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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

256国道310号線:2008/07/05(土) 03:35:52 ID:Wq6z33060
ーオアシス都市アリアン

「ミモザが遭難した。」
ギルドホールのラウンジに入ってきたアッシュが開口するなり言った言葉がそれだった。
黒い革の帽子マントとズボンにブーツといった全身黒ずくめの少年は、スタスタとラウンジ内を横切る。
ミモザと合流するため、出発の荷物をまとめていたブルーノとテラコッタは手を止めると視線で彼を追った。
「な、なんだってー!?」
呆気に取られていたブルーノは、ガシャーンと音を立てて傍の椅子に立て掛けていた剣を倒した。
彼は自分の鈍い青色の髪に比べて鮮やかな青色の目を驚きに見開いている。

「ど、ど、ど、どうしよう。」
「探してくる。」
焦燥した様子のアッシュはラウンジから外へ繋がる扉を開けた。
「待ってよ! どこから連絡が来たの?!」
一人先走るアッシュを追い、濃いブロンドの髪と赤目の少女テラコッタとブルーノもギルドホールの外へ出る。
アリアン郊外にあるギルドホール前は閑静で人通りがそれほど多くない。
只ならぬ彼等の雰囲気は、ニ、三人いた通行人の注目を集めるには充分だった。

「いや、あいつからの耳が来ないんだ。」
「へ?」
イライラした口調の彼にテラコッタは間抜けな声を返してしまった。
彼女から耳打ちチャットが来ないことと遭難がどう結びつくと言うのだろうか。
「…話が見えないんだけど。」
考えてみたが、テラコッタには見当がつかなかった。

彼は懐から高速移動用の魔法カーペット召喚巻物を取り出し、居ても発っても居られない感じであったが、早口
で説明し始める。
「最初は二時間おきに耳をしていた。」
その言葉にテラコッタとブルーノは二人して感嘆の声を上げる。
前々からアッシュはミモザに好意を寄せていた節はあったが、そこまで親密な関係になっていたとは。
冷やかしの視線を向けられる中、彼の説明は続く。
「だが、返事がなかったから、一時間後に耳をした。 それでも返事が無かったからその三十分後に…」
心なしか話の雲行きが怪しくなっている気がして、テラコッタは冷や汗を流す。

「…今は五分おきに耳をしているが返事が無い。 遭難の他に考えられないじゃねぇか!」
一気に話した為か息切れしている彼とは対照的に、テラコッタは冷静にツッコミを入れる。
「それ、一歩間違うとストーカーよ。」
「コミュ拒否にでもされたんじゃないのか?」
アッシュの話を聞いているうちに、落ち着きを取り戻したブルーノも悪戯っぽく言った。

「バッ…! そんな事あるかっ!!」
酷くショックを受けたアッシュは激しく取り乱すと、ブルーノをビシッと指差した。
「だったらブルーノ! お前も耳してみろ!」
「ああ、いいよ。」
彼は目を閉じると意識を集中させ、ミモザに呼びかける。
しかし、十秒、二十秒とたっても、彼女からうんともすんとも反応は無かった。
やがて彼は情けない表情で顔を上げた。
「返事が無い…。 俺もコミュ拒否された?」
「ふん、ざまないな。」
すっかり気落ちしたブルーノに、アッシュは何故か勝ち誇ったようにふんぞり返った。

「ちょっと、おかしいわね。」
テラコッタは怪訝そうに眉間にシワを寄せる。
犯罪に片足を突っ込みかけているアッシュはこの際置いておいて、お人好しのブルーノまでミモザがコミュ拒否
するとは考えにくい。
テラコッタも彼女に耳打ちをしてみたが、同じく反応はなかった。
タイミングが悪いだけなのか、ひょっとして本当に耳打ちできない状態なのか…。
「念のためマスター達にも伝えるわ。」
耳打ちからギルドチャットにテレパシーの回線を切り換えると、テラコッタは事の次第を話し始めた。


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