が赴く道理はない。
そんなことは分かっているのだ。

「――なによ、それ」

それでもーー。

「言わせてもらうけどね! 私はあなたなんかいなくたってひとりで戦えるし、そこらへんにいる吸血鬼なんかにやられたりなんかしないのよっ。それなのに何よっ、まるで私が弱いみたいな……」

自分のことを信頼してくれないことが悔しかった。一人前のヴァンパイアハンターとして見てくれていないのかと思うと――ジョナサンを責める言葉は止まらなかった。

「いいわよ、そんなに一人がいいなら一人で行けばいいじゃない!もう知らないから! 勝手にすればっ!」

シャーロットはジョナサンに背を向けて歩き出す。どうして他人の優しさを素直に受け止めることができないのだろう。それひシャーロット自身でもわからなかった。

「ごめんな、シャーロット。すぐに戻ってくるよ。オレ一人でも、ノープロブレムさ」
「知らないって言ってるでしょ、勝手にしなさいっ」


そう言ったきり、シャーロットはジョナサンの前に姿を見せなかった。村へ向かう彼を見送ることすらしなかった。

(すぐに戻ってくるわ……ジョナサンなら、私なんかいなくたって平気なんだから……もう、彼も一人前のヴァンパイアハンターなんだから)


43 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:02:15 ???





シャーロットは、夜の湿った空気を吸い込んで息を吐いた。
ここまでの旅で魔力も体力も消耗している。
しかし一息入れる暇はなかった。
シャーロットの足はどこまでも前に進んだ。

(ノープロブレムだって、言ってたじゃない……)

村へ向かったきり、ジョナサンの消息が分からなくなっている。
吸血鬼の侵攻も止まず、周辺の村や街でも被害が出始め、近くの森も動物たちが襲われていた。
夜遅くになれば淡い霧が漂い始め、それを窓から見るたびに不安に襲われた。

ジョナサンが出立してから一月が経過した。
シャーロットはついに魔導書を手にとって彼の地へと向かった。
白いマントと青いミニスカートを荒野になびかせて。
大人びた落ち着きのある目に、冒険心を忘れない子供のような決意を秘めて。
絶対にジョナサンを見つけてみせる――。

(あの中が怪しいわね……)

村のはずれにある洞穴に目を付けた。
魔導書を構えて、用心しつつ前に進む。
指先に赤い炎を灯して、奥深くまで入り込むと。

(下り階段……地下室へ続いているのかしら)

シャーロットはその階段を降りていった。
その先が悪夢へと繋がっていることも知らずに。





繭羅は足を組んで椅子に腰掛け、机の上にあるダーツの矢を手に取る。先端の針を舌でぺろりと舐めた後、的に向かって狙いを合わせる。
やがて、ヒュッ、という音を立てて矢が投げられた。

「ン”ゥっ!」

まろやかに膨らんでむき出しにされたお腹が痛みに喘ぎ、凹ませるレイチェル。矢は臍に突き刺さっていた。
相変わらずガスを吸わされ続けており、既に意識は途切れがちになってしまっている。
しかし、全身の触覚は開発されており、ただ指先で肌の上を滑らせるだけでかよわい反応を見せるようになった。
身も心も屈服したレイチェルは、繭羅を楽しませるためのダーツの的になることを喜んで受け入れた。

「まるで花束みたいね」

お腹に無数に刺さったダーツの矢が集まって、繭羅の言うとおり花のように広がっている。

「いいですわぁ……虐げれば虐げるほど輝きの増す少女……何と罪深い花なんでしょうね?」

無機質な着信音が鳴る。
繭羅は椅子を回転させて通信機のスイッチを押す。

「繭羅様、例の者を拘束いたしました」
「首尾良く事は進んだかしら?」
「アイノ・ハートが心臓を貫かれ重傷。その他の者は抜かりなく」
「優秀ね。全滅もあり得ると思っていたけれど」
「ハートはいかがいたしましょうか」
「もう利用価値もないわ。棄てておきなさい」
「はっ」

通信が切れた。

「さて……」

繭羅は立ち上がって、レイチェルの頬にそっと口づけをすると、部屋を出た。
「例の者」の様子を見るために。




「ちき……しょ……!」
「気分はいかが?ヴァンパイアキラーさん。ひとりでワタクシのいる世界へ乗り込んでくるとは……全くもって、馬鹿、ですわね」
「おまえが、あの村を襲ったのか……!」
「ええ♪吸血鬼を泳がせておけば勝手にハンター達が集まってきますからね」
「許さねぇ……くそっ!」

暴れまわるジョナサン。しかし鎖の拘束は解けない。ガチャガチャと耳に障る音を立てるばかりだ。

「無意味な抵抗はよしなさいな……熱くなるのは結構ですが、はっきりいって、ワタクシは貴方に用はありませんの」
「なにっ?」
「事が済めば貴方を解放さしあげますし、村を襲った吸血鬼も『処理』しますわ。私が欲しいのは、『魔術』という超科学的な力……」
「……まさか」

ジョナサンの悪い予感は当たっていた。
繭羅が狙っているのは間違いなくーー。

「シャーロットを、どうするつもりだ!」
「さあ?貴方に教えてあげる理由はありませんわ。貴方はシャーロット・オーリンをおびき寄せるための餌。餌は餌らしく、大人しくしていただけませんこと?」


44 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:02:15 ???





シャーロットは、夜の湿った空気を吸い込んで息を吐いた。
ここまでの旅で魔力も体力も消耗している。
しかし一息入れる暇はなかった。
シャーロットの足はどこまでも前に進んだ。

(ノープロブレムだって、言ってたじゃない……)

村へ向かったきり、ジョナサンの消息が分からなくなっている。
吸血鬼の侵攻も止まず、周辺の村や街でも被害が出始め、近くの森も動物たちが襲われていた。
夜遅くになれば淡い霧が漂い始め、それを窓から見るたびに不安に襲われた。

ジョナサンが出立してから一月が経過した。
シャーロットはついに魔導書を手にとって彼の地へと向かった。
白いマントと青いミニスカートを荒野になびかせて。
大人びた落ち着きのある目に、冒険心を忘れない子供のような決意を秘めて。
絶対にジョナサンを見つけてみせる――。

(あの中が怪しいわね……)

村のはずれにある洞穴に目を付けた。
魔導書を構えて、用心しつつ前に進む。
指先に赤い炎を灯して、奥深くまで入り込むと。

(下り階段……地下室へ続いているのかしら)

シャーロットはその階段を降りていった。
その先が悪夢へと繋がっていることも知らずに。





繭羅は足を組んで椅子に腰掛け、机の上にあるダーツの矢を手に取る。先端の針を舌でぺろりと舐めた後、的に向かって狙いを合わせる。
やがて、ヒュッ、という音を立てて矢が投げられた。

「ン”ゥっ!」

まろやかに膨らんでむき出しにされたお腹が痛みに喘ぎ、凹ませるレイチェル。矢は臍に突き刺さっていた。
相変わらずガスを吸わされ続けており、既に意識は途切れがちになってしまっている。
しかし、全身の触覚は開発されており、ただ指先で肌の上を滑らせるだけでかよわい反応を見せるようになった。
身も心も屈服したレイチェルは、繭羅を楽しませるためのダーツの的になることを喜んで受け入れた。

「まるで花束みたいね」

お腹に無数に刺さったダーツの矢が集まって、繭羅の言うとおり花のように広がっている。

「いいですわぁ……虐げれば虐げるほど輝きの増す少女……何と罪深い花なんでしょうね?」

無機質な着信音が鳴る。
繭羅は椅子を回転させて通信機のスイッチを押す。

「繭羅様、例の者を拘束いたしました」
「首尾良く事は進んだかしら?」
「アイノ・ハートが心臓を貫かれ重傷。その他の者は抜かりなく」
「優秀ね。全滅もあり得ると思っていたけれど」
「ハートはいかがいたしましょうか」
「もう利用価値もないわ。棄てておきなさい」
「はっ」

通信が切れた。

「さて……」

繭羅は立ち上がって、レイチェルの頬にそっと口づけをすると、部屋を出た。
「例の者」の様子を見るために。




「ちき……しょ……!」
「気分はいかが?ヴァンパイアキラーさん。ひとりでワタクシのいる世界へ乗り込んでくるとは……全くもって、馬鹿、ですわね」
「おまえが、あの村を襲ったのか……!」
「ええ♪吸血鬼を泳がせておけば勝手にハンター達が集まってきますからね」
「許さねぇ……くそっ!」

暴れまわるジョナサン。しかし鎖の拘束は解けない。ガチャガチャと耳に障る音を立てるばかりだ。

「無意味な抵抗はよしなさいな……熱くなるのは結構ですが、はっきりいって、ワタクシは貴方に用はありませんの」
「なにっ?」
「事が済めば貴方を解放さしあげますし、村を襲った吸血鬼も『処理』しますわ。私が欲しいのは、『魔術』という超科学的な力……」
「……まさか」

ジョナサンの悪い予感は当たっていた。
繭羅が狙っているのは間違いなくーー。

「シャーロットを、どうするつもりだ!」
「さあ?貴方に教えてあげる理由はありませんわ。貴方はシャーロット・オーリンをおびき寄せるための餌。餌は餌らしく、大人しくしていただけませんこと?」


45 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:04:40 ???




繭羅の思惑通り、シャーロットは洞穴の奥へ進んでいく。
風もなく音もないその空間は思いのほか暑く、シャーロットの肌が汗ばんでくる。
用心しながら一歩ずつ進み、手を前に突き出すと岩肌が現れた。

(行き止まり……? いや、違う)

足と足の間に風が吹きつけ、内股に涼しさを感じるシャーロット。
太股を伝う汗がニーソックスの淵に染み込む。

「エクスプロージョン!」

シャーロットが片手を上に挙げながら魔法を唱えると、目の前の岩が爆発し、ガラガラと崩れ落ちた。
やはり、この岩肌は人工的に造られた偽物。全く土煙が立ちあがらない。

「あれは……次元が歪んでいる?」

間違いない、この奥に何かがある。
シャーロットはそう確信する。
前に進むことに何の迷いもなかった。
自分は、あの悪魔城の攻略に成功した、一人前のヴァンパイアハンターだ。そして、誰にも成し得ない魔術を操る力を持った、気高き魔法使いなのだ。
この先に何が待ち受けていようとも、恐れることはない。それにーー。

(ジョナサンがこの奥にいるんだーーそれなのに私だけが逃げるなんて、有り得ない)

勇敢な彼女は、その歪みのなかへ飛び込むーー。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜


「愚かなものね……不相応な力を持つと戦う相手を選ばなくなる、ということですわ。己の無力さを身を以て思い知らせて差し上げましょう……クスクスクス」








時空の歪みへと飛び込み、いつのまにか気を失っていたシャーロットは、水の音を聞いて目覚めた。
まるで体液のように生温い液体が自分の身体を浸している……。

「ぅ……?」

身体を起こす。
自分の服が濡れて張り付いているのが気持ち悪い。
周囲を見渡すと、地下のダクトの中らしい。
壁や天井にパイプが埋め込まれていて、奥の方へと続いているようだ。

「この先に……ジョナサンがいるのかしら……」

自分の武器である魔導書を片手に、シャーロットは先へ進む。







ジョナサンは気が気でならなかった。
あの少女はシャーロットを狙っている。
彼女の性格なら、何のためらいもなく自分を追ってくるに違いない。
間違いなく、ここにシャーロットはやってくる。
そして自分を拘束したあの少女……その目には常軌を逸した想念がありありと見て取れる。
あれは人間ではなく血に飢えた獣だ。
獣を前にしたときに感じる本能的な恐怖。
それと全く同じものを、あの少女にも感じる。

今、部屋にはジョナサン以外誰もいない。
今のうちに脱出して、何か手を打たなければ……。
すると。

(なんだ……?)

拘束されたジョナサンの前に、巨大なスクリーンがせり上がってきた。
それと同時に、部屋の隅やスクリーンの両隣に特注品のAV機器が自動的にセットされていく。

「そろそろ時間ですわ」

あの少女の声がスピーカーから発せられる。なんという音質だろう。

「素晴らしい設備でしょう?目に見えないワタクシがあなたのそばで囁いているかのような……」
「何をするつもりだ……てめぇ……!」

別室にいる繭羅は、性的な欲望に胸を高鳴らせつつも、そっと微笑んで口を開く。

「当会が誇る、最高のおもてなしですわ」

スクリーンの電源が入った。


46 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:06:02 ???
「いつのまにこんなところへ……」

下水道のダクトらしく、青い異臭が立ちこめている。
新鮮な空気が入り込んでくる余地はどこにもない。
息を吸う度に肺が冒されて藻が生えてきそうだ。
この世のあらゆる汚物がこの下水道に垂れ流されているーーシャーロットは片手で口元を抑えながら、嫌悪感に耐える。
気づいた時には服も濡れて汚れていたので、糞尿のような匂いが自分の身体からも匂ってくるような気がして、とても気持ち悪い。
時々耳元で蠅が飛び交う音がして、シャーロットは頭を振って追い払う。

「きゃっ?!」

床がぬるぬると滑りやすくなっていて足をとられそうになるのを、なんとか堪える。

「あぁもう……お気に入りなのに……」

足をぴちっと覆っていたニーソックスは、水しぶきで膝から下が汚れてしまっている。
一刻も早くシャワーを浴びたい。
逃げ出したい。
しかし、シャーロットの信念は折れない。

(こんなの、もう慣れっこよ……全然平気だし……!)

シャーロットは口を固く結んで前へ進み続ける。
これぐらい、どうということはない。
自分は名実ともに一流のヴァンパイアハンターになったのだ……。

しばらく歩き続けていると
ダクトの出口らしきものが前方に見えてきた。広い空間に続いているらしい。

「あそこね……!」

シャーロットは魔導書を抱え、いつでも攻撃できるように準備を整えながら、慎重に一歩ずつにじり寄っていく。
そして、シャーロットは、その空間へと足を踏み入れた。
その瞬間。



(うゥッ……!?)

強烈な悪臭がシャーロットを襲った。
この世のあらゆる汚物が生煮えのまま溜め込まれたような臭い。
思わずシャーロットは片手で鼻と口を抑える。
しかし、その程度で防げるほどのレベルではない。
広い空間の中央には、肉の塊のような者が山積みとされている。
シャーロットは最初それが何なのか分からなかったが、否応もなく理解させられるものが目の前にあった……。

「嘘……これ、みんな、女の子っ……!?」

シャーロットが目にしたのは、海賊のようにバンダナを巻いた少女。
しかし、下顎から上がえぐり取られていて、ぬめついたピンクの舌だけがだらりと垂れ下がっている。
まだ胸も発達していないために少年のようにすら見えるが、むき出しにされた股間に男性器がついていないことからも、やはり少女の死体なのだと分かる。

「なんて、悲惨なっ……!」

そのとき、上から、どさり、という音が聞こえた。

「なに……?キャアアッ!!」

山の上から何かが転がり落ちてきて、シャーロットの足下で止まった。
それはまだあまり汚れていない身体だった。
しかし、全身の衣服がボロボロに破けていて下着も露わになっていて、目を開いたまま既に事切れているようだ。
生きている人間ならば、かのような恥も外聞もない無様な態勢で、がに股を開きながら仰向けに倒れたりするまい。
少女は桃色の髪の少女で、腕に赤いリボンが巻かれている……。
闇に囲われた巣のようなこの空間に蠢く蠅たちは、この新しい肉を見逃すはずはなかった。
たちまち、少女の身体にハエがたかり始める。
見開かれた眼球の上にハエが止まり、ぷぅんという音を立てて飛び回る。
あまりにもおぞましい光景。


「ゥ……ぉ、ぉえェっ……」

強烈な吐き気に襲われ、シャーロットはたまらず胃液を逆流させてしまう。
口と鼻を抑えていた手の指先から、どどめ色の液体がだらだらと滴り落ちる。
シャーロットは目をぎゅっと閉じ、この凄惨な空間のなかで小さくうずくまる。

「げほっ、げほっ……なによ、ここっ……」


47 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:06:02 ???
「いつのまにこんなところへ……」

下水道のダクトらしく、青い異臭が立ちこめている。
新鮮な空気が入り込んでくる余地はどこにもない。
息を吸う度に肺が冒されて藻が生えてきそうだ。
この世のあらゆる汚物がこの下水道に垂れ流されているーーシャーロットは片手で口元を抑えながら、嫌悪感に耐える。
気づいた時には服も濡れて汚れていたので、糞尿のような匂いが自分の身体からも匂ってくるような気がして、とても気持ち悪い。
時々耳元で蠅が飛び交う音がして、シャーロットは頭を振って追い払う。

「きゃっ?!」

床がぬるぬると滑りやすくなっていて足をとられそうになるのを、なんとか堪える。

「あぁもう……お気に入りなのに……」

足をぴちっと覆っていたニーソックスは、水しぶきで膝から下が汚れてしまっている。
一刻も早くシャワーを浴びたい。
逃げ出したい。
しかし、シャーロットの信念は折れない。

(こんなの、もう慣れっこよ……全然平気だし……!)

シャーロットは口を固く結んで前へ進み続ける。
これぐらい、どうということはない。
自分は名実ともに一流のヴァンパイアハンターになったのだ……。

しばらく歩き続けていると
ダクトの出口らしきものが前方に見えてきた。広い空間に続いているらしい。

「あそこね……!」

シャーロットは魔導書を抱え、いつでも攻撃できるように準備を整えながら、慎重に一歩ずつにじり寄っていく。
そして、シャーロットは、その空間へと足を踏み入れた。
その瞬間。



(うゥッ……!?)

強烈な悪臭がシャーロットを襲った。
この世のあらゆる汚物が生煮えのまま溜め込まれたような臭い。
思わずシャーロットは片手で鼻と口を抑える。
しかし、その程度で防げるほどのレベルではない。
広い空間の中央には、肉の塊のような者が山積みとされている。
シャーロットは最初それが何なのか分からなかったが、否応もなく理解させられるものが目の前にあった……。

「嘘……これ、みんな、女の子っ……!?」

シャーロットが目にしたのは、海賊のようにバンダナを巻いた少女。
しかし、下顎から上がえぐり取られていて、ぬめついたピンクの舌だけがだらりと垂れ下がっている。
まだ胸も発達していないために少年のようにすら見えるが、むき出しにされた股間に男性器がついていないことからも、やはり少女の死体なのだと分かる。

「なんて、悲惨なっ……!」

そのとき、上から、どさり、という音が聞こえた。

「なに……?キャアアッ!!」

山の上から何かが転がり落ちてきて、シャーロットの足下で止まった。
それはまだあまり汚れていない身体だった。
しかし、全身の衣服がボロボロに破けていて下着も露わになっていて、目を開いたまま既に事切れているようだ。
生きている人間ならば、かのような恥も外聞もない無様な態勢で、がに股を開きながら仰向けに倒れたりするまい。
少女は桃色の髪の少女で、腕に赤いリボンが巻かれている……。
闇に囲われた巣のようなこの空間に蠢く蠅たちは、この新しい肉を見逃すはずはなかった。
たちまち、少女の身体にハエがたかり始める。
見開かれた眼球の上にハエが止まり、ぷぅんという音を立てて飛び回る。
あまりにもおぞましい光景。


「ゥ……ぉ、ぉえェっ……」

強烈な吐き気に襲われ、シャーロットはたまらず胃液を逆流させてしまう。
口と鼻を抑えていた手の指先から、どどめ色の液体がだらだらと滴り落ちる。
シャーロットは目をぎゅっと閉じ、この凄惨な空間のなかで小さくうずくまる。

「げほっ、げほっ……なによ、ここっ……」


48 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:07:12 ???
喉の奥が痛む。
口から涎を流しながら、必死にその悪臭に耐える。
周囲を見渡すと、壁一面にヘドロが付着しており、それらが時々蠢いているのが分かる。
まるで生きものの内臓の中みたいだ。

ヘドロは何らかの意思を持っているらしく、侵入者を包囲しようと動き始めている。
シャーロットの背後に、ヘドロの塊がボドボトッと落ちた。
その音にシャーロットが振り返ると、出入口が塞がれてしまっている。

退路が断たれたーー。

そしてヘドロの塊はさらにうねりを描きーー。

シャーロットに襲いかかる!

「ハッ!」

シャーロットは垂直に飛び上がり、魔導書を片手で持って、落下しながら呪文を詠唱する。

「エナジーライト!」

シャーロットの手から光の球が生み出され、着地地点に広がるヘドロにその球を投げつけるーー。
バシュっ、という音を立ててヘドロが一瞬で蒸発した。その隙間にシャーロットは着地して、もう一度飛び上がる。
無数の少女たちで山積みになった山の中腹に着地する。

(ただのヘドロじゃない。明らかに意思を持っているみたい)

ぶよぶよした肉塊を踏みつけながら山を登っていくシャーロット。人間としての尊厳を剥奪され、ただの肉塊となった少女たち。

(悪いけれど……私がこうなるわけには行かないのよ……!)

ヘドロは所詮泥の塊だ。
流動体である以上、物理的な攻撃は通用しまい。
先ほどの光球の熱で一瞬で蒸発した。
耐え難い臭いが立ち上がってくるが、この方法なら戦える。

ヘドロはさらにうねりはじめ、細長い蛇のような形を取る。
口に当たる部分が横一文字に開かれると、だらだらと流動物が滴り落ちる。

シャーロットは、その開かれた口めがけて

「ファイヤーボール!」

右手に宿した炎を叩き込んだ!

炎は一瞬で炸裂し、蛇型の泥は一瞬で形を成さなくなり、ドロドロと溶けて元の泥濘に戻った。
弾け飛んだヘドロを浴びたシャーロットは、全身が汚れてしまう。

(うぅううっ……もうやだっ……!)

泥まみれになった身体に、思わず泣きそうになるシャーロット。
強烈な不快感にまたしても吐き気に襲われる。
おまけにここは風一つ吹いておらず室温も高い。
腐った肉体や泥から発せられる濃密な温気のために、満足に呼吸すらできない。
シャーロットの肌に泥と混ざり合った茶色い汗が流れる……。
年頃の少女にとって、あまりにも過酷すぎる環境だ。
現にシャーロットの精神は憔悴しきっていた。
彼女を支えるのは、ジョナサンを救出するという使命のみ。

(はやく、はやくこんなところから出たい……出口はどこーー)

その瞬間。

「ーーはっ!?」

背後に殺気を感じたシャーロットが振り向く。
その瞬間ーー鈍く光る刃が上から思い切り振り下ろされるのを見た。


49 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:08:17 ???
「ふっ!」

思い切り後ろへ飛んで避けるシャーロット。
距離を離して目視てまきた姿は、巨大な蜘蛛!
それだけではない、なにやら得体のしれない巨大な生物が他にもいる……壁際を一瞬掠めるように動いたのは、見間違いでなければムカデだ。

虫も火に弱いに違いない。
そう考えたシャーロットは、後ろへ飛びながら魔導書を開き、詠唱を唱えーー。

「ヘルファイア!」

全てを燃やし尽くす劫火を右手に宿し、放とうとしたその瞬間。

「ぁあっ?!」

後ろへ飛んだ着地地点が泥で滑りやすくなっていたために、態勢を崩して仰向けに転んでしまう。
シャーロットは思い切り後頭部を打ちつけてしまった。

(あーーーー)




死体の山をのそのそと蠢く蜘蛛。
力を得るために、顎を開いて手近にいた少女の体を貪る。
上半身を加えると、圧倒的な顎の力で易々と胸骨を破壊して、ごぶごぶと音を立てながら咀嚼し呑み込んでいく。
もはや誰のものでもない長い黒髪が、顎の口元から垂れ下がっている。
食い終わると、シャーロットのもとへじっくりと距離を詰めていく。

そのシャーロットはというと、後頭部を打って仰向けに倒れたきり、微動だにしていない。
気を失っているのだ。
汚水と泥に浸されるシャーロット。
黒ずみだらけの薄手の服が濡れてしまい、下着のブラジャーが透けて見える。
右手に宿していた炎の魔法は、静かに収束して消えた。
金髪が綺麗に広がっているが、不潔な状態になっていることは否めない。
完全に無防備な状態となってしまった。


この好機を、蟲たちが見逃すはずもない。
泥と水を浴びたシャーロットの肉体からはすでに腐臭が色濃く漂い、一匹の蠅がシャーロットの顔付近を飛び回る。
そして巨大なムカデが壁を伝い降りると、シャーロットの元へと近寄る……
シャーロットを狙うのはムカデだけではない。
意志を持ったヘドロたちも、あらゆる残骸や死体を飲み込みながら近づいてきて、大蜘蛛の八ツ目も新鮮な肉体に釘付けになっている。


50 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:09:27 ???
先にシャーロットの身体に手をかけたのはムカデだった。
ムカデは仰向けのシャーロットにのしかかり、無数の足を少女の肉体に絡ませ、ぐるりと半回転する。
ムカデが下になり、シャーロットはうつ伏せ状態で上になる。

さらに、ムカデはU文字に反り返りをはじめ、シャーロットは強制的に海老反りの態勢となってしまう。
足先が肩と同じ高さにまでそり上げられ、スカートが捲れて下着が丸見えになる。
そして、その下着に覆われた、大人並みに成熟した柔らかな尻にムカデの足が容赦なく食い込む。
限界までそり上げられた後もムカデはさらに撓める力を込める。

シャーロットの背骨が悲鳴をあげる。

「ぅ、うぅうっ……!」

その激痛に、シャーロットは意識を覚醒させる。
しかし、彼女が目を開けたとき、彼女は己の状況をすぐさま把握する。

「ぃ、ぃひっ……!?」

自分は今おぞましいムカデに抱かれているのだとーー。

「いやあああああああァァァ!!」

本能的に叫びをあげるシャーロット。

「イヤっ!イヤ!イヤァァァァア!」

脇目も振らず叫びながらむちゃくちゃに暴れるシャーロット。
しかし、魔法使いである彼女の身体に筋肉はわずかなものだ。
いくら足掻いても抜け出せない。
右手に魔導書はある。しかし現在の体勢ではとても詠唱できるような状況ではない。

「イッ……ガァァアア!!」

キリキリと音を立てて軋んでいく骨。
喉を潰した獣のような悲鳴をあげるシャーロット。

「ギャアアウウウ!」

ムカデの力は尋常なものではない。
ムカデは丸まろうとしているらしく、思わず目を疑うほど体が反り返っているシャーロット。

「オレヂャウウっ……ヂヌっ、ぢぬぅぅうぅううぅうう」

ひどい激痛に涙をだらだらと流し、痛みに耐えるために体を力ませた結果なのか、鼻血までだらだらと垂れ流している始末。
己の体液で自分の整った顔を自ら汚らわしいものへと変えてしまうシャーロット。
これがあの容姿端麗かつ天才的な実力を持つ魔法使いだと誰が信じられるだろう。
それも彼女は、一目見ただけで気を失ってしまいそうなほど醜い害虫に、なすがままにされているのだ。
耳を疑うほどの汚い絶叫をあげながら。
死ぬ瀬戸際まで追い詰められたとき、人は見栄も誇りもなくなってしまう。
シャーロットは己のプライドを全てかなぐり捨て、動物的な絶叫をあげる。

「ギャアアアアア!!!」

そしてついにーー。

べキッ!!

(――――ッ!!)

ブーツの靴底が、シャーロットの後頭部にこつこつと当たった。
激痛に見開いていた眼球の瞳孔がじわじわと広がり、ガクガクと口をふるわせたかと思うと、魚のように泡を吹き始めて首筋にだらだらと零れた。
びくっ、びくっ、と震える右手の魔導書からしおりがひらひらと落ちた。魔導書を持っている手に握力が失われた証だ。


ムカデは丸まるのを止めて、元の形に戻る。
足で固定していたシャーロットを解放する。
しかし彼女はもはや微動だにしない。うつ伏せに倒れたまま顔を横に向け、目を半分開けながら舌を突き出している。
尻のあたりが不自然に盛り上がっており、おそらくは括約筋が弛みきって失禁と脱糞をしてしまっているのだろう。

シャーロットの意識が急速に弱まっていき、世界が音もなく縮んでいく。
まだ辛うじて意識は残っているが、絶命するのも時間の問題だろう。

しかし、この「処理室」においては、死が宴の終わりを意味することはない。
死んだ肉体は、この部屋には山のようにあるのだ。
シャーロットの身体に、今度は蜘蛛がのしかかるーー。


51 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:11:09 ???
大蜘蛛はシャーロットの金髪を足で引っかけると、掴んで上に持ち上げた。
もはや泥まみれの雑巾のようになったシャーロットは、すでにその服に白い部分など残されていなかった。
いつも羽織っていたマントが肩からずるりと落ちた。
完全に脱力し、ぶらぶらと四肢が揺れている。

蜘蛛が糸を吐く。
まるで精液をかけられたように全身を汚されていくシャーロット。
もちろん彼女は抵抗するはずもなく、顔が見えなくなるまでねばねばの糸を浴びせかけられた。
そして蜘蛛は、他の足を使って、シャーロットの身体を切り裂き始めた。

バシュっバシュっ!ビリビリっ!

切り裂かれたシャーロットの肌から、遅すぎる許しを乞うように血が流れ出す。
彼女の体内にある血管が次々と切られ、ぽたぽたと血を流す。
魔法の天才と呼ばれた彼女の血は、鮮やかな紅色で穢れ一つない。
魔法を駆使するため肉体そのものは鍛えられておらず、二次性徴を終えた丸みのある体つきが露わになる。

蜘蛛は下半身のニーソックスをビリビリに破くと、スカートをめくり、黄色に変色したショーツに足を引っかけ、

ずり……ずるるっ

下に滑りおろしていく。髪の色よりも若干色素の薄い、大人の女性並みの豊かな茂みが現れた。
そこはすでに、失禁した尿でぬらぬらとした輝きがあった。

ぼとっ、ボトトッ

脱糞した実がショーツから落ちた。
少し柔らかめのものだ。ぷよんと揺れる尻に茶色いものがこびりついている。

「っ……ぁ……」

無残に破られた衣装の切れ端が床に落ちていく。そして露わになった腹部のへそに、蜘蛛は足先にあてがうと。

ズブリッ!

「げぅっ」

腹の奥へと侵入を開始した。
足の乱暴な動きはシャーロットの薄い脂肪を貫通し、腹筋を傷つけながら奥へと進む。
ぐっ、ぐっ、と何度もピストンするように押し込んでいき、シャーロットの身体もその動きに合わせて揺れる。
男性器の侵入を許した女のように前後に肉体を揺さぶられる。

「を”っ、おっ、あ”っ、う゛っ、あ゛っ」

吐きかけられた糸がぬちぬちと音を立てて飛び散り、黄金の髪も前後に揺れて顔にかかり、シャーロットの無残な顔を隠した。
魔導書はついに右手から滑り落ち、ヘドロの中へ呑み込まれていった。
こうなってしまえば、もはや抵抗は不可能だ。
いかなる天才魔法使いも、魔導書がなければただの小娘にすぎないのだから。
唯一の武器を失ったシャーロットは、なすがままに蜘蛛の足で弄ばれ、いとも簡単に内臓へと到達した。

「がぼぉぉおぉっ……」

かく、かくっ。がくがくっ……ぴくくっ……。
シャーロットは口を開けて、静かに流れ落ちる滝のように血をごぼりと吐き出した。
下唇も顎も歯も真っ赤に染まった。
吹き出す血の勢いは口からでるだけでは追いつかず、鼻の穴からもだらだらと流れ出した。
蜘蛛は中への侵入を止めず、さらにさらに奥へと進入していき、次の瞬間。

ズブズブスブリっ!

シャーロットの背中を覆う服装が尖り始める。
足がシャーロットの腹を貫通して背中から生えてきたのだ。
蜘蛛は容赦なく奥へ奥へと突き込み、やがてーー

ビリッ!

服が破れて、血と粘液で濡れた蜘蛛の足が姿を表した。
服はそこから綺麗に縦に割けて、ブラジャーのホックが露わになった。
清楚かつ高貴な印象を与える白のレースのブラジャー。
しかし、今はもはやその美しさは見る影もない。


52 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:12:14 ???
蜘蛛は手に入れた「餌」を弱らせるために……思い切りシャーロットを突き刺した足を振りかぶる。シャーロットは振り回されて金髪が横に靡くと

思い切り床に叩きつけた。

ベチッ!!

「がふっ……ひっ……や”ァァァ”……」

意味を成さない声をあげて、シャーロットは身体を床や壁などの固い部分に叩きつける。
全身に力が抜けているために、まるで人形のように振り回されーー壁に激突!

バァアアン!!

薄れいく意識のなか、シャーロットは自分の体がバラバラになっていく姿を惟う。
彼女が持つ魔力が辛うじて命を留めているようだが、それはもはや、苦しみの時間を長引かせているだけでしかない。
華奢な身体に加えられる圧倒的な暴力ーー満身創痍となったシャーロット。
蜘蛛は、最後のとどめと言わんばかりに、シャーロットの身体を高く持ち上げる。
背中を上に向けた状態で持ち上げられ、手足は完全に脱力している。その瀕死の肉体が、勢いよく地面に叩きつけられ……

べキッ!!!

左の横腹を思い切り打ちつけ、泥の水しぶきが上がった。




ひくひくと、指先だけを振るわせながら、叩きつけられたら左側は完全に破壊され、左目からは血の涙を流している。
殺虫剤を浴びせられた虫のように、意味もなくひとところでもがくシャーロット。
蜘蛛は足をもぞもぞと器用に動かしながら、シャーロットの腹から足を引き抜く。
ズボッ、という音を立ててようやく引き抜かれ、水袋が破れたように抜かれたところから流血した。
両足をハの字に開いて隠すべきところを晒しだしている彼女は、流れた血は全て股間へと流れ落ちていった。

ーーそれでも彼女は死を許されなかった。生きていた。端から見れば、山のように積みあがっている死体たちとなにも変わらないというのに。

シャーロットは、意識を僅かに保ったまま、自分のなかに冷たいものが次々と入り込んでいくことがわかった。
口、鼻、耳、肛門、膣穴……全身の肌にある、ほんの小さな毛穴の中にまで。
あらゆる穴のなかからシャーロットの身体に進入するヘドロ。
そして、そのヘドロの海に溺れていると、ようやくシャーロットは安らぎの感覚が生まれる。
この地獄の責め苦から解放される。
自分の命を残酷なまでにつなぎ止め続けた魔力が、そのヘドロに吸収され始めているのだ。自分のなかにあるもの、すべてが奪われていく感覚。
そこに悲しみや苦しみはない。
自分は、もう何もしなくていいのだ。
ただ、奪われていくだけでいいのだ。


……………………


53 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:14:35 ???







「あ……?」

覚醒した。
どこから始まってどこで終わったのだろう。
自分は確かに、永遠の安らぎを手に入れたはずだった。
しかし、今ーー自分は意識を保っている。心臓が動いている感覚はないのに。

「ぅぶっ……かはっ、けほっ、げほっ」

シャーロットは、鼻に何かが差し込まれていることに気づいた。
鼻だけではなかった。耳も口も肛門も膣穴も……
シャーロットは全裸にされたまま、全身に管を差し込まれていた。
すると、ぐぉぉぉおん、という音を立てて管がぴくんと跳ねる。次の瞬間

「ぅぅうう゛う゛う゛っぅ!」

管が吸引を開始する。

「ぅびゅるるるるぐぐぎゅるるぅうう!!」

透明な管を通して吸い上げ、胃や直腸や子宮に溜まった茶色いヘドロを無理やり吸い上げる。
シャーロットは壮絶な悲鳴をあげながら両目を無様に裏返した。

「あら、お目覚め?」


少女の声。
シャワールーム。
畳一枚程度の広さで、シャーロットの背後と両サイドはコンクリート。向かいの一面だけガラス張りになっている。
そのガラスの向こうに、ひとりの少女がロッキングチェアに座っている。
片方の手に瓶を手にしており、その中に入っている薬品を指ですくって、ちびちびと舐めている。
繭羅は瓶を置いて立ち上がるとそのシャワールームへ入ってくる。
あまりにも臭いためか繭羅はマスクをつけた。
備え付けられていた蛇口をひねり、ビニールホースから水が流れる。

管が吸引を止めると、繭羅はホースを使ってシャーロットに水を浴びせる。
わざと顔ばかりに水をかけているため、シャーロットは息をしようと顔を逸らせるのだが、繭羅はクスクスと笑いながら執拗に顔へ水を浴びせ続ける。

「あなた……少し化粧をしているでしょう。あなたぐらいの年頃なら自然なことでしょうけど……ワタクシの前で顔を偽るのは止めていただける?」

シャーロットは目に入る水を嫌がり何度も首を動かす。
手を動かす力すら残されていないのだ。
しかし、繭羅はそれを良いことに、顔にばかり目掛けて水を流す。

「うふふ……自信過剰な小娘をいたぶるのは愉しいですわぁ。ほら、頭を動かしなさいな。そうしないと、溺れそうで苦しいのではなくて……? クスクスクス……アハハハ……」


排水溝に次々と流れていく泥は、すべてシャーロットの身体に付いていたもの。
水に溶け出したヘドロはシャワー室内を耐え難いほどの異臭で満たしていく。
すべて洗い落とされたシャーロット。繭羅はようやく蛇口をひねって水を止めた。

「わ、たし……」

シャーロットは自分の前髪から水を滴らせて、まるでうわ言のようにつぶやく。

「うん、なあに?」
「生き……て……る……」

繭羅が満面の笑みを浮かべる。

「ええ、あなたは生きているわ。正確には、生かしておいてあげた、というわけなのですけれど」
「ぇ……?」


54 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:15:42 ???
繭羅が指を鳴らす。
するとどこかから、ごぽり、ごぽり、と水が破裂するような音がし始める……。
排水溝のなかから、赤黒い液体が逆流して吹き出した。
ヘドロに混ざって排出されてきたもの……それは血だ。なにも言われなくとも、シャーロットには分かった。
そして、次の瞬間にはーーまた意識がくらくらとねじ曲がり始めてーー気がついたときには、その排水溝を犬のようにぺろぺろと舐めてしまっていた。
お尻をつきだしたような格好で。

そこに理性が働く余地はなかった。

血を舐めていると……自分のなかで奪われていたものが満たされていくのがよくわかった。

「本当に驚いたわ……あなたって魔法使いなのよね?華奢でお洒落な服を着ているいかにも非力な女の子なのに……」

繭羅は自分の前髪をたくしあげる。
するとーー。
額に、みみず腫れのように膨れ上がった傷が走っていた。
繭羅の病的なまでに白い肌とコントラストをなして、見ているだけでどれほど激しい攻撃を受けたのかが推して知られる。

「本当に、よく噛み付く子犬みたいに可愛いんだから……」

しかし繭羅は笑顔を浮かべた。
愛しい娘に対するような暖かな目で。
しかしその目は即ち、圧倒的な上下関係を裏付けるものだとも言える。
シャーロットがいかなる抵抗をしようとも、繭羅にすればせいぜい、子犬の戯れにすぎないのだ。

「ねえ……信じられる?あなたは吸血鬼になって、理性を失って、あなたの大事なお友達を倒してしまったのよ。今頃あなたのお友達は、処理室でヘドロの海に溺れているの……」
「ベロ、レロ、ちゅるちゅるちゅう……っぷはっ、はぁ……はぁ……」
「やれやれ、ワタクシの話、聞いていませんわね。さあ、お舐め。あなたの気が済むまで、ワタクシの元に跪いて血をお舐めなさい?」

繭羅はシャーロットの後頭部を足で踏みつけた。
血溜まりの中にシャーロットは顔を押さえつけられる。
シャーロットはそれでも舌を動かしてぺろぺろと舐めとる。
両目を血走らせて。
血が湧き出る排水溝のただ一点を見つめて。
彼女の唾液が、ぬらぬらと照明を反射させる。

さる天才魔法使いの、貪欲に血を貪る荒い呼吸音。

「はっ、はっ、はっ、じゅるっ、ぺろっ、ぷはっ、はぁあ、はぁ」

繭羅は、欲望をむき出しにした少女を目にし、優越感を顕わにした強者の微笑みを浮かべていた。



終わり


55 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:18:12 ???
ノエルの人です
ごめん今回適当すぎた(誤字とか)

>>43>>44
>>46>>47
どうしてそうなった

ノシ


56 : 名無しさん :2014/04/16(水) 00:25:33 AYalS8p.
投稿したのでageさせていただきます


57 : 名無しさん :2014/04/16(水) 03:31:36 ???
力作お疲れ様でした
大きな力があってもどこか緊張感の足りないシャーロットの
無様な最期が観れて良かった
最愛の幼なじみすら手にかけた彼女が次に誰を襲うのか楽しみです


58 : 名無しさん :2014/04/16(水) 08:09:15 ???
ノエルの人乙
何気に繭羅に一太刀入れた初めての相手だったりするのか


59 : 名無しさん :2014/04/17(木) 13:42:34 ???
はぁと様ェ…

つまり吸血鬼シャーロット対ハンターキャリーですね
最初はキャリーが押し気味も
元々の多彩な魔法に加えて吸血鬼の圧倒的な力を手に入れたシャーロットが
戦法の選択肢の少ないキャリーを次第に押し返して最後は一方的に嬲る展開希望


60 : 名無しさん :2014/04/18(金) 00:38:12 ???
ノエルの人です
いつも読んでくれてありがとう

なんかかなりハード寄りになってきてるけど、大丈夫だろうか
一応エリョナも含めつつ書いているつもりではいるのだけれど


61 : 名無しさん :2014/04/19(土) 05:46:17 ???
スカは苦手だけどハードなのはむしろ好物


62 : 名無しさん :2014/04/22(火) 06:36:06 ???
意味も無くグロけりゃいいってもんじゃないけど
真剣勝負で敗けるとはこういう事だ、って理解させるには必要だよね
女が敗けるって意味を教えるためにはエリョナも大事だけど
何が言いたいかっていうとどっちも美味しいです


63 : 名無しさん :2014/04/22(火) 16:54:53 ???
新スレおめでとうございます
なんだかリョナとも何ともつかない産物ができてしまいまして
発表しようかと迷いましたが、新スレのお祝いを兼ねまして、
投降することでささやかながらではありますがスレを賑わせられたらと存じます


64 : Little Lady :2014/04/22(火) 16:57:36 Mzrv5gaA
「お嬢様、朝でございます。目をお覚ましください」

微睡みの中にいた私は、聞き慣れた女の声にそこからの覚醒を促された。
そう。私は、起きなければならない。
私はこの静かで心地よい安眠の湯殿から這い出て、燦々と照りつける光の下で喜び、怒り、泣き、笑わなくてはならないの。
でもね……わかるでしょう?
この誘惑に満ちた漆黒の沼から抜け出すのは、精神的労力を要することだったの。

布団を頭まで被ったまま、「うん」と返事をしたきり動かない私。
安寧の鎖を断ち切ることができず、為す術無く、再び睡魔の手招きに応じてしまおうとしていたわ。
でも。そうはならなかった。
私を呼び起こそうとする女の声が、今度は耳元でこう囁いたのよ。

「起きないのですか?そんな悪い娘は……食べてしまいますよ?」

感情の伴わない、冷たい声だった。
瞬間、私の身体を爪先から頭のてっぺんまで、甘く痺れるような感覚が電流のように駆けめぐる。
私は跳ねるように上体を起こした。
一瞬で、私の身体は汗だくになっていた。
首筋に冷たい風を感じて、私は自分が現実に生還したことを悟ったのよ。

はぁ……はぁ……はぁ…………

私は、乱れた呼吸を必死に抑えこむ。
情けないことに、普段は冷静沈着である私の思考は、チンチンに沸き上がったまま停止してしまっていた。
私の身体を巡る血潮が、まるで全力疾走でもしたかのように暴れ回っている。
それを制するのに、私はいくらかの時間と労力を必要としたのよ。

全く……悪い冗談。

私は酷い興奮状態のまま、視線を横に移す。
私をここまで取り乱させた、本能のエマージェンシーコールの元凶がそこに佇んでいた。
そう、見慣れた若いメイド姿の女が、私の慌てふためく様子を、しれっとした顔で傍観していたのよ。

「おはようございます、お嬢様」

彼女はそう言うと、私に軽く会釈してきた。
彼女は、私の抱える専属メイド。
黒髪を清潔に短く切った、とんでもない美女。
薄い唇には淡いピンクのルージュが自然に引かれ、睫毛は漆を塗ったように美しく、切れ長の目には、ブラック・ダイヤモンドのような瞳が冷たく輝いている。
鼻筋は高く、よく通り、顎は細い。肌はきめ細かく、大理石のように白くて滑らか。
体つきは一見細身ながら、出るとこは出ていて、清楚なメイド服に包まれた発達した筋肉が、彼女の姿勢にすばらしいバランスを与えている。
さらにピンと伸びた背は、ただでさえ長身である彼女を一層大きく、美しく、優美に見せる。
まったく、嫉妬の念さえ抱けないような、完璧な淑女。

でも、敢えて1つ難を述べるとするなら。
それは、この仮面のようなポーカーフェイスかと思うの。
喜怒哀楽を全く窺うことのできない、辛気くさい仏頂面。
それがまた、背筋のゾクゾクするような美しさなんだけど。
かしずく者として、この無愛想はいかがなものかしら……?

「おはよう、イザベラ」

私は怨めしげな声で挨拶をして、ベッドから身体を起こす。
イザベラは、私の怨み節を持ち前の無表情で黙殺すると、一着の服を恭しく差し出してきた。

「本日のお召し物でございます」

それは、白を基調とした外行きのワンピースだった。
私の真っ直ぐ伸びた金髪をさらに映えさせる、素朴でありながら高級感溢れる純白の衣装。
王宮にも卸している老舗の仕立屋に、特別に作らせた私のお気に入り。
これに、空のように青く澄んだ薄いショールを羽織っていくことになっているの。
あ、言っておくけど、これはイザベラが選んだわけじゃないわ。
私が自ら、昨晩の内に見繕っておいたのよ。
今日は町に出なければならないし、身嗜みにも多少は気を遣わないといけないからね。

「あーあ、それにしたって面倒臭いわ。やっぱり、行かなきゃダメなの?」

私は大きな欠伸を1つして、イザベラに尋ねた。
彼女はそれを受けて微かに目を細めると、また、小さく頷く。

「勿論でございます。領主であるお嬢様が行かねば始まりません」
「そう?なら、仕方ないわよねえ……」

私はうんざりした様子で、しかし、内心満更でもなく、軽く頷いてみせた。

ふふ、イザベラも心得たものね。
私の気持ちよくなる答えを的確に返してくれるんだもの。

私は優越感混じりの溜息を1つつくと、自室のバルコニーに身を乗り出して、そこから見える景色を一望した。


65 : Little Lady :2014/04/22(火) 16:59:59 Mzrv5gaA
一面、麦の穂が太陽の光を受け黄金に輝き、風に靡かれて金色の波を作っている。
穂の棚引く波の音が、夏の暑さを幾分か和らげてくれているように感じる。
私はその金色に輝く海の目映さに目を細める。
今年もまた、豊作みたいね。
領主としてこれほど嬉しいことはないわ。

黄金の水面の棚引く大地。
ここが、私の治める領地……「リリィ領」。

早いもので、私が領主になってから、もう10年になる。
領主に任命された当時、私は僅か7歳だった。
7歳よ?7歳。
少女どころか、まるっきりの幼女。
信じられる?

どうして私が領主なんてやっているのか……
それは、ひとえにお爺様の威光の賜物なの。
お爺様は、かつてこの国を暴君から救った英雄なのよ。
当時の王宮は、欲ばかりの無能共が巣食って、国王さえないがしろにして国を荒廃させてしまっていて。
ちょうど、この地方の豪族だったお爺様は、そいつらに反旗を翻した。
まだ若かったお父様も、それに呼応して出兵し多くの手柄をあげたそうよ。
お爺様は闘志溢れる者を集い、長い戦いの末、ついに王宮に巣くう輩を駆逐することに成功した。
泰平を取り戻し、お爺様は英雄となったの。
私が生まれる、ずっと昔の話。
今や、お爺様はこの国の宰相。
司法、政治、財政界の全てを牛耳っていて、この国の主立った機関の重役は、みな私たち『ホワイト一族』が務めている。
国王さえお爺様には言われるがまま。
次の王位を誰に委ねるのかさえ、お爺様の意思一つで決まってしまうのよ。

この「リリィ領」は、そんな偉大なお爺様が、私の7つの誕生日に授けてくれたもの。
お爺様は優しいわ。なんでもくれるの。
イザベラだってそうよ。お爺様が直々に選んで、私に宛ってくれたメイドの1人。
それでもさすがに、領を与えるって言われた時には、当時幼かった私も面食らったものだったわ。
もはや懐かしい話ね。
まぁ、私が「治める」と言っても、当時の私は読み書きも怪しい幼子だったわけだし、政治の一切を他の者に任せていたわ。
でも、私ももう17歳になったわけだし。
最近はちょっとずつだけど、私も民を幸福に導く仕事に従事し始めているの。
今回の外出もその1つ。
来月に控えた豊穣祭の打ち合わせのために、私は久しぶりに町に出なくてはならないのよ。

「で、誰がついてくるわけ?」
「はい。私(わたしく)が」

私の問いに、イザベラがごく平坦な口調で返えた。

イザベラ、かぁ…………

私は顔をしかめてみせる。
悪くはないわ。悪くはないんだけど、この鉄仮面と2人きりでいると、どうにも息が詰まるのよね。
しかもイザベラったら、稀代の名工の作品でもあるかのような非現実的美貌を備えているものだから。
正直、彼女を側に置いておくのは、女としてなかなか複雑なものがある。
それは、認めざるを得ないわ。
見劣りする、とは、考えたくないけど……
まぁ、私の側の者もイザベラとは見知った関係。今更気にしないとは思うのだけれどね。
それにしたって、イザベラ……歳はいくつになるのかしら?
彼女ったら、全く、出会った頃のままなのよ。
当時17歳でも……ううん、あの時点で、もうすでに20はいってたはず。
じゃあ今は……みそ……いやいや、どう考えてもおかしいでしょ。
お爺様は、イザベラはこの国より遙か東に住む民族の出だと言ってたわ。
でも、怪しいわね。ホントかしら?ひょっとして、エルフや、悪魔との混血なんじゃ?
だとしたら、この私の身の回りの世話なんてとてもできない、卑しい身分のはずなんだけど……

「お嬢様、どうなさいましたか?」
「……なんでもないわ」

どうやら、気づかないうちにイザベラの顔をまじまじと見つめていたみたい。
イザベラに尋ねられて、私はあわてて目を反らしたわ。
いくら私が彼女の主であるとは言っても、あまりに失礼な空想だったわね。
さすがに気まずくて、私は軽く咳払いをしてから話題を変えた。


66 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:01:03 Mzrv5gaA

「イザベラ、帰りに買い物をしていきたいんだけど?」
「かしこまりました。馬車は待たせておきましょう」

小さくお辞儀をして、イザベラは答えた。
私、彼女のことは好きよ?
メイドとして有能だし、従順だし、綺麗だし、買い物にも黙って付き合ってくれるしね。
それに、無表情だからって、彼女に感情が無いわけじゃないってことは、私、わかっているから。

私はイザベラからワンピースを受け取ると、それをひとまず、皺にならないよう注意しながら肩にかけた。
着替えるのは朝食後と決めているのよ。
ほら、いくら17歳とはいえ、万が一服に跳ねたなんてことになっても嫌だし。
ましてや、このワンピースはお気に入りなのよ。
ご多忙のお父様と一緒に都まで仕立てに行った、思い入れの服なの。
気をつけるに越したことはないわ。

「イザベラ、朝食は何かしら?」
「はい。ハムエッグにトースト、サラダ、マタデー、ミックスジュースにチーズでございます」
「そんなに食べられないわよ。太っちゃうじゃない」
「運動なさいませ、お嬢様」
「私、運動嫌いなの」

そんな話をしながら、私たちは部屋を出たわ。
こうして、いつも通り、私の一日は始まったの。


67 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:02:15 Mzrv5gaA

町までは馬車で1時間程。
延々と続く黄金の海を渡っていくと、麓に古風な町並みが見えてくる。
役所を抱えたこの町は流通が盛んで、その規模は小さいとはいえ、一帯の経済の要を成していると言える。
まぁ、とはいえ、やはり都とはとても比べられない、辺境の町と言えば確かにそうなんだけど。

私は昼前には役所に着いて、祭の打ち合わせを済ませ、為政の一切を任せている町長のスタンダールと食事をして。
昼過ぎにはもう仕事の全てを終えて、帰るもふらつくも自由な状態になった。

でも、私は買い物には行かなかった。予定を変更したの。
というのも、町長のスタンダールは、政治家としてやり手な上に口もうまくてね。
私の手際を褒めちぎるものだから、私はその時、少し気が大きくなってしまっていたのよ。

「さて、じゃあ、倉庫の様子でも見てみようかしら?」

普段だったらそんなこと思わないんだけれど、気分はもうイッパシの為政者。
いざ現場視察と意気込んで、イザベラを従え、祭に備えて穀物や酒なんかを貯蔵している倉庫に出向いていったの。

そう、人気のない、倉庫の並ぶ郊外にね……


「むぅ……すごい匂い」

倉庫の中には、果汁の甘ったるい匂いが充満していた。
ヒンヤリとした空気の中、ワイン樽が一面に並び醸成され、民の喉を潤す時を待っている。
仄かに酒気を帯び、頬の熱くなる感覚を楽しみながら、私はイザベラの裾を掴んで尋ねた。

「洩れちゃっているんじゃないの?これ、大丈夫なの?」
「問題ありません。確かに、ほんの何割かは揮発してしまいますが、十分に賄えます」
「うーん、でも、それも勿体ない話ねえ……検討しましょう。試飲はできない?」
「申し訳ありません。いましばらく寝かせる必要がございます」
「豊穣祭の主賓はお父様よ?滅多なものは出せないわ」
「では、事前にお嬢様の舌で確かめられては?1週間前には万端整うかと」
「だから今確かめたかったの!わかる?それで不味かったらどうするのよ!?大恥だわ!!私は、お父様の悦ぶ顔が見たいのよ!!為政者として成長したって褒めてもらいたいの!!」
「しかし、こればかりは完成してみないとなんとも申し上げられません。勿論、蔵職人が技を尽くしておりますが」
「ダメよ。不安でたまらないわ。お父様……いえ、一族に出す品として、事前に相応しいものを購入しておくことにしましょう」
「しかし、それではこの地の豊穣を願っていただくという趣旨と離れてしまうのでは」
「確かに領主としては不本意極まるわ。出来が良ければ、予定通り地酒を提供しましょう。あくまで保険よ」
「かしこまりました。手配しておきましょう」
「よろしくね」

課題を見つけたことに為政者としての小さな喜びを得て、私は揚々と倉庫を出た。

日は、すでに陰りつつあったわ。
イザベラは貯蔵庫の門を閉めている。
暗く密閉された蔵から出た私が外の風を堪能していると、旅用のフードコートに身を包んだ人間が1人、私に近づいてきた。
こんな暑い中、コートなんて羽織って。
しかも、それは汚れて、見窄らしく。
小柄で、身体を低くして歩み寄ってくる様子はどこか恐る恐るというか、緊張している感じがした。
変ではあったのよ。
私の心の奥に沸き起こった小さな違和感は、確かに警鐘を鳴らしていた。
でも、私はそれを無意識のうちに黙殺してしまった。
領主である私を前にしているんですもの、緊張するのも当たり前くらいに思っていて。
それは、気分を良くしていた私の油断だった。

「失礼ですが……あなたは、この領の主、リリィ様では?」

身を屈めて尋ねてきた。
その声は高くて、少年のようだったわ。
フードから覗く瞳が、いやに爛々と輝いていたのが印象的で。
私の中の違和感は、だんだんと不審に変わりつつあった。
どうも様子がおかしいなって思い始めて。
でも、疑念が私に態度を改めさせるのは、ワンテンポ遅れてしまっていた。
微かな酒気にのぼせていた私は、思わずそれに答えてしまったのよ。

「ええ、そうよ。何かご用かしら?」

自分でも間抜けだったと思う。
「あ、まずったかな?」なんて考えも、少しだけ心を掠めていった。
それでも私は、その者が献上品でも持ってきたというくらいにしか考えていなくて。
「あれ?献上の品はどこかしら?」って、的のはずれた違和感を抱いていたくらいで。

でも。私の脳天気な為政者気分はここで終わったわ。
突如現れたこの人物は、私の見ている世界の彩りを、がらりと変えてしまった。
尋ね返した瞬間、私は棒立ちのままの姿勢で、やや錆びた無骨な刃が、陰った日の光を受けてギラリと光ったのを見た。


68 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:03:19 Mzrv5gaA

「覚悟!!」
「なっ……!?きゃあっ……!?」

――暗殺。

そんな、身も蓋もない言葉が頭をよぎる。

この瞬間、私の感性は音を置き去りにした。
静寂の中、世界が色を失い、スローモーションに映る。
私の身体は、感覚に置き去りにされ、まるで金縛りにあったみたいに動かない。

恐怖、焦燥、後悔、悲観、楽観、憤怒、驚嘆……
感情はグチャグチャに氾濫して機能を失い、混ざり合い灰色のスクリーンになって。
刃の振り下ろされる瞬間が、その煤けた銀幕に鮮やかに投影される。
モノクロのまま。音もなく。ゆっくりと。
私の中には、酷い混乱状態に陥った思考の他に、驚くほど醒めたもう1人の自分がいて。
そのもう1人の私が、最悪の結末を迎えるこの寸劇を分析するでもなく、打開するでもなく、ただぼんやりと眺めていたの。

ああ、やられる。

剣に出た錆、所々にある刃転び、古びたローブを掠めて巻き上げられる埃……
そんなものまで克明に見えていたのだけれど、私の身体は寸分も反応してくれなかった。
私は当事者でありながら、傍観者だったの。
実際は瞬きする間もなかったのでしょう。
人生の終焉を告げる刃はゆっくりと、確実に、私の頭上に迫ってきたのよ。


でもね。
……ふふふ。

私のこの身体が、凶刃に斬り刻まれることはなかった。
生憎と、私は独りじゃなかったから。
突如、景色は一変する。
紺色の砂塵が吹き込むように、イザベラのエプロンドレスが私の眼前に割って入った。
彼女は風のように賊の前に立ちはだかると、凶刃の腹を手の甲でいなして、そのまま脇腹に強烈な蹴撃を叩き込んだのよ!
一瞬だったわ。
極限状態で研ぎ澄まされた私の視覚をもってしても、彼女の革製のブーツが賊の腹に突き刺さった最後の瞬間が辛うじて映っただけだった。

「かはっ……」

私の聴覚が久方の音刺激を捉える。
賊の呻き声。
その小さな身体は直線を描いて倉庫の壁に激しく叩きつけられ、そのまま、もたれかかるようにガクリと身体を沈ませた。

ベキリと、鈍い音が私の耳に届く。
危険は去ったのだと、私の精神は捉えたみたい。
景観に色彩が静かに戻ってきて、酷く緩やかだった時の刻み方も、穏やかに平常を取り戻していった。
私は安堵の息をつく。
肌が夏の蒸し暑さを感じた。喉がカラカラになっていることに今更ながら気づいた。

危機は去ったのだ。
再び回り始めた思考の中で、私はそう確信する。
こいつの奇襲は失敗に終わったのだ。


ま、当然の結果ね。
今更だけど、イザベラはメイドながら、私のボディガードを兼ねているの。
この国一番の権力者が、愛する孫娘のために厳選した精鋭。
それが、このイザベラ。
私には、武器も護身術も必要ない。
この従順な修羅が、私の剣となり盾となり、私の安全を常に守ってくれているんだから。


69 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:04:28 Mzrv5gaA

「い……つ……うぐ…………」

賊は呻き声を上げ、壁から地面に崩れ落ちた。
その際に、被っていたボロボロのフードが脱げてその素顔が表に曝される。
私は目を丸くしたわ。

「あら……」

私はとぼけた声を上げてしまった。
その顔を見て驚いたの。
なにせ、賊は赤い髪を無造作に短くした、私と同じくらいの年齢と思しき少女だったんだから。
鳶色の瞳が大きくて、ボーイッシュではあるけれど、容姿も悪くない。
そんな少女が、出会い頭に無骨な剣を振りかざしてきたんですもの。
そりゃ、驚かない方が無理ってものでしょう。

「あなたはだれ?なんでこんなことをしたのかしら?」

私はイザベラを側に立たせたまま、その少女に訊いたわ。
それは賊に対する詰問でもあり、私の純粋な疑問でもあったの。
少女は悔しげに顔を歪めたけれど、忽然と私たちを睨み返して、ついに口を開いたわ。

「私は……アリア・エイプリル。エイプリル家の長女だ!」
「ふうん。……エイプリル家?」

勇ましく吠えてくれたわけだけど、生憎と、心当たりのない名前だったわ。
なので、私はイザベラに目配せした。
イザベラは、注意をアリアと名乗る娘から外さなかったけれど、彼女は私の助けを求める視線に気づいてくれた。
彼女はすごいわよ、なんでも知っているの。
まるで目の前に参考資料でもあるかのように、朗々と話してくれたわ。

「エイプリル家は、お隣、ウィンターソルト領の名家でございます。いえ、『元』名家、と、申し上げた方がよろしいでしょう。
代々、税を管理しておりましたが、横領が発覚して以来、地位を追われ、民に疎まれながら辺境の地で細々と枯れ飯をはんでいると聞き及んでおります」
「ふざけるな!!お父様は横領などしていない!!貴様らに……はめられたんだ!!」

アリアはイザベラの言葉に激昂したわ。
どうやらその説明が不服だったみたいね。
でも、私はまだ状況が掴めず彼女の情熱を汲んであげられずにいたの。
こういう時にも、イザベラは実に頼りになる。
彼女の口調が淀むことはなかったわ。

「この者は、パンジー様が政敵であるエイプリル家を陥れたのだと言っているのです」
「まあ!何を言い出すかと思えば、叔父様がそんなことを…………ほほほ、まさかですわ」

私はわざとらしい声を上げてとぼけて見せたわ。
つまり、自分の家が落ちぶれたことに対する逆恨みでしょう?
実際に叔父様がエイプリル家とやらを陥れたかは知りませんけど、私たち一族に楯突いたのなら、潰されるのも当然の報いですわよ。
私たちホワイト一族に仇成すことは、この国を敵に回すのと全くの同義なのですからね。

「とんだ言いがかり。没落貴族にはお似合いの愚鈍な負け犬根性ですこと」
「な……なにを………!!貴様……民がどれだけ貴様らに虐げられていると……この国に巣くう寄生虫が!!」
「まぁ……!!!」

寄生虫ですって!
こいつ……狼藉だけでは飽き足らず、言わせておけば、なんたる暴言!

私の頭が芯まで熱くなります。
顔が耳まで真っ赤になったのが自分でもわかりました。
この賊は……小汚い没落貴族の分際で……この私に向かって、寄生虫などと宣ったのです!!
信じられます?とんだ侮辱ですわ!!
これは、とても許されるものではありません。
この者は、私たち一族を口汚く罵り、名誉を著しく傷つけたのです。
私個人も、心ない非難に酷く傷心しました。
野蛮で、低俗で、意地汚く、薄汚れた嫉妬の塊と化した暴力が、このワンピースのように白く高潔な私の心身を脅かしたのです。
私の精神は、汚水を撫で付けられ汚されたかのような苦痛を被りました。
……この無礼者には、その行為に対する相応の報いを受け、自身のしたことの重大さをしっかりと認識していただかなければなりません。


70 : Litte Lady :2014/04/22(火) 17:06:55 Mzrv5gaA

私の内に、ひどく残虐な心地が沸き起こります。
私は、嘲るような好戦的な笑みを浮かべて言ってやりました。

「すみかを追われた羽虫風情が、ずいぶんな口を利くのね?」
「は……羽虫だと?……黙れ!!お前たちのせいで、どれだけの民が苦しんでいると思っているんだ!!!民の怒り、その身をもって知るがいい!!」
「あらあら、誰が、民を傷つけたですって?汚職の娘が、あらぬ妄言を口走って。救えませんわ」

余程短気なのか、それとも、私たち一族への怨みが相当溜まっていたのか。
アリアは我鳴って、その白く揃った歯を剥き出したわ。

安物の剣を構えて、今にも斬りかかって来そうなおっかない剣幕。
まったく、獰猛で分別のない野犬ね。
私とて、この身を蛮虐に捧げ、鮮血で凶獣の喉を潤すようなつもりは毛頭ないの。
どうしてそんなことをしてやる道理があるのかしら?

英雄の孫娘である私は、このような不当な暴力にも忽然と立ち向かいます。
トチ狂った猛獣など全く恐くなかったわ。
大義は常に私と共にあるの。
我が利剣・イザベラが私の姿を背後に隠し、この救いがたい狂犬の前に再び立ちはだかったのよ。

「お嬢様、この賊、いかが致しましょう」
「この者は、私たちホワイト一族を侮辱しました。ただでは済ませませんわ」

私は残酷に笑ってイザベラに目配せしたわ。
彼女は私の意図を正確に読み取ったみたい。

「承知しました」

いつも通りの平坦な口調で了承して、イザベラはゆっくりとアリアに近づいていったの。

アリアはローブを脱ぎ捨てて、イザベラを迎え撃つべく剣を構えたわ。
彼女、今まで汚らしいローブで隠れてわからなかったけれど、肉付きのいい太股に括れた腰回りと、女の魅力の詰まった身体付きをしているのね。
太股なんて、短パンを履いて露出させて、眩しいたらありゃしない。
私を暗殺するための機能性を重視したのかしら?
それとも、単に暑いから?そりゃ、この季節にあんなコートを羽織っていれば暑いでしょうけど。
もし私が年頃の殿方であったのなら、こいつは分別のない小娘とはいえ、ひょっとしたらその肉感にドギマギして、拐かされるなんてこともあったかもしれないけれど。
いずれにしても貴族の格好としてははしたないく、軽蔑に値するわね。
まぁ、こんな穢れた娘に品性なんて求めても仕方ないか。

一方のイザベラは、清楚なメイド服にブーツという、およそ戦うとは思えない出で立ち。
一応、重りを埋め込んだブーツが武器ということになるかしら。
パッと見、両刃の剣を持つ蛮族を相手取るなんて無謀に映るかもしれないわね。
でも。これで十分なのよ。
彼女の纏う一番の脅威は、その卓越した戦闘技術なのだから。
その拳は岩をも砕き、蹴りは鋼鉄の鎧さえも「切断」する。
矢をも見切る動体視力と瞬発力に、ハンマーさえ受け止める柔軟性と強度を誇る筋肉。
そして、それら全てを自在に使いこなす、イザベラの研ぎ澄まされた技量。
彼女が武器を持っていないからといって、それがどうしたというのかしら?

イザベラは凶刃にも臆することなく、背筋をピンと伸ばしたまま大胆にアリアとの間合いを詰めていく。
その堂々とした姿はさながら、豚の屠殺に向かう調理人といったところ。

「うっ……」

逆に、賊の威勢が一気に削がれているのが側で見てもわかった。
アリアとかいう小娘の頭には、やはり、さっきの奇襲の失敗が毒となり思考を巡っているのでしょう。
彼女はイザベラという存在を、身をもって痛感してしまったんだわ。
武器を構えているのはアリアの方であるにも関わらず、焦りで額を滲ませながら、むしろジリジリと退いていってしまう有様だったの。
情けないわね。
私は、その情けない姿を嘲ったわ。

「うふふ……なぁに?さっきの勢いはどうしたのかしら?私に?何を教えてくれるって?」
「う……うるさい!!」

私の挑発にまともに返答する余裕もないみたい。
まだ斬り合ってもいないっていうのに、この慌てよう。
まるで蛇に睨まれた蛙。
なんて矮小な女なのかしら。


71 : Litte Lady :2014/04/22(火) 17:08:01 Mzrv5gaA

「ほうら、どうしたの?エイプリル家は、無防備なおなごに刃を振りかざすことしかできない腰抜けなのかしらぁ?」

アリアは悔しげに眉を顰めて、恐怖を滲ませた視線で私とイザベラとを交互に見るの。
恐いのね。
彼女は、私を手の届かないほど遠くに感じているの。
ああ、やかましいだけの無能。なんて小さな害虫。

私はクスクス笑うと、徐にショールを腰まで降ろし、ワンピースの肩を外した。
染み一つない、真珠のような胸元が剥き出しになる。
私は顎を上げ、喉元の白い肌を見せつけてやった。
無駄な脂肪の無い私の肌には、首の筋や、気道の輪郭がくっきりと現れている。
肩の関節や鎖骨の窪みが、白い肌にメリハリのある陰影を作っているわ。
ふふふ、自分でいうのもなんだけど、この身体はなかなかに扇情的だと思うの。
私は露出させた胸元の白く輝く柔肌を指でなぞって、その魅力をこいつにまざまざと見せつけてやる。
そうしながら、挑発的に小さく舌を出して、餓えた狂犬を焚きつけてやったわ。

「どうしちゃったの?憎い憎い、パンジー伯の姪の首はここよ?その手に握っているのは飾りなの?
 殿方のアレばかり握ってたから扱い方を知らないのかしら?負け犬のエイプリル嬢?」

こいつは激昂し、眉を顰め、歯ぎしりをして吠えた。

「この……!!国賊が、それ以上私たちを侮辱するな!!!」

アリアはついに耐えかねて私に向かって来ようとした。
でもその先を、イザベラが身体を割り込ませて塞いでしまう。
こいつの足はたちまち止まってしまったわ。
イザベラは構えてすらいなかったけれど、それでも、このクソ女を威圧するには十分すぎた。

ふふ……恐いのかしら?
武器を持たぬ女にすら怖じ気づいてしまったの?
こいつにできることと言ったら、無防備な令嬢に暴力を行使することだけなのかしら?

この害虫は、もう、逃げ出したかったんじゃない?
逃げたきゃ逃げてもよかったのよ?
もっとも、イザベラを振りきることなんて芸当、こんな羽虫ごときには到底できなかっただろうけど。
彼女には、もう、戦うことしか残されていなかった。
追いつめられたアリアは両刃の剣を握り直すと、目の前に立ちはだかるメイド服の敵に斬りかかった。

「やあああああああああああっ!!」

彼女は勢いよく剣を振り下ろした。
思っていたよりも、太刀筋は悪くない感じだったわ。
でもまぁ、イザベラにとっては無駄が多くて、大根役者の殺陣以下の動きでしかなかったみたいだけれど。
アリアの渾身の斬撃を、イザベラは軽く体を捌いてかわした。
そのまま横に薙いだ剣尖を、イザベラは、今度は足の裏をそのままに、しなやかに上体を反らして空振りさせる。
イザベラが膝から上のバネを使って直立に戻ると、反撃を恐れたアリアは跳び退き、間合いを切ろうとした。
それを追うイザベラ。
さすが、俊敏ね。彼女は一瞬でアリアの間合いを捉える。
胸同士が接触するくらいに懐深く潜り込んだイザベラは、しかし、何をするでもなくその距離を維持した。

「くっ……!」
「………………」

なお後退し間合いから逃れようとするアリア。
しかし、イザベラは巧みな足裁きでアリアに距離を開けることも詰めることも許さず、いつもの涼しい表情で彼女の狼狽した顔をじっと見つめている。
逃げるアリア。追うイザベラ。
2人はダンスを踊っているかのようだったわ。
そうしていると、アリアのくぐもった声がこっちまで聞こえてきたの。

「……いぐっ!!?」
「………………」

イザベラがついに攻撃に出たのね。
あまりにも動作が小さいから、見落としそうになったけれど。
どうやら、接近した状態からアリアの腹に拳を打ち付けたみたい。
剣を振るうのに不自由な間合いで、後退する相手に、さりげなく。

「い……ぎ……ぐぅ…………」
「………………」

アリアの口から胃酸混じりの液が漏れ、宙を舞った。
彼女には、剣でイザベラを払うだけの懐の余裕がない。
この未熟者にとって、剣は手の動きを制限する手枷と化した。
全く使いこなせていない。いえ、イザベラが使わせないの。
一方的だったわ。
イザベラは、彼女の胸元に頭を埋めるような位置を維持したまま、リズムでも刻むかのように腹部に拳を打ち込んでいく。
対するアリアは、潜り込まれた懐を縮めることもできず、間合いを切ることもできないまま、腹部に突き刺さる痛みに顔を歪めることしかできない。


72 : Litte Lady :2014/04/22(火) 17:09:12 Mzrv5gaA
……残酷ね。

私は涼しい顔をしながら、内心ほくそ笑んでいた。
全く、イザベラは主人思いの優秀なメイドですこと。
彼女なら、こんな肉団子を黙らせるために何発も執拗に拳を繰り出す必要なんてないはずなの。
本来なら、鎧を纏ったオークさえ一撃で悶絶昇天させるような馬鹿げた威力の拳を放てるのよ?
あえて力を加減して、いたぶっているんだわ。
まぁ、命令にそのような意図を含ませたのは私なんだけどね。

あ……ふふ、アリアの表情に戸惑いの色が強くなったわ。
この浅はかな犬も気づいたようね。
自分が、すっかりイザベラに遊ばれているってことに。
いい気味だわ。
大粒の汗を額に滲ませながら、苦悶の表情で喘ぐ様をこうして眺めるのは胸がすく気分よ。

「こ……この……は……はなれろォ!!」

アリアは歯ぎしりすると、唸るように叫んだわ。
相当に憔悴していたみたいね。
無駄な抵抗として、窮地に立つ無能は苦し紛れの蹴りを選んだ。
こいつがイザベラから逃れる術なんて無いでしょうけど、これは、とんでもない愚策。
アリアとイザベラでは頭1つ分以上の身長差があったわ。
高い位置にあるイザベラの頭部目掛けて、後退姿勢で軸足も定まらぬままアリアは足を振り上げた。
逃げ腰で、攻撃として不十分なのよ。
そんなものが、この修羅に通じるとでも思ったのかしら。
相手との実力差さえ推し量れないだなんて、可哀想な奴。

イザベラは眉一つ動かすことないまま、その足首を難なく掴んだ。
自らの足があまりにあっさりと敵の手元に吸い込まれたものだから、アリアは呆けた表情を浮かべたわ。
でも。
自分の片足がゆっくりと上に持ち上げられていくのに事の重大さを認識したアリアは、なんとか足をその掌から引き抜こうと身体を悶えさせた。
無駄なこと。
イザベラの体勢は頑としていて、微塵も崩れる様子がなかったの。

「この……!!……や!!……は……放せ!!……くっ!!」
「…………………」

囚われたアリアは、今度は手に持った剣を振り回し、イザベラを後退させようとした。
でも、その太刀をいなすなど、イザベラにとっては稚児をあやすに等しいことだった。
アリアが剣を振るう度に、イザベラは拘束したアリアの足を引っ張ってバランスを崩させ、その太刀筋を完全にはずさせてしまう。
自らは、せいぜい半歩身体をずらすくらいの最小限の動きで剣を避け、堅固な拘束状態を維持する。
いいように翻弄されたアリアは、痺れを切らしたのね。
掴まれた足首、ギリギリの位置。
手元が狂えば自分の足までも傷つけてしまうでしょうに。
拘束するイザベラの小さな手元に狙いを定めて、大きく剣を振り下ろしたの。

イザベラは、退屈な攻めに飽いたのかしら。
凶刃を避けるでもなく、フリーになっていた方の手の指でその刀身をちょこんと摘んで斬撃を受け止めた。
たいしたものね。美しくさえあるわ。
まるで花でも摘むような軽やかな手つきなのだけれど、アリアの剣はビクともしないの。
イザベラはそのまま刃に指を伝わせて、剣を持つアリアの手首を掴み、無情に捻り上げる。
アリアはその手をを引き剥がそうと、もう片方の手でイザベラの腕を掴んだのだけれど……

「あ……ぎゃあっ…………」

あまりにも、無力だったわ。
彼女は短い呻き声を上げて、剣の柄から手を放してしまった。
無骨な剣が地面に落ち、鈍い金属音を奏でる。
それが、この愚者の敗北を告げる鐘の音となったの。


73 : Litte Lady :2014/04/22(火) 17:10:26 Mzrv5gaA
「うぅ……く………くそ………………」

片手片足を取られたアリアは、敗北を実感していたのでしょう、苦渋に満ちた表情で、不安定な体勢で身をよじっていた。
さて……狂犬の牙は抜いたわけだけど、今度はこの出来の悪い狂犬の「飼い主」のことを聞き出さなくっちゃいけないのよね。
あぁあ、面倒くさいわ。

私は人なつっこい笑みを浮かべながら、2人の元に近づいていった。
この負け犬は拘束され片足でふらつきながら、私の様子を怨めしい目で見つめている。
全く、いい様ね。
私は1つ鼻を鳴らすと、彼女に尋ねたの。

「ふふふ……さて。あなたは誰に頼まれて私を狙ったのかしら?」
「……ふん」

負け犬は、そのみみっちい虚栄心からそっぽを向いたわ。
なに、この態度?百姓の小僧だってもう少し礼節をわきまえているわよ。
私の溜息に怒気が孕む。
瞬間、乾いた音が静寂を裂き、貯蔵庫に鳴り響いた。

……パァン!!
「きゃあっ!!」

私が、この態度のなってない負け犬のむっちりとした太股に、思いっきり平手をくれてやったのよ。
やけに女らしい声で鳴いたものね。
剥き出しになっている太股は熱を持って、手の形にくっきりと赤い模様を作ったわ。
でも……生意気なことにも。
この負け犬はまだ抵抗の視線を向けてきたの。
敗北の恥辱と、無力に染まった、くすんだ眼光。
それは私にとってはむしろ小気味良いくらいであったのだけれど。

もう十分、身の程を知ったでしょうに、往生際が悪い。
あぁ、私の手をこれ以上煩わせるつもりなんだわ。
私は溜息をつくと、この犬が私に向けてきた剣を拾い上げ、彼女の背後に回った。
本当は触るのも汚らわしい代物だけれど、こんな雌を躾るにはこれでも十分過ぎるわ。
私は彼女の背後に立ち片手で手首を奪うと、もう片方の手で、剣の刃を彼女の顎にあてがった。

「くっ…………」
「ねぇえ?誰に頼まれたの?教えて?」

私は彼女の耳元に、わざとらしい甘い声で囁いた。
刀身の冷たさが、負け犬の喉に伝わり恐怖を煽っていくわ。
このまま、私が刃を引いてしまえば、それでこいつは終わり。
生かすも殺すも私次第。
とてもじゃないけど、私の気を損ねるような発言はできないわよね?
少しでも利口ならば、それこそ、犬畜生だってどうすればよいか察するわ。
でも。
全く、どんな躾を受けてきたのかしら?
残念ながら、この狂犬にそのような賢さは備わっていなかったみたいなのよ。

「こ……殺せよ…………」

こいつは、絞り出すようにそう言ったわ。
全く、呆れて溜息も出ないわよ。
こいつにとっては一大決心の末の言葉なのかもしれないけれど、落ちぶれた貴族のプライドなんて犬も食わないわ。
私に楯突いた以上、こいつの命の価値なんて石以下なの。
そのことが、こいつにはまだ飲み込めていないみたい。
あぁあ、次は貝にでもなってしまったのかしら。
それ以来、口を固く噤んでしまった。
私は、嘆息したわ。
何が彼女をここまで頑なにするのかしら。プライド?
そんなもののために、痛い目に合いたいのかしら。まさか、それさえわかっていない?
……愚鈍にも程があるでしょ。

わかった。わかりました。
それなら、方法を変えるまでよ。
私は剣を垂直にすると、剣尖で、こいつの纏っている服の真ん中に、一筋、縦に切れ込みを入れ始めた。
襟元から、胸に。そして、さらに下まで……


74 : Litte Lady :2014/04/22(火) 17:11:33 Mzrv5gaA

……私は、こいつを女として辱めることにしたの。
私、こんなことはやりたくないんですのよ?
でも、こいつがここまで頑とするなら、このような手段に及ぶのも致し方ありませんわよね?
ギリギリと布の擦れる音と共に、こいつの胸元ははだけ、可愛らしいお臍が顔を出す。
この手でこいつの雌をさらけださせる感覚に、不覚にも、私は僅かに上気していた。
その効果は……覿面。
途端、この犬は慌てて口を開いたわ。

「な……なにをする……!!?や……やめろ!!!」
「うふふ……いいんですの?そんな大声を出したら、人が来てしまいますわよ?」
「…………くぅ」

あらら、驚いたわ。
急に大人しくなりましたの。
こんなやつの貞淑なんて、私には路傍の石にも満たない価値しかないように感じるけど、
それでも、彼女にとっては死んでも失いたくはないものなのね。

「……あら?」
「…………!!」

彼女の服を断裁し終わった時、私に小さな驚きがあったわ。
彼女の胸部を包む服が、僅かに弾みあがったのよ。
着込んだ布地で、豊かな胸の膨らみを押さえつけていたようね。
そのことに私が勘づくと、アリアは耳まで真っ赤にして俯いてしまったわ。
どうやらこいつは、歳不相応とさえ言える胸元の色気に、彼女自身は羞恥を持っていたみたい。
なら、少し、その劣等感を利用させてもらいましょうか。
弱点をみせたこいつが悪いのよ。
私は、不必要に他人の弱みにつけ込む趣味なんてないんですからね?

「あぁら?なんていやらしい胸なんでしょう?好き者なのね?」

私は嘲り、その谷間に両刃の刀身を挟ませた。
そのまま無骨な鉄棒を上下に擦らせて。
その動きはまるで、殿方に胸で奉仕するかのように。
錆でザラザラとした剣の腹が、こいつの肉を擦り上げていく。
その感触が、刀身を伝わり、手にした柄を介して伝わってくる。
私が剣をヒラヒラ動かすと、胸元が圧迫されてピクピク揺れた。

「や……やめ……」

この惨めな雌犬の喉から弱々しい声が漏れたわ。
私が少しでも手元を誤れば、凶悪な刃がこの忌々しい乳房を傷つけるでしょうね。
こいつは息を飲んで、自らの胸元に擦りつけられる刀身を注視していた。
まぁ、私の方も、こんな重い鉄の塊に繊細な動きを与えるのも億劫になって。
ひとまず生意気な胸部はお預けにして、断裁の作業に戻ったわ。
彼女の細いベルトを切って、一旦手を止めて、作業は終了。
彼女の纏う服は前から真っ二つに。
私は彼女の前に移動して、その痴態を拝んでやった。
服はギザギザの切り口で、前からはだけて彼女の豊かな肉感を露出させていた。
腹部には、イザベラの拳で打ち付けられ、鬱血している様子も確認できて。
ああ、今気づいたのだけれど、イザベラは奇襲を退けるために蹴撃を叩き込んだ位置に、再び拳を打ち付けていたのね。
中央部が、特に青紫に変色してしまっているわ。

「ふふふ、無様ね。負け犬にはお似合いの格好じゃないかしら?」
「く……あ……つ……」

私は横腹に広がる青痣を指で撫でつけてやった。
そこは、まだ大分熱を持っていて、固いしこりを確認できた。
ちょっと圧迫すると、こいつは短く呻いて顔をしかめるの。
私は痣の中央部に親指を押し込むと、その青くなった部分を大胆に掴んで捻り上げてやったわ。

「い……ぎゃああああっ!!……あぐ……くぁあ……」
「そんな耳元で吠えないでくださる?みっともない」

私はだらしなく喚くアリアに軽蔑の視線を送る。
摘んだ肉は、少々の脂肪を蓄えた筋肉で、健康的な張りがあった。
農耕などの重作業にも耐えうる、肉付きの良さ。
私はスタイルを維持するためかなり細身だから、羨ましい限り。
私がぺちぺちと傷を叩いて肉の弾力を楽しむ度に、こいつは苦悶の声を上げた。

「あぐ……つぅ……このような屈辱を……恥を知れ…………」

負け犬はなお、自由になった片腕で私の手を阻もうとしながら、涙目になって吠えた。
私は、失笑してしまったわ。
こんな男の劣情を誘うようなあられもない姿で、この私に恥を知れですって。
どうしてこんなことが言えるのかしら?エイプリル家の誇りとやらがそうさせているの?
くだらないわね。そんなもののために、どうして私がこんな不快な思いをしなくちゃならないの?
全く、癇に障るわ。
私は痣から指を離し、剣を握り直すと、品定めをするように、刀身を拘束された雌肉の手足に舐めるように這わせた。
剣の腹でなぞっているものの、手元が狂えば彼女の肉体の価値を著しく下げる結果になるでしょう。
彼女も、さすがにそれくらいはわかっていたみたい。
息を呑んで私にされるがままになっていた。


75 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:13:45 Mzrv5gaA

私は、支配の恍惚で頬を熱くさせながら、彼女の身体を鉄棒でなぞり上げていく。
刀身についた錆がアリアの皮膚に度々擦れて、彼女の二の腕や太股の肉を揺らしていくのがわかった。
剣を通して、この負け犬の息づかいや、身体の震えが伝わってくるの。
恥辱と怒りにまみれながら、それ以上の恐怖に精神を絡め取られ、身体を震わせているのがわかるのよ。
それが、すごく気持ちいいのね。
この安い剣一本で、この女の運命をいいように扱っている感覚。
私という存在が、彼女に恐怖として染み込んでいく実感。
これが、支配者になるってこと。
例え、このアリアがごとき羽虫に等しい存在に対しても、それを感じていくのって、とても大切なことだと思うの。

彼女の汗と錆がくっついて、劣化した金属特有のすれた臭いが鼻をくすぐっていったわ。
こいつも、剣に嬲られて、恐怖が十分に浸透したようね。
細く息を吐きながら、目尻に涙を溜めてその動きを注視しているだけになった。
上出来じゃないかしら。
じゃあ、仕上げましょうか。
やがて私は、彼女の地面に着いている方の太股に剣の腹を当てると、それを少しずつ上に持ち上げていって。

「な……うぅ…………」
「ずっと片足で立ちっぱなしで、疲れたんじゃない?」

私はそう言って、こいつの股間の前からお尻にかけて、舐め上げるように刃を擦らせた。
ちりちりと、短パンの布の繊維が切れる小さな音が聞こえてきたわ。
体重を支える方の足が、恐怖と、恥辱と、疲労でガクガクと震えていた。
こいつは胸部を押さえていた方の手を服から離して刃を押さえようとするけれど。
さすがに、刃に触れてそれを退けることもできなくて。
結果、まるで刀身を受け入れ撫で回しているかのような、柔らかい手つきになってしまった。
繊細な指遣いで刀身に触れる様子は、どこか卑猥で。
ひょっとしたら、生まれの悪さが出てしまっているのかもね。
父親はともかく、母親はどんな出生なのかしら。

私はイザベラに、上げっぱなしにさせているアリアの足を開放するよう目配せしたわ。
彼女は小さく頷くと、パッと手を放した。
アリアは、解放された両足の太股で刀身を挟み込み、刃の進行を阻止しようとするのだけれど。
私が、無闇に力を込めて動かしてしまい、手元が狂うことも恐ろしいらしくて。
両足の踵をピンと伸ばしたまま、逃げることもできず刀身に跨ってしまう格好になった。
イザベラは、一応、逃がさないための保険として片手を掴んでいるけれど。
彼女は例の、蔑みも好奇も窺えない冷たい目で、この惨めな敗北者の痴態を眺めていたってわけ。

「うぅ……ああ……私……こんな…………」

こいつは悔しげに顔を歪めて、ついに涙を流し始めた。
私は刃でこいつの股をさするようにいたぶりながら、冷ややかな目をして尋ねたの。

「で?誰に頼まれたの?」
「し……知らない…………私は……ただ…………」
「ただ……なぁに…………?」
「リリィを殺せば……再興の道が……あるって……それが……この国の……ためになる……家も……」
「で……あなた、それを本気にしたの?」
「ああう!?」

私、腹立たしくて微かに刃に力を込めてやったわ。
そしたら、この惨めな犬は高い悲鳴をあげたの。


76 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:15:51 Mzrv5gaA
大袈裟ですわね。

切れ味の鈍い、どちらかと言えば力任せに叩き斬るといった用途の強い安物の剣。
少しあてがったくらいでは、肉に傷をつけるには至りませんの。
それでも、こいつは大仰に声をあげて、涙を流すのですわ。
キャンキャンとやかましい。
卑しい精神の持ち主は慎みというものがございませんのね。
私は、赤子をあやすような甘い声音で尋問を続けたわ。

「誰に頼まれたの?言いなさい?」
「し……知らない…………」
「知らないで私の命を狙ってきたの?この、国賊が」
「こ……国賊?ち……ちがう……わ……私は…………国のために………………」
「違いませんわ。あなたのやったことは歴とした国への造反行為……………」
「造反……そ……そんなこと…………」

私は、剣を水平にして、あまり研がれていない刃でこいつの股間をゆっくりと圧迫した。

「ひぃ!……いや……やめて…………」
「なぁに?何をやめてほしいって?」
「け……剣を引いて…………」
「引く?こうかしら?」

私はあてがった刃を手前に引いてこいつの股を刺激してやった。
すると、またチリチリと音がして。
おそらく、今度はショーツまで切れてしまったんじゃないかしらね。
こいつの臀部の熟れた肉が、恥裂が、刃をくわえ込んだ感触が手元に伝わってきたわ。


「あひぃ!!いや!……いや!!」
「ふうん?いや?わがままな豚さんねえ」

そう言って笑い、私はまた刃を股に水平に挟ませて、上に圧迫した。
これがもし切れ味の鋭い刃物だったら、私は気づかず彼女の肉を斬ってしまったかもしれないわね。
でも彼女は、この撲殺にしか使えそうにない錆びた剣にさえそのような凄惨な想像をして。
私が少し力を入れて剣を持ち上げる度に、恐怖に駆られたこいつは疲労している爪先をピンと立てて。
震えながら、水面で口をパクパクさせる魚みたいに、私の加減に合わせて身体を伸ばして喘ぐのよ。

「あう……あ……ひい…………!!いや……いや……!!」

全く、媚びさえ感じる、卑しい鳴き声。
私は軽蔑の視線を向けながら言ったわ。

「あらあら、豚みたいに鳴いちゃって。ひょっとして気持ちいいの?
にっくい、にっくい、政敵の娘に苛められて?
股にぶっとい鉄棒おっ刺されて。それで大事なところいじめられて。それで、なんて惨めな声を上げるのかしら。
身体だけじゃなく、心までも卑しいんですわね。卑しさに溺れているんですわ!」
「違う!わ……私はエイプリルだ…………そんな下衆なこと……この……無礼者が…………」
「あははは!無礼?……なんであなたがごときに、この私が礼を尽くさねばなりませんの?卑しい卑しい、負け犬の没落貴族様に……」
「く……このぉ…………」
「ほうら、身の程を知りなさい…………」

こいつは顔を真っ赤にして睨んできますの。
私はくすくす笑いながら、そんな不遜な肉塊に刃を突き上げ、罰を与えます。
その衝撃が加えられる度、この負け犬は嬌声にも似た黄色い声で呻きますの。

「あ!!……ひぎぃ!!……ひっ!!……あう!!……お……お父様!!お助けを……わ……私は……!!……違う!!……違うんですぅ!!」 

あらまあ、この場で父にまで助けを乞うなんて。
両親、あるいは、貴族の肩書きにまだ縋っているのかしら。
身体は熟れた豚でありながら、その精神は小便臭い稚児のままなのね。
こんな奴がほいほい命令を聞く相手といったら。そうねえ……
この者に直接指示を下したのは、利害から言っても、父親……かしら。
もっとも、その父親に話を持ちかけた者が別にいるとみた方がいいでしょうけれど。
例えばそう、私を亡き者にした見返りに、没落した一族の復興を助成するといった条件を出して。
ふふ、誰が考えたか知りませんけど、お粗末な政略ね。
なにより人選がまずかったわ。
よりによって、実行犯にこんな虚栄に駆られたクズをよこすだなんて。


77 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:17:13 Mzrv5gaA

それにしても。
だからこそ、事実として、許し難いものがあるわ。
こいつは、私を明確に標的と定めて襲ってきたことが判明した。
猪のように浅慮で、一手先さえも見えていない愚か者。
敗北が約束されたような、惨めな弱者。
でも私は、そのような者に、一瞬であるとはいえ、牙を剥くことを許してしまった。
とんだ失態だわ。恥ずかしくて、悔しくて、身体が震えてきちゃう。
奸計を練る者の浅ましく汚れきった毒牙が、私の首もとに掛かりかけていた。
ああ、考えるだけでもおぞましい。
とんでもない辱めを受けてしまったものよ。


アリア。
この者には、罰が必要だわ。
私の被った苦痛を注ぐために。
そして、ホワイト家に対して弓を引く者を叩きつぶすための鋭気を養うために、この者は私の手で断罪されなければならない。
敗者である女を裁くには。
私も、この歳になってようやくわかってきたの。
女の大切なもの。人間の大切なもの。
それに戒めを与えることが、どういう意味を持つのかを。


私は彼女の股を苛んでいた刃を退いてやったわ。
同時に目配せすると、イザベラは無表情のまま、彼女の拘束を解いた。
慈悲なんかじゃないわ。ましてや、刑の執行が終了したわけでもない。

その場に崩れ落ちるアリア。
私の責めが効いたみたいね。
彼女は解放されると股間を両手で押さえたまま、身体を虫みたいうずくまって、低い嗚咽をもらしていた。
耳まで真っ赤にして。
顔は上げなかったけれど、乱れた呼吸から、こいつが涙を流していることが容易に想像できた。

……無様ね。
私はその打ちひしがれた姿を見下ろしたまま、傍らに待機するイザベラに命を下したの。

「この賊に裁きを下しなさい」
「はい、お嬢様。仰せのままに」

イザベラが、いつも通りの事務的で平坦な声で答え、愚かな負け犬に近づいていく。
今から、このイザベラが彼女に刑を執行する。

「ひっ……!?」

この負け犬は、身の危険を察したみたい。
引きつった悲鳴を上げて、慌てて身体を起こし、恐怖に染まった顔でイザベラを見上げた。
泣きじゃくって、顔は赤面したまま、涙と鼻水と涎で醜く汚れきっていたわ。
さらに、這いずって逃げようともしたみたい。
でもその前に、イザベラの諸手が、彼女の両の手首をがっしり掴んでしまった。
怯えきった獲物。
イザベラは相変わらず、感情と隔絶したような、石膏像のように平坦な顔で彼女の目を見つめている。
この罪人は、泣くことも出来なかった。
逃げることも忘れ、ただ、彼女の漆黒の瞳に魅入られ、釘付けになってしまっていた。


78 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:18:30 Mzrv5gaA
そう。
イザベラの美は、魅了されれば目を離すことさえ適わない。
彼女は、まるで作り物。
思考も、感情も、生物の息吹さえも感じさせない、白く、美しく、恐ろしい製造物。
それに見据えられたアリアは、恐怖を抱きながらも、大きな瞳を見開いたまま、その行使を待つことしかできなかった。
私は、胸に静かにこみ上げる興奮を押し止めながら、屈んだまま手を取る2人の様子を見下ろしていた。

闇は、突然に出現した。
イザベラが表情を崩さぬまま、薄い唇を顎がはずれそうになるくらい大きく開いたのだ。
彼女の薄い唇が横に割れて、バックリと、赤黒い深淵が出現する。
まるで蛇が獲物を飲み込むかのよう。
普段の、淑女を絵に描いたようなイザベラからは想像もできない、あられもない姿だった。
熟れたトマトのように赤い彼女の口内が、奥までしっかり見える。
ぬらぬらと妖しく光る舌に、大きく開いた深紅の喉。
それらが、今まさに、目の前に据えられた獲物を貪ろうとしていた。

「うっ……う……あ……わ、私に触るな…め、メイド風情が……むがっ……!!」

恐怖だったでしょうね。
こんな負け犬でも、使用人にその純潔を散らされるのは耐え難い屈辱だったみたい。
低く呻くアリアの口に、赤い穴となったイザベラの口が吸い付いた。

飲み込まれる。

哀れな獲物はそう直感したことでしょう。
間違いではないわ。
端から見ている私ですら身の毛もよだつ、無慈悲な搾取がこれから執り行われようとしているのだから。

「ぐじゅる……じゅる……んじゅる……」

イザベラが舌を伸ばし、アリアの唾液を啜り上げている。
淫靡な音が響いて、傍観する私のデリケートな部分を誘惑する。
見ているだけの私ですら、身体に小さな虫が這うようなこそばゆさと快感に悶えてしまう。
イザベラは、今まさにアリアの心を壊そうとしていた。

全ての凡俗と穢れを取り去った美を備えたイザベラ。
感情を待たず、純白の清潔だけを練り固めたかのようなイザベラ。
でも。
それは彼女の表層に過ぎない。
その彫像のように無垢な美貌の下は、あまりにも爛れきっている。
情欲を貪る舌が、精力を吸い尽くす喉が、決して潤うことのない乾きに餓えた真っ赤な淫魔が、純白の皮の下に押し込められたまま暴力を行使する瞬間を待っている。
淫沌から這い出た穢れた舌が、今、1人の贄を引きずり込もうとしているの。

じゅる……じゅる……むじゅう……………

イザベラは作り物みたいな表情のまま、まだ少女であるアリアの口内を吸い上げる。
イザベラの、苺を啄むことしかしないような可愛らしい口から、真っ赤に爛れた舌がナメクジみたいに這い出てきて、アリアの口内にへばりついて蹂躙している。

アリアが戸惑いの色を見せたのは一瞬だったわ。
目を見開いて驚嘆と羞恥の表情を浮かべたかと思うと、そのまま、恐怖と恍惚の入り交じったように目元を歪めて。
震えながら、表情を固まらせてしまったのよ。

「むじゅ……むぐぅ…………」

彼女の餓えた喉がジュルジュルとえげつない音を立てて、被捕食者の唾液を吸い上げ、乾きを満たしていく。
苦しげに空気を求める口元。涎が垂れて顎を伝っていく。
どんどん、頬が赤くなって、体中に球みたいな汗を噴き出して。
絶対的暴力を行使され、目元に溜まる涙。

恐怖でしょうね。
イザベラの舌から強制的にもたらされる快楽。
少女であった心が、イザベラの爛れた舌に絡め取られ、汚されていく。
情欲が氾濫し、精神がそれに飲み込まれ、作り替えられていく感覚を、彼女は味わっていることでしょう。


79 : Little Lady :2014/04/22(火) 17:19:36 Mzrv5gaA

「んあ……ああ…………」

アリアの口から、今までとは違う、甘い声が漏れてきた。
イザベラはそれを合図に一層強く吸い付く。
そして丁寧に唇を舐め取ると、イザベラはようやく唇を放して彼女を解放した。
1人立ち上がるイザベラ。
しかし、解放されたにもかかわらず、アリアはその場にへたり込んだまま動かない。
その顔は呆けていて視点が定まらず、ぼんやりと郊外の狭い空を眺めている。

「あ……あひぃ……」

どこか愉しそうな表情。
かつて経験したことのない淫欲に漬けられて、夢とも、幻ともつかない心地に酔っているのでしょう。
まぁ、これは一時的なもので、すぐに自我を取り戻すはず。
でも。もう心は戻れない。
イザベラによりもたらされた淫欲の芽が、彼女の精神に深く根を張ってしまっているのだから。

「お嬢様、こしらえました」
「え……ええ。み、見事だわ」

私は、自分の恥ずかしい部分が疼いているのを感じたわ。
少し、アリアが羨ましいと……いえ、それは気の迷いね。
この無様な姿。だらしない顔。
私が、こんな姿を人目に曝したいだなんて……あ、ありえないわよ。

「では、戻りましょうか。イザベラ……この賊は……」

私が言いかけた時、蔵の向こう、大通りの方から足音が聞こえてきた。
誰かが駆けてくるみたい。
すぐに姿は確認できたわ。それは、この倉庫の警護班だった。

「どうしました……やや、これは!?」

番人は、半裸の状態でとろけきっているアリアを見て驚嘆したわ。
顔を僅かに染めながら、思わず目を背ける仕草は実直そのもの。
私はクスリと笑って答えたの。

「この私に謀反を企てようとした愚か者よ」
「謀反?はて、よくわかりませんが……あなたはどなた様で?」
「ちょっと……?」

私は予想外の反応に眉を顰めながら答えてやったわ。

「あなたね、私がわからないの?リリィ・トゥ・ホワイト。この領の領主よ」
「リリィ様?まさか、リリィ様がこんなところにいるものですかい。騙りにしちゃあ始末が悪い。そんな畏れ多い……」

警護班は私のことをまるで取り合わなかったけれど、言いかけている途中で、サッとその顔色を変えたの。

「やや!?い……イザベラ様!?と、いうことは……この方は、ほ、本当に……し……失礼しました!」

そう言うなり、警護班は背筋を折れるくらい伸ばして最敬礼した。
え、何?ここでは私よりイザベラの方が顔が利くってわけ?
なんか、釈然としないんだけど。

私の不満を読みとったのか、警護班は最敬礼のまま自らの態度を弁明した。

「も……申し訳ありません。リリィ様のご尊顔を最後に拝見いたしましたのは、もう、何年も前のことでありまして……。お……大きくなられまして、その……見違えて……」
「わかったわかった、いいから」

私が辟易した顔で彼を赦す。
私の傍らに立つイザベラが警護班に言ったわ。

「ここに護送車を。この無法者を屋敷に運ぶ」
「はっ!すぐに手配いたします!」

警護班は歯切れ良く答えると、キレのある動きで回れ右をして元来た道を飛ぶように走っていった。
それも、これから私が命じようと思っていたことなんだけど。
まぁ、そんなことを言っても仕方のないことね。
私は苦笑しながらイザベラに語りかけたわ。

「じゃあ、買い物をして帰りましょう、イザベラ」
「はい、お嬢様」

複数の人間の足音が、倉庫に反響して遠くから響いてくる。
警護班が人手を率いて戻ってきたみたい。
私たちは、そこに謀反者の少女の抜け殻を置いて、明るい通りへと戻っていったわ。
これから買い物をして帰らなくてはならないの。
為政者は多忙の身なのよ。


80 : Little Lady あとがき :2014/04/22(火) 17:26:44 Mzrv5gaA
以上です
どうしてこうなった……いえ、予定通りではあったんですが
これ以降は、モチベによっては書くかもしれないし、書かないかもしれません
構想はあるんですが……
リョナの中でもフェチ全開な感じになるので、書いてもメモ形式ということになると思います
(誰か彼女らリョナってくれ……)ボソ…

では、このスレが数多くの作品に恵まれることを祈っています。ありがとうございました


81 : 名無しさん :2014/04/23(水) 06:37:55 ???
これは大作


82 : 名無しさん :2014/04/23(水) 21:13:21 ???
痛めつけた傷を弄って悲鳴を上げさせる描写がかなりGJでした
…でも、主人公が魅力的に描かれててむしろこの娘のリョナが見たいと思ってしまったw
女としてではなく、サンドバッグのように、もしくは小さな子供が虫をいたぶるように扱われて欲しいww


83 : 80 :2014/04/26(土) 14:14:37 ???
読んで頂きありがとうございます
>>81
リョナに行くまでがやたら長いです

>>82
確かに、ことの初めはリリィとイザベラがリョナ対象のつもりだったんですが。
「あれ?自分では何もやらない生意気お嬢様にいいように貶されるのって屈辱的じゃね?」となり
今回のような形になりました。

モデルは一応いるので、それと同じ運命を辿らせたいなぁ、という思いはあるんですけど。
まだまだまだまだ先になりそうかなぁって感じです。


84 : 名無しさん :2014/04/29(火) 03:10:06 ???
エ、エクソシスターズ…(ボソッ


85 : 名無しさん :2014/05/03(土) 13:56:23 ???
さて子供の日D会とかどうか


86 : 名無しさん :2014/05/03(土) 14:16:15 ???
そろそろD会の新作が見たいですな


87 : 名無しさん :2014/05/06(火) 02:38:16 ???
ちょっとみんなD会押しすぎじゃないかなぁ
メカバレの方も待ってますよ!


88 : 名無しさん :2014/05/06(火) 14:27:21 ???
ノエルの人です
明日から仕事つらい……

D会はまだ先になりそうです
メカバレのやつを覚えている人がいてびっくり 一応完結までの話の流れは頭にあるけど、スレ住人の希望はやっぱりD会新作が優先かな


89 : 名無しさん :2014/05/06(火) 14:32:34 ???
あと、80さんのSS楽しませていただきました。リリィさんもイザベラさんもいい味出してますね。
是非とも彼女たちのリョナを……
新作期待です


90 : 名無しさん :2014/05/15(木) 03:57:26 ???
最近のこのスレは長編志向なん?完結まで行ったのは見たことないけど


91 : 名無しさん :2014/05/15(木) 05:13:50 ???
いや、そんな事はないとは思うが
短編だってウェルカムだ

ただ、書く方が「リョナのキモに辿り着くまでの処理」に拘りがあるんだろう、長引いちゃうんだ


92 : 名無しさん :2014/05/18(日) 13:30:55 ???
そろそろ何か新作はないかな


93 : 名無しさん :2014/05/18(日) 17:29:16 ???
どこまでリョナれるかわからないけど作成中です。
完成次第投下します。


94 : 名無しさん :2014/05/19(月) 03:59:00 ???
楽しみにしてますよ!


95 : 名無しさん :2014/05/19(月) 04:04:36 ???
誰も覚えてない可能性あるがエリスリポートとか終わる気がしねえ……


96 : 名無しさん :2014/05/23(金) 06:28:56 ???
忘れた頃に投稿されるから前のを探して読み返すんだよな


97 : 名無しさん :2014/05/24(土) 06:55:27 ???
それはそれとして新作はよ


98 : 名無しさん :2014/05/24(土) 22:59:52 ???
D会はまだかのぅ


99 : 93 :2014/06/01(日) 02:30:29 ???
完成したので投下します。
保守代わりにでもなれば


某月某日、22時。クーデターによって新政権が誕生した東欧の某国。
海に面した地方都市レムリンゲンの静まり返った街中を一つの黒い影が走る。

クーデター軍によって夜間外出禁止令が出ているが、影はそんな中を滑るように闇から闇へと駆けていく。
「あそこね…」
立ち止まった影は呟く。

影の眼には川に架かる鉄橋と、その先にある列車整備基地跡が映っている。

月明かりが風になびく背中まである銀色の髪と、その下にあるややあどけなさの残る端整な顔、
全身を包み込む黒い強化スーツ、そしてスリングで固定されたサイレンサー付きのサブマシンガンを照らし出す。

遡ること数時間前、影―詩織・カタヤイネンは潜伏先の安アパートにて司令を受けていた。
「君にはレムリンゲン市内のこの地点に向かい、目標と合流後にそれを護衛しつつLZに向かってもらう」
彼女のPCには秘匿回線で送られた資料映像が映し出され上官である将校の説明が流れている。
父方の性で偽名を使い、フィンランドからの留学生として彼女がレムリンゲンに潜伏していることを知っているのはこの上官だけだ。

「これが目標の詳細だ」
上官の声と共に画面に写真が映し出される。
写真には利発そうな少女が一人。硬い表情で写っている。

「目標はハンナ・マシネンコ。弱冠16歳にして化学の博士号を取得した天才で、現在クーデター軍に拘束されているが、諜報部の潜入チームが救出に向かっている」
「なぜ彼女が?」
「クーデター軍の目当ては彼女の頭脳だ。先日捕えた捕虜からの情報によると軍が新型化学兵器の開発を行っている可能性が極めて高い」
「つまり、彼女がその開発に協力する前に連れ出す…ということですか?」

詩織の表情が少しだけ曇ったのを上官は見逃さなかった。
「不満か?」
「いえ。ただ……」

いくら年端もいかぬ少女だからと言って、化学兵器開発に加担するような人物を護衛するという事になんとなく割り切れない思いがあった。
まだ22歳の彼女ではあったが、様々な事情により4年前から始まる決して長くないキャリアでも生化学兵器がもたらす惨劇を見たことが無い訳ではない。


100 : 93 :2014/06/01(日) 02:36:05 ???
「―彼女の両親はこの国の生まれでな」
上官は娘を諭すような口調で話し始める。

「彼女は決して裕福ではない家庭に育ったが、前政権時代にその才能が認められて奨学金でアメリカの大学へ留学していた。
化学を専攻した理由は喘息持ちである母親を助けるために大気汚染問題を解決したいがためだそうだ。
現に博士号取得後も研究機関でその研究を続ける予定だった」
「それが何故?」
「里帰り中だ。博士号取得を両親に報告するためにな。戻ってきてすぐクーデターが起きて拘束されたという訳だ」
「……わかりました」
詩織は大きく息をついてからそう答えた。

どんな相手であれ任務は任務だ。
それに今の話でだいぶ気持ちの整理がついた。まだ気になる点があれば、本人に会って確かめればよい。
「では、目標と合流後に連絡しろ。また、明〇五〇〇に米特殊部隊がレムリンゲン変電所を襲撃し、
市街全域を停電させた上で海軍航空隊による空爆が予定されている。
安全を考え〇三〇〇までにLZに向かえ。尚、今回の任務は諜報部からのものであり、君がレムリンゲンにいることは特殊部隊も海軍も知らない筈だ」

つまり、詩織に何かあった場合でも米軍をはじめ今回の作戦に参加しているどの国の軍の協力も得られないという事だ。
国際社会との摩擦が増大したこの国は現在、アメリカを中心とした連合軍に包囲されつつある。

クーデター軍の拠点があるこの街も攻撃対象となっている以上、長居は無用だ。
通信を終了すると隠していた装備一式に着替え、夜の闇に駆け出していく。

≪緊急事態だ。救出チームが敵の攻撃を受け、隊員に死傷者が出ている。
目標は無事合流地点に到着したようだが、いつ発見されるか分からん。急いでくれ!≫
合流地点を目指してすぐ、上官からの通信が入った。

「了解」
不安を振り払うように街灯すらろくにない暗闇を走り続け、ようやく到着した合流地点は、不気味なほどに静まり返っていた。


101 : 93 :2014/06/01(日) 02:39:46 ???
フェンスを乗り越え、列車の間を慎重に進む。

(無事でいてよ……)
祈るような気持ちで歩を進め、合流地点である放棄された国営鉄道の赤い貨物列車にたどり着いた。

「…クローバー」
ぽっかり口を開けた車両に事前に伝えられた合言葉を唱える。
「……ハート」
少しの間をおいて、消え入りそうな女の声で合言葉が返された。
声からしておそらく目標だろう。

「ハンナ・マシネンコ……さん?」
詩織は慎重に車内へ侵入し、銃にマウントされたフラッシュライトで車内を照らすと、壁にもたれかかって座っている小柄な少女を見つけた。
色の薄い金色の髪は短く切り揃えられ、不安げな目で詩織を見つめている。

「誰?……助けに来てくれたの?」
照らされた少女が弱々しく答える。

「ええ。もう大丈夫よ」
音量を落としながら、それでも明るく声を弾ませる詩織。まずは安心させることが一番だ。

ふとライトがハンナの横に倒れている男を照らす。
装備から考えて救出チームだろうが、ピクリとも動かない。
「この人達が……私を連れ出してくれて……でも見つかって、それで……」
ハンナの声が弱々しく、辛そうに震える。

「この人も、他の人もみんな……私を庇って……」
最後の方はほぼ絞り出すような声で嗚咽にまじっていた。

詩織は何も言わず、ただ銃を下ろすとその手でハンナを抱きしめた。
胸の間からすすり泣く声が聞こえる。
「大丈夫。もう大丈夫だから」
ハンナの頭を優しく撫でながら、彼女を落ち着かせつつ耳につけた小型のインカムで通信を行う。

≪HQ、指定ポイントにて目標と合流。これよりLZに向かいます≫
≪了解。二三三〇に回収が到着する≫
幸い、ここからならハンナを連れても十分間に合う時間だ。

「さあ、行きましょう。あなたを安全な所まで連れて行くわ」
「……私、逃げてもいいんですか?」
「えっ?」
泣き止んだハンナは、泣き腫らした目で詩織を見つめながらそう尋ねる。


102 : 93 :2014/06/01(日) 02:44:48 ???
「私は、この街に連れてこられて、毒ガスの研究をして……あんなものを…
やらなければお父さんとお母さんを殺すって言われて……でも、それでも―」

ハンナの口に人差し指を当て、詩織は穏やかな口調で諭す。
「あなたはあなたのお父さんとお母さんを守っていた。それはとても立派な事よ。安心して。二人も必ず助け出す」
「……お姉さん?」

もう詩織の心に、最初に抱いていた思いは無くなっていた。
その才能のために不幸にも巻き込まれてしまったこの少女を救いたいという思いが彼女を動かし始めていた。

「それに、生きて帰れば毒ガスの対策だって出来る筈。私も彼らもそのためにここまで来たの」
横の死体に目をやりながら、詩織は続ける。

「だから……ねっ?」
「……はい!」
目に希望の光が灯ったハンナを詩織は優しく撫で、ついてくるよう指示する。

ハンナは一瞬振り向くと
「ありがとう。さよなら」
ここまで彼女を護衛した死体に別れを告げ、詩織と共に車外へ飛び出した。

放棄された列車の陰を二人が走る。
まず詩織が先行して周囲の安全を確保し、後からハンナがついてくる。

敷地を隔てている金網が遠い街の明かりでも見えるほどに近づいた時、遠くから車のエンジン音が迫ってきた。
「お姉さん!?」
「大丈夫よ。いい?慌てず静かについてきて」

不安がるハンナにそう言い聞かせ迂回ルートをとる詩織だったが、その迂回ルートでも敷地の出口近くで二人の兵士を発見した。
(仕方ないか……)
「いい?合図するまで隠れていて」
ハンナが頷くのを確認すると、詩織は車両の陰から離れて背中を見せている二人にそっと近づく。

十分に間合いが詰まった瞬間、右側の兵士の首にナイフを突き立てると、
相棒の異変に気付いたもう一人が振り返るよりも早くとびかかって投げ倒し、昏倒したところに止めを刺す。

死体を車両と線路の間にねじ込んで隠すと、ハンナに合図を送る。

「お姉さんすごい……」
ハンナは詩織の手際にただ驚きながら小走りで駆け寄る。
血が飛び散らないように始末したため、いろいろとグロテスクなものを見せないで済んだことに詩織は内心ほっと溜息をついた。


103 : 93 :2014/06/01(日) 02:49:44 ???
再び出口に向かって動き出した詩織の眼に、唐突に強い光が射しこんだ。

「うっ…」
思わず細めた彼女の目に映ったのは、一台の装甲車に積まれた灯光器と、その前に立つ人影。
「お姉さん!」
「ハンナさん!」
振り返った先にあった三人の兵士に拘束されたハンナの姿だった。

「随分とまあ、活発なお嬢さんだ」
装甲車の前の人影がそう言いながら近づいてくる。
「さて、とりあえず武器を捨てろ」
「くっ…!」
ゆっくりと、言われた通りにする他ない詩織。

「そのナイフもだ」
どうやらすべて見透かされているようだ。

「さて、ハンナ博士。私は最初に言った筈だ。逃げようなどと思えば二度とご両親に会う事はできなくなると」
「そ、それは……」
ハンナの表情が恐怖にひきつっている。

「だが、人は誰でも間違いを犯すものだ。
だからこそやり直すチャンスを与えるべきだと私は考えている―勿論、それなりのペナルティーを与えた上で」
言い終わると同時に銃声が轟き、ハンナの右足がびくりと弾かれる。

「うあああああああっ!!!」
「ハンナさんっ!!」
撃たれた足から地面に倒れたハンナを、兵士たちが捕まえる。

「連れていけ」
男の声にハンナの両脇を抱えた兵士たちが痛みに悶える彼女を引きずり起こし無理矢理に拘束する。
その瞬間、一瞬だが男が詩織の横に立った。
それもハンナの方を向き、かつアサルトライフルの銃口を下に向けて。

「はああっ!」
「うおっ!?」
詩織は出せる限りのスピードで男にとびかかった。

咄嗟に防御しようとした腕を掴んで銃のコントロールを奪うと、ハンナの両脇に向けて引き金を引く。
三人の内、両脇を抱えていた二人はそのままもんどりを打って倒れ、残ったもう一人が自分の銃を向けるも、味方である男が邪魔になって撃つに撃てない。
その一瞬の遅れが命取りとなった。

瞬く間に三人を倒した詩織は、アサルトライフルの引き金から指を離すと、振り払おうとする男の力に合わせて飛び下がり、
その一瞬で奪ったマガジンを投げ捨てると、近くに置いていた自分のナイフを拾って再度とびかかる。
薬室内に残っていた最後の一発を、銃身を手でどかして回避すると、そのままナイフで刺しにかかる。


104 : 93 :2014/06/01(日) 02:53:55 ???
「このっ……」
間一髪回避した男だったが、詩織の攻撃は止まらない。
左右の手でナイフを持ち替え、鋭い突きや蹴りと組み合わせて高速で繰り出される詩織のナイフ術は、
体格で圧倒的に勝るはずの男を白兵戦で追い詰めている―筈だった。

右から繰り出した刺突を回避された時、詩織の全身を嫌な予感が駆け巡った。
その予感に突き動かされ、咄嗟に跳び下がろうとした詩織の腹に、アサルトライフルの銃床がめり込む。

「がっ!?」
衝撃吸収能力のある強化スーツ越しでも杭で貫かれたように激痛が走る。
あまりの衝撃に動きを止められてしまった詩織の右腕に鞭のように男の蹴りが叩きつけられ、ナイフが天高く打ち上げられる。

(しまっ―)
そのことに気付いた瞬間、銃口が槍のように詩織の喉元に突きこまれた。
「ぐうっ!!」
突きの勢いのままに吹き飛ばされた詩織の体は、金網のフェンスに叩きつけられてゆっくりと剥がれ落ちる。

「お姉さんっ!!」
「げほっ!ぐ、がはっ!」
(息が…出来ない…!)
激痛と呼吸困難で喉を抑えて苦しむ詩織だが、涙で滲んだ視界に男の靴底が迫る。

一瞬前まで詩織の頭があった場所を男の足が通り抜け、フェンスが大きな音を立てて揺れる。
咄嗟に転がって躱したものの、更に追撃する男に対し尻餅をついた姿勢から立ち上がる余裕がない。

(仕方ない。一か八かだっ!)
掌に触れた小さな石を握りしめ、少しずつ後ずさりする詩織。
男が一歩前に進み、じゃりっと砂を踏みしめる音が響いた。

「てあああっ!」
ようやく呼吸が戻った詩織は、手の中の石を男の顔めがけて投げつけながら再び立ち上がって突進する。詩織の礫をよけた男の動きが一瞬止まった隙を狙って。

「下手糞め」
男の嘲笑は詩織には聞こえなかった。

「うわっ!」
顔だけでよけた男は、つま先で足元の砂を蹴り上げて詩織の顔に叩きつける。

(しまった!!)
咄嗟に目を閉じた時、詩織は鳩尾に穴があけられたような激痛を覚えた。
「ぐうあっ……!!」
思わず砂が入った眼を大きく見開き、二つの乳房の間からめり込んでいる銃床を見た。

「ひゅっ……かひゅ!」
体中から力が抜け、前のめりに倒れそうになった彼女の首めがけて、引き抜かれた銃床が首狩り斧のように振り下ろされる。
悲鳴すら上げられずに倒れ伏す詩織。もし倒れ込む動作が幸いして強化スーツに当たっていなければ、首の骨を砕かれて即死だっただろう。


105 : 93 :2014/06/01(日) 02:59:49 ???
足元に崩れた詩織の頭をサッカーボールのように蹴り飛ばす男。
低くバウンドしながら数メートル吹き飛ばされた詩織の体には無数の傷ができ、
蹴られたことで折れた白い奥歯が、真っ赤に縁どりされて転がった。

「お姉さん!お姉さん!!」
(駄目……私が…戦わなきゃ……でも…)

薄れゆく意識の中、ハンナの声が聞こえる。
「もうやめてください!謝ります!何でもします!だからお姉さんを殺さないで!」
(もう、動けない……)
今の詩織にはもう指一本動かす力も無かった。

どれほどの時間が経ったのか、意識を失った詩織は真っ暗な薄暗い地下室で椅子に縛り付けられた状態で目を覚ました。
「ここは……?」
全身の痛みで目を覚ました彼女は、目の前にいる兵士達の姿で自分の立場を理解した。

「ハンナさんは!?あの子は無事なの!?」
「安心しろ。まだ今は生きてるさ」
兵士の一人が答える。

「今後も生きているかどうかはお前次第だがな」
そう付け加えられた。

「……何が目的なの?」
目の前にある小さな机に音を立ててアイスピックが突き立てられる。
「ガスの安定化方法」

詩織には全く身に覚えがないが、何を聞かれているのかはなんとなく分かった。
おそらく別室にハンナも捕えられていて、同じように情報を求められているだろう。
となれば、少しでもハンナの負担を軽減するために自分が連中の目を引き付けておく必要がある。

「……あなた達に話すとでも?」
「そうしてもらうさ」

正面の兵士がそう言うと後ろに立っていたもう一人が詩織の頭を掴み水の張った桶に沈み込ませる。
咄嗟に抵抗を試みるも、椅子がガタガタと音を立てるだけで何の意味もなさない。

「ごぼっ、ごぼぉ!」
大量の泡を吹きだしながら桶の底に押し付けられ、徐々に意識に闇が広がり始める。

「ぷはっ!はぁ、はぁ……ぐっ!」
意識を失う寸前で引き起こされ、今度はその勢いのまま後ろに倒される。
仰向けになった詩織の無防備な腹に兵士の足が大きく踏み出された。

「がはっ!!!!うぶっ!」
二度目の踏み付けで、胃液を吐き出した詩織。
足にかかったそれをこすり取るように、兵士は顔面に足を押し付ける。
ひとしきり頭を蹂躙された後、再び起こされた詩織に兵士たちは問う。
「ガスの安定化方法」

何も答えず、唾を吐きかける詩織。
兵士も何も言わず、詩織の頭を鷲掴みにすると机に叩きつける。
ごちゅっという音が響き、切れた額から血が噴き出るが、悲鳴を上げる間もなく再び水に沈められる。

今度は一向に引き上げられず、血が溶けて赤くなった中に意識を失うまで沈められる。
「ごぼっ……」

ぐったりと動かなくなった詩織を引き上げると、一人の兵士がスタンガンを押し付ける。
「うぎあああああああああああああああああっ!!」

「ガスの安定化方法」
「はぁ、はぁ、はぁ……だ、誰が……」
再び水中へ。

六度目に目覚めた時、室内には詩織しか残されていなかった。
拘束も解かれ、密閉された室内には彼女のほかに血のこびりついた机と、縛り付けられていた椅子。それに細長い金属性のタンクが一つ。


106 : 93 :2014/06/01(日) 03:03:29 ???
「何?……私、どうなったの……?」
立ち上がろうとするも、ボロボロの体はいう事を聞かない。
大きな音を立てて倒れ、机の脚に絡みつくように何とか立ち上がる。

「くっ……ハンナさん……無事でいて……」

扉に向かって何とか一歩踏み出した時、焦げたような臭いを感じた。
「!?」

その瞬間、全身が鉛のように重くなる。
地面に崩れ落ち、痺れたように体が動かなくなっていく。

(なっ、何!?何が起きて……)
必死にもがく詩織だったが、その場でのたうつ以外に何もできない。
そうしているうちに異変はさらに深刻化する。

「かっ!!かふっ!ひゅう、ひゅ!」
(苦しい……息が…出来ない……)
何とか動く指先は喉をかきむしるが、強い力で首を絞められたように息が全くできない。

同時に体中に激痛が走る。
血液全てが鋳溶かした鉄になったような錯覚に襲われ、
全身を焼かれるような痛みに悶絶しながら転げまわるが、悲鳴すら上げることができない。

(痛い!痛いよ!!私、いったい…どうなって…)
薄れゆく意識を激痛が無理やり引き戻し、その痛みでまた意識が飛びそうになる。

「ひゅー……ひゅー……ひゅ!?ごっ!ごおっ!!」
異変は更に変化した。
痛みと共にこみあげてきた何かは、塞がれた喉を無理矢理にこじ開けて体外に飛び出る。
それは赤黒い大量の血液。

「ごおっ……おごお……」
とめどなく流れ出る自身の吐血の中、詩織の真っ赤に染まった視界が徐々に暗闇に閉ざされていく。
彼女の耳に最後に届いたのは自身の血が立てる水音と、空気が漏れるような音だった。


107 : 93 :2014/06/01(日) 03:06:01 ???
「どうだ博士。あれが君のガスの能力だ」
「うそ……嘘よ……こんなの嘘よ……」
別室にて、詩織の最期がモニターに映し出されている。

「嘘なものかね。あれは確かに君のだよ。君のラボから持ってきたんだから間違いない」
詩織を倒した男が、茫然自失となったハンナに告げる。

「つまりだ」
男は一呼吸置く。
「君が彼女を殺したんだ!」
「嫌あああああああああああああああ!!!!」
ハンナの絶叫が響く。

頭を抱え、崩れ落ちたハンナは壊れたように叫び続ける。
「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……」
「嘘ではない。あの救出チームは君のために死に、彼女は君の手で殺した」
崩れ落ちたハンナの耳にはもう何も聞こえなかった。

「よろしいのですか隊長。あれでは使い物になりませんよ」
「構わんさ。上から壊していいとのお達しだ。大方この後洗脳するんだろうしな」
部下の質問に男が答えた時、不意に照明が落ち、すぐに予備電源が起動した。

「そろそろか……。撤収するぞ」
男の指揮のもと、兵士たちは撤収準備を終えそれぞれの車両に乗り込む。

「連中あの娘を上手くやれますかね」
助手席に座った男に運転手役の部下が後部座席中央で兵士たちに挟まれて座るハンナをみながら尋ねる。

「出来るだろうさ。そう見込んだからこそ、貴重なサンプルの使用許可まで出したんだ」
男は笑いながらそう答え後部座席を振り返る。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
男の声も、車のエンジン音も、兵士の声も、遠くの爆音も、ハンナには聞こえなかった。





108 : 93 :2014/06/01(日) 03:07:47 ???
以上スレ汚し失礼しました


109 : 名無しさん :2014/06/01(日) 03:58:17 PpQ1QEzE
GJ!
あげとくよ。


110 : 名無しさん :2014/06/01(日) 15:31:57 ???
要救助者のせいでってのが絶望感あっていいね
単純な人質とは違うし


111 : 名無しさん :2014/06/07(土) 04:30:11 ???
エリスは元々グロかった話を他愛ない描写にしてお茶を濁されてる感じ。


112 : 名無しさん :2014/06/07(土) 04:53:23 ???
>>108
無慈悲な拷問描写がすばらしいです。
キャラの背景も細やかで非常に魅力的でした。GJ!


113 : 名無しさん :2014/06/08(日) 01:08:45 ???
リョナ妄想を書いたのですが、晒していいですか?

内容は、正義の味方の主人公が
悪の組織にとらわれた裸の女たちを
容赦なく殴り殺していくというものなのですが…


114 : 名無しさん :2014/06/08(日) 01:17:30 ???
ええで


115 : 名無しさん :2014/06/08(日) 01:24:24 ???
>>114
ありがとう。

とある学校の体育館、そこに正義の味方の青年と悪の組織の一部隊、「ネイキッドアサシン」が対峙していた。
正義の味方は20歳前後と思われる青年だった。

対する「ネイキッドアサシン(以下NA)」は、10代から20代の女性で構成されていて、全員が美女や美少女と言われる部類に入っていた。
だが彼女たちの出で立ちは、異様と言う他無かった。
「ふん、ワナを覚悟して来てみれば。ここは、娼館か何かか?」

体育館のフロアに立つ彼女たちは、全員が腰に薄い布を巻きつけただけの、半裸姿だった。

多少、形は違えど、全員がCカップ以上の乳房をむき出しにしており、息を弾ませる度に、プルプルと揺れている。
彼女たちは乳房だけでなく全身のスタイルもよく、スレンダーな者、ムチムチとした肉付きの良い者などがいるが、出るところは出て、引っ込む所は引っ込んでいた。

彼女たちの上半身は完全に裸であり、浮き出た鎖骨は勿論、すべすべとしてそうな肩、むだ毛は一本もない脇、
乳房の下から浮き出るあばら、キュッと締まったお腹の中心にあるかわいらしいおへそ、
腰布の直ぐ上から浮き出ている腰骨、その全てが丸見えだった。

下半身も体育館シューズの上から伸びるスラっとした足、思わず挟まれたくなるような太股がむき出しで、腰布は辛うじて彼女たちの秘所を隠す程度の大きさしかない。
しかもそれは前面だけの話で、腰布は台形のような形になっており、後ろの部分に当たる面積は少ない。
そのため彼女たちのプリッとしたお尻が大部分見えていた。
さらに腰布自体も相当薄い素材で出来ているため、
目を凝らせば股間が見えるのではないかと思わせるほどだ。


116 : 名無しさん :2014/06/08(日) 06:19:38 ???
え、終わり?


117 : 名無しさん :2014/06/08(日) 11:19:20 ???
>>115です。
寝てしまいまいました。すみません。
結構長いので、何回かに分けて晒します。


118 : 名無しさん :2014/06/08(日) 11:23:54 OxHWO4lk
唯一、壇上にいるリーダーらしき女性は別の格好をしていたが、
頭に軍帽のようなものを被り、足にヒールを履いているものの、露出度はさほど変わらない。
彼女は極端に丈の短い、ショートパンツを履いており、それをサスペンダーで吊るしているのだが、
上半身に纏っているのはそのサスペンダーだけで、乳首と乳輪がやっと隠れているが、Hカップはあろうその爆乳の大部分を晒していた。
さらにショートパンツもローライズ気味で、ボタンをはめず、ファスナーを下ろしていて、
さらに下着を履いていないため、秘所の割れ目が今にも見えそうだ。
股間の毛を剃っているであろう事は、容易に想像できた。

「ふん、我々NAを目の当たりにしたら、正気でいられる男なんざいないよ」

リーダーらしき女、アンナは青年に向かって言い放った。
確かにこんな美女たちの裸体を目の当たりにしたら、攻撃の手を緩めるだろう、だが彼女たちにはそれ以外にも特徴があった。

見ると、アンナ以外の一般のNA戦闘員たちは、皆顔を真っ赤にして目を伏せている。
中には涙を流している者もいた。手や足をモジモジと動かし、少しでも露になる面積を少なくしようとしているようにも見える。
その身体も、スタイルは良いものの、鍛え抜かれているという訳ではなく、とても戦いに慣れた戦闘員とは思えなかった。その時、一人の戦闘員がたまらず乳房を両腕で隠す。
「隠すなっ!」
アンナの怒号に「ひっ」と悲鳴をあげた戦闘員は乳房から腕を放す。
その際に押さえつけられていた乳房がユサッと揺れる。その戦闘員は口をギュッと結んで何かに耐えるようだった。
「・・・?」
青年が怪訝な顔をする。


119 : 名無しさん :2014/06/08(日) 12:04:34 ???
「不思議そうね。なら教えてあげる。この娘たちはね、一般人よ!」

NAの一般戦闘員は、各地から拉致してきた一般人で構成されていた。
自身や家族を人質にされ、むりやり入隊させられたのだ。
もちろん戦闘の心得や、好き好んで裸を晒す趣味など無いが、
相手からしてみれば無理やり裸にさせられた可愛そうな美女たちが前線に立っていれば、ほぼ確実に攻撃の手を緩める他無い。

その隙をつきアンナや他の部隊員、ときには裸女戦闘員自らが攻撃を仕掛けるという寸法だ。
もちろん裸女戦闘員は人を殺したくはないが、命惜しさに仕方なく攻撃を仕掛けた。
だが、今回青年の目の前にいる裸女戦闘員はほとんどが実戦を初めて経験する者だった。もちろん恥じらいは人並みにあり、武器を持つ手も弱弱しい。
緊張や恐怖、さらには青年の前で裸を晒している羞恥のためか、乳首はツンと立っており、むき出しの乳房の頂点で存在を主張している。
彼女たちもそれに気づいているが、アンナの命令で乳房を隠すこともできず、腕を所在なさげにさ迷わせるだけだった。

「ふふ。正義の味方にか弱い女の子を倒せるのかしら?」

アンナは勝ち誇ったように笑い、号令をかける。そして裸女戦闘員たちが青年を取り囲んだ。


120 : 名無しさん :2014/06/08(日) 12:27:53 ???
「さあ、殺しなさい!」

その言葉を受けて裸女戦闘員は躊躇していたが、その中の一人が意を決したかのように飛び出す。

「ごめんなさい!」

そう叫びながら、持っていたクナイを突き出してくる。
青年は裸女戦闘員を冷ややかに見ると、クナイを持っている手首に強烈な手刀を振り下ろした。

「いたいっ!・・・えっ?」

裸女戦闘員はクナイを落とし、信じられないといった目で青年を見る。
視界に映った青年は強く握った拳を身体の後ろにまで引いていた。それが真っ直ぐ裸女戦闘員のむき出しの腹部に突き入れられる。

「ごぼぉっ!」

今までの人生で発したことのない醜い声を上げた裸女戦闘員に身体が持ち上がるかのような衝撃が襲った。
拳と腹部をさえぎるものが何もなかったためダメージは百パーセント伝わり、今までに感じたことのない痛みが込みあがった。

「ぐ・・・えぇ・・・」

裸女戦闘員の全身から脂汗か吹き出て、彼女の身体が妖しく光る。
腹を両手で押さえて身体をくの字に曲げ、舌をつきだし、口からは大量の唾液が、見開いた目からは大量の涙が溢れ出ていた。

「にゃ・・・にゃんで・・・」

「何で」と言おうとした声ははっきりとは出なかったが、青年には伝わったらしい。

「『何で?』お前はバカか?戦いに来ていて自分だけが攻撃を受けないとでも思っているのか?」

青年の言葉が直ぐには理解出来なかった裸女戦闘員だが、この状況から答えを出し、青ざめる。

「ひ・・・ひぃや・・・たしゅけて・・・」

必死に救いを求めるが、声がうまく出ない。恐怖のあまり、股間から小水を溢れ出させる。何もさえぎる物のない股間の真下に水溜りが出来た。


121 : 名無しさん :2014/06/08(日) 15:40:10 ???
だが、青年からしてみれば目の前の相手は顔面を突き出し、弱点を都合よく差し出している。
ならば遠慮はいらぬと青年は裸女戦闘員の顔面にストレートを放った。

「がぶっ!」

彼女の美しい顔がひしゃげ、鼻から血を流しながら吹き飛ぶ。
床に叩きつけられた衝撃で腰布が外れ、股間が露になる。裸女戦闘員は2,3回跳ねた後壁にぶつかりようやく止まった。

「げふっ!ごほぉ!」

鼻の骨が折れているのか、血がダラダラと流れ出る。裸女戦闘員はあまりの痛みに意識を手放し、股間から残った小水を垂れ流していた。

「ひっ、ひいいいいい・・・」
「そ、そんな、何で・・・」

他の裸女戦闘員はあまりに凄惨な光景に泣き喚く者や腰を抜かすものがいた。

「あ、あんた!こいつらは救うべき一般人だよ!それも裸の女を容赦なく攻撃するなんて、どういうことよ!」

自分が彼女たちを戦いに駆り出したことを棚に上げて、青年に抗議するアンナ。しかし青年はその言葉に返答した。

「一般人?違うな。どんな理由があろうとも悪の手先になった者に容赦は必要ない。だからこの女たちを助ける必要など無い」

きっぱりと言い切った青年にアンナは口をつぐむ。

「そ、そんな!助けてください!私は弟が人質にとられているんです!こうでもしないと、弟が殺されてしまうんです!」

服を着ていれば、いかにも深窓の令嬢といった、品のいい黒髪ロングの裸女戦闘員が懇願する。
しかし青年はその言葉に冷たく返答する。

「だから何だ?お前が悪の手先なのは変わりない」

その言葉に黒髪戦闘員、小夜はあまりの状況に絶望し全身をガタガタと震わす。
その揺れに連動して、清楚な顔立ちには不釣合いなほどの大きな乳房がプルプルと揺れる。
小夜は自分が裸であることも忘れ、普通の男ならすぐにでも襲い掛かってしまいそうな裸体を晒したまま立ち尽くした。
他の裸女戦闘員たちも、青年のあまりの態度に目を見開き、歯をガチガチといわせながら震えている。


122 : 名無しさん :2014/06/08(日) 17:41:09 ???
「い、いやああああああ!」
自分の置かれている現実に耐えかねた、一人の裸女戦闘員が悲鳴をあげた。
栗色の髪のショートカットで、スポーツをやっているのか全体的に引き締まった体つきをしているが、
それでいて、小ぶりだが形のいいお椀形の乳房をしていた。
もちろんその裸体も青年の前で丸出しである。彼女の名前は秋子。
地方都市の高校に通う1年生で、陸上部に所属している。
部活の帰りに拉致されて、NAに入隊させられるが、まだ戦いの場に立ったことは一度も無かった。
今回ついに戦いに駆り出され、裸にされて特殊警棒を持たされていたが、この手で人を殺すなど考えたくもなかったし、殺されたくもなかった。
そんな秋子にとって今回の任務は絶望であり、希望でもあった。相手が正義の組織の戦士であれば自分たちを助けてくれるかもしれない。
そう考えていた秋子の希望はもろくも崩れ去った。気づくと秋子は悲鳴を上げながら走り出していた。
特殊警棒はとっくに落とし、体育館の出口に全力で向かっていた。
皆に背を向けているため、シミ一つ無いスベスベの背中から浮き出る肩甲骨が動く様や、腰布の下からのぞくお尻がプリプリと動く様がはっきりと見て取れた。
秋子は自分が裸であることも忘れ、外へ逃げようとしていた。
たとえ裸であることを覚えていたとしても、外で見知らぬ男に犯されたり、わいせつ罪で警察に捕まったほうがはるかにマシだと考えただろう。
秋子の手が出口の扉に届きそうになる。だが次の瞬間、秋子の首に何かが巻きつく。
「ぐええっ!」
突如襲い来る首への圧迫と共に、秋子は後方へと引っ張られ、希望である扉が離れていく。
首に巻きついた物の正体はムチであり、その柄はアンナが持っていた。


123 : 名無しさん :2014/06/08(日) 21:20:07 ???
「敵前逃亡は重罪だって言ったわよねえ?」

アンナがムチをグイグイ引っ張り、秋子を引き寄せていく。
秋子は尻餅をつき、手でムチを解こうとし、足をバタバタさせる。
腰布がまくれ、薄く毛の生えた股間が露になるが、今の秋子にはそれどころではない。

「が・・・あああ・・・げえ・・・」

秋子は白目を向き、舌を限界まで突き出す。死にたくない一心で、希望の象徴である扉に手を伸ばすが届くはずがない。そしてアンナはムチを渾身の力で引っ張る。

「びゃがっ!」

ゴキャッ!という音ともに首の骨が折れ、秋子が断末魔の悲鳴を出す。全身からダラリと力が抜け、秋子の抵抗が止む。
そしてようやく、アンナはムチから秋子を解放する。
ゴンという音と共に秋子の頭が床にぶつかる。秋子は生にしがみつくようにピクピクと体を震わせていたが、やがて動かなくなり、大またで開いた股間から小水が流れ出る。
露にした裸体を不特定多数に見られながらも、ついに誰もその裸体に触ることなく、秋子の若い命は散った。

「最初に言ったはずよね。命令に従わないと殺すって」

アンナは裸女戦闘員たちに残酷な事実を示す。
秋子と同年代であろう裸女戦闘員はうずくまり「やだよう・・・もうやだよう・・・」と泣きじゃくっている。
他の裸女戦闘員もアンナと青年を交互に見て、絶望の表情になった。

「仲間割れをしようと、泣き喚こうと、お前らに容赦をするつもりはない。こないならこっちから行かせてもらう」

青年は裸女戦闘員たちに言い放ち、近づこうとする。
そのとき一人の裸女戦闘員が青年の前に立った。


124 : 名無しさん :2014/06/08(日) 22:01:35 ???
「なら・・・私が行きます」

20代半ばと思われる、美女だった。辺りから「香織さん・・・」「香織さん無茶よ!」
という声が聞こえてくる。香織と呼ばれた裸女戦闘員はこの中でも一際美しかった。
凛ととした佇まいと気丈な性格で、拉致された女たちのなかでも慕われていたのだ。
プロポーションもすばらしく、少し開き気味の両乳房は重力に逆らい、前に張り出している。
お尻も大きく、さらに腰布が小さいためか大部分が露になっていた。

「ほう、向かってくるか。だが勇気を出そうと、手加減をするつもりはない」
「ええ、そうでしょうね」

よく見ると香織の足はガクガクと震えている。それでも香織が前に出たのは理由があった。
香織はすでに人を殺している。
彼女が戦いに出るのはこれで三回目だった。
前回の戦いの際に、香織の裸体に見とれ、正義の心を忘れた正義の組織の一般兵士が襲い掛かってきたのだ。
恐怖のあまり、思わず手に持っていたナイフを突き出してしまい、それが運悪く相手の急所に刺さってしまった。
相手は即死し、血が香織に降りかかった。
アンナは高笑いして、香織の行為をたたえ、それと同時に香織はもう一般人には戻れないと宣告した。
さらに、それを聞いた人質である香織の恋人が自分のせいで香織は殺人を犯したのだと自責のあまり自殺。
愛する人も帰る場所も失った香織にもう生きる理由はなかった。
しかし、自殺すれば今度は家族を殺すと脅された彼女は自殺すら出来ず途方にくれていたが、裸の女にも容赦ない青年を見て、決心がついた。

(私は悪の手先として、戦って死のう・・・それが相手への償いになるし、私にはお似合いだ・・・)


125 : 名無しさん :2014/06/08(日) 22:49:57 ???
「はあっ!」

悲愴な決意を胸に香織が襲い掛かってくる。手に持ったナイフとキックを組み合わせて、青年を下がらす。キックで足が開くたびに、香織の秘所が露になるが青年は意に介さない。
所詮は素人である香織の攻撃は隙が多くあり、青年はガラ開きになった香織のわき腹にフックを打ち込んだ。

「がはあっ!」

その一撃で香織はあっさりと吹き飛び、地面にうつぶせに倒れる。肋骨が折れたのか、白い肌に内出血の青いアザが広がる。脂汗で背中がテカテカと光り、妖しい色気を放っている。

「ぐ・・・げほっ!ごほっ!」

肋骨が折れたが、致命傷にはならなかった香織は苦しみながら咳き込む。だが青年からの追撃がこないことを不思議に思った。

「う・・・と、とどめを・・・」

この苦しみから解放されたい香織は青年にとどめを刺すよう懇願するが、彼の返答は意外なものだった。

「断る。自殺志願者を殺す主義はない」

見抜かれていた。香織は驚愕に目を見開く。

「死はお前にとって罰にならない。ならば生きながら苦しめ」

そう言うと、青年は香織の細い脚を勢いよく踏みつけた。

「あぐっ!」

青年の全体重を掛けられた脚はたやすく折れ、あらぬ方向に曲がる。さらに青年は脚を抑えようとした香織の手を踏みつけた。

「ぎゃあ!」

細い指がボキボキと折れ、香織は痛みにのたうち回る。

「ひ、ひどい・・・一思いに・・・殺して・・・」
「だめだ」

青年は香織に更なる攻撃を加えようとするが、そんな青年を止める声があがる。


126 : 名無しさん :2014/06/08(日) 23:00:21 ???
「や、やめてええええ!」

香織を慕っている数人の裸女戦闘員が青年に向かってくる。

「よくも香織さんを!」

彼女たちが青年に向かってくる際に、押さえのない乳房がブルブルと揺れる。
その中でも青年と同世代と思われるセミロングの髪の裸女戦闘員が手に持った棍棒を振りかぶる。

「やあっ!」

棍棒が振り下ろされる直前、青年は裸女戦闘員の揺れる乳房の先端にある乳首に軽く打撃を加えた。

「いやんっ!」

乳房に対する思わぬ刺激に、棍棒を放し乳房を手で押さえる。
乳房を触られたことへの羞恥から青年をキッと睨み付けるが、
その隙に青年は裸女戦闘員の股間に強烈な蹴りを放った。

「ぎゃうっ!」

グシャッ!と恥骨が砕ける音がして、裸女戦闘員は涙を流しながら股間を押さえる。

「ああ・・・そんな・・・私のおま○こが・・・」

絶望の表情のまま倒れこもうとした彼女を青年は後ろから手を回し、首を絞め、もう一方の手を頭に回した。
裸女戦闘員のほぼむき出しのお尻が青年の脚に当たる。

「が・・・ああ・・・やめ・・・」

ギリギリと首を絞められ裸女戦闘員は抗議の声を出すが、次の瞬間青年は彼女の頭を思い切り捻った。

「がびゃっ!」

妙な声と共に、裸女戦闘員の首があらぬ方向に曲がる。
青年がようやく彼女を解放すると、よたよたと数歩進んだ後に倒れこんだ。
うつぶせなのに、顔が上に向いているありえない体制だった。

「ふん、弱点を晒してくれているから倒しやすいな」

青年ははき捨てるように言うと、前に向き直る。


127 : 名無しさん :2014/06/08(日) 23:18:05 ???
「よ、よくも!」

次に向かって来たのは、もしかしたらまだ中学生かもしれない幼い顔立ちのツインテールの少女だった。
中学生にしては大きいCカップはあろう乳房をユサユサ震わせながら特殊警棒を振り下ろしてくる。

「ふん、隙だらけだな」

青年は少女の後ろに回りこむと、右手を彼女の股間に回し、左手で彼女の肩を持つと、そのまま一気に彼女を持ち上げた。

「え・・・きゃあああ!」

一瞬、何が起こったのか分からなかった裸女戦闘員だが、状況を理解すると手足をバタバタと動かす。

「や、やめてよ!おま○こ触らないでよ!」

女性の大事な部分を触られ顔を真っ赤にする裸女戦闘員だが、
青年にツインテールを引っ張られ、顔が体に対して真上を向くようにさせられる。

「えっ?」

次の瞬間、青年の体が傾く、当然裸女戦闘員の体も地面に向かっていく。
彼女は青年の狙いを悟ると、泣き喚いた。

「い、いや!お母さん!お母さあああん!」

人質にとられている母親に逆に助けを求めるが、当然救いの手はこない。
そして少女の顔面に体育館の地面が迫ってくる。

「いやああああああ・・・・・ふみゅっ!」

顔面から地面に落ちた裸女戦闘員はくぐもった声を出すと同時に首の骨が砕け、絶命した。
青年が手を離してもしばらくは顔面を地面にくっつけたまま、逆さの状態になっていたが、
数秒後にうつぶせに倒れ、お尻を高々と上げる格好で体をピクピクと震わせていた。


128 : 名無しさん :2014/06/08(日) 23:23:49 ???
とりあえず、今日はここまでか?
続きは明日以降。


129 : 名無しさん :2014/06/09(月) 05:59:38 ???
書き溜めじゃなくて即興でやってるの?すごいな……


130 : 名無しさん :2014/06/09(月) 07:36:20 ???
いや、普通に書き溜めしてる。
細かいところを直しながらやってる。


131 : 名無しさん :2014/06/15(日) 07:59:43 ???
そろそろ続きとかD会の新作とかどうでしょうか


132 : 名無しさん :2014/06/16(月) 08:10:20 ???
青年ダークヒーローだなwかっこいい


133 : 名無しさん :2014/06/16(月) 21:50:54 ???
裸女戦闘員の作者だけど、pixivでも晒している。


134 : 名無しさん :2014/06/27(金) 18:58:31 ???
今回のSSには「妄想垂れ流しスレ2」に出されたオリジナルキャラクターが登場します

:イェン・ラオシー
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/37271/1387456331/360

:メルフィア
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/37271/1387456331/150

:ヴァラルーナ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/37271/1387456331/151

※ヴァラルーナ以外はすべて自作キャラです


◆注意
・「序章」の内容であるため今回はリョナシーンが全くありません
(新しいPCに取り換えるので長く間が開くかも)
・メルフィアの設定文章と違ってSS内に姉は登場しません
(妄想スレでの設定では姉にも忠告されている記述)
・SS用の設定としてメルフィアに“ランスロット”の姓を加えています

以下の注意でもよい方はSSどうぞ↓


135 : 名無しさん :2014/06/27(金) 18:59:42 ???
 ―――“無差別格闘大会・世界最強決定戦”………

 その会場は世界各国と言えるほどに広域に亘る、世界最大規模の格闘技の祭典…。
 過去数回開催され、回を重ねるごとに規模が拡大してきたこの大会、
 今大会は巨大財団《ライオンズ・ファウンデーション》によって開催された。

 この大会に招待状などはない。世界各国に広告され、参加は自由だ。
 しかし優勝者に与えられる“世界最強の称号”と“莫大な賞金”を巡る激闘で、
 勝利して選ばれるもの以外、多くの挑戦者は“予選”で脱落する事になる……

 … … …

 〜 東部アメリカ ライオンズ・ファウンデーション(L.F.)本社 〜

 L.F.本社敷地内、その建物の一部……格闘大会運営本部、予選監視の様子である。
 宇宙センターの管制室、その数倍に匹敵するような設備。
 各国ごとの時差に対応するため、担当者を交代しながらの24時間勤務……。

 老若男女が多忙ながら不備なく動くその現場に、ひとりの男が来た。
 三つ揃えのフォーマル・スーツと、丸く広い襟のガウン。
 大した装飾の無い地味なオリーブカラー主体だが、高い風格が窺える。
 しかし、風格が漂うスリーピースのフォーマルな装いでは隠せないほどに
 “年月の重み”と“静かな威圧感”を漂わせている。

「イェン総裁」
「ミスター・イェン。おはようございます」
「いらっしゃいませ、総裁」

 無造作に広がる髪。威圧感も漂う髭。まるで獅子のタテガミのような毛を生やす男。
 L.F.総裁、イェン・ラオシー(淵 老獅)。壮年だが、衰えを感じさせない。

「今の状況はどうだ」

 各会場の様子を映す多数のモニターを、イェン総裁が不敵な笑みで眺めながら尋ねる。

「オセアニア・オーストラリア会場で予選終了。トーナメント出場者が決定しました」
「ヨーロッパ・スペイン会場にて本日から予選開始しました」
「南アジア・インド会場、規定ポイントに近い選手が2名です」

 現在、格闘大会の“予選”が世界各国の指定エリアで行なわれている。

 ほとんどストリート・ファイト形式で試合となっている予選……
 この大会の予選は、アメリカ所属の選手がアメリカの会場で闘えるとは限らない。
 運営委員が、出場しているファイターを国籍無差別で特定人数のグループに分け、
 各選手に通知することによって、指定した対戦会場へと招集する。

 対戦会場である“エリア内”で遭遇したファイターと対戦し、勝敗によって“ポイント”が増減、
 そして一定数のポイントを得たファイター数名が選抜され、それ以外は脱落。
 監視員、配置カメラ、衛星通信…あらゆるもので“大会本部”に知られ、不正はできない。
 ただし、“乱入”は許可されているのがこの大会の特殊な所だが……


136 : 名無しさん :2014/06/27(金) 19:00:59 ???

「北アメリカ・カリフォルニア会場の現状をご覧になりますか」

 まだ予選が終わっていないエリアのひとつ、北アメリカ・カリフォルニア。
 予選の舞台は、サンフランシスコのチャイナタウン。他の予選エリア同様、
 世界各地から来たファイター同士のストリートファイトがモニターに映っている。
 ボクシング、空手道、プロレスリング、中国拳法、ケンカ殺法、その他諸々……
 あらゆる格闘技の使い手が、チャイナタウンのあらゆる場所で闘っている映像。
 刀剣や銃器などの“度を過ぎたもの”でなければ武器の使用も認められているので、
 短棒、トンファー…武道でよく見かける武器術の使い手も選手の中から見られる。

 そしてその中で、幼めな少女がサマーソルトキックで大柄な男性ファイターのアゴを蹴り上げ、
 少女は着地後さらに後ろ蹴りで突き飛ばし、大柄な男をノックアウト。そんな映像があった。

「こんな少女も居るのか。……。動きは、まともではある、な…」

 金髪のツインテールに、釣り上がった目。身長150cm未満と、体格はまだ幼さが残る。
 深紅のネクタイに、黒い装飾の入った白色の半袖ブラウス。ミニスカートは黒と赤のチェック柄。
 一見するとゴスパンク系のファッションで身を装っただけの少女だが、
 先ほど大柄な男性ファイターを蹴り倒した所から、ただの少女ではない事が分かる。

「イギリス所属、メルフィア選手。イングランド地方、ランスロット家の者です」
「あの富豪の娘か…つまり、あの古式レスリング術の名手が父だな」
「ご存じで?」
「その男は既に闘いをやめた身だ。もとより強い興味が向くほどでもなかった。
 とはいえ、その娘が出場するか…おおよそ娘個人の若気の勢いによる行動だろう」
「現在メルフィア選手は3戦3勝、ポイントはプラス数値です。
 予選勝ち抜きのノルマまではあと3勝になります」
「ほう。…まあいい、強いなら老若男女の分別はない。
 私の相手として来るならば、誰でもよいのでな」

 この大会、出場選手同士の勝ち抜きを最後まで続けるだけでは優勝にはならない。
 最後まで勝ち抜いたひとりに、この男…イェン総裁が相手となり、
 そしてイェン総裁に勝てば優勝者となれる。

 『天獣拳』とも称される最強の拳術家、それがイェン総裁の本質。
 今回の“無差別格闘大会・世界最強決定戦”とは、
 イェンが『己に叶う相手を見つけ出す』ため、開催したのだ。


137 : 名無しさん :2014/06/27(金) 19:02:09 ???

 … … … … …

 ここで話は、数日前にさかのぼる―――

 〜 イギリス イングランド ランスロット邸 〜

「メルフィア。座りなさい」

 夕食前の時間、豪邸内にある小さな応接間。
 ひとりは、ブラウンゴールドのオールバックの髪に、整った口髭の中年男。
 服装はワイシャツにロングパンツのみだが、シックに着こなすほどに品格がある。
 もうひとりは、学校から帰ったばかりなのか、ブレザータイプの制服の少女。
 父より母親の遺伝の方が大きいのか、ツインテールは金色の髪である。
 親子であるその二人が椅子に座り、テーブルを挟んで向かい合っている。

「なに、パパ」

 心当たりがあるのか、不満そうに少女――メルフィア――は応える。

「2日ほど前の夕方、学校の友人数名とロック・コンサートを見に行ったそうだが」
「なによっ、そんなカタいしきたりとかないんだからロックぐらいいいじゃない」
「問題はそこではない!しっかり最後まで聞きなさい」

「コンサートのあと、お前だけ友人と別れてダウンタウンに行き、…闘ってきたな?」
「……そうよ」
「またか……なんでそうやって自分から物騒な所に、
 それも今度は…いかがわしいものが湧きやすい夜に行ったんだっ」

 父の話す様子から、メルフィアが“ストリートファイトをしている”事が
 一度や二度ではない事が窺える。

「パパだって姉さまぐらいの歳にはやってたじゃないの。
 だったらパパだって人の事言えないでしょ!」
「私がストリートファイトをやっていたのは、
 若い頃は他に方法がないぐらい困窮していたからだ!
 生活に繋ぐのと、趣味や道楽のつもりでやるのとでは全く違うぞ!」

 父はメルフィアの反論に対して叱り、大きな溜息を吐く。

「…長女は恋人のもとに嫁いで、もう双子の母として勤めているし、
 次女は異例の若さで博士号を取って、ドイツに留学している。
 姉は二人とも、私から多く言っていないのに若いうちから大人になれていた」
「じゃ、何よ。姉さま達と違って私はまだ中身も未熟な子供だってこと?」

 メルフィアの言い返しに、曇った表情を浮かべる父。

「メルフィア、お前は学校で成績はトップだし、
 そうやって格闘技までできてしまうほど優れた子だ。
 しかしお前は、やりたい事を抑えようとせずにやりたがる…その癖が良くない。
 ……だからな、素直に言うぞ。調子に乗って度が過ぎて、大事に至ってほしくない」
「自分の実力ぐらいわかってるわよ。行く所が大して危なくないなら行ってもいいんでしょ」
「そんな簡単な考えだから、お前は肝心なところが未熟なんだっ」

 父に色々と指摘され、メルフィアの表情に不機嫌さが現れる。

「…来月、メルフィアは学校の創立記念日から始まる長期の連休だろう。
 その頃にはロシアに赴任している妻も、貿易の仕事が終わって帰ってくるし、
 二人の姉も来る。長女は夫と子も連れてきてくる。
 家族皆揃って予定の日本旅行に行くのだから、くれぐれも危険な事はするんじゃないぞ」
「わかってるわよっ!」
「……話はここまでだ。夕食も出来ているし、着替えたら早く下りてきなさい」

 不機嫌なまま席を立ち、先に部屋から出るメルフィア。

「末の娘だから甘やかしすぎたのか、
 それとも私の若いころのガムシャラな血気が、変な形で遺伝してしまったかな……」


138 : 名無しさん :2014/06/27(金) 19:03:12 ???

 … … …

「失礼いたします。メルフィアお嬢様、ベッドメイクが終わりま――」
「ヴァラルーナ!ストロベリーセーキ作っておいて!」

 豪邸内にある、メルフィアの私室。……のうちのひとつ。
 その部屋に入ってきた褐色肌のメイド、名はヴァラルーナという。
 素早い仕事をするためなのか、エプロンドレスのスカートにはスリットが入っている。
 彼女がベッドメイクの完了を告げようとしたら、メルフィアから注文が言い渡された。

 ヴァラルーナは十数年前にインドからイギリスに渡り、
 ランスロット家で働く事になった女性で、メルフィアの身の周りを担当もしている。

「――何よっ!パパったら、いっつもいつも……」

 高めの天井と大きいガラス窓を備えた部屋。全身が映る鏡が壁に備え付けられ、
 ウェイト用のトレーニングマシン、エアロバイク、サンドバッグ、など……
 メルフィア個人用のフィットネスルームとして設備された部屋。
 スポーツブラとボクサーショーツのみの姿になったメルフィアが今、
 マットの上で股割りのストレッチを行なっている。

「ご主人様はお嬢様の身を考えての事ですから、そのように反抗的になっては……」
「パパは過保護なだけなのよ!」

 メルフィアを宥めようとするヴァラルーナだが、メルフィアも尖った態度で応える。

「大した用がないなら出てってよ。あとストロベリーセーキ!お風呂上がりにね!」

 不機嫌なメルフィアの様子に慣れているのか、
 ヴァラルーナは一礼したのちフィットネスルームから離れて行った。

 下肢のストレッチを終えたメルフィアは、そのままサンドバッグへと向かう。

(パパもヴァラルーナも色々言って……なんでいつも子供扱いするのよ!)

 ――ドぉンっ。

 不満な気持ちがこもったメルフィアのハイキックが、サンドバッグを揺らす。

(バカ!パパのバカぁっ!!)

 ――ッドォ、――ドォォッ。

 続いてバックスピンキックでサンドバッグを大きく揺らし、
 揺れから戻ってくるそのサンドバッグめがけて駆け上がるような飛び二段蹴り。
 サマーソルトキックのように宙返りしつつサンドバッグを蹴り放し、コンパクトに着地した。

 まだ不満の残った様子のメルフィアはタオルを取り、部屋を出ていく。

(だったら、私が未熟じゃないってこと、認めさせてやるんだから!!)


139 : 名無しさん :2014/06/27(金) 19:04:26 ???

 … … …

「―――ご、ごしゅ、ご、ご主人様!!!」

 3日後、メルフィアの学校は休みの日。
 朝のダイニングルームにて、メルフィアの父が質素な朝食を終えた直後だった。
 ランスロット家に勤めている執事のうち、壮年の男性であるそのひとりが、
 慌てた様子でメルフィアの父に報告しに来た。

「どうしたんだ!」
「め、メ、メルフィアお嬢様が、いません!!」

 … … …

「ご主人様、申し訳ありません!」
「ヴァラルーナのせいではない。何度も娘がやってしまう悪いクセだ。
 前に抜け出してもメルフィアは無事に帰って来た。……今度もそうだといいが」

 謝罪するヴァラルーナ。父はそれを宥めつつ、
 執事達、メイド達と分担して複数の部屋を回りメルフィアを捜す。
 メルフィアの使っている衣装部屋、フィットネスルームなどを回って捜すが、
 まだ見つからず、続いて寝室に来た。

(さすがにもう寝室には居ない―――ん?)

 メルフィアの使っているベッドは、可愛らしい薄紅色のシーツが張られ、
 黒猫のぬいぐるみが乗っている。そしてその傍らに“紙きれ”が落ちていた。
 父はそれが“パンフレット型の広告”であることを理解し、拾う。

 パンフレットに記されていた内容は、
 《“無差別格闘大会・世界最強決定戦”予選開催の告知》。

 父はパンフレットの内容を見たのち、ここ近日のメルフィアの行動を思い出した。
 早朝にランニング。学校帰りの夕方から夜までフィットネス・ルームを利用。
 そして今発見した格闘大会のパンフレット。そして居なくなったメルフィア……

「あ、の…おてんば娘めっ!!」

 父はパンフレットを握り潰し、娘のワガママさと己の不甲斐なさに立腹した。

「ここから近い空港から私の名前で連絡しろ!
 この大会の運営委員にもわが社の社員がいる。メルフィアを見つけたら私に通せ!」
「ご主人様!」
「ヴァラルーナ、やや厳しい仕事だが、捜索のメンバーにお前も加える。
 気を許しているお前ならメルフィアも戻ってくれるはずだ」
「は、はいっ!」
「私はこの先、数日間も仕事が詰まって行けないが……頼むぞ!」


140 : 名無しさん :2014/06/27(金) 19:05:37 ???

  … … …

 3時間前―――

 〜 ロンドン 某空港 夜明け前早朝 〜

 小さい装飾が入った深紅のネクタイに、黒い装飾の入った白色の半袖ブラウス。
 黒と赤のチェック柄が入ったミニスカートと、黒いニーソックスの間からは
 メルフィアの白く健康的な太腿が晒されている。
 お気に入りで、なおかつ動きやすいタイプのゴスパンク・ファッションで装ったメルフィアが、
 空港内にあるランスロット家所有の小型飛行場に居る。
 行き先で使う衣類・日用品・私物などは、小型航空機への積み込みが済んでいる。

「ほ、本当にいいんですか?後でお父様に怒られますよォ…」

 中年痩身のパイロットが、航空機に乗る前にメルフィアに告げるが、

「どうせ今から帰ってもパパに怒られるんでしょ。
 だったら自分で成果を上げてから帰ってやるわよ」

 メルフィアは考えを曲げようとしない。
 “無差別格闘大会・世界最強決定戦”に出場する気は変わらない。

 小型航空機にパイロットとメルフィアが乗り込み、離陸。大西洋の方角へ向かう。

「マサチューセッツでいったん降りるわよ。
 その次はカリフォルニア!予約したホテルはそこだからね!」

 メルフィアは、密かにインターネットを利用して大会参加を申し込んでいた。
 メルフィアに連絡された“予選エリア”は、北アメリカ・サンフランシスコ。

(私が未熟じゃないってこと思い知らせて……パパにギャフンと言わせてやるんだから!!)

 ワガママで直向きな心の少女を乗せて、小型航空機はアメリカへと向かった。

 それが悲惨な戦果への始まりだとは、メルフィアはまだ知らない………。

【To Be Continued】


141 : 名無しさん :2014/06/27(金) 19:07:30 ???
リョナシーン皆無ですが以上になります。
新たなノートパソコンプータに移ったのち予選シーンつくる事になりそうなので
完成まで1ヶ月ほどかかっちゃうかもしれない……


142 : 名無しさん :2014/06/27(金) 22:17:36 ???
メルお嬢様の見た目も設定も好み過ぎてヤバいw
彼女がボロボロになって頑張る続編を期待してますww


143 : 名無しさん :2014/07/05(土) 17:55:11 ???
思いつきで書いたような代物ですが投下します


「本当に……本当にあいつらの仕業じゃないんですか?」
「ええ。そう考えた方が良いわね」
町から離れた林の中、ひっそりと佇む小さな神社の社務所で二人の少女が話していた。
「あいつら」の仕業を疑っている少女は地元の中学校の制服を着ており、その少女の説を否定した少女は古風な巫女装束に身を包んでいる。

「でも、あいつら呪い遊びとか……」
「いい?蒔絵」
蒔絵と呼ばれた制服の少女がまだ食い下がるのを、巫女の少女は穏やかに制した。

「あなたの話を聞く限りだとその呪い遊びとやらもネットの与太話や眉唾物のオカルト雑誌なんかの受け売りの様だし、
そんな適当な代物で本当に人を呪えるわけないわ。それに―」
「それに?」
「根拠なく人を疑うのはあまり褒められたことじゃないわよ」
「それは……そうですけど…」
二人の話している話題は、蒔絵が巫女の少女に相談をもちかけたものだった。

「蒔絵が家に来るなんて久しぶりね。どうしたの?」
「実は、先輩に相談したいことが……」
「あら。いいわよ。何?」
一時間ほど前、蒔絵は巫女の少女、静流を訪ねた。

先輩と呼ぶように静流は蒔絵が中学一年生の時の先輩であり、2年前に静流が高校へ進学してからも二人の交友は続いていた。
穏やかで人当たりがよく、面倒見のいい静流は蒔絵にとって教師以上に頼りにしている先輩であり、
静流もまた自分を慕ってくれる蒔絵を可愛がってもいた。

そんな可愛い後輩が不安げに訪ねてきたとあっては、静流に断る理由は無い。
今は誰もいない社務所に迎え入れ、話を聞き始めた。

「実は、今クラスのあるグループに目をつけられていて…」
蒔絵の話はこうだった。
数週間前から蒔絵のクラスで、彼女の友人が数人のグループから嫌がらせを受けていることが発覚。
グループの中心の生徒が、蒔絵にも彼女への嫌がらせに参加するよう持ちかけてきた。
蒔絵がそれを突っぱねたところ、それが気に障ったのか今度はターゲットを蒔絵に変更してきた。

その嫌がらせの内容は女子たちの間で流行していた「呪い」と呼ばれる遊び。
適当にでっち上げた呪いの儀式とやらを行い、それに使用した呪いの対象の名前を書いて釘で貫いた人形や、
首から上を切った写真などを机や下駄箱に入れるというもの。

「ひどいことするわね…」
静流は呆れていた。
遊びと言っているが、やっていることはカミソリや銃弾を送りつける暴力団と何ら変わらないのだから。


144 : 名無しさん :2014/07/05(土) 18:00:18 ???
とは言え、直接手出ししてこない以上は蒔絵も気にしないようにしていたらしく、その手の嫌がらせは歯牙にもかけなかったのだが、状況は一変した。
一人でいる時に何者かの視線を感じたり、何かに追われる悪夢を連日見たり、挙句の果てには身に覚えのない痣が出来るに至り、
流石に不安に思って静流に相談に来たのだった。

「先輩、こういうのお詳しいですよね?その、まさかとは思いますけど……本当に呪いとか…」
実家が神社であり、訳あって今一人で切り盛りしている静流に相談したのはこういう訳だった。

「うーん……」
静流はどう答えるべきか悩んでいた。
確かに蒔絵の言うように、そういうものの知識はあるし、小さい時から修行のようなことはさせられてきたから、お祓いの真似事程度はできる。
ただ、そういう事を簡単にやるべきではないと思っているし、そもそもそういう能力があること自体明らかにするのは静流の望むところではなかった。
所謂自称霊能者のようなインチキ臭い真似はしたくないというのが本当のところだが、かといって蒔絵の力になりたいとも思う。

「その痣、ちょっと見せて」
取りあえず自分でわかるところまでなら何とかしよう。静流はそう思った。
お札やお守りを渡して安心させ、何かあるようなら自分よりそうしたことに長けている別の神社を紹介しようとも思った。

しかし、差し出された蒔絵の腕を見て、もはやそんな猶予は無いという事を悟った。
「先輩?」
痣を見て顔色を変えた静流の顔を蒔絵が不安そうに覗き込む。

蒔絵の症状はすでに末期と言ってよかった。
常日頃から自分はまだ未熟者だと思っている静流であっても、
これの見立ては間違いなく自信を持ってすぐにでも手を打たなければ危ないという事は分かった。

「蒔絵、ちょっと一緒に来て」
蒔絵の手を引き、普段使われていないお堂に連れて行く。
お堂の一番奥、一段高くなっている場所に蒔絵を座らせると、
絶対にそこから降りないように何度も念を押し、すぐにさまざまな道具を運び込んで準備を始める。

「あの、先輩……」
突然の事に泣きそうな蒔絵に静流は努めて穏やかに、諭すように説明する。
「信じられないかもしれないけど、あなたには危険なものが憑りついている。今からそれを祓うわ」

これじゃあインチキ霊能者と一緒だなと、静流は心の中で苦笑した。
いきなり何か憑りついているから危険だでは質の悪い詐欺と変わらない。

だが、今はそんな事を気にしている場合ではない。すぐにでも手を打たなければ、蒔絵の命に係わる。


145 : 名無しさん :2014/07/05(土) 18:06:21 ???
「大丈夫、安心して。あなたは私が守るから」
怯える蒔絵を抱きしめてそう言い聞かせ、落ち着くまで背中をさする。

「すいません。大変なことに…」
落ち着きを取り戻した蒔絵は、静流にそう詫びたが、静流は笑って答える。
「気にしないで。あなたは私の、大事な後輩だもの」

静流は背の低い蒔絵はやや見上げるような形となるものの、決して大柄とは言えず、どちらかと言えば華奢な部類に入る。
だがそんな彼女が巫女装束を身に着け、背中まである長い黒髪が舞う様は今の蒔絵には何よりも頼もしく見えた。

やがて日が暮れ、辺りが暗くなり始めたころにお祓いの準備は整った。
言われていた通り蒔絵は奥に座り、その前に燭台や鏡、そして白鞘の御神刀が置かれ、中央に静流が座って何かを一心に唱え続けている。

不意に静流の声に交じって、カシャン、カシャンと金属の触れるような音が聞こえてきた。
音は次第に近づいてきてついにお堂の前で止まる。
静流の声がその音が近づくに比例して大きくなり、足音が止まったと同時に止まる。

一瞬の静寂の後、すっと扉が開いて現れたそれに、蒔絵は息をのんだ。
もし自分一人で出くわしていたら恐怖のあまり失神していたかもしれない。

それは鎧武者と言うべきか。黒備えの戦国時代のような甲冑を纏い、
兜の下の顔はその下半分が鬼の面で覆われ、本来目がある場所は赤い光を妖しく放っている。
その堂々たる体躯は蒔絵を庇うように立ち上がった静流の頭がやっと胸に届く程に大きく、
それでいて黒い霧のようなものが纏わりついて正確な姿が分からない。

(うそ……こんなのが……)
静流は相対した敵に気おされていた。

蒔絵から聞いた話が本当だとすれば、素人が冗談半分ででっち上げた呪いの筈だ。
それが何かの間違いで本当に効果を発揮してしまい、呪いが成立しているだけだと考えていた。

だが目の前の化け物は、そんな偶然で呼び出せるような物とはレベルが違う。
はっきり言って、今の静流では全く歯が立たない。

(祓えないなら……っ!!)
静流は咄嗟に別の術を唱える。
手に負えないのなら、せめて少しでも力を弱め、目をくらまして、伝手を頼るまでの時間を稼がなければ。

一歩、また一歩と鎧武者は歩を進め、静流の結界を苦も無く突破する。
「はぁぁぁっ!!」
静流の裂帛の気勢と共に一枚の札が鎧武者めがけて飛ぶ。
静流が全力を込めたそれは、化け物を惑わせ力を弱める効果があるものだ。
札が鎧武者の腹の辺りに貼りつき、光を放って力を発揮する―かに思われた。

「なっ!?」
貼りついた札は静流の目の前で赤黒く塗りつぶされ、ふわりと鎧からはがれるとすさまじいスピードで巻き戻したように静流に殺到する。

「きゃああああああああああっ!!」
札が叩きつけられた瞬間、静流の体に全身を殴打されたような激痛が走った。
札は灰のように消え、静流は後ろへ吹き飛ばされて仰向けに倒れる。


146 : 名無しさん :2014/07/05(土) 18:12:38 ???
「うぅぅ……あぁ……」
(か、体中が……なんて力なの…!?)

札を受けた衝撃で、体がバラバラになったような錯覚を覚える。
苦しそうに上下する年齢の割に未発達な胸には、その中央から放射線状に痣が広がっている。

「先輩!」
「だっ、ダメ!そこから、出ちゃ……」
駆けだそうとする蒔絵を制止するも、今の静流の姿に制止できるだけの説得力はない。
一歩外に出た蒔絵を、赤い瞳が捉える。

「ひぃ!!」
うわずったような悲鳴を上げ、蒔絵は立ったまま硬直していた。
更にカシャン、カシャンと距離を詰める鎧武者に再び静流が立ちはだかった。

「やめ…なさい……!!」
決して受けたダメージは小さくない。
むしろ、意識がある時点で奇跡的と言っていい。
そんな体で全快時でも勝負にならないほど圧倒的な相手に勝てる可能性などない。
だがそれでも、蒔絵が憑り殺されるのを黙って見ていることはできない。
ただその思いだけで朦朧とする意識を奮い立たせ、呼吸も整わぬままに鎧武者に向かっていく静流。

(先輩!もう駄目!もうやめて下さい!!)
蒔絵は何度もそう叫ぼうと試みるが、硬直した体はまるでいう事を聞かない。
静流はそんな蒔絵を顧みず、御神刀を引き抜くと覚束ないままに振り上げる。
静流は剣に関しては全くの素人で、御神刀も手入れをするとき以外触ったことがなかったが、今は少しでも強い力が必要だ。

「いやぁぁぁっ!!」
渾身の力で振り下ろしたそれはしかし、鎧武者に届くより前に空中で止まる。

「しまっ……うあっ!」
鎧武者は静流の動きに合わせて一歩踏み込むと、雪のように白い静流の右手を掴んで捻りあげていた。

「くっ、あぁぁぁぁぁっ!!」
静流は激痛に身をよじりながら左手で鎧武者の指をはがそうとするが、
太い指は腕に食い込んでいるかのようにビクともしない。

「くうぅぅぅ!あああっ!!」
ミシミシと骨の軋む音が聞こえ、その度に激痛の波が静流を襲う。

頬を紅潮させ、目に涙を浮かべ悲鳴を上げながら必死に振りほどこうとする静流だが、
鎧武者は吊り上げるように腕を上げ、静流の踵が床から浮き上がる。
遂に右手から御神刀が零れ落ち、ガシャンと音を立てた。

瞬間、鎧武者の右腕が動いた。
「がっ!?」
ドボッと音が聞こえそうな勢いで、静流のウエスト程ありそうな鎧武者の腕が、静流の腹部に沈み込んだ。

痛い。いや、そんな言葉では足りない。
殴られた勢いで静流の体は鎧武者の拳を中心に「く」の字に折れ曲がり、足が完全に床から数センチ浮かぶ。
右手が解放されると同時に、その折れ曲がった姿のまま床に崩れ落ちる。

「っ……!!…ぁ……!!!」
大きく見開かれた眼はどこにも焦点が合わず、口からは唾液が流れ落ちる。
悲鳴というよりも喘ぐように空気が漏れ、その姿勢のまま寝返りすら打てない。


147 : 名無しさん :2014/07/05(土) 18:17:37 ???
(痛いっ……!痛いよぉ……)

気丈にも立ち向かった静流ではあったが、華奢な少女が敵う相手ではない。
その精神力だけで肉体の不利を補うにはあまりにも相手が強大過ぎた。
そしてその精神力もすでに限界に達していた。

(痛い……苦しい……助けて。殺される……誰か…誰か助けて……)
見えない何者かに助けを求めるように伸ばした腕に、黒い霧が巻きついた。

(えっ!?)
何が起きたのか分からないまま黒い霧に引き起こされる静流。
鎧武者と顔が向かい合うような位置まで吊り上げられた彼女に、鎧武者に纏わりついていた黒い霧が大蛇のように静流の全身に巻き付いていく。

「かっ!?かはっ!ぐぁぁ……」
霧の大蛇はその長い胴で静流の体を絞るように締め上げる。
吊り上げられていた腕にも巻き付き、直立不動のような姿勢で空中に固定され、肺の中に残っていた空気が苦痛の悲鳴と共に絞り出されていく。

やがて不敵な笑みを浮かべる鎧武者の顔の横で、霧の大蛇がその鎌首をもたげる。
(な、何をするつもりなの……?)
怯えた静流の視線に、大蛇は行動で答えた。
蛇が獲物を捕らえるように、その頭が悲鳴の形に開かれた静流の口に飛び込んだ。

「んぐぅ!?」
大蛇は静流の喉を強引に押し広げ、喉から食道へ、食道から胃へと潜り込み暴れ回る。

「もごぉ!!んううっ!!」
パニックになる静流の頭に、かつて祖父から聞いた言葉が一瞬だけ蘇った。

曰く、霊力というものは人も魔物も皆同質のものを持っており、それを清めて使うか穢して使うかの差でしかない。
液体の水を熱して水蒸気にしようが、反対に冷やして氷にしようがH2Oであることに変わりはないのと同じで、
熱する方が強ければ水蒸気になり、冷やす方が強ければ氷になる。

つまりこの蛇にとって、敗れた静流は霊力の塊であるということ。
自然界において、肉食動物が仕留めた獲物をどうするか考えれば、この蛇の行動も説明がつく。

「おごぉっ!?うぶっ……っ!おごぉ……」
(やめっ、止めて!吸わないで!吸わな……い……)

むせ返る苦しさと共に体から力が抜けていく。

(い…や……やめ……て…苦し……死にたく……な……)
全身が冷たくなっていくのを感じながら、静流は意識を手放した。


148 : 名無しさん :2014/07/05(土) 18:20:37 ???
「先輩。今日も来ましたよ」

その日から三年。蒔絵は毎日静流の病室を訪ねた。
あの後、静流を吸い尽くした大蛇と鎧武者は、彼女を投げ捨てると満足したように消えていった。

後でわかった事だが、『呪い遊び』をやったグループは所謂いわくつきの場所で何度もやっていたらしく、
その結果そこに封印されていたあの鎧武者を呼び出してしまったのだろう。

火傷もしないような小さい火花でも火薬庫の中で起こし続ければどうなるか。
その結果が目の前の優しい先輩だ。

静流はすぐ病院に搬送され、一命は取り留めたものの、意識が戻った彼女は廃人になっていた。
光の消えた目は虚空を見つめ、ガラス玉のように光を反射するだけ。

「じゃあ今日も体拭きましょうね」
蒔絵はそう言って丁寧に静流の服を脱がせ、痛々しく痩せ細った体を優しくタオルでこする。

「……先輩。私、やりますから。絶対に先輩の敵を討ちますから」
蒔絵はあの日、静流と同じ道を行くことを決めた。

静流の敵討ち。それ以外にはもう何も考えられなかった。
そんな事をしても静流は戻らない。あの日静流の魂は霊力と共に喰われた。
仮に敵を討ったところで、それはもうどうしようもない。

でも蒔絵にはそれでも良かった。
そうしていればいつか、また静流が笑ってくれるような気がした。




以上スレ汚し失礼しました


149 : 名無しさん :2014/07/05(土) 20:57:17 ???
寺生まれのTさんはどこだ…


150 : 名無しさん :2014/07/07(月) 17:26:33 ???
SSと小説ってどっちが好き?


151 : 名無しさん :2014/07/08(火) 00:57:51 ???
個人的にはSSかなー
オリキャラはどうしても"リョナられるためだけのキャラ"から脱するのが難しいから、
背徳感という点で二次創作より不利だと思うんだ


152 : 名無しさん :2014/07/08(火) 21:45:16 iGx/kvls
地の文があるのが小説で、名前「あああ」みたいになってるのがSSだと思ってた


153 : 名無しさん :2014/07/08(火) 22:40:27 ???
ぶっちゃけ、相応の分量があるのを小説って大きく括りにしてるだけでネットで見かける分には小説もSSも区別ないよ


154 : 名無しさん :2014/07/08(火) 23:16:46 ???

ノエルの人です
覚えてますか

完成目前→保存忘れる→序盤からやり直しの悪夢
やる気スイッチが切れてしまったのか、ずっとそのままになってしまった
楽しみにしてる人には申し訳ない
そろそろ再スタートして、ちゃんと完結させないとね
最終回に向けて話進めていきます。
最終回にリョナるキャラは、もう決めてあるからね


155 : 名無しさん :2014/07/08(火) 23:23:28 ???
おおどんな展開になるか楽しみだぜ

どうしても書けない時ってあるよね…


156 : 名無しさん :2014/07/09(水) 00:35:06 ???
D会もついに完結に向けて動いていくのか……

楽しみにしてますねー


157 : 名無しさん :2014/07/09(水) 21:27:34 ???
ササッと描いてみたいのでお題を下さい

前提事項
・貧民をいじめる

決めて欲しい所
・世界観はどんな感じですか?(現代世界か、中世ヨーロッパ的ファンタジーか、など)
・責め役のプロフィールは?(女か男か、年齢はいくつかなど)
・責められ役の性格は?(強気な感じか、弱々しい感じかなど)
・どの程度いじめますか?(精神的なイジメのみか、グロレベルまでやっちゃうかなど)
・長さはどのくらいが読みやすですか?(具体的に)


158 : 名無しさん :2014/07/09(水) 22:06:54 dME1eEaA
>>157
・中世風
・10代の少女
・男勝りな年増の未亡人
・精神的ないじめを中心に
・2~5レスくらい
でお願いします


159 : 名無しさん :2014/07/09(水) 22:17:07 ???
>>158
ちょwww 2番目と3番目逆だろww
誤爆じゃないならマニアックすぎるwww


160 : 名無しさん :2014/07/09(水) 23:00:24 dME1eEaA
>>159
逆じゃないんだなこれが


161 : 名無しさん :2014/07/09(水) 23:46:36 ???
>>157

・中世風
・異常者の男(女の裸や性行に一切の興味を持たず、悲鳴や苦しむ姿で欲情)
・ローティーンの少女。汚れてるけど美しいブロンドと碧眼。弱々しくすぐ泣いちゃう感じ
・泣いて怯えてる子をひたすら苛める。最終的には痕に残るような大怪我はさせずに生存
・10レス前後?幾つか責めパターンを変えて苛める感じで


162 : 161 :2014/07/09(水) 23:59:46 ???
なんかこう重厚なストーリーや緻密なキャラ設定があるわけでもなく
性的なものを直接に連想させるような要素もなく
女の子が苛められる姿だけを描いて完結する、そんな話が読みたいです
性器責めや乳房責め、屈辱責めとかじゃなく純粋に痛そうで苦しそうな感じ
リョナが好きな人間でないとそこにエロスを読み取れないような感じが良いです


163 : 名無しさん :2014/07/10(木) 01:54:08 ???
>>158は流石にレベルが高すぎるので>>161でちょっとやってみようかと思います

と、いうか意外に超ソフトなものが人気あるんだなぁ


164 : 名無しさん :2014/07/10(木) 02:47:49 ???
じゃあ >>158 は私が書いてみよーかな
今週は忙しいから来週にでも。失踪したらごめんねー


165 : 名無しさん :2014/07/10(木) 03:46:02 ???
>>141
いいよいいよ!
妄想垂れ流しスレの住民として美味しいSSです
つづきも続きも頑張って下さい!


166 : 名無しさん :2014/07/10(木) 16:33:01 zN59TZDU
サラ(バーチャ)×零子(ランブル)のガチンコマッチのSSって需要あるかな・・・?


167 : 名無しさん :2014/07/10(木) 17:48:55 ???
もちろん需要ありますよー、楽しみにしています!


168 : 名無しさん :2014/07/10(木) 22:33:21 ???
>>162
書きました−
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5180923.txt

不慣れなものでweb的な改行とかできてなくてすいません・・・
8レス分くらいだと思います


169 : 名無しさん :2014/07/11(金) 00:02:57 ???
>>168 ×ッキした、GJ!


170 : 名無しさん :2014/07/11(金) 01:42:59 ???
>>168
女の子の心が折れるところが特に良かった

>>166
需要なんて気にせずリビドーの赴くまま書いてしまおうぜw


171 : 名無しさん :2014/07/15(火) 00:45:35 ???
>>166
俺そういうの大好き!負けた相手をボロボロに辱めちゃってもいいのよ


172 : 名無しさん :2014/07/15(火) 17:54:39 zN59TZDU
それぞれの団体で一番人気の選手同士の異種格闘技大会が行われた。
メインイベントはランブルローズの日ノ本零子とバーチャファイターのサラ・ブライアントの対戦だ。
試合前日の記者会見・・・零子は緊張の面持ちで「みなさんから選んでいただいたので一所懸命がんばります」と答えた零子に対し「プロレス・・・特にランブルローズなんて所詮お遊び。こういう大会にはあなたは場違い」とこき下ろす。
それに切れた零子は「なにそれ?取り消しなさいよ!」と迫り、乱闘騒ぎになる前に会見は打ち切られた。

そして試合当日・・・
度派手なランブル式の入場で先にリングに上がり、準備運動をしていく。「絶対に許さない。絶対に勝つ・・・。」そうつぶやきながら準備運動をしていく。
一方サラはいつものブルースーツで悠然と後からリングに上がり、「逃げなかったのね。それだけは褒めてあげる。」そういいながら胸を付き合わせると零子も「この前の発言・・・許さない!必ず後悔させるから!」といって睨んでいく。
するとサラは「あらそう。楽しみにしてるわ♪」そういいながら背を向け、コーナーの金網に寄りかかりゴングを待つ。

カーン!

ゴングがうちならされると零子はでこれだけで絵になる。アップに構え、相手の出方を見る。一方サラもファイティングポーズをとりタン、タンとステップを踏み出方を伺う。スタイル抜群でこれだけで絵になる。
そしてサラが「こないの?」そういうと左右のジャブから左のローキックを狙う。しっかりとパンチをガードした零子だがローキックを思い切り太ももに受け、
「くっ・・・」
そういって一瞬ぐらつくと負けじと押し込むように左右のパンチを放っていくがうまく弾かれ、距離をとられると
「ハァ!」
掛け声とともにサラの左のハイキックが零子の頭部を襲う!「ん!」そういいながら何とか両腕でガードするが、零子がガードしながらもバランスを崩すとニヤリと笑い「いくわよ!」そういうと左右のパンチと腹部や腰の向けてのキックの連打を放つ。「ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!タア!」
「あ…ぐぁ……ぅぉ…んぐ…ふ…ん…!!」崩したバランスを立て直す暇も与えられずサラの容赦ないラッシュに晒される。少しでも判断を誤れば致命傷にもなる攻撃の数々。紙一重で致命傷を避けていくが、打撃を受けた腕や腹部は真っ赤に晴れ上がっていき、焦りから、額や首筋には玉のような汗が浮かんでいく。苦痛の呻き声とバシッバシッという打撃音とが会場に響き渡る中、打たれ強い零子が徐々に後退を始めてしまい…そしてついに「ガシャ」っという音を立てて、金網に背をつける。
金網の感触が背中に走ると「しまった!」・・・そういうとそれに対してサラは「ほらほら、負けちゃうわよ♪」とだけ言い、さらにキックで追い詰めていく。
「く・・・・・く・・・・」そういいながら前かがみになってしまう零子に対し、とどめとばかりに零子の顔面にキックを打ちに行った瞬間・・・
「ここ!」と大きく息を吐き、キックに来た左足ごとサラの体を抱きかかえ、「おらぁ!」そのまま一回転するようにサラを背中からマットに投げつけていく!
「んぐはぁ!」サラが受身が取れず大きな声を出してしまうと、零子は「逃がさない!」といいながらサイドポジションを奪っていき、サラのの首と股をしっかり押さえつけ、サイドポジションから渾身の膝蹴りをサラのわき腹に食らわす!
「んんぐはぁ!」これには大きなダメージなのか苦悶の表情で体をねじって脱出を図るサラ・・・。零子は落ち着いて腹部などに鉄槌を落としながらマウントポジションに移行していき、「おらぁ!おらぁ!はぁ!」と声を出しながらパウンドを見舞っていく。
「んん・・・く・・・・」なんとかガードするも「んぐ!」パンチがあたり始めるとたまらずサラは何とか腕を零子の胴に回して、屈辱的ではあるが零子の股間に顔を押し付けパウンドを逃れていく。零子の股間に口を押し付けたまま苦しそうに呼吸する。「んん・・・くふ・・・・」
「ほらぁ!もうおわり!?」そういうと零子は、股間に顔を押し付けるサラの前髪を掴み、更に押し付けて呼吸を苦しくし、左足をサラの首に巻きつけていき、思い切り腕を引っ張り、転がりながら参画締めを完成させる。
流れるような零子の寝技に観客も沸きあがる。「ほらぁ!タップしろ!」マットを背中につけ、腰を振りながらサラの後頭部を持って、さらに締め上げていくと、サラは「く・・・ぷ・・・うぷ・・・・」苦しそうに三角締めを決められたまま零子の太ももを殴っていくが外れない・・・。
金網のリングの中、両者汗だくになりながらの攻防に観客も熱狂していく・・・。


173 : 名無しさん :2014/07/15(火) 17:58:27 zN59TZDU
↑かなりの駄文ですが前編はここまでです・・・。


174 : 名無しさん :2014/07/15(火) 18:17:02 ???
おお、エロい いい感じ!続きが楽しみだ


175 : ハイレグアーマーハム子VSギガス その1 :2014/07/17(木) 22:21:40 Uk4VsibY
ハイレグアーマーハム子を物凄くリョナりたくなったので書きました。
ゲームやってないと分かり辛い部分があるかも知れません。
あと作者の趣味で格闘攻撃多めです。
それでも良ければ是非お読み下さいm(_ _)m

「あ……ぅ……」
「お…とう…さ、ま……」
「機能……停止……」
タルタロス下層部にて−特別課外活動部のメンバーは、突然現れた場違いな強さのギガス型シャドウにより壊滅状態になっていた。
筋骨隆々の身体から次々と放たれる一撃により、ゆかりと美鶴は完全に意識を失っている。ハイレグアーマーの露出部分から見える幾つもの痣が痛々しい。
機械の身体であるアイギスもその強烈な攻撃にも耐えられず、ボディはへこみ、頭から黒煙を出し、動かなくなってしまった。
安全な下層部での探索、(だからこそアイギスを除いてハイレグアーマーという装備を遊び心で身にまとったのだが)その中でのイレギュラーな強さのシャドウとの遭遇は、優秀なリーダーである公子も対処し難い事態であった。
普段あらゆる面で強気な彼女も震えている。ハイレグアーマーの付属品である、手袋とサイハイブーツに包まれた手足の動きからもそれが見てとれる。
だが公子を震えさせる感情は恐れだけでは無かった。
「この…絶対許さない!」
『リ、リーダー!だめです!』
ナビ役の風花の制止も振り切り、怒りに任せて公子は薙刀と共にギガス型シャドウに突っ込んでいった。
「はっ!せやぁ!」
公子の凛々しい声共に次々と振り下ろされる薙刀は、ギガスの身体をしっかり捉える。
そして相手が怯んだ隙に、公子はきりもみ回転をしながら飛び上がり−
「やぁっ!」
回転の勢いを加えた薙刀を、ギガスの身体にクリーンヒットさせた。


176 : ハイレグアーマーハム子VSギガス その2 :2014/07/17(木) 22:23:41 Uk4VsibY
『リーダーすごい! 続けて行け…えっ!?』
一瞬喜ぶ風花であったが、ギガスの様子を見てすぐに悲痛な声を上げた。
ギガスは怯みはしたもの少し後退しただけで、体勢をまったく崩していない。
『そんな…今の攻撃で体勢を崩さないなんて…』
クリティカル程の衝撃で体勢を崩さないのはごく一部の大型シャドウぐらいである−やはりこのシャドウ、ただ者では無いようだ。
「くっ…この…!」
平然とするシャドウに一瞬怯んだ公子であったが、すぐに薙刀を構え直そうとする。
が、その刹那、ギガスはものすごい勢いで公子に接近する。
「…!、きゃあっ!」
接近するギガスの身体は、そのまま公子の身体に衝突した。
公子の身体は後方に大きく吹き飛び、タルタロスの床に叩きつけられる。
「うっ…くっ…」
公子は倒れたまま起き上がれず、全身に走る痛みに顔を歪める。吹き飛ばれた際に薙刀も手から離れ、完全に無防備な状態だ。
「うっ!?」
そんな公子の足の付け根を、ギガスの力強い手が掴む。
そしてロングブーツに包まれた公子の脚を少し広げ、ハイレグ型の鎧により露わになった公子を股間をまじまじと見つめている。
「こ、このっ、離せ…!」
『さ、最低です…!』
いきなり変態的な行為をし始めたギガスに、公子は顔を真っ赤にして怒り、脚をジタバタさせて抵抗した。普段大人しい風花ですら声に少し怒気が混じっている。
「ひあ!?」
だが公子の抵抗も虚しく、ギガスは公子の脚を持ち上げ、逆さ吊りの状態にした。
そして、公子の身体を振りかぶり、思いっ切り−
ドスン!
床へと、背中から叩きつけた。
「ごぼっ!」
あまりの衝撃に公子の呼吸が一瞬止まり、口から大量の唾液が吐き出された。
口の周りと鎧の胸甲の辺りが、涎まみれになる。
「ごほっ、ごほっ……!」
口からだらしなく涎を垂らす自分を、手を放してまじまじと見つめているギガスに気付き公子は口を手で覆った。
「ごほっ、ごほっ…うぅ……」
だが咳は止まらず、純白の手袋にもべっとりと涎が付いていく。
身体からも大量の汗が噴き出し、ぴっちりと覆われた手袋やブーツに包まれた部分はすっかり蒸れてしまった。


177 : ハイレグアーマーハム子VSギガス その3 :2014/07/17(木) 22:26:40 Uk4VsibY
更なる一撃が公子に下されようとしていた。再びギガスは公子の脚−今度は太ももの辺りをつかみ持ち上げ、無防備な股間をまじまじと見つめる。
「な、何を……?」
体力を激しく消耗した公子は、もはや抵抗する気力も残ってなかった。
そして−
ガツンッ!
股間を見つめた格好からそのまま、ギガスは自身の頭部を股間に叩きつけた。
「ひああああああああぁっ!」
公子は強烈な悲鳴を上げ、ギガスが脚を離すと股間を抑えながら辺りを転げ回った。
「ああああああっ!あっ、ああああああっ!」
涙と涎を流しながら、公子は右へ左へのたうち回る。
「あぁ……ぅ……あっ……」
やがて公子の動きは止まったが、股間はまだ激しく痛んでいる。うつ伏せの格好で脚を曲げ、尻を突き出した恥ずかしい格好になったのにも気付かず、公子は必死に股間を抑えている。
引かない痛みを証明するかのように、口からは嬌声と涎がこぼれ出る。
そんな公子の様子を、ギガスは満足気に眺めていた…。

『き、公子ちゃん……』
順平を始め他のメンバーは既に救出に出払っており、風花は
只一人この絶望的な状況に悲憤する。自分はただ見ていることしか出来ないのか…。

…いや、できることはある、そうだ−
悲しみ暮れるばかりだった風花は、自分の力がアナライズや探知のみで無いことに、はっと気が付いた。
親友との別れと決意から得た、あの力−
『オラクル!』
風花が叫ぶと、柔らかい光が公子の身体を包んだ。
癒やしの力により、股間の痛みが瞬く間に消えていき、虚ろだった公子の瞳に生気が戻る。
突然の事態にギガスは驚き、思わずあとずさる。
(…今だ!)
身体能力を完全に取り戻した公子は立ち上がり、怯んだギガスの隙を付いて後退し、薙刀と召喚器を回収する。
「風花、ありがとうっ!」
臨戦態勢を整えながら、いつもの元気な声で公子は礼を言った。
『良かった…!あと、ついでにアナライズもしておきました!雷が弱点みたいです』
風花は安堵し、本来得意とする分析能力の結果を伝えた。
「ようし、最高なのをお見舞いしてあげる!」
公子が叫ぶと、パキィンと何かが弾けたような音が辺りに響いた。ペルソナチェンジの合図だ。
「…ティターニア!」
頭に銃型の召喚器をあてがい、トリガーを引く。そして現れた緑衣の女王は叫ぶ−


178 : ハイレグアーマーハム子VSギガス その4 :2014/07/17(木) 22:29:42 Uk4VsibY
『ジオンガ!』
ティターニアの手に強烈な電撃がほとばしる。本来彼女が覚えない魔法であるが、魔力の高さを見込まれて公子がスキルカードで習得させたのだ。
やがて電撃はギガスの身体を貫く−

はずであった。
『!?、あれは…。』
風花は何かに気付いたようだが、その時には既に電撃はギガスの身体の手前まで来ていた−いや、手前で「受け止められていた」。
「…!?、どうして…?」
『敵シャドウの手…あれ、マジックミラーです!シャドウがアイテムを使うなんて…』
どうやらこのギガス型シャドウはアイテムを使う能力もあるらしい。マジックミラー自体はタルタロスでは割と良く拾える魔法反射のアイテムだが、それをシャドウが使うというのはあまりにもイレギュラーである。
「ま、まさか…嫌っ……!」
公子の表情が絶望に染まる。そして強烈な電撃は−
バチバチバチバチィ!
ギガスの手鏡から跳ね返り、公子の身体を貫いた。
「いぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『嫌あぁぁぁぁぁぁぁっ!』
公子は耳をつんざくような叫びを上げ、同時にティターニアも大きな悲鳴を上げ、消滅した。
「あああああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!んおおおおおおおおっっ!」
ティターニアのペルソナ特性により弱点となった電撃は、公子に凄まじい苦痛を与える。
「ああああぁぁっ……」
漸く電撃が止むと、公子は情けない声を出しながら膝を付き、床に突っ伏した。
「あっ、あひっ、あうっ…」
感電した筋肉はピクピクと痙攣し、身体が跳ねる度に公子は喘ぎ声を上げる。
やがてゆっくりと、無様な姿となった公子にギガスが近づいた。ギガスはうつ伏せの公子の腕を持ち、後ろへ寝転ぶ。そして自身の脚で、公子の脚を持ち上げ−プロレス技・ロメロスペシャルの体勢に入った。
一連の動作に、公子は何の抵抗も出来なかった。痙攣し力の入らない身体は、文字通り無力であった。公子の脚は易々と無様な格好になるように開いていき、そして…
ボギィ!
という音が公子の股間の内部から響いた。ギガスの逞しい脚により、公子の股が無慈悲にも裂かれたのだ。
「あぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぅぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぇあぁっ!?」
公子は今日一番の、そしてこの世のものとも思えないような悲鳴を上げた。
ただでさえ痛みに敏感な部分が、弛緩しさらに敏感になっているのだからその激痛は想像もつかない程だった。


179 : ハイレグアーマーハム子VSギガス その5(終) :2014/07/17(木) 22:32:27 Uk4VsibY
満足したギガスが公子の身体をぱっと離すと、公子はうつ伏せに倒れた。ロングブーツに包まれた脚は不恰好ながに股になり、手袋に包まれた腕はだらしなく伸びている。目は先程股間に頭突きを食らった時よりも虚ろとなり、肩で息をするのがやっといった所だ。
『そ、そんな…嫌ぁ…』
風花は目を覆い泣きじゃくった。オラクルの能力は1日1回しか使えない。最早為す術は無い。
ギガスは最後の仕上げに入ろうとしていた。公子のチャームポイントであるポニーテールを掴み、彼女の身体を持ち上げる。
「うぁ…」
髪を引っ張られた痛みに公子は呻く。そしてギガスは乱暴に彼女を仰向けに横たえた。
そして−公子の顔に尻を押し付けるように座った。
「んぷっ……!」
ギガスのフェイス・シット攻撃により公子の鼻を強烈な臭いが襲い、吐き気がこみ上げる。
「ん……ぅ……」
そして口と鼻を塞がれたことにより呼吸が出来なくなり、やがて−公子の身体は再びピクンピクンと跳ね始める。
その頃合を見計らって、ギガスは立ち上がった。すると−
「ごぶぅえ″っ!」
公子の身体に急に空気が入ったことにより、口から大量の泡が吐き出される。それには吐瀉物も混じっている。
「ごぼっ……お″ぇ″………」
公子は白目を剥き、身体を跳ね上がらせながら、吐瀉物と泡が混ざった物体を出し続けた。括約筋も完全に弛緩してしまったらしく、股間からは黄色い液体が流れ出ていた。白いハイレグの股間部分とブーツの太ももの辺りが黄色く染まってゆく。

その様子をギガスは腕を組んで満足のいくまで眺めると、消滅した。どうやら力の代償として、ペルソナ使いの女性を充分に痛めつけるという目的を果たすと消えてしまう性質を持ったシャドウのようだ。

その後目的階に付いた順平達の声で風花は正気をとり戻し、倒れた公子たちのところへ案内した。
そのおかげで先に意識を失ったゆかり達も含め無事救助に成功、ゆかり達はすぐ意識を取り戻したものの、
公子はハイレグの格好のまま、醜態を晒し続ける羽目になった。
仲間達は必死で励ましたが、公子は暫く立ち直れず、部屋で一人泣きながら過ごす日々が続いたという…
(終)


180 : ハイレグアーマーハム子VSギガス あとがき :2014/07/17(木) 22:37:59 Uk4VsibY
書き込んだ後で気付いたんですが、オラクルって回復効果出たら必ず味方の瀕死回復効果も付くんですね。
文中だと公子しか回復してないので、ゲームの設定ガン無視しちゃってますね…気になった方は申し訳無いです(まあ他にも都合良く解釈してる部分ありますが)。
駄文失礼しました。読んで頂いた方はありがとうございますm(_ _)m


181 : 名無しさん :2014/07/17(木) 23:54:42 ???
このシャドウは俺の欲望から具現化したのかな・・?
素晴らしい


182 : 名無しさん :2014/07/18(金) 08:05:45 ???
一度は希望の光が見えるってのがいいね
とてもいい


183 : 名無しさん :2014/07/18(金) 11:05:48 ???
ペルソナ知らなかったけどやられ方といい衣装の描写といいかなり好みだったので画像検索してきた。
この白い子がそうか…ごちそうさまでした


184 : 名無しさん :2014/07/20(日) 01:35:51 ???
GJです
ハイレグアーマー良いよね
ラスダンまでずっと装備してたわw


185 : 名無しさん :2014/07/20(日) 08:39:50 n.pjFKck
上位遅漏のリョナ画像ぎぼんぬ


186 : 名無しさん :2014/07/21(月) 23:46:29 ???
7/23日午前0時 新作投下します
よろしくお願いいたします


187 : 名無しさん :2014/07/22(火) 00:24:36 ???
よっしゃ


188 : 名無しさん :2014/07/22(火) 00:33:44 ???
>>164
これマダー?


189 : 名無しさん :2014/07/22(火) 04:02:37 ???
>>188
今週中を目安に。今、多分半分くらい


190 : 名無しさん :2014/07/22(火) 04:03:40 ???
2〜5レスは諦めてちょうだい。


191 : 164 :2014/07/22(火) 19:09:15 kblPU3Ys
>>158>>188
そんなわけで、書いてみました。
リョナとも言い難いものがある可能性があるのでロダで。
パスは例の5文字
ttp://www1.axfc.net/u/3281906

楽しんでいただけると嬉しいです。


192 : 名無しさん :2014/07/22(火) 23:12:35 gDcH/cGE
>>191
ありがとうございます!
家財が大した額にならなかったことや、髪まで切ったところが良かったと思います


193 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:00:03 ???
「あなたの父親の居所が掴めましたよ」

いかにも聡明で正義感に溢れた警官が、週刊誌のスクラップノートを開いて、娘に見せた。

「これは……?」

アダルトな記事や目元を隠した女性のヌード写真が娘の目に入ってくるなか、警官はある一つの記事を指で指し示した。
『大人気アイドル 麻宮アテナ 突然の失踪――未だ行方知れず』の文字。

「このニュースはご存知ですね?」
「はい、テレビで何度も取り上げられていましたから」
「実はあなたの父親は……この麻宮アテナの失踪と密接な繋がりがある」
「……どういう、ことですか」
「あなたの父親も、この誘拐事件と同じ、何らかの組織に巻き込まれた可能性があります」
「……え?」
「先日、捜査の手がかりとして頂いた不審な紙袋の件ですがーー」

男は紙袋の口を開ける。その中には、血と精液でぼろ布のように汚れた廿楽冴姫のパンツや真鏡名ミナの褌、その他、女物と思われる私物や衣服が入っていた。

「裏社会で活動している、ある秘密結社……それに深く関わったのだと考えられます、我々もすでに調査解明へと動いています――」


194 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:02:55 ???



大人気アイドルの麻宮アテナにはもう一つの顔がある。
彼女はアイドル業の傍ら、自らのサイコパワーを駆使した格闘家としても活動している。
その彼女は今、窮地に立たされていた。

「はぁっ、はぁっ……」

息を乱しながら、首筋に浮かぶ汗を拭う。
アテナの目の前に居るのは、全身の筋肉が膨れ上がった巨大なトロールである。
顔すらも筋肉が隆起して目と鼻と口の区別が付かない。
全身が土気色で、股間にぶら下がっている性器が、すでにアテナの二の腕はあろうかといった太さだ。
そして男の両腕は電気を帯びているらしく、皺の入った指は大腸のように太く長い。その先端から、時折パチパチと音を立てて火花が弾ける。

いつも元気に、明るく笑顔。それが自分の仕事であると、アテナは理解している。
しかし、目の前の巨人を前にしたとき、彼女は顔をひきつらせることしかできなかった。
目の前の巨人は醜悪極まりない。男の頭部の周りにはハエが飛び交い、猫背で全裸で、なおかつのしかかってきそうなほどの巨体。
アテナは半ば本能的に、ファイティングポーズを取っていた。
咽せ返るような嫌悪感と背筋を貫くような危機感。
自らの心臓が戦慄と緊張で高鳴っているのが、アテナ自身もよく分かった。

男はゆっくりとアテナへ近づいてくる。

「サイコォ……」

アテナが両手を横に伸ばし、手にパワーを貯めーー。

「ボォル!」

両手をクロスさせて光の球を前方に発射した。
入念に練り上げたサイコパワーの塊は男の腹に一撃を与えたーーしかし。

「うそっ……?!」

アテナが絶句する。男は肉の壁でもあるかのようにびくともしない。
男の足を止めることはできていない。
アテナの逃げ場が次第に失われていく。
すでにアテナの全身は男の影に呑み込まれた。
圧倒的な威圧感を前に、アテナは後ずさりをしてしまう。
次第に、空間の隅へと追いやられてしまう。

「……くっ」

圧倒的な恐怖。
あの腕で殴られでもしたら一溜まりもない。
――しかし、その感情を決して顔には出すまいと、普段のアイドル業では決して見せることのない闘志を燃やした目を向ける。

「あら、もう降参かしら?」

そのとき、繭羅の声が天井に備え付けられたスピーカーから発せられる。アテナはその声を耳にしているのだが、視線は男の体から一時も放すことはない。

「どうしたの? あなたのサイコパワーとやらの力はその程度なのかしら? せっかく今日のお客様は貴女の大ファンなのだから、もっと見せてあげなさいよ。貴女の頑張っているところをね」
「っ! 私は、まだ負けてない……! テレポート!」

アテナは瞬間移動で、男の背後へと瞬時に回ると、振り向きざまに男の脇腹へ回し蹴りを放つ。サイコパワーで強化された脚力のキック。男は身体のバランスを崩す。
その隙を、アテナは逃さない。
腰を捻り、彼女の長い髪が首筋の汗を振り払い、飛び散る。

「サイコソォォード!」

アテナは高く飛び上がりながらアッパーを繰り出し、男の腹から胸元にかけてを深く抉る。男は絶叫しながら、血を思い切り吹き出す。

その血を全身に浴びてしまうアテナ。

「ぅっ、けほっ、けほっ」


195 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:04:28 ???
男は仰向けに倒れる。
飛び上がったアテナが血溜まりに着地し、目や顔に入った血を片手で拭う。

「この程度で、私は負けない……あきらめない…っ!」

興奮冷めやらぬまま息を荒げて、肌にもコスチュームにも血がべっとりと付着した姿ではあったが、誇り高きサイコパワーの戦士として、力強く拳を握る。
決着がついたかに思われた。

しかし、別室に居る繭羅はくすりと微笑んでいる。
なぜなら――。

「ーーっ、あ?!」

突如、アテナは全身をびくりと強ばらせたかと思うと。

「な、なに……っ……?」

自分の身体を抱きしめるように腕を回し、膝を曲げて座り込む。
何が起きたのか。唯一知っている繭羅はマイクに口を近づけてそっと囁く。

「ふふ……その血はね、あなたのエネルギーを吸収しちゃうの……あなたの体温と一緒にね……」

アテナに貼りついた血は、まるで命を宿しているかのようにうごめき始めていた。

「ひっ……!」

肌の上をもぞもぞと駆け回る不快感。
そして、生きている血はアテナの体中にある穴から中へ入り込んでいく。
アテナが必死に手で血をぬぐい取ろうとしても、血は指に付着して全く効果が無い。

「い、やぁっ……さむい……っ、う、ぅぅぅっ…!」

体温を確実に奪う血。
アテナは己の身体を抱きしめるが、歯がカチカチと震えてしまう。
自分の身体が冷たい金属で固められていくかのよう。
現にアテナは、自分の両脚に力が入らなくなっていた。自分を抱きしめる腕すらも力は無い。

血はアテナの体内へと染み込みーー確実に力を奪う。
しかし、血はアテナの身体をさらなる苦悶へといざなう。

別室に居る繭羅は、マイクに口を近づけて、そっと囁く。




「さぁ、ダンスショーの始まりよ」




繭羅が細長い人差し指を、パチンと鳴らしたその瞬間。


196 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:06:38 ???
「っ――――かはっ!?」

アテナが目を見開き、全身が痙攣を開始する。

「っ、っ!! ひっぁっ!? あっ、かっ……かはっ! っぐぁ…!?」

膝立ちの姿勢から上半身を前に倒して、尻を突き出した状態になってしまう。
びくっ、びくっ、びくんっ
アテナは床を転がりまわりながら、後頭部を床に打ち付けて、全身を動物のように収縮させる。
床の血溜まりが、アテナがもがく身体の動きで、精神病者が描いた絵画のような奇怪な文様のように薄く広げられる。

「いつものように軽快なステップを踏んで……人々に夢と希望を与える元気な歌声を響かせて……ねえ、貴女のダンスもっと見せて? 貴女の唄もっと聞かせて?」
「っ、ぁ、んあァアアアァアァっっ!!」

鋭い悲鳴を上げながら、ひと際大きな痙攣がアテナの身体に襲い掛かり、彼女は腰を高く浮かせて激しくもんどりを打つ。
そして、激しい発作がゆっくりと収まっていく。しかし、アテナは呆然とした表情のまま、ぁ、ぁ……と呻いて動けない。両脚をだらしなく広げた姿勢で、スカートがめくれあがり、花柄のショーツと両脚の付け根が丸見えになっている。
彼女のステージは突然幕切れとなる。彼女の全身を、巨体の黒い影が覆いかぶさる。

「ふふふ……やりなさい」

男はゆっくりと近づくと、アテナの両足を掴んで思い切り広げ、頭部を男の肩に乗せる。

「や……ぇ……っ!」

なすがままにされるアテナも意識だけは残っているらしく、顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら懇願する。
アテナの身体は股割ができるほど柔軟だったが、その両脚が男の力で限界まで拡げられる。

「やめてっ…! お願いだからっ……やめっ……!」

男がその願いを聞き入れるはずもなくーー。
空中高く飛び上がった。
天井ぎりぎりまでジャンプした後、アテナの体は重力に逆らえないまま真っ逆さまに落下……。
着地と同時に、アテナの長い髪が衝撃でうねる。

「ぅあぁっ!!」

首と股関節が悲鳴をあげて軋み、頭に付けていたカチューシャが衝撃で割れた。

「クスクス……見えない部分の手入れがなっておりませんわね。」

股間を大開きにした体勢のアテナ。その状態で関節を決められ、完全にホールドされてしまう。
股間を覆うショーツの隙間からは、縮れた茂みがわずかにはみ出してしまっている。
ショーツはヒップに食い込んでしまい、汗を吸い込んだせいか少し縮れている。
関節の激痛にアテナは全身を喘がせて、太ももの柔らかな筋肉をぶるるっと震わせた。

しかし、本当の地獄はここからだった。


197 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:08:15 ???
逆さまで開脚された状態のまま、男は鼻息を吐き出すと、男の性器が俄かに硬直を開始し、二の腕がぴりぴりと帯電を始める。男は性的興奮を露わにしてそれを隠そうともしないーー。
そして、二の腕に溜まった電気はやがて大きな音を立てて弾け飛び、その電流は男の腕へ、そして手へーー。

「きひっーー!」

そして、アテナの全身に電流が流れる!

「んにャアぁあぁああぁあぁあっ!!?」

アテナは白目を向きながら、舌を突き出して涙と涎を飛ばして絶叫する。全身を完全に固定しているために暴れまわることもできない。

「キアッあっ、ぅあッ、イヤァァァァァア"ア"ア"ア"ア"ア"!!」

コンサートステージで出す元気いっぱいの歌声からは想像できないほどの汚い絶叫。
しかし今は、首を大きく反り返して白い喉をさらし出しながら、喉が潰れるような悲鳴を上げる。
しかし、その悲痛な叫びすら覆い隠すほどの、激しい電撃音が、狭いコンクリ部屋に反響する。
バリバリバリバリ!!

「じぬ”っ! ぢヌ”ゥゥゥゥ!! ぢんじゃウゥゥウ”ゥ”うう”っっ!!」

やがて電撃が収束しーーアテナの口や全身に黒煙が上がった。既にアテナの意識は朦朧とした状態で、全身の筋肉か弛緩しきってしまい、股間から汚物を垂れ流してしまっていた。
男は、遊びあきたおもちゃを投げ捨てるようにアテナの全身を放り投げる。
ベチャリ、と水音を立てて地面に倒れる。

「はっ……ひ……はひ、はひっ…」

微かに残された意識のなか、かすれた声を出すアテナ。
ブっ、リュリュゥ……。
放屁音とともに、膠質状の汚物がショーツの隙間から食み出す。
アテナは光を失った目から涙をとめどなく流しながら、ひどく赤面していた。人前ではとても見せられない痴態を晒しだしてしまっていることに、アテナは気づいている。しかし、どうすることもできない。
女としての尊厳、アイドルとしての尊厳を軽く打ち砕くほどの激烈な苦しみ。

アテナの腰のあたりから音もなく水たまりが広がっていくのをよそに、男は逞しい肉棒を反り返らせながらゆっくりと近づく。
アテナは体を退こうともがく。動けないにも関わらず、動こうとしているのがよく分かる。しかし、かろうじて動かした腰は、まるで誘っているように扇情的だ。
ーー端的に言って無様という他はなかった。しかし、汚物にまみれた尻を、まるで物乞いのように差し出している姿は、それを観察している繭羅に倒錯的な快感を与えた。
しかも、目の前にいるのは、一般人では決して手に届かないアイドルという存在なのだ。
心地よい優越感を味わう繭羅。その肌は興奮で少し汗ばんでいた。
ぞくぞく……ぞくぞく……。

「そうねぇ……せっかく貴女のファンが居るのだから、もう少しだけサービスしてあげようかしら」

スピーカーから繭羅のアナウンス音が響く。そのスピーカーから、無慈悲な命令がアテナの下に降り注ぐ。

「二度とアイドル業なんてできなくなるように、顔面を破壊することにしましょうか♪」


198 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:09:30 ???
「ヒっ……!」

アテナが声をひきつらせる。繭羅の言葉は、アテナにとって死刑宣告に他ならない。
男はロングになったアテナの髪を掴み、ゆっくりと全身を持ち上げる。
そのまま殴りつけるかと思いきや

「うぇ、ぅぶっ……ゥウゥウッ」

男の胸元にできた傷から染み出してくる血を、アテナの顔面でぬぐい取るようにこすりつけた。男の血はぬたりと粘ついてアテナの顔にたっぷりと塗りつけた。
そして、男が一息をついたと思うと、男はアテナの顔を自分の目の高さまで持ち上げーー。

「た、すけ……て……」

男はアテナの顔面を思い切り殴る!!
バゴッ!

「っ、かはっ」

それからアテナの口から悲鳴があがることはなかった。頬骨が殴打されて砕かれる音が、妙にリズミカルに響き渡るだけだ。アテナの顔は右に、左に、上下にむちゃくちゃに動き回る。しかしそれは、男のパンチの衝撃でなすがままにされているだけのことだ。
青あざが目許に出来上がり、両方の鼻の穴から鼻血を垂れ流す。

ベキィっ!!

強烈なアッパーを食らい、大きく仰け反るアテナ。顎の骨が砕かれ、だらしなく口を開けてしまう。その口から、パラパラと、折れて血のついた歯が落ちた。
「ぁ、ぁ……ぉっ、おォっ……」

が、くんっ
ぴくっ、ぴくっ……ぴくくっ……

完全に意識を失ったアテナは、首が座らなくなり、そのままうなだれてしまった。
シュウン……という収束音とともに、サイコソルジャーの変身が解け――下着姿になってしまった。
麻宮アテナは、元気な格闘アイドルから、ただの女子高生へと――否、ただの女へと成り下がった。
男に全身を屈服させられるだけの存在。

男は、最後の仕上げと言わんばかりに、太い肉棒を無理やり咥えさせた。
顎が壊されているために、鼻の形が変形するほど大きく口を広げられながらの強制フェラチオ。
男は腰を前後に振りながら抽挿を開始する。

ぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっぐちゅっ

喉奥を衝かれる度、アテナの下半身がぺちぺちと跳ねて男の太ももにブーツを打ち付けていた。
やがて男が鈍い唸りを上げながら射精した。
アテナは白目を剥いて気絶したまま、鼻の穴から白い液体をだらだらと垂れ流した。
男が腰を大きく前後に一度振ると、アテナの口から肉棒は抜け、アテナは頭から崩れ落ちた。
別室の繭羅も、画面から目を離して、椅子に深く身体を預けながら両足をピンと伸ばし、背筋に潮が引いていく愉悦を楽しんでいた。


199 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:10:30 ???



「最高だった……実に素晴らしかった……」

アテナの公開処刑を見ていた客が、繭羅に讃辞を送った。
彼はVIP会員であり、D会の発足以降、ずっと影で支えてきた男だった。
本来、一般客が繭羅に謁見することは無いが、これまでD会を支援してきた金額は相当な額であり、繭羅と二人で話ができるほど親密な関係になっていた。

「ワタクシが開催するショーなのだから当然ですわ。貴方が喜びそうなことも手に取るように分かるのですもの」
「ああ、そうだな……どうすれば私を喜ばせることができるのかよく分かっている。全く、君は悪魔だよ」
「あなたが麻宮アテナのファンだったことは意外でしたけれど」
「どうかな……もともとアイドルは嫌いでね。特にあのアテナという奴は、元気と笑顔の押し売りだからな。視界に入れただけで気分が悪くなる。へらへら笑って歌ったり踊ったりしていれば男が自然に寄ってくるとでも思いこんでいるような面構えだ。だからいつも、調子に乗ったこの女をオカズにして頭の中で何度も無様に殺していたのさ。歌は一曲も知らないし、名字も最近知ったのだけれど、これでもファンと言えるものなのかな」
「あら、ああいうアイドルのファンは、大なり小なり汚らわしい妄想をするものではなくて? 手をつないだり、付き合ったり、キスしたり、交尾したり……うふふ、口にするだけで吐き気がしそうですわ」
「オーバーキルルームに入っても?」
「もちろん。案内いたしますわ」





「それにしても」

地下室へと繋がる階段を降りながら、繭羅が口を開いた。

「あなたのような公僕がワタクシのショーに夢中だなんて……この国も地に落ちたものですわね」
「日本人は礼儀正しくて、日本は治安の良い美しい国だろう? 君はそう思わないかい?」
「よく躾された国……そういう印象しか持てませんわね」
「確かに、よく躾された国だ。少女の陵辱殺戮ショーは人に見えないところでやるに限る。実社会で少女を誘拐したり殺したりする連中は全く愚かだね。前も女子高生を殺した容疑で逮捕した男の取り調べをしたが……俺のことが怖いらしく、終始おどおどしているんだ。アレは馬鹿だな。思わず鼻で笑いたくなったよ」

繭羅はなにも言わず階段を下りつつ、最下層部にたどり着く。オーバーキルルームの扉の前へたどり着く。

「忠実な公僕の犬一匹のために、わざわざ準備してあげたのよ。光栄に思いなさいな?」
「ははは……ありがたく受け取るとしよう」
「では、どうぞ中へ……」


200 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:11:45 ???


部屋の中には、全身の肌を切り刻まれて血をだらだらと流すアテナが一人。
彼女は全裸であり、身に纏っていた花柄のショーツを丸めて口に詰め込まれていた。
顔は無惨としか言いようがない。瞼は腫れ上がり、唇が切れ、鼻は完全に潰れてしまっている。おまけに男の精液が塗りつけられてしまったからか、ひどい悪臭を放っていた。
相変わらず意識はない。
ぽっかりと空洞のように開いた瞼に、何も映し出していない人形の瞳が浮かぶ。
彼女は両手を手錠でつながれた状態のまま、わずかに爪先が地面に浮いた状態で宙吊りにされていた。
彼女の背後にあるコンクリートの壁には、セーラー服や水着姿、様々なアイドルコスチュームに身を包んだ等身大のポスターが貼られている。
どのポスターも、笑顔を浮かべながらポーズを取っている。

「よく集めたな」
「簡単に手に入りましたわ。何と言っても、日本を代表するアイドルですもの」
「目の前でぶら下がっているコレがな」

男が片足でアテナの横腹を蹴る。ドゴ、と鈍い音を立てたかと思うと、左右にぶらぶらと揺れるアテナ。
鎖のつなぎ目が軋む音が鳴る。

繭羅は貼られてあるポスターを片手で押さえて、懐からカッターナイフを取り出した。
カチカチと刃をせり出し、ポスターに写っているアテナの輪郭に沿って刃先でなぞっていく。全て切り終えると、アテナの部分だけがはらりと地面に落ちる。

「ふふふ……」
 繭羅は微笑すると、そのまま切り取ったアテナの首の部分にカッターを入れて、一気に切り裂く。切り離された胴体は、足元から崩れ落ちるように、またはらりと落ちた。

「どんなに辛いことがあっても、笑顔と元気があれば乗り越えられる。それがあなたのポリシーでしたわね……クスクスクス……」

繭羅はガムテープで、切り取ったアテナの笑顔を、無惨な顔面に貼り付けた。満身創痍の肉体に、舌を出してウインクをしたアテナの顔が貼りつけられる。

男は哄笑しながら、アテナの全身を何度も蹴る。そのキックに力は込められていない。
足でアテナを前後左右に揺らして弄んでいるだけだ。
しかしアテナは、時々助けを求めるかのように、内腿を擦るようにして僅かにもがく。

「おい、元気を出してみろよ。その笑顔で乗り切って見せろよ。この絶望をな……」

繭羅はカッターナイフをアテナ本人に向ける。先ほどポスターから切り取ったように、カッターナイフを肌の上で滑らせていき、刃が首筋に達したとき、そのカッターを横へ……。


201 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:12:51 ???




聡明な顔つきの刑事は、娘の家を後にして、そのまま飲み屋に入った。

「面白そうなショーがあるんだが、行ってみないか?」

頭を禿散らかした、死ぬまでの暇つぶしのために働いているだけのような、よれたサラリーマンスーツの男にチケットを渡している。
チケットには、『炎髪灼眼の討ち手』『帝国騎士団副団長』の文字が印刷されているのが分かる。

聡明な刑事は、口角を釣り上げる。
チケットを受け取ったあの男もまた、よく躾された犬でしかない。躾された犬は、本能を上手く隠すことができる。肉を食いたい。血を啜りたい。女を犯したい。そういった本能が顔にでないようによく訓練された犬。
だから犬どもは繭羅に集まる。隠れた本能を引き出し、充足させる悪魔のような少女。人間は悪魔の果実には逆らえない。彼女の差し出す毒リンゴの味を、すっかり覚えさせられてしまった。

「この私でさえもな……」

男は先ほどの捜査で娘に見せた警察手帳を取り出す。物々しいデザイン。公僕の犬の首輪。
男はその手帳を開き、メモスペースの一ページで捲る指を止める。そこには、夥しい数の手書きの文字で埋め尽くされていたーー

『鍵無繭羅を殺したい鍵無繭羅を殺したい鍵無繭羅を殺したい鍵無繭羅を啜りたい鍵無繭羅を殺したい鍵無繭羅を啜りたい犯したい殴りたい蹂りたい殺したい縊りたい鍵無繭羅を殺したい犯したい』

「マスター」

男はバーのマスターに呼びかける。

「チケットを一枚頼む」


マスターは金色の歯をきらりと輝かせるように笑うと、一枚のチケットを受け取る。男はそのチケットを指で丸めた。

ーー……あと二分で、彼女はやってくる。

遅刻することは決してない。暗殺者という己の使命を誇りにしているからこそ、そのようなヘマは決してしない。
きっちり、男の高級な腕時計が夜の十時を差した瞬間、ドアが開く乾いた鐘の音がした。
店に入ってきたその少女に、客の視線が一斉に向けられる。しかし、その客たちは、見てはいけない物を見てしまったかのように、慌てて視線を逸らした。


202 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:14:15 ???
入ってきたのは、小学生ぐらいの、年端もいかぬ少女に過ぎない。しかし、その少女からは並々ならぬ気配が漂っていた。
ゴスロリ調の服装をまとい、彼女の下半身を覆い隠すほどの巨大なキャリーバッグを両手で抱えている。白磁のように白々とした肌。そして、弱者必滅の世界を見通し続けてきた、虚ろな緋色の眼。

「はじめまして、リーゼロッテ君」
「……」

男の気安い呼び方に、リーゼは返事をしない。そのまま、背の高い椅子にちょこんと座る。足先が宙に浮いたままだ。

「騒がしい場所は嫌い……」
「仕方がないよ。ここが入口なんだ。要件はすでに伝えた通りだ。ターゲットに近づくには、このダフ屋のマスターからチケットをもらうしかない」
「……そう」
「今回の仕事だが……ひとつ注文を付けても構わないか?」
「……」
「仕事を済ませたら、彼女が身にまとう服を脱がせて、持ってきてほしい」
「……」

変態ーーリーゼはそう思ったが、この男は自分にとって客でしかない。成すべきことを成して、報酬を貰う。所詮その程度の関係でしかない。今までずっとそうだった。
リーゼはこれまで、客の命令どおりに人間を暗殺してきた。
さる大企業の要人や財界の重鎮。
いっさい足がつくこともない犯行。
そういった数々の仕事に、いちいち罪悪感を感じるようなリーゼではなかった。
しかし、己の私利私欲のために人殺しを依頼するこの男の依頼を受けるつもりは毛頭無かった。

「……生憎、仕事を受ける気は無い」
「なんだと?」
「……私利私欲で人を殺す畜生の御用聞き。命の重みを知らぬ者に仕事を頼まれるのは、はっきり言って、不愉快」

ウェイトレスが注文を尋ねに来るよりも早く、リーゼは椅子から立ち上がる。

「今日は、畜生の顔を拝みに来ただけ……残念でした。じゃあね」

物静かな口調にかすかな侮蔑の色を含ませて、リーゼはそう言い放ち、男に背を向けて去ろうとする。
その小さな後ろ姿に、男は一声をかける――。

「今回の標的が、君の友人である愛乃はぁとを殺した張本人、だとしてもか――?」

カツン、と。
リーゼは足を止めた。



<続く?>


203 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:19:04 ???
ノエルの人です
今回は、ちょっとリョナ少なかったかもしれない

リョナ挟みつつ、ちょっとずつ風呂敷をたたんでいきます
ネタに苦しんでるので、貪られキャラ・貪りキャラ・シチュ等もあればどうぞ(全リクは無理だけど…;)
特に貪りキャラでいい案あるとすごく助かる

では、また
ノシ


204 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:41:41 ???
>>203
とっても良かったです!!
ところで貪りキャラについての提案なのですが、貪られキャラの可愛らし
らしさor美しさに嫉妬した醜悪な女、なんてどうでしょう?


205 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:51:22 ???
乙っした!
アテナのコスチュームが消える辺りがとてもツボでした、はい。
繭羅にもジワジワとフラグが立ってきましたね。

ところで、チケットの文字……シャナのリョナに期待しても良いということでしょうか?
もしも貪りキャラのリクエストが可能でしたら、
炎(シャナ原作で言うなら存在の力?)のエネルギーを吸い尽くしてしまう雪女的な敵による、
エナジードレイン→炎髪解除&全身凍結なシチュとか如何でしょう?


206 : 名無しさん :2014/07/23(水) 00:55:59 ???
>>203
リョナも充分にあって凄く良かったです、特に後半の顔面破壊パートは素晴らしかった

責め役ですが、次回はシリーズに出てくるオッサンに直接殺らせてみてはどうでしょう?
ターゲットを閉じ込めた部屋のトラップをオッサンが別の安全な部屋から操作して痛めつけるとか


207 : 名無しさん :2014/07/23(水) 21:47:59 ???
リョナ分足りなくはなかったが、スカ(大)あるなら注意書きが欲しかった
他はGJだったが、どうもウンコは苦手だわ


208 : 名無しさん :2014/07/23(水) 22:58:32 ???
ノエルの人です


>>204
醜悪な女って、SSだとどうやって表現したらいいんかなぁ

>>205
シャナは強気だけど小柄なところがいいよね
足でぐりぐりやって転がすのにちょうど良さそうな大きさ

>>206
なるほど、トラップネタは面白いかも

>>207
ごめん、今後は気をつける


209 : 名無しさん :2014/07/23(水) 23:23:55 bQUOggqE
悪魔城に乗り込むもジョナサンとはぐれて単独行動になってしまったシャーロット… 本来なら一人でもゾンビごときに遅れをとるはずもない彼女ではあるが少しの油断とその16という年齢にそぐわない実力からくる慢心により一匹のゾンビに首筋を勢いよく噛みつかれてしまった…… 回復するまもなくそのまま多勢のゾンビに押し倒されるシャーロット。抵抗を試みるも、物凄い勢いで体に噛み付いてくるゾンビ達(ザッと4体くらい)
ゾンビに噛みちぎられ想像を絶する激痛に涙を流しながら絶叫をあげて悶えるシャーロット。 肉を食いちぎられる激痛のなか、意識を失いそうになりながらも抵抗する…
ゾンビ達に綺麗な手足やふくよかな乳房を噛み千切られ、内臓を引きずり出され食らわれる。「いやぁぁぁ!! 放して!!!! いやぁぁぁぁっっ!!!!」 女性の象徴であるおっぱいを食べられさらに激しく抵抗するシャーロット…… しかし抵抗虚しく彼女の二つの柔らかな膨らみは鮮血を吹き上げ無惨にもゾンビにより抉りとられ食されてしまった… どんどん身体や臓物を食べられだんだん意識が朦朧としていき抵抗も薄くなっていくシャーロット… しかし下半身を食べていたゾンビが彼女の生殖器に食らいつき、まだ若く男を知らないそれにむしゃぶりつく……卵巣を引きずり出して美味しそうに食べるゾンビ…「やめて……」最早激痛を通り越して意識も定かではない彼女が女性器を取り出され食べられることに抵抗を見せる……しかし僅かながらの抵抗を見せた彼女に更に数匹のゾンビが多い被さり元々いたゾンビ達と共にまるでほんの僅かな抵抗を許さんとばかりに一気に彼女達の肉体に食いつく!!!! 「いやぁぁっ… ジョナサンーーーーーー!!!!  ……ぁ……」 遂に抵抗むなしく、最期の断末魔の悲鳴をあげ、周囲に大量の血を飛び散らせ絶命するシャーロット……その後周りにいた他のゾンビ達も
皆シャーロットに集まってきて一緒にもはや息絶えた彼女の若い肢体を音を立てて食い荒らす。
骨や肉を奪い合い、シャーロットの若くて柔らかい肉を存分に楽しむゾンビ達。文字どおり骨の髄まで大勢のゾンビ(10体ぐらい)にしゃぶられ、食いつくされるシャーロット。綺麗な顔以外のほぼ全部の肉を食べられてしまい、ゾンビ化などはとてもできる状態じゃない‥‥ その若く美しい血塗られた顔にはうっすらと涙が流れていた…最後は骨とわずかな肉片のみとなり死の支配する城の一部となり、最期には白骨がモンスター達によって晒されるのであった


210 : 名無しさん :2014/07/24(木) 04:53:56 ???
改行くらいせえよw
あとキャリーでも書いてくれ


211 : 名無しさん :2014/07/25(金) 13:19:16 ZDePfDmQ
ところで「食う」と「喰う」ならどっちが表現としてはより良いかな?


212 : 名無しさん :2014/07/26(土) 12:28:46 ???
喰うだとわざとらしい気がするけど
ここぞで使うなら


213 : 名無しさん :2014/07/27(日) 12:55:37 ???
>>168
消しちゃった?読みたかったなぁ


214 : 名無しさん :2014/07/27(日) 13:36:41 ???
>>162のレスを受けて
私も「とにかく女の子が苛められるだけ」のSSを書いてみましたので
投下しておきますね

メイドが主人にお仕置きされるSSです


215 : 名無しさん :2014/07/27(日) 13:38:54 ???
D会がかなりハード寄りなので
よりソフトな、エリョナ寄りのものを目指してみました





ひとりのメイドが、主人が居る部屋の前で立ち止まる。
頭には純白のフリルが付いたカチューシャを身につけ、紺と白のコントラストが映えるロングスカートのメイド服を着ている。
両足をぴちりと閉ざし、両手を慎ましく腹の辺りに添えながら、メイドは思いつめた表情を浮かべて立ち尽くしている。
しかし、覚悟を決めたように拳を握ると、ドアを軽く三度ノックする。

「料理担当のエミリアです」
「入りなさい」

少年の声が中から聞こえてきた。

「失礼します」

厨房のメイドたちを指揮する立場にあるエミリアは、主人に失礼のないようにハキハキとした口調で答える。扉の開閉も余計な音をたてずにスムーズに。
扉を閉めてエミリアが部屋の中を見ると、大きな文机と革の椅子が置かれている。その椅子に腰掛けて、少年はエミリアに背を見せていた。しかし、彼は煙草を吸っているらしく、紫煙が立ち上っている。

「お約束通り、ひとりで参りました。どのようなご用件でいらっしゃいますか」
「……そんなことは、君も承知のはずだがね。なぜ僕の元に呼び出されたのか」
「……はい」
「では、なぜ呼び出されたのか、ここで言って見たまえ。懺悔の姿勢でな」

少年の言う懺悔の姿勢。
それは、両膝立ちをして、胸の前で両手をくむ姿勢。
エミリアは、ただちにその通りの姿勢を取る。
エミリアは視線を上げて、少年の両目をじっと見つめる。
少年の冷徹な視線に怯えることなく、流暢な言葉で懺悔を始める。

「私は……来賓の方々との会食の場で……ご主人様のお口に召さないものをお出ししてしまいました……私は、ご主人様に対し、大変不快な思いをさせてしまいました」

少年は片足を組み、目を細めて、エミリアの細い首もとを一瞥した。

「ふぅん、君か。あの水のように薄くて味のないスープを作ったのは」
「……はい」

実際に作ったのは、まだ経験の浅い別のメイドであった。
自分がしっかりチェックしていれば、このような事は起きなかったはずである。
エミリアは思わず顔を下げてしまいそうになる。
料理長として大きな責任を担った自分。
一人前のメイドとして、自分の仕事に誇りを抱いていた。
しかし、今は蛇に睨まれた蛙のように、少年の視線に射抜かれて、怯んでしまうしかなかった。


216 : 名無しさん :2014/07/27(日) 13:40:20 ???
少年は立ち上がると、エミリアに近づいて顎をくいと持ち上げる。

「あっ……」
「ふん、芋臭い田舎者の顔だな。どうせ君は、都会の洗練された味という物が理解できないんだろう」
「……はい、その通りです」

少年の言葉を否定してはならない。
自分のようなただのメイドが、主人に意義を差し挟むようなことは決して許されない。
長い使用人生活の中で、エミリアはその掟を骨の髄まで理解させられていた。

「君みたいな役立たずを雇ってしまった僕の身にもなってもらえないか? 僕はわざわざ君を雇ってあげているんだ。君の胸元についているその懐中時計は、ただの飾り物か?」
「はい、その通りです……」

否定することは許されない。主人の言葉は絶対。

「ならば、僕に仕える必要はないな。この金槌でその役立たずの懐中時計を叩き壊してやる。そしてさっさと故郷に帰って、牧草でも食んでいればいい」

少年はエミリアの目の前に金槌を突き出した。エミリアの口元に、金槌の柄が浮かんでいる。
少年に仕える使用人は、常に金色の懐中時計を携えていなければならなかった。その時計が、少年への絶対的忠誠を示す証である。
それを壊すということは、解雇されることと同義である。

「ご、ご主人様……!」

エミリアは少年の腰の辺りを掴んで、上目遣いで必死に懇願する。

「お許しください。私はご主人様に身も心も捧げております。どうかお見捨てにならないでください……!」
「じゃあ、罰を受けるか?」

少年は口元に笑みを浮かべながら答える。その不吉な笑みに、エミリアは気づかない。

「はい! 今回の件は全て私の責任です……どうぞ、この不出来な私めを……ご教示ください」
「調教の姿勢をしていないな」
「っ! はぃ……」

調教の姿勢。
それは、ロングスカートをたくしあげて、自分の股間を見せること。
異性には誰にも見せたことのない部分を晒す。
懐中時計のように常に正確でなければならないメイドにとって、失敗を犯してしまうことは、恥部を晒すことと同じぐらい恥ずべきことである。
時計もメイドも、不正確なものは不良品なのだ。

「この金槌を咥えろ」

主人の命令は絶対。
故に初めから、エミリアに拒否の選択肢はなかった。
エミリアは少年の言うとおり、口をすぼめて金槌の柄を咥える。

「んんんっ……ん」
「ふん……出来損ないのメイドが」

少年は自分の椅子に戻ると、隠していたスープ皿を一枚取り出す。
皿の中には冷め切った件のスープが入っている。
少年は、スカートをたくしあげてショーツを露わにしているエミリアの足元に、スープ皿を置く。

「ーーそのスープには塩が足りないから、君の尿で味付けしてもらおうか」


217 : 名無しさん :2014/07/27(日) 13:42:10 ???
エミリアは、その命令に目を見開く。
両指でスカートを摘まんだまま、身動きひとつできない。

「聞こえなかったのか……わざわざ二度言わなければ分からないのかな……?」
「……っ」

否定することは許されない。そんなことはエミリアは理解している。
しかし、エミリアは弱々しげに首を横に振った。
頭で理解していても、本能がそれを許さなかった。
メイドとしての自分が居ても、女としての自分がそれを許さなかった。

一向に動こうとしないエミリアに対し少年は苛立つ。
だから、もっとも簡単で手っ取り早い方法を使うことに決めた。
少年はやおら立ち上がって咥えさせた金槌を引き抜くと、エミリアの額目掛けて思い切り金槌を振り下ろす。

「ひっ……!!」

エミリアはとっさにスカートから手を離して頭を抑えた。
しかし、金槌はエミリアの頭を砕く直前で止まっていた。

「ぁ…っ……」

恐怖で歯をカチカチと震わせるエミリア。
メイドとしての自分を支え続けていた気丈な心が、ぶるるっと振るえたかと思うと……彼女の太ももや尻をつたうようにして尿が滴り落ちた。

メイドは少年の目の前で失禁していた。

ロングスカートの中で尿は飛び散り、自分の尿がスープ皿の中にチョロチョロチョロと音を立てて滴り落ちる音を聞いた。
尿はメイドの純白の靴下や床に敷かれたカーペットにも染み込んでいく……。
少年は無表情のまま、エミリアの額を、金槌で軽くこんこんと叩く。

「ぃっ……いやぁあぁああぁああっ……!!」

エミリアは両手で顔を抑え、信じられないといった表情を浮かべながら座り込む。
自分のおしっこの匂いが下から上がってくる。
不出来な自分の、もっとも下品な匂い。
少年は密かに口元に笑みを浮かべると、エミリアに更なる命令をした。

「その味付けしたスープを全て飲みたまえ。手を使わずにな」
「………………そ、んなっ…………」

しかし、拒否できるはずがなかった。
主人の前で大恥をかいた苦しみ。
エミリアは自分が築いてきたメイド長としてのプライドが崩れていく音を聞いた。

「……かし、こまりっ……まし……っ……」

嫌だ。いやだ。絶対に嫌だ。
激しい嫌悪感と、絶対的な服従心がエミリアの中で渦を巻く。
エミリアは羞じらいで顔を紅くしながら、四つんばいの姿勢になって、恐る恐るスープ皿に顔を近づける。
そしてエミリアは、両目をぎゅっと閉じて、口から舌を伸ばし、ちろりと舐めた。

自分の体温で温められたスープの味がした。
無様な自分の体液の味がした。
ちろちろと、猫のように何度もスープを舐める。
こみ上げてくる吐き気を、なんとか胸元で堪えるが、首筋から噴き出す汗を止めることはできない。

「ぇほっ、げほっ、ケホッ」


218 : 名無しさん :2014/07/27(日) 13:43:26 ???
咳き込んで咽せるエミリア。
呼吸するたび、鼻腔から尿の臭いが立ち上ってくる。

「自分で作ったスープだろう?もっと美味そうに飲んでみてはどうだ?」

そう言うと少年は、自分の革靴の裏を、屈み込んでいるエミリアの後頭部に置き、軽く踏みつけた。

「うぶっ、ゲボッ……!! ぶはっ、ぁ、ンンっ!」

パチャパチャと音を立ててスープ皿の中に顔を押し込まれるエミリア。
息苦しくて顔をあげようと必死でもがくが、息を吸う余裕をほとんど与えずに、少年は後頭部を押し付ける。
髪をおさえるカチューシャや、エミリアの前髪が濡れて汚れていく。

「ぅんっ、ごくっ、こくっ……ぅ、ぉええぇっ、げぶっ、ぶくぶくっ……ゃ、めっ、ぅぅぅぅうっっ!」
「さっさと飲みきって帰ってくれないか。僕は忙しいんだ。貴重な時間をわざわざ空けているんだよ。君と遊んでいる暇ははっきり言ってないんだ。早くしてくれ」

少年はエミリアの後頭部から足をどける。
顔一面がスープで濡れたエミリアは、ようやく自由に呼吸できるようになる。
肩で息をしながら、必死に酸素を取り込む。

「ぁっ、いゃっ……」

少年は四つん這いになったエミリアのロングスカートをめくり、尻を露出させる。
失禁で色が黄変したショーツ。
少年はそのショーツをつかんで、Tバックになるように尻の中へ下着を食い込ませる。

「さっきから君は『いや』と言っているな。もう少し自分の立場を分からせる必要があるようだ。ふん、何が『身も心も捧げている』だ」
「わ、私は……アシュロッテ様のために……」
「黙れ」

少年は思い切り手を振り上げて、ばしィッ、とエミリアの臀部を叩く。

「いっっっ……! ぉゆるし、くださっ……」

バシッ、ベシッ、ビシッ、バシッ

それほど痛くはない打撃である。
今まで、コレよりももっと辛い目に遭ってきたから、慣れている。
しかし、尻を叩くこのお仕置きは、まだ幼い子供メイドのお仕置き方なのだ。
二十歳を過ぎて間もない、厨房メイド長のエミリアにとって、このお仕置きは屈辱以外の何者でもない。

「君は……確か二十一歳だったな。ははっ、良い年して僕の目の前で失禁か。大人とは思えないな。身体だけ発達した子供みたいだ。田舎出身は育ちが悪いらしい」
「ぅっ、うっ、うぅうっ……」

エミリアは涙を流しながら、少年の罰を受け入れるしかなかった。柔らかな尻に、赤い少年の手形が刻みつけられていくーー。
尻叩きの罰は少年の気が済むまで続けられた。


219 : 名無しさん :2014/07/27(日) 13:45:10 ???




「エミリア料理長!」

衰弱しきった顔を浮かべたまま廊下を歩いていると、背後から聞き慣れた少女の声がした。
振り返ると、赤髪で短髪の、少し肌が浅黒い少女メイドが現れる。

「ぁ、あのっ……」

彼女が言いたいことは、エミリアもすぐに分かった。

「どうして料理長が……今回のことは、私の責任ですっ……料理長は何も悪くない……それなのに」

例のスープを作ってしまった本人である。
しかし、エミリアはとても彼女を責める気にはなれなかった。
田舎にいる病気の父親のために、必死になって働いているのだということを、エミリアは知っていた。

「誰にでも失敗はあるわ。あなたはまだ見習いなのだから、失敗しても仕方ないわよ。また同じことを繰り返さなければ、それで良いじゃない」

エミリアは普段通り優しく微笑んでみせる。いつも通りの笑顔になっているかどうか、エミリア自身には分からなかった。

「……っ、料理長っ……私のせいで、私のせいでっ……」

あぁ、ダメだ。
いつも浮かべている微笑みなのに、今はきっととても酷い顔なのだろう、とエミリアは思った。

「また今度、美味しいスープの作り方、教えてあげるから。ご主人様のお口に合う、とっておきのスープをね」

できる限り、元気を出した声で明るく話しかける。
ポロポロと涙を浮かべている少女に、エミリアは予備のハンカチを差し出す。
彼女は常にハンカチを三枚用意していた。
一枚目のハンカチは、自分の酷い臭いが染み込んでしまっているから、渡すわけには行かない。

「もう夜遅いわ。朝食の仕込みがあるのだから、今日はもう寝た方がいいわよ」
「ごめん、なさい……」
「あなたが反省しているってことは、私も良く分かっているわ。貴女はただ、明日のことだけを考えればいいのよ。じゃあ……私はシャワーを浴びてくるから」

エミリアは、お休みの一言だけ口にして、少女に背を向けた。
そのままシャワールームへ向かう。
また明日、厨房を司る清廉なメイドとして立てるように、汚い物は全て洗い流さなければならなかった。


220 : 名無しさん :2014/07/27(日) 13:46:32 ???



全裸になったエミリアは、使用人用の小さなバスルームにひとりで入り、蛇口を捻った。
温度を調整するような便利な物はなく、夏は暑く冬は冷たいシャワーが出てくる。
それでも、何も無いよりはましだ。
エミリアは、成熟した自分の身体を撫で回すようにして全身を洗った。
昔に受けたお仕置きで付けられた内股の痣は今も青い。

「……」

今、シャワールームには誰もいない。
水が床のタイルを打ちつけて弾け飛ぶ音だけだ。
とても静かな空間。
使用人に個室はなく、一つの部屋を四人が共同で使う。
だから、この空間が唯一の、エミリアが一人だけになれる空間であった。
エミリアは、蛇口を止める。

「……っ」

くちゅ、くちゅ……。
エミリアは自分の身体から発せられるみだらな音を聞く。
シャワーを首筋に浴びながら、顔に湯を浴びながら、今日起きた辛い出来事を思い出す。
自分はなんて無力で無様なメイドなのだろう…そう思いながら敏感な部分を指でなぞる。

「……っ、ぁんっ……」

ほとんど吐息のような声を漏らし、エミリアは屈みこむ。
そのまま床のタイルに尻を着く。

自分がもっとしっかりしていれば、あの赤髪の少女を悲しませることはなかった。
自分はいつまで立っても半人前で、身体ばかり発達し、いつのまにか子供を産めるほどの身体になった。
しかし自分は、この誰にも明け渡すことのできない子宮に通じる下の唇を、自分の指でなぞることしかできない。

「ゃ、あぁあっ……!?ぁんっ、ぁんっ、ぁあんんっ……!」

常に慎ましい態度で主人に奉仕してきたエミリア。
あらゆる辛いことや苦しいことを、じっと我慢して押し込めてきたエミリア。

「んぁあっ、やっ……やだぁぁっ、ぁあっ、んっ!」

しかし、今この瞬間だけは、何も我慢しなくてもいい。
エミリアは自分の本能の赴くままに鳴く。
エミリアの泣き叫ぶような嬌声が、バスルームに反響する。

(ぃやっ、ダメぇっ……く、る……すごいのが、ク……ぃっく……!)

エミリアは片手で思わず口を抑え、目をぎゅぅと閉じる。

ぞくぞく、ぞくぞくっ……っっっ!

「ーーーーンっっっ!!!」

ビクンッ ビクンッ
ビクビクッ、ビクビクッ……。




「……はぁ、はぁ、はぁ」

浮き上がった腰が再び床に着く。
頂きを超えて潮が引いていくと、心地よい感覚に浸る。
今日あった嫌なことや苦しいことを全て忘れて、また明日も威厳のあるメイド長として厨房にたてる。
今までずっと、こうすることで乗り越えてきた。
エミリアは、天井から降り注ぐ橙色の照明を見つめながら、ぬらぬらと光る自分の愛液に濡れた指を見つめた。
洒落っ気の無い爪だった。料理を作るメイドが、マニキュアなどを塗れるはずがない。田舎者だと言われても仕方が無いような気がした。

メイドに休みはない。
明日も明後日も、美味しい料理を作ることだけを考えて、生きていけばいい。
主人のためにすべてを捧げる。
それが、エミリアというメイドの全てだった。


終わり


221 : 名無しさん :2014/07/27(日) 13:51:36 ???
以上です
物語を進める部分を書くのが面倒くさくて仕方が無い
でも、やっぱり非リョナ部分を書かないと、キャラの魅力が出てこないんよね
リョナってる段階で、そのキャラっぽさを出せるようなささいな描写とか入れれたらいいんだけど

とりあえずノシ


222 : 名無しさん :2014/07/27(日) 14:15:24 23w4hr9k
あげます


223 : 名無しさん :2014/07/27(日) 14:17:59 ???
>>215
リョナ味薄めもハードとはまた違った趣があっていいね
羞恥とかの領域にかぶってるのも好きよ


224 : 名無しさん :2014/07/28(月) 09:41:30 DDaMwG6E
>>221
ふう…ごちそうさまでした。個人的に原型留めず殺されちゃうとかより精神的な屈辱の方が萌える


225 : 名無しさん :2014/07/28(月) 14:17:11 ZDePfDmQ
悪魔城内でゾンビの大群と遭遇したキャリー。 たかがゾンビに遅れをとる彼女ではないが、無限ともとれるゾンビの数に疲労が蓄積しほんの少しの焦りからゾンビに追い詰められてしまう… 一瞬の油断で首筋を噛みつかれて身動きが取れなくなりそのまま多勢のゾンビ押し倒される。高い魔力を抜かせば12、3歳の少女にすぎない彼女に押し返す力等あるはずもなく、押し倒された後物凄い勢いで体に噛み付いてくる数匹のゾンビ達…「きゃあぁぁっ!! 痛いー!! いやぁぁっ!!」ゾンビに全身を噛みちぎられながら涙を流し絶叫をあげて悶えるキャリー。肉を食いちぎられる激痛のなか、必死に抵抗するキャリー…
綺麗な手足や内蔵を引きずり出し、咀嚼しながら食べるゾンビ達… 激しく抵抗するたびに彼女の小振りな胸がぷるぷると揺れる… その小降りだが確かな膨らみを見せる乳房を噛み千切ろうとするゾンビ達。「いやぁぁぁ!!!! やめて!!!!!」女性の象徴である乳房を食べられることにさらに激しく抵抗する… しかし抵抗虚しく彼女の二つの柔らかなおっぱいは無惨にも鮮血を吹き上げ抉りとられ、喰われってしまうのであった… だんだんと激痛を通り越して意識が飛んでいき抵抗する気力を無くしていく… 死が近づいてきた証だ…さらに太ももを食べていたゾンビが彼女の生殖器に食らいつき、まだ幼く男を知らないそれにむしゃぶりつく……「やめて……」最早激痛を通り越して意識も定かではない彼女が女性器を取り出され食べられることに抵抗を見せる……しかし僅かながらの抵抗を見せた彼女の足掻きも虚しく子宮、卵巣を引きずり出してぐちゃぐちゃと美味しそうに食べるゾンビ…… 更に数匹のゾンビが多い被さり元々いたゾンビ達と共にまるでほんの僅かな抵抗を許さんとばかりに一気に彼女の肉体に食いつく!!!!「いやああぁぁっ!……ぁ……」とうとう抵抗虚しく、最期に断末魔の悲鳴をあげて周囲に大量の血を飛び散らせ絶命。しかも周りにいた他のゾンビ達も皆キャリーに集まってきて一緒に彼女のすでに息絶えた若い肢体を音を立てて食い荒らす。
骨や肉を奪い合い、キャリーの若くて柔らかい肉を存分に楽しむゾンビ達。文字どおり骨の髄まで大勢のゾンビにしゃぶられ、喰いつくされるキャリー。
血塗られ涙を浮かべる綺麗な顔以外のほぼ全部の肉を食べられてしまい、ゾンビ化などはとてもできる状態じゃない‥‥ 最後は骨とわずかな肉片のみとなり悪魔城の背景の一部と化した


226 : キモオタがゲ○子型の胸像オナホでパイズリオナニーする話 :2014/07/31(木) 19:36:58 ???
――航空母艦・ブラックノア

鉄の孤島とも言うべき広大な船の一室にてくつろぐ、ひとりの男がいた。
「……」
男――ルガール・バーンシュタインは、目の前にたたずむ胸の谷間に不自然な穴の空いた奇妙な胸像を見ると、なんとも言えぬ表情を浮かべた。
シスターの姿を冠したその胸像は後ろ姿こそ美しいものの、だらしなく口を開き、舌を突き出した状態で、苦悶と恐怖が入り混じった表情をしており、総合的には醜いとすら思える。
「……シュリセルと言ったか……ふん、実に情けない顔だ」
胸像の不細工な顔に目を向けると、ルガールは一層表情を強ばらせ、何処か失望した風な感情を表した。
――ふと、コンコン、と、ドアをノックする音が部屋に響く。
「む、来たか……どうぞ」
ガチャリとドアノブが動くと、醜く太った男が、一層醜い笑顔を浮かべながら部屋へと入って来た。
「いやいやルガールさん! この度はどうも」
脂ぎった顔がルガールの元へ近づく。
「ああ……どうも、お久しぶり」
顔をしかめながら数歩下がりつつ、ルガールは簡素な挨拶をした。
「と、ところで! 頼んでいたモノは!?」
太った男は実に興奮した様子でルガールに尋ねる。
「あ、あぁ……そちらの方にある像ですよ」
ルガールが胸像に指を指すと、男は食い入る様に胸像に近づいた。
「おぉっ! 本当だ、シュリセルちゃんの胸像! ……あぁ、美人が台無しなアヘ顔……これはこれでそそるなぁ!」
「(やれやれ、相変わらず不愉快な奴だ。商売用の武器弾薬の仕入れ先でなければ、その首ねじ曲げてやるというのに……)」
シュリセルと呼ばれた胸像を舐める様に見回す男を、ルガールは汚物を見る眼差しで見下した。
「あぁ、やはりどんな表情でも美しいな。格闘家として頭角を表してからずっと目を付けていただけに、感慨深い……ルガールさん、この度はありがとうございました」
「いえ……こちらとしても、この娘は昔とある縁のあった者の忘れ形見でしてね、闘いに身を置くというのなら、いずれ始末しようと思っていたので」
「『とある縁』……もしかして、ルガールさんの右目に……それとも貴方が持っているという、オロチ? でしたっけ、その力に関係が――」
男はそこまで言うと、言葉を詰まらせ、その場に凍り付いた。
「……あまり、詮索なさらぬよう」
男には、ルガールの存在しないはずの右目が睨み付けている様に見えた。
――詮索は寿命を縮める。さっさと胸像と一緒に帰ろう……男はそう思った。
「――あぁ、少々お待ちを」
そそくさと立ち去ろうとする男を、ルガールは呼び止める。
「――ひっ!? な、なんです?」
ビクッと肩を震わせ、男は振り返る。
「同じく頼まれていたディスクです。その娘を胸像にするまでの過程が収められています」
「あ、あぁ! ありがとう! すみません! それではっ!」
ディスクを手渡されると、すぐにその場を立ち去った。
「――フン」
ルガールは卑しいものを見る様な眼差しを男に送ると、バタリとドアを閉めた。

――やれやれ、相変わらず恐ろしい男だった。

男は自分の屋敷へ戻るなり、そんな独り言をもらしていた。
「まぁ、とにかく……フフ、早速楽しませて貰うよ、シュリセルちゃん」
汚い笑顔を胸像に向けながら、男はルガールから受け取ったディスクを再生した。
「ハァ……ハァ……み、見えているかなぁ? 今から君の死ぬ間際の映像が流れるんだよ、シュリセルちゃん?」
男は興奮しながら、胸像に話しかける。

――ルガール! 遂に、遂に追い詰めたぞ! ……父様の仇!

「ほう、なるほどなるほど……シュリセルちゃんはルガールの奴にお父様を殺されていたのか、いやはや――実にそそるよ、そういうの!」
胸像の、胸の谷間の穴の空いた部分に人差し指を滑らせると、男はまた汚い笑みを浮かべた。

――風よ……切り裂けッ!

「いやぁ勇ましい! カッコイイなぁ! ――しかし、結果は残酷……フフッ」

――ッ!? そ、そんな……効いていない? や……駄目ッ!

画面の中のシュリセルの腹部にルガールの右腕が捻じ込まれる。

――う、うぐッ!? がは……あぉぉっ……!

「おぉっ! 良い腹パンを貰ったねぇ! 情けないくらいビクンビクン震えて……これはたまらない!」

――う、く……こんな……奴は、ルガールは技のひとつも使っていないというのに……!

「あぁ……もう、我慢出来ない!」
男はおもむろにズボンのファスナーを下ろすと、太く、グロテスクな隠茎を取り出した。
「ハァ……ハァ……突っ込むよ、シュリセルちゃん? その、大きなおっぱいに、極太チンコ突っ込むよ!」
気味の悪い表情で独り言を言いながら、男は胸像の胸の穴の空いた部分に隠茎を侵入させた。


227 : キモオタがゲ○子型の胸像オナホでパイズリオナニーする話 :2014/07/31(木) 19:38:31 ???
――あっ!? ぐっ……ぐぅぅぅっ!!

画面には、首を絞め上げられているシュリセルの姿が映し出される。
「あぁ! 情けない! 実に無様だシュリセルちゃん!」

――あっ……がっ……じ、じにだぐない……だ、だずげ……

――フン……弱い

画面の中のルガールが失望の表情を見せると、シュリセルの首を絞め付けている腕の筋肉が一回り膨れ上がる。

――あ、あがぁッ!?
「うっ……!」
画面内に白目を剥き、太股に黄金色の液体を滴らせるシュリセルの姿が映ると、男は胸像の乳内に白濁の液体を吐き出した。
「ハー……ハーッ……しまった!? まだ胸像にされるところを見ていないのに、出してしまったよ……」
画面の暗転と共に、男は後悔の声をもらした。

――い、嫌っ! 止めて!

男の後悔を無視する様に、画面には、奇妙な機械に拘束され、恐怖に歪んだシュリセルの姿が映し出された。

――ゆ、許して下さいっ! もう……もう仇討ちなんて考えません! だから、だから、ころ、殺さな……

一転、命乞いをするシュリセルの姿を見ると、乳内で萎んでいた隠茎を、再びその中で膨れ上がらせた。
「これは……フフ、これは搾り取られそうだ……」

――いっ……ギィィッ!? や、止めて! ……腕が! 足が! 千切れ――ぐひいぃぃっ!!

喜ぶ男の目の前に、機械に手足を握り潰されるシュリセルが映る。

――が……ギャアァァァァッ!!!

最早女のものと思えない悲鳴と共に、画面内のシュリセルが今、男の隠茎に凌辱されている胸像のそれと同じ表情に変化し、息絶えた。
「う……ま、まだ胸像にされる前だ……我慢しなくては――」
男が射精を堪えていると、再び画面が暗転し、今度は手術台の様な場所に、両腕と下半身をもがれたシュリセルの遺体の姿が映し出される。
医療用のメスと思われる刃物がシュリセルの腹部を裂く。
――ルガールのものであろう腕が、肉を取り出し、次に骨を、脂を抜き、腸を引きずり出す……。
「うぐ……もう、出そう、だ……!」
正常な者にとっては吐き気を催すどころでは無い程の映像に、男は隠茎をほとばしらせる。
萎びたミミズの様にされたシュリセルの皮に綿を詰め、生前……というより、死に際の姿を再現して行く。
――こうして画面の中で、シュリセルの剥製が作られた。
次に、剥製の胸元に太い棒が捻じ込まれると、ルガールと思われる男の腕により、灰色のザラついた液が塗り込まれて行く。
死に際の、苦悶の表情すら再現された剥製は、じわりじわりと、石へと変えられて行く。
全身を灰色に染められ、胸元に捻じ込まれた棒を抜き取られ、オナホール状に変形させられた乳穴に最後の液体を塗り込まれると、遂にシュリセルは、男に犯されている胸像と全く同じ姿へと変化させられた。
「……うぅっ!?」
男はそれを見届けると、胸像の乳内にヒビが入りそうな程、隠茎を膨張させ、室内に射精音を響かせた。
「……ふぅ、よかったよ……シュリセルちゃん、これからも宜しくねぇ?」

――仇討ちに失敗し、恐怖に屈し、情けない命乞いと共に死に絶えたひとりの娘の遺体は、これからも男の性処理道具として使われる事だろう。


228 : 名無しさん :2014/07/31(木) 19:49:33 ???
異常です。
原典はmugenではなくSVCのブリスなのに
KOFにゲニ子が出ない理由……みたいな感じで。
太股ではなくおっぱいしか責めてないのは某渋で見かけた
おっぱい強調したロリ巨乳のゲニ子が悪いんや……駄文でしたが失礼しました。


229 : 名無しさん :2014/08/01(金) 06:28:17 ???
命乞いがみっともなくて素敵


230 : ローザとリディアを状態異常にする その1 :2014/08/04(月) 22:38:42 Uk4VsibY
FF4のローザとリディアをひたすら状態異常で苦しめるだけのSSです
駆け足で書いたのでかなり適当ですが、それでもよければどうぞ。

バブイルの塔で落とし穴にハマった折、男性陣と分断されてしまったリディアとローザ。
そんな二人の前には、変異種のモルボルが待ち構えていた…

「やぁっ!」
敵の気配を素早く感じ取ったローザは、素早く矢を射る。
しかしいつものように狙いを付ける余裕が無かったため、射かけた矢の何本かははずれてしまう。
ボヒュ!
「うっ!?」
「ロ、ローザ!?」
矢に動じることもなく、モルボルは口から青白いガス弾をローザ目掛けて吐き出した。
ガスを吸い込んでしまったローザはガックリと膝を付き、リディアが悲鳴を上げる。
「ち、力が……抜ける……」
どうやら呪いのガスを食らったらしく、ローザの筋肉に力がうまく入らなくなってしまったようだ。
「くっ…!」
ポロッ、カラカラカラ……
にじりよるモルボルにローザは再び矢を射るが、体の力が抜けた状態ではまともに飛ばすことが出来ず、矢はモルボルに届く寸前で落ちてしまう。
「ローザ!今助け……!!」
リディアの魔法の詠唱が終わろうとしたとき、モルボルが今度はリディアの方を向き赤いガス弾を吐き出した。
「んっ……!」
「リ、リディア……大丈夫……?」
嬌声を上げるリディアを心配するローザだったが、次の瞬間−
「ローザ……殺してやるーッ!!!」
「!?」
リディアの突然の叫びに、ローザは驚愕の表情を浮かべる。どうやらリディアは先程の赤いガスで混乱状態になってしまったようだ。
「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
リディアは雄叫びを上げるとローザに向かって、ただひたすらに鞭を振り回した。
ビシィ!バシィ!ブシュ!
「イヤアアアアアアアアアァァァァァァッ!!!」
露出した腕や足が鞭によって次々と切り裂かれてゆき、ローザの体中が傷だらけになってゆく。
「いぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
呪いのせいで筋肉の弛緩した体は簡単に切り裂かれていき、ローザはあっという間に血まみれになる。
「ハァッ、ハァッ……」
むちゃくちゃに鞭を振り回したリディアは激しく疲労し、すっかり息を切らせてしまった。
「あ……ぐっ……」
ドサッ……
体中から血を吹き出しローザは半身に倒れ、そのままぐったりと動けなくなる。
だか休む間もなく、モルボルの更なる一撃が放たれる…


231 : ローザとリディアを状態異常にする その2 :2014/08/04(月) 22:40:09 ???
ドガッ!
「うぐっ!」
モルボルは数多ある触手の内の一つでリディアを殴りつける。疲労した体では衝撃を支えきれず、リディアは倒れ込んでしまう。
「くっ……!!!!」
今の一撃で正気に戻ったリディアの目に、血みどろのローザが飛び込んだ。
「ロ、ローザ、ごめんなさい……」
自責の念に駆られたリディアの眼から涙が零れる
「い、今回復を……きゃっ!?」
回復用のハイポーションを取り出した瞬間、黄色のガス弾がリディアを貫いた。
「……っ!、あひぃ、あ、がっ……」
すると、リディアは口から舌を出し、目を見開いて倒れてしまった。過激な衣装により剥き出しになった尻の筋肉を含め、体中がピクピクと痙攣している。
(か、体が……動かない……)
どうやら体が麻痺してしまったらしく、立ち上がることすらままならない。ただ口から涎を零すばかりである。
リディアが動けなくなったことを確認すると、モルボルは再びローザの方へとにじり寄ってゆく。
「ひっ……!」
ローザは何とか逃げようとするが、傷だらけの体は少し動かすだけでも激痛が走り、動かすことが出来ない。
「ケ……ア……」
ひとまずは傷の治療が先と、ローザは回復魔法の詠唱を始めるが……
ボフッ!
無慈悲もモルボルから紫色のガス弾が放たれ、ローザの体を包み込む。
「……んぐぅ!?」
包み込んだ途端、ローザは胸の辺りを抑え苦しみ始める。どうやら体が毒に侵されたようだ。
「うぐ、う、あっ、んぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
段々と胸の痛みは大きくなっていき、苦しみのあまりのた打ち回り始めるローザ。体中に付いた傷の痛みも忘れてしまう程の痛みらしい。とても回復魔法の詠唱どころではない。
床に零れる彼女自身の血で自らの美しいブロンドは赤くなっていき、体を転がす度に口から赤い涎が零れ出る。
「ごぼっ……あ″ぁ″……」
やがてローザの体の動きは止まり、口から赤い泡を吹き始める。どうやら体力の限界が訪れたようだ。
涎や血で体中は汚れ、バロン随一の美貌は見る影も無い。
「ぅ……ぁ……」
やがて呼吸もままならなくなったローザは、完全に意識を失い、全く動かなくなった…。


232 : ローザとリディアを状態異常にする その3(終) :2014/08/04(月) 22:45:12 ???
(ロ、ローザ、嫌ぁ……)
そんな一部始終を、リディアは傍観することしか出来なかった。体は未だに痙攣し、自由の戻る気配は無い。
やがて無防備なリディアにじりじりとモルボルが迫る。
(こ、来ないでぇ……)
口の動かないリディアは心の中で懇願するが、そんな願いが叶う訳もなく……。
ドヒュ!
モルボルの口から最後の攻撃−灰色のガス弾が放たれる。
(は、灰色……も、もしかして!?)
リディアの嫌な想像は当たってしまう。パキパキパキと音を立てながら、緑色のブーツが足先から段々と灰色に染まっていく。
(か、体が石に……こ、こんなのって……!)
半端に石になりかけている太ももに、重たい石の感触が伝わる。やがてその太ももの感覚も無くなっていく……。
(う、動いてよ、私の、体……!)
リディアは懐から万能薬を取り出そうとするが、未だ体はピクピクと跳ね続け、腕を動かすことが出来ない。そして…。
(い、息が……)
とうとう石化は上半身に及んだ。肺が石化したことにより、呼吸が出来なくなる。
(みんな、ごめんね……ローザも、助けられなかった……)
絶望と自責の念から来るリディアの涙が、唯一石化していない顔を濡らしていく。
そして遂に、その顔すら涙ごと石に変わってしまった。

リディアが完全に石化したとき、モルボルの姿はそこには無かった。
後には、二人の美女の「残骸」が残された……。


以上で終わりです。読んで下さった方ありがとうございます。
因みにこのシチュはPS版FF4(コレクション含む)の説明書の状態異常の項で、ローザが全部の状態異常食らってるのを見て思いつきました。
今回は全部の状態異常を食らわせることは出来ませんでしたが…楽しんで頂ければ幸いです。


233 : 名無しさん :2014/08/05(火) 20:52:57 ???
GJ!
毒って原作では余り怖くないけど、文章に起こすと辛そうでいいねw


234 : 名無しさん :2014/08/14(木) 08:48:39 uXBwnipA
クレア・レッドフィールドは、ゾンビとの格闘に敗れ、押し倒されてしまった。
ゾンビの動きは緩慢ではあるが、筋肉のリミッターは、100%解放されている。
19歳の女の力と、ただただ、この女を生きたまま捕食することのみを目指す、ゾンビの力。
銃弾を打ち尽くし、揉み合いとなった時点でクレアの助かる見込みはもう、無かった。
押し倒された時点で、彼女の運命は、「死」と決まった。

Tウイルスに感染したゾンビは、生きた人間の肉を欲するようになる他、もうひとつ、知られていない特徴があった。
特に、内臓を欲するのである。

クレアに勝利し、押し倒したゾンビは、まず、彼女の横腹に噛みつき、その肉を食いちぎった。
「いやあああああ!!!」
クレアは、肉を食いちぎられる激痛に悲鳴をあげた。
が、直後、強烈な吐き気と更なる激痛に襲われた。
ゾンビが、その圧倒的な怪力でクレアの横腹の傷口を大きく開き、哀れな女の小腸を引きずり出したのである。
クレアは、必死に自分の内臓を食らおうとする怪物の頭を引き離そうとした。
しかし、その瞬間、更なる痛みに襲われる。

女の悲鳴と血の匂いに誘われ、新たに3体のゾンビが、クレアに噛みついていた。
1体は頭に、1体は脇腹に、1体は首元に。
女の首筋からは大量の血液が流れ出、あっという間に血だまりを形成した。
クレアの形のよい唇からは鮮血が溢れ、目からは涙が流れた。
女の悲鳴は止まった。
女は、抗うことを放棄したのだ。
女の目には明白に諦観が宿り、凛々しかった女の目は屠殺場の羊の目となった。

脇腹に噛みついたゾンビが、怪力でもって肋骨をこじ開け、生きることを諦めた彼女の心臓を発見した。
ゾンビは、まだ命を刻む、19歳の女性の心臓を抉り出した。
クレアは、無残にも、生きたまま心臓を抉り出されてしまったのだ。

そして、頭に噛みついたゾンビが、彼女の頭蓋骨の皿を噛み割り、脳味噌を啜るのと同時。
心臓に辿り着いたゾンビが、まだ血管の接続されたまま鼓動を止めない彼女の心臓に噛みついた瞬間、

「あああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

女は、絶叫した。
最期の、悲鳴。
クレア・レッドフィールドは、壮絶な断末魔を叫び、絶命した。


235 : 名無しさん :2014/08/14(木) 09:22:55 ???
>>234
GJ。初プレイの時操作に慣れなくて速攻こうなっておっきしました。クレアの死に声エロいよね


236 : 名無しさん :2014/08/16(土) 01:15:02 ???
近くにシェリーも居るはずだな……


237 : 名無しさん :2014/08/16(土) 08:12:08 ???
お盆も過ぎたし犠牲者を供養がてらD会を嗜みたい


238 : 名無しさん :2014/08/17(日) 09:20:10 ???
>>236
シェリーの目の前でわざと死んでた。なんか知らんが興奮する


239 : 名無しさん :2014/08/17(日) 17:01:47 ???
ノエルの人です
休暇中に完成させる予定でしたが、なかなかアイデアが出ず
今、導入編が書き終わったところです
もうしばらくお待ちください


240 : 名無しさん :2014/08/18(月) 03:08:33 ???
待つ


241 : 名無しさん :2014/08/22(金) 23:15:22 ???
久しぶりに投下します

元作品はたまこまーけっと。痛めつけ役はバトン部の先輩、やられ役は主人公の友人の牧野かんなちゃん
百合描写ありなので注意。


この度わたくし牧野かんなは、めでたくうさぎ山高等学校の2年生に進級しました。
この日は始業式のみですぐに学校も終了。
友人である北白川たまここと、たまちゃん。そして常盤みどりことみどちゃんと共に
いつも通りのくだらない話題をしたり、進路について少しだけ真面目な話をしながら下校していました。

「じゃあね、かんなちゃん」
「また明日」

「お二人ともお元気で。あ、みどちゃん。先輩達卒業後のバトン部の部長の座は私のものですよ?」
「あーはいはい、望む所だよー」

冗談も最後に交えつつ、ここからは自宅への方向がわたしとみどちゃん達とでは別なので
ここでわたしはみどちゃん達と別れました。
ここもいつも通りです。

…でも、いつもと違う事はここから起こる事になるのです。

(うーむ、何度か測量させてもらったけどこの新築の家…、改めてよい作りをしているね。
この構造なら素材そのものの強度を含めずとも耐震性は抜群。勉強になる部分が多すぎる)

言い忘れていましたけど、私の趣味は建造物の設計と測量。
度々興味の惹かれる建造物があるとこうやって測量したり、設計図を作ってその建造物の模型を作ったりしているのです。
とにかくこの時のわたしはこの新築の家に対して、夢中になっていたのです。
…それが今回の事件の一因となったのかもしれません。

ドゴッ

「う……っ!?」


242 : 名無しさん :2014/08/22(金) 23:16:23 ???
唐突の後頭部に衝撃が走りました。
あまりにも唐突で、ほんの一瞬だけ混乱したけれど、すぐに誰かに殴られたという事だけは理解は出来ました。
もっとも、何故殴られたのか?そして、いくら夢中になっていたとはいえ、いつの間にわたしに気付かれずに
背後に接近し殴れたのか?まではわからないまま意識は薄くなり、私の意識は途切れました。








「ん…ここ…は…?」

目覚めたわたしの視界には灰色のコンクリートで覆われた空間が映りました。
薄暗いし、これはどこかの地下室でしょうか。普段のわたしなら、大工魂に火が着き
この建造物全体の測量をしたくなってくるのですが、
さすがに今はそうも言ってられません。
何故私はこんな所に…?


「ふふふ…目が覚めた?かんなちゃん」

そう考えた矢先に聞き慣れた声が聞こえてきました。

「夕子…先輩……?」
「調子はどうかな?かんなちゃん」

声の主は、わたしのバトン部の先輩の木更木夕子さん。
容姿端麗、運動神経抜群、成績優秀、
特に学力においては、京都でそれなりに学力レベルの高い我がうさぎ山高校の中でもトップで、
このまま行けば、同京都の某名門大学もフリーパス同然で合格できる程らしいです。
唯一の欠点は夕子先輩自身がもっとも大好きなバトンが苦手という事ですが
それを除けば
まさに才色兼備の名にふさわしい人です。
もっとも、本人にとっては唯一の欠点が致命的みたいですけどね。

とにかく、ほぼ何でも出来る先輩には対し
わたしも表面には出さなかったけど結構憧れてたんですよね。
でも、そんな先輩が何故こんな所にいるのでしょうか。

「あー、ごめんねかんなちゃん。まだ状況は理解できないと思うけど
 実はね……」

夕子先輩はくるっと背後を見せ、赤くて綺麗な髪をふわっと宙に浮かせる。
そして首だけわたしの方へ向け

「私がかんなちゃんをここに監禁したの」
「え……」

夕子先輩はいつも通りの優しい顔、優しい声でわたしにとんでもない事を口走りました。
あまりにもとんでもない言葉だったので、聞き違いかと思い思わず絶句。
そんなわたしの様子を察したのか、

「あー、信じられないよね。でも本当だよ。ここは私の家の地下室だもん」

自分の言葉が誤りでは無い事を示すように言いました。

「どういう事ですか?何故先輩がこんな事を?」

「やっぱり、こんな状況になってもかんなちゃんはいつも通りだね
表情も、声もね」

いつも通りの訳無いじゃないですか。
あまり顔には出てないかもしれないけれど、これでもかなり動揺してるんですよ?

「何でこんな事したか…ね。実はね私。女の子の事がとても大好きなの」

え?女の子の事が好き?

「それはらいくですか?それともらぶの方ですか?」

意外な事を聞いたので、思わず追及してみます。

「あははっ、やっぱりまだまだいつも通りのかんなちゃんだねっ」

だからいつも通りじゃないですって。

「うーん、みどりちゃんよりは女の子に対してはLOVEよりの感情を持ってるかな?
 こういうのって今まで堂々と言えなかったんだけどね」

これは意外でした。
まさかみどちゃんだけでなく、夕子先輩までそっち系だったとは。
いや、よくよく考えたらそういう片鱗は少し見せてましたね…
よく下級生の女の子におさわりしようとしていましたし。

「でも、ただ女の子が好きってだけだったら、ただ気持ち悪いだけで済むよね?
 残念だけど、わたしはその先にいっちゃったんだよね」
「…?」

そっち系の先ってどういう事でしょうか?


「よりハードなレズプレイの強要という事ですか先輩」

「ああ違う違うよ。そういうベクトルじゃないの」
「?」
「つまりこういう事」

ズドッ


243 : 名無しさん :2014/08/22(金) 23:17:30 ???
「うっ……」

突然、夕子先輩がわたしのお腹を殴りました。
お腹に物凄い痛みが走り、吐き気がこみあげて来ます。

「うぐ……いきなり……何のつもり…ですか…?」
「うーんやっぱりかんなちゃんらしい呻き方だなぁ、
 反応が少ないというか。でもかわいいねっ」

いきなり訳がわかりません。
先輩の表情や喋り方からして、私に怒りや憎しみがある訳でもないようです。
何故……?

「私はね、女の子があまりにも好きで…好きすぎて…苦しむ姿が見たくなっちゃったのよ」
「え……」

苦しむ姿が見たい……?

「苦痛を与えられる、かわいい女の子が悲鳴をあげながら顔も歪ませる。
 私はそれが好きで仕方なくて…何度もそれを妄想しながら自慰行為をしていたの。
 でも最近は妄想だけでは性欲を処理できなくなってね。
 実物の女の子をここに拉致して、痛めつけているの」
「なっ……」

さすがのわたしも何一つ言葉が出なくなりました。
女の子を痛めつけるのが趣味だなんて…さすがに冗談だと思いたかったのですが…。

「最初はこの京都県内の女の子だけを痛めつけてたんだけど、そのうちそれだけじゃ満足できなくてね、
滋賀県の桜が丘高校の平沢唯ちゃん、富山県の七森中の赤座あかりちゃん、群馬県の見滝原中の暁美ほむらちゃん
他にも大勢の女の子を痛めつけてきたの。」

普段の表情と口調で痛めつけてきた女の子の話を続ける先輩、そしてさっきの腹パン…
冗談と見る事も段々出来なくなってきました。

「でも、本当の意味で痛めつけたい子は痛めつけてなかったんだよね。
だから、結局心の底からは満足は出来ないまま。」

「だから今回、私が心の底から大好きで、ずっと痛めつけたいと思ってた
かんなちゃんを連れてきたの」
「……!」

そう…、先輩はバトン技術以外にも、大きな欠陥を持っていたのです。
それは夕子先輩の人間としての性格そのもの。表の誰からも好かれる優しい性格はただの仮面だったのです。
そしてわたしはその先輩の欲求を満たすための生贄として選ばれたという事……。

……それの直前に何かわたしに対する同姓LOVE的な事を言われた気もしますけど、
今の私の頭にはその後の言葉の衝撃の方が大きいので頭には入りませんでした。

「ふふ、そういう訳だから、これからたっぷり私を楽しませてね」

ピッ

夕子先輩がリモコンらしきものを手に取り、ボタンを押しました。

「っ…!これは……?」

ワイヤーが床から飛び出し、わたしの身体に巻きついてきました。

「これで何をするつもりですか…?」
「んー?大体想像つかないかなー?特に珍しい事やるつもりは無いんだけど」
「それはまさか……うっ…!」

わたしの言葉を遮りワイヤーが私の身体を少しずつ締め上げてきたのです。

「うっ……ぐ…っ…」

全身を握りつぶされるような感覚。いや実際に握りつぶされているのでしょうけど……
とにかく今までに感じた事の無い鈍く強い痛みが襲ってきます。

「うーん、これくらいじゃまだ悲鳴もあげてくれないかな?、もう少し強くしようっと」

ぐぐぐぐぐ……

「ぐっ…!ぐぁあああっ……!」

さらに締め付けが強くなり、思わずわたしは苦悶の声を漏らしてしまいます。
まだ強く圧迫されているだけで、肉体に異常が起こるレベルでは無いようですが
痛覚の方は相当反応してしまっているようで、激痛が全身を駆け巡っていきます。

「あはっ、少し表情が変わってきたね、さすがにこれには耐えられないよね」

メキメキメキ

「うぐっ…!?ぐああぁぁああっあああああああああああぁぁああっ…!」
「あはははっ、少し強くし過ぎたかな?でもやっと叫び声が聞けたね
 かわいいよ!かんなちゃん」

全身に嫌な感触がします。骨が軋んでいるようです。
痛みで思わず叫んでしまいます、
わたしもここまでの声をあげたのは生まれた初めてかもしれません。
そんな姿を見た夕子先輩はとても楽しそうに笑っていました。


244 : 名無しさん :2014/08/22(金) 23:19:01 ???
◆◆◆◆◆◆◆◆


ふふふ…やった。
ついにかんなちゃんの顔を歪ませて、悲鳴を聴く事が出来た。

かんなちゃんは元々表情もあまり変わらず、口調や声のトーンの変化も無い子だ。
とは言っても、漫画やアニメでよくいる無感情キャラという訳では無く、
ちゃんと喜怒哀楽は備わっている。変化が見られないのは、おそらく物事に極端に動じない性格だからだと思う。
でも、それ故に私はそんな人間の悲鳴や苦痛に歪んだ顔を視たい欲求に駆られてしまうのだ。
それに元々私は年下や童顔の女の子が大好きだった。
かんなちゃんは実年齢より若く見られることが多く、私から見てもやや童顔の容姿に見える。

これも踏まえて、2重の意味でかんなちゃんは前々から痛めつけたい女の子だったのだ。

「ふふふふ、痛いよね?かんなちゃん?」
「うぐぅうう、ぁぁああああっ」

締め付けは続いているため、かんなちゃんは私の言葉を返す事は出来ない。

(この辺にしておいた方がいいかな?締め付けだけでかんなちゃんを壊しちゃったらまずいし)

まだまだやりたい痛めつけ方はある。ここでかんなちゃんを壊す訳にはいかない。
私はリモコンのボタンを押し、かんなちゃんをワイヤーから解放した。

「う…ぐぅ……」

かんなちゃんは呻きながら膝をつく。
私はそんな姿に興奮しつつ、追撃を加える。

ズドッ

「うぐっ!?」

私の鋭い蹴りがかんなちゃんの胸に直撃する。

バキッ

「………ぐっ!?…がっ…ぁああああああああっ…!」

変な音がすると同時にかんなちゃんが叫ぶ。
もしかして肋骨やっちゃったかな……、少し蹴りが強すぎたかも。


◆◆◆◆◆◆◆◆


245 : 名無しさん :2014/08/22(金) 23:21:06 ???
「あぁああああっ……うぅぁあ…」

嫌な音が聞こえ激痛が走ります。女の子にしては力の強い先輩の蹴りの直撃。
これは骨が折れたのかもしれません。

「ごめんねぇかんなちゃん。次からはもう少し手加減するようにするからね」

ズドッ

「ぐあっ…」

再び先輩の蹴りが放たれ鳩尾に入ります。先輩の宣言通り威力は抑えている…
けれど、これは先輩の慈悲とかそんなものじゃない。
明らかにわたしを苦しませるためのものなんでしょうね…

「それそれっ」

「ぐあっ…あぐぅ…ぐぁあああっ…!がはぁっ!」

先輩は拳や蹴りでわたしの顔、腕、脚、腹、胸
全身を何度も殴打してきました。

「ふう…この辺にしておこうかな」
「うぅ…がはっ、げほっげほっ」

骨を折られてはいなかったようですけど、全身に強い痣が残り、
血を吐いてしまいました。

「次はこれで行こうかな、ふふ。かんなちゃんの良い悲鳴を聴けそう」

そういうと先輩は最初のとは別のリモコンを取りだし、ボタンを押す。

「う…今度は何を……うっ!?」

また、何本ものワイヤーが床から飛び出す。
しかし、最初のワイヤーとは異なり、先端が鋭く尖った金属になっていました。

「うあぁっ!」

ワイヤーがわたしの両腕、両脚に突き刺さりました。
深く食い込み、肉を裂かれた痛みが襲います。

「ぁあ……ぐぅう」
「ちょっと一瞬だけ良い顔見せてくれたけど…すぐにそれも消えちゃったなぁ。
 ……そんな我慢しなくてもいいんだよっ?」

ズブズブゥ

「うっ!うぁあああああああっ!ぎっ…アアアア!」

先輩はわたしに刺したワイヤーの金属部分をぐりぐり抉るように動かしました。
痛みが倍化され、思わず叫び声をあげてしまいます。

「いいね、それくらいの表情と声は見せてくれないとね、でも…」
「っ…?」
「やっぱり私はかんなちゃんの心を折って、『絶叫』をあげるのが見たいの。
 ……だから、次はこれ行こうか!」

ピッ

先輩はリモコンのボタンを押す、
この状態でまだ何をするのか…そう考えていたわたしに、
痛みという形ですぐに答えを知る事になりました。


246 : 名無しさん :2014/08/22(金) 23:22:22 ???
「あぁっ!ァアアアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!!?」


バチバチバチバチ!

全身を突き刺すような凄まじい衝撃が駆け巡ります。これは電気ショックでしょうか…?

「アアアアアアっ!!ぐがっガ、アアアアアアアア!!!」

電気ショックの影響で全身の筋肉が硬直し、激しく痙攣します。
そして筋肉の硬直により、筋が皮膚に浮かび上がります。

「ががっ!アアアアアアアっ!ヤメ、、アアアアアアアアアアア!!!」
「すごい…すごいよかんなちゃん…!かんなちゃんこんな絶叫あげられたんだ!」

全身に異常が起こり、激痛も与えられる……。
そして先輩が目を輝かせる程の…わたしの異常な絶叫。
何もかもが崩れていくようです……。
わたしの全てが……

「アアアアアアアっ!!!ウっアアアアアア!!!」
「ふう…一旦止めよっか」

わたしに、先輩はリモコンのボタンを押し、ようやく電気ショックから解放されました。

「ぐ…あっ…」
「ふふっ、電撃から解放された時の、この身体がガクッてなるの好きなんだよねぇ」

電気ショックから解放され、蓄積したダメージによりわたしは呻く。
肉体的なダメージは当然として、精神的なダメージも大きかった事にすぐに気づく事になりました。

「うっ……涙が…?」

わたしの目から涙が流れます。
この瞬間はどうしてと思ったのですが、すぐにわたしの感情の方が理解する事になったのです。。

「うっ……うあああああああ」
「おぉっ」

わたしは声をあげて泣き出してしまいました。
こんな事…幼少期だって一度もなかったのに…どうして…。
わたしは一体どうなってしまったのでしょうか…?

「うっ…うっ…もういや…もうやめて…ください…先輩…。
 もう痛いのは嫌…なんです…」
「あはっ!やっぱりかんなちゃんも普通の女の子だね!
 もう何事にも動じないかんなちゃんは壊れたんだね……うふふふふ」
「うっ…うっ…わあああああああん!」

本当にわたしは牧野かんななのでしょうか…?
別にわたしは感情が無いわけではありません…。でもわたしがこんなに大きな声で叫んで…
涙を流してこんなに泣きじゃくるなんて…、こんなに恐怖という感情を感じるなんて…

「うーん、こんなの見せられるともっと壊したくなるなぁ」
「!!い…いやっ…やめて!やめてください!!もうこれ以上はやだよぉ!」
「だーめ」

ぽちっ

「いやぁああ!!うっアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

声をあげて、拒否するも先輩の興奮を煽るだけ。
そして興奮した先輩は再び電流を流しました。

「キャアアアア!!ガッ!アアアアアアアアアアアアアアっ!!!!!!」
「かわいいよっ、かんなちゃん。もう私イキ…そう」
「ウアッ!!アアアアアアアアアアアア!!!!」
「うあっ、あああああああああああああ〜〜〜〜!!!!」

ぷしゃあああああ


電気ショックによるわたしの失禁、そしてわたしの絶叫と苦痛に歪んだ顔を見ながら、
オ○ニーしてた先輩の絶頂の二つが重なりました。

「あはぁっ…かんなちゃん最高だよぉ」

最後にご満悦な表情の先輩の顔が映り、わたしの意識は途絶えました。


247 : 名無しさん :2014/08/22(金) 23:23:55 ???
そして数日後。


「おはようかんな」
「あっ、おはようかんなちゃん!」

「おはよう、みどちゃん、たまちゃん」


わたしはあれから無事に帰る事が出来ました。
何故帰れたのか?誰かが助けに来た訳でも無く、ただ単にわたしが気絶から目を覚ました時に先輩があっさり「そろそろかんなちゃんも帰ろうか?」
といつもの優しい顔で一言言って帰してくれただけです。
あっさり帰してくれた理由ははっきりわかりませんが、先輩は気絶したわたしの顔を見ながら、
10回以上自慰行為をしていたそうなので、それで性欲を全て吐き出しきって先輩が理性を取り戻していたからかもしれませんが。
また、絶対に今回の事は外に漏らさないという条件も出されました。
夕子先輩の責めによって心も体も限界を超え過ぎてたわたしは、
とにかく今は帰れさえすれば何でもいいという状態だったので、条件を素直にのみ帰らせてもらいました。
…もっとも回復した今でも、この事を周囲に話そうと言う気にもなれないんですけどね……。
私の心と体を全て砕いた先輩への恐怖……これは早々直せるものでもありません。
他言をしようものなら先輩に殺される…本人からはそのようには言われてませんでしたが、
やっぱり、あの責めのせいなのか、どうしてもそのように考えてしまうのです。
とにかく解放された後、
まずは地下室で折られた肋骨の治療のため、しばらくは入院生活になりました。けれど今はもう元気です。
当然先輩の出した条件があるため、心配してくれた友人にはうっかり階段で転んでダイブしてこうなった事にしましたけどね。
ちなみに治療費入院費は全て先輩が出してくれました。加害者なので当然と言えば当然なのですがどこか解せません。

何であれ、無事にわたしの日常は戻りました。
こうやって今までと同じに、たまちゃん達といつも通りの会話をしながら、いつも通りの道を歩き、
学校に行く。全てが元通りです。

「うあっ」
「みどりちゃん」
「ん?どうかしたのみどちゃん」

「あ、うん。さっき捕まった棒に静電気がたまってたみたいで痺れちゃっただけなんだけど……。
 うーん…静電気って本当にびっくりするよね」
「!!」
「うんうん、なんか変わった衝撃が走ると言うか」
「う……」

いや、正確には全ては元には戻っていませんでしたね…。

「うわあああああああああああああああっ!!!!!!」
「か…かんなちゃん!?」
「やだやだやだぁ!電気を流すのはいやぁあ!」
「かんな!?どうしたの!」

そう…元に戻ったのは表面上だけ。
あれ以来ちょっとした事で夕子先輩に痛めつけられた時のトラウマを想起するようになってしまいました。

「いやぁああああああ!」

親友の前でこうなった時は本当に驚かれました。
それもそうですよね…、普段あまり表情の変わらず声もあまり大きくないわたしが、
大声で絶叫して泣きじゃくるんですから…。

とにかくしばらくはみどちゃん達を初めとした周囲の人達に多大な迷惑をかける事になるでしょう……


いや、そもそもあんなトラウマを「しばらく」時を待った程度でどうにかなるのでしょうかね……


248 : 名無しさん :2014/08/22(金) 23:30:15 ???
以上です。

無表情女の子をぼこって悲鳴あげさせるのが好きですが
同時にキャラをぶっ壊しちゃうので扱いが難しい


249 : 名無しさん :2014/08/23(土) 00:17:34 ???
GJ!
俺この夕子先輩の無事?に帰したり治療費出したりする行動に凄く共感できるわ……
痛めつけたいけど変わらない日常も欲しいっていう
っていうか犠牲者にほむらがw 契約前のまどかとかならともかくw
そしてあかりバージョンは凄く見てみたいと思った


250 : 体操着ハム子リョナ その1 :2014/08/25(月) 23:20:13 Uk4VsibY
某所で汗だくでバレーに勤しむハム子のイラストを見てたらピンと来たので懲りずにハム子をリョナってみました。

「ナルキッソス!」
公子が叫ぶと、裸体の美男子のようなペルソナが現れ、王冠型の仮面を被ったシャドウの軍団を疾風が包んだ。
そして瞬く間にシャドウは消滅していく。
「さっすがリーダー! 今日も大活躍だね!」
「ありがとう!…でも今日はこの辺にしとこうか、みんな疲れてるみたいだし。」
「俺ッチまだヨユー!…と言いたいとこだけどもう限界ですワ。」
戦闘が終わった途端、お喋りを始めた下級生のゆかりや順平、公子を見て、三年生の明彦はやれやれと頭を振る。
「まったく…まぁ、引き際を弁えているのは良いことだ。次も頼むぞ、リーダー。」
「はい、任せて下さい!」
公子は笑顔で応え、そして全員でタルタロスの脱出ポイントへ戻るのであった。

翌日、体育館にて−
「はぁっ、はぁっ……あっつー……」
最後の時限である体育のバレーボールを終え、公子は体操着をパタパタと動かしながら火照った体を冷ましていた。
昨日のタルタロスでの疲労も相まって、体中が汗塗れになりTシャツは透け、短パンや白のハイソックスからもじっとり感触が伝わってくる。
そこへ…。
ガシッ!
「!?、な、何!?」
公子は何者かに腕を掴まれ、体育倉庫に連れ込まれた…。
公子を連れ込んだのは、真田明彦の取り巻きの女子グループのメンバーだった。リーダー格と思われるロングヘアーの女子、ボブカットで小柄な女子、ショートヘアで小太りで大柄な女子の三人組だ。
彼女らは公子と真田が行動を共にすることを快く思っておらず嫌がらせを受けることも多々あったのが、とうとう今日は強硬手段に出たようだ。
「アンタ最近調子乗ってない…?真田先輩とベタベタしてさぁ…」
「ちょっとお仕置き必要だよねー。」
「まあアンタが真田先輩にもう関わらないって言うなら、今すぐ解放してやっても良いけど」
公子を連れ込んだ三人は口々に勝手なことを言っている。あまりの身勝手さに公子は激怒した。
「冗談じゃないわ!私が誰と過ごそうが私の勝手だし…」
そこまで言うと公子はリーダー格の女子に掴み掛かり、
「ひっ!?」
「こんなことしても、私には通用しないんだからね!」
怒った公子は女子にビンタをかまし、掴んでいた手を離した。
「いだっ!?」
「ったく…アナタ達も…!?」
公子が呆れ顔で、体を残り二人の女子に向けた瞬間…。


251 : 体操着ハム子リョナ その2 :2014/08/25(月) 23:22:46 Uk4VsibY
ヒュッ!
バレーボールが彼女目掛け飛んできた。
「ぐっ!?」
公子はかろうじて両腕でガードしたが、腕に鈍い痛みが走り呻き声を上げる。
だが攻撃は一度で終わらなかった。
ドゴォ!
「がはっ!?」
留守になったボディに、バレーボールが突き刺さり公子の口から唾が飛んだ。
「う゛っ……!?」
激痛のあまり腹部を抑え、公子は苦しむ。なんとか倒れまいと気張るが膝がガクガクと震え始め、耐えきれず膝を付いてうずくまってしまった。
「痛っ……」
「あれぇー、バレー得意じゃ無かったの?なっさけなーい」
二人の女子生徒はケラケラと笑うと、公子の顔に悔しさが滲む。
「ナーイス二人共♪さあ、総攻撃チャーンス!」
公子が殴った、リーダー格らしき女子が号令すると、二人の女子が腹を押さえる公子の腕を持ち上げた。
「さっきはよくもやってくれたねぇ?お・か・え・し!」
ドスッ!
女子は無防備な公子の腹を蹴り上げる。
「うぐぅ!?」
「まだまだ行くぞオラァ!」
まだ仕返し足りないとばかりに、女子生徒は何度も公子の腹を蹴り上げた。
「げはっ、え゛っ、ぐえっ、げほっ、え゛う゛っ……。」
蹴られる度に喘ぎ声を上げ、段々と吐き気が込み上げてくる。そして遂に…。
ドムッ!
「げぼぉ!」
耐えきれなくなった公子は、口から吐瀉物を零し始めた。だが女子生徒は足を離さず、グリグリと公子の腹を足で持ち上げた。

「ぐぶっ!、ぶぼっ!、ごばっ!」
まるで残りを絞り出すかのように、ビクンと体が跳ねる度に吐瀉物の塊が吐き出される。
やがて公子の体が動かなくなると、女子生徒は公子の体を蹴り上げるように足を離した。公子の体が体育倉庫の床をに転がっていく。
「はぁ、はひっ、はうっ……」
ちらりと覗く腹部に付いた大量の痣が物語る、強烈な痛みに公子は喘ぎ、口からは幾筋もの涎がこぼれ出る。
閉め切られた体育倉庫内にいるせいで熱くなった体からは再び大量の汗が噴き出してしまった。
「おらっ、立て!」
女子生徒が叫ぶ。だが公子の脚は脱水症状によりすっかりつってしまい、立ち上がることすらままならない。
「はっ、情けなーい」
「息切らしちゃって、なんかエッチな事考えてるー?」
「ううっ…!」
口々に罵られ、公子の瞳から悔し涙が流れる。
「じゃー柔道部のキミ!よろしく頼むよー」
リーダー格の女子が手を叩いて合図すると、
「よしきた!」
指名された小太りの女子が応え、公子の結った髪を掴んで持ち上げた。


252 : 体操着ハム子リョナ その3 :2014/08/25(月) 23:24:25 Uk4VsibY
「ああっ……」
引っ張られる痛みに公子の顔が歪む。
「うわ、こいつ汗くっさー…」
「てかさっきもゲロ臭かったよね」
口々に臭い臭いと言われ、公子は惨めな気持ちになる。
そして、小太りの女は公子の白く綺麗な首筋に太い腕を回した。
「うぎっ!?」
脈が締まったことにより、ただでさえ苦しい呼吸が余計に苦しくなっていく。
「うぅ、うっ、はぁっ、はーっ……」
やがて公子はが出来なくなり、顔はまるでリンゴのように赤くなっていく。
なんとか離れようと体をじたばたと動かすが、がっちりした体格の女子生徒はびくともせず、公子の体の動きは段々小さくなる。
「ぁ……」
やがて公子は白目を剥き、完全に失神して動かなくなる。
短パンにじわっと染みが広がり、股間から形作られる黄色い筋が、彼女の綺麗な脚と白いハイソックスと体育館履きを汚していく。
「ギャハハハハ、こいつお漏らししてる、ダッセー!」
小太り女子は嘲笑すると、まるでゴミを捨てるかのように公子の体を床に放り投げた。
カメラ担当の小柄な女子は彼女の失禁姿を写真に収め、更に公子を先程出来た吐瀉物の海に放り投げ、ゲロまみれになった彼女も写真に収めた。
「良いもの撮れたねー。じゃ、またねーお漏らしちゃん☆」
リーダー格の女子はそう言うと体育倉庫の扉を開き、ゲラゲラ笑いながら仲間と共に倉庫を出て行った。


253 : 体操着ハム子リョナ その4 :2014/08/25(月) 23:26:15 Uk4VsibY
−数時間後
「んっ…」
公子は影時間になり漸く目を覚ました。彼女が気を失っている合間に、学校はすっかりタルタロスへと変貌していた。
「うぅ…最悪だ…」
公子自分の姿にげんなりした。Tシャツはすっかり吐瀉物の色に染まっており、臭いも汗とゲロと尿のものが混ざり酷いことになっている。
「あっ!」
だが幸いにも、彼女の近くにはエントランスへの脱出装置があった。
「すぐに戻って外に出て、影時間が明けるまで待てば…」
今の無様な姿を、仲間に晒さなくて済む−そう考えた公子の顔が少し明るくなる。
どのみち、今の状態でシャドウに襲われたらかなわない。公子はふらふらと立ち上がり脱出装置に向かっていった。

だが−
バシィ!
「きゃあっ!」
いきなり背後から衝撃を受け、公子の体が床に転がった。
「ぐぅ……!?」
公子が痛みに顔を歪ませながら体をよじり後方を見ると、先日倒した王冠型の仮面を被ったシャドウが居た。
このシャドウはスライムのような体から腕が生えており、恐らく公子はこの腕にはたかれたのだろう。
「に、逃げなきゃ…!」
公子は重たい体を引きずり、這うように脱出装置の方へ進むが…。
ドガッ!バキッ!ズバッ!
「ああああああぁぁぁぁああああああぁぁぁぁっっ!!!」
素早く近づいたシャドウに滅茶苦茶にぶん殴られ、更にTシャツごと背中の肉を爪で切り裂かれ、公子は絶叫する。
もう少しで脱出装置に手が届くというところで、公子は動かなくなってしまった。
「もう、ダメ…。」
再び意識が朦朧とし始めた公子だったが…。
バチバチバチ………。
「!?」
突然した破裂音に目を覚ました。見ると、シャドウの手に電気が集まっている。
(そういえば、こいつの得意な魔法って……電撃!)
何度か電撃魔法・ジオを食らったことを思い出し、公子は身震いする。
「や、やめ……!」
震える声で公子は懇願するが−

ズドォン!

無慈悲にも、稲妻が公子を貫いた。
「ぎゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!、あ、ああああああぁぁぁぁぁっ!!!!!」
公子の体は激しく痙攣し、股間からは先程よりも激しい勢いで黄色い液体が溢れ出る。頭が真っ白になっていく−。
(みんな……頼り無いリーダーで、ごめんね……)
公子はふと真田の言葉を思い出し、その言葉に応えられ無い自分を呪いながら、再び意識を失った……。


254 : 体操着ハム子リョナ その後&あとがき :2014/08/25(月) 23:33:37 Uk4VsibY
「公子、公子ーッ!」
「おい、しっかりするんだ!」
「目ぇ覚ましてくれ、公子っチ!」
その後、公子はゆかり達に発見され、シャドウから解放された。
どうやら気絶した後に体を引きずり回されたらしく、ぐっしょりと濡れた短パンと漏れ出る尿により、タルタロスの廊下には黄色い帯の道が出来ていた。
公子は仲間の問い掛けに言葉で応えることは無く、ただ体をビクンビクンと揺らすだけだった…。

翌日以降、犯人が美鶴ら生徒会により見つかるまで、公子の失禁姿や吐瀉物塗れの写真が影で出回ったという。
だか彼女の心を傷つけたのは、より無様な姿を仲間に見られたことだった…。
(終)

−−ーここからあとがき−−−
体操着姿がゲーム中に無いので妄想でリョナろう、みたいな感じです。
相変わらず設定とか適当ですがご勘弁を。
ハム子編は盗撮されたり、真田さんの取り巻きに絡まれたりするので日常パートでも妄想が捗っていいですね。
読んで下さった方ありがとうございました!


255 : 名無しさん :2014/08/27(水) 22:50:14 ???
ハム子いいよね…


256 : 名無しさん :2014/08/31(日) 15:28:41 AYalS8p.
ノエルの人です
D会長くなりすぎて一行に書きあがらん
待たせてごめん
貪られ役2人なんてやるんじゃなかったw

で、次への場つなぎのため
悪魔城のキャリーで拙作をひとつ仕上げました
もうちょっとしたら投下します


257 : 名無しさん :2014/08/31(日) 16:04:06 ???
悪魔城に潜入し、最深部近くまで到達したキャリー。休む間もなく敵達の攻撃にさらされ続けた彼女だったが、彼女はまだ生きていた。

「はぁ、はぁ」

背中に返り血を浴びて、深緑の服装に赤黒いシミが付着している。息つくまもなく戦い続けたせいで息も上がっていた。度重なる戦闘による疲労が、十二歳の少女の両肩に重くのしかかる。

キャリーが入り込んだのは巨大な書斎であった。彼女の背丈を遥かに超える本棚が幾列も並んでいる。物々しい革製の背表紙が丁寧に並べられ、キャリーの周囲に壁を作りあげていた。
ゾンビや吸血鬼のような気配は感じられない。カビ臭い古本の匂いがするだけだ。

「身体を、休めなくちゃ……」

ガクン、とひざを曲げて女の子座りをして腰を落とす。キャリーは、冷たい水の入ったガラス瓶を懐から取り出す。
もうほんの僅かしかない水。キャリーは小さくて赤い舌を出して、ちょんちょんと少しずつ水を舐めとり、こくん、と飲み干す。衰弱しきった身体に、清い水が染み込んでいく。

(おいしい……水がこんなにおいしいなんて……)

舌先に冷たさを感じる。
生きている。
フェルナンデスの血を継ぐバンパイアハンターとして、ここで死ぬわけには行かない。

(よし……これでもう大丈夫)

小さな身体を起こし、再び立ち上がる。何度も修羅場をくぐり抜けた者の目で、周囲を見据える。

(絶対に、生きて帰るんだ……!)


その時。

「きゃあっ!!」

突然の地震。
キャリーは足をとられて躓き、転んでしまう。ガラス瓶が床に転がって水がこぼれ、前のめりに倒れたキャリーの目の前でドクドクと床のカーペットにしみこんでいく。

「そ、そんなっ……!」

貴重な水を失ったキャリーは絶望的な気分にたたき落とされる。
しかし、落ち込んでいる暇はない。
地震はさらに激しさを増し、本棚がガタガタと揺れている。どこかに隠れていたであろうネズミたちがぞわぞわと一斉に蠢きはじめる。

そして、キャリーの前方に佇んでいた巨大な本棚が、激しい揺れでバランスを失いーー。

「キャアアアアア!!」

本の雪崩を起こしながらキャリー目掛けて倒れてくる!

ドドドドドドっ!!
ーーーーーー。
…………。


258 : 名無しさん :2014/08/31(日) 16:05:19 ???



「ぅ、あ……」

ずきん、ずきん、と激しく痛む右足。
足首をやられたらしく、キャリーはまともに動けなくなっていた。
倒れてきた本棚から逃れようとしてすぐさま立ち上がり、なんとか直撃は免れたものの、わずかに間に合わなかった。
結果、キャリーは右足を本棚に挟まれてしまったのだ。

(いたい……いた、いっ……!)

ずきん!

「やぁっ……!!」

年相応の少女の悲鳴をあげて激痛に悶えるキャリー。
自力で脱出できたものの、立ち上がることはもはやできない。

「けほっ、けほっ……」

埃が一斉に舞い上がっているために、呼吸するだけで息苦しくなってくる。
キャリーの服も全身が埃で汚れてしまっていた。
華奢な両腕とまだ動く左足を使って、腹這いの姿勢で前へと進む。
革靴とストッキングの境目辺りが真っ赤に滲んでいる。
アキレス腱をやられてしまった――。

(この状態で襲われたらひとたまりもない……身を隠さないと……!)

しかし、悪魔の城は、この幼き少女を生きて帰すつもりは毛頭なかった。
すでに数多くの同朋がこのうら若き少女によって倒されている。
そして何よりも、彼女はフェルナンデスというバンパイアハンターの末裔。
この機を逃すはずがなかった。

悪魔は、少女への制裁を開始した。



「な、なに……あれ……っ」

天井から、何か黒い太陽のようなものがゆっくりと墜ちてくるのを、キャリーの目は捉えた。
無論、それが太陽であるはずはない。
黒い毛でビッシリと覆われた、巨大な蜘蛛であった。
蜘蛛は、ズン、と確かな質量を感じさせる着地音を立てて、床を這う少女を狙いはじめる。

「こんな、ところっ、で……!」

キャリーは片手に光の球をチャージし、それを蜘蛛へと発射ーー蜘蛛に直撃!
蜘蛛はその攻撃に身を捩るが……しかし、それは一瞬だけのことに過ぎない。
またすぐにキャリーの元へとにじり寄る。
ゆっくりとした動きが、キャリーを威圧する。

「そんなっ、効いていないなんて……!」

次の瞬間。

「あっ!」

首の裏側の襟元に蜘蛛の片足を引っ掛けたかと思うと、キャリーの身体は宙に持ち上げられる。

「キャアアアァっ!!」

そして、思い切り彼女を空中で振り回して、まだ倒れていない手近の本棚に向けてキャリーを投げ飛ばした!

「いやああああっ! かハァっ!!」

背中を強く打ちつけて息を詰まらせる。
そのままキャリーは前のめりに倒れる。
さらに衝撃で本が次々と落ち、ドサドサと音を立ててキャリーの背中を打ちつけた。

「ぁ、ぅああっ……」

後頭部を打ちつけたことにより、頭部から血が流れ落ちている。
その血がキャリーの目に入り、もう前が見えなくなってしまっていた。


259 : 名無しさん :2014/08/31(日) 16:06:50 ???
(わたし、ここで死ぬの……?)

足首を苛む激痛。
喉の奥に広がる血の味。
そして頭を打ち付けたことにより、視界がぼんやりと霞みはじめる。
キャリーは自らの死が迫ってきていることを生々しく感じ取る。
死んでしまう。
その恐怖は圧倒的な力でキャリーの心を蝕み、彼女の中で燃え続けていた勇気も、吸血鬼を滅ぼすという使命感も、全て奪い去ってしまう。

「やだ、ゃだぁっ……」

蜘蛛が目の前に迫る。

「たすけてっ……もぅ、許してっ……」

先代のバンパイアハンターのように、気高くあろうと自らを奮い立たせてきたキャリー。
絶対にバンパイアを滅ぼしてみせる。
その矜持がいつも彼女を支えてきた。
しかし、彼女はあまりにも若過ぎた。
十二歳という年齢でありながら、すべてを投げ打って戦いに身を投じることなどできるはずがない。
カチカチと歯を震わせるキャリー。
そして彼女は、平凡な村の乙女と同じように……圧倒的な恐怖に屈し、命乞いを始めた。

「死にたくないっ……死にたくないよぉっ……!」

キャリーは、すべてのプライドを投げ捨てて、涙で顔をぐしゃぐしゃにする。
しかし、相手は悪魔である。
慈悲の心など、欠片もあるはずがない。

キャリーはうつ伏せに倒れたまま顔を上げた。
そこには、キャリーを冷酷に見下ろす蜘蛛の目があった。
明確な殺気を宿した目が……。

「た、すけ、てっ……」
(殺される……この蜘蛛に、私は殺されるんだ……っ)

蜘蛛は思い切り片足を振り上げる。
突然、外で雷が落ちて、その光が窓から差し込み、蜘蛛の足先が鈍く銀色に輝いた。
その足が、勢いよく振り下ろされーー。

ガツッ!!

キャリーの鼻先、ほんの数ミリ前を叩きつけた。
分厚い革製の本を、いとも簡単に貫通するほどの勢いだった。

「ハっ……ハヒっ……ハっ」

キャリーは無表情のまま、引きつったような呼吸をしていた。
脳に深々と突き刺さって意識を失い、死ぬのだと思っていたが、まだ生きていた。
しかし、それはキャリーの恐怖をより長引かせるものでしかない。
チョロ……と股間が緩んでしまい、血のような生暖かさが太股のあたりに広がっていくのをキャリーは感じていた。

「ころさっ……なひっ…れ…っぁ」

くるん、と両目が裏返り、ガクンとうなだれるキャリー。
とてつもない恐怖を感じ失神していた。
もともと平凡な暮らしをしていた彼女が、死を受け入れることなどできるはずがなかった。
天井に巣くうコウモリ達が、キイキイと一斉に嗤いはじめた。
自分たちの存在を脅かすバンパイアハンターが、死を前にしてあれほど取り乱すなど、思いもしていなかっただろうから。


260 : 名無しさん :2014/08/31(日) 16:08:16 ???
蜘蛛は口元をクチャクチャと粘ついた音を立てて動かすと

ブッ!

白濁した糸を次々と吐き出して、動かなくなったキャリーに吹きかける。
糸は外気に触れて一瞬で凝固し、キャリーのまだ柔らかい身体をきつく締め付けた。
その身体も、死を迎えれば急速に固まり、冷たくなっていくに違いなかった。

上体と四肢を拘束され、頭部も真っ白の糸で包まれて固定されてしまうキャリー。
これでバンパイアハンターは、もう何も抵抗できない。
天井にいる無数のコウモリ達が、待ってましたと言わんばかりに、小さな身体へと一斉に群がる。
コウモリ達が羽ばたく音が幾重にも重なり、外の雷鳴すらもかき消した。

「ンーーッ! ンンンンンンッッッ!!!」

キャリーはコウモリに喰われている最中に覚醒したようだったが、それは何と運の悪い覚醒であったことか。
もはや何の抵抗もできないキャリーは、意識を残したまま全身を噛まれて血を吸われるという、発狂するほどの苦しみを味わうことになった。
白い糸に拘束されたキャリーが泣き叫ぶ。

「ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”ン”!!!」

糸で包まれた彼女の全身は、コウモリの牙で無数の傷を付けられた。
白い糸がキャリーの血を吸って、じわりと紅く染まりはじめる。
コウモリたちはいくら吸っても満足しなかった。
何十年振りの人間の血である。
不味いネズミで我慢し続けてきた彼らにとって、十二歳の少女の血はご馳走以外の何者でもなかった。

キイキイキイキイキイ

やがて蜘蛛の糸もズタズタに引き裂かれていき、キャリーの両腕が糸の中から覗けて見えるようになった。
手首に付いている黄金のリング。
そのリングを通す腕は、満身創痍でピクリとも動かない。

あれだけの血を吸われてしまった以上、もうキャリーは生きているはずがなかった。
ようやくコウモリが全て天井に戻ったとき、白い糸で覆われた彼女は血で真っ赤になっていた。

蜘蛛は片足を振り上げ、思い切りキャリーの背中に足を突き刺す。
その衝撃でキャリーは微かに仰け反った。
蜘蛛が怪力で糸を引きちぎりながらキャリーを上に持ち上げる。
仰向けの状態のまま、だらりと両手足がぶらぶらと揺れて、黄金のリングが両手から落ちた。
うつぶせのまま床に押さえつけられていたので、背中や尻はひどい有り様だったが、胸や腹には傷が全く付いていなかった。
そのため、彼女の前面は、生きたままの美しい姿を留めたままだった。
偶然が生んだ奇跡と言えなくもなかった。

しかし、生きたままコウモリに食い殺される恐怖は凄まじく、キャリーは目を限界まで見開いたまま、口をだらしなく開けて絶命していた。
それが、幼きバンパイアハンターが、糸の中で見せた最期の表情であった。

世界の終わりを告げるような、一段と激しい雷鳴が書斎を揺さぶった。


261 : 名無しさん :2014/08/31(日) 16:10:03 ???



蜘蛛はキャリーの身体をもう一度振り回し、今度は外へと通じる窓へと放り投げた。

バリィンッッッ!

キャリーの亡骸はガラス窓を突き抜けて、空中に放り出される。
砕けたガラス片と一緒に、キャリーは頭を下に向けながら一直線に落ちていく。
下には森が広がっており、キャリーはバリバリと枝に翻弄されながら落下。
やがて、地面へと倒れ伏した。
仰向けに倒れたキャリーの身体に、枯れ葉が何枚が付着している。
一匹の蟻がキャリーの頬を這い上がっていた。
やがて雨が降り始めた。
雨はキャリーの肌から血を洗い落とし、赤い水溜まりが広がった。
雨の匂いのなかに、噎せるような血の匂いが充満する。

その匂いを求めてゆっくりと歩いてくるゾンビたち。
キャリーの周囲を取り囲むようにゾンビがゆっくりと近づくと、

ボリボリボリボリ……
シャコシャコシャコシャコ……

服の上から少女の身体を食らいつくし始めた。
少女の肌や骨を噛みちぎり、歯ごたえのある音を立てて筋肉や内臓を食べた。
あるゾンビは緑色に変色した舌を出してキャリーの顔を舐めとった。
生前は女好きの男だったのだろう。
男を知らぬまま死んだキャリーは、そのゾンビに抱かれながら亡骸を食われていった。

月は下弦に向かってやせ細っていく。
少女の小さな身体が無数のゾンビ達に食い尽くされるのは、ほんのわずかな時間でしかなかった。

最後の一口を食った女好きのゾンビは、口からキャリーの髪を振こぼしながら、股間にあるものを怒張させていた。
彼らにとって良い女を喰うことは、生きている人間が良い女を抱くときと同じ歓びを感じるのかもしれないーー。

生きていた少女はここで無惨に散り、生ける屍は次の死者を求めて森の中を彷徨い続ける……


262 : 名無しさん :2014/08/31(日) 16:13:18 ???
以上です

ハム子さんのSS、GJでした
アイギスさんで書いてくれないかなぁ(チラッ
戦闘でも、魔改造ネタでも


263 : 名無しさん :2014/08/31(日) 16:58:11 ???
GJ過ぎてGJじゃ足りない!
キャリーのこういう無様な最期を見たかった!


264 : ハム子の人 :2014/08/31(日) 17:43:42 ???
>>262
こちらこそGJです。私も悪魔城シリーズは大好きですが黙示録はプレイしたことないので、
雰囲気のあるSSを書いて頂けると妄想が捗ってありがたいです
蜘蛛に縛られるキャリー素晴らしかったです

実は「悪墜ちしたゆかりや美鶴、悩殺されたアイギスにリョナられるハム子」みたいなSSが書き掛けで放置してありますw
リョナSSというより百合SSになってしまいそうですが…
幾月に魔改造されたアイギスとハム子の死闘、みたいな感じならリョナ的にも盛り上がるかもしれませんね
衣装はまたハイレグアーマーになると思いますが…


265 : 名無しさん :2014/09/07(日) 19:33:25 ???
今書いているSSがどうしても長くなってしまい投下するには数回に分けることになりそうなんだけど、
1回投下する分毎にオチをつけた方がいいですか?
それとも長い話を適当なところで切っただけで投下しても大丈夫ですかね。


266 : 名無しさん :2014/09/07(日) 20:20:06 ???
>>265
複数のSSを同時に投稿、みたいのじゃなければ
適当で大丈夫だとおも


267 : 名無しさん :2014/09/07(日) 20:23:56 ???
>>265
どう投下してもいいと思うけど、毎回リョナシーンをどこかに盛り込んでくれたほうが個人的にうれしいかな


268 : 名無しさん :2014/09/07(日) 22:16:26 ???
>>265
楽しみにしてる
>>141の人の続きも楽しみにしてる


269 : 名無しさん :2014/09/07(日) 23:54:20 ???
>>265
リョナシーンなしの部分だけ書いて飽きてやめるとかじゃなければ大歓迎
楽しみにしてます


270 : 名無しさん :2014/09/08(月) 00:14:33 ???
>>265
・1回の投稿をブツ切りにしない(文末ないし、次レスにつづく等をつける)
これだけシッカリ守ってくれれば別になんも言わん


271 : 265 :2014/09/08(月) 00:33:41 ???
ありがとうございます。
続きがわかるような形で全ての回にリョナシーン入れられるようにやってみます
5〜6回ぐらいで終わると思うので、出来次第順次投下します。


272 : 名無しさん :2014/09/12(金) 18:25:46 ???
前から妄想をSSにしたい思ってるんだけど語彙の少なさと文章力の低さでいつも挫折してる
SSにおける文章力って絵で言うと画力みたいな物なんだろうなま
キャラの描写とか台詞とか上手い人に比べて自分が書いた物読むと子供の落書きみたいに感じるorz


273 : 名無しさん :2014/09/12(金) 20:07:27 ???
あくまで個人的な意見だけど
語彙の少なさはぶっちゃけそんなに気にならないもんだよ

とりあえず、段落改行で文の体裁を整えれば全く同じ内容でも見れる形になるんだけど、
何故かそこは滅茶苦茶軽視されてるんだよね

で、体裁を整えれば分るけど、会話文だけで進行すると状況が分りにくかったりするの
だから会話の区切りに短くて良いから状況説明の地の文を差し込めば案外状況整理がスッキリするの
長くなるからって敬遠する人いるけど、面白さってのは自分の中でだけで完結したところで他人には伝わらないの
説明が足りるか足りないか、冷静な判断を心がけた方が良い

その際、会話文と地の文に空行入れると全体的に見やすくスッキリするのね
連続した会話の間に改行は要らないと思うけども、適切な改行は必要だと思うの

んで、そもそも的に言うと上手く書けない場合に何が足りないって結構な割合で構成な気がする
誰が何してどうこうして結果こうなるっていう順序ね
これを決めないで見切り発車するから途中フラフラして最終的に風呂敷畳めなくなりパターン

ぶっちゃけ、アンケートでも何でも他人の意見を聞いて話を作るなんて難易度高いんだよ
自分の妄想を箇条書きで書き出して、肉付けする方向でやった方が普通は難易度低いはずなんだよ
自分から妄想を書き出せない人なら別だけども

登場人物の設定決めて、オチを決めて、それに向けて必要なネタをピックアップして順序決めて、
それに肉付けしていって、丸パクリは論外だけど他人のいいなって思った部分を参考に作っていけば自然と引き出しも語彙も増えるよ
どう上手くアレンジするかっていうのは引き出しだよ
分らない言い回しとか単語とか、今の御時世ググれば簡単に出てくるんだし


274 : 名無しさん :2014/09/12(金) 21:24:36 ???
これはSS経験者の助言ですわ
実感こもってる


275 : 名無しさん :2014/09/12(金) 22:53:59 ???
俺はもうほぼ会話なんて書かないよ。
結末だけ決めておけば、途中で本筋からズレてもいずれ軌道修正できるから
結末だけは例外を除いて必ず先に決めておく。

たまに見かける意見として気になるのは、他の人の目を気にしすぎていることだわ。
100人いて100人に受け入れられるようなことなんて無いんだし、
SS書く俺自身、他人が書いた文章読むのはダルいからほぼ読まない。
いろんな人に読んでもらって、あわよくば褒めてもらおうなんて思ってると、
望んだ結果にならなくて凹むことになる。
書くときに気を使って書くのはいいことだけど、書き終わった時には、
「俺が書きたいものを俺が書いてついでに公開した。他人の反応なんか知りません。」
くらいの勢いでいいと思うんだよね。
あと、書きたい部分に至るまでの前段の部分に力を入れすぎないようにしてる。
だいたいダレてくるから、そんなの最後にちょっと付け足すくらいでいい。
書きたい部分だけ自分の好きなように力を入れて書き上げる。それ以外はオマケだ。


276 : 名無しさん :2014/09/12(金) 23:16:05 ???
ノエルの人です。
なんか面白いことを話してますね

1、ラノベでも何でもいいから好きな本を読む
2、いろんな人が書いた想像の世界に触れて妄想力を高める
3、下手でもいいから書いて練習する。

コレ続けるだけでそれなりにうまくなると思うよ
難しく考えすぎてハードル上げちゃうのはイクナイ


277 : 名無しさん :2014/09/12(金) 23:38:03 ???
SS作者っぽい人の書き込みは短期間で出てくるのにスレは何故(ry

まぁ半分自虐はいいとして、書きたいものと求められてるものって往々にしてずれるし、そこまで気にしなくていいかも。
エンターテイナーを本業にする人ならともかく、自分の作品自体がスレの叩き台っていうか養分になるみたいなところあるしね。
反応無いのは悲しいけどな!正直なところ!


278 : 名無しさん :2014/09/13(土) 01:09:30 ???
そうは言っても投下自体一種の自己満だからな
何が何でも評価を受けたいなら最初から商業方面目指した方がいいわけだし


279 : 名無しさん :2014/09/13(土) 18:46:03 ???
読み手側からしたら、文章の巧拙よりも内容の方が断然大事だと思うけどなぁ
内容が自分の嗜好に合えば、多少てにをはがおかしくてもスルーして読めるもんだし
まあ読んでも全く場面が想像出来ないような悪文でなければだけど


280 : 名無しさん :2014/09/14(日) 18:13:49 ???
内容の伝達としての読みやすさって絶対に必要だと思うんだけどな
逆に言っちゃえば、どんな上等な内容でも改行すらマトモに出来たないヤツは読む気にすらならないから文章力がある事すらわからん
多少文章力が劣ろうが、その辺しっかりしてる方が絶対読んで貰えるだろうね
何故かこの板はそれを指摘すると荒らしだの作者潰しだのって扱い受けるんだけど


281 : 265 :2014/09/14(日) 23:26:18 ???
流れぶったですいません&上で言われているようなことちゃんとできてるか怪しい…
恐ろしい!けど投下しちゃう(ビクンビクン

どうしても導入部なのでリョナまで異常に長くかつ控えめになりますが、
スレ汚しご容赦ください。


282 : 265 :2014/09/14(日) 23:32:58 ???
「おい待て。どこに行く」

帝国の隣国との国境線上に位置する検問所。
その受付に並ぶ多くの旅人達の列から抜けて茂みに行こうとする一人の女を帝国兵が呼び止める。

「あの、その……ちょっとお花を…」
近づいてきた兵士にしか聞こえないような小声でローブのフード下から女が答える。

「ああ、それならあそこのを使って構わないよ」
事情を察した兵士は検問所の手前にある掘立小屋を顎で示す。

「俺達のだからぼろくてあれだが」
「ありがとうございます」
少し恥ずかしそうに礼を言うと、女は早足でその小屋に入っていく。

女の順番を抜かして後ろの馬車が前に進む。
「さて……と」
小屋に入った女だったが、用を足すわけでもなく男女共用の便器正面の壁に耳を近づける。

『その槍はお前が思っているより短い』

軍隊らしいジョークの注意書きが書かれた紙の、その端を少しちぎると壁に空いた穴から検問所が目の前に見える。
女の後ろにいた大きな荷馬車が丁度検問を受けている所だった。
検問の担当と思われる兵士が、受付の中から馬車から降りた商人風の男に質問をしている。

「この荷物は?」
「鎧と兜で、全部合わせて14対あります。それと剣が4振りに槍が10本で全てです」

男の回答に兵士が怪訝そうな顔をすると、それを察して他の兵士が荷馬車の前に回り込む。
大量の武器を輸送するとなれば、当然ながらこうした検問では厳しく見られる。
「これは全て隣国の領主様からのご注文でして、ああ、注文書もあります。それと商売の許可証も」
武器商人らしい男はこうした検問に慣れているのだろう。すぐさま必要とされる書類を検問担当の兵士に差し出す。
受け取った兵士は奥から台帳を引っ張り出して注文書と許可証の両方に押されたそれぞれの割り印を調べていたが、やがて書類を武器商人に返した。

「どうも御面倒を。お気をつけて」
そう言うと仲間に合図して門を開けさせる。

武器商人の荷馬車の後には、少し小さな荷馬車が藁束を満載して現れた。
「全て藁束で?」
「ええ。隣国に馴染みの家畜商がおりまして、そこに持っていく途中です」
この商人も旅慣れているらしく、答えながら必要な書類を用意している。

「藁の中身を見ても良いですか?」
「ええ。どうぞ」
商人の許可を得ると二人の兵士が棒を持って荷馬車へ上がり、何度か藁束を掘り返したものの特に怪しいものは無かったのだろう。
すぐに荷馬車から降りて受付の兵士に合図する。

「どうも御面倒を。お気をつけて」
敵や罪人と確定するまでは丁重に接するのが帝国軍の規則らしい。
今日1日で何度言ったのか分からないその台詞を言い、門の近くにいる仲間に合図する。


283 : 265 :2014/09/14(日) 23:36:35 ???
そこまで見届けると、女は足早に便所を出る。
「ありがとうございました」
先程の兵士にそう言って頭を下げると、兵士もニコリと笑って答える。

「お嬢ちゃんひとりかい?」
「はい」
「そうかい。今は女の一人旅も珍しくないが、この辺じゃ最近野盗が出たなんて報告もある。気を付けてな」
「はい。ありがとうございます」

親切な帝国兵に別れを告げ、検問を超えた女は足早に馬車の後を追う。
あの荷物ならそれほど速く走れないだろうし、なにより速く走る必要もないはずだ。

何しろあれは全て嘘なのだから。

(あの二人…それにあの鎧と藁束。間違いない)
女は前に何日も尾行しているその2両の馬車を捉え、思いを強めていった。

(師匠、見つけました)
女は心の中で、今は亡き彼女の師匠に報告する。

今から100年ほど前、魔法の技術が一般に公開されてから、軍属や宮仕えから退いた魔術師たちの仕事と言えば、市井の魔法学校での教官が相場となっていた。
彼女の師匠も軍属あがりであったが、人集めの才能は無かったようで多くの弟子がいる訳ではなかった。
しかしながらその指導は上手く、現に一番弟子であるこの女は19歳にして一通りの魔法は習得していた。
そんな彼がある時何者かによって襲撃を受け瀕死の重傷を負い、死の床にて女にある事実を告げた。

40年前の戦争の際、自分が軍で魔法兵器の開発に関わっていた事。
魔法兵器はどれも致命的欠陥を抱えていたため開発は打ち切りになったものの、その時の資料が残っていた事。
自分がそれを見つけ、始末するつもりで集めていたという事。
それを狙った何者かに襲われ、奪われてしまったという事。
欠陥品とは言え、魔法兵器が悪用されれば大きな被害が出る事。

女が敵討ちと資料の回収を約束すると、師匠は下手人の人相書きと魔法兵器の概要を記した手記、そして女の為にしつらえた銀の短剣を渡して息絶えた。

『わが弟子、クディルへ』

刀身にそう刻まれたその短剣は、彼に剣術も習っていた女、クディルの手に吸い付くようによく馴染んだ。

(あれを拡散させる訳にはいかない。絶対に)
クディルは短剣の柄に手をかけ、その冷たい感触で決意を新たにして馬車を追った。


284 : 265 :2014/09/14(日) 23:43:57 ???
やがて日が沈む頃になって、2両の馬車は道を外れ、森の中へと消えていく。
それなりの大きさのある馬車だったが、下調べはついていたのだろう、丁度いい幅の道を見つけて中に入り込んでいく。

やがて先頭を行く武器商人の馬車が、正面に人影を認めて止まる。
武器商人と後続の藁商人が共に馬車を下りて人影に一礼すると、互いに何か言葉を交わし、人影だけが闇の中へ消えた。

それから暫くして、別の人影が武器商人に近づいていた。
クディルであった。
森の中で佇む武器商人を茂みから覗きながら、腰の短剣に手をかけるクディル。
荷馬車はどちらも空で、それはつまり剣が必要になるという事を意味している。

「月が出ていて満天の星空、闇討ちにはよくない夜だな?」
武器商人が茂みから立ち上がったクディルの方を向きつつ語りかける。
ローブを脱ぎ、肩まであるこげ茶色のポニーテールが夜風に揺れる。

「よく見えた方が好都合なのよ。私にはね」
そう言ってクディルは抜き放った銀の刃を武器商人に向ける。
武器商人の返答を待たず、クディルは一気に相手の懐へ飛び込む。

「うおっ!?」
胸元に殺到する刃を紙一重で飛び下がって躱すと、二人の間に割って立つように2体の鎧が武器商人の背後から現れた。

「旦那から生け捕りにしろとのお達しだ。殺すなよ」
武器商人の言葉を理解しているのか、鎧はどちらも鞘の付いたままの槍を構えてクディルに迫る。

(どういう事?向こうも私を探している?)
武器商人の言葉を怪訝に思うクディルだったが、今は考えている暇がない。

カチャカチャと金属の足音が闇に響く。
クディルの正面に迫る2体だけではなく、周囲からも同様の音と共に同様の鎧たちが姿を現し、じりじりとクディルを囲もうとする。

「……やっぱりもう起動できるのね」
「動くのが分かってるなら、こいつらが何をするかも分かるだろう?」
武器商人が言い終わるより早く、正面の2体が槍を振り上げてクディルにとびかかる。

向かって右側の攻撃をかわしながら、左側の攻撃を剣で受け流して後ろに回り込むと首に出来た兜との隙間に刃を滑り込ませる。
人間の体よりはるかに軽い手応えと同時に、鎧の隙間から青白い光が漏れ、光を放ちながら鎧は動かなくなった。

横の仲間をやられたもう1体の鎧は、片手に持った槍を振り向きざまに薙ぎ払うがいかんせん振り返るまでが遅すぎる。
クディルは頭上に槍が吹き抜けると同時に鎧の胸に左手のひらを押し当てて、一瞬意識を集中する。
「はっ!!」
掛け声とともに鎧と左手に光が走り、鎧はさっきまで向いていた方向に吹き飛ぶと、剣を抜きながら加勢に来たもう1体の鎧を下敷きにして倒れた。

「ぐううっ…」
瞬く間に3体の鎧を失った武器商人は、ここに来て初めてクディルの腕前を理解したようだったが、
その結論に至った時には既に再度踏み込んだクディルの柄頭が鳩尾に沈み込んでいた。

「があっ…!?」
「殺しはしないわ。聞きたい事が沢山あるの」

武器商人が膝をつくのと同時に、辺りでもそれを真似るようにガシャガシャと鎧達が倒れ、皆一様に青白い光を放っていた。

「急がなくちゃ。この様子だと他のも…」
足元に倒れる鎧の隙間から飛び出した藁が青く照らされているのを見ながらクディルは呟く。


285 : 265 :2014/09/14(日) 23:49:34 ???
この鎧達は皆、量産型魔法兵器である。
決して逆らわず裏切らず、死をも恐れない藁束の兵士は、
体を維持するための鎧さえ与えておけば他の一切が不要な効率的で安全な軍隊を目指して作られた。

だが実際には人間のように複雑な命令はこなせず、それぞれの練度も新兵以下という有様で、
指揮官から離れては動けない上にその指揮官がやられれば今のように総崩れという致命的な欠陥を抱えている。

だがだからと言って安心はできない。
製造の容易な量産型とは言え魔法兵器が実用化されてしまった以上、これ以外の物が製造されている可能性は十分にあるのだ。

「もう一人は……逃げられたか」
藁商人の姿は見当たらないが、クディルのこれまでの調査から、藁商人はこの武器商人が雇った傭兵であることは分かっている。
何か聞き出すならこの武器商人だけで十分だろう。
剣を収め、そう考えて倒れている武器商人を見下ろすクディル。

武器商人は、藁束兵の指揮官は倒れている。
それが僅かな気の緩みを生んだ。
そうでなければ倒れている鎧の数も、無風にも拘らずガサガサ音を立てた茂みにも、注意を払っただろう。

「!?」
真後ろに突然の気配を感じ、剣を抜きつつ振り返ったが、手遅れだった。

「しまっ―」
鋼鉄の腕に弾かれた右腕は、クディルの意思に関係なく愛剣を放り出し、宙に挙げられた。
しかし2本の鋼鉄は止まらず、片方がクディルの奥襟を鷲掴みにすると、もう片方が勢いよく彼女の腹に沈み込む。

「かっ!!」
拳を中心に『く』の字に折れ曲がったクディルの体を鎧は強引に引き寄せて背中から羽交い絞めにする。

「くっ……ゴホッ」
ダメージから立ち直る隙も与えられずに拘束されてしまったクディル。
涙で歪む視界に一人の男が現れる。

「油断大敵だなぁ。嬢ちゃん」
男―藁商人は被っていた土や草を払いながら不敵に笑う。
その両脇には同じく土や草を盛られた鎧が2体、動く度にそれらを落としながら中央の指揮官に追随する。

「フン。魔法剣士とはいえ娘一人に…救助料上乗せだな。ええ?」
男はつま先で武器商人の頭を小突きながら吐き捨てる。

「仲間がやられるのを……待ってたの?……最低」

全快には程遠いまま、精一杯睨みつけるクディルに侮蔑するような視線を送りながら男は答える。
「傭兵ってのはなお嬢ちゃん。金払いの悪い雇い主を仲間とは思わんのさ」
そう言うと両脇の鎧に顎で指示を出す。

「ま、こいつの雇い主はもう少し出せそうだ。そっちの注文は聞いておくがね―ところで」
片方の鎧がクディルの正面に立つ。


286 : 265 :2014/09/14(日) 23:54:27 ???
「少し役得があってもいいだろう」
男が言い終わると同時に、硬い鋼鉄の拳がクディルの腹に再度突き刺さる。

「かはっ!!」
今度は後ろの鎧に挟まれ、体を折ることもできずに腹を潰される。

目を見開き、吐き出す空気すらないままにうなだれた右頬が捉えられる。
「ぶふぅっ!!」

吹き飛んで倒れられれば、まだ少しはダメージも軽減できるのだろうが、冷たい拘束がそれをも許さない。

「ぐぅっ!!がっ!!あはっ!!こほっ!!」

鎧はクディルの腹と言わず胸と言わず頭と言わずおよそ見えている部分全てに容赦なく拳を叩き込んでいく。

「はぁ……はぁ……うぇ…や、やめ……」
掠れた哀願は拳にかき消される。

「あぐっ!……ぐぅ…うぅ…」

何度目か分からない腹への一撃で、ついにクディルは意識を手放した。
羽交い絞めにされている両腕だけで支えられ、十字架に磔にされたような形のままピクリとも動かない。

一部始終を見ていた男は、殴っていた鎧に剣を抜かせるとクディルにその切っ先を向けさせたまま下がらせ、代わりに自分が前に出る。

「おい嬢ちゃん」
呼びかけにも全く応じないクディルに男はほんの少し左足を前に滑らせる。

「死んじまったか―な!」
「!!?」

真上に蹴り上げられた右足のつま先がクディルの股間に突き刺さる。

思いきり鞭で背中を打たれたように体を弓反りにして顔を空に向け、声にならない絶叫を上げる。
腹に石が詰まっているように重く、全く表現のしようがない凄まじい激痛がクディルの全身を何周も走り回る。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!あ、あっ!」
大粒の涙が見開かれた目からとめどなく流れ、両足は膝がくっついたかのように折れ曲がってがくがくと震え、全身から冷たい汗が噴き出る。

「ハハハ、まだ元気そうじゃないか」
男の笑い声に答えるのはひゅう、ひゅうと空気の漏れるような呼吸音だけ。
そのクディルの前髪を鷲掴みにすると、がっくりとうなだれた彼女の顔を自分の方へと向けさせる。

「何発で壊れるか、折角だから試してみるか?」
元が端整なだけに苦痛に歪んだ今のクディルの表情は加虐心を煽るのに格好の材料となっている。


287 : 265 :2014/09/14(日) 23:58:40 ???
(駄目……このままじゃ…)

回らない頭で必死に打開策を考えるクディルだったが、状況は絶望的だ。
体格でも人数でも劣る上に、武器を奪われて拘束されている以上反撃の機会を得ること自体奇跡に等しい。

ましてや完膚なきまでに痛めつけられた今の状況では仮に拘束から脱出しても魔法も体術も満足に使えないだろう。
現に密かに沈痛の魔法を重ねがけした今ですら、敵の前でなければ声を上げて泣きたいほどの激痛に襲われているのだから。

男の指が品定めするようにクディルの頬を撫でる。
次はどう痛めつけるか?男の指は頭の中がそれで一杯なことを物語っている。

(やらなきゃ……やられる!)
男の態度にクディルは1つだけ思いついた方法を決意する。

成功するかは完全な賭け。
もしクディルの体が一瞬でもこの作戦についていけなければ、その時点で彼女の残りの人生は無残なものとなる。
だがこのままではどの道その無残な未来が確定する。

「くふふふふ」
歪んだ笑みを浮かべて男が手を離す。
(今しかない!)

羽交い絞めにされていた腕を何とか捻って鎧に掌を当てる。
ほんの一瞬、鎧の動きが止まり、重力に従って腕が落ち始めるが、すぐに元のように羽交い絞めにしようとする。
その一瞬で、クディルは最初の賭けに勝った。

一瞬自由になった体は、動かない足を限界まで踏み込ませ、震える腕を限界まで伸ばして、男に拳を押し当てた。
「おごああああああっ!?」
男が絶叫する。
クディルの拳から電光が迸り、それが消えると同時にクディル以外の全てが倒れ伏した。

「はぁ…はぁ…はぁ……。やった……」
次の賭けもクディルの勝ちだった。

自身の魔力を鎧に送り込むことによって、藁束の命令を相殺しコントロールを奪う。
しかし常に命令を出し続けている藁束の、本来の命令を相殺できるのはほんの一瞬だ。
その一瞬の隙に男に拳を押し当て、雷の魔法を打ち込む。

もう一度同じことをやれと言われても恐らく不可能だろう。


288 : 265 :2014/09/15(月) 00:00:08 ???
「くっ……やられちゃった…なぁ……」

ふらふらと覚束ない足取りで弾かれた自分の剣を回収し鞘に戻すが、そこが限界だった。

「うっ!」
何かにつまずいて倒れたクディルは、もう立ち上がれなかった。

「早く、早くこいつらを」
世界が急激にぼやけ、ぐるぐると回り出す。

(捕まえなきゃ……捕まえて……仲間の場所を…でも…)
頭はそう考えているのに体は無くなってしまったようにいう事を聞かない。

「もう、だめだ……」
目隠しされたように視界が闇に包まれ、クディルは再び意識を失った。


続きます


289 : 265 :2014/09/15(月) 00:04:37 ???
以上スレ汚し失礼しました。
あとリョナられ役勝っちゃってすいません。
よろしければ続き書け次第投下させていただきます


290 : 名無しさん :2014/09/15(月) 12:08:27 ???
自分も便乗して新作投下します。
一応続きものの前篇ですが、話自体は完結してます。
あと微妙にペルソナ3終盤ののネタバレになってます…未プレイの方すみません

なんか書き込みがうまくいかないので前置きがてらテスト投稿させていただきます…申し訳ない


291 : アイギスリョナからの魔改造 その1 :2014/09/15(月) 12:09:32 ???
うまくいったので投下開始…

「…話とは何でしょう?」

人気の無い、とある場所にある深夜の廃工場、そこに呼び出されたアイギスは冷めた調子で呼び出した相手を問い質す。

「待っていたよ…単刀直入に言おう。僕らの仲間になって欲しい。さもなくば…君の仲間の安全は保証しない。」

対するのは桐条ラボの研究者達…と言ってもまともな研究者では無い。
1月31日に現れるという、世界を滅ぼす存在・ニュクス。
その出現に呼応するかのように、ニュクス教というカルト宗教が流行り始めた。
ここに集まった研究者は、そのニュクス教思想に取りつかれた哀れなマッド・サイエンティスト共だ。

「お断りします。私は…ニュクスと戦う覚悟を決めたので。」

ニュクスを倒すか、ニュクスに関する記憶を手放して滅びを受け入れるか―
岐路に立たされた、アイギスの所属する特別課外活動部は、ニュクスを倒すために団結することを選んだ。
アイギスもニュクスを止めるため、機械の体でありながら自らの意志で仲間達と共に戦う事を選びとった戦士の一人である。

「皆さんの為に…ここであなた方を止めます。」

その固い意志が、簡単に曲げられることは無い。

「そうか…ククク、では力ずくで従わせるとしよう!」

そう言うと研究者達は隠し持っていた武装を取り出し、一斉にアイギスに襲いかかる。
彼女の体を目掛けて多数の弾丸が飛んでいく。
だが、アイギスはまったく動じない。

カキィン!

アイギスの頑丈なチタンボディにすべての弾丸は弾かれ、
生身の人間ならとっくに蜂の巣になっている程度の猛攻ですら、傷一つ付かない程度まで抑え込まれる。

「甘く見られたようですね…!」

アイギスは相手が自分を傷付ける手段を持っていないと踏み、研究者達をマシンガンの射程圏に入れるため接近する。
手を後ろに伸ばす彼女独特の走法で、研究者たちとの距離を徐々に詰めていく。

だが、それは相手の罠だった。

「かかったな!」
「!?」

アイギスは、よく見ると、敵の銃にもう一つ銃口があることに気が付いた。
だが、気付いた時には既に遅かった。アイギスが回避態勢に入る前に、研究者達はもう一つのトリガーを引いた。
すると、それぞれの銃口から電撃が一筋ずつ発射される。

「しまっ…!」

機械の体をもつアイギスにとって、電撃は大きな弱点であった。
慌ててよけようとするも、一筋の電撃が彼女の胸部を貫く。

「ああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

機械の体故に、痛覚を持たないが人間の精神を持つアイギスは、まるで人間の女性が感電した時のような悲鳴を上げる。
そして、他の研究者たちの放つ電撃も、次々とアイギスに着弾した。

「ああっ、あひっ、うあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

電撃が着弾するたび、アイギスは兵器に似つかわしくない情けない悲鳴を上げさせられる。

「あぁぁぁぁぁぁぁっ……」

ようやく攻撃が終わったころには、アイギスの体はショートし機能不全に陥っていた。
彼女は普段の凛々しい声とは正反対の声を上げながら膝を付き、地面にへたり込んだ。


292 : アイギスリョナからの魔改造 その2 :2014/09/15(月) 12:10:53 ???
「あぅ……」
「よし、徹甲弾用意!」

マシンガンの付いたアイギスの腕がだらしなく垂れ下がったのを確認すると、研究者の一人が小型の砲台のようなものを準備し始める。

「くっ……でも、この程度なら、足止めにしか……!」

電撃銃の威力自体は、普段アイギスがシャドウに食らわされる電撃魔法よりは大分低いものだった。
彼女は動作の回復プログラムを作動させ、なんとか立ち上がろうとする。

(確か徹甲弾と言っていた…その程度の武器なら…!)

戦車1台程度なら余裕で戦えるスペックを持ち、またペルソナ能力により貫通系の攻撃に耐性を持つアイギスにとって、
装甲の貫通を目的とする武器・徹甲弾はほぼ無意味な攻撃手段であった。
もっとも、今の彼女の体では避けたくても避けられないのだが…。しかし、絶対に大丈夫、アイギスはそう確信していた。

「徹甲弾、準備完了…。」
「標的捕捉…発射!」

もの凄い勢いで速度を上げながら、細長い形の砲弾がアイギスへと向かう。
だがアイギスは落ち着き払った様子で、飛んでくる砲弾を自らの体で受けとめようとする。
まだ機能が完全に回復していないにも関わらず、その表情には余裕すら浮かんでいた。

着弾するまでは。

ズボッ!
「おごっ!?」

なんと、弾はアイギスのどてっ腹を見事に貫通し、そのまま彼女の体の向こう側へ飛んで行ったのだ。
そしてまるで人間の内臓の破片が飛び散るかのごとく、周囲に内部のパーツが飛び散っていく。

「ごぼっ…がはぁっ…!」

上半身の一部が破壊され、バランスを保てなくなったアイギスの体は前のめりに倒れ、ガシャンと大きな音を立てた。
大きな穴の空いた胴体からは燃料のオイルが漏れ出し、逆流した液体がアイギスの口から吐瀉物のごとく盛大に吐き出される。
黄色のオイルは辺りへ段々と広がっていき、股間の辺りまで広がるとまるで人間が失禁したかのような光景が繰り広げられる。

「ふふっ…対シャドウ兵器用徹甲弾の威力は上々のようだな。ここまでペルソナの能力を無視できるとは…。」
「くっくっ…自らの耐性を過信してすっかり油断したようだな。」

設計した兵器が狙い通りの働きをしたことを喜んでか、研究者達は思わずニンマリとする。

「ぐっ……か、体が、立たないっ……!」

アイギスは上半身のパーツの大部分を失ったことにより、機能停止寸前まで追い込まれていた。もはや立つことすらままならない。

「うっ……くっ……あうっ!」

何度も指を突き立て、身体を起こそうとするが失敗し、その度に身体を地面に叩きつけ、ガシャンという音を響かせる。やがて…。

「あひっ!」

突然、アイギスは嬌声を上げる。空いた穴の内部にある破損パーツがバチッとスパークを起こしたのだ。

「ま、まずい!離れろ!」

研究者が叫んだ瞬間、火花がオイルに引火し−

ゴウッ!

「くああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!」

アイギスの体が高レベルの火炎魔法並の炎に包まれれ、思わず悲痛な叫び声を上げた。


293 : アイギスリョナからの魔改造 最後 :2014/09/15(月) 12:13:32 ???
「ああっ……ね、熱がっ……!」

アイギスのチタンボディは、炎に炙られることで次第に加熱されていき、残りのパーツも変調をきたし始め、とうとう活動の限界を迎えようとしていた。
オーバーヒートしたパーツからは次々と煙が立ち上り、彼女の美しい水色の瞳からは段々とハイライトが消え失せていく。
美しい金色の人工頭髪も次第に焼け焦げていき、白く美しいボディの表面も黒くすすけてゆく。

「は、早く消火を!」
「いや、限界まで待とう…完全に機能停止したところを捕獲するんだ」
「くあぁっ……あ、あなた達の…言いなりになんか……」

研究者たちの狙いはアイギスを機能停止まで追い込んでラボに持ち帰り、自分たちの思い通りに動くため改造することである。

(もう…仲間を…公子さんを…傷つけたくないのにっ…
 体が…言うことを…きかな…い……)

アイギスとしてはその邪悪な野望を、何としてでも阻止したかった。
しかし、燃え盛る体は必死に動かそうとしてもまったく動くことはない。
そして無情にも、炎はさらに勢いを増していく…。

「も、もう限界だ!工場の壁に燃え移る!」
「よし、消火だ!」

研究者達が次々と消火器のノズルをアイギスへ向け、幾筋もの水撃を彼女に放つ。

(あぁ……公子さん…皆さん…お役に立てなくて、すみません……)

水音が辺りに響き渡る中、アイギスは護るべき者への未練を残し、完全に機能を停止した…。

暫くするともうもうと立ち上る煙から、アイギスの残骸が出現した。白く美しかった体は幾つもの黒い焦げ跡が出来、綺麗な水色の瞳は完全にハイライトが消え、黒いオイルのような筋が流れ出ている。
美しい金髪も熱により黒く変色した上ボロボロになっており、何よりも腹部に空いた穴が痛々しい。

その後−アイギスの体はこっそりとラボに運ばれ、夜通し修復と改造が行われた。
だが勿論元通りになる筈も無く、ボディは修繕はされたものの、美しい白で彩られていたボディは真っ黒に塗り潰され、禍々しいペイントまで施されてしまった。
かつて幾月に操られてしまった時のように、目のハイライトも消え失せたままになっている。
だが何よりも変わってしまったのは、彼女の精神であった。

「我、ニュクスの尖兵なり。主に仇為す者、抹殺す。」

ニュクス教信者の研究者による精神改造で、アイギスは人間らしさの芽生えた美しい女性型ロボットから、ニュクス教の敵を排除する冷酷な殺人兵器へと変貌を遂げた。
もはや仲間への情愛も、公子を守り、ニュクスを打ち倒すという使命も今のアイギスの心には微塵も残っていない。
そして、アイギスは動き始めるのだった。

早速課せられた、特別課外活動部のリーダー、そして自らが最も愛した存在である、公子の抹殺任務に向けて。


294 : あとがきです :2014/09/15(月) 12:19:31 ???
以上です。お目汚し失礼しました
一応この後は公子リョナ編へと続いていく予定です まだ一行も書いてませんが

>>265
GJです 個人的には腹パン後とマン的後のクディルちゃんの反応がかなりツボでした
今回はリョナられ側の勝利とは言え満身創痍の状態ですから、この後どうなるか楽しみですw
勝ったけどボロボロになって失神、という時点でかなり良いシチュなのに今後更にリョナられるとは…素晴らしいです


295 : 名無しさん :2014/09/15(月) 14:39:00 Gvv2nBhM
二作も投下されている!
良作age


296 : 名無しさん :2014/09/17(水) 07:48:25 ???
辛うじて勝ったあと連戦、てなると大変だな


297 : 名無しさん :2014/09/17(水) 12:47:19 ???
絵師さんスレに人が流れたからか
過疎ってきたな
新作投下すれば戻ってくるかな


298 : 名無しさん :2014/09/17(水) 21:05:57 ???
俺はSSの方が物語が感じられて好きよ
絵だとどうしても一場面になっちゃうからね


299 : 名無しさん :2014/09/17(水) 21:50:26 ???
D会の新作ですが、もうすぐ投下できそうです
今回、史上最長のものになるみたいです。
もうちょっと待ってね


300 : 名無しさん :2014/09/17(水) 22:01:57 ???
ふふふ楽しみだ


301 : 名無しさん :2014/09/17(水) 23:03:47 ???
過疎どころか豊作じゃないか…ここ最近潤ってくれて凄く嬉しい


302 : 名無しさん :2014/09/17(水) 23:10:01 ???
D会新作期待してます!


303 : 名無しさん :2014/09/20(土) 08:58:27 ???
待ち遠しい


304 : 名無しさん :2014/09/20(土) 18:49:25 ???
某リポートくらいしかなかった暗黒期から見れば夢のようだね


305 : 265 :2014/09/22(月) 00:53:41 ???
>>290
感想ありがとうございます&アイギスリョナGJでした。
腹を撃ち抜かれてから必死に起きようとするアイギスが可愛すぎて悶絶しました。
公子編も待ってます!



前回の続きですが、今週中ぐらいには完成すると思うので出来次第投下させていただきます。
連戦にどうやって持っていくか…


306 : 名無しさん :2014/09/22(月) 16:14:24 ???
>>305
体力を消耗して連戦って好きなシチュエーションなんで楽しみにしてます


307 : 名無しさん :2014/09/23(火) 22:52:58 ???
>>302-303
うああぁいつまで経っても書き終わらないぃいい
遅筆過ぎて泣ける
予定では今夜開催のはずだったんだけど……


308 : 290 :2014/09/24(水) 00:23:19 ???
>>305
こちらこそ感想ありがとうございます。メカ娘リョナは初めてなので苦労しましたがメカ娘ならではのシチュを考えるのは楽しかったです
自分も今週中には仕上げたいところです。構想は大体固まってますが遅筆な上PC絶不調でヤバいです


309 : 265 :2014/09/27(土) 01:38:18 ???
続きが出来たので投下させていただきます。
ただ今回長くなった上に途中で途中から中だるみしてます。
それでもよろしければ生暖かく見守ってください。


310 : 265 :2014/09/27(土) 01:42:43 ???
夜でも賑わいを見せ、完全に灯の絶えることがない都市ならともかく、郊外の街道から外れた森の中は全てが静まり返っている。
季節の終わる虫の鳴き声だけが独特の調子で響き、時折吹く夜風によってガサガサと森が音を立て、
その音に合わせて力尽きたクディルの髪の毛が揺れる。

「う……」
夜風にかき消されながらも、クディルの喉から苦しそうな呻き声が漏れた。
次に少しだけ指先が動き、その後でようやく目が開かれた。

「生きてる…の……かな?」
弱々しい声で呟きながら、何一つ鮮明に映らない視界で辺りを見渡すクディル。
先程までと同じ森の中で、先程辛勝した敵達が転がっている。

呟きの答えを確認すると、自分のするべき行動―即ち、武器商人と藁商人を拘束するため、
俯せで倒れていた体を立ち上がらせようとするが―

「くっ……!あう!」
動こうとすればするほど、全身に激痛が走る。
それでも無理を押して力を込めれば、それに呼応するようにより激しい痛みに襲われ、
死にかけの虫のようにただ力なくもがくことしか出来ない。

「はぁ……はぁ……こんな所で……倒れて…あくっ!…なんか…ぐうぅ!」
何度も途中で倒れながら、何とか近くの木にすがる様な形で立ち上がったクディルの耳にイヌ科動物のものらしき遠吠えが響く。

(そんな…こんな時にっ!)
もし今山犬や狼に出くわしたら、戦う事は無論の事、満足に動くことすら出来ない体では逃げることも隠れることもままならない。
ようやく追いついた仇の一味を見逃さなければならない己の不運を呪いながら、少しでもこの場所を離れるべく、森の出口に向かう。
生きていればまた機会はある。だがここで山犬に喉を食い千切られればそれで永久にお終いだ。

「もう少し…。もう少しで……」
森の出口に差し掛かった時、複数の足音がクディルを囲った。
それはしかし、山犬でも狼でもない。
その証拠に、チャリチャリと金属の擦れ合うような音や、下卑た笑い声が聞こえてくる。

恐らく友好的ではないだろうそれらの音を聞きながら、クディルは昼間の検問での帝国兵の言葉を思い出していた。
彼の言っていた野盗が恐らくこの足音の正体だ。

「よりにもよって……勘弁してよ」
泣き出しそうな声で思わず口をついた弱音。

傷だらけで抗う事の出来ない女が野盗に捕まればどうなるのか。
それが分からないクディルではない。
生々しい恐怖がクディルを捕えると、抗おうとする心をへし折ろうとする。

それを振り払うように首を振り、腰の短剣を引き抜く。
「そんなの、絶対に嫌」
恐怖に敗れかかった心を奮い立たせ、動かない体に鞭打って剣を構える。


311 : 265 :2014/09/27(土) 01:49:20 ???
痛みを堪え、暗闇を睨みつけながら森の出口に向かって一歩ずつ慎重に歩を進める。
三歩目を踏み出した時、前の茂みが乱暴に踏み分けられ、そこから飛び出した手斧を振り上げた男が躍りかかった。

クディルにとっては大振りなそれを躱してすれ違いざまに踏み出した相手の足を引き切ると、
悲鳴を上げて転がるその男には目もくれず、反対側からとびかかってきた男の斬撃をいなして跳び下がる。
いなされた男が向き直るよりも速くクディルはその場を離れ、次々と襲いくる敵を或いは躱し、或いはいなし、或いは受け流しながら時折反撃で腕や足に斬りつけて攻撃力を奪って逃げる。

(数が多すぎる!戦っていたらきりがない……!)
野盗達は1対1の業前ではクディルに遠く及ばないが、集団で襲い掛かってくる以上、倒すことより逃げることを優先する方が賢明だ。
ましてや技で勝るとはいえ満身創痍の体を精神力だけで動かしている今のクディルでは、まともに戦えば体力、筋力で勝っている相手に不覚を取る可能性も十分にある。

この方法で追っ手の数を減らし、3人目の右足を斬って転ばせると、それまで襲いかかってきた野盗達が遠巻きに警戒するような動作に変わった。
(いける。もう少しだ)
油断なく周囲に剣を向けながら歩をさらに進め、ついに月明かりが木々に遮られなくなった時、クディルを待っていたかのように一人の男が立ち塞がった。
最後の敵に振り返りざまに剣を向けるクディル。しかし彼女の剣士としての直感が目の前の男1人で今転がした3人より強いことを伝えている。

全て黒い胸甲、小手、脚絆で固めた男はゆらりと影のように佇み、その長身の倍はありそうな長いハルバートを携えている。
その得物の刃同様に鋭い眼光を放つ細い目からは一切の感情が読み取れず、
鉢巻代わりの長いバンダナが風に吹かれてなびくのが、この男の中で唯一の動きが見える場所だった。

(最後にとんでもないのが来たわね)
クディルはふうと息を吐き、改めて剣を構え直す。

「……行くぞ」
「!?」
一瞬だった。
ゆらりと動いた影は、それをクディルが認識するよりも早く間合いを詰め、ハルバートの斧が彼女の頭上に殺到する。
辛うじてこれを受け止めたクディルだったが、その次の瞬間には引き戻された槍がさっきまで彼女の頭があった所を通り抜け、
その直後には今の頭を狙って鎌が後ろから首に迫り、紙一重のところまで追い詰める。

「くぅ!!」
影の連撃に防戦一方のクディルはじりじりと森まで戻され始めた。
男の手の中で獰猛な大蛇のように暴れ回るハルバートは、クディルが一瞬でも気を抜けばその次の瞬間には彼女の息の根を確実に止めるだろう。

だが、クディルの武器は剣だけではない。
影の猛攻を何とか凌ぎ、最もダメージの少ない左足を前に踏み出すと、
しっかりと地面を踏みしめてごく短い―薙ぎ払いを躱された影が十字を描くように続けざまに放った唐竹割が届くよりも前に終わるような詠唱を行う。

瞬間、左足のつま先にある地面が弾け、土塊が影に殺到する。
「…ッ!」
突如目の前に現れた壁に踏みとどまって動きを止める影。

「はああっ!!」
その隙をついて、壁の向こうからクディルが飛び込む。
リーチでは圧倒的に勝っている影に対して、棹状武器の弱点である懐に飛び込んで一気に勝負をかける。


312 : 265 :2014/09/27(土) 01:53:17 ???
(こいつさえ倒せば、他の連中も退くはず!)
恐らく野盗の中では最も優秀な使い手と思われるこの男さえ倒してしまえば後は総崩れになる。この考えからの攻撃。

「ちいっ!」
だが影はこの攻撃もクディルの考えも見越していた。
カラリと音を立ててクディルの刃を手元で受け止めると、舌打ちと同時に一歩跳び下がって間合いを取り、再度得物を振り上げる。

「しまった!」
起死回生の一撃を躱され、その隙を突かれる形となったクディルは、咄嗟に頭上に剣を上げて防御の姿勢を取る。

次の瞬間、振り上げられていた先端は影の後ろに消え、クディルのがら空きの脇へ半円を描きながら石突が叩き込まれる。
「ぐあっ!?」
骨が音を立て、体が曲がり、足が地面を離れる。
叩きつけられた石突は勢いを衰えずにクディルを引っかけたまま振りぬかれ、その途中でクディルを吹き飛ばした。

「がはっ!!」
クディルは地面と平行に飛ばされ、大木に背中から叩きつけられて止まった。
全身がバラバラになるような衝撃が波となって体中を駆け巡る。
肺が潰れたように息がつまり、吐くことも吸う事も出来ないような感覚に襲われる。
上半身からゆっくりと剥がれ落ち、どさりと俯せに倒れ伏すクディル。

(か、体が……)
心が折れていなくとも、体はとっくに限界に達していた。
立ち上がろうとしてもまるでいう事を聞かず、衝撃波と共に激痛が全身を駆け巡り、上体を起き上がらせようと地面に突っ張った両腕はがくがくと震えて全く力が入らない。

「くっ……ううぅ…」
土下座のような姿勢で顔だけを上げ、弱々しく影を見上げるクディル。
恐怖と苦痛と悔しさの入り混じった視線を受けながら、影はクディルの後ろへ一瞬目をやる。

突然、クディルの首を掬い上げるように大きな手が包み込んだ。
「んう!?」
片手だけでクディルの首の全周を覆ってしまいそうなその手は、その中の細首を押し潰すように力を掛けながらゆっくりとクディルを持ち上げていく。

「あうっ!うっ、んんっ……」
咄嗟に両手で首にかかる指を外しにかかるが、瀕死のクディルにその太い指は少しも動かすことができない。

「んーっ……」
首だけで宙に吊り上げられ、足をバタバタと動かしても地面には全くつかない。
「んんっ……ううぅ…」
既にクディルの身長より頭一つ分以上高く持ち上げられ、呼吸を止められるという苦しみの中、急速にクディルの意識に暗闇が広がっていく。

(駄目……もう、意識が……)
太い指に少しだけ食い込んだ白い爪が重力に引かれて滑り落ち、暴れていた足もつま先を下にしてまっすぐ静止する。

「うぅ……うぁ…」
大きな手の主は手中の女剣士が落ちたことを手にかかる重さから察知するとそのまま荒々しく彼女を担ぎ上げた。


313 : 265 :2014/09/27(土) 01:56:44 ???
どれほど眠っただろうか、クディルは薄暗い穴倉の中、両手首の痛みで目を覚ました。
目の前には征服欲に駆られた眼をした数人の男達。

「!?」
「へへっ、お目覚めかいお嬢ちゃん」
即座に記憶が戻り立ち上がろうとするクディルだったが、後ろ手に縛られた両腕は柱に巻き付けられている。

「聞いた通りの別嬪じゃねえか」
「ただの別嬪なら良かったんだけどな…」

一口に征服欲と言っても、それは2つに分けられる。
女を縛り付けて自由にできるとなった時のもの。
自分を傷つけた相手を自由にできるとなった時のもの。
腕に包帯代わりの布を巻いた後者の一人が馬用の鞭を手にする。

「おい待てよ。こいつは女衒に売払うって親分が言ってたぜ?傷物にして売値がさがりゃあ俺達がそいつでやられる羽目になる」
そう言う前者に後者は答える。
「このアマの体良く見てみろ。これだけ傷だらけなら1つ2つ増えたところで誰も分かりゃしねえさ。それに―」
後者は一度言葉を切り、縛り付けられたままキッっと自分達を睨みつけるクディルを一瞥する。

「こういうのを大人しくさせてから…ってのも悪くねえだろ」
「まぁ、そうだな」
口元を歪ませ、両者が合意したところで、後者が一歩クディルへ近づく。

「礼をさせてもらうぜ小娘!」
鋭く風を切って鞭がクディルに叩き込まれる。
「うあっ!!」
露出した右腕にくれられた鞭は一撃でクディルの皮膚を切り裂いた。

悲痛な声を上げるクディルだったが、その痛みを認識するのと同時に更に風を切る音が聞こえてくる。
「あぐっ!!いぎっ!!うあああっ!!」
皮が裂け、血が滲み、その痛みにも慣れぬうちに別の場所で皮が裂けて血が滲む。

「あう!はぐっ!ぐぅぅ…っ!」
避けようとして体をよじった所で縛り上げられている以上どこかしらを打ち据えられることになり、ただいたずらに傷が増えていく。

「うっ……ぐす…こんなことで……負ける…訳には……ひぐっ」
必死に虚勢を張りながらもその目からは大粒の涙が流れ落ち、両頬に川を作っている。
そしてその態度は、加虐心を煽りたてるにはこれ以上ない程の演出となる。

「ひうっ!うああああああああああああああああっ!!」
全身に鞭の雨を受け、絶叫するクディル。
最早体のどこにも何らかのダメージを受けていないところは無かった。

「はぁ……はぁ……うぅ……うぶ!」
がくりとうなだれたクディルの顔を鞭で打ちつけていた男の足が踏みつける。

「うくぅぅ……うあぁぁ……」
柱と足に挟まれ、頬を足で蹂躙されて、最早叫ぶことすら出来ずに弱々しく悲鳴を上げるクディル。


314 : 265 :2014/09/27(土) 02:04:53 ???
「ふぅん。随分と楽しそうじゃないか」
「あ、お嬢!」

男の背後から聞こえてきた気だるげな女の声で、クディルの責め苦は中断される。
お嬢と呼ばれた女は日に焼けた足を晒し出し、短い腰巻の上は下着と革製の胸甲のみで大弓を担ぐという
一瞥してまともな素性でないことが分かる格好をしている。
その女の横には昨晩の影の男が付き添い、感情の読み取れぬ目でクディルを見下ろしている。

「糞親父―あ〜、親分が呼んでるよ」
「お、お嬢。流石に親分を糞親父呼ばわりは…」
「うっさいね!親子の事情に口出すんじゃないよ。あたいがこいつ見張ってっからとっとと行きな!!」
女は男達を追い払うとクディルの前に腰を下ろす。

「すまないね。ひどい目に合わせて」
そう言ってクディルを抱えるように柱の拘束に手をまわす。
状況が理解できずにただ女を見つめるクディルに、女は口を開く。
「あたいはここの親分の一人娘でね。シャミアってんだ。見ての通りつまらない野盗さ」

シャミアと名乗った女はそう言いながらクディルの拘束を解く。
解き放たれたクディルの傷だらけの体を見るや、シャミアは振り向いて影の男に早口で何かを伝え、男が牢屋を後にすると、またクディルの方に向き直る。

「大したものは無いけど、今薬を持ってくるから」
「…どうして?」
状況を未だに飲み込めないでいるクディルにシャミアは一呼吸置いて語り出す。

「あたいの親父は、元々は野盗なんかじゃなかったんだけどね。あたいが子供の頃に身を持ち崩して盗みに手を染めたのさ。
最初は生きるためにやむを得ずと言っていたけど、やがて味を占めた。真面目に働くよりそういう奴から奪う方が簡単だと考え始めて、すぐに悪い仲間を集めてこの様さ」

そこまで言って、シャミアは一度外の様子を見ると誰もいない事を確認して話を続ける。
「あたいはそういう盗んだ物で育てられたから、親父にも強く文句はいえねぇんだけど、でもこんな事は間違ってる。だからあたいは野盗なんかやめて、都に行って医者の勉強をしたいんだ」

ここまで聞いてクディルはなんとなくシャミアの考えが分かってきたような気がした。
「野盗をやめるから…助けてくれるの?」
クディルの問いにシャミアは大きく頷く。

「これ以上こんなふざけた生業で誰かを傷つけるのは御免だ。
あんたを捕まえたのだって、そうでもしなきゃあいつら、あんたを殺すつもりだったからさ。そんなのこれ以上あっちゃあならねぇ。
いいかい?暫くしたら女衒があんたを引き取りに来る。その時あたいとさっきの黒ずくめの男―ちょっと前に西から来たっていう用心棒で、
あんたを連れてきた大男と一緒に親父が雇ったんだけど、この二人はあたいの味方をしてくれてね。
あたい達三人で一騒ぎ起こすから、その隙に奥にある抜け穴から逃げてくれ。
穴までは別のが案内する。んで、あんたが逃げた後あたいがあんたを探しに行くふりをしてそのままドロンって訳さ」

シャミアが逃げるための囮とも取れなくはないし、そもそも話がうますぎるような気もするが、それでも上手くすれば何もしないより助かる可能性ははるかに高い。

「分かったわ……ありがとう」
話に乗ることを決めたクディルに、シャミアは恥ずかしそうに視線を逸らす。

「感謝するのはあたいの方さ。すまないね。穴まではこの、キネじいが案内するよ」
そう言って後ろを振り向き、牢屋の入り口で控えていた老人を招き入れる。
キネじいと呼ばれた老人はクディルに深々と頭を下げる。

「この度はうちの者がとんだご迷惑を……」
ともに深々と頭を下げたシャミアにクディルは上げてくださいと言う他なかった。

「すいやせん。まともな薬が用意出来なくて……お荷物一式しかございやせんでした」
そう言ってキネじいがクディルに荷物を返した時、一人の野盗が飛び込んできた。


315 : 265 :2014/09/27(土) 02:10:11 ???
「お嬢!表に妙な奴が…」
呼ばれたシャミアは野盗に分からぬよう、クディルに目配せして表に出ていく。

(女衒が来るのはもっと後だよな?)
穴倉を出ると、隠れ里の入り口でハルバートと身長ほどあるメイスというそれぞれの得物を携えた二人の用心棒と
親分を含む沢山の野盗が一人の女を取り囲んでいる。

女は白いローブを纏い、それと同じぐらい白い長髪が腰まで伸びている。
顔を含めて露出している肌も雪のように白く、薄紅色の瞳だけがその女の中で唯一色のある部分だった。

「こげ茶色の髪の毛と瞳をした魔法と剣の心得がある19歳の女だ。渡してくれたらそれなりの謝礼を約束する」
その白女が取り囲む野盗達にそう告げる。
この発言にそれまでにやついていた野盗達の一部と用心棒達、そしてシャミアが戸惑いの色を浮かべる。

(こいつ、なんでそのことを知っている?)
あの晩居合わせた者しか知らない筈の情報を口にする白女は薄暗い曇り空の下で異様な存在感を放ち、
その発言と相まって不気味さすら感じる。

「ここに居りゃあ会えるかもしれねえぜ?奥で待ってるか?へへへっ」
事情を知らない野盗の一人が、ジャックナイフをひらひらさせながら白女に絡む。

「済まないがそれをしまってくれないか。刃物を向けられては大人しい話し方が出来ない」
「お?こいつがあると大人しくない話し方になんのかい?」
「まあ、そうだね」

白女の答えに野盗はおどけた演技をしてひゅうと口笛を吹き、肩をすくませる。
「かっこいいー。ねえ、どんな風になんの?」

斬り付けるように見せながら白女の喉元にナイフを寸止めする野盗。
それを一瞥すると、冷たい印象を与えるよく響く声で遠い北の国の古い歌を歌い始める。

野盗達がそんなものを知る筈もなく、絡んでいた野盗も一瞬呆気にとられ、その表情のまま首が宙を舞った。
同時にそれを眺めていた彼らの親玉の頭がメイスによって叩き潰される。
一瞬の出来事に周囲の誰もが反応できないうちに、手を下した二人の用心棒が白女を守るように彼女の両脇に控える。

「う、うわあああああああああああああああっ!?」
「なっ、何しやがんだ手前ら!?」
「おっ、親分が!親分が!!」

二人の死体が崩れ落ちると同時に理解が追い付いた野盗達が一斉に叫びだす。
その大合唱の中、野盗の血のシャワーを浴びた白女は狂気に満ちた笑顔を浮かべる。

「コロセ」
ただ一言、両脇でそれまでと別人の様に光の無い目で虚空を見つめていた用心棒に命じる。
命令と同時に、用心棒達はそれまでと同様、破格の強さを見せつける。ただし先程までの味方に向かって。
瞬く間に叩き潰され、切り裂かれ、砕かれ、貫かれた死体の山が築かれる。

「貴様っ!何をした!!」
唯一残されたシャミアが、大弓に矢をつがえて白女に叫ぶ。
二人の間に影の男が割って入るが、その正面はシャミアの方に向いている。

「どけ!」
シャミアの叫びにも影の男は動じない。

「どけぇ!どけよぉ!!」
「フフフ、撃てない。あなたは撃てない」
白女が嘲る。
事実、シャミアの指は矢を離せなかった。


316 : 265 :2014/09/27(土) 02:13:51 ???
口数が少なく、ともすればぶっきらぼうではあったが、
それでも自分の事を理解し、常に傍で支えてくれたこの男の事をシャミアはどうしても撃つことが出来なかった。

だがもう影の男はそうではない。
「うおおおおあああああああっ!!」
間合いがつまり、ついにシャミアが叫び声と共に悲しい決心をして矢を放った時、その叫び声に応じて横に跳び、そのままシャミアの腹を貫いた。

「がっ……あっ……」
大弓を取り落し、その場に崩れ落ちるシャミア。
その耳に、聞きなれた声が響く。

「嬢ーっ!!!」
キネじいが痛めて上がらない肩で剣を振り上げ、シャミアを救わんと突っ込んでくる。

「キネじい!駄目だ……っ!!来ちゃ駄目だ!!」
シャミアの叫びは届かなかった。
キネじいの振り上げた両腕は肘から先が斬り飛ばされ、
走ってきた下半身は上半身を置いて前に進み、
残された上半身も地面に落ちる前に両断された。

シャミアが生まれる前から彼女の父に仕え、現状を共に嘆き、
シャミアの夢に感涙して激励し、医者になったらその肩を治すと約束したシャミア最大の理解者にして支持者は、
彼女の目の前でバラバラになった。

「嫌ああああああああああああああ!!!!」
シャミアの絶叫が轟く。

「なんで!?何でこんなことするの!?」
影の男の足を掴み、半狂乱になったシャミア。
問いかけられている影の男に白女は面倒臭そうに手を首の前でひらひらと横に振る。

「なんで!なんでよ!!なんっ、いぎっ!あぐっ!があっ!!」
問いに答える者はおらず、代わりに何度も槍が突き立てられる。

「あがっ……ぐ、うぅ…あぁ……」
悲鳴も上がらなくなり、それでも自分の足を掴み続けている両手を、影の男は邪魔そうに蹴りはがした。

ある若き医者の卵は、こうして潰えた。


317 : 265 :2014/09/27(土) 02:16:41 ???
それから少し経って、野盗の隠れ里から山一つ以上離れた細い街道を、
外套をかぶった女が一人、拾った棒を杖代わりによろよろと歩いていた。

先程から降り出した大雨の中、ボロボロの外套はその役目をほとんど果たさず女を濡らし、
冷たい雨がただでさえ尽きそうな女の体力を奪い取っていく。

野盗の隠れ里での惨劇の時、シャミアが牢屋を出た際、キネじいが女―クディルに外套を与え抜け穴の場所を教えていた。
外の異変に気づいたキネじいは飛び出した際にクディルを逃がしていた。

長い抜け穴からどこだか分からない雑木林の中に出て、そこからどう歩いたのか突き当たった街道をどこへ出るのかも分からずに彷徨い続けている。

不意に、前からロバを引いて歩く同じように古い外套を着た少年に出くわした。
「お姉さん。大丈夫?」

少年から見てもクディルはひどく消耗して見えたのだろう。
思わずかけられたその言葉に何か返そうとした時、クディルの体は地面に引きずり込まれるかのように崩れ落ちた。

「お姉さん!?お姉さんってば!」
慌てて介抱する少年の声も、クディルの耳には届いていなかった。





「申し訳ございません。仕込んだ者達を使って野盗どもを襲いましたが、娘は取り逃がしました」
「そうか……いや、まあいいさ。兵を仕込んだだけで十分だ。それに、現地の事は現地人に任せるのが一番だからな」

続く


318 : 265 :2014/09/27(土) 02:19:16 ???
以上スレ汚し失礼しました。
2回連続気絶オチってどうなんだろう。
あとなんで俺はおっさんのリョナシーンを書いてるんだろう。


319 : 名無しさん :2014/09/27(土) 20:30:46 ???
実力的には問題ないのにどんどん追い込まれていくクディルがかわいいね
ここまで何とか貞操は守ってきたけど
これからどんな破滅が待ってるのか楽しみだ


320 : 名無しさん :2014/09/28(日) 00:11:00 ???
D会どうでしょう


321 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:26:04 ???
ムチャクチャ遅れましたがようやく記しあがりました
>>135-140 この続きになります。


今回のSSには「妄想垂れ流しスレ2」に出されたオリジナルキャラクターが登場します

:メルフィア
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/37271/1387456331/150

:ジャックス・ハーパー
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/37271/1387456331/359


SSどうぞ↓

----------


322 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:27:15 ???

 《 無差別格闘大会・世界最強決定戦  予選ルール 》

 :出場選手は連絡された指定エリアに向かうこと
 :試合はストリートファイト形式、不意打ちも許可する
 :対戦での勝敗によってその選手のポイントを増減する、勝者は加点、敗者は減点
 :単体で決定的に強力なもの(刀剣、銃器類など)でなければ武器の使用もよい
 :タイムリミット時にポイントの多い出場選手数名のみ、大会本戦への出場権を獲得できる
 : etc . . .

                     〜 ライオンズ・ファウンデーション 総裁  淵 老獅 〜

----------

 〜 U.S.A サンフランシスコ チャイナタウン 〜

 中華意匠で溢れたこの繁華街。
 普段から雑踏と喧噪で騒がしいこの市街地で、幾つもの人だかりがある。

 人が群がるその空間にいるのは、二人のファイター。
 1対1のストリートファイトで格闘している最中だったが、片方がダウンし、
 ノビてノックアウトされた事が決まると、周囲の観衆が一斉に騒ぐ。
 その騒ぎ方の表情は大別して2種類。歓喜と落胆だ。

 格闘の現場を囲むように群がり、騒ぐ観衆の一部は、手にドル札を握っている。
 このストリートファイトで「勝つと思う方」に金を賭けている連中だ。
 先ほどの“2種類の表情”は、賭けの関わる表情変化である。

 このような非公式な賭博も起きる“無差別格闘大会・世界最強決定戦”。
 既に熱狂の人気が起きているが、闘いはまだ地区ごとの予選でしかない……

 … … …

「―――っぐェエ」

 横顔を蹴り上げられた男が、喉から声を漏らしてチャイナタウンの道路に背からダウンする。
 そして昏倒してノックアウトした事を観衆が解ると、観衆が雑多な感情を含んで騒ぐ。

 先ほどノックアウトされて倒れた、黒いシャツとジーンズを着た厳つい体格の男の相手は、
 ……明らかに小さい。“間違いなく男の方が勝つ”と思えても仕方ないほどに。

「何よ、もうおしまい? ウドの大木どころか、ただの丸太じゃない」

 金髪のツインテールに、尖った性格を表しているような釣り気味の目。
 小さい装飾が入った深紅のネクタイに、黒い装飾の入った白色の半袖ブラウス。
 黒と赤のチェック柄が入ったミニスカートと、黒いニーソックスの間からは
 白く健康的な太腿が晒されている。少女の身長は150cmに届かない。
 ベルトと鋲で飾られた底の厚いパンク・ブーツの足で、鋭いキックを繰り出した。

 体格差をものともせず厳つい男を鋭いハイキックで蹴り倒した少女、
 名はメルフィアといい、わずか15歳という最年少クラスの出場者である。
 「自分を叱る父親を見返してやる」という、いかにも若い考えでエントリーした。
 ほとんど家出同然に大会出場するところから、彼女のお転婆さが見て取れる。

 メルフィアの勝利という結果で終わると、賭けた金額で騒ぐ観衆の様子をよそに、
 メルフィアはその場から立ち去る。

「ホラ嬢ちゃんよ、あんたの取り分」
「十分足りてるからいらないわよ。アンタが持ってれば」

 現場の賭け事を仕切っている中年小男からファイトマネーが差し出されるが、
 メルフィアは一瞥もせずに拒み、立ち去っていった。


323 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:28:23 ???
 … … …

 ――翌日。
 2日間に合計4勝もしたメルフィアはチャイナタウンから離れ、エリア外のホテルで一泊。
 今日は朝から試合エリアのチャイナタウンを訪れていた。

 この大会の“予選”は、各エリアで“数日間という制限時間内”に行われている。
 つまり日数を過ぎていなければ、ホテルなどの施設で休眠してしまってもいいということだ。

(まだ大したコトない奴としか闘ってないし、もっと強いのっていないのかしら?)

 チャイナタウンの飲茶店で軽い朝食を済ませていたメルフィアは、
 気軽に、それでいて隙を出さず大通りを歩いていた。
 既に闘っている所があるのか、遠い音だがメルフィアの耳にも喧騒が聞こえている。

 メルフィアが進んでいる先に、人だかりが見えた。観衆の一部はドル札…賭け金を持っている。
 そしてその観衆らが注目するところでは――

 ――どすっ。――どブッ。

「……ぅあ゛っ!!……ん゛えっ!!」

 男女一人ずつのファイターが闘っている。
 …いや、闘っているというより、男が一方的に女性を痛めつけている。

 丈の短いタンクトップの上にデニムのベスト、健康的に締まった腹部とヘソを晒し、
 下半身はホットパンツに短いライダーブーツを履いた女性。
 しかし男の左手が彼女の首を掴み、健康的な腹は男の右拳で蹂躙されている。
 右のパンチが女性の腹へと打ち込まれるたび、栗色のポニーテールを揺らしながら彼女は声を漏らす。

 女性の腹を殴っている男の姿は、前開きに着たミリタリーベストとミリタリーパンツ。
 上半身のインナーである黒いランニングの生地越しでも解る頑強な胸板の筋肉。
 髪型はソフトモヒカンと地味だが、厚い唇の厳つい顔つきは迫力がある。

「も…も゛、う……やめ、でぇ……降、さ、ん…だが…らぁ……」

 徹底的なほどに腹を殴られ、もはや戦意もなく泣きながら哀願する女性。涙目の視線も定まっておらず、
 両足もガクガクと震え、喉を掴んでいる男の手によって体重が支えられているような状態だ。
 しかしその哀願に対して、楽しむように女性の腹を殴っていた厳つい男は、

「俺ァ用心する癖があってよォ〜、言われて止めるつもりは無ぇのよ」

 不快な笑みを浮かべたまま、残酷な返答をする。
 そして女性の喉をとらえている左手を引き込み、女性の体を引き寄せつつ、

 ――ドボんっ。

「ぇ゛ぉお゛っ!!」

 下から突き上げるような強烈なボディアッパーカットが、女性の腹へとめり込む。
 体が足元から浮くほどのアッパーブローの威力に、女性は吐瀉物を撒きながら体を折り曲げる。
 そして地面へと背からダウンし、大の字に倒れたまま失神。ピクピクと痙攣している。

「あ〜、おいおい、キッタねぇなぁ〜」

 女性が吐いたことに対する適当な感想を言い捨てつつ、男はニヤけた表情で女を見下す。
 ざわつく観衆。しかしその中からも歓声を出す人々がいる。
 賭け金が増えて戻った者や、美女がいたぶられる姿で興奮した者からの歓声だろうか…

 ニヤけた表情の厳つい男――ジャックス・ハーパーは、場の賭けを仕切る中年男から
 差し出されたファイトマネーを軽く受け取り、場を去ろうとするが――

「ちょっとアンタ」

 幼さの残る少女の声――メルフィアの声が、ジャックスの耳に届く。
 メルフィアは、既に人だかりに囲まれた範囲に入っていた。


324 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:29:29 ???
「もう闘う気のない相手いたぶって、そんなの楽しい?体力の無駄遣いじゃない」

 メルフィアの声に反応して足を止めたジャックスは、面倒そうに振り向く。
 数秒ほどメルフィアの姿を見たあと、

「悪ィがガキに興味は無ェよ。帰ってジュースでも飲んでな」

 ヘラヘラ笑いながら、メルフィアを小馬鹿にする。

「ふ〜ん……アンタ、ホントは大して強くないんでしょ?」

 しかしメルフィアはそのまま歩いて進み、不敵に微笑みながら応える。

「なんだよ、変わったガキだなァ」
「弱ってる相手を痛めつけるようなのが好きそうなアンタじゃ、私の相手になりそうにないわね」

 続けてジャックスを挑発するメルフィア。
 ――比べてみると、メルフィアとジャックスの体格差は、ほぼ50cm。
 明確すぎるほどに大きな差がある。

 ……この掛け合いの間、既にノックアウトされている女性は
 格闘大会運営委員の医療班によって、黙々と担架で運ばれ始めている。

「大口吐いてくれるじゃねェかァ〜。そんな小ッちぇえ体で――」

 挑発に対し、ジャックスは挑発で返そうとするが――

 ――びュウッ。

 挑発していた態度からいきなり、鋭い素早さでメルフィアの体が前へと跳ぶ。

「ぁ?」

 間合いを瞬時に詰めたメルフィアのローキックが、ジャックスの片足を払う。
 靴底が地面から浮くものの、この程度では体勢を崩さないジャックスだが、

「ッぷ」

 ローキックを振った足が再びジャックスへと伸び、中段のサイドキックでジャックスの脇腹を蹴る。
 続けざまに来た蹴りで、ジャックスの立ち位置も後方にズレる。

「遅いわよ!」

 メルフィアはその隙を狙い、体を捻りながらジャンプ。
 その場跳びのオーバーヘッド・キックでジャックスの頭を蹴る!
 ジャックスの脳天へとメルフィアのキックが入り、乾いた音が響く。
 真上から打ち下ろされるキックの勢いで、ジャックスもさすがに背からダウンした。

 メルフィアの不意打ちによって始まったファイトに、観衆もざわつく。
 そのうちの大半は「嬢ちゃんの方!」「続けてデカい奴だ」などと、
 勝つと思う方にそれぞれ金を賭けはじめていく。

「ホラ!本当に強いんだったら私を楽しませなさいよ」

 ダウンからすぐ起きそうな様子のジャックスに対し、笑みを浮かべた生意気な態度で挑発するメルフィア。

「…っ痛ェなぁ」

 ダルそうな動きで起き上がるジャックス。頭部へ蹴りが入ったが、大して効いてはいない様子。
 ニヤけた表情ではないが、まだ余裕が見える。


325 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:30:40 ???
「まだまだ――」

 立ち上がったジャックスを確かめると同時に、離した間合いから再び駆けるメルフィア。

「行くからねっ!」

 メルフィアはジャックスが立ち上がる時を狙い、素早く突進する跳び膝蹴りを上半身めがけて仕掛ける。
 小柄にもかかわらず鋭い一撃だが、両腕でのガードでジャックスは防ぐ。
 続いて、着地したメルフィアの左拳によるリードパンチ。
 ストリートで慣れているだけあって、速い。2連続のジャブのうち、1発がジャックスの頬に当たる。
 横回転のバックブロー、ミドルの掛け蹴り――流れに乗り、ラッシュを仕掛けるメルフィア。

(何コイツ? 強いかと思ったのに…防いでるだけじゃない)

 闘争心を過熱させながらラッシュを仕掛けるメルフィアだが、
 相手が全く攻めてこないことに、少しばかりつまらなさを感じた。

(だったら…このファイトも、お終いね!)

 フィニッシュの一撃を仕掛けるため、メルフィアは瞬時に間合いを測る。
 脚を狙うメルフィアのローキック。十分ではないもののジャックスの膝裏へ当たる。
 そしてジャックスの注意が下段に向いた時を見計らい――

「てぇやぁっ!!」

 メルフィアは、得意技のバックスピンキックを仕掛ける。
 短いスカートが回転速度で翻り、まるで烈風を伴うような右脚の跳び後ろ回し蹴りが――

(っ!?)

 ――避けられた!
 ジャックスは素早くダッキングし、メルフィアの蹴りは、屈むジャックスの頭上を空振り。

 ――バゴッ。

「っぅあっ!?」

 メルフィアは、キックの軸足――まだ空中にある軸足を裏側から殴打され、
 痛みと衝撃で体勢を崩す。脚が浮き、上半身が背後へと傾き、背から地面にダウンした。
 ジャックスは屈んだ体勢から、ラリアットのように振り回す最下段の右パンチでメルフィアの左膝裏を刈り、
 文字通りに足元をバッサリ掬った。

「…っ…痛ぅっ…!」

 予想外のダウンに受け身が間に合わず、ダウンした衝撃と痛覚で倒れたまま硬直するメルフィア。
 しかしジャックスはその隙を逃さない。

「っ!危なっ!」

 ジャックスのストンピングが仰向けに倒れていたメルフィアの胸を狙ったが、
 メルフィアは横に転がって追い打ちを回避、そのまま間合いを広げつつ立ち上がる。

「チョッと隙を出しゃァよぉ、大振りを出しやがる。青いガキがやりそうな事なんだよなァ〜」

 予想通りにメルフィアが動いてくれたことを、ジャックスはヘラヘラ笑いながら嘲る。

「…っ、この、なんてコトしてくれんのよ、お気に入りの服が汚れたじゃない!」

 地面にダウンしたことで付着した、大したことのないホコリの汚れだが、
 ジャックスに対して不機嫌な感情を向けるメルフィア。

「そんなモンで汚れかァ?どうせならよぉ〜、目立ったヨゴれ方になッてから言えよ。
 テメーの鼻血とかゲロッ吐きとかでよォ〜?ヒッヒヒ」
「…最っ低!」

 手首を回しながら気軽に歩いて近付きつつ下品な発言をするジャックスに対し、
 メルフィアは不快感をあらわにした一言で返す。


326 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:32:05 ???
「じゃー、こっちから…行くぜェ」

 無造作に歩いて間合いを詰めるジャックスだが、本来の彼は暗黒街で用心棒稼業をする男。
 隙は少ない。ストリートファイトで慣らしているメルフィアも、そう実感している。
 もっとも初対面であるため彼が暗黒街のアウトローであることは知らないが…

 ――ブォッ。

 適当ながら、鋭い速さのトーキック。メルフィアはジャックスの右前蹴りを、
 とっさにジャックスの左側へと避ける。
 そこへ動くメルフィアを狙い、ジャックスは続けて左フック!
 その拳を素早いダッキングで避けるメルフィア。

 ド ガッ !

「ぶフッ!」

 その屈んだ体勢から瞬間的に伸びるように、メルフィアの体が翻った。
 凄まじくモーションの速いサマーソルト・キックが、ジャックスの顔と胸板を蹴り上げる!
 速さが加わった蹴りの威力で、ジャックスの体は右にねじれるようにのけ反った。

(――チャンスね!)

 宙返りから着地し、間合いを整えたメルフィア。
 ――あの怯み方なら今度こそ――そう確信し、メルフィアは一気に駆ける。

(こんな下品なヤツ、一気にぶっとばしてやるんだから!)

 地を蹴って一気に跳躍、右の跳び膝蹴りでジャックスの頭を狙って――

 ―― ど ボ ん゛ ッ !

「―――っ――!?」

 だが、その膝蹴りは届かなかった。
 メルフィアの攻撃より先にジャックスの右拳、ねじれた体を一気に戻す勢いのロングフックが、
 飛び込む勢いのメルフィアの腹へ、強烈にカウンターヒットした!

「――っっぶぐううぅぅっ!!?」

 ウェイトが乗ったダウンブローの拳が、メルフィアのヘソの辺りに深くめり込んでいる。
 腹への一撃を受けた彼女は、一瞬の間をおいて腹の中で衝撃と激痛を感じ、大きく息を吐き漏らす。
 受け身も取れず、激突するように地面へと背からダウンするメルフィア。

「ぅ゛…えっ、ハァっ…ぁっ…!」

 仰向けに倒れたまま、腹に残る痛みに悶えるメルフィア。
 白いブラウスの下側が少し捲れてヘソの辺りが見えているが、
 その腹部には打撲の跡が薄く残っている。 ――まるで横並びの模様のような跡も。


327 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:33:44 ???
 メルフィアは立ち上がろうとしたが、ジャックスはその状態を見逃すはずもなく、

 ―― ず ン゛ ッ。

「え゛はぁ゛っ!?」

 メルフィアの傍までジャックスは近寄っており、右足でメルフィアの腹を踏んだ。
 アーミーブーツの頑丈な靴底がメルフィアの腹を圧迫し、体内の空気を一気に吐き出させる。
 ジャックスの顔。鼻血が出ており、ニヤけながらも怒りのある表情。
 そしてその右手には、金属のナックル。サックを通した右手でメルフィアの腹を殴ったのだ。
 メルフィアの腹に残った“横並びの模様のような跡”は、ナックルで殴られた跡だ。

「やってくれやがッたじゃねェかぁ、クソアマよぉ〜?
 調子乗って飛び込んでくれたおかげで、イイ仕返しができたぜェ〜」
「あ、ぎ…!かっ…は、う…っ!ぅ、あ…ぁっ!」

 サマーソルトキックで顔を蹴られのけ反った時、ジャックスは右手をパンツのサイドポケットに入れた。
 そして右ポケットに隠し持っていたナックルを握り、ナックル付きのロングフックを仕掛けた。

 ジャックスは靴底で、内臓を潰すかのようにメルフィアの腹をグリグリと抉る。
 メルフィアは両手でジャックスの右脚を掴んで圧迫から抵抗しているが、
 圧倒的に不利な体勢だ。腹の肉がねじ切れるような苦痛で、体力も奪われ続けている。

「だからよぉ、隙を出しャあキメようとしたがるのがガキっぽいんだよォ〜。
 ワカッたか?あぁワカッてなくてもいいや、どっちみちオシオキしてやらねェとなァ〜」

 グリュ、グッ、グリュゥ・・・

「あ、が…!はぁ、うっ…ぐうっ!ぐ、は…ぶぇえっ!」

 柔い腹を踏みにじられ、さらなる圧迫と苦痛に悶えるメルフィア。

「う、ぐ…!ぅあ゛…ご…ご、のぉおっっ!!」

 しかしその状態から、メルフィアは右脚を振り上げてジャックスの右モモ裏側を蹴る。
 脚裏の筋への衝撃で、腹を踏みにじる力が緩んだ。
 その一瞬を狙ってメルフィアは体を大きくひねり、ジャックスの右足から逃れる。
 そのまま開脚逆立ちする回転蹴りでジャックスを蹴り、突き放しながら起き上がった。

「ケホッ、ゴホッ!はぁ、はっ、はぁっ…」

 ナックル付きの拳で腹を殴られ、さらに同じ場所を長く踏みにじられていたメルフィア。
 白いブラウスの下側が乱れて左右に捲れ、縦長のかわいらしいヘソが見えている。
 しかし腹を嬲られたせいでヘソ奥の皮膚が裂けたのか、ヘソの穴から小さく血が垂れている。
 まだ腹の奥にまで残っている苦痛が、メルフィアの体力を大きく奪っていた。

「なんだよォ〜、おとなしく潰されてた方が楽しいのによ〜?
 生意気なガキだからか?元気だなテメェは」
「女の子の、お腹っ…踏むのが、楽しいなんて…最っ低なうえに、最悪だわ!」

 大きなダメージがありながらも、ジャックスに対して尖った態度で悪態をつくメルフィア。
 対するジャックスは右手のナックルをサイドポケットにしまいつつ、不快な笑みを浮かべている。

「それじゃぁー生意気なテメェにじっくりオシオキしたいがよ、
 鼻血出ちまったしなァ、治したいからよォ〜…手早くブッ潰して終わらすぜェ〜」

 ジャックスは首を回して肩を緩めたのち、メルフィアへ近寄って間合いを詰めていく。


328 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:34:55 ???
(負けたくない…!こんな最低な男なんかに、負けたくないっ!)

 腹部を蹂躙されたダメージで体力を大きく消耗しているが、痛みに耐えて身構えるメルフィア。
 下品で卑怯な男に負けたくないという若いプライドが、メルフィアの闘志を支えている。

「オラァ」

 ほぼ水平に突き出されるストンピングの左前蹴り。
 メルフィアは痛みを堪えながら、蹴りを避けながらジャックスの右側に移り、

「てぁっ!」

 ガ シッ。

「うぉ、」

 ジャックスの軸足――右足のヒザ裏を狙った低姿勢のサイドキック。
 カウンターの勢いは十分ではないが、ジャックスの体勢は崩れて隙が生じた。

「こんっ、のぉっ!!」

 その隙を狙い、横回転の勢いをフルに加えた左バックブロー。ジャックスの後頭部を狙う!

 ――ガ ッ !

「…っ!?」

 しかし、ジャックスの左腕によってバックブローはブロックされ、後頭部に届かない。
 渾身の横回転裏拳を止められたことでメルフィアの体も硬直し、隙が生じる。
 そして、ジャックスの右手には“別の凶器”が――

 ――バヂュッ !

「――っっぎぃいっ!?」

 ジャックスの右手にある“短い特殊警棒”がメルフィアの左脇腹に軽く突きこまれると、
 小さく火花が散り、メルフィアの体が、ビグン、と強く震えた。
 ジャックスが持っていたのは、放電機能がある特殊警棒型スタンガン――スタンロッドだ。
 体勢が崩れた時、素早くアーミージャケットの内ポケットから取り出していた。

 ―― ドボッ !

「っ…ぁ、か、はっ!」

 放電の痺れで硬直していたメルフィアの鳩尾に、ジャックスの左アッパーがめり込む。
 足元が浮き上がるような一撃で腹を突き上げられ、メルフィアは呼吸が止まる。

「だから甘ェんだよォ〜、だいたいそんな色々とチンケな体で
 俺に勝てると思うって事がよぉ〜?」

 近すぎない間合いを開け、立った状態でメルフィアを見下すジャッカル。
 腹を殴られて前のめりに体が傾くメルフィアだが、ジャックスは倒れる暇を与えない。

「っ、ぶぇっ!!」

 メルフィアが、下から横顔を蹴り上げられる。
 ジャックスの高く振り上げるトーキックが、メルフィアの体を跳ね上げ、のけ反らせる。
 そしてジャックスはその振り上げた足を下ろさずに――

「ッオラァッ!」

 ド グ しャ ぁッ  。

 上から横方向へと踵を突き下ろす、強烈なサイドキック。
 メルフィアの腹を突き破る勢いで直撃し、彼女の小さな体が二つ折りになる。

「―――っ―――っ」

 腹の中身が潰れるような衝撃に、かすれた声を漏らしながら、背後へ数mも吹っ飛ぶメルフィア。
 受け身も取れず、地面に背からダウンする。

「っぁ……は、か…がっ、…う、…――ごぼぉ」

 仰向けに倒れ、体を軽く弓なりに反らせながらビクビクと痙攣させ、
 吐瀉物を口から漏らすメルフィア。そのまま昏絶へと陥った。
 ピクピクと引き攣って白目を剥き、だらしなく口を開けたまま大の字に倒れている。
 白いブラウスの下側が捲れ、責め嬲られた腹が見えている。
 赤紫色に鬱血し、奥が小さく裂けたヘソからはわずかな出血の痕跡。
 完全にノックアウトされた戦闘不能状態。

「ヘッヘッヘ!あっけねェ」

 生意気な少女を叩きのめしたことで、満足しているジャックス。
 観衆からの様々な声――悲鳴、驚愕、其々の賭けの結果による落胆や歓喜――を浴びつつ、
 場の賭けを仕切る中年男からファイトマネーを軽く受け取った彼は、
 凄惨に敗北したメルフィアの姿をニヤけた表情で見下したのち、揚々と立ち去っていった。

 自分の強さを見せつけ、認めてもらうために“無差別格闘大会”に出場したが、
 本戦どころか予選にて無残な敗北を晒すことになったメルフィア。

 ……彼女が次に目を覚ますのは大会委員運営・医療施設のベッドの上、
 そして目覚めてすぐ、父親からいつも以上に叱られることになるのだが、それは別の話……。

【 YOU LOSE 】


329 : 名無しさん :2014/09/28(日) 13:36:53 ???
以上になります。
トルネコの大冒険2とアランドラにハマッていたせいで
約3ヶ月も時間がかかっちゃった…

あとメルフィアより先に腹パンされていた女性は特にステータスは用意してません


330 : 名無しさん :2014/09/28(日) 14:09:47 ???
>>329
お疲れ様〜!
スタンロッドによる電撃攻めっていいよね


331 : 名無しさん :2014/09/28(日) 14:26:24 ???
お疲れ様です!
最初の降参してるのになぶられるシチュが素晴らしくエロくて興奮しましたw
あとメルちゃんかわいい。心身的にもまだ戦えそうですし、もし次の構想があれば期待したいです


332 : 名無しさん :2014/09/28(日) 21:50:18 ???
ごちそうさまです。
内容もさることながら最後の【YOU LOSE】で興奮してしまうのは格ゲーリョナラーの宿命か


333 : 名無しさん :2014/09/29(月) 23:06:25 BJGixuG.
>>329
gjだった(* ´ ω `*)
無鉄砲なメルフィアちゃんかわいい


334 : 名無しさん :2014/10/03(金) 17:43:29 zN59TZDU
サラ×零子の後編書いたら読むひといますかねぇ〜。需要なさそう泣


335 : 名無しさん :2014/10/03(金) 17:49:06 ???
需要ありますよ!ずっと楽しみにしてました!


336 : 名無しさん :2014/10/06(月) 23:26:16 ???
初心者ですが某ゲームの戦闘シーンっぽく書いてみました。
至らぬところが多々あるとは思いますが楽しんでくださると嬉しいです。

―――ベチャッ…!

白く濁った粘着性の液体が汚らしく飛び散る。
飛び散ったしぶきが顔に当たると険しい表情でソレを指でなぞり下ろし、
次々に飛び掛かってくる粘液を忙しく回避してやり過ごす。

「っつ…!これじゃ反撃の隙が無い、どうすれば!」

薄暗い森の中を懸命に走りながら背後に迫りくる巨大なナメクジの吐き出す
粘液をやり過ごすのはレナ・シャルロット・タイクーン、世界の命運を任された光の4戦士の1人である。
しかしその4戦士の力は圧倒的な覇王の前に完膚なきまでに敗れ、散り散りに各所へ飛ばされて、
彼女は薄暗くジメジメした森の中を彷徨う事となってしまった。
森の中に住まう巨大なナメクジ、「スラグ」はレナの姿を発見するなり巨体に似つかわないスピードで
追いかけつつ粘着液で彼女の動きを封じ込めようとしている最中である。

「ハァ…ハァ……。まだ追ってくる…!!」

身を包む青魔道士のマントが全速力で走ることにより綺麗な青い華の様に翻る。
一言で彼女の姿を現すなら「妖艶」だろうか。すらっとした四肢に細かい所で装飾の付いたレオタード状の
ワンピースに顔を艶めかしく覆う仮面、そして妖艶さを数倍に引き立たせるマントが青魔道士の色気を醸し出していた。
おそらくその色気にもスラグは反応したのだろうか追いかけてくるしつこさは相当な物である。

「そんな!!行き止ま…きゃあああっ!?」

―――ぬちゃああああっ!!!

懸命に逃げ走り辿り着いた先は不幸にも大きくそびえる岩の壁。
行き止まりと理解した直後に背後へ粘度の高い何かがへばり付く感触を感じる。
何がへばり付いたかは分かっているが、分かりたくもない。しかし知らなければ益々危機に陥る。
恐る恐るレナはマントに付いた何かを指で触ってみるとやはり予想していた通りの物がマント全体にねばり付いていた。

「ぃやぁ…何これ………」

指先にネバッとした粘着性の液体が付着し、指を侵食するようにドロっと手に垂れてくる。
マント全体にはこの粘液が大量にへばり付いて居ると思うと気持ちが悪くてたまらないのか、
スラグと対面して剣を抜き臨戦態勢を取ろうとしたその時…!

―ぶちゅっっつ!
――ぬちゅぅぅうっ!!
―――ぶびゅぅうううううううう!!!

叫び声も掻き消される程の粘着音と大量の粘液によって青魔道士の服が汚らしい白濁の粘液に染め上げられてしまう。
あらゆる箇所で無数の糸を引き、粘液の膜が垂れ、いやらしくも汚らしい液体の音が鳴りやまず聞こえる。

「う…うごけ…ない………!!!!」

どんなに体に力を入れて揺すっても、まとわりついた粘液は落ちる事無くべっとりと、非常にしつこく粘り付く。
襲い掛かるのは粘液の生臭さ、粘性の高さから来る気持ち悪さ、そして王女という立場としての汚らわしさがレナの平常心を乱してゆく。
普段の立ち振る舞いからでは想像もできない程のもがき方を見るに、相当な嫌悪感を感じているのだろう…。
スラグは嫌がるレナの姿を見て楽しむように自らの体で再度粘液を練り始めて攻め時を伺う。

「!?やっ…!だ…だめ…来ないで……っ」
「…あ…あぁあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」

―――んにゅるるるるるるんっ!
―――ぶぢゅるっうううぅぅぅぅぅっ!

もがきながらもたじろぐレナの全身に巨大なスラグの体が巻き付く。
地肌はもちろんレオタードやマント越しからも牛の舌がそのまま全身を舐めまわす様な不快感が
レナの体力と精神力をジワジワと吸い取って行くように巻き付き、絡みついていく。
締め付けられ、粘液を間近で浴びせられ、そしてのしかかられるように巻き付きなおされる、
レナに与えられていた少しずつの蓄積がとうとう限界に達してしまったようだ。

「……や……ぁ……………」

数時間の巻き付きからようやく解放されたレナはガクリと膝をつき、その場にうつ伏せ状態で倒れ込んでしまう。
戦う気力の無くなってしまった彼女を二度と離さないようスラグは全身にネットリと覆いかぶさり…、

―――――――――ブジュゥウウウッ!!!

一際大きな粘液を分泌音とともに粘着液を分泌して再び纏わり付きつづけた…………。


337 : 名無しさん :2014/10/07(火) 00:49:14 Uk4VsibY
>>336
GJです レナはリョナり甲斐のあるヒロインですよね
FF5のねんえきは体力も削り取る素晴らしい攻撃でした…。

自分も漸く290の続編が出来たので、今から投下します。


338 : アイギスにやられるハイレグハム子 1 :2014/10/07(火) 00:51:10 ???
アイギスが洗脳されてからしばらくして、公子たちはアイギスがいなくなったことに気付いた。
突然の出来事に特別課外活動部の面々は大きく混乱したが、なんとかアイギスが一部の暴徒と化した研究者に捕えられたことを突き止めた。
その後は特別課外活動部のメンバーであり、桐条グループの令嬢でもある美鶴により、総力を挙げての調査が依頼され捜索はそちらに任せることとなった。

「君が心配する気持ちはわかるが、相手がもしアイギスに何らかの改造が我々の手に負えないかもしれない。
 それに、捜査隊は優秀だ。おそらく発見までそう時間はかからないはずだ…。君はゆっくり戦いに備えてくれ。」

美鶴はいつも通りの凛とした、だがどこか優しい口 調で公子を諭し、寝室へと入って行った。
公子も寝室へ入り、ベッドの中へと入った。

…だが眠れない。どうしてもアイギスのことを考えてしまう。
12月のデスとの闘いによる破損からようやく戻り、徐々に人間らしい心を開花させるに至ったアイギス―
公子はそんな彼女が今になって敵の手に落ち、本心とは違った行動をさせられているのだと思うと胸が苦しくて仕方がなかった。
影時間が訪れ、そして過ぎ去っても、公子は眠ることができなかった。

そんな折、突然公子の携帯が鳴った。
届いたのはメールで、差出人は不明。だが件名にはこう書いてあった―

『アイギスです』

公子は驚き、メールの本文を開くために急いでボタンを押した。

『今夜、廃工場 で待つ。場所は添付した地図の通り
 単身で来られたし。でなければ他の者の命はない。』

なんら人間としての感情の無い書き方に、公子の背筋が凍った。
やはり、何らかの改造を受けて、敵に操られているのでは―そんな考えがよぎる。
だがそれを考えている場合では無い。公子は急いでベッドから抜け出し、行動を開始した。

まず公子は、一人で行動することを決心した。
後半の文はハッタリかもしれない。むしろ、確実に公子一人を始末する罠ともとれる。
だが得体の知れない連中がバックに控えていると思うと、仲間をみすみす危険に晒すことはできなかった。
そして、タルタロスに向かう時のように、武装を整える。
パジャマを脱ぎ、下着も脱ぎ、剥き出しとなっ た体にハイレグ水着型の鎧を装着し、
覆いのついた純白の手袋、ロングブーツを身につけ、頭部を保護する鋼鉄の髪飾り、首を守る鋼鉄のチョーカーも装着する。
太ももや肩、腹部が大きく露出したこの防具は防御力は低いが、その分動作の邪魔になりにくく、
強力な武装を持つアイギスが相手なら、むしろ有利であると公子は考えたのだ。
そして銃型のペルソナ召喚器をブーツの覆いをホルスター代わりに仕込み、使い慣れた薙刀を利き腕で持つと、
仲間を起こさぬように、公子は巌戸台寮を出発した…。


339 : アイギスにやられるハイレグハム子 2 :2014/10/07(火) 00:54:28 ???
一時間後

コツ…コツ…と靴の音が廃工場に響く。
一つは公子のブーツの音、もう一つは…アイギスのものであった。

「ア、アイギス…!?」

アイギスの姿を見た公子は愕然とする。特徴的だった白のボディーカラーは真っ 黒に染まっており、胸部には禍々しいペイントまで施されている。
美しかった水色の瞳もハイライトを失い、暗みがかかっている。

「アイギス、私だよ、わかる!?」

公子は右手を胸に当て必死で訴えかける。だが、アイギスの応対は淡々としていた。

「目標発見。排除」
「!!」

突然、アイギスは公子に向かってマシンガンを発射した。無数の弾丸が公子の体に向かっていく。
物静かだった廃工場に、マシンガンの轟音が響き渡る。

「…!」
「ふぅ、助かった…!」

生身の人間であれば、あっさり肉片と化すであろう攻撃だったが、公子は平然と立っていた。
公子が身に着けていたペルソナ、『スサノオ』―特別課外活動部との深い絆を作り上げたことによ り出来たそのペルソナは、
「貫通する攻撃」、即ち銃弾等を無効にする能力を持っていた。公子の足元には、防がれた銃弾が散らばっている。

だが、体は無傷とはいえ公子の心は大きく動揺していた。
「我々の手には負えない」―美鶴の言葉が頭に響く。たとえ戦力差を覆しても、アイギスを元に戻す術を公子は知らない。
いや、言葉によって元に戻せるかもしれない、そう思っていた…先程までは。
アイギスの先制攻撃は、そんな公子の淡い希望を打ち砕いてしまった。
(できれば戦いたくなかった…でも、戦って止めるしかない…!)
公子は震える手を押さえ、薙刀をしっかり握りしめ、
悲壮な決意を抱きながら、アイギスへと向かっていく。

「はっ! やぁっ!」

振り降ろした薙刀はアイギスの体をしっかり捉える。キィン、という金属音。

「…」

だが薙刀では、金属の体には大してダメージを与えられない。金属音だけがむなしく響き、アイギスは無表情のまま受け流す。

「通用しない…!?」

公子は驚愕する。どうやら改造の際ボディにも何らかの強化が施されていたようで、以前より遥かに硬くなっている。

「こうなったら、ペルソナで…キャ!?」

公子が召喚器を取り出そうとした瞬間、アイギスは公子の顔面を目掛けてジャブを放った。公子は体を後方にそらし、なんとか間一髪でかわす。

「くっ、うっ…!」

その後も幾多ものパンチが放たれ、公子は時々薙刀で受け止めながら、素早い身のこ なしでそれをかわしていく。
だがその間、召喚器を使う隙は全く与えられない。

「はぁ、はぁ、このままじゃ…!」

段々と公子のスタミナが減り始め、体表には汗がにじみ始め、息も切れ始める。揺れるポニーテールからも細かな汗がはじけ飛ぶ。
一方アイギスは機械であるがゆえに体力は無尽蔵であり、このままでは公子が一方的に不利である。


340 : アイギスにやられるハイレグハム子 3 :2014/10/07(火) 00:57:05 ???
(何とか距離を取らないと…そうだ!)

公子はあることを思い付き、薙刀を手から放り出しながら後退し、足を踏ん張り立ち止まる。チャンスとばかりにアイギスが駆け寄り、腹部に拳を打ち込もうとする。

(ペルソナチェンジ…!)

公子の腹に鋼鉄の拳がめり込む寸前、パキィンという音が響き、公子の頭の周りをガラス片のようなものが漂った。ペルソナチェンジの合図だ。

ドゴォ!

「うぐっ!」

公子の腹部にパンチがめり込み、華奢な体が大きく後方へ吹っ飛ばされた。体はそのまま大の字の形で壁に叩きつけられ、壁には大きなヒビが入った。

「くっ…よっと!」
「…!?」

だが派手に叩きつけられたにも関わらず、公子はあっさりと壁から体を離した。体は埃まみれだが、外傷は殆ど無い。
先程のペルソナチェンジにより、公子のペルソナは打撃に耐性のあるメタトロン(因みこれは、アイギスとの強固な絆が生み出したペルソナである)に変更されており、アイギスのパンチも、叩きつけられた時の衝撃も公子の体にさしたるダメージを与えられなかった。
結果、アイギスの攻撃により公子はダメージを負うことなく大きく距離を取ることが出来た。

「アイギス…ごめんね…でも、このまま放っておけないの!」
「…」

公子は断腸の思いで、ブーツの覆いに隠した召喚器を取り出す。だがアイギスは公子の悲痛な叫びにも応じない。

(アイギスの弱点は電撃…動きを止めれば…あるいは…!)

パキィンと、再びペルソナチェンジの音が響く。公子が思い描くのは電撃の得意なペルソナ、オーディン。
アイギスの攻撃にはまったく耐性は無いが、強力な電撃魔法が使えるペルソナである。

(この距離なら走っても届かないし…マシンガンは弾を込める隙は無いはず…!)

公子は得意課外活動部のリーダーであり、仲間の特徴を誰よりも把握していた。アイギスが公子に駆け寄る音が響くが、彼女は恐れることなく引き金を引こうとする。
もはや、アイギスが雷撃から逃れる手段は無い。

その、はずだった。

「ペルソ…」

公子がトリガーに指をかけた、その瞬間だった。

ドスッ!!

「おごぉ!?」

突然、公子の腹部に突き上げられるような感触と、激痛が走る。公子の目は見開かれ、口からは唾液が飛び散る。体中がビクンと跳ね、召喚器が床に転がる乾いた音が響く。
何が起こったのかわからなかった公子だったが、ぐらついた視界に移るくるくると回るアイギスの赤い耳が答えを示していた。

オルギアモード−一定時間戦闘能力を引き上げるリミッター解除モードにより、アイギスは通常では詰められない距離を一瞬で走り抜け、公子が引き金を引く寸前で、耐性を失った身体に拳を打ち込むことに成功したのだ。

「う゛っ……ぐぶっ!」

オルギアモードでパンチ力も強化されたことにより、鉄の腕一本で公子の体は持ち上がっていた。
公子の柔らかな腹に拳はズブズブとめり込んでいく。思わず吐き気が込み上げ、公子はそれを堪える。

「お゛ぇ……ぇ……お゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

だがその抵抗はすぐに限界を迎え、公子は口から滝のように吐瀉物を流れ出る。
ビチャビチャと音が響き、周囲に酸っぱい臭いが漂い始めたが、アイギスは相変わらず表情一つ変えない。

「ぉ……ぇ……」

やがて、息を吐き出すばかりで酸欠に陥ったの公子の意識が混濁し始める。段々と視界が白くなってゆく−

「……ぁ……」

やがて公子はゆっくりと瞳を閉じ、ピクリとも動かなくなった。

「標的沈黙……!?」

アイギスが動かなくなった公子を確認したその瞬間、アイギスの体にも異変が起こる。

「オーバー……ヒート……」

オルギアモードの『ツケ』が回ってきたのだ。内部のパーツの熱暴走によりアイギスは耳から煙を出し、力を失ったかのようにガックリと膝を突く。
その際の衝撃で、公子の体が腕からずり落ち、床に転がった。腹部に広がった大きな痣が露わになる。

「機能修復……修復までの予想時間、5分、です……」

こうなってしまってはしばらく動けない。アイギスは任務の達成の直前で、しばらく無為な時間を過ごす羽目になった。
だが、この時アイギスの『心』に変化が生じていたことを、
そして公子には更なる受難が待ち受けていることを、彼女達は知らなかった…。


341 : アイギスにやられるハイレグハム子 4 :2014/10/07(火) 01:04:39 ???
数十分後…

「んんっ……」

ゆっくりと、視界が開けていく−公子は意識を取り戻した。
最初は頭も視界もぼんやりしていたが、段々と金髪の美少女の顔が見えてきて、露出した肌に金属の感触が伝わる−どうやら抱き締められているようだ。

「アイ…ギス…?」
「おはようございます、公子さん」

公子のたどたどしい声に、アイギスは柔和な笑顔で答える。

「どう…して… !! アイギス、目が!」

アイギスの瞳は先程までの生気を失った感じではなく、美しい水色の瞳に戻っていた。

「すっかり、目覚めました」
「アイギス……元に戻ったんだ……良かった……!」

公子は目に涙を浮かべ、心の底から安堵した。思わずアイギスの頬にすり寄り、ぎゅっと機械の体を抱いた。
何がどうなったのかはわからないが、公子のした無謀な行動は無駄では無かったのだ。
何よりも、公子にとってはアイギスが無事に戻ってきたことが、嬉しかった。

だがそれが悲劇の幕切れでは無く、新たな悲劇の幕開けであることを、公子は知る由も無かった。

「公子さんには回復魔法をかけたのですが…思いのほか良く効いたようで良かったです。」

公子はその時、自らの体に全く痛みが無いことに気付く。アイギスのペルソナ・アテナは高位の回復魔法を使うことが出来、それにより公子がボディに受けたダメージは完全に回復していた。

「ありがとう…でも私は、アイギスが元に戻ってくれたことがすごく嬉しいの。」
「私も、あることに気付いてすごく嬉しかったです。」
「ん? 何に気付いたの?」

公子は笑みを浮かべながら質問する。だが、アイギスの答えを聞いた瞬間、公子の顔が凍り付いた。

「痛みに悶え苦しむ公子さんが、とても可愛いということです。」

「えっ……うぎっ!?」

公子が驚愕したその瞬間、公子を抱き締めるアイギスの腕が公子の胴を締め上げる。
体に痛みが走り、思わず公子の表情が歪む。

「洗脳されている間のこと、ぼんやり覚えているんです。嘔吐して悶える公子さん、とても可愛かった…。」
「ア、アイギス、何を言って…んああああぁぁぁぁっ!」

アイギスは邪な嗜好を語る間、締め上げる力をますます強くし、公子は喘ぎ声を上げる。

金属の腕は体に強くめり込み、生半可なベアハッグを遥かに超える苦痛を公子は味わっていた。肋骨もミシミシと苦痛を上げている。体表にはまるで絞り出されたかのように大量の汗が噴き出ている。

「ふふふ…やっぱり可愛い…」
「アイギス……んっ……どうして、こんな……んぐっ!」

どうやら、オーバーヒートがきっかけで洗脳が解けた代わりに、アイギスに歪んだ感情が芽生えてしまってようだ。公子が悶え苦しむ様子を、アイギスは恍惚の表情で眺めていた。

「あがっ、も、もう、だめぇ……!」

公子はいよいよ限界を迎えようとしていた。強烈な締め上げと肋骨の軋みによる痛みに体をビクビクと震わせている。またアイギスの固い胸板と腕に胸部を押し潰され、呼吸もかなり苦しくなっていた。
だがアイギスは無慈悲にも、締め上げる力を更に強くしていく。そして…

ボキボキボキィ!!!

「いぎゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

遂に軋んでいた肋骨が折れ、強烈な激痛が公子の体を走った。
あまりの痛みに公子はビクンッ!と大きく体を震わせ、そのままガックリと首をもたげ気を失った。
アイギスはその様子を、不気味な笑いを浮かべて眺めていた…。

アイギスは腕の力をゆるめ、公子を解放した。支えを失った公子の体は膝から崩れ落ち、そのままうつ伏せに倒れた。
ぐったりした公子を、アイギスはしばらく満足げな表情で見つめたが、すぐに次の責めが開始された…。


342 : アイギスにやられるハイレグハム子 5 :2014/10/07(火) 01:06:38 ???
「召喚シークエンス、アテナ。」
「んんっ……」

ペルソナ・アテナの回復魔法の光が公子の体を包み、公子は意識を取り戻した。
折れた肋骨は修復され、段々と体の感覚も戻って来る。締め上げられた体は完全に癒やされ、痛みの代わりにじっとりとした汗の感触が伝わってくる。

「私、また……はっ!?」

思考もはっきりとしてきた公子は、自らを気絶させ、再び蘇生させたのがアイギスであることに気付く。そして、再び自分は痛めつけられるであろうことも…。

(は、早く逃げなきゃ…!)

公子はだらしなく伸びきった腕に力を込め、急いで立ち上がろうとする。
しかし、アイギスはそれを許さない。

「逃がしませんよ」
「うっ!?」

突如ズシン、と何か重石の乗っかったような感触が公子を襲い、彼女は再び床に突っ伏してしまった。

アイギスが公子の背中にのしかかったのだ。

「うぐっ……うぐぐっ……!」

公子は歯を食いしばり、腕を立てて必死で体を持ち上げようとするが、重量のある金属のボディは全く持ち上がらない。

「んぐぅぅぅ〜……ぷはぁっ! はぁっ、はぁっ、はぁぁ……」

思わず息を止めて力を込めていた公子に限界が訪れ、息を吐き出す。 その反動で公子は荒い呼吸を繰り返した。

「苦しそうな公子さん、かわいい……!!、そうだ……」

その様子を眺めていたアイギス、何かを思いつき、公子の首の辺りに目をやる。
そして、公子の首を守る鋼鉄のチョーカーに、ガッと指をかける。

「いっ!? な、何を…」
「これ、邪魔ですね。」

そう言うとアイギスはグッと手に力を込める。すると、チョーカーはパキッと音を立てて割れてしまった。
2つに別れたチョーカーは公子の首を離れ、カラカラ音を立てて床に転がる。

「ひっ!?……あぐぅ!」

急所である首筋を晒され、一瞬怯えたような表情をする公子だったが、その表情はすぐに歪む。アイギスが公子のポニーテールを引っ張り、公子の顔を持ち上げたのだ。

髪が引っ張られる苦しみに悶える公子だったが、すぐにそれ以上の苦しみを味わうことになる…。

ギリリッ!

「くあっ!?」

アイギスは右腕を公子の首に回し、首絞めの体勢に入った。

「んぎっ…ぎっ…!」

柔らかな首筋が固い金属の腕に挟み込まれ、その痛みのあまり公子は歯を食いしばる。
だがその苦痛は、まだ序の口に過ぎなかった。

「ぐ、ぐるじ、い゛っ」

柔らかな首を挟む金属の腕は完全に気道を圧迫してしまっていた。全く息を吸えなくなった公子は瞬く間に酸欠に陥る。
残る力を振り絞り、アイギスの腕を掴みほどこうとするが、汗に濡れた手袋のせいで掴んだ手が滑ってしまった。

「え゛、え゛あ゛っ、え゛はぁっ」

やがて、公子の体に異変が起こり始める。白い手袋と白いブーツに包まれた手足が激しく痙攣し始め、まるで陸に打ち上げられた白魚のように床を跳ね回る。
ハイレグのパンツからはみ出た尻肉や剥き出しの太腿もブルブルと震え始める。

「公子さん、こんなに派手に……ふふふっ」

公子の意志に関係無く伸縮する筋肉の動きは、アイギスの嗜虐心を大いに満足させていた。

(もう、嫌ぁ…)

互いに信頼しあい、固い絆で結ばれたはずの仲間に、三度も痛めつけられたことで公子の心は絶望に染まり、折れかかっていた。

(誰か、助けて…)

口から悲痛な心の叫びの代わりに、舌と大量の唾液を吐き出しながら、公子は三度目の失神を迎えた…。

公子が完全に白眼を剥いたのを合図に、アイギスは腕を離す。
地に沈んだ公子の体が何度かビクッと跳ね、股間から尿が漏れ始める。
大量に汗をかいたことで真っ黄色になった尿は、ハイレグのパンツ部分を白から黄色に染めていく。パンツからはみ出た尿は、尻や太ももにも幾つかの黄色い筋を作った。

「可愛い……けど、何か物足りない……」

しかし、アイギスは無様な姿に成り果てた公子を見てもまだ満足し足りないようだった。

「!、そうだ、あれが足りないんですね……」

何かに思い当たったアイギスは、世にも恐ろしい不気味な表情を浮かべながら、
マシンガンの弾を装填し始めた…。


343 : アイギスにやられるハイレグハム子 6 :2014/10/07(火) 01:11:20 ???
「んへぇ……ぁ……」

三度、公子は目を覚ました。舌を出したままの彼女は情けない呻き声を上げる。
窒息死寸前の状態から蘇生したこともあり、意識はまだぼんやりとしていた。自分が何故この状態になっているのかも思い出せず、股間から生暖かい感触がするのを感じることができるだけだった。
−次の瞬間までは。

「お目覚めですか?」

アイギスが顔を近づけ声をかけると、公子ははっと目を覚ました。

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

アイギスの顔を見た瞬間、公子はガバッと上体を起こした。目の前にいる金髪の少女が、自らにしたことを思い出して。

「いやぁっ、嫌嫌嫌嫌嫌ぁーーーーーーっ!!!」

恐怖からガクガクと体が震え、立ち上がることすらままならない公子は尻を引きずるように後ずさる。
恐怖による震えから先程収まったはずの失禁が再発し、床に黄色い水溜まりが広がっていく。

「うふふ…公子さん子供みたい、かわいい…」
「いやぁ……やだやだやだやだやだよぉ……」

じりじりとにじりよるアイギスに、公子は子供のように喚くことしかできなかった。
最早それは、信頼していた仲間への態度では無く、恐ろしい何かに相対した者の反応であった。

そんな公子に向けて、アイギスはにっこりしながら指の銃口を向ける。

「ひぃぃぃっ、いっ、いっ……」

公子は涙と鼻水をダラダラ垂らしながら首をぶんぶんと振った。冷静に考えればペルソナチェンジで対処できるのだが、今の彼女にそんな思考力は無く、ただ体を震わせて怯えることしかできなかった。
そして…公子に四度目の受難が訪れる。

「発射♪」

ズドドド、とマシンガンの轟音が響き、公子の体を無数の弾丸が襲った。

「あぎゃああああああああぁぁぁぁぁうげぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇおごぉっ!!!!!」

本日最大の、おぞましい悲鳴が公子の体から絞り出される。無数の弾丸が公子の体を掠め、露出した肩に、腰に、太ももに、次々と傷を作り、血が吹き出す。
可愛らしい手袋やロングブーツは裂けてズタボロになり、裂けた箇所から血が飛び散り出す。
そして、マシンガンの轟音が止んだ…。

「あがっ……」

全身傷だらけの血まみれになった公子は、再び力を失い、背中を強かに打ちつける。

「ごぼっ」

背中を打った公子は口から血反吐を吐き、目を見開いたまま四度目の失神を迎えた。

「公子さんの…血…うふふ、あはははははは!!!」

血みどろの公子を見たアイギスは、興奮のあまり狂気染みた笑い声を上げる。そしてまじまじと、自らの芸術作品を眺める。

死なないように急所は外されているものの、ひどい有り様であった。ボロボロになった白い手袋とブーツは赤い染みだらけになり、体の外に流れ出た血は、股間の辺り黄色い液体混じり合いつつジワジワと広がっていく。顔も銃弾は外されたものの血反吐のせいで赤黒く汚れていた。
傷だらけの体は再びピクピクと痙攣し、それが傷口からの出血を更に助長していた。最早失血死するのは時間の問題であった。

「そろそろ蘇生しなければ……アテナ、お願い!」

アイギスは公子が死ぬ前に、蘇生魔法をかける。
最もそれは仲間を救う意思の元に為される行動では無く、殺せば楽しみが減るという、恐ろしい考えからくる行動であったが…。

公子の体を蘇生魔法の光が包み、全身の傷がたちどころに癒えていく。流れ出た血液は周囲に広がったままだが、失った血液は内部で補充され、身体機能が徐々に回復していく。体の痙攣も収まり始めた。

「さぁて公子さん、……あら?」

艶っぽい声を出しながらアイギスは公子に迫る…が、全く反応は無く、ぐったりしたまま動かない。
何度も失神と蘇生を繰り返した彼女の体は、蘇生魔法と言えどすぐには動けない程に衰弱していた。命に別状は無いようだが、暫くは目覚めそうもない。

「仕方ありませんね…続きはまたにしましょうか。」

アイギスは後で愉しむためにとりあえず公子の体を回収しようと、近づいた。

その時だった。


344 : アイギスにやられるハイレグハム子 7 :2014/10/07(火) 01:13:32 ???
バチィ!

「うぐっ!」

突然、アイギスの体がスパークし、彼女は胸の辺りを抑えて苦しむ。
やがて彼女の全身から、バチバチと次々火花が飛び出す。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁああっ!」

思わずアイギスの口から嬌声が漏れ出る。

「あ、か、体がっ……!」

そしてスパークにより体を制御出来なくなったアイギスは、膝から崩れ落ち、倒れた。

公子はアイギスがそんな事になっていても全く目覚める気配は無い。そして、アイギスの意識も朦朧し始める。

だがその時、アイギスの心に再び変化が起きた。

(あれ、私、今まで一体何を…)

電気ショックのせいか、遂にアイギスの精神が、洗脳される前のものに戻ったのだ。
そして彼女は自分が何をしていたのかをボンヤリとした頭で考え始めるが、その思考はすぐに遮られる。

「ふう…やはりここにいたのか」
「全く、勝手に我々の元を抜け出して、しかも任務外のことを延々と続けるとは…」

(だ、誰…?)

突然男二人の声が、廃工場に響き渡る。ニュクス教信者の研究者が、アイギスを探しにきたのだ。

「ふう、勝手に暴走したようだから、当たりをつけたこの場所で慌てて停止リモコンを作動させたが…」
「任務を達成したようだな。とりあえずはご苦労だ。」

(停止リモコン…この男達が、私を…?)

アイギスは男達の話を頼りに記憶を手繰り寄せる。

「しかし、洗脳はほぼ完全に近いはずだったが…やはり勝手に行動するとはな」
「確実な戦力としては心もと無いな…ここに破棄していくか」

(私…洗脳されて…!?)

アイギスは男達の会話から、自分が洗脳されたということを導き出す。そして先程の会話と繋げると、自分は命令を待たず行動を開始し、リモコンにより強引に活動を止められたということが分かる。
しかし、自らが洗脳中何をしていたのか、思い出すまでには至らなかった。

「しかし酷い有り様だな…この流血では生きてはいまい」

(流血…私、誰か、人を!?)

アイギスは男達の言葉に思わず動揺する。

「とりあえず、そこのベルトコンベアで二人とも廃材置き場に落とそう。」

すっかり公子が死んでいると思いこんでいる片方の男がそう言うと、もう一方の男も頷き公子の体を運び始める。

(だ、誰を…!?)

アイギスは誰が運ばれていくのか確認したかったが、顔を上げることが出来ず、それは叶わなかった。
そしてすぐにアイギスの体も、二人掛かりで引き摺られコンベアの上に載せられる。

(ぐっ…か、体が…!)

全く動かない体をアイギスは呪う。やがてコンベアの起動音が響き、為す術無く体が運ばれていく。

「さて…帰って報告だな」
「まあ、敵の戦力は大分削れたし、悪くない結果だな…」

男達はそうボヤいて、去っていった。


345 : アイギスにやられるハイレグハム子 終 :2014/10/07(火) 01:14:45 ???
ドサッ!

「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁっ!」

全身を強く打ちつけた衝撃で、公子は目を覚ました。
コンベアから数メートル下にある廃材置き場に落ち、下敷きとなった右腕と右足の骨が折れ、公子は激痛に悶え、絶叫する。
落ちた衝撃で公子の体は廃材の上を転がっていき、廃材の尖った部分が露出した柔肌を傷つけ、公子の体は傷だらけになる。
長い間放棄されて蓄積した埃が体中にまとわりつき、ボロボロになった手袋やロングブーツも相まってボロ雑巾のような姿になっていた。

「あぐぅっ、に、逃げなきゃ…」

再びアイギスが襲ってくると思い込んでいる公子は、傷ついた体に鞭を打って廃材の上を這いつくばるが、体を動かすために激痛が走り、殆ど体は前に進まない。

そうこうしていると、背後で大きな音がした−何事かと公子が振り返ると
公子に遅れて落ちてきたアイギスの体が横たわっていた。

「ひぃぃ、あっ、あぁっ…!」

最早アイギスの身体を見るだけでも公子は激しく怯えてしまうようになっていた。瞬く間に涙目になり、身体を震わせる。

「あぁっ、あっ、あ……」

身体の痛みと極度の恐怖から、公子は、またしても失神してしまい、動かなくなった。

(この声、公子さん……?)

一方アイギスは、公子の怯える声を聞いて、近くに公子が居ることを認識する。そして彼女がよく目を凝らすと、無様な姿で倒れている公子が視界に入った。

(!! 公子さん、そんなっ……!!)

廃材に混じるようにボロボロになった公子を見たアイギスは激しく動揺する。だが、彼女はすぐに思い出すことになる−
公子をここまで追い込んだのが、誰なのかを。

(!! 公子さん…私は……あなたを……)

ボロボロになった公子を見たアイギスに、洗脳されていた間の記憶が戻っていく−
洗脳され、暗殺者としての精神を植え付けられ、
やがて邪な愉悦に目覚め、あらゆる手段で公子をいたぶった…。

「そ、そんな、私…!」

機械というハンデを乗り越えて絆を築き、守るべき、愛するべき存在であると認識した公子を、自らの快楽の為に痛めつけた−

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

その事実は、アイギスの心にナイフで抉ったような傷を付けた。
事実を受けいれられないアイギスは、絶望に身を焦がし、絶叫する。

そして精神の崩壊によりオーパーツによる擬似的な意識は閉ざされ、完全に機能停止状態となった…。

廃材置き場には、かつての戦乙女の残骸が二つ、ゴミのように取り残された。

−END−


346 : 名無しさん :2014/10/07(火) 01:25:39 ???
以上です
最初の書き込みにアンカー付けてない上にレス番間違ってしまった…>>291の続編です
唐突に思ってしまった方申し訳ありません
しかし蘇生して何度もリョナろうとした結果、めちゃくちゃ長くなってしまった…

重ね重ねになりますが、>>336さんのSSで粘液リョナが捗りそうです
私も今日はハム子の粘液リョナ妄想してから寝ようと思います


347 : 名無しさん :2014/10/07(火) 02:18:38 ???
これはかなり良い百合リョナ!
耽美な方に行かず、情動の方向が一方的かつ暴力的なのが素晴らしいです


348 : 名無しさん :2014/10/09(木) 21:18:26 ???
ハム子はいろいろされてかわいいなあ


349 : 名無しさん :2014/10/10(金) 19:42:50 ???
ハムハム


350 : 名無しさん :2014/10/10(金) 19:55:21 ???
D会の予感に股間が漲る


351 : 名無しさん :2014/10/10(金) 22:43:02 ???
D会投下まもなくの宣言から、あと一週間で一月…
そろそろ待ちきれないぜw


352 : 名無しさん :2014/10/12(日) 14:30:03 ???
>>350-351
10/14 0:00(予定)

「まだ完成していない、ですって?
お待ちしていらっしゃるお客様がいるのですわ。時間までに死ぬ気で終わらせなさい」


353 : 名無しさん :2014/10/12(日) 14:48:24 7v1DAXv2
あげます


354 : 名無しさん :2014/10/12(日) 16:16:40 ???
D会予告キターーーーーー
とりあえず、パンツ脱いだ


355 : 名無しさん :2014/10/12(日) 19:07:36 ???
ついにきたか


356 : 名無しさん :2014/10/13(月) 15:19:44 ???
【D会会員様にお知らせ】

会員様方にご案内を申し上げます。

皆様のご支援のおかげで好評をいただいております「D会」シリーズですが
今回を含め、残り三回で完結を予定しております。
ただし、後の二回はストーリー進行パートも含まれるため(リョナシーンはもちろんございますのでご安心ください)
ショーを純粋に楽しむ回としては、今回が最終回となります。

そこで、主催者である鍵無繭羅様の意向のもと、今回は拡大版にて投稿させていただく所存です。
しかし、さきほどデータを編集いたしましたところ

(約32000文字 原稿用紙換算で80枚強)

という非常に大ボリュームなものになっていることに気づきましたため
今回はテキストファイルで投稿させていただきます。
ご協力のほど、よろしくお願いいたします。


357 : 名無しさん :2014/10/13(月) 15:29:52 ???
>>356
ヒエッ…原稿用紙80枚分とは随分と書きましたなぁ、それは時間がかかる訳で
すな…ご苦労様です!


358 : 名無しさん :2014/10/13(月) 15:40:00 ???
胸の高鳴りを抑えられない


359 : 名無しさん :2014/10/13(月) 19:44:57 ???
80枚ってちょっとした短編小説級だな
エピオス錠投入しておくか


360 : 名無しさん :2014/10/13(月) 20:48:24 ???
>>354
>>355
>>357
>>358
>>359

チケットをお取りください

つ【10/14 0:00  victim:炎髪灼眼の討ち手&血盟騎士団副団長】


361 : 名無しさん :2014/10/13(月) 22:22:31 ???
後1時間半…やばい手が震えてきた


362 : 名無しさん :2014/10/13(月) 23:57:58 Tq35vx0c
上げときます


363 : 名無しさん :2014/10/14(火) 00:00:01 7v1DAXv2
時間になりました。
保存は各自でお願いいたします。

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org5362229.txt.html
passは「d4c」


では、良い夢を


364 : 名無しさん :2014/10/14(火) 00:24:11 ???
おおう、超大作お疲れ様でした
畜生ピエロめ!不死身チートまで使いやがって、なんて卑劣な!(棒読み


365 : 名無しさん :2014/10/14(火) 00:29:30 ???
うおおおおおおおおお素晴らしい!!
素晴らしい作品でした!!特に最後のシャナとアスナの無様な最期、
プライドが完全に破壊された描写が素晴らしかったです!!


366 : 名無しさん :2014/10/14(火) 00:34:09 ???
大作お疲れ様です、いま読了しました
キャラによって痛みの耐え方が変わる辺り強烈に萌えますねw
心が折れる前の気丈さも、折れてからの絶望感もおいしくいただきました


367 : 名無しさん :2014/10/14(火) 00:56:10 ???
うっひょう、なんという大作!堪能させて頂きました!
勝てない、と思わせてから勝って、でも実は負けてたという
畳みかけるような絶望感がたまりませんね

ただ個人的には、シャナが2回目に黒髪に戻る描写はもう少しネットリして欲しかったかも
バトルヒロインが戦う力を失う、奪われる瞬間がたまらんと思うのですよ


368 : 名無しさん :2014/10/14(火) 19:12:43 ???
ノエルの人です
いつもありがとうございます

喜びの声をいただけて、大変うれしいです!
ちまちまスマホに書きためていった甲斐がありました
あと二回になりましたが、今後も拾えるリクは拾っていこうかと思いますので、これからもよろしくお願いします


369 : 名無しさん :2014/10/16(木) 14:49:39 ???
もし今からでもリク出来るなら、打撃系のリョナがあると嬉しいです
更に言うなら心が折れた相手を弱打撃でいたぶる描写があれば…


370 : 名無しさん :2014/10/16(木) 15:17:16 ???
骨折リョナが好き


371 : 名無しさん :2014/10/16(木) 15:34:24 ???
女同士でキス責めとかあったら嬉しいです


372 : 名無しさん :2014/10/16(木) 17:02:58 ???
エネルギー吸収的なシチュがあれば


373 : 名無しさん :2014/10/17(金) 12:34:05 ???
371+372


374 : 名無しさん :2014/10/17(金) 12:44:49 ???
打撃で骨折させたあと、唇からエネルギー吸収?


375 : 名無しさん :2014/10/17(金) 19:17:20 ???
骨折+レズキス責めか
でも俺は

打撃系ヒロインが為す術もなくサンドバッグにされつつも、なんとか打開策を探し、
相手のパターンを察知し、それが最後の光明と起死回生の一撃を放つも、
それは相手の罠で、必殺の一撃はアッサリと躱され、硬直した体勢から腕を捕れてしまう
いとも容易く捻り上げられ、利き腕の肩関節を外されてしまう
流れるように軸足を捕られ股関節を外されてしまう
攻撃の軸を奪われ、激痛に動く事もままならなくなったところで逆の肩股関節も脱臼させられるヒロイン
舌を突き出して半ば白目を剥いて悶絶するヒロインからエネルギーを奪わんと顎を掴む悪の女幹部
憎き敵の、しかも女からのキスにすらわずかの抵抗もままならない達磨ヒロイン
だらしなく垂れ下がった舌を食まれ、ネットリと舌を絡まされる
歯茎、上顎、舌裏…隠された性感帯を一気に開発され、ヒロインの視界が白とピンクにスパークする
想像もしていなかったキスでの絶頂に、唯一動く臀部がビクンビクンと跳ね回る
ダラダラと溢れる唾液を啜られ、エネルギーを奪われ続ける絶頂達磨ヒロイン
そのキスはヒロインのエネルギーが底を突き、健康的な、しかし両手足を外された肢体が自らの潮に浸かるまで続けられたのだった

みたいな感じの方が好き


376 : 名無しさん :2014/10/17(金) 22:46:29 ???
ここは基本に立ち返って腹パンとかどうでしょ
回を重ねるごとに少しずつ弱っていく様子とか文章でこそ表現できると思うの


377 : 名無しさん :2014/10/18(土) 21:57:26 ???
問題なのは、それらを全部やられる=全部やられるまで生きてる超高耐久orチート級回復力なヒロインがいるかだと思うんだ。


378 : 名無しさん :2014/10/18(土) 22:15:15 ???
ノエルの人です

>>375が良いログを書いてくれているので、これをベースに書いてみよっかな。>>376の腹パン付きでね。
単発物のオリジナルで、やや短めので良ければっ。


379 : 名無しさん :2014/10/18(土) 23:24:08 ???
>>378
おおっ、それはありがたい!!期待して待ってます!!
でも、無理はしないでくださいね、体調崩しやすい季節なので


380 : 名無しさん :2014/10/19(日) 02:25:26 ???
>>378
>>375だけど期待してる


381 : 名無しさん :2014/10/28(火) 06:32:21 7v1DAXv2
ノエルの人です。
375さんのリクSSはもう少しで完成しそうです。

別のスレで書かれていた「くの一の褌ネタ」が個人的にツボだったので
今日はそれを投稿させていただきます。
2〜3レス程度なので短いです。
例によってハード寄りですが……。

投下します。


382 : 名無しさん :2014/10/28(火) 06:33:22 7v1DAXv2
とある地方の山奥に、くの一の里がある。
その里の頭領である「伽耶(かや)」は、先ほど猛烈な死闘が行われた戦場を歩き回っていた。
成熟しきった身体が薄い装束一枚のみで覆い隠されている。
ゆえにその衣装から彼女の媚態を想像することは容易だ。
頭領と側近だけが着用を許される黒猫褌を履いた彼女は、尻はほとんど剥き出しの状態になっている。

くの一の里は窮地に立たされていた。
最近になって突然発生した物の怪達によって、じりじりと侵攻を許してしまっている。
里からわずか十数里しか離れていないこの森の中は、すでに散ってしまった同志の血で赤く染まりあがってしまっていた。
伽耶は、側近である黒い長髪の鏡と共に、散っていった仲間の亡骸を確認していた。
二人は鼻から下を鉄面で隠していたが、身体はミニ装束では隠しきれないほどの艶めかしさがある。
仲間達はみな、鋭い爪のようなもので全身を引き裂かれ、薄い装束がボロボロの状態のまま、様々な格好で倒れている。
そのどれもが、無惨で、無様な痴態をさらし出してしまっていた。
伽耶は彼女たちの姿を目にする度、悔しさが胸の内からこみ上がってくる。
伽耶は彼女たち一人一人の顔も声も性格も知っている。
出陣の前、里を守るという使命を胸に、主君への絶対的忠誠を誓う凛々しい目を伽耶に向けていた。
彼女たちはみな褌を身につけ、身を賭す思いで物の怪たちとの戦いに身を投じた。
しかし、現実は非情である。
彼女たちの信念は、物の怪の爪によってズタズタに引き裂かれた。

「牡丹……っ」

伽耶が、将来の次期当主として見込んでいた「牡丹(ぼたん)」は、全身を滅茶苦茶に引っ掻き回されて絶命していた。
彼女の愛用するクナイが足元に落ちている。
彼女は豊満な胸と血に汚れた褌をさらしてしまい、忍としての矜持を完全に踏みにじられてしまっていた。
せめて女である部分は守ろうとしたのか、露わになった乳房を片腕で覆い隠すようにして死んでいた。
くの一たちにとって、敵に敗北して死んでしまうことほど恥ずかしいものはない。
牡丹は死に逝くとき、一体何を想っていたのであろうーー。
普段は泣き言一つ言わない強い心を持った彼女も、最期は泣きながら断末魔をあげていたことがはっきりと伝わる死に顔であった。

「あれは……柚子か!? 莫迦なっ……」

仰向けの状態で太い枝に引っかかって、海老反りのようになったままぶらぶらと手足が垂れ下がっているのは、紛れもなく柚子(ゆず)である。
里の中でもまだ幼い少女くの一であった。
活発で怖いもの知らずの性格で、いつも元気で明るい里のムードメーカーのような存在であった。
忍びとしての実力はまだまだ修行が足りない。
たとえ里が物の怪の手に墜ちたとしても、柚子のような幼いくの一達の命は守らなければならない。
次の世代へと繋ぐことが出来さえすれば、何時か自分たちの無念を晴らしてくれるかもしれない……伽耶はそう考えていたのだ。
しかし、柚子は自分も共に戦うことを何度も伽耶に訴えた。
まだ幼い柚子でさえ、くの一としての誇りを抱いている。
伽耶は戦うことを決して許さなかった。
それなのにここに居ると言うことは、おそらくは命令に背いてまで戦いに赴いたのだろう。
まだ体つきが女らしくなっておらず、少年のように丈夫そうな手足は、今では血まみれになってしまっている。
枝の上にある柚子の亡骸は、その真下の地面に彼女の血が飛び散って染み込んでいた。
彼女がいつも集めていた、様々な形の宝石も一緒に落ちていた。
そして何よりも心苦しいのは……柚子は腹部を食われてしまったのか、腸と思われる部分がぶらぶらと枝から垂れ落ちてゆらゆら揺れていたのである。
子供の肉は柔らかくて旨いのだろう。
柚子の顔は目も口も大きく開かれて、これ以上は無いであろうと思われるほどの恐怖の表情を浮かべたまま、こときれていた。

「鏡……彼奴らが里へ来るのももはや時間の問題だ。残った者の戦力も乏しい……おまえだけでも逃げたほうがいい」
「伽耶様。私の主君は貴女様のみです。この鏡めも、最期の最期まで戦い抜きます」

艶やかな黒髪の鏡は、迷いなくそう言った。その目には、己の死に対する覚悟が伺えた。


383 : 名無しさん :2014/10/28(火) 06:34:31 ???



里が紅の火に蹂躙されていた。
残りのくの一達もみな強殺され、皆が示し合わせたかのように褌を晒しだしていた。
ある者は失禁してしまい、股間のあたりにハエが飛び回っている。

最後まで戦い抜くと決意した鏡と伽耶は、二人合わせて千を超える物の怪を屠った。
しかし、ついに体力の限界を迎えた二人は、同時に物の怪の拳を腹に叩き込まれた。

「がはっ……!」
「ぐおぉおぉっ!」

全身から吹き出した汗が飛び散り、口から悶絶の声を漏らすと、地面にうずくまった。

「ひと思いに……殺しなさい……っ」

汗ばむ顔に、鏡の長い髪が顔を隠している。
鏡は鉄面の奥で歯を食いしばりながらそう言った。
伽耶は潔く抵抗を止め、最期の時への覚悟を決めているようだった。

しかし物の怪たちが取った選択は、彼女たちの予想に反していた。
物の怪たちは、彼女たちの心性を良く理解していた。

物の怪は二人の褌のみつを掴むと、手近の里の家の中に上がり込み、二人を床に放り投げる。
途端に二匹の物の怪が二人の鉄面を剥ぎ取って正体を暴く。
大和撫子と言わんばかりの美人顔であったが、物の怪はすぐさま彼女たちの口に舌を入れた。

「んぶぅっ?!」
「ぅぅううんんっ!!」

それは、彼女たちが自分の舌を噛んで死ぬことがないようにするためである。
物の怪の舌はとても太くてぶよぶよとしており、いくら噛んでも無駄である。

んぶぅっ、んぐっ、ぶちゅ、ぶちゅるっ

伽耶は目を見開きながら舌技に翻弄され、鏡は激しい嫌悪感を示し首を横に振ろうとする。
しかし二人は抵抗することができず、じゅぽじゅぽと下品な音を立てながら物の怪の唾液を口の中へ流し込まれる。
さらに二人は、仰向けの状態から足を高く持ち上げられ、床から尻が浮き上がると、ミニ装束が破られて、あらわになった尻を叩かれた。

ベチッ、ベチッ、ベチッ

尻を叩かれるたびに響く、肉が肉を打ちつける音。
その音を聞く度、物の怪たちは愉快な笑い声をあげて伽耶と鏡を嘲笑う。
何度も死線をくぐり抜けてきた彼女たちにとって、このうえないほどの屈辱である。
くの一にとって、敵に敗北して死んでしまうことほど恥ずかしいものはない。

しかし鏡と伽耶には、まだ死ぬことを許されなかった。
せっかくの最後の相手である。
少し楽しんでから彼女たちを殺したほうがいい、というわけなのだった。

二人が身につけている黒猫褌は、尻が完全に剥き出しになるような形をしている。
ゆえに、伽耶も鏡も、尻を何度も叩かれて真っ赤に腫れ上がってしまっていた。
針のように鋭い動きが求められる忍びにとって、尻から太ももへと通じる下半身の筋肉は生命線とも言える部分である。
その尻がいまや、もっこりと赤く腫れあがり、だらしのない女のたるんだ身体へと造り変えられてしまっていた。
二人はその屈辱に耐えられない。

「んぶぶっ……んぶぅっ、んんんんーーっ!!」

さらに、尻を叩くだけではなく、ひくひくと蠢く菊門に指を入れて、思い切り突き刺し浣腸をする。

「っ!!?」

びぐんっ、と腹筋を反応させて、内股を摺り合わせるようにして悶える二人。
いっそ、殺してほしい。
それが二人の共通する望みなのに、舌の轡を填められては満足に喋ることも許されない。
顔を羞恥で染め上げながら、二人はそれまでの人生で初めて味わう感情ーー泣きたくなるほど恥ずかしいという感情ーーをたっぷりと味あわされた。


384 : 名無しさん :2014/10/28(火) 06:35:47 ???
二人がようやく殺されたのは明け方になってからである。
二人はたっぷりと忍びのプライドを壊され、舌が抜かれたときに口走った言葉は情けないものであった。

「もぅ、許してくださぃっ……っ……」と許しを請う鏡。

伽耶に至っては、ぱくぱくと口を開いたり閉じたりを繰り返して、何か譫言のように呟く始末である。
潔く敗北を認め死のうと思っていた伽耶だったが、ねっとりと屈辱を味あわされすえに、胸のうちには復讐心が生まれていた。
ここで死ぬわけにはいかない。この恨みを晴らさぬまま死ぬわけにはいかない。
死を覚悟していた伽耶の中に、生への未練が生まれる。
しかし、彼女は何の仕返しもできない。
できるはずがない。物の怪は、無能で雑魚のくの一頭領に、引導を渡してやるのみである。
轡係りだった物の怪が、二人の顔に臭い唾液をたっぷりと滴り落とした。

「死にたくなぃ……死にたく、ないっ……!!」

伽耶が涙を流しながら呟いていたのは、つまりそういう言葉なのであった。

死ぬ前に、物の怪たちの激しい性欲をぶつけられ、何度も膣奥や尻に射精された。
伽耶も鏡も、下の方の経験はなかった。
二人は今までにない類の悲鳴をあげながら、くちゅくちゅと水音を響かせていた。
特に鏡の抵抗の仕方は異常なものがあった。彼女は甲高い声を上げながら暴れた。男という存在を毛嫌いしていたようだ。
しかし、物の怪たちは己のペニスを鏡の長髪に巻きつけてしごきあげ、黄疸のような色の精液を顔に塗りこんで死化粧を施してやるのだった。
さらに物の怪たちは、脱がせた褌で二人の顔を覆いかぶせた。
その状態のまま、一人の物の怪が思い切り刃物で二人の腹を突いた。
腹部から血がぽたぽたと滴り、二人の内腿を伝うように鮮血が流れる。
物の怪は興奮した声を上げながら、肉棒のピストン運動のように何度も突き刺された。
二人は褌で顔を覆われたまま吐血し、白い褌が血に染まると、やがて頭から倒れた。

物の怪の頭領が現れ、伽耶と鏡の亡骸の上に片足ずつ乗っかり、くの一の里の完全制服を高らかに宣言した。
全てのくの一が殺され、彼女たちの存在を知るものは誰もいない。
彼女たちは、やがて歴史の波によって忘れ去られてしまったのであったーー。


385 : 名無しさん :2014/10/28(火) 06:37:00 ???
以上です
では、ノシ


386 : 名無しさん :2014/10/28(火) 10:28:42 ???
よろしければd会の再ウプを...


387 : 名無しさん :2014/10/28(火) 18:13:34 ???
GJでした
くの一ってリョナ業界において勝てる相手探す方が難しいぐらいリョナ向きだよね


388 : 265 :2014/10/28(火) 18:36:40 ???
便乗して投下させていただきます。
一応前回からの続きとなります。


「うぅ……う…ん…」
道で倒れてからどれぐらいの時間が経ったのか。
クディルは目を覚ました。

「私…生きてる……?」
少しだけ開かれた目に光が射しこむ。
「ここ、どこだろう?」

まだ生きていることを確かめてから周りを見渡す。
煉瓦造りのそれほど広くない部屋に今は閉じられている明り取りの小窓が一つと短い蝋燭に火の灯った煤だらけの燭台が一つ。
木製の粗末な丸机が部屋の中央に置かれ、それを挟んで木の椅子が二つ向かい合っており、その椅子の片方にはクディルの荷物一式が纏めて置かれている。
その机と椅子を挟んで部屋の反対側の壁にはこの部屋唯一の出入り口と思われる小さなドアが閉まっている。

次にクディルの周りを見ると、今寝かせられていた少し大きいベッドにボロボロの煎餅布団が敷かれている。
黴臭いこの布団も部屋の内装から考えれば決して拾ってきた行き倒れを粗末に扱っている訳ではなく、むしろ最大限の施しのように思えた。
その証拠にクディルは全身の傷に手当てを受けた跡があり、
至る所を包帯で巻かれた上にボロボロの旅装と下着は彼女の荷物の中から出したのであろう着替えに替えられていた。

クディルがしげしげと体中の包帯を眺めていた時、不意に扉が開いた。
「あ!お姉さん気が付いたんだね!」
扉の向こうに現れた少年はクディルの姿を見ると驚いたようにそう叫び、安心した表情で駆け寄ってきた。

「よかったぁ〜。お姉さん急に倒れるんだもんびっくりしたよ」
「…あなたが、助けてくれたの?」

クディルの問いに少年は少し恥ずかしそうに目を逸らしながら答える。
「助けるというか……僕はただ運んできただけで、手当てしたり服を着替えさせてくれたのは医者のゲラン先生と酒場のレオナ姉ちゃんで―」
少年の言葉はそこで途切れ、扉の音と、続いて駆け足で扉に近づいてくる足音に振り返った。

「あ!レオナ姉ちゃん。今ちょうど―」
現れたのはレオナと呼ばれたクディルより少し年上と思われる女性だった。

うなじが隠れるくらいの長さで切りそろえられた艶のある黒髪と同じ色の瞳の切れ長の目、クディルよりも女性らしい体つきと、
黙って微笑んでいるだけで男が寄ってきそうな彼女はしかし、今は険しい表情で少年には目もくれずクディルの方へ駆け寄ると、
さっと金髪のかつらと眼鏡を渡した。

「え?あの…」
「姉ちゃん?」
「すぐにそれを着けて!」
状況は呑み込めないが切羽詰まっているという事はクディルも察し、とりあえず言われた通りにかつらをかぶる。


389 : 265 :2014/10/28(火) 18:40:54 ???
金色のそれは、肩甲骨を覆っているおろした地毛よりさらに長く、完全に地毛を隠している。
眼鏡は度の入っていない伊達眼鏡で、黒く太いフレームは妙に印象的で素顔を隠すにはうってつけと言えた。

「もうすぐ役人共が来るわ。私が適当にあしらうから話を合わせて。いい?」
まだ状況が理解できていない少年にそう言うと、彼が返事をするまでもなく外の扉を叩く音が聞こえた。

「ティム、ティムや。開けておくれ。お役人様が見えているよ」
小さく響く老人の声にティムと呼ばれた少年ははぁいと返事をしながら部屋を出ていく。

「いったい何が?」
「今は説明している暇がないわ。それと、悪いけどこれ布団の下に入れてあなたの体の下に隠して」
レオナは積み上げられたクディルの荷物から短剣を取り出してそう言いながら寄越す。
クディルが丁度隠し終わった頃、どかどかと足音を立てて、老人と少年を先頭に数人の男達が部屋になだれ込んだ。

男達はみんな派手な柄の衣装を着込み、室内でも仰々しい帽子を取らずに、
人数が増えたことで狭苦しくなった室内で老人と少年を横柄な態度で部屋の隅に追いやる。

「うん?なぜおまえがここに居る」
男達の一人がレオナを値踏みするように見てそう尋ねる。
その他人を見下すような目つきは、成程、嫌われる役人の見本のような男だ。
しかしこれには慣れているのか、レオナは平然と答える。

「そこのティムがこの人が行き倒れているのを連れてきましてね。この子だけじゃあ心配だったものでちょくちょく様子を見に来てたんですよ。ねぇ?」
「え、いや。あっ、そっ、そうそう。そうなんですよ!」
ティムと呼ばれた少年は役者の才能は無いようだ。
だが役人はその答えに満足したのかそれ以上は追及せず、代わりにクディルの方に目を向ける。

「お前がその行き倒れか?どこから来てどこへ向かうつもりだ」
「はい。私は東の帝国から参りました。伝手を頼ってこの国の都にて魔法を習いに参りましたが、道中で野盗に襲われ……
逃げ出したところをこの方たちにお助け頂いたのでございます」

ここがどこかは分からないが、国名を出さずとも東の帝国と言えば大体通じる。
咄嗟に出身地を答えてしまったがそれ以外は適当に嘘を並べておく。

「ほう、そうか。では名はなんという」
「シャミアと申します」
本名を言うべきか迷ったが、変装しなければならないという事は偽名の方が好都合だろう。
そう考えて、咄嗟に哀れな女盗賊の名前が口をついた。

「では通行証を見せろ」
(しまった…っ!!)
役人の言葉を聞いてクディルははっとした。
越境したという事は通行証を必ず持っている筈で、そこには本名と越境の目的が記載されている。
それを調べられればすぐに嘘だというのがばれてしまう。

「そ、それが……野盗に襲われた時に奪われてしまいまして……」
何とか逃れようとするクディルだが、彼女にも役者の才能は無かった。
「ふうん。荷物には手を付けずに通行証だけをねえ……改めさせてもらうぞ」
役人の一人がクディルの荷物に手を伸ばす。


390 : 265 :2014/10/28(火) 18:44:46 ???
「ちょいとお役人さん」
突然、レオナが役人の一人の耳元で何かを囁いた。

「なに?それは確かなんだな!?おい、ここはもういい。戻るぞ」
役人が他の仲間にそう言うと、来たとき同様にどかどかと部屋を後にする。
「今回はこれで済ますが、こげ茶色の目と髪をしたクディルという女が現れたらすぐに報告するように」
「その人はいったい何を?」
「商品を狙って行商人を殺した危険人物だ。怪しい奴はすぐに報告するように。いいな?」
その危険人物にそう言って役人たちは出ていった。

「馬鹿は扱いやすいわね」
役人たちが老人を先頭に立たせて家から出ていくのを見届けてからレオナは吐き捨てるようにそう呟いた。

「あ、あの―」
「え?ああ、もうそれ取っても大丈夫よ」
何かを問いかけたクディルにレオナはそう言いながら振り返る。

「あの、あなた方は……」
「聞いていた通り私はレオナ。あっちの子がティムよ。クディルさん―だっけ?」
「はっ、はい!お助け頂いてありがとうござ―わっ!?」
礼を言うためにベッドから降りようとして足がもつれ、二人に抱きとめられてしまった。

「座ったままで良いわよ。まだ無理しちゃ駄目」
「そうだよ。お姉さん四日も眠ってたんだから」
「四日!?」
言われるままベッドに座りなおそうとしたクディルだったが、四日と聞かされて再度立ち上がった。

「待ちなさいって!どんな理由か知らないけどその体じゃ無理よ」
「でも…!」
再度座らせようとするレオナにクディルは一度息をのみ、理由を説明した方が早いと考えて語り始めた。

自分の身の上と、仇を追っていること。
その仇が危険な企てをしている可能性があること。
仇も自分を探していて、その追っ手によって自分を捕えていた野盗が壊滅したこと。
自分がここに居ることが追っ手に分かれば危険が及ぶということ。

「成程ね。よく分かったわ」
一通り話を聞き終え、レオナは思案顔で頷く。
「そういう事なら余計に駄目。回復するまで大人しくしてなさい」
「なっ!?」

きょとんとするクディルにレオナは真剣な眼差しを向ける。
「そのボロボロの体で出ていってどうする気?今のあなたじゃその仇にしろ追っ手にしろ戦ったところで確実に返り討ちよ」
その通りなのはクディル自身が一番理解していた。
今の体では仇や追っ手の白女一味はおろか、以前いなせた野盗にすら嬲り殺しにされてしまうだろう。

体の事を考えれば少しでも傷が癒やした方が良いに決まっている。
だがそうしている間にこちらの位置を知られればどうなるか?
クディルの頭に野盗の隠れ里での惨劇が蘇る。
自分を助けてくれたティムとレオナをあんな目に遭わせる訳には絶対にいかない。
「でも私がここに居たら、皆さんに危険が…」
そう食い下がるクディルだったが、唇にレオナの人差し指が触れた。

「いい?本当にそうやって気にしてくれるなら、むしろあなたがいてくれた方がありがたいのよ」
「?」
理解できないときょとんとしているクディルにレオナの説明が続く。


391 : 265 :2014/10/28(火) 18:49:28 ???
さっきの役人共、普段の仕事は馬鹿領主のご機嫌取りって言われてるぐらい何もしないわ。
そんな連中が嘘の罪状をでっち上げて女一人を熱心に追いかけるとしたら、後ろには間違いなく馬鹿領主がいる」

「あいつら、すごくしつこいんだ。今逃げてもきっと姉ちゃんを疑って付け狙うに決まってるよ」
レオナの言葉にティムが付け加える。
「そんな中でボロボロのあなたが出て行ったら、それこそ捕まえてくださいって言っているようなものよ。
あなたが捕まって私達との関係がばれれば、それこそ私達の身に危険が及ぶ。下手をすれば私やティムだけでなく村人全員無事じゃ済まなくなるわ」
「そんな……」
レオナの言葉にクディルは言い返せなかった。
自分の捜索にこの地方の領主まで加わったという事は、敵は領主と結託している可能性が高い。
今やクディルは手負いの身で敵地のど真ん中に放り出されているという事になる。

「いい?だからこそ体が治るまでここに隠れていた方がお互いのためよ」
レオナの言葉にクディルも甘えることにした。
「ありがとうございます。何とお礼をしたらよいか……」

「いいわよ、気にしないで。拾ってきた行き倒れを放っておくのは後味が悪いだけ」
そう言って、レオナは笑いながら家を出て行った。
「改めましてこれから宜しくね。お姉さん」
「うん。ありがとう」
こうしてクディルは傷が癒えるまでの間、ティムの家に厄介になることとなった。

翌日、村の掟という事でティムのところに行き倒れだった女がいることを村人たちに報告して回ることとなったが、
ここでクディルは前日にレオナの言っていた役人や領主への考えが村の共通見解であるということと、
自分の事を好意的に迎えてくれる人が多いことに安堵してティムと二人の家に戻った。

ティムはこの家に一人で暮らしており、レオナの働く酒場の手伝いで生活している。
彼の家には村の者やレオナが時々訪ねてくることはあったが、彼の家族と思われる人物は一人として現れなかった。

「ティム君のご両親はどうしているの?」
ある時そう質問してから、クディルは自分の迂闊さを呪った。
明るいティムの表情が僅かに曇ったのが分かったからだった。

「あ、あの。ごめんなさい。何でもないの。忘れて」
「気にしないよ。母さんは僕が小さい時に死んじゃったけど、
父さんは『両替商の手伝いに行くから』って言ってたから、仕事が終わったら帰ってくるんだ!」

そう言うティムの目は、本当に父親の帰りを信じて疑わないと物語っていた。
聞けば彼の父親は昔帝国にいたことがあるという。
クディルは本当に一瞬前の自分の口を力ずくでも塞いでやりたかった。
『両替商の手伝いに行く』とは、父親がいたという地域で夜逃げを意味する隠語だ。

「そっか……。お父さん、早く帰ってくるといいね」
無責任だとは思ったが、それでもそう言ってやることしかクディルには出来なかった。

「うん!でも、今はもう寂しくないよ。酒場の親父さんやレオナ姉ちゃんや村の皆はよくしてくれるし、
今はクディルお姉さんもいるから……あっ、お姉さんが倒れていたことを喜んでいる訳じゃないよ!」
そう言って笑顔に戻ったり慌てて言い繕ったりする様をみて、クディルは少し救われた気がした。


392 : 265 :2014/10/28(火) 18:55:22 ???
それから、何日か経つうちにクディルの傷もだいぶ良くなっていた。
目を覚ました初日には立ち上がるのがやっとだった体も、今では家事をこなせるぐらいに回復した。
そんなある日の朝のこと。

「それじゃあ、行ってきます!」
「いってらっしゃい。気を付けてね」
酒場の手伝いに出かけていくティムをクディルが見送る。
このところ日課になった光景だった。

ティムを見送るとクディルはリハビリも兼ねて家事を一つずつ片付け始める。
(もうだいぶ良くなってきたわね)
体力が戻ってきたことを実感しながらきびきびと動き回るクディル。

(……お別れするのは辛いなぁ)
自分がただ助けられただけのよそ者であるという自覚はあるし、傷が癒えればすぐに仇を追わねばならないことも分かっている。
それでも、ティムやレオナとの別れは辛い。
クディルにとってこの数日間は本当に久しぶりに心休まる時間だった。

(駄目。辛いけど、行かなきゃ)
そう結論付けて思考を終了し、目の前の作業に集中する。
そうしているうちにあっという間に時間が経ち、太陽が西の地平に沈み始めていた。

「……遅いなあ」
暗くなった家の中で、クディルは予定よりだいぶ遅くなっているティムの帰宅を待っていた。
そのとき不意に、玄関の扉に何かが突き立てられる音を聞き、咄嗟にクディルが外に出る。
扉を手前に引いたときに目の前に現れたのは扉に突き刺さった矢文だった。


この家の少年を預かっている。無事に済ませたいなら金貨500枚を代官屋敷まで届けろ。
金貨と交換だ。
        ―ナウィック盗賊団


静かに佇むクディルの手の中で、矢文は小さく握りつぶされた。


「何がナウィック盗賊団だ。子供に手ぇ出すとは許さねえぞ!」
村長の家に集まった村の男達が騒ぐ。

「下調べをしている連中なら代官屋敷なんて言わない筈だ。大方、領主かその取り巻き共の悪知恵だろうな」
村一番の切れ者と言われた男が苦々しく告げる。

「代官屋敷には何かあるんですか?」
尋ねるクディルの腰には剣が帯びられており、髪の毛も邪魔にならないようポニーテールに結っている。
彼女の問いに、村長の老人が静かに口を開く。
「……この辺りは戦争中、帝国の植民地でした。戦争が始まる前は今の領主の先祖が領主でしたが、重い税金を徴収しては私腹を肥やすばかりでした。
そんな有様でしたので昔から貧しかったこの辺りでは毎年のようにどこかの家で身売りが行われておりました」
昔話にしてはあまりにも実感がこもっているのは、この村長の実体験によるものだからだろうか。

「やがて戦争が始まると帝国からお代官様がやって来て、逃げ出した領主の別宅を拠点になさいました。
お代官様は『植民地も帝国領である』と仰って帝国の進んだ技術を取り入れたり、お医者や教師を村に呼んだりしてくださいました。
税金も帝国の法律に基づいた額のみを支払うだけでよくなり、私達の暮らしはずっと良いものになりました」

帝国は植民地への投資に積極的だった。
砦でもあり生産拠点でもある植民地に投資することで生活水準を向上させれば、
結果的に植民地をより強大な砦と、より豊かな生産拠点とする事ができる。
彼らの様に戦後も好意的な者がいるのは、この方針の成果によるものだろう。


393 : 265 :2014/10/28(火) 18:59:00 ???
「帝国の兵隊は規律正しく、村人に乱暴をする者は一人もおりませんでした。
戦争が終わってお代官様がお帰りになった後には前の領主が戻ってきましたが、私たちが以前のようにいかぬとなると、以前の様に重税を課すことはなくなりました。
代わりに戦争の時代を忘れさせるために代官屋敷周辺への立ち入りを禁止したのです」

つまり、代官屋敷を取引場所に指定したところで、村人は近づけないのだ。
事情を知らないのならその可能性もあるが、ティムの家や環境を知っていることからしてその可能性は低い。
これはつまりクディルだけで来いということだ。

「なら私が行きます!私は村の人間ではありません」
そう言って立ち上がったクディルに村人たちはどよめく。

「それが相手の狙いでしょうね」
男達の後ろから、レオナが口を開いた。
「村の人が来ないなら私が行きますとなったあなたを誘い出すつもりよ」
「それなら尚更です!私が原因でティム君まで巻き込んで…」
クディルの目には涙がたまっている。
自分を助けてくれたティムを自分のせいで危険な目に遭わせている。
クディルにとってこれほど辛いことは無かった。

「あなた一人で行ってどうするの?あの子を人質にとる相手に何かできる?」
「それなら……私とティム君を交換させます。それが連中の狙いなはず」
「平然と誘拐するような奴らがそれで済ますと思う?目的を達成したらすぐに口封じにかかるわ」
「そんなっ!」

おそらく、レオナの読みが正しいであろうという事はクディルにも分かった。
クディルにはもう、どうすればいいのか分からなかった。

「私も一緒に行くわ。先に行って中を探る」
そう言うと、クディルや村人が何か言う前に夜の闇の中へ消えていく。
追いかけて制止しようとするクディルに村人は説明した。

レオナがただの酒場の看板娘ではなく、元は腕利きの賞金稼ぎだったという事。
村に流れ着いてから酒場で働いているが、領主の定めた村民の要件を満たしておらず、今でもよそ者扱いだという事。
ティムぐらいの歳の弟がいたが、野盗に殺されたという事。

それらを聞いて、クディルがレオナを追う理由が変わった。
「代官屋敷の場所を教えてください」

二人は人里離れた屋敷の前で合流した。
レオナは普段の村娘の格好ではなく、体にフィットした濃紺の装束に身を包み、ショートソードと革のバックラーを携えていた。

「いい?私が先に中へ入って様子を探る。合図したらあなたが正面から入って連中の注意を引いて。
私が隙を見てあの子を助け出して騒ぎを起こす。そうしたらあなたも逃げて」
「はい。……すいません。こんなことになってしまって」
「あなたが謝ることじゃないわ。さあ行きましょう」
そう言って女戦士は夜の闇に消えて行ったが、戻ってくるまでそう時間はかからなかった。


394 : 265 :2014/10/28(火) 19:02:17 ???
「おかしいわ。中に誰もいない」
報告を受け、クディルも屋敷に向かう。
ボロボロに荒れ果てた廃墟のような屋敷には人の気配はおろか生き物の気配がまるで感じられず、
1階部分の窓から侵入した二人の目の前には、見慣れない植物の蔦だけが広がっていた。

「この妙な蔦だけよ」
レオナが言う通り、窓や扉の跡や天井が崩落した部分の下等を除いて、
屋敷の中全体にクディルの腕ぐらいの太さのある蔦が伸びている以外、ただの無人の廃墟と何ら変わらない。

それでも辺りを警戒しながら慎重に進むと、不意に本来の入り口なのであろうただっ広いエントランスホールに出た。
誰もいない筈のその場所は何故か壁に掛けられた沢山の燭台に火が灯り、部屋の中を照らし出している。

「ティム君!!」
クディルが叫ぶ先には、エントランスホールの奥に集まっている蔦の真ん中に絡め取られているティムの姿があった。
「待ってて、今助けるから!」
意識を失っているのだろうか、反応のないティムに二人が駆け寄る。

二人ともティムに釘付けになっていた。
だから、背後で蔦が動いたこと、その動いた蔦が自分たちに迫っていること等、蔦が鞭のように風を切るまで気付かなかった。
「うあっ!」
「あああっ!!」

振り返った時には手遅れだった。
蔦は二人を尋常ではない力で殴りつけると別々の方向へ弾き飛ばす。

「かはっ!!」
「あぐっ!」
弾き飛ばされたクディルは低く地面をバウンドして転がり、レオナは石造りの壁に背中から叩きつけられる。

「くっ…な、何が……!?」
殴りつけられた背中を中心に全身に痛みが広がる体を懸命に起こそうとするクディルに複数の蔦が同時に襲いかかる。
「くうっ!」
咄嗟に転がるように回避したクディルだったが、体勢を立て直すよりも早く再び蔦が襲いかかり、そのうちの一つがクディルの首に巻きつく。

「かっ……!?」
声を上げる間も与えず絞首刑の様に高々とクディルを吊るしていく蔦。
クディルは精一杯バタバタと足を動かすも、既に地面には全く届かない高さまで持ち上げられている。

「うぐっ……!うっ…んっ…」
首の形が変わるほどの力で締め上げてくる蔦は、クディルの両手だけでは到底ビクともせず、絡め取った得物から確実に抵抗する力を奪っていく。


395 : 265 :2014/10/28(火) 19:04:45 ???
(このままじゃ……何とかしないと…)
一か八か、萎えていく体の最後の力を振り絞ってクディルは剣を抜き、抜き放った勢いで蔦に斬り付ける。

「あうっ!!げほっ!ごほっ!」
弾力のある蔦を完全に切断するには至らなかったが、それでも首を解放するには十分なダメージを与えたのだろう。
蔦から離されたクディルは受け身も取れずに地面に落ちたが、それでも解放はされた。

「ぐっ…、クディル……!」
磔の様な形で壁に叩きつけられていたレオナはゆっくりと剥がれ落ち、しばらく息もできないような激痛にのたうっていたが、
目の前で絞め落とされかかっているクディルを見つけると剣を杖に何とか立ち上がった。

もう一方の獲物がまだ生きていることを悟った別の蔦たちが彼女に迫りくる。
「くっ!この…っ」
動けない体に活を入れ、襲いかかる蔦の鞭を踊るように躱し、躱しきれない分をバックラーで受け止めながら動きの止まった蔦に斬り付けていく。
こちらも切り落とすことは出来なかったが、傷をつけられた蔦は傷口から黄土色の液体を流しながら後ろに引き、攻撃する蔦は確実に減り始めていた。

その戦いのさなか、レオナの目に蔦から解放されたクディルが映る。
(良かった。とりあえず一安心ね)

相棒の無事を確かめ、ティムの方に向けられた視界に不気味に脈動する蔦が飛び込んできた。
「くっ!!」

戦士の勘がその蔦の危険性を察知してバックラーを構えさせる。
レオナが構えたのとほぼ同時に蔦の先端が三つ又に割れ、黄土色の液体が勢いよく吹きかけられた。

「うああああああああああああああああああああああああっっ!!」
左腕に凄まじい激痛が走った。
液体を浴びたバックラーと濃紺の装束は一瞬でドロドロに溶け、露わになった白い肌が焼け爛れていく。
腕に鋳溶かした鉄を浴びせられているような激痛が走り、あまりの痛みにその場に崩れ落ち意識が遠のく。

「ぐあああっ!!ああっ、ぐうううう……ッ!!」
生物の本能として傷を負った左腕を右手で押さえるが、その瞬間右手の平の皮膚がボロボロに爛れ、血が滲んで肉が露出する。

「あああ!ううぅ……」
(これ、酸…?なんて強さなの……!?)
もし防御が間に合わなければ、彼女自身が溶かされていただろう。
右手の激痛で意識を呼び戻し、周りを囲み始める蔦たちから少しでも距離を取ろうと動き出すが、そこにも容赦のない追撃が加えられる。

「くっ!はっ!たああっ!!」
右腕だけで必死に防戦しながら、クディルの方へ少しずつ近づいていく。


396 : 265 :2014/10/28(火) 19:07:53 ???
「くうっ!レオナさん!!」
左腕を焼かれたレオナの絶叫はクディルの耳にも届いていたが、助けに向かおうにも無限に現れる蔦から身を守るので手一杯だ。
蔦を躱し、剣や魔法で反撃を加えながら、クディルはこの蔦の正体に感付き始めた。

師匠から受け継いだ各種魔法兵器の概要にあった、植物を利用した拠点防衛用兵器。
根を張った場所の周辺に蔦を伸ばし、近寄った生物を餌にして成長するこれは、自動の番人としての効果を期待されたものだったが、
酸を出すような能力は無かった筈だ。

(強化されてる……?)
既に本来の設計を上回る性能を持っているという事は、敵によって改造を受けているという事。
つまり、敵は既に魔法兵器の技術を解明しつつあるという事だ。

そして強化されているという事は、クディルも知らない能力をまだ隠し持っている可能性がある。
(次の攻撃の前に、一気に勝負をつけなきゃ!)
新たな能力を使われる前に一気に撃破する必要があると考えたクディルは、ティムを抱えている一際大きな蔦の結節点に向かって突進する。
「たあああっ!!」
恐らく根があるのだろうそこを攻撃しティムを助け出すと同時に魔法兵器自体を破壊する。
蔦を躱したクディルの刃が結節点に迫った。

その時、結節点に無数の口が開き、ライトグリーンの小さな粒子が結節点とティムを囲むように噴出した。
「なっ!?」
粒子は急接近したクディルも全身に浴び、驚いた拍子に少量だが吸い込んだ。
直後、全身が鉛の様に重くなり、力が抜けていく。
「な、何が……起きて……?体が…動かな……」
全身が痺れ、その場に倒れそうになったクディルを長い蔦が締め上げて吊し上げる。

ライトグリーンの粒子は根に危害が加えられる恐れがあるとき、その真上に作られる結節点から散布される猛毒であり、接近する敵に対して強力な防壁となる。
これもまた、クディルの知らない能力だった。

「かはっ……や、やめ…て……」
視界がぼやけ、力が入らない体では抵抗らしい抵抗もできず、ギリギリと締め上げられていく。

「うあ……離し……あぁ…」
首まで巻きついた蔦は、その先端を露出したクディルの両足に絡み付け、自力では動けないそれを開脚させる。
そうして開かれた股の間に別の蔦が一本這寄ってくる。

「何を…まさか……!?い…や……やめ…」
蔦の行動が予測できたクディルは恐怖に顔をひきつらせ、回らぬ呂律で必死に懇願するも、蔦は彼女の真下でピンと直立し

「い、嫌……あぁ……」
そのまま彼女の秘所を刺し貫いた。

「んああああああああっ!!!!」
クディルの絶叫が響き、破瓜の血が滴る。

「いぎっ、いっ、ああああああっ!!」
一瞬で最奥まで貫かれ、ビクビクと痙攣するクディル。

筆舌に尽くしがたい激痛に苛まれながら、膣内の感覚は更なる絶望を感じた。
(う、嘘……動いてる!?まさか……!?)
直後、赤熱した鉄を挿されたような激痛が襲った。

「ひぎいいいああああああああっ!!!!」
血液と混じって黄土色の液体が滴り、クディルの股間がジュウウと普通人体からは出ない音を立てる。
激痛に失神し、また激痛で起こされる。
わずか数秒ではあったが、既に一生分以上の失神と覚醒を繰り返した。

「あぎっ、あっ、あがああぁ……」
失神の回数が増えるうち、徐々に声も小さくなっていった。


397 : 265 :2014/10/28(火) 19:09:13 ???
「クディ……ル…!」
レオナは粒子を浴びて動けなくなった体を引きずってクディルのもとに近づいていくが、
既に瀕死の獲物を蔦が逃すわけもなく、彼女の両手足を縛り上げると、そのまま高々と吊り上げる。

「ううぅ…。離しなさいっ…!」
必死に振りほどこうとするレオナを結節点まで近づけると、再び粒子を噴き出し、レオナの全身に浴びせかけた。

「うぶっ!かはっ!ごほっ!!うっおええぇ…」
猛毒を浴びたレオナは口から胃液を吐き出し、目は真っ赤に充血し、視界はほぼ無くなった。
焼け爛れた右腕はどす黒く変色し、再び凄まじい痛みがレオナを苛んだ。

「うぐうぅ…あ、ああぅ……」
やがて人形のように動かなくなったレオナを新たな蔦が厳重に縛り上げ、ティムの隣に固定した。

「あが……レ…オナ……さ…」
クディルの何とか絞り出した小さな声に反応するものはいなかった。
蔦達は哀れな少年と、それを助けに来た二人の若い女剣士の無残な姿を勝ち誇るように掲げていた。

続く


398 : 265 :2014/10/28(火) 19:52:14 ???
以上スレ汚し失礼しました。
前回>>319さんに頂いたご感想に何とか貞操は守ってきたとありましたので
貞操!そういうのもあるのかと急きょ奪うことにしてみました。
ネタ提供ありがとうございました。
また続きでき次第投下させて頂ければ思います。


399 : 名無しさん :2014/10/29(水) 22:30:10 ???
クディルとうとう犯られちゃったってかそれどころじゃないですね


400 : 名無しさん :2014/10/30(木) 16:57:24 ???
乙です
蔦相手なので心は純潔ですねw


401 : 名無しさん :2014/11/08(土) 08:22:41 ???
急に静かになったな


402 : 名無しさん :2014/11/08(土) 10:57:30 ???
SSとか妄想系のスレ住民は今は絵のシチュリクスレにいってる気がする


403 : 名無しさん :2014/11/09(日) 12:36:17 ???
そろそろ新作が恋しい時期だなぁ…


404 : 名無しさん :2014/11/09(日) 13:38:23 ???
うむ
文章でのリョナには動画や絵とはまた違った良さがあるよね
犠牲者の苦しみに対しての心情とかを描くのは一番適してると思うし
ひたすら肉体的にいじめて心が折れていく過程を描いたリョナSSとか読みたいな(催促)


405 : 名無しさん :2014/11/11(火) 08:53:45 ???
読みたい(懇願)


406 : 名無しさん :2014/11/12(水) 14:30:34 ???
待てよ…こっちでもリクエストしたら誰か書いてくれることないかな?w

【リクエスト】
【キャラ】
12〜18才くらいのかよわい女の子
女の子は作者さんの好みで構いませんが、出来ればお嬢様系を希望
高飛車系やおっとり世間ズレ系でなく、単純に育ちが良くて性格が良い子

【シチュ】
エロなしグロなしストーリーほぼなしでひたすら苛められるだけの展開で
殴打や締め上げ、関節を捻じ曲げるなど肉体的ダメージ中心に責め
ラストは死んだり障害が残ったりはしないけど心と体に確かな傷を負う感じ
長さはお任せしますが、いじめるパートにある程度の尺があれば嬉しいです

って書いてしまったけど…誰か拾ってくれたりしないかな…


407 : 名無しさん :2014/11/12(水) 21:05:59 ???
始めてSSを書いたのですが投稿してみます。
始めて書いたので至らないところもあるかもしれないですが...
アドバイスなどなどお願いします


408 : 斑鳩の受難 :2014/11/12(水) 21:07:17 ???
ある日、斑鳩は他の半蔵学園のメンバーとは離れ別の任務を遂行していた。
何もない平原を走る斑鳩の前に見知った少女が立っている。
彼女の名前は詠。斑鳩と同じくくノ一であり、斑鳩にとって友人でありライバルである。
しかし、その日目の前に立っていた詠は斑鳩の知る彼女ではなかった、目の光はなく、生気を全く感じられない。
そんな詠に斑鳩が話しかける、
「こんな所でどうしたのですか?詠さん、様子が...」
ガキンッ!
斑鳩の話を遮るように詠が目にも留まらぬ早さで斑鳩に斬りかかる、斑鳩は咄嗟の判断で持っていた刀で防御する、
「ウフフ...斑鳩さぁん、大人しく私に斬られてくださらない?」
脳が蕩けるような甘い声で詠が言う、
(やっぱり、いつもの詠さんじゃない...!)
斑鳩は刀を払い、詠から離れる。詠はゆらゆらと揺れながら「ウフフ...斑鳩さぁん」とうわ言のように繰り返している。
斑鳩は刀を抜こうとするが、仮にも大切な友人である詠に刀を向けることなど出来るわけもなく、躊躇っている...
その隙に詠は斑鳩との距離を詰め、巨大な大剣で斬りかかる、斑鳩はその斬撃を防御するが反撃することもできない、
幾度と無く繰り返される詠の斬撃を防御しながら斑鳩は詠に向かって叫ぶ、
「詠さん何故です!どうしてこんなことを!」
斑鳩は全く返事をせずに、
「ウフフ...斑鳩さんかわいい...」
と繰り返している。
繰り返される詠の大剣の斬撃に斑鳩の腕は悲鳴を上げ、刀を持っているのがやっとの状態である。
(くっ...マズい、このままでは...)
と斑鳩が思った瞬間、
「これでトドメを刺して上げますわぁ...」
詠が急に距離を取り、それと同時に両腕に付いたボウガンを一斉に斑鳩に発射する、斑鳩は必死に刀を振り、矢を弾こうと
するが、矢の弾幕全てを弾くことなど出来るわけもなく、
「きゃあああああああああああああああああああああああ...」
腕や太もも、大きな乳房に突き刺さり、斑鳩は倒れ込む、
「ウフフ...やっと捕まえましたわぁ、斑鳩さん...」
詠は恍惚の表情を浮かべ、倒れ込んだ斑鳩に歩み寄り、斑鳩の髪を掴み上げ顔を上げさせる、
「うぐ...よ.みさ...ん、どう..し.て...」
苦痛に歪む斑鳩の顔を見て、詠はさらに恍惚の表情を浮かべる、
「はぁ...いいですわぁ、その顔...本当にかわいい...」
詠は突然斑鳩の顔に自分の顔を近づけ、唇と唇を重ねる、詠の舌が斑鳩の口内を蹂躙し、無理やり舌を絡める、
「んぐっ...う...」
息も絶え絶えだった斑鳩は口を塞がれ、酸素を求めて必死に喘ぐ、しかし詠の吸い付きは強くなかなか酸素を得ることが出来ない、
「れろ...くちゅ...」
淫靡は音を出しながら詠は無我夢中で斑鳩の唇に舌に吸い付いている、
「ぷはぁ、美味しかったですわ斑鳩さん...」
ようやく斑鳩の唇を開放した詠の頬は薄い赤色に染まり、興奮しているのが分かる、
「もっとしてあげたいのですけど、もうオ別レしなキャいけませンわ...」
詠はそれまで持ち上げていた斑鳩の頭を地面に叩きつけると、さらに脇腹を蹴り、斑鳩をうつ伏せにする、
「ガハッ...ううっ...詠さん...」
斑鳩は苦悶の表情を浮かべ喘いでいる、詠はそんな斑鳩の鳩尾を踏みつけ更なる苦痛を与える、
「うあああああああああ...」「ウフフ...これモ全部あのオ方のため...」
苦痛の絶叫を上げる斑鳩を尻目に斑鳩は恍惚の表情をしながら、グリグリと踏みつける、
「そろそろオワリにしてあゲますワ...御機嫌よう斑鳩さん」
詠は鳩尾を踏んでいた足を上げ、その足を力一杯に斑鳩の腹に振り下ろす、
「うぐああああああああああああああああああああああああああああああああ...」
斑鳩は絶叫し、そのまま気を失ってしまった、
「ウフフ...これデワタクシモ...ウフフ」
斑鳩に完勝した詠は満足したように戦場から姿を消した...

その後、斑鳩の帰りが遅いことを心配した半蔵学園のくノ一達が瀕死の彼女を発見したのは、翌日の朝の事だった。


409 : 名無しさん :2014/11/12(水) 21:10:11 ???
短いですが以上です
また練習がてら書きたいと思っているので、アドバイスやリクエスト
がありましたら遠慮無くお願いします!


410 : 名無しさん :2014/11/12(水) 21:44:10 ???
良いですね!
キスから濡れ場じゃなくて痛め付けに移行するのが素晴らしいw


411 : 名無しさん :2014/11/12(水) 23:15:44 Tq35vx0c
上げときますね


412 : 名無しさん :2014/11/15(土) 06:45:30 ???
いいね


413 : 名無しさん :2014/11/15(土) 16:02:57 ???
アドバイス…
う〜ん、文末に読点があるのが違和感あるのと、改行でもう少し読みやすくできそう
内容自体はシチュエーションがしっかり浮かんできたし、かなりGJでした
展開が簡潔で分かりやすくリョナに集中しているのも良いと思います


414 : 名無しさん :2014/11/16(日) 04:59:17 ???
リクエストしてもいいなら、女の子らしいキャラが女の子らしからぬ悲鳴を上げて苦しむシチュが読みたいです


415 : 408 :2014/11/16(日) 12:58:30 ???
>>413
なるほど...ありがとうございます
参考にさせていただきます!

>>414
参考にさせていただきます!
ですが、個人的に版権キャラの方がイメージしやすいので
キャラクターとかも添えてリクエストして頂ければ幸いです!


416 : 名無しさん :2014/11/16(日) 13:15:30 ???
408さんの守備範囲が知りたいです
例えばアニメなら日常系とか異能力バトル系とか
ゲームならRPG中心とかソニー系列中心とか


417 : 408 :2014/11/16(日) 13:30:52 ???
>>416
そうですねぇ...
アニメは結構見てますので大体分かりますが、SSを書きやすいのはバトル系全般ですかね...
ゲームは格ゲーからRPG、アクションは大体OKです、PCゲーとかエロゲはやったことないのです
ゲームに関しては、知らないゲームでも調べて書きますので安心してくださいね


418 : 名無しさん :2014/11/16(日) 13:43:26 ???
RPGであれば、ロマサガ3のモニカ姫とかどうでしょう?
ゲーム内でツヴァイク公の息子(名前は不明・評判は悪い)との縁談が
持ち上がりますが、彼が実はリョナ趣味の持ち主で夜毎いたぶられる的な

ただ文章をひとまとめ書く作業はかなり精神力を消費すると思いますので
このシチュエーションに惹かれなければ書いていただかなくても大丈夫です
作者さんの萌えを詰めていただければ…
正直可愛い見た目のキャラでエログロが少年誌レベル以上行かなければ
個人的にはどういうシチュでもかなり楽しめますので


419 : 名無しさん :2014/11/16(日) 14:02:56 ???
ノエルの人です
書き手さんが増えて嬉しいです
ハム子の人、クディルの人に続き三人めかな


420 : 408 :2014/11/16(日) 14:10:48 ???
>>418
なかなか難しいですね...
実はロマサガ3はプレイしたことがあるのですがモニカ姫主人公はやったことがなくて...
ワガママを言ってしまうようで申し訳ないです...

個人的にツボに来るシチュはSっぽい娘、大人しい娘、クールな娘、プライドが高い娘
傲慢な娘が屈服するシチュですかね


421 : 名無しさん :2014/11/16(日) 15:07:10 ???
>>418
確か原作だと嫁ぐルートを選んでも、船がモンスターに襲われて漂着するから例のドラ息子の所には行けないんだよね
この場合だともしモンスターに船が襲われ無かったら、というIF展開になるのか
しかしそうなると漂着する方がマシな展開になるのか…不憫なw


422 : 名無しさん :2014/11/16(日) 15:23:58 ???
>>421
モニカは流されてたら幸せになれなさそうな不憫さがあるw
ロマサガ3で大人しい系ならミューズ好きだったな 可愛いから毎回入れてた
流星衝とか活殺獣なんちゃらとかマイナー技閃きやすいイメージw

っていうかロマサガ3くらいの古めでも大丈夫なのか…
なにかいいネタないかな


423 : 408 :2014/11/16(日) 15:28:16 ???
>>422
古めのでも大丈夫ですが、記憶が薄れてるので色々とおかしな所が出てくるかもし
れないです…
なので割りと最近の方がいいかもしれないです、申し訳ありません


424 : 408 :2014/11/16(日) 15:31:39 ???
>>419
実はノエルの方に憧れてSSを書き始めたのです。歓迎して頂いて光栄です!
upするのはpixivでもいいかなと思ったのですが、少し敷居が高いかなと思いまして


425 : 名無しさん :2014/11/16(日) 16:57:02 ???
>>424
そうだったんですか! ありがとうございます!
SSとか小説とか書くのって、すごく楽しいことだから、ぜひぜひ頑張ってください
ていうか自分も頑張らないと


426 : 名無しさん :2014/11/18(火) 18:45:53 ???
斑鳩のSSを書いた者ですが、イラストリクスレでビビッときたシチュを元にSSを書きたい
と思っているのですが、投稿するのはここでもいいんでしょうか?


427 : 名無しさん :2014/11/18(火) 20:00:11 ???
ここでいいと思う
向こうに直接テキスト貼るのは避けた方がいいけど
どのシチュが琴線に触れたか気になるなw


428 : 名無しさん :2014/11/18(火) 20:07:50 ???
>>427
明日は仕事がお休みなので、今晩中に書きたいと思っています
どのシチュが琴線に触れたかはその時のお楽しみということでwww


429 : 名無しさん :2014/11/19(水) 14:37:05 ???
斑鳩のSSを書いた者です。新作が完成しましたので15時頃に投下したいと
思います。短いですがノエルの方までの繋ぎ程度に皆様に活用して頂けれ
ば幸いです。


430 : 名無しさん :2014/11/19(水) 15:01:25 ???
こころの受難

第5回DEAD OR ALIVE大会終結数カ月後…

「DOA5」の大会会場となった八角形の特設リング、観客席から溢れんばかりの観客から発せられる歓声、罵声、怒
声...お世辞にも上品とは言えない空間に似つかわない2人の可憐な少女が対峙していた。

1人の少女の名はマリー・ローズ。これから戦いをするようには見えぬ、ゴスロリ服にツインテール、正に絵に描いたような小悪魔である。
18歳には見えぬ小柄な体ながらも、ロシアの軍隊格闘術システマを使いこなし、自分よりも大柄な格闘家を打ち倒してきた美少女格闘家である。
彼女は実はDOATECの総帥エレナのメイドであり、エレナの右腕とも言える少女である。

もう1人の少女の名はこころ。こころもまた戦いには似つかわしくない白が目に眩しい制服姿。
彼女はマリーの1つ上の19歳であり、マリーとは違い抜群のプロポーションを誇っている、そんな彼女は八極拳の使い手であり、歴代のDOA大会
にも出場し、それなりの結果を残している。


431 : 名無しさん :2014/11/19(水) 15:03:11 ???
こころは困惑していた、自分は日頃から懇意にしているエレナに会いに来たはずだったが、エレナに会いに行った記憶はあるがエレナに会った
という記憶がなかった。目が覚めたらここにいたのだ、数カ月前に沢山の格闘家と拳を交えたこの場所に…

困惑するこころにマリーが
「どうしてここにいるか不思議?それはね、エレナ様と仲良くし過ぎなんだよお前!だからここでみんなの前で公開処刑してやろうって思ったの」
こころの知る普段のマリーはそこにいなかった...むしろ今のマリーこそが本来のマリーなのかもしれない
「そんな...うちはエレナはんと...」
「言い訳なんか聞きたくないよッ!」
こころが弁明をする前にマリーがこころに殴り掛かる、咄嗟の判断でこころは腕で防御するがマリーの拳は想像以上に重く、こころの腕に激痛が
走る
「うっ…」
激痛に悶えるこころに更にマリーが追い打ちを掛ける、次はガラ空きのボディに一撃叩き込む
「ぐほっ…」
「口ほどにもないじゃん、そんなのでエレナ様近づいていたなんてね…」
更なる追撃に耐えられなくなったこころはその場に仰向け倒れる、マリーはその上に乗るとマウントの位置からこころを殴打する。
可愛らしい顔、自慢の大きな胸、大勢の格闘家を倒してきた腕、見事にくびれた腹がマリーによって蹂躙されていく。
「うう…あ…もう…やめて…」
「アハハッ、なっさけな〜いwwww」

マリーの蹂躙が終わる頃には、こころの上半身は青痣だらけになっており、真っ白だったYシャツも所々が血で赤く斑点が付いており、おまけには
こころの涎か汗かよく分からない液体で濡れ下着が丸見えの状態だった。
そんなこころの首を掴んで無理やり立たせるとマリーはこころの腹に膝蹴りを入れ、うつ伏せに倒れさせる。
「ギブ…も‥う…」
「なにがギブアップなの?これは公式大会じゃないよ、公開処刑だって言ってるでしょ?www」
意味のないギブアップをするこころを尻目にマリーはこころの腰の上に乗り、腕を持ち上げ一気に捻り上げる
「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

鈍い音が聞こえてこころの腕から力が抜ける、それと同時に少女とは思えぬ甲高い獣のような声上げるこころ、マリーはそんなこころをニヤついた
目で見ており、次にマリーはこころの細く白い指に手をかけ、一気に力を加える...ポキッという小気味よい音と共にこころの指があらぬ方向に曲
がってしまっている
「あああああああああああああああああ…」
あまりの激痛に悲鳴を上げるこころ、しかしマリーは全く気にせず一本、二本と機械的にニヤつきながら折っていく
「あ”…あ”‥あ”…」
五本の指が全て折り曲げられる頃にはこころの喉は叫びすぎたことにより潰れほとんど声が出なくなってしまっていた。
「もう声も出ないんだね…いい気味wwwもう片方もいっちゃう?www」
こころが抵抗できないのをいいことにマリーはもう片方の腕を持ち上げ、捻り上げる。
「あ”・・・・・・・・・・・・・・・・」
声にならない悲鳴を上げるこころ、それを無視してマリーは先ほどと同じように指を折り始める。
その中こころは走馬灯のようなものを見ていた、これまで始めて出場したDOA大会、これまで対峙してきた格闘家...しかしそれを共にしてきた腕も
拳もここで全て奪われてしまった...目の前の小さな少女によって。
全ての指が折られる頃にはこころは白目を向き、泡を吹いて、気を失ってしまっていた。
「おっと、まだまだ遊ばせてもらうから死なないでね〜wwww」
「ゲホッゲホッ…」
マリーはこころの頬を思い切り平手打ちし意識を取り戻させる。
「じゃ、少し寝ててよw」
意識を取り戻したばかりのこころの首に腕を回し思い切り絞める。消耗しきったこころはあっという間に意識を失い、再び泡を吹いて倒れてしま
った。
「みんな〜、今日は集まってくれてどうもありがとう〜!!楽しんでくれたかな〜?」
マリーは声を張り上げ手を振って、観客にアピールする。
『うおおおおおおおおおおおおおおお、マリーちゃん強すぎ!!』
『マリーちゃんGJだったぜ!世界一可愛よおおおおおおおおおおおおおおお』
『調子に乗ってるあの女を潰してくれてありがとおおおおおおおおおおおおおおお!!』
観客席からは思い思いのマリーへの歓声が飛び交う。その中にこころを気遣う声や健闘を賞賛する声はなかった…。
「さて、二人きりの第二ラウンドと行こうよ、お姉ちゃん…」
マリーは戦利品もよろしくこころの髪の毛を掴んで引っ張りながらリングから姿を消した。


432 : 名無しさん :2014/11/19(水) 15:04:28 ???
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−−−−−
−−−−−−−−
−−−−

こころが目を覚ました場所は薄暗く、生臭い部屋だった。四肢を拘束されてしまっていることに気付くまでは時間はいらなかった、マリーによって
破壊された腕と指、体は未だに激痛を放ちこころを苦しめている。
「うぅ…」
こころの喘ぎ声を聞いたのか、見覚えのある少女が目の前に現れる。それはもちろんマリーであり、サディスティックな笑みを浮かべている。
「やっと目が覚めたんだね…。さあ、第二ラウンドだね」
マリーの片手には見るからに攻撃的な鞭が握られており、それを見たこころは悲鳴を上げようとするが喉が潰れているため声が出ない。
マリーが鞭を振りかぶりこころを叩こうとする、その時、部屋に何者かが入ってくる音が聞こえた。
「あら?マリー、こんなところで何をしているのかしら?」
「エレナ様!」
声の主はこころもよく知るエレナであった、マリーは振りかぶった鞭を即座に引っ込め膝を付いてエレナを迎える。どうやらマリーにとっても
エレナの登場は予想外であったようで、動揺している様子が分かった。こころはこれで助かったとホッとする。しかしこころの安堵も束の間、
こころにも予想外の言葉をエレナが口にする。
「マリー?こんな面白そうなことを独り占めしろなんて命令したかしら?」

                       
                                                  つづく?


433 : 名無しさん :2014/11/19(水) 15:07:35 Tq35vx0c
以上です。
今回はシチュリクスレでグッと来たシチュをSSにさせて頂きました。
皆様の評価が多ければでこの後のこころの受難を書きたいと思っておりますので、よろしくお願いします


434 : 名無しさん :2014/11/19(水) 23:10:53 ???
マリーの非道っぷりがなかなかいい感じだわw
一本一本指を折るところが陰湿さをみせるねぇ
つづきが気になるわw
できればエレナとマリー二人がかりで同時に責めて欲しい


435 : 名無しさん :2014/11/19(水) 23:17:42 ???
マリーちゃんは責め側に回っても可愛いな
マリーとエレナでイチャイチャしつつこころを苛めたら楽しそうw


436 : ハム子の人 :2014/11/19(水) 23:55:37 ???
GJです こころのやられっぷりいいですね
こころは5、5Uの制服コス、ティファコスでお世話になりました

自分もそろそろ新作投下しようと思ってます
相変わらずハイレグアーマーハム子が主役ですが、今回は他のキャラもリョナられます(でも一部除いてハイレグアーマー、しつこくてすいません)
もう八割方書き終わっているので、明日の夜には投下できると思います


437 : 斑鳩の人 :2014/11/20(木) 00:36:03 ???
皆様に読んで頂いてるようで恐縮です。
ありがとうございます!!

>>436
読んで頂いてありがたいです!
こころいいですよねえ、私はメイドコスやサキュバスコスにお世話になってますw

新作楽しみにしております!お互いに頑張りましょうね!!


438 : 名無しさん :2014/11/20(木) 02:46:04 ???
俺どっかでこのシチュっぽいマリーがこころの指を折る様な絵を見た気がするな…渋だったっけな
これがデジャヴ?


439 : 名無しさん :2014/11/20(木) 04:10:32 b9/5LvGk
本当に見たことがあったらデジャヴとは違う


440 : 名無しさん :2014/11/20(木) 11:08:05 ???
>>438
以前シチュリクに描かれた絵にマリーがこころの指を折る絵があったからそれの記憶じゃないか?


441 : 名無しさん :2014/11/20(木) 11:15:21 ???
「次はこっちも折っちゃう?」ってテキストが付いてる絵だよね
確か初代スレだったような…
しかし絵でもSSでも書かれててDOAネタはやっぱ人気だよね


442 : 斑鳩の人 :2014/11/20(木) 17:00:05 ???
こんばんは!
441様の仰るとおり、そのイラストにインスパイアを受けてこのSSを書きました。
個人的にこころはDOAの中でもダントツで好きなキャラクターだったので


443 : 名無しさん :2014/11/20(木) 17:31:43 b9/5LvGk
xnalaraでゲームのモデルを使ってそういうシーンを作れるんだけど需要ある?


444 : 名無しさん :2014/11/20(木) 17:32:44 ???
新参で申し訳ないんですが一応初代スレ探してそれらしいレスはみつけたんですがそのイラストは見れないみたいで、、
どなたかお持ちでしたらうpして頂いたりできませんか?


445 : 名無しさん :2014/11/20(木) 17:33:28 ???
描いた人の許可を得ずうpすることが許されると思ってるの?


446 : 名無しさん :2014/11/20(木) 17:45:57 ???
せやで
勝手にUPしたらあかんで
ただ描いた絵師さんのブログにはその絵があったからいけばまだ見れると思う
ブログ名とかは俺から言えんが過去スレに本人が書いていたから自分で調べるよろし


447 : ハム子の人 :2014/11/21(金) 01:07:18 ???
そいでは投下出来る状態になったので投稿を開始します。

〜投下する前に幾つか能書き〜
ハム子の『公子』というメタっぽい名前をそろそろ変えようということで、名前変えました。
『黒鷺 朱美(くろさぎ あけみ)』という名前です。
前フリが長いのでリョナだけ見たい人は>>470から見ると良いです。

〜ゲームやったこと無い人へ〜
キャラのビジュアルはこんな感じです(左からハム子(黒鷺)、岳羽ゆかり、桐条美鶴、山岸風花)→http://i.imgur.com/d5STUuR.png
ビームナギナタはこんな感じの武器です→http://i.imgur.com/0BBFJ3H.jpg
なおSSでのビームナギナタの設定はオリジナル設定です。

では以下から本編スタートです。


448 : ハム子の人 :2014/11/21(金) 01:10:55 ???
前フリ飛ばしのレス指定思い切り間違えてました、>>451です。すいません…
次こそ本編スタートです!


449 : 傷付いてく身体 1 :2014/11/21(金) 01:12:53 ???
月光館学園が変貌して出来たダンジョン・タルタロス
10年前の事故をきっかけに現れた謎の敵・シャドウの巣窟と化した危険な迷宮である。

そのタルタロスを、シャドウを倒すために選ばれた集団・特別課外活動部に所属する三人の少女が駆けていく。
少女らいずれも揃いの衣装・ハイレグアーマーを着用していた。腕や脚は丈の長い手袋やブーツで覆われているものの、胴体はハイレグ水着風の鎧で胸部や股間といった必要最低限な部分しか保護しないそれにより、彼女らは肩や太腿を大きく露出したまま戦っていた。
だがおかげで素早い動作が可能となり、今も三体のシャドウを追い詰めていた。

「はっ!」

普段は月光館学園の弓道部に所属する少女、岳羽ゆかりの放った矢が、筋骨隆々のプロレスラーのような姿をしたシャドウの左胸に突き刺さる。
綺麗な真紅で彩られたハイレグ型の鎧は、部活と実戦で鍛えられた肩の筋肉の動きを阻害せず、正確無比な狙撃を可能にしていた。
見事に急所を射抜かれたシャドウは、呻き声を上げる間もなく消滅する。

「はっ! やぁっ! でぇぇぇやぁぁっ!!」

今度は学園のフェンシング部に所属する桐条美鶴の、凛々しく勇猛な掛け声と共に放たれるレイピア捌きがピエロのような姿格好をしたシャドウを圧倒していた。女性特有のしなやかな筋肉、そして脇の動きを邪魔しない、美しい黒で彩られたハイレグアーマーが軽く鋭い突剣による連続攻撃を可能にする。
身体の複数の箇所を刺し貫かれたシャドウは、為す術なく消滅した。

「せやぁーーー!」

最後に美鶴より年下でありながら、特別課外活動部のリーダーを務める少女・黒鷺朱美の持つ武器・ビームナギナタが黒い蛇の形をしたシャドウの胴体を切り裂く。
使用者の闘気に応じて刃が強くなるそれを、彼女は逞しくまた柔軟な筋肉を用いて使いこなしていた。脚の筋肉を生かして空中を舞うように跳躍し刃を振り下ろす様は、清潔な純白で彩られたハイレグアーマーも相まって美しい水鳥のようである。
長い身体を真っ二つに切り裂かれたシャドウは、生命を維持出来なくなり程なく消滅した。

『敵、全滅! 皆さんすごいです…!』

離れた所から探索のナビを担当する少女、山岸風花の労いの言葉が響く。
殺伐とした戦闘の後に流れるはんなりとした雰囲気の声に一同は思わずほっとする。

「お疲れー ふーっ、汗かいちやった…」

そう言うとゆかりは右手袋を脱ぎ、汗ばんだ腕を拭きはじめる。
それを見た朱美も、酷使した脚をいたわるようにブーツを脱ぎ、右脚の汗を拭き始めた。

「しかし、皆よく動けているな…これなら伊織や明彦が居なくとも何とかなりそうだ」

二人の先輩に当たる美鶴が、先程とは打って変わった落ち着いた口調で呟く。普段は4人で探索をしているが、残りの部員である伊織順平、真田明彦が風邪を引いているため今日は女性3人での探索となっていた。

「動きやすいですよねこの格好…ま、ちょっと恥ずかしいけど」

服装の過激さに突っ込みつつもゆかりが同意する。

「普段より身体が軽いから、すっごい戦いやすいね! この調子でどんどん行こっ!」

汗の処理を終えた朱美はブーツを履き直し、跳ねるような声で二人に発破をかけた。それを受けた二人が軽く頷く。

「よぉーし、今日はガンガン戦闘して、男共に負けないくらい腕を磨きますか!」
『ふふっ、ゆかりちゃん頼もしい』
「全くだ…私も負けてられないな」
「私もです!」

三人は決意も新たに、風花のナビを受けて迷宮の更に奥へと進んで行った。

だが彼女らの快進撃は、長くは続かなかった…。


450 : 傷付いてく身体 2 :2014/11/21(金) 01:17:44 ???
『!! 敵反応ありです! 気を付けて!』

突然響く風花の声に応じ、一行は足を止め身構える。

『え……何これ!?』
「どうしたの!?」

いつになく慌てた様子の風花にゆかりが問う。

『敵反応、凄い数なんですが…姿が見えなくて…』
「確かに、何も見えんな…何かのまやかしか?」
「ん……?」

一行がキョロキョロと辺りを伺っていると、朱美が暗がりの中に何かが潜んでいることに気付いた。
それは、見つかったのに気付いたのか暫くすると…

ぴょいん

という間抜けな音と共に朱美達の前へと躍り出た。

「な、何これ……」
「新手のシャドウか……?」
「どこかで見たような形だなぁ…」

それは楕円形の身体にとんがり頭の生えた、シンプルな形を したシャドウだった。
例えて言うなら、とある有名なゲームに出演する『スライム』のような形状である。
ただあちらと違い口は無く、目も赤く塗りつぶされた丸のような形をしているため雰囲気はかなり不気味だ。

「あんまり強く無さそうだけど…」
「ていうか、一匹しか居ないね…風花、もう一度探ったみたら? 勘違いかもよ?」

だが朱美とゆかりは大したことないと判断したのか軽口を叩き始める。
一方、美鶴と風花は、

「いや、何をしてくるか分からない…油断するな。」
『さっきから何度も探ってるんですが、反応だけは沢山あって…』

と、警戒する姿勢を崩さない。
すると突然、シャドウの身体が縮み出した。

『! 敵、来ます! リーダー気を付けて!!』
「えっ!? う、うん!」

風花からいきなり警告を受けた朱美は武器の柄を両手で握り、脚を内股にして踏ん張り、防御体制を取る。ゆかりと美鶴も同時に迎撃体勢を取った。
次の瞬間、かなりのスピードでシャドウが朱美の懐に飛び込んで来た。

「くうっ!」

シャドウの身体はビームナギナタの柄に当たり、チンと派手な音を立てた。
朱美の身体にダメージは無いものの、意外と大きな衝撃に手が一瞬痺れた。

「…っ、このぉ!」

朱美は直ぐさま反撃に転じ、シャドウの身体を真っ二つに切り裂いた。
朱美の負けず嫌いの性格が幸いして、反撃の動作は流れるようにスムーズだった。

「あっさり片づいたな…」

先程まで人一倍警戒していた美鶴も、流石に呆気に 取られたのか警戒を解き、レイピアを鞘に収めようとする。
その瞬間…。


451 : 傷付いてく身体 3 :2014/11/21(金) 01:20:56 ???
ぴょん! ぴょいん! ぴょいんぴょいんぴょいん! ぴょんぴょん!

突然、辺り一面に先程のシャドウが飛び跳ねる音が響き渡る!

「!!」
「な、なんだこれは!!」
「多すぎる…!」

まるで頃合いを図って居たかのように、スライム型シャドウが次々と現れる。
あまりにおぞましい光景にゆかりは口を両手で覆い、美鶴と朱美は狼狽する。

『敵八体、多勢です! さっきの反応の正体はこれ…?』

風花は動揺する気持ちを抑え、冷静に状況を伝えようとする。

『え、う、嘘……い、嫌ッ……!』
「こ、今度は何よ……!?」

だが風花はもっと恐ろしい事実に気付いたらしく、状況を伝えるのも忘れて怯えてしまう。
その様子から不吉な予感を感じ取ったゆかりの声も震える。

『敵反応、さらに増加…後ろに多数の敵が居ます!!』
「な、なんだと!!」

風花がなんとか状況を伝えると、八体のシャドウの背後の暗闇に幾つもの赤い瞳が浮かび上がった。
仲間の仇を取るためだろうか、虎視眈々と朱美たちを狙っているように見える。
その光景を目の当たりにしたゆかりは泣きそうな顔になりながら後ずさりし、美鶴も思わず震えてしまう。

「武器じゃ埒が明かない…みんな、ペルソナを!!」

そんな中ただ一人朱美だけが冷静に状況を判断し、懐から銀色の銃を取り出して頭部にあてがう―自らのもう一つの人格『ペルソナ』召喚の合図だ。
体は震えていたが、その瞳はしっかりとシャドウの大軍を見据えていた。

「そうだな…一気に片付けるぞ!!」
「は、はいっ!!」

美鶴、遅れてゆかりも銃を取り出して頭にあてがう。

「オルフェウス!!」
「イオーッ!!」
「ペンテシレア!!」

そして三人が同時に己のペルソナの名を叫び引き金を引くと、破裂音と共に三体の異形の存在―ペルソナが現出する。
美しいブラウンヘアーと竪琴を携えた朱美のオルフェウスが、牛頭の上にかわいらしい少女が乗ったゆかりのイオが、
仮面をかぶった女戦士の姿をした美鶴のペンテシレアが、人智を超えた力―「魔法」をシャドウに放つ。
朱色に輝く炎と、エメラルドグリーンの色をした竜巻と、絶対零度の冷気が次々とシャドウに襲いかかる。


452 : 傷付いてく身体 4 :2014/11/21(金) 01:22:16 ???
だが…!

『う、嘘…そんな……!』

攻撃が終わり、立ち登った煙の中には無数のシャドウが残っていた。
三人は驚愕し、風花の震えた声が響き渡る。

「そんな…魔法は効かないわけ…!?」
「くそっ、一体どうなっているんだ…!」

ゆかりと美鶴が呟く。二人の目線はシャドウの大群をしっかり捕えていたが、一匹も倒せなかった悔しさと恐怖からか体は震えている。

「こう なったら、逃げるしか…」
「ああ、だがその為には…!」
「く、来るッ! みんな気をつけて!!」

朱美が声を上げたその直後、シャドウ達が一斉に飛び掛かってきた。
すると、咄嗟にゆかりと美鶴は顔を見合わせてうなずき、朱美の前に躍り出る。

「ふ、二人とも…!?」

朱美は驚いた顔をして二人の背中を見るが、二人を無視して自分のところへやってくるシャドウを見て、自分も迎撃態勢を取る。

「わっ、や、多すぎ、んのよっ!」
「はっ! ふっ! むっ!? ちぃ…!」

大量のシャドウをゆかりは弓を振り回して弾き、美鶴はレイピアを使った素早い動きでいなすが、
数が多すぎて攻撃を防ぐのがやっとという状態だ。

「やっ! たぁっ! えりゃぁ ぁぁぁぁっ!!!」

朱美は両刃のビームナギナタを駆使し、なんとか敵の体を切り裂くことに成功している。

(このままじゃ全員共倒れだが…彼女なら、あるいは…!!)

その様子をちらと見た美鶴はある確信を持ち、決心をする。
それは自分、そして隣にいるゆかりにとって非情な決断だった。

「黒鷺! 君はこの場を撤退し…脱出ポイントを探すんだ!」

美鶴とゆかりの背後にいるシャドウをあらかた片づけたにそう叫ぶと朱美は―

「え!?…どうしてですか! 私もここで戦います!」

美鶴の提案を必死で否定した。だが美鶴はなおも食い下がる。

「このままでは全員共倒れだ…! だが君のその武器なら万が一単独でシャドウに襲われても 戦える!
 それにあれは、君一人が辿り着ければ私達全員を脱出させてくれる! 早く行くんだ!!!」

必死の説得だったが、それでも朱美は首を縦に振らず美鶴の方へ近づこうとする。

「ダメ!!」

それをゆかりが制止した。
そしてシャドウを押し返しながら必死でこう叫んだ。

「行って! このままじゃみんな死んじゃう!!
 でもあんたが辿り着けば私たちみんな助かるかもしれない…私だって、まだ死にたくない!!!」

ゆかりの叫びを聞いた朱美は足を止める。

「ここは私たちが食い止める!」
「案ずるな、そう簡単に死にはしない!」

その言葉を最後に、ゆかりと美鶴はシャドウとの戦いに集中し始める。

『道は私が案内しま す! リーダー急いで!!』

風花の声が、更に朱美を後押しする。
朱美は、黙って背を向け、くしゃくしゃになりそうな顔を、普段の凛々しい顔つきに戻し、

「気をつけて…!」

と、言い残し、全力でタルタロスの廊下を駆けた―。


453 : 傷付いてく身体 5 :2014/11/21(金) 01:23:56 ???
「岳羽、覚悟はいいな…!?」
「はい、先輩!」

美鶴は改めてゆかりの覚悟を問うが、期待通りの言葉が返ってきた。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「やあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

美鶴は物凄い速度でレイピアを突き出し、シャドウを次々と串刺しにしていく。
次々と仲間が消滅する事態に焦ったのか、多くのシャドウが美鶴めがけて飛んでいくがそれをゆかりの矢が次々と叩き落していた。
倒れる覚悟を決めた二人の獅子奮迅の活躍により、シャドウの数は半数近くまで減っていた。

「はっ! ふっ! でぃやぁああああああ!!!」
「このぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

二人とも既 に己の筋肉の限界を超えた動きをしていたが、いまだにその動きは衰えることはなかった。
体を動かすたびに汗が飛び散り、髪も乱れに乱れていたがそんなことを気にする間もなく絶えず動き続ける。
だが、最初は気圧されていたシャドウも、攻めに転じた分、守りが手薄になっていることに気づいた者が居た…。

ドガッ!

「!? うぐあああああぁぁぁぁぁ!?」

美鶴の左腕にシャドウの体当たりが決まり、彼女は思わずレイピアを取り落とし、左腕を抑え始める。

「せ、先輩! っぐぅあ!?」

一瞬気を取られたゆかりも、足元が留守になった隙に左脚に打撃を受ける。

「か、回復を…!!」

あまりの痛みに脚をガクガク震えさせ、膝を付きそうになるゆかりだったが何とか堪え、召喚器を取り出して回復魔法をかける。
回復を受けて美鶴も何とか立て直しレイピアを拾い応戦するが、完全に回復してないのか動きはさっきよりもずっと鈍っていた。

「はぁっ、はぁっ……」
「くうぅ……」

一旦集中が途切れたせいか、筋肉にたまった疲れが一気に二人の体を襲っていた。
ただでさえ体力を消耗しやすいタルタロス内で、あれほどの動きをしたのだから溜まった疲労は相当なもので、二人は立っているのもやっとという状態だった。
そして、動きが緩慢になった美鶴の身体を、さらなる受難が襲う。

ドスッ!

「!! ふ゛ん゛ぬ゛う゛ぅぅぅぅぅぅぅぅお゛ぉ゛!?」

今度は黒いハイレグの鎧で覆われた 美鶴の股間に、シャドウの体当たりが炸裂した。
再びレイピアを取り落とし、ガクッと膝をつき股間を抑え、目を見開きながら絶叫する。

「お゛ほ゛ぉ、 え゛う゛っ、 お゛ぉ…!?」
「せ、先輩、今助け…!!」

ピクッ、ピクッと跳ねながら絞り出すような声で悶絶する美鶴を、ゆかりはすぐさま治療しようとするが…

『『『『『ピキーーーーーー!!!』』』』』

幾数ものシャドウが、今までの恨みを晴らさんとばかりに無防備な美鶴に体当たりを仕掛ける…。

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛っ!!!!!!」

裏返った声で本日最大の絶叫を上げる美鶴。露出した肩に、尻に、背中に、太ももに、次々と青痣が出来ていく 。
やがて彼女は白目を剥いて地面に突っ伏し、ビクン、ビクンと跳ねるだけの肉塊と化した…。


454 : 傷付いてく身体 6 :2014/11/21(金) 01:25:13 ???
「せ、せんぱ、今助け…うぐぁ!!」

やがて攻撃の矛先はゆかりへと向き始め、彼女の尻に体当たりによる大きな衝撃が走る。
尻を覆う装甲がへこみ、食い込んだ感触がゆかりの尻に広がる。

「はぁっ、はぁっ、か、回復を…!」

ゆかりは再び全体回復の魔法をかけるが、完全に意識を失った美鶴には反応しなかった。

「そ、蘇生を…うぎぃ!?」

ならばと、なんとか美鶴の蘇生を試みようとするも、右ふくらはぎに体当たりを仕掛けられ、激痛が走る。
シャドウの攻撃は段々とゆかりの方へ集中し始めた。
結果自分の回復で手一杯になり、ゆかりは段々と追い詰められていく。
ズン! バシ! バシ!

「うわぁぁぁぁぁっ !!!!」

執拗に、シャドウたちはゆかりの脚に攻撃を仕掛ける。

「ふんぬぅぅぅぅぅぅ…!!」

ゆかりは倒れるすんでのところで堪え、、脚を回復魔法で癒し始める。

「女の子にこんな声出させて、タダで済むと思って…ぐぎぃ!?」

強がるゆかりだったが、シャドウの攻撃は激しく、攻撃の隙を与えてくれない。

「なんとか、耐えなきゃ…!」

なんとか時間だけでも稼ごうと、ゆかりは自身へ回復魔法をかけ続け、持久戦に持ち込もうとする。

だが、限界はすぐに訪れた。

「はぁ、はひっ、も、もうダメ…。」

数分後、召喚の力を使い果たし、ペルソナを呼べなくなったゆかりは召喚器を取り落とす。
目は虚ろになり、回復が追い付いていないのか体は美鶴と同じく痣だらけになっていた。
傷は手袋で見えないが、弓を持つこともかなわないことから腕にも相当のダメージを受けていることが分かる。
そして、一匹のシャドウが、

メリィ!

「ごぶぅ!」

ゆかりの腹部へ体当たりを仕掛ける。
内臓にダメージを負ったゆかりの口から、自身のハイレグアーマーと似た色の鮮血が吹き出る。

「かっ…はっ……」

やがてゆかりの膝がガクガクと震え始め、体がふらつき始める。
部活で鍛えた肉体も、もはや体を支えきれるだけの力は残っておらず、
ドサッ という音を立ててゆかりはうつ伏せに倒れた。

(朱美…後は、お願い……)

リーダーの少女に思いを馳せながら、ゆかりはゆっくりと目 を閉じる。
やがて彼女の意識も、ゆっくりと闇の中へ溶けていった。
そして生き残ったシャドウたちは、残りの獲物を探すため去って行く。
痙攣し続ける美鶴の身体と、ぐったりしたまま動かなくなったゆかりだけが、その場に残された…。


455 : 傷付いてく身体 7 :2014/11/21(金) 01:28:52 ???
『リーダー! 桐条先輩とゆかりちゃんが…急いで!』
「あの二人が!? そ、そんな…!?」

同じころ、ゆかりと美鶴の反応消失を感じ取った風花の悲痛な叫びが響き渡った。
それを聞いた朱美は悔しさを顔に滲ませ、思わず腕にぐぐぐと力を込めた。
だが、惨劇は傍観者にも容赦はしなかった…。

『!! え、 やだ…きゃあぁぁぁっ!!!』
「ふ、風花、どうしたの!?」
『わ、私のところにもシャドウが…こ、来ないで!!!』
「!!!」

なんと、安全なエントランスで待機していたはずの風花のもとにもスライム型シャドウの集団が押し寄せていた。
戦闘力をまるで持たない風花に、幾数ものシャドウが襲いかかる。

『き ゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
「ふ、風花!! 大丈夫!?」

朱美は必死で叫ぶが、やがて風花の声は、聞こえなくなった…。

「風花! 風花ったら! 返事して!!!」

朱美は何度も叫ぶが、風花からの応答はない。

「くぅっ…!」

自分のふがいなさに腹を立てた朱美は、ドンッとタルタロスの壁に拳を叩きつける。
そこへ…。
ぴょいん。
例のシャドウの跳ねる音がした。
朱美は音のする方へ向き直ると…。

「みんなの…仇ぃぃぃぃぃ!!!」

声に怒気を滲ませ、シャドウを一刀のもとに切り捨てた。
それを聞いて駆けつけたのか、次々とシャドウが現れる。
どうやら、風花を襲ったシャドウ達も雪崩込んできて いるらしい。

「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

だが朱美は負けじとビームナギナタを、まるでリード隊のバトンのように振り回し応戦する。
彼女の闘気に応じてか、ビームナギナタの刃は一層鋭さを増していた。
凄まじい攻撃にシャドウたちはなすすべもなく、消えていく。

「あとは、あいつらだけ…!」

美鶴とゆかりが数を減らしてくれていたこともあり、残りの数も後8体までになっていた。
だが突然、シャドウたちの様子が変わった。

「んっ…!?」

シャドウ達は朱美の方へと向かわず、距離を取りながら整列し始める。
逃げるにしては不可解な動きを怪訝に思う朱美だったが、

「やぁっ!」

構わず、武器を振りおろそうとする。
だが…

「!! きゃっ!!」

いきなり、シャドウたちの体が発光し始めた。
眩しさのあまり朱美は腕で目を覆う。

「くっ、目晦ましなんて……!?」

てっきりただの驚かしかと思っていた朱美は、次の瞬間言葉を失った。
なんとシャドウたちが次々と上に重なり、そして…

ボフン!

という音を立てて、合体したのだ。
合体したシャドウは形はそのままに、朱美の伸長を優に超える大きさとなり、
巨大な赤い目の下には大きな口が出来ていた。

「で、でかくなったぐらいで…!」

だが、仲間をやられた怒りが収まらない朱美の足は止まることがない。
そのまま、シャドウの方へ近寄りビームナギナタを振りかざす。

その瞬間 。


456 : 傷付いてく身体 8 :2014/11/21(金) 01:30:08 ???
モハァ〜

「!! うう゛っ!!」

シャドウの大きな口から、紫色のガスのようなものが発生する。
朱美は咄嗟に口を手で覆った。手袋に染みついた汗の臭いに思わず顔をしかめる。

「ごほっ、ごほっ…」

だが咄嗟のことだったのである程度ガスを吸い込んでしまったらしく、彼女は咳き込み始めてしまった。

そして、ガスを吸った影響が体に出始める。

(!! か、体の力が…!!)

突然、朱美の身体がガクガクと震え始める。どうやらガスを吸った影響で体がしびれ始めたようだ。

「こ、こんなところで、倒れるもんか…!!」

朱美は体をガクガク震わせながらも必死で立とうとするが、段々と自慢のしなやかな筋肉に力が入らなく なっていく。

「んおぉぉぉ 、お、 おう゛うぅぅぅぅ……!!」

歯を食いしばり、声を絞り出しながらガニ股の体制で踏ん張るが、
次第に筋肉の痙攣も激しくなり、尻肉や太腿がピクピクと震え始める。

「うぁぁぁぁ……」

そして、朱美は力尽き、仰向けに倒れた。
投げ出された腕からはビームナギナタが転がり、持ち主を失ったそれからはブゥンと音を立てながら刃が消え、ただの鉄の棒と化した。
足は踏ん張った体勢のままのガニ股となり、股間が開けっ広げになっていたが、今の朱美にそれを気にする余裕はなかった。

「う、うぅ……」

朱美の身体は全く動かない。顔の筋肉も麻酔を打たれたかのように動かすことが出来ず、目を開けることすらかな わない。
そして、合体を維持できなくなったのかシャドウたちは元の8匹のスライムの姿に戻った。
次第に、動けない朱美を取り囲み始める。

(う、動け、私の、体ぁ…!!)

朱美はなんとか抵抗しようとするが、ようやく痺れが取れ始め指先を動かすことが出来る程度で、立ち上がることは叶わなかった。
鍛え上げた肉体も、こうなってしまっては全く役に立たない。
そして…

ドゴォア!!

「うぐぅお゛!?」

無防備な朱美の太腿に、シャドウの体当たりが炸裂する。

「あぐぅあ……ぁ゛…」

痺れが残るせいかより痛みは激しくなり、朱美は悶絶する。
そしてまだ、シャドウの攻撃は終わらない。

ベコッ!

「あ゛ぁ゛ーーー ーーーっ!!!!」
今度は体当たりが、鎧の右胸甲部分に直撃する。
強烈な衝撃に胸甲はひしゃげ、朱美の胸がへこんだ部分によって押し潰される。
朱美は思わず裏返った叫び声を上げた。

「がっ、あぐっ、ぶへっ!!!」

肩が、脇が、顔が、露出したあらゆる部分がシャドウの体当たりが襲い、無抵抗な朱美の体が嬲られていく。

「お゛っほ゛ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

そして、美鶴がやられたように股間にも体当たりを食らう朱美。
体を駆け廻る敏感な刺激と強烈な痛みに、思わず口から舌がこぼれる。

「ぐっぼぉぉぉぉぉぉぉえ゛ぇ゛ぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

とどめに、高いジャンプから垂直落下するシャドウの体当たりを腹に食らい、
朱美は吐瀉物を噴水のように撒き散らし、顔を汚い液体で濡らしてしまう。

「ごふっ、おごっ……」

ガスによる体の痺れは取れていたが、度重なるシャドウの攻撃で筋肉にダメージを負い、朱美の身体は再びピクピクと痙攣し始めた。
朱美の身体は動かなくなり、シャドウ達は喜びを表すためかに小刻みにジャンプする。
他の仲間も動かなくなった朱美らは敗北し、シャドウたちの勝利が確定した。

かに思われたのだが…。


457 : 傷付いてく身体 9 :2014/11/21(金) 01:33:25 ???
「ふざけ……ないで……」

突然、辺りにか細い声が響き渡る。
シャドウらが声の方に向き直ると、

「ゆかりや…先輩も…風花、だって……あんな大勢で襲って……」

朱美が震える体を、必死で起こそうとしていた。
動かない筈の身体が起き上がる様に驚いたのか、シャドウ達は身動きもせずその様子を眺めている。

「勝てないってわかったら、変なガスまで吐いて……!」

なんとか上体を起こした朱美は、転がった側にあるビームナギナタの柄を掴む。
彼女の静かな怒りに呼応するように、闘気に溢れた鋭い刃が現出する。

「卑怯、だよ、いちいち……!」

途切れ途切れに声を発しながら、遂に朱美は完全に立ち上がった。
足元は未だふらついているが、瞳はしっかりと敵を据えていた。

「絶対に……許さないんだからぁーーーっ!!!」

叫び、ビームナギナタを振り下ろし、朱美は早速近くにいたシャドウを1体切り裂いた。

「そこぉーーーっ!!!」

慌てて迎撃体勢を取るシャドウだったが、もの凄いスピードで駆け寄り朱美から逃げ切れず、更に2匹目が犠牲となる。
だが、踏み込み過ぎたのが災いして、シャドウに攻撃の機会を許してしまう。

二匹のシャドウのタックルが、朱美のそれぞれの脚のすねに突き刺さる。

「ふんぬぉぉぉぉぉぉぉぉっ………」

厚手の革のブーツも防御の役には立たず、激痛が朱美を襲い、思わず地の底から響くような呻き声を上げる。

「倒れる、もんかぁ……!」

だが朱美は必死で震える脚を立て直し、その2体のシャドウをまとめて切り捨てた。
痣だらけの身体は武器を振り回すだけでも痛みが走る程だったが、彼女は不屈の闘志で痛みを我慢し、身体を支えていた。

「まだ、まだぁ……!」

一種のハイな状態で、身体の痛みをごまかせる内に朱美はシャドウ共を一掃しなければならなかった。
だが、そんな彼女に更なる試練が襲いかかる。

「このぉ、当たれ、当たれぇぇぇ!!」

先程までは順調にシャドウを片付けいた朱美だったが、それは敵側の動揺にもよるものだった。
段々と落ち着きを取り戻したシャドウは、流石に以前よりは精細さを欠く彼女の動きを見切り始めていた。
そして…。

ドッス!!!

「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛う゛ぅぅぅぅぅぅぅっ……」

朱美の腹に、再びシャドウの体当たりが突き刺さった。

こみ上げる吐き気に涙目になり、口を膨らませる。咄嗟にギュッと結んだ口からブフッと音を立てて吐瀉物が漏れ出る。


458 : 傷付いてく身体 10 :2014/11/21(金) 01:34:39 ???
「ん゛〜!!」

なんと彼女は出そうとしてたものを飲み込み、そのままシャドウへと切りかかった。
不意を付かれた2体のシャドウが切り裂かれ消滅し、敵は残すところ2体となる。
だが、朱美の体は…。

「はぁっ、はぁっ、はうぅ!」

既に我慢の限界を迎え、倒れまいと必死で踏ん張ろうとするものの体が言うことを聞かず、ガッ、ガッ、とヒールが地面に刺さる音を響かせるばかりだ。

「あぁぁぁぁっ……!」

そしてとうとう、朱美はガックリと片膝を付いてしまう。武器の柄のしがみつき、倒れることは何とか防いだものの溜まった疲労を訴えるように肩で息をし始める。
最早立っていることすら困難となった体の状態を実感したせいか、朱美は少し弱気になりビームナギナタの閃光が陰り始める。
だが、敵は弱った彼女を更に追い詰める。2匹の内の1体が彼女に迫り−

メリョ!

「あ゛っはあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

まだ無事だった左の胸にも体当たりを仕掛け、胸甲を思い切りへこませる。
朱美は胸が押し潰される感覚に悶え、武器を取り落とし、両手で胸を抑える。

だがそんな彼女に更なる試練が襲いかかる。
背後に居た別のシャドウが、朱美のビキニの紐とハイレグの間にある背中に、急降下する。

ドスン!

「ごほぉ、げほっ、げほっ、お゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇっ……」

背中に受けた衝撃で朱美は咳き込み始める。やがて、咳き込んだことにより再び吐き気がこみ上げ、先程まで我慢していたものを思わず吐き出してしまう。

「う゛ぅぅぅぅぅあ゛ぁぁぁぁぁぁぁっ……」

無傷だった背中にも大きな痣が出来、その痛みに朱美の体はプルプルと震える。
そして、シャドウ達はトドメを刺そうとして再び体当たりの為に遠ざかろうとする。

その瞬間だった。

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

もの凄い雄叫びを上げ、床に棒として転がったビームナギナタを持って朱美が立ち上がる。

「えぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

そして不意を付かれた7匹目のシャドウが、再び鋭利な刃を現したビームナギナタの餌食となる。
そして、彼女はすぐさま振り向き…

「これで最後ッ!!!」

最後のシャドウに、武器を振り回す。
満身創痍の体とは思えない程の反応速度に、シャドウは時が止まったかのように固まってしまい−

ズバッ! シュウウゥゥゥ……。

あっけない最後を迎えた。


459 : 傷付いてく身体 11 :2014/11/21(金) 01:37:42 ???
「か、勝った、勝ったんだ……!」

勝利を手にしたことで気が緩んだのか、一瞬朱美は倒れそうになる。

「…ッ、ダメッ……!」

何とか壁にもたれかかり、倒れることだけは阻止した。武器は未だに手の中にあったが、ビームナギナタの刃は半分消えかかっている。

「ぜっ、たいに、かえ、るんだっ……!」

息も絶え絶えの状態で自分を鼓舞するように呟き、朱美は壁に手を付きながら歩き始める。
視界はぼやけていたが、しっかり前を見据え、確実に一歩一歩踏みしめ、進んでいく。
脱出ポイントに付くまでは、時間の問題かに思えた。

だが、絶望の足音が再び忍び寄る…。

…ぴょいん…

「!?」

微かにだが、「あの音」が響く。

良く目を凝らすと…生き残りだろうか。

先程までのよりずっと小さい体躯のシャドウが朱美の目の前に居た。

(まだ生き残りが……っ!、ダメ、もう、身体が……!)

慌てて戦闘態勢を取ろうとする朱美だったが、戦いの疲れと傷からか動きがおぼつかない。
そうこうしてる間に、シャドウは朱美の足元まで接近し…。

「!! 嫌ッ……!」
軽々と飛び跳ね、朱美の股間に吸い寄せられるように突進した−。

ズドォ……!

「ひ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

急所を穿つ一撃に、朱美は生命の吐息をすべて吐き出す程の絶大な悲鳴を上げる。
シャドウが小さい分、力の掛かる面積は小さくなり、まるでか細い棒で思い切り股間を付かれたような刺激が襲いかかっていた。
あまりの衝撃に股間を守る鎧は凹み、それにより固い金属が敏感な箇所に当たる形となり、よい痛みを増大させていた。

「ぎゃあぁぁぁぁっ……」

そして−絶大な痛みに襲われた朱美の身体が激しく震え始める。
先程までのように堪えようとするも、もはや身体に力を込めることは出来なくなっていた。

そして−朱美は為す術なく半身の体勢で地面に転がる。
程なくして彼女の体を駆け巡る刺激を象徴するかのように、全身がビクン、ビクンと激しく跳ね始め、結った髪が跳ねる度に揺れる。
彼女の筋肉は自らの意志とは関係無く動き続け、最早使い物にならなくなっていた。

しょろろろろろ……

更に朱美の丈夫な脚の筋肉が完全に力を失ったことにより、股間から今までせき止められていた小便が漏れ出す。
多量の発汗により真っ黄色に染まったそれは、床だけでなく彼女の尻にも黄色い膜を形作る。

尻や太腿が跳ねる度に、黄色い水滴が辺りに飛び散っていく。

「あがっ、あひっ、あぁっ……」

白眼を剥き口から舌と涎をこぼし、痙攣に呼応するように喘ぎ声を上げる朱美。
段々と声も小さくなり、やがて完全に意識を失った。
握られていた武器からは力の喪失を示すかのごとく、完全に刃が消えていた……。


460 : 傷付いてく身体 12(終) :2014/11/21(金) 01:39:18 ???
数十分後…
夜も更け、タルタロスはやがて元の学園の姿へと戻る。
その内部に、数人の男子生徒が侵入していた−退屈な日常に飽きた彼等は、刺激を求め夜の学校に肝試しに来ていた。

「うおっ!?」

1人の男子生徒が、懐中電灯が照らし出したものを見て驚く。
見つけたのは、全身痣だらけでぐったりと横たわる美鶴と、口から血を流して床に突っ伏すゆかりの姿だった。

「これ、岳羽さんと生徒会長じゃねぇか!?」
「なんでこんな変な恰好してんだ…?」
「でもなんかエロいな…へへっ」

いきなり過激なファッションの美人生徒2人を見つけた男子生徒達は騒ぎ始め、やがて1人の生徒がある提案をする。

「なぁ……せっかくだし持って帰ってお楽しみにしねぇか……?」
「ばっか、後でバレたら停学じゃ済まねぇぞ!!」
「大丈夫だって、こんなエロい恰好で夜中学校に居たなんて、こいつらもバラされたくねぇだろ?」
「あ、そうか。お前頭いいな…」

「あのぉ〜……」

男子生徒達が盛り上がってると、グルーミーな印象の別の男子生徒が話し掛けて来た。

「この子も持って帰る? 結構かわいい…。」

男子生徒の両手には、純白の手袋に包まれた朱美の両腕が握られていた。どうやら無理やり引っ張って来たらしく、重なっていた脚は八の字の形に開いている。
「くっさ! いらねーよ!!」
「つーか持ってくんなよ!!」
「身体跳ねてんのはエロいけど…うん、こりゃねーわ」
「そ、そぉ…?」

朱美から漂うアンモニア臭と胃液の匂いに耐えきれず、男子生徒達は鼻をつまみ彼女を拒絶する。
持ってきた男子生徒も手を放し、朱美は万歳のような体勢です投げ出される。

「てかこれ転入生の黒鷺さんじゃね…?」
「レベル高い女子が集まってこんな恰好して何やってんだか…」

そして男子生徒達はゆかりと美鶴だけを背負い、ゴミを見るような目を朱美に向けながら、去っていった…。

帰り道、男子生徒達は校庭で倒れている風花も発見した。
風花も朱美らと同じように全身痣だらけになり、制服は埃まみれのボロボロになり、脚を包む白いタイツも所々破れているという見るも無残な姿になっていた。

「この子も結構かわいいなぁ〜…」
「でもこの子制服だし、確か前に幽霊がどうとか…」

風花は以前タルタロス内部で行方不明になったことがあった。朱美らにより無事に救助されたが、その際幽霊の仕業という噂が学園に残った。

「ん〜まぁこの子気ィ弱そうだし……何とかなんじゃね?」
「よっしゃ、これで3人目!」
「上玉ばっかですなぁ〜! 約一名残念だったけど…」

風花の気の弱そうな外見にすっかり気を緩めた男子生徒らは彼女も背負い、下衆っぽい笑みを浮かべながらを学園を後にした。

ただ1人見捨てられた朱美の汚れた身体が、誰に見つかることも無く月明かりに照らされ続ける……。


461 : ハム子の人 :2014/11/21(金) 01:52:19 ???
以上です。12レスにも及ぶ長文大変失礼しました。
部活とかで身体鍛えてる子が多勢に無勢で自慢の肉体をいたぶられ、それでも堪えて戦うけど結局敗北するというのが書きたかったのでこんな感じになりました。
活躍シーンも書いたり複数人リョナろうとしたりハム子が根性で粘ったりで長くなりすぎましたね…ハム子1人に絞って良かったんじゃないかって感じです…更に言うと、テキストファイルで上げた方が良かったかも

ハム子がガスを吸って倒れるシーンは、以前リクスレで描いて頂いた絵を意識して書きました(これももう見れなくなってると思うので、見てない方には伝わらない話で申し訳ありませんが…)
今回のテーマである肉体をいじめ抜くというのもその絵から発想を得ました。絵師さんには改めて感謝です。


462 : 名無しさん :2014/11/21(金) 10:18:12 ???
GJ!
長めだけど夢中になって読めました
最後の男子生徒鬼畜過ぎるw


463 : 名無しさん :2014/11/21(金) 22:38:42 ???
俺としては複数人のリョナが読めてより満足だったけどね
ともあれ、大作お疲れ様でした


464 : 名無しさん :2014/11/21(金) 23:13:36 ???
最後まで救いの無い感じ最高です!
斑鳩の人といいハム子の人といい一枚のイラストからSSを作る能力に驚きます


465 : 名無しさん :2014/11/22(土) 11:03:58 ???
皆さん感想ありがとうございます
色々詰め込みすぎたと思いますが、楽しんで頂けたようで何よりです

>>462
P3のイベントで出てくるモブキャラは結構酷い奴も多く…
この位はやりかねないかな?、と思って書きました 流石にやり過ぎた感もありますがw


466 : 名無しさん :2014/11/22(土) 12:15:15 ???
P3Pのハム子大好き!GJでした!
ソロや女性PTでの身も蓋もないない絶望もいいけど
男性交じりのPTであんな悲鳴あげるのかとか見てみたいw


467 : 名無しさん :2014/11/22(土) 15:22:11 ???
ノエルの人です
次は私の番ですね

リクスレの絵から影響を受けて、良SSが生まれてくるのは良いよね
逆に向こうの絵師さんがこっちのSSを絵にしてくれるような、すごい作品を書いてみたい……


468 : 斑鳩の人 :2014/11/22(土) 17:55:54 ???
>>461
長編お疲れ様でした!!
悲鳴の表現がとても素晴らしくて、苦しんでる様子がリアルに想像できました。
やっぱり多数vs少数っていいものですね!!


469 : ハム子の人 :2014/11/24(月) 00:52:32 ???
>>467-468
お二方の新作も期待しておりますw
SSがイラスト化されたらとても嬉しいですよね お互いに刺激になればと思います
悲鳴は最近できた「うわああああ!という悲鳴は素晴らしい」スレに触発されて頑張ろうと決めましたw

>>466さんの書き込みで逆ハーレムPTでのハム子リョナ書きたくなってきたかも…
男性陣の前では必死に悲鳴を上げまいとする…みたいな設定は妄想が捗りますね


470 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:33:44 ???


リョにも奇妙ナ物語 〜ラミア現る〜



「ほらほらっ! この程度でヘバってるんじゃないよっ! あんたの力はこんなもんじゃないでしょ!?」
「はいっ!!」

ボクシングのグローブと、パンチを受けるミットがぶつかり合う音が響く。
リングの中には一人の少女が力いっぱいのジャブストレートを繰り出していた。
ヘッドギアを頭に装着し、目は真剣そのもので、額から一筋の汗が流れて頬を伝う。
ボーイッシュな印象を与えるショートヘアで、胸も小さく少年のようにも見える。
その少女のパンチを受け止めているのは、頬に傷の入った、いかにも気の強そうなつり目の女である。
年齢は二十歳を越えたばかりで、このボクシングジムのOGである。
女は絶妙なタイミングで少女に叱咤激励の声を掛けながら、激しいスパーリングの相手をしていた。
時計は夜の十時を回り始めていた……ジムの中には、二人を除き誰もいない。

「よし。今日はこれで終わり」
「先輩、ご指導ありがとうございました!」
「お疲れ。とりあえずシャワーを浴びてきなさい。もう夜遅いし、家まで送ってあげる。……最近はこのあたりも物騒になってきたから」

女がリングを降りる。
自分と少女の二人しかいないからか、着ていたタンクトップを、両腕を交差させて一息に脱いだ。大きな乳房が露わになった。

「分かりました」

少女はグローブを外して自分のロッカーに入れると、礼儀正しく女に会釈してシャワールームへ向かった。
女は横長のベンチチェアに腰掛けて、ショートパンツの尻ポケットに押し込んでいたシガレット箱を抜き取り、煙草を取り出す。
ライターで火を付け、足を交差させる。
程なくして、少女のシャワー音が聞こえてきた。
ベンチチェアには、新聞紙と雑誌が置かれていた。
女が雑誌を手にとって中を見る。
そこにはAV女優のあられもないヌード姿が映し出されていた。
九割以上が男のボクシングジムでは、このようなエロ本が無造作に置かれているのは何の不思議もない。
恐らくは誰かが置き忘れたのだろうーーふっ、と鼻で笑いながら、今度は新聞紙を手にした。

「凶悪生物ラミア……」

理化学研究所の遺伝子実験により生み出された献体……蛇女のラミアが脱走した事件。
すでに何人もの犠牲者が出ており、警察は全力で捜索と捕獲作業に追われている。
ラミアによって犠牲になった者たちは、手や足を捻られてあらぬ方向に曲がってしまっているらしく、その変死体がラミアの仕業であることはすぐに世に知れ渡った。

「全く、馬鹿みたいな話ね」

しかし、この女……『氷室シズカ』にとっては、そんな事件など所詮は他人事に過ぎない。自分とは何の関係もないことである。
シズカは二本の指で煙草を挟み、ふうっと紫煙を吐きながら、縁あって自分が指導することとなった少女……長谷川シンナの顔を思い浮かべた。
初めて会ったときのシンナは、長い前髪で目元まで隠しながら、おどおどして自分に自信の無い、暗い少女だった。
運動も勉強も平凡で、特別顔が可愛いわけでもない。
そんな彼女がボクシングを始めるきっかけとなったのは、シズカが女子ボクシングで地区大会で優勝を決めた試合に、深い感銘を受けたからだった。
シズカもその時の試合を覚えている。
自分よりも遥かに大きな図体の女に、最初は防戦一方だったが……持ち前の負けず嫌いな性格と闘志に火がつき、大逆転の一撃を与えることができたその試合。


471 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:34:58 ???
その時の相手は、すべてKO勝利でのし上がってきた実力者であり、その鬼のような強さで優勝候補とされていた選手であった。
常にクールで冷静なシズカと異なり、その選手は対戦相手を完膚なきまで叩きのめすことを主義にしていた。
その選手の目を見たとき、シズカは生まれて初めて恐怖という物を味わった。
その恐怖に押され、序盤は完全に押されていた。その時に受けた唇の傷は今でも大きく口を開けると痛む。
最初にダウンを取られたのはシズカだった。
それまで一度もリングに沈むことのなかったシズカが、リングのロープに腕を絡めて意識が遠のいていく。
対戦相手はシズカを挑発した。

「くたばれ雑魚が。そこで寝てな」

その言葉に、シズカのプライドに火が点いた。
強くピースを噛みしめる。
目の前がリングの白い照明でにじんで見えていたのが、急にピントが合ったかのように鮮烈な光景へと変わった。
カウントを数えるレフリーの顔がはっきりと目に飛び込む。
遠くにいる観客たち一人一人の表情すらはっきりと見える。

シズカは立ち上がっていた。
そこには何の言葉もなかった。
一切の雑念が消え、恐怖も失せた。
勝ちにこだわる欲さえもなかった。
自分と相手の二人しか世界には存在せず、ただ己の拳のみが全てを根底から支えているかのような感覚。
その感覚に入ったときのことを、シズカは今でもはっきりと覚えている。
勝負が決したのはその次のラウンドであった。
勝利のゴングを、冴えた頭で聞き取った。

勝利のゴングが鳴ったとき、コーチに抱え上げられながら、タンキニを観客の目の前で脱ぎ捨てたくなるほど嬉しかったことを覚えている。
その時にもらったチャンピオンベルトは、今もこのジムの壁に飾られていた。そのベルトこそ、自分の強さの証。

シンナはそんな自分の弟子になりたいと言ってきた。
最初は相手にするつもりもなかったのだが、自分の髪を剃ってショートヘアにしてきた彼女の度胸と強い意志に、強烈なパンチをもらったような気がして、彼女のコーチ役を勤める事になった。
シンナはもうすぐジュニアボクシングの大会に出場する。
それに向けて、最後の追い込みをしているところであった。
一通りのトレーニングメニューを終えた後、シンナの方からもう一度ミット打ちをしたいと申し出てきた。
彼女はまだまだ強くなるーーシンナの成長を感じる度、シズカは一人喜びを噛みしめていた。


472 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:36:04 ???
ジムは山の中にあるため、虫の声が聞こえてくる。
入り口の看板を照らす照明に蛾が止まっていた。
シズカは車のエンジンをふかし、ヘッドライトを点ける。
光がなければ数メートル先も見えない闇の中である。
ライトに照らされた道路の路面には幾つか水溜まりがあった。知らぬ間に雨が降っていたらしい。
シンナが助手席に座ると、指示器を出して車は出発した。


「……シズカ先輩」
「んー?」

延々と続く下り坂。
山道特有の急カーブが続く。
シズカは片手でハンドルを切りながら返事をした。

「先輩に相談したいことがあって……」
「なに?」
「わたし……好きな人ができたんです」
「ほんと? いい事じゃない」

ちらりとシンナの姿を見るシズカ。
シンナは肩を小さく縮めながら、ジーパンの膝元の上で、両手をぎゅっと握って重ね合わせていた。
ボクシングで拳が強くなったといっても、奥手な性格までは変わらない。

「告白したの?」
「……いえ」
「なんで? 自分の気持ち、素直に伝えればいいじゃない」
「わたしがボクシングをしていること、その子も知っているの。だから……わたしのこと、女として見られてないような気がするの」
「全く、またあんたの悪い癖が出てる」
「癖……?」
「あんたは思い込みが強すぎるのよ。『どうせ自分には魅力がないから……』って、思いこんでいるだけじゃないの? あたしと初めて練習したときもそうだった。あんたはやればできる子なのに、自分で勝手に限界を作ってしまう。そんなことじゃだめよ」
「そうでしょうか……わたし、そんなに可愛くないし……」

シンナは車のサイドガラスに写り込む自分の顔を見ながら呟く。

「あたしもね、働き始めてから初めて好きな人ができた。そのときもあんたと同じことで悩んだ。なにせ職場の男たちときたら、あたしの顔を見た途端、怖がって尻尾巻いて逃げ出すんだもの。恋愛どころじゃなかったわね、ほんとに」

シズカは冗談めかしたように言った。その時に感じた女としての屈辱を笑い飛ばすために。

「でもさ、人間って本気で心の底から恋をしたら、心もそうだし、身体すら変わってくるものよ。これ、傑作なんだけどさ、あたしが恋を始めたその日ぐらいから、なんか胸が急に大きくなり始めたのよね」

事実、シズカの胸は平均と比べると大きかった。
もともと身体を鍛えていたこともあり、腰や尻も健康的に引き締まっていて、とても若々しい体つきをしている。
水着モデルとしても働いていけそうなほど、絶妙なプロポーションを獲得していた。

「先輩は、今もその人とつき合ってるんですか?」
「もちろんよ。私と違って優しい奴でさ。もともと女子ボクサーなんだっていうことも全部含めて、あたしを受け入れてくれた。あいつはいい奴ね……ちょっと馬鹿っぽいところあるけど」

車は長い坂道を下っていく。
シズカは座席に身体を預けながら首を鳴らす。
長時間同じ態勢でいるのが苦手なのである。

ーーしかし、次の瞬間。

「ちょっ!?」

思わず変な声が出たシズカは即座に車のブレーキを踏んだ。

「きゃあっ……!」

シンナが女の子の悲鳴を上げて、急ブレーキで前のめりになる。
シートベルトをしていたので、すぐに座席に引き戻された。


473 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:37:10 ???
ヘッドライトが映し出したのは、道路の中央で倒れている少年の姿だった。
車は少年の手前数メートルで止まった。
シズカはサイドブレーキを引いてベルトを外し、車から降りる。

「なんでこんな所にガキが居るんだか……」

そう呟きながらドアを閉め、少年の元に近寄って話しかけた。

「どうしたのよ、こんなところで」

真っ黒の短髪に真っ白の肌。
顔立ちはいかにも子供といった感じで、あまりにも整いすぎていて造り物のようである。
「育ちの良いお坊っちゃん」という印象をシズカは抱いた。
どうしてこのような少年が夜の山道に一人で居るのかーー
不可解な点はまだある。
それは少年の服装だった。彼が身につけているのは、ちょうど小学生が入学式や卒業式などで着るような、子供用の礼服だった。
紺の色地のブレザーと半ズボンの出で立ちで、革の靴を履いていた。
そして、何故か手にはステッキが握られている。

「すみません……迷子になってしまいまして」
「迷子? なんでこんな夜の山道で迷子になるのよ」
「……」

少年は口をつぐんで何も言わない。

「あぁ、もう。いいわ、警察まで送ってあげるから」

我ながらお人好しだな、と思いながらシズカは少年に手を伸ばす。
少年はその手を取り、立ち上がった。

「あんた、名前は?」
「ボクは……鍵無繭悧」
「まゆり……? 変な名前。女の子みたいな名前ね」

シズカがそう言った次の瞬間。
繭悧は突然、ものすごい勢いで手を引っ張る。

「なっ!?」

繭悧は自分の足をシズカの足に引っかける。
突然のことに対応できずシズカはバランスを崩すが……手をつないでいない方の手で固いアスファルト道路を叩き、転がりながら受け身を取った。
流れるような動作ですぐさま起き上がる。

「このガキっ……何のつもりよ!」

怒りのスイッチが入ったのか、繭悧を睨みつけるシズカ。
繭悧は片手をポケットに入れたまま微笑んでいるーー。

「うしろ、危ないですよ」

繭璃がそう呟いたのと同時に、シズカの背後からガサガサと葉擦れの音を立てながら何かが近づいてくる。
シズカは後ろを振り返ると……。

巨大な尾がシズカの頭をなぎ倒そうと真横から迫る!

「フッ……!」

シズカは少し身体を屈めてその攻撃をやり過ごした。
シズカのすぐ真上を勢いよく通過し、前髪が風で跳ね上がった。

「なによ、これっ……!」

シズカは、今まで見たことのない奇妙な生物を目にした。


474 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:38:42 ???
道路の側道からのそりのそりと身体を蠢かして現れたのは、上半身が絶世の美女で、下半身が蛇になっている怪物であった。
その生き物が、今日本のあちこちで噂されている「凶悪生物ラミア」であることは、シズカもすぐに分かった。
自分よりも一回り背が高く、尻尾の長さも三メートルはある。
ラミアはシズカに一瞥を向けると……。

「あはっ☆ 可愛い女の子だぁっ♪」

見た目にそぐわぬ幼い子供のような声で喋りだした。
繭悧は手に持ったステッキを道路に突き立てて自分の身体を支えながら、ラミアに話しかける。

「女の子、ですか……まあ、確かにそうですね。豚でもゴリラでも、メスは存在しますからね」

至極失礼な発言をする繭悧の声。
己の目を疑うような怪物を前にしたシズカ。
しかし、彼女はその程度のことで怯むことはない。

「んふ、んふふふふっ……」

ラミアは下品な音を立てながら舌なめずりをする。
口からよだれがこぼれているこのも全く気にとめていない様子だ。

「いいわぁ……女の子の汗のにおい……クラクラしちゃいそぅ……」

恍惚とした表情を浮かべるラミア。
しかし、シズカに向けられたラミアの視線には、明らかに殺気が込められている。
ラミアは尻尾の先を自分の顔の近くまで引手繰り寄せて、いやらしく舌を滑らせる。
ラミアは自分の肌を紅潮させて、まるで自慰をしているかのように見える。

「こんな風に、全身ぺろぺろしてあげよっか……? んふ、んふふふふっ♪」

ラミアが尻尾をくねらせながら、じりじりとシズカに詰め寄る。
しかしシズカはその程度のことで動じない。
思ったことをはっきり口にする性格の彼女は、言葉を少しも濁すことなく嫌悪感をむき出しにする。

「気っ色悪いわね。一体何なのよ」

その台詞に、繭悧はいかにも生意気そうな笑みを浮かべながら、ステッキでコツコツと道路を叩く。

「さてさて、これが一体何なのか……君のその男みたいなカラダに、たっぷりと教え込んであげるよ。ラミア……食事の時間だ!」

ラミアは狂喜の金切り声をあげながら、思い切り尻尾を振り回してシズカを殴りつける!
しかしシズカは一瞬の判断でバク転をして避けた。
手を着いた一瞬、鍛え抜かれた腹筋がタンクトップからちらりと見えた。
完全に心が戦闘モードに切り替わったシズカは、ふと車のほうに視線を向けた。
フロントガラスには、心配そうな表情でシズカを見つめているシンナがいた。
シズカはシンナにウインクをして微笑んでみせる。
シズカは自分の強さに圧倒的な自信があった。
彼女は他の誰よりも努力を積み重ねていたし、その努力はチャンピオンベルトとカップとなって結実していた。
ラミアの図体はシズカよりもはるかに大きい。
かつて自分が経験した決勝戦の舞台を思い出していた。

「やるって言うのなら、相手になるけど。痛い目にあっても知らないわよ」


475 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:39:50 ???
【本編】

シズカはラミアの微笑みを見た瞬間に、横から迫る尻尾を感じ取りガードをする。
しかし、巨体のラミアが思い切り尻尾を振り回したその一撃を、シズカの体重では受け止めきれない。

「つっ!!」

腕に激しい痛みを伴いながらシズカは吹き飛ぶ。
シズカはうまく回転受け身をとって立ち上がった。
ラミアは目を見開きながら笑い、頭から叩き潰そうと思い切り尻尾を振り上げ……叩きつける!
それがシズカにとってのチャンスとなる。
シズカは鋭く正確なサイドステップで尻尾のすぐ横へと回避していた。
尻尾は空振りして道路を叩く。

「隙だらけなのよっ!!」

シンナへも何度も吐き捨てたセリフを口にしながら、がら空きのボディに右フックを叩きこもうとしたその瞬間ーー。

グニャリ

「えっ……!?」

ラミアのわき腹に深くめり込んだシズカの拳は、柔らかいゼリー状の物体のようにグニャリと凹んだ。
パンチの衝撃を吸収したのだ。
一旦距離を取ろうとするシズカだったが、尻尾の射程圏内に入ってしまったシズカは、あっという間に全身を絡め取られてしまう。

「つっかまえた♪」
「うぅっ……!?」

長い尻尾がシズカの全身に絡みつく。
太もも、腰、腹、胸とぐるぐる巻きにされて両腕の自由も効かない。
ラミアは少し興奮したようにシズカを強く締め付け始める。

「ぐ、がっ……!」

薄着であるため、締め付けの強さが直に素肌へと伝わる。
内臓を圧迫されたシズカは肺の空気を一気に吐き出したような声を漏らしてしまう。

「ぁぁあぁあっ……ぅあっ……!!」

ほとんど吐息にも似た喘ぎ。
酸素を取り込もうと息を吸い込んだその時。

「んんンんっ……!?」

ラミアはうっとりとした表情を浮かべながら、シズカの顔に息を吐きかける。
それを吸い込んだシズカは、目の奥が痺れるような感覚に襲われる。

「な、なによっ……臭い口、近づけるんじゃないわよ……さっさと、はにゃひにゃひゃぃっ……よっ……」

今、どんな表情を浮かべてしまっているのか、シズカは分からないでいる。
この場の主導権を握っているのは自分ーーそう思いこんでいるのは自分だけである。

「キャハハハハっ! 可愛いわね♪ あんた、今自分がどんな顔してるのか分かってる?」

鼻から入った吐息は、あっという間に全身に行き渡って神経を侵し始める。
ジーンズのデニム生地に覆われた、よく締まっている尻の肉が、ブルッ、ブルッと反応を見せる。
太ももまで巻き付かれたシズカは、足先を内股気味にしながら、か弱い反応を見せる。

「っ……っあ……あぁ、ぁうっ……んっ」

シズカは惚けたような声を漏らしながら、涎と鼻水と涙で顔をぐちゃぐちゃにしてしまっていた。
己の体液で自ら顔を汚らわしいものへと変えてしまうシズカ。
それはラミアにとっての興奮材料だ。

「んふふふふっ♪ そんな顔を見せられたらぁ……もっと虐めたくなっちゃうじゃなぁい」

そう言うと、ラミアは巻きつける力をぐっと強め始める。

「ぅぁああっ……! がっ……!」

蕩けきった表情から一転し、目を大きく開くシズカ。
喉から絞り出した喘ぎとともに、大粒の涙が頬を伝う。

「ねえ、苦しい? 苦しいでしょ? 苦しいって言って? 苦しいから止めてって言って?」

シズカの顔を凝視しながら、ラミアは愉快げに話しかける。
しかし、シズカは何も言わない。
涙と鼻水をだらだら流す無様な顔を晒しながらも、心までは折れまいという決意を示すかのように、歯を食いしばって耐えている。


476 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:40:50 ???
繭悧はステッキをコツコツとやりながらシズカのもとへと近づく。
そして、そのステッキの先端をシズカに向けて、グリグリと頬に押しつけ始めた。

「っっっっ……!!」

怒りの視線を繭悧に向けるシズカ。
しかし繭悧は平然としたまま、その反応を楽しんでいる。

「僕たちに勝とうだなんて、無謀な考えは捨てたほうが良いよ。君は確かに格闘家かもしれないけれど、所詮は女なんだろう? 君のその自慢のカラダ、使い物にならなくなっても知らないよ?」

夜風に溶け込んで聞こえてくるかのような涼しげな声。

「……やって見るもんっ、ならっ……やってみなさいよっっ……」

シズカはやっとの思いで声を出しながらそう言うと、全身の筋肉を総動員して拘束から抜け出そうともがき始める。

「あぁん、もぞもぞ動かないでぇ……くすぐったいわよぉっ……」

拘束しているラミアが恍惚とした表情を浮かべて身悶える。
一瞬締め付けが緩んだその隙に、シズカは自分の両腕を尻尾の拘束から解放した。

「あたしを怒らせたら……どんなふうになるか、教えてやるっっ……!」
「そんな無様な顔で凄まれても滑稽なだけだよ。鏡を見せてあげようか」
「るさいっ!」

シズカは指の爪を立てるようにしてラミアの尾を強く引っ掻く。
しかし、ぶよぶよと弾力性があるため、その抵抗はあまり意味を成さない。

「フン、ゴリラのように太い腕だな。女のくせに生意気なカラダじゃないか」
「あんたがヒョロヒョロのモヤシなだけでしょ!? 肌もっ、ビョーキみたいに白いし、モヤシのくせにっ、生意気なのよっ!」

生来の負けず嫌いの性格が出たのか、声を荒げるシズカ。
しかし繭悧は、そのシズカの心を逆撫でするかのように、コツコツとステッキを叩く。

「はははは、面白いな。いつもクールで澄ました顔の君が、目を血走らせて怒鳴り散らしている。怒鳴るのは結構だが、唾をボクのところまで飛ばすのは止めてもらえないかな?」
「あんた、絶対にっ……絶対に殺してやっ……ぐぉああああはっ!?」

ラミアが締め付けの力を急激に強める。
内臓の空気が強制的に吐き出されてしまう。

「はっ、はひっ……ひっ!」

鼻と口で懸命に息を吸おうとするが、横隔膜ごと押さえつけられているせいか、呼吸すらままならない。

「ラミア、この女を黙らせろ」
「りょーかーい。あははっ♪」

繭悧の命令を聞いたラミアは、シズカの胸と腹を締め付けていた部分を上に、腰と太ももを締め付けていた部分を下にずらすように尻尾を動かす。
するとシズカの薄いシャツがたくしあげられる形となり、臍と肋骨が剥き出しとなる。
その状態でラミアはさらに締め付けの力を強めていき、シズカは海老反りのような形になってしまう。

「ぅ”ああぁあ”っ!」

思い切りピンと伸びきった腹筋がラミアの目の前に掲げられたーー。
ラミアは舌なめずりをして、汗ばんだシズカの腹の匂いをクンクンと犬のように嗅ぐ。

「なにしてるのさ」

繭悧の台詞に、ラミアはうっとりとした声で応える。

「んー? 今からあたしのものになる玩具の匂いを味わってるの……この女の子が、私のものになる……んふふふふっ♪」

ラミアが匂いを嗅いでいる間にも、シズカは激しい痛みに喘ぎ続けている。
息んでいる腹筋の動きと、次々と滲み出す汗。
歯を食いしばる抵抗を止めて、少しでも酸素を吸い込もうともがき苦しんでいた。
しかし、足掻き続けるシズカに更なる仕打ちが襲いかかろうとしていたーー。


477 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:42:07 ???
ラミアは自分の両手に握り拳を作ると……金切り声を上げながら思い切り腹を殴りつけた!

ドゴオッ!

「ごボぉっ……!」

ボディに痛烈な一撃をもらったシズカ。
全くの無防備な状態からのパンチを食らい、くぐもった声を上げて口から唾液が飛び散る。
腹部を突きだしたような体勢であるため、衝撃を一切吸収することができない。
ラミアは興奮しながら、両手で何度も滅茶苦茶にパンチする!

ドンっ、ドゴッ、ドスっドスっ、メリメリィ……っ!

「ぅっ!ぁっ、がっ、ぅあっ、ぅああああああっっ!!」
「キャハハハハハ!! メチャクチャになって潰れちゃえー☆」

腹部に青い痣が出始め、シズカは自由な両手で臍の周りを抑えるが、ラミアはその手で隠しきれていない脇腹に強烈な一撃を浴びせる!

ドゴッ!!

「ーーーーぅぶっ」

喉の奥で逆流が始まった水音を立てると、ガボガボと泡を吐くように吐瀉物が込みあがってきた。

「ぅ、ォォオオエェエッ、ゲホッ、ゲロろぉおっ、ゴホッ!」


反射的に、口を手で押さえにかかる。
しかし、それも無駄な抵抗であった。
小さな波の後に大きな波が来るような吐き方をし、あっという間に口の中が一杯になる。
呼吸できない状態になってしまい、海老反りのシズカは首を辛うじて動かして、自分の首筋にゲロを吐き出した。
シャツの襟元がドロドロに汚れていった。
ラミアは腹部への打撃のみならず、爪を立てて切り裂き攻撃も始めていた。
鬱血した腹部に鋭い掻き傷が次々と付けられていき、引っ掻かれるたびにシズカはーー。

「やっ、やめっ……てっ……! いだい! ぃいっ……!!」
「へーえ? そんなに良いんだ? じゃあ、もっともっと虐めてあげる!」
「ちっ、ちがっ……ィヤアァアアイアァアアァア!!」

シズカの絶叫は、圧倒的な夜の闇に覆い隠された。
わずかにカラスの鳴き声がして一羽が梢から飛び立ったのみで、あとは何の物音もしない。誰も助けにくる気配はない。

十分後ーー。





「はっ、ぁ、はっ……」

虫の息になったシズカは、両手をだらりとぶら下げたまま衰弱していた。
あらん限りの絶叫を上げ続けていた彼女だったが、ついにその悲鳴も掠れてしまい、憔悴しきっていた。
ラミアは己の爪を舌で舐りながら、シズカの腹にできた無数の切り傷をうっとりとした表情で眺めていた。

「楽しかったぁ」

やっと解放されるーーシズカは自分のプライドを捨てて、ただひたすらこの仕打ちが終わるまで耐え続けていた。
しかし、すぐにその想いも裏切られることになるーー。

「そろそろ壊しちゃおっかな?」

壊す。
その言葉の響きをまえに、シズカは狭まる視界のなかで明確な恐怖を味わった。
自分はこのまま、物のように破壊されるのだーー。

ゴリゴリゴリッ、ベキベキっ!

「ぁえ……?」

ミシミシィ、っ、バギっ!!

「ぁあわあぁあああああああああ!!!!!」

利き手の関節を外され、シズカはかつて味わったことのない激痛に見舞われる。
恥も外聞もない汚い絶叫をあげてしまうシズカ。

「少しは黙れないのかな、シズカという名前のくせに」

繭悧は嘲笑しながら、有り得ない方向に曲がった彼女の右腕を見ていた。

「痛いだろう? 所詮は女だ。僕の目の前でピーピー泣いて命乞いをするがいい」

ここぞとばかりに、繭悧はシズカへと挑発の言葉を投げかける。
しかし、シズカは繭悧の言葉を耳にする余裕など最早有るはずがなかった。
シズカは激しい痛みに白目を向きながら「ひぬ……ひんじゃう……」と呟くばかりである。

「そうだよ、君はここで死ぬんだ。全身を滅茶苦茶にされて、原型を留めないぐらいボロボロにされてね。棺桶にも入らないぐらいにしてあげるよ」

そして次は、シズカの左足が大きくひねりあげられ始め……

「っっっっっーーギィヤァアァアアァアアッッ!!」
「これで左足も壊れたね。あとは左腕と右足……さて、あと二回、耐えることができるかな?」


478 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:43:12 ???



シズカの絶叫を聞き、恐怖で一ミリも動けなくなった者がいた。
車の中にいるシンナである。
フロントガラスに写り込む惨事。
憧れの先輩が絶叫しながら、全身を玩具のように作り替えられている。
彼女の声はガラスを通してくぐもった声となってシンナの耳に届く。
逃げなければならない。一刻も早くここから逃げなければーーシンナの鼓動が早くなり、濃密な死の気配に全身から汗が吹き出す。
しかし、どうやって逃げれば良いのだろう? いや、それとも、自分一人だけここで逃げるというのか?
シズカの体は四肢を破壊されて蜘蛛のように変形していた。
折れた骨が皮膚から突き出しているところまで見える。
彼女の全身が、助けて、助けて、と命乞いをしている。
シンナは何もできなかった。
無謀にも車を運転するか、降りてこの場から逃げ出すかーー。

そのシンナの考えを読んでいたかのように、繭悧はラミアに命令した。

「ラミア。あの車の中にいる女に、ソレをプレゼントしてやれ」
「んちゅ、じゅるるるっ、ぷはぁ……ぁいあーい」

舌を突きだしていたシズカは、ラミアに口内を舐め尽くされていた。
シズカは何の抵抗もできないまま、歯の裏や舌の裏をラミアの唾液に侵されていた。
濃厚なレズの接吻に、シズカは全身の感覚まで犯し尽くされ、自由に動く臀部が、まるでオーガズムに達したかのようにぴぐん、びぐんと跳ねていた。
接吻を終えてシズカの口から離れると、ラミアの口から垂れる唾液がシズカの鼻筋にだらりと落ちた。
シズカは完全に女の顔をしていた。男勝りな性格である彼女も、女としての悦楽を前にすればこの程度のものであった。
ラミアは思い切り尻尾を動かしてシズカを振り回す。関節を外された四肢が遠心力で頼りなげに揺れる。
そしてラミアは振り回しながらシズカを解放し、駐まっている車のボンネットへと放り投げた。

グワシャン!!

「きゃぁあっ!!」

シズカの身体がボンネットの上で跳ねて、車が激しく揺れるのを、シンナは悲鳴をあげながら恐怖に身体を縮こめた。
シンナは恐る恐る顔をあげて前を見る……。

「ヒッ……!!」

恐怖で引きつった声をあげる。
彼女の目に飛び込んできたのは、シズカの壮絶な表情であった。
全身を大の字にしたまま、フロントガラスの一面に全身を押し付ける形になっている。
上下逆さまになっており、車の天井側から、シズカの失禁した尿が伝い落ちるように流れ出した。

ジョロロロロ……

時折シズカは身体を痙攣させ、その動きが車をガタガタと揺らす。
それは、シンナの恐怖心を煽るのに十分な代物であった。
シンナの精神ももはや限界であった。
シンナは車から飛び出し、ラミアと繭悧がいるところへと近づく。
この二人を突破して山を降りなければならない。
シンナはファイティングポーズを取った。ラミアには勝てない。しかし、繭悧には勝てる可能性がある。
かつてない緊張感に拳が汗ばむ。負ければ、間違いなく殺される。


「やぁああああ!!」


シンナは、直立不動のまま動かぬ繭悧に、攻撃を仕掛けるーー。


479 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:45:23 ???
そして。
繭悧はステッキをコツコツと叩きながら、一人の少女が倒れている周りをくるくると回っていた。
シンナの攻撃はあっけなく避けられ、すぐさまラミアがシンナを蹂躙しはじめた。
シンナは首筋を掴まれて振り回され、固いコンクリートの道路に顔面から叩きつけられると、もう動かなくなった。
パラパラと口から折れた歯が落ちたあと、道路の上に放り投げた。
顔を破壊されて顎を砕かれ、だらしなく口をあけたまま、潰れた両目から涙をとめどなく流すシンナ。
水溜りで自分の顔が濡れて、髪が頬に貼り付いている。
繭悧はステッキの先端をシンナの目に押し当てると、ぎゅっと瞼を広げてみた。
完全に白眼を剥いたシンナの眼球が露わになった。

「君はあまりにも弱すぎるよ。ボクに指一本触れることもできなかったしね。君みたいな出来損ないの女に構っている暇はないんだ」

地面を転がるシンナ。それを見下ろす繭悧。
繭悧は、どちらが上でどちらが下なのかを思い知らせてやるかのように、シンナの目元を足で踏みつけた。
そして、開ききった口の中にステッキの先を挿入し、ぐちゅぐちゅと抽挿を開始した。

「ぅ、ぅんんっ……ぶっ、ぶぅ」

弱者は強者の餌食にされる。
まだ中学生のシンナは、今後の人生に一生消えないであろう、顔の傷を負わされたまま、ステッキの強制フェラチオで弄ばれているのだった……。


480 : 名無しさん :2014/11/24(月) 22:47:27 7v1DAXv2
ノエルの人です
時間をかけた割には、できばえは普通?
リョナは>>475からです

ではでは


481 : 斑鳩の人 :2014/11/25(火) 01:14:40 ???
>>480
新作お疲れ様でした!!
いいですね〜超人的な女に為す術もなく犯される感じ…脱帽です。
今回の繭悧君とD会の繭羅様は何か関係がありそうですね、名前から想像しただけですが…
そこら辺の展開も楽しみです!


482 : 名無しさん :2014/11/25(火) 21:26:23 ???
>>481
喜んでいただけて何よりです
受けはやっぱり版権キャラの方が良いのかなぁ


483 : ハム子の人 :2014/11/26(水) 00:42:10 ???
GJです 現代人が未知の存在に圧倒的な力でひねり潰されるのは良いですね
キャラ設定が作り込まれてる上にリョナシーンの描写も良くて引き込まれました

書いてる側としては、オリジナル設定で物語作れるというのは凄いと思います
見る側にとってもある程度キャラの外見とかを自分の好きなように想像できるのもありますし


484 : 名無しさん :2014/11/26(水) 12:40:03 ???
個人的には知らない版権作品で来られるとよく判らなかったりするので
オリジナルでやってもらったほうが好きだな

車のフロントガラスに叩きつけられるシズカ先輩が無様でそそる


485 : 名無しさん :2014/11/26(水) 23:40:36 ???
そうか、版権キャラの元ネタを知らない人がいる可能性もあるんですね。そう考えると、オリジナルのSSを書く意味もあるのかな
版権キャラリョナの方が、あらかじめ読者とキャラクター像やイメージが共有できるので、書きやすいんですけどね


486 : 斑鳩の人 :2014/11/27(木) 00:17:08 ???
順番的には次は私の番ですね。
以前書いたこころの受難の続編にするか、別な娘にターゲットをシフトするか迷ってます。
別な娘をターゲットにする場合、ターゲットは何人か候補がいるので、ここの皆様の力を
貸して頂くかもしれません。
ターゲット候補が全員版権キャラなのが申し訳ないですが…


487 : 名無しさん :2014/11/27(木) 01:00:27 ???
これは誰をターゲットに考えてるのか知りたいw
書かれてからのお楽しみ?


488 : 斑鳩の人 :2014/11/27(木) 01:12:16 ???
>>487
今考えてるキャラを整理してるので、明日の晩くらいになるかと思いますが
何人かのキャラクターから投票形式で皆様に選んで頂き、得票数が一番
多かったキャラをターゲットにしたいと思っております。
今しばらく待って頂ければありがたいです


489 : 名無しさん :2014/11/27(木) 01:26:43 ???
なるほど…投票するならid出した方がいいかな


490 : 斑鳩の人 :2014/11/27(木) 01:36:10 ???
>>489
ここの方々はちゃんと分かってる方が多数だと思うのでID出す出さないは自由で
構わないですよ、匿名性もここの良さだと思っておりますので


491 : 斑鳩の人 :2014/11/27(木) 19:16:34 ???
では、次のターゲット候補を発表させて頂きます。

1.司波深雪(アニメ:魔法科高校の劣等生より)
2.食蜂操祈(アニメ:とある魔術の禁書目録シリーズより)
3.セシリア・オルコット(アニメ:インフィニット・ストラトスより)
4.ペトラ・ヨハンナ・ラーゲルクヴィスト(ゲーム:アルカナハートシリーズより)
5.アリサ・イリーニチナ・アミエーラ(ゲーム:ゴッドイーターシリーズより)
6.王元姫(ゲーム:三國無双シリーズより)
7.以前のこころの受難の続き

番号、もしくはキャラ名を『3人』指定して頂ければ幸いです。
尚、得票数が多かった上位3人を順にターゲットにしたいと思っております。
投票時間は明日の10時までにしたいと思います。(投票数次第では延長する可能性があります)
※ID表示の有無は自由ですが、できればお一人様1回のみでお願いします。

皆様の投票をよろしくお願いします。


492 : 名無しさん :2014/11/27(木) 19:24:13 ???
>>491
1,2,3でお願いします!


493 : 名無しさん :2014/11/27(木) 20:06:46 ???
どのキャラもリョナれるポイントがはっきりしてる感じがしますね
深雪はいずれ書けたらいいなと思ってました
156でお願いします


494 : 名無しさん :2014/11/27(木) 20:39:30 ???
2、5、6で!


495 : 名無しさん :2014/11/27(木) 20:58:15 ???
2、4、6でお願いします


496 : 名無しさん :2014/11/27(木) 21:47:40 ???
356希望です


497 : 名無しさん :2014/11/27(木) 22:27:09 ???
>>491
3.6.7希望です


498 : 名無しさん :2014/11/27(木) 23:17:50 ???
1,2,6で


499 : 名無しさん :2014/11/27(木) 23:31:52 ???
4,6,7で!


500 : 名無しさん :2014/11/27(木) 23:34:18 ???
1、2、6に投票します


501 : 名無しさん :2014/11/27(木) 23:42:45 ???
ってかこんなに見てる人いたのか
普段のコメントの付き具合からもう少し少ないと思ってたわ
俺は492ね


502 : 斑鳩の人 :2014/11/28(金) 00:59:21 Tq35vx0c
皆様のご協力感謝です!
中間発表をしたいと思います。

第1位.王元姫 8票

第2位.食蜂操祈 5票

第3位.司波深雪 4票

同列4位 セシリア・オルコット        3票
      アリサ・イリーニチナ・アミエーラ

同列5位 ペトラ・ヨハンナ・ラーゲルクヴィスト 2票
      こころ続編

以上となります。
引き続き皆様のご協力をお願いします!


503 : 名無しさん :2014/11/28(金) 01:53:56 ???
自分は3,6,7


504 : 名無しさん :2014/11/28(金) 02:04:08 ???
1,2,7で


505 : 名無しさん :2014/11/28(金) 08:48:11 ???
4.6.7


506 : 名無しさん :2014/11/28(金) 10:25:24 ???
結構自分と同じ趣味の方がw
3、6、7がいいです


507 : 斑鳩の人 :2014/11/28(金) 12:08:38 Tq35vx0c
大変お待たせしました。
皆様のご協力に感謝いたします!では、結果を発表いたします。

第1位 王元姫 11票

第2位 食蜂操祈      6票
    こころ続編

第3位 司波深雪      5票
    セシリア・オルコット

第4位 ペトラ・ヨハンナ・ラーゲルクヴィスト 3位
    アリサ・イリーニチナ・アミエーラ

という結果になりました。同列のキャラクターも今のところ書きたいと思っています。
順位が下の方だったキャラクターもいずれ書きたいと思っていますので、そっちに投票した方もご安心下さい。

最後に予想以上の投票数に私自身も驚いていますw
皆様のご協力ありがとうございました!!


508 : 斑鳩の人 :2014/11/28(金) 12:12:51 ???
尚、第1位だった王元姫をターゲットにしたSSは土日のどちらかに投稿したいと
思っています。
少しだけお待ち頂ければ幸いです。


509 : クディルの人 :2014/11/28(金) 14:11:54 ???
265改めクディルの人です
しばらく来ないうちにすごい盛り上がってる(歓喜)
今日は休みだったので一気に読んでしまいました。皆様乙です。
斑鳩の人王元姫楽しみに待っております。

さて、クディルの人と名乗っておいてあれですが、クディルが難航しておりましたので>>406のリクで書いてみました。
どこまでリクを満たせたかは不安ではありますが投下します。


510 : クディルの人 :2014/11/28(金) 14:15:37 ???
昼から降り続いている雨は一向にやむ気配を見せず、陰気な廃工場の赤錆びたトタンを滴り落ちる。
その水の音に混じって、水を撥ねながら走る足音が一つ。
悠然とそれを追う足音が一つ。
その非日常に不釣り合いな間抜けな口笛が一つ。

「はぁ…っ、はぁ…っ、はぁ…っ」
走る足音の主は息を切らせながら細い路地を駆け抜けようとする。
しかし目の前の角を曲がった所ですぐに足は止まる。
その足音の終着点は、高い壁に囲まれた袋小路。

「そんな!?」
かつて好景気な時代に建てられたこの工場は、同じような経緯を持つ周囲の工場と同様に何年も前に閉鎖され、
その当時のまま放置された結果、迷路のような路地を生み出す原因となった。
そのうちの一つに迷い込んだ走る足音の主に口笛がゆっくりと近づいていく。

走る足音の主は雪村綾乃といい、近くの高校の生徒だ。
なぜ彼女がこんな所を駆けまわる羽目になったかといえば、その理由は一時間ほど前に遡る。

「雪村先輩。ちょっと……いいですか?」
「ん、なあに?」

綾乃は所属する華道部の後輩の相談に乗っていた。
当初ほとんど開店休業状態で廃部寸前だった華道部だったが、今は何とか部として存続できる最低限の人数以上に部員を確保している。
これには部長である綾乃の尽力によるものが大きい。
華道師範である母から幼いころから手ほどきを受けた技術もさることながら、部活に関すること以外であっても今日のように後輩の相談に乗り、
それによる面倒を惜しまない性格から、自然と人が集まってきた。

また楚々とした雰囲気や背中まである流れるような黒髪は一部の男子生徒から『大和撫子の見本』と評され、彼女の評判に一役買っていた。

それが仇なす日が来ることをだれが予想し得たか。


511 : クディルの人 :2014/11/28(金) 14:19:03 ???
この日、彼女は交友関係の悩みを打ち明けた後輩に付き合い、結局一時間ほど下校が遅くなった。
しとしとと雨の降る中、家路を急ぐ彼女の頭にある噂がよぎった。

雨の日は“雨男”が徘徊しているという噂。
かぶり型の溶接面で顔を覆い、黒いレインコート姿で口笛を吹きながら女性や子供を追い回すというこの不審者は雨の日に現れることからそう呼ばれていたが、
誰しも自分がそんなものに遭遇するとは本気では考えないものだ。

だから、自分の真後ろから口笛が聞こえてきた時、綾乃は心臓が止まるほど驚き、竦む足を必死で動かして距離を取ろうとした。

(たまたまよ……あんなのただの噂に決まってる)
そう自分に言い聞かせたがしかし、自分に合わせて後ろの人物が足を速めたのが分かると、ほぼパニック状態で走り出した。
その結果が今の袋小路だ。
逃げ惑う中で咄嗟に曲がった角からどう進んだのか、迷い込んだ廃工場地帯は一帯から全く人の気配を感じなかった。

「来ないで。近づかないでください!」
獲物が逃げられない事を知ってゆっくりと近づいてくる雨男に叫ぶが、その声は震えている。

震える手で携帯電話を取り出すと、雨男に突きつけるように向ける。
「やめてください。け、警察呼びま―」
言葉は途中で止まり、綾乃の目は雨男の右手に釘付けになった。

黒いレインコートの袖からは、本来の雨男の手ではなく、大きなマチェットが覗いている。
「ひっ!?」
うわずった悲鳴を上げる綾乃に、雨男は右腕を大きく振り上げて突進する。

「きゃああああ!!」
悲鳴を上げながら咄嗟に身をかわした綾乃だったが、竦みあがった体はそれ以上動かず、停止した下腹部に雨男の足の裏が突き刺さる。

「あぐっ!」
蹴り足を中心に折れるようにして尻餅をついた綾乃は、蹴られた箇所を抑えて胎児のような姿勢で地面に転がる。
刺し貫かれたような痛みが子宮から体中に広がり、凶悪な異常者が目の前にいるにも拘らず起き上がることもできずにいる。

雨男はそんな綾乃の腰骨の上に足を乗せると、足の裏で彼女の体を揺すって反応を確かめる。
今の一撃でどの程度のダメージがあったか?
こいつはどれぐらい耐えるか?
どういう責め苦を与えたらどういう反応をするか?

一つ一つシミュレートするように動けない獲物をゆすり続ける。


512 : クディルの人 :2014/11/28(金) 14:23:36 ???
やがて脳の発する警報に体が応じられる程度に回復し始めた綾乃が、
足の下でもぞもぞと芋虫の様にもがき、脱出を試み始める。

雨男はそんな獲物を自分の方に転がすと、つま先に触れた臍をサッカーボールのように蹴り飛ばす。

「んぶっ!!」
地面を滑るように滑空する綾乃の体。
アスファルトの地面に落ちた後もその勢いは収まらず、転がり続けて壁際の水たまりに止まる。

「あぅ!?あっ、うあぁぁ……」
泥水に濡れた顔からは脂汗がとめどなく流れ、内臓を潰されたような重苦しい痛みに苛まれる。

「うっ、おえぇ……かはっ、ううぅ」
唾液と胃液とが口から溢れだし、胃液に混ざって吐瀉物が泥水に流れ込む。
雨男は綾乃のダメージに満足したのか、マチェットを置くと追撃を行わずにゆっくりと歩み寄り、彼女の前で腰を下ろす。

「も……もう、やめ…て……」
首だけで雨男を見上げながら、綾乃は絞り出すように懇願する。
何で自分がこんな目に?綾乃の目は理不尽な暴力への恐怖に満ちていた。

雨男は何も言わず、すっと両手を綾乃の方に突き出す。
「許し……かっ!?」
突き出された手が見上げることで伸びきった綾乃の首を掴み、そのまま締め上げていく。
「くっ、あ……っ!!」
綾乃の喉から空気が漏れ、痛む腹から離れて雨男の両手を離そうとする彼女の両手は、
彼女より少し大きいだけの雨男の、体格の割に強い力に全く対抗できず、首だけで無理矢理引きずり起こされていく。

ギリギリと首が締め上げられる音が聞こえそうな力で綾乃の首に巻きついた雨男の両手は、
彼女をその身長より高く持ち上げ、彼女の全体重がかかることでより強力に綾乃を苛んでいる。

綾乃のつま先が地面から離れ、ばたつかせる両足が虚しく空を切る。
雨男の指は綾乃の首に埋まっているかのように食い込み、彼女の顔が青くなっていくのに比例してその力を増していく。
「ぅ…ぁ……」
綾乃の喉からは最早呻き声すらも上がらなくなっていた。


513 : クディルの人 :2014/11/28(金) 14:30:02 ???
雨男はそれに満足したのか、綾乃を振り子のように左右に振って勢いをつけると、自分の背中側に向かって放り投げた。

「あうっ!!」
持ち上げられている高さから受け身も取れずに地面に叩きつけられた綾乃。
背中から落ちたことで肺が押しつぶされたような感覚に陥り、首が解放されている筈なのに息が出来ない。

「ごほっ!げほっ、げほ……っ!!」
(殺される…っ!誰か、誰か助けて!!)
全身の痛みと息の出来ない苦しさ、そして何より死の恐怖が綾乃を襲う。

度重なるダメージで霞みゆく彼女の視界に、ぼんやりながら金属が見える。
(刃物……?これは…!さっきの!)
綾乃は咄嗟に手を伸ばす。
雨男が自分を締め上げるために手放したマチェットが目の前に転がっている。

当然ながら綾乃は刃物で人を斬ったことなど無いし、マチェットなど触れるのも初めてだ。
だがそれでも相手に突きつけるだけで十分威嚇の効果はある筈だ。
少しずつ、綾乃の手がマチェットに伸びる。
もう少し、もう少しで届くというところまで這いずって手を伸ばす。

白くて細長い指がその柄に達しようとした瞬間、
「うああっ!!」
雨男の足が綾乃の手首を踏みつけた。
体重を乗せ、ストンピングの様に下されたそれは綾乃の薄い脂肪を超えて骨に激痛を響かせる。

「ぐうっ!あああ!!」
雨男の足が踏み方を変える度に綾乃が悲鳴を上げる。
その姿を楽しむように雨男は何度も踏み方を変え、綾乃が最も苦しい位置を探り続ける。

「ああっ!くううっ!!うあああっ」
やがてどの位置でも十分に綾乃を痛めつけることを知った雨男は足をどかすと、青く痣になったその手首を掴んで引きずり起こした。

「よくないな……へっ、へっ、…は、刃物はさ、あ、危ないだろう?」
その声はひどく興奮していることを良く表している。
「ううぅ……もうやめて…どうしてこんな……」
涙ながらの綾乃の訴えは、余計に雨男の琴線に触れるものだった。
溶接面の下の息が綾乃にもわかるほど荒くなっている。

「ハァ、ハァ、ハァ……そんな危ないことする…君には……ひひっ、お仕置き…だ」


514 : クディルの人 :2014/11/28(金) 14:32:54 ???
言うなり、汗ばんだ雨男の手が掴んでいる綾乃の手首を捻りあげた。
「いぎあああああっ!!痛いっ!やめてぇ!!痛いよおおっ!」
恐らく関節技についてある程度の知識があるのだろう雨男は、折ろうとすればたやすく折れるのを承知で、その寸前まで捻りあげては僅かに力を緩ませる。
その度にほんの僅かに痛みが和らぎ、それを理解しかけたところで再び激痛に苛まれるという地獄のような責め苦を味わう事になる綾乃。

「いぎっ!!うあっ!!!」
手首だけで雨男に支配され、襲い来る痛みに身悶えしながら必死で耐える綾乃。
苦痛から逃れようと無意識的に上半身が倒れ、深く頭を下げたような形となる。

そうしてむき出しになった背中に、雨男の肘が突き刺さった。
「がっ!?」
それまで何とか体を支えていた足ががくりと折れ、膝から崩れ落ちる綾乃。
彼女の上半身が前に倒れるより前に、雨男の肘は彼女の体を追い越し、崩れてくる首を待ち構え、遅れてきた首を掴むと無理矢理引き起こす。
最早その手に抗う力も残っていない綾乃は、ただされるがままに持ち上げられていく。

「助けて……」
空気が漏れるような綾乃の声は雨の音と後ろの壁、そしてそこに叩きつけられた彼女自身によって遮られた。
綾乃が壁に背中を当てたまま滑り落ちるのをピン止めするように雨男の拳が彼女の腹に深々と突き刺さった。

「うあっ!?」
子宮に突き刺さった拳に綾乃の閉じられていた目が大きく開き、
拳が抜かれると同時に止まっていた時間が動き出したかのように再度崩れ落ちると、体育座りのような姿勢で尻をつけた。


515 : クディルの人 :2014/11/28(金) 14:35:51 ???
丁度その時、表の方から水たまりを踏む音が雨男の耳に入った。
音を聞くや否や雨男はマチェットを拾い上げて周囲を見渡し、不法投棄された壁際の粗大ごみと、
元が何色なのか分からないほどに錆びた太いパイプを足場に、驚くべき身軽さで工場の壁をよじ登って敷地内に消えた。

その後すぐ、袋小路に入ってきた警官に発見された綾乃は近くの病院に緊急搬送された。
レインコートの男と、それから逃げるように走る女子高生が廃墟の路地に消えていくのを目撃した近隣住民の通報によって
一命を取り留めた綾乃だったが、心身に受けた傷は深刻だった。

「先輩、お加減どうですか」
彼女が彼ら彼女らにしていたのと同等か、それ以上に彼女の事を大切に思っていた部員達が毎日のように見舞いに訪れたが、
彼女に残された傷は消えなかった。

事件以降、綾乃は極端に雨を恐れるようになり病室のカーテンは常に閉め切られていたし、
何より子供を産むことができない体になったという事が彼女を完全に打ちのめしていた。

この事件の犯人は未だ捕まっていない。





516 : クディルの人 :2014/11/28(金) 14:40:08 ???
以上となります
リクの内容をもとにできる限りやってみましたが>>406さんに気に入ってもらえれば幸いです

クディルの続きですが恐らく来週中には形にできると思いますので、その時はスレ汚しご容赦ください。


517 : 名無しさん :2014/11/29(土) 05:25:23 ???
406でリク書いたものですが…まさか形にしてもらえるとは!
一番重視して欲しかった責めパートが本当に素晴らしい…
読んでて自分が責め手になったような臨場感があって非常に萌えました
こういうSS、自分でもいつか書いてみたいって思いましたもん

ラスト子供を埋めない体になってしまったのはちょっと可哀想ですが…
俺も(ノンセク・性嫌悪で)子供を作れない体なのでむしろ同じ土俵に立ったかもw
じゃあ綾乃ちゃんは俺が引き取るべきですね (暴言)
なんて冗談はともかく、素晴らしく萌えるSSをありがとうございます


518 : 名無しさん :2014/11/29(土) 16:54:58 ???
ノエルの人です
今年の三月に書いていたらしい作品を見つけました(オリキャラもの)
もしかしたら別所で投下していたのかもしれませんが……SSスレには投下していないようなので
置いておきますね


519 : 名無しさん :2014/11/29(土) 17:05:32 ???
『退魔士ちゃん×2 をサクッとリョナってみた』

金髪の少女と黒髪の少女が暗い洋館の中へ入っていく。

「さすがに不気味ね……気を抜かずに行きましょうね」

金髪のポニーテールの少女が先に進む。
幼い頃から退魔師としての訓練を積み、まだ十六歳にも関わらず数多くの修羅場をくぐり抜けたベテランである。
性格は穏やかでのほほんとしているが、いざという時は頼りがいのある横顔を見せる。
今回の討伐も、彼女の絶対的な強さとリーダーとしての有能さを買われ、任務を命じられた。
リーダーの証である、十字架付きの真珠のネックレスを首にかけていた。

「さすがに瘴気が濃いな……」

外見とは裏腹に、とても低い声で呟く黒髪の少女。
頬には斜めの切り傷が走っている。
金髪の少女と比べると眼光が鋭い。
そんな彼女も、幼き頃は泣き虫で両親に甘えてばかりいた。
しかし、両親を魔物に殺されてからというもの、彼女は退魔師になることを決意し、血のにじむような努力の果て、第一線で活躍する退魔師として名を挙げた。
いつか、自分の親を殺した魔物に一矢報いるために。

「いざという時は私に任せて」
「必要ない。自分の身くらい自分で守れる」
「……そう言ってくれると私も心強いわ。ーー必ず、生きて帰りましょう」
「ええ、必ず」

ところがーー。





「出たわね!」

金髪の少女が魔物に立ち向かう。強さの証である白銀の剣を抜き

「たぁぁあああっ!」

勢いよく切り裂こうとした、その矢先。
魔物は姿を消す。

「なーー?!」

少女が周囲を見回し、己のすぐ後ろにいることに気がつく。
慌てて振り返り攻撃を仕掛けようとしたところで――
足が動かないことに気づく。
いったい何が起きたのかーー数瞬後、金髪の少女は身をもって思い知ることとなる。

魔物が、パチンと指を鳴らした、次の瞬間。

「ぇーー」

自分の腹が深々と切り裂かれたことに気づく。

シュババババババババっ!!!

金髪の少女の肢体を覆う退魔師の白い衣装が、一瞬で目にも留まらぬ早さで滅茶苦茶に引き裂かれた。
当然、その傷は少女の全身を抉る。

「ーーーーーーっっっっっっ!!!」

少女は操り人形のように、立ったままカクカクと全身を震わせ、十六歳の身体が満身創痍となっていく。
ボロボロに引き裂かれた服の切れ端が音もなく床に落ち、ポニーテールの髪留めが切れてロングヘアーとなる。
首のネックレスも切れてしまい、命が壊れるような音を立てて真珠が床に散らばった。

「……ぁ、カッ…は…」

武器である白銀の剣を手から落とし、全身を血塗れにして、胸を露出した無様な姿のまま、内股気味の膝をガクンと曲げてしまう。
少女はうなだれて、尻を床にぺたんと付けて女の子座りとなる。

「ご……め……ゴプッ」

謝るよりも早く、肺をやられた証である粘着きのある血を吐いて、唇を青くしながら震わせ、最後の言葉を口にする。
血は自分の上半身と、折曲がった膝のニーソックスを赤黒く濁していく。

「かみよ……わたしを、お導きくださ……ゲボッ、ぉ」

金髪の少女は天を仰ぎ、最後に大量の血を吐いて首に幾筋もの滴り落ちる筋を作りながら、目の色を失った。
魔物は十六歳の少女の死を嘲笑った。


520 : 名無しさん :2014/11/29(土) 17:06:34 ???



「……ぃ」

その光景をずっと見ていた黒髪の少女。
その圧倒的な光景を、まざまざと目の前で見せつけられた少女。

「……ぃ、ゃ……」

ホルスターからハンドガンを抜くことすら忘れ、歯がカタカタと震えている。

「おか……さ……」

黒髪の少女は、その魔物を前にして、いつか目にしてしまった光景も見ていた。
自分の中で封じ込められていたはずの記憶。
まだ何もできないまま弱かった頃の自分の姿。
もう記憶から消し去った、と思っていたはずの自分自身。

しかし、そんなものは幻想に過ぎなかった。
どれだけ覚悟を決めたところで、本物の恐怖を前にしては、彼女の虚勢など何の意味もありはしない。
力強い足取りだったはずの足が、後ろに下がっていく。

「ゃ……いゃ……ぃや……」

ついに尻餅を突き、腰を抜かした格好で後ろに下がる黒髪の少女。
かつての泣き虫な彼女に戻ってしまったのか、両目から涙が滲んで光る。
彼女の身体を軽く多い隠せるほどの巨大な影が少女に迫る。

「オレサマノイウコトヲキケ……」
「ひっ!」
「タスケテホシイカ?ナラ……」

魔物は、血塗れになったまま倒れて動かなくなった金髪の少女の首を持ち上げた。

「コイツ二トドメヲサセ……」

もはや自分の恐怖以外になにも考えることはできず、少女は迷いもなくホルスターを抜き
もうすでに動かぬ金髪少女に何度も何度も撃ち込んだ。
バンバンバンバン!
目を血走らせて、迷いなく撃ち込む。

女の子座りのまま項垂れていた金髪の少女は、頭部に一発を食らうと、頭を仰け反らせて脳を垂れ流した。
ボトボトボトッ……。
あの尊敬できる金髪の少女が、頭の中から脂肪のようなクリーム色の物体をこぼしながらーー仰向けに倒れた。


「イイコダ……コレデオマエハオレノドレイダ……」
「はっ、はっ、はっ……」

これで助かるーーこれで自分は生き延びられる。
自分みたいに泣き虫の臆病者などが戦うべき相手ではなかったのだ。
努力などしたところで、魔物に勝つなど、烏滸がましいにも程がある。
ごめんなさい、許してください、助けてください……

「ドレイニナッタアカシダ……マタヲヒロゲテオマエノハズカシイトコロヲミセロ」

少女は引きつった笑顔を浮かべてーーそれは彼女が生まれ変わってからの、はじめての笑顔であるーー足を開いて自分の股を開陳した。
そして少女は、幼い頃からずっと穿いている、お洒落っ気のない白のショーツをめくり、恥ずかしい穴を拡げてみせる。
もの凄く恥ずかしいのに抵抗できない自分に笑いを隠せない。

「ソノオマエノアナ二、ジュウヲサシコンデヒキガネヲヒケ」
「ーーっえ?」

黒髪の少女は、一瞬で闇の底にたたき落とされた。

「ハヤクヤレ……サモナケレバ、モットモクルシイコロシカタデオマエヲコロス」

もはや少女には、目の前にある全ての希望が失われていた。
ただ目の前にあるのは、己の死。
それも、考え得る限り最も無様な死。
その時、少女は諦めの感情とともに、一つの結論にたどり着いた。
この世界で生きていくことに、いったい何の意味があるというのか。
さっさと死んで楽になって、お母さんのいるところに行けばいいじゃないか……

少女は、見た目も男根のように立派な銃口を、自分の穴の中に挿し入れる……。
ヌチッ、という粘膜を押し広げる音が自分の頭の内側から聞こえてきた。

「ぉかぁさん……」

心残りなことがあるとすれば。
せめて自分の好きになった男の手によって自分を女にしてほしかった。
けれど、自分の愛銃に初めてを奪われるのも悪くはないような気がした。
自分は、戦うことだけしか考えずに生きてきたのだから……ある意味、私はこの銃と結婚していたのだーー。

ズドンッ!!


「ーーーークィヒッっっ」

ビクビクッ! ビクビクッ!
ビュルルッ、ビュビュビュビュビュルウウゥゥ……っっ!

黒髪の少女は、股から尿に混ざって血を吹き出し、激しく腰を上下させながら痙攣した。
魔物の奴隷として、死ぬ身で滑稽な踊りを見せた黒髪の少女は、瞼を見開いていたが何も見てはいなかった。
下半身から血を垂れ流し、両脚の滑稽な動きによってその血を床に薄く広げる。
やがてその踊りも鳴りを潜めて、最後までハンドガンを手放すことをしなかった。


数日後、退魔を命じた幹部は、戻ってこない二人の少女を、任務失敗ーー死亡と判断し、二人の名簿は焼き捨てられた。


521 : 名無しさん :2014/11/29(土) 17:08:08 ???
とりあえずこれだけ
ではノシ


522 : 斑鳩の人 :2014/11/29(土) 22:45:13 ???
見ない内にこんなに沢山投稿されてるw
クディルの人もノエルの人のも流石素晴らしいです!!

私のSSの方は最後の仕上げの段階なので、今夜の1時くらいには投稿できそうです。
少し遅い時間になりますが、よろしくお願いします!


523 : sage :2014/11/29(土) 23:35:28 zN59TZDU
もし今の歌手の人たちが格闘家だったら・・・て小説書きたいんだが需要ある?
世界チャンピオンがビヨンセで韓国チャンピオンがBoA・・・みたいな(笑)


524 : 名無しさん :2014/11/29(土) 23:41:23 ???
実在さんの名前を使うのは嗜好的な事とは別にオープンな場でやるのはどうかと思うが


525 : 名無しさん :2014/11/30(日) 01:02:02 ???
ですよね・・・。大変失礼しました・・・。


526 : 斑鳩の人 :2014/11/30(日) 01:03:53 Tq35vx0c
お待たせしました!王元姫SSが完成したので投稿します。

一応、今回のSSには多少のレズ?要素が含まれていますので、苦手な方は注意してください。


527 : 王元姫 義母の罠 :2014/11/30(日) 01:05:00 ???
「ハァ、ハァ...」

晋の武将、王元姫は駆け抜けていた。立ちはだかる敵を自慢のヒョウを投げつけ蹴散らしながら息を切らして走り抜ける。
普段凛としていてクールビューティーとも言える元姫がこうも息を切らして戦場を駆けているのには理由があった。
実は、これまでの幾つかの戦が元姫のミスにより敗戦、もしくは撤退してしまっているのである。これには身内である司馬一族からも不満
が噴出し、夫である司馬昭ですら呆れられてしまっていた。そんな中、元姫を弁護し励ましてくれていたのが司馬昭の母、元姫から見ると
義母に当たる張春華だった。元姫は彼女の恩に報いるために武勲を挙げようとここまで必死に戦っているのである。

「次の拠点ね、ここも早く制圧しなければ...」

大量の敵兵を薙ぎ倒し拠点を蹂躙していく元姫、その目の前に一際多くの敵兵の塊がファランクスの如く現れる

「ここに敵の武将がいるのね...一気に片付けるわ」

元姫が無数のヒョウを投げつけるとその数に等しい敵兵が倒れていく、数十人ほど敵兵を倒しただろうか、するとファランクスの中から
「そこまでよ!」と女の声が聞こえ、ファランクスを組んでいた敵兵の塊が割れ、人が通れる道ができる。元姫は驚きヒョウを投げるのをやめ
る、なぜならそこに立っていたのは元姫の恩人、張春華だったのである。

「春華様!どうしてこんな所に!!」

元姫は声を張り上げ、春華に問う。嘘であって欲しかった、どうして春華が敵の武将としてここにいるのか

「一族皆、貴方に失望してるのよ元姫殿。私自身もどうしてこんな娘と私の可愛い子上が結ばれなくちゃならなかったのか、ずっと疑問に
思っていたの。」

「どうして!貴方は私を助けて下さった!私はその恩に報いたいと思ってるだけなのに!!」

「そういうの逆に迷惑よ?貴方が恩に報いる方法はここで討ち死にしてくれることだけ。それが一番の恩返しよ、私にとっても、子上にとっても、司
馬一族にとっても、ね」
「安心して?子上や子元、一族の皆、貴方の生家の方々には『私が援軍に行ったものの、すでに遅く王元姫は無残にも死亡していた』って報告してお
くから」

「そんな...信じていたのに...」


528 : 王元姫 義母の罠 :2014/11/30(日) 01:06:15 ???
元姫は恩人だと思っていた春華に裏切られたこと、その春華と戦わなければならないということに大きなショックを受け、心はもうすでにボロボロだった。

「早く武器を構えなさい、元姫殿。お前達は手を出さないで見ていなさい」

春華は元姫に武器を構えるように指示すると同時に、周りを囲む兵士に手を出さないように指示をする。

「やるしか...ないの?」

元姫は春華と戦いたくなかった、身内であり恩人であるのも理由の一つだが、元姫は春華がどんな武器を使うか知らなかった。唯一聞いたことがあるのは春華が
敵兵に触れずして倒すということのみだった。

「私はここで死ぬわけにはいかない、春華様であってもやらなきゃ...」

元姫は意を決して、ヒョウを握りしめ春華に投げつける

「ふふふ...」

元姫の投げたヒョウは春華に向かって真っ直ぐに飛んで行き、春華の豊かな左胸に刺さ…   キィン!

「なっ...!?」

春華に刺さりかけたヒョウは寸前で弾かれ、すぐ近くの地面に刺さっている

「どうしたのかしら元姫殿?全然当たってないわよ?」

「くっ...!」

春華の安い挑発に乗ってしまった元姫は自棄になってヒョウを投げまくる、がしかしヒョウは全て春華に刺さる既の所で弾かれ地面に刺さる。
当たらない…当たらない…いくらヒョウを投げても当たらない、元姫は春華に傷一つ付けれないでいる。

「ふふふ...不思議かしら?どうして貴方の攻撃が当たらないか、この金属音は何か」

「どうして私の攻撃が当たらないのです!春華様、貴方は一体何者なのですか!」

元姫は必死にヒョウを投げつける、大量にあったヒョウはいつの間にか底をつきかけ、もう数本しか残っていなかった

「元姫殿、鉄糸ってご存知かしら?」

「......なんですって?」

「鋼鉄でできた糸のことよ、これが私の武器。戦の時はいつもこれを張り巡らせているの...もちろんここにもね。鋼鉄だから貴方のヒョウ如きでは
私の鉄糸は切れない、つまり私の体には傷一つ付けれない。貴方の武器にとって私の武器との相性は最悪、戦う前から勝負は決まっていたってことね」

「そんな...私の負け...?」

ついに元姫のヒョウは底をつき、武将王元姫から単なる少女の王元姫に変わる


529 : 王元姫 義母の罠 :2014/11/30(日) 01:07:31 ???
「ふふ...説明もしたしそろそろいいかしら?貴方が使う言葉で言えば『お仕置きよ』ね」

「やめてください...私の負けです、後生です...春華様...」

元姫は目に涙を浮かべ、膝をつき春華様に向かって命乞いをする、その姿に普段の凛とした王元姫の姿はない

「ダメよ、言ったでしょう?『貴方が死ぬことが私にとって一番の恩返しだ』ってね、聞き分けのない娘にはお仕置きよ」

春華が指をちょんと動かすと、周りに張り巡らされた鉄糸が一気に集まり、元姫の体に絡み付き、締め付ける

「うぐぅ...これが...」

「ふふふ...これが私の鉄糸の味はどうかしら?元姫殿、いえ元姫ちゃん。こうなってはただの女の子ね」

尚も鉄糸は元姫の体を締め付け、元姫の細身で白く美しい手足、形の良い大きな胸には鉄糸が食い込みボンレスハムのように変形してしまっている。

「キャァァァァァァァァァァァァァァァ...」

「まだまだ序の口なのにもうそんなに悲鳴を上げて大丈夫かしらね、元姫ちゃん?」

苦痛に悲鳴を上げる元姫、そんな元姫に春華がゆっくりと近づき、締め付けられた元姫の太ももに指を這わせる

「ふふ...こんなに大人しくなっちゃって...元姫ちゃん可愛い...。貴方生意気だけど体だけは一級品よねぇ、そこも気に食わないわぁ。」

「どこを...触って...やめ...て...」

太ももを触られ頬を赤らめる元姫、それに気を良くした春華は元姫の大きな胸に手を伸ばし揉んでいく

「ここも私より大きい、これで子上を誘惑したのね?許せない...またお仕置きね」

「あぁ...春華様...そんな所...」

春華は元姫の胸を時に強く時に弱く揉むと満足したように手を離し、何をするかと思いきや手を振り上げ、一気に振り下ろし元姫の赤く染まった頬を
思い切り平手で叩く

「ッ...痛ッ...」

「ふふふ...こんなことをされてもなんの抵抗も出来ないんですものね...無様な元姫ちゃんも可愛いわぁ...」

春華は続け様に元姫の頬を叩き、ただでさえ赤くなっていた元姫の頬は更に真っ赤になってしまっていた。


530 : 王元姫 義母の罠 :2014/11/30(日) 01:08:54 ???
「下ごしらえはこんなところかしらね、じゃあ苦痛の内に逝かせてあげるわ、元姫ちゃん」

「ぁ...あ...」

春華が指を動かすと、元姫を締め付けていた鉄糸にさらに力がかかり、よりキツく元姫を縛る、鉄糸が当たっている場所からは鉄糸で肌が切れたのか
血が滲んでいる。

「ガァァァァァ...あが...」

「まだまだ締め付けるわよ、覚悟してね」

さらに鉄糸に力が入り元姫の体をもっとキツく縛る、元姫の体から滲んでいた血は傷口がさらに広がったのか所々からダラダラと垂れてしまっている、
普通の人間なら気絶してしまうような状態だが、ここはさすが王元姫、歯を食いしばりなんとか堪えている。

「ンンンンンンンンン...」

「まだ耐えるなんて流石王元姫ね...いいわ、ならもっと苦しめてあげる」

春華は鉄糸に更に力を込め、元姫に万力に締められる如く苦痛を与える。すると元姫の細腕から「バキッ」というような気味のいい音が聞こえてくる、
おそらく鉄糸の圧力で骨が折れ始めたのだろう、腕だけではなく足からもそのような音が響く。

「あらあら、ちょっと力を入れすぎたかしら?いいわよね、どうせ死ぬんだものね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ついに元姫は気を失い、彼女から聞こえる音は骨が折れ、粉砕される音だけになっていた。

「もういいわね、こうなったら死んでるようなものだし...お前達!後はこの娘、どうしてもいいわよ」

春華は元姫を縛っていた鉄糸の拘束を解くとドサリを元姫が倒れる、周りで待機していた兵士達に「元姫をどうしてもいい」という命令を下す。嬢王蜂の命令を受
けた働き蜂達は元姫という獲物に群がり、思い思いの方法で犯し尽くしていく、手足を破壊しつくされた元姫にはどうすることもできなく、ただされるがままに
犯されていく、口を、美しい金色の髪を、足を、胸を、手を、尻を、性器を、体のありとあらゆる場所を犯されていく。
兵士達が満足する頃には、元姫は見るも無残で目も当てられない姿だった。

「ふふふ...彼らったら随分溜まっていたのねぇ、お陰様で彼らの士気も上がるわ、ありがとね元姫ちゃん」

「............」

悪臭を放ち見るも無残な元姫を見下すように立ち、皮肉たっぷりに心にも無い感謝の言葉を話す

「じゃあ、死になさいな。さようなら王元姫ちゃん、首は飛ばさないでおいてあげるわ」

再び元姫の体に鉄糸を巻き付けると、一気に締め上げ元姫にトドメを刺すが、元姫からは悲鳴も何も聞こえない

「呆気無い最期だったわね、王元...」

拘束が解かれ、足元に転がった元姫の死体を軽く蹴り死亡を確認すると春華は元姫の死体を汚らしいゴミを見るように一瞥する
と、その場を去っていった。


531 : 王元姫 義母の罠 :2014/11/30(日) 01:10:03 ???
-------------------------------------------------------------
----------------------------------------------
-------------------------------
--------------------
------------

数日後、元姫の葬儀が開かれ、啜り泣く司馬一族、号泣する夫の子上、もちろん春華も泣いていた(嘘泣きであるが)
元姫の葬儀後、傷心の子上を慰めようと春華はある提案をした

「子上、こんな時で悪いけどあなたに縁談があるの。大丈夫、次の娘は可愛いし強いわ。前の娘のようなヘマはしないわよ...」


532 : 斑鳩の人 :2014/11/30(日) 01:13:50 ???
以上でございます。

元姫の武器は漢字で書くと鏢と書くのですが、OSによっては表示されないらしいので
ここでは片仮名でヒョウと表記させて頂きました。
次回はアンケートで2位だった食蜂操祈のSSを書きたいと思います。

それでは皆様、良い夢を


533 : 名無しさん :2014/11/30(日) 11:36:06 ???
今回は俺の投票したのとは違うキャラでしたが、締め上げシチュ好きなので十分に堪能しました
次回は票を入れたキャラということもあって、いっそう楽しみにしてます


534 : 名無しさん :2014/11/30(日) 19:00:22 ???
SS書く人はやっぱりふだん本を読んだりしてるのだろうか


535 : ハム子の人 :2014/11/30(日) 20:45:06 ???
GJです。王元姫みたいな凛とした美人が意地悪な女にやられるというのはとても良いですね
食蜂も原作はあまり知らないのですがビジュアルは好みなので期待してます!
自分も今新作書いてます。まあ相変わらずのハム子リョナですが…

>>534
普段殆ど読んでないです おかげで表現がワンパターンで壊滅的に…
まあ今年はまだ読んでる方(軽いミステリー小説を三、四冊程)なので、もっと頑張らねば…


536 : 名無しさん :2014/11/30(日) 22:34:24 CfKAbxAo
ノエルの人です
>>375のリクを>>470で拾ってみたわけですが
私で良かったら、引き続きリクを拾ってみようかと思います
最近は書き手さんが増えたので、スレにも活気が出てきて嬉しいです

ついでにあげます


537 : 名無しさん :2014/11/30(日) 23:04:08 ???
専ら読ませてもらってる側だから偉そうなこと言えないけど
ノエルの人とかonzouさんとか語彙力高いから相当本読んでそう


538 : 名無しさん :2014/12/01(月) 02:39:05 ???
ニッチなフェチでも拾ってもらえるんだろうか


チート級に強い女の子が、年齢退行させられて幼女化しながらボコられるお話とかどうでしょう?
搦め手でじわじわ弱体化していくのがすごく好きなんだ……
失った力が二度と戻らない、取り返しのつかない攻撃なら更に倍率ドン


539 : 名無しさん :2014/12/01(月) 03:08:19 ???
>>536
拾ったというか、内容完全に別物になってますがお疲れ様です


540 : 名無しさん :2014/12/01(月) 05:05:51 ???
難しい内容をリクしてもいいんでしょうか

乳房や子宮など女性の象徴となる場所「以外」のどこかを
数レスに渡ってひたすら責め続けるSSが読んでみたいです
目耳鼻口喉首頭腹肩腕掌背中腿足指爪どこでも良いです
何らかの手段で体内の臓器のいずれかを責めても良いです

ただ、一つ縛りがありまして、最終的に責められた箇所は
破壊されたり回復不可能なダメージを負ったりしない
ただし責めの最中は生き地獄というのも生温い辛さを感じている
そんな感じでお願いしたいんです

同じ箇所を続けて責められる事により痛みが増し反応が増大するさま
少しずつ責めに心が折れていくさまなどを書いて欲しいです
出来れば対象はローティーンの女性キャラが良いです
エロ要素やバトル要素、ストーリー要素などは特に必要ありません
リョナ的リアクションの魅力に特化した作品をお願いします


541 : 名無しさん :2014/12/01(月) 05:08:24 ???
ってかノエルの人のID末尾が蒼ですねw
なんか巡り合わせを感じますw


542 : 名無しさん :2014/12/01(月) 11:08:12 ???
>>538
精神年齢はどうしましょうか
幼女化することで心まで幼くなってしまうのか、幼女になったけれど心は大人のままなのか
それによってツボが変わってきそうなので

>>539
正直スマンカッタ……

>>540
こちらのリクはすでに書き始めてます。ただ少しだけストーリー性のあるものになってます……(最終的にダメージを負わないようにするため)

>>541
ノエルさんのリョナ投稿したのも、もうだいぶ前になりますね……(しみじみ)

ではでは


543 : 名無しさん :2014/12/01(月) 12:46:03 ???
ノエルの人さんのはキャリーのがツボ過ぎたんでまた書いて欲しい
泥ゴーレムに叩きのめされてから引きずり込まれて全身を犯されながら絶頂窒息とか


544 : 名無しさん :2014/12/01(月) 12:50:37 ???
王元姫と春華のはシチュリクスレのリクが元かな?

違っていたらすいません
ちなみにまだそのリクの絵の投稿はない


545 : 538 :2014/12/01(月) 17:30:52 ???
>>542
おおお、レスありがとうございます。
精神年齢の方は、やはりある程度抵抗力は残したいですし、
元のまま、もしくは肉体に引っ張られるように緩やかに退行、ぐらいが好みです。

ただ、話も終盤になっていよいよ最期の時がきたら、
トドメとばかりに一気に精神退行を進めてしまうのが良いと思うのです。
記憶や人格ごと真っ白に漂白されて、空っぽの肉人形にされてしまうとか……
ここまでいくと、精神破壊系というか洗脳シチュの類になってしまうかもですが。


546 : 斑鳩の人 :2014/12/01(月) 17:40:55 ???
>>544
そうです、シチュリクスレでちらっと見かけたリクだったのですが
あれ以来忘れられなくなってしまってここでSSを書かせていただきました。

元々張春華はSっぽかったので、そういう構想はあったので、そこで一気に突き動かさせれた
ような感じです


547 : 名無しさん :2014/12/01(月) 21:13:12 ???
>>542
540リクした者ですが、拾って頂いてる上にもう着手されてるとは!
どこをどう責めるかも含めて完成が楽しみです


548 : クディルの人 :2014/12/01(月) 22:36:31 ???
斑鳩の人乙です
相性最悪な相手に一方的にやられるというのはやっぱりそそられますね。
身内(と思っていた)からのだまして悪いがな展開も堪能させていただきました。


549 : 斑鳩の人 :2014/12/02(火) 22:49:56 ???
>>548
普段いい人ぶってる人にボロボロに虐められる美少女っていいですよね
本来の張春華はいい人なんですが、ゲーム内でも色々Sっぽい発言をしているので
そういう妄想が捗ってしまいましたww


550 : 名無しさん :2014/12/04(木) 00:20:27 Tq35vx0c
斑鳩の人です。
食蜂操祈のリョナSSが完成しましたので、今日の12時頃に投稿したいと思っています。
今しばらくお待ち頂けるよう、よろしくお願いします


551 : 斑鳩の人 :2014/12/04(木) 12:05:30 ???
食蜂操祈 女王の陥落

「あなた達一体なんなのよぉ〜」

薄暗く湿った路地裏で1人の女子生徒が複数の不良風の男子学生に囲まれて絡まれている、この光景は学園都市では割りと日常の光景だった。
絡まれている女子生徒は常盤台中学の制服を着ており、しかし長い金色の髪に中学生としては不釣り合いなまでの抜群のプロポーションをしている。
彼女の名前は食蜂操祈。何を隠そう学園都市に7人しかいないレベル5の一角でありその内の第5位に位置する少女である。彼女は心理掌握<メンタルアウト>
の能力を所持しており、その気になれば今彼女の周りを取り囲んでいる不良達を洗脳することも容易である。

「ふぅ...仕方がないわねぇ〜、操っちゃうゾ☆」

操祈はいつもの様にバッグからリモコンを取り出し、不良達を洗脳すべくボタンを押そうとする…

「ガッ...」

一瞬、操祈の首筋に鈍い激痛が走り、視界が暗転する。

--------------------------------------------------------------------------------------------


552 : 斑鳩の人 :2014/12/04(木) 12:06:30 ???
それからどのくらい経っただろうか…
意識を取り戻した操祈が倒れていた場所は、湿った路地裏の地面ではなく白いタイルのようなものが張り巡らされた冷たい床だった。

「うう...なんなのよぉここはぁ」

痛みの残る首筋を押さえながら立ち上がり、周りを見渡すと円形のコロシアムのようなところだった。操祈が立っているところより少し高いところには観客席がありそれな
りの人数が入れる場所なのだろうと予測できる。

「目が覚めたかね、食蜂君」

しゃがれた老人の声が聞こえ、操祈と少し離れた場所の床が開く、そこから1人の老紳士が現れる。老紳士は白衣を着ており、かなり温厚そうな顔をしている。

「あなたは木原...!」

老紳士の名前は木原幻生。学園都市の科学者で、科学者間では有名な『木原一族』の1人である。真理の探求のためには手段を選ばない、いわゆるマッドサイエンティストで
あり、かつては操祈の大脳皮質の一部を切り取り培養・肥大化させた巨大脳、外装代脳(エクステリア)を作った張本人である。当然、その時に操祈とは面識があり、実際に
言葉も交わしている。現在はレベル5能力者を強制的にレベル6へシフトする計画、絶対能力進化(レベル6シフト)を提唱し実現しようという野望を持っている。

「ど、どうしてあなたがこんなところに...」

「ははは、どうしても何もここは僕の研究所の一室だよ、食蜂君」

「この部屋丸々が...?」

「元々は研究対象の戦闘能力とかを測るための施設だったんだがね、コロシアムのようなの形なのもその為だよ」
「そろそろ本題に入らせてもらおうか、単刀直入に言おう。食蜂君、君には今日ここで死んでもらう」

「なっ...」

最初、操祈は何を言われたのか理解できなかった。これまでに言われたことのない言葉、理解するのには数秒かかった。

「聞こえなかったかい?君にはここで死んでもらうと言ったんだ、私の絶対能力進化(レベル6シフト)を実現させるための礎となるんだよ。絶対能力進化には外装代脳のリミッタ
ー解除権限が必要でね、君を殺してその権限を奪い取らせてもらう」

「そんな...」(マズいわぁ...ここはいつもの洗脳で...)

操祈はバッグからリモコンを取り出し幻生に向け、ボタンを押す...がしかし、幻生が洗脳にかかったという手応えはない

「どうして効かないのよぉ...」

操祈は自棄になってボタンを押す、しかし何度ボタンを押そうとも幻生が洗脳にかかっている様子はない

「無駄だよ、食蜂君。君の能力の弱点は知り尽くしている、僕の周りには特殊な電磁波が出ていてね、君の能力はこれで無力化出来る。」

「そんなぁ...」

操祈はそれを聞き、早くも絶望の表情をする

「さて、今回の君の処刑には僕が開発した最新の自律型戦闘ロボの試験も兼ねているから、彼らを投入させてもらうよ」

幻生がシワシワの指を鳴らすと、コロシアムの中心の床が開き、3機のロボットが姿を現す。幻生が『彼ら』と呼んだ自律型戦闘ロボットは3機とも一般的な人間ほどの背丈をして
おり、3機に大きな違いは無いが色が赤青黄に分かれていて内1機は腕の先に電極のようなものが付けられているのが確認できた

(何から何まで私の能力の弱点を突いてくるなんてぇ...)

操祈の能力は普通の人間には極めて有効な能力だが、同じレベル5の能力者、感情を持たないロボット、動物には無力であり、圧倒的に分が悪い


553 : 斑鳩の人 :2014/12/04(木) 12:07:31 ???
「では、実験を始めよう」

幻生が右手を挙げロボットに合図を送ると、これまで静止していたロボット達が動き出す。動きはかなり素早く、足の裏にローラーのようなものが付いているようである。
1機が操祈の目の前に急接近し、鋼鉄の拳を構える

「なっ...ガハッ...」

赤いロボットの拳が操祈の鳩尾に突き刺さり、操祈は嘔吐する。
殴られた衝撃で操祈の体は吹っ飛び、コロシアムの壁に向かって飛んで行く...が、その先にはもう1機のロボットが待っていて、フルパワーの蹴りを操祈の背中を蹴り上げる

「ガッ...カハッ...」

今度は吐瀉物ではなく、真っ赤な血が操祈の口から飛び出る。そのまま操祈はロボットの足元に倒れ落ち、荒い息を繰り返す。
青いロボットそんな操祈の頭を掴み、両手を握りこめかみに当て、ドリルのようにグルグルと回転させる。

「きゃあああああああああああああああああああやべでええええええええええええええええええええ」

コロシアム内に操祈の悲鳴が響き渡る、幻生はその悲鳴をまるで上質な音楽でも聞いてるかのように目をつぶって聞き入っている。

「おっと、まだ殺さないでくれよ。生きていなきゃリミッター解除権限は奪えないからな」

物言わぬ機械に命令をする幻生。その命令を聞いてか否か、操祈に当てているドリルの力が少し弱まるが、操祈にとってこの上ない苦痛であるということには変わりなく、相
変わらず悲鳴を上げている。

「も゛う゛...やべで...」

あまりの苦痛に泡を吹き始める操祈。それを感知したロボットは操祈を開放し、再び足元に突っ伏させる。ロボットは突っ伏した操祈の腹を蹴り上げ、最初に操祈の鳩尾に一発
食らわせた赤いロボットに向けて吹っ飛ばす。
地面スレスレを飛んだ操祈の頭を赤いロボットが踏み付け動きを止める、そして片手で頭を掴むともう片方の拳で操祈の腹を殴り始める。操祈の柔らかな腹にロボットの拳が突
き刺さる度に背中まで拳の形が浮き出て、かなりの力で殴っているのが分かる。

「もうやめ...ガッ...て...ガハッ...いやぁ...」

操祈の常盤台中学の制服は自分の吐瀉物や血液で汚れて、さらには所々破けてしまっている。

「ちょっと開放してもらおうか」

これまで静観していた幻生が操祈に近づく、命令を受けた赤いロボットは操祈を開放し、地面に投げ捨てる

「どうだい、まだ権限を寄越すつもりはないかい?ベタな台詞だが、素直に寄越せば命だけは助けやらんこともないんだがね、どうだね食蜂君」

「嫌よぉ...絶対にぃ...渡さないんだからぁ...」

操祈は美琴のことを考えていた、せっかく仲良くなった美琴を守らなければ、ここで自分が権限を渡すようなことをすれば美琴だけじゃなく他の友達も危険に晒してしまうこと
になる、全ては自分の手に掛かっている。

「そうかい、それは残念だ...」


554 : 斑鳩の人 :2014/12/04(木) 12:09:09 ???
幻生が指を鳴らすと、これまで動きがなかった黄色ロボットがズカズカを操祈に向かって歩いてくる、赤と青のロボットが操祈の両脇を固め、腕を持ち上げ磔のようにする。

「やりなさい」

黄色のロボットが磔にされた操祈の脇腹に電極を当てると、シューという音とともに放電を始める。

「きゃあああああああああああああああいぎぎぎぎぎぎぎぎいぎぎ」

10秒ほどの放電だったが操祈にとっては無限にも感じる時間。苦痛からか呼吸が全くできない。

「もういいだろう」
「どうだね?まだその気になれんかね?」

「ハァハァ...当た..り前よぉ...絶対にぃ...負けないんだからぁ...」

「そうか、ではもう少し強めでやってみよう」

再び黄色のロボットが電極をあてがい、放電をする。しかし、今度の電撃は先程のよりも強く、操祈の体が痙攣を始める。
股間からはアンモニア臭を放つ液体が漏れ出し始め、白いパネルの地面を黄色く染めていく。

「放電止め、まだ寄越す気になれんかね?」

「ハァハァ...ま..だ.ま...だ...」

「君も強情な女だね、では御坂君のものには劣るが死なない程度の一番強いレベルを流してやろう」

三度黄色のロボットが操祈の脇腹に電極をあてがい、電撃を放つ。今度の電撃はこれまでのものとはレベルが違い、操祈は痙攣と失禁を再びし始める。
それだけではなく全身から煙が立ち始め、電撃によって相当な熱も加えられているということも確認できる。

「ガッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

これまでなんとか意識を保っていた操祈もこれには耐えられるわけがなく、ついに白目を剥き意識を失い、体中から力が抜けていく、赤と青のロボットが抱えていた腕もだら
んとだらしなく力が抜けてしまっている。

「こりゃいかん、ストップ!」

予想以上の操祈の様子を見た幻生が慌てて電撃を止め、操祈から立ち上っていた煙も収まる。

「ふむ、心臓は...動いてるようだな、大丈夫だ」

豊満な操祈の胸に耳を当て、心音を確認すると微弱ながらもまだ鼓動を続けており辛うじて生きていることが分かった幻生は一先ず胸を撫で下ろし、最後の作業に移る。

「さて、本人の了承はないが仕方あるまい、これも科学の進歩のためだ」

幻生は白衣のポケットから小型端末とイヤホンのような機械を取り出し、イヤホンを操祈の耳にはめ、端末を操作する。

「う゛ぁ゛...あ゛ぁ゛ん」

操祈がくぐもった声で喘ぐが、端末に流れてくる情報に夢中の幻生には聞こえていない。

「素晴らしい...これがリミッター...」

幻生は流れてくる情報を感嘆の声を上げ目を輝かせながら見ている。
リミッター解除権限の奪取が終了したらしく、幻生は操祈の耳にはめていたイヤホンを外し、小型端末を大事そうに白衣のポケットにしまう。

「どうやら、リミッター解除権限だけではなく食蜂君本人の能力も奪ってしまったようだねぇ。まぁ、科学にはミスが付き物だから仕方ないねぇ、くくく...」

ついにリミッター解除権限を奪い歓喜の声を挙げる幻生の足元で転がっている1人の女体、それはかつて学園都市で最強の能力者レベル5の一角、常盤台の女王とまで呼ば
れた少女食蜂操祈、能力すら奪われた今の彼女にそんな面影はなくだらしなく舌を出し涎を垂れ流している。

「ふふ...これで私の絶対能力進化(レベル6シフト)計画を実行に移せる...ふふふ...」


この後、木原幻生は直ちに絶対能力進化(レベル6シフト)計画を実行、心理掌握によって洗脳された美琴は暴走したが、上条当麻の活躍によってなんとか沈静化し、木原
幻生の絶対能力進化(レベル6シフト)計画は失敗に終わる。


555 : 斑鳩の人 :2014/12/04(木) 12:10:19 ???
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

それから少しして、木原幻生ラボを捜査中のアンチスキルが瀕死状態の操祈を発見し保護、なんとか一命を取り留めた操祈だったが、奪われた心理掌握が戻ってくること
はなく、数ヶ月経って学校に復帰してからはこれまで心理掌握によって洗脳してきた友人、不良などから袋叩きにされ、さらなる苦しみと絶望の渦が彼女を襲っていると
いう…


556 : 斑鳩の人 :2014/12/04(木) 12:13:15 Tq35vx0c
以上でございます。

ちょっと文章とか設定がガバガバになってしまいましたね、申し訳ないです。
次回のこころの続きなのですが、冬コミの準備などのために少し間が開いてしまうと思います。
少しだけ待って頂けると幸いです。

それでは〜


557 : 名無しさん :2014/12/04(木) 13:39:31 ???
いいですね!
吐血した後の大絶叫悲鳴っていいですよね…飛び散る吐血が目に浮かぶようだ
友人を危険に晒さないために苦痛に耐えるシチュも好きです
なのにラストで友人たちから守ってもらえず不良たちにボコられるとは…なんとも不憫で萌えますw


558 : ハム子の人 :2014/12/05(金) 01:03:35 ???
GJです 高スペック女子がそれが通用しない状況に追い込まれ、圧倒的な力でリョナられるというのは素晴らしいですね。
冬コミの方も頑張って下さい。

自分も新作出来たので投下させて頂きます。
今回もメインはハム子ですが、衣装は制服です。あと原作ではあんまり絡みの無い伏見千尋も登場させてみました。
お楽しみ頂けたら幸いです。


559 : 義姉妹の悲劇 1 :2014/12/05(金) 01:08:44 ???
11月上旬のとある日−修学旅行を間近に控えた月光館学園。
生徒会は準備に追われ、今日も遅くまで残された二人の少女が、暮れなずむ生徒会室の中でいそいそと帰り支度をしている。

「ふいー、今日も大変だったなぁ…」

残された少女の内の一人、黒鷺朱美が思わず伸びをする。黒いブレザーとスカートの間から、へそを隠す白いブラウスが覗く。

「あ、あの、先輩…」
「ん?」

ふと、後ろからおどおどとした感じの声がして、朱美は伸びを解き声の方へ首を向ける。見る者に活発な印象を与えるポニーテールが、ふわりと揺れた。

「ちょっと、相談したいことが…」
「? 何かな?」

朱美は体も声の方へ向けると、相手の緊張を解すように、にっこり笑いながら首を傾げる。

声の正体は伏見千尋−朱美の後輩にあたる少女だ。
おでこの広い長髪スタイルと眼鏡が大人しく、清楚な雰囲気を醸し出している。服装も生徒会らしく模範的で、朱美の白と正反対な黒のハイソックス以外は、同じ学校指定通りの制服を着ている。

「あ、あのっ…」

話し辛いことなのか、普段ハキハキと物を言うタイプでは無い千尋はいつも以上におどおどとしており、言葉に詰まっている様子だ。

それでも朱美は急かすことなく、柔らかい表情で千尋の答えを待ち続ける。

「…一緒に帰っていただけませんか?」

ようやく千尋の口から出たのは、なんのことは無い誘いだ。
朱美は快く頷き、了承の意を示す。

「一人で暗いとこ歩くの、怖いもんね。道反対だけど、良いよ!」

朱美は明るく答えるが、千尋の表情はどこか沈んだままだ。

「あ、で、でも、やっぱり……」
「え、どうしたの?」

あっさり同意したにも関わらず、千尋はどこか歯切れが悪い。

「道反対だし、そ、その…危険だから……」
「危険……?どういうこと?」

何やら千尋の口から不穏な言葉が出たので、朱美は眉をしかめ、問い掛ける。

「あ、すいません…ちゃんと話します!
実は私最近……帰り道で誰かにつけられてるみたいで…」
「えぇっ!?」
「だ、だから、誰かと一緒に帰りたかったんですが…
私、男の人って苦手で、中々頼めなくて…」

千尋はポツポツと、申し訳無さそうに事の真相を話し始める。
朱美は驚きつつも、頷きながらじっくりと耳を傾けた。

「そうしてたら、もう先輩以外の人は帰ってしまって…だから、先輩に頼もうと思ったんですけど…
先輩だって女の子だし、帰りも反対ですし、そんな危ない事、やっぱり頼めません…」

千尋は泣きそうな顔で、最後は消え入りそうな声になりながら事情を説明した。

「そうなんだ…」
「ご、ごめんなさい、さっきのは忘れて下さい…」

そう言って千尋は、一人で帰り支度を整えようとする。だが−

「待って」

朱美は千尋の手を掴み引き留めた。

「いいよ、そういう事情なら、尚更ほっとけないよ!」
「えっ、で、でも…」
「困った時はお互い様でしょ? 今日だって、作業遅くまで手伝って貰ったし」

ね?と小首を傾げ、朱美は千尋の不安げな瞳をまっすぐ見つめた。

「す、すみません…ありがとうございます……」

千尋は深々と頭を下げ、朱美はその頭をわしゃわしゃと撫でてやった。


560 : 義姉妹の悲劇 2 :2014/12/05(金) 01:15:55 ???
彼女らが学校を出た時には、外は真っ暗になっていた。
二人はポツポツと生徒会の事を話しつつ、寒気に包まれた夜の街を歩いていく。
暫く経つと、二人は人気の無い道に差し掛かる。

「この辺りで、後ろから足音が聞こえて…」

すると、千尋がつけられた時の状況を語り始めた。

「少し怖くなったので早歩きをしたら、向こうも、ほ、歩調を、合わせてきて…!」
「あ、む、無理に思い出さなくて良いよ」

その時に感じた恐怖を思い出したのか、涙声になり始めた千尋を朱美は制し、軽く肩を抱いてやる。

「ご、ごめんなさい……今も、居るんでしょうか……?」

落ち着きを取り戻した千尋は後ろを振り返る。そこには録に街灯も無い暗い道が広がるばかりで、何も見えない。
とりあえず二人は先に進むことにした。
カツ、カツと二人が履いているローファーの足音だけが辺りに響く。

暫くして。

ジャリ…

「!?」
「ど、どうしました!?」

朱美の、怪物との戦いで研ぎ澄まされた耳が砂利を踏むような音を捉える。
後ろを振り返るが、何も居ない。だが陰に隠れられそうな電柱があるのに気付く。

「イヤ…怖い……!」

千尋は、震えた声を上げながらすっかり竦み上がっていた。見かねた朱美が、思わず大声を張り上げる。

「誰か居るの!?」


561 : 義姉妹の悲劇 3 :2014/12/05(金) 01:18:23 ???
すると、

「うおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「!!」

電柱の陰から、雄叫びを上げて小太りな男が飛び出して来た。男は黒い目出し帽で顔を隠し、紺のダウンジャケットを羽織り、茶色のズボンを穿いている。

「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

鬼気迫る雰囲気で迫る男に恐れをなし、千尋は鞄を落とし両手で目を覆い隠し、地面にへたり込み、動かなくなる。

「くっ…!」

朱美は鞄を放り出し、男の方へと向かっていく。

「おおおおおぉぉぉぉぉっ!!」

だが男の狙いは千尋のようで、朱美を無視し、動けない千尋の方へ向かおうとする。

「このっ!」

そうはさせまい、と朱美は自慢の脚を振り上げ、男の体に回し蹴りを見舞う。朱美の脚が男の右腕を捉え、ダウンジャケットの羽毛を叩き潰すようなパンッという音が響くと、

「うがぁ!?」

男は呻き、右腕を抑えたままガクンと膝を折った。だが、そのまま動かなくなると思いきや、

「はぁはぁはぁ」

突然立ち上がり、息を切らしながら震えて動けない千尋の方へ向かっていく。腕の痛みのせいか、のろのろとした動きだが着実に距離を詰めている。

「させないっ!」

だがひるまず朱美はのろのろと動く男の前にあっさりと回り込み、物凄い形相で男を睨みつけた。

「こんのぉ……!」
「う、うぐ…」

男は朱美の気迫に圧され、身動きが取れなくなってしまう。

「お、覚えてろよ!」

すると、男は捨て台詞を吐き、踵を返し駆け出した。意外とその逃げ足は速い。

「あ、こらぁ、逃げるな!!」

朱美は後を追いかけようとするが、

「うぅ……ぐすっ……」
「あっ…」

背後から響く、千尋のすすり泣きに気付きすぐにそちらへ駆け寄る。

「もう、大丈夫だよ……」

朱美はそっと、千尋を抱き寄せ優しい言葉を掛けるが、千尋の震えと嗚咽は止まらない。
千尋が落ち着くまで、朱美は傍にいてやることにした…。

翌日以降、一人での登下校にすっかり恐怖を覚えた千尋だったが、
生真面目な彼女はそれでも、朱美が付き添うという形で登校を続け、生徒会の仕事もこなしていた。
その内に千尋は、自らを暴漢から守ってくれた上に、その後も面倒を見てくれる朱美を実の姉のように慕い始める。
一方の朱美も、まるで妹が出来たようだと思いながら嬉々として千尋に接していた。
二人は段々と打ち解けあっていき、生徒会や登下校以外の時間も一緒に過ごすことが多くなり、、彼女らは女子高生の先輩と後輩が繰り広げる日常を送り続けていた。

…その間、逮捕されることなくひっそりと隠れ続けていた男が、
再び二人の前に、姿を現すまでは…。


562 : 義姉妹の悲劇 4 :2014/12/05(金) 01:19:43 ???
和気藹々と話しながら、朱美はその日も千尋を家まで送っていた。
だがふと、前方のただならぬ気配に気付く。

「!! ひいっ!」
「く……まだ捕まって無かったの!?」

男が、先日と同じ出で立ちで路上に立ち、堂々と二人を待ち伏せていた。
千尋は思わず悲鳴を上げ、朱美の後ろに隠れ、顔を伏せる。

「せ、先輩……」
「大丈夫、絶対…また守ってあげるから!」

震える千尋に、朱美が力強い言葉を掛ける。
その言葉に千尋が顔を上げると−朱美の、自信に満ち溢れた表情が目に飛び込んでくる。

「お、お願いします……!」

千尋の体の震えが止まっていく…その様子を見た朱美は安堵し、男に向き直る。

「やあぁぁぁぁっ!!!」

凛々しい声を張り上げながら、朱美は男の方へ向かって行く。
前回はうずくまって泣くばかりだった千尋も、今回はしっかりとその背中を見送っていた。
今回もきっと守ってくれる−千尋はそう信じ、せめて自分を守るために戦う朱美の勇姿を目に焼き付けようと思っていた。

だが、最初に悲鳴を上げたのは……。

「あぐぅぅぅぅぅあ゛!?」

朱美の方だった。

「せ、先輩!?」
「うぎ……ぎっ……」

朱美は右腕を抑えて、半身に倒れていた。
目をギュッと瞑り、歯を食いしばり、とても苦しそうな悲鳴をしている。
何が起きたのか分からず混乱する千尋がふと男の方を見ると−バチバチと音を立てて光る何かが、男の手に握られている。

「ス、スタンガン…!」

朱美が男に掴みかかろうとした時、朱美の腕にスタンガンが押し当てられた。
朱美の右腕にはまるで肘を硬いものに思いっ切りぶつけた時のような激痛が走り、思わず立っていられなくなってしまった。

「うっ……くっ……!」

朱美は無事な左腕を支えに、何とか上体を起こすが、

ザッ ザッ ザッ…

「グヘヘ」
「!!」

スタンガンを持った音が、すぐに迫っていた。
男はえぐり込むように、朱美の柔らかい脇腹にスタンガンを押し当てる…

バリバリバリバリ!!!

「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! あ゛っあ゛っあ゛ぁっ!! あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

男は数秒間に渡りスタンガンを押し付け、その間、朱美は絶叫する。

「あ゛っ、あ゛ひっ、はぁっ、はぁっ、はひっ……」

スタンガンから解放された朱美は、仰向けに地面に倒れた。感電により全身が痙攣し、不規則に体がビクン、ビクンと跳ねる。
口を上手く動かせないために舌や涎がこぼれ、呼吸困難を起こし、顔色もまるでリンゴのように真っ赤になっていた。

「せ、先輩、しっかりして……」

千尋は今すぐにでも朱美の方へ駆け寄りたかったが、男に対する恐怖心がすっかり蘇ってしまい、足がすくんで動けないでいた。

「こないだはよくもやってくれたなぁ…」

男がボソボソとした声で呟くと、倒れた朱美の体に跨る。

「うあぁっ……」

男の全体重が体にかかり、朱美は苦痛に喘いだ。

「愉しませてもらわねぇとなぁ……♪」

そう言うと、男は朱美の女子高生にしては少し大きめの胸を揉み始める。

「んひっ、いあっ、んうっ……」

朱美は為すがままにされ、艶のある声を出し続ける。
顔が近くにあるためビンタの一つでも見舞ってやりたいのだが、腕を上手く力が入らず、もぞもぞと動かすことしか出来ない。


563 : 義姉妹の悲劇 5 :2014/12/05(金) 01:22:21 ???
「た、助けなきゃ……そ、そうだ、警察を…!」

朱美が蹂躙される様に動揺を隠し切れない千尋だったが、朱美を何とか救わなければ−そう思った時には既に、ポケットの携帯電話を握っていた。
震える手で1、1、0と入力し、通話ボタンを押す−無事に繋がった。しどろもどろになりながらも、何とか状況と場所を伝えようとする。

タッ タッ タッ…

突然、響く足音。通話に夢中になっていた千尋が顔上げると−

「何してんだゴラァ!!」

男の身体が直ぐ近くまでやってきていた。

「ひ、ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」

苦手な、しかも自分を襲おうとしている男性に近くまで寄られている−千尋は悲鳴を上げ尻餅を付き、手を離れた携帯が地面に転がる。
携帯から聞こえる、事情を聞いていた女性警官の狼狽する声が、辺りに響き渡る。

「ひっ、こ、来ないでぇ……」

千尋の頭の中は恐怖に支配され、体をガタガタを震わせながら尻を引きずり、後退りをする。
そして男は目ざとく千尋の携帯を見つけ、拾い上げると二つに折って破壊してしまった。

「あぁぁぁぁっ…」

千尋の唯一の希望が絶たれ、彼女の眼から大粒の涙が零れ落ちる。

「ウェヒヒ…そろそろ本命に移るとするか」

反撃の芽を摘み取った男は、千尋の方へじりじりと近づく。
千尋は男が近づく度に肩をビクッ、ビクッと震わせるばかりで、最早後退りすることすらしなくなっていた。
男はそんな反応をじっくりと楽しみつつ、千尋に近づく。

すると突然−

バシッ!

「ん!?」

男の左腕に、何かがぶつかるような感触がした−振り返ると、

「はぁっ、そ、その子に、近づくなっ!」

殆ど動けなくなった筈の朱美が、そこに居た。

「せ、せんぱ……!?」

千尋は朱美の方を見る−だが、その惨たらしい姿に言葉を失う。朱美は片腕を抑え、苦しそうに肩で息をしており、立っているのもやっとという状況だ。
千尋が電話している間も更に暴行を受けていたのか、膝上丈まであるスカートの端はビリビリに破け、スリットからは幾つもの火傷の痕の付いた太ももが露わになっている。恐らくスタンガンを押し当てられたのだろう。

「くら、えっ!」

それでも朱美は立ち上がり、男に一矢報いようとしていた。
朱美は脚にできうる限り力を込め、男の脛を蹴り飛ばす。

「って!」

だが男は僅かに呻くだけで、大したダメージを受けた様子は無い。

(ち、力が入らない…)

身体の疲労とダメージのせいで、朱美はまともな威力の蹴りを出すことすら出来なくなっていた。

「てめぇ……驚かせやがって……」

男はギロッと朱美を睨む。

「こないだから邪魔ばっかりしやがる……」

そう言うと男は仕舞ったスタンガンを再び取り出し、激しくスパークさせる−今までで一番激しい電撃だ。

「動けなくしてやらぁ!」

そして、男は朱美に接近する。

(か、体が、動かない……)

無理して体を動かしたせいか、朱美の身体は逃げることすらままならないレベルになっていた。
迫る電光を見つめる朱美の顔に、絶望が広がっていく−

だが彼女は最後に自分の使命を思い出し、千尋の方を向くとこう叫んだ−

「千尋ちゃん、逃げてぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

その瞬間、朱美の腹部にスタンガンが押し付けられた。

「う゛っぎ゛げ゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

朱美の柔らかい腹を伝い、激しい電撃が体中を駆け巡り、彼女に下劣な悲鳴を悲鳴を上げさせる。

「あ゛へ゛ぇぇぇぇぇ……」

男がスタンガンの電源を切ると、朱美は喉から絞り出すような汚い声を出して後ろに崩れ落ちる。


564 : 義姉妹の悲劇 6 :2014/12/05(金) 01:25:12 ???
「ぜ、ぜんばいぃぃぃっ……」

朱美が倒れた地点で再び痙攣し跳ねているのを見て、千尋は泣きじゃくる。

「先輩がそんなに心配? じゃあ見せてあげるよ…」

すると男はヘラヘラ笑いながら立ち上がり、朱美の結った髪を掴んでずるずると引きずり、千尋の前まで持って行く。

「ひ、ひぃぃぃぃっ!!」


朱美を見た千尋は恐怖に滲んだ声を上げる。彼女は完全に白眼を剥き、口からはゴボゴボと泡を吹き、先程よりも短い感覚でビクンビクンと体が跳ね、跳ねる度にブレザーに包まれた胸がぷるんと揺れる。
股間からは刺激臭のする黄色い液体が勢い良く吹き出し、スカートの中より、地面に水溜まりが広がっていく。

「せ、先輩、しっかりして下さい!!」
「ぶぼっ、ぐぶっ、ごぼっ」

千尋は必死で呼びかけるが、朱美はそれに泡を吹く音で応えることしか出来ない…。

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」

信頼する先輩の変わり果てた姿に、千尋は顔を朱美の身体にうずめ、泣き叫んだ。

ガシッ

「ひっ……!?」

そうしてると、男が千尋の頭を掴み無理やり顔を上げさせる…。

「さ、次は君の番だよ……♪」

男は千尋のような女の子がタイプなのだろう。先程携帯を折った時とは打って変わって上機嫌で千尋に話掛けている。
千尋の頭を掴んで無い方の腕には、バチバチと音を立てるスタンガンが握られている。

「い、いや……いやぁっ……!」

只でさえ苦手な男という存在がこんなに近くに居る−それだけで千尋は失神したくなる程なのに、更に武器を持って危害を加えようとしている−千尋の中に芽生えた恐怖は、想像を絶する程のものだった。

「い、いやいやいやいやいやぁぁぁぁぁっ!!!」

首をブンブンと振り、千尋は駄々っ子のような振る舞いをする。眼鏡の似合う淑やかな雰囲気の顔は、鼻水と涙でぐちょぐちょになってしまった。

「その反応……いいね♪」

男は千尋の反応を見て更に上機嫌になり、嬉々としてスタンガンを彼女の目の前まで持って行く。

「い゛っ、い゛い゛い゛い゛ぃぃぃぃぃぃぃっ………」

歯をガチガチと震わせ、怯える千尋。恐怖心が限界に達した彼女は遂に−

しょわぁぁぁぁぁぁぁぁっ………

朱美と同じように、千尋の股間からも小便が漏れ出てしまう。

生暖かい感触が段々と広がっていき、生真面目が取り柄な彼女のプライドはズタズタになっていく…。

「も…う…い…や……。」

心の支えと誇りを一気に失った千尋は、そのショックに耐えられず気絶してしまう。千尋の身体が地面に転がり、すらっとした長髪がばらっと散らばる。
だが意識の喪失は、目の前の恐怖からの逃走に成功したことを意味する−ある意味、彼女はそれによって救われたのだろう。

…たった一瞬だけ。

「おねんねは、まだ早いよ♪」

朱美にしたのと同じように、男はスタンガンを千尋の腹部に押し当てる。

「い゛ぎ゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

白い閃光が、千尋を地獄の現実へと呼び戻す…。


565 : 義姉妹の悲劇 劇終 :2014/12/05(金) 01:27:51 ???
後日 月光館学園のネット板にこのようなスレッドが立った。

『生徒会の部員2名、闇討ちに遭い意識不明に精神錯乱…学園の天使に降りかかった悲劇』

去る11月XX日、我が校の生徒会部員2名が路上で暴漢に襲われ意識を失うという事件が発生した。
被害に遭ったのは2年の黒鷺朱美さんと、1年の伏見千尋さんの2名。通りかかった人により『女子高生2名が倒れている』という通報がなされ、駆けつけた救急隊員に2人は病院に搬送された。
黒鷺さんは発見当時、心肺停止状態で、現在でも意識不明の状態だ。医師曰わく回復の見込みは無いという。
一方伏見さんは意識こそ回復したものの、酷い精神的ショックを受けておりまともな会話が出来ない状態であるという。
噂によると伏見さんは発見当時服を脱がされた状態で発見されたようで、伏見さんは性的暴行を加えられその時の記憶が精神的ショックの原因となったという見方が強まっている。
警察は依然犯人を追っているが、有力な手掛かりは掴めて居ない。

黒鷺さんは容姿端麗、スポーツ万能、勉学も上位の学園の人気者で、伏見さんもお淑やかな雰囲気から一部では隠れた人気があった為二人の回復を祈る生徒も多いが、それ故か一方で黒い噂も流れている。
生徒会でありながら反社会的組織の人間と関わりが有るために、このような事件に巻き込まれたと噂する生徒もおり、
また黒鷺さんに性的暴行を受けた噂が無い事を理由に、『キズモノだから相手にされなかった』という説が一部の女子を中心に広がっているという。

FIN


566 : ハム子の人 :2014/12/05(金) 01:36:33 ???
以上です なんか改行が多過ぎると言われたせいで前置きが長く…まあ普通に多用し過ぎなんでしょうが
スタンガン責め+先輩が後輩のためにストーカーに立ち向かって返り討ち
というのがやりたくなって書いたんですが、道中駆け足なところがあって展開が解り辛くなってますね
あとお淑やか系の子は普段あまりリョナらないので、千尋の怯える描写も適当ですいません


567 : 名無しさん :2014/12/05(金) 06:49:58 ???
ハム子愛されてるなあ


568 : 名無しさん :2014/12/05(金) 10:55:52 ???
ノエルの人です
斑鳩の人、ハム子の人ときて
私のSSも今日の深夜には投下できそうです。
540さんのリクを受けて書いたものですが、はたして喜んでもらえるものかどうか……。
苦しませるけれど元通りに戻す、という点がイメージ通りに行ってるのかちょっと不安ですね


569 : 名無しさん :2014/12/05(金) 11:11:42 ???
>>566
むしろその怯える様がめっちゃ可愛かったんだが…
悲鳴表現もリアル感があってかなり良かったです
今作も前作に負けず劣らずの力作で大満足でした


570 : 名無しさん :2014/12/05(金) 19:01:22 ???
豊作やな


571 : 名無しさん :2014/12/06(土) 01:34:35 ???
女性格闘家のみのジャンルを越えた格闘大会、準決勝に残ったのは、サラ・ブライアント、ミラ、梅小路葵、そしてアイーシャの4名。そして準決勝の第一試合は葵vsアイーシャであった…会場にはアイーシャのヒット曲が大音響で流れる。アイーシャがバックダンサーを従えて、世界を魅了したダンスで花道を通ると、観客の中には踊り出す者も…そしてリングイン。しかしいつものパンツスタイルではなく、総合格闘の大会ということで銀色エナメルのきわどいビキニでの入場。一方葵は悠然と花道を歩き、いつものあでやかなはかま姿だ。身長差のある二人が対峙する。


572 : 名無しさん :2014/12/06(土) 05:28:33 ???
どっちがリョナられるんだろうか楽しみだ


573 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:05:22 7v1DAXv2
ノエルの人です
>>540リクを受けて書いてみたオリジナルSSです
投下します


574 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:06:24 ???
【ここまでのあらすじ】
日本人とアメリカ人のハーフである少女ウィンスレット(14)は、某有名私大附属呂菜中学の生徒会長。
優秀な実績を残す部活動に活動費を集中させるため、何の実績もない部活動を廃部することに決めた。
部員がわずか二人という催眠部を廃部にするために、彼女は単身、部室に乗り込んで廃部申請書を突きつける。
催眠部を存続させる条件はただひとつ。
ウィンスレット自身に催眠をかけることで、実績を作ること。
「催眠術なんてくだらない。どうせインチキに決まってるーー」
そう思う彼女であったが……。





ウィンスレットは目を閉じたまま、パイプ椅子に深く腰掛けたまま微動だにしない。

「効いたの……かな」

色白のメガネの少年は小声で囁いた。
催眠をかけたニキビ面の少年は、メガネの少年に親指を立てて見せた。

「ついでだからさ、何かに変身させてやろうぜ」
「何にしよっか」
「こいつのあだ名、確か『呂菜中の天使』だったよな」

青い瞳に黄金の髪をなびかせるウィンスレットは、確かに「天使」と呼ぶに相応しい容姿をしていた。
白人の血を受け継いでいることもあってか、指で触ることが躊躇われるほどの透き通った肌をしている。
ニキビ面の少年は口元をにやりと歪めて、ウィンスレットに語りかける。

「……いいかい、僕が10数えると、君の背中から大きな羽根が生えるよ。真っ白で、ふわふわしていて、とても大きな羽根。1、2、3……だんだん背中がムズムズと痒くなってくる……4、5、6……背中がますますムズムズしてくる……」

ウィンスレットは、おもむろに両手を持ち上げる。
それは背中から羽根が生えようとしている証。
行き場のないウィンスレットの手は、自分の上半身をきゅっと抱きしめる。

「ちょっと……どきどきしてきた、かも」

眼鏡の少年はそう言いながらしゃがみ込んで、うつむきがちのウィンスレットの顔を覗き込む。
少年からの露骨な視線。普段の彼女であればツンと澄ました態度を取って拒絶したであろうが、今は眉一つ動かさないでいる。

「7……8……9……さあ、羽根が大きく広がるよ……10と言ったその瞬間、羽根が大きく広がって、あなたの心は開放感で満たされる……苦しいことや辛いことがすっと消えるよ……10!」

ウィンスレットは、10の声に合わせて、肩をゆっくりと落とした。
背中のむず痒い感覚で緊張していた肩から、すっと力が抜けたのだ。

「さあ、君は天使だ。君は自由に空を飛ぶことができる……さあ、空のある方向に向かって飛んでいくよ……だんだん、顔が上がっていく……空のある方向へと顔がゆっくりと上がっていく……」

ウィンスレットは、言われた通りに顔を次第に上へと向けていく。
うつむきがちで肩の前側に流れ落ちていた長い金髪が、上を向くことで肩の上をゆっくりと撫で、背中側へするりと流れ落ちた。
その瞬間、眼鏡の少年はかすかな芳香を嗅ぎとった。

「ふふっ、これでもう言い訳できないよね。催眠にかかってくれたんだから」

眼鏡の少年が愉快そうな声を出す。
しかし、ニキビ面の少年はウィンスレットから少し離れると、首を横に振った。

「いや、まだだ。このまま催眠を解いたって、しらばっくれるに決まってるさ。こいつは負けず嫌いだからな」
「? じゃあどうするんだよ」

ニキビ面の少年は口を歪めて笑いながら、ウィンスレットの顎にそっと指で触れる。

「……僕たちを馬鹿にした罰だ。ちょっと復讐させてもらうよ」


575 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:08:00 ???



復讐ーー。
ニキビ面の少年が口にしたその言葉に、メガネの少年は息を呑んだ。
もともと気弱な性格の彼は、この勝気な性格のウィンスレットに対して「復讐」するなど、思いもよらないことだった。

「前からずっと思ってたんだよ。こいつすごく生意気だなって。おまえもそう思うだろう?」
「で、でも……」
「せっかくのチャンスなんだ。少し遊んでやろうぜ」
「どっ……どうやって?」
「まあ見てな」

ニキビ面の少年はウィンスレットの腹の辺りに手をかざす。
触れるか触れないかのギリギリのところで手を止め、耳元で囁く。

「僕が指を鳴らしたその瞬間、お尻がゆっくりと持ち上がって、君は空を飛ぶ。君は世界で一番美しい天使になって……広い広い空を自由に飛び回ることができるようになる……さあ、行くよ……広い青空をイメージして……」

腹に手をかざした手で指をならすと、ウィンスレットは顔を上に向けたまま、ゆっくりと立ち上がった。
パイプ椅子が軋む音を立てた。

「さあ、両腕を横に広げて……君は今、自由に空を飛んでいるよ……首筋に冷たい風を感じながら、真っ白でふわふわの羽根が背中でゆっくりと動いている。そうだね?」

ウィンスレットは少年の言うとおり、両腕を横に真っ直ぐ伸ばしたまま、ゆっくり、ゆっくりと前に進む。
少年は呆然としている眼鏡の少年に口パクで命令する。
――机の上を片付けろ。
眼鏡の少年はいそいそと机に近づき、よけいなものをすべて机の下に押し込む。
最後に、ウィンスレットが持ってきた廃部申請書を手に取ったとき、ニキビ面の少年は首を横に振った。
その書類は置いたままにしろ、と言いたいらしい。
眼鏡の少年は慌てて机の上にその書類を置き、息を潜めながらウィンスレットの様子をうかがった。

「君は世界で一番美しい天使……世界で一番美しい……でもね……」

ウィンスレットのつんとした耳にそっと、小声で話しかける少年。
新たな暗示をかけるためにーー。

「君はあまりにも美しすぎるから……醜い悪魔に捕らわれてしまうんだ。さあ、イメージして。豚のような顔に、ゴリラのような巨体を持つ悪魔が君の前に現れる……とても臭くて、醜くて、目を背けたくなるようなおぞましい生き物が現れる……!」


576 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:09:03 ???

その言葉を囁いてすぐに、ウィンスレットに異変が生じた。
彼女は両腕を横に伸ばしたまま足を止める。
そしてしばらくの沈黙の後、ウィンスレットの膝が震え始めたのが分かった。
スカートからすらりと伸びた彼女の脚は、弱々しい内股になって両膝がくっつく。
その震えはたちまち彼女の唇にも伝わった。

「ぁ……ゃ……っ」

寝声に似た微かな喘ぎ声をあげるウィンスレット。
彼女は無意識に、止まっていた足を動かして後ずさりを始めた。
その恐怖している様子は眼鏡の少年の目にもはっきりと見て取れた。

「目の前にいる悪魔に、君はおびえてしまう……とても怖い、とても怖い……君は思わず恐怖で身が竦んでしまう……とても怖い、とても怖い……僕が3つ数えて指を鳴らすと、君はもう一歩も動けないよ。1……2……3」

パチン、と鳴らしたその瞬間、ウィンスレットの足の裏がピッタリと貼りついて動かなくなった。

「っ……!? なんっ……でっ……!?」

ウィンスレットは切羽詰まった声を上げながら暴れる。
しかし下半身は石膏で固められたかのように動かない。

「い、いや……いやよ……! 来ないで……お願いだからっ……!」
「さあ、目の前にいる悪魔がゆっくりと近づいてくるよ……けれど君は逃げることができない……世界で一番きれいな君が、世界で一番汚い悪魔に……おもちゃにされてしまう……」
「いっ、イヤっ! いやぁっ!」

ウィンスレットは本気で嫌がっている。
汗がぐっしょりと首筋から滲み出していることがその証拠だ。

「空を飛んでいる君は、悪魔に捕まって、汚い地面に押しつけられてしまう……臭くて汚い泥の地面に、思い切り顔を押しつけられてしまう……さあ!!」

少年は思い切りウィンスレットの後頭部を押して、先ほど片付けた机の上に顔を押し当てる。
うつ伏せに押し当てられたウィンスレットの顔の位置には、ちょうど廃部申請書が置かれてあった。

「やだぁっ、イヤアァアアーっ!! やめてぇっ! さわらないでぇっっ!!」

ガタガタと机を揺らしながら暴れるウィンスレット。
しかし少年は冷静に彼女の両肩を押さえ込んで動きを封じる。

「僕が3数えて指を鳴らすと、君の腕と足は動かなくなる……1、2、3!」
「あっ……あぁうっ……!」

ウィンスレットは少年の言うとおり両手も両足も動かせなくなった。
少年はウィンスレットから手を離し、耳元でぼそぼそと呟く。

「君はもう、悪魔から逃げることはできない……悪魔が狙っているのは、君の背中に生えている大きな天使の羽根なんだ……」

そして、少年は口元をゆがめて、さらに暗示をかけた。

「今から君は、その羽根をもぎ取られてしまうんだよ」


577 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:10:23 ???

眼鏡の少年は、その言葉を聞いて驚いた。
ウィンスレットは、天使ではなくて人間だ。
無論、背中に羽根が生えているわけがない。
しかし、今の彼女は催眠状態だ。
ニキビ面の少年が暗示をかけた催眠の世界で、彼女は紛れもなく天使へと変身している。
見えない羽根をもぎ取ることが、果たしてできるのか。

……できるのだ、と眼鏡の少年は思う。

ウィンスレットはすでに深い眠りに堕ちている。
自分が天使だと、心の底から思いこんでいる。
だから彼女の羽根を奪い取ったら……!

「今から数字を1から数え上げるよ……その数字が大きくなるに連れて、君の羽根はどんどん引っ張られていく……そして10になったその瞬間……君の背中から羽根が千切れてしまうよ……この世のものとは思えないほどの、生き地獄のような激痛が走る……」

眼鏡の少年は、自分の胸が高鳴り始めていることに気づいた
。今、自分の目の前にいるのは、呂菜中の天使、ウィンスレット。
その彼女を痛めつけようとしている背徳感。
それは、眼鏡の少年にとって、いまだかつて味わったことのないものであったーー。

「1……」

数え上げ始めた途端に変化は現れた。

「ぁぐっ……」

目を閉じたウィンスレットは眉間に皺を寄せて歯を食いしばる。
催眠状態に置かれている彼女も、痛覚は敏感に反応を示す。

「ぃった……ぃぃっ……!」
「2……」
「ぅ、ぅあぁっ、ぐゥっ……!」

たった一つ数字が増えただけで、辛そうに身をよじってしまうウィンスレット。
彼女は汗を流し、つんとした甘い香水の匂いが漂う。

「3……」
「ゃ、やだぁっ……! いっ、ヤァあ……っ!」

両足を床に着けながら、上半身がうつぶせの格好で机に体を密着させている。
その背中の痛みに耐えかねて、腹を浮かせて腰をくねくねと動かしてしまう。
しかし、どのような態勢になろうとも、羽根をもがれるという苦しみから逃れることはできない。
へそのあたりを机に擦り付けながら、時折お尻を浮かして上半身を捻ろうとするウィンスレット。
その動きで、彼女の清潔で短いスカートが揺れ動く。

「3……3……3……3」

少年はずっと3を数えている。
その間もウィンスレットから痛みは消えない。
華奢な体型のウィンスレットは、全身の薄い筋肉を強ばらせながら、けして止むことのない痛みに耐え続ける。

「ぉ、おねがっ、ぃっ……やめ、てぇ……もぅ、ゆるしてっ……」

その振り絞るような声は、かつて誰も耳にしたことはなかったであろう。
しかし、眼鏡の少年は、しっかりととその涙声を耳にした。
喉と鼻の奥を震わせるようにして出てくるウィンスレットの涙声を。
眼鏡の少年は、そのウィンスレットの様子をじっと目にしていたが、やがて思い出したかのようにはっと視線をあげる。

「ね……ねぇ」

両脚が時折ピンと張り詰めるようにして、痛みに耐えているウィンスレットを見ながら、眼鏡の少年が口を開く。

「それぐらいに、してあげようよ」

気弱だが心優しい眼鏡の少年は、ギシギシと机を軋ませるウィンスレットから視線を逸らした。
いけないことをしている、という想い。
しかしニキビ面の少年は何も言わない。
呪いをかけるように、3を呟き続けている。

「かっ……かわいそうだよ。すごく、苦しんで……」

目をギュウッと閉じているウィンスレット。
生徒会長として、堂々たる振る舞いで校内を取り仕切ってきた彼女が、目を潤ませながら許しを乞うている。
眼鏡の少年にとって、これ以上彼女を苦しめることは恐怖でしかなかった。
ここからさらに数字を数え上げれば、いったいウィンスレットはどんな姿を見せるというのかーー。
それは眼鏡の少年には全く想像がつかないことだった。


578 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:11:27 ???

「3……3……3」
「ぅ、ぅあぅっ、ぁっ、は……!」

断続的に続く痛みに慣れてきたのか、ぎゅっと閉じていたウィンスレットの目元に力が抜けていく。
そしてゆっくりと目を開こうとした、次の瞬間。

「3……3……7!」
「はグぁあアあっ!!?」

目を見開くウィンスレット。
そのまま反射的に背中を仰け反らせてしまう。
机がガタガタと大きく揺れるか、両手両足はびくともしないでいる。

「ひゃめ”っ……ぁあっ、ああああああああアアアアっっ!!」

鋭く裏返った悲鳴をあげ、自由に動かせる腰を浮かせ、何度も机に打ちつけるようにして暴れる。
首も大きく上に仰け反り、激しい叫びに唾液をたらたらと滴らせる。
ウィンスレットの目は開いていた。
それにもかかわらず彼女はいまだ天使のままだ。

「やべでぇえェエエ……っっ! もげちゃうっ、もげリュううう!!」

ウィンスレットは完全に心を掌握されていた。
彼女の意識はこの世にはなく、醜い悪魔に羽根をもがれるという、止むことのない苦しみに堕ちていた。
だらだらと両目から涙を流し、その顔を机に擦り付ける。
彼女の顔から垂れ流された体液で机の上が汚れ、その汚れに蛍光灯の光が反射して、ぬらぬらと粘度のある輝きを放っている。
その凄惨な乱れ方に、眼鏡の少年は声が出ない。
呆然と口を開いたまま全身を硬直させている。

「あ……あぁ……」
「わらぢのはね”ぇぇえっっ、わらぢのはね”ぇェエエっっ、っ、っ!!」
「あの、会長が……こんなっ……」

全生徒の前ではきはきと喋る生徒会長が、嗚咽を漏らしながら悶絶している。
少年は訳がわからぬまま、ただその痴態をじっと見つめていた。
あまりにも夢中になりすぎて、制服のズボンの上からはっきりと分かるほど固く勃起させていることにも気づかないでいるようだった。
少年は興奮のしるしとして、先端に当たる部分に染みを作っていく。
しかし、ニキビ面の少年は、さらに少女を虐げる。
乱れに乱れた黄金色の髪をつかみ、机に押し当てていた顔を無理やり晒す。
その顔を、眼鏡の少年は目に焼き付ける。

「7……7……8……」
「ぎニャあぁアァああっっ!? ぉっ、ぉあっ、アァぁあぁぅうあぁああッッッ!!」

今まで眼鏡の少年が抱いていた生徒会長のイメージが、音を立てて崩れていくような想いで、その絶叫を聴いていた。
死が目前に迫ったとき、たとえどれほどの美少女であったとしても、喉が潰れるような凄絶な悲鳴をあげるのだということをーー眼鏡の少年は、その日初めて知った。
ニキビ面の少年は、さらにウィンスレットの頭を掴んだまま、何度も机に顔を叩きつける。

ガンっ!ガンっ!ガンっ!ガンっ!

執拗なまでに顔を叩きつける。
絶叫は頭を打ちつけた瞬間に一瞬途切れる。

「ギャアッ! ぐぁあっ! ぅあっ! んあぁあっ!!」
「もうすぐ君は自慢の羽根を奪われてしまう。綺麗でふわふわとして真っ白の羽根は、今やめちゃくちゃにむしり取られる……そして僕が10を数えた瞬間……羽根は君の真っ赤な血の色に染まって、君は地の底まで堕ちながら死んでしまうんだ」
「あぉああぉうあっ、ひっ、ひにたくないっ、ひにたくないっ……ひにたくっっ……」
「9」

その時、ウィンスレットの目は完全に裏帰った。
額は何度も机に叩きつけられて真っ赤になり、外国人とのハーフであるために高くなっていた鼻が、まるで豚鼻のように潰れて、その穴から鼻血が出ている。

「ひぬっ……ひっ、ぅっ、ガボガボっ、ゲボボォッ」

ウィンスレットの口から、蟹のように白く濁った泡がぶくぶくと逆流した。
10になれば、自分は羽根をもがれて死ぬ。
完全にその暗示を信じ込まされたウィンスレット。
死の圧倒的な恐怖を前にして、肉体が反射的に拒否反応を起こしたようだった。
ウィンスレットが吐き出した泡は、机の上に置いたままにしていた廃部申請書をぐちゃぐちゃに汚した。

「君の背中に、真っ赤な血が流れているのが分かるね。羽根の付け根から血がだらだらと……」
「ーー、ーーーーーーっ、っ!」
「意識が薄れてきたようだね。その意識が完全に閉じた瞬間が、君の最期さ」
「ぅ、ぁ、ぁへ、ぁひっ……」
「……かくして、世界で一番美しい天使は、純白の羽根を奪われてしまったとさ。めでたし、めでたし」

そう言って、ニキビ面の少年はウィンスレットの顔を机に押し付け、後頭部をしっかりと抑えーー。
静かに、終わりを告げた。

ーーーー10。


579 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:12:30 ???
大きく身体を仰け反らせた。
舌を突き出し、細い首筋の奥に隠された喉元を晒し、もはや五十音のどれにも当てはまらないような断末魔をあげる。
その瞬間に四肢を拘束する催眠が解けたのか、両足が床から浮き上がり、両手を蜘蛛のようにがくがくと動かす。
プライドの高い生徒会長が、机の上で腹ばいになりながら、死に際の魚のように踊り狂っている。
焼けるような背中の痛みから、逃れられるはずがないのに逃れようとするウィンスレット。
身体を海老反りにしながら寝返りをしてーー机の上から落下した。

二人の少年の足元で仰向けに寝転んで、わなわなと唇を震わせながら、みるみる表情が青ざめていくウィンスレット。
催眠の中で彼女は死につつあるらしく、あれだけ叫んでいた口からはもうあえぎ声すら聞こえない。
舌を突きだしてぐったりと顔を横に向けたまま、ぴくりとも動かなくなった。
両足をがに股に広げて、花柄のショーツが丸見えになっていた。
ニキビ面の少年はスマホを取り出し、その姿を写真で撮り始めた。
あられもない態勢で床に転がっているウィンスレットの全身写真。
涙でぐちゃぐちゃになった顔のズームアップ。
そして最後に、学校の制服である胸元のネクタイを掴んでウィンスレットを起こすと、部室の扉を開けて外の廊下に放り投げた。
尻餅をついて仰向けに倒れたウィンスレットの腹の上に、突きつけてきた廃部申請書を置く。
そのままニキビ面の少年は、勝ち誇ったような笑みを浮かべて、最後の暗示を耳元で囁いた。


580 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:13:35 ???



「ーーーーはっ!?」
「はい、おはようございます」

ウィンスレットが目を覚ましたとき、自分が廊下の上に寝転がっていることに気づいた。

「え……なに……なによ、どうなっているわけ?」
「なにもどうもないですよ。ずっと僕の催眠にかかっていたんですよ」

ウィンスレットは自分の記憶を確かめる。
このくだらない催眠部とやらを強制的に廃部させようとこの部室に一人で乗り込んで……その後、どうなったのだろうか。

「覚えてないんですか? 会長に催眠術を試して見せたんですよ」
「……!」

その通りだった。そのことを言われるまで、ウィンスレットは完全にそのことを忘れていた。
自分は確かに、この貧相で弱そうな少年を前に宣言していた。
「だったら私に催眠術をかけてみなさいよ。無理に決まってるけど」
しかし、その後の記憶が全くない。
気が付けば自分は廊下の上に寝転がっていた。

ーーまさか、そんなはずはない。
催眠術などというくだらないインチキに、自分がかかったはずがない。

しかし、なぜ自分はこれほどまでに汗をかいているのか。
全身から汗が噴き出していてワイシャツの下が気持ち悪い。
そして何故、自分の心臓がこれほどまでに高鳴っているのか。
それら全ての説明がつかない。

「催眠、かかってましたよね? そういうことなんで、廃部は無しということで良いですよね」

……確かにそう認めざるを得ない。
しかし、ウィンスレットはそれでも自分の意見を曲げるつもりはなかった。
勝ち誇ったような微笑みを浮かべるニキビ面の少年を見ているだけで腹が立った。

「あいにくだけど、廃部よ」
「なぜですか」
「決まってるでしょ。なぜって……なぜって、全部演技だったからよ」

苦し紛れな嘘だった。
それはウィンスレットも理解していた。

「そ、そうよ! 演技よ! あなたたちのくだらない遊びに付き合ってあげただけ。まったく、催眠なんてオカルトじみたことをやってるひまがあったら、ちょっとは勉強するなりしたら? どうせ貴方たち、ろくに運動もできないでしょうし!」

しかし、自分の意見を曲げることはプライドが許さない。
このニキビ面の少年の言いなりになったことを認めたくない。
自分でも下劣な言葉を吐いていることが分かっていても、その口を止めることができない。
ウィンスレットは思いつく限りの悪口を並べ立てて、少年たちをののしる。
しかし、それも長くは続かず、ぜいぜいと息を吸い込んだところで……少年は、ごそごそとポケットからスマートフォンを取り出した。

「へえ、これが演技だったんですか?」

ニキビ面の少年は、スマホで撮った例の写真をウィンスレットに見せつけた。
そこには――。

「ぇ……?」
「ウィンスレットさんはすごいなあ。こんな惨めで不細工な顔をしながら、僕らにがに股まで見せたのに、全部演技だったんだね」
「なに……これ……?」

何が何なのか分からず、呆然とした表情を浮かべるウィンスレット。
スマホに映し出されているのは、思わず目を背けたくなるほどの下品な少女であり、そして、その少女は間違いなく自分であった。
目を見開きながら全身を震わせる。
それはいつもの、怒りによるものではない。
純然たる恐怖。

「あ、そのお腹に乗ってる廃部申請書が俺たちの実績ですので。会長の涙と唾液でぐしゃぐしゃになったその書類」

ウィンスレットの脇に落ちている、濡れて部分的にインキがにじんだ申請書があった。

「う、うそ……っっ」
「嘘じゃないですよ。嘘をついているのは会長のほうです。催眠、かかってたんですから」
「う……」

ウィンスレットは勢いよく立ち上がると、ニキビ面の少年に詰め寄る。

「うるさいわね! この私が廃部と言えばこのクラブは廃部なのっ! これは生徒会長命令よ! さっさとここから立ち退いて……!」

口角泡を飛ばしながら詰め寄るウィンスレット。
そうでもしなければ、恐怖に負けてしまう。
自分の意識を、目の前にいる少年に掌握されたという屈辱感と、圧倒的な恐怖。
もう、疑う余地はどこにもない。自分は完全に目の前の少年の言いなりとなっていた。奴隷となっていた。
意識を失っていたあいだに何をされていたのかすら分からない。

「廃部だけじゃ済まさないわ! あたしの力であんた達を退学にしてやる! なんだったら警察に――!!」

しかし、ニキビ面の少年は愛想よく笑いながら指を鳴らすとーー。


581 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:14:37 ???

「ーーっぁ!?」

がくん、と両脚を曲げるウィンスレット。
ニキビ面の少年の前で跪いてしまい、四つん這いになってしまう。

「な、なにっ……? 背中が、急に……っ!」
「催眠を解く前に暗示をかけておいたんですよ。僕が指を鳴らすと、背中に痛みが走ったあの感覚を思い出すことができるように」
「ふっ、ふざけないでっ……こんなのっ、気のせいなんだからっ……」
「1……2……3……4……5」
「ぁっ?! やっ、あああああああ!!?」

跪いたウィンスレットは、再び床の上を転げ回ってしまう。
彼女の汚れ一つない制服が床の埃で白く汚れる。

「さて、帰ろうか」

ニキビ面の少年は眼鏡の少年にそう告げると、外に出た。
眼鏡の少年は、ちらちらとウィンスレットの姿を見ながら、慌てて後を着いていく。
その逃げる足首を捕まえようと、ウィンスレットは手を伸ばす。

「まっ……まちなっ、さ……!」
「6……7……8……9」
「ぃ、ぃやっ、うぁああああああぁぁああっっ!!!」

びくん、びくんと跳ねて転げまわるウィンスレット。
数字を数えられただけで、少年の思うがままに嬲られてしまう身体へと、もうすでに作り変えられていた。
少年は部室の扉を閉め、最後の数字を呟く。

「10」

息が詰まったようなあえぎ声と、パイプ椅子が倒れる激しい物音を、少年は閉めた扉越しに聞いていた。








眼鏡の少年は、あの日の出来事がずっと忘れられないでいた。
ニキビ面の少年がウィンスレットの髪を引っ張って持ち上げたときの、白眼をむいて唾液を垂れ流していた彼女の顔。
彼はこっそりと、校内新聞を束で家に持ち帰った。
その新聞には、堂々とした態度で学園祭を取り仕切るウィンスレットの顔が写されている。
彼は自分の部屋でその新聞を広げると、鋭いシャープペンシルで彼女の顔に穴を空けたり、引っかいたりして遊んだ。
誰にも知られてはならない一人遊び。
そしてその新聞をくしゃくしゃに丸めると……その新聞を自分の股間に擦り付けた。
本来は、異性の裸を見たり想像したりしながらするというその行為。
少年は今まで、その行為がどういうことなのかよく分からないでいた。
しかし、少年はその日はじめて、あのウィンスレットの痴態を思い出しながら、丸めた新聞の中に自分の白いカタマリをぶつけた。

あの日以来、ウィンスレットは学校に姿を見せないでいる。


<END>


582 : 名無しさん :2014/12/06(土) 14:17:36 ???
以上になります
リクとはイメージが違うものになっていないか不安です…
エロ無しでリョナ的リアクション特化とのことでしたが、こんなのでよかったのでしょうか

とりあえずノシ


583 : 名無しさん :2014/12/06(土) 18:19:00 ???
540ですが…リクの料理の仕方の上手さに感心しました!
催眠術で架空の器官を空想させてそこにダメージを与えるとは…
正直その発想はなかったって感じですw
自分の想像力では爪剥がしや指折りくらいしか思い浮かばなかったので…

ウィンスちゃんかわいくていいですね
金髪+綺麗な肌の14歳とか正に俺得なキャラ設定ですよ
そんな子に人間やめたような悲鳴上げさせるとか素晴らしいですw
素敵なSSをありがとうございました!


584 : ハム子の人 :2014/12/06(土) 21:46:46 ???
GJです 私も催眠物として楽しませて頂きました
催眠とか体感ダメージ(遊戯王のソリッドビジョンとか)だと死を気にせずエグい目に遭わせられるのは良いですね
悲鳴やダメージの表現もリアルで素晴らしかったです ウィンスレットちゃんは実に良い反応をしますね!


585 : 名無しさん :2014/12/08(月) 12:38:48 ???
ノエルの人です
喜んでいただけたので良かったです!
オリキャラのSSはやっぱり難しいですね

次は>>538のリクに行ってみようかと思います
チート級に強い女子の幼児退行ネタとのこと
ラスボスの風格漂うような女の子でいいんだろうか


586 : 名無しさん :2014/12/08(月) 18:50:24 ???
まずは右ローを放ち、スッと距離を取る葵。右ミドルからサイドキックにつなげるが、アイーシャが距離を詰めて組みついていく。ケージに葵を押し込んだアイーシャは、ボディロックからテイクダウンを狙うも、葵も粘る。と、引き込んだアイーシャがハイガードから腕を絞って、スイープに成功、右のパウンドを落す。

腰を畳まれ、ヒップエスケープができない葵も、足を戻して三角を狙う。葵はハイガードからオモプラッタへ。ヒザをボディに乗せて耐えたアイーシャに対し、葵はラバーガードから腕十字。腕を引抜いたアイーシャが、スピードと体重の乗った左ストレートを顔面に落したところで、初回が終了した。

2R、左ジャブを伸ばすアイーシャは、直ぐに組みついて葵をケージに押し込む。小内刈りを崩され、ガードを強いられたアイーシャ。彼女のスイープ狙いを潰した葵がマウントを奪取する。アイーシャはシザースからケージを蹴ってマウント返しを狙うも、葵がトップを死守。一度はハーフの態勢になったアイーシャだったが、首を殺されておりすぐにパスを許してしまう。

再びマウントから、反対側のサイドと果敢に動く葵に対し、フルガードに戻したアイーシャがゴゴプラッタへ。さらにパンチを入れるアイーシャ、葵は果敢にパスを狙い、足のロックを外すと立ち上がって、パンチを顔面に入れていく。立ち上がったペネの腰をコントロールし、テイクダウンに成功した葵。左右のパウンドを落すが、アイーシャも足を利かせ続けた。

3R、左ハイから左ローを見せた葵に組みついたアイーシャが、ここはしっかりとテイクダウンを奪いサイドへ。マウントからバックマウントを取ったアイーシャは、勢いのあるパンチ、鉄槌を落す。足を戻した葵が後方回転から立ち上がろうとするも、アイーシャはバックに回る。葵がガードをとったところで、再び重いパンチを見舞っていくアイーシャ。その後も、サイドからニーイン、葵の足を捌いて、パウンドと攻撃の手を弛めない。葵はシングル狙いを潰され、バックからエルボーを側頭部に受け厳しい状態に。

マウントを許し、パンチを受けると腕を差しだして葵に、アイーシャは待っていましたとばかり腕十字を仕掛ける。危ない方向に腕が曲がりながらも、ヒジを抜いた葵がトップを取り返す。アイーシャは慌ててスイープし、トップを取り返したところで、3Rもタイムアップとなった。

4R、左から右をアイーシャが伸ばすと、下がった葵はヒザを狙うが、ここでケージに押し込まれてしまう。差し上げテイクダウンは成功しなかったアイーシャは、引き込みを見せて、足関節からスイープしバックを狙う。背中を取らせないよう、前方に走り抜くように立ち上がった葵だが、直後にシングルレッグでテイクダウンを許す。倒されながらもバックを伺う葵を振り落したアイーシャ。ここで一瞬、間が空いてしまったのか、直後に葵が腕十字で左腕を伸ばす。腕が一気に伸びきり、タップしてしまうアイーシャ。

その後も、茫然自失といった表情を浮かべ続けたアイーシャ。一方、歓喜の涙にくれる葵。


587 : 名無しさん :2014/12/08(月) 19:25:00 ???
>>586
執筆乙です
SSというよりスポナビの観戦レポートっぽいなと思いました


588 : 名無しさん :2014/12/09(火) 17:53:16 ???
SS初投稿
アイドルマスターシリーズの星井美希です
大分蛇足などもありますが、ご容赦を

----------------------------------------
数ヶ月前
星井美希は失敗した
失敗といっても番組に影響を与えるものではなかったが、共演した相手が悪かった

芸能界、TV業界にも大きな力をもつ所謂「大御所」と呼ばれる人間
それの逆鱗に触れてしまった

星井美希のTVの仕事は明らかに減ったが、それでもまだマシなものではあった
彼女の担当プロデューサーの尽力によるものであったが

(ハニー、ミキのせいなの?)
プロデューサー自身は日毎に消耗していた
美希の前では気丈な姿を見せようとするが、だんだんその余裕もなくなっていってることが美希の目にも分かった
それは、彼をハニーと呼んで慕う美希には堪えがたい姿であった

(ハニーを助けてあげたい)
そのために、少なくなった仕事に全力以上の力を尽くしてきた
そんなある時、美希宛に一通の手紙がファンレターに混じって届いていた

『その身を削り、再び芸能界で輝きを取り戻すよい方法があります。二人きりでお話がしたい』

普段ならばこのような戯言を信じはしないが、美希は気づけばその話に応じていた
話を聞くだけ。そのつもりだった


589 : 名無しさん :2014/12/09(火) 17:54:23 ???
「お話に応じてくださって感謝しています。星井さん」
話を持ち掛けてきた相手はいかにも業界人という風体の男
量産型のビジネスマンといったところだろう
何人もこういう男とは対面してきたが、こういう時いつもとなりにいる「ハニー」がいないことは、少なからず美希の心を動揺させていた
「単刀直入に申し上げます。星井さんには二つの事柄に協力していただきたい」
「二つ?」
「はい。一つはショーへの出演。vipの方々へ相手をしていただきたいのです」
「vip、ショー、それって」
「おっとっと。そういう”いかがわしい”ものではないですよ。ご安心ください。アングラなものであることは間違いないですが星井さんの貞操観念を傷つけるものではないことは保証しましょう」
「・・・・・・」
ずけずけとものをいう相手に美希は瞬間、呆気にとられた
「もう一つは新薬の実験。こちらもそうリスクが高いものでないのでご安心を。ショーの後の星井さんに必要になるでしょう」
「・・・ほんとう、だよね」
「ほんとうですとも」
馬鹿げている。ハニーはやめろというだろう。それでも
「・・・それで」
「うん?」
「それをやれば、ミキは輝く舞台に戻れるの」
「それは保証しましょう。vipの中には、『大御所』以上の力をもつ方もいますから」


590 : 名無しさん :2014/12/09(火) 17:56:01 ???
「レディーーース!アンド、ジェントルマン!!ようこそおいでくださいました!」
遊園地の呑気なアトラクションのようなステージと観客席
目を引くものがあるとすれば、ステージ中央に人間大の円柱が立っているくらいだろうか
そこに不釣り合いに異様に高いテンションのMCの声が響く
それこそ、時間帯が深夜でなければ子供たちを沸かせる楽しいショーが始まるかのようであった
「このような時間、眠い目を擦って参加されている方々もおられるでしょう。しかし、本日は皆様一瞬たりとも目を離してはいけませんよ」
「さて、前ふりは止めて、早速今夜のゲストに登場していただきましょう。765プロが誇るアイドル、星井美希ちゃんです!」
ワアァーッと歓声が上がる中、星井美希がステージの中央へ現れる
観客席に手を振って笑顔を振りまく
でも、ここでやるのはきっと歌をうたって踊るとか、そういうことではないのだろう
「いかがですかみなさん、齢15にしてビジュアル・クィーンの名を得るまでのこの見事な容姿。身長161、上から86、55、83のこのカラダ、彼女をおかずにした方も少なからずいるでしょう。かくなる私もその一人です」
ドッと笑いが観客席に起こる
「さて、美希ちゃん。意気込みは、どうかな」
MCのマイクが美希の方へ突き出される
「え、えーと、何をやればいいのか、わからないけれど、とにかくがんばるの」
「オーケー、その初々しい反応、そうだよ。そういうのが観たいんだよ。じゃあ、準備に入ろうか」

「準備、ってなんなの!」
突然、ステージの端から屈強な男が現れ、美希を両脇から掴まえ中央へと引きずっていく
「ちょっと!やめてよ!やあ!」
ろくに抵抗もできぬまま、美希はステージ中央の円柱に後ろ手を回す形で縛られ、足首、ウェストの部分を
円柱に括りつけられ、わずかに身を捩ることしかできなくなってしまった

「ちょっと!いったい、何をするの!」
「だーいじょうーぶ。とはいえないかな。まあ、じきにわかるよ美希ちゃん」
「さて、みなさん!まずは前座をお楽しみください!」
マイクを持ち直して、異様に高いテンションでMCがショーの始まりを告げるとともに、観客席が沸いた
(ミ、ミキ、どうなっちゃうの)


591 : 名無しさん :2014/12/09(火) 17:57:12 ???
ステージにナイフを数本両手に備えた男が現れる
これ見よがしに、ナイフをジャグリングのパフォーマンスを行い、美希の正面に立った
「え?え!?ちょっと!」
「さて、美希ちゃん。動かないでね」
MCが言い終わるが早いか、美希に向ってナイフが投げられる
「ひっ!」
同時に3本。美希の顔を外しつつも、その近くにナイフが突き刺さった
観客席から拍手が起こり、ナイフ投げの男は観客たちに一礼をする
男は美希の方に向きなおすと、今度は目隠しをつける
「だ、大丈夫なの!」
「大丈夫じゃないかもね。うまく避けた方がいいかもね」
「え」
ナイフが美希に向って投げられた
「いや!」
わずかに自由がきく頭を動かす。今度はナイフは、美希の顔があった位置に突き刺さっていた
「グッドだよ!美希ちゃん!」
MCが拍手をすると、観客席からも拍手が起こった

「さーて、会場も温まったところで、いよいよメインといきましょう!」
美希を拘束する円柱に刺さっていたナイフが抜かれるとともに、MCが宣言を行うと
ナイフの男と入れ替わりに、別の男が現れた
「な、なんなの!それ!」
男が手に持っているものを見て、思わず美希は叫んだ
「投げ輪だよ。見てわからないかな。美希ちゃん」
投げ輪と言われれば投げ輪である。だが、その投げ輪は祭りの縁日の屋台で見かけるようなものではなく、内側と外側に鋭利な金属の棘が並んでいた
「すごいでしょ、美希ちゃん。あのトゲは一本一本がカミソリみたいによくきれるんだ。で、いうなればこれは人間輪投げ。ターゲットはもちろん美希ちゃんだよ」
「あ、あんなの・・・投げられたら・・・」
「せいぜいvipの方々を楽しませてあげてね。美希ちゃん。ちなみに、今からあれを投げるあの人も、その筋では高名な人だよ」

「さあ、みなさん!ここから先は、瞬きは厳禁!存分にお楽しみください!」
男が美希の正面で片手に二つ、禍々しい投げ輪を構える。金属がぶつかる軽快な音が響いた
”一本一本がカミソリみたいによくきれるんだ”
MCが言っていたあの言葉がよぎり、美希はごくりと生唾を飲み込んだ


592 : 名無しさん :2014/12/09(火) 17:58:12 ???
数度、投げ輪を構えなおしたのち、男の手から一つ、投げ輪が投げられた
ビュンっと空気を裂く音とともに、凶刃と貸した輪が美希に迫っていく
「きゃ!」
傍を掠めていった投げ輪によって美希の自慢の髪の毛が数本、はらりと落ちた
そして、続けざまに再び輪が投げられた
「あう!」
今度の投げ輪は美希の二の腕と胸の一部を切り裂きながら、飛んでいった
じわりと血が滴り落ちていく
(うう、いたい、の)
研ぎ澄まされた棘の刃で切られた後の、独特の痛みが美希に走った

「ああーっと、おしい!しかし、このくらいでなければ、あとの方々の楽しみがなくなるというもの!むしろグッジョブと言うべきかー!」
「ね、ねぇ」
「うーん?」
「これが、ショーなの?」
「ああ、そうだよ。vipのみなさんは、美希ちゃんがひどい目にあって喜ぶんだ」
「・・・そんな」
「まあ、美希ちゃんのせいでいろんな人傷ついたんだから、美希ちゃんも傷つかないとだめじゃない?」
その言葉は、美希の心を大きくえぐった。胸と二の腕の鋭い痛みを、忘れさせてしまうほどに


「さあ!どんどんいきましょう!」
投げ輪をもった男たちが入れ替わりながら入ってくる、
その度に、美希の体に少しずつ傷が増えていった
致命傷には至らないのは、わざとそうしているのか、投げ輪が投げにくいのか
投げられた投げ輪の数が10を超えたころ
「さーて、そろそろ本意気といきましょうか、みなさん、よろしいですね!」
「え?なにそれ!?」
次にステージに現れたのは、今までよりも幾分たくましい男
そして、両手に持った投げ輪は、美希と円柱を囲うことができるくらいに大きいものであった
美希の全身が強張った
そうしたところで、どうにもならないことは分かっているのだが
「美希ちゃん、やめてとか言わないの」
「言ってやめてくれるなら最初に言ってるの」
「気丈だね。いやはやそうじゃないとゲストとして呼んだ意味がない」

男が輪ゴムか何かのように、投げ輪を指一本で回転させる。男の頭上にまで持ち上がったところで会場がどよめきたった
男の腕がしなると、回転していた投げ輪は美希の方へと飛んでいき
美希を拘束していた円柱へ引っかかり、ちょうど輪投げが「当たり」を得るように、
回転の勢いを落としながらも美希の体へと落ちていった
「ぐっ!うんっ!ああ〜〜〜!」
「あーっと、胸の部分で引っかかったねぇ。さすが美希ちゃんといったところかな」
内側にも備えられた棘が体に刺さり、さらに回転の勢いが止まるまで切り裂かれる
「はっ はぁ・・・はぁ・・・」
痛みに堪えるため、息を止めていたからか、呼吸を整える
「でも、もう次がくるみたいだよ美希ちゃん」
「え」
美希が見たときには、既に次の輪が向かって投げられていた
投げられた輪は、円柱、そして美希へ
せめて顔は守らんと、下を向く
「あぐぐぅ!」
輪が重なったためか、先に引っかかっていた輪が下がり、棘が一層食い込んだ
「さあ、またくるよ」
また鉄棘の輪が円柱へかかり、美希へ襲いかかった
「あっっく!きゃあああああ!」
最初に体にかかっていた輪が、ついに下へおりていいった
美希の体を容赦なく蹂躙し、引き裂いていく
「いやあ、いい悲鳴だよ。美希ちゃん」
「あぅ。くっ。うぅん」
「あれ?美希ちゃん痛かったかな。泣いてるね」
「い、痛くないわけないの。体中、傷だらけで。こんなの」
「でも、残念だけど、まだ終わらないんだ」
「うぅ・・・、う」
「泣いてもダメだよ」


593 : 名無しさん :2014/12/09(火) 17:59:29 ???

「さーて、お次は趣を変えましょう!」
パンパンとMCが手を叩くと、ステージ脇からBBQなどに用いられる大型の炭火焼き器があらわれる
「こ、こんどは何をするの」
いつのまにか腕をすっぽり覆うアームカバーを装着した男が、炭火焼き器の中に手を突っ込んで取りだしたのは、
あの禍々しい棘付きの投げ輪であった
「え。ちょっとあれって!」
おそらく、すさまじい高温で熱せられたであろうそれ自身も炎に包まれて、投げ輪は棘の部分が赤熱していた
「い、いくらなんでも、うそでしょあんなの!」
「ところがどっこい。現実。あれも現実。すごいでしょう、特製の耐熱アームカバーがないと持てないくらいの熱量に、あれだけ熱されても柔らかさと硬さを失わない投げ輪に適した素材は大変なんだよ」
「あんなの、死んじゃうの!」
「大丈夫、死なない死なない。貴重な体験だと思うよ、肉を切り裂かれながら同時に焼かれるなんて、さ。それにしてもその表情そそられるね、大分余裕なくなってきた」
「余裕なんて、最初からないの!」
「ほーら、始まるよ。ショータイムだ」
まだ炎を纏っている投げ輪が、円柱にかかり、美希の体にすぽりとハマった
「きゃああ!う、ぐ、あああああ!がぁ!ああ、いたい!あつい!あつい!」
少しでも、熱さから逃れるために身を捩り、もだえる
円柱がぎしぎしと音を立てて、揺れる
2つ目に投げられていた輪、3つ目に投げられていた輪の棘が体に食い込む
暴れるうちに下にずり落ちていき、体を一層切り裂きながらおちていく
「うぎいぃぃ!!、ぐっ、あああああ!」
炎を纏った輪がずれていき、引っかかりがとれて落ちていった
「うぎゃああああああ!!!」
文字通り身を焼かれながら切り裂かれる衝撃に、美希は絶叫していた
それはほんの短い間だったが、美希には数十倍の時間に感じられた

「あ、ああああ・・・・あ・・・」
叫んだ反動か、喉が潰れたようになり、ひゅーっひゅーっと荒い呼吸となる
いつのまにか、足元に落ちた輪の炎は消えていた。すでに4つの輪が重なっている
「いやー、最高だよ美希ちゃん。今の声。アイドルとしてどうなのかと思うけど、vipの皆さんは大喜びだと思うよ」
「・・・ね、ねぇ。・・・・・・おしえて・・・」
「うん?」
「・・・ミキは、こんなに・・・悪いことを、・・・したの?」
「うーん。美希ちゃんの事情については知らないから」
「・・・・・・ああ、ハニー・・・・・・」
「弱音吐くのはまだ早いよ。まだ、これから」
ちゃきりと、金属がぶつかる音が響く
男の手にはまたあの投げ輪が構えられていた


594 : 名無しさん :2014/12/09(火) 18:01:12 ???

「いやぁ。ひどい姿になっちゃたね。美希ちゃん」
「あぁ・・・う・・・・・・」
あれから、美希は大小の輪を投げられた
体を切り裂かれ、焼かれ
足元には10近い輪が転がり、腕に、胸に、太ももに深く刺さりぶら下がる形になっているものもあった
体には最早傷のついていない個所の方が少ないだろう
「でも、美希ちゃん、安心して。次で終わるんだ」
「・・・え。ほ、ほん・・・とう・・・に・・・・・・」
「うん。vipの皆様も大分満足したから。これ以上やったら美希ちゃんもたなそうだし、それはこっちも本意じゃない。だから、終わり」
「・・・おわ・・・り・・・」

「さあ!みなさん!名残惜しいですが、本日のラストです!」
MCの宣言とともに、男が輪を構える
(これで、おわり)
輪は、ただまっすぐ美希を目指した
まっすぐ、輪は美希の腹部へと命中した
「ぐっ!」
美希は、生まれて初めて内臓が傷つけられ、かき回される音を聞いたと思った
「あっ、ぐっ、ぐぶぇ」
腹から沸き上がってくる嫌な感触、口の中に広がる鉄の味
美希の口から吐き出されたものに、美希自身が信じられなかった
「・・・これ・・・美希の・・・・・・血・・・?」
会場に喚声があがる
それも、もう美希にはどうでもよかった

拘束を解かれ、美希は担架らしきものの上にのせられる
腹部が、不思議と熱かった
呼吸が辛い
血が足りない
気をしっかりもたないといけない
(はにー・・・)
頭の中に、大好きな人の顔を思い浮かべた
もう一度、彼にあいたい。一緒に笑いあいたい
輝く舞台にたって、彼に褒めてもらって、ぎゅっと抱きしめてもらって
「いやぁ。よかったよ。美希ちゃん。本当に。コングラッチュレーション」
妙に能天気な声が届いた
「ひどいことになっちゃったけど、まあ、安心してよ。うちで開発中の新薬。これがちゃんと聞けばすぐに治るから」
そんなことも、もう美希にはどうでもよかった
ただ、せめてもう一度、あの人に会いたいと願った
「まあ、また何かあったら、よろしく頼むよ」
美希の胸の傷を愛でるように撫で、そして、乳房を血を絞り出すように揉む
美希の体がびくっとはねた
「ね」
腹部の傷に指を入れる
「う」
美希の口から小さく息が漏れた


美希は再び輝く舞台に立っていた
美希自身、あれは夢だったのだろうかと思うほどに
ただ、今でも時々、体中に傷が浮かび上がる幻覚に、苛まされることを、美希は誰にも話せずにいた


595 : 名無しさん :2014/12/09(火) 18:02:13 aMkm/PhE
以上です
唐突に現れて、勢いのままかいて、投下してしまいました

スレ汚しだったかな


596 : 名無しさん :2014/12/09(火) 18:29:46 ???
これは萌える!
自分の苦痛を見世物にされながらも気丈にPを思うとかなんという萌えシチュ
最後力尽きそうになったときの心情描写が美希らしくていいですね
段々アイドルの皮が剥がれて剥き身になっていくような悲鳴表現も良かったです

それにしても、これだけの事が出来る組織を敵に回した形になった
「大御所」のほうは大丈夫なんだろうか…w


597 : 名無しさん :2014/12/09(火) 21:23:51 ???
健気に耐える様子が素晴らしい


598 : 名無しさん :2014/12/10(水) 00:59:43 ???
初投稿とは思えないリョナのツボを押さえた作品だ
痛め付けられる女の子の描写中心でそれに伴う被害者の心理描写もあって…
「分かってらっしゃる」SSだと思う。素晴らしい


599 : 588 :2014/12/10(水) 22:33:20 ???
コメントありがとうございます
お褒めのコメントもいただき、感謝

「大御所」が黒幕だったり、961プロが絡んでたりとかも考えたんですが、
リョナとは関係ないし、SSだしテンポが大事と思ったのでやめ
ダメージ描写もくどくなりがちだった部分かなり削ったりしてます
髪の毛が焼けちゃったから髪短くするとかも

でも、おかげで美希にちゃんとスポットをあてられたかなと

人間輪投げの元ネタは北斗の拳、完全にまんまですw


600 : 名無しさん :2014/12/10(水) 23:00:45 ???
正直961プロが絡んでなくて良かったと思ったw
流石にライバルがそんな感じになるのは辛いものがある
まあダメージ描写重視なら改変もありとは思うけど精神が削られるw


601 : 588 :2014/12/10(水) 23:12:27 ???
美希の失敗の原因が961の工作とか考えたんですけど、関係ないからやめましたw
さすがに責め側にしようとは考えませんでした


602 : 名無しさん :2014/12/10(水) 23:30:10 ???
久々に見に来たら良作がいっぱいあって嬉しい


603 : 588 :2014/12/11(木) 00:04:38 ???
あと、やめてとか助けてとかも言わせないようにしました
美希が自分で選んだことなので

何度もすいません
失礼しました


604 : 名無しさん :2014/12/11(木) 00:07:04 ???
一時期かなり過疎ってたのに
最近は書き手も増えて活気あるよね


605 : 斑鳩の人 :2014/12/11(木) 00:17:18 ???
お久しぶりでございます。しばらく見ない内に書き手さんが増えましたね!
皆様レベルが高くて、愉しませてもらっています。

さてさて、私の方は冬コミの準備に少し余裕が出来そうなので、ちょくちょく
再会しようと思っています。次は以前書いたこころのSSの続編ですね…
今少しお待ち頂ければ、幸いです。それでは〜


606 : 名無しさん :2014/12/11(木) 22:41:43 ???
実用重視なSSか
雰囲気を大事にするSSか


607 : 名無しさん :2014/12/12(金) 02:20:42 ???
義姉妹の悲劇
いまいちSSの内容とも違うしスレチな気もしますしざっくり的な絵で申し訳ないですし・・。
http://imefix.info/20141212/291033/rare.png
なんかすいません。


608 : 名無しさん :2014/12/12(金) 02:52:46 ???
すげえ…迫力のある構図で意識が飛びそうなダメージ具合が伝わってくる…


609 : 名無しさん :2014/12/12(金) 09:59:19 PDpYizB2
まさかこっちに絵師さんが来るとは、、感謝です!
そしていい具合のリョナとエロw


610 : 名無しさん :2014/12/12(金) 16:25:20 ???
絵師さんもこっちで描いてよかったかもね
今向こうは何かと荒れてるから


611 : ハム子の人 :2014/12/12(金) 18:27:28 ???
素晴らしい投稿があったのにすっかり出遅れてしまった…

>>607
痙攣や失禁の激しさ、脚や手の質感、イってしまった顔などとにかく凄いです…!
数々の素晴らしいSSがある中で私なんかの作品を題材に描いて下さり本当にありがとうございました!
むしろこの絵を題材にハム子が失神するシーンを書き直したいぐらいです…!
これからも皆様が満足するような作品を書くために、精進して参ります

流石にハム子(というかP3キャラばっかり)書くのもアレなので、次回はハム子と他作品とのクロスオーバーとか考えてます


612 : 名無しさん :2014/12/14(日) 02:33:33 ???
ポケモンBW2よりメイちゃんメインです

※注意:オリジナル設定を含みます


イッシュ地方を恐怖と混乱に陥れたプラズマ団
人の支配からポケモンを解放すると謳ったが、現実はゲーチスのポケモンの力を独占した他者の支配が目的であった
レシラム、ゼクロム、キュレムら伝説のポケモンまでも巻き込んだ騒動も、リーダーを継いだアクロマがプラズマ団解散を発表してから一応の終息を迎えようとしていた

「あー、よわったなぁ」
プラズマ団とキュレムを巡る騒動の渦中に巻き込まれ、ゲーチスと戦った少女メイ
ポケモンリーグでチャンピオンを倒し、殿堂入りを果たしたことで一躍時の人となったものの、
現在は図鑑のさらなる充実のためイッシュ地方の辺境にまで足を伸ばしていた

「もう回復アイテムがないよ。奥まで進みすぎちゃったかな」
とある洞窟の調査のため奥へ進み、入口へ戻ってきたメイだったがそこに生息する野生のポケモンは強く、
だからこそ今日まで調査が進んでなかったのだが、メイのポケモンたちもひどく消耗していた

「失礼。あなたは、メイさんでしょうか」
「うん?」
入口で男と出くわした
「ええと。はい、メイです」
「おお!この辺りを調査しているという噂は本当でしたか!私も少々、ポケモンバトルの腕に覚えがありまして。相手があなたなら申し分なし。バトルの方受けていただけますね」
男の手にはポケモンボールが握られていた
「え!あ、回復、ああ、アイテム切れてるんだった!」
「いきますよ、ダゲキ!」
「ちょっと待ってよ!ええい、バトルを申し込まれたら拒否するわけにいかない!お願い、ぶーちゃん(エンブオー)」


613 : 名無しさん :2014/12/14(日) 02:35:02 ???
「ああ、そんな」
激しいバトルの後、メイの手持ちのポケモンは全員が”ひんし”の状態になってしまった
「こちらも4匹”ひんし” 流石といったところですねメイさん。よいバトルでした。しかし」
「?」
「どうして持っていないのです。伝説のポケモン、キュレムを」
「! どうしてそれを」
「どうしてと言われると、私が元プラズマ団だからといえばわかるでしょうか」
「プラズマ団!」
「元ですよ。しかし、さすがに殿堂入りし、ゲーチスをも倒しただけのことはある。もしも万全な状態で挑まれていたらおそらく勝てませんでしたね。」
「まさか、最初から狙って」
「待ち伏せはあまり性にあっていませんでしたけどね」
「狙いはキュレムなの」
「まあ、そんなところですね。よければ私に譲ってください」
「!元プラズマ団なんかに」
「・・・では、しょうがないですね。ナットレイ」

ナットレイ
とげだまポケモン
くさ/はがねタイプ
高さ 1.0m
重さ 110.0kg
3本の触手と鋼の殻と棘をもつポケモンが、男のモンスターボールから放たれた
「な、なにを!」
「やりなさい。ナットレイ」
「え きゃああ!」
男がメイを指差すと、ナットレイは一本の触手をメイへ伸ばし、メイの体を触手で巻き付き、縛り上げた
腕ごと体を巻き付かれ、ほとんど身動きがとれない状態にされたメイの体を持ち上げて、メイの脚が宙に浮いた
「や、やめてよ!離してよ!」
「自分の立場がわかりましたか」
「くっ!」
メイは軽蔑の眼差しで男を睨みつけた
「さて、バッグはこれですよね」
「あ!」
メイのバッグを奪い、中身を物色する
「中身のあるボールは6個。やはり、キュレムはパソコンですか」
「わ、わたしのポケモンたちにさわらないで!」
「じゃあ、あなたの体には触っていいんですか」
「え!?ち、ちょっと」
ナットレイの触手に縛り上げられた状態のメイの体をまさぐる、かと思われたがポケットに手をつっこみ
「おお、ありました」
メイのトレーナーカードを取り出した
「わたしのカード」
「しかし、これだけではダメなんですよね。パソコンからポケモンを取り出すには、暗証番号が。というわけで、暗証番号を教えていただけませんか」
「! 教えてと言われて、教えられるわけないじゃない!まして、キュレムを、伝説のポケモンを狙ってる人に」
「まあ、そう言うと思ってました。それでは、こちらもそれなりの手段を用いなければいけませんね」


614 : 名無しさん :2014/12/14(日) 02:36:18 ???
メイの乳房に男の手が触れた
「いやぁ!や、やめてよ!」
「ほう。年齢の割にはなかなかではないですか。どれ、こちらは」
今度はメイの尻へ男の手が伸びていった
「ふむ。こちらも」
「う!この、こんなことしても。ひぎぃ!」
男の両手に力が入り、メイの胸と尻に痛みが走った
「ほほう。よい声を出しますね。でも」
男の手がメイの体から離れた
「でも、残念ですね。やっぱりガキの体では。女は20半ばを過ぎてからに限ります」
「な・・・な・・・」
今更羞恥がきたのか、メイの顔が紅潮する
「だ、だったら、最初から触らな、げふぅ!」
メイが抗議を言う前に、男の拳がメイの腹部にめり込んでいた
ナットレイの触手に拘束された状況では、衝撃を逃すこともできず
肺が潰され空気を1cc残らず無理やり吐き出される
「ぐっ がっ ぐぇっ ごほっ ごほ」
「さて、気が変わりましたか。パスワードを教えてくれませんか」
「う、く、この、最低」
「暗証番号を」
「くぅ。こ、こんなことをしたっけ」
「ふむ。想像してた以上に強情ですね。それくらい意志が強いのならば、ゲーチスが負けるのも無理はないかもしれません。では、ナットレイ」
男が軽く手を上げると共に、メイの体がより高く持ち上げられる
「ナットレイやりなさい。ただし、程ほどにね」
「何を、きゃぐ!」
メイの背中に衝撃がはしった
ナットレイの触手が鞭となってメイの背中をうちつけた
「もう一度聞きましょう。暗証番号は」
「ポケモンにこんなことをさせるなんて」
「ふむ、その様子だと暗証番号は教えてくれないようですね。あまり手間はとられたくないのに困ったものですが、しょうがないですね。しゃべりたくなければ下手に喋らなくていいです。舌を噛んでしまいますよ」
ビシッ
「あぐ!」
バシッ!
「ああ!」
ナットレイの触手が二度三度とメイへと振るわれる
その度にメイの体が跳ね、口からは悲鳴が漏れ、服が破れ素肌を晒していく
「っ・・・はあ・・・はあ・・・はあ」
「ふーむ。喋ってくれそうにはないですか」
「いっ言えるわけ、ないでしょ。ポケモンで人を傷つけるような人に」
「本当に困った子ですね。おや、こんな時間ですか。午後のティータイムが近いですね。シンボラー」


615 : 名無しさん :2014/12/14(日) 02:37:23 ???
「私は町でティータイムを楽しんできます。ナットレイ、適当にやっておいてください」
バンッ
「ぐっ!」
「シンボラー、"そらをとぶ"」
「え、ちょっとまっ ほ、本当に行っちゃうなんて」
ビッ
「ひっ!」


―数時間後
「やれやれ。少し昼寝をしていたらもう日が暮れそうになっちゃってますね。すいませんねメイさん」
「・・・・・・」
「おや?メイさん?もしもし?」
ナットレイの触手の鞭で数時間に渡って痛めつけられ、シャツもスカートもタイツもボロボロになり、露出した素肌には赤い鞭跡がつくられたメイはぐったりとして動かなくなっていた
「ふーむ」
メイの特徴的なツインテールの髪型をぐいと男が引っ張った
「痛い!」
「ダメですよ。気絶したふりなんて」
「ふ、ふりなんてそんな。痛い!やめてよ!」
「はいはい」
男の手がメイの髪から離れる
「さあ、パソコンのパスワードを教えてくれませんか。それだけで、あなたは解放されるんですよ」
「!・・・・・・」
つい数時間まえとは違い、その言葉がメイにはすさまじく甘美に響いた
禁断の果実を前にし、蛇にそそのかされたイヴはこのような気持だっただろうか
「ぐっ・・・!断る!」
「おや、今少し迷いましたか?」

「でも、まだ元気みたいですね。なら、ちょっとキツいのが必要かもしれませんね」
「うあ・・・く」
ナットレイの2本の触手がそれぞれメイの脚に絡まっていく
「あっああ!」
先ほどより全身を締め上げられ、両脚を引っ張られる
股関節の部分から脚がもげてしまいそうな、激痛にかられる
「さて、ナットレイ。"こうそくスピン"」
「え」
ナットレイの全身が回転をはじめる
「ま、まさか。そんな」
鋼の棘で覆われたナットレイが、メイの背中へと迫る
「いっいや!そんな!」
「止めて!おねがっ ごあがっぎぃ〜〜〜!!!」
バリバリとメイの背中の肉が削られる


616 : 名無しさん :2014/12/14(日) 02:38:24 ???
「さて、どうですかメイさん」
「せ、背中が。背中が」
痛みと痺れと熱さが混じった刺激がジンジンと背中を犯す
血が下半身へ滴る感触が、恐怖を増した
「おとなしく暗証番号を教えてくれませんか」
「・・・キュレムを、キュレムを使って何を」
「うーん。まあ、ゲーチスがやろうとしていたことを代わりにするといったところでしょうか」
「・・・・・・やっぱり、やっぱりわたせない!」
「なんと。ここまでされて。少し驚きましたよ。これは、本格的にしょうがない」
「ああっ!」
触手で強制的に開脚させられる
ナットレイの3本の触手の先端の棘が伸び、メイの両胸と股間の部分に触れる
細い針が触れるチクリとした感触に身の毛がよだつ
「あ・・・ああ・・・」
恐怖に顔から血の気が引いていった
「少しずつ奥に刺さりますよ。我慢はあまりよくないですよ」
「ひ・・・!」
ナットレイの棘が乳首と秘所を犯していく
「ああ・・・いや」
身を捩りたくとも、ナットレイの触手の力は体が震えることも許さない
異物が体に侵入する不快感と鋭い痛みとともに鮮血が滲み、棘と体の結合部に溜まり、滴る
刺さる鋼の棘が異常に冷たく感じられる
痛み以上に恐怖で奥歯がカチカチと鳴る

「や・・・止めて・・・言う・・・言う・・・から」
「お?今なんと」
棘が半分近く突き刺さったとき、メイは折れた
奥歯をぎゅっと噛み締めたのは、震えないようにするためかそれとも悔しさ故か
「あ、暗証番号、は、06、23」
「0623ですか」
男が微笑を浮かべる
「ナットレイ」
「あう」
ナットレイの棘が乳首と股間から抜かれる
触手からも解放され、地面に落ちる
「痛い」
うつ伏せで手足を投げ出す格好になった


617 : 名無しさん :2014/12/14(日) 02:39:28 ???
「さてと。ナットレイ」
男の指示とともに、ナットレイの棘が打ち出される
「あぐ!ああ!きゃああ!」
ナットレイから打ち出された棘がメイの両手の甲、二の腕、両足の甲、ふくらはぎ、太腿に突き刺さり、メイはうつ伏せのまま地面に張り付けにされた
「ど、どうして。わたし、言ったの・・・に」
「嘘を言っていたらまたあなたに聞かないといけませんから」
「そんな、わたし嘘なんか」
「ナットレイ戻れ。出てこいシンボラー。嘘かどうかはじきにわかります。あ、そうそう。これは返しておきますよ」
メイの近くにメイのモンスターボールが転がった
「嘘だったらまた会いましょう、本当ならご機嫌よう。あなたや私のような物好きで実力もあるトレーナーがまたくるといいですね。シンボラー"そらをとぶ"」
「ま、まって!まってよう」
メイの哀願など聞く耳も持たず、男は去っていった

「うう。ぐっ」
地面に縫い付けられたようにまるで動けない
もう少しで、ボールが手が届くのに、それすらもできない
「うう・・・う・・・」
痛みと悔しさでポロポロと涙を流した
ちょっとした風の動きで背中の傷が撫でられ、神経を直接触られたような痛みがはしる
地面と接する胸と股間をいたわることすらできないまま、化膿したように熱を持ってくる
貫かれた手足から、血が出ていくのがわかる
とっくに太陽は沈んでいる。何時間たっただろう。何度か意識をなくしたらしい
体に水滴が当たる
雨だった
すぐに雨足は強くなり、寒さに身を震わすとさらに痛みがひどくなった
惨めな気持ちになった
どうして、自分がこんな目にあわないといけないのかと思うとともに、ポケモンを裏切った事実を思い出し、心がささくれた
「・・・・・・ぶーちゃん・・・」
旅立ったその時からずっと一緒に冒険してきた自分がもっとも信頼するポケモンの名前をつぶやいた
助けてという言葉が漏れた
強風が吹いた
右手の指先に何かが当たった
「・・・・・・あ・・・」
見間違えない。エンブオーのぶーちゃんがはいったボールがそこにあった
「う・・・くっ」
指先でボールのスイッチに触れる
ボールが開いた
「ああ・・・ぶーちゃん」
ボールからエンブオーが現れた
しかし、エンブオーも"ひんし"の状態であった
派手な怪我こそないが、状態としては無惨な姿となった主よりも危険な状態であり、立つことすらできなかった
(助けが欲しいのは、ぶーちゃんの方じゃないか)
だが、エンブオーは主を助けんと這う
「ぶーちゃん・・・いいから」
なんとか体を這って、体の一部をメイに重ねる
メイの体から雨を防ぐかのようだった
「ぶーちゃん・・・わたし・・・ごめん・・・・・・なさい・・・・・・弱いわたしを・・・・・・・・・ゆる、し・・・て・・・・・・」
雨と涙で頬を濡らす
そのまま、メイの意識は薄れていった

メイが通りかかったバックパッカーによって救助されたのは2日後のことであった
極めて危険な状態であったが、奇跡的に一命をとりとめた
傍でエンブオーがメイを温めていたおかげだという
しかし、そのエンブオーは発見時すでに息絶えていたという

イッシュからまた離れた地で氷の力を用いる伝説のポケモンが猛威を振るうのは、別の話である


618 : 名無しさん :2014/12/14(日) 02:51:35 JDn3dATY
以上です。深夜の勢いであげてしまいましま


619 : 名無しさん :2014/12/14(日) 11:50:12 ???
ぶーちゃんとの絆が分かるエピソードでリョナくも切ない話ですね…
ぶーちゃんの献身に応えるためにもこれからもリョナられるためにも
メイちゃんはトレーナー続けるべきですね!


620 : 名無しさん :2014/12/16(火) 04:15:09 ???
昔書いたみなみけ精神リョナSSをググったらまとめられていた
こっちかpixivにあげれば良かったと今更後悔している…


621 : 名無しさん :2014/12/16(火) 04:34:50 ???
自分で書いたものなら渋でもここでも上げて問題ないんじゃない?
俺も某所で反応がなかったものを別スレでマルチであることを
断り入れた上で投下したことあるし


622 : 名無しさん :2014/12/16(火) 05:05:25 ???
>>621
ありがとう
挿絵でも付けて渋に投稿してみるわ


623 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:15:59 ???
待っていてくれた方いらっしゃったら遅くなってすいません
ようやく続きできましたので投下いたします。
今回時間かかった割にリョナシーンが少ないので次回までのつなぎ程度に思っていただければ…


624 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:21:33 ???
かつて帝国の植民地経営の拠点であった屋敷は、今はその当時の威容を完全に失い、廃墟として佇んでいる。
新たな支配者により立ち入りを禁じられたその場所は、かつての姿を保存する者もなく、
時間の流れのままを受け入れ、ただ静寂だけの世界となっていた。

仮にそこに自然ではない蔦が張り巡らされ、それに囚われた少年と、彼を助けようとした女剣士二人が立ち入ろうが、すぐに静寂が戻ってくる。
蔦は変わらず屋敷中に張り巡らされ、少年と力尽きた女剣士達を天井近くに掲げたままの姿で動きを止めている。

「ぁ…、ぅ……」
女剣士の片方、クディルの口から掠れた空気が漏れる。
その口からは最早それ以外の音は一切が発せられなくなっていた。

背骨が砕けるような力で殴り飛ばされた痛みも、
一切の遠慮なく純潔を奪われた際の痛みも、
そのまま秘所を焼き溶かされた痛みも、
どれもまだ強く主張を続けているが、今のクディルにそれを表すだけの体力は残されていなかった。

(私…死ぬんだ…。ここで……)
クディルはなんとなく分かったような気がした。

自分はもうお終いで、目の前で息絶えようとしているレオナやティムを助けることも、
本来の旅の目的であった師匠の仇を討ち、魔法兵器の拡散を食い止めることも、何も果たせないで死ぬ。

(ごめんなさい。ティム君、レオナさん……。ごめんなさい。師匠…)

不意に、クディルの脳裏に映像が映し出される。
薄暗い部屋の中、沢山の魔法兵器の資料を見ている。
それぞれの概要、製法、想定されていた運用法、弱点と言った情報が、師匠から譲り受けた資料より詳細に記されている。
これが走馬灯かとクディルは思ったが、すぐにその考えを打ち消した。

こんなものを見た記憶はない。

だが、見たことの無いものは記憶していない筈だ。
魔法兵器については色々と調べたが、こんなに詳細な資料をそこだけ完全に忘れていたという可能性は低い。

ならばこの記憶は何なのか。
ぼんやりとした意識の中での思考は急速な落下によって打ち切られた。

「うっ…!」
受け身も取れず地面に叩きつけられたクディルは、皮肉にも彼女を苦しめ抜いた蔦が、頭を地面に打ち付けることを防ぎ、クッションとなって受け止めていた。

(な、何が……)
霞む視界に僅かに映った人影にクディルは途切れそうな意識を集中する。
自分と同じように倒れているティムやレオナの向こう、さっきまで猛毒の粒子を吐き出していた結節点を覆う蔦の更に上に、その人影は立っている。

足元の蔦に何かを突き立てているその人影が、突き立てた何かを引き抜くとそれに合わせて周辺の蔦が一度波打ち、完全に動かなくなる。
足元のそれだけではなく、クディル達の周りのものも、彼女達を縛り上げていたものも全て同様にただの蔦になり、
それまで盛んに噴き出していた液体と同色に急速に染まり、そこかしこで枯れていく。


625 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:25:15 ???
枯れた蔦の山から人影が降り、手の何か―恐らくは剣―を屋根の穴から差し込んだ月光に照らされながら、
倒れているクディル達の方を注視している。
やがて倒れている者達が自分の目当ての相手であることに気付いたか、
床に折り重なった蔦をその剣で払い、藪を漕ぐようにして道を作る。

何度か剣を振るい漸く道を確保した人影はしかし、途中で踵を返して建物の奥に走った。
「邪魔が入ったか…」
クディルに辛うじて聞こえたのはそれだけで、同時に玄関側から無数の足音と喧騒が聞こえてきた。

「おいこっちだ!」
「こっちが広間の筈だ!」
声が聞こえた方向をクディルは辛うじて動く首をひねって振り返る。
ひしゃげた扉を打ち破り、村の男達が一斉になだれ込んできた。

「いたぞ!三人とも一緒だ!!」
「ひでえ怪我だ、おい担架になりそうなものは無いか!?」
男達は皆鎌や鍬や鋤を持ち、そうでない者は金槌やのこぎりや包丁を携え、
とにかく手元にあるもので武器になりそうなものは何でも手に取ったというところだろう。

「助けに来て……くれた…?」
「村の女衆にどやされてな。『娘二人に押し付けて黙って見てるなんて、それでも男か』だとさ。そう言われちゃ黙ってられねえよ!」
「言われるまでもねえぜ。俺達だって馬鹿領主のために大人しくしてるつもりなんかさらさらねえしな!」
口々にそう言いながら男達は壊れた扉や調度品の残骸から適当な大きさの板を探してきてクディル達をその上に乗せていく。

「ありがとう…ございます……。私は、大丈夫…。二人を先に……」
クディルの声は涙ぐんでいた。

三人を担いだ一団は村へと戻っていく。
やがて村の明かりが見え始めると、一団の先頭に村から飛び出してきた数人の女が駆け寄り、パニック気味に何かを叫んでいる。
そのただならぬ様子に先頭の男が足を止め、他の男達もそこに集まっていく。
やがて状況を理解した者達から女の混乱が感染していった。

男達が村に戻ってくる直前、役人達が早馬を飛ばして現れ、村でただ一人の医者をさらっていったのだという。
突然の逮捕劇に女たちはパニックになり、
とりあえず怪我人を運び込もうという村一番の切れ者と呼ばれた男の鶴の一声を聞くまで、その場で喚くしかなかった。


626 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:29:21 ???
村長の家に運び込まれた三人は奥の部屋で寝かされ、
男達は村長の家に併設された村の寄合所に集まり、一人の男を囲っている。

男は役人の一人で、村の近くに潜んでいたところを取り押さえられた。
そのままここに連行され、“非常に手厚い歓迎”を受け、
医者は村人が命令に背き旧代官屋敷に近づいたことを理由に領主の屋敷に連れて行かれ明日には見せしめに処刑されることを白状した。

それを聞いた村人たちの多くはすぐに医者の奪回を主張したが、村長を含む一部がそれに反対した。
仮に医者の奪回が成功したとして、領主の命令に逆らった上に屋敷に押し入ったとなれば村はお終いだ。

しかし彼らもこの問題をじっくり話し合っている時間は無かった。
そんな事をしている間に辛うじて一命を取り留めた三人を無駄に死なせることになりかねない。
短い時間での議論は大きな賭けを選ばせた。

領主の屋敷から医者を奪回し、同時にこの国を治める国王に領主の横暴を直訴し、国王の介入があるまで村から逃散するというやり方だ。
この作戦の根拠は現在の国王は公正な人物であり、国内の不正をただすことに尽力しているという噂でしかなかったが、
それでも僅かでも可能性がある方に賭けようという判断だった。

国王への直訴は村一番の切れ者に村長直筆の訴状を届けさせるという事に決まったが、問題は誰が医者を奪回に向かうかという事だった。
「私が行きます」
皆の目が奥の部屋から這い出てきたクディルに注がれた。

「そんな体じゃ無理だ」
「大丈夫…です。もう血は止まったし……痛みもひきました」
包帯だらけのフラフラな体でそう言ったところで誰も信じてはいなかった。
止血を施された上から止血の魔法と沈痛の魔法を何度も重ねがけしてはいるが、それらは失われた体力を取り戻せるわけではない。

「大丈夫です…。私なら仮に捕まったとしても、ここに家族はいません。皆さんではリスクが大きすぎます」
クディルはこの村では完全によそ者だ。
仮に捕えられ、拷問を受けたり惨たらしく殺されたりしても、それによって困る者はこの村にはいない。
仮に村の真ん中に引きずり出され、真実を話さなければこいつの首を落とすと村人の前に晒されても、村人は見て見ぬふりを出来る筈だ。

「なんでだ?」
「?」
「何でよそ者のあんたがここまで…」
村人の問いにクディルは少し恥ずかしそうに微笑みながら答える。
「私はティム君とレオナさんに助けられました。行き倒れた私を無関係の筈の二人が助けてくれた。だから今度は私が二人を助ける番です」

村人達は何も言わず、ただクディルに村で一番速い馬を一頭と、潜入用の下女の衣装を準備し、屋敷への地図を描いて渡した。


627 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:34:48 ???
「……待って…」
まさに出発しようとした瞬間、奥の部屋からクディルを呼び止める声がした。

「これを……先生に」
奥の部屋から這い出たレオナが、自由がきかない手で紙切れをクディルに手渡す。
「昔の…仲間の場所……よ。先生に…渡して……ここに…。匿ってもらう…ように……」

そこまでが限界だったか、レオナはクディルにもたれかかるように倒れた。
クディルは彼女をしっかりと抱きかかえると、奥のベッドに静かに寝かせる。

「ありがとう。必ず連れてきます」
クディルは村人の用意してくれた道具一式を持つと村を発った。
村が見えなくなるまで馬を走らせ、完全に見えなくなったところで少しずつ馬の歩を緩め始めた。

「はぁ……はぁ……はぁ……」
馬の背に寝そべるように伏せ、苦しそうに息をする。
村人の前では気を張っていたが、体力はもう限界に近かったし、何より血こそ止め、痛みも治まったものの、
毒の治療までは出来ず、それによって確実にクディルの体は蝕まれている。

やっとの思いで領主の屋敷に辿り着いた時、クディルは落ちるようにして下馬し、暫くそこから動くことが出来なかった。
漸く立ち上がったクディルは茂みに隠れ、村人にもらった下女の衣装に着替えはじめる。
誰にも見られてはいないがそれでも茂みに身を隠すのは、念には念を入れて隠れるというより、彼女の歳相応の恥じらいというものだ。

やがて茂みから現れた下女は屋敷に続く坂を覚束ない足取りで登る。
丘の頂上に建てられた領主の屋敷にはそこに続く麓との間に切り立った崖の様になっている斜面があり、
その崖に面した坂の途中、坂の踊り場ともいうべき開けた場所があり着替えもそこで行った。

屋敷に潜入したクディルは、他の下女やその他の使用人に見つからぬよう、注意深く屋敷の中を進んでいく。
不意に大きな部屋から明かりと話し声が漏れているのを察したクディルは、足を忍ばせ、気配を消してその部屋に近寄ってみる。

この屋敷の一応は応接室に当たるのだろうそこには、五人の男女がテーブルについて何かを話しあっている。
誰も皆お互い見知っている様子で口調も決して強いものではなかったが、和やかな世間話ではないのはその面子を見れば一目瞭然だった。

「お指図の通り、村の医者を拘束してこの屋敷の地下にぶち込んでおきましたぞ」
一番奥にいる老人が向かい合って座っている痩せぎすの男に報告し、男は満足そうにうなずく。
「素晴らしい。迅速なご対応感謝いたします」
老人の行為を称賛しているのだが、その神経質そうな表情は変わらない。
その返事に若干の間を置き、今度も老人から男に口を開く。

「さて、ここまで皆様のお手伝いをしてまいりましたが、儂としても亡命先での生活を考えればそれなりの用意が必要となります。
何しろ、領主という身分を捨てて貴国に厄介になる訳ですから」
「勿論、お約束通り十分な謝礼はお支払いいたします。それに今回の件についてはそれとは別にご用意いたしました。オルガ」

痩せぎすの男は落ち着き払ってそう答えると、隣に座っていた女―白女を呼ぶ。
オルガと呼ばれた白女が自身の椅子の下から小さな鞄を取り出して老人―村人たちが言うところの馬鹿領主の前に差し出す。

鞄を開いた老人はその中身に満足したのだろう。小さな頭に不釣り合いなギョロ目を開き、口がにんまりと笑う。
初めて彼を見た者でもその表情を見れば彼に強欲で利己的な印象を受けるだろうその笑顔は、事実として彼の性格をよく表していた。


628 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:39:55 ???
「『連邦の男は友の名とその恩を石に刻む』でしたね大使様」
「その通りだ。決して忘れはしない」
オルガの言葉に大使と呼ばれた痩せぎすの男は僅かに口元を緩ませてそう答える。

40年前、帝国と大陸を二分して争った連邦は、現在でも帝国に劣らぬ大国として周辺に保護国や同盟国をいくつも抱え、巨大な版図を保っている。
この国においてもその影響力は強いが、その国の大使ともあろう者が田舎の領主と結託する理由は、オルガと彼女の向かいに座っている男を見れば説明がつく。

(あいつは……っ!!)
クディルの目はその男に釘付けになった。
帝国軍将校の軍装を纏い、その上からでも分かる鍛え上げられた肉体。
落ち着いてはいるが油断のない眼光は、
その逞しい体と共に彼が後方の司令部からではなく自ら前線に立って指揮を執り、荒事に慣れた人物であることを物語っている。
そして何より、眉間から右頬を縦断し黒く蓄えられた顎鬚まで走る大きな刀傷は彼がクディルの探し続けていた人物であることの証明であった。

(見つけた!グランツ将軍!!)
師匠殺しの下手人にして、魔法兵器拡散を企むこの男が恐らくはそれを欲した連邦の大使と結託しているのだろうという事はクディルにも分かった。
だとすれば、この部屋にいる人間は皆この男の協力者であり、クディルにとっては倒すべき敵という事になる。

唯一、オルガの隣に控えている金髪の少女の正体は分からなかったが、少なくとも他の四人と敵対している訳ではない様だ。
物憂げな表情で人形の様に黙って座っているその少女は、時折老人からいやらしい視線を送られているのに気付いては、辛そうにその質素な衣に目を落としている。
その様子に敵ながら同情するクディルであったが、視界に入っているグランツがその思いを打ち切らせる。

(今ここで……)
一瞬そんな考えが頭をよぎるが、すぐにそれを退ける。
(駄目。分が悪すぎるわ)
五人の内三人は未知数の相手であるし、知っている二人についても二人同時ではどうしようもない。

グランツは魔法だけでなく剣も達者だった師匠を苦も無く斬り殺した腕前であるし、
オルガはまだその能力の多くが謎である上に、以前操っていた二人が近くにいるとしたら勝ち目はない。
何よりここで自分が失敗すれば医師も村で臥せっているティムとレオナも助からない。
悔しい思いを噛み殺し、クディルは部屋を離れた。

それから暫くして老人の言葉から医師が地下に捕えられていると思われる地下室を見つけたクディルは、途中見つけた安酒の小瓶を持って降りていく。
瓶の中にはこれまた屋敷の中で見つけられた強力な睡眠薬が溶かされている。
これが保管されていた部屋には他にも自白剤や催淫剤が並べられ、拷問に関する書物も多数保管されていた。
何に使う部屋なのか考えないようにして持ってきたそれは、酒に溶けて全く見えなくなっている。

「悪く思わんでくれ……とは言えんよなあ。馬鹿領主の命令じゃなきゃ誰がこんな事を…」
牢屋の前に置かれた粗末な椅子に牢番の男が座り、中の囚人に申し訳なさそうに語りかけている。


629 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:43:59 ???
クディルは素顔を隠すように顔を伏せ、意を決して牢番の前に入った。
「失礼します。お酒をお持ちしました」
「うん?そんなもの頼んでないぞ?」
「いえ。女中頭様からです」
「何だって!珍しく気が利く……あ、いや忘れてくれ」

牢番の男は小瓶とコップを受け取るとちらりと牢屋の方を見た。
「……悪いが腹を壊していてな。牢の中の男に飲ませてやってくれ」
「えっ!?……は、はい…」
戻ってきた小瓶を受け取ってしまったが、かといって言われた通りにするわけにはいかない。
(どうしよう……薬入れちゃったのに…)

頭をフル回転させながら鉄格子の差し入れ口に手をかけた時、咄嗟に思いついた方法に賭けてみた。
「あの。差し入れ扉が開かないのですが…」
「おかしいな。鍵はかかっていない筈だが」
男が差し入れ口に近づき、クディルがそこから離れて男の後ろに回る。

「ところで君、見ない顔だな。新人―」
そこまで言ったところで男は倒れた。
その首筋に触れていたクディルの手から青い電流が流れていた。

「ごめんなさい!」
倒れた男に詫びながら牢の鍵を奪い中の医師を救出する。
「ゲラン先生!ご無事ですか!?私です」
「君は……なぜここに」
「今はご説明する時間がありません。表に馬を待たせてあります。急いでください」
医師を連れて屋敷を脱したクディルは馬を繋いだ茂みの近くまで戻る。
そこで医師に村の状況と今後の計画を伝え、ティムとレオナを何としても救ってほしいと懇願した。

「状況は分かったが、君はどうする気だ?その体ではどうすることもできまい」
「私は一人でも戻れます。それに……ここでまだやることが残っています」
クディルの意志が覆らない事は医師にも伝わった。

「……分かった。ただし一度ここを離れて村の近くの川にある水車小屋まで来てくれ。二人を治療した後そこで落ち合って君の治療をする。
なに。逃げるのはそれからでも間に合うさ」
「ありがとうございます。このご恩は一生忘れません!!」

医師を乗せた馬が走り出したのを見て、クディルは茂みに入って下女の服からいつもの旅装束に着替える。
「これで良し…っと。ティム君、レオナさん……もう少しだけ辛抱してね」
祈るようにそう呟いて茂みから這い出たところでクディルの前に何者かが立ち塞がった。

「会うのは二度目……いや、先程の覗き見を入れれば三度目か。あれだけ嬲られて随分元気なものだ」
「グランツ…っ!」
月光と屋敷からの明かりに照らされ現れたグランツ将軍は手足を省略し垂をつけたプレートアーマーを着込み、腰には長剣を一振り携えている。

「来るとは思っていたが、まさかあれだけの傷を負ってすぐに来るとはな……あの二人が余程大事か?それともあの医者か?」
「黙れっ!」
叫びながらクディルは剣を抜く。

「おいおい。蔦から助けてやったのは私だぞ?命の恩人をもっと敬ったらどうだ?もっとも、あれを仕掛けたのも私だがね」
「貴様ああああっ!!」
クディルの頭は真っ白になった。
剣を構えると動かない体に鞭打って突進し、一気に間合いを詰める。

飛び掛かりざま、クディルの手から眩い閃光が迸り、二人の間に光の壁が生まれる。
光を放つだけの何の攻撃力もない魔法だが、この様に最大の出力で放てば目潰しにはなる。
光の壁の向こうで動かないグランツに壁の向こうからクディルの刃が殺到する。
二つの軌跡が交錯した。


630 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:48:22 ???
グランツは腰の剣を抜き、両手で持ったそれを地に切っ先を向けたまま佇んでいる。
その少し後ろに、右肩から血を噴き出してクディルが倒れていた。

「ぐう…うぁぁ……」
とめどなく血の流れる右肩を抑えて耐え難い痛みにクディルが喘ぐ。
ドクン、ドクンと脈打つ度に肩から血があふれ出し、傷をおさえる左手の白い指を何度も血に染めていく。

(駄目だ…。剣じゃとても敵わない……)
事実、クディルにはグランツの斬撃はおろか、いつ抜いたかすら分からなかった。
とは言え、座して死を待つ訳にはいかない。
力の入らない右手から左手に剣を持ち替え、ずるずると尻餅をついたような姿勢で後ずさりをするクディル。

グランツがそちらへ振り向き、血の滴る刃をクディルに向けながら近づいていく。
装飾用の細身の剣ではなく、何の飾りもないが身幅の厚い剛直なそれには刃こぼれ一つない。
その剛剣が何とか立ち上がろうとしたクディルに再度襲い掛かる。

「くうっ!!」
振り下ろされた刃を何とか刀身で受け止めたクディルだったが、堂々たる巨躯を誇る相手の、突進しての斬撃に対し左腕一本だけではあまりにも非力すぎた。

「きゃああっ!!」
斬撃の勢いは全く衰えず、受け止めたクディルを容易く吹き飛ばす。
その勢いのまま地面から突き出した岩に背中から打ち付けられ、弾かれるように小さくバウンドして岩の根元に崩れ落ちるクディル。

「あうッ!!」
立ち上がることもできずその場でうずくまり、叩きつけられた際の衝撃でむせ返っている。
「げほっ、ごほっ!……うぅ」
「なんだ。こんなものか」
構えを解き、ゆっくりと歩み寄るグランツにクディルはただ顔を上げ、涙のたまった眼で睨みつけることしかできない。

不意に、背中の岩がごろりと動いた。
「えっ!?」
岩は後ろへ転がり、それと同時に周辺の地面がクディルを乗せたまま崩れ落ちる。
「うわあああああ!?」
クディルの叩きつけられた岩は切り立った崖側に面しており、
グランツは叩きつけて勢いが止まることを踏んで吹き飛ばしたが、その地面の脆さは計算外だった。

「くっ……あぐっ…!」
暫くして、崖の下でクディルは意識を取り戻した。
全身が痛み、ほとんどどこもいう事を聞かない。
数メートルの崖ではあったが、それでも手負いの少女一人に止めを刺すには十分な高さだ。

頭から地面に叩きつけられなかったのは幸運以外の何物でもない。
ましてや意識が戻り、脱臼こそすれ骨が折れず、這いずるだけの体力があったのは最早奇跡と言うより他にない。

「うあっ!はぁ、はぁ、うああああっ!!」
動かす度に激痛の走る体を必死の思いで引きずり、何とか土砂から脱出する。
恐らく立った状態なら三歩とかからぬ距離を何分もかけてようやく這いずり、木の根元に体を預けて少しでも痛みが引くのを待つ。


631 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:51:43 ???
暫くしてほんの少しだけ痛みが引いた―具体的に言えば呼吸をしただけで駆け巡る全身の痛みが、
呼吸を止めたいと思う程から痛くても吸いたいと思う程には回復した時、泥と傷だらけの左腕を激痛に耐えて動かし、肩が外れて全く動かない右腕に持っていく。

(とにかく……血を…血を止めなきゃ……)
このところこればかり使っている気がする沈痛と止血の魔法を息も絶え絶えに唱える。
左手が触れている箇所を中心に温かさがじんわりと広がり、流れ出る血の勢いが徐々に弱まり、やがて治まっていく―筈だった。

温かさの代わりに訪れたのは体内で何かが破裂したような激痛。
血の勢いは衰えるどころか噴水の様に吹き上がり、もたれかかった木の葉を濡らす。

(そんな!?どうして!どうして魔法が…!!)
筋肉をえぐり取られるような激痛とそれによる死の恐怖、そしてこれまで何度も自分を救ってきた魔法がなくなったことにクディルはパニックに陥っていた。

(痛い!痛い!痛い!痛いよおっ!!血が止まらない!なんで!?どうして効かないの!?
痛い……痛いよぉ……。誰か……誰か助けて…)

魔法さえ使えれば何とかなると思っていた蔦の時とは違う、適切に使用した筈の魔法が一切効果を持たないどころか、
自分自身に止めを刺そうとしている異常事態にクディルはその精神までも破壊されかけていた。
蔦の時と同じ点があるとすれば、どちらも死に瀕していることと、記憶にない走馬灯が見えていることだけだった。

「生きていたか」
不意にした声にクディルが顔を上げるより早く、振り下ろされた一撃が彼女の意識を奪った。
自らの血の海に崩れたクディルを声の主―グランツは見下ろし、同行していた部下を呼ぶ。

「衛生兵!すぐにこいつを止血しろ。決して殺すなよ」
すぐに部下たちがクディルを囲み止血処理を施し、少しでも命を繋ぐためのあらゆる手を講じる。
「処置完了しました。暫く安静にしていれば容態は回復するはずです」
部下の報告にグランツはため息を一つつく。
「驚かせおって……」

クディルを乗せた担架とグランツが崖下からクディルの通ってきた道に戻る途中、捜索に駆り出された別働隊に合流した。
グランツは別働隊の指揮を執っていた副官を見つけて呼びつける。
「こいつの容体が回復し次第“谷”に向かう。いつでも出られるようにしておけ」
「了解しました!」

朝焼けが東の空に広がり、屋敷に戻る一隊を照らしている。
力尽きた少女を担いだ彼らはしかし、それが決して葬列ではないことの証に、棺ではなく担架で運んでいる。
しかしそれが葬列であった方が彼女にとって幸福だったと、グランツの考えを知る者が見れば、言ったかもしれない。

続く


632 : クディルの人 :2014/12/17(水) 18:54:18 ???
以上スレ汚し失礼しました。
一応今回でストーリー的には折り返し地点までこれたので、ここから話を畳んでいこうと思います。
年内にもう一回くらい投下できれば…


633 : 名無しさん :2014/12/18(木) 18:58:15 ???
執筆お疲れ様です!
クディルのボロボロ感が萌えますね…今回は特に悲壮感すら感じますw


634 : GEDO’s kitchen(ゲドーズキッチン) :2014/12/21(日) 10:42:36 ADYJYjuM
「行って、ママハハ!」

少女らしい軽々とした身のこなしで腐れ外道を翻弄しつつ、巫刀チチウシで斬りつけ、突き刺すナコルル
自分の何倍も図体の大きい外道に対し、ナコルルは怯まずに立ち向かっていく。大自然の巫女という大きな使命を背負った決意の眼差しが外道を捉える。

しかし、突如口から伸びた舌で足元を巻きつけられると、ナコルルは態勢を崩してしまう。

「あぁっ……!?」

浅瀬の上で戦っていたため、倒れると水がバシャリと跳ねた。すぐさま起きあがろうとして身体を起こした、その瞬間の出来事だった。

ナコルルが居る地面から無数の手が伸びて、足首を掴んだ。ナコルルは一歩も動くことができない。
その隙を、待ってましたと言わんばかりに思い切り振りかぶって……

ドスゥっ!!

「ごふぅ”っ」

ナコルルは目を見開き、自分の声とは思えないような汚い悲鳴を口からこぼした。
外道の剥き出しの骨がナコルルの腹に深々と突き刺さり、背中を貫通していた。背中から伸びた骨の先端は、ぬめついた血で汚れている。

「ぁっ……かはぁっ……っ」

ナコルルの細い喉から、吐血混じりにあえぎ声が漏れ出す。一度見開かれた目は次第に力を失っていき、手からチチウシが滑り落ちた。

外道は突き刺したナコルルを一気に高く持ち上げる。そして大きな口を開き……。

「いだだぎまぁず」

そのセリフが何を意味しているのか、ナコルルは薄れ行く意識の中で理解した。
それと同時に、かっと目の前が熱くなったかのように、恐怖の感情が湧き上がった。心臓の搏動が一瞬にして高まる。

「ぁ、ぁあ……っ」

ナコルルは死ぬ前に見るという走馬灯が目の前を走った。村の仲間やリムルルのこと。自分の父親の姿ーー。

「とぅ、さまぁあっ……」

その許しを乞うような震え声も、やがて目の前の圧倒的な力に蹂躙される。
静かな川のせせらぎに、ポリポリ、ゴリゴリと固いものを噛み砕く咀嚼音が響くーー。

「ぅめぇええぇえっ、おなご、んめぇえぇえっ」

チチウシを握ったときから、自分はいつ死んでもおかしくない身なのだと心に刻んでいた。
しかし、醜悪な妖怪に食われて死ぬなど、ナコルルは思いも及ばなかった。
弱肉強食……それもまた大自然の掟。
下半身から食べられていくナコルルは、すでに肉体が恐怖で麻痺していたのか、さほど痛みを感じない。ただただ、胸を締め付けるような悔しさに涙を流すばかりだ。
ただただ悔しいーーこのような無残な死に方をするなど、父上に顔向けができない。ナコルルは空を飛んでいるママハハを見つめながら、いよいよ意識が急速に閉じられていくのが分かった。

物静かなナコルルは、まるで生きた証を誰かに知らしめようとしているかのような、断末魔をあげた。

「あぁあああああぁあぁあぁあっっっ…………!!」


外道はゴリゴリと噛みながら最後の黒髪まで口の中に押し込む。そして口の中に残ったものを、まるで果実の種を出すようにペッと吐き捨てた。
ナコルルの形見ともいえる赤いリボンだった。
外道は長い舌で口の周りについた巫女の血を舐めとり、げっぷをあげる。

「ごぢぞうざまでぢだぁ」


これにて終了


635 : 名無しさん :2014/12/21(日) 12:54:34 ???
>>634
たった1レスでありながら充実した内容に感激にございます(*;∀;)
私の大好きな腹串刺しもあってすごくいい


636 : 名無しさん :2014/12/21(日) 16:44:42 ???
原点はナコルルだなと再確認した


637 : 名無しさん :2014/12/21(日) 17:22:19 ???
GJ!
ナコルルの可憐さが非常によく出ていたと思います!

さて、そろそろクリスマス……サンタさん、どうかリョナラーにもお恵みを(-人-)


638 : 名無しさん :2014/12/21(日) 21:12:00 ???
ちょっと早いクリスマスプレゼント
色がショートケーキっぽいナコを外道さんに食べさせてみました
リム・レラ・シャル・ミナ・いろは・鈴姫ぐらいは、外道さんの食指が伸びれば……書くかもしれませんw


639 : 名無しさん :2014/12/22(月) 00:06:30 ???
共演していないはずの鈴姫まで候補に入っているのも素晴らしいw


640 : 名無しさん :2014/12/22(月) 07:54:37 ???
>>607
どんなエロ画像より今年一番ハァハァした!


641 : 名無しさん :2014/12/22(月) 21:23:47 ???
>>639
早くも書き上がりそうです


642 : GEDO’s kitchen(ゲドーズキッチン) 弐 :2014/12/23(火) 21:05:58 jEZLmKxw
鈴姫編

「どりゃあ!」

己の背丈ほどもあるバスタードソードを握り、いとも簡単に持ち上げると、外道と対峙した。
爺の小言を聞くのにうんざりして城を抜け出し、城下町の郊外まで抜け出してきた鈴姫。いつのまにか森の中へ迷い込んでしまった。
その森には醜悪な妖怪が棲んでおり、決して奥に入ってはならない。入ったものは皆、食われてしまうーーそんな噂が下人の間で広まっていた。現に、妖怪を討伐しようと奥に入っていったアイヌの巫女も、下人達を安心させるための微笑みを見せて去ってから、戻ってくることはなかった。
下々の間で広まっていたその噂を、鈴姫が知っているはずもない。彼女は件の森の中へと迷い込んでしまったのだ。

「でゃああああぁっ!!」

腕のみではなく、上半身全体を使って大剣を振るう鈴姫。しなやかな腰と尻が薄手の服ごしに強調される。

「あぁああぁあうあぁあ〜〜ぐへへへへ」

外道は頭を両手で隠すようにして攻撃を防いでいる。口からはよだれがだらだらと滴り落ちている。

「でぇええええいっ!!」

鈴姫が、斬るのではなく殴りつけるかのように、思い切り外道へ横凪を振るう。
しかしーー。

ザクッ!!

「ぅあっ?!」

力一杯振るったバスタードソードは、木の幹に刀身が突き刺さってしまう。深々と食い込み、引き抜くことができない。

「そ、そんなっ……!?」

その隙を、外道は逃さなかった。
剥き出しの骨が思い切り振りかぶられ、鈴姫はやむなく剣を手放し慌てて避けた。鬱蒼とした森のじめついた土の上を転がり、美しい羽織の着物が汚れてしまう。艶めかしい素足のふくらはぎに土が付着している。

「づがまえだぞおぉぉ」

運悪く鈴姫の背後には崖があった。逃げ場を失った鈴姫は、せめてもの抵抗として、懐から鉄芯入りの横笛を取りだす。
一瞬、後悔の念が頭をよぎる。こんなことになるくらいなら、おとなしく爺の小言を聞くべきだった。鈴姫はこれまでに味わったことのないほどの恐怖を味わった。
これは剣と剣の仕合などではない。食うか食われるかの世界なのだ。
生きたまま全身を食われるーーその本能に訴えかけるような恐怖を振り払うように、鈴姫は妖怪に立ち向かう。
しかし、その勇敢な行動は……悲惨な結末を招いた。


643 : GEDO’s kitchen(ゲドーズキッチン) 弐 :2014/12/23(火) 21:07:12 ???
外道は口から臭い息を吐きかけた!

「ぅ、ぅぶっ?!」

一瞬で、鈴姫の鼻の粘膜を犯す異臭。がくり、と膝が折れて鈴姫は四つん這いになる。まるで壊れた蛇口のように目から垂れ流される涙を、鈴姫はどうすることもできない。

「ぉ、ぉえぷっ、ぅ」

やがて鈴姫は、胃の奥から逆流してくるものをこらえきれず、土の上に戻してしまった。

「ぅぅううウ”ウ”ウ”ウ”ウ”! ぉ、ごほっ」

外道はにんまりと醜い笑顔を浮かべると、地面に突っ伏して咽せている鈴姫の首に舌を巻きつける。

「ぉ、ぅおげぶぅっ、ずずずるっ」

嘔吐している途中で首を絞められ、吐瀉物の一部が鼻の穴から流れ出す。鈴姫は呼吸もままならず空気を吸おうとするが、胃酸のつんとした匂いを嗅ぐばかりで一向に吸えない。
結果、鈴姫はハヒハヒと舌をだらりと垂れ流したまま、無様な顔をさらすのみである。

「いだだぎまぁず」

鈴姫は口の中の真っ黒な空洞の中へ、頭から放り込まれ……ぐしゃりと腰の辺りを噛み砕かれた。

「いギャぁあぁあああぁああアアアア!!!」

外道の口の中で絶叫し、短い裾の両足をじたばたと動かしてむちゃくちゃに暴れる鈴姫。あまりの暴れかたに外道は首を横に振るが、顎の力は絶大で決してこぼすことはない。元々は異国の王女である鈴姫のお召し物である、舶来物のショーツが丸見えになっているが、無論鈴姫はそんなことを気にしている暇はない。
食われて呑み込まれて死ぬ。
それだけであった。

活きのいい餌を喰らっているかのように楽しげな外道。顎をぎっちりと噛み締め、ちょうど噛み砕かれている鈴姫の腰から血の滴りが行く筋も零れ落ちる。すでに鈴姫の太ももは己の血に濡れて、月光に照らされて妖しい光輝を放っていた。

そして外道は、とどめを刺すかのように、思い切り強く腰を噛み砕いた。

ゴリゴリゴリ、ガリっ!!

「っっっーーー、っ……」

暴れていた両足が、最後の一噛みの瞬間、ピンと両足が伸びたまま硬直した。
やがてその足は、発作のようにビクビクと痙攣を始める。

ビクッ、ビククッ、ブルっ、ビクビクン

口の中から聞こえてきた絶叫も止み、やがて脱力した両足の股間から、血の混ざった小水が垂れ流された。寒い森に、鈴姫体温で温められた尿がほとばしり、白い湯気を上げる。鈴姫のおしっこを浴びた地面の雑草は、夜露に濡れたように雫を光らせた。

外道は首を思い切り上に振り上げると、脚も振り上げられてびたんと外道の顔に当たった。彼女の履き物が遠くへ飛んでいった。
そのまま、外道は顔を上に向けたまま、ごぶごぶと食らい尽くし、呑み尽くした。

べっ、と着物の切れ端を吐き出し、外道はゲップをあげる。

「ごぢぞうざまでぢだぁ」


これにて終了


644 : 名無しさん :2014/12/23(火) 22:38:38 ???
GJ!
鈴姫って可愛いのに何故か無様な姿が似合うから不思議だw


645 : 名無しさん :2014/12/24(水) 01:44:02 ???
サムスピの女の子は死に様が一番魅力的


646 : 名無しさん :2014/12/24(水) 02:09:56 ???
「いだだぎまぁず」は名台詞である。


647 : ハム子の人 :2014/12/25(木) 01:19:11 ???
丸呑みって良いですよね〜臭い息嗅がされてどんな可愛い子も醜悪な奴の(文字通り)餌に…GJです

ハム子のクロスオーバーが未だアイデアすら固まらないので
今更買った3DSスマブラのフィールドスマッシュで培った妄想を爆発させてゼルダを色々な敵でリョナってみました
妄想を元に書き殴っただけなのでいつも以上に適当ですが楽しんで頂けたら幸いです


648 : 姫と魔物 1 :2014/12/25(木) 01:22:30 ???
豊かで、美しい自然に囲まれた平和なハイラル王国。だが突然、その平和は打ち砕かれた。
なんと、この世界とは全く異なる次元から謎の迷宮が突如として出現し、そこに巣くう玉石混交の魔物共が次々と町を襲い始めた。
ハイラルには、国に危機が訪れた時勇者が現れるという伝説がある−だが、この世界で生まれた脅威が相手ではないせいか勇者を名乗る人物は一向に現れず、ハイラル王国は荒れ果てる一方だった。

しかし勇者以外にも、ハイラル王国には魔物と戦う勇気、邪悪を打ち破る魔力、そして迷宮を制覇するための知恵を兼ね揃えた人物が一人だけいた。
それは、ハイラル王国の王女・ゼルダ姫。
彼女は王国の平和を守るため、単身迷宮へと足を踏み入れた…。

「やぁぁぁっ!」

ゼルダの凛々しい声が、石造りの迷宮に響き渡る−彼女が一度腕を振るえば、聖なる光の帯が形成され彼女に牙を剥く魔物共はたちどころに打ち払われていく。
まだ迷宮に入ったばかりなのか、ゼルダに向かってくる魔物はおよそ魔物とも呼べないような可愛らしい顔やひょうきんな顔をした一頭身の生物ばかりで、それらは録に攻撃もさせて貰えないまま彼女の魔法の餌食になった。

(倒せば倒すほど…力が湧いてくる!)

そして、魔物は倒す度に武器や防具、魔法のシンボルを象った紋章を落としていった。
その紋章にゼルダが触れると体力、筋力、魔力といった戦うために必要な力が体の内から湧き出て来るのを彼女は感じていた。

(この調子で行けば…私一人でもこの迷宮を…!)

女の身一つでの戦いに正直不安を覚えていたゼルダだったが、魔物を倒す度に力を得られることから戦いに段々と自信を覚えるようになっていた。
その後も彼女は次々と魔物を打ち払い、着々と力を付け、迷宮の奥へと歩みを進める。

だが、その快進撃も長くは続かなかった…。


649 : 姫と魔物 2 :2014/12/25(木) 01:24:13 ???
「次は奴ね…!」

ゼルダが今対峙しているのは背中に羽を生やしピョンピョンと跳ねる、亀の魔物だった。
魔物は常に上下に動きながら移動しているため、ゼルダは中々魔法の狙いを合わせられずにいた。

「このっ……!」

次々と攻撃を交わしつつ、徐々に距離を詰めてくる魔物に焦りを感じるゼルダ。
だがその焦りのせいで、彼女は背後より忍び寄る気配に気付かなかった…。

ベチャッ

「ひあっ!?」

ぱっくりと開いたドレスから覗くゼルダの背中に、何かの液による冷たく、粘ついた感触が広がる。
ゼルダが何事かと背後を向くと−尻尾の針から黄色い液体を垂らした、蜂のような魔物がゼルダの上を飛び回っていた。どうやらその魔物に液体をかけられらしい。

「…っ! か、体が、痺れる……。」

ゼルダに掛けられた液体は毒性を持っているようで、上半身が強烈な痺れに襲われていた。魔法を放つ為の腕が上がらず、身動きも上手く取れない。そこへ−

ドゴォ!

「がはぁっ!」

背後からゼルダに忍び寄る亀の魔物が、彼女の背にサマーソルトキックを喰らわせる。
ゼルダの華奢な体は宙を舞い、もんどりを打ちながら背中から叩きつけられる。

「げほっ、ごほっ…」

衝撃により肺の空気を吐き出してしまったゼルダは咳き込んで苦しむ。
そこへ、蜂の魔物と亀の魔物が、チャンスとばかりに無防備な彼女に上空から急降下して襲い掛かる。

「させないっ…!」

だがゼルダは渾身の力を込めて腕を振り上げ、間一髪自身の身体の上に光のバリアを作り上げる。
バリアに全力で突っ込んだ二匹の魔物は凄まじい衝撃を受け、叫び声を上げながら消滅し、ゼルダの身に紋章の雨を降らせる。

「はあっ、はあっ、はあっ……(な、何とかなったわね…)」

紋章により地の力を付けたものの、体力と魔力を一気に消耗したゼルダは仰向けの体勢から起き上がれず、しばらく荒い呼吸を続けた

「はぁ…こ、これしきでっ……」

やがて少しずつ息を整えて、ゼルダは何とか立ち上がることが出来た。
だが、そんな彼女に更なる試練が待ち受けていた…。


650 : 姫と魔物 3 :2014/12/25(木) 01:27:27 ???
「!! 新手が…っ!」

立ち上がったゼルダの眼に、土塊で作られた、やせ細ったゾンビのような魔物が飛び込んでくる。魔物はゆらゆらと歩きながら、不気味に光る黄色い目をゼルダの方に向けている。

「炎よ…!」

咄嗟にゼルダは炎の魔法の詠唱を始める−だがそれは無駄な抵抗だった。

『キィィィィィィィィィィィィィッ!!!』
「んあ゛っ!?」

突如、魔物の金切り声が響く−すると、ゼルダの頭はまるで脳天を思いっきり叩かれたかのような激痛に襲われる。

「んへぇあ〜……」

脳に衝撃を受けたゼルダは、白眼を剥き舌を出した醜い顔を晒しながらその場でふらふらし始める。

『フシュー……』

完全に無抵抗な状態となったゼルダに、ゾンビの魔物が迫る−充分に接近すると魔物は彼女の肩を覆う金の装飾品を握り締め、破壊する。

「んあっ、あうっ……」

装備を壊されても、ゼルダは呂律の回らぬ口で言葉にならない喘ぎを上げることしか出来ない。

『シャァァァァァァァッ!』

そして、露わになったゼルダの肩に、魔物が鋭利な歯でかぶりつく…!

ブシュウ!

「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

肩に走る激痛が、ゼルダを現実に引き戻す−魔物の歯は柔らかなゼルダの肩肉に深く食い込み、その場に大きな赤い薔薇が咲いたように血飛沫が飛び散る。

『ンジュウ……ジュッ……ジュウ……』
「あっあぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!」

そして、魔物は止めどなく流れるゼルダの血を吸い始める。
血を吸われる度にゼルダの体の力が抜けていき、ゾクッと身体が震え、彼女は激しい喘ぎ声を上げる。

「は…な…せ…!」

だが何とか意識を保ったゼルダは、力を振り絞り無事な方の肩を上げ魔物の土塊で出来た胸筋に手を押し当てる。

(燃えろっ……!)

ゼルダの手から火炎魔法が放たれる−だが彼女は重大なミスを犯してしまう。

(しまった、加減が…!)

激痛に襲われながら魔力を操ったゼルダは、魔法の火力を誤ってしまう。
予想よりもずっと強烈な赤い光が彼女の掌から放たれ、そして−。

ボゥゥゥン!!!

激しい爆発が巻き起こり、脆い土塊の身体が無残に四散する。だが−

「ん゛ふ゛ぅお゛お゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」

ゼルダも炎に包まれながら後方へ大きく吹き飛ばされ、身体を激しく叩きつけられる。

「ん゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉぉっ!!、あ゛づっ!!、あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

炎はゼルダのスカートの裾や手袋に燃え移りつつ、火傷による激痛をゼルダに与えていく。ゼルダは暫くの間辺りをのた打ち回り、身分に似つかわしく無い汚い悲鳴を上げ続けた……。

「あ゛っ……ぁ……」

転げ回ったことにより何とかゼルダの体についた火は消えたが、彼女の身体には無数の火傷の痕が付き最早立ち上がることすらままならない。白い手袋は焼け焦げて穴だらけになり、スカートは膝から先が燃えて無くなり、白いタイツに包まれた細い脚が露わになる。

「う、こ、これは……?」

そんな満身創痍のゼルダに救いの手が現れる−突然彼女の目の前にハート型の器が舞い降りた。

「う゛っ……」

動かす度に激痛が走る腕を何とか伸ばし、ゼルダは器を掴む−するとゼルダが負った傷がみるみるうちに癒えていく。


651 : 姫と魔物 4 :2014/12/25(木) 01:29:45 ???
「た、助かったわ…」

体力も取り戻したゼルダはすぐに立ち上がる−すると、彼女の視界に先程の魔物が落としたと思われる紋章があった。
それに触れると、更なる力が彼女の中に湧き上がった。

「さて…行かなくては!」


唯一元に戻らなかった破けた衣服に少し恥じらいを感じつつ、ゼルダは意気揚々と先へ進もうとする。
しかし−

『ドガ〜ス』
「!?」

突如、同種の三体の魔物がゼルダの周囲に現れる。
紫色の球体に間抜けな顔と髑髏のマークがついており、側面には穴の空いた突起が無数に付いている。

「今の私ならっ!」

ゼルダは自信に満ちた声を張り上げながら、光の帯を放ち魔物を纏めて倒そうとする。だが…

『フシュー』
「くっ…かわされた!?」

魔物は急速に体を収縮させ、ゼルダの攻撃をかわしてしまう。
そしてすぐに、魔物は体を膨張させる。

(何か、来る!)

攻撃を予想したゼルダはすぐに魔法のバリアを展開する。そして彼女の予想通り、すぐに魔物の攻撃が始まった。

ブシュー!

「んう゛っ!?」

魔物が再び体を収縮させると、絞り出されるかのように濁った緑色の毒ガスが辺り一面を包み込む。
それはゼルダのバリアを貫通し、彼女はガスを思いっ切り吸い込んでしまう。

「ヴッ……ゲホ! ゴホッ! ウプッ!?」
ゼルダの胸に激痛が走り、彼女は胸を抑えて膝から崩れ落ちる。

あまりの苦しさにガクンと膝を降り、口と鼻を抑えて咳き込む。

「あ゛っ……」

口と鼻を塞いでいても、ガスはゼルダの耳からも侵入し身体の中を急速に蝕んでいく−程なくして彼女は固い床に突っ伏した。
その際に顔を思いっ切り打ちつけてしまい、鼻血がジワリと床に広がっていく。

「う……ぁ……」
『ドガ〜〜〜ス……』

立ち上がる力すら失ったゼルダに興味を無くしたのか、魔物は悠長にプカプカ浮きながらその場を去っていく。


652 : 姫と魔物 5 :2014/12/25(木) 01:31:56 ???
そして、

ピチャッ……タプ…タプ……

(な、何の音……?)

水音のようなものがゼルダの耳に届き、彼女は鼻血や涙にまみれた顔をゆっくり上げ、音の正体を確かめる−すると、筒状の軟体生物が体から滴る粘液で床を濡らしながらゼルダの方へゆっくりと近づいていた。

(ライクライク…! 奴に飲みこまれたら……!)

魔物の正体を知るゼルダは狼狽する−ライクライクはハイラルに住む魔物で、人間を筒状の大きな口で飲み込み、強力な胃液で装備ごと溶かすという恐ろしい生物だ。

ゼルダは毒に蝕まれた身体に鞭打ち、火炎弾を浴びせようと倒れた姿勢のまま掌をライクライクに向ける。
だが……

ブスッ……

(そ、そんなっ……!)

ゼルダの掌からは白い煙の塊が出るだけだった−先程の毒ガスにより、彼女はそれまでに戦いで培った魔力すら失ってしまったのだ。

(く、来る……!)

逃げることもも戦うことも出来なくなったゼルダに、無慈悲な魔物の不浄な身体が迫る。

(い、嫌ぁ……)

とうとう魔物はゼルダのすぐ近くまで迫り、身体をもたげ、彼女の頭部を大きな口の中に収める。

「んぷっ……」

ゼルダの顔にライクライクの軟体の気持ち悪い感触が広がり、口と鼻が体液で塞がる。

(息が……できない……体が……動かない……)

体力さえ残っていれば脚をばたつかせて抵抗出来ただろうが、今のゼルダにはそれをすることすら叶わない。ズルズルと吸い込まれていき、遂に身体は完全に取り込まれてしまった。
獲物を捕らえたライクライクはそれを消化するため、体をモグモグと動かす。

(もう、ダメ……)

凄まじい臭気と、全身を襲うこれまでに感じた事もない気持ち悪い感触に耐えられず、ゼルダはとうとう意識を失った。


だがゼルダの受難はまだ終わらない…。
最初は意気揚々とゼルダを消化し始めたライクライクだったが、毒に蝕まれた彼女の体は口に合わなかったらしい。
やがて動きを止め、体をググッと縮めると…。

ペッ!!!

ゼルダの身体を、天井に向かって勢い良く吐き出した。

ドゴォッ!

「い゛っぎ゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」

全身が千切れるような強烈な痛みにゼルダは目を覚まし、おぞましい魔物の叫びのような声を上げる。

「あ゛が゛っ!! が゛ふ゛ぅっ!! う゛ぼ゛っ!! ぐ゛ぶ゛ぉう゛ぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

あまりの勢いにゼルダの身体はバウンドし、天井と床を何度も往復する。その度にゼルダの身体からはお下劣な悲鳴と、血やら吐瀉物やら尿やら、様々な色の液体が飛び散る。

「ぐ゛ふ゛ぉう゛っ!?」

段々と勢いが落ちていくと、ゼルダの身体はうつ伏せの状態で地面を何度か跳ねて漸く動きを止めた。
何度も強い衝撃に襲われたゼルダは全身の骨がバラバラになり、両腕も両脚もあらぬ方向に曲がっている。
胃液によりスカートは完全に溶け、破れた白タイツに包まれた形の良い臀部が露わになる


全身はライクライクの胃液にまみれており、ボロボロの手袋やタイツの隙間からは胃液で溶けてただれた皮膚が垣間見える。
肉体は激しく痙攣し、まるで絶頂を迎えたかのように股間から液体がじょろじょろと漏れ出していた。

ライクライクはゼルダが地に付く頃には、とっくに姿を消していた。
ゼルダの身体その場に放置され、高貴なお姫様から生ゴミ同然となったその姿を晒し続けた。
混ざり合った様々な液体が放つ刺激臭をのおかげで、魔物すら彼女のそばを避けて通ったという…。

END


653 : 名無しさん :2014/12/25(木) 01:43:23 ???
以上です
ゼルダ本編はSFCのしかやったこと無いのでゼルダの口調とかかなり適当です イメージと違っていたらすいません
フィールドスマッシュにライクライクは出てきませんが、吐き出されてバウンドするシチュがどうしても書きたかったので無理やり入れました

シチュリクスレ見てたらクリスマスにサンタ服でリョナられるP3女子が書きたくなりました
ハム子サンタ服無いし12月アイギス居ませんけどね!


654 : ハム子の人 :2014/12/25(木) 01:43:39 ???
以上です
ゼルダ本編はSFCのしかやったこと無いのでゼルダの口調とかかなり適当です イメージと違っていたらすいません
フィールドスマッシュにライクライクは出てきませんが、吐き出されてバウンドするシチュがどうしても書きたかったので無理やり入れました

シチュリクスレ見てたらクリスマスにサンタ服でリョナられるP3女子が書きたくなりました
ハム子サンタ服無いし12月アイギス居ませんけどね!


655 : ハム子の人 :2014/12/25(木) 01:45:23 ???
名前入れ忘れに気づいて中止→カキコしたら重複してしまった…申し訳無いですorz


656 : 名無しさん :2014/12/27(土) 16:52:01 ???
ゼルダ姫も大変だな
乙でした

ゼルダといえば何か没キャラのリンクルってリンクの女版がかわいかったな
リョナりたい


657 : 名無しさん :2014/12/28(日) 12:17:43 ???
年越しSSの投下に期待


658 : 名無しさん :2014/12/28(日) 14:53:34 ???
GJ
高貴な身分で、しかもそれなりに戦えるキャラがズタボロになっていくのは実に良い


659 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:15:18 BelFlTo6
何とか年内に間に合った…。
今回微妙にスカっぽい描写&微グロとなりますので、苦手な方はご注意ください


660 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:21:24 ???
グランツ達が拠点としていた領主の屋敷から南下する事数十キロ。
領主の治める地を離れ、更に南下した先に南北に並走するバルツ、ライヒスの二つの山脈。
この山脈の谷間に位置し、両山脈に沿って南北に延びる城塞都市こそ、グランツのいう“谷”であった。
戦争以前、この更に南、両山脈の南端に挟まれた海岸に位置した旧王都の戦時には最後の砦として、平時には貿易の中継拠点として発展したこの街は、
降伏による王都無血開城と戦後の遷都によってその両方の価値を失い、今はただ訪れる者の無い廃墟としてその石造りの巨大な城塞だけが当時のまま残っている。


一日目

その古城の薄暗い一室に、クディルは捕えられていた。
武器や荷物は全て奪われていたが衣服はグランツに敗れた時のまま、それまでの戦いでボロボロになった旅装束を着せられており、
穿いていたズボンも、その裾を抑えるために巻きつけていたゲートルもそのまま。髪の毛もポニーテールに結われたままだ。

脱臼していた骨は入れられていて、傷の手当ても受けているため、体をいじられたことは間違いないが、
だとすれば態々捕えられた時の姿を再現したという事になる。

万歳のような姿勢で両腕を壁につながれた彼女が意識を取り戻した時、部屋には誰もいなかった。
「ここは……?私、たしか奴に…」

クディルは記憶を辿る。
屋敷に潜入してゲランを救出し、逃げるところでグランツに遭遇した。
そこでグランツと戦い、そして―

「負けたんだ。私」
辛い記憶が蘇る。
師匠の仇であるグランツ将軍。
これまで何度も絶体絶命の危機に遭いながら追い続け、ようやく追いついた。

しかし、そこまでだった。
師匠を上回るグランツにクディルは全く歯が立たなかった。
グランツに一方的にやられて瀕死の重傷を負った上に頼みの綱だった魔法も失って、敵の手に落ちた。

ここには一切周囲の状況が分からないようにして運ばれてきた。
自分がどういう状況にあって、村がどうなったのかも今のクディルには分からなかった。

分かることと言えば、今こうして捕えられていることと、部屋には何が入っているのか考えたくない大きな棚以外何もないこと。
そしてグランツとオルガが部屋に入ってきた事だけだった。

「目を覚ましたか」
二人をキッと睨みつけるクディルにグランツは口を開く。

「さて、クディル。君には色々聞きたいことがある」
「何も答えないわよ」
顔を強張らせてそれだけ答えるクディルをグランツは一切介さずに本題に入る。
「魔法兵器について、荷物の中にあった概要以外に君だけが知っていることがある筈だ」
「何の話?」
「正直に答えてくれクディル。君が答えなければ君の体に訊くことになる」
「……無駄な事ね」

クディルがそう答えるや否や、グランツはクディルに歩み寄り、少し目にかかった前髪に右手をやると撫でるようにして頬に下してくる。
グランツの硬い掌が触れた時、クディルは一瞬だがびくりと震えた。

手を伝って、その言葉が嘘ではないという確信が生まれる。


661 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:25:50 ???
「答えられないか?」
「お生憎様」
バシンと乾いた音が響き、クディルの上半身は手首の鎖を鳴らせて右側に吹き飛んだ。
グランツに張り飛ばされた左頬が真っ赤になり、唇の端から血が漏れだしている。

「……本当に何も知らないの」
顎を掴まれたままクディルは答える。
あの走馬灯は確かに持ち歩いていた概要よりもはるかに詳しく魔法兵器について説明していたが、何故かそれを今思い出すことができない。
もっとも、思い出したところで口を割るつもりは毛頭なかったが。

「ふん、成程」
グランツの手がクディルの顎から離れ、彼に変わってオルガがクディルの前に立ち、今度は熱でも測るように額に掌を当てる。
(何?何のつもり?)
何かの魔法の様だという事はクディルにも分かったが、具体的に何をされているのかは分からない。

「やはり封印されている記憶がある」
(封印されている記憶?どういう事?)
クディルの不安をよそにオルガはそう呟いてから傍らのグランツを振り返る。
「以前と変わっていませんね」
「やはり必要か……」
グランツの言葉にオルガは黙って首を縦に振る。

「よし、こちらは始める。そっちのセッティングを頼むぞ」
「お任せを。明日の朝には間に合わせましょう」
そう言って一礼すると、オルガは部屋を辞した。
去り際に一瞬見せたサディスティックな笑みは、クディルの不快感と不安を煽るのに十分だった。

「さて、クディル。君が答えないのなら君の体に訊くしかない」
もっとも、君自身は答えたくなっても答えられないだろうが、とグランツは誰にも聞こえないような小声で呟き、同時にするりと剣を抜く。

切っ先がクディルの前襟に潜り込んで胸元に触れ、左の乳房の上をすっと一文字に引いた。
「つッ!」
一瞬の痛みにクディルが小さく声を上げ、顔を歪ませる。
左乳房に赤い線が走り、滲んだ血が広がっていく。
グランツは切っ先の血をぼろ布で拭い取ると剣を収め、棚から1メートルほどの棍棒を引っ張り出した。


話は数日前、クディルが捕えられた日に遡る。
グランツは屋敷の誰もいない応接室でオルガの報告を聞いていた。

「まず間違いなく、あの娘の頭の中に隠されているでしょう」
「やはりか。それで、聞き出せそうか?」

グランツの問いにオルガは顔を横に振る。
「三重のロックがかかっています。無理矢理聞き出すのは恐らく不可能でしょう」
「と言うと?」

続きを促すグランツをオルガはその薄紅の瞳で見やる。
ちょっと長いよ、とその瞳が告げている。

「最初のロックですが、あの娘が兵器の知識を授けられた時、その記憶を催眠術の一種によって簡単に言えば封印された形跡があります。これによっていくら彼女から聞き出そうとしても答えられないでしょう。何しろ当の本人さえそんな記憶一切知らないのですから」
「成程、その催眠術が解けないという事か」
「術自体はかなり未熟ですから解こうとすれば造作もありません。ですが術者の魔力によって第二のロックがなされており、こちらは一流と認めざるを得ません。この魔力のロックがより強固に記憶を封印していて、彼女自身に危機―例えば戦闘といったような―が迫った時のみ解放されるように仕掛けてありました」


662 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:30:48 ???
オルガはここまで語ると一度話を止め、グランツに目をやって理解しているかを確かめるが、
すぐにそれが無用の心配だったと気づき再び語り出した。

「これに加え、彼女自身の精神が第三のロックになっています。―もっとも、これは第一と第二の術者には想定外だったようですが。
それが何かは分かりませんが、彼女は以前に何か恐ろしい体験をして、その体験時に回復した記憶を無意識に恐れ、
容易に回復しないようにより強固に封印してしまった。おそらく、戦闘中よりも更に危険な状況でなければ回復しないでしょう」

オルガの説明を受け、グランツは自分の考えが正しいかどうかを口に出して確認を試みる。
「つまり、より極限まで追い詰めなければ記憶が戻らないと」

「ええ。おそらくは死の直前。走馬灯のような形でしか回復しなくなっていると考えていいでしょう。
そうなるまで、肉体は勿論ですが、精神も人格が崩壊する間際までいたぶる必要がある」

「肉体は死の手前、精神は発狂の手前ということか」
その結論が、そのままクディルへの訊き方になった。


棍棒が音を立てて振り下ろされる。
「ぐうっ!!ああっ!うああっ!」

クディルの肩や首が何度も鈍い音を立て、その度に悲鳴が上がる。
グランツが叩き方を加減しているのか、それともこうした用途の為に作られた棍棒なのか、
殴られる度に激痛に襲われながらも骨は折られていない。

もっとも、殴られる度に砕けていても不思議では無い程の激痛に苛まれている以上、グランツの手が止まるまではあまり意味のないことかもしれないが。

「あぐっ!!あああっ!!」
グランツの剛腕で棍棒が叩きつけられる度にクディルの体は大きく揺れる。
鎧の下にもう一領の鎧を着込んでいるような逞しい肉体を持つグランツに比べると、性別の差もあってクディルはあまりにも華奢だ。

「うあっ!あぐぅ!うぁ……ぁぁ……」
一撃ごとに吹き飛ばされそうだった意識が、痛みに耐えかねて刈り取られそうになる。
両手首の鎖に体を預け、がくりとうなだれたクディルにグランツは棍棒を手の中で回転させると、その先端を目の前に吊るされた標的に突き刺した。
電気を流されたようにクディルの頭がびくりと跳ね起きる。

「んぐっ!?あっ、かっ……、おえぇ……うぅ…」
胃を撃ち抜かれる重苦しい痛みに、目は焦点の合わないまま大きく見開かれ、
口からは胃液と唾液とが口内の出血と混ざってとめどなく流れ落ちる。

今のクディルには力尽きる事すら許されない。
もし倒れる事が出来ればどれほど楽だろうか。
痛みに屈し、その場に倒れ込むことが出来たら。

今のクディルにはそれすら許されず、ただ殴られる度に悲鳴を上げ、目に涙を浮かべて必死に耐えるだけで、
痛みと恐怖の支配から決して逃げる事が出来ない。


663 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:36:22 ???
「ううぅ……。はぁ、はぁ……うあっ!!!」
まだ胃のダメージが全く回復していないうちに、落雷のような一撃が振り下ろされる。

「はぁ、はぁ、ううっ!!も……やめ…ぐうっ!」
弱々しい祈りも、吹き荒れる暴力の前にかき消され、ただ鈍い打撃音と悲鳴と嗚咽が薄暗い部屋の中に響き渡る。
グランツはクディルの全身を滅多打ちにし、クディルの声が少しでも小さくなれば別のダメージを与えて更に痛めつける。

二度目に失神しかけた時は肩の関節に胃に放ったのと同じ強さで棍棒を突き入れられた。
「いぎ!?ぐっ、ああああああっ!!」
肩の関節を力づくで解体されるような錯覚に陥り、それに伴う重く激しい痛みが襲う。


三度目は口の中に棍棒の先端を突っ込まれ、それを強引に喉まで押し込まれた。

「おご!?んぐっ!ごっ……!?おおおっ!!」
突如として押し入ってきた異物に対する自然な反応として、猛烈な吐き気がこみ上げ、
既に出し切ったと思われていた胃液が滝のように逆流し、足元に水たまりを作っていく。

棍棒の先端についたそれは、クディルの顔に押し付けられ、殴られて腫れ上がった頬で無理矢理拭われた。


四度目は水平にした棍棒を喉に押し付けられた。

「けっ…!?かっ、あっ……!!」
喉が圧壊するような怪力で押し込まれ、耐え難い痛みと吐き気と苦しみとが同時にクディルを締め付ける。
息を止められるという恐怖にパニックになりながら何とか脱出しようともがくクディルだったが、抵抗らしい抵抗など望むべくもなかった。

「ぁ……ぁぁ……ぐ…ぁっ……」
急速に弱っていくクディル。
その顔が土気色に変わり始めた時、ようやく解放された。

「…ッ!!げほっ!げほっ!ごほっ!!」
むせ返るクディルに再度無慈悲な攻撃が加えられる。

「うあ!がはっ!!んああー!!」
この猛打が五度目に意識を奪った時、ようやくクディルはうなだれることを許された。


二日目

クディルの―加撃を受けないという意味での―僅かな休息は、訪問者達によって終わりを告げた。
訪問者達―グランツとオルガ、そして彼らにつき従う藁束兵はうなだれたクディルを一瞥する。

この哀れな捕虜の少女は、鎖に身を預け死んだようにピクリとも動かない。
下半身は下着もズボンも脱がされて一糸纏わぬ姿になり、弛緩した股間から流れたし尿は、足元に置かれた桶に貯められていた。

「年頃の娘の姿じゃないね」
オルガはそう言って苦笑しつつ、その年頃の娘の頭に手を置くと雷の魔法を唱える。

「うあああああああああああああああああっ!!!!」
頭に強烈な電撃を受け、無理矢理覚醒させられたクディル。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
年齢の割に若干控えめな胸が大きく上下し、荒く肩で息をするクディルにオルガは嗜虐心を湛えた笑みを浮かべる。


664 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:41:20 ???
「随分と元気なお目覚めだねえ、ハハハッ」
何も言わずに自分を睨みつけるクディルにオルガもそれ以上何も言わず、藁束兵にクディルの鎖を外させる。

「こっちに連れてきて。良いものを見せてあげる」
クディルの両脇を抱えた藁束兵達が命令に従ってオルガの元までクディルを引き摺っていくと、オルガはクディルの耳元で囁く。

「あの村の人達に会いたい?」
その言葉に表情が強張るクディルをよそに、昨日は閉めきっていた小さな鎧戸つきの覗き窓を開けるオルガ。
クディルはこの時初めて、自分が監禁されている場所が古城内の収容所の一室に囚われていて、その真下が石畳の広場になっていることを知ったが、そんな事はどうでもよかった。

問題は、その広間にいる人々だ。
そこにいたのは捕えられた村の住人達。
村長以下、村のほぼ全ての住人が縛り上げられ、広場の中央に集められていた。

「そんな……」
思わず言葉を失うクディルだったが、すぐにオルガに詰め寄る。
「あの人達は無関係よ!すぐに解放して!」

「そういう訳にはいかないね」
クディルに冷たい笑顔を向けたまま広場に合図すると、領主に仕えていた役人達が村人達を追い立て、広場を挟んで反対側の収容所へ押し込まれていく―一人の少女を除いて。

その少女はクディルとも面識があった。
彼女は村の樵の一人娘で、クディルとは歳が近いこともあり、村にいた時に何度か話をした。

広場の真ん中に取り残された少女は、連行されていく村人達を不安そうな目で追い、
連行されていく村人達の中にいた樵夫婦もまた不安を露わにして何度も振り返り、役人に小突かれながら連行されていく。

やがて役人達の中で一人きりになった少女の前に小さな作業台が置かれる。

粗末な椅子と言った方が良いような大きさのそれには万力が取り付けられ、その先には革製の丈夫そうなベルトがついている。
その万力の上に伸びた可倒式アームには太い鋼鉄製の釘が万力に異常に鋭い先端を向けた状態で取り付けられている。
大きな金槌を持った役人が少女に合掌するように指示し、言う通りにした両手を掴むと左手の甲を上に向けて万力で手首を、ベルトで指をそれぞれ固定する。

この時点で少女は自分が何をされるのか分かったのだろう。泣き出しそうな声で役人達に哀願する。
「いや……、やめて、やめて下さいお役人様!どうか、どうか後生ですから!!」
上で見ていたクディルにも、これから何が行われるのかははっきりと分かった。

「やめなさい!やめさせて!!」
藁束兵に押さえつけられたまま隣にいるオルガに今にも飛び掛からんばかりの剣幕で怒鳴り付けるが、オルガは肩をすくめて見せただけだった。

「あの子は関係ないって言ってるで―」
クディルの怒号は、広場の絶叫で途切れた。

「いぎゃいあああああああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!」

先端が左手の甲に当たった状態の釘に役人が金槌を思いきり振り下ろせばどうなるか。
うら若き少女の喉から出たとは思えない絶叫が谷中に木霊する。


665 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:46:07 ???
絶句して立ち尽くすクディルの目の前で、役人はもう一度、更にもう一度金槌を振りおろし、その度に絶叫が木霊する。

三度目の絶叫が上がった直後、役人は台から風穴の開いた少女の両手を外し、その穴に荒縄を通す。
その間にもう一人の役人が大きな牛を一頭広場に連れてきて、少女の荒縄を牛に縛り付ける。

「嫌ああっ!!止めてっ!止めてええっ!!お父さん!お母さん!!」
少女の叫びも虚しく、役人達は安全な場所に避難すると一人が小さな矢を牛に向かって放った。
矢が刺さった牛は猛り狂い、少女を繋いだまま石畳の上を暴れ回る。

少女は硬い石に何度も叩きつけられ、その上を引き摺られ、荒縄が牛から外れた時にはボロボロになってピクリとも動かなかった。
生きているのか、死んでいるのか、それは少女自身にしかわからない。
やがて檻に繋がる門が開き、牛がその中に走り込むと門が閉じられ、代わりに戻ってきた役人達がボロボロの少女を拾い上げると村人達の収容所へ連れて行く。

一部始終を唖然として眺めていたクディルにオルガがふざけた口調で尋ねる。
「どう?ご感想は?」
「……この鬼」

人間の感情が有限ならば、恐らくクディルはこの時、一生分の怒りを消費しただろう。
「この屑!人でなし!!殺す!殺してやる!!」

動かない体でもお構いなしに暴れ、藁束兵が何とか抑え込むような状況でも、オルガはさげすんだ笑みを浮かべてへらへらと語る。

「気に入ってもらえたみたいだからついでに教えてあげるよ。あの子が何であんな目に遭ったのか」
「黙れ屑野郎が!!今すぐ殺してや「あの子はねえ」」
クディルの声を打ち消すように、大声を張り上げるオルガ。

「重罪人のあんたを匿った罪でああなったんだよ」
噛みつきそうな表情のクディルに面と向かって言い放つ。
「あの子だけじゃない。村人全員があんたを匿い、あろうことか領主への謀反まで起こした。つまりみんな同罪って訳。平たく言うとね―」

クディルの前髪を鷲掴みにし、額に額を押し当てて叫ぶ。
「あんたのせいであの子はあんな目に遭った!」

その断言にクディルが僅かにたじろぐ。
クディル自身、村人を巻き込んでしまったという自責の念があったのは事実だった。

「あら、自覚はあったんだ。自分があの人達を巻き込んでるって。黙っちゃったってことはそういう事よね?あ、もしかして自責の念とか感じてるの?」
何か言い返そうとするクディルだったが、何も言えなかった。
怒りが急速にしぼみ、代わりに自身への不信が膨らみ始める。
その変化を見逃すオルガではない。
手を離し、大げさな身振りとすっとぼけた口調で追い打ちをかける。

「じゃあそんな優しいクディルちゃんに出血大サービスだよ。明日の予定を教えてあげる。明日はね、村人を一人処刑するの。勿論罪状はあの子と一緒」
黙り込んでしまったクディルを見て、その心が完膚なきまでに打ちのめされていることを悟ったオルガは、勝ち誇ったようにふんとため息を一つ。


666 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:48:18 ???
「ところでさ、話変わるんだけど」

それまでと打って変わって冷静な口調。
「あんたさっき、私になんて言った?」

クディルは睨みつけてはいるが、その目には激しさも気迫もない。

「鬼とか屑とか人でなしとか……あんた、自分が捕虜だってこと分かってる?」
そう言って、ゆっくりと品定めするようにクディルの頬に手を置き、同時に異様にドスの効いた声で叫ぶ。

「…誰に向かって口きいてんだよ糞餓鬼がっ!!」
「ひっ!」
思わずうわずった悲鳴を上げるクディルだったが、その時には既にオルガの魔法が発動していた。

「あああああああああああっっ!!」
再び全身に電流を受け、絶叫するクディル。
先程よりも長く、強いそれはクディルの意識が完全になくなるまで続いた。

「初心な小娘にはショックだったかしらね?」
オルガは足元に転がっているクディルにそう投げかけたが、ビクビクと痙攣する以外答えは返ってこなかった。
そんな事を時に気にすることも無く電撃の巻き添えを受けなかった別の藁束兵に命じてその初心な小娘を再度鎖に繋がせる。

藁束兵がクディルを持ち上げた際、髪留めが外れて床に転がった。
戦闘時のポニーテールがおろされ、髪が広がった。



続く


667 : クディルの人 :2014/12/31(水) 07:50:04 ???
以上になります。
スレの汚しおさめ失礼しました。
それではよいお年を


668 : 名無しさん :2014/12/31(水) 09:35:11 ???
素晴らしい!
口内の出血と唾液が混ざるとネバネバした粘液になって汚いんだよねw
でもそんな状態も美少女がなるなら凄まじく萌える光景だわ…
そして棍棒責めの描写がめっちゃツボ
痛そうな感じ、精神も含めて踏みにじられるような感じが伝わってきた
そして後半の精神責めは読んでて(感情移入できるって意味で)胸が痛い…

一足早いお年玉になりました。とてもGJです


669 : 名無しさん :2015/01/01(木) 00:16:50 CfKAbxAo
「皆さま、新年あけましておめでとうございます。今年も当会を、ひいてはSSスレをご愛顧くださいますよう、よろしくお願いいたしますわ」

今年も良い夢を
2015.01.01


670 : 名無しさん :2015/01/01(木) 00:22:18 ???
リョナの未来に栄光アレ


671 : ハム子の人 :2015/01/02(金) 00:08:39 Uk4VsibY
遅ればせながら明けましておめでとう御座います。今年も宜しく御願い致します。
早速クディルちゃんのSS読ませていただきましたが、肉体の責めも精神の責めもクオリティが半端無い…
特にクディルちゃんが激昂した後に、自分のせいで村人が犠牲になることを知って急激に萎縮してしまうところが素晴らしいです

さて、私もハム子でリョナの鐘的なのを書いたのですが大晦日どころか元旦にも間に合わないという始末…
でもお蔵入りするのも嫌なので、誠に恐縮ですが今更ながら投下させていただきます
相変わらずの駄文ですが楽しんでいただけたら幸いです


672 : リョナの鐘inP3P 1 :2015/01/02(金) 00:14:21 ???
「うっ……」

気を失っていた朱美が、目を覚ます−まだ意識ははっきりとせず、伝わって来るのは背中を走る冷たい感触だけ。

(わたし、どうなってるの…?)

真っ暗な視界の中で、彼女はそれまでの出来事を思いだそうとする。

(確か、影時間になったらシャドウが現れて…みんなで倒しに向かった…筈だよね?)

12月30日と12月31日の間に何時と同じように現れる、隠された時間・影時間−大晦日に世界を襲う脅威と戦うか逃げるか、という選択を迫られていた朱美らは、その決断に備えてすぐに床に就くつもりだった。
だが、街に影時間にだけ現れる怪物・シャドウが現れたという一報を受けた彼女らは、その討伐のため神社に向かう羽目になっていた。

(神社に着いたら、急に眠気が襲いかかってきて…)

ナビゲーターを務める少女・山岸風花が警告した時には遅く、朱美率いる討伐隊の四人は全員その場で気を失ってしまった。

「ここは…どこ……!? な、何これ!?」

そこまでは思い出す程に意識のはっきりしてきた朱美は、自分の置かれている状態に気付き、驚愕する。
身体は何か巨大な金属の柱のようなものに縄でキツく括りつけられており、殆ど動かすことが出来ない。両腕は縄で縛られて上から吊るされ、ご丁寧なことに両足の付け根も縄でしっかり縛られている。

「さ、さむ、い……」

おまけに彼女の格好は討伐の際に身に付けていたハイレグアーマーのままだった。金属製の白いハイレグ水着型の鎧で隠された局部と、鋼鉄の覆いが付いた白の長手袋と白いサイハイブーツで覆われた部分以外は殆ど露出する格好となっており、白い肌を剥き出しにした肩や臀部、へそから伝わる冬の冷たい外気が朱美の身体を芯から冷やしていた。
寒さと、絶望的な状況に追いやられたことへの恐怖で朱美は震え、歯をガチガチと鳴らしている。

「んんっ、くっ、んうっ……!」

朱美は体をよじらせ何とかその場から逃れようとするも、ポニーテールに結った赤茶色の髪で覆われた頭部と、面積の小さい金属の鎧がただ擦れるだけに終わった。
身体を動かせないことで、朱美の身体を襲う寒さは段々と増してゆく−普段は高い機動性を誇る装備で身体を激しく動かして戦い、身体も汗ばむ位に熱くなるのだが、動けない今となっては露出の高い装備が完全に裏目となっていた。

「目が覚めたようだな」

朱美が寒さと恐怖に打ち震えていると、突然彼女にとっては聞き慣れた男の声が響いた。

「さ、真田先輩…!?」

声を聞いた朱美が顔を上げるとそこには短い銀髪に整った顔、引き締まった身体が目を引く少年−朱美にとっては一つ上の先輩でもあり恋人でもある−真田明彦が立っていた。
寒いというのに無地で白い半袖のTシャツに青いブーメランパンツという出で立ち(朱美と同じく、機能性を重視した結果である)で、両手には彼の武器である青いボクシンググローブがはめられている。

「真田先輩、良かった、無事で…」

恋人が無事なことに安堵する朱美だったが、彼女はその後それが大きな絶望をもたらすことを知ることになる。


673 : リョナの鐘inP3P 2 :2015/01/02(金) 00:17:44 ???
「おいおい、二人っきりの時は名前で呼べと言ったろう?」
「二人って…他のみんなは居ないんですか!?」
「ああ。まあ、観客ならいるがな」
「観客…? っ!?」

ふと辺りを見渡した朱美は、驚いて言葉を失う−朱美と真田を取り囲むように、赤い目を光らせた黒い人型の塊−影時間の怪物・シャドウがズラッと並んでいたのだ。

「他にも居るが−あんなの居る内に入らないだろ?」
「!!」

真田が顎で差した方向を見て、朱美は再び驚く−二人と共にシャドウ討伐に向かった、朱美の同級生で親友の岳羽ゆかりと、朱美と同じ学校の初等部に通う10才の少年・天田乾の二人が折り重なるように倒れていた。
二人とも全身傷だらけで、ゆかりのピンクのカーディガンや、天田のオレンジのパーカーといった衣服もボロボロになっている。

「ゆかり、天田くんっ!!」
「敗者にかける情けなど無用だ、放っておけ」

傷だらけの仲間を見て動揺する朱美だが、それに対して真田は冷静、いやあまりにも冷徹だった。

「せ、先輩、何言って……っ!!」

朱美がふと真田の顔を伺うと、明らかに普段と違う様子に気付く−真田の瞳の色はいつものグレーから、怪しくギラギラと光るショッキングピンクに変色している。
それを見た朱美に、恐ろしい予想が浮かぶ…。

「せ、先輩、まさか、操られて……!」
「何を訳の分からないことを言っている。除夜の鐘に括りつけられて呆けたか?」
「!!」

あからさまな暴言は、朱美の予想が的中したという証拠だった−真田は何者かに操られ、正常な状態ではない。

「さて、鐘に括りつけられたお前も目覚めたことだし、そろそろメインイベントに移るか」
「あ、明彦さん、こんなこと止めて…!」

どうやら朱美が括りつけられた物の正体は除夜の鐘らしいが、朱美にはそんなことはどうでも良かった。彼女は瞳を濡らしながら懇願するが、真田は無視して話を進める。

「俺は弱い女に興味は無い。そこで、お前が俺の恋人に相応しいかどうか確かめる−
今から俺はお前を殴る。それに耐えられたら俺の女として認めてやろう」
「!?」

朱美は真田の衝撃的な発言の意味を一瞬理解出来なかった−いや、それを恋人が向けた言葉として信じたくなかっただけなのかも知れない。


674 : リョナの鐘inP3P 3 :2015/01/02(金) 00:21:30 ???
「な、何を言ってるんですか、明彦さん−」
「問答無用! 行くぞっ!」

真田は朱美の言葉を遮ると、瞬く間に朱美に近づき、彼女の無防備な腹に拳を打ち込む。

「あ゛っ!?」

朱美の柔らかなへその辺りの肉がが真田のグローブと除夜の鐘に挟まれて潰れ、彼女は汚い悲鳴を上げる。

「う゛っ……ぐぐっ……!!」

朱美はへその中心から広がる腹痛と気持ち悪さに呻く。だが彼女に休む暇は無かった。

「まだまだ、次だ」
「んぶっ!」

今度はへその上に真田の拳が突き刺さる。

「ん゛ん゛〜〜っ!!!」

先程よりも激しい嘔吐感が朱美を襲うが、全身の筋肉に力を入れ何とか込み上げるものを抑える。代わりにキュッと結んだ口から涎が零れ、全身からドバッと汗が噴き出した。

「伊達に鍛えては無いようだな…だが、ここはどうだ?」

嘔吐を堪えた朱美に感心しつつも、真田は更なる一撃を加える。

「ひぎゃあ゛ぁっ!?」

へそより下の、決して鍛えられぬ秘部に近い部分が殴られ、朱美の全身がビクンと震える。

「い゛っ、あ゛ぁっ、やめでぇ……」
「どうした、もう降参か」

全身をヒクヒクさせながら、涙を流して情けない声を上げる朱美を真田は鼻で笑う。

「もう少し骨があると思ったが…」
「ち、ちがっ……」
「ん? まだやる気はあるのか、ならば……」
「あ、明彦さん、は、そんな人じゃない……」
「っ!?」

痛みに耐えながら、朱美は必死で言葉を紡ぐ。その言葉が真田を目覚めさせると信じて…。

「明彦さん、はっ……強い人です……でも、弱い者いじめをするような人じゃ、無い……
私の知ってる明彦さんは、強くて、真面目で、それでいて、優しい人です……お願い、目を覚まして……!」

恋人として過ごした時の甘酸っぱい思い出、彼女との逢瀬との間にのみ見せる真田の優しい微笑みと眼差しを思い浮かべながら、朱美は必死で真田を説得する。
だが……。


675 : リョナの鐘inP3P 4 :2015/01/02(金) 00:24:14 ???
「何を言っているんだ!! お前は俺をそんな甘っちょろい男だと思っていたのかッ!!!」
「!! そ、そんな……」

真田の心を動かすことは出来なかった。それどころか目をより一層ギラつかせ、眉間に深い皺を寄せて朱美を怒鳴りつけて来た。

「ふざけるな…俺を舐めやがって!」
「ち、違うの、そんなつもりじゃ……!」
「言い訳するな!! お前みたいに言葉を並べ立てて痛みから逃れようとする女が俺は一番嫌いなんだ!!」
「!!!」

真田のナイフのように尖った言葉が、朱美の心に突き刺さる。操られた口から出た言葉だとしても、朱美の心を抉るのには十分だった。

「い、いやぁ……そんなこと、言わないで……!!」
「うるさい、黙れッ!!」
「うっ…… ぶぼっ!!」

真田は涙をボロボロと流す朱美の顔に、強烈な右フックを見舞う。

「ふっ、う゛ぅっ……」

朱美の左頬が赤く腫れ醜い姿になるが、真田の攻撃は止まらない。

「喰らえっ!!」
「ぐふぅお゛っ!? げほっ、ごほぇっ、けほっ……!!」

剥き出しになった胸元に真田の右ストレートが突き刺さる。朱美は汚い悲鳴と共に肺の空気を吐き出し、激しく咳き込んだ。

「フィニッシュだ、行くぞッ!」

悶え苦しむ朱美に、真田の容赦無いラッシュが襲う−

「ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛ぁっ!!!!!!!!」

拳の雨に、朱美の身体が蹂躙されていく。顔は潰れ、腹部や肩、太ももに痣が次々と出来てゆき、殴られる度に身体はビクンと跳ねる−。




「ふ゛ごっ……ごっ……お゛ぶっ……」

数十秒後、朱美は惨たらしい姿になっていた。
顔は腫れ上がり口や鼻からは血がダラダラと垂れ、ぷっくりとしたピンクの唇は所々赤い口を開けるようにぱっくりと裂けている。
ハイレグ水着型の鎧により剥き出しになった白い肌には赤黒い痕や真っ青な痣が大量に付き、特に腹部には濃い紫色の痣がへそを中心として広範囲に広がっていた。

(こ、こんなの、嫌……もう私、生きていけない……)

身体中に走る激痛と、それを与えたのが最愛の人であるという事実−それは朱美の心をポッキリと折り、生きる気力すら喪失させていた。

「ふん、弱い奴め」

朱美を嘲る真田の声が微かに聞こえると同時に、彼女はその腫れ上がった顔をがっくりともたげ、気を失った…。
最もそれは、第一ラウンドが終わったに過ぎなかった。


676 : リョナの鐘inP3P 5 :2015/01/02(金) 00:26:28 ???
「んうっ……」

僅かな呻き声と共に、朱美は目を覚ます−今度はさっきとは違い、床から背中を除いた全身に冷たい感触が伝わってくる。どうやらうつ伏せに倒れていたようだ。

「回復したか…全く大したものだ、『こいつら』の魔法は」
「えっ……?」

やがて意識がハッキリとし、真田の意味深な言葉が耳に届いてくる。全身の傷や腫れは治っているようで、身体は素直に動く。
朱美が急いで身体を起こすと、そこには−

「!! ゆかり、天田くん……!!」

倒れていた筈のゆかりと天田が、真田を挟むように立っていた。
だが、彼らが朱美を見つめる瞳は、真田と同じく不気味なピンク色に輝いている…。真田と同じく、シャドウからの洗脳を受けたようだ。

「そんな……二人まで!」
「お前の蘇生の為に回復してやった。だがもう用済みだ」

そう言うと真田は、瞬く間に二人の腹部にパンチを打ち込む。
すると、殴られた二人の瞳の色が元に戻る。そしてその瞳を苦しそうに見開きながら−

「あ、あけみ、さっ………」
「た、たすけっ…て……」

朱美に絞り出すような声でメッセージを残すと膝を付き、再び地に伏した。

「ふ、二人共! しっかり!」

朱美は倒れた彼等に駆け寄ろうとするが、その前に真田が立ちふさがる。

「な、何のつもりですか……!!」

朱美は震えた声で問う。操られた上での行動とはいえ、これ以上恋人の蛮行を見ていたくはなかった。
動揺する朱美をよそに、真田が続ける。

「やはり一方的にいたぶるのは俺の嗜好に合わん。正々堂々と決着を付けよう。」

すると、真田は朱美の足元を腕で示す。朱美が下を向くと彼女がシャドウ討伐の武器として使う筈だった、金色に輝く錫杖が転がっていた。穂先に付いている金色の輪が特徴的だ。

「そ、そんなこと、出来る訳−」

恋人と戦うなんて出来ない、そう思った朱美はそこまで言い掛けるが、ふと先程のことを思い出す。真田に殴られ、一瞬だけ正気を取り戻した二人。自分も戦いに勝てば、或いは−

「どうした、怖じ気付いたか? もしやらいのなら、とっとと俺の前から−」
「やります」

気付いた時には、朱美はハッキリとそう言っていた。勝てば、真田を元に戻せるかも知れない。
一度は折れた朱美の心に、闘志が宿る。

「やらせて下さい。そして、明彦さん−あなたを取り戻します」
「…そうか、やる気になったか」

朱美の返事を聞いた真田は、すぐさまファイティングポーズを取った。朱美も足元の使い慣れた錫杖を拾い、両腕で構える。

「……行くぞ!」

真田が駆け出すと共に、第二ラウンドのゴングが鳴った。


677 : リョナの鐘inP3P 6 :2015/01/02(金) 00:28:22 ???
「やあぁぁぁぁぁっ!!!」

突撃する真田を迎え撃つように、朱美は声を張り上げて錫杖を振るう。

「甘いッ!」

だが真田はそれを軽やかなステップでそれを交わし、カウンター気味に朱美にストレートを放つ。

「くうっ!」

何とか朱美はそれを錫杖で受け止める。衝撃の強さで、彼女の両腕に軽い痺れが走る。

「どうした、こんなものか!」
「うくっ、いっ、つぅっ……!!」

怯んだ朱美に、真田はラッシュを仕掛ける。朱美は両腕を巧みに動かし錫杖でそれを受け止め、身体に届いてしまったパンチも顔を歪めながら何とか耐えるが、防戦一方で中々攻撃に移れそうにない。
何より、恋人の狂気染みた顔を真近で見なければならないのが辛かった。

(このままじゃ……!!、そうだ!)

だが苦境の中で朱美はふと、真田が上半身の動きに夢中で足元の警戒が少し疎かになっていることに気付いた。
彼が攻撃に足を使えないボクサーであり、朱美の武器の方に意識が行っているためあまり警戒していないのだろう。ならば、そこを付くしかない−

「ごめんなさいっ……!」

朱美はタイミングを見計らい、真田が踏み込んだ瞬間を狙って彼の足をブーツのヒールで踏みつける。

「ぐあああああっ!?」

真田の足に激痛が走る。彼は顔を苦痛に歪め、悲鳴を上げ、身体をぐらっとよろめかせる。

(チャンスだっ……!)

朱美はその隙を見逃さず、真田の身体を目掛けて錫杖を振り下ろす。
そこで、勝負は付いた−

筈だった。

(あっ…!)

しかし、錫杖を振り下ろす朱美の目に、苦しそうにする真田の表情が映ってしまう。真田は辛そうに目をギュッと閉じており、瞳の怪しい光が見えないその顔は、まるで真田がシャドウに攻撃を受け、苦しんでいる時と変わらないように見えてしまう。
だが真田の顔をこんなに歪めたのは、紛れもなく朱美自身だった−

(明彦さんっ……!!)

恋人を傷付けたという自責の念、そしてこれ以上傷付けたく無いという思い−
それらがないまぜになって朱美の心の底から湧き出し、彼女の腕の動き鈍らせる。

「!! しまっ……!!」

錫杖は、真田の身体を捉えること無く身体の直前で止まっていた。
そして真田は、その隙を見逃さなかった。

「ぐっ……舐めるなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

真田は痛みを堪えて起死回生の攻撃に転じ、瞬く間に朱美に三発の打撃を叩き込む。

「がっ!!、かはっ!! ん゛お゛ぉっ!?」

朱美の顎に、鳩尾に、上腹部に、次々と真田の拳が突き刺さる。

「ん゛あ゛ぁぁぁぁぁっ……」

すると朱美の目がくるんと裏返り、だらしなく舌がこぼれ、涎が垂れる。力を失ったかのようにガクンと両腕が垂れ下がり、開かれた手から錫杖が転がり落ち、カラカラと音を立てて地面に転がる。そして、ガクッと膝を折った。

「お゛え゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ……」

そして膝を付いた衝撃で首を下へもたげると同時に、胃を殴られた彼女の口からそれまで我慢していた吐瀉物が一気に流れ出した。
それはビチャビチャと音を立てながら地面に広がり、やがて朱美は自らが作り出した汚泥の海に顔を突っ伏し、ベチャっと音を立てた。

ビクンッ、ビクビクッ、ビクンッ!!
しょわあああぁぁぁぁぁ……

顎を殴られ脳が揺れた彼女は、尻を突き出した体勢でうつ伏せになり身体を激しく痙攣させる。尻を突き出したことにより、下着の鎧からこぼれる尻肉がピクピクと震える様子がよく分かる。
そして−同じく我慢の限界を迎えていたらしい尿が、括約筋の痙攣をきっかけに彼女の股間から溢れ出る。薄れゆく意識の中で、股間を生暖かい液体が濡らしていく感触を朱美は微かに感じ取る。
また尻を突き出した体勢のせいで、尿を噴水ように噴き出す股間が良く見える格好となっていた。

「…………ぁ…………」

恋人の前で汚物を垂れ流す恥ずかしい格好となったことで、再び心に深い傷を負った朱美は、再び失意の中で意識を失った…。

「はぁ、はぁ…驚かせやがって…!」

痛みの残る足を気にしながら、真田は悪態をつく。
そして朱美の様子を見た途端、彼はゴミを見るような目で彼女を見下した。

「ふん、もうこの女に用は無い……後はお前たちに任せる
……何、この二人も蘇生させろ? わかったよ」

倒れた朱美と、再び勝ち残った真田に人型のシャドウが群がる。
そしてそれは、更に絶望的な第三ラウンドの幕開けだった。


678 : リョナの鐘inP3P 7 :2015/01/02(金) 00:31:16 ???
「うあぁっ……」

三度、朱美は意識を取り戻す。以前のように身体の傷は癒えていたものの、吐瀉物や尿は拭き取られていないようで、気持ち悪い感触が身体を支配していた。

「!! ひいっ!!」

目を開けた彼女は、自分の置かれた状況に恐怖を抱く−自分は再び先程と同じように鐘に身体を括り付けられ、更に…鐘を付くための巨大な丸太が彼女の身体の前に吊されている。

「俺はもう飽きたがこいつらはまだ物足りないようでな。まぁ、年の瀬だからお誂え向きだろう。中々楽しめそうだ」

下から真田の声が響く−相変わらず目は洗脳されたままだ。
そして隣には再び蘇生され洗脳されたゆかりと天田が控えている。

「ま、まさか……」
「今年の除夜の鐘はお前だ、黒鷺」

真田が朱美を名字で呼ぶと、筋骨隆々のシャドウが縄で吊された丸太を思いっ切り引っ張る。

「い、嫌ぁっ! そ、そんなの喰らったら……!」

朱美は顔を左右に振りガクガク震えながら怯える。
だがシャドウは無情にも、丸太を離す−

ゴォォォン!!!

「ぐふぅお゛あ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

丸太は朱美の剥き出しの腹部に命中し、腹を潰された彼女は吐血し、激痛に喘いだ。

「ぶぼっ! ごぶっ! お゛あ゛!?」

丸太は何度も朱美の腹を穿ち、その度に朱美の腹部は紫色に染まっていき、口から血と唾液が混ざった液体を撒き散らす。

「あ゛う゛っ……も゛っ、もうげんか、い゛っ……」

やがて朱美はあまりにも強烈な腹部の激痛に耐えられず、失神する。だが…。

「ペル…」
「ソナ…」

洗脳されたゆかりと天田が、召喚器の引き金を弾く。
二人のペルソナ『イシス』と『カーラ・ネミ』が朱美に回復魔法をかける。

「うぅ…… !?」

傷が癒え意識を取り戻した…いや『取り戻してしまった』
朱美に、再び丸太が直撃する。

「うぐおあ゛あ゛あ゛あぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

その後も何度も何度も、丸太が彼女の身体を襲い、気を失う度に回復魔法で無理やり意識を戻された。
何度内臓を潰され、何度大量の血を吐き出そうとも責め苦は終わらない。

「ふっ…これで少しは身体が鍛えられると良いが」

真田は腕組みをしながら、恋人が痛めつけられる様子をじっと見ていた。
それを見た朱美は、心が張り裂けるような気持ちなり、肉体だけで無く精神もボロボロになっていく。

(も、もう、やめて……やめてよ……!)

朱美は心の中で叫び続けたが、108の煩悩よりも数の多い責め苦は影時間が終わるまで続いた……。


やがて影時間が終わり、シャドウが消え失せると朱美らは全員意識を失い、他のメンバーに救助されるまでその場に放置された。
命は助かった彼らだが、シャドウに受けた永遠の時を思わせる程続いた腹責めと、最愛の人に痛めつけられた記憶は、朱美の心に暫く会話が出来ない程の深い傷を負わせていた…。


679 : ハム子の人 :2015/01/02(金) 00:43:19 ???
以上です お目汚し失礼しました
今更ですがゲームやってない人には分かりにくい部分があったかも知れません(影時間やシャドウの解説は毎回どの程度触れるか悩みますw)
因みにクリスマスにも似たようなネタ考えてたのですがこっちも間に合いませんでした…不甲斐ないorz

最後に、重ね重ねになりますが読者の方々、他のSS書きの方々、今年も宜しく御願い申し上げます。


680 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 00:50:34 OEe.T0Zs
皆様、明けましておめでとうございます!そして、お久しぶりでございます。
私からのお年玉と言ってはなんですが、こころの陵辱劇の続編が司波深雪のSSよりも
先に出来上がってしまったのでこちらをこの後1時頃に投稿しようと思います。


681 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 00:59:58 ???
では、始めさせてもらいます。よろしくお願いします


682 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 01:01:00 ???
〜前回のあらすじ〜

 エレナと仲が良いことに嫉妬したマリー・ローズと対峙することになってしまったこころ。逃げ場なき特設リング、小柄な体躯を活かしたマリーの攻撃に全く手も足も出ず蹂躙されていく
こころ。終いには身動きが取れなくなったこころの指もマリーによって使い物にならなくなってしまった。マリーは泡を吹いて倒れるこころを気遣う様子もなく、彼女の美しい黒髪を引っ張
り「第2ラウンド」の舞台となるエレナの地下拷問室へ連れて行かれる。四肢を拘束されたこころの前に立ちはだかるマリー、それに用事を終え戻ってきたエレナも加わり、こころへの更な
る責め苦の幕が上がる。


683 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 01:02:43 ???
「エレナはん...助け..て...」

戻ってきたエレナに助けを求めるこころだったが

「マリー、その鞭を寄越しなさい。私がやるわ。」
「はい、エレナ様。」

こころの助けを無視し、マリーが持っている鞭(元はエレナの持ち物だったが)を手に取るエレナ、慣れた手つきでエレナは鞭を振りかざしこころの豊満な胸に向かって振り下ろ
す。こころの豊満な胸はぷるんと揺れ、ミミズ腫れが出来たり、肉が抉れたところからは血が噴き出している。

「ガッ.........」

マリーとの戦いで叫び過ぎ喉が潰れてしまったこころの口は女性とは思えぬくぐもった喘ぎしか上げることができない。

「うふふ、貴方を一目見たその日から私は貴方の美しい体を傷付けたくて仕方がなかった、だから今ここでその欲望を開放させてもらうわ...」
「エレナ様!マリー、こいつを痛めつけてここまで運んできました!!褒めてください!!」
「偉いわねマリー。ご褒美をあげるからこっちに来なさい。」

まるで主人に擦り寄る子犬のようなマリーを近くに呼び寄せるエレナ、寄って来たマリーの頬に片手を当て唇を重ねる。その光景は非常に淫靡で見ていた獲物であるはずのこころですら
も興奮を覚えてしまうほどの光景であった。

「んっ...ぷはぁ、ありがとうございますエレナ様」
「どういたしまして、さてマリー、そろそろ目の前の獲物さんも堕としちゃいましょうか、貴方はこいつの後ろに回りなさい」
「はい、エレナ様」

エレナの命令に忠実に従うマリーにさっきまでの戦いの凶暴さは全く感じられない。


684 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 01:05:50 ???
「マリー、貴方がやることは簡単よ。こいつをくすぐってやりなさい」
「くすぐりですか?でもどうしてです?」
「うふふ...くすぐりってね、古来から拷問の一つとして使われていたそうよ?この獲物さんの母国の日本ではくすぐられ過ぎると死んでしまうって俗説すらあるそうよ?」
「そうなんですか、分かりましたエレナ様。」
「さてこころちゃん?少しゲームをしましょうか。今からマリーが15分間貴方をくすぐります、貴方が声を出さずに耐え抜ければ私は貴方を開放して地上に返してあげ
る、でも声を上げて笑ってしまったら、その都度私が貴方の体を鞭で叩くわ。どうかしら?やる?」

こころはただただこの湿っぽく生臭い部屋から抜け出したかった、そのためにはエレナの提示したゲームに挑まなければならない。

「...や、やります」
「では始めましょうか。マリーやりなさい」
「はいエレナ様、行くわよ?ザコちゃん...w」

マリーはエレナへの了解の言葉の後に、こころの耳元に口を近づけ侮蔑の言葉をそっと囁く。その後、マリーは汗ばんだこころの脇の下に手をかけコチョコチョとくすぐり始める。

「くっ....やぁ...」
「それコチョコチョっとね」
「うふふ、いつまで耐えられるかしらね。マリー手加減はなしよ?」

こころはマリーの緩急を付けたくすぐり責めに声を出して笑うまいと体をくねらせて必死に耐える、汗ばみテカっている体を必死にくねらせるこころの姿はあまりにも官能的で、同姓である
エレナですら興奮を隠し切れない。

「えへへ、れろーんれろれろ...これならどう?」
「!?...うっ.....(何これ、気持ちいい...)」

マリーがこころの首に口を近づけ赤く小さな舌で首筋から耳裏にかけてチロチロと舐め上げる、こころはそのむず痒さと快感を何とか堪えている

「見てるのもいいけど、そろそろ手持ち無沙汰ね、マリー一気にヤっちゃって」
「ふぁい、えれなさま」

見ているだけでは抑えきれなくなったエレナがマリーに命令すると、マリーはこころの耳たぶを口に含み舌の上で転がす、その後マリーはこころの耳たぶを
口から出す。マリーの唇からは唾液の白い糸が後を引いている、マリーは耳たぶを転がした舌をこころの耳の穴に入れ責め始める。それと同時でマリーの手
はこころの脇の下をくすぐり続けている。耳穴を責められるという未知の感覚、しかし予想以上の快感に体を震わせるこころ、それに加えて続く脇の下への
くすぐりにこころのキャパシティは限界だった。

「うっ...あへ、あへあっははへへあははあへ...」
「ついに笑ってくれたわね。じゃあ1回叩いてあげるわね」

キャパシティを超えたくすぐり責めによってついに狂ったように笑い声を上げるこころ。エレナは待っていましたとばかりに鞭を構える。マリーは一度こころから離れてエレナの鞭
打ちが当たらないように避難をする。


685 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 01:08:53 ???
パシィ!
「あうっ...痛いッ...!!」
「うふふ、笑ってしまった貴方が悪いんじゃない。これがルールよ?あ、一度笑ってしまったからまた15分間耐えてもらうわね」
「そんなっ...」

マリーはまたこころの後ろに回り、さっきと同じように手で脇の下を、口で耳の穴を責める。一度キャパシティを超えてしまったこころをもう一度堕とすの
に長い時間はいらなかった。再びマリーのくすぐり責めが始まってから3分経つか経たない内にまたこころは声を上げて笑ってしまった。

「はい、ペナルティね」
バシィ!

エレナの鞭打ちによってこころの白磁のように美しい肌にこれまでで3本の赤い線ができる。くすぐりの快感と鞭打ちの苦痛の波に蹂躙されるこころ。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

それから何度こころは笑わされ、何度鞭打ちに打たれただろうか。それはこころの体に刻まれた鞭打ちの痕が物語っていた、体に刻まれた無数の鞭打
ちの痕、腹側だけではなく背中側にも無数の鞭打ち痕が付いていた。あまりにも痛々しいこころの姿、理性にも異常が発生してしまっているらしく常
に半笑いの状態になってしまっている。さらに、度重なるくすぐりと鞭打ちにより痒みと痛みを性的快感として認識するようになってしまい、剥き出
しの股間からは尿と蜜が垂れている。

「壊れちゃったわね。マリー、こいつを降ろして上げなさい」
「はい、エレナ様」
ジャラジャラジャラ…

こころの両腕を拘束していた鎖が解かれ、膝を付いていたこころは尻を突き出すように顔からコンクリートの冷たい床に倒れこむ。
そんなこころの髪を掴み自分の方を向かせる

「あうっ...」
「お目覚めかしら?貴方、ひどい顔だったわよw、どう屈服する?今屈服すれば私のペットくらいにはしてあげるわよ?」
「嫌よ!どうしてあんたなんかのペットにがっ...!!」
「エレナ様になんて口を聞いてるの?立場をわきまえなよ」

さっきまで正気を失っていたが床に叩きつけれた衝撃で正気を取り戻したこころにエレナが聞くが、こころは気丈にもそれを突っぱねる。その反抗的な態度に空かさずマリ
ーがこころの脇腹にサッカーボールキックをお見舞いする。こころは口から唾を吹き出し、コンクリートの床を一回転する。


686 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 01:12:04 ???
「あらあら、マリー少しやり過ぎじゃないかしら?」
「ごめんなさいエレナ様、でもエレナ様にあんな口を聞くこいつが許せなかったんです」
「そう...あんまりやり過ぎないようにね?」
「それで、まだ屈服する気はないかしら?こころちゃん?」
「い、嫌です...気持ちだけ...は絶対に負..けません...」
「そう、マリーもう1回」
「はい、エレナ様」

心の折れぬこころの脇腹にエレナから命令を受けたマリーのサッカーボールキックが再度突き刺さる。こころの口から吹き出したのは透明な涎ではなく、血が混じっ
た涎だった。

「まだ屈服しない?」
「い、やだぁ...ぐふっ」
「ふん、早くエレナ様のペットになっちゃえばいいのに」

今度はエレナの問いに対する拒否の返事をした途端にマリーのつま先が脇腹に突き刺さる、何度も何度も何度も何度も何度も……
こころがエレナに対して服従の言葉を発するまで何度もエレナが問うてこころが息も絶え絶えに拒否し、マリーが脇腹に蹴りを入
れるのが続いた。こころの脇腹は赤を通り越して紫色に内出血を起こしている。

「まだかしら?こころちゃん?」
「.....も.うや..めて..く..ださ..い。エ.レナ...様に..屈...服し..ま.す...」
「やったぁ、エレナ様こいつ堕ちましたよ!!」

くすぐりと鞭打ちで消耗したこころの体にマリーの低威力ながらもジワジワと体を蝕む蹴りについにこころの心が折れた。マリーはまるで自分のことのように喜
び子犬よろしくエレナに擦り寄る。

「ご苦労様、マリー。もう少しだけ付き合ってね」
「はぁい、エレナ様ぁ」
「さて、こころちゃん。私達に屈服したからには何かその証が必要ね、ペットの印ね...とりあえず、服従の印に私の足を舐めてもらえるかしら?」
「いやぁ...ちゅ..んちゅ...れろ..ちゅ...」

こころの唇を割るように無理やり侵入してきたエレナの裸足を舐めるこころ、口に中に汗の塩っぱいような苦いような味が広がる。エレナの足の指先を噛もうとも考える
が、これをやってしまえば更なる制裁が待っているということが容易に想像でき、こころはなすすべなくエレナの足を受け入れる。


687 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 01:15:18 ???
「れろぉ...んぐ...ちゅ...れろ...ん...」
「いい格好ね、くすぐったいわぁ。マリー、貴方も舐めてもらいなさいな」
「エレナ様、いいのですか?それでは、うりうり〜」

エレナがこころの口から足を引き抜き、立て続けにマリーの足が這入ってくる。エレナの足よりも小さく、足の甲近くまでこころの喉奥に突き刺さる、口の
中には乳幼児の石鹸のような匂いとほんのりと汗の塩っぱさが広がる。マリーが足をグリグリさせる動きがただでさえ喉奥に突き刺されたこころの嘔吐感を
増幅させる。

「ちょっとぉ、ゲロ吐かないでよ?汚いでしょ?」
「ごふっ...げぇ...ケホッ...」

猛烈な嘔吐感をこころは必死の思いで耐えるが、口を塞がれ行き場を失った嘔吐物が鼻の穴からチロチロと流れ始める。

「うわ、鼻から出してる...きたな...」
「マリー、もういいわ、そこまでにしておきなさい」
「ケホッケホッケホッ...」

マリーの足が引き抜かれ咳き込むこころ、その時に吐き出された嘔吐物なのか涎なのか分からない液体が床とこころの唇の間でテラテラと細い糸を
引いていた。

「私達に対する服従の印もしたことだし、マリーあれを寄越しなさい」
「はい、エレナ様」
「ありがと」
「な、なにを...」

エレナがマリーから受け取った物はチョーカーにしては洒落っ気に欠けるまるで犬用の首輪のような首輪だった。エレナは首輪を無理やりこころの首に
嵌め、首が締まらない程度に調整する。最後に首輪と一緒に巻き込まれたこころの汗で湿りホコリまみれの髪の毛をしっかりと整える。

「いい格好になったわね、こころちゃん。これで名実ともに私達のペットになったわね。私達の前では常に四つん這いでお願いするわね。それと貴方は
マリーよりも序列は下だからそこは覚えておいてね」
「よろしくね、こころ」
「うくぅ...」

悔しさと屈辱に体を震わせるこころ。エレナとマリーはこころを見下ろし愉悦の笑みを浮かべている。


688 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 01:19:17 ???
「さて、そろそろパーティーに行きましょうか。こころ、貴方も付いて来るのよ。マリー、貴方はお留守番をお願いね」
「はぁい、帰ってきたら沢山遊ぼうね、こころ」

せっかくの玩具をお預けにされ少し眉をひそめるマリー。
エレナはこころの首輪に繋がれた鎖を引っ張り、犬を散歩させるように拷問部屋を後にする。


エレナに引っ張られながら着いた先はいかにも歴史的価値がありそうなバロック建築の建物、エレナに鎖
を引かれながらこころはその中に入る。中は美しいシャンデリア、見るからに高価な装飾品、加えて
一般人ならば一生かかってもありつけないような極上の食事に彩られた広いダンスホールだった。

こころが唖然としたのは綺羅びやかな光景だけではなかった、そこに何人かの人間たちの手には鎖が握れ
ており、こころも見覚えのある女格闘家が同じように繋がれていた。中には、こころとかつて拳を交
えた紫髪のくノ一や、太極拳使いの天才女性格闘家などなどかつてDOAに参戦し、敗北していった美少女
達がこころと同様無様な姿で繋がれていた。

「皆様、これが私の新しいペット、こころですわ。以後よろしくお願いしますわね」
「ここに貴方を連れてきたのはここで貴方の無様な姿をお披露目するためよ?ここには貴方のお仲間もいるし
楽しめると思うわ、そうペット仲間がね」
「どうして...皆...こんなことって...」
「さ、行きましょうか。VIPの皆様にご挨拶よ」


エレナ邸に戻ったこころを待っていたのはマリーによる遊戯と称した一方的な虐めだった。マリーの虐めが終わっても
エレナによる調教、それが永遠に続いた。彼女らから唯一開放される場所は狭く冷たい独房のような小部屋、ペットで
あるこころに服など着せられるはずもなく常に裸であることを強いられた。入浴も毎日というわけではなく冷たい水風
呂に週一回で入れるだけで、体からは常に汗の饐えた臭いとアンモニアの臭いを漂わせていた。そんな生活が続いてこ
ころの精神が無事であるはずもなく…

「エレナさまぁ、マリーさまぁ、この卑しい犬をもっと虐めてください...」

こころが普通の日常を手に入れることはもう二度となかった…


689 : 斑鳩の人 :2015/01/05(月) 01:21:31 OEe.T0Zs
以上です。所々おかしくなってしまったところがありしたね。申し訳ないです。
次回は司波深雪のSSをお送りしたいと思います。もう少しだけお待ちください。

それでは、最後になりますが今年もご愛顧よろしくお願いします!


690 : 名無しさん :2015/01/07(水) 12:15:58 ???
某動画サイトのリョナ動画見て3ミナをリョナりたくなったので短いながらも書いてみた


ソン・ミナはとある地下迷宮の一角を歩いていた。彼女がこんな場所に居るのは、立ち寄った街で聞いた事件のことが気にかかったからであった。
「町外れの森にある地下迷宮から人殺しの怪物が現れて女を襲う」といった具合である。
実際死傷者も出ているらしく、事実この迷宮に入ってからミナはずっと血の臭いを感じ取っていた。
「…近くにいるわね」そう呟きながらミナは歩き続ける。
しばらく歩いていると、足になにやら柔らかい感触を感じた。足元を見て、ミナは思わず叫びそうになった。
「…!」
すんでのところで声を押さえ込む。ミナが踏んだもの。それは女の死体だった。
服の殆どを剥がされ、下着もぼろきれの様になっている。全身は血と精液に塗れ、美しかったであろうその顔は絶望と苦痛に染まり、光を無くした瞳は虚空を見ていた。
誰かに犯されたとしか思えない死に様だった。ミナはこの地に潜む怪物の存在を確信した。
そして同時に、負けたら自分もこのようにして犯され、殺されるのだろうかという不安と恐怖が彼女の心を支配した。
恐怖心を振り払おうとしていると、背後からうなり声が聞こえた。
「えっ…?」
反応するより早く、衝撃がミナの体に襲い掛かった。
「きゃああああっ」
ミナは吹き飛ばされ、地面を転がった。痛みを抑えながら立ち上がり、その姿を見ようとする。
怪物は、人間のような姿をしていた。人間と違うのは、赤く光る眼、そして禍々しく変貌した手足だった。
ミナはその姿に見覚えがあった。
「イヴィル…!」
その瞬間、ミナは周りにも複数の気配を感じた。見回してみると、周囲をサルのようなイヴィルに囲まれている。
「まずい…」
ミナの得物は乱戦向きではあるが、彼女の持つ技自体は一対一に適したものである。囲まれては分が悪い。ミナはひとまず退き、一体ずつおびき寄せて斬ることにしようとした。
だが、出来なかった。
ミナが動き出すより早く、四方八方から斬撃が襲い掛かったのである。
「あんっ…!あぁっ!ぐっ…!んあっ!!」
斬られる度に体から血が飛び散る。そして正面から来た一撃が、胸を覆う薄布ごとミナの胴に縦一文字の傷をつけた。
「嫌ああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
薄布が断ち切られたことによって露わになった胸の谷間が露わになり、そこから腹にかけて血が溢れ出した。
「う…ぁ…」
一撃を入れるどころか攻勢に転じる間も無く、ミナは戦意を失っていた。実際のところ彼女の受けた傷は浅く致命傷には至っていなかったが、衣装破壊による羞恥心と激痛による恐怖は、彼女の戦意を削ぐには充分だった。
絶望に目を見開きながら仰向けに倒れたミナに対し、サルの怪物たちはなおも攻撃を加えていく。
「あぐぅ!!ガっ…!!ごほっ…が…ぁ…っ」
内臓にまでダメージが伝わったのか、ミナの口から血が溢れ出す。サルの攻撃はまだ続く。
その度にミナは喘ぎ、叫び、その健康的で女性的な体は狂ったように悶え狂う。残酷で猟奇的ではあるが、どこかエロティックな光景であった。
もはや息も絶え絶えのミナの首を、イヴィルの男が掴み上げる。
彼女に抵抗する力は残されておらず、自らが止めを刺される様をただ見ていることしか出来なかった。
激痛を覚悟していたミナだったが、次の瞬間自らの体に降りかかったのは強烈な脱力感だった。
自らの体から、何かが失われていくのを感じる。失われたものが自らの魂であると理解した瞬間、視界が曇り意識が朦朧としてきた。
「しにたく…ない…」
弱々しい声で呟く。
「…ぁ…」
捨てられた人形のようにだらりと脱力したミナの体を、男は投げ捨てた。ラグドールのように脱力した体に、サルたちが群がる。サルたちは卑しい笑みを浮かべ、ミナの体に手をかけた。

その後ソンミナの行方を知るものは誰も居なかった。

GAME OVER


691 : 名無しさん :2015/01/14(水) 09:24:25 ???
ちょっと失礼
このスレは自分から苦痛と死を乞う、猟奇マゾ系の作品はOKですか?


692 : 名無しさん :2015/01/14(水) 23:02:16 ???
自分的には最初からマゾだったら無しかな


693 : 名無しさん :2015/01/17(土) 00:15:10 ???
自分から乞う時点でリョナではない気がするんだが・・・


694 : 名無しさん :2015/01/17(土) 20:40:24 ???
求めてようが結果が猟奇的で抜けるならリョナではなかろうか?
俺もマゾは嗜好的には興味無しだけど、
それを求める人がいるのはおかしくないだろし。


695 : 名無しさん :2015/01/20(火) 00:38:01 ???
苦痛表現重視してるなら良さそう
歯食いしばって失神するほど痛いのに癖になってるみたいのだと好き


696 : 名無しさん :2015/01/22(木) 23:19:20 ???
そろそろD会どうでしょう


697 : 名無しさん :2015/01/25(日) 09:31:56 ???
ノエルの人です
書き上げられるように、ここで生存報告だけしようかと思います
期待されてる方のためにちょっとだけ話をネタばれすると、これまでの犠牲者が何人か登場します
頑張るわ(´д`)


698 : 名無しさん :2015/01/26(月) 06:39:11 ???
ノエルの人さん生きてた!
今までの犠牲者がどんな姿で再登場するのか、楽しみに待ってます


699 : 名無しさん :2015/02/04(水) 00:50:30 ???
衝動的に書いた拙作ssですが投下します。
原作はスーパーダンガンロンパ2です。
少しでも楽しんでもらえれば幸いでございます


700 : ロンパss :2015/02/04(水) 00:55:18 ???
 あらゆる分野の超一流高校生を集め、育成する事を目的とした学園である希望ヶ峰学園。
 学園の修学旅行先はリゾート地として有名な南の島、ジャバウォック島。
 自らを学園長と名乗るクマ型の人形、モノクマから『コロシアイ修学旅行』を強いられていた。
 生徒達はこの島から脱出するには誰かを殺さなければならないのだ……。
 



 その部屋は真っ暗だった。
 部屋の中央で、一人の少女が椅子に座った状態で拘束されていた。 申し訳程度に灯された照明が、少女の姿を闇に映し出す。
 猫耳のフード付きのやや大きめのカーディガンを羽織っていて、その下には清涼感のある白いシャツを着ていた。
 服の上からは、年齢にしてはやや大きめの膨らみが存在をその主張している。
 下はベージュのプリーツスカート。肉付きの良い両脚は黒のニーソックスに包まれていた。
 薄ピンクの癖毛のショートヘアーを揺らしながら、彼女はうつらうつらと船を漕いでいた。その上、鼻提灯を出している。
 一見すると、間の抜けた絵面だが、それがかえって彼女の愛らしさを際立たせていた。 
 異常な状態であるが、拘束されている少女、《超高校級のゲーマー》七海千秋は暢気に寝息を立てている。まだ、目を覚ます気配はない。  
「ん……。うぅ……」 
 呻き声を上げて、七海が寝帰りをうとうとする。そこで彼女はようやく、異変に気付いた。身体の自由がほとんど利かないのだ。
寝ぼけ眼だった彼女の意識が、徐々に覚醒していく。丸々とした瞳で彼女は周囲を伺う。しかし、この場所は彼女の記憶にあるどの場所とも一致しなかった。
「どこだろう……、ここ? それにこの状態って……。モノクマの仕業かな……?」
 普段はのほほんとした性格の七海でも、今の自分は危険なことに巻き込まれているのだと察した。
 これは、コロシアイ修学旅行という悪夢じみたゲームの首謀者であるモノクマが、仕掛けた嫌がらせだろうと彼女は推測する。
「……まいったなあ。どうしよう」
 しかし、現状を打破しようにも、拘束されているのではどうしようもない。彼女の両脚こそ自由だが、両腕を逆手に拘束されているので、ここから逃げ出すことはできそうにない。できることと言えば、脚をばたつかせてもがく程度だ。
 拘束はかなり強固で、不利な体勢な上に、非力な彼女では、自力で解くのはほぼ不可能だ。早々に拘束を解くことは諦めて、七海は何か脱出の策が浮かばないか、必死に思考する。紛糾と絶望の学級裁判を何度も切り抜けてきたさすがの彼女も、この現状を打破する妙案は、すぐには浮かばない。
 それでも諦めず、彼女は思考を止めない。だが、ろくな案は浮かばないまま無為に時間だけが過ぎていく。
「脱出ゲームは得意だけど、これはマズいかも。ふあーあ……」
 七海は欠伸をして両目を閉じる。そして、再び眠りに着こうとした。彼女は脱出を諦めたわけではない。ただ単に眠くなっただけである。
 コロシアイがいつでも起こりうる危機的状況でも彼女は気を抜けば、すぐに眠くなってしまう。大人しそうな見た目に反して、彼女の性格は剛胆なところがあるのだ。
 七海が二度寝を決め込もうとした時、甲高い声がそれを遮る。声の主は、正中線が黒と白で塗り分けられたクマだった。左側の黒の部分は赤眼で歯を剥き出しにした凶悪な形相、右側の白の部分は愛らしいがどこか得体の知れない表情。
 このクマこそが、十六人の超高校級の生徒を巻き込んだコロシアイ修学旅行の首謀者であるモノクマだ。
「ちょっとちょっと! 七海サン、二度寝を決め込んでいいのは、休日だけだよ!」
「……あ、モノクマだ」と七海はワンテンポ遅れて言う。
「しょっぱいリアクションだね……。普通、こんな状況だったらもっと動揺してもいいんと思うんだけど。ボクは、七海サンのそういうところが気に入らないんだよね。
 というわけで、ボクとゲーム勝負してもらうよ!」
「……どうしてそうなるのかな?」七海は小首を傾げる。
「細かいことは良いんだよ! キミをゲームで負かせて、絶望させてやるよ! 唯一の取り柄で負けたら、この上なく無様だよねぇ?」
「その前に、ここから出して欲しいな。ゲームなら、私のコテージかホテルでやろうよ」
「うぷぷぷぷ。どうせ、七海サンはここで死ぬんだから出る必要はないよ」
「死ぬ……? もしかして、私を殺すつもり……」
「殺しはしないよ。ただ、命を賭けたゲームをしてもらいたいだけだよ。闇のゲームってヤツだね!」


701 : ロンパss :2015/02/04(水) 00:57:21 ???
モノクマの物騒な物言いに、七海の表情も強張る。しかし、解せない点があった。
 モノクマは参加者を絶望させて、参加者同士のコロシアイが見るのが目的だ。参加者に悪趣味な精神的揺さぶりをかけてくることはあっても、このようなデスゲームを直接仕掛けてきたことは今までにない。
 他の参加者と違い、自分が特殊な立場の参加者だからこのようなゲームを挑んできたのだろう、と七海は一先ずは納得する。どのみち、今の自分には拒否権などないのだ。
「一応、聞いておくよ。クリア不可能なゲームじゃないよね?」
「《超高校級のゲーマー》である七海サンならクリアは可能だよ。というか、こんなゲームもクリアできないんじゃあ、ゲーマーの名折れだね。それじゃあ、早速始めましょうか」
 モノクマが宣言すると、前方の何もない空間からテレビとゲーム機が出現した。
 モノクマがこのような超常現象を起こすのは、今に始まったことではないが、慣れる光景ではない。 
「……ゲームをするのはいいんだけど、その前に、両手の拘束を外してくれないかな?」七海は、鎖を鳴らしながら言う。
「ダメだよ。ボクとしては、これくらいのハンデは欲しいんだよね。七海サンには、逆手でゲームをプレイしてもらうから」
「まさかの物理的な縛りプレイだね」
「そういうこと」
 言うと、モノクマは七海の両手にコントローラーを握らせる。その後、テレビとゲーム機の電源を入れた。
 テレビ画面に映ったのは『モノックマン』というゲームだ。古今東西ありとあらゆるゲームを制覇してきた七海だったが、完全に初見のゲームだった。モノクマの自作ゲームだろうか。   
「某有名アクションゲームによく似てるや」
「逆だよ。あのゲームが、ボクのゲームをパクリやがったんだ! ボクは寛大だから見逃したけど、ボク以外のヤツだったら訴訟確定だよ」  
 モノクマは、最初に軽くチュートリアルを七海に見せた。つくづく、あのアクションゲームに操作性が似ていた。どっちがパクリかは明白だ。
 そして、数分のチュートリアルが終る。先程のチュートリアルで、おおよその操作方法は七海の頭に入っていた。
「そろそろ始めるけど、準備はいい?」
「いいよ」
 七海は、落ち着いてゲーム画面を見据える。これまでのどこか気の抜けた雰囲気は消え失せて、彼女の集中力はフルに高まっていた。
 モノクマはそんな彼女をただただ見つめる。表情に変化のないヌイグルミなだけに、それは非常に不気味だった。
「このゲームの勝利条件は、クリアすること。ちなみに、残機は無限だから、ゲームオーバーはないよ。いくらミスろうが、七海サンは最後までプレイして、クリアするだけでいいんだ。うぷぷぷ、でも、無闇にミスらない方がいいかもね。
 この上なく、キミに有利な土俵だよ! キミが負けるとすれば、途中でゲームを辞めてしまうこと以外にありえないんだから。ちなみに、このゲームは全12ステージだよ!」
 モノクマの言うように、七海が有利な条件だ。初見のゲームを逆手持ちでプレイするというハンデがあるとはいえ、他に目立った不利はない。それどころか、敗北条件もないようなものだ。
 しかし、七海は微塵も油断していなかった。今までモノクマの本性を何度も見てきた彼女は、モノクマが無策でこんな勝負を挑んでくるとは思えなかったからだ。
 ゲームを開始すると、七海がステージを選択する。八つのステージから一つずつ選択していくのも、あのゲームと丸っきり同じだった。
「ルールは分かったよ。それじゃあ、やろうかな」
 
 七海は一言も発さず、黙々とゲームをプレイしていく。《超高校級のゲーマー》と呼ばれるだけのことはあり、彼女は初見や逆手のハンデなどないように、巧みな操作を見せる。
 モノクマが時折、茶々を入れてくるが、七海は全く意にも介さず、プレイに集中していた。極めて順調にゲームは進んでいたが、彼女には一つ気になることがあった。
 それは、画面右上に表示された『60:00』というタイマーだ。七海は一度モノクマにこのタイマーについて質問してみたが、モノクマはまともに答えてくれなかった。

(……あのタイマーは何だろう? ゼロになったら、爆発するとか……? 何が起こるか分からないから、時間切れになる前に早くクリアしよう)


702 : ロンパss :2015/02/04(水) 01:00:15 ???
七海は得体の知れないタイマーを気にして、操作の速度を速めた。尋常でない操作スピードだが、彼女は一切のミスをしていなかった。
 たった数分のプレイで、七海はモノックマンの攻略法を見出したのだ。少しの無駄のない動きで、彼女は一つ一つステージを攻略していく。
 そろそろモノクマから何らかの妨害があるのではと、七海は睨んでいたが、下らない茶々を入れてくる程度で、予想に反してモノクマは何も仕掛けてこない。
「やるね! このままじゃあ、ボク負けちゃいそうだよ! こんなことなら、仏心なんて出さず、もっと鬼畜ゲーにするべきだったね!
 そうそう。鬼畜って言えば、ボクは純愛ゲーよりも、凌辱ゲーの方が大好きなんだ! あの手のゲームはエクストリームで、滾っちゃうよね! ところで、七海サンはエロゲーも得意だったりするのかな?」
 七海はモノクマの下品なトークを無視して、ゲームを続ける。その後も、モノクマはセクハラまがいな話やブラックジョークを続ける。
 やがて、それが終るとモノクマは溜息を吐く。
「温厚な七海サンに無視され続けるとか、あー泣きそ……。そうだ! 七海サンがこのゲームに勝ったら、コロシアイ修学旅行を中止してあげるよ。モノクマの親切さは、五臓六腑に沁み渡るね!」
「それ、本当?」

 ようやく七海がまともな反応を示す。彼女の目的はコロシアイに乗ることではなく、皆のコロシアイを止めることだ。モノクマの提案は、願ってもないことだった。

「本当、モノクマ、嘘つかない」
(……嘘は言っていないと思うけど、狙いがさっぱり分からないや)

 多分、モノクマは嘘を言っていないと七海は推測する。しかし、それがかえって不気味だった。
 モノクマの思惑が全く読めない。一体、どのような絶望の布石を打っているのか。
 七海はコントローラーを握る手を強める。

(これから何を仕掛けてくるかは分からないけど、諦めちゃダメだよね)
 
『29:50』

 謎のタイマーが半分を切った。現時点で、七海がクリアしたステージ数は10だ。モノクマが言うには全12ステージなので、残りは後2つ。
 様々なアクションゲームでの経験や知識もあり、今までノーミスでクリアできた。このペースならば、時間が切れる前に残り二つのステージもクリアできるだろう。

「マジですかい! このままだと、ボク負けちゃうんだけど! ……これは想定外だよ」

 モノクマがわざとらしく動揺していた。とても追い詰められているようには見えなかった。
 これといって何も仕掛けてこないで、ただただ傍観するだけ。だが、モノクマは不敵だった。

『 24:30 』

(後一つなのに、何もしてこないや……)

 七海の不安とは裏腹に、モノクマは何もしてこない。11番目のステージもクリアした。これで、残りは一つ。

(何かあるとしたら、そろそろかな。モノクマが、このまま勝たせてくれるとは思えないし…… )

 最終面では、開幕に10の入口があった。扉を阻む敵を倒してから、七海はその中から一つを選んで進む。すると、スタート地点に戻っていた。

(ループ面だ。正しいルートを通らないと、スタート地点に戻されるんだね )

 七海は残りのルートを総当たりしていく。四度目で正解ルートに辿り着けた。しかし、彼女の表情は晴れなかった。画面に映っているのは、先程と同じ10の扉だったからだ。再びルートを総当たりするしかない。もう一度ルートを総当たりし、正しいルートに辿り着く。
 しかし、待っていたのは中ボスやラスボスではなく、また10の扉だった。

(まただ…… 。このループ、まるで某司令官のゲームみたいだね。あのゲームだと6回で終わりだったけど、このゲームはいくつだろう…… )
 七海は、頭の中で最悪の想像をしてしまう。その想像を否定するように、彼女は画面に集中する。ループ面は、六度正解を繰り返しても、終わらなかった。


703 : ロンパss :2015/02/04(水) 01:01:20 ???
『09:10』
 
 タイマーを見てみると、いつの間にか十分を切っていた。ループ面に時間をかけすぎたようだ。

(……時間が迫ってる! 何とかしなきゃ !)

 ここにきて、七海の表情に焦りが現れ始める。しかし、このような所謂『運ゲー』は正攻法など存在しないし、プレイヤースキルによる最適化もできない。
 さしもの《超高校級のゲーマー》もなす術がなかった。

「……ねぇ、このループは何回あるの?」
「七海サンも、随分いい顔するようになったね! いいものを見せてくれたお礼に、特別に答えてあげるよ。このループは17回あるんだ」
「……最悪だね」
「どうして、そんなこと言うのさ。ちゃんと、クリアできるゲームだよ? クリア不可能なバグもないし、倒せないボスだっていないしさ。七海サン、頑張りなよ」
 確かに、モノクマの言うようにクリアはできる。しかし、それは天文学的数値を引き当てた場合だ。
 《超高校級の幸運》でもない限り、一発でクリアするのはまず不可能である。時間内にクリアするとなれば、尚更不可能だ。
(ここで諦めちゃダメだ。まだ、ゲームは終わってない)
 七海は最後まで希望を捨てず、ゲームを続ける。しかし、事態は一向に好転せず、ついにループ面を突破できなかった。
 そして、時間を迎えてしまう……。


『 00:00 』


 不快なサイレン音が部屋に響いた。その後、現れたものを見て、七海は目を見開く。
 天井が開くと、無骨な鉄鎚を持ったマジックハンドが出現したのだ。そして、マジックハンドが七海に接近していく。七海は怯えた表情でそれを見つめる。

「……何をするつもりなの?」
「言い忘れてたよ。一定時間が経過する度に、七海サンにはオシオキするルールなんだ」

 七海の表情が青ざめる。モノクマの言うオシオキとは、処刑と同義だからだ。

「そんなに怯えなくていいよ。一発で死ぬようなオシオキはしないからさ。でも、死ぬほど痛いかもね」
 
 マジックハンドは尋常でない勢いで、七海の腹部めがけて鉄鎚を振り下ろす。
 今まで味わったことのない痛みに、七海の瞳孔が一気に収縮する。柔らかい腹部が容赦なく抉られていた。

「がふっ……! うぅっ……」七海は俯いて嗚咽する。
「手加減してるとはいえ、意外に頑丈だね! まだまだ、嬲り甲斐がありそうだ!」

 今でさえも腹部の痛みと吐き気で苦しいのに、これ以上の痛みなど七海には想像できなかった。
 画面から唐突に、ティウンティウンと音が鳴った。七海は痛みに耐えて、顔を上げる。痛みに悶えていた間に、自機が敵にやられてしまったようだ。

「ありゃりゃ。とうとうミスっちゃったね。ボクとしたことが、またまた言い忘れてたよ。このゲーム、ゲームオーバーはないけど、ミスする度にオシオキがあるからね。というわけで、更にもう一発!」
「そんな……! い、いや ……! 」

 先程のマジックハンドが引き下がる。その後、再び七海の腹部に鉄鎚を叩き込む。

「ぐっ……!? は、はぁ……! おええぇぇっ…… 」

 内蔵を無理矢理圧迫される苦痛に耐えかねて、七海は胃の内容物を吐き出してしまう。
 血の混じった吐瀉物が、スカートやモノクロの床を汚す。モノクマは淡々とそれを片付けると、七海に向き直る。

『どう? 辞めたくなった? 辛いなら逃げてもいいんだよ?』
「はぁはぁ……。まだ…… 、諦めないよ……」
『しぶといなぁ。まあ、ボクとしては嬉しいんだけどさ。希望があればあるほど、絶望は輝くしね』

 七海は腹部の痛みに耐えて、再びゲーム画面に集中する。彼女の顔色は真っ青で呼吸も荒い。
 痛みのせいか、操作も明らかにぎこちなくなっている。しかし、眼は死んでいなかった。

『七海サンはまだ折れていないみたいだし、第二ラウンドといきましょう!』


704 : ロンパss :2015/02/04(水) 01:04:45 ???
『45:00』

 悪夢のタイマーが再び起動していた。しかも、最初よりも制限時間が短い。
 七海は、抗議の声を上げそうになったが止めた。今、この場で主導権を握っているのはモノクマだ。下手に逆らえば、何をされるか分かったものではない。

(どうにかして、時間内にクリアしないと ……。正直言って、あんなの何度も耐え切れない……。お腹の痛みも治まらないし…… )
 七海はゲーム画面に集中する。一瞬でも気を抜いたら、自分はコントローラーを放してしまうだろう。
 再起したのはいいが、七海にはこの局面の突破口がなかった。できることといえば、現実的でない連続正解を祈りながら、非効率なプレイを繰り返すことだけだ。
 あまりにも絶望的な状況。かと言って、ギブアップを宣言すれば処刑される。まさに進退両難であった。

『05:10』

(このままじゃあ、また時間が来る…… 。どうすれば……)
 無情にも時間は迫っていた。このままでは七海はもう一度、オシオキされるだろう。
 彼女は痛む身体を鞭打って、無駄な試行を繰り返す。これがクリア不可能なゲームならば、彼女の心は折れていただろう。
 しかし、このゲームは限りなく低い確率ではあるがクリアできる。この小さな希望が彼女を雁字搦めにしていた。半端な希望は、絶望よりも残酷であることをモノクマはよく知っていた。

『00:00』

 再びタイマーが鳴り響く。七海は痛みに耐えて健闘したが、結局、状況を変えることはできなかったのだ。
 七海はこれから襲い掛かる更なる痛みに覚悟を決めるが、小さな身体は僅かに震えていた。

(……大丈夫。もう一度、お腹を殴られても死ぬほど痛いだろうけど、まだ耐えられる)

 七海は恐怖で潰れそうな心を鼓舞する。それは一種の思い込みだ。そうでもしなければ、折れそうだった。

『もしかして、お腹しか殴られないと思ってる?』
「……え?」
『うぷぷぷぷ。その顔、図星みたいだねぇ。ボクがそんな甘いオシオキで済ますわけないじゃない』

 マジックハンドが天井の穴に引っ込む。しばらく後、マジックハンドは再び現れる。マジックハンドの得物がハンマーから、ナイフに変わっていた。
 刃先が首筋まで近付いてきて、七海は固唾を飲む。ナイフは焦らすようにあちこち動き回ると、やがて狙いを決め、七海の右脚をゆっくりと突き刺していく。黒のニーソックスが赤黒く変色し、床に鮮血が滴り落ちる。

「うああああっ……!」

 七海が大口を開いて絶叫する。ナイフが深く刺さっていく度に、七海の悲鳴が響く。

「嫌あぁっ……!や、やめっ……! うっ、あぐああああっ!」

 少しでも痛みを紛らわせようとしているのか、玉のような汗を流しながら、七海は首を激しく横に振る。
 やがて、ナイフが根元まで突き刺さり、七海にとっては何十時間にも感じられた拷問が終わった。

「うぁ……」
『まだ、続行の意志ありだね』
 
 突然の大量出血で、七海の意識は朦朧になる。貧血で思考も視界も定まらない。このような酷い有様になっても、彼女は意地でもコントローラーを放さなかった。
 このゲームをクリアして、皆を巻き込んだ悪夢のコロシアイを終わらせる。彼女はそのためならば、自分の命さえも犠牲にするつもりだった。

(ま、まだ終わってない……。このまま、モノクマの思い通りにさせるわけにはいかない……)
 絶望に屈服しないように、七海は己を奮い立たせる。コントローラーを握る指先が冷たくなってきた。死が迫って来たのを彼女は感じていた。


705 : ロンパss :2015/02/04(水) 01:06:10 ???
『30:00』

 三度目のタイマーは更に短くなっていた。しかし、そんなことを気にする余裕など七海にはなかった。自身が限界を迎える前に、このゲームをクリアする。今の彼女にはそれしか頭になかった。
 集中力が散漫になり、視界は揺らぐ。そんな最悪の状態で、更に絶望的なことが起こった。いつの間にか、自機が敵にやられてしまったのだ。普段の七海では、まず有り得ないミスだった。このような凡ミスを犯すほど、今の彼女は消耗してしまっていた。

『これで1ミスだね! もしかして、死にたくなったから、ワザと失敗したのかな?』
「ちがっ……」
『そんじゃあ、オシオキといきましょうか!』
 モノクマが軽薄な声で言うと、ナイフを持ったマジックハンドが七海の左脚を突き刺した。
 今度は先程とは違い、無理矢理押し込むように刺していた。
「いぐっ……! ふあっ……! くあぁぁ……!」
 七海は苦痛によって朦朧としていた意識を強引に覚醒させられる。しかし、彼女の痛みに対する反応は弱々しく、悲鳴すらも断続的になっていた。
「は、はぁ……。うっ……」
 七海は弱々しい呼吸を繰り返す。ひとしきり呼吸が落ち着くと、虚ろな眼でゲーム画面を見つめる。もう、意識が残っているのかも怪しかった。

『15:00』

『そろそろギブアップだと思ってたのに、まだ粘るんだね』
「私は……負けない……」

 七海はプレイを続行する。しかし、彼女の意識とは違い、身体の方が限界を迎えてしまう。
 床に何かが落ちた鈍い音が聞こえた。失血の影響で手の感覚がなくなり、コントローラーを手放してしまったのだ。自機が操作不能となり、本日、三度目のミスを犯してしまう。

「あっ……!」
『さてと、オシオキを始めようかな』

 マジックハンドが七海の脇腹を容赦なく突き刺す。白いシャツやカーディガンが赤く染まっていく。

「うっ……ごふっ……」

 身体中を痙攣させて、七海は痛みに悶える。声を上げることができず、言葉の代わりに出たのは、血反吐だけだった。
 モノクマは、そんな七海にコントローラーを手渡す。

『もうちょっとだから、頑張りなって。ゴールはすぐそこだよ! まだ、七海サンのバトルフェイズは終了してないよ!』

(このゲームは私が止めない限りは終わらないんだ……。難易度の高いゲームだけど、クリアしなきゃ……)

 七海はプレイを再開する。しかし、彼女自身もゲームクリアがほぼ絶望的であることを理解していた。
 思考は鈍化し、全身の力が抜け落ちて、視界は段々と暗くなっていた。ゲームが終わっても、もう自分の命は助からないだろう。
 死を迎える前に、何としてもモノクマに一矢報いりたかった。

(もう少しで終わるんだ……。だから、もうちょっとだけ持ちこたえてよ……)

 七海はこれまで拷問を受けながらも、17のループ面の正規ルートは14まで覚えていた。
 残りの三つさえ正解できれば、ここは突破できるのだ。だが、身体の限界という懸念材料があった。
 もし、一度でも外れを引いて、スタート地点に戻されたら、もう彼女には再起する気力も体力もない。彼女がこの面を突破するには、三回連続正解は必須条件だった。

(もう……これしか方法がない……。チャンスは一回……。ここにきて最後は運かぁ……)

絶望の中に僅かな希望が見えたからか、死に体だったはずの身体に力が漲る。
 半死半生だというのに、血や涙に塗れた七海の顔は笑顔を作っていた。離れ離れになった大切な仲間達が近くにいるような気がしたのだ。


706 : ロンパss :2015/02/04(水) 01:07:17 ???
『急に笑っちゃってどうしたのさ? 絶望に潰されて、イカれちゃった? 自暴自棄ってヤツ?』
「ち、違うよ……。私は、絶望には屈しないから……」

 七海は息を切らしながら途切れ途切れに言う。どれだけ絶望を与えても折れない。
 七海のその態度は、絶望を至高とするモノクマからすれば腹立たしかった。

『限界のクセに強がっちゃってさ……。そういうところが腹立つんだよ! バーカバーカ! このゲームオタクがっ!』

 七海は、モノクマの罵倒に耳を貸さずゲームを続ける。いつの間にか、件の15回目のループ面に来ていた。
 無数の扉から、無作為に一つの扉を選ぶ。幸運なことに、一発で正解ルートを引けた。

(第一関門突破だね……。残り二つ……)

 再び七海は扉を一つ選択する。懇願しながら選んだ扉は……、正解だった。 
 奇跡が二度も起きた。現在、流れは七海に来ているといっても過言ではない。

(次で終わり……。お願い、もう少しだけ持ちこたえて……)

 ゲームクリア目前だが、七海の限界は刻一刻と迫っていた。今の彼女は、蘇生した身体を無理矢理躍動させているだけだ。
 いつ、動かなくなってもおかしくない。七海は最後の扉を開く。その先は、今まで見たことのない場所だった。七海は長いループ面をようやく突破したのだ。

(やった……。これで残りは、ラスボスだけだ……)

 もう、ゴールは目と鼻の先だ。ラスボスも運要素がない限りは、七海は初見でも勝てる自信があった。しかし、七海は決定的な失敗を犯していた。
 彼女は、モノクマの執念深さと厭らしさを見誤っていたのだ。
 扉を開くと、いきなり自機を狙う極太のレーザーが前方から照射された。所謂、初見殺しの攻撃だ。

「あっ……!」

 七海が慌てて反応するが、数瞬遅かった。攻撃をモロに受けた自機は、呆気なく霧散した。
 七海の表情が、真っ青を通り越して真っ白になる。

「そんな……。こ、こんなのってないよ……」
『うぷぷぷぷ! 惜しかったね! そんじゃあ、オシオキタイムといこうかな!』

 マジックハンドが七海に近づくと、脇腹と両脚に刺さっているナイフを引き抜いた。すると、血が噴水のように流れ出す。
 七海が今まで失血死せず生き永らえたのは、皮肉なことにこのナイフのおかげだったのだ。しかし、それも失われた。

「やぁ……。やめて……」

 ただでさえ少ない血が抜け落ちていく。流れ出した血がモノクロの床や服を赤黒く染める。
 やがて、七海は全身を弛緩させて、頭を垂らす。呼吸も鼓動も消え入りそうだった。もう、ゲームを続けられそうにない。

『続行不能。こりゃ、勝負ありだね。放っておいても、このまま死にそうだ。だからといって、ボクは見逃さないけどね! 最期のオシオキを受けてもらうよ』
(まだ、私は……。こんなところで……!)

 七海は懸命に戦おうとするが、声は出ず、身体がまったく動かない。完全に詰みだった。使命を果たせずに、自分はここで死ぬ。
 モノクマはどこからともなく木鎚を取り出すと、床下から現れた赤いスイッチを叩く。今度のオシオキは、これまでのような手加減ではない。モノクマは本気で、人を殺すためのオシオキをするつもりだった。

『《超高校級のゲーマー》七海千秋サンのために、スペシャルなオシオキを用意しましたー!』

 天井から色とりどりの巨大ブロックが落ちてくる。それは大小様々で、形も長方形や正方形、階段のようなものだったりと多種だった。
 偶然なのか、意図的なのかブロック群は七海を避けるように落下していく。落下したブロックでテレビやモノクマが壊れる。それを数回繰り返すと、七海の周辺はブロックで埋まり、積み重なったブロックに囲まれた。
 それは上から見れば、巨大な筒に見えるだろう。もし、七海が動けても、こうなってしまってはもう逃げることはできない。
 筒の穴部分めがけて、棒状のブロックが急降下していく。ブロックは七海の骨や血肉を圧迫し、潰しながら、穴にすっぽりと入った。巨大な円柱はまるで、墓標のようだった。
 ゲームオーバー。《超高校級のゲーマー》七海千秋の人生は、呆気なく終わってしまった。
 七海は最期まで絶望に屈しなかったが、絶望には勝てなかった。

 ブロックの残骸から壊れたはずのモノクマが現れる。『エクストリーム! あー楽しかった。そのうち飽きると思うけど、別の子ともゲームしようかな』
 モノクマは、芝居がかった仕草で黙祷すると去って行った。


707 : 名無しさん :2015/02/04(水) 01:12:40 ???
以上です。お目汚し失礼しました
最初は七海の正体に気付いた狛枝君を責め手にしようと思いましたが
これだとネタバレが避けられないのでモノクマを責め手にしました。
よくよく見直すと、本家モノクマと違って、ジグソウぽくなってしまいました


708 : 名無しさん :2015/02/04(水) 12:31:04 ???

ダンガンロンパは知らないけど最期まで絶望しないのはイイね


709 : 699 :2015/02/05(木) 00:17:29 ???
>>708

感想ありがとうございます!
七海の心が折れるか折れないかはすごく悩みました。
ダンガンロンパは他にも魅力的な子が多いのでおすすめですよ〜


710 : 名無しさん :2015/02/18(水) 23:04:35 ???
リョナが足りなくて力が出ない


711 : 名無しさん :2015/02/19(木) 15:31:37 ???
そろそろD会を…


712 : ハム子の人 :2015/02/19(木) 18:59:20 ???
自分もまた最近書き始めましたが
書いては消し書いては消しという状態…orz


713 : 名無しさん :2015/02/19(木) 22:44:01 ???
ハム子さん楽しみにしてます


714 : 名無しさん :2015/02/24(火) 08:16:15 ???
何かないか何か


715 : クディルの人 :2015/02/24(火) 21:59:55 ???
お久しぶりです。
さて、だいぶあいてしまいましたが今週中に続き投下できればと思います(早ければ明日の夜ぐらい)
一時期の活気が戻ってくるといいなぁ


716 : ハム子の人 :2015/02/25(水) 00:25:28 ???
おお、楽しみにしてます
自分も盛り上げたい というかいい加減一作位投下したいです

・サキュバスに吸血される
・黒風花に拷問される
・遊戯王カード(ラヴァゴーレムやバイサーデス等)にリョナられる
色々考えては消えていく〜


717 : 名無しさん :2015/02/28(土) 05:16:21 ???
別のゲームのルールにやられちゃうのはクロスオーバーっぽくて面白そう


718 : クディルの人 :2015/03/05(木) 01:07:53 ???
先週中と言っておきながら遅れまして申し訳ありません。
可能な限り早く投下できるように進めています


719 : 名無しさん :2015/03/07(土) 11:45:20 ???
座して待つ


720 : 名無しさん :2015/03/08(日) 01:03:34 ???
空気を読まずに投下します。
グローランサー3というゲームのアネットというキャラが
ゲルというスライム型モンスターに乳責め&捕食されるSSです。
スカトロもあるので注意してください。


721 : アネット捕食 :2015/03/08(日) 01:04:43 ???
――とある森。

「……」

ひとりの少女が、赤く長い髪を風になびかせながら剣を構え、静かに瞑想している。

――少女の前方に、ひらりと3枚の木の葉が落ちて行く。

「――はっ! やぁっ! えいっ!!」

発育の良い身体に比べやや幼げな、しかし凛々しい声が、風を斬る剣の音と共に森にこだまする……。

「……ふぅ」

少女はひとつ溜め息をつくと、

「まぁまぁね」

と、3枚の木の葉を貫いた剣先を満足気に見つめた。

「(明日から、ファルケンフリュークへ密書を届けに行かなきゃならない……きっと、アグレシヴァル軍はそれを邪魔しにくるわ、剣の修業は怠らない様にしなくちゃ!)」

少女――アネット・バーンズが暮らしている連邦国家キシロニアは、原因不明の異常気象による慢性的な食料難から、隣国アグレシヴァルと戦争状態に陥っている。

「(このままじゃアタシ達のキシロニアは、飢えてなくなるか、アグレシヴァルに滅ぼされるかのどちらか……)」

「(そうならない為にも、シェルフェングリフ帝国の首都、ファルケンフリュークへ同盟の手紙をアタシが必ず届けないと!)」

アネットの瞳は帝国の方角を強くみつめていた。

「その為にも……今日はみっちり特訓よ!」

再び、森の中に風を斬る音が響き渡った。

――数時間後。

「ふぅ……はぁ、はぁ……」

すっかり息を切らしたアネットの姿が、そこにあった。

「ち、ちょっと……頑張りすぎちゃった、かな?」

程よい疲れに堪らずアネットはその場に腰掛けた。

ちょうど良い具合に、背中には大樹が根をはっている……休憩にはよさそうだ。

「ふぁ〜……」

そう思った瞬間、アネットの口からあくびが顔を出してしまった。

「……ちょっと、休憩」

心地よい疲労感と風の音が天然の子守唄となり、アネットはそのまま寝息をたてた――。


722 : アネット捕食 :2015/03/08(日) 01:05:46 ???
――グニュ……グニュ……

「んっ――」

――冷たい? いや、生暖かい。

どれくらい時間が経過してからか……不思議な、なにか気味の悪い感触に、アネットのまどろみは妨げられた。

「んぅ……なに……?」

少しずつ覚醒し、目をあけていくアネット。

その眼前に飛び込んで来たものは――。

「――ッ!? や、やだ!? 何これ!? ち、乳首が……!」

服の中で、今にもはち切れそうにそそり勃っている自分の乳首だった。

「ふぇ……? あ、む、胸……嫌っ! ゲルが吸い付いて――!!」

良く見ると、乳房の周囲を半透明の液体が膜を張る様に覆っている。

――スライム型のモンスター、ゲルだ。

ゲルがアネットの乳房に張り付き、眠っている間、延々と乳責めを行い、服越しにも分かる程に乳首を太く勃起させていたのだ。

「(ゆ、油断してた……と、とにかく追い払わないと――)」

アネットがゲルを振り払おうと、身体を動かした瞬間――。

「――んふぅっ!? ……ぉっ! おほぉっ!!」

ゲルになぶり尽くされた胸が、ぶるんと激しく揺れ、眠っている間に蓄積されていた性的刺激が一気に解放されてしまった。

「あ……あおぉぉーーーっ!!」

下品な喘ぎと共に、アネットはその肢体をビクンと弓なりに仰け反らせた。

「(な、何? 今の声……アタシが出したの?)」

獣の雄叫びのような品の無い声に自ら驚いていると、身体を仰け反らせ、背にしていた大樹の枝へと移った視線に大きな影が写り込んだ。

「……あっ!? ……あぁぁっ!!」

――もう一匹、ゲルがいた。

アネットの顔を覆えるくらいの大きさのゲルが、大樹の太い枝の先にとまっていたのだ。

――ズリ……ズリッ……

それは、アネットの美しい顔に狙いを定め、落下しようとしている。

「あ……やだ……嫌、来ないで……」

涙目になりながら懇願するアネットを嘲笑う様にもう一匹のゲルが、まばたきの間に目の前へ降りて来た。

――次の瞬間。

「ん゛ふ゛う゛ぅぅぅーーーっ!!!」

アネットのものと思えない程の薄汚い悲鳴が、森の中を駆け巡った。

「んっ!? んぅっ! んんぅぅーーっ!!」

ゲルはアネットの顔面に張り付き、あらゆる穴からの呼吸を妨げた。

「んひぃっ! んぐっ! ん゛お゛ぉぉぉーーーっ!!?」

もがき、悶えながら、必死にゲルを剥ぎ取ろうとするアネット。

しかしそれは叶わず、それどころか乳房に吸い付いていたゲルとも融合し、ついにアネットの上半身をすっぽりと覆ってしまった。

「んっぶ……ガボッ! ゴボボボォッ!?」

呼吸を塞ぐだけでは飽きたらず、餅の様な粘液がとうとうアネットの口や鼻、耳に侵入してしまった。


723 : アネット捕食 :2015/03/08(日) 01:06:51 ???
「(し……死ぬ! アタシ……やだ、こんな情けない死に方……!)」

ゲルを剥がそうとしていた腕すら呑み込まれ、残された抵抗は黒いストッキングを纏ったしなやかな足をバタつかせるのみ……しかし、それは文字通りの無駄な抵抗だ。

「ゴボ……ガボボ……」

アネットの生命は次第に弱まり、バタつかせていた足は小刻みな痙攣をするだけとなっていた。

「(もう……息が……このままアタシ……ゲルに溶かされ……)」

――アネットが諦めかけたその時

「……!? ぶはっ!」

どうした事か、ゲルはアネットの口の周りのみ、塞いでいた粘液を遠ざけた。

「うっ! うぇぇっ! ゲホッ! ゲホッ!」

思わず、えづくアネット。

「(ど、どういう事なの? アタシを窒息させてそのまま食べるんじゃ……い、いいえ、食べるつもりはあるはずだわ。興味を失ったなら、完全に吐き出して何処かへ行くはずだもの……)」

――では何故、口だけ塞ぐのをやめたのか?

そう考えていると、アネットは自分の胸元に強い圧迫感を感じた。

「うっ!? ぐっ……!!」

「(む、胸が……おっぱいの尖端が、押し潰される……!?)」

――ゲルの粘液だ。粘液がまるで鉄の棒の様に硬くなり、乳首の中に侵入しようとしている。

――そして、

「あ゛っ! ……がぁぁっ!! お゛ぉぉぉーーーっ!!?」

――ズブリと音を立てて、硬化した粘液は乳首を貫いた。

「あ゛っ゛……!! ぁぁっ……!!」

そして、膣に侵入した肉棒の様にピストンを繰り返す。

「あ……あぉぉぉーーーっ!! んんおぉぉーーっ!!?」

「(あぁ……そっか……)」

――アネットは理解した。

このゲルは、アタシが下品な悲鳴を挙げながら死ぬ姿を見たくて、口を塞ぐのをやめたんだ――と。

「わ……わかったわ……どうせ――どうせ殺されるんなら、自分でも驚くくらい品のないイキ声挙げて、死んでやるわよ……ははっ……」

自棄になったアネットの身体に突如、熱さを持った痛みが走る。

その痛みは、ジュウ……という音を立てて、アネットを溶かして行く。

「んぎ……っ!? ひぎいぃぃぃっ!!」

「(あ、アタシの手が……顔が……溶かされる……!!)」

――とどめとばかりに、痛みは乳内にも広がった。

「――っぐ!? うぎえぇぇぇーーーっ!!!」

乳首から乳内に侵入した粘液が強酸を吐き出したのだ。

「……あ゛っ、あ゛か゛っ!――」

「――ぎへぇぇぇーーーーーっ!!?」

アネットはゲルの思惑通り、これ以上ない下品な悲鳴を挙げた。

そして最期の力でその美しい足をガバっと開くと、次の瞬間――

――ブリッ! ブリュリュリュリュッ!! ジョバァァァッ……

糞尿の異臭が周囲に立ち込めた。

――しばらくして、食欲と性欲を満たしたゲルがその場を離れると

そこには、自らの糞と小便にまみれ、蟹股になって痙攣している、アネットの下半身だけが遺った。


724 : 名無しさん :2015/03/08(日) 02:30:44 ???
知能あるスライムはやはり怖いw
修行が役に立たない不意打ちからの蹂躙、興奮しました!


725 : 名無しさん :2015/03/08(日) 14:19:36 ???
スライム怖いよねー


726 : 名無しさん :2015/03/08(日) 14:57:42 ???
下半身も食べてあげてよ!


727 : 書いた奴 :2015/03/08(日) 22:42:03 ???
>>726
すんません、エロい足した娘が蟹股になって死んでる姿に興奮する性癖でして……
今度から残さず食べます


728 : 名無しさん :2015/03/08(日) 22:55:54 ???
むしろ食べないのもいいかも
窒息とかで苦しんだ顔のまま放置


729 : 名無しさん :2015/03/10(火) 23:01:38 ???
下半身だけ残すって新しいなw
無様な悲鳴ゴチでした


730 : クディルの人 :2015/03/14(土) 12:32:50 BelFlTo6
大変遅くなってしまい申し訳ありません。
続き投下します


731 : クディルの人 :2015/03/14(土) 12:37:17 ???
頭が痛み、少し吐き気もする。
一体どれだけの時間失神していたのか。暗く陰鬱な牢獄の中では知りようがない。
鎧戸の閉じられた窓からは一切の光が入らず、天井近くにある小さな明り取りの窓から僅かばかりにオレンジ色の光が射している。
意識の戻ったクディルが最初に見たのはその光と、壁に繋いでいた鎖を解く兵士と、もう一人の兵士が彼女の前に置いた粗末な食事だった。

鎖が外されると同時にその場に倒れたクディル。
兵士達は何も言わず外に出て鍵をかける。
残されたのは何の味もなく、硬いだけの小さなパン―それをそう呼ぶことがパン屋の名誉を傷つけないのなら―のかけらと、ただの水のようなスープだけ。

数十年前からの技術革新によって決して裕福ではないクディルの家でも、週に何回かは白くて柔らかい小麦のパンが食卓に上がった。
今目の前に出されているものに比べれば、その裕福ではない彼女の両親が生まれた今より貧しかった頃の最下級の貧民ですらそれよりもよほどましなものを食べていたと断言できる。

クディルはこれらには一切手を付けなかった。
ただ、もしここに並べられたのが贅を尽くした宮廷料理だったとしても結果は同じだっただろう。

オルガから言い渡された明日の予定、そしてその原因が自分であるという事。
それがクディルの心をへし折った。

クディルには何もできない。ただその場に膝を抱えて座り、そこに顔をうずめている以外には何も。
彼女の目にはもう光は灯っていない。
この日の朝まではあった悲壮な覚悟は、罪悪感と自己嫌悪によってすでに消えてしまっていた。

そしてクディル自身、消え去ってしまいたかった。


732 : クディルの人 :2015/03/14(土) 12:41:46 ???
不意に扉から鍵を外す音が聞こえ、一人の少女が部屋に入ってきた。
使い古された外套を羽織り、長い杖と湯気を立てる桶を持ったその少女は、束ねられた長い金髪で白いうなじを隠し、
その金髪の下には物憂げな顔立ちがあった。

「クディルさん……ですね?」
少女は扉を閉めて女囚の前まで移動するとその名を呼んだ。

クディルは何も言わず、ただ少女を見上げる。
その顔には見覚えがあった。領主の屋敷に忍び込んだ時、領主にいやらしい目つきで舐めまわすように見られていた少女だ。
少女はクディルと目の高さを合わせるようにその場に座り込むと手に持っていた杖と桶を床に置いた。

「ひどい目に遭わせてしまってごめんなさい」
そういってクディルに対し土下座した。
「許してくれなどとは申しません。ですからどうか……どうか少しだけ耐えてください」

少女の行動にもクディルは反応しなかった。
耐える?耐えて何になる?私が村の皆を巻き込んでしまったのに。
私のせいで村の皆がひどい目に遭うのに。私のせいで樵の娘は拷問され、私のせいで明日一人の村人が処刑されるのに。

全て私のせいなのに。

私なんかが生きていて、何になるんだ。

クディルの脳裏にそんな言葉が駆け巡るが、一々口を動かす気力すらもはや絶えていた。
少女が次の言葉を発するまで、クディルは一切のリアクションを取らなかった。

「明日の処刑……私が中止にさせます」
ぴくりとクディルの目が動いた。

少女は語り始める。
「私はオルガの妹でミリアと申します。姉達のこんなやり方は間違っています。これ以上こんな暴挙を黙って見ていられません」
小柄で華奢なミリアだが、その目には強い意志が宿っている。

「村の人たちは何とかして助け出します。信じられないかもしれないけど、どうかあと一日生きてください」
ミリアはクディルに詰め寄ってそう言った。

クディルは何も言えず、ただ俯くしかできない。
ミリアの言っていることが本当なら、彼女の存在はクディルにとっても大きな希望だ。
だが、突然現れたこの少女に、一応は敵の一味であるこの少女に全幅の信頼を置けるのかと言われれば、かなり難しいところだ。

ミリアの方もそれは分かっているのだろう。その場でクディルの答えを求めようとせず、振り返って持ってきた桶からお湯につけた手ぬぐいを取り出してよく絞る。

「体を拭きます。さぞお辛かったでしょう」
そう言って血と汗と垢が固まったクディルの顔を優しく撫でるように拭いていく。
顔の次は首と下りながら拭いていき、やがてボロボロの服と血の染みついた下着を脱がせると、露になった傷と痣だらけの素肌にじんわりと手拭いのぬくもりが伝わってくる。


733 : クディルの人 :2015/03/14(土) 12:45:01 ???
「ひどい……なんてことを…」
文字通り満身創痍のクディルに思わず声を上げるミリア。

「んっ…!」
傷口に手拭いが触れ、クディルが少し顔をしかめる。
まだ塞がりきってない新しい傷には、手拭いの刺激も沁みる。

「このお湯に薬を溶かしてあります。少し沁みますが、傷の治りが早くなります」
そう言いながら、ミリアはゆっくりとクディルの全身をくまなく拭いていった。
やがて湯がぬるくなってきた頃に、ミリアは再びクディルに服を着せた。

「……ありがとう」
「いいえ。お礼なんて…」
少し申し訳なさそうにそう言うと、ミリアは荷物をまとめる手を止め、クディルの目を覗き込んで言った。
「明日の処刑は必ず中止させます。どうか希望を捨てないで」

ミリアが出て行った後、既に差し込む日も沈んで真っ暗になった牢屋の中で、クディルはいつの間にかまどろんでいた。
肉体的にも精神的にもかなりのダメージを受けていた彼女にとってミリアの存在はそのどちらにとっても癒しとなった。
硬く冷たい床の上にむしろを一枚敷いただけのその寝床でも、今のクディルには十分だった。


三日目

このまどろみは、唐突に破られた。

「火事だーっ!!第四倉庫から火が出たぞ!!」
「消火班対応急げ!負傷者を安全な場所まで下がらせろ!」
「付近の可燃物は全てどかせ!全てだ!!」
「そこの門も破壊しろ!延焼を防ぐんだ!!」

兵士達の怒号が響き、沢山の足音がけたたましく轟く。
あらゆる音が夜の静寂を埋め尽くし、鉄製の扉の向こうでも時折誰かの走る足音が聞こえてくる。
戦場のど真ん中にいると錯覚するようなその喧騒は、全く外の様子の見えないクディルにも何が起きているのかはっきりと理解させた。

そして彼女には、この騒ぎを起こしたのが誰であるのかすぐに分かった。

やがて東の山脈が徐々に白くなり始める頃にようやく鎮火したようだったが、それでも騒がしさは変わらない。
被害状況の確認や、けが人の手当て、火元の特定等、処理すべきことは山ほどあるのだ。

日が昇り、小さな明り取りに朝日が差し込む頃、藁束兵たちと共に苛立った様子のオルガが床に座り込んでいるクディルのもとに現れた。
オルガはガラガラと音を立てて色々な荷物が積まれた台車を押しながら現れ、藁束兵のうち一体は明々と火の灯る松明を持っていた。


734 : クディルの人 :2015/03/14(土) 12:50:09 ???
「少しは寝られたかい?」
「ええ。おかげさまでね」
クディルの反応にオルガは意外そうな表情を見せ、すぐにそれまでよりも苛立った表情に変わる。

「ちっ…、ミリアめ。余計な事をしやがって……」
オルガの予想では、クディルは昨日倒れるまで電撃を浴びせた時と同様、罪悪感に押し潰され生気のない目をしている筈だった。
捕えた村人達から聴取した情報からクディルの性格を分析したオルガは、相手の精神を潰すための手を打った筈だった。
正義感が強く心根の優しい少女に対して最も効果的と思われる方法を採り、実際昨日はそれで心をへし折った筈だった。

だが火事の騒ぎで叩き起こされた揚句、火事の損害から処刑の計画は延期され、寝不足気味で陰気くさい彼女の牢屋に来てみれば、
その心を壊したはずの少女は、痛めつけられた肉体とは対照的に精神の方は回復しているのだ。

となれば、考えられる原因は一つしかない。

「ふん……。まあいい」
不機嫌そうにそう言うと、クディルの前に腰をおろし、光の戻った眼をまっすぐに見つめながらゆっくりと問いかける。
「一応聞くけど、あんた夜中の火事知ってるわよね」
「ええ」
「何か心当たりは?」

勿論、ただ閉じ込められていたクディルが無関係であることはオルガも知っている。
知りたいのは、クディルと接触のあった人間が関与しているのかという事。

「さあ?知らないわね」
そして勿論、クディルも正直に思ったことを口にする気はない。
だがオルガにはそれでよかった。必要なのはクディルの言葉ではなくその直前の態度。
オルガの経験上、何かを隠す時に人間がする特徴が出ていた。

(まあ、急ぐことでもないか。目星はついているし、どうせ聞き出す時間は山ほどある。それに、その方が尻尾を出しやすいだろうさ)

オルガはにんまりとサディスティックな笑みを浮かべ、転がしてきた台車から二本の奇妙な棒を取り上げた。
片手で軽く持てるような小さなそれらは、何の変哲もないという形容以外思いつかないほど何の変哲もない棒だ。
その何の変哲もない棒を奇妙足らしめているのはそれぞれの先端に縛り付けられた真っ黒な別の棒だった。
オルガは藁束兵の持つ松明にその棒を近づけると、他の二体に命じてクディルを抱え起こさせた上で上下とも下着以外は脱がせる。

「これは今朝焼け跡で拾った焼け棒杭。所謂『やけぼっくいに火がつく』の焼け棒杭だよ」
両脇を抱えられて立たされたクディルにその縛り付けられた焼け棒杭の先端を向ける。
顔の前に突き出されたそれからは、独特の臭いと熱気が伝わってくる。

「一度燃えた木はすぐに火がつく。要するに木炭だからね」
顔の前を木炭がゆっくり左右に往復する。
その熱気に思わず顔をそむけるクディルだったが、すぐ後ろが壁という事もあってほとんど相手に頬を向けるだけとなった。


735 : クディルの人 :2015/03/14(土) 12:53:45 ???
そのとき不意に、クディルの視界の隅から木炭が消えた。
同時に彼女のわき腹からジュウウと音が鳴る。

「いぎっ!?ああああっ!!」
むき出しのわき腹に火のついた炭が押し付けられ、肉が焼ける音と焼かれたクディルの悲鳴が響く。

「あああっ!!ぐううぅぅっ!!」
身を焼かれる激痛にたまらず声を上げるクディルだが、押し付けられた炭は容赦なく彼女を焼いていく。
身をよじり、何とかして逃れようとしたところで、両脇を抱えられている以上そんな抵抗には何の意味もなく、ただ自分の体が焦がされていくのを受け入れるしかない。

「ふふっ。どんな気分?生きたまま焼かれるのは?」
炭をクディルから離しつつ、オルガが形だけ尋ねる。
尋ねながらそれが終わりではない事を示すように、再び松明に炭を突っ込んでクディルに分かるようにゆっくりと再加熱を始める。

「はぁ…はぁ…はぁ……っ!!ああああああっ!」
激しく上下していたクディルの肩が、上がったまま固まって再び絶叫する。

左の乳房から肉の焦げる臭いが鼻に届く。
悶えるクディルを楽しむように、オルガはクディルの乳房の上に炭を何度も転がし延焼させてゆく。
炭の移動する速度に合わせて悲鳴を上げるクディル。

「うあっ!!あっ!ああああっ!!」

左乳房に火傷の帯を描いて、ようやく炭は離された。
重点的に焼かれた場所は、既にケロイドにすらならず壊死していた。

「あ、やりすぎたか……」
再度松明に炭を入れながら、オルガが呟く。壊死した部分は既に痛覚がなくなっているだろう。

「まあいい。次は上手くやる」
再度最初の温度まで熱せられた炭を、今度は脂汗の流れた首筋へ押し付ける。

「いああああああああっ!!」
肉の焼ける音、焦げた臭い、絶叫。
オルガが飽きるまで、何度も何度も繰り返された。

「さて、そろそろか」
オルガが炭を置いた時、クディルの体には十か所以上の痛々しい火傷が出来ていた。

「はぁ…はぁ…はぁ……。ま、まだよ…。こんな事で……」
激痛に苛まれ、荒い息をつきながら、絶叫により掠れかけた声を絞り出す。
「あんたなんかに……絶対に…屈しない…!」

精一杯の虚勢を張り、涙のたまった眼でオルガを睨みつける。


736 : クディルの人 :2015/03/14(土) 12:57:16 ???
オルガの方は意に介さず、懐から取り出した小瓶のふたを開け、中の緑色の軟膏を木のへらでかき回している。
「ふうん。昨日までとは大違いだね」

時折瓶から少しだけへらを出し、軟膏の粘度を確かめている。
やがて満足する状態になったのか、へらを中ほどまで小瓶に沈めると、その先端にこんもりと軟膏を掬い上げた。

「これは火傷に効く薬でね」
そう言ってへらをクディルに近づけるオルガ。
クディルの顔が強張る。状況的に“効く”というのは治療したり痛みを和らげるという意味ではない。
最初に焼かれたわき腹に、すっとへらが一文字を描き、軟膏が塗りこまれる。
瞬間、クディルに再度焼かれるような激痛が走った。

「ぎっ!?あああああああっ!!」
悶えようが、体をよじろうが、しっかりと塗り込まれた軟膏はクディルの火傷を確実に侵していく。

「うあああっ!あああっ!!ひああっ!!」
「よく効いているみたいだね」

塗り込まれた軟膏は、何種類かの毒草や香辛料、その他塩や刺激物を混ぜ合わせた代物で、火傷に塗り込めばどういう効果があるのかは、悶えているクディルが証明している。
無論、火傷を治療する効果などなく、ただ傷口を責め、痛めつけるためにのみ存在する。

薬と言うより毒と呼んだ方が正確か。

「くぅぅぅっ!ああぅ……うあああ……」
何度も何度も傷口をやすり掛けされているような痛みの波が押し寄せ、その度にその抗いようのないそれに悶えるクディル。
オルガは火傷の順番通り、全身に軟膏を塗り込んでいく。

「うああああっ!!あぎっ!ぐううっ!!いぎいいっ!!」
オルガの期待通りの声を上げ身悶えるクディル。

やがて悲鳴と共にヒュウヒュウと空気の漏れるような音がクディルの喉から聞こえてきた。

「さて、そろそろ限界か」
全ての火傷に軟膏を塗り込んだオルガは小瓶に厳重に蓋をしてから懐に戻し、藁束兵にクディルの両脇から離れさせる。
支えがなくなり、どさりとその場に崩れ落ちるクディル。
責め苦により残された僅かな体力すら消耗しきった彼女は、最早自力で立つことすら出来なかった。

「ぅ……ぁ…」
蚊の鳴くような声とも呼べないような声が僅かに漏れる。

「おいおい。誰も寝ていいなんて言ってないよ?」
そう言いながらつま先でクディルを仰向けに転がすオルガ。
その足元でクディルは小さく掠れた呻き声を漏らすだけで、なす術もなくオルガに弄ばれている。

その様子を見ながら再び炭つきの棒を手に取った。
再び松明にそれを突っ込むと、その先端を足元に垂らす。
「じゃあ、丁度いい目覚ましといこうか」
自分の上を移動する炭に、クディルは怯えた視線を送るが、それは徐々に顔から遠ざかり、やがて自分の体で見えなくなった。

「ど、こ、に、し、よ、う、か―」
ふらふらと棒を動かすオルガだが、狙いは既に決まっている。
クディルもそれに気づいて何とかして回避しようと足を動かそうとするが、オルガの足が太ももを押し付けて固定している。

「―な!」
「いぎいいいいああああああああああああああああああああああっ!!!!」
クディルの予想通り、そしてまたオルガの狙い通り、炭がクディルの秘所へと突きこまれた。


737 : クディルの人 :2015/03/14(土) 12:59:22 ???
「あぎっ!!うあああっ!!」
秘所が焼け、激痛という表現すら生温い程の痛みに上がった絶叫が、肉の焦げる音を掻き消している。

「いああああっ!!抜いて!!抜いてぇっ!!抜いぎいいいいいっ!!!」
悲鳴は懇願に変わり、すぐにそれも咆哮へと変わる。

「暴れると他のところも焼ける……って聞いてないか」
「あぎいいっ!いっ、いっがぁぁぁっ!!!」
最早何と言っているのかもわからない悲鳴をあげ、必死に炭を抜こうとするクディルだったが、上から押し込まれるそれに対して手を出したところで指を焼かれる以外に何も変わらなかった。

「こんなものかね」
オルガがようやく炭を引き抜くと、クディルの両手が秘所を覆い隠した。
クディルはそのまま横向きに寝返りを打つと、胎児のような形に丸まり、ピクピクと不規則に痙攣する以外何もなくなった。

死んではいない。だが恐らく死んだ方が楽だ。

「今は大丈夫だろうけど…」
そう言いながらオルガはクディルに馬乗りになり、いつの間にか取り出した荒縄を僅かに開かれたクディルの口にねじ込む。
「まだ死なれちゃ困るからね」
「ぅ…ぐ……」

回復した時に舌を噛み切られては意味がない。
猿轡を噛ませると、乱れた髪の毛で覆われた耳もとで囁く。

「全部吐くまで死なせてあげない」
それだけ告げると藁束兵たちを引き連れ、牢を後にする。
残されたクディルはその姿のまま、時折思い出したように弱々しく痙攣していた。



まだ続きます


738 : クディルの人 :2015/03/14(土) 13:01:43 ???
以上スレ汚し失礼しました
書き終えたものを見直したら投下した分の倍近くの長さだったので前半だけ投下しました
後半は手直し出来次第投下します


739 : 名無しさん :2015/03/16(月) 17:56:37 ???
質問なのですが、このスレ的には版権キャラのリョナSSはありですか?


740 : 名無しさん :2015/03/16(月) 18:15:08 ???
ありでしょう。楽しみにしてます!


741 : 名無しさん :2015/03/16(月) 18:51:24 ???
むしろ元を辿れば大体二次ばっかりだったからな


742 : 名無しさん :2015/03/16(月) 22:48:46 ???
>738
お疲れさまでした
クディルかわいそう過ぎてもっといじめたい


743 : ハムの人 :2015/03/16(月) 22:53:39 ???
>>738
GJです 相変わらずクディルちゃん健気で良いなぁ…
自分は版権モノばっかりなので、オリジナルでクオリティ保ちながらこんなに長く続けられる人は尊敬します
私もようやく筆が乗ってきたので遅くても明日には投下出来ればいいなぁ


744 : 名無しさん :2015/03/18(水) 17:32:47 ???
古いアニメだから不安なんですが、らんま1/2のあかねvsシャンプーのリョナSSとか需要ありますか?


745 : 名無しさん :2015/03/18(水) 17:49:46 ???
極端な事を言っちゃえば、需要なんて最終的には内容次第だから、
「需要ありますか?」
と聞かれても
「とりあえず投下してみよう、話はそれからだ」
としか返事出来ない

というわけで、とりあえず投下してみようか


746 : 名無しさん :2015/03/18(水) 18:27:14 ???
>>744
古いから知名度がないと考えるなら
設定やキャラの描写をSS内で軽く説明しておけばいいんじゃない?


747 : 名無しさん :2015/03/18(水) 19:50:27 9I7R2bi.
たぶん知らないキャラクターの時は、各自調べてから見ると思うので
あんまり気にしなくていいと思う。
個人的に作品名があれば古くても問題なし


748 : 名無しさん :2015/03/18(水) 20:52:22 ???
sage忘れましたすみません


749 : 名無しさん :2015/03/18(水) 22:19:53 ???
自分の場合、何の二次創作か分かっててその作品を知らない場合、流し見て良さ気だったら原作確認してもう一度読むわ

というか、本来この手のものって好きだから書いたって方が基本的にはリビドー出てて出来が良い場合多いからね
一々需要とか気にする事ないっしょ
需要あろうが書けないものは書けないだろうし


750 : 名無しさん :2015/03/18(水) 23:25:49 ???
たくさんのアドレスありがとうございます。
遅筆なうえに、レッスルエンジェルス以外のリョナSSを書いたことないので時間かかると思いますが、とりあえず上げてみます。


751 : 名無しさん :2015/03/19(木) 00:56:50 ???
↑アドバイスの間違いでした。


752 : 名無しさん :2015/03/19(木) 18:30:40 ???
アドレス吹いた
プロレスのアドバイスだからアドレスだな


753 : 名無しさん :2015/03/20(金) 03:04:32 ???
すみません
もし、大丈夫ならノエルの人さんが書いた、
D会のシャナとアスカのやつをアップローダーサイトに上げて欲しいのですが。
どなたかよろしいでしょうか。


754 : 名無しさん :2015/03/20(金) 20:58:17 ???
自分も逃してしまった口なんでいつの日かの再うpが楽しみー
ノエルの人さんの生存報告がいつも以上に待ち遠しい><


755 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:08:51 ???

いろいろリビドーの赴くままに書いてみました。
久しぶりに書いたSSなので拙い点が目立つと思いますが、みなさんの暇つぶしにでもなれば幸いです。
テーマは『圧倒的実力差があっても負けを認めたくなくて頑張るけど結局ボロボロにされる女の子』です。
らんま1/2の二次創作リョナSSになっておりますので、原作のイメージを壊したくない方はご注意ください。


756 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:11:37 ???
1.

 早乙女乱馬は悩んでいた。
 満面の笑みを浮かべる許嫁がシチュー皿によそった物体を口に入れるかどうかを。
 器の中で蠢く、許嫁が手料理と称するソレは、狂人の悪夢から正常な世界を侵食せんと這い出てきた怪物を髣髴とさせるものだったからである。
 この世のありとあらゆるものを混ぜ合わせ腐らせたかのような悪臭に加え、黒っぽい玉虫色の伸縮性のある原形質の小泡で構成された不定形の塊は、蛍光灯の光を受けて全体が微光していた。
 そのようなものをまえに意気揚々とシチュー皿にスプーンを潜らせることのできる猛者がこの飽食の日本においていったい何人いるだろうか。

「なにしてるの? 早く食べないと冷めちゃうわよ」

 自身の手料理になかなか口を付けようとしない乱馬の態度に、許嫁の表情が強張っていく。

「……あ、あかね。お前、味見はしたのか?」
「なによ、少し見てくれは悪いけど、美味しいかもしれないじゃない」

 乱馬の問いに許嫁の少女――天道あかねは憮然と答えた。要するに味見はしていないということである。
 早乙女乱馬と天道あかねは親同士が決めた許嫁であり、早乙女家は天道家に居候している。
 はじめは互いに反発することの多かった二人であるが、互いに武道を志していたこともあり、
 多くの困難を互いに助け合いながら乗り越えるうちに、少しずつ距離を縮め、恋人同士とはいかないまでも互いに想いあっている仲といったところである。

(……このメシマズ特性はなんかならねーのか)

 天道あかねは俗に言うメシマズ嫁なのだ。なぜか料理をレシピ通りに作らないし、おかしなアレンジを加え、料理とは呼べないなにかを作り上げる。
 そして味見をせずに相手に強引に勧め、食べなければ拗ねる。典型的で最も厄介なパターンである。
 本来なら、そんな許嫁に料理を独りでさせないし、きちんと料理が出来るあかねの姉が台所を切り盛りしているはずなのだが、今日に限って天道家には、乱馬とあかねの2人しかいない。


『テケリ・リ、テケリ・リ』


 シチュー皿をまえに苦悩する乱馬を嘲弄するかのように、玉虫色の不定形の塊は身を震わせ、そのような声で鳴いたような……気がした。

「い、いま……コレ、鳴かなかったか」
「わけわからないこと言ってないで、早く食べなさいよ」

 狼狽する乱馬をよそに許嫁の不機嫌さは危険域に達しようしていた。

(ええい、南無三)

 死ぬことはないだろうと意を決して玉虫色の不定形の塊にスプーンを突き込んだ瞬間、甲高い破砕音が乱馬の後方で鳴り響いた。
 甲高い破砕音とともに砕け散ったガラス片が、乱馬の視界をキラキラと染め上げた瞬間、大質量のなにかが、シチュー皿が置かれていたちゃぶ台の前に降り立ったのだ。
 いまのガラス戸と障子を突き破ったなにかは、その勢いを殺すためにちゃぶ台の上でターンをきめ、鍋や皿を吹き飛ばした。
 その様はまるで地上の穢れを吹き飛ばすために、風の神が起こす大嵐のようであった。


757 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:12:48 ???
2.

「乱馬、おなかすいてないか? 愛妻弁当作ってきたネ」

 天道家のガラス戸と障子を突き破って、不浄の物体を蹴散らした少女は、自転車に跨ったまま器用にターンをきめ、乱馬の前に岡持ちを差し出すとにっこりと微笑んだ。
 ダイナミックお邪魔しますを見事にきめた少女の名はシャンプー。中国の少数民族――女傑族の戦士。
 女傑族には、女に負ければその女を殺し、男に負ければその男を婿にする、という変わった掟がある。
 そして、乱馬は不意の事故でこの中国少女を負かしてしまったために、苛烈なアタックを繰り返し受けているのだ。

「お、おお。た、助かったぜ」
「……? よく分からないが、乱馬の助けになったのなら、ワタシうれしいネ」

 超ミニのチャイナドレスという際どい格好で抱きつこうとする中国少女をいなしながら、ふと視線に気付く。
 それは深い闇の底で生者を妬む怨霊のような視線。あかねが乱馬と傍らの中国少女を睨みつけていた。

「私の手料理どうしてくれんのよ」

 怨嗟の叫びとともに、熱々の緑茶で満たされた急須を投げつけてきたのである。

「あかねが作った料理なんて、どうせ生ゴミ以下の物体アル」

しかし、シャンプーはコレを岡持ちで防ぐと、

「乱馬。そんなことより、ここは酷く臭うネ。一緒にうちでお風呂はいって、いろいろスッキリしてから、ご飯にするよろし」

 興味を無くしたかのように、乱馬に詰め寄る。
 乱馬としては非常に魅力的な提案であった。一緒にお風呂どうこうはスルーするとして、この中国少女の中華料理はなかなかに美味しい。
 懸案事項としては、その提案にのった場合、ほぼ確定的に許嫁の機嫌が悪くなることだ。
 乱馬がどうしたものかと思案していると、


 パンッ


 というかわいた音が居間に響いた。
 視線を向ければ、少し離れたところにいたはずのあかねが頬を押さえたシャンプーのまえで仁王立ちで立っていた。
 料理を台無しにされたうえに露骨に許嫁を誘惑する中国少女をまえに堪忍袋の緒が切れたのだろう。あかねがシャンプーの頬にビンタをお見舞いしたのだ。
 鋭い視線を向けるあかねとは対照的に、頬を打たれたシャンプーは妖しく瞳を輝かせるとニタリと笑みを浮かべた。

「これは宣戦布告と受け取って良いアルか?」
「そうよ。道場に来なさい、今日という今日はとっちめてやるんだから」

 シャンプーの問いにあかねは怒気をはらんだ声色でそう応え、天道家の敷地内にある道場を指さす。

「おい馬鹿、おめぇがシャンプーに勝てるわけねぇだろ」

 剣呑な雰囲気を漂わせる二人を制止しようと声を荒げる乱馬だったが、

「五月蝿いッ!」
「乱馬、これ、女同士の真剣勝負ね。口出し無用アル」

 と、聞く耳もたれず、

「あかね、おめぇも武道家なら喧嘩を売り買いする意味をちゃんと考えるんだな」

 そう伝えることしか出来なかった。


758 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:14:24 ???
3.

 初めて会ったときから気に入らない女だった。
 綺麗な青い長髪。男を誘う魅力的な肢体。好意を隠さず伝えることのできる素直さと積極性。自分が持たないものを全て持つシャンプーという女が嫌いだった。
 だから、せめて武道家としては負けたくなかった。幼い頃から父に鍛えられた格闘技なら負けることはないと思っていた。
 しかし、その武道家としての自負さえもすぐに打ち砕かれた。初めて相対したとき、あかねはシャンプーの動きにまったくついていけず、一撃で気絶させられた。
 力もスピードも技も何もかもが圧倒的に負けていたのだ。
 だから鍛錬を続けた。いつかは負かしてやろうと。無様に倒れこむ中国少女を見下ろし、勝ち誇ってやろうと。

(今日がその日よ。あかね、気合を入れなさい)

 道着の帯をギュッと硬く締め、自らの頬を張り気合を入れる。

「じゃあ、ルール説明な。どちらかが気絶するか降参するかで決着、後はなんでもありで。いいな?」

 乱馬は簡単なルール説明を終え、両者に同意を求める。

「それでいいから、早く始めてよ」
「いつでもいいね」

 不機嫌なあかねと余裕の笑みを浮かべるシャンプー。審判役の乱馬は両者を2メートルほど引き離し、中央に立つ。

「両者構えて」

 あかねは、背を立たせ、重心を体の中心に置いて構える。その立ち姿は伝統派空手のソレに近い。対して、シャンプーは両足を軽く開き、両手で距離を測るように構えている。

「はじめッ!」

 開始の合図とともに飛び出しのはあかねだった。運足と呼ばれるすり足での歩法で一気に距離をつめ、

「せぃっやッ!」

 気合とともに右中段逆突きを繰り出す。いきなり突っ込んでくるとは思わなかったのか、シャンプーは表情には驚きが見えたが、バックステップでこれを凌ぐ。

「たぁーッ」

 しかし、あかねの追撃は終わらない。踏み込んだ足を軸に右上段廻し蹴りでシャンプーの側頭部を狙う。しかしこれも一歩後ろに下がられ、避けられてしまう。

「はああッ!」

 蹴り足を引かずにそのまま下ろし、軸足にすることでさらに前進し、左上段逆突きで顔面を狙う。シャンプーの後ろには壁。バックステップで避けることはできない。
 顔面を狙った左の拳は、獲物を追い込むためのものでしかない。本命は右中段鉤突き。あかねの拳がギュッと握りこまれる。
 背後は壁、正面から左上段逆突きが迫るなか、シャンプーが避けるとすれば右に動くしかない。それを見越しての右中段の鉤突きである。
 だが、拳が迫るなか、シャンプーの表情には笑みが戻っていた。


759 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:15:32 ???
4.

「だいたいわかったね」

 中国少女は迫る拳を避けることなく、ただ打ち払った。
 その打ち払いにどれほどの力がこめられていたのか、あかねの体は自身の意思に反してよろめき、体勢を崩されてしまう。
 その隙を逃すことなく、あかねの懐まで入り込んできた中国少女に対して、打ち払いの衝撃で崩れた体制のまま右の鉤突きが中国少女の柔らかな頬を捉える。
 しかし、所詮は崩れた体勢から打った手打ちでは相手を止めることは出来ず 

「がぁッ」

 中国少女の肘打ちがあばらに突き刺さった。
 激痛があかねを襲う。しかし、何とかバックステップで距離をとり、呼吸を整える。
 シャンプーはそんなあかねの様子を追撃もすることなく、ケラケラと可笑しそうに嗤う。

(馬鹿にしてッ!?)

 ギリッと思わず歯噛みする。だが、ここで突っ込んでも相手の思うツボだ。そう思い直し、相手の動きを見ながら慎重に間合いを測る。
 
「そっちからこないなら、こっちからいくアル」

 中国少女はそう言うやいなや、獣のような素早さとしなやかさと間合いを詰めにかかってくる。 
 
「舐めるなッ」

 あかねはコレを不意の三日月蹴りで迎撃しようとするが、相手の脇腹にあたりはしたものの打点をずらされたため、ダメージを与えられないまま、蹴り脚をつかまれてしまう。
 
(今だッ!)

 蹴り足をつかまれた瞬間、とっさに軸足のばねで飛び上がり、片脚を取って油断した中国少女の側頭部に蹴りを叩き込む。
 確かな手応えが足甲から伝わり、重力に引かれ落下していく視界の隅で倒れ込むシャンプーを見た。
 相手の頭部を蹴った体勢のまま、道場の床にしたたかに身体を打ちつけたが、たいした痛みではない。すぐに起き上がり、構える。
 
「勝った!?」
「なにしてんだ? あかね、まだ勝負は終わってねえぞ」

 うれしさのあまり、許嫁にむかってそう叫んだあかねに乱馬は冷ややかに告げた。

「え?」
「ルール忘れたのか? 相手が気絶するか降参するまで試合は終わらねぇよ」

 視線を向けると、ポンッと身体のバネだけで軽やかに立ち上がった中国少女がなにくわぬ顔で構えをとっていた。  

「嘘、確かな手応えだったのに……」
「少しビックリしたが、なんてことないネ。さあ、第2ラウンド開始アル」


760 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:16:53 ???
5.
 
 一度倒れてからのシャンプーの猛攻は激しく、あかねも必死で攻撃を繰り出していたが、その悉くを避けられ、打ち払われ、まともに有効打を与えることもできずにいた。
 
(駄目だ、亀になったら死角からやられる。手を出さないと)

 そう自分に言い聞かせ、中国少女の掌打を左腕で受け、右の拳を相手の顔面に叩き込むが……。

「痛ッ!?」

 悲鳴を上げたのは、あかねだった。顔を捉えたかに見えた拳だったが、シャンプーはそれを額で受けたのだった。
 人間の手の骨は道具を繊細に扱うために進化したいわば精密機器だ。それに対して頭蓋骨は人間の大きな特徴であり、弱点でもある大きな脳を守る為には進化したものである。
 どちらが丈夫かは考えるまでもない。

「お返しアル」

 拳が砕けた激痛によろめくあかねの顔面に中国少女の掌打がめり込む。

「ギャッ!」

 鼻血を吹き上げ、よろよろと意思に反して後退する身体を無理矢理前方に引っ張られた瞬間、腹部を大きな衝撃が突き抜けた。
 全身のバネを駆使した中国少女の体当たりは、あかねの身体を道場の壁に叩き付けた。

「――ッ」
「これはおまけアル」

 壁に叩きつけられ、肺の中の空気を押し出され、酸素を求め喘ぐあかねの腹に前蹴りが突き刺さる。


761 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:18:03 ???
6.

「がはッ」

 壁からずり落ちるようにだらしなく蹲るあかねの口から垂れた胃液が、ポタポタと道場の床を汚していく。

「おまえ、本当に弱いネ。乱馬もこんな女のなにが良いのか?」
「あ……がっ」

 髪を掴まれ無理矢理引き起こされ、罵倒を浴びせられる。このうえない屈辱に身を震わせながらも反撃する力もなく、ただ相手を力なく睨みつけることしかできない。

「もう闘えないあるな、降参するヨロシ」
「……い……やよ」

 無意識のうちにそう答えていた。
 痛くても、惨めな姿になっても自分から負けを認めたくはなかった。

「そうか。なら仕方ないあるな、たっぷりと惨めな姿を乱馬のまえに晒すといいネ」

 シャンプーはそう吐き捨てると、あかねを力任せに立たせ背後に回ると、太腿に手を回し持ち上げる。

「い……や、なに……を?」

 あかねの視線の先には乱馬の姿があった。そして、自身の姿に気付く。好きな男の前で股を広げて抱えられている屈辱的な自分の姿に。

「お楽しみはこれからアル」 

 一瞬の浮遊感の後、股間をこれまで感じたことのない痛みが駆け抜ける。そうシャンプーは、あかねの身体を抱えたまま、自身の膝にあかねの股間を叩きつけたのだ。

「ひぎぃッ!?」
「ところで、あかね。勝負のまえに、トイレにいったあるか?」

 激痛に悲鳴を上げるあかねに中国少女は優しく問いかける。もちろん答える余力はあかねにはないし、それは相手も承知だろう。

「漏らさないように頑張るよろし」

 そして2発、3発と股間に膝が突き刺さる。あかねは、その度に悲鳴とも嬌声とも取れる声をあげ、口からは涎が零れ落ちた。
 イヤイヤと力なく抵抗するも、がっちりと抑え込まれた身体はびくともしない。

「らん……ま、助け……て」

 あかねの口から力なく発せられた言葉を聴いたシャンプーの身体に力が込められる。

「……情けない女、終わらせてやるね」

 そう吐き捨てると、これまでよりいっそう高くあかねの身体を持ち上げると、容赦なく自身の膝のうえに打ち下ろした。

「ひぐぅ……あ、あッ」

 甲高い悲鳴ののち、あかねはシャンプーの膝のうえで何かに耐えるような悶えるがそれも長く続かず、

「いや、いやあああああ」

 拒絶の叫び声とともに、じんわりと道着にシミが広がっていく。だが、その叫び声も長くは続かなかった。
 肉体的なダメージと精神的な苦痛が限界値を越えたのか、あかねは気を失い、道場の床にぐったりと崩れ落ちた。
 あかねが最後に感じたのは、太腿を伝う尿の暖かさと床の冷たさだけだった。


762 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:19:45 ???
以上で終了です。
拙いSSだったと思いますが、皆さんの妄想の糧にでもなれば幸いです。
感想、アドバイス等あればお願いします。


763 : 名無しさん :2015/03/20(金) 21:33:18 ???
エロ的な興奮よりも、スカッとする興奮を感じたw
はた迷惑な生意気娘にお仕置きイイネ!


764 : 名無しさん :2015/03/21(土) 00:06:06 ???
普通にスカっとしたw


765 : 名無しさん :2015/03/21(土) 00:14:53 ???
お疲れ様です!
気の強いキャラがやられるのはいつみてもエロイ。


766 : 名無しさん :2015/03/21(土) 05:58:59 ???
恐るべし中国四千年ッッッ!!


767 : 名無しさん :2015/03/22(日) 00:37:31 ???
たくさんの感想ありがとうございます。
また、なにか良い妄想が浮かんだら、投下したいと思います。


768 : ハムの人 :2015/03/23(月) 00:26:39 ???
GJです こういう格闘リョナ大好物です!
やはり嘔吐と首絞め失禁は最高ですね
テンポも良くて非常に読みやすかったです

私も頑張って書き上げねば……
もう書き上げて投稿する決心は固めたのでお題だけ先に言いますが、P3のハイレグアーマー女子三人とアイギスが、遊戯王のマリクのカードにリョナられる話です


769 : 名無しさん :2015/03/23(月) 19:11:48 ???
感想ありがとうございます。格闘リョナ好きの同士がいてくれて嬉しいです。
嘔吐と失禁をいれると、攻撃に説得力がでるし屈辱感が増すので重宝しますね。
あと、好き嫌い別れるけどエロに持ち込むのも好きかな。


アイギス・・・大好物です。


770 : 名無しさん :2015/03/24(火) 10:04:46 ???
GJです!確かこのあかねってヒロイン、ロリキャラに負けた事なかったっけ?


771 : 名無しさん :2015/03/24(火) 20:07:06 ???
原作が手元にないので分かりませんが、
勝ち気な少女がロリキャラとか格下っぽいキャラクターに敗北する姿は胸熱ですね。
では、あかね×シャンプーの第2ラウンドを書く作業に戻ります。


772 : ハム子の人 :2015/03/26(木) 00:43:31 ???
ようやく作品が完成したので投下します。一応P3P×遊戯王のクロスオーバーものになります
長すぎる(今までの作品で最長)なのでテキストファイルにしようか迷いましたが…とりあえずスレに投下にさせていただきます。猥雑なようでしたら次回から考えます。

>>769
こちらこそ同じ格闘リョナ好き同志が居て嬉しいです
今回の作品は格闘モノではありませんしアイギスの出番もあまりありませんが楽しんでいただけるかわかりませんがw
アイギスの格闘リョナは割と面白そうですね


773 : 名無しさん :2015/03/26(木) 00:56:54 ???
……なんかホストの調子が悪いみたいでPCからだと上手く書き込めませんね
書き込む度に足止めされるとちょっと辛いので、やっぱりテキストファイルにして上げることにします。ごめんなさい
ただざっと本文見た所誤字がまだ結構あったので、明日投稿することにします……


774 : ハム子の人 :2015/03/26(木) 09:15:46 thpQsgBo
ようやく投稿できたのでURLを投下します
http://www1.axfc.net/u/3437979
passは「p3pryona」

せっかくなので以前ちょろっと書いたSSも同梱しておきました
両方とも設定があやふやだったり原作を知らないと分かりづらい部分もあるかと思いますが
楽しんでいただければ幸いです


775 : 名無しさん :2015/03/26(木) 14:38:34 ???
乙おつ


776 : 名無しさん :2015/03/26(木) 20:34:49 ???
じっくりねっとりした描写が相変わらずお見事ですね!
こんだけ残虐なのにあくまで精神世界の出来事というのがエグくてとてもいい
精神世界の中の精神世界で発狂とか事情を知らない人にしてみたら???なんだろなーw


777 : 名無しさん :2015/03/30(月) 00:24:19 7v1DAXv2
お久しぶりです
ノエルの人です(宇宙のメソッドのノエルはかわいい)

とっくに忘れられてるっぽい気がしないでもないですが
>>538のリクを、近々お届けできそうです。この土日で筆が一気に進みました。
リョナキャラを三人にしたのでまたしてもボリュームが……
(しかも一次創作。要らん方向にこだわってしまっているのかもしれん)
とはいえ、ほとんど全てのシーンにリョナ要素を入れることはできたので
それなりにお楽しみいただけるのではないかと思ってます。

「D会」なんですけど
リョナ的な意味でこれといった見せ場が未だに見つからず、ちょっと足踏みしちゃっている状態です
ていうかもう、無理にストーリー仕立てにして、最終回にして締めなくてもいいような気がしてきたんだが(汗)
忘れた頃には投下されると思いますw

あと「シャナ&アスナ」編の再うpの話があがっているようでしたので
これも近々、再投下しようと思います。
ただ、前回楽しんでいただけた人のために、気になるところとか修正して
描写とかもバージョンアップしてみようかな? なんてことを企んでみたり。


SSスレのさらなる発展を願って
ではでは


778 : 名無しさん :2015/03/30(月) 03:14:57 ???
wktk 首を長くして待ってます!


779 : 名無しさん :2015/03/30(月) 12:56:08 ???
強いキャラが絶望に叩き落されるのは大好物だから、なんて良い報告だ!
シャナ&アスナも見そびれて悔しかったので来てくれたら、嬉しいですが
作者のモチベーションが大事なのでノエルの人の好きな風にやってくれるのがいいと思います!!


780 : クディルの人 :2015/04/03(金) 00:04:40 ???
久しぶりに覗いたらハム子の人の新作が来てた(歓喜)
遅ればせながら乙です!遊戯王のリョナ的優秀さを実感させられる素晴らしいクロスオーバーでした

ノエルの人お久しぶりです
楽しみに待ってます。ノエルの人の納得のいくような形でやっていただければと思います


781 : ハム子の人 :2015/04/03(金) 18:59:12 ???
>>775-776,>>780
遅ればせながら感想ありがとうございます
ペルソナにハマる前、一番リョナ的にお世話になっていた作品が遊戯王だったのでいつか書きたいと思ってました
遊戯王は精神リョナも肉体リョナも豊富なのでシチュ考えるのが楽しいですw

私もノエルの人のは楽しみにしてます!
>>779さんと同じように見逃してしまったので、D会もw
ゆっくりお待ちしております〜


782 : 名無しさん :2015/04/07(火) 22:23:52 7v1DAXv2
ノエルの人です

オリジナル作品、とりあえず最後まで書き上げました
後はいろいろ手直しするだけです
長かった……

一次創作でこんな長いものをダラダラと投稿するわけにもいかんので
今回もテキストファイルで投稿する予定です


【おしながき】

・ラスボス系女子
・主人公系女子
・生意気系男子(ショタ!)


三人がいろいろとひどい目にあって
汚されて壊されて○されちゃう感じにしました
興味のある人は読んでやってください


783 : 名無しさん :2015/04/07(火) 23:48:01 ???
うっひょう全裸待機しなきゃ


784 : 名無しさん :2015/04/07(火) 23:55:15 ???
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org255206.txt.html
パス共通

では、よろしくお願いいたします。
sage
ノエルの人より


785 : 名無しさん :2015/04/08(水) 17:54:46 ???
リクしたものです!
全編に渡ってエゲツなさが全開過ぎて最高でした。
強キャラな子がどうしようもない状態にされていく様が非常にそそります。
てか、退行以外にも色々詰まっていてクオリティ高いなぁ……
溶解液のシーンとかも、とても俺好みで良かったです。

ニッチなリクに応えて頂きありがとうございました。
これからも執筆頑張って下さい。


786 : 名無しさん :2015/04/10(金) 00:58:04 ???
来ていましたか!
エンドレスリョナですねぇ、しかし、人類のためなら仕方ないよね!


787 : 名無しさん :2015/04/11(土) 11:01:26 ???
>>785>>786
ありがとうございます
もう少し短くしたほうが良かったような気がしました
次は気軽に読めるものを目指して頑張ります


788 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:29:39 ???
始めまして(´・ω・`)
設定ガッバガバだけど許してね(´・ω・`)

「こんばんわ、おねーさん?」

広い草原、魔眼殺しの眼鏡を少年に渡し、別れを告げた後、異なる少年から声が掛かる。

柔和な表情。あどけない顔立ち。可愛らしい少年だ。へらへらと見下すような薄ら笑いさえなければ。

「あらこんばんわ。何か用かしら?忙しいからあまり構ってあげられないけど、話くらいは聞いてあげるわよ?」

挑発的な笑顔で返事を返す。荒事の気配が周囲に漂うも気にも留めない。蒼崎青子に敗北等ありえない。突如として現れた少年を観察するも明らかに一般人そのもの。怪しげな気配を纏うだけの少年等、蒼崎青子からすれば公園の空き缶程度の存在であった。

挑発的な蒼崎青子の笑顔に、少年もまた笑顔で返す。興奮が止まらない。こんな高慢な女をこれからズタズタに陵辱するのだ、それも陵辱するだけでない。この女の人生を賭けて鍛え上げたものを搾りつくすのだ。少年にとってこれ以上ない職業だった。少年は己の幸運に感謝した。生まれて初めて神に感謝した。

「そんなに手間はかけさせないよ…ただ、」

少年が謳う様に言葉をつづける。

「お姉ちゃんの魔力、根こそぎ吸い取らせてくれないかな?」

『魔法使い』蒼崎青子に宣戦布告が告げられた。


789 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:30:40 J3ZiLYyw
「若干12歳にして、連続強姦殺人で逮捕…標的は高学歴エリートから美人女格闘家まで様々、犯行内容は凄惨かつ残忍…少年法でも庇いきれずに一発死刑判決、か…」

男が二人いた。のっぺりとした顔に中肉中背を白衣で包んだ、いかにも平凡な研究者。そしてもう一人はへらへらと薄ら笑いを浮かべた少年だった。

淡々と述べられる少年の罪状。典型的なレイプ犯だ。少年は加虐性欲者(サディスト)であった。それも通常のサディストではなく、特定の女以外興味が無かった。

高慢な女。女王のような性格をした女。そんな女を徹底的に蹂躙するのが好きだった。卑劣な策と手軽に手に入る凶器を持って襲撃し、縛り上げ、女王の人生を蹂躙してレイプするのがとてつもなく好きだった。

誤解なきよう説明するなら、少年は別に策を弄するのが好きではない。出来ることなら、真正面から力ずくで女を陵辱したかった。ただ、少年はあまりにも非力であり、策と武器に頼らざる負えなかったのだ。

「いたって平凡な家庭に生まれ、両親や教師の目を欺いて犯行を続けること3年間…なるほど、人間の屑であることが良く分かるな…」

お手上げのように白衣の男がレポートを投げ捨てる。
まるで少年の更生など不可能であると。事実その通りであった。だからこそ少年は死刑判決を受けたのだ。だが、少年はまだ生きている。法律的には既に死亡しているが、秘密裏にまだ生かされている。

「それで、何で僕はこんなところにいるの?いい加減話を聞くのも飽きたんだけど。」

鈴の音を鳴らすような声が響く。若い、いや幼い声。声を発したのは少年であった。金髪碧眼、柔和な表情。あどけない顔立ちからは生まれながらのサディストとは到底思えないほど可愛らしいものであった。

あぁ…、と白衣の男が思い出したように少年に目を向ける。

「まぁ、あれだ…お前みたいな人間の屑にも、使い道があるということだ。」

白衣の男からの説明。それは少年にとって夢のような話であった。

「…それって、アニメとか漫画の世界に行って、生意気な女をレイプして、魔力を吸収して帰ってこれば良いの?」

まぁそういうことだ。と白衣の男が同意する。


790 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:32:26 J3ZiLYyw

既に次元移動が民間にも普及して早数十年。その研究の中で、一つの平行世界への次元移動が成功する。

『創作』の世界への平行移動。誰もが信じられぬ、いや信じることすらしなかった。どこの誰が、人の想像したアニメや漫画の世界へ移動できると思うのか?科学の発達し過ぎたこの世界の住人は誰もがリアリストであり冷めた思考をしていた。

故に、そのような些細な研究よりも、もっと現実的な問題に人類は直視していた。
エネルギー問題である。膨大に膨れ上がったエネルギー需要は、奇跡とも言われた核融合炉ですらまかないきれなかった。いや、可能ではあっただろうが、コスト・設備、なにより建造可能な土地が最早足りなかった。

議論は紛糾し、最早枯渇は時間の問題であった。その時、一つの研究レポートが提出される。

『平行世界住人固有エネルギーを用いた発電手法に関して』

内容はいたってシンプルで、平行世界の住人は総じて固有のエネルギーを有しており、そのエネルギーを回収する実験と、既存設備へマージする実験が成功したらしい。
平行世界のエネルギーは、この世界に持ち込んだ場合、素晴らしいエネルギー効率を誇り、既存設備改修費用も割安で済み、あらゆるニーズにマッチした、極上のエネルギー源であった。何より、平行世界最強クラスの持つエネルギー回収に成功すれば、地球消費の10年分はまかなえる程の効率を誇る試算が報告された。

まさしく、一筋の救いであった。
早速政府はプロジェクトチームを結成する。

-が、一瞬で頓挫した。

女性人権問題である。
政府が異世界の女性を陵辱し、精神的敗北を与え、エネルギーを搾りつくすことを、誰も許してくれなかった(一部除く)。

ある意味当然かもしれないが、常識で考えればその通りであった。

その後、この議論は不気味な程の速さで収束し、異なる発電手法を用いてエネルギー枯渇が解決したことになっている。


791 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:33:40 J3ZiLYyw
「わかりやすく言うと、代わりの技術なんてどこにもなくて、お前のみたいな人間の屑に対して、死ぬまで回収業者になるかここで死ぬか選ばさせてやるってことだ。」

男から突きつけられた条件は3つ。

魔力を吸収する機能・政府に提供する機能・異世界住人を蹂躙する機能を与える為、人体改造手術を受けること。手術で命を落とす確立は90%以上であるが、それに同意すること。
極秘任務として扱われ、本世界では規定区画以外での一切の行動を禁止する。
平行世界で入手したものは、全て政府へ提出する。これには知識・技術も含まれる。

少年は即座に同意する。不釣合いな男根が勃起し始める。興奮が止まらないのだ。

こんな条件などどうでも良かった。結婚も出来ない、友人もできない、ただ、異世界で高慢な女を陵辱して、プライドの根幹たる魔力を一滴残らず搾りつくす、それだけの人生。

最高だった。きっと自分はこの為だけに生まれてきたのだ。

一瞬でサイン付きの同意書が突きつける。白衣の男はあきれたようで、どこか柔和な表情で話しかける。

「まぁ、頑張れ。後、魔力を吸収する機能はどこにつける?口とペニスがオーソドックスだが、基本的にどこでもつけれる。気が向いたら触手とか出せるようにしてやるよ。後、エネルギー吸収のコツは、とにかく女を精神的に追い詰めろ。プライドズタズタにして絶頂させたら大抵OKだ。後、殺したらだめだぞ。とりあえず、ターゲットを決めろ。攻略済みの世界が良いぞ。月○とか、リリカルな○はとか、灼○のシャナとか…、未攻略世界はやめとけ。ぶっ殺されるのがオチだ。」

意外と白衣の男は世話焼きらしい。これから90%で死ぬと言うのに、全く死ぬ気がしなかった。


792 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:34:55 J3ZiLYyw

「…そうは見えないけど、流れの魔術師、かしら?」

腕組みをして少年をしげしげと眺め始める。少年からは魔力の欠片も感じられず、魔力隠蔽に長けているようにも見えない。ただ、蒼崎青子が『魔法使い』と知っていて、無謀にもその魔力を狙っているという事実は理解していた。

「まぁそんなところかな?それよりいいの?逃げなくて?僕お姉ちゃんが思ってるより100倍くらい強いよ?」

へらへらと嗤いながら少年が挑発する。視線は蒼崎青子の双乳と股間に注がれており、いかにも厭らしく、下卑た気配を感じた。

「あーあ…もう知らないわよ?死んじゃっても、ね?ブロウニング・スターマイン!!」

蒼崎青子から極光が迸る。わざと少年のとなりを狙えば、足元すれすれの草原が焼き払われる。着弾点は地面を抉り取られ、クレータと化している。

「…え?」

少年がクレータを見てほうけた声を上げる。先ほどの薄ら笑いはどこに行ったのか。僅かに震えが走り、足元が震えていく様は、まさしく滑稽であった。

「なに…これ?」

聞いていなかったわけではない。異世界の住人はファンタジーの住人なのだ。彼らに勝利することがエネルギー回収の最低条件であり、当然少年もそのことは理解していた。

しかし、体験したのは、初めてであった。

「なに?今更怖気づいたわけ?誰に喧嘩を売ったのか、きっちり教育してあげるわ!!」

蒼崎青子が威勢をあげて地面を蹴る。このような手合いは何人も見てきた。彼女の見目麗しさ、実力、それらは誘蛾灯のようにこのようなごみを引き寄せてきた。

脅えすくむ少年など雑魚に過ぎない、身体強化した脚力で蹴り上げれば、まるでサッカーボールのようにはじけ飛んでいく。


無謀な馬鹿。蒼崎青子が少年に対して下した評価であった。


793 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:36:11 J3ZiLYyw
もし、彼女が過ちを犯したとするなら、この瞬間に逃亡すべきであった。少年が異世界の住人であることを、そして『蒼崎青子』は幾度となく攻略された、チュートリアルキャラでしかないことを蒼崎青子は理解していなかったのだ。


「ねぇ?もう終わり?お姉ちゃん?僕に教育してくれるんじゃなかったの?」

焼き払われ、クレータばかりと化した地面の上。

少年は蒼崎青子の髪を掴んで顔を覗きこむ。既に勝敗は決していた。

無傷の少年と地面に這い蹲る魔法使い。

全身が煤まみれになり、乳房は露出し、自慢のジーパンはズタズタに引き裂かれ、むっちりとした太ももが月明かりに照らされまぶしく輝いている。

「な、ん…で、ま、ほう…通じない…」

うわ言のように蒼崎青子が口を動かす。身体強化の施された少年の打撃を何度も与えられ既に意識も朦朧となっているらしい。

戦闘はあまりにも一方的であった。

既に蒼崎青子の魔術パターンは完全に解析されており、無効化する手術を施された少年には何の影響も与えることも出来ず霧散する。

身体強化を施し、接近戦を試みるも少年に掴まれた瞬間強化魔術を解除され、力なき雌に戻されればもはや勝機はなく、狂ったように魔法を放出するも全て無効化され、暴行の限りを受けることとなり、世界最強クラスの魔法使いは10分足らずで地面を這い蹲ることとなった。

「えっ?なんていったの?聞こえないよ?…おねえちゃん!!」

髪の毛を掴んでいた手とは異なる手で蒼崎青子の華奢な腹部へ、握りこぶしを叩き込む。

「ぐ、っぁあ!!」

蒼崎青子の悲鳴が上がる。当初の威勢はどこにいったのか。今では無力な少女に成り下がり、最早抵抗する気力すら叩き折られていた。


794 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:37:28 J3ZiLYyw

「…そろそろ頃合、かな?」


少年の瞳が意識を切り替える。途端に視界にステータスウインドウが表示され、現在の蒼崎青子のステータスが表示される。

Name :蒼崎青子
Mental :屈服状態
MagicResist :5%(極低)
MagicPower :90%

もはや、蒼崎青子は異世界の餌に過ぎなかった。極めて高い水準であった魔力抵抗値は極低状態となり下がり、その状態を示すように股間や乳首を守る結界も既に罅割れ始め、蒼崎青子が精神的に敗北していることを示している。

ビキビキと少年の怒張が勃起する。少年の魔力吸収はオードドックスにペニスと口からの魔力吸収とした。

改造手術を施された少年のペニスと口は、女性の神経回路から魔術回路へハッキングし、魔力バイパスを作成、強引に魔力吸収回路を形成する。

それゆえ、感覚神経の集中しているクリトリス、ヴァギナ、乳首は極上の吸収ポイントとなる。

唯でさえ敏感極まる性感帯をハッキングされた挙句魔力回路を形成されることは魔術師として屈辱極まりなく、完全なる屈服を意味していていた。

当然、少年の人生経験において、これ以上無く興奮するシチュエーションであった。

少年がズボンを脱ぎ捨てる。黒人のペニス並に隆起した雄の象徴。

女魔術師の魔力をヴァギナから根こそぎ搾りつくす機能に特化した、魔術師の天敵ともいえるペニスであった。

何のためらいもなく、少年は蒼崎青子のジーンズを破り捨てる。

「いっ、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

蒼崎青子が僅かに意識を取り戻す。理解しがたい恐怖を感じたのだ。自分の根幹を成す。人生を賭けて鍛えぬいたものを陵辱される恐怖。恥も外見も無い、生まれて初めて、蒼崎青子が逃亡した。至近距離で魔力を爆発させ、己を吹き飛ばし、全力で身体強化を施した極力で逃走したのだ。
魔法使いのプライドも、年端も行かぬ少年に敗北した恥もかなぐりすてて逃亡した。


795 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:38:33 J3ZiLYyw

走る、走る、走る…


一体どれほど走ったというのか。


既に草原は終わりを告げ、森の中にいた。


振り返れば少年は居ない。逃げ切れたのだ!


はぁ、と安堵の溜息をつく。
己の惨状を見ればひどいものであった。ブラとパンツは剥ぎ取られ、申し訳程度にTシャツとジーンズの残骸残っているだけ。


女の弱点を何一つ隠せていない状態に、己が痴女のように感じられ苦笑い一つ。


とりあえず助かったと、溜息をつき、「ん〜頑張ったみたいだけど…残念でした!」


悲鳴を上げる時間も無く、腹を蹴り飛ばされた。


「ぁ…ああっ!?」

最早呂律も回らない、少年が近づいてくる。地面で大の字から身動き一つとれない。
あれは駄目だ。あのペニスを受け入れたら蒼崎青子は完全に敗北してしまう。

「い…やだ、嫌、やめて…おねがい…です…」

許しを請う。ありえないことであった。高慢極まる最強魔法使いが許しを請うなどありえない。

「おねがいしますから許してください!!」

自慢の魔法を全て無力化された魔法使い。
抜群のプロポーションを誇る女王が懇願する。

少年は無言で蒼崎青子の股を開く。
ジーンズもショーツも破り捨てられ、露になった秘部がへペニスを添える。

「おねがい!!おねがいですから!やめて下さい!!やめて、やめて!!おねが、い…い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

懇願等耳にも入れず少年は蒼崎青子のヴァギナへ己のペニスを挿入した。


796 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:39:43 J3ZiLYyw
「っぁあああああああぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!?!?!?!?!?」

蒼崎青子が叫び声のような悲鳴を上げる。
全身が痙攣し、瞳孔は小さくなり、完全に絶頂状態であることを示す。

少年の意識の中にステータスウインドウが表示され、蒼崎青子のヴァギナが征服される様子がリアルタイムで表示される。

 -秘部感覚神経アクセス完了
 -魔力障壁確認:蒼崎青子固有パターンと一致
 -固定ルーチンに従い解除シーケンスへ以降
 -魔力障壁解除完了
 -魔力回路アクセス完了
 -バイパス回路作成完了
 -蒼崎青子の秘部攻略が完了しました。 

瞬間-
「く、ひぃぃぃぃんっ!いやぁぁぁぁあ!?」

さながら、処女のような悲鳴が上がり、

精神による防御を失った蒼崎青子の魔力に、ペニスの先端がヒタッと張り付く。

 「あああああああっ!触るなああああっ!うあああああああっ!?」

生まれて初めて剥き出しの霊体を侵略され、魔術師として、”核”と言っても過言ではない部分に一方的に触れられる感触に、蒼崎青子は更に激しく身体を震わせた。

自分の最も大切なものが、魔術師とのプライドが、受け継がれて来た神秘がありとあらゆる蒼崎青子の大事なものが暴かれ、しゃぶられる。

ありとあらゆる屈辱を煮詰めた感覚、既に霊体にアクセスされ、解除することも出来ない。
自分の、魔術師の命そのものの魔術回路をさらけ出され、敏感極まる性感帯を守ることすら出来なくなった。

「うそ…よ…こんなの。嘘だ…嘘だ…嘘だ…嘘だ!嘘だ!嘘だ!うそ…あっ!ぁう!?い、や!やめて!?イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」


誇り高き魔法使いである蒼崎青子が、完全に敗北した瞬間であった。


797 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:41:02 J3ZiLYyw
「っ!?なっ、なにっ……お、奥が吸われてっ!?ひい、ひっいぃい!魔力…吸わ、れ?…力がぁ…ぬけて…」

全身を貫くような屈辱感と共に、途方も無い脱力感の前に、遂に抵抗する力さえ入らなくなる蒼崎青子。

魔力吸収回路の形成に手ごたえを感じ、一層ペニスの接触面を高めるように深いストロークを開始すれば更なる喘ぎ声と魔力を搾りとり、

「そろそろ、こっちからも貰おうかな?」

蒼崎青子自慢の爆乳がターゲットとなる。

その先端にある小生意気な突起にキスすれば、一体どれほどの快感を与えることができるのか?

好奇心の赴くままに、ペニスを挿入したまま、桃色の乳突起へしゃぶりつく。
当然、魔術回路へのアクセスは忘れない。

乳輪を舐め上げ、乳首を思いっきりじゅるじゅるとすいたてる。
魔力回路ハッキングなど瞬時に完了させ、蒼崎青子自慢の爆乳が敗北したことを叩きつける。

これで準備は整った。蒼崎青子の全てを攻略した。

「もう……もうゆるして…」

蒼崎青子の哀願が聞こえる。それすら心地よい。当初の高慢な態度をズタズタにした。

後は…

「じゃあ、お姉ちゃんの魔力、根こそぎ搾りつくすね?」

蒼崎青子の公開処刑が開始された。


798 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:42:06 J3ZiLYyw
Name :蒼崎青子
Mental :屈服
MagicResist :0%(完全敗北)
MagicPower :80%

蒼崎青子の乳首を思い切り吸いたて、ヴァギナへペニスを叩きつける。
吸い取られる魔力が感覚神経を刺激し、蒼崎青子の痙攣が激しくなる。

Name :蒼崎青子
Mental :屈服
MagicResist :0%(完全敗北)
MagicPower :60%

まだ抵抗する余地があるのか、必死で魔術を行使しようとするも、既に魔力のコントロールを少年に奪われており、魔力光は霧散、乳首へのキス一つで絶頂するほど鋭敏となる。

Name :蒼崎青子
Mental :屈服
MagicResist :0%(完全敗北)
MagicPower :30%

表面的な魔力を搾りとったのか、より高密度の魔力が溢れでる。
既に失神しているのか、口角泡をこぼし、全身の痙攣が大きく、ゆったりとしたものになる。

Name :蒼崎青子
Mental :屈服
MagicResist :0%(完全敗北)
MagicPower :5%

殆ど魔力を吸い取ったのか、殆ど感じられぬ状態となる。
身体強化によってペニスを膨張させ、蒼崎青子の子宮へ到達し残魔力を確認。

先ほどまでのうめき声から打って変わって悲鳴のような叫び声を上げるも吸収開始。
超高密度の魔力の回収に成功

Name :蒼崎青子
Mental :屈服
MagicResist :0%(完全敗北)
MagicPower :0%(完全敗北)

「対象は完全に沈黙っと、あれ、もう終わりか…」

完全に白眼を剥き、ピクリとも動かなくなった蒼崎青子を確認した瞬間、所持していたホルダーよりビープ音が聞こえてくる。帰還の合図だ。

「もうちょっと遊びたかったけど、それはまた今度だね、青子お姉ちゃん!」

周囲が白光に包まれる。

光が空けた先には、白衣の男がいた。

「…初任務、おつかれさん。どうでもいいけど、ちんこくらい隠せよ…」

はぁ…と呆れるように溜息をつく。

少年はにっこりと微笑む。

次はどの世界で愉しもうか?

少年にとって最高の職場。これ以上無く最高だ。自分の性欲を満たし、社会に貢献し、生活の糧にする。素晴らしい。誰も損をしない、誰も傷つかない、理想的なwin-winだ。

次の標的を思い浮かべながら、少年はお風呂に入ることにした。


799 : 名無しさん :2015/04/11(土) 15:44:48 J3ZiLYyw
おしまいです。

最強クラスの女がショタキャラに敗北+魔力吸収が書きたかった。
あと、魔力を吸収する理由が欲しかったから捏造した。
これで、どのキャラでも背景は使いまわし出来る。(きっと)

このような駄文を最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました。


800 : 名無しさん :2015/04/11(土) 18:05:55 ???
やだ何これ俺の趣味にストライクすぎる……
強キャラから吸収ネタとか大好物です
乙っした!


801 : 名無しさん :2015/04/11(土) 19:14:30 ???
吸収中の抵抗だの悲鳴だの、表現描写だけでも足すともっと良くなると思う


802 : 名無しさん :2015/04/11(土) 20:55:00 J3ZiLYyw
おお!感想ありがとうございます!

>800様
趣味にあってよかったです。やはり強キャラからの吸収は醍醐味ですよね!

>801様
了解です。次回から意識してみます。

読んでいただいて本当にありがとうございました!
もし次回ターゲットにして欲しいキャラとかあれば、参考にお聞かせ頂ければと思います。


803 : 名無しさん :2015/04/11(土) 21:20:55 ???
エナジードレインなら、作中で名前が出てる○眼のシャナが良いと思います
戦闘モード的なものを持ってる子が、ドレインされて非戦闘時の姿に戻っちゃうのが好物なので


804 : 名無しさん :2015/04/11(土) 23:32:12 N4DTxbto
似たような魔法系なら魔法科高校の○等生の司波深雪なんかもいいと思います。


805 : 名無しさん :2015/04/12(日) 01:55:49 ???
マジで良かったよ。俺もこの仕事に着きてえよ…
もし次があるならアルクェイドかシャナが良いな

おつかれさん


806 : 名無しさん :2015/04/12(日) 02:25:20 ???
シャナ&アスナss再投稿と聞いて!
逃したから凄く楽しみなんですが、もし良かったら前のやつ持ってる人どこかに上げて頂けないでしょうか?


807 : 斑鳩の人 :2015/04/12(日) 11:47:30 ???
皆様お久しぶりでございます。
就活や卒論に追われてなかなか浮上できませんでしたが、最近は少し余裕が出てきました…
久しぶりに来たら素晴らしいSSが沢山上がっていて幸せです。

便乗というわけではないですが、ちょくちょく書いていた司波深雪のSSがやっと完成したので今日の午後中に
上げようと思っております。


808 : 名無しさん :2015/04/12(日) 16:08:15 5pTm5T.Y
>803様

スレチで大変恐縮なのですが、エネルギー吸収され、炎髪灼眼→黒髪黒目になるってエロい!
と思って、画像を少し弄ってみました。こんな感じでSS描こうと思うので良かったらオカズの足しにして頂ければと思います。

■通常
http://imefix.info/20150412/521040/rare.png
■吸収され始める
http://imefix.info/20150412/521041/rare.png
■黒髪へ
http://imefix.info/20150412/521042/rare.png
■黒目へ
http://imefix.info/20150412/521043/rare.png


809 : 名無しさん :2015/04/12(日) 20:42:05 ???
ノエルの人です
シャナちゃんか鳴ちゃんで一本短いのを……

斑鳩の人さんの深雪SSが待ち遠しい


810 : 名無しさん :2015/04/12(日) 21:07:14 ???
シャナ+ノエルの人が見れると聞いて


811 : 名無しさん :2015/04/12(日) 23:27:17 ???
シャナも楽しみだけど
またノエルの人のキャリーが読みたいッスよ
格闘系のキャラにボコられながら犯し殺される感じで


812 : 名無しさん :2015/04/12(日) 23:30:43 ???
ええい!斑鳩の人はまだか!?
パンツは既に脱いであるぞ!!


813 : 斑鳩の人 :2015/04/12(日) 23:41:53 ???
お待たせしました、少々厄介な来客がありまして、その処理に追われてました…

今回の司波深雪のSSですが、変にオリキャラを入れてしまったので少しだけ違和感があるかもしれないです…

では、ごゆるりとお愉しみください


814 : 斑鳩の人 :2015/04/12(日) 23:42:57 ???
-深夜 都内某所-
「深雪はそっちを頼む。」
「分かりましたお兄様、お気をつけて。」
「あぁ、深雪も無理だけはするな。」
「はいお兄様。」

巨大なコンテナがうず高く積まれ、まるで迷宮のようになった通路を2人の男女が進んでいた。
お兄様と呼ばれた青年の名前は司波達也。魔法の名門四葉家の出である。もう一人の少女は司波深雪。同じく四葉家の出で、魔法のエキスパートである。その容姿は非常に美しく
日本人離れした可憐さを持っている。

彼女らは今、所属する第一高校へのテロを企てた犯人を追っている最中だった。犯人の数は1人、容姿や能力は不明。
このコンテナ迷宮に逃げ込んだという報告を聞き、司波兄妹が犯人討伐のために借り出されたのだった。

「お兄様の手を煩わせるまでもありません、私の手で…」
兄と別れた深雪は密かに誓う。最近は兄の世話になってばかりで自分の力を発揮できていなかったのだ。

「お兄様…今どこにいらっしゃるのでしょう?もうターゲットとは遭遇出来たかしら?」
重度のブラコンである深雪はこんな時でも兄を気にかけ、早くターゲットを倒して愛する兄と合流しようと思っている。

そんな深雪の視界が急に拓ける、そこは巨大なコンテナが重なり、巨壁に囲まれた四角形のコロシアムのようになっているところだった。
「な…何…ここ…」
困惑する深雪の声を探知したかのように、コロシアムにぼうっと明かりが点く。


815 : 斑鳩の人 :2015/04/12(日) 23:44:07 ???
明かりが点いたコロシアムの中心に一つの小さな人影を確認する深雪。その人影が深雪に声をかける。
「最初に来たのは妹さんの方かぁ…良かったぁ、厄介な方じゃなくて♪」
その声は幼い少女の声をしていた。目が慣れてきた深雪が声の正体を確認する。

深雪が改めて確認した犯人の姿は深雪よりもずっと幼く小さな少女だった。国籍はおそらく日本。

深「あなたが、学校へにテロを?」
少「そうだよ?なにか驚くことでもあるかなぁ?」

少女は猫なで声で深雪の質問に答える。深雪にはそのふざけたような態度が酷く不快だった。

深「どうしてテロなんか計画したんです?小さな女の子が計画することじゃないし…誰かに命令されたのですか!?」
少「答えはベリーベリーイージーだよ、第一高校を敵に回せばあんたと殺り合えると思ったから。計画は私単独だよ。あ、でもでもー協力者は1人いるかなー、彼はあんたのお兄様
  と殺り合ってるんじゃないかなぁ?彼もあたしには及ばないけど相当強いからあんたのお兄様はもう死んじゃってるかもねぇ…あ、後もう一つ、あたし小さな女の子じゃない
  し、もう成人してるんだけどぉ、名前は…そうだなぁ…火燐って呼んでよ。」

火燐と名乗った女は相変わらず不快な猫なで声で話すが、深雪の少女呼ばわりを訂正する時だけはドスの効いた声で威嚇するように話した。

深「お兄様が負けるはずありませんっ!!あなたを倒して私がお兄様を助けに行きますっ!!」
火「お、釣れた釣れた。やっと殺る気になったねぇ、そうでなくっちゃ。にしてもあたしを倒そうなんて随分自信家なのねぇ…やってみれば分かるけど…ね」

深雪は敵である火燐の能力や動きを観察することなく、ただ兄を侮辱されたという怒りだけで闇雲に火燐が立っている床に氷の柱を発生させ、火燐を串刺しにしようとする。

火「そんなんであたしを倒せると…思ってんのぉ?」

火燐は後ろ向きにバック中をするようにして次々現れる氷柱を避けていく。

深(見切られてる?それならこれは…)
深「ニブルヘイム!!」

深雪は火燐に氷柱が効かないと察すると、広範囲を凍結させる魔法ニブルヘイムを使い、空間ごと火燐を凍らせる戦法に出た。
大気が急速に冷やされたことによりモクモクと煙のようなものが上がる、その隙間から見えたのはニブルヘイムによって見事に氷漬けにされた火燐の姿だった。


816 : 斑鳩の人 :2015/04/12(日) 23:45:08 ???
深「早くお兄様に合流しなくては…」

氷漬けになった火燐の姿を確認すると、深雪は踵を返し、兄の元へ急ごうとする。

?「この程度であたしが凍ると思ってるわけぇ?甘いわぁ、すっごく甘い」
深「!?」

氷漬けの火燐が不快な猫なで声で話す、深雪はそれに動揺する。完全に凍らせたはずなのに…
ニブルヘイムの氷から湯気が上がり、火燐の周りを中心に蒸発の煙が立ち昇り始める。程無くして氷は完全に溶け、火燐の封印が解ける。

火「まぁ、この程度の氷…インフェルノクイーンのあたしには造作も無いわねぇ…」
深「そんな…ニブルヘイムの氷が…こんな簡単に…」

ニブルヘイムが破られたことに呆然とする深雪、火燐はさらに不快な猫なで声でしゃべる。

火「所詮こんなもんよねぇ…それじゃあ次はあたしから行くわよぉ♪」

火燐は己の脚に真っ青な炎を纏わせて、深雪に蹴りかかる。

火「ほらほらぁ、今度はあんたが火だるまになっちゃうよぉ?避けなよぉ♪」
深「うっ…盾を…」

深雪は凍土の盾を瞬時に作り出し、火燐の蹴りをガードするが灼熱の炎を前に凍土の盾すらも溶け、深雪を守る盾が消え去る。

火「あははっ、あたしの炎の前じゃあんたの氷なんか意味ないよぉ♪」
深「熱っ…」

間一髪で火燐の蹴りをかわすが、纏っていた炎で深雪の上着の一部が焼け焦げる。

火「次は…外さないよぉ〜♪シャーッ!!」

火燐は間髪を入れずに深雪に蹴りかかる、深雪は避けきれずに腹で炎を纏った蹴りを食らってしまう。


817 : 斑鳩の人 :2015/04/12(日) 23:46:09 ???
深「があっ…ぐ…」(熱い…こんなの何回も受けたら死んでしまうわ…)

火燐の蹴りは深雪の腹で爆発し、腹の部分の服を焼き払い、深雪の白く引き締まった腹を露わにした。

火「あははっ、どう?あたしの炎、あっついでしょ?」
深「ええ…とても熱いですわ…でも、もう当たりません!」

そう言って、火燐の目の前で空中に浮かび、火燐よりも遥か頭上まで飛び上がる。

深「これであなたの格闘術は届きません!行きます、ニブルヘイム!」
火「へぇ、あんた飛べるんだ…だから、そんなの効かないって!」

深雪は火燐の遥か頭上からニブルヘイムで火燐を再び凍結させようとするが、火燐は自分の体そのものに炎を纏わせて凍結を無力化する。

火「…飛べるのがあんただけなんて思わないで欲しいな…」

ニブルヘイムが破られ、唖然とする深雪をニヤリと見上げ、火燐は地面に向かってロケット噴射のように炎を放つ。火燐は飛び上がり、あっという間に深雪と同じ高さまで上
昇しそのまま停止する。

深「そんなっ…あなたも…」
火「ああ、違う違う。あたしはあんたみたいに魔法の才能があるわけじゃないし、ましてあんたみたいに重力制御で飛べるわけじゃない。でも才能がないならないなりにあ
  たしは努力したんだよ、あんたらがふんぞり返ってる間にね。この飛行能力だって厳密にはこの炎のおかげだし…」

火燐はこれまでの猫なで声ではなく、真面目なトーンで語り始める。

火「つーこって、あんたはここであたしに負けて、あたしの努力の証明になりゃいいんだよ」
深「早いっ…ああっ…」

火燐は炎を後方に噴射し、猛スピードで深雪に接近し深雪の鳩尾を殴る。

火「空中戦は苦手かい?動きが鈍いねぇ〜…そらっ!」
深「うっ…きゃぁぁぁぁぁぁぁ」

火燐は空中で宙返りすると、深雪に踵落としを入れる。深雪はそのまま地面に向かって自由落下し、硬いコンクリートの地面に叩きつけられる。


818 : 斑鳩の人 :2015/04/12(日) 23:47:15 ???
深「がぁっ…」
火「ふん、立場が逆転したね…今度はあんたが地面を這い蹲る番だよ」

火燐も地面に舞い降り、仁王立ちで深雪を見下ろす。

火「あとはゆっくりいたぶってやるよ」
深「はぁ…はぁ…うぐっ」

地面に叩きつけられ身動きの取れない深雪の脇腹に、火燐の炎を纏っていない蹴りが突き刺さる。

火「あ、そうだ…後で反撃されても困るからねぇ…どこかなっと…」
深「な、何を…」

火燐は何かを思い出したように深雪の横にしゃがみ込み、倒れる深雪の体をまさぐる。

火「お、あったあった…あんたのCADもらっとくね」
深「だ、ダメ!それだけは…CADだけはっ…」

火燐が深雪のポケットから取り出したのは小型の板のような道具、CADだった。
CADを奪い取られるということは魔法師にとっては致命的なことだった、CADがなくても魔法は使えるが不安定になるのと発動が致命的に遅くなってしまう。
深雪はなんとかしてCADを守ろうと腕を伸ばすが、努力むなしく深雪のCADは火燐の手に渡ってしまった。

火「安心しなよ、別に壊そうってわけじゃないんだ、こいつがあんたを倒した証になるからね」
深「私のCADが…これでは…うう…」

CADを奪われた絶望からか、むせび泣く深雪。その様子を見て火燐は高笑いをする。

火「さて、続きしよっか♪」
深「やめて…もう…嫌…きゃあぁぁぁぁぁぁぁ」

火燐は再び深雪の体を蹴りつける、まるで道端のゴミを蹴るように慈悲などなく、しかし楽しそうに。
蹴られるたびに深雪はくぐもった声を上げる。

火「どうかな?もうイイ感じかなぁ?」
深「う…あ……」

火燐は深雪の前髪を引っ張り、顔を見る。深雪の顔からは生気が消え、意識は朦朧としている。

火「ふん、こんなもんかぁ…大したことなかったなぁ、ちょっとガッカリ…」

火燐は肩を落とし、深雪の顔を思い切り地面に叩きつけると立ち上がり、深雪の頭にゴツゴツした厚底靴を履いた足を乗せる。

火「四葉家次期当主司波深雪、討ち取ったり〜☆」

1人で勝ち星を名乗り、足でグリグリと深雪の頭を踏みつける。

火「ふぅ…じゃあね、司波深雪ちゃん?また縁があったら会いましょう?」

満足したように深雪の頭から足を退け、スキップをするように夜の闇に消えていった。


819 : 斑鳩の人 :2015/04/12(日) 23:50:30 ???
以上でございます。駄文で申し訳ないです。

次はセシリア・オルコットですね、できるだけ皆様をお待たせすることないように早めに書きた
いと思っています。

では、おやすみなさいませー


820 : 名無しさん :2015/04/13(月) 06:29:08 ???
「」の前にキャラ名入れるのは、個人的には無駄な稚拙感を出すだけだと思うんだが、他の人はどうなの?
書く方も描写の引き出し増やさなくていい便利なやり方だとは思うけど、それだと上手くならないと思うんだけども
相対的に問題ないってんなら、個人的な感覚だから引っ込むんだけど


821 : 名無しさん :2015/04/13(月) 06:52:05 ???
買ってきた小説がこの書き方だったら怒り有頂天だけど
いいじゃないSSだもの
みつを


822 : 名無しさん :2015/04/13(月) 14:53:55 ???
描写部分にも「」つけて頭GMって入れると違和感消えそう


823 : 名無しさん :2015/04/13(月) 23:38:07 ???
ノエルの人だよ

斑鳩の人さん、お疲れ様です
リアルも大変だと思いますが、頑張れ

近々、見崎鳴ちゃん×D会主催者のSSが投下されるかも?
(現時点で進捗65パーセントぐらい)
シャナは>>808さん(青子の人?)にお任せしましょう

ていうかキャリーはリョナラーに愛されてるなぁ


824 : 名無しさん :2015/04/13(月) 23:40:27 ???
青子の人の書き方は正直微妙だからノエルの人のシャナが見たい俺はどうしたら良いんだろうか…
(青子の人を貶すわけじゃないけど正直上手いとは思えないので…)


825 : 名無しさん :2015/04/13(月) 23:56:53 ???
とっくにライン踏み越えているのでそろそろやめようね、”仲良く”だよ
自分の読みたいものだけ読みたい人はリクエスト板へ行こう


826 : 名無しさん :2015/04/14(火) 00:03:45 J3ZiLYyw
>>825
いや良く分からんけど微妙なものを微妙って言っちゃ駄目なの?


827 : 斑鳩の人 :2015/04/14(火) 00:35:54 ???
こんばんは、皆様感想ありがとうございます!
指摘があった通り「」の前にキャラ名入ってると大分違和感ありますね…
さすがにそこだけ修正して内容同じものここに上げるのは迷惑だと思うので、修正版をどこかに
上げたいと思うのですが、pixivとか…(とは言ってもpixivのアカウント持ってないのでなんとも言えないんですが)

ノエルの人の見崎鳴ちゃんSS楽しみにしてます!頑張ってください!

最後に、セシリア・オルコットのSSですが大まかなプロットは完成してるのですが、肝心の責め役で詰まっております…
そこで、皆様に抽象的でいいので責め役のアイデアを頂きたく思います…気が向いたら書き込んでやってください。
よろしくお願いします!


828 : 名無しさん :2015/04/14(火) 00:50:16 ???
>>826
微妙と書き込んだ人の気が少し収まるだけでスレのメリットが何一つ無いんだ
共感する人はいるかもしれないけど、マイナスの空気を共有しても未来ないしね
注文が増えると、新規の書き手さんが入りづらくなるし、既存の書き手さんもストレス感じて離れやすくなる
書き込みなんて個人の勝手だから干渉するのもよくないとは思うんだけど、それで過去何度も色んな場所が潰れてきたから一応ね

>>827
こんばんは!
修正版とかは特にやらずに次から変えてみるって形でいいと思います。
セシリアの相手役は彼女のむっちりした肢体が映える年長の男を推してみます!


829 : 名無しさん :2015/04/14(火) 01:47:58 ???
>>826
ぶっちゃけ、態々書き込む必要がないじゃん?
仮の話だけど、君が微妙と思っても他の人は良いって思う可能性だってあるわけだ
>>801とか>>820みたいに当たり障りが無い様にオブラートに包んだアドバイスを送ってやればいい
その域に達してないようであればスルーすりゃいいんだよ
揉め事起こす真似したところで誰も良い気持ちにならんわけだし

>>827
修正して何処かに投下したいってのであれば、pixivアカウントなんて大した手間でもないんだしやっちゃえばいいんじゃないかな


830 : 名無しさん :2015/04/14(火) 07:17:54 ???
セシリア・オルコットか…楽しみだな。
高慢ちき?なお嬢様系を責めるのはとてもグッドだぜ!


831 : 名無しさん :2015/04/15(水) 01:17:06 ???
あともう少しで書きあがるけど
こだわりだしたら長くなってしまうんだよなあ
よりエロくするにはどうすればいいか、悩んでしまう


832 : 名無しさん :2015/04/15(水) 01:33:30 ???
そりゃ、エロの部分にこだわりを持てばエロくなるやろ

趣味とか諸々あるから万人に受けるエロかどうかは別の話だけども


833 : 斑鳩の人 :2015/04/15(水) 01:38:43 ???
こんばんは、皆様責め役のアイデアありがとうございます。もう少しだけ考えるので
色んなアイデアお願いします。ニッチな感じでも全然大丈夫です。

>>831
エロくですか…エロく書くのって案外難しいですよね…
もうやってるかもしれませんが、服ビリとか責められ役を罵倒するとかそういうのがあると個人的に
そそられますね。


834 : 斑鳩の人 :2015/04/15(水) 01:43:52 ???
連投すいません。

追伸なのですが、悩んだ挙句結局pixivアカウント作ることにしました。
近々作る予定なのですが、その場合はこっちの方でも紹介したほうがいいんでしょうか?


835 : 名無しさん :2015/04/15(水) 02:14:15 ???
そこは、好き好きでいいんじゃね?
探そうと思えばそれっぽいタグですぐ出てくるわけだし


836 : 名無しさん :2015/04/15(水) 22:51:53 ???
ノエルの人です

>>鳴ちゃんSS
まもなく投下します


837 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:05:38 ???
ガタッ


838 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:39:09 ???
〜the dying color〜





「――」

見崎鳴は、耳元から聞こえてくるオルゴールの音で目を覚ました。

「――……、ここ、は……」

不思議な部屋にいた。
そこは四方と天井と床の全面が、鏡になっている部屋であった。
鳴はその空間の中央で、両手を上に縛り上げられた状態で立っていた。
その空間における唯一の灯りは、鳴の目の前で揺れるカンテラのような物体だけだ。

「ようこそ……『鏡』のお部屋へ……」

甘いオルゴールの音楽が鳴っている中、一人の少女が囁く声がした。
カラン、という音を立ててゆっくりとカンテラが鳴の目の高さまで持ち上がる。
そのカンテラを持ち上げていたのは、鍵無繭羅であった。

「何をするつもりなの」

鳴の尖ったような物言いに、繭羅は顔を綻ばせる。
次第に、繭羅の表情から笑顔が消えると、妖しい目を鳴の顔に向ける。
繭羅は彼女の質問には答えず、ゆっくりと近づいてカンテラを鳴の側に近づける。
まぶしい光が近づいてきたために、鳴は眩しそうに右目を細めながら顔を背ける。

「貴女――」

カンテラの光で、鳴と繭羅の姿が鏡にぼんやりと映し出される。
二人の影が重なり合うほどまでに近づく繭羅。

「――死の色が見えるんですってね?」

ハッ、と短く息を呑む声。
それは紛れもなく鳴の喉から出た音である。
繭羅はカンテラを床にそっと置くと、首の下からぼうっと照らし出される鳴の頬にゆっくりと手を添える。
そして、狂気を内に隠した優しい手つきで、鳴の頬をゆっくりと撫でる。

「……くっ」

鳴は抵抗の意志を見せて、つながれた両手をガチャガチャ言わせながら暴れる。
鳴の手を繋ぐものは鎖であった。
そして両足も動かそうとしたが、なぜかうまく動かすことができない。まるで石になってしまったかのように。

「脚は動かせませんわ」

繭羅は、鳴の革靴の爪先をきゅっと踏みつける。
しかし、爪先に走るはずの痛みはない。
感覚が麻痺している――鳴はすぐに状態を察知した。


839 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:43:57 ???
「ずいぶんと物静かですわね、貴女。オルゴールの音が邪魔に感じるぐらい……」
「――榊原君はどこ」
「彼は無事ですわ。無駄な殺生は」
「何が目的なの」
「……全く、人が話している途中ですわ。ワタクシの目的は……貴女が言う……『死の色』……」

カチカチカチ、とカッターナイフがせりあがる音がする。
そして鳴の目の前に、銀鼠色の刃が近づく。
繭羅はその刃を鳴の右頬にそっと宛がい、ゆっくりと縦に引き裂いていく。

「あっ……う……っ!!」

生きているのか死んでいるのか分からないほどの病的に白い肌に、血がにじみはじめる。
鳴は顔を動かして抵抗しようとするが、顔を激しく動かせば大きな傷がついてしまう。
彼女の長く黒い前髪が、戸惑いを浮かべる右目の睫毛に触れる。


「ねえ……死の色って、どんな色なのかしら?」

右頬を滑るカッターナイフは、左目を隠す眼帯の紐へと忍び寄る。
そして刃が紐に引っかかると、繭羅はゆっくりと引っ張る。
そして


プチッ


眼帯の紐が切れて、鳴の左目が露わになる。
切れた眼帯はぶらりと顔から滑り落ちて、鳴の左耳に引っかかった状態でぶら下がっている。
鳴の左目は暗緑色に輝く義眼である。その目からは生をいささかも感じさせない。エメラルドが嵌めこまれたまま曇ってしまったかのような目。
しかし生きている右目の方は、繭羅のナイフの動きから少しも目を離さずに追いかけていた。

「この目で、貴女は見ているのでしょう? 死の色を……それは、どんな色なのかしら?」
「……くだらない質問ね」
「そういわずに、教えていただけないかしら? ワタクシは、死というものがどんなものか、知りたいのですわ」
 
カッターナイフを下ろす繭羅。そのまま懐にしまいこむと、今度は小さな薬瓶を胸から取り出す。

「死って、とても不思議なものですわね」

そう言いながら、繭羅は瓶のふたを開ける。

「美しいものを一瞬で亡きものへと還す、罪深き力……生の美をどれほど謳歌したとしても、死には抗うことはできない。ワタクシも……とても美しい顔をした、貴女も」

すると、繭羅は鳴の目の前で瓶の中の薬を口に入れた。口に含ませているのだ。
その様子を見ながら、鳴は気丈にも繭羅に反論する。

「何か勘違いをしているわ。死ぬことは、あなたが思うほど美しいものじゃない……」

鳴の脳裏に、クラスメイトたちの血なまぐさい死体の影像が掠めて、浮かび上がる。
鳴のセリフを聞き、繭羅は薬を飲みながら口角を吊り上げる。

「苦しくて、悲しくて、辛くて……ただそれだけのものでしかない。貴女に付き合っている暇はないわ。すぐに解放しなさい」

鳴は両足を動かそうとするが、やはり動かない。内腿を擦れあわせるばかりだ。
次の瞬間――。


840 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:46:50 ???

「っぅむぅ?!」

繭羅は鳴の唇にキスをした。
反射的に繭羅の口から離れようとする鳴だったが、すでに後頭部を強く押さえつけられている。
そして繭羅は、口移しで鳴の口内に薬をどんどん流し込む。
鳴はそれでも抵抗しようとするが、口の中はすぐに一杯になってしまう。鳴は口から幾筋も液体を滴らせながら飲み込んでしまう。

ごくっ、ごくっ……

細い首から浮き上がる喉が、嚥下するたびに小さく隆起した。

「ぷはぁ」

繭羅はだらりと舌を伸ばした状態で鳴から離れる。繭羅はポケットの中に入れていたハンカチで自分の口元を綺麗に拭く。
何かを飲まされた鳴は、すぐに反応を示しはじめた――。

「っっ――――」


ド、クン……!!


内臓からものすごく熱いものがこみ上げてくる感覚。
激しく脈打ち始める心臓に、鳴の首筋から一瞬で汗が吹き始める。

「ぁ、かっ……カッ……ハ」
「ふふ、苦しい? まるで喉を掴まれているみたいに、息ができないでしょう?」
「ハッ、ハッ……! ハーーッ、ハ、ハヒッ!」
「肺が縮んでいるのですわ。今の貴女は、さしずめ壊れた金管楽器かしら? いくら息を吹き込んでも、音が鳴らない楽器」
「ヒィ、ヒッ、ヒィンッッ……ヒハ、ハッ! ハーーーッ!!」

乾いた空気が鳴の喉を往復する音。まるで犬笛のように甲高い、声というよりは音のような鳴の呼吸。
鳴の整った顔が、苦痛でゆがみ始める。
左の口角から、鳴の唾液がどろりと垂れ落ちはじめ、右目は涙をにじませながら、瞳孔が危なげな動きを始めて眼球が裏返りかける。
しかし義眼の左目は、何事もなかったかのように、じっと目を開いたまま真っ直ぐ前を向いている。まるでその部分だけが麻痺しているかのように。

繭羅はその「左目」に、話しかける。

「さあ、どんな色が見えるのかしら?」

繭羅はカンテラを持ち上げると、繭羅の背中側に回って後ろからカンテラの光を当てた。
苦悶する鳴の表情が、目の前の鏡に映っている。
左目は、その鳴の姿を見ている。
左目は、死に瀕する自分の姿をありありと見つめ続けている。

「あァ……うぐァ……ッ!!」


激しく喘ぎながら、右目をぎゅうっ、と強く閉ざす鳴。
その目から血が滴り落ち始めている。
そして下腹部から、我慢のできないものが強くこみ上げてきているのか――


ポタ、ポタタッ


わずかに水が落ちる音がして、地面の下にある鏡に当たって弾け飛ぶ。
ぎりぎりのところで羞恥心が制したのか、わずかに漏らすだけで済んでいる。
両足を内腿にまげて、革靴のかかとを浮き上がらせたような状態。
母親から授かった義眼の左眼は、まるで自分のようではなくなっていくような、瀕死の姿をじっと見つめ続けている。


841 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:49:54 ???

「ガ、ハッ……カハッ、カ、ひゅぅうっ……っ、ぁ」

右目の焦点が浮つき始めて、顎をわずかに上げる鳴。
彼女の白い肌は、酸素欠乏のために青ざめ始める。
唇がわなわなと震える。

「さあ、どんな色?」
「っっ………ぅ、あ」

ぶるる、と全身を震わせたかと思うと、鳴はついにだらしない失禁を始めてしまった。
床の鏡に映っている下着の、大事な部分から、黒い染みがにわかに広がり始めて――音を立てて両足の間から流れ落ちた。

ビチャビチャビチャビチャビチャ……。

生命が零れ落ちていくような音を立てながら、鳴は黒いハイソックスを汚していった。
激しい苦しみに襲われながらも羞恥心は隠し切れないのか、鳴は顔を俯かせた。

長い前髪で表情が隠されるが、髪の隙間から、わずかに朱が差した鳴の顔が覗けた。

「ふ、はっ……ぁはっ……けほ、ごほっ…」
薬の効果が切れたのか、鳴の胸が呼吸に合わせて膨らむ。
鳴は自分の尿の臭いを嗅いだ。
両足から力が抜けて膝を曲げ、鎖で縛られた両腕が上から引っ張っているおかげで、何とか立っていられるような状態である。
鳴は朦朧とした意識を何とか繋ぎとめていた。
しかし、耳元で鳴り渡る甘いオルゴールの音で頭の中が満たされてしまい、何も考えることができない。

(はや、く……ここ、から、脱出しない、と……でも、どう、やって……?)

鳴はゆっくりと顔を持ち上げ――繭羅を見たそのとき。
繭羅の手に持っているものを目にして、鳴は表情に恐怖の色を浮かべる。

「もう少しいい声で鳴いてみようか?」

繭羅の手に握られていたのは、黒くて大きなスタンガンであった。
殺傷能力を秘めた、大きくて無骨な黒い物体。
今度こそ殺すつもりだ――鳴はそう確信する。

「ブレザーの上から……シャツの上から……下着の上から……それとも、直接宛がってみるのもいいかしら?」
「……分からないわ」
「何が?」
「私を殺す理由……理由なく殺す人間なんて、いないんだから」
「教えて差し上げましょうか?」

繭羅はブレザーの上から、思い切りスタンガンを押し付ける。
後は電源を入れれば、鳴の全身に鋭い電流が貫かれる――。


――「クールで物静かな貴女が、泣き叫んで死んでいく様を見たいのですわ」


842 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:51:28 ???
バチバチバチっ!!!




「ヤああァっ!!!」

鳴は思い切り顔を仰け反らせて、前髪が捲れあがる。
口から唾液を迸らせ、脱力していた両足がぴんと伸びる。
普段の鳴の声ではない、裏返った悲鳴があがる。

バチ! バチ! バチバチ!

「やアアァ! いっ、ヤぁ…!! きゃハァアああうっ!!」
「うふふ、可愛い声ですわぁ。もっと唄を教えて差し上げますわ。女の子の鳴き方をね……」
「んああっ! キャアアアア!!? ぃ、ぃやっ……あぁあぁああぁあ!?」

地声になったり、裏返ったり、またあるときは鏡の部屋から声が突き抜けていきそうなほどの悲鳴をあげる。
鳴の反り返る姿と、スタンガンを押し当てる繭羅の姿が、影となって床に伸びる。

「ふふふっ、そんな可愛い声、今まで誰にも聞かせたことないんじゃない?」
「ぁっ……は……余計な……お世話……」
「でも、この程度じゃまだまだね。今度は、あなた自身も聞いたことがないような声を、聞かせてあげますわ」

そう言うと、繭羅はオルゴールの音楽に合わせた鼻歌を口ずさみながら、鳴のブレザーのボタンに手をかける。
さらに内側のシャツもボタンを一つずつ外されていく。まるで何かの儀式でも行っているかのように、粛々と進められる。
何もできないまま服を脱がされていく自分を想うと、鳴はまるで自分が本当に人形になってしまったかのような気分になった。

「このまま直に押し当てたら、貴女はどんな声で鳴いてくださいますの?」
「ふっ、ふざけないで……! これ以上は……!」
「ワタクシはいつでも真剣ですわよ♪」

バチっ!!

「ぃぎッ――!」

バリバリバリバリ!!

「ぎっ、ぐうぅううぅうぅうウウウウ!!」

ほとんど筋肉のついていない、肋骨が浮き出た華奢な身体が、ビクビクと激しくのたうつ。
普段からは想像もできない、嘔吐しているような声が口から吐き出された。
ガチャガチャガチャと鎖が軋む音がして、鳴の唇が半開きに開いた。

「ひはっ、はぁっ、はぁあっ……、ぅ」

ひく、ひく、と右目の瞼が痙攣しはじめる鳴。

繭羅は指を鳴らすと、鳴を拘束していた鎖が消えた。
そのまま鳴は地面へと倒れ伏した。肘をついて何とか上体を起こすものの、スカートを自分の尿で汚してしまった。

(……逃げ場は、どこ……?)

鏡の部屋は密室であった。あるのは、前後左右上下に張り巡らされた鏡だけ。
衰弱している鳴の姿がカンテラの光で浮かび上がっている。
鏡の向こうに映っている絶望の表情。
それは紛れもなく、鳴自身が顔に浮かべている表情であった。
そして鳴は、その映し出された自分の顔に――。

(――っ、そんなっ……!!)

顔に何か翳りのようなものが浮かんでいる。
何色であるとも言いがたい色。地面に伸びている筈の影が自分の身体のなかに吸い込まれているかのような色。
鳴がそれを見たのも束の間、繭羅はブレザーの襟元を掴んで鳴を無理やり立ち上がらせる。

「うぅっ!?」
「今、見たでしょう?」

繭羅は鳴の表情から鋭く察していた。

「ほら、何色だったのか教えて頂戴な? ねぇ」
「――くっ!」

鳴は残された力を振り絞って暴れると、繭羅の手から離れて距離をとった。

「あら、お見事」

逃げ出す瞬間、鳴は繭羅のポケットからカッターナイフを掠め取っていた。


843 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:52:52 ???
相変わらず、足には力が入らない。腰から下の感覚が希薄で、幽霊になったかのように足元がおぼつかない。
しかし鳴は、片手を鏡の壁につきながらしっかりと両足で立ち、もう片方の手でカッターナイフを構えて繭羅に対峙した。

「それでワタクシをどうするつもり?」
「あなたが本気なら……私も本気」

鳴は息を荒げながらも、気丈な声でそう言い、ナイフをせり上げる。

「ふぅん、そのカッターで、ワタクシの首を、こう、してしまうのかしらぁ?」

繭羅はまるで挑発するような口調で、自分の首を手でバッサリと切る真似をして見せる。

「驚きましたわ。貴女って見た目によらず、ずいぶん気が強い性格でいらっしゃるのね?」
「……褒め言葉だと思って受け取っておくけど、あなたが陰湿すぎるだけだと思う」
「勇敢というべきか……愚かというべきか……クスクスクス……」

繭羅は相変わらず余裕の態度を崩さない。

「貴女、自分の死の色を見てしまったんでしょう? だったら、もう貴女の運命は決まったのよ」

そして繭羅は、さらなる絶望へと叩き落すために、満面の笑みを浮かべる。

「どうせ死ぬのなら、楽に死にたくはないかしら? 抵抗されるようでしたら、力ずくで嬲らせていただくことになるのですけど」

鳴はおぼつかない足元をなんとか揃えて、繭羅のほうへ、一歩、二歩と踏み出す。
武器であるカッターナイフをしっかりと手に握り締める。
繭羅は、ふっと乾いた笑みを浮かると――甘いオルゴールの音楽がふっと止んだ。
同時に

足元に置かれていたカンテラを蹴飛ばして割った。

パリンッ!

音ともにカンテラの火が消えて真っ暗になる。

「えっ――!」

カンテラの灯りなき鏡の部屋は真っ暗闇となり、鳴の視界が奪われる。
戸惑いの声を上げたと同時に、その闇の中で激しく動くものが鳴の目の前に現れて襲い掛かる!

「こないでっ!」

前が見えない鳴は、近づいてくる何かに向けてナイフを突き刺そうとして――振り上げた二の腕を掴まれてしまう。
そして。

バキッ!!

「ぶふっ!」

鳴は顔面の顎を思い切り殴られ、一筋の唾液が闇の中に飛び散って消える。
見えない攻撃にひるむ鳴に、さらなる攻撃が仕掛けられる。

ドスゥッ!!

今にも折れてしまいそうなほど細身である鳴の腰に、強烈な拳がめり込んだ。

「うグゥッ……!? ぅ……っ!!」

カッターナイフを落とす鳴。
そのまま前のめりになり、膝から崩れ落ちる体勢となったその瞬間
更なる衝撃が鳴を貫いた――。

ドゴォッ!!

「ゲフぅヴゥッッ!!」

先と全く同じところを、さらに強く殴られる鳴。
あまりの衝撃に、鳴の両足が一瞬宙に浮いた。
闇の密室に、少女のものとは信じられぬ濁声が轟く。
内臓を的確に打たれた鳴は、逆流する胃液をこらえることができない。

「ゴフッ……がはッ、ぅ、ヴ、ぶぼろッ……!!!」

暗闇の中から、ビチャビチャと液体が床にぶちまけられる音がした。
鳴の両足が着地したと同時に、跪いて背中を丸めながら嘔吐する。
片手で口を押さえるが、指の隙間からダラダラと生暖かな液体が滴り落ちた。


844 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:53:59 ???
カチッ、という音ともに新たな光が現れる。
それは繭羅の手に握られている懐中電灯であった。
電灯の光は、亀のように丸まって小さな尻を突き出している鳴の姿を映し出した。
嘔吐物の饐えた臭いがたち込め、鼻と口の周りをぬらぬらと汚し顎まで滴らせている鳴の顔が床の鏡に映る。

「ゴホッ……ゲッホ、ゴホッゴホッ! ぅぶぐっ」

まだ吐き出しきれていないものが口から出され、床に映る自分の顔を汚していく鳴。
繭羅は倒れたままの鳴に近づくと、足を上げて、鳴の後頭部に足を乗せた。
そして上から思いきり踏みつけた。

ガン! と鳴の顔が床の鏡に押し当てられる。
鏡にヒビが入って、鏡に映る鳴の顔が亀裂に沿ってゆがむ。

「その汚いものを全部舐めなさい」

オルゴールの終わり。それは甘い時間の終わり。
本性を剥き出しにした繭羅は、声を低くして命令する。
尿と嘔吐物で悲惨な状態になっている床に、鳴はその美しい顔を思いきり押し当てられた。

「う……ぅ……っ」
「ほら、さっさと頭を持ち上げて、出来損ないの捨て犬みたいに舌で全部ペロペロ舐めなさいな」

しかし繭羅は足で鳴の頭をしっかりと固定している。
鳴は両肘で辛うじて上体を支えるが、頭は全く動かせない。
自分が出した冷たい胃液に、精巧に整えられた鳴の顔はドロドロにされてしまう。

「まぁ、身体が貧弱な貴女にできるわけがないですわね♪ そろそろ、貴女も終わりにしてあげる……」

繭羅は鳴を足で転がして、仰向けの状態にしてから、上体を踏みつけてグリグリと踏みしだく。

「う、ぅ、ぅっ、くっ、ぐぅッ」

踏みながら、繭羅はポケットに手を入れて、先ほどのスタンガンを取り出した。
鳴は、踏んづけられている自分の姿を天井の鏡で目にしつつ、スタンガンの電流が弾けるバチバチという音を耳にした。

「これで仕上げですわ。もう二度と戻ってこれない身体にしてあげる」
「……ひっ」
「怖い? 怖いのなら思う存分怖がるといいわ。ワタクシは素直な子を見るのが大好きですの」

そして繭羅は足を退けると、スタンガンを鳴のスカートの中へ押し当て――。
鳴は引きつったように息を吸い込んだ。


バチバチバチバチバリバリバリバリ!!!!



「んきゃぁああああああぁああアアああああああああああああ!!!!!!」


喉が潰れる様な大絶叫をあげて、鳴は両足を突っ張らせてブリッジのように海老反りになった。

「あ、ああああ、あ、あ、あ―――――――」

仰け反らせた腰が、ドスン、と落ちて、鳴は顔を横に向けた。
パクパクと口が勝手に開いてしまい、唾液が止まらない。
自分の身体が自分のものでなくなるみたいな感覚であった。

(さかき、ばら、クン……)

懐中電灯の光が、パチン、と音を立てて消えた。


845 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:56:12 ???




ゆっくりと目を開ける。

「……」

周囲は相変わらず深い闇で覆われている。。
光が全くないために距離感をうまく掴むことができない。
今自分がいる場所は、広く大きな堂の中にいるのかもしれないし、あるいは狭く小さい棺の中にいるのかもしれなかった。

ただ一つ確信できるのは――自分以外に誰もいない、ということだけだった。
親友である榊原浩一と手を繋いだときに感じた、人間の温もり……死を見すぎてしまった自分の心をなだめてくれたその温もりは、いまや遥か遠くへと消えてしまった。

また、自分は一人になってしまった。
先生やクラスメイトから無視され続けた自分にとっては、もう孤独など慣れ親しんでしまった。

「……ここは……?」

自分の腕をもう片方の腕できゅっと掴む。
なぜか、服を着ていない。

右目で、目の前の闇をじっと見つめる……。
闇を直視した次の瞬間、カッ、と強烈な光が闇の一箇所を照らし出した。
足が、誘蛾灯に誘われる羽虫のように、その光があるほうへと誘われた。
その光の下に、真実が横たわっているのだ、という確信が、頭の中に埋め込まれているような気がする。
そして、光にたどり着いたとき。



――光の下に照らされていたのは、棺に入った少女の無惨な姿だった。



そこに居たのは、夜見山北中学の制服を着た、見崎鳴、という少女の亡骸であった。
棺に入っているとはいっても、乱暴に押し込められただけで、四肢は棺からはみ出したまま、頭部を反り返らせてぐったりとしている。
両手を上にあげ、両足をがに股に広げた状態のまま、少女は微動だにしない。
制服は激しく汚されており、ボタンを毟り取られたのか、糸が解れてしまっている。

スカートは脱がされて片方の膝下まで提げられており、白いショーツは履いていたが、腹部からの出血で紅く染まっていた。
少女の腹部は抉り取られ、まるで肉食獣に噛み千切られたように、臍の部分がなくなっていた。
臍の緒のようにはみ出しているのは、小腸の切れ端であるらしい。

そして一番ひどく破壊されていたのは、頭部だった。
豪雨を浴びた後のように、額から血が大量に流れて、顔全体に血が付着している。
彼女の右目は、ほんのわずかに薄目を開けた状態で止まっていた。
そして左の義眼は、激しい衝撃で割れてしまい、壊れていた。


次の瞬間、ゴウッ、と地の底を打ったような音がすると
棺の周囲から炎が燃え上がり始め、あっという間に、少女の身体はその中へと飲み込まれた。
その炎には、色が無い。
何色であるともいえない、死の色――。
バチ、バチ! と弾ける音がし始める。
若い骨が熱で溶けて折れたときに鳴る音である。


その光景までをじっと見つめた後、はじめて、自分の裸の姿を見た。
すると――どうして気づかなかったのだろう――全身の関節が滑らかな球体でかみ合わされている。
生身の裸だと思っていたものは、じつは球体人形だった。

「――――い、や」

同時に、自分が呼吸していないことに気がついた。

「――待って!!」

そう叫ぶと、燃えさかる炎の中に飛び込み、人形は燃え上がる少女の身体を掴む。
自分の髪がチリチリと音を立てて燃えているが、全身は全く熱を感じない。

「いや! いや! そんなのいや! いやぁああ!!」

しかし、命を屠る劫火は、すでに美しい少女を灰に変えていた。
見崎鳴だったものは、人形の手のひらの中でさらりと形を失っていった。
身体を焼いた炎は、役目を終えたと同時に、ゆっくりと勢いを収束させていき……後に残ったのは、棺だけであった。


















――「これで、永遠に遊べますわね。お人形さん?」


そして甘いオルゴールが再び鳴り始める。


846 : 名無しさん :2015/04/15(水) 23:59:31 ???
終わり(´・ω・`)
推敲するのサボったけど、ごめんね
期待はずれじゃないことを祈りつつ

ノシ


847 : 名無しさん :2015/04/16(木) 00:00:34 ???
投稿age


848 : 名無しさん :2015/04/16(木) 00:01:46 7v1DAXv2
投稿age


849 : 名無しさん :2015/04/16(木) 01:26:38 ???
徐々に恐怖で満たされていくような描写がかわいい。
最高のショーでしたね!


850 : 名無しさん :2015/04/16(木) 21:28:05 ???
なんか繭羅さん久々だな
相変わらずの切れ味で頼もしい


851 : 名無しさん :2015/04/17(金) 00:05:56 ???
ノエルの人だよ

喜んでいただけて嬉しいです

次は何を書こうかな……
希望ありましたら、また教えてください


852 : 名無しさん :2015/04/17(金) 13:22:44 ???
繭羅の健在も分かったし
出来ればD会にケリを
それか>811のキャリーを


853 : 名無しさん :2015/04/17(金) 22:00:36 ???
D会で月姫の翡翠お願いしたいな
シオンは以前書かれてたけど


854 : 名無しさん :2015/04/17(金) 22:23:12 ???
UNIのユズリハとかお願いしたいです


855 : 名無しさん :2015/04/17(金) 23:09:17 AdVs6N4I
D会でストブラの姫柊雪菜を見たいです


856 : 名無しさん :2015/04/18(土) 00:23:53 ???
363の再うpは難しいのでしょうか…
逃してしまったのが本当に悔しい…まじ泣きそう…


857 : 名無しさん :2015/04/18(土) 13:47:20 ???
しつこい


858 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:12:06 ???
どうも、お久しぶりです。以前、らんま1/2(あかね×シャンプー)のリョナSSを投下したものです。
>>756-761の続きになっていますので、良ければそちらも読んでみてください。
なお、エロ要素も入っていますので苦手な方はご注意を。


859 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:13:29 ???
1.

「やあッ」

夕陽の射し込む庭先で、少女が掛け声とともに繰り出した蹴りが巻き藁で作った人形を襲う。
角材を芯に藁を巻きつけて作られた人形は蹴りの威力に耐え切れず、芯にしてあった角材が圧し折れ、地面に転がった。
鋭さと破壊力をもった蹴りであったが、人形を破壊した少女の顔は浮かない。

(駄目だ、こんなんじゃシャンプーには勝てない)

蹴りを放った少女――天道あかねは地面に転がる巻き藁人形を拾い上げ、顔に当たる部分に張られた一枚の写真を憎々しげに睨み付けた。
写真には一人の少女が写っていた。艶のある蒼い長髪と愛らしい顔に魅力的な肢体を兼ね備えた中国少女。あかねにとっては天敵ともいえる相手である。
1週間前、あかねはこの中国少女に屈辱的な敗北を喫したのである。それは思い出すことすら苦痛を伴う経験だった。
あかねはシャンプーの挑発にのって闘いを申し込み、惨敗した挙句、想い人のまえで失禁するまで股間を責められるという辱めを受けたのだ。

『勝てもしねぇ相手の挑発にのったおまえが悪い』

屈辱的な敗北に消沈するあかねに、想い人であり許婚でもある少年――早乙女乱馬が言い放った言葉である。
そして、あかねが最後に聞いた許婚の声だった。
あかねの父――天道早雲は娘が辱めを受けるなか、審判役を買って出ながら助けようとしなかった婿に対して激怒し、天道家に居候していた早乙女一家を追い出したのだ。
それ以来、あかねは許婚がどこでなにをしているのか知らない。少なくとも二人で通っていた高校は欠席している。

(きっと、誰か他の女のところにでも転がり込んでるに違いないわ)

だが、もう一人の許婚であかねと同じクラスの久遠寺右京の家でないことは確かだった。彼女はいっこうに学校に来ない乱馬のことを心配していたからだ。
なら、残る可能性はひとつである。

「……シャンプーのところね」

シャンプーという少女は常識が通じないところがある。それが中国の奥地で育った環境によるものか、素の性格なのかは不明だが、とにかく過激だ。
恋敵を排除するためなら殺人すら許容するし、意中の男性の心を掴む為なら、怪しげな薬やアーティファクトも使う。
もしかしたら、乱馬のことを家族ともども監禁している可能性すらある。
だが、中国少女の家に許婚がいるかどうかに確かめに行くのは躊躇われた。それは否応にでもシャンプーと対峙することになる。
もし、乱馬が囚われていたとして、中国少女を倒して許婚を助けることができるだろうか。

「……駄目、今の私じゃ勝てない」

気付けば、血が滲むほど強く唇を噛んでいた。
そんなとき、小柄な影がこちらに視線を向けているのに気付いた。


860 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:14:35 ???
2.

「……あかねちゃん、大丈夫かの。ずいぶん思い悩んでるようじゃが」
「八宝斎のお爺ちゃん?」

小柄な老人が心配そうな表情であかねの顔を覗き込んでいた。
八宝斎はあかねの父である天道早雲と、乱馬の父――早乙女玄馬の師匠である。
すでにかなりの老齢であるはずなのだが、乱馬をも凌ぐ強さを持ち、さながら仙人のような老人である。

「稽古を頑張っとるあかねちゃんにプレゼントじゃ」

小柄な老人はそう言うと、小さな掌にのせた黒い玉をあかねにさしだす。

「……なにこれ?」
「兎眼薬という丸薬じゃ」

訝しげな表情を浮かべるあかねを無視し、老人は薬の効能を説明し始める。

「これは武道家なら垂涎の品での。服用すればものの数秒で筋力、反応速度、痛みに対する耐性が大幅にアップするという中国の秘薬じゃ」

要するにドーピング薬じゃな、と説明を締める。

「……これを飲めば、シャンプーにも勝てる?」
「無論じゃ。いかに相手が女傑族の猛者といえども、これを飲んだあかねちゃんなら赤子の手を捻るより簡単に倒せるじゃろうて」

あかねの独り言のような呟きに、八宝斎は力強く応える。
しかし、迷いがあった。武道家としてそのような薬に頼って勝つことに意味があるのだろうかと。
だが、想像してしまう、あのいけすかない中国少女が無様に倒れ込む姿を。
自身よりも女としての魅力に溢れ武道家としても優れた少女を、自分を辱めた少女を、この手で同じような目にあわすことができたなら――。

「お爺さん、ありがとう」

あかねは八宝斎の手から薬を掴み上げ、駆け出した。門を蹴り開け、中国少女を探すため、街に向かって矢のように飛び出していく。
夕日は地平線の向こうへと沈み込もうとしている。この時間なら中国少女は曾祖母が経営する中華飯店の出前のために街中を飛び回っていることだろう。見つける事は容易だ。
あかねは自身でも気付かないうちに笑みを浮かべていた、自身がシャンプーを打ち負かすそのときを想像して。



不敵な笑みを浮かべ走り去る弟子の娘を見送り、八宝斎はあることに気付いた。

「あっ、……副作用のこと説明し忘れたの」

しかし、すぐに思い直す。よほど相手を侮った戦い方をしなければ勝負はすぐに決着するだろう。なら、副作用が出るのも勝負が決してからだ。


861 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:15:49 ???
3.
中国少女を探して数十分、あかねはついに標的を見つけた。
しかも、好都合なことに街の中心部から外れた人通りの少ない場所だ。

「シャンプーッ、勝負よ」

出前先の家から出て来たところを待ち受ける。

「……あかねか。見てのとおり、忙しいアル。お前みたいな女に構ってる暇ない」

しかし、シャンプーは取り付くシマもなく、あかねの横を素通りしようとする。

「女傑族の戦士って負けるのが怖くて勝負を断るの」

岡持ちを自転車に載せ、帰路につこうとする中国少女の背にそう呟いた。
明らかな挑発だった。だが、効果はてきめんでシャンプーはキッと振り向くとあかねを強く睨んだ。

「その挑発にのってやるネ。後悔しても遅い。この前よりももっともっと酷い目にあわせてやるネ」
「望むところよ」

互いの視線が絡み合い、張り詰めた空気が漂う。
しかし、さすがに他人の家の前で勝負を始めるわけにもいかず、場所を移すことになった。
場所は近くにある廃神社。廃されてどれぐらいの時がたったのか敷地内は荒れるままに放置されていた。
普通なら立ち寄りたいとは思わない場所だが、人がいないという意味では恰好の場所だ。

「ここなら人も来ないでしょ」
「なら、始めるね」

ザッと構えを取るシャンプー。出前の帰りともあって急いでいるせいか、前回のように遊ぶつもりも無いのだろう。
それに対し、あかねも腰を落とし、構えを取る。薬は神社前でこっそりと飲み込んだ。すぐにでも効いてくるだろう。
互いに間合いを計りつつ、徐々に距離を縮めいく。
先に仕掛けたのはシャンプーだった。

「シッ」

鋭い呼気とともに一気に間合いを潰し、あかねの水月めがけて拳を突き出す。中国武術において、崩拳とよばれる踏み込みからの中段突きである。
必殺の一撃を確信していたのだろう。中国少女の口元には笑みが浮かんでいた。

「がぁッ!?」

しかし、その笑みはすぐに苦痛に歪んだ。
必殺の崩拳は紙一重で避けられ、がら空きになった中国少女の腹部にカウンターの膝蹴りが突き刺さったのだ。

(す、すごい。シャンプーの動きに対応できてる)

カウンターの膝蹴りを受け、痛みと戸惑いに表情を歪めながら、バックステップで距離をとるシャンプーを追撃も忘れて眺める。
いままで防ぐのが精一杯だった中国少女の攻撃。しかし、先の踏み込みからの中段突きは、あかねにはみえていた。
そして、相手の動きに合わせ、型通りに反撃に移ることができたことへの純粋な驚きがあった。

(これなら勝てる)

薬の力を借りてのことであったが、これまでにない手応えに、あかねは歓喜に打ち震えた。
そして、心の底でなにかドロリとした感情が鎌首をもたげるのを感じた。


862 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:17:51 ???
4.

「今度がこっちからいくわよ」

心が欲するままにあかねはシャンプーに突進する。相手は構えたまま動かない。
おそらくはカウンター狙い。しかし、あかねはあえて真正面から上段突きを打ち出す。中国少女はあかねの攻撃を掻い潜り、肘撃を繰り出す。
前回の試合でこの肘撃であばらを痛めつけられたが、秘薬でドーピングされたあかねには、シャンプーの動きが驚くほどスローにみえていた。
姿勢を低くし上段突きを掻い潜った相手の髪を逆手で掴み、足を力任せに払い、中国少女の後頭部を神社の硬い石畳に叩きつける。

「――ッ」

必殺の一撃だったが、中国少女はとっさに腕を石畳と頭部の間に挟みこみ致命の一撃を避けていた。それでも衝撃は相当なものだったようで少女の視点が虚空を彷徨う。
勝利へのまたとないチャンスに、あかねは仰向けで倒れこんだ少女の腹に馬乗りになり、中国少女の愛らしい顔へ硬く握り締めた拳を振り下ろす。
しかし、頭部への衝撃で半ば放心状態だった意識が肉体の危機を察知したのか、シャンプーの瞳に力が戻り、あかねの拳は前腕で受けられてしまう。
あかねはマウントパンチをガードのうえから何度も打ち下ろす。秘薬で向上した筋力で打ち下ろされるマウントパンチは頭部を守る両腕を徐々に青黒く変色させていく。
それと同時に中国少女の瞳が恐怖で濁っていくのがわかった。

(そうよ、私はあんたのその顔が見たかったのよ)

嗜虐心が満たされていくのがわかった。だが、足りない。

(私が受けた屈辱はこんなものじゃなかったんだから、私と同じように)

そう思い至り、中国少女の腹に下ろしていた尻を上げ、マウントパンチを受け変色した腕を掴み、力任せに立たせる。
自身が以前に責められたように同じことをしてやる。あかねは自身でも驚くほど、この中国少女を痛めつけられることを喜んでいた。
しかし、それが隙となった。すでに反撃の意思もなくしていると思っていたシャンプーが油断していたあかねの鼻っ柱に掌底を叩き込んだのだ。

「痛ッ」

反射的にそう口走ったが痛みは無かった。秘薬によりアドレナリンが異常分泌され興奮状態にあったからだ。
しかし、予期せぬ反撃にとっさに掴んでいた腕を放してしまう。

「……あかね。おまえが急に強くなったの、その目と関係あるのと違うか?」
「え?」
「おまえの目、真っ赤あるぞ。まるで兎みたいね」

間合いを取り、あかねの目を見てそう指摘するシャンプーの表情は憔悴しているものの、なぜか笑みが浮かんでいた。
八宝斎が口にした薬の名を思い出す。

『兎眼薬』

服用すれば目が兎のように赤くなることからつけられた名だ。
だが、それがどうした。目が赤くなったくらいあとで目薬を指せばいい。

(時間稼ぎか、小賢しい)

ガードしていたとはいえ、マットではなく石畳のうえであれだけマウントパンチをくらえばそのダメージは相当なものだろう。
少しでも回復するために適当な話をしているに違いない。そう結論付け、小賢しい中国少女に向け一歩踏みだそうとしたとき、

「おまえ、兎眼薬飲んだのと違うか」

シャンプーはあかねが八宝斎からもらった薬を言い当てた。

「……」
「これで急に強くなったのに納得いったネ」

あかねの沈黙を肯定ととったのか、シャンプーの笑みは徐々に深くなっていく。


863 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:19:00 ???
5.

「なによッ! 薬を使って強くなっても意味ないって説教するつもり、卑怯だって罵るつもり?」

あかねは内に広がる負い目からそう叫んでいた。だが、シャンプーのゆっくりと頭を振った。

「どんなことをしても勝ちたいという心意気は賞賛に値するネ。でも、あかねじゃワタシには『もう』勝てないね」
「わけのわからないことをッ――」

余裕の笑みを浮かべる生意気な中国少女の顔をもう一度恐怖に歪めてやる。そして今度こそ恥辱に染めてやる。
そう決心し、一歩踏み出した瞬間、

「あ……レ?」

足から否、全身から力が抜け、神社の石畳に倒れこむ。

「スーパーマンタイムは時間切れアル。残念だったな」

状況を理解できず、もがくように四肢を動かそうとするあかねに、シャンプーが酷薄な笑みを向ける。

「兎眼薬はとても効果あると同時に負荷もすごい薬ね。未熟なあかねの身体じゃもって3分程度ある」

スーパーマンではなくウルトラマンあるな、中国少女は可笑しそうにケラケラと笑う。
つまり、シャンプーが話しかけてきていたのはやはり時間稼ぎだったのだ。
ただし、自身が回復するのを待つのではなく、兎眼薬の効果が切れるのを待っていた。

「さあ、よくもやってくれたあるなッ」
「がはッ」

体に力が入らず、うつ伏せに倒れこんだあかねの脇腹にシャンプーの蹴りが食い込む。
蹴りの勢いのままに仰向けに転がされ、

「たっぷりと苛めてやるね」

あかねがそうしたように、中国少女は倒れこんだままのあかねの腹のうえに圧し掛かり、マウントポジションを取る。

(殴られるッ!?)

ガードしようにも飛躍の反動で体は動かず、あかねは思わず目を瞑った。
しかし、予想された痛みは無い。代わりに、ビリィッという布の裂ける音が廃神社に響いた。

「相変わらず、貧相な胸ね」
「な、なにを!?」

シャンプーはあかねの道着を破ると、その小振りな乳房に掴み、捏ね回す。
胸を露わにされ馬鹿にされた羞恥心と怒りで、あかねの頬が赤く染まる。

「おまえみたいな女、どれだけ身体を痛めつけても反抗する。だから、趣向を変える」
「イッ、嫌っ……やめて」

あかねの懇願に、シャンプーは嗜虐的な笑みを浮かべ、乱暴に乳房を愛撫し始めた。


864 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:20:11 ???
6.

「どうあるか? 気持ちいいあるか」
「……」

同性のしかも恋敵ともいえる相手に乳房を乱暴に愛撫される屈辱感と羞恥心から、あかねは固く唇を結び、目を背ける。

「だんまりは気に入らないねッ」
「ひぃッ」

その態度が気に入らなかったのか、シャンプーは捏ね回していた乳房に思い切り爪を立てる。
突然の鋭い痛みに声を上げたあかねを満足そうに眺め、さらに爪を食い込ませる。裂けた皮膚から血がジワリと滲み出て肌を伝う。
あかねのあげた悲鳴に気を良くしたのか、中国少女の指は乳房から乳首へと肌をすべり、

「痛ッ!? や、ダメ」

思いきり捻り上げた。痛みに声をあげるあかねの反応を楽しみながら、緩急をつけ、両乳首をいたぶる。

「あ、あッ」
「あかね、声でてきたね。感じているのと違うか?」
「そ、そんなわけッ、ないでしょ」

快感などあるはずが無い、あるのは悔しさと怒り。
そう吐き捨てるあかねに、

「なら、こっちも調べてみるね」

言うや否や、中国少女はあかねの腹から退き、そのすぐ横に寝そべると、あかねのショーツのなかに指を滑り込ませた。
まだ薄い陰毛の上を這うように指を滑らせ、掌でクリトリスを捏ねるように刺激し、膣口付近を指で擦る。

「あ、あッ……ふぅ……うん」

硬く噤んだあかねの口から、淡い快感に濡れた吐息が漏れる。
その様子に中国少女は満足気に頷くと、あかねの耳元で囁く。

「同性に愛撫されて感じるなんて、とんだ変態あるな」
「感じてなん……てない」
「なら、これはなにあるか?」

中国少女が愛液で濡れそぼった指をあかねの前で捏ねると、クチュクチュと水音が響く。
あかねはあまりの恥ずかしさに、ただ黙り、目を逸らす。

「さて、お遊びはここまでね。ところで、おまえまだ処女あるか?」
「なにを? ――ッ」

あかねはシャンプーの問いの意味を察し、血の気が引くのを感じた。


865 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:21:35 ???
7.
中国少女の邪悪な意図を察し、必死で抵抗しようとするも身体はまともに動かず、いとも簡単に組み敷かれ、ショーツを脱がされてしまう。
胸から腹を伝い秘所へと張っていく中国少女の指を為す術なく見ることしかできず、ただただ恐怖と屈辱に身を震わす。
そして、シャンプーの指はゆっくりへと膣口へと入っていく。

「やめ、……やめて」
「気持ちよくなったら、声を出しても良いあるぞ」

あかねの懇願をやんわりと退け、シャンプーは2本の指を奥へ奥へと侵入させていく。
無礼な侵入者をとめるべく膣肉はグチュグチュと絡みつくも、指はゆっくりと膣奥へと入っていき、

「あ、あふぅ、ンッ」

身体の芯から這い上がってくる快感に、あかねの口から先ほどよりも大きな吐息が漏れ出す。
そして、ブツリと大切ななにかを失う音が中から響いた瞬間、

「いつぅッ、あ、あ、いや、嘘ッ」
「処女喪失おめでとうアル」

あかねの悲痛な叫びと暗い悦楽に濡れるシャンプーの囁きが重なった。
そして、そこから中国少女の指の動きは激しくなり、膣内を掻き回すように激しく出入りさせる。

「いつッ、いや、あっ……んッ」

あかねは、時節押し寄せる痛みと快感に歯を食いしばり、必死に耐える。

「気持ち良いのならもっと声を出していいのだぞ」
「こんなの……いいわ……ンンッ、ない」
「なら、もっと激しくしてやるね」

中国少女の言葉に必死に言い返すあかね。すると、指はあかねの膣内でなにかを探るようにゆっくりと動き出す。
そして、あるところに触れた瞬間、驚くほどの快感が押し寄せ、あかねの身体がビクリと震える。

「ここあるな」
「ンンッ――ッ」

シャンプーの邪悪な笑みとともに指の動きに緩急をつけて、Gスポットを攻め立てる。
さらに親指の腹で器用に皮を剥いたクリトリスを刺激し、あいた手で乳首を乱暴に捻る。
痛みと強すぎる快感が緩急をつけて押し寄せ、視界がチカチカと明滅する。

「あンッ、ふぅん、ンンッ」

このころになると、だらしなく開かれたあかねの口からは涎が垂れ、ハッキリとした嬌声が漏れていた。


866 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:22:50 ???
8.

「だ、ダメ、い、イッ」
「あかね、イキそうあるか? 嫌いな女に処女を奪われて、そのうえイカされるなんて。とんだ変態あるな」

シャンプーの熱を帯びた罵倒も、あかねにはもはや聞こえない。
押し寄せる快感に必死に耐え、口を噤もうとするも、指の動きに合わせて嬌声が意思に反して漏れる。
あかねの喘ぎ声を囃し立てるようにシャンプーの指の動きが激しくなっていく。

「あ、あ、駄目。だめ……なのに、イ、イクッンゥ」

ひときわ大きな恥辱と快楽に濡れた嬌声を上げ、あかねの身体は大きく痙攣し、弛緩する。
そして、微かなアンモニア臭が辺りに漂う。

「あかね、お漏らしあるか。本当に情けない女あるな」
「……」

中国少女の侮蔑のこもった言葉にも、あかねは反応することなく、ただ定まらない視点で虚空を見つめている。
シャンプーはあかねの膣口から指を引き抜くと、血と愛液と尿で濡れた指先をそっと、あかねの唇に紅を塗るように沿わせ、

「これだけすれば、もう反抗できないあるな。乱馬とワタシが結ばれるのを傍から見ているよろし」

そう言い残し、廃神社を去っていった。
その後、意識を取り戻したあかねは独り恥辱に身を震わせながら泣いた。


867 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:24:44 ???
以上で終了です。
難産だったわりにリョナもエロも中途半端で申し訳ないです。
皆さんの妄想の糧にでもなれば幸いです。
また、機会がありましたら投下したいと思います(次は別ネタで)
感想やアドバイスがあればお願いします。


868 : 名無しさん :2015/04/18(土) 17:50:33 ???
これは再起不能


869 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:42:36 ZxRpkYY2

シャナが居なくなった。

つい先日”紅世の徒”の討伐に出た可愛らしい同居人が帰ってこない。

新たな闘いに赴いたのか、遂に自分に愛想が付き出て行ってしまったのか、それとも、敗北してしまったのか。

嫌な想像ばかりが脳裏をよぎる。いかに頭を切り替えようとしても少女の面影は常に坂井悠二の脳裏から離れてくれない。忘れようと決心しても次の瞬間には少女のことを考えてしまう。

迷宮入りした式の解を延々と解き続ける感覚。焦燥だけが日々を蝕む。発狂しそうな日常。周囲の人間はだれも異常を感じない。シャナという少女は坂井悠二の妄想に過ぎなかったと無言の圧力が押し寄せてくる。

いつもどおり登校し、帰宅し、シャワーを浴びて風呂に入る。
何時帰ってきても良いように、メロンパンだって買ってある。だけど彼女は帰ってこない。

不意に、下卑た妄想がよぎる。

あの美しく、高圧的で、最強とも思われる彼女が敗北すればどうなるのか?

自分だったらどうする?もしも彼女に勝利したらどうする?可愛らしい乳房に舌を這わせ未発達な雌の象徴を蹂躙し、欲望の限りを尽くすのか?

布団に入り眠る前の思考が下衆に染まっていく。まるで誰かからの洗脳を受けているかのように下卑た妄想は執拗に坂井悠二のペニスを勃起させる。美しい同居人が敗北し、陵辱される妄想は、異常なほどの興奮と共に坂井悠二を高ぶらせる。

-まただ…

最近妄想が止められない。狂ったようにペニスを扱き、欲望を吐き出すことでしか平常心を保てない。

今宵も己を静めようと股間に手を這わせた瞬間

不意にPCが起動した。


870 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:44:00 ZxRpkYY2
「…えっ…?」

ありえない現象に先ほどの興奮も息を潜め呆然とディスプレイを眺める。

砂嵐のようなノイズが続く。一体どれほど長い時間が経過しただろうか。冷や汗が雫となり背中を這う感覚に身震いする。時計を眺めれば先ほどから1分も経過していない。一体何が起きているのかと布団から抜け出しディスプレイ前にたどり着いた瞬間砂嵐が止む。

ディスプレイに映像が映し出される。
音声は無い。無言の空気が耳をつんざく。

画面に映っているのは巨大な機械と固定された女の子。 良く知っている顔、会いたくて狂いそうになるほど渇望している少女。

その少女が機械に固定されている。四肢を拘束され、外套はまくりあげられ局部を露出している。毛も生えそろわぬ秘部に、慎ましげな乳房の頂点にある桃色の乳突起も露に、殺意のこもった表情でこちらを睨みつけている。

「シャ…ナ…?」

会いたかった。顔を見たかった。声を聞きたかった。悪い予感は的中してしまったのだ。最愛の恋人は邪悪なる徒に敗北したのだ!

これから彼女はどうなる?殺されるのか?恥辱の限りを尽くされるのか?坂井悠二ですら彼女の裸体をみるのは初めてだ。最愛の恋人が陵辱される。普通なら悲しみにくれるだろう。吐き気を催すかもしれない。それほどのシチュエーションだ。こんな展開は誰も望んでいなかった。こんな現実なら知らなければ良かった。

だというのに、坂井悠二は興奮していた。

雄の象徴は異常なまでに勃起し、苦しげにパジャマを押し上げる。喉がからからと渇き思考が目まぐるしく変化する。何かを求めるかのように画面へ手を伸ばす。不意に、画面にテロップが入る。

-存在の力吸収実験- 被験者:炎髪灼眼の討ち手


871 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:45:04 ZxRpkYY2
見れば少女の乳首と秘部にはチューブが伸び、それぞれの接着面には透明な吸盤がはりついている。ケーブルはタンクとピストンを組み合わせたような機械と繋がっており、考えるまでもなくそこから力を吸い取ることを理解した。少女は変わらず殺意のこもった瞳でこちらを睨みつけている。口が動く。何を話しているのかは分からないが罵倒の言葉であることは理解できる。

まるで、自分がシャナを陵辱しているような錯覚を覚える。あれほど美しく、最強たる彼女が敗北し、性感帯を暴かれた挙句魔力吸引ケーブルに吸い付かれる等どれほどの屈辱だろうか?

不意にピストンが動き始め、吸盤がキュッと窄まる。吸盤の動きに合わせて少女の乳突起が形を変える。

瞬間、赤い光が吸盤から吸い出され、ケーブルを内を伝って機械へ吸収されていく。

力の吸収が始まったのだ。先ほどまで罵声を浴びせていた少女が歯を食いしばる。汗ばんだ身体と荒くなる息に興奮が止まらない。

存在の力を吸い取られるというのはどのような感覚なのか坂井悠二には分からなかったが、少女の表情から凄まじく屈辱的なことであることは理解できた。

良く見れば少女の横にはアナログメータが設置されており、現在90%程度を針が指している。これはシャナの残りの力が90%であることを示しているのだろう。その考えを証明するかのように針はじっくりと下降していく。

ピストンが本格的に動き始める。吸盤の吸引力は相当なようで、シャナの可愛らしい乳突起が悲鳴を上げるように吸い上げられる。ターゲットになっているのは乳首だけでなはない。股間のクリトリスはもちろん、秘部にまでケーブルは深く入りこみ、ピストンの駆動にあわせて禍々しく脈動を始める。

シャナがうめくように表情を変える。片目を瞑り、息は荒く、時折歯を食いしばりながらも睫毛を震わせている。


872 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:46:11 ZxRpkYY2
ケーブル内の赤い光は激しさを増していき、ケーブルはまるで蛇かのようにシャナの肢体を貪り始める。シャナは拘束から抜け出そうと必死でもがくが金属製の固定部はシャナの努力をせせら笑うようにびくともせず、シャナの粗相をしかりつけるようにケーブルがさらに大きく脈動し、まるで炎のような赤いひかりがシャナの性感帯から吸い出される。

ケーブルの脈動に合わせシャナの肢体がビクンと跳ねる。四肢を仰け反らせ喘ぐかのように口を動かす様に坂井悠二のペニスがビクビクと痙攣する。

遂にアナログメータが50%を下回ろうとした瞬間、シャナの瞳が何かを捉えた。

先ほどのように喘ぎではない。まるで勝利を確信したかのような雄叫びを上げているのが分かる。アナログメータは100%を振り切り、シャナの真の力が開放されたことを示している。

炎が上がる。シャナの背から炎が噴出し、翼が形成されれば、手には炎で形成された大太刀が握られている。その推力は凄まじく、固定金具がミシミシと軋んでいく。

-勝った-

シャナの口がおそらくそう動いた。
動いた瞬間、触手の群れがシャナを襲った。


873 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:47:14 ZxRpkYY2
貫くように伸びる触手がシャナの腹部を強打する。腹部への一撃は相当なものでシャナが大きくのめりこむ。撮影している側から次々と触手が現われ、お仕置きするかのように、鞭の如く大きくしなり、シャナの肢体を叩きけ、シャナの身体にミミズ腫れ幾つもつけられる。

痛みは相当なものなのか、必死で痛みをこらえるように歯を食いしばっている。それでも拘束を抜け出そうとさらに炎を噴出す。

瞬間、炎の翼にケーブルが絡みついた。翼だけではない、炎の刃にもケーブルが絡みつき、ケーブルの先端がシャナの炎に吸い付き始める。

意図に気づいたのか、シャナが顔を上げて静止の悲鳴を上げる。今まで見たことのない表情だった。何時だって自信満々でまっすぐで、諦めることなんてしない彼女が始めて見せた敗北の表情だ。その顔を見た瞬間、坂井悠二は射精していた。

ケーブルに絡めとられた翼がもがくが、ケーブルはさらに深く食い込み、まるでキスするかのように吸盤が張り付いていく。それも一つや二つだけでない。幾重ものケーブルがシャナの力の象徴を蹂躙していく。

一人の少年が現われる。柔和な表情。あどけない顔立ち。へらへらと見下すような薄ら笑いが特徴的な、可愛らしい少年だ。普通でないことは一目見てわかる。シャナを打ち付けた触手は、少年から生えていたのだから。

シャナがさらに声を上げる。怒りの表情だ。少年は薄ら笑いをやめない。シャナをおちょくるかのようなことを言っているのだろうか。シャナが激昂する。

不意に、少年と眼が合った。どくんっ、と心臓が跳ね上がる。モニタ越しにこちらを少年が見据えてくる。

少年の唇が何事か動く。同時に少年が機械のダイアルを躊躇無くMAXにした。


874 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:48:38 ZxRpkYY2
100%を超えていたメータが急激に下降する。乳首から股間から、そしてシャナの力の象徴たる翼から、赤い力がみるみる吸い上げられていく。

50%を切る。
シャナの身体が大きくはね、気丈であった瞳からポロポロと涙が溢れ出す。
炎の翼は必死で逃れようと羽ばたくも、ケーブルを引きちぎることはかなわず、さらに深く吸引される。

40%を切る。
シャナの抵抗が弱まり、翼からの吸引はさらに強くなる。

30%を切る。
全身から赤い光を搾り取られ、シャナが大きく痙攣する。赤い光が搾られる度に炎の翼が弱弱しくなり、遂にもがれるように消失する。

20%を切る。
より高密度の力となったのか、ケーブルが脈動するたびに全身の性感帯から眩い光を搾り取られる。

10%を切る。
殆どの力を吸い取ったのか、力の勢いが弱まっていく。不意に、強烈な光を吸い取られる。シャナが大きく仰け反り、瞳孔が小さくなり、再び大きく悲鳴を上げ始める。シャナの髪が黒くなりはじめ、遂にシャナの力の源が吸収され始める。

5%を切る。
まるで子供のようにシャナが泣きじゃくる。乳首と秘部に吸い付いたケーブルは容赦なくシャナの力の源を吸い上げる。髪の毛は既に半分以上黒くなる。

1%を切る。
完全に黒髪になり、ケーブル内の光も弱弱しくなる。

0%に達すると同時に、シャナの瞳が黒に染まり、赤い光も途切れる。最後に大きく身体を痙攣させると、失禁をはじめ少女の股間から黄金水が迸る。白目を剥き、口角泡を吹き出すその表情は、炎髪灼眼の討手が完全に敗北したことを物語っている。

少女の屈辱的な姿を一通り映し出した後、PCの電源が落ちた。


875 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:49:52 ZxRpkYY2
ごめんなさい。874は間違いです。



ピストンが激しく上下する。先ほどの動きなどまるでお遊びであったかの激しさだ。力の吸引も先ほどとは比べ物にならないのか、シャナが大口を空けて悲鳴を上げている。普段の凛とした表情など吹き飛び、暴力にさらされる無力な少女そのままの表情だ。

100%を超えていたメータが急激に下降する。乳首から股間から、そしてシャナの力の象徴たる翼から、赤い力がみるみる吸い上げられていく。

50%を切る。
シャナの身体が大きくはね、気丈であった瞳からポロポロと涙が溢れ出す。
炎の翼は必死で逃れようと羽ばたくも、ケーブルを引きちぎることはかなわず、さらに深く吸引される。

40%を切る。
シャナの抵抗が弱まり、翼からの吸引はさらに強くなる。

30%を切る。
全身から赤い光を搾り取られ、シャナが大きく痙攣する。赤い光が搾られる度に炎の翼が弱弱しくなり、遂にもがれるように消失する。

20%を切る。
より高密度の力となったのか、ケーブルが脈動するたびに全身の性感帯から眩い光を搾り取られる。

10%を切る。
殆どの力を吸い取ったのか、力の勢いが弱まっていく。不意に、強烈な光を吸い取られる。シャナが大きく仰け反り、瞳孔が小さくなり、再び大きく悲鳴を上げ始める。シャナの髪が黒くなりはじめ、遂にシャナの力の源が吸収され始める。

5%を切る。
まるで子供のようにシャナが泣きじゃくる。乳首と秘部に吸い付いたケーブルは容赦なくシャナの力の源を吸い上げる。髪の毛は既に半分以上黒くなる。

1%を切る。
完全に黒髪になり、ケーブル内の光も弱弱しくなる。

0%に達すると同時に、シャナの瞳が黒に染まり、赤い光も途切れる。最後に大きく身体を痙攣させると、失禁をはじめ少女の股間から黄金水が迸る。白目を剥き、口角泡を吹き出すその表情は、炎髪灼眼の討手が完全に敗北したことを物語っている。

少女の屈辱的な姿を一通り映し出した後、PCの電源が落ちた。


876 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:50:55 ZxRpkYY2
どれだけ長い時間呆けていただろうか、既に時計は2時を指している。

ノロノロと身体をおき上げる。シャナの身に何が起きたのかは理解した。おそらく彼女はもう戻ってこないことも理解した。

助けにいくのか?自分が?なにもできないのに?そもそもどこに捕らえられているかも分からないのに?

自問自答が続く。迷宮入りした思考は坂井悠二から余裕を奪い去り焦燥のみを与える。

まるで坂井悠二の思考を断ち切ったのは、ピンポーン、というあまりにも平凡なチャイム音であった。

-インターホン?今は夜中だぞ?

幸いなことに今日は家に誰も居ない。家族に迷惑がかからないことは良いのだが、あまりにも常識しらずな事態である。完全に思考が停止しそうになるも、まるで子供の悪戯のようにチャイム音が連打されわずらわしいことこの上ない。

先ほどの異常な出来事も重なり、若干の恐怖を感じるが、インターホンを鳴らされっぱなしでは寝れるものではなく、全身を強張らせながら玄関を開く、そこには誰も居なかった。玄関先にあったのは、プレゼントボックスと、小さな小包であった。

プレゼントボックスは非常に大きかった。それこそ、小柄な少女一人入りそうな程の大きさであった。

まず、小包から開ける。薄々、大きなプレゼントボックスの中身は感づいていた。

小包の中には、透明な液体で満たされた小瓶と手紙が入っていた。


877 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:52:10 ZxRpkYY2
手紙に眼を通す。メモ帳には簡潔に下記のことが示されていた。

・プレゼントボックスにはシャナが入っている。
・シャナは特殊な自在法で拘束されており、身動きとれず、自在法も使えない。
・液体を飲むことで存在の力を吸収する能力を得られる。

手の内にある小瓶を眺める。動悸が激しくなり、呼吸が荒くなる。シャナが拘束されている。身動きとれず、反撃も抵抗も何一つできない。そしてこの液体を飲めば、シャナの力を吸い取れる。先ほど、映像の中で起きていた出来事を再現できる。

いや、違う。『自分』がシャナを陵辱できる。

シャナの乳首に貪りつき、ヴァギナにペニスをぶち込んで、炎髪灼眼の討手を蹂躙する。坂井悠二のペニスが再び勃起を始める。何を考えている!?理性が怒りの咆哮を上げる。当然だ。家族の一員で、大切な、何度も死闘を潜り抜けた戦友で、恋人だ。本当に一体何を考えて-

脳内にシャナの屈辱的な姿がフラッシュバックする。これこそが自分の求めていたものではないのか?初めて出会ったときからあの生意気な少女をこうしてやりたかったのではないのか?

ドクンドクンと心臓が暴れだす。
激しさを増す鼓動の中、
坂井悠二は手の中の小瓶を―


夜が明け、学校へ行く。胸のつっかえが取れたかのような清清しい朝だった。

これからどうするか?気の向くままに生きていけばよいかと一人ごちる。弔詞の詠手、万条の仕手 、見目麗しいフレイムヘイズはたくさんいる。まずは何から味わうか、そんなことを考えながら坂井悠二の新たな日常が幕を開けた。


878 : 名無しさん :2015/04/19(日) 04:54:45 ZxRpkYY2
リクエストにあったシャナを書いてみました。
とりあえず最後は悪堕ちですね。悠二君が。

最後、悠二がシャナに何をしたのかは、ご想像にお任せしますが、一応行為は書いておこうと思うので、また今度投下します。

また、他に魔力を搾りつくして欲しいキャラが居ればリクエスト頂ければ頑張ってみます。

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。

引き続き宜しくお願いします。


879 : 名無しさん :2015/04/19(日) 10:01:26 ???
上手く言えないんだけどこういうの好き
ntrとも違うよな


880 : 名無しさん :2015/04/19(日) 10:51:02 ???
髪色が元に戻るのいいよね……いい……
翼から吸収したり、全力で抵抗するも無駄に終わったりといった辺りもツボでした
先のコラと合わせて末永く使わせて頂きます


881 : 名無しさん :2015/04/19(日) 15:25:13 ???
ハードなものより
陵辱とかエリョナみたいなソフトなやつのほうが好きな人多いのかな


882 : 名無しさん :2015/04/19(日) 16:09:49 ???
>>881
ハードの基準が人によって結構差が出るから一概にどうって言えない
ハードが過ぎれば只のグロになるし
ソフトにしすぎればそれはそれで只のお遊戯リョナになって何の面白みもなくなるし
個人的にはエリョナ好きだけど、人によっては欠片でもエロが入ると怒り出す人もいる

人の嗜好だし、毎度毎度同じ人がいるわけでもないからその時その時で相対的な好みも変わるしね
あんまり気にしすぎない方がいいよ


883 : 名無しさん :2015/04/19(日) 18:07:21 ???
正直お気に入りのキャラならイチャラブでも肉塊でも行ける


884 : 名無しさん :2015/04/19(日) 19:06:20 ???
リョナの定義なんてすごく広くて、人それぞれだからね。
そこがいいのだが。
そんなのことより、悠二君、我々の世界にいらっしゃいませ!


885 : 名無しさん :2015/04/19(日) 22:42:46 ???
シチュリクスレ>>638をSS化してみました。



弱きを助け、強きを挫くことがモットーの、愛と正義の少女ガンマン。
その名もジェーン・ギルバート。
弱いものを助けるためには、時には法律を破ることも躊躇わない。
数多くの窃盗と傷害の罪に問われていた彼女には、高額な賞金がかけられていた。
正義のガンマンは、警察によって指名手配されていたのだ。

ジェーンは逃げ続けていたが、ある日ついに警察に捕まってしまった。
数え切れないほどの罪を犯した極悪犯罪者。
裁判もまともに行われることなく、ジェーンは衆人監視の下、夕刻に絞首刑に晒されることとなった。


「何か言い残すことはあるか」

執行人が口を開く。ジェーンの首にはすでに縄が巻かれていた。
太陽が沈みはじめ、長い影が伸び始めている。

「あるわ」

まもなく殺される運命なのに、少しも尻込みを見せないジェーン。

「バカな警察に伝えて。あたしは決して間違ったことはしてない、悪いのは、貧しい人たちを見捨てるあんたたちのほうよ、って」

衆人たちは泣きむせびながらジェーンを見ていた。
ジェーンの活躍で助けられた貧しい人たちの声。
しかし、街の中でも比較的裕福な層と、執行官、そして刑に立ち会う警察官は、笑みを浮かべていた。
警察官はジェーンの前に立ち、その健康的な肢体を舐め回すように凝視すると、口を開いた。

「生意気な小娘がーー両腕を後ろに縛って、生き恥を晒してやれ」

執行官がジェーンの手首を、背中に回して縛る。
そしてジェーンの胸を覆っている布の結び目を解いた。
するり、と布が剥がされ、豊満なバストが白日の下に晒された。

ジェーンの頬が羞恥の朱に染まる。
しかし、こうされる覚悟はできていたのか、ジェーンは取り乱したりしなかった。
苦虫を噛み潰したような顔を浮かべて、目の前の警察官を睨みつける。
張りのある胸につんとした小さな乳房。
衆人たちからは、貧しい人たちの泣き声をかき消すほどの拍手喝采が上がる。
今、処刑台の上に立って胸を露わにしている少女は、紛れもなくあのジェーンである。
正義のガンマン、ジェーン・ギルバートの胸が、目の前にあるのだ。


「どうだ? 恥ずかしいだろう? 悔しいだろう? おまえが守ろうとした町の連中は、おまえの胸を見て興奮しているようだなぁ」

警察官の手には、ジェーンの愛銃が握られていた。
警察官はその銃口で、ジェーンの乳首を撫であげた。

「この……ゲス野郎っ……!」

ジェーンは、ペッと唾を警察官の顔に吐きかけると、視線で射抜いてしまえそうなほど強く睨みつけた。
しかし警察官は微笑んだまま、唾を高級そうなハンカチで拭うと、さらに銃口を柔らかな肌に滑らせる。
衆人たちの劣情を煽るように、ジェーンのへそ周りや、股間をなぞってみせる。
興奮した心無き町民のヤジが飛ぶ。

「早く殺してしまえー!」
「パンツも脱がしてやれー!」

激しいどよめきが起こり、さすがのジェーンも悲しみが宿る。
自分が守ろうとしてきた人たちからの罵声に、ジェーンは裏切られたような思いがした。


「さあ、始めるぞ! この罪深き娘に、裁きの鉄槌を下せ!」


時間が来た。
ジェーンの目に涙が滲み出す。
公権力を振りかざす横暴な警察に負けた悔しさ。
そして町民たちからの心無い言葉に対する悲しさ。
そして、己の死に直面した、圧倒的な恐怖。

(あたしも、ここまでかぁ……。お父さん、お母さん……今まで本当にありがとう。こんな娘で、本当にごめーー)


ガタン!


886 : 名無しさん :2015/04/19(日) 22:44:04 ???
「ヵハッーー」

足場が消えて、ぶらん、と吊り下げられるジェーン。
運悪く頸椎が折れなかったジェーンは、非常な苦しみに耐えることになる。
縄の張力をあらかじめ調整して、即死にならないように仕向けていたことを、ジェーンが知るはずもない。

「ァ、ァがっっ……かっ、ハッ、ぁ」

声帯が潰されて居るためにまともな声も出せないジェーン。
ジェーンの健康的な顔の肌がみるみるうちに赤黒くなっていく。
全身が発汗して、ジェーンの汗が沈みゆく太陽の光に照らされる。
縛られた手首は、何度もジェーンの尻を叩き、ベチン、ベチンと音がする。

「ギッ……ぅぅぅっ、はへ、ヘァアっっ……!」

ジェーンは舌を突き出し、少しでも喉を弛めるために、本能的に顔を反り返らせる。
彼女のカウボーイハットが床に落ち、金髪のロングヘアーがふさりと背中に流れ落ちる。
ギリィ、ギリィと音を立てながらジェーンは全身をビクビクと反り返らせる。
彼女の胸が天に突き上げられるかのような、ひどく淫猥な動き。
肋骨が浮き上がり、腹筋が脈を打ちながら悶絶している――。

「ぇ、ゲエぇッッ、っっ、ッッッ」

痙攣が、激しいものから次第に小刻みなものへと変わる。
ジェーンは死に逝く苦しさに耐えられるはずもなく、両目から涙を流し、口から泡を吹き始めた。
正義のガンマンは、かつて誰にも見せたことのない白眼顔を晒し、潰れたカエルのような汚い声を上げた。
顔から垂れ流された体液はすべて顎を伝って首の縄に染み込んでいき、やがてジェーンの胸の谷間に流れ落ちていく。

「ーーーー、ーーー、ーー」

胸の鼓動が次第に鈍り、生命の灯が消えていくジェーン。
死神の息吹を受けたジェーンは、ショートパンツに黒い染みを作っていった。
内腿に幾つもの筋が流れ落ちる。

ジョロジョロジョロジョロ……
ビチャビチャビチャビチャ……

下に落ちたカウボーイハットが、ジェーンの尿を受けて汚れていく。
正義の象徴である自分の帽子を、ジェーンは自分で汚してしまうのだった。

「無様な死に様だったな、ジェーン・ギルバート。おい、シモの後始末をしてやれ」

執行官はジェーンの高度を下げると、腰のベルトをカチャカチャと外しはじめた。
へその下でピチッとフィットしていた白いベルトが、シュルシュルと抜かれると、パンツを下に摺り下ろされた。

太陽の影が濃くなっていく。

遮るものひとつないジェーンの下半身。
それを見た衆人たちは狂喜の声をあげた。
一部の男が暴れだし、侵入禁止の遮られた柵を乗り越えようとする者まで現れた。
街を守る正義のガンマンの女の象徴。
放尿した直後の陰部は、ぬらぬらと淫らに輝いていた。


警察官の胸にはドス黒い感情が沸き起こる。
今まで彼女が行ってきた悪行がフラッシュバックする。
この生意気な女には随分と手を焼かされた。
復讐しなければならない。
考えられる限りの、もっとも屈辱的な殺し方を――。

警察官は、ジェーンの銃のロックを下ろすと、ジェーンの恥部に、銃口をねじ込んだ。


――銃声が鳴り響き、屋根の上にいたカラスが羽ばたいて飛んだ。





「この街を脅かす、ならず者は死んだ!!」



縄から解放されたジェーンは、屈強な執行官に髪を掴まれて、膝立ちの状態にされていた。
弾丸は恥部から右肩へと貫通し、肩から流れ落ちる血で右胸は真っ赤に染まっていた。
カク、カクッ、と力なく開いた口からは彼女の血に濡れた歯が覗ける。
ジェーンは白目を剥いたまま、ビュッ、ビュッ、と音を立てて、経穴から血を流している。
ショートパンツによく似合っていた小ぶりの尻が、出血にあわせてぶるぶる震える。
これ以上はないほどの痴態をさらしたジェーン。
この大ニュースを伝えようと、新聞記者のストロボが瞬き始める。


貧しい人々たちが号泣しているなか、警察官は、濡れたジェーンの銃口を天に向けて、引金を引いた。
ジェーンは執行官の手を離れて、前のめりに倒れた。
うつぶせになったジェーンは、まだ下半身をぴくぴくさせながら、股下に彼女の血溜まりを広げていった。
ジェーンは床に引き摺られながら荷台に乗せられた。ジェーンの血のあとが地面に留まり、線を引いていく。


こうして、ジェーン・ギルバートは処刑された。
次の日、彼女の死は瞬く間に報じられた。
あまりに陰惨な死に様のため、撮影された写真はほとんど新聞に載る事はなかった。
生きていた頃の若さと元気に満ち溢れていた彼女の姿が掲載されたが、その死に様はある種の伝説として囁かれ続けたという……。


887 : 名無しさん :2015/04/20(月) 00:03:37 ???
くそー警察め許せん!(棒読み


888 : 名無しさん :2015/04/20(月) 08:56:52 ???
キャラを知らないのが、残念至極だけど、GJ
一つの作品からこういう風にまた作品が生まれるのはいいよね


889 : 名無しさん :2015/04/20(月) 16:48:38 ???
連続で3作も投下されてる。(歓喜)
嬉しいけど、最初に投下した人のSSにレスがつきにくいから申し訳ないな。
といわけで、らんまのSSの人GJ。
個人的には格闘リョナも陵辱リョナも大好物だから、これからも投下してほしい。
関節技で痛めつけてからの締め技で失神・失禁エンドとか(チラッ


890 : 名無しさん :2015/04/21(火) 17:57:27 ???
別スレにスタグラのジューンの絵が投下されていたので、違うシチュではあるけど勢いで書いてみた。

 第四帝国軍の前線基地に、一人の少女ーーーーーーーージューンが降り立った。
顔立ちはまだあどけなさを残しているが、その反面、桃色のチャイナドレスを改造した体操服に包まれた肢体はとても女性らしいものであった。
その可愛らしい顔は義務感と怒りで引き締められていた。

「おい貴様、この基地にいったい何の用だ」

見張りの男が声をかけるもジューンは答えず、腰に下げている二つの武器「プラズマサークル」に手を掛けた。

「その格好にプラズマサークル...スターグラディエイターのジューンだな?」

「ええ、そうよ...第四帝国は父の仇...覚悟しなさい!」

「フ、飛んで火にいる夏の虫とはこの事か...女子供がたったひとりでこの基地に来るとはな。周りを見るがいい!!」

言われてジューンは辺りを見回す。そしてジューンは、いつの間にやら周りに気配が増えていることに気付いた。
どうやら量産型のプラズマソードを装備したゴロツキのようだ。おおかた、使い捨ての兵として金で雇われたのだろう

「ひひひ...第四帝国を相手に闘う女がいると聞いて、どんなゴリラ女が出て来るかと思えばなかなかの上玉じゃねえか...顔はガキくせえがなかなかいい身体してやがる」

ゴロツキの一人が発した卑下た台詞に、ジューンはわずかに顔をしかめた。

「そいつを倒した後は好きにして構わん。殺すも犯すも好きにしろ。」

「グヒヒッ...」

そんな会話が交わされる中、もう聞きたくないと言わんばかりにジューンが動き出す。
囲まれたままでは危険、そう判断したジューンは先ほどのゴロツキに向かって突進した。
そうして振るわれたサークルを、ゴロツキは易々と受け止めた。

(こいつ...意外に強い!)

ジューンは動揺の隙を狙って左右から切りかかってきた2人の男を開脚ジャンプの要領で蹴り飛ばしつつ、先ほどサークルを受け止めた男から離れようとする。

瞬間、彼女の背中に激痛が走った。

「あぁあ...ッ!」

声を抑えようとするもわずかに声が漏れてしまう。どうやら背中からプラズマソードで斬りつけられたらしい。
出血はないものの、焼けるような痛みがあった。
倒れそうになるも持ち直したジューンは二撃目に備え武器を構えた。

しかし、次の攻撃は斬撃ではなく腹を狙ったパンチだった。

不意を突かれ、吹き飛ばされて地面に倒れこんだジューンは悶えながら咳き込む。

「ぐっ...がぁあ...ぁっ...げほっ」

まだまだこれからと言わんばかりに4人の男たちが迫る。
ジューンは、四方から迫りくる斬撃を前転しながら起き上がることでかわそうとしたが、躱しきれない
「ひゃあんっ!!」
一人の剣が肩を掠め、ジューンはまたも悲鳴を上げた。

「ゲヘヘ...なかなかいい声を上げるじゃねえかお嬢ちゃん」

「もっともっと鳴いて俺たちを楽しませてくれや」

男たちの声にジューンは険しい目つきで返した。


891 : 名無しさん :2015/04/21(火) 17:58:43 ???

卑下た笑顔を浮かべながら迫りくる男たちを見据えつつ、ジューンは対策を考える。
自分の力量では四人を相手取るのは不可能。四方を囲まれているために逃亡も難しい。ならば
(同士討ちを狙うしかない!!)
失敗すれば四方から斬られて死ぬ、という恐怖に襲われながらもジューンはじっと待つ。

(今だ!!)
男たちが剣を振るうと同時にジューンは地を蹴った。体操選手時代に鍛えた脚力によって彼女の体が高く浮き上がる。
「ぐあ」「ギャッ」「ぎゃあ」「あひっ」
男たちが四者四様の悲鳴を上げ、斬られた部分から煙を上げながら倒れた。

「やった...」
着地したジューンはそう呟いた。気が抜けたせいか、先ほど受けた傷が強く痛む。
「...っ」
悲鳴を押し殺し、ジューンは基地内へと足を進めようとした。厳しい戦いではあったが、まだ退くわけにはいかない。
これ以上自分のような人物を増やさないために、第四帝国を打倒せねばならないという使命感に燃えながら、ジューンは前に進む。

瞬間、ジューンの肩から鮮血が噴出した

「あああああああああっ!!!!」

予想外の衝撃に思わず絶叫する。何が起こったのか理解できぬまま、ジューンは地面に仰向けに倒れ再度悶えた
先ほど門番を務めていた男が銃撃を放ったのだ。

「使えん奴らめ...どうせ使い捨てとはいえ、この女を殺すぐらいは出来ると思ったのだがな」
銃を構えながら男が憎々しげに呟く。

「うぅ...っ」

苦痛にあえぐジューンのもとに男が歩いてくる。

「第四帝国に刃向う虫けらめ、ここで惨めに死ぬがいい。」

男は銃口をジューンの頭につきつけた。
ここで死ぬのか、という後悔と死にたくない、という恐怖がジューンの頭を支配していく。
迫りくる死に対し目を背けるように、ジューンは目を閉じた。

だが、頭を破裂させるはずの衝撃は何時まで経っても襲ってこなかった。

「...?」

目を開けると、先ほどの男の首が無くなっていた。
見れば、男の前に先ほどのゴロツキが立っていた。どうやら彼が男を殺したようだと、ジューンは少し経って理解した。
助けてくれたのかとも思った。だが


892 : 名無しさん :2015/04/21(火) 18:00:15 ???

「...どいつもこいつも俺をバカにしやがって」

その考えが間違いであると気付いたのは、立ち上がる途中だったジューンの腹に、ビームブレードが深々と突き刺さった後の事であった。

「...あ...?」

ゴロツキが鼻息を荒くしながら更に深く剣を突き刺し、刃がジューンの背中まで貫通した

「あ...あ...が...ぅあ...」

内側から体を焼かれるような感覚がジューンを襲う。あまりの激痛に叫びさえ出てこない。
ゴロツキは目を見開き口をぱくぱくさせながら喘ぎ続けるジューンの体から剣を引き抜いた。

「ふざけやがって...てめえみたいな奴の策で俺がやられると思ってんのか!?使い捨てだ何だ好き勝手言いやがって...殺してやる...殺してやる!!!!」

狂乱状態にある様子の男をよそに、仰向けに倒れたジューンは体を痙攣させながら喘ぎ続けていた。そうしているうちにジューンは吐血した。

「ぐ...おぇえっ」

ジューンはのたうち回りながら自らの吐き出した血の海で踊っていた
使用者であるゴロツキもジューンも知る由もないが、この量産型プラズマソードは刺した相手の体内でプラズマエネルギーが乱反射し内臓を破壊するという凶悪な兵器であった。
先ほどは斬られただけだったためにこの効果は発揮されなかったものの、数秒間剣が刺さり続けていた現在のジューンの体内には、多量のプラズマエネルギーが駆け巡っていた。

死のダンスを踊り続けるジューンの体を、男が無理やり押さえつけた。
「てめえは絶対許さねーぞ...落とし前はつけてもらうからなァァァァァァッ!!」
そう言って男はジューンの衣服を無理やり剥いでいく。戦闘用に強度が強化されているはずの衣装がいとも簡単に引き剥がされ、適度に鍛え上げられた筋肉と女性らしい脂肪のついた肢体が露わになった。
あとに残されたのはその肢体を覆う桃色の下着のみ。
守るものが無くなった肌を、男はプラズマソードで何度も浅く斬りつけた。

「きゃあっ!あああああっ!いやあっ!うぅっ!!」

その度に悲鳴を上げるジューン。

「...痛みだけじゃ飽きちまうだろォ?だったらこいつも一緒にくれてやるよ」

そう言うと男は興奮によって膨張しきった己の性器を晒し、ジューンの下着をずらし彼女の性器に挿入した。

「...〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?!?」

声にならない悲鳴が上がる。そうして男は破壊欲のままにジューンを剣で嬲り、性欲のままにジューンを犯した。
だがそれも長くは続かない。傷つき、内臓を破壊されきったジューンはこの蹂躙に耐えることが出来なかった。
凄惨な様相ではあるがここは敵地の中心。助けに来るものなど居ない。何時の間にやら手に持つプラズマサークルの光が弱弱しくなっていた。
プラズマは己の内から生まれるエネルギーであり、生命力とリンクしている。武器に付加されたそれが任意以外で消えるということはつまり、命の危機を示すサインなのだ。

(わたし...お父さんのかたき...うてませんでした...)
消えゆく意識の中、ジューンが最後に思ったのは、父への謝罪と無念の感情だった。

「...もう終わりかよ。つまんねえな」

ゴロツキが男性器をジューンから引き抜く。女性器からはドロリとした精液とともに血が流れ出ていた。

「へへへっ...最期に女になれてよかったじゃねえか」

息絶えたジューンの姿は、凄惨そのものであった。服を剥がれ、わずかな生地を除き下着のみとなった体には夥しい量の痣と焦げたような傷が出来ていた。
右肩からは血が溢れ、同様に口からも血が流れている。もはや何を写すこともないその目は生前の輝きが嘘のように虚ろに見開かれていた。

憂さ晴らしが終わりすっきりした様子の男はどこかへと去り、あとにはジューンだったものが残された。

数日後、単独任務中に行方不明になったジューンを探すべく捜査隊が派遣されたが、戦場となった基地周辺では何も発見されず、捜査は打ち切られた。
それからしばらくして、ある噂が流れた。
それは「最近投入された第四帝国軍の女性型新兵器のベースには、任務中に非業の死を迎えたスターグラディエイターの女戦士「ジューン・リン・ミリアム」が使われている」というものであった。

G A M E O V E R


893 : 名無しさん :2015/04/21(火) 20:35:57 ???
シチュリクスレにて投下分

不破優月首吊り(スカ注意)
ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org275987.txt.html


894 : 名無しさん :2015/04/21(火) 20:45:49 ???
>>892
自分の仇敵に、殺されるのみならず犯されてしまうジューンが最高に可愛い
弱くて負けたんだから、中だしされようが殺されようが、文句は言えないよね☆


895 : 名無しさん :2015/04/21(火) 23:27:18 ???
すばらしい!
ぜひ他の首吊りリクをSS化してもらいたい!
どのリクとか興味ありますか?


896 : 名無しさん :2015/04/21(火) 23:35:21 ???
>>895
あっちのスレでごり押しで文句言われてたふぶき姫、そもそも人間じゃないよなw
逆に人間じゃないキャラの首吊りがどう表現されるのかは気になるっちゃあ気になるけど‥w


897 : 名無しさん :2015/04/22(水) 03:41:26 ???
>>868
>>889
感想いただきありがとうございます。
次は純粋に格闘リョナものを書こうかなと構想中です。
たぶん、元ネタはPSYCHO-PASS(霜月美佳×常守朱)になる予定。


898 : 名無しさん :2015/04/22(水) 09:08:24 ???
おいおい何だ豊作だな
みんなありがとうございます


899 : 名無しさん :2015/04/22(水) 10:37:53 ???
ふぶき姫のも楽しみにしてます!


900 : 名無しさん :2015/04/22(水) 16:07:42 ???
ふぶき姫もぜひ絞殺ネタで見てみたいものですな
でも他のシチュ使うんでしたっけ?


901 : 名無しさん :2015/04/22(水) 16:39:36 ???
ふぶき姫の性格は特に決まっていないのでしょうか
あと人間の言葉は話せるのかな


902 : 名無しさん :2015/04/22(水) 16:41:45 ???
性格はちょっと毒舌な感じですねぇ
ゲームで「人間なんてバカばっかり」みたいなセリフがあった気がします笑
人間の言葉は普通に話せますよ!


903 : 名無しさん :2015/04/22(水) 18:41:21 ???
>>894
感想ありがとうございます。原作に「死んだはずのジューンの親父は改造されて恐竜人間になっている」という設定があるので娘にも似た末路を用意してあげました


904 : 名無しさん :2015/04/22(水) 20:16:10 ???
>>901
明るいけど毒舌って感じですかねぇ
ゲームの1ではそんな感じ
2は知らない笑


905 : 名無しさん :2015/04/22(水) 21:29:37 ???
性格的にはやりがいありそう笑


906 : 名無しさん :2015/04/22(水) 22:27:03 ???
ふぶき姫のネタはシチュリクスレからの派生なのかな?
そっちのスレは見てないから、よく分からないけど、ふぶき姫は好きだから楽しみだ!
そっくりなキャラで百鬼姫っちゅーのがおるよw


907 : 名無しさん :2015/04/23(木) 20:52:14 ???
今日はなんか投下されるかな?


908 : 名無しさん :2015/04/24(金) 10:34:11 ???
ふぶき姫ですが、この土日には投下されると思います
後は最後の盛り上がりだけです

楽しみにしてくださってとても嬉しいです


909 : 名無しさん :2015/04/24(金) 10:39:54 ???
おぉーほんと楽しみです!


910 : 名無しさん :2015/04/24(金) 12:12:46 ???
楽しみだな!
ふぶき姫のリョナって初めてだ笑


911 : 名無しさん :2015/04/24(金) 18:26:56 ???
ふぶき姫はぜひ最後殺しちゃってほしいです
まぁ妖怪なんで死ぬのか分からないけどw


912 : 名無しさん :2015/04/24(金) 23:56:44 pQG89lts
ふぶき姫SS投下します


913 : 名無しさん :2015/04/24(金) 23:57:47 ???
むかしむかし、あるところに小さな村がありました。
その村に住む人たちは、広い田んぼでお米を植えて、のどかに暮らしていました。
しかし、ある夏の日ーー。
燦々と輝いていた太陽に、ゆっくりと濃い雲が忍び寄ってくると、太陽を覆い隠し、なんと夏の日に雪が降り始めたのです。
これにはお百姓さんもびっくりして、思わず腰を抜かして呆然としてしまいました。
田んぼを埋め尽くす青い田んぼに、みるみるうちに雪が降り積もりーー村人たちが汗水を流して育てた稲が、ひとつ残らず枯れてしまったのです。

雪の妖精、ふぶき姫が、村を通り過ぎた仕業なのでした。

顔を真っ赤にして怒った村人たちは、雪を降り積もらせた妖怪を探し……ふぶき姫はついに捕まってしまいました。


914 : 名無しさん :2015/04/24(金) 23:59:11 ???



背中に腕を縛られたふぶき姫は、村人の手から伸びる縄で首を繋がれた状態で、村の広場に立ちました。

(人間なんかにつかまるなんてーーもう、サイアクだわ)

ふぶき姫は、ただ自分の歩きたいところを歩いただけでした。
だから、ふぶき姫にしてみれば、自分の通るところに住んでいる村の人間たちの事情など、知ったことではないのでした。
しかし、村人たちは到底許してくれそうにありません。

「きゃっ?!」

ぐん、と思い切り首の縄を引っ張られたふぶき姫は、小さな草履を履いた足をつまづかせて、よろよろと倒れ込みました。

「な、何すんのよ!」

ふぶき姫は強い力を持っているので、本当はこの村人たちを一人残らず凍らせることもできるのです。
しかし、村人たちはみな、真っ赤に燃える松明を抱えており、村の周りは雪景色なのに広場はとても暑いのでした。
パチパチと燃え盛る炎の熱は、ふぶき姫の力を確実に奪い取っていきます。
まだ幼い彼女の力では、たくさんの人間達の炎には勝てないのでした。
そして村人たちは激しい怒りの目でふぶき姫を見つめます。
ふぶき姫はその目を見ると、さすがに申し訳ないとは思ったのか、しぶしぶ押し黙りました。

「ああもう、分かったわよ。ちゃんと反省したし、もうこのあたりには近づかないようにするから。それで良いでしょ?」

ふぶき姫は顔を横に向けて目を背けながら、口を尖らせるようにして言いました。
しかし、本当は全然反省などしていないのです。
ふぶき姫の頭の中は、早く説教を終わらせてほしい、ということしか考えていないのでした。
ふぶき姫が見せるこの態度に、村人たちが黙っているはずがありません。
村人たちは片手に持った松明の火をふぶき姫に近づけます。

「や、やめてよ! やめなさいよ、バカぁ!」

炎をふぶき姫の目の前にまで近づけると、熱に弱いふぶき姫は激しく嫌がります。
ふぶき姫を繋ぐ縄を引くひとりの村人が炎を遠ざけてやると、別の村人に松明を手渡しました。
ふぶき姫はキッと村人の顔を睨みつけると、小さな手で村人の頬を叩きました。

パチン!

「やめてって言ってるでしょ! 人間のくせに!」

ふぶき姫はあくまで自分の非を認めないつもりのようです。
額から汗を滲ませながら、ふぶき姫は小さな手ではりたおしました。
こうなると、叩かれた村人は、ふぶき姫の自分勝手さに血相を変えて怒鳴りつけました。
しかし、ふぶき姫はそれに怯ます、むぅっと頬を膨らませています。

ついに村人は、身体の小さなふぶき姫を思い切り押し倒しました。


915 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:00:59 ???
「きゃあっ?!」

思い切り背中を地面に打ったふぶき姫は、片目を瞑りながらジタバタと暴れます。
言うことを聞かない子どもにはお仕置きをしなければいけません。
村人は手近にあった小さな石の塊を掴むと、暴れるふぶき姫の頭に思い切り打ちつけました。

ガスッ!

「キャぁン!!」

さっきよりも高い声の悲鳴をあげると、ふぶき姫は暴れるのを止めて、頭を抱えました。

「ぅ、ぅぅぅうっ……!」

頭を堅いもので強く殴られたふぶき姫は、叩かれたところを両手で抑えました。
そして、じわぁ、と目の端に涙を貯めました。

ふぶき姫は仰向けになりながら両足を曲げます。
見ているだけで凍えてしまいそうなほど冷たそうな色をした和服の裾が捲れて、ふぶき姫の素足がチラリと見えます。

村人たちは、訛りの激しいだみ声で、ガヤガヤと何か話し合いました。
村人たちが何を言っているのか、ふぶき姫にはよく分かりません。
そして、突然村人たちが口を閉じたかと思うと、皆が一斉にふぶき姫をじっと睨みました。
その村人たちの視線から、ふぶき姫は何の感情も読みとることができません。
何も言わず、じっとふぶき姫を見つめてくるのです。

「なに……なによ……」

ふぶき姫は上半身を起こしましたが、村人たちの異様な気配を前に、すっかり怖くなってしまいました。

「あ……あたしは、何も悪くないん、だから」

口の中にある固い唾の固まりを飲み込みながら、ふぶき姫は強がってみせます。
しかし恐怖を隠すことはできず、ふぶき姫は涙目を拭うこともしないで、ふるふると震えています。
雪の妖精は、寒さには強くても、怖くなると身体を縮めて震えてしまうようです。

乱暴なことをするような人間は凍らせてしまえばいい。
そんなふうにタカをくくっていたふぶき姫でしたが、人間たちから恨みを買ったときの怖さを、ふぶき姫は知らなかったのです。
まだまだ幼いふぶき姫にその怖さが分からないのは、無理のないことでありました。

しばらくの間、その場に深い沈黙が降りました。
パチパチと火の粉が弾け飛ぶ音だけが聞こえます。
なぜ黙ったまま何もしてこないのか、ふぶき姫は分かりません。
それがいっそう不気味なのです。

ーー逃げなきゃ。

そう思い立ったふぶき姫は、慌てて立ち上がってその場から逃げようとしました。
しかし――。

「あっ!」

ふぶき姫の足はすでに竦み上がってしまって、駆け出そうとした瞬間に草履の足が躓き、転んでしまいました。
逃げ出そうとしたふぶき姫を見たひとりの村人は、ぐん、と信じられないぐらい強い力で縄を引っ張りました。
ふぶき姫の縄が、首に思い切り食い込みます。

「んギッ!」

喉元を引っ張られたふぶき姫は変な声をあげてしまいました。
倒れ込んでいるふぶき姫は、首を思い切り仰け反らせます。
とても勢いよく引っ張られたので目の端に留まっていた涙がこぼれ落ちました。

「ぎっ……ぃ……!!」

ふぶき姫は口を開けて、鼻をすんすんといわせて空気を吸い込もうとしますが、うまく行きません。
地面に着いた両足をズリズリ言わせて、雪を押しのけるようにもがきます。
しかし、縄が次第に緩んでくると、ふぶき姫は必死になって息を吸い込みます。

「ひはっ! はーっ、ひーっ、えほっえほっ」

ふぶき姫は顔を俯かせて咳き込みますが、村人はまた縄を強く引っ張ります。

「ひっ、ぎゅぅううっっ!」

首の縄を手にかけて、先ほどよりもさらに苦しそうな声をあげてしまいます。
縄が緩んだり締まったり……ふぶき姫はその度に苦しんだりせき込んだりします。

「んぎいっ……っ、ごほっ、げふっ……げ、ぎぎッーー! ひはっ、はぁ、はぁ」

縄に翻弄されたふぶき姫は、だんだん顔がぐちゃぐちゃになっていきました。
目を白黒させながら悶えるふぶき姫の前に、別の村人が立ちました。


916 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:02:16 ???
その村人が持っているのは、ふぶき姫が見たことのない道具でした。
とてもおぞましい形をしたものに見えました。
するとその村人はーー。

「ぅ、ぶぶぅぅ?!」

ふぶき姫は鼻の穴を思い切り広げられると、鼻フックという大人のおもちゃを後頭部から巻きつけられてしまいました。
そしてフックを鼻に引っかけると、可憐な雪の妖精はとてもおかしな顔になりました。
まるで豚のようになったふぶき姫は、首を縄を締め付けたり緩めたりするたびに、大きな鼻息をたててしまいます。

「ふ、ふーっ、んふーっ」

そのまま男は、大人用の口枷をふぶき姫に取り付けはじめました。
ふぶき姫は、首を締め付けられて必死に息を吸い込もうとするその口に、大きな口枷を無理矢理はめられました。

「ふ、ふごっ、ふごぅ、ふごごっ」

ふぶき姫はふごふご言うだけの妖怪ふごき姫になりました。
その恥ずかしい顔を見た村人たちはゲラゲラと下品な笑いを上げました。

ふごき姫は膝立ちにさせられました。
村人たちの残虐な仕打ちを、その小さな身体で受け止めなければなりません。
村人たちの責め苦はまだ続きます。
今度は、ふごき姫の猫のような両目のまぶたに指を引っかけると。

「ふごぉっ?!」

ふごき姫の目の前に鋭いマチ針が近づいてきました。
ふごき姫は思わず、まぶたを閉じようとするのですが、しっかりまぶたを抑えられているので、どうすることもできません。

「ふ! ふ! ふぉっ!! ふぉおっ!!」

ふごき姫は髪を鷲掴みにされ、首を動かすこともできなくなります。
あまりの恐怖に、全身を強ばらせて緊張します。
そして針はーーふごき姫のまぶたの裏側に突き刺さりました!

ブスッ!

「〜〜〜〜〜〜〜!!! ぅぶぅっ」

声にならない悲鳴をあげるふごき姫。

「ぶぅっ! フゴッ! ふんごぉぉおおお!!」

ふごき姫はあまりの激痛に叫んだのですが、それはとても無様な声になってしまいました。

「ふごふごふんごぉおおおおっっ!!」

村人たちは手を叩きながら笑いました。
口枷から唾液をぶっぶっと噴き出すふごき姫は、とっても間抜けな妖怪でした。
ふごき姫は間抜けな悲鳴を上げ続けましたが、反対の目にも同じように針を突き刺されました。
ふごき姫の猫のように大きな目は、さらに大きく見開かれた状態で固定されました。
これでふごき姫は瞬きをすることができなくなりました。

「ぅ、ふぐぐっ……!」

ふごき姫は、だらだらと涙を流しました。
針だけではなく、目が乾燥してとても痛いのです。
村人たちは、さらにその目を痛めつけようと、準備を始めました。


917 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:03:37 ???
ひとりの男が、雪で枯れた稲の束を用意すると、その束を松明の火で燃やし始めました。
もくもくと灰色の煙が上がり初めます。
その煙を、ふごき姫の顔に向けて、扇で仰ぎ始めました。
ふごき姫は目を閉じることもできず、鼻の穴も全開になってしまっています。

「ふぁべえぇえ”え”ぇえッッ、ぇっ、ぇぐっ」

煙を顔に浴びたふごき姫は、目をぐるりと反転させて、白眼を剥いてしまいます。
村人たちは囃し声を上げながら、生意気なふごき姫を徹底的に虐げました。
首の紐を締める男は、膝立ちのふごき姫の背中に足を乗せて、思い切り前に踏みつけました。
ふごき姫の首に縄が深く深く食い込む音が聞こえてきます。

ギリギリギリギリィっ……

「ぴぎゅうぅうぅうっ……ぴぎぃっっぃいぃっ」

涙と鼻水とよだれで、ふごき姫の顔は、思わず目を背けたくなるほどめちゃくちゃになりました。
そのふごき姫の顔も、黒い煙に隠れて見えなくなりました。

そしてついにーー。

縄がブチリと音をたてて切れてしまい、ふごき姫は雪に顔を埋めました。

「おひっ」

ビグヒクビクビクン!!

「ぉ、ぉひっ、へひっ、をっ」

首の締め付けが解放されたと同時に、激しい痙攣に襲われてしまうふごき姫。

「ぅ、っ、っ、ぅ、ぅ、ふ、ふっ、ぶっぶっ」

ふぶき姫はうつぶせのまま声を漏らし、くぐもった声をあげます。
腰を静かに浮かしながら、ひとところでピクピクと悶えました。
両足をピンと伸ばしてハの字に開くと和服の裾から片足が伸びて、太ももの裏まで丸見えになりました。

背中を踏みつけていた男が何かに気づき、和服の裾を掴んで捲りあげました。
ふごき姫は痙攣しながら失禁しているのでした。
その姿を皆に見せようと、男は下品な笑みを浮かべながら、腰の帯まで思い切り捲りあげました。
ふごき姫は妖怪なので下着を付けておらず、手のひらで覆いかぶせるほどの小さい、餅のように柔らかそうなお尻が丸見えになりました。
そして、股から失禁したふごき姫のおしっこが、雪に染み込んで白い煙をあげているのでした。


918 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:04:43 ???







ーーそれから。

ふぶき姫は目を覚ましました。

「ぅ……?」

目をしょぼしょぼさせて、ゆっくりと目を開いていきます。
まだ意識ははっきりしていません。
目の前がとても明るく、眠り続けていたふぶき姫の目に目映い光が差し込みます。
ふぶき姫は周りの様子がまだよく分かりません。
しかし、次の瞬間ーー。

バチバチバチっ、と小枝がはじける音がすると、ふわふわと浮き上がった火の粉がふぶき姫の頬にくっつきました。

ジュッ

「ひやぁあっ?!」

その熱に、ふぶき姫は突然目を覚ましました。
そして、慌てて周りを見渡し、自分が今置かれている状況をはっきりと理解したのでした。
今、自分は腰に縄をぐるぐる巻きにされて、高い木の枝に吊り下げられているーーそしてふぶき姫のすぐ下には、炎が激しく燃えさかっているのです!
ふぶき姫は炎の熱を浴び続けていたのでした。

「あ、あつい……」

気絶しているときから熱を浴びていたふぶき姫は、すでに顔がのぼせ上がっており、鼻からどろりと血を流していました。

「あついよぅ……っ」

浮ついた声を出しながら、ふぶき姫は全身を脱力させていました。
その声が、先ほどまでのおてんばな妖怪のものとは誰も信じられないことでしょう。
ふぶき姫はぐったりとしてしまい、もう何もかも諦めきったように、口をぼんやりと開きました。

「ぁ、ふぁあっ……ぁんっ、ぁあ、っん」

突然、ふぶき姫は、まるで大人の女の人が悦んだときのような甘い声をあげました。
次の瞬間……一番火に近いふぶき姫の両足の先から、ポタポタと水が滴り落ちていきます。
足先が次第に形を失っていき、完全に消えてしまい、草履が火の中へと落ちていきました。
ポタポタと滴る水の勢いは止まりません。

「ぁっ、ぁあぁっ……ゃ、ゃあっ、らめぇっ……ひゃ、め”ぇっ……!」

ふぶき姫は、背中から駆け上がる未知の感覚に、今まであげたことのない声を出します。

「とけ、りゅうぅぅっ……とけひゃうよぅうおぉっ……」

熱はふぶき姫の小さな身体すべてを蝕み、ふぶき姫の顔がドロドロに溶けていきます。
それはまるで、冬が終わって暖かくなったときの雪だるまのようでした。
溶けていくに連れて、空の雲行きも変わっていきました。
空一面を覆う厚い雲が、みるみるうちに掠れて、千切れて消えていきます。

「やめぇえぇっ……ゆる、してぇえぇ……ぇぐっ、ひぐっ……」

和服は残されていますが、すでにふぶき姫は腰の当たりまで溶けてなくなっていました。

「ごべんなざぃいっっ……ゆるひて、くだひゃいいぃいっっ……ひっく、ひっく、えうっ、えぐっ」

すでに下半身は消えているのか、風が吹くと、和服はてるてるぼうずのように横に凪いでいきました。

「もぅ、わるいことしないがら”ぁあっ……ぃうことっ、ぎぐがら”ぁ”っ、ぁ”やまるがらぁっっ……」

しかし、火を覆い囲むように立つ村人たちは何も言いません。
ただ黙々と、火を絶やさないように、次々と枯れてしまった作物を火の中に放り投げていきました。
そして、ふぶき姫はついに肩の辺りまで消えてしまいました。

「ぁっ…………も………ら、め……っあーー」

パチパチパチパチ……。

「ご、めーーー」

シュウウン、という音と共に、木枯らしが一筋吹いて、塵のようになって消えていきました。

身体がなくなった水色の和服は、するりと縄から滑り落ちて、火の中に落ちました。
ふぶき姫が身につけていた和服が、ごうごうと燃え盛り、灰になっていくのを、村人たちは見つめました。
村一面に降り積もる雪が一斉に蒸発して、雪解け水が地面に染み込んでいきました。


919 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:05:46 ???






村に夏が戻りました。
しかし、平和が戻って来ることはありませんでした。
ふぶき姫を火炙りにしたその日を境に、村に流行り病が襲いかかったのです。
村人たちは男も女も子どももその呪いにかかり……寒い寒いと最後まで呻きながら、下利便を垂れ流して死んでいきました。
下利便で足を汚した犬が村を歩き回っている、静かな村が後に残されました。

その村の広場にーーひとりの少女が立っていました。
それは、村人たちが火炙りにした、あのふぶき姫にそっくりの姿をしていました。
しかし、和服はかつてのみずみずしい青と白のものではなく、真っ黒な生地に毒々しい赤紫色のものを羽織っていました。

その少女は、りんご飴を舐めながら、ひっそりとその村に佇み続けています。
その少女がどんな顔をしていたのか、村人たちが皆死んでしまったので分かりません。
しかし、その顔を見た犬は、たちまち震え上がって、一目散に逃げ去ってしまったと、言い伝えられているのでしたーー。


920 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:07:20 ???
終わりです
書くの難しかった…
さあ、次のターゲットは誰だぁ!(壊)

ノシ


921 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:25:44 ???
あなたが天才か!笑
最高です♡笑


922 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:26:49 ???
921続き

リョナとして完成度が高いだけじゃ無くオチを見たとき鳥肌が立ちました


923 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:28:52 ???
よくキャラを分かってらっしゃる
もはや売れるレベルw


924 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:31:58 ???
次のターゲットかぁ‥
俺が思ったのは不破さんを妄想してた主人公がほんとに首吊り殺人を犯して現実と妄想のギャップにショック、もしくは現実にも興奮してサイコパスとなる‥みたいなストーリーを考えた
あっターゲットの話じゃない^_^;
同じ暗殺教室の女キャラクター(可愛い娘が多い気がするのです)か他のキャラ
妖怪ウォッチで言えばフミちゃんとか?


925 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:35:11 ???
最後の少女って…百鬼姫?
ヤバい
完成度が高すぎる


926 : 名無しさん :2015/04/25(土) 00:37:58 ???
不破ちゃんに比べてリョナらしいリョナですね
どっちも好きだ!
順番的には次回作は不破ちゃん寄りの作品が見てみたいかな


927 : 名無しさん :2015/04/25(土) 09:02:19 ???
ノエルの人です
ふぶき姫はいろいろと特徴があったので、その特徴が活かせるように頑張りました
こんなにたくさんの誉め言葉をいただけて、大変うれしいです!
次は、先日このスレでいただいたリクで書いてみようかと考えてますが、まだ分かりません
うまく書き出せたら……

あかねの人の新作と、シャナの続きが気になります


928 : 名無しさん :2015/04/25(土) 09:55:11 ???
シチュスレの方で顔面羞恥リョナをリクしていた者ですが…
もしかして責め方の方法汲んでくださってましたか!?
煙責めもプラスされてて痛そうで凄く良かったです。ありがとうございます!
混じりっけ無しのリョナ要素100%生絞りって感じで素晴らしい…傑作だと思います


929 : 名無しさん :2015/04/25(土) 11:20:20 ???
>>928
シチュスレのリクを参考にさせていただきました!
私一人で書くと、どうしても責め方がワンパターン化するので、今までないものを書いてみようと思い、選ばせていただきました


930 : 名無しさん :2015/04/25(土) 18:04:02 ???
>>929
リョナのSSというか、もはや二次創作のレベル。よくある「人気アニメの都市伝説」的な。レベル高すぎ!
ありがとうございました!


931 : 名無しさん :2015/04/26(日) 00:22:57 ???
最近SSの書き手増えたけど
全部で何人いるんだろうか


932 : あかねの人 :2015/04/26(日) 04:51:05 ???
>>927
楽しみにしてくださっている方がいることは励みになります。私もノエルの人さんの次回作が楽しみです。
しかし、いま書いているのが少々難産でして、元ネタをPSYCHO-PASSにしたのは早まったかな。
でも、天道あかねボロボロにし過ぎたから、流石に続きを書くの難しくなってしまいましたよ(涙)
なによりPSYCHO-PASSの霜月をリョナしたい(笑)
そういうわけで、投下は来週中を目標にしています。


933 : 名無しさん :2015/04/26(日) 22:51:10 i88LZzLE

『ただ今より、2015アイドル総合格闘技大会を開催致します!』
リングアナのコールに観客席が盛り上がると、真っ暗な会場内にスポットライトに照らされる花道。
その花道を通ってリングに進む多くの影、そう今夜のトーナメントに出場する16人の選手達だった。
早速リングアナのルール説明などが始まった。
『2015アイドル総合格闘技大会の試合ルールの説明を行います!・・・トーナメントについてはこれオープンフィンガーグローブを使っての顔面パンチと、顔への攻撃が認められます。また倒れた相手の顔面などへの踏みつけなども認められます。勝敗はKO、ギブアップ、レフリーストップ、ドクターストップなどになります。また凶器攻撃は一切認められません。』
ルール説明に歓声が大きくなる会場内。
・・・。
・・・。
・・・。
そして、ついに決勝戦が始まる。まずは準決勝で秋○才加との死闘を制した矢○舞美だ。続いてこちらも死闘となったもうひとつの準決勝で白○麻衣を破った倉○明日香が入場。金網の中で対峙する二人・・・・。
観客のボルテージが最高潮に達する中レフェリーの説明が終わり、ゴングが打ち鳴らされる!


934 : 名無しさん :2015/04/27(月) 12:49:03 ???
え、終わり?


935 : 名無しさん :2015/04/27(月) 13:02:59 ???
>>933を見て思いついた
こういうのはダメだろうか
http://stat.ameba.jp/user_images/20150109/19/nyakb48paruru/23/8a/j/o0596033213184668176.jpg
妖怪ウォッチのニャーKBなんだけど明らかに某メンバー
でも直接言及は無いからアニメキャラとして妄想できないだろうか?
B級日本映画に良くある「いつのまにか巻き込まれてる殺人ゲーム」みたいな話を作ったら面白そう


936 : 名無しさん :2015/04/29(水) 15:21:45 pQG89lts
新作期待age


937 : ハム子の人 :2015/04/30(木) 01:03:24 thpQsgBo
最近SS書きの人増えましたね! ものすごい勢いで人が増えててびっくり

私も新作が出来ました
相変わらずのハイレグハム子ですが、どうしても書きたいシチュだったので泣きの一回とばかりに甘んじて投下させていただきます


938 : ハム子から吸収 その1 :2015/04/30(木) 01:08:10 thpQsgBo
零時を回り、今宵も影時間がやってくる。生きとし生ける者の殆どが、生命の息吹を無くすその時間が―


◆ ◆ ◆


ここは白川通り。港区の人工島・ポートアイランドに存在する、言わばホテル街である。
普段なら眩しいホテルのネオンが夜をも照らし、色情を匂わせる男女のペアで賑わう夜の街も、影時間の今は人っ子一人いないほど静まり返っている。
正確には人は存在しないのではなく、棺のオブジェに身を変えて眠りについているだけなのだが。

だが、影時間に於いては誰も訪れない筈のホテルの前に、若い男女の一団が現れる。
高校生程度の年齢の者が多くを占めるが、中には白い柴犬、美少女を模したロボット、果てにはこの地に絶対来てはならない筈の小学生まで居る。

「えっと…ここだよね、前来たホテル」

一団の先頭を仕切る少女・黒鷺朱美が、目の前にある建物が以前も訪れたホテルであることを確認する。

彼女たちは別に、分別のつかぬ盛りのついた少年少女という訳ではない。
影時間に現れ、時に眠った人間の精神を喰い尽くす異形の怪物・シャドウ―彼女らはそれを打ち倒すために選ばれた集団、『特別課外活動部』の一員である。
今日ホテル街にやってきたのも目の前にある、以前も大型のシャドウが現れたことのあるホテルに、再びシャドウが現れたということを一行の『ナビ役』が探知能力で探り当てたからである。

「はい、ここからシャドウの気配を感じます……ただ具体的にどこの部屋に居るかはわかりませんが……」

一行のナビ役を務める少女・山岸風花が不安気に答える。
エメラルドグリーンのショートヘアに包まれた顔にも不安の色を滲ませながらも、俯き、手を組んで必死にシャドウの居場所を探っている。

「そう…そんなに広い建物じゃないけど、手分けして足で探したほうが早そうだね」

このホテルは三階建てで、それほど大きくはなく通路も狭い。以前入った時のことを朱美は覚えていた。
固まって行動するよりは、散開して個別に探しまわったほうが合理的だと彼女は判断する。

「じゃあみんな、バラバラになって部屋のチェックをお願いするね。
 ただし、シャドウが見つかったら無理しないで、みんなに知らせて合流すること!」

朱美が号令をかけると、彼女の仲間たちは一様に頷き、次々とホテルの中へ駆け込んでいった。

「さて、私も早速…!」
「おい待て、黒鷺」

意気揚々とホテルへ入ろうとする朱美だったが、後ろでから低く押し殺したような声で呼び止められたので、彼女は思わず足を止めて後ろを振り返る。

「ん?……あ、荒垣先輩……」

朱美を呼び止めたのは、朱美よりもずっと背の高い大柄な男。
彼の名は、荒垣真次郎。(休学中の身ではあるが)朱美の一つ上の先輩にして、朱美の思い人である。
残暑の中にも関わらずロングコートにニット帽姿で、鋭い眼光を湛えた近寄り難い雰囲気の男ではあるが、根は優しく周りからも頼りにされる男である。
顔立ちも精悍で、ニット帽を取ればその長い髪も相まってなかなかの男前である。

「どうしたんですか? 具合でも……?」
「いや、な……
 お前、あんま無理するなよ。」
「えっ…?」

唐突な言葉に朱美は顔をこわばらせ少し頬を赤らめるが、その後すぐに笑顔を作ってみせた。

「ふふっ……心配してくれるんですか?」
「フン。ま、リーダー様に突っ走られてお陀仏されちゃ困るからな」

少し恥ずかしくなった荒垣は、思ってもない皮肉を口にして朱美から目を逸らす。


939 : ハム子から吸収 その2 :2015/04/30(木) 01:10:11 thpQsgBo
「あはっ。 大丈夫ですよ、私一人じゃ流石に及ばないのはわかってますから」
「ああ、あんまり無茶すんな。
 ………それと、その、なんだ」
「え、まだ何か?」
「あー……お前、その格好どうにかならねぇか?」
「……あっ」

唐突に服装のことを訊かれ、朱美ははっとしたように自分の体に目をやる。
荒垣がこのようなことを言ったのは彼女の装備・『ハイレグアーマー』が原因だった。
年不相応な胸を覆う銀色の胸パット、それと紐でつながった金属製でハイレグ型の下着、
エナメル製で金属の飾りのついた白い長手袋にロングブーツ、首を防護する金属のチョーカーに、頭を防護する金属のカチューシャ―
それらで覆われた部分『以外』はほぼ露出しているという過激な衣装だった。

「えっと…ダメですか?」
「ダメっつーか、嫁入り前の娘がする格好じゃねぇだろ…」

荒垣は呆れ顔で言った。実際彼は朱美の白い肌で彩られた胸やら、太ももやら、尻やら、
はたまた赤茶色の癖っ毛をポニーテールでまとめているせいで、全く隠せていない肩甲骨の綺麗なラインやら、
そういったところに意識が向きすぎないように抑えるので精一杯だった。

「まぁでもこれ、動きやすくて戦いの役には立ってますよ? それに、もう今回は着替える時間ないので……」
「はぁ……まァいい、次からはなるべく控えてくれよ」
「ふふっ、分かりました」

朱美は荒垣のため息を苦笑いで流す。
彼女が戦いのためにハイレグアーマーを着込んでいるのは本当のことだが、荒垣がこのような反応を示してているのは、彼に片思いするものとしてやぶさかではなかった。

「それじゃ、先に行きますねっ!」
「あぁ、俺も武器の最終確認が終わったらすぐ追いかける」

朱美は得物の薙刀と、シャドウを倒すものに与えられた力・ペルソナを召喚するための小型銃を持ち、ホテルの中へ駆け込んでいった。

「…ったく、跳ねっ返りだな、あいつは」

朱美の背が見えなくなった頃、荒垣がポツリと呟いた。
実際の荒垣の方でも、朱美への好意は日々募るばかりだ。
過失とはいえ幼子の母の命を奪った凄惨な過去を理由に、人を遠ざけて来た自分にも積極的に接してくる彼女が、どこか放っておけない。

「俺は神に祈る資格なんてはねぇが……」

荒垣は俯き、目を閉じて彼女の無事を祈る。
そして得物である斧を担ぎ、すぐさまホテルの中へと駆け出していった。

だが、荒垣は知らない。
その小さな願いさえ、このあと直ぐに打ち砕かれてしまうことを……。


◆ ◆ ◆


ホテルの一階はすでに仲間が調べ終え、殆どの部員が既に二階へと向かっていた。
それを察した朱美は、一足先に一人で三階へと登ることにした。
フロアを軽快に駆けまわり、次々と扉を開けていく。だがシャドウの姿はどこにもない。

「あとは……」

朱美は最後に残った、三階で一番大きな部屋の扉の前に立つ。
ここは、以前大型シャドウを葬った場所だ。

『リーダー、一人で大丈夫ですか?』
「あ、風花……大丈夫だよ、危なくなったらすぐ逃げるし」

通信を通して心配する風花に、朱美は笑顔で返した。

「よいしょ……っと」

朱美は大きな扉を静かに開け、中を見渡す。
だが、紫のカーペットが敷かれただだっ広い空間に、ベッドや鏡などの調度品が幾つか置かれているくらいで、シャドウらしきものは見当たらない。

「……一応、もう少し見ておきますかっ」

そう言って部屋の中に入り、扉から手を離したその時―

バタン!と大きな音を立てて、扉が閉まってしまった。

「!! しまったっ! ……あ、開かない……!?」

朱美は慌てて扉を開けようとするが、先程まで開いていた筈の扉はびくともしない。
その固さは鍵をかけたというより、まるで扉自体が固まってしまっているようだった。

「風花!!! 聞こえる!? ねえ風花!!!」

朱美は風花に呼びかけるが、彼女は全く応答しない。どうやら通信自体が遮断されてしまったようだ。

ジュルリ……
突然、背後の方で何かが滴るような音がする。 朱美は慌てて後ろを振り向く。

「う…そ……今までどこに!?」

そこにいたのは、天井に迫る程に巨大化したシャドウ。
屈強な人間の上半身から、水の滴る何本もの吸盤のついた足が生えた姿は、一言で形容すると「蛸人間」と言ったところだろうか。
人間と言っても、顔は生気のない顔が彫られたピンク色の仮面に隠され、その表情は伺えない。全身もタイツを被ったかのように黒く塗りつぶされている。
シャドウは威嚇のためか足を鞭のようにしならせ、振り下ろし、周囲にあった木造のベッドや鏡を粉々に砕く。

「……こうなったら、やるしかないっ!」


940 : ハム子から吸収 その3 :2015/04/30(木) 01:12:52 thpQsgBo
朱美は顔に動揺の色を滲ませながらも、素早い動作で銃型の召喚器を頭にあてがい―

(足が邪魔で、薙刀じゃ体に届かない…でも、魔法ならッ!)

「オルフェウスッ!!」

冥界を旅したと伝説を持つ、ギリシア神話の詩人の名を叫び、トリガーを引く。
彼女の頭から幾つものガラス片が散り、淡い光を湛えながら、女性の詩人を模した彼女のペルソナ・オルフェウスが姿を表した。
そして、持ち主と同じ赤茶色の髪を靡かせながら、クルリと舞う。すると、オレンジ色の炎がシャドウの肉体を包み込んだ。

『グオオオォォォォ………』

シャドウは肉体をのけぞらせて呻く。それなりのダメージを与えられたようだ。
だが、起こったシャドウは足の一本を朱美の体へと伸ばし―

「ひゃう!?」

華奢な体に巻きつかせる。 足に滴る冷たい液体が彼女の体に纏わり付き、朱美は思わず悲鳴を上げる。

「くうっ……!!」

召喚器を持つ右腕だけは巻き込まれずに済んだものの、朱美は体の自由をほぼ奪われてしまった。
縛られてまともに動けないもどかしさと、嫌な感触のする液体が体を包む気持ち悪さに、彼女の顔が歪む。

「ぐうぅぅぅっ!? う゛っ……!?」

シャドウは締め付ける力を更に強くし、吸盤のようなものが朱美の柔肌に食い込む。
朱美の顔が痛みでゆがむが、更に、何か違和感のようなものを彼女は感じる。

(魔力が……吸い取られてる……!?)

シャドウは朱美の動きを封じ、更に彼女の体から魔力を吸い上げること魔法による攻撃すらも封じようとしていた。
完全に吸い尽くされる前に、早く倒さなければ―朱美は締め付けの苦痛に耐えながら、なんとかトリガーを引いた。

「ペルソナァッ!」

再びオルフェウスが呼び出され、紅蓮の炎を呼び出し、シャドウを焼き焦がす。
シャドウは再び苦痛に喘ぎ、もがくがそれにより朱美の体が再び強く締め付けられる。

「んうぅぅぅぅッ!!! ……ま、まだまだっ………!!」

激痛に悶え、体から魔力が失われていく感覚に慄きながらも、朱美は次々と魔法を当てていく。
何度も体を炎に包まれたシャドウは、朱美を締め付ける力を段々と弱めていった。

(良かった、このペースなら……)

朱美は荒く息をしながらも、次第にその表情には余裕の色が見え始めていた。
だが、それも束の間……

「きゃあ!?」

突然、シャドウは絡めた足を動かし朱美の体を自身の本体へと引き寄せた。
いきなりのことに動揺した朱美は、思わず攻撃の手をゆるめてしまう。
その隙を突いてシャドウの本体はなんと、朱美の下半身へと両腕を伸ばし―

「いウっ!?」

彼女のハイレグアーマーからはみ出た小ぶりの尻を、ゴツゴツとした手で触り始めた。

「いやっ、ちょっ、やめっ……あうぅっ!」

朱美の静止も聞かず、シャドウは朱美の尻を撫で、揉み、その感触を楽しんでいるようだった。
シャドウが手を動かす度に朱美の下半身は甘い刺激に襲われ、口からは上ずった声が溢れ、顔は怒りと恥ずかしさでどんどん紅潮していく。

「いい加減に……しろっ……!!」

朱美の怒りはとうとう頂点に達し、体を襲う官能的な刺激に負けじと頭に炎の魔法を思い浮かべ、思いっきり召喚器のトリガーを引く。
だが。

「そ、んな……もう、魔力が……!?」

朱美が甘い刺激に悶えている間に、彼女の魔力はシャドウへと吸収され尽くしてしまった。
カチリ、という乾いた音だけが朱美の頭の中でこだまする。

一方、シャドウはそれに乗じて更に愉悦の時間を楽しもうとする―と思いきや、突然ピタリと動きを止めた。
そして、まるでしゃっくりをするように肩をピクピクと上下させる。

「なに…を……きゃあぁぁぁッ!!!」

突然、シャドウの下半身から生えていた幾本もの足が、本体の中へ巻き取られるように消えていく。
朱美に巻き付いていたものも例外ではなく、支えを失った彼女は床に落ち、尻餅をついた。

「つぅ……!?」

臀部の痛みに顔を歪めつつも朱美が顔を上げる、そこでは信じられない光景が繰り広げられていた。
足を失った筈のシャドウの上半身が宙に浮き、
やがて……ズボッ、という音を上げながら二本の逞しい脚が下半身に生えたのである。
この瞬間を持って、蛸人間型のシャドウは完全に人間の姿を手に入れたのだ。

「な、何なのこれ……!?」

朱美はその姿に慄いて思わず立ち上がり、後ずさる。
その隙を、シャドウは見逃さなかった。

「あっ!」

シャドウは、朱美が縛られた時に取り落とした薙刀を、彼女の手に届かないところへ蹴り飛ばしてしまう。
そして、ゆっくりと朱美の側へと歩みより、ジリジリと距離を詰める。


941 : ハム子から吸収 その4 :2015/04/30(木) 01:15:13 thpQsgBo
「しまった、このままじゃ……!」

追い詰められた朱美は後退し距離を開けようとするが、すぐに壁際に追い詰められ後が無くなってしまう。

(こうなったら、あの力を使うしか……!)

限界まで追い詰められたことを悟った朱美はある決意をし、瞳をギュッと閉じ、手元に残っていた召喚器を再び頭にあてがう。

(持って、私の体……!!!)

召喚器のトリガーが弾かれる。
彼女が開放するのは、オルフェウスの持つもう一つの能力―

「行けぇッ!」

再び現れた長髪の詩人・オルフェウスは、手に持った巨大な竪琴をシャドウに叩きつけた。
シャドウの体が思い切り吹き飛び、もんどりを打って床に転がる。

「はぁっ、はぁっ……うぐッ………!」

だが朱美の方も、胸を抑えて苦しみ出す。この技は魔力が無くても使える代わりに、自身の体力を犠牲にするものだからである。
当然何度も使えば朱美も無事では済まない。だが、最早彼女がシャドウに勝つ手段はこれしか残されていない。

叩きつけられた体をゆらりと起こし、再びシャドウが朱美の元へと向かっていく。

「くらえぇぇぇぇぇッ!!!」

朱美は自分を奮い立たせるように叫び、再び引き金を引いた。
迫り来るシャドウはオルフェウスの竪琴に弾かれ、再び後方の壁へと叩きつけられる。

「うっ……んヴゥッ………はぁっ、ハァッ、ハアァッ………!!」

今度は朱美の全身にズキリとした痛みが走る。吐き気が込み上げ、思わず空いた左手で口を抑える。長手袋に染み付いた汗の匂いが朱美の鼻を突く。
同時に襲いかかる目眩のせいで脚はフラつき、立っているのがやっとだった。

しかし―
そんな彼女をあざ笑うかのごとく、シャドウは立ち上がった。
先程よりはおぼつかない足取りをしているが、確実に朱美の方へと近づいてきている。
その光景を、朱美は恨めしげに見つめる。

「はぁっ、しつこいん、だからッ……!!」

朱美は三度、召喚器をしっかりと握り側頭部にあてがう。
もう一度オルフェウスを使えば、確実に朱美は立っていられなくなるだろう。
だがこのまま、おとなしく倒されるわけにはいかなかった。

「ペルソナァーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」

道連れを覚悟した、朱美の悲痛な絶叫が部屋中に響き渡る。
三度現れたオルフェウスは、渾身の力で竪琴を振るいシャドウに叩きつける。その刹那―

「……う゛あ゛あ゛あ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

上半身が真っ二つに千切れるような激痛が朱美の体を駆け巡りる。彼女は喉から絞りだすような叫びを上げながら仰け反り、思い切り仰向けに倒れる。

「げ゛ふ゛オ゛ォ!?」

倒れこみ、背中を叩きつけた朱美の口から血反吐が飛び出る。
どうやら上半身の筋肉が内部でひどく損傷したようで、倒れて動けなくなった後も上半身はぴくんぴくんと痙攣し動き続けている。

「お゛ァッ……ア゛ッ…………んハァッ………はぁっ……………」

激痛に悶え涙をボロボロと流しながら、弱々しい呼吸を維持するので朱美は精一杯だった。
血の混じった涎とともに漏れ出す、微かな呼吸音だけが暫く部屋に響き渡る。

それから、二十秒程立った頃だった。

タッ…

タッ…

タッ…

タッ…


(……!! う、嘘ッ……!!!)

シャドウはまだ、生きていた。鈍い足音が確実に、朱美の方へと近付いてくるのがわかる。

(こ、来ないでッ……)

朱美の心は恐怖で染まり、何度も何度も、途中で足を止め倒れることを願った。
しかし願い虚しく、シャドウにはまだ動けるだけの体力が残されているようで、何の障害も無くなったことで容易に朱美の側へと辿り着く。

「ヒッ……ッ!!」

死を覚悟した朱美の顔に、恐怖の色が広がった。
シャドウを映す瞳は見開かれ、少しでも空気を吸うためにあんぐりと開けていたはずの口が震え、カチカチと歯のぶつかる音を立てる。

だが、朱美を待っていたのは、死よりも恐ろしい仕打ちだった。


942 : ハム子から吸収 その5 :2015/04/30(木) 01:17:22 thpQsgBo
「つっ……!?」

すぐに朱美を手にかけると思ったシャドウは意外にも、左腕を朱美の首の後に回し、彼女の上半身をゆっくりと持ち上げる。
上半身の痛みに朱美の顔が歪むが、それよりもシャドウが何をしてくるのかということに気が向いていた。

朱美を抱き起こしたシャドウは、空いた右手で顔についていたピンクの仮面を剥がした。
中から出てきたのは、鼻と唇の形が浮き上がっている以外はのっぺらぼうに近い、黒ずくめの顔。
そして、その顔を朱美の方にゆっくりと近づける。

(……ま、まさか……!!!)

朱美の脳裏に一つの嫌な予感が浮かぶ。
シャドウは唇を『う』の時に変え、更に彼女の顔へと近づけていく。
キス―それがシャドウの目的であることは、朱美はすぐに理解した。

「ひっ……いぃ、イヤぁ、やめてっ……あぁっ……!!」

朱美は必死で顔を背けようとするが、首筋にも痛みが走り、まともに顔を動かすことさえ出来なかった。

「た、たたっ、たすけてぇ、荒垣、さんっ……」

情けない声で想い人の名を口にする頃、シャドウの唇は朱美のものと重なる寸前だった。

朱美は、今までキスをしたことがなかった。
生まれ持った容姿は男子の気を引くには十分だったが、早い頃に両親を亡くし転校を繰り返したため恋人が出来る暇など無かったし、
重たい境遇の自分を受け入れてくれる程包容力のありそうな人間でないと、彼女自身もアプローチ出来ずにいた。

なので、初めてのキスは荒垣―ぶっきらぼうで人相は悪くとも、内側に優しさと大きな包容力を持った男に、捧げると決めていた。
しかし、そんな彼女の淡い願いは、今一匹の怪物によって踏みにじられようとしている。

シャドウの穢らわしい黒い唇がグチュッ、と音を立てて、薄紅色で形の整った朱美の唇を侵食する。
そして構内にも舌が挿入され、ざらついた感触が朱美の口内に広がっていく。

「んっ……んむっ………んもっ……んんっ………」
(お願い……やめて……やめてよおぉ………)

朱美は大粒の涙を流しながら心のなかで必死に懇願するも、為すがままにファーストキスを奪われるしか無かった。
せめて、相手の顔を見ないようにしながら必死で荒垣の顔を想像し、現実逃避しようと試みる。

「んうぅッ!!!」

だが、突然体を駆け巡った衝動に、彼女の思考は中断される。
シャドウは空いた右手で朱美の左の太腿を触り始めたのである。
脚にはさしたるダメージを受けていないので痛みはないが、つつっと撫でられ、グニグニと揉まれる度に甘い刺激が体を駆け巡り、何も考えられなくなってしまう。

(もう……嫌だ……何も、考えたくないよ………)

身体も、頭の中もすべて支配されたような絶望感が朱美の心を包む。最早、泣きじゃくる気力すら残っていなかった。
このまま快楽に身を委ね、せめて楽なままで、闇に意識を委ねてしまおう―そう思った朱美は虚ろな目をゆっくり閉じ、そのまま眠りについた。

だが、シャドウはそれすらも許さなかった。


943 : ハム子から吸収 その6 :2015/04/30(木) 01:19:13 thpQsgBo
「……ッ!!!!  ん゛も゛オ゛オ゛オ゛ォォォォォォォォォォォォォォヴゥッ!!!!!!!!!!」

突然朱美は頭からつま先にまで、全身に走る激痛に身悶え、カッと目を見開いてくぐもった叫びを上げる。
思わず全身がビクンッと跳ね、弓のように仰け反った。
そして、それを見計らっていたかのようにシャドウは糸を引かせながら彼女から顔を離す。

実は、シャドウは単に快楽が目的で朱美にキスをしていたのではない。キスをすることで彼女の中に残っていた僅かばかりの生命力を吸い取っていたのだ。
そして完全に力を吸い取った際に、それを合図するかのごとく強烈な痛みが朱美の身体を襲ったのである。

「…………ん゛ア゛ァッ……………」

見開かれた朱美の両目が、くるんと裏返る。シャドウは支えていた左腕を彼女から離し、身体を床に横たえる。

「ン゛オ゛ッ………オ゛ア゛ッ………エ゛ェッ………」

朱美は、
まるで絶頂に達したかのように朱美の全身はビクンビクンと跳ね、
まるで潮を噴くように股間から黄色い小便を垂れ流し、
まるで喉が潰れた時のような汚い声を、舌を出した口から漏らしていた。
その様子をシャドウは、エネルギーの吸収により更に逞しくなった腕を組みながら、満足気に眺めていた。

やがて、朱美の体の震えが止まるとシャドウは彼女を持ち上げ、抱きしめる。
力を吸い取られて絞りカスのようになった朱美だが、どうやらシャドウは彼女の身体を気に入ったらしく、再びその感触を楽しんでいるようだ。
シャドウが抱き締める力をより強くすると、シャドウの玩具と成り果てた朱美が、再びビクンと身体を震わせる―

その光景を、部屋の外から眺めている者が居た。荒垣真次郎だ。
もっとも、眺めたくて眺めているわけではない。扉を開けても見えない壁のようなものが立ち塞がり、それは彼の豪腕と斧を持ってしても傷ひとつ付かない代物だった。
いくら呼びかけても音はその壁に遮断され、彼の声が朱美に届くことはなかった。
彼の他には、誰もその場には居ない。全員、朱美と対峙したシャドウの手下に翻弄され、足止めされている。
唯一辿り着いた荒垣も、為すがままにされる朱美を前に何も出来ず、彼は自らの不甲斐なさに怒りを爆発させ、膝をついて床を思いっきり叩いた……。


◆ ◆ ◆


影時間は、一日に一時間だけ現れる隠された時間。
残された時間は、後二十分程である………。

―おわり―


944 : ハム子の人 :2015/04/30(木) 01:32:30 thpQsgBo
あ、初見の人用にハム子の名前について解説するの忘れていた・・・orz
ハム子の名前は黒鷺 朱美(くろさぎ あけみ)と言って、以前も使っていたオリジナルネームです
特に決まった名前がないので前回はわかりやすさ重視で「公子」という名前にしたんですが、
やっぱり朱美のほうが綺麗な名前だなと思い今回再び戻しました ころころ変えちゃってすみません…

今回ですがハイレグの魅力の一つである脚や尻にセクハラしつつエナジードレインしたかったのでこのような形に
最後はバージン奪わせても良かったんですが、性描写に自信ががなかったのとリョナ的な方が好きなので壊れたお人形化させました

もうこのスレも900番台ですが、思えば>>175からほぼハム子一本で書いてきたのか…いやホント何度も書いてすみません
今回のでやりたいことは大体やったと思うので、特にリクとか無ければ、次書くとしても違うキャラに挑戦しようと思います
それでは、お目汚し失礼しました


945 : 名無しさん :2015/04/30(木) 13:01:17 ???
ハム子いいよね…


946 : あかねの人 :2015/04/30(木) 17:19:43 ???
どうも、あかねの人です。
>>944
SS堪能させてもらいました。
エナジードレイン良いですよね。エロ要素と何もできなくなる敗北感があって最高です。ハム子の人の次回作に期待大です。


ついでにPSYCHO-PASSの霜月リョナSSを投下します。
※今回はエロ要素はなく、ライトな格闘リョナです。
 キャラ崩壊等を含みますので、そういったものが苦手な方は読み飛ばしてください。
 また、SSのなかで作品の世界観を説明すると前置きが長くなりすぎるので省いています。


947 : あかねの人 :2015/04/30(木) 17:20:58 ???
1.

「監視官にも近接格闘訓練? 実戦を想定した格闘訓練ですか?」
「そう。新年度からの訓練要綱改定で追加されたの」

先輩監視官から人事部の通知文を受け取った霜月美佳(しもつき みか)は訝しげに眉を顰める。

「ドミネーターが支給されている刑事課には必要ないと思いますが……」

厚生省管轄公安局刑事課の監視官及び執行官の任に就く職員には、
『携帯型心理診断・鎮圧執行システム・ドミネーター』と呼ばれる大型拳銃型の装置が支給されている。
このドミネーターと呼ばれる装置は、シビュラシステムとリンクされており、標的の犯罪係数を測定し、その数値に応じて標的を無力化するもので、
犯罪の取り締りを行う刑事課の職員にとっては必要不可欠な武器である。
しかし、

「ドミネーターは万能じゃないわ」

そう語る先輩監視官――常守朱(つねもり あかね)の表情は厳しい。

「あなたが配属されるまえにサイマティックスキャンを妨害するヘルメットを使った事件が起きたの。大きな暴動事件にも発展したから知ってるでしょ」

紡ぎだす言葉を一語一語選びながら、新任監視官の美佳にドミネーターの欠点を説明する。
ドミネーターは対象を照準した際に測定した犯罪係数をもとに、非殺傷での鎮圧を目的としたパラライザー、
規定の数値を超える犯罪係数を持つ標的を殺処分するエリミネーター、さらにドローン等対物用のデコンポーザーの3種類のモードが自動で設定され、対象を執行する。
つまり、何らかの手段で犯罪係数の正常な測定を妨害された場合、ドミネーターは無効化される可能性がある。
また、情報源と生かしておきたい標的であっても、犯罪係数が規定値を超えてしまった場合、ドミネーターは標的を社会に必要のないものとして殺処分してしまう。

「ドミネーターは強力な武器ではあるけど、欠点がないわけじゃない。だから、私達自身も鍛える必要があると思うの」

道具に使われないためにねと、先輩監視官はそう締め括ろうとしたが、霜月は納得できない点があったため、さらに問いかける。

「犯罪者および潜在犯の直接的な逮捕及び執行は執行官の役割です。監視官の役目はあくまで監視と指揮であって……」
「それは人員の問題ね」

公安局刑事課の監視官は俗に言うエリートコースで、10年勤めれば将来の出世は約束されている。
しかし、捜査の段階で凄惨な犯罪現場や異常な犯罪者に遭遇することから、精神を正常に保ち続けることは難しいとされ、監視官が精神の悪化から更正施設送りや執行対象になるケースすらある。
上記のような状況から職業判定で監視官になれる素質を持つ人間は少数であるため、優秀な捜査員であると同時に監視対象でもある執行官の人数にも制限があり、
公安局刑事課は慢性的な人員不足に悩まされているのである。

「不満はあると思うけど、現場は結構ギリギリのところでまわしてるから」
「べ、別に不満というわけではありませんが……」
「そっか、よかった」

杓子定規な問いに正論で返答され、口篭ってしまう霜月を見て、やや苦笑しつつ先輩監視官は続ける。

「でも、もし自信がないなら無理せずに執行官に任せれば良いから。まあ、規定の訓練と講習は受けてもらうけど」

しかし、この一言が美佳の琴線に触れた。


948 : あかねの人 :2015/04/30(木) 17:22:05 ???
2.
霜月美佳はエリートである。
名門私立女子高を優秀な成績で卒業し、職業適正において高い評価を受けたことから、18歳で異例の未成年監視官となり、
訓練施設においても教官から座学及び実技ともに高い評価受けていた。
しかし、エリートであることは事実なのだが、それと同じぐらいかそれ以上にエリート意識が強い。

『もし自信がないなら無理せずに執行官に任せれば良いから』

ゆえに先輩監視官が放ったこの一言は聞き捨てならないものであった。

「……先輩、それは私の能力に疑問を持っているということでしょうか?」
「別にそういうわけじゃないけど。監視官が実務的なことに手を出すことに抵抗があるようだったから」

抵抗はある。危険な役目をこなすということは、それだけ色相の悪化を招き、犯罪係数を上昇させかねないからだ。
監視官の職はあくまで指揮と監視であって、犯罪者を追い詰め、確保もしくは処分するのは猟犬役である執行官の役目だ。
危険な役目は執行官に任せればよいというのが、霜月美佳の、否、大多数の監視官の考え方である。
しかし、自身の能力を過小に評価されていることが気に入らなかった。

「わかりました。今から、私の能力を証明して見せます。先輩、訓練場でスパーをしましょう」
「……それは実戦を想定したものっていう理解でいいのかな?」
「もちろんです」

念を押すように確認する先輩に、美佳は笑顔で応えた。
日頃の鬱憤を晴らす良い機会だと思った。なぜなら、この先輩監視官が嫌いだったからだ。
配属されて数ヶ月であるが、美佳は常守朱とは徹底的に合わなかった。捜査方針や部下である執行官の扱い方など、ことあるごとに意見が喰い違う。
ときには、暴走ともとれるような理論的でない推測に基づいた捜査を行ったり、犯人を無傷で捕まえるために危険に晒すなど正気とは思えない行動を頻繁に行うのだ。
しかし、それでも古参の執行官達は美佳ではなく朱の意見を支持することが多く、自身が軽んじられているようで気に食わなかった。

(私が優秀だってこと証明してあげますよ、先輩)

訓練施設の実技項目でも優秀な成績を修めていたため、気に食わない先輩監視官を倒すだけの自信があった。
施設内の訓練場へと移動する道すがら、美佳は無様に転がる先輩監視官の姿を想像して独りほくそ笑んだ。


949 : あかねの人 :2015/04/30(木) 17:23:31 ???
3.
訓練場へ移動し、トレーニング用に支給されているタンクトップと短パンに着替える。
訓練場には他の監視官や執行官はおらず、貸しきり状態だった。

(……残念。みんなに先輩が無様に倒れるところを見てもらいたかったのに)

オープンフィンガーグローブとニーパッドをつけ、スパー用のリングで向かい合う。

「じゃあ、よろしくね」
「……」

先輩から差し出された拳に美佳が無言で拳をあわせ瞬間、タイマーでセットされたスパー開始のブザーが訓練場に響いた。
美佳は慎重に間合いを計りながら、ジリジリと距離を詰めていく。互いの体格はほぼ変わらないのでリーチ差を気にする必要はない。
互いに相手の隙を窺いつつ、自身の攻撃のタイミングを計る。

(積極的には攻めてこないか? なら、引き込むまでよ)

相手のガードのうえから左ジャブを打ち込み、わざと大振りの右フックに連携させると、朱は予想通り大振りな攻撃を潜るように美佳の懐に入り込もうと頭を下げた。

(ドンピシャッ!!)

頭を下げて懐に入ってきた朱の顔に向けて膝蹴りを打ち込む。だが、残念ながら相手の鼻が潰れる感触は伝わってこない。
膝蹴りのあたる寸前に両掌で受けられていたからだ。
しかし、膝蹴りのインパクトまでは殺しきれなかったのか、朱の上半身が仰け反るように跳ね上がる。その隙を逃すことなく、がら空きになった腹に前蹴りを突き入れる。

「ぐッ」

蹴りの威力に動かされるように退く先輩監視官の表情が僅かに歪んでいるのを美佳は見逃さなかった。
一気に勝負を決めようとと後退する相手に追い縋るように距離をつめ、タックルを仕掛ける。
美佳の掌が相手の脚に届こうとしたそのとき、背中に急激な圧を感じ視界に床が広がる。

(あのタイミングでがぶられた!?)

タックルに対し上から体重をかけられ、床に押さえ込まれるように潰されたのだと気付いたときには、美佳の脳天を思い衝撃が突き抜けた。
上から押さえつけられた体勢のままの美佳の頭部に何度も膝を打ち付けられる。ニーパッド越しとはいえ、その衝撃は馬鹿にできない。

「このッ!!」

痛みと衝撃に耐えながら、膝が打ち込まれるタイミングに合わせて膝裏を取り、相手の体勢を崩す。
自身を押さえつけていた腕を払いのけ、なんとか後退し距離をとる。
先輩監視官は追撃はしてくることなく、どこか余裕を感じさせる表情でこちらの様子を窺っていた。


950 : あかねの人 :2015/04/30(木) 17:24:36 ???
4.

(……攻めてこない。舐めてるのね、私のこと)

絶対に後悔させてやると胸に誓い、グッと唇を噛むと微かに血が滲んだ。
しかし、相手が積極的に攻めてこないことと唇を噛んだ痛みにより、朦朧としていた頭は少し回復していた。

「じゃあ、今度はこっちから行くね」

美佳の回復を待っていたかのように、朱が動き出す。
素早いステップとともに繰り出された突きが美佳の顔を捉えた。

「くッ」

美佳も負けじとこぶしを振るうが、先輩監視官はすでに間合いの外にまで退いていた。
その後も絶妙の入りと出を繰り返され、まともに反撃できないまま、顔や腹に拳を受けてしまう。

(くそ、ちょこまかと)

一方的に攻撃され、美佳の表情にも焦りが浮かぶ。このままでは自分のダメージだけが蓄積する。

(一撃一撃はさほど重くはない。それなら多少強引でも接近して――)

頬に拳を受けながらもバックステップで再び距離をとる先輩監視官に追い縋るように距離を詰め、右の拳を打ち出す。
しかし、

「――ッ」

悲鳴を上げたのは美佳だった。強引に前に出ようとしたところを逆に懐まで入られ、足を払われ転ばされたのだ。
しかも、倒れる際に頭部を押さえつけられマットに頭を打ちつけられる。鈍い衝撃が後頭部を襲い、視界がチカチカと明滅する。
痛みにうめいている場合ではない。自身が転がされたのだと気付いた瞬間、両腕をクロスさせ、顔を守る。パウンドを警戒してのことだ。
しかし、衝撃は予想外のところから美佳を襲った。

「せやぁっ」
「がはぁ」

訓練場に美佳の苦悶の呻き声が響いた。
先輩監視官は美佳のがら空きになった腹部に、掛け声とともに下段突きを打ち下ろしたのだ。
衝撃が腹筋を突き破り、内臓にまで達する。
逆流してきた少量の胃液を吐き出しながら呻く美佳の腹をさらに追撃の下段蹴りが襲う。

「がぁッ……おェッ」

顔を守れば腹に、腹を守れば顔に蹴りを打ち込まれる。下段蹴りが3発ほど決まったところで、そばかすの浮いた美佳の顔は涙と鼻血、さらに口から垂れた胃液で汚れていた。
それでも、攻撃止んだ隙に距離をとり、ふらつく足でなんとか立ち上がる。


951 : あかねの人 :2015/04/30(木) 17:25:36 ???
5.

「すごいガッツね、霜月監視官」

涙と血と胃液で汚れた顔を腕で拭い、ファイティングポーズをとる美佳に、朱は満足そうに賞賛を送る。
しかし、それは美佳にとっては屈辱以外の何物でもなかった。ガッツ以外見るべきものは無いと言われているようにしか聞こえなかった。

「まだ、勝負はついていません」

肩で息をしながらそう返すのが精一杯だった。

「そっか。じゃあ、最後まで頑張って抵抗してね」

その方が訓練になるし、先輩監視官はそう言うと、にへらッと笑った。
その笑みを見て、はじめてゾクリと背筋に悪寒がはしった。決して狂気や凄惨さを感じる笑みではないのに怖かった。

(退いたら負けるッ)

恐怖に背中を押されるように一歩踏み出し、姿勢を低くしタックルを仕掛ける。
……と見せかけ、低空タックルのモーションのまま腕を大きく振り上げたロングフックをガードの下がった朱の顔に打ち込む。

(ガードされた!? でもッ!!)

ギリギリのタイミングでガードされてしまったが、フックの威力に押され、バランスを崩した相手の腹に組み付くことに成功する。
だが、僅かな勝機を見出した美佳が次の行動に出るよりも早く、その首に先輩監視官の腕が蛇のように巻きつき、頚動脈と気管を絞め上げる。
さらに、引き込まれるように倒され、先輩監視官の脚が美佳の胴に巻き付き、首と同時に胴も絞められてしまう。

「がッ……あ……」

相手を持ち上げてマットに叩きつけようとするが、完全に決まったフロントチョークから逃れることはできず、無様に手足をバタつかせることしかできなかった。

(やば……も……う……)

美佳は徐々に薄れていく意識のなか、

「今日はこれで終わり。明日も事件が起きなかったら訓練しようね」

そう話しかける常守朱の声が聞こえたような気がした。


952 : あかねの人 :2015/04/30(木) 17:26:48 ???
以上で終わりです。
設定を訓練にしたせいで過激なこと全然出来なかった。そして失禁シーン入れるの忘れた。
まあ、少しでも皆さんの妄想の糧になれば幸いです。
もし、感想やアドバイス、リクエスト等ありましたらお願いします。


953 : 名無しさん :2015/04/30(木) 20:55:06 ???
二人ともGJです!

>>ハム子の人
相変わらずのハム子愛にあふれたSSで良かったです!
次回作はハム子の人の新境地となるのだろうか

>>あかねの人
前回のあかねのときもそうでしたが、うぬぼれた女の子が呆気なく負けてしまうのが可愛いです
ぜひぜひ、これからもいろんなキャラの鼻をへし折ってあげてほしいですw


954 : 名無しさん :2015/05/01(金) 12:53:50 ???
二人とも乙でした
まだ読めてないSSもあるし楽しい連休になりそうだ

ところでみんなは参考にしてる作家とかいるの?
有名作家に限らずこの板とかpixivとかで影響受けた人がいたら参考までに教えてくだしあ


955 : 名無しさん :2015/05/02(土) 20:31:00 3UOCz0io
ドクンドクンと心臓が暴れだす。

激しさを増す鼓動の中、坂井悠二は手の中の小瓶の封を開け、

―中身を飲み干した―

無味無臭の液体が口腔を通り過ぎた瞬間全身に灼熱が駆け巡る。
謎の液体が坂井悠二を構成する細胞一つ一つを侵食し、作り変えてゆく。
フレイムヘイズを討伐し、蹂躙し、存在の力を根こそぎ絞りつくす獣へと変貌を遂げる。

「ぐぅっ!!」

思わずうめき声を上げそうになるも必死でこらえる。

激痛が迸る。胃の中に灼熱のマグマをぶちまけられたような感覚を覚える。
全身に酸をぶちまけられ侵食されていく感覚。
坂井悠二という存在を抹消される不快感。普通に考えれば一瞬に発狂する苦痛。
だというのに―

「はっ…あは、ふふふ…」

坂井悠二は満面の笑みを浮かべていた。

そうだった。自分が何を求めていたのかがようやく分かった。

雌を暴力で屈服させ存在を蹂躙したかったのだ。
初めて出会った時から、シャナを凌辱したくてたまらなかったのだ。

まるでプログラムをインストールするように坂井悠二に能力の使い方が刻み込まれていく。

能力だけではない、さまざまなフレイムヘイズの攻略方法が坂井悠二の脳内に刻み込まれていく。
炎髪灼眼の討ち手の、弔詞の詠手の、万条の仕手の、様々なフレイムヘイズの弱点から能力を無効化する方法まで全身に刻み込まれていく。

勝てる。例え万全の状態で対峙したとしても、圧倒的な勝利を得ることができる。
彼女らを理不尽な暴力で蹂躙して存在の力をじっくりと吸いつくす力が与えられた。

全身の細胞が歓喜の声を上げる。再構成が完了したのだ。

蹲っていた体をゆっくりと持ち上げる。
両手を握りしめてあらたな力を確認する。


956 : 名無しさん :2015/05/02(土) 20:32:21 3UOCz0io


不意に、プレゼントボックスの中から身動きする音が聞こえる。

シャナが起きたのか?

プレゼントボックスの中に炎髪灼眼の討ち手がいる。
四肢を拘束され、自在法を封印され。恐らく坂井悠二が蹂躙しやすいように、徹底的に痛めつけられて―

下卑た妄想が現実となる感覚にペニスが痛いほど勃起する。

もう我慢できない。直ぐにシャナを犯したい。犯すだけじゃいやだ。傷めつけたい。泣かせたい。あの生意気な表情を、凛とした表情を涙とよだれでぐちゃぐちゃにしたい。
その上で力を根こそぎ搾りつくしたい。

欲望が止まらない。
はやる気持ちが止まらない。
まるで絶頂するかのように坂井悠二のペニスが何度か痙攣する。

焦る気持ちを抑え、プレゼントボックスの蓋を空けた。


素晴らしい。

それが蓋を開けた坂井悠二の率直な感想であった。

シャナが拘束されている。ビデオの状態から少し回復したのか炎髪に戻っていた。犯人は実によく分かっている。

複雑な文字が刻み込まれた赤黒い布で四肢を縛りあげられ、目隠しをされ、猿轡をかまされている。
赤黒い布は闇夜の中薄暗く光り、シャナの力を封じている雰囲気を漂わせている。

服装はビデオのままであった。外套のみを許され、あとは全裸であった。
局部を露出し、毛も生えそろわぬ秘部に、慎ましげな乳房の頂点にある桃色の乳突起もすべて坂井悠二の目の前に存在している。
映像でも妄想でもない。現実にシャナの裸体が目の前にあった。

そして、全身打撲痕まみれであり、両手足があらぬ方向にねじ曲がっていた。


957 : 名無しさん :2015/05/02(土) 20:33:44 3UOCz0io

折れている。
右手も左手も二の腕の途中でくの字に曲がり痛々しいほどに腫れあがり、太ももにいたっては折れた大腿骨が肉を貫き血が溢れ出している。

ごくり、と坂井悠二が喉をならす。ふらふらと何かに導かれるようにシャナの折れた腕にそっと手を這わせ、思いっきり握りしめた。

「っっ!!?」

シャナの全身が跳ね上がる。相当な激痛だったのか、まるで芋虫のように全身をくねらせる。

失敗した。シャナの猿轡を外すことを忘れていた。これでは悲鳴が聞こえない。

そっと猿轡を外す。何事か聞こえるがそこに興味は無かった。シャナの声が聞こえることを確認し、もう一度折れた部分を力いっぱい握りしめた。

「ひぃ!?がっ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!???」

シャナが獣のような悲鳴を上げる。あんなに理知的で誇り高い少女が痛みに耐えかねてまるで赤子のように泣きわめいている。
目隠し濡れている。泣いているのだ!坂井悠二がシャナを泣かせたのだ!

もう一度折れた腕を握りしめる。いや、握りしめるだけでは芸がない。握りしめた後に思いっきり引っ張って、ねじ切るようにギュッと回してみる。

「やめッ!!いたい!!やだ、助けて!?あ、あああああああああああああああああああ!?!?」

炎髪灼眼の討ち手が子供のように泣きじゃくる。坂井悠二は既に射精していた。

『貴様ぁぁぁぁぁ!!!!』

不意に、足元から声が聞こえた。ペンダントだ。シャナがいつも付けていた、アラストールが収まっているペンダントだ。
それがプレゼントボックスの片隅に、まるでガムテープでグルグルにされた粗大ゴミのように放り捨てられている。

干渉することも出来ず、ただ眺めるだけの存在に嘲笑を溢せば見せつけるようにシャナの腕を捻りあげる。

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

過呼吸状態にでもなったのか、遂に悲鳴を上げることも出来ずに、さながら重度の喘息のように激しい呼吸を繰り返し、全身を痙攣させる。
まるでブリッジするように全身を仰け反らせると、可愛らしい乳首が坂井悠二の目の前で自己主張するように震えている。

弾かれたように、シャナの乳突起を咥え込み音を立てて吸いたてる。
保護者とも言うべき紅世の王の前で性的な蹂躙が開始される。

怒り狂ったような王の叫びが響くが坂井悠二は気にしない。


958 : 名無しさん :2015/05/02(土) 20:36:10 3UOCz0io
「―――っ、―――ぁ」

坂井悠二が音を立てて乳首を吸いたてるたびに、シャナがぴくりぴくりと反応する、雌の部分が反応しているのだ。

「ん、んあぁあっ…ああ!!」

乳輪なぞる様に舌先を擽り、軽く乳首には噛みついてみせ、乳首の先舌先素早く動かして執拗に何度も爪弾いて見せれば、
シャナの全身がビクン!と跳ね上がる。先ほどの激痛による痙攣と違い小刻みに続くその痙攣は明らかにイった証拠であった。

瞬間、坂井悠二の唇はシャナの力の根幹を捉えていた。坂井悠二はこの一瞬で、力の吸収方法を本能的に理解した。
存在の力は所有者の精神防壁によって守られており、絶頂時や心が屈伏した瞬間は著しく防御力が弱まり、非常に簡単に力の源にアクセスすることが可能となる。

ちょうど、今この瞬間のように。

「いやぁ!?駄目ぇっ!?ひぃぃぃぃぃぃん!?」

炎髪灼眼の討ち手が悲鳴を上げる。自分の身に何が起きているのか、最も理解している彼女はもはや許しを請うこと以外にできないという現実を正しく理解していた。

「や、やめてぇ!お願い…ゆーじ、たすけて…」

遂にシャナが許しをこう。許しを請うだけでなく、坂井悠二に助けを求める。

一旦、乳首から唇を放し、顔を上げる。目の前には目隠しをされた少女。

不意に、坂井悠二がシャナの目隠しを外す。

「えっ……ゆー、じ?」

グシャグシャであった泣き顔が一転、茫然とした表情となる。

「な、なんで、うそ…?」

坂井悠二はペニスを取り出し、シャナのヴァギナへ添える。

「ゆーじ!?なんで!?嫌だ!!やめて、やめ、いやぁぁぁぁぁぁぁぉあ!?!?」

腰を突き上げてシャナのヴァギナを侵食し、再びシャナの乳首に口づける。

炎髪灼眼の討ち手が大きく体を跳ね上げ、目を見開いてくぐもった叫びを上げる。

「ん゛ア゛ァッァァァァァァ!?」

シャナが先ほどまでとは比較にならない、獣のような叫び声をあげる。

暴力によって、快楽によって、完全に敗北した炎髪灼眼の討ち手の精神防壁等無きに等しく、吸収能力を全開にした坂井悠二の能力がさながら触手のように存在の力に突き刺さり深い脈動を開始する。
その激痛、屈辱、そして性的な快感、あらゆる敗北感がシャナを凌辱していく。

じゅぷじゅぷと乳首にキスし、何度もシャナのヴァギナにペニスを突き立てる。
もはや坂井悠二は何度射精したかわからない。

ただ、力の吸収は最大効率で行われ、すでに炎髪灼眼の討ち手は黒髪黒眼となり果てている。

「ァッ…ア゛ァァ゛…………」

遂にシャナの瞳が裏返り白目となる。口角泡を吹き、失禁を開始する。すでに意識を失っているのか悲鳴は聞こえないが、全身の痙攣はとまらず坂井悠二がキスをするたび、ペニスを突き立てる度に弓のように全身をしならせ痙攣する。

ここまではビデオを同じだ。坂井悠二はこの先が見たかった。まだ、炎髪灼眼の討ち手には力が残されている。搾りカス程度であるが、まだ残っている。

より深く、奥底に眠るその力を吸いつくしたい。そう思い坂井悠二は再び凌辱を開始する。

『ーーーーーーーーー!!』

無力な王が何事が叫ぶ。坂井悠二は気にしない。ただ、無慈悲にシャナを凌辱する。
何度も乳首を吸い上げ、ペニスを突き刺す。シャナの奥底に隠された存在の力を暴くために執拗に未成熟な肢体をしゃぶりつくす。

「…見つけた…」

シャナの子宮の奥深くに、幽かな力の塊を見つけだす。必至でのがれようとその光目指し意識を集中すれば、まるで触手のように坂井悠二の力が突き刺さり、ドクン!と音を立てて脈動を開始する。

「ンア゛ァ!?…ギャァァァァァアッ!!!!」

獣のような悲鳴が上がる。白目をむき、失禁と脱糞を繰り返しながら、シャナの体がビクンビクンとのたうちまわる。

アラストールが雄たけびを上げるが何も起きない。

そして…

「あっ…」

すっ、と実にあっけなく、炎髪灼眼の討ち手が消滅した。


静寂だけが場を支配する。

シャナが消えたというのに、興奮が収まらない。

いや、違う。欲望は膨れ上がっていた。
弔詞の詠手、万条の仕手。少なくとも知り合いにとても美味しそうな獲物がある。

こいつらは雑魚だ。なぜなら攻略パターンはすでに坂井悠二にインストールされている。

なんて楽しそうなのか。こいつらは坂井悠二の能力を知らない。当然自分のほうが強いと思っている。
そんな女を実力で蹂躙し、力を搾りつくす。

今宵、一人の化け物が誕生した。
フレイムヘイズも徒も王も関係ない。
何もかも蹂躙して力の限りを奪いつくす化け物が産声を上げたのだ。


959 : 名無しさん :2015/05/02(土) 23:42:49 ???
不破さんの首吊り妄想書いてくれた方いますかね?


960 : 名無しさん :2015/05/03(日) 00:12:58 ???
>>959
では無いんだけど不破優月のやつ書いてくれた方に僕が思いついた話を

あの物語の主人公がついに本当に首吊り殺人をやってしまう‥なんてどうでしょう?なかなか面白いキャラでしたので、もう一度くらい彼の活躍(?)を見てみたいです
全く同じ感じだと意味が無いので被害者は変えて(不破以外の首吊りも見てみたくなった‥とか)、妄想だけでは我慢出来なくなり、呼び出して首吊りにしてしまう
しかし妄想以上に悲惨な死に方でショックを受ける‥という流れはどうでしょう?
妄想以上に興奮するという意味での「ショック」でも、妄想とは違うあまりにも悲惨な死に方に文字通り「ショック」を受けるのでも、どちらも面白そうです
被害者は同じ世界観なので暗殺教室の女キャラから引っ張って来て矢田桃花なんかどうでしょう?
https://pbs.twimg.com/media/B291lA3CEAA8baH.jpg

不破優月を書いてくれた方以外の方でも大歓迎です


961 : 名無しさん :2015/05/03(日) 00:21:10 ???
ノエルの人……もとい不破の人です

>>958
好きなキャラだったので、楽しみにしてました!
なんだか自分が好きなツボと似ている気がします。
このままヴィルヘルミナやマージョリーやヘカテーさんを……

>>959-960
わたしです(AA省略)
なんでしょう


962 : あかねの人 :2015/05/03(日) 01:55:41 ???
感想ありがとうございました。

>>953
プライド高い女性の心が折れる音が好きなんですよww
それが格闘でも陵辱でも、敗北感に打ちのめされている女性は美しいものです。
>>954
格闘リョナが好きなので、格闘シーンが多い漫画を参考にすることが多いです。
漫画だと鉄風とか空手小公子とかを参考に書いてます。
もともとレッスルエンジェルスのスレでリョナSS書いていたので、そこで投下されていたSSとかにも結構影響受けているかもです。


とくにリクエストとかなかったら、次は攻殻機動隊の草薙素子かストリートファイターの春麗のどちらかでSS投下すると思います。
どっちもオバ……ん? こんな時間に来客かな?


963 : 名無しさん :2015/05/03(日) 09:12:11 ???
>>961
960ですが、こんなの(>>960)なんてどうかなーと思い、思いついたシチュエーションを書いてみました
別にリクエストとかでは無いので気が向いたらどうぞ(なんか上から目線な感じですみません)


964 : 名無しさん :2015/05/04(月) 00:06:23 nrluQjSk
>>960
不破の人では無いけど、なかなか面白いシチュエーション!


965 : 名無しさん :2015/05/04(月) 00:07:28 ???
>>963
リクありがとうございます。書くかどうかは分かりませんが、検討してみようと思います。
不破さんのSSは、責められキャラがごく普通の女の子であるというところが、今までにないポイントだったのかなと思います。
現実にやってみてショックを受けるとなると、抜けるSSになるかどうか難しそうですね


966 : 名無しさん :2015/05/04(月) 00:31:37 ???
ネタに困ったら是非お願いします笑
提案した者として採用していただけたら非常に嬉しいし光栄です

そうですねぇ
僕もそこに興奮しました
僕が例として挙げてみた矢田桃花は不破さんよりは普通ながらもマドンナ感があるので


967 : 名無しさん :2015/05/04(月) 00:35:31 ???
堕ちていく感じが堪らないと思います

確かにそうかも‥
なら、現実にやってみたら妄想より激しくて興奮するとか
見るからに美人タイプの女の子が命乞いしながら事切れていく様子に妄想以上に興奮しまくる主人公‥


968 : 名無しさん :2015/05/04(月) 00:49:39 ???
あの系統の次作があるなら今度は逝った後の凄い表情の描写が欲しいな。白目剥いてでろんと舌を出して‥‥


969 : 名無しさん :2015/05/04(月) 01:34:40 nrluQjSk
絶対興奮するな、矢田さんの首吊りSS
もう、一生のお願いレベルで書いてみて欲しいw実際、一年はそれだけで満たされそう
何人か掛かりでゴリ押しみたいになって申し訳ないですが、ぜひお願いします!

‥ちなみに俺も一応SS書く側なので頑張ってみますw


970 : 名無しさん :2015/05/04(月) 10:13:12 ???
久しぶりに来たら色々とSSが!
>>958失禁と脱糞コンボは人を選ぶかもしれませんが良いですねー
>>952サイコパスで来るとは珍しい…
訓練によるリョナも良いですね〜
>>941
HP消費系の技をこう表現するとは!
エナドレ系で痛みを出すのもしく感じたりも
で搾りかすみたいな扱いにも興奮しました!
>>944
リクと聞いたので……
P4Uのコスの美鶴センパイをお願いしてみたりも……


971 : 名無しさん :2015/05/04(月) 10:51:51 ???
そろそろ次スレの時期か


972 : 名無しさん :2015/05/04(月) 12:02:25 ???
>>968
下半身は失禁脱糞ね


973 : 名無しさん :2015/05/04(月) 15:21:02 ???
矢田っち良いね!!
あの美貌から凄い声が出ちゃうのかね


974 : ハム子の人 :2015/05/04(月) 21:52:39 ???
遅ればせながら、皆さん感想ありがとうございます。あと後に続いたお二方もお疲れ様でした!

>>あかねの人
相変わらずの格闘リョナご馳走様でした。鼻っ柱を折られる精神描写も絡められてて良かったです
次回も楽しみにしてます

>>955
元ネタはあまり知らないのですが、リョナに目覚めた恋人にアレコレされてしまうというのは素晴らしいですね
自分もシャドウに乗っ取られた荒垣さん辺りににこれぐらいやらせれば良かった、と思える程でしたw

次スレでも忘れた頃にハム子書くかもしれませんが、まずはせっかくリクをいただいたので美鶴にチャレンジしてみたいと思います。
単品ではリョナったことは無いので、書くのが結構楽しみです

>>954
自分の中でSS自体を書くきっかけになったのは遊戯王スレに投下していた方の作品でした


975 : 名無しさん :2015/05/05(火) 14:12:20 ???
制服のまま首吊りになるのっていいよね‥
エロ的にはこと切れた後に脱がしたりするのかもしれないけど、あえて制服のまま吊らせとくのにエロを感じる‥
発見される時には色々と凄いことになってるんだろうなぁ


976 : 名無しさん :2015/05/06(水) 00:34:47 ???
斉木楠雄のΨ難の照橋心美が首吊りになるSSとかも読んでみたいな


977 : あかねの人 :2015/05/06(水) 03:03:23 ???
どうも、あかねの人です。
ストリートファイターの春麗リョナSSを投下します。
あいかわらずの残念クオリティ格闘リョナですが、皆さんの妄想の糧になれば幸いです。


978 : あかねの人 :2015/05/06(水) 03:04:25 ???
1.

煙草の煙が充満した部屋で、長髪の若者が不安そうに時計を見ていた。

「救援はまだ来ないんですか?」
「あと2時間ほどで到着するかと」

護衛役の女性捜査官の事務的な回答では不安を払拭することは出来なかったのか、煙草の火を灰皿で神経質そうにもみ消しながら、苛立たしげに煙を吐き出す。

「やはり地元警察に応援を頼むべきじゃありませんか?」
「先ほども説明しましたが、現地警察は当てにできません。シャドルーの手は貴方が想像してるよりはるかに長いのです」

どうしてこうなったと嘆く若者――ギュスター・レンツは懐から新たな煙草を取り出すと火をつけ、紫煙を肺一杯に吸い込み、鼻から吐き出す。

(想像以上に肝っ玉の小さい男ね。まあ、温室育ちの科学者じゃこんなものか)

護衛役の女性捜査官――春麗は護衛対象の狼狽振りに溜息が出そうになった。
ギュスター・レンツは齢25歳にして5つの博士号を持つ有名な脳科学者だが、現在は犯罪組織シャドルーに追われる身だ。
別任務での撤収作業中に、誘拐されそうになっていた彼を偶然助けた春麗だったが、それは厄介事を背負うことに他ならなかった。

(チームの皆には悪いことをしたわね)

若き天才脳科学者が狙われている理由はいまだ不明だが、彼の頭脳がシャドルーに渡れば、碌な事にならないことだけ理解できた。
犯罪組織シャドルー専任捜査官として、かの組織と相対してきた春麗にとって、彼を助ける理由はそれだけで十分だった。
だが、状況は決して良くなかった。

(武器も人員も足りない。なんとかホテルの最上階のワンフロアを無人には出来たけど……)

すぐに救援を要請したが、悪天候のため、飛行機の到着が遅れていた。
救援が到着するまでの2時間、春麗を含めて5人の捜査官で守りきらなければならない。

(……諦めてくれれば良いけど)

希望的観測を頭を振って追い出す。ベガを首領とするシャドルーはそのような甘い組織ではない。
ベガがレンツ博士の奪取を望んでいるなら、部下達は死に物狂いで任務を遂行しようとするだろう。まさしく命が掛かっているのだから……。

「クック、そちらは異常ないか?」

胸に疼きはじめた不安を払拭するため、耳にかけたイヤーカフス型の小型通信機で、下階に繋がる唯一の階段を監視している部下に呼びかける。

『こちらクック、異常ありません。……いや待て。エレベーターが一機こちらに向かってきている』

部下からの報告を聞いた瞬間、背筋に悪寒が奔る。春麗は直感した、これは襲撃だと。


979 : あかねの人 :2015/05/06(水) 03:05:25 ???
2.

「これはおそらく襲撃だ。各員持ち場に就け。護衛対象は私が直衛する」
『了解ッ!』

部下達から張り詰めた応答が返ってくる。
春麗もサブマシンガンで武装し、状況を理解できずにオロオロと狼狽する若き脳科学者に声を張り上げる。

「リンツ博士、荒事になります。どこかに隠れていてください」
「どこかってどこッ? 守ってくれるんじゃないのか?」

目尻に涙を浮かべながら縋り付いてくる護衛対象を振り払い、その尻を浴室に向けて蹴飛ばす。

「浴槽の中で頭を低くしていてください。おそらく銃撃戦になります」
「……分かった」

普段なら女性に尻を蹴られたなら顔を赤くして怒り出しそうなものだが、非常時で混乱しているおかげで素直に浴室へ身を隠す。
あらかじめバリケード代わりに倒しておいた鉄板で補強した机の後ろに自身も身を隠し、改めて部下に指示を出す。

『エレベーターが到着しました。……指示を』
「カルロはエレベーターの確認、クックはバックアップを。サリーとエンリケスは陽動に備え、非常階段を見張れ」

エレベーターの確認に向かったカルロの報告を待つ。1秒が異様に長く感じられた。

『こちらカルロ、エレベーターは無人……ああッ、クソッ!?』

部下の罵声に覆いかぶさるように、腹に響く爆発音が鼓膜を強烈に打った。

「クック、今の爆発はなんだ? 報告をッ」
『わかりませんが、トラップのようで――』

部下の報告が途切れた直後、通信機から銃声が鳴り響く。

『こちらサリー。カルロとクックが殺られた。現在、エンリケスとともに交戦中。敵は女が一人。クソッ、銃弾があたらねぇ』
『クソ、よくもカルロとクックをッ!? 死ねッ死ねッ』

しかし、部下2人の悲鳴のような雄たけびと銃声も長くは続かなかった。


980 : あかねの人 :2015/05/06(水) 03:06:34 ???
3.

銃声が止んだ数瞬後、春麗達が潜伏している部屋のドアが蹴破られ、コート姿のフードを被った女が突入してくる。

「そこッ」

春麗は迷いなく引き金をひく。サブマシンガンから吐き出された多量の銃弾は、侵入者の命を狩る死神となるはずだった。
しかし……

「くッ」

焦りの表情を浮かべたのは春麗だった。
サブマシンガンから放たれた多量の銃弾は、侵入者を捉えることなく、目眩まし代わりに脱ぎ捨てられたコートを引き裂くことしかできなかった
長年の武道家としての勘だけを頼りに銃を捨て、頭部を守るように両腕をクロスさせた直後、腕に鈍い痛みと重い衝撃が走る。
もしも、防御体勢をとっていなければ、侵入者の飛び蹴りが春麗の頭をザクロのように砕いていていただろう。
奇襲の一撃を受けられた侵入者はその反動を利用し、後方に飛び退ると音もなく着地し、構えを取った。
春麗の瞳がはじめて侵入者の全貌を映す。
ハイレグカットの蒼いボディスーツを纏った引き締まった肉体は猫科の野生動物を彷彿とさせるが、少女のような顔立ちに感情を読み取れないガラス玉のような瞳は人形めいた魔性を秘めていた。

「……ベガの親衛隊」

捜査資料で読んだことがあった。
シャドルーでも首領であるベガの親衛隊に所属し、各国の要人暗殺及び誘拐、各国諜報機関員の殺害等に関わっているとされている女だ。
また、その身体能力は外科手術や薬物等で強化されているとの報告もあった。それなら部下が銃弾が当たらないと叫んでいたことにも頷ける。
たしか、捜査資料ではキャミィと称されていたはずだ。

(まさか、親衛隊が動くなんて。でも、この女を捕まえれば、ベガにも手が届くはず!)

この女を捕縛し、どんな手を使ってでも口を割らせてやる。そして、いつかベガも――。
ギリッと奥歯を噛み締め、硬く拳を握り、臨戦体勢へと意識を移す

「貴女を逮捕します」
「第2目標を確認、これより無力化する」

ほとんど無造作ともいえる動きだった。
足さばきだけで、キャミィの体は春麗の懐に潜り込んできている。まるで瞬間移動でもしたかと錯覚させるような動きだった。

「ぐぇッ!?」

喉元に走った激痛にくぐもった呻き声が零れる。喉元を的確に突いたキャミィの手刀は空中で翻ると、春麗の脳天めがけて振り下ろされる。
これを咄嗟に身を引いて避けた女性捜査官の前髪が数本、きれいに切断された。
相手の想像以上のスピードとパワー、格闘技術に、春麗の頬を冷たい汗が伝い落ちる。
しかし、臆してはどんな闘いにも勝てない。冷静に自身の間合いで戦うことを心がけ、さらに追い討ちをかけようと接近する女暗殺者の腹に前蹴りを放つ。
まるで硬いゴムを巻いた鉄でも蹴ったような感触が足先に返ってくる。モデルなどがただ美しく見せるために鍛えた腹筋ではなく、武道家が敵の攻撃から身を守るために鍛えた腹筋だ。
蹴りを受けたキャミィの表情には何の痛痒も浮かんでいない。再度、床を蹴り、春麗の急所めがけて攻撃を繰り出してくる。

「そう何度も懐には入らせないわよ」

間合いに入り込んだ女暗殺者の脇腹めがけ痛烈な中段回し蹴りを放つ。これは惜しくもガードされてしまうが、
蹴りの威力に押されて体勢を崩したキャミィの頭を抱え込み、腹筋に1発2発と膝蹴りをくらわせる。

「どう? 私の蹴りは効くでしょ?」
「くっ……ふぅッ」

キャミィが悲鳴をあげなかった。ただ、生理現象として、腹を蹴られてくぐもった声が漏れているだけだった。


981 : あかねの人 :2015/05/06(水) 03:07:34 ???
4.

(――もう1撃ッ!)

脚をこれまでより大きく振り上げ、脚力を生かした膝蹴りを女暗殺者の腹筋に打ち込む。
ドンと分厚いゴムを蹴ったような感触が膝から伝わるが、かまわずも一撃くらわせようとした瞬間、

「しまっ――!?」

蹴り足を掴まれてしまう。咄嗟に体勢を立て直そうとするもとき既に遅く、そのまま無様にテイクダウンをとられてしまう。
転倒した際に床に後頭部を強かに打ちつける。しかし、激痛に悶える暇はなかった。
キャミィはマウントポジションを奪うと、すぐさま春麗の顔面めがけて拳を振り下ろしたのだ。
1発目で鼻が潰され、2発目で左瞼が切れ、3発目で右瞼からも出血する。

「がッ……ギャッ……や、やめっ」

必死に防ごうとするも、キャミィの拳はガードの隙間をぬって執拗に春麗の顔を痛めつける。
硬く握り締められた拳が顔に打ち付けられるたびに春麗の口から悲鳴が漏れ、そのたびに春麗の整った顔に自身の血で紅い化粧がされていく。
常人ならとっくにあきらめている状況だが、春麗も一流の捜査官である。これだけ攻撃を受けても心が折れることはなかった。
無機質な瞳で目標を見据え、拳を振り下ろそうとする女暗殺者の長いおさげ髪を掴み、思いきり引き寄せる。

「これでもくらえ」

予想外の反撃に姿勢を崩したキャミィの顔面に頭突きを叩き込み、マウントポジションから逃れる。
なんとか一方的に攻撃される状況を脱することはできたが、不利な状況には変わりなかった。

(血で視界が……。それに呼吸も)

潰れた鼻をグチュリと応急処置的に無理矢理もとに戻し、鼻から息を吐き、うちに溜まった血を外に押し出す。
マウントパンチを受け過ぎたため、流れ出た自身の血で視界が狭まり、溢れ出た鼻血のせいで呼吸もし難い。

(持久戦は不利ね。一息に勝負をつけないと)

1つ2つと大きく呼吸し、構えを取る。
春麗が床を蹴った瞬間、キャミィもまた弾丸のようなスピードで迫っていた。
だが、いかに早い攻撃でも慣れることはできる。春麗は既にキャミィのスピードを見切っていた。
正面から突進してくるキャミィに向け、両の掌をかざし、

「気功掌ッ!!」

体内で瞬時に練り上げた“気”の塊を両の掌から一気に打ち放つ。
あたりを行き場を失った“気”は衝撃波となって、ホテルの壁や床を傷つけていく。

「ハァ、ハァ……やった!?」

破壊の暴風が収まったころ、室内の惨状は酷いものだった。
壁や床のあちこちに抉れたような痕があり、正面にあった扉は衝撃で吹き飛んでいた。
しかし、女暗殺者の姿はどこにもなかった。

「――ッ!?」

背後に濃密な死の気配が膨れ上がる。
春麗は本能に突き動かされるように振り向きざまに蹴りを放ったが、相手に致命的な一撃を与えることなく、逆に蹴り脚を掴まれてしまう。


982 : あかねの人 :2015/05/06(水) 03:08:36 ???
5.

「ギィィッ!?」

春麗の口から押し殺した悲鳴が漏れる。
振り向きざまに放った蹴りはキャッチされ、延びきった蹴り足に膝蹴りを受けたのだ。
ミヂィッと靭帯が傷つく音が体内から聞こえた。
しかし、キャミィの攻撃は終わらない。喉・水月・腹・股間と柔らかな肉体を駆使した連続蹴りを叩き込む。

「がぁッ……おえぇッ」

血の混じった胃液が逆流し、春麗の口端から垂れ落ちる。それでも、敵の攻撃はとまらない。春麗の軸足に狙いを定めると、その膝を蹴り抜いたのだ。
春麗の脚は可動域の限界を超えた負荷に耐え切れず、あっけなく折れてしまう。

「――ッ」

膝に焼けた鉄杭を突き刺されたような激痛が膝から全身を駆け巡る。
声にならない悲鳴をあげ、春麗はそのまま無様に倒れこんだ。両脚の膝を壊され、もはや立つことさえできなかった。

「第2目標の無力化を確認。これより、第1目標の捜索を開始する」

キャミィは、激痛に顔を歪ませ悶える春麗に興味を失ったかのように背を向け、周囲に視線を向ける。

(私はまだ負けるわけにはいかない。私は父さんの……)

シャドルーの捜査中に失踪した父の顔が眼に浮かぶ。
諦めない、諦めるわけにはいかなかった。父の失踪の真相を知るまでは、ベガをこの手で倒すまでは。
激痛に歯を食いしばって耐え、近くに落ちていたサブマシンガンに手を伸ばす。

(今なら、相手が背を向けている今が……最後のチャンス)

相手は一人。ここで敵を倒せば、少なくとも無力化できれば、救援が到着する。
だが、春麗の手が銃に届くことはなかった。
自身に向けられる殺意に敏感に反応した女暗殺者は、今にも手が届きそうだったサブマシンガンを取り上げると、

「第2目標の抵抗を確認……沈黙させる」

抑揚の乏しい機械音声じみた声にはじめて苛立ちのような感情が混じる。
そして、躊躇することなく春麗の両肩を撃ち抜いた。

「ア゛……ア゛……」

か細い悲鳴が春麗の口から漏れ、涙が血に汚れた頬を伝い流れ落ちた。
肉体と精神が限界を迎えたのか、徐々に視界が霞み、意識に靄がかかる。

(みんな……ごめん)

命を落とした同僚、守ることのできなかった博士、そして父。
春麗は意識が途切れるまで謝り続けた。


983 : あかねの人 :2015/05/06(水) 03:12:09 QSBt9baA
以上で終了です。
リョナの王道ともいうべき、春麗リョナに挑戦しましたが難しかったです。
動画投稿サイトで必殺技とか確認したんですけど、私にはあの動きを文章で表現する力はなかった。
いつも同じような展開でちょっとマンネリ気味ですね。たまには毛色の違うものを書いてみようかと思案中です。
もし、感想やアドバイス、リクエスト等ありましたらお願いします。


984 : 名無しさん :2015/05/06(水) 08:18:35 ???
毎回素晴らしい作品をありがとうございます!
次作品は格闘系ではなく処刑系はどうでしょう?斬首系や首吊り系‥色々ありそうです


985 : 名無しさん :2015/05/06(水) 14:19:49 ???
また傑作が投下されとる!!感動もんですなぁ
あかねの人さんがどんなキャラが好きなのか分からないから何とも言えないけど処刑系のシチュエーションも見てみたいですねぇ


986 : 名無しさん :2015/05/06(水) 14:47:33 ???
ノエルの人です

あかねの人さんの処刑SSは確かに見てみたいですね!
私なんかは処刑ものばかりで格闘系はさっぱりダメなので、春麗みたいな肉体系を書けるのが羨ましい

熱烈な猛プッシュを受けたので、矢田さん&不破さんSSに取り掛かりましたが、やっぱり二人なので長くなってます
恐らく投下は次スレになるかと思います
次の土日には何とか上げたい(希望)


987 : 名無しさん :2015/05/06(水) 16:08:16 ???
今更かもしれませんが不破さんじゃない人とかどうですかね?暗殺教室はなかなか可愛い女キャラが多いので

いや、読む側の僕は不破さん大歓迎ですが(一番好きなキャラなのでw)書く側としては同じ人は飽きるかなー思いまして


988 : 鉄拳好き :2015/05/06(水) 16:41:33 18UIb22E
誰か鉄拳の飛鳥対ブライアンの小説かいてください


989 : 名無しさん :2015/05/06(水) 17:52:04 ???
>>986
代わりなら倉橋さんとか岡野さんとか?
まぁすべてはあかねの人さんにお任せしましょう。被害者が誰でも傑作にして下さるでしょうから笑


990 : 名無しさん :2015/05/06(水) 21:28:03 ???
もうすぐ完走ですね
次スレでもよろしくお願いします


991 : あかねの人 :2015/05/07(木) 01:35:31 ???
たくさんの感想ありがとうございます。
処刑系とのリクエストがあがっていたので挑戦してみます。
ただ、暗殺教室は見てないので、違う作品かオリジナルで書くことになると思います。
リクエストに応えられず申し訳ありません。


992 : 名無しさん :2015/05/07(木) 08:14:23 ???
リクなんて全部無視して、自分と趣味が一致したやつだけ気が向けば書く程度でもええんやで

次スレで次作を読めるのを楽しみにしてます!


993 : 名無しさん :2015/05/07(木) 08:43:19 ???
>>123
いえいえ!全然リクエストとかではないので!
書いてもらう側としてネタ提供をしてみただけです。どうぞ思いっきり無視してください笑


994 : 名無しさん :2015/05/07(木) 08:57:44 ???
>>993
すみません
>>992でした
今日中に次スレ出来るかなー?
次スレ出来たら僕も斬首シチュのSS投下してみようと思います。誰か被害者のリクエストがあったらお気軽にどうぞ。


995 : 名無しさん :2015/05/07(木) 13:14:27 ???
>>986
おぉー!楽しみです!
制服で吊られるなら是非上履きが脱げちゃう描写をお願いします!


996 : 名無しさん :2015/05/07(木) 13:36:32 ???
>>991
エヴァンゲリオンのアスカなんてどうかな?
たった今モンストのCM観て思った


997 : 名無しさん :2015/05/07(木) 20:47:34 ???
>>994
可能ならでいいので、月姫の翡翠をお願いしたいです


998 : 名無しさん :2015/05/07(木) 21:08:57 ???
>>994
斬首ネタなので、和風キャラはいかがでしょうか?
サムスピのナコルルとリムルルで姉妹仲良く斬首刑
ナコルルは刑を受け入れているけど内心恐怖していて
リムルルは怖くて泣き叫んでいる感じにするとか

和風キャラだったらDOAのかすみとかでもいいですけどね
>>994さんにお任せします!


999 : 名無しさん :2015/05/07(木) 21:40:37 ???
次スレ立てました

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/37271/1431002347/


1000 : 名無しさん :2015/05/07(木) 23:47:56 ???
斬首期待しつつ梅


■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■