したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | まとめる | |
レス数が900を超えています。 1000を超えると投稿できなくなるよ。

【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

882 ドワーフ :2010/06/21(月) 21:10:45 ID:HW/cTXWU0
『フォーチュンフィール』

 キリウスはベルトを腰に巻いてみたが、別にどうということはなかった。身に付ければ望む運命を与えると聞いていたが、何も変わった様子は無い。
「ちっ、からかいやがったのか」
 キリウスは舌打ちすると、路肩の壁に背を持たれかけた。
「まあいいや、タダでくれるんなら何だって貰ってやるぜ」
 そう言って、彼はその壁から遠くのお屋敷の窓から覗く女性の小さな美しい後姿を眺めた。
「だがあの人は、タダって訳にはいかないだろうなぁ…」
「何が欲しい?」
 足元からした声にキリウスはビクリとした。見下ろすと、彼の隣で小さな老人がへたり込んでいた。
「何が欲しい?」
「何だよ、爺さん。金でもくれるってのか」
「望むなら、得られるようにしよう」
「…………」
 普段の彼なら笑い飛ばしてしまう老人の一言。しかし、今のキリウスは違った。彼は不気味に感じながらも、望みを口にした。




「契約は結ばれた…」
 老人はそう言って、何事も無かったかのようにいびきをかき始めた。

 まったく笑いが止まらなかった。あれから8年、彼の生活は驚くほど見違えた。
 キリウスはニヤニヤと笑いながら自室で悦に浸っていた。部屋の中はかつての王宮のそれに匹敵するほど豪奢な家具で満たされていた。この部屋の中

だけで、窓の外から見える街の一区画が丸ごと買えるほどだ。
 執事が読み上げる収支の額は毎日増え続けている。それをわざわざ日課として聞きながら、彼はベルトのバックルを磨いていた。
「素晴らしい。実に素晴らしい!」
「はい、旦那様」
 これも毎日同じ台詞、しかし執事は辟易とした様子も見せずに淡々と答えた。
 しかし、彼は決してこんな財産が全てだとは思っていなかった。本当に彼にとって何よりも大切なものがまもなく帰ってくる。
「おかえりなさいませ、奥様。お嬢様」
「ただいま、ジェストル」
「おとーさまー!」
「おかえりジネット!」
 キリウスは愛する娘を抱き上げて、彼女の頬にキスした。そして、愛妻ともキスを交わしてこう言った。
「今日は遅かったじゃないか。心配したんだぞ」
「いつもと変わりませんわ。あなた」
「そうだったか?お前たちのことを考えてると一分が一時間にも一日にも感じられてしまう」
「もう、あなたったら…」
「はははは!」
 
 この惚気ている男の名はキリウス。貧民の身から一代で古都一番の大富豪となった男。野を行くが如くライバルを蹴散らして現在に至る。そして、通

常なら許されない貴族の女との婚姻を認められた唯一の男である。
 妻のルメーユとの間にもうけた一人娘のジネットは今年で5歳になる。
 彼は今が自分の人生の絶頂であると感じていた。しかし、ある日を境にそれは一変する。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)


■ したらば のおすすめアイテム ■

私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!(2) (ガンガンコミックスONLINE) - 谷川 ニコ

「高校に行けば自然とモテると思っていた。」

そんなふうに考えていた時期が私にもありました。

当然、夏休みだって、ぼっちです。。?

この欄のアイテムは掲示板管理メニューから自由に変更可能です。


掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板 powered by Seesaa