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FFDQかっこいい男コンテスト 〜DQモンスターズ部門〜
1
:
4
:2002/10/20(日) 13:15
DQモンスターズの小説専用スレです。
書き手も読み手もマターリと楽しくいきましょう。
*煽り荒らしは完全放置。レスするあなたも厨房です*
2
:
MOMO</b><font color=#FF0000>(MOMO/RMo)</font><b>
:2003/03/23(日) 00:13
ガソガソのDQM+設定でホモらせてみるテスト。
ちょっとずつ更新の予定です。
まだエチーくないので(2/22現在)、静かに地下潜行。
sageまくりで見つからないようにアップするですよw
見つけちゃったアナタ!なまあたたかーく見守ってくだされ……(;´Д`)
3
:
黎明、サマルトリア(DQM+)
:2003/03/23(日) 00:15
1
俺は、暗い廊下を歩いていた。
あの時の装備――隼の剣に力の盾、それといくばくかの路銀を持って。
薬草、毒消し草、キメラの翼は要らないのかって?
俺は魔法戦士だ。ンなもの必要ねえよ。
本当は誰にも言わずに出立するつもりだったんだ。
けど、親父に文の一つくらい残しておくのが、礼儀ってもんだしな。
俺は、父上の寝室のドアと床の隙間に手紙を差し込んだ。
そして、もう一通。こいつは妹宛て。
すると、ドアの向こうから―――。
「行くのか、サトリ」
「……!!」
父上の声は、いつものように落ち着いていた。
「わたしには解かっておったよ」
「申し訳ありません、父上……」
俺はドア越しの父上に向かい、頭を垂れた。
「わたしがお前の立場なら、やはり親友を捜したいと思うだろう。―――行くがよい。そして必ずやロラン殿と共に帰って来るのだぞ」
「はい!」
こうなれば、堂々と正面きって旅立てるってもんだ。
俺は城の門番に、父上の許しを得たことを告げる。
「サトリ様、姫様に見つからぬうちにお早く」
若い門番が微笑みを浮かべる。
「そうだな」
妹のやつに見つかると、自分も連れて行けとうるさいからな。
「どうぞ、お気をつけて!」
敬礼する門番や城の兵士たちに見送られ、俺は城をあとにした―――。
4
:
黎明、サマルトリア(DQM+)
:2003/03/23(日) 00:17
2
ある日、忽然と奴は姿を消しやがった。
隣国ローレシアの王子、ロラン。
俺とムーンブルクのルーナ王女と共に旅し、破壊神シドーを剣一本で屠った男。
夜が明けるまでに、城からできるだけ離れておこう。ルーラはその後だ。
俺は歩みを進めた。
やがて白々と辺りが明るくなる。
徐々に緑の色が鮮やかさを増し、鳥のさえずりが聞こえてくる。
振り返ると、遠くにサマルトリア城の尖塔が光を受けて輝いている。
俺は、キッと前を見据えた。
ロラン、何処かでのたれ死んでみろ。
俺はお前を一生許さないからな!!
俺は移動呪文ルーラの詠唱に入った。
目指す場所は、もう既に決まっていた――――。
5
:
黎明、サマルトリア(DQM+)
:2003/04/12(土) 18:54
3
俺はまずローレシアに飛んだ。
何よりもあいつの家出の経緯を知りたかったし、この先の捜索の手掛かりが得られるかもしれないという憶測があったからだ。
俺がローレシア城に行くと、すっかり顔馴染みになった兵達が安堵の表情を浮かべ、歓迎してくれた。
王の間に導かれる途中、大臣が俺にすり寄ってきやがった。なんなんだよ……。
「サトリ様、どうか我が王を励まされて下さいませ。ロラン様が行方不明になってからというもの、食事も喉を通らないご様子。我等一同心配でたまりませぬ。どうか、どうかなにとぞ……」
「わかったよ。俺も出来る限りのことはするから」
「……恐れ入ります……」
玉座には、あいつの親父が座っていた。
心労のせいか、少しやつれているように見える。
無理もない。あいつはローレシアにとって、たった一人の跡取りなんだからな。
近い内に王座を譲る式典の準備も始まるというのは周知の事実だったし。
『絶対、来てくれよな』
『一世一代の見ものだ。見逃すわけないだろ』
『ひどいなぁ』
そんなやりとりで笑いあったのは、いつだったろう。
「お久しぶりです、ローレシア王」
「サトリ殿、本当によく参られた。ロランがいたら、どんなに喜んだことか」
「単刀直入で申し訳ないのですが、ロラン…王子に一体何があったのですか」
「うむ……それが、わしにもよくわからないのだよ。なにしろあやつときたら、書置きひとつ残さなかったのでな」
「王になるプレッシャーに押し潰されるような人間でないことは、俺が一番良く知っています」
「ありがとう、サトリ殿……あやつも君の様に思慮深くなって欲しいものだ」
「俺もまだまだです。父に言わせると半人前ですから」
「遠路はるばるお疲れであろう。ゆっくりしていってくれたまえ。……いや、サトリ殿にはルーラという便利な魔法が使えるのであったな」
「はい、まぁ……」
6
:
黎明、サマルトリア(DQM+)
:2003/04/12(土) 18:55
4
「ところでサトリ殿、どうやら旅支度をしておられるが、これからどちらに発たれるのかな?」
「父よりロラン王子を捜す許可を得たので、これから旅立つつもりです。その前に御挨拶をと思いまして」
「サマルトリア……王が……」
ローレシア王は驚いたようだった。そして、みるみるうちにその目は涙でいっぱいになった。
「そうか……済まぬ……我が不肖の息子の為に……」
「とんでもない。ロラン王子は俺にとって大事な――親友ですから」
「わしもそなたの父上とは若い頃よく遊んだものだよ。父上は、お元気かな」
「はい」
「それはなりより。……ロランは、そなたのような友に恵まれて幸せ者だ。それなのに、あやつは……! サトリ殿、どうかあやつを捜し出して、わしの代わりに叱り飛ばしてやって欲しい」
俺は王に別れの挨拶を述べながら、どうやら城での手掛かりはなさそうだ、と考えていた。
やっぱり城みたいな所はダメだ。ナマの情報に勝るものはないよな。
俺は城下町で聞き込みをすることにした。
さっそく町の一番大きな食堂に入り、陽気でおしゃべりなおかみからロランに関する噂を聞く。
平和が戻ってから、破壊神さえ倒したロランの常人を逸脱した威力のある剣技を人々が畏怖するようになったこと、三人のロトの末裔の中で魔法を使えないのは奴だけなので、ロトの血を疑う声があがっていたこと、などなど。
「ところで」
おかみは、じろじろと俺を眺めた。
「サマルトリアの王子も、あんたと同じように金髪碧眼のいい男らしいねえ」
「ふうん。そんなにそいつ、いい男なの」
俺は面白がって聞いてみた。
「そりゃあもう、こうスラッとして、凄い魔法も使えるらしいよ」
「俺はどう? その王子と比べて、さ」
「あっはっは!」
おかみは豪快に笑った。
「おかしな子だね、あんた。あんたもなかなかいい男だよ。でもサマルトリアの王子様には到底かなわないだろうねえ!」
―――聞かなきゃよかった。
俺は憮然とした表情でテーブルに勘定を置くと、席を立った。
7
:
黎明、サマルトリア(DQM+)
:2003/04/12(土) 18:56
5
ロランが何故姿を消したか、朧気だが浮かび上がってきた。
魔法―――か……。
歴代勇者の家系の中で、魔力を失って久しいローレシア。自らも魔力を一切持たずに生まれてきた、ロラン。
そのことを奴はよく気にしていた。
魔力は生まれ落ちた時に決定されるもの。
まったくそのチカラを持たざる者が、どんなに必死に努力しても得られるものではない。
魔力が皆無であることがわかった時、周りの落胆ぶりを誰よりも辛く思っていたのは、幼いロラン自身だったのだろう。
世界一の完成度と謳われるローレシア剣士の中でも一番の腕前になった今でも、奴の心は癒されることはなかったのか。
焚き木に火をつける時に何気なくギラを使ったら、奴は「便利だね」と呟いていたっけ。
俺は知らず知らず、奴を傷つけていたのだろうか。
一応リリザの街にも寄ってみた。
ロランもここを立ち寄った可能性は高いと踏んだからだ。
ここでも奴について聞き込むと、一人の町娘がこんなことを口走った。
「ロラン王子様は、ルーナ王女様がお好きだったんじゃないかしら。きっとムーンブルクにお逢いにゆかれたのだわ!」
……ロランに限ってそんなことはない―――と思うんだが。
他に手掛かりはないしな。
俺はムーンペタに次の照準を合わせることにした。
8
:
闇の森の女神(DQM+)
:2003/04/13(日) 15:44
1
ムーンブルクの復興は順調のようだ。人々の表情が明るいので手に取るように解かる。
ルーナは頑張っているらしいな。
俺の国はもとより、ローレシア、ラダトームからの援助もあるので城もすぐに再建されることだろう。
ムーンペタでロランの足取りは途絶えてしまった。
確実なのは、奴がムーンブルク城の方に向かわなかったことのみ。
早くも手詰まりかよ!
奴は、あてもなく道なき道を彷徨っているとでもいうのか。
ここから獣道にでも分け入るしかねえな……。
俺はため息をついた。
とっつかまえたら、野郎をぶんなぐってやる! ―――痛くない程度に。
そして抱きしめてやるんだ。
きっとあいつは……泣くだろうからな。
『“闇の森”に行きなさるって?! お客さん、悪いことは言わない、やめておいた方がいいですよ。つい最近もキノコを採りに行った親子連れが行方知れずになったばかりでさぁ!』
『“闇の森”に何かあるのか。ますます俺の知り合いが好きそうな所だぜ。是非場所を教えてくれよ、おやじさん!』
『しっ、しかし……』
渋る宿の主人から、ようやく場所を聞き出すと、俺は翌朝早く宿を発った。
貰った地図を頼りに、昼なお暗い森を見つけた。
伝承によると、大昔城から追われた悪い魔女が恨みながら息を引き取ったのがここの森で、その魔女の呪いで、こんなにも不気味な森になってしまったっていうことらしい。
そんな話を信じるほど俺は子供じゃないが、この森が薄気味悪いことは確かだ。
じめじめした地面に、木という木に無数にからむツタ。
ここで野宿するのかと思うと憂鬱になる。湿気でよく眠れそうにないし。
それに……魔力を持つ俺にとっては、干渉する何かがひどく精神を乱す。
悪しきモノの気配……といったらわかるだろうか。
平和になったとはいえ、まだ魔物がいなくなったわけではない。
かえって統率者を失ったことで、暴走する魔物もいる位だ。
俺はいつでも剣を抜けるように、柄を固定しているベルトを外した。
9
:
闇の森の女神(DQM+)
:2003/04/13(日) 15:45
2
辺りを警戒しながら、はびこったツタを踏みつけて進んでいく。
時折、小動物がガサガサと音をたてて逃げてゆく。
それは森に入って数時間ほど経った頃だった。
あっと思った瞬間、俺は足をとられて転んだ。
木の根っ子にでもつまずいたのだろうと足元を見る。
違う! 何かが俺の足首にからんでやがる。
大きな植物のバケモノが俺を見下ろしていた。
中央の牙の生えた口らしき孔はカッと開き、粘液を引きながらポタポタ消化液と思われる雫を垂らしている。
ツルもネトネトした感触で、作りは食虫植物に似ている。
なんなんだ、こいつ……魔物なのか? 見たことないぞ、こんな奴は!
一度人を食らった魔物は、人を獲物と認識して疑わないって聞いたことがある……まさか、こいつも?
この俺を食おうってのか? 植物ふぜいが上等じゃんか!
俺はギラを一発、お見舞してやった。
炭化する本体。足に巻きついたツルがパラリと落ちる。
再び先を進もうとする俺の前に、さっきと同じ連中が立ち塞がる。
「何だよ、どいつもこいつも気色悪いツラしやがって!」
同じ感覚で揺れる様が、気色悪さを倍増している。俺は鳥肌が立った。
俺をぐるりと取り囲むバケモノたち。よく見ると、シタ゛の葉陰に無数の人骨らしきものが垣間見える。
「こいつら……!」
その中でも小さな頭蓋骨が俺の目を引いた。
『つい最近もキノコを採りに行った親子連れが行方知れずになったばかりでさぁ!』
宿のおやじの言葉を思い出す。これが―――“闇の森”の真相だったのか。
「許せねえ!」
俺は剣を抜き、バケモノたちを切り倒す。
同時に唱えていたベギラマも発動させた。
だが、奴等ときたら半端な数ではない。時間が経つにつれ、数が増えているのだ。
燃え盛る仲間を踏み付けて、次々と奴等は前方へと押し寄せてくる。
たった一人の俺を目指して。
10
:
闇の森の女神(DQM+)
:2003/04/13(日) 15:45
3
「うわッ!」
奴等は一斉にツルを伸ばし、俺の体に巻きつけた。
「ち……く……しょッ! 放しやがれえ……ッ!」
手足の動きを封じられ、俺はもがいた。多勢に無勢とはこのことだ。
こんな所で俺は……俺は死ぬわけにはいかないのに……!
(ロラン!)
首にまでツルが巻きつき、締め付けてくる。死へのカウントダウンが始まる。
口承呪文使いが口を封じられたら、為す術はない。
目の前が暗くなる。
もう……ダメ……なの……か。
その時、森の中に一陣の風が吹き抜けた。
「?!」
俺は目の前の信じられない出来事に目を見張った。
俺の瞳には、“闇の森”に降り立った女神の姿が映っていた。
「わたしを置いてゆこうとするからバチがあたったのよ、サトリ」
ウインクした女神様の、いつもながらのキツイお言葉。
彼女の風の刃でバラバラに切り刻まれたツルのクッションに落下した俺を、ムーンブルク王女ルーナが笑って見下ろしていた。
「へっ!」
鼻をひとこすりすると、俺はバネのように起き上がる。
服についた草の切れ端をはたきながら、俺はニヤッと笑った。
「いつからお前の国は、お花のバケモノの名産地になったんだよ」
「つい最近かしら」彼女はフードから零れ落ちる長い髪を指に絡ませる。
「でも、こんなに大きなお花を育てているなんて、報告書にはなかったわ」
「役人は握り潰すのが得意だからな。面倒なことにはフタをするのさ」
「やっぱり定期的な視察を続けた方がよさそうね」
ふふっ……と楽しげに彼女は微笑んだ。
11
:
闇の森の女神(DQM+)
:2003/04/13(日) 15:46
4
「おい、ルーナ。どうして俺の居場所がわかったんだ?」
「ムーンブルクを見くびらないでほしいわ。あなたがロランを捜しているという情報は、しっかりわたしの耳に届いているのよ」
「まいったな。お忍びだったのに」
「破壊神を倒した勇者は有名人じゃない。この近くでは、お忍びはもう無理だと思うわ」
俺たちは盛り上がった大きな木の根に腰を下ろし、しばらく世間話に興じた。
「……ところで、城を留守にしていいのか?お前んとこ再建で忙しいんだろ」
「そのことなんだけど……サトリ」
「ん?何だよ……あらたまって」
「サトリがわたしのことを気遣ってくれるのは嬉しいの。でも、わたしを仲間外れにしないでほしいのよ。わたしもロランを捜しに行くわ!」
「ルーナ……だけど、国の方は?」
「大丈夫。再建に関することすべてを信頼のおける人達に任せてきたわ」
「ここの妙なバケモノといい……俺たちの戦いは、まだ終わっちゃいないということか」
「そうね」
「また宜しく頼むぜ、お姫様」
「こちらこそ、王子様」
典雅な笑みを浮かべルーナは立ち上がると、ひらりと真新しいローブを翻す。
そして、たおやかな白い左手を差し出し、彼女は片膝をつく俺のキスを受けた。
12
:
雫夜
:2003/04/19(土) 00:20
見つけちゃいました。コソーリ
新作待ってます、とロビーに書いたんですが、sage進行で発表されてたんですね。
感想スレには書けないので、ここで感想を。ちなみにガソガソやDQMは一切読む&プレイはしたことがないので、書き間違ってたらスミマセヌ。
今回のサマルがいつものボク系じゃないので驚きました。最初はローレか?と思ったくらい。
でも今回のサマル、今までの私の先入観を覆してくれそうで楽しみです。
4月13日現在ではエチはないのですね。今後を楽しみにしつつ、コソーリとロムってますので。
13
:
MOMO</b><font color=#FF0000>(MOMO/RMo)</font><b>
:2003/04/19(土) 17:30
>雫夜さん
あわわわわ 見つかってしまいますたw
やはり、レス二桁になると地下スレでも目立ちますかねぇ…。
いつもレスありがとうございます。
DQM+の4〜5巻はDQ2スキーなら絶対オススメです!
ちょっと青春迷い道な僕ローレに、はかぶさで強い俺様サマルで萌えます!
終わってしまった時は、酷く哀しかったです……・゚・(ノД`)・゚・。
キャラ的にはエニクスゲムブクの性格かな?と勝手に判断しますた。
ゲムブクSSで支援した最燃トナを思い出して、チョピーリ懐かしいです。
戦闘シーン萌え〜!ここまでなら千一夜スレにも書けそうな位健全です。
でも、いつか必ずエチーに!(努力目標)……エチーくなるのは一体いつになるやら……w
ここの続きなんですが、また祭典のお誘いがあり(遅筆なのに三本は無理ぽ…)
暫く書けないかもしれず……(;´Д`)ぼめんなさい……。
14
:
雫夜
:2003/06/29(日) 00:39
MOMOさん、見てますか?
千一夜の掲示板から、こちらにいらしていることは分かっているのですが…このお話の続きがかなり気になっていたので、思わずカキコ。
待ってますです。
15
:
</b><font color=#FF0000>(MOMO/RMo)</font><b>
:2003/07/06(日) 00:15
>>14
雫夜タソ
|Д゜;) ヒィ!…オフでイッパイイッパイですた。亀レススマソ…。
何とかオフエチーに成功のヨカーンですので、ココの続きに光明が見出せた気がします。
こちらの方でもがんがりますので、しばしお待ち下さいませ。
DQIIもそのうちに……体力が回復したら必ず……_| ̄|〇 ぐふっ!
16
:
</b><font color=#FF0000>(MOMO/RMo)</font><b>
:2003/07/06(日) 17:44
それと、御覧のように超絶亀更新でございますので、この間に当スレで
テリータソ、ルカタソ、キーファタソ、クリオタソ、スカラベタソ、ディノタソ等々に
(;´Д`)ハァハァされたい方は、どうぞ遠慮なく小説を投下して下さい!
カキコしずらくて、真に心苦しいのですが……。
そして今更ながら、
>>2
は (3/23現在) の間違い。
日付も定かでないとは、シナプスも大量死と思われ、長くないかもしれません。
せめて全部完結してから逝きたいよ……ママン。
17
:
ルーナの決意(DQM+)
:2003/07/14(月) 22:19
1
「サトリ、旅に必要なものを買い揃えたいの。一旦街に戻りたいんだけれど」
「いいよ」
俺達は“闇の森”を抜け、ムーンペタへと向かった。
途中にあった湧き水で一息入れると、ぽつりとルーナが呟く。
「サトリと一緒だと安心だわ」
「え?」
「ロランだったら、こうはいかないもの。二人だけで旅してた間、もう心細くて」
「何でだよ。あいつの腕なら――」
「戦いの時以外はからきしダメなの。海図も読めないし、出入国の手続きも間違えるから足止めされたり、もうさんざん」
「大変だったな」
「それでね、思ったの。わたし達、ずっとあなたに頼りきりだったんだなあって。サトリが専門的な知識がいる事を、全てやってきてくれたのよね」
「はは……」
「――あ、そうそう。ずっとこれ、返そうと思ってたの」
ルーナは自分のポシェットから金貨を一枚取り出して、俺の手に乗せた。
「……?」
「わたしが犬から人間に戻った時、あなたはすぐに宿屋のおかみさんに頼んで着替え一式買ってきてくれたでしょう。そして服と一緒に、この金貨で櫛の一本も買えって渡してくれたわよね。あの時、どんなにわたしが嬉しかったか……感謝しているの、サトリには」
「そんな昔のこと、忘れたぜ。それにお前にやったモンだ、今更いらねえよ」
俺はピンと金貨をはじく。
受け取ったルーナはにこりと笑い、大切にポシェットにしまいながら言う。
「じゃあ、このお金で予備のお薬でも買うことにするわ」
「キアリーとベホマがあるから別に困らねえけどな」
「ベホマ? サトリ、ベホマ使えるようになったの?」
「ああ、俺だって遊んでたわけじゃないぜ」
「うふふ、わたしも。マホトーン使えるのよ」
「すげえ! ルーナは本当に魔法の天才だな」
「サトリだって」
「と! 暗くなる前に着かなきゃならないだろ。そろそろ行くか」
「ええ」
水筒に水をたっぷりと入れると、再び俺達は歩き出した。
18
:
ルーナの決意(DQM+)
:2003/07/14(月) 22:21
2
俺達が街に辿り着いた頃には、家々に灯りがともっていた。
俺は森へ発つ前に泊まった宿の戸を叩いた。
「いらっしゃいませ――あ! お客さん」
「よお!」
「よくあの森から御無事で!」
「やっぱりあんたのいう通り、あそこは“闇の森”だったよ――部屋、空いてる?」
「はい、空いております。そちらのお嬢さんはお連れ様ですか」
「ああ、彼女は別の部屋を用意してくれないか」
「それがあいにく、相部屋しかございませんで」
「……だとさ。どうするよ?」
「わたしなら構わないわ」
「そういうこった。相部屋で頼む」
「かしこまりました。ではすぐにお部屋を御用意いたします。おーい!」
宿屋の主人は使用人を呼んだ。
「さて、と」
荷物を降ろすと俺はルーナの方に顔を向けた。
「とりあえず腹ごしらえかな」
「そうね、もうお店も閉まっちゃったし。明日チェックアウトしてからのお買い物になるわね」
「ルーナ、いいのか本当に。思い直すなら今のうちだぞ」
「覚悟はできてるわ。ムーンブルクも大切だけど、ロランも大切なの!」
俺の真摯な眼差しを受け止め、きっぱりとルーナは言い放った。
19
:
ルーナの決意(DQM+)
:2003/07/14(月) 22:22
3
「……そうか。なら、俺もこれ以上言わねえ」
「サトリ。あなただって王位継承者でしょうに。よくお許しが出たわね」
「俺か?」
俺はにやりと笑う。
「俺は父上の許しがあろうとなかろうと飛び出るつもりだったからな。リレミトもあるし」
「確かに空間移動呪文のエキスパートのあなたにかかったら、マホトーンを一日中唱え続けるとかしなきゃ、引き止められないわよね」
「そういうこと! じゃあ食いに行こうぜ!」
「うん!」
ドアを開け、ルーナが部屋から出ると、俺は部屋に鍵をかける。
俺達の姿は、夜のムーンペタの雑踏に消えていった。
20
:
雫夜
:2003/07/21(月) 15:06
>>MOMOさん
続きキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)ハァハァ━━━━!!!
でも男よりも、ルーナたんに萌える私は逝ってよしでつか?
まずは乙カレです。続きマターリ待ってます。
21
:
名無しの勇者
:2005/01/23(日) 01:02
sage進行のようなのでこちらに感想を…。
ルーナたん(*´∀`*)
そしてサマルが俺様でカコイイ!!
DQM+未読でしたが、全巻買いました。萌えました。
サトロレでしょうかね?
続き楽しみにしてます。
GJですた(*´д`*)ハァハァ
22
:
MOMO
◆WaMOMO/RMo
:2005/10/31(月) 00:28:06
Σ うげ! レスがついてる!
DQM+いいですよね!
名作の誉れ高いエニのゲームブックと並び、強気サマルスキーには堪らんものがあります (;´Д`)ハァハァ〜
お話を楽しみにして下さるなんて職人冥利に尽きます。ありまとうございます。(禿遅
呆れるほど放置しすぎて、トリップ何処だと探してるうちに日付が変わ(ry
相変わらず801板にふさわしくないサマムンの空気が漂ってますが、マターリ続けさせて下さい。
忘れたわけじゃないので、たまーに(盆暮れの時期にでも)覗いて頂けると、よろしいかと…す、スマソ…。
DQ2スレの方でロランとサトリ書かれてる方、がんがって彼らの愛を培って下さ〜いと地下でコソーリ応援w
23
:
名残月夜
:2005/10/31(月) 00:33:37
1
「この街で食事なんて久し振りだわ」
王女であるルーナは、人目を避けるために大判のスカーフですっぽりと髪を覆い、最も隅の席に俯き加減に腰かけた。
まだ夕餉の時刻になったばかりだというのに、すっかり出来上がっている酔客の喧騒で店の中は賑やかだ。
誰しも酔客の騒ぎに気をとられている。この分なら、店内にいる者にルーナがこの国の王位継承者だとは気付かれないだろう。
壁じゅうに張りめぐらされた『当店おすすめメニュー』を懐かしそうに見回していた彼女は、俺と視線が合うとにこりと笑った。
「サトリは、ここのムーンペタ地鶏のソテーが好きだったわよね」
「ああ。今頼もうかと思ってたとこ。城の料理が口に合わなくなっちまって参ったぜ」
「あなたもなの? 実はわたしも。時々無性に『あの国のあの料理が食べたいな』って思うことがあるの」
こいつ、綺麗になったな――。
しばらく会わないうちに、ルーナはすっかり大人びていた。
淡いランプの光にしっとりと照らされた白い肌、きらきらと光る瞳。うっすら紅をひいた唇が、いよいよ彼女を魅力的に見せている。
「サトリ? サトリったら、どうしたの? お給仕の方が注文をお待ちよ」
「えっ? あっ……」
ルーナに見とれていた俺は、慌てて品書きに視線を落とした。
大きな声では言えないが、ここらの食事は大概制覇した。イヤんなるほど鏡探しで泊まったからな……あいつと。
俺は好物のソテーと目新しい一品料理を頼んだ。
「もしかして、迷惑だった?」
給仕の後姿を見送り、ルーナが心配そうに俺を覗き込む。
「何が」
「わたしがついてきちゃったことよ」
「まさか。お前以上に頼りになる仲間はいねえよ」
「それならいいんだけど。サトリ、考え事してたから」
「悪い悪い。さっきはあんまり腹減ってたんで、ぼーっとしちまったんだ」
「まあ。うふふ……たくさん召し上がれ」
24
:
名残月夜
:2005/10/31(月) 00:38:55
2
「お待ちどうー! まァ、デートかいお二人さん。いいねえ、若い人は」
でっぷり太った体にも関わらず器用にテーブルの間を縫い、注文の料理を運んできたおかみさんが、テーブルに両手一杯の皿を次々と置く。
「そんなんじゃねえって」
「アーッハッハッハッ、照れなくてもいいよ。この街は丘から見える月の美しさが自慢なんだ。ちょうど今夜は今年最後の名月だから、食事の後ででも眺めてごらん。そこの可愛い彼女を連れて、さ!」
「だーかーらー……」
おばさんに、俺と彼女は同じロトの血を引く親戚同士なんだって、よっぽど言ってやりたかったけど。多分言ったら腰抜かしちまうだろうなぁ。言わないけど。
正体が発覚するのを恐れ、ずっと俯いたままのルーナを恥ずかしがってると思ったのか、おばさんは「おやおや、これ以上邪魔しちゃいけないねっ」とカラカラ笑いながら大きなエプロン姿を揺らして別のテーブルへと向かった。
「ところで、妹さんはお元気?」
さんざん俺を茶化したおかみさんが引き上げると、ルーナはほっと顔を上げ、小さく切ったムニエルを口に運んだ。
「元気元気。平和になったもんだから、外交に興味を示して困ってたとこ」
「困る? まだ小さいのに外交に興味があるなんて、感心じゃない」
「口実に決まってるだろ。俺にくっついて諸国を漫遊したいってのがハラさ」
「可愛い親善大使さん、連れてってあげれば良かったのに」
「だってなぁ、いちいち口やかましいし、わがままで手がかかるし。連れてったらこっちが参っちまう」
「いじわるなお兄様ねぇ」
「何とでも言え。ただでさえ外交で神経使うのに、その上あいつの子守までしてられっか」
「でもそんなサトリのおかげで復興できたんだから、ムーンブルク国代表としては感謝しなくちゃね」
「え、なッ……」
ソテーをぐっと咽喉に詰まらせそうになり、慌てて俺はグラスに手を伸ばした。
「各国に働きかけて、資材や資金の調達に便宜を図ってくれたんでしょ」
「……俺は、別に何も」
「あなたも自分の国のことで忙しかったでしょうに。お礼申し上げますわ、サトリ殿下」
「ちぇ……ルーナ王女殿下は全てお見通しか」
ふてくされたように頬杖をつく俺に向かい、ルーナが微笑む。そして彼女は、ふっと視線を店の窓へと移した。
「ね、せっかくだから宿へ帰る前に月を見に行かない?」
25
:
名残月夜
:2005/11/01(火) 00:38:02
3
カサッ――盛りを終えた草が足にまといつく。
観月の丘は、デートスポットだけあって幾組ものカップルが身を寄せ、熱く愛を語らっていた。
「きれいね」
夜風になびく長い髪をおさえ、ルーナが蒼く輝く月を見上げる。
俺は腕組みをして彼女の横に立っていた。
風が冷たい。俺はマントを外し彼女の肩にふわりと掛けた。
「サトリ……」
マントをストールのように羽織ったルーナが俺の方を振り向く。
「こんなにきれいな月、ロランにも見せてあげたいわね」
「あいつもどこかでこんな風に月を眺めているのかもしれないな」
「ロランは、どうしてわたし達に相談もなしに失踪してしまったのかしら」
「さあな……あいつのことだ、俺達が多忙そうだからって、いらん遠慮でもしたんじゃないか?」
「たった独りでロランはこの月を見ているのね」
ルーナの瞳に涙が光るのが見えた。
俺達は丘を後にし、宿への帰路についていた。
「……なぁ、本当に国を出ていいのか。大事な時期なんだろ」
「ロランの為なら構わないわ」
凛とルーナは即答する。
ああ、そうか。
国を放ってまでしてロランを探したいという彼女の気持ちに、何で今の今まで俺は気付かなかったのか。
ルーナはあいつのことを――。
絶対あいつの元に連れてってやるからな!
再び月を見上げるルーナの横で、俺は胸の内で誓いを立てた。
26
:
名残月夜
:2005/11/04(金) 03:27:02
4
「お客さん、ちょっと」
預けていた部屋の鍵を受け取った俺に、こそこそと小声で宿の主人が耳打ちした。
「あん?」
「ベッド、くっつけておきましたから」
「は?!」
「どうぞごゆっくり……」
意味深に片目を瞑り、主人は頭を下げる。
反論する気も失せ、俺は黙ってルーナを連れて階段を上った。
廊下まで来たところで、彼女がちら、と俺を伺う。
「どうしたの? 顔が赤いわよ」
「そっ、そうか? 酔うほど呑んでないつもりだったんだけどな」
げに恐ろしきは女の勘。ここはしのげよ、頑張れ俺!
「結構な量、呑んでたと思うけど」
「目の前に美女がいると、緊張で咽喉が渇くのさ」
勘弁してくれ、ルーナ様……。
俺、表情に出すな。声が震えたらバレるぞ!
「サトリったら、そうやって何人の姫君を泣かせてきたのかしら」
「人聞きが悪いこと言うなよ」
は、は……と乾いた笑いでごまかす。
――と、ここでいい案が浮かんだ。ナイス俺ッ!
ドアノブに手をかけ、固まる俺。
神妙な面持ちの俺を、ルーナが不思議そうに見上げる。
「サトリ……?」
「中から物音がする。確かめるから俺が呼ぶまでここで待っててくれ」
「ええっ? ……わかったわ!」
物盗りなら人間だ。人ならロトの勇者たる俺達の敵ではない。
しかし、魔物の類だったら話は別だ。
杖を構え、いつでも魔法を唱えられる体勢を取るルーナ。
俺は部屋の中に入り、すかさず後ろ手でドアを閉める。
部屋の中では――。
27
:
名残月夜
:2005/11/04(金) 03:30:22
5
――仲良く二つのシングルベッドが隣り合って密着していた。
うーん。ほど良いダブルベッド具合だ。
……って感心してる場合じゃねーーっっ!!
案の定かよ! ったく余計な気ィ回すんじゃねーよ、エロ親父!
とにかくルーナに見られなかったことをルビス様に感謝して、俺は仕事にかかった。
ベッド移動して。サイドボード真ん中に戻して。
ああ違う。位置がずれたぞ。壁と垂直でなきゃ、俺の美意識に反する。
しばらく家具と格闘する俺。何で夜中に必死に模様替えしなきゃなんねえんだ。これもみんな親父のせいだ!
「入っていいぞ」
俺の声に恐る恐る部屋に入ったルーナは、疲れ切ってげんなりした俺に目を丸くした。
「家具を引きずってたみたいだけど、何があったの?」
辺りを見回す彼女。
「それがな……でっけーネズミだった。ありゃー、おおねずみの亜種かもな〜」
「ネズミ!」
ルーナは肩を抱いて震え上がった。
俺はルーナがネズミ嫌いなのを知っていた。いつも戦闘の時、俺の後ろにしがみついてキャーキャー悲鳴あげてたんだ。
「でっかかったぞ〜。仕留める寸前にあそこに逃げられたんだけどよ」
ニヤッと笑い、俺は天井に空いた穴を指す。
「見てみるか?」
「遠慮しておくわ。それより、寝ている時に出たら嫌よね。穴を塞ぎましょうよ」
「えっ」
「お願いね、ロトの血を引く大工さん!」
にっこりと微笑むムーンブルクの姫君。あくまでも優雅な、しかし有無を言わせぬ笑み。
ぐあー、マジかよ……。
かくして俺、サマルトリア国第一王子サトリ様は、宿の親父から受け取った金槌と釘と板の“三種の神器”を以って天井の修繕をするハメになったのだった……泣きてえ。
28
:
名残月夜
:2005/11/05(土) 02:27:38
6
入浴を終え、ベッドに腰掛けたルーナが長い髪を梳いていた。
机に向かって書き物をしている俺は、背後から漂う甘い香りに改めて女性と同室なのを実感していた。
男だったら、髪を洗う仕上げに香水なんて入れない。
以前は魔物に感付かれるから香水なんてもっての他だったが、今は平和になったからなぁ。
リボンでさえ地味な色だったのが、最近の女性の華やかなこと。
女性がより美しくなるのはいいことだ。比例して男も元気になる。
世の中の活気と明るさが戻ってきたってしみじみ思うね。
所詮男はご婦人がいなければ生きていけない、可哀想な生き物なんだ。
「日記つけてるの? 相変わらずサトリはマメね」
「ただの備忘録だよ。まさかまた記すことになるなんて思わなかったけどな」
俺は使い込まれた分厚いそれをパラパラめくった。
こいつには俺とロランとルーナ、三人の旅の思い出がぎっしり詰まっている。
見知らぬ街。初めての港。道具、武器、防具の値段。戦いの記録。出会った人々……。
「見てもいいぜ」
「そんな……だめよ」
「見られて困るようなモン書いてねえって。城で暇つぶしに時々読み返してたんだ」
うん。ロランとぱふぱふに行った事も書いてねえ(あくまで社会勉強だぜ!)。
なにしろ、いつ死ぬか分からなかったからな。
形見に『今日は、ぱふぱふに行った』とか書いてあった日にゃ、目も当てられねえって。
勿論、あいつとのことも……俺の心の中にあればいい。
「じゃあ、いつか見せてもらうわね。今は……いいの」
「そうか……」
俺は備忘録をパタンと閉じた。
「灯り、消すぞ。いいか?」
「ええ。おやすみなさい、サトリ」
「おやすみ」
彼女がベッドに入るのを確かめ、俺はランプの火を消した。
『今は……いいの』『今は……』
静寂と闇の中、頭の中でもう一度ルーナの言葉を繰り返す。
これから始まるんだもんな、ルーナ。俺達二人の旅が。
そうだな。今は、あいつを捜すことだけに専念しよう。
まだ思い出にふける時じゃねえ……。
安らかなルーナの寝息が聞こえてくる。
心地よい疲労が押し寄せ、俺は眠りについた――。
29
:
名残月夜
:2005/11/05(土) 02:30:18
7
その夜、俺はあいつの夢を見た。
『サトリ』
振り返ると、ロランの変わらぬ無邪気な顔が目に飛び込む。
『サトリ、早く! こっちこっち!』
手を振り、少し照れたように笑うロランは、共に旅立った姿のまま。
大きな剣を背負い、ローレシアのロイヤルブルーの服に身を包んでいる。
俺は返事をし、一歩前に踏み出そうとした。
けれど、近づこうとすると、あいつの姿は再び遠のくんだ。
『ごめん。僕……』
ロランが哀しそうに目を伏せる。
『待ってろ! 必ず……俺が必ずそっちに行ってやる!』
『うん……』
『いいか、絶対に変な気起こすんじゃねえぞ! 忘れんな、お前は勇者なんだからなっ!』
『サトリッ!』
あいつが必死に手を伸ばす。ああ畜生、抱き締めてやりてえのに!
霧が……辺りを覆って……何も……見えね…………――。
ロラン……何処にいやがる……――。
俺様が呼んでるんだぞ……――。
返事しろ、バカ!……――。
ロラ……――。
30
:
名残月夜
:2005/11/05(土) 02:37:17
8
翌朝、鳥のさえずりで目が覚めた俺は、身支度を整えながらぼんやりと昨夜の夢を反芻していた。
ルーナの奴への思いを知りながら、俺は腕を求めるロランを突き放すことは出来なかった。
どちらと結ばれるのがロランにとって幸せかなぞ、考えるまでもないのに。
俺はモヤモヤした気分を払拭するかのように、バサッと勢いよくマントを羽織った。
その音で、まだ眠っていたルーナの体がびくんとはねる。
「……あ……?」
はっとルーナが慌てて飛び起きる。
「いやだわ、こんなに日が高くなってる。ごめんなさい、わたしすぐ着替えるわね!」
頬を紅潮させ、ぱたぱたと洗面所へと駆けてゆくルーナ。
「気にすんなよ、俺もたった今起きたんだ。下の食堂で待ってるから」
俺は笑顔のままドアを閉めた。
二つほど廊下を曲がった所で、未練がましい夢を見ちまった後ろめたさに俺はため息をつく。
階下へと続く階段からは、朝食の卵を焼く匂いが漂ってきて。
『あー、いい匂い! サトリ、お腹空いたね』
今にもロランの声がしそうだ。
バカ野郎だ。俺も、お前も……!
ちッ、まだ夢の霧の粒が目に残っていたのかよ……。
ごしごしと目元をこすり、歯を食い縛り、キッと前を見据える。
そして俺は、独り階下へと踏み出した。
< 完 >
31
:
名無しの勇者
:2005/11/06(日) 18:17:04
新作乙!続き待ってましたよー。
夢の中のロランが可愛いくて、サトリの思いが切なくてもう(;´Д`)ハアハア
32
:
名無しの勇者
:2010/11/07(日) 00:25:47
今さらにもほどがあるが……超GJ!
サトリかっこいいなあ……!
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