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第2回東方最萌トーナメント 50本目

358写想 3/4:2005/03/01(火) 21:44:44 ID:bSd9rJDE

霖之助は静かに彼女の言葉を聞く。
「……怖かったんです。友達がどんどん死んでいって、
 次は誰の番なんだろう。もしかしたら私かもしれない。
 そう思うと怖くて、私は……一人で逃げたんです」

次第に泣き声が強くなっていく。
握った写真に、透明な雫が跳ねた。

「私には、こんな風に笑ってもらう資格なんてない…!」

かすれた声で、叫ぶように鈴仙が叫ぶのと同時。
霖之助は、鈴仙の肩に回した手で、彼女を思い切り抱き寄せた。

突然の行動に驚く鈴仙。
霖之助は何も言わず、彼女の髪を優しく撫でる。
鈴仙はその意図を察し、霖之助の胸に顔をうずめて泣いた。

霖之助は、鈴仙の手から写真を取り上げ、それを見つめる。
しばしの沈黙のあと、霖之助が口を開いた。

「この写真に写るということは…。
 これは君にとっても、そして君の友達にとっても、大切な想い出なんだろう。
 それを見て泣くというのは、君の友達に対して失礼だと思うな」

「でも…!」
鈴仙の言葉を遮って、霖之助は言葉を続ける。

「過去は過去だ。君が自分を責めたからといって、君の友達に対する償いにはならない」
「じゃあ、開き直れって言うんですか?そんなの卑怯です……」

言い返す鈴仙に、霖之助は笑って言った。

「なに、君の友達は恨んでも羨んでもいないよ。親友というのはそういうものだ。
 もし立場が逆だったとしたら、君は自分の友達を憎んだりするかい?」

鈴仙は、霖之助の胸に顔を押し付けたまま、押し黙る。

「君には、今大切な人がいるはずだ。
 その人達に対してまっすぐ生きることが、今の君がすべきことだよ」

鈴仙の心に、永遠亭の皆の姿が浮かぶ。
月からの逃亡者である自分を、温かく受け入れてくれた姫がいる。
厄介者にも関わらず、可愛がってくれた師匠がいる。
そして、てゐをはじめとする幻想郷の兎達。
自分を大切に思ってくれる人が、こんなにもたくさんいる。

霖之助は鈴仙の顎に手を添えて顔をあげさせ、その目をまっすぐ見つめた。

鈴仙も、涙に濡れた目で見つめ返す。

「過去にとらわれていてはいけないよ。
 昔の友達のためにも、いま君を大切にしてくれる人のためにも、ね」

霖之助の言葉に、鈴仙は見つめ合ったまま、小さく頷いた。

「はい……」

「…納得、できたかい?」

瞳に溜まった涙を拭う。

「……はい」

まだ涙の跡が残る顔で、鈴仙は笑って答えを返した。



その時、いきなり背後から声がかかった。

「あーあー、昼間からお盛んなことだな」




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