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新ストーリーです♪

7あずみ:2004/11/01(月) 00:06
二人の沙汰を聞いてどよめく諸官らを制して裁き役が言う
「静まれ。さて、二人への沙汰は決まったが・・法度には罪人の御家にも罰を課するとある。だが・・宗隆殿は国主である桐祐家であるのでこれに罰を加えることはできん。なので・・育ての親としてきた但馬安房殿。その方をかわりに一の郭内の屋敷にて蟄居を命じる。」
宗隆のことが気になり裁きの間へ詰めていた安房はこの沙汰を神妙に受けた。
「次に立花家。その方達は宗重様のお膝元の封地をもらいながらこのような罪人が出るとは、許しがたし。現在の封地・玄州12万石より南端の永越3万石への転封を命ずる。これにてこの件の裁きを終わりとする」
清忠は顔をしかめていたが、安房同様に神妙に承るしかなかった。
 清茂と宗隆が警士に引っ立てられていく。これまで二人を見守っていた清光は会えなくなるという思いに抑えきれずに、柵をこえて二人のもとへ駆け出した。
「あっ!ヒカル!!」
隣にいた兄・清澄が止めようとしたが手をすり抜けていった。
「こらっ!小童がこのようなところへくるんでない!」
警士が出てきて止めようとする。
「よいよい。ふふふっ・・もう宗隆殿やお爺さまと会えなくなるからなぁ」
忠明が冷笑を浮かべながら言う。
「あにうえ従兄上!じぃ様!絶対にまた会えるよね??僕が絶対に二人の潔白を証明するよ」
「やっぱりヒカルはいい子じゃ。うむ、いつまでもまっとるからの!」
「ヒカル・・俺はしばらくこの国を離れる。お前と一緒にいれないのが残念だ。いつかまた会おう」
清光は二人としっかり抱き合った。
「さてさて、その辺で終わりにしてもらわないと困りますよ。さ、つれてゆくのだ」
三人の抱擁をさえぎるように忠明が言った。再び警士が二人を引っ立てていく。清光は別れまいと宗隆の手を握っていたが引っ張られていくと同時に手が離れる。
「・・僕は絶対にあの二人を助ける!お前の悪事を暴いてみせる!」
目に涙を潤ませながら清光はきっと忠明を見据えながら言った。
「それはそれは根も葉も無いことを。できるのならやってみるがいい」
例のように冷たい薄ら笑いを浮かべて言ったが、最後の方は射るように鋭い語尾になった。
 清光は兄・清澄に抱えられるように退出していった。
「ヒカル・・つらいとは思うがここは耐えるんだ。俺だってあの薄ら笑いを浮かべる野郎にお前みたいに言ってやりたかったな。よく言った」
清澄は優しく弟の頭をなでる。父・清忠は裁きの間から出たときからじっと黙り込んでいる。
(清光のあの眼光・・若かりしの親父にそっくりだ。やはりあやつは・・)
 立花父子が玄城を出る頃には日が沈みかけあたりは夕闇が迫っていた。館にさしかかろうとしたところで清光が立ち止まった。
「ん?ヒカル?どうした?」
清澄も心配そうに立ち止まる。
「・・僕、従兄上についていく!!従兄上の軍師になる」
「なに!?それはだめだヒカル!」
清澄は慌てて反対する。
「・・本気かヒカル?」
 これまで口を閉ざしていた父・清忠が口を開いた。
「お前はじぃ様そっくりだな・・父は止めはせぬ。じゃが、決して弱音は言うな。宗隆様をしっかり支えよ」
反対すると思っていた父が許してくれたのに清光は驚きを隠せない。同じように清澄も驚いている。
「なれど、父上!ヒカルがついていくのは・・」
「いや、それでよい。我ら一族は桐祐と切っても切れぬ縁。昔より代々参謀として仕えてきた一族だ。ヒカルも元服したからそれでよい」
反論する清澄を制して清忠は言う。あたりはすっかり夜に包まれている。三人は話を切り上げて館へ急いだ。宗隆の出立は明日。


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