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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

889 ドワーフ :2010/06/21(月) 21:21:49 ID:HW/cTXWU0
「やめて、あなた…やめてぇ!」
 ルメーユは夫のもとに駆け寄った。
「本当に、すまなかった」
 キリウスはそう言って前のめに倒れこんだ。ふわっと身体が浮く感覚があったかと思うと、ぞくっとする重力の感覚が全身を走りぬけ、次の瞬間には

全身を硬い感触が打ち付けた。
 下方に山積みになっていた瓦礫に身体を打ち付けて、キリウスは糸の切れた人形のように地面に転げ落ちた。手足はあらぬ方に曲がり、頭髪には血が

滲んだ。しかし、そんな状態で彼は目を薄っすらと開けて空を見た。
「はや…く……、はやく、きて…」
 彼は辛うじて賭けに勝った。この状態ならば死は免れない、しかしすぐに死ぬわけではない。妻に伝える時間がある。
 目がかすんできた。視界の端から黒い靄が広がって視界を真っ暗に塗りこめた。目が見えなくなってきたのだ。しかし意識はまだあった。身体の自由

はもうなく、四肢の感覚は失われていた。
 酷く長く感じられた孤独の後、暖かく柔らかな感触が彼に触れた。きっと妻だ。
「あ……しっかり…………」
 妻の声が遠い。触れられているのは確かなのに、なんと遠い。
 キリウスは口を動かした。自分の声も聞こえず、声が出ているのかすらもハッキリしなかった。胸の奥から熱した鉄のような何かがこみ上げてくるが

、それを押し殺して彼は妻に伝えようとした。

 誘いにのるな…誘いにのるな……さそいに………。

 とうとう耐え切れずに、喉の奥から赤黒い血を吐き出してキリウスの意識は途絶えた。


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