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SS投下スレ
464
:
◆YYVYMNVZTk
:2011/10/29(土) 05:51:20
「無駄……無意味……無力」
ペルゼイン・リヒカイトの両肩に備えられた鬼面が、音もなく浮遊する。
くるりくるりと回転するそれの周りに、薄らぼんやりと影が見え始めた。
次の瞬間、影は実体化する。ペルゼイン・リヒカイトを幽鬼とするならば、現れたのはその眷属である悪鬼。
青白んだ光を漂わせ、幽鬼の両脇に這うそれが、蒼の光を無差別に放つ。
全周囲に向けた砲撃に対し、回避は不可。デュミナスは甘んじてそれを受けざるを得ない。
更に増える傷。デュミナスとて自己回復の術は備えているが、戦闘中に完全回復するほどの力はない。
攻め、受ける。この二手のやりとりだけで、レジセイアとデュミナスの力量差ははっきりとしてしまった。
デュミナスが弱いわけではない。レジセイアが圧倒的すぎるのだ。
機と器――それに加え、気までも備えたレジセイアは彼の望んだ完全に、限りなく近い存在となっている。
それでもデュミナスは、止まらない。止まれない。
これは自分の意味を探す戦いなのだ。ここで膝を屈して負けを認めてしまえば、自分は本当に、ただの間違いで終わってしまう。
何のために生まれて、何のために生きてきたのか、その意味さえ失ってしまうのだ。
宙に現れたのは剣の群れ。デュミナスが顕現させた幾重もの剣の包囲がレジセイアを狙い打つ。
さしものレジセイアも、この剣の全てを叩きこまれてはただではすまない。
数秒のラグを置いて不規則に迫る剣の群れを、慎重に、かつ大胆に、かわすもの、いなすもの、受け止めるものを見極め、処理。
一波、二波と続く刃の嵐を相手にしながら――レジセイアは気付く。
デュミナスの纏う装甲が、不気味に蠕動している様に。
変化――変形は一瞬で完了した。
デュミナスそれ自体が一振りの巨大な剣になり、レジセイアを狙わんと最外で円陣を組んでいた自らの剣さえも撥ねのけ、幽鬼を刺し貫かんと突進する。
再び実体化した悪鬼がペルゼイン・リヒカイトの盾となるも、ごりごり、ごりと抉られ、削りとられていく。
足止め出来たのは数秒。骨を砕かれ膝を屈す幽鬼の傀儡を尻目に、デュミナスはペルゼイン・リヒカイトと肉薄する。
剣の切っ先がアインスト・コアに触れたのと白羽取りの形で刀身を握られたのは同時。
「ノイ・レジセイア。私は貴方に問う。
……完全とは、何なのか? 不完全とは、間違いなのか?
間違いは、否定されなければいけないのか?
否定とは――消滅させることなのか?」
デュミナスは問う。答えを求める。
対し、レジセイアは答えない。ただ無言で、幽鬼を使役するだけだ。
「私をこの舞台に昇らせたのは貴方だ。
私の育ての親が、創造主ユーゼスであるというのなら、貴方は生みの親と言えるのかもしれない。
このバトルロワイアルという舞台上で、私はメディウス・ロクスとして、AI1として、ゼストとしてその役割を演じてきた。
だが……結果として、私は何にもなることができず、間違い(デュミナス)の烙印を押されることとなった。
私に力が足りず、創造主の望むものとなれなかった……これは、今更取り返しのつかないことだろう。
しかし私には分からない……私はいったい、何をすればいい? 何をすれば……自らに刻まれた間違いを消しさることが出来る?」
剣の姿を解き、そのままがっぷりと四つを組む。
四つの手全てに全力。決して離さず、の意志でレジセイアと密着する。
そして、問う。更に問う。問い続ける。
かつてとこれからの、自らの存在意義を。
「答えを――答えを――教えてくれ!」
「哀れ……実に哀れな存在だ」
冷笑を美貌の彩りとしながら、蒼髪の美少女は重い口を開く。
「我がヒトに完全を求めたのは……ヒトが、不完全を完全にする因子を……感情と意思を持つため。
自らの中に失敗を……自らの外に不可能を発見したとしても……ヒトは、それを打破するために考え、行動し、そして叶える。
故にヒトは……不完全であっても完全に限りなく近づくことさえある……その力を我のものとするためにこの箱庭は作られた。
AI1は可能性の欠片……ヒトという存在を計るためのただの機に過ぎない。
ただの機が……完全を目指す……? 答えを求める……?」
笑止、とレジセイアは吐き捨てた。
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