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すぱろぐ大戦BBS・SS投下スレ

113差無来!!:2008/01/28(月) 13:14:38 ID:8d0pWAYw

「しょ、少佐……あの」
「ネート女史、此処はきっちり言わせて貰うぞ」
 打ちひしがれた様に動けないゼンガーを心配したソフィアはゼンガーを助けようとするのだが、それを先生は許さない。今は情を掛ける場面ではなく、寧ろ相手に気付かせる事が重要な局面だからだ。
「夫婦間の事なら俺が口を挟む事じゃない。だが、お前達は未だそれ以前だろう?ゼンガー……お前はどれだけこの女に甘えていたか、理解しているのか?」
「それは」
 それが夫婦間の事ならば、それが家庭の事情だと言う事で話はお仕舞だ。だが、ゼンガーとソフィアは仲は良いのだろうがそんな関係では未だない。
 だからこそ、先生は口を挟まざるを得ない。それはゼンガーが望んだ事だからだ。
「そもそも、どれだけ釣った魚に餌を与えていないのかと言う話だ。それでは、女を繋ぎ止める事は出来んぞ」
「ソ、ソフィア?」
「・・・」
 決定的な一言が紡がれた。ソフィアが言おうと思っても言えなかった事を代弁した先生に彼女はうんうんと何度も頷いた。
 ……気のせいか、その瞳には涙が溜まっている様にも見える。ゼンガーは漸く己の浅慮に気付いた様だった。
「つまり、原因はお前の振る舞いにあった訳だ。……半ば、内縁に近い絆の深さなのだろう?為らば、お前はそれを明確な形にして示す冪だった」
「内え……!い、いや待て。俺とソフィアはそんな」
「そう思っているのはお前だけだ。気付けない事もまた罪だと知れ」
「お、俺とソフィアが……」
 此処に居たって何を馬鹿な事を、と先生は思ったが、流石にそれは言わなかった。思っていた以上にゼンガーは女心に疎く、また晩熟の様だ。そうでなくてはこうはならないだろう。
 そして、それを示せなかった事に罪があるというならば、それを購う方法はたった一つだけだ。
「ゼンガー……私」
「ソフィア……」
 ソフィアの瞳が心の全てを語っている様だった。それを認めたゼンガーは自分の矮小さを恥じ、穴があったら入りたくなった。
「気持ちを胸に飼うだけでは何も現実は動かない。以心伝心なんて普通では有り得ない。念動力等の不思議パワーも別にしてな。……それなら、お前はどうする?」
「むう……!」
「為らば、声に出して言うしかない。お前も、何れ言わねばならないと思っているんだろう?」
「あ、ああ」
 それこそが贖罪の方法であり、また罰だ。言う方としては火が出るほど恥ずかしいが、その程度は背負って貰わねば立ち行かない。凌ぐよりは乗り越えてナンボの世界だ。
「今がその時だと言う事だ。いや、遅過ぎる位だな。……好い加減、素直になれよ。それもまた、男の責任でもあるんだぞ?」
 ゼンガーの闘志に火を点けるべく、声援にも似た言葉を先生は送った。そして、それは確かにゼンガーの心に届いた。
「そう、か。そう言う事か」
 先生の粋な男気に心を打たれたゼンガーは、やっと自分がすべき事が見えた様だ。その手の台詞を女から求めるの事は間違っている。だが、それが欲しいからこそ女は待ち続ける。
 ソフィアが待っているのはゼンガーからのたった一言なのだ。ゼンガーはやっとそれを言う決心が付いた様だった。


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