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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

24姫々:2008/05/07(水) 00:28:16 ID:VbnAj5DM0
 目の前に膝に顔を埋めている姉さんがいる。
 その周りを囲む召喚獣には今の所警戒されていないが、私自身の感情が昂るとまた眼の力が出てしまう。
 私の力は使ってはいけない力だ、私自身が一番よく分かっている。
「お願い、少しの間離れておいて‥‥」
 この仔達は私の事を知っている、知っているからこそ渋々ながらも離れてくれる。
「姉さん、久し振りだね‥‥。」
 召喚獣の皆は離れてくれたものの、なんと切り出していいか分からずそんな切り出し方をしていた。
 それでもいつもなら「久し振りだね」と笑顔で言ってくれる姉さんも、今は顔を膝に埋めて何も言ってくれない
「(嫌われちゃったな‥‥)」
 すぐに泣きたくなった、この人に嫌われたら私は村の何処にも居場所がなくなってしまう。
 いや、それだけではない、唯でさえ姉さんの能力は他の人たちを圧倒してしまっていて、神格化さえ
されつつあった。
 友達なんかできるはずが無い、その妹の私だってそうだった―この人の妹―それだけで特別視され、子供はおろか、
大人まで私に近寄る事を拒んだ‥‥。
 友達もいない、母さんは物心付いた時には既に私の前にはいない、唯一普通に接してくれたのが父さん、
クーン村長、それと追放天使のティエルドさん、そして姉さんだった。
「ねえ、お願い姉さん。こっちを向いて。」
 私が悪い、あんな姿見せたくなかった、そりゃあ嫌われて当然だった。
「ごめん‥‥」
 それ以外の言葉が見つからなかった。
「また来るね」
 その場にいられなくなり、私は姉さんに背を向けた。
 きっと、ここで別れたらもう話すことは二度とないだろう。
 けれど、それでもこの間に耐える事が出来なかった。
「待って――」
 振り返って数歩、そこで声を掛けられた。
 ただ声を聞けただけで嬉しかった、この一年間に起こった事の何にも変えられないだろう。
 ただ、その一言が嬉しかった。
「何?」
 ただ、不安も大きかった、嫌われていたら次に待つ言葉はもちろん拒絶なのだから。
 姉さんに「もう顔も見たくない」と言われる覚悟は出来ている、声は聞けた、私はそれ以上を望めない。
「もう話しかけないで‥‥」
「‥‥」
 ほら、分かってた。けれど一拍置いて、姉さんはこう言った。
「そう言われると思ってた‥‥。来て、タスカちゃん‥‥」
「あ‥‥う、うん‥‥」
 続く言葉があまりに以外だったので面食らってしまったけれど、何とか返事をして姉さんの元に戻る。
「どうしたぁあっと‥‥ね、姉さん!?」
 バッと言う音が聞こえそうな勢いで抱きつかれ、後ろ向けに倒れそうになるがなんとか持ちこたえた。
「生きてた‥‥生きててくれた‥‥」
 死んでると思われていたのだろう‥‥、それはそれで悲しい事だが冒険に出るということはそう言うことだ、
音信不通になった場合、たいていの場合はこの世にいないか相当険しい地に赴いているかの二択だ、そして大抵は
前者の場合が多い。
「死なないよ‥‥」


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