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FFロワ正式投下用スレッド

1管理人★:2006/07/01(土) 11:56:09 ID:lwUOd.Jk
FFDQ板に本スレを立てられるまでの正式投下スレ(仮本スレ)です。
完成したSSは本スレに投下するときと同じ要領でこちらに投下して下さい。
もちろん一時置き場は通さなくてもOKです。

※キャラ予約は雑談スレでトリップをつけて行ってください。
(トリップ機能に関しては2chと同じです)

2 ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:14:43 ID:2227Xn2E
じゃあ正式投下って事で一番手頂きます。

3ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:15:05 ID:2227Xn2E
「うんうん、この子がユウナって言う子か。うーんなるほど、確かに可愛い子だな」
名簿の写真を見ながら一人うなずくスリーク。そしてティーダの顔を伺い、
「お前さんぐらいなら女の子はたくさん寄って来そうなのに、彼女を選んだ理由は?100文字以内で述べよ」
「ああ、それは…って何言わせるんッスか!!」
期待通りの行動にデッシュもスリークも思わず噴出す。
「そ、そんなことよりそっちにはそんな人はいないんッスか?」
あわてて話題を逸らそうとするティーダを見て、またニヤニヤと笑う二人。
「デッシュはお前さんと似たようなもんだぜ?いろんなところで女引っ掛けてたけど結局最後は
 『自分の事を一番考えているから』ってことでサリーナとくっついたんだよなー?」
「あ、ああ」
スリークのからかいに、デッシュは頭を掻いてうなずく。
「俺はー、んー、秘密。まあ、コレには参加してないからいいんだけどな」
「ちょ、俺に質問しといて自分は答えない気ッスか!?」
「いや、お前も答えてねーだろ」
平和なやりとりに、3人は頬を緩めて歩き続ける。

「そういや、当然だけど名簿に俺たちの仲間載ってんのか。
 ティーダ、歩きながらで良いから情報交換しておこうぜ。外見わかってればもしはぐれた時に見つかっても分かりやすいからな」
「あー、そっすね。そのほうが良いな」
よしきた、とスリークが名簿をめくり、自分たちの仲間を指す。
「これが俺の参加してる知り合いだな。俺と、デッシュと、後3人」
「へー、この3人ッスね。あ、そっちにも可愛い子二人いるじゃないッスか。ネコ耳の子と、こっちの子」
「いや、それ男だから。イリアは男だから」
「は、男!?え、コレで男!?どー見ても女の子じゃないッスか!!」
「いやー、俺も最初は間違えたぜ。可愛い子二人〜って喜んでたら思いっきり言われたな〜」
「ま、そういうこと。俺たち4人の中で女はこいつだけ」
そういって、ネコ耳フードの少女を指差す。

4ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:15:26 ID:2227Xn2E
「こいつはな、困っている人とかみると放っておけない奴でさ。4人の中じゃ一番優しい奴だ。
 迷ってる人、傷ついた人を助け、先を導いてく。白魔道師のさらに上の導師になれたのも分かる気がするよ。
 4人の中じゃこのゲームに乗るとは到底思えない奴だな。もう今じゃわかんないけど」
最後の方は少し暗くなりながらも、彼女の説明をするスリーク。
「んで次、イリアな。コイツは…」
仲間の説明を続けるスリーク。
三人は、いまだ平和そうに歩いている。


彼らは、まだ知らない。
この先で何が起きているか。


スコールは走り続ける。仲間を助けるため。殺させないため。
彼一人ならすぐにその戦場へ着く事が出来ただろう。しかし、
「はぁっ…はぁっ…ま、待って…」
自分のかなり後ろをのろのろと走る女性。完全に息が上がっているだろう。顔は真っ赤になり、走るスピードは下がる一方だ。
自分との体力の差を考えれば当然の事なのだが、今は彼女を待つ暇も無い。
(くそっ)
彼は来た道を戻ると、武器をザックにしまい、セーラを抱えあげて走り出す。さながら、姫を抱えて逃げる黒の王子。
「あ、ありがとうございます…」
「そんな事はどうでもいい、こっちで合ってるんだな?」
こくりとうなづく女性を見て、再び走り出すスコール。
(頼む、間に合ってくれ)


彼らは、少し早く知ってしまう。
この先で、何が起こるかを。

5ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:15:48 ID:2227Xn2E
「大した自信ですが、そんな状態でまだ私に勝てるとでも?」
「舐めない方がいいわよ。私は、瀕死になってからの方が強いんだから。」
導師は思考する。目の前の女の、確かに削ぎ取ったはずの意思はどこから湧いてくるのかを。

一つ。味方が増えた事。戦闘を始めるときにはまるで戦う意思がなかったチョコボが今は確かに私を敵と認識している。
二つ。死への覚悟、ただでは死なぬ、という意思。先ほどの科白を加えれば考えるまでもない。

なら、と導師は思考を終了する。単純に、敵が増えたなら敵を削ればいい。片方は人間だが片方はそれに明らかに劣る動物。
導師は考えをまとめ、攻撃を開始する。



「大した自信ですが、そんな状態でまだ私に勝てるとでも?」
「舐めない方がいいわよ。私は、瀕死になってからの方が強いんだから。」
キスティスは決意する。今の自分が何をすべきか。

答えはただ一つ。後から来るもののためにこの狂人を少しでも弱らせること。
もちろん相手を倒せることが一番いいのだが、自分には武器もなければG.Fもいなく、魔法その他特殊攻撃も使えない。
しかし、自分の身を捨てて戦えば相手も劣悪な状況に落とせるだろう。
残る力を全て出し切り、できる限り相手を傷つける。

キスティスは魔力を集中し、青魔法の詠唱を開始した。

6ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:16:09 ID:2227Xn2E
先に動いたのは導師。まっすぐにキスティスに向かい、高速の突きを繰り出そうとする。
「アクアブレス!」
「くっ!」
キスティスは大量の水と泡を噴きだし、導師を包む。水は導師の動きを鈍らせ、泡は目晦ましの役目を果たす。
その隙を逃さず、泡の中、導師目掛けてココが突撃する。人間の数倍の脚力を持って導師を突きとばす。

 ――――!

ココに突き飛ばされ、泡の中から出てきた導師にキスティスはさらに溶解液の追い討ちをかける。
その溶解液の追撃を避け、何とか立ち上がる導師。
「やってくれるじゃないですか。あの時もったいぶらずにすぐに殺せばよかったですね」
「そうかもしれないわね。すぐに私を殺していればあなたもこんなに苦労しなかったかもしれないわね」
キスティスは喋り終わるとすぐに口から腐臭のする気体を吐き出す。モルボル族の得意とする臭い息。
「エアロ!」
すぐさま反応し、風の魔法で気体を吹き飛ばす。臭い息は効果を発揮せずあたりに腐臭をわずかに残す結果となった。
「醜い技ですね。そんな事をしてまで私を弱らせたいのですか?同じ女性として、私には理解できませんね…」
「同じ女性?ふざけないでもらいたいわ。私はもうあなたを人間とも思わないわ」
目からレーザーを発射し、攻撃を続けるキスティス。その攻撃の合間を縫うように突撃を繰り返すココ。

 ――――!

導師は回避に専念され、反撃に移るのが難しい状況に陥る。
破滅を呼ぶ言葉は、まだ彼女の耳に届かない。

7ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:16:41 ID:2227Xn2E
攻撃を続けるキスティスとココ。それを避け続ける導師。場の膠着。
(一気に、攻めてみせる!)
キスティスの全身から飛び出るミサイル。それは、キスティスの魔力によって生み出された、正確な誘導性を持つマイクロミサイル。
「プロテス!」
いち早く気づいた導師の防御魔法に構わず、放たれたミサイルは寸分違わず導師を攻め立てる。
ミサイルは次々と導師に被弾し、炸裂していった。さらにそこに向かってココが突撃に向かった。

 ――――!

導師のいた場所に立ちこめる爆煙。そこを重点的に周りを警戒する。ココが居る煙の中にうかつには攻撃できない。
数秒後―もしかしたら1秒も経っていないかも知れない―煙の中に殺気のこもった一つの影が浮かび、それは確かにキスティスに向かっていた。
それに対応し、キスティスはガトリング砲を放つ。

しかし、放たれてから着弾するまでに出てきたその姿は、人間ではなく、チョコボ。

「なっ」
驚き、あわてて攻撃を止めるも放たれた弾までは止まらず、正確に、残虐にココに被弾した。
「ココ!」
傷ついた身体を引きずりながら、自分よりさらに傷ついたチョコボに近寄る。
近づいて回復の青魔法ホワイトウインドを試みる。その効果は薄いが、少しづつココと自分を癒していく。
「どうして…どうしてあなたが私に…?」
自分の勘違いで仲間を傷つけた。そのことがキスティスの目頭を熱くする。
気づけばあたりには先ほどの女の気配がしない。あの攻撃を喰らい倒れたか、逃げ出したか。
しかし今の自分には、それでいい。今はココを回復しなければ。
再度、ホワイトウインドを試みる。

 コンフュ!

かすかだが、確かに彼女に向かって掛けられる魔法。

8ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:17:01 ID:2227Xn2E
「くぅっ!!」
一瞬頭に痛みが走り、視界が大きく揺れ動く。
迂闊だった。あの女は逃げても倒れてもいない、どこかに潜んでいる。そして私を狙っている。
その証拠に直接攻撃せず、私を混乱させてきた。一時的だが、確実に自分の記憶と精神を大きく乱す。
「ど、どこにいるの!?」
あたりを見回しながら大きく叫ぶ。
「出てきなさい!!」
呼びかけるものの、実際出てこられても打つ手が無い。
自分には武器が無く、青魔法を使うにも精神と魔力の集中を必要としなければならない。
しかし今の状態では集中するどころか少しの考えをまとめる事すらままならない。

「出てきなさい!!!」

あたりに何もない草原に向かい、さらに呼びかける。
とにかく、反撃する。混乱を治す方法の一つ、強いショックを導師に与えてもらう。
もちろん急所を狙われる確率は高い。しかし、今のキスティスにはそれしか考えられなかった。

 ミニマム

とたんに背後から現れる人型の気配。そして強い殺気。
振り返れば、刀を振り上げ、今にも振り下ろそうとする人間。

「ここにいますよ」

導師は刀を振り下ろし、キスティスの身体を切り裂いた。

9ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:17:42 ID:2227Xn2E
「うああぁっ!!」
肩を切り落とされ、キスティスの身体に激痛が走る。
だが、その激痛が混乱を回復させる。チャンスは今しかない。
身体に走る痛みに耐え、魔力を集中させようとする。

しかし、

(え…?)
視界が、音が、身体が、魔力が、全てが、急速に動きを止めていく。
(ストップ…?)
相手の身体を切り裂き、さらに相手の時を止める恐怖の忍者刀。影縫い。
その魔力により、キスティスの反撃の機会を完全に止める。
(もう…ダメ…誰、か、後を…)

キスティスの時が止まる。

彼女は、自分の死を感じることなく、死んでいく。




今、そこにいるあるものは恍惚とした表情を浮かべて立っている女性と、首と胴の離れた物があるだけ―――

10ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:18:04 ID:2227Xn2E
 ―ふふふふふ。あははははは。

キスティスの首を切り、それに満足するかのように笑いだす導師。

 ―気持ち良い。楽しい。面白い。

欲求は次々と沸き、止まらない。もっと、もっと、もっともっところしたい
「だけど、少し休まなくちゃ」
全身が痛い。先ほどの弾はプロテスを張っていても導師の身体に大きなダメージを与えていた。
導師は座りこむと精神を集中させ、身体の回復を始める。





(くそっ、間に合わなかった…!!)
歯を噛み締め、仲間を助けられ無かった事を悔やむスコール。
遠くから見えた物はキスティスの首を切るフードの女。

(キスティスを殺す事が出来た敵。それが今の自分に殺すことが出来るのか?
 G.Fがない今の自分は訓練を積み、経験もあるが魔法も何も使えないただの人間だ。
 この武器も、ナイフよりかは良いもののガンブレードと同じようには扱えない。
 それに、今自分が行ったらこの女はどうする?
 遠かったがおそらく彼女も見てしまったのだろう、完全に恐怖に包まれている。
 俺は、どうしたら…?)
スコールは思考する。今、自分はどう動くべきか。

11ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:18:25 ID:2227Xn2E
【C-7/草原/昼】
【導師@FF3】
[状態]:精神崩壊 HP1/4 MP少量消費
[装備]:影縫い
[道具]:デモンズシールド、ダンボール(たまねぎ*12)
[第一行動方針]:身体の回復
[基本行動方針]:ひとをころしたい
[備考]:重度の記憶障害(戻るかも?)、殺害に対する快楽
【セーラ@FF1】
[状態]:軽い疲労 恐慌
[装備]:無し
[道具]:?(まだ武器が出る可能性があります)
[第一行動方針]:怯える
[基本行動方針]:生き延びたい
【スコール@FF8】
[状態]:軽い疲労
[装備]:オーガニクス@FF9
[道具]:ナイフ、聖石(レオ)
[第一行動方針]:導師に戦いを挑むか考える
[基本行動方針]:仲間を探し出して、ゲームを脱出する

12ヒトヲ導クモノ ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:18:49 ID:2227Xn2E
【D-7/草原/昼】
【スリーク@FF3】
[状態]:健康
[装備]:怪獣図鑑@FF4
[道具]:巨人の斧 スーパーボール(FF6) オニオンソード クイックシルバー(FF7) マガジン×5
[基本行動方針]:仲間探し、旧友も最初は疑う
【デッシュ@FF3】
[状態]:全身に疲労、歩けるまでに回復
[装備]:クリスタルの盾、ミスリルナイフ
[道具]:なし
[基本行動方針]:スリーク達について行く
【ティーダ@FF10】
[状態]:健康
[装備]:キアストレート
[道具]:なし
[基本行動方針]:とりあえず仲間を探す

[一行の行動方針]とりあえず北へ

【キスティス@FF8 死亡】
【残り41人】

*キスティスの支給品は放置されています
*ココは傷ついたまま放置されています。回復しなければ今日中には死亡します。

13 ◆nhWPJZDKG.:2006/07/01(土) 23:21:11 ID:2227Xn2E
以上です。
早いとこ状況が落ち着くことを祈ります。

14 ◆iJOQ7GnJ/E:2006/07/02(日) 17:21:28 ID:aiSCVqeA
特に何も言われなかったのでこちらに本投下します。

15お互いの狙い ◆iJOQ7GnJ/E:2006/07/02(日) 17:22:17 ID:aiSCVqeA
湿地帯のそばを歩いていたユウナとガフガリオンは、人の気配を感じた。
「ガフさん、誰か…」
「分かっている。」
ガフガリオンがキセルを握り、ユウナもいつでも戦闘に入れる体勢を取る。
(二人…。いや、一人か?)
警戒しながら辺りを見回す。
やがて、前方から一人の女性が現れた。長い金髪をなびかせた美女だ。
その女性は、持っていた刀を地面に突き刺して両手をあげ、穏やかな声で言った。
「私に戦う意思は無いわ。貴方達も武器をおろして頂戴。」
それを聞いたユウナも両手をあげようとするが、ガフガリオンがそれを止めた。
「待ちな。」
「…何か?」
ガフガリオンは冷静に考える。
(一見全く敵意が無いように見えるが…。あの刀を刺した位置、いざという時にはすぐに抜ける位置だ。
…この女、なかなかの実力者だな。それに…。)
「もう一人いるな。そいつに出てきてもらうぜ。」

16お互いの狙い ◆iJOQ7GnJ/E:2006/07/02(日) 17:22:40 ID:aiSCVqeA
(ばれてたというの…?)
セリスは表情を崩さぬよう、心の中で呟く。
(まあ、ばれてもそんなに問題じゃないんだけどね。)
フリオニールが隠れているのは、相手が敵対してきた時のため。
さっき女の方が手を挙げようとした所を見ると、相手も警戒しているだけでむやみに戦う気は無いのだろう。
「ごめんなさい。もう一人、私の仲間が近く隠れているわ。万が一貴方達がゲームに乗っている事も考慮しての事なの。気を悪くしないで。」
「何でもいい。オレ達も戦う気は無いが、そいつが出てくるまではこっちも警戒を解くわけにはいかン。」
「分かったわ。今仲間を呼びます。」
セリスはフリオニールに「出てきて」と合図を送った。



やや遅れて、フリオニールが姿を現した。
「遅かったじゃない。」
「あ、ああ。すまない。ちょっと考え事をな…。」
フリオニールが出てきた所で、ようやくユウナとガフガリオンも警戒を解いた。
四人は自己紹介を交わすと、今度はお互いの知り合い、ここまでに会った人物を教えあった。

17お互いの狙い ◆iJOQ7GnJ/E:2006/07/02(日) 17:23:16 ID:aiSCVqeA
「そう、それからみんなに知っておいて欲しい事があるの。」
仲間を教えあった後、セリスが口を開いた。
「私、さっきこのゲームに乗っている人に出会ったの。」
一同の顔が変わる。
「え?そうだったのか?」
彼女の仲間というフリオニールも知らなかったらしい。
「ええ、貴方に出会う前だったんだけど…。」
セリスの顔がだんだん青くなっていく。
「この…ヴァンという少年だったわ。」
セリスが指した先には、明るそうな少年の写真。
その写真を見ると、一瞬フリオニールは怪訝な顔をした。
それに気付かず、セリスは話を続ける。
「私は最初、このパンネロという少女と一緒にいたんだけど…。このヴァンが、友好的なフリをして仲間に入ってきて…。
そ、それで…、突然パンネロを後ろから…!」
いつの間にかセリスの顔は青くなっており、体は震えている。
ガフガリオンは黙ったままその話を聞き、ユウナは両手で口を抑え悲しそうな顔をしていた。

18お互いの狙い ◆iJOQ7GnJ/E:2006/07/02(日) 17:23:43 ID:aiSCVqeA
「許せないな。」
フリオニールは呟く。だが、心の中では別な事を考えていた。
(なるほど…、そういう事か。)
セリスの考えが読めた。こいつは嘘をついている。この悲しそうな様子も演技だ。
フリオニールは一度ヴァンと会っている。そしてヴァンに殺されたというパンネロともだ。
二人は元々の知り合いのようで、二人で行動していた。
セリスが言うように「初めパンネロと行動していて、そこにヴァンが加わった」というシュチュエーションは有り得ない。
しかもヴァンもパンネロもゲームに乗っている様子は無かった。
ここから導き出される結論は一つ。
この女はゲームに乗っている。そして、パンネロを殺したのはこいつだ。
恐らくはヴァンも殺すつもりだったんだろうが、それに失敗したのだろう。
だから自分がマーダーと知られる前に、ヴァンがマーダーであるという噂を先に広めてしまおうというわけか。
自分は被害者を装い、俺を仲間にして「非マーダー」という事をアピールする。
そして対主催として戦い、人数が少なくなったところで残った人間を一掃。その為に俺を利用しようと…。
(こいつも俺と同じ事を考えているな…。)
まあいいだろう。
最初にヴァンを殺しそこねている自分としては、ヴァンがマーダーという噂が流れるのは好都合だ。
しばらくは利用されているフリをしてやろう。



(…こいつら、怪しいな。)
セリスの話を聞きながら、ガフガリオンはそう感じた。
根拠は無いが、どうも嫌な予感がする。それは長年傭兵として渡り歩いてきた自分の勘なのかもしれない。
加えて、さっきヴァンって奴の名前を出した時、一瞬だがフリオニールの表情が変わった。
何か裏がありそうな気がする。もちろん思い過ごしかもしれないが…。
生き残るためには仲間が多いに越したことはない。しかしこの二人と行動を共にしていいものか。

(さて、どうしたもンかな…。)

19お互いの狙い ◆iJOQ7GnJ/E:2006/07/02(日) 17:24:11 ID:aiSCVqeA
【C-2/湿地帯/昼】
【セリス@FF6】
 [状態]:軽度の疲労
 [装備]:村雨、勲章
 [道具]:無し
 [第一行動方針]:ガフガリオンとユウナを仲間に引き込む
 [第二行動方針]:ゲームに乗っている事を悟られず仲間を集める
 [第三行動方針]:ヴァンが殺人者という噂を広める
 [最終行動方針]:ロックを勝者にする
【フリオニール@FF2】
 [状態]:軽い腹部の痛み
 [装備]:菊一文字
 [道具]:与一の弓
 [第一行動方針]:ガフガリオンとユウナを仲間に引き込む
 [第二行動方針]:ゲームに乗っている事を悟られず仲間を集める
 [最終行動方針]:ゲームに勝利する
 [備考]:皇帝を見つけたら真っ先に倒す セリスに利用されているフリをする

【ガフガリオン@FFT】
 [状態]:健康
 [装備]:キセル@FFT財宝
 [道具]:2万ギル
 [第一行動方針]:セリスとフリオニールの仲間になるか考える
 [第二行動方針]:塔へ向かう?
 [基本行動方針]:ティーダとラムザを探す
【ユウナ@FF10-2】
 [状態]:健康
 [装備]:ソウルオブサマサ、賢者の指輪@FF12、G.F.トンベリ
 [道具]:3万ギル、ドーガの魔導器
 [第一行動方針]:セリスとフリオニールの仲間になるか考える(ガフガリオンの意見に従う)
 [第二行動方針]:塔へ向かう?
 [基本行動方針]:ティーダとの再会を目指す
 [リザルトプレート]黒き紋章
 [ドレスフィア]<ダークナイト>、歌姫、きぐるみ士、?×3
 [備考]ユウナはG.F.トンベリに気づいていません

20 ◆Dz0avoPmxs:2006/07/05(水) 22:40:04 ID:jc4NHdBU
ちょっと期限から遅れたかもしれませんが投下いきます。

21突きつけられた現実 ◆Dz0avoPmxs:2006/07/05(水) 22:40:25 ID:jc4NHdBU
どのくらい走ったのだろうか。前方に道が見えてきたところで、ジタンは足を止めた。
クジャのいた場所からここまでノンストップで走ってきたので、かなり疲れが溜まっていた。

「ちくしょう…。」
ジタンはそばに落ちていた小石を思いっきり蹴り、拳を地面に叩きつけた。
思わず出そうになった涙を必死で堪える。

あの時、確かにクジャは改心したと思った。
だから俺は危険を冒してクジャを助けに向かった。
だがクジャは、このゲームに乗って既に二人を殺害していた。
そして俺を逃がすため、おっさんは身を挺して単身戦いを挑んでいった。

「俺は…何をやってんだ…。」
スタイナーを見捨ててしまった事がかなりのショックだったようだ。
今日の朝モリガンを助けた時は、殺し合いなんて冗談のように聞こえた。
だがこの数時間でこのゲームの恐ろしさ、そして自分の無力さを思い知らされた気がする。


だが落ち込んでばかりもいられない。
スタイナーはガーネットの捜索を自分に託したのだ。彼の分まで自分が動かなければ。
(それにガーネットのいる所なら地獄の果てまでだって行きそうなおっさんだ。そう簡単に死んだりしねえよな。)
ザックから地図を取りだし、周辺をチェックする。
大分東まで来た。この辺りで彼女がいそうな場所はどこだろうか?
(北に城があるな。行ってみるか…。)

少しの間西の方向を見てスタイナーの無事を願うと、ジタンは北の城を目指し歩みを進めた。
(おっさん、ガーネット…。無事でいてくれよ!)


【D-6/街道/午後】
【ジタン@FF9】
 [状態]:軽い疲労
 [装備]:ダンジューロ
 [道具]:皮ジャン、頑丈なロープ
 [第一行動方針]:C-6の城へ
 [第二行動方針]:ガーネットを探し、守る
 [最終行動方針]:ゲームから生きて脱出する

22信じるということ ◆etxLi2MfRQ:2006/07/11(火) 14:37:16 ID:N0jy15GI
取っ組み合いの中、セシルは何とかヴァンを諌めようと必死で思案するが
彼を落ち着かせる言葉が浮かんでこなかった。
砂浜に怒号が満ちてセシルの脳裏に響く。
パンネロ、という名前を彼はしきりに連呼している。
姉妹かあるいは恋人か、親しい関係にある人が目の前で殺されたとなればここまで激昂するのも
無理はなかった。
「落ちついて、くれえっ」
セシルは暴れた拍子に掴んだ肩を力いっぱい引き寄せて、ヴァンを投げ飛ばした。
乾いた音を立ててヴァンが砂地に転がりこむのを見て、セシルは荒い息をした。
高い日差しを受けてあたり一面焼け払ったような暑さが身体じゅうに染み渡った。
「はぁ……はぁ……」
拍子に吹き飛んだ相手の槍が砂浜に突き刺さったのを見て、セシルは咄嗟に
走りこみ槍を拾って穂先を構える。
ヴァンは歯をむき出しにして怒っていた。
「やっぱりやる気か!」
「違う、こうしなければ君はいつまでも僕を襲い続けるだろう!」
忌々しげにこちらを睨みつけるヴァンに対し、セシルは荒い息で応えた。

こう着状態。セシルは今までの出来事を思い出す。
ヴァンが怒り狂ってからは何度も言い合い、時に拳で殴られた。
セシルはヴァンを必死で説得しようとしたが彼はまるで聞く耳を持たなかった。
歯軋りしながら何度も手を振り上げ罵倒しながら掴みよってくるヴァン、
それに対しセシルは声をふりしぼって身を守ることぐらいしかできなかった。
砂浜に怒号が満ちて天から太陽の光が昂然と降り注いでいた。
熱いくらいに背中が熱気で満ちあふれて、自然とセシルも言葉が荒ただしくなっていった。
でも恋人か親友かはわからないが、殺されて怒るのはわかる。
こんなゲーム誰も望んではいない。

23信じるということ ◆etxLi2MfRQ:2006/07/11(火) 14:37:43 ID:N0jy15GI
もし自分がローザを目の前で理不尽に殺されたら、ヴァンと同様に我を忘れて
怒り狂っていたのではないだろうか。

「聞いてくれ!」
セシルは叫んだ、あらん限りの大声で。
「僕はセリスという人と知り合いじゃない、まったくの他人だ。
 ここに来る前に出あった人から言伝を頼まれただけだ」

「頼む、わかってくれ。僕は君のことを知らないからどうやって説明するのがいいか
 わからないんだ。不用意なことを言って君の心を傷つけてしまったのは謝る。
 どうか信じて欲しい。僕がここに来て出会った人は君とロックさん、まだ二人だけだ……」

セシルは槍を放り投げた。自分の剣も投げ捨てて両手はがら空きになった。
これで無防備だ。ヴァンが槍を持って突きかかってくればセシルは抵抗もせずに死ぬ。
ヴァンは訝しい顔で、槍と剣とセシルをそれぞれ見返しながら横に動いていった。
その先には捨てられた槍が置いてある。
ヴァンの視線が槍の穂先とかち合って、ぱっと一瞬砂塵が舞ったように身体が浮くと
次の瞬間、その手には黒塗りの槍が握られていた。
「やああああっ」
ヴァンのひき手が空を舞いセシルの顔目掛けて突っ込んでくる。
これを受ければ全てが終わる。
光を帯びてきらめく視界の中、セシルは目をかっと見開き避けようとはしなかった。

24信じるということ ◆etxLi2MfRQ:2006/07/11(火) 14:38:07 ID:N0jy15GI
ヴァンの身体は直前で硬直した。
槍の穂先はセシルの鼻先で止まりわずかに震えている。
セシルは身動き一つしないでじっと耐えていた。
「くそっ」
槍を下ろして歯噛みするヴァン。
その肩にはもう力が篭もっていなかった。深々と頭を垂れて砂地に膝をつく。
その姿は哀れに思えてくる。
セシルはようやく落ち着いて呼吸をする。
ようやくわかってくれた。
そう思うとどっと疲れが押し寄せてきて、自分もその場にへたれ込んだ。
ひたすら喉が渇き、戦用のぶ厚い皮着が鬱陶しくてたまらない。
汗を拭い両手で目を覆う。
人を信じたり説得させるのってこんなに疲れることなんだ、とセシルは自分の今まで生きてきた
道のりを思い描いて改めて実感した。


【C-2/海岸/昼】
【セシル(パラディン)@FF4】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:エクスカリバー2、雑誌(ビッケ君でもできるトラップ製作大全集)、ニトログリセリン(ポリタンク詰め*1)
     FF9マークのコカ・コーラの空き瓶*11、コカコーラの王冠蓋*11、バリアントナイフ、栓抜き
 [基本行動方針]:基本的に剣は振るわない
 [第一行動方針]:ヴァンと共に行く
 [第二行動方針]:ロックの思いをセリスという人に伝える
 [最終行動方針]:協力者を集めてゲームの破壊

25信じるということ ◆etxLi2MfRQ:2006/07/11(火) 14:38:29 ID:N0jy15GI
【ヴァン@FF12】
 [状態]:深い悲しみ 
 [装備]:最強の矛
 [道具]:ゴールドアックス、イージスの盾、手榴弾×3、不明品二つ
 [基本行動方針]:ゲームに乗らず、襲われた場合は基本的に逃げる
 [第一行動方針]:不明
 [第二行動方針]:バルフレアとバッシュを探す
 [第三行動方針]:パンネロの仇を討つ(セリスを殺す)
 [最終行動方針]:生きて元の世界に帰る

26名無しさん:2006/07/16(日) 22:36:29 ID:edNCPTiA
本スレがまだなので、こちらに投下します。

27討たんとする者、守らんとする者 1/19:2006/07/16(日) 22:36:56 ID:edNCPTiA
<Side A-1 セーラの決意>
ここから離れよう。
先のことはわからないが、今するべきなのはここから離れることだ。
「逃げるぞ」
スコールは先ほどと同じようにセーラを抱え上げて北へ走った。

ぎゅっ
恐怖のためか、セーラはスコールに強く抱きついている。

……そんなに抱きつかないでくれ。
走りづらいだけじゃなくて、そう、誰かに見られたら誤解されるだろ。
ああ、そういえばサイファーがいるんだったな。
サイファーにこんな姿を見られたら……考えたくも無い。
セルフィに会ったら、「リノアがいないところで何やってるの、浮気者〜」とか言われそうだ。
…リノア、いなくて良かったな。
こんな姿を見られずにすむ…のはいいとして、この世界であいつが殺されることを考えると……。
ああ、助けられなくてすまなかった、キスティス。
SEEDとして仲間や同僚の死は覚悟しなければならなかったとはいえ、
こんな形で死へ向かい合うことになるなんてな。早くこの場所から抜け出したい。
セルフィ、お前なら協力してくれるよな。サイファー、お前もこんなときくらい協力してくれよ。

仲間のことを思いながら、スコールは走りつづけた。
後ろを振り返ると、キスティスを殺した白い服の人物はもう見えなかった。

28討たんとする者、守らんとする者 2/19:2006/07/16(日) 22:37:18 ID:edNCPTiA
「この辺りでいいだろう」
膝を曲げて、手を離しセーラを下ろそうとする。
しかし、セーラはスコールに抱きついたまま離れようとしない。
ちょっと待ってくれ、いつまで抱きついてるつもりだ?
あんな状況を見れば恐怖を感じるのはわかるが、離れてくれ。
「おい、いいかげんに離れて1人で歩いてくれないか」

「ご、ごめんなさい」
セーラはスコールの冷たい言葉を聞いて、仕方なく離れる。
そして、おびえた表情でスコールを見つめた。

そんな表情をしないでくれ、まるで俺が悪いことをしたみたいじゃないか。
心の方が落ち着かないと、まともに行動できやしない。
「しばらくここで休もう。だから落ち着いてくれ」
セーラは頷く、表情も少しだけ和らいだみたいだ。

「そういえば、お前の支給品はこのナイフ以外に何があったんだ?」
「え、ちょっと待ってください」
最初にスコールに会うまでザックの中を見ていなかった。渡したナイフも最初に出てきた物。
セーラは何が入っているのか確認するためにザックをあける。
「…えっと、何も入っていませんでした」
ザックの中を見ても、地図や名簿などの基本支給品以外には見つからなかったのだ。
「……残念でしたね」
一方、スコールは驚きの表情を浮かべていた。
何も入っていないことに驚いたのではない、入っていた物に驚いたのである。

29討たんとする者、守らんとする者 3/19:2006/07/16(日) 22:37:48 ID:edNCPTiA
「ガーディアンフォース、それも2体」
「ガーディ…?それは何でしょうか」

どうやって説明すればいいだろう。
「魔法が使えるようになる。身体能力が上がる」
ここまではいい、召喚は、どう説明する?
「そして、魔物を召喚して盾になってもらったり、攻撃してもらったりできる」
魔物と言ってしまったが、これで理解できただろうか。
「えっと、そのガーディアンフォースがどうかしたのですか?」
ああ、ガーディアンフォースが見えない支給品だったと言っていなかったか。
「お前の支給品の残りがガーディアンフォースだった。
 ガーディアンフォースは頭の中に居座るからな、見えなかったというわけだ」
「私は強くなれたんですか?あまり変わらないような気がするんですけど」
魔法のジャンクションやアビリティの付け替えをしないと効果的には使えないんだが、
説明するのが面倒だ。

「それより前に、お前に聞きたい。
 お前は戦う道を選ぶか?それとも守られる道を選ぶか?
 ガーディアンフォースがあれば、どちらにもなれる。お前の好きなほうを選べ」
もしも戦うならば、こいつにガーディアンフォースを装備させればいい。
1体を俺がもらったとしても、十分戦えるだろう。
もしも守るならば2体とも俺がもらってこいつを守る。
本当なら、こんな弱い女を守りながら戦うのはつらいが、
ガーディアンフォースをもらったまま見捨てるわけにはいかないからな。

30討たんとする者、守らんとする者 4/19:2006/07/16(日) 22:38:40 ID:edNCPTiA
戦う道を選ぶか、守られる道を選ぶか?
私はどっちを選んだらいいのでしょう。
いままでの私は守られてばかり。ガーランドにさらわれても何も抵抗できなかった。
姫だったから、私はずっと父上や城の兵士達に守られていた。
ここには父上も兵士達もいないけど、この人が守ってくれるのなら私は戦わなくても…

思い出される先ほどの惨劇。
1人の女性が切り裂かれて殺されるあの光景。

いや……殺されたくない。私は生きたい。

私は本当に守られるだけでいいの?
守られるだけで生きられるの?
弱い私のままで殺されずにいられるの?

強くなりたい。
戦える力が欲しい。
自分のことは自分で守れるだけの力が欲しい。

「私、戦います。
 自分のことは自分で守って、生きて帰ります」

「そうか。わかった、ガーディアンフォースの使い方を説明しよう」

31討たんとする者、守らんとする者 5/19:2006/07/16(日) 22:39:33 ID:edNCPTiA
「いいか、お前の頭の中にガーディアンフォースがいる。
 集中して頭の中にいるガーディアンフォースに呼びかけてみろ」

「は、はい……」
目を閉じて、頭の中へ話し掛けるセーラ。
「ガーディアンフォースさん、私の中にいるガーディアンフォースさん。
 私の声に答えてください」
頭の中にもやもやとしたものが浮かぶが、それだけ。
セーラはガーディアンフォースをはっきりと感じることはできなかった。
「えっと、なんだか頭の中に何かがいそうという感じはするんですけど、
 それだけで、他には何も感じません」

イメージ、が足りないか。
俺は映像として存在を知っているから、頭の中のガーディアンフォースを感じることは簡単だ。
でも、この女はガーディアンフォースがどんなものかも知らない。
いきなり呼びかけろといっても難しいか。
ガーディアンフォースの姿を見せれば感じることもできるようになるかもしれない。
「すまないが、一度俺の中にガーディアンフォースを移させてもらう」
セーラの額に手を触れて、ガーディアンフォースを受け取る。
2体のガーディアンフォースはケルベロスとグラシャラボラスか。
最初にグラシャラボラスを見せるのは微妙だな。
ならば、ケルベロスを見せるのがいいだろう。

32討たんとする者、守らんとする者 6/19:2006/07/16(日) 22:40:48 ID:edNCPTiA
スコールは頭の中へ呼びかけ、ガーディアンフォースを呼び出した。
3つの頭を持つ獣ケルベロスが、呼びかけに応じて姿を現した。
それぞれが凶悪な顔を持ち、今にも襲いかからんという雰囲気を醸しだす。
「こ、これがガーディアンフォース…
 こんな魔物がさっきまで私の頭の中に…?」
スコールの呼び出したガーディアンフォースに、セーラはびっくりして腰を抜かした。
「大丈夫だ、危害は加えない。むしろ、俺達の力になってくれる存在だ、安心しろ」
ケルベロスの姿を見せるだけ見せた後、スコールはケルベロスを引っ込めた。

この女は基礎体力が無い、ならばグラシャラボラスよりもケルベロスを使わせるべきだ。
グラシャラボラスは俺が使わせてもらおう。
ガーディアンフォースは奪われてしまったが、魔法は奪われずに残っていたみたいだ。
これで魔法も使える、ジャンクションもできる。
武器は無いが、戦力としてはかなり大きくなるだろう。
さて、ケルベロスをこの女に返すとするか。
「もういちど、ガーディアンフォースに呼びかけてみろ。
 さっきの姿をイメージしながらやってみてくれ」

「ガーディアンフォースさん、今度は私の呼びかけに答えて」
さきほどのケルベロスの姿を頭の中に浮かべ、目を閉じて頭の中へ話し掛ける。
………
頭の中に感じる。呼びかけに答えてくれる存在を感じる。
これが、ガーディアンフォースなのね。私でも感じ取ることができた。
「わかりました、私の呼びかけに答えてくれる存在を感じ取ることができました」

33討たんとする者、守らんとする者 7/19:2006/07/16(日) 22:42:08 ID:edNCPTiA
この後、スコールはいくつかの魔法をセーラへ渡し、魔法の使い方、ジャンクションの仕方を教えた。
ジャンクションをすることで力や素早さという身体能力や、魔力や精神という魔法力が上がることを教えた。
同時に、ステータス異常攻撃やステータス異常防御ができること、アビリティを教えた。
覚えることが多すぎて、なかなか頭がついていけないセーラであったが、
なんとか、ジャンクションやアビリティをセットして、魔法の使い方もまずまず身に付けることができた。
そして、あらかたの説明を終えた後、スコールは自分のジャンクションを行った。

「いきなりで、覚えきれないだろうがガーディアンフォースというのはこうやって使うものだ。
 ただ、身体能力や魔法力は上がっているが、打たれ弱さは変わっていない。
 戦いになったら、後ろから魔法で援護してくれればいい。それか、危なくなったら、さっさと逃げてくれ。
 今のお前なら、戦闘訓練している人間でもそうそう追いつけはしないだろうからな」
スコールはセーラに前線に出て戦わないように指導し、さらに付け加えるように召喚について教える。
「それと、ガーディアンフォースはさっきみたいに呼び出せば、お前を守る盾になる。
 ガーディアンフォースにも体力はあるから、耐えられる量は限られているが、
 どうしてもというときには、ガーディアンフォースを盾にして生き延びろ」

生き延びる。そう、私は生き延びてみせる。
「わかりました。
 いざというときになって、呼び出せなかったら困りますから、一度試してみますね」
セーラは頭の中のケルベロスへ呼びかける。
「ガーディアンフォースさん、私の呼びかけに答えてください。
 私の前に、その姿を見せてください」

セーラが呼びかけると、ケルベロスは再びその姿を現した。

34討たんとする者、守らんとする者 8/19:2006/07/16(日) 22:43:06 ID:edNCPTiA
<Side A-2 共通の敵>
「おい、あの魔物は何だ?あんなのが参加してるなんて聞いてないぞ。
 それに、名簿にあんなの載ってなかったぞ」
ファリスの埋葬を終え、南下していたディリータ一行はセーラの呼び出したケルベロスを発見した。
「あれは、たぶん召喚獣だと思います。私の持っている力とは少し違うような気もしますけど」
遠くであるとはいえ、召喚士であるガーネットは魔物が召喚獣であることに勘付いた。
「ってことは何だ?あの2人は戦ってるって事か?
 なんか、どうも違うような気がするんだが」
「そうでござるな、争っている訳では無いようでござろう」
ディリータとカイエンは2人が戦闘体勢に入っているように見えなかったので、そう判断した。
「しかし、奇妙でござる。
 あれが召喚獣ならば、一度呼び出せばもう一度呼び出すのに長い時間置かなければならないでござるに」
カイエンの世界では魔石を媒介として召喚を行う。そして召喚は続けざまに何度も行えるものではない。
そう思ったカイエンは、戦ってるわけでもないのに召喚獣を呼び出す様が奇妙に見えた。
「いや、俺の世界では召喚ってのは精霊との契約で、魔力の続く限り何度でも呼び出せるぜ」
ディリータの世界では精霊の最上位である召喚獣との契約で、召喚獣を呼び出す。
カイエンの世界と違って、呼び出すのに時間的な間隔が必要と言うわけではない。
「この場所に俺たちの世界の精霊がいるかはわからないからな。俺たちの世界の召喚がここで使えるかどうかはわからない。
 でも、呼び出された世界が違えば法則も違うみたいだから、あの召喚獣は何度でも呼び出せるやつなんじゃないか?」
ディリータの考えに、ガーネットも協調した。
「私の世界でも、長い時間を置かなくても呼び出せました。体の中に召喚獣を取り込んで、それを召喚するんです。
 ディリータさんの世界のように魔力があれば何度でも呼び出せます。
 あっ、言っていませんでしたけど、私は召喚士ですから召喚魔法を使えますよ」
カイエンは軽く頷いて、召喚の概念の違いに納得し、
ディリータはガーネットが召喚士であることに、へぇ〜と相槌を入れた。
一方、ガーネットは召喚士であることを告白しても、あまり驚かれなかったのが意外だった。
ガーネットの世界では召喚士は絶滅寸前でも、
ディリータの世界では召喚士は普通にいる上、カイエンは世界間の違いを素直に受け入れていたため、
驚かれないのも無理は無いのだが。

35討たんとする者、守らんとする者 9/19:2006/07/16(日) 22:44:21 ID:edNCPTiA
「で、どうする?あいつらに接触するか?」
ディリータは2人に問い掛けた。
「戦っていないというならば殺し合いに乗っていないのでござろう。
 ならば、話しかけてみて協力できるならば協力するのが良いと思うでござる」
「私も、話してみるのが良いと思います」
カイエンとガーネットは2人とも同じ答えを出した。
「まぁ、女の方は戦闘員には見えないというか、あの格好はどこかのお姫様にも見える。
 2人が協力して殺し合いに乗ってるとも考えにくいな。じゃあ、話しかけてみるか」
カイエンとガーネットが戦っていないことを殺し合いに乗っていないと判断したのに対し、
ディリータは協力して殺し合いに乗っている可能性も考えていたらしい。彼らしいといえば彼らしい。

ディリータとカイエンは持っている剣を鞘に収め、ガーネットと3人でスコール達に近づいた。
彼らが近づく頃にはセーラの召喚練習は終わっており、ケルベロスは消えていた。
スコールは彼らの接近に気づき、セーラを自分の後ろへかくまった。

「拙者らは、殺し合いには乗っていないでござる。お主らと話がしたい」
カイエンは両手を上げながら、戦う意志が無いことを示す。
ディリータとガーネットもカイエンにあわせて両手を上げる。
もっとも、ディリータはいつでも剣を引き抜けるように注意を払っていたが。

「俺たちも殺し合いには乗っていないが、情報交換をしたいのか?」
スコールは3人を完全に信用したわけではなかったが、3人の様子から話す価値はありそうだと判断した。
「ああ、そうだな。お前らの持っている情報をもらいたい」
仲間として行動するという選択肢もあるが、それはスコール達の情報をもらい次第。
スコール達が足手まといなら、情報をもらうだけで済ませようというディリータの即座の判断。
「いいだろう。だが、お前らの持っている情報も話してもらうぞ」
スコールは情報交換を受け入れた。仲間になれるかどうかは話しながら判断するつもりである。

36討たんとする者、守らんとする者 10/19:2006/07/16(日) 22:45:01 ID:edNCPTiA
彼らは自分の世界の知り合い・仲間、彼らが何を得意とするか。
自分の世界の法則、トランスやG.F.、ジョブチェンジ、魔石について。
自分が何を持っていて、何ができるのかを伝え合った。

「俺の仲間の1人が、こいつに殺された」
スコールは名簿にある導師の写真を差しながら話した。
「武器は、刀を持っていたな。できれば仇を討ちたいが」
スコールがたどり着いたときには、刀で切り殺す瞬間だった。
導師が魔法を使いこなすことまでの情報は持っていなかった。

「刀ですか?もしかしたら……」
ガーネットはファリスの傷の様子を思い浮かべた。
「さきほど、刃物の切り傷で亡くなった方がいました。もしかしたら、その人が犯人なのかもしれません」
少し話しただけとはいえ、この世界で初めて会った人。
もし、スコールの言っている人が殺したのなら、悲しむ人がこれ以上増えないように倒さないと。
本当なら話し合って和解したいのだけど。
「私達、全員で力を合わせて、その人を倒せないでしょうか。
 放っておけば、悲しむ人が増えてしまうから。もしそうなら、私は放っておけない」
「そうでござるな、殺し合いに乗っているならば、倒さねばならないでござる。
 説得ができればよいのでござるが」

ガーネット、カイエンともにスコールらと協力して導師を倒そうと提案する。
「そいつが本当に殺しに乗ってるなら、説得なんて考えないことだな。
 話し合いをしようとしてる間に、こっちが殺されるからな」
本当は面倒なことは避けたかったが、話の流れで避けられないと悟り、
せめて自分達が生き残る可能性を上げるようにディリータは仕向けた。

37討たんとする者、守らんとする者 11/19:2006/07/16(日) 22:45:33 ID:edNCPTiA
「それで、お前らは俺たちと一緒に戦ってくれるのか?」
スコールは力になってくれるのならば嬉しいと考え、3人に尋ねる。
「2人とも異論はないでござるな?」
「ええ、異論はありません」
「まぁ、いいんじゃないのか」
「拙者らも、これ以上無駄な殺し合いがなされぬよう協力するでござる」
カイエンは2人の意見を確認し、代表してスコールに答えた。
実際には、ディリータはあまり乗り気はなくて、合わせているだけなのだが。
「そうか、助かる。敵はここから南にいた。
 かなり時間は経っているから、同じ場所にはいないかもしれないが、
 ひとまずは最後に見かけた場所に行こうと思う。それでいいか?」
全員が頷き、一行は南へ向かうことになった。

その道中、スコールはセーラに気づかって語りかけた。
「お前は後ろから魔法で援護してくれればそれでいい、無理はするな、生きることを考えてくれ。
 もともと戦いなんて知らなかったんだ、何もできなくても俺は攻めない。安心しろ」
戦う力を持ったといっても、素人であることには変わり無い。
スコールはそう思って、セーラに無理しないように進言した。
「あの…、私のために気を使ってくださって、本当にありがとうございます。
 でも、できる限りのことはします。私は戦う道を選びましたから」
セーラの意志は固い、今までの守られていたばかりのお姫様は、もうそこにはいなかった。
「そうか、それは頼もしいな」
不安はあるが、セーラの戦うという意志を評価してスコールはそう答えた。

38討たんとする者、守らんとする者 12/19:2006/07/16(日) 22:46:16 ID:edNCPTiA
<Side B-1 導師を襲うもの>
そして、導師を襲ったのは眠気。

さきほどの戦闘で体力を使いすぎた。
戦闘での傷を癒すために魔力を使いすぎた。
もともと魔術師なため、基礎体力はあまり無いくせに、
殺す相手を探すため、朝から動きつづけたことで疲労が蓄積していた。
精神が壊れたことで肉体的な限界は超えたが、
超えた限界は疲労として常に蓄積しつづけていた。

時刻はまだ昼。眠気が襲うにはまだ早い時刻。
しかし、さながらプールの後に襲う眠気のように導師は眠気に襲われた。

草原の真ん中、仲間もいない状態で眠ることがいかに危険かは導師もわかっていた。
眠っている間に誰かに発見されて殺される可能性は高い。
できることならば、この眠りに耐えたかった。

それでも、肉体的疲労と精神的疲労が折り重なり、導師の眠りへの抵抗を妨げた。
少しの間だけ、少しの間だけと自分に言い聞かせ、導師は眠りへ落ちた。

39討たんとする者、守らんとする者 13/19:2006/07/16(日) 22:46:42 ID:edNCPTiA
<Side B-2 仲間を見つけて>
「あそこに人が倒れてるッスよ」
南からやってきたティーダ一行は草原に倒れているキスティス達を発見した。
その中でも、いち早く発見したティーダは彼女達のもとへ駆けつけた。
「こっちの人は……死んでるッスね」
首と胴の離れたその姿は、確認をするまでもなく死んでいると判断できた。
こんなに早く死に直面しなければならないことが悲しかった。
それでも、生きていればと横たわるもう1人の人物のもとへ向かう。
「こっちは、さっきの!?
 デッシュ、スリーク、早く来るッスよ」
少し前に話題になった女の子が倒れているのを見て、ティーダはすかさず2人を呼んだ。
2人が来るまでに、ティーダは導師の生死確認を行い、生きていると分かって安心した。

「おい、こいつはレナスじゃないか。向こうに死体があったってことは、
 レナスも死んだのか?まさか、そんなことが……」
スリークはかつて共に戦った仲間を発見して、その安否を気づかう。
「大丈夫ッス。生きてるッスよ。ただ、寝てるだけみたいッス」
ティーダはそう答え、スリークを安心させる。
「しかし、こんな場所で寝るなんて無用心すぎるな」
当然思うだろうことをデッシュは口走る。
「いや、それだけ激しい戦いだったんだろう。疲れがたまれば休みたくなるもんだ。
 とは言っても、こんな所で寝てたら危ないってのには同意だな。
 見たところ、傷は自分で治したみたいだし起きるまで俺達が見張ってればいいんじゃないか」
「ああ、そうだな」「そうッスね」
スリークの提案に2人は同調し、レナスを守ろうと決める。

40討たんとする者、守らんとする者 14/19:2006/07/16(日) 22:47:31 ID:edNCPTiA
眠っている間は俺たちが守ってやればいい。
でも、その間にできる限りの状況確認はしておくべきだろう。
スリークは1人頭の中で考える。
本当は喋りたいところだったが、よくない考えが先行したので、
あえて口に出すことはしなかった。

2人が倒れていた。
2人は手を組んでいて、別の第三者と戦ったのだと最初は思った。
でも、どうやらそれは違いそうだ。

1人の死体、胴と首が切断された無残な死体。あの死体の傷は多くの切り傷があった。
それと、レナスの持っている小ぶりの刀。刀を見れば血が乾いた跡が見える。
それだけじゃない、レナスの服についた血。これはレナスの血じゃない、返り血だ。

どちらかが殺しに乗っていて、結果レナスが勝ったんだろう。
問題は、どっちが殺しに乗っていたかだが…

わからないな、この状況ではこれ以上の判断は難しい。
レナスが起きたときに判断するしかないか。
できることなら、乗っていたのがもう1人の女の方であってほしいが。

でも万が一のためだ。
「レナスの刀は一時的に俺が借りる。このぐらいの刀なら俺でも何とか振り回せそうだからな。
 寝てる間に持っていても仕方ないし、何かあったときは俺が有効に使ってやるよ」
本当はレナスから刀を取り上げるため。
もし、こいつが乗っていたなら、こんなもの持たせておいたら危ないからな。
「お前の攻撃にはあまり期待できないけど、本で叩くよりはマシだろうな
 いいんじゃないか、お前が持っていても」
デッシュは、スリークの意図には気づいていないようだ。

41討たんとする者、守らんとする者 15/19:2006/07/16(日) 22:48:33 ID:edNCPTiA
一方、ティーダはもう1匹の怪我人のところへ行っていた。
「これは、チョコボッスね。
 怪我をしてるみたいだけど、まだ生きてるみたいだ」
チョコボがいれば、何かと役に立ちそうだな。
俺は回復魔法が使えないけど、応急処置でもしておけば死なないよな。
あとで導師が起きた後に、治してもらえばいいよな。

銃弾を取り除くのはさすがに無理だったので、ティーダは自分の服を切り取って、
血が流れ出ないようにチョコボの体を縛り、簡単な止血をしておいた。
チョコボの体は大きく、本当に簡単な処置であったが、
それでも、何もしないよりは大分よくなった。

ティーダはチョコボの応急処置を終えた後、
デッシュとスリークにチョコボの怪我について話した。
「あそこにいるチョコボ、銃で怪我をしてるんだ。
 でも、もう一人の方、銃なんて持ってなかったよな。
 もしかしたら、犯人は別にいるんじゃないか?」
「銃だって?そうか、なるほどな。
 銃と刀を持った誰かが、この2人と戦って、1人を殺した。
 レナスは上手く撃退して刀を奪ったってところか」
デッシュは第三者がこの惨劇を作り出したと納得した。
「銃の傷か、俺にも見せてくれないか?」
スリークは自分の推理に不確定要素が入ったことで、少し迷っていた。

ティーダはスリークをチョコボのもとへ連れて行き、その傷を見せた。
「確かにな、こいつは銃の傷らしい。そうか、他の誰かがやった可能性が高いみたいだな。
 一応だが、そこに転がってるザックの中身も確認しておこう」
武器を持たない人間が、銃での攻撃なんてできるわけが無い。
もし、本当にこの場に銃が無いならば、さっきの推理は間違いで他の誰かがやったのだろう。
スリークもそう納得することにした。

42討たんとする者、守らんとする者 16/19:2006/07/16(日) 22:48:59 ID:edNCPTiA
「これは……何だ?」
キスティスのザックを覗くと、妙な粘土板5枚と金属の嘴しかなかった。
「…これが何だかわからないが、こいつが銃を持ってなかったというのははっきりしたな。
 やはり、第三者がやったということなのか」
さすがのスリークも第三者がやったと納得する。

「この地図、もしかしてお宝の地図だったりして」
「はぁ?」×2
ティーダの緊張感のない発言に、デッシュとスリークは呆れる。
「ほら、ここ掘れクエックエッって感じにこの嘴で」
「ここ掘れクエックエッって、あのな……」
昔話に喩えておどけるティーダに、さらに呆れるデッシュ。
「まぁ、お宝があるかどうかはわからないが、わざわざこんな地図を用意してるってことは、
 何かがあってもおかしくは無いな。余裕があったら探してみるか」
ふざけた喩えは無視して、地図の有用性について考えていたスリーク。
「お前がそう言うなら、俺はそれでも構わないぜ」
「そうッスよね、じゃあ彼女が起きたら一緒に地図の場所に行くってことで」

スリークは彼女が起きたらという言葉に一抹の不安を感じながらも、
3人でレナスを見守ることにするのであった。

43討たんとする者、守らんとする者 17/19:2006/07/16(日) 22:49:36 ID:edNCPTiA
【B-7 草原 午後】
【セーラ@FF1】
 [状態]:軽い疲労、オートヘイスト
 [装備]:ナイフ、G.F.ケルベロス
 [道具]:なし
 [第一行動方針]:導師を倒す
 [基本行動方針]:生き延びたい、自分の事は自分で守る
 [備考]:警戒、身体能力・魔法力大幅上昇、ST攻撃何か、ST防御何か×4
    いくつかの魔法をスコールから譲渡されています
【スコール@FF8】
 [状態]:軽い疲労、オートシェル
 [装備]:オーガニクス@FF9、G.F.グラシャラボラス
 [道具]:聖石(レオ)
 [第一行動方針]:導師を倒す
 [基本行動方針]:仲間を探し出して、ゲームを脱出する
 [備考]:属性攻撃無効、ST攻撃何か、ST防御何か×4

44討たんとする者、守らんとする者 18/19:2006/07/16(日) 22:50:09 ID:edNCPTiA
【ディリータ@FFT】
 [状態]:健康
 [装備]:エクスカリバー(FFT)
 [道具]:首輪
 [第一行動方針]:導師を倒す
 [第ニ行動方針]:無用な戦いはせず、仲間を集める
 [最終行動方針]:生き残る。その為には手段は選ばない
 [備考]:生存率の下がる行動はしない。カイエン、ガーネットを利用
【カイエン@FF6】
 [状態]:健康、MP微消費
 [装備]:斬鉄剣(FF6)
 [道具]:魔石フェニックス(翌日まで使用不可)
 [第一行動方針]:導師を倒す
 [第ニ行動方針]:仲間を探す
 [最終行動方針]:ゲームからの脱出
【ガーネット@FF9】
 [状態]:健康
 [装備]:ミラクルシューズ(FF6)、リボン(女性専用)(FFT)、オパールの指輪(FF12)
 [道具]:ファリスのペンダント、風魔手裏剣(残り11枚)
 [第一行動方針]:導師を倒す
 [第ニ行動方針]:ジタン達と合流
 [第三行動方針]:バッツ、クルル、ギルガメッシュにペンダントを渡す
 [最終行動方針]:ゲームからの脱出
 [備考1]:白魔法 ケアルジャ、アレイズ、リレイズ、リジェネ、プロテジャ、シェルジャ、ウォール、エスナ、ホーリー継承。
 [備考2]:アビリティーの付け替え可。死ねばクリスタル。

45討たんとする者、守らんとする者 19/19:2006/07/16(日) 22:50:50 ID:edNCPTiA
【C-7 草原 午後】
【導師@FF3】
 [状態]:精神崩壊 HP3/4 MP大幅消費 睡眠中
 [装備]:なし
 [道具]:デモンズシールド、ダンボール(たまねぎ*12)
 [第一行動方針]:身体の回復
 [基本行動方針]:ひとをころしたい
 [備考]:重度の記憶障害(戻るかも?)、殺害に対する快楽

【スリーク@FF3】
 [状態]:健康
 [装備]:影縫い
 [道具]:怪獣図鑑@FF4 巨人の斧 スーパーボール(FF6) オニオンソード クイックシルバー(FF7) マガジン×5
 [基本行動方針]:仲間探し、旧友も最初は疑う
【デッシュ@FF3】
 [状態]:軽度の疲労
 [装備]:クリスタルの盾、ミスリルナイフ
 [道具]:なし
 [基本行動方針]:スリーク達について行く
【ティーダ@FF10】
 [状態]:健康
 [装備]:キアストレート
 [道具]:ココグラフ×5、アダマンタイトの嘴(ココの穴掘り専用)
 [基本行動方針]:とりあえず仲間を探す
 [共通第一方針]:寝ている導師を守る
 [共通第二方針]:導師の目覚め&チョコボの治療後、ココグラフに描かれた場所へ行く

46皇帝の呪い1/6:2006/07/18(火) 14:01:53 ID:YWnRPZ2w
あれからしばらく経ってからだろうか。
皇帝は城の中に進入してきた人物の気配を悟った。
先ほどの戦いでは仕損じたが今度は逃がすつもりはない。
愉悦に満ちた表情を浮かべ、皇帝は精神を集中させながら時を待った。


クルルは薄暗い城内に数歩踏み入ってから顔をしかめた。
内部は荒らされて、まるで地震にでもあった後のような有り様である。
上を見上げると、階上からの落盤が原因のようだ。
でも見た目では城の内壁は頑丈な石作りであり、簡単に崩れ去るとは思えない。
自然に崩れたのではなさそう、つまり何かの力によって崩落したものだとしか考えられない。
今ままで地面についた跡を何気なく追ってここまで来たが、どうやらまずいことに巻き込まれそうな
予感がしてきた。
慌てて引き返そうと思ったが、もし、仲間がここで声も出せずに助けを求めているような
ことがあったらどうだろうか。
クルルは迷った末、決意した。
消えるマントを身に着けていれば不意に襲われる心配はない。
仲間を求めるために城を探索することにした。

進んでいくと頑丈な鉄の扉の奥に広間がありそうだった。
手をかけてみるとあっけないほど簡単に扉が開く。
そっと中に入り、きょろきょろと周囲を見渡す。
「人が……」
クルルははっと振り返った。
からからと瓦礫から小石がこぼれ落ち、しんと静まり返る。
ごくりと唾を飲み込んでもう一度正面を向き直る。辺りは埃っぽい空気が充満していた。

47皇帝の呪い2/6:2006/07/18(火) 14:02:32 ID:YWnRPZ2w
「いないか……」
胸をなで下ろし、どこかに使える階段はないか探そうとした。

そのとき突然、胸がつかえそうな衝撃を受け、クルルは広間の中に引きこまれた。
がっしりと腕を掴まれた感覚があったが、何も目には見えなかった。
見えない手が掴んできて自分を引き寄せる。
恐怖をおぼえてクルルは必死でもがいたが、身体が宙に浮いて力が入らなくなり、
そのまま壁に叩きつけられた。
「くうっ」
背中を打ちつけて一瞬呼吸ができなくなったが、間違いない敵の存在を感じ懸命に起き上がった。
かすんだ視線の先には黒い仮面と外套を身に着けた男が立っていた。
「お前を呼んだのは私だ。この皇帝の手にかかることを光栄に思うがよい」
クルルは咄嗟にこの場から逃げ去ることを考えた。
アビリティはそれ用のものがついている。
それにしても、まさか消えるマントを装備していながら自分のことがバレるなんて。
多分集中していれば姿が見えなくても、気配を察知することはできるからだろう。
クルル自身も、ジョブが忍者であるときは気配察知の術を心がけているものだ。
非常に、まずい。
迂闊だったと後悔した。

48皇帝の呪い3/6:2006/07/18(火) 14:03:19 ID:YWnRPZ2w
「まずは貴様の固い守りを奪う」
皇帝は印を結び小さなつぶやきを幾重にも重ねた。魔法が完成する。
「カーズ16!」
皇帝の指先から死神のような暗い影があらわれた。
「な、なに?」
暗い影が猛スピードで接近する。
走ろうとしたときには既に遅く、クルルは闇に取り囲まれた。
がくんと膝が落ち、苦悶の表情を浮かべる。
頭の中で悪魔の哄笑が連続して響き渡った。精神をもぎちられるようにクルルの気力は
次第に収縮していった。
「ぐ、ぐううううううううう」
皇帝は一歩一位近づいていった。
「いつまで持つかな。その魔法は呪いにより身体と精神を縛り付ける。
 いずれ身動きひとつできぬようになるぞ」
クルルは皇帝の言葉に必死に抗った。
「このおっ」
錯乱しかけた状況のなか、手に集めたチャクラを一気に放出した。
皇帝は一瞬ひるんだように見えた。
クルルは180度向きを変え逃げようとした。
しかし、余りにも強力な魔力の前に、クルルの身体は傾き倒れこんでしまう。
「それまでだな。もはや戦うことはできまい」
皇帝は勝者の笑いを口にしていた。

前回、クラウドたちを逃したのは痛い経験であった。
ひとえに油断があったことがその原因である。
魔法も本気で使ったものではなく、その効果は本来のものには遠く及ばなかった。
それを踏まえて次の戦いが来る前に、皇帝は精神を魔法のために研ぎ澄ませていたのだ。

49皇帝の呪い4/6:2006/07/18(火) 14:03:50 ID:YWnRPZ2w
とりわけ呪いを発する魔法を得意としていた皇帝は、いざ戦闘の際は自分の邪悪な意思を
カーズの滑らかな詠唱に乗せることを心がけた。
これによりクルルはその呪縛から逃れることはできず、その風前の命の灯火を皇帝の前に
晒すことになった。
「しかし、この一発だけで終わりとは何とも物足りぬな」
皇帝は愉快そうにしながらも、目の前でうずくまるクルルを眺めて一案した。
そういえば支給品をまだ確認していない。
魔力さえあれば武具や道具の力など不要と考えていたが、このゲームを少しはおもしろく
するような技巧品があるかもしれない。
皇帝はザックに視線を走らせた。
宙に浮かんだザックは物音も立てずに紐が解かれ、中から三つの品を出すと、再び音もなく
地面に落下した。

出てきたのは艶やかな玉石と本、そして見慣れぬ物体だった。
それらを手に取って確認する。
玉石と本は相当な魔力が込められた品だ。自分にふさわしいアイテムと言えよう。
ただもう一つ出てきた物、これが実は最も興味深い。
説明書きによれば、この蜂のような物体を飛ばすと周囲の状況を画像にして
映し出してくれるという。
これがあればわざわざ出向かなくても遠くの場所にあるものが、この手に取るようにわかる。

皇帝は倒れたクルルに歩み寄ると、新たな呪いの言葉を唱えた。
すると、まったく身動きのできなかったクルルが突然目を見開いて立ち上がった。
だがその目は虚ろで焦点が合っていない。
「これでお前は私の操り人形となったわけだ。喜べ、この私の下で働けることをな……」
皇帝は一言二言クルルの顔を目前にして囁きかけた。

50皇帝の呪い5/6:2006/07/18(火) 14:04:19 ID:YWnRPZ2w
それは彼の魔法だった。筋力を飛躍的に増加させるバーサクの魔法。
クルルは虚ろな目のまま拳を構え、くるりと向きを帰ると城の外へと歩いていった。
「殺せ、皆殺しにするのだ。見事果たせたならばその時こそ我が手でお前を葬ってやろう」
皇帝が合図すると、蜂に似た監視ロボットを従えたクルルは猛然と扉の外へ
走っていった。


クルルはもはや疲れを知らぬ狂戦士そのものだった。
皇帝の呪いは凄まじく、クルルの中枢神経を完全に支配化に置いていた。
どんなに傷を負おうとも怯まずに殺戮を続けるマシーンである。
髪は逆立ち服は至るところ擦り切れていたが、顔には全く表情がなかった。
クルルは虚心のまま走りぬけ、ついにバッツとイリアが地べたに座り込むんでいるところを
視界の中に捉えた。

【E-2 城内 午後】
【マティウス@FF2】
 [状態]:スロウ、HP4/5
 [道具]:アレクサンダーのマテリア、バーサクの本、
     監視装置(偵察用の超小型無人ロボットとモニター)
 [装備]: なし
 [第一行動方針]:クルルの監視
 [最終行動方針]:ゲームを破壊し全員殺す。

51皇帝の呪い6/6:2006/07/18(火) 14:04:46 ID:YWnRPZ2w
【F-2 草原 午後】
【クルル@FF5】
 [状態]:皇帝の呪いで自己を持たない、バーサク+呪いにより攻撃力上昇
 [装備]:なし
 [道具]:コマンドマテリア(種類不明)、ワープキューブ@FF1 消えるマント
 [基本行動方針]:参加者を皆殺しにする
 [第一行動方針]:バッツとイリアを殺す
 [最終行動方針]:基本行動方針達成後、皇帝のもとへ戻る
 [備考]:ジョブ:モンク アビリティ:!とんずら

52不器用な男 1/7 ◆1BuOcQfGd.:2006/08/22(火) 11:16:33 ID:V3t3wlRk
シーモアに襲われ、橋まで逃走してきて小半時が過ぎようとしていた。
ヴィンセントとギルガメッシュは息も整い、そろそろ次の行動はどうするかという話になる。
「ヴィンセント、支給品はその武器だけか?」
ギルガメッシュはデスペナルティを指さす。
「私の支給品はこの銃と、これだ」
ヴィンセントがザックから取り出したのは、拳大の透明色を帯びた石だった。
「クリスタルに似てなくもないが…何なんだ?」
ギルガメッシュは妖しく輝く石をまじまじと見つめる。
「ザックに入っていた説明書には”暁の断片”と書いていた。
 これは装備した者の魔力を吸収し続けるそうだ。戦いの役には
 立ちそうにない…」
「ハズレアイテムってことか。何もしなくても魔法が使えなくなるんじゃあなぁ」
ギルガメッシュは残念そうに呟く。
二人は知らない。この石に強大な破壊の力が秘められていることを。

「とりあえずその石のことは置いといて、何処に移動する?
 東は勘弁してくれよ。また『アレ』と出くわすのは勘弁だ」
真っ先にギルガメッシュが提案した意見にはヴィンセントも同意した。
あの男の強さは身をもって知っている。短い時間と言えど、一戦交えたのだから。
「それなら西か」
「だな。このまま橋を渡って、道沿いに城までいくか?
 夜になれば下手に動くのはまずいからな」
二人は相談の末、なるべく戦闘は避けることになった。武器がない訳ではないが、
どちらも回復魔法が使えず、回復手段が癒しの杖のみだからだ。

53不器用な男 2/7:2006/08/22(火) 11:18:59 ID:V3t3wlRk
ギルガメッシュの提案どうり日が落ちるまでに城へ移動し、潜伏することになった。
そこで武器や食料でも調達できれば上出来だろう。
そして二人は善は急げと移動を開始した。


もう少しで橋を渡りきる所で、不意にギルガメッシュが足を止める。
「どうした、ギルガメッシュ」
「いや、何か変な音が聞こえないか?猛獣のうめき声のような…」
そう言われてヴィンセントは耳を澄ます。
微かではあるが、確かに聞こえる。それも自分たちが進む方角からだ。
「この音は…」
だんだん音が近づいてくる。視線を向ける先に黒い物体が見えてくる。
それは大小二人の人間を乗せ、煙を吐きながらヴィンセントたちの前で停止した。
「何だ、こりゃ…」
ギルガメッシュは見慣れぬものに呆気にとられ、思ったことをそのまま口に出す。
「ヴィンセント、無事だったか」
チョコボに似た、金髪にツンツン頭の青年がヴィンセントの名を呼ぶ。
「…クラウドか」
ヴィンセントは知った顔と確認すると、銃に添えていた手を離した。



「いや〜、またゲームに乗った奴と鉢合うのかとヒヤヒヤしたぜ。
 ヴィンセントの仲間で良かったよ」
ギルガメッシュは心の底から安心したと言わんばかりの口調で話す。
「驚かせてすまなかったな。俺はクラウド。こっちはパロムだ」
「よろしくな、変なカッコのあんちゃんに銃のあんちゃん」
右手をひらひらとふり、笑顔で挨拶をする。
「へ、変なカッコ…」
ギルガメッシュはおもわず復唱した。
自覚はしているものの、やはり人に言われると傷つくのだろう。

54不器用な男 3/7:2006/08/22(火) 11:20:47 ID:V3t3wlRk
そのやり取りには気にかけず、クラウドは話を切り出す。
「ところでヴィンセント、ゲームにのった奴とあったのか?」
「ああ、少し前にな」
ヴィンセントはシーモアとの出来事をできるだけ詳しく説明した。
おそらく魔導師ということ、人を殺すのにためらいはないこと。
名前はザックに入っていた名簿で知ることができた。

「なるほどな。かなり危険な男みたいだ」
ヴィンセントの話を聞き、クラウドはうなづく。
「だろ。何せ俺が話しかけてたらいきなり襲って来たんだからな」
ギルガメッシュが横からシーモアの恐ろしさを語ろうとしたが、
「それはあんちゃんが変なカッコしてるせいじゃないの?
 それで、その人があんちゃんのことゲームに乗ってるって思ったのかも」
とパロムに冗談を含む口調で言われ話すのを止めた。また傷ついたのだろう。
「クラウド。お前のほうでは何かなかったのか?」
ヴィンセントは問われてクラウドは顔をあげる。
「俺たちもゲームにのっている奴とあった。えっと…こいつだ、マティウス!」
名簿の中の一枚の写真を指さす。
「魔法の腕はかなりのものだった。パロムの機転で城から出ることができたんだ」

「城だって?」
うなだれていたギルガメッシュがクラウドの言葉に反応した。
「ああ、E-2の城にいた。パロムが『ヤバい奴がいる』っていうから
 そんな奴は放っておけないと思って、倒しに城へ入ったんだ。なあ?」
「うん。あいつの魔力は尋常じゃなかった。結局たいした傷を負わせられなかったんだ」
パロムはクラウドにうなづいて同意する。
「そんな奴が城にいるのかよ…。なあヴィンセント、どうするんだ?」

55不器用な男 4/7:2006/08/22(火) 11:23:38 ID:V3t3wlRk
「こんな話を聞いた以上、城へ行くのは止めたほうがいいだろう。
 ところでクラウド…あんたは何か目的はあるのか?」
「俺はパロムの仲間探しに協力している。それと…」
「それと…何だ」
次の言葉を出すのを止めてしまったクラウドにヴィンセントは問いかける。
「いや、何でもない。それだけだ」
「……?そうか…ならば大人数では動きが鈍るな…。別行動をとるのがいいだろう」
少しクラウドの態度に違和感を覚えるも、話の腰を折る訳にもいかないので
気にせずそのまま話を続ける。
「ああ、そうしてもらえるとありがたい。これから俺たちは橋を渡って北東へ
 進むつもりだ」
「…わかった。私たちもパロムの仲間を見つけたら伝えておこう」
「ああ、頼むよ。パロム、行くぞ!」
クラウドはパロムを呼び、ハーディ・デイトナにエンジンをかける。
あたりに獣の叫び声のような重低音が響く。
「…クラウド!」
いざ発進しようとしたクラウドをヴィンセントが呼び止める。
「何だ?」
「必ず生き残れ。もとの世界にはあんたを必要としている人が残っている」
ヴィンセントらしからぬ言葉に少し戸惑いつつも、クラウドは笑顔で答える。
「ああ。ヴィンセント、また逢おう」
そしてヴィンセントとギルガメッシュの前から去っていった。

「なあ、本当に良かったのか?一緒に行動したほうが良かったんじゃ」
あっさりとクラウドたちを見送ったヴィンセントにたいして疑問をぶつける。
「クラウドは強い。一緒にいた少年もかなりの力を持っているようだった…大丈夫だ」
「それならいいんだけどよ…」

56不器用な男 5/7:2006/08/22(火) 11:24:57 ID:V3t3wlRk
(そう、クラウドは簡単には死なない…。大丈夫だ)
ヴィンセントは心の中で復唱して自分に言い聞かせた。
「ヴィンセント、G-3に洞窟がある。しばらくここで待機しようぜ」
地図を確認したギルガメッシュが再度提案する。
「…ああ。急ごうか…」
心の中に何とも言えないもやもやを溜め込んだまま、ヴィンセントたちは移動を再開した。



「あんちゃん、何で自分が探してる奴のこと聞かなかったんだよ。
 聞こうとしたのに話すの止めちゃうし」
草原を疾走するハーディ・デイトナの後部に跨がるパロムはクラウドに訊いた。
「どうしてそんなこと訊くんだ?」
「何でって…。あの二人が探してる奴に会ってたら何処にいるか分かるかもしれないのに。
 会ってなくても、おいらの仲間みたいに伝えるだけでもすればいいじゃんか」
「……会っていたらあの二人はもう死んでる」
「へ?」
突然、『死』と言う単語を耳にしてパロムは素っ頓狂な声をあげた。
探し人と会ったらあの二人は死んでる?
つまりそれは探し人は危険な人間。ということは…。
「あんちゃんが探してる人ってもしかして…敵?」
そう聞くと、クラウドは一呼吸おいて話し始めた。
「そうだ。ヴィンセントにそんなことを言えば止められるだろう?
 『一人で敵に向かっていってどうするつもりだ』ってな」
「だから言わなかったのか?」
「ああ。ヴィンセントとはそこまで長い付き合いじゃないけど、
仲間なのは変わらない。俺は、仲間を心配させたくないんだ」

57不器用な男 6/7:2006/08/22(火) 11:26:00 ID:V3t3wlRk
ヴィンセントが自分のことをどう思っているかは知らないが。
不器用な自分にはこの方法しか思いつかないけれど、仲間が無事ならそれでいい。
「ふーん。一緒に戦って倒せばいいのに。変なあんちゃん」
「ほっとけ。変で悪かったな」
「もしかして、『俺はサシじゃないと戦わない』とか、
『敵を一人で倒して俺かっこいい!』みたいなこと考えてたりして」
パロムは声のトーンをわざとらしく低くして、ぼそぼそとクラウドの声真似をした。
パロムの冗談にクラウドは顔を赤くする。
「そんな訳ないだろう!俺の話を聞いていたのか!?」
「あははははっ、怒った怒った」
パロムの笑い声とクラウドの怒声とともに、ハーディ・デイトナは草原を行く。


【F-4 橋→移動 昼】
【ギルガメッシュ@FF5】
 [状態]:健康
 [装備]:暗闇の弓矢
 [道具]:癒しの杖、波動弾
 [第一行動方針]:ヴィンセントと行動
 [第二行動方針]:G-3の洞窟へ行く
 [基本行動方針]:武器と仲間を捜す

58不器用な男 7/7:2006/08/22(火) 11:26:45 ID:V3t3wlRk
【ヴィンセント@FF7】
 [状態]:健康
 [装備]:デスペナルティ
 [道具]:暁の断片
 [第一行動方針]:ギルガメッシュと行動
 [第二行動方針]:G-3の洞窟へ行く
 [基本行動方針]:ゲームには乗らない

【F-4 草原 昼】
【クラウド@FF7】
 [状態]:HP2/3、MP消費小
 [装備]:ハーディ・デイトナ
 [道具]:正宗@FF7+マテリア(じかん) エクスポーション×4
 [第一行動方針]:北東へ移動
 [基本行動方針]:打倒セフィロス
【パロム@FF4】
 [状態]:MP消費小
 [装備]:なし
 [道具]:エーテルターボ×5
 [第一行動方針]:北東へ移動
 [基本行動方針]:仲間を探す


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