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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

282白猫:2008/07/05(土) 22:32:56 ID:W4Rh7kXM0



この光の中、ルヴィラィだけは見ていた。

光り輝く白銀の槍が、こちらに向けて放たれたことを。

その槍が自分の腕を打ち抜き、鞭と術ごとその腕を消滅させたことを。

それと同時に一人の青年が、少女の元へと駆け寄っていったのを。




デュレンゼルは向かう。
もうすぐ傍に、ルヴィラィの魔力を感じる。
あそこまで、あそこまで行けば、もう一度自分は戦える。
恐怖していた。サーレの気配が、どんどんどんどん小さくなっていく。
このままでは――死んでしまう。確実に。自分が、助けねばならない。
自分に様々なことを教え、一緒に様々な事をした、あの小さな少女を、助けなければ。

そんな考えを巡らせながら通路を飛んでいたデュレンゼル。
その人形を、何処からともなく現れた触手が絡め取った。




 「――ッハ、ッハハハハハハハハハハハ!!!!」
ルフィエへと駆け寄ったネルを見やり、ルヴィラィは大声で笑い声を上げる。
彼は、自分を狙っていたはずだ。傀儡マジシバを倒し、すぐそこまで来たのは知っていた。
知っていて、ルヴィラィは何の対処もしないという賭けに出た。
世界を選び、少女を見殺しにするか。
少女を選び、世界を見捨てるのか。
そして――彼は、少女を選んだ。
残り少ない魔力の一部を込めた[破槍]を撃ち、自分のデリマをぶち抜いたのだ。
彼の[破槍]は、核を"とある場所"に隠しているルヴィラィであろうが、不死の者であろうが、平等に[破壊]をもたらす。
彼のあの術に貫かれていれば、例え核を別に隠しているとはいえ、確実に消滅していた。
それを彼も知っていて、しかし彼は自分の利き腕――つまり、"少女を殺さんとしている部位"を破壊したのだ。
と、笑い声を上げていたルヴィラィの背後に髑髏――パペットが舞い降りる。
 「パペット? 丁度よかったわね、ラグナロクまで残り何――【魔力ガ足リナクテサ……モラウヨ】
ルヴィラィの言葉を遮った、パペットのその言葉。
そのパペットの言葉に、ルヴィラィの笑みが、止まった。

ルヴィラィの笑い声に薄らと目を開けたルフィエ。それに気付いたネルは彼女の体を抱き起こし、ギュッと抱き締める。
 「すみません、ルフィエ……僕は」
泣きそうになっているネルの顔を見やり、ルフィエは全てを悟った。
ネルが、ルヴィラィを倒す最初で最後のチャンスを狙い、そしてそれを見つけたということを。
そしてそれを見過ごし、自分を助けるためにそのチャンスを棒に振ったということを。

どうして。
どうして彼は、こんなにも優しいのだろう。
怒ってないよ、と知らせるために、ルフィエは右腕でネルの手を取り、微笑む。
まだ、終わったわけではない。
まだ信頼のおける仲間たち、そして大本命の[最終段階]へ移行したネルがいる。全員で叩けば、まだ可能性はある。
 「ネ……ル、くん? 大丈夫だ、から、……ルヴィラィ――を、倒して」
 「……はい、必ず」
返す手で回収したグングニルを払い、ネルは片手でルフィエを部屋の隅へと寝かせる。
槍を携えて戻ったネルはルヴィラィに向き直り、

固まった。


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