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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

284白猫:2008/07/05(土) 22:33:53 ID:W4Rh7kXM0


マペットの言葉が終わった時、既にネルは大地を蹴りパペットへと飛び掛かっていた。
"最後の一撃"は使わない。撃てて一発なのだから、急いて撃つ意味はない。
ネルの突撃に気付いたパペットが即座に触手を放つが、ネルはそれを避け、斬り払い、爆砕し前進を続ける。
脇目に、地面へと倒れるルヴィラィを見やる。が、すぐに視線を外しパペットへと斬りかかる。
その髑髏を刃が貫く、その寸前にパペットはカタカタと笑い上空へと飛び上がった。無数の触手を連れて。
 【吸収スルツモリダッタ魔力ヲ消費サレタナンテイウ本末転倒ナ結果ニナルトハネ……ルヴィラィモトンダ大馬鹿ダッタヨウダネ。大人シク魔力ヲ分ケ与エテイレバ助ケテヤッタノニ】
そう言った途端、パペットは触手に絡めていた黒水晶。それを"喰らった"。
バリン、と呆気無く砕ける水晶に目を見開いたネルは、ふと異変に気づく。

揺れている。地面が。否――イグドラシル、全体が。
 (主が魔力を失って意識まで無くしたから――崩壊が起こっているのか!?)
そうネルが心中で推論を弾き出した瞬間、すぐ傍の壁に亀裂が走る。
と、その上空。
凄まじく巨大な"何か"が、ネルへと襲いかかった。
 「ッ!?」
一瞬反応が遅れたネルは、しかし咄嗟にグングニルを上空へと掲げる。
が、上空から迸ってきた"それ"は重く、強く、そして大き過ぎた。当然のように、崩壊を始めていた床をぶち抜き、ネルごと"それ"は階下へと落ちていった。



 「……な、に。今の」
目を見開いてその光景を見やっていたルフィエは、這々の体で立ち上がり呟く。
その胸の十字架――絶句していたパペットも、その声に意識を取り戻し言った。
 〈……マペットです。黒水晶に込められていた[アトム]を喰らい、とうとう[最終段階]へと移行したのです〉
 「…………」
ルフィエはこのときほど、[神の母]を解除したことを恨んだことはなかった。
奴を一目見ていたら。もし[断罪者]が発動していたら。
自分はまだ戦えていたはずだ。アレはマペットの力。自分の魔力が尽きていようとも発動が可能なのだから。
精々使える呪文は後一発のノヴァ程度。こんな魔力の残量では、自分はまともにすら戦えない。
 「……私が、もっと強ければ」
 〈君は強くなりましたよ――ただ、足りなかっただけです〉
 「――足り、ない?」
はい、と答えるマペットにルフィエは目を閉じる。
何が足りないというのだろう。力? 覚悟? 思い?
 〈足りないのです――ルフィエ。あなたは私に対する理解が、全く足りないのです〉
その言葉に、ルフィエは目を見開く。
確かにそうだ。自分は、マペットのことを何も知らない。
知ろうとも思わなかった。彼女と日々を暮らしていたため、そんなことは思えなかったのだ。
子が両親のことを知ろうとは、きっかけでも無い限り思わない。そのきっかけが、ルフィエにはまるでなかったのだ。
 〈あなたは心の中で、私に対して遠慮している点がある……まるで上司に対するように。
 私の言うことに従い、疑問を抱かない――それでは、ダメなのです。私とあなたは二つで一つ。どちらかがどちらかに依存しては、新の力など出せるわけがないのです。
 私たちはなれていないのです……貴方達の言う、"ともだち"に〉
 「…………」
マペットの真面目な言葉に、ルフィエは少しだけ微笑む。
そういうことならば、話は早い。自分が最も得意とすることなのだから。
マペットの十字架にそっと手を添え、ルフィエはネルが消えていった大穴へと歩く。正確には、その脇に倒れて意識を失っているルヴィラィの元へ。
その気配を感じ取ったのか、目を閉じていたルヴィラィはゆっくりと目を開く。
ルヴィラィの脇へと座ったルフィエは、両足を抱えてそっと言う。
 「失敗したね、[ラグナロク]」
 「そう、みたいね」
止め処なく溢れる血に目を細め、ルヴィラィは再び目を閉じる。
初めて見た彼女の柔らかな笑みに、ルフィエはキョトンとしながらもその手を握る。
目を見開いたルヴィラィに微笑み、ルフィエはすぐに手を離し、

その頬を思い切り、ひっぱたいた。


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