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すぱろぐ大戦BBS・SS投下スレ
103
:
差無来!!
:2008/01/28(月) 12:58:48 ID:8d0pWAYw
「いや、さっぱり判らんのだが」
「だから日向ぼっこだ。それ以外の何かに見えるのか?」
「一瞬、瞑想の類かと思ったが」
「フッ……そんな大層なモノではない」
イングラム先生は自分より1cmだけ背の高い男の顔を見上げていった。先生とゼンガーは仕事上の付き合い以外に殆ど接点が無い。
「それで、何時から此処に」
「正午少し前位からか。それがどうかしたのか?」
「いや……お前はそんなに暇なのか?」
「今日は公休日だ。俺の様に何もせず過ごす人間が居ても良かろう。それに此処は人が寄り付かんからな」
「緑の匂いに誘われたか?」
「ああ、それもある。……と言うか、良く知っているな。」
普段から口数多い方ではないゼンガーも先生の前では饒舌にならざるを得ないらしい。元々自然散策が好きな先生はこう言った人気の無い緑が豊富な場所に居る事を好む。
だが、先生と接点が殆ど無いゼンガーがどうして彼の趣味を知っているかは不明だった。
「お前は何故此処に?」
「ああ。剣を振ろうと思ってな」
ゼンガーの言葉に先生は視線を彼の身体に向ける。その手には確かに鞘に納まった真剣が握られていた。
「……邪魔なら消えるが」
「否。その必要は無い。寧ろ、それはどうでも良くなった」
人気のない場所だからこそ、剣の修行の場にゼンガーは此処を選んだのだろう。それなのに自分が居ては邪魔になると踏んだ先生は、ゼンガーにこの場を譲る旨を告げたがそれは断れた。
「何?」
「イングラム=プリスケン……これも何かの縁なのだろうな」
最早、剣を振る気が失せたゼンガーはイングラムの目をじっと見つめた。イングラムと言う人間の心を図るかの様にだ。
「な、何だ?」
他人の心を見透かすのが上手い先生も逆の立場になれば弱い場合も多々ある。今の場合がそうだ。先生は何とか体裁を保ち、邪気が無い心の内を瞳に映し出した。
「風の噂に聞いたが……お前は駆け込み寺を営んでいるらしいな。……本当か?」
「う、お前の耳にも入っていたのか。……まあ、成り行きで、な」
「そうか……」
気を持ち直した先生にはゼンガーがしたい事が見えてきた。だが、それよりも自分が有名になってしまったと言う事実に吐き気を催しそうになった先生。
……普段はクロガネの直援として色んな場所を飛び回っているこの男にも自分の副業(?)が耳に入っていると言う事。
もう手遅れなのかも知れないと先生は諦めた。
「為らば、俺の悩みも聞いて貰えるのだろうかな」
「何だと?」
「意外、か?」
「いや、失敬」
ゼンガーはイングラムが信頼できる人間だと確信出来たらしい。嘗ての洗脳状態の時とは違い、先生の瞳には黒い部分が全く無かったからだ。
だからこそ、ゼンガーはイングラムに悩みを打ち明ける。剣の鬼であるゼンガーも人の子である以上は悩みとは無縁では居られないらしかった。
「ああ。そちらが語ると言うのであれば、俺も聞くし、助言の一つもしてやれるかもしれないな」
「なら、聞いてくれ。今は……藁にもワカメにでも縋りたいのだ」
「……座ったらどうだ?」
「うむ」
ワカメ呼ばわりするな。そう先生は叫びたかったが、話が進まないのでそれは自重した。
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