したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

第2回東方最萌トーナメント 50本目

360写想 4/4:2005/03/01(火) 21:45:07 ID:bSd9rJDE

突然の声に驚き、鈴仙の耳が跳ね上がった。
慌てて振り向くと、店の入口に黒い人影が立っていた。

それは、唇に手をあて、底知れなく意地悪い笑みを浮かべた霧雨魔理沙――。

「はわわ、ち、ちがうの、これは」
顔を真っ赤にして否定する鈴仙。

「やあ、いらっしゃい、魔理沙」
一方の霖之助は、なんでもないように平然としている。

「さすが幻想郷一の色男だぜ。とうとう宇宙兎にまで守備範囲を広げたか」
「だ、だから、違うんです、私は師匠のお使いで、その」
「師匠の命令で香霖とラブラブしてるのか?凄い命令だな」
「わー、全然違うー」

完全に動転して、ぶんぶん腕を振り回して否定の言葉を繰り返す鈴仙。
そんな彼女に、霖之助は笑って小さな包みを差し出した。
「はい、注文の品だよ。今後ともごひいきに」

鈴仙は差し出された包みを、ぽかんと見つめる。

そして次の瞬間、それをひったくるように受け取ると、文字通り脱兎の勢いで駆け出した。
戸口に寄りかかって立つ魔理沙の前を、顔を伏せたまま駆け抜ける。
それをにやにやと笑って見送る魔理沙。

と、突然鈴仙が急停止し、くるりと振り向いた。

「あ、あの、店主さん…」
もじもじしながら、必死に何かを言おうとする。
霖之助と魔理沙の訝しげな視線が集まる中、突然物凄い勢いでおじぎをして、

「ほんとにありがとうございましたっ!」

と、一息に叫んだ。
そして、月まで届きそうな勢いで飛び去っていった。


残された魔理沙は、霖之助に笑顔で問い詰める。
「で、ほんとのとこ、どこまでいったんだ?」
「それは勘違い。僕はただ、彼女の相談に乗ってあげただけだよ」
「なんだ、つまらん」
魔理沙はあっさりと霖之助の弁明を受け入れると、
今度は霖之助が手にした写真立てに興味を示した。

「ん?なんだそれ。綺麗だな」
霖之助の手から写真立てを取り上げる。

「おっ、香霖と私のツーショットじゃないか。こんなものいつの間に撮ったんだ?」

霖之助は魔理沙に奪われた写真を覗き込みながら答える。

「企業秘密だよ。しかしこの頃の魔理沙には可愛げがあるなぁ」

「ほんと懐かしいぜ。まったく、香霖は昔と全然変わらないな」

二人で揃って笑い声をあげる。
こうして香霖堂の平和な一日は暮れていった。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板