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【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 七冊目【SS】

1 ルイーダ★ :2008/05/03(土) 01:08:47 ID:???0
【重要】以下の項目を読み、しっかり頭に入れておきましょう。
※このスレッドはsage進行です。
※下げ方:E-mail欄に半角英数で「sage」と入れて本文を書き込む。
※上げる際には時間帯等を考慮のこと。むやみに上げるのは荒れの原因となります。
※激しくSな鞭叩きは厳禁!
※煽り・荒らしはもの凄い勢いで放置!
※煽り・荒らしを放置できない人は同類!
※職人さんたちを直接的に急かすような書き込みはなるべく控えること。
※どうしてもageなければならないようなときには、時間帯などを考えてageること。
※sageの方法が分からない初心者の方は↓へ。
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1117795323.html#562


【職人の皆さんへ】
※当スレはあくまで赤石好きの作者・読者が楽しむ場です。
 「自分の下手な文章なんか……」と躊躇している方もどしどし投稿してください。
 ここでは技術よりも「書きたい!」という気持ちを尊重します。
※短編/長編/ジャンルは問いません。改編やRS内で本当に起こったネタ話なども可。
※マジなエロ・グロは自重のこと。そっち系は別スレをご利用ください。(過去ログ参照)


【読者の皆さんへ】
※激しくSな鞭叩きは厳禁です。
※煽りや荒らしは徹底放置のこと。反応した時点で同類と見なされます。
※職人さんたちを直接的に急かすような書き込みはなるべく控えること。


【過去のスレッド】
一冊目 【ノベール】REDSTONE小説うpスレッド【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1117795323.html

二冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 二冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1127802779.html

三冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 三冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1139745351.html

四冊目 【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 四冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1170256068/

五冊目【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 五冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1182873433/

六冊目【ノベール】RED STONE 小説upスレッド 六冊目【SS】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/game/19634/1200393277/

【小説まとめサイト】
RED STONE 小説upスレッド まとめ
ttp://www27.atwiki.jp/rsnovel/

2 ルイーダ★ :2008/05/03(土) 01:09:44 ID:???0
【付録】
●BBSの基本仕様
 ※投稿すると以下の書式が反映されます。投稿前の推敲・書式整形にご利用ください。
 フォント:MS Pゴシック/スタイル:標準/サイズ:12
 投稿制限:1レス50行以内(空行含む) ※これを越える文は投稿できません。



●フランデル大陸史 ※三冊目139氏の投稿より(一部表現は改編)
 ※ほぼゲーム内設定に忠実なはずです。そのまま使うなり参考にするなりお好みでどうぞ。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
4423年…「赤き空の日」※RED STONE降臨。
4556年…追放天使がRED STONEの噂を広める。
      噂の真相を調査していたエリプト帝国が悪魔の襲撃により滅亡。
4658年…エリプト滅亡後、同帝国の生き残り(傭兵等)をブルン王室が雇い入れ、王室の直轄機関
      となる『レッドアイ』を設立。
4805年…『レッドアイ』会長失踪。ロムストグバイルの書記にて詳細判明。※資料1
      同年――ブルン国王アラドン失踪。
4807年…『レッドアイ』がRED STONEを発見。
      同年――バルヘリ・シュトラディヴァディの暴挙によりブルン王国が崩壊。
      ※『シュトラディヴァディ家の反乱』
4828年…共和国主義を唱えるバルヘリに対し、自らの地位を危惧した貴族らがバルヘリの母方で
      あるストラウムを持ち上げクーデターを企てるも失敗。貴族たちはビガプールに亡命し、
      トラウザーを王に立てナクリエマ王国を建国。混乱のまま戦争は終結。
      古都ブルンネンシュティグに残ったバルヘリはゴドム共和国を起こす。議会政治開始。
4850年…ナクリエマ王権を息子バルンロプトへ移しバルヘリ隠居、後年死亡。
4854年…バルンロプトは貴族の政治介入を疎んじ、貴族に対し『絶対的弾圧』を行う。
4856年…王の圧政に耐えかねた貴族たちはバルンロプトの息子を新王に即位させる企てを密か
      に推し進めるが、現王を恐れる一部の貴族による寝返りで計画は破綻。首謀者たちは
      反乱罪で処刑され、王の息子は王権を剥奪されたうえ幽閉される。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
4931年…現代――レッドアイ狂信者によるスマグ襲撃事件発生。狂信者はスマグ地下道を占拠。
      現ナクリエマ国王タートクラフト・カイザー・ストラウスがビックアイに傭兵を展開。謎の警
      戒態勢に入る。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
※資料1)レッドアイ会長の失踪直前に記された『補佐官スロムトグバイルの手記』より抜粋。



     「汝らの求めるREDSTONEは汝らが思うような至高の宝ではない。
     天空から複数略奪された盗品のひとつに過ぎないのだ。
     汝らが目的を果たしたとき、宝はなにがしかの富と名誉をもたらすやも知れぬ。
     だが忘るな……それは至高の宝にあらず。必ずや汝らを破滅へと導くだろう。
     ――あのブルン終末期の王と■■■■■■■」



     ブルン暦4805年12月8日 王室直轄機関『レッドアイ』会長 アイノ・ガスピル
     頭筆記 会長補佐官スロムトグバイル



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
※註釈――同資料は2006/03/18投稿時点で139氏がゲーム内から抽出したデータです。
 その後のアップデートによる新NPC、クエストによる設定追加分は含まれていません。

3 名無しさん :2008/05/03(土) 02:18:42 ID:WMGDEhYE0
高速で2ゲット!ひゃーはー!悔しいだろ!ふはははは
速度では負けたことは無い。>>3ざまぁwww我こそが世界最速の2ゲッターである!
3度の飯より2ゲットなんてね。今まで何度2をとっただろうか。神スレ、糞スレ、数え切れないであろう…
ゲットするだけではつまらない。入念かつ、緻密に、そして長文で、これが我が道。
ッ…!?しかしそろそろ書き込まないと速度的にまずい。さぁ、我のこの華麗な2ゲットを
とくと、見るがいい!ははははははは!!

4 名無しさん :2008/05/03(土) 04:13:59 ID:cU2daHmE0

 / //   /|   r'7\ ,.ヘ‐'"´iヾ、/\ニ''ー- 、.,   /    /
  /   / |  |::|ァ'⌒',ヽ:::ヽrヘ_,,.!-‐-'、二7-ァ'´|、__
`'ー-‐''"   ヽ、_'´  `| |:::::|'"       二.,_> ,.へ_
         /  //__// / / /      `ヽ7::/
 か っ も  |  / // メ,/_,,. /./ /|   i   Y   //
 ァ  て う.  |'´/ ∠. -‐'ァ'"´'`iヽ.// メ、,_ハ  ,  |〉
  |  約 ク  ヽ! O .|/。〈ハ、 rリ '´   ,ァ=;、`| ,ハ |、  /
  |  束 ソ   >  o  ゜,,´ ̄   .  ト i 〉.レ'i iヽ|ヽ、.,____
  |  し  ス  /   ハ | u   ,.--- 、  `' ゜o O/、.,___,,..-‐'"´
  |  た  レ  |  /  ハ,   /    〉 "从  ヽ!  /
  |  じ  は  |,.イ,.!-‐'-'、,ヘ. !、_   _,/ ,.イヘ. `  ヽ.
 ッ .ゃ .立   |/     ヽ!7>rァ''7´| / ',  〉`ヽ〉
 ! ! な  て   .',      `Y_,/、レ'ヘ/レ'  レ'
   い  .な    ヽ、_     !:::::ハiヽ.   //   /
   で   い   ./‐r'、.,_,.イ\/_」ヽ ',       /  /
   す      /    `/:::::::/ /,」:::iン、 /    /
          〈  ,,..-‐''"´ ̄ ̄77ー--、_\.,__  /
      ,.:'⌒ヽ ´         | |  , i |ノ   `ヾr-、

5 白猫 :2008/05/03(土) 11:59:41 ID:5qAuGV/w0
Puppet―歌姫と絡繰人形―


第一章〜第五章及び番外編もくじ 5冊目>>992
第六章〜第十八章もくじ 6冊目>>924


第十九章 愛しき君への言葉 迫り来るもう一つの敵





 「ネルくん、早く行こー?」
雲一つない快晴の下、ブリッジヘッドの一角に陽気な声が上がった。
既に太陽も暖かい五月。ルフィエとネルの姿はブリッジヘッドにあった。
フワリとしたワンピースを纏うルフィエに急かされ、未だに眠気の覚めない頭でネルは言う。
 「……まだ八時半ですよ? 市場は十時からです……」
 「早いに越したことないよ。いいから行こう?」
にっこりと微笑むルフィエを見、ネルは溜息を吐いて立ち上がった。

ラグナロク発動まで残り250日を切った。ルヴィラィの言葉通り、あれ以来襲撃はピタリと止まっている。
古都で起きた[ラグナロクの実験]、アトム起爆により古都は壊滅した。
古都の外れに建っていたヴァリオルド邸は難を逃れたものの、既に「ブルンネンシュティング」という町は消え去ってしまっている。
あの日――カタパルトを破壊しアンドレを退けサイカスを撃滅、ハーピーを殲滅し一時は勝利が見えていた。
だが結局[アトム起爆の阻止]は叶わず――自分たちはまたしても、敗北した。
今度こそ負けるわけにはいかなかったというのに。

そしてあの事件により、政府高官たちはほぼ全員死亡。ゴドムの政権は一気に崩れ落ちた。
フランテルの周囲の国に顔が利くネルが数週間走り回った結果、なんとか外交面では平常を保っている。が、そのままならばいつ内乱が起こってもおかしくない状態だった。
一部の――というより大半の議員が、ネリエル=ヴァリオルドを議事会へ招き入れることを主張した。
が、ネルははっきりと[議事会へ出るつもりはない]と拒否の意向を示し、外交面での均衡を図り議事会へ助言を行う、の二点で留まっていた。
それでも[ヴァリオルド家当主]の助言を求める者は多い。一部のシーフ達は[ネリエル=ヴァリオルドが国会議員になる日も遠くない]などと仄めかしているらしい。
だが現政府とネルの間には[呪術師・リトルウィッチ殲滅大号令]という大きな大きな歪がある。
少数派のリトルウィッチ擁護派であるネルはルフィエのこともあり、ネルは五月に入ったらすぐに休暇を取ってしまった。
家でゆっくりするつもりなのか、と聞いたルフィエの首根っこを掴み、
目覚めたアーティに事情を説明してから一礼し、
武器庫で唸っていたカリンに手入れをするよう促し、
鏡を拭いていたセバスから大きなキャリーバッグを受け取り、
泣いて足にしがみつくメアリーと唸るセシェアを振り切り、
どういうわけか、テレポーターを使いブリッジヘッドへと向かった。

6 白猫 :2008/05/03(土) 12:00:08 ID:5qAuGV/w0
理由を何度聞いてもネルは答えてくれなかった。
古都で"ああいうこと"もあったため、ルフィエはいま一つ強気に聞くことができなかった。
 (――今は、そう。今だけは)
椅子にかかっていたジーンズに足を通し、シャツを羽織る。
机の引き出しから革財布を取り出し、ルフィエの横に歩み寄る。
 「その革財布……700万円くらいしそうだね……」
 「そうですか? 最近このブランドの値打ちは下がってきていますよ? まぁ購入額は870万ほどでしたが」
 「世界一高い財布じゃないの……?」
ルフィエの言葉にクスリと笑い、その頭をクシャクシャと撫でる。
せっかくセットしたのに、と口を尖らせるルフィエに微笑みかけ、思う。
 (少しの時間だけ……今あるこの時間を、大切にしたい)
自分の手を握って歩き出したルフィエと並び、ネルはブリッジヘッドの市場へと向かった。







二か月前、古都ブルンネンシュティング。
余も更けた古都の各地で、激しい戦闘が行われていた。
古都東口前、街道付近。
 「ッヒュ!」
 【っぐ!?】
カリアスの手刀を咄嗟に避け、プリファーはバック転でカリアスとの距離を取る。
それを見やったカリアスが目を細める、
途端。
 【!?】
ビシ、とその足が瞬時に凍りつく。
給らずバランスを崩したプリファーを見、カリアスは天高く跳躍した。
数分前、ゆるりと前進を続けていた魔物たちの大群。
その中心を突如ぶち抜き、無数の"蒼いウィンディ"が出現したのだ。
そう、[陣風隊]――強大な力を持つウィンディの大軍が、魔物たちの中に出現したのだった。
それを見やり剣を取り出したベルモンド……その体を、上空から来襲したカリアスが、まさに神速の一撃で打ち倒した。
己が能力、[ダブル=アクセル]で瞬時に反応しカリアスの奇襲を避けたプリファーは、しかし内心混乱しきっていた。
それもそのはず。長い時間をかけ集めた魔物たちをようやく出撃させ、古都も間近……というところで、突如[陣風隊]とカリアスが現れたのだから。
しかもカリアスの戦闘力は、先日ブレンティルで戦った時よりも格段に強くなっている。
[ダブル=アクセル]ですら応戦が精一杯――そして俊足の自分を、しかも足というピンポイントを氷結させたその的確な魔術。
ただ装備が違う。それだけであるはずなのに、カリアスの強さは以前とは比べ物にならないレベルに達していた。
信じられなかった。これまで数百年間、ルヴィラィに逢う以前から放浪してきたプリファーですら、これほどの実力者に遭ったことがなかった。
遥か古代の民ですら、これほどの力を持っていただろうか? と疑ってしまうほどに。
認めるしかない。彼は――カリアス=ハイロームは、フランテル最速の冒険者。
今の自分では――精々"あの一撃"を与えることしかできまい。
 〈いずれ――全力の私で再び相見え様、カリアス=ハイローム!〉
不安定な脚で立ち上がり、プリファーは体中の魔力を瞬時に巻き上げる。
"今の自分"では、一撃しか使うことはできない。
だがあと300日。この時間があれば、実戦で使えるレベルにまで回復するはずである。
 【アクセル――第三段階。『 トリプル=アクセル 』】
その、一言。
この言葉がカリアスの耳に入ったとき。
既にプリファーは、カリアスの目の前に躍り出ていた。
 【我が音速の[アクセル]――お気に召したか?】
その言葉が紡がれたとき、
既にプリファーの渾身の一撃が、カリアスを吹き飛ばしていた。

 【っぐ――】
ビキビキと亀裂の入る自分の右腕を見やり、プリファーは顔をしかめる。
やはり実戦でこんな術は使えない。
一撃、この術を使っただけで、体が悲鳴を上げている。
 【いずれまた拳を交える時もあるだろう――それまでさらばだ、カリアス=ハイローム】

7 白猫 :2008/05/03(土) 12:00:33 ID:5qAuGV/w0


 (カリアスは、何とか傀儡を退けた)
大きな港をはしゃいで駆けるルフィエの後ろ姿を見、ネルは思う。
プリファーは吹っ飛ばされたカリアスに追撃せず、時計のようなもので瞬間移動してしまったらしい。
ベルモンドの姿もなく、カリアスは仕方なく残った魔物の殲滅に当たった。
恐らくは[ギルドホールの時計]と同じような能力だろう。ビガプールでも、それを目撃している。
と、
何かを見つけたのか、ルフィエが突如しゃがみ込む。
そのルフィエに駆け寄り、顔を覗き込む。
 「どうしました?」
 「へっ? な、なに!?」
慌てて手を背中に隠したルフィエに目を細め、手を差し出す。
 「手の中のもの、見せて?」
 「な、何も持ってないよ?」
ふうん、とルフィエの言葉に、ネルは面白くなさそうに言う。
そこで、ふと気付いた。
ルフィエが両の手を隠して背中に回しているなら――?
突然悪戯をしたくなったネルは、ゆっくりと手をルフィエの頬に添える。隠そうとしてるルフィエが悪い、と言い訳しながら。
 「ネルくん!?」
真っ赤になって離れようとしたルフィエの腰を抱き、逃がさない。
それでも手を使わないことにクスリと笑い、ネルは逆の手でルフィエの体を抱き締める。
 「ネル、く――「好きです、ルフィエ」
 「!? ――ん」
目を向いたルフィエの唇に、そっと優しくキスをする。
初めはもがいたルフィエも、やがて大人しく目を閉じて身を任せてくる。
そこになって、ネルはルフィエの手から"それ"をそっと抜き出し、ルフィエから離れた。
 「…小鳥?」
 「あ、う、え、……ネルくん、返してよぅ」
 「返しましょうか? 同じやり方で?」
真っ赤になって手を伸ばしてくるルフィエから逃げ、ネルは笑う。
 「取って食べたりしませんよ」
 「うー、そういう問題じゃないよ……」
なおも手を伸ばしてくるルフィエを見やり、ネルは小鳥に衝撃がいかないように気をつけつつ、その体を抱き止めた。

本当に、可愛い。
自分の一挙手一投足に反応してくるその姿が、あまりにも可愛くて。
自分の想いに、言葉ではなく行動で応えてくれることがあまりにも愛しくて。
彼女以外に、これほど強く想いをぶつけることなどできないだろう。
それほど彼女の存在は、自分の中で大きくなりすぎていた。
 「ルフィエ――あなたが、好きです」







 「…………チッ」
体中に傷の走った体で、ネルはグングニルを構え直す。
既に辺りのカタパルトは大半が全壊し、残っているものも使い物にならない程破壊されていた。
が、肝心の目の前の敵――アンドレが、全く倒れない。
槍でぶち抜こうとも、爆破しようとも、連続で爆発を叩きこんでも。
砂粒一つ一つの大きさが小さすぎ、構成がやわすぎるのだ。爆破しても、砂粒を破壊するどころか文字通り"吹き飛ばす"だけ。
どうやって破壊できるか――いや、答えは分かっていた。"破壊などできない"と。
幸い、アンドレの攻撃力は大したことがない。砂の位置さえ把握してれば対処は容易だった。
 【いい加減、諦めてグングニルを渡してくだされ】
 (相手は砂――考えろ。手はある。砂の弱点は何だ)
アンドレの言葉を完全に無視し、ネルは心中で考えを巡らせる。
 (火――はない。さっきから[爆風]を行い続けてる。
 水――っぽいですが、僕は水魔法が使えないですし――。
 風――もない。火と同じ理由で土も無いとすると……。
 光――闇――闇、闇?)
そこまで考え、ネルはふと気付いた。
"闇属性元素攻撃"。
呪いによる攻撃なら――通用するのではないか?
やるしかない――やれなければ、負ける。
グングニルを繰り、呪文を紡ぐ。
 「CAlok7I5Sm-ViLANctitcFariENT――」
闇魔術の呪文は、ただの呪文ではない。
術者の命を蝕む、危険なもの。
だが使わねば、ここで命の灯が消えることとなる。
 「ALokfsaFSDsddsSD-FSDjidSAefekFeo――」
ようやくネルの詠唱に気付いたアンドレは、しかし何もしない。
ただ身構え、水魔法にのみ警戒する。
 〈水魔法以外に、私を倒す魔法はありませんぞ――〉
だが、アンドレのその認識は甘かった。
もう一つあったのだ。
彼を倒す、方法が。
 「MediUSMediUS,UfshoeFsSAjARAmmeDiuS――『 メディアス 』」

8 白猫 :2008/05/03(土) 12:01:03 ID:5qAuGV/w0
瞬間、

   ビシ

その音に、アンドレは目を細め、

ようとした。

一瞬遅れて理解し、声を上げ、

ようとした。

"身体が、動かない"。

   〈しまった――[石化]!!〉

そう。ネルの使った術は[石化]。相手を硬直させ、動きを止める術。
これならばアンドレは攻撃を受けるしかない。いわば、砂が固まった岩になってしまったのだから。
 〈甘く見過ぎていましたな……長く戦いに参加していなかった私の甘さが、敗因となるとは〉
長々と考えるアンドレの眼前で、
ネルは、グングニルとアンドレに向けて投擲した。






 「……」
ルリマ・ウルトラノヴァを放ち、ルフィエは目を閉じて夜風に吹かれていた。
あの傀儡がどうなったかは分からない。というより、興味がなかった。
気にかかっていたのは、ネルのこと。
自分のウルトラノヴァで、怪我をしなかっただろうか。
あの謎の光線で、傷を負わなかっただろうか。
会ったら、どうするべきだろう?
泣く? 笑う? 抱き付く? 距離を置く?
分からない。
ネルのこととなると、頭がまるで回らない。
 (……これが――好き、なの?)

気づいたら、ルフィエは駆け出していた。
一秒でも早く、伝えたい。そう思ってしまった。
結果がどうなろうとも、とにかく伝えたかったのだ。
 (ネルくん――君は、私にどう答えてくれるの)






地面からグングニルを引き抜き、ネルは目を閉じて思う。
ルフィエのことを。
アリアンで不意打ちにキスをして以来、彼女は自分に対して距離を置いているように感じる。
会って、ちゃんと謝るべきだろうか。
だが、言えない。
彼女を想う気持ちがあまりに大きすぎて、頭がちゃんと働かない。
そう――好きなのだ、彼女が。
強く、強く想っていた。
もしかすると、最初に出逢った時から。
 (君に会ったら、ちゃんと伝える――ちゃんと、伝えるよ)

   「ネルくんっっっっっ!!!!!」

ネルの思考の合間、
突如空から、甲高い声が上がる。
その声に振り向いたネルは、ものすごい勢いで突っ込んでくるルフィエに目を見開く。
 「ちょ、ルフィエストッ――」

   ガシャ―――――――――――――ン!!!!!

ネルが止める甲斐なく、
鉄の骨組みに腰かけていたネルに、ルフィエが思い切り突っ込んだ。
 「〜〜〜〜〜……」
痛みに顔をしかめ、ルフィエに恨めしそうな顔をしながら立ち上がった。
と、
 (――!)
感じる。
遥か遠方から、巨大な魔力が近づいてくる。
この魔力は間違いなく――ルヴィラィ=レゼリアスのもの。
脇のグングニルを引き抜き、ルフィエの方を見る。
自分の意思が通じたのか、ルフィエもクリーム色のシルクローブを纏った姿――[神の母]を発動する。
淡い光に包まれ、フワリと栗色の髪が夜風に靡くのを見、
 (――綺麗だ)
そう、素直に思った。
今まで何十回と舞踏会やパーティに参加してきたネルは、着飾った美しさに興味は湧かなかった。
だがルフィエの美しさは違う――言うならば、"飾らない美しさ"。
ゆっくりと口を開き、言う。
 「……後ろを、任せます」
自分の想いを伝えるときは、今ではない。
その言葉の裏に込められた思いを感じてか感じずか、ルフィエは
 「うん」
とだけ答えた。

9 白猫 :2008/05/03(土) 12:01:24 ID:5qAuGV/w0


 「――先日ぶりね」
南口から飛び出した紅と黄金の光に、ルヴィラィは目を細める。
頭に被ったリトルサンシャインを放り捨て、夜風に紅の髪を晒す。
その前に、グングニルを持ったネルがゆっくりと舞い上がった。
 「ええ。そうですね」
その隣、ネルの背を護るように立つルフィエはルヴィラィを見、少しだけ表情を曇らせる。
間違いなく、自分の母の顔。
――"いや。"
姿形が似ていようとも。
仮に本当にそうだとしても。
自分の中の母は、揺るがない。
自分の中の母はあの日、亡くしたのだから。
 「……ルヴィラィ。私はあなたを――許さない」
父を亡くし、友を傷つけられ、いとしい人の目覚めない暗い悪夢を彷徨っていたリレッタ。
彼女を思って、腸が煮えくりかえりそうになる。
槍を両手で構え直し、ルフィエの言葉を継ぐ。
 「目的は何です。まさか300日間このように何度も何度も襲撃を繰り返すつもりですか」
 「フフ――まさか。襲撃は今日が最初で最後――だってこれ以上襲撃を繰り返しても無意味だもの」
その言葉に目を細めたネルは、首を傾げる。
 「どういう意味です」
 「言葉通りの意味よ――それより知りたいんじゃないかしら。エリクシルに何が起こったか――」
 「自分なら答えられる、とでも言いたいんですか?」
ネルの言葉にますます笑みを深めたルヴィラィは、小さく口を開く。
 「私が答えられるのはエリクシルについてじゃない――その、槍についてよ」
ルヴィラィの指した槍――グングニルを見やり、ネルは目を細める。
 「グングニル――それを造り出したのは遥か古代の民。その槍は古代のありとあらゆる秘術が組み込まれ、それを手にした者は世界を治めることも滅ぼすことも容易い……。
[開闢神話]の"名も無き最高神"がこの槍を繰り、億万の敵を薙ぎ払ったとされている――」
 「……僕が訊きたいのはそういうことじゃない。何故これが"エリクシルから出てきた"のですか」
 「完成したエリクシルは今も昔もそれ一つきり――私に聞かれても困るわ」
と、その言葉の合間、
ルヴィラィの両の手に、紅と黒の混ざった炎が燃え上がった。
攻撃か、と半歩下がった二人に微笑みかけ、ルヴィラィは呟いた。
 「起動なさい、アトム」





古都、学問の家前。
その屋根に巨体を陣取らせていたデュレンゼルは、

   《起動なさい》

その言葉に、突如ぬっと立ち上がり両の手を空へと翳す。
 【 ―――――――― 】
デュレンゼルの口から紡がれる、奇妙な呪文。
その言葉が紡がれる度に、何処からともなく黒い靄がその上空に集まってゆく。
それらの靄はデュレンゼルの手の間に集まり、その体積を見る間に膨らませ――やがて、数メートルもの大きさになる。
その光景を、眺める者はいない。
いたところで、どうしようもなかった。
 【アトム――起動】
その言葉と同時、
数メートルもの靄が突如凝縮し、

球状に――まるで風船が膨らむように、

   凄まじい速度で、浸食を開始した。





 「!?」
古都の西方で発生した物凄い量の魔力に、ネルは目を見開く。
慌ててその方向を見ると、球状に"夜の色ではない黒"が膨張している。とてつもないスピードで。
まさか、とルヴィラィに向き直る、が。
 「っいない!?」
ルフィエの言葉に、ネルは唇を引き絞る。

ルヴィラィの目的は、これだ。
奴は自分たちと戦いに来たわけではない。
ダラダラと時間をつぶさせ、この攻撃を行うためだったのだ。
 「ッルフィエ!! 退きますよ!!」
 「え――でも、あれは」
 「感じれば分るでしょう!? "あれ"は止められない!!」
 「……ッ」
ネルの言葉に、ルフィエは顔を伏せる。
市場の人々や、近所に住んでいた子供たち、
そして何より、ヴァリオルド邸で親しくしてくれたたくさんの人たち、子供たち、レイゼルを思い出し、
そこまで思ったところで、ネルに抱き締められた。
 
 「……ッ嫌……」
 「……堪えなければならないんです、ルフィエ」
泣きじゃくるルフィエを抱き抱えたまま、ネルはひたすら南へと飛んだ。

10 白猫 :2008/05/03(土) 12:01:47 ID:5qAuGV/w0


 (ラグナロク。あの黒い靄を、それでこそ世界単位で引き起こす計画)
小鳥に包帯を巻くルフィエを見ながら、ネルは外を見やる。
流石に、この港街は賑やかである。戦の混乱も四月中に大分落ち着いたらしい。
最も、古都は文字通り"壊滅"したため、混乱は政治、外交、交易の三つの面においてのみ起こったのだが。
難民の数がゼロ、という結果が長期にわたる混乱を回避した、というのはなんとも皮肉なことである。
アーティたちは今頃多忙の中に埋もれているだろう。なんともご愁傷様である。
 「ルフィエ、終わりましたか?」
 「ん? あ、あうん。終わったよ」
 「そうですか、では行きましょう」
口を開きかけたルフィエから顔を逸らし、ネルはゆっくりと歩き出した。








 (どうしよう、どうしよう、どうしよう)
市場につき、リンゴをかじるネルの横で、ルフィエは買い物袋を持ったまま慌てふためく。
"ネルが自分のことを好き"。
そうあれば、と願い、しかしそんなはずはない、と思っていたこと。
リトルウィッチと人間――決して相容れないもの。そう諦めていたこと。
 (それなのに――それでも、好きになってくれた)
ネルのたった一言。

   《あなたが、好きです》

その一言で、全てが伝わった。
 「――私も、好き」
隣のネルにすら聞こえないほど小さな声で、そう呟く。
リンゴの芯をゴミ箱に投げ捨て、ネルは言う。
 「馴染みのウィッチが近くに住んでいるんです。行きませんか?」
 「ウィッチ――ウィッチ!?」
そのネルの言葉に、ルフィエは持っていた買い物袋を取り落とした。
ウィッチ――通称、"魔女"。
自分たちリトルウィッチとは違う、正真正銘、魔術に精通し不老長寿の力を得た、魔術師。
だが数百年前に起こった"魔女狩り"と称される迫害によって、魔女の姿はこの世から消え去った、
――はずである。
[魔術を扱うのは男]というエゴが存在する時代である、女の魔術師はそれこそ、一部の――ほんの一握りの実力者だけ。
 「何度も何度もリトルウィッチとして捕まっているのですが、その度に逃げおおせているのです。
 [脱走者]なんていう通り名まであるくらいですから」

11 白猫 :2008/05/03(土) 12:02:22 ID:5qAuGV/w0

ブリッジヘッドの片隅、小さな掘立小屋。
そこにズカズカと入っていくネルについて行きながら、ルフィエは目を白黒させる。
 「勝手に入っていいの……?」
自分たちの背後、ネルが瞬く間に解除してしまった無駄に多い施錠を見やりながらルフィエは問う。
が、ネルは特に悪びれた様子もなく
 「良いんですよ」
とだけ答えた。
そう断言されては、ルフィエも流石に何も言えない。
 「マイ! いないんですか!? マイ!!」
部屋を見回すや否や叫ぶネルに、ルフィエはキョトンとしてしまう。
辺りには黄ばんだいつのものか分からない羊皮紙、
最後に使ったのか分からないほどボロボロの羽ペン、
中の液体が変色してしまっているマグカップ、
もう何が書いているかも分からないがかろうじて五年前の年号が読み取れるカレンダー、
凄まじく汚れてしまっている無数の皿やフォーク、スプーン、
埃が雪のように積もってしまっているキッチン――と、
要するに、人が住んでいた形跡はあるが人が住めない状況になっていた。
 「埃っぽくてすみません。何度も何度も片付けるよう言っているのですが――その辺に座っていてください」
口と鼻にハンカチを抑えてそう言うネルに指された肘掛椅子を見る――が、やっぱりそこも、お世辞にも座れる状況ではなかった。
しばらくマイという人物の名前を叫んでいたネルは、しかし返事がないのを見ると、声を落してルフィエでも聞き取れるか、という小さな声で呟いた。

   「さて、どうしましょうかこの御土産……」

 「土産ッ!?」
そのネルの言葉に、ルフィエが「うわっ」と後ずさりしてしまうほどのスピードで、天井の板が抜け人が降ってきた。
栗色の長髪に、ボロボロの布切れのような白衣を着た、眼鏡をかけた少女。
その女性――マイに、ネルは小さく溜息を吐く。
 「相変わらず奇想天外な場所から出てきますね」
 「土産は何だ? チョコレートケーキか?」
 「今日は紹介する人がいたので来たんです。ルフィエ=ライアット。あなたと同じリトルウィッチです」
 「まさかヨーグルトじゃないだろうな? いくらお前の好物と言っても、私はもう飽きたぞ」
 「あなたは[唄]をルヴィラィよりも知っていると仄めかしていたでしょう。ルフィエにそれを教えて欲しいのです」
 「小娘の持っているのはアップルパイか? 残念だ、昨日だったら喜んでいたが今日の朝食った」
会話が見事にかみ合っていない。
どうしよう、と首を傾げるルフィエは、ふとマイの姿を見やる。
自分のことを羽虫のように眺めるその目。
上からものを言うお世辞にも礼儀正しいとは言えない態度。
そして――白衣の下から覗く、ボロボロで薄汚れた"囚人服"。
 「――あっ!!」
思い出した。
あのとき――古都で初めてネルと逢った時、留置所にいたリトルウィッチだ。
 (ネルくんの、友達だったんだ)
 「友達? コイツが?」
 「!」
マイの言葉にもう一つ思い出した。
彼女は[Mind Reading]――読心術が使えるリトルウィッチなのだ。
こうして考えていることも、マイには筒抜けなのである。
 「えーっと…お久しぶりです」
 「ん。逃げ切れたのか、おまえ」
その二人のやり取りに、ネルは目を白黒させる。
 「なんだ、知り合いだったんですか」
驚いた様子で二人を見るネルに、マイは頭をガリガリと掻く。
 「古都で一度。――というか聞いた。古都が壊滅したらしいな」
 「ええ。ルヴィラィにやられました……それより、今日はルフィエのことで来たんです。正確には"唄"で」
ネルの言葉にルフィエに向き直ったマイは、全身を舐め回すように見た後、唐突に訊く。
 「おまえ、[混声合唱]はできるのか」
 「――っえ?」
 「[二人唱(デュエット)]でも[三人唱(トリオ)]でもいい。流石に[合唱(コーラス)]は無理だろうが」
 「……?」
何を言っているか全く分からない。
その反応に目を見張ったマイは、ルフィエに詰め寄る。
 「お前、今まで[独唱(ソロ)]で歌ってきたのか!?」
 「え? えっ??」
何が何だか訳が分からず混乱したルフィエに、ネルは小さく呟いた。
 「……先に帰ってます」
もっとも、ルフィエを助ける言葉ではなかったが。
 「ネル公」
家から出ようとしたネルに、マイは小さな紙切れを投げる。
それを掴んだネルは、マイに一礼をした後家を出た。

12 白猫 :2008/05/03(土) 12:02:57 ID:5qAuGV/w0


 「……さて」
マイの家から出たネルは、体中の埃を落とし、呟く。
手の中の紙切れを手早く開き、即座に暗記した途端、握り潰し口の中に突っ込む。
いつの間にか太陽は傾きつつある。今から行かねば間に合わないだろう。
 「ブリッジヘッドに来たことですし――顔を出さないと拙いですね、頼みごともするわけですし」
その言葉を呟き終えた途端、ネルの身体が見る間に当たりの景色と同化してゆく。
数秒も経たないうちにネルの姿は、一般人からは完全に見えないほど薄くなってしまっていた。
と、
そのネルに目がけ、凄まじい速度で数本のダートが飛んだ。
それをフワリと避け、ネルは軽快なステップで突如

街の外へと駆け出した。






その後ろ姿を見やり、木の上で寝転んでいた男は脇の覆面男に言う。
 「逃がすなよ。必ずひっ捕らえろ」
 「アイサー」
男の言葉に、覆面男は木から飛び降り、駆け出す。
 「今更奴はブリッジヘッドに何の用だ――? クレリアに喧嘩でも売りに来たのか?」
そう呟いた男は、そこでようやく寝転んでいた体を起こし、立ち上がる。
先ほどネルが出てきた掘立小屋――あそこには、クレリアの育ての母がいたはず。
まさかクレリアとネリエルが繋がっているのか、と思い、男は木から飛び降り短剣を引き抜く。
 ([疑わしきは罰せよ]――クレリア、おまえの持論だったな)
そう心中で蔑んでから、男は掘立小屋へ走った。







 「――!」
 〈ルフィエ、気をつけて〉
マイの演説中にガタンと立ち上がったルフィエは、目を細めたマイに頷きかけ、胸の十字架――マペットを握る。
途端、その体が白い光に包まれ――[神の母]が発動される。
 「良く気づいたな。欠片も気配を感じなかった」
白衣を脱ぎ棄てたマイの笑みに微笑み返し、ルフィエは胸のパペットを見やる。
これを手に入れてから、何となくだがそういう気配を感じるようになっていたのだ。
ネルの[先制攻撃]ほどではないが、人の体温や呼吸等を察知し、"気配"などではない本能レベルで感じ取ってしまう。
最も、そこに"いる"ということが分かるだけで相手の情報は全く分からないのだが。
 「マイさんはここにいてください」
 「戦えないと思ってる? 舐めないで頂戴」
 「違います」
マイの言葉を遮り、ルフィエは首を振る。
目を細めたマイに笑いかけ、さらりと言った。
 「ウィッチが街中で戦って、どうなるか分かったものじゃないですから」
 「プッ」
そのルフィエの言葉に噴出したマイは、笑いをこらえながら言う。
 「いいぞ、好きにしてくれて」
マイの言葉を聞いてか聞かずか、
既にルフィエは、ドアを蹴破り小屋の外へと躍り出ていた。
が、小屋の外へと躍り出たルフィエの前に、数個の、奇妙な機械が転がる。
 (なに――?)
目を細めたルフィエの眼前、

それらの機械――小型の炸裂弾が、ルフィエを大爆発の中に呑み込んだ。

13 白猫 :2008/05/03(土) 12:03:21 ID:5qAuGV/w0


 (誰だ、奴は?)
てっきりマイが出てくると踏んで炸裂弾を放り投げた男は、小屋から出てきた奇妙な女に首を傾げる。
しかもパッと見の容姿が酷く美しいのを思い出し、男はいい女を失ったと勝手に悲しむ。
が。
 (む)
炸裂弾の爆発をモロに受けたはずの女の気配が、消えていない。
一体、どういうことなのか。
 「あなた、何者ですか」
 「!?」
甲高い声に振り向いた男の先、
煤で少し汚れてしまったドレスローブを纏ったルフィエが、男に手を突き付けていた。
 (こいつ――俺の察知速度を上回る速度で)
男はルフィエの姿を見、しかし反撃しない。
指一本分でも体を動かせば、問答無用の攻撃が炸裂することは目に見えていた。
 「お前、何者だ――どうやって俺の後ろに回った?」
 「質問しているのはこちらです」
その手に光が灯るのを見、男は驚愕の表情を押し殺して笑う。
 「フフ――シーフが己の情報を吐くのは死ぬときだけだ。残念だがな」
 「そう、ですか」
そのルフィエの言葉と同時、
ルフィエの手から放たれた閃光が、男の顔面を直撃した。

地面に突っ伏し気絶した男に歩み寄り、マイはその腹を蹴る。
 「参ったな。こいつ――クレリアの回し者か?」
 「クレリア……って誰ですか?」
[神の母]を展開したままの姿で、ルフィエは首を傾げる。
知らないのか、と目を細め、しかし「仕方ないか」と呟いた。
 「クレリアはブリッジヘッドのシーフギルド団長。このフランテル極東の地で、不穏分子だったシーフ達をまとめ上げた男さ。
 そしてカナリア=アラスター=ヴァリオルドⅢ世の子であり、ヴァリオルド家を追放された没落貴族でもある」
 「――没落貴族、ヴァリオルド家から追放、って――」
ルフィエの言葉に頷き、男を縄で縛りつけてから、マイは小さく言った。

 「そ。ネル公の兄貴。……元、ね」







クレリア=アラスター=ヴァリオルドは、ヴァリオルド家の長子としてこの世に生を受けた。
生れながらの戦の才能、一を聴き十を知る、まさに百年の一度の大天才と呼ばれた少年。
だがその心の内の邪な欲望に無謀な野心。次の当主に関するカナリアとの衝突の末、ヴァリオルドを追放された没落貴族。
勝手に家を飛び出し自由気ままに生きるアネットとは違い、クレリアは父を、母を――ヴァリオルドを憎んだ。
そして何より、自分の後に生を受けヴァリオルドを継いだ弟を、心の底から憎んだ。
直接会ったことはない。遠方から二、三度見たことがあるだけ。
アルバムで見た幼い父と瓜二つの姿。それがクレリアの憎悪をさらに掻き立てた。
連日連日酒に溺れ、向かってくる盗賊やゴロツキは殺すか、二度と太陽を見れない体にしてきた。
そしていつの間にか、クレリアはブリッジヘッドの影の長となっていた。
それでも、クレリアの心は満たされなかった。
父の生き写し――ネリエルを殺す。
それだけを考え、生きてきた。
そしてある日、唐突に弟が――ブリッジヘッドに、現れた。
これを好機と捉えず何と捉える?
自分を引き取り、育てたマイとも面識があるらしいが、そんなことは関係がない。
 「――ネリエル=アラスター=ヴァリオルドⅣ世」
薄暗い、小さな肘掛椅子一つが置かれた部屋の中。
膝の上に置かれた短剣を弄びつつ、男――クレリアが小さく呟いた。
 「お前を許しはしない――愚かな父の愛を受けた痴れ者め」
先ほど、斥候に向かわせた一人のシーフから連絡があった。
ネリエルは、ブリッジヘッドを飛び出しトワイライトの方へ向かったらしい。
しかし、それよりも。
もう一人の斥候――バイラが、一人の女にいとも簡単に倒されたという。
その女は、ブリッジヘッドに入ってから監視を続けていたネリエルの傍に常にいたという女と酷似していたという。
つまり、
 (ネリエルの女、か――面白い)
短剣を腰に差し、ゆっくりと立ち上がる。
自分の背後――ヴァリオルドの紋章を真っ逆様に、真っ二つに裂かれたその紋章を見やり、クレリアは不敵な笑みを浮かべた。
 「自分の女をムチャクチャにされたとき、おまえはどんな顔をするのか楽しみだ――」
そう呟き、クレリアは部屋の扉を乱暴に閉めた。

14 白猫 :2008/05/03(土) 12:03:41 ID:5qAuGV/w0

ブリッジヘッドの東口を出るとそこにあるのは、ただっ広い平原と巨大な川、そしてどこまでも続く海のみ。
ゴドムの南の果て、ルルリバー河口。
トワイライト滝やスバインへと向かうただ一つのこの場所には、当然多くの冒険者が行き来していた。

そのルルリバー河口の一角、


 「っぐ!?」
ガギン、という音と共に、覆面男の手から短刀が弾け飛ぶ。
男の手から短刀を弾いた少年――ネルは、つまらなさそうに男へと飛び掛かった。
ネルの姿を捉えた男はその右足が上がるのを見、咄嗟に体制を右へと倒す。
が、ネルは足を上げず膝を上げるだけに留まり、廻し蹴りで生じた体の回転を利用――左足の飛び廻し蹴りを男の頬へと繰り出した。
 (フェイント!?)
右の上段蹴りと見せかけ、体をクルリと一回転しての左飛び廻し蹴り。
堪らず地面に倒れ込んだ男は、目を細めるだけのネルに戦慄く。
まるでダンスを踊るかのように、ネルは空中を自在に舞い、攻撃を繰り出してくる。
その武術ならぬ舞術に、男はふと思う。
 (何故、本気の攻撃を叩き込んでこない?)
今の一撃。
通常なら自分は失神しても不思議ではない。あの一撃はそれほどまでに見事だった。
だが自分は、失神するどころか今こうして思案するだけの余裕すらある。
 (いったい、いったい、何を考えている)

 (この男に致命傷を与えず、僕の技能を見せつける)
男の思惑を察し、しかしネルは男に"ギリギリ失神しないが恐怖に慄くレベルの攻撃"を加え続ける。
そうすることで、男に焼きつけるのだ。
自分の絶対的な強さ。
そうすれば男の、クレリアへの忠誠心を揺るがすことができる。
そもそもシーフギルドは下剋上の世界である。"自分より強き者に媚び、その者を引きずり降ろそうとする"のがシーフ。
元よりクレリアは貴族の出。彼をよく思わない男は少なくないはず。
 (そう、戦いをタラタラと続け、男を精神面で嬲り続ける)
地面に突っ伏した男の体を蹴り上げ、空中で反回転――その脇腹を手加減した力で蹴り飛ばした。
叫び声すら上がらない男の反応。
それに僅かな手応えを感じ始めたネルは、そろそろか。と身体の構えを解く。
ゆっくりと立ち上がった男に見せつけるように、誇るように、腕を掲げる。

瞬間、

眩い光と共に、その手に巨大な槍が握られた。
真白の美しい槍――グングニルを払い、ネルは男へと微笑む。
 「頑張って避けて下さい。さもないと、死にますので」
 「――――」
男は返事をしない。
グングニルを呆気にとられた表情で眺めたまま、石像のように固まっている。
それを見たネルは、しかしこの一撃は手加減しない。
左足を思い切り踏み込み、全身のバネを駆使し、右腕に全神経を注ぐ。
そして、放った。

男の頬を掠り、
邪魔な木々を薙ぎ払い、
物凄い速度で海の彼方へと消え、

   大爆発を起こした。


 「――――な、に……」
何が起こったのか分からないまま放心する男は、ただ振り返り、背後の海上で上がった大爆発を見やっていた。
数秒後、海岸から数十メートルは離れているはずの自分に、大粒の、海水の雨が降り注ぐ。

15 白猫 :2008/05/03(土) 12:04:07 ID:5qAuGV/w0

感じた。
感じさせられた。
絶対的な力の差。
どう抗っても、敵う筈のない力。
彼は――ネリエルは、"本物"だ。
本物の強者……自分の命を助けたカナリアと同じ――或いはそれ以上の。

シーフ達の世界では、強き者には従わねばならない。
そして現在の強き者――それが、クレリア。
ならば従うしかない。例え自分の命の恩人を憎んでいる男だとしても。
それが、シーフの勤めなのだから。
その信条が――今、砕け散った。
ネルというたった一人の少年に。
槍という、たった一度の投擲に。
震える体を抑え、張り裂ける鼓動を留め、低い声で呟いた。
 「――来い、ネリエル=ヴァリオルド。主の元へ案内しよう」
 「ええ」
ネルの言葉に振り向いた男は、再び目を見開いた。

いつの間にか、ネルの手には先の槍が握られている。
海の彼方へと投擲したのにも関わらず。
 (いったい、何だというのだ……)






 「ッハァアアアァアアッ!!!」
 「っく――『 ノヴァ! 』」
先から絶えることのない盗賊たちの襲撃に、ルフィエは唇を引き絞る。
体の周りに数個のノヴァを生み出し、それを瞬時に襲い来る男たちへと放つ。
それらが全て違わず命中し――また地面に突っ伏す男の数が、増えた。
既にその数数十を超える。いったい、どこからこれほど沸いてくるのか。
 「さ、流石にめんどくさくなってきた……」
 「我慢なさいな。私だってネル公との関係バレちゃって大変なんだからさ」
ルフィエの背後でノヴァを放っていたマイは、ルフィエに向けてそう苦笑する。
 「しかし意外だな。チンピラがこんな正攻法で襲ってくるなんて」
 「意外なんですか?」
自分の射程内へ入ってきた男に光弾を放ち、ルフィエは首を傾げる。
彼女はマイのように悪友と親しいわけではない。チンピラの攻め方など知るわけがない。
それを知ってか知らずか、マイは淡々と話しだす。
 「確かにもう太陽も暮れてきたが、普通日の出てる間にこいつらは動かない。警備兵とのイザコザは極力避けるようにしてるからだ。
 仮に今が夜だとしても、何の考えなしに私たちを襲撃なんて――有り得ない」
すぐ近くまで迫っていた男に咄嗟に光弾を打ちつけ、マイは息を継ぐ。
 「クレリアのやつめ、私たちに魔力を浪費させるつもりか」
 「この程度じゃ浪費もへったくれもないですよ……」
このままのペースで盗賊たちに襲ってこられても、恐らくあと二時間はぶっ続けで戦える。
マペットとの契約以降、彼女の魔力は膨大に――例えるならば、御猪口からビールジョッキほどに変化していた。
セミボス級の魔物が複数けしかけられると流石に辛い。が、ここは片隅とはいえ街中である。
 「……また来ましたよ。二十人くらい」
 「私もいい加減飽きてきたな――吹っ飛ばすか……。
 小娘、少し見ていろ。唄がどういうものか教えてやる」
その言葉と共に、ルフィエはマイの眼鏡をかけさせられる。
何の変化もない視界に目を細め、しかしルフィエはマイの邪魔にならないよう、少々離れた位置で応戦を再開する。

   「『 ――――…… 』」

 「!?」
マイの紡ぐ歌声に、ルフィエは目を見開いた。
信じられなかった。
こんなことができるのか、と耳を疑いたくなった。
"マイの口から、二つの声が紡がれている"。
 「これが、[二人唱]――?」
呆然と立ち尽くしていたルフィエに目もくれず、マイはゆっくりと腕を開いた。

 「『 ――ウルトラノヴァ 』」

16 白猫 :2008/05/03(土) 12:04:43 ID:5qAuGV/w0

 「……なにやってんですかルフィエ」
 「あ」
 「なんだ、遅かったじゃないか」
まるでゴミのように積まれた男たちを見やり、ネルは溜息を吐く。
怪我してない? と駆け寄ってくるルフィエの頭を撫で、小さく頷いた。
頬を染めて微笑んだルフィエに笑いかけ、ネルは自分の背後に立つ男に向き直った。
 「さて――あなたたちの計画は、どうやら失敗したようですね」
 「………………………そのようだ」
男たちの山を呆気にとられたまま見やり、覆面男は小さく頷いた。
 「全く。[神の母]サンタ=マリアが暴力ですか」
 「なっ! 失礼だよネルくん! ほとんどマイさんが吹き飛ばしちゃったんだからっ!!」
 「何だと? 私が吹き飛ばしたのは最後の集団だけだろう。それまではほとんどお前が――」
ネルとルフィエ、マイの言い合いを聞きながら、男は小さく溜息を吐く。
一体彼らは凄いのか、凄くないのか。
 「ある意味は凄いんだけどな、こいつらは」
男の心中を察し、マイは苦笑しながら呟いた。




FIN...
---
中途半端に終わりました、白猫です。早々に初っ端見づらい小説をすみませんです。
今回は伸ばしに伸ばす予定でしたが、伸ばしすぎて[何の話かわかんねぇな]と思いなおし修正。
明日から旅行です。楽しみたいものですが渋滞が……orz
それよりも前スレ用に作った999文字小説どうしようかしらorz

コメ返し


>◇68hJrjtYさん
本当は臨場感を出して描きたかった古都壊滅編。
ですがなんか色々大人の事情があって無理やりこじつけました(コラ
RPGやアクションの設定でもよくありますが、やはり強い人であればあるほど、集団戦闘には向かないのでしょうか。
物語も終盤に差し掛かってます、後2〜3章でPuppet編はおそらく完結するでしょう。
それまでどうかお付き合いくださいませ。
---
楽しかったです、チャットイベ。
また機会があれば行いたいものですね。私ができるのは場所提供のみですが…


>黒頭巾さん
前回いいことがなかったカリアス。今回も見せ場が少ないという。ハッハ(コラ
カリアス強く設定してるはずなのにな……プリファーが強すぎるのかしら……。
ふと思ったら、カリアスやその他のメンツはもう最終章まで出ないんだよなぁ…適当にしすぎたッorz


では今回はこの辺で失礼します。
白猫の提供でお送りしました。

17 之神 :2008/05/03(土) 12:14:42 ID:AKbHe9aQ0
ちょっと見た瞬間吹いたので、コメ返し…

>>3 WMGDEhYE0
ドンマイです。高速2get頑張って…

>>白猫さん

早速うpするとは、流石ですw
ちょっと気になったのが、700万円…

RMT! とか浮かんでしまいました…
そして999文字小説、機会があればお願いします…('ー`

18 名無しさん :2008/05/03(土) 16:49:24 ID:hlgFgQ9g0
なんと、もう七冊目立っていたのかッ!

>>1さん
スレ立て、ありがとうございます!お早い仕事感謝。

>黒頭巾さん(前スレ990、993〜994)
いやいや、奇妙な視点っていうのは違和感とかそういうのではなくて…うーん、言葉ではなかなか言い表せないorz
でもホラーでもあり世にも奇妙なRSというか、最後の最後で恐ろしい事実が露見したというか(((( ´・ω・))
某曲…私には分かりませんでしたが(泣)、音楽にインスピレーションをもらった小説というのも面白いですね。
替え歌とか改変ソングは良く作る私ですが完全に小説ネタとして利用するのはなるほど、こんな風になるのですね。でもやっぱり後引く怖さです(怖)
「私が同じ理由で貴方を“削除”しても〜」の一文は夢に出てきそうorz
---
NGワード判明、お疲れ様です(´;ω;`)
NGワードというからには管理人が公開したら意味ないのかもしれませんが、小説スレにとっては大問題ですよね。
しかしRSのNGワード同様、なんでNGなのか分からない文字列だ(笑) 日本語の問題ではなさそうな気もしてきますね。

>之神さん(前スレ996〜1000)
まずはラストアタック(笑)、おめでとうございます!
ライトルート…惰眠というあたりまでは何となく(ほんとに何となく)分かったものの、96なんて数字は全然出てきませんでしたorz
思えば昔、電車のキップに書いてある数字を足したり引いたりする遊びも苦手だったなぁ(やるな&関係なし)。
徹よ、ウィンディーと会話できるのはシルヴィーだけだから安心してね(笑)
そしてエトナはリトル(姫)だとは予想ついてましたが、アルシェがアチャだったとは…!イラストだけでは分からなかったです。カコイイ。
廃人撃破なるか。そしてライトと徹たちの見つけた道とは。続きお待ちしています!

>白猫さん
新スレトップバッター、おめでとうございます(笑)
突然のネルとルフィエののほほん日和に驚きましたが、古都編がその後少しずつ語られていくという手法。
それぞれの傀儡とルヴィラィ本人の襲撃、そして「アトム」起動…二ヶ月という間がそこにあるとはいえ、色々起こりすぎましたね。
ラグナロク発動まで後250日を切ったところですが、兄がいたということに驚く暇もなく新たなアクションを起こすネル。
これもまたラグナロクへ対する布石ということでしょうか。それにしてもマイ&ルフィエのコンビは強ぇぇ…。
ネルのルフィエへの告白がとっても純粋で素敵でした。なんか、萌えとかそういう次元を超えてます(*´д`*)
続きの方お待ちしていますね。
---
GWお出かけでしょうか…私も実は結局間際になって旅行決定してしまい、今夜出奔しますorz
もうGW中盤らしいですがしかし、渋滞はイヤンですね。順番待ちとか大混雑ってのもイヤンですが…。
999文字小説、折角完成させているのなら気にせずUPして下さいな。本編あわせて楽しみにしています!

19 ◇68hJrjtY :2008/05/03(土) 16:50:16 ID:hlgFgQ9g0
はぁ…新スレになるといつも名前を忘れますorz
↑もコレも68hの提供でした。。

20 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/04(日) 10:56:00 ID:BnQc0o7w0
やったね7冊目ができたぜヤッホゥ!!前回からの続きですよ〜

Chapter2:Episode.06-Be My Firend.〜はじめての親友〜

・・・この世に生まれて17年,私はトップに輝くための英才教育を難なくこなしてきた天才少女のはず。
勉学や魔法学,占星術も比肩する者がいないほどの実力,そしてフランデル一の美貌を持つはずの私がっ・・・!!
何故っ,どうしてあんな富裕層でもない普通の女に劣らなければなりませんの!?認めませんわ,そんなの・・・

 ――――誰一人,私の前を行く者はこの世にいてはならないんですのよ!!!―――――

「引っ掛かりましたわね,おバカさんっ!!あなたなんか,私を侮辱した女なんかっ!!消えてしまえばいいのですわーっ!!!」
怒りのあまり目元に涙を浮かべながら,エレナは魔力を最大限に開放し,ウィザードのメテオシャワーにも勝る流星群を
ラティナに向けて浴びせた!!!足元に配置されたウサギに見とれている彼女に,容赦なく黄金の星々が襲い掛かった。
派手な爆発音と分厚い雲のような煙が辺りを包んでいた・・・煙が晴れると,目の前にはクレーターができている。
そしてそこには,頭から血を流して地面に伏しているラティナの姿が。ピクリと動きそうにもないほどダメージを負っていた。
「フフ・・・ホホホホホ,オーホホホホホ!!!やはりっ,あんな女が私に勝てるわけがありませんわ!!ざまァ見なさ・・・」
「もう,お嬢様がそんな汚い言葉遣いしちゃァ元も子もないわね・・・それで?あれがあなたの最大限の力なの?」
いつの間にかエレナの背後に立っていたのは・・・ラティナだった。少しばかり爽やかな微笑みを浮かべてはいるが
その瞳には未だ闘志の炎が燃え滾っている。全く予想だにしていなかった事態に,エレナは振り向くと同時に青ざめた。
「な…なっ,何でっ,あなたはあそこのクレーターで倒れていたは…ず?」焦りの表情しか残っていない彼女が
クレーターに目を向けると・・・そこで倒れていたはずのラティナの体が半透明になり,徐々に消えていくのが映った。
「お嬢様とはいえ,槍使いの回避技術に関しては勉強不足だったみたいね。今のはダミーステップ,わたしの故郷では
 『空蝉(うつせみ)』と呼んでいるわ・・・ま,変わり身みたいなものよ。さ〜て,決着を着けるわよっ!!!」

エレナには理解できなかった・・・今,自分がひどく憎んでいる女が,にこやかに微笑んでいるのだ。
自分は彼女に憎悪だとか怒りとか,そういう感情しかぶつけていないのに・・・なのに彼女は何かを楽しんでいる。
いや違う,あの微笑みはそういうものじゃない・・・ひとつの憶測がエレナの脳裏をよぎった。
「(あの笑みは・・・純粋に闘うことしか楽しんでいないことの顕れ!?)…フフ,私としたことが・・・はしたない。」
「…?どうしたの,早く構えなさいよぅ!」「いいえ…こんなケンカぐらいで高揚するなんて,私ってば。」

瞳を閉じて,何かを回想するように俯くエレナ・・・彼女は理解せざるを得なかった。
屋敷を出るその日まで,彼女はその立ち振る舞いから何までを自由にすることは許されなかった・・・
常に礼儀作法に則った動作をしなければならない窮屈さ,常にトップに君臨し続けることへの重圧・・・
それとは違い,自由に遊び自由に喋り,自分の生きたいように人生を謳歌する一般層の民。
気付けば彼女は,そういった何気ないことに憧れと嫉妬を抱いていたのかもしれない。

だけども,今こうして感情を剥き出しにできる相手が目の前にいる・・・彼女はそれがこの上なく嬉しかった。

「ラティナ・・・いいえ,あやねさん。さっきはあなたやその彼氏を侮辱してごめんなさいね。心から謝らせてもらいますわ。
 そしてありがとう・・・あなたは,私を鎖から解き放ってくれた。そんな気がしますの・・・。」
「どうしたのよ,急にしんみりしちゃって!?それにわたし,ただあなたと闘っているだけなのに・・・・ま,いっか♪
 エレナさん・・・だったかな?一度始めたケンカは決着が着くまでやめられないのはわかるわよね!?行くわよォっ!!!」
「お言葉に甘えて,こちらも行かせてもらいますわよ!!エレナ・クレモンティーネ・・・参りますわっ―――――!!!」

21 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/04(日) 11:01:15 ID:BnQc0o7w0
あとがき

管理人様,スレ立てありがとうございます。
そして執筆者やコメンテーターの皆様も引き続きよろしくお願い致します^^

いよいよ女同士のタイマン勝負も大詰め,そして戦いから生まれる友情フラグ。
トレスヴァントは追いつけるのか,そしてラティナ(あやね)の親父がついに動く!?
乞う御期待っ!!!

GWは親もいるので人目を気にせずに書ける時間があまりないという・・・orz
それにランサーのイラストも描いている最中なのでして(ry
GW明けには充電しまくって,いっきに放電(?)しようと思います。

22 名無しさん :2008/05/04(日) 20:06:20 ID:8FGrmTmo0
待ち望んだ新鯖とうとうオープンですね
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23 姫々 :2008/05/07(水) 00:27:29 ID:VbnAj5DM0
7冊目おめでとうございます。
もうちょっと早く書いていたんですが学校の課題があまりに憂鬱だったので
ついついぼーっと48時間ほど過ごしてました。
今からやら無いと行けません憂鬱です。こんな事にならないために
課題はとっとと終わらせましょう。前スレ>967~969より続きます





「ほお、こんな所に通路が‥‥。」
 盗賊の一人が松明の下に生えている草を掻き分けるとそこには小さい穴が開いていた。
 そこを通って中に入ると人が40か50人は寝れるくらいのスペースがあった。
「さて、飲むかい姐さん?」
 親指で部屋の奥の酒樽を指す。
「あら、お酒ですか。」
 私くらいの高さの樽が6個並んでいた。あれは全部お酒が入っているのだろうか、だとしたら結構な量である。
「たまの機会だ、飲もうぜ。」
「不謹慎な気もしますが‥‥、まあたまにはいいでしょう。」
「いい返事だ、ほら。酌してやるよ。譲ちゃんにはシードルな。」
 今度は瓶が出される。中には琥珀色の液体が入っていた。
「いやいや‥‥、それもお酒でしょう‥‥他には無いのですか?」
「んー?ジュースはあるが酔えねーだろ。」
「酔わなくていいのです」
「つまんねーなぁ‥‥。」
 そう言ってさっきのお酒の入った瓶を片付けて別の瓶を持ってきた。お酒は少し飲んでみたかった気がする
から残念だ。
 それよりこの人たちにジュースは似合わない、きっとタスカのだろう。勝手に飲んでいいのだろうか?
「じゃ、乾杯。」
 木のコップがぶつかる音が響き、宴会が始まった。セラとタスカを忘れるためだろう、
皆何かしないと気になって仕方ないのだろう。私だって今日は出切れば気にしないでいたい。
「っておいあんた!それは水で割ったほうがいい、度数40越えてるんだぞ。」
「あ、そうなんですか?でも強いお酒は私の仕事場では中々飲めませんからね。中々に貴重な体験です。」
「はっはっは、強えーなぁ。」
 私も今晩だけはセラとタスカのことは忘れる努力をしよう。この空気の中ならきっとすぐに忘れられるだろう…。
・・・
・・・
・・・

24 姫々 :2008/05/07(水) 00:28:16 ID:VbnAj5DM0
 目の前に膝に顔を埋めている姉さんがいる。
 その周りを囲む召喚獣には今の所警戒されていないが、私自身の感情が昂るとまた眼の力が出てしまう。
 私の力は使ってはいけない力だ、私自身が一番よく分かっている。
「お願い、少しの間離れておいて‥‥」
 この仔達は私の事を知っている、知っているからこそ渋々ながらも離れてくれる。
「姉さん、久し振りだね‥‥。」
 召喚獣の皆は離れてくれたものの、なんと切り出していいか分からずそんな切り出し方をしていた。
 それでもいつもなら「久し振りだね」と笑顔で言ってくれる姉さんも、今は顔を膝に埋めて何も言ってくれない
「(嫌われちゃったな‥‥)」
 すぐに泣きたくなった、この人に嫌われたら私は村の何処にも居場所がなくなってしまう。
 いや、それだけではない、唯でさえ姉さんの能力は他の人たちを圧倒してしまっていて、神格化さえ
されつつあった。
 友達なんかできるはずが無い、その妹の私だってそうだった―この人の妹―それだけで特別視され、子供はおろか、
大人まで私に近寄る事を拒んだ‥‥。
 友達もいない、母さんは物心付いた時には既に私の前にはいない、唯一普通に接してくれたのが父さん、
クーン村長、それと追放天使のティエルドさん、そして姉さんだった。
「ねえ、お願い姉さん。こっちを向いて。」
 私が悪い、あんな姿見せたくなかった、そりゃあ嫌われて当然だった。
「ごめん‥‥」
 それ以外の言葉が見つからなかった。
「また来るね」
 その場にいられなくなり、私は姉さんに背を向けた。
 きっと、ここで別れたらもう話すことは二度とないだろう。
 けれど、それでもこの間に耐える事が出来なかった。
「待って――」
 振り返って数歩、そこで声を掛けられた。
 ただ声を聞けただけで嬉しかった、この一年間に起こった事の何にも変えられないだろう。
 ただ、その一言が嬉しかった。
「何?」
 ただ、不安も大きかった、嫌われていたら次に待つ言葉はもちろん拒絶なのだから。
 姉さんに「もう顔も見たくない」と言われる覚悟は出来ている、声は聞けた、私はそれ以上を望めない。
「もう話しかけないで‥‥」
「‥‥」
 ほら、分かってた。けれど一拍置いて、姉さんはこう言った。
「そう言われると思ってた‥‥。来て、タスカちゃん‥‥」
「あ‥‥う、うん‥‥」
 続く言葉があまりに以外だったので面食らってしまったけれど、何とか返事をして姉さんの元に戻る。
「どうしたぁあっと‥‥ね、姉さん!?」
 バッと言う音が聞こえそうな勢いで抱きつかれ、後ろ向けに倒れそうになるがなんとか持ちこたえた。
「生きてた‥‥生きててくれた‥‥」
 死んでると思われていたのだろう‥‥、それはそれで悲しい事だが冒険に出るということはそう言うことだ、
音信不通になった場合、たいていの場合はこの世にいないか相当険しい地に赴いているかの二択だ、そして大抵は
前者の場合が多い。
「死なないよ‥‥」

25 姫々 :2008/05/07(水) 00:29:37 ID:VbnAj5DM0
 きっと凄く心配させていたのだろう、1年も前に突然いなくなったんだから仕方ない。
「こんな仕事やってて、失望したよね‥‥ごめんね‥‥。」
「え‥‥、何で?」
 この姉さんは妹が山賊業をやっている事を何とも思っていないのだろうか、ありえるがそこから踏み込む
のは怖かった。
「けどあの口調は驚いた」
「子供だからね、せめて口調位は変えておかないと舐められちゃうから」
 抱き合ったまま話す、泣き顔は見ないで欲しいと言うだろうし、私も眼はあまり見せたくなかった。
「ん‥‥、姉さん痛い‥‥」
 抱きしめる力が強くなってきたのでそう伝える。姉さんもハッとした様子で力を抜いてくれた。
「ごめん‥‥」
「あ、いいよ。そんなに痛くなかったし」
「違う、私の事、嫌いになったよね。だから、ごめん‥‥」
「私が?何で姉さんを嫌うの?」
 まず第一にさっき以上に驚いた。その次に突飛な言動は変わっていないな‥‥と言う感想が出た。
「だって、あの時守ってあげれなかった。ごめんね‥‥」
 溜息が出る理由だった。さっき私が逃げてしまったのがいけないのだろうけれど、それで姉さんを嫌うはずがない。
よい意味でも悪い意味でも、最上級のお人よし――それが姉さんなのだから。
 私自身がそれを早く思い出しておけばきっとすれ違う事もなかったのだろう。
「そんな事気にしちゃダメだよ姉さん。私は姉さんが大好きだから、絶対に嫌いにならないから‥‥。」
「本当に?」
 訊ね返されても気持ちは変わらないのだが、それでもさっき逃げたのがそれだけ応えたのだろう。
「さっきはごめんね‥‥。それより姉さんは?私の事嫌いになっちゃう?」
「まさか、タスカちゃんは私の妹だから、嫌うはずないよ。」
 安心した。一番聞きたかった言葉だから。
 それに、私の居場所はまだあると確信できたから。
「いつか、私の力を自分の物に出来たら・・・、その時は家に帰っていいかな・・・?」
 訊ねると姉さんの首が縦に動いた。
「ありがと。っと、姉さん離れて。」
「え、あ‥‥ごめんね」
「いや、違うの。狼がここまでおりて来てる。姉さんも気づいてるでしょ?」
 今微かに遠吠えが聴こえた、すぐそこの山から恐らく下りてきたのだろう。狼が洞窟の中に入ってくることは
それほどり無いが、全く無いというわけでもない。もしもの事は起こってから対処していては遅い。
「え?」
「え?って気づいて無いの?」
「うん‥‥、魔物の気配は無いと思うんだけど‥‥」
 おかしいな、遠吠えは確かに聞こえた。
 まあ何にせよ夜明けまで見張りをしておけばいい。無粋な狼だとは思うけど向こうも食べ物が無いと生きて
行けないのは一緒なのだからこればかりは仕方ない。
「うーん‥‥私には聞こえたんだけどな。それより顔洗って皆の所に行けばいいよ、きっと歓迎してくれる」
「うん、わかった。見張り頑張ってね」
 目元を手で拭って言う。
「大丈夫、狼程度には負けないから。部屋の場所は入り口の近くの松明の下辺りを調べたらすぐ分かると思う。」
 それだけ伝えてその場を離れる、顔は笑ってたか泣いてたか分からない、けれど悲しい気持ちではなかった。
 通路を抜けポータルを抜けて、外に出ようとする。

「待てよ」

 と、出口のすぐ傍で呼び止められた。特に急ぎというわけではないので振り返る。
 私の目線の先、男が一人、立っていた。

26 姫々 :2008/05/07(水) 00:33:48 ID:VbnAj5DM0
さて、ここまでです。
「‥」が多すぎるって言われそうですね。
場面が場面なのでついつい多用してしまうのが癖のようです。
次回からはきっとそうなることも無いでしょう。
それより課題が憂鬱で憂鬱で(ry
さて、長々と続けていますが終わる気配が○ございません。
ていうか○ございませんネタってまだ通じるんですか?(´・ω・`)
さて、そんなわけでそろそろ切り上げて課題してきます。また来週の火曜位に
頑張って霧がいい所まで書ききるのでよろしくお願いします。

27 ◇68hJrjtY :2008/05/07(水) 15:32:10 ID:4u4UKSTE0
>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
エレナvsラティナ。リトルウィッチは白猫さんの小説でもそうですが、敵に回すとやっぱり怖いですね。
ラビットラッシュってやっぱり"可愛くて踏みそうで動けない"なんだろうなァ…ちょっと見てみたいけど(笑)
「サイドステップ」が「空蝉」。今後も出てくるであろうランサ和名スキルも楽しみです。
意外なところで意気投合(?)してしまった二人、決着はいかに。続きお待ちしています。

>姫々さん
妹だから、姉だからこそ分かる心の動き。そして「特別な存在」であったが故の葛藤。
微細な感情の描写ですが、姫々さんはどことなく優しいタッチで描いているのが読んでいても安心感がありました。
セラとタスカの過去は悲しみが多かったけど、これからはきっと楽しい思い出に変えていける!みたいな(*´д`*)
と、二人と一緒にホッとしたのも束の間、なにやら怪しい影が…この人物はもしかしてもしかすると。
次回お待ちしています!そしてリアルの課題の方も頑張って下さい。

28 黒頭巾 :2008/05/10(土) 14:56:34 ID:fou9k2gM0
スレ立て感謝ですー(*´∀`)ノ<……わーい、パパ頑張って書き込んじゃうぞー(ぇー)


レス返し。

>之神さん
LAげっとおめでとう御座いますー。
愚か、に引っかかって慢ではなく癡を疑ってしまいました……うぅ、悔しい(´・ω・)
つ、次は負けないんだから!(何に)
そして、天気予報はやっぱりリトルですよね!
男アチャだったのは意外ですが、このコンビなら荒井さんも見事撃破なさるコトでしょうヽ(´д`)ノ
チキチキレース、続きが楽しみです(*´∀`)

>白猫さん
らぶぃ、らぶぃわぁぁぁ(*ノノ)(やっぱり第一声はコレか)
読みながら悶えてました……初々しいルフィエと余裕綽々なネルくんの対比が面白いです笑
しかし、ネルくんにお姉さんだけでなくてお兄さんがいたのは驚きました(ノ∀`)ペチン
次回、お兄さんとどんな“話し合い”になるのか楽しみにしております。
嗚呼、カリアスもう最終章まで出ませんか……ば、番外編でカリアス主人公を!(ちょ)
ゲームグラで実装してくれないかなぁ、白WIZ。

>68hさん
違和感でないならよかったです(ノ∀`)ペチン
ホラー系の作品として、某ラノベを参考にしながら書き上げてみたのですが……嗚呼、確かにその参考小説も夜にも奇妙な系かもしれないと納得しました笑
元々が物語り的な歌なので…興味が御座いましたら、次回チャットででもお会い出来ましたら参考URL投げさせて頂きます(*´艸`)<某曲
でも、某曲は其処までアレではなくて、観察者が被験者を監視しているって辺りだけで……どちらかと言うと小説の某リングの続編の某バースディ(でしたっけ)辺りのが世界観的には近いかも。
合わせ鏡で永遠に続く世界の様に自分達も作られた世界の住人だったら、なんてのはSFでよくあるテーマなのですが、実際に考えるとかなり恐いですよね(((((゚д゚;)))))
例のワードは昔大暴れした方なのかしら……総ては謎のままです(´・ω・)

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
高飛車お嬢様かと思われたエレナの過去が……!
何事も決められた雁字搦めの生活は、息が詰まりますよね。
漸く開放された彼女が、コレからどんな人生を歩むのか……幸せになればイイなぁ。
それに、この二人は戦いを通してイイ友人になれそうで。
喧嘩友達の様な、ライバルの様な…そんな戦友みたいな友人イィネッ!!(・∀・)

>姫々さん
今やっと過去ログのアリアン辺りまでいきましたー(ノ∀`*)
長い様なので、追いついたらまたしっかり感想を書けそうです。
過去ログ分ですが、感想。
おてんば姫可愛いよおてんば姫(*´д`)ハァハァ(ちょ)
ずっと譲(ゆずる)ちゃんって名前なのかと思ってましたが……過去ログ見るに、もしかして女の子を示す嬢ちゃんなのかな。
違ったらごめんなさいΣ(゚д゚;三;゚д゚)


ふぁみりあいーえっすシリーズが何故かウケがいいので、ついでにキャラクター紹介なんぞ。
質問された事項もあるので、質問なさって下さった方は(・∀・)ニヨニヨして頂ければ笑


【何となく】ふぁみりあいーえっくすシリーズ【目次】

・ばれんたいんでー
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1200393277.html#322

・ほわいとでー
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1200393277.html#619 〜 同スレ621

・きゃら紹介
次レス辺り←

29 黒頭巾 :2008/05/10(土) 14:57:52 ID:fou9k2gM0
・ふぁみりあいーえっくす
この物語の主人公兼語り部。
ごしゅじんさまラブすぎて、ちょっと早とちりなおバカさん。
ごしゅじんさまが付けたお名前はちゃんとありますが、敢えて公表しておりません……何とでもご自由にお呼び下さい。
アジトB2産、ファミリアEX(旧ボスファミ)

・ごしゅじんさま
ふぁみたんの飼い主のテイマーさん。
転生や再テイムは嫌いな健康テイマで、愛用武器はタゲ取り&回復に便利な攻速2竹笛。
ベルトにはふぁみたんの好物のフルヒが常にストック。
けるびーちゃんやすうぇるふぁーちゃんを呼び出せるので、ハイブリさんの様子。
所属Gでは副マスをしていて、いけめんさんやまっするさんとはコボ秘密からの付き合い。

・ばいんだーおじーちゃん
ごしゅじんさまのもう一匹のPなのに、名前すら出てこない可哀想な初期P。
寄る年波とレベル差に勝てず、ご本の中で養生していることが多い。
ふぁみたんとは仲良しな祖父と孫という関係。
地下墓地産、攻撃骸骨戦士EX(クエMOBバインダー)

・召喚獣ズ
二段階の魚とアイボ。
ソレ以上でもソレ以下でもない。

・のなめちゃん
巷に溢れるnonameのままのPを指す。
いけめんさん的には、支援しにくくて沢山いると涙目。
ふぁみたんはソレが流行のお名前だと思っている。

・いけめんさん
ごしゅじんさまの所属GのGMさん。
ふぁみたんと意思の疎通が取れている様に見えるが、実はふぁみたんの言語はわからない。
行動パターンからの推測に、ふぁみたんが頷いたり同意する形で意思の疎通を図る事は可能……洞察力と推理力はそれなりにある様子。
小説スレ住人には何故かイイ人で通っている。
しかし、その正体は……。

・まっするさん
ごしゅじんさまの所属Gの副マスBISさん。
名前だけは出てくるのに、出番はまだない。

・ないすばでぃーなおねーさんのげぼくさん
小説スレ住人に悩まれた、このシリーズの解りにくいお名前No.1(当社比)
ごしゅじんさまの所属Gの悪魔さんのP。
カラカラカタカタ音を立てて歩く姿が哀愁を誘う。
マイペースな物知りおじーちゃん。
タワー地下道産、防御骸骨戦士EX。


そう言えば、チャットイベント……次回はいつやりましょうか。
次回こそリクのいけめんさん話を……黒頭巾でした。

30 スメスメ :2008/05/12(月) 17:04:39 ID:PESNJGHwo
小説スレ5 >>750
小説スレ6>>6ー7 >>119ー121 >>380ー381 >>945ー949


これはまだオレが古都に来て日が浅い頃のお話。



「こりゃあ、マズったなぁ…」
右を見ても左を見ても蟹、かに、カニ、KANIだらけ。
これはいわゆる絶体絶命のピンチってヤツですかい?

この時、オレは古都周辺のダンジョンを冒険してみようと蟲の洞窟に来ていた。
まぁ、迷って辿り着いたとも言うけどね。

そこで腕試しがてらに蟹を相手に勝負をしていたんだけど、蟹一杯を相手に夢中になりすぎて周りを囲まれてることに気が付いていなかったんだ。
それで今の状況に至ると言う訳ですね、うん。

取りあえずカニ系は足が遅いっていうのを見たことあるし(※『初めてのフランデル陸〜冒険者の必須バイブル・上巻〜』参照)逃げ回れば何とかなるだろ。
なんて容量の少ない脳味噌であれやこれやと算段していたその時だった。

「うおぉ〜ぃ…」

と遠くから誰かが呼ぶ声がした。
もしかしてこれはこれは天の助け?
その声がした方向へ期待のまなざしと一緒にすぐさま顔を向けると、この薄暗い洞窟でもはっきり分かるような土煙が向かってくるではないか。
なんだかイヤ〜な予感があると思いつつ目を凝らす。

「たぁすけてくれぇぇぇ!」

声の主だろうか男が両手の諸手剣を肩に乗せて走ってくる。
…巨大芋虫やら羽虫の大群を引き連れて。

ちょっと!そんなお土産は願い下げだってば!
つーかこの展開はベタすぎるよっ!

「うわぁぁぁぁぁっっ!」
手を貸してくれる救世主が来たなんていう甘えた事を考えた罰と言わんばかりに、そのままモンスター達の列に巻き込まれ先頭を走らされる。


「何でオレまでえぇぇぇぇ!?」



その後何とか虫たちを撒いたオレは、すかさず近くに見つけた人が一人が潜り込むにはちょうど良い大きさの空洞がある岩に潜り込んだ。

ふぅ、ここでしばらく隠れてやり過ごすしかないか…
なんて事を考えてた時の事だった。

取り敢えずオレは周りの様子を確認しようとして岩穴から顔を出した。
すると少し遠くにさっきの男がまだ走り回っているのを見つけた。
アッチもどうやら何とか撒いたみたいだ。

今思うとホトボリ冷めるまでの隠れ場所を探していたのかもしれない。
ふとオレの居る岩の方に身体が向いたと思ったら、真っ直ぐこっちに向かってくる!?

ま、まさか…。

31 スメスメ :2008/05/12(月) 17:08:51 ID:HI613LTco

ちょ、せまい、こっちはせまいってばっ!
いくらオレが小さいからって入れるわけ無いだろっ。
そんな風にこっちが慌てふためいていても結局無駄で迷わずスライディングしながら潜り込んできた。
「はぶっ!」なんて情けない声を出しながら見事に顔面を蹴られなす術無く飛び込まれ、結局問答無用で入りきってしまった。
結構なんとかなるもんだな…。
はぁ…。仕方がない、どうも腑に落ちないけどオレが抜けるか…

って今度は抜けられない!?

押そうが引こうがうんともすんともいわねぇ!
むしろどんどん絡まっていくぞ!?
「いや〜、わりぃわりぃ。隠れる場所がここしかなかったからよぉ」
と岩に埋もれながら無声音でさっきの男に軽く謝罪される。
正直こっちはたまったものじゃない。
つーかなんなんだコイツは?

「とに、かく…離れろー!!」
そう言って無理やり押しだそうとするオレ。
正直ケツだけが穴から出ている状態だけは何とかしたい。
恥ずかしすぎるよっ。

「いててて、押すなってっ!こっちだってツカエてるんだからよぉ」
「誰のせいだ、誰の!?もとはと言えばアンタが突っ込んできたからだろっ!?」
「仕方ねぇだろ。こっちだって隠れる場所がここしかなかったんだからよぉ」
とまぁ、こんな感じで大声で口喧嘩なんてやっていたらモンスターも当然気付いてやって来るもの。
「ギャー!カニっ、カニが来たぞっ!」と男が叫ぶ。

まぁ、『お約束』ってヤツだよね…。

男の方はまだ顔が穴から出てる分まだ周りの様子が見えるが、如何せん身動きが取れないからどうしようもない。
ここで哀れに思って見逃してくれる相手ならどれだけ良いか…。
だけどそんなあわ〜い期待なんかお構いなしに蟹は俺達に向かってその堅く大きなハサミを振り下ろす。
嫌だ、こんな男とゴンズイ玉の様な状態で死ぬなんて絶対イヤだ。
もう一環の終わり…
と思ったがカニさんがおバカで良かったよ、ホントに。
ハサミが岩に向かって振り下ろされたんだ。
「よっしゃー、割れたぁぁぁ!」
と叫ぶがまだ完全に割れた感じではなく内側にも見える大きなヒビが入っただけ…。
だったんだけどなぁ。

「ふんがぁぁぁぁぁぁ!!」
男が気合いをいれて埋まった身体で内側からブッ壊しやがった。
なんつー馬鹿力よ?

ガレキを退かしながら周りを確認していくと…。
あぁ、やぁっぱり囲まれてるよ。
ったく、面倒臭い事この上無しだな。
さぁて、この状況をどうやってくぐり抜けようか…

32 スメスメ :2008/05/12(月) 17:11:39 ID:HI613LTco
「って、おいっ!」
「うおおぉぉぉりゃああぁぁ!」
いきなり男は叫び出すと担いでいた諸刃の剣を振り上げて走り出した。
ってあのバカ、無策で特効しやがった。
今の状況が見えてるのか?

だけど、そんな心配は男の戦いぶりを見ていたら吹っ飛んじまったぜ。
その剣圧は硬い甲羅に身を包んだカニをハサミの防御ごと真っ二つにし、その剣速は羽虫の大群を箒で埃を払うかのように吹き飛ばす。
巨大芋虫の体当たりを喰らってもケロッとしている筋肉の鎧に身を包んだ大きな体躯。
そしてその体躯から生み出される岩すら内側から壊してしまう馬鹿力。
どれもオレにはないものだ。
しかもアイツ、こんだけの敵を目の前にしても笑ってやがる。

…へっ、こんなの魅せられて燃えないなら武道家が廃るってもんだっ!
オレも男とは反対側の芋虫やカニの大群に突っ込んでいった。


……。


「あんた、けっこう強いんだな」
男が自分で真っ二つにしたモノで積み上がった山の上に、どかっと座り笑いながら話しかけてきた。

結局大群の男が3分の2以上を倒してしまった状態でそんな事を言われてもなぁ。
「それはこっちのセリフだよ。まさか初めに助けを求めてきたヤツがこんな強いとは思わないし。てかこれだけ強かったら別にオレの助けなんて必要ないんじゃなかった?」
「ハハッ。どうにも釣りすぎたみたいでさ、何であれ助かったよ」
と言いながら手を差し出してくる。
その手を取りしっかりと握って握手を交わしながら
「いや、オレもあの時は囲まれてたから助かったよ。って名前がまだだったな。オレの名前はアレヴァール=エヴァーソン、アルで良いよ」
「おぉ、オレはアイナー。よろしくな、アル」
「ところで…、何でこんな所にいたんだ?アンタの腕前ならもっと強いモンスターが居るところで狩りをしても大丈夫に見えるけど?」
「いやぁ、実は…」と頭を軽く掻きながらゴモってしまった。
ありゃ、マズったかな?
「…まぁ、言いたくないなら良いけどさ」
「いや、言いたくないってわけじゃなくてな。実は試験中だったんだよ…。ここの洞窟に住むモンスターから必要な物を奪ってくるって言うさぁ」
と苦笑い。
これは…やっちゃった?
「お前、王宮騎士団って知ってるか?あそこの一次試験がコレなんだ」
「あぁ、ウチの兄貴が働いてるところかな?」
「マジで!?すげぇ!」
ちょ、さすがに馬鹿力で肩を捕まれると痛いんですけどっ。
「…で、その騎士団の入隊試験だったわけか…。なんか悪いコトしちゃったね。でも大丈夫だって、オレ黙っておくからさっ」
「気持ちは嬉しいけど遠慮しておくよ。」と少し声音が下がり顔つきも気のせいかムスッとしてる気が…
あ…、今のはマズかったか。
「ご、ごめん。」
「良いって事よっ。強くなるチャンスはこれだけじゃないしな!」
と今度は一転して力強く笑いながらオレの肩をバンバン叩いた。
だから、馬鹿力なんだから加減してくれよっ。
そんな事は知る由もなく
「オレは強くなりたいんだよ。あの『Tierra』の様に…」
「また凄い目標だな…」
「どうせ目指すならとことんやらないとなっ。見てろよ、オレはどんどん強くなってみせるぜっ!!」



…これがアイツとの最初の出会いだった。
それからも度々古都で会い、その度にアイツは自分よりも強い狩り場で戦い続けて目に見えるスピードで強くなっていった。
正直アイツの強さは羨ましかった。
だけどそれだけじゃ満足できないのか「これじゃあダメだ」と、しょっちゅうボヤいていたのは覚えてる。
しかも強くなった自信がそうさせるのか傲慢になっていったのもセットで覚えている。

そして半年前。

「おい、アル」
「んー?どうした?」
「オレは今までなんて無駄なことをしてきたんだろうな…」
何をいきなり言い出すんだ?とそんな気持ちを込めて「は?」と聞き返すとアイツは、
「今まで敵を倒すことでしか強くなれないと思ってきた。だけどそんな事は間違いだったんだ」

33 スメスメ :2008/05/12(月) 17:16:33 ID:HI613LTco

…今思い返すとこの時から少しおかしかったのかもしれない。
その後も「秘術が」だとか「石」がどうのだと色々言っていたのは覚えてる。

もし、あの時オレがあいつを止めていれば今回のようなことは起こらなかったのか?
オレは死なずに済んだのかもしれないのか?
…こんな事誰に聞いても答えてくれるはずもないか。
「…み……」

こりゃ、あの世からの見送りかな?
白い髪の天使さまがオレのほっぺをペチペチ叩いてる気がするよ…
ホッペタが痛いぜ…。

「き……し…な…!」

ん?痛い?

「キミ、しっ……い」

????

「起きるんだっ!」




……あれ?生きてる?
「キミ、大丈夫かい?」
眩しい…。どうも朝なのだろうか陽の光が目にはいって目が眩むが、外に居る事は分かった。
ようやく目が慣れ、改めて声のした方を見ると目の前には見事なまでに白くサラサラで肩より下まである髪に透き通った蒼と金色の瞳が印象的な男がオレの顔をのぞき込んでいた。
「…ここは…?」
「君が墓地で倒れているのを見つけてね。取りあえず息はあったし安全な場所まで移動させたのさ。大丈夫かい?どこか痛むところはあるかい?」
いや、痛いに決まってるだろ。
こっちはざっくり斬られ…あれ?

ドコも痛くない。

え、何で?確かに斬られて血が沢山出てたと思ったのに…。
「…いえ、大丈夫です」
「んー、嘘は良くないな。手を出して」
言われて自分の右手を見ると確かに一体何処で切ったのか、まるで真剣でも握ったようにパックリと開いた傷が出来ていた。
男が手に持っている杖をかざして光ったと思ったら地面から紫色の光の紐がオレの手にまとわりつく。
「うわぁっ」いきなりの事に悲鳴をあげると
「驚かせてごめんね。でもじっとしてて。すぐ治るから」
そう言うと光の紐はオレの傷口へと入り…
「うそ…。」みるみると塞がり傷跡もないくらいに治っちまった。

気装術以外にこんな事ができる技ってあるもんなんだな。
「これでよし。あ、そうそう。付き添いの子も心配してたみたいだよ?」
付き添い?
ふと、顔を横に向けるとそこにはアイナーに半ば強制的に武器として使われていた少女、キリエが居た。彼女は袖を掴んだまま、こっちをジッと見つめてる。
良かった…無事だったんだ。
ほっと胸をなで下ろすとまた一つ疑問が…。
「なぁ、アイナーを見なかったかっ!?」
そう、本来あるべき傷をつけた男。
あいつはどうしたんだ?
まさかこの人が…。
「アイナー…?いや、僕があの場所に来たときにはモンスターの死骸が転がっているだけだったよ」
まさか、あの状態でどこかに行ったって言うんじゃないよな。
「それにしてもビックリしたよ。まさかあんな所に人が居るなんて思っても見なかったからね」
「…何であんたはあんな所へ?」
「僕はちょっと研究のためにね」と男が意味深に答えると自分の登山用の杖を地面に突いて立ち上がった。

「立てるかい?」そう言いながら手をオレへ差しだした。
その手を掴み立ち上がったけど血を流しすぎたんだろうなぁ、少しふらつく。
「さて、君も動けるようになったことだし。そろそろ行こうか?古都までだったら目的地は同じだし、送っていくよ」
ありがたい。正直な話今のオレは歩くだけが限界だから彼女を連れて行動するのは厳しいと所だ。
ここは好意に甘える事にしよう。
「助かります、ありがとう。オレの名前は…」お辞儀をして礼を言い、自己紹介をしようとしたら、
「アル君だっけ?そしてこっちの娘はキリエちゃん。」
何で知ってるんだ?そんな疑問が顔に出たのだろう。
「キリエちゃんが教えてくれたんだよ」
と少し苦笑いをしながら答えてくれた。
ふとキリエに目をやると彼女はただまっすぐ前を見据え、オレの手を繋ぎながらその小さい足でオレとお兄さんの歩く速さに合わせて何も言わずに歩いていた。

34 スメスメ :2008/05/12(月) 17:19:46 ID:HI613LTco

それにしても、アイナーの奴は何処に消えたんだろうか?
どうしてオレはあの怪我が何事もなかったように無事でいられるんだろうか?

「さて、ここでお別れかな」
気が付くと古都の西大門に着いていたみたいだ。お兄さんはそのまま前に出て振り返り、
「もう、体の方は大丈夫だね?」
「はい、ありがとうございました」と改めて深く頭を下げて礼を言うと
「そんなに大したことはしてないよ。それじゃあ僕はこれで失礼するよ」
そう言って古都の広い街並みの中に溶け込んでいった。

さて、問題はオレの手を握っているこの小さな手の持ち主。
この娘の今後をどうするか…?普通は古都の孤児院とかに事情を話せば身の振り方を考えてくれるかもしれないけどコレまでの事情が事情だ。
いっその事アイツに相談するか?

などと容量の少ない頭をフル回転させて考えあぐねていたら…

「おなかすいた…」
呟いた声の主はキリエだった。

…な〜んか色々考えてるのがどうでもよくなったなっ!
「腹減ったのか?」改めて聞くとキリエはただ頷く。
「よっしゃ、今から飯を食いに行くかっ!良い場所知ってるぜ」
そう言ってオレとキリエは再び歩き出した。
ーそうだよ、小難しく考えたって仕方がない。
今は取り敢えず前を見よう。

昇っていく陽の方向へ向かってただ真っ直ぐに…。

まずはスレ立ておつかれさまです。

はぁい、チャットイベント参加者のスメスメです。
イベント内で♀だと疑問が出て相方に自分の文体や話し方は女の子ッポイかと聞いたら即答で肯定されたスメスメ♂です。

と、言う訳(どう言う訳?)で早速コメント返しです。

68hさん
何というシンクロw
つーかこのネタは投稿ギリギリになって突っ込んだネタなんですけどねぇ。
天上界から何かしらのお告げが来たんでしょうか?

そして僕は出来るだけ本来あるスキルで書きたいんですよね〜。
更に言うなら可能な限り舞台背景もゲームに近付けたいところだったんですがはっきり言って僕の妄想力や構成能力じゃあ無理そうなんで今のような感じになってます。
舞台背景はまたチョコチョコ書いていくつもりなのでその時はよろしくお願いします。

白猫さん
先頭バッターおめです。
クラブ中や食事中に思いつくんですか。
う、羨ましい…。
どうも僕は妄想にふけると手が止まってしまうので『何かをしながら』って言うのが出来ないんですよね。だから妄想するときは一切の行動をしません(また痛い事いってるよ、おい)
あ、因みに僕は妄想するとき、話が膨らみすぎるので話の整形・削除が基本ですね。

之神さん
トリおめですっ!

マンネリは怖いですよねぇ…。
と言うかやはり話にある程度の傾向がでるのはあると思います。
自分の好きな話の展開にしたいですしね♪
でも何より他の作家さんとネタが被るのが一番怖いですね。
なのでビクビクしながら話をまとめるようにしています。
実際に今ある作家さんとある程度似通った歴史背景になっているので必死になって話の辻褄を合わせながら構成中なんです(ノω;)

黒頭巾さん
はい、そこぉ!それは禁句だぞぉ!
秘奥義ですか…。
何か響きがカッコいいが今のままだと内容が『ナンパ術』…
こ、これはマズすぎるっ!
そしてこの元曲はAr…
気のせいだったらすみません><

ではまた次回作でお会いしませう♪

35 ◇68hJrjtY :2008/05/13(火) 05:13:28 ID:eBxhk3.k0
>黒頭巾さん
おぉ、リングやらバースディやら懐かしい。流行(?)だった当時に買い漁ったものの、数回しか読み返してなかったりorz
SFは当時どうもあまり好みのジャンルではなかったというのがあってなかなか読む機会がなかったのですよね。
でもでも、最近はSFも大好きになりましたし今は無節操に何でもかんでも読み漁っています(笑)
歌の方も気になるところですが、なかなかチャットの方に参加できず申し訳ない。スレにはなるべく出現しようとしてはいますが( ´・ω・)
ふぁみたん話のキャラ紹介もありがとうございます!リク話(私のリクじゃないですが(笑))も楽しみにしています。
---
チャットイベント…もう不定期に実施しちゃっていいんじゃないでしょうか(笑)
気が向いた時に行ったら誰か居るみたいな。まあ皆さんもそこまで時間取れる日ばかりではないとは思いますが…。
もし企画してイベント化するなら個人的には前回参加できなかった人たちに是非来てもらいたいとかはあります。


>スメスメさん
アルとアイナーの馴れ初め話。
登場していきなりあの姿あの狂気っぷりでしたからね、信念に燃えていた頃のアイナー君の姿がとても眩しい。
「自分よりも強い狩り場で戦い続けて目に見えるスピードで強くなっていった」っていうのは私も体験あります(ノ∀`)
低レベル秘密で友達になった人にどんどんレベルが引き離されていくあの悲しさは言葉では言い表せないというか(苦笑)
アイナーがあの姿になってしまったその原因かまたは遠因と思われる「秘術」と「石」というのは。キリエの方も気になります。
続きお待ちしています!

36 黒頭巾 :2008/05/13(火) 17:54:31 ID:fou9k2gM0
>スメスメさん
Σ禁句ですか、すいません!
そして、奥義なのにナンパ術とは…凄そうなナンパ術ですな。
どんなだろうwktk!
元曲、ソレで合ってます…お好きな方には怒られそうですがガクガク(((((゚д゚;)))))ブルブル

昔の出会いキタ―(・∀・)―ッ!!
うぅ、蟲って装備揃ってない1stや2nd時代には適正ではキツかった想い出。
蟲秘密で出会ったコと今でも付き合いがあったりして勝手に共感してしまいました。
無事に生き残ったコトはよかったですが、あの後一体何があったのか…謎は深まるばかり!
モニタの前で正座しながら続きお待ちしております(ノ∀`*)ペチン


>68hさん
かの作品は私も当時一度読んだだけです(ノ∀`)ペチン
流行っていたから、ではなく…趣味の合った友人が面白いよ、と言ったからでしたが(´ー`)
乱読は昔からの得意技でした…食べ物の趣味とは違い、わりと何でも美味しく頂けマス。

チャットイベントは不定期でも勿論イイと思うのですが、ソレだと中々お時間取れない方や前回参加出来なかった参加希望者さんにはキツイかなぁと。
突発的にやりながらも、公式にこの日ってのも決めて集まれれば…お時間ない方の一つの目安にならないかなぁと思った次第です。
言うだけじゃアレなので、時間出来たら張ってみます(*´∀`)ウフフ
私は新鯖に篭ってるだけなので、夜ならGvとかと重ならなければわりと時間を取ろうと思えば取れるのですよね(ノ∀`)アチャー



…では、いけめんさん話を。


【何となく】ふぁみりあいーえっくすシリーズ【目次】

・ばれんたいんでー
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1200393277.html#322

・ほわいとでー
http://jbbs.livedoor.jp/game/19634/storage/1200393277.html#619 〜 同スレ621

・きゃら紹介
>>29

37 黒頭巾 :2008/05/13(火) 17:55:50 ID:fou9k2gM0
僕はふぁみりあいーえっくす。
僕のごしゅじんさまがどんなに素敵な人かってのは……文字数の関係上、過去ろぐ参照で!
今日はそんなごしゅじんさまと一緒に、ぎるどほーるに来てる。
所属ぎるどは、ぎるどほーるれべるいち。
ほーるのすぺっく、庭なし木造一戸建て。
窓がないからじめじめするけど、広さは十分。
木造なのに酔っ払ったいけめんさんが悪戯にめておをどーんって落としても大丈夫なんだよ!
そんな頑丈なぎるどほーるでも……かびさんにかもされたら困るから、ごしゅじんさまは風雨切ってるけど。
今日は頑張って集めた水の元素をぎるど石像に換えっこする日。
ぎるど石像ってね、ぎるどほーるの後ろの方にある、古代の神様のおっきな石像のこと。
欠片や結晶体を集めると、ものくろな唯の石像に綺麗な色がついてご利益があるんだって。
水の石像の一番の目玉は攻速あっぷ!
Gめんの貴重な壁剣士って種類のはんらさんが「コレでフレ一個上がるぞぉぉぉ」とかはしゃいでたけど、ふれって何だろう……お友達のことかな?
「ちょっと早く来すぎたかなぁ……マスターしかいないね」
ごしゅじんさまの言葉通り、ぎるどほーるにいたのはほーるの主の一人だけ。
その一人は、机に突っ伏して泡をぶくぶく噴いてるいけめんさん。
ごしゅじんさま曰く、明け方まで狩りをしてたらしいいけめんさんは酷くお疲れのご様子。
硬い木の机の上、両手を枕にして幸せそうにすーすーと寝てた。
「マスター、皆集まるまでに起きるかなぁ」
いけめんさんの向かいに座ったごしゅじんさまが、頬杖をついて苦笑する。
無理みたいだよ、ごしゅじんさま。
だって、てれぽーたー前には見慣れたお友達の姿。

「……やっほー!皆揃うの久しぶりじゃない?」
入口で手をぶんぶん振ってるのは、今日も元気なおじょうさま。
豪華などれすも何のその……ぱたぱた駆けてくる姿は優雅と言うよりお転婆姫。
僕ともよく遊んでくれるんだよ!
おじょうさまの後ろから歩いてくるのは、げぼくさんを従えたないすばでぃーなおねぇさま。
やぁ、げぼくさん…お久しぶり!
右手をあげて挨拶した僕に応える様に、げぼくさんはかたかた揺れた。
おねぇさまはね…怒らせたら恐いのは内緒内緒!
そんなおねぇさまのないすなばでぃーから目を逸らしながら歩いて来るのは、はんらさん。
しまーを回すのが大好きな壁剣士さん……今じゃ絶滅危惧種ってゆって特別保護区が作られるとか作られないとかって話もあるらしい。
今も無意味に僕に盾を飛ばしてるのはきっと職業病。
僕に合わせてみにまむさいずになった盾がくるくる回る姿に、実は可愛いもの好きなごきぶりさんが嬉々とした目を向けた。
お名前の由来は、かさかさごそごそと罠を仕掛ける姿がごきぶりみたいだからなんだって。
僕はごきぶりって見たことないけど、ごしゅじんさまは黒い悪魔だって言ってたから……きっと目の前にいるごきぶりさんも強いんだろうなぁ!
しまーに負けじと、まっするさんが僕に光のご加護と硬い鎧をかけてくれた。
一見減った様に見えるえっちぴーばーを見て反射的に治療をかけたごしゅじんさまと一瞬になって、ふるひーりんぐで回復競争だ。
いつもならここでいけめんさんからもあすひや支援が飛んでくるんだけど、生憎すやすや夢の中。
そんな幸せそうないけめんさんの髪の毛をみつあみにしだしたのは、おどりこさん。
くるくる槍を回して戦場を駆ける姿はまるで踊ってるみたいに綺麗なんだよ!
これで、ぎるどめんばー勢揃い。
揃ったからには話題になるのはやっぱり……。

38 黒頭巾 :2008/05/13(火) 17:57:36 ID:fou9k2gM0
「……で、コレ如何する?」
これ、と呼ばれたのはやっぱり只今幸せ真っ只中のいけめんさんで。
普段は凄くいい人のいけめんさん、一度寝ると中々起きないのが玉に瑕。
ごきぶりさんが、困ったなぁと頬を掻いて提案する。
「……姐さん、いつものアレやっちゃって下さい」
「わかったわ……久々にマスターの美形な顔が苦痛に歪むのを見れるのね……うふふ」
ないすばでぃーなおねぇさまが、恍惚の笑みを浮かべて腰を振ると……そこには、もこもこしたお洋服のお人形さんみたいなねくらさんの姿!
ねくらさんは頭の青い炎で机を焼かない様に注意しながら隣の椅子に攀じ登ると、いけめんさんの耳元に大きなお手々を当ててぼそぼそ囁き始めた。
「nonameが一匹、nonameが二匹、nonameが三匹……」
途端に、幸せそうだったいけめんさんが苦悶の表情を浮かべる。
「姐御の悪夢、流石だな……」
あまりの即効性に、はんらさんが真っ青な顔で呟いた。
周りの皆も頷くしか出来ない。
「nonameが六匹、nonameが七匹、nonameが……」
「や、やめてくれ……」
ずっとねくらさんのたーん。
可哀想ないけめんさんはがたがた震えだした。
「nonameが十匹……」
やめて、ねくらさん……いけめんさんのらいふはもう0よ!
「せめて召喚獣とバラして……ごふっ」
……いけめんさんは力尽きた。

その後、まっするさんのりざで生き返ったいけめんさんは、ばつが悪そうに謝ってた。
皆は少し弄った後で床に円座で座って、集めた元素の出し合いっこ。
「私は98個!」
「おっしゃ、俺104個だから勝った!」
「ふ、甘い……僕は123個も集まったぞ」
「支援BISには2個が限界でした……申し訳ない」
「仕方ないよ、気にしないで……それより、頑張って2個も出してくれたのが凄いよ!」
「そうそう、ありがとう!」
和気藹々と交換して、次々に出来る200個のせっと。
「これ、一箇所ずつならもっと早く作れたんじゃ……」
はんらさん、それは言わないお約束!
「皆が思ったより頑張ったから、嬉しい誤算……だね」
そうそう、そういうこと!
元素の山が3つになったところで、皆の目線はまだ何も出してないいけめんさんへと。
いけめんさんは俯いたまま、懐に手を入れた。
「ふはははは、聞いて驚くがいい愚民共……私は386個だ!」
……いけめんさんが壊れた。
やっぱりまだ悪夢のだめーじから復活してないのかな。
「ええぇぇぇ」
「嘘だろぉぉぉ!?」
「まだ寝ぼけてるんじゃないの?」
「まぁ、冗談は口調だけなんですがね」
皆信じてなかった様だけど、いけめんさんが机の上に出したのは確かに2せっと弱。
いけめんさんは珍しくはっちゃけてみた口調に突っ込んで貰えなかったことにしょぼりしながら、驚き顔のめんばーに説明する。
「明け方のソロ狩り中に、ぽろっとカザヤン出ちゃったから。
 ソレを売ったお金を元手に……300個程さくっと買ってしまいました」
この人、さらりと凄いこと言った!
「運無振りなのにリアルラックだけはいいよな、お前……」
若干運振りのごきぶりさんがお部屋の隅でいじけだしたのも……仕方ないと思う。

39 黒頭巾 :2008/05/13(火) 17:59:55 ID:fou9k2gM0
結局、皆で持ち寄った元素は全部で5せっと+あるふぁになった。
転送員さんに古都に送って貰って、皆で向かった先は古都南東の製鉄所。
ぎるどめんばーだけじゃなくて、僕にも白い大きな羽をくれるいけめんさんの優しさが大好きだ。
本人は「癖みたいなものだけどね」って笑うけど。
いけめんさんがでっぷりびーる腹のおじさんに元素を渡して、石像と交換してもらった。
その瞬間、遠く離れてる筈のぎるどほーるの石像がれべるあっぷするんだから凄いよね。
このおじさんも魔法使いさんなのかなぁ。
そんなことを考えてる間に、五回終わったみたい。
「ファミちゃん、帰るよー」
ぎるどほーるの不思議な時計を振るごしゅじんさまの言葉に、僕は慌てて駆け寄った。

次の瞬間、僕はぎるどほーるにいた。
ごしゅじんさまの後ろを追いかけて、ぎるど石像に近寄ると。
「……緑、ですね」
「ああ……緑、だな」
思わず固まった皆の目線を独り占めしてる変なとんがった石像は……思う存分、緑一色だった。
「石像ってカラフルなんじゃなかったでしたっけ……」
「だよな……あーあ、勿体ねー。麻雀なら役なのに!」
「ソコなの!?」
皆ちょっとがっかりしたみたいだけど、すぐに和気藹々とねたにして。
完成した石像の前で皆で並んで記念撮影!
かめらも見えないけど、お空の上から撮れるんだって。
魔法って便利だなぁ。
かめらを操作してたらしいいけめんさんが、振り向いてこう言った。
「SSは後でGブログにあげとくよ」
……お写真貰えるぶろぐさんって誰だろう?

その後、こつこつと完成していった他の石像は……からふるで綺麗だったのを、ちゃんと追記しとくね。



…いけめんさん話ってより、Gメンさん話になったのは仕様です。
いけめんさんのキャラ壊れてて、ごめんなさい…書いてた時眠かったんです(ノ∀`)(そんな)

40 名無しさん :2008/05/13(火) 21:33:01 ID:UHEVc6Cs0
上げようね^^;

41 ◇68hJrjtY :2008/05/13(火) 21:49:36 ID:eBxhk3.k0
>黒頭巾さん
いけめんさんの別人格(?)、そしてギルメンのみんなのワイワイ話。楽しかったです。
最初は短編と仰っていたこのお話もなんだかだんだん長編化の兆しが!
しかし、こうしてキャラが増えてくると色々勝手な妄想が始まってしまいます(ノ∀`*)
ふぁみたんの呼び名がまたなんとも言えず分かりやすい…ごきぶりさんって言ったら本人怒るのかなぁ(笑)
いけめんさんのいろんな素顔が見えてもやっぱりいけめんさんはやさしくてカッコいいのさっ!とふぁみたん調に。
次回作お待ちしています。
---
お時間あるのですか、ではもう黒頭巾さんがチャット幹事ということで!(待
やっぱり企画にした方が良いでしょうね…ただ前スレ以来まったく顔を見せてくれないFATさんが個人的に心配。ブログにコメしまくっちゃったしなぁ(;´Д`A

42 ◇68hJrjtY :2008/05/13(火) 21:53:36 ID:eBxhk3.k0
●○●○●○●○●○●○●○ というわけでチャットイベント企画第二弾 ●○●○●○●○●○●○●○●

またまた企画させてもらいます!

とりあえず第二回チャットイベは第一回で参加できなかった人の参加を優先にしたいと思いますので
希望日をもう少し長い期間で尋ねてみようかと思います(ある程度出揃えばもちろんOKなのですが)。
というわけで希望日などなど、ありましたら小説UPの傍らにちょこっと書いてもらえたら嬉しいです〜。
もちろんROM専さんの参加もお待ちしています。前回は3名のROM専さんがいらしたので嬉しい限りでした!

ちなみに前回は4/26(土)の夜19時からの開始でした。終了時間は例によって不明となっています(笑)

チャットルームURLはやたらにまるごとを貼り付けるのもアレなので、前スレの881を参照して下さい。
また前スレの955には白猫さんによるチャットの心得もあります。まだ読んでない人などは併せてお読み下さい。

43 白猫 :2008/05/14(水) 22:56:04 ID:HQcswubo0
Puppet―歌姫と絡繰人形―


第一章〜第五章及び番外編もくじ 5冊目>>992
第六章〜第十八章もくじ 6冊目>>924
第十九章 -愛しき君への言葉 迫り来るもう一つの敵- >>5-16



第二十章 激戦の、一歩手前








太陽の日も届かない、地下深くの大迷宮。
 「ッ退けえ!!」
襲い来る狼の胸を爆砕し、ネルは前方にグングニルを放つ。
ガギャン、と見事壁に突き刺さったグングニルは、一瞬後に[爆風]を発動――前方の壁一面を吹き飛ばした。
標的を失ったグングニルが地面に落ちる前に掴んだネルは、目の前に空いた巨大な穴からさらに前進する。
 「ブリッジヘッドにこんな地下があるとは、驚きます」
壁の向こうにいたシーフ達を瞬時に薙ぎ払い、辺りを見回して溜息を吐く。
その後をゆるりと前進していた覆面男は、その無茶苦茶な破壊力に息を呑む。
此処、団長クレリアが発見し、数年前からアジトとして機能している地下道――ブリッジヘッド地下迷宮。
長さは数キロにも渡るこの地下迷宮の最深部に、クレリアがいるはずである。
だが、最深部へ行くには無数の魔物達の攻撃をかいくぐり、進まなければならない。
普段はこの大迷宮を通る必要はない。だが"数千人のシーフ達の探知をかいくぐってクレリアの元へ行く"には、この方法しかないのだ。
作戦の内容はこうだ。

   《戦闘換算レベル450を超える魔物達の群れを抜け、クレリアの元へと行く。
    集団戦闘、個人戦闘、広い場所、閉鎖空間、どちらでも圧倒的な破壊力を誇るネルが先頭を走り、まっすぐ進む》

これだけ。
その[まっすぐ]に嫌な予感を覚えた男は、自分の予感が的中してしまったことを呪う。
ネルは文字通り、壁や階段を無視し[まっすぐ]進んでる。グングニルの破壊力に任せ、全てを破壊しながら進み続けていた。
ルフィエとマイはネルと一定の間隔を保ちながら進んでいる。彼女たちもある程度気配を察知できるので、やられる前に逃げることは可能だろう。
……だが、ネルは本当にムチャクチャな戦い方をしている。
敵は全てモリネルタワーのそれを超える凶暴な魔物達ばかり。並の冒険者なら魔物と遭遇した地点で殺されてしまっているだろう。
だが、ネルはグングニル一本で数十の魔物達を薙ぎ倒してゆく。迷宮に入ってから、まだ一撃ももらっていない。
加えてその体力。
迷宮に入り込んで早一時間。その間彼はずっと、先のペースで驀進を続けている。
彼なら[ドラゴン]も一人で倒せるのではないか、と男は思わず呟いた。
 「覆面、後どれくらいまっすぐ進めば良いのですか」
 「……後、30メートルといったところか」
いつの間にか自分の呼び名は覆面になったらしい。確かに特徴らしい特徴といえばこの覆面とツンツンした髪の毛ぐらいだが……
 (もう少しネーミングセンスというものを――む)
と、その前方。
 「……扉?」
今まで扉だろうと壁だろうと爆砕して進み続けていたネルが、そこでふと立ち止まった。
全長5mほどの、巨大な巨大な扉。
錆びた鉄のような色をしているあたり、かなり古い時代のものに見えるが――
 「地下迷宮にこんなものが……? 無駄に大きいですね」
 「どうしたのネルくん――うわ、でか」
 「ふむ、かなり古い扉だな」
ようやく追い付いてきたルフィエとマイが、ネルの両脇で立ち止まる。
二人とも目立った外傷はない。まぁ、ネルが前方であれほど爆音を鳴らしながら進んでいたのだから、当たり前と言えば当たり前。
その二人を少しだけ見やり、男は扉に触れる。
……冷たい。だが、特に罠の気配もない。
 「罠の気配はないです。行きましょう」

44 白猫 :2008/05/14(水) 22:56:26 ID:HQcswubo0


 (――よし、来い)
その扉の向こう側、巨大な砲台を構えていた男が薄ら笑いを浮かべる。
自分の位置は扉と2mほどしか離れていない。この、近距離からの砲撃。
幽霊鎧すらも一撃で打倒す威力の砲台である。これほど至近距離で放たれれば、まず間違いなく致命傷を負う。
 (扉を開けた瞬間が、お前らの死ぬときだ――)

   ――ゴッ!!!

ネルは鋭い左まわし蹴りで、その扉を蹴破る。
とてつもない重量のはずの扉が、ネルの蹴りによりバガンと淵ごと外れ、倒れる。
 「へっ!?」
突如傾いてくる扉に、砲台を構えた男が目を見開く。
慌てて逃げようとするが、安全ベルトによって砲台と繋がれており、動かない。
 「――――――!!!」

物凄い音量と土煙と共に、厚さ20センチほどの扉は見事向こう側に倒れた。
見れば、ネルの蹴った部分が凹んでいる。なんというムチャクチャなキック力だろう。
と、
 「……どうやら向こう側に、伏兵がいたようです」
真っ先に扉を飛び越えたネルは、扉と床のわずかな隙間を覗き、言う。
ぇ、と立ち止まったルフィエとは対照的に、やっぱりかとマイは苦笑する。
 「通常の罠ではなく伏兵を仕掛けていたということか。しかし扉の下敷きとは可哀想に」
ええ、と冷や汗をかくルフィエの横を通り過ぎ、男は溜息を吐く。
 「随分と長い回廊だ――主の元へ繋がっていそうだな」
 「こんな場所に一人だけ配置していた……ということは、かなりの実力者だったわけですか?」
 「そんな奴が扉に押し潰されるか? 普通」
 「…………」
なんとも後味の悪い勝ち方に、ルフィエは小さく溜息を吐いた。

45 白猫 :2008/05/14(水) 22:56:47 ID:HQcswubo0



 「…………」
ヴァリオルド邸、第二武器庫。
ほぼ毎日此処に入り浸っているカリンは、目の前の剣にグクリと唾を飲み込む。

   [哀咽剣]

間違いない。
遥か古代に打たれ、現代まで誰一人として扱うことのできなかった呪われた剣。
血と嘆きにより汚れた刀身は、まるでカリンの心を映すように、黒く煌いていた。
 (これだけ大量に剣があるんだ、一本くらい無くなっても――)
そう思いかけたカリンは、しかしブルブルと顔を振ってその思いを断ち切る。
が。
 「…………」
少しだけ。
少しだけなら、大丈夫。
そう心中で思い、カリンは哀咽剣に手を伸ばす。
 「カリンお姉ちゃん?」
 「!」
剣まであと数センチ、というところで、後ろからメアリーの顔をかけられる。
その方向を見やり、物凄い形相でメアリーを睨む。
が、メアリーは首をかしげ、カリンの横へ歩く。
 「きれいな剣だね、カリンお姉ちゃん」
 「……きれい?」
メアリーの言葉に、カリンは剣へと視線を戻す。
哀咽剣は真っ黒に穢れているように見える。目を細めて凝視しても、お世辞にも[きれい]とは言えなかった。
 「カリンお姉ちゃんとおんなじ、黒くてつやつやしてる」
 「……!」
その言葉に、カリンは目を見開いた。

   "カリンと同じ"。

 「…………フン」
鼻で笑い、カリンは上げていた手をゆっくりと降ろす。
なんだか気分が削がれてしまったカリンは、踵を返して倉庫から出て行ってしまう。
それを見たメアリーは、慌ててカリンの後を追う。
 「カリンお姉ちゃん、待ってよー」
 「うるさい、付いて来るなチビ」






アリアン、傭兵ギルド。
 「だ―――――――――――ッッッ!!!!!!!」
ガシャーン、と机をひっくり返し、蒼髪のランサー……アーティが椅子から立ち上がった。
机の上に乗っていた無数の書類、羽ペン、インク、ついでにコーヒーカップが辺りに散らばり、やかましい音を立てる。
イライラした様子で部屋の端に立てかけてあった槍を掴み、窓の額縁に手をかける。
 「アーティはん、何処行くねん?」
 「…………」
その後ろ姿を呼び止めたカリアスは、部屋中に散らばっていた書類だか紙屑だかを見やり溜息を吐く。
手に持っていた書類の山を棚に置き、アーティへ詰め寄る。
 「一人だけ逃げようなんて虫のええこと考えてへんやんなー?」
 「……書類多い。無理。死ぬ。書類死する」
 「書類死て何やねん書類死て。まだ半分も終わってへんねんから、頼むから暴れんといて下さい」
 「……フッ、甘いわっ!!」
カリアスの言葉に、アーティは手に持ったランスを旋回させる。
途端に巻き起こる旋風に、カリアスは「げ」と一歩下がった。

   「『 シャベリンテンペストォッ!! 』」



 「ててっ……」
地面に突っ伏し、立ち上がったカリアスは痛む体で辺りを見回す。
先に持ってきた書類諸共、部屋中は紙屑で無茶苦茶な状態になっている。室内で嵐なんて起こればそうなっても不思議ではない。
そしてやっぱり、アーティの姿はどこかに消えてしまっていた。
 「……これで何回目の脱走やねん」
お転婆にも程があるアーティの行動に、カリアスはゆっくりと溜息を吐いた。
ちなみに、アーティはまだ怪我人である。

46 白猫 :2008/05/14(水) 22:57:11 ID:HQcswubo0



ブリッジヘッド地下迷宮に突入してから、早二時間。
 「だーかーらー! 絶対右のボタンですって!!」
 「いーや違うな! 絶対左のボタンだこれは!!」
ようやくクレリアの部屋の前まで到着した四人は、最後の最後で奇妙な仕掛けに足止めを食っていた。
目の前にはクレリアの部屋へと続く扉。
表面が焦げているのは、最初にネルが[爆風]で破壊しようとした跡。
いや、グングニルどころか、マイの[唄]で上乗せされたルフィエの[スーパーノヴァ]や覆面男の持っていた手榴弾数発、ネルの超人的な破壊力の攻撃を持ってすら、この扉は破れなかった。
戻る道はない。扉に攻撃を加えた途端、背後の扉にロックがかかってしまった。
背後の扉も前方の扉と同じことを行ったが、結果は散々である。

そして、扉横にある2つのボタン。

そこにはかわいらしい文字で「どっちかを押すと扉が開いて、どっちかを押すと死にます☆」と書かれている。
それを見るや否や右のボタンを押そうとしたネルを引きとめ、今しょーもない口論が起こっていた。
 「僕はこういう二択は得意なんです! いいから黙って右のボタンを押させなさいっ!!」
 「信用ならんなお前は! そもそも出口が閉まったのはお前が攻撃を加えたせいだろう!!」
 「それはそれです! そもそもこの中だと僕が一番運がいい!!」
 「スターライトを使えば私の方が上だッ!! そこを退けえッ!!」
ネルがボタンを押そうとすればその手をはたき、
マイがボタンを押そうとすればその手を蹴り上げ、
ボタンをけり押そうとすればその足に光弾を投げつけ、
その隙にボタンを押そうとすればその眼前にグングニルが突き刺さる。
なんだか徐々に危険な空気になっている。

部屋の端っこで体育座りをしていたルフィエは、溜息を吐いて空中に絵を描く。
右側に「右」、左側に「左」と書き、中央に区切りの縦線をシャッと走らせる。
 「ど、ち、ら、に、し、よ、う、か、な、て、ん、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り」
右左右左と交互に指すルフィエは、首を傾げながら言い続ける。
 「か、き、の、た、ね、ちゅっちゅくちゅーのちゅ、ちゅ、ちゅ」
ピタリ、と止まった指は、左を指した。
 「決まりー! 左を押そう!」

   「「ルフィエうっさい!!」」

ネルはともかく、左を押すと言っていたマイにまで怒鳴られルフィエはむすっとする。
再び体育座りで地面に座り込み、今度は地面に光の線を描いていく。
 「右に倒れたら右。左に倒れたら左ね……」
スターワンドを地面に立て、えい!と手を離す。
パタリ、と倒れたワンドが指す方は、右。
 「決まりー! やっぱり右押そう!!」

   「「どっちだよ!!!」」

覆面男は寝てる。

 「………………………………………………………」
異様に長い沈黙の中、クレリアはイライラしながら目の前の扉を睨む。
その扉の向こうにはネル達がいるはず――というか、いる。
先からやかましい声が聞こえてくる。このときほど、扉に防音設備を整えなかったことを後悔した。
実のところ、ボタンはどちらを押しても即、天井が落ちるという仕組みになっている。
要するにボタンさえ押してくれれば、彼らはお陀仏なわけだが――

 「だーかーらー! こういうのは僕に任せればいいんですよっ!!」
 「ええい! うっさい、四の五の言わずに私に押させろっっ!!」
 「ねージャンケンで決めようよ〜」
 「「うっさい!!」」

 「……いつ終わるんだこいつらのコレは」

47 白猫 :2008/05/14(水) 22:57:39 ID:HQcswubo0



十分後。

 「……もうこうなったら、ボタンを押さずに扉をぶち抜くしかないようですね」
 (何故そうなる!?)
(ノヴァが体に数発炸裂した跡のある)ネルの殺気立った声に、クレリアは目を見開く。
慌てて扉から離れようとするが、しかし思い出す。
この扉はミスリル合金製。さらに防護魔法を数十加えることで、無双の防御力を誇る。
いくら攻撃力が高い武器を使おうとも、この扉は破れない。
 「ルフィエ、女神を」
 「うん」
ネルに頷きかけ、(とばっちりで火傷した)ルフィエはスターワンドを鋭く払う。
途端にネルを包み込む、金色の光。
それを目を細めて見やり、(全身ズタボロな)マイは端のほうで寝ていた(やっぱりというか無傷の)覆面男を蹴起こした。
 「……どちらを押すか決めたのか?」
 「いいや。扉をぶち抜くことにした」
 「…………」
絶句する覆面男を引きずりながら、部屋の奥へと下がった。

白く煌くグングニルを肩に番え、ネルは両足の間隔をさらに開く。
腰を低く落とし、右手に込められるだけの力を込めた。
 「ッスゥ――――」
肺いっぱいに息を吸い込み、小さく吐く。
右手の甲に埋め込まれたエリクシル、その輝きを見やり、ネルは少しだけ微笑んだ。
 (おまえの力が必要だ、エリクシル)
その紅に煌く宝石の中、
無限とも思える膨大な魔力の渦。その中から、一握りの魔力を取り出し、燃やす。
この扉をぶち抜くには、単なる[槍の力]だけでは足りない。
唯一無二の[破壊神の槍]たる、その力を極限にまで引き出す。
それが、必要不可欠なのだ。
 「……エリクシル、[第三段階]」

ネルの呟きと同時、

ネルの体を紅色の炎が覆い尽くし、その全身を紅色に彩る。
その光景を目を細めて見やったルフィエは、胸の十字架を握り締め、心中で呟く。
 (どうして、なの)
徐々に形作られていく全身鎧や[深紅衣]、巨大な仮面にルフィエは顔を俯かせる。

   怖い。

そう思ってしまった。ネルのことを見て。
それほどの魔力が、部屋全体を渦巻き、包み込んでいた。
以前見た[第三段階]とは違う――なにかが。
と、
 「――!!」
ネルの髪の色が、染め上げられてゆく。
見惚れてしまうほど美しい、紅色へと。
いつの日か見た――[第四段階]のときと同じだ。
 〈ルフィエ、[断罪者]にはならぬよう〉
 (分かってる)
むかつく胃を抑え、ルフィエは深呼吸をする。
最初は早く、徐々にゆっくりと。
ようやく落ち着いた後、ルフィエはネルの姿を見やる。
ネルの左側に立っているルフィエは、その仮面のせいで顔を見ることができない。
だが、彼がどんな顔をしているか――それは、簡単に分かった。
 「ルフィエ、信じてて」
その言葉で、分かった。
 「僕が、護るから――君を」
 「……うん」


 「――アアアァアアアアアアッッッッ!!!!!」
体中に溜めた力を、一気に解放する。
右手に番えた槍に全神経を注ぎ、右足をさらに深く、左足をさらに強く踏み込んだ。
 「――『 破(トライ)、槍(デント)ッ!! 』」
そして、グングニルが放たれた。
ルフィエの力たる金、ネルの力たる紅、グングニルの力たる白の混ざりあった、魔力と共に。

凄まじい勢いで、ほぼ零距離から放たれた槍は、

とてつもない音と共に、前方の扉をぶち抜いた。

48 白猫 :2008/05/14(水) 22:58:03 ID:HQcswubo0




 「……ひゃー。私たちがあれだけやっても壊れなかった扉を、ああも易々と壊すか」
言葉と裏腹に、マイはやけに嬉しそうである。
そのマイと対象に、覆面男はぐったりとした顔で目の前、扉の縁ごと消滅し、ポッカリと空いた穴を見やる。
 「ネルくん、やったね」
 〈見事です。この短期間で[破槍]まで覚えてしまいましたか。やはり貴方はワルキュ――〉
 「ほら、いいからさっさと先に進みますよ」
向こうの部屋、すぐ傍の床に突き刺さっていたグングニルを引き抜き、ネルは辺りを見回す。
シーフギルドの団長が使う部屋――にしては、特に何も置かれていない。
唯一目に入るのは、部屋の奥に置かれた肘掛椅子、そしてその後ろに飾られた、ヴァリオルドのタペストリー。
ご丁寧にも逆さまに飾り、真っ二つに裂かれている。最も、ヴァリオルドを憎む者は少なくない。こんなもの、今まで捨てるほど見てきたが。
それよりも、今はクレリアがどこにいるか――
 ([先制攻撃]で探知できる範囲内にいない――!?)
扉を破る前までは、奇妙な気配を感じていた。
この上なく忌々しく、そしてどこか懐かしい気配――クレリアの気配。
[先制攻撃]の範囲から瞬時に離脱することなど有り得るはずがない。
 「――覆面! 奴はポータルスフィアを所持しているのですか!?」
ポータルスフィア。
瞬時に大陸間を移動できるほどの魔力を込めた宝玉。
さらに持主の運字体を上昇させることもできるが、この宝玉一つで家が5つは立つため好き好んで買おうとする者は少ない。
だが、自分がグングニルから意識を離した一瞬――[先制攻撃]が解除された一瞬――の間に、クレリアの気配が消えた。
 「それはない。第一、この地下迷宮でそんな物は使えん」
 「……僕以上の速度で移動はない、スフィアが使用不可能、となると――」
そう呟き、ネルは己の足元を見やった。

そこに刻まれている、血で描かれたような赤の線。
その線は部屋の床いっぱいに続き、まるで何かを描いたかのような――
 「――マイ! "これ"、解読できますか!?」
 「ん」
ネルの言葉に、マイは部屋の中へゆっくりと入る。
目を細めてその線を眺め、
 「ああ、分かった」
 「早っ」
即答した。
ルフィエの呟きに苦笑し、マイはネルを通り過ぎて部屋の中央に立つ。
 「これはエナジーフィールド――平たく言えば魔方陣だな」
 「マホージン――て何ですか?」
首をかしげてルフィエの方を見やるが、ルフィエも首を横に振る。
まぁ無理もない。と肩を落としたマイは、部屋の奥の肘掛椅子に腰かけた。
 「魔方陣は簡単に言えば――魔力の"場"みたいなものだ」
 「場――範囲のようなものですか?」
ネルの冒険者、武術家としては至極真っ当な答えに、マイはしかし目を閉じる。
 「似て非なるものだ。"それが影響を及ぼすことのできる場"が範囲ならば、魔方陣の"場"は「魔力そのものが影響を及ぼすことができる場」だ」
 「…………?」
どうにもマイの言い回しは難しい。ネルはその半分も理解できない。
かろうじて理解できたらしいルフィエも、こめかみに指を置いてうーんと唸っている。
覆面男は鼾をかき始めてる。どこででも寝れるのかこの人は。
 「魔方陣はその場の魔力を自動的に起動する力を持っている。まぁ、例えばの話――」

49 白猫 :2008/05/14(水) 22:58:27 ID:HQcswubo0

@わかりやすい(?)マイ先生の魔方陣講座@

マ:仮に、私とネル公が戦ったとする。神器の使用は不可とするぞ。

ネ:100パー僕の圧勝ですね。

マ:やかましい。……でだ。私とネルが15mの距離を空けて立っていたとする。私の射程は10m、ネル公の射程を5mと仮定するぞ。

 :このとき、双方の攻撃は相手には届かない。攻撃範囲の中に相手がいないからだ。これは理解できるな?

ネ:ええ、まぁ……。

ル:だいたいは、ね……。

マ:だが私が一歩も動かなくても、ネル公に攻撃を当てる方法がある。それが[魔方陣]だ。

 :魔方陣はいわば"即席の神器"だ。魔方陣を描き、そこに魔力を込めるだけで、魔方陣は自動的に発動する。

ネ:具体的にどうなるんですか?

マ:魔方陣は、その形と描かれるルーン文字によって効果は異なる。地雷のように中に入った者を攻撃することも、逆に回復することも可能。

 :さらに、術者の魔力を増強させることも減衰させることも思いのまま――分かったか?

ル:術者を強くできちゃうんだ――どれくらいの効果があるの?

マ:効果は式が高度なものであればあるほど増す。私の魔方陣はそうだな、精々70%といったところか?

ネ:術の威力も射程も七割増……おっそろしいですね、魔方陣。

マ:ま、実際の戦闘で魔方陣なんぞ使えんがな。書く時間ないし。

 :だがやろうと思えば衣服に魔方陣を描いておくことくらいわけない。実際、私も背中に魔方陣のタトゥーを入れてるからな。



   :要するに私の圧勝だ、ハッハッハッハ!!!

ネ:………………。

ル:(絶対これが言いたかっただけだ……)

@わかりやすい(?)マイ先生の魔方陣講座でした!@

50 白猫 :2008/05/14(水) 22:58:53 ID:HQcswubo0


 「で、魔方陣のことは分かりましたから……問題は、これが何の魔方陣かってことです」
 「ああ、これ。私がず――――――――っと前に……修業時代お遊びで書いた魔方陣だ。瞬移の」
ネルの言葉に、思い出したようにマイが頷く。
うんうん、と何度も首を縦に振るマイを見、ネルはそうですか――と頷きかけて、

止まった。

 「……………………瞬、移?」
 「……瞬間、移動?」
 「テレポートのことか?」
三者三様の反応に、マイは頭をガリガリと掻いて笑う。
 「あー、そ。テレポート。これなら魔力さえあれば、フランテル中どっこにでも飛べるだろうな。ハッハッハ。若い頃の私の才能が憎いなー!」
が、
ドズン、とネルの足が、一歩部屋の奥へと踏み出される。
コンクリートで固められているはずの床にネルの足が埋まり、マイはビクッとする。
全身からまさに憤怒のオーラを撒き散らすネルは、ゆっくりとマイに微笑みかける。
 「要、する、に。あなたが書いたこの魔方陣がいつの間にかクレリアの手に渡って、いつの間にかシーフギルド内で使われるようになって、いつの間にかクレリアはこれで逃げ出したってことですかねぇ? マイ?」
 「あー……いや、えーっと……」

   「往生せいや―――――――ッッッッ!!!!!」
   「勘弁しろ―――――――ッッッ!!?」







十五分後。

 「なんで最初から後を追えるって言わなかったんですか」
グングニルを煤だらけの床から引き抜き、ネルは溜息を吐く。
その目の前、小声で「若干チビッた……」と震えるマイは、慌てて立ちあがって涙目で怒鳴る。
 「言う前に襲いかかってきただろうがッッ!!!」
 「そうでしたっけね? いいから早くやってください」
抜け抜けと言うネルを睨み、マイはブーツで床を二度、カンカンと叩く。
途端、抉れたり盛り上がったりしていた床が平らに均され、赤色の文様――魔方陣が再生する。
 「"逆転魔法"で行き先を特定する」
 「逆転魔法くらいなら、私が――」
 「いい」
ルフィエの言葉を遮り、マイは魔方陣を撫で、笑う。
 「あなたには、大仕事があるだろう?」
 「…………?」
微笑んだマイに首を傾げ、しかしルフィエは黙ったままその姿を見やる。
しばらく魔方陣に手を当て黙っていたマイは、やがて立ち上がり、言った。
 「古都ブルンネンシュティングへ繋がっていたようだな」
 「…………!」
その言葉に目を見開いたネルは、しかし頷く。
クレリアは十中八九ヴァリオルド邸だ。一体、何を考えている。
 「この魔方陣、今すぐ起動できますか」
 「できる。――が、生憎と私の魔力では"ふたり"が限界だ」
 「ふた、り――」
 「そう。ネル公と小娘の二人」
心配そうに俯くルフィエに微笑み、その背中をぐいと押す。
 「ほら、さっさと行ってこい」
微笑むマイを首を傾げて見やりルフィエは、しかしとりあえずその指示に従う。
ネルとルフィエ、二人が魔方陣の中に入ったのを見、マイはゆっくりとしゃがみ込み、両手を魔法陣に当てた。
そして、一瞬。

音もなく、その場からネルとルフィエの姿が掻き消えた。



FIN...

51 白猫 :2008/05/14(水) 22:59:15 ID:HQcswubo0
おまけの番外編


 ガチでバトル、しようぜ!



古都襲撃事件後の、オアシス都市アリアン。
多忙を極めた四月も終わりに差し掛かり、ようやくネルはアリアンの傭兵ギルドをルフィエ、カリアス、アーティ、カリン、アネットと共に出た。
 「傷を癒す暇なくこれはキッツいわー……」
肩を回しながら、うんざりとしたようにアーティは言う。
それもそうだ。ベッドから起きた途端に仕事が用意され、養生などろくにしていない。
傷そのものは塞がってしまっているが、それでも傷に障るものは障る。
その点なんにもやっていないアネットとカリンは、抜け抜けと感想を漏らす。
 「アリアン傭兵ギルドも大したことないわねぇ」
 「どいつもこいつも、弛んでいる……」
その二人の感想に、同じく何もやっていないルフィエがクスリと笑う。
 「私たちも今月は修行どころじゃなかったから、弛みまくりじゃないかな」
そのルフィエの言葉に、しかしネルは目を細める。
 「……僕は鍛錬は欠かしてませんが?」
 「え」
 「オレもや。瞑想は日課やからな」
 「え?」
 「修行サボってたの、ルフィエだけじゃない?」
 「えっ!?」
あわわと手を振るルフィエに笑い、しかしネルは言う。

言ってはいけない言葉を。

   「でも、ルフィエの実力はこの中でも抜きん出ていますからね」



しばらくの、沈黙。
最初に口を開いたのは、カリンだった。
 「……聞き捨てならんな。最強は私に決まっている」
その言葉に目を細めたのは、カリアスだった。
 「はぁ? 何言うとんねん、最強はオレかアーティはんやろ」
その声に剣を握ったのは、アネットだった。
 「それは違うわね……ちいちゃな坊やが、私に勝てると思ってるのかしら?」
最後に油を注いだのは、ルフィエだった。
 「いちばん強いの、ネルくんだと思うけど……」

その後、数分の議論の末に「実際にやり合おうじゃねえか」みたいな物騒な提案がされたのは言うまでもない。

52 白猫 :2008/05/14(水) 23:00:36 ID:HQcswubo0

①ネリエルvs②ルフィエvs③カリアスvs④アーティvs⑤カリンvs⑥アネット。

厳正な(くじbうわなにをするやめ(ry)審査の結果、以下の対戦表となった。

第一回戦 カリアス vs アネット

第二回戦 ルフィエ vs ネリエル

第三回戦 アーティ vs カリン

準決勝 一回戦勝者 vs 二回戦勝者

決勝戦 準決勝勝者 vs 三回戦勝者

 「……アーティはんと黒騎士、せこないか?」
 「運も実力のうちよ」
 「そういうことだ」


・ルール・
どちらかが気絶するか、負けを認めるか、反則を犯すかするまで続けられる。
反則
  相手(男)の急所(大事なところ)を攻撃する。
  アイテムを使用する。
  その他審判が反則と判断するような行為を行う。


第一回戦

古都の守護神、フランテル最速の冒険者
[白の魔術師]カリアス=ハイローム

vs

ヴァリオルド家長女、[月影団]首領
[紅豹]アネット=ライラ



試合開始。






 「んじゃま――!?」
速攻でヘイストを発動しようとしたカリアスの眼前、

既にアネットは、軽快なステップでカリアスに向けて剣を突き出していた。
 「ッ!?」
術の詠唱を中断し、カリアスはその突きを咄嗟に避ける。
バックステップで距離を取り、再び詠唱しようと息を吸う。
が。
アネットはその合間にもさらに前進、長剣とは思えない速度でその剣を払う。
それを杖で受け止め、カリアスはようやくその場に踏み止まった。
ギリギリと杖越しに感じる、アネットの凄まじい腕力。
この細い腕から、一体どうすればここまで強い力を出せるのだろう。
 「フフ――直接手合わせするのは初めてかしら。だけど、そんな小賢しい杖じゃ私は倒せない」
小賢しい杖、というアネットの言葉に、カリアスの目付きが変わった。
この杖は普段の[通常戦闘用の杖]ではない。正真正銘、[対人外用の杖]である。
つまり、カリアスの最も愛用する杖。
アーティやカリアスのように、一流の冒険者は自らの武器には少なからず愛着がある。
それを侮辱されるということは、自らを侮辱されたに等しい。
 「――小賢しいか、見せたるやんけ……『 フレイム・ストーム 』」
と、カリアスとアネットの間。
僅かに空いていた隙間で、炎の球が凝縮される。
 「!」
それを目ではなく肌で感じたアネットは、咄嗟に足に黒い靄を纏わせ、跳んだ。
一度の跳躍で、しかも前屈という体勢から一瞬で数メートルの高さまで。
一瞬遅れて、カリアスの胸の辺りから凄まじい勢いで炎の塊が吐き出された。
反応が遅れていたら、恐らく火傷では済まない威力。
その炎を見やり、アネットは小さく首を傾げる。
 (……モーションが無い?)

53 白猫 :2008/05/14(水) 23:00:59 ID:HQcswubo0
自分は剣で、確実にカリアスを仕留める為に杖を封じていた――はずである。
だがカリアスはそれにも関わらず、フレイムストーム"ともう一つの術"を発動した。
通常なら有り得ない速度。一度目の呪文は詠唱すら聞こえなかった。
 「……凄いわね、カリアス=ハイローム。モーションがない上、ヘイストは詠唱もなし?」
空中から、いつの間にかエンチャントと水の壁を纏ったカリアスへと笑いかける。
相対するカリアスは、小さく呪文を呟き[リビテイト]を発動する。やはり、モーションは無い。
これでは相手にブロックさせようとも杖を破壊しようとも、やすやすと術を発動される。
 (んっとに厄介)
戦いは激化すればするほど、"相手の術をどう防ぐか"ではなく"相手の術をどう発動させないか"というところに重きが置かれる。
一撃決まれば致命傷という威力を持つ術がほとんどなのだ。発動させないことで、相手を倒すしかない。
だが、カリアスは違う。
カリアスの攻撃は、"どこからが攻撃でどこからが技なのか"分からない。
しかも通常の攻撃も半端ではなく速いと聞く。まともに戦い続けても、体力を消耗するだけ。
ダラダラと長く続けるのも趣味ではない。
 「ッスゥ――」
上空で息を吸い、肺いっぱいに空気を送る。
準備術は必要ない。空には巨大な満月が輝いている。
両手で剣を掴み、地面のカリアスに怒鳴りかける。
 「本ッ気の一撃でケリをつけてあげる……防御も回避も不可能なこの術、受けてみなさい」
 「…………」
アネットの言葉にではなく、構えにカリアスは杖を握り直す。
彼女の構え。あれは間違いなく奥義[月光斬]の構えだ。
アーティにあの術の特性はよく聞かされている。彼女自身も、あの術で深手を負ったことがあるという。
その一撃が今、自分へ向けられる。
逃げようとは思わない。逃げられない術であるかどうかは関係がない。
ここで逃げれば、自分は試合に勝とうとも、勝った気分にはなれない。
 「……相手の奥義を跳ね返してこそ、完全勝利やな」
そう言い、カリアスは両手で杖を握る。
己の魔力を全て集め、あの術へぶつけるのだ。

 「『 ――月光斬ッ!! 』」
 「『 ウォーター、キャノン――!! 』」

金色の煌きを見、カリアスは誤算をした。
一つ。ウォーターキャノンを出すタイミングが、僅かに速過ぎた。
これでは失速し、威力が乗りきらない。
二つ。[月光斬]の攻撃範囲が、思ったより広い。
ウォーターキャノンを槍のように放ってしまい、これでは相殺できな――




 「ってことで、勝者アネット=ライラ〜」
 「うっせうっせ!!」
 「ま、当然ね」
特大の[月光斬]を喰らい、半アフロ状態になったカリアスを見、ビッショビショになったアネットが得意げに笑う。
やはりカリアスのウォーターキャノンは、[月光斬]を相殺できなかった。
だが槍のように中央に集めた水の怒涛が、アネットを飲み込み服を濡らしてしまったわけだが。
だが、とりあえず水と閃光では威力がそれこそ桁で違った。
見事に[月光斬]でカリアスを下し、アネット=ライラが準決勝へと進む。


つづけ。

54 白猫 :2008/05/14(水) 23:01:20 ID:HQcswubo0
おまけのさらにおまけ




999字小説


それは種。
それは一人の女の子が埋めた種。
戦で滅びてしまった古都の跡地に埋められた種。
世界は海で繋がり、魔法も廃れ、科学の先行した時代の種。
それを、少女は古都の、小さな塔の近くに埋めた。
この辺りに、草木は一本も生えていない。
度重なる戦で腐敗した土に、生命は宿ることはできなかった。
それでも少女は、種を埋めた。
いつか大きな花が咲く――そう願い、そう信じ、少女は埋めた。

少女は毎日水をやった。
水は吸収されず、黒く薄汚れた水溜りとなって残ってしまった。
それでも少女は、毎日水をやった。
人が腐敗した土に触れ続ければどうなってしまうか分からなかったというのに。
それでも少女はずっとずっと、水をやり続けた。


やがて時が経ち、少女は女になっていた。
若い男と野を巡り山を越え、旅をする最中。
女はふと、十年前のあの跡地を思い出した。花は咲いているだろうか?
いや、咲いているはずがない。あの地は腐敗し、草木一本生えることはなくなってしまっていたのだから。
だが興味は湧いた。もしもあの種が芽を出し――花を咲かせていたら。
きっと再び、あの地に活気が戻るだろう。
そう思い立った女は、男を説き伏せ、あの跡地へと向かった。

だがやはり、そこには花どころか、芽すら出ていなかった。
やはりそんなものなのか…と女は諦め、そこを後にした。


やがて時が経ち、女は老婆になっていた。
あの時の男と結ばれ、子宝に恵まれ、決して裕福ではなかったが、幸せな家庭を築いた。
そしてあの時の男が死に、一人身となった老婆は、唐突に種のことを思い出した。
 (そうだ――あの時の種を見に行こう)
そう思い立った老婆は、すぐ跡地へと向かった。
だが、花は咲いていなかった。
あのときの跡地のままの姿だけが、残されていた。
草木一本生えない。ということは、やはり正しいのだろうか。
そう諦めかけた老婆は、しかし考えた。今からでも遅くはない、もう一度、水をやってみよう。
老婆は跡地の近くに小屋を建て、毎日種に水をやった。


やがて老婆はこの世を去った。
それから数百年後、跡地の腐敗した土もいつしか太陽に焼かれ雨風に打たれ、その毒素も抜け切った。

そんなある日、一人の旅人がこの跡地へとやってきた。
その旅人が、真っ先に見たもの。


それは、古都の跡地でただ一つ咲く、小さな小さな美しい花だった。

55 白猫 :2008/05/14(水) 23:01:43 ID:HQcswubo0

---
どうも、ご無沙汰しております、白猫です。
今回は嵐一歩手前仕様となっております。20章で完結という目標は無理でしたので、25章完結を狙おうと思います(コラ
今回は半分くらいユルーいお話で構成されています。白猫のおふざけです。

>之神さん
おほめの言葉ありがとうございます、ANDラストバッターお疲れ様でございます。
…��
すみません、いつもの癖でやっちまいましたorz
今度からゴールドを心がけますorz

>名無し(68h)さん
ありがとうございます。本命は999番だったのですが、まぁ結果オーライというやつです笑
前回の手法は「過去」視点で書くので臨場感に欠けるのですが、諸々の事情であの手法へ。
次から次へとポロポロ謎が出てきますが、最終章になんとかまとめようと思います。
最終章でもまとめられないものは次回まで引っ張ろうと思います(ぇ
これからどんどん物語が暗くなっていくかと思いますが、どうか最後まで眺めてやってください。
---
GW、人がいっぱいであんまり楽しめませんでした…orz
テスト期間にもうすぐ突入してしまうため、またIN時間が……。

第二回チャットイベ。
私の予定は「午後八時以降」のみです。平日だろうと休祝日だろうとINはできますが、部活の関係上8時以前は厳しいです。
参加ができれば、楽しみにしています〜!



>黒頭巾さん
クレリアの設定を考えている時に「兄貴とか面白くね?」と思いついただけなのです(オイ
クレリア編をまだ引き延ばす私。さあお言いなさい、「おばかさん」t(ry

ということで、最終章まで出ないカリアスを。勝たせるつもりだったんだけど、気付いたから負けてました。てh(殴
私はRSを始めた時、ウィザードは絶対に眼鏡キャラだと思っていました。キャラ選択の画面を見てがっかりしたのは言う間瀬もありませんorz
---
若干壊れかけのいけめんさn……いけめんっちが楽しくて楽しくて……(コラ
私も一度BISでファミにブレスを回したことがあるのですが、
あれ名前がついてても難しいものなんですよね……どこまでかけたっけ、あれ?ということが多々……orz
次回は何だろう……ギルドネタ続きでGv編? 時事ネタならそろそろ梅雨……ともあれ、続きを楽しみにしていますね。




さて最近、次回作を真剣に考えています。
一応ネタは3つ上がっており、その内2つは短編仕様なので全部やろうとは考えていますが……。
①フランテルの東、架空の海[スバイン海]を舞台とする海賊のお話
②声の出ない少女と記憶を失った少年の、ビルスを舞台とする小さなお話
③[ルヴィラィの内乱]後の古都を舞台とする、二人の魔術師の冒険記

この1,2,3は一応番号順に執筆を開始しています。
二番についてはもう話の筋は完成していますので、このまま突っ切ろうと思っております。


では今回はこの辺で失礼します。
白猫の提供でお送りしました。

56 ◇68hJrjtY :2008/05/15(木) 00:04:51 ID:q4tF/sLE0
>白猫さん
いつもなら書き手さんの小説が2、3個ほどUPされてからレスするようにしている私ですが(スレ消費抑止)…
前回仰っていた999文字小説までUPされてる(*´д`*) てなわけでレスしちゃいます(笑)

Puppet20章。今回は(前回もちょこっと)コメディ仕様といいますか、なるほど嵐の前の静けさを醸し出していますね。
今までの展開が展開だけにほのぼのシーンの連発にはこっちも頬が緩みっぱなしでした。覆面さん、何気に気に入りました(笑)
悪く言えば無駄足で終わってしまいそうになりつつも、ブリジ編はマイやクレリアといった新キャラでありつつネルたちにも深い繋がりがあるキャラが総出ですね。
そして一方その頃では無いですが不気味な剣を見つけたカリンと脱走したアーティ…彼女たちもまた騒動に関与してきそうな雰囲気。
またもヴァリオルド邸が戦闘の舞台になってしまうのでしょうか。続きお待ちしています。

そしてガチバトル編(笑)
チャットイベで話した天下○武道会風味な、白猫さん十八番の戦闘シーンが堪能できるイイ番外編ですね(´¬`*)
反則の①に吹きつつもさっそくカリアスvsアネット。こんな風にお互いの実力が逼迫している戦いはホント、面白いです。
最後の決め手も「速すぎた」ウォーターキャノンのせいでカリアスの敗北という意外な展開。
しかし、普段の生活ぶりからではなく戦闘によってキャラの性格が垣間見えてくるというのもある意味不思議な気分です。
次のマッチはルフィエvsネルですか…全力全開で戦ったら果たしてどちらが!楽しみにしています。

そしてそして999文字小説。
RS舞台というよりも普通の短編小説として読んでも良い、どこか悲しくてホロリと来るけど素敵な話ですね。
ひとりの女の子が成長して老婆になるという流れがたったこれだけの中で語られるのも儚いというか。
女の子と一緒に成長はできなかったけれど、彼女が死んだ後にしっかり芽を出して花を咲かせた種。
きっとそのうち大きな花畑になるだろうなあと想像しながら読ませていただきました!
999文字という制限内での小説、ありがとうございました。この七冊目ラストでも是非!(笑)

57 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/15(木) 10:14:22 ID:BnQc0o7w0
最新スレなのでキャラ紹介も入れておかないと;;;
これから登場予定のキャラもちょびっと出してみたり・・・・・


+ミリアン・ウォン…性別:女 年齢:14 職業:ビーストテイマー
エルベルグ山脈北東部に暮らす,とあるロマの村の出身。好奇心旺盛で人懐っこく,甘えん坊でちょっと泣き虫。
まだまだ精神は幼いが純粋で心優しい女の子である。その反面,生まれた村の習慣により(*後述)武術を会得。
スタイルは東洋が発祥とされている「八極拳」なる拳法をベースとした打撃主体の格闘術を得意としている。
もちろんビーストテイマーとしての腕も高く,春風のような優しい笛の音色はペットたちを勇気付けてくれる。
ペットとしてファミリアexとエルフ戦士zinを飼っていて,彼女と彼らの仲の良さはとてもイイ。
仲間からは「ミリア」と呼ばれている。一人称は「ミリア」,口癖は「うにゅ〜」「やぅ〜」

+ラティナ・シノノメ(本名:東雲あやね)…性別:女 年齢:18 職業:ランサー
はるか東に存在する異国である,とある島国の出身。明るく優しい性格だが,多少頑固で融通の利かないところも。
正義感は人一倍強く,犯罪を見るとすぐに追跡してすぐに解決。古都治安維持局から授与された勲章や賞状は数知れず・・・
それが成せるのも彼女の驚異的なフットワークの軽さと機動力のおかげで,かつて在籍していたギルドでの戦闘において
ダメージを負わずに単独で勝利してしまうほど。仲間のトレスヴァントとは紆余曲折もあったが晴れて恋人同士に。
彼の前では大胆にデレデレするくらいにトレスヴァントが大好き。一人称は「わたし」

+トレスヴァント・ヘンリケス…性別:男 年齢:19 職業:戦士
港湾都市ブリッジヘッドのスラム街出身。気さくで一直線な性格,鋼のマッチョボディを有する。
腕力は1tの鉄塊を片手で持ち上げれるほどに強力,そのおかげで重量のある大剣もナイフのように軽々と振り回せる。
全身のしなやかな筋肉のおかげで運動能力は超人レベルなのだが・・・いかんせん,勉強だけは苦手らしい。
少年時代の学校の成績は体育以外オール1という悲惨さ,なのに魔法の扱いは人並みという不思議。
ラティナ(あやね)とは相思相愛のバカップル。彼女に何かあろうものなら鬼のような形相で飛んでくる・・・
一人称は「俺」。

+エディ・ヘンリケス…性別:男 年齢:19 職業:シーフ
トレスヴァントとは双子の兄弟。おちゃらけた軽い性格のお調子者で,何かとジョークをとばしてくる。
だが戦闘となれば冷徹な性格に豹変。爆薬に地雷,有刺鉄線といったえげつない罠を駆使して血祭りにあげる。
しかし相手に死を与えるのだけは忌避するらしく,致命傷を与える程度で済ませている。他にも武術を使えるのだが
流派は珍しいことに,旧世界の格闘技「カポエイラ」を使う。あまりにトリッキーな足技が多いため,過去のギルドウォーでも
彼にダメージを与えられずに蹴り飛ばされた者も多い。小柄だがイケメンなので隠れ女性ファンが非常に多い。
一人称は「オレっち」

+バーソロミュー・サヴェスティーロ…性別:男 年齢:21 職業:ウィザード
魔法都市スマグの出身。同都市において5本指に数えられる名家,「サヴェスティーロ・ファミリー」の元御曹司。
一家はかつては普通の財閥だったのだが,バーソロミューの父が麻薬に手を染めたことで裏ではマフィアの顔も持つように。
彼の母親は悪に染まり行く夫に愛想を尽かして離婚,バーソロミューは父親に虐待を受けて育つこととなる・・・
20才を迎えた日に,彼は叔父やその年に知り合ったエディと手を組み父親を暗殺することに成功,ファミリーを
解散させた。性格は温厚で丁寧口調だが,怒らせると非常に恐い。闇の元素も扱える程に魔法を使うのが上手い。
あとエロに関しては小学生レベル。一瞬見ただけでも顔を赤くして憤慨する。一人称は「僕」。

+フィナーア・ウォン…性別:女 年齢:22 職業:ビーストテイマー スリーサイズ:B96:W59:H88
ミリアの姉,おそらく本スレ唯一のセクシー担当。性格はかなり陽気でハイテンション,そしてエッチ大好きで露出狂。
基本的に下着はハイレグでTバックのものじゃないと身に着けない。「お尻にキュッって食い込むのがたまらないの♪」とのこと。
古都を裸で走り回ったり大通りで人目を気にせず逆レイプを敢行したりと,治安維持局のブラックリストに載ることばかりしてきた。
過去に100回以上も牢屋に入れられた経験があるが,驚異の身体能力とエロ技で何度も脱獄に成功している記録保持者でもある。
一方,レスリングを基軸とした格闘スタイルで数々の武騰大会を制覇,さらには数え切れない程のマフィアなども叩き潰してきた。
ペットは上級者向けとも言われるリプリートマーキzinや原始人zin。一人称は「アタシ」,口癖は「いやぁ〜ん☆」

58 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/15(木) 11:08:56 ID:BnQc0o7w0
+ミカエル・ウォン…性別:男 年齢:19 職業:サマナー
ミリアの兄でフィナーアの弟,次男。性格はエディの軽さにトレスヴァントの気さくさを混ぜて2で割ったような好青年。
身長は180cm以上という大柄な体格で,トレスヴァントほどではないが筋肉質。銀色のミディアムヘアに程よく焼けた小麦色の肌。
両腕には炎を象ったトライバル調の刺青が彫られており,彼の生い立ちと関係している。どういうわけだか天使が使うような
移動能力などが扱えるがその理由はいずれ描写ということで。他にも炎の扱いに関しては大陸一を誇る,炎に愛された申し子。
精鋭の炎熱系の術者のみが集う実力派ギルド「SOL86(ソル・エイティーシックス)」の総長で『熾炎のミカエル』の異名を持つ。
ケルビーを相棒に世界各地を旅してきた冒険野郎でもあり,東の島国に行ったこともある。一人称は「オレ」。

+ニーナ・ガブリエル…性別:女 年齢:17 職業:サマナー/天使
ミリアやフィナーア,ミカエルと同じロマの村の出身。10年前にガディウス砂漠の地下遺跡にてレイスの猛攻に遭い重体に。
意識を失っている間,7年近くザッカルに保護(ただし彼女の能力を悪用するために)されていたが,残る3年を海の神殿の深層水の中で
過ごしてきた。彼女の家系は地上に追放された四大天使の一人,ガブリエルのものである。一族の女性は彼女の力を代々受け継いで
子孫を残してきた。ニーナも例に漏れずガブリエルの天使としての能力を受け継いでおり,水を使った魔法は一級品であり美しい。
水の神獣であるマーマンやスウェルファーと交流が深く,彼らもまたガブリエルの残した一族の子孫たちを支えてきた。
性格は明るいがドジっ娘。ここぞという時に失敗することがあるのがネック。一人称は「わたし」。

+ミゲル・ヘンリケス…性別:男 年齢:21 職業:シーフ
トレスヴァント,エディら双子の兄。10年前に砂漠の地下遺跡にて恋人のニーナを失い(しかし彼女は生きていた)自暴自棄に。
後に出会ったザッカルに「俺の下で働く代わりに彼女を蘇生させてやろう」と条件を出され承諾,最初は成果を挙げていたが
時が経つに連れて彼女の命と殺してきた者の命の重さの間で葛藤を繰り返し,性格も不安定になってきていた。
エルフの村の襲撃においてエディと死闘を繰り広げるが,そこに現れたニーナによって10年前の彼に戻っていった。
ザッカルの下で働いていた頃は傲岸不遜な性格だったが,ニーナが戻ってきたことで弟思いの優しい性格になった。
一人称は「俺」,ナイフを駆使した暗殺術を得意としている。成功率は非常に高い,生来の殺し屋。

+ジャック・"ルシフェル"・ロウ…性別:男 年齢:42(実際は数千年も生きたと思われる) 職業:ビショップ/セラフィム
天上界での天使たちの分裂によって地上に追放された,神に次ぐ実力を持つ大天使。不老不死である。
地上で出会った悪魔の女性,マリアと恋に落ちて結婚,子供も作る。人間時はビショップとして活動しており
アウグスタの教会では司祭も勤めている。10年前にニーナの回復が遅れたことを自責していたが,しがらみを断って天使として
能力を久しく開放した。大陸が公認している魔法以外にも,すでに廃れたとされる古代魔法も扱えるほどの魔力を有する。
性格は親父らしくエロくてパッパラパ〜だが,いざという時は威厳あふれる言動を見せるいい親父。一人称は「俺」。

+マリア・"アシュタロト"・ロウ…性別:女 年齢:32(実際は数千年以上) 職業:ファッションモデル/悪魔
天界と魔界の軋轢を嫌い,地上へと出てきた悪魔の一人。悪魔らしからぬ心優しさを持つ,グラマラスな女性。
普段は成人女性のファッション誌で巻頭を飾るほどの人気モデル,女優として活躍している。冒険の際は悪魔の姿で
魔界の生物や妖艶な歌唱力を駆使して敵を惑わす戦法を取る。夫のルシフェルの浮気性には手を焼いてはいるものの
実際はお互いを真面目に愛し合っている良き夫婦。でもやっぱり夫が他の女性に鼻を伸ばせばワームでお仕置き。
鞭でビシバシ責めまくる。ちょっとSなところもあるが,いじめは嫌う性質。一人称は「私」

+エレナ・クレモンティーネ…性別:女 年齢:18 職業:リトルウィッチ
ビガプールの大富豪,クレモンティーネ家の出身。幼い頃より英才教育を受けて育ってきたため,自身はこの世のトップと思い込んでいる。
だがラティナに出会ったことでその考えも変わりつつある。高飛車で自己中心的,典型的なお嬢様口調で話す生粋のお嬢様。
現在トラン森周辺でエレナとバトル中,決着は近い・・・一人称は「わたくし」。

59 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/15(木) 11:58:53 ID:BnQc0o7w0
<!>Here comes new characters<!>

+?????…性別:女 年齢:23 職業:ランサー/???
デフヒルズに住む少数狩猟部族「ラフュア族」出身の娘。6年前のザッカルによるデフヒルズ大量虐殺事件によって
ラフュアの部族はほぼ全滅,彼女だけが生き残る。狩りの腕前は非常に高く,人間離れしたバネから生まれるスピードは驚異的。
風に乗るような高速移動でホースキラーを片手に敵を瞬殺する様から「銀の鷹(シルバーホーク)」の異名を持つ。
フレンドリーで家族思いの優しい性格だが,家族や友達を侮辱するものには決して容赦しない程,家族愛が非常に強い女性。
褐色の肌に銀髪のポニーテールをなびかせ,部族の衣装(さらしと褌の様なもの)そして両腕に翼を象った刺青があるのが特徴。
ラティナがかつて所属していた,女性のみが構成する狩猟ギルド「アマゾネス」の酋長(こう呼ばれるのが好きらしい)でもある。
一人称は「わたし」,ギルドを離脱したラティナを妹のように今でも愛している。イメージはネイティブ・アメリカンみたいな感じ。

+?????…性別:男 年齢:44 職業:デザイナー/ウィザード/???
スマグ出身,人気高級ブランド「Espirito(エスピリト)」のデザイナーであり,とある天使の生まれ変わり。
生まれつき盲目なのだが,石や鉱物を通じて思念を伝える能力を持っており,それらを「大地の子供」と呼び,愛する。
彼が作るブランドの主なフォーマットは眼鏡やサングラス。光の元素と地の元素の扱いにおいて右に出るものがいなく
色覚異常や失明した者の視力を回復させるために,ハノブの鉄鉱山から金属を取り寄せ,独自の技術で加工している。
地の元素を注入し作られたフレームはダイヤモンド以上の硬度を誇る頑丈な設計で,信頼する顧客も多い。
バーソロミューの叔父であり,彼の兄でバーソロミューの父の暗殺を計画,成功させた。サヴェスティーロの名を捨てて
今は別のファミリーネームを名乗っている。一人称は「私」,とても穏やかな人だ。

っと,本編はまた随時アップしたいです;;

>スメスメさん
序盤の突っ込みまくりなテンションがイイ(・∀・)!
それに剣士さんのおバカだけども熱い性格がなかなか,GJですb
話の流れもスムーズで読み易い・・参考にしたいです;;

>黒頭巾さん
なんかこう,「フル○ウス」みたいなホームドラマのような笑いが描けるのが羨ましいですw
悪夢喰らって吐血して瀕死になるイケメンさんがツボだったり・・・・さらに面白いネタが出そうで期待です^^
ふぁみりあいーえっくすの語りも何だかほのぼの〜な感じで癒されます。

>白猫さん
あらゆる描写が神レベル・・・((((;゚Д゚))))
戦闘もスリルがあって心理描写ものめり込みやすくて,もうスゴいとしか;;;;
自分はぶつ切りなストーリー描写しかできないので勉強になります。

60 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/15(木) 12:11:06 ID:BnQc0o7w0
パラリラ+*゚ヽ(゚∀゚)ノ゚*+パラリラ
企画提案〜!!「作者間ギルド・ウォー コラボレーション」とかいかがでしょうか?
各作者様の作品に登場するギルド同士でバトってみたらどうなるんだろうと考えてしまって・・・
チャットとかで色々話し合ってやってみたいと思いますがこれいかに,失礼しました〜;;;

61 名無しさん :2008/05/16(金) 15:36:05 ID:4vFDtYh.0
はじめまして。
前スレを読んでどうしてもコメしたかったので・・・

>黒頭巾さん(前スレ990、993〜994)
も、もしかして某曲というのはSHですか!!

62 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/17(土) 10:59:26 ID:OhTl4zsk0
Episode07:TRIBAL FUNK〜女酋長の乱入〜

トラン森入り口付近のフォーリンロード、そこで繰り広げられている女同士の決闘は白熱している。
「はいやァアァァァァァっ!!!!」青龍偃月刀を豪快に振り回し、怒号と共にラティナの突きが放たれる、しかしエレナも負けじと
回避して、小さな隕石を同時に射出する!!!「(いくら強力な突きでも、小隕石で相殺すれば隙ができるはずっ)いっけぇ―――っ!!!」
隕石がぶつかり爆発が起きた。だがラティナの猛攻はそれしきでは収まらない、槍を縦に構え旋回させながら突撃に移った・・・!!
「手加減しないわよっ、『龍走撃(りゅうそうげき)』っ!!!」地面を強く踏み込んで加速し、ワーリングアサルトを放った!!
だが彼女の突撃がヒットするその刹那、エレナの体が突如消えた・・・そのままラティナが直線状に通過するが、その数メートル後ろに
瞬間移動したのだろうか、エレナの姿があった。「間一髪でしたわ・・・これでも魔術師が使う基礎魔法も覚えていますのよ、お気に召して?」
「ええ、すっごくイイわ・・・強ければ強いほど、わたしは余計に熱くなっちゃうんだからっ!!」力強く微笑むと、再びラティナが踏み込んだ!!
「それはわたくしも同じことでしてよ!!倒せるものなら倒してご覧なさいっ!!ウルトラノヴァっ!!!」エレナがステッキをクルクルと振り回し
3度目の彗星郡を呼び寄せた。朝を迎え終わった青い空から金色に輝く星々が降り注いでくる!!!しかしラティナの顔に勝気な微笑みは残ったまま。
そして彗星は地表に激突し、大音量の爆発音を轟かせながら大地にクレーターを作る・・・だが、そこにラティナが倒れこんだ姿はまったく見られない!
「(また俊足で回避しましたわね・・・一体どこに!?)・・・ハッ!!」背後の気配に気付いて振り向くと、ラティナが既に構えていた・・・!!!
「また同じ突撃ばかりですの!?そんなもの、ムーンウォークで避ければ・・・」「じゃぁ、こんなのはどう?『360°包囲された状態での同時攻撃』は」

「ま・・・まさかっ!!!」数秒後に襲い来る彼女の攻撃が何なのかを理解したエレナに冷や汗が流れる・・・

「東雲流槍舞術、空蝉の極意奥義っ!!!『鴉揚羽(からすあげは)』っ!!!」

エレナの周囲に展開されたラティナの分身8人の突きが、目標に回避する間を与えることなく貫いた・・・

63 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/17(土) 11:18:23 ID:OhTl4zsk0
「きゃぁああぁぁああぁぁぁぁあぁぁっ!!!?!」
攻撃の全段がヒットしたエレナの断末魔が響き渡る・・・彼女はゆっくりと地面に膝を付き
傾くように前のめりに倒れた。やや露出度の高いコスチュームは破れ、腕や太ももに大小それぞれの切り傷が。
かろうじて意識は保っているが、起き上がるのだけは困難なようだ。そこへラティナが歩み寄って、静かに座り込んだ。
「…大丈夫?」「うぅっ…ふふふ、負けましたわ…悔しいっ、悔しいけどっ…後悔はしていませんわ。」
何かから開放されたように微笑むも、涙を流しながら小声でエレナが口を開く・・・ラティナは無言で頷いていた。
「それで…エレナちゃん、どうしてわたしのお父さんが…わたしを連れ戻そうとクエストバーに依頼したの?」
「そうですわね…バーのマスターによれば、彼が依頼したのもあなたとその奇妙な槍を取り戻すためだそうですわ。
 ラティ…いいえ、あやねさん。あなたもしかして家出してきたんじゃなくて?」心配そうな表情でエレナが尋ねる。

「うん…わたしの故郷はこの大陸の遥か東にある島国、この大陸の知識人は『ジパーヌ』って呼んでる島なの。
 そこはとても狭いから、わたし子供の頃からここに来てみたいって思ってたの。だけどお父さんが強く反対してるし
 娘離れもできない人だから、ちょっと反発心もあって・・・ほぇ?どうしたのエレナちゃん?」
上を見上げて口をパクパクと開いているエレナに彼女は尋ねるが・・・何者かの影が二人を覆っていることに気付くと
即座に振り向いて青龍偃月刀を手に構えを取った!!!だが、見覚えのある影の主にラティナ、いや・・・あやねは
動揺と旋律を覚えた・・・影の主は身長2メートル程もあろう巨漢、長く伸びきった黒い髭を携え、異国の衣装に身を包んでいる。

「探したぞあやね・・・さぁ、パパと一緒に帰ろう、なっ?」

野太い声が彼女に向かって投げかけられる・・・・

64 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/17(土) 11:52:51 ID:OhTl4zsk0
「お、お父さんっ!!?!何でこんなところに・・・それにお母さんはどうしてるのよ!?置いてけぼりじゃないでしょうねっ!?」
父親を前にするも強気な態度で、ラティナは父親と思わしき大男に尋ねるが・・・娘の態度に男も声を荒げて対応する。
「くぉら!!パパに向かってその口の聞き方は何だ!!?それに家宝の青龍偃月刀を勝手に持ち出しおってからに!!!
 もう許さんぞぉ〜・・・・嫌でもお前を連れて帰ってやる!!!ほらあやね、早く来なさい!!!」
「やだぁ〜っ!!!わたしもう18歳なのよ!?いつまでも子供扱いしないでよね、このバカ親父っ!!!」
さらに語気を強めてラティナは反発するが、最後の『バカ親父』という発言に大男の堪忍袋の尾が切れた・・・!!!
顔を赤くし、額に青筋を浮かべ・・・さらには空間転移魔法で取り出した槍を手に、ギリギリと歯軋りをしている。
あまりにも恐ろしすぎる形相に、座り込んでいたエレナはラティナの背に隠れて震えていた・・・

「な、おまっ・・・・きぃさぁまぁ〜!!!!!パパに向かってバカ親父だとぉ〜!!!!??!?!?
 頭来たっ!!もうアッタマ来たぞこのバカ娘ぇ!!そのバカ親父の愛の鉄拳でお仕置きじゃ、歯ァ食いしばれよぉ!!?!」
これまた青筋ビッシリな拳骨をぷるぷると震わせて、勢いよく愛娘に振り下ろす大男。ラティナも思わず怯むが
その拳は彼と彼女の間に割って入った者によって止められていた・・・・!!!「むっ!?誰だお前は!!」

その人物は銀色のポニーテールに結わいた美しい長髪に、キャラメル色の褐色肌、バランスのとれたしなやかなボディに
さらしとふんどしのような扇情的で露出度の高い格好。腕には翼の刺青、そしてスラリと細長い手足、手にはホースキラー。
どこかの部族のような出で立ちの女性が男を一睨みしながらラティナたちを振り返り口を開いた・・・
「まったく、あたしの大事なラティナちゃんに何てことするんだィ…ラティナちゃん、それにそこのキャピ子ちゃん、だいじょぶ?」
「(なっ,この人まで・・・)わ、わたくしはエレナっ!!エレナ・クレモンティーネですわっ!!!////////」「あ、メンゴメンゴw」
「ほぇ・・・もも、もしかして、ティエラ…ティエラ・ラファエルさんですか!?」ラティナが驚き混じりの声で尋ねる・・・

「おいっす!!久しぶりだねぇラティナちゃん・・・いや、本名あやねちゃん?まァいいや、無事で何より…お姉さん嬉しいよ。
 ・・・で、そこのデカ親父ィ。愛娘に暴力で説教とは大した根性してるじゃないか、えぇ!?それでも親かコノヤロー!!!」
「貴様ァ・・・黙ってればイケシャァシャァとっ!!!名を名乗れィ!!?!」

「あん?あたしはティエラ、どこぞの砂漠の部族の生まれだよ。そして、おにゃのこいっぱい狩猟ギルド『アマゾネス』の酋長だ、よろしこ!!」
真面目なんだかフザケてるのかわからない、妙に明るい彼女を相手に男は槍を構える・・・ティエラも無言で頷き、ホースキラーを構えた!!!
「ははっ・・・オッサン、あんたわかりやすいわ!!あたしもこういうやり方大好きさ、いくわよっ!!」「東雲流槍舞術師範、東雲燈道…参るっ!!」
突如乱入した部族の女、ティエラとラティナもといあやねの父、燈道のバトルが勃発してしまった・・・・

一方、トラン森の中・・・・
「うぉぉおぉぉおぉぉおぉ、南ってどっちだ!!?!あっちか、あっちだな!?うぉぉおぉぉぉおぉぉ!!!!!」
勢いのまま森の中を延々と走り回っていた・・・・・大丈夫なのだろうか。

to be continued...

65 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/17(土) 11:57:00 ID:OhTl4zsk0
あ、最後のところは「トレスヴァントは」と付け加えてもらえれば;;;
どうも間違いがちでオレ涙目(´;ω;`)

66 ◇68hJrjtY :2008/05/17(土) 13:04:56 ID:LN1SstPI0
>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
やっとラティナ(これからは「あやね」と呼ぶべきだろうか(笑))とエレナの戦いが終わったと思ったら、今度はラティナ父vsティエラ戦…。
しかしこの父もかなりの爆発した性格で…いやいや、娘を思う父の気持ちとしておきましょう(笑)
ワールなどのランサ和名スキルもなかなか凝っていますね。このラティナ父も同じく和・槍使いなのでしょうか…ワクワク。
そしてトレスヴァント迷子ですか(ノ∀`) 21Rさんのアデルや之神さんナザ君もそうですが、剣士戦士って迷子がセットなんだろうか(笑)
ティエラの目的なども気になりながら次回作楽しみにさせていただきます。
---
キャラ紹介ありがとうございました!なにやら今後登場する謎キャラの紹介まで…。
ちゃんと設定作ってるのは流石ですね。個人的にミューたんが虐待されてたとかミカエルがかなり強い人だったとかに驚いてます。
エディは小柄なんですねェ(*´д`*) ミゲルがスロー系でエディが罠+武道と両極端なのも理解できるトコですね。
そして「ギルド・ウォー・コラボ」。参加はできませんが(笑)、是非とも企画して書き手さんたちにやってもらいたいですね。
楽しみにさせてもらいます!

67 感想スメスメ :2008/05/17(土) 13:34:12 ID:ddy6MTJU0

はぁい、小説スレ界でのレギュラーの座を何とか射止めたい感想スメスメです。
PCからこんにちわです。

…いきなり調子こいた事抜かしてすみません!
キングベアーに裸一貫で殴られてきます…。

つー事でコメントいってみましょうか。
黒頭巾さん
ふぁみりあいーえっくす……家に持って帰って良いですか?(マテ

そして『いけめんさん』、壊れちゃった…

だ が そ れ が い い。

つーか悪夢!こんなもの喰らってしまったら僕はべそ掻きまくり呼吸困難になりながら寝てますよ!(でも寝てるw
文章でこんな風にふぁみりあ君を人?となりを表現できるのは羨ましいっす。

白猫さん
ちょ、ネル君特攻野郎!?

だ が そ れ が い い。

扉の反対側で侵入者を砲台とセットで待ち続けるシーフ…。
あのオチをオイシイと思ってしまったのは僕だけでしょうか?
何より全体を通してのノリ。僕にとっては目指したいテンションですので憧れます。
そして番外編次回予定(で良いんだよね?僕の勝手な妄想?)の
ネルvsルフィエ。
ガチでブツカったら相当量の範囲が消し飛ぶと思うんだけど…
これも僕の『気の所為』だよね…ウフフ。

ESCADA a.k.a DIWALIさん
ダメですよ〜w
ちゃんとフィナーアさんの所に『あるく18禁』と追k(うわなにをs…

ラティナsオヤジきたー!!
DIWALIさんの作品はテンポよくてなおかつキャラが若々しく活発に動いていくので心躍らせてもらい。
いつも画面を目の前に半笑いで読ませて貰ってます♪
是非今度のイベントでそのノリのコツを聞かせて貰いますよっ!
企画についても具体的なモノを話し合ってみたいですね。



さてさて、チャットイベントの件ですが。
僕は月・木・土曜意外の夜でしたら何とかなるかと思います。
因みに日曜の20時位でしたら大歓迎ですよ!

68 名無しさん :2008/05/17(土) 23:41:09 ID:4Ec7nyjU0
ageますね^w^

69 姫々 :2008/05/18(日) 01:32:12 ID:VbnAj5DM0
あ、こんばんは。火曜日にうpしようとしたけど読み直すと納得いかなかったので
今日手直ししてました。
◇68hJrjtY>ガッカリする前に言っておくと多分想像とはまったく違う人です^p^
黒頭巾さん>「譲ちゃんは」普通に「嬢ちゃん」の誤字です、まったく気づきませんでした。
そこはかとなく最悪です

ではとりあえず>>23-26から続きます


「お前か?入り口の坊主の装備盗んだってのは。」
 厄介なのに会った・・・。傭兵だろう。武器は大した物を使っているというわけではなさそうだが見た目は
筋骨隆々、使う得物は両手剣。正に絵に書いたような戦士がそこにいた。
 そう言えばスマグに行った時、何故か傭兵団が駐留していた。そこから暇している人物を雇うくらいは簡単だろう。
「ああ、そうさ。それで何か用かい?」
 姉さんには見せたくないが今は幸いな事に姉さんは今ここにいない。
 ならば私は下手に出る必要などはない。
「所詮貴族の道楽だろう?あんなもんはあんなガキが持つべきじゃねえだろ。あたし達が欲しがってる人に
 売ってやろうって言うのさ。これも社会貢献の一貫と思わないかい?」
「けっ‥‥、偽者掴まされたガキがよく言うぜ」
 傭兵が吐き捨てるように言うが模造品というくらい実際に使ってみれば目利きじゃなくても誰でも分かる。
 が、模造品だとしても良くできている、もし模造品として店に売ったとしても数十万ゴールドは堅い。
 それよりも目の前の男との戦闘は避けられないだろう。
 完全に舐められているが、妙な騎士道精神を振りかざしてくる相手よりは様々な意味でずっと戦いやすい。
「はっ、ガキだから何だい?少なくともあたしはお前よりは強いと思うよ?」
「あ?試してみるかガキ」 
 見ただけで強いか弱いか分かるほどの技量は持っていないが、相手が私の手に負えないほど強いなら逃げればいい。
 けれど、この程度の口上に乗ってくるような人間が強いかと聞かれると大抵はそんな事はない。
 とは言え、単純な戦闘能力で言うと強い方だろう、普通傭兵は単独ではあまり行動せずに大抵はギルドの仲間か
同じクエストを請けた同業者と共に仕事をこなす。
 それが一人でいるという事は私を一人で倒す自信はあるのだろう。その自身を後押ししているのは経験か筋力か。
どちらにしても単純な強さでは私より上と見積もって損はしない。
「いいよ。来いよデカブツ」
 舌打ちとともに、目の前の傭兵が自分の得物に手をかける。
 私の得物は刃渡り60cmほどのシャムシール、あれと打ち合うのは正直な所無理だろう、大人の男の力に子供の女が
敵うはずが無いと言う事くらいは理解しているつもりだ。
「お前は抜かないのか?」
 大剣を構えた傭兵が私に尋ねてくる。片手で扱える長剣を使う私に対し、相手は刃渡り1mを越えるであろう
両手剣、まず重量が全然違う。危なくなれば自分の得物はいつでも鞘から抜ける自信がある。
「あらあら、心配してくれているのですか?けれど手加減くらいは必要でしょう?」
 さっきのウィザードの口調を真似して、最後に満面の笑みを送ってみる。
 それと同時、敵の剣戟が振ってきた。
「(短気だなぁ‥‥)」

70 姫々 :2008/05/18(日) 01:35:01 ID:VbnAj5DM0
 横に一歩、その切り返しをバックステップで避ける。
 最小限の動きで避けれたと思う、当たる気がしない。目の前の相手ですらそれは感じ取っただろう。
「弱いね。何で一人でいるの?馬鹿じゃないの?」
 この口調で追いはぎ業を始めてそれなりに経つが随分口が悪くなってしまった気がする。
 家事、特に料理と整理整頓はうまくなっている気がするが剣術やら挑発やらがうまくなっても素直には喜べない。
「はぁ・・・」
 そんな事を考えていると不意に溜息が出てしまった、目の前の傭兵は自分に向けられたものと、
勘違いしたのだろう、洞窟内全体に響き渡るような雄叫びを発しながら切りかかってくる。
 冷静さを失った相手の剣など当たる気がしない。それよりもこれだけ大声が響いているのに誰も来てくれないのは
何故だろう。
 ――いや理由は分かっている、どうせ宴会の真っ只中なのだろう。
 この状況には慣れているつもりだし、それにきっと半分くらいは私を気遣ってくれている気持ちがあるのは分かる。
 だとしてもこれほどの大声を聞き逃すようでは流石に呆れてしまう。
「っと、来いよ。馬鹿でも前に突っ込んでくる位の頭は持ってるんだろ?」
 さて、無駄に挑発しているわけでは無い。先に言った通り、いくら相手が隙だらけといっても腕の長さやら筋力
やらを考えるとこのまま懐に飛び込むのはリスクが大きい。
 では後ろに回ってしまって首筋にでも剣を突きつけてしまえばいいのだが、これも先に言ったように
この洞窟はギリギリ二人がすれ違える位の道幅しかない、そんな道のど真ん中で剣を振り回されると流石に
後ろに回ることは難しい。
 が、実の所さっき姉さんと話していた所は道幅が3倍程度に膨らんでいる。そこなら後ろに回ることは容易だろう。
 もし後ろに回っても抵抗してくるようなら相手の右肩にでも剣を突きたててしまえばいい。
 当分右腕は使えないだろうが無茶しなければまず死にはしない。
「遅いね、本当に傭兵?実はその辺の農夫じゃないの?」
 農夫でもこんな挑発には乗らないだろうが、という言葉は飲み込んだ。
 何故なら背後に人の気配を感じたから。さらに松明に照らされた背後の壁に人影が映ったから。
 後退を弛めてできるだけ左右に避けるように動きを変える。
 背後の曲がり角を曲がるとすぐに目的の地点がある、耳はいいほうと自負している、聞こえた声は二つ。
 一つはまだそこにいたと思われる姉さんのもの。あと一つは場違いなほどに幼い声、きっと姉さんを連れてきた
プリンセスの声だろう。
「‥‥‥」
 舌打ちしたくなる気持ちを押さえ、私の得物を鞘から引き抜く。
 このまま後ろに下がれば間違いなく二人を巻き込んでしまう。
 とは言えプリンセスは大丈夫だろう、何せ逃げるのと隠れるのは私の知る限りどんな人種よりうまい連中だ、
彼女達の変身能力に限界は無く、どんな事があっても最善の姿に変身できる。
 それに殺されても死なないとか言う噂すら聞いたことがある。多少無茶しても何事も無かったかのように
逃げおおせるだろう。
 が、問題は姉さんの方だ、つい数分前まで泣いていた人が召喚獣を操れるだろうか。
 私の出した結論はノー。なら逃げればいいというかもしれないが私の知る限りお世辞にも足が速いとはいえない。
 今はまだ巻き込めない、もう少し時間が欲しい。
 私は真正面に対峙する敵に向かって飛び込んだ。剣を持っているだけでもそれだけで牽制にはなる、今まで後退
に徹していた分前進すればそれだけで相手の歩調が多少緩む。
間合いからさらに内側に入ってしまえば剣の速度も必然的に落ちる、全力で振られた剣でなければ何とか受け流す
ことは出来た。

71 姫々 :2008/05/18(日) 01:37:10 ID:VbnAj5DM0
 洞窟内で剣がぶつかる音が響く。
右手の剣はあくまで攻撃を避けるための補助、まともにぶつけられなくても数センチ相手の剣の軌道を
ずらせばそれだけ後退の歩幅は小さくて済む。
 しかしそれでも数分持つかと言う所だ、それ以上となると姉さんを巻き込まざるを得なくなる。できることなら
あのプリンセスに姉さんを連れて行ってほしい所である。
 ――が、これだけ剣がぶつかる音が響いていたり雄叫びを上げる男がいたりしたら不審に思うなと思うのが
無理な話だった。
「タスカ‥‥‥?」
 後ろから声、来てしまった。再び舌打ちしそうになるがぐっと堪え、私は思いっきり叫んだ。
「っ――離れてろっ!!」
 その後、背後を確認する、幸い姉さんはいない。いや、別に姉さんにこの口調を聞かれなくてよかった。と安堵した
わけではない。
 プリンセスだけならすぐ逃げられる、そう思って安堵したのだ。
「っ‥‥くぅ‥‥」
 が、逃げない、唖然とした様子でこちらを見ている。退路が塞がれた私は下がらず、避けきるしかない。
剣で受けることは考えてはいけない。あの大剣を受けてしまうとまず私の身が持たない。
 が、そうは言ってもここから横に凪がれたら流石に受けるか後ろに跳ぶしかない。
両手剣の直撃を受けて無事なほど剣も私も丈夫ではない。とっさにプリンセスを突き飛ばしてそのスペースに
飛び込んだ。
 そしてすぐに立ち上がってプリンセスの前に出た後に剣を構えなおす。
 きっと私の後ろのプリンセスもこいつの標的として捉えられてしまっているだろう、
 そしてその標的となっている少女は腰が抜けているのか逃げるどころか立ち上がる素振りすら見えない。
 戦闘慣れしていないのか?いや、そんな馬鹿な。そう思ったが腰元に携えてあるスリングは子供の遊び用程度の
代物、補助専門のプリンセスなのかもしれない。
「タスカ‥‥?」
 後ろから声を掛けられる。
「逃げて。」
 曲がった剣を構え、前の敵と対峙する。さっきよりは冷静に振舞えたとは思うが目の前の男もかなり冷静さを
取り戻してしまっている。挑発しなおすのは難しいだろう。
「脚に力が‥‥」
 それと同時に再び始まる敵の猛攻。
「じゃあ何でもいいから変身して!」
 相手が攻撃してくるとそれを捌きながら喋る事になるため、ついつい口調が強くなる。攻撃の鋭さがさっきまでの
比ではない、流れを完全に持って行かれてしまっている。
 私はプリンセスがいるおかげで五歩と後ろに下がれない、とは言え向こうはこちらに迫ってくる、
剣で攻撃を受け流しつつ私が前に出て牽制するしかないのだがリーチと力は向こうが完全に上、それに受け流すには
あまりに向かない私の得物、それに対し相手は無理をしなくても敵が勝手に突っ込んで来てくれるという状況。
 圧倒的不利、牽制するたびにバックステップして間合いを開けるとそのたびに相手は間合いを詰めてくる。
 私自身にも体力の限界がある、しかし下がってはいけない、相手の懐に入り続けないと大剣に叩き潰される。
「‥‥っあ」
 一瞬の気の緩み、ほぼ密着するくらいの近さまで近づいているのだ、相手の攻撃手段は剣だけではない。
相手の剣を避けた時、振り向きざまに相手の手刀が手首に入った。
「‥‥」
 もはや見捨てるしかないか、少なくともこのまま私が前に出て戦う意味がない。攻撃手段を失ってはすぐに
相手はそこに付け込んで来るだろう、後ろのプリンセスに気を配りながら相手の攻撃を避けるなんて芸当も
出来るとは思っていない。
 それに幸いな事に少女はプリンセス、兎にでも変身できれば何とでも逃げられる。
 その時、後ろからその少女の声が聞こえた。

72 姫々 :2008/05/18(日) 01:38:58 ID:VbnAj5DM0
「タスカっ!!使って!」
 その声の方を目だけで確認すると、後ろから長剣が飛んできていた。
「って、危ないな」
 剣を受け取る、濃い桃色に光る剣。魔力が通っているのだろうが属性がいまいち分からない。
「けどいい剣だね、ありがと。」
「でしょう?」
 どこか得意げなその声が聞こえた場所は後ろではなく前、つまりこの武器はあのプリンセスの変身した
姿なのだろう。
「ああ‥‥」
 そのときの私はどんな顔をしていただろう‥‥。きっと苦虫を噛み潰したような顔をしていたに違いない。
「タスカっ!!」
「!?‥‥くぅっ!!」
 完全に隙を突かれた、集中を切らした私が悪いのだが真正面から攻撃を受けてしまう。
「タスカ、大丈夫!?」
「いや、平気‥‥」
 攻撃が直撃すると同時に剣を盾にして後ろに跳んだ。着地で後ろに転んだが特に怪我はしていない。
 一瞬でも動作が遅れたらきっと私の腕がへし折れていただろう。それにしてもこの剣は刃こぼれすらしない、
補助専門プリンセスというのも馬鹿には出来ないなと思った。
「いや、うん‥‥。別にいいよ。あんた名前は?」
「ルゥって呼んで」
「ん、分かった。で、姉さんは?」
「皆の所に行ってるはず」
 今度は敵の攻撃を見ながら確実に避ける。姉さんが離れてくれていたらこちらも全力を出せる。
それに後ろに私の障害物になるものはない、避けやすさもさっきの比ではない。
「って、痛い!タスカ痛い!!」
「ああ、ごめんごめん。」
 折れたり刃こぼれしないのをいい事に相当無理して相手の大剣に攻撃を叩き込んでいたらしい。
 形成はさらに逆転し、最初の状況に戻った、もはや流れが変わる事はないだろう。
「痛くない?」
「うん、大丈夫。」
 そして目の前の傭兵はと言うと、叫びながら剣を振り回している。最初はその声の大きさに驚いたが慣れてくると
ただ煩いだけだ。
「うるさい、鬱陶しい。」
「ああ?」
 焦燥している相手を言葉で突き飛ばす、すると相手は飛びかかってくる。それをまた往なす。
 それの繰り返しで後ろに下がっていく。
「タスカ‥‥?」
「あ、口悪いのはごめんね、後でちゃんと話そうね」
 怖がらせたかと思ったが違うと返事が返ってくる。じゃあ何?と返すとこう言った
「入り口の方で気配が‥‥。感じ取ったのは私の精霊だけど‥‥。」
 仲間だろうか?入り口からここまでせいぜい二,三百メートル位しかない。というより、だ。
「会話できるなら仲間呼べたんじゃないの?」
「あー‥‥リリィはねえ‥‥。相当楽しかったみたいよ?今日の宴会‥‥」
 それは分かっていた、それに宴会といえばお酒がつき物だろう。
「酔いつぶれたって事ね‥‥。」
 流石に冒険の途中で酔いつぶれるほど飲むのはどうかと思うが。と思っているとプリンセスはこう言った
「いやそうじゃなくて、買出しとかで私がここに来る前にスマグの方に行っちゃっててね‥‥」
「‥‥」
 あの人は何をしているのだろうか‥‥、というより本当にウィザードなのかすら疑問に思えてきた、実の所
どこぞの貴族のメイドか何かでは無いのだろうか‥‥そんな事を考えてしまった。
 しかし、そうなると使えている相手は目の前の剣になっているルゥという事になってしまう、こう言っては何だが
貴族にしては少々カリスマが足りないような気がするのは気のせいでは無いと思う。
 いや、今はそれよりだ。
「ルゥの精霊ってあの子だよね?」
 さっき私の記憶を辿るのに使っていたあの小さいのだろう。
「うん、その子がこっち来てるってさ。」
 戦闘には向いていない気がしたのだが実際の所はどうなのだろうか。
『まったく、私を呼んでも時間を止めるか戻すか位しか出来ないわよ?』
「うん、それでいい。もしもの時は助けてね?」
『了解、終わるまで見といてあげるわよ』
 確かに精霊だった、妖精やら悪魔では無いのは見れば分かる。けれど引っかかる、あれは何の精霊だ‥‥とか、
そう言うことではない、何故か一年前にもあの精霊に会った気がする。あの妖精とは雰囲気が全然違うけれど。
「タスカ、前っ!!」
「あっと、危ないなあ‥‥」
 また雄叫びを上げながら大剣を振り下ろしてくる。
 さっきから怒鳴ってばかり、たしかに怒鳴られるのに慣れていない人間を相手にするなら効果的かもしれないが
私は現盗賊だ、冒険者に追い立てられるのは日常茶飯事、もう慣れた。

73 姫々 :2008/05/18(日) 01:41:13 ID:VbnAj5DM0

 そして機は熟した、もう目的の地点に足を踏み入れている。
「お前は狼にもなれない、ただの犬。犬は犬らしく地面を舐めてろ。」
 もはやまともに聴いているかすら分からないが挑発を続ける。剣の持ち方を見るかぎり、相手は右利き、
そして剣は重く、いくら筋力があり振り下ろした際の勢いがあってもその重さで片手では扱えないと見える。
 けれどここまで怒らせてしまって後ろから剣を突きつけた程度で止まるかという疑問がある。
「(まあいっか。)」
 一瞬浮かんだ疑問はその一言でかき消しチャンスをうかがう。思いっきり振り上げて叩きつけるように振り下ろす、
こいつの癖のような縦切り、一番隙の大きいその攻撃。
「(来た)」
 振り上げると同時に左斜め前、大剣の間合いの内側に飛び込む。右側に飛ぶと切りかえしが来るが、左側は
相手の攻撃の死角となる、熟練している戦士はこの死角が無いに等しい狭いのだが、この傭兵の場合その死角を
消していない、つまり攻撃までに二、三秒の遅れが生じる。
「たぁっ!」
 しゃがんで思いっきり脚を払う。
「ぐぁ‥‥」
 情けない声を上げて背中から男が倒れる。何が起こったかわからないと言う感じで倒れている傭兵の右腕を
思いっきり踏みつけた。
 体重はせいぜい20数キロ位だから骨は折れないだろう、けれどブーツに鉄の補強具が付いているから踏まれたら
それなりに痛いはずだ。現に相手の手からは剣が零れ落ちている。
 そして相手の手から剣が離れた所で相手の剣を奪って思いっきり投げとばした。
 数メートルしか飛ばなかったがこれで十分だろう。その時左手で足を掴まれたが眉間に剣を突きつけたらすぐに
離した。
「ほら、出ていきな。剣は置いていけ。あとお前の雇い主は‥‥訊いても無駄か。」
 物凄い形相でこちらを睨んでいる。右肘と右肩を踏みつけて立っている情況だがそれほど自分がそれほど重いと
思ってはいない。
 その気になれば軽がると起き上がられてしまうだろう。それをしないのは眉間に剣を突きつけているからか、
ただ単に負けを認めたからか。
 ‥‥いや、後者はないだろうな、なにせ必死に剣に手を伸ばそうとしているのだから。
「言ったら返してやる。」
 顎で剣を指したあとに眉間に突きつけている剣を数センチ近づける。
 それでも微動だにせずこちらを睨みつけてくる。安っぽいプライドを守り続けるのも傭兵の性分なのか。
 命にかけてまで守らなければならないプライドなど私には考えられない。
「そうか、じゃあさよなら。」
 そう言って剣をさらに近づける。額に剣先は当たっているのだがそれでも表情を変えない。
「はあ‥‥」
 数十秒の時間が過ぎ、私のほうが折れた。今日何度目の溜息だろう、何で今日に限ってこんなに溜息が
多いのだろうか。
「ああ、お前のせいか。」
「あ?っがっ!!?」
 無性に腹が立ったので顎を思いっきり蹴り飛ばしておいた、数分間は昏倒しているだろうからその間に離れよう、
「タスカ、今物凄く理不尽な理由で蹴ってなかった?」
「ん?気のせいよ。そういえばそこに倒れてる奴の仲間が来てたんじゃ無かったっけ?」
 入り口まで来ていたらしいが姿が見えない。相当ゆっくり歩いていてもそろそろ見えていいはずなのだが。
「あ、そう言えば。スピカ、そっちはどうなの?」
『んー?ああ、大丈夫っぽいわよ。洞窟から出て行ったわ』
 忘れ物にでも気づいたのだろうか?確かにダンジョンに入ってから気づくと言うのはよくある話ではあるが。
「まあ心配しても仕方ないんじゃない?」
「うん、そうだね。」
 一抹の不安はあるがルゥの言うとおり、気にしたところでどうにかなる問題でもない。

74 姫々 :2008/05/18(日) 01:42:30 ID:VbnAj5DM0
 それよりも疲れた、このまま単身寝ずの番は流石に辛い。とりあえず誰か一人か二人位ついてきてもらいたい。
「そろそろ元に戻るよ。」
 手に持っている武器に変身しているルゥに話しかけられた。
「うん――」
 分かった、という前に剣がピンク色の煙を吹きながら大爆発した。
「‥‥遠くに投げた方がよかったかな。」
「え、何?」
 キョトンとした顔をしているが私を何を言いたいか、分かっているのだろう、これでもどうみても山賊か盗賊という
格好しかしていない皆に代わって単身街まで行って商人の真似事をしていたりもするのだ、表情を読むくらいの事は
出来ないとすぐに足元を見られてしまう。
 あの顔はきっとそんな事しようものなら覚悟しておきなさいよ、という顔だ。
「一回帰るよ、ルゥもついて来て。」
「え、あ‥‥うん‥‥。帰るって、あの隠し部屋?」
「それ以外に家なんて無いわよ。」
 ルゥの目が泳いでいる気がするのはきっと気のせいでは無いだろう。
 何がいいたいかは分かっている。この1年で何度も経験した事だから。
「宴会してたって言ったわよね‥‥?」
「訊いてるよ。」
 ここで確信を持った。
「覚悟、しておいたほうがいいわよ?」
「分かってる」 
 部屋の中は凄惨たる状態なのだろう、宴会では大抵私一人が素面同然の状態でいるため、どれだけ騒いでも
多少遠慮している節が見受けられる。
 それが私と言うストッパーが無くなればどうなるのだろうか?
 いやそれより姉さんをその中に入れたのか?きっとルゥ自身すぐ追いつくと思っていたのだろうし一応はそれで
助かったのだが押しに非常に弱いだけに非常に心配だ。が、何故かお酒には多少強かった気がするから最悪の事体
にはなっていないだろう。と、そう信じたい。
「さて、帰ろうか‥‥。」
 溜息混じりに再び帰ろうかと言って、ルゥの前に出た。

75 姫々 :2008/05/18(日) 01:50:10 ID:VbnAj5DM0
 さて、やっと中盤と言った感じです。スウェブタワーに向かうといって
早10ヶ月、未だにスウェブタワーにたどり着きません、次回もきっと
たどり着くことはないでしょう。ていうかたどり着きません^p^

 チャットイベントはそうですねー、31日は飲み会だそうなのできっと
無理でしょう。それ以外なら大丈夫かなーとは思うんですが実際はどうなるか
分からんのです(´・ω・`)

 という訳なのでまた次回も頑張って書いていきます。

76 ◇68hJrjtY :2008/05/18(日) 02:32:00 ID:LN1SstPI0
>姫々さん
…がっかりなんかしてないんだからねっ!
いや本当に(笑) 確かに予想とは違う人物でしたが、タスカの戦いぶりが見れたことの方が嬉しいです。
やっぱり少女ながらも姉とは違って過酷な環境で生きてきたことが良く分かりますね。ルゥとの会話然り。
スピカを見て思うタスカの記憶…あの精霊ノヴァとスピカの関係も気になるところですね。
しかし、ここでカスタークエを出すとは思いませんでした。すっかり忘れてました、このクエ(笑) ボコボコにされた記憶しかありませんがorz
続きの方楽しみにしています。


━─━─━─━─━─━─━ チャットイベント第二弾 vol.2 ━─━─━─━─━─━─━
希望者さん数名の日時について了解いたしました!
その日が近づかないと予定が立たない人もいらっしゃると思いますが
早めに開催するならば5/25日前後に、期間をもう少し取るなら6月に食い込むようになるかな?
まあ、チャットルーム自体はいつでも誰でも入れるのでイベント化する方は
例え遅まっても希望者全員参加できる日を調整した方が良さそうな気もします。
いずれにせよ、6月半ば以前には開催したいとは思っております〜。

77 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/20(火) 11:10:54 ID:OhTl4zsk0
>>62からの続きですよ〜

Episode08:Talk with Sword 〜一刀必殺vs居合抜き〜

木々が鬱蒼と茂るトラン森の中・・・トレスヴァントは迷子になっていた。が、そんなの事も気にせず雄叫びを上げて走り続ける。
「うぉぉぉおぉぉぉおぉぉおぉぉぉぉぉおぉぉおぉおおぉぉ!!!!ラティナァああぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!」
「もし、そこの剣士はん・・・今、ラティナいう名前を呼びはりましたの?」艶やかで大人びた、柔和な声が彼を引き止めた。
トレスヴァントが振り向くと、大木の幹に寄りかかる一人の女性の姿がそこにあった・・・美しく長い黒髪、雪のような白い肌。
金色の刺繍が施された黒い着物をはだけさせ、胸の谷間や太ももを露わにした、フランデル出身の者とは違う出で立ち・・・
口を縛った細長い棒状の袋を携えながら、女性は振り向きざまにニコリと微笑むがトレスヴァントは怪訝そうな表情のままだ。
「(何だこの人、顔がラティナと似ているなぁ…誰だろう?)あ、そうっすけど…実はラティナが行方不明になってるんで探してるんです。」
「はァ…そうどすか。あの子にもちゃんとお友達ができてはったんどすなァ…生みの親としてとてもとても、嬉しいどすえ〜。」
「生みの親・・・?え、アンタひょっとして・・・ラティナの母親なのか!?」トレスヴァントが驚きながら尋ねる。
「せやなかったら"生みの親"とか言うわけあらしまへんて、ところで…ラティナ、いえ、あやねちゃんとどういう関係でいてはるの?」
「えっ、あやね・・・?一体どういうことだよ、ラティナってのは本名じゃな」「質問しとるのは私どすえ!?ちゃんと答えよし!!」
質問を質問で返されたのが嫌なのか、ラティナ(あやね)の母を自称する女性は少し不機嫌そうに彼の言葉を遮った。
「すんません・・・オレは、その・・・ラティナ、いや、あやねの・・・恋人です!!大好きな女性(ひと)なんですっ!!」
「あらあらまァまァ、あやねちゃんもやりおるわァ〜・・・で、あんさん名前は何て言いはりますの?教えてもらえへんやろか?」
「・・・トレスヴァント、トレスヴァント・ヘンリケスです。お母さん、あなたの名は?」だが彼の質問に彼女は・・・・
「お、お母さんなんて・・・ややわァ〜、まだそないな覚悟できてへんのにィ////////」「いや、だから名前を・・・」
「あらあら、すんまへんなぁ〜・・・私の名前は"東雲 雪乃(しののめ ゆきの)"、これでも38どすえ?」「・・・マジかよ」
どう見ても20代半ばにしか見えない外見と実年齢とのギャップに思わずトレスヴァントの呆ける声が出る・・・
「あ、それどころじゃねぇや!すいませんお母さん・・・オレ、早くラティナを見つけてあげないと。じゃぁまた・・・」
「ちょっとお待ちおす、あなた・・・見たところ剣士、しかもかなりの強者とお見受けしはりますが、どないどすか?」
女性の柔和な笑顔はそのままだが、ラティナと同じ戦いを楽しみにするような勝気な微笑が浮かんでいる・・・。
「・・・雪乃さん、あなたこそ今手に持ってるその袋、何かはわかりませんが得物が入っているんじゃないですか?」
「・・・うふふ、ようわかりましたなァ。これでも私も剣士の端くれ、この大陸にはない技の使い手どすえ・・・?」
お互い目線を交錯させながら、笑みは浮かべてはいるものの・・・あからさまな闘志を燃やしながら、二人は向き合う。
まずはトレスヴァントが構えた・・・!!背負っていたビッグセイジを握り、切先を女性に向けた・・・。
対する女性も、袋の口を縛っていた紐をほどき・・・黒く艶光りする細長い棒状の得物を取り出す・・・!!
「トレスヴァント・ヘンリケス・・・騎士道に則りお相手致す!!!」「東雲流抜刀術師範、東雲 雪乃・・・参りますえ!!」

若葉がひらりと落ち行くトラン森で、二人の剣士の闘いが始まろうとしていた。

78 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/20(火) 12:00:35 ID:OhTl4zsk0
それと、話題になってる第2回チャットイベについて。
オレは親のいないところでまったり茶会したいので、
金曜日以外の平日PM19:00からなら参加可能かもです。

79 名無しさん :2008/05/20(火) 12:37:39 ID:aY5Buyq.0
私のいつもと変わらない一日が始まる。

朝、起床。新聞を見る。
特にめぼしい記事はない。
軽く食事をとり、午前の研究。

昼、いつもの通り昼食は抜く。そのまま研究に没頭する。

気がつくと深夜。夜食をとる。
軽く風呂に入り目途の立つところまで研究。

いつもこんな感じだ。
食事は作ってくれる人がいるから研究以外本当に何もしていない。
よくこのままではまずい、と言われる。
…何がまずいのかが分からない。
まああまり迷惑はかけたくないとは思っているが。

そんな生活を3年続けてきた。
そして4940年
ついに私の世界が変わり始める。

「…はいはい。変なこと言ってないでご飯食べなさい。」

…その言葉で現実に引き戻された気がする。
「アル、なんてことをするんだ。これから私の活躍を辿って行くところだったというのに。」
当然抗議する。これはかなりの重罪だ。
「別にいいけどご飯冷めるよ?それでもいいならどうぞ。ちなみに作り直す気はありません。」
「ぬぅ…」
痛いところを突いてきた。反論できん。この魔性の女め。
「…何か言った?」
そして相変わらず鋭かった。
「いえ、何も」
「ならよし。早く食べちゃいなさい。」
まあ口でも力でも勝てないからな。大人しくしていよう。

冒険者達が大勢押し寄せる砂漠の都市、流通の首都アリアン。
ここに私の家がある。
と言っても普通の場所ではなく、地下遺跡の中だが。
中に巣くっていたネズミやら蜘蛛はアルが全部処理した。
最近貯金を崩してここを私有地にした。
そしてこいつ以外誰も来ないここは私の絶好の研究場所だ。
もうだれに何を言われてもここが安住の土地と信じて疑わない。
「また聞き捨てならない独り言を…こんなところ早く出なさい。」

また現実に引き戻された。今私のこととかを説明しないといけない気がするのだ。
だから無視して続けよう。
次は…私とアルについてか。
今私の向かい側に座っている悪魔…ではなく女性はアルフィーナ。愛称?はアル。苗字は忘れた。
覚える価値のないものは覚えない主義なのだ。
私の古くからの知り合いで毎日なぜか食事を作りに来る。
まあそれ自体はありがたいことなのだが、いかんせん性格に問題がある。
昔から、最近再会してからもずっと腹黒い。
そしていつも私の言動に突っかかってくる。そして昔から喧嘩で勝ったことがない。

つまり私の天敵である。
「なかなか楽しい説明ねぇ?」

…何か聞こえたがあえて無視するのが正解だと思う。
次は…私か。

私の名前は…忘れた。
覚える価値のないものは忘れる主義なのだ。
職業は研究者。一応ウィザードの資質があると言われた。
今は研究をしている。

80 名無しさん :2008/05/20(火) 12:39:09 ID:aY5Buyq.0
ふぅ…自己紹介なんて久しぶりだ。
誰が見ても完璧な自己紹介だ。
多分これを聞いただけで万人が感動しそう…
「ごちそうさま。」
…え?
ちょっとまて。この女、いつの間に食べ終わった?
「ではお皿を回収しま〜す。」
「ちょっとまってくれ、まだ食べて…」
「あら?約束でしょう?私が食べ終わるまでに食べきるって。」
ぬぬぬ…
ちょっと前に昔「食べるのが凄い遅かったな」、と話の種にして笑ったのをまだ根に持っているのか…
「変な妄想して食べるのをおろそかにするのが悪い。それじゃあね。」
私の皿を取り上げて去っていく彼女。
この悪魔め!
ちなみに私の家に水道はない。いくら万能な私でも遺跡をそこまで改造できない。

朝から多少憂鬱だが、とりあえず新聞でも見るか。
めぼしい記事は…

「トラン森にて新種のモンスター発見!」「ブルン議会の裏に飛ぶ金の嵐」
「デフヒルズ古代遺跡に新たな道が発見」「アリアン大食い大会のお知らせ」

どれも興味を引かれん…

必要なことを済ませて研究に入ろうかと言う時にアルがやってきた。
「午前中買い物に付き合ってくれない?」
会うなりわけのわからないことを言ってきた。
「私はこれから研究だ。そんな暇はない。」
当然拒否する。これだけは譲れん。
鉄の意志で跳ね返す。
「来てくれたら食べ損ねた朝ご飯奢るよ?」
早くも鉄が溶けだした。
なかなかいい条件…というか朝食食べ損ねたのはお前のせいな気がするが…
まあ黙っているが。
「たまには昼間に外に出ようよ。」
…これが目的か?別に私がどこにいようとアルには関係ないだろうに。
「まあ腹が減っては研究はできんと過去の偉人はいっているしな。」
まあたまにはいいか。

「ちょっとここで待ってて。あそこの露店見てくるから。」
「あ、ああ、行って…来い。で、すぐに…帰ろう。」
私の返事を聞くとアルは走り出した。

連れ出されて荷物持ちさせられて…もう限界だ。
その場に座り込む。上を見上げるといい天気だった。
やはり昼間は外に出るものではないな。喧騒が鬱陶しい。
早く静かな所に行きたい…
アルの方を見ると露天主と話し合っている。
また値引きか。頼むからもう9割引きにさせるのはやめろよ?相手が悲惨すぎる。

まだ時間がかかりそうなのでその辺を見るて回ることにした。
ドラゴンの牙、由緒ありそうな騎士剣、楽器…
聖水がなくなりそうだったので少し買い足し、元の場所に戻ろうとしたとき…

「おっと」
「きゃっ!」
小柄な人とぶつかった。

81 名無しさん :2008/05/20(火) 12:42:01 ID:aY5Buyq.0
「失礼…大丈夫かな?」
おそらく私の方からぶつかったのだろう。先に謝罪を入れておく。
フード付きのマントを深くかぶって顔は見えない。
「ごごご、ごめんなさい。急いでいたもので。」
相手も謝ってくるがどうやら急いでいるようだ。
「いや、急いでいるようだし私は何ともないから大丈夫だよ。」
「すみませんでした。それでは…」
そう言って走り去って行った。

ふぅむ。女性かな?声の高さから。あと金髪だったな。
まあ面倒にならんでよかった。
そう考えていたら声をかけられた。
「おい、あんた。この辺にマントをした小柄な女が来なかったか?」
そう言ったのは先ほどの彼女が走ってきた方角からこれまた走ってきた派手な鎧を着た男だった。

ジャストタイミング!今会ったよ…と言ってもいいが、
あいにく赤の他人、特に野郎には厳しいのだ。私は。
「ああ先ほど見ましたよ。私をショルダータックルでふっ飛ばしたあとあちらの方に走って行きましたよ。」
私の中のあまのじゃくが彼女が走り去った方角と違う方角を指差す。
「そうか、失礼した。」
男はそれだけ言って去って行った。
まあ頑張ってくれや。1日探しても見つからんと思うが。
そして追われている彼女。頑張って逃げて面倒をこっちに持ってこないでくれよ?
そう願いつつもどろうとしたら向こうからアルが走ってきた。
「ねぇ、今派手な鎧を着た男がこの辺に来なかった?」

今日はよく人に尋ねられる日だな。
まあアルには嘘は言えん。
「安心しろ。私が罠にはめておいた。」
「はぁ?何言ってんの?」
事情を説明してみた。
「あっちに行ったのね…」
何やら考え込むアル。そして、
「ごめん、先に帰ってて。」
そうして男が言った方向に走り出した。

しばし呆然としてたがある重要なことに気づいた。
「あの野郎!」
そうしてアルに追いつくために全力で走りだした。

しばらく走り、路地に入ったあたりでアルの背中が見えた…が雰囲気がいつもと違うな。
遠巻きに盗み聞きをしようと近づく。
話しているのは先ほどの男か。
!!
男の手にはナイフが、腕の中には先ほどの彼女が。
嘘教えたのに捕まるなよ…
話し声が聞こえる位置まで来た。
「まだそんなことをしてたの?」
「お前に何も言われる筋合いはない。」
ううむ…どうも殺伐としているな…
ここは空気を読んで出直すか。
そう思い回れ右をした直後、
「誰だ!」
男の声が響いた。
全員の視線が俺に注目する。
「あっ」「貴様…」「ちょっと、どうして来たの!?」
三者三様の反応だ。誰の分から返答しようか。
「また会いましたね、失礼、先ほどのは嘘でした、まだ私に飯をおごっていないからだ。」
とりあえず反応の早かった順に返してみた。

「これで2対1よ。今回はあきらめなさい。」
よくわからないがアルがいつもの数倍の迫力で脅しにかかっている。
男は苦虫をかみつぶしたような顔をして
「っち」
腕で拘束していた彼女をこちらに突き飛ばしてそのまま走り去って行った。
「この子をお願い」
そう言うとアルは追いかけて行った。

「説明ぐらいして行け!!」
今のおれの心境を叫んでから気絶した彼女をとりあえず我が家に運んだ。

82 名無しさん :2008/05/20(火) 12:43:10 ID:aY5Buyq.0
「さて、説明してもらおうか。」
帰ってきたアルをとりあえず問い詰める。
「いきなりね…
さっきの男は人さらい。顔を知っていたからもしかしたら、と思ったから追った。
そうしたら案の定だった。」
淡々と説明するアル。
「彼女は?」
「あら、女の子だったの?知らない人よ。たまたま助けただけ。」
「で、彼女を助けてどうするつもりだった?」
「?もちろん…」
「助けたから御礼を貰うと?」
…ゴッ!
殴られた。痛いぞ
「…冗談だ。今私のベッドで寝ている。できれば引き取ってほしい。」
「…え?連れて帰ってきたの?」
「ほかにどうしろと?」
「あ、ああ、そうね。わかったわ。私の家にとりあえず連れていくわ。」
一瞬動揺していた気もしたがアルは彼女を担いで行った。獲物を担いだ猟師のように。
と、部屋を出る直前にこちらに振り返った。
「まさか…とは思うけど変なことはしてないでしょうね?」
やってないから。あと迫力が凄いからやめてくれ。

次の日、いつもの時間に起こされた。
「おはよう。起きた?お客さんも来てるからしゃきっとしなさい。」
アルはそう言ってリビングのほうに歩いていった。
…客?
「お、おはようございます。」
リビングに二人の人影があった。
一人はアル、そしてもう一人は昨日の彼女だった。
アルは心なしか不機嫌に、彼女の方は緊張気味だった。
「おはよう、目覚めたんだね。」
「はい…あの、昨日は助けていただいてありがとうございます。」
何を言うかと思えば…
「それを言うためだけに来たのか?気にしなくていいのに。」
とりあえず大人の対応をしてみる。私は紳士だからな。
アルが続いた
「ひとつお願いがあるんだけど」
「なんだ?」
私は今機嫌がいい。何でも聞いちゃうぞ。
「この子…あなたの家にしばらく泊めてあげて。」

…は?

時は4940年
私の世界が変わりはじめた。

83 名無しさん :2008/05/20(火) 12:46:26 ID:aY5Buyq.0
初めまして

勇気を振り絞って投稿してみました。
無駄に長いのは推敲できていないからです。
中程度の長さで完結できたらいいなぁとか思っていますのでどうかよろしくお願いします

文章書くのって難しいですね…
他の方が偉大に見えます。

84 ◇68hJrjtY :2008/05/20(火) 13:36:58 ID:LN1SstPI0
>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
ラティナ父も豪快な性格なら、京美人的なラティナ母もまた爽快な(?)性格ですね。
なんかこう、無言の中から剣を交える雰囲気になるのって凄く爽やかというか、自然と憧れてしまいます。
そういえばティエラと燈道さんもなんか自然に戦闘になっちゃったし(笑) 家訓っていうかそういう血筋なのか…。
ラティナが知ったらどう反応するかが実に楽しみなトレスヴァントvs雪乃。騎士vs武士という構図でもありますね、続き楽しみにしています!
---
イベント日時了解しました。分かります、親の居ないところで茶会したい気持ち(笑)

>名無しさん(>>79-83
もう書き手さんは全員コテハン強制で!…ってのは冗談で。
初投稿、ありがとうございます!全然遠慮なんかしないでガンガン好きなようにUPして下さい(笑)
いやーしかし、この主人公君の性格が実にイイ。天然インテリというか。名前忘れたってある意味凄いよ(;・∀・)
冷静そうな性格の主人公君が移り変わる出来事に対して動揺したり焦ってたり困ってたりと読んでる方としては実に楽しいです。
深く詳しく描写せずある程度で文章を区切るという淡々とした書き方もまた良い味を出してますね。
アルと主人公君のほんのりラブを想像させる関係も気になりますが、さて、フードの彼女の実情とアルとの関係とは。
続き楽しみにしています!

85 感想スメスメ :2008/05/21(水) 00:35:48 ID:ddy6MTJU0
どうも、感想スメスメです。
どうにも自分の文章が進まないのでまた感想から…。

姫々さん
まづは一言…。

『その戦闘描写を書く能力を僕に下さい!』

…失礼、取り乱したようですね。
僕はあまり事細かに書くと言う事が出来ていないようなのでとても羨ましいです。
そしてタスカの口の悪さ、ここまで来るとむしろ気持ちいいですな(何

武器姫ですよ、皆さん武器姫ですよー!
…また取り乱してしまいました。
武器姫と言うのはなかなかどうして魅力的なのでしょうか?
他の作家さんでもチラホラ登場することがあるのでなんとも不思議な話です。
かく言う自分も登場しているわけですしね。
チャットイベントでお会いできることを楽しみにしていますよ〜。

ESDADA a.k.a DIWALIさん

今度はラティナ(あやね)のオカーチャンきたぁぁ!
みなさーん、おかちゃんですよ〜!
…またまた取り乱した様で。
京都美人なおかーちゃんで、しかも見た目も中身も若々しいおかーちゃんときたらもう鼻血もんですなっ(マテ

今まさに切り結ぼうとするママンとトレスヴァントの二人。
果たして勝負は一瞬で決まるのか…?
次回を楽しみにさせて貰います♪

名無し(>>79-83)さん
取りあえず初投稿おめでとうございます。
自分も新参のの部類なのでデカい事を言えませんがとにかく楽しんでお互いの作品を投稿していきましょう!

つーか。
あ、あんた自分の名前を忘れたって…
ある意味豪快な人ですな…。

何ででしょう?
『アル』と言う名前の響きにとても懐かしい感じを受けるのですが…
そしてこの主人公とアルの関係も気になるところですが、やはりフードの子が加わる事で出来る三角関k(ry
…すんません、妄想が止まらなくて。
何よりあっさりした文章なのに情景が浮かんでくる書き方…
これも羨ましいですよ、嫉妬して良いですか?
最後に68hさんの言う通り、何かしらのコテハンがあると何かと楽ですよ(こっちが)?

86 みやび :2008/05/21(水) 09:29:36 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]0/9

 お久しぶりの方もそうでない方もこんにちは。
 半死人のみやびと申します。

 GGアプデの影響でRSにINできなくなり、ひとまず引退しまし
たが、OSの入れ替えでなんとかログインは可能になりました。
 もっともOS再インスコの際にバックアップが取れなったこともあ
り、一切のデータ(特に創作関係のファイル)が昇天したため、創作
意欲は地の底まで萎えました……(泣)
 よって今後も投稿の復活は予定していませんが、せっかくログイン
できたのでメインクエからデータを取り出して来ました。
 資料として投稿しておきますので、「オリジナル設定再現派」の方
はご活用くださいませ。(使えるかどうか微妙ですけど;)

 尚、資料性の観点から、本文はメインクエ“CHAPTER1”で
入手できる「アイノの報告書」に記載されているテキストを、誤字・
脱字・句読点、および「もはや日本語ですらないトチ狂った文章」に
いたるまで、忠実に書き写してあります。文章が言葉としての意味を
成していない点はあらかじめご了承ください。

 ただし書式上の理由から、以下の部分についてのみ修正しています。

①半角英字「RED STONE」を全角の「レッド・ストーン」に変更。
②半角数字を全角漢数字に変更。
③改行位置と段落の変更および挿入。

 ――という訳でしばし(9レスほど)レス消費をば。

87 みやび :2008/05/21(水) 09:30:48 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]1/9

●序 論…レッド・ストーンの生成に関するレッドアイの報告書要約

●第一章…レッド・ストーンの存在可否

●第二章…追放された天使たち

●第三章…レッド・ストーンが地に落ちた理由

●第四章…レッド・ストーンの盗難それから

●結論

88 みやび :2008/05/21(水) 09:31:21 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]2/9

 ――序 論――
 レッド・ストーンの生成に関するレッドアイの報告書要約

 レッド・ストーン。不死の霊薬、または富貴栄華を持ってくれる富
と権力の源泉。
 空から落ちたというこの赤色の石を実際に見た人はあんまりいない。
 この石は人々がよく称する紅玉、ルビーではない。
 我々レッドアイは長い間、ブルンネンシュティグ国王の勅命を受け
て、いわば「神の目」とも呼ばれるこの石の行方を追って来て、また、
その結果を見た。
 ここに書かれている内容は、レッドアイの三七つの支部で収集した
資料を土台として、再構成したもので、レッドアイ研究の一番核心的
な部分のみを選りすぐっておいた物だと言える。
 この文を読む人々がレッド・ストーンに関する疑惑を明らかにでき
ることと同時に、正しい判断の根拠にできることを願う。

            ブルン暦四八〇五年十二月八日
            レッドアイ三九代会長 アイノ・ガスピル

89 みやび :2008/05/21(水) 09:32:01 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]3/9
 ――第一章――
 レッド・ストーンの存在可否

 先にレッド・ストーンの存在可否が、一番大きい関心事になるだろ
う。
 今までレッド・ストーンは、見た人が極めて少ないミステリーに包
まれた物体だった。公信力のある機関や人物がこの品物の存在を認め
なかったから、その存在可否に関する論争はいつも消極的になるしか
なかった。
 ここで、レッドアイでは、これに関する確かな証拠と証言を提示し
て、レッド・ストーンの存在可否を明らかにしようとする。

 追放天使という言葉を聞いて見た事があるはずだ。
 我らが住んでいる地上界の上には、天上界があり、天上界で暮す住
民たちが天使だ。
 この天使の中で、重罪を犯した者等は空の権勢によって、羽が折れ
たまま地上に追放される事がたびたびある。追放されて地上界に落ち
た天使たちを普通追放天使と呼ぶが、これらは二度と高く飛ぶことが
できないように羽が折れたまま追い出されるの一般的だ。

 約四〇〇年前、ゴドム共和国にあった「赤き空の日」以後、このよ
うな追放天使を見つけたという報告が多数あった。しかし、その時堕
ちた追放天使たちは、あの時まであった多くの人々とは違う面があっ
た。
 まず大部分の追放天使たちが、以前の天使としての権能を取り上げ
られて、その象徴として、羽が丸ごと折れたまま追放されたり、少な
くとも片方の羽が完全に消える位の刑罰を受けた。
 しかし、「赤き空の日」以後現われた多くの追放天使たちは、彼ら
の羽、特に右羽半分だけがか破れたままで、天使としての力も、ある
程度は発揮できたようだ。
 また、以前の追放天使たちが平凡な住民か惨めな下層民として住ま
なければならなかったのとは対照的に、これら大部分はビショップと
して活発な活動をしていた。

90 みやび :2008/05/21(水) 09:32:37 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]4/9

 ――第二章――
 追放された天使たち

 たとえ四〇〇年という長い時間をビショップとして住みながら、天
使だった時の記憶や力をまったく喪失した者等も多かったが、一部は
四〇〇年前の事件を覚えている者もいて、自分らがどうして追放され
たのかを分かっている人々もいた。
 ここで、私たちレッドアイでは、追放天使たちを直接捜してさまざ
まを探問し、多くの情報を得ることができた。
大部分の情報はレッド・ストーンに関するものだった。

 まず、この事実からレッドアイは次のような何種類かの事実を類推
し出した。

 「赤き空の日」以後に追放された多くの追放天使たちは、その日の
事件と関連があり、これらは地上界である任務を任されて追放された
のだ。
 また、地上界で活動をするために、これらはビショップの姿を主に
使って、レッド・ストーンに関する各種のうわさを作る震源地の役目
をしたと見られる。
 これは天上界と地下界、または、少なくとも天上界がこのレッド・
ストーンと関係があるはずだという推測を生むようにした。天上界で
どんな理由のためレッド・ストーンを地上界に流布させて、その後、
行方がはっきりしなくなったそのレッド・ストーンを捜すために人間
たちの力を貸す事に決めた後、追放天使たちを通じてレッド・ストー
ンに関するそのようなうわさを広めたのが一番適当な推理のようにみ
えた。

 一つ異常な点は、なぜ既に地上界に投げつけられたレッド・ストー
ンの回収のために、天上界でそんなにも努力するのかという点だった。
 それに、数多くの天使たちがどうして追放天使になって、天上界で
追放されて、その姿を隠したままビショップの姿として地上界で生き
ていくのかに対するのも疑問だった。

91 みやび :2008/05/21(水) 09:33:12 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]5/9

 ――第三章――
 レッド・ストーンが地に落ちた理由

 追放天使の一つ、「ルインルス・ナルミナス・イエ・アリエンカム」、
地上界名「ゲール」は、その「赤き空の日」当時の状況に対して詳ら
かに覚えていて、レッドアイの調査員たちは、ガディウス砂漠にある
「荒廃都市ダメル」でビショップの活動をしているこの追放天使と面
談を通じて詳細な顛末を聞くことができた。

 レッド・ストーンと言うのは、天上界にいる六種の神獣の一つのフェ
ニックスの卵のことを称する。
 天上界には火、水、風、大地、光、闇、六種の世の中の基本元素を
支配する神獣たちが、多く居住していて、これら神獣たちは、お互い
に調和を成して地上界と天上界に不均衡が起きないように六種の元素
を治めている。

 今から四〇〇年前、そして地上界で称する「赤き空の日」と言う事
件が起こる十三日前、天上界に赤色の悪魔たちが大挙して侵入する事
態が起きた。
 この悪魔たちは天上界の神獣の中で、火の神獣の卵レッド・ストー
ンを盗むために潜入し、これらは自分らの卵を守っていた火の神獣、
フェニックスと守護天使多数を殺害して、組織的で専門的な方法を用
いてレッド・ストーンを盗んで逃走した。
 この途中で自分らの卵を守っていた火の神獣、フェニックスの多数
が消滅し、守護天使長を含めた守護天使の半分以上が死んだ。
 この悪魔たちは、レッド・ストーンを持って地下界ではない、地上
界に隠れて、それはレッド・ストーンの回収をもっと難しくした。
 各種の暗闘と憎しみの目がある地下界よりは安全で、レッド・ストー
ンに関心がなかった地上界こそが犯罪をやらかした悪魔たちが隠れる
には、ふさわしく良い場所だったということだ。

92 みやび :2008/05/21(水) 09:33:51 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]6/9

 ――第四章――
 レッド・ストーンの盗難それから

 レッド・ストーンの盗難は天上界をひっくりかえした。
 まず、先に事件の責任を問うことと、事件にどう結末をつけるのか
がカギだった。
 事件の責任の所在については、厳しかった警備網をくぐって、どう
悪魔たちが侵入したのかが審判の対象になった。
 その頃、責任者であったレッド・ストーンの守護天使長は、既に死
亡した状態で、その配下にあった守護天使たちも既に半分以上が死亡
した状態だった。そして、副指揮官クラスと上級天使にあたる天使三
人がこの事に責任を負って、地上界に完全追放され、生き残った大部
分のレッド・ストーン守護天使たちも一緒に追放された。
 ただ、これらレッド・ストーン守護天使たちは、完全追放を免れ、
その代わりに片方の羽の半分を剥奪されたまま地上界でビショップで
奉仕活動をしながら、レッド・ストーンを探索する任務を引き受ける
ようになった。

 あまりにも多い数の天使たちだった為、皆を放逐する事は天上界に
も大きい被害になったはずであり、何よりも地上に降りてレッド・ス
トーン探索の適任者たちを選ぶことができなかった状況で、このよう
な選択は賢明な決定だったと見られるはずだ。
 責任の所在と事件の結末はうまく収めたが、結局のところレッド・
ストーンを探すことができず、四〇〇年余りの時間がさらに流れた。
 その間、地上に降りた天使たちは、ビショップとして活動して、レッ
ド・ストーンに対する噂を流したり、情報をあかすなど、人間たちの
協力を求めながら積極的な探索活動をしてきたが、レッド・ストーン
と悪魔たちを探すことは易しいことではなかった。

93 みやび :2008/05/21(水) 09:34:25 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]7/9

 ――結 論――

 悪魔たちがどうしてレッド・ストーンを盗んだのかは、いまだ明ら
かになっていない。
 地上界に降った一部の追放天使たちは、活動初期にレッド・ストー
ンを盗む事件に加わった小さな悪魔何人かを生け捕ることには成功し
たが、詳しい審問はまともにしなかったと知られている。
 怒りに満ちた追放天使たちが悪魔たちを捕まえるや即座に審判した
為であるが、その審判さえも、生き残った悪魔たちでは信頼するに足
らず、信憑性のある情報を持っていなかった下級悪魔たちであった為、
その真偽は迷宮に落ちたまま時間だけが過ぎてしまった。
 ただ、審問に成功した小さな悪魔たちと天上界、追放天使たちの間
で、自分なりに推理した結論がある。
 それは、レッド・ストーンが発する火のオーラを利用して悪魔達が
さらに強い力を得ることが狙いだという噂のことだが、自分の考えか
らも利に適っているようであり、大半の追放天使たちと人間たちはこ
の推定を信じている。

 レッド・ストーンがどのような力を持っている物か、我々としては
想像もつかないが、神々が暮す天上界と悪魔たちが住む地下界で扱う
に値する物なら、人間が手をつけてはいけない物かも知れない。
 これに対する厳重な警告としてみたレッドアイは、レッド・ストー
ンの探索を全面中断することを要請して、以後、レッドアイの活動も
制限的に行うと明らかにする。

 とりあえず、我々レッドアイはレッド・ストーンの手がかりに非常
に近づいていて、それに対する正体についても、殆ど明かしたことで、
近い内にまた他の報告書を公開することを約束しながら短い文を終え
る。

94 みやび :2008/05/21(水) 09:35:04 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]8/9

 ――メ モ――

 こんな古文書にメモをするということが、少々おこがましくはある
が、キミの記憶力がよくないため、どうしようもない。

 この本に関心が多い者たちの中で、購入希望を知らせてきた者たち
は、古都ブルンネンシュティグのロングシュ、港街ブリッジヘッドの
ケブティス、オアシス都市アリアンにいる隊員募集担当グレイツ!
 以上だ。

 この三人の内、誰か一人を選択することはキミの自由だ。あ!今度
もっと良い条件を出す人がいることもあるから持っていても構わない
がね。


         編者注)アイノの報告書より抜粋――ここまで。

95 みやび :2008/05/21(水) 09:35:50 ID:XfF12bcA0
―メインクエ“CHAPTER1”より〜アイノの報告書――[P]9/9

 ――編者あとがき――

 あらためてゲーム内のテキストを書き写してみて、ここまでキチガ
イじみた(言葉として成立していない)文章だったのかと、今更なが
ら愕然としました(笑)
 しかしこれ、いったいどうやって日本語にしたんでしょうね?
 自動翻訳ソフトに本家のテキストをコピペして、ただ「変換」ボタ
ンを押しただけとか?(汗)

 しかしある意味、物書きとしては「解釈のし甲斐がある」と言えな
くもない気がしないこともないようなあるような……(汗)

 ポスト・スクリプト――
 前回のチャットについては、開催される旨、小耳に挟んではいたの
ですが……参加できなくて残念!
 今度は参加できるといいなあ……♪
 ちなみにここしばらくは暇してる(とは言え基本的にスケジュール
未定の不定期ですが)と思います。
 6月に入っちゃうとまた予定はわかりません。今月中なら時間問わ
ずオーケイ……なはず(汗)
 ではでは。また死人に戻ります。

96 ◇68hJrjtY :2008/05/21(水) 16:33:50 ID:LN1SstPI0
>みやびさん
みやびさんキタ━o┃*´・ω・┠o━!
サイトの方ではお世話になっております。PC不調の話を聞いていながらもっさりとしたまま助力できなかったりorz
メインクエを題材にして小説を書いておられる方も居ますし、この資料はテンプレに入れたいくらい重要ですね。
メインクエっていえばチャプター1すらクリアしてないや…(´▽`*)アハハ
---
チャットの話は私の方の不手際影響が強かったのもありますし気にしないで下さい!
うーむ、6月に入ると微妙ということですか…了解しました。やっぱり今月中に開催が良さそうですね。
実を言えばFATさんだけ(以前常駐していた書き手さん含めたらもっとたくさん居ますが)連絡取れてないので気になっていたのです…が
また企画すればいいことですしね。とりあえず、ちょこっと調節して決めてしまいますね。

97 ◇68hJrjtY :2008/05/21(水) 16:44:25 ID:LN1SstPI0

      l> 第二回チャットイベントの告知 <l

 チャットイベントの告知をさせていただきます。コピペウェーイ
 21Rさん提案、白猫さん場所提供によりチャットイベントを開催します。
 参加資格などは特にありませんが、このスレの住人様を優先します。
 それについては書き手さん、読み手さん、ROM専さんは問いません。


   日時:5月 28日 水曜日 20:00(午後8時)より   (終了時間未定)
   場所:前スレ>>881  他のスレ、掲示板などへのURL転載は遠慮ください。
   心得:前スレ>>955  参加希望者様はご一読ください。特にチャットでのHNについては重要。



一応今まで希望が出た皆さんの「無理な日時」を避けてみましたが…
たぶん来週までには調整可能なのでどうしても他の日にしてくれという希望がありましたら遠慮なくどうぞ。
もちろん希望を出してない人でも参加OKです。お気軽に〜♪

98 ななしじろう :2008/05/21(水) 18:51:55 ID:8DVZ7PwM0
病気のコボルトがあらわれた!

けんし
H:20
C:20

→たたかう
 にげる

→こうげき  まほう
 ぼうぎょ  どうぐ

けんしのこうげき!
コボルトに11のダメージ

コボルトのこうげき!
けんしに3のダメージ!
けんしは病におかされた!

H:17
C:20

→たたかう
 にげる

 こうげき  まほう
 ぼうぎょ →どうぐ

→キャンディーSP  3
 帰還の巻物 2
 
けんしはキャンディーSPをたべた!
病気が治った!

コボルトのこうげき!
クリティカルヒット!
けんしに5のダメージ!
けんしは病におかされた!

H:12
C:20

→たたかう
 にげる

 こうげき  まほう
 ぼうぎょ →どうぐ

 →キャンディーSP 2
  帰還の巻物 2

けんしはキャンディーSPをたべた!
病気が治った!

コボルトのこうげき!
ダブルクリティカルヒット!
けんしに10のダメージ!
けんしは病におかされた!

H:7
C:20

→たたかう
 にげる

→こうげき  まほう
 ぼうぎょ  どうぐ

けんしのこうげき!
コボルトに3のダメージ!
病がけんしを苦しめる…
1のダメージ!

コボルトのこうげき!
けんしに3のダメージ!

H:3
C:20

 たたかう
→にげる

けんしはにげだした…
しかし にげきれなかった!
病がけんしを苦しめる…
1のダメージ!

99 ななしじろう :2008/05/21(水) 18:54:50 ID:8DVZ7PwM0
コボルトのこうげき!
けんしはこうげきをかわした!

H:2
C:20

→たたかう
 にげる

→こうげき  まほう
 ぼうぎょ  どうぐ

けんしのこうげき!
コボルトに2のダメージ!
病がけんしを苦しめる…
1のダメージ!

コボルトはニヤニヤしている

病気のコボルトがあらわれた!

けんし
H:20
C:20

→たたかう
 にげる

→こうげき  まほう
 ぼうぎょ  どうぐ

けんしのこうげき!
コボルトに11のダメージ

コボルトのこうげき!
けんしに3のダメージ!
けんしは病におかされた!

H:17
C:20

→たたかう
 にげる

 こうげき  まほう
 ぼうぎょ →どうぐ

→キャンディーSP  3
 帰還の巻物 2
 
けんしはキャンディーSPをたべた!
病気が治った!

コボルトのこうげき!
クリティカルヒット!
けんしに5のダメージ!
けんしは病におかされた!

100 ななしじろう :2008/05/21(水) 18:55:12 ID:8DVZ7PwM0
H:12
C:20

→たたかう
 にげる

 こうげき  まほう
 ぼうぎょ →どうぐ

 →キャンディーSP 2
  帰還の巻物 2

けんしはキャンディーSPをたべた!
病気が治った!

コボルトのこうげき!
ダブルクリティカルヒット!
けんしに10のダメージ!
けんしは病におかされた!

H:7
C:20

→たたかう
 にげる

→こうげき  まほう
 ぼうぎょ  どうぐ

けんしのこうげき!
コボルトに3のダメージ!
病がけんしを苦しめる…
1のダメージ!

コボルトのこうげき!
けんしに3のダメージ!

H:3
C:20

 たたかう
→にげる

けんしはにげだした…
しかし にげきれなかった!
病がけんしを苦しめる…
1のダメージ!

コボルトのこうげき!
けんしはこうげきをかわした!

H:2
C:20

 たたかう
→にげる

けんしはにげだした…
しかし にげきれなかった!
病がけんしを苦しめる…
1のダメージ!

けんしは力尽きた…

ななしじろうです こんばんは。かいぎょうが おおくて すいません。
でもチャットは やりたいと思います。 ぶんしょうも
きもちわるくてすいません。でも8時からごはんなので 遅れるかもしれません。
今日は僕の好きなカレーなので たのしみです。では またあいましょう

101 ななしじろう :2008/05/21(水) 18:58:03 ID:8DVZ7PwM0
すいませんいまきずいたんですが
HPがへんになっててすいません
ぼく頭がわるいので算数できませんでした。
あと、ぼくなんかが100とってすいません。
でも、みなさんは文章をかくのがうまくて尊敬します。よんでいてとてもたのしいです。
これからもよろしくおねがいします。

102 黒頭巾 :2008/05/21(水) 20:33:03 ID:fou9k2gM0
皆様こんばんわ、黒頭巾です。
長い感想レス行きます…えぇ、何事も溜め込む癖が悪いのです。


>68hさん
長編と言うより、オムニバス形式のシリーズならいけそうです(´∀`)ノ
いけめんさんのに関しては、当初の設定と大幅な狂いが……理想のWIZ像は何処に!笑
ただ、紳士ってのだけは崩さずにいれたらイイなぁ。
女性に「貴方ってイイ人ね」と言われるのに恋愛対象にはされない、みたいなキャラを目指します(如何なの)
増えたキャラで色々勝手な妄想は思う存分なさって下さい……そしてその内容を教えて下s(ry
ごきぶりさんは呼び名を知ったら怒らずにしょんもりすると思います(ヘタレかよ)
そう言えば、ごしゅじんさまはファミたんが何て呼んでるか知ってるんですよね……きっと皆をニヤニヤ見てるんだろうなぁ(酷)

チャットに関しては了解です(`・ω・´)ノ
P戦で少し中抜けするかもしれませんが、後は基本的に大丈夫だと思いますー。
前回は恐ろしい事態だった終了時間、今度は一体何時になるのか…流石に平日なので大丈夫だとは思いますが!笑


>白猫さん
Pの支援はやっぱり難しいですが、他職より名前を注意深く見るので面白い出会いがある事だけが救いです!笑
今降りてきてるネタとしては、「いけめんっちの初心者クエ」か「お誕生日」か「他作家さんとのコラボ」でしょうか(アンタ何する気だ)
WIZに眼鏡は魅力を10倍にも100倍にも上げると思います…うちのいけめんさんも読書時は眼鏡です(何)
Gvだとごしゅじんさまとファミたん活躍出来ないんですよね…Pへのダメ√問題が!

今回も盛り沢山で読み応えがありました(*ノノ)
そして、言わなきゃいけない気がするので言います…うふふ、おばかさーん(デコピn(ry
本編、手段を選ばないネルくんの姿に、友人に貰った面白写真を思い出しました。
迷路のゴールに餌置いたラットの実験の写真で、迷路の壁が一直線に齧られて破壊されてるの(ちょ)
しかし、砲台男が可哀想すぎて笑いが止まりません!(酷)
お兄ちゃんへと繋がる扉の可愛らしい文字と言い、待ち構える姿と言い…お兄ちゃん可愛いよお兄ちゃん(*´д`)ハァハァ(ちょ)
そしてネルくんとマイの喧嘩が小学生の喧嘩みたいで面白かったです(ノ∀`*)ペチン
お家にお留守番してる妹とお兄ちゃんが鉢合わせしたら大変な事になりそうでソワソワです。
番外編はアフロカリアスが見所ですね(違)
可愛い子程苛めたくなるものです…カリアスはきっとそういう作者の愛を以下略(待って)
999文字小説のお花は元少女(失礼)の生まれ変わりなのかもしれないなぁとしんみりしました。


>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
その昔、フル○ウスが大好きで帰宅すると毎日見ておりました…笑
あのシュールな笑い要素は、今の自分のSSにも少しは散らばっているかも知れません(ノ∀`)アチャー
いけめんさんはある意味可哀想なキャラです…カッコいい男は壊してナンボだと思っています、後は眼鏡と白衣もイイね(違)
マンネリ化しない事を祈りつつ、ネタ集めの旅に出たいと思います、はい。
ふぁみたんの語り口調は、ほのぼののほほんと無邪気に無意識に毒を吐く幼児をイメージしております(台無し)

バカ親父KOEEEE!
地震雷火事親父みたいな卓袱台返し親父さんかと思いきや、一人称がパパだったりお茶目な親父様にが素敵です。
お母様も随分とえっちぃ格好で…ちらりずむですね(*ノノ)キャ
しかし、親父さんもお母様も戦いを楽しむ姿勢と言うか、娘と同じく喧嘩早いなぁと親子の絆(?)を感じます。
キャピ子ちゃんは随分と角が取れてイイコになりましたね…よいツンデレに育ちそうです(待って)

103 黒頭巾 :2008/05/21(水) 20:33:23 ID:fou9k2gM0
>61の名無しさん
初めまして、お返事遅くなりましたが仕様ですのでゴメンなさい(そんな)
Σぎゃぼー、サンホラーさんに見付かったー!Σ(´□`|||)
コレが答えになりますかと…嗚呼、石を投げないで!
曲名でなく略称で言われたので、もう一曲の方もバレてるのかなぁと監視鏡の前でガクブルしております(嗚呼)


>小説スレ界でのレギュラー@スメスメさん
副マス狙い発言といい、レギュラー狙い発言といい…この野心家さんめー(デコツーn(ry
ゴメンなさい調子に乗りました。
お詫びに私も子クマーの方に突貫してキングクマーのHPでも全快させにいこうと思います(酷)
ファミたんお持ち帰りは、きっと小生意気だと思いますがビシビシ教育してやって下さい。
ねくらさんの悪夢は、狩り装備のいけめんさんがきっと抵抗装備していなかったのが悪いと思います。
きっと前にもやられてる筈なのに学習しない辺り、Mなのかもしれません(待って)


>姫々さん
あんぎゃー、KYな質問そこはかとなくゴメンなさい。
兎も角、タスカちゃん強くてカッコよかったとです。
そうか、あの広場状になってる沸き場所に秘密基地あるとですね!
折角なので、今度ちょろりと観光に行って思いを馳せてみます。
姫は殺されても死なない、の件は死んだ振りかなぁと姫持ちの私はニヨニヨ読ませて頂きました。
詳細な戦闘描写に、風景が浮かんできます…見習いたい(ノ∀`)
ノヴァとスピカの関係はその内語られるのでしょうが、こうした人と人の運命的な繋がりはとても気になってしまします。
続き、楽しみにしておりますねー(*ノノ)


>79の名無しさん
初めましてー(*´∀`*)ノ
WIZっぽい研究者さんキタ―(・∀・)―ッ!!
自分の名前すら必要ないと切り捨てる主人公さんの潔さにきゅんきゅんです!笑
特に、三人に対する三様の返事を一気にした辺りもう合理的すぎて、自分の中のWIZ像にバッチリ一致していて悶えました(勝手に)
アルが不機嫌そうだったのはフードの彼女に嫉妬してるのかなぁとか勝手に想像してニヨニヨしております。
世界が変わり始めた、との事で…これからどんなドタバタが待ち構えているのか、果たして主人公さんは自分の名前を思い出せるのか、等々…楽しみにしております!(*゚д゚)b


>みやびさん
ぎゃー、お帰りなさいませ!
アイノの報告書データ、ありがとう御座います!
活用出来る日が来れば活用させて頂きたいものです(ノ∀`*)ペチン
コレ、次スレではテンプレにリンク記載させて貰わないと!(*゚д゚)b
公式の誤訳などは真面目に面白いですよね…クエやNPCの話を見ていて時々噴出します!笑
チャットでお会い出来れば嬉しいです(*´∀`*)ノ


>ななしじろうさん
Σドラ○エ風RS!爆笑
すいません、地味に笑わせて頂きました(*´艸`)
学問の家卒業したての若葉には、病コボすら強敵ですよね…けんし、古都からの再出発がんがれ(´・ω・)

104 ななしじろう :2008/05/21(水) 21:42:29 ID:fm2dgT7U0
「ちくしょう、殺されちまった。今度こそ!」
けんしは張り切って西口へ向かった。
すると、急に足が動かなくなってしまった。
「な、なんだ!?」
足元を見わたしても何もない。
しばらくすると
バッサバッサ…
と羽ばたく音がした。見ると白い鳩らしき鳥がけんしに向かってきていた。
その鳩はけんしの前で落ちないように羽を羽ばたかせ、けんしに手紙をよこした。
「こんにちは、冒険家のみなさん…ブロームのひしょ」
けんしはすっかりやる気をなくしてしまいました。手紙をその場で破り捨て、けんしは自分の家に帰りました。

「じいちゃんただいまー」
ドアをあけると、けんしは不機嫌そうな顔でチョキーに声を掛けた。
「おお、おかえり、グー助。コボルトは倒せたかい?」
チョキーは家の奥の工房で槌をつくりながら返した。
けんしは話しをききながらリビングの椅子に腰掛け、テーブルに突っ伏した。
「それがさー、町でヘンな鳩に金縛りさせられて…もうさいあく」
すると、チョキーは槌をつくる手を止め、思い切り首を天井に向けて大笑いした。
「ははははは!あの鳩は不思議じゃのー。まあもうあいつはこないから、懲りずにいって来い!」
「何笑ってるの?外までまる聞こえよ?」
ドアの少し開いた隙間から可憐な美女が顔を覗かせた。
「あ、ねーちゃん。おかえり。」
うなだれていたグー助は少し元気を取り戻して、ドアの方へ返事をした。
それにチョキーが続けた。
「おかえりパー子。買い物はすんだかい?」
「ええ、ちょっと買いすぎちゃったかしら…あい子は?」
パー子は両手で抱えた大きな紙袋をグー助のすぐ横にドンと置いた。
「あい子なら部屋で寝とるよ。今日の夕飯はなにかの?」
「あらそう。今日はグー助の好きなハンバーグ(ー)よ」
今までテーブルに伏していたグー助が勢いよく顔を上げた。
「ほんと!?やったー!」
「良かったの〜グー助」

こうしてグー助たちは楽しい夕食の時をむかえるのでした…。

105 ななしじろう :2008/05/21(水) 21:44:04 ID:fm2dgT7U0
考えることがいかにもばかですよね。ほんと僕の頭はしょうがくせい以下です…。
でもがんばって書きたいとおもいます。よんでくれたひとありがとうございまた。
みなさんの書いているのを参考にしてがんばってかいていきたいとおもいます。

106 ◇68hJrjtY :2008/05/21(水) 23:04:11 ID:LN1SstPI0
>ななしじろうさん
いいなぁ…RSを普通の家ゲとして遊んでみたいです。しかし毎回のように病気をうつされてるのが(ノ∀`)
そしてやっぱり最後は「まわりこまれて毒効果でぜんめつした…」(苦笑) 凄くデジャヴです。
「病気のコボルト」って最初見た時ビビりましたよ!普通にザコモンスターなのは分かったけど、名前がまんますぎて。
ブローム手紙は放置され、楽しい楽しい晩御飯…これが冒険者ってもんさ!(何
---
チャット参加大歓迎です〜!是非お越しくださいな。
ななしじろうさんって以前にも何か小説書かれませんでしたか?なんかそのひらがな口調に見覚えがあるのですが(笑)
次回作も考えておられましたら楽しみにしていますね。

>黒頭巾さん
いけめんさんってそういう設定でしたか!
なんていうか、男性にも女性にもモテそう(いや変な意味ではなくて)。才色兼備で高嶺の花風味という感じもしますねい。
しかしてその実態は別のところに…あったりするんだろうなぁ(笑) これはワクテカしつつ今後のいけめんさんの仕草をヲチせねば。
オムニバス形式、なるほどそういう書き方もありますね。登場人物だけ一貫させて色々なお題で書いていくのも楽しそう。
チャット時間は前回はヤバヤバでしたね(苦笑) うんうん、今回は私も翌日(29日)予定があったりしますのでたぶん早めに失礼するかもです。
でも逆に他の皆さんのテンションが上がって寝かせてもらえなかったら知りません(何

107 名無しさん :2008/05/22(木) 02:25:25 ID:n19Iy/ug0
また21Rさん消失か

108 黒頭巾 :2008/05/22(木) 17:40:54 ID:fou9k2gM0
――貴方と私が出会ったのはきっと、運命だったのでしょう?


【妄想日記】


○月×日 天気:風雨

今日もいつもの様にモリネルに狩りに行ったの。
運極でタゲが来たら即死だから、記憶で飛んでアイテム確認しないですぐに敵に特技命令しちゃったんだけど、WIZさんが使ってたのよね。
すぐに「ごめんなさい」って言って狩場を離れたんだけど、また「使ってますよこの低魔^w^」とか「横しないで下さい>< 通報します^^;」とか耳メテオされるのかと思ってビクビクしてたわ。
そしたら、そのWIZさんから何て言ったと思う?
「故意に何度も繰り返された訳でもないですし、一度のミスくらい気にしませんので大丈夫ですよ」ですって!
私、ビックリしちゃってマウスを持つ手が震えたのを感じたわ。
このWIZさんはきっとロリコンで、私に一目惚れしたに違いないわね!
私も貴方のその愛に答えようと思うわ。


○月○日 天気:きまぐれ

昨日のWIZさんに会えるかと思って、今日もモリネルへ。
やっぱり昨日の場所にいたわ……私が来るのを待ってたのね、愛しい人!
貴方の横の狩場が埋まってたから、使ってた人がPOTを買いに行っている間に狩場を奪ってあげたの。
私は狩りに適当に狩りながら、貴方の発言が聞こえる範囲でずっと観察していたの。
うっかり耳誤爆した貴方も可愛いわ……でも、その相手は一体貴方の何なの!
貴方は背中に羽を生やしてエンチャを纏い、チリでクールに攻撃していたわ。
貴方のその素敵なエンチャで私の身体を熱く火照らせて欲しい……あらやだ、私ったら!
こんなはしたない私を貴方に叱って欲しいわ。


○月△日 天気:憂鬱

今日もINして速攻でモリネルに……残念、貴方はいなかったの。
耳せずにIN状況を知る裏技で10秒毎に1時間ずっと調べてたけど、INもしていない様だし。
体調不良とかじゃなければいいのだけれど。
愛しい貴方の名前でググってみたらブログを発見したから、即お気に入りに登録したの。
今から過去ログ一年分全部を読んでくるわ。
貴方の秘密が沢山で……一年も前から私の為に綴ってくれていたのね。
何て素敵な人なのかしら!


○月□日 天気:霧

今日も貴方のブログを見に行ったわ。
更新されているけど、忙しいみたいでIN出来ないって書いてあったの。
そして、お友達からのコメントに貴方らしく丁寧にレスしてあったわ。
私だけにレスして欲しいけど、優しい貴方だから少しくらいは仕方ないのかしらね。
折角だから私の連絡先をコメントしておいたの。
貴方からの連絡が来るまで、貴方のSSでも眺めて思いを馳せる事にするの。

109 黒頭巾 :2008/05/22(木) 17:41:23 ID:fou9k2gM0
○月▽日 天気:のどか

教えておいた連絡先に連絡が来ないの。
貴方ってば、全くシャイな人ね。
ブログを見に行ったら、「どなたか存じ上げませんが、個人情報を書かれるのは宜しくないですよ」とコメント削除されていたの。
きっと貴方と私の関係が皆に気付かれない様に取り計らってくれたのね!
私はそこまで気が回らなかったわ……益々惚れ直しちゃった。


○月◇日 天気:風雨

貴方のブログにGメンとの石像完成記念SSが載せてあったわ。
祝福コメントを寄せようとした私の目に、信じられないものが飛び込んできたの。
そのSSで貴方の膝の上に座っている黒い頭巾の女は誰なのよ!
待って、この名前に見覚えがあるわよ。
モリネルで貴方が耳ミスした名前だわ……今、SSで確認したから間違いない。
いくら私に会えないからって浮気なんてよくないわよ!
そんな事で私の気を引こうとするなんて、罪作りな人なんだから。
その愛に答えなくちゃね……ブログに6時間連続で「愛してるわ」とコメントし続けてみたわ。
貴方の情熱的な返事が楽しみね。


○月◎日 天気:憂鬱

私の愛情で埋め尽くされたコメントが削除されていたの。
貴方ったら全くシャイなんだから、もう!
「誰がこんな悪戯をするのか思い当たらない」なんて書いているけど、取巻きに悟られない様に目立つ行為を避けなさいって貴方からのメッセージなんだわ!
「続く様なら、ブログの閉鎖も考えています」ですって。
貴方の取巻きとの縁を切って、私の耳元だけに愛を囁こうとしているのね!
私は貴方のその愛情に答えようと、「素敵な考えだわ」とレスしようとしたの。
「このドメインからのコメントは拒否されています」なんて無機質なエラー文章に阻まれたけど。
そうね、私の答えなんて聡明な貴方にはまるっとお見通しだから態々書かなくてもわかってるのね。
私達に言葉はいらないの……私達には運命の赤い糸が繋がっているんですもの。
私ったらそんな事も思い至らないなんて、おバカさんだわ。


○月*日 天気:きまぐれ



……私は日付と天気だけ書いて、日記帳を閉じた。
綴られる内容はこれからの私の行動如何で変わるの。
目の前には、コミュ拒否にして耳を防ぎながらGメンと打ち合わせをしている貴方の姿。
メンバーの中には、例の黒い頭巾の女もいるわ!
生意気にファミリアを一匹だけ連れちゃって小憎たらしいったらありゃしない。
そのファミリアが「いけめんさーん」って言いながら貴方に近寄ると、貴方は優しい笑顔で「如何したんだい?」って言いながらファミリアの頭を撫でたの。
まるで昼下がりのほのぼのファミリーみたいじゃない!
わかったわ、貴方と私の子どもの予行練習をしているのね……積極的すぎて照れちゃうじゃないの。
そうね、私も貴方の子どもが沢山欲しいわね。
そして、郊外に庭付きの一軒家を買って家族で暮らすの。
何て素敵なのかしら!
そんな素敵な想像中にいつの間にか取巻きは立ち去り、貴方も何処かに行こうとしたから慌てて声をかけたの。

「こんにちは……お久しぶりですね」

言葉を選びながら勇気を出して言った私に、貴方は苦笑しながらこう言った。

「こんにちは。
 ええと……どちら様でしょうか?
 申し訳ありませんが、貴女と何処でお会いたか記憶にないのですよ」

……全く、貴方って二人きりでもシャイで罪作りな人なのね。



――続かない。

110 黒頭巾 :2008/05/22(木) 17:41:44 ID:fou9k2gM0
調子に乗って、歌からSSを以下略の第二段。
元の歌詞が思い込みの激しいアレなカンジなので、パロに近いです。
タイトルでググって頂ければ、歌詞やようつべ動画が出ると思われますので気になる方は合わせて如何ぞ。
どちらかと言えば、イメージ的には思い込みの激しそうな♀キャラって姫か悪魔さんなのですが、ごしゅじんさまのライバルテイマーさんで。
68hさんが「いけめんさんはモテそう」とか仰るから、妄想が広がって勢いだけで一気に書き上げてしまいますた(*ノノ)(他人の所為にした)
書きかけの武道家さん話が中々終わらないままグダグダ長くなっている事の現実逃避とも言います(ちょ)


今回はこまめにレス。

>ななしじろうさん
ΣメインクエEscボタンキャンセル自重w
キャラ名がジャンケンになっているのですね(ノ∀`)
ロングッシュは凶悪な鳩を使って金縛り攻撃をしまくっているので、グー助が放置してもきっと誰かがやってくれる!(そんな)
頑張れ鳩、負けるな鳩。

>68hさん
設定は二転三転するものです…ソレが仕様ってもんです(誤魔化した)
Σ68hさんってば、いけめんさんを買い被りすぎですよ!!爆笑
で、「モテそう」との自分的には想像もしなかった発想を頂いてこんな事に(ノ∀`)アチャー
いけめんさんはモテたとしても自覚していなさそうです…きっとGメンに楽しくヲチされてる事でしょう。
長編だと発生する縛りもオムニバスだとあまりないので気楽にいけそうで…笑
チャットは盛り上がって欲しいけど、盛り上がりすぎたら楽しすぎて先に寝れないというジレンマ!(ちょ)
兎も角、楽しみにしております(*´∀`)ノ

111 aY5Buyq.0 :2008/05/23(金) 05:53:26 ID:aY5Buyq.0
「おはようございます!朝ですよ!」

布団越しに声が聞こえた。
…ぬ?まだ早いな。
私は眠いのだ。睡眠を続行する。
「あれ?おはようございます!朝ですよ!朝!」
…妙にうるさいのがいる。アルか。私の睡眠を妨害するとは…
本来なら八つ裂きにするところだが眠いので声だけ返した。
「…うるさい、眠いんだ。あと6時間寝させてくれ。」
「ダメですよ!あと6時間も寝たらお昼になっちゃいます!起きてください!」
布団をめくられる。電気が眩しい。地下なので残念ながら朝日は見えないが。
「さあ!覚悟してください!」
何を覚悟すればいいのか今一わからんがとりあえず抗議しておく。
「寒い。」
「今は夏です!」
…今日のアルは妙だな。何が妙ってテンションが異常に高い。
「そんなにハイテンションでどうした?新聞の血液型占いで1位だったか?」
「いえ、乗っているのは星座占いで私の星座は最下位でした。」
…ますます意味がわからん。というかいつものノリじゃない。
「私は冷え症なんだ。あと朝日を見れないと目が覚醒しないのだ。」
「え?ここからじゃ朝日は見れませんよ…?
まさか、朝日を見れないとずっとこのままとか!?」

ギャーギャー騒ぎ出した…
だがどうも様子がおかしい。
私は仕方がなくゆっくりと身を起こした。
部屋の入り口でフリーズしているアルと目が合った。
「おはよう…朝っぱらから何の騒ぎ?」
ん?なんでそこにいるんだ?確か私を起こしていた気が…
そうか、
「ついに分身を極めたか…もう私が教えることは何もないな。」
「そんなに私を人間から外したい?」
笑顔で睨まれる。うむこっちは正真正銘のアルだ。
落ち着いてゆっくりと周りを見渡す。
目の前には強面のアルと椅子、テーブル。
なぜか自室ではなくリビングで布団を敷いて寝ていた。
…なんでだ?

「どうしよう!どうしよう!」
隣でわめいているのを見る。
小柄で金髪、フード付きのマントをしている女の子。
停止していた脳が動き出し、先日の記憶がよみがえってきた
「ああ…思い出した。最近歳で記憶力が…」
「まだ20にもなっていないのにそんなこと言わないの。あとそこの騒音発生機早くとめて。」
「了解だ。ボス。」
頭がようやく回り始めた。
隣で錯乱しているこの家の新しい居候を落ち着かせる。
「ふにゃ?」
規制を停止してこちらを見てくる。
まあどんな文化をもっていようと朝はこの挨拶だよな…アル以外に言うのは久しぶりで少し照れくさいが。
「おはよう。ミア。」
「あ、おはようございます!」
彼女…ミアは眩しいぐらいの笑顔で答えてくれた。

112 aY5Buyq.0 :2008/05/23(金) 06:07:53 ID:aY5Buyq.0
どもです >>79-83で初投稿させていただいたものです。
コテハンをつけた方が良い、と言われたのですがなにも思いつかなかったので
79のIDをコテハンにしてみました。
たまにIDが変わってしまいますが以後これで行かせてもらいたいと思っております。

さて、なぜこんなに短いかと言いますと、先ほど4時半ごろ、停電が発生いたしまして、
電気ダウン→PCダウン→書いていたものデリート→オワタ\(^o^)/
というコンボが…
一気にやる気が無くなりかけましたが、生きていた途中の部分を発見し睡魔が来るまで書きなおし
なんとか最初の次の部分っぽく仕上げました。
…手抜きですみませんorz

あとバックアップって大事ですね。次からメモ帳じゃなくてちゃんとしたワープロソフトでやります。

皆様感想ありがとうございます。
グダグダですがこれからもよろしくお願いします。

あと私、戦闘描画がこれでもか!と言うぐらい苦手でして、
RSというmmoRPGを題材にしておいてあれですが…
戦闘描画ALLカットでいくかもしれません(というかそのつもりです。)
戦闘描画うまい方凄過ぎでっせ。

113 ◇68hJrjtY :2008/05/23(金) 16:45:29 ID:LN1SstPI0
>黒頭巾さん
音楽に疎い私には前回の話もそうでしたが元ネタが分かりませんでしたorz …が、プラス思考過多なストーカーっ娘になんか萌えた(*´д`*)
いけめんさん買い被りすぎですかね!?でも「モテモテ」が言いすぎなら「素敵パパ」と言い換えてもいいかもしれないです。
「パパ」っていう感じは今回の小説で新たに沸いた感想なのですけども(笑) ふぁみたんとかに対するところはそんな感じっぽい。
優しくて紳士的な態度がなんかツボだと思いますよ!でも酔っ払って性格豹変しててもそれはそれでイイ(何
あと個人的には前回チャットイベントでちょっと彼の行動を書いてからというもの、はんらさんも好きですよ(。・ω・。)ノ

>aY5Buyq.0さん
なんか無理につけてもらったようで申し訳ない気持ちがありながら、コテハン決定おめでとう!
私のコテハンも一番最初に感想を書いてみた時のIDなんで気にしないで下さい(笑) ていうか( ゚∀゚)人(゚∀゚ )ナカマー!
しかし今回は驚愕の真実が…主人公君って20歳前だったのかッ!妄想の中では20代前半のインテリ系だったのでなかなかびっくりですがそれはそれでイイ!
むしろ20前で冷え性って方がアルではないですが心配です…そしてフード少女、ミアもまた性格イイ(笑)
データ吹っ飛びご愁傷様です( ´・ω・) ゆっくりで構いませんし元の小説から別物に変えちゃってもいいし、ともあれ続きお待ちしています!

114 感想スメスメ :2008/05/23(金) 21:26:18 ID:ddy6MTJU0
やっと次の話が出来上がりあとは読み直し&訂正をするだけなスメスメです。
こんばんわ〜。

みやびさん

おぉ!アイノの報告書ですか!?
自分も作品資料用にSS撮ってありますけど文章のみだと助かります!
ハッ、一度PC壊れてるから資料も吹っ飛んでたんだ…。

めっちゃ助かります!!
ムハァー。
…興奮しすぎですね。
またむくりと起きあがって(蘇生して)くる事を期待しています。


ななしじろうさん

はじめまして〜。
一瞬ポケ○ンかと思いましたよ。
ポ○モンじゃなく●ラクエなんですね…失敬。
いやいやいや、コボルト強すぎでしょっ?
あ、相手してみたい…(武道家の悲しい性)
つーかRSのステ異常に『病気』って項目があったら一体どんな効果が出るんでしょうね……CPがどんどん減っていくとか?

黒頭巾さん

第2弾キター!!
今度は星k(ry
つーか、このままだといけめんさん撃たれちゃうじゃん!?
いけめんさんのシャツが真っ赤になっちゃうよっ!?
だからふぁみたん、危ないから今のウチに僕の元へいr(殴
また興奮しすぎたようで……。


aY5Buyq.0さん

まずはコテハン決定おめですたい。

むっはぁー!この展開イィ!!
このフードの子もといミアさん下さい(イヤマテ
そして主人公くんって20未満!?
68hさんと同じくてっきり20代後半かと…
いやいや、失敬。

バックアップは大事ですよ〜。
僕もしょっちゅうデータ飛ばしていますから♪
よく家電クラッシャーとも言われていますしね(マテ
最近も新作の推敲中に突然消えましたからね。
何かやったのかな?

…まぁ、複数のバックアップはあると楽だと思いますよと、言う話です。

115 黒頭巾 :2008/05/23(金) 22:33:24 ID:fou9k2gM0
書き終わってない新作が途中経過で既に20KB超えて如何しようかガクガク((((゚д゚;))))ブルブルしている黒頭巾です、こんばんわ。
短くまとめる才能を誰か分けて下s(ry

>aY5Buyq.0さん
コテハンおめでとうですーヽ(´д`)ノ
私の妄想の中の主人公くん、25〜27くらいだと思ってました(細かい)
若年寄は若年寄で萌です(黙れ)
主人公くんの天然ぶりが可愛くて可愛くて(*´д`)ハァハァ
途中保存せずに書き上げた瞬間に間違えて「保存せずに終了」を押してデータぶっ飛んだ経験があるのでその悔しさは!
ぜんぜん手抜きでないですよー、むしろ萎えかねない中頑張りましたです(´;ω;`)ウッ
続き、やんわりお待ちしておりますー。

>68hさん
メジャーじゃない曲ばっかり持ってきてる私が悪いんだと思います(ノ∀`)アチャー
確認してみたら、やっぱり「妄想日記」でググれば歌詞とライブ動画出ましたー笑
此処までプラス思考だといっそ天晴れだと思って楽しく書けました(*´∀`)
素敵ぱぱん@いけめんさんとな…確かに現実世界なら保父さんとかやってそうです(ぇー)
酔って性格が豹変するともう本当に大変なコトになります。
皆恐ろしがって誰もその時の事は語りたがりません(何と)
例のはんらさんネタは楽しかったです!笑
こっそりログ残ってるんで、その内ちょいと肉付けして何処かで出てくるかもです。
でも、あのはんらさんは悪いはんらさんなので、ライバルテイマーちゃんと一緒にライバルGにいる別人だと思います(・ω・)ノ(何人いるの←)

>スメスメさん
おぉ、執筆お疲れ様ですー!
続き楽しみにしてますよー(*´∀`)ウフフ
Σごめんなさ、今回の元ネタはスタダじゃないんでs(ry
しかし、読み返してみたら確かにそう思えなくもないですね、コレ…笑
スタダ子がモデルだったら、二人が永遠に一つになれないってわかったら何するか!ガクガク(((((゚д゚;)))))ブルブル
サバイバルモード発動で赤WIZが誕生してしまう!(いっそ死ぬよ)
私のSSは自分の趣味が練りこまれまくってるので、わかる方はニヨニヨ出来るか怒るかだと思っています(駄目じゃん)
怒らないで下さる方には感謝です(ノ∀`)ペチン

116 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/24(土) 11:05:38 ID:OhTl4zsk0
>>77からの続きなりぃ〜

東雲流抜刀術・・・その一太刀、見切ること適わずとみつけたり。その一太刀、彼岸花の花びらが舞い散るが如し。
15年前に雪乃と切り結んだ、当時では5本指に入るほどの実力者だった元剣士の男はこう語る・・・

「とにかく、あの女の使う技は信じられない・・・あの黒い得物が刀であるのはわかっていたんだがな、刀身が全く見えないんだ。
 女の右手が消えたと思ったら赤い閃光が見えて、そして・・・刀を納めると同時に、オレは全身を斬られていた。
 思い出すだけでもゾッとするぜ・・・15年たった今でも忘れられねぇよ、多分あいつに勝てる奴といったら・・・・・

 炎熱系の能力者達の首領『"炎帝"ミカエル』、ラフュア族の生き残りで砂漠の女酋長『"銀の鷹"ティエラ・ラファエル』、
 あとは・・・滅多に闘いの舞台には出てこないが、スマグのデザイナー兼錬金術師『"鋼帝"ウリエル・フランベル』

 ・・・こいつら3人くらいだろうな。とにかく、あの女に剣術で勝とうなんざ考えねぇこった。刺身にされちまう・・・」

15年経った今・・・トラン森の中、トレスヴァントは元剣士の男を簡単に下した居合いの使い手に挑もうとしていた!!!
「(刀の柄に手を添えた・・・!!あれが構えか、おそらく向こうは当身を狙っているはずだ、ここは慎重に動かないとな・・・)」
表情を険しくし、彼はジリジリと間合いを把握するように移動する・・・一方の雪乃は構えを崩さないものの、視線は彼を追っている。
「(なるほど、いきなり斬りかからずに間合いを確認どすか・・・この駆け引きがええんやわァ、楽しませてもらいますえ?)」
・・・二人の動きが止まった、かに思えたその刹那だった!!「当身だけ、居合の戦い方とは違いますえ!?はっ!!!」
何と雪乃の側から仕掛けてきた!しかし刀は抜かず、右手を柄に当てたままトレスヴァントへと走ってくる・・・!!
対するトレスヴァントもビッグセイジを握る手に力を込めた・・・雪乃と接触するまであと2秒もない、ガードの構えを取る!!
だが、雪乃はそのまま彼の背後へと抜けた。刀は抜いてい・・・た。血のような真紅色の刃、その全てが赤く染まっている。
「・・・東雲流抜刀術、走り斬りの意『朱牡丹(しゅぼたん)』。」そう呟き刀を納める雪乃、鞘に戻し『チンッ…』と音を立てる。

同時に、トレスヴァントの握っている大剣に衝撃が襲い掛かった!!!止め処なく響く太刀音、体に伝わる重力・・・
トレスヴァントは腕力で衝撃をカヴァーし、すぐに体勢を立て直した・・・しかし、腕に痺れがまだ残っている。

「・・・さすがだぜ雪乃さん、オレとすれ違った瞬間に10以上の斬撃を放っているとはな。これが東の異国の技か・・・」
「そう・・・相手に悟られずに斬るのが、東雲流抜刀術の粋どすえ。せやけど、私の太刀筋を見切ったのはあなたが初めてですよって。」
「へへっ、そいつァどうも。ガキの頃から反射神経は人一倍すごかったんでね・・・じゃぁ今度はオレから行かせてもらうぜっ!?」
次はトレスヴァントの番、力強く屈伸して、そのまま空中へと垂直に飛び上がった!!ビッグセイジを振り上げ、雪乃目掛けて
落下し始めた!!!「うぉぉおぉぉらぁああぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁあっ!!!!!!!!!!!」
高速で落下したトレスヴァントの斬撃が、大砲のような轟音を響かせた・・・地面がぱっくりと割れている。
当たったら例え防御していても武器ごと真っ二つにされているだろう。だが、着地点に雪野の姿がない・・・!!

117 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/24(土) 11:46:19 ID:OhTl4zsk0

「何も受け切るだけが剣の道と違います・・・なかなか力強い一撃やったけど、『空蝉』で避けさしてもらいましたえ?」
涼しい笑みを浮かべた雪乃が彼の背後に立っていた・・・振り向くトレスヴァントの顔に冷や汗が流れる。
「ウツセミ??何だそりゃ、一体何しやがったんだ…」「うふふ…ええやろ、教えてあげますよって。これが空蝉どす。」
すると彼女の分身が次々と、トレスヴァントを囲むように現われた・・・同時にトレスヴァントも気付いた。「これはマズい!!」
「さてはて・・・トレスヴァント君、いくら反射神経が良うてもこれを全部受け切るのは至難の技どすえ?ほな、行きますえ〜」

                東雲流抜刀術、空蝉の極意奥義!!『彼岸花(ひがんばな)』!!!

例えるならフランデル大陸のランサーが使う、分身を駆使した奇襲用同時攻撃スキル『エントラップメント・ピアシング』。
それを赤い刀身の刀で、中央の目標を切り刻むその攻撃はまるで赤い花・・・東の異国ではあの世とこの世を結ぶと言われる花を
文字通り表現したような、美しくも残酷な技・・・それが奥義"彼岸花"。その餌食となったトレスヴァントは身をかがめて耐え忍ぶ。
鎧が斬撃に喘ぎ、軋み、鈍い金属音を矢次早に奏でる・・・しかし彼の身を包む鎧も、立て続けに襲う鞭のような斬撃に耐えられるはずが
なかった。ついに鎧は派手に大破し、露になった裸体の上半身を赤い刀が切り刻む!!!「うぐっ…ぐぁあぁぁああぁぁぁああぁっ!!!」
血飛沫が舞う・・・それは彼女が放った技の所以を一層強調するかのように宙を舞い、血の雨となって降り注ぐ。
そしてトレスヴァントは倒れた・・・ビッグセイジを握る手に力はなく、ぽろりと落ちて鈍い落下音を出す・・・

・・・雪乃は泣いていた、静かに涙を流していた。刀を鞘に納め、髪を振り解く・・・
「また・・・人を斬ってしまいましたわ。ごめんなさいねトレスヴァント君、かんにんえ・・・かんにんえ・・・はぁっ」
合掌した後、さめざめと泣きながらその場を後にしようとする雪乃、だが・・・

「おいアンタぁ・・・何勝手にオレを死人にしてやがる?オレぁもう怒ったぞ・・・・!!!」
ムクリと起き上がるトレスヴァント・・・上半身は血に濡れているが、それでも立ち上がる!!!
「どうしてっ・・・どうして起き上がりはるの!?どうして血塗れになっても立ち上がりはるのぉっ!!?!
 これ以上やる言うんなら・・・ほんに死んでしまっても、私・・・私知りまへんえ!?!ええんどすか!?」

涙混じりに雪乃が問う・・・そしてトレスヴァントは答えた。

「死なねぇよ・・・つい場の空気のせいでバトっちまったけどよ、オレはこんな所でアンタと油売ってるわけにはいかねぇんだ!!
 オレが死ぬときはっ!!ラティナ・・・いや!!あやねと一緒に死ぬっ!!!だから、オレはここで死ぬつもりはねぇっ!!!」
彼の叫びが場をビリビリと振るわせる・・・地面に落ちたビッグセイジを拾い、ふたたび彼は構えを取る・・・!!
「・・・ようわかりました。その覚悟、しかと受け取りましたよって・・・おいでやす!!」
涙は止まらないが、雪乃もまた再び居合刀に手を添えて構えをとる・・・だが今度はトレスヴァントに変化があった。
大剣を持つ手を後ろに引き、上半身を捻り・・・まるで野球のバッターのような構えを取っていた・・・

「オレはこの一発に賭ける・・・今からオレが放つのは!!超ド級の『嵐』だ!!!」

to be continued...

118 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/24(土) 12:15:22 ID:OhTl4zsk0
さ〜てお兄さんが感想やレス返しを書いちゃうゾ☆

>>aY5Buyq.0さん
どうもはじめまして。クールでどこか無頓着なウィザード、いいキャラしてます^^
相棒(?)のアルとのやりとりが某ハ○ヒみたいで読んでいて楽しいですね〜
ウィザード宅に転がり込んできたミアちゃんとの共同生活はどうなることやら、楽しみですw

>>ななじろうさん
これまたお初でございます。某有名RPGパロディな内容に笑わせてもらいましたぜbb
しかしコボルトにリベンジなるのでしょうかね、にしてもグー助くん一家のほのぼのな雰囲気がいいなぁw

>>スメスメさん
うふっふ〜♪着物美人に居合刀って乙な萌えスタイルだと思いませんかィ?和風いいですよね〜
それとオレのお話作りのコツ、茶会も参加しやすい時間なのでぜひぜひ暴露させて下さいな^^
基本的には「キャラクターに焦点を置く」のがミソなんですがね、詳しくは後日にて。

>>黒頭巾さん
おぉ、こりゃ「いけめんさん」にベタ惚れな女性キャラの視点からつづったブログ風日記ですかなw
あまりに思い込み激しすぎるヒロインも可愛らしいけども、ふぁみたんを撫で撫でしてる「いけめんさん」がもう////
オチは結局『誰だか忘れられていた』というベタな(ry・・・今度は誰の日常が描かれるのか楽しみですよ〜

雪乃さんは「和服美人」「熟女だけど見た目若い」をテーマに作ってみました。
あれですね・・・女の和服の着崩し、特に胸元やスリットのはだけとか、そそる物がありますよねぇw
そこんところは茶会で思う存分暴露し合いましょうぞ!!!

>> 68hさん
チャット時間了解です、時間や曜日も丁度いいので是非参加させてもらいますね^^
あやねや雪乃、燈道ら東雲家は勝負事が好きというか、ちと血の気が多い設定です。
まぁ、あやねはさほどバトルジャンキーでもありませんが、活発女子の典型といえばこうでしょ!みたいなw
そろそろバトル三昧も飽きてきたので(ぉ 前回の茶会で予告した「ミリアちゃん再び幼児化」の執筆にも
取り掛かっていこうと思います。ミリアが兄のミカエルにいっぱい甘えるキュンキュンな妹ぶりをこうご期待b


P・S
ttp://jp.youtube.com/watch?v=00qgdHQ5PVA
某ゲームのやつですが読むときのBGMにどうぞ、和風テイストです。

119 ◇68hJrjtY :2008/05/24(土) 14:28:16 ID:DfeyJKUU0
>黒頭巾さん
妄想日記…!ググらせてもらいました。歌詞だけ読んでみたらまさにドンピシャ(ノ∀`) 動画の方もいずれこのボロPCに鞭打って見させてもらいます(笑)
なんか憎めないんですよねぇ、ストーカー気質なのは分かるけど(笑) 一途な恋愛少女は強いわけです。
普段怒らない人が怒るとメッチャ怖いっていう法則もいけめんさんの場合は凄そうな気もする…!
はんらさんのログ残ってるってマジっすか(;´Д`A なんかそう言われると恥ずかしくなってorz
なるほど彼はいけめんさんギルドの人ではないブラックはんらさんでしたか…ま、まあ、あの性癖はなかなか深夜放送チックでしたが(笑)

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
彼岸花というネーミングもさながら、雪乃の華麗なる剣捌きに見惚れ中(*´д`*)
エントラの刀バージョンというだけでなくてそれ以上のモノであるかのような気がします、彼岸花。まさにあの花の形そのままの斬り方と想像させますね。
速度に勝る雪乃とパワーに勝るトレスヴァント…しかし今のところはトレスヴァント、押され気味でしょうか。
嵐という予告に実にワクテカしております。出るか、禁断のあの技…!楽しみにしています。

120 ◇68hJrjtY :2008/05/27(火) 12:25:45 ID:DfeyJKUU0
直前告知!

      l> 第二回チャットイベントの告知 <l

 チャットイベントの告知をさせていただきます。コピペウェーイ
 21Rさん提案、白猫さん場所提供によりチャットイベントを開催します。
 参加資格などは特にありませんが、このスレの住人様を優先します。
 それについては書き手さん、読み手さん、ROM専さんは問いません。


   日時:5月 28日 水曜日 20:00(午後8時)より   (終了時間未定)
   場所:前スレ>>881  他のスレ、掲示板などへのURL転載は遠慮ください。
   心得:前スレ>>955  参加希望者様はご一読ください。特にチャットでのHNについては重要。


直前となりましたがチャットイベント告知です。特に希望や参加表明を出したりせずに突然来訪してくれて構いません。
チャット内容は…まあ、雑談+書き手さん同士のコラボネタ(前回チャットで少し話した続き?)等になるかと思います。
入退室の時間や制限等もありませんのでお気軽に。

121 之神 :2008/05/28(水) 20:37:55 ID:a6g3wSDo0
1章〜徹、ミカの出会い。
-1>>593―2 >>595―3 >>596-597―4 >>601-602―5 >>611-612―6 >>613-614
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
2章〜ライト登場。
-1>>620 -621―2>>622―○>>626―3>>637―4>>648―5>>651―6 >>681
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
3章〜シリウスとの戦い。
-1>>687―2>>688―3>>702―4>>713-714―5>>721―6>>787―7>>856-858
―8>>868-869
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
4章〜兄弟
-1>>925-926 ―2>>937 ―3>>954 ―4>>958-959 ―5>>974-975
◇――――――――――――――――5冊目―――――――――――――――――◇
-6>>25 ―7>>50-54 ―8>>104-106 ―9>>149-150 ―10>>187-189 ―11>>202-204

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
5章〜エリクサー
-1>>277 ―2>>431-432―3>>481-482―4>>502―5>>591-592―6>>673-674
-7>>753-754―8>>804-806―9>>864-866―10>>937-939―11>>971-972―12>>997-1000
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
番外

クリスマス  >>796-799
年末旅行>>894-901 」5冊目
節分  >>226-230
バレンタインデー>>358-360 >>365-369
雛祭>>510-513
ホワイトデー@シリウス >>634-637
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――◆
キャラ画>>907 (6冊目

122 之神 :2008/05/28(水) 20:40:22 ID:a6g3wSDo0
γ



エレベーター内は、まるで動いていないかのように静かで、俺は少し不安になった。

「ライトだ…、乗り込んだが、これから先は?」

『そうですねぇ、降りてすぐに研究所内の案内書きがあるので、特に迷うことはないと重いまずが…』

「ますが?」

『研究所は四方に扉があります…それぞれ東西南北、そして貴方には…』


迷っているのか、それとも気まぐれなのか、少し間が空く。

「おい?」

『貴方には、東口から入っていただきます』

「入るところによって何か違うのか?」

『いえ、特に変わりはないですよ…ですが、これから起こることを考えると、貴方には東口が最適ですから』

「…意味わかんねぇし…まぁいい、今は乗ってりゃいいんだな」

『そうです、では、お気をつけて』

「ん、了解」

プッ、と音がして、フィアレスとの通信は終了した。

階数表示には 23 とある。階数は忘れたが、順々に下がって行く数字を見て俺は、これが動いていることを再確認した。


ψ

「謝罪を要求する!」シリウスは荒々しく、ジャージ姿の男を怒鳴り散らす。

「まぁ、うん、悪かった!んでさー…」

「貴様、それで謝ったつもりか…」

悔しそうな、やるせないような、そんな表情をしてシリウスはまた向きを直す。

「まぁいい。馬鹿の相手をしているほど、私はヒマでは無い…さらばだ、もう遭うことは無いだろうが」

「お前おもしろい奴だなー!頼んでもいないのにベラベラ喋ってるし!うん、でも俺はお喋りな奴好きだぞ!」

シリウスは完全スルーして、再び自分に支援を掛けなおした。

「また逢おうなー!」

と、ナザルドが言ったころにはもうシリウスは走り出しており、耳に届くことは無かっただろう。


「まぁいいや、これで普通の通路に出れたしっ…俺もノルマをこなすかなーっと…?」

走り出した時、すぐさま違いに気づいた。


「あれ、俺にも支援くれたんだぁ…」

自分に掛けられた魔法の翼が、それを確信させる。

「ますます、また会いたいなぁー!」

スキップまじりのよくわからない走り方で、合っているかもわからない方向へナザルドは走り出した。


κ


――グッ…ウォォォ…。

パタン…!と、通路に響く大きな音で廃人は門番の役目を終えた。


「悪いなアライブコープス。時間があれば低下無しでタイマンしたかった所だが…」

「アルシェは私のノヴァが無いとねーっ?」クスクス、とエトナは笑う。

「別に、必要では無い。それより、さっさと行くぞ」

アルシェは身を翻し、廃人が守っていた扉を開き進んで行った。

123 之神 :2008/05/28(水) 21:18:27 ID:a6g3wSDo0
小説半端ですが、こんばんわー之神です。
皆さんは今チャット中ですね、私も参加してますが…。

さて、イベントでも話題の

『小説キャラクター天下ー大会』

ここで、書き手さんに書いてもらい事があるのです。

①出して欲しいキャラクター
②細かい設定
③備考(たとえば、キャラの具体的なセリフを入れたり、守って欲しい事など。


自分の場合

①ナザルド
②運剣士、しかも極。体育会系で、快活、元気。ノリで動いてるような彼も、運に守られ今までこれたようで。
③語尾はたいてい「〜っ!」のように感嘆符がついたりします。まぁ、元気なんですよ。服装はジャージ、スェット。
 剣士に必要なスキルはそろっているので、技は何を出しても平気です。武器はタルワGDXの運比率。とにかく全身運装備。


こんな感じですね。ではでは。

124 幕間 :2008/05/28(水) 21:23:06 ID:of5VjV0.0
①ハイブリシフ
②いわゆるバカ GV中に仰け反るOFFのままだったり重要なアイテム忘れたりはあたりまえ
③噛ませ犬以下  ギ ャ ク 要 員 で お ね

125 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/28(水) 21:37:58 ID:7cLheTbg0
え〜,之神さんがおっしゃってる「小説スレキャラ天下一大会」,オレも設定ageですよ!

1:エディ
2:カポエイラの使い手,同時に罠設置(有刺鉄線や電流爆破)を駆使する。
  戦闘時はクールながらも内心は熱くなっている,ちょっとニヒルな感じ。
3:「ハッ!」「イ〜ハァ!」など楽しむような掛け声を入れてもらえれば,服装は
  グレーのニットキャップ,黒いスウェット,ブラックレザーのベルボトムパンツ。
  カポエイラの動きは描写が難しく技名もややこしいです,ググって頂ければ;;


1:東雲"ラティナ"あやね
2:物理ランサー,スキル名は和風になります。例えばワールは「龍走撃」,エントラは「鴉揚羽」
  他にはサイドステップが「空蝉」などなど・・・
3:上記以外のスキルの和名アレンジは白猫さんにお任せ致します。
  戦闘時の台詞は某格闘ゲームのアル○ェイドみたいに楽しみながらも熱いカンジでお願いします。

126 スメスメ :2008/05/28(水) 21:38:13 ID:ddy6MTJU0
①アル・キリエ
②熱血バカ・愛すべきマスコット
③とにかくアルに熱い台詞を!

127 みやび :2008/05/29(木) 14:59:01 ID:3CgPRCb.0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[1/9P]

 という訳でチャットで走った「天下」企画とは別に、人がまばらになった頃に沸いたもうひと
つの企画です(笑)
 常連の方はもちろん、初参加の方でもお気軽に投下してください。

 ――以下 テンプレです――

●タイトル…『銀河ネットワークで歌を歌った鯨』
 好きな方はご存知のことと思いますが、某メジャータイトルから拝借。
 タイトルの元ネタはSFですが、だからといって内容がSFである必要はありません。
 といいつつ初回はSF風味に書きましたけど(笑)
 ただし今後の展開を“RSの世界”に移行できる方向に引っ張っていますので、あとはRS
 ネタに漂着させるだけです。
 その後の展開も、それぞれの職人さんの独断と趣味で構築してください。

●文体…それぞれの職人さんに一任します。(それがリレーの醍醐味ですから)

●展開…こちらも自由です! 唯一「シリアス」という点だけは固定させていただきます。
 もちろん当スレの趣旨を逸脱しない限り、笑い……エログロ……恋愛などなど、各職人さ
 んの主観でスレの許容範囲と判断したものは、自由に挿入してかまいません。
 「基本路線がシリアスである」ということだけを頭の隅に置いていただければOKです。

●書式…読み易さを考慮して一行の文字数(正確には文字数ではなく「見た目」の改行位
 置)は統一したいところですが、書き慣れていない人にはけっこうな手間となります。
 なので強制はしませんが、もし揃えてくださるという方はこの文章および本文(第一話)を
 参考に改行してみてください。大雑把でかまいません。

●ノンブル(ページ数)についてもお好みで。
 私の場合、複数者による同時投稿の危険性を少しでも避けるために、投稿の際にはノン
 ブルを振るようにしています。
 (他の方がスレを見た際、まだ私が投稿中“現在進行形”であることをノンブルによって確
 認することができるため)

128 みやび :2008/05/29(木) 14:59:36 ID:3CgPRCb.0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[2/9P]

 ――テンプレの続き――

●投稿時に併記していただくもの…
 ※自身の投下分に新たなキャラを登場させたら、次を書く方のために、本文の最後(冒頭
 に持ってくるとネタバレにもなり得るので、あとがきの形で書くのがベター)に簡潔な人物設
 定を明記すること。

 例>
 追加キャラ設定
 名前…「赤石 駄目男」
 備考…28歳(男)。独身。
 引きこもりニートの廃ゲーマーだが実はイケメン。臆病で神経質。特技はワンクリ放置。
 一人称…「俺」※かしこまった場では「私」
 そのキャラ固有の口調など設けたい場合は別途「終始べらんめえ調」等、明記する。

 みたいな感じです。
 同様に固有名詞やその他設定(歴史、小道具、国、etc)についても自分で追加したもの
 は明記してください。こちらについてはある意味「早い者勝ち」なのでイメージが沸いた方
 はお早めに投稿してください(笑)

●注意!!
 言うまでもなく本企画はスレの趣旨に準じています。
 作品に対する批判は控えてください。荒し・叩きは完全スルーのこと。
 ご新規さんも萎縮したり躊躇する必要はありません。アマ創作に求められるのは技術と
 完成度ではなく「創造の楽しさを共有すること」です。自由に参加してくださいね♪

  
 ――テンプレ ここまで――
 尚、次回以降テンプレは概要のみとし、簡略化してもOKです。いっそここに安価振るだけ
にして「毎回分はテンプレ無し」ってのもアリかと。次の方にお任せします。

 では、第一話は言い出しっぺの私が投下します。

129 みやび :2008/05/29(木) 15:00:08 ID:3CgPRCb.0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[3/9P]

   『銀河ネットワークで歌を歌った鯨』(第一話)



 果たしてかのプリナス・プリミティブ・ライトを故人と決め付けてよいものでしょうか?

 それが、ホサナ議員の第一声だった。

 確かに彼――彼女――は、生き抜くという意味においては利己的で狡猾な人物だった。
 きっと思考そのものが“死”を許容するようには出来ていないのだろう。
 もし仮に、この世にこれ以上の虚無感はないというほどの絶望的な状況があるとして、そ
の最悪の牢獄につながれたのがプリナスであったなら……おそらく彼や彼女は決して諦め
たりはしないだろうと思う。落胆も、絶望も、恐怖も悲しみもなく、ただ「現在の状況を打開
する」ことだけに没頭し、やがては本当に奇跡を起こしてしまうだろう。

 つまり彼や彼女というのは、そういう人物だということだ。
 たとえ彼と彼女が宇宙世代の最初の種――“第一世代”はリスクと引き換えに極端な優
遇種が生まれてくる、というのが一般的な見解だ――であったとしても、銀河中の医師や科
学者たちの予想と予言を遥かに超えた寿命を生き長らえ――もちろんそれらの予定表に
はあらかじめ各種の延齢処置の処方も含まれている――かつ、あまたの危機を乗り越え
てきた事実が、氏の人間離れした逸話やそのた伝説の類を裏付けるものとして存在してい
るのだから。

 さすがに中央銀河評議会の元老連中も、ホサナ議員の言葉を無視することはできなかっ
た。なぜなら、数世紀は生きているであろう元老たちでさえ、氏の家計図でいえば見落とさ
れてしまいそうなほど、幹から遠く離れた場所で風に揺られる、無数の枝葉の先端に位置
する歳でしかないからだ。
 覚醒期間が飛び飛びとは言え、記憶の一部を回路に移植し、第一次宇宙進出の時代か
ら人格を保ち続けているホサナ議員の――そしてなによりプリナス氏とペアであった経緯を
持つ彼の言葉を、いったい誰が黙らせ、一笑に伏すことができるだろうか?

 結論からいうと、ホサナ議員の熱弁が元老たちの気持ちを変えさせ、プリナス氏のことは
ひとまず“行方不明者リスト”に現状のまま保留扱いとなった。

130 みやび :2008/05/29(木) 15:00:38 ID:3CgPRCb.0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[4/9P]

   *≪月の台地号≫と議員と部下


 メイン・コンピューターに現在位置と航行速度をリピートさせると、アナハムはコンピュー
ターに“目と耳を塞いでいるように”命令した。
 それを見ていたホサナ議員は鼻を鳴らした。
「ずいぶんと用心深いんだなきみは」
 アナハムはかしこまってイエスと答えた。
「当然です。むしろあなたのほうが無用心なのですよ、議員」
 そうかい? とホサナ。
 上司のとぼけた態度を盗み見ながら、部下はそうですとも。と心の中で思った。
「そもそもこれは重要度Aランクにカテゴライズされることなのです……。それをあなたとき
たら――」そこまで言ったアナハムの言葉を、ホサナはうんざりした顔で制した。
「ああやめてくれ。それがなんだっていうんだ? 僕はかつての恋人であり、友人であり、そ
して元妻を捜したいと願っているだけの、ただのくたびれた老人にすぎんよ」
「ええ。“あなた”にとってはそうでしょうとも……。しかし“そのほかの全人類”にとっては違
います。いわば彼は“人類の財産”なんですからね!」
 それを聞いたホサナは天を仰いだ。
「はん。馬鹿馬鹿しい!」
「それはあなたの主観です議員。あらゆるジャンルにおける彼の死――いえ、たとえ失踪
だとしてもです。そのことによっていったいどれだけの人々と科学が打撃を受け、そして得
をすると思っているのですか? 前者はともかく――後者を支持する連中にとっては、あな
たの大切な人が五体満足に発見され、銀河ネットワークのトップ・ニュースに速報が流れる
のをなんとしてでも避けたいと思っているはずです。つまり今こうしているあいだも――あな
たは命を狙われているということですよ。もちろん部下である私も含めてね! 私はごめん
ですよ。この歳で再生法の世話になるなんて!」
 年老いた議員――もっとも外見は三十代前半の容姿を保っていたが――は、深いため
息をついた。
「まったくよく喋る男だ……」
「饒舌にもなりますよ。とくに上司が無用心で無鉄砲な場合は――」
 ああわかったわかった、と、ホサナは身振りで部下をなだめると、頭上の空間に向かって
言った。
「コンピューター! 会話を許可する。今のを聞いていただろう?」
 女性人格のコンピューターはおっとりした口調で答えた。
<イエスでありノーです。ミスタ・アナハムは“立ち聞きをするな”とおっしゃいました>
 ホサナはオーバーに目をむいて驚きを表した。
「アナハム――まったくきみに似て偏屈なコンピューターだな!」
 部下は肩をすくめた。

131 みやび :2008/05/29(木) 15:01:10 ID:3CgPRCb.0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[5/9P]

「言葉遊びはいい、コンピューター! きみのテンポラリーにとどめている記憶のことを言っ
ているんだ。そいつを消去しちまう前に、今しがた僕らが交わした会話について意見を聞き
たい。ここにいる、この出来損ないの部下は僕の身が危ないと言って、この僕を脅している
んだが――きみはどう思うね? 今現在、僕の身に危険が及ぶ可能性はあるかい?」
 コンピューターは人間の思考速度に合わせた時間単位を使って躊躇い、そして言った。
<アナハム氏を“出来損ない”と形容することには同意できませんが……彼の言葉の半分
がいわゆる“ハッタリ”であるのは否定できません……。わたしのボディ――つまりこの船の
中枢は既存の索敵システムを無効にでき、いかなる兵器も私の船体を破壊することはでき
ません。もちろん船内クルーの身辺チェックも完璧です。仮に見落としがあれば――その確
率は天文学的な数値ですけれど――わたしは自分の判断ですみやかに“対象者”を排除
する権限を与えられていますし、その場合には躊躇わずに実行します。……つまりわたし
の目の届く場所にいる限り、あなたの安全は保障されていますわ、議員>
「ふん。やっぱりきみは偏屈な女性だな……。この男の言った、ハッタリではない“残りの半
分”についてはなぜ言わない?」
<それは……>
 今度は形式的でなく“本当の彼女”が躊躇ったように、ホサナは感じた。
 同じことをアナハムも感じ取っていたが、いくら心の中でコンピューターにサインを送り―
―また実際に何らかのテレパシーによってそれが通じたとしてもだ――絶対的な権限を持
つホサナの言葉に、彼女が逆らえるはずもなかった。
<……それはあなたが今後、どうなさるおつもりかで決まります。むろんあなたの意思は察
しがついていますが……しかし議員――わたしは船を降りたあなたを完璧にサポートする
ことはできません。あなたの安全が保証されるのは船内にいるときだけです……>
「ふふん。いい子だ……。つまりあれだ――きみらはふたりして、僕が船を抜け出さないよ
う計画を立てたか……あるいは今立てている最中という訳だな?」
 アナハムは小さく息を吐き、壁際のバーに行ってブランディのボタンを押した。
「いいですか議員。私たちはすでにプリナス氏を失ったのです……このうえあなたという財
産まで失う訳にはいかないのです」
 ホサナは下品なスラングで悪態をついた。
「おいアナハム! 僕を絵画や骨董品と一緒にする気か!? 評議会だの人類の損失だ
の――そんなものはクソくらえだ! まったく話しにならん」
 そう言うとホサナはつかつかと部下のところまで行き、ディスペンサーの口が吐き出した
ブランディのグラスを、アナハムより先にぶん取った。
「それは私のです、議員」
「うるさい!」
 ひと息にグラスを空ける上司を見つめながら、アナハムは十分に予想していた事態をこ
うして実体験しながら、気が滅入ってくるのを感じた。

132 みやび :2008/05/29(木) 15:01:42 ID:3CgPRCb.0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[6/9P]

 プリナス・プリミティブ・ライト――別名“天使の卵”と云われた人物が生まれたのはおよそ
二千年ほど昔のこと。
 当時、人類の月面基地がようやく実用的なレベルで稼動を始めた頃、基地内の研究施
設で氏は創造された――そう。氏は人工的に造られた遺伝子工学の落とし子だ。もちろん
技術的な意味では人工物だが、単に両親の快楽から生まれてこなかったというだけで、ちゃ
んとした人間から精子と卵子を提供された、まぎれもない人間だ。その技術が元になり、の
ちの“宇宙世代”を生み出す基盤となった訳だが、多くの失敗例のなかで唯一の成功とされ
た氏の成長にも、問題があることがわかった。
 彼が五歳のとき、実は“彼女でもある”ことが発覚したのだ。
 俗に言われる“半陰陽”などという表層的なものではなく、根本から両性が共存していた
のだ。要するに彼の染色体は男であり女であって、その身体的な特徴は本人の意思ひと
つで自在に入れ換えることが可能で、しかも生理だけでなく人格さえも“ふたり分”の心
を内包していた。彼――そして彼女が“天使”と称されたのはそういった理由からだ。
 プリナスは早熟で好奇心が強く、また完璧な自我を持っていた。
 あらゆる状況に瞬時に適応し、どんな人間をも許容し理解し、また誰からも好かれた。
 プリナスの遺伝子系譜は人類の“始まり”とされる遺伝子を含んでおり、その意味ではす
でに人類の遺産としての価値を持っていたが、そのほかのあらゆる方面でも恩恵を振りま
き、彼――彼女の遺伝子情報がもたらした特効薬、血清、新医療技術は枚挙にいとまが
無い。
 彼――彼女はまさに天使の形容に相応しい扱いを受け、本人にその意思がなくとも必然
的に巨万の財と権限を持つにいたったが、当の彼らはそんなことには興味も示さず、絶え
ず新しいものを――面白いことを求めた。

 そうして今から四半世紀ほど前――彼――彼女――プリナス・プリミティブ・ライト――ま
たは天使の卵――は、人々の前から忽然と行方をくらました。

 そのとき人類の版図は複数の銀河に及び、探検隊の先端は常に宇宙の中心と外部の両
方へ向けて延びていた。
 だが“宇宙を震撼”させた天使の失踪事件は、宇宙中の見識と科学をもってしても解決す
ることなく、ときだけが無慈悲に過ぎていった。

 一方、増殖した人類の箱庭となった宇宙の法を司る最初の権威――中央銀河評議会の
末席を担うホサナ・クリストファー議員は、プリナスの技術から生まれた量産型“第一世代”
の先駆けで、またプリナスとは別に、人類に“一般延齢技術”――もちろんその基礎を作っ
てくれたのはプリナスだったが――をもたらした最初の被験者として、その価値が見出され
た人物だった。
 彼はのちに、記憶や人格をコンピューターに移植する技術を生み出し、自らを実験体に
して安全性を立証した。
 もっとも当時から数えて四百年ほどは――彼に続く宇宙世代しかり――人類の感情は機
械との融合を拒み、全人類のなかでもホサナだけが、プリナスに近い年齢と記憶を持って
いる希少種ということになった。
 彼らの生い立ちと社会的な位置付けからすれば、ホサナとプリナスの出会いは必然的で、
彼らが恋に落ちたとしてもなんら不思議ではないし、実際に彼らは出会い、結ばれた。

133 みやび :2008/05/29(木) 15:02:15 ID:3CgPRCb.0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[7/9P]

 以上のような経緯があり、ホサナはこれ以上の捜索は資源の無駄だと言い始めた評議
会の元老たちを言いくるめ、単身――まあ直属の部下であるアナハムおよびその補佐の
船内コンピューター、そしてその他のスタッフたちも同伴しているが――元妻で恋人のプリ
ナスを探すため、漆黒の海原へと飛び出したのだった。


 追記――

 ホサナ議員が得たプリナスの行方に関する手がかりのうち、彼がもっとも注目したのは、
宇宙に点在する公共サービスのひとつ――プリナス専用のパーソナル・メモリーに残され
ていた以下のキー・ワードである。



          スター・シード(宇宙の種子) = レッド・ストーン



 このレッド・ストーンというキーで調査を続けたホサナ氏は、ある特定の宙域から同じキー
を受信した形跡のあるプリナスの個人衛星をつきとめた。
 ただ、同信号の送信元は銀河の中心側であったが、どこの天文記録所にも該当宙域は
“人類未踏破”として記録されていた。

 とにかくも手がかりはほかになく、ホサナ氏は恒星間宇宙船≪月の台地号≫のお尻を
引っ叩き、文句を言う秘書のアナハムとその他諸々を引き連れ、くだんの宙域を目指した
のだった――。

◇―――――――――――――――――――――――――Red stone novel[−Fin−]

134 みやび :2008/05/29(木) 15:02:46 ID:3CgPRCb.0
◇――――――――――――――――――――Red stone novel−Postscript[8/9P]
※本編中の誤字・脱字は脳内変換をお願いします。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      『銀河ネットワークで歌を歌った鯨』(第一話)

 ――あとがき――

 こんなん出ましたー。
 なるたけ自由度を上げてみたつもりですが……どうでしょうか。ダメ?(泣)
 と、とりあえず現在の設定を……(汗)


 時代――あとの職人さんが決められるように具体的な数字は未設定としました。
 まあ……月面基地が実用的な稼動をしてから二千年後、が現在ということなので、ある
程度は範囲が決まってしまうでしょうけどね(汗)

 社会――本文中にあるものが現在の全て。
 ぼかしているもの、および触れていない部分はのちの伏線に使うなり、自由に設定して
ください。

 人物――
 プリナス・プリミティブ・ライト…別名“天使の卵”
 齢二千年を誇る人類最高齢の人間。
 人類が宇宙へ拡散した現在もなお、解明しきれていない“生命”の大元を紐解くための
カギとされ、人類にとっての“遺産”と位置付けられている人物。
 身体、人格ともに独立した男女のそれを持ち、自らの意思で性別と人格を選んで交代
できる。
 容姿はもちろん萌え〜……じゃなくて。美しい設定で。
 清楚でか弱い外見とは相反し、行動的で好奇心の塊。
 ある星域から受信した「レッド・ストーン」というキー・ワードに惹かれ、そこへ旅立ったも
のと思われる。(ホサナ・談)
 一人称は未設定とします。好きにイジってください。早い者勝ちということで(笑)

 ホサナ・クリストファー…中央銀河評議会の議員のひとり。人工培養の第一世代。
 年齢…実年齢はおよそ千五百年ほどだが、途中にコールド・スリープの期間を挟んでい
るため、主観活動期間は年齢よりも短い。記憶の一部をコンピューターに移植し、自身の
細胞から培養した“新しい体”に再びその記憶を戻す、といったことを繰り返しつつ、寿命
を伸ばしてきた。見かけは常に三十代を保っている。中肉中背だが骨格はしっかりしてい
て全体に無骨な印象。
 容姿…あまり美形ではない。いわゆる“味がある”といったタイプの“いい男”。
 ユーモアがあり豪快で行動的。抜け目がなく決断は躊躇わない。
 一人称…状況や相手に応じて「私、俺、僕」を使い分ける。

135 みやび :2008/05/29(木) 15:03:32 ID:3CgPRCb.0
◇――――――――――――――――――――Red stone novel−Postscript[9/9P]

 アナハム…ホサナの秘書兼ボディ・ガード
 (あえてフルネームは決めていません。自由に決めてください)
 年齢…“青年”の範囲で。容姿は華奢(スリム)で端麗、としたほうが良さそうです(なぜ)
 非常にバランスの取れた思考の持ち主で、常に最善を模索するタイプだが、人情が重要
とされる局面ではそれが裏目に出る可能性も。
 一人称…「私」

 恒星間宇宙船≪月の台地号≫の中枢コンピューター
 名前はあえて決めませんでした。なのでお好みでつけてあげてください。
 人格は女性。最新の高級人工知能で、会話だけだと人間と機械の判別は不可能。
 一人称…「わたし」
 備考…船内外活動用の端末(人型アンドロイド)のボディを複数所有。状況に応じて“人間”
として振舞うことが可能。※こちらの容姿・機能なども自由に設定してください。

 船自体はホサナ氏個人名義の自家用宇宙船で、メイン・コンピューターは秘書のアナハム
が取りつけさせたもの。

 以上です。
 ※もちろんここであげたピースを全て活用しなくちゃいけない訳ではありません。
 触手が動けば活用していただき、また自分の守備範囲でないものは華麗にスルー。他の
部分に手をつけるのもアリ、というのもリレーの良さです。

 それはともかくですね……誰か続きを書いてくださーい!
 希望者が出ない気がしてきました……(涙目) 求む! 勇者!

 レスはまたのちほど……。

 ――っと。忘れるところでした。
 余談ですが本企画の隠しタイトルは「68hホイホイ」となっております。
 要するに「68hさんを仕留めるには!?」という発想から生まれた企画でありまして、68h
さんにはぜひとも発起人(その場にいなかったけどね)のひとりとして、筆を振るっていただ
かなくては!
 とまあ冗談はともかく(でも68hホイホイなのよぉ〜♪)、「皆さんで創作する」リレー企画で
すから、どなたでもどしどし書いてつなげて行ってください! というか書いてえん(媚)
Red stone novel−Postscript――――――――――――――――――――――――◇

136 之神 :2008/05/29(木) 16:49:22 ID:BygKvBUA0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[1/5P]


<2人のライト>


―「貴方と私は、つながりが深いの」

―「名前、とても大事よ」

―「それが嫌いな人から呼ばれるあだ名でも、最愛の人から名づけられたものでも」

―「近いうちに会いましょう」

―「いいえ、会いに行くわ」

―「だからそれまで、生きるのを諦めるのは止めて」




「…聞いているのか?」という渋い声が、その声の主の殴り拳と共に俺を我に返らせた。

…ガン!

後頭部を思いっきり柱にぶつけた俺は、痛いが声も出せなかった。

「なぁライト、何でだろうなぁ」

「何がですか」俺はとぼけた。バレているのはよくわかっている。

「うちは代々、武道の名門と世でも有名だ」誇らしげに、俺の叔父が腕を組み反り返る。

「だがな、おかしいんだ」

「あれほどシーフにはなるなと、釘は刺しておいた。言葉でも刺したが、実際にもな」

そういや、そんな事もあったっけなぁ…
俺は右腕にできた最近の傷の位置を思い出す。

「しかし、だ」

傷跡探索をさせるヒマも与えず、叔父はだらだらと長い話を続ける。

「あれだけ釘を刺しておいたにも関わらず……何故そいつの部屋から投げ短剣なんてものが見つかるんだろうなぁ?」

そう叔父は言うと、殴る準備か…拳を鳴らし始めた。

「純粋な武道家以外は、処分だ。我々は武器に頼らない、…お前と違ってなっ!」

バキッ…!という豪快な音が、俺の耳に届いた最後の音だった。

137 ◇68hJrjtY :2008/05/29(木) 16:53:48 ID:hbJDitGY0
チャットイベントお疲れ様です〜。早々に退室してしまい、最後まで参加できず大変申し訳ない。
コラボネタも色々決まったようで何よりです。いち読み手として皆さんのキャラの暴れっぷりを楽しみにしていますよ!

>之神さん
やっぱりシリナザですよね!ね!(黙
でも悪態をついておきながらしっかり支援して去っていったシリウスのツンデレっぷりがもう(だから違
と、書きかけだったと言ってましたっけ…うーむ、このタイミングで感想書いていいのかは分からないですが、続きお待ちしていますね。

>みやびさん
わぉー、SFバリバリなみやびワールドが…。なんとリレー小説ネタまで挙がっていたとは。
以前の小説のハウスキーパーっぽいコンピューターと、両性であるプリウスにホサナ。キーワードはレッド・ストーン。
徐々にRS世界に入り込んでいくということですが、しかし68hホイホイってナンデスカー(爆)
エサ(みやびさん小説)のレベルが高すぎて貧相飯食べてる私など引っかかりませんよ!?
っていうのも冗談で(笑)、しかし小説なんてまるで書こうとすらしてない日々なものでorz
ネタがまとまり次第色々考えてみます…。シリアスっていうのもポイントですねい。
---
リレー小説にはなるべく予測めいた感想は書かないように自重させていただきます(;・∀・)

138 之神 :2008/05/29(木) 16:58:38 ID:BygKvBUA0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[2/5P]


禁固2週間の刑は、かなり久々だ。
しかも今回はメシも与えられないらしい。

「痛っ……」
背中にできた火傷、顔面についたアザなどをさすり、痛みが和らぐように願った。

「そうだ…応急処置、覚えたんだった…」

俺は独学で習得したそれを行使し、体中にそれを施すことに専念した。

「ハぁ…何回こんなこと繰り返してるんだろ」

狭い光の入らない牢屋の中で、俺は誰にというわけでもなく呟いた。




「死にたいや」




俺は意識的に、ポケットの中に常備してある武器に手を伸ばした。
ダートの切っ先をぼんやりと見つめながら、俺は今までを振り返る。



「10歳ごろからは殴られた経験しかねえな…ロクなモンじゃねえ」

「今年で俺も16か…6年、頑張った」




「…お疲れ様」

そう自分に言って、ダートを振りかぶり…

そのままの勢いで自分の首へ運んでいった。





「さよなr」

―「諦めないでって、言ったの覚えてないの?」

139 之神 :2008/05/29(木) 17:14:05 ID:BygKvBUA0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[3/5P]


「……!?」突然、女の声がした。

―「もう、…貴方に死なれては私も困るの」

「誰だか知らないが、せっかく覚悟を決めたのに…邪魔をしてくれたな」

居場所のわからない声の主に向かって、俺は声で睨む。

―「もう、せっかく縁ができたのに…勝手に死ぬなんてヒドい事よ」

「勝手なのはそっちだろ。しかも、何言ってるんだよ、縁とか、知らねーよ」

―「縁は縁よ。遠い縁だけど。そうね…この星にも沢山いるわ…縁のある人」

―「貴方もその一人、…ね、ライトくん?」

「…!何で知ってるんだよ…!」どこを見て話せばいいのかわからない。

―「探しても私はこの部屋には居ないわ。それと、何で知ってるかは内緒」

―「ところで、貴方なんで自ら死のうとしたの?」

勝手に話題変えるなよ。

「生きててもつまんねえだろ…」

―「それは貴方が、弱いからよ」

「…んナっ!テメぇ、言わせておけばいろいろ言いやがって…!」

―「私の見てきた宙域のほとんどは、強い者のほうが楽しんでるケースが多いけど、この星は違うの?」

「…は?今度は何言ってるんだよ…」
俺はもう聞くのをやめようと決心した。

―「だ・か・ら、貴方、弱いままじゃイヤでしょ?」

…。

―「ここから出たいでしょ?」

…。

―「そうね、この星で最強くらいなっても悪く無いわ」

…。

「貴方を、そうしてあげようか?」

…!

140 之神 :2008/05/29(木) 17:30:53 ID:BygKvBUA0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[4/5P]


「お前、いい加減にしろ」
数分前まで自分に向けていたダートを、空中に向けた。

―「いい加減じゃ無いわ。可能な事よ」

「親にどんなしつけされたか知らねえが、もう関わるな」

―「…親。…まぁいいわ、貴方が死にたくてしょうがないなら、私も諦める」

「そういうことだ、もう俺は疲れたからな」

―「そうね、そのままこの人生を送れば、とても疲れるわね」

―「ここにポータルを開けておいてあげる」

突然、白いモヤモヤが現れ、そこから外の景色が見えた。

「出ねえよ、外なんて…」内心不思議だったが、表に出さないように俺は言った。

―「この部屋を、この星の時間尺度で30秒後に爆破させるから、貴方、死ねるわよ」

―「そこのポータルに入れば安全よ。そのまま外だから」

「何勝手に進行してんだよ」

―「死にたいんでしょ?それなら、私が作った縁だから、私が葬ってあげる」

―「待ってるわ……、最後に」

「最後だろうな」もうどうにでもなれ、だ。

―「人生を諦めちゃ、ダメよ」




声がするのはようやく無くなり、また静寂な牢屋へと戻った。ただ、白いポータルとカウントされる数字を残して。
「…どうせ嘘だろ、爆破なんて…」

と口では言ってみたが、実際に俺はというと…これまでを振り返ったりしていたのだが。

カウントも残り少ない。

「なんか…この家にさえ生まれなければ、好きな事できたのにな…」

5

「まぁ6年経った今更、どうでもいいことだけど…」

4

「……。」

3

「…。」

2

「やっぱり…俺は…!」

1





町中に響き渡る爆音と共に、そのとき小さな牢屋は吹き飛んだ。

141 之神 :2008/05/29(木) 17:45:21 ID:BygKvBUA0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[5/5P]

「あら、やっぱり来たのね」

そこには美しい女性がいた。


…同時に、俺は死から逃げてきた事を悔やんだ。

「いいじゃない、生きるのに貪欲なのは普通の事よ」

薄っすらと微笑む女は、そのまま話を続けた。

「さぁ、それじゃあ貴方にはこの世界を案内してもらわないとね」

「…は?」

「助けてあげたのよ、それくらいはしなさい」

「…仕方ねえな……」
俺は女の顔は見ず、そのまま空を仰いだ。

「おい」

「私は『おい』なんて名前じゃ無いの」

「なら名乗れよ。お前が一方的に俺の名前知ってるなんて、ズルいだろ」

「長いわよ、名前」

「覚えてやるよ、だから言え。お前にはこれからもどうせ付き合わされるんだろう?」

「プリナス・プリミティブ・ライト…ライトよ」

「お前…だから名前がどうだの縁だの言ってたのか…」

そう確認した瞬間…フワっと柔らかい風が吹き、同時にまた痛みが走る。

俺はそのまま、意識を失った。



「困った子ね。まぁいいわ、しばらく休ませてあげないと、ね」
都市とは外れたところにある、大きな木の下で…2人は並んで座っていた。


「それにしても、騒がしいなぁ…」 

プリナス…もう1人のライトは、木陰からその様子を眺めていた。

「エンヘイおね!」
「おね」
「支援おねがい」
「…!」

そして、突然声をかけられる。


「貴方も、支援がほしくてここに?」

プリナスが目をやると、そこにはロングコートを着た男が、杖をぐるぐると回していた…。

142 之神 :2008/05/29(木) 17:52:38 ID:BygKvBUA0
はい、どうも…

正直やっつけ感が否めない、之神です。

こんな感じでいいのでしょうか?みやびさんw

ちなみに虐待を受けてますライトくん、それウチの子です…うっかり出してました(笑

設定は一応

プサージュ=ライト
武道家の名門に生まれるが、本人は反してシーフに憧れている。
身長はこの頃は168cmくらい、一人称「俺」。
6年間虐待を受けているが、本人はそういうものだ、と割り切っています。

まぁ、私のグダグダ小説の読者様からすれば、ライトの少年時代ってワケです。
つまり、私の本編以前のライトがここで決まるわけでして…。

期待してます(ぁ


では引き続き、小説スレをお楽しみ下さい。

ただ単に、みやびに続け!な之神でした。

143 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/29(木) 20:01:46 ID:7cLheTbg0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[1/6P]

「Lost something,when you wannna something.」

ブルンネンシュティグ西口に面する草原,そこに彼はいた。スマグに君臨する大財閥『サヴェスティーロ・ファミリー』,その御曹司である一人の青年。
木陰に腰掛けていた二人の男女に彼は話しかける。「ん・・・あら,私たちに話しかけているの?」「そうじゃなければ誰に話しかけているんですか?」
「ふふ,ごめんなさいね。じゃぁお言葉に甘えてその支援とやらをもらおうかな?」「あぁ,せっかくだし俺にもいっちょ掛けてくれないかな?」
「では・・・炎よ,彼の者に加護を与えん!ファイアーエンチャント!」杖を掲げると,その先端から放たれたオレンジ色の球体がふわりと出て
二人の身を包む。螺旋状にくるくると,頭から足元にかけて回転した炎の元素がそれぞれの体に纏われた。
「まぁ,炎を身に纏うなんて・・・この世界の魔法というのも面白いのね。あなた,名前は?」「僕はバーソロミュー,バーソロミュ・サヴェスティーロ。」
魔術師の青年が名を名乗ったとき,プリナスの横にいたライトが血相を変えた・・・!!

「おいアンタ,今ファミリーネームを何て言った!?」「・・・サヴェスティーロ,です」
もう一度名乗るも,その表情はどこか暗さを漂わすものだった。プリナスは感じ取っていた・・・
今こうして話している彼の目にも,隣に座っているシーフがそうだったように,何かにひどく絶望していることを。
「・・・バーソロミュー。あなた,何かに苦しめられているわね?じゃなきゃ,自分の家系を名乗るのにそんな表情はできないわ。」
「(そういや最近のサヴェスティーロ・ファミリーはマフィア同然の活動をしてるって噂だが,こいつ・・・その御曹司なのか?
  それに・・・どこかオレと似た境遇のような気がするね,こりゃ隣で勝手に話進めてる女のお節介に巻き込まれそうだな。)」
彼女の横で,ライトは顎に手を当てて何かを考察していた。一方,バーソロミューは俯きながらも口を開いた。
「えぇ・・・実は今,僕は葛藤しています。自らを苦しめる家を,そして父親を・・・この手で葬るべきなのか・・・」

144 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/29(木) 20:23:06 ID:7cLheTbg0
「・・・なら,ちょうど私たちだけでゆっくり話し合いましょう。ね,ライト?」「あ,あぁ・・・(ほら来た,やっぱりこうなるのかよ〜)」
「え・・・ですが相手は財閥でマフィア,潰せば大陸の経済を狂わせかねない!そんな簡単に解決することじゃ・・・」だがプリナスが彼の言葉を遮った。
「いい?この大陸の経済がおかしくなろうとも,それはほんの一時にしか過ぎない・・・でもあなたの未来,人生はかけがえのないもののはず。
 それをずっと変えないでいいの!?これはあなたにとってチャンスよ。ここでしがらみを断ち切らなければ,あなたは一生後悔する。それでもいいの?」
語気は強まる様子はないが,プリナスの訴えるような視線は強い説得力を携えていた・・・
「・・・そうですか,今がチャンスか。わかりました,全てを話しましょう・・・僕の全てを,ファミリーの全てを。」


・・・・場所は変わってスマグの大きな屋敷。書斎で男は葉巻を吹かし,一人の女性と情事を愉しんでいた。
「んっ・・・あぅっ,ぁはぁ・・・・あぁんっ/////」「おいおいテメェ,もっとイイ声で鳴きやがれってんだ・・・消されてぇか?」
「・・・っ!!そ,それだけはご勘弁をっ,アルパティーノさm・・・」「もう遅ぇわ,俺様を愉しませなれなかった罰だ。死んでくれや・・・?」
「いやっ,やめてぇっ!!!そんなっ・・・そんな理由で殺さなくても!!ねぇ聞いてるの!?」「あばよ・・・」

ズドンっ!!・・・・旧世界の兵器,ショットガンを手に男は愛撫していた女の頭を打ち抜いた。返り血を浴びた顔に微笑が浮かぶ・・・
「・・・ヤクの売り上げも悪ィ,クソ息子も反抗的,女は簡単にイカねぇ・・・あぁチクショウが,俺様に歯向かう奴なんざ一切いらねぇんだよっ!!!」
凶悪な笑みを浮かべながら,サヴェスティーロ・ファミリーのボスであるこの男,アルパティーノ・サヴェスティーロはさらに弾を装填して
床に倒れた女の裸体を撃ち抜く・・・命の尊さもわからない子供が蟻をプチプチと潰すように,止め処なく撃ち抜いた。

145 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/29(木) 20:42:37 ID:7cLheTbg0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[3/6P]

プリナスたちは古都の地下バーに移動していた。バーソロミューが最近知り合ったシーフ,エディ・ヘンリケスの隠れ家でもある。
偶然にも彼とライトは幼い頃からの友人同士であり,今でも交友は続いている。バーのドアをライトがノックすると,静かに開いた。
暗闇の中から姿を現したのは,棒付キャンディを舐めながら灰色のニットキャップを被った小柄な青年だった。
「お?久しぶりじゃねぇかライト,またあの時代遅れな家から抜け出してきたのかぁ?」「・・・まぁな。ところで話があるんだ。いいか?」
「それにバーソロミューもどうしたよ,随分と浮かねぇ顔してんじゃん」「・・・(どうやらついに計画を実行するときのようでしてね。)」
バーソロミューが彼の耳元で囁くと,エディは無言で一行を手招きした・・・

「・・・な〜るほど。ライトよぉ,お前が連れてるカワイ子ちゃんがお節介焼いてくれて,んで今度はバーソロミューが
 お節介を焼かれる番,お前は彼女の手伝いといったところか?」「・・・そうなるわな。」「ライト,彼は誰なの?」
フランクな口調で話すエディをよそに,プリナスがライトに訊ねる。彼は彼女の耳元で囁いた・・・
「あぁ,こいつは俺の昔からのダチさ。ブリッジヘッドのスラム街出身で,双子の兄弟がいるらしい・・・」
「・・・そう,よろしくねエディ。私はプリナス,プリナス・プリミティブ・ライトよ。」「おうよ,こっちこそよろしく!」
それぞれが自己紹介を終えたところで,バーソロミューが話題を振った。父を,忌まわしき財閥を葬るために。

「では,皆さん・・・今夜,僕の父で財閥総帥のアルパティーノを暗殺するための計画を話し合いましょうか。
このことは僕の叔父にも話してあります,彼もまた協力者です。この話し合いが終わり次第,彼に連絡を入れます・・・」

146 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/29(木) 21:16:06 ID:7cLheTbg0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[4/6P]

PM11:00・・・満月の光がアラク湖を照らしている。そんな夜景を映し出す屋敷の窓辺で,アルパティーノはワインを嗜んでいた。
「・・・遅い。あのクズ息子,また鉄の処女の中で眠りてぇようだなァ・・・おいウリエル,ウリエル!!倉庫からワイン持って来いや!!」
怒鳴り散らす彼だが,彼が呼んだウリエルという名のものは全く姿を見せない。ワイングラスを握り締め,額に青筋を浮かべた彼がその場から
移動しようとしたその時だった・・・部屋中の照明が全て消えた。部屋を照らすのは月明かりだけ・・・静けさが漂う。

「・・・おもしろくねぇな,たかが照明までこの俺様に刃向かうときやが・・・」ボヤく彼の言葉が途切れた。
何か黒いものが自分の目の前を過ぎる。突如視界が目まぐるしく回転し,全体を衝撃が走った!!気づけば天井を見ていた。
だがその天井もすぐに消え,代わりに一人の青年の姿があった。「よう・・・社会の癌。殺しに来てやったぜ?」
「その面ァ,プサージュの面汚しか・・・親父に虐待され続けて気でも触れたか?あぁ!?」「・・・おい,ミュー?」
罵声を浴びせられつつも手を出さずに,ライトは床に伏している男の息子の名を呼んだ。上半身には何も着ていない・・・
正面にも背中にも,切り傷や火傷,さらにはボルトを喰い込まれたような傷跡が所狭しと残っている・・・
「・・・・っ!!?!てめぇっ・・・俺様に刃向かおうなんざっ!!5億年早・・・」「・・・黙れ,お前の下劣な言葉など聞きたくない。」
冷たく言い放つ息子の言葉に,アルパティーノは初めて戦慄を覚える。するとそこへ,一人の男が姿を現した・・・
「残念だよ兄さん,あなたが麻薬なんかに手をつけなければ,こんなことにはならなかっただろうに・・・」
サングラスを掛け,トレンチコートを羽織り無精ヒゲを蓄えた男,ウリエル・サヴェスティーロ。後に"鋼帝"の名を冠する
錬金術師が兄の前に姿を現した・・・

「う,ウリエルゥっ!!・・・貴様もかァっ!!?!」首にナイフを突き付けられながら,アルパティーノが苦言する。
「もう僕もあなたには愛想が尽きた。殺しても殺し足りない程・・・私がバーソロミュー君と同様に受けてきた屈辱は重い。
 出でよ我が僕,鋼に宿りし愛しき娘,レン・・・」懐から白銀に輝く立方体を取り出すと,それは液体状に溶け出す。
水銀の水溜りが床にできると,そこから青白い肌の裸の少女が姿を現した・・・金属を媒介にするホムンクルス,レン・フランベル。
足は金属に溶けるように,美しく長い銀髪とエルフのような尖った耳を持つ彼女は,無垢な瞳でアルパティーノを見つめている。
「マスター・・・お呼びですか?」「あぁ,レン・・・これからそこにいる愚かな男に罰を与える。いいね?」
「かしこまりましたわ,仰せのままに・・・マイマスター。」甘く優しい声で言い終えると,彼女の体がみるみる変形してゆく。
そして無骨な金属の椅子へと変貌したレンの元に,ライトが標的を蹴り飛ばした。「ジャストミート・・・と!」
図らずも鉄の椅子に座らされたアルパティーノ。そこへバーソロミューが火の元素を浮かべながら歩み寄る・・・

147 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/29(木) 21:42:14 ID:7cLheTbg0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[5/6P]

「お,おいっ!!誰かっ,ボディガードは何をしていやがるっ!!?早く来い・・・」「そいつァ叶わない願いだな。俺のダチが蹴り飛ばしちまった。」

屋敷の正面からバーソロミューたちがいる部屋へと続く廊下まで・・・展示品,警備員として配備されていた幽霊鎧は全て破壊されていた・・・
積み重なった鉄塊の頂上で,ニットキャップを被った青年はヘッドフォンを装着し,お気に入りの音楽を聞いている。そこへプリナスが遅れてきた。
「・・・すごいわ,この時代にもカポエイラの使い手がいたのね。」「ん?何だい,『この時代』ってぇのは??」
ヘッドフォンを外して,軽い声でエディが問う。だが,彼女は「ううん,いいの。気にしないでね?」と受け流した。
「ふ〜ん・・・まぁいいか,今頃はあいつらも上手く事を進めてるだろうよ。これが,あいつのためになるのを信じてるぜ・・・」
「そうね,何かを得るためには何かを犠牲にしなければならない・・・宇宙はそうやって営まれているわ,それは誰にも逆らえない」
「・・・的を得ているねぇ,プリナスちゃん。あんた一体何者だよ?どこの生まれ?」「・・・いいの,気にしないで。」

「ヒュゥ♪ま,そうゆうことにして置きますか。」口笛がロビーに木霊した・・・―――――――――


「ぐあぁああぁぁああぁぁぁっ!!!熱いっ,熱いぃぃぃいっっ!!!もう止めてくれっ,俺様がっ・・・いや,俺が悪かった!!頼む〜!!」
アルパティーノは拷問されていた。鉄の椅子に変化したウリエルのホムンクルス,レンに火の元素を注入し,高熱で苦しめている。
「・・・レン,そろそろ幕引きだ。バーソロミュー君,アレで幕を下ろそうじゃないか。どうだい?」
「えぇ,叔父さん。あなたも同じ苦痛を毎晩味わったのです・・・復讐法に則って,それで逝ってもらいますか。」
「おい,お前ら何する気だ・・・やめろっ!!殺さないでく」「誰が喚けって言ったんだ,マフィアのボスさんよォ?」
ライトがアルパティーノの手の甲に刺したナイフをぐりぐりと食い込ませ,脅迫した。血が流れるも,椅子の灼熱で沸騰してしまう。
「レン,『鉄の処女』でこの男に引導を渡してあげなさい・・・」「かしこまりました,マスター。」椅子から少女の声がする・・・
すると赤く熱を帯びた金属椅子が再び溶け出し,また他の形に変形した・・・拷問器具,鉄の処女アイアンメイデン。
「やめろ,やめろやめろやめろやめろやめろォォォおォォおォォおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

「レン,閉じなさい。」「かしこまりました,バーソロミュー様・・・」

やめろォォおォおォォォォおぉぉぉおぉぉおぁあぁぁああぁぁああぁぁぁあああぁぁぁっ!!!!!!!

時刻はちょうどAM0:00・・・灼熱の棘に抱かれて,サヴェスティーロ・ファミリーのボスである一人の男が死んだ。
アルパティーノ・サヴェスティーロ。彼の最期は,息子と弟の惨い反逆によるものだった。享年59才・・・・

148 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/29(木) 22:19:29 ID:7cLheTbg0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[6/6P]

深夜の古都の繁華街,プリナスとライト,バーソロミューにエディ,そしてウリエルら5人は歩いていた。
「・・・・・・・・・」「あら,これであなたを束縛するものはないのに,浮かない顔ね?」
「そりゃ仕方がねぇさ・・・形はなんであれ,家族を殺したんだ。平気でいられるわけがねぇよ」
虫の居所が悪そうな口調でライトが付け足した。だがそこへエディがさらに付け加える・・・
「なぁ,いつまで終わったことを気にしているんだよバーソロミュー?失ったものは振り返る必要なんてねぇ。
 あとはお前自身に訊いてみな,自分は何をしたいんだ?ってな・・・お前がやったのは,自分の生き様を貫く
 その第一歩なんだぜ?まぁ言ってもわからねぇようだし,酒飲んでパァ〜っと忘れようぜ!?」
「ってオイオイ,そりゃいくらなんでも強引過ぎねぇか!?」「いいじゃねぇか,酒飲めばどんな堅物も陽気になる!!」
「・・・フフっ,ハハハ,アハハハハハっ」「・・・お,笑った?」いきなりバーソロミューが笑う・・・
「良かった,これなら今後は穏やかに暮らせそうだわ・・・それじゃぁね,ライト。バーソロミューにエディ,あとウリエルさんも・・・」
「おいおいどうしたんだよプリナス,いきなりサヨナラって・・・」「おいライトぉ〜!!早くパァ〜ッと一発やろうぜ〜!?」
遠くでエディが呼んでいる・・・ライトは彼に少し待ってくれと叫び返すと,振り向いてプリナスに言った。

「・・・その,ありがとうな?あんたのおかげで俺もバーソロミューも,新しい人生を送れそうだぜ。ヘヘ・・・」
「それは何よりね・・・あっ,ほらほら。早くしなさいな,お友達が行っちゃうわよ?」
「げっ,あんにゃろ〜!!あんな遠くに行きやがって・・・オ〜イ,エディ〜!!あ,じゃぁなプリナスっ!!また会おうぜ!?」
慌てながらも手を振り,ライトは繁華街の雑踏の中へと姿を消した・・・そこに残された彼女は呟いた。
「やっぱり,時代を問わず世界は素晴らしいわ・・・さてと,ちょっとこの街でも見ていこうかな?面白そうだし。」
軽やかな足取りでその場を跡にして,プリナスもまた繁華街の雑踏へと姿を消した・・・

・・・繁華街を歩くプリナス。すると彼女の目の前に人だかりが・・・何があったのか近くの者に訊ねてみる。
「ねぇちょっと,この人だかりは何?何かあったの?」肩をトントンと叩くと,それに反応した男性が振り向いた。
「ん〜?あぁ,今ちょっと女の子がゴロツキに囲まれ・・・え,嘘!?女の子がゴロツキをブッ飛ばしたァ!?」
男が仰天しているその先には,一人の少女が何らかの武術の構えを取っていた。突き出された拳から煙が出ている。
「ぐぅっ・・・強え,何なんだこのガキはよぉ!!?!」「おいテメぇっ!!ガキのくせに粋がるなよぉっ!!?!」
だが男たちの迫力にも負けず,少女は力強く言い返した!!!

「やぅ〜!お兄ちゃんたちがいけないんだもんっ!!ミリア悪い人とえっちぃのは大嫌いなのよ〜っ!!!」
彼女の横で緑色のターバンを被った小柄な夢魔が槍を手に唸り声を上げていた・・・!!

149 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/29(木) 22:32:24 ID:7cLheTbg0
之神さんに続いてオレもやっつけでやっちゃいましたゴメンなさい;;;
ライトのキャラづけ,こんなカンジでよろしいでしょうかねぇ・・・・

っと,とりあえずパーソナルデータをばb

エディ・ヘンリケス
・ブリッジヘッドのスラム街出身。カポエイラ使いの武道家で同時に罠設置もこなすシーフ。
 家を良く抜け出していた頃のライトとは幼馴染の友人で,彼にシーフの楽しみを教えた張本人。

バーソロミュー・サヴェスティーロ
・スマグの財閥の御曹司。麻薬に手を染めて悪人と化した父親に叔父もろとも虐待されてきた。
 今回ついに彼を殺害し,数日後に叔父と共にファミリーを解散に追いやった。
 そしてその後は冒険家として新しい人生のスタートを切る・・・・

ウリエル・フランベル
・スマグの天才錬金術師でこの頃はまだ有名ではない。盲目だが石や鉱物で思念を伝える能力を持つ。
 数年後には冒険家,デザイナーとして名を残す。金属のホムンクルス,レンのマスターでバーソロミューの叔父。

ミリアン・ウォン
・ビーストテイマーの少女で,相棒のモンスターがいなくても闘えるようにという生まれ故郷の風習で功夫を会得。
 この当時は13歳,ペットはファミリアのファミィを連れている。「やぅ〜」「うにゅ〜」「〜なのよ!」など
 独特の可愛らしい口調で話す。ファミィは沖縄弁ベースの口調で「・・・さ〜」が口癖。

続きどうぞっ!!

150 白猫 :2008/05/29(木) 22:44:15 ID:w.NX7p8w0
◇―――――リレー企画―――――――――――――――Red stone novel[1/4P]

 『IRREGULAR』

“人類未踏破宙域”――通称、[エリアXX-00]。
如何なる恒星間宇宙船、銀河間移動用船、さらには数百の戦艦隊を持ってしても侵
入することができなかった秘匿の宙域。
この宙域へ侵入する方法はまだ認められておらず、そしてまたホサナ氏も、その宙
域付近で立往生を食らう羽目となっていた。
「さて……どう進むべきだ? コンピューター?」
<残念ながら議員、これより先は一切のデータを取得不可――宙域全体がダークマ
ター(暗黒物質)のような状態になっており、予測は不可能です>
ホサナの言葉に淡々と答えたコンピューターの声。それに反応したアナハムは少し
だけ目を細める。
「流石はエリアXX-00……やはり探索は中止すべきでは」
「進め、コンピューター。じっとしてても埒が明かないぞ」
ちょ、と慌てたアナハムは、両手をブンブンと振っホサナに食ってかかる。
仮にもここより先の宙域は完璧な"unknown"。無策のまま突っ込むなど、単騎で万の
軍勢に戦いを挑むようなもの。
仮にも一議員である彼らしからぬ行動に慌てるのも無理はない――というか、慌てな
い方が変である。
「議員、何の考えなしに突っ込むなんて――」
「じっとしてエリアXX-00への道が開けるのか? 答えはノーだ。ならば全速全身だ。
そもそもこの船に探索艇は無い」
<了解しました。《月の台地号》、発進しヴ――ギ――ガ、グィ――>
「?」

今まさに前進しようとしたコンピューターが、突如、止まる。
代わりに入ったノイズに目を細め、声を上げた。
「どうした!」
<妨害信号を受信――受信拒否、不可>
若干ノイズ混じりのコンピューターの声。その言葉にホサナとアナハムは目を見開く。
この未開発の宙域で妨害信号など、まず自分たちに向けてのものに間違いない。そも
そも妨害信号はそれほど長距離間を飛ばすことはできない。
それだけならばいい。問題は"受信拒否ができない"ということ。
この船には最新鋭のシステムが山ほど搭載されている。勿論、妨害信号に対しての対
処など天文学的数値の時間内に行ってしまうほどである。
それを難なく搔い潜り、妨害信号を受信させてきた。
新手のハッカーか、と目を見開いたホサナは、次の言葉にさらに驚愕する。
<映像、出ます>

   "映像、出ます"。

有り得ない。
妨害信号で、立体映像を流すなど、有り得るはずがない。
まさか、と思い立ったアナハムは、瞬時に席へと付きキーを乱打する。
これほどまでの技術力を持った者の心当たりなど、ひとつしかない。
発信元を逆探知し、ものの数秒で探知を完了する。
その映像と妨害信号からの映像が、出た。

151 白猫 :2008/05/29(木) 22:44:36 ID:w.NX7p8w0
◇―――――リレー企画―――――――――――――――Red stone novel[2/4P]

「――――!!!」
宇宙空間である筈の船外に移った、白髪の少年の姿。
発信場所は――この船の真上の零距離。要するに、この船に乗っかっている。
小さく微笑んだ少年は、ガンガンと船の背を叩いて笑う。
「こんにちは」

「――まさ、か。馬鹿な」
立体映像と平面映像越しに紡がれる挨拶に、ホサナは目を見開いた。
どうして、どうして"彼"が、此処に。

<妨害信号発信元、判明。発信者――>

画面に出たスペルを見、アナハムは小さく呟いた。
 「……ノア・ハベロニウム……"イレギュラー"」

"イレギュラー"。
自然の物理法則を無視し、この世を気侭に彷徨う[異端者]。
どうやって生まれたかも知れない、ただ一つ分かっているのは、"彼"が間違いなく
ヒトという概念を超越しているということだけ。
捕縛したところで手錠を一瞬で外す、気絶したと思ったらいなくなってる、そもそ
も拷問にかけても顔色一つ変えない……と。
体中を調べて調べて調べつくされて、しかし画面に出るのは[ERROR]の五文字。
結局無傷で放免され、彼は全宇宙を気儘に放浪し続けている。
はず、なの、だが。
「どうして此処に――ノアが、いる」
「不思議ですか?  ホサナ・クリストファー」
「!?」
小さく呟いたホサナの"背後"で、そっとノアが囁く。
ギョッとして振り向いたホサナに微笑み、ノアはぺこりと頭を下げた。
「お初にお目にかかります。一体[エリアXX-00]に何の用でしょうか?」
「…………」
有り得ない。
自分が評議会の議員だということを見抜かれただけでなく、これから[エリアXX-00]
へ侵入しようとしていることすらバレた。しかも一瞬で。
慌てて小銃を抜いたアナハムを制し、ホサナはゆっくりと椅子へ腰かける。

この宇宙を旅する時には暗黙のルールがある。
そのひとつ――それが、"ノアには逆らうな"ということ。
彼は、自分に好意を持つ人間を殺しはしない。今は、従うべきだ。
「……私の伴侶が、ここから先の宙域へ入り込んだらしい」
「"天使の卵"が、入り込んだと?」
「!」

152 白猫 :2008/05/29(木) 22:44:58 ID:w.NX7p8w0
◇―――――リレー企画―――――――――――――――Red stone novel[3/4P]

目を見開いたアナハムへ微笑み、ノアは小さく「私に分からないことはないんです
よ」
と呟いた。
全くその通りだな、とノアへ答え、ホサナは小さく問う。
「教えて欲しい、ノア。此処から先、一体何がある?」

まさに単刀直入なその言葉に、ノアはうーんと唸る。

悩んでいた。
彼の言葉が偽りでないことは分かる。彼は"天使の卵"の伴侶なのだろう。
"天使の卵"は自分と似た「オトコでもオンナでもあり、そのどちらでもないモノ」
だからこそ通したのだが――
とりあえず、真実は隠さず話すべきだろう。真実の、一部を。
「此処から先には、星が一つあるだけ――[unknown]の星が、ひとつね。
宇宙の中心であるその星に入るには、この私の許可が必要になる。あの星に人が蹂
躙しないように覆いをしたのは私だからね」
ウィンクをしたノアにクスリと笑い、ホサナは少しだけ警戒を解く。
彼は確かに異能の力を持っている。だが、中身は純粋な少年である……無暗に警戒
する必要は、ない。
それと同時に遠慮も止めたホサナは、まさに単刀直入に、聞く。
「ノア、私たちをそこへ連れて行ってはくれませんか?」

(さて、どうしよう)
この男――ホサナがそう言うのは分かっていた。
分かっていたが、ノアはどうしようかまだ考えていなかった。
少なくとも悪人ではないだろうが――あの星の有り様を見、物理法則を見、果たし
てそれを純粋に受け止めることができるだろうか?
万が一外へと情報を漏らされたら、何が何でも人類はあの星を奪おうとするだろう
――そうすれば、終わりだ。
長く長く、凄まじく長く続いてきたこの宇宙の総てが、終わる。
彼をここで返して、自分があの星に関与していると知られれば、人々はますます此
処へ近づかなくなるだろう。
逆に彼を此処で殺せば、別動隊が新たに現れるかもしれない。というか、"彼女"の
伴侶を殺すというのは気分的にも気持ちのいいものではない。
結果は、保留。
「いいですよ」
にこりと笑ったノアは、やおら立ち上がるとフワリと浮き、ホサナとアナハム(と
コンピューター)へと言う。
「ただし条件。
1つ。この私も同行します。
2つ。[エリアXX-00]内で入手した一切の情報を外部へ漏らすことを禁じます。
3つ。[エリアXX-00]内の如何なる動植物を故意に捕えること・殺すことを禁じます。
1つはともかく、2つ目と3つ目を破った場合――

   全人類を滅ぼします。宜しいですか?」

153 白猫 :2008/05/29(木) 22:45:24 ID:w.NX7p8w0
◇―――――リレー企画―――――――――――――――Red stone novel[4/4P]

「…………」
「…………」
<…………>
ホサナとアナハム、コンピューターはノアの言葉に呆然とした。
条件を破った場合、自分達を含む全ての人類が滅亡する。
ノアほどの力を持つ者なら、その程度簡単に行ってしまうのだろう。
そして条件では、正当防衛であっても敵を殺してはならない、ということになる。
三人の危惧を感じたのか、ノアは笑って手を振る。
「ご安心を。あなたたちは私が命を賭けてお守りいたしますから」
その言葉に少しだけ安堵し、ホサナは思案する。
つまり、この星で得た情報を一切漏らさなければ、全く問題はないということだ。
それならば――問題は、ないだろう。
しばらく思案した後、ホサナはアナハムと顔を見合わせる。
どうやらアナハムも同じことを考えていたらしい。ホサナを見ると小さく頷いた。
コンピューターは、自分の言うことには口を挟まないだろう。

「分かった。条件を飲もう、ノア」





時と場所が変わって、ブルンネンシュティング。

「……ルフィエ、なんですかアレは」
「うーん、槍を振り上げる悪魔に見えなくもないかな?」
「……いや、ゴロツキを瞬く間にぶっ飛ばしてますけど?」
ゴロツキに絡んでいる(ように見える)ミリアを遠巻きに眺めつつ、ネルは溜息を
吐く。
ルヴィラィの騒動が終わっても、このような馬鹿騒ぎはいつまで経っても尽きない。
「止めますよ、ルフィエ」
「どっちを?」
「両方!!」

---

154 白猫 :2008/05/29(木) 22:45:45 ID:w.NX7p8w0
天下一小説執筆が進みやがりません、白猫です。
私も波に乗って参加、早速新キャラ、しかもラスボス級のが三人も来ました。ハッハ(コラ
同じく調子に乗って自キャラを。凄い小説になりそうですがキニシナイ(コラ

ノア・ハベロニウム
あらゆる物理法則を無視し、この世を自由気ままに放浪する[異端者(イレギュラー)]。
近年は“人類未踏破宙域”――通称、[エリアXX-00]を護り、近づく者を追い出している。
プリナスと多少面識があるようで、彼女の伴侶であるホサナにも好感を持っている。
何しても死なない、痛くない、疲れない、苦しくないな便利な体。欲しい!


ネリエル=アラスター=ヴァリオルド・Ⅳ
銀髪・緑目・紅色の衣を纏った姿。
胸に持つ宝石、[エリクシル]により半永久的な命を得る。今年でウン百歳。
グングニルを諸々の事情で手放し、しかし今も尚絶大な戦闘力を誇る冒険者。
己が能力[第三段階(サード)]は、金色の剣と変幻自在な盾、無敵の防御力を誇る。

ルフィエ=ライアット
茶髪・水目・旅人に塗れた土色のクロークを被った姿。
やっぱりこっちも長命。今年でウン百歳。
未だに[唄]や[神格化]の力も健在、やっぱり強い。
[神格化]した姿は全身にクリーム色のローブを纏い、神と見紛う程の威圧を纏う。




            @緊急告知!@


コラボ小説、「小説スレ天下一●道会」の設定が全く進んでいません!

アル・キリエ・セラ・リリィ・ボイル・テル・ごしゅじんさま・いけめんさん・ナザルド

以上のキャラの詳細設定が全く分からない状態となっています。
設定が分かるキャラもいますが、詳しい設定が原作と食い違うのがどうも許せない人なので、ここで詳細設定を貼り付けることをお願いします。

必要な情報は

「年齢(決めてなければ不可。十代や二十代とかは欲しいです)」

「容姿(できる限り詳しくお願いします)」

「口調(冷たい、無口、明るい、自己中、乱暴等。例文があると嬉しいです)」

「一人称・二人称」

「使用武器(剣・槍ではなく、できる限り詳しくお願いします)」

「戦闘方法(こちらは抽象的に。ガンガン攻めるやヒットアンドアウェイ程度で)」

「使用魔法(全部書くくらいの勢いで)」

「その他知ってほしいこと」


をお願い申し上げます。
直接言いたい、や自分も参加したい、の場合はチャット場へ。

これからほぼ毎日、小説の打ち合わせ等でチャットへ出現する予定です。




それでは失礼します。
白猫の提供でお送りしました。

155 ◇68hJrjtY :2008/05/30(金) 02:14:15 ID:hbJDitGY0
>リレー小説
なるほど、ホサナの視点とプリナスの視点の二つで書き分けている状態ですね。
しかしうーむ、リレー小説に感想なんて無粋な真似はできませんのでリレー小説についてはROMさせていただきます(笑)
も、もちろん、ネタができたら参加したいとは思ってますが…ハラハラ。

>白猫さん
天下一執筆、お疲れ様です。
やっぱりキャラ設定は細かく細かくしていかないとなかなか進まないものですよねぇ。
でも没小説のキャラ設定、絵が描けない代わりにイメージBGMやもし○○された時の反応とかまで設定してたような(笑)
さすがにここまで設定するのはある意味キモいですが、他人様のキャラを動かすとなると大変ですよね。
楽しみにしております。ってか、天下一でもう名前決定ですね(苦笑)

156 姫々 :2008/05/31(土) 10:15:08 ID:VbnAj5DM0
>>154
①リリィ24歳、セラ16歳で設定していた気がします。
②容姿は日本版RSのままと思ってください。リリィに関してはWIZの特徴のまま女の人っぽく。
③リ「さて、天下一●道会だそうですが、どうしましょうセラ。」
 セ「あの‥‥それは本当に出なければいけないのでしょうか‥‥」
 リ「あまり気は進みませんけれどね‥‥。姫があまりに楽しそうだったのでつい押し切られてしまいました‥‥」
 セ「それじゃあ出ないとだめですよね‥‥。出るからには優勝を目指しましょうー」
 リ「その切り替えの早さを私にも少し分けてください‥‥。」
・・・くらいの感じで。言うなればリリィ⇒冷静、セラ⇒マイペースって感じでしょうか
④一人称、リリィ、セラ共に私
 二人称はリリィが基本あなた、名前が分かっていれば○○さん、
 セラは基本○○さん、明らかに年下なら○○ちゃん、○○君。(名前が分からなければ○○にはジョブ名)
⑤リリィ、鋼の杖DXor小さな杖LX セラ、松葉の笛
⑥リリィ⇒遊撃 セラ⇒召喚獣が前衛、本体は後衛
⑦リリィ⇒メテオシャワー、ヘイスト、ファイアボール、ファウンテンバリア、テレポテーション、
     ライトニングサンダー、ロックバウンディング、アースヒール、チャージ系、クリティカルヒット
 セラ⇒サマナースキル全種、治療、応急処置、蘇生
⑧リリィは特に無いかなと思いますがあえて言うなら女WIZです。
 セラは基本的に召喚獣を第三形態までランクアップさせず第二形態止まり
 って感じですね。あとペットを連れていない代わりに召喚獣を4体だしてたりします。
それ以外のオリジナル要素は多分無かった気がするので適当に書いてあげればそれっぽくなる気がします^p^

157 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/31(土) 11:42:09 ID:OhTl4zsk0
>>116からの続きですよ〜

「オレはここに宣言する・・・この一発に、『嵐』に勝利を託す!!」
大剣を握る両手を後ろに引き、力を溜め込むトレスヴァント・・・対する雪乃は涙を流しながらも彼を見据えていた。
「嵐やて・・・?どないな攻撃するのかはわからへんけど、その覚悟、しかと見届けて差し上げますえ!!」
そう言い放つ彼女がまたも踏み込む!!同時に空蝉を発動し、隊列を組んで襲い掛かる雪乃。再び黒い鞘から紅色の刀が抜かれる!
赤い曲線を描いて放たれる、それは神速の斬撃。さらには分身も同じ攻撃を放つがために威力は計り知れない・・・
「東雲流抜刀術 空蝉の意『彼岸乱舞(ひがんらんぶ)』!!」鞭のようにしなる一太刀、それが花びらのように散らばって
トレスヴァントの肉体を縦横無尽に切り刻む!!!彼の体からはおびただしいまでの血飛沫が舞い上がり、より凄惨さを
物語る。だがそれでも彼は耐えていた・・・攻撃が止むのを、反撃が確実に決まるその一瞬が訪れるのを!!!
「ほらほら、早う反撃せぇへんと死んでしまいますえ!?さっき豪語しはったあなたの覚悟は、その程度のもんやの!?」
もはや号泣といっても良いくらいに、雪乃は涙を流す。だが刀を振るその手は休むことなく、神速の斬撃を放ち続けている。

・・・そして太刀の嵐は止んだ。大剣を後ろに引いたままの大勢で、トレスヴァントは息も絶え絶えになっている。
鎧を粉々にされ、さらには容赦なくその肉体を切り刻まれた彼は血だるまに仕立て上げられていた・・・だがそれでも彼は倒れない!!
「・・・っ、ゲフっ!?ふぅ〜・・・ハァ、雪乃さんだっけか?この勝負・・・ゼェ、オレのっ、勝ちだ!!」
「っ・・・!!!まだそうやって強がりはるの!!?!もう実力の差は歴然やのに、どうしてまだ挑もうゆうの!?」

「お母さん、アンタぁ・・・典型的なタイプだよ。自分の実力に慢心して相手のことなど気にも留めない。それもアンタの速すぎる
 一太刀が、勝負を楽しむ間もなく一瞬で決着を着けちまうような剣術が、アンタを奢らせてるんだよ。それに言ったよな?
 『実力の差は歴然』だって・・・その台詞!!!今から放つオレの『嵐』を見てから言いやがれ!!!!」

ついにトレスヴァントの大剣が振り上げられた!!!だが奇妙なことに、その振り上げるまでの動きが残像としてはっきりと残っている。
さらには彼の握るビッグセイジにも異変が起きていた・・・普通のビッグセイジと違い、その色が蒼く染まっていたのだ。
「いくぜ・・・アンタのヒガンバナとかいう攻撃もそうだが、オレの『嵐』も避けられねぇぞ・・・うぉらぁっ!!!」
そして大剣は振り下ろされた!!!剣圧によって生み出された波動が雪乃に向かって飛んでゆく。
・・・一見すれば一般の戦士が使うソニックブロー、これが必殺の『嵐』だというのか?構わずに雪乃は衝撃波を空蝉で避ける!!
「・・・もうええどす!!結局は大ボラ吹きの三流どしたか、あなたみたいな人に・・・あやねは渡したくありまへんえ!!」
再び刀を抜いて斬りかかる彼女・・・この時、彼女は慢心していた。トレスヴァントの本当の『嵐』を避けた気になっていた。
そんな彼女の前に突如衝撃波が襲い掛かった・・・・!!!!ものすごい風圧、そしてビッグセイジが生み出す蒼い炎に身を包まれ
雪乃は重圧に逆らえずに吹き飛ばされた!!「なっ・・・あぁっ!?」そのまま背後の大木に叩きつけられ、初めてダメージを負う彼女。
・・・だがまだ、青い炎を纏った嵐は未だに収まらない。


向こうでは彼の斬撃のモーションがスローリプレイのように次々と、残像が立て続けに衝撃波を放つ・・・!!!
全弾は雪乃にクリーンヒットし、爆発音のような轟音と雪乃の断末魔とを森中に轟かせた・・・

「いやっ・・・いやぁああぁぁああぁぁぁぁああぁぁっ!!!!!?!!?!」

ズドドゴゴゴゴゴゴォォォオォン!!!!!!

「ディレイクラッシングとソニックブローの合わせ技だ・・・名は『ディレイ・ストーム』。そいつが、俺の・・・嵐、だ・・・」
言い残すと、彼は力なく前のめりに倒れた・・・蒼く染まったビッグセイジが、彼の手からこぼれ落ちる。

158 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/05/31(土) 12:00:44 ID:OhTl4zsk0
・・・トラン森での死闘が終わった。ディレイ・ストームを直撃で喰らったにも関わらず、雪乃は立ち上がった。
身に着けていた黒い着物はボロボロに破れ、ただでさえ高い露出度を余計に高くしている・・・地面に伏すトレスヴァントに歩み寄り
彼女は胸の谷間から一本の小瓶を取り出した。栓を開け、瓶の中に詰められたオレンジ色の液体を自分の口に含める・・・
そしてトレスヴァントの顔を見つめると、瞳を閉じて彼の口に己の唇を重ねた・・・

「(ごめんね、トレスヴァント君・・・あなたの口づけを奪ってもうて。でも、あやねちゃんと死別なんてして欲しゅうないからっ、
  あなたには生きてあやねちゃんを抱いてもらいたいからっ・・・ごめんね、トレスヴァント君!!)」

唇を重ねる彼女の瞳からは、一筋の涙が静かに流れ落ちていた。


――――・・・一方。トラン森の外ではもう一つの死闘が演じられていた!!
デフヒルズの狩猟民族はラフュア族の末裔の美女、ティエラと、雪乃の夫でラティナ(あやね)の父親である燈道の槍使い対決。
だがティエラは爆笑しながら戦っていた。脇で闘いを見届けているラティナは恥ずかしそうに顔を覆い、エレナは呆れ顔・・・
何故こんなことになっているのか?その理由は・・・

「喰らえ―――ィ!!東雲流槍舞術っ、『輪亜流乱忍愚(わあるらんにんぐ)』!!!」

・・・技名が暴走族の当て字よろしくこんな感じなのだ。ティエラにはえらくウケているのか彼女は爆笑しっぱなし。
「あはははははははははははは!!!!ぶぷっ・・・ちょっ、アンタ!!何その技名!?うぁ〜ダサいけど面白いっ!!!ププ〜っ!!」
燈道のワールランニングを軽々と避けるも、笑いのツボにハマった彼女には真面目そうな表情は見られない・・・とはいえ、
対する燈道は大真面目で戦っているのだが。そこが余計に娘のラティナの羞恥心を煽っていた・・・
「いやぁ〜ん////」と泣きそうな声でむちゃくちゃ恥ずかしがる彼女の肩をエレナが優しく叩いて慰めていた。

to be continued・・・ププッwwwww

159 黒頭巾 :2008/06/03(火) 21:15:51 ID:fou9k2gM0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[1/6P]

――ルフィエとネルがゴロツキ達とミリアを見掛けて問答しているのと同じ頃。

驚く男とプリナス目掛けて、薙ぎ倒されたゴロツキが飛んできていた。
その手に握り締められているのは、剥き出しのままのナイフ。
男はそれを避けようとしたのだろうが――後ろに“女性”がいるのを思い出して躊躇
したのが命取りだった。

「……紳士なのね、ありがとう」

プリナスは男の前に立ち、ナイフごとゴロツキを地面に叩き落として、言う。
完全に意識を失っているゴロツキに「ゴメンね」と内心謝罪しながら。
背後にいた筈の“女性”がいつの間にか前にいて自分の命を救ってくれたという事実に、
男はヘタリと腰を抜かして呟いた。

「あ、あんたいつの間に前に……いや、ありがとうと言うべきなのか」

こちらこそ、と笑顔を浮かべて前に向き直る。
ゴロツキ達は少女の強さに明らかに動揺していたが、対する少女には見えていない様子。

「やぅ〜! えっちぃのは『めっ』なのよ〜っ!! あぅ〜」

恥らう言葉とは裏腹に、錯乱状態の少女の拳が綺麗にゴロツキの鳩尾にめり込んだ。
哀れなゴロツキは、「ひでぶぅ」と宙を舞い、露店に突っ込む。
激突された籠からは盛られたフルーツが散乱し、運の悪い露店主の悲鳴が木霊する。

「うーん、ちょっとこれは危ないかな」

苦笑して、止めに入ろうと動く。
ちょっと過干渉過ぎるけれど、自分とそっくりな“彼”との約束を破る事にはならない
だろう。
この星に来る前の会話を思い出す。

「自己防衛の際は程々に――私としては殺さない程度にお願いしたいですが」
「わかったわ。何かに巻き込まれても力はセーブしておくわね」

……これは自己防衛の一種ね、うん。
そう思う事にしたら、話は早い。
緑の悪魔っぽいモノは少女の命令に従っているらしいと瞬時に判断して、
少女を止めに入る。
一足飛びで少女とゴロツキの間に飛び込み、ゴロツキの手からナイフを叩き落とし、
少女のパンチを受け流すと同時に槍の軌道を逸らす。
一瞬で行った筈のこの間に、同じく止めようと割り込んできた二人組がいたらしい。
ゴロツキのナイフはその背後から伸びた紅い布に包まれ、ゴロツキに刺さろうとしていた
緑の悪魔の槍は白い手に掴まれている。
尤も、緑の悪魔の槍を持つ白い手の主――土色のクロークを纏った小柄な人物は、
バランスを崩して倒れそうになっているが。

「ルフィエ、何をやっているんですか」
「だって、予想外の動きをしたんだよ、ネルくん」

倒れる寸前のその少女(クロークで見えないが、プリナスは声で気付いた)――ルフィエを
抱きとめたネルが溜息をつく。
突然現れた二人組に、プリナスは「タイミングがよすぎたわね。ゴメンなさい」と謝罪の
意を告げる。
ゴロツキ達は乱入者に呆然としている。

「引いてもらえますか?」

160 黒頭巾 :2008/06/03(火) 21:16:22 ID:fou9k2gM0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[2/6P]

ルフィエを離し、ゴロツキ達に武器を向けながら、ネルは言う。
お願いの言葉ではあるものの、口調と行動がこれなのだ――要望と言うより、要求に近い。
色めき立つゴロツキに、眉を一つ動かしてトドメの一言を放つ。

「ほらほら、騒ぎを聞きつけて警備員が来ますよ」

ネルの言葉に答えるように、遠くて呼子の音が鳴るのがゴロツキ達の耳にも聞こえたようだ。
ぐっと詰まったゴロツキ達は顔を見合わせ、「覚えてろよー!」と月並みな台詞で逃亡した。


一方、こちらはプリナス。
彼女の目の前、先程まで暴れていた少女――ミリアは、ポカンとした顔でプリナスの顔を
見詰めていた。
……見とれていた、が正しいのかもしれないが。

「ごめんなさいね。
 あなたが悪いんじゃないだろうけど、二次被害が出ちゃってるから止めさせて貰ったわ」

プリナスのその言葉に我に返った少女は、慌てて辺りを見回す。

「うにゅ〜。ごめんなさいなのよ〜」

周囲の惨状を把握したのだろう、しゅんとなる少女を「次は気をつけたらいいわ」と慰め、
「周囲への謝罪と片付けを手伝ったら如何かしら」と提案する。
途端に少女の顔が明るくなり、従えた悪魔と共にまずは被害を受けた露店へ向かっていった。

「ミリア、ちょっと熱くなっちゃったの〜。
 おじちゃん、迷惑かけてごめんなさいなのよ〜」
「嬢ちゃん、気にすんなや。
 ちゃんと謝ってくれただけでも十分だ……それに、元々悪いのはこいつらだしな!」

失神したままのゴロツキを蹴り飛ばした露店主が豪快に笑う。

「ありがとうなの〜!
 うにゅ、うにゅにゅ〜、ミリアもファミィと一緒にお片付けのお手伝い頑張るのよ〜っ!」
「二人で手伝えば、なんくるないさ〜」

ご機嫌に不思議な歌を歌いながら腕まくりをして籠を抱えたミリアとそれに従うファミィに、
露店主は「あはは、助かるよ」とウインクした。
あっちはもう大丈夫だろう。
むしろ、問題は。

「……少し話があるのですが」

目の前で警戒心を顕にしている少年だろう。
プリナスは苦笑して、「人のいないところに移動しましょう」と返答する。
尤も、興味津々な目線を送る野次馬も大分散ってはいたのだが。

「全く、商売上がったりだよ…… さっさと起きて自分の足で警備兵の詰め所に行けってんだ」

その場を離れる時に横目に見えた、文句を言いながらも手馴れた様子で失神したままのゴロツキを
ズルズル引き摺って行く露店主の姿に――この街ではこんな騒ぎは日常茶飯事かもしれないわねと
思いながら。

161 黒頭巾 :2008/06/03(火) 21:16:47 ID:fou9k2gM0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[3/6P]

「……さて、此処まで来ればいいでしょう」

振り返ったネルが、プリナスに向き直る。
その理由は簡単――彼女からは普通ではない“何か”を感じるのだ。
普段なら見逃してしまいそうな程に微かなモノだが、彼女は先程のあの騒動で“自分達ですら感知
出来なかった速度”で動いていたのだ。
確かに集中してみれば、彼女に対して違和感を感じる事が出来た。
胸元の[エリクシル]が、自分の本能が、警鐘を告げる――例えるなら、隠しても漏れてくる彼女の
圧倒的なまでの“存在感”。
先の大戦の敵の大将も凄くはあったが、目の前の彼女はそれともまた“違う”。
色々な修羅場を潜り抜けたネルであったが、こんな人間は他には“知らない”。

「……あなたは、“何者”ですか」

警戒も顕に、ネルは問う。
どうせ、隠しても目の前の相手には通用しないだろう。

「人間、よ」

苦笑して答えるプリナスに、眉を一つ上げて再び問い掛ける。

「“普通の人間”ではないでしょう」
「それを言うなら、あなた達も“そう”じゃない?」

返された言葉に、ネルは如何答えればいいのか一瞬迷った。
見るに、目の前のプリナスは問答を楽しんでいる風でもある。
このままネルが望む答えをくれるつもりはないのだろう。
ネル達もまた、出会ったばかりの彼女に一から説明するつもりもない。
つまりは、平行線。
ネルは溜息をつき、あからさまな警戒を解いた。

「……全くですね。僕としたことが、愚問でした」

それでも、頭の何処かで常に小さく警戒をする事だけは怠らない。
元警備兵としての、冒険者としての、そして――先の大戦を潜り抜けた戦士としての癖のような
ものなのだから、仕方がない。

「見れば見る程、綺麗な人だね……こんな綺麗な人、いるんだ」

……ただでさえ、共に旅をする大切な相方がこんなに暢気なのだから。
その相方――ルフィエのの言葉に、ネルの口から自然と溜息と呟きが毀れた。

「神格化したルフィエの美しさも、負けないとは思うんですがね……」

ポーっとプリナスを眺めるルフィエには、そんな呟きは聞こえなかったようだが。
そんな三人の背後、遠く呼び子が鳴る。
また何か問題でも起きたのだろうか。
昔と比べて復興が進んだ古都は、人が増えた分だけまた、騒動も絶えないらしい。

162 黒頭巾 :2008/06/03(火) 21:17:10 ID:fou9k2gM0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[4/6P]

が、ネルはふと、何時までも鳴り止まない呼び子に疑問を覚える。
胸騒ぎに耳を澄ますと、遠く何かの破壊音と誰かの悲鳴が聞こえた。

「ルフィエ!」
「あっち、だね」

一転、真剣な顔でルフィエの名を呼ぶ。
胸の十字架に両手を添えたルフィエも、噴水の方角を示した。
意見が一意したのだろう、一つ頷いたネルはルフィエの示す方に駆け出した。
その後ろを併走するのは、ルフィエと成り行きでついて来たプリナスの二人。
プリナスにしてみれば、別にそのまま別れてしまってもよかったのだが――この二人に興味
が沸いたのでついていく事にしたらしい。
そのプリナス、ヘイストを使った気配もなく――普通に“走って”いる。
割と本気で走っているというのに顔色一つ変えずについて来るプリナスに、ネルは内心舌を
巻く。

(この速さ、やはり普通の人間ではありませんね……)

同時に、遠い昔――先の大戦で、速さをウリにしていた仲間を思い出し、懐かしさを覚える。
彼の場合は特殊なヘイストを使っていた訳ではあるが。

「そろそろ見えますよ」

思考を切り替えたネルの声に、同じくあの[白の魔術師]を思い出していたルフィエも前を
向き直す。

「「え?」」

二人の口から思わず漏れた言葉が、綺麗にハモる。
目線の先には、本来街中に――いや、モンスターの蔓延るフィールドでも滅多に見ない姿が。
周りには、わらわら逃げ惑う警備兵達の姿。
成る程、先程の呼び子はこれの事だったのか。

「ちょっと、何で街中にバフォ沸いてるんですか」
「凄いね、バフォって初めて見たよ」
「まぁまぁ……このカマキリさん、バフォって言うの?」

実際は呆然としているのだが、如何見てものんびりと眺めている風にしか見えない三人に、
警備員の悲鳴が飛ぶ。

「そんな事より、如何にかして下さい!」

今まで必死に戦っていた(という名目だが実際は逃げ回っていたのだが)警備兵は涙目だ。
ネルに必死な目線を送るその他力本願な姿から……如何やら、ネルの実力を知っているらしい。

「仕方ないですね、さっさと片付けましょうか」

前に出たネルが、後ろに立つルフィエに声をかける。

「ルフィエ、[唄]を」
「無茶しないでね、ネルくん」

163 黒頭巾 :2008/06/03(火) 21:17:45 ID:fou9k2gM0
◇―― リレー企画 ――――――――――――――――――Red stone novel[5/6P]

神器を構えたルフィエが、[唄]を紡ぐ。
人間には理解出来ない、それでも美しいと感じる[唄]を。
ルフィエの[唄]を聴いたプリナスが、何とも形容しがたい表情を浮かべる。
例えるなら、怒っているような、安堵したような、泣きそうな――如何とも採れて、
如何とも採れない複雑な表情を。

「……手こずる筈はないですが、一応」

そんな、少し後ろで眺めている女性の存在を思い、ネルはルフィエに一言警告する。

「万が一の状態でも――神格化禁止ですよ、ルフィエ」
「うん、大丈夫だよ」

わかってるから、ルフィエは頷く。
彼女もまた、プリナスの不思議な“存在感”を感じ取ってはいたのだ。
後ろの女性が、“この世にあってはならないもの”と認識されるかはネルにはわからない
が――こんなところで[断罪者]を発動されたら、それこそ手がつけられない。
ルフィエが頷いたのを気配で感じ取ったネルに、何処からともなく風と炎の加護が飛ぶ。
力の出所を横目で見れば、眼鏡をかけたウィザードが杖を掲げていた。

「差し出がましいようですが、せめて支援だけでも」

一目でネルの実力を感じたのだろう。
その魔法使いは、「邪魔はしないでおこう」と横に立つ黒い頭巾の少女の本を持つ手を
止めていた。

「心遣いに感謝します」
「ご武運を……」

微笑んだネルに頷いて、魔法使いと少女は怪我をしたらしい警備兵へと向かって行った。

「では、行きます、よ!」

ルフィエの[唄]の援護を受けたネルは、地を蹴った。

◇―――――――――――――――――――――――――Red stone novel[−Fin−]

164 黒頭巾 :2008/06/03(火) 21:18:44 ID:fou9k2gM0
◇――――――――――――――――――――Red stone novel−Postscript[6/6P]

一難去ってまた一難。
別名、次の方に丸投げ(ちょ)
何やら自キャラを出すのが流行りらしいので、ちょろりと出してみました。
後からまた出てくるのか出てこないのかはお次の方にお任せします。
とにかく、ミリアとネルくん&ルフィエコンビを描写させて頂くのは楽しかったです。
偽者すぎて御免なさい、ネルくんなんて特に喧嘩っ早すぎて御免なさい。
私の中の彼らはこんなイメージなのです。
そして、カリアス好きすぎて勝手に出しました。
名前すら出てませんが。
でも、一番書いてて楽しかったのは被害者の露店主です。
イメージ的にはダンディで野性味のある元戦士で引退して久しいおじ様です(細かい)

ふと思ったのですが、このペースだと作家さん方が総出でも一周じゃ終わらなそう!
なので、既に書かれた方の二周目の素敵作品に期待すると同時に、まだの方の一回目も
wktkさせて頂きます、はい。
先のレスから後の感想はまた今度の機会に。

この番組は黒頭巾の提供でお送り致しました(番組終了後のCM風)

Red stone novel−Postscript――――――――――――――――――――――――◇

165 ◇68hJrjtY :2008/06/04(水) 05:48:54 ID:ucDDXGbE0
>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
リレー小説に続いて本編まで書き切るとは…恐るべし筆の速さ((( ´・ω・))
トレスヴァントvs雪乃の方は決着がつきましたね。相打ち、でもまあ多少の格の違いからか雪乃の勝利となりましたか。
真剣な文字通りの一騎打ちの二人の戦いとは異なり、橙道とティエラの戦いはなんか戦いというよりぶっとびバトル(笑)
マル暴語、橙道さんもしかしてその昔は若気の至りってヤツをやらかしてたんでしょうか(*´д`*)
このままティエラを笑い殺してしまうのか否か…決着の行方、楽しみにしてます。

>黒頭巾さん
ネルとルフィエとミリアと…さすが、読み込んでなければ書けないキャラの言動がしっかりしてますね。
っておじ様の設定細かッ(笑) 支援をくれたWIZはきっといけめんさんだろうなとか妄想しながら…
リレー小説に感想書かないとか宣言した舌の根も乾かないうちに感想しちゃった(ノ∀`*)

166 名無しさん :2008/06/04(水) 19:01:11 ID:Xs.wtHjU0
キモチワルイのでageますね^^;

167 rom :2008/06/04(水) 19:56:32 ID:b8HWWtQY0
>>166

見なきゃいい話ですね^^;

168 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/05(木) 11:16:28 ID:OhTl4zsk0
◇―――リレー企画――――――――――――――Red stone novel[1/4P]

『Rmuble and Hunting.』

深夜とはいえ喧騒未だ止まぬ古都ブルンネンシュティグ,だが今現在の喧騒は悲鳴が十中八九。何故なのか・・・?
「バォオァアアァア――――――!!!!」・・・バフォメットZin。大陸公認の世界猛獣図鑑によれば,その生物は
悪魔類ゴートマン属,その種の中でも一際危険度の高い,特A+ランクの要注意モンスターだ・・・
どういう訳だか古都に前触れもなく現れた,本来ならその辺のフィールドにすらいないはずの危険生物が暴れていた!!

「(普通なら古都にモンスターがいるとなれば,それはビーストテイマーに飼われている可能性があるはず…
  だが大陸の法律ではA+,それこそセミボス以上の等級のモンスターは飼育が禁じられている。一体誰が何のために!?)」

巨大なデスサイズを振り回しながら破壊行為を行うバフォメットへと,思考を巡らせるネルが向かっていく!!
同時にバフォメットも向かってくる者に気付いたのか,瞳孔の開いた狂気まみれの瞳を二人へと向けた・・・!!
「"第三段階(サード)"・・・発動せよっ!!」空間転移換装魔法によって取り出された眩く輝く黄金の剣と盾。
後方ではルフィエの心地よい美声によって『唄』が奏でられていた・・・耳に入る限り,それは無限の力を引き出してくれる。
剣を横に薙いで,ネルは分身を10人以上生み出して分散させて・・・バフォメットを包囲する形で攻撃を放つ。
避けようの無い立体的な剣のドーム,そして襲い掛かる無数の斬撃,それらがバフォメットの身体を容赦なく切り刻む・・・


一方,ネルとルフィエがバフォメットと対峙しているその外では,負傷した警備兵を魔術師とビーストテイマーが介抱していた。
「うぅぐっ!!?!はぁっ・・・あぁ,済まない。古都治安維持局たる者がこのザマとは,申し訳ないっ!!!」
「大人しくして下さい,喋りすぎると傷口が開いてしまいますよ?・・・ケルビー,ちょっと荒療治をやりますよ」
「承知した,いけめん殿。」「?何を・・・熱ぁっ!!?!あぁああぁああぁぁっ!!!!!あひひぃぃいぃぃ〜・・・」
眼鏡を掛けた魔術師が,傍らで心配そうに見つめている少女が使役する魔人に指示を下した。魔人は手に火の元素を宿し,
負傷した警備兵の傷口を熱で消毒した。熱さと傷口の焼けるような痛みに,男が悲鳴を上げる・・・
「あの,いけめんさんっ!今周りの人から噂を聞いたんですが,他にも危険なモンスターが古都を徘徊しているそうですっ!!」
「何だと!?厄介な事態になったものだ・・・あの二人は今バフォメットと闘っているというのに!!どうすればっ・・・」
ビーストテイマーの少女がもたらした新しい情報に頭を抱え込む魔術師,だがそこへ新たにもう一人警備兵が加わる。
「あ,アンタら!!早くここを離れるんだ,もうじきこの広場周辺は荒れるぞ!!」「・・・?どうゆうことで?」
「たった今,古都治安維持局の官僚達が決定を下したんだ,狩猟ギルド『アマゾネス』が動くらしいっ!!」
駆け込んできた警備兵の言葉に,魔術師と負傷者の2人に戦慄が走った・・・!!!少女には何のことかわからないが。
「あ,あの・・・『アマゾネス』が動くだと!?」「い,いけめんさんっ・・・何ですかその『アマゾネス』って?」

「いいかい,『アマゾネス』っていうのは女性のみで構成された,狩猟活動が中心のギルドなんだ・・・
 構成員は主にアーチャーやランサー,ビーストテイマーにサマナーが中心。とても気の強い者が多いようだ。
 特にこれだけは覚えてもらいたいが・・・アマゾネス酋長『銀の鷹(シルバー・ホーク)』ティエラ・ラファエルとその右腕
 ラティナ・シノノメは『二羽の鷹(ジェミナイ・ホークス)』のコンビ名でギルド・ウォーでも好戦績を残している。

 だが・・・アマゾネスの女戦士たちの狩りは,嵐が通り過ぎるように苛烈らしい・・・私たちもすぐにここを離れよう。」

魔術師の言葉に少女と魔人は頷き,負傷した警備兵を搬送しながらその場を跡にした・・・

169 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/05(木) 11:16:50 ID:OhTl4zsk0
◇―――リレー企画――――――――――――――Red stone novel[2/4P]

その頃,逃げ惑う人々の流れに逆らうようにプリナスは路地に立っていた。と言うか,ネルとルフィエの戦いを見届けていた・・・
「おい,お嬢さんっ!!アンタぁ,早くこの場から離れるんだ!!『アマゾネス』の狩りに巻き込まれたいのかっ!?」
「え・・・?なぁに,そのアマゾネスって言うのは?」「おいおい知らねぇのかよっ,あいつらの狩りは派手で破壊的で有名だぞ!?」
「まぁ,それは面白そうね・・・わたしも見てみようかしら?」「はぁ・・・巻き込まれてケガしても知らねぇからなっ!?」
プリナスに警告した市民は,これから起ころうとしている『アマゾネス』の狩猟活動のとばっちりから逃れようと避難中。
逆にプリナスはというと,その一般市民が恐れるほどの狩りの一部始終を見ようとワックワクのテッカテカ状態になっていた・・・

「(ふふ,ますます面白いことが起きそう・・・!!やっぱりこの星はわたしを飽きさせてはくれないみたいね。)」


―――――フランデル大陸西部,大オアシスに拠点を置く商業都市はアリアンの南・・・峡谷地帯デフヒルズ。
崖の上の小高い丘の上に,円錐状のテントが数基ほど張られていた。このキャンプ郡こそが『アマゾネス』の本拠地である。
テントには幾何学的な模様が施され,まるでどこかの部族の様な雰囲気を醸し出している。外では二人の女性が焚き火を囲う・・・
一人は銀髪のポニーテールに褐色の肌,白い布を胸にもう一枚を褌状に締め付け,傍には希少価値の高い槍,ホースキラーを置いている。
もう一人は金髪のショートヘアに,重武装のアーマーの下から紫色のレオタードを覗かせていた。彼女の武器は異国の薙刀状の槍。
「ん・・・んん〜っ!!ふぁ,今日も一日狩りまくったね〜。ラティナちゃん,あたし特性の栄養ドリンク飲む?おいしいぞ〜」
「もうティエラさんってば!今そんなの飲んだら,眠れなくなっちゃいますよ?それにわたしもう眠いし・・・あふ,おやすみなさ〜い」
鎧を脱いで,レオタードのみの姿になるラティナ。あくびを掻いてテントへと入ろうとするが・・・

「はぁ!?古都にバフォメットやら何やらが出たァ!?ちょっとぉ,元老のじっちゃ〜ん・・・遂にあんたもボケちゃったの?
 あ,ごめ・・・今の冗談冗談!!まぁとにかく,そいつら狩りに来てちょーだいってわけね!?あいよ〜,わかった!!」

「ティエラさん・・・?一体誰からの連絡ですか?」戻ってきたラティナが心配そうに訊ねる・・・・
「どうやら神様はあたし達の安眠妨害をしたいみたいだねぇ・・・古都のじっちゃんからだ,一仕事やらなきゃならないみたいよ!」
「元老院の方からですか!?大変っ、急いで取り掛からないと・・・えっと,鎧は,鎧は〜っと・・・」
すぐさま脱いだ鎧を再び着ようとするラティナだが,事は急を要する。それをティエラが制止し、すぐに出発を促した。
「今鎧を着けてる時間なんてないの!!それに,ラティナちゃんの機動力なら攻撃なんてそう当たらないんじゃない〜?よいしょっ!!」
軽くラティナにウィンクをすると、たった一蹴で向こうの崖へと跳躍していくティエラ。ラティナも彼女の後を追う・・・
崖から崖へ,谷を跳躍するその姿はまるで二羽の鷹。ティエラの長い銀髪がなびき、月明かりに照らされている。
「はぅう〜・・・やっぱり鎧着て来れば良かったぁ〜,夜の砂漠は寒いのにぃ〜!!」泣き言をラティナが言う・・・
「いいのいいの。それにラティナちゃんもさァ,もう少しオープンになったらどうなのよ?こんなにイイお尻してるのにィ♪」
「ひゃやっ・・・いやぁ〜んっ!!!ちょっ,いきなりお尻を撫でないで下さいよ〜!ティエラさんのエッチ!!///////」
移動しながら,彼女はTバックで露わになったラティナのお尻を愛撫する・・・そして恥ずかしがるラティナ。
しかし移動する速度は落ちることなく,疾風のように二人の女性は古都目指して走り続ける・・・

170 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/05(木) 11:17:16 ID:OhTl4zsk0
◇―――リレー企画――――――――――――――Red stone novel[3/4P]

同じ頃,デフヒルズの別のエリアに降り立つ者たちの影があった・・・
「ここがフランデル大陸・・・どうやらここはデフヒルズと呼ばれている場所のようですね。」
白いロングスリーブのシャツとズボン,白金色の髪を撫で下ろしているのは・・・『異端者』,宇宙を彷徨う非科学的生命体。
その名はノア,この世の法則の全てを超えた存在が,既に地上に降り立っていた。傍には二人の男性がいる。
「ノア,警戒なさって下さい。いくら夜とはいえ,まだ危険生命体の気配はゼロではありません・・・」
少年の姿をとるノアに警告をするのは,華奢な体格をした美青年・・・名はアナハム・エスカンダーロ。
「アナハム,ここまで来て君は几帳面過ぎるぞ・・・まぁ,僕としてもその意見を否定するわけにはいかないが。」
そしてさらに言葉を放ったのは,大柄な体格の無骨な印象を漂わす男性・・・ホサナ・クリストファー。
彼らを余所に,ノアはいきなりてくてくと砂漠を歩き始める・・・だが、そんな彼の前にいきなり巨大な影が現われた!!

黒い霧が出てきたと思いきや、今度は蒼い炎に変化する・・・そして形が整ってきた時には,一匹のリプリートマーキがいた。
「ギャハハハハハ!!!よぉ人間,闇に呑まれに来たのか!?」「・・・随分と手荒な歓迎ですね。ホサナ,この生命体は?」
「はっ・・・そいつはリプリートマーキ,霊魂系統の思念体かと思われます!」「ふむ・・・なるほど。」
ホサナは腕のガジェットを操作し,データを引き出してノアに伝えた。だが一方のリプリートマーキはシカトされることに
腹を立てていた。手に黒く渦巻く闇の元素を宿し,ノアへとデスタッチを放つ・・・!!!
「このクソガキがァっ!!!闇の神獣をおちょくってんじゃねぇぞォっ!!!死ねぇええぇぇえぇぇぇっ!!!」


「アクセス・コード XXX0998-DELT-(RpMk)/X:158cm,Y:310cm・・・デリート。」


人差し指でリプリートマーキを指し、ノアがコードのようなものを呟くと・・・リプリートマーキが一瞬で消えた。
跡形も無く,しかもコード一つで一瞬にして相手を消してしまうノアの能力の前に,ホサナとアナハムは戦慄していた。
「(あれが・・・ノアの能力,いや・・・その一部なのか!!?!これが『異端者』の力・・・やはりこの方には逆らえない!!)」
「(なるほど・・・彼にとってはこの世界を『消す』のも,人が呼吸をするのと同様のレベルでやってのけることが可能なのですね。)」
だが口にせずとも,二人の考えはノアに筒抜けだった。彼は二人を振り返ると,無垢な微笑を携えて言った・・・

「うんうん,二人ともお利口ですね。私だってこの世界を簡単に消したくないから,お二人にはちゃんと契約は厳守してもらいます。
 ではこれより,この星の・・・このフランデル大陸における"天使の卵"の捜索を開始しましょう。くれぐれも抜かりないように。」

「了解致しました,ノア・・・あまり無茶をなさらぬよう。」「右に同じく,です・・・」

3人は光に包まれると,各自の思い描いた場所へとテレポートを開始した・・・。

to be continued...

171 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/05(木) 11:30:19 ID:OhTl4zsk0
◇―――リレー企画――――――――――――――Red stone novel:Post Script

早速またもや二周目やっちゃいました〜;;;
やっぱり他の作家さんが書いたキャラを自分で書くっていうのは斬新で楽しいもんですw
さて、みやびさんのリレールールに則ってキャラ紹介を書いておきませう・・・

+ティエラ・ラファエル
・デフヒルズの狩猟民族"ラフュア族"唯一の生き残り。身長168cm、狩猟ギルド『アマゾネス』の酋長。
 銀髪の長いポニーテールに、露出度の高い部族の衣装や褐色の肌が特徴。性格は結構やんちゃでお茶目。
 かなりフレンドリーで家族愛が強く、誰とでもすぐに仲良くなれる。が、家族友達をバカにする奴には容赦しない。
 口調はちょっと男の子っぽい感じ、でも基本は女性らしい口調でb 得物はホースキラー。

+ラティナ・シノノメ
・東の異国からやってきた家出娘。身長159cm、イメージはゲームそのままで。
 この頃はまだ16歳、思春期ゆえに異性相手だと素直になれずにツンツンに。ツンデレktkr。
 口調は基本明るいかんじ、得物は青龍偃月刀。

続きどうぞ;;;

172 黒頭巾 :2008/06/06(金) 20:58:29 ID:fou9k2gM0
空気を読まずに新作投稿してみます\(^o^)/

***********************************************************


……ん?
如何した、眠れないのか?
はーん、さてはママが恋しくなったか。
ははっ、図星だからってそんなに怒るなよ。
俺もお前くらいの時はそうだったんだ。
何だ、不思議な顔をして……俺にもお前くらいの頃はあったんだぞ?
……そうだな、一つ提案だ。
ママは寝かせておいてやってくれ。
もうすぐお前の弟か妹を生むって大仕事が待ってる。
代わりに、兄貴になるお前に、俺が一つ昔話をしてやろう。
一人の男が成長する話だ。
退屈な童話じゃないぞ?
男なら一度は憧れる冒険譚なんだからな。
お、顔つきが変わったな。
おいおい、そんなに急かさないでもちゃんと話してやるから、ちゃんと布団に入って……そうだ、いい子だ。
よし、いくぞ。
昔々……。


【精霊のご加護】


……あるところに、小さな田舎の村があった。
何処にでもある長閑な村は、毎年豊作な不思議な村であった。
不思議に思った旅人に、村の年寄りは語る。
この村の祖先にはロマの精霊使いの血が混ざっているという伝説があるのだと。
昔、大怪我をしたロマの女達を村人が助け、それに感謝した女達の一部が村に留まり、村人との間に子を生したと。
その所為か、子孫であるこの村の人々は、精霊の気配を感じる事が出来た。
冷夏の前にはそれを知り、火の力で空気を暖める。
日照の前にはそれを知り、水の力で土壌を潤おす。
台風の前にはそれを知り、風の力で軌道を逸らす。
地震の前にはそれを知り、地の力で揺れを往なす。
精霊の声で自然の変化を知り、精霊の助力で自然の変化に対処する一族……それがこの村が毎年豊作であり続ける秘密なのだと。
旅人は酔った老人の語る伝説など信じなかった為、村の平和は護られた。
もし彼が吹聴して回ったならば……今頃この村の人々は拉致され、世界中に散り散りに派遣されていた事だろう。
この物語は、こんな村に生を受けた一人の少年から始まる……。


……俺の一族の力は、村の中でも尤も絶大だった。
両親は精霊の姿を見るだけではなく、普通に日常会話を交わせる程だった。
だが、俺は生まれてこの方一度も……精霊の声を聞く事も姿を見る事も出来なかった。
俺以外、こんな奴はいなかったし、昔存在したという話も聞いた事はなかった。
本当は実際にはいたのかもしれない……上手く隠し通していただけで。
尤も、俺にはそんな器用な芸当は無理だった。
両親が死んですぐの年、異常気象が村を襲ったのは……天の采配だったのだろうか。
そんな中でも豊作だった他の村人を余所に、俺の畑だけが不作だった。
俺は齢14にも満たぬ内に村人の憐憫と奇異の眼差しを一身に受ける事になった。

173 黒頭巾 :2008/06/06(金) 20:59:38 ID:fou9k2gM0

翌年、偶々村を訪れた冒険者を師と仰ぎ、村を出て一緒に世界を旅しながら武道の心得を習う事にした。
もう村にはいられなかった。
俺の精神は、村人の憐憫の眼差しに耐え切れなかったからだ。
日々の農業で俺の身体は基礎的には鍛えられていたし、他の村人と比べて足りない能力を補う様に人間としての感覚は鋭かった。
元々素質があったのだろうか、俺はめきめきと力をつけ、あっという間に皆伝の称号を得た。
冒険者としてもある程度名が売れ、続々入るクエスト依頼もこなして比べ物にならないくらい実力もついたし裕福になった。
それでも……村人の様に、あるいは村人とは違い武道家として自然を知り尽くした師の教えの通りに、風を、自然を、感じる事だけは出来なかったが。


そんなある日、立ち寄ったオアシス都市アリアン。
その名の通り巨大なオアシスが町の中央に鎮座する、砂漠の中にある商業の中心都市だ。
受けたクエストを終わらせた報告と同時に、また明日新しいクエストを貰うという約束をクエスト屋と取り付け、宿へと向かう。
横目に眺めるアリアンの象徴、巨大なオアシスが日光を受けて輝く。
ふと、その水際で遊ぶ一人の少女の姿が俺の目に留まった。
途端に心臓が早鐘の様に打ち鳴らされ、冷や汗が頬を伝う。
……“駄目”だ、あの少女は“駄目”だ。
嗚呼、願わくば……俺に気付かないでくれ。
俺の一族と同じ色の瞳を逸らされても、見詰められても、どちらにせよ正気でいられるとは思えない。
何しろ、彼女は精霊の力を召喚獣の姿に変えてこの世に留めているのだから。
動悸のする胸元を押さえて立ち去ろうとした俺に、少女が気付いてしまった。
……最悪のパターンだ。
瞳を輝かせた少女が、俺に詰め寄ってきた。
ちょ、近い近い!
嬉々として俺の顔を覗き込んだ少女は、挨拶もしないまま開口一番こう言った。

「凄いです!こんなに精霊に好かれてる人、見た事ないですよ!」

……この女は、何を、言っているんだ?
精霊に祝福された村で唯一、精霊に愛されなかったこの俺が、“精霊に好かれてる”だと?
脳裏に、村人達の声が過ぎる。
それは、まだ両親が健在だった頃の周りの言葉。

「流石、精霊に好かれてるわね」
「名前の通り、この村の未来を担う凄い力だわ」

それは、両親がなくなって俺の能力がない事に気付かれてからの周りの言葉。

「精霊が見えないなんて、信じられない」
「名前負けなのね、がっかりだわ」

俺に能力がないとわかったら、即座に掌を返した親戚の仕打ちは忘れ様にも忘れられない。
少女の興奮気味の声とは裏腹に、俺の心は急速に冷えていく。

「……ない」
「はい?」
「……見えなきゃ、聞こえなきゃ、意味なんかねーんだよ!」

吐き捨てる様に叫んだ俺の声は、鼓膜を伝わって何処か他人事の様に俺の脳内に響く。
突然声を荒げた俺に驚く少女を残し、俺は踵を返した。

174 黒頭巾 :2008/06/06(金) 21:00:15 ID:fou9k2gM0

……先程は取り乱してしまった、あんな年端のいかない少女に声を荒げるなんて。
宿の自室で寝台に寝っ転がって自己嫌悪する俺の脳裏に浮かぶのは、先程の少女の姿。
神獣達と心を通わせ、無邪気に戯れる、そんな一シーン。
サマナー、それは俺の劣等感をかきたてる、一番苦手とする人種。
精霊の声を聴き、精霊と心を通わせ、精霊を召還し、精霊を使役する。
ロマの女性の中でも、極々一部だけが持ち得る強力な能力故、圧倒的に数が少ない彼女達の姿を見るのは初めてだった。
短い時間とはいえ、俺の心に強烈な印象を残した少女。
あの短い時間が、村を出て漸く訪れた俺の心の平穏が乱した。
眠りにつけば夢の中で忘れたい過去が迫ってきそうという不安が俺を襲う。
結局、疲れた身体とは裏腹に、その日は中々寝付く事が出来なかった。


翌朝、俺は寝不足の頭を抱えつつ、クエスト屋へと向かった。
親父と二言三言会話を交わし、約束していたクエストの催促をする。
すると、もう一人来るから暫く待て、と言われた。
一人で行うのが難しいクエスト、と言う事なのだろう。
今までもそうして複数でクエストをこなした事があった。
砂漠の日差しに目を細める俺の目に、一人の少女の姿が映った。
昨日の様に、心臓が勢いよく血液を送り出す。
歩いてくる、あのロマの少女と目が合ったからだ。
向こうも気付いたのだ、黙ったままでいる訳にもいかないだろう。

「アンタ、昨日はすまなかったな」

頬を掻きながら頭を下げた俺に、彼女は慌てた様だ。

「怒ってませんから気にしないで下さい! むしろ、私の方こそ挨拶もせずに何かお気に障る事を言ったみたいで……ごめんなさい」

逆に謝らせてしまった。
此処で否定したら平行線になりそうだったので、流す事にした。

「何だ、知り合いだったのか。だったら話は早いな」

クエスト屋の親父の声に、嫌な予感が走る。
駄目だ、続きを言わせてはいけない。

「今回のクエストは、依頼主がお前さんら二人をご指名なんだ。一緒に行って貰うぞ」

……嗚呼、終わった。
乗り気な彼女とは対照的に、頭を抱えたくなる衝動を抑えるのに必死で、俺は上の空だった。


依頼内容はこうだ。
アリアンから東の砂漠にある墓の一つに、過去の栄光を飾る展示場があると言う。
其処を護る守護鎧から、最近亡くなった高名な冒険者シグの剣を取ってくる、という物だった。
あの背中の弱点があったとは言え、あのシグがやられるくらいの場所だ。
確かに一人で行くのは命知らずに違いない。
止むを得ず、暫くPTを組む事になってしまった。

175 黒頭巾 :2008/06/06(金) 21:04:09 ID:fou9k2gM0

ひとまずココまで。
今回は最後までシリアス…の予定。
予定は未定、そんなモノ。
私の事なのできっと何処かでギャグ要素入りそう\(^o^)/
その内、続き投下しに来ます。

結局、レスは盛大に蹴り飛ばしましたゴメンなさい(゚дノ|(お前)

176 ◇68hJrjtY :2008/06/07(土) 04:35:03 ID:pob35qCY0
>黒頭巾さん
武道×サマナキターとは思いながら、単純なカプ話ではなさそうな予感。
本能的に精霊から遠ざかっている彼とサマナたん、共に行動するというだけでも武道君同様に不安ではありますが…。
武道君が精霊から離れてしまった実態とか今後二人がどのような展開に突入するのかとかは気になりますが!(こr
しかし全ては父が息子に語る思い出話、といいますか…やっぱり黒頭巾さんはこういう小説18番ですね(*´д`)b
シリアスモノというわけで真剣な気持ちで読ませてもらいつつ続き楽しみにしています。

177 あるプレイヤーのお話 :2008/06/07(土) 16:23:03 ID:4EYViSBc0
誕生日が同じだねと、一緒に笑い会えてたあの頃が、一番幸せだった。
二人でPTを組んで、必死になって狩りもしたよね。
喧嘩もしたし、意見が食い違うことも何度もあった。
そのたびあなたは私を突き放し、私もあなたと距離をおいた。
それでもいつも、あなたの方から話しかけてくれて、メールをくれて、私は何度も、泣いて喜んだよ。
あなたと作ったギルドを抜けても、あなたは私を大切にしてくれた。
会ったこともない私に、クリスマスにマフラーをくれた。本当に嬉しかった。
私はあなたのことが好きで、本当に好きで、・・・ゲームの中ですれ違うのが段々と辛くなってきた。
私は引退した。ゲームではもう、あなたと会いたくなかった。


あなたと出会ってから一年くらいして、私はあなたに会いに行った。
あなたの車は煙草臭くて、それでも私はあなたが好きだから、平気なふりして笑ってた。
私と同じ名前のホテルがあって、そこに連れてってくれたのがすごく嬉しかったんだよ。
ぶっきら棒な態度で、あなたは何を考えているかよく分からないけど、あなたの愛は感じられた。
また来いよって言われて、また私は泣きそうになった。
あなたと知り合ってから、私はすごく泣き虫になったんじゃないかと思うよ。

数ヵ月後、私はまたあなたに会いに行った。
あなたは相変わらず感情が読めなくて、私はあなたが好きなのに、あなたといる時間がとても苦しくなってしまった。
それでもあなたは、あなたの地元まで連れてってくれて、案内してくれて、私が行きたがった岬にも一緒に来てくれた。

そしてまた数ヵ月後、あなたに会いに行った。
実家に連れて行ってくれた。
部屋はすごく汚くて、洋服で足場もないし煙草の灰が色んなところに散っていた。
目が覚めたときに、Gvに出場しているあなたを見たときには苛立ちを覚えた。


薄々気づいていた。
でも、そうでないことを願っていた。現実から逃げていた。


私が好きなのは、画面の中のあなた。
画面の中のあなたは、限られた時間にだけ現れ、私を大切にしてくれた。
お互い必要なときにだけ接して、嫌な感情や態度は一切取らない、伝わらない。
見えないがことがあなたの魅力になっていた。
でも。
3次元のあなたじゃ、だめだ。
画面の中のあなたに、恋をしていた。

そう思うと、一気に冷めてきた。
帰宅したよ、とメールを送ってみても、あなたは返してくれなかった。
そうだよね、今日Gvあったもんね。そっちに忙しいんだよね。ごめんね、邪魔だよね。

おはようのメールも送れなくなって、あなたに話題を振れなくなった。あなたとのメールが怖くなった。
それでも私はあなたが好きだった。


今私には、彼がいる。
彼のことがとても好きで、彼も私のことを好いてくれていて、すごく幸せ。
でも彼には、絶対に言えないことがある。
私はまだ、あなたのことが好き。
画面の中のあなたとは、叶わぬ恋。あなたは遠い人。
それでも私は、あなたのことを愛し続けます。

178 白猫 :2008/06/07(土) 19:07:58 ID:rOHiPurc0
Puppet―歌姫と絡繰人形―


第一章〜第五章及び番外編もくじ 5冊目>>992
第六章〜第十八章もくじ 6冊目>>924
第十九章 -愛しき君への言葉 迫り来るもう一つの敵- >>5-16
第二十章 -激戦の、一歩手前- >>43-50

 第二十一章 断罪者の覚醒 迫る最後の戦い



 「うわっ!?」
 「!」
突如視界が薄暗い部屋から夕方の大地へと変わり、ルフィエとネルは目を見開く。
しかも自分たちがいる場所は地上から数メートルの高さ。
完璧に地面に突っ伏したルフィエを見、ネルは苦笑しながら着地する。
地下迷宮へ突入したのがシーフの襲撃があった直後。
今は完全に真夜中だと思っていたが、空の星座の位置的には、今は精々10時を過ぎた頃。
 (ブリッジヘッドの方が一時間ほど時間が早いんでしたっけ)
まだ今のフランテルには「自分たちが住んでいる星」という概念は存在しない。
ただ「世界という大きな空間の外に太陽と星が輝いている」としてしか認識できていない。
世界が海で繋がれていると人が知るのは、ずっと先のことである。
 「――いませんね、どこにも」
クレリアは確かに古都へと向かったはず。だがどこにも、彼の姿が見えない。
あの短時間でこの"古都だった荒野"を駆け抜けることなどできるはずがないとすれば、
 「シャドウスニーキングしか無いですね……ルフィエ、さっさと行きますよ」
 「う、うん」
頭をさすって立ち上がったルフィエを見、ネルは溜息を吐く。
全く、彼女は気合が入ったら自分と張れる戦闘力を持っているというのに、入っていないときは本当にユルい。
とにかく、クレリアを捕獲するには骨が折れる。
ただ倒すことに意味はない。彼を捕獲し、助力をする誓いを立てさせなければならない。
そう、彼にしかできぬ助力――[イグドラシルの発見]。
ヴァリオルドの密偵たちが二か月かかっても見つけることができない。そんなものを見つけるには、どうしてもシーフ達の助力が必要なのだ。
 (クレリアの言い分も理解できるのですが――あの野心はどうも理解しがたい……)
と、

   ――――ヒュッ

 「ッ」
自分の背後から突如放たれた斧がネルの左肩に突き刺さり、
その痛みを食い縛り、斧を抜き取ったネルがそれを暗闇に向けて放ち、
だがネルの背後に既に躍り出ていた男が、ネルの背を蹴り飛ばした。
 「え!?」
ここでようやく声を上げたルフィエは、突如現れた銀髪の男と吹き飛ばされたネルに目を見開く。
瞬時に白と金色のドレスローブ姿、[神の母]を発動するが、

 「遅いな」
今まで目の前に立っていたはずの男――クレリアが、ルフィエの背後に回り込みその体を羽交い締めにした。
 「――――ッ!?」
両腕を締め上げられ、ルフィエは痛みに顔を歪めた。
これは、恐らくは古都で戦ったムームライトと同等の速度。加えてこの腕力。
背後を取られ、両手を封じられルフィエには成す術がない。
 「戦闘体勢を取るタイミングが遅過ぎるな。実力があろうとも、場数を踏んでいない武術家ほど脆いものもない」
ギリギリと身体を締め上げながら、クレリアは不敵な笑みを浮かべた。

実のところクレリアは、ネルのすぐ近くへ潜伏していた。
彼の[シャドウスニーキング]はただの潜伏術ではない。自分を辺りの物質と完全に同化させてしまうため、ネルやルフィエの探知能力がいかに高かろうとも、彼はそれを?い潜れる。
ネルの戦闘力はかなりのもの。あの迷宮を潜り抜けたということは、実力は自分と同等か、それ以上。
まともにやり合うわけにはいかなかった。そこで、今の一撃を放ったのだ。
自分の斧の標的はネルだけではなかった。
万が一ネルが避けた場合を想定して、その延長線上にルフィエが来るよう斧を放ったのだ。
咄嗟のことにネルは防御態勢を取れない。だが避ければルフィエに攻撃が行く。
 「いつまで経っても甘っちょろい戦い方だな、ネリエル。吐き気すら催す」
数メートルほど離れた場所で倒れるネルに、クレリアはクックと笑いかける。
しばらくネルは目覚めないだろう。斧には特製の毒が塗ってある。
下手をすればそのまま死に至り、最低でも体が数日は麻痺する。そういう毒だ。
シーフ相手に先手の一撃を与えたことを後悔するんだな、とクレリアは微笑み、ルフィエを掴んでいた両手を離す。
 「!?」
突如クレリアの捕縛から解放されたルフィエは、

次の瞬間、クレリアの神速の廻し蹴りで意識を失った。

179 白猫 :2008/06/07(土) 19:08:21 ID:rOHiPurc0


 「っ――」
朦朧とする意識の中、ネルは驚異的な精神力で意識を活性化させ、目を無理やりに開く。
途端に視界いっぱいに入る眩い光と、体全体を襲う鈍い痛みと倦怠感。
気だるい身体を起こし、右手で目をこすり、立ち上がる。
身体の感覚が今一つ掴めない。が、腹の具合で大した時間が経っていないことを悟った。
 (一晩中眠っていたのか……奴め、何処だ)
無駄だとは思いつつも、辺りを見回し手掛かりを探る。
が、当然のように辺りには、自分の血以外は何も変わった様子はない。
と、なると――
 (――ヴァリオルドかッ!!)
瞬間、
彼の身体を紅色の衣が覆い、その髪が紅色に彩られる。
同時に燃え上がる右腕が、今となっては懐かしい紅色の爪――[紫電狼の爪]へと変化した。
シーフ相手に[第三段階]を使うのは面倒だ。可能な限り速度を重視した、[紫電狼]で一気に叩かなければならない。
 (ルフィエの気配が僅かに感じられる……クレリア、父の許し無しに、ヴァリオルドの敷地を踏むことは許さないぞッ!!)
そう心中で怒鳴ると同時、
紅色の尾を引き、ネルが朝日の中を驀進する。古都に唯一無傷で残った、ヴァリオルド邸へ。

それを遠巻きに眺めていたカリンは、不安そうにマントを掴む四人の子供たちに言う。
 「大丈夫だ。フェンリ――ネリエルの奴なら、ルフィエを助け出せるだろう」
 「お姉ちゃん、怪我……いたくない?」
メアリーが不安そうに、カリンの右腕を見やる。
その右腕は、まるで腐敗したかのように青紫色に変色してしまっていた。
あの夜、突如侵入してきたクレリアから四人を守りながら戦ったカリンは、当然のように敗北し、右腕に傷を負った。
その大きな原因――階段で転び、カリンにクレリアの身代わりをさせてしまったメアリーは落ち込んでしまっている。
が、カリンは特に気にした様子もなく、その腕を持ち上げる。
 「フン、掠り傷だ。それよりもお前たちは此処にいろ。此処には魔物達も寄ってこないから問題ない」
そう子供たちに言い、カリンは腰の剣に手を添える。
負けっぱなしと言うのはどうにも、自分の趣味ではない。







 「随分と強情だな、娘」
短剣を手の中で弄び、クレリアはその刃に付いた鮮血を嘗め取り、言う。
その視線の先――まるで標本のように両掌を短剣で突き刺されているルフィエは、口の中に溜まった血を吐きだし、笑みを浮かべる。
 「ネルくんだけじゃなく、カリンさんにも怪我させて……ゼッタイ、許さないんだから」
その言葉に甲高い笑い声を上げたクレリアは、手に持った短剣をルフィエ目掛けて放つ。まるでダーツの的を狙うかのように。

   ――カッ!

自分の首と皮一枚のところで突き刺さった短剣に、ルフィエは唇を引き絞る。
宙に舞う自分の髪に顔をしかめ、しかし顔を上げて笑った。
 「お終い?」
 「なぁに……シーフ達がいないからお前の[女]を壊すことはできんが、こうやって嬲る楽しみもまた一興だからな。
 ゆっくりと、じっくりと甚振り、ネリエルに見せつけてやるさ――」
 「……ネルくんは、あんたみたいな人に絶対、負けない」
ムッとして言うルフィエにもう一度笑い、クレリアはさらに短剣を取り出す。
既に放った短剣の数は7本。強がってはいるが、ルフィエの精神力は徐々に削がれていっている。
この強気の顔がゆっくりと苦悶に歪む様を想像するだけで、クレリアは笑みが浮かんできてしまう。
 「俺も奴も、単純な力などほとんど持っていない。エルフや魔物に比べれば微々たるものだ。
 だが俺達は[人間の戦い方]を学んだ。より狡猾に、より残酷に、より完璧に勝利する方法を学んだ。
 それがヴァリオルドの宿命――暗殺一家の宿命さ」

180 白猫 :2008/06/07(土) 19:08:56 ID:rOHiPurc0

ヴァリオルド家が貴族家として現代にまで残っている理由。
それは、莫大な経済力を持っているから……というわけではない。
いや、それも理由の一つだが、大きくはヴァリオルドの歩んできた道にある。

 ――ヴァリオルド家は嘗て、シュトラディヴァディ家の分家として他家の要人を暗殺する、暗殺一家だった――

 ――そして現代でも、ヴァリオルド家は暗殺を請け負い、大陸中を蹂躙している――

それが、ヴァリオルドが貴族家として生き残っている理由。
それが、ヴァリオルドが各国に強い権力を持っている理由。

それが――クレリア=ヴァリオルドが追放者となった理由。


 「幼き頃から、俺は暗殺者になることを強く望んでいた。
 ヴァリオルドの二代目当主――「スティリア=アラスター=ヴァリオルド・Ⅱ」のように、全世界を駆けるアサッシンになることを望んでいた。
 だが、あの愚かな父はそれを許さなかった……自分は数多の人間を殺めたというのに、「お前にもアネットにも、暗殺術は教えん。シーフの知識だけで十分だ」などと抜かした。
 妹はどうでも良さそうだったが、俺は激怒した。激怒し、自己流の暗殺術を学び、父を殺そうと目論んだ。
 が、父はそれを予測し、俺は追放者――没落貴族となり、ヴァリオルドの名を失った。
 その後ネリエル=ヴァリオルドが、あの愚かな父の志を継ぎ「父の遺言により、四代目――つまり私の死を以て、暗殺一家の汚名を返上する」などと裏で発表した。
 親子揃って愚かなものだ……暗殺者として生きていれば、恒久の富と地位を得られたというのに。それをみすみす逃すとは」
クレリアの長話を、ルフィエは呆然としながら聞き続けた。

ネルの父が、暗殺者。

ネルの兄も、暗殺者。

そして彼は? ――彼も、暗殺者?

人を何人も、何十人も殺めてきた?

ただ家を守る――そのためだけに?

そんなはずがない。

そんなことがあるはずがない。

ネルが人を殺めるなんて、そんなことがあるはずが……無い。


 「アイツの代で終わらせるものか……暗殺者は永遠に、暗殺者であり続けなければならない」
短剣を再び構え直し、ルフィエへと歩み寄る。
半ば放心状態となったルフィエは、クレリアの歩みを見、歯を食いしばる。

信じよう。

自分の中のネルを。

これまで過ごしてきた中の、ぶっきら棒で優しいネルを。

 「……そろそろ、かな」
口に溜まった血を吐き、ルフィエはクレリアを見据える。
その声に目を細めたクレリアは、しかし数本の短剣を鋭く、ルフィエに向けて放った。
が。

181 白猫 :2008/06/07(土) 19:09:20 ID:rOHiPurc0

   ――――…

それら全ての短剣がルフィエに到達する寸前、止まる。
 「――!?」
その光景に目を見開いたクレリアは、慌てて腰から巨大な投擲斧を抜く。
が、

   ――――…

締め付けられる。
体中が、まるで鉄で固められてしまったかのように。
と、

 「 お前は、この世にあってはならない存在 」

ルフィエの口から、マペットの言葉が紡がれる。
その言葉と同時、
両掌に突き刺さっていた短剣が、白い光に包まれ、抜ける。
トン、と地面へと降り立ったルフィエは、そも水色の瞳でクレリアを睨む。
 「 お前を、今ここに―― 」
ルフィエの豹変ぶりに、今更クレリアは気付いた。

彼女は、ネリエルや自分などという次元を超えている。
恐らく"コイツ"は、単純な戦闘力だけなら――あの[四強]すらも、凌ぐ存在なのかもしれない。
 「 ――断罪する。一十百千万億兆、この世に賜る愚かな生命、今ここに我断罪せん――『 ジャッジメント 』 」

瞬間、

たったの一撃、たった一撃の十字架で。
ヴァリオルド本低諸共、クレリア=ヴァリオルドを爆滅させた。








 「……ルフィ、エ」
ヴァリオルド邸が消滅したのを見、ネルは目を見開いた。
そして、ヴァリオルドの上空に召喚された十字架。
ルゼルでも、あれほど巨大な十字架を召喚することができただろうか。
それほど巨大で、強大な力が渦巻いているのを感じられた。
それでも被害が本邸だけで済んだのは恐らく――
 「至近距離で十字架を召喚したせいで、内部に力が集中したのか?」
 「――!? カリン、生きていたんですか。子供たちやセバス、執事たちは無事なんでしょうね」
 「……チッ。無事だよ。全員無傷だ」
ネルの言葉に舌を打ったカリンは、しかしネルの視界から自分の腕を遠ざけた。
それに気付かなかったネルは、消滅し跡形も無くなった本低へと走り出した。
その後ろ姿に溜息を吐いたカリンは、小さく「あの剣取っておけば良かった……」と呟いた。

182 白猫 :2008/06/07(土) 19:10:08 ID:rOHiPurc0


 「 ……ネル、くん 」
[断罪者]が発動し、自我を失っているはずのルフィエ。
そのルフィエが、小さくそう呟く。

想っていた。こんなときでも。
彼の兄を殺し――初めて人を殺めたというのに、そんなことは既に意識の外にあった。
 「 ネルくん――どこ 」
光の宿っていない瞳で辺りを見回すが、どこにも、あの紅色の光は見えない。
ルフィエの口から、マペットの言葉が紡がれる。
その光景は、傍から見れば奇妙極まりないだろう。
だがやはり、ルフィエはそんなこと考えもしていなかった。
ただ、ネルのことだけを。
想い、
欲し、
ただ、求めていた。
今すぐ自分の元へ来、そして笑いかけて欲しかった。
それだけで、それだけでいい。
それだけでいいから、どうか。
 「 ……来、て 」
そのルフィエの背後で、
小さく、紅色の光が灯った。







 「やはり、出てきませんね」
 「フン、出てくるわけがない」
既に日も高い昼時、地面を掘り起こしていたネルとカリンは額の汗を拭った。
スコップを地面に突き刺したネルは、土まみれの衣をパンパンと払う。
当初の目的、[クレリアに協力を求める]がクレリアの死により不可能となったため、今ネルとカリンは本邸のあった場所を必死に掘り起こしている。
ネル曰く[せめて装飾品の一つでも出てきてもらわないと大損です]とのことだが、跡形もなく吹き飛んだ場所から何か出てくるわけもなく。
金持ちは変なところで狡い、ということをカリンは今更再認識した。
 「ネルくん、カリンさん……お茶、入ったよ」
と、その背後で小さく、声が上がった。
それに振り向いたネルは少しだけ笑い、声の主――ルフィエに向かって歩み寄る。
お盆を持って力なく微笑んでいるルフィエの頭を撫で、盆の上に乗ったカップを二杯とも取った。
 「ありがとうございます、ルフィエ」
 「ううん……」
小さく首を振ったルフィエは、カリンの方を少しだけ見やって、すぐに第二邸の方へ歩いて行った。

 「……そういえば、セシェアの姿が見えませんね」
再びスコップを地面に突き刺したネルを鼻で笑い、カリンは紅茶をすする。
そういえば、第三邸にいるはずのセシェアをカリンは一度も見ていない。セバスもメイドたちも、どこに行ったか場所は知らないようだ。
ルフィエ曰く[本邸には自分とクレリアしかいなかった]とのことだったから、何所かへ出掛けてしまっているのだろうか。
だが今は、セシェアよりもルフィエの方が心配だ。

何かを悩んでいる。
ネルはルフィエがクレリアを消滅させたことを欠片も驚かなかった。
実力だけならクレリアよりも自分たちは圧倒的に上。自分の目的をルフィエに話していなかったのだから、ルフィエに文句を言う筋合いなどない。
"それよりも"。
ルフィエはクレリアを殺したことを――殺人を犯したことを悔やんでいるのだろうか?
それとも――"別の何か"を?

考えても考えても、答えが出ない。
ネルは心中で溜息を吐き、スコップを地面に突き刺した。

183 白猫 :2008/06/07(土) 19:10:56 ID:rOHiPurc0

 「……あの、セバスさん」
 「何ですかな? ルフィエ様」
初めて入るセバスの部屋に当惑しながら、ルフィエはそっと部屋の中央へ歩いてゆく。
ネル以外の男性の部屋に入ったことがないため、こういう場面であっても多少は緊張する。
だがやはりというかなんというか、"男性の部屋っぽい"如何わしい雑誌などは落ちていなかった。
まぁ、当たり前かと思う。ネルの部屋をこっそり散策してみたが、全く"そういうもの"は出てこなかった。
主人がカタブツならば執事もカタブツ、である。

ルフィエの姿を少しだけ見やり、山のように溜まっている資料を目を通していた(ネルの秘書的なこともやっているらしい)セバスは資料を机に置く。
 「……何か、お悩みのようですが」
悩み。
そう、悩みなのだろう。
ネルには直接聞けないこと。そしてネル以外ならば、セバスかアネットしか知らないのだろう。
 「……あの、その。…………暗殺者一家、について知りたいんです」
 「――!」
ルフィエの言葉に細い目を目いっぱいに広げたセバスは、しかしすぐに常の表情へと戻る。
一体どこから、とは聞かない。"どうせ"クレリアからに決まっている。
彼ら執事は"ヴァリオルドの血筋"を重んじるのでは無い。"ヴァリオルドの主"に敬意を表するだけ。没落した貴族など、"そこらの虫ケラ"同然。
と、思考が逸れたセバスは目の前の話題へと思考を戻した。
"暗殺者一家"。
つまり、ヴァリオルド家の裏の歴史。
どこまで話すべきか。
或いはすべて話すべきなのか。
或いは欠片も話すべきではないのか。
それらを数秒考え、セバスは隣の椅子を引く。
 「私の知っている範囲でならば、お教えしましょう。

   旦那様の――ネリエル=アラスター=ヴァリオルド・Ⅲの生きてきた道を」




ヴァリオルド家は実力だけならば、あの[アサシンギルド]にも引けを取らない暗殺者一家だった。
父、母、兄、弟、姉、妹、例外無く全員が、暗殺術を――人間の戦い方を、学んだ。
二代目の当主、スティリアのように、全世界を暗躍する暗殺者を輩出する。さらにはヴァリオルドの血を継いでいない者にすら教え、駒として使った。
一年に暗殺された要人の数の半分がヴァリオルド関係の暗殺者によって殺されている、という事実からも、当時のヴァリオルドの力は相当なものだった。

そしてまた、ヴァリオルド家現当主を始めとする四人もまた、例外ではなかった。
長男、クレリア。
長女、アネット。
次男、ネリエル。
次女、セシェア。
この四人――特にクレリアはスティリアの血を色濃く継いだ[天性の暗殺者]だった。
またネリエルも、実力だけなら兄にも劣らない、[天性の暗殺者]の素質を持っていた。
アネットは暗殺者としての教育すら受けず、セシェアは生まれつき身体が弱かった故に分からないが、二人にも恐らく[天性の暗殺者]としての素質を持っていたのだろう。
クレリアが父、カナリアとの衝突で追放されてから生まれたネリエルも、やはり暗殺者としての訓練を受けた。
最初の仕事を行ったのは四歳のとき。相手は名前すら売れていない若手の議員。
まだ祖父の健在だったその頃、ネリエルはその議員を"練習台"にし様々な仕事の極意を叩き込まれた。

そして、六歳の頃には既に

こなした"仕事数"は、600を越えようとしていた。

184 白猫 :2008/06/07(土) 19:11:19 ID:rOHiPurc0

一晩に約一人、悪い時にはフタケタの仕事をこなした。文句一つ言わず。
[ネリエルまでクレリアと同じ道を歩ませるのか]というクレリアとスティリアの口論は、影から何度も聞いていた。
そして、ある日そんな日々が鬱陶しくなった。
ただ人を殺し、金を貰い、手を汚し、また次の標的の元へ。
うんざりしていた。
別に正義の炎が燃え上がった等、そういうわけではない。
ただ、面倒になっただけ。

そして七歳の夏、

何の躊躇もなく、1000人目の"標的"――祖父を、殺した。
依頼主は、自分自身。

 (この世には"死んでもいいヤツ"なんて腐るほどいる)
その頃のネリエルは、本気でそう思っていた。
毎日毎日"そういう人間"を殺し、それでも標的は尽きることなく沸いてくる。
 (そして父も、兄も、――僕も、"死んでもいいヤツ"なんだ)
本気で彼は、そう思っていた。
今まで"死んでもいいヤツ"を数多、殺し、そしてまた自分も"死んでもいいヤツ"なのだろう。
だが、生きている。
どうして、生きている?
 (それは――僕が"生きなければならない"から)
せめて、一人でも多く。
せめて一人でも多くの、毒牙を抜こう。抜き続けよう。
その毒に侵される日が来るまで、抜き続ける。
それが自分の運命。自分の"罪"。
それが自分の定め。自分の選んだ――"道"。

 (もう戻れぬのなら、突き進もう)
それを決めたのは、僅か十一歳のこと。
幼すぎる彼の決意は、あまりにも大き過ぎるものだった。
 (血に塗れた蛇の道を――人の悲鳴の伴奏と共に、鬼道を歩き続けよう)
十三歳、幼すぎる当主が誕生し、ヴァリオルドの暗殺一家としての汚名を返上することとなった。





 「簡単に言えば――こんなところですかな?」
セバスの言葉をしばらく聞いていたルフィエは、ゆっくりと両の目を閉じた。
ネルは捧げたのか。
いつか訪れる未来――自分の子が当主となる未来のために、己の命を、捧げたのか。
全く、彼らしい覚悟である。
 「満足、いただけましたかな?」
 「……はい」
セバスの言葉に少しだけ微笑み、ルフィエは目の前に置かれた紅茶を少しだけ啜った。
その紅茶は少しだけ冷え、しかしまだ温もりの残った紅茶だった。

185 白猫 :2008/06/07(土) 19:11:41 ID:rOHiPurc0

後日。

ラグナロク発動まで、残り240日。
最近では常に紅色の衣を被っているネルは、早くも再建の開始された本邸の骨組みを見ながら溜息を吐く。
本邸には貴重な武具、宝石が大量に保管されていた故に、被害総額は千億を超えるかもしれない。
が、"それよりも"。
 (マイの"あれ"は、本当に正しいんでしょうか……)
マイからの"情報"――とある人物の居場所。
残り八ヶ月、自分はこれから此処へと向かう。
しかし、どうして。
 「……スバインの廃墟、ですか。遠いですね」
が、確かに"彼"はああいう場所を好んで、勝手に住み着いて勝手に自分の土地にする。
そう言えば、以前はアベルのキャンプを占拠して冒険者たちが泣きを見ましたか。
そこまで思い出し、ネルは大きなバッグを肩に番えて言う。
 「では、留守を任せましたよカリン」
ネルの言葉に小さく頷いたカリンは、少しだけ目を細めてから、ネルへと呟きかけた。
 「……小娘もブリッジヘッドへ修行、お前はスバインか。私も鍛え直すとするか」
 「そうして下さい。八か月後に鈍った腕で戦ってもらっちゃ困ります」
ネルの言葉にフンとだけ返し、カリンは踵を返し、第二邸の方へ歩いて行ってしまう。
その口からほんの小さく、聞き取れないほど小さい言葉が紡がれるのを、ネルは聞き逃さなかった。
 「…行ってらっしゃい」

 「…………行ってきます」







 「ちっがーうッッ!!!!!」
 「ごめんなさいッッ!!!!」
怒鳴るマイに必死に謝りながら、ルフィエは薬品を棚へと戻す。
ブリッジヘッドの、マイの元へ訪れたルフィエは早速[唄]についてマイから教わり始めた。
最も、最初の方は殆どが薬品の整理や魔方陣の書き直しや部屋の掃除。唄のうの字も学ばない。
だが、ルフィエは分かっていた。
"マイは、決して無駄なことはさせない"。
事実、何故かは全く分からないが、毎日毎日少しずつ、仕事をするたびに自分の魔力の限界値が上がっているのを感じているのだ。
此処にいれば、もっと強くなれる。
自らの母の罪。
それは自分の罪のも等しい。
ネルが鬼道を進むというのなら、自分もその道を進もう。
それは誰に強制されたわけでもない、自分の選んだ道。
そう。
 (もう、逃げない)







 「カリアス……行くわよ」
 「へい……全力で来てや、アーティはん」
アリアンのさらに西、何処までも続く大砂漠の一角。
そこで武器を構え合うアーティとカリアスは、互いに魔力を充填しながら距離をジリジリと縮める。
ルフィエからの伝書鳩によれば、240日以内に今の"倍"強くなれ、とのことだった。
全く、今の実力を築き上げるだけでも数年かかったというのに、240日でそれを倍とは無茶を言う。
が。
 (そうでもしないと、)
 (そうでもせんと……)

   ((ルヴィラィは倒せない))
そして、一跳。
アーティの紫電とカリアスの氷柱が、砂漠の中で激突し、大爆発を起こした。

186 白猫 :2008/06/07(土) 19:12:04 ID:rOHiPurc0


廃墟スバイン要塞。
此処へようやく到着したネルは、辺りに人気が無いことを確認するや否や、荷物を全て降ろした。
そして、小さく呟く。
 「『 第三段階 』」
瞬間、
彼の銀色の髪が突如紅色へ燃え上がり、その額を白色の仮面が覆い隠す。
今まで普通の状態だった右腕が突如光に包まれ、一瞬後には巨大な槍――グングニルが握られていた。
さらに左手を飾る、巨大な刃付きの盾、エルアダーク。
自らの背を覆うようにして広がるマント、[深紅衣]を纏い、ネルは紅色に燃え上がった瞳を開いた。
何時見ても見事で、何時見ても美しいその発動の姿。
しかし、それを見て歓声を上げる者は、いない。
 (……[先制攻撃]で探知できる範囲に――いた、一人)
グングニルの能力――超広範囲の内部、たった一人――そう遠くない距離に佇む、凄まじく巨大な魔力。
間違いない。
この"鬱陶しいまでに巨大な魔力"は、あの男のものだ。
それを確認したネルは、

   「……老師――――ッッッ!!!!!」

突如、凄まじい叫び声を上げた。


どこまでも響いてしまいそうなその声を聞き、ゆっくりとスバインの一角で老人が立ち上がった。
 「久し振りにあの子の声を聞いた気がするな…あの子、生きていたのかー」
クスクスと笑うその老人は、よっこらと立ち上がり声の方向を向いた。

と、

その背後で、まさに神速で回り込んだネルがグングニルを構えた。
 「覚悟ぉッ!!!!」
 「ほっ。速いの」
完璧に決まったと思われたその一撃、
その一撃を老師、と呼ばれた老人は軽々と避けた。
目を見開いたネルは、しかしグングニルをさらに横へと薙ぐ。
が、その一撃をピョンとジャンプしただけで避けた老師は、さらにグングニルの柄に体重を乗せ、

ネルの顔面に、両足を食い込ませた。

 「ッ」
仮面にヒビが入り、自身も吹っ飛んだネルはしかし、地面に軽く着地し紅色の衣を鋭く放った。
その衣が老人の体に巻き付いていくのを見、ネルは右手のグングニルに全神経を集中させる。

   「『 ――破、槍ッ!! 』」

つい先日会得したばかりの技を、すぐ目の前の老師へと放った。
凄まじい魔力と破壊力の投擲が、目の前の老師へと凄まじい勢いで放たれ、

鼓膜を破りかねないほど巨大な、大爆発を起こした。

その大爆発の中、縮れてしまった深紅衣を引き戻し、ネルは地面に突き刺さったグングニルを引き抜いた。
一拍後に溜息を吐き、ネルはゆっくりと背後に振り向き、諦めたように言う。
 「相変わらず、忌々しいほど強いですね……老師」
そこに何事もなかったように立っている老師は、ネルの言葉にクスクスと笑う。
 「いやいや、ネリエルも相当強くなっているなー。こりゃウカウカしていれない」
 「……僕はそんなお話をしに来たのではありません……」
 「だろうねぇ」
クスクスと笑う老師にイライラするネルは、[第三段階]を解除して言う。
 「老師、僕を240日で強くしてください。可能な限り」
 「うん、いいよ。暇だし」
ネルの真剣な言葉に、老師は軽く頷いた。

FIN...
---

187 白猫 :2008/06/07(土) 19:12:31 ID:rOHiPurc0

――次回予告――




 「……ようこそ、歓迎するわ――フェンリル、ルフィエ」
古都の空中に出現した鉄の箱、[イグドラシル]。
そこへと突入したルフィエ、ネル、アーティ、カリアス、アネット、カリンの六人。
迎え撃つは千体の魔物、サーレ、デュレンゼル、ベルモンド、プリファー、アンドレ、ムームライト、そしてルヴィラィ。
激戦、と言うのも生温い血みどろの戦いに、また一人、また一人と敵と味方が斃れてゆく。
そしてとうとう現れた、世界を滅ぼす史上最悪の兵器――[アトム]。
それを操るは、[第四形態]、デーモンとなったパペット。
迎え撃つは後背に光り輝く翼を持ち、一瞬で一体の傀儡を消滅させた一人の天使――


そして始まる、ルヴィラィとルフィエ、ネルと"三位一体の最後の傀儡"の戦い。
十三体の傀儡を滅ぼし、全てを終わらせるために。
全ての終わり――今、世界を賭けた最後の戦いが、始まろうとしていた。

ラグナロク発動まで――残り、十五分。




最終章、[-Epilogue-歌姫と絡繰人形]。
次回、完結。
---

番外編

そのに

第二回戦

リトルウィッチであり[歌姫]、マペット契約者
[神の母]ルフィエ=ライアット


vs

[ブルンの影狼]、エリクシル継承者
[紫電狼]ネリエル=アラスター=ヴァリオルド・Ⅳ


 「さて、僕の出番ですね」
紅色の衣を纏ったネルが、グングニルを構えて笑みを浮かべる。
同じく笑みを浮かべるルフィエも、クリーム色のドレスローブ――[神の母]を展開する。
片や紅色の光を放つ、圧倒的な破壊力を持つ"力の美しさ"。
片や白色の光を放つ、絶対的な統御力を持つ"魔の美しさ"。

アーティ達も実は、この二人が戦ったらどちらが勝つのか興味があった。
ネルはグングニルを手に入れ、ただでさえ恐ろしい戦闘力の[第三段階]に更に拍車がかかった。
ルフィエはパペットによる[神格化]により、古代魔法すらも駆使し魔法の力だけなら大陸内でも右に出る者はいない。
 「ネルくん、言っとくけど手加減しないからね」
 「勿論です。手加減なんかしたらぶっ飛ばしますよ」
ルフィエはスターワンドを、ネルはグングニルをそれぞれ構え、互いに距離を取る。
一瞬の沈黙。

 「――『 ブラス「『 ノヴァ! 』」
ネルが声を上げた一瞬後、ルフィエが鋭く指を払った。
瞬間、数個の光弾がルフィエの周りに出現、同時に総てが放たれる。
 「ッ!?」
自分の方が詠唱は早かったはず。それなのにルフィエの方が術の発動が先。
それに目を見開き、しかしネルは[深紅衣]を払い、全ての光弾を打ち落とす。

188 白猫 :2008/06/07(土) 19:12:52 ID:rOHiPurc0

[深紅衣]さえあれば、ルフィエの術のほとんどは無効化できる――それが、ネルに一瞬の安心感を生んでいた。
 「っは!」
 「!」
遠距離からネチネチと攻撃を加えると思っていたネルは、ルフィエの行動に目を見開いた。
何の躊躇もなく、自分の間合いに飛び込み、神器を自分へと向けてきた。
だが、近距離戦闘ならばネルの方に分はある。
驚いた時間もせいぜい1秒以下。瞬間的に半歩下がり、エルアダークを迎撃用に構える。
その、余りに見え見えな防御態勢。しかしルフィエはそれに乗った。
ネルが力で来るならば、自分も力で相手になろう。
神器を投げ、両の手を花のように合わせる。
その手に先と同じ光、だが光量のまるで違う光弾が生み出され、ルフィエはそれを右手で掴んだ。
 (やってみなさい、ルフィエ――ですが僕は)
 「『 スー、パー…… 』」
 (その一歩先を行く!)
 「『 ノヴァッ!! 』」
ルフィエが右腕を振り上げると同時に、ネルはエルアダークに力を込めた。
が、

   「【あいや待ったァ――――――ッッッッ!!!!!】」

 「ふぇっ!?」
 「な!?」
突如上がった声に、ルフィエとネルは顔を上げた。
二人だけではない。遠くで観戦していたアーティやカリアスも目を丸くして、その"乱入者"を眺めていた。
カリンはどうでも良さそうにフンと笑い、アネットは面白そうに微笑んだ。
ネルを蹴り飛ばし、ルフィエのノヴァを手ごと弾いたその"乱入者"は、フワリと地面に着地した。
片や、ワンピースを着両の手に大鎌を持ち不敵に微笑む、黒と白髪の少女――シャーレーン。
片や、アウグスタの僧侶服を着、光り輝く二枚の翼を持つ、金髪の少女――リレッタ。
此処に現れるはずのない二人の乱入に、ルフィエとネルは唖然とする。
 「な、なんでリレッタとサーレが……ていうかサーレ! 何の用です!?」
遠くで頭を抱えて立ち上がったネルは、慌ててグングニルを構えて言う。
まさかこのタイミングでこの二人が登場するとは夢にも思わなかったルフィエは、二人の登場に未だについていけてない。
 「……えーっと……? こんにちは?」
 【やっほー】
手をブンブンと振って笑うサーレに、ルフィエも引きつった笑みで返す。
一体どうなってるんだ、と溜息を吐くネルは、サーレに向き直って言う。
 「それで、何の用です」
 【え? バトルらんにゅー】
 「……は?」
サーレのウィンクに疑問符を浮かべたネルに、リレッタはクスリと笑って指を立てる。
 「番外編は何でもアリなんですよー」
 「……ああ、ソレですか」
リレッタの言葉に、ネルは全てを理解した。
つまり、アレですか。
 (どうやらタッグバトルトーナメントを書けなかったことを根に持ってますね)
と正鵠を射つつ、ネルは溜息を吐いて頭を掻く。
続ける―?と首を傾げるルフィエに頷き、「でも」と付け足した。
 「僕とルフィエの二人と――サーレとリレッタ。タッグバトルでどうです?」
 【……ふーん。いいよ】
不敵な笑みを浮かべるサーレとネルに、リレッタはクスリと笑ってルフィエに向き直った。
 「みたいですよ?」
 「うーん、いいよ。でも手加減しないんだからね」

189 白猫 :2008/06/07(土) 19:13:14 ID:rOHiPurc0


第二回戦(改)



リトルウィッチであり[歌姫]、マペット契約者
[神の母]ルフィエ=ライアット
and
[ブルンの影狼]、エリクシル継承者
[紫電狼]ネリエル=アラスター=ヴァリオルド・Ⅳ

vs

神々に恩恵を受けた正真正銘の[天使]、
リレッタ=アウグスティヌス
and
一体の[傀儡]であり大鎌を薙ぐ武術家、
シャーレーン



凄まじい閃光が再び上がったのを見、カリアスは頭をガリガリと掻いて溜息を吐く。
 「なんや、アッチの方が面白そうやったやんけ……」
 「で、あの場合決勝戦はどうなるワケ?」
激突する閃光を見ながら、槍を肩に番えるアーティは首を傾げた。
唯一全く興味のなさそうなカリンが、真っ黒の剣を磨きながら小さく言う。
 「……決勝戦であの二人と私達が戦い、勝者同士が戦えばいい」
 「アッタマええなぁ、黒騎士」
素直に頷くカリアスにクスリと笑い、アネットはひょいと手を上げる。
 「で、最後に私が戦うわけね」
そうなる、と頷いたカリンとその背にもたれるアーティ、
その真上に、突如巨大なハンマーが出現する。
リレッタの術が逸れたのだろう、と思考を流したカリアスは、そっと注意を促
 「……危ないで、アーティは――」

   ――ドォオオオオォオオンッッ!!!

せなかった。
哀れハンマーの下敷きとなったカリンとアーティに心中で「ドンマイ」と呟きかけ、カリアスは再び戦場の方を向いた。



 「ッハァアアアアアア!!」
 【っふ!!】
ネルのグングニルによる刺突、それをサーレは二本のデスサイズで鋭く弾いた。
グングニルの攻撃は以前戦ったときの金色の剣よりも相当重い。片方のデスサイズではいなし切れず、確実に吹き飛ばされる。
だが近接における戦闘ならば手数はこちらが上。勝てないわけでは――毛頭、ない。
 【そこッ!】
 「ッ!?」
鋭い左手の鎌の一薙ぎ、
その一撃が、見事にネルの盾を捉え、粉々に砕いた。
同時に起こる大爆発にネルは目を細め、しかし強い笑みを浮かべる。
ようやく槍を、"両手"で握ることができる。
同じく距離を取っていたサーレは、突然膨れ上がる魔力に目を細め、デスサイズを構え直した。
 〈デカいのが来る〉
 「――『 爆、風! 』」
地面に槍を突き刺し、同時に発動する術により凄まじい量の砂を、サーレに向けて巻き上げる。
それを鼻で笑ったサーレは、瞬時にデスサイズを構え、叫ぶ。
 【『 竜巻堕落、旋風 』】
目の前の巨大な砂の塊、それを一瞬で吹き飛ばしたサーレは、一瞬だけ感じるネルの殺気にデスサイズを無意識に構えた。
 「遅いッ!」
瞬時に回り込み、槍の一薙ぎでサーレの鎌を吹き飛ばしたネル。
その速さに不敵な笑みを浮かべ、サーレは砂で汚れた服も気にせず鎌を両手握りに変えた。
対するネルもここで攻撃を終えはしない。不安定な足場のままで槍に全神経を注ぎ、大技を放つ体勢を取った。
 【『 デス、スラッシュ!! 』】
 「『 破槍――ッ!! 』」

(この地点でトライデントはまだ使えねーよっていう野暮なツッコミはナシだぜ嬢ちゃん…番外編は何でもアリなのさ)

190 白猫 :2008/06/07(土) 19:13:37 ID:rOHiPurc0

 「やっぱり、硬いね――その盾。『 ウルトラノヴァ 』」
空中を舞うようにして飛ぶリレッタに笑いかけ、ルフィエは無数のノヴァを生み出し、瞬時に放つ。
多方向から向かってくる光の球を見やり、しかしリレッタは欠片の恐怖も抱かない。
スマグでは油断をしていたが、リレッタは事実、通常状態のネルよりも戦闘能力は格段に上なのだ。
 「『 [絶対聖域(サンクチュアリ)] 』」
瞬間、

ドドドドドド、と全ての光弾がリレッタに命中したかに見えたルフィエは、小さく溜息を吐く。
 「すごいね……[ウルトラノヴァ]を通さない」
そう言いながら見上げる先に立っているのは、蒼いジェルのようなものに包まれ、攻撃を全て受け切ったリレッタ。
[絶対聖域]。如何なる物理攻撃、魔法攻撃も、この盾の前には全てが無効化される。
最も、ある程度の知識があれば[絶対聖域]を超えた攻撃も可能である。だが、やはりウルトラノヴァ程度の攻撃ではあの聖域を破ることはできない。
が。
 「[古代魔法]なら、砕けるんじゃない――かな」
両の手に巨大な光弾を生み出し、ルフィエはリレッタに笑いかける。
それを見て溜息を吐いたリレッタは、しかし[絶対聖域]を解除して二つの十字架を構えた。
 「その通りです――この聖域は、[難易度6]以上の攻撃は防げない。あなたの術、[ルリマ]は――」
 「――難易度8、だよ」
その言葉が終わるや否や、ルフィエの口から酷く美しい歌声が紡がれる。
讃美歌のようにも鎮魂歌のようにも、子守唄のようにも民謡のようにも聞こえるその唄。
だが、それに聞き惚れるほどリレッタも暇では――ない。
 「私の最強の術で――応えるべきですね」
 「――行くよ、リレッタちゃん。『 ルリマ・ウルトラノヴァ 』」








 「で、どっちが勝ったわけ?」
(プレシングの巻き添えを食った)アーティは、ズタボロの格好で戻ってきた四人に問いかける。
そのせっかちな口調に苦笑する(何故か鉄拳を食らった)カリアスは、頭をさすりながら「お疲れさん」と声をかけた。
カリアスに小さく頭を下げたネルは、アーティの方へ向き直り溜息を吐く。
 「僕とルフィエの勝ちです。ですがもう疲れましたんで僕らはギブ」
お手上げ、と両の手を上げたネルに、目をぱちくりさせてアーティは言う。
 「なんだ、乱入してきた癖にてんで弱っちいのね」
 【ふーんだ。まだ力が弱っててマックスのパワー出せないだけだよーだ】
小さく負け惜しみの言葉を呟くサーレを見、アネットは小さく微笑んだ。
 (昔の私じゃない? 彼女)
 (知りません)
そっとネルに耳打ちしてみるが、ネルから返ってきたのは興味なさげな返答だけだった。


勝者なし(必然的にアネット=ライラが決勝戦に)。

 「さぁて、次は私た――」
すくっと立ち上がったアーティは、プレシングを受けた者同士妙な親近感が湧いたカリンへ向き直る、が。
 「…………」
カリンは目の前の剣を見ながら、声も無く泣いている。
見れば、その剣はちょうど中ほどで、見事真っ二つに折れてしまっていた。
金属疲労でも起こしたのだろう。あの折れ方ならば鍛冶屋に行けば直るが――
 「こりゃあ、戦えそうにないわね……」

勝者、アーティ=ベネルツァ―(カリンの戦意喪失)。

次回、決勝戦!



---

191 白猫 :2008/06/07(土) 19:13:58 ID:rOHiPurc0
どうも、白猫です。
今回は全てにおいてヒドイ描写です。これでも全力で書いたつもりです。"実力の半分の状態での全力"というやつです(意味不
リレー小説は早くもついていけなくなりました。たぶん私はリレー小説ROMるかと思います。69hさんに期待マーックス。
さて、次回が最終回なわけですが、番外編の「アネットvsアーティ」はひょっとすると本編終了後になるかもしれません。

もちろん68hさんのリクエスト、[ネルとルフィエが入れ替わり]はガッツリやります。(宣言

コメ返し


>68hさん
なるほど、68hさんにもそんな自己ルール(俺ルールとは別物)が。
そういえばこの小説も68hさんの感想直後ということになるのでしょうか。つくづく空気が読めない私orz
嵐の前の静けさ。残念ながら嵐っぽい嵐は起きませんでした(番外編は例外)。
覆面さんは最終章でもガッツリ……出る、かな?まだ考えていません。
カリンはちょっぴり関与しましたがアーティには触れず。アリアンと古都って遠いですよねー。片道十日くらい(白猫設定)。
ヴァリオルド本邸がなくなってしまいました^p^ネルくん涙目。往生際が悪い。

ガチバトル編。
リレー小説でネルくんとルフィエを出してしまったので、詳細をどうしても書きたかったのが大きな理由でしょうか。
いつもなら適当に流す変身描写も今回はちょびーっとだけ眺めに。
カリアスは変わるかもしれませんが、アネットはあまり変化が無いかもしれません。変化があるように書けないなぁ……。

999文字小説の方は描写が稚拙で申し訳ない……orz
普通に書いたら1500を軽く超えてしまい、泣く泣く描写を削り削り削り修正修正修正であんな文章にorz
もうできればアレは見たくはないです。
そして七冊目は観察に徹しようと思っています笑。

五冊の803から書き始めた[Puppet]。
フランテルとフランデルが被ってしまったときやヴァリオルド邸の位置の設定がコロコロ変わったりするのに一喜一憂しておりました。
思えばクリスマス用にちょこっとだけ投稿するつもりが、まさか七冊目まで伸びてしまうとは。
しかも七冊目においてはトップバッターという実力に合わない大それたことまでorz
なんとか完結させようと思います。できれば今回スレ[803]で〆たいですね(最終章はかなり長くなる予定)。
まぁ無理そうですので、「803を跨いで完結」をPuppet最後の目標に頑張ろうと思います。
そして続編も決定。これからも白猫をよろしくお願いします。
…天下一ですか? も、もうちょっと……(マテ

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
あらゆる描写……私が胸を張れるのは[戦闘描写]だけですよ苦笑
今となってはその戦闘描写の腕も鈍ってきているかもしれません。精進せねばorz
さて、気付けば正式な提案はDIWALIさんが行っていたのですね、コラボ小説。
私が執筆者という不相応な役目を任されたので、せめて期待に添えるようにしようと思っています。

192 白猫 :2008/06/07(土) 19:14:20 ID:rOHiPurc0

>スメさん
はい、特攻野郎です。もう特攻しか考えていません。馬鹿です。
大砲シーフはー……なんでしょう。ヤラレ役としか考えていませんでした。おいしいのかアレ汗
元々ギャグ小説家でしたので、あの軽いノリは好きな方です。次回作は全体を通してあのノリにチャレンジ。
えーと、たぶん今年のフランテル版黄砂は主にあの二人、もとい四人が原因です。
こらしめておいてください。気のせいにはなりませんでした(コラ

>みやびさん
メインクエ題材ありがとうございます。
次回作はメインクエに沿ったお話になる予定でしたので助かりますです笑
レッドストーンはもうINしないと決めた人なので、こういう情報はもう本当に欲しい人なんですorz
INしてたときですか?メインクエは最初止めでした。はい。
そしてリレー小説。
私は煽るだけ煽ってROMってしまいますが、影から応援はしていますよー

>黒頭巾さん
もう「他作家さんとのコラボ」が発動してしまっている!笑
ハロウィンが楽しみです。カリアスがどう料理(待て)されてしまうのかwktkが止まらない人です。
ごしゅじんさまもこちらで美味しく(ちょ)頂きます。期待はしてくれて……いいような、よくないような。
そうですね、√……ですが小説は何やってもだいzy(ry
はい、おばかさんです(ノ∀`*)ペチン
あのラットの写真は吹かせていただきました。まさにアレです笑
アフロカリアスは絵にして見せられないのが残念です。ですがメイドカリアスがいるのでいいです(ちょ

さて武道×サマナ編。
どこから言おう……えーっと、では一言。
もっと絡まs(以下略
流石にイッキは見せてくれませんか!ええい!焦らすな焦らすな!(誰
続きをバッチリ期待しています。さて、どうなるのやら笑

>177さん
二人のRSプレイヤーのお話。女性視点のお話はよく目にしますが、これもまたいい味を出していますね。
伝わりそうで伝わらない想い。読んでいて切なくなるお話でした。
私もRS内での恋愛は見てきた人です。それを思い出して読み、尚共感できる点もありました。
最も、私は女ではないわけなのですが。[恋をする人間]という点では共感できる点がたくさんありますね。
どんな形であろうと、恋をしている時は、その人が一番輝いて見える時だと思っています。
…あれ? 何の話でしたっけ?
あ、そう。小説ですね。
書き方が雑でもなく、書き過ぎてもなく。これを見たとき「読みやすい」と思いました。率直に。
このような描写方法は私も試したことがありますが、比べ物になりませんね。最も私が書いていたのはギャグ小説ですが苦笑
次回の作品も期待しています。どうぞ気兼ねなくご参加くださいね!



今回はこの辺で失礼します。
次回の、というか最後の[Puppet]投稿はずっと先になると思われます。(750あたりかな?)
間に短編小説でも書こうかなともくろんでいます。たぶん無理です。
それでは――白猫の提供でお送りしました。

193 ◇68hJrjtY :2008/06/07(土) 23:54:40 ID:pob35qCY0
>177さん
投稿ありがとうございます。
これは…なんだかとってもリアルで、小説として読み流すにはあまりにも切ない物語。
ネトゲを通じた恋愛というのは私も友人などの体験談を聞いた事もあるからこそ親身に読めました。
画面の中にいる相手と時間を共有する。そこにそれ以上のものを求めてしまう人、リアルとゲームとを完全に区別する人…。
心の行き違いや気持ちの伝わらなさというのがリアルな恋愛以上にネトゲでの恋愛は大きく、また伴う痛みも大きい気がします。
この物語の主人公が177さんなのかどうかはまた別として、彼女が幸せな恋愛を育んで行ってくれる事をお祈りしています。



>白猫さん
なんだか毎回言ってるような気がしなくもないながら…やっぱり文章量凄いよ!ど、どこがひどい描写なんだ…!?(;・∀・)
本編にリレー小説、そして天下一とさらにまた短編の目論見まであるとは。つくづく恐ろしい人だっ(え
パペット、終章を予感させるお言葉ですが、このままスレに置いておくばかりじゃ勿体無い。。とはいえまとめサイトはあの様子ですし…orz

さて、今回の見どころはヴァリオルド家の歴史と初登場となるネルの「老師」なる人物ですね。
ネルですら奇襲を受けて倒れたほどの実力の主クレリア、しかしあまりにも瞬間的にルフィエによって消滅…
普段はネルの方が戦闘面で目立ちますが、ルフィエも実力的にはネルと同等、それ以上のものを持っているということですね。
つくづくこの二人が未来に築く家庭を勝手に妄想すると楽しみな反面、ケンカしたら物凄い事になりそうですね(笑)
ルヴィラィという母を持つルフィエ、暗殺者として名高い祖父スティリアを持つネリエル。当人は認めたくなくても"血"は消えないものですね。
して、ネルの最強技ですら跳ね返してしまう「老師」。ネルやアーティ、カリアスたちの修行。240日後…楽しみにしています。

ガチバトル。
ネルvsルフィエという最も注目すべき、そして最も建造物破壊予感がするバトル…になんと乱入!(笑)
リレッタ、もはや懐かしい人になりつつある中こうして再登場してくれたのが嬉しいです。レイゼルはんもギャラリーでも良いので是非…(こら
ある意味当時からライバル同士だったルフィエとリレッタの一騎打ち的なバトルでもあったわけですが、やはり「ルリマ」、強い。
しかしカリンの剣があぼんしてしまわれた((( ´・ω・)) あの狙ってた剣、出てくるといいのですが(笑)

おぉ、あの入れ替わりネタ書いて頂ける…!なんだか勢いで頼み込んじゃったような感じでしたが、これは楽しみにお待ちしてます。もちろんゆっくりで構いません!
てかリレー小説期待されてるんですかorz
そして感想に偉い文章長くてすいませんです(;´Д`A

194 みやび :2008/06/08(日) 21:33:47 ID:9KxznVoo0
◇――『メインクエ“CHAPTER1”より〜ダメルの歴史書』―――Red stone novel[1/6P]

 という訳でメインクエ関連の資料その②です。
 クリスティラの次に出てくるRS史ですね。
 ※ただし付随するお使いクエは割愛。歴史書のみの抽出です。
 例によって改行位置以外は誤字・脱字・句読点にいたるまで忠実に再現。
 またレス節約のため空行書式も割愛しました。
 では――




   序文――ゲールの言葉より。

 ようこそ。やっと来ましたね。待ってましたよ。
 レッド・ストーンに関する情報を得るためによくいらっしゃいました。ここダメルが、まさに
レッド・ストーンの全ての始まりの地なのです。
 レッド・ストーンを探す多くの人々は、天上界に行って諦めてしまいます。そこで手がかり
が途絶えてしまうからなのです。
 それに、たまに五〇匹のゴブリンたち(※1)に殺される場合もあって……。

(※1:編者注釈)ゲール自身が依頼したお使いクエ『言うこと聞いてほしけりゃゴブリン五〇
匹狩ってこいやわれー』のことですね。

 しかし、もしそれぐらいで倒されてしまう実力だとしたら、レッド・ストーンに関しては、これ
から先には一歩も進むことができないでしょう。
 レッド・ストーンに関する詳しい情報を得るためには、まずダメルの歴史を知らなければ。
 ダメルの歴史書は、大陸のいろいろな遺跡に分布されているのです。
 そう。大陸には、様々な遺跡があります。この遺跡を中心に、ダメルの歴史書が隠されて
いるのです。
 遺跡は、元々誰もが自由に出入りできた所なのですが、いつからか遺跡を守るモンスター
が出現して、いくつかの遺跡は非常に危険な場所となってしまったのです。

195 みやび :2008/06/08(日) 21:34:18 ID:9KxznVoo0
◇――『メインクエ“CHAPTER1”より〜ダメルの歴史書』―――Red stone novel[2/6P]

   ダメルの歴史書 第一巻
   (注釈※入手場所:アリアン遺跡地下一階/古代の造形物内)

 三〇〇年余り前、レッド・ストーンを手に入れようとしていた追放天使たちは、悪魔たちの
包囲網を破り、当時栄えていた都市ダメルに寄り集まった。しかし、悪魔たちの罠に落ち、
ダメルは廃墟に変わって、地上に降りてきたほとんどの天使たちは、能力と記憶を失って
しまった。
 今、四方に広がっている追放天使たちが、以前に能力を取り戻せず人間ほどの能力に留
まっているのは、この時の後遺症のためである。またブルン王国に匹敵する国力を持って
た大都市ダメルも、悪魔たちの策略のせいで廃墟に変わってしまった。


   ダメルの歴史書 第二巻
   (注釈※入手場所:アルパス地下監獄地下一階/ミイラの体内)

 追放天使たちの悲劇の一部始終を知る手がかりを握っているのは、ゲールという天使だっ
た。
 ゲールも反逆に加わった上級天使の中の一人だったが、無残にも皆殺しにされる仲間の
天使たちの姿を見て心が変わったのだ。
 しかし、自首する勇気はなかったので、他の追放天使たちが赤い悪魔の姿に変えて脱出
するのを見ても、ただ呆然とするだけだった。
 事態が収まった後、一人残されたゲールは、偶然一人だけ生き残っていたことに対して
追求を受けるようになった。幸いにもゲールには“命の天使”という通り名があった為、死な
ずに生き残ったと解明されたが、レッド・ストーンを死守する事が出来なかった責任は重く、
ゲールは下界へと追放されてしまった。

196 みやび :2008/06/08(日) 21:34:53 ID:9KxznVoo0
◇――『メインクエ“CHAPTER1”より〜ダメルの歴史書』―――Red stone novel[3/6P]

   ダメルの歴史書 第三巻
   (注釈※入手場所:アルパス地下監獄地下二階/イプリートマーキの骨の中
   ※古代ウィザードたちが歴史書を保護するために魔法で封印したとされる)

 その他にゼリオ、サミオ、ゲリオ、タムイ、パチラギ、リムディ、ザイル、ペイル、バイルな
どが、一番中心的な役割を担った反逆天使たちである。
 この他にも三〇〇〇人余りの天使が密かにこの反逆へ参加した。これらは作戦の成功
以後、皆赤い悪魔の仮面をかぶって地上へと身を隠してしまった。
 この天使たちは、自らの肉体を捨てて魂だけを赤い悪魔の体の中に移した為、天上界で
は皆、存在自体が消滅したと思われていた。
 後日、魂だけが消滅したような天使たちの死骸に対して、疑問を申し立てる調査員たち
もいたが、悪魔と激しい戦闘を交えた後だった為に、大きな問題になる事はなかった。
 その結果、追放天使たちと悪魔たちが手を取り合って犯したレッド・ストーン奪取事件は
迷宮入りになってしまった。

   ダメルの歴史書 第四巻
   (注釈※入手場所:アルパス地下監獄地下二階/ジャイアントの体の中)

 追放された副指揮官、天使ロシペルは天上界に反逆陰謀をたくらんでいた者だった。
 残り二人の上級天使であるアズラエルも、赤い悪魔の肉体に移り換わりレッド・ストーンを
奪取するたくらみに加わった。彼らは赤い悪魔の姿で、レッド・ストーンのかけらを持ってい
る悪魔たちの中で、一番中心的存在の悪魔である。

197 みやび :2008/06/08(日) 21:35:30 ID:9KxznVoo0
◇――『メインクエ“CHAPTER1”より〜ダメルの歴史書』―――Red stone novel[4/6P]

   ダメルの歴史書 第五巻
   (注釈※入手場所:廃坑地下七階/ブラックメイジが所持
   ※ウィザードの契約により歴史書を守っている)

 三〇〇年余り前、レッド・ストーンを手に入れようとしていた追放天使たちは、悪魔たちの
包囲網を破り、当時栄えていた都市ダメルに寄り集まった。しかし、悪魔たちの罠に落ち、
ダメルは廃墟に変わって、地上に降りてきたほとんどの天使たちは、能力と記憶を失って
しまった。
 今、四方に広がっている追放天使たちが、以前に能力を取り戻せず人間ほどの能力に留
まっているのは、この時の後遺症のためである。またブルン王国に匹敵する国力を持って
た大都市ダメルも、悪魔たちの策略のせいで廃墟に変わってしまった。

 (注釈※上記は第一巻と同じ内容です。なぜかは不明。バグか編集ミスの放置か?
 以下続き――)

 悪魔たちが天使たちを追い出すのには成功したが、それによって失った事もあった。
 力強いエネルギー波動を起こすため、悪魔たちは持っていたレッド・ストーンの力を使っ
たのだ。
 力強いエネルギーを放出した火の神獣の卵たちは、一つが数十個の欠片に割れた。
 二度と修復出来ないと思われるほどひどい損傷をおった。もちろん、中には破損を免れ
た物もあったが、数百個の卵の大部分は小さな欠片となって、現在の

 (注釈※「現在の」以降は文章が表示されませんでした。もちろん最下段にスクロール済
みなのは何度も確認しました。おそらく文字表示関係(文字が大きく表示される)のバグで
しょう。クエのNPC会話でこれが起こると、稀に文章が途切れることがあります。
 よってページをめくるしかできませんでした。
 以下次のページ――)

 その為、悪魔たちの間でも争いが起きた。
 数万個のレッド・ストーンの欠片を巡って悪魔たちの間で紛争が起きたのだ。
 小さな悪魔たちは、各々小さな欠片たちを奪ってどこかに消え、その悪魔たちを捕まえる
為にまた他の悪魔たちの間で紛争が起きて……。 
 これによって、ただでさえ廃墟だったダメル周辺は浄土と化して砂漠に変わってしまった。
 レッド・ストーンの欠片は悪魔たちが持ったまま各地へ広がって行った。
 そうして、小さな欠片を持った悪魔たちは各々の力を蓄え始めた。

 ――以上、ダメルの歴史書より。
 このあとは最後の秘密ダンジョン・クエとなります。
 これまでですと叫びでPTを組んでもらってソロでクリアしていましたが、半死人状態なの
で面倒臭くて放置。以降の資料抽出は他の有志にお任せします。
◇―――――――――――――――――――――――――Red stone novel[−Fin−]

198 みやび :2008/06/08(日) 21:36:02 ID:9KxznVoo0
◇―――――――――――――――――――――Red stone novel−Postscript[5/6P]
※本編中の誤字・脱字は脳内変換をお願いします。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
      『メインクエ“CHAPTER1”より〜ダメルの歴史書』

 ――あとがき――

 白猫さんがメインクエを題材にするということで、SSを発掘してきました。
 お役に立てば良いのですが……(汗)

 しかしこのメインクエ①――過去に何度もクリアはしていますが、いつもいつもSS撮るの
を忘れてしまい、よって内容もうろ覚えでした。
 しかしあらためてSSを撮ってみると、なんだか矛盾が……(汗)
 まず、ゲールは最初、正体を隠して墓守ガイルとして登場しますが、身を隠していた理由
を「天使が自分を探している」と述べています。しかし実際には、クエ遂行中に「ゲールに会
え」と助言してくれたのは天上界の門衛長である天使のハルダエルです。
 仮に、クエスト遂行者(つまり人間)を利用してゲイルを探させようとしている――という設
定だとしても、地上の人間がいとも容易くゲールの所までたどり着けるくらいですから、天使
ともあろう者が「人間を利用しなければゲールの居所をつかめない」というのは説得力皆無。
 またそれに関するフォローも一切スルーという徹底ぶり。

 あとクエ中、手に入れた歴史書を翻訳してくれているなかで、NPCゲイルが歴史書を読み
終えたあとにこんなことをのたまいます。

『面白いことに僕と同じ名前を持った天使が登場しますね。僕も気になり始めました。冒険
家殿、僕も遺跡が言い表す忘れられた歴史が知りたくなりました』

 これはゲイルが記憶を無くしているという設定なのか、もしそうならばそもそも天使から身
を隠そうとする動機が思いっきり不明な訳ですが……(汗) あるいは本当に別人?
 この辺って、最後のクエを終えたところでスッキリさせてくれるんでしたっけ?
 まるで覚えてないです……。うーん(困)

 いずれにせよ、私の資料投下はここまでです。あとはどなたか補完してください(汗)

 このままおいとまするつもりでしたが、せっかくなのでリレー感想とお初さんのみコメント。
Red stone novel−Postscript――――――――――――――――――――――――◇

199 みやび :2008/06/08(日) 21:37:47 ID:9KxznVoo0
◇―――――――――――――――――――――Red stone novel−Postscript[6/6P]

リレー参加>之神さん
参加お疲れ様です。
いやあそう来ましたか(笑) しかしこれぞリレーの醍醐味というやつですね。
先の展開がわくわくできそうな内容でナイスです。
ところで武道と言えば……なぜか68hさんを連想してしまうのですがべつに投稿の催促では
ないです。ですよね之神さん?(とひとに振る)

リレー参加>DIWALIさん
お疲れ様です。
またしても先の読めない展開でグッ。
この感じだとロード・ムービー風になりそうな悪寒ですね(ニヤニヤ)。
関係ないですがバーソロミューと言えば、デイブ・バーソロミューというアーティストがいました
ね。久しぶりに聴いてみようかなー、と思いました。ほんとに関係ない話(笑)

リレー参加>白猫さん
お疲れ様です。
これまたイレギュラーとは。SFチックなノリでおばさん嬉しいわあ^^
いやはや楽しませてもらいました。
でも今後はROMなんですね(泣) っと、天下一のほうも大変ですものね。
きっと68hさんがあとを継いでくれますよ(笑) 天下一頑張ってください!

リレー参加>黒頭巾さん
お疲れ様です。
しかしまた目まぐるしく展開してますね。楽しんで書いたことが伝わってきます。
実際既存のキャラや設定をイジるのって楽しいですしね(笑)

リレー参加>DIWALIさん
二週目お疲れ様です。
いやあタメますね。ドラゴン○ールかキャ○テン翼みたいな(笑)
お次の方は腕が鳴りますね。(わくわく)
ところで『世界猛獣図鑑』ですが、いつか編集して投下してくださるのかしら♪
何気に期待してます(笑)←すでに読者専モードですから(笑)

>177さん
切なくて物悲しいですね。
こういうのわりと好きです。
また投稿してくださいねー♪

っていうかレス節約で空行廃止したのに文字数限界まで使ってなかったりして(汗)
半死人なのに長くなっちまったい><
では引き続き通常の流れでどうぞ!
Red stone novel−Postscript――――――――――――――――――――――――◇

200 177 :2008/06/10(火) 23:17:59 ID:RSsslgM20
みなさんレスありがとう
時間をみてまた投稿させていただきます

毎度新作が投稿されるのを楽しみに・・・普段はロムっていますので

ではでは

201 ◇68hJrjtY :2008/06/11(水) 12:39:55 ID:f1HsgyLY0
>みやびさん
メインクエ、正直こうして時系列順に読んでみると意外な発見が多いですね。
公式サイトのキャラ紹介ストーリーもそうですが、RSって読み物として小説または漫画があってもおかしくないほど
分厚い設定やストーリーが背後にあるような気がします。っていうか実際あるのかな?
もしそういうのが存在するなら韓国語だろうが読んでみたいですね(読めないケド(笑))。
しかし矛盾点の発見は意外な落とし穴でしたね。やはりここは書き手さんの想像力で補ってもらうしか…!
白猫さんや姫々さん始め、メインクエを題材にした書き手さんの活躍を期待!

>177さん
ROM専さんでしたか、いやいやありがとうございます。
感想ばっかり書いてて全然小説UPしない奴も居たりする中で一筋の清涼感。
またUPしてくださる日を楽しみにしております。そしてまたいつかの未来に開催するだろうチャットイベントにも是非…(笑)

202 黒頭巾 :2008/06/11(水) 19:14:16 ID:fou9k2gM0
まずはレスから。

>68hさん
最初から単純甘々なカポー話だと個人的に食指がそそられないので話がややこしくなります^p^
武道くんは生まれつき精霊の存在を感じれませんので、サマナたんとは対極の存在な凸凹コンビ珍道中です(´・ω・)ノ
仰られる通り、語り部がいるお話ってのが好きなんですよ…笑
それは本人だったり、子孫だったり、仲間だったり、吟遊詩人だったり、神様的存在だったり…浪漫がある気がして。
うふふ、そんな期待をされるとシリアス台無しにしたくなります(お前)

>177さん
感謝スレを読んでいる気分になりました…リアリティがあると言うか、引き込まれると言うか。
凄く切なく、それでいて幸せを感じる、深い作品だったと思います。
ネット上の恋愛って、現実とはやっぱり少し違うんですよね…。
“画面の中の彼”に恋した彼女の気持ち、少しわかるかもしれません。
もし気が向かれましたら、またお待ちしております。

>白猫さん
ひゃっほーい、今回も盛り沢山だね、パパ!(誰だ)
某所で伺っておりましたが、実際文章になるとやっぱりクレリア凄いや!ガクガク(((((゚д゚;)))))ブルブル
ヴァリオルドの秘密が明らかになった訳ですが、例の遺品の並べられた部屋の存在を思い出しましたよ…伏線伏線!
セシュアの行方も気になりますが、あっさり軽い老師のもんせぇ強さとのギャップにメロメロです…じぃちゃん萌!(黙れ)
番外編は久々リレッタでもう和みました…めんこいよリレッタめんこいよ。
格ゲーの乱入思い出しましたよ…格ゲー[Puppet]やってみたいなぁ!笑
勿論カリアスを持ちキャラにさせて下さい…隠しキャラは老師で!(えぇ)
例のハロウィンは挫けず最後まで頑張ろうと思います…大阪の言葉を勉強しないと!
感想感謝、一言だけ…焦らしプレイは愛情です(何の)

>みやびさん
資料続編キタ―(・∀・)―ッ!!
メインクエの突っ込みどころの多さはもう筆舌尽くしがたいものが…矛盾点見つける度に爆笑しております。
第5巻の途中で切れてる部分は最初の重複分で文字数が足りなくなったからだと邪推しておりました。
私のにもそのバグが起きてたのかなぁ。
補完しようにもメイン2終わらせちゃったから別の方に期待…あ、進めると可愛いツンデレテイマちゃんとか出てきますよ!(ぇ)
楽しんで書かせて頂いたのが伝わってよかったです…他人のお子様だからこそ壊し甲斐がありまs(ry

203 黒頭巾 :2008/06/11(水) 19:19:16 ID:fou9k2gM0
『精霊のご加護』その2

その1 >>172-174

読むのが面倒な方へ、前回のあらすじ
「村八分にされたから家出したら幼女と出会っちゃった」

***********************************************************

に埋もれそうになっている街道を、注意深く進む。
少し後ろを歩く少女が、何か話題を探っているだろう気配がした。
砂漠の行進で会話など、体力を消耗するだけだと気付かないのだろうか。
ふと何やら思いついたらしく両手を打ち合わせた少女が、「自己紹介がまだでしたね」と足早に俺に追いついて振り返る。
日光を受けて眩しく光る銀の髪が、少女の動きに合わせてふわりと揺れた。

「私の名前は……」

その名の響きは確かに少女に似合っていた。
同時に、その名に含まれる意味も。

「“精霊の友”、か」

無意識に呟いた俺の言葉に、少女の顔が輝く。

「古代ロマ言語にお詳しいのですね!
 同業者以外に意味を当てられたのは初めてで……あ、ゴメンなさい」

嬉しそうに話す少女の顔が、俺の顔を見て曇る。
しくったな、そんなにその話題が嫌だと顔に出ていたのか。
如何しても、ロマ関連の話題だけはポーカーフェイスが出来ない。

「あの、えっと……そうです、貴方のお名前をお伺いしても?」

話題に困ったのか、恐る恐る聞いてきた少女に「適当に武道家とでも呼んでくれ」と返答になっていない返答だけを返して歩みを進める。
ロマにだけは俺の名前は言えない理由があったし、俺自身にも言う気もない。
後ろに付いて来る少女とは顔を合わせれなかった……きっと、しゅんとしているだろうから。
出会って間もないが、何となく行動が読める様になってしまっている。

「……はぁ」

俺は一体何をやっているのか、無意識に溜息が漏れる。
自分に対して吐かれたと勘違いしたのか、少女が身を竦ませる気配を感じて……俺は更に気が重くなった。

204 黒頭巾 :2008/06/11(水) 19:21:00 ID:fou9k2gM0
Σうぉぅ、ミスった! 正しくは↓コチラです…orz

『精霊のご加護』その2

その1 >>172-174

読むのが面倒な方へ、前回のあらすじ
「村八分にされたから家出したら幼女と出会っちゃった」

***********************************************************

過ぎた栄光の展示場は、アリアン東の砂漠にある5つの墓群どれからでも行けると言う。
本当なら呪いの墓を除く4つの墓からしか正式な入口は繋がっていない。
しかし、呪いB2で狩っていたPTが繰り返すワープの末に例の展示場へ飛ばされたという話を聞いた事がある。
となると問題は、何処から行くか、だ。
まずは魔法傭兵の墓は却下だ。
あの墓に巣食う主なアンデット、レイスやリッチは元素攻撃に対する抵抗が高く、サマナーの少女には厳しいだろう。
ならば警備兵墓は?
あの墓にもペインシーカーという巨大なダークリッチがいる筈なので却下。
前出の呪いの墓もB1はネクロマンサーの巣の為、却下。
残るは小さい傭兵の墓と傭兵達の大きな墓なのだが……生憎、この場所はどちらも行った事がない。
ただ、今まで他の冒険者に聞いた話によれば、どちらにもネクロ系の敵はいない筈なのでどちらでも行けそうだ。
ならばどちらにするか。
大は小を兼ねる、なんて言葉も脳内を駆け巡ったが、何も好き好んで大きな墓を回る事もあるまい。
小さい墓の方が楽だろう、そう考えた俺は小墓からのルートを提案し、少女もまた同意したんだ。


アリアンの東門を潜ると、其処は見渡す限り砂漠だった。
ともすれば砂漠の砂に埋もれそうになっている街道を、注意深く進む。
少し後ろを歩く少女が、何か話題を探っているだろう気配がした。
砂漠の行進で会話など、体力を消耗するだけだと気付かないのだろうか。
ふと何やら思いついたらしく両手を打ち合わせた少女が、「自己紹介がまだでしたね」と足早に俺に追いついて振り返る。
日光を受けて眩しく光る銀の髪が、少女の動きに合わせてふわりと揺れた。

「私の名前は……」

その名の響きは確かに少女に似合っていた。
同時に、その名に含まれる意味も。

「“精霊の友”、か」

無意識に呟いた俺の言葉に、少女の顔が輝く。

「古代ロマ言語にお詳しいのですね!
 同業者以外に意味を当てられたのは初めてで……あ、ゴメンなさい」

嬉しそうに話す少女の顔が、俺の顔を見て曇る。
しくったな、そんなにその話題が嫌だと顔に出ていたのか。
如何しても、ロマ関連の話題だけはポーカーフェイスが出来ない。

「あの、えっと……そうです、貴方のお名前をお伺いしても?」

話題に困ったのか、恐る恐る聞いてきた少女に「適当に武道家とでも呼んでくれ」と返答になっていない返答だけを返して歩みを進める。
ロマにだけは俺の名前は言えない理由があったし、俺自身にも言う気もない。
後ろに付いて来る少女とは顔を合わせれなかった……きっと、しゅんとしているだろうから。
出会って間もないが、何となく行動が読める様になってしまっている。

「……はぁ」

俺は一体何をやっているのか、無意識に溜息が漏れる。
自分に対して吐かれたと勘違いしたのか、少女が身を竦ませる気配を感じて……俺は更に気が重くなった。

205 黒頭巾 :2008/06/11(水) 19:21:54 ID:fou9k2gM0
沈黙に耐え切れなくなった頃、漸く到着した小墓は……確かに小さかった。
むしろ、二部屋しかなかった。
おかしい、この場所にはB2への入口がある筈なのに。
困惑する俺達の耳に、場違いな程に荘厳なミサ曲が届いた。
墓の中なのだから、ある意味では場違いではないのかもしれないが。
これは司祭が神に祈るスキル音。
しかし、俺達以外にこの場所に人の姿は見えない。
風の神獣が伝えたのだろうか、少女が壁を指差して「あっちから聞こえます」と言う。
いつしか音は止んでいたが、きっとその辺に隠し扉か何かがあるんだろう。

「こんな場所の隠し扉ってのはな……」

壁に向かおうとする少女を制し、俺は足元に落ちていた小石を拾って壁に思いっきり投げつけた。

「盗掘者を殺す為のトラップしかけてあんだよ」

途端に起こる巨大な爆発音。
煙が晴れた後には、傷一つない壁があった。

「迂闊に触るとこうなるからな」

先程の小石は爆発で粉々になったのだろう……欠片すら残っていなかった。
余程驚いたのか呆然と立ち竦んでいた少女が、はっと表情を変えて俺の背後に笛を向けた。
神獣達が俺の背後のゴーレムに向けて攻撃を繰り出す。
俺も気配から既に位置を割り出してあったゴーレムに、振り向く勢いを乗せたトドメの一撃を入れてやった。

「まぁ、考えるのは後にしようか」
「そうですね、先に片付けないと」

俺らの視線の先……奥の部屋からは、ゴーレム達がわらわらと沸いていた。
集中し感覚を研ぎ澄ませた俺の足が地を蹴る。
その勢いを殺さないまま、鈍重なゴーレムの顎を素早く蹴り上げる。
鉱物で出来たその身体は硬かったが、俺達武道家の肉体も鋼の様に鍛え上げているんだ。
その証拠に、体制を崩したゴーレムの胴を俺の右ストレートが打ち抜いた。
鈍い音と共に胴に広がる亀裂によって上下真っ二つになったゴーレムが崩れ落ちる……まずは一体。
その間に、少女は水の神獣を使って地下水脈を呼び起こしていた。
広がる水の波紋の中、少女の笛の音に合わせて地下から凄い勢いで筍が生える。
筍はゴーレム達の足に突き刺さり、自由を奪った。
これで相手の動きが制限され、致命打を撃ち易くなる。
いつの間にか俺の横に並んだ風の神獣が圧縮された風の衝撃波を放つ。
あまりの圧力に耐え切れず関節が異様な方向に曲がったゴーレムが、その動きを止めた。
やるじゃねぇか、でも負けないさ。
実際に目にしたからか、いつしか苦手だった筈の精霊の力を肯定的に捕らえだしている事に気付かず……俺は手近なゴーレムに回し蹴りを放った。


緑のゴーレムを総て倒すと、奥の部屋の中心に邪悪な気が溜まっていくのが視えた。
警戒する俺達の目の前、色違いのゴーレムが姿を現す。
纏うオーラからして今までのゴーレムとは桁違いだと一目に解る青いゴーレムが、その巨大な刃を持ち上げた。
避けるか如何かを一瞬で判断し、すぐ近くにいる神獣に当たらない様に白刃取りを選択する。
確かにその太刀筋は重かったが、俺にはその圧力を分散させるなんて簡単な事だった。
俺の動きの意味を悟った少女が即座に神獣の位置取りを少し変え、再び地下水脈を呼び出す。
これで俺の自由に動ける範囲が増え、鈍重な相手の攻撃を受け流せる様になった。
ボディメカニクスを知り尽くした俺の動きは、自分で言うのも何だが、無駄がない。
身体が資本なのだから、最低限の動きで最大限の効果を出さないといけないからだ。
青ゴーレムは結局俺に一撃も与えられないまま、不快な音を立てて崩れ落ちた。
古の主人との契約なのだろう、最期の言葉と引き換えに俺達の身体が光に包まれた。

206 黒頭巾 :2008/06/11(水) 19:22:53 ID:fou9k2gM0
飛んだ先は一部屋だけの小部屋だった。
瓦礫の他に唯一あるのは巨大な魔方陣のみ。
警戒しながら近寄った魔方陣にも反応はなかったものの、嫌な気配を感じ取る。
気配の出所、魔方陣の向こう側に半透明の幽霊の姿が見えた。

「バンシー……」

少女の声に答える様に、バンシーは赤い目を光らせて俺達に襲い掛かってきた。
身体を屈めて回避して、起き上がる勢いを乗せた正拳突きをカウンターで放つ。
俺の拳はバンシーの身体に易々とめり込んだ。
直接魂に触れられている様なひんやりとした嫌な感触が俺の拳から伝わってきた。
俺の拳が痛かったのか、効いていないのか……どちらともとれないバンシーは、カン高い声ですすり泣く。
途端に脳内に再生されるのは、過ぎ去った筈の村の情景。
忘れたい、忘れられない、そんな出来事。

「バンシーの、精神攻撃……」

噂に聞くその能力なのだと脳の片隅で理解しながらも、俺は足が崩れるのを止められなかった。
視界の端の少女も空ろな瞳で神獣を抱きしめ、しきりに「モンスターの声は聞こえないの」とか「ごめんなさいごめんなさい、お母さんごめんなさい」とか呟いている。
俺も過去を掘り返す幻聴に膝が折れ、情けなく地面に突っ伏して頭を抱える。

「可哀想に……精霊が見えないんですって」
「本当にあの夫婦の子どもなのか?」
「不義の子なんじゃ……」

両手で耳を塞いでも、村人のひそひそ声が木霊する。
嫌だ、嫌だ、やめてくれ。
お前達は、俺だけじゃなく死んだ両親まで貶めるのか。
これが嫌で俺は村を出たんだ。
……村を、出た?
そう、俺は村を出た。
師匠について修行を積んで……俺は冒険者になった。

「武道家ってのはな、心が折れたら終わりなんだ。
 何故なら、俺達は自分自身の肉体と心が武器だからな。
 肉体と精神の鍛錬を積み、心を強く持て……それこそが俺達の強さだ」

師匠の声が脳裏を過ぎる。
そう、武道家は心を強く持たなくちゃいけない。

「俺はもう、可哀想な子どもなんかじゃない……」

ゆらりと立ち上がった俺に、焦ったバンシーの精神波が強くなる。
だが、もうそんなもんは効かねぇ。

「俺は……武道家だ!」

叫びながら渾身の力で放った俺の拳が、慌てて逃げようとしたバンシーにめり込んだ。
冷たい嫌な感触は直ぐに去り、致命打を受けたバンシーの身体は断末魔の悲鳴と共に四散する。
再び光に包まれた俺達の目の前には、目指すB2へのポータルがあった。

207 黒頭巾 :2008/06/11(水) 19:29:50 ID:fou9k2gM0

続きはまだちょっと修正の余地ありなので、今回もここまで。
次は多分ラストまで一気にあげますー。

このまま無事に武×サマに落ち着くのか、それとも…?
なーんて書いてみるテスト。

では、お次の方の投稿楽しみにしておりますー(*´∀`*)ノシ

208 ◇68hJrjtY :2008/06/14(土) 20:31:09 ID:WYsMMu6M0
>黒頭巾さん
武道君とサマナたんのナイスコンビな戦闘シーンが描かれてニヨニヨしてます(*´д`*)
ですが後書き然り、このまま素直に終わらない、終わらせない黒頭巾触手がひしひしと…!(なんじゃそら
しっかし考えてみればアカダメ武道とバンブーサマナって機能的に考えても抜群の相性なはずですよねェ。
人口密度の少ない職同士(?)、是非とも武道サマナギルドとか欲しいモンですね。うん。
うーん、この話はどうなっていくのか…続きお待ちしてます。

209 復讐の女神 :2008/06/17(火) 04:58:13 ID:N35uQV7o0
>白猫氏
設定とか深く考えたことない私が、無い知恵をWikiで補助して考えました。
気づくの遅れてすみません。


ボイル
年齢:決めてないが、20台
容姿:イメージは公式絵
口調:ジェシ以外へは紳士的
一人称:私 二人称:君
武器:高位魔法杖
   ミスリルコート
戦闘方法:補助呪文を中心にして、罠を張るタイプ
使用魔法:攻撃は難易度3以下を全て。ただし、メインはファイアーボール。
     補助魔法は全て使用可能。

テル
年齢:決めてないが、16歳前後
容姿:イメージは公式絵
口調:お調子者で楽しげ
一人称:私 二人称:あんた
武器:レミネッサ(ロマの紋章入り)
   ロマの服
戦闘方法:状況に応じてモンスターをけしかけ、笛吹きで攻撃
 1匹は狼(スティ)で、あとは自由
使用魔法:テイマースキル全て。サマナスキルは笛吹きのみ

完全にこれで決定!!ってわけじゃないですけど、こんな感じです。
ネムネム…ZZZzzzz

210 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/17(火) 16:26:08 ID:OhTl4zsk0
Episode-08/B・・・Chase,Chase and Chase!!〜子守はつらいよ〜

トレスヴァントがラティナを追うために森を出たのと同じ頃の話・・・今回の主人公はミリアだ。
「ふみゅっ、うにゅにゅ〜♪お兄ちゃんに久々に会えるのよ〜!!ミリアるんるんなの〜、うにゅ〜♪」
ご機嫌にスキップしながらエルフの村の広場へと足を運ぶミリア、彼女のペットであるサーファイユとファミィも一緒だ。
「ねぇねぇミリア、そのミカエルって人はミリアのお兄さんなんだよね?どんな人?」伴走しながらサーファイユが尋ねる。
「えっとね、お兄ちゃんはミリアが小さかった頃からと〜っても強かったの!!それでねっ、ミリアにも優しくしてくれるの〜」
「今じゃミカエルは大陸でも5本指に入るほどの実力者になっちゃったさ〜。オイラもミカエル兄ちゃんは優しいから大好き〜」
「へへっ、ボクもミカエルさんに会ったら挨拶しようかな〜・・・何てったってミリアのお兄さんだもの、家族の一員としてね!」
「ありがとうサーファイユ、ミリアとっても嬉しいの〜!!」「あ、もう少しで広場に着くさ〜、いっさんば〜え〜!!」
笑顔と共にミリアたちは期待を膨らませ、兄がいるとされる村の広場へと向かう・・・


―――・・・その頃広場ではちょっとし騒ぎが起きていた。野次馬のエルフたちが取り囲むその中央にいるのは・・・
「うぉぉおぉぉぉおぉぉおぉやめろォォォオォォォォォオオォォォオ!!セクハラ反対っ、はんた―――いっ!!!」
もはや錯乱状態で泣きながら叫び声を上げるのは・・・そう、ミリアの兄であるミカエル。何で泣いているのか?それは・・・
「いやァ〜んっ、お姉ちゃんがイイことしてあげるって言ってるでしょ〜!!ミカエルちゃんも心を開いてぇ〜んっ!!あぁんっ/////」
大木にしがみつくミカエルを引っぺがそうと彼の体を掴み(同時に乳房やら何やらを擦り付ける)のは、彼やミリアの姉で長女。
フランデルでもその名を知らない者はいないまでの露出大好き淫乱女・・・フィナーア・ウォン!!!!(ド――――ン!!!!)
相変わらずヌードのままで行動している彼女だが、エルフにとっては彼女のそういう痴態はもはや御馴染み。
しかもこの村のエルフたちはトトカルチョ好きで有名らしく、現在は「ミカエルは何秒木にしがみ付いていられるか!?」という
ネタで賭けを展開している。「45秒に1万ゴールド!!」「い〜やあの兄ちゃん筋力ありそうだしな・・・3分持つのに20万だ!!」
「オイぃぃいぃぃっ!!!エルフの皆ァ、トトカルチョやってないでこのスケベな姉貴をどうにかしてくれぇ――――!!!!」
「あぁ〜っ!!!もう、らめぇっ・・・フィナちゃん何だかエッチな気分になって・・・ふぁ・・・んぁ〜っ////////」
「ひぃっ!!?!あんたオレを引っぺがすつもりが何やってんだよっ!!?つーかオレにくっつくな!!自慰するなぁ〜!!!」
豪快に涙を流すミカエル、そして彼の背にくっついて自慰し始めるフィナーア・・・だが、そこへ乱入者が突っ込んできた!!

「えっちぃのは『めっ』なのよ〜っ!!!やぁ―――――――っ!!!!」

映画に出てきそうな見事なまでに綺麗なドラゴンキックを放って、ミリアが飛んできた!!
しかも蹴りはミカエルにくっついてるフィナーアにクリーンヒット、「あふんっ/////」という喘ぎ声を残して彼女が吹き飛んでいく。
「ん・・・その声、ミリアか!?ミリアなんだな!!?!」「うんっ!!久しぶりなのよ、お兄ちゃん!!」
お互いの姿を確認すると、兄と妹の二人は走り寄ってお互いハグを交わす。嬉しさのあまり、ミリアは頬擦りをしていた。
「ん〜、大きくなったなミリア!!兄ちゃんもお前に会えてすっげぇ嬉しいぞ、ファミィはどうしてるよ?」
「うにゅ、ファミィも元気にしてるよっ!!それとねそれとね、ミリアに新しいお友達ができたのよ〜、サーファイユ?」
振り返ってミリアが手招きし、エルフ戦士のサーファイユが二人の下へと歩み寄ってきた。
「こんにちはミカエルさん、ボクはサーファイユ。この度ミリアと一緒に冒険することになったエルフの者です。」
「おっ、礼儀正しいエルフじゃないか。よろしくなサーファイユ、妹のこともよろしく頼むぜ!!」「はいっ!!」
会話に花を咲かす兄妹たちだが、そこへエルフの長老エドワードとエストレーアがやってきた・・・

211 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/17(火) 17:12:21 ID:OhTl4zsk0
「やぁ諸君、会話に花を咲かせているところ失礼するが・・・ミリア、早速お遣いの件について話があるんだ。エストレーア?」
「あっ・・・はい長老。んっと・・・え〜っと、コレですね?」「・・・うむ、たしかにコレに間違いない。下がっていいぞ。」
エストレーアは長老に何やら黒い立方体状の物質を手渡すと、すぐさまその場を後にした。周りにいるエルフの市民も退けると
長老は再びミカエルやミリアたちに振り向くと、真剣な面持ちでその口を開いた・・・

「まず、この箱について説明させてもらおう・・・これはスマグの魔術師たちの研究成果を私達エルフが独自でアレンジしたものの結晶だ。
 ときにミカエル君、世界各地を見聞した君にならこの黒い箱がわかるかもしれないが・・・何だかわかるかね?」
「ん〜・・・オレの目に狂いが無けりゃ、そいつは魔法称号をランダムに選択して、武器や装飾品をを融合させる『異次元の黒箱』だな?」
「ご名答・・・実はこの度、スマグ魔法道具販売店のシュトラセラト支店から依頼があってね、そのアイテムを改良するように頼まれたんだ。
 使用回数の制限をなくし、魔力を充填させることで何度でも使用できるようにね。ミリア、今回の君のお遣いは完成したこの試作品を
 シュトラセラトの魔法道具販売店に届けることだよ。お願いできるかな?」柔和な笑顔でエドワードが尋ねる。
「うぃ!ミリアお遣い頑張っちゃうもんっ!!お兄ちゃんも一緒に行こう?ね?」「ははっ、甘えん坊なところは相変わらずだな〜」
「そういえば・・・ミカエル君、たしか君は別件でこの森に来ていたはずでは?依頼を失敗すれば君の身柄は・・・」
「あぁ、そいつァ心配無用ってやつですよ。失敗したらしたで、また別のクエストで稼げばいいんですから。ハハハっ」
「それは何よりだ、ではミカエル君。ミリアたちの警護も兼ねて、このプロジェクトへの参加を認めよう。報酬はもちろん払うよ。」
「お兄ちゃ〜んっ!!早くお遣いに行こう〜!!!」「早くするさ〜ミカエル〜!!」「出発しますよ、ミカエルさ〜んっ!!」
ミリア、ファミィにサーファイユは既にエドワードから異次元の黒箱を受け取って移動を開始していた・・・
長老に一礼したミカエルはミリアたちの下へと走ってゆく。だがその後ろでは・・・

「うふふふふ・・・ミリアちゃんの突っ込みは予想外だったけどォ、あたしのスキンシップから逃れようだなんて100年早いのよぉ〜ん!!
 全力で・・・あふぁっ、はァぁぁっ!!?!・・・じ、邪魔してっ・・・あげるんだからァっ、あぁんっ///////」

乳房を激しく揉みながら自慰するフィナーアが、怒りの炎をメラメラと燃やしていた・・・彼女は怒ると激しく自慰行為をするらしい。

212 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/17(火) 17:13:09 ID:OhTl4zsk0
――――・・・さて、シュトラセラトへと続く道路へ抜けるために森の中を歩くミリアたち。木漏れ日が差し込み、植物の爽やかな香りが
森の中を包んでいる。もちろん楽しげな会話を繰り広げながら一行は談笑と共に歩を進める・・・・・
「・・・んでだ、長老さんが言うには『道中で色んなアイテムを混ぜながらテストさせてもいい』んだってよ、この黒箱!!」
「ふみゅっ、とっても面白そうなの〜!!ねぇねぇお兄ちゃん、ミリアも異次元でアイテムまぜまぜしてみたいのよ〜!」
「あ、それおいらもやってみたいさ〜」「ずるいよファミィっ!!ボクだってやってみたいんだからさ?」
黒く艶光りする、不思議な雰囲気を漂わす箱を3人と1匹はまじまじと見つめていた・・・すると一行の耳に何やら木を叩く音が。
茂みを掻き分けて進んでみると、エルフ戦士十二傑の一人はジャファイマ・・・彼女が大木に正拳付きをしているのが目に入った。
「おっ、久しぶり〜!!元気してっかジャファイマおばさん!?」「おろ!?ミカエル君じゃねぇな、何しつんづよ〜?」
ジャファイマの姿を見るや否や、ミカエルが嬉しそうに彼女の元へと歩いていった。彼女もまた嬉しそうに微笑んでいた。
「ふゃ、ジャファイマさんとお兄ちゃんって知り合いなの?」キョトンとしながらミリアが二人に問いかける・・・
「んだよ〜、ミカエル君ね、数年前にわんどの村さ来てらったのよ。そん時ミカエル君にファイアースキンば教えたのんもわだのよ。」
「あぁ〜、そういえばそうだったな〜。おばさんのおかげでオレもここまで強くなれたからな〜・・・いやホントありがとうな!!」
「あ、ジャファイマさん。そういえばさっきから木を叩いて何してるんですか?」「おぉ、木の実ば落どしてらんだして。んめぇど〜」
ジャファイマから採取した木の実をお裾分けしてもらい、談笑する一行。だが、そんな彼らをマークする影が茂みの中にあった・・・

「クヒヒヒヒ、あれがザッカルさんの言ってた今回の標的か〜・・・"炎の豹(フレイム・パンサー)"ミカエルがいるのは予想外っちゃ予想外だが、
 梃子摺りはしそうもないなァ・・・クヒヒヒヒ!!!」笑い声をあげるのは、小柄で太った火鬼系統のモンスター。
「でも殺す標的とはいえ、あんな幼女だとかわいそ・・・よ、幼女・・・幼女可愛いよミリアたんハァハァハァハァハァハァ/////////」
一人勝手に興奮しているのは、先ほどの火鬼の相方と思われる一体のレイス。鼻息の荒い彼に火鬼はゲンコツをお見舞いする。
「てめっ、ダリオ!!いい加減そのロリコン癖を治せって何回言わすんだゴルァ!?いつ見ても気持ち悪いんだよそのハァハァ言うのよぉ!!」
「え〜、別にいいじゃないっすか先輩〜!!でもね、やっぱりああいう可愛い娘ってもうっ・・・あぁミリアたんハァハァ、テイムして下さい〜」
「ウゼ〜!!!ウゼェんだよこのド変態のロリコンレイスっ!!目ぇ潰すぞコラ!?」「ヒィっ、ごご・・・ごめんなさい〜!!?!」
デコボココンビの天然漫才が茂みの中で静かに展開されていた・・・

to be continued...

213 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/17(火) 17:16:34 ID:OhTl4zsk0
あとがきですお(`・ω・)ゝ

はい、以前のチャットイベントで予告した『第2次ミリアお子ちゃま化エピソード』の始まりです。
しばらくはシリアス続きだったので久々のドタバタコメディ路線で頑張らせて頂きます。こうご期待?

214 防災頭巾★ :削除
削除

215 黒頭巾 :2008/06/23(月) 22:51:42 ID:fou9k2gM0
『精霊のご加護』らすと

その1 >>172-174
その2 >>204-206

読むのが面倒な方へ、前回のあらすじ
「幼女と行った墓地でオバケに会って倒しちゃった」

***********************************************************

B2の構造はB1とは違い、ちゃんと繋がっている様だった。
漸く動揺が収まった少女が風の流れを読み、奥地へと迷わず誘導する。
違うのは構造だけでなく、出てくるMOBもだった。
例えば、今俺達の目の前に立ちはだかっているのは、俺達より巨大な殺人スコーピオン。
遠く、毒々しい紫のアライブスコープの姿も見える。
鈍重なアライブスコープ相手なら駆け抜けても問題はないが、蠍は別だ。
背後を向ければ、その巨大で強力な毒針の一撃を喰らって天国が見える事だろう。
まぁ、生前の行い如何に依っては、向かう先は天国でなく地獄かも知れないが。
目の前の敵の外骨格が擦れるキチキチ音が地下墓地の冷たい空気に響く。
巨大な鋏と尾の毒針に注意しながら、その脳天に踵を落とす。
硬い殻に阻まれ流石に一撃で倒す事は出来なかったが、入れ替わりに放たれた神獣の攻撃の風圧も相俟って、その硬い殻に漸くヒビが入る。
後はそのヒビ目掛けて再び体重を乗せた踵落としを決め、ぐちゃりという嫌な音と共に脳髄を破壊した。
脳髄を破壊されても尚動き続ける、生命力が強い死体から警戒を怠らない様にしつつ、進む道を眺める。
既に脳細胞が破壊されているらしいアライブスコープを簡単なフェイントで壁に引っ掛け、出来るだけ戦闘を避けながら進んだ俺達は、遂に目的地へのポータルを踏んだ。


ポータルは人間とその従属にしか反応しない為、飛んだ先で少し小休止を入れる事にした。
俺は兎も角、まだ若い少女には強行軍は厳しかろうとの判断からだ。
案の定、ふぅと息をついた少女は、壁に背を凭れ掛けてぺたんと座った。
水を飲んで「生き返りましたー」などと呟いている。
俺は辺りを警戒しようとしたが、神獣達が周囲に気を配っているのに気付いて少し休憩を取る事にした。
立ったまま壁に寄りかかり、水筒のキャップを外して水を口に含む。
墓地の空気に冷やされて冷たくなった水が喉を通る感覚と共に、思考がクリアになるのを感じた。
確かに少女の言う通り、生き返った心地だ。

「先程は、ありがとう御座いました」

突然かけられた声に少女を横目で見る。

「私一人だったら、バンシーでやられてました。
 あー、それとも……その前に罠でやられてそうかも」

何処か儚げなその笑顔に、精霊使いという稀少な能力は稀少故に大変なのかもしれないと思った。
両親も親戚もテイマーの中に、先祖返りで精霊使いの能力を持って生まれたのだろうか。
だとしたら、俺と彼女が逆に生まれていればよかったのかもしれない。
あの村の中でなら、彼女の力は特異でもなく、強い能力者だと尊敬されるくらいだ。
尤も、俺に獣を躾けて使役する能力なんていうものもないんだが。

「いや、気にしないでくれ。
 俺もちょっと落ちかけたしな。
 それに……誰にだって、思い出したくない過去なんてのはあるもんだ」

後半は視線を逸らして小さな声で呟いたが、聞こえていたらしい。
小さな同意が返って来た。
暗い空気を打ち消そうと、少女に出立を告げる。
慌てて立ち上がる気配を背後に感じながら、警戒していた召喚獣の肩をぽんと叩いて労って歩き出す。

「盗掘者と守護鎧、でしたっけ」
「クエスト屋の親父の情報通りなら、警戒すべきはそれだけだな」

盗掘者は基本的には、ある程度の修行を積んだ冒険者の敵ではない。
だが、この場所にいる盗掘者はただの盗掘者じゃない。
こんな強いMOBの蔓延る墓地に忍び込むのだから、奴らはそれなりの腕を持っている。
……ただの命知らずでとても運と逃げ足のイイ馬鹿以外は。
例えば、今近くにいるのはそのどちらなのだろうか。
隠れているつもりなのだろうが、気配が微かに漏れている。
目線を送って気付いているぞとアピールすると、動揺する気配がした。
……うん、コイツは馬鹿だ。
俺が今そう決めたんだから間違いない。
こんな甘ちゃん相手なら退ける事は容易だろうが、態々無駄に闘う事もない。
釘も刺している事だ、本物の馬鹿がヤケになったとかじゃない限りは襲って来る事はないだろうと放置する。

216 黒頭巾 :2008/06/23(月) 22:53:14 ID:fou9k2gM0
それよりも、向こうからやってくる巨大な守護鎧の方が強敵だ。
俺達の視線の先を見遣ったのか、更に動揺が激しくなる馬鹿1号。
最早、気配はガン漏れだ。
戦闘中に邪魔されたらたまったもんじゃない。
逆方向を顎で示すと、慌てて示された方向へと気配が遠ざかっていった。
うん、もう帰ってくんな。
暫くの後、遠くで「ぎゃー、大量にいるー! MPK乙!!!!1」って悲鳴が聞こえた気がするけど……気の所為だな、うん。
てか、1って何だ、1って。

「大きい……」

近付いてきた守護鎧の姿に、少女が思わず呟いた。
殺人スコーピオンやゴーレムよりでかいんだから、その気持ちはわからないでもない。

「まぁ、倒すしかないからな。
 さっきのあのでっかい水場、頼むわ」

俺の言葉に答えた少女が笛を使って神獣に指示を出し、再び敷かれる水の布陣。
守護鎧の足を貫こうとした筍は、しかし硬い鎧と重量に阻まれ、折れた。
おいおい、反則だろ。
初めての事態なのか、一瞬固まった少女を庇う様に俺は守護鎧の前に躍り出た。
この手のデカブツは攻速が遅いから回避しやすいとの油断もあった。
案の定、大きく振りかぶったヤツの攻撃を回避しようとした俺の足元には、折れた筍がまだ散乱していたのに気付くのが遅れた。
このままでは回避出来ずに転倒すると判断し、防御体制に切り替える。
が、その判断は間違っていた様だ。
ゴーレムとは比べ物にならないくらい重い一撃を受け止めきれず、俺の身体は大きく跳ね飛ばされた。
まずい、この方向だと後ろにいる少女に激突する。
このままぶつかる訳にはいかない。
瞬時に判断した俺は、宙を舞ったまま無理に身体を捻って地を蹴り、軌道を逸らす。
お蔭で少女に当たる事はなかったが、バランスを崩した俺は受身も取れないまま壁に叩きつけられた。
骨が軋み、折れる鈍い音が俺の耳に響く。

「……くっ」

思わず小さな苦悶の声が漏れた。
頭も打ったのだろう、世界がぐるぐると回る。
トドメの一撃を食らわせようと歩み寄る巨大な守護鎧と俺の間に、泣きそうな顔の少女が両手を広げて立ちはだかったのが見えた。
馬鹿、逃げろ!
ぐらぐら揺れる視界と強烈な吐き気の中、叫びたくとも声が出ない。
風の神獣と水の神獣が少女を護る様に、守護鎧に向かっていく。
しかし、守護鎧の一撃一撃は重く、見る見るうちに治療が間に合わない程のペースで神獣達の体力が削られていった。

「ウィンディ! スウェルファー!」

少女の悲鳴が冷たい地下の空気に響く。
やばい、彼女を護らないと。
神獣が倒れたら、恐らく次は彼女が狙われる。
……でも、動かない身体で如何やって?
諦めるな、動かない筈はない、動く筈だ。
むしろ、動かすんだ。
俺は武道家だ、心だけは折らない。
神獣がもうすぐ倒されるというこんな時でも、心配そうに俺を振り返って「逃げて」と呟く彼女と目が合う。
何とか動く左手を振って否定の意を示すと、「如何して!」と叫ぶ声。

217 黒頭巾 :2008/06/23(月) 22:54:18 ID:fou9k2gM0
「ばっか……PTだろうが……」

精一杯の返答。
思ったより被ダメがでかいのか、その声は自分でも驚く程に小さく掠れていた。
それでも彼女に伝わったのは、風の神獣が伝えているんだろう。
本音は女だけ置いて逃げれるか、ってとこだ……こんな少女ですら俺を護ろうとしてんだぞ。

「嫌われてると思ったのに……」

彼女の大きな瞳から涙が零れ落ちた。
あーもー、泣くな。
うん、正直俺が悪かったから。
てか、こんな事してる場合じゃなくね?
ほら、神獣一体倒されたし。
頭痛と眩暈が漸く収まってきたから立ち上がろうともがいてみるも、自分の身体じゃないみたいに重い。
くっそ、ヘイストでもあれば!
……ヘイスト?
引っ掛かりを感じた俺の脳内に、先日の彼女の声が木霊する。

――凄いです! こんなに精霊に好かれてる人、見た事ないですよ!

そうだ、“精霊の友”を称する彼女が“精霊に好かれてる”と言ったんだ。
風の精霊が回りにいてもおかしくはない。

「……なぁ、いるんだろう?」

よろよろと立ち上がりながら、俺は呟く。
まだまだ声は掠れて小さかったが、彼女の言う通り俺が“精霊に好かれてる”なら、きっと問題ない筈だ。

「……頼む、力を貸してくれ」

こんな俺を変えてくれそうな、こんな俺でも護ってくれようとする、そんな大切な人を失いそうなんだ。
如何か、俺にもう一度アンタらを信じる勇気をくれた彼女を護る為の力を。

「……なぁ、お願いだ!」

――大丈夫、貴方の声は聴こえてる。

血を吐く様に叫んだ俺の耳元で、“声”が聴こえた。
聖母の様な慈悲と威厳を感じさせる“声”が。

――愛し子よ、時は満ちた。

途端に俺の鼻腔を擽るのは、懐かしい風の匂い……あの村の、あの森の、香り。
……嗚呼、本当にずっと傍にいたんだな。

――我らの寵愛を受けし貴方に、風の“祝福”を。

“声”と共に、後ろから何者かに優しく抱きしめられるのを感じた。
同時に、鉛の様に重かった身体が普段のそれより軽くなる。
それは、望んでいたウィザードのヘイストを強力にした感覚で。

「……よし、いける」

俺は遠い守護鎧に向けて、強烈な突き出しを放った。
高速で打ち込んだ拳圧が烈風となって、少女にその手を伸ばそうとしていた守護鎧を襲う。
いつもよりよく聞こえる俺の耳に、硬い鎧に亀裂が入る音が響いた。
こちらに向きなおした敵に安心した俺は、風を乗せた攻撃を無数に放った。
守護鎧は反撃さえ出来ないまま、硬い鎧を亀裂だらけにする。
一足飛びで懐に飛び込み、0距離から放った俺の渾身の三連回し蹴りが守護鎧の動きを永遠に止めた。
今まで苦戦したのがアホらしい程、俺の圧倒的勝利だった。
今の俺の姿を見たら、きっと師匠は嬉しそうに目を細めるんだろうな。
ふっと笑った俺の前、嬉しそうに俺を見詰める彼女の頭の上にちょこんと座った風の精霊も、彼女と同じ嬉しそうな優しい笑みを浮かべた。
もう動かなくなった守護鎧の足元に目をやれば、求めるシグの剣が落ちていて。
かの有名な冒険者はその死の間際、何を思ったのだろうか。
……今となっては、誰も知る事は出来ないけれど。

218 黒頭巾 :2008/06/23(月) 22:55:02 ID:fou9k2gM0
数日後のアリアン。
鏡の様に光る巨大なオアシスの畔に俺はいた。
あの戦闘で負った傷は知り合いの司祭の回復で総て癒え、体調は万全だ。
今の俺の目には、ただの綺麗なオアシスだけではなく水辺で戯れる精霊達の姿も見える。
これ程の数の精霊達の憩いの場になっているから、このオアシスは枯れる事はないのだろう。
そのオアシスの前、初めて見かけた場所に今日も彼女はいた。
俺の肩に座っていた精霊が嬉しそうに彼女の周りを飛び回る。
俺は右手を上げて彼女に挨拶すると、彼女も笑顔で「こんにちは」と手を振った。
話し込むと切り出せなさそうで、さっさと手短に用件だけ伝える。

「……村に帰る、ですか?」
「あぁ、遠すぎて長く帰ってないから、一度両親の墓参りをしようと思う」

そう言った俺に、彼女は「是非そうした方がいいです」と微笑んだ。

「ほらほら、武道家さん! 善は急げです…早く準備しないと」

正直、彼女と別れたくなかったからまだ準備してないなんて、言える筈がない。
彼女の言葉に何とも思われていないのかと哀しくなった俺の手を引っ張りながら、彼女は更に言葉を紡いだ。

「何しろ、二人分の長旅の準備なんですからね!」
「……へ?」

我ながら間抜けな声が出たと思う。
ぽかんとする俺に、またまたぽかんとした顔の彼女が首を傾げた。

「え、一緒に連れてってくれないんですか?」
「え、だって……迷惑じゃね?」
「何で迷惑なんです?
 PTでしょ、一緒に行きましょうよ!」

え、いつの間に固定PTになってんの?
いや、嬉しいけど!
落ち着け、俺。
負けるな、俺。
これ、もしかしてまだチャンスあんじゃね?

「ね、武道家さん!」

目の前には、満面の笑顔を浮かべる彼女の姿。
出会った頃より距離が縮まった彼女だが、未だに俺を武道家さんと呼ぶ。
そりゃそうだ、俺はまだ彼女に名前を教えてないんだから。

「おい、ロマっ子」
「ロマっ子って呼ばないで下さい! 私にはちゃんと名前が……」

不満そうに頬を膨らませる彼女を遮って俺は続ける。

「……わかってる、メイ」

砂漠で道すがら聞かされた彼女の名を、古代ロマ言語の法則に則った愛称に略して呼ぶ。
頬を染めた彼女が「やっぱりお詳しいのですね」と驚きの声を上げた。
そうだな、俺の村の昔話も彼女に話してやらないとな。

「いいから、よく聴け……一度しか言わないぞ」

続く言葉を悟った精霊が、彼女の頭の上に座りながらくすくすと可笑しそうに笑う。
何だよ、そんなに笑うなよ。
一緒に長旅をするなら、名前くらい知らないと不便だろ?
言い訳を脳内で組み立て、慌ててそんな言い訳はもういらないと打ち消した。
むしろ、俺は彼女に知って欲しいんだ。
そんな自分の変化には、俺自身が一番驚いてる。
今までは、絶対に俺の名前を教えるなんて事は考えられなかった……特にロマには。
何故なら……。

「俺の名前はな……」

……古のロマの言葉で“精霊に愛されし子”という意味を持つ俺の名を聞いた彼女は、「貴方にお似合いの素敵なお名前です」とふんわり嬉しそうに笑った。

219 黒頭巾 :2008/06/23(月) 22:57:08 ID:fou9k2gM0

……話を終え、俺は横の息子の顔を見た。
いつからだろう、既にぐっすり夢の中。
何だよ、俺一人で惚気てたのかよ。
そう思うと、何だか可笑しかった。
まだまだコイツには早かったかな……苦笑した時、扉の向こうでは小さな物音。
扉を開けると、そこには当時の面影を残す愛しい彼女の姿。

「寝かしつけてくれたのね、ありがとう」

息子の顔を覗きこみ、今では俺の妻になったあの少女は……あの時と同じ、幸せそうなふんわりとした笑みを浮かべる。

「起きてていいのか?身体に障るぞ」

身重の彼女の肩にストールをかけて、咎める様に声をかける。
病気じゃないのに相変わらず心配性だわと彼女がくすくす笑う。

「そりゃぁ、心配ってもんだ……愛しい人の身体だからな」

仕返しに本音を漏らしてやれば、途端に頬を染める彼女が愛おしくて、その桜色の唇にそっと優しい口付けを落とした。
真っ赤な顔の彼女は、既に息子までいるって言うのに、いつまで経っても初々しいったらありゃしない。
まぁ、息子も寝たし、俺達も寝るとするか。
彼女の手を取り、寝室に向けて歩き出す。
扉を閉める寸前、振り向き様に見た息子の傍らには……あの日と同じ、優しい笑みを浮かべた精霊の姿。
寝台に眠る息子のミドルネームは、“精霊に祝福されし子”を意味する古い古い言葉。
……任せたよ、もう一人の母さん。
俺の小さな呟きを聞き取って嬉しそうに微笑んだ精霊に手を振り、俺は扉を閉めた。
もしかして、俺の力が封印されてたのは、彼女と出会う為だったんじゃないかなって今では思うんだ。
だとしたら、運命の神様はとんだ曲者だ。
まぁ、何にせよ……紆余曲折を経て、俺は可愛い嫁さんと可愛い息子ともう一人を得た訳だ。
そのもう一人……横を歩く彼女のお腹に宿ってる新しい家族の名前も、そろそろ考えないといけないしな。
難しい、もの凄い難題だ……何しろ、それはその子の人生をも左右する。
今は亡き両親もきっと、俺の名前をこうして考えてくれたんだろう。
難しくも贅沢なこんな悩みを持てる俺はきっと、世界一の幸せ者なんだろうな。



【精霊のご加護】...fin


***********************************************************


サブタイトルは、農家が武道家になった訳(ちょ)
こんなSSでも、武道×サマナと言い張ってみるテスト。
過去ログ見てたら、急にもくもくと武道熱が!
何かネタ降ってこねーかなと祈ったら降りてきたはイイモノの、長くなる長くなる。
ある程度はしょったので展開に無理が出てると思われますorz
クエのモデルは現在未実装(多分)の連作称号クエ『砂漠の支配者』の最終章から。
アリアンって難易度高いクエ少ないんですもの(´・ω・)
あらすじは国道さんを、某馬鹿は白猫さんをリスペクトです(お前)


コメ返し。

>68hさん
そうそう、バンブサマナは物理職との相性バッチリですからねー!
武サマG素敵ですねぇ…何かGチャでまったりと今晩の晩御飯のメニューとかお花の育て方が語られてそう(どんなイメージ)
Σてか、てか、黒頭巾触手って! 何ですかソレ!!爆笑
今だから言います、68hさんが武道家ネタだとテンション上がってたので68hホイホイとしてこの作品書き上げました(何と)


ちょろっと感想。

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
えっちぃのは『めっ』なのよ〜っ!!!>(p>д<)==p)`ν゚)・;'.、(イメージ/えぇ)
ちびっこ楽しみにしております…笑

220 ◇68hJrjtY :2008/06/24(火) 17:28:35 ID:EUTNfdx60
なかなか出現できず申し訳ないorz
小説はアレアレですが、ヲチだけはしてます(*´∀`)b

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
第二次ミリアお子様計画発動!…の前兆といいますか。なにやら怪しげな二人組が。
今回はそれ以外にもミカエルとエルフの里との繋がりも明らかになりましたね。やっぱりエルフは良い人たちだ!
異次元の黒箱とはまたなんとも怪しげなアイテムの出現。でもフィナ姉、その状態じゃ全然迫力が(ノ∀`)
フィナ姉という女王様のいる兄弟、その弟と妹に掛かるトラウマと過去なんかも気になりながら。
次回楽しみにしています。

>黒頭巾さん
そうか、冒頭の昔話シーンはこんな風に繋がるんですね。「名前」って本当に大事だと思います。
今回の小説、「精霊のご加護」は今までに無いほど戦闘シーンに力が入っていたように感じました!
68ホイホイ!?…そうですね、読み始めたハナから"武道キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!」と悦んでいましたが
もちろんそれだけじゃなくてなんだか最初はくっつきそうも無かった(?)この二人がどうなるんだろうとか
武×サマとか関係なく純粋にラブラブ小説として堪能させていただきました(*´д`*)
そしてお約束、「乙!!!1」には吹きました(笑)
次回作も楽しみにしております!

221 国道310号線 :2008/06/25(水) 02:11:50 ID:Wq6z33060
ご無沙汰しております。
現在、第三話が出来上がって清書の段階なのですが、
黒頭巾さんの『精霊のご加護』と激しくネタが被ってしまいました。
サマナー主人公で自然界の声が聞こえる聞こえないネタのシリアスもの(半分ギャグ)です。
本来なら投稿は控えるべきな上、大した内容じゃないのですが、もし許しを願えるなら投稿させていただけませんか?

222 黒頭巾 :2008/06/25(水) 17:39:27 ID:fou9k2gM0
>68hさん
そうです、最初と最後で繋げてみました(*´∀`)ウフフ
名前は親からの最初の贈り物とはよく言いますものね…私は名前負けしているので本名苦手ですが…orz
ギャグ書きなので戦闘シーンって普段はあまり触れない部分、触れてもネタに走ってしまったり…折角なので、勉強がてら書かせて頂きました。
力が入っていると感じて頂けたなら幸いです。
最初からラブいのもイイですが、くっ付きそうでくっ付かない関係もまた大好物です。
1ネタはGチャでよく目にするのでつい…最初から最後までシリアスに出来ない天邪鬼な私です(ノ∀`*)ペチン
次回作、ギャグのとシリアス再挑戦のを最終チェック中なので、ご希望なければアミダでどっち投稿するか決めておきます(待って)


>国道310号線さん
わー、お久しぶりですー!
ファンタジー系では被りやすいネタだとは思いますし、お気になさらず!
私も過去ログと被ってないかヒヤヒヤモノですし…チェックで見逃してないとイイなぁ(´・ω・)
お気遣い感謝ですが、投稿を控えるなんて言わないで是非是非ぺたりと投稿して頂ければ嬉しいですよー!
国道さんファンな私、モニタの前で正座して楽しみにしております(*´∀`)ウフフ

223 黒頭巾 :2008/06/25(水) 23:36:08 ID:fou9k2gM0
ふぁみりあいーえっくすシリーズ番外編?
 未知との遭遇 〜ESCADA a.k.a. DIWALIさんチのコの場合〜

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――ある晴れた日の午後。
古都の喧騒の中を歩く一人の青年。
右手に持つ杖は捻じ曲がり、彼が魔術師である事を物語る。
左手には先程手に入れたばかりの魔術書が。
GHへ戻るまで耐え切れず行儀悪くも読みながら歩く彼を、人々は避けて歩く。
魔術師という人種は、自らの興味を示す分野には並々ならぬ情熱を燃やし恐ろしいまでの集中力を見せる事を……一般市民ですら知っているからだ。
GHまで後100m――そろそろ本を閉じようとした彼は興味深い一文を見付け、つい食い入るように見てしまった。
自然と足も止まる。
そして、往来の真ん中で突然止まると如何なるかと言うと。

「うにゅ!」

くぐもった悲鳴と同時に、背中へ走る衝撃。
――そう、ぶつかるのである。
軽くよろけた衝撃でも落とさなかった本を慌てて閉じ、彼は振り返る。
その動きに合わせて、陽光を受けた眼鏡がキラリと光る。

「あぁ、申し訳ない……怪我はないかな」

目の前で鼻を押さえる少女の目線の高さまで屈み、しっかりと目を見て謝罪する。
そんな彼に、少女は抑えていた手を放し、笑顔で両手をぶんぶん振る。
大丈夫と言うアピールなのだろうが――若干、鼻の頭が赤い。

「ふみゅっ,ミリア大丈夫なの!これからは気をつけるの〜,ごめんね,おにいたんっ」

一息に言った後、少女はぺこりと頭を下げて駆けて行ってしまった。
その後を、「ミリアはドジなんだから、もっと気をつけないと危ないさ〜」とか言いながら、緑の悪魔が追いかける。

「嗚呼……止める間も、きちんと謝罪する間も、なかったな……」

既に小さくなった少女とファミリアの後姿に、Gメンにして幼馴染の少女を思い出し、苦笑する。

「ファミたんとあのコみたいですね……って、今……あのファミリア、喋って……ました?」

ファミリアが喋ったという事実に固まった彼は、答える者のない問い掛けを口にする。
もし訓練次第で喋れるのだとしたら、あのコの連れているファミたんとも会話出来るのだろうか。

「これは……試す価値はありそうですね……」

驚きに少し下がった眼鏡をくぃと上げて、微笑んだ彼はGHテレポーターへ向けて再び歩き出す。
彼の脳裏は、あの小さなファミリアと会話出来たら嬉しいという事で一杯で。

「ファミリアが喋るなんて有り得ないー!」
「真昼間から寝てるんじゃないのー?」
「これだからマスタは……立ったまま夢を見るなんて危ないじゃない」

――そんな彼がGメンに一斉に非難されるまで、後5分。

******************************************************

ちょっぱやで書き上げてみました。
先程、チャットで少々お話して頂いた時のESCADA a.k.a. DIWALIさんの発言を元ネタにアレンジさせて頂きました。
こんな感じで、また他の作家さんのキャラお借りしても宜しいかしら…(゚д゚ノ|

224 防災頭巾★ :削除
削除

225 防災頭巾★ :削除
削除

226 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/06/26(木) 22:49:45 ID:fXH8Jej60
>黒頭巾さん
ちょっ,いけめんさんが何だかカワイイぞwwww
彼ってひょっとするとロリコンどころか『小さくて可愛いもの好き』なのでは,と思いました。
それに勢いだけで書いた駄文をここまでアレンジして頂けて嬉しいです,ありがとうございます〜

それと昨日はいきなり退席してしまい申し訳ありませんでした,また機会があれば色々おしゃべりしたいですね^^

227 ◇68hJrjtY :2008/06/28(土) 16:37:40 ID:FYKDTrxw0
>黒頭巾さん
ミリア+ファミィがゲスト登場゚+.(○´∀`ノノイエーイ
こうして見るといけめんさんとミリア、案外相性抜群だったりして(笑) えっちぃのには二人とも耐性無さそうですし!(何
蚊帳の外ながらあの書き手さんとこの書き手さんのこのキャラとあのキャラの相性はどうなんだろうとか色々妄想しています(*・ω・)
そういう意味でも白猫さんには是非とも武道会小説を頑張って!と言いたいところですが
だったらお前も小説書け!と返されそうで怖いので言いません…orz
しかし水面下ではチャットの方は盛んなのでしょうか…常駐参加できず申し訳ない(*- -)(*_ _)

228 国道310号線 :2008/06/29(日) 05:59:43 ID:Wq6z33060
第三話は黒頭巾さんの『精霊のご加護』と被った内容となってしまいました、申しわけございません。
投下のお許しはいただいたものの、実質私の我がままで投稿しています。
それはNGだろう、という方はスルーお願いします。



◆ストーリー紹介
この物語はオアシス都市アリアンを拠点とするギルド「セレスト・クルセイダーズ」を中心としたドタバタ劇です。
飽きやすい作者の都合により毎話ごとにストーリーと主人公が変わっていますが、大体、剣士ブルーノが出張っています。
一話だけでも読める作品を目指しているものの、細かいネタなどは前の話を読んでいただいた方が分かりやすいという事態に陥ってまいりました。

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・小説スレ六冊目

 第一話 〜 ミニペットがやってきた! 〜
 前編 >>487-490 後編 >>563-569

 第二話 〜 狼男と魔女 〜
 1 >>784-787 2 >>817-820 3 >>871-874 4 >>910-913

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こんにちは、私の名前はミモザです。
ギルド「セレスト・クルセイダーズ」の飼育係兼サマナーをしています。
あの時、私を助けてくれたのは誰だったんだろう。


第三話 〜 赤い呼び声(1)〜


―ファウンティンス・ハイランド
古都ブルンネルシュティングの遥か北にあるこの土地は、未だ人の手が及ばぬ未開の土地である。
そこはハイランダーという亜人の魔物が支配しており、冒険者であっても安々とは近づけない。
ハイランダー達が住むハイランド洞窟、その更に奥深くに隠された空間があった。
切り立った断崖の上に存在する石造りの遺跡内を魔力の炎が揺らめきながら照らしている。
自然が生み出した岩窟に突如現れる巨大な人工物は、とうの昔に打ち捨てられ朽ちかけた煉瓦が過ぎた年月を物語っている。
ただ、半永久的に消えることの無い灯火と錆付いた古の機械人形が帰らぬ主人を待ちわびていた。

薄暗い遺跡の通路に風のうなる音と獣の悲鳴のような鳴き声が反響する。
ミモザは狼が竜巻の風圧になぎ倒されたのを見るや否や右に飛びのいた。
胸の辺りまで伸ばした薄い金髪と赤いフードつきのマントがなびく。
襲い掛かってきた別の狼の牙は彼女の露わになっている左上腕の皮膚を切り裂き血をにじませた。
「っ!」
緑色の瞳がわずかに歪められたが、腕をかばいつつ狼からバックステップで距離を取る。
「おらぁ! おめぇの相手はオイラだってぇんだ!!」
着地した狼の正面に彼女の召喚獣ケルビーが回り込んだ。
火と鎧を纏った魔人の姿をしているケルビーの腕は槍のように先鋭に変形しており、炎を上げて狼の口腔を貫き上げる。
口から串刺しにされた狼はビクリと痙攣すると体の内と外から焼かれていった。
彼女が使役する召喚獣は自然界の元素を具現化したものだ。
一般にサマナーと呼ばれる者達は森羅万象の声に耳を傾け、心を同調させることにより、その大いなる力の燐片を操る。
また、中には人よりも自然に近い存在である魔物も味方にできる者もいた。

仲間を倒され、周りを囲んでいた狼達の動きが止まる。
これで残りの狼の数は前方に三匹、後ろに四匹。
対するこちらはケルビー、同じく魔人の姿をした風の召喚獣ウィンディーとペットの巨大なスッポンの三体。
三体はミモザを守るように彼女の周りを固めていた。
狼一匹一匹はそれほど脅威ではないが、群れで行動する彼等は統制の取れた攻撃を仕掛けてきた。
今も闇雲に攻撃せずにこちらの出方を伺っている。
しかし、それはこちらとて同じ、サマナーの戦術の優れた点はしもべ達との息の合ったコンビネーションにある。
飾り気は無いが素朴な感じの木製の笛を握りなおすとミモザは大きく息を吸う。
そして、ゆっくり吐き出すことで心を静め、不安や恐れといった雑念を払っていく。
「ケルビー、ウィンディ、金ちゃん。 いくよ。」
静かに、しかし、力強く囁かれた言葉に召喚獣達もしっかりした声で応えた。

229 国道310号線 :2008/06/29(日) 06:02:01 ID:Wq6z33060
ミモザと狼が動いたのはほぼ同時だった。
「突撃!」
笛で相手を指し示し、三体それぞれに異なる命令を出す。
前と後ろから1匹ずつ飛び掛ってくる狼、それぞれをケルビーとウィンディで迎え撃たせた。
金太郎も前方へ向かわせたが、歩みが遅いので狼へすぐには達しない。
弾丸のように駆けてゆくケルビーの後ろをミモザは付いて走った。
(まずは相手の陣形を崩さなくっちゃ。)
狼との間合いを詰めたケルビーは纏っている炎を激しく燃え上がらせ腕の槍を狼へ突き刺す。
若干大振りなこの一撃を狼は体勢を低くして召喚獣の右手へかい潜り、そのまま懐へ飛び込み反撃しようとするが灼熱の炎の壁に阻まれる。
火そのものとなっている下半身への攻撃を諦め、離脱しようとする狼をケルビーは返す刃で薙ぎ払った。
それならばと応援に入った狼二匹がケルビーの両側から彼の喉笛目がけて火を飛び越える。
「甘ぇぜ!」
意気のよい声を上げると、ケルビーは片腕だけでなく両腕を刃へ変化させる。
大口を開けて迫ってくる2匹の牙を硬質化した腕で頭をガードする形で防いだ。

ケルビーが前方の狼達を相手にしている隙にミモザは更に前へと逃れる。
これで狼達に挟まれていた状態を突破することに成功した。
ミモザは踵を返すと金太郎の位置を確認する、もうすぐ彼はケルビーに追いつこうとしていた。
「ウィンディ! 来て!」
すぐに笛で指示を出し、後方の狼四匹と乱闘しているウィンディを自分の方へ呼び寄せる。
「追いつけるもんやったら、追いついてみぃ!」
噛み付いてくる狼達の間を風のようにすり抜け、召喚獣は戦線を退く。
その後を狼達はぴったりと追いかけた。
途中、狼達はのろのろ歩くスッポンの巨大な体を通り抜けようとしたが、異常な威圧感に足を止める。

威圧感の主は金太郎だった、大岩と見紛う甲羅を背負ったスッポンは水掻きの付いた耳を逆立てて威嚇する。
これは只の威嚇ではない、ミモザが金太郎に下したのはペットに特技を使わせる命令。
ペットが技を出そうとした時に発される気で相手の注意を向けさせることが出来る。
それを脅威と見た狼達は標的を変えると、関を切ったように金太郎を襲う。
金太郎は特技は出さずに手足首を甲羅に引っ込めると猛攻に耐えた。
(まだ… まだだよ。)

十歩、九歩…

今度はケルビーを金太郎の元へと移動させる。
ケルビーは狼に自分を追わせるように牽制攻撃をしながら、指定された位置に進む。

…六歩、五歩、四歩…

意のままに群れを操る羊飼いのごとく、こちらが有利な陣形へと相手を誘う。
気づいた時には逃れられない篭の中へ相手を捕らえる。

…二歩、一歩、…零!

<<フレームリング>>
<<ゲイルパンチ>>

カウント・ゼロと同時にミモザと召喚獣の張り上げた声がシンクロする。
指定位置の金太郎にケルビーが接触すると、彼を中心とした円周上に炎が巻き起こった。
それに合わせて、ウィンディの竜巻が金太郎を攻撃していた狼とケルビーを追ってきた狼を巻き込む。
強い風に煽られ火の嵐となった起爆点はすべての狼を呑み込み、とぐろを巻きながら激しく炎上した。
身を焼かれる狼達の断絶魔が遺跡中に響き渡る。
その声にミモザは眉をひそめ顔をゆがめたが、笛を握り締め紅蓮の嵐をまっすぐに見つめていた。


嵐が過ぎ去った後、物言わぬ狼達の亡骸がボトボトと落下する。
「ふぅ…」
緊張の糸が切れたミモザは、その場にペタリとへたり込んだ。
ハイランド洞窟の遺跡に足を踏み入れてから、戦闘回数は両手の数を超えようとしていた。
「おぅ、ミモザ。 腕はでぇじょうぶか?」
ケルビーは彼女に近づくと顔をのぞき込む。
「平気だよ、そんなに深くないもの。」
傷口から溢れた血液は一筋の流れを作っていたが、気に病むほどではない。
ズキズキした痛みはあるが、ちゃんと腕も動く。
この程度なら召喚獣達の負った傷の方が深いほどだ。
彼女はカバンから消毒薬と包帯を取り出すと、テキパキと傷の処置にあたった。

230 国道310号線 :2008/06/29(日) 06:04:12 ID:Wq6z33060
ミモザの治療を受けているケルビーにウィンディは詰め寄る。
「おんどれの攻撃が遅れたからミモザが怪我してんど、分かっとるんかいコラ。」
「んだと、この鳥頭! だいたいおめぇの風は温ぃんだよ。 ちゃきちゃき倒さねぇからオイラがトドメを刺してやってるんじゃねぇか。」
「攻撃しか能無い単細胞に花持たしてやっとるに決まっとるやろが、この犬っころ。」
至近距離で眼つけ合う二体の召喚獣、その巨体の間に剣呑な雰囲気が漂う。
洞窟特有の湿り気を含んだ風が両者に吹きつけ、岩の切れ目をくぐり抜けると寒々しい音を鳴らした。
「てやんでぇ、やるってぇのか?」
最初に動いたのはケルビーだった、人と同じ形に戻していた腕を再び鋭い槍に変形させると半身をずらし構える。
「泣き見るんは、おんどれじゃ。」
受けて立つとばかりにウィンディはカギ爪をむき出すとファインティングポーズを取った。
一発触発の召喚獣の間にミモザは割って入り、二体を片手と背中で押しやる。
「もう、ケンカしないで。」
こういう事態は慣れているのか、彼女は三体の手当てを完了させたうえ、自分の腕にはしっかりと包帯を巻き終えていた。
ぐいぐいと押すも、何かとすぐに小競り合いを始める二体は武器を収めない。
「ほら、金ちゃんはしっぽを探してくれているよ。」
彼女は狼達の死骸の中から、焼けていないしっぽ毛をのそのそと選っているスッポンを誉めた。

金ちゃんこと金太郎という名のスッポンは、彼女のギルドメンバーである剣士が金を産むスッポンと偽られて買ってきたものだ。
案の定、水洗いをすると普通のスッポンだった金太郎はたまにミモザと冒険に赴いている。
金太郎は戦闘で乱れた狼の毛皮から綺麗なしっぽ毛を見つけると、それを誇らしげに咥えてみせた。
バチリと火花を散らせ、ケルビーとウィンディは競うように狼へと駆け出す。
仲が良いのか悪いのか、肩を並べて目的の物を探す召喚獣にミモザは笑みをこぼした。


彼女達が採集しているのはギルド紋章を作るために必要な筆の材料だ。
紋章品と呼ばれるそれらの材料は、いずれも人里離れた辺境でしか手に入らず、量もあまり取れない。
希少価値が高ければ値段も張る、そのためセレスト・クルセイダーズでは現品収入を図っていた。
各人それぞれが少しずつであるが七種類ある紋章品を集め、残るはここハイランダー洞窟の狼から取れるしっぽ毛のみである。
ギルド紋章用の上質な物は一見しただけでは見分けがつかないが、戦闘でも痛まずしなやかさを保っていた。

ミモザ達は通路から少し外れた鉄格子の影に場所を移し、休憩を入れることにした。
抜け落ちた煉瓦の上に座った彼女は、首にかけてある布袋へしっぽ毛を入れると大切そうに胸元へ仕舞う。
「もう少しあった方がいいのかな。」
集まった毛束は彼女の細い小指ほどしかなく、布袋はぺちゃんこのままだ。
「狼なら飼っているってぇのに、そいつの毛じゃダメなのけぇ?」
「ここの狼じゃないとダメみたいなの。」
さっきの戦闘で取れたしっぽ毛は元の一匹分にも満ちていなかった。
遅々として進まないアイテム収集にイライラしているケルビーをミモザはなだめる。
一匹から取れる量が少ない以上、もっと多くの狼を狩らねばならない。
「よし、休憩終わりっ。」
彼女はマントに付いた土埃を掃って勢い良く立ち上がる、しかし、突然の目まいにタタラを踏んでしまった。
なんとか転ばずにいた彼女にウィンディは肩を貸す。
「なんや、フラフラしよってからに。 …もう帰った方がエエんちゃうか?」
紋章品集めをやり出して以来、我が家にしているギルドホールへ戻る日は段々と少なくなっている。
召喚士と言えどミモザは十五歳の少女だ、長旅と慣れない土地での戦闘続きで疲労が溜まっているのであろう。
「…まだ、大丈夫。」
ミモザは寄りかかっていたウィンディから身を離し、自分の足で体を支える。
既に他の材料を集め終えたギルドメンバーが、こちらに合流するとギルドチャットで言っていた。
ギルドチャットとは耳打ちの一種で、全ギルドメンバーと同時に会話し合うことが出来る。
彼女はギルドメンバーがたどり着く前に、少しでも多くのしっぽ毛を集め彼等の負担を減らしたかったのだ。

231 国道310号線 :2008/06/29(日) 06:05:14 ID:Wq6z33060
その時、鉄格子の影から狼が飛び出してきた。
「こんな場所にも出よるんかっ。」
彼女達を見つけ、遠吠えをする狼にウィンディーは舌打ちをする。
この遺跡の通路は数日間歩き回って、狼の通り道を把握したつもりだったが目算が甘かった。
彼女は自分の失態を悔やむと、笛をホルスターから取り出し右手に構えた。
「一昨日来やがれってんだっ!」
身を炎に包み、ケルビーは飛び掛ってくる狼へと突進した。
現れた狼は二匹、大した脅威ではない。
片方をケルビーに任せるとミモザはもう一匹にウィンディと金太郎を向かわせた。
ウィンディの放った竜巻で足止めされた狼に金太郎が噛み付く。
戦局は完全にこちらの優勢だ、彼女は追撃を指示すべく召喚獣との媒体である笛に意識を集中させる。
「ミモザっ、左だ!」
ケルビーの叫びにミモザはハッとそちらの方向を見やる。
いつの間にか彼女に忍び寄っていた狼が飛び掛らんとしていた。
(先に襲った狼は囮!?)
彼女はとっさに後ろへ飛びのいた、右腕を負傷してしまった時より遠くへと無意識にジャンプする。
しかし、それがいけなかった。
狼は避けれたが着地した地面が崩れ、彼女はバランスを失う。
「きゃっ」
石の破片がぶつかり合いながら落ちる音に少女の悲鳴が混じる。
踏み止まろうとした先は石畳がなく、彼女は通路の脇にポッカリ空いた闇の中へと飲み込まれてゆく。
刹那の間、飛び掛ってきた狼と目が合った。

‐落チロ‐

憎しみに染まった瞳がそう言ったような気がして、ミモザは伸ばしかけていた腕を下ろす。
「「ミモザ!!」」
主を助けようと召喚獣達は彼女の後を追い、奈落の底へと飛び込んだ。


空中でミモザを受け止めたウィンディは彼女を抱いたままハイランダー洞窟の深淵をゆっくりと降りていった。
50メートルほど落ちただろうか、通路は遥か頭上にあり、ぼんやりとした明かりが闇に境界線を作っている。
岩肌は切り立っている上、染み出す地下水のため湿っていて滑りやすい。
落ちれば一巻の終わりだと理解しているのか狼達は追ってこないようだ。
「おんどれは飛べん癖に意気っとんちゃうど、しかも、わしにしがみ付きよってからに。」
ごつごつした岩肌の地底に着いたウィンディは煩わしげにケルビーを見た。
「誰がおめぇにしがみ付くってんだ、オイラはミモザを抱いてたんでぃ!」
着地するやいなや、ウィンディから離れたケルビーはケッとそっぽを向く。
ケルビーの手は彼女をガッシリつかんでいたが、飛行能力を持たない彼はウィンディにぶら下がっていた状態だった。
「うっ…」
苦しげに彼女がうめく、意識を失ってしまった彼女の額にはうっすら汗が浮かんでいた。
「ちぃとばかし熱があるな。」
手のひらを彼女の額に乗せると、ウィンディーは顔をしかめる。
先程肩を貸した時に違和感があったため、帰還を勧めたが少々遅かったか。
「そぉか? しかし、人間てぇのは生温くていけねぇなぁ。」
同じく体温を見たケルビーだが、彼は首を傾げた。
「おんどれが熱すぎるんじゃい、ボケ。」
火の召喚獣、言わば火そのものであるケルビーと人間を比べるのが間違っているのだ。

ぐったりした少女の体は徐々に熱を帯びていき、彼女を抱いているウィンディの体温もどんどん上がっていくようだ。
いや違う、高温の源は彼女ではない。
「早よインシナ切れや、暑苦しゅうてかなわん。」
「い、今切ろうとしていた所でぃ!」
戦闘時に使う高温の炎を纏う術を発動したままだったことを指摘されたケルビーは急いで術を解く。
自身の魔力を落とすと、ガクッと全身の力が抜け、ケルビーの周りに魔力の光が散った。
ケルビーは召喚獣第一形態である、長いしっぽを持つ真紅の犬に戻ってしまった。
彼の炎で明るく照らされていた周囲は一瞬にして闇に包まれる。
「アホ、誰がパワーアップまで解け言うた?」
思わぬ事態に愕然としている彼にウィンディは呆れた声を出す。
「違わい! 勝手に解けちまったのよぉ。」
大分身長差が開いてしまった相棒を見上げ、ケルビーは吠えた。
召喚獣のランクは術者の精神力に依存する。
第三形態を保てなくなったほど、ミモザは衰弱しているのか。
そうこう考えているうちに、ウィンディからも魔力が光となって抜け落ちる。
つむじ風の上にトンガリ帽子を被せたような姿に戻ったウィンディは驚く間もなく地面へ落下した。
「ぐべぇ。」
ミモザを支えられるだけの体を失った彼は、そのまま彼女の下敷きになった。

232 国道310号線 :2008/06/29(日) 06:06:42 ID:Wq6z33060
気を失っている主人、ランクが落ちてしまった自分達、おまけにここは人が寄り付かぬ魔境の地下深く。
道具類が入っているカバンは何処かヘ吹き飛ばされたようで見当たらなかった。
絶体絶命の危機的状態を打開しようと、召喚獣達は知恵を絞る。
「こういう時はチャットで助けを呼ぶぜ!」
「ケルビーにしては冴えてるやんけ。」
ケルビーは早速チャットを試みたものの、やり方が分からず眉間にシワを寄せる。
ミモザが楽しげに会話しているのを見ていただけで、彼自身やったことがなかったのだ。
こう、目を瞑って精神を統一して…、そこからの手順が全く分からない。
それはウィンディも同じだったようだが、何か思い出したようにバッと顔を上げた。
「アレや! 半角スラッシュの後に名前+半角スペースや!」
「…何言ってんのか全然分からねぇぜ。」
意味不明の暗号を唱え始めるウィンディにケルビーは、平常を装っているが実はべらぼうに焦っていやがるなと思った。
そんなケルビーの冷めた視線に気が付いたのか、焦ったようにウィンディは空高く飛び上がる。
「エエか、わしが助けを呼んでくるさかい、ミモザを頼むで!」
そう言い残し、彼は闇の彼方へ消えていった。
しばらくウィンディが去った方向を見ていたケルビーは、横たえさせたミモザに視線を移す。
熱っぽい息づかいで胸を上下させている少女に、彼は静かに寄り添うと地に伏せた。
(こいつが辛い時に、また何もしてやれねぇのか…)
ケルビーの脳裏に昔の苦い思い出が蘇る。
彼は己の歯痒さにケッと息を吐き出すと、そびえ立つ漆黒の壁を忌々しげに見上げた。



つづく


--------------------

修正に手間取ってしまい投下が遅れました、すみません。

>黒頭巾さん
投稿のお許しとお心遣いありがとうございます!
あんなあらすじで良ければいくらでもリスペクトしてください。(笑
隠れ黒頭巾ファンの私が本人からファンと言われた日にゃあ、赤面爆死しそうですよ。
武道サマナ小説はにへにへしながら熟読させていただきました。
歌からSSシリーズは2曲目は知らない曲だったのでチェックしてみました。
原曲の端から見たらギャグなのにリアルでありそうなうすら寒い世界観が赤石の世界と見事に融合しています…

>68hさん
先のチャットでいただいた68hさんのリクエストもあり、
今までとは違うシリアス色の濃い作品を目指しました。
しかし、キャラ付けのために方言を使ったせいか初っ端からギャグの臭いがプンプンします。
力不足を反省しつつ、いつの日か完全シリアスものでリベンジできればと思います。

>スメスメさん
クエストで狩りに行った蟲の洞窟のカニに苦戦した懐かしき思い出が蘇りました…
騒ぎながらも夢を語り合ったアイナーが変貌してゆく様が物悲しいです。
アルとキリエの2人組みの冒険談を楽しみにしています。
スメスメさんの一人称の書き方は場面の見せ方が好きで参考にしています。

>みやびさん
初めまして、ひよっこ小説書きの国道と申します。
メインクエ関連データの書き出しありがとうございます。
私もメインクエは進めてはいるものの、記憶は薄れつつあるのでとても助かります。
リレー小説の企画立ち上げもお疲れ様です! 丁寧な書式やキャラ設定の話はとても参考になりました。
私はご覧の通りの遅筆のため、リレー小説参加は難しいかと思います… 草葉の陰からヒッソリ応援しております。

233 国道310号線 :2008/06/29(日) 06:08:15 ID:Wq6z33060
>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
ティエラさんのカッコ良さに痺れつつもラフィーナさんの行動にいけない気持ちになってしまいます。
ミカエルとミリアに忍び寄る妖しい影… 特にミカエルを狙う相手は強敵そうです、ガンバレミカエル!
ギルド・ウォー・コラボ! 面白そうと思いつつもいいネタの提供できるか不安です。
もし、キャラを使っていただけるのなら、好きなように扱ってください!

>姫々さん
セラとタスカのギクシャクした関係が解決するのだろうかとハラハラしていましたが、
両者が両者を思っていたという展開にじーんときました。
クールなタスカとルゥの戦闘シーンがカッコイイです! 
姫が変身したピンク色の武器は可愛いくて好きなので、登場すると嬉しくなります、続き楽しみにしています!

>177さん
初めまして、こんな透明感のある作品に惚れる国道と申します。
淡々とした語りの中に見え隠れする寂しさや愛情がなんとも儚いです。
理想は理想、現実は現実と割り切っている女性の強さに憧れを抱きました。
またの投稿お待ちしています!

>aY5Buyq.0さん
初めまして、戦闘シーンになるとパッタリ筆が止まる国道と申します。
戦闘シーンって難しいですよね… 私も他の方の戦闘描写を見るたびに尊敬の思いを募らせています。
主人公くんのシュールなキャラが見ていて楽しいです。
まだ十代なのに浮世離れしている彼の今後の活躍が気になりまくります、続き楽しみにしています!

>白猫さん
戦いが終結に近づき一息入れている修行編にもかかわらず、読んでいると高揚感が高まります。
それにしても、「今の"倍"強くなれ、」とは… あらためてルヴィラィの強さに戦慄を憶えました。
最大の山場を迎えるルフィエとネルの物語、天下一コラボの執筆頑張ってください!
そして、早くも次回作のお話が…!
盗賊や山賊がいるんだから海賊もいてもおかしくないですものね!
船に乗ってもテレポーターと同じく一瞬で現地に着いてしまうのが寂しい国道でした。

234 ◇68hJrjtY :2008/06/29(日) 16:36:11 ID:5az2n5xw0
>国道310号線さん
サマナたん主人公な小説ですが、セレスト・クルセイダーズ物語の続編でもあるわけですね!お待ちしてました。
さてさて、今回はシリアス戦闘シーンが光っていましたが、サマナの戦闘シーンというのもやっぱり楽しそう。
黒頭巾さんの武サマ話でも思いましたが、新キャラではサマナをやってみたくなるくらいでした(*´д`*)
それだけではなく召喚獣たちの個性的な事。本来協力関係なハズのケルビーとウィンディがケンカ仲良し&浪速系兄さんになってる(ノ∀`)
個人的には金ちゃんが気に入りました!って、また騙されたんかいブルーノ(笑)
個々の話は短編ながら、セレスト・クルセイダーズが成長していく国道さんの小説。続きお待ちしています。

235 黒頭巾 :2008/06/29(日) 22:31:53 ID:fou9k2gM0
ふぁみりあいーえっくすシリーズ番外編?
 未知との遭遇2 〜国道310号線さんチのコの場合〜

******************************************************

僕の名前はふぁみりあーえっくす。
とってもとっても(中略)とーっても素敵なごしゅじんさまのぺっとだ。
僕のごしゅじんさまがどれだけ素敵かお話しだしたら止まらなくなっちゃうから……気になる人は過去ろぐ参照で!
今日はそんなごしゅじんさまとお買い物に来てるんだよ!
おあしす都市ありあんは、今日も盛況だ。
ごしゅじんさまは僕が逸れないように、抱っこしてくれてる。
途中でばんへせるさんのお店に寄って、きゃんでぃーを買ってくれたごしゅじんさま。
目指す装備を売ってる露店を探して、裏通りを歩く。

「うーん、惜しいなぁ……これじゃ、ちょっと補正が足りない」
「あちゃー、それは残念だなー。 ねーちゃんの探してる補正のもん、見付かるの祈ってるよ!」
「ありがとう」

露店主さんと会話しながら、露店をぐるぐる。
たまにはこんなお買い物も楽しいね。

「あ、いいかも」
「はい、らっしゃーい」

このお店は、気さくなごきぶりさんのお仲間さんがお店番。

「これ、ちょっと気になるけど……ちょっと勉強してくれないかな?」
「お、お嬢ちゃんプロだねぇ。 わかった、ちょっと座りーね」
「交渉おっけーなのね、ありがとう!」

難しい数字のお話をしだしたごしゅじんさまのお邪魔にならないように、僕は近くをきょろきょろ。
あれ、ちょっと離れたとこに何かある。
何だろう?
恐る恐る近寄ってみたら、何か茶色い塊。
じーって観察してみたら……あ、動いた。
ってことは、生きてるのかな?
僕の視線に気付いたのかぱちりと目を覚ました茶色いこは、浮かび上がろうとして……落ちた。
まるでお腹が空いて元気が出ないみたいに、しおしおやつれてる。
それを見詰める僕の手の中には、大好きなごしゅじんさまがくれたきゃんでぃー。
食べたい、凄く食べたい……けど。
目の前のこのこの方が、凄くお腹が空いてるみたい。
だから。
はい、どうぞ。
僕が差し出したきゃんでぃーを眺めて、茶色いこは困ったように空中でくるんと回った。
遠慮しなくていーよ?
そう言ったけど、茶色いこはふるふる首を振るだけ。
困ったなぁ。
そこに、ご用事を済ませたごしゅじんさまがほくほく顔でやってきた。

「あら、ファミちゃん……そのコ如何したの?」

そこで行き倒れてたの。
僕の答えにごしゅじんさまの目が驚きに見開かれた。

「……捨て子?」

必死にぷるぷる首を振る茶色いこ……何処にそんな元気があったんだろう。
あ、やっぱりへろへろ地面に落ちた。

「ご主人様と逸れたのかな? お腹空いてるのね」

きゃんでぃー差し出してるのに、食べてくれないのー。
虫歯さんなのかなぁ?

「ファミちゃん、このコはミニペットって言って、キャンディーは食べれないのよ」

ご飯は装備品なのよー、だって。
おー、このこが最近噂のみにぺっとさんだったんだね!
確かに、ごしゅじんさまの言葉通り……茶色いこの目線は、僕の槍に釘付け。
こ、これは代わりがないからだめ!
可哀想だけど、僕は槍を後ろに隠した。

「あ、さっきの狩りで出た店売り品、まだあるよ」

ごそごそ鞄を漁ったごしゅじんさまは、防具をいくつかと武器をいくつか並べた。

「うーん、このコ……何型なんだろ」

悩むごしゅじんさまの姿に、僕は前に聞いたお話を思い出した。
みにぺっとさんは何種類かあって、種類によってご飯が違うって事を。

「いつもご主人様に貰ってる系統のを選んで食べてくれる?」

ないすなごしゅじんさまの言葉に茶色いこは頷いて、全部を取り囲むようにぐるぐる回った。

「あら、雑食なのね。 はい、どうぞ」

ごしゅじんさまの差し出す剣を、茶色いこはんごんご飲み込んだ。
凄い……びっくり人間しょーみたい。
人間じゃないけど。

236 黒頭巾 :2008/06/29(日) 22:32:39 ID:fou9k2gM0

「ん、かなり元気になったわねー」

すっかりつやつやになった茶色いこは、ありがとうって、ごしゅじんさまの周りをくるくる回った。

「ご主人様にご飯貰ってないの?」

心配そうに首を傾げるごしゅじんさまに、茶色いこは必死でぷるぷる首を振った。
ご飯を貰ってるのに、何で行き倒れてたんだろう。
僕もごしゅじんさまも、頭の上に?まーくだ。
と、茶色いこがはっと何かに気付いて、慌てて飛んで行った。
向かった先には、はんらさんの姿?
あ、似てるけど違うはんらさんだ。

「お、てるみつくん、こんな所にいたんだな!」

探したんだぞーと豪快に笑ったはんらさんの周りを、てるみつくんと呼ばれた茶色いこがくるくる回る。

「君達は?」
「そこでそのコがいるのを見掛けて、迷子かなと……ご主人様が見付かってよかったです」
「そっか、ありがとう!」

にっこり笑ったごしゅじんさまに、そのはんらさんが笑顔を浮かべた。
あ、てるみつくんが、こっそりはんらさんの鞄にお金を入れてる。
もしかして、貰ったご飯を売ったのかな?
はんらさんはごしゅじんさまとのお話に夢中なのか、気付いてない。
と、そのはんらさんは自分を呼ぶ声に気付いたのか、後ろを振り返って声を上げた。

「ここだよ、テラコッタ! すぐ行くよ!」

遠く女の人に手を振ったはんらさんは、振り返って僕達にお別れのご挨拶。

「じゃ、行かないと。 またな!」
「はい、また」

ばいばーい。
見送る僕達の目線の先、はんらさんとてるみつくんは楽しそうにお喋りしながら歩いていく。

「お、てるみつくんてかてかじゃないか。 そんなに餌美味しかったか?」

うんうん頷くように尻尾を振るてるみつくんに、はんらさんは嬉しそうに笑った。

「貰った餌、如何してるんだろ……」

ぼそりと呟いたごしゅじんさま、やっぱり気付いてなかったみたい。
でも、これはないしょないしょなんだよ!
あの時目が合ったてるみつくん、言わないでって言ってたような気がするもん。
きっとね、ごしゅじんさまを思う気持ちは、みにぺっともぺっともご一緒。
また会えたら、きっといいお友達になれると思うんだ。
いつか、そんな日が来ればいいなぁ。

******************************************************

第二弾は国道さんチのコをお借りしました。
コレ、初めてチャットイベントでお会いした時から書きたかったんですよねぇ(*´∀`)
てるみつくん大好きだよ、てるみつくん(*´д`*)ハァハァ
快く許可して下さって、ありがとう御座いました(*ノノ)


さて、レス返し。

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
いけめんさんは何処を目指しているのでしょうねwww(ちょ)
ロリコンというよりは、“自分より小さな庇護すべき存在”に対して優しいんだと思います(ノ∀`*)ペチン
いえいえ、あれがあったのでつい妄想が膨らんで☆―(ノ゚д゚)八(゚д゚ )ノ―☆
あれは仕方がないですし、また機会があるのを楽しみにしておりますー(*゚д゚)b

>68hさん
二人ともえっちぃのは耐性ないっぽいのできっと気が合いますよ!笑
ぶっ飛ばすミリアちゃんと、真っ赤になって固まるいけめんさん!(後者情けないだろ←)
色んな作家さんの誰と誰で○○したらきっと△△…とか色々想像してしまいますよね!(ぇ)
68hさんの筆が進まないのに無理にとは言いませんので安心して下さいませ(*´∀`)
書き上がったら全力で読ませて頂きますが!(ぁ)
いえいえ、常駐は義務でないのでお気にならさず…お時間ある時にお会い出来ましたら嬉しいです(ノ∀`*)ペチン

>国道310号線さん
ぎゃぁ、こちらこそ赤面です!(*ノノ)
あの曲は現実では本当にありそうで恐いですよね…今度はまたSHでやりt(ry
わっほーい、金ちゃんってあのコですよね、第一話のオチのコ!
読んだ瞬間、即座に思い出してしまって(・∀・)ニヤニヤが止まりませんでした(自重)
G紋章の材料は、スウェブしか集めたコトないんですよね…他はそんなに大変だったのか!ガクガク(((((゚д゚;)))))ブルブル
ケルビーとウィンディの喧嘩漫才にもう笑いが止まりませんですよ!
こう来たか!爆笑
サマナーって実は育てたコトないので、戦闘シーンとか凄く勉強になりました…うぅ、サマナ作りたい!
個人的にツボだったのは、ミモザが手を降ろした理由です(´;ω;`)ウッ
ミモザの変調の原因と過去話、そわそわしながら続きを待っております!(ΦωΦ)フフフ

237 国道310号線 :2008/06/30(月) 00:00:23 ID:Wq6z33060
遅ればせながら、天下一コラボ用キャラクター設定です。
よろしくお願いします。


ブルーノ・グランディ 男 19歳

にぶい色の青髪に青眼、中肉中背の良く鍛えられた身体。
あまり身なりは気にしないので、髪の毛はボサっています。

ギルド「セレスト・クルセイダーズ」所属の剣士。
笑顔がたえない温厚な性格だが、仲間や弱い者を傷つける者は容赦しない。
元気で何事にもバカ正直に突っ走ります、人に騙されること多数、
しかし、ポジティブ思考なので本人はそんなに気にしていません。
ボケかツッコミかと聞かれたらボケです。
天下一参加理由は腕試し。

一人称:俺

口調は穏やかめ、イメージは体操のお兄さん。
相手を呼ぶ際は、君(女の子)、おまえ(男の子)、その人の名前(敬称なし)等。

戦闘方法:
一発の威力より、スピードを活かした手数重視の速度型。
そのため防具はショルダーパット・イージスといった軽装で、剣はグラウディス。
単体物理です、剣士スキルは一通り使えます。



以下レス返しです

>◇68hJrjtYさん
実は今回戦闘シーンも力を入れてみましたが、蓋を開ければギャグが半分を占めておりましたorz
サマナーは好きなキャラなので、そう言っていただけると嬉しいです!
召喚獣の方言は現地民の方が聞いたら怒り出しそうなくらい適当にしゃべらしているので、
ノリと勢いで読んでいただければありがたいです。(笑

>黒頭巾さん
うひゃー! てるみつくん&ブルーノ使っていただきありがとうございます!
きゃんでぃーを差し出すふぁみりあとてるみつくんの掛け合いが可愛くてイイ!
こんな、ほのぼのながら少し切ない物語に仕上げてくれるなんて、 …感激です。
ニヤニヤしながら読ませていただきました。
はい、ご察しの通り、スッポンは例のコです。 
紋章品集めクエは多少誇張している部分もありますが、面倒臭さが伝わればいいなと思って書きました。

238 ◇68hJrjtY :2008/06/30(月) 12:23:17 ID:b0o6OAWA0
>黒頭巾さん
てるみつくんキタ━o┃*´・ω・┠o━! そして食べたー(笑)
ふぁみたんの短編、なんだか久しぶりに読んだ気がします。でもやっぱり和ませてもらいました(*´д`*)
そうか、ふぁみたんの視点でははんらさんはどれも同じなんですよね(笑) 闇はんらさんも居ましたっけ(ノ∀`)
---
小説は…筆が進まないというよりあまりにもブランク長すぎて自分の書き方を忘れたというかorz ←それが進まないって事や!
書きたいと思っているネタの地点まで進めないんですよね…でも、皆さんに期待されてる(?)ようですし
いずれなんとか一作品だけでもUPできたらいいなとは思っております( ̄^ ̄ゞ

>国道310号線さん
おぉ、サマナ好きさんでしたか!
武道やっててもなかなか周囲にサマナ友人が居ないもので悲しい限り。イイ娘がいたら紹介して下さい(待
私も現地人ではないですがしかし関西弁を召喚獣が喋るという設定が面白いので良いじゃないですか!
そんなの気にせずガンガンどうぞー(笑)

239 防災頭巾★ :削除
削除

240 ドワーフ :2008/07/01(火) 20:34:04 ID:AepyIIHk0
『梅の花』

彼がうちを訪ねてきたのは、随分と昔のことですね。今でも鮮明に覚えていますよ。
ええ、その頃にはもう両目を閉じていましたよ。杖をついてやってくる客なんて初めてでした。
しかも、その杖に腰の刀の刃を仕込んでくれなんて注文ですからね。嫌でも覚えてしまいますよ。
当然尋ねましたよ。目も見えないのにそんなものを扱えるんですか?護身用にしては物騒すぎやしませんかってね。そうしたら…いやはや、店の中を飛んでいた蝿を斬ってしまったんですよ。あれには参りました。
誠心込めて、精一杯の仕事をさせて貰いましたよ。
仕事を終えて杖を引き渡すときに、彼に尋ねたんです。その目は一体どうしたんですかって。全く不謹慎なことですよね。しかし、私としても仕事をした相手のことをちょっとでも知りたかったのです。あれほどの腕前の方なら、さぞかしすごい武勇の果ての負傷なのだろうと。
彼は私の質問に苦笑していましたよ。私の期待している答えは出せないという感じでね。今までも散々尋ねられていたのでしょう。
”自分で潰した”
そう言ったんです。私はさらに尋ねました。どうしてそんな事をしたのかと。
彼は話せないと言いました。ただの気の迷いだと。
そうなると益々知りたくなりましてね。お代は結構だから教えてくれとせがみました。
長々と説得しましたら、ついに彼も根負けしましてね。その日は早くに店をたたんで、店の奥で酒を酌み交わしながら彼の話を聞きました。
”助けたいと思っていた女を、逆に斬ってしまった”
彼はそう言って語り始めたのです。

ザトーとハナが出会ったのは南端の田舎町からブリッジヘッドへと向かう街道でのことだった。
ハナは父親に借金のカタに売られた女。買い取ったシーフどもによって幌馬車に荷物などと一緒に乗せられ、ブリッジヘッドへ運ばれていく途中だった。
街につけばハナには女郎の末路が待っていた。彼女自身そのことは良く分かっていたが、抵抗する事も無く諦めていた。シーフどもは物分りがいい女だと、さぞかし喜んだ事だろう。
さて、その幌馬車を襲撃する一つの影があった。義賊ザトーである。
彼は尋常ならざる剣さばきでシーフどもを切り伏せると。幌馬車の進路をブリッジヘッドからアウグスタへと変えてしまった。
ハナはというと、外の異常は騒ぎで聞きつけてはいたが、得体の知れぬ何者かに対する恐怖から荷物の陰に隠れ潜んでいた。
アウグスタの近くまでくると、ザトーは幌馬車を停めて急に中を改め始めた。
ザトーの目的は当時シーフどもの手によって広がりを見せていた麻薬のルートを絶つこと。南方の肥沃な土地に麦の栽培に紛れて麻薬の原料が作られているという情報を受けての襲撃だった。それは都市内への麻薬の流入を危惧したアウグスタからの依頼であったが、それが偶然にもハナを奴らから解放する事になったのだ。
結果としてザトーは麻薬の原料を発見。そして同時に隠れて震えていたハナも発見する。
ザトーにしてみれば全く予想だにしない発見であった。彼は動揺を押し隠し、怯えているハナをまず落ち着かせるために言った。
「安心しろ。助けに来た」
ザトーはハナを幌馬車から降ろし、彼女を落ち着かせようと努めた。
「君はどこから連れてこられたんだ。無事に送り帰してやるから教えてくれ」
そうザトーが尋ねた時、ハナの強烈な平手打ちが彼の頬に炸裂した。彼女は突然泣き出し、助けたはずのザトーを責めるように大声で喚き始めた。
「帰るですって!?一体どこに帰れっていうのよ!あたしは父親に売られたのよ。帰る場所も、行く場所も、もうどこにもないわ。これからどうすればいいの?どうやって生きていけばいいの?助けに来たですって…どこが助かったっていうのよ!」
そう言って彼女はへたり込むと、顔を手で覆った。
「生きていかれるだけ、女郎にでもなったほうがまだマシだった…」
そう言ってハナは泣き続けた。
ザトーは頬を抑え、泣いている女をじっと見つめながら誓った。自分の言ったことを守るため、義賊の誇りにかけて彼女を助けようと。

241 ドワーフ :2008/07/01(火) 20:35:44 ID:AepyIIHk0
ザトーはハナを連れて旅に出ることにした。今までも旅がらすとして生きてきたが、今回は目的地の定まった旅だった。目指す場所は新興王国ビガプール。彼の国では南に豊饒な土地を見つけ、耕地開拓のための人手を必要としていた。
農家の手伝いをしていたことがあるというハナならば、受け入れてくれるかもしれない。それにシーフどもがメンツのために彼女を連れ戻そうとする可能性があったが、ビガプールであればその点も安心だった。外国のシーフを城下町に立ち入らせるほど衛兵も甘くはないだろう。
旅に出る準備をしている間、ハナは幾度と無く本当にいいのかとザトーに聞いてきた。名前しかろくに知らぬ女のために、何故そこまでするのか分からないという感じだった。通常であればハナのような女など捨て置いてしまうか、アウグスタの教会にでも預けて厄介払いをしてしまうところだろう。だが、それでは全く助けた事にはならないという彼なりの信念のためにそうしなかった。
海路を避けてアウグスタから北上し、陸を街道に沿って砂漠まで迂回してビガプールを目指す。かなり長い旅路を女を連れて行かねばならない。しかし、もう決めてしまった事だった。
ザトーとハナはアウグスタを発って一路鉱山街ハノブを目指した。
街の外を行くなら普通は護衛に傭兵を雇うものである。しかしザトーはそんな事はしなかった。他人の助けを金で借りるなど彼の誇りが許さなかったし、ハナを一人でも守れる自信があった。
だがその自信は彼女にとってはかなりの不安となっていたようだ。たった二人きりで行く街道は、彼女にとって心細いことだったろう。
それにハナは決して丈夫な女ではなかった。道中で何度も休むことになったが、彼女自身それを良しとせずすぐに歩みを再開してはまたすぐに休むことになるのだった。ザトーに世話になっているという意識からか、足手まといにはなりたくないという様子だった。
予定通りとはいかなかったが、なんとか二人は日が沈むまでには鉄の道を渡りきった。

242 ドワーフ :2008/07/01(火) 20:36:23 ID:AepyIIHk0
ハノブに着くとザトーはすぐに宿を取り、ハナをそこで休ませて自分一人だけ宿を出てしまった。ザトーに対して心のどこかでまだ疑いの気持ちを持っていたハナは彼の後を追いかけた。もしかしたら彼は自分を騙しているのではあるまいか。遠くの国へ行くといっていたが、もしかしてそこで自分を売るつもりなのではないか。ザトーに対してそんな疑念を抱きつつ追いかけた。
ザトーの行き着いた先は、街の一角にある小さな一軒家だった。中からは女性と小さな子供が出てきて彼を出迎えていた。彼の家族だとハナは思った。小さな我が子の頭を撫でて、妻と楽しそうに話している。それはハナの心にとってとても遠く眩しい光景だった。
ザトーはお金の入っているらしい小さな包みを妻に渡すと、家を後にした。男の子がずっと手を振っている。
しかしザトーの用事はそれでは終わらなかった。別の家に行き、別の家族に出迎えられ、またお金を渡して去っていく。そうして数件を同じようにお金を配って回った。中には夫の居る家族も見えた。
ようやく用事が済んだのか宿のほうへ歩き始めたザトーの前に、我慢できなくなってハナは姿を現した。
「一体何をしてたの?」
「鉱山での事故で亭主を亡くした家族、怪我で働けなくなっている家族に生活のための金を配っていた。アウグスタからの報酬でね」
ザトーは驚いた風もなく平然と答えた。ハナが追いかけてきているのに気づいていたのか、それとも予想していたのか。
「何でそんな事をしてるの?何の得にもならないのに」
「得ならあるさ。彼らの感謝の言葉が聞ければ、それこそが俺にとっての本当の報酬なんだ」
ハナは理解できないという風に首を振った。
「ただの自己満足でしょ」
「意外と難しい言葉を知ってるんだな」
ザトーは少し困ったような表情で笑った。
「人の一生の中で、心から満たされる瞬間はどれだけあるだろうか。人それぞれだろうとは思うが、俺にとってそれは他人の言葉に勇気付けられるときに他ならない。たとえそれが他の人にとって変に見えたしても、俺は自分自身のために、他人に尽くす」
ハナはぼうっとザトーの横顔を見ていた。彼の言う事が理解できないわけではない、だが彼女のこれまでの生き方が彼を否定していた。
「それより丁度良かった。宿に戻る前に買い物をしていくぞ。君も来るんだ」
そう言ってザトーはハナを連れて一軒の店に入った。
「好きなものを選べ」
そう言われた彼女の前に並んでいたのは杖だった。魔法使いのための物ではなく、旅行用のものだ。
「君はあまり足腰が丈夫ではないようだからな。杖の一本でもあったほうがこの先少しは楽になるだろう」
ハナは老人じゃあるまいしと内心思った。しかし、道中度々休憩を取って足を遅らせていたのは事実だった。仕方なく彼女は杖を選び始めた。
彼女の目は小さな梅の花が描かれた一本の前で止まった。

243 ドワーフ :2008/07/01(火) 20:37:15 ID:AepyIIHk0
それからの道中、ザトーが買ってやった杖は思った以上に効果を発揮した。体重を分散できるためか、足への負担が減ってハナはあまり休む事も無くなったのだ。
そこからの道程は順調になると思われたが、今度はザトーが歩みを遅らせた。ブルンネンシュティグが近づくにつれて人が増え、人が増えると人助けをせずにはいられないザトーの性分が災いしたのだ。
おかげで彼らはしばらく古都に留まる事になってしまった。ハナは他人のために動くザトーに困惑し、目的を忘れてやしないかと心配していたが、次第にこれでいいのではないかと思い始めた。
自分が生きる事だけに精一杯だったハナにとって、ザトーの生き方は理解し難いものから憧れの対象に変わっていたのだ。それほどに彼は自由に生きていた。
しかしあまり長く留まり過ぎた事が最初の過ちだった。ブリッジヘッドのシーフどもがハナを取り戻しにやって来たのだ。
その時はザトーがいち早く気配に気づき、シーフどもを追い払ったが彼はそこでまたミスを犯してしまう。シーフを一人取り逃がしてしまったのだ。しかもザトーの正体に気づかれてしまった。
ザトーはシーフどもの間ではかなり名の知れた存在だった。それだけに今度はハナを狙ったりはしないだろう。足手まといを得た彼の元に必殺の刺客を送り込んでくるに違いなかった。
こうなると流石のザトーも道を急がざるを得なかった。自分と一緒に居るとハナにも危険が及ぶ可能性があったが、今更他人に任せて行けと言っても彼女は首を縦には振らなかった。
しかも、彼女はビガプールへ行くことを嫌がってしまったのだ。決して足手まといにはならないからと、ザトーと共に居たいと言い出したのだ。
ザトーは嫌がる彼女を説得し、引っ張るようにブルンネンシュティグを発った。
しかしその時にはすでに彼らの行く先ではシーフどもが送り出した刺客が待ち構えていた。
そいつは人間ではなかった。

244 ドワーフ :2008/07/01(火) 20:38:00 ID:AepyIIHk0
砂漠のオアシスにある小さな町リンケンに立ち寄ったザトーとハナを訪ねる人物があった。その人物は町の住人で、娘が連れ去られてしまったと言って一枚の紙を彼らに差し出した。その紙には娘を返して欲しければ、ザトーという旅の男を北の地下墓地へ向かわせろとあった。
ザトーは罠であると知りつつもそこへ向かわざるを得なかった。ハナには町に残るように言ったが、やはり彼女は頑として聞かなかった。連れ去られた女性を連れて逃げる事を約束させて、ザトーはハナを連れて向かった。
墓の中は暗く、嫌な死霊の気配などを感じつつもザトーたちは墓の奥へと進んで行った。
連れ去られた町人の娘は意外と簡単に見つかった。意識もしっかりしており、乱暴をされた様子はどこにもなかった。
「そいつは連れて行け。ただし貴様は残れ」
低い声が聞こえてきた。刀を抜いて構えるザトーの前に、小さな仮面の悪魔が現れた。
「早く連れて行け」
ザトーは悪魔から目を離さずハナに言った。ハナは気をつけてとだけ言って女性を連れて出口へと急いだ。
ハナと女性の姿が見えなくなると、ザトーは悪魔に聞いた。
「人質に使うんじゃなかったのか」
「人質?たかが人間相手に?」
悪魔は嘲るように笑った。
「そのたかが人間に従って俺を狙ってきたんだろう」
「違うな。ゴミを利用して原石を探しているんだよ」
悪魔はそう言ってまた笑った。くぐもった不快な声だった。
「良い原石だ。長い戦いに鍛えられた強さが見える…実に、美味そうな魂だ」
ザトーはその悪魔に激しい嫌悪感と恐怖を感じた。そしてそれを振り払うかのように刀を振るうと、悪魔に向かって駆け出した。
ザトーが一太刀を浴びせようとしたとき、悪魔は手の平から小さな光を発した。すると、ザトーの目の前に彼の両親の姿が現れた。
驚いて動きを止めたザトーに向かって、母親の腹から刃が突き出してきた。ザトーは咄嗟に刀で受け止めて後ろに飛び退いたが、わき腹に浅く傷を受けてしまった。
両親の姿が崩れて消え去ると、剣を差し出している悪魔の姿が現れた。
「あっさり決まると思ったんだがな、そうもいかなかったか」
そう言って悪魔は剣を振り払って血を落とすと、ザトーに近づいてきた。

245 ドワーフ :2008/07/01(火) 20:38:44 ID:AepyIIHk0
ハナと町娘が墓から出てくると、地上には町の人々が待っていた。心配して来たのだろう。
娘の無事な姿を見ると、皆が歓声を上げた。娘を抱いて泣いている父親の姿を見て、ハナも自然と涙が出そうになった。しかしハナは溢れそうになった涙を拭い去ると、再び墓の中に戻ろうとした。
「どこへ行くんだい」
町の人が言った。
「あの人がまだ中で戦っているのよ。すぐに助けに戻らないと!」
「ちょっと待った。あんたに何が出来るんだい?足手まといになるだけじゃないのかい」
しかしそんな町人の声を無視して彼女は墓の中へと入っていった。
墓の中の暗い通路を急いで進みながら、彼女は思った。
自分にもきっと何か助けになることが出来るはず。足手まといになんかならないと証明すれば、そうすればきっとあの人も認めてくれる。きっと、ずっとそばに居る事を許してくれるはず。
そう思うと、暗い地下墓地すらも怖くなくなった。

戦況は一変していた。
ザトーは最初苦戦を強いられてはいたが、悪魔を確実に追い詰めていた。
恐らくこの悪魔は人間を相手に長く戦った事が無いのだろう。今までの者は最初に見せられた幻に動揺してあっさりこいつに殺されてしまったに違いない。それだけに、何度も見せられてそれがただの幻だと気づくと驚くほど脆かった。
幻影を無視して陰に隠れているこいつを斬ればいいのだ。
人気のない墓場に呼び出したのはこの悪魔にとっての最大の間違いだろう。死霊の魂によって力が得られるなどと言っていたが、結局他に人が居ないと分かれば幻など全く問題にならなかった。
悪魔はもう戦う気力もほとんど無い様子で、身体のあちこちの傷跡から黒い液体を血のように垂れ流していた。
「とどめだ」
ザトーは悪魔に向かって刀を構えた。勝利が決まったも同然のこの状態が、彼の注意力を奪っていた。
悪魔が目を反らして、何かに気づいたというその様子を見逃していたのだ。
ザトーは悪魔との間合いを詰めていった。攻撃の間合いに入ったとき、悪魔の手が光った。
刀を振り上げたザトーの目の前にハナが両腕を広げ、横飛びに飛び出してきた。
「また幻か!」
ザトーは構わず刀を振り下ろした。
刀はハナを切り裂き、返り血を彼に浴びせた。

246 ドワーフ :2008/07/01(火) 20:39:28 ID:AepyIIHk0
「なんで…どうして…」
「ごめ…ん…なさい」
血まみれでハナを抱きかかえ、これまで見せた事もない混乱した様子でザトーはハナに問いかけていた。
「あなたが…やられそうになってるのが…見えて。……それで」
「だからって飛び出してくる奴があるか!」
ザトーは涙声で叫んだ。
「それより…あいつが逃げる……」
「あんな奴なんかほっとけ。今はこっちが先だ」
ザトーはハナの身体を抱きかかえると、這いずって離れようとする悪魔を無視して駆け出した。
「下ろして…」
「すぐだ、すぐに地上に出られる。町に戻ってすぐに治療するんだ」
ハナの言葉など聞こえていない様子でザトーは走った。だが不思議な事に、いくら速く走っても地上の光は見えてこなかった。
「もういいの」
「いいものか!俺はお前を助けると言った。だから、何が何でも助ける!」
「あたしはもう助かった。人は人を利用するものだと思ってた。あたしは…人に利用され続けて生きていくんだと思っていた。でもあなたは違う。あたしの生きたいと思える生き方を見せてくれた。初めて誰かのために尽くしたいと思った。初めて、人を好きになれた…あたしの心は、あなたに救われた…」
ハナがそう言うと、ザトーの視界に眩しい光が差し込んだ。
まるで先ほどまでそこに見えなかったかのように、突然地上への出口が現れて彼を照らしていた。
「おいハナ。出口だ」
ハナは小さく、静かに息を吸って、それきりだった。

いやはや…、なんとも悲しい話ですね。
きっとあの杖もハナさんに買ってあげたものだったんでしょう。
汗で掠れてしまったのかもしれませんが、うっすらと梅の花が描いてあったような気もします。
そうそう、ここからは余談なんですけどね。
彼が出て行ってから数年もすると杖を持った冒険者を見かけるようになりましてね。
中には目をつぶってる人なんかもいたんですよ。はっはっは。
おや、あなたも杖なんか持っちゃって。流行はとっくの昔に過ぎちゃってますよ。
ん……?
その杖……あ!ちょっと待ってくださいよ!
ちょっとー!!

247 ドワーフ :2008/07/01(火) 20:48:01 ID:AepyIIHk0
梅の花>>240-246
あとがき
お久しぶりです。覚えてくれてる人いるかなと不安になりながらも、
久々に書きあがったものを出してみます。
ちゃんと短く切って改行しとかないといけませんでしたね…。
読みにくかったらごめんなさい。

今回はユニークアイテムの一枝梅の刀をモデルに書いてみました。
一枝梅の刀→ソードスティックのU→杖の仕込み刀→座頭市
という連想から主人公の名前をザトーにして、盲目の剣客の話を書いてみようと…
とはいえ、剣客ではなくユニークの説明文にしたがって義賊ですが。
本当はもっと道中の話なんかを長々と書いてみたいななどと思ったんですが、
そこまで気力が持たず、短くまとめてしまいました。
マルチェドと違って救いのない話ですが…いえ、救えてはいるんですがね…。

248 白猫@報告 :2008/07/02(水) 17:49:12 ID:y.2k6V060
どうも、意味もなく湧いて出てきた白猫です。
天下●武道会の設定がほぼ完成し、後はトーナメント表の作成のみとなっています。
参加キャラは計17名。@参加職人さんは私を含め9名。各職人の方々、ほぼ2キャラずつ出演させています。
次回チャットイベントの際、トーナメント表を決定したいと思っています。
その時までなら、天下●への飛び入り参加も歓迎しています。是非どうぞ!

……さて、[Puppet]最終章が先ほど完成しました。後は投稿を待つだけとなっております、

が。

サイズがなんとまぁ 102KB もあります。確実に30レスは消費してしまう量。
ということで、最終章を分けて投稿するか一気に投稿するか現在葛藤しています。
皆様がよろしければ一気に投稿しようと考えていますが(一つの流れになってるので切りにくい、っていう…)、やはりこの場合は分けて投稿すべきですかね。
一応前後編に分けて投稿を検討していますが、その辺りの意見を頂きたく。

今日はとりあえず報告をば。
白猫の提供でお送りしました。

249 ◇68hJrjtY :2008/07/02(水) 18:46:11 ID:UdFsnD5.0
>ドワーフさん
Uアイテムの歴史シリーズキター♪そしてドワーフさんお久しぶりです。
今回のUは一枝梅の刀。RSで数少ない和名Uですが、それがまた座頭市の話とドンピシャ。
一枝梅の刀を仕込み杖にしてしまったというアイディアも驚きました。
でもあのグラフィックを見る限りではとても細くて一見杖に見えてもおかしくないですよね。あるいは本当に仕込み杖だったのかも。
こんな悲恋話があると思うと、今後一枝梅の刀を使う時にフイッと思い出しそうです(ノ∀`*)
ドワーフさんの次回作、お待ちしています。

>白猫さん
武道会&Puppet最終章、ほぼ完成ということでお疲れさ…と、この言葉は読んでからまた改めて(笑)
そしてまた30レス分とは…今までも相当な長さを誇っていた白猫さんの投稿ですが、これは最長記録ですね!?
私個人としては最終章ということもありますし、流れに乗ってだんだん高まるようにラストまで読み抜きたいという
個人的願望も含めて、一気に投稿するという案に一票。
ただ、ちょっと分からないですがこのしたらばBBSの仕様的に「連続投稿が可能かどうか?」というのがありますね。
試した事が無いので詳しい人に是非教えてもらいたいとは前々から思っていましたが。。
本家(?)2chの掲示板では連続した投稿が規制されている事もあります。ただ、ここが2chと全く同じとも思えませんしね。
以前出た改行数同様、このしたらば管理人さんが設定しているとは思われますが…この辺がクリアになれば是非。。

250 憔悴 :2008/07/04(金) 18:15:07 ID:Wv5HCA4E0
黒い地を音も立てず、人と思える物が歩く。
「此処も、久しぶりね」
人物は、黒いローブを脱ぐ。
その下には薄緑色の長髪が体の半分を覆っていた。
「風も、地形も、山も…変わらない」
兎が呼吸をするようなため息を付くと突風か、長い髪が左に揺れる。
「変わったのは…そう、この風くらいかしら」
聞いたら数分で忘れてしまいそうな蕭蕭とした声。
長くカールをした睫は大きな瞳をより一層と大きく見せる。
服の殆には小さな光る…宝石の様な物が散りばめられていた。
彼女は小さく息を吸い、腰から深緑色の笛を口に当てる。
声と同じく、笛の音も小さく高すぎる音で、すぐに風に消されてしまう。
「私も、変わってしまったのかも知れない…」
分厚い本を2冊、胸に抱える。
その本は血なのか、そういった模様なのか、赤く染まっていた。

昨日の場所が嘘のように黒い地は橙の太陽で照らされていた。
何もないように思われた土地は、家が数軒と、小さな店も並んでいた。
「あら、チェルちゃんじゃないの?」
「アレナのおばさま。元気でいらしたのですね、久しぶりです」
チェルと呼ばれた緑の髪の女性は微笑み、頭を下げる。
「大きくなったわねぇ。そういえばビカプールの東の方を調査されてたんですってねぇ。何か分かったの?」
「…い、いえ。何故か中に入れなくて。何かに守られているようですの」
「そうー。大変だけどがんばってねぇ。私はいつでも相談に乗るからねぇ」
「ありがとうございます。では、また」
チェルは其処から遠ざかると、人気の無い場所でコンパクトらしき物を開く。
そこには20代前半の青年が此方を睨んでいた。
「総帥直々にそんな危ない所に行くなんて…なにを考えてらっしゃるのですか!」
「他の隊員が言っても怪しまれるだけですわ。元々住んでいた私なら平気でしょう?」
「そうですが…ッ」
まだ何かを言いたそうにするが、チェルが区切り、
「それに、太陽が隠れると鬼になる住民…考えられませんわ。私の顔見知りばっかりですのよ?」
チェルはちら、とアレナの居る方向を見る。
「ですが、総帥も昨晩見たでしょう。夜は誰も居ないでしょう?その上アリアンの隊員の数人が見てるのですよ、リンケンの中で鬼を!」
「…もう少し調査して、何か分かったら連絡します…」
返事を待たず、コンパクトを閉じると、西の方角から空が黒く染まっていくのを目にする。

251 憔悴 :2008/07/04(金) 18:16:38 ID:Wv5HCA4E0
↑sageるの忘れていてすみません;

まだ最近のことだった。
その頃はまだ少し名の知れたビーストテイマーなだけだった、
そんなチェルの元に一通の白い便箋に入ったシンプルな感じの手紙が届いた。
総帥として活動することについて。
母がフランテルを治めていた者から総帥という地位を貰っていたことは知っていたが、まさかこんな自分に地位が移るとは思わなかった。
母はまだ都心で活動していたと思っていたから…
しかし、この頃にはもう彼女は感情を無くしていた為、然程のショックは受けなかった。
総帥としての活動はすぐ、というわけではなく、3,4ヶ月経ってからだった。
周りは年上ばかりの中、母の顔からか組織の全員は親しくしてくれた。
そんな中、ビガプールの貴族から依頼が来た。
その依頼の内容はこうだ。
ここ数日、町の若い女性達が夜中にビカプールの西にある地下遺跡へいくこと。
着いていき、自分らが入ろうとしても入れないこと、
そこへいった女性はいつの間にか家へ戻っていること、
しかし何回か夜が明けるたびにやつれ、終いに依頼主の妻が死んだこと、
まだその怪奇事件は収まってないため調べてほしい、とのことだった。
最初の内、付いたばかりの総帥、チェルは危険なため着いていかなかった。
しかし誰も入れないので、入り口まで行くことにした。
「ここが、その入り口?」
チェルが指差す場所には、大きな洞穴があった。
「そうです、しかしここを潜ってすぐ、扉が有り人一人入れないのです」
確かに、穴から中に入ることはできそうだった。
チェルは指示を出し、穴の中に入ってみることにした。
中は明らかに誰か、人間じゃないかもしれないが自然ではない造りをしていた。
「───…」
チェルは例の扉に右手を当てる。
静まり返った中、他の隊員は頭に疑問符を浮かべるが、チェルはあることを感じ取っていた。
"この扉は鼓動がするのだ"
「…なにもないですわ。けれど、少し調べたいことがあるので先に帰ってくださるかしら?」
その言葉を聞き、危ないんじゃないか…と少し心配顔を見せる隊員も居たが、総帥の明らかな確信を見、その場を去った。
(鼓動をする扉…いえ、鼓動じゃなくても振動でも…なにか手がかりがあるはずですわ…)
ふと、あるところを目にする。
扉と少し離れた場所に建っている石碑である。
其処には文字は書かれておらず、ただ石か何かをはめ込むようなへこみが4つあるのみ。
(…この大きさ…)
何か思い当たりがあるのか、鞄を少し漁ると、緑色の宝石らしき物をつかみ、左上のへこみにはめる。
カチ…と鈍い音がし、ぴたりとはまったと思うと、石碑のある反対方向の場所に入り口が開く。
「…なぜ父上が残してくれたエメラルドが…」
チェルは疑問を持ちつつも、奥の空間に進む。
…其処には一枚の紙が置いてあった。

252 憔悴 :2008/07/04(金) 18:21:46 ID:Wv5HCA4E0
途中途中穴が開いている紙は、見たところかなり古い物らしい。
チェルはくしゃ、と紙を握り締める。

そして今、だ
まだビガプールの事件は解決していないが、とりあえずリンケンの噂について調査を始めた。
その噂というのが、太陽が沈むと町人が鬼になる、という物だった。
リンケンに何度かいったことのあるチェルには信じられない話だった。
人が鬼に?そんなまさか。
そういったところだった。

゚・*:。.:・*:..:☆.+゚*゚+.。+゚゚.+:。.+:。☆゚+.。+゚゚.+:。.+:。+.。+゚゚.+:。.+:。☆

初めまして。
憔悴(しょうすい)と申します
今までROM専でしたが、
描きたくなったので描いてみました。
下手文ですが、暇つぶしにどうぞです。

253 ◇68hJrjtY :2008/07/04(金) 20:53:38 ID:rvBV3p4k0
>憔悴さん
初めまして&ROM専さんの執筆、ありがとうございます!
時折のROM専さんの投稿が実に嬉しい限りです♪
二代目総帥となったチェルの前に不思議な導きと共に口をあけた屋敷…
たった一人で入ってしまった(?)彼女ですが、この先に何が待ち受けるのか。
「父上のエメラルド」に反応した扉というわけで彼女にまつわる何かがあるのでしょうか。
続きの方、お待ちしています!

254 国道310号線 :2008/07/05(土) 03:34:02 ID:Wq6z33060
・小説スレ六冊目

 第一話 〜 ミニペットがやってきた! 〜
 前編 >>487-490 後編 >>563-569

 第二話 〜 狼男と魔女 〜
 1 >>784-787 2 >>817-820 3 >>871-874 4 >>910-913

--------------------

 第三話 〜 赤き呼び声(2) 〜
 1 >>228-232


前回のあらすじ: 紋章品集めの途中、ミモザが崖から落ちて遭難した


―― 呼んでいる、誰かが、私を ――

古都ブルンネルシュティングの西に位置する深い森は、街を包むように広がっている。
温暖な気候と肥沃な大地は豊かな自然を生み出し、様々な生命を育む。
人々はいつしか、広大な緑の土地をこう呼んだ、「グレートフォレスト」偉大なる森と。

木漏れ日が揺れる森の小道を、少女が大きな赤い犬と散歩していた。
薄い金髪を二つに下げ、萌ゆる草木と同じ色の瞳を持つ彼女は、何かをしきりにしゃべっていたかと思うと明る
い笑い声をあげる。
「それでね、ケルビーったら、おかしいんだよ。」
彼女は連れている犬ではなく、誰の姿も見えない空中に話しかけていた。
暖かい風が木々の間をすり抜け、ざわざわと葉音を鳴らす。
まるで、少女の言葉に応えるかのように。
「あー、そうなんだ。 うふふ。」
そして、彼女も見えないモノの返答に微笑みかける。

幼い頃、私は色んな声を聞くことが出来きました。
それは風の囁きだったり、花のおしゃべりだったり、動物のつぶやきだったり…
ありとあらゆるものが私に語りかけ、私の話を聞いてくれていました。
物心付いた頃から自然との会話は当たり前のことで、私にとっての日常でした。


歩いている道の脇から、今まで話していたものとは別のかすかな声を聞き少女は立ち止まった。
「ミモザ、どうしたってんだ?」
森の奥をじっと見つめる彼女に合わせ、隣を歩いていたケルビーも歩を止める。
「だれかが、痛い痛いって言ってるの。」
悲しそうな顔をしてそう告げると、ミモザはぎゅっと右手で自分の左腕を握った。
遠方から響く助けを求める声は、痛みも彼女の左腕に伝えさせた。
声の主を目指して茂みの中へ分け入る彼女をヤレヤレといった風にケルビーは見やる。
「気をつけろよ。」
彼は彼女を見失わないように、すぐさま後を追った。

青々した広葉樹の葉は太陽の光を浴びて宝石のようにきらめいている。
進むにつれ悲痛な声と森の住人達のざわめきが大きくなっていった。

−いるよ きたよ 大きいヤツ だれかいる もう動けない こっちいる いるよ いるいる−

「だれがいるの?」

−大きいの 黒いよ 知らない あんなの見たことない すごく大きい 怪我してる−

いつになく騒ぎ立てる声達、いつの間にかミモザは早足になっていた。
空が見えないほどに繁ったうす暗い雑木林を抜けると、少し開けた場所に出た。
小さい広場になっているその先は急な斜面が始まっており、木立に隠れて洞穴がポッカリ口を開けていた。
「この中だ。」
ミモザは迷う事無く洞穴の中に入る、
トゲが刺さった程だった腕の痛みは、まるで刃物で切り裂かれたように強くなっていた。
洞穴の入り口は小さかったが、中へ入るほど広くなっている。
訴えかける声はもうすぐそこから聞こえた。

少し歩いた洞穴の奥、闇の中にザワザワと蠢く巨大な影がある。
今まで感じたことの無い気配にケルビーはミモザの前へ一歩出ると低く唸り声をあげた。
「大丈夫だよ、ケルビー。」
彼女は勇敢なボディガードを下がらせると、相手を刺激しないようにゆっくり近づいた。
やがて暗闇に目が慣れていき、こちらを凝視する四対の単眼が浮かび上がる。

255 国道310号線 :2008/07/05(土) 03:34:56 ID:Wq6z33060

−近づくな、人間−

それは5メートルを優に超える深紫色の蜘蛛だった。
威嚇のため前脚を持ち上げるが、動作はひどく遅く、だいぶ弱っているのが見て取れる。
蜘蛛の制止にミモザは足をとめたが、自分の何倍もある巨大な相手を恐れる事無く見上げた。
「あなたが呼んでいたのね。」
この声、それに、振り上げている左前脚の大傷、間違いない。
痛みを感じる左腕に手を当てる、少女はあの声の主はこの蜘蛛だと確信した。
「あのね、痛いよ助けてっていう声が聞こえたの! だから、ミモザね、痛いの治しにきたの!」

やや興奮気味に話し出した彼女に、巨大な蜘蛛は戸惑った。
−おぬし、わらわの言葉が分かるのか?−
「うん!」
ハッキリと自分に答えた人間の子供を見て、蜘蛛は仲間から聞いたことを思い出す。
ビーストテイマー、魔物を使役し操る人間。
その者たちの中には、自然と共感し魔物の言葉を理解する者もいるという。
「…ねぇ、そっちに行ってもいい?」
ミモザは蜘蛛の傷ついた前脚をチラチラ見ながらたずねた。
左前脚の傷は脚の先から中ほどのまでバックリと口を開け、脚は今にも千切れそうだ。
痛いのを治しにきたということは、この左脚を治療したいのだろう。

彼女のやりたい事を蜘蛛は察したが、すぐに返答はしなかった。
ビーストテイマーに気を許すということは、自身が服従させられる危険性がある。
人間の下僕に成り下がることなど、彼女のプライドが許さなかった。
そうとは言え、今の脚さえ動かすこともままならなぬ衰弱した体では、自力での回復は絶望的だ。
屈辱的な生か誇りある死か、彼女は選択を迫られた。


−……かまわぬ、好きにしろ−

しばしの沈黙の後、吐き出す息とともに前脚を下ろす。
彼女は生を選んだ。
「うん!」
嬉しそうにパッと顔を輝かせたミモザは急いで蜘蛛に駆け寄ると、かけていたカバンから救命道具を取り出す。
そして、体液が流れるままに放置していた彼女の傷を治療し始めた。

「おめぇ、ここいらじゃ見かけねぇ面だが、何者だ?」
今まで成り行きを見守っていたケルビーが、大人しく治療を受けている蜘蛛に尋ねる。
蜘蛛を脅かさないようにとのミモザの配慮で彼女と距離を置いているが、万が一、蜘蛛が襲ってきた時に備えて
警戒は怠っていない。

−アラクノイド…、人間達がそう呼んでいる種じゃ−

この地より遥か北方に住んでいたが人間に追われ逃れてきた。
そう語る間、彼女はミモザの方を見ることは決して無かった。
蜘蛛から伝わってくる静かに燃える怒りにミモザはビクリと手を止めたが、そのまま傷薬を塗り続ける。

「はい、終ったよ。」
最後の包帯を巻き終わり、ミモザは笑顔でそう告げた。
傷は全身に及んでいたため、アラクノイドは蜘蛛のミイラのようになっている。
「しばらくは絶対あんせいだからね。 それから…。」
「おい、ミモザ、そろそろ帰るぜぃ。」
他に注意事項は無いかと思案していた彼女をケルビーは急かした。
洞穴の入り口から漏れる光は、すでに赤みを帯びている。
ミモザは慌てて散らかしていた道具をしまうと、ケルビーと共に外へ駆け出す。

−人間よ−

立ち去ろうとするミモザをアラクノイドは呼び止めた。
振り返った少女の半身は夕日を浴びて茜色に染まっている。

−他の人間にわらわの事を黙っていてはくれぬか? わらわを恐れて退治せんと此処に現れぬともかぎらん−

こちらを見すえるアラクノイドの瞳には、切実さが込められていた。
「うん、分かった。」
ミモザはうずくまったままの彼女に手を振ると、黄昏迫る森の中へと家路を急いだ。


あの頃の私は、森に入っては母から教わった治療術で生き物の怪我を治して回っていました。
彼女との出会いはそんな日常の一コマにすぎませんでした。
アラクノイドの頼み通り、彼女の事は私とケルビーと森のみんなだけの秘密にしました。

256 国道310号線 :2008/07/05(土) 03:35:52 ID:Wq6z33060
ーオアシス都市アリアン

「ミモザが遭難した。」
ギルドホールのラウンジに入ってきたアッシュが開口するなり言った言葉がそれだった。
黒い革の帽子マントとズボンにブーツといった全身黒ずくめの少年は、スタスタとラウンジ内を横切る。
ミモザと合流するため、出発の荷物をまとめていたブルーノとテラコッタは手を止めると視線で彼を追った。
「な、なんだってー!?」
呆気に取られていたブルーノは、ガシャーンと音を立てて傍の椅子に立て掛けていた剣を倒した。
彼は自分の鈍い青色の髪に比べて鮮やかな青色の目を驚きに見開いている。

「ど、ど、ど、どうしよう。」
「探してくる。」
焦燥した様子のアッシュはラウンジから外へ繋がる扉を開けた。
「待ってよ! どこから連絡が来たの?!」
一人先走るアッシュを追い、濃いブロンドの髪と赤目の少女テラコッタとブルーノもギルドホールの外へ出る。
アリアン郊外にあるギルドホール前は閑静で人通りがそれほど多くない。
只ならぬ彼等の雰囲気は、ニ、三人いた通行人の注目を集めるには充分だった。

「いや、あいつからの耳が来ないんだ。」
「へ?」
イライラした口調の彼にテラコッタは間抜けな声を返してしまった。
彼女から耳打ちチャットが来ないことと遭難がどう結びつくと言うのだろうか。
「…話が見えないんだけど。」
考えてみたが、テラコッタには見当がつかなかった。

彼は懐から高速移動用の魔法カーペット召喚巻物を取り出し、居ても発っても居られない感じであったが、早口
で説明し始める。
「最初は二時間おきに耳をしていた。」
その言葉にテラコッタとブルーノは二人して感嘆の声を上げる。
前々からアッシュはミモザに好意を寄せていた節はあったが、そこまで親密な関係になっていたとは。
冷やかしの視線を向けられる中、彼の説明は続く。
「だが、返事がなかったから、一時間後に耳をした。 それでも返事が無かったからその三十分後に…」
心なしか話の雲行きが怪しくなっている気がして、テラコッタは冷や汗を流す。

「…今は五分おきに耳をしているが返事が無い。 遭難の他に考えられないじゃねぇか!」
一気に話した為か息切れしている彼とは対照的に、テラコッタは冷静にツッコミを入れる。
「それ、一歩間違うとストーカーよ。」
「コミュ拒否にでもされたんじゃないのか?」
アッシュの話を聞いているうちに、落ち着きを取り戻したブルーノも悪戯っぽく言った。

「バッ…! そんな事あるかっ!!」
酷くショックを受けたアッシュは激しく取り乱すと、ブルーノをビシッと指差した。
「だったらブルーノ! お前も耳してみろ!」
「ああ、いいよ。」
彼は目を閉じると意識を集中させ、ミモザに呼びかける。
しかし、十秒、二十秒とたっても、彼女からうんともすんとも反応は無かった。
やがて彼は情けない表情で顔を上げた。
「返事が無い…。 俺もコミュ拒否された?」
「ふん、ざまないな。」
すっかり気落ちしたブルーノに、アッシュは何故か勝ち誇ったようにふんぞり返った。

「ちょっと、おかしいわね。」
テラコッタは怪訝そうに眉間にシワを寄せる。
犯罪に片足を突っ込みかけているアッシュはこの際置いておいて、お人好しのブルーノまでミモザがコミュ拒否
するとは考えにくい。
テラコッタも彼女に耳打ちをしてみたが、同じく反応はなかった。
タイミングが悪いだけなのか、ひょっとして本当に耳打ちできない状態なのか…。
「念のためマスター達にも伝えるわ。」
耳打ちからギルドチャットにテレパシーの回線を切り換えると、テラコッタは事の次第を話し始めた。

257 国道310号線 :2008/07/05(土) 03:36:30 ID:Wq6z33060
―ハイランド洞窟B2

垂直に近い切り立った断崖絶壁をケルビーの赤い体がよじ登っていた。
しかし、もろく崩れる岩に足を取られ、ガラガラ音を立てながら彼は滑り落ちる。
「ちっとも登れないぜ、こんちくしょう。」
気が長い方ではないケルビーは、助けを呼びに行ったウィンディを待っているなど到底出来ず、ロッククライミ
ングを試みていた。
だが、岩肌は湿気に濡れていて滑りやすくて、ケルビーの四本の足を持ってしても登ることは困難を極めている。

落石に当たらないように離れた場所で眠らせているミモザを彼は見返る。
崖下に落ちてから数時間たっているが彼女は目覚める気配が無い。
そのことがケルビーの焦りを募らせていた。
打ち所が悪かったのか病気なのか、どちらにしろ一刻も早く医師に見せなくては危険な状態なのかもしれない。
(いっそのこと死に戻らすか…?)
帰還アイテムが無いこの状況で、それは彼女を町に連れて行く最速の方法である。

冒険者の中には旅先で魔物との戦闘やダンジョンの罠などで命を落としても、いつの間にか町中で復活するとい
う不思議な事が起こる者がいる。
俗に『死に戻り』と呼ばれる彼等の存在は冒険者の間で真しやかに囁かれていた。
だが、それは稀な事で殆どの者は死亡、最悪の場合はゾンビやワイトといった不死者に身を堕とすため、自ら
試そうという愚か者はいない。
ミモザは死に戻れる事が分かっていたが、彼はその考えをすぐに振り払う。
蘇るとは言え、幼い時よりずっと共にいた、心を通わせてきた彼女の命を絶つことなど出来る訳がなかった。


他に登れそうな場所を探そうとした時、こちらに向かってくる足音を聞いたケルビーは身構えた。
ファウンティンス・ハイランドの魔物はいずれも強敵、第一形態のままでどこまで通用するのか。
近づいてくるのっしのっしといった鈍重なリズム、これは狼のものではない。
聞き覚えがあるそれにケルビーは体中の緊張を解いた。
「何でぇ、カメじゃねぇか。」
闇の中から姿を現したのは、ミモザの一大事にすっかり失念していたペットの金太郎だった。

金太郎は巨大な体に見合った緩慢な動きでケルビーに歩み寄ると、彼を頭からかぶりついた。
「痛ぇ! 放っておいて悪かったって! こちとら立て込んでいたんでぃ!」
頭を丸ごとかじられた状態でケルビーは暴れたが、金太郎のクチバシは彼をペンチのように挟んで放さない。
なおも不機嫌そうに金太郎は口をもごもごさせた。
「何っ? ”カメじゃなくてスッポン”だぁ?! 似たようなモノだろ!」
忘れられたことよりも種族にこだわる金太郎にケルビーは思わず脱力する。
彼の言葉が気に障った金太郎はより強く無礼な犬を噛んだ。

<プロストバイト>

「痛ぇ! 冷てぇ! 痛ぇ! 冷てぇ!」
冷気を含ませたスッポンの得意技が遠慮なく炸裂する。
気が済んだ金太郎にケルビーが解放された時には、彼の赤い体は寒さのため真っ青になっていた。



つづく

258 国道310号線 :2008/07/05(土) 03:37:15 ID:Wq6z33060
前回タイトル間違えました、”赤き”呼び声が正解です。
登場するたびにキャラが壊れていくのは仕様なので、お気になさらずに…。
アラクノイドは正確には「アラクノーイド」ですが、縮めた方がカッコ良く思えたので前者にしました。


>◇68hJrjtYさん
実は私の周りにもサマナは居ませ(ry
サナマは大人しいキャラという独断と偏見があったので、逆に周りの召喚獣達はにぎやかにしようと思いましたら
漫才が止まらなくなりました。
ウィンディが関西弁な理由は、鳥 → 鷲 → 一人称:わし → 関西弁 です。

>ドワーフさん
お久しぶりです、しっかり憶えていますよ。 作品お待ちしてました!
改行は難しいですね…。 私は五行くらいで切るよう心がけていますが、八行くらいになる場合が多いです。
ドワーフさんのキャラクターの心理描写や読み手の想像力をかき立てる手法は憧れます。
ハナの最期の言葉が目を潰してしまったザトーの光になることを祈りたい心持です。
個人的にザトーの名前の由来になるほど! と思いました。

>白猫さん
Puppet最終章完成&100KB超えおめでとうございます!
Puppetだけでなく、天下●の設定まで… その執筆力はただただ尊敬するばかりです。
小説は一気投稿で良いかと思います、白猫さんの表現したい方法で読ませていただきたいです。
それにしても、連続投稿規制は気がかりですね…。2chですと別の人の書き込み(別スレでも可)があれば
規制回避になるようですので、手伝えることがあれば協力します。

>憔悴
はじめまして、ここの投稿作品を見るたびに制作意欲がムラムラ湧く国道と申します。
ビガプールとリンケンで起こっている事件の関連性が気になります。
突然、母から総帥の地位が譲られたということは、まさかチェルのお母さんは…。
若くして総帥という地位についてしまったチェルの物語、続き楽しみにしています。

259 憔悴 :2008/07/05(土) 17:23:49 ID:Wv5HCA4E0
夜。
暗く風の冷たいリンケンの夜が来た。
チェルはあのまま、町の中を調査していた。
一つ気になったことがあったのだ。
跡継ぎの居なかった町長が死んでいたこと。
そして、見たことの無い少女がそのあとを継いでいた。
名前は、リーネというそうだ。
話を聞くと、リーネは町長がある日リンケンの東にある砂漠で倒れていたところを拾ってきたらしい。
町長の家へいくと、リーネは一言も話さずチェルの髪を見ていた。
緑色の髪のビーストテイマーなんて珍しいのだろうか、
それとも自分と同じ"異種の職"だと思っていたのだろうか。
チェルは表面テイマーと名乗っているが、
他人の回復、治療、蘇生というビショップに似ている技術が備わっていた。
極稀に、親がもし、テイマーとビショップならばそういった技術を持った子が生まれるらしい。
そして、リーネも同じく、中世の姫君の様な姿はしているが、髪がピンクだった。
聞く話、プリンセスとリトルウィッチに加え、高度な移動速度上昇や、炎の付加ダメージをつける技…
ウィザードの技も備わっているらしい。
もしかしたら、あの子は…
「チェルちゃん…」
ふ、と呼ぶ声がして振り返る。
其処には、鬼が居た。
しかし、声は確かにアレナだった。
「…鬼ですわね」
「…いくらチェルちゃんでも、こんなに早く仲間を見つけてしまうとは思わなかったわ…」
「仲間…?」
アレナ…いや、鬼は町長の家を指差す。
「リーネは貴方と同じ、異種職…私達に困る存在。消去しなくてはならない人物」
「異種職…気づいてらしたのね」
「リーネは一言もしゃべらない…殺す前に聞こう、お前らは地下界を調査して何をしようとしている?」
地下界…あの地下遺跡に入ったことについてらしい。
「…地下界はもう壊滅したのでは?記憶を失ったネクロマンサーや悪魔が放出されてるのはそれのせいでしょう?」
「まだいるさ…ネクロマンサーと悪魔の頭は天上界を襲うことに反対したが…我々鬼は違う…バカな事を考え追放されただけの奴らとは…」
と、鬼は空を見上げる。
「誰にも気づかれぬよう、この世界を鬼の住みかにし…後は…」
「…なんですの」
「4人いる異種職を殺すのみ。お前を含め、異種職を殺す前に探し出すもの…いや返してもらうものがある」
指で楕円を作ってみせると、それを4つ手に乗せる仕草をする。
「天上界の野郎達は…俺達の源を奪った後、検討もつかねえ所に隠しやがった…」
悪魔の住処に。
自分達の住処に隠された源は、つい最近それについて気づいたらしい。
しかしそこをあける4つの鍵は天上界のものによって、より力の強い者4人に渡された。
それが、異種職。
異種職はただ2つの職が混ざってるだけではなく、天上界のお偉いさんが考えて作り出したらしい。
たとえばプリンセスのただでさえ早くて痛いボトルにさらにダメージが乗り、速度が増したら。
ただでさえ本体は倒せないテイマーに、仲間の回復や蘇生ができたら。
4人がもし一緒に戦うようなことになったとしたら、強豪になるだろう。
「いくら人数がある鬼でも…倒せないだろう?あいにく記憶は無いようだから一人ずつ殺そうと…おもったわけだ」
「だから………私達を一人ずつリンチするわけですのね」

260 憔悴 :2008/07/05(土) 17:25:17 ID:Wv5HCA4E0
チェルは本に触れる。
と、ペット…リザードキリングが現れる。
「リーネは後でゆっくり追い詰める…まずはお前からだッッ」
鬼の鋭く、長い爪がチェルの居た場所に食い込む。
第三段階のケルビーが素早く召喚され、それに飛びのる。
そして、緑色の笛の音が鳴らし、
「がんばって…貴方達は凄いの。さあ、スリープ、ビューティ…いきなさいっ」
励まし、誉め…攻撃命令をだす。
ペットの周りを風雨が巻き起こり、素早く鬼に襲い掛かる。
しかし、鬼は鋭い牙を剥くと、チェルの居る方に走る。
「ペット相手していたらきりがないのでな…さあ、持っている魔石をよこせ!」
魔石とはエメラルドのことだろう。
どうやらあの鼓動の鳴る扉は4つの魔石が集まらないと開かないらしい。
いくらビショップの技術があったとしても、あの牙に噛まれたらひとたまりも無いだろう。
すると、チェルは鞄から唐辛子を出すと、ペットに向かって投げた。
上手くキャッチをして食べると、リザードキリングは赤い鎧だけではなく、体全体を赤く染めた。
「ッチ…ッ」
鬼が高く跳ぶ、しかし。
「…ッ!?」
リザードキリングの槍が鬼の背に刺さる。
その激痛で空中でもがくが、地に待ち構えたリザードキリングに…

「…アレナさん…」
いつから鬼だったのだろう。
今日はもう鬼だったのだろうか
それともずっと前にあったアレナも鬼が化けてたのだろうか
とにかく、今はリーネを探すことが第一だと思えた。
町長の家へ向かおうとする、と
「チェルさん、まって」
振り向くと、リーネが桃色の魔石らしき物を手に持っていた。
「…やっぱり、異種職だったんだ、私と一緒…」
「…リーネさんも親はプリンセスとウィザードですの?」
首を横に振る。
「分からない…何も覚えてないの…面倒見てくれた町長様は多分鬼に…」
だんだん声が小さくなり、俯く。たった1人の頼れる存在が殺されたのだから、仕方ないだろう。
「鬼は…私達の魔石を狙っている。きっと、源が壊れない限り」
一緒に居てくれないかな、と少女が笑う。
「頼れる人が居ない…支援もかける、一緒に戦う、だから、鬼と戦う仲間を一緒に」
「それは出来ないんですの」
「え…どうして、一緒にがんばろうよ…仲間…じゃないの?」
「私は父がどうして、何を調べようとしていたのか知りたかっただけですの…貴方と一緒になんて、行動できませんわ」
その言葉にリーネは又俯き、其処から水が零れる。
きっと、チェルが自分と一緒にいってくれる、と思っていたのだろう。
その姿をみてチェルは満更でもなかった。
断った理由があるからだ。
彼女が自分の大切だった人に似ているから、まだ幼い彼女を危険な目に晒すなら、自分一人で行こう、と。
父の件も嘘ではないが、他にも地下遺跡を調べたい理由があった。
なにも考えてない父とは違う、自分は考えて、彼女は連れて行けない、と思ったのだ。
「…ここは危険だからアリアンまで送っていきますわ。幸せになってください」
送っていく途中、終始リーネは泣いていた。

261 憔悴 :2008/07/05(土) 17:25:49 ID:Wv5HCA4E0
後2人がどこにいるかの検討なんて、まったく無かった。
リーネは一晩たって、何を思ったのか
「死んでもついていく!」
と言い切るリーネに、チェルは頭痛がしていた。
「危ないですわよ」
「いい!」
「怖いですわよ?」
「へーき!」
「…死ぬかもしれませんわよ?」
「おねーさんと一緒なら大丈夫!」
…全く、そっくりである…
「…勝手にどうぞ…」
もうこう言うしかなかった。
そんなこんなで、いくあても無く組織へ戻ると、
「総帥…この子はだれです…」
コンパクトに出た、あの青年がリーネの頭をつつく。
「…お子様ですわ…」
「ほう、総帥には隠し子が居ましたか。それはそれは…」
「私はリーネですっ!チェル様と一緒に居るのですっ」
チェルと無理やり腕を組む。
身長差は然程無いらしい。
「…総帥…がんばってください」
「…まったくですわ」
二人のアイコンタクトに疑問符を浮かべる。
そして、何かに気づいたように青年を見る。
「青い髪の…アーチャーさん?」
「あ、嗚呼。何故か生まれたときからこうでしてね」
青年は髪をつまむ。
「剣士みたいですよね、よく剣士さんっていわれるのですよ…」
リーネはチェルを引っ張ると、
『この人、異種職じゃないの?』
『ロンサムのことなら、アーチャーの技しか使えないはずですわ』
『そっかあー…』
髪の色なんていくらでも変えられるもんね、と右手でぐーをつくり、自分の頭を小突く。
「じゃあ…お嬢さんには総帥を守るように、がんばってもらいましょう」
「えへ!リーネがんばりますーッ」
こうして、組織にリーネが入った(無理やり。

゚・*:。.:・*:.'.:☆.+゚*゚+.。+゚,゚.+:。.+:。☆゚+.。+゚,゚.+:。.+:。*:。.:'・*:.':+.*。+゚.゚.+:。.*:。☆

2話目(?)です。
私もメインはテイマーなのですが、
以外にウィザードよりビショップの技がほしいと思ったのでこうくっつけてみました。
そしてプリンセスならウィザードかな、と。

コメントありがとうございます。

>◇68hJrjtYさん
68hさんに呼んでもらい、感想までもらえて光栄です。
父よりもう一人、大切な人がいた…
そのエピソードは必要なピースがそろってから、ですかね

>国道310号線さん
関連性は…やっぱり魔石についてでしょうか。
母はどうしたのか、それもピースがそろってから書くことにします。

262 ◇68hJrjtY :2008/07/05(土) 19:39:04 ID:rvBV3p4k0
>国道310号線さん
ケルビーとミモザの信頼関係はもちろんのこと、アッシュとミモザの熱々な親密関係(*´ω`*)
ミモザ幼少時の描写ですが、自然界の声やアラクノイドとの出会いなど「動物や自然と語り合える存在」を
改めて神秘的なものとして読めたような気がします。幼女ミモザ自体もそれはそれでイイ_| ̄|●ポッ
そしてウィンディ関西弁秘話まで暴露させてしまいましたね(笑)
愛に燃えるアッシュたちの探索が間に合うか、ケルビー&金太郎コンビが何を仕出かすか。
続きお待ちしています。
---
なるほど、何人かが協力して投稿のお手伝いをすれば30レス分くらいわけないかもしれませんね。
というわけで白猫さん、私ももし宜しければお手伝いしますよ!(*´∀`)b

>憔悴さん
おぉ、だんだんと世界観や設定が浮き彫りになってきましたね。
しかしテイマー+ビショップやプリンセス+ウィザードという構想は無かった。実質4つのジョブということに…!
そしてアレナではなくて鬼と呼ばれる存在の出現。今後鬼たちに付け狙われることになりそうですね。
残る二人の「異種職」さんの実態、さらに追い求める魔石ことエメラルド。
読み手にとっては謎が尽きませんが、急ぐ必要はありません。
ゆっくり煮詰めながらの執筆をお待ちしていますヾ(*´∀`)ノ

263 白猫 :2008/07/05(土) 22:23:14 ID:W4Rh7kXM0
Puppet―歌姫と絡繰人形―


第一章〜第五章及び番外編もくじ 5冊目>>992
第六章〜第十八章もくじ 6冊目>>924
第十九章 -愛しき君への言葉 迫り来るもう一つの敵- >>5-16
第二十章 -激戦の、一歩手前- >>43-50
第二十一章 -断罪者の覚醒 迫る最後の戦い- >>178-190









 最終章 -Epilogue-歌姫と絡繰人形






(まえがき。
どうも、ご無沙汰しております、白猫です。
この最終章は803レスに投稿しようと思っていましたが、思ったよりも早く予定が進み、したらばのサポート?的な

人も来てるようなので、早めの投稿に踏み切りました(投稿される前に使用停止は堪らない)。

えーっと、まず言っておきます。長いです、スサマジク長いです。
一気に読むと多すぎるので、何度か分けてお読みください。

なんとまぁ104KBもあります。文句なしでPuppet最長の章となるでしょう。
よっておまけのガチバトル、68hさんリク入れ替わりネタは後日ということで。ご了承ください……。


それでは、Puppet最終章、ごゆっくりお楽しみください――)

264 白猫 :2008/07/05(土) 22:23:42 ID:W4Rh7kXM0


ブルン歴4922年、1月19日、深夜。
ラグナロク発生まで――残り、3時間。
この夜が明けたとき、ルヴィラィか世界か、どちらかが――滅びる。
古都へと帰還したネルは深紅衣に付いた埃を払いながら、闇に染まった景観を見回して白い息を吐く。
この長い夜を、自分たちは越えなければならない。
 「…………」
物音一つ聞こえない辺りの様子に、ネルは沈黙を貫いたまま目を閉じる。
時計はもうすぐ2時を指そうとしている。集合は確かに1時半のはず、なの、だが。
よりによって今日、しかも三十分の大遅刻。
有り得ないだろう。というか空気読めよ。
と、
 「待たせたな」
そのネルの背後、地面からまるで生えてくるように、一人の男が現れた。
口と鼻を隠す覆面に、ツンツンに立った黒髪のシーフ――通称「覆面」。
覆面の声を聞き、ようやく一人目かとネルが睨みながら言う。
 「待たせ過ぎです。どういうことですか全く」
カツカツと歩み寄るネルの姿に、覆面は少しだけ目を細める。
外見は八ヶ月前に見たときと大差ない。変わっているのは、全身が紅色のローブに覆われていること……そして背

に、衣に包まれたグングニルが掛けられていることだけ。
だが、雰囲気がまるで別人である。いつの日か見た彼の父にすら見紛う、そんな威圧感と存在感を持った姿に成長

していた。
 「[イグドラシル]の所在地は?」
早速本題へと入ったネルに、覆面も小さく頷いて言う。
この戦いに自分は参加しない。自分ができる最善の手を尽くし、そして彼は"それ"を発見した。
 「実のところ、もう他の連中は其処へ向かっている。どうにもじっとしていられなかったようでな」
 「……は」
ドイツもコイツも、と溜息を吐いたネルも、しかし思う。
もし場所を知れば、恐らく自分もそうしていただろう。世界の滅亡を前に、一分一秒も無駄になどしていられない


そんなネルに、覆面は小さく「だが」と付け加えた。
 「実は……その、一人まだ来ていない奴がいてだ、な」
 「――ああ」
言いにくそうな覆面に、ネルは小さく溜息を吐いて理解した。
こんな状況でのうのうと遅刻してくる者など、自分の知る限り一人しかいない。


 「ご、ごめーん!」
そんなネルと覆面を見つけるや否や、フードを被った人物が手を振って駆け寄る。
遅刻ですよ、と不機嫌そうに唸るネルに両手を合わせ、覆面に笑いかけた人物は、土色のローブを取り、小さく微

笑んだ。
 「ごめんね、マイさんの絨毯が途中でほつれちゃって」
 「絨毯がほつれるってどういう状況ですか」
枝にひっかかってどんどん座るところが無くなっていくの!と騒ぐ少女に、覆面は思わず頭を抱えた。
こんな状況でもやっぱり能天気な少女――ルフィエ=ライアットに、ネルは小さく溜息を吐く。
だが、もうこれ以上無駄な時間は食っていられない。
 「それで、何処ですか」
覆面へと向き直ったネルとルフィエ、その姿に覆面は小さく頷く。
そして、指した。

自分たちの――上空を。
 「――あそこだ」
覆面の指の先、ネルとルフィエの視線が捉えたもの。


それは、古都の遥か上空を悠々と浮かぶ、巨大な鉄の、立方体だった。

265 白猫 :2008/07/05(土) 22:24:02 ID:W4Rh7kXM0


以前見たときとはまるで違うその形に、ネルは少しだけ目を細める。
 「以前僕とリレッタが閉じ込められたとき、本当に「樹」の形をしていたんですがね――」
 「それにしても高いねー……みんなちゃんと行けたんだ」
苦虫を噛み潰したような顔のネル、素直に感心するルフィエに覆面はそっと補足する。
 「黒髪の女は龍に乗って、蒼髪と茶髪の奴は浮遊靴と浮遊魔法、赤毛の女は――知らん。気付いたら既に飛んで

いた」
碧龍と浮遊靴、リビテイトと[翔舞]か。と理解するのも数秒。
軽く地面を二度蹴り、返す手で浮遊魔法を発動する。
ルフィエの方もフワリ、と難なく空中へと浮き、覆面はそんな二人に小さく溜息を吐いた。
通常、ウィザード以外の者が空中を浮遊することなど不可能に近い。それだけ魔力を統御することが難しくなるか

らだ。
――まぁ、難易度7だの8だのの術をぶっ放す彼らにしてみれば、空を飛ぶことなど朝飯前なのか。
 「悪いが俺が助力できるのはここまでだ――後は頼んだ」
そう小さく頼んだ覆面に親指を立て、ネルはルフィエに手を差し伸べる。
 「[神の母]は使わないんですね」
 「まだ――ね。びっくりさせたいから」
ネルの手を握り返し、ルフィエはそっと微笑み、言う。
それは楽しみです、と笑うのも束の間、

次に風が覆面の体を叩いたとき、既に二人は果てなく続く大空へと打ち上がっていた。






ぐんぐん近づく巨大な立方体を見、ネルは目を細める。
ただの鉄ではあるまい。生半可な威力の攻撃では弾かれるか。
 「穴を空けます、[女神]の腕は落ちていないでしょうね」
 「歌唱力はばっちりだよ」
烈風が全身を叩くのも気にせず言うネルに、ルフィエも暢気にそう答える。
そのルフィエの言葉に微笑み、ネルは背に掛けていたグングニルを掴み、布を一払いで放り捨てる。
途端に夜空に晒される、白き光を放つ美しい槍――グングニル。
同時に紡がれたひどく美しく、どこか哀しいルフィエの歌声。その歌声がネルの体を包み、金色に彩り、異能の力

を与える。
空中で、初手から最強の力を撃つつもりはない。切り札は、切らないことも使い道の一つなのだから。
 「まぁ――まずは挨拶、ですね!」
そう言うが早いか、 ネルは手に持ったグングニルを払い、投擲の構えを取った。
途端に凝縮される白い光に、ルフィエはネルの手を離し数回旋回した後、両の手に金色の光を溜め込む。
 「『 ――[破槍] 』」
 「『 スーパー……ノヴァ 』」
空中から繰り出された白と金色の怒涛が、鉄の箱――イグドラシルへと一直線に伸びてゆく。
その怒涛はイグドラシルの外壁に激突した途端、辺りの大気を飲み込み、膨らみ、縺れ合い――

大爆発を起こした。

空中で起こる大爆発に目を細め、しかしネルとルフィエは全く上昇の速度を緩めず、その爆炎の中に突入した。

266 白猫 :2008/07/05(土) 22:24:23 ID:W4Rh7kXM0



 「――来た」
 【ヒヒッ……奴ラガ、来タ】
イグドラシルの内部、突如起こった巨大な揺れに、ルヴィラィは目を細める。
先ほどどこからか侵入した四人組――あの四人の気配は今は、地下の魔物小屋の近く。
千体の魔物による、壮大な足止めを食っているだろう。千体全ての魔物を倒した頃には、力を取り戻した傀儡たち

の一斉攻撃を受ける。
"万が一"向かわせた傀儡が全て倒されようとも、自分の作り出した最もおぞましいあの傀儡は、絶対に倒せないだ

ろう。
人の姿を覗き、映す鏡の傀儡――マジシバ。
そう心中で思考を流しながら、ルヴィラィは目の前に浮かぶ薄汚い髑髏……パペットを見やる。
 (パペットを、私を倒すことができるのは――グングニルを持ったワルキューレだけ……)
ワルキューレ。
まさか、自分の思考の中で再びその単語が現れようとは。
パペットが最も恐れていたこと――マペットの力の本質、それを理解し操る者の出現。
そしてその"契約者"を護る、[破壊神の槍]を携えた者――ワルキューレの覚醒。
その二つに当てはまるもの。
それが他でもない――ルフィエ=ライアットとネリエル=ヴァリオルドの二人。
ひょっとするとあの二人がお互いに恋い焦がれたのも、単純な感情の問題ではない――もっと本質的な部分から来

ているのかもしれない。
 「[グングニル争奪戦]と大戦のときに、ワルキューレ"と思われる"者たちは殺したつもりだったけど、ね」
 【パペットノ力ヲ受ケ継イダ傀儡ヲ壊セルノハ、ワルキューレトマペットノ契約者、グングニルニ選バレタ者ダ

ケダヨ】
 「分かってるわパペット。この世に偶然なんてない――あの四人組も、十中八九ワルキューレね」
そこまで考え、ルヴィラィはふと考える。
傀儡の数は十三体。ならばワルキューレの数も十三人のはず。
まずルフィエ=ライアット――傀儡、ムームライトを消滅寸前まで追い込んだあの力。ワルキューレの可能性は捨

てきれない。
次にネリエル=ヴァリオルド――彼は間違いなくワルキューレ。グングニルを扱えている地点でそれは確定してい

る。
ルゼル=アウグスティヌス――[神格化]も可能であり前回の大戦で自分をしつこく妨害してきたあの正義感――彼

もまた、ワルキューレ。
カナリア=ヴァリオルドとその妻――言うまでもない。彼らをワルキューレに挙げずして、他の誰を挙げる?
そして今、イグドラシルに入り込んでいる四名――これで、九名。
前回の大戦でアドナを殺し、ルゼルの有能な補佐も数名殺している――これで、丁度十三人だろうか。少々お釣り

も来るが。
まぁ、要するに。
 「この戦いを制すれば、私たちを省くものは無くなる――」
 【ヒヒッ……アノ二人、探索ヲ開始シタヨ……】

 「フフ……歓迎するわ、フェンリル、ルフィエ――こうして"招き入れて"あげたんだから、いい前夜祭にして頂

戴」

267 白猫 :2008/07/05(土) 22:25:09 ID:W4Rh7kXM0


 「グァアアアアアアアアッッッ!!!」
イグドラシルに突入したネルとルフィエは、早速無数の魔物達による奇襲を受けていた。
感じられるだけで三桁、視界に入る魔物だけでも十五体はいる。
 「右に4、後ろに8」
目の前の魔物を爆砕し、その爆音の中で小さくネルは呟いた。
その言葉に返事はせず――しかしルフィエは、的確に光弾を生み出し、ネルの指示通りの方向へと全て放った。
ネルはともかく、ルフィエは戦っているというより踊っているに近い。
フワリと壁から壁へと跳び、舞い、返す手で光弾を生み出し、撃つ。
ルフィエの弾が全て魔物に着弾したのを感じ、ネルはそろそろか、と槍を旋回させる。
240日間では大した威力にはならなかったが、今はグングニルとルフィエの唄が底上げをしてくれるだろう。
宙を舞うルフィエに合図し、目の前の魔物の集団を睨み、叫ぶ。
 「――行きますよ、[ワーリングアサルト]ッ!!」
瞬間、
槍を旋回させたまま、ネルは魔物の集団へと突進する。何の防御態勢も取らず。
当然の如く魔物がドス黒い炎を吐き出してくるが、[深紅衣]を纏うネルには何の障害にもならない。
迫り来る炎を槍の回転で搔き消し、槍の破壊力に任せて魔物達を物凄い勢いで薙ぎ払ってゆく。
同時に発動する[爆風]がネルと魔物達の姿を包み隠し、傍から見れば爆弾をばら撒きながら進む、無駄に小回りの

利く戦車にしか見えない。
と、
 「――早速お出まし、ね。傀儡」
ネルを追おうとした矢先、後方に感じる、巨大な魔力。
魔物たちはネルが薙ぎ払っていってしまったというのに、ルフィエは大軍の中に置いてけぼりを食ったような感覚

に陥る。
それもそうだろう――後方の魔物から放たれる魔力が、まるで包み込むように自分を狙っている故に、気配がその"

何者かの魔力"以外感じられない。
だが、この魔力には記憶があった。
 「……あのときの、ハーピー」
 【ハーピーと呼ぶんじゃないよ】
ルフィエが振り向いた先、紫色の翼を広げ、地面へと舞い降りた一体の鳥人。
古都で自分が倒したはずの――しかし倒すことのできていなかった、一体の傀儡。
 【ムームライトと呼べ。虫唾が走る】
 「……行くよ、マペット」
 〈はい〉
傀儡――ムームライトを見やり、ルフィエは胸の十字架に手を当てる。
[唄]はまだ必要ない。一年以下の修行による付け焼刃では、自分は[三人唱]しか覚えることはできなかった。
しかも使いすぎれば喉が潰れてしまう――満足に使えるのは精々四回、それ以上は発動できる保証はなかった。
 「神格化――『 [神の母]、発動 』」
瞬間、
ムームライトは、ルフィエの体から放たれる凄まじい閃光に、思わず翼で顔を防いだ。
強すぎる光に目を抑え、ムームライトは心中で呟く。
 〈なんだアレ……前となんかチガくないか〉
徐々に収まってゆく光に翼を直し、ムームライトはルフィエの姿を見据える。
地面にまで付いてしまいそうな長い茶髪、
海の色の様でもあり、空の色の様でもあるような、思わず見惚れてしまいそうな水色の瞳。
戦うことには適していない、[目で見る美しさ]――その場に余りに不釣り合いな、クリーム色のドレスローブ。
その手には、そこにあるべき神器はなく、ただ十字架が握られていた。
以前戦った時と違う点といえば、髪の長さに――威圧感。
放たれる威圧感が、前回とは桁違いに上がっている。一体、どこでこれほどの力を得てきたというのか。
と、
握りしめていた十字架をゆっくりと離し、ルフィエはそれを胸へと戻す。
両の掌をゆっくりと重ね合わせ、呟いた。
 「 ――これが、"私"。ルフィエでありマペット。貴方達を裁く、[断罪者] 」
ひとつの口から紡がれる、ルフィエとマペット、二つの声。
その言葉にようやく戦闘体勢へと入ったムームライトは、その両の翼で空中へと飛び出した。

268 白猫 :2008/07/05(土) 22:25:34 ID:W4Rh7kXM0
イグドラシルは一階一階が異様に広い。ムームライトが飛んで戦うことに、何の不便も無いようにだろうか。
が。
 「 『 ノヴァ 』 」
ルフィエの前方で生み出された光弾が、無造作に一発ムームライトへと放たれる。
その光弾の瞬きを見やり、ムームライトは即座に術へと意識を向ける。
ムームライトの能力の一つ。[術の支配]。
相手の攻撃魔法であろうが防御魔法であろうが、ムームライトの前は全てが無意味となる。
 【さぁて――お返しだ】
そう言うが早いか、ムームライトはノヴァの軌道を操り、ルフィエへと放つ――

寸前。
 「 遅い、ですよ 」
既にルフィエは、ムームライトの背後へと飛翔し、追い付き、その手をムームライトの背に翳していた。
 「 『 スーパーノヴァ 』 」
 【ッ】
それを見やったムームライトは、しかし笑みを浮かべる。
自分の背後を取ったのは何人目だろうか。プリファーほどではないが、自分も速さをウリとする傀儡。背後を取ら

れたことなど滅多になかった。
 【いいねぇ、ッだりゃァ!!】
ルフィエが術を放つ寸前に、その背後へと回り込み蹴りを放つ。瞬間的に移動速度を高める[陣風]――多くは使え

ないが、四の五の言ってられる場合ではない。
信じがたいことだが、彼女の速さは――プリファーにも匹敵する。自分では恐らく止めることもできない。
パペットから力を受け取ったといっても、所詮ヒトの成り損ない――此処までが限界なのだろうか。
そう、一瞬の間だけ、弱気になった。
 「 ……雑念と戦う前に、目の前の敵と戦いなさい 」
その、一瞬。
その一瞬でルフィエは、ムームライトの左の翼に光り輝く鞭を絡ませていた。
 「 ッヒュ! 」
その鞭を軽く払い、ムームライトの身体を壁へと叩きつける。途端に上がる鈍い音に、ルフィエはさらに光弾を数

個、生み出す。
それらをムームライトへと放ち、両の手を開いた。
 「 ――おやすみ 」
ムームライトが起き上がる寸前、それらの光弾は全て彼女に直撃し、凄まじい爆発を巻き起こした。
その爆発の中、紫色の瞬きが一瞬それらを押し退け、しかし白の怒涛に押し込まれ、消えた。


 【一体脱落……残ル傀儡ハ、九体】
 「……ムームライト、か。やっぱり弱い者から殺されてゆく。この世の哀れな法則ね」
灯されている十本の蠟燭、そのうち一つが消えたのを見、パペットとルヴィラィはそう言葉を交わす。
彼らが突入してきてから、まだ数十分しか経過していないはず。
それなのにもう、一体の傀儡が倒された。あまりに呆気無く。
やはりあの二人――ルフィエ=ライアットとネリエル=ヴァリオルドは、以前に比べて格段に強くなっているよう

だ。
 「あの子たちは、今何所?」
 【地下ニ、イル。ダケド、ルフィエ=ライアットガココニ来ル方ガ、傀儡タチヲ呼ビ戻スヨリモ速イ】
 「そう」
パペットの言葉にあまり関心を持たず、ルヴィラィはすっと立ち上がり、言う。
 「さて――私も、参戦ね」

269 白猫 :2008/07/05(土) 22:26:01 ID:W4Rh7kXM0


イグドラシル、最下層。
室内とは思えないほどの広さ――現代で言う東京ドームほどはあるだろうか――のこの最下層。
傀儡の一人――ベルモンドが[移動要塞]と形容したのも頷けるほどの魔物の大軍が、この最下層に収容されていた


数自体は一つの軍隊並。此処に運悪く突入してしまったアーティ、カリアス、アネット、カリンの四人は、当然の

如く千体からなる魔物の大軍、その襲撃を受けていた。
 「『 [閃刃(シャイン)]ッ!! 』」
飛び掛かってきたヴァンパイアの身体を一閃、光り輝く槍で薙ぎ払ったアーティは小さく舌を打つ。
壁をぶち破って突入したにも関わらず、魔物達はそれに動じずすぐさま襲いかかってきた。
故に逃げ道を確保するどころか、体勢を整える暇なく戦闘開始、というなんとも調子の狂う始まり方になってしま

っている。
 「……『 碧龍、剣 』」
そのアーティの背後、今まさに襲いかかろうとしたミイラが、巨大な蒼の龍に呑み込まれた。
ミイラを呑み込んだ龍はそのまま空中を舞い、突然方向を変え、魔物の群れへと突っ込んでゆく。
その龍の頭に乗っていた黒髪、黒い鎧、黒マントという黒一色の剣士――カリンは、龍の頭を蹴り、跳ぶ。
魔物達の丁度上空へ跳んだカリンは、八ヶ月前までは持っていなかった小型で円型の盾を掲げ、叫んだ。
 「『 トワーリングプロテクター!! 』」
カリンが盾を薙いだ途端、その盾から凄まじく巨大な竜巻が生み出され、まるで蛇のように魔物達へと放たれた。
素早い魔物たちは即座にその場から逃げてしまうが、愚鈍なサイドウォーカーやエクソシストなどの魔物は、その

竜巻に呑み込まれた。
自分の背後に着地したカリンに微笑み、アーティは槍を構える。
 「あんがと」
 「礼を言う暇があったら手を動かせ」
不機嫌そうな声にムッとしつつも、アーティは槍を急激に旋回させた。
そして紡がれる、ひとつの呪文。
 「『 ファイアー・アンド・アイス・アンド――ライトニングッ!! 』」
途端、アーティとカリンを中心に、炎と氷、そして稲妻の嵐が吹き荒れる。
その嵐の中に入っていた魔物達は瞬時に燃え上がり、凍り付き、感電し、地面に崩れ落ちていった。
 「行くわよッ!!」
 「上等だ」
この嵐は長くは保たない。威力が弱まれば、魔法耐性を持つ魔物がすぐにでも襲いかかってくるだろう。
そう一歩踏み出したアーティ、
その足を、巨大な手が掴んだ。
 「!?」

 〈ギ、ガガ……〉
地面に崩れ落ちていたメタルゴーレムが、彼女の足を掴んでいる。
まだ生きていたのか、と槍を振り上げたアーティ、
その背後から、三体のガーゴイルが飛び掛かった。
嵐の被害が少ない上空からの襲撃に、アーティは目を見開いた。
逃げようにも、反撃しようにも、両足を掴まれていてはどうすることもできない。
マズイ、と顔を歪ませたアーティの眼前で、
ギリギリで滑り込んだカリンがゴーレムの腕を切り払い、アーティの体を蹴り飛ばした。
 「ッ!?」
嵐の外へと蹴り飛ばされたアーティは、しかし吹っ飛びながらも体勢を立て直した。
嵐の中がどうなっているかは分からない。――ただ言えることは、カリンが自分を助けたということ。
せめて彼女の無事だけでも確認し――
 「ッアーティ!! さっさと先へ行け! お前にはすべきことがあるだろうッ!!」
 「!!」
嵐の中から届いた声に、アーティは目を見開く。
そうだ、こんな場所で足止めを食っている暇はない。
一刻も早く、先に進まねばならない。ラグナロク発動まで、もう時間がない。
此処はカリンに任せて、行くべきなのだ。
 「……っ」
槍を払い、アーティは浮遊の力を持つ靴を脱ぎ棄て、裸足で走り出した。

270 白猫 :2008/07/05(土) 22:27:12 ID:W4Rh7kXM0


 「……それで、いい」
ガーゴイルの血飛沫を浴びたカリンは、左腕に突き刺さったガーゴイルの爪を引き抜き、笑う。
滴り落ちる血を拭い、カリンは剣を構え直した。
 「全く、私も落ちたものだ……人を、世界を守るなどとは、下らん」
自分を変えたのは、誰だろうか。
小さくは、ネリエルやルフィエ、アーティだろう。
彼らの生き方は本当に清々しく、影の世界で生きてきた自分が常に羨んでいた世界の、まさに体現だった。
だが彼らよりも――そう、ヴァリオルドの、あの四人の子供たち。
あの子たちと日々を暮らす内に、のんびりと一つどころで暮すことも、悪くないと思い始めていた。
それどころか、あの生活を守りたい――壊したくない。そう思ってすらいた。
 (……私も、ここまでかもしれんな)
嵐が晴れ、再び露になる数百を超える魔物の大軍。
二人でなんとか回せていたレベルの魔物達だったというのに、一人で――しかも手負いの状態では、まず間違いなく勝ち目は無い。
だが、尻尾をまいて逃げるという選択肢は、ない。
ここで逃げて万が一生き延びたとしても、"生きた心地"というやつがしないだろう。
自分のプライドはそれほど、安くはない。
 「さあ……来い、魔物ども」







 【『 ――竜巻堕落・旋風! 』】
 「うぉあっと!?」
同じく、イグドラシル最下層。
巨大な鎌を払い、少女の姿をした傀儡――サーレが巨大な白と黒の濁りあった竜巻を生み出し、放つ。
それを慌てて避けたカリアスの眼前に躍り出たプリファーの攻撃を杖で受け止め、[リビテイト]の力を加減し空中へと飛び上がった。
茶色い長髪と白いマントがはためくのも気にせず、カリアスは杖を回転させ魔力を溜める。
と、その背後に白髪の男が追いついたのを見、カリアスは空中でクルリと回転し、呟く。
 「『 ウォーターキャノン 』」
 【チッ!】
カリアスの"背中"から放たれた水の怒涛が、カリアスへと飛び掛かろうとしていたベルモンドへと放たれる。
その水の怒涛を大剣で受け止め、ベルモンドは地面へと下りていく。
と、今度は入れ替わるように跳んだサーレが、巨大な二本の鎌を掲げ、カリアスに向かって飛び掛かった。
そのサーレを見やったカリアスは、しかし突如リビテイトの力を弱めた。
突如失速したカリアスに目を見開き、サーレは空中で突如逆進して壁に鎌を突き刺し、止まった。
それに一拍遅れて、何処からともなくアネットがサーレへと飛び掛かる。凄まじく長い剣を構え。
それを不敵な笑みと共に見上げたサーレは、残った一本の鎌で鋭く、三日月形の衝撃波を放った。
迫り来る衝撃破を軽くいなし、アネットは返す手で無数の矢を生み出し、サーレへと全て打ち放つ。
その矢雨を見やり、サーレは鎌を壁から引き抜き、叫ぶ。
 【デュレ!!】
その言葉と同時に壁をぶち抜いて現れた巨人――デュレンゼルが、左手で矢雨からサーレを護り、右手をアネットに向けて振り上げた。
全ての矢がデュレンゼルの肌に弾かれたのを見、アネットは苦笑しながらも靴を黒く燃え上がらせ、その場から退避する。
が、

271 白猫 :2008/07/05(土) 22:27:40 ID:W4Rh7kXM0

 【[トリプル――アクセル]!!】
アネットの動体視力でも捉えられないほどの速さでその背後へと跳んだプリファーが、その右腕を背中へと食い込ませた。
バガン、と手甲と鎧のぶつかり合う音が響き、しかし双方、痛みの表情も苦しみの表情も見せない。
それどころか、瞬時に身体を回したアネットは剣を鋭く薙ぎ、プリファーの横腹を裂いた。
 【ッ――】
驚きに目を見張るプリファーに微笑み、アネットはカリアスへと叫びかける。
 「万年病人、早くなさい!」
 【ッハ! 逃がしゃしねぇッ!!】
空を往くアネットを睨み、白髪の戦士――ベルモンドが"壁を走り"、アネットへと斬り掛かる。
さらに、反対側からはプリファーがアネットへと拳を振り上げる。挟み打ちとは厭らしい。
それを見たアネットは空中でステップを踏み、ベルモンドの大剣を剣の腹で滑らせクルリとその背後へと回り込んだ。
自分の目の前に飛び込んできたベルモンドに舌を打ったプリファーは、その頭を踏みつけアネットへ飛び掛かる。
それを見やったアネットは、腰に差してあった短剣を抜いた。
そんな行動にもプリファーは何の反応も示さない。ただ、凄まじい速度で拳を繰り出していく。
その、僅かな残像が辛うじて捉えられるかどうかという速度の拳。それをアネットはほぼ直感と感覚だけで避け、受け、流す。

実際のところ、アネットの能力は既にほぼ完成してしまっていた。
この八ヶ月間、彼女が行った修行は――特に、何も。
のんびりとヴァリオルド邸でお茶を啜ったり、掃除を手伝ったり、部屋の模様替えをしてみたり、カリンを連れてブリッジヘッドまで買い物に行ってみたり。
"修行"というより"長期休暇"に近い。腕も、磨くというより鈍らせているようなものだった。
だが、それでもアネットは四人の傀儡を相手に戦い、余裕すら見せている。
彼女は特別な強化術などは持っていない。そのはずなの、だが。
 〈ヴァリオルドで戦ったときより――手ごわい〉
 〈コイツ――マジで人間かよ。どう見たって人外じゃねぇか〉
 〈私の[アクセル]を流すか……一体どういう身体をしているのか〉
 〈我の攻撃が、当たらぬ……〉
と、傀儡四人にある一種の恐れさえ抱かせるものだった。
アネットの隣へ舞い上がったカリアスは、荒い息で小さく言う。
 「万年病人言うな」
 「フフ……この戦いで生き延びられたら、そうね。考えてあげるわ」
そう言うが早いか、アネットとカリアスは数多くの通路の内、一つの道へと飛び込む。
あの道は、と目を見開いたサーレは、即座に思考を働かせ、叫んだ。
 【ベル! デュレはここに残って! プリっち、私と一緒に来て!!】
 【グ?】
 【俺に、残れだ……?】
 【…………】
首を傾げるデュレンゼルとベルモンドとは対照的に、逸早くその真意を理解したプリファーは、瞬時に壁を駆け上がって通路へと着地した。
同じく通路の入り口に舞い降りたサーレは、二本の鎌を二人に向け、指示を飛ばした。
 【ソイツ、よろしく】
そう言うや否や通路の奥へと消えた二人に、ベルモンドとデュレンゼルは頭に疑問符を浮かべる。
が、一瞬後。

272 白猫 :2008/07/05(土) 22:28:05 ID:W4Rh7kXM0


 「っはぁああああ!!!」
 【のぅあっ!?】
二人と入れ替わりに、天井をぶち破って二つの塊が二人の前に落下し、轟音と土煙を舞いあげた。
ギョッとするベルモントとデュレンゼルの眼前、地面に散らばる砂の塊が突如立ち上がり、人の姿を象る。
数秒も経たないうちにひ弱そうな男性の姿になった砂の塊は、頭を摩って二人に頭を下げる。
 【いやはや。ボロボロにやられております】
 【……なんだよ、アンドレか。脅かしやがって――エッッ!!?】
白衣の男、アンドレの姿にホッとしたベルモンド。
その丁度真横に、巨大な槍が突き刺さった。
一瞬遅れて大爆発を起こすその槍。その爆風に吹っ飛ばされ、ベルモンドは十数メートル吹っ飛び、壁に激突して止まった。
何だ、と身体を起こした、その眼前。
先の爆発の中心、白い槍が突き刺さり、クレーターのようになってしまった床に、一人の少年が舞い降りる。
紅色の髪、額と右頬を覆う形の奇妙な仮面。背を護るマントに巨大な全身鎧と、神殿騎士服。
左腕を護る、ビッグシールドほどの大きさの、三枚の刃が付いた盾。
ブレンティルで見たときとは少し風貌の違う、その少年――ネリエル=ヴァリオルド。
途端に湧き上がる闘争心に、ベルモンドは大剣を握る手の力を強め、地を蹴った。
 【ハッハァ! ちっとは面白そうなのが出てきたなァッ!?】
 「――!?」
凄まじい勢いで振り下ろされた大剣を、ネルは咄嗟に手に持った槍で受け止める。
踏ん張った両足にか、負荷のかかった床にいくつかの亀裂が入る。それを見、ネルは舌を打つ。
ビシ、と額に青筋が走ったベルモンドはしかし目を細め、両手握りの大剣にさらに力を込める。
さらに広がる亀裂に少し危機感を覚え、ネルはグングニルの力を僅かに抜き、その大剣を弾いた。
が。
 【[爆鎚]――ッ!!】
 「ック!?」
背後から振り下ろされた炎を纏った拳に、ネルは瞬時に横っ飛びに跳ね、その一撃を避ける。
轟音・爆発と共に床へと直撃したその拳に、ベルモンドは拳の主へと叫ぶ。
 【デュレンゼル! 邪魔すんじゃねぇッ!!】
 【悪い、が、コヤツは元より我とサーレの獲物――】
 【ホッホ……悪いですが、私はパスさせていただきますぞ。あなた方の戦闘は荒っぽすぎて身が保ちませんからなぁ】
ゴチャゴチャと喚き出した三人に目を細め、しかしネルはグングニルを構え直す。
グングニルを両手で握り、ネルは感覚で今の大体の時間に目星を付ける。
 (3時――でしょうか。後2時間あるかないか……此処でどうにかこの傀儡たちを倒すしかない)
と、
[先制攻撃]の範囲内に、一人の気配が入った。
こちらへとかなり速い速度で向かっている。そしてこの魔力は――

 (……"いける"、か?)
"この魔力"とは、初めての連携である。
だが、相手を信用して、やるしかない。
この一撃が決まらなければ、この後ネチネチと戦闘を続けられ、アトムが起動してしまう。
そうなれば、終わりである。
やるしかない。"彼女"を信用し、撃つしかない。
足の間隔を広げ、槍を投擲する構えを取る。
 【……アン?】
その構えに気付いたベルモンドが、ネルの方を向いて首を傾げる。
ネルを中心に、凄まじい魔力が渦巻いている。いつの日か見た女ランサーと同規模――いや、それ以上の魔力が。
だが。
 〈俺に魔術で攻撃しようってか……? 残念だが、俺にそんなモンは効かねぇよ〉
 「『 トライ―― 』」
瞬間、

   「『 ネオ・ライトニング=ジャベリン――!!! 』」

 【!?】
 (……来ました、か)
呪文の詠唱を中断したネルは、耳に入ったその言葉に笑みを隠し切れなかった。
途端、ベルモンド達の背後の壁をぶち抜き、蒼い稲妻の怒涛が押し寄せた。
何だ、と目を見開いたベルモンドとただ驚くしかないデュレンゼル、稲妻の怒涛にすら気付いていないアンドレ、
その三人に向けて稲妻の怒涛が押し寄せ、その姿を呑み込んだ。

273 白猫 :2008/07/05(土) 22:28:28 ID:W4Rh7kXM0

 【ッチィ!!】
稲妻の怒涛が自分に直撃する寸前、上空へと脱したベルモンド。
自分の眼下でアンドレとデュレンゼルが飲み込まれたのを見、小さく舌を打つ。
デュレンゼルはあの程度の雷ならばまだ絶えることはできる。だがアンドレは――恐らく、消滅する。
元々アンドレの能力は、身体が砂で構成されている。それだけ。
その核も、単に他の砂と同じく凄まじい小ささなだけで、攻撃に対する耐性を持っているわけではない。
ルヴィラィに作り直してもらうまで我慢しとけ、と心中でアンドレの精々の冥福を祈り、ベルモンドは壁へと着地し、大剣を突き刺した。

が。

 「『 ――トライ 』」
その前方で、いつの間にか飛び上がっていたネルが槍を構え、唱える。
それに気付いたベルモンドは、大声で怒号を上げた後大剣を引き抜き、構えた。

   「『 デントッッ!!!! 』」

呪文と共に放たれたグングニルが、ベルモンドへと一直線に飛ぶ。凄まじい量の魔力を引き連れて。
その怒涛は、しかしベルモンドの剣により吸収される。以前のブレンティルでの戦いのように。
これこそがベルモンドの力。どんな強力な相手の魔法だろうとも、それを吸収し、跳ね返す能力。

だが、ネルの[破槍]はその程度で防ぐことができるものではなかった。
 【……そう、いうことか】
観念したように、ベルモンドは小さく笑う。
その胸に突き立つ、白銀の美しい槍――グングニル。
自分を守るように構えた大剣を砕き、その槍は自分の核を――小さな人形を貫いた。
そういう、ことか。
 【手前は――そうなんだな、[名も無き最高神]……オーディンさんよ】
冷たい視線で自分を睨むネルに笑い、ベルモンドの体は稲妻の怒涛へと落ちていく。
傀儡、ベルモンド。余りにも呆気無い最期に、ネルは溜息を吐く。
 「[オーディン]……その名を口にできる者は、一体何人いるのでしょうね――」


 「やっぱフェンリルだった、か」
 「はい」
槍を番えて穴から入り込んだアーティは、部屋の中心でグングニルを引き抜いたネルに笑いかける。
感じていた忌々しい魔力は、もう辺りには感じない。どうやら自分たちの攻撃は成功したようだ。
 「アンドレ・ベルモンド両傀儡を撃破……デュレンゼルも恐らくは、致命傷を負っているでしょう」
 「そ……あの白髪男は、私の手でやりたかったけどね」
 「トドメはアーティさんでしたし、アーティさんがやったようなものじゃないですか?」
そんな、なんだか適当な返事に、アーティは少しだけ笑って辺りを見回す。
久々の[ライトニングジャベリン]、しかも技をアレンジし五回のチャージを行ったせいで、向こう側の壁は消し飛んでしまっている。
まぁ、床をぶち抜くよりはマシ。とアーティは頭をガリガリと掻いた。
 「ナイス攻撃でした」
 「そっちもね。この調子で行きましょ」
御互いに手を叩き、互いに武器を構え直す。
アーティがぶち抜いた壁から、ゾロゾロと魔物の群れが溢れ出している。感じられるだけで、百数十。
それを厳しい顔で見やり、ネルはアーティに言う。
 「アレ、任せられますか」
 「……さっさと行きなさい」
槍を払ったアーティに苦笑し、ネルはグングニルを番えて走り出す。
アネットとカリアスの通った通路へと飛び込み、全速力で駆け抜ける。

274 白猫 :2008/07/05(土) 22:28:56 ID:W4Rh7kXM0


……胸騒ぎがするのだ。



この先に、何か嫌なモノがある。



いったい、いったい、何があるというのか。



むかつく胸を抑え、ネルは狭い通路を可能な限り速く駆けた。








通路を抜け、再び凄まじく広い部屋へと入ったネルは、目の前の光景に目を見開いた。
目を見開いて、次に鼻を刺す凄まじい臭いに鼻を抑えた。
床に、サーレとプリファーが倒れている。サーレの方は血塗れの状態で、プリファーは左腕がもがれ。
その光景にも驚いたが――だが、その目の前。
 「遅かった、わね……ネリエル」
凄まじく巨大な何かが、アネットを足で踏み潰さんとしている。
辛うじてその一撃を剣で受け止めている状態だが――いったい、いったい、これは。
 「ごめ、んね――[白の魔術師]と私だけじゃ――こいつを、倒せなかっ――」

そのアネットの言葉が終わる、寸前。
凄まじい重量に耐えられなかった[黒懺剣]が、折れた。

剣が音を立てて折れる前に、既にネルは駆け出していた。
思考など働いていなかった。
ただ、"姉の死が訪れる"――その光景を、見たくなかっただけだった。
自分の可能な限り早く駆け、可能な限り遠く手を伸ばす。
もう見たくない。自分の大切なものが、砕かれる場面など。
ネルの右手がアネットへと届き、腕を握る――

 【――ダメですわ、お兄様】

寸前――止まった。
止まらされた。たった一言で。
一瞬後、巨大な脚が地面へと踏み降ろされ、鈍い音が辺りに響いた。
 【お兄様はお姉様なんて見てはいけない――私だけなの】
地面に跪いたネルのズボンを染める紅を見、声の主――セシェアはゆっくりとそこへ歩み寄る。
目を見開いてその脚を見るネルを愛おしげに見つめ、しかしこの数年の間に、その彼が他の者に奪われたことに強い憤怒を抱く。
あの女――ルフィエ=ライアット。
あんな女に、自分の愛しい兄を奪われたなど、有り得るはずが――ない。
 【なのに、今日もまた――私を見ないで】
 「…………セシェ、ア……?」

275 白猫 :2008/07/05(土) 22:29:24 ID:W4Rh7kXM0

焦点の合っていない目がようやくこちらに向いて、セシェアはネルに対する愛おしさが湧き上がるのを感じる。
狂っている――そう、狂っていた。
少女――セシェア=ヴァリオルドは、兄を慕い、兄を愛しく想い、既に[兄]として見ることはできなくなっていた。
巨大なあの足はズルズルと引きずられながら、どこかへと消え去っていく。だが、セシェアはそんなものに興味を抱かない。
 【はい……私です。お兄様、やっと……やっと、二人で暮らせるんです。ルヴィラィ様がきっと、素晴らしい新居を作ってくれますわ――】
 「――――ルヴィ、ラィ」
その単語に、ネルの体がピクリと動く。

此処は、何処だった?
       ――イグドラシルだ。

自分は、何のためにここへ来た?
       ――大量破壊兵器である[アトム]を破壊するために。

今失った大切な人は、どうして此処にいた?
       ――彼女が、自分の姉だから。


この戦いの発端は――誰だった?


   ドスッ

その音を、セシェアは最初理解することができなかった。
その音が、自分の胸から聞こえたことを理解するのに、半秒掛かった。
その音は、ネルの手に握られたグングニルからも聞こえたと理解するのに、二秒掛かった。
その音で、自分の胸がグングニルによって貫かれたのだということを理解するのに、五秒掛かった。
 「お前は――違う。セシェアじゃない」
だが、愛しい兄のその言葉を、理解することはできなかった。
 「セシェアは優しい子だった……誰よりも優しくて、誰よりも可愛い、僕のたった一人の妹だった」
"だった"――ネルがそう言うのを、セシェアは聞いていて、聞いていなかった。

ヴァリオルドへ向かう道中に魔物と遭遇し、殺され、
ルヴィラィに気まぐれに拾われ、傀儡として再び命を与えられ、
そして今、破壊の槍によってその命が燃やし尽くされようとしているのを感じ、戦慄いていた。
 「お前は――セシェアなんかじゃ、ない。お前はただの――名前すら持たない、哀れな傀儡だ」
立ち上がってグングニルを引き抜いたネルは、頬を伝う涙すら拭わず、冷たくそう言い放った。

本物のセシェアなら、アネットの死に何も感じないわけはなかった。
本物のセシェアなら、ルヴィラィに媚びるような言葉を使うわけはなかった。
例え彼女が本物のセシェアだったとしても――自分はこんな妹を、妹だと思うことはできなかった。
例え彼女が、自分が数年間探し続けていた愛しい妹だったとしても、自分の誇りだったあの姉を、愚弄することは許せなかった。
ドサリ、と地面へと崩れ落ちたセシェアは、一瞬後に凄まじい勢いで燃え上がり、煤すら残さずに、燃え尽きる。
彼女の断末魔をネルは聞いていて、しかし聞かないふりをしていた。
これで残った傀儡は――先の巨大な足の持ち主と、デュレンゼルの二体だけ。
"それよりも"。
 「……アネ、ット」
あんな一撃を受けたというのに、アネットはまだ人の形を保っていた。
だがあれほどの一撃で、生きている方がおかしい。事実、既に[先制攻撃]で彼女の気配を、感じることはできなかった。
安らかな表情で目を閉じるアネットの傍に跪き、そっとその手を取る。
血に塗れた、しかし白く美しいその手にそっと口付けし、ネルは小さく呟いた。

276 白猫 :2008/07/05(土) 22:29:47 ID:W4Rh7kXM0


   「……必ず、必ず勝ちます…………姉さん」


折れた黒懺剣の刃を腰に差し、ネルはゆっくりと立ち上がり、呟いた。
今こそ、使うべきだ……自分が使うのを拒み続けた、最後の力を。
 「『 エリクシル――[最終段階(ファイナル)] 』」
瞬間、
ネルを中心とした凄まじい魔力の渦が、突如部屋中を覆い尽くした。

地面に倒れ、動くことすらままならないサーレとプリファーは、その光景にただ驚くことしかできなかった。
 〈な、ん――なんだ、あれは――〉
 〈ネル、ぽん……〉
既にネルの体は、直視することができないほどの光で包まれていた。
と、そんな光の中。

奇麗に整えられたネルの紅色の髪が、突如伸び出した。
ゆっくりと、ゆっくりと髪の長さが伸び、脇の辺りまで伸びたところで、ようやく止まる。
今まで幼さの残っていた顔からそれらが抜け、ひたすらに冷酷な[戦人]の表情へと、変わる。
今まで背を護るように広がっていた[深紅衣]も変化し、その体全体を覆うローブへと変化した。
そして、グングニル。
グングニルは突如紅色の炎に包まれ、その形を[フィルルム]の姿から、より強力な[ランス]の姿へと変わった。

先までとはまるで違う魔力の塊――まるで"生きた傀儡"を見たような錯覚に陥り、サーレとプリファーは恐怖する。
巨大なランス――グングニルを払い、少年――否、青年は、地面へとゆっくりと降り立った。

 「ようこそ僕へ……改めて名乗りましょう、僕の名は――



   ネリエル=リマ=オーディン――"名も無き最高神"」


世界最古の神話とも呼ばれる[開闢神話]。
その開闢神話において、"名も鳴き最高神"――[オーディン]の書き出しは、こう綴られている。

   《人がその名を口にすることは、この世界の創造主たる彼に対する冒涜とされていた。
   その名を口にすることができるのは、彼が従えていた[ワルキューレ]たちだけであり、
   その[ワルキューレ]たちもまた、人々にとってしては神にも等しい存在だったのだ。
   故に人々はその名を口にすることはできず、ただ彼のことをこう呼び、崇めた。

   曰く、"名も無き最高神(オーディン)"》







同刻、スバイン要塞。
そこで小さく酒を啜っていた老人――"老師"は、小さく微笑みながら呟く。
 「エリクシルの[最終段階]……かー。まさかアレが[神格化]、しかも"名も無き最高神"へと神格化するものだったとはねぇ。
 未完成のエリクシルで創られた[パペット]と[マペット]……なるほど、グングニルであの二つの人形を破壊することができるとは、そういう意味か」
再び酒を啜り、老師は自分の右腕を見やる。
修行の最終段階においてようやく目覚めた"それ"は、老師の想像を遥かに超えたものだった。
回避行動どころか、気付くことすらできず――ネルの一撃は、自分の腕を砕いた。
 「カナリア――君の子は、強くなったさ……たぶん、フランテル東大陸でイッチバンだろうな」
老師――ラサリア=アラスター=ヴァリオルドはもう一度酒を飲み、スバインの空を眺める。
いつの日か兄、スティリアと見た夜空は、もっと澄んでいただろうか。
それとも月日を重ね、汚れたのは自分の目なのだろうか。

277 白猫 :2008/07/05(土) 22:30:19 ID:W4Rh7kXM0


イグドラシル、上部。
 「『 ルリマ・ウルトラノヴァ! 』」
 「『 デリマ・バインドブレイズ 』」
互いの術同士が激突し、金色の光と黒の光が混ざり合い、大爆発を起こす。
余りに巨大な爆発に幾分か吹っ飛ばされたルフィエは、しかしクルリと回り、着地した。
その爆発を見据えた、ルフィエの反対側――顔に無数の傷を走らせた紅色の髪を持つ女性――ルヴィラィ=レゼリアス。
ルヴィラィは即座に鞭を払い、脇の石柱に絡ませるや否や、その石柱を、
 「――はいやぁッ!!」
ルフィエに向けてぶん投げた。
それに目を見開いたルフィエは、しかし鋭く腕を払い、石柱を光弾で爆砕した。
その爆発の合間に間合いを詰めていたルヴィラィは、唄を口ずさみながら鞭を払う。その鞭に炎の力が宿り、ルフィエは戦慄した。
 「『 カステア・バインドブレイズッ!! 』」
デリマのように拡散しない、凝縮されたバインドブレイズ。
それに危機を感じたルフィエは、しかし逃げずに両手を掲げ、叫んだ。
 「『 スーパー、ノヴァ! 』」
ゴシャン、と光の壁に炎が激突した音が、部屋全体に響き渡る。
辛うじて攻撃を受け切ったルフィエは、しかしそこからギリギリと押し込んでくるルヴィラィの力に顔をしかめ、術の力を強める。
速攻の一撃で決めるつもりだった攻撃を受け切られたルヴィラィは、しかし無理やりにその一撃を押し込み、力勝負に持ち込んだ。
両者の魔力が互いに弾け、燃え上がり、燃え盛り、鬩ぎ合う。
徐々に押され始めたことを感じたルフィエは、唄を数度挟みつつノヴァを数個、生み出した。
 「……ちっ」
それを見て舌を打ったルヴィラィは、躊躇無くルフィエから離れ、放たれたノヴァを全て鞭で弾いた。
両者、全く譲らない攻防。だが、やはり地力の差か、ルヴィラィが僅かに押し始めている。
それに少しだけ恐怖を覚え始めたルフィエは、心中で言う。
 (後どれくらい!?)
 〈一時間……あるかないかです。このままネチネチ続けられては負けます〉
勝負自体に決着は付かないだろう。それほど実力自体は拮抗していた。
押されているのは自分の焦り――"タイムリミットがある"という、こちらの圧倒的に不利な点。
既に戦況は勝っている、はずなのである。それなのに、彼女と、その後ろにいるマペットの存在が、"勝っているのに勝っている気分がしない"という心理状況を生み出していた。
 (決める……決めないと、負ける)
 〈ええ――行きましょう、[三人唱]〉

 「ッ!?」
ルフィエの紡ぐ旋律が、突如変わった。
一つの口から高音、低音、更に男声までもが紡がれている。

一体、何だというのか? いったい、"あの唄"は何だ?
半歩下がったルヴィラィは、しかし唄を紡ぐことを止めない。
自分も唄の第二段階である[二人唱]程度なら紡ぐことはできる。今まで互いに唄っていたのはそれなのだから。
だが、ルフィエのが突然歌い出した唄は――今までの[二人唱]では、ない。
一つの口から三つの声が紡がれる、言うならば[三人唱]。
 「『 ――ジャッジメント 』」
ルフィエが左手を払った瞬間、無数の十字架がルヴィラィを取り囲むように出現――一瞬後、凄まじい速度でルヴィラィへと殺到する。
それを見たルヴィラィは、しかし鞭を鋭く払い自身を取り囲むような、巨大な炎の壁を造り出した。
全ての十字架が炎の防壁へと突き刺さり、勢いが幾分か削がれ……しかし、止まらない。
徐々に押し込まれてくる十字架に不敵な笑みを浮かべ、ルヴィラィは叫ぶ。
 「無駄よ、ルフィエ! この私は"殺しても死なない"!!」
ルヴィラィの言葉を聞き、しかしルフィエはそれがハッタリでないことを察する。
彼女の笑みは余裕のあるものに変わっていた。自分が圧倒的に押しているはずだというのに。
 「……例えそうだとしても、」
そのルフィエの言葉に、ルヴィラィは炎の防壁を強めつつも目を細める。
ルフィエの詠唱が中断したからか、ルヴィラィを囲む光の刃が、僅かに揺らいだ。

 「こうでもしないと、私の気が……収まらないの」
そして、一閃。

ルヴィラィの防壁を難無く打ち破り、無数の十字架が彼女の体を貫いた。
全ての十字架がルヴィラィに違わず突き刺さり、悲鳴すら上げずに彼女は崩れ落ちた。
 「ケホッ……行くよ、マペット」
 〈――はい〉
三人唱で歌うことができるのは、せいぜい後三度。しかも、一度歌う度に喉に負担が掛かってゆく。
それを分かってて、しかしルフィエはもう一度[三人唱]の歌声を紡ぐ。
ルヴィラィを打ち倒し――全てを、終わらせる。否、始まらせなければならない。
その眼前で、血みどろの姿で、しかし余裕の笑みを浮かべたルヴィラィが立ち上がった。

278 白猫 :2008/07/05(土) 22:30:50 ID:W4Rh7kXM0


 【ヨウコソ、ト言ウベキカナ……ネリエル=ヴァリオルド。ヒヒッ】
 「…………」
イグドラシルの最奥部、最後の最後まで無駄に広い部屋、そこへ入ったネルは、早速嫌な声を聞いた。
嫌そうに振り向いた先に佇んでいたのは、巨大な――そう、巨大な四肢を持った骸骨頭の魔物――デーモン。
先に見たあの巨大な脚がそのデーモンのものだと理解し、ネルはすぐさま槍を構えた。
が、
 「――――ッ!?」
突如感じた凄まじい気配に、ネルは咄嗟に床を蹴り、逆進した。
一瞬遅れて、ネルが今まで立っていた床に数本の斧が轟音と共に突き立った。その斧に目を細めてから飛んできた方向を睨み、
ネルはその場に、硬直した。

 【フン――下らん。貴様程度の男が此処まで辿り着けたなどとは――俄かに信じ難い】
ネルの目の前に立っていた青年――銀髪のアサッシン、クレリア=ヴァリオルドはゆっくりと斧を構え、唾を吐いた。
 【この傀儡、[マジシバ]の手を煩わせるとはどういうことだ? 絡繰人形】
 【ヒッヒッヒ……招キ入レタノサ。君ノ能力ヲプレゼントシテアゲタクテネ】
パペットの言葉に鼻を鳴らしたクレリア姿の傀儡――マジシバは、ゆっくりと斧を構え、首を傾げた。

途端、

突如その輪郭が崩れ、目の前で再び組み上がり――次の瞬間、目の前には銀髪、碧眼の容姿端麗な男性が立っていた。
その姿に瞠目し、ネルはしかし槍を構え直す。
落ち着け。
落ち着くんだ。
深呼吸をし、ネルは冷や汗を拭いグングニルを払う。
 「……成程、数が合わないと思ったらそういうことですか。"相手の嫌う姿"であるクレリア、"相手の敬う姿"であるカナリアへと姿を変える傀儡――恐らく後一つの姿は」
的確に傀儡の能力を見抜き、ネルはそこで言葉を切った。
彼の目の前で歪にねじ曲がった体が、バキンゴキンと嫌な音を立てながら組み上がる。
自分の最も愛しい人の姿へと――ルフィエ=ライアットの姿へと。
いつの間にかクレリア、カナリア、ルフィエの三人に囲まれていたネルは、しかしグングニルを払って目を閉じる。
力が湧いてくる――巨大な、巨大な力が。
全てを壊す、或いは創る、莫大な、無限とも思える力が。
その力がある意味では、彼に自信と平常心を与え、混乱を防いでいた。
 「さあ――来なさい、創られし人間、傀儡マジシバ。僕が相手です」
グングニルを払い、ネルはゆっくりと体勢を立て直した。
その周りで、クレリアは斧を、ルフィエはワンドを、カナリアはレイピアを構え、止まった。
そして、一跳。
鋭く空中へと打ち上がったネルへと、ルフィエが数発のノヴァを放った。
そのノヴァを[深紅衣]の一払で打ち消し、ネルは空中でグングニルを旋回させ、叫ぶ。
 「『 ――ラジアルアークッ!! 』」
槍を媒体に召喚された巨大な稲妻の柱が、地の三人へと迸る。
が、
 【――『 [絶対聖域] 』】
カナリアを中心として発生した巨大な庭園が、その稲妻を受け止め、呑み込み――?き消す。
彼の持つ最強の能力、エリクシル第三段階[絶対聖域]。
あの聖域の中ではほぼ全ての術が吸収・無効化されてしまう。しかも聖域の中に存在する無数の剣や天使を模った石像は、聖域内の任意のものを攻撃する能力を持っている。
魔術師ならば相手にすらならない、剣闘士でも苦戦を強いられる、効果範囲は一つの村を囲めるほど――と、カナリアの誇る最強術に足る能力だった。
だが――所詮は、[第三段階]の力。[最終段階]へと移行したネルにとって、あれは何ら脅威ではない。
地へと着地したネルは、即座に槍を構えて聖域の中へと突っ込む。
途端に襲い来る剣や天使を全て打ち払い、その中心に佇むカナリアへと飛び掛かった。

279 白猫 :2008/07/05(土) 22:31:30 ID:W4Rh7kXM0
と、その横。
 【[ダブルスローイング]】
 「ッ!」
突然放たれた八本の斧を見、ネルは[深紅衣]を盾状に広げ、それらを受け止める。
その眼前でレイピアを構えたカナリアが腕を振り上げ、そのレイピアが閃光に包まれた。
 (来るか!?)
 【『 ホーリークロスッ!! 』】
グングニルを構えたネルの前、閃光の包まれたレイピアから放たれた鋭い十字斬。
並の冒険者なら防御ごと消滅せられるほどの威力の攻撃。それをネルはグングニルで受け止めた。
自身の足が地面に幾分かめり込み、しかしその一撃を受け切ったネルは不敵に笑い、言う。
 「どうしました? これで終わりですか?」
 【……"いや"】
意味ありげな言葉を呟いたカナリアに目を細めたネルは、
一拍後、瞬時にグングニルを弾いて飛び退った。
その眼前に巨大な光弾――スーパーノヴァが着弾するのを見、ネルは一旦聖域の外へと脱する。
空中へと打ち上がったネルへ、数人に分身したクレリアが飛び掛かる。全員が全員、赤銅色の斧を構えている。
 「ふん」
それを鼻で笑ったネルは、飛び掛かるクレリアを全て薙ぎ払い、打ち崩し、斬り裂いてゆく。
攻撃を受けた分身たちは空中で不格好に回転、音もなく空気と同化、消滅した。
その分身たちの向こう、斧を構えたクレリアはネルへと向けてそれを放ち、同時に叫ぶ。
 【『 アトラス、スローイング 』】
途端、投擲された斧が十数倍に膨れ上がり、数メートルもの直径となってネルへと飛ぶ。
が、それを逃げず見据えたネルはグングニルを繰り、小さく呟いた。
 「『 万華鏡分身 』」
ネルの体から生み出された無数の分身、それが巨大な斧を取り囲み、グングニルを構える。
そして、斧が分身の生成から一歩も動いていなかったネル、その本体を貫く寸前。
 「――はいやぁっ!!」
十数人のネル、その手に握られていたグングニルが斧を貫き、[爆風]により爆砕した。
本人にしてみればなんということもないただの[突き]、だがそれを全方向から、爆発のおまけつきで喰らえば粉々になるのも無理はない。
その光景を無表情で眺めていたクレリアは、しかし追撃せずに退く。接近戦では、まず勝ち目はなかった。
が、こちらにも"そういう相手に対するプロの魔術師"はいる。
 【『 ――サルスト・ウルトラノヴァ 』】
地の聖域、そこから放たれた無数の光弾。
それをネルはルフィエのウルトラノヴァ、その強化術である[サルスト]だと瞬時に看破する。
どれもこれも自分の見たことのある術ばかり――やはり、彼らは"自分の知る姿で自分の知る術"しか使ってこない。
ルフィエの新技を見ていなくて良かった、と情けない安心感を覚えつつ、ネルは迫り来る無数の光弾を全ていなし、避けてゆく。弾の去り際にそれを[深紅衣]で貫くことも忘れない。
ルフィエのノヴァ系統の術は[絶対命中攻撃]……それを、彼は忘れていなかった。
その周りで分身たちが光弾に貫かれるのを感じ、しかしネルは何の感情も抱かない。
ルフィエ相手に十数人の分身を操りながら戦うのはほぼ不可能。せめて分身を破壊する労力を使わせなければならない。
グングニルを回転させ最後の光弾を弾き、ネルは額に浮かぶ汗を拭う。
やはり古代魔法の威力はかなりのもの、[第三段階]のままでは恐らく術を防ぎきれず、何発か食らってしまっていただろう。
[最終段階]により統御する魔力の絶対量が格段に上がっているのがせめてもの救い。"名も無き最高神"の力を卸している間ならば、[ルリマ]クラスを撃たれない限りルフィエの存在、それは脅威にはならない。
カナリアは聖域を展開している、ルフィエは聖域から出てこない、となれば。

280 白猫 :2008/07/05(土) 22:31:58 ID:W4Rh7kXM0
ネルは地へと下りてゆくクレリアを睨み、グングニルを肩へと番える。
聖域に入られると拙い。三人にあそこへ篭られれば、こちらも"アレ"を使う羽目になる――それは、なんとしても阻止しなければ。
グングニルを中心に白い光が渦巻き、ネルの視線がクレリアを完全に、捉えた。
 「『 ……トライ、デントッ!! 』」
右腕から放たれた凄まじい投擲、白き光を帯びたその投擲は、一寸違わずクレリアの背を打ち抜いた。
同時に[爆風]が発動したグングニルに、ネルは少しだけ目を細める。
ネルは三つあった気配の内一つが消えるのを感じてから、地面に突き刺さったグングニルの元へと下りた。
地面深く突き刺さっているグングニルを引き抜き、ネルはゆっくりと聖域を睨む。
と、
その聖域が、突如光に包まれたかと思うと一瞬後に霧散……消滅する。
 「……ようやく鬱陶しいその術を解く気になりましたか」
グングニルを構えるネルの前で、レイピアを払いカナリアが対峙する。
そのカナリアの背後に浮かぶルフィエは見もせずに、ネルはゆっくりと槍の切っ先をカナリアへ向ける。
 「父の姿を映し、父の術を使うとは何とも面倒な傀儡です……ですが、やはり偽者は偽者」
 【なんとでも言うがいい。我の"1/3"を倒したところで、どうせ貴様は勝つことは出来ない。"時間的な問題"でな】
その言葉に、ネルは目を見開く。
拙い。この傀儡を相手にし、時間の経過を忘れていた。
恐らく残り時間は一時間も無い。精々あって四十分――こんな短時間でこの傀儡とパペットを倒し、アトムを止める――こんなことが、本当にできるのか。
答えは、決まっている。
 【貴様はパペットを倒すどころか……我を倒すことすらできん。ここで敗北し――世界と共に消え失せる。それだけだ】
 「…………ッ」
今更コイツを無視してパペットと対峙したところで、ルフィエ・カナリア・パペットを相手に勝てる見込みは少ない。[最終段階]へと移行したからといっても、相手は[四強]に匹敵する。しかもそれが三体となれば……
 【アガクノハ良イケド――ワンテンポ遅イヨ、フェンリル】
 「!?」
振り向いたネルの先、デーモン姿のパペットが、二十センチほどの黒水晶を手にしていた。
そこに渦巻いていた魔力に少しだけ意識を向け、ネルは途端に苦虫を噛み潰したような顔になった。
凄まじく膨大な魔力が、あの黒水晶に渦巻いている。恐ろしいほど膨大な魔力が。
あの水晶――というより、ほぼ卵に近い宝石を見やり、ネルは気付いた。
 (まさ、か……"レッドストーン"? アリアンで強奪したものか!?)
二月の上旬だったか、アリアンの地下遺跡から強奪された赤き宝石――レッドストーン。
あれほど美しい光を放っていたというのに、今となってはその光は、ドス黒い、濁った色に変わってしまっている。
 【パペットノ対内ニ在ル[エリクシル]トレッドストーン、ソシテ傀儡タチガ滅ボシタ者ノ魂ヲ詰メタコノ黒水晶――[アトム]。ジキニ、必要ナ魔力ハ集マリ、[ラグナロク]ハ発動スル】
その言葉を聞いた途端に飛び出したネルは、しかし目の前で光る無数の光弾、十字の斬撃に目を見開いた。
咄嗟に衣を払うも一泊、間に合わない。無数の光弾と十字斬に押し返され、ネルはパペットと反対側の壁に激突した。
 「――――ッ」
痛みに顔をしかめ、口の中に広がった鉄の味を吐き出す。
が、どうやら相手は休ませてすらくれないらしい――自分の体が白い光に包まれるのを感じ、ネルは戦慄した。
 (ここで[絶対聖域]の展開――ですか。このままじゃ)
ネルの心中を理解したのか、デーモン姿のパペットがバカにするように、しかし真面目に言う。
 【ドウダイ、ルヴィラィノ仲間ニナルツモリハナイカイ? オ前ナラ、ルヴィラィノ右腕ニナレルヨ……ルヴィラィモキット許シテクレルダロウ】
 「……例え可能性は無くても、絶対にそんなことはしません」
パペットの言葉を切り捨て、ネルはグングニルを構え直す。
そう。例え勝ち目のない戦いだとしても――自分は、諦めない。諦めるわけにはいかない。
護るのだ。そう、護るために、自分という存在はあるのだから。
 「僕は世界が滅ぶかお前達が滅ぶかその時まで――戦うことを、止めはしません」




   「それでこそ……ネリエルさまです」

281 白猫 :2008/07/05(土) 22:32:22 ID:W4Rh7kXM0


その言葉と、同時。
巨大な姿のパペット、その四肢を無数の光り輝く十字架が貫く。
同時に出現した凄まじく巨大な鎚、それがパペットの胴体を捉え、そのままの勢いで吹っ飛ばした。
凄まじい轟音と共に壁を突き破り、隣の部屋へ吹き飛んだパペットに、ネルとマジシバは目を見開く。
その、二人にして三人の前に舞い降りた、金色と白の美しい翼を羽ばたかせる一人の天使。
追放天使ではない――"そうであるはずがない"と確信するほど美しい、その姿。
金色の髪を靡かせ、天使でありビショップであり、アウグスタの現最高責任者でもある少女――リレッタ=アウグスティヌスが、ゆっくりとネルの隣へ舞い降りた。
 「……リレ、ッタ…?」
半ば呆けたように呟いたネルに、悪戯っぽい笑みを浮かべたリレッタがそっと言う。
 「あなたなら、きっとそう言ってくれると思いました。ネリエルさまなら、きっと」
その言葉と感じる魔力に、ネルは狼狽しながらも小さく頷く。
だが、今一つ状況が飲み込めない。
リレッタは[邪道解放]した自分によって翼を貫かれたはず――それなのに、どうして。
そんなネルの疑問に気付いたのか、リレッタは困ったようにそっと言った。
 「詳しいことは話せませんけど……天上界が、ルヴィラィ=レゼリアスを無視できなくなった、ということです」
 「?」
 「簡単に言えば、天上界が私にルヴィラィの討伐を命じた。その代りに、私はもう一度空を往く力と、"もう一つの力"を賜ったんです」
そう言うが早いか、リレッタはフワリと空中を舞い、両手を広げる。
先から襲いかかってくる光弾や剣たちの全ては、リレッタの展開したサンクチュアリによって完全に阻まれている。ネルですらあの二つにかかられると面倒だったというのに、それをリレッタは、まるで裁縫をするかのように簡単に。
 「――ネリエルさま、パペットは私がなんとかします……あなたは傀儡を早急に破壊、ルヴィラィを討ってください」
今まで聞いたことも無いリレッタの冷静な声。
それに強かな笑みを浮かべたネルは、鋭く槍を払いサンクチュアリごと天使の人形共を吹き飛ばす。
何かのスイッチでも入ったのか、ネルはグングニルをまるで棒のように繰り、言う。
 「今は時間が惜しい……リレッタ、できれば君の力でパペットを撃破――或いは捕縛しておいてください」
 「厳しいですね……私の力が持たない可能性の方が高いです。長期戦に持ち込まれると逆にこっちがやられかねないかもしれません」
 「……負けは許されません。少なくとも、僕たちとルフィエには」
そう言い、ネルはグングニルを払い聖域の濃い、中心部へと消えていった。
その後ろ姿に途方もなく焦がれたリレッタは、しかし頭を振って目を閉じる。
自分もやらねばならない。神々に賜ったこの力を、今こそ開放すべき。
 「どうか私に、力を――『 ディバインアーチ=エレメント 』」









 「少しずつ威力が弱まってきてるわよ、ルフィエ――『 バインドブレイズ 』」
 「ッ――『 スーパーノヴァ!! 』」
ルヴィラィが炎を纏わせた鞭を払うのを見、ルフィエは咄嗟に巨大な光弾を生み出し、放つ。
が、その光弾は鞭に打ち払われ、その炎を幾分か逃しながらも相殺すらできない。
咄嗟にその鞭を?い潜ったルフィエは、先より強まってきた喉の痛みに、徐々に危機を感じ始めていた。
それはそうである。起動戦闘を行いながら唄を紡ぐということは、凄まじい魔力と精神力を必要とするほか、長時間唄い続けるために喉を酷使することになる。
簡単に言うならば、普通の人間の喉で拡声器を使った声と同じ音量を引っ張りだすようなものである。[神格化]で多少は融通が利いているとしても、長時間唄を歌うということはほぼ自殺行為に近い。
先も詠唱が途切れがちになり、バインドブレイズを一撃、左腕に喰らってしまっている。もう左腕はほとんど動かない。
片腕だけでルヴィラィと戦い、唄も[二人唱]すら満足に紡げない。これではもう、勝負は決まったようなものだった。
だが、戦いをやめるつもりはない。
例え喉が潰れようとも、戦うことを止めはしない。
もう逃げない。絶対に――絶対に、逃げない。
 「どのみち使えて後一撃でしょう? ルフィエ。これで仕舞にしましょう」
鞭を振り上げたルヴィラィを睨み、ルフィエは一本だけの腕でワンドを構える。
 (勝つ……勝って、みせる――!!)
 「『 デリマ――バインド、ブレイズ 』」
 「ッお願い、持って――私の声!!『 ルリマ・ウルトラノヴァ!! 』」
序盤に打ち合ったものとは桁違いの大きさの火柱と閃光が、部屋中を包み込み、照らす。

ルヴィラィの姿もルフィエの姿も、紅色と金色の光に包まれ――そして、見えなくなった。

282 白猫 :2008/07/05(土) 22:32:56 ID:W4Rh7kXM0



この光の中、ルヴィラィだけは見ていた。

光り輝く白銀の槍が、こちらに向けて放たれたことを。

その槍が自分の腕を打ち抜き、鞭と術ごとその腕を消滅させたことを。

それと同時に一人の青年が、少女の元へと駆け寄っていったのを。




デュレンゼルは向かう。
もうすぐ傍に、ルヴィラィの魔力を感じる。
あそこまで、あそこまで行けば、もう一度自分は戦える。
恐怖していた。サーレの気配が、どんどんどんどん小さくなっていく。
このままでは――死んでしまう。確実に。自分が、助けねばならない。
自分に様々なことを教え、一緒に様々な事をした、あの小さな少女を、助けなければ。

そんな考えを巡らせながら通路を飛んでいたデュレンゼル。
その人形を、何処からともなく現れた触手が絡め取った。




 「――ッハ、ッハハハハハハハハハハハ!!!!」
ルフィエへと駆け寄ったネルを見やり、ルヴィラィは大声で笑い声を上げる。
彼は、自分を狙っていたはずだ。傀儡マジシバを倒し、すぐそこまで来たのは知っていた。
知っていて、ルヴィラィは何の対処もしないという賭けに出た。
世界を選び、少女を見殺しにするか。
少女を選び、世界を見捨てるのか。
そして――彼は、少女を選んだ。
残り少ない魔力の一部を込めた[破槍]を撃ち、自分のデリマをぶち抜いたのだ。
彼の[破槍]は、核を"とある場所"に隠しているルヴィラィであろうが、不死の者であろうが、平等に[破壊]をもたらす。
彼のあの術に貫かれていれば、例え核を別に隠しているとはいえ、確実に消滅していた。
それを彼も知っていて、しかし彼は自分の利き腕――つまり、"少女を殺さんとしている部位"を破壊したのだ。
と、笑い声を上げていたルヴィラィの背後に髑髏――パペットが舞い降りる。
 「パペット? 丁度よかったわね、ラグナロクまで残り何――【魔力ガ足リナクテサ……モラウヨ】
ルヴィラィの言葉を遮った、パペットのその言葉。
そのパペットの言葉に、ルヴィラィの笑みが、止まった。

ルヴィラィの笑い声に薄らと目を開けたルフィエ。それに気付いたネルは彼女の体を抱き起こし、ギュッと抱き締める。
 「すみません、ルフィエ……僕は」
泣きそうになっているネルの顔を見やり、ルフィエは全てを悟った。
ネルが、ルヴィラィを倒す最初で最後のチャンスを狙い、そしてそれを見つけたということを。
そしてそれを見過ごし、自分を助けるためにそのチャンスを棒に振ったということを。

どうして。
どうして彼は、こんなにも優しいのだろう。
怒ってないよ、と知らせるために、ルフィエは右腕でネルの手を取り、微笑む。
まだ、終わったわけではない。
まだ信頼のおける仲間たち、そして大本命の[最終段階]へ移行したネルがいる。全員で叩けば、まだ可能性はある。
 「ネ……ル、くん? 大丈夫だ、から、……ルヴィラィ――を、倒して」
 「……はい、必ず」
返す手で回収したグングニルを払い、ネルは片手でルフィエを部屋の隅へと寝かせる。
槍を携えて戻ったネルはルヴィラィに向き直り、

固まった。

283 白猫 :2008/07/05(土) 22:33:24 ID:W4Rh7kXM0

 「……ッ何、を」
左腕だけで触手を堪えるルヴィラィは、ケラケラと笑うパペットに低い声で言う。
先の[デリマ]でほとんどの魔力は使い切ってしまっている。精々後一発[バインドブレイズ]を放つ程度。
だが神器を破壊され喉を締め上げられていては、十分な威力を放てない。
触手を絡めていたパペットはルヴィラィの眼の前まで浮かぶと、途端に笑うのを止めた。
 【元々オ前ノ馬鹿ゲタ企ミニ加担スルツモリナンテナカッタヨ……。当初ノ目的ハ今デモ変ワッテナイ……複数ノ[エリクシル]ヲ一挙ニ手ニ入レルコトナンダカラネ】
 「……契約、はッ…切れていないはず、よ」
メキメキと締め上げる触手に息を詰まらせながらも、しかしルヴィラィはそう言う。
そう、海底の深みからパペットを取り上げたときに、自分はパペットと契約を交わしたはずだ。
その言葉にケラケラと笑ったパペットは、触手の力をさらに強めながら言う。
 【契約ナンテ最初カラ結ンデイナイヨ? 勝手ニオ前ガソウ思イ込ンダダケ……】
 「…………ッ」
身体全体の骨が拉げるのを感じ、ルヴィラィは唇を引き絞る。
これは、どうこう言っている場合ではない。
 「『 ッバインドブレイズ!! 』」
体内の魔力を瞬時に集め、自身を縛っていた触手を焼き払う。
が、離れ際にパペットの触手が一本鋭く薙がれ、その身体を貫いた。
 「ッ」
下腹部を貫く鋭い痛みに目を見開き、ルヴィラィはパペットを睨む。
しまった。
パペットは、既に自分の命を握っている。
あの髑髏の中に隠した自分の核を――恐らくパペットは、もう破壊してしまっている。
核と身体はほぼ完全に独立しているため、核が破壊されても、再生と回復は不可能になるが自分が死ぬことはない。
いわば彼女の核は"復活の巻物"に近い。致命傷を受ければ自動的にそれが消費され、再び息を吹き返す。
それを破壊され、自分はもうただの人間と変わらない。そこにパペットの触手が腹を貫いたのだ。
"魔力を失った魔術師"が、大陸一つを滅ぼした化け物に勝てるわけが、ない。


 「……」
ルフィエを庇うように立つネルは、突如乱入してきたパペットに目を細める。
リレッタの魔力はかなり上の階で感じる。恐らく撒かれたのだろう。
以前見たときとは雰囲気が全く違う。しかも今、自分の目に狂いがなければ――ルヴィラィに致命傷を与えた。
一体どういうことなのか。とにかく、隙を突き双方を倒すだけの威力の[破槍]を、いつでも撃てるよう体勢を整える。
ルフィエの、あの掠れた声ではもう唄による援護は期待できない。さて、どうすべきか――
 〈ネリエル君〉
 「わっ」
突如頭の中に響いた声に、ネルは普通に驚いてしまう。
それに苦笑しながら、ルフィエは胸に掛かった十字架――マペットを取り出した。
 〈ネリエル君、使えるようになっているはずです。グングニルの"最後の一撃"を。今がチャンス……パペットが[最終形態]を発動する前に仕留めて下さい〉
最後の一撃。
その言葉に目を細めたネルは、しかし槍を肩に番えてそれに答えない。
ただ、マペットの言葉で気になった単語だけは引き出す。
 「[最終形態]、とは?」
 〈以前お話した通り、私マペットと奴パペットは、エリクシルを核に造られた人形です。エリクシルはその段階によって強さを変える。
 パペットのエリクシルは現在[第四段階]……つまり[邪道解放]されている状態なのです。邪に魔力を求めている。
 奴もかつては[最終段階]。完成されたエリクシルを身に秘めていましたが、古代民との戦いによりそこまで力を落としてしまった――。
 故に大陸一つを滅ぼしてでも魔力を求め――結果、聖者と私によって海底深くへ落とされたのです。それをあの呪術師が発見し、どうやらパペットとイカサマの契約を結ばされた……。
 恐らくパペットの目的は、あの水晶に込められた魔力を吸収し[最終段階]へと移行し――そして我々を破壊、完成されたエリクシル3つを手に入れるつもりなのでしょう。それさえあればこの世界をどうにでもできるようですから……。
 天上界があの天使を再び遣わせたのもそれが理由でしょう。天地創造の石が複数にでもなれば、天上界すらも破壊しかねない〉
 「……つまり、[最終段階]へと移行させるなということですね」
 〈その通りです……"彼"を絶対に[最終段階]へ移行させてはならないのです〉

284 白猫 :2008/07/05(土) 22:33:53 ID:W4Rh7kXM0


マペットの言葉が終わった時、既にネルは大地を蹴りパペットへと飛び掛かっていた。
"最後の一撃"は使わない。撃てて一発なのだから、急いて撃つ意味はない。
ネルの突撃に気付いたパペットが即座に触手を放つが、ネルはそれを避け、斬り払い、爆砕し前進を続ける。
脇目に、地面へと倒れるルヴィラィを見やる。が、すぐに視線を外しパペットへと斬りかかる。
その髑髏を刃が貫く、その寸前にパペットはカタカタと笑い上空へと飛び上がった。無数の触手を連れて。
 【吸収スルツモリダッタ魔力ヲ消費サレタナンテイウ本末転倒ナ結果ニナルトハネ……ルヴィラィモトンダ大馬鹿ダッタヨウダネ。大人シク魔力ヲ分ケ与エテイレバ助ケテヤッタノニ】
そう言った途端、パペットは触手に絡めていた黒水晶。それを"喰らった"。
バリン、と呆気無く砕ける水晶に目を見開いたネルは、ふと異変に気づく。

揺れている。地面が。否――イグドラシル、全体が。
 (主が魔力を失って意識まで無くしたから――崩壊が起こっているのか!?)
そうネルが心中で推論を弾き出した瞬間、すぐ傍の壁に亀裂が走る。
と、その上空。
凄まじく巨大な"何か"が、ネルへと襲いかかった。
 「ッ!?」
一瞬反応が遅れたネルは、しかし咄嗟にグングニルを上空へと掲げる。
が、上空から迸ってきた"それ"は重く、強く、そして大き過ぎた。当然のように、崩壊を始めていた床をぶち抜き、ネルごと"それ"は階下へと落ちていった。



 「……な、に。今の」
目を見開いてその光景を見やっていたルフィエは、這々の体で立ち上がり呟く。
その胸の十字架――絶句していたパペットも、その声に意識を取り戻し言った。
 〈……マペットです。黒水晶に込められていた[アトム]を喰らい、とうとう[最終段階]へと移行したのです〉
 「…………」
ルフィエはこのときほど、[神の母]を解除したことを恨んだことはなかった。
奴を一目見ていたら。もし[断罪者]が発動していたら。
自分はまだ戦えていたはずだ。アレはマペットの力。自分の魔力が尽きていようとも発動が可能なのだから。
精々使える呪文は後一発のノヴァ程度。こんな魔力の残量では、自分はまともにすら戦えない。
 「……私が、もっと強ければ」
 〈君は強くなりましたよ――ただ、足りなかっただけです〉
 「――足り、ない?」
はい、と答えるマペットにルフィエは目を閉じる。
何が足りないというのだろう。力? 覚悟? 思い?
 〈足りないのです――ルフィエ。あなたは私に対する理解が、全く足りないのです〉
その言葉に、ルフィエは目を見開く。
確かにそうだ。自分は、マペットのことを何も知らない。
知ろうとも思わなかった。彼女と日々を暮らしていたため、そんなことは思えなかったのだ。
子が両親のことを知ろうとは、きっかけでも無い限り思わない。そのきっかけが、ルフィエにはまるでなかったのだ。
 〈あなたは心の中で、私に対して遠慮している点がある……まるで上司に対するように。
 私の言うことに従い、疑問を抱かない――それでは、ダメなのです。私とあなたは二つで一つ。どちらかがどちらかに依存しては、新の力など出せるわけがないのです。
 私たちはなれていないのです……貴方達の言う、"ともだち"に〉
 「…………」
マペットの真面目な言葉に、ルフィエは少しだけ微笑む。
そういうことならば、話は早い。自分が最も得意とすることなのだから。
マペットの十字架にそっと手を添え、ルフィエはネルが消えていった大穴へと歩く。正確には、その脇に倒れて意識を失っているルヴィラィの元へ。
その気配を感じ取ったのか、目を閉じていたルヴィラィはゆっくりと目を開く。
ルヴィラィの脇へと座ったルフィエは、両足を抱えてそっと言う。
 「失敗したね、[ラグナロク]」
 「そう、みたいね」
止め処なく溢れる血に目を細め、ルヴィラィは再び目を閉じる。
初めて見た彼女の柔らかな笑みに、ルフィエはキョトンとしながらもその手を握る。
目を見開いたルヴィラィに微笑み、ルフィエはすぐに手を離し、

その頬を思い切り、ひっぱたいた。

285 白猫 :2008/07/05(土) 22:34:16 ID:W4Rh7kXM0

 「っ〜〜〜…………」
目を丸くして頬を抑えたルヴィラィを睨み、しかしルフィエはすぐに目を背ける。
 「ほんとは詰め所に連れて行きたいけど……その傷で詰め所に運ぶのもアレだし。私がするのは、これだけ」
 「…………そう」
ルフィエの言葉に微笑んだルヴィラィは、再び目を開いて辺りを眺める。
最後に確認した灯は、サーレとプリファーのものだけ。デュレンゼルの灯が消えたのは、恐らくルフィエの仲間か――パペットに打ち倒されたのだろう。
自分が意識を失ったからか、イグドラシルも崩壊を始めている……この調子なら、数分で跡形もなくなるだろう。
と、
 「!」
突然、自分の体に微量だが魔力が流れ込んだ。
慌てて見れば、ルフィエが自分の腕を掴み、彼女の残った魔力を自分に流し込んでいた。
何を、と言いかけた口を塞ぎ、ルフィエは小さく呟く。
 「……これで、傷口くらいは塞げるでしょ。此処から逃げて――無様に這いつくばって、孤独に生きて」
 「……私に、生きろって? 正気?」
ルヴィラィの怪訝な言葉に、しかしルフィエは軽く答えた。
 「少なくとも、あなたよりは」
ルフィエの言葉にクスリと笑い、ルヴィラィは「違いないわね」と呟いた。
簡単な治癒魔法で傷口を塞ぎ、ルヴィラィは何十年かぶりに"娘"と向き合う。ルフィエもまた、ルヴィラィの――"母"の視線を受け止め、言った。
 「私にはまだ、やることがあるから」
"やること"――ルフィエのその言葉に、ルヴィラィはまた笑う。
自分ならばさっさと逃げおおせるところである。それなのに、全くこの子は。
本当に、自分ではなく"彼"に似てしまった。どこまでも真っ直ぐな志を持った、彼に。
 「そうね……あなたはその方がいいわ。"らしい"もの」
そのルヴィラィの言葉にルフィエは応えず、マペットを握り締め、大穴の中へと飛び込んだ。
崩壊の進むイグドラシルの中、久々に一人になったルヴィラィはそっと目を閉じ、思い返す。
 (――やっぱり、駄目ね)
穴の縁へ立ったルヴィラィは、心中でそう呟いた。








 「――ぉ、おッ!!」
自分を押し潰さんとする"何か"を睨み、ネルはグングニルを捻り、弾き飛ばす。
正確にはグングニルの[爆風]により、自分の体を吹き飛ばしたのだが。それほどまでに"それ"は、重量があった。
クラクラする頭を振り、ネルは最下層らしきフロアの中心に降り立った。
ボロボロの体に喝を入れ、グングニルを払い戦闘体勢に入り直す。
その目の前、まるで黒い銃弾のような形をした2mほどの"それ"は、突然空中で回転を始めたかと思うと、

パン、という音と共に、ネルの目の前で弾け飛んだ。
勿論、ネルはその程度の現象には何の感情も抱かない。ただ目を細めるだけ。
弾け飛び、黒い布のようなものが舞う視界の中、ネルはようやく"それ"を捉え、不敵な笑みを浮かべた。
 「……"それ"が、お前ですか」
そのネルの視線の先。
黒いショートの髪、真っ黒のクロークを被った姿。時折覗く肌は、人のものとは思えないほど白い。
そして、その瞳。
例えるならば――"血を腐らせたような紅"、である。見ているだけで気分が悪くなるような色の瞳が、じっと自分を見据えていた。
間違いない。
この魔力は――パペットのものだ。
 【ああ、やっと戻れたよ……本来のボクに】
わざとらしく首を捻るパペットを見、ネルはゆっくりとグングニルを構え直す。
援護は期待しない方がいい。あくまでも単身で、こいつを打ち倒す覚悟で臨まなければ。
早くも臨戦態勢に入ったネルを見、パペットは溜息を吐いて手を天に翳す。
 【喧嘩っ早いねぇ……まぁ、いいけど? お前を殺したら、次はマペットを奪うだけだし】
 「……それは無理です。お前はここで、僕が破壊する」
 【エリクシルを破壊できるのはその槍だけ……ボクはエリクシルから生まれたから、ボクを殺したかったらその槍で攻撃しないとね】
ご丁寧に倒し方まで教えるパペットに目を細めるが、しかしネルは次の瞬間、目を見開いた。

286 白猫 :2008/07/05(土) 22:34:39 ID:W4Rh7kXM0

天に翳したパペットの手に、"黒いグングニル"が握られたのだ。

目を見開いたネルに笑いかけ、パペットは得意げにグングニルを構える。
 【驚いた? グングニルって二本あるんだ。白いグングニルと黒いグングニル……。
 白のグングニルは全てを滅ぼし、黒のグングニルは死者を呼び戻す――だから、このグングニルはこんなこともできる!】
両手でグングニルを掴んだパペットがグングニルを薙いだ、途端。
空中に広がった黒い波紋が集束し、一体の"死者"が生み出される。
紅色の髪、スラリとした体、その手には一本の長剣が握られている――
 「『 [爆風] 』」
波紋が広がった瞬間に間合いを詰めていたネルは、瞬時にその死者へと槍を突き出し、爆砕する。
"アネットの姿をした死者の肉片"が飛び散るのにも全く気にせず、ネルは死者の向こう、パペットへと槍を突き出す。
それをグングニルの一薙ぎで弾いたパペットは、黒いクロークをゴムのように伸ばし、先を刃のように硬化させネルへと放った。
無数の刃の殺到を見やり、しかしネルは冷静に[深紅衣]を払って弾き飛ばし、槍を鋭く回転させる。
 「『 エントラップメント―― 』」
その詠唱を聞いた途端に飛び退ったパペットに、しかしネルは追いすがる。既にパペットは、九人のネルに取り囲まれていた。
 「『 ピアシングッ!! 』」
詠唱が終了すると同時に放たれた九本の槍。それをパペットは、黒のグングニルを鋭く回転させた。
見れば、"一人のように見える九人のパペットとグングニル"が、ネルの槍を全て受け止めている。
自分が攻撃した瞬間――いや、恐らく詠唱を開始した時から、パペットも同じ呪文を口ずさんでいたのだろう。
だが、力押しならばこちらに分がある。得意な能力を持っているとは言え、パペットは十歳ほどの少年の姿をしているのだ。
 「ッ……」
 【へ、ぇ……やるジャン】
ギリギリとグングニルを押し込むネルに、パペットは冷や汗混じりに笑う。
が、ここでネルは戦局を見誤った。
この土壇場で、"相手を外見で判断する"という愚かな行為を行ってしまったのだ。
ネルは一度、ここで距離を取っておくべきだったのだ。
 【惜しいね……手下になれば絶対ルヴィラィにも勝てたのにさ】
そう笑うパペットの一薙ぎ、
九本のグングニルが鋭く薙がれた途端、全ての分身たちが一気に崩れ、霞となって消滅した。
ち、と軽く舌を打ったネルは、九人のパペットから繰り出される刺突を避け、グングニルを地面に突き刺し[爆風]を発動した。
凄まじい爆発をモロに浴びた分身は即座に消滅するが、やはりパペットにそんなものは通用しない。グングニルを払い、自分目掛けて飛び掛かってくる。
 (……厄介な!)
グングニルを受け止めたネルは、再び力勝負に持ち込みつつも、その腕力に目を見開いていた。
スピードでは僅かにこちらが勝っている。だが、腕力や魔力は圧倒的にパペットの方が上。そして、それは戦闘においてほぼ勝敗を決すると言っていい差だった。
唯一パペットを打ち倒せるであろう一撃――グングニルの秘術、難易度8クラスの[神罰ノ邪槍(ゲイボルグ)]は遠距離攻撃、しかも数秒間の溜めが必要なのだ。
このまま消耗戦を強いられれば勝ち目はない。[神罰ノ邪槍]ではなく、[破槍]を使うしか――
 【[破槍]を使う気だろ?】
 「!!」
ギリギリと槍を押し込んでくるパペットの余裕の笑みに、ネルは目を見開いた。
見透かされている。――だが、[破槍]の破壊力ならパペットでも無事では済まないはずである。
 【やりたきゃやってもいいけど……[破槍]は"この"グングニルでも、使える】
そのパペットの台詞を、ネルは理解できなかった。
槍を弾いて空中へと舞い上がったパペットを見、ネルはようやくその言葉を理解し、グングニルを構えた。
 【『 ――トライ、デント!! 』】

287 白猫 :2008/07/05(土) 22:35:01 ID:W4Rh7kXM0
パペットの手から放たれた、黒い光を引き連れたグングニル。
それを見たネルは、即座にグングニルを地面へと突き刺し、[爆風]で退避した。
半秒前までネルが立っていた地点にグングニルが突き刺さり、しかしそれで止まらない。
全く勢いを衰えた様子を見せずに円状に床をぶち抜いたグングニルは、そのまま二人の視界から消える。
6mほどの大穴が空いてしまった床を見やり、ネルは唇を引き絞る。
グングニルで受け止めようとしていれば、確実に死んでいた。[破槍]の威力は、自分が一番よく知っている。
そして、今の一撃で同時に痛感させられた。
 (――勝てない……僕の力では――勝てない)
 【さーて……それじゃあ、もう一発いかせてもらおうかな。手駒にするつもりだった傀儡全滅喰らって、結構怒ってるんだよね。ボク】
パペットは再び"グングニルを"構え、溜めの態勢を取る。
今度こそ逃げられないだろう。[爆風]を発動する暇なく、潰される。
――"でも"。
 (ここで諦めたら……怒られてしまいますね)
誰に、というわけでもなく。ネルはグングニルを番え、人には理解できない言語を呟く。
グングニル、最終奥義――[神罰ノ邪槍]。
間に合う確率はゼロに近い。[破槍]の方が圧倒的に溜めは短い。
それでも、ここで逃げるわけにはいかなった。
 【さよならだよ、ネリエル=ヴァリオルド――『 トライ 』】

   ――――……

 「!!」
パペットの詠唱の途中、方向から突如放たれた凄まじい光量の弾丸。
それがグングニルの刃先を弾き、パペットは空中で僅かによろける。
 【……んー?】
 「今の術は……[スーパーノヴァ]――ですか?」
首を傾げるパペットと目を見開くネルの目の前、
先に二人がぶち抜いた大穴からこのフロアに降り立った一人の少女が、ゆっくりとワンドを払う。
光を放ち、柔らかく空中と溶け合う栗色の長髪。
空のものと見紛うほど澄んだ、スカイブルーの瞳。そして、胸に輝くパペットの十字架と――細長い宝石、タリズマン。
 「……待たせちゃったかな、ネルくん」
その言葉に目を見開き、しかしネルは首を振り、グングニルを肩に番えた。
 「遅刻ですよ――ルフィエ」


ルフィエの[神格化]も、マペットの[第一段階]により開花した能力の一つでしかない。
ルリマやサルストを発動と可能としている[古代民の知恵]、そして[断罪者]もそのひとつ。
つまり、
ルフィエの[神格化]は第一段階、[古代民の知恵]は第二段階、[断罪者]は第三段階により発動したものなのだ。
第四段階は[邪道解放]の例外であるため除くが、それでもルフィエはマペットの[最終段階]を扱うことができなかった。
その原因こそが、マペットに対する敬遠だった。
ルフィエは心のどこかで、マペットに対して一種の畏怖を抱いていた。それは目上の者に抱くものだとしても、"仲間"に抱くものではない。
結果として同調がうまくいかず――第三段階の発動が、限界だった。
だがこの土壇場に来て、ルフィエはようやくマペットに対する畏怖を取り除いた。
そう。"ともだちになる"。それだけだったのだ。
今まで噛み合っていなかった歯車が突如回り出した様な、清々しい気分だった。
どうして、こんな簡単なことに今まで気付けなかったのか。
――いや、恐らく"今だから"気づけたのだろう。この土壇場でだからこそ、気付けるというものもある。
 「……マペット、行こう」
 〈はい〉
ワンドを軽く回し、ルフィエはまさに誇るように、自分の名を口にする。


   「[戦乙女(ワルキューレ)]ルフィエ=ライアット。ネリエル=ヴァリオルドの求めに応じ、この戦いに参戦します」

288 白猫 :2008/07/05(土) 22:35:31 ID:W4Rh7kXM0


ネルの横に舞い降りたルフィエを見やり、パペットは小さく笑う。
 【ようやく役者が揃ったね……完成されたエリクシルがここに3つも存在するんだよ? 信じられるかい?】
そのふざけた言葉に目を細め、ネルはしかしグングニルを払う。
ルフィエが参戦すれば、状況は一変する。恐らくパペットも持てる魔力をフルに使用してくるだろうが、自分の戦闘力とルフィエの魔術があれば、戦況を五分以上に持っていくことは十分に可能である。
 「ルフィエ」
 「分かってるよ、ネルくん」
ネルの求めに頷き、ルフィエはワンドをネルへと向ける。
途端、その身体を数本の光り輝く輪が包み、彼に異能の力を与える。
それを見やったパペットもようやく余裕の笑みを消し、グングニルを数回空振りさせ、数体のアンデッドを生み出した。
身体から痛みや疲労が拭い去られていくのを感じ、ネルはゆっくりとグングニルを構え直した。
 「パペットは僕がやります。ルフィエは取り巻きと援護を」
 「うん」
ルフィエが頷くのを見、ネルは鋭く跳躍しパペットへと飛び掛かった。
紅色の長髪が空中に揺れるのを見、ルフィエも即座に[二人唱]を紡ぎ出す。
ネル達に飛び掛かるアンデッドたちが空中で縫い止められ、返す手で発動したノヴァに貫かれ、爆砕される。
それを見もしないパペットはネルに向けて[破槍]を一撃放ち、空中で飛退き壁へと着地する。
迸る[破槍]をグングニルの[爆風]で反らせ、捌き切れない衝撃は[深紅衣]で弾き飛ばす。
壁側へと退避していたパペットに無数の光弾を放ち、ルフィエも空中へと舞い上がった。
ただの球体とは違う、まるで鏃のような形の光弾にパペットは目を細め、瞬時に引き戻したグングニルで全て打ち落とす。
[破槍]などで投擲したグングニルは、本人が望めば一瞬で持ち主の手に戻る。ネルやパペットが遠慮なくグングニルをぶん投げているのは、それが理由だった。
 「『 ――ウルトラノヴァ!! 』」
光弾を弾かれても全く気にする様子もなく、ルフィエはしつこくしつこく光弾を放ち続ける。
 「っはぁああああッ!!」
光弾と共にパペットへと飛び掛かったネルは、光弾を避けようとしたパペットへと突きを繰り出し、そのクロークの端を貫き、爆砕した。
 【っち……っぉおおお!!】
何発か光弾の直撃を受けグングニルの爆風を浴びたパペットは、体内で魔力を凝縮させた。
 〈――! ルフィエ!!〉
 「ネルくん、下がってッ!!」
パペットの言葉に目を見開いたルフィエは、咄嗟にネルへと叫ぶ。
それを聞き、追撃を行おうとしていたネルはパペットのグングニルを蹴り、逆進した。
 【『 アトム 』、発動――!】

瞬間、
パペットを中心とした黒い球体が出現、全てのもの飲み込まんと広がり、辺りの物質を消滅させながらネルへと迫る。
逃げ切れないか、と咄嗟にグングニルを構えたネル、

その足に、鋼製の鞭が巻き付いた。
 「ッ!?」
その鞭に引っ張られ[アトム]の威力圏外へと脱したネルは、危なっかしい足取りでルフィエの傍へ着地した。
 「危なっかしい子ね……性急は褒められたものではないわ」
その鞭の主――赤い髪を靡かせ、鞭を手にした呪術師――ルヴィラィが、ゆっくりとパペットへと向き直る。
空中である程度膨らんだ[アトム]はやがて縮み始め、クロークを被ったパペットの姿が再び現れた。
ネルとルフィエの前に立つルヴィラィの姿を捉え、パペットはケラケラと笑う。
 【一体今更何をしに来たんだい、ルヴィラィ? 折角ただの人間に戻してやったのに】
 「フェンリル、よく聞きなさい」
パペットの言葉を完全に無視し、ルヴィラィは背後のネルへと呟きかける。
その言葉に目を細め、しかしネルは頷く。今は争っている場合でもない。
 「パペットは[エリクシル]を核として造られた人形。もとは人間らしいけど……兎に角、エリクシルが心臓になってるから、他の部分をいくら攻撃しようとも奴は死なないわ」
 「それは理解しています。ですが直にエリクシルを狙うには、どうしても[神罰ノ邪槍]だけじゃない……"後一撃"、難易度8クラスを叩き込まないといけないんです」
先の戦闘により、ネルはパペットの本質を幾分か理解していた。
身体の外をいくら傷付けても、エリクシルにより瞬時に治癒されてしまう。エリクシルも莫大な魔力を秘めているため、外側を攻撃して消滅させようと思ったら、それこそ[破槍]クラスの術を何千発と叩き込まなければならない。
だが、その一歩先――[難易度8]クラスの力で身体を一時的に消滅させ、露になったエリクシルを[神罰ノ邪槍]で撃ち抜くことが出来れば。
 「ですがルフィエの[ルリマ]は破壊力に今一つ欠ける。あれは元々光魔法ですし……単純な破壊力のある"火"の力が必要なのです」
 「……[デリマ]、ね」

289 白猫 :2008/07/05(土) 22:36:06 ID:W4Rh7kXM0
と、
 【余所見なんて、随分余裕だねッ!!】
 「ちっ」
空中からグングニルを放ったパペットを見、ネルは小さく舌を打つ。
二人の前に立ち塞がったルフィエが唄を紡ぎ、ワンドを上空から迸ってくる[破槍]へと向けた。
 「『 ルリマ・ウルトラノヴァ 』」
ワンドから繰り出された凄まじい量の光の怒涛。それが[破槍]を捉え、弾き飛ばした。
弾き飛ばされたグングニルを掴み、ルフィエへと飛び掛かったパペット。その眼前でウルトラノヴァを放った。
 【ちっ】
 「私と遊びましょ、パペット」
ウルトラノヴァの光量に目を細めたパペットの背後に回り込んだルフィエは、その脇腹に足を食い込ませ、同時にノヴァを発動させた。
凄まじい爆発と共に吹っ飛ぶパペットへと追いすがり、ルフィエは叫ぶ。
 「時間を稼ぐ!」
 「――頼みます!」
ネルの言葉に頷き、ルフィエはワンドを払い数発のノヴァを生成、パペットの消えた壁の穴、そこへノヴァを全て投げつけた。
壁の穴から響く爆発音、それに手応えを感じなかったルフィエは、地を蹴り穴へと飛び込んだ。


 「あなたには魔力が残っていない。だから僕の魔力を使って下さい。僕はエリクシルを使います」
ネルの言葉に目を細めたルヴィラィは、少し考えて頷く。
が、
 「……待ちなさい、フェンリル。エリクシルの魔力を使えるなら、何故さっきから[破槍]って術を連発しないのかしら」
 「…………」
目を背けたネルの真意を見抜き、ルヴィラィは溜息を吐いて鞭を払う。
 「残念だけど、私は騙されないわよ……あなたの魔力なんて必要ない」
ズカズカと壁へと歩いてゆくルヴィラィを見、ネルは目を見開く。
本気なのか。本気で自分の魔力を使わず、[デリマ]の術を撃とうというのか。
まさか。
彼女が、自分と同じことを考えているとしたら。
 「待っ――」


 【――逃がさない、よ】
 「ッ……」
パペットの槍を避け、ルフィエは地面に手を付き空へと飛び上がる。
空しく空を切ったグングニルは、しかしその波紋からアンデッドを生み出す。生み出されたアンデッドは、その手に持った杖から炎を生み出し、放つ。
 「『 サルスト・スーパーノヴァ!! 』」
巨大な火球ごとアンデッドを飲み込むほどの光弾を生み出し、ルフィエはそれをその場で炸裂させる。
と、
その背後に回り込んでいたパペットが、その体にグングニルを突き出す。完全な死角から繰り出されたその刺突は違わずルフィエの胸を貫いた。
 【!?】
が、そのルフィエの体が突如揺らぎ、霞となり消え失せる。
目を見開いたパペットは、いつの間にか十数人のルフィエに囲まれていることに気づき、舌を打った。
リトルウィッチが得意とする撹乱術――[ガールズパラダイス]。
自分の分身を無数生み出し、相手を混乱に陥れる高等幻術。
 「逃げる? 逃げるのはあなたじゃないの」
 【小賢しい真似をしてくれたのはいいけど、ボクが全方位を攻撃できる術を使えるのは忘れてないよね】
 「……」
笑みを浮かべるパペットに応えず、十数人からなるルフィエが全員、ワンドをパペットへと向ける。
 「『 ルリマ 』」
 【『 ――アトム 』】
ルフィエの詠唱が終わる前に呟いたパペットが、再び[アトム]を発動させる。
今まさに攻撃を行おうとしていたルフィエたちがその球体に呑み込まれ、パペットは笑い転げる。
 【ヒッヒヒヒヒヒヒ!! やっぱりこうじゃないとねぇッ!!】
瞬時にアトムを霧散させ、パペットはグングニルを払う。
パペットは戦闘開始から僅か十数分で、もうこの槍の扱い方を会得していた。
ネルのグングニルも扱うことのできる[爆風]と[破槍]は勿論、
軌跡からアンデッドを生み出す[死者召喚(マリオネット)]、
そして、全てを食らい、無へと帰す[アトム]。
このアトムは、一度発動してしまえば全てを飲み込み、消滅させる。
再生能力があろうが、どれだけ魔法耐性を持っていようが関係ない。この術は全てを喰らう。
 「……やっぱり、ちょっと荷が重いかな」
地面に着地したルフィエは、その無茶苦茶な破壊力に目を細めた。
既に体中は[爆風]や[破槍]の余波により傷だらけになっている。治療を施す時間的余裕がない証拠だった。
パペットはエリクシルを使い半永久的に身体と魔力を保持し続けている。最も、魔力の点ではこちらもエリクシルを使っているため対等だが、流石に体力も半永久的に、というのは無理な相談である。
と、
 「ルフィエ! 頭を下げなさい!!」

290 白猫 :2008/07/05(土) 22:36:28 ID:W4Rh7kXM0
 「!」
遠くから届いたその言葉に、ルフィエは咄嗟に頭を下げる。
その僅か数センチ上を何かが通り過ぎるのを感じ、ルフィエは低い体勢のまま横っ飛びに跳ねる。
離れて通り過ぎたものを見やったルフィエは、少しだけ目を細める。
 「……ルヴィ、ラィ」
ルヴィラィが自分が空けた穴から入り、パペットの上半身を鞭で捕えていた。
ギリギリと締め付ける鞭を見やり、パペットは首を傾げて言う。
 【で? これがどうかした?】
 「……パペット、知ってるかしら? 古い武術書の記述なんだけど。[武術家たる者、己が技量を超える力を得たり、使おうとすれば、その肉体は滅びることとなる。決してそのようなものを求むべからず]――ってね」
ルヴィラィの言葉に目を細め、その真意を察せないパペットは首を傾げた。
 【で?】
 「それを逆に返せば――"その肉体を滅ぼせば、己が技量を超える力を扱える"……ってこと、じゃないかしら?」
 【……!! っち、『 トライ―― 』】
その台詞に目を見開いたパペットは鞭を断ち切ろうと自由な左手で槍を振り上げる、
寸前。

   「お前はここで死ぬ運命なのよ――『 デリマ・バインドブレイズ 』」

ルヴィラィが放った獄炎が鞭を伝い、パペットの身体を茜色に彩る。
同時にルヴィラィの体にも獄炎が燃え移り、ルヴィラィは目を閉じる。
目の前の、数メートルもの火柱は轟々と燃え続け、その身を焼き払ってゆく。
グングニルを離しもがくパペットと、目を閉じゆっくりと灰燼へと帰してゆくルヴィラィを見、ルフィエは目を見開く。
いったい、いったい。
 「すまないわね、ルフィエ」
 「!」

身体がゆっくりと黒く崩れてゆくルヴィラィの口から紡がれた言葉に、ルフィエはワンドを握り締める。
今まで自分は、これほど優しい、ルヴィラィの口調を聞いたことがなかった。
彼女の口調はそう――まるで、母が子に語りかけるように優しく、柔らかかった。
 「私は……母親、失格だったわね――本当に、ごめんなさいね」
ルヴィラィの小さな謝罪に、ルフィエは小さく頷く。
結局、彼女と心が通じ合うことはなかった。どうして彼女が世界を滅ぼそうとしたのか、どうしてこの局面でパぺットに捨て身の攻撃を行ったのか。
だが、ひとつだけ言えることがある。
 「…………どんなに酷いことをしても、あなたは私の母さん。母さんの罪は――私の罪だから」
その、小さな小さな言葉。
ルヴィラィはその言葉を聞いていて、聞いていなかった。既に炎は彼女の身を焦がし、消え去ろうとしていた。
灰燼と化しかけたルヴィラィの手が、ボロボロと崩れながらルフィエの頬にそっと触れる。
 「 ――――…… 」
既に声らしい声も出ないらしいルヴィラィに、ルフィエはそっと彼女の手に両手を添えることで応えた。

 【ま、だ……この程度の火力じゃ、崩れない、よ……】
身体全体が爛れ、崩れかけながらも、パペットは存命していた。
ルヴィラィの命そのものを糧とした[デリマ]も、その命そのものが尽きかけていたため威力が十分乗らなかったのか。
空へと散っていく灰を見、ルフィエは頬を伝う液体をそっと拭い、ワンドをパペットへと向ける。
   「――、『 ノヴァ 』」
回復を開始していたパペットに光弾が直撃し、パペットはその爆発をモロに浴び、吹っ飛ぶ。
地面へと突っ伏すパペットへとさらに光弾を連続して打ち込み、ルフィエは目を閉じる。

感じる。

遠くで、ネルが魔力を溜め始めている。

タイミングを計っているのだ。

外部に再起不能の攻撃を加え、核――エリクシルが現れる瞬間を。

 「……『 スーパー、ノヴァ 』」
パペットへと特大の光弾を打ち込み、ルフィエは大きく息を吸う。

紡げ。癒しの唄を。
悪しき者の体を浄化し、魂を黒き穢れから解放せよ。
その口から紡がれる、三つの高さの異なる、ひどく美しい歌声。
[三人唱]――ルヴィラィでも会得し得なかったこの力ならば、弱い自分の力でも、十分に威力を上乗せすることができる。
グングニルを構えた、ほぼ完全に治癒してしまったパペットを見、しかしルフィエは微笑む。

   「行くよ―― 『 ルリマ・ウルトラノヴァ 』」

291 白猫 :2008/07/05(土) 22:37:06 ID:W4Rh7kXM0


――来た。
ルフィエが特大の[ルリマ]を放つのを見、ネルは腕に全神経を注ぐ。
辺りに尋常ではない量の魔力が渦巻くのを感じ、ネルは目を閉じて精神を集中させる。

少し、手が震える。

この一撃に総てが掛かっている。この一撃をしくじれば、全てが――全てが、終わる。
……"いや"。
終わらせはしない。
例え外したとしても、何年かかろうとも――パペットは、この手で葬り去ってみせる。
自分には仲間がいるではないか。沢山の、信頼に値する仲間が。
 「――ふ、ふ……まさか、この僕が怖気づくとは」
肩を揺らして笑い、ネルはゆっくりとグングニルへと力を込める。
辺りの魔力がゆっくりとグングニルへと集束されていき、その光がゆっくりと強まってゆく。
全てを、終わらせる。
この一撃で、全てを。


   「『 ――神罰ノ(ゲイ)、邪槍(ボルグ)――――ッッ!!!! 』」

ネルの手から放たれた、凄まじい光量を引き連れたグングニル。
[破槍]と形状そのものは似通っていたが、纏っている魔力がそれでこそ桁で違っていた。
まるで磁石に引き寄せるようにパペットへと向かうグングニルを見、ネルは叫んだ。
 「終わらせる……終わらせるッ!!」

ワンドを握り締め、光の怒涛を放ち続けるルフィエは、その気配を感じワンドを払う。
霧散した光を見やり、ルフィエは即座にその場から退避する。"あの技"は、感じただけでも威力が強すぎる……巻き込まれかねない。
パペットがどうなっているかは分からない――が、後はネルのことを、信じるしかない。
 (お願い……お願い!)
と、
振り向いた視線の先、全ての魔力を放出し切ったらしいネルの体が、地面へと真っ逆さまに落ちてゆく。
慌てて地を蹴ってネルの元へと跳び、地面に直撃する寸前にその体を咄嗟に抱き止めた。
ドシャ、と鈍い音と共に地面へと突っ伏したネルとルフィエ。ルフィエなんかモロに地面に顔をこすり付けた。
 「……なにやってんですか、ルフィエ」
その様子に呆れたネルは、ルフィエの体を抱き止めつつも溜息を吐く。
えへへ、と頭を掻くルフィエに笑いかけ、ネルは目を細める。

グングニルが、パペットに直撃したのを感じたのだ。
此処からではその光景は見えず、音も辺りの崩壊音が五月蠅すぎて聞こえない。
だが今確かに、手応えを感じた。
 「…………ルフィエ、行きましょう」
 「……うん」
ネルの言葉に頷いたルフィエは、危ない足取りでゆっくりと立ちあがり髪を払う。
ここからではパペットの気配は感じられない。消滅してしまったのか、或いは――
確かめましょう、と呟きかけたネルに頷き、ルフィエはネルの手を取り歩き出した。

292 白猫 :2008/07/05(土) 22:37:31 ID:W4Rh7kXM0


パペットは崩壊しかけた体、その核に[神罰ノ邪槍]を喰らい、しかしかろうじて生きていた。
エリクシルには無数の亀裂が入っているが、それでもパペットは意識を保ち、エリクシルも砕けてはいなかった。
 「……まだ、生きていますか」
グングニルを払い、壁に縫い止められたパペットにネルは目を細める。
白きグングニルの能力、[全てのものを破壊する力]の力か。パペットのエリクシルからは、もうほとんど魔力は感じられない。
 【…………まさか、ここまでやるとはね】
掠れた声で笑うパペットは、ゆっくりと自分の足元を見やる。
その足元には、ネルによって打ち砕かれたグングニルの残骸が散らばっていた。あの名匠の一品を、こうも簡単に砕くとは。
パペットにゆっくりとグングニルを突き出したネルは、目を閉じて呟く。
 「終わりです、パペット」
 【…………冥土の土産に、ひとつだけ、教えといてあげるよ】
白銀の刃がエリクシルに押し込まれていくのを感じ、パペットは笑う。
 【ボク如きを倒して、いい気にならないことだね……東の冒険者は大陸内でも最も程度が低い……。
西、北、南の四強はこんなものじゃない……そして、西と南の四強は、確実にこの東を飲み込もうとするだろう――】
その言葉に、ネルの槍が、止まる。
西と南の四強。彼らは武術家でありながら、一国の重役である。東の今の荒れ様を見れば、確実に攻め入ってくる。
――が、そんなことは関係がない。
 「例えそうだとしても……、――例え[古代民]を敵に回すこととなっても、僕は戦い続けます」
その言葉に、ルフィエは息を呑みパペットは笑う。

古代民。
今のフランテルの基盤、それを作った大陸の"創造主"とも言われる者たち。
その魔術は大自然を揺るがすほどの力とされ、ルフィエやルヴィラィの[ルリマ][デリマ][カステア][サルスト]も全て、古代の術なのだ。
そんな古代民と"戦う"――それは、人々の中で口にしてはならないこととして通っていた。

ネルの宣言に面白そうに微笑むパペットは、しかし続ける。
 【今のおまえたちでも、四強を倒すことは難しい……それほど彼らは、強い……東はそれほど恵まれている場所なのさ。
 精々気張ることだね……どうせ、結末は見えているけどね】
 「いいえ」
パペットの言葉を、ネルは遮る。
目を丸くするルフィエを見、微笑んでからパペットへと向き直り、グングニルに力を込めた。

 「決まっている結末などありはしない……何故なら僕らは、今こうして生きているんだから」







エリクシルが鈍色の欠片となって地面に転がるのを見、ネルは小さく溜息を吐く。
終わった。
全て――終わった。
感じる。リレッタの魔力が、他のたくさんの魔力を連れてイグドラシルから退避するのを。
皆、皆無事だ。
 「……良かっ、た……」
地面にへたり込む愛しい人を見、ネルは少しだけ微笑む。
崩壊が進み、あと数分で全てが崩れ去るイグドラシルの中で、ネルはゆっくりと目を閉じ、小さくルフィエに呟きかけた。
 「……ルフィエ、先に脱出していてください」
 「えっ」
慌てて自分の方を見やったルフィエを愛しく想い、しかしネルはグングニルを払う。
 「アネットを……姉さんを、迎えに行きたいんです」
 「私も――」
 「お願いです」
ネルの真意を悟って声を上げたルフィエの言葉を、ネルは無理やり遮る。
これ以上、自分の弱い面を見せたくなかった。
好きな人の前では強く在りたい――子供っぽい、少年の見栄だった。
 「姉さんのところへは、僕一人で」
ネルの言葉に圧され、ルフィエは小さく頷く。
反論する余裕すらない。それほどネルは、真剣に自分を見ていた。
 「…………わか、った」
ネルに小さく頷いたルフィエは、小さく溜息を吐いた。
大丈夫。彼は自分を置いて――どこかに消えることは、ない。
寂しく微笑むネルに背を向け、ルフィエはイグドラシルの壁へと数発のノヴァを撃ち放った。
突入とは対照的に、呆気無く空いた大穴。そこへ立ったルフィエは、一度だけこちらを見――空へと飛んだ。
空の彼方へと消えてゆくルフィエの姿を見、ネルは踵を返して歩き出す。壁に突き刺さったグングニルを無視して、ただ歩く。
 「……すみません、ルフィエ。僕は――」
ネルの小さな、小さな謝罪の言葉。
その言葉は、大崩落の始まったイグドラシル……その巨大な轟音に遮られ、誰の耳にも届かなかった。

293 白猫 :2008/07/05(土) 22:37:55 ID:W4Rh7kXM0

原型を崩し、消滅してゆく要塞――[イグドラシル]。
皆をヴァリオルド邸へと避難させ、崩壊の様子を遠巻きに見つめていたリレッタは、傍に舞い降りたルフィエに頭を下げてから視線を戻した。
ネルが一体どうなったのか……それを、聞いてはいけない気がした。そして同時に、自分が一番"認めたくなかったこと"を認めつつあった。
 「……終わり、ですね」
崩壊を続ける立方体を見、リレッタは小さく呟く。
朝日に照らされ、空に消えてゆくイグドラシル。そう――戦いは、終わった。19年もの長きに亘る戦いが今、終わった。
 「でも、私達にとって、今日のこの朝が、始まり」
じっとイグドラシルの崩壊を見続けていたルフィエは、小さくリレッタにそう呟いた。
その言葉に頷いたリレッタも、しかし答えずにその光景を見続けていた。




一人の天使と一人の歌姫の見る先で、イグドラシルは朝日の中に崩れ、消滅した。


ゴドムを蹂躙し、大陸を滅ぼそうとしていた一人の呪術師と人形と共に。




二人の少女が待つ一人の少年は、戻らなかった。















ブルン歴、4925年――三月。

まだ日も低い早朝。ヴァリオルド邸の自室で珍しく羽ペンを取っていたルフィエは、傍の鳥籠に入れられた伝書鳩に微笑みながら、ペンを走らせる。
その羊皮紙の横に置かれたカバンには、数少ない自分の私物が押し込まれている。既に部屋は、自分が入る前の状態に戻っていた。

しばらくしてから、できた! と立ち上がったルフィエは羊皮紙に書かれた字にもう一度目を通す。

294 白猫 :2008/07/05(土) 22:38:18 ID:W4Rh7kXM0



---

この世界のどこかにいる、ネルくんへ。

あのイグドラシルでの戦いから、三年が経ちました。
ネルくんも今年で20歳! 本当に時間が経つのは早いね。
今となっては戦の残り火も消えて、古都の復興も順調に進んでます。
昨日までは私とマイさんで唄を歌って、必死に観光客を引き入れていました。
でも君の20歳の節目でもある今日――私、旅を再開することにしたんだ。


ねぇ、ネルくん?
君は……この世界のどこかでちゃんと、生きてるよね?
あのイグドラシルの崩壊に巻き込まれたり、しちゃってないよね?
リレッタちゃんは今でも、あのときのことを悔やんでるみたいです。
ううん、リレッタちゃんだけじゃない。アーティさんも、カリアスさんも、カリンさんだって悔やんでた。


でもね。私、信じることにしたんだ。
君が生きて、この世界を旅して回ってるんだって。
そしていつの日か、私の前にきっと現れてくれるんだって。
だから、その日まで、どうか元気で。

ルフィエ=ライアット

---





伝書鳩に手紙をくくり付け、ルフィエはゆっくりと鳩を窓へと導く。
窓際へと連れて行かれた鳩は窓が開いた瞬間、その翼で羽ばたき遠い空へと消えてゆく。
 「どうか、見つけて――彼のこと」
空の彼方へと消える鳩の姿に、ルフィエは小さくそう呟く。
そして、自分は机の上に置いていた小さなカバンを持ち、扉へと歩み寄った。
トン、と部屋の隅で立ち止まったルフィエは、部屋を改めて見回し、思う。
 (この部屋とも、今日でお別れね)
いつの間にか長い間暮らしていた、この部屋。
いつの間にか自分の家同然となっていた、ヴァリオルド邸。
此処を今日、自分は出る。
 「元気でね」
誰に言うわけでもなく、ルフィエはそう呟き、扉を開いた。






 「行くのか」
部屋の外で立っていたカリンが、ルフィエに向けてそう呟いた。
まさかこんな時間に起きていたとは思いもしなかったルフィエは、少し驚いて頷く。
その姿に溜息を吐き、立ち上がったカリンはルフィエに向き直った。
 「まさか三年もお前のような娘と暮らすことになるとはな」
 「セバスさんからお金、もらっちゃえばいいのに」
カリンが契約の金を未だにセバスから受け取っていないことを、ルフィエは知っていた。
そしてそれを理由に、未だに此処に留まっていることを、ルフィエは知っていた。
ルフィエの内心を知ってか知らずか、カリンはフンと笑って剣に手をかける。
 「金は依頼主から貰わねば意味がない」
それに、此処であのチビガキどもの面倒を見るのも悪くない。
そこまでカリンは、付け加えなかった。
クスリと笑ったルフィエに背を向け、カリンは一度だけ手を挙げた。
それが彼女なりの別れの挨拶なのだろうと思ったルフィエは、ぺこりと頭を下げる。
 「さよなら、カリンさん」
ルフィエの言葉に、カリンは応えなかった。

295 白猫 :2008/07/05(土) 22:38:41 ID:W4Rh7kXM0


 「ルフィエ」
厨房を通り過ぎようとしたルフィエに、リンゴを持ったマイが歩み寄った。
朝早くからつまみ食い? と苦笑するルフィエの頭を小突き、マイはリンゴを齧る。
 「お前がこんなに朝早いのは有り得んな。普段なら昼まで寝てる」
 「……昼まで、ねぇ」
そんな生活してる自覚ないんだけどなぁ、と苦笑するルフィエを見、マイは溜息を吐いた。
 「行くんだな、とうとう」
その言葉に込められた小さな感情を感じ、しかしルフィエは力強く頷く。
 「……うん。戦いが終わってからすぐ、決めたことだから」
 「また遊びに来い。しばらく私もこの家にいる」
マイに頷きかけ、ルフィエは胸の十字架を握る。
彼女に唄を教わらなければ、ルヴィラィと対峙することはできなかった。
それに、古都の復旧にも、彼女は彼女なりに尽くしてくれたのだ。
 「ありがとう、マイさん……さよなら」







 (ネルくんと出逢って、もう四年)
早朝にも関わらず騒がしい雑踏の中、ルフィエはフードを被ったまま歩き続ける。
今となっては、自分は大陸を救った英雄扱い。フードを取って歩いたら、違う意味で騒がれてしまうだろう。
それでも、差別扱いされるよりはきっと……マシ、だろう。
 (ネルくんに出逢ってから、色んなことがあった)

星の瞬く聖夜が齎した、偶然の出会い。
瀕死の少年を介抱し、彼の魘される声から、彼の大切なものを知った。
天使の少女を見たとき、何故か沸き出た対抗心。
思えば、あの頃からずっと恋い焦がれていたんだろう。

ビガプールでの戦い。
改めて、少年の強さを目の当たりにした。目の当たりにして、それでも傀儡に傷を負わされた。
彼との一旦の別れ。彼から渡されたタリスマンのお陰か、不思議と不安はなかった。

アリアンでの再会、初めての口付け。
喜びも束の間、ルヴィラィとの遭遇、真実の発覚。
レッドストーンを奪われ、当人には逃げられ、町は壊され――自分たちはまた、敗北した。

そして、ブレンティル。
初めての[神格化]、傀儡との総力戦――そして、またもや敗北した。
勝たねばならない戦いだった。それでも、彼女の力の前に自分たちは、またしても打ち倒されたのだ。

――古都、ブルンネンシュティング。
出来れば思い出したくはない、忌々しい記憶。
護ることができなかった――ただ、護りたかっただけなのに。
あの日、誓った。もう誰も、殺させはしないと。

ブリッジヘッド、初めて知った喜び。
その喜びもやはり、すぐに戦いの中に呑まれた。
ヴァリオルドの本邸は消滅し、自分は初めて――人を、殺めた。



そして、今。
 (私は、ネルくんに出逢ってたくさんのことを教えてもらった。
 人との関わり方、社会のルール、道徳、店での値切り方、
 戦いで最も優先すべきこと、やっちゃいけないこと、――それに、人を愛すること)
いつの間にか古都を出てしまったルフィエは、小さく、ほんの小さく溜息を吐く。
風が自分の体を打ち、フードが取れた。
昼空の元に晒された白い肌と茶色い髪、水色の瞳。
胸に輝くは、白色の淡い光に包まれた十字架と、愛しい人からの贈り物。
 「きっと、見つけるよ……何年かかってでも」
ゆっくりと、ゆっくりと彼女の身体が浮く。
当てはない。急いで探さなければならないことでも――ないだろう。たぶん。
それでもこのときだけは、全力で、そう、全力で飛んだ。一秒でもそこに留まっていると、泣いてしまいそうだったから。
空へと飛び上がった金色の光は、やがて太陽の光の中へ飲み込まれてゆく。
飲み込まれて、その光は二度と戻ってくることはない。
今度戻ってくるときは、紅色の瞬きと共に戻ってくるはずなのだから。

296 白猫 :2008/07/05(土) 22:39:03 ID:W4Rh7kXM0


 「――!」
空へと打ち上がった金色の光を見、銀色の髪を揺らしながら少年は目を見開いた。
あの光には、興味がある。どこか懐かしい感覚すらあった。だが、あの速さには追いつけない……追うだけ無駄だろう。
それよりも今は――あの懐かしい、懐かしいあの屋敷へと戻るのが先決。
 「……懐かしいですね、ヴァリオルド邸は。主人不在で潰れていると思いましたが」
その青年――ネリエル=ヴァリオルドは、ゆっくりと古都への道を歩く。
空へと打ち上がった光のことはもう思考の隅へ追いやられていた。今彼の頭にあるのは、あの屋敷にいるであろう、一人の少女のことだけ。
 「ルフィエ……君は、僕におかえりと言ってくれるんでしょうか、ね」



ゆるりとした歩調で歩く青年は、知らない。
一人の少女が、西へ西へと飛翔を続けていることを。
その少女が自分のことを探し、自分が探しているということを。



凄まじい速度で空を往く少女は、知らない。
一人の青年が、ついさっきヴァリオルドへ到着したことを。
自分が想い、焦がれている青年が自分のことを知り、慌ててヴァリオルド邸を飛び出したことを。










彼らは知らない。












Puppet-歌姫と絡繰人形-


END

297 白猫 :2008/07/05(土) 22:39:27 ID:W4Rh7kXM0
あとがき




どうも、白猫です。
本章を持ってPuppet-歌姫と絡繰人形-は完結となります。今までの皆様のご愛読、本当に有難う御座いました。
しかし完結に七か月もかかってしまいました。おうのうorz
何度も言っているようですが、当初この小説は短編小説の予定でした。クリスマスに出逢ったシーフとリトルウィッチの話の予定でした。
そして、やっぱり回収できない伏線がたくさん。誤字脱字もたっくさんorz
現在自HPで修正・加筆を行っている最中です。現在プロローグが完了。
区切りがつけば公開しようかと思っています。

コメ返し

>68hさん
いやもう……半分スランプ状態だったので、展開が急だわ無理やりだわでもう……orz
ネルくんは四代目だからⅢじゃないしスティリアと口論してたのはカナリアだよぅorz
アネットとアーティはよく間違えるし……次回作ではこんな下手はこきません! たぶん!
老師の存在は最後まで誤魔化そうと思ってしまいましたが結局若干のカミングアウト。まぁこれくらいいい……よね?うん。
---
思えば68hさんには全本編、全番外編、全短編に感想をいただいているわけですが……なんというかスゴイです。ホントにスゴイです貴方。
最初の内は設定もガタガタ、最終章でも拾いきれなかった伏線が放置状態になっているというのにいやはや。
きっと68hさんの小説も凄いんだろうなぁ。きっとメチャクチャ上手いんだろうなぁ。と一人でニヨニヨしている白猫です。いつ投稿なさるんでしょうか、楽しみです。楽しみでしょうがないです。
小説スレのレギュラー感想屋である68hさんの小説ともなれば、きっと小説スレ全住民から感想が……ゲフンゲフン。
そのときはバッチリ私も感想書かせてもらいますよー! 期待してまっすー……ハッ。ラストがあるではないか、七冊目ラストが!
兎にも角にも、七か月間お付き合い有難う御座いました。新作の投稿の目途は立っていませんが、また投稿するときは是非。


>黒頭巾さん
はーい!パパでーす!(誰
クレリア。凄いというより狡い……(ちょ)?
嗚呼……最初のアレですね。まぁアレは……そう、そうです。私の実力ですね!(←絶対後付け
じぃちゃんはですねー。まぁなんというか……パワーアップの道具、的な?ごめんじいちゃんorz
このじいちゃんのモデルは私のじいちゃんでした。異様に若い、というか……幼い人でした、はい。
本当はブリッジ編でもめんこい笑リレッタを出す予定でしたが……まぁ、まぁ、まぁ……。
格ゲー[Puppet]ですか……ネルくんの圧勝で終わってしまいそうな――あ、戦闘補正ですね、無敵の笑
隠しキャラ……入手条件はそうですね、「長電話8時間」で(ぇー)
---
ルフィエのデフォルメ、カリアスのコス……ウォッホン! などなど、自分の我侭や思いつきにお付き合いいただきありがとうございました。そして無茶ブリごめんなさいです。
これからもふぁみりあいーえっくすを応援しています。いけめんさんも応援しています。こっそりファンなごしゅじんさまはもっと応援しています。
個人的にはごしゅじん王z……ウォッホン! なんでもありません。お持ち帰りなんてしたくありませんよ、ええ。
天下一ではあのお二人の描写をハズさないよう頑張ります。。変なところがあればバシバシご指摘をば。
そしてハロウィンネタはワクワクしながら待ってます。まだ半分も出来てないんですけどね苦笑


>みやびさん
はい、ばっちり期待してます笑
きっと68hさんはやればできる子。いや、私の方が年下なので……できるお方?できるお方です。
……はい、天下一がんばります。設定自体はほぼ完成しているので、後はあっみだくじ!ですね。
リレー小説はのんびり見させていただきます。ネルくんとルフィエは適当にパーティーから外しておいてください(待って
皆様の期待に添えられるような作品にできるよう頑張ります……はい。




さて。それでは今回はこの辺で。
大量のスレ消費申し訳ありませんでした&ご愛読ありがとうございました。
いつになるかは分かりませんが、次回作もご期待下さい。
それでは、白猫の提供でお送りしました。

298 ◇68hJrjtY :2008/07/06(日) 02:02:28 ID:rvBV3p4k0
>白猫さん
まずは。まずは言わせて下さい。Puppet完結編、本当にお疲れ様でした。
飽きさせない、息をつかせない怒涛の傀儡、ルヴィラィ、そしてパペットとの戦闘。
白猫さんの小説では戦闘要素を主に堪能させてもらっている私ですが、もちろんそこにはたくさんのドラマがあり…。
ネルとルフィエ。戦いに次ぐ戦いの中でお互いの存在をしっかりと感じ合い、
別の点では「エリクシルを持つ者」として他に比肩できないほどの能力を手に入れた二人。
思えば古都でのあの出会いから長かったようで短かったようで、短期間の成長ぶりは白猫さんの執筆速度と相まって驚かせてもらいました。
なるほど、「エル」という言葉には「神」という意味があるという話を聞いた事がありますが、「名も無き神」とリンクしていますね。
傀儡たちも当初は敵として見ているだけでしたが、それぞれがそれぞれの想いを持って戦っているという点では
ネルたちとなんら変わりない、人間味溢れる奴らだったようにも思いました。できる事なら真っさらに人間として転生して欲しいとか(苦笑)
ヴァリオルド家代々に渡る戦いであり、ルフィエにとっては母ルヴィラィとの戦いでもあったフランデル大陸の存亡をかけた戦い。
なにやら続編の余韻を漂わせながらの堂々完結、ありがとうございました!
---
さて、白猫さん自身は毎回の文章量含めて全く疲れを感じさせないスピードでの執筆でしたね。
もちろん実際には文章構成のチェック等だけでも想像できないほど時間がかかっているとは思います。
そして白猫さんが今まで書かれたPuppet本編だけでもまとめたらそれは長大な物語になりますが
さらにHP公開の予定まで立っているとは…つくづく頭が下がる思いです。完成の折はぜひ訪問させてくださいね♪
---
>小説スレのレギュラー感想屋である68hさん
以前いらっしゃった初代感想屋のアラステキさんに敬礼しつつ感想書かせてもらっています(・ω・;A)
絶対全作品に感想をつける!なんて気持ちでやってるわけではないのですが、自然とこうなってしまいました(ノ´∀`*)

>きっと68hさんの小説も凄いんだろうなぁ。きっとメチャクチャ上手いんだろうなぁ。
この想像は早々に脳内から消した方が良いですよ!?
実はみやびさんスタートのリレー小説の続きなどを考えてたりしましたが、できたのは何の関係もない短編orz
しかも尻切れとんぼ。。

>68hさんはやればできる子。
うっ…がんばるよママン(´;ω;`)

チャットで無責任にもリクしてしまった入れ替わりネタ、ちゃんと考えてくれてるようで嬉しいです(*´д`*)
もちろんいつになっても構いませんし天下一とかいろいろUPした最後の最後でOKですよ!
そして長文感想、失礼しましたー!

299 憔悴 :2008/07/07(月) 08:54:12 ID:Wv5HCA4E0
ここは…どこだろう
嗚呼…あの子と一緒に遊んだ、場所。
そう、3年前、あの子は今みたいに笑顔でお花を摘んでたっけ。
無邪気に笑って。警戒心なんてこと、知らないように。
まるで純粋な天使みたいだった。
「リデル…」
そんな悲しそうな顔をしないで。
涙なんて流さないで。
その顔を苦痛に歪めないで…。
どこかに、いってしまわないで。

「………ッ」
朝。
小さい四角い窓からは梅雨明けの暑い太陽が、燦々と部屋を照らしていた。
バルコニーへ出れば前面光の世界。
「…おはようございます」
大きく深呼吸をすると、全世界への挨拶を交わす。
ローブと同じく、灰色のパジャマには小さな宝石が散りばめられていた。
あの子が大好きだった宝石の数々。
特に誕生石のエメラルドはお気に入りだったっけ。
私と同じ、薄緑色の髪を風に揺らしながら、小さい宝石を眺めていた。
…もう見ることはないだろうけど。
「おそよう!もう10時だよっ総帥様ッ」
桃色の髪をなびかせた少女が、ドアを勢いよく開ける。
「その…総帥っていうの、やめてくださいません?普通にチェルで結構よ」
「わかったー、チェル姉おそようっ」
可愛い妹のようなリーネは髪と同じ、桃色のドレスの裾を両手で持ち、丁寧におじぎをする。
ここは笑顔でおはよう、と返すところなのだろうが。
先程まで見ていた悪夢が頭の中を蝕んでいる…
素直に笑うことなんて、出来なかった。
いつだってそうだ、誰かの機嫌をとるためには作り笑顔を絶やさないようにしていたっけ。
特に、彼女に対しては笑えない、優しい態度なんて、とれっこなかった。
彼女があの子に似ているから。
どこか、すっぽりと空いた穴に彼女が入ってしまうから。
彼女と生活し始めて1週間と、短いが何度涙をこぼしそうになったか。
毎日の悪夢はもちろん、彼女自信に冷たく当たるようにしてきた。
なのに何で、毎日私を迎えに来るの?一緒にいるの???
極度のお人よし、というものはこういう人のことを言うのだろう。
「そういえばね、ロンサムさんが、自分と同じように、髪の色が違う人見つけたって!」
「本当ですの?」
パジャマからいつもの服に着替えつつ、リーネの言ったことに半分耳を向ける。
「むー、全然興味ない様子!」
「そんなこと、ないですわよ」
苦笑しつつ、総帥室を出る。

300 憔悴 :2008/07/07(月) 08:54:45 ID:Wv5HCA4E0
リンケンから出、総帥に任命されてからはこの組織が共有している館の数個ある内の1つに住んでいた。
特に、この総帥室があるB棟は一番格が上だった。
何故かリーネもここに住んでいた。
「貴方はなぜB棟に住んでるんですの?入ったばかりなら高くてもD棟でしょう?」
聞いた話によると、ロンサムがリーネをたいそう気に入り、その上誰とも接点を持ちたがらないチェルに軽々と話しかけているため、組織のお偉いさんが此処に住まわしたらしい。
(私は話してないのですが…というかロンサムはロリコンだったのですわね…)
そして、B棟中央ホールに来ると、もうロンサムを始めB棟の捜査委員が集まっていた。
「遅いですよ、総帥…今日は8時から話がある、と言っておいたでしょう」
「最近誰か様のせいで寝るのが遅くなって…申し訳ありませんわ」
ぎくり、とリーネが反応し、ロンサムの後ろに隠れる。
「だって、だって、みんな9時消灯だから、怖くて、チェル姉の部屋で遊びたくなるんだもん!」
「じゃあ今度から僕の部屋で遊びます?」
「…それで、話というのは?」
ああ、と思い出したように手を叩くと、
「私の知り合いにボニーという者がいまして。そいつがリーネちゃんから聞いた、職と髪の色が違う者かな、と思いまして」
異種職。
極稀に、2つの職の技術が使用出来る者。
そして、大半は姿の職と髪の色が異なる。
例に、薄緑色の髪をしたテイマー、桃色の髪をしたプリンセス。
「その、ボニーさんの職はなんですの?」
「シーフでして、髪の色は金なのですよ」
シーフにて金髪。
きっと、他の技術も使えるに違いない。
「そして、そのボニーの住んでいるところがバリアートなのですが…」
バリアート。
西方を山に囲まれた、静かな村。
東には誰も奥まで言ったことのない洞窟がある。
中には竜の子孫がいるだとか…
「それで、どうしましたの?」
「その、東にある洞窟から、今までは外へ出てこなかった竜の子孫が、少しずつバリアート方面に出てきているのです」
この報告には吃驚を隠せなかった。
街などにはロマからダメルまで、ウィザードによるモンスターの入れないように、ポーターが置かれているのだ。
そのため、街にモンスターが現れた例は今まで一度も無い。
「それは…洞窟に何か異変か、もしくはポーターが壊れてしまったのかしら」
「分からないです。この間、1度バリアートに竜が入ってきたそうです。そのボニーを中心に退治されたらしいですが…バリアートと洞窟の間にある沼には、もう竜が倒してもきりが無いほど居るらしいのです」
「それの退治依頼なのですの?」
「いえ、沼の色もおかしいですし、きっと何か洞窟にあったに違いないので、組織から数人、調査に来てほしいということです。ボニーに会いたいのなら総帥も一緒にいきましょう」
洞窟からあふれ出す沼の変色。
竜が洞窟から外へ出る異変。
それは…きっと、鬼による何かだと、チェルは確信めいていた。

301 憔悴 :2008/07/07(月) 08:55:11 ID:Wv5HCA4E0
「きてくださって、ありがとうございます。私がバリアートの警備隊長のボニーともうします」
ロンサムのいうとおり、姿はシーフだが、髪だけは金髪となっていた。
「一つ、お聞きしても宜しいでしょうか?貴方はシーフや武道による技術以外にも何か使えます?」
頭に疑問符を浮かべるボニー。
「それでは、このくらいの…石、いえ宝石のようなものをお持ちですか?」
「いや…もっては居ないが、あの洞窟の奥に、その、魔石があると言い伝えられてきました」
その話が本当なら、洞窟には入らなくてはいけないらしい。
しかし…
「痛た…」
洞窟に入った瞬間、無数の竜の子孫に突かれてしまう。
いくらペットが強く、回復や蘇生などが出来ても本体が死んでは意味がないのだ。
ここを、何も攻撃されずに奥までいけるのは…
「………」
楽しそうにピクニック気分で鞄に飴やお菓子を詰め込むリーネを見る。
…いや、無理だろう。普通に。

しかし、彼女しか頼めなかった。
「いって…くれますか…?」
「合点承知の輔!がんばってきまーす!」
注意などを聞く耳も持たず、鞄を背負い兎が駆けていった。
…大丈夫なのだろうか?

数時間たつ。
洞窟の入り口に仁王立ちするチェル。
そんなに奥深いのだろうか。もしかしたらどこかで息絶えてるかも…
いや、まあ何とかなるだろう。一応異種職だし。
其処へ、小さな兎が行きの半分の量になってる鞄を背負って帰ってきた。
横には何故か傷だらけのボニーがいた。
そして、元の姿に戻ると、鞄からいそいそと満面の笑顔で黄色の魔石をとりだした。
話を聞くと、奥まではそう数十分もかからなかった。
しかし、一番奥には魔石などなく、ただ1つの扉があった。
チェルとはすれ違いでボニーを洞窟の奥まで命がけで連れて行き、彼が扉の真ん中をいじくっていたら空き、目の前の壁には龍の姿を彫った石画があり、そこの真ん中にはめ込まれていたのが、
この黄色い魔石…トパーズらしい。こうくるともうお分かりだろう。
薄緑の髪のチェルが持ち主のエメラルド。
桃色の髪のリーネが持ち主のアクアマリン。
そして、トパーズ、黄色もしくは金色の髪。
「誰かに絶対誰にもいうな、と言われたのでしょうが…教えてください。貴方は複数の技術をもっていますね?」
金色の髪を黒い帽子で隠している、少年に向かう。
「…やっぱり、ばれましたか。まあ貴方達もでしょう?俺の本職、シーフに加え悪魔、ネクロの技もこなせる。といってもあまり使わないが」
最初からチェルは気づいていたのだ。
宝石がありますか?と聞いただけで魔石、と答えたからだ。
きっと自分が持つべき魔石のことを知っていたのだろう。
その時、バリアートの西から巨大な爆発音らしきものが轟いた。
山から流れているはずの滝の水が、バリアートの村へ降り注ぐ。
「何が…!?」
降り注ぐ水と、そして空を覆う黒い雲。
…鬼が来た。

302 憔悴 :2008/07/07(月) 08:55:41 ID:Wv5HCA4E0
「あ…あれは…」
リーネの顔がみるみる真っ青になる。
リンケンの町長を殺された時を思い出してるのか、はたまた…
考えてる暇なんて無い。
そう、もうバリアートをリンケンの二の舞にしないためには戦うしかないのだ。
「ボニーさん!ロンサム連れてきてくださいッ」
「は、はい」
それまでに、あの数を2人で食い止められるか…
「…ぅ…鬼なんて…私が…ッ」
「あんまり一人で前にでちゃだめですわっ」
飛び出すリーネの左腕を引っ張る。
ぐい、と体が傾き、一刹那前にリーネが居た場所に落雷が落ちる。
「ひっ…」
目に零れない程度の涙をため、硬直する。
これは一人でやるしかない、と感じ取る。
すぐさま真紅に染まった本に閉じ込められた古代竜を開放する。
(…スリープ、ビューティ、任せる)
励まし、誉めるをし、唐辛子を与え攻撃命令を放つ。
すぐさま前方に出てきている鬼の数匹に取り掛かる。
その間、チェルは回復だけを専念し、2匹の支援にかかっていた。
数分経っても鬼の数は経るどころか増え、一人じゃ抑えきれないようになってきた。
(この数は…なんですのっ!)
洞窟の方角からは鬼があふれ、スリープに致命傷を与える。
(ちょっと…まずいですわね…)
その時、後方から数本の矢と、斧が鬼へ飛ぶ。
「うわ、これは酷いですな…総帥、大丈夫でしたか?」
舌をぺろ、と出すと背から矢を取り、鬼に確実に当てていく。
「これは…キリがないな、あの洞窟に何があったんだ?」
ロンサムの隣に居るボニーも、腰から小さな斧を取ると、周辺の鬼に投げつけていく。
「…う…もう、大丈夫。私に任せて」
後ろで硬直していたリーネが動き、ピンクのドレスを赤いコスチュームに変えた。
小さな魔女は自分の中に宿っているもう一つの技術、魔法使いの力を4人に振り掛ける。
彼女は星型のワンドを取り出すと、小さい声で星を集める。
そして。
「メテオノヴァッ」
小さい星たちが集まり、大きな隕石と変わる。
大きな隕石の塊は4つにわかれ、鬼にぶつかり爆発を起こす。
(これが…異種職の技…)
チェルにはこういった、ウィザードのメテオと、リトルウィッチのウルトラノヴァの効果を併せ持った技は持っていなかった。
目の前に輝く隕石は鬼に爆発を起こし、その後は小さな星の砂と変わる。
そして、リーネは高く跳び上がる。
「チリングスペシャルッ」
氷で出来た霧は4人を中心に渦となり、鬼を襲う。
その霧が収まる頃には、鬼も居なくなっていた。
「リーネちゃん…すごいですなー…初めて見ました、こういうの」
「俺にもできんのかな…」
絶賛する2人に対し、チェルは誉めることはできなかった。
すごすぎて、固まっていたからだ。
(…私にももっと力があれば…彼女を救えたのでしょうか…)

303 憔悴 :2008/07/07(月) 08:56:07 ID:Wv5HCA4E0
結局、洞窟はリーネの霧によって入り口が凍り、二度と竜が出てくることは無くなった。
しかし、もう既に洞窟の外に出ていたリザードキリングは巣を作ったらしく、何匹倒しても居なくなることはない。
「まあ、あいつらくらいなら大丈夫でしょう。今日はお疲れ様でした。先に帰っています」
久しぶりに疲れたのか、ロンサムは頭を抱えてB棟へ戻っていった。
「で…俺の力を借りたいわけか」
異種職についての役割を話すと、ボニーは斧と鞭を出す。
「俺もいつかさっきみたいな技使えるようになるんだよな、まあついてくよ。楽しそうだしな!」
「わーいっ」
喜ぶリーネを、まじまじと見つめるボニー。
「ほんっとさっきのお前嘘みたいだよなー。こんなガキんちょなんて」
人差し指でリーネの額を小突く。
「いたっガキってゆーなっ」
これでもねーと話し始める。
チェルは興味なさげに聞いていたのだが…
「これでも18なんだから!今年で19だよっ」
「はい?」
凍りつくチェル。
笑えない冗談だ。
彼女と同い年だなんて。

゚・*:。.:・*:.'.:☆.+゚*゚+.。+゚,゚.+:。.+:。☆゚+.。+゚,゚.+:。.+:。*:。.:'・*:.':+.*。+゚.゚.+:。.*:。☆

第三の異種職ボニー。
そして、複合技術。
メテオノヴァ、チリングスペシャル…
なんて語源力のないつまらない小説になってしまったことをお詫びいたします。



コメント返し

>◇68hJrjtY様
アレナはこちらの設定ではなく、リンケンに実際いるNPCの名前でした。
そして、魔石はエメラルドのみではなく、他にも登場させる予定です。
誕生石の12個分ですね…長い。
月がエメラルドから始まって5月、というわけではなく、
チェルのエメラルドで5月、
アクアマリンが3月、
トパーズが11月…と。

毎回コメントありがとうございます。

304 防災頭巾★ :削除
削除

305 黒頭巾 :2008/07/07(月) 22:05:01 ID:fou9k2gM0
滑り込みセーフc⌒っ゚Д゚)っズサー


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ささのはさらさら、のきまにゆれる――。


【ふぁみりあいーえっくすしりーず、たなばた編 〜そして、未知との遭遇(?)3〜】


僕はふぁみりあいーえっくす。
ちょっと愉快なぎるどの副ますさんなごしゅじんさまのぺっとだ。
僕の素敵なごしゅじんさまや愉快なぎるどめんばーさん達のご様子は、過去ろぐってやつをご参照でどうぞ。
出し渋りのつんでれろまさんからせしめた攻速石を倉庫に詰め詰めしようと、ぎるどほーるにやって来たごしゅじんさまと僕。
海の匂いのしゅとらせらとから木の香りのぎるどほーるへ飛んだ瞬間、僕の目の前は緑一色になった。
何、何、ぎるどほーる緑化運動!?
しかも何かわさわさちくちくするの!
やーん。
じたばたする僕の視界が急に開けたと思ったら、目の前にはわさわさの正体を持ったごしゅじんさまの姿。

「笹なんて持ち込んだのは誰ー?
 ちゃんと固定しとかないと、倒れてて来て危なかったじゃない!」

どうも、わさわさのお名前は笹って言うらしい。
初めて見る植物だ。
うー、お顔をちくちくされたから痒い痒い。
お顔をこしこし。

「おー、すまんすまん。
 固定する紐を捜してる間だけ立て掛けといたんだが……中々見付からなくてな」

怪我しなかったか?
奥から出てきたはんらさんが、そう言って僕の頭を撫でた。
気にしないで、大丈夫。
にひる笑ってに右手をぐってしたら、「よし、偉いぞ。男の子は強くなくちゃな」ってご満足そうな笑顔。
わーい、褒められちゃった!
でもね、笹とやらを立てかけるはんらさんに見えないように、まだお顔をこしこししてるのは内緒内緒なんだから。
そんなぎるどほーるに、ひゅんと現れたのはおじょうさまとごきぶりさん。
そのお手々には、色取り取りの紙の束が握られていて。

「ナイトさーん、飾りと短冊の材料買って来たよー!」

しまーを回してくれるはんらさんは騎士様みたいだって言うおじょうさまは、はんらさんをないとさんって呼んでる。
僕もはんらさんみたいに、ごしゅじんさまのないとさんになりたいなぁ。

「――ちゃん! ファミちゃーん?」

未来に思いを馳せる、そんな僕を呼ぶ声。

「おいでー、一緒に飾り作ろー?」

いつの間にか机の前にいるごしゅじんさまとおじょうさまの呼び声に、僕はわくわくと駆け出した。

306 黒頭巾 :2008/07/07(月) 22:06:08 ID:fou9k2gM0

――二時間後。
ぎるどめんばーの皆の手によって、笹はくりすます限定のつりーみたいにお綺麗になった。
反対に、おどりこさんのお手々は傷だらけになってたけど。
ただ、紙を切って折って貼るだけなのに……ここまで不器用だったのは驚いたなぁ。
まっするさんに治して貰ってお手々はすっかりお綺麗だけど、笹のお飾りの一部にある生生しい血の染みからは……皆が目を逸らしてる。
勿論ね、その他のお飾りも沢山!
ごきぶりさんお手製のみにちゅあのお飾りは凄い繊細でそのままお店で売れそうなくらいだし、いけめんさんが仕上げに魔法を掛けたお星様はきらきら輝いてる。
皆で作ったわっかのお飾りも、お星様の川みたいで楽しい。
それでね、それでね……作ってる間に七夕さまのお話を教えて貰ったんだよ!
むかしむかーしの、天上界の天使さんのお話。
神様のお洋服を作る天使さんと神様の乗り物の世話をする天使さんが、らぶらぶになってお仕事をさぼるようになったんだって。
それに困った神様が、そんな自堕落な生活はいかーんって、お二人を離れ離れにしたそうなの。
でも、両方とも天使さんだから……ぱーてぃー組んでこるで会えちゃうのにって思うよね?
お二人もそう思ったみたいで、こっそり会ってはお仕事さぼってたらしいんだけど……やっぱり見付かっちゃってさぁ大変。
追放されるされないまでお話が拗れちゃったんだけど、それは流石に可哀想だってんで、喧嘩両成敗で両方が一年毎に交代で牢屋に入れられて強制的に離れ離れにされた状態でお仕事に専念する事になったんだって。
で、一年我慢したご褒美に、一年に一度の交代する前の晩だけご一緒に会えるようにしてくれたらしい。
そしたら、お二人とも頑張ってお仕事するようになってめでたしめでたし。
で、会えて嬉しいお二人が幸せのお裾分けに小さなお願い事を叶えてくれるってんで、その記念日は皆でどさくさに紛れてお願い事してみよーってのが七夕さまの由来らしい。
一年に一度しか会えないのに皆のお願い事を叶えてばっかりじゃ、お二人でゆっくり出来ないんじゃないかなぁ。
そんな疑問が浮かんだけど、ごしゅじんさまは楽しそうだからお口にちゃっくした……言わぬがお花って言うしね!
僕も含めて一人一枚ずつ短冊を持って、皆それぞれお願いを考える。
一番最初に思いついたのは、ごきぶりさんだった。

「飛虎を拾えますように、と」
「お前、即物的すぎるだろ!」
「ずっと欲しがってたもんねー」
「同期は皆、ロト飛虎とか持ってるんだよ……もうNでいいから欲しい」

半泣きのごきぶりさんのお願いは切実すぎた。

「じゃぁ、俺は……バディのエンチャがいい加減成功しますように、で」

はんらさん、現在13連敗中。

「私は……若くて強い下僕が手に入りますように、かしら」

おねーさまの冗談に聞こえない言葉に、男性陣は必死に目を逸らした。

「今年こそ、探し人が見付かりますように」

おどりこさんは何処か遠くを見詰めるように、呟いた。

「うーん、今年のお願いは何にしよーかなー」

そんな中、おじょうさまはぺんをくるくる回しながら楽しそうに呟く。
そんなおじょうさまに、去年の騒動を思い出したらしい皆が思い出し笑いをする。

「去年は、お花とお菓子でお部屋を一杯にしたい……だっけ?」
「そうそう、本当にお部屋一杯に埋まっててビックリしたわー」
「今年のお願いも叶うといいな」

皆はにやにやと笑いながらいけめんさんを眺めて、いけめんさんはその皆の視線から目を逸らした。
貯金をはたいて可愛い妹のめるへんなお願いをこっそりと叶えた兄と、それを知らずにお願いが叶ったと舞い上がった妹。
そのぷれぜんとを上機嫌でもんすたーに投げつけまくったおじょうさまは……一日の狩りで全部使い切っちゃったと、ぷれぜんとの主のいけめんさんを半泣きにさせたんだよね。

「よし、決ーめた!」

さらさらと羽ぺんを走らせるおじょうさまに、皆の(特にいけめんさんの)目線が飛ぶ。

「おにーちゃんに素敵な彼女が出来ますよーに、と!
 うふふ、ずっと素敵なお姉ちゃんが欲しかったんだよねーv」

満面の笑顔で言うおじょうさまから目を逸らしたいけめんさんは、聞こえないと耳を塞いだ。

307 黒頭巾 :2008/07/07(月) 22:06:40 ID:fou9k2gM0

……時間は流れて、空には大きなお月様と綺麗な天の川。
七夕にかこつけた宴会も終わり、床に広げた敷物やソファーで眠るギルドメンバー達とファミリアの姿。
そんなギルドホールの入口に飾られた穏やかに光る星飾りが、きらりと瞬いた。
――と、光ったまま空中に浮かび、笹に下がった短冊の周りを飛ぶ。

『何だか強い想いを感じたから、来てみたけど・・・』

どれも即物的すぎるわねー、と嘆くように呟いた。

『恋人がーとか、ちょっと面白いけどねー』

こればかりは、いくら最高精霊とは言え一晩で如何こう出来る問題ではない。

『あーあ、がっかり・・・、帰ろうかなー』

そう言いながらも、見難い所に三つ並んだ短冊を最後に見付けて近付く。
内容を読み取ったのか、その星は嬉しそうに瞬いた。

『あ、これとかいいわねっ! うん、感動の友情ってやつだわ!』

如何やら、お気に召すお願いを見付けた模様。
ふわりとギルドメンバー達の上を飛んで、幸せな夢を授ける。
願わくば――遥か未来、本当にそんな願いが叶う日が来れば、と思いながら。
そのまま上空で少し考えた星の精霊は、オマケとばかりに祝福を授けた。
幸運を授けるスターライトを受けたメンバーは、きっと明日はドロップもよければエンチャの成功率もいい事だろう。

『さ、夜が明ける前に帰ろーっと。
 そう言えば・・・皆が七夕をやったら、何をお願いするのかなー?』

一緒に旅をする仲間を思い出して笑った精霊はその気配を消し、後には穏やかに瞬く星飾りだけが残った。
星飾りの光に照らされた三つの短冊はそれぞれ違う筆跡で……特に一枚は、幼い子どもが書いたようなミミズののたくった文字。
その三枚にまるでお揃いのように「皆とずっと仲良く一緒にいれますように」との一文が書かれているのを知っているのは……星の精霊と飾った張本人達だけ。
ソファーで眠るその三人――二人+一匹は、幸せそうな笑顔を浮かべて夢の中。

「おにーちゃん、おねーちゃんとファミちゃんと一緒に寝てるの、ずるーい!!」

二人の真ん中に寝ているファミリアにいけめんさんと呼ばれている青年とごしゅじんさまと呼ばれている少女が、青年の妹の抗議で目を覚ますまで……後、数時間。


******************************************************


未知との遭遇第三弾&七夕編をお送り致しました。
ご本人様の承諾を取れないままに勝手にお借りしてしまいました(自重)
七夕で如何してもあの精霊が浮かんで…申し訳ない/(^o^)\
一応過去ログ全部漁って口調は調べたつもりですが…イメージ壊れてないのを祈ります^p^
書き上げて気力が尽きたので、皆様への感想は次回に回します\(^o^)/

308 復讐の女神 :2008/07/08(火) 02:29:54 ID:Raw2JgF20
 砂漠の村に、花が咲き乱れた。
 小さく透き通っており、砂漠にそぐわぬほど冷たい花。
 氷だ。
 氷は、雲ひとつない空から振っていた。 
 先は鋭く刃と化し、その威力はレンガであろうとたやすく貫いていく。
「あああああああああ!!!!」
 氷の花園に、赤黒いものが混じった。
 血だ。
 村を歩く者たちが、突然の雹に串刺しにされたのだ。
 家の中にいたものなど、何が起こったかすらわからず死んでいった。
 こんな砂漠の村で雹が突然襲い掛かるなど、誰も思いつくことができるはずがないのだ。
 いや、雹でなくとも、突然死が襲い掛かってくるなどと、誰が想像できるだろう。
「うぁ…」
 幸運にも、雹の槍に刺されながらも生き残った者がいた。
 彼はこの現場を、現実として受け入れることができただろうか。
 太陽の熱が猛威を振るっているはずの場に、大量の氷があるのだ。
 それら氷は太陽光を反射してキラキラと輝き、一部からは白い冷気を放出していた。
 暑いはずの村が、寒かった。
「おおおおお ……おおおおぉぉぉぉ!」
 彼の耳には、ただ女の甲高い泣き声だけがこだましていた。

309 復讐の女神 :2008/07/08(火) 02:30:53 ID:Raw2JgF20
 古都ブルネンシュティングの街中において、冒険者を手っ取り早く雇う方法がある。
 掲示板への張り紙だ。
 政府直下の掲示板があり、そこにはランク別に冒険者への依頼が張り出されている。
 多くの冒険者は、この掲示板の紙をとって契約し、依頼を果たすことで報酬を稼いでいる。
 そんな掲示板に、新たな紙が張り出された。
 滅多に出ない、賞金首の依頼だ。
 賞金首には2種類あり、政府が危険人物と判断し金をかけるものと、公募によってかかるものがある。
 もっとも、公募の賞金首の多くは人探しであり、普通は賞金首とは言われない。
 政府が出す賞金首は、危険が大きく難度も高いのだが、そのぶん金額が公募より1桁2桁も高い。
 金が無限にあるわけでないため、賞金首は厳選に厳選を極め、よって賞金首の数はあまり出てこないのが普通だ。 
 張り紙がされたときの現場の色めきあいは、非常に高いものとなる。
 ゆえに
「久々の賞金首ね」
「だな」
 ジェシとラディルもまた、周りの雰囲気に飲み込まれるように興奮していた。
 二人はお金に対する欲求が少ない。
 つまり、強敵の出現が、二人を高ぶらせているのだ。
「ジェシは賞金首レース、参加するの?」
 テルは、あまり乗り気でない様子。
 彼女にとっては、人間よりも珍しいモンスターのほうが価値が高いらしい。
 3人は、掲示板のすぐ近くにある店のテーブルについていた。
 ちょうど昼食が終わったところへの、騒ぎだったのだ。
「しないわ。興味はあるし、戦ってみたいけど、お金に困ってるわけでもないしね」
 この世界は広い。
 しかし、政府と協会の力はそれらをほぼ全て包み込んでいる。
 賞金首の張り紙は、あらゆるネットワークを使用して全ての街や村に届けられ、張り出される。
 相手はそれに気づくだろうし、それなりの対策はしているはずだ。
 一人を探し出すだけで、どれだけの時間と費用を必要とするのか、考えるだけでもばかばかしいのだ。
 全ては運。
「そもそも、賞金首っていっても…顔絵がないじゃない、探しようがないわ。今回たまたま生存者が…ううん"元生存者"
が証言したからこそ、小さなヒントが得られたくらいよ」
 そう、今回の賞金首の張り紙には、特徴が書かれているだけで一番重要な"顔"が描かれていないのだ。
 特徴とて「女・弓使い(氷系統魔道使用)・泣き声」の3つだけだ。
 もっとも、ジェシも含めて冒険者のほぼ全員が、それ以上の情報を自分の中で付け加えていた。

”炎系統魔道使用”

 すでに2つの村が炎で焼かたという情報は、冒険者全てに知れ渡っていた。「けちな政府が、やっと重い腰を上げた」というのが
共通認識なのである。

310 復讐の女神 :2008/07/08(火) 02:31:25 ID:Raw2JgF20
「両系統を完全に使いこなす弓使いの魔道師なんて、この世界に何人いるのかしらね?」
 魔法は、体内に廻る魔力を変換して放たれる奇跡だ。
 もともと性質などないエネルギーである魔力は、回路を通ることで性質を帯びる。
 4大精霊の水、風、土、火に光と闇を足した6系統は、それぞれが別の形をした回路だ。
 特に性質が真っ向から対立するものは、ほとんど逆向きの回路となっている。
「効率も悪いな」
 1系統を極めることですら、難しく長い道のりを必要とする。2系統を操るということは、魔法の威力が落ちることにつながる。
 ウィザードの連中が全ての系統を満遍なく使いこなせているよう見えるのは、外部に魔方陣として回路を生成することで、自身への
影響を極力抑えているからにすぎない。それにしたって、個人個人の得意系統は分かれてしまうのだ。
「弓魔道師の炎や氷って、そんなに残留なかったと記憶してるんですけどー」
 魔力とは、霧散しやすく集まりやすいエネルギーだ。魔力で作られた炎や氷などは、すぐに気化してしまう。そのため、物質に
与える影響力は非常に小さいものなのだ。唯一例外ともとれるのがサマナーの4大精霊召還だが、彼らの魔力の質は特殊で精霊を
物体化させることと、自分の魔力にしか影響を与えることができない。呼び出された精霊が使う魔法は、精霊が使うものとしてやはり
気化が早くなってしまう。
「そうね、影響は与えるけどすぐに魔力に気化してしまって、物理的な殺傷とまではいかないわ」
 属性の与えられた魔力は物に当たると気化してしまうが、その際に与えられた属性を相手に押し付けていく性質がある。水系統の
魔法をうけて寒さや熱さを感じるのは、一時的に体内魔力の方向性を強制されるせいだ。
「魔力を高純度に練る時間さえあれば、できなくはないのかもしれないけど…弓魔道師の雨って、ものすごい魔力を使うのよ。村一つを
焼き払うだけの魔力を練る時間なんて、考えたくもないわ」
 霧散しやすい魔力は、練る事で残存しやすくなる。冒険者などはよく小さな魔力を練って薪に火をつけるが、それは熱で発火させている
だけにすぎない。それにしたって、発火しやすいものに火をつけてからなのだ。
「ま、考えてもしょうがない、それより本題に入ろう。ジェシの分がこれ。そして、これがテルの分だ」
 ラディルは紙切れを取り出し、二人に渡した。
「ありがと、ラディル。いつも面倒言ってごめんね」
「サンキュサンキュ! いやー、ギルドって便利だねぇ」
 ジェシがもらった紙には、人の名前が書かれていた。おそらくそれだけを見ても、周りの人間はなんのリストかわからないだろう。
「まったくだ。何度も言うが、うちのギルドに所属しろよ。そうすれば全て自分でやれるし、効率もいい。ジェシの実力なら誰も反対
しないさ」
 ラディルは、とあるギルドに所属していた。人数はかなりのもので、そのおかげで多くの情報が手に入る。見返りとしてギルドのために
動かなければならないこともあるのだが、それを考えてもメリットは莫大だ。
「わかってるでしょ、私は他のギルドに所属する気はないって」
 ジェシもまた、ギルドに所属していた。
 ラディルの所属しているギルドと違い、所属している人数は少ないが、自分勝手に動けて束縛もまったくないギルドだ。
「残念だなぁ。ラディルの誘いが早ければ、私はそっちに所属してたかもしれないんだけどね」
 テルもまた、この街に来てすぐにギルドへ所属していた。
 ただ、ギルドへの所属には契約条件があり、一度所属したギルドは数日は離れることができないことになっているため、簡単に所属を
変えることができない。

311 復讐の女神 :2008/07/08(火) 02:31:53 ID:Raw2JgF20
「はは、しょうがないさ。契約期間が過ぎたら自由に移籍できるんだし、そのときに声かけてくれよ」
 話は終わったと、立ち上がるラディル。
 ラディルは所属ギルドの副ギルドマスターをしており、なかなかの人望を集めている。そのため、普段はそれなりに忙しい人なのだった。
「まあいいや。とにかく、また情報が集まったら渡すよ。じゃあな」
 店を出て行くラディルを見送り、ジェシとテルは向き合った。
「まさか、あなたもラディルに情報を集めさせているとは思わなかったわ」
 テルが何かを探しているそぶりを、何度か目撃していた。確かにお金を集めているようすもあるが、それが一番の目的とは思えなかった。
「うん? あぁ、うん。そんなつもりじゃなかったんだけどねー。前に街で会ったときに少し話したら、調べておいてやるよって…」
 落ち着かなさそうに手をもじもじさせて、恥ずかしそうにうつむいているのが卑怯だと思った。
 テルもまた、ラディルに恋しているのだろう。
「さて、もらうものももらったし、依頼主のところへ行きましょうか」
 ジェシが立ち上がるのに続いてテルも立ち上がる。
 もともと今日は、依頼を受けに行くために出たのだった。
 掲示板で依頼を選んだときに偶然ラディルと会わなければ、今日情報をもらうことはなかっただろう。
「護衛や荷物運びの依頼多かったよね。いつもあんななの?」
「そんなことないわよ。むしろ、普段は少ないくらいなんだけど」
 キャラバンを襲う盗賊や山賊のたぐいは、それほど多くはない。上級モンスターを倒したほうが、お金になるからだ。
 そもそも、キャラバンを営む人間の多くが、元冒険者だったりするため、簡単な魔物程度なら自分で追い払うことができる。
 そのため、護衛の仕事は楽なものという認識があり、人気は高い。
「賞金首効果かしらね」
 賞金首が出たということは、それだけ物騒であるということにほかならない。
 それだけで、説明は十分であろう。
「んでもさー、ジェシ。この依頼って…ちゃんと見た?」
 ジェシにはしては珍しく、依頼内容を詳しく見ていない。
 護衛の依頼を避けて探したため、良い条件のものが少なかったのだ。依頼は無限にあるわけではないので、よさそうなものを見つけて、
さっさととっただけであった。
 だから、テルの「いいのかなー」というつぶやきも、ジェシはあまり気にしていなかった。

312 復讐の女神 :2008/07/08(火) 02:41:43 ID:Raw2JgF20
第二章というかなんというかです。
今回は私の「スキル使用におけるCPの役割」的な妄想を重点に書いてみました。
妄想なので、後々設定を変えるかもしれません。
変えないかもしれません。
なので、そこら辺はテキトーに流してくださると、ありがたかったり。

他作者さまのキャラを登場させたい!とか、なんとなく思っていたのですが、実際にやり始めるとあら大変。
キャラを大切にしたいと思い始め、過去ログ読み直しの修行です。
失礼にもさらっと読み飛ばしてた場所などが発見されると、もうなんというか。
反省の行として、無課金徒歩で手紙クエを実行してきます><

313 ◇68hJrjtY :2008/07/08(火) 08:46:52 ID:vWCgkkT60
>憔悴さん
合成スキル、つまらないなんてとんでもない。これは妄想が止まりませんぞ(*´д`*)
宝石というのもRSのサーバーを表すものですし、つくづく面白い設定だと思います。
髪の色も実際の話でかなり重要な要素で、金髪の者でなければ王族と認めない…なんて話もあるらしいですよ(笑)
新登場ついでに仲間に加わったボニー。金髪と来たのでアチャランサかな、と思ったらネクロ悪魔とは!
でも毒スキルとか即死系とかシフと悪魔って繋がる部分も多そうですしね。さて、どんな合成スキルが出るか。
続き楽しみにしています。

>黒頭巾さん
久しぶりのダークメルヘン…ですがダークではなく、今回は素敵な七夕物語。
そういえば七夕なんてすっかり忘れてました。うーん、でもこういうイベントこそ忘れてはいけないと思います。
ごしゅじんさま、いけめんさんをはじめみんなのお願い。某精霊さん(笑)に届いたようですね。
ギルメンたちのワイワイっぽさがとっても楽しそうで、ファミたんの可愛さとそれだけでおなかいっぱい(*´д`*)
次回のイベントモノ小説も楽しみにしています。今度はなんだろう(笑)

>復習の女神さん
適当に流せません!(笑) というわけで、魔法学というかスキル学というか、女神さん設定の方に目が釘付け。
と同時に面白いと思ったのが賞金首システムですね。本当にファンタジーっぽくて(・∀・)イイ!!
ギルドというものも本来の意味はこのように特定の人々が情報を流通させるための団体といった意味みたいですし
そこにファンタジー要素を絡めることでワクテカするくらい今後の物語が楽しみになってまいりました。
しかしそれ以上に気になるのが2系統の魔力を操る弓使い…ジェシたちの新たな冒険の始まりですね。
続きお待ちしています。

314 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/07/08(火) 11:19:53 ID:OhTl4zsk0
>>212 からの続きですよ〜

さてさて,シュトラセラトへと異次元の黒箱を届けるために,ミリアとファミィ,サーファイユにミカエル達は森の小道を進んでいく。
道中で木の実を採取していたエルフの民の一人,ジャファイマからたくさんの木の実を分けてもらったところだ。時刻は正午近い。
「ふみゅぅ〜,ミリアお腹空いたのぉ〜・・・お昼ごはん食べよっ?ね〜?」愚図りながらミリアが兄のミカエルにせがむ。
彼はしょうがないなぁ〜と呟くと,背負っていたリュックサックを下ろして,そこからシートや簡易式の調理器具,さらには
チョコレートや乾パンなどの軽めの食材を取り出した。彼曰く,サバイバルには持って来いという品々だとか・・・
サバイバルナイフで乾パンを切り,チョコレートを砕いてボウルに移し,相棒のケルビーを召喚してそれを溶かす。

「ようマスター,今日の昼飯はチョコレートフォンデュなのか?」「あぁ,糖分もちゃんと摂取しておかないとな。」
「ん〜,ミカエルがつくるチョコフォンデュはおいしいから大好きさ〜♪サーファイユ,食べ方わかる?」
「えっと・・・あぁ!!パンをチョコに浸すんだね?へぇ〜,これが人間の食べ物かぁ・・・初めて食べるよ,えへへ」
「うにゅ〜・・・ふみゅっ,モグモグ・・・やぅ,やっぱりお兄ちゃんのチョコフォンデュはおいしくて大好きなの〜♪」
無邪気な笑顔を携えてミカエルに擦り寄るミリア。「こらこら」と苦笑を浮かべながらも,甘えてくる妹を抱きしめる腕は温かい・・・

だが一行を尾行する影が,茂みの中から彼らをマークしている最中でもあった。小柄で太った火鬼と,それとは対照的で大柄なレイス。
火鬼はというと,どこから手に入れてきたのか・・・ピンク色の奇妙な色合いをした木の実を手に,悪どい笑みを浮かべている。
「クヒヒヒヒ・・・あのガキ,ミカエルの妹だけあってタイマンじゃぁ勝てる見込みはねぇが・・・こいつがあれば戦力ダウンだぜぇ〜」
「えっ,ちょっ先輩?そのピンクの実って一体何なんスか?それをミリアたんに食べさせるんスか?」レイスが恐る恐る訊ねる。
「あぁん?てめぇそんなこともわからねぇのか!?この実はなァ,食った奴を若返らせる『ヤングバック・ベリー』って種の実だ。
 つまりこれをあのガキんちょが食べれば・・・そういや実一つで8〜10歳ほど若返るらしいし,5歳児になっちまうだろうよ!!
 クヒヒ〜ヒヒヒヒ!!!あぁ〜オレって頭い・・・ん,アレ?おいダリオ,おめぇヤングバック・ベリーをどこに・・・あぁ!?」

驚嘆する火鬼が見たものは・・・ダリオという名のレイスがヤングバック・ベリーを手に鼻息荒く猛ダッシュしているとこだった!!
「みっ,みっ・・・・ミリアちゃぁああぁああぁああぁぁぁあぁぁあああぁぁんっ!!!幼女幼女幼女ぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉぉ!!!」
「あんのクソったれのロリコンレイスっ!!!あいつの幼女フェチのせいで何度窮地に立たされたと思ってやがる!?ちきしょうがっ」
舌打ちをかまして,火鬼もまた暴走気味なレイスの後を追う・・・・・・


―――・・・昼食を終えたミリア一行。地面に座り込んで腹を休めている最中だ。ミリアとファミィは満腹のあまり眠ってしまった。
「うぅ〜っぷ・・・ゲプ,あぁ〜食った食っ・・・お,そうだ。サーファイユ,この辺に何か果物が生ってる場所とか知らないか?」
「あっ,それなら丁度ここから西の方にパッションピーチが生ってる木があるよ!案内してあげるよ,ミカエルさん!!」
「だけどよぉ・・・ミリアとファミィを寝かせたままにしても大丈夫か?それにさっきから誰かに尾けられてる気がするんだが・・・」
「大丈夫だって,きっと森の生き物の気配かもしないし・・・パッションピーチの木はここから歩いて1,2分くらいだし,早く行こうよ!!」
「まぁそれもそうだわな・・・うっし,じゃぁちゃちゃっと行ってデザートにでもすっか!!」「うんっ,急ごう!!」
駆け足でその場を離れるミカエルとエルフ戦士のサーファイユ・・・だが,このわずかな時間に思わぬ事態が起ころうなど
誰が予想できようか。可愛らしい寝息を立てるミリアの元に,巨大な影が忍び寄る・・・!!!

315 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/07/08(火) 11:59:03 ID:OhTl4zsk0
―――・・・ミリアたちが休息中の場所から少し西へ。ミカエルとサーファイユの二人はパッションピーチの木の麓へと到着した。
「ほぉ〜,これが噂に聞く幻の果物『パッションピーチ』か〜・・・夕焼けのような鮮やかなオレンジ色,はじめて現物で見たぜ。」
ミカエルが感嘆の声を漏らす。燦々と輝く夕日のような色をした桃の実が,所狭しと木の上に生っている。誰でも溜息を漏らすだろう。

「すごいでしょ,パッションピーチは20年に一度しか生らないレア中のレアな果物なんだ。食べた人にはこれまでにないくらいの
 至上の幸運が訪れるって言われてて,高値で取引されるんだ。だから密猟者が多くて,僕たちエルフはこの木を守っているんだよ。」
「ほへぇ〜・・・なァ,オレも一個食べてみてもいいかな?ングっ・・・やっべぇ,よだれが止まらねぇよぉ〜///////」
顔をほころばせて,よだれをボタボタとミカエルは垂らす。そんな彼に苦笑を浮かべるも,サーファイユは一個だけ食するのを許した。
早速木によじ登り,パッションピーチの実を採ろうとするミカエル。だが果実のあまりの大きさに彼の興奮は余計に高まる・・・!!
「うっひょぉ〜!!!近くで見るとこんなにもデケぇのかよ!?まるでウチの姉貴のおっぱいだな・・・ん?姉貴のおっぱい!?」
そう自問自答する彼の目の前には・・・肌色をした二つの大きな球体,そしてそれぞれ中心部にはピンク色の突起。まさか・・・

イヤ〜な予感が彼の頭の中を過ぎる。だが確かめてみないことにはわからない,今目の前にしているのが姉貴の乳房なわけがない。
そうだ、これはパッションピーチが突然変異したやつなんだ,きっとそうに違いない。だったら,このピンク色の突起を摘んでも・・・

だが,その憶測は所詮は彼の思い込みに過ぎなかった。ピンクの物体を指先で突付いて擦って・・・そして出てきた反応は・・・

「ふぁ・・・んっ,あぅっ・・・んゃ,いやァ〜ん/////////////////」「・・・・・・・・・・・はぁ?」

異常にエロ可愛い喘ぎ声と乾き切った声が順番にその場に木霊する・・・そしてミカエルから『ブチィっ!!!』何かが切れる音が。

「てぇんめぇええぇぇぇええぇぇぇええええぇえぇぇぇえ!!!!何してやがるあぁあぁぁああぁぁぁああぁ!!?」
怒りのあまり闇雲にジャブやらストレートやらをブン回すミカエル,そして彼と対峙しているのは・・・姉,フィナーア!!!(ドーン)
「あぁ〜んっ,ミカエルちゃん怒っちゃいやァ〜んっ!!!お姉ちゃんの軽いジョークでしょぉ,カルシウム摂ってるぅ?」
「うっせ,空気読めよこのエロ姉貴っ!!!人が嬉しそうにしてるのにブチ壊しやがって,マジKYだなこのバカ姉貴っ!!!」
「まっ,お姉ちゃんに向かって『バカ姉貴』ですってぇ〜!?そんな悪い子はァ・・・あたしのバストでお仕置きよぉ〜んっ!!!」
いきなり弟の顔を掴み,それを自身の胸の谷間へと強引に挟み込む!!!もがくミカエルだが,逆に息苦しさを増してしまう・・・
「んむぐ!!?むごぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉ!!?!ぱべぼぽぼばばはぺびぃ〜!!!へくはばはんぱ〜い!!!!!」
「あらあらァ,セクハラ反対だなんてぇ・・・これはお姉ちゃんから弟への愛の印なのよ!?ちゃんと受け取らなきゃダメよぉ〜!?」
「うんごぉぉおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉおぉぉ!!?!」「(ごめんねミカエルさん,僕にはどうしようもできな・・・ん!?)」
二人を余所に合唱しているサーファイユが,木々の声を感じ取り表情を険しくした!!ミカエルを引っ張って彼を助け出すと
彼の耳元で囁き,急いで戻るように促した。二人はフィナーアのことに気もくれずに走り去っていく・・・・

「まぁっ,いきなりセクシーでキュートなフィナちゃんをシカトだなんて,いい度胸だわっ!!フィナちゃんプンプンよぉ〜!!!」
相変わらず露出度の高い格好,今日はV字型のギリギリ水着を着ている彼女は腰をくねらせプリプリと憤慨する・・・すると
ボトリ。と何かが落下する音が・・・彼女が足元を見ると,そこには黄金に輝く一つの桃の実が・・・
どうやらただのパッションピーチではないのは確かなようだ。しかしそんなことも考えずに,彼女はまじまじと果実を見つめ・・・

一口で平らげてしまった。

「あんっ・・・はふぅ,なかなか情熱的な味だったわァ。それに何かとてつもないパワーが沸いてくるような・・・あぁ〜んっ!!?!」
後に,この実を食べたことにより彼女はとんでもない体質になってしまうのを,彼女自身はまだ知らない。

316 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/07/08(火) 12:10:07 ID:OhTl4zsk0
そして場所はミリアとファミィが休んでいた場所・・・そこへ戻ってきたミカエルとサーファイユが目にしたものは・・・
「ふゃぁ〜んっ,えぅ・・・ふみゅぅ〜,ふぇえぇ〜ん!!?!」ミリアが泣いているのだが・・・何と,5歳児のような体格に
なってしまっているのだ。その傍らではファミィが彼女をあやそうと必死に奮闘している最中だった。

「な・・・おいおいファミィ,一体こりゃ何があったんだよ!?何でミリアが子供に戻ってるんだ!?」
「ん〜・・・オイラが起きたらいきなりこうなってたさ〜,何でなのかオイラもわかんないさ〜!!!!」
「まさか・・・これはあくまで推測だけど,誰かがミリアに『ヤングバック・ベリー』を食べさせたに違いない!!
 気をつけて,ファミィにミカエル・・・近くに敵が潜んでいるかもしれないよ!?ミリアを皆で守るんだ!!!」
「あぁ・・・ちくしょう,オレの妹をこんな目に遭わせやがって!!!ぜってぇ許さねぇっ!!!」
怒りの炎を瞳に燃やすミカエル,だが側で微笑む小さな妹にはキープするのも難しく,優しい笑顔へと戻っていく。
「ふみゅ・・・おにいたんだいちゅきなのよ〜,うみゅ〜♪」「あははは,よしよ〜し。まずは元に戻す手段を考えようぜ。」
「ミカエル,ちょっと村に戻ってエストレーアを呼んでくるよ!!彼なら治し方を知っているはずだから待っててね!!」
サーファイユはというと,エルフの村にいる医者,エストレーアの助けを求めるためにその場から離れた。
木の枝を駆け回る音が森に木霊する・・・

to be continued...

317 ドワーフ :2008/07/09(水) 21:26:21 ID:AepyIIHk0
『ゼーレクラン』

ロマ村に住むエマは動物たちとも、精霊たちとも仲が悪かった。
癇癪持ちの彼女は笛を吹いても言う事を聞かない動物達に腹を立てて暴力を振るったり、全く従おうとしない精
霊に向かって悪口ばかり言っていた。
そんなエマの様子を見て長老は言った。
「エマや。動物や精霊は我らの奴隷ではないのだ。対等の立場で語り合わなければならん。まずお前が信頼に足
る人間にならなければ、彼らは絶対にお前の言うことを聞きはしない」
しかし心配する長老の言葉を彼女は聞こうともしなかった。
エマはビーストテイマーにもサモナーにもなれない男の子達を羨ましがり、彼らとよく遊んでいた。しかし、そ
の半面で動物や精霊を楽しそうに侍らせる他の女の子たちに嫉妬していた。
エマの動物達はというと、もう二度と彼女になつこうとはしなかった。すぐに暴力を振るうエマを恐れて彼女の
姿を見るなり逃げ出してしまうのだ。
そうしてついにエマが他の女の子の動物にまで手を出すようになると、長老も説教ばかりではどうにもならぬと
重い腰を上げた。
「エマや。この笛を少しの間だけ貸してやる。これを使えば動物達はお前に心を開いてくれるだろう。ただし、
その間にお前は彼らと仲良くなることに努めねばならない。決して、いたずらに命令してはならん」
エマは長老からその笛を受け取ると、首を傾げながらも動物達の元に行ってみた。
動物達はエマが来ると一斉に逃げ出し、物陰に隠れて怯えて震えだした。
エマはそんな動物達の反応にムスっとしながらも、長老に貰った笛を吹き鳴らした。
それはとても不思議な音色で、吹いているエマ自身も身体の奥で何かが震えているような感覚を受けた。
「こっちにこい!」
エマは隠れている動物達に命令した。
すると不思議な事に、怯えていた動物達がケロっとした顔でエマのそばに集まってきた。
エマは不思議がって試しにまた命令した。
「回れ!」
すると動物達はくるくると自分の尻尾を追いかけているかのようにその場で回りだした。
こうなるといよいよ面白くなってきて、エマはさらに命令した。
「跳ねろ!」
動物達は狂ったように飛び跳ねだした。
エマはあまりに可笑しくて、飛び跳ねている動物達を指差して笑った。
その様子を見つけると、長老は大きな声でエマを叱り付けた。
「命令をするなと言っただろう」
笛を取り上げられ、エマはふてくされた。
「お前には別な方法を考えねばならんようだ。しばらく動物たちに近づいてはならん」
そう言って長老は笛で飛び跳ねている動物達を鎮めると、去っていった。
エマは長老が持ち去ったあの笛をなんとしても欲しいと思った。あれさえあれば他の女の子を見返してやれる。
エマはあの笛を盗む事にした。
長老が外出している間に、長老のテントに忍び込んであの笛を探し出した。
そして勝手に持ち出すと、エマは早速動物達に向かって笛を吹いた。
そうして動物達を散々に動き回らせ、飽きてくると今度はケンカさせたりもした。
そうしていると、遠くに別の女の子が笛を吹きながら動物たちを散歩させているのが見えた。
エマは何か思いついたように笑みを浮かべると、その女の子の傍に寄っていって笛を吹き鳴らした。
「回れ!」
エマがそう命令すると、その女の子の周りにいた動物達が皆一斉に回り始めた。
なんと、女の子も一緒になって回っていた。
エマはポカンとその様子を眺めていたが、笛の力に気づくと手の中の笛を見て自然と笑みがこぼれた。
そのとき、背後からにゅっと伸びてきた腕が笛を彼女の手から取り上げた。
「この愚か者め」
その人物。長老は静かな怒りの表情でエマを見下ろしていた。
「愚かな娘よ。我らロマと言えどもお前のような者は必ず生まれてくる。憐れと思えばこそ何か手はないかと模
索してきた。しかし、またこのような事をせねばならんとはな」
エマは長老の顔を見上げて震えた。今まで見た事もない冷たく怖ろしい顔だった。
長老はエマに向かってその笛を吹いた。

318 ドワーフ :2008/07/09(水) 21:30:15 ID:AepyIIHk0
あとがき
タイトル通り、またユニークをネタにしました。
心を支配するというこの笛が一番強そうな気がします。

319 ◇68hJrjtY :2008/07/10(木) 09:11:17 ID:SaqKH4OA0
>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
ミリア幼児化計画、再びの発動ですね(ノ∀`*)
しかも今回は本編での幼児化…ミリアの役回りがそろそろ固定されてきそうだといったところですか(笑)
一方フィナ姉の方もなんだか怪しい果物を普通に食べちゃった…こちらはいったいどんな効果なのか。。
某海賊漫画の○○の実シリーズを彷彿とさせるこの果物、果たしてミカエルはどう切り抜けるか(笑)
ミカエルのイイお兄ちゃんっぷりも良かったです(*´д`*) 続きお待ちしていますね。

>ドワーフさん
今回のU昔話はなんだか怖い終わり方で、教訓的なものすら感じられました。
ロマの中にも能力が劣っていたり性格的なものがあったりでエマみたいな子も確かに居そうですね。
結局その性癖は最後まで変わらなかったようですが…心を支配する笛、ゼーレクラン。
友好的、協力的に精霊たちと接するロマたちにとっても異色の笛でもありそうですよね。
次回の小説もお待ちしています。

320 之神 :2008/07/10(木) 17:26:56 ID:iLS/PbZU0
無題
◆-1 >>593 >>595 >>596-597 >>601-602 >>611-612 >>613-614
◆-2 >>620-621 >>622 >>626 >>637 >>648 >>651 >>681
◆-3 >>687 >>688 >>702 >>713-714 >>721 >>787 >>856-858 >>868-869
◆-4 >>925-926 >>937 >>954 >>958-959 >>974-975

◇――――――――――――――――5冊目完―――――――――――――――――◇
   >>25 >>50-54 >>104-106 >>149-150 >>187-189 >>202-204
◆-5 >>277 >>431-432 >>481-482 >>502 >>591-592 >>673-674 >>753-754
   >>804-806 >>864-866 >>937-939 >>971-972 >>997-1000

◇――――――――――――――――6冊目完――キャラ画>>907――――――――――◇
   >>122

◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――番外
>>796-799 クリスマス
>>894-901 年末旅行
  5冊目完
>>226-230 節分
>>358-360 >>365-369 バレンタインデー
>>510-513 雛祭
>>634-637 ホワイトデー@シリウス

321 之神 :2008/07/10(木) 17:28:21 ID:iLS/PbZU0
α

「うーん、シルヴィーさん…」
「はい?」

「このエレベーター、乗って平気なんですかねぇ?」
「もう、徹さんったら、心配性ですね…」

シルヴィーはスタスタと扉の前へ近づく。
そして、足をエレベーターの中へ踏み入れる。


…。

「ホラ、平気ですよ…、早くこちらへ」


俺は女の子を毒見に使った事を悔いつつ、そのままエレベーターへと乗り込ん…ダーーッ!?


ガガガガガガガガ…と好ましくない轟音と共に、それは急降下した。



                                      [定員 1名]



「うわああああああああああああぁっ!」
「キャアアアアアアアアァァッ!」

開けっ放しの扉からは、高速でスライドしていく壁面が見える…触れたら終わりか。


「どっどど、どうしまっしょぉ…」 声が震えてよく聞き取れない。
「おおおお俺にい言われても困りmmす」 俺も十分震えていた。

気がつくと、俺たち2人は抱き合って身を縮めていた。


「あ、今14階だそうです」
「シルヴィーさん…orz」



「ちょっ、このままじjjゃマジで死にますって…!」
「で、ですnnね」

抱き合ったまま、死体で発見されたらミカにボコられるな…と一瞬考えた。

「あの鳥とか魚で何かできませんkかっ」
「ウィンディとスェルファーです!」 どうでもいいよ…。


「あ、スェルファー!…水を満たして!この中にっ!」

あと6階で激突。

「う、うわっ?」
一瞬で、胸元あたりまで水が満たされた。

「息、止めて潜って!」

「うわわわわ…」

スーっと息を吸って、俺はエレベーターに潜った。

天井まで既に水は満たされた、少し後…。

映画さながらの音響で、、ミュリエ・ジュール本社、本日2度目の爆発が起きた。

322 之神 :2008/07/10(木) 17:29:44 ID:iLS/PbZU0
γ

「へっ?」

エレベーターを降りてすぐ、爆音が響く。
そして同時に大量の水が滝のように俺に向かって突進してきた。

「ちょっ、そりゃ無いぜ…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「うっ、うわあああああああああーっ!」

一瞬で水に飲まれた。

「ちょっ、ストップー!止まれ!あああああああっ!」

水の流れに乗り、どんどん通路を流れて行く。

「掴むもの、掴むもの……」


「…!」

ドアノブを数メートル先に見つけた俺は、掴みにかかる。

「あと少し……」

「今っ!」

がっちりと掴んだドアノブは、ライトの進行を抑え…

「ふう……?」

ボキン!

壊れた。

「マジかよおおおおおお!」

流れるプール、再開。



ψ

ミュリエ・ジュール本社ビル 地下4階
「うー、どこだぁ?」 

周りは草花が生い茂り、まるでビルの中とは思えない。

「偽者の太陽まである…俺草原は好きだけど、ここは嫌いだなぁ…」

地下階に作られた人工的な平原に、ナザルドは珍しく嫌悪した。


中には鳥や、他の動物、そして…

「残酷な人間め…我々が何をしたと言うのだ!」

「お!?」

サッ、と振り返るとそこには

「エンティング…?」

木の精がいた。

323 之神 :2008/07/10(木) 17:36:10 ID:iLS/PbZU0
こんにちは。
こんばんわかな?

お久しぶりです、生きてました。ごめんなさい。

リア用が多忙すぎて書き込むヒマがありませんでしたorz
天下一がどうなったかとか、リレー小説の進行とか、せっかく書いた七夕も載せられず。

以前の更新率はどこへ行ったのやらって愚痴…ってあれ?

また参加していきます、のんびりですが。

それと小説のタイトルは無題のまんまです、小説完結したらつけようかなと。

では引き続き小説スレをお楽しみ下さい。

之神でした。

324 白猫@感想 :2008/07/10(木) 22:45:14 ID:DBiBcWKA0
しばらくは感想屋として生きていこうと思う白猫です。

>68hさん
初っ端に「うおなげぇ」と素で言ってしまい、電車で怪訝な視線を感じました。白猫です。
最終章。本当はブレンティルのリベンジを書きたかったのですが、それをやると50を超えてしまいそうなのでやめておきました。
おかげでアネット、リレッタ以外のサブキャラがほぼ空気……特にカリア(ry
---
>全く疲れを感じさせないスピードでの執筆
結構イッパイイッパイでした。チェックもたまに抜けてしまうくらいいっぱいいっぱいでした苦笑
最終章にも2つほど誤字をしてますね……自HPへと上げるときは注意しますorz
フフフ、絶対に68hさん最強職人説は曲げないのです。68hさんは書くとスゴイ人なのです。(意味不
入れ替わりネタは現在製作中です。黒頭巾さんとの悪ふざけで書いたちびネルリレッタの方が先に完成してしまうってorz
まぁ、その……期待はあまりしない方が無難です笑


>憔悴さん
はじめましてでしょうか。初めまして。
ようやく憔悴さんの小説に追いつけたので、徒然なるままに感想を。
まずは異種職。私には想像も付かない設定、ありがとうございます。
複合技術も極悪ひd…コホン。出鱈目な強さであります。本当にありがとうございます。
金髪シーフいいよ金髪シーフ。ボニーいいです。好きなヤツです。
そしてチェルとリーネのやりとりは個人的に大好きです。敬語な人と人懐っこい人のやりとりは近しいものを感じます笑
続きをワクワクしながら待ってます。頑張って下さい〜


>黒頭巾さん
七夕であることを当日まで忘れていました白猫です。
つんでれろまさんいいよつんでれろまさん。あの出し渋みは個人的に大ッ嫌いですが(待って)
早速「ギルドホール緑化運動」に吹きました。これはまさに地球温暖化対策最終防衛ライン……あれ?違う?
はんらさんカッコいいです。ナイトさんかっこいいです。私もはんらさんを目指します。
おどりこさんの不器用かわいいのぅ……ごしゅじんさまには負けますがn(斬
仲良しないけめんさんとごしゅじんさまとファミちゃん。かわええのう、かわええのう(壊
最近タガが外れかかっています。このまま狂ったらどうしましょう。
兎にも角にも、続きを期待して待っています。そしてハロウィンはお任せ下さい。


>復讐の女神さん
�怔睨,寮瀋蠅繁睥論瀋蝓△Ć腓笋蠅Ľ襪福�
まさに目から鱗な設定をありがとうございます。なるほど、こういう考え方もあったのかと改めて納得。
そして化け物アチャの登場。別系統である二種類の魔法を操るアチャ。村一つという馬鹿げたパワーです。
さらにさらに、昨今のギルド事情というか盗賊事情というか。冒険者事情。そう、冒険者事情。
ケチな政府と金に貪欲な(三人は除外)冒険者。まさにいたちごっこ。なんだかその光景が目に浮かんで笑いました(笑うところ違)
次回の更新も楽しみにしています。


>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
ミリア――――――ッ!!!(叫
期待を毎度毎度裏切りません。というか斜め上を行ってくれます。大好きです。
そしてフィナ―――――――――ッ!!!(再叫
もうね、大好きです。青少年は見ちゃダメです。腐った人しか見ちゃダメです(意味不
DIWALIさんは予想の斜め48°くらい先を行ってくれます。次回も大いに期待します。
ハードルは上げるために存在します。なんならMAXまで上げましょう(待


>ドワーフさん
ゼーレクラン。
アイテム説明の通り[相手の心を支配する力]を持つ笛。
黒頭巾さんの「ふぁみりあいーえっくすしりーず」のようなほのぼのなお話も大好きですが、このような雰囲気のお話も大好きな白猫です。
いつもUお話を楽しませていただいています。そしてこれからも楽しみにしていますよー!
是非是非頑張ってくださいです。wktkして待っていますよ〜


>之神さん
こんばんは、お久しぶりです。
いつもながら改行がイカしています。いつもなら携帯から読む私ですが、PCから読んでも読みやすい読みやすい。
そして今回。恐ろしきかなエレベーター。定員は守ろうお二人さん(・ω・`)
開けっ放しで高速スライドする壁を想像し、大根おろしとかすぐにできそうとか思ってしまいました(コラ)
抱き合う二人を想像して吹きました。そして折れるドアノブ。空気の読めるドアノブです。
そしてエンティング登場。これはいい寸止め。
次回も楽しみにしています。

325 ◆21RFz91GTE :2008/07/11(金) 01:51:44 ID:n19Iy/ug0
////********************************************************************************////
  ■◆21RFz91GTE:まとめサイト(だるま落し禁止)
  ■ttp://bokunatu.fc2web.com/trianglelife/sotn/main.html
  ■Act.1 アレン・ケイレンバック 六冊目>>44-45
  ■Act.2 少女 3 六冊目>>65-67
  ■Act.3 少女 4 六冊目>>87-90
  ■Act.4 レスキュー? 六冊目>>173-174
  ■Act.5 蒼の刻印-SevenDaysWar- 六冊目>>206-208
  ■Act.6 緑の刻印-SevenDaysWar- 六冊目>>220-221
  ■Act.7 白の刻印-SevenDaysWar- 六冊目>>222-223
  ■Act.8 紅の刻印-SevenDaysWar- 六冊目>>272-273
  ■Act.9 封印された九つの刻印-SevenDaysWar- 六冊目>>426-427
  ■Act.10 封印された九つの刻印2-SevenDaysWar- 六冊目>>581-582
  ■Act.11 科学と錬金術とその未来と -SevenDaysWar- 六冊目>>710-711
  ■Act.12 Act.12 EDELWEISS -SevenDaysWar- 六冊目>>738-739
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326 ◆21RFz91GTE :2008/07/11(金) 01:53:04 ID:n19Iy/ug0
Act.13 The Beautiful World 1



 一夜が明けて決戦前日、古都に住まう人々は大戦を予想し各々町を出る準備を始めていた。近くの詰め所や炭鉱都市ハノブを目指して東の城門前は長蛇の列が出来ていた。
泣きながら我が家を出る者や友人と抱き会う人々。分かれば馴れになってしまう事の悲しさから来る涙をこらえる者。幾つ物思いがそこには有った。
「いよいよ明日なんですね、こうして見ると何もかも光の速さで事が進んだようにも思えます。」
琥珀の人を手入れしているミトのすぐ脇にアレンの姿が有った。天守閣に集まるギルドの上層部達。その中にガズルの姿も見られた。
「勝ったとしても、この町をどの位現状を維持できるか…それだけが心配です。」
メガネを右手で直しながら広く綺麗なこの街を眺めるガズル。その後ろでタバコに火をつけるクラウス。
「分かりません、思い起こせばいつも犠牲になるのは無力な市民達です。この戦に勝てば大陸の半分は統括する事になるでしょう。そうすれば戦も起らずにすむ。」
「そう…ですね。」
「雑談はそのくらいにしておこうか、昼になる前に人員の配置を決めてすぐ様移動してもらう事になる。」
アレンが会話を止めた、そして天守閣の中央に備え付けてあるテーブルに各自足を運び広げられている地図を見る。
「第一斑は砂漠との境界線、グレートフォレスト近郊にて待機。第二班は中継所の詰め所手前で待機してくれ。ガズルはシーフ達に罠を設置するように伝令、第一般は敵部隊とエンカウント次第中継所まで退避。第三班と第二班は第一斑が目標に降下し次第攻撃を開始。第四班は王城跡にて待機してくれ。第一斑隊長ガズル・E・バーズン。第二班隊長クラウス・アルフォード。第三班隊長ミト・メーベ。第四班は俺が引き受ける。」
地図を開きながらそう説明する、後は各自配下の者に伝達を行い当日決行となる。
「あの…アレンさん。」

327 ◆21RFz91GTE :2008/07/11(金) 01:53:27 ID:n19Iy/ug0
「ん?」
「アデルはどうしたんですか?あの夜から全く姿が見えないのですが。」
今まで真面目な顔をしていたアレンはその言葉を聞くと一度だけ表情が歪んだ、同時にいらつきを表情に出しそれを落ち着かせようと懐からタバコを一本取った。
「用事があって出かけた、明日の朝には戻るそうなんだが…今朝方アデルの使い魔から連絡が来た。」
「何と?」
「「呪いの墓は何処だ?今どこかの浜辺に来ている。お土産に蟹とクラゲを持って帰ろう。」、だとさ。」



 「マスタ。」
会議終了後ガズルがアレンの部屋を訪れていた、ドアをノックして中に入る。
部屋の中にはカーテンを開けた窓のすぐ側にアレンが立っていた、窓から見える古都は静かでまるで早朝の古都を眺めて居るようだった。
「ガズルか、どうした?」
「…双子のランサーの事なのですが。」
被っていた帽子を左手で取り胸の前に添える。アレンは懐からタバコを一つ取り出して咥えた。
「あの子達も戦わせるのですか?」
「…あぁ。」
ガズルの口から出た言葉に咥えたタバコを落しそうになる、火をつける直前での事だった。帰ってきたアレンの言葉にはどこか悲しい意味あいも含まれているような。そんな感じだった。
「本当なら戦わせたくないさ、でもあの子達の意思だ。」
「しかし…。」
「ガズル、君が何を言いたいのかは分かる。」
「では何故。」
「…それ以上、言うな。」
背筋が凍るというのはこう言う事なのだろう。とても冷たい目でアレンはガズルを睨んだ。その目にはどんな意味が込められているのだろう。感じ取れる感情からは蛇の肌より冷たい殺気にも似た目をしている。
「あの子達の生立ちは聞いています、母親に捨てられそこに通りかかった英雄に育てられた。報告書を見ているのでしたら何故…。」
「…。」
冷たい表情のまま暫くガズルを睨んでいたアレンはタバコに火をつけるために右腕を前に持ってきた。そして指をこする摩擦熱を利用してタバコに火をつける。
「アレは最前線には出て来ないだろう、向こうからすれば切り札のようなもんだろうからな。」
「ですが、勝ち進めば必ずぶつかる壁になります。」
「…その時は。」
再び窓の外を眺め咥えているタバコを左手で取った。煙を吐きながら右手で握りこぶしを作りプルプルと振るえていた。
「その時は、俺がケリを付けるさ。」
「マスタ…。」
「それに…俺たちの全滅だって有りえる話だからな。アデルが間に合えばいいんだけど…。」
握りこぶしをほどき、再びガズルに顔を見せた。そこには何時もの笑顔で優しいアレンの表情があった。内心は砕けそうになりそうな感情と戦い、押し潰されそうな重圧に必死で耐えて居るような。そんな表情は一切出さずに居た。
「…お察しします。」
「あぁ、すまない。」
「いえ、マスタの仰せのままに…。」
ガズルは一度深くお辞儀して部屋を後にした。パタンと音を立ててしまったドアを見つめながらアレンは近くの机に向かう。机の上には一枚の報告書が置かれている。それに何度も目を通し、そして右手で握りこぶしを作っては机を殴った。
「なんで…なんでこんな事に…。」



Act.13 The Beautiful World 1
To be continues...

328 ◆21RFz91GTE :2008/07/11(金) 01:57:21 ID:n19Iy/ug0
スレの皆さんこんばんは、代理人の21R(仮)です

事情を説明いたします。
21Rさん(本人)は現在仕事多忙or別MMOで忙しいようなので続きを見たい読みたい渡し
代理人が許可を頂いてUPさせていただいてます。

名前のコテハンをお借りし、投稿させていただいている次第であります。
同時に皆様のご感想は私の方からご本人にお伝えさせていただきたく思います。
先に作品を読んでる私をお許しください(汗)

ではご本人さんから本編のメールが来るまで暫くお待ちくださいませ。

21R代理人 21R(仮)

329 ◇68hJrjtY :2008/07/11(金) 13:16:20 ID:SaqKH4OA0
>之神さん
お久しぶりです〜♪
定員1名って少なっ!さて、故意というかなんというか、エレベーター一個のせいで3人の命が危険に(笑)
とりあえず徹とシルヴィーは無事に済んだ(?)ようですが…ライト、順調そうだったのに(ノ∀`*)
一方ナザ君は怪しい空間突入ですね。もしかして事件の真相に一番近づいている…?
そろそろ外界の人々にも感づかれそうでハラハラしつつ。続きお待ちしています。
---
七夕ネタで完成されてるのならぜひUPしてくださいよー(笑)
せっかくの小説がデータの肥やしになるのが勿体無い(´・ω・`)

>白猫さん
感想屋増殖☆-ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノイエーイ
カリアス、そういえば(笑) でもあれくらいのレベル同士の戦いになるともはや仕方ない気もしますよ。
あまり種類を読んだ事はありませんが、ファンタジー小説や漫画なども後半はそんな展開が多い気が。
アネットやカリアスたちももちろん大好きですしワルキューレの一員として能力も高いのですが
やはりラストはネルとルフィエでガチッとシメてくれた白猫さんナイスです(笑)
(でもカリアスやアネットたちの単独小説はそれはそれで読みたい。ってまたリクしそうだorz)
リクの方は気が向いたらで結構ですよ〜♪ ちびネルリレッタ…それも読みたい!(こら

>21R(仮)さん
おお、本当に久しぶり…!と思ったらなんと代理人様!?
代わりに小説投稿してくれるファンなんていい話です(´;ω;`) ご本人様によろしくお伝えくださいませ。
さてさて、小説の方も佳境に入って参りましたね。戦争が近づいている雰囲気がプンプン。
思えばRSではGvというものがあるからか、あまり真剣な戦争情景は表現しづらいように感じていましたが
まったくそんな事は無く。まあ、これは単なるギルド同士の戦争ではないわけですが…。
そしてお約束。アデルさーん(苦笑)

330 憔悴 :2008/07/11(金) 17:50:21 ID:Wv5HCA4E0
熱い…
何年ぶりだろう、こんな熱を出したのは───…
「チェル姉さま…だいじょーぶ?」
自室のベットで丸くなっているチェルの横で、リーネがタオルを絞る。
先日の戦いの時にバリアートで流行っていた感染症を貰ったようで、40度を超えるひどい熱がチェルを襲う。
久しぶりの熱に、組織の大半もはじめてみる総帥の弱っているところを見るのは初めてだった。
「うあー。はよ…」
そこへ、ボニーが起きてくる。
あの日からボニーもまた、B棟に住んでいた。
「リーネー、ロマ村の依頼行くぞー…腹減った…」
「あ、今日なんだっけ…じゃあロンサムさんに任せていくねー」
この間からボニーと仲がいいのか、一緒に組織の依頼を解決しに出かけるため結構役立つ。
ただロンサムは半泣き状態だが。
「大丈夫、ですわ。私の分までお願いしますね」
「はーい、じゃあ行ってきますー」
いつもの五割り増しに輝いてるリーネはばたばたと着替えると、B棟を出て行った。
「と言ったのものの…」
熱い。
寝たらまたうなされるだろう熱に、頭は痛い、体は熱い…
しかし、この痛みに眠りに落ちていってしまう………。

「おねーちゃん、あたしね、ぜったいにおねーちゃんみたいな技使えるようになる!」
「あんたにはまだ無理よ…」
「でもね!おねーちゃん、すごいよ!あんなかいぶつ、いっしゅんでふきとばしちゃうんだよ!」
「きっと、リデルもいつか、出来るよ…私の妹だもの」

「助けて!おねーちゃん!たすけてぇぇえっ!!熱いよ…熱いよおおおぉ…」
「リデル!まってて、いま、いくから…」

「きゃあああああああああああああ!!」
「助けて!ロンサムさッ………」
外から叫び声と、燃え盛る炎の音がする…
ふらつく足で窓を覗くと、そこには…
「鬼………ッ」
炎の中、こちらへ向かってくる鬼を、ロンサムを先頭にB棟の者が戦っていた。
着替えずに、急いで外に出るが、もう大半の者は焼き殺され、数人は鬼に引き裂かれていた。
「フルヒーリング…ッリザレクション……ック…」
まだ熱もあり、体力のない体で仲間を回復していくが、その場で倒れる。
「総帥!まだ無謀です!大丈夫ですから、しっかり寝ていて…」
「だ…めです…鬼が襲ってくるのは…私とリーネを狙っているから…私が戦わなくては…いけませんの…」
自分さえいなければ、ここは襲われなかった。
自らの体が滅びてでも…鬼と…

331 憔悴 :2008/07/11(金) 17:50:49 ID:Wv5HCA4E0
ぺしっ
左頬が、軽くはたかれる。
「貴方のせいではありません。貴方が居なくなったら、どうするんですか!」
ロンサムは弓矢を置き、槍を取り出す。
「私に任せてください…!」
長く、鋭く尖った大槍は、周りの炎の色を帯びてうす赤い。
それを見、一斉に襲い掛かってくる鬼を、次々と槍でなぎ倒す。
(おかしい…あっけ、なさすぎる…)
前回と比べ、数が少ないのか、鬼はみるみると少なくなっていく。
そのたびに周りの残骸は増え、生きている鬼が居なくなるころにはロンサムは鬼の残骸で囲まれていた。
残骸が脈打っているように見える…
いや、実際に脈打っているのだ!
「その残骸からはなれ………ッ!!」
そう叫ぼうとしたときにはもう遅かった。
一つの残骸がロンサムの足に絡みつくと、それにあわせ別の残骸もそこへくっついていく。
全ての肉片がくっついたときには、巨大な鬼がロンサムの体を取り込んでいた。
それを見、チェルはペットの本を取り出そうとする。
「くふ…殺してくれるなよ、私が斬られる度にこの男も傷つくのだからな…」
その言葉に、歯を食いしばりつつ、チェルは本をしまう。
(どうすれば…いいの…!?)
「ばかな女だな…この男に戦わせたのだ、罪の無い者に…お前の身代わりとなって、な」
鬼は大きく腕を振り上げる。
その時、地に転がっていたロンサムの大槍が、鬼の胸を突き抜けた。
「くはッ!?」
「…その…人をバカ呼ばわりですか…どっちがバカなんですか!」
取り込まれつつあったロンサムが、鬼の肢体を切り裂く。
そして、鬼の後方に転がっていた槍で、心臓を突き刺す。
「ドラゴンツイスター!!」
ロンサムを中心とし、赤い竜と青い竜が鬼の肉片を燃やしていく…
その竜の怒りがおさまった時には、鬼の残骸は一つも無かった。
(戦士のドラゴンツイスターと…ランサーのファイアーアンドアイス…!?)
「もしかして、異種職…なのですか…?」
ぎくり、と動くと、
「そ、そうなんですよ…今まで黙っていて、すみません…」
聞くと、彼は昔からこの髪と技のせいで恐れられていて、やっと最近になって落ち着いたのだという。
そこで、もうこの技は封印しよう…と。
そして、リーネに聞かれたときに嘘をついたのは、もう無駄な争いをしたくなかったためだという。
「貴方を守りたい一心で…使ってしまいましたね…」
ロンサムは頭を抱えるそぶりをするが、すぐに立ち上がると、チェルを抱き上げる。
(…ッ!?)
「部屋に戻りましょうか、しっかりやすんでくださいね!」
真っ赤に紅潮した顔を手で隠しつつ、ロンサムを見上げる。
し、しかしこれで4人そろったわけだ。

332 憔悴 :2008/07/11(金) 17:51:14 ID:Wv5HCA4E0
「そういえば、魔石は…」
「ああ、ここにありますよ」
腰から青い石を出す。
「私のサファイアです…祖父から貰ったものなんですよね…」
「あーっ!チェル姉さまロンサムさんに抱っこされてる!」
ふと奥を見ると、リーネが両手を拳にして震わせていた。
「え、あ、これはですね…えーと」
「ずるーい!ねーボニーちゃん私も抱っこして!」
「へ!?」
隣に居たボニーにジャンプをして強請るリーネ。
「ていうか、これどーしたの?植物さんこげちゃってる」
「お、鬼がきまして…私が倒れてしまったので、ロンサムさんに…」
そこで、リーネはチェルが持っているサファイアの魔石に気づくと、再び叫んだ。
「あーっ!!!それ、魔石!?やっぱりロンサムさんが異種職だったの?」
ボニーは、興奮しているリーネを抱きかかえ、トントンと、小突く。
「ふぇ…はぁ、なによぅ!」
「まぁまぁ」
子供をあやすように抱っこする。
「まあ、そういうことですわ。そして、4つそろったので地下遺跡へ行きますわよ!」
「貴方の熱が下がったら、ですね」
そこへ、鼻歌を歌いながら組織の数人が帰ってきた。
総帥を抱っこしているロンサムと、少女を抱っこしているボニーを見、
「…!?な、なんですか、誘拐ごっこですか?」
本当に大変な一日だった。

この後したことを少し書こう。
まず、チェルの熱は無事2日後には下がり、大事として1日ゆっくり休み、元気を取り戻した。
そして4人そろったことから遺跡への侵入を急いだ。
しかし。
「…なに、これ…?」
はしゃぎ、先に遺跡をみたリーネは愕然する。
あったはずの遺跡はなくなっていた。
其処はただの平野となっていたのだ───…

此れについての可能性をあげるとすると、
鬼が危険を察知し、遺跡を消したか。
もしくは、別の何者かの手によって、遺跡丸ごとをどこかへ運ばれたか…
それは、正しく神のみ知ることだった。

333 憔悴 :2008/07/11(金) 17:51:50 ID:Wv5HCA4E0
北のある場所に不思議な洞窟が出来ている事を知らされたのは数日後の事だった。
その場所というのが場所だった。
キングベアーの巣。
世界には簡単に分けて5匹、恐れられているモンスターが居る。
まずはミズナの洞窟の奥に住み着いている毒蜘蛛、ミズナ。
そして、回避率で知られているキングラット。
ある戦いの場所に居る、戦争の王者、デビ・ロン。
地下水路の厳重な檻の中に閉じ込められたヴァンパイア。
そして、このキングベアーの巣にいる、キングベアー。
攻撃力はもちろん、致命打も酷いスグレモノである。
いまならこのキングベアー、タダで退治させてやる。
といいたいくらい危険な熊さんなのだ。
しかし、この熊の話をしている最中、ずっとボニーは自分の武器の爪を磨いていたのだが。
どーにかしてくれよ。
「そこの端末。話を聞きなさい」
「ん?キングベアー倒すんだろ、俺に任せとけ。あんなプーさんに負ける俺じゃないぜ」
「え、なになにぃ、ボニーちゃん熊さん倒したことあるの?」
リーネが目を輝かせて身を乗り出した。
「あたぼーよ。あのプーさんは元々俺が飼いならしてたもんだ」
プーさんは置いといて、この発言には流石のチェルも興味を持った。
「あの凶暴なキングベアーを?ただのブラウンベアーやそこらではなく?」
「おう。プーさんが凶暴になったのはそうだな、俺が一年ばかしとあの巣に行ってなかった時だ」

ボニーはバリアートの、とある豪邸で生まれ育った、まあ多少の我侭なら聞いてもらえるお坊ちゃんだったらしい。
そして、ある日ペットが飼いたくなったボニーは、メイドのビショップに頼み、キングベアーの巣まで連れて行ってもらったそうだ。
その時、前の冒険者によってズタズタに切り裂かれたキングベアーを応急処置をしてやったそうだ。
そうしたらなつき、約半年とキングベアーの巣に通い続けていたのだが、親にばれて、一年ばかし行けなかったらしい。
そしてそのうちに凶暴化し、ボニーの手に負えなくなった、と自慢げに語っていた。
「凶暴化して手に負えなくなったなら倒してはいないのですね」
ロンサムに痛いところを突かれたボニーは、しばし俯くと、リーネのように目を輝かせ、
「あそこで謎が解けるのかー。わーいうれしいなぁ」
と叫んだ。
組織の人の視線が気になった。

334 憔悴 :2008/07/11(金) 17:52:20 ID:Wv5HCA4E0
「うわー懐かしいな。ここは」
キングベアーの巣の前ではしゃぐボニー。
そしてそれにつられてリーネもわくわくとした表情で巣の中をのぞいていた。
「ロンサムならわかりますわよね、明らかにこの気配…」
「この間の鬼の気配ですね、それに増して殺気や邪気も感じます…」
「…?あれ、熊さんが…」
中を覗き込んでいたリーネが中を指差す。
少し暗くて見えにくいが、数匹の熊が倒れている。
「あれ、プーさんの子分その1とその2じゃないか」
数匹のうちの二匹、色が少し濃い者だ。
キングベアーの連れだという。
「しっかし、プーさんいねーなぁ」
覗き込んでいるうちに、二人は中へ入っていく。
「ちょ、ちょっとまってください、あぶな…」
「チェル姉さま、ちょっと来て!」
「………!」
其処には、キングベアーが居た。
巨大な檻の中に…
ベアーはかなり衰弱し、呼吸をしているのか、少し動く体のみが生死の判別ができた。
「プーさん…だれに…」
「遅かったね」
後方から女性と取れる声が聞こえる。
振り向くと、其処には悪魔のような、いや、しかしもっと邪悪な気配を漂わせたモノが居た。
「貴方は…?」
「私?フン、今から死ぬものにそんな情報はいらないだろう?…まあ、教えといてやろう。私の名前はサリア。鬼の国の姫さ」
「鬼の…頭か」
何かの本で読んだことがあった。
地下界には三つの種族が暮らしている。
一にネクロマンサーを仕えた悪魔。
二に鬼を使えた鬼能。
三に世界が始まった時から代々受け継がれてきた、まあ簡単に言えば地下界の王。
鬼の頭、鬼能は悪魔を敵視し、王の命令なら何でも聞く。
しかし、悪魔達は王の命令に逆らった。
そして、地下界を追放された。
鬼能が何を考えているのかは分からない。
しかし、地下界のとって有利な…天上界や、この世界の征服を企んでいないとも言えない。
実際今、鬼能の姫君が目の前に居、死の予言をしているのだから。
「キングベアーは衰弱している。しかし、それは今だけ。最期の力を与えてやる…」
サリアは、右手に持っていた骸に、小さな闇の結晶を入れる。
それは、骸の中で拡大し…
膨らんだ闇は、キングベアーに入り込む…
「人間が憎いだろう…何もしていないのに殺そうとしてくるものな…さあ、目の前の人間を殺れ…そして、お前のとーさんの仇をうちな!」

335 憔悴 :2008/07/11(金) 17:52:52 ID:Wv5HCA4E0
檻が消え、それまで震えていた体を持ち直し、怨念の篭った暗黒色の瞳で四人を見る。
「じゃ…じゃあ、あれはプーさんじゃなくて、プーさんの息子…?」
絶望するボニーに狙いを定めたのか、大きく跳ぶ。
「絶望するのは後ですわ!いまは、集中しないと…クッ」
いつの間にか姿を消していたサリアの方角を少しみたが、その瞬間を逃さない。
鋭い爪がチェルの肌に鮮血を流す。
「あ、ああ…でも、俺…こいつを殺したくない!」

コロシテ…

「…?」

アナタヲキズツケルナラ、コロシテ…

「意識が…?」

タシカニ、オトウヲコロシタニンゲンヲニクンデイタ…ケド、アナタハオトウのコトダイジニシテクレタ。ダカラ、アナタヲキズツケルナラ、コロシテ…

「………できねぇ………」
俯くボニーの背に、鋭い牙が食い込む…
「だ、大丈夫…お前を、殺したり……しない、から、泣くな…」
気が付くと、キングベアーの瞳からは大粒の涙が零れていた。
憎しみの気持ちがあっても、きっとボニーには何かを感じたのだろう。
そっと牙を離すと、少し動きが止まる。
「み、見てられないよぉ…ッひどいよ、あのサリアって人…だって、これじゃあ、熊さんが死ぬか私たちが死ぬまで、この戦いは終わらないじゃない…ッ」
キングベアーと同じく、純粋な涙を流すリーネ。
確かにそうだった。
あの、鬼能の姫が仕向けた戦いは、どちらかが死ぬまで終わらなかった。
いや、"私たち四人が死ぬように"仕向けた結果だった。
四人は罪無きキングベアーを傷つけられない。
キングベアーは攻撃を続ける………
そう、仕向けたのだ。

コロシテェッ………

キングベアーの爪が、振りあがる。
「浄化…」
チェルは、痛む足を押さえながら、小さく呟く。
その瞬間、洞窟全体に充満していた邪気が消える。
「複合技術…!」
テイマーののどやかな一日に足して、洞窟全体を回復の場と変えたヒーリングの力───…

336 憔悴 :2008/07/11(金) 17:53:19 ID:Wv5HCA4E0
「…!私の人形が、消えた…」
どこか遠く。
暗黒に染めた長い髪を揺るがせながら、骸の髪を梳いていたサリアの、膝に乗せていた黒色の人形が消えた。
「…なんなの、噂に聞いてたより手ごわそうじゃない…」
まあ、この骸さえあれば…
「どおってこと、無いけどね…ッ」
というと、櫛を地に突き刺す。
イラッとした雰囲気を漂わせつつ、其処から消えた。
サリアの座っていたところに生えていた草は黒くこげていた。



゚・*:。.:・*:.'.:☆.+゚*゚+.。+゚,゚.+:。.+:。☆゚+.。+゚,゚.+:。.+:。*:。.:'・*:.':+.*。+゚.゚.+:。.*:。☆

鬼能というわけのわからない者をつくってしまった。
意味も無く実家の動物に悪戯描きをしている憔悴です。
猫を豚という、とても素敵な動物が出来ました。
全く、自分は何を言っているのか自分でも分かりません。


>◇68hJrjtY様

何故か文面がつまらないと感じてしまいました…
宝石は、石などが好きなため考えてみました。
はい、アーチャーと剣士でした。
高火力な物理二職で楽しもうと思いましたが、
今回はあえて知識で行きました。
ありがとうございます。


>白猫様

初めましてです。
68hさんに続き、このスレを見始めて存在の濃い、いえ
プロでもいけるのではないか、というような小説を読ませていただいていました。
完結、おめでとうございます。
ネルルフィエコンビに似ているのでしょうか、
この二人、いえ、ロンサム、ボニーを含め四人は身近な自分の知り合いを元に創りました。
たとえばチェルの元となった人物ですが、メインをテイマー、サブをビショップという素敵な組み合わせだったので小説にもそうしました。
リーネの元となった方は明るく、天真爛漫という言葉があう方でした。
でした、と過去形にするのはもう最近は話をしていないからですね。
またどこかであの子とあってみたいです。
そういえば白猫さんの小説は元となった人物などはいるのでしょうか…
話がずれましたね、
他のネタ等、楽しみにしております。

337 自称支援BIS :2008/07/12(土) 01:21:47 ID:FF6L/MaE0
えー・・・お久しぶりです&始めまして、自称支援BISです
小説スレ5でWIZ&ネクロカップルを書き逃げした者です

今回は、黒頭巾さんの「いけめんさん」と国道310号線さんの「ブルーノさん」が登場します
いわゆるコラボネタです
ちなみにベースは武道&サマナの物語です(つまり68hさん狙いでもあります(待))

とりあえず、注意事項が一つだけ

※いけめんさんが盛大に壊れています
 黒頭巾さんの「いけめんさん」のイメージを壊したくない方は、「これはいけめんさんじゃないんだ!」
 と思い込んでから読んで下さい
 もしくは、読むのを止めて下さい

では、武道家&サマナーの物語、どうぞ〜

338 自称支援BIS :2008/07/12(土) 01:24:27 ID:FF6L/MaE0
私は今藪森の中に居ます
目の前では武道家さん、剣士さんの二人がエルフ達と戦っています
私の隣では、WIZさんが彼ら二人の補助をしています

何故そんな場所に居るのか、ですか
それは・・・


〜依頼〜

「武道家さーん」
「ん、どうしたサマナー?」
「今銀行に行ったら、係の人からクエストを頼まれまして・・・」

ここは港町ブリッジヘッド
港町というだけあって、貿易を主とした町らしいです
シーフ達の本拠地でもある、シーフギルドがあるのもこの町と聞きましたが
本拠地に近づかなければ大丈夫みたいです

私は、数年前に結婚した武道家さんと一緒に露店巡りをしようと思い、
この町にやって来ました
前々から探していた品物が見つかったので、購入して銀行に預けに行ったんですが、
そこで係の人からクエストを頼まれたんです

「あぁ、もしかしてエルフから剣を取ってきてほしい、ってやつか?」
「はい、そうです」
「俺もさっきそれ頼まれたんだよなぁ・・・」
「そうなんですか?」
「あぁ。折角だし、今から二人一緒に終わらせないか?」
「そうですね・・・そうしましょうか」

そこで、私達は藪森に行く事になりました
藪森には、神聖都市アウグスタから行くのが一番近いので
テレポーターの方に向かおうとしました
そうしたら・・・

「突然すみません、私も一緒に行ってもよろしいですか?」

声のした方に振り返ると、そこにはWIZさんが居ました
町で見かける他のWIZさんと比べると、何だか「いけめん」って感じがしたので
私は心の中で勝手に「いけめんさん」と呼ぶ事にしました

「一緒に・・・って、藪森にですか?」
「えぇ、先程話されていたクエスト、私も受けているんです」
「あぁ、そう言うことでしたか」
「どうする、サマナー?」
「私は構わないので、武道家さんが良ければ・・・」
「俺も大丈夫だ。むしろ、あんたが居てくれた方が心強い」
「そう言って頂けるとありがたいです」

こうして、いけめんさんを加えた三人でクエストを行う事になりました


〜藪森〜

いけめんさんが風の加護をかけてくれたお陰で、藪森まではすぐに着くことが出来ました
ですが、実際に藪森を見てみると思わず足が止まりました

「こうして見ると、広いですねぇ・・・」
「そうだな・・・」
「別名迷いの森とも言われていますからね」
「えぇ!?」
「何でも、森の奥に行くには正しいルートを通らないと行けないらしいです」
「・・・もし間違ったルートを通ったら・・・?」
「延々と同じ場所をまわる事になりますね」
「またやっかいな場所だな・・・」
「まぁ、この地図の通りに行けば大丈夫ですよ」

そう言うと、いけめんさんは地図を取り出しました
なにやら迷路みたいな物が書かれていて、その中の一本の道に色が付いていました

「え?地図・・・?」
「えぇ、先程の町で買ってきたんです」
「流石WIZ、準備がいいんだな」
「偶然見つけただけですよ、それより行きましょう?」
「そうですね」

339 自称支援BIS :2008/07/12(土) 01:25:26 ID:FF6L/MaE0
〜戦闘〜

藪森に入ると、いきなりエルフ達が襲いかかって来ました

「サマナー、下がってろ!」

武道家さんはそう言うと、跳び蹴りで敵の懐に入り攻撃を始めました
私も急いで召喚獣を呼び出し、エルフ達に攻撃を仕掛けます

「ウインディ、ゲイルパンチ! スウェルファー、バンブーランス!」
「サンキュ! よし、一気に決めるぜっ!!」

武道家さんの攻撃によって、次々とエルフ達が倒れていきました
やっぱり武道家さんカッコイイ・・・

「ふぅ・・・とりあえず片付いたな」
「みたいですね」
「・・・なぁ、あんた何やってんだ?」
「・・・申し訳ない、驚いたはずみで転んでしまったようだ・・・」
「大丈夫ですか?」
「あぁ、ありがとう」
「しっかりしてくれよー」

どうやらいけめんさんの運動神経は、良くは無いみたいです
武道家さんとは大違いです
武道家さんはかっこよくて、運動神経もバツグンで、私の事を一番に考えてくれてて・・・

「おーいサマナー、行くぞー?」
「あ、はーい」

いけない、武道家さんの事を考えるとついそっちに考えが・・・気をつけなきゃ
その後は武道家さんの攻撃、私といけめんさんの補助で順調に進んで行きました
時々私が武道家さんに見とれてしまって、進むのが遅くなったのは気にしない事にしました

〜洞窟〜

「滝の裏の洞窟を通っていくなんて・・・やっぱり地図無かったら辿り着けませんね」
「そうだな・・・WIZ、本当にありがとな!」
「いえいえ、私も一人では辛かったと思いますし」

地図上では、丁度真ん中辺りにある洞窟にさしかかりました
ここまでの敵はエルフと原始人だったのですが、ここでは芋虫が出て来ました
ですが、武道家さんが一匹を蹴り飛ばすと、他の虫達がいそいそと逃げて行きました
どうやら武道家さんとの強さが違うという事が分かったみたいです
やっぱり武道家さんは・・・

「・・・すまないな、サマナーは時々あぁなるんだ」
「なんとなく分かりますから、お気になさらず」

「お話中悪いんだけどさ・・・道空けてくれないかなー?」

武道家さんでもいけめんさんでも無い人の声で、私は我に返りました
後ろを向くと、そこには剣士さんが居ました

「あ、すみません」
「ありがと〜。ところでさ、エルフの持ってる剣ってのを探してるんだけど、何か知らない?」
「ん、それなら俺達もこれから取りに行く所だが・・・」
「本当!?俺も一緒についてっていい?」
「私は構いませんが・・・武道家さんとい・・・WIZさんは?」
「俺もOKかな」
「人が多くなるのは心強いですからね」
「ありがとー!あ、俺ブルーノって言うんだ、よろしく!」
「よろしくお願いします、ブルーノさん」

結局、洞窟の中で出会ったブルーノさんを加えた四人で目的地まで行く事になりました

340 自称支援BIS :2008/07/12(土) 01:26:33 ID:FF6L/MaE0
〜守護者〜

洞窟を抜けた先は、前までと変わらない藪森でした
敵が少し強くなったような感じはしましたが、ブルーノさんも一緒に戦ってくれているので、
今まで以上に早く進んで行きました
そして、目的地の場所「ドーナツ」と呼ばれている場所まであと少しの所で、
いけめんさんが僕達を呼び止めた

「あ・・・ちょっと待って下さい・・・」
「ん、何だ?」
「地図上ではこの先に何か居るみたいなんです」
「何かって、何々?」
「少し古い言葉で書いてあって・・・えっと・・・ガー・・・ディア・・・ン?」
「ガーディアン・・・って、守護者って意味だったような・・・」
「そうですね、大体は何かを守るために存在している物に使われる言葉ですね」

もしかして・・・私達が取りに行こうとしてる剣を?
皆を見渡すと、同じ事を考えているみたいでした

「守護者、ってついてる以上強いんだろうなぁ・・・」
「でしょうねぇ・・・どうしましょうか・・・」

私、武道家さん、いけめんさんが悩んでいると、ブルーノさんが不思議そうな顔をしました

「どうする、って倒せばいいんじゃ?」
「倒す・・・って、そりゃそうかもしれないが、どんだけ強いかも分からないんだぞ?」
「えぇ、出来るだけ安全な方法を・・・」
「そうです、いけ・・・WIZさんはあんまり運動が得意じゃないんですから」
「・・・はっきりと言われるとは思って無かったよ、サマナーさん・・・orz」
「あ、えと・・・その・・・すみません」
「否定はしないのな、サマナー」

結局いい案も出なかったので、ブルーノさんと武道家さんが先に進んで、
私と落ち込んでるいけめんさんが後ろからついて行く、という事になりました
つまりは今までと一緒、という事だったりもします


〜突撃〜

「この辺り・・・でしたよね?」
「・・・えぇ・・・そうです・・・」
「元気出しなよー、WIZー」
「大丈夫で・・・うわっ」ドサッ
「・・・言ってるそばから転んでるし」
「フフ・・・私は・・・運動神経が・・・悪いわけじゃない・・・」
「WIZ・・・さん?」
「私はっ・・・!」

いけめんさんはそう言うと、テレポーテーションで一気に進んでいってしまいました
私の言葉、そんなに気にしてたのかな・・・

「ちょ、WIZさん待ったー!」
「ガーディアンが居るんだぞーー!」
「いけめ・・・WIZさ〜ん!」
「・・・サマナー、さっきからWIZさん呼ぶ時に別の名前言おうとしてないか?」
「え・・・そ、そンな事ないデスよ?」
「声が裏返ってるのは気にしないでおくとして・・・早く行かないと!」
「そうだな、行こう!」

いけめんさんを追いかけるために、私と武道家さんはケルビーに乗せてもらって、
ブルーノさんは「俺は走るよ!」と言って走っていきました
ブルーノさん、元気だなぁ・・・いけめんさんとは正反対みたい
でもやっぱり武道家さんの方が・・・
・・・あ、いけないいけない、また自分の世界に入っちゃう所だった・・・


〜石像〜

「WIZさーん?」
「どこまで行ったんでしょう・・・」
「ってか、ガーディアンは?」
「そう言えば居ませんね・・・」
「まさかWIZさんが倒したとか?」
「流石にそれは無い気がするけどなぁ」
「ブルーノさんも何気に酷い事言いますね・・・」
「いやー、だって事実だし」

そんなやり取りをしながら進んでいくと、突然目の前に鎧霊が現れました
・・・ですが、何故か刀を振り上げた形で石化しています

「これ・・・石像とか?」
「こんな場所に石像は無いと思いますが・・・」
「って事は、これガーディアンなんじゃ?」
「もしそうだとしても・・・何で石化してるんだ?」
「もしかして、いけ・・・WIZさんが石化させたんじゃないでしょうか?」
「そういえば、ストーンタッチってスキルあったよなー」
「でも、あのスキル効果時間短くなかったか?」
「「「・・・・・・」」」

・・・悪い予感は良く当たる物、という事を改めて実感しました
って、そんな事言ってる場合じゃないんですよ!

「ウインディ!スウェルファー!ゴメン、お願い!!」

341 自称支援BIS :2008/07/12(土) 01:27:38 ID:FF6L/MaE0
〜交渉〜

「はぁ、はぁ・・・」
「な、なぁ・・・召喚獣大丈夫なのか?」
「そ、それは大丈夫です・・・しばらく召喚出来ませんが・・・」

全速力でガーディアンから逃げてきた私達
ふと目の前を見ると、いけめんさんが腰を下ろしていました

「あぁ、君達やっと来たのか」
「WIZさんが突っ走ったんじゃないですか・・・」
「というか、WIZ元に戻ったのか?」
「・・・とにかく、目的の剣はあのエルフが持ってるらしいです」

いけめんさんが指差した先には、いかにも「俺が持ってるぞー!」
といったオーラを出したエルフが居ました
こういう場合は・・・やっぱりお願いしようかな

「じゃ、私に任せて下さい。ケルビー!いつものよろしくね〜」

私はケルビーを召喚すると、エルフの所へと向かわせました

「なぁ、ケルビーだけじゃ危ないんじゃないか?」
「まぁ見てなって サマナーのケルビーはちょっと違うんだよ」


「ほう・・・何か話し合ってるようですね・・・」
「俺、魔物と話し合う召喚獣って初めて見るんだけど」
「私だって初めて見ますよ」


「あ、どうやら話し合いは終わったようですね」
「・・・なぁ、何かエルフがケルビーに手を振ってるように見えるんだが?」
「しかもとびっきりの笑顔っぽいですよね・・・?」


ケルビーが戻ってくると、その口には剣が四本銜えられていました

「ありがと、ケルビー♪」
「よし、じゃ帰ってクエスト終了にしようか」
「そうですね〜」
「「・・・いや、ちょっと待て!」」
「どうしたんだ?二人揃って」
「えーっと・・・まず、何でケルビーはエルフから剣を受け取ってこれたんだ?」
「あぁ、私のケルビーは魔物と会話できるんです。なので、今みたいに話をして物を貰ってきてくれるんですよ」
「・・・どうやったら四本も貰ってこれるんですか?」
「そりゃ、この物語の作者が早く話を終わらs」

話の途中でしたが、武道家さんは間違って帰還の巻物を使ってしまったみたいです
あくまでも「間違って」です
決して「武道家さんを黙らせるために、作者が無理矢理使わせた」わけではありません

「・・・サマナーさん、どこに向かって何話してるんですか?」
「あ、何でもないです」
「とりあえず・・・・・・俺達も戻るか」
「・・・そうですね」


〜別れ〜

こうして、私達四人は無事クエストを終わらせる事ができました
武道家さんが「俺は帰還の巻物なんて使ってねー!」と意味不明な事を叫んでいたのが少し心配です

「武道家さん、サマナーさん、今日は色々とありがとうございました」
「ホント助かったよ、ありがとな!」
「また縁がありましたら、ご一緒しましょう」
「そうだな、それじゃ俺はこれで!」
「私も失礼しますね」

「ふーっ、何か今日は疲れたな・・・」
「それじゃ、早速ご飯の用意しますね」
「あぁ、お願いするよ」
「武道家さん、何が食べたいですか?」
「そうだなー、それじゃあ・・・」


え?ケルビーがエルフに話した内容は何だったのか、ですか?
それは、ゲーム内でケルビーに聞いてみて下さい♪

342 黒頭巾 :2008/07/12(土) 01:59:29 ID:fou9k2gM0
>国道さん
ちょ、アッシュストーカー自重www
盛大に噴きました…コミュ拒否疑惑に凹むブルーノ可愛いよブルーノ。
そして、マイペース金ちゃん…味方の筈のケルビに特技攻撃とは!笑
喧嘩仲間的な召還獣&P達の仲がとても面白いです…喧嘩する程仲がイイと(*ノノ)(ぇー)
ミモザの過去の出会いと、護れなかったというケルビの言葉…如何繋がっていくのか楽しみにしております!

感想も感謝でする…違和感少なかったようでよかったです(ノ∀`)ペチン
うふふ、きっとあの二匹は仲良くなれると思うのですよ(*´∀`)
てるみつくんファンクラブ会員番号一号としては再登場を願ってやみません(何ソレ)


>68hさん
ふぁみりあいーえっくすシリーズ、ファミたん視点でのお話は久々だったので…うっかり口調とか決まり事忘れかけてましt(ry
出だしを間違えて僕の名前は、にしちゃったり…名前じゃねーっての(´д`)
種族が違うと、個人の判別が難しいと思われます…人間が同じ種類の動物の見分けが付きにくいみたいに!笑
最近はんらさんを育てだして愛着が沸いて来たので、黒はんらさんはいつか出したいです←
ダークメルヘンをお望みの様なのでちょろちょろと別の短編を書いてみたら…ダーク分しか残らずに首を傾げている次第です、隊長殿(`・ω・´)ゝ(駄目じゃん)
七夕は職場で学生達がやっていたので慌ててお昼休みに書いてみた次第です…季節感って大事だね!(そんな)
何かもうイベントしかないのか…イベント担当なのか!笑
初心者クエか誕生日か…あ、ハロウィンはやる予定で打ち合わせしております(遠いよ)

ブランクあるとキツイですよねぇ…いつか、いつかきっとSSスレの神が降りてくるわ!(何)
取り敢えず、感覚を取り戻せるように念を送っておきます、ぴろぴろーって(ぇー)


>ドワーフさん
ドワーフさんのU話、いつも楽しみにしております(*´д`)
一枝梅の刀ってマトモに見た事がなかったので思わずググってしまいました。
今まで義賊って何かシーフなイメージだったのですが、剣士もアリだなって思ってしまいました(*ノノ)
遺されたザトーには哀しい結果となってしまいましたが、ハナは幸せだったんでしょうね(´;ω;`)ウッ
語り部のお相手さんに、ザトー達の意志が受け継がれているようで、嬉しく感じました。
ゼーレクランのお話は、童話みたいで…恐ろしく感じましたガクガク(((((゚д゚;)))))ブルブル
教訓的と言いましょうか…赤い靴みたいな。
今度見かけたら、ガクブルしてしまいそうです…笑
うふふ、いつかU話をコンプリートして下さると期待してみます(無茶振り)


>憔悴さん
初めまして、ROM専さんから作家さんへの転身おめでとうです!(*´∀`*)ノシ
異種職の設定にハァハァです…確かに、リトルもWIZも魔法を使う職ですし、テイマもBISも補助をかける職ですよね!
シフネクロにアチャ戦士もキタ―(・∀・)―ッ!!
特にロンサム…近距離にも遠距離にも強いなんて、最強すぎます((((´д`))))ガクブル
今までの登場人物の中でロンサムが一番のお気に入りです…素敵すぎです(*ノノ)
F&Iドラツイとか鬼すぎて…火と水の多段攻撃なんだから!Σ( ゚д゚)
ついに四人揃いましたが、異種職以外の誕生石の残りの8人も気になるところです!
と言うか、リーネたんTUEEEのに無邪気で可愛いよリーネたん(*´д`*)ハァハァ(自重)
ぷーさんの話は和むと共に切なく…ぷーさん息子(´;ω;`)ウッ
鬼能の姫様という親玉っぽいのが出てきてどんどんお話の謎の部分が見えてくると同時に、更に別の謎が深まってのスパイラルから目が離せません(*ノノ)

343 黒頭巾 :2008/07/12(土) 02:00:11 ID:fou9k2gM0
>白猫さん
わちょーい、完結編きたーよ!(´∀`)ノ
お会いする度に100KBいっちゃえいっちゃえと唆していた自分ですが、本当にお疲れ様でしたと声を大にして言いたいです←
読み応えたっぷりすぎてハァハァしました…読み込みが足りない部分がありそうなので、何度かじっくり読み込ませて頂きます(ΦωΦ)フフフ
マペットの契約者を護るのがワルキューレかと思いきや、契約者のルフィエ自身もまたワルキューレとは…!
と言うか、セシュアとアネットぉぉぉ!orzorzorz
やっぱりセシュアの現れたり消えたりの不可思議な動きは傀儡だったからなんですね(ノд;)
うぅ、コレから姉弟仲良く暮らせると思ったのに…アネット…orz
そして、一緒にいた筈のカリアスの空気具合がもうたまらんとです…好きだけど、可哀想なカリアスもまたイイy(ry
最近、彼は不幸担当なんじゃないかって思い始めてきました(今更)
しかし、万年病人とはナイスな呼び名です(待って)
そして、潜伏していたリレッタのPTへの帰還…あのドジっ子リレッタがしっかりさんになった!←
詳しく言わなくても相手の望む行動が取れるネルフィエコンビのツーカー振りに萌えるのは私だけでしょうか(死語)
そしてそして…ルヴィラィとルフィエ、最期にお母さんと娘に戻れてよかったです(´;ω;`)ウッ
最期の最期だってのが激しく切ないですが…最期だからこそ、言えた事もあるのかなぁと。
で、三年経ってもタイミングが悪くすれ違いな彼ら…本当にトラブルが絶えない!笑
本当にお疲れ様でした…まとめページで補足されたものを読んで新しい発見が出来る日を楽しみにしております(*´∀`*)ノ
…てか、番外編のリクいいの?(自重)
私的には、ルフィエのパパの“彼”とルヴィライの番外編を期待したいです(待って)

隠しキャラ入手条件に盛大に笑いましたから!笑
例のアレとかアレとかは、コチラもお付き合い頂けて嬉しかったのですよ!(*ノノ)
いつも突飛でアレなコレとかで申し訳ない!(どれ)
無茶振りの件は、未だに如何したモノかと←
はんらさんはお互いにナイトさんを目指しましょう…っても、ウチのはんらさんは突撃勇者になりそうですが(ソレはぶらっくはんらさんだ←)
てか、白猫さんが何故にそげにごしゅじんさまを大プッシュするのか不思議でなりません…普通のコなのに!笑
タガは外す為にあるのです…限界点なんて超えてみせるんだ!(色々駄目だろう)
ハロウィンは(,,゚Д゚)ガンガルます…白い子は取り敢えず不幸にすればイイんですよね?(ちょ)
むしろ、そちらのネタが楽しみで楽しみで仕方がありません(*´д`*)ハァハァ


>復讐の女神さん
Σ確かに車を突き破ったとかそんな話は聞きますが、雹恐い!Σ(゚д゚|||)
そして、魔術の属性のお話…火と水は確かに相反する属性ですよね。
RSではただの難易度としか分類されませんが、この設定は素敵です(*ノノ)
だから浮かぶレビテイトで地属性上がるんですな…風っぽいから!(待って)
そして、ラディルのモテモテ振りに(・∀・)ニヨニヨです。
賞金システム、あれば便利だろうなぁ…クエが世界中に散らばってて、面倒だったらありゃしn(ry
テルがそれだけ確認を促す依頼の内容が…あの変態魔術師絡みじゃないかとwktkしながら続きを待っております(*´∀`)ウフフ


>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
わーい、ちまミリアー!ヽ(´Д`)人(´д`)人(´Д`)人(´д`)ノ〜♪
…よりも、ミカエルおにーちゃんに萌々した私は駄目なのでしょうか(ぇー)
こんなおにーちゃん( ゚д゚)ホスィよ!←
ミリアとの絡みも、保父さんみたい(ぇー)
しっかし、野外でお昼ご飯がチョコフォンデュとか、おにーちゃん素敵すぎますから!爆笑
フィナ姉は相変わらずです…って、更にパワーアップしちゃうんですか!?Σ(゚д゚|||)

344 黒頭巾 :2008/07/12(土) 02:01:23 ID:fou9k2gM0
>之神さん
定員一名のエレベーターとか小さな遊園地じゃないんだから!_| ̄|○ノシ べしべし
順調だった筈のライトがトバッチリ受けてますが…折れたドアノブにGJと言いたいです←
もしかして、コレで合流出来るのかなとwktk!
木妖精、恐い見た目に反して可愛いと最近思い始めました…この野郎、お前達が!(ちょ)
ラッキーナザくんですから、きっと何かイイ事に結びつくんだろうなぁと楽しみに!
今まで「あなたとどなた」がタイトルだと思ってました…どんなタイトルが付くのか楽しみにしております(ノ∀`)ペチン

七夕で復活されると期待しておりました…SSスレの季節感担当のがたん!(ちょ)
せっかく書かれたのですから、うpして下さいよぅ…気になるなら、8月に旧暦の七夕とか!(ぁ)


>21Rさん
きゃぁぁぁ、続きお待ちしておりましたぁぁぁ!!!。・゚・(ノд`)・゚・。
蟹とクラゲはスバインビーチかな?
期待を裏切らないアデル…そうさ、そんな君が大好きさ!ヽ(´д`)ノ
一人で重圧に耐えるアレンくんが心配ですorz
TOPに立つってそんな事だってのは嫌と言う程わかってはいても切ない(´;ω;`)ウッ
せめて、少しでもイイ方向に向かうのを祈っております。
ご多忙みたいですが、如何かご自愛下さいませ(゚д゚)ノシ


>21R(仮)さん
おぉ、お疲れ様で御座います、スネーク!(`・ω・´)ゝ
先に読んでおいでるのに若干嫉妬するのはお約束(笑)として、橋渡しありがたいです(*´∀`*)
そうか、そんな手があったのかと目から鱗です←
如何ぞ宜しくお伝え下さいませ(*ノノ)


>自称支援BISさん
わーい、いけめんさんがヘタレだー!(喜んだ←)
いけめんさんは時々壊れるので全然おっけーですよ!(*´∀`*)(満面の笑顔/ちょ)
ドタバタ珍道中、とても楽しく拝見させて頂きました(*ノノ)
物理火力が二人に支援とサマナが一人ずつとは…うほっ、イイPT!(自重)
掛け合い漫才が面白かったです…ブルーノ正直!爆笑
今では普通に通れる藪森も、適正当時はかなり苦戦したものです…いけめんさんでガー君に何度殺されたか(嗚呼)
クエ対象MOBとの戦闘よりも辿り着くまでが大変とは、ケルビー最強伝説(?)ですね…何と便利な子d(ry
おっと危ない…帰還の魔石を破壊しようとして使って以下略←
またの投稿をお待ちしておりますにょろ(*´∀`)ウフフ(とか圧力をかけてみるテスト)


嗚呼、めがっさ疲れた…溜め込むんじゃなかった!orz

345 ◇68hJrjtY :2008/07/12(土) 16:14:34 ID:SaqKH4OA0
>憔悴さん
だんだんとUP量とスピードの増える続き、ありがとうございます!
ロンサム、やはり異種職でしたか…本人に思うところあったのでしょうが、無事に4人揃ったと思いきやまたも事件が。
「あえて知識職で行った」ロンサムのF&Iとドラツイ。恐ろしいながらそのエフェクトを見てみたいとか(ノ∀`*)
突然消えてしまった遺跡も気になりながらもボニーにとっては悲しすぎるプーさんとの戦い。
鬼能という存在設定も面白いと思いました。鬼とは地下界から来ているのが分かってきましたね。
サリアや他の鬼たちとの戦いをさらに予感させつつ、続きお待ちしています。

>自称支援BISさん
お久しぶりです〜!そして武道×サマナキタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(*´д`*)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!
しかし、今回はそれ以上にいけめんさんとブルーノが大変なことに(笑)
一時的な狩り(クエスト?)PTの奮闘といったノリでコメディ風味にニヤニヤしながら読ませていただきました。
才色兼備ないけめんさん、意外にもギルメン以外の人たちの前ではドジっ子(子!?)だったりして…。
そして逆にギルメンたちの前では天真爛漫なブルーノはしっかり者とか(笑)
サマナたん視点の物語でしたが、折に触れて武道君に見とれる彼女は私の分身ですね!(*´д`*)
またの作品お待ちしています!

346 防災頭巾★ :削除
削除

347 防災頭巾★ :削除
削除

348 名無しさん :2008/07/13(日) 18:42:28 ID:OnMpHZjE0
クソスレage

              )
             (
         ,,        )      )
         ゙ミ;;;;;,_           (
          ミ;;;;;;;;、;:..,,.,,,,,
          i;i;i;i; '',',;^′..ヽ
          ゙ゞy、、;:..、)  }
           .¨.、,_,,、_,,r_,ノ′
         /;:;":;.:;";i; '',',;;;_~;;;′.ヽ
        ゙{y、、;:...:,:.:.、;:..:,:.:. ._  、}
        ".¨ー=v ''‐ .:v、,,、_,r_,ノ′
       /;i;i; '',',;;;_~⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′..ヽ 
       ゙{y、、;:...:,:.:.、;、;:.:,:.:. ._  .、)  、}
       ".¨ー=v ''‐ .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ′
      /i;i; '',',;;;_~υ⌒¨;;;;;;;;ヾ.ミ゙´゙^′.ソ.ヽ
      ゙{y、、;:..ゞ.:,:.:.、;:.ミ.:,:.:. ._υ゚o,,'.、)  、}
      ヾ,,..;::;;;::,;,::;):;:;:; .:v、冫_._ .、,_,,、_,,r_,ノ′

349 名無しさん :2008/07/15(火) 00:23:58 ID:ddy6MTJU0
懐かしい夢を見た。
それは私の一番古い記憶。

人通りの多い通りの片隅で、雨に打たれながら座り込み、ただ行き交う人を眺め続けるだけの日々。
私は、気が付いたときにはここに居た。
道行く人は私を生ゴミなどを見るような眼で見ていく。
場合によっては人に罵声を浴びせられ、なじられ、理不尽な暴力に膝をついた。
ここでは子供が生きていくのは非常に過酷で、それは私自身とて例外ではない。
その為、生きていく為には何でもやった。

スリ・強盗

時には、人体実験の実験台にすらなって金を得、生活していた。
当時は、子供に殺しをさせるような暗殺集団があった時代だ、私がやっている程度は子供が一人で生きていく上では、日常茶飯事だった。
そして気が付いたときには同じ身の上の子供が集まり一つの集団を作って
、私はその集団の中心人物になっていた。

だがその時の私にはそんなモノはどうでも良かった。
所詮大人になろうとこの生活に変化はなく何れは誰かに恨まれ殺されるだろうと本気で考えていた。
しかし自分は生きている。
生きていく為に人から物を奪い、生きていく為に食っている。

何故?

答えが出ないまま悶々とした何かを胸に抱え日々を送っていく。
だが、そんな私に生きる意味を与えてくれた人がいた。

雨の日だった。
今日も【仕事】を終えて、自分達のねぐらに戻った時だ。
ねぐらへの出入り口に一人の男が立っている。
暗くてよく見えないが、顔から歳は40代といったところか。
男は背中まで伸びた白髪混じりの髪を後ろで結い、
白く古ぼけた武道家特有の武道着を纏っていた。

突然現れた男は、こう叫んだ。
「君達には一切の私怨はない。だが君達がやっている事は間違いなく悪いことだ。だから今、この場でお前達を成敗しなければならない!今なら俺から何とかしてやれる、だから君たちの頭と話をさせてくれ!」

仲間は私へ視線を送り、仕方なく男の前に顔を出す。
「……オレだ」
「なぁ、今すぐ解散できないか?」
「オレ達に死ねって言うのか?」
「そうは言ってない。ただ他のやり方もあったんじゃないのか?」
「ないね。……話は終わりだ、帰れ」
「そうもいかん。俺はこれでも仕事で来てるんでな」
その一言で周りの仲間が殺気立ち、

「今なら俺が何とかしてやれる!もう止めるんだ!」
この一言で一斉に各々の得物を携えて飛びかかっていった。

が、相手が悪すぎた。
あの人は、拳一つ、しかも右腕一本で仲間達を成敗していった。
当然、私も立ち向かっていったが一太刀浴びせる間もなく呆気なく打ちのめされた。
しかし当の本人は相当手加減したのだろう、まだ痛みを伴いながらだが動くことは出来た。
周りを見やると、そこには自分と同じように打ち倒されて呻き声をあげる仲間が所々に転がっている。
そしてその中心にあの人が立っていた。
その表情は酷く悲しいものだった。

しばらくの沈黙。

そしてあの人が口を開いた。
「すまない、これも仕事なんだ」
すると何処からともなく聞こえてくるかすれた声
「はっ、謝ってどうなるんだよ。
てめぇが、何してくれるって言うんだ?
俺達はただ生きていく為に、仕事してるだけじゃねぇか!
お前ら大人の勝手な都合で、つぶされてたまるか!」
まだ体にダメージが残っているのだろう、声量は無かった。
しかしその紡がれた言葉は、力強く私たちの気持ちを良く伝えていた。
すると周りからも罵声が飛び交う。
その言葉に対してあの人はたった一言。
「本当にすまない……」
と深く頭を下げた。
その行為に私はとても驚いた事は今でも覚えている。

何か間違った事をした訳じゃない。
何か悪い事をした訳でもない。
むしろいくら生きていく為とは言え、悪行を働いているのは私達であり、彼はそれで迷惑をしているその他大勢の為にこうして止めにきたのだ。
それも力づくではなく『説得』と言うカタチで。

それなのに彼は謝る。
今まで会ってきた大人は何奴も口ばかりで、決して心の底から言葉を紡ぐことはなかった。
だが彼の口から紡がれるのは誠心誠意の言葉。

ーこいつはどこまで人の事を考えているんだ?
内容はともかく、そんな疑問がふっと湧いた瞬間、この男に興味を持った。
生きること以外に、何の興味も沸かない自分がだ。
気が付いたときには、私の口から意外な言葉がついて出てきた。
「…分かった、従うよ」
「本当か!?」
当然仲間からは反対する怒号が飛び交うが私はそれを遮り、
「ただし!仲間が食っていける場所を与えてやってくれ」
「それなら任せておけ!」
と、即答に近いカタチで、拳を自分の胸にドンと押し当てながら、自信満々に言い放った。

350 スメスメ :2008/07/15(火) 00:24:51 ID:ddy6MTJU0
「……眩しい」
朝日が部屋に差し込み私の顔に当たり、窓からの少し冷気を帯びた風が顔を撫でていく。
ここは古都ブルンネンシュティグのとある社員寮。
ここで自分は寝食を仲間と共にしています。
寝食を共にと申しましても各部屋には調理場がありますので大概の住人は自炊したりしています。


「それにしても懐かしい夢でしたね」
「んー、何が?」
「いえ、久しぶりに子供の頃の夢を視たものですから、少し感慨深くなっていたのですよ」

…ん?
ここは私の部屋。
ですから自分以外の人間が居る事などあり得ない訳でして…。

ふと自室のテーブルに目を向けると、側にある椅子にややもたれながら座りガツガツと忙しなくテーブルの上にある皿の食事をかき込んでいる二人組が…。
一人は白いポニーテールにカッターシャツを着ている少年、もう一人は金髪の綺麗なミニドレスを着ている少女だ。


「……何をしているんですか、アル?」
そう問いかけると少年の方が、事も無げに答える。
「朝飯食ってる」
そう、悪びれもなく答え腕をピッと上げ軽く挨拶すると彼はまた口の中にモノをいれモグモグと動かしだした。

「いや、あのですね。私はどうして私の部屋に勝手に入り込んで食事をしているのかと聞いているのですが?」
「腹が減ったから」

……もういいです。

大体彼はいつもこうだ。
突然ふらりと勝手に部屋へ入ってきて「泊めて」だとか「何か食べさせて」だとか勝手気ままなことを言い出す。
それもまだ許可を求めてくるだけマシで、酷いときは今回のように許可無く居座ってしまう。
しかも必ずと言っていいほど問題事を抱えてくるのですからこっちとしては迷惑千万ですよ。

「分かりました、では朝食を取ったら出ていって下さいね。私は仕事なんですから」
「そんなツレない事言うなよぉ、『お兄ちゃ〜ん』♪」と言う猫なで声が耳に障る。

「都合の良いときだけ弟面しないで下さい」

……申し遅れました。
私の名は、クニヒト=エヴァーソンと申します。
非常に、不本意ではありますが、この愚弟の兄です。

「いや、今日はマジで相談に来たんだよっ」
「ほぅ、勝手に人の部屋にあがり朝食をとっている事が『相談』ですか?」
「こ、これは……。あの子がお腹空いたって言うからさ、今のオレで連れていける所なんてここ位だったんだよ」
少し詰まって出た言葉からはいつもの様なフザケ口調では無く何処か力がなかった。
どうも少し様子がおかしいようですね。
まぁ、変なのは今に始まったことではないですけど。
「朝食の件は今に始まった事ではないにしても、そちらのお嬢さんについても、勿論教えていただけますよね?」とアルの対面の椅子に座り口一杯に食べ物を頬張っている少女の方を見た。
アルは少し黙り、そして珍しく神妙な面もちで先日起こった出来事を話し始めた。
どうやら核心を突いたみたいだ。

フローテック氏の依頼を受け、地下墓地へバインダーの討伐に向かった事。
バインダーの祭壇で襲われそうになっていた少女、キリエを助けた事。
バインダー討伐中に彼の友人であるアイナーと出会い、襲われた事。
キリエが剣に変身できる特殊な力がある事。
何とか助けようとあの『技』まで使ってアイナーを止めようとした事。
結果としてアイナーに太刀打ちできず、殺されると思ったが通りすがりの旅人に助けられた事。




「……大体は理解しましたが一つだけ腑に落ちませんね」
話を聞きながら淹れた紅茶を自分のカップに注ぎ、食い散らかされたテーブルに浅めに腰を下ろしアルを見る。
すると何で?と言わんばかりな顔で首を傾げた。
「その旅人ですよ。恐らくアナタの負っていた傷を治したのは魔術以外には考えられない。よく考えてみて下さい、今のご時世に、魔法を使える人なんて、そうそう居ません。仮に使えたとしても、『自分は魔術師だぞ』と正体を明かす人間は居るはずがない」
「あ……」

351 スメスメ :2008/07/15(火) 00:25:30 ID:ddy6MTJU0
今から丁度40年前、それは起きた。
突如スマグ地方を拠点としたウィザード協会が当時スマグ地下道や各施設を占拠していたレッドアイを壊滅・吸収し、フランデル大陸の全都市国家に対してアウグスタを中心としたグリーク教の根絶を訴えたのだ。
突然の事態に各都市は、当然拒否もしくは相手にしなかった。
しかし事態はそれだけで終わるわけもなくウィザードギルドはブルンネンシュティグ、アリアン、ブリッジヘッドなどの主要な大都市で抗議デモを行い、グリーク教が如何に不適切な教団かと言う事を説いていきます。
その中で宗教どころか天使や天上界までも非難した抗議まであったと言う噂も出てくる程、講義内容は過激なものだったそうです。
当然、グリーク教の総本山であるアウグスタが黙っている訳もなく。ウィザードギルドへ3名の名のある僧侶を使者として出し、彼等に講義内容の全面撤廃を求めた。

しかしその後、ウィザードギルドから何の返事もなく、
月日だけが過ぎ第2陣の使者を送ろうかと協議していた頃です。
アウグスタヘ3つのちょうど頭がすっぽり入るサイズの木箱が送られてきました。
その丁寧に装飾されさらに立派な衣に包まれた木箱から出てきたのは……

元高名な僧侶達の姿です。

これに激怒したアウグスタ側は兵を集め、ウィザードギルドに対して宣戦布告する事になります。
これが後の歴史に名を残す『元素戦争』です。
初めはウィザードギルドvsアウグスタ(グリーク教)の大陸東部での争いでした。
しかしブルンネンシュティグ、シュトラセラトなどの中東部の都市国家が武力介入し、
更にそこへアリアンなどの内陸部の都市国家が、その隙を突いて各都市国家へと攻め入るという泥沼化の情勢になっていきました。
また、この戦争では様々な元素を用いた強力な大量殺人兵器や身体に元素を取り込んで戦闘力を増大させる技術などが開発・導入されるなど、益々戦況は混迷へと突き進んでいくことになります。

その泥沼と化した戦況が7年の月日が経ち、小規模な村などは殆どは焼け落ち、田畑は廃れ、人々の心は荒んでいった頃でした。
どこから現れたか今でも不明ですが、7人の傭兵や冒険家が各都市にて人々に停戦を呼びかけ、戦争を収めようと努める人たちが現れました。
彼等は自らを『Tierraーティエラー』と呼び、次々と各都市に停戦する様に呼びかけ実行していったのです。
そして遂にはアウグスタまでも武装放棄させ、ウィザードギルドにも停戦を呼びかけましたが決して応じることは無くやむを得ず僅か7人だけで彼らを追い込み遂には最後の砦であったスウェブタワーにて壊滅させたのです。
この時の戦争がきっかけで、アウグスタを除く殆どの各都市は同盟を組み、現在の様な統一国家としての一歩を踏み出したと言う訳です。
この立役者である『Tierra』の面々は英雄視され今でも語りぐさになっています。
アウグスタはと言うと戦争終了後から途端に大きな壁を都市周辺に建設し、現在に至るまで一切の交流を絶っている状態です。

そしてこの戦争が元素戦争と呼ばれるようになったか、これは判りますね?
そうです。
この戦争の後、徐々にではありますが空気中の元素の濃度が薄くなっていったのです。
初めは微々たるものでしたが、現在では元素を用いた機関はほとんど作動せず、魔術も余程の実力がある者でない限り扱うことが出来なくなってしまいました。
しかも、大体の家庭には、元素魔法を用いた生活必需品が多々あり、生活の面においても少なからずの支障が出てきていた、と言う事です。
しかし、これも未だに原因は分からず、解明が急がれている案件の一つです。

「よって今のご時世で魔法はおろか、それを行使する魔術師なんていうのは、ごく一部を除いて存在するはずがないのですよ。わかりましたか?」

「ぶっちゃけた話、要はウィザードがアウグスタに喧嘩を売ってぼろ負けして何故か魔法が使えなくなったって事だろ?」

……ぶっちゃけすぎです。

「とにかく、魔法使えることも自分が魔術師だと正体を明かすようなことをすると言うのはおかしいですね」
「まぁ、助けて貰ったんだしそれで良いじゃん」
椅子の背もたれに目一杯もたれながらそう答える。

どうして彼は、こうも楽観的と言うかここまで物事を軽く考えられるのでしょうか?

「それよかキリエの事なんだけどさ……」
「あぁ、それでしたら私の方で何とかしましょう」
「ホントか!?」
「知り合いの孤児院に話を付けておきます。話が付くまでの間は私の部屋で預かることにしましょう」
「え……」
アルの顔が予想外と言わんばかりに驚く。
「何か不具合でも?」
「いや、そう言う訳じゃないんだけどさ」

352 スメスメ :2008/07/15(火) 00:25:53 ID:ddy6MTJU0
「まさか、一緒に連れて行くなんて言うのではないのでしょうね?」
そう言うと彼は黙り込んでしまった。
まさか本当に考えていたとは。
全く、何を考えているのでしょうか?
「で、でもさ。」
「『でも』も何もありません。仮に連れて行ってアナタはあの子にもしもの事が起きたとしたらどう責任を取ると言うのですか?」
「じゃあ、アンタは初めから見捨てればいいって言うのか!?」
「そうは言ってません。今のアナタでは彼女は守れないと言っているのです」
「守ってみせるさっ!」
そう、彼の眼と同様に強く言い放ちスッと立ち上がった。
「キリエ、行こうか」
そうして、キリエの手を取り入ってきた窓から出ていこうとする。

「何処に行くのですか?」
そう問いかけるとアルは私の方を見ずに
「じっちゃんの所。相談する人間違えたっ!」
まさか……
「今からすぐにブリッジヘッドまで行くつもりですか!?第一、行くとしてもどうやって行くつもりなんですか?」
「鉄の道沿いに歩いていけばそのうちたどり着くだろ」
「アウグスタの関所はどうするのです!?」
「なんとかなるっ!」
馬鹿げてる。
無計画もいいところではないか。

「……アナタの一度言い出したら一歩も譲らないところは、本当に『あの人』と一緒ですね。もう何も言いません。ですが、路上強盗団の動きが最近活発ですから気を付けて下さいね。あと…」
「分かったから、もう良いっ…」
もはやうんざりしている様子の言葉を遮り
「いえ、これだけは言わせて下さい。非常に大切なことですので」
「…何?」
「せめて玄関から出ていってくれませんか?」


すると、軽く舌打ちをして玄関から出て行くアル。
その後ろをトコトコとついていくキリエちゃん。




……ふぅ、やっと出ていきましたよ。
きっと、寮監にまた叱られることでしょうね。


それにしてもあのキリエと言う娘、不思議な雰囲気を持つ方でしたね。
何故でしょうか昔に同じ様な雰囲気を持つ人と会った事あった気が…。
ふぅむ、どなたでしたか?妙に引っかかる。

……おっと、こんな感慨に耽っている場合ではありませんでした。
私もそろそろ支度をしないと仕事に間に合わな…。

不意に時計を見やるのと同時に、私は眉を軽くしかめる。
もう出勤しなければ、遅刻が確定な時間だ。

「これは…、ちょっとマズいですね…」
そう呟くと軽く頭を掻いて、急いで支度を始めた。

353 スメスメ :2008/07/15(火) 00:29:54 ID:ddy6MTJU0
小説スレ5 >>750
小説スレ6 >>6-7 >>119-121 >>380-381 >>945-949
小説スレ7 >>30-34

ぎゃー!sageれてない!?


……気を取り直してコメ返しだけでもしたいと思います。

>国道310号線さん
いやっ、そんな勉強になるような箇所があれば、むしろ教えていただきたいくらいでして……。
自分自身、アイナーはもっと掘り下げたかった所ですが、技量が追いつかずあの様なモノになりました。
もっと各キャラクターを生かせるように書きたいです。

>ESCADA a.k.a DIWALIさん
確かに萌えますな〜♪
しかし、自分自身が【萌え】より【燃え】体質なので熱い話が来るとさらに悶えます。
しかも、変に武に関わっていた分、「この格好でこの動きって動きやすいか?」などと考えてしまうのでちょっと楽しさ半減してしまう体質?です。
茶会ではお話があまり聞けなかったのでまたの機会にでもお話しませう。

>黒頭巾さん
スタダじゃなかったのね……orz
サバイバルで生かさず殺さず無限地獄……、えぇのぉ。
自分の趣味が入ってる?それがどうしたっ!
そんな黒頭巾の作品が大好きだっ!!(←こう言うところが【燃え】なんだろうな)

今回から別キャラクター中心の視点になります。
ややこしいかもしれませんがどうか生暖かい目で付き合ってやってください。

354 拙作失礼します@初 :2008/07/18(金) 06:21:08 ID:JxIMEokA0
 まぶたの裏側に赤い光を感じた。
六時起床、本日も晴天なり。
アルコールに犯された頭を二、三度振り、上半身をゆっくりと起こす。早起きは良い事だけど、褒めてくれる人物など私の周りには一人も居ない。
ベッドの脇にある机へ首を向け、机の上に鎮座する、鈍く青白い光を放つパソコンに視線を移す。最近はまり始めたネットゲームの資金廻りの一つである、「露店」を確認するが、私が出品していた商品は寝る前と変わらず画面の上に浮かんでいた。
ため息を一つ、気だるい意識と一緒に吐き出す。会社もやめ、怠惰で自堕落な生活にまみれたこの私を心配するものは、親兄弟、友人どこに矛先を向けてもどこにも存在しなかった。
立ち上がり、牛乳でも一つ飲もうかと思うが、それでも無気力的な思考に脳を支配され、その計画は直ぐに頓挫する。そのまま私は敷布団に体を預け、気が付けば二度寝の体制に入っていた。

――――――――

「あなた、大丈夫?」
 一人暮らしの私に有るはずの無い声が鼓膜を揺らす。開いた眼球に飛び込んで来たのは、雪のように白い華奢な腕。次に飛び込んできたのは手を伸ばした少女の隣に立つ緑色の生物だった。
「……へ?」 
 自分でも間抜けな声を出してしまったと思う。それでも私の脳は今の状況を解することを。その緑色の生物が振り上げた槍のような物――否、あれは「槍そのもの」だ――が次の六十五の刹那、その腕に突き立てられたその状況を、一体何なのか思考することを拒み続けていた。
 少女は苦痛に顔を歪ませながら、それでも私に笑いかけようと必死に笑顔を繕っていた。彼女の伸ばした指先から垂れた血が私の顔にぽたりと垂れ、視界を赤く染める。そこで初めて、体が動いた。
 声にならない声を上げ、全力で後ずさる。手の平に感じるごつごつとした感触、今まで味わったことの無い極上の恐怖。まるで夢とは思えなかった。
 私が避難したことにより少女は臨戦態勢に入ることが出来たらしい。金色のイヤリングを揺らしながら大きく後ろに跳び距離を取り、その背の丈もある大きな弓に、光り輝く矢をゆっくりと番えた。その光に、緑色の生物のぬめぬめとした鱗が七色に光る。牙とその口角から涎を滴らせ、距離を詰めるために少女に飛び掛った。
 瞬間、少女の細い腕から光の粒が舞った。目を覆わずにはいられないほどの圧倒的な明。二、三秒後、瞼を開いたときには怪物の姿は無く、緑色の血だまりに立つ少女だけが残されていた。
 少女は私のほうへ顔を向け、ゆっくりと微笑む。安堵から全身の筋肉が融解したように弛緩し、私の意識はまたも闇へと落ちていった。

――――――

 ぶぅん、と静かな音を立てる冷蔵庫。そこはいつもの私の部屋だった。夏の暑さのせいだけではない汗が全身を包んでいて、酷く不快だった。夢、にしてはリアルだった。心臓の鼓動が自分にも聞こえるほど高鳴っている。
 とりあえずシャワーを浴びるため、体を起こす。壁に掛けられた時計に目をやると、時刻は正午過ぎを刻んでいた。深く寝入りすぎた、と反省をする。
 熱を帯びた頭と体をぬるめのシャワーで流し、バスタオルに身を包み。そこで、冷静な思考回路をやっと取り戻す。
 一日の大半をネットゲームで費やすという病的な生活のせいで、おかしな夢を見てしまった。壊れているんだろうな、と自分自身の評価を下す。
 パソコンに向かう。変化の無い画面に心の中で悪態を吐きながらも、私は操作のためのマウスを探す。
 クリック、操作、クリック。ゲームへ本格的に熱が入り始めたその時、マウスを動かす私の右手に何かが当たり、床へと滑り落ちた。
 屈み込み、机の下を見ると。錆びたイヤリングが落ちていた。脳裏に少女の穏やかで優しい笑みが浮かび上がる。自分のような人間を身を挺して守ってくれた、あの少女。

 十八時過ぎ、とあるコンビニ店員は目を丸くした。毎日この時間にやってくる一人の客。同じコンビニ弁当とパックに入ったミルクティーを買い続ける客が、今日はアルバイト情報誌を手にレジへ向かってきたのだ。
 何かあったのだろうか。勿論店員には分かることは無い。ただその表情は晴れやかで、それを見るコンビニ店員の心も少しだけ嬉しくなる。もう顔なじみとなった二人に、いつもより少しだけ、明るく取引が交わされる。
一人の少女の笑いかける声が、どこかから聞こえた気がした。

355 354 :2008/07/18(金) 06:25:59 ID:JxIMEokA0
 勢いだけで書かせてもらったので言葉の重複が多々有ったり、言い回しがおかしかったり
改行がきちんとされていなかっりと、不備だらけで申し訳ないです……。
 スレ汚し失礼しました。

356 ◇68hJrjtY :2008/07/18(金) 09:10:04 ID:hUbuaNDM0
>スメスメさん
なにやら新展開を予感させつつ登場のアルの兄、クニヒト。理知的な仕事人っぽさが感じられますね(*´д`*)
それよりなにより、この小説の世界観がだんだん浮上してきた事も特筆できますね。
「ウィザードギルドがアウグスタにケンカを売った後なぜか元素が薄くなった」分かりやすい解説までありがとう、アル(笑)
つくづく今のRS世界が戦争状態になったらと思うと…しかし、「ティエラ」という英雄集団もキーワード的に気になります。
アルとキリエが無事にブリッジヘッドまで辿り着けるかどうか、見守らせてもらいますね。

>354さん
初めまして!投稿ありがとうございます!
リアルとネットの境目がつかなくなる…まさかとは思いながらも誰もが恐怖する(?)、千夜一夜物語風小説ですね。
それが夢だったのかまた現実だったのかは分りませんが、彼(彼女?)が前に向かって一歩進めたのが何より。
画面の中のキャラが警告を、そして祝福をしてくれたみたいなように捉えつつ読ませていただきました(*´д`*)
もしまた気が向いた時の投稿などお待ちしています♪

357 憔悴 :2008/07/20(日) 01:35:01 ID:Wv5HCA4E0
お前は人間じゃないな!
出て行け!この村から!
この村を破滅に導く悪魔だ!!!

…もうやめてください…
どうしたら、この悪夢から逃れられるのでしょうか…
こんな力のために、こんなに辛い奴隷の毎日
救世主なんているのでしょうか
いたら、今すぐ私を助けてください…

「…ロンサムさん?」
チェルがロンサムの顔を覗き込む。
「どうかされましたの、顔色が、悪いようですわ」
「いや…なんでも、ないですよ」
自分が異種職ということが知られてからもう1週間程たった。
彼女たちは自分のことを仲間だと思ってくれている。
…判ってる、判ってるさ。
それは彼女たち自身も異種職であるから…
自分のことを同じ人材だと思っているのだろうな…
「…あんまり無理しないでくださいね、心配になりますから…」
しかし、この心を通る暖かい気持ちは何なんだろう
彼女はやっぱり、私の…
「ぼにいいいいちゃん!!!!!!!!!!」
「ん?」
台所にいたリーネが叫ぶ。
それはボニーに対してだった。
「あ、あたしのはちみつぷりんたべたでしょ…!!」
「嗚呼、うまかったぞ」
「うぐー!今日こそ息の根を止めてやるううううッ」
リーネがスリングを構える。
それにあわせてボニーも拳を握って戦闘態勢になった。
思わず笑みが零れてしまう。
幸せすぎる、こんな、ただ総帥様とリバーシをしたり、ボニーとリーネさんの戦闘を見てるだけのような、平凡な毎日でも。
このまま、この毎日が続けばいいと、誰もが思うだろう。
いままでなかった幸せが、いま降りかかってきている気がする。
それも、長くはないのだろうが。

358 憔悴 :2008/07/20(日) 01:35:38 ID:Wv5HCA4E0
「あの…」
数時間たち、ボニーとリーネが疲れて一緒に昼寝をしているころ。
B棟に珍しい来客が訪れた。
珍しいのは、2点あった。
まず、依頼ならばA棟にいくか、もしくは手紙で伝えるからだ。
もう1点は、彼女はサマナーのようだったのだが…
「あ、はい。わたくし、サマナーの格好をしていますが、悪魔なのです」
確かに、彼女はサマナーなのに髪が赤色であった。
チェルとは違う意味で、目立つサマナーだった。
「それで、今日頼みたいことなのですが…」
彼女は、鞄から、ルビーともとれる宝石を出した。
それが、魔石と形が同じくらいなのはいうまでもないだろう。
「あなたはいったい…?」
「元々、地下界にいた悪魔の頭でございます」
追放された悪魔のトップ。
つまり、悪魔の姫君ということだった。
「記憶はあるのですね、珍しく」
「はい、それで、この魔石を預かってもらいたいのです」
「ふむ…また、それはどうしてですの?」
「それは…」
地下界は元々、この"ライシュ"さんの父上がまとめていたものらしい。
だが、お人よしだった父上は別の者に王の証を渡してしまった…
悪魔、ネクロマンサーと鬼能、鬼たちは互いにいい関係ではなかったため、
王の証を握った元鬼能の頭は悪魔たちを出て行かせた。
しかし、失敗はここだった。
悪魔たちは魔石を持っていたのだ。
それも、2つも…
「わたくしがもっています、ルビー…それと」
またもや鞄を漁る。
そして、今度は紫色の宝石をとりだす。
「元は鬼能の姫がもっていたものを、わたくしたちのネクロマンサーが拾ったらしく…アメシストです」
「そのネクロさんも色が紫だったり?」
「はい、その通りです。しかし、彼は元々は普通の青いネクロマンサーでしたの。だけど、このアメシストを拾ってきたときに変色し…」
紫色にかわった、ということだろう。
しかし…鬼能の姫、ということはサリアがもっていたのだろうか。
彼女は紫色ではなかったが…
「推測ですが、魔石を手放すと力がなくなる、と考えられています」
「では、ライシュさんも力を…?」
「わたくしは、この魔石をもつ相応しい人物じゃなかったため、力はうまれませんでした。いっておきます。サリアは手ごわいです。本体は何度引き裂いても死にません…それと、戦うなら、この2つの魔石に相応しい人物を探してください。そして、仲間を増やすべきです」
魔石は人物を選ぶ。推測に、ゆっくりと…
相応しい人物が見つかったら、きっとなにか魔石に異変があるはずです。
4人じゃ無理です…鬼能はサリア一人じゃない。
覚えておいてください…

359 憔悴 :2008/07/20(日) 01:36:06 ID:Wv5HCA4E0
そう言われても、全くと言って検討がつかないわけだが。
「だけど、これであと6個になったね、魔石」
「…魔石は、格それぞれの頭がもってるんじゃないかしら…その人が異種職と限られるわけじゃないみたいだけど」
4人はなんらかで最初に選ばれた異種職。
残りの8個…まず1個目のルビーは悪魔の姫君。2個目のアメシストは鬼能の姫君。
そして、実際、チェルはテイマーの中でも有能な総帥をしている。
こう考えると、残りの6つも、シーフ、武道の頭、ウィザード、ウルフマンの頭…と
持っているのではないか…
「シーフの頭ならしってるぜ」
ルビーを見ていたボニーが地図で、スウェブタワーを指差す。
「ここのいっちばん地下の階にいるといわれてる。俺のにーちゃんだけどな!」
「貴方のお兄さんはシーフの頭ですの?」
「いや、そうじゃねーけど、あいつは強いぞ、とにかく」
まあスウェブの地下にいる時点で強いのはわかるが。
「…まあ、他に当てもないしいってみましょうか」

「おい…お前…」
何とかぼろぼろになりつつ(リーネは無傷)
スウェブの最下階につく。
そこにいた黒い人物にボニーは…
「老けたなあ兄貴い!!」
「おお、ボニーか!おめーかわんねーなぁー!」
ボニーと瓜二つ。
少し違うといえば帽子とマントの色だろうか。
「なー兄貴ぃ、魔石っつーのもってねーか?」
「ませきぃ?しらねーなぁ…だが、このどこかのモンスターが妙な石を持ってる、ということは聞いたことがあるぜ!」
誰にも倒せない、紅色のオーガ。
聞いた話から察すると、魔石を持っていることは明らかだった。
「そいつはどこにいるんですの?」
「おんやぁ…ボニーのこれか!」
小指を立てる。
その瞬間ボニーとロンサムからの拳でノックアウトされたのは言うまでもない。
「なんでロンサムまで?」
「ただむかついただけですよ」
こき、と指を鳴らす。
まあそんなことで死ぬシーフの頭じゃなさそうなんだが。
「あっちの方でみたっていうな。俺はしらねーけど…」
「ありがとうございます」
丁寧にお礼を言い、指がしめした方向へ進む。
「…ッなんか…怖いよ…」
今まで珍しく黙っていたリーネが、ウサギの姿でボニーにすがりつく。
「すごい、邪気と…痛みや、苦しみを感じるの…まるで、あのキングベアーの時みたい…」
紅色のオーガ…一筋縄ではいきそうになかった。

360 憔悴 :2008/07/20(日) 01:36:37 ID:Wv5HCA4E0
「おっ…よくあうねぇ。もしかして、あたいのストーカーかい?」
サリアがにやにやしながらオーガを尻に引いていた。
そして、手にもっていた骸にあの時と同じ、黒い結晶を入れ込む。
「またあの時みたいに…ッ」
「いんや、そんなヘマするもんか。そんなことしたらあんときみたいに浄化されちまうんだろ?あたいは王に新しい力を授かったんだよ!」
声を張り上げて叫んだ瞬間、黒い結晶はロンサムにむかった。
「そいつが心に闇をもってると思ったんだね…さあ、仲間と死の舞を踊りな!」
地に手を着くと、ビシビシと音を立てて地面が裂けた。
それはチェルを狙ったものだった。
「ッ!?」
がくん、と力が抜け、気を失ってしまう。
「ふふ…さあ、いくんだ!」
心が宿っていない目で、矢を取る。
「ロンサム、やめ…ッ」
確実にボニーの足を狙う。
そして、今度は5本まとめて矢を取る。
今度狙っているのはボニーの横にいるリーネだろうか。
「どーして…なんで、ロンサムさんはそんな…」
操られちゃったの…?
泣き始めるリーネに、さすがのロンサムも手が出せないのか、またボニーの方に弓を向ける。
「…くそ…とりあえず、その弓と矢は没収だな!」
分身を作り、ロンサムへ向かう。
その途中何度か矢を受けたが、分身が消えるだけ。
そして、弓と矢を奪いとるが…
「!!ボニーちゃん、逃げて、それは罠…ッ」
後ろから出した槍で、大きな二つの竜巻を起こす。
「てめー…いいかげんに…」
「やめて!!」
鞭を取り出そうとしたボニーをとめる。
「だめ、だよ。傷つけちゃ!ただ、ただ、操られているだけなのに…仲間なんだよ!?だめ…だよ?」
泣きながらリーネが叫ぶ。
頬から流れた雫は、ぽた、と地に落ちる。
「かはっ…はぁ…はぁ…」
その声を聞き、チェルが立ち上がる。
手足には無数の傷。
しかし、しっかり握った笛を精一杯吹く…
その音は、あの時奏でた浄化の音源だった。
「………ごめ…なさい…」
ロンサムは槍を落とす。
その声を聞き、チェルはそっと傍による。
そして、子供を慰めるように、ぎゅっと、抱きしめる。
「…総帥…」
「大丈夫、貴方が思っているほど、辛い人生じゃない。私たちがいる。だから…」
そっと耳元に顔を寄せ、
苦しまないで…
と囁いた。

361 憔悴 :2008/07/20(日) 01:38:02 ID:Wv5HCA4E0
その後、オーガからガーネットを貰うと、B棟へ帰還した。
チェルの傷は思ったより深く、1ヶ月は動けないという。
そんな体で歩き、ロンサムを抱きしめたのは…
「やーっぱり愛の力!だよねー!」
「なー!」
リーネとボニーがにやにやしながら笑いあう。
「…うるさいですわ」
ベットで横になっていたチェルは、低くどすの効いた声でつぶやく。
ばたばたと二人は総帥の部屋をでる。
たまには着替えも必要、と服を脱ぐ。
「総帥ー、あの件なのです…がっ!?」
白い肌に、大事なところだけを隠すようにした下着姿のチェルをみたとたん、時が止まる。
「し、失礼…」
ロンサムは鼻を抑えながら、開きかけていた扉を閉める。
「…なん…ですの」
チェルもまた、布団を被ってつぶやいた。
心の中の何かが、動いた気がした。

ドアの向こう、総帥部屋の前でかくん、と体を落とすロンサム。
(み…みてしまった…)
白くて、光る肌。
それに、何時間もかけて合わせた様な純白の下着。
遠くからみたら…まるで、裸のような…。
ぶはっ、と思いっきり血を吹きだす。
(な、なにを考えてるんですか、私は…)
鼻を抑えつつ、その場を後にする。

「チェルちゃんが動けない間に、1人異種職見つけるよぅ!」
「情報は集めてきました。さあ、見てください」
ロンサムが5枚ほど、紙を並べる。
「んー?ロマ娘シュリア…ああ、あの連続暗殺事件を解いた女か」
「スカイアーチャーズのGMライリア…ギルド戦争では勝ち続きのあのGですね」
「…ッ!!ぷ、ぷりんせすのねお…こ、このこにはまだ会いにいきたくないなぁーなんて…あはは」
「後は有名な剣士のホクスと…ネクロマンサーのウリン…ふむ」
何処からいこうか?

(1,チェルがいない間にロマっ子に話を聞いておく
2,格好良いおねーさまとお話をする
3,リーネが嫌がるプリンセスのところへいく
4,おにーさんと遊ぶ。(話す
5,ネクロちゃんに飴をあげる(話す…)

さあ、どれがいいかは小説スレの方が決めてください〜。
ちなみに今回、ひぐらしの鳴く頃に で使われている奈落の花を聞きながら書きました。あの曲は大好きです。
時間がないためコメント省き。

362 ◇68hJrjtY :2008/07/20(日) 04:17:30 ID:hUbuaNDM0
>憔悴さん
流れるような筆遣いとはまさに。たった5レスでかなーりな話の展開に驚きです。
宝石の残りも気になりますが、まずはやっぱり他の異職種…3人の候補が挙がっているようですね。
仲間を見つけて悪魔を倒す!なんだかオラ、わくわくしてきたぞ!っていうのは置いといて(笑)
さりげなくボニーの兄貴なども登場してますが、チェルの下着姿とそれに鼻血ブーなロンサムの両方に萌え萌え(*´д`)
次回は選択式ですか!(笑) ゲームブック風なノリに吹きました。うーん、では私は5で…旦~

363 名無しさん :2008/07/20(日) 13:27:01 ID:XedeNcNE0
m

364 ワイト :2008/07/20(日) 19:01:01 ID:bygiWkDM0
完全に自分の存在、皆無になってるかも?それは置いといて本題なんですが、
前スレの小説の続き、まだ完成に至ってないっていうか…難しい状況です。
完成するのも、何時になるやも知れませんが、ご了承くださいますよう…
まったく小説自体とは無関係な無駄レスですので、スルーしてくださいな。

365 ◇68hJrjtY :2008/07/21(月) 12:36:53 ID:Dh9WYsnM0
>ワイトさん
ワイトさんの小説、ちゃんと覚えてますよ!スルーしろなんて寂しいことは言わずに(´・ω・)
もし続きの構想があるというならばいくら時間がかかっても構いません、お願いします。
ただワイトさんが書ける状態でない等の理由があるならば止むを得ませんが…。
でも文面からは続きを書く方向(?)のようですし、ともあれお待ちしています!

366 国道310号線 :2008/07/21(月) 20:12:37 ID:Wq6z33060
・小説スレ六冊目
 第一話 〜 ミニペットがやってきた! 〜
 前編 >>487-490 後編 >>563-569

 第二話 〜 狼男と魔女 〜
 1 >>784-787 2 >>817-820 3 >>871-874 4 >>910-913

--------------------
・小説スレ七冊目
 第三話 〜 赤き呼び声(2) 〜
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前回のあらすじ:ミモザの回想、ストーカーアッシュ、ケルビと金太郎合流の三本でお送りしました


アラクノイドと出会ったあの日、幼い色だった新芽も大きくなり深みを増していた。
あれから程なくして卵を産み母親となった彼女に、私は亡くなった母の面影を求めていたのかもしれない。


アラクノイドが身を潜めているグレートフォレストの洞穴。
ミモザはアラクノイドの体に巻いた古い包帯を新しいものに変えていた。
彼女の全身を覆っていた包帯はほとんど取れ、歩くには支障が無いほど回復していた。
「もうすぐ包帯いらなくなりそうだよ。」

−そうであるか−

治療のために洞穴へ通っているうちに、言葉少なかったアラクノイドも彼女に答えるようになっていた。
包帯を巻き終わるとミモザはアラクノイドに弾ける笑顔を向ける。
「ねぇ、卵見てもいい?」
触ろうとするとアラクノイドが嫌がるためしないが、近くで眺める分には何も言ってこない。
彼女の回復していく姿を見るのも嬉しかったが、ミモザは彼女の子供達の誕生も心待ちにしていた。

アラクノイドの了解を得、白い蜘蛛の糸に覆われたたくさんの卵を見やる。
心なしか、前に見た時より大きくなっているように思えた。
「早くかえるといいね。」
笑顔でそう見上げれば、アラクノイドも顔をほこらばせ穏やかな表情をしている。
だが、ふと真面目な雰囲気でミモザに向き直った。

−ミモザ、おぬしは二度と此処へは来るな−
突き放すような言葉にミモザは驚き瞳を瞬かせる。
小声で「え?」としか聞き返せない彼女にアラクノイドは視線を外すと顔を背けた。

−この子達が孵ったら、わらわはこの洞穴からいなくなる。 会いに来ても無駄ということじゃ−

「そんな…。遠くへ行っちゃうの? もう会えないの? 」
ミモザはアラクノイドの太い脚をぎゅっと握ると揺さぶる。
仲良くなれた彼女から突然告げられた離別の言葉に、ミモザは泣き出しそうな顔をした。
「こいつぁ、元々この森の者じゃねぇだろ。 元気になったら帰るだけでぇ。」
アラクノイドの脚に抱きついたままの彼女にケルビーはぶっきら棒ながらも諭す。
嗚咽に変わりそうな吐息と零れそうな涙を懸命にこらえ、ミモザはごわごわした体毛に身をうずめる。
アラクノイドは何も答えなかった、沈黙した洞穴の中、外の木々のざわめきがやけに耳についた。

−来るよ 人間 人間だ たくさんいる 恐い顔 人間来るよ いっぱい来る 火と鉄持ってる こっち来る
 人間いるよ ほらすぐそこ 来る来る来るよ  ……来た −

バッと顔を上げるとミモザはアラクノイドを通り越して洞穴の外へ走った。
聞こえてきた声は木のものだけではない、風も鳥も騒いでいる。
注意深く耳を澄ましていると、いくつもの足音が近づいてくるのが分かった。
囁かれた単語に嫌なものを感じていたミモザだが、森から現れた群衆に息を呑む。
「何でぇ、これは…!」
彼女の後を追ってきたケルビーも驚きを隠せないでいた。

十数人の男達が手に武器や農具、松明を持ち行進してきたのだ。
それもいずれも見知った顔ばかり、ミモザの村の住人達であった。
「ミモザ! 怪我は無いか?」
ミモザに気付いた村人の先頭を歩いている壮年の男性が彼女に歩み寄る。
「…村長さん。」
ミモザは戸惑い気味に彼を見つめた。

村長の手には無骨な長槍が握られており、なめし皮の鎧を身に着けている。
彼は彼女の無事な姿を見て安堵の表情をしていたが、まるでこれから戦場に赴くような緊張感がうかがえた。

367 国道310号線 :2008/07/21(月) 20:14:23 ID:Wq6z33060

見つかった…? なんで? だれにも言わなかったのに。

アラクノイドと出合ったあの日以来、ミモザは彼女の事を誰にも他言したことは無かった。
村人達には自然の声は聞こえないというのに、彼等に口止めをしていたほどだ。
お前の様子がおかしい事を心配した村人の一人がお前の後をつけていき、大蜘蛛を見つけたのだと村長は言った。
「絶対中には入るな。」
ミモザが愕然としていると村長は村人を引き連れ洞穴に入ろうとする。
「っ… ダメ!」
ミモザは素早く村人の前に回りこむと両手を広げ立ち塞がった。

アラクノイドが殺される、そう感じた彼女は必死に彼の行く手を阻む。
だが、村人達に押しのけられ、彼女の小さな体は道を開けてしまった。
よろめきながらも再び彼等を止めようとするが、彼女は誰かに腕をつかまれつんのめる。
「お前はここにいなさい。」
腕をつかんだのは隣のおじさんだった。
「やだ! はなして!」
懇願し腕を引っ張るが、繋がれた手は固くビクリともしない。

そうこうしていると、洞穴の奥から布を裂くような動物の鳴き声と人々の喚き声があがった。
大きな奇声に驚いたおじさんの力が緩む。
その隙を逃さずミモザは彼の手を振り払い、一目散に洞窟の中へと駆け出していった。
「あの、バカッ。 戻りやがったっ。」
この場にいればミモザは安全だと思い傍観していたケルビーは舌打ちする。

あの物々しさから見て村人達はアラクノイドを本気で退治するつもりだ。
対するアラクノイドもそう安々と村人にやられるとは思えない。
それに彼女は卵を守るために容赦なく村人を襲うだろう。
激戦となることは想像に容易い、その渦中にミモザは舞い戻ったのだ。

通い慣れた洞穴を息を切らしながらミモザは進む。
「お願い無事でいて!」
祈るような気持ちで彼女はアラクノイドのもとへ急いだ。


アラクノイドは侵入者達に威嚇の声をあげ、前脚を大きく振り上げる。
蜘蛛の中でもとりわけ大きいアラクノイドであるが、今は小屋ほどあろうかと思えるほどだった。
その迫力に気圧されて動けないでいた村人達に村長のゲキが飛ぶ。
「怯むな! 取り囲むぞ!」
彼は長槍を下段に構えるとアラクノイドへ突進した。

槍を頭上で旋回させ蜘蛛を牽制し、一気に距離を詰めた勢いを乗せ顔面を突き刺す。
眉間を狙った攻撃はアラクノイドが避けたため急所を外したが、彼女の前肢に深々と突き刺さった。
耳をつんざくような悲鳴がアラクノイドからあがる。
「お前はあっちに回れ!」
「うっ…、こいつ卵まで産んでるぞ!」
接戦する村長に続き、村人達も各々動き出した。


ミモザとケルビーが洞穴の奥に辿り着いた時には、すでに戦闘は激化していた。
奥にアラクノイドを囲んでいる村人達、手前には彼女にやられたのだろう頭から血を流し倒れている人。
アラクノイドも背中に数本の槍などが刺さり、右前脚は無くなっていた。
その光景を見た瞬間、ミモザの体にも激痛が走り身悶える。
苦痛や恐怖といった感情が彼女の中に流れ込み、その身を切り刻んでいった。
「ミモザ…。」
我が身を抱きしゃがみ込んだ彼女をケルビーは心配そうに見やる。

「なぜ、戻ってきた!?」
すぐ近くで怒鳴られ、ミモザはゆるゆると顔を上げる。
目の前にいたのは村長だった、彼も肩から胸にかけて裂傷を負い荒い息をしている。
「お願い…やめて……。」
涙にかすむ視界の中、痛みを訴える心身を堪えて彼女は叫ぶ。
「どうして、こんなことするの?! アラクノイド、ケガしているのに! ここでじっとしていただけなのに!!
 …もうすぐ、もうすぐここから出て行くって言っているのに! お願い… やめてよ!!」
洞穴中に彼女の声は響いたが、村人と蜘蛛の戦闘は止まることはなかった。

泣き崩れそうになるミモザの両肩を村長は掴むと、彼女にいきり立った顔を向けた。
「直に卵が孵化すると子蜘蛛は母蜘蛛を食い殺し、次は人間も襲う…! 村のこんな近くに巣があるのは危険すぎ
 る!」
彼女の目を見すえながら彼は続ける。
「こんな時まで魔物の声が聞こえるというのか!? いい加減にしろ!!」
ミモザは零す涙さえ忘れ、ただ茫然と彼を見つめた。

368 国道310号線 :2008/07/21(月) 20:16:38 ID:Wq6z33060
激しい衝撃音がしたかと思うと、二人の足元に人が吹き飛ばされてきた。
村長は彼が吹き飛んできた方向に視線を戻し、厳しい顔をした。
お互い一歩も譲っていなかった戦況は一転、アラクノイドの猛攻に一人また一人と村人は倒れていっている。
−我が子には一遍たりとも触れさせぬ!−
彼女は血に塗れたアゴを大きく広げ雄叫びを上げた。

「ちっ。」
長槍を持ち直すと、村長は再びアラクノイドに攻撃を仕掛ける。
ミモザの瞳は村人とアラクノイドの激戦を映していたが、心ここにあらず只々立ち尽くしていた。


訳が分からなかった。

村長はアラクノイドがいるこの場所を危険だと言う。
アラクノイドは優しい蜘蛛だ、だって人間の自分を襲った事など一度もなかった。
村長はアラクノイドの子供が彼女と人間を襲うと言う。
あの優しいアラクノイドの子供が襲うというのか?
どうして?

思考は堂々巡りを続け、当ても無い出口を求めて意識の深淵を彷徨う。


アラクノイドが受けているダメージは大きく満身創痍ながらも倒れる気配は無い。
最初は数で押していた村人達だが、ほとんどが負傷し重傷者も出始めている。
「火を使う。 可燃剤を撒け!」
このまま手をこまねいていては不利と、一気にかたをつけるべく村長は最終手段に出た。


村人の一人がアラクノイドに火矢を射ると、瞬く間に炎が彼女の全身に燃え広がる。
次に放たれた矢は彼女の足元付近に刺さり、燃料の道をたどって卵にも発火した。
洞穴内を揺るがす凄まじいアラクノイドの叫びに、ミモザはハッと我に返る。
「アラクノイド!」
卵を見守るアラクノイドの優しい顔が頭を過ぎる。
このままでは母子共々焼かれてしまう、そんなことは堪えられなかった。

走り寄ろうとするミモザ、しかし、ケルビーは彼女のスカートを咥え行かせない。
「ケルビー! 放して!」
「バカヤロウ! おめぇまで燃えちまうだろうが!」
水の神獣をミモザが喚び出せれば何とかなったかもしれないが、まだ一番簡単な火の神獣しか彼女は喚べない。
今行っても無駄死にさせるだけだ。
そうなってしまっては、彼女の母親に顔向けできないではないか。

−あぁ、わらわの卵…−
炎に包まれ悶えながら、アラクノイドは卵の火を消そうとその身を覆い被せる。
その時だった、命の危機を感じたのだろう、まだ孵化の時期には早いというのに幼虫が卵から飛び出してきた。
裏返ったような甲高い悲鳴をあげる半透明の白い幼虫は、燃え盛る火を避けるとアラクノイドの腹に取り付き、
生命の行動原理に基づくままその体液を吸った。
だが、すぐに炎にまかれ、子蜘蛛は親に貼り付いたまま絶命してゆく。

辺りにはすえたような嫌な臭いがして、黒煙が立ち込める。
生に対する壮絶な蜘蛛の姿を見た村人達の中には吐き気をもよおす者もいた。
幼虫は次から次へと卵から孵り、村人にも襲い掛かる。
卵の一番近くにいた男性は握り拳大の幼虫に全身にまとわり付かれ、絶叫をあげ転がり回った。
「くそ…!」
彼に取り付いた幼虫を村長は槍で払うが、深く吸い付いているので中々離れない。
矛先を村長に向けてきた幼虫を槍で裂き、村長は猛然と子蜘蛛郡へ立ち向かった。
「村へは行かさん、全てここで潰すっ!」


襲い掛かってくる幼虫達を、ケルビーは体と同じくらいの長さのある尻尾をしならせ叩きつけた。
殻さえ固まっていない幼虫は地面に激突すると、体液を撒き散らしベシャリと潰れた。
「洒落にならねぇって!」
ぼやく暇も無く幼虫は襲い掛かってくる。
彼は体を反転させ、勢いを付けた尻尾でそれを薙ぎ払う。

逃げ出す村人もいたが、ほとんどは村長と幼虫相手に戦っていた。
いつの間に追いついたのか、隣のおじさんも農具を振るっている。
一匹一匹は大した事無い幼虫だが数は何十匹といる。
ケルビーは周囲に目を配らせたまま、背に守っている主に呼びかけた。
「ミモザ! 逃げるぜ!」
「……ゃ…」
震えるかすれた声で何かを言った彼女にケルビーは振り返る。

ミモザの見開かれた瞳からボロボロと大粒の涙が零れ落ちる。
「…い…や……」
後ずさり首を左右に振る彼女は、両手で耳を塞ぐ。
しかし、彼女の心に直接届く声は容赦なく彼女の心を切り刻んでいった。

−痛い 助けて 死にたくない 熱い熱いよ… 守らなければ 死ね 苦しい お母ちゃん…−

苦痛を訴える声、助けを求める声、何かを護ろうとする声、それらはもう誰の言葉かすら分からない。
轟音のごとく響き渡る声は止め処なく、今は自分の鼓動でさえ耳障りだった。

369 国道310号線 :2008/07/21(月) 20:18:30 ID:Wq6z33060
彼女の様子を見てケルビーは血の気が引いた。
心が重圧に耐え切れず外界との接触を遮断しようとしている?
術者と心が通わなくなれば、神獣は呼び出せなくなるばかりか具現化すら出来ない。
混戦となっている今、自分を召喚解除することは正に自殺行為。

「しっかりしろ! 気をちゃんと持たねぇか!!」
「いや! もうなにも聞きたくない! 聞きたくないよぅ!!」
激しく被りを振り、目をきつく閉じたミモザはその場にうずくまる。
キィィンと耳鳴りがして、一瞬だけ彼女の世界は無音となった。
消えゆく体でケルビーはせめてもと、ミモザに抱きつき身を挺しようとした。
しかし、彼は彼女の体に後一歩のところで姿を消してしまった。


死骸から死骸に火は燃え移っていく、炎に照らされた岩壁に揺らめく影は不気味なダンスを踊っているようだ。
動いている者が少なくなった洞穴に村長は長槍を杖のようにして、酸素の薄くなった空気を貪る。
最初にアラクノイドから受けた傷が響き、目は霞み立つのがやっとの状態だ。
彼は目の前にいる弱った子蜘蛛を突き刺そうと槍を振り下ろす。
だが、上げた右腕に別の幼虫が噛み付き、とっさに腕を振り払うが、その痛みに彼は槍を手放してしまった。
思わぬ方向に飛んでゆく槍の軌道の先には、うずくまっている金髪の少女。

「しまった…。」
青ざめる村長、しかし次の瞬間、黒い巨大な影が槍と少女の間に割り込んだ。

ドスッ と鈍い音が頭上でする。
暗くなった視界に何かの気配を感じ、ミモザは顔を上げた。
「…アラクノイ・・・ド・・・?」
黒く焼き焦げた蜘蛛の横腹が長槍で貫かれているのが、彼女の泣きはらした目に入った。

−…ゎ…らわ……の……こ……−

力尽き、アラクノイドはゆっくりと地に倒れる。
アラクノイドの最期の言葉は、ミモザにはもう伝わらなかった。
「…あ……ああぁ… ぅああぁあああああぁぁ!!!」
言葉にならない声をあげ絶叫するミモザ、彼女は変わり果てた姿の蜘蛛にすがりついた。
「危ない!」
村長の声に彼女は振り返ると、幼虫が自分目がけて牙を剥き飛んでくるのが見えた。
首筋に鋭い痛みを感じたかと思うと、突然視界は真っ赤に染まる。


そこで、私の記憶は途絶えた。


―ハイランド洞窟B2

崩れやすい足場の坂道をケルビーと金太郎は慎重かつ黙々と登っていた。
ケルビーの背中には眠ったままのミモザが乗せられている。
「おい、本当にこっちで合ってるのけぇ?」
のそのそと後ろを歩く金太郎にケルビーは何度目かの同じ問いをかけた。

落下音も無く崖下にやって来た金太郎にどうやって来たのか問いただすと、彼は降りやすい場所があったと言う。
彼の案内でかなり長い間崖を登り続けると、ようやく頂上が見えてきた。
「やっと着いたぜ。」
ケルビーは石造りの通路に足を付くとふぅと一息ついた。
しばらく犬の姿になっていなかったためか、彼女を運ぶのはいつもより大変に感じられた。
金太郎も重い甲羅を引きずり、通路に這い上がってくる。
彼の歩みに合わせていたので歩く速度は遅くなってしまったが、道を切り開いてくれた功績者にケルビーは感謝
した。

「しかし、ここはどこいら辺でぇ?」
石畳の道に魔力の燭台、自分達が落ちたあの通路に違いないようだが、こんな狭い道があっただろうか。
ケルビーは首をかしげながら辺りを見回した、不気味なほど静まり返った通路は生き物の気配を感じさせない。
「…ん…。」
背中にいる人物が身をよじらせたのを感じ、ケルビーは急いで振り返る。
「気がついたのか?」
ずっと意識が無かった主人の目覚めに彼等はホッとする。
ふらつきながらもケルビーの背から彼女は起き上がると、ボンヤリとした表情で呟いた。
「…呼んでる。」
「はぁ?」
意味が分からず召喚獣とペットは顔を見合わせた。

誰かが助けに来てくれたというのか、だが彼等には声らしきものは聞こえない。
やがて彼女は通路の奥へと進んでいった。
「おいっ、下手に動くと危ねぇぜっ。」
努めて小声で注意を促すが彼女は歩みを止めない。
マントを引っ張ってみたが、少女のものとは思えないほど強い力で引きずられる。

明らかにミモザの様子が変だ、一体何に呼ばれているというのか。
昔は自然の声を聞いた彼女が声に引かれてどこかへ行くという事がよくあり、ケルビーもそれに付き添っていた。
(だが、あの日以来、こいつは『声』が聞こえなくなった。)
どのような人や魔物と接していても、それらの感情を読み取っていた様子はなかったはずだ。

370 国道310号線 :2008/07/21(月) 20:19:11 ID:Wq6z33060
いや、最近一度だけあった。
金太郎の飼い主でもあるギルドメンバーの剣士が連れていた土のミニペットが活性力を失った時。
ミモザは消えゆくミニペットの心と深く共感し、かの者の想いを紡いでみせた。
(まさか、あの時から?!)
ミニペットのギルメンに対する想いは強かった、それは我が身を省みず尽くすほどに。
その姿と彼女の無理をしてまでギルメンのために紋章品を集めようとする姿が重なる。
失った力が戻ったのは必ずしも喜ばしい事ではない、なぜなら、それが原因で彼女は一度命を落したのだから。


暗闇の中、小さな赤い光が弱々しく瞬く。
その光は苦しんでいた、深い闇に飲み込まれそうになりながら足掻いていた。
−ここから出して−
ハッキリとした声が彼女に届いてくる。
助けなきゃ、その一心で彼女は光へ向かって歩いていった。


曲がりくねった通路を迷う事無く進むと小さい部屋に出た。
部屋の奥は祭壇の様になっており、赤い石の欠片がキラリと輝きを放っている。
これまで敵に遭遇しなかったためケルビーは胸を撫で下ろしたが、その石を見た瞬間、彼の全身は粟立った。
一見、何の変哲も無い原石のようだが、とてつもなく邪悪な光を放っていたのだ。
金太郎もそれを感じたのか、大きな体を僅かに震わせている。

「…見つけた。」
ミモザは呼び声に引き寄せられるまま、赤い石へと近づいていく。
「そいつぁ、ヤバすぎる! 行くんじゃねぇ!」
必死に声を張り上げるが、ケルビーの体は金縛りにあったかのように動かない。
虚ろな表情のまま台座の上に置かれた石を手に取る。
妖しく輝く石は彼女が触れたことで、より一層禍々しさを増したように見えた。

動かぬ体と格闘しているケルビーは遠くから足音が響いているのに気付いた。
ドスドスドスという激しい音は自分たちの後方、通路の先から物凄いスピードで近づいてくる。
同時にキツイ腐臭が漂ってきた。
「今度は何でぇ!」
正体不明の存在にケルビーは更なる危機を感じた。

大地を揺らさんばかりの足音の正体が姿を現す。
ピンク色のガッシリとした肉体、大きさは人間をゆうに超え3メートル近くある。
うめき声交じりの荒い呼吸、目は完全に血走っており、口からはおびただしい涎が垂れ落ちていた。
亜人の魔物ハイランダー、だが、完全に正気を失っているようだ。
「おでの…イシ…。 おでのイジだああああーーー!」
空気をビリビリ震わすほどの大音量で叫び、ハイランダーはミモザへと突進した。

「渡さない。」
石を握り締めると、ミモザは普段見たことも無いような形相でハイランダーを睨みつける。
笛を腰のホルスターから取り出し、魔物へと振り上げ指し示す。
「突撃!」
ハイランダーの登場に驚いていたケルビーと金太郎だったが、彼女の命令にはじかれる様に飛び出す。
今まで体が動かなかったのが嘘みたいだった。

ミモザは命令後すぐに召喚獣を第三形態にへパワーアップさせる。
鎧を纏った犬の姿を経て、炎の魔人となったケルビーは弾丸のように向かってくる魔物につかみかかった。
続いて金太郎もハイランダーへ体当たりを食らわす。

(なんて力だ…!)
こちらは二体がかりだというのに、ずるずると魔物に押されている。
「おでのだあああああああぁあ!!!」
「のあああ!」
咆哮と共にハイランダーの筋肉が盛り上がりグンと力が増す。
両手を合わした状態からケルビーは投げ飛ばされた。

金太郎もはね飛ばしたハイランダーは、ケルビー達には目もくれずミモザへと向かう。
テイルスピアーでケルビーはハイランダーに追撃するが、狂戦士の蹴りが彼女を捕らえる方が若干速い。
間に合わないとケルビーが思った瞬間、目が眩むほどの閃光が小部屋中に溢れかえった。
「グオオオオォーー!」
ハイランダーの断絶魔にミモザはつぶっていた瞳を開き目を凝らす。
純白の世界に無数の十字架型の光に貫かれたハイランダーが身を焼かれていたのが見えた。

ふと、彼女の体を柔らかい何かが包み込む。
光に慣れぬ目で見やると、それは鳥のものに似た白い翼だった。
「マスターさん…?」
視線を上へ辿っていくと、馴染みのある彼女のギルドマスターの壮厳な顔があった。


つづく

371 国道310号線 :2008/07/21(月) 20:20:53 ID:Wq6z33060
やったぜ! 今回はギャグないぜ!
土のミニペットの件は第一話『ミニペットがやってきた!』とリンクさせています。
第三話は次でラストですが、段々と短くまとめられなくなってきましたorz

以下人並み以下な感想しか書けませんが、レス返しです。

>白猫さん
Puppet完結お疲れ様です!!
大人数の目まぐるしい戦闘を飽きさせず回す力量は流石といいましょうか、もう尊敬します。
各人の戦いに始まり、ネリエル兄弟の決着、ルフィエ親子の戦い、
そして、「マペットと友達になる」など怒涛展開ながらもそれぞれ演出がカッコ良かったです。
ラストのルフィエの回想に今までの物語が込められていて感慨深いものがありました。
すれ違いな落し方もイイ!
四人唱や西、北、南の四強など残された伏線にワクワクしていたりしています。
密かにお気に入りキャラだったムームライトの冥福を祈りつつ、次回作いつでもお待ちしています!

>憔悴さん
前回のスレで尊称を付け忘れてしまい、本当に申し訳ありませんでした!
なるほど魔石は誕生石がモチーフでしたか、登場する異種職の組み合わせが楽しみで目が離せません!
ロンサムのキャラが好きですハナヂバンザーイ。

>68hさん
幼女と筋肉は芸術です。(爆
サマナ・テイマの魅力の一つが人間と自然(魔物)の橋渡し的存在だと思うのです。
立場が違えば意見や思いも違うと思うので、その葛藤を描きたかったのですがゴチャゴチャしすぎた感がorz

>黒頭巾さん
あわわ、そんなにてるみつくんを好いて頂けるとは嬉しいやら恐縮やら!!
本文中に書き忘れてしまった余談ですが、金太郎の名付け親はブルーノです。
七夕の精霊は姫々さんのスピカでしょうか?(違っていたらごめんなさい
黒頭巾さんのほのぼの作品は顔のほころびを超えてニヤニヤして読ませていただいています。

>復讐の女神さん
よくよく考えると相反する系統の魔法を扱うなんて難しそうですものね。
霧散しやすく集まりやすい魔力の性質、なるほどと思いました。こういう細々した設定は大好きです。
謎多き賞金首の正体が気になりつつ、次回楽しみにしています!

>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
幼女ミリアキタワーー!
そして、ミカエルがキレたと思ったら、フィナーアに某銀様が降臨したー!(笑
波乱極まる兄弟劇に魔物凸凹コンビはどう絡むのか楽しみにしています!

372 国道310号線 :2008/07/21(月) 20:21:30 ID:Wq6z33060
>ドワーフさん
本当は恐い良い子のレッドストーン童話。ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル
ゼーレクランに最強伝説が! たしかに心を操るなんて凄まじいです…
次の作品もお待ちしています!

>之神さん
季節もの小説は機会があれば是非…!
なんという流れるプール… 素人にはオススメできな(ry
次回エンティングvsナザルドの予感、楽しみにしています!

>21Rさん&代理人の21R(仮)さん
戦い前の緊迫感ただよう空気の描写が素敵です。
アデルさんが居る浜辺が気になったので適当に調べてみました。
現在RED STONE MAP に上がっている海があるマップ数は12ほど、その内蟹とクラゲが一緒にいるのは
スパインビーチと半島の海辺! ほとんどマップの端と端ですね… アデルさん恐るべし!

>自称支援BISさん
おおお! 復活お待ちしておりました!!
そして、コラボ作品にブルーノを参加させていただきありがとうございます。
ノロケ満載妄想爆走のサマナたん可愛いよサマナたん。
暴走いけめんさんやブルーノのツッコミも面白かったです!
リレー小説やコラボ小説やら、皆さんキャラ掴むの上手すぎますよ…

>スメスメさん
最近アイテムどころか、元素すらまともにドロップしなくなった背景はそうだったのか! と
意味不明な納得をしてしまいました。
一人称の心理描写と流れるような戦闘。 つまりは、兄ちゃんカッコイイ!! 所が尊敬いたします!

>354さん
初投稿ありがとうございます! はじめまして、異世界もの大好きな国道と申します。
倦怠感ある日常に訪れた不思議な出会い、そして、主人公の小さくてとても大きい変化。
文章上手くまとまっていると思いました。 またの投稿もお待ちしております!

>ワイトさん
お久しぶりです、もちろん忘れていませんよ。
小説はいつでもお待ちしています!

373 黒頭巾 :2008/07/25(金) 17:47:42 ID:fou9k2gM0
白猫さんの最終章を読んで、狂気愛に妄想広がりまくりんぐで書き上げましたモノを投下していきます。
ネクロは若葉までしか育てた事が○ございません、なので…若干怪しい部分はお見逃し下さいませ。


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……君は、金色の綺麗な鳥。
僕が君をどれだけ汚しても、その心は綺麗なままで。
ねぇ、綺麗な鳥は此処から逃げない様に、綺麗な鳥籠に閉じ込めてしまおうか。
でも、やがてはそれだけでは安心出来なくなって。
蓋が開いても飛び去ってしまわない様に……その羽を、折った。
嗚呼、やはり……輝く君には、瞳と同じ血の紅が、とてもよく似合う。


【トリカゴ】


――安心して、貴方を置いて何処にも行かないわ。

訪れる人も少ない地下墓地に響く声。
父親と恋人の仇だった悪魔の亡骸の前で、僕の目線に合わせて膝をつく君が囁いた言葉。
目標を達成してしまった君が、僕を裏切り、離れていってしまうのでは?
そう怯える僕の目の前で、宥める様に繰り返す君。

――私の帰る場所は、もう貴方の傍しかないの。

ただ、ただ、幼い子どもに言い聞かせる様に囁く君の言葉。
そんな君の言葉への僕の返事は、地下墓地の空気の様に冷たい響きで。

「君まで僕に嘘をつくの?」

その一言だけで、僕は君の言葉も気持ちも一蹴する。
だって、僕は不安で不安で仕方がなかったんだ。
最初の言葉と共に笑った君の笑顔はとても儚く、今にも消えてしまいそうだったのだから。
仇討ちを果たす為に永遠の命をあげると偽り、君が離れていかない様に君の命の燭をそっと消して、君を偽りの永遠に囚われしアンデットにしたのは……他でもない、僕自身だというのに。

――如何したら、信じてくれるのかしら?

哀しそうに苦笑した君。
嗚呼、本当は君にそんな顔をさせたい訳じゃない。
それなのに実際は、君の心を傷つけて、また傷つけて。
その傷を時には舐めて、時には爪を立てる。
願わくば……僕の存在を、君が忘れてしまわない様に。
辛く甘い痛みを伴う消えない傷を……身体に、心に、刻み込む。
不器用な僕は、それ以外の方法なんて知らなかったし、出来なかった。
君は“優しい”から、そんな僕を振り払えない。
甘やかすだけが、本当の優しさではないのに。
僕達の関係は、お互いの傷を嘗め合い、刳り合う関係。
それでも……君と離れたら、他の誰が僕を理解ってくれると言うのだろう?
だから、僕は君を離さない、離せない。

「……おいで」

言葉と共に手を差し延べると、安心した様に微笑んで手を延ばす君。
その手を引き、君を優しく抱きしめる。

「綺麗な君に、僕の永遠の愛を贈ろう……」

でも、その言動とは裏腹に、僕の口から続けて紡がれたのは……“君の心を牢獄に閉じ込める呪文”だった。

「《マリオネット》」

絶望に見開かれた君の瞳から、意思の光が消える。
その頬を伝った一筋の滴は……涙である筈などない。
だって、そうだろう?
アンデットが泣くなんて、僕は聞いた事がない。
そう雑念を振り払おうとする僕の前に傅いた君が、今までと違った無機質な声音で言葉を紡ぐ。

――ご命令を、マスター。

綺麗な綺麗な君は、ずっとずっと僕の傍にいて、僕だけを見続ければいい。
君の頬を撫でながらそう命令した僕は、これで君と永遠に共にいれる安堵感を得た。
それでも……大切な何かが掌から零れ落ちてしまった様な喪失感を、拭い去る事が出来なかったけれど。


そう、これは……とあるネクロマンサーの従える魔物が、朽ち果て骸骨になる前の……昔々の、物語。


トリカゴ.....fin.


**************************************************


うっかりダーク分だけが暴走した黒頭巾による、♂ネクロ×ランサ短編(待って)
マリオネット、本当は時間制限スキルだけど気にしない^p^
あの頭の上のピコピコ棒とちっちゃい骸骨が動くのが可愛くて可愛くて堪らんとです(じゅるり)

374 黒頭巾 :2008/07/25(金) 17:48:33 ID:fou9k2gM0
↓以下、コメコメ書き書き。


>スメさん
出だしを読んでいる時の脳内BGMはカルマの坂でした!笑
カルマの坂で音楽で以下略をやりたくなってしまいしt(自重)

この間も言いましたが、クニヒトさんカッコいいよクニヒトさん(*´д`)ハァハァ
夢の中の『あの人』が噂の『じぃちゃん』なのかなぁとwktk!
元素戦争の切っ掛けといい、謎の集団といい…設定やキーワードが明かされてきて心が躍ります、うふふ。
支援職がいないって事は、フル支援ブーンの横殴りのない素敵な世界なんだろうなぁ(遠い目)
てか、アルとキリエちゃんの関係が凄く…カルガモの親子みたいで可愛いです(*ノノ)キュン

趣味じゃない文章を書く程、やる気の出ないモノはありません(駄目なコ)
ふふふ、そんなスメさんの燃え萌え作品も熱くて大好きです!(`・ω・´)キリリ


>354のお初さん
辛い現実から逃げて逃避した先の世界からの警告と言うか後押しと言うか。
自分の認識する“世界”が本人の“現実”な以上、夢と現実の境界なんて結構曖昧ですよね。
錆びたイヤリングが、主人公のモノなのか昔の大切な人のモノなのか、はたまた助けてくれた彼女のモノなのか。
何処か自分の中でもこのままじゃいけないと思っていたのだろう、主人公。
夢の彼女のお影で一歩を踏み出せたようでよかったです。
1レスという短い文字数の中で完結にまとめる能力、羨ましいです…笑
読みやすかったですし、考えさせられました…気が向かれましたら、また是非。
このスレで再びお会い出来る日を楽しみにしております(*´∀`)


>憔悴さん
ロンサムさんの辛い過去!(´;ω;)ウッ
確かに奈落の花の切ない歌詞にピッタリですね…今度からロンサムは私の中で花の君と呼b(ry
ひぐらし系は言われてみたら結構RSSSにハマりそうかもとか思いました(*´∀`)
youでアチャランサとか(パラレルワールドかよ←)
この4人組、ダブルデートしてるカップルみたいで可愛いです(*ノノ)
あ、鼻血には盛大に噴きましたよ!笑
私も選択肢は5で…仮面を取って食べるのか如何か気になって!(ソコか)


>ワイトさん
おー、お元気そうで何よりです。
気長にまったり如何ぞですよー(*´∀`)


>国道さん
じゃんけんぽーん、うふふふh(ry
アラクノイド!(´;ω;)ウッ
蜘蛛の一種は確かに親を食べちゃいますからね…動物界恐ろしい(((´д`;))))ガクブル
ミモザを庇ったアラクノイドの最期の言葉、ミモザの事も子どものように愛していたのでしょうか。・゚・(ノД`)・゚・。
そのアラクノイドの子どもに因って、命を落としたミモザ…切なすぎて!orz

ハイランドだったので辿り着く先は、アラクノイドの言う北の地ミズナかなとか思っていたら…違った(ノ∀`)ペチン
そして何やら怪しい赤い石が!
ナイスタイミングなGMさんの登場で、この先如何動くのか楽しみにしております(*ノノ)

て、やっぱりブルーノの命名センスが素敵すぎる件!爆笑
本人さんの了承を取ってないのでぼかしましたが…ご想像通り、イメージは姫々さんのスピカです(´∀`)

375 ◇68hJrjtY :2008/07/25(金) 19:15:43 ID:Dh9WYsnM0
>国道310号線さん
オールシリアス路線でのミモザの過去。幼い少女には正気では耐えられない事件…。
魔物や動物、自然と会話する能力、心優しいロマたちには大事な特技であり欠く事のできない能力ですが
その能力のためにこのような惨事が起きてしまうというのは悲しいことですね。
どちらが悪いとか善いといった区別ができない人々同士の葛藤ともどかしさ、上手く表現できていたと思います。
一方本筋の方では謎の宝石を手に入れてしまった(?)ミモザ。この石の正体は何なのか…。
続きお待ちしています。

>黒頭巾さん
ネクロ、つまりは生死を題材にした小説の物悲しさは異常です(´;ω;`)
彼の下した決定(スキル)が正しかったのかどうかは神のみぞ知る…そしてその後の彼と彼女の行方も。
ある意味なコラボ小説、堪能させていただきました!黒頭巾さんのコラボ好きです( 。・_・。)人(。・_・。 )
そしてやっぱりネクロは♀より♂設定に一票。仮面の下は幼女っていうのもある意味萌えますけど!
FF9のビ○みたいな奴をイメージしております(*´д`*) しどろもどろで内気な少年イエーイ。

376 之神 :2008/07/26(土) 14:23:17 ID:pzHHOHEc0
ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=5197438815&file=Img_16801.jpg 徹

ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=7976338515&file=Img_16802.jpg ミカ

ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=584280473&file=Img_16803.jpg ライト

ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=564229870&file=Img_16807.jpg シリウス

ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=9180487745&file=Img_16808.jpg シルヴィー

ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=8063126709&file=Img_16810.jpg ナザルド

ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=6123705991&file=Img_16811.jpg フィアレス

ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=9222183278&file=Img_16812.jpg アルシェ

ttp://www1.axfc.net/uploader/Img/view.pl?dr=9635156102&file=Img_16813.jpg エトナ

http://www1.axfc.net/uploader/Img/search.pl?search_str=%E4%B9%8B%E7%A5%9E&amp;id_start=&amp;id_end=&amp;extv=&amp;size_min=&amp;size_min_si=2&amp;size_max=&amp;size_max_si=2&amp;dl_min=&amp;dl_max=&amp;date_start=&amp;date_end=&amp;num=50&amp;sort=id&amp;sort_m=DESC&amp;md5=&amp;sha1= まとめ


絵です。といっても、前回の絵に色つけただけです。
諸事情でうp遅れましたが、載せておきます。

まとめ から、全部の絵へ飛べる…はず。

頭にhをつけて、どうぞ。

377 之神 :2008/07/26(土) 14:25:16 ID:pzHHOHEc0
あーっ、まとめだけ直になってる…orz

スイマセン;

378 ◇68hJrjtY :2008/07/27(日) 04:07:40 ID:Dh9WYsnM0
>之神さん
空白の時間を破って之神絵がキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
深夜に騒いで申し訳ない…しかしじっくりしっかり見させてもらいましたよ(*´д`*)
でも過去にUPされた絵は消滅してますね(´・ω・`) まあ、流用されるのを考えたら消えた方がいいかもですね。
さてさて…色がついただけでだいぶイメージ変わってきますね。色鉛筆塗りで全体的にパステル調なのが( ´∀`)bグッ!
徹、ライト、エトナ、アルシェあたりは想像通りでご満悦状態ですが
ナザ君ってかなりのブルーブルーだったのですね!さわやか青年ナイス。フィアレスも真っ白でかわええ。
シリウスもあれで街中メテオとかやらなければ普通にインテリ美形なのにっ…!ρ(´ε`*)
シルヴィーもテイマサマナというよりか子悪魔といったノリで、ちょっとリトルウィッチが入ってるようなのもまたイイ。
いやー深夜にいいもん見せてもらいました。本編の方もお待ちしてますよ!

379 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/07/29(火) 16:14:10 ID:OhTl4zsk0
ESCADA a.ka. DIWALI feat. 黒頭巾

ふぁみりあいーえっくす番外編「未知との遭遇〜Remixed by DIWALI〜」

ある日のこと・・・そこは古都ブルンネンシュティグの住宅街にある、とあるギルドが所有するホール。
リビングでは一人の魔術師がギルドの仲間に囲まれて何かを揉めている様子である・・・

「ファミリアが喋るなんて有り得ないー!」「いや、僕はちゃんとそのファミリアが喋るのを見t・・・」
「真昼間から寝てるんじゃないのー?」「寝ていないっ!!僕は寝てなんかいないぞッ!!!」
「これだからマスタは……立ったまま夢を見るなんて危ないじゃない」「だから僕は本当のことを言ってるだけで・・・!!!」

四方八方から飛び交う仲間達の非難の声、声、声・・・そしてついに、トドメの一言を赤髪の美女が放ってしまう。

「まったく、マスターも妄想が過ぎるわよ?何なら知り合いの精神科医に診断の依頼でもしておくけど・・・」
「ちが・・・僕は、僕はぁ〜・・・・うあぁあぁあぁぁあぁああぁぁぁあんっ!!!皆ひどいッ、お前ら嫌いっ!!
 うわぁああぁぁああぁぁああぁああぁああぁぁあああぁぁぁああぁぁああぁぁあぁぁああぁああぁぁああぁぁんんっ!!!」

最後のリミッターが外れてしまったのか、魔術師の青年は年甲斐もなく大泣きしてギルドホールを飛び出した。
残されたのは後味の悪い気持ちで一杯のギルドの仲間達。ひそひそと耳打ちで会話をすると、彼らもまたマスターの後を追うべく
ギルドホールから足を踏み出すのであった・・・


・・・―――古都の繁華街、昼下がりの今はオープンカフェが軒を連ねる時間帯だ。
雑踏の中、魔術師はトボトボとうつむきながら歩いていた。しかも「ええどうせ僕は鬱ですよ」と言わんばかりの溜息を吐いている。
「うぅ〜・・・何だって皆はああも現実的過ぎるんだ、事実一部のモンスターは言語能力を習得しているのに・・・ブツブツ」
一人文句を垂れながら彼は歩を進める・・・だが、うつむきっ放しということは誰かにぶつかる危険性もある。
ドスン!!!と何か硬いものにぶつかり、魔術師はが間抜けた表情で見上げてみると・・・青筋の浮かんだ怖い顔。
「おぅコラてめぇ、このミカエル様にぶつかるたァいい度胸してんじゃぁねぇか・・・あぁゴルァ!?」「・・・・は、ハァ。」
相手のならず者はというと、青筋ビッシリな見苦しい不細工面に時代遅れ極まりないモヒカンをしていた。そして腕には
髑髏と炎をあしらった刺青。そして『ミカエル』という名前・・・どうもおかしい。魔術師の脳裏をその一言がよぎる。
「んだァ〜?そのやる気のねぇ返事は!?オレぁ大陸4大冒険者の一人のミカエル様だ、気にいらねぇ真似すっと燃やすぜ!?」
「はいはいそうですか〜」「だから何なんだよそのテンションの低さはァ!!?!」「・・・・」「・・・・!!!」
そんなこんなでやりとりをするゴロツキと魔術師、だがその二人を囲む野次馬の中から一人の男が踊り出た・・・!!

その青年は小麦色の肌に銀色のミディアムヘア、タンクトップから覗かせる筋肉質な腕には炎を象るトライバル調の刺青。
ゴロツキの首根っこを掴むと、彼は怒りを含んだ語気で話しかける・・・!!!
「よォてめぇ・・・いま"ミカエル様"が何だって・・・?」「いでぇっ!!?!何だテメェ、一体誰でぇ!?」
「教えてやんよ・・・そのミカエル様ご本人だっつーの!!!!ヴォルカニックアッパあぁぁああぁぁああぁぁああぁぁ!!!」
相手に問答する間も与えず、突如乱入したミカエルという名の青年は拳に炎を纏い、綺麗なアッパーカットで男を殴り飛ばした。
「覚えてろよ〜!!!つーかごめんなさ〜いっ!!!」という断末魔が山彦し、空には星がキラリ☆と輝く・・・

380 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/07/29(火) 16:53:30 ID:OhTl4zsk0
「ったくよォ、オレ様の名を騙ろうなんざ100年早いっつーの。ところで魔術師の兄ちゃん、ケガぁ無いか?」
「えぇ、大丈夫ですよ・・・ところで、あなたもしかしてあの、あの・・・ミカエル・ウォンさんですか!?」
「あったりめぇよ、じゃなきゃあの紛いモンをぶっ飛ばしたりなんかしねぇよ!カハハハハハっ・・・
 まァ、奴さんにオレの名を騙らせちまってすまねぇな、オレの名前のせいで迷惑しちまったようなもんだし
 何か奢らせてくれねぇかな?妹達もすぐそこのカフェでデザート食ってるしさ。」
「え、いいんですか!?では、お言葉に甘えてそうさせてもらいましょうか。」

気さくでフレンドリーなミカエルの人柄に好感を覚える魔術師。ミカエルに誘われるまま、すぐ側のカフェテラスへと移動した。
「(ちょっとちょっと、あれって"炎帝"ミカエルじゃないの!?)」「(マスターってばなんちゅー人と・・・あの人嗾けてこないよね?)」
「(そんな訳ないでしょ、マスターも子供じゃないんだから。でも・・・もうちょっと近づいてみるわよ!?)」
一部始終を見守っていた魔術師のギルド仲間ら3人、テイマ、ランサ、悪魔らはカフェへと入店する・・・

昼下がりのカフェは大勢の客でごった返していた。野外テーブル席の一角から、少女の甘く可愛い声が聞こえてきた。
「ふみゅっ、お兄ちゃ〜ん!!こっちなのよ〜!」「ミカエル〜、こっち来るさ〜!」ビーストテイマーの少女とファミリアが
手を振りながらミカエルを呼んでいた。彼は「こっちだぜ」と手招きし、魔術師を誘導する・・・席に着くと少女が首をかしげた。
「うにゅ〜・・・ねぇねぇお兄ちゃん、この人だぁれ?お友達なの?」「ん〜?まァそんな感じだ、つーか今知り合った!」
「あはは、ミカエルさんてば・・・ん、あれ?ねぇ君、人違いかもしれないけど、さっき道路で僕にぶつかった娘じゃないかい?」
「ふゃ!?あっ、そうなのよ〜!さっきはごめんなさいなのっ!!今度から気を付けるなのぅ〜・・・」「はは、よしよし。」
少しシュンとしょげるミリアを、兄ミカエルがその頭をポンポンと撫でて慰めた。その穏やかな様子に魔術師も微笑を漏らす。
「ふふふ・・・ん、ということは・・・ねぇミリアちゃん、君のファミリアって喋れるんだよね?お話してみてもいいかな?」
「うぃ、ファミィはちゃんとお話できるのよっ!ね、ファミィ?」「うん、オイラちゃんと喋れるよ〜、よろしくさ〜」
「おぉ〜、これは・・・やはりファミリアも話せるんだなァ、よろしくねファミィ君。」「えへへ、今日からにーにーもうちなーさ〜」
「あ、今ね今ね、ファミィは『お兄さんも仲間だよ』って言ったのよ〜」「すごいねミリアちゃん!!」「やぅ、恥ずかしいの〜////」

一方、カフェの店内から窓越しに一行を覗く者たちが・・・
「(ちょっと、マジでファミリアが喋ってるんだけど!?てゆうかあの、ゆるゆるな口調が可愛いっ//////)」
「(いいなァ〜、わたしのファミリアちゃんも頑張ればお話できるかな?)」「(飼い主の女の子もめっちゃ可愛いんだけどっ!?)」
興奮気味なヒソヒソ声で、テイマとランサ、それに悪魔たち女性3人は、クリームソーダを片手に驚愕と歓喜に包まれていた。

381 ESCADA a.k.a. DIWALI :2008/07/29(火) 17:07:47 ID:OhTl4zsk0
・・・その日の晩のこと。
夕食を前に食材の買出しに出かけていた魔術師がホールへ帰ってきた。ニンジンにジャガイモに肉・・・今夜はカレーライスだ。
眼鏡をクイっと上げながら、ホールに足を踏み入れた魔術師は「ただいま〜」と第一声を発する。両手に買い物袋をぶら下げて
ホールのリビングルームへと歩いてゆく・・・大きな広間に出ると、いきなりパァン!!とクラッカーが。

「マスター、おかえり〜!!」ギルドのメンバーたちが笑顔と共に魔術師を迎え入れた。

「え?え?ちょっと皆どうしたんですか!?今日は僕の誕生日でもないのに・・・」
「違うの、お昼の時に好き放題言っちゃって・・・その、ごめんねマスター?」「ごめんなさ〜い」「ごめんねっ?」
「あぁ何だ、そんなことか。いいですよ、気にしていませんから・・・ん、あそこの部屋は何だろう、何で扉を閉めてるんだい?」
魔術師が気付いたその視線の先には、普段は空いているはずの物置の扉が閉じていたから・・・しかもデコレーションを施して。
「えへへ〜、それはね〜・・・ミリアちゃん、ミカエルさんっ、そしてファミィちゃんっ!!!おいでませ〜!!」
ランサーが陽気な声で名前を呼ぶと、勢い良く物置の扉を開いてミカエル、ミリア、そしてファミィが出てきた。
「えぇ!?ミカエルさん、ミリアちゃん・・・それにファミィ君も!?どうしてここに・・・・」
「実はカフェで別れたあとによ、ここにいるあんたの仲間に呼び止められてね。聞くところによると、マスターをファミリアが
 喋るかどうかって話で泣かせちまったもんだから、ちょうどオレたちを見ていたこいつらにGHに来てくれって頼まれて・・・」
「そーゆーことなのっ!!ミリアとっても嬉しいのよ〜!!」「オイラも嬉しいさ〜、皆ありがと〜!!」

「そうゆうことだし、早く晩ご飯つくって食べようよ!!ミカエルさんたちも一緒に食事しよ!!」「おうよ、もりもり食うぜ!?」
「うにゅ〜、ミリアもいっぱい食べるなの〜!!うにゅにゅ〜♪」「ちょっ、ミリアちゃん可愛いんだけど!!萌え〜!!!」
「あははははは・・・ん、じゃァ皆!!今日はカレーですよ!?」「やったァァァァァァァ!!!!マスター大好き!!!」

その夜はとてもとても楽しい時間を過ごしたそうな・・・ゲストの来訪もあり、掛け替えのないほどだったと
このギルドホールの長である魔術師は語っている。

fin.

382 ドワーフ :2008/07/29(火) 19:49:07 ID:AepyIIHk0
トラップバイト

狼男のコーザは一度も噛み付いた事がない。
その理由は彼の仲間でさえ知らなかった。
単に得意でないのかもしれないし、
もしかしたら人としての誇りが獣のような振る舞いを許さないのかもしれない。
それ以前に、大抵の相手は彼の鋼鉄のように硬い爪に掛かれば簡単に倒せたというのもあるだろう。
だが彼は顔に凶悪なまでに鋭い牙を被っていた。
使わないのに何故そんなものを着けているのか、彼の仲間はいつも不思議がっていた。
彼はたびたび浴びせられる質問に辟易し、ようやく理由らしいことを口にした。
この牙は必要に迫られる時が来たら使うのだと、彼は言った。
彼の言葉に仲間達は首を傾げ、余計に不思議がっていた。

やがて時は過ぎ、皆がコーザの言葉を忘れた頃にその時はやってきた。
敵はたった一人の剣士。しかし仲間のうち誰一人として敵わなかった。
傷ついた仲間たちを庇うようにコーザは剣士の前に立ちはだかった。
かなわない。逃げろと言う仲間の声を無視してコーザは剣士に飛び掛っていった。
彼の振るう爪を掻い潜り、剣士の突き出した剣が彼の胸を貫いた。
コーザは返り血を浴びて笑みを浮かべている剣士に対して、構わず自ら前に出て刃を自身の中に埋めていった。
そして剣士に抱きつくと、驚愕の表情を浮かべている剣士の肩口に噛み付いた。
鋭い牙を突きたて、彼は剣士の血を啜り飲み始めた。
苦痛の表情を浮かべながら、剣士は凶刃をえぐり上げた。
だがコーザは決して意識を失わなかった。それどころかより強く深く剣士を噛み絞めた。
恐怖に駆られた剣士はコーザに対して提案した。
見逃してやるから離れろ。このままでは互いに死んでしまう、と。
しかしコーザにはもう引き返す事は出来なかった。

トラップバイト――。
一度噛み付けば逃れられない。相手も自分も…。

383 ドワーフ :2008/07/29(火) 19:51:20 ID:AepyIIHk0
あとがき
トラップバイトの説明文を自分なりに解釈してみました。

384 ◇68hJrjtY :2008/07/30(水) 18:25:06 ID:CDoX0rSc0
>ESCADA a.k.a. DIWALIさん
黒頭巾&ESCADA a.k.a. DIWALIプレゼンツ。コラボ小説ありがとうございました!(笑)
ESCADA a.k.a. DIWALIさんが書くとほんとドタバタ調になって面白いです。
いけめんさんの壮絶な欝モードを垣間見てしまいましたが、最後は丸く収まって思わず笑ってしまいました。
フィナ姉が居ないところではミカエルも相当怖い兄ちゃんなんですねえ(*´д`*)
次回はファミィ&ふぁみりあいーえっくすたんの絡みコラボ小説、なるか!?(笑)

>ドワーフさん
トラップバイト。罠という名前とは裏腹に最後の最後の切り札としての牙。
このお話を読んだ時に「狼は死んでも首だけで相手に噛み付く」という言葉を思い出しました。
短編だからこそその後を想像したり思いを馳せる事が楽しいドワーフさんのUアイテム逸話。
次回作もお待ちしています。

385 之神 :2008/07/30(水) 19:33:49 ID:h5TkBgt20
◆-1 >>593 >>595 >>596-597 >>601-602 >>611-612 >>613-614
◆-2 >>620-621 >>622 >>626 >>637 >>648 >>651 >>681
◆-3 >>687 >>688 >>702 >>713-714 >>721 >>787 >>856-858 >>868-869
◆-4 >>925-926 >>937 >>954 >>958-959 >>974-975
◇――――――――――――――――5冊目完―――――――――――――――――◇
   >>25 >>50-54 >>104-106 >>149-150 >>187-189 >>202-204
◆-5 >>277 >>431-432 >>481-482 >>502 >>591-592 >>673-674 >>753-754
   >>804-806 >>864-866 >>937-939 >>971-972 >>997-1000
◇――――――――――――――――6冊目完―――――――――――――――――◇
   >>122 >>321-322
◆――――――――――――――――――――――――――――――――――――番外
>>796-799 クリスマス   キャラ画>>376(7冊目
>>894-901 年末旅行
   -5冊目完-
>>226-230 節分
>>358-360 >>365-369 バレンタインデー
>>510-513 雛祭
>>634-637 ホワイトデー@シリウス
   -6冊目完-

386 之神 :2008/07/30(水) 19:35:33 ID:h5TkBgt20
β

「くうっ…」

傷はだいぶ治ったものの、まだ痛む。
ベッドの上で、私はどうするか迷っていた。
その時。
点けっ放しのテレビから、ニュースが流れた。


-------速報です。
-------大手飲料メーカー、ミュリエ・ジュール本社ビルにて…


徹が向かった企業…何があったのしr…


-------大きな爆発が起きました。



…ッ!?

-------既に警察が包囲しており、周囲に避難命令、厳重な警備が――


気がつくと、私は普段着に着替え玄関へと向かっていた。


――やっぱり、ゆっくりしてる場合じゃなかった…。

――私が助けないと。


ψ


「わわわわっ、わーっ!」




謎の平野に、体育会系と精霊。



「装備が、全部外れちゃったじゃん!」

「気のせいだろう…」エンティングというその大きな精霊は、渋みのある声で語らう。

「木の精だけに?ちょっと巧いこと言ったね!」


――――。


「外れたとて…剣と、その服に隠した左手剣だけだろう…?」

だらだらと会話の後、重い拳が飛んでくる。


「これしか武器無いんだよぉ…おおっと!」


ヒョイ、という音が聞こえたかと思うほど、軽くナザルドは攻撃をかわした。

エンティングの攻撃は、腕を振り回す度にブウン、と、バッティングの素振りの様な音がする。

387 之神 :2008/07/30(水) 19:37:04 ID:h5TkBgt20
ψ

「だいたいさぁ!」

ブウン…ヒョイ

「まだ会ったばかりだよ?人間ってだけで、攻撃」

ブウーン…ヒョイ

「してくるなんて、おかしな話だよ!」

ブウン! ヒョイッ!



…。 ヒョ…

「ちょっとちょっと!攻めと避けのテンポ狂うんだから、止めないでよ!」

黙って腕を振っていたエンティングは、急に攻撃を止めた。


「お前が攻撃してこないのは分かった」 その場にピタリと止まり、エンティングは話す。

「正確には、攻撃したくてもできないんだよっ…で」ブーブーと、ナザルドは文句を垂らす。

「なんか話、あるんでしょ?」

「…。」

「じゃなきゃ、こんな無防備にならないしねっ!」 ナザルドは、一瞬でエンティングの後ろへ回り込んだ。

「…。」首だけを、エンティングはこちらへ向けた。


「しないよ、攻撃は」ナザルドは笑ってその場に座り、武器を放り投げた。

「でーっ、何かあるんでしょ?ここにいる理由とかさぁ、いきなり攻撃してきたワケがさぁ?」

まるで友達に話かけるような雰囲気で、ナザルドはエンティングに言った。


「ここのビルのな」

ゆっくりと、エンティングは話し始めた。

「ガゼットという男がいるのだが、奴に連れてこられたのだ」

「ふんふん」

「奴は今、薬を作っているのだが…そのために、我々のエネルギーが必要らしくてな…」

「我々…?」 そう、ナザルドが聞いた瞬間、今まで風景と同化していた木々達が動き始めた。

「なるほどお…、こんなにいっぱいいたんだねぇー」しみじみと周りを見回す。

「エネルギーとは、これのことだ」

エンティングは立ち上がり、ナザルドの捨てた剣を拾った。
そして…その剣で、人間でいう腕の当たりを浅く切りつけた。


「ああ!それは俺もお世話になってる!」

「お前ら人間がポーションと呼ぶ、治癒能力のある液体だ…。本来、我々のような種族が大地から力を貰い
 さまざまな元素の力を元に…そうして完成するのがこれだ」


「えっ、原料って君たちだったの!?」

「知らずに服用していたとは、やはり愚かな人間よ…」剣をナザルドに放り投げ、エンティングは直立不動となった。

「我々は死んでも蘇る。…いや、正しくは、土に還り、また芽を出し枝を伸ばし…」

「だが、ここでは不可能だ。人工的な光、無いに等しい元素、薬の通った水…」


「ここから出してもらえないか、って?」ナザルドは、核心に迫った。

「…ああ、そういうことだ」少し悔しそうな顔をして、エンティングは答えた。


「ふっ、まったく…」ナザルドは剣と盾を再び拾う。



「任せてもらおうじゃーないのっ!」
ポーズを決め、大声で答えた。

388 之神 :2008/07/30(水) 19:37:49 ID:h5TkBgt20
α

ザザザザザザザザザザ…


ブクブクブクブク……


『ぶはっ!!』

し、死ぬかと思った…。

「この魚!水出しすぎだっ!」

「スェルファーですって…」

シルヴィーは相変わらず、俺に抱きついたままだった…苦しい。

滝のように、魚の体からは水があふれ続ける。

「とりあえず、助かりましたね…」

「ですね…で、シルヴィーさん」


「はい?」



「そろそろ、水を止めてくれませんか…」


「ああ、そうでしたね!失礼しましt…



<!> うわあああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁァァ…


『!?』

叫び声が、救急車の通り過ぎるような感じで聞こえてきた。今、まさに。


「な、なんか聞いたことあるような声でしたね…」

シルヴィーは俺の首に腕を巻きつけたまま、キョトン顔をしていた。

「ん…そうかなぁ…?」



γ

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああアアアアアッ!」


かなりのスピードで流される。服が濡れて思うように動けない。

「あ、ここさっきも見たな…?」

ドアノブの外れた扉が、ライトの目に入った。

「んん…ということはっ…?」


…俺はグルグルと回っているのか。



α


「なんだったんでしょうね…ハハハ」

俺はシルヴィーの腕を首から外しにかかる。

「で、ですねぇ…あっ」

「?」

「も、もうちょっとこのままで…」

プルプルと震え、シルヴィーは離れなかった。

ああ、冷静な感じだったけど、やっぱ女の子だわな…。

389 之神 :2008/07/30(水) 19:47:08 ID:h5TkBgt20
どうも、こんばんわ。

「よぉ〜しうpするぞー!」とPCのテキストを調べるも

「あれ?どこやったっけなぁ…」となっていて遅れました。


自分は週刊誌のマンガのように小刻みに進めていくのがコンセプトなので、進むのダラダラでもあきらめてください。
珍しくψパートが長いんですね、後からそんなこと思ったり。

ゆっくりしていた彼女も動き出し、ある意味オールスター的になりそうです。

そしてドワーフさん、U品ネタ大好きです。いつもその構成に感動します。
公式設定ではないもののネタは、書いてて楽しいですねー。
自分もポット原料とか勝手に決めてて…売り子ドロシーの笑顔の奥には殺戮g(ry

では、ゆっくりストーリーを進めていくことにします。

引き続き小説スレをお楽しみください。之神でした。

390 ◇68hJrjtY :2008/07/31(木) 22:39:30 ID:sR5SGDPQ0
>之神さん
ミカも加勢でミュリエ・ジュール編いよいよ佳境といったところですね。
ナザ君の無邪気さにはエンティングさんも何もできませんね(ノ∀`*) そしてまたPOTの原材料in之神設定が…。
ドロシー、可愛い顔してどっからPOTを調達してるんだー(笑) という事は青POTは…うーん、考えない方がいいですね。
魚…じゃなくてスウェルファーの出した水でライトは迷い、徹たちは窮地脱出…なるか?
続きお待ちしております。
---
>「あれ?どこやったっけなぁ…」となっていて遅れました。
うんうん、分かります(´;ω;`)
私も最近はメモ帳だけでなくアウトラインプロセッサの小説書き用ソフトのようなものを試用してみたんですが
どうやら保存形式や場所が変わってしまうようで結局相当なデータ(小説以外のテキスト含)が行方不明にorz
サルベージ次第のUPもお待ちしています♪

391 国道310号線 :2008/08/02(土) 01:06:54 ID:Wq6z33060
・小説スレ六冊目
 第一話 〜 ミニペットがやってきた! 〜
 前編 >>487-490 後編 >>563-569

 第二話 〜 狼男と魔女 〜
 1 >>784-787 2 >>817-820 3 >>871-874 4 >>910-913

--------------------
・小説スレ七冊目
 第三話 〜 赤き呼び声(4) 〜
 1 >>228-232 2 >>254-257 3 >>366-370


前回のあらすじ:アラクノイドのことがバレて村人に殺されちゃった


アラクノイドが死んでから一週間が過ぎた。
あの日洞穴に行った村人の半数が亡くなり、アラクノイドの子もすべて燃やされたと耳にした。
私は村の中心で、重傷を負い倒れているのを発見されたそうだ。
どうやって村までたどり着いたのか、私は全く憶えていなかった。


緑が揺れるグレートフォレストにミモザは一人立っていた。
彼女は両耳に手をかざすと瞳を閉じる。
聞こえてくるのは風にざわめく木々の葉音、様々な種類の鳥の鳴き声… それだけだった。
彼女に話しかけていた樹木もおしゃべりした動物も花の歌い声も、もう何も聞こえない。

賑やかだった森は灯が消えたように黙り込み、彼女一人だけ別の世界に取り残されたような感覚に陥る。
連れ立っていた召喚獣も一切彼女に応えることはなかった。
どうしようもない孤独感に少女は涙を流す。
たくさんの命を死なせたから、皆に嫌われてしまったのだとミモザは思った。
あれから彼女はアラクノイドがいた洞穴へ行っていない、思い出すと辛くて近づくことすら出来なかった。

村人達のミモザへの態度もよそよそしくなっていた。
見えない何かと会話する彼女は以前から村から浮いた存在ではあったが、より一層それは顕著にあらわれた。
当たり前だ、村人を巻き込み殺してしまったのは自分なのだから。
数年後、遠方で働いていた父が亡くなったという知らせを受け、身寄りがいなくなった彼女は村から出ることにした。
年端もいかないミモザを気遣い引き止める者もいたが、彼女はそれを断ると逃げるように村を後にした。

それからは町から町へ身一つで流れ、行く当てもなく彷徨い歩いた。
心休まる安住の地を探しての旅路であったが、彼女の心に落ちた暗い影を拭い去ることは出来なかった。


雨が降りしきる街角、古びた集合住宅路地裏の雨がしのげる僅かなスペースにミモザは座り込んでいた。
その日は仕事が取れず空いている宿もなかったため、この場所で夜を明かすことになりそうだ。
裏口に続く階段上に膝を抱え身を縮こませる。
一向に止む気配のない雨空をボンヤリ見つめながら、彼女は洞穴での惨劇の事を考えていた。

もし、アラクノイドを治療しなければ、彼女は卵を産む事無く息絶えていただろう。
それならば、村人は誰一人傷つかずに済んだはずだ。
けれども彼女は聞いてしまった、アラクノイドの助けを求める声を、生きたいという切なる願いを。
ミモザが差し伸べた手をアラクノイドは受け取り命を繋げたが、その結果村を護るために人が死んだ。

例え彼女達のことが村に悟られなかったとしても、村人に犠牲者が出る可能性は高い。
我が子の為にアラクノイドは自らの肉を捧げ、その子等によって村人が襲われていただろうから。
村人達が護ろうとした大切なものや、今度こそ自分の命を失うことになったかもしれない。
やはり、あの時アラクノイドを助けずに放っておくのが最良の道だったのだろうか。
そうなのだろう、しかし、見知らぬ土地で人間に深い恨みを抱いたまま朽ち果てていく彼女が不憫でならない。
何度も何度も自問するが、ミモザはいまだ答えを出せないでいた。

(こんな力、無くなって良かったんだ)

彼女の声が聞き、気持ちを知ってしまったから助けようと思った。
しかし、自分は誰一人助けられていない、紅蓮に燃える洞穴の中で泣き叫ぶことしか出来なかった。
(ごめんなさい、アラクノイド、ケルビー、村長さん… ごめんなさい…)
「寒いよ…。」
雨に冷やされた空気はしだいに彼女の体温を奪っていった。


ふいに、胸元に熱を感じ、ミモザはハッと胸元を探る。
熱の正体は彼女が愛用している笛だった。
数少ない荷物の中持ってきたそれは、紅蓮の光を淡く纏っている。
「ケルビー …なの?」
笛から発される炎のごときオーラに、彼女は火の神獣の息吹を感じた。
ミモザは笛をそっと胸元に寄せると強く抱きしめた。
「ごめん… ごめんね、ケルビー… ずっとそばにいてくれたのに…。」

392 国道310号線 :2008/08/02(土) 01:09:35 ID:Wq6z33060
私はいつも逃げていた。
母が亡くなったことが受け入れられず、森へ入り母が残した治療術で生き物達を治すことに明け暮れた。
そうしている間は、まるで母が近くにいるように感じられたからだ。
そして、声に押し潰されてしまいそうになり自分の持つ力を拒絶し、村人からの冷たい視線に耐え切れず逃げた。

誰からも見捨てられ、一人ぼっちになったのだと思っていた。
でも、本当は違っていたのだ。
自分をいつも見守ってくれていたケルビーにも、引き止めてくれた村人の優しさにも気が付かなかった。
いや、気付こうとしなかった、心を閉ざしていたのは私自身だったのだから。
今はケルビーの言葉は分からなくとも、ただその温もりが嬉しかった。
彼女の頬を伝い涙が流れる、何故かその雫さえも温かく感じた。

自分はケルビーに何をしてあげられるだろう、どうすればアラクノイドや村人に罪滅ぼしが出来るだろう。
少なくともアラクノイドのような魔物を増やしたくなかった。
しかし、自分は人間だ、時には人と魔物の命を天秤にかけなければならぬ時があるだろう。
それならば、私は両者が出来るだけ衝突せず共存していけるよう知恵を磨いていこう。
もう彼等の声は聞こえなくとも、ケルビー達と共に歩んでいきたいと心に決めた。


「君、どうしたんだい?」
突然話しかけられ、ミモザは伏せていた顔を上げる。
そこにいたのは鈍い青髪の体格の良い少年だった。
雨具を持っていないのか、彼は両腕に抱えた大きな荷物の入った紙袋と同じくずぶ濡れになっている。

彼女が泣いていることに些か少年は驚いたようだが、すぐに優しい口調で続けた。
「すぐそこの宿屋に泊まっているんだけど、よかったら来ないか? あっ、別に変な意味じゃないから!」
他のギルメンもいるし、と慌てて付け加えると彼はニッと笑って見せた。
「それに、ここよりは温かいと思うよ。」
ミモザは屈託ない彼の笑顔がとても眩しく思えた。

それが、ブルーノさんとギルド「セレスト・クルセイダーズ」との出会いでした。


―東バベル 大河沿いの村

バベル台地と東バベル川上流地域を繋ぐ小さい村は、樹木の伐採を生業としている。
村の傍を流れる川を上っていくと、ファウンティンス・ハイランドへ至る。
この地域はエルフやオーガといった独自の文化を持つ魔物が多く住み、人間社会との境界線が近いことを物語っ
ていた。
小さい村の宿屋の一部屋、ベットの上でミモザは目を覚ました。
白い壁紙の天井は年月によるシミや汚れが目立ったが、小奇麗に掃除が行き届いている。

ここはどこだろうと働かない頭で考えていると、視界に赤と青の物体が現れた。
「ミモザ!」
「おんどりゃ、どんなけ心配したと思っとんねん!」
罵声と共にミモザに抱きついたのは、犬とつむじ風の姿をした彼女の召喚獣ケルビーとウィンディだった。
いきなりの事に彼女は目を白黒していたが、軋む上半身を起こし愛しそうに彼等をなでる。
「大丈夫。もう本当に大丈夫だから…。」

「良かったわ〜。 具合はどう?」
ベッドの横に備え付けられた椅子に座ったテラコッタが微笑みかける。
彼女の隣には金太郎、その後ろのドアにはブルーノが部屋の外に向かって、目を覚ましたぞーと声をかけていた。

二人と一匹の姿を見て、ミモザは自分が助かったのだとようやく気が付いた。
「はい、平気です。 …すみませんでした。」
「いーよ、謝らなくて、無事だったんだからさ。」
体を小さく縮こませている彼女にブルーノは明るく笑いかける。
夢で見た雨の日の彼の笑顔を思い出したミモザは頬を染めるとうつむいた。

初々しい彼女の様子をテラコッタは微笑ましげに見ていたが、けたたましく廊下を走る音に振り向く。
部屋の入り口には、扉の柱に手を掛け少し息の上がったアッシュが立っていた。
彼はミモザを見据えたままドカドカ部屋に入ると、ベッドのすぐ脇まで来る。
「バカヤロウ! 何だってこんな無茶をした!?」
「ごっ、ごめんなさい。 私、早く紋章品を集めたくて…。」

393 国道310号線 :2008/08/02(土) 01:11:05 ID:Wq6z33060
「これのことですか?」
この場にいなかった者の声がした、アッシュに遅れて入ってきたエムロードとグロウだ。
エムロードは茶髪の長身のウィザードで、グロウは色黒のガッシリした男性でギルドマスターである。
黒々とした動物の毛束が入った小さな皮袋をエムロードは見せると再び口を開く。
「紋章品コンプリート間近で気が急くのは分かりますが、あまり心配かけさせないでください。」
彼は皮袋をミモザに返すと彼女の肩を叩いた。

「ミモザ頑張っていたもんな。」
そう言うブルーノに対し、アッシュはふんっと鼻を鳴らした。
「弱いくせに、調子に乗るからこんな目に遭うんだ。」
「おんどりゃ、そこまで言うことないやろ!」
身も蓋もない言葉で主人を責める彼に、ウィンディは反発する。
「黙れ、紙。」
ウィンディにアッシュは一瞥もせず言い放った。
この場合の『紙』とは文をしたためる物ではなく、防御力が低すぎて紙の様に頼りないという意味だ。
「…このガキャ、張っ倒す!」
気にしていることを言われウィンディの頭に血が上る。
「落ち着けウィンディ!」
アッシュに殴りかかろうとするウィンディをブルーノとケルビーは二人がかりで止めた。

「でもさ、アッシュが一番ミモザのこと心配していたんだぜ。」
見た目より力がある風の神獣を押さえつけながらブルーノは苦笑する。
「なんたってスト「余計な事を言うなっ!」
フォローのつもりが失言しかけたブルーノにアッシュの肘撃が炸裂した。
クリティカルヒットを出した一撃をアゴに受け、彼は綺麗な弧を描いて昏倒する。

「スト… 何やて?」
「事と次第によっちゃぁ、生かしておかねぇぜ。」
ブルーノが言いかけた言葉を聞き逃さなかった召喚獣達はアッシュに睨みをきかせる。
一人と2匹の間に殺伐とした空気がながれ始めた。
「ケンカするなら外でやりなさいよ!」
テラコッタは怪我人がいるのに騒ぎ立てる彼等とついでに気絶しているブルーノを部屋から押し出す。
バタンとドアを閉めると、騒音の元を断たれた部屋は静かさを取り戻した。

当のミモザはその様子を目をパチクリ見つめていたが、表情を曇らせる。
「でも、私、これくらいのことしか出来ませんから。」
両手で握った皮袋を見つめたまま、彼女はポツリと漏らした。
完全に神獣や精霊と心が通じなくなってから、ケルビー達を喚べるまでに回復したのはこのギルドのおかげだ。
流れ者だった自分を受け入れてくれた彼等がいなかったら、今頃どうなっていたか想像がつかない。

沢山のものをこのギルドから貰ったのに、自分は何一つ返せていないのだ。
「皆さんに比べて私は弱いですし、ギルド戦だって…。」
そこまで言いかけてミモザは黙ってしまった。
うつむいているので彼女の表情を窺い知ることは出来ないが、酷く落ち込んでいるのが分かる。
「そんなこと、気にしなくてもいいのに。」
皮袋を強く握っている彼女の手にテラコッタは包むように自身の手を重ねた。

「人にはそれぞれ向き不向きがある、お前に出来ることを役割をこなせばいい。」
グロウは静かに語り出す、その言葉はどこか自分に言い聞かせているようだった。
「その役割が重い時は、お前の苦しみを分けてくれ、そのために我々はいる。」
皮袋から視線を移しグロウを見ると目が合った、彼は穏やかに微笑んでいた。

「はい…。」
ミモザは目を手で拭うと笑顔を向けた。
いつもの彼女に戻ったようで一同は安心する。
「マスターさん、洞窟でも助けていただいてありがとうございます。」
彼女の言葉に三人は揃いも揃って怪訝そうな顔をした。

「洞窟ってハイランダー洞窟のことですか?」
聞きなおすエムロード、彼の疑問もそのはずだ、そんなことはありえないのだから。
ミモザが遭難したハイランダー洞窟へ向かう途中、ウィンディと合流した彼等は彼女の危機的状態を知った。
ウィンディの話では彼女は洞窟の奥深くに落ちたとの事だったが、彼女を発見したのは洞窟の入り口だったのだ。
すなわち、ギルドメンバーは洞窟内へ入っていない。

「マスターはずっとあたし達といたから、人違いじゃない?」
テラコッタの言葉にグロウ本人もうなづいた。
「そう言えば、雰囲気が違っていたような気がします。」
ミモザは自信なさげに首をかしげた。
通路から落ちてからの記憶は夢の中の出来事のようにいまいちハッキリしない。
頭が混濁していて赤の他人を知り合いと見間違えてしまったのだろうか。
(私を助けてくれたあの人は、誰だったんだろう。)

394 国道310号線 :2008/08/02(土) 01:11:47 ID:Wq6z33060
「この石も洞窟で見つけたのか?」
物思いにふけっているミモザにグロウは手のひらに乗せた赤い石を見せた。
不規則にカッティングされている石は、それ自体が単体というよりも何かの一部のようだ。
「それ、なかなか離さなくて苦労したんだから。」
気を失っていてもミモザは石をガッシリ掴んでいた。
グロウが直接触ると良くない言うので無理やりテラコッタが引き剥がしたのだ。
「そうだったと思います。 赤い光に呼ばれて行ったら、その石があって…。」

赤い石を注意深く観察していたエムロードは何かに気付いたようにグロウの顔を見やる。
「グロウ、まさかこれは・・・。」
「あぁ、『RED STONE』だ。」
石から迸る炎の煌めきに、グロウはそれが伝説の魔石だと確信した。


テラコッタに締め出しを食らった二人と三匹はケルビーから今回の冒険談を聞いていた。
彼等は廊下に一列に並ぶことで通行人の邪魔にならないようにしていたが、
金太郎が幅を取ってしまうのであまり意味をなしていない。
「やはり『RED STONE』か…。 あんな場所にあったとはな。」
部屋から微かに聞こえてきた単語にアッシュは敏感に反応した。
「『RED STONE』って伝説のすっごい石なんだろ? そこらへんに転がっているものなのか?」

風の噂では古都の議員が無差別に冒険者を募ったり、復活した秘密組織がやっきになって探しているらしい。
子供の頃に赤い石の伝説を聞いたことがあったが、ブルーノは御伽話だと思っており興味は湧かなかった。
「あれは欠片だ、あの大きさだと一つ完成させるのに何十個も探さないといけない。」
「へー。 詳しいんだな。」
いつになく真剣な態度のアッシュをブルーノは意外に思った。
『RED STONE』は美しい宝石だという話もある。
こういう類の話はバカらしいと言って一蹴しそうな彼だが、やはりシーフは宝物に心惹かれるのかもしれない。


「そうか、呼ばれたのか…。」
そう呟いたグロウは、片手にすっぽり収まっている石を憮然とした表情で握り締めた。
「これは私が預かっておく。 慎重に管理しなければならない危険な代物だ。」
洞窟で聞いた苦しげな声は、もう石から聞こえない。
それにマスターになら安心して預けられるだろうとミモザは思った。
「そうなんですか、それならお願いします。」

洞窟にいた時は絶対手放したくなかったのに、不思議とすんなり渡せられた。
赤い石は内に眠る強大な力を示すようにキラリと瞬く。
そこには邪悪さは感じられず、石本来の輝きを取り戻したかのように清らかな光を放っていた。

話の区切りを見計らって、テラコッタはミモザに寄り添うと二人には聞こえないように囁いた。
「ところで、いつの間にアッシュとラブラブチャットするようになったのよっ?」
楽しそうにテラコッタ冷やかしを入れると、肘でミモザを軽く突っつく。
「え? 誰がですか?」
「やーね、ミモザに決まっているじゃない。」
とぼけるミモザに彼女は尚も追及するが、ミモザは眉をハの字にした。
「チャットはよくして頂いてますが、アッシュさんに怒られてばかりで…。」

395 国道310号線 :2008/08/02(土) 01:12:25 ID:Wq6z33060
**********

【from アッシュ】おい。
【to   アッシュ】こんにちは、アッシュさん。
【from アッシュ】…。
【to   アッシュ】…。
【from アッシュ】……。
【to   アッシュ】あの…、アッシュさん?
【from アッシュ】…また耳する。

**********

【from アッシュ】おい、ハイランドには着いたのか?
【to   アッシュ】いいえ、今ケルビーに乗せてもらっていて東バベルの村辺りです。
【from アッシュ】遅い、オレの絨毯だともっと早く着く。
【to   アッシュ】あ、ごめんなさい。
【from アッシュ】…また耳する。

**********

【from アッシュ】おい、紋章品は集まったのか?
【to   アッシュ】まだです…。 なかなか集まらなくって。
【from アッシュ】なんだ、まだなのか。
【to   アッシュ】ご、ごめんなさい。
【from アッシュ】オレはもう集めた。
【to   アッシュ】アッシュさん、凄いですね。
【from アッシュ】お前が遅いんだ。
【to   アッシュ】そうですね…、ごめんなさい。
【from アッシュ】…。
【to   アッシュ】…。
【from アッシュ】…おい。
【to   アッシュ】はい。
【from アッシュ】…お前だけだと遅いから、その…。
【to   アッシュ】?
【from アッシュ】だから…!

【Gチャ ブルーノ】ミモザ、もうしっぽ集まった?
【Gチャ ミ モ ザ 】ごめんなさい、まだなんです。
【Gチャ ブルーノ】俺達の方は終ったからさ、手伝いに行くよ!
【Gチャ ミ モ ザ 】そんな悪いですよ、私の担当ですし。
【Gチャ テラコッタ 】遠慮することないわ、あなたの割り当ては他のメンバーより多いんだから。
【Gチャ ブルーノ】そういうことっ。
【Gチャ ミ モ ザ 】ブルーノさん、テラコッタさん…。 ありがとうございます、すごく嬉しいです。

【from アッシュ】……。
【to   アッシュ】アッシュさん、どうしたんですか?
【from アッシュ】もういい、なんでもない。

**********

「…チャットの内容って全部こんな感じだったの?」
「はい。」
事無く肯定するミモザにテラコッタは唖然とした。
聞いているこちらが恥ずかしくなるような惚気話を期待していたのだが、嫌がらせとも取れる内容の数々だ。
こんなものを2時間おきだなんて、自分なら彼の脳天に矢を射ち込んでいるだろう。

「アッシュさん、最近ずっと何か言い出したそうだったんですけど、悩み事でもあるんでしょうか…?」
ミモザは心配げにテラコッタの手を握り返した。
そんなチャットに嫌な顔するでもなく秘められた恋心に気付くわけでもない、彼女は優しいのだか鈍いのだか。
「さぁ、恋煩いでもしているんじゃないの?」
適当に答えた言葉とは裏腹に、テラコッタは二人の間を取持とうと決心した。


後日、材料を集めたセレスト・クルセイダーズは無事に紋章を完成させるのだが、それはまた別のお話。



おわり

396 国道310号線 :2008/08/02(土) 01:13:07 ID:Wq6z33060
目に見えない存在がずっと見守ってくれていた! ネタが黒頭巾さんの話と似てしまいました。
被った部分が話の根源にあたっていたので、私の構成力では軌道修正することもできず…orz
我がままな申し出でありましたが、投下の許可いただきありがとうございました。

話が変わりますが、AAエディターって便利ですね、テキストだと文字揃えるのが難しくてかないません。
例の赤い石が登場して、少しはレッドストーン小説らしくなってきたらいいな。


>黒頭巾さん
離れられないほど深く愛し合っているのに、信じあえない切なさがたまりません、
短編の中に込められている廃退的恋愛話に魅せられました。
ご察しの通りアラクノイドはミズナをイメージしています。
なるほど! いっその事ミズナの洞窟まで行った方が因縁めいていておもしろかt …アイデア力が欲しいよママン。

>68hJrjtYさん
>能力 ミモザは魔物に肩入れしましたが、ロマ達はどう折り合いをつけているのか気になるところです。
謎の宝石といえば、公式に行ってみたらロゴとレッドストーンのデザインが変わっていました。
これから多少赤石が本編に絡んでくる予定だったので、影響のない程度の変更に胸をなでおろしております。

>ESCADA a.ka. DIWALI
コラボ小説の続きが!
マスターもといいけめんさんへの誤解がとけて良かったです。(笑
キャラクター達がお茶目で可愛いらしく、見ていて楽しい気分になりました。

>ドワーフさん
トラップバイトの説明文に残る疑問形の不気味さ…。 そこからの話の膨らませ方が素敵です。
U武器に秘められた物語性を再発見させられます。 次回楽しみにしています。

>之神さん
木精霊から呪いを受けても、そのギャグを言われれば許せるような気がしました。
叫びにちゃんと<!>が付いていて笑いました、ネタが細かくて好きです。
ミカ参戦にワクワクしつつ、続き楽しみにしています。

397 名無しさん :2008/08/02(土) 19:14:32 ID:OnMpHZjE0
クソスレage^^;
            ゙'.    '.;`i  i、 ノ  .、″
             ゙'.     ,ト `i、  `i、    .、″
                |    .,.:/""  ゙‐,. `    /
             `  .,-''ヽ"`    ヽ,,,、   !
                、,、‐'゙l‐、      .丿 : ':、
               、/ヽヽ‐ヽ、;,,,,,,,,,-.ッ:''`  .,"-、
              ,r"ツぃ丶  ``````   ../  `i、
          ,.イ:、ヽ/ー`-、-ヽヽヽ、−´    .l゙`-、
         _,,l゙-:ヽ,;、、             、、丶  ゙i、,,、
        ,<_ l_ヽ冫`'`-、;,,,、、、、.............,,,,、.-`":    │ `i、
      、、::|、、、ヽ,、、.    ```: : : ```      、.、'`  .|丶、
     .l","ヽ、,"、,"'、ぃ、、,、、、、.、、、.、、、_、.,,.ヽ´    l゙  ゙).._
    ,、':゙l:、、`:ヽ、`:、  : `"```¬――'''"`゙^`     : ..、丶  .l゙ `ヽ
   ,i´.、ヽ".、".、"'ヽヽ;,:、........、           、、...,,,、−‘`   、‐   |゙゙:‐,
  ,.-l,i´.、".`ヽ,,,.".`   `゙゙'"`'-ー"``"``r-ー`'":      _.‐′  丿  ,!
 j".、'ヽ,".、".、"`''`ー、._、、、           、._,、..-‐:'''′   .、,:"  丿
 ゙l,"`"`''ヽヽ"`"`  ```゙'''"ヽ∠、、、、ぃ-`''''": `      、._./`  ._/`
  `'i`ヽヽヽ`''ーi、、、: :                   、.,-‐'`   、/`
   ``ヽン'`"`  : `~``―ヽ::,,,,,,,,,,.....................,,,,.ー'``^    ,、‐'"`
      `"'゙―-、,,,,..、、               : ..,、ー'"'`
           : `‘"`―---------‐ヽ``"''''''""

398 ◇68hJrjtY :2008/08/08(金) 13:41:09 ID:tQPoZmM.0
毎日暑いですね(;´Д`A

>国道310号線さん
ミモザ編、そしてレッドストーンの欠片発見のお話完結!
レッドストーンが10個でひとつ…という事は今後またレッドストーン欠片が登場するんでしょうか(0゚・∀・)
短編で区切られていたセレスト・クルセイダーズのお話がついに長編になりそうな兆しに喜んでおります!
そしてアッシュとミモザの耳内容に笑…って笑っちゃいけませんが。意外とアッシュって奥手なんですねぇ(*´д`*)
素直なミモザと素直になれないアッシュの今後の恋模様の方も楽しみにしております。
セレスト・クルセイダーズの紋章はどんななんだろうなぁ…想像しつつ、続きお待ちしています!

399 名無しさん :2008/08/09(土) 10:00:32 ID:MRV9NKQc0
かなり厳しい意見なので、心に余裕のある方以外はスルーして下さい。

一から順番に眺めさせてもらった。


感嘆符のあとは一マス開ける
三点リーダは二つ重ねる(二点リーダや中点は論外)
「 」の最後に読点は付かない

基礎の基礎すら守れてない物なんてまず読む気にすらならない。

ぶわーっと眺めてみて
最低限のラインを守れているのが白猫さん、みやびさん、ドワーフさんあたりかな
みやびさんは書き出しも一マス下げていて、改行もきちんとされていて
ネット小説の世界では珍しく非常に丁寧な印象を受けた。

ということで個人的に目に付いた作者さんの作品をじっくり再読。以下感想。

400 名無しさん :2008/08/09(土) 10:01:06 ID:MRV9NKQc0
――白猫さん

多く作品を投下してますね。
文章力が圧倒的に不足していてるように感じます。
書く量は多いけど読書をしない物書きさんにありがちです。
味のある文章や流暢な組み立ては小説を書くだけでは身につかず、
たくさんの本を読まないと得られないです。
指示語(その そう それ etc)が多く、癖になってはいませんか?
また技名をセリフで言うのは人にも因りますが、多く使われると私は醒めます。
上手い人ならば必殺技は地の文と情景描写できちんと書き上げるので。
はっきり感想を言うならばどれも『つまらなくはないが別段面白くもない』作品。

内容のある物語は書かれていると思います。
伴う技術を身につけないと
物語を創り上げる力は十分あると思うので、頑張ってください。
音楽を聴かないで曲作りは出来ないのと同じことです。

――みやびさん

文章力、技術はこのスレでも頭が抜けていますね。
私は三点リーダ、ダッシュが多いように感じました。とはいっても、
西尾維新さんや舞城王太郎さんなどの例もあるので
こればっかりは作者の味としてそこまで気にしなくてもいいかな。
リレーのトップバッターとしての作品として要素がきちんと盛り込まれていて
他の人に気を使える方だなあ、と思いました。

――ドワーフさん

書きなれてる印象を受けました。
短い中でも起承転結がきちんと描かれていて、センスを感じます。
きちんとショートショート(掌編小説かな?)として作品が成り立っていて
さらりと読むだけでも十分面白いです。
レッドストーンのエッセンスも上手に盛り込まれており、
非常に好印象です。
これからも楽しみにしています。


――354さん

個人的に気になったので。
初めてのようで粗が多いですが、
文章力、また語彙力がこのスレでは一番光っています。
基本的に仲間内でしか楽しめない二次創作の作品ですが、
読者の事を考えて敷居を下げようとする努力が見受けられました。
内容自体もただの自己満脳内ファンタジーではなく
面白い設定で、起承転結もつけられています。
あえて突っ込むならばラストのくだりがちょっと上手くいってない印象。
ともあれ、この作品群の中でも異彩を放つほどの実力です。


最後に独り言。

感想が馴れ合いにしか見えない。気を使ったおためごかしの羅列。
歯に衣着せた感想を言うだけじゃ誰も成長しない。
良かった点、悪かった点。
面白かった。つまらなかった。
はっきり言って批評をして初めて質が上がるんじゃないの?

あと、ここに名前の上がってない人達へ。
ttp://www.raitonoveru.jp/
ここ行って勉強して出直してきて下さい。

401 自称支援BIS :2008/08/09(土) 20:43:33 ID:QyNOkFrU0
>>399-400さん

私のように基礎が守れてない人が言うのも何ですが、少し気になった点を

>>1はお読みになられましたか?
読んでいるのでしたら、1に書かれている以下の文をどう思われますか?

「※当スレはあくまで赤石好きの作者・読者が楽しむ場です。
 「自分の下手な文章なんか……」と躊躇している方もどしどし投稿してください。
 ここでは技術よりも「書きたい!」という気持ちを尊重します。」

また、最後のサイトの紹介ですが、「勉強して出直してこい」と言うよりは
「こういうサイトがあるので、参考にするといいですよ」ぐらいの文章の方が
いいと思います

技術が無くても、文章についての知識が無くても、
一生懸命考えて作った文章がこのスレには載っているんです
作家の方々のために厳しい意見を言って下さるのはありがたい事ですが、
もう少しだけ言葉を選んで書き込みされてはどうでしょうか?
確かに文章の問題点を指摘する事は大事ですが、「読む気にすらならない」等といった
初心者を蹴落とすような言葉は控えた方がいいと思います


とはいえ、書かれている事が正確なのも事実
今まで厳しい意見を言って下さる方は居なかった(と思う)ので、
今後も感想や指摘を下さると、作家の方々もありがたいと思います


それにしても……「三点リーダは二つ重ねて使う」って初めて知りました orz
紹介されてたサイト行って勉強してきます〜

402 名無しさん :2008/08/09(土) 23:28:05 ID:MRV9NKQc0
>>自称支援BISさん

 もっと言葉を選んで発言すべきでしたね。最後の文章については
不愉快な思いをされて当然な言い回しでした。返す言葉もありません。

 やはりどこからどう見ても全体的に悪意の感じられる書き方でしたね。
 それでも読書に慣れ親しんでいる身としてはやっぱり基礎が守られていないと
読むのが辛い、というのが私の正直な気持ちです。感想についての私の考えも
正直に思ったことです。これは本当に面白いと感じて言ってるのかな、と。
感想と馴れ合いは違うんだけどなあ、と。
 あくまで一個人の正直な感想ですので、「ああ、こう思う人も居るんだ。ふーん」
程度に捕らえていただければ幸いです。色々な考え方があって当然の世界なので
私自身絶対に正しい事を言っている、とは考えていません。
 また少しでも考えてくれて血と肉にしていただけたならばこれ以上に嬉しいことはないです。


>>1については書き込む際に少々考えました。
 大体「小説を書く」ということのスタンスは個人に依るもので、
「趣味でやってるので楽しく書ければいい」という方も居れば
「もっと上手になりたい」という方も居ます。
 そこに私の気持ちを持ち出せばこのスレの雰囲気を壊してしまうことも
予想してました。それでも「お互いが正直に批評しあって上達しよう」ことは
誰も考えていないのかな、と思い、書き込んだ次第です。
 敷居を下げるためのせっかく言葉を台無しにしてしまったこと、
もう一度この場を借りて深く謝罪させてもらいます。失礼な文章で
皆さんを不愉快な思いにしてしまったこと、大変申し訳ありませんでした。

403 名無しさん :2008/08/10(日) 00:38:27 ID:xEl075rY0
私は読書が好きです、だからこんなことも知ってます。ある意味評論家です
そんなのが出てきましたね。

21Rさんからの伝言を承りましたので投下させていただきます。

スレ住人の皆申し訳、時間とか色々と問題が出てきたので今後は掲載サイトの方にのみうpって事にしました。
詳しくは前スレとかに乗ってるまとめWikiからどうぞ。
>>399-400
>>1

との事でした、因みに新作はまだのようです。

404 自称支援BIS :2008/08/10(日) 04:20:50 ID:QyNOkFrU0
>>402さん
1を読んで、かつそういった考えを持って書き込みされていたなら、
399-400のような書き込みになっても仕方無いとは思います
ただ、その場合は冒頭に「文章力を鍛えたい人以外はスルーを〜」といった言葉があれば良かったと思いました

私自身は401でも書いたように、三点リーダの使い方や感嘆符の後は一マス空ける、
といった事を学べましたし、紹介されたサイトも参考になるサイトでしたので、402さんには感謝もしています

402さんは、このスレの主旨は分かって下さっているようですし、
謝罪もして下さったので、これ以上は何も言いません


>>403さん
399-400では確かにキツイ言い方をされていましたが、402で謝罪されています
これ以上402さんを煽ったりする事は、止めた方がいいと思います


さて……ここは小説スレです
私も402さんも403さんも、このスレの繁栄を願いつつ作者や読者に戻りましょう

私もサイトで勉強しつつ、また小説を投稿したいと思います〜

405 黒頭巾 :2008/08/10(日) 06:56:25 ID:vDgoXW.E0
>>399-400 >>402 さん

言いたい事は殆ど自称支援BISさんが仰って下さったんですよね。
それでも、貴方の“疑問”に対する私なりの考えを書かせて頂きますね。
基礎の基礎すら守っていない文章で読み辛いでしょうし、内容も不快に思われるかもしれません。
私の配慮が足りず、お気を悪くされたらごめんなさいね。


・最低限の基礎について

私もそれなりに活字中毒ですので、多少なりとも存じ上げております。
それでも、色々考えた上でこちらでは敢えて守っておりませんし、今後も守るつもりは御座いません。
読み飛ばすお手間を取らせるのも何ですので、どうぞNGIDにして下さいませ。
個人的には、最初に貴方の書き込みを拝見した際、“正しい日本語”にお詳しいと仰りながら紛れていた「い抜き言葉」が気になりました。
尤も、「い抜き言葉」に関しては一概に間違った日本語とは言えないとの考え方もありますが。


・「感想と馴れ合いは違う」について

1を読んだ上であの文章を書かれたのですから、疑問を抱かれるのはご尤もだと思います。

>ここでは技術よりも「書きたい!」という気持ちを尊重します。

私は1のこの部分を念頭に置いて感想を書かせて頂いております。
確かに時々言葉に困る場合もありますが、その時は私とその文章の“相性”が悪かったのだと考えます。
それでも、「どの部分が書きたかったのかな」「何か私の心に触れる部分はないかな」と考えて感想として書いておりますので、批判的な目で見えれば馴れ合いに見えるのかもしれません。

>当スレはあくまで赤石好きの作者・読者が楽しむ場です。

私なりの「楽しむ」の結果として、投下させて頂いた文章と感想があります。
私の文章は総ての人に受けるとは思っておりませんし、批判なんていらないとも思っておりません。
勢いだけの部分も拙い部分も目立つのは自覚しておりますし。
但し、他人の文章に関しては、批判するより少しでも良かった部分を述べたいと思っております。
悪い部分も良い部分も総てひっくるめて、“その人の味”だと考えておりますので。
「正直に批評して貰って上達しよう」と考えておいでの方は、投稿される前にその旨仰っておいでますしね。


貴方の書き込みを拝見させて頂いて、私と貴方の根本的な考え方の違いを感じましたので長々と書かせて頂きました。
私の考えを貴方に押し付けるつもりは御座いませんし、こんな考え方もあるのだと思って下されば幸いです。

************************************************************

うっかり読んでしまった方、長々と顔真っ赤なレスごめんなさいね(ノ∀`)ペチン
徹夜で眠くて頭が沸いてるようなので、皆様への感想やレス返しは後程改めて書かせて頂きます。
お休みなさい(-д-)ノシ

406 名無しさん :2008/08/10(日) 08:49:23 ID:pSkhMINw0
面白い流れなのでちょっとだけ書き込みを。
普段はROM専で仕事前にスレをちょこちょこ眺めてるものです。

確かに辛辣な口調で思うところはあるけれど、そう間違ったことも言ってはいない。
参考サイトも上げてくれてるし、
ただの上から目線で掃いて捨てるものと捕らえるのは勿体無いかと。
厳しい目で批評してくれる人も貴重な存在なんじゃないかなあ。
結構的も得てる部分があると。

支援BISさんが非常に大人だと感じました。普通はあんな風に書かれたら
むっと来て否定的になっちゃうのが当たり前だと思うけど、
しっかり意思を汲み取っていられて、丁寧な物腰で答えているのが
単純に凄いなあと感じました。
どっかのえらい作家さんが「柔軟に他人の意見を受け入れられる人は必ず上達する」
とかなんとか言っていたのを思い出しました。

いつも感想を沢山書かれている黒頭巾さんの考えもとっても素敵なものだと思う。
万人に受けるものなんてそうそうないのは当たり前なのに、
きちんと作家さん感想を上げてくれるのはきっと皆さん嬉しいんじゃないかな?
それを馴れ合いと思うのはちょっと違うよね、やっぱり。

>>403さん
代理ということだからきっと作者さんの一人か、もしくは21Rさん本人のような気もするけどね。邪推だけど。
“一個人の意見”と言ってるのに
ただ単にあおるように揶揄するのはどうかと思うよ。402さんよりずっと悪意を感じた。
感じ方は人それぞれなんだから気に入らないのなら書いてあるようにスルーすればいいんじゃない?


なんだか大学時代のサークルを思い出したわw
基礎とは言ってるけど、実際に書いてみると読んでるだけじゃ中々気付かない所沢山あるんだよね。

作者の皆さん まともな感想が言えないので基本的にROM専の人間ですが
皆様の作品をいつも楽しみに読ませてもらってます。
これからも頑張って下さい。スレ汚し失礼しました。
っていうか遅刻だorz

407 ◇68hJrjtY :2008/08/10(日) 13:25:24 ID:tQPoZmM.0
うーん、このタイミングで私までもなんか意見するのはアレかもしれませんが…

「馴れ合いのような感想」というのはおそらく私の感想にも対してのご意見かと思いますが
前々から言っておりましたように、批判、指摘といったレスは私はできません(笑)
理由はやはりどんな小説でも良いところを評価したい、ということからですが
私自身がUPできる小説を最後まで書き上げたことがない事から、尊敬の意味も込めております。

「お互いの欠点を指摘し合って文章力の向上を目指したい」書き手さんにとっては
はっきり言って私の存在は無意味ですしある意味邪魔かもしれません。
黒頭巾さんではないですが、それこそNGワード扱いしてくださって構わないです。
そういったこともあり個人的には批判、指摘をされる方は歓迎したいところです。

ただリレー小説やチャットなどの企画を見ていただければ分かるかと思いますが
ある程度の馴れ合いの要素がこのスレにはある事は事実ですし、今後もこうした流れを個人的には望みたいです。
1スレ目の頃から今ではだいぶスレの空気も変わっていますが、スレの性質上「馴れ合い」要素は排除できるとは思えません。
「馴れ合い」を悪いことと考えずに、お互いが気軽に小説をUPして感想したり批判・指摘したりできる。
そんな空気がこのスレに流れたら良いな、と私は思っています。

408 ドワーフ :2008/08/10(日) 18:30:55 ID:AepyIIHk0
薪割伝説

古都ブルンネンシュティグには数多くの英雄の伝説が残されている。
誰も彼もが戦争で多くの敵兵を殺したり、強大な魔物に戦いを挑んでいった強者ばかりだ。
だがそんな中に混じって異彩を放つ英雄がいる。
彼の名はボスク・チェルス。一日に五十株の巨木を倒したという伝説を持つ木こりである。
「だからどうした?」という感想は至極当然のことだろう。
たった一振りの斧で一日に五十株は確かに驚異的ではあるが、
動かない木を切り倒す事などその気になれば誰にだって出来る事なのだから。
しかし、ボスクの成し遂げた偉業は決してそんな誰にでも出来る事などではなかった。

当時のグレートフォレストの様子は現在のそれとは全く別物と考えてよい。
グレートを冠するに値するほどに広大で、あの森全体がエルフの王宮を囲む外郭であった。
森の中はエルフ達の魔法によって迷路になっており、
一度迷い込めば同じ場所を延々とさ迷わされた挙句にエルフに射殺されてしまう。
そんな怖ろしい場所だったのだ。
人々は決して森には近づかず、エルフを恐れていた。
その様子を聞いたブルンの王様は騎士団を編成し、エルフの討伐を命じた。
若く血の気の多かったアラドン王は、人間がエルフごときを恐れる事が気に入らなかったのだ。
しかし結果は無残なものだった。騎士団の誰一人として帰って来なかったのだ。
アラドン王は怒り狂い、今度は森を焼き払ってしまえと命じた。
その噂を聞きつけたボスクは、一介の木こりでありながら王様に謁見を申し立てた。
当時のブルン王国では貧民でも王様に目通りすることが出来た。
ただ、それは意見が気に入られなければただちに処刑されるという命懸けのものだった。
ボスクは王様に深々と頭を下げて懇願した。
どうか森を燃やさないでくれと。
王様はたった一言、ならぬと言い捨てて兵にボスクの首を刎ねるよう命じた。
引き立てられながら、ボスクは王様に苦し紛れに叫んだ。
自分が何とかする。誰も森で迷わないようにするから、どうか森を燃やさないでくれ、と。
その言葉を聞いた王様は、何を思ったのかボスクの処刑を中止させた。
王様はボスクに向かって出来るものならやってみろと言って彼を解放した。
ただし、誰の助けも借りてはならないという条件を付け加えた上に、
彼の妻を人質にしてしまった。
ボスクは必ずやり遂げると王様に誓い、愛用の斧を携えて単身グレートフォレストへと向かっていった。

ボスクのとった方法は、全く以って賢さに欠けるものだった。
いや、愚者であるが故に思いつくことの出来た実に単純明快な方法なのかもしれない。
その方法とは、
“森に入るから迷ってしまう。森の端から順に木を切り倒していけば迷ったりはしない”
それは何よりも困難で、危険を伴うものだった。
うっかり森に踏み込んでしまわぬように常に気を張り詰めさせながら木を切り倒し、
根を掘り起こし、子株を見つけては引き抜いた。
エルフたちは度々ボスクの作業を妨害するために現れたが、
彼はエルフたちの攻撃をものともせず、彼らとの戦いに常に勝利してきた。
何故ただの木こりに過ぎないはずの彼が戦いに慣れていたのかというと、
それは最初にも語ったように彼が日に五十株の巨木を切り倒すほどの猛者だったからだ。
これだけではまだ説明不足か。彼の切り倒してきた巨木は、動いていた。
現在でもグレートフォレストに行けば、ボスクが相手をしていた巨木ほどではないが、
子株程度なら少しは見つけられるだろう。そう、凶暴なトランクマンやトレントたちだ。

409 ドワーフ :2008/08/10(日) 18:32:04 ID:AepyIIHk0
しかし、いくらボスクといえども彼の目指す目標は達成不可能と思えるほどに遠かった。
半年かけて彼は森を東西に二分する中間地点まで切り拓いていたが、
彼自身にはどこまで作業が進んでいたのか全くわからなかった。
焦れたアラドン王はボスクを牽きたてて再び自身の前に呼び出した。
いつになったら終わるのかと王はボスクに尋ねた。
わからない、とボスクは正直に答えた。
ボスクの言葉に王は怒り、彼の首を刎ねるよう兵士に命じた。
王様は約束を守る者を裏切るのかとボスクは叫んだ。
自分は約束どおりずっと一人で森と戦い続けている。それなのに王様はボスクを殺すのかと。
ボスクの言葉に王様は戸惑った。平民ごときに意見されるなど思いもよらないことだった。
だが納得したのか、もう半年だけ待ってやると言ってボスクを再び解放した。

王様に与えられた残りの半年、ボスクは必死で戦い抜いた。
大熊との戦いに傷ついても、冬の寒さに凍えても、疲労の果てに骨身が軋んで悲鳴を上げても、
ボスクはオーガの如く戦い、グレートフォレストの木々を切り倒し続けた。
彼の鬼気迫る働きぶりにエルフたちも彼を恐れるようになっていった。
次第に彼を襲う事も無くなり、遂には森の奥で怯えながら彼を見守るのみとなった。
そうしてようやく、ボスクは森を抜けて西の砂漠へと辿りついた。
兵士の報告を受けてやってきた王様は森を真っ二つに割って延々と続く道を見て、言葉を無くした。
石畳を敷いてきちんと整備し続ければ森に飲み込まれることもなく、
安全に迷うことなく渡る事が出来るでしょうと、ボスクは王様に言った。
王様は馬を降り、傷だらけの彼に敬意を表し、
私は当代の英雄を殺してしまうところだったと、彼に対してのこれまでの無礼を詫びた。
王様はボスクにチェルスという名を贈り、彼を称えるとともに彼を召抱えたいと言った。
しかしボスクは自分は木こりしか出来ないからとこれを断った。
彼が切り開いたこの道はプラトン街道として現在も西の砂漠と古都とを結んでいる。
ボスクの残した恐怖の跡にはエルフはおろか動物すらも近づこうとしない。
やがてボスクの英名は旅の安全を願う商人や冒険者に崇められるようになり、
彼が愛用していたのと同じ斧が旅の安全を祈願するお守りとして今も愛されている。

さて、伝説の締めくくりには英雄の最後が相応しい。
ボスクはグレートフォレストでの一件の後に体調を崩して故郷のブレンティルに帰った。
そこで足から木の根が生える病を患い、数年後には枯木の如く朽ち果ててしまったという。
エルフの呪いだとも言われているが、定かではない。
ただ、グレートフォレストの中では今だにエルフの魔法が残っているということを忘れてはいけない。
あの森は今も彼らの領域なのだ。

410 ドワーフ :2008/08/10(日) 18:44:47 ID:AepyIIHk0
あとがき
暑い日が続きますね。
今回は割りとメジャーなものを選んでみました。
書きながら走れメロスを思い出してしまいましたが、
やはり小さく短くまとめさせて貰います。

まあ、気楽に楽しみましょう。
感想はおろか返事レスすらろくに書けないでいる自分が言うのもなんですが…、
どんなものであれ意見や感想を頂けるのはありがたいです。

411 ◇68hJrjtY :2008/08/15(金) 21:54:51 ID:tQPoZmM.0
>ドワーフさん
今回は剣士の武器と考えるとちょっと異色な薪割斧。
昔の王様は残酷なんだなぁと思いつつも、彼が立派に事を成し遂げた時の称えぶりに少し安心でした(笑)
なるほどメロスというのはあとがきを読んでから思いつきましたが死ぬ気で頑張ったボスク、メロスと同じ雰囲気がありますね。
薪割斧だけでなく今のグレートフォレストとプラトン街道の起源についても分かるお話でしたね。
次回作もお待ちしています。

私信ですが。
改めて>>400さんの紹介されているサイト、「ライトノベル作法研究所」をいろいろ見回ってました(笑)
いやでも凄く参考になることばかりですね。
きちんとした評価をし合うことでお互いを高めるといったことを主旨とされているサイトのリンクもありますし。
お暇な方はちょこっと訪問してみてはいかがでしょうか〜。

412 名無しさん :2008/08/19(火) 17:50:47 ID:yYV8stV.0
俺は今はやりのREDSTONEを友人に勧められたのでやってみる事にした。
ダウンロードとインストールを済まして…サーバーは左上だったっけな。パスワードを入力して入る。


フヒヒwwwwwwやっとついたぜ。それにしても最近のゲームはリアルだな…こいつ上半身全裸なのか…お、あれは
殺風景な部屋で待っていたのはロリ巨乳とでも言うべきであろうか、ボインで童顔な笛を持った女だった。
友人…お前なんだってそんなそそるグラフィックを。笛貸してくれよ、間接キスだなフヒヒ…
やあん、もぉ、あらあらうふふ 取りあえずクエストを受けて外に出ましょう。
俺は友人に教えられながらついにクエストを達成する事が出来た。
ここから先は古都よ。変な事言うと運営に牢屋に入れられちゃうから、くれぐれも注意してね
了解、フヒヒ。そして俺はマウスをクリックする。
ここが…古都か!ボインなお姉ちゃんに何やら鞭を持った熟女が居るぜ、ナンパしてくる
やあ可愛いね、お話でもしませんか…フヒヒ、つれないぜ。やあお姉さん、お茶でもどう、え、お前男かよ。
ちくしょう、ちくしょう。どうなってんだよ、俺は出会いが欲しいのに
いつもまにか俺はハイになっていた。ここはどこだ、どうやら噴水の前、古都の中心辺りなようだ。そしていつのまにか横には友人のロリ巨乳がいた。
馬鹿じゃないの、それじゃマジキチな出会い厨じゃない、ほら。街から出てレベルを上げるわよ
・・ざけんなよ。
え? ロリ巨乳は面食らったようだった。
ざけんな!俺は敵を倒してレベルを上げるなんてしたい訳じゃない!出会い、そうだよ。出会いが欲しかったんだよ!
ちくしょう面白くない!俺は落ちる!!
貴重な時間を無駄にして、友人との関係もぎこちなくなった。
俺は一生ここに戻る事は無かった。俺は気が付いてしまったのだ。こんなゲーム、時間の無駄だという事に。

413 黒頭巾 :2008/08/27(水) 20:15:43 ID:0WLFocA20
サボりすぎで溜まってるので短めにレスレス。


>之神さん
色塗りお疲れ様っす!(`・ω・´)
想像していた色と違ったり思い通りだったり…イメージって面白いですねー笑
色鉛筆はアタイには難しすぎて苦手だよ、ママン(ノ∀`)

ミカ参戦キター、楽しみー(´∀`)
ナザくん、運極で要求足りなくて抵抗装備出来ないんだろうなぁと笑いました。
そして、ライトが洗濯機で回されている洗濯物のようにwww


>68hさん
ネクロマンサーという職業上、如何しても生死が絡む発想が多くなってしまいます(ノд`)
コラボが好きと仰って下さって嬉しいです…いつも偽者になりすぎないよう必死です!笑
ようぢょも萌えますが、やっぱりネクロはショタっ子ですよネー(*´・д・)(・д・`*)ネー


>ESCADAさん
わーい、続き書いて貰えたー(´∀`)
いけめんさんのヘタレ具合と弄られぶりに盛大に爆笑しました、はい。
同じキャラでも書き手によって特色出て面白いですよね(*´∀`)ウフフ


>ドワーフさん
トラップバイトは諸刃の剣!((((・д・;))))ガクブル
罠は罠でも、自らも巻き込まれる罠…ちょっと違うけど「人を呪わば穴二つ」を思い出しました。
ここぞと言う所で大きな仕事を果たす、漢コーザに敬意を(`・ω・´)ゝ

薪割り斧ってトワー剣士用のUだとばかり思っていたのですが、こんな猛者の斧だったのですね!Σ(・д・;)
英雄の最期に因果応報という言葉が浮かびましたが…命がけで作ったボスクが今も護っているから、街道は安全なのかもしれませんね(´;ω;`)ウッ
ドワーフさんの作品の登場人物達は、何処にでもいそうで何処にでもいない感じが大好きです。


>国道さん
ミモザかわゆす、ブルーノかこよす、アッシュストーカーキテマス!(*´д`)
愛すべきおバカ、いつも一生懸命で暖かいブルーノ、やっぱりお兄さんってイメージですねー!
アッシュのツンデレ振りに大爆笑です…嗚呼、テラコッタが応援したくなる気持ちわかる!笑

被りに関しては本当にお気になさらず…国道さんファンとしてはむしろ光栄でs(ry
退廃的恋愛話との評価は嬉しいですよー、耽美な物語が書けるようになり隊(*´∀`)ウフフ
横ですが、レッドストーンのロゴデザインは前のが完成体、今のが欠片と思ってました←


>406さん
顔真っ赤な文章読まれたようで申し訳ないです…後で読み返したら煽ってる煽ってる(ノ∀`)ペチン
それでも考えて賛同して下さった部分、嬉しかったです。
前から思ってましたが、ROM専の方は沢山おいでるみたいですね…笑
隠れ住人多くて嬉しいです…このシャイボーイどもめ!(褒めてる/ぇー)
遅刻大丈夫だったでしょうか…ソレだけが心配です(´・ω・`)


>412さん
ゲームクリアおめ^^


書きかけのSSは内容がヤバイ方向に動いております…このままじゃ此処にうp出来ないよ!
仕方がないので放置して別の話に取り掛かります^p^

414 ◇68hJrjtY :2008/08/30(土) 18:46:39 ID:XypuDbDA0
生きておりますヾ(;´∀`)ノ

>412さん
ちょっと羨ましい……なんて思いながらゲームクリアおめでとうございます(笑)

>黒頭巾さん
ヤバすぎでUPできないとは…!はやる気持ちを抑えながら新たな小説の方楽しみにしています。
やっぱりしたらばではなくて普通の掲示板に小説UP用スペースみたいなの欲しいかもですよね〜。
エログロは隔離したりして完全なRS小説UP専用サイト!みたいな(・∀・)
いやいや、私は作りませんけど!(無責任

415 名無しさん :2008/09/01(月) 16:42:11 ID:N37CdrJo0
>>414
なるほど、言いだしっぺの法則ですね、わかります。

最近は投稿が少ないので、飢えております。
……が、せっついているわけではございません。

読める日を楽しみにしているROM専ですた。

416 名無しさん :2008/09/01(月) 19:00:38 ID:OnMpHZjE0
ESCADA文才無さすぎキモスwww

417 ドワーフ :2008/09/02(火) 23:32:21 ID:AepyIIHk0
マルチェドと血まみれ男

 ひと気のない街道を異様な出で立ちの二人の人物が並んで歩いている。一人は真っ赤な血に染まった服を着た、
荷物を何一つ持たない手ぶらの男。もう一人は暑い日差しにも関わらず全身を長いコートで覆い、顔までも鉄の兜
で隠している小柄な人物。この二人の人物の不気味さはその外見もさることながら、その和気藹々とした雰囲気だ
ろう。
「いやあ、助かったよ。君が通りがかっていなかったら今頃どうなっていたことか」
「いえ、何も大したことはしていませんから」
 小さいコートの何者かは謙遜したように首を振った。
「俺はジェスターっていうんだ」
「マルチェドです」
 ジェスターは手を差し出したが、苦い顔ですぐに引っ込めた。ジェスターの手は真っ赤な血でべっとりと汚れて
いて、とても握手に適した状態ではなかったからだ。マルチェドのコートにも既にジェスターのものと思われる血
が付着している。
「後で洗わなきゃな」
「どこか水のあるところを知ってるんですか?」
 ジェスターは街道の先の方を指差した。真っ赤な手はまるでペンキ塗りの標識のようだ。
「この先を脇に逸れてしばらく行ったところに村があるんだ。かなり小さいけどね。そこで水が手に入るし、君に
お礼も出来るだろう」
「お礼なんて、そんな」
 マルチェドは遠慮するようにそう言ったが、ジェスターはどうしても彼をそこに連れて行きたいらしい。
「君は俺の命の恩人だ。恩を返さずに『はい、さよなら』じゃあ俺の気が治まらない。それにその村は俺の生まれ
故郷なんだ。大したことは出来ないかもしれないが、実家で持て成させてくれ」
 両手を広げて熱心に説得しようとするジェスターに、マルチェドは少し俯き加減に答えた。
「分かりました。でも、僕はあなたの命の恩人なんかではないです」
 承諾したマルチェドに、ジェスターは笑みを浮かべた。
「そいつは良かった。それにしても、君はどこまでも謙虚な人なんだな」
「そういう訳では…」
 何か言いたそうなマルチェドに、ジェスターは苦笑した。

418 ドワーフ :2008/09/02(火) 23:37:00 ID:AepyIIHk0
 日は傾き始めていたが、遠くの景色はまだ暑さに揺れていて、蜃気楼でも見えそうなほどだった。遠くの木陰で
野犬が小さくうずくまっている。
 血が乾いてジェスターの服をパリパリに固めてしまっている。ジェスターは腹に固くへばり付く布を引き剥がし
た。そしてため息混じりにつぶやいた。
「不恰好だけど、もうしばらくこのままで居るしかないな」
 乾いた血が黒く変色し、ジェスターの姿をより不気味に見せていた。
「荷物、全部盗られちゃいましたね」
「ああ、鞄ごと持ってかれてしまった」
 同情するように言ったマルチェドに、ジェスターは少し落ち込んだ様子で答えた。
「まあいいさ。金は惜しいが、他は必要なくなるものばかりだったし」
 ジェスターが諦めたようにそう言うと、マルチェドは気になったのか彼に尋ねた。
「どうしてですか?」
「冒険をやめようと思ってたんだ」
「冒険者だったんですか」
 マルチェドが意外そうに言うと、ジェスターはハハハっと笑った。
「行商人か何かだと思ったかい?野盗にやられて剣も盗られるようじゃ、それも無理ないか」
「すいません」
 謝るマルチェドにジェスターは手を振った。
「いいんだよ。あそこは賊が出るって昔から知ってたのに、油断した俺が悪いんだから」
 ジェスターは笑いながらそう言うと、マルチェドの姿をじろじろと眺めた。冒険者ならマルチェドがどういう存
在か知っているだろう。
「君も冒険者だね。街で君に似た人たちを見た事があるよ」
「ええ、最近増えてきましたね」
「うん、こう言っては何だけど、実は気味が悪くてずっと敬遠してたんだ。でもこうして話してみると意外といい
人だったんだね。勿体無いな。こんな事ならもっと早く君のような人と知り合っておけば良かった」
 マルチェドは自分の胸に手をやって俯いた。何か考えているのだろうか、ジェスターはマルチェドの気分を害し
たと思い慌てた。
「ああ、ごめん。気を悪くしたかい」
「あ、いえ、そういう訳ではないんです。ただ、懐かしい人のことを思い出したんです」
 マルチェドの言葉に安心したのか、ジェスターは今度はにやりと笑った。
「初恋の人とか?」
「あはは、まあ、そんなところです」
 ジェスターは驚いたようだったが、すぐに元の笑顔に戻った。
「君のような人との出会いがあると、冒険をやめてしまうのが惜しくなるな」
「どうしてやめるんですか」
 ジェスターは顎に手をやった。考える時の癖なのだろうか。

419 ドワーフ :2008/09/02(火) 23:38:30 ID:AepyIIHk0
「理由は色々だな。月並みなことを言えば、夢を追ってばかりも居られなくなったてところか。楽しい事ばかりじ
ゃないし、モンスターを相手に命のやり取りをするのにも疲れたし、お宝って奴はロクに見つからなかったし。ま
あ、今までずっと我侭を通してきたんだ。そろそろ真っ当な生き方をしなくっちゃな」
「そうですか」
 マルチェドはまた俯いた。ジェスターのような人はそう珍しくない。
「もしレッドストーンが見つかったら訪ねてくれよ。自分の追いかけていたものを一目でも拝んでみたい」
「え?ええ…」
 マルチェドは暗い調子で答えた。だが、ジェスターはマルチェドの様子に気づかずに話を先に進めた。どうやら
一度感情が傾くと止まらなくなるらしい。
「本当は帰るかどうか迷っていたんだ。弟や妹に苦労を押し付けて、勝手に家を飛び出してしまったからね。今更
どんな顔して帰ればいいか分からなくて、このまま街で何か職に就こうかとも考えた。そうやって悩みながら過ご
しているときに、弟とばったり会っちゃってね。あいつ商人に買われてて、随分と修行したらしくって、新しく立
てる店を任されるほどになってた。今まで何をしてたんだって散々責められたよ。当然だよな。馬鹿野郎だの、ろ
くでなしだの、言うだけ言った挙句、妹が結婚するから早く帰れって言うんだ。驚いたよ、本当に。家を出た時は
こんなに小さかったのに、それが結婚するっていうんだから。でもさ、それなら尚更帰れないじゃないか。おめで
たい席に俺みたいなのが居ちゃ駄目だよ。そしたら弟の奴、俺みたいな自分勝手なろくでなしでも、肉親が祝って
やれなくてどうすんだって言うんだ。それに、妹はずっと俺の事を心配してたって。おかげで、ようやく帰る決心
がついたんだ」
「…………」
 マルチェドは黙ったままだった。
「他人の結婚式はちょっと肩身が狭いかもしれないが、出来れば君にも居て欲しい。俺一人じゃ心細いんだ。きっ
と知り合いはもうほとんど居ないだろうから。あ、それほど大きな式じゃないよ。近所の親戚が集まってやる、小
ぢんまりとしたものらしい」
「…………」
 ジェスターは黙ったままのマルチェドの様子を不審に思ったようで、心配そうに尋ねた。
「気分が悪いのかい?」
「いえ、そうじゃないんです…」
「じゃあ、やっぱり、他人の結婚式に出るのは嫌なのかい?」
「いえ…」
 ジェスターは首を傾げた。すると、マルチェドは腕を前に出して遠くを指差した。
「あの…、あそこに見えるのがジェスターさんの村ですか?」
 マルチェドが指差した先には、いかにも農村という風情の、木柵に囲まれた家々が小さく見えていた。
「ああ、そうだ。やっと着いた」
「止まってください」
 嬉しそうに早足に歩き出そうとするジェスターを、マルチェドは立ち止まって呼び止めた。
「どうしてだい?ほら、すぐそこだよ」
「ここまでです」
「何が?もしかして、寄っていってくれないのかい?」
 マルチェドは首を左右に振った。
「いいえ、あなたがここまでなんです」
「何を言ってるんだい?」
 ジェスターにはマルチェドが突然言い出したことの意味が全く分からなかった。
「気づきませんか?そのおびただしい出血の跡。僕一人の治療でどうにかなるように見えますか?それにあの暑い
日差しにも関わらず汗一つかいていないという事も」
「何を…」
「あなたは、とっくに死んでるんです」

420 ドワーフ :2008/09/02(火) 23:40:38 ID:AepyIIHk0
 日は西の山の上に静かに乗り、もう間もなく空を朱に染める事を告げていた。
「ははは、何を言ってるんだ。俺はこうして生きてるじゃないか。死体が歩いたり喋ったりする訳ないだろ」
「ごめんなさい。僕のせいなんです」
 マルチェドは謝った。
「何で謝るんだよ。さっきから君はおかしいよ。黙り込んだり、話し始めたかと思えば人を死人扱いするし」
「混乱するのも無理ないと思います。ですが受け入れてください。あなたは死んでるんです。僕がさ迷っていたあ
なたの魂を見つけ、再び近くにあったあなたの肉体に戻した」
 ジェスターは唖然としていた。俄かには信じられない事実だろう。ジェスターはハッとすると、服を捲り上げ、
身体に幾重にも巻きつけられている包帯を乱暴にほどき始めた。
「僕があなたを見つけたとき、あなたは既に殺されていた。即死状態で、ビショップが居たとしてもどうにもなら
ない状態だった」
 話しているマルチェドの目の前で、ジェスターは包帯を全て取り払った。その下から覗いたのは、胸の辺りを鋭
利な刃物で何度も貫いたような、無残な傷跡だった。
 自分の胸を見下ろして、ジェスターは足に力を失ったのか、そのままその場で座り込んでしまった。
「俺は、死んだのか」
「はい」
 沈黙。二人の人物が、黙祷を捧げるように俯いたまま黙っていた。
「…何が目的だ?」
 顔を伏せたまま、ジェスターは問いかけた。
「何か目的があるんだろう。でなければ、ここまで来て止まれなんて言えるはずがない!」
 ジェスターは顔を上げて、マルチェドに向かって怒鳴るように声を張り上げた。
「目的なんてないです」
「嘘をつけ、なら何故俺を蘇らせた。何故俺をここで止めるんだ。何で、放っておいてくれなかったんだ」
 責めるようにまくし立てるジェスターに、マルチェドは俯いて答えた。
「僕はただ、帰りたいと泣いている魂を見つけて、それで…」
「なら、行かせてくれ。せめて、妹に会わせてくれ」
 懇願するジェスターにマルチェドは首を振った。
「それが駄目なんです」
「なぜ!?」
 ジェスターの声は怒気をはらんでいたが、その目は死んだ魚のように黒かった。
「あなたはそれでいいかもしれない。でも、あなたの家族にとってそれが良いことだとは僕には思えない」
 マルチェドは顔を上げて、ジェスターを説得し始めた。
「あなたはきっとこう考えている。妹さんに会って、話して、そして去ろうと」
「それの何がいけないんだ」
「何処に居るのか、生きているのかどうかすら分からない。きっと生きていると信じても、不安は消えない。そん
な苦しみよりも『そこに居る』という悲しみが生きている人には重要なんです。話したりすれば、その苦しみと悲
しみが余計に増すだけです」
 ジェスターは頭を両手で抱えると、首を左右に振った。
「死体に、道案内をさせた訳か」
「…………」
「俺に君のような力があったとして、果たして同じ事が出来ただろうか」
「…………」
「君は…、いや…」
 ジェスターは何か言いかけると、立ち上がった。
「それで、これから俺をどうするんだ」
「僕があの村まで行って、村の人にあなたを運んで貰います。僕にあなたの身体を担ぐのは無理ですから」
「そうか」
 そう言って、ジェスターはふと気づいたように言った。
「でも、それだと君は…」
「いいんです。慣れてますから」
 ジェスターはマルチェドの目を見た。その兜の奥に輝く光を。
「すまない」
「謝るのは僕の方です。あなたにまた辛い思いをさせようとしている」
 ジェスターは目を下に落とすと、ぽつりと呟いた。
「…怖いな」
「空を見てください」
 ジェスターはマルチェドに言われるままに天を仰いだ。日は西に沈み始め、朱に染まった空がゆっくりと夜の帳
を下ろし始めた。帳には、薄っすらと星の瞬きが見えている。
「死んだ人の魂は天に昇って星になるそうです。あなたも、あそこに行くんですよ」
「そうか。案外、レッドストーンはあそこにあるのかも知れないな」
 強がるように、ジェスターは笑って答えた。
「かも知れませんね」
 マルチェドも一緒に空を見上げ、そう答えた。
「死んだ後も冒険か、嬉しいやら悲しいやら」
「見つけたら教えてくださいね」
「はは、どうやって」
 ジェスターはマルチェドの目の前に近づくと、しゃがんで目線を同じ高さに合わせた。
「君とは生きている間に知り合いたかった。嘘じゃない」
「僕もです」

 一つの魂が天に昇る。拭いきれなかった心残りのためか、重々しくゆっくりと、しかし着実に夜空を目指してい
た。

421 ドワーフ :2008/09/02(火) 23:47:20 ID:AepyIIHk0
あとがき
久々にユニークネタから離れて書いてみようと思いまして、
台風みたいな大雨や雷にビクビクしながら書きあげました。
かなり前に書いたマルチェドの話の続きみたいなものです。
でも、ただ単に名前を考えるのが面倒臭かったというのもあります。

昔のB級ホラーみたいなタイトルにただ今反省中です。

422 ◇68hJrjtY :2008/09/03(水) 16:54:42 ID:XypuDbDA0
>415さん
うわぁ…法則発動っすかorz
415さんが協力してくれるなら喜んで!(こら

>ドワーフさん
おぉ、マルチェドカムバック!
性格が大人しいネクロマンサー君ですが、どことなく儚いみたいなイメージの彼。私は大好きですよ。
お話はホラーというかなんというか。前回の「マルチェドと貴婦人」も同様ですが、霊を扱った悲しくも優しいお話。
ジェスターの「案外、レッドストーンはあそこにあるのかも知れないな」というセリフはちょっとホロリと来ました。
「死んでいる」事を明かしながらも悲劇というだけで終わらない締めくくり方に、変な言い方ですが嬉しかったです。
次回作もお待ちしております。

423 名無しさん :2008/09/03(水) 19:24:12 ID:fCs6564.0
ROM専です、こんにちは。
私としても新しい別の形で掲示板があるといいなと思い、借りてきました。

このスレッドですと、長編が多く、読みたい作品を探すときにスクロールするのが大変です。
そこで、各書き手さんのシリーズごとにまとめて読みやすくなれば、探しやすくなればと、そういった表示が出来るものを採用してみました。
また、イラストなども同時に投稿出来ます。
ttp://p1.avi.jp/ohuyu/
いかがでしょうか。
こうしたほうが良いなどの意見がありましたらお聞かせください。

424 防災頭巾★ :削除
削除

425 ◇68hJrjtY :2008/09/07(日) 22:51:19 ID:PVbAzmXE0
>>423さんの作ってくれた掲示板にも書きましたが、まとめWikiを新たに作ってみました。

http://wikiwiki.jp/rsnovell/

まだトップページしか編集しておらずメニュー内容とかも全然触ってないのですが
かなり簡単に編集できるのでちょっとだけヘルプを見ながら是非編集やまとめの助力お願いしたいです<(_ _)>
意見があれば>>423さんの小説スレ避難所かWiki内にあるフォームから書いてくれると嬉しいです(*´д`*)
宣伝みたいですが報告まで〜。

426 ワイト :2008/09/08(月) 12:28:42 ID:1tNOqf2o0
前RS小説6冊目>>895⇒6冊目>>901⇒6冊目>>975⇒続編

「ご…ご主人様ぁ……!」「え?あ…?」
主人は声を発した、一体のデスナイトの崩れゆく姿を、振り向き様に視界に捉える。
そして、主人は…声を掛ける猶予すら無く、デスナイトが塵と化し散っていく光景を目に焼き付けた。

「他に敵意を感じる気配は無いな…後は亡骸に寄り添う一人の男を倒せば、終わりだ。」
ラータは主人に視線を移すと同時に、両者の瞳と瞳の行く先は重なり合い、互いの想いを乗せている。

「黙れ…!私の、私の…さ、最高傑作を…殺って、くれたな!ラァタアァ!!!」
「何言ってる?先に仕掛けたのは誰だ?元を辿りゃ、諸悪の根源はてめぇの方だろ?無駄死にだな!!」

「…る…い…!」
「うる…さ…だ…れ!」
主人は、細々と静かに何かを口に呟いている。

「何だ?聞こえねぇよ。」
「うるさい…!うるさい!!うるさあぁぁい!!!黙れ黙れ黙れえぇ!!!
それ以上の冒涜は許さない!私の心境を共感出来るのは、やはりあの方だけ…!」

「ちっ!辺り構わず怒鳴り散らしてんじゃねぇよ!!俺の聞きたい事は二つだ。
戦闘意欲はまだあるのか?そして…あの方ってのは誰何だ?答えろ!」

「(落ち着け、平常心を忘れるな…このままでは、ラータの思う壺に成りかねない。
ヘルズゴート(物語序盤のウェアゴートの正式名称)の二の舞になってしまう…!)」

主人は、我を見失い掛けていた…しかし、自らの器量を持って見事、己を取り戻す。

「押し黙ってるのもいい加減にしろよ?早く答えろ!!」
「いやはや…私としても質問、いや尋問したい。ラータ…お前は何故私達、組織に刃向う?
何故同胞を殺す?何故…この誉れ高い私に対して牙を向くのかな?ラータ?」

「何?質問しているのは俺の方何だがな?そして、てめぇは一つ勘違いしてるぞ?
突然、俺と見るや殺気立てる奴…俺を牢獄に閉じ込め、化け物を投入するわ…!
罪を犯したから何だ?些細な出来事から、事を荒げたのはてめぇらの方だろうが!!」

「ふふふ…私と貴方では、話し合っては収拾は付かない、か…!あ、そうそう…
私に対する貴方の質問の返答を、知りたければ!力尽く!全力を尽くして、挑んで下さいよ!!」
「そうか、結局そうなるのか。でもよ…言い難いが、てめぇ自身の手下は全て消し飛んだ。
それでも闘うのか?いや…それとも既に敗北する覚悟を決心したってのか?」

「いやぁ…先立ってそれは無いですよ?無論、私は貴方に敗北する可能性は微塵も有りませんし?
更に逆を言えば、私の勝利する確率…いや可能性は、計算上90%を上回っているんですし…
勿論、私の得意分野は手下の指揮等関係だけでは有りませんよ?見せて差し上げましょう!!!」

「ふん!闘いってのは…計算尽くしじゃ、計れねぇんだぜ!?御託並べてねぇで、さっさと掛っ…て!!?」
「言われなあぁぁくてもぉぉお…ゆっっくりとぉぉお!時間を掛けぇぇてえぇ…!思い知れえぇえ!!」

               ゴオオォォォオオオオ!!!!!

ラータは畏怖する…!まるで瞬く間に血を凍りつかせ、存在する生命の流れを断ち切る様な…
身体全体に痛感する嫌悪感。そして、心臓を張り裂けそうになる痛みに、ラータは畏怖していた…!

「あは!あはっはははっ