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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

1ルイーダ★:2008/05/03(土) 01:08:47 ID:???0
【重要】以下の項目を読み、しっかり頭に入れておきましょう。
※このスレッドはsage進行です。
※下げ方:E-mail欄に半角英数で「sage」と入れて本文を書き込む。
※上げる際には時間帯等を考慮のこと。むやみに上げるのは荒れの原因となります。
※激しくSな鞭叩きは厳禁!
※煽り・荒らしはもの凄い勢いで放置!
※煽り・荒らしを放置できない人は同類!
※職人さんたちを直接的に急かすような書き込みはなるべく控えること。
※どうしてもageなければならないようなときには、時間帯などを考えてageること。
※sageの方法が分からない初心者の方は↓へ。
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1117795323.html#562


【職人の皆さんへ】
※当スレはあくまで赤石好きの作者・読者が楽しむ場です。
 「自分の下手な文章なんか……」と躊躇している方もどしどし投稿してください。
 ここでは技術よりも「書きたい!」という気持ちを尊重します。
※短編/長編/ジャンルは問いません。改編やRS内で本当に起こったネタ話なども可。
※マジなエロ・グロは自重のこと。そっち系は別スレをご利用ください。(過去ログ参照)


【読者の皆さんへ】
※激しくSな鞭叩きは厳禁です。
※煽りや荒らしは徹底放置のこと。反応した時点で同類と見なされます。
※職人さんたちを直接的に急かすような書き込みはなるべく控えること。


【過去のスレッド】
一冊目 【ノベール】REDSTONE小説うpスレッド【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1117795323.html

二冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 二冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1127802779.html

三冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 三冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1139745351.html

四冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 四冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1170256068/

五冊目【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 五冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1182873433/

六冊目【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 六冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1200393277/

【小説まとめサイト】
RED STONE 小説upスレッド まとめ
ttp://www27.atwiki.jp/rsnovel/

881之神:2010/06/08(火) 18:15:37 ID:8GUNopgw0

みなさんこんにちは。

ずーっと前にここにSSを…途中までUPしていた者です。
もし途中まで読んでいた人がいたらと思い来ました。

簡単に言いますとPCアボーン&多忙のダブルパンチで、データや設定まで消えてしまい…。
書き続けようにも同時に忙しくなり、今に至ります。

簡単な絵を載せたり、スレも何個かまたいだのに…申し訳ないですorz
これからは書くとすれば読み切りですが、よろしくお願いします。

◇68hJrjtYや書き手の皆さん、また逢う日まで…!

882ドワーフ:2010/06/21(月) 21:10:45 ID:HW/cTXWU0
『フォーチュンフィール』

 キリウスはベルトを腰に巻いてみたが、別にどうということはなかった。身に付ければ望む運命を与えると聞いていたが、何も変わった様子は無い。
「ちっ、からかいやがったのか」
 キリウスは舌打ちすると、路肩の壁に背を持たれかけた。
「まあいいや、タダでくれるんなら何だって貰ってやるぜ」
 そう言って、彼はその壁から遠くのお屋敷の窓から覗く女性の小さな美しい後姿を眺めた。
「だがあの人は、タダって訳にはいかないだろうなぁ…」
「何が欲しい?」
 足元からした声にキリウスはビクリとした。見下ろすと、彼の隣で小さな老人がへたり込んでいた。
「何が欲しい?」
「何だよ、爺さん。金でもくれるってのか」
「望むなら、得られるようにしよう」
「…………」
 普段の彼なら笑い飛ばしてしまう老人の一言。しかし、今のキリウスは違った。彼は不気味に感じながらも、望みを口にした。




「契約は結ばれた…」
 老人はそう言って、何事も無かったかのようにいびきをかき始めた。

 まったく笑いが止まらなかった。あれから8年、彼の生活は驚くほど見違えた。
 キリウスはニヤニヤと笑いながら自室で悦に浸っていた。部屋の中はかつての王宮のそれに匹敵するほど豪奢な家具で満たされていた。この部屋の中

だけで、窓の外から見える街の一区画が丸ごと買えるほどだ。
 執事が読み上げる収支の額は毎日増え続けている。それをわざわざ日課として聞きながら、彼はベルトのバックルを磨いていた。
「素晴らしい。実に素晴らしい!」
「はい、旦那様」
 これも毎日同じ台詞、しかし執事は辟易とした様子も見せずに淡々と答えた。
 しかし、彼は決してこんな財産が全てだとは思っていなかった。本当に彼にとって何よりも大切なものがまもなく帰ってくる。
「おかえりなさいませ、奥様。お嬢様」
「ただいま、ジェストル」
「おとーさまー!」
「おかえりジネット!」
 キリウスは愛する娘を抱き上げて、彼女の頬にキスした。そして、愛妻ともキスを交わしてこう言った。
「今日は遅かったじゃないか。心配したんだぞ」
「いつもと変わりませんわ。あなた」
「そうだったか?お前たちのことを考えてると一分が一時間にも一日にも感じられてしまう」
「もう、あなたったら…」
「はははは!」
 
 この惚気ている男の名はキリウス。貧民の身から一代で古都一番の大富豪となった男。野を行くが如くライバルを蹴散らして現在に至る。そして、通

常なら許されない貴族の女との婚姻を認められた唯一の男である。
 妻のルメーユとの間にもうけた一人娘のジネットは今年で5歳になる。
 彼は今が自分の人生の絶頂であると感じていた。しかし、ある日を境にそれは一変する。

883ドワーフ:2010/06/21(月) 21:12:04 ID:HW/cTXWU0
「旦那様!」
 ノックもせずに入ってきた執事を咎めるようにキリウスは睨んだ。
「何だ騒々しい」
「お嬢様が、お嬢様が!」
 キリウスの身体が強張った。ぞくりとしたように目を見開いて、執事に詰め寄った。
「ジネットがどうかしたのか!?」
「先ほど、亡くなられました」
 頭の中に暗く深い何かが広がっていくのを彼は感じた。
「旦那様。お気を確かに!」

 ジネットは不幸な事故で死んだ。突然暴走した馬車が曲がり角を曲がりきれずに横転し、横滑りした車体がそこにいた妻と娘に突っ込んだのだ。妻は

軽傷で済んだが、娘は車体と建物の間にその小さな身体を挟まれて事切れていた。
 キリウスは娘の残酷な死を激しく嘆いていた。「何故だ!何故だ!」と叫びながら。周囲の者はその言葉をあまりの理不尽さゆえに、と思っていたが

、彼にとっては違っていた。彼が漏らした「話が違うじゃないか…」という一言には、誰もが首をかしげた。
 キリウスはその日から、寝室を妻とは別にした。そして毎日彼女を避けるように違う時間に起きて食事し、どこかへ出かけていった。

884ドワーフ:2010/06/21(月) 21:13:28 ID:HW/cTXWU0
「ようやく見つけたぞ。ペテン師め!」
 人気のない裏通り、その人物はいた。
「あら、久しぶりの挨拶にしてはあんまりね」
 それは占い師のような姿をした女。口元をベールで覆っているため顔ははっきりとは分からないが、声からするとかなり若いようだ。
「娘が死んだ」
「あらまぁ、それはご愁傷さま」
「何をぬけぬけと、貴様が殺したんだろう!」
「人聞きの悪いことをおっしゃらないでくださる?あなたのお子さんが亡くなるのは、とっくに決まってたことですのよ」
「何だと?」
「さっき、私のことをペテン師と仰りましたけど、私は何一つ騙した覚えはなくってよ」
「馬鹿な。望む運命を与えてくれると言っただろう!なのになんだこれは、私はこんなことを望んだ覚えはない!」
「そう。でも、無期限とは言わなかったわ」
「貴様……何故教えてくれなかった!?」
「聞かれなかったからですわ」
 そう言って女はにこりと目元で笑みを浮かべた。
「このっ…!」
「あら、馬鹿な気は起こさないほうがいいわよ。それより、これからもっと重要なことを教えてあげるわ」
「今更何を…」
「補足説明ってところかしら。あなたがどうして今のような運命を得られたのかを説明してあげるのよ」
「そんな事を知って何になる」
「あら、奥さんがどうなってもいいのかしら」
「まさか妻にまで…!」
「だから私は何もしないわ。でも、しっかり聞いておかないと彼女も…」
「ぐ、早く…」
「ん?」
「早く言え!」
 女はくすくすと笑いながら、説明を始めた。
「私があげたそのベルト、それは持ち主の望むままに運命を変えることが出来るベルト…」
「そんなことはもう知ってる」
「でも、正確には変えるんじゃないの、歪めるのよ。あなた自身の運命を、あなたの周囲の運命も」
「どういうことだ?」
「修正が始まったのよ」
「修正?」
「そう、この世のあらゆる物事は予め神が定めた運命によって支配されている。生まれてから死ぬまで、現れてから消えるまで、誰と出会うのか、どん

なことが起きるのか、何を選択するのか。全て決まっているの。それが運命」
 女は話を続けた。
「そのベルトはあなたの運命を歪ませた。そしてあなたの奥さんの運命も歪ませた。その結果どうなったのか、あなたと奥さんの間で本来であれば生ま

れるはずの無い子供が生まれた」
「…………」
「さっき言ったわよね。無期限じゃないって。つまり、ベルトの力が弱まって歪んだ運命を維持できなくなってきたのよ。そして、神の力によって運命

は本来あるべき形に向かって修正され始めたのよ」
「それは、つまり…」
「あなたの娘さんは最初から死ぬ運命にあったってことね。あら、運命から外れてたのにこんな言い方はおかしいかしら」
「よくも、よくも!」
 突然キリウスは女の襟首に掴みかかると力いっぱいに捻りあげた。しかし女は彼の腕を掴むと、その細腕からは信じられない力で彼の腕を握り締めて

その手をほどいた。
「ああっ……ぐああああ」
 締められた腕を押さえてキリウスは堪らずうずくまった。
「もう、何なのよ急に。あなたのお子さんは神に殺されたのよ。私たちを恨むのは筋違いよ」
「あの子は、ジネットは…何のために生まれてきた。死ぬためにか。違う…あんな、むごい…」
 嗚咽を漏らし始めたキリウスを見下ろして、女はやれやれという風にため息をついた。
「そんなに痛かったの?ごめんなさいね。私たちあなたのこと気に入ってるからあまり乱暴なことはしたくなかったんだけど」
 キリウスは身を起こすと、涙で腫れた目で女の顔を見上げた。
「わたし、たち?他に誰か居るのか?」
「ずっと居るじゃない。そこに」
 女はキリウスの腹を指差した。いや、彼の腰に巻かれているベルトを指差していた。
「馬鹿な…いや、しかし神の運命を歪める……」
 女はにやにやと笑みを浮かべていた。手の内に気づかない愚か者に、ようやく全てを伝えるときが来た。
「お前は…何者だ?」
 女はフードをめくり、ベールを外すと、その美しくも恐ろしい本性を現した。紅く長い髪が溢れるようにフードの中からこぼれ、頭には一対の黒光り

する角。たったそれだけの特徴で、子供でも何者なのか分かる。

885ドワーフ:2010/06/21(月) 21:15:45 ID:HW/cTXWU0
「悪、魔…」
「そう、名前はアスティマ。そして今はそんな姿になってるけど彼に代わって自己紹介させてもらうわ。フォルセスが彼の元の名よ」
「どうして…、どうして俺なんだ。お前たちと遭うのも運命だったというのか」
 キリウスは腰が砕けたのか、尻を地につけたまま後ずさりした。
「運命から外された私たちにそんなものは関係ないわ。ただ、あなたの欲望の声が大きかったから選んだの」
「欲望の、声?」
「凄かったわよ。自分で気づかなかった?金が欲しい、地位が欲しい、権力が欲しい、ルメーユが欲しい…」
 悪魔はキリウスに詰め寄ると、腰を落として彼の顔を覗き込んだ。
「どうしようもなく貧乏で、甲斐性もなく、不潔で汚らわしいネズミのようだったあなた。毎日のように窓際に立つルメーユを眺めてたわ。不相応なの

に、絶対に手の届かない高嶺の花なのに、どこまでも無駄で虚しいだけのに激しく彼女を求めてた」
 悪魔はしゃがむとキリウスの手を取ってぎゅっと両手で握った。
「とても素敵だったわ。あなたならきっと出来ると思ったの。そう、予想以上よ!あなたはその欲望で神の運命を大きく塗り替えた!」
 キリウスは震えていた。わなわなと震える唇で何とか言葉を吐いた。
「何の、ために?」
 悪魔はにんまりと笑った。口の端を大きくつり上がらせて、言った。
「別に何も」
 キリウスは呆けたような顔で悪魔を見ていた。その反応が面白いのか悪魔はくくっと笑った。
「馬鹿な、目的がないわけがないだろう」
「うーん、そうねぇ。強いて言うなら神を冒涜できればそれだけで良かったのよ。私たち悪魔は神の力に影響を及ぼせない。だけどあなた達人間の力を

借りれば話は別ってことね。何せ、人間は神が創ったんだから。自分で作った粘土人形に指を噛み切られる気持ちってどんなのかしらね。ふふふ」
「そんなことの為に…ジネットを…」
 全てを知って絶望したのか、キリウスは力なくうな垂れた。
「もう!だから娘さんを殺したのは私たちじゃないってば。あなたさえ余計な欲をかかなければ、娘さんは死なずに済んだんだから!あ、それじゃ生ま

れてもこないわね。あはは」
「何が可笑しい!」
 座り込んだまま、握りこぶしをぎゅっと握り、キリウスは俯いたまま吠えた。
「さっきから笑っているが、人が苦しんでいる姿がそんなに面白いのか!」
「ええ、面白いわ。とっても。本当は自分のせいなんだって気づいてるのに、人のせいにしたがってる所とか本当に滑稽ね」
「何だと」
 顔をあげたキリウスの前にあの悪魔は居なかった。奴はいつの間にか彼の背後に回っていて、彼を背中から抱いて耳元でささやく様に言った。
「最近奥さんと愛し合ってないんでしょ。そんなに彼女の顔を見るのがつらいの?何でつらいのかしら。自分のせいじゃないのに、おかしいんじゃなく

って?」
 ぞくぞくとする感覚にキリウスは身を強張らせた。息がくすぐったいのではない。背後から抱かれた身体に、無数のミミズが這い回っているかのよう

なおぞましさのを感じていた。今振り向いても、奴は女の姿をしているのか。
「薄々感じてたんじゃないの?娘さんを殺したのは自分かもしれないって。その通りよ。娘さんを殺したのはあなたよ。彼女という存在を生んだのはあ

なた。死なせたのもあなた。あなたは何も知らなかった、でも知らなかったからと許されることじゃないわ。今までにこう思ったことは無い?『こんな

にも苦しむくらいなら、いっそ生まれてこなければよかった』って、娘さんも死に際にそう思ったはずよ。あんなにぐちゃぐちゃになっちゃったんです

もの、さぞかし苦しかったでしょうね」
「このっ…」
 そう言いながら、キリウスは僅かな身じろぎも出来なかった。
「もっと早く自分の今の立場がおかしいことに気づいていれば、私に会いに来てさえいれば、娘さんを死なせずに済んだのに。そして奥さんも」
「まさか妻も…」
「修正に例外はないわ。当然影響を受けるでしょうね。救う方法はただ一つ。別の欲望の持ち主に彼を譲ること。そうすれば、新しい宿主の欲望の力で

今の運命はしばらくは維持される」
「なら、こんなベルトは今すぐお前にくれてやる」
「あらあら、それは駄目よ。彼は自分の意思で次の主を選ぶの、幸いもう気に入った人は居るみたいね。だけど、その前にあなたにやって貰わなくちゃ

いけない事があるの」
「何だ」

886ドワーフ:2010/06/21(月) 21:17:40 ID:HW/cTXWU0
「死んで頂戴」
 ぞっとする一言にキリウスは堪らず悪魔を振り払った。振り向けば奴は女の姿のままだった。だが明らかに人間と思えない異様な気配を放ちながらそ

こに立っていた。
「俺を、殺すのか」
「私たちは何もしないわ。ただ、契約をキャンセルしたければ死ぬしかないと言ってるの。要するに、奥さんを助けたければ自殺なさい」
「…………」
 キリウスの顔は冷や汗で濡れていて、その息を荒くなっていた。
「明日の正午、王宮跡に来なさい。彼が残った最後の力で運命を操作して次の主を連れてきてくれる。そこで貴方は死んで、彼は次の主の元で新たに契

約を結ぶわ。分かったら、今日は帰ってお休みなさい」

 ふらふらと魂の抜けたように歩き去っていくキリウスの背中を眺めながら、悪魔は言った。
「さあて、いよいよクライマックスね。私の愛しいお人形さんは最後の舞台でどんな表情を見せてくれるのかしら」

887ドワーフ:2010/06/21(月) 21:18:59 ID:HW/cTXWU0
 キリウスが屋敷に戻ると、執事がすっかり変わってしまった彼の様子を心配して医者を呼ぼうとした。しかし、彼はそれを断わり執事を部屋から締め

出した。
「こんな物など!」
 そう言ってベルトを外そうとしたが、彼の行動を察知したようにベルトは外れなくなっていた。引き出しからナイフを出して切ろうとしたがびくとも

しない。
「無駄なことはよせ」
 そう言ったのはキリウス自身だった。口を動かした感触はない。しかし彼自身の声で自分の耳に響いてきた。
 キリウスはベルトを見下ろしてぞっとした。あの悪魔が言ったとおり、このベルトもまた姿を変えた悪魔なのだ。逃れることは出来ない。
 キリウスは部屋の中央にぽつんと立ちすくんだ。見回せば、それまで自身の虚栄心を満たしてきた煌びやかな家具の数々が、ひどく色あせて見えた。
「私は…なんだ?」
 ぽつりと自問の台詞を吐いた。ここにあるのは本来の運命であれば自分のではないものばかり。自分は本当はここに居ていい人間じゃない。自分が欲

望に任せて運命を歪ませたために、ここにある財産を得るはずだった者達は皆、かつての自分のような文無しに身をやつしていったはずだ。中には死ん

だ者も居るだろう。
 そしてなにより、妻のことが気にかかった。彼女は本来ならば自分と全くかかわりの無い世界で生きていたはずだった。他の貴族の男と結婚して、子

供をもうけていたはずだ。そしてきっと、幸せに暮らしていたに違いない。
「ああ…、ルメーユ。すまない。私は…、お前の運命の人なんかではなかったんだ」
 娘を失ってしまった。妻を悲しませてしまった。そのことが彼の身に重く圧し掛かってきた。
「ああ…あぁ…ああ…あああ!!」
 頭を抱えてキリウスはうずくまった。悲しみに押しつぶされそうだった。止め処なく押し寄せてくる感情の波が彼の正気を奪っていく。
 冷静でない思考のなかで彼が抱いたのは「償いたい」という気持ちだった。自分に財を奪われた者達に、神に、娘に、妻に…。
 それと同時に、自分たちを弄ぶ悪魔どもに対して激しい怒りがこみ上げてきた。

 しばらくして部屋を出ると、そこには妻がキリウスを待つように立っていた。じっと目があったが、彼はすぐに目を逸らして廊下を歩き出した。
「あなた…」
 妻の一言に反応してキリウスは立ち止まった。
「…すまない」
 それでけ言って彼はまた歩き出した。
 ルメーユ。本当にすまなかった。私は本当にお前に愛されるべき人間じゃない。しかし、私のお前に捧げる心からの愛にかけて、この命と引き換えに

してもお前を守ってみせる。
 彼は一人用のベッドしかない寝室で、着替えもせずに布団に倒れこむように横たわるとあっという間に深い眠りに落ちてしまった。

888ドワーフ:2010/06/21(月) 21:20:33 ID:HW/cTXWU0
 正午にはまだ早いくらいに王宮跡に着いた。かつて隆盛を極めた姿は見る影もない瓦礫の山。キリウスはその姿を今の自分と重ね合わせた。
「早かったわね」
 あの悪魔、アスティマが倒れた柱に腰かけて彼を待っていた。
「次の契約者とやらを、ここで待てばいいのか」
「いいえ、あなたがこの時間にここに来ることはすでに決まってたもの。待つ必要はないわ。でも、ここから少し移動するわよ」
 そう言って悪魔は広大な王宮跡の奥のほうへと歩き出した。
 キリウスはベルトを見下ろした。すでに彼の意思とは関係なく、彼の運命すらも操作されている。
 だが彼は怖気づいたりはしなかった。前を行く悪魔の後姿を睨み付けると、後について歩き出した。
 中庭を抜け階段を上り、今なお崩れずに残っている外郭の上に案内された。そこで外郭の淵に立つ人物とキリウスは対面した。
「どういうことだ?」
 目の前にいる人物に信じられないという様子でキリウスは言った。しかし、気づくとつい先ほどまでそこに居た悪魔の姿はなくなっていた。
「あなた…どうしてここに…」
「それは私の台詞だ。どうしてお前が…」
「近寄らないで!」
 歩み寄ろうとしたキリウスは制止された。目の前に居たのは彼の妻だった。ベルトは次の契約者に事もあろうにルメーユを選んだのだ。
「何をしているんだ。そこは危ないぞ。すぐに下がるんだ」
 下から見上げるとそびえる様な王宮の外郭は、かなりの高さがあった。転落すれば失命の危険があった。
「あなたは…、私を責めてらっしゃるですわ」
「何だって?」
「あの日…、あの子を失ったあの日から、あなたは私を見てはくれなくなった…。私さえしっかりしていればあの子は死なずに済んだかもしれない…」
「違う…」
 違うんだ。何ということだ。あのとき誰よりも娘のそばに居たのは妻だったというのに。娘の死の瞬間を目撃していたというのに。誰よりも悲しんで

辛い思いをしていたのは彼女だったというのに。私は自分の負い目のことばかり考えていた。支えてやらなければならなかったのに…歪んだ運命のせい

ばかりではなく、私は本当に夫として失格だ。
「あの子に、謝りに行かなくては…」
「待て。待ってくれ。ジネットを殺したのは君じゃない。私なんだ」
 妻が振り返ってキリウスのほうを見た。妻は泣いていたのか、涙で頬を濡らしていた。そしてそれを隠しもしない。
 なぜ、なぜ君なんだ。君にどんな欲望があるというのだ。今このままここで私が死ねば、今度は君がこの呪われた悪夢のような運命を背負うことにな

る。
「君は悪くない。私のせいなのだ。欲望にまかせて悪魔どもに躍らせされた私が…」
「一体何をおっしゃっているのですか!?私を気遣ってそんなことを仰るのですか。やめて下さい。あなたは悪くない。私が、私があの子を…」
「落ち着くんだ!早まってはいけない」
 妻はひどく興奮しているようだった。ひょっとすると、このまま飛び降りてしまうかもしれない。
「落ち着くんだ。君は何も悪くない。本当に娘に謝りに行くべきなのは、裁かれるべきは、私なのだ」
 そう言ってキリウスは外郭の、妻とは反対側の淵に立った。妻の立つ外側同様、こちらも落ちれば命はないだろう。
「あなた…?」
 妻が目を見開いて、キリウスを見ていた。
 キリウスは目を閉じた。もとより死ぬ覚悟でここに来ていたが、このままここで死ぬわけにもいかない。妻が神の修正の対象となっても、妻を悪魔ど

もの玩具にさせるわけにはいかない。自身が地獄に落ちてもかまわない、神の慈悲が彼女の命まで奪わないことを信じたい。
 妻が自分に気を取られているこの短い時間の中でキリウスは考えた。妻を悪魔たちの手から守る方法を。
 奴らの契約のルールには弱点がある。それは選ばれた人間が望みを口にしなければ契約が成立しないことだ。しかし、もしここで妻に全てを話そうと

すれば、ベルトは彼女をあそこから飛び降りさせて殺すに違いない。もはやキリウスに残された手段は一つだった。それは、賭けだった。

889ドワーフ:2010/06/21(月) 21:21:49 ID:HW/cTXWU0
「やめて、あなた…やめてぇ!」
 ルメーユは夫のもとに駆け寄った。
「本当に、すまなかった」
 キリウスはそう言って前のめに倒れこんだ。ふわっと身体が浮く感覚があったかと思うと、ぞくっとする重力の感覚が全身を走りぬけ、次の瞬間には

全身を硬い感触が打ち付けた。
 下方に山積みになっていた瓦礫に身体を打ち付けて、キリウスは糸の切れた人形のように地面に転げ落ちた。手足はあらぬ方に曲がり、頭髪には血が

滲んだ。しかし、そんな状態で彼は目を薄っすらと開けて空を見た。
「はや…く……、はやく、きて…」
 彼は辛うじて賭けに勝った。この状態ならば死は免れない、しかしすぐに死ぬわけではない。妻に伝える時間がある。
 目がかすんできた。視界の端から黒い靄が広がって視界を真っ暗に塗りこめた。目が見えなくなってきたのだ。しかし意識はまだあった。身体の自由

はもうなく、四肢の感覚は失われていた。
 酷く長く感じられた孤独の後、暖かく柔らかな感触が彼に触れた。きっと妻だ。
「あ……しっかり…………」
 妻の声が遠い。触れられているのは確かなのに、なんと遠い。
 キリウスは口を動かした。自分の声も聞こえず、声が出ているのかすらもハッキリしなかった。胸の奥から熱した鉄のような何かがこみ上げてくるが

、それを押し殺して彼は妻に伝えようとした。

 誘いにのるな…誘いにのるな……さそいに………。

 とうとう耐え切れずに、喉の奥から赤黒い血を吐き出してキリウスの意識は途絶えた。

890ドワーフ:2010/06/21(月) 21:23:09 ID:HW/cTXWU0
「あなた!しっかりして」
 夫のもとに駆けつけたルメーユは、彼のあまりに酷い状態に悲鳴のような声で言った。
 娘を失い、今また夫を失おうとしている。冷静で居られようはずがない。
「さ……」
「え?」
 夫が口をもぞもぞと動かして、何かを言おうとしている。
「お願い喋らないでください。すぐに誰か人を呼んできますから」
「何が欲しい?」
「え?」
 様子とは打って変わって、はっきりとした口調で夫はそう言った。そしてルメーユの手をぎゅっと握り返すと、再び口を開いた。
「何が欲しい?望む運命を与えよう」
「何もいりません!」
 ルメーユははっきりとそう言った。しかし、夫の顔に涙の雫をぼたぼたと落としながら続けた。
「あなたさえ無事なら、他に何も…」
「契約は結ばれた…」
 そう言うと、夫の手から力がふっと抜けた。そして赤黒い血を口から吐き出した。
「あなた、しっかり!」
 ルメーユは叫んだが、すぐに気づいた。夫が寝息のように呼吸していることに。まだ息がある、すぐに治療すれば助かるかもしれない。
「あなた、すぐに戻ります」
 そう言ってルメーユは立ち上がると、スカートの裾を持ち上げて走り出した。

891ドワーフ:2010/06/21(月) 21:24:16 ID:HW/cTXWU0
 "最後の舞台"から少し離れた宮殿の屋根から、アスティマは彼らの様子を眺めていた。走り出したルメーユを見送って、彼女はハンカチの端を噛み締

めて涙を流していた。
「ああ、あんなに必死になって。なんていじらしいの」
 さめざめと流れる涙と拭って、拍手した。
「運命の人でない人と、あそこまで愛し合えるなんて!これこそ運命を超えた真実の愛ってやつね」
 止まらない彼女のスタンディングオベーション。まるで演劇でも鑑賞していたかのようである。
「ああなんて素晴らしいの。なんて美しいの…」
 そう言ってアスティマは屋根から高く跳躍すると、ぼろぼろになって横たわるキリウスのそばにふわりと着地した。そして、意識のない彼に向かって

再び拍手した。
「本当に素晴らしい舞台だったわ。もうキスしてあげたいくらい。でも、奥さんに悪いからやめておきましょうか」
 返事などあるはずもないのに、アスティマは一人で話しかけ続けた。
「そんな残念そうな顔をしないで。代わりに取って置きのプレゼントを用意したわ。第二幕は感動の再会から始まるから楽しみにしてて!」
 そう言うと、アスティマはキリウスに背を向けた。
「それじゃあ、元気になったらまたお会いしましょう」
 アスティマの姿が黒い霞となって空に消えた。
 キリウスは知らない。運命から外れた人間が、その死後どうなるのか。運命から外された存在がどんなものなのか。

 かつて、貧民の身から一代で古都一番の大富豪となった男がいた。彼は通常なら許されない貴族の女との婚姻を認められた唯一の男だった。しかし娘

の死をきっかけに心を病み、やがてすべての財産を処分すると妻と共にいずこかへと姿を消したという。その後、彼らの姿を見たものは居ない。

892ドワーフ:2010/06/21(月) 21:39:49 ID:HW/cTXWU0
お久しぶりです。
最後の書き込みからかなり間が空いてしまいました。
しばらく書かずにいたのですが、ふっと創作意欲が沸いてきたというか何と言うか…
また、稚拙な文章ではありますが投稿せさせていただきます。

以前と同様にユニークアイテムをネタに書いてみたのですが、久々なくせに「運命」などという
ややこしいものをテーマにしてしまったために、今回は話を破綻させかねない矛盾が随所に出てきてしまいました。
なんとか、読める形にはなったと思います。
しかし、最初は幸運を呼ぶベルトの明かるい話でいくつもりだったんですが、
どこでどう間違ったか…。一人の人間の都合で運命をいじったらどんな事になるのだろう
と、考え出した途端に一気に暗い話に方向が変わってしまいました。
しかも救いもないという…。
こんな話ではありますが、読んでやってくださるとうれしいです。

893名無しさん:2010/08/14(土) 22:18:57 ID:VKtGLx5k0
◇68hJrjtYさんがまだいらっしゃらないようなので不足ながらも感想を書かせていただきます。

フォーチューンフィールという、幸運のアイテムのお話なので、
さぞや愉快なお話なのかと思いきや、幸運の裏にある他人の不幸だったり、
予定調和に翻弄される人間の苦しみだったりと、非常に感慨深い作品でした。

愉快な話ではないにせよ、ただ暗いだけの話にしないところにドワーフさんのお話のつくりの上手さを感じました。
この話の鍵となる、妙に人間臭くて感情豊かな悪魔が、ともすれば少し悲しい気分になりそうなこの小説に
明るい灯をともしているような気がしています。

運命といったような非っ常に難しい主題をここまできちんと形に出来るドワーフさんの手腕に憧れます。
最近はこの掲示板もかなり下火になって職人さんもあまりいらっしゃいませんが、また何かふっと創作意欲が湧いたらぜひいらしてくださいね。

駄文失礼しました。

894名無しさん:2010/08/29(日) 17:22:06 ID:JIr.8KPA0
やっぱいいなぁ、このスレ・・・

895復讐の女神:2010/09/05(日) 15:55:50 ID:Xt88cq/60
ゲーム世界の感覚を取り戻そうとINしようとしたら、ログイン出来なかったでござる。
垢盗まれちゃったみたいだ。
未使用スフィア3つが・・・

896名無しさん:2010/09/13(月) 16:20:32 ID:HQXR5Yuk0
aaa

897ドワーフ:2010/09/28(火) 23:43:46 ID:HW/cTXWU0
マルチェドと復讐の傷跡

 そこは郊外の霊園。墓石が規則正しく、どこか寂しげに立ち並ぶ場所。穏やかな日差しの下で、男は苦しみ悶えていた。
 頭の禿げ上がった初老の男。貴族のような美麗な装いで、地に膝をついて喉の奥から振り絞るような声で何か喚いていた。
「ううぅぅぅぅ……。うぅぅぅ。アルジネフぅぅ。よくも……、よくも」
 胸からおびただしい量の血を垂れ流し、彼はひたすらに憎悪を訴えていた。止め処なく溢れ出る赤い血は、不思議なことに地面に滲むこと
もなく、ただただ地の底へ滴り落ちるように地面に消えていた。
「よくもぉ!よくもぉぉ……、娘を…裏切ってくれたな……」
 強烈な痛みに悶えるようにその身に爪を立て、掻き毟る。魂の叫びは響きこそすれ、誰にも届くことはない。
 いや、一人だけ例外がいた。
 小さな、ぶかぶかのコートでその身を覆う人物。灯台のような兜の奥から哀れむ様な声がした。
「それは違います」
「ぐぅぅぅぅあ゛あ゛ぁぁぁぁ……」
 コートの人物の名はマルチェド。彼は何の益があってか、嗚咽を漏らす男に話かけ続けていた。
「フェレネンドさん。フェレネンドさん。僕の話を聞いて下さい」
 しかし、いくら話しかけても男はマルチェドを無視し続けた。まるで見えていないかのように。
 マルチェドはそっと男に近づくと、その透き通った身体に触れた。

898ドワーフ:2010/09/28(火) 23:45:36 ID:HW/cTXWU0
 そこは郊外の霊園、しかしそこに居るのはフェレネンドとアルジネフという二人の男だった。
 フェレネンドは霊園の寂しげな景色と雰囲気をどこか楽しんでいるようだった。そして、やって来たアルジネフを微笑を浮かべて迎えた。
「きたか。アルジネフ」
「何の、御用でしょうか」
 フェレネンドとは親子ほど歳の離れた青年。笑みを浮かべるフェレネンドとは対照的に、アルジネフは決意を固めたかのような、まるで決
闘の合図を待つ騎士のような、どこともなく悲壮とも感じ取れる硬い表情をしていた。
「そう緊張するな。ここなら誰も来ないから、ゆっくりと話でもしようじゃないか」
「そうですか…」
 そう言ったっきり、二人は黙ってしまった。アルジネフはフェレネンドが再び口を開くのを待ち、フェレネンドはというと間を計るように
ゆっくりと、アルジネフの周囲をうろついていた。緊張しているのは、ひょっとするとフェレネンドの方なのかもしれない。
 小さくため息をついて、フェレネンドはようやく口を開いた。
「アルジネフ。お前の正体は割れた」
「そうですか」
 まるで最初から分かっていたかのように、アルジネフは即答した。それを分かった上で、覚悟してこの場に来たのだろう。
「お前の家族を殺したあのとき、お前の死体がないということを知ったあのときから、一度たりとも心の休まることはなかった。まだ年端も
行かぬ小僧だったとはいえ、あの執念深い男の息子だ。きっと復讐しにくるに違いないと思っていた」
「…………」
「そして思った通り、お前はこうして私の前に来た。娘に近づいて、私に接近する機会をずっと伺っていたわけだ。二十年間も復讐のために
費やすとはな、もっと別な人生を送ろうとは思わなかったのか」
「……別の人生。今とは別の人生、という意味か?それならあの日、お前に壊されたよ」
 アルジネフは怒気をはらんだ声で言った。口調は変わり、刺すような目つきをしていた。
「やはり、あの男に似ているな。割り切ったり妥協したりすることを嫌う頑固者だ」
 穏やかな日差しが当たりを照らしている。木漏れ日が揺れるレースのカーテンのように射す様は、霊園とはいえ幻想的だった。
 そんな雰囲気とは対照的に、陰険な眼差しでフェレネンドを睨み付けるアルジネフに、フェレネンドはやれやれといった風に肩をすくめた

「やれやれ、ゆっくりと話したいと言ったのにな。何か勘違いされているようでは、そうもいかないな」
「勘違いだと?」
「ああ、私はお前を殺す気などない。逆にお前に復讐を遂げさせてやろうと思っているのだ」
 アルジネフの眉がぴくりと動いた。動揺を隠そうと、油断を見せまいと、彼はさらに態度を硬化させた。
「ふざけるな」
「ふざけてなどいない。実を言うと、娘が生まれてから心変わりしてね…。いくら邪魔な商売敵だったとはいえ、何も殺すことはなかったん
じゃあないかと。いや、それは避けられなかったにしても子供たちの命まで奪うことはなかったとね」
 フェレネンドはアルジネフの目をじっと見据えた。フェレネンドは実に安らぎに満ちた、穏やかな表情をしていた。

899ドワーフ:2010/09/28(火) 23:46:19 ID:HW/cTXWU0
「時にアルジネフ。お前は、私の娘を愛してしまったな?」
「馬鹿な…」
 アルジネフは目を逸らして言った。僅かに息が乱れたのをフェレネンドは見逃さなかった。
「ふっ、分かりやすい男だ。だが娘は隠しもしなかったぞ」
「…………」
「皮肉なものだな。復讐のために近づいた仇の娘を、愛してしまうとはな」
 フェレネンドはアルジネフに歩み寄ると、手を伸ばせば届きそうな距離で立ち止まった。
「正直お前を殺してやろうかとも思っていた。だが、お前と連れ添うことがあの子にとっての幸福だというのなら、過去の因縁をこの命で清
算できるのなら、ここでお前に殺されるのも悪くない」
 そう言って、フェレネンドはアルジネフに懐から取り出した短剣を差し出した。
「自前の物を用意しているだろうが、これを使え。あとの処理は私の執事に任せればいい。安心しろ、あいつは口が堅いからな。信じられな
いかもしれないが、信用して欲しい」
 アルジネフはじっと差し出された短剣を見下ろした。飾り気のない無骨な短剣だった。
(こいつは、何を言っているんだ…)
 アルジネフは、予想外の展開に困惑していた、訳ではない。ただ、目の前の男の態度が気に入らなかった。
 アルジネフが無言で短剣を受け取ると、フェレネンドはふふっと笑った。
「はぁ〜…。妙なものだな、あれほど恐れていたお前のことを、こんな気持ちで迎える日がくるとはな」
(こいつは、何故笑っている?)
「思えばお前の父親は憎たらしい男ではあったが、立場が違えばきっと良い友となっていただろうな…」
(勝手なことを…)
 アルジネフは短剣の鞘を捨てた。鋭く輝く刃に、自分の顔が写っている。フェレネンドからは俯く彼の表情は見えないが、彼には自分の表
情がよく見えていた。今の彼の心を表す表情が。
「さあ、やるがいい。娘の花嫁姿を見れないのは残念だが、こんな晴れ晴れとした気分で死ねるのだから、これ以上は贅沢というものだ」
(こいつは…こいつは……)
 アルジネフはわなわなと震える手で短剣の柄をぎゅっと握り締めた。
(父も、母も、妹や弟も……、死にたくはなかった。最後の瞬間まで死の恐怖に怯え、苦しみぬいて死んでいった)
「どうした?さあ」
(なのにこいつは、満足して死のうとしている)
「躊躇うな、早く」
(許せない…)
 アウジネフはフェレネンドの肩を空いている左手で掴んだ。そして、笑みを浮かべているフェレネンドに向かって言ってやった。
「お前の娘も後で送ってやる。だから安心して、死ね」
「なにっ?」
 フェレネンドの表情が強張った、その瞬間を逃さずアルジネフは奴の胸に向かって短剣を突き立てた。
「馬鹿な…。あの子は…、本気で、お前を!」
「黙れ!絶望して死ね!」
 すがり付いてくるフェレネンドに対して、アルジネフは短剣をさらに捻り上げた。そして引き剥がすように男を突き飛ばした。フェレネン
ドはうめき声を上げてのた打ち回ると、やがてぴくりとも動かなくなった。あっけない復讐劇の幕引きだった。
 アルジネフは先ほど自分が言った言葉が信じられなかった。短剣をぽとりと落とすと、つぶやくように言った。
「出来るわけが、ない…」
 辺りは相変わらず穏やかな日差しに包まれている。彼らの心など知らぬように。

900ドワーフ:2010/09/28(火) 23:46:53 ID:HW/cTXWU0
「そうか、娘は生きているのか」
「はい、二人のお子さんに囲まれて、本当に幸せそうでした」
「そうか…、そうか、よかった」
 フェレネンドはうっすらと目に涙を浮かべていた。
「長い間、ずっと酷い悪夢を見ていた気がする。私がアルジネフにしたことを思うと、これも当然の報いなのかも知れない。あれだけのこと
をしておいて、自分に都合よく全てを清算しようとした私は、傲慢だったのかもな」
 フェレネンドはすくっと立ち上がると、マルチェドに深々と頭を下げた。
「ありがとう。君には本当に感謝している。これ以上の謝礼ができないのが残念だ」
「とんでもない、僕はただ…苦しみ続けているあなたを救いたかっただけです」
 フェレネンドはマルチェドの、目をじっと見た。妙な姿をしているし、顔も分からないが、その兜の奥の輝きは何よりも優しく暖かに感じ
られた。
「ああ、何て清々しい良い気分なのだろう。最後に娘を一目でも見たいが、これ以上は贅沢か」
 そう言って。フェレネンドの魂は天へと昇っていった。
 マルチェドはそれを見送ると、悲しげに俯いた。
 死んだ人の心を救うことは出来たが、生きている人間の心を救うことは出来ないでいた。
 マルチェドに全てを告白したアルジネフは、心に自分自身に対してのわだかまりを抱いたまま奥さんと向き合っている。復讐の刃は彼自身
の心をも傷つけていたのだ。
 その霊園は相変わらず穏やかな雰囲気を保っていた。

901ドワーフ:2010/09/29(水) 00:20:00 ID:HW/cTXWU0
あとがき

連投になってしまいましたが、書き込ませて頂きます。
かなり前に書いたマルチェドというネクロマンサーを主人公とした話をネタに、
また一つ書いてみました。
6冊目の403-419とこのスレの>>417-420に過去に書いた話がありました。
続きというわけではないのですが、どこだか分からなくて、見つけたときは
押入れから懐かしい玩具などを見つけたような気分になりました。
マルチェドと…なんてタイトルにしてますが、今回はマルチェドは端役です。

ここを読んでくださっている方がいてくれて、正直うれしいです。
もう誰も見てないのかな…なんて少し不安に思ってました。
本当にありがとうございます。

902名無しさん:2010/10/02(土) 11:18:03 ID:ICvGNH4Y0
>>ドワーフさん
なんとも物悲しくて、余韻の残る作品でした。
もし登場人物がどこかでこの作品とは違った選択をしたとしても、決してハッピーエンドでは終わらないような、
どこかで誰かが必ず心の傷を負ってしまうといったジレンマを感じました。

おそらくは、フェレネンドが満足して成仏したことはアルジネフに伝わるのでしょうが、
そこからアルジネフがどう自分の罪と向き合っていくのか…。
続きは私たちの心の中に、ということなのでしょうが私としてはアルジネフの幸せを願わずにいられません。

人の罪も、自分の罪も許すことができない弱くて優しい人間のあり方がとても丁寧に表現されていて、思わず感情移入してしまう作品でした。
自分もこんな話を載せられたらいいなあ…と思いながら実際に書くのはとても難しいですね。
相変わらずの手腕に頭が下がるばかりです。 もうここも住人が少ないようですが、またなにか創作意欲が湧いたらぜひいらっしゃってください。



>>復讐の女神さん
その御名を以前拝見したのはずいぶん昔のことだったように思います。
未だに古参の方もいらっしゃっていることが個人的に少し嬉しかったので返信させて頂きました。
運営側が不正アクセス防止のために正規のIDとパスワードにブロックを掛けていて、それでIN出来ないこともあるそうです。
というか、自分がそれありました。
なので、公式サイトにある『パスワードを忘れた』というところに適切なメールを送ればIN出来る可能性はあると思うのですが試してみてはどうでしょうか…。

903名無しさん:2010/10/02(土) 11:20:54 ID:ICvGNH4Y0
連投すみません。一番下まで下がっていたので上げさせていただきます。

904みやびのようなもの:2010/10/02(土) 18:50:53 ID:KYKd7IEk0
◇――――――――――――――――――――――――Red stone novel−Responce

 隠居しすぎてとうとう“バールのようなもの”みたいになりました……。


>復讐の女神さん
 >>902さんのおっしゃる通り、まだ諦めるのは早いかも……!
 あと単純な入力ミスといった点も、もういちどチェックしてみてはどうでしょう。
 とにかくまだやれることはあると思うので、なんとか頑張ってくみてださい(ノ>Д<ノ)

>ほか、作家さんたち
 感想できなくてすみません(汗)

 実は今回は読書ではなく「ネット活動再開」のご報告に来たのです……。
 ――が、なんだかKYな気がしてきました(汗)
 というのもサイトを復活させて自作のサルベージを行っているのですが、それを終えた
あと、おそらく新作のほうはサイトでのみ公開……というスタンスになりますので|ω;)

 疎遠だったうえに無責任なことになってしまい、申し訳ありません(汗)
 そんなわけでURLは自重しておきます。

 要は投稿しなくなってもネット活動は再開したので、たまにはレスしに来ます(*´・ω・)ノ
 ということで。

 もっと活力と時間が欲しい……。
Red stone novel−Responce――――――――――――――――――――――――◇

905名無しさん:2010/10/03(日) 12:14:36 ID:xxrYT74M0
お万個ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最古ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
べろべろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

906名無しさん:2010/10/31(日) 15:44:24 ID:uT.Z0vmk0
このスレ見て思ったのは

自分のブログでやれよ ってことだけですね

907名無しさん:2011/02/03(木) 05:39:03 ID:m7KgF2xA0
夜中にふと書きたくなったので…(´・ω・`)
ううう駄文ごめんなさい。
バレンタインネタです。甘くはないです。



-----------------------------------------------



ざく、ざく、ざく。

リトルウィッチが手際良く包丁を動かすたび、白い清潔なまな板の上でチョコレートは細かくなる。

ざく、ざく、

チョコレートを刻む作業に夢中になっていたリトルウィッチは、ふと顔をあげて窓辺を見た。
二羽の小鳥が戯れている。番だろうか?彼女は眩しそうに目を細め、再びまな板の上に視線を落とした。

すっかり細かくなったチョコレートを包丁の刃に乗せてアルミのボウルに入れ、
脇にやってからリトルウィッチは湯の様子を見た。小鍋の底から泡が浮かび始めている。そろそろ良いだろう。
リトルウィッチが指を差すと鍋の底の火が消える。彼女は鍋つかみを装備すると小鍋をまな板の上に移動し、
先ほどのボウルをその中へゆっくり、浅く沈めた。


日差しの暖かな午後だった。眠気を誘うように、時間はゆったりと流れる。
まどろむような時間の停滞。だが、ひとたび外に出れば冷たい北風に体の熱を奪われるだろう。
リトルウィッチの瞳もまた、冷たく暗い色に翳っていた。
端正な顔を僅かに青ざめさせ、まるで機械のように、溶け始めたチョコレートをかき混ぜる。

そんな彼女が時折顔を挙げては見ているものがある。
調味料の棚にひっそりと置かれた、小さな瓶だ。
中には怪しげな色の液体が入っている。それは惚れ薬だった。

908名無しさん:2011/02/03(木) 05:42:10 ID:m7KgF2xA0

焦がしてはいけない。お湯が混ざってもいけない。
溶かしたキャラメルを混ぜ、あの人が好きな甘すぎないチョコレートを。
チョコレート作りに集中することで意識を逸らそうとしているのに、
目線はどうしてもつられてしまう。――こんなもの、買わなければよかった。
リトルウィッチは恨みがましい目で小瓶を眺める。


そもそも、「惚れ薬」などという単語に釣られたのが気の迷いだった。
アリアンの片隅で売られていたこの小瓶の前で、しかしリトルウィッチは暫くの間立ち尽くしていた。
とりつかれた様に小瓶を見つめるリトルウィッチに、露店を開いていた老女は「半額で譲ろう」と言い、
彼女は震える手でそれを受け取ってしまったのだ。

無論、本物だなどとは信じていない。信じていないが、彼女には根拠が必要だった。
相手を確実に落とせる、という根拠ではない。諦めるための根拠だった。

 リトルウィッチが恋をしたのはギルドのエースだった。
加入当初こそ一緒に狩りに行く機会は多かったものの、時間がたつにつれてそれも目減りし、
今となっては直接会えるのはギルド戦ぐらいだ。
そのギルド戦も彼は前線で戦う一軍パーティーだが、ギルドの平均レベルにも満たないリトルウィッチは
いつも二軍で、顔を合わせている時間など微々たるものである。
 レベルは遥か遠く引き離され、会う事もなく、いつしか声をかけることにすら気兼ねし始め。
強いアーチャーと楽しげに議論する彼を眺めては、溜息を吐く。

 みじめだった。
どれだけ修行に励んでも追いつけない実力も、
膨大すぎて身に付かない知識も、
事あるごとに思い知らされる力量差も、
分不相応の恋をして、まだ諦められずにいる自分も。

それでも好きだった。
彼がギルドホールに現われる度体が軽くなってこのまま飛んで行けそうな気さえしたし、
声をかけられれば胸がときめいた。
彼がいるだけで、心があたたかいもので満たされる。
春の木漏れ日のように。


だけど、もうだめだ。
もう耐えられなかった。苦しさで胸が押しつぶされそうだ。
彼のふとした優しさが、気遣いが、かつて愛した彼の魅力全てがリトルウィッチを苛む。
どんなに好きでも、どれだけ幸せを感じても、彼に届くことはないのだ。
彼が自分を振り向くことはない。悲しいぐらい知っている。だから、もう、諦めるのだ。

心が躍るような歓喜とみじめな落胆を繰り返し、リトルウィッチは疲れ果てていた。

909名無しさん:2011/02/03(木) 05:44:42 ID:m7KgF2xA0


リトルウィッチは小瓶の中身が本当の「惚れ薬」などでないことを知っていた。
だが彼女はそれを本当の「惚れ薬」だと信じ込もうとした。

バレンタインデーに、惚れ薬を混ぜたチョコレートを。

「惚れ薬」は偽物だ。だから効き目が現われることはない。
だけど「惚れ薬」は本物だ。「惚れ薬」を混ぜたチョコレートですらままならなかったのだから、
彼がなびいてくれなくても、それは仕方ないのだ。

仕方ない。
それこそが、彼女が50万ゴールドという大金と引き換えに望んだ「根拠」だった。

(バレンタインデーの夜、私は彼を誘い出し、綺麗にラッピングしたこのチョコレートを差しだす)

リトルウィッチは小瓶を捻り、ボウルの上で傾ける。

(彼は優しいから、きっと受け取ってくれる)

思ったよりとろみのある薬品が、瓶の口へ向かって流れ始め、丸く滴を作る。

(そして次の日彼は何食わぬ顔でホールに現われて、いつもみたいに挨拶して、あの人と狩りに出かける)

(それで、おしまい)


しかし怪しげな色の薬品が滴り落ちる前に、無色透明な滴がボウルに落ちた。

「あれ」

 おかしいな、とリトルウィッチは笑った。
後悔などしていない、と思う。悩んだが、それで良いと決めたのだ。
溶かしたチョコレートに惚れ薬を混ぜて、型に流して固め、デコレーションし、
それを包んで当日を待てばいいだけ。簡単な計画だった。割り切ったはずだった。
なのに、彼にやんわりと断られる場面を想像すると、何故か途方もなく悲しくなり、鼻の奥がツンとする。
何でもない振りで笑い飛ばそうとした。しかし、次々と溢れてくる涙は止まらない。

この期に及んでまだ好きか。
いじましくもこんな薬に縋って、言い訳を作らねば諦めが付かないほど、好きか。
自分でも馬鹿馬鹿しいと散々思う癖に、どうしても惹かれて仕方ないほど、好きか。

好き。好き。大好き。

でも。


「ふ、ふふ、ははは…っ」

 笑いが止まらない。服の袖で目元を覆いながらリトルウィッチは声を上げて笑った。
そしてひっく、と大きくしゃくりあげたかと思うと、その場に崩れ落ちた。
まるで子供のような嗚咽が漏れてきて、堪えようとするのにできない。
口元を抑えて、冷たい木製の開きに縋りつきながら、彼女は咽び泣き続けた。



-----------------------------------

おしまい。



リトルウィッチは病んでない…です。
ネガティブになりすぎてとてつもなく絶望的な気分になってるだけ。
でも自分でも薄々このままじゃいけないなーと思って区切りをつけようとするんだけど
やっぱり諦められないみたいな感じみたいな。

予想以上に場所とりました。
ぐだぐだで本当ごめんなさい。

910ヒカル★:削除
削除

911ヒカル★:削除
削除

912名無しさん:2011/03/04(金) 06:00:04 ID:PAcVRaHU0
>>907~909さん
二月初旬にバレンタインネタを先行した小説の投稿、ありがとう御座います。
一人の剣士を想う、リトルウィッチの儚げな想いが、伝わって来ました。
小説を読み進めていく中で、とても悲しい気持ちにもなりました。
続きがあるのではないか?と思いましたが、流石に一ヶ月前にもなる投稿に
期待を寄せるのは間違っていると思うので一言、終始面白かったです。

913名無しさん:2011/03/05(土) 18:19:26 ID:VlWscOXQ0
3Dカメラで撮ったおっぱいエロすぎw
すれ違いおっぱい@ともも
ttp://oppai.upper.jp

914名無しさん:2011/03/26(土) 14:36:25 ID:3n3Lz4bg0
てか、3Dカメラで撮ったおっぱいがエロすぎるw
ttp://3dpic.99k.org

915:2011/06/20(月) 19:36:42 ID:EGVrtTjo0
初投稿

友達だった、
親友だった、
でもそれは、過去の話だった、
でもその話も過去の話になった
今、私の前には、友人、親友、「だった」人が、立っているのだ
たくさんの傷を負い、ボロボロの姿で。




話の発端はこうだった、
兄と喧嘩になった、
として兄が悪くないと主張した、
それでも私は譲らなかった
だから兄は事実を伝えるために洞窟へ向かった、
そして、一日がすぎた
二日が過ぎた
三日過ぎても帰らなかった
さすがに心配になったから
探しに行くことにした
万が一のときのために
小さな小刀を持って
(今思うと何の役にも立たなかったのだけれど)
そして家を出た

洞窟に着くと、生臭い香りがして
嫌な気分になった
けれども、進んだ
一本道で、すぐに開けた場所に出た
でも兄は見つからなかった
だからもっと奥に行った
奥に行く途中で、
いや、広間から奥に進む手前で、嫌な感じが強くなった
今思えば、このとき引き換えしていれば、
怪我もせず、死に掛けることも無かったのかも知れない
でも、あそこで戻っていたら、
この二人に会うことも、なかったかもしれない
そんなことを考えていた、
真っ青に染まり、凍りついて
巨大な槍に貫かれて倒された、二体のファミリアの前には
普通には見ないような、
青いジャケットを羽織り、白金の杖を持っているWIZと
フルプレートアーマーを着て、巨大なランスを持った、ランサー
かつての親友と、イタズラをしてよく怒られた、友達だった
そう、あの時の様な、笑顔を、また、
見られた…
涙が、あふれて、止まらない、
笑おうとしてるのに、鼻の奥がツーンとして、笑いながら、泣いていた
嬉しかった、いきなり村を飛び出して行った少年
自由気ままで、イタズラ好きで、
教育所(学校と呼べるほど立派では無かった)
での成績も一番悪かった
アイツ…シュンスケが
ウィザードになってるなんて…
そして、とっても大人しくて
一歩下がって何をするにも見ていた彼女、
ミレイが、ランサーになって前衛を、こなしていた
それでも、私に向ける笑顔は、
シュンスケは、あの時の様に歯を見せていかにも悪戯小僧といった感じで、
ミレイはやっぱりあの時の様に、優しく、静かに微笑んでいて、
あの時と、かわってないなぁ…


うん…兄も、見つかったし、帰ろうか
家で、兄と話した、

私、冒険家になりたい

兄は、ダメだ、と言ったけど、やっぱりなりたいものはなりたい
兄を何とか説得して、
(半ば強引に納得させて)
私は、冒険家になる為に、
ココ、ブルンネシュティングの地に、
訪れたのであった…




つづ…く?

916名無しさん:2011/06/20(月) 22:21:26 ID:v5ws8XBs0
久々のご新規さんにテンション跳ね上がりながら感想書かせて頂きます。

全体を通してとても瑞々しい文章に心惹かれました。
『私』の回想録のようなお話の構成ですが、『私』から見たシュンスケやミレイへの懐かしさと憧れがとても素直に伝わってきます。
初投稿にも関わらずこんなに透き通った文章が書ける>>915さんに脱帽です。

茶目っ気溢れるシュンスケと、物静かで優しいミレイ、そして冒険家になることを決意した『私』。
この三人がこの後どういう物語を紡いでいくのか。
ゆっくりで構いませんのでもし続きが出来たらぜひ投稿して下さいな。

917名無しさん:2011/08/01(月) 22:23:57 ID:qj3ui2iE0
ちょwこの女↓乳輪見えてるww
ttp://akb.cx/QvQ

918名無しさん:2011/08/28(日) 17:14:54 ID:mzHxSLf20
過疎ってますね・・・
好きだった白猫さんが今も活動してるのかすごく気に成ります・・・
今活動してる場所とかあったら見てみたいなあ・・・なんて・・・。

919名無しさん:2011/10/05(水) 00:29:37 ID:fqZ/5DPs0
からあげ海賊団

920名無しさん:2011/10/05(水) 02:21:35 ID:hMN.Cqcs0
ちゃんとキッチンペーパーで油ぬいとけよ

921名無しさん:2011/10/25(火) 01:45:50 ID:W.wACHYU0
高卒24歳平社員、残業ナシで手取り21万童貞
どうするよこいつ

922名無しさん:2011/10/25(火) 07:48:11 ID:SQrbxQ.c0
このニート野朗wwwwwwwwwwwwwwwwwww

ギャッフヒョーイwwwwwwwwwww

923名無しさん:2011/10/25(火) 17:40:14 ID:3XD7c8GM0
この童貞野朗wwwwwwwwwwwwwwwwwww

ギャッフヒョーイwwwwwwwwwww

924名無しさん:2011/10/26(水) 01:32:08 ID:5fbEFjyc0
高卒24歳平社員、残業ナシで手取り21万童貞
どうするよこいつ

925名無しさん:2011/11/13(日) 04:23:28 ID:7Y2qzZ5w0
ttp://blju.net/

926名無しさん:2011/11/21(月) 21:31:10 ID:Rk69/7zs0
संस्कृत; saṃskṛta, Sanskrit

927名無しさん:2011/11/22(火) 02:42:15 ID:Rk69/7zs0
夢芝居歌いな!

928名無しさん:2011/12/03(土) 05:47:27 ID:TWyS9Dro0
実写版でるとしたらテイマは和田あき子だな

929名無しさん:2012/05/09(水) 11:39:34 ID:hgYbCmbk0


930名無しさん:2012/08/30(木) 11:10:54 ID:tWS/1nwY0
たまにはこういう所も覗いてみるもんだな

931名無しさん:2012/09/28(金) 07:20:34 ID:QuKhxb3s0
そう思い、視界の先に見たものは・・・

932白猫:2012/10/09(火) 20:11:52 ID:051e.xxM0
(^o^)わたしです

というわけでみなさまお久しぶりです.
最近RSの広告を目にするなーと,ふらりと帰って来ました.
コテの皆様がいなくなり8冊目はいかないだろうと言った予感が当たっちゃってしょんぼりしている一方,名無しさん方で細々と作品が続いていてほっこりしました.
とくに>>907さんがとても琴線に触れました.狂気愛ってイイよね.

>>918さん
1年ほど前の書き込みですが,好きだったと言って下さり感謝感激でございます('ω` )
活動としては2年ほど前に小さな同人ゲームのライターなんぞをやったり某同人ゲームのSSを書いたりしておりましたが,趣味の領域は出ておりませんなだ.
たぶんこれからも個人用のブログで細々と続けるにとどまるとおもわれます.

最近はもう筆にも触れず,PlanetSide2の戦場で戦車と爆撃機を乗り回したりLeague of Legendsの舞台でサモナーをやっております.
ゴミ箱みたいな名前を見かけたらきっとそれは私です.縁があれば戦場でお会いしましょう(笑)
それでは2年ぶりで多分最後になるでしょう,白猫の提供でお送りしました。
またどこかでーヾ(゚ω゚)ノ゛

933ワイト:2012/11/14(水) 04:38:22 ID:9porlFj.0
――――
???
 
 此処は、数々の冒険者が拠点にし、日々活動を続ける中心街。そう、古都ブルンネンシュティグ。
今でこそ、昔のような活気は失われつつあるが、今でも、ある程度の冒険者達が行き交う街で有名だ。
活気が失われた原因の1つに、此処より西に遠く離れた街、オアシス都市アリアンが主に影響している。

 オアシス都市アリアンとは、オアシスと名の付く通り、街の中心に湖とも呼べる程の豊富な水で潤った街。
生活源にもなるその水に、自然と一般の人々が集まり、また冒険者も商売を目的に訪れるにもなり、都市にまで発展した。
そして、古都ブルネンシュティグには、大々的に宣伝出来るポイント……つまり、アピール出来る何かがない。
少し前までは、「RED STONE」と呼ばれる赤い石の噂が冒険者の意欲を掻き立てた。それの情報源で賑わったのだが……

 「RED STONE」とは、入手出来れば、願いが叶うだとか、巨万の富を得るだとか、不老不死になれる等々
噂が噂を誇張し、そんな赤い石を巡り合って冒険者達が競い合った時代があったが……今は、「終わった」
何故かと言えば、その「RED STONE」が「悪魔」と呼ばれる、地下に身を潜め、普段は表立った行動をしない
「人間」ではない、その存在が先に手に入れたと言う噂が流れた為だ。それも、仕方がなかったと言える。

 元々「RED STONE」の所有、管理をしていた「天使」と言う「悪魔」とは対立関係にある立場の「誰か」が
何を思ったのか、「天使」の住まう天上界から、その「RED STONE」を「人間」の住まう地上界に投げ落としたのだ。
その「誰か」とは、数ある天使の中でも最高位の地位に立つ、かつて「戦神の天使」の肩書きで知られた
「アズラエル」の所業とも、後に各界で噂され始めたのだが、それはまた別のお話である。

そして、今新たに冒険者として名乗りを上げる1人の少年の、「RED STONE」を巡る旅に出る物語の始まり、始まり……

――――
ある場所

「ねぇねぇ、それ何読んでたの?」
っ!――パタン。

今読んでいた「RED STONEの起源とその先」と「古都ブルネンシュティグとオアシス都市アリアンの歴史」
についての本を勢いよく閉じて、声を掛けられた先に目線を移す。

「え〜、別に読んでたっていいじゃない。どれどれ?」
 目線を移すと白いローブに身を包み、肩まであるかと思う銀色の髪の頭上にティアラのような冠を付けた……
いや、乗せた?少女が、微笑みながら僕が先程まで読書していた本に触ろうと、目の前に立っていた。

「あっ……なんだ、「ラピス」か。いたんなら、普通に声掛けてくれよな。誰かと思ったよ……」
「あら、失礼ね。幼馴染みの声が他の誰かに聞こえたの? っていうか、またこの本古いわねぇ。こういうの好きなの?」
 薄々誰かは察しは付いていたが、それでもやっぱり第一声は、挨拶から入ってくれるとありがたいと思う僕であった。

「何よ〜、ねぇ、聞いてる?」
 反応がなかったのか、再度返事の催促を促して来たラピスに慌てて相槌を打つ。

「ああ、うん。聞いてるよ。ごめんごめん、ちょっと考えごとしてたんだ。」
「ホントに? ……まぁいいわ。それより、明日テストに出るところ教えなさいよ。」
「ええ? それが目的だったのか〜?」
「いいじゃない。こんな図書館まで来るぐらいなんだから、勉強もしてたんでしょ。」

 間違ってはいなかったけど、図書館まで来て勉強や読書をするのは、1人で集中したいためであって……
「なに、ブツブツ言ってるの……、それじゃ今すぐ私と勉強しましょう。特にテストに出るところね!」
「仕方ないなぁ、そろそろ読書も止めにするところだったし、テスト勉強といきますか。」

そうして、僕が座っていた横の椅子にラピスが腰掛けて、2人のテスト勉強が始まった。

934ワイト:2012/11/14(水) 04:39:22 ID:9porlFj.0
――――
図書館

 僕とラピスは、古都ブルネンシュティグに最近建造されたと言われる、ブルグ学校と呼ばれる学習院に通っている。
ちなみに、僕とラピスは先述の通り幼馴染みの間柄で、学校も同じクラスのため、勿論テストも被るのだ。

「――ねぇ、この「スキル」の仕組みは、どうなってるの?」
「ああ、この「シマーリングシールド」っていうのは〜〜……」

 「スキル」とは、昔は元々の才能や頭のよい、一部の冒険者達が「モンスター」を相手に使用した、特有の技。
現在では、修行の積み重ねや閃きと言った要素で、努力次第で一般の人々でも使用することが可能になった物だ。
大体は、ブルン学校の入学時に目指す職業を決めて、それに向かって卒業時には、専門的なスキルをいくつか得ることが出来る。
現実で言えば、ある種の専門学校のようなものだ。今、勉強しているのは、その数あるスキルの仕組みについてである。

「へ〜……、やっぱり詳しいんだね。わざわざ、図書館にまで来た甲斐があったわ。」
「ま〜な〜。でも、今のは僕が目指す「剣士」のスキルだから、覚えておかないと、後で先生に怒られちゃうしな。
 それより、ラピスも日頃「ウィザード」に向けての修行や勉強は、やってるものなの?」

「わ、私はいいのよ! そういうのは、前日に頑張るタイプなの!」
「そ、そうなのか。んじゃ、今が前日なんだから今日は張り切って勉強しよう!」
「ええ〜……」「ええ〜、じゃない!」

職業には、種類が存在する。上の例で言えば、「剣士」と「ウィザード」だが、この他にも様々な職業がある。

――――
図書館―夕暮れ

「――ふ〜、そろそろ、こんなもんでいいかな。ラピス、遅くまでお疲れ様。」
「もう……、前日に頑張るって言ったけど、何もここまで〜〜……」
「ま、まぁ! いいじゃん。これで、明日のテストは満点間違いないよ。」
「そ、そうかしら……それなら、やった甲斐もあったわね。それじゃ……あっ」

少し長い時間椅子に腰掛けていたせいか、立ち上がろうとしてラピスの態勢が崩れる。
咄嗟に、僕の身体が上手く動いてくれたのか、足元から崩れそうになるところで、ラピスの身体を両腕で支えた。

――トサ。

白いローブを纏っているせいか、見た目は少し大きく感じたが、やはり身体は、細身で華奢なところが昔から変わっていない。

「(……思ったより、軽いな)」
「……ちょっとっ!」

「あ、えっ!ご、ごめん!」
考えていたせいで、支えっぱなしのままだった。すぐに離れたけど、少し俯きになっていたラピスの表情が赤かった気がする……

――ボソッ
「……(「ラズル」なら)別にいいわよ……」
「ん? 何か言ったかな? じゃ、次からは、勉強の時間も考えて頑張っていこうな。」
だいぶ紹介が遅れてしまったけど、僕の名前は、「ラズル」。これからも、よろしくね。

「誰に紹介しているのよ……! もう、周りに誰もいないわよ?」
「う、うん。なんかそうしないといけない気がしただけだよ。時間だし、帰ろうか。」

935ワイト:2012/11/14(水) 04:41:22 ID:9porlFj.0
――――
テスト当日

 キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン〜〜……ガララッ
ザワザワ……ザワ

「よし、お前ら〜前から言っていた通り今日は、テストだ。そして、今日のテストは
 期末の評価に関わるものだからな! 心して受けるように。では、配っていくぞ〜」
「うわ〜、そういえばテストか……なぁ、あれやった?」「いや、俺もなんもやってないな……」
「俺、全然やってないわ〜、対策してないわ……、昨日実質1時間しか寝てないわ〜。」

生徒達の言葉が飛び交う中、ラピスとラズルは、2人とも少し余裕の表情を見せていた。

「ラピス大丈夫か?昨日やった通りやれば、2人共いけるさ。」
「そうね……頑張るわよ。……ラズル、昨日は…あ、(ありがとう)」
「……? ちょっと聞き取れなかったけど、いまなん――」「そこ!もう、テストは始まったぞ!」
「ああっ!すみません。今すぐ取り掛かります。」「(……あははっ…ラズル、ごめん許してね)」
「(チッ、面白くねぇ……!いつも、ラズルラズルって、ラズルのどこが……俺の方が……クソッ)」

――――
テスト終了後

「無事テスト終わったなぁ、ラピス。次の時間でテスト返ってくるし、楽しみだな。」
「そうね。それより……さっきからあなたに、後ろの角の席からずっと、誰か見てるわよ。」
「――えっ?」

 さっと、後ろを振り向くと、目が合ってしまった。――うわっ、よりによってアイツかぁ。どうしようか……
そんな反応するのには、理由があった。それは、僕と同じ職業「剣士」を目指す、1人の生徒だったからだ。

――ガタッ
「――おいっ! お前いま、俺と目が合って下向いただろ! ちょっと待てよ。」
「うわ〜、ラズルがまたアイツに因縁付けられてるぞ……」「いつものことだし、心配いらないだろ……?」

 ザワザワ……ザワ
アイツと呼ばれる生徒が、椅子から立ち上がって、僕の方に真っ直ぐ近付いて来た。

「なんだよ、「ナシアス」。たまたま、目が合っただけだよ。」
「あ〜ん?それが、ガン飛ばしたやつが言う言葉かぁ?テストが終わって、もう余裕ってかぁ?」
 やたら挑発的に、僕に因縁をつけてくるアイツの名前は、「ナシアス」。なぜか、僕には喧嘩腰だ。

「ああ、そうだよ。もう後期のテストが終わったんだしね。これで後は、ナシアスが静かになればいいな。」
「ん〜だとぉ? 今日のラズル君は、ラピスがいるからってちょっと調子に乗りすぎたな、そうだ! 「修練場」まで来い!」
「おいおい、やばくね?おい、誰か先生……」「いや、お前呼べよ。俺トイレ行って来るわ。」

 ああ……しまった。そうじゃないとも言い切れないが、挑発に対してちょっと乗りすぎてしまったかな。
修練場と言うところは、剣士を目指す生徒達が、文字通り修練しに身体を鍛えるのに打ってつけの場所だ。
現実で言えば、小・中学校にある体育館のようなもので、そこにある道具や用具が剣士の用品と言うこと。

「ね、ねぇ? 大丈夫よね? ナシアスもふざけてやってるのよ。あまり無茶しないようにして、頑張って。」
「はは、そうだね。無茶しないように、頑張ってって。なんだか、とても難しいけど努力してくるよ。」
 少し事情が発展したせいか、オロオロして戸惑っているラピスを見ていると、なぜか少し気分が楽になった。

936ワイト:2012/11/14(水) 04:41:46 ID:9porlFj.0
――――
修練場

「へへっ、おい、ラズル。優等生のお前の剣はこれと……盾はこれな。俺はこれだ。
 後、ルールは、剣と盾を使った決闘の一本勝負で、参ったって言ったほうが負けな。」
「ふ、ふん! 後で負けて、後悔するのは、ナシアスの方だ!」チャキ……

 そう言って、武器と盾を確認し構える。修練場にある剣と盾は、木製だけど打たれれば勿論痛いし、怪我もする。
よし……剣は、レイピア。刀身が細長く出来ていて、斬る。よりも、突くに向いている形状の剣だ。
そして、盾は、ラウンドシールド。サークルシールドと呼ばれる円形の盾を、使い易く軽くした盾だ。

 ナシアスの剣と、盾は……!?剣が、クリス。これは、刀身が波のようにくねくねと曲がっているのが特徴的な剣だ。
盾は、ビッグシールド。これは、ラウンドシールドの改良系で、防御面積が広くなったもので少し重くなった盾だ。

「ナシアス!その剣と盾、いつも先生が使っている剣と盾じゃないか!使ってもいい――」
「うるせぇ!あるもんは、使わせて貰う。それに、舐めた態度取ったお前に、相応しい剣だろ……?」
僕の言葉を遮って、ナシアスがやりたいように、言いたいように、僕の何が気に入らないのか。ともあれ、勝負が始まった。

――――
決闘(一本勝負)

「(まずは、相手の出方を伺うべきだ。僕の剣は、レイピア。斬りにくいし、踏み込みにくい……)
 けど、ナシアスは、強い剣を持って油断しているはず……カウンターを狙いにいく!)」
「(へへ……、ラズルの野郎、完全にビビッてるな! このクリスの前じゃ、しょうがねぇか。なら、俺から行くぜ!)」

 ダッ!
先手を取ろうと、勢いよく駆け出したのは、ナシアス。ラズルは、構えを崩さず待ち受けている。

「くらいやがれっ!」
グッ――ブンッ! 
「(こんなの当たらないよ!)」――サッ!
掛け声と同時に、クリスを振りかぶってラズルを斬りつけようとしたが、寸でのところで躱す。

「チィッ! 避けやがったか。――んっ!?」
クリスを振り終えた態勢から、整えようとした矢先、ラズルの姿がない。

 ――ガインッ!「うっわ! っと、っと……ラ、ラズルてめぇ!」
視界の外、ナシアスの身体の横に、クリスを躱して突いたが、運悪くビッグシールドの防御面積がそれを防いだ。
「(いまだ!突きで畳み掛ける!)」ヒュッ、ヒュヒュッ!ヒュンッ!

 態勢を崩したまま、ナシアスが攻撃に備え――ガインッ、ガキィン、ガンッ! ガァンッ!
虚を突いたレイピアの連続突きで、ビッグシールドがナシアスの左手から離れる!
「オ、オレの盾が!! ク、クソッ! ラズル! これでもくらえ!」

ヒュッ、ビュアッ! キィィインッ!!レイピアとクリスの刀身が交錯する――が、武器の性能差か、ラズルが押される!
「へっへっへっへへっ! この勝負! オレぇが貰ったァ!」グッグッググググッ……! ――ガギンッ!
「ま、まだだっ!!」スカッ!――……シュル
「へっ?」なんと、ラズルはレイピアを犠牲に、身体を寄せてナシアスの懐に入った!

「だ、だけどよ、お前もう剣な――あふゅ」ドコォッ!同時に、盾で「ノッキングショット」を放った!
「参った。は、聞けなかったけど、これで僕の勝ち。だな!」ナシアスは、盾の勢いで気絶してしまった。
――キーンコーンカーンコーン
勝利宣言と同時に、次の授業の始業開始チャイムが鳴り響き、大慌てでラズルは、踵を返し教室に向かった。

――――
何だかんだの卒業式

937ワイト:2012/11/14(水) 04:46:56 ID:9porlFj.0
ああ、まずい。sage忘れてしまいました……ご容赦願います。皆様お久し振りです。
いかがお過ごしですか?お元気ですか?前作の続編を忘れたので新作UP!それでは、失礼します。

938名無しさん:2013/02/09(土) 22:11:43 ID:qVU5CCyo0
あげ

939名無しさん:2014/01/30(木) 17:56:47 ID:K.QJyCrA0
【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1209744527/938
効率を追い求める人達のスレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1182994450/912
アカウントハック対策室8
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1279163100/912
RED STONE改善・要望会議室
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1135446371/889
マナー、スラング教えあいスレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1108722029/848
レッドストーン絵スレ2
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1188282491/840
実装or未実装 2
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1137340729/821
【公開】株式会社ゲームオンの株について語るスレ【上場】Part2
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1242213272/820
ギル戦注意事項スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1131981555/817
【なんでやねん】 ツッコミスレ 【そんなあほな】
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/19634/1185086386/810

940名無しさん:2014/02/01(土) 11:40:20 ID:hnC45z6A0
一般クエスト達成率100%目指してた

941名無しさん:2014/02/01(土) 11:41:04 ID:hnC45z6A0
レベルが上がるごとに受諾可能クエが増えてなかなか難しい

942名無しさん:2014/02/01(土) 11:41:24 ID:hnC45z6A0
分岐と未実装のせいで絶対に100%にならないことを悟った

943名無しさん:2014/12/18(木) 22:25:59 ID:bfwd4Qfk0
ttp://urx2.nu/fm9p


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