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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

649 白猫 :2009/01/16(金) 23:09:28 ID:k3Ot.7r20


 「――――フゥ」

トン、トン、と。
何もかもが凍り付く氷点下、極寒の空の下。
人の吐息の色とは違う、僅かに濁った煙を大気に吐き出しつつ、金髪の女性は手に持ったキセルを叩き、ベルトに仕舞い込む。
薄らと雪に覆われた冬の草原は、極寒の季節の真只中ということもあり風が吹く度に四肢を貫かれるような寒さが襲ってくる。生憎と、女性は大した防寒具を纏ってはいなかった。
一面、目が眩んでしまいそうな白に覆われた大雪原。容赦無く命を削る寒気に身震いしながら、女性は小さく溜息を吐いた。

「人気者って、辛いわ」

そう呟くや否や、

女性の頬を、一本の矢が掠めた。


体を仰け反らせた女性は腰から鉈を取り出し、続け様に殺到する弓を軽く弾く。
凌いだ――流れる思考の合間、しかし緩まない緊張の中で女性は辺りを見渡し、目を細める。

「参ったわね……囲まれたかしら」

背に掛けられたままだった槍に手を伸ばし、女性は困ったような顔を浮かべながら意識を張詰める。
数は五人程度の小隊といったところ、どれもこれもが並ではなさそうだ。
(こんな山奥まで追ってくるなんて、ご苦労様なことね)
雪の中からゆっくりと這い出して来る黒装束の男達、それらを一瞥し、女性はトリアイナを構えた。
女性を半円状に囲む男達は剣、短刀、それぞれの獲物を構え、女性との距離を徐々に縮める。対する女性の方は涼しい顔でトリアイナを手に取ったまま、動かない。
一向に動きを見せない女性に、男達はその包囲網を確実に狭めて行く。既にその距離は5mと離れていない。
男達の中央に立つ女性は、かかってくる気のない男達に溜息を吐いた。槍を軽く回し、刃を地へと向ける。
それに釣られたか、先まで静寂を見せていた男達が、一斉に女性へと飛び掛かる。僅かにあった距離も、瞬時に埋められる。速いわね、と心中で称賛の言葉をかけ、しかし女性は不敵な笑みを浮かべる。

「残念でした、バァカ」

雪原に響き渡った女性の呟きと男達の怒号は、

槍を媒体に召喚された、十数mにも昇る雷の柱に一瞬で呑み込まれた。






「ちょっと何? コイツらアサシンギルドの連中じゃない」

男達の死体を確認し終え、女性は右手首に刻まれた刺繍に顔を渋くする。
逆十字と鴉の刺繍はアサシンギルドの一員の印。その印が、女性を襲撃した男達全員に刻まれていた。
とうとうアサシンギルドまで敵に回したか、と溜息を吐いた女性は、しかし頬をぺちんと叩き、立ち上がる。
まぁなんとかなるでしょ。


パチパチと爆ぜる男達の死体、炎に包まれた死体たちを眺めながら、女性は目を細めながら松明を放る。
更に強くなる炎は男達の身体を焼き、天高く黒煙を立ち昇らせる。
もっと燃えろ、女性は小さく呟く。もっと高く、もっと高く煙よ昇れ。もっと強く、もっと大きく燃盛れ。
男達が灰燼と化し、火の粉の一つも消え去るまで、女性はじっと膝を抱え天を眺めていた。


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