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305風見鶏:2015/12/21(月) 22:08:02
デールのその姿は、修道院に助けられてお世話になってる以上何とか恩返しをしようと少し北にあるオラクルベリーまで行って、カジノで大道芸人をやってるとのこと。
ヘンリーは狩りをしたり畑作業の手伝いをしたりと、労働は慣れているのでとくに苦に思わず。
それぞれ得意分野で恩返しをしながら、普通に人間としての生活を送れるよう基盤を固めていた。
そして目覚めたアルスは……、

「しばらくはリハビリが必要だからお世話になるけど、身体の状態が戻ったら……」
「……」
「……まだよく分からないけど……。取りあえず町より先の……、橋の向こうまで行ってみようと思う……」
「あ、あの……それなら……」
「ん?」
「……港に船が来るかどうか、確かめて貰えませんか?」
「船?」
「はい……。元々ここは離れ小島だったのでどこにも属してなかったのですが、橋が架けられた際にラインハットの領地にされてしまいまして、港にはラインハットの命令以外では船は止めれなくなってしまって、あなた達のタルが流れ着いた海岸にも船を停めるのを許して貰えなくなってしまって……。実家の両親は何度も申請してるのですが許可がなかなか降りなくて……」
「OK。分かった。それくらいお安いご用だよ!」
「ありがとう御座います!」
「助けて貰ったのはコッチの方だから……。さてと、ちょっと外の空気を吸うついでに、そこをちょっと歩かせて貰おうかな……」


::::


アルスが歩行訓練に選んだのは、花壇のある修道院の中庭だった。
そこには、マリアの姿があった。

「あっ」
「……」

何となく気まずい……。

「……もう、大丈夫なのですか……?」
「うん……。随分長く眠っていたみたいだったから……身体を鍛えなおさないと……」
「そうですか……」
「うん……」
「……」
「……」

再び言葉に詰まる……。

「……あ、あの……!」
「ん……?」
「コレを……」

マリアが差し出したのは、木の指輪だった。

「……コレは……?」
「私が作りました。ここでは何でも手作りが当たり前で、中でも木の細工でアクセサリーや女神像を作ったりしているらしくて……。初めて作ったので上手くありませんが……、結婚指輪です!兄の代わりに……!!」
「……!?」
「兄は必ず生きて、再会出来ると信じています!」
「……」
「それまでは、私が兄の分の指輪をつけます。兄が帰ってきた時に、改めて指輪の交換をおこなう時までには、もっと指輪を上手に作れるように頑張りますので……!」
「……」
「……貰って……くれますか……?」
「(そこまでされたら断れないじゃない……)」
「……」
「……いいよ……。でも、右手で良い?左手は……再会する時までとっておきたいから……」
「はい……」
「……」

アルスは右手を差し出した。

「キツかったりブカブカだったりしたら、遠慮なくおっしゃって下さいね……」

その指輪は、まるで測ったようにピッタリだった。

「……」
「……」

二人は、姉妹の契りを交わした。


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