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301風見鶏:2015/12/14(月) 22:50:40
アルスが連れてこられたのは、ヨシュアの宿舎だった。

「見せて貰ったぞ。流石は『女神』と賞賛されてるだけあってなかなかの腕っ節だな。まずは兄として妹を助けてくれたことを礼を言おう……」
「いえいえ……。将来の妹なんですから朝飯前ですよ……」

ウインクしてみせる。

「そういえばそういう約束だったな……。一体何が目的なんだ?」
「それはすでに申しましたけど……?」
「それに猫を被るな」
「……」
「今度はだんまりか……。……分かった……。先にそちらが約束を果たしてくれた以上こちらも態度を示さないとな……。お前を私の妻にしてやる。だから猫を被らず教えてくれ。どうしてそんなに生き延びたいんだ?お前は確かに他の奴隷と違って目は死んで無いが……」
「それは……夫婦の契りを交わした後にでも教えて差し上げますわ……」
「猫を被るな……」

アルスは昨日のように、ヨシュアに抱きつき、首に腕を絡め、上目使いで迫った。
先程の戦闘でとくに怪我などしてないが、服はボロボロになり肌の露出は勝っていた。


::::


一方こちらは牢屋の二人の王子。

「くそ、アルス……!!」
「アルスさん……!!」

ヘンリーは闇雲に壁を殴りつけ、デールは祈っている。
この2人は兄弟でありながら母親は違い、性格も真逆だがアルスに対して同じくらい責任を感じていた。
事の発端は自分達の跡目争いである……。
それに乗じてまんまとその跡取り2人ともを魔族の誘拐団は連れ去り、そんな問題なんて何も関係の無かったアルスを巻き込んでしまったのだ……。
そのせいでアルスは父親であるパパスも失ってしまったのだ。
その父親の無念を晴らすかのようにアルスは奴隷にあっても希望は見失わず、奴隷達から女神と崇められるまでに登りつめた。
2人の中にあるのは、そんなアルスを支えられるように……。
そばに寄り添い、守れるように強くなって、一生をかけて償いたい……という感情である。

ふと、牢屋に向かってくる複数の足音が聞こえた。
それは……、


「アンタは……!?」
「先程は有難う御座いました」

マリアだった。
それに、ヨシュアとアルスも一緒だった。

「アルスさん、無事だったのですね!?」
「勿論。私は生き延びないといけないんだから。そのためなら手段は選ばない……」
「アルス……。何だか雰囲気が……?」
「……私は、この兵士……ヨシュアの妻になったの……」
「「!?」」
「夫婦の契りもちゃんと交わしたし……」
「「!?」」
「……教会でも神秘的な場所でもない、お粗末なモノで指輪の交換なんて出来やしないけど……。ちゃんと誓いの言葉を互いに交わして、誓いのキスをして……夫婦になったんだから……」
「夫婦の契りって……!?」
「それのことか……?」
「他に何があるの……?」
「あ、いえ……別に……」
「……」
「……さてと、本題へと入らせてもらおうか……」
「本題……?」
「あぁ……。少し危険だがここから脱出させてやろう……」
「「……!?」」


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